- 1二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 22:52:53
アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの24スレ目です。
精神的な落ち込みこそあれでもアグネスの身体は順調に回復中です。そんな折に舞い込んだ国防委員会の命令―。
彼女の家でもあるミネルバは、短い休息を終えてアプリリウス宇宙港から錨を引き上がようとしています。
遠征の目的地はカスピ海の辺、ガルナハンとファウンデーション王国王都イシュタリア。
与えられた任務は要人護送、対ファウンデーション王国軍事支援物資(ゲイツR)並びにガルナハン市に建設中の新型火力発電所部品の輸送―。
プラント・友好諸国間の新条約締結が成るかどうかは彼らの双肩にかかっています。
帰路はファウンデーション王国に滞留中のコーディネイター難民そして同行を希望するナチュラル親族難民の輸送。多くの期待と不安を背負った航海が始まります。
一方、ロード・ジブリール率いるロゴスは勢力を急速に減退しつつも世界への影響力をなおも保持しています。
プラントと地球連合の戦争も未だ収束は見通せません。ヘブンズベース司令部やスエズ基地は健在、パナマ基地からは地球連合宇宙軍が宙に上がっています。
燻り燃え続ける戦火にアグネスとミネルバの戦友達は如何に対峙するべきなのでしょうか?
おつきあいをいただければ。 - 2二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:01:35
前スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart23|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの23スレ目です。アグネスは、傷の快癒前から…bbs.animanch.com1スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら|あにまん掲示板アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。bbs.animanch.com2スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。はたして、アグネスは、ルナマ…bbs.animanch.com3スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart3|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。己を取り巻く不可解な状況に四…bbs.animanch.com4スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart4|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバとアグネスはその進撃…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:06:02
5スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart5|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバの活躍は起こるはずだ…bbs.animanch.com6スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart6|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの6スレ目です。自分の心境の変化や激動する世…bbs.animanch.com※落としてしまった7スレ目です。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。出世の点数稼ぎの場として『戦…bbs.animanch.com再建てされた7スレ目です。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7(再立)|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。※不注意から一度スレを落とし…bbs.animanch.com8スレ目です。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart8|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの8スレ目です。戦いに消耗したアグネスとミネ…bbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:09:02
9スレ目です。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart9|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの9スレ目です。C.E.73年- C.E.7…bbs.animanch.com10スレ目です。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart10|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの10スレ目です。遂に開始される『ロゴスとの…bbs.animanch.com11スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart11|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの11スレ目です。『対ロゴス戦』は本編とはや…bbs.animanch.com12スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart12|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの11スレ目です。対ロゴス戦争が変え行く世界…bbs.animanch.com13スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart13|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの13スレ目です。本編を上回るほどの規模とな…bbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:12:04
14スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart14|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの14スレ目です。激しい戦いの後、戦女神と大…bbs.animanch.com15スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart15|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの15スレ目です。アークエンジェル問題を何と…bbs.animanch.com16スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart16|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの16スレ目です。アグネスは目の前で次々と発…bbs.animanch.com17スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart17|あにまん掲示板北限の海で繰り広げられる戦い。この世界のアークエンジェルを巡る戦いは一つの帰結を迎えようとしています。アーモリーワンから戦い抜いて来たミネルバ、世間は『彼女』を武勲艦と持ち上げ、事実そうなのではありま…bbs.animanch.com18スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart18|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの18スレ目です。アグネスはひょんな成り行き…bbs.animanch.com - 6二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:16:50
19スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart19|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの19スレ目です。アグネス・ギーベンラートが…bbs.animanch.com落としてしまった20スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart20|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの20スレ目です。一夜の間に繰り広げられるプ…bbs.animanch.com再建てした20スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart20(再建て)|あにまん掲示板※落ちてしまっていたので建て直しました。書き込んでくださった方、申し訳ありません。もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart20アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、…bbs.animanch.com21スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart21|あにまん掲示板もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart21アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、と…bbs.animanch.com22スレです。
もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart22|あにまん掲示板もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart22アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、と…bbs.animanch.com - 7二次元好きの匿名さん25/06/30(月) 23:19:41
いつも楽しく読ませてもらってます
ありがとう! - 8二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 03:41:10
幸先よく病室を後にする。
看護師「アグネスさん、絶好調ですね」
アグネス「はい?」
看護師さんはニコニコ微笑んでいる。彼女から見てそうなら、きっと私は元気なのだろう。厄介な公務とデスクワークを終えて確かに気分は上々ね。
看護師「でも調子に乗り過ぎちゃダメですよ。検査の時だけ元気な患者さんも多いんです」
アグネス「まんま私ですね…。気を付けます」
ただし絶好調状態は最初のうちだけ。バイタルチェックに血液検査、音波にMRI等々。病院内を盥回しでグルグル―。
アグネス「(目が回る…。おやつで補ったエネルギーは作業後半で蒸発していたわ…)」
でも、病院スタッフの皆さんにご挨拶とお礼をお伝して回れて良かった。もし今日遠征に発つなら、これが最後の機会になるかも知れない。
彼方も事情を知っているのだろう。何時にも増して気合が籠った調べようだった。
アグネス「(本当にお世話になりました…)」
その後は部屋に戻って昼食、検査結果を受けた遠征参加の可否ご判断は食後になるとの事。
看護師「今日はカレーライスです。ビーフカレー、インドって言うより日本料理ですね」
アグネス「ほぉー」
お米にカレースープが掛かっている。カレー味の合成医療食品が正しいのだが、まあそれは良い。コメの品種はジャポニカ米みたい。
アグネス「(そうかビーフカレー。正しく日本料理ね。インド系の方はあんまり牛肉食べないイメージがあるし)」 - 9二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 03:46:54
日本食は身体に良いと西暦末期から有名だ。
アグネス「いただきます。こういう種類のカレーは初めてかも」
看護師「そうなんですか?きっとお口に会いますよ」
アグネス「はい」
もしゃもしゃ、ああ、美味しい。シンの顔が浮かんで癪だけど、日本食美味しい。これを機に色々食べたい。
そこまで考えてハタと気が付く。
そうか―。
『平和を希求する』とはこういうことなのね。好きな物を好きな時に食べられること、夜は安全にぐっすり眠れること。【復讐の連鎖が云々】とか高尚なものとは限らない。それはそれで大事だが、もっとずっと身近なものなんだ。
アグネス「(殺伐とした世界にどっぷり浸かって忘れていたわ。私は戦争終結後も将官級に出世するまでザフト軍に残るつもり。艦上勤務は平時でも大変。それはそうなのだけれど―でも今の気づきは大事にしたいわ)」
昼食が終わると少しの時間が空く。
もうお仕事はたくさんなので目を瞑ってうつらうつら過ごすことにする―。
ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!
気が着くと2時間ぐらい経っていた。エルスマン博士と女性主治医が診察にいらしている!
タッド・エルスマン「失礼する。良いかな?」 女性主治医「失礼します」
アグネス「どうぞ。お待たせしました。申し訳ありません」
タッド・エルスマン「気にしなくて良い。むしろ休めていて何よりだ。さて、早速だが―」
エルスマン博士曰く検査結果は良好、身体はもりもり回復しているとのこと。 - 10二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 04:22:13
タッド・エルスマン「もう左足は問題なく上げられるだろう?」
アグネス「はい」
腰掛けた状態から左足を優し目に蹴り上げる。その動作を5、6回お見せする。
タッド・エルスマン「今朝はできなかったろうが…。おそらく左足首を回せるようになっていると思う。少し痛いだろうが、軽めにゆっくりやってみてくれ」
アグネス「はい」
言われた通りに左足首を軽く回し始める。激痛が走り一瞬、眼球の裏が真っ赤に染まる。
アグネス「痛ッ…」
痛いだけだ。ぐるっと足首は回って元の位置に戻る。
看護師「やった!偉い!」
タッド・エルスマン「ふむ…。この分なら」
その後、右足の調子も確認する。足先をちょこちょこ、右下腿も若干は前後に動くようになって来た。
タッド・エルスマン「よろしい。特務隊アグネス・ギーベンラート、本日夕刻より始まるミネルバ遠征任務への参加を許可しようと思う。先生、よろしいですか?」
女性主治医「ええ。適切なサポートの下なら任務に従事できるものと診断します」
病室内に緊張が走る。いよいよか。
この診断が何を意味するか、博士と主治医、控えてくれている看護師さんはご存知だ。
タッド・エルスマン「さて、そうと決まったのなら。私も準備を終えねば」
エルスマン博士は主治医と看護師さんに視線を振る。お二人は力強く頷かれているが、私は話に付いて行けない。 - 11二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 04:34:55
アグネス「準備と言いますと?」
タッド・エルスマン「『我々は君に責任を持つ』。私もミネルバに乗艦する」
アグネス「えっ…」
博士の思いもかけないお言葉に目が点になってしまう。
はたして私の為にそこまでしてもらって良いものか?国防委員会からの依頼で断れなかったのか。
エルスマン博士ほどのお方にはもっと別のお役目が相応しいはず…
アグネス「誠にありがたいお話しではありますが…」
丁重にお断りしようする私を博士は軽く制し、続きをお話し下さる。
タッド・エルスマン「私の乗艦は第一に君の身体に対する責任に基づくものではある。だが目的はそれのみに止まるものでは無い。現地で策定された難民の乗艦予定者リストを確認した。ナチュラルの親族難民に難病罹患者や障碍者が散見される。重傷病者も」
そうなの?よく逃避行できたわね。
アグネス「(違うか。難病や障碍がある親族だからこそ国元に残せなかった。あるいは厳しい難民生活を送るうちに病変が顕在化したり身体を壊した方もいらっしゃるはず…)」
戦時下にそうした重病傷者・障碍者を抱え込むのは国益に反するかも知れない。しかし同胞の難民のご家族・ご親族を選別して見捨てるのも違う。とは言え、彼らは未だ帰化前の外国人だ。
アグネス「(難民として受け入れた後ならともかく。受け入れ前の段階ならプラントは彼らに義務を負ってはいない…。いや、どうだろう?)」
地上コーディネイターを国外の民族同胞と捉えるなら。その家族・親族の扱いは。うーん。私はプラント国籍法・市民権法の専門家ではない。手に余る。
アグネス「(しかし我が国は難民を最終的に受け入れる約束で彼らをファウンデーション王国に引き受けてもらった。既にある種の政治的・外交的義務は生じている。難民の中にはその約束を信じて当地まで辿り着いた人もいるはず)」
結局の所、現実的には政治的判断になるのだろう―。我が国は人道に適った道を選んだようだ。
女性主治医「だから私達はDMATみたいなものです。この病院の医療事務員も合わせてミネルバに。プラントの人道主義が本物か世界が見ています。あとアグネスさんもまだ重傷者カウントですから、お忘れなく」 - 12二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 12:06:54
保守
- 13二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 12:10:40
ただファウンデーションはがっつりスラム街が存在してたような国なんで
人道面を重視するこのフェーズだと此処との提携は若干不穏な空気が漂ってるような...
流石に預かり難民相手には酷いことはしないと信じたいけど - 14二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 16:28:10
- 15二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 21:47:42
- 16二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 04:10:01
保守
- 17二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 04:19:21
彼女の使命感の籠った眼差しは今の私にとって灯台の光のようなもの。せっかく歴史的な任務に参加できるのだ、と思ってテンションを上げて行こう。
タッド・エルスマン「私の下にも国防委員会とグラディス提督から正式な依頼が届いたよ。医療用コンテナと医療物資の積み込みを進めている」
なるほど、私が寝ている間に準備は着々と進んでいたみたい。展開の速さに圧倒されそう。事前調整は有ったのだろうけれど、それでも動乱の時代に相応しいスピード感だわ。
アグネス「(それなら私がどうこう言う問題ではない。でも―)」
それはそうとて、私にはこの場で言うべきことがある。顔と体の向きを調整してお三方一人一人と視線を合わせる。
アグネス「(真正面から見ると、エルスマン博士、ディアッカ先輩と面立ちも目の輝きもそっくりだわ。今日まで特に意識していなかった…)」
背筋を真っすぐ伸ばしてしっかりお伝えしよう。
アグネス「エルスマン博士、先生、看護師さん。本当に心強く思います。改めまして、今日までありがとうございました。遠征中、どうかよろしくお願いします」
タッド・エルスマン「こちらこそ。道中共に助け合おう」 女性主治医「ええ。ご一緒に」
看護師「頑張りましょう!」
畏まってお礼を述べる私にお三方は誠実な態度で応じて下さる。
良し!気合が入って来たぞ。3人をお見送りしたら私も退院準備を始めよう。
うん?あれ?博士が遠征にご同行するなら―。
アグネス「レイは―」
戸惑う私にエルスマン博士はそっと告げる。
タッド・エルスマン「レイはファブラリウス市の病院に戻る。病院は副院長の指導の下、正常に機能している。私も通信状況を確認しながらリモート診療を続ける」 - 18二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 04:45:20
そこは心配していない。レイの話から彼方の病院も素晴らしい所である事は知っている。
それでも一抹の不安が心を過ぎる。彼を一人残して本当に大丈夫か?
アグネス「(何を馬鹿な…私はあいつの母親では無い。それに何より、レイは独りぼっちではない。ミネルバの仲間だけじゃない。今は病院スタッフにニューファンドランド犬もいる。もしかしたら患者友達もできたかも知れない)」
周囲も彼を放っては置かないだろう。直ぐにブスっとした顔をする癖に濃厚に漂わせている『かまってちゃんオーラ』、きっといろいろな人が彼の力になってくれる。
そしてレイはそのありがたさが分からない人間はない、と私は思う。
アグネス「分かりました。もし叶うなら元の病院の方に『戦友をよろしくお頼みします』とお伝え願いませんか?」
タッド・エルスマン「必ず伝えておこう。彼は出発前に君と話したいと言っている。会ってやってくれるか?」
アグネス「勿論!直ぐにでも」
思えば、この病院で目覚めて直ぐも同じ遣り取りをした。今日も返事も同じだわ。
タッド・エルスマン「ありがとう」
診察終了と同時に制服に着替える。やはりスカートは未だ上手く履けないので看護師さんにお手伝いしてもらう。
ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!
レイ「入っても良いか?」
ちょうど着替え終わったタイミングでインターホン画面にレイの小憎らしい顔が映る。
アグネス「どうぞ!」
レイ「失礼する」
自動扉から現れる彼の顔色を確認する。健康状態は悪化していないようだわ。誤魔化しているなら自己責任だ。 - 19二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 04:47:51
看護師「じゃあ、私はちょっと席を外しますね」
アグネス「すみません」 レイ「ありがとうございます」
看護師さんは気を利かせて退出し部屋には私とレイ二人きりとなる。
アグネス「(しまったわ…。何話そう?)」
こいつと私の間の話題は本当に少ない。仕事の話題にこの前は犬の話題―。
思えば異性の同僚・同期ならそんなもの、人当たりの良いルナマリアやメイリンが凄いだけと言えなくもない。
レイ「忙しい所に悪いな」
アグネス「いいえ。退院前に顔を見たいと思っていた。エルスマン博士を取るみたいで悪いわね。治療に差し支えはないと仰っていたけれど…」
レイ「俺の事は気にするな。博士もお前も大事な任務だ」
急に頭に血が上る。まだそんなことを言うのか!レイの両目を全力で睨みつけ言葉を叩きつける。
アグネス「気にするわよ!私も周囲の人も。気にしていないのはあんただけ!こっちが馬鹿みたいじゃない!」
レイ「…」
突然の私の言葉にレイは驚いた表情を浮かべている。しまった…
アグネス「(いけない…。どうして私は優しく言えないのか。レイもそんな意味で言った訳じゃないと分かるのに)」
図星だったのだ。自分のせいでレイの治療に影響が出るかもしれないと罪悪感があった。同期の仲間達とのコミュニケーションは失敗続きだ。これではアカデミーの頃と変わらない。
アグネス「ごめん。私が言いたかったのは―。要は『あんたは自分を大事にしなさい』ってこと。自分がそう言う柄じゃないって分かっているけれど…」
頭の中がぐしゃぐしゃする。どうも距離感が分からない。レイだけじゃない。 - 20二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 05:03:39
『人は上か下か、自分は上に昇らないといけない』。私の人生は産まれた時からそればかりだった。他人に優位に立つ事しか考えないから対等な人間関係をきちんと築けない。
そうした振舞いが体にも心にも染みついている。成人して早2年。誰のせいにもできない―。
レイ「ありがとう。もう病院を脱走して皆に迷惑や心配を掛けたりしない。約束する」
此方の気を知ってか知らずか、レイは神妙な顔でまた一つ私に約束を寄こす。
アグネス「怒らないの?」 レイ「気にする人間だったか?」
アグネス「『士別れて三日なれば、即ち更に刮目して見よ』!あとその約束は私以外のあんたの友人知人にも適用ね」
私はこの遠征で死ぬこともあり得る。プラントには家族も縁者もいる。私の死後に馬鹿な真似をされては敵わない。
レイ「分かった…。士別れて三日か―。お前から見て俺は変わったか?」
なに?気持ち悪いことを聞いてくるわね。あんた周囲に壁を造っていたでしょ。私が知る訳無いわ!
アグネス「うーん、元のあんたが良く分からないけど…。ちょっとは自分で物事を考えるようになったんじゃない?」
『元のレイ』が何も考えていなかった訳では無いと思う。でも早老症(クローン故と誤解)のせいで意固地になっていた感は否めない。治療を受け改めて自分の命と向き合うと、何かしら思うことは有るのかも知れない。
レイ「自分で考えるようにか。ああ、分かった!」 アグネス「分かったなら…良し?」
ともあれ用件は済んだわ。レイがミネルバの遠征中にちゃんと養生しているなら問題ない。一安心だ。
アグネス「積もる話は今度の機会にしない?私、退院準備が有るから…」
私が話を切り上げようとした瞬間、レイの口から鋭い警句が飛び出す。
レイ「ファウンデーション王国に気を付けろ!ブラックナイツにも気を許すな」 - 21二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 06:34:32
でもDP向きの性格なんだよね
- 22二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 09:55:45
個人的にはDPに向いてるかもしれんけど
今のアグネスだとDPの施行された世界になれば、その世界でパイを取り合い夥しい人をひたすら自身が蹴落とし
これ迄の戦線でコーディ・ナチュラル問わずアグネスがお世話になった人達がDPで職にあぶれて悲惨な末路を迎えるかもしれない
(全て生まれ持った遺伝子で判断されるからアグネスにはどうする事も出来ない)
……諸々の日々を送るはめになるから遅かれ早かれ何処かで精神的に病んでって事も…
- 23二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 16:27:54
保守
- 24二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:48:44
保守
- 25二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 01:26:22
アグネス「急に何?ファウンデーション王国の事は元から警戒している。オルフェ宰相もブラックナイツも油断ならない相手だと理解しているわよ?」
レイ「そう言う意味ではない…。いや…そう言う意味ではあるが…」
どうも要領を得ない。レイは何を言いたいのか?
彼の切羽詰まった顔を見るに精一杯の誠意は感じるのだが―。
アグネス「何か話してくれるの?無理にとは言わない。ともあれありがとうね」
レイ「…」
僅かな逡巡の後、言葉を選びながら続きを話してくれる。
レイ「アウラ女帝達は建国前から議長を盟友視している。現プラント政権に対しては面従腹背のはずだ。この遠征を妨害するメリットは彼女らに無いと思う。だが油断するな」
レイの声は動揺で震え瞳の光は揺れている。
本当に養父を裏切らずに済むギリギリのラインで私に警告してくれているのだ。
アグネス「ありがとう。ブラックナイツについては?話せたら話して」
彼の瞳をしっかり見詰め、決して急かしたりしないよう気を付ける。
レイ「彼らは『全てにおいて卓越した能力を示し、他者と完全に融和できる個体』を目指して造られたコーディネイター。心理的洞察力・操作力が尋常ではないと聞く。心の弱みに付け込まれないよう気を付けろ」
今度はあっさり話してくれた。『議長』の単語の有無でこうも違うとは!
しかし―、ふむふむ、なるほど?
スーパーコーディネイターのようなものか。それも優秀な遺伝子の粋を極めて造られた―。
アグネス「つまり彼ら7人はキラ・ヤマト氏に近い存在?」
レイ「それは…」 - 26二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 01:36:53
そこまで話してレイは口を閉ざしてしまう。今、彼に話せる限界はここまでなのだろう。或いはそれ以上の事は知らないのかも。
アグネス「改めてありがとう。この情報だけど、グラディス提督達と共有して良い?」
レイ「構わない。皆の事を頼む」
そう言って軽く頭を下げるものだから驚いてしまう。レイから『頼む』と言われる日が来ようとは思わなかったわ。
レイ「本当は俺も同行したかった…。皆が心配だ。ファウンデーション王国の事も見極めたかった。彼らの国と社会の在り様を…」
アグネス「いや、無理だから。あんたの病気の事はさて置くとしても、ガルナハンでは重要な国際会議が控えている。政府要人も複数名ご乗艦される―」
『国内の統合と包摂の為、政治的敗者には寛容であるべき』だが限度もある。今回ばかりは艦内に政治リスクのある人間の居場所は存在しない。
レイ「ああ…。分かっている」
曇った顔のレイの顔を見ると流石に可哀想になる。貴重な(?)情報も教えてくれた。一応、フォローしておくか。
アグネス「武器供与と難民護送は何往復か必要だろうから…。要人無しの2度目以降に医師同伴なら或いは。何を見極めたいのか知らないけれど、それまでしっかり養生しなさい」
良し。今度は優しく言えたわ。私偉い!しょぼくれ顔だったレイの表情も大分ましになったわ。
レイ「ああ…。ありがとう。どうか武運長久を」
アグネス「あんたも堅固で。帰ったら病院に顔を出す」
レイ「別に出さなくて良い。俺から訪ねる。これで死亡フラグは折れたな」
上手いことを言うようになったじゃない。感心感心。
アグネス「ありがとう。助かったわ」
病室を出るタイミングでお互いビシッと敬礼を交わし、レイを見送る。こういうの良いわね。 - 27二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 01:45:28
アグネス「(それにしてもブラックナイツ…。聞いた感じだと身体能力抜群で頭脳明晰な最高級コーディネイターと言った所か。でも心理的洞察力・操作力―心の隙を突く。うーむ)」
ちょっと漠然としている。メンタリストってことかな。
レイも伝聞でしか彼らの能力を知らないようだったから何とも云いかねるが―。
アグネス「(私も彼らがコーディネイターである事までは予想していた。しかし七人揃ってキラ・ヤマト級の人材ならば話は別。将来的にはプラントにとって脅威になるかも知れない)」
ミネルバに着いたらグラディス提督とトライン副長に可及的速やかにお伝えしよう。
『不確実な事を言うな』と怒られるかもしれない。でもリスクは散らすに限る。抱え込んだら自爆する。
レイのもう一つの警告についても考える。『心の隙を突かれるな』
アグネス「(私の心の隙か。いろいろ有り過ぎるわ。うーん、省みるに自己肯定感に問題があるかも。戦場の体験は間違いなくマイナス。後は…)」
自己分析は一筋縄には出来ない。考え出したらキリが無い。
『自己肯定感に問題があるかもしれない』、『戦場の体験がマイナスになっているかも知れない』。
この二つ思いついたのなら上々だ。残りはミネルバに着いてからで良い。手を止めることなく退院準備を続けよう。
看護師「失礼します。ゆっくり話せました?」
アグネス「お待たせしました。ええ、お気遣いありがとうございます」
二人掛で荷物を纏める。大した荷物が無くて助かったわ。
看護師「よーし!では出発します。エルスマン博士と先生は後発で」
アグネス「はい。では―」
車椅子にベッドから這って乗り移り前進開始だ。
自動扉を出る際は空の病室に敬礼しておく。お世話になった人と空間に対して、ちょっとセンチメンタルかな。 - 28二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 08:12:36
アコードの能力を事情を知っているレイの方からある程度開示してくれたのは良いけど
…この状態で心覗かれたら最悪レイ始末されない?大丈夫? - 29二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 12:30:28
アグネスが偶に口にしている「高級(最高級)コーディネイター」は
考えによっては「目の色が違うわ!」に匹敵するⅭ.E.の業を示した概念な気が
生体をランク付けして金を出す富裕層向けの高額商品としてのビジネスも成り立っていたし
一種の経済動物みたいだなって... - 30二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 20:10:59
保守
- 31二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 00:19:23
保守
- 32二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 00:46:10
セントバーナード犬「はぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっ」
病院のロビーに着くと巨大なもこもこがお座りして待って居た。傍にはハンドラーと運転手さん、手隙の数名の医師と看護師。レイ付き看護師さんもいらっしゃる。
看護師「ミニ壮行会です。ごめんなさい。急に決まったから…」
アグネス「いえ…本当にありがとうございます」
これはかなり嬉しいわ。
セントバーナード犬「ヒーヒー、クンクン…はぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっ」
セントバーナード君はムクリと起き上がり私の車椅子の隣に駆け寄る。超大型犬種ゆえ車椅子に座った状態で撫でることが出来る。
アグネス「ありがとう。もっと貴方と触れ合いたかったわ」
セントバーナード犬「はぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっはぁぁっ」
私の呟きを耳にした医師とハンドラーが励ますように言葉を掛けてくれる。
医師「今日は仮。本当の退院の時にまた会えますよ」
ハンドラー「ええ。この子は一度会った人の事を忘れません。お待ちしています」
アグネス「ありがとうございます」
ちょっと感激!
レイ付き看護師「仮退院、おめでとうございます。バレルさんはあの後、治療で来られなくて…。無事に帰還して地球の事やファウンデーション王国の様子など教えて欲しいと」
問題ない、あいつとはもう挨拶済みだわ。二重にするのも何か気不味い。
アグネス「本当にお世話になりました。レイにはさっき会ったばかりですので大丈夫です。土産話を待つようお伝えください」
看護師「はい、確かに。こちらこそお会いできて光栄でした。どうか武運長久を」
アグネス「貴女もどうか健やかに」 - 33二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 00:58:11
名残惜しいが我等は互いに己が務めを果たすのみ。お世話になった皆様に見送られて病院を後にする。
アプリリウス中央エレベーター昇降ステーションまではあっという間だ。
アグネス「お世話になりました。行ってきます」
運転手「行ってらっしゃい。武運長久を!」
アグネス「はい!」
武運を皆から祈るわ。一応、この遠征は戦闘目的では無いのだけれど…。突っ込むのも無粋ね。
ステーションでは軍務でかつ特務隊の私は順番待ちを回避できる。軍が事前に押さえた便に看護師さんと乗り込むやエレベーターの籠は中間施設地帯目がけて急上昇を開始する。
看護師「アグネスさん、見て!町がもう小さくなってます」
アグネス「ええ。あっと言う間ですね」
ちょっとはしゃぎ気味の看護師さんに調子を合わせる。飛行機や客船にのったような気分なのだろう。変に冷めた態度を取るのも格好悪い。一緒に楽しまなくちゃね。
さて中間施設地帯宇宙港の軍港側に到着、そこは修羅場となっていた。
軍港所属の将兵にミネルバ・月軌道艦隊クルーが脇目も振らず駆けまわっている。
その中の一人が私に気付き敬礼してくれるので私も答礼する。
ミネルバクルー「アグネス、看護師さん!よくぞ…。アグネス、身体は大丈夫か?」
アグネス「それなりに」
ミネルバクルー「良かった。おーい、ヨウラン!アグネスが来たぞ」
ヨウラン「おお…」
別に呼ばなくても良いわよ!忙しそうだし、悪いわ。
お断りしようとアタフタしている間に浅黒い肌の戦友がダッシュで駆け付けて来る。 - 34二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 01:07:10
ヨウラン「アグネス、元気か?!お帰り!看護師さんはようこそミネルバへ。ヨウラン・ケントです」
アグネス「ヨウラン、ただいま。忙しい所に悪いわね」
看護師「メカニックの方ですね。初めまして。よろしくお願いします」
ヨウラン「こちらこそ。よろしくお願いします。さあ此方へ!」
彼の後ろに続き少し回り道して搭乗橋に向かう。この車椅子ならタラップを昇れるのだが彼の騎士道精神を尊重しよう。それはそうとして―。
アグネス「これは…。もう戦場ね」
ヨウラン「急だからな。それに荷物も機体も多い」
アグネス「ガルナハンの火力プラントの部品と難民用の食糧と衣服、医療物資その他ね。それとモビルスー24機。デスティニー3機、レジェンド1機、セカンドステージシリーズ4機(インパルス、セイバー、カオス、ガイア、アビス)、AWACSディン2機、供与するゲイツR14機―」
相変わらず一杯一杯だ。ペイロードと言う概念と喧嘩するのがミネルバの宿命らしい。
ヨウラン「モビルスーツは26機になったぞ。ジン長距離偵察複座型を2機追加。デブリ帯の航路の安全は別動隊が確保してくれているけど、万一の為だって。ゲイツR6機の手足・頭・胴体を一旦外してから積んでスペースを空ける。現地で1機は組み立てて見せて技術指導を。ファウンデーション王国側からも了承を得たって。あとエルスマン博士の医療用コンテナを追加で貨物スペースに」
なるほど。良い判断だと思う。トラドール国務秘書官か国元のシュラ・サーペンタイン国防長官のご決断なのだろう。
アグネス「それにしても―流石、ミネルバ。過積載ギリギリを攻めるわね」
看護師「アグネスさん?それって大丈夫なんですか?」
看護師さんは軽く不安がっているみたい。言葉を尽くして安心させなくては!
アグネス「戦力の補充がないよりずっと良いです。戦時下では良くあること。クレタに降りる時はこんなものではありませんでした」
ヨウラン「いや…いい勝負だろ、これ…。あっ、着きましたよ」
搭乗橋を渡り終えミネルバのタッチの敷居を車輪で乗り越える。
看護師「ありがとうございます」
アグネス「ありがとうね」
ヨウラン「どういたしまして」 - 35二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 01:25:12
案内と軽い説明を終えたヨウランは手を振って持ち場に戻って行く。我等は我等の持ち場へ。
看護師さんと一緒に医務室へ向かう。入室すると同時に軍医殿・看護兵と敬礼を交わす。
軍医「アグネス、お帰り。看護師さん、ようこそミネルバへ。医療班一同歓迎します。派遣医療チームと我らミネルバ衛生班、一心同体となって任務を完遂しましょう」
看護師「はい。ありがとうございます」
そう言った後、軍医殿は医務室を見回して見せる。
軍医「帰路はここのみでは手狭になるでしょう。クルーの部屋割りを調整して臨時医務室を増設予定です。アグネスのベッドは取り合えず、そこだ。」
看護師「はい!」 アグネス「了解」
確かに帰り道は難民の搭乗スペースを空ける必要がある。いや、そもそも往路の時点で―。
アグネス「看護兵さん。私の部屋って今どうなってます?」
看護兵「それが…メイリンとルナマリア、アビーさんの3人部屋になっています」
やはり。カナーバ前議長初め要人の方々と補佐官の部屋が必要なのだ。士官相当官以上の物を確保しないといけない。
看護兵「男子に関しては…。アスランさんはハイネさんとガイアパイロットで3人部屋に。シンはショーンさんとデイルさん、アビスパイロットの4人部屋になっています」
ふーむ、止む無し。この分だと他のクルーやパイロットにも似たようなことが起きているはず。帰路は更に混みあう。軍人なら状況に適応しなければ。
アグネス「軍医殿、ガイアとアビスのパイロットは誰になりましたか?ちょっと時差ボケになっていて…」
軍医「入院中だったから仕方ないさ。ガイアはバクゥハウンド小隊長、アビスはアッシュ隊の小隊長が任じられたよ」
アグネス「ありがとうございます」
粗方、軍医殿は説明を終える。彼は休むよう目線で促すが、私にはまだ為すべき事がある。
アグネス「申し訳ありません。軍医殿、艦内電話をお借りします」 軍医「構わないが…。誰に?」
アグネス「グラディス提督とトライン副長に」 - 36二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 10:02:02
保守