- 1二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:30:55
- 2二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:34:00
【ガタン、ゴトン】
【線路を鉄道が走り、揺れる。革の長椅子に腰を下ろした人々は、数秒経って浮遊感を味わうだろう。線路が登っていったその先には線路はなく、ただどこまでも夜が続いていたのだから……】
【車掌の放送が入る】
───えー、太陽系巡回鉄道、発車します。次は火星、火星──お忘れ物がございませんように、お気を付けください──
【気の抜けた声の放送が終わると、辺りは静寂に包まれる】
【金が必要だが車内で弁当の販売もしており、空腹に困ることもなさそうだ】 - 3二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:36:45
むぐむぐ……お弁当、美味しい。
【学者風の格好をした、眼鏡をかけている女性が弁当に舌鼓を打っている。】 - 4二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:38:33
お弁当が売っているのはいつ見てもありがたいな…。
【黒スーツを着用した科学者風の男性が弁当を買っている】 - 5二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:38:40
ふむ、コーヒーを一杯頂こうか。あったかいの頼むよ。
【老紳士風の男性が革の手袋を外し、珈琲のカップを受け取る。鼻をくすぐる香りを感じ、そのまま一口】
……ふむ、やはり旨いな……さて、あっちにつくまで資料の確認でもしていようか……
【どうやら、仕事で他の星に行くようだ】 - 6二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:41:15
【ふと窓の外を見れば、その星の多さに驚くだろう。夜の暗さに心を奪われるだろう。ふと気を緩ませると遥か彼方へ吸い込まれそうな、深い深い夜を感じるその光景に、地球という枠の中に納まっていた人間にとって、劇薬のような刺激を感じさせるだろう】
【木目と暖かい空気が腰を下ろした列車の中でも、確かに宇宙を感じるのだ。やがて、牛の乳をこぼしたような、白い白い天の河が見えてくる】 - 7二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:44:47
カムパネルラ、月に言ったらまずクレーターの確認だと何度言ったら分かるんだい?
「いやいやジョバン二、先ずは微生物の調査だ。あの空間でどれほどの生物が生きられるのか、どうやって栄養を保持しているのか。ああ、知りたくてたまらないよ。」
落ち着け……まったく、仕事で来てもプライベートで来ても、調子が変わらないじゃないか。せっかく有休を合わせてやったっていうのに。
「しょうがないじゃないか。子供の頃だってそうだった。僕たちは所詮星の乳飲み子。ならば、その謎を解明しようとするのは至極当然のことじゃないかい?」
こんな澄んだ目をしている馬鹿は初めて見たぞ、僕は。
「一応国家資格とってるだぜ?」
【二人の乗客が楽しげに会話をしている、口では言い合いつつも、二人の間には少年時代のような、どこか懐かしさを感じさせる空気が広がっていた】 - 8二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:46:22
……土星は遠いな。寝るか。
【携帯式の賭け毛布を持っている青年がいた。どうやら土星を目指しているらしく、まだまだ先の話かと睡眠を摂る】 - 9二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 17:50:56
あぁ、なんと綺麗な星々……これほど男心をくすぐる者は、他にないね。
【ニヒルな笑みを浮かべた男性が、窓の外を見ている】 - 10二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 18:00:06
……宮沢賢治は、これを夢見ていたのかねぇ……
【そんなことを言うのだから宮沢賢治を読んでいるかと思いきや、手に持っているのは銀河鉄道999だ】 - 11二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 18:07:39
僕はそもそも行きたくなかったって!二郎が誘ったからこういった事になったんじゃん!
あっ見て二郎!あれが木星の光だよ!
「カムパネーテルも何だかんだいって楽しんでんじゃん?あーうん、言わなくてもわかってるよ!」
【黒い猫耳を隠すように円柱型の帽子を被り、ふわふわした喪服を着込んだ背の高い金髪の猫獣人が、顔が画面になった青っぽいサイボーグの少年と会話している】 - 12二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 18:08:53
【一つ一つは小さな輝き。無数に集まったそれが、まるで巨大な生き物のように窓の外に横たわっている】
【陽光の煌めく水面のように、川底で洗われる砂のように。『天の川』という表現は言い得て妙だ。雄大な大河のように、ささやかな小川のように。夜空を両断する星の川が、ゆっくりと車窓を流れていく】 - 13二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 18:41:13
【肌触りの良い上質な天鵞絨張りの座席は、二つが向き合うボックス席だ】
【馴染みの相手と乗り、和気藹々と過ごすものもいるだろう。一方で、偶然同じ席になった者同士が、一期一会の話に花を咲かせている席もあるようだ】 - 14二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 20:36:53
鷺はいりませんか。すぐに食べるなら雁がおすすめでさぁ。
【店内販売のようだ。見た目は鳥だが、チョコレートのような菓子らしい】 - 15二次元好きの匿名さん25/07/01(火) 20:46:59
【ぱらぱらり、頁を一つ捲れば、そこには小宇宙、本の中から、幻想的な銀河が立体映像として映し出されている、その映像は外の景色に負けず劣らず、輝く星々達が渦巻き螺旋を描く、この光景は虚構の幻想なれど、この列車の行先は真実の幻想である、何が起きるかは分からないが、分からぬからこそ楽しいものもあると、そう思おうと決意すると、窓の外の景色と、手元の本を見比べる男は、ぱったりと本を閉じ、窓をブラインドで覆い、ハンチング帽を目元まで被って覆い、羊が柵を超えぬ間に、彼はそっと眠りに着いたのであった】
- 16二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 00:29:53
【がたんごとん】
【規則正しい振動が眠気を誘う。あるいは、まどろみを妨げ覚醒へといざなう】
【目を開けた時、窓の外に広がっているのはどんな景色だろうか。もしかすると知らない誰かが相席しているかもしれない】
【美しい光景を目に焼き付けるのも、揺籃のようなリズムに身をゆだねてひと眠りするのも、偶然同じ席に座っただけの誰かと、今宵限りの会話を楽しむのも自由だ】
【がたんごとん……】 - 17二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 00:31:33
【窓の外を見ると小さな輝きを放つ無数の星が見える】
【一つ一つの星には必ずその星だけの物語が思いが願いが込められている】
【だから星はあんなにも綺麗なのだ】
この列車に乗ってよかった…。
【''私''は小さな声でそう呟いた】 - 18二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 00:32:33
…この列車に乗るのは…久しぶりですわね
今度は何処に向かっているのかしら…
【黒く気品のあるドレスを身につけた少女が席に座っている】 - 19二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 00:46:13
ハハハ…あぁ心地いい電車だなぁ~次は冥界星~冥界星…
お荷物のお忘れにご注意ください~……
【ボロボロで禍々しい電車が暗く濃い青い星に飛んでいく】 - 20二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 01:01:20
おや珍しい。ありゃあ確か……なんと言ったかなぁ、宇宙的恐怖がどうとやら、じゃなかったか?恐ろしい幻影を見せるという……
精神干渉を防ぐ技術が運行開始初期に導入されて以降、やっこさんたち銀河系に飽きて近づかなくなったと聞いたのにねぇ……珍しいもんが見れたなぁ
まあ見た目が恐ろしいだけで実際外に出てもなぁんも無いらしいがねぇ。列車が好きな若いのが冥王星あたりに迷い込んだのかねぇ……
【くわばらくわばら、と老人が車窓を見やりながら手をこすり合わせる】 - 21二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 07:19:35
【座席のビロードの深い青、床の美しい木目、柔らかく暖かな照明】
【居心地の良い空間が、各位の目的地までのしばしの時間を緩やかに包み込んでいる】