- 1◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 12:34:28
- 2◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 12:36:02
平日の昼間に建てて人が来るかどうか微妙ですが、ゆったり進めましょう。
まずは舞台となる街をダイスで
1.江戸
2.大坂
3.京
4.堺
5.長崎
6.名古屋
7.金沢
dice1d7=2 (2)
- 3◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 12:39:15
- 4二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:42:12
米屋
- 5二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:53:27
木材
- 6二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 12:54:53
- 7◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 12:55:34
- 8◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 13:08:24
大坂の酒屋になりました。
調べたところ、大坂と江戸の酒販売には違いがあって、大坂では酒屋は主に卸売と小売を兼業していたようです。
江戸のような専門の酒問屋は形成されず、造り酒屋が自ら販売店を持ち、小売を行うのが一般的だったんですね。その販売店を「板看板酒屋」というようです。 - 9◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 13:16:00
商売のあれこれを描きたいので、舞台は造り酒屋じゃなくて板看板酒屋の方にします。
なお、この時代の商いで大切なのが……
───
【株仲間(かぶなかま)】
:特定の業種における商人の同業組合。
・構成:呉服商、両替商、油商、紙商、魚問屋など、商品ごとに結成。
・役割:
営業の独占(株を持たない者の参入を排除)
価格や取引ルールの取り決め
奉行所への連絡や年貢(運上・冥加)納入の窓口
・特権:幕府から営業独占権を認められる代わりに、税(運上金)を納める義務あり。
・享保年間に活性化:吉宗政権が財政立て直しの一環として、株仲間の結成を奨励。 - 10◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 13:16:44
物語の舞台となる酒屋は、株仲間に dice1d2=1 (1)
1.入ってる
2.入ってない
- 11◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 13:17:53
- 12二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 13:22:06
- 13二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 13:23:42
美邦屋
- 14二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 13:36:34
寶星屋
- 15二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 13:55:00
- 16二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 13:57:39
- 17◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 13:59:57
- 18◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:02:14
板看板酒屋『美邦屋』
綺麗な名前ですね。
そんな美邦屋、酒屋仲間内のランクというかカーストは
dice1d100=94 (94) (0に近いほど低く、100に近いほど高い)
- 19◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:03:39
おお!これは酒屋仲間内でも一目置かれる重鎮ポジションといっていいですね!
では、そろそろ主人公周りの設定を決めていきましょう。
主人公の性別は dice1d2=2 (2)
1.女
2.男
- 20◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:05:58
- 21◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:12:24
- 22二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 14:16:04
蔵一郎
- 23二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 14:21:53
吉衛門
- 24二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 14:29:57
- 25二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 14:33:33
新助
- 26◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:34:51
- 27◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:37:29
主人公・新助
彼は dice1d4=1 (1)
1.店主の息子
2.店主/隠居の甥
3.丁稚上がりの手代
4.その他(安価)
- 28◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:38:24
ほうほう。新助は跡取り息子なのでしょうか。
dice1d2=1 (1)
1.YES
2.NO
- 29◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:39:40
伝統と格式のある酒屋の跡取り息子だそうです。
どういう心境なんでしょうね。
弟妹は dice1d2=1 (1)
1.いる
2.いない
- 30◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:40:12
弟が dice1d3=1 (1) 人
妹が dice1d3=1 (1) 人
- 31◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 14:41:32
- 32二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 14:47:25
性格:いわゆる俗っぽい性格。ふつうの人間とも言える
商才:自らが俗世に生きる人間ゆえに、流行りに乗る感覚と廃りから離れる感覚はピカイチ - 33二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 15:04:38
静かさと安心を好む性格。誠実で情に脆いところが商売においてマイナスになることがある。株仲間の面子が苦手
- 34二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 15:24:06
性格成金で自信家だけど家族愛は強い
商才天賦の才があり営業も宣伝も出来る
詳細注意力も身体能力も平均より上だけどそれでも運が悪いからよく怪我をしたりする - 35◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:15:34
- 36◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:17:51
美邦屋長男 新助
格式ある酒屋の跡取り息子らしく自信家だが、家族愛は深い。
天賦の商才があり、営業も宣伝もできる。
注意力も身体能力も平均より上だが、それでも基本的に運が悪いので、よく怪我をしたりする
動かしやすそうな主人公ですね! - 37◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:20:09
- 38二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 17:35:11
長兵衛
- 39二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 17:39:27
蔵一郎
- 40二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 17:51:14
- 41◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:52:09
- 42◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:53:47
美邦屋の店主が代々名乗るのは「蔵一郎」!
いかにも酒屋な名前ですね!
そんな四代目蔵一郎こと新助の父、先代蔵一郎は dice1d2=1 (1)
1.健在(隠居)
2.故人
- 43◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 17:54:45
- 44二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 17:58:39
新助も大人になったし、ここらで世代交代すべきだと思ったから
- 45二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:14:24
新助と同じく運が悪いため怪我をして隠居
- 46二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:15:37
- 47◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 18:16:35
- 48◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 18:18:26
- 49二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 18:59:30
身内に優しいが商売敵には容赦がない
よく似た親子だ、と言われている - 50二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 19:34:08
三代目蔵一郎:商才に富み、厳しさと温かさを併せ持つ人物。もともと豪快な性格だが、隠居してからは大人しくなった
妻・お菊:穏やかで芯の強い良妻賢母。家族の精神的支柱 - 51二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 20:04:19
- 52◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 20:16:07
- 53◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 20:17:44
三代目蔵一郎(父親)は、身内に優しいが商売敵には容赦がない人物。
新助とよく似た親子だと言われているようです。
次は新助の弟と妹の設定を決めていきましょう。
弟の名前(○助、○吉などでお願いします)を、>>56 まででダイス
- 54二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 20:35:32
源助
- 55二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 21:34:22
正吉
- 56二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 21:55:42
- 57◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 21:56:35
- 58◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 21:57:56
- 59二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 21:59:40
まっすぐで明るい、誰からも愛されるような人懐っこい性格
父や兄のことを尊敬している - 60二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:06:28
身体が弱く、大人しい性格
学問に強い興味がある
父と兄のことは好きだが同時に自分に自信があって羨ましいと感じている - 61二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:32:04
- 62◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 22:33:32
- 63◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 22:35:03
次男・源助はまっすぐで明るく、誰からも愛されるような人懐っこい性格。父や兄のことを尊敬している。
これなら兄弟で店主の座を奪い合うこともなさそうですね
……いや、まだわかりませんが - 64◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 22:35:52
次は妹。名前を >>67 まででダイス
千代とか幸とか、江戸時代らしい名前でお願いします
- 65二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:37:35
おつる
- 66二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:38:46
薄雪
- 67二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:48:29
- 68◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 22:50:03
- 69◆qcSQN4N5gc25/07/02(水) 22:51:02
- 70二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 22:58:28
気が強くしっかり者
父にも兄にもダメなことはダメだとはっきり物申すタイプ - 71二次元好きの匿名さん25/07/02(水) 23:33:58
天真爛漫で食い意地が張っている
特に甘いものに目がない - 72二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 06:47:53
- 73◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 07:14:57
- 74◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 07:17:36
長女・薄雪は天真爛漫で食い意地が張っている。特に甘いものに目がない
見たところ一家の中に諍いの火種はなさそうで何よりです
……まあ、まだわかりませんが - 75◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 07:20:52
キャラクター設定、最後は番頭(店主に次いで店の経営を任される役職)!
名前を >>78 まででダイス。○○兵衛が望ましいかも
- 76二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 07:24:45
五郎兵衛
- 77二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 10:42:54
安兵衛
- 78二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 12:26:19
- 79◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 12:29:09
- 80◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 12:30:20
- 81二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 14:32:36
忠実で仕事熱心
- 82二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 14:56:37
人たらしで功名心が強い
貧農出身の丁稚から必死で努力して番頭になった
先代と新助、源助には忠誠を、薄雪には淡い恋心を抱いている - 83二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:16:22
- 84◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 16:52:50
- 85二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:54:06
このレスは削除されています
- 86◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 17:23:54
番頭の十兵衛には美邦屋に深い恩義があるんですね
さて、そろそろ始めましょう。
伝統と格式のある板看板酒屋『美邦屋』。その跡取り息子として申し分ない新助。頼れる仲間たち。
美邦屋が大きくなるか廃れるか、すべては安価とダイス、CharGPT次第です。 - 87◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 17:29:49
享保五年(1720年)春の初め。幕府による倹約令が庶民の暮らしに影を落とす一方、大坂では米相場や年貢流通が盛んに行われている。美邦屋も春の新酒と、京・江戸への商いが肝となる時節。
新助は、父親から正式に家督を譲られ、「四代目蔵一郎」と名乗ることとなった。だが、代替わりの話はすぐに町中へと知れ渡り、祝儀を口実に挨拶へ来る者もあれば、商談で揺さぶりをかけてくる者もいる。
番頭の十兵衛が朝の帳場に現れ、眉をしかめてこう言う。
「……旦那さん、さっそく“浮舟屋”の旦那が来とります。酒の仕入れのことで、折り入って話があるとか。なんや、顔色も悪いし、ただの商いでは済まへん気ぃしますで」 - 88◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 17:32:04
>>91 まででダイス
(浮舟屋の旦那と話す、十兵衛に任せて自分は別のことをする、など)
- 89二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:35:08
十兵衛に任せて、自分は代替わりの評判を確かめに行く
- 90二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 19:02:15
十兵衛に補佐役を頼んで自分が話を聞く
- 91二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 19:49:02
- 92◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 20:04:29
- 93◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 20:11:14
「お通ししたってくれや、十兵衛」
「へい、旦那さん。……おい、樽間の方、茶ぃ一服。菓子は越前屋の落雁出しといたれ」
手際よく支度を整え、浮舟屋の旦那――浮舟屋長兵衛が帳場の奥、広間に通される。浅黒く日に焼けた顔に皺を刻んだ老舗の主、代々灘の酒を扱う地酒屋で、今や堺筋の一角を支配する中堅どころだ。
長兵衛は、畳に腰を下ろすなり、新助の顔をまっすぐ見た。
「……こないな早よから、急いて押しかけて済まんな、四代目。せやけどな、もう、待てんのや」
十兵衛が脇に控え、帳を持って正座する。新助は落ち着いた所作で湯呑に口をつけた。
「どないな話でっしゃろ。浮舟屋はんほどの大店が、わざわざ親父はんやのうて、若造のわてに」
「せやからや……親父はんに話しても、“昔のしがらみ”で、耳貸さんのや。せやけどあんたやったら、血の気も、商いの気もよう回る。せやからこそ、頼みに来たんや」
長兵衛は懐から一枚の紙を取り出し、広げた。 - 94◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 20:11:44
書付:伏見の灘酒、積み残し仕入帳
・年始に伏見から届いた灘酒が、浮舟屋の積荷港で不明瞭に「他家」へ横流しされた形跡あり。
・問屋を経ず「西京屋」が割り込んで買い付け、独自に売り始めたとのこと。 - 95◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 20:12:31
「……浮舟屋と美邦屋、競ることはあっても、背中刺し合う仲やなかった。せやけど――これは、商いの信義を壊すモンや。西京屋は、池田からのあんたらの酒も狙ろうとるで」
十兵衛の眉が動く。
「西京屋……あの“加島屋の甥”言われとる若造か」
「せや。江戸育ちで、なりはええが、あれは“銭を銭で買う商い”しか知らん。うちらの‘味’は、数にできへんちゅうことを、教えたらなあかんのや」
長兵衛の目には、老舗としての怒りと焦りが宿っていた。 - 96二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 20:12:50
ずる賢いやつだ
- 97◆qcSQN4N5gc25/07/03(木) 20:13:35
- 98二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 20:15:10
浮舟屋と協力して西京屋を探る
- 99二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 21:01:36
動向を探る
- 100二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 02:04:48
- 101◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 08:08:07
- 102二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 08:21:14
これから相棒になるのか浮舟屋!
- 103◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 08:39:14
新助は湯呑を静かに置いた。
濃い茶の香りの向こうに、老舗の重みと、若き挑戦者の足音が交差する。
「……ほな、こうしまひょ。浮舟屋はんと手ぇ組ませてもらいますわ。表からの手打ちはせんといて。裏から“西京屋はんの本性”、見させてもらいまひょか」
長兵衛の眼光が鋭くなり、やがてふっと緩んだ。
「……よぉ言うたな。これで“先代のボン”やのうて、“四代目”やと、わしもようやく認められるわ」
「けど、堺筋の裏表はあんたの方がよう知っとる。手の内、隠さんといてや」
「まかしとき」
二人の間に、茶ではなく商魂が交わった瞬間だった。 - 104◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 08:40:04
浮舟屋の手配により、新助と十兵衛は仲買問屋筋の裏丁にある小さな茶屋――『福乃屋』に身を潜める。ここは情報屋や仲買人、茶問屋、干物問屋が集まる隠れた情報交差点。日銭で働く“船番”や、酒樽を担ぐ荷夫たちがぼそぼそと情報を漏らす場所だ。
茶屋の女将は口数の少ない中年女。噂では、かつてはどこかの大名の奥向きにいたとも言われている。 - 105◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 08:40:57
十兵衛が耳にした、運河沿いの小唄のような噂――
「西京屋の若旦那、毎夜、道頓堀の芝居茶屋に通うてるらしいで。あれ、女が絡んでるんちゃうか」
「運河の西、竹林町の“新酒座”っちゅう小屋、あそこでなにやら酒の利き試しやっとるらしいわ」
「伏見からの灘酒、いっぺん“堀江の蔵”に入ってから別の札に張り替えられとるで」
十兵衛が低くつぶやく。
「旦那さん……なんや、裏がだんだん色ぉついてきましたで」 - 106◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 08:42:35
ちょっと情報が複雑で恐縮ですが、次の行動を >>109 まででダイス
- 107二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 11:43:51
情報屋にこの1件を売り込む為の裏取り集め
- 108二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 17:43:51
更に詳細を探る
- 109二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 17:44:54
- 110◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 18:13:28
- 111◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 18:18:58
春の夕暮れ、福乃屋の裏手にて。
新助は帳を閉じると、弟・源助を呼び出し、手代の若い衆――庄吉と寅松にも声をかけた。
「源助、ええか。西京屋が何を動かしとるんか、町場の口から探ってこい」
源助はにやりと笑って、
「任せといてん、兄貴。わい、芝居茶屋のおかみは昔から顔見知りや。ちょっと甘いもんでも持ってったら、べらべら喋るで」
手代の庄吉と寅松にも指示が飛ぶ。
「庄吉、堀江の蔵筋の荷受け人に声かけて、酒札の貼り替えの話を拾うてこい。寅松は道頓堀の酒問屋仲間に混じって、“新酒座”の流通の噂を聞き出して来いや」
三人は「へい!」と答えると、春風に紛れて夜の町へ散っていった。 - 112◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 18:20:01
二日後——戻ってきた源助たちの顔には、興奮と緊張が混ざっていた。
◇源助の報告(芝居茶屋)
「“新酒座”で演ってる女役者、名は“おとせ”。このおなご、芝居茶屋の旦那とつるんで、西京屋の若旦那と密会してるらしいわ。
おまけにその“おとせ”、伏見の酒問屋“竹島屋”の落胤っちゅう話もある。“家の名を取り戻す”言うてるとか……こら、裏に“恨み”があるんちゃうか」
◇庄吉の報告(堀江の蔵)
「蔵の中に“無印の酒樽”が山ほど積まれてました。札は白札やけど、筆跡が池田の蔵の蔵番・仙八はんに似とるんですわ……まさか、内通者が?」
◇寅松の報告(酒問屋仲間)
「“新酒座”で出してる酒、あれ、伏見やあらへん。“混ぜもん”されとる。味は似せてるけど、少し酸味が強い。一升で二分安うなるらしくて、“安うてウマい新酒”として若い衆に人気です」 - 113◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 18:21:49
情報整理
・西京屋の旦那と“おとせ”が密会、背景に“旧家竹島屋”の因縁あり。
・堀江の蔵に池田の酒が流れている可能性、蔵番の仙八が疑わしい。
・新酒座で出る酒は“混ぜ酒”。銘柄偽装・価格破壊による市場乱しの恐れ。
これは奉行所への訴えも視野に入れる必要あり?
>>116 まででダイス
- 114二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 18:31:49
- 115二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 19:49:54
情報屋に匿名で匂わせの形で流す
- 116二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:41:56
- 117◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 23:33:05
- 118◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 23:35:01
夜、帳場の奥にて。
新助は一枚の紙におとせの名と「竹島屋」という屋号を書き、静かに源助に渡した。
「源助。こっから先は、“芝居”や“色”の話やのうて、“血筋”と“商い”の話になる。おとせが竹島屋の生まれやとすれば――西京屋の旦那、ただの遊び相手やのうて“復讐の手”になっとる可能性がある」
源助は真顔で頷いた。
「わかったわ兄貴。わい、いっぺん京の竹島屋の筋と、大坂におる名残りをあたってみる。庄吉と寅松も連れて行ったる。なんや、昔の酒問屋の名跡筋を辿るんは、わくわくするな」 - 119◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 23:35:29
かつて名を馳せた伏見筋の酒問屋「竹島屋」は、享保の始めに店を畳んだとされている。
伝わる話では――
・当主が病で急死し、相続をめぐる内紛が勃発。
・家付きの妾腹の娘がいたが、表に出されず、親類が屋敷と帳簿を処分。
・商標は伏見に売られ、現存する“竹島屋”は実質別物。 - 120◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 23:36:34
夜の福乃屋、源助たちが戻る。泥にまみれた草履が、この三日間の足取りを物語っていた。
◇源助の報告
「おとせっちゅうんは、竹島屋の妾腹の子で間違いあらへん。“おとね”っちゅう名で記録が残ってて、母親は中之島の遊女上がり。
本来は引き取られるはずやったけど、身内の誰かが“証文”隠して、別家の奉公人に流したらしい。……いま、その証文を西京屋が探してるっちゅう話や」
◇寅松の追加情報
「そんでな、“証文探し”の名目で、大坂の古証文師――京屋仁兵衛っちゅう男が最近浮上しとります。あの男、表向きは紙問屋やけど、裏で家系の証文偽造やら家名回復の工作やっとるらしいですわ」 - 121◆qcSQN4N5gc25/07/04(金) 23:37:26
情勢の進展
・おとせは西京屋と組んで“家名”を回復し、竹島屋を名乗って再興しようとしている可能性あり。
・そのために「池田の美邦屋の名酒」と「灘の浮舟屋の流通網」を狙っている。
・「古証文師・京屋仁兵衛」が鍵を握る存在。
次の行動を、 >>124 まででダイス
- 122二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 08:13:26
- 123二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 14:12:02
京屋仁兵衛について調べる
- 124二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 18:39:50
- 125◆qcSQN4N5gc25/07/05(土) 19:51:29
- 126◆qcSQN4N5gc25/07/05(土) 19:54:54
夜更け。新助は湯呑を置き、柱の影に控える十兵衛へと静かに言葉を落とした。
「……情や色に振り回されるんは、芝居の中だけでええ。“おとせ”が何を思て動いとるかより――こっちが踏まれたら、立て直す時間はない。まずは、酒屋仲間で団結の形を見せるんが先や」
十兵衛は頷き、唇の端を持ち上げた。
「ええ腹積もりですわ、旦那さん。大坂の板看板酒屋がひとつに見えたら、西京屋もさすがに手ぇ出しづらうなりますさかい。……せやけど、それには“仲間の懐”に、まず足入れせな」 - 127◆qcSQN4N5gc25/07/05(土) 19:55:23
番頭・十兵衛の根回しにより、数日後――
南堀にある古株の料亭「樽栄楼」にて、大坂の板看板酒屋の若旦那連中と中堅番頭らによる非公式会合が開かれる運びとなる。
出席者には:
・浮舟屋 江口長兵衛(堺筋)
・加納屋 久左衛門(北堀江)
・升屋 宗兵衛(道頓堀)
・大和屋 小太郎(新町)など
それぞれ、店格やしがらみはあるものの、“西京屋の無遠慮な手口”には不満が蓄積していた。 - 128◆qcSQN4N5gc25/07/05(土) 19:56:15
個室にて、檜の一枚板の座卓を囲みながら、新助は語る。
「――皆さん。わてはまだ若造です。けど、美邦屋いう名ぁ、四代続いて守ってきた。灘の酒、伏見の香、池田の骨身。……その旨さに“混ぜもん”入れて、銭だけで値ぇ決められるんは……堪忍なりません」
江口の旦那が深く頷く。
「せやな……“味”を軽う見る商売が広まったら、うちら板看板酒屋、ただの“札つきの売り子”になるで」
加納屋の久左衛門が提案する。
「この際、大坂板看板酒屋連名で、“西京屋に対する警告”を出そか。“伝統と信義を守る衆”ちゅう形にして」 - 129◆qcSQN4N5gc25/07/05(土) 19:57:23
今後の選択肢
1.西京屋に連名で通達を出す:「味と銘柄を偽る商いは認めぬ」「大坂にて“竹島屋”名義の使用を差し止める」など
2.“西京屋の仕入れ元”へ圧力:酒造側へ通達し、混ぜ酒・偽装酒の供給を断つ
3.市中にて“美邦屋主催”の新酒比べ会を開催:美邦屋の名酒の正しさを示し、味の違いを知らしめる
4.浮舟屋と連携して奉行所に正式な訴えを準備
次の行動を、 >>132 まででダイス
- 130二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 20:29:17
3で!
- 131二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 02:28:04
3
- 132二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 02:28:42
- 133◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 07:43:46
- 134◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 10:52:56
享保五年・卯月(四月)十五日――
大坂町人地では「春の口開け市」が始まり、堀江筋から道頓堀にかけて賑わいを見せていた。
その人通りの真ん中に、美邦屋が打った大きな張り紙が貼られる。
\ 春之選酒会 /
主催:道頓堀 美邦屋
日時:卯月十八日 於・南堀「桜座」
ご来場の方、三種の酒を利き、銘柄を当てし者には“うぐいす徳利”進呈!
商いの町に、ざわめきが走った。 - 135◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 10:53:28
木造二階建ての芝居小屋「桜座」は、普段は人情物の芝居が掛かるが、今日は酒樽と帳場が並ぶ特設会場に早変わり。
・正面には「美邦屋・池田酒」
・一方に「無銘の酒(混ぜ酒)」
・他方に「西京屋銘柄・竹島」
……見た目では、判別不能。だが、味は―― - 136◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 10:54:08
・若旦那衆や丁稚頭、職人たちまで、百人以上が列をなし、利き酒に挑戦。
・お忍びで加島屋の番頭や、奉行所の役人の影も。
・芝居茶屋のおかみ連中、女衆たちも「口は正直やで〜」と並ぶ。
源助が場を盛り上げ、薄雪はお手製の「甘酒餅」で来客をもてなし、十兵衛は入口で静かに目を光らせている。 - 137◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 10:58:14
3種の酒を利き、正解した者の率:
・美邦屋の池田酒:香り高く、後味すっきり。8割の客が「本物」と答える
・無銘の混ぜ酒:舌触りが重く、酸味が残る。5割が「偽もん」と判定
・西京屋銘柄「竹島」:やや甘口。だが香りが浅い。6割が“新参者”と見抜く
「やっぱり美邦屋や! ほれ、後から鼻に抜ける香りが違うねん」
「西京屋の酒も悪うないけど、これで本物言われたら、目ぇ曇るわ」
「混ぜ酒なんぞ、腹壊すやつおるで!」
噂はまたたく間に市中へ広がった。 - 138◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 10:59:13
成果
・【評判上昇】:「美邦屋の目利きと味は、ほんまもん」という評価が広まり、町場での信用度が上昇(+25)。
・【西京屋の評判低下】:浮舟屋・加納屋など他の酒屋も追随して警戒を強める。
・【奉行所の監査の目が西京屋へ向く】:“竹島”銘柄に混ぜ物が含まれる可能性を示す証拠が整い始めた。
・【美邦屋の来店客が増加】。今後1月の売上が1.5倍に。
十兵衛がぽつりと漏らす。
「味で勝った。けど……奴ら、簡単には引かんでしょうな。証文か、根っこ……どっかで叩き折らんとあきませんで」 - 139◆qcSQN4N5gc25/07/06(日) 11:01:12
攻勢・仕上げのフェーズ
>>142 まででダイス
- 140二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 18:03:19
間者を送り込む
- 141二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 18:57:30
西京屋を訪問し、商いの仁義を問う
- 142二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 02:12:26
- 143◆qcSQN4N5gc25/07/07(月) 09:50:51
- 144◆qcSQN4N5gc25/07/07(月) 10:30:08
利き酒会の翌朝。
美邦屋の店先は賑やかだったが、その奥、帳場の裏手では、ひときわ静かで鋭い打ち合わせが行われていた。
「……味で勝った言うても、敵が“証文”で押してきたら話は別や。せやさかい、ここいらで――向こうの懐ん中に、目ぇ持たせまひょか」
新助が帳を閉じて言うと、十兵衛はうなずき、小さく口笛を吹いた。
やがて、裏口にひょいと現れたのは――美邦屋の女中頭の妹婿で、普段は裏方の道具方として働いている甚九郎という男。
寡黙で目立たぬが、かつて江戸の“盗人宿”に身を寄せていた過去があるという、噂だけが残る存在。 - 145◆qcSQN4N5gc25/07/07(月) 10:31:40
間者:甚九郎
・年齢:38歳
・技量:帳簿・筆跡判別、忍び足、酒の匂いの記憶に優れる
・任務:西京屋の蔵、または京屋仁兵衛のもとに潜り、証文の有無と内容を探る
「西京屋若旦那と“おとせ”の間に、“竹島屋家名回復の証文”が存在するやもしれへん。
それが京屋仁兵衛の手にあるか、西京屋蔵に隠されとるかを確かめい。
万一、混ぜ酒の配合帳か、池田酒流出の証文があったら、それも写し取ってこい。
必要なら、芝居茶屋の女中を通じて“おとせ”にも接触せい」
甚九郎は頷いた。
「承知しました。……三日、いや、五日ください。証文は、帳より匂いがしますさかい」 - 146◆qcSQN4N5gc25/07/07(月) 10:32:48
次の行動(裏工作の補強)を、>>149 まででダイス
- 147二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:12:30
今度は西京屋と直接会ってみる
- 148二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 01:08:34
報告を待つ
- 149二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 01:09:55
- 150◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 01:17:02
- 151◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:50:22
享保五年・卯月十九日——
春風に揺れる暖簾の奥、美邦屋の帳場では、静かな戦が進められていた。
新助は硯に墨をすりながら、奉行所への訴状草案を一筆一筆、筆先で練り上げる。
十兵衛が脇から目を通しながら、呟く。
「よう出来てますな……“銘柄の偽装による消費者欺き”“混ぜ酒による等級不正”……証文さえ出てくれば、これで一発ですわ」
源助と庄吉が、訴状に添えるための春酒比べ会の記録と証人名簿を作成。寅松は大坂町年寄・二階堂屋善兵衛のもとへ軽い根回しに向かった。奉行所筋に顔が利く人物だ。 - 152◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:50:46
訴状要点(下書き)
・西京屋が伏見「竹島屋」の名を無断使用している件
・「竹島」銘柄が実際には灘・伏見以外の混合酒である疑い
・美邦屋・浮舟屋をはじめ複数の板看板酒屋による証言
・今後、銘柄の信用毀損による損失が予想される旨 - 153◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:51:33
数日後——
福乃屋の裏間。雨が降りしきる夜、濡れ鼠のようになった男が帳場へ滑り込んだ。
「ただいま、戻りましたわ……旦那」
甚九郎だった。顔は泥と雨にまみれているが、その瞳だけが鋭く光っていた。 - 154◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:52:01
「証文……ありましたで。“竹島屋 家名再興”と、“伏見銘柄 使用認可”の文書、両方。
京屋仁兵衛の書付でしたが、文言が乱れとった。あれ、どう見ても偽造もんや。しかも、署名に“伏見 酒座同盟印”が捺されとるが、これも古印。……にせもんでっせ、旦那さん。
もうひとつ……西京屋の裏蔵に、“池田酒 白札”の出荷帳も見つけました。“仙”の一字が、筆頭にありましたわ……
おとせは、証文を“心の拠りどころ”にしとるだけや。あれで、実際に店を立てる気は……たぶんない。若旦那と、西京屋が主導で動いとります。 - 155◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:52:41
結果
・【証文:偽造の決定的証拠】を手に入れる(奉行所へ提出可能)
・【池田の蔵番・仙八の関与】が明るみに。裏切りの線が確定的に
・【おとせ:本気で商売を奪う意志はない】可能性が高い(情絡み)
十兵衛が、静かに言った。
「証文は、勝負の“印籠”ですな……後は、どこで見せるか、ですわな。見せる相手と、見せる場。若旦那、どないします?」 - 156◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 09:53:18
最後の一手を >>159 まででダイス
- 157二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 09:55:22
奉行所へ提出
- 158二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:45:01
直接問い質す
- 159二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:45:41
- 160◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:26:20
- 161◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:32:05
卯月二十三日・夕刻――道修町筋、西京屋本宅
薄暮の街。道修町の薬種問屋街の外れ、西京屋の屋敷はまだ灯が入り始めたばかり。
新助は丁稚に名を告げ、傘をたたみ、ひとりで奥座敷へと通される。
張り詰めた空気。
すでに訪問の意図は察していたのか――そこには、西京屋の旦那・鷲尾宗信が、文机の前で静かに座していた。年は二十代後半、表向きは柔和だが、目だけが爬虫類のように光っている。 - 162◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:32:22
新助は一礼し、静かに口を開く。
「……鷲尾はん。今日は、事を荒立てに来たわけやあらしまへん。筋を通しに来ました」
宗信、笑まず応じる。
「……筋、でっか? なにが“筋”で、なにが“情”か。商いっちゅうんは、元から水もんやろ。勝てば官軍、負ければ……そちらも、そうやって美邦屋、守ってきたんちゃいますの?」
新助、表情を変えずに懐から三枚の証文を出す。
——偽造証文の写し、池田蔵の白札出荷帳、そして伏見銘柄使用の不正契約状。
「この三つ、明日にでも奉行所に出せます。
けど、それはわてが“情を捨てたとき”の話ですわ」
宗信の目が、一瞬細くなる。 - 163◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:32:43
「おとせのことは――もうええ。
けど、“竹島屋”の名は、血の筋やのうて、“酒の信”を守るために残ったんやろ?
それを、混ぜ酒に被せて使うのは、いくらなんでもやりすぎや。
せやさかい……奉行所の沙汰の前に、自ら名乗り出ぇ。謝るんや。今なら、あんたの“次”は残る。混ぜ酒の元を伏見と偽ったのも、京屋仁兵衛に書かせたんも、うちら把握しとる」 - 164◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:33:07
宗信は長き沈黙ののち、口を開いた。
「……おとせは、“竹島”の名が消えてしもうたことを、悔うとった。
“商いの味”に、血筋も由緒もいらんのやと、わしは思てた。せやけど……あんたの酒を飲んだときだけは、負けた気がした」
宗信は立ち上がり、奥へ消えると、西京屋の印を押した自筆の告白状とともに戻ってきた。 - 165◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:33:45
西京屋・告白状の要旨
・竹島銘柄は「架空銘」であり、伏見には実在しない
・京屋仁兵衛に金を渡し、家名再興の証文を偽造させた
・混合酒に“伏見仕込み”と銘打ち、実際には尼崎の安酒を加えていた
・池田蔵番・仙八とも通じて、無断で池田酒の白札分を買い上げていた
・すべての罪を自ら奉行所に届け出る用意がある
⸻
成果
・【西京屋、告発状を自筆で提出へ】(大坂町奉行所へ翌朝提出)
・【商い資格停止1年】(奉行所判断次第。西京屋が自主的に出店停止する可能性高)
・【池田蔵番・仙八、追放の線が濃厚】
・【“竹島屋”名は正式に抹消。銘柄登録から削除へ】 - 166◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:36:18
宗信は最後に静かに言う。
「……あんたの“筋”に負けたんや。せやけど、次は……味で勝つさかいな」
新助は立ち上がり、軽く頭を下げる。
「それでこそ、酒屋や」 - 167◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:36:54
卯月二十五日、薄曇り。
新助は池田の街外れにある酒神社(さけのかみしゃ)の杜へと向かう。そこには既に、灰色の羽織に身を包んだ男がひとり、ぼんやりと石畳に座っていた。
かつて池田の酒番として、美邦屋に上質の白酒を届けていた――仙八。
だが今、その目にはもう誇りも勢いもなかった。
「……あんたが来るとわかってましたわ、若旦那」
仙八は頭を下げた。
新助は沈黙のまま、腰を下ろす。二人の間には、風の音と、神社の小さな鈴の音だけが流れた。 - 168◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:37:28
「池田の酒、値打ちあらへんようなってきてました。西のほうから、香りばっかりええ酒が流れてきて……灘も伏見も、商いの形変わってしもた。
そんな時、宗信はんが“こっそり白札分を買い上げたい”言うてきて……金も積まれてな。
最初は、ちょっとだけのつもりやった。けど――気ぃついたら、白酒が“混ぜ酒”に使われてたんや。
美邦屋に顔向けできまへん。けど……せめて最後に、これだけは渡したかったんや」
そう言って仙八が差し出したのは、過去十年分の池田白札酒の真帳簿(本帳)。
偽装されていた記録が全て載った、重い真実だった。
新助はしばらく黙っていたが、ゆっくりと受け取り、ひとことだけ言った。
「仙はん……あんたに教わったんや。“ええ酒いうんは、香りやない、心や”って。
けどな、それでも――義理は、帳に残らんのです」
その言葉に、仙八は深く、深く頭を下げた。 - 169◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:37:50
翌日、道頓堀。
川辺にある芝居茶屋「春駒」の二階。
そこには、白絹の小袖に身を包んだおとせが静かに座していた。化粧は薄く、いつもより声も柔らかい。
「よう来てくれはったなぁ……旦那さん。うち、もう逃げんつもりでしたのや」
新助は座ると、懐からそっと証文の写しを机に置いた。
「これが、“竹島屋”再興の証文。偽もんや。筆も、印も、書いた者も――全部やらせや。
そやけど……あんたがあれにすがった気持ちは、わかるつもりや」
おとせは手を止め、静かに証文を見つめた。 - 170◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:38:26
「……うち、あの名を、ただ“忘れたなかった”だけ。
家名も、酒も、ぜんぶ火事で焼けてしもた時……心のどっかで、“名ぁだけでも残せたら”て、思うてた。
せやけど、混ぜ酒で、偽もんで、誰かを蹴落としてまで……そないしてまで、残したらあかんかったな」
新助は黙って聞いていたが、最後に目を合わせ、こう言った。
「もうええ。……うちら、どっちも、過去に別れを言うときや。
けど、“今からでも正直にやり直せる”ちゅうのは、わてら酒屋が、一番よう知ってるやろ」
おとせは、涙を拭いながら微笑んだ。
「……あんた、やっぱり、あの頃の“ちいちゃい旦那さん”やないな。
うち、もう舞台には戻りまへん。
けど……またいつか、ほんまもんの酒を呑みたなったら、美邦屋、行ってもええ?」
新助は、にやりと笑った。
「その時は“金払ろて”呑んでくださいや」 - 171◆qcSQN4N5gc25/07/08(火) 20:39:42
成果
・【池田酒の帳簿、奉行所へ提出】で白酒不正取引を正式に処理
・【仙八、池田より追放】(が、新助の温情により追手は差し向けられず)
・【おとせ、芝居茶屋を退き、裏方として生きる道を選ぶ】
・【美邦屋の名は、大坂町にて一層広まり、味と義理の象徴となる】
四代目蔵一郎・新助の次の行動、あるいは新たな事件を >>174 まででダイス
- 172二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 02:34:07
記録的な飢饉
- 173二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 10:32:33
仙八が密かに戻ってこようとしている
- 174二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 10:36:40
- 175◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:08:20
- 176◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:11:44
皐月一日、新しい月のはじまり。
新助は桜の花が散り終え、萌黄の葉が揺れる池田の蔵へ馬を走らせた。
仙八が去った後、蔵は一時混乱していたが、蔵元の四井屋平兵衛が選んだ若き新番頭――久蔵が代わって舵を取り始めていた。
久蔵(池田新酒番)
・年齢:27歳。仙八の遠縁で、元は米問屋出身。帳付けと鼻が利く。
・性格:朴訥ながら律儀。無駄口は叩かず、物腰は低い。
・能力:品質選別と出荷帳管理に長ける。香味試験で9割以上の一致率。 - 177◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:12:14
久蔵は、新助の来訪に深々と頭を下げた。
「……このたびの不始末、池田の名にかけて、お詫び申し上げます。
四井屋様より、“これより美邦屋の白札酒は、銘なしで出し、吟味は現地にて”と仰せつかっております」
新助は微笑み、酒の一瓶を手に取り、鼻をくんと鳴らす。
「……ええ香りや。この香り、忘れたらあきまへんで。
“本物”を守るのは、番頭やのうて、“味”そのもんやさかいな」
久蔵の目が、少しだけ和らいだ。 - 178◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:12:43
その夜、新助が大坂・道頓堀の美邦屋に戻ると――
番頭・十兵衛が、眉をひそめながら帳場で待っていた。
「旦那はん……ちと、厄介な話がございます。
“竹島”や“伏見銘”を名乗る酒が、また市中に出回り始めましてな――しかも、味は前よりもっと巧妙」
「さっき、三津寺町の茶屋“すみれや”から苦情がきました。
“また偽酒を美邦屋の名で卸したのか”って……これ、うちを狙い撃ちにした仕掛けですわ」 - 179◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:13:34
緊急報告
・【偽酒:銘柄は“金竹(きんちく)”】伏見竹島屋を思わせる名前。
・【酒質:以前より巧妙。白札酒に香料を加えたものか】
・【取引先:三津寺町、法善寺横丁、南堀江の小茶屋筋】
・【伝票:いずれも“美邦屋”の印に酷似した偽印が捺されている】
十兵衛が声を潜める。
「……これ、“裏の酒問屋”の仕業やもしれません。芝居裏手の“青海屋”とか、“黒牛屋”とか……名前はあれど姿が見えへん奴らです。
ただの商いの争いやない。美邦屋そのものを、潰しにかかっとるかもしれまへん」 - 180◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 11:14:20
- 181二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 11:58:12
すみれやに自ら出向いて状況の把握、残っていれば偽酒の現物も手に入れる
- 182二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 14:49:14
十兵衛に自分たちを恨んでいる奴が思い当たるか確認
- 183二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 19:01:26
- 184◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 19:11:31
- 185◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 19:16:03
皐月三日、昼下がり。
曇天の下、神社の裏手にある竹林に囲まれた境内には、堺筋の中堅・浮舟屋長兵衛、北堀江の加納屋久左衛門、道頓堀の升屋宗兵衛、そして新町の大和屋小太郎といった、いずれも代々続く老舗が顔を揃えていた。
帳簿や伝票、近頃出回る“金竹”と書かれた酒瓶の破片も、箱に収められて並んでいる。
「……また“竹島”の化けもんが出てきおったか。
けど今度は、あんたの名を騙って、うちら酒屋そのものの信用を砕こうちゅう腹やな。こら、“味”や“格”の勝負やあらへんぞ」
「この伝票……筆跡は似せとるが、“美”の字の起筆が逆や。
“にせもん”でんがな。けど、これ使うた店の名がどこにも記録に残ってまへん。
これは“本気で姿を隠しとる奴”の仕業ですわ」
「わしの店の女中が茶屋筋で聞いた話や。
“金竹”て銘柄、“上方十番”ちゅう裏酒屋筋の札で回っとるらしいで。
昔で言う“くず樽回し”や。“売り先も酒質も日替わり、けど金払いは倍”て噂や」
「……親父の代には、裏酒の連中とも手ぇ切れへんかった。
けど今の時代、信用が命や。
これ以上、放っておけまへん。“板看板酒屋”の意地を見せるときですやろ」 - 186◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 19:16:51
協力の成果
・【浮舟屋、加納屋、升屋、大和屋が共同戦線に加わる】
・【偽伝票調査のため、各町丁の丁稚・配達人ネットワークが動き出す】
・【裏流通“上方十番”の実在がほぼ確定、情報網が狭まりつつある】
長兵衛が懐から、使い込まれた煙管を取り出しながら言った。
「四代目。あんたが“義理と味”でここまで守ってきた美邦屋や。
今度は、うちらが“看板と流れ”で助太刀しますさかい」
久左衛門が重々しくうなずく。
「若いのに、よぉようやっとる。せやさかいこそ、次の一手、誤ったらあきまへん」
「表の看板は美邦屋。けど、裏の仕掛けは、わてら四店で請け負いまっせ。
四代目は――“堂々と、味で勝ち続けたったらよろし”」 - 187◆qcSQN4N5gc25/07/09(水) 19:17:13
次の行動(裏問屋“上方十番”の炙り出しフェーズ)を、>>190 まででダイス
- 188二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 19:26:18
金竹そのものがどういう酒なのかの調査。特に酒そのものの出どころがわかったらそこに揺さぶりをかける
- 189二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 19:32:27
甚九郎にわざと痕跡を残すようにして上方十番を調査してもらう。相手の出方を伺う
- 190二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 21:54:56
- 191二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 02:53:49
あげ
- 192◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 05:36:57
- 193◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:30:12
午後。雨脚の弱まった南堀江の空の下、美邦屋の店奥――もと御用達客用の座敷が、急遽“利き酒調査室”として整えられていた。
並ぶのは、茶屋筋の仲介人から買い取った“金竹”の瓶3本。
香り、濁り、味わい、そして沈殿物の有無に至るまで、十兵衛・源助・手代三人が緊張の面持ちで酒を取り囲む。 - 194◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:30:42
分析結果(利き酒・検証)
・色味:僅かに黄味がかるが透明度は高い。見た目は「伏見風淡麗」
・香り:初香は華やかだが、二嗅ぎ目に雑味。白麹か香料由来と思われる。
・味:初口はやや甘く、後味に苦み。**灘の下級酒によく似た“石灰系の渋み”**あり。
・沈殿物:ほぼ無しだが、ごく微細な白い繊維質の浮遊物がある。
・熟成香:蔵内熟成ではなく、“運送中の自然発酵”と推測される微酸味あり。 - 195◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:31:18
十兵衛が舌を鳴らす。
「……これは伏見や灘やあらしまへんな。
銘の風味だけ真似て、安酒を調合した“風味酒”ですわ。
しかもこの味、わて、昔ひとつだけ似たのん呑んだことあります。摂津・住吉の沖――“鴨居川沿い”の小さな酒屋のんや……名は確か、“八坂屋”」」
源助が帳面を繰り、うなった。
「ここや。“八坂屋利兵衛”。蔵は潰れて、今は“倉庫業”を名乗ってますけど……実は、細々と地下で酒作っとるっちゅう噂、ありました」 - 196◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:31:44
八坂屋 利兵衛(やさかや・りへえ)
・かつて住吉郡鴨居川沿いの酒蔵だったが、享保改革で規制強化を受け、看板を外す
・現在は“倉庫貸し”と称して蔵を再利用
・地元では「貸蔵屋」として知られるが、表に出ない“短期仕込みの樽”が出入りしているとの風聞あり
・近年“青海屋”や“黒牛屋”との接点をもつ者が何度も出入りしている - 197◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:32:29
十兵衛が手を叩く。
「これや……旦那はん。この“金竹”、中身は“八坂屋”で仕込んだ“偽伏見風酒”。
しかもこの作り、まるで“商いより先に、味を模倣するため”の酒や」
「わて、明日早朝、住吉まで行って、裏をとってきまひょか?」
新助は目を細め、静かに言った。
「いや……揺さぶるんは、今この場で、堂々とやる。
八坂屋の倉庫に、“正規の検分人”として踏み込むんや。うちら“板看板酒屋仲間”の名でな」 - 198◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:33:10
準備行動(成功)
・【偽酒“金竹”の原産地が“八坂屋”と判明】
・【味の類似、原料分析から裏付けが取れた】
・【浮舟屋・加納屋と共に、“組合名義の検分状”を奉行所から取得】
・【明朝、八坂屋倉庫へ“検分衆”として乗り込むことが決定】 - 199◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:33:46
夜。帳場にて、十兵衛が小声で告げる。
「これ、相手がただの“元蔵元”やないかもしれまへん。
もし裏に“青海屋”や“上方十番”がおったら、検分だけで済まへんこともありえます。
けど、これ以上、“味を騙る商い”を許したら、美邦屋だけやない、大坂の商人が泣きまっせ」 - 200◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 10:34:20
次の行動(八坂屋突入・検分フェーズ)を、>>203 まででダイス
- 201二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 11:28:23
お得意様の大阪町奉行の鈴木利雄(史実)の配下の中で腕っぷしに信頼のおける者を万が一の護衛としてつけてもらい、八坂屋へ乗り込む
- 202二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 16:31:23
従業員一同を集めて事情を説明。「こんなことがあっても最後に勝つのは本物の味を出し続ける方。必ず勝てる」と檄を飛ばし、検分の結果を待つ
- 203二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 17:44:19
- 204◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:50:14
- 205◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:53:27
奉行所裏手。まだ朝靄の残る控え間には、町奉行・鈴木利雄の側近であり、下役人ながらも市井の闇に精通する一人の男が待っていた。
名を栗山主馬。
元は郷士出身。武家風の折り目正しさと、町人の機微に通じた柔軟さを併せ持つ。
主馬は黙って、新助の顔を見て一礼した。
「鈴木さまより、“あとはおぬしの義理に任せる”と。
某、検分の名目で同行いたす。
万が一……不穏の動きあらば、全て御身をお守り進ぜよう」 - 206◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:54:38
正午。かつて酒香が満ちていた川沿いは、今や人通りもまばら。
軒並み閉ざされた扉のひとつが、八坂屋利兵衛の蔵倉。
新助・栗山主馬・十兵衛・加納屋久左衛門ら“板看板酒屋仲間検分衆”が、伝馬町から届いた奉行所発行の“検分状”*を掲げ、堂々と門前に立つ。
主馬が一歩踏み出す。
「八坂屋。奉行所の正式な検分状により、これより酒蔵内を開封いたす。
これを拒めば、違法醸造の容疑をもって即刻拘束する」
利兵衛の顔が引きつり、蔵番のひとりが刀の柄に手をかけた――
次の瞬間、主馬の小太刀が鞘の中から音もなく抜け、男の手首をピシャリと打つ。
「……抜いたら切る。どうぞ、ご随意に」
場が静まり返る。利兵衛は歯を噛み締め、蔵の鍵を投げよこした。 - 207◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:55:43
八坂屋蔵の内部
・木箱に収められた“金竹”銘の酒樽が16個
・蔵奥には“美邦屋”“浮舟屋”“升屋”などの偽の印鑑と伝票用紙
・為替帳には、“黒牛屋”“青海屋”“金屋文七”ら裏商人の名が並ぶ
十兵衛が呻く。
「これ……“裏十番”の銘柄全部、ここで“それっぽく拵えて”出しとったんやな……」
新助が一つの印を手に取る。そこには、自分の名を騙る――“美邦屋蔵一郎”の偽印が。
大戦果
・【八坂屋の裏蔵、偽酒製造の証拠を押収】
・【“金竹”の本拠地を突き止め、奉行所にて正式立件】
・【“美邦屋”の偽造印流通元が暴かれ、名誉回復】
・【栗山主馬の介入により暴力沙汰なしで制圧成功】 - 208◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:56:17
その夜、美邦屋の帳場。
十兵衛がつぶやく。
「旦那はん……あれでほんまに終わりまっしゃろか?」
新助は目を細め、偽酒の銘板を火にくべながら言う。
「終わったんやない……“始まった”んや、今度こそ――本物の時代が」
⸻
新助は名実ともに、板看板酒屋の若き旗頭に
・【信頼値:+20(町奉行、同業仲間、町衆)】
・【美邦屋:名誉回復/注文増加中】
・【XP:+300|現在レベル 3 → レベル 4 に昇格】 - 209◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 17:56:56
四代目蔵一郎・新助の次の行動、あるいは新たな事件を >>212 まででダイス
- 210二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 18:32:19
- 211二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 18:59:18
薩摩藩系からの焼酎が流行し出し、日本酒の売り上げが下がり出す
- 212二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:28:05
- 213◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:28:48
- 214◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:31:05
午後の柔らかな日差しが、南堀江の街を黄金色に染める頃。
新助は帳場の硯に向かい、「分店計画」と「酒筋会合」の草案を練っていた。
そこへ、外からにぎやかな声と草履の音が迫ってくる。
「兄貴ぃ!ええ人、連れて帰ってきたで!」
源助が、旅装束の侍を伴って店に入ってきた。
その男は年の頃、三十半ば。日焼けした頬に傷跡、腰にはやや古びた打刀を佩く。
しかし身なりは整っており、所作には品と矜持がある。
何より、その目は獣のような鋭さと、どこか侘しげな静けさを宿していた。 - 215◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:31:36
浪人・橘 玄蕃(たちばな・げんば)
・年齢:35歳/元・肥後藩士
・身長は高く、口数は少ないが一言一言が深い
・特技:剣術(新陰流)、地図と地理に詳しい/酒には異様に強い
・過去:家老の失脚に連座し脱藩、放浪の身に
・現在:職を求め、畿内を流浪中。武士の身分ながら、町人とも気さくに接する - 216◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:32:20
源助が笑いながら言う。
「西九条の茶屋で、客あしらいしてたら偶然隣り合って、話してみたら、えらい面白い人でな。
この人、“大坂の酒がなぜこんなに旨いか”を地形から語れる人なんや!」
玄蕃は静かに一礼する。
「……突然のご無礼、橘 玄蕃と申します。
酒の香りに誘われて、つい足を……もし、ひととき、奉公の席などいただけるなら……」 - 217◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:33:23
新助は、茶を注ぎながら目を細めて尋ねた。
「奉公ゆうても、元はお武家はんやろ。うちみたいな町屋で、何ができまっか?」
玄蕃は、懐から丁寧に写された“畿内の水路・地下水脈の地図”を広げた。
「酒は、水が命。
伏見、灘、池田、そしてこの南堀江……何ゆえ、これらの地で“銘酒”が生まれ、また模倣されるのか――その“根”は、すべてこの土の下にございます。
……某、今後の貴店の分店、出荷路、水利による仕込み拠点選びの補佐、必ずやお役に立て申す」
十兵衛が呟く。
「……ええ風、吹いてきましたな、旦那はん。
味を守るんが“舌”やとしたら、広げるんは“地”でっせ。こら、吉兆ですわ」 - 218◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:34:43
橘 玄蕃(浪人・水利地理の達人)
【加入条件】:一定期間、仮雇い(住み込み)として美邦屋に滞在
【特性】:
・酒の旨味を“水源”から判断可能
・地図・街道・運河に詳しく、新しい酒筋開拓の補佐ができる
・剣術も備えており、トラブル時の護衛にも転用可
新しい仲間が加わったところで、美邦屋の次の行動を >>221 まででダイス
- 219二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:56:27
- 220二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:02:54
玄蕃に仕事を教える
- 221二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 01:06:05
- 222◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 02:15:37
- 223◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:22:05
帳場の灯りが揺らぐなか、新助は湯呑に手を添え、静かに言った。
「……橘はん。うちは、あんたに“絵地図描き”やのうて、先兵になってもらいたい」
玄蕃が顔を上げる。
その瞳には、何かを取り戻すかのような光が差した。
「今、うちが新たに睨んどる筋がひとつある。
――堺・岸和田・紀ノ川筋や。
土地はええ、農も水もある。けど、灘や伏見ほど名はない。せやから今、裏酒がうごめいとる。
このあたりで“真っ当な酒を、真っ当な道で売る”先鞭をつけるには、地と水に通じた頭と、いざとなれば抜ける腕がいる。
――あんたや、橘はん」 - 224◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:22:34
任務:「南紀筋・先行調査役」
・目的:南紀・岸和田・紀ノ川筋における
・良質な水脈のある仕込み地候補
・偽酒流通の兆候
・新たな販売筋の構築
これら三つを調査・報告する
・条件:身分を隠さず“美邦屋の代行”として振る舞う
・期間:十日間(皐月十七日帰還予定) - 225◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:23:24
玄蕃は、やや表情を硬くして問うた。
「……それほどまでに、この店の旗印を広げる意志があるのですな?」
新助はただ一言、盃を置いて返した。
「本物を、広げたいだけですわ。偽りの味に、町は渡せまへん」
玄蕃はゆっくりと頭を下げた。
「――承知つかまつった。
この命、いま一度、味と義のためにお預け申す」
十兵衛がうなずく。
「……旅にゃ危険もありましょうが、旦那はんが人を見込むときは、だいたい当たる。
くれぐれも、無茶はなさらぬように」 - 226◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:24:05
任命:橘玄蕃「南紀調査使」就任
・【所持物】:調査用銘柄、店主直筆状、検分帳、旅道具、非常用懐剣
・【支援】:加納屋の和泉筋伝手、升屋の堺港筋伝馬人脈
・【行程】:堺 → 岸和田 → 紀ノ川下流 → 山間の水源地調査 - 227◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:24:50
玄蕃出立後の美邦屋側の行動を、>>230 まででダイス
- 228二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 15:59:08
打ち壊し発生、被害を直接受けることはなかったがあらゆるところで被害の爪痕が残る
- 229二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:07:14
突如襲われる
一応捉えたが動機が
「なんか、いつの間にかしてた」なので話にならない - 230二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:15:02
- 231◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:16:04
- 232◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:20:19
南堀江から納品帰り、帳面と睨めっこする日々の束の間。
新助は、久しぶりに「靱の道具屋筋」まで足を伸ばしていた。
仰ぐ空は晴天。商人や女中らのにぎやかな声に交じって、道行く子どもの風車が回る。
その瞬間だった。
後ろから「おおぉおお!」と濁った叫び声。
新助が振り返ると同時に、どこかで見たような顔の男が、刃物も持たず素手で突進してきた。
反射的にかわす。
身体が軽くぶつかった程度で済んだが、男はその場に倒れ込み、すぐに駆けつけた与力と目明しに押さえ込まれた。 - 233◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:20:47
犯人の様子
・年齢:二十代後半
・顔は土気色。目はどこか虚ろ。
・手は震えており、口の端に泡立つような唾
与力が言うには、
「名前は“太一”。浪人風やが、定住先はない。
襲撃の動機を問うたところ、“気づいたら、やってた”との申告。
執拗な恨みも、利得も見られず……正気か狂気かすら、定かでない」 - 234◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:21:25
夜──美邦屋 帳場。
十兵衛が厳しい顔で報告を持ってくる。
「旦那はん……あの男、奉行所で問い詰められても、同じことしか言いませんのや。
“気づいたら美邦屋の前におって、手が勝手に”やと。
……口ぶりが芝居がかってるわけでもない。けど、まるで“誰かに見えない縄で引っ張られてる”ような言い草でしてな……」
源助がぽつりと口を挟む。
「まさか、“まじない”とか、そっち筋……?」
十兵衛が眉をひそめる。
「そういう怪しげな話やのうて、むしろ……“仕込まれとる”感じですわ。
記憶や意志を揺さぶるような……何かを喰うたか、聞かされたか、そういう“薬”かもしれまへん」 - 235◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:22:19
情報:不可解な襲撃事件
・襲撃者「太一」は、過去に灘・西宮方面で水運荷揚げの賃仕事に関わっていたとの記録あり
・近ごろ、西宮筋では「妙な目つきの若い衆」が問題を起こす事件が相次いでいる
・奉行所筋でも「近隣の偽酒蔵跡から、未登録の“異臭のする粉末袋”が出た」と報告が入っている
推測される線
・【脅迫・恫喝目的の襲撃】にしては計画性が乏しい
・【個人的怨恨】にしては接点が薄い
・【洗脳、あるいは薬物操作】が疑われるが、確証はなし - 236◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:22:41
新助は、袖をさするように言った。
「ただの偶然ならええ。けど……この襲撃が“始まり”やったら、どうすんねん」
十兵衛が、新助の茶碗に静かに湯を注いだ。
「気ぃつけてください……旦那はん。
敵は、酒だけやのうて、人の心にまで“偽り”を仕込もうとしとるのかもしれまへん」 - 237◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:23:19
次の行動、出来事(玄蕃の帰還など)を、>>240 まででダイス
- 238二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:26:44
玄蕃が帰って来る。酒造りに適した地が見つかったという良い知らせと、道中で複数人の忍びに襲われたという悪い知らせ。忍び連中は返り討ちにしたとのこと
- 239二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:03:54
わざわざ奉行の鈴木が捜査の経過報告と称して会いに来る
- 240二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:50:40
- 241◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:12:30
- 242◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:14:30
美邦屋の暖簾が下ろされ、街の灯が消えた真夜中。
帳場の灯火が揺れるなか、戸口を叩く控えめな音。
十兵衛が戸を開けると、そこには玄蕃の姿。
道中の塵をまとった旅装束。右肩に擦り傷、袴にはうっすらと血が滲んでいた。
だが、その目は冴えていた――冷えた剣と、湧き立つ泉のように。
「戻りました。まずは、良い知らせを」 - 243◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:15:04
吉報:酒造適地の発見
玄蕃は、地図を広げ、三点を示した。
1.貝塚・水間郷(みずまごう)
・水質は硬軟の中間。米の旨味を引き立てる淡麗系
・かつて寺社領で“酒造り”の記録あり
・紀ノ川と大阪湾に挟まれた交通の要地
2.紀ノ川下流・名手(なて)郷
・河岸段丘の伏流水。香り高く濃醇な仕込みに最適
・水車による精米文化が発展しており、現地精米→直送仕込みが可能
3.岸和田・大町谷
・冷涼な谷地で、貯蔵に適した自然環境
・竹林と石灰岩層が、空気を穏やかに保つ
⸻
「いずれも、灘・伏見に匹敵する“地の利”。
もし、ここに“美邦屋の支蔵”を築けば、南紀における“本筋の味”の新たな源泉となりましょう」 - 244◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:15:42
凶報:道中での襲撃
玄蕃が語るには――
・紀ノ川沿いの峠道にて、三名の男に襲われた
・いずれも身のこなしは尋常ではなく、盗賊とも浪人とも違う
・名乗りもせず、無言で刃を抜き、連携して動いた
・一人は袖に「笹の葉」の刺繍、もう一人は「耳の中に香の綿」を仕込んでいた
玄蕃は、辛くも返り討ちにしたが、最後の一人は毒を含み自害したとのこと。
⸻
「……これは、ただの山賊ではない。
恐らく、“秘密を守るために命を捨てる”連中。何らかの“組織された手の者”かと」 - 245◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:16:11
現時点の推察
・「笹の葉」の印、及び「香の綿」はいずれも“忍び”や“間者”に通じる仕込み
・“灘・裏流通”筋で情報漏洩を防ぐための粛清役が存在する可能性
・玄蕃が調査した地に、すでに何者かが利権の布石を打っていた可能性あり - 246◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:17:02
源助が言う。
「つまり……兄貴らの動き、向こうにも漏れとるっちゅうことやな?
しかも、“誰かにとっては、脅威”に映るほどに……」
十兵衛は神妙にうなずく。
「おそらく、次は“酒”だけの争いやない。
――“土地と情報”の取り合いが始まりまっせ」
⸻
🎖結果まとめ
・【新たな支蔵候補地】:3箇所選定完了
・【玄蕃の信頼】:大きく上昇(部外との忠誠:確定)
・【敵勢力の存在】:灘・裏流通に“秘密保持のための殺し手”が潜んでいる可能性
・【次の一手】:動くなら慎重に。されど、敵の意図を読み遅れれば、先手を奪われる
玄蕃が最後にこう言った。
「……土と水と人の縁を結ぶためには、まず“影を断つ”ことから始めねばなりませんな」 - 247◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:17:33
次の行動(南紀展開と防衛フェーズ)を、 >>250 まででダイス
- 248二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:13:57
3箇所のどこかに縁のある人を探す
- 249二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 02:02:39
敵勢力を探す
- 250二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 06:19:56
- 251◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:43:41
- 252◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:47:24
静かな朝の光が障子を透けて入り込む。
新助は、玄蕃の広げた地図を見つめながら、唸るように言った。
「土地はあっても、そこに人の縁がなけりゃ、根は張られへん。
ならばまず、あの三ヶ所に“縁のある誰か”を――」
十兵衛がうなずく。
「心得ました。早速、うちの記録と町筋の名簿を洗い直しますわ」
数刻後、妹の薄雪がぽつり。
「そういや、“笠谷のおじさん”……前に、水間の観音さんの茶屋で働いとったって言うてはったなあ。
ほら、店にちょいちょい“くるみ餅”届けてくれる人」 - 253◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:47:56
候補者1:与市
・年齢:五十代後半/元・町駕籠かき→現在:菓子職人
・現在:堀江近隣で“くるみ餅”を納める小商いを営む
・出身:水間郷・三ヶ山村
・若い頃は水間観音の縁日で茶屋奉公。その後、駕籠職として大坂に移住
・地元には妹夫婦が今も暮らしており、旧家筋と地縁あり - 254◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:48:38
また、源助が声を上げる。
「そういや、前に“升屋”はんが言うてたで。
“名手郷でええ米が採れるとこあるんやけど、なかなかええ蔵が育たん”て」
候補者2:升屋 宗兵衛
・年齢:四十代後半/道頓堀の中堅酒屋
・元は紀州筋の生まれ。名手郷に父方の縁続きがいる
・地元の米農家とは今も交流あり
・「旨い米はあるが、蔵元が育たん土地」と愚痴る一方、水の“香り”には一目置いていた - 255◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:49:16
そして、十兵衛が帳面をめくりながらもう一人を挙げた。
「これはちと変わり種ですけど……岸和田の町筋に、前に蔵の建て替え相談に来てた“大工棟梁”の若い衆がおりましてな」
候補者3:直太
・年齢:二十代後半/大工見習い
・岸和田・大町谷の出身
・父は有名な蔵普請専門の棟梁で、直太は跡継ぎ候補
・一年ほど前、岸和田で“蔵の耐震補強と風通し”について新技法を学ぶため大坂に来た
・話好きで、地元の竹林や空気の“澄み方”に並々ならぬ関心を持つ - 256◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:52:05
- 257二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:04:47
升屋に話を聞く。紀州筋なので忍びについても何か情報が得られる
- 258二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 14:51:45
直太。空気と水の澄み方には関連があるんじゃないかと話をふる
- 259二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 20:26:24
- 260◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:28:33
- 261◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:34:24
川面が黄金色に染まりはじめた頃、新助と玄蕃は、
道頓堀筋でも良質の地酒を扱うことで知られる「升屋 宗兵衛」の店を訪ねた。
白木の看板に墨で「升屋」の字が掲げられ、入り口には檜葉の香が漂う。
案内された奥座敷。宗兵衛は、新助の顔を見るなり破顔した。
「おお、若旦那……いや、もう“四代目”と呼ばなあきまへんな。
噂は聞いてまっせ。“灘を震わせる蔵”が、南を向いて動き出したちゅうてな」
新助が事情を語ると、宗兵衛は顎を撫でながら、すっと襖を閉めた。
「名手郷、ええとこですわ。
米は香りがようて、炊いても蒸しても腰がある。
けどなぁ……どうにも“水”が難しいんですわ。扱いに技がいる。
それとな……あのへん、ちょっと前から変な風が吹いとる」 - 262◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:35:00
名手郷にまつわる不穏な話(宗兵衛談)
・紀ノ川下流には「旧道筋の酒蔵跡」がいくつもあり、放置された蔵を“買うて何かやっとる連中”がいるらしい
・昼間は静かなのに、夜な夜な荷車が出入りする
・それを話題にしようとすると、地元の者が急に口をつぐむ。中には「知らん方がええ」と言って離れる者も - 263◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:35:43
玄蕃が表情を変えぬまま、低く尋ねた。
「――その“連中”、背に笹の刺繍があったり、妙な香を身にまとうてる者はおりませんでしたか」
宗兵衛はぎょっとした顔でうなずいた。
「それ……“川合の宿”に逗留してる若い衆らがそうですわ。
一人だけ見かけました。赤黒い陣羽織、背中に笹の紋。
道の端でな、逆立ちしとったんです。夕暮れに」
玄蕃が新助に目配せし、口元を引き締める。
「――間違いなく、“笹忍”の者でしょう。表には出ぬ流通を操る裏の者ども……しかも、“南へ拠点を広げる”意図ありと見えます」 - 264◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:36:08
現在の状況整理
・名手郷の地の利:米質は極上、水は扱いに熟練が要るが、技で克服可能
・現地の不穏分子:「笹忍」と思われる連中が蔵跡に集結、秘密裏の活動中
・宗兵衛の協力意志:米の融通と地元筋との橋渡しを快諾。ただし「裏の気配には深入りしすぎぬよう」と忠告 - 265◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:36:57
宗兵衛が笑みを消して言う。
「名手郷を目指すなら、味方を増やす前に“闇を断たな”立てへんでっせ。
あんたんとこの“若衆”は……ええ、“筆”も“剣”も、よう動きそうやしな」
玄蕃が静かに告げた。
「旦那さま、ここで引くなら“ただの旨い酒売り”ですが、進むなら……“誇りを賭ける造り手”として、火に踏み込むことになります」 - 266◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 20:37:26
次の行動を、>>269 まででダイス
- 267二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 21:34:53
十兵衛と玄蕃、源助を集めて会議を開いて意見を募る
- 268二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 03:38:01
作戦会議
- 269二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 09:32:20
- 270◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:47:40
- 271◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:51:29
紀ノ川の下流、陽が傾き、水面に赤銅の光が射す頃。
旅装束の四人が川沿いの街道を歩いていた。――新助、玄蕃、庄吉、寅松。
小舟が流れを下る脇で、古びた蔵や農家がぽつぽつと立ち並ぶ。
あたりには田植え前の水が張られ、風が水面を撫でていた。
しかし、その静けさの奥に、妙なざわめきを感じる。
玄蕃が呟くように言う。
「“表が穏やかな土地ほど、裏は深い”。……旦那さま、気張りなされ」 - 272◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:52:03
情報によれば、怪しい動きがあるのは「川合の宿場町」から少し外れた、旧・竹中酒造の跡蔵。
近づくと、すでに門は閉ざされ、正面には「貸蔵」の札が掲げられている。
庄吉が囁く。
「旦那はん、これ……札が妙ですわ。書体が古うて、ちぃと“見せ札”の臭いがしまんな」
寅松が門の脇に落ちていた細工釘を拾い、頬をしかめる。
「これ、防犯てより“監視の内鍵”やないですかね……中から開ける用の」 - 273◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:52:28
周囲の観察:判明した異常
・夜になると、裏手の細道から馬車が出入りしている(車輪跡あり)
・小川の水門に、微量の灰汁臭が混じる(仕込みか、廃棄か?)
・背に笹紋の入った旅装束の男が、堂々と農家と話す様子を複数回目撃
・農家側も“不自然な笑み”を浮かべ、目が死んでいると玄蕃が分析 - 274◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:53:03
夜──玄蕃が「裏手の山道から回る」として一人離れ、新助・庄吉・寅松の三人は地元の旧知の米屋を訪ね、話を聞く。
⸻
地元の声(米屋・六助爺)
「確かに……前に“若い衆らが蔵を買い戻した”ゆうてたわ。けどな……」
「……夜な夜な香の匂いがするんや。酒やのうて、“気持ちがどこかへ行ってまうような香”」
「村の者もな、“話しかけるな”言われとるらしい……なんや、あれはなぁ……魂抜かれたような眼ぇ、してるわ」 - 275◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:53:43
夜中、玄蕃が静かに戻る。手には、蔵の裏手から拾った“薬袋”と“紙片”。
⸻
玄蕃の報告内容
・蔵の奥に「仕込み桶らしきもの」がいくつかあるが、液体は白濁し、強烈な酢と酒の混合臭
・男たちが数人で“香壺”を焚きながら、荷を積み替えていた
・紙片には「金竹」と「蓬莱香」の文字がある
→「蓬莱香」は、催眠性の強い香薬で、古くは密教の儀式や暗示に使われたとされる - 276◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:54:37
玄蕃が結論づける。
「――これは、“酒を装った薬物製造と、それを使った意志の操作”。
そして、それを守る者たち……“笹忍”どころか、さらに上の流れが動いてます」
寅松が震える声で言う。
「旦那はん……これ、ほんまに酒屋の話でっか……?
これ、“人の心を呑む酒”ですやんか……」
新助は、じっと川の流れを見つめていた。
それは、もはや一酒屋の誇りを超えた、大坂全体の矜持と矯正の戦いへと変わりつつあった。
⸻
現時点の判明事項
・名手郷・旧竹中蔵跡にて、違法な“偽酒・香薬”の調合が行われている
・香には精神を麻痺させる成分あり、農民や旅人に意図的に用いられている可能性大
・流通経路に「金竹」の名が記されており、灘・西京屋とも繋がりがある恐れ
・地元民はほぼ沈黙。周辺には香の影響を受けた者と思しき者が複数 - 277◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:55:26
- 278二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 17:40:52
ひとまず様子見
- 279二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 00:55:29
放置
- 280二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 05:06:55
- 281◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 06:40:49
- 282二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 10:25:36
期待
- 283◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:41:11
名手郷から戻った新助は、夜な夜な帳場に灯をともした。
旅装束を脱ぎもせず、机の上に並べた紙片、香壺の破片、酒瓶の底。
そこに流れるものは、“酒”ではなく、“毒”であった。
店の灯が静かに揺れるなか、そっと帳場の戸が開く。
入ってきたのは、番頭・十兵衛。
湯呑を手に、黙って向かいに座ると、彼はぽつりと聞いた。
「……旦那はん、聞かはる気になりはりましたか。
“親旦那はんは、こういう時どうするか”――と」
新助が小さくうなずく。
「十兵衛。……わいも、商いの道を継いだつもりや。けどな、これはもう“商売”やあらへん。
親父やったら、どう動いてた思う?」 - 284◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:42:01
十兵衛は、湯呑を置き、かすかに笑った。
「親旦那はんが言うてはったこと、今も覚えとりますわ。
“誰にも負けへん味を作っても、人がそれを味わう舌と心を失うたら、酒屋の意味は消える”てな。
もし、今回の件に気ぃついたら――たぶん、夜のうちに西京屋の旦那の家、たたきに行ってたと思いまっせ。
その上で――“このまま闇に染まるか、陽に顔見せて詫びるか”って二択を突きつけたやろな」
新助が目を伏せる。
十兵衛は続けた。
「けどな、それをやれるんは、“命張る覚悟がある商人”だけや。
旦那はん……心の中で“許してる”と思うとる連中がおったら、今回ばかりはあきまへんで?
この酒は“舌”やのうて、“魂”を腐らせます」 - 285二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 10:43:05
このレスは削除されています
- 286◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:43:39
薄雪のくぐもった寝息が、奥の部屋から聞こえる。
源助は、夜の番に出たまま、まだ戻っていない。
だが、新助の目に映る帳場の灯は、これまでよりも一段、はっきりと照らしていた。
十兵衛が最後に言う。
「……旦那はん、“酒屋”が命張る時代なんて、ほんまは来たらあかんのです。
せやけど、来てしもたんなら……せめて、美邦屋の味と心だけは、汚させたらあきまへん」 - 287◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:43:55
新助の選択を、>>290 まででダイス
- 288二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 10:50:21
商人として、人として命を張る
- 289二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:31:11
覚悟を決めた
- 290二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:32:10
- 291◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:35:32
- 292◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:37:50
帳場の行灯の灯は尽きず、墨の香と紙の音だけが響いていた。
新助は筆を取り、静かに次の行動を綴り出す。
父親の志と、大坂の“酒の誇り”を守るため――
⸻
【決意の五手】新助が定めた行動候補
1. 西京屋への“最終通告”と表舞台への引き出し
・内容:直接、西京屋の旦那に面会し、偽酒の出所と“金竹”銘の悪用、おとせの関与を問う
・勧告:奉行所への訴え出前の最後通牒とし、商人としてのけじめを促す
・利点:相手に自主的な退場と和解の道を開く余地を与えつつ、“商人の名分”を守れる
・危険:刺客、逆恨みの可能性。交渉決裂の場合、即座に訴訟戦・告発戦に移行する必要あり - 293◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:38:20
2. 玄蕃率いる再潜入と“動かぬ証拠”の確保
・内容:名手郷・旧蔵への再潜入調査を玄蕃・寅松・庄吉に命じ、香壺、酒瓶、記録などの証拠を持ち帰らせる
・目標:香薬混入の製法記録・運搬記録・西京屋への出荷証拠の確保
・利点:奉行所提出・株仲間通達用の“物証”が得られれば、すべての攻勢に正当性が出る
・危険:発見された場合、忍びの手の者と交戦の可能性。仲間の命のリスクが伴う - 294◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:38:49
3. 奉行所・鈴木利雄への極秘進言と蔵封鎖依頼
・内容:大坂町奉行に極秘で接触し、違法酒製造・薬物混入の一件を報告。名手郷への検地・封鎖の動きを依頼
・利点:官の力を動かすことで、“私闘”ではなく“公正な制裁”と位置付けられる
・危険:奉行所の動きが表に出れば、裏の勢力が即座に蔵を焼き払い、証拠を消す恐れ - 295◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:39:18
4. 大坂酒屋仲間による“正酒誓約”と世間への誓示
・内容:「浮舟屋」「升屋」「大和屋」などの信頼ある酒屋と共に、“正道を守る酒屋”の連判誓約を結ぶ
・目的:世間へ“うちは混ぜ酒を使わへん”“香薬など用いぬ”という明言を公示、信用の土台とする
・利点:美邦屋を中心とした正道連合の結成。灘や西京の対抗勢力となる
・危険:敵方に名指しされ、さらなる妨害や陰謀を招く可能性。露出が増えるゆえ、隙も増す - 296◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:39:49
5. その他(自由記述)
・内容:新助の信念、独自の作戦、人間関係を使った突破法など、自由な策謀や対抗案を発動可能
・利点:柔軟に“流れの外”から動ける
・危険:大胆な一手は、成果も大きいが、失敗すれば“致命の一手”となる - 297◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:40:19
十兵衛が見守るなか、新助は筆を置き、
静かに呟いた。
「……“本物の酒”はな。飲む者の心に火を灯すもんや。
心を殺す“酒もどき”を、この世に置いてたまるかいな――」
外では、虫の音が夜を照らすように響いていた。
だが、心の中には、もはや迷いはなかった。 - 298◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:40:52
1〜5 のうちどれにするか、>>301 まででダイス
- 299二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 01:13:32
2
- 300二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 01:18:53
3
- 301二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 01:19:33
1
- 302◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 07:24:03
1. 西京屋への“最終通告”と表舞台への引き出し
2. 玄蕃率いる再潜入と“動かぬ証拠”の確保
3. 奉行所・鈴木利雄への極秘進言と蔵封鎖依頼
dice1d3=2 (2)
- 303◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:13:34
紀伊国・名手郷──皐月二十五日・寅の刻(午前四時前)。
霧が田を這うように流れ、鳥すらまだ囀らぬ黎明の刻。
旧竹中蔵の裏手に、四つの影が静かに姿を現した。
・玄蕃:筆と刀を携えし“絵描きの剣士”
・庄吉:気配消しの達人。軽業と調査に秀でる
・寅松:力自慢。器量より腕力。鍵開けと護衛担当
・名手郷の案内人・六助の孫・孝太(臨時協力):「蔵ん中にゃ、“中庭の井戸”が地下と通うてます……」と囁いた - 304◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:13:53
作戦内容:再潜入ルートと目標
侵入経路:中庭の井戸→旧仕込み場
目標1:「香壺」「仕込み液」「帳面」など、違法酒製造の物証を確保
目標2:西京屋や“金竹”の記録・送り状・銘柄札などの出荷証拠
目標3:可能であれば“上層の名”を裏付ける痕跡も - 305◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:14:07
孝太が古井戸の石蓋を静かに外す。底には苔に覆われた木のはしごがかかっている。
寅松がまず降りた。次いで庄吉。玄蕃は最後に、後ろを見ずに続く。
――足音なし。息遣いも音もない。
薄明りのなか、蔵の底にわずかに灯る“香壺の火”が見える。 - 306◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:14:46
【第一の証拠──仕込み桶の液体】
寅松がそっと木蓋を外す。中には、白濁した液体と、酢と獣脂のような異臭。
庄吉が布に浸し、密閉瓶に少量を確保。
「旦那……これ、飲んだら舌しびれまっせ。舌いうより、“意志”がしびれそうや……」
玄蕃が香壺の炭を潰し、匂い袋に詰める。
「これは、“蓬莱香”の変種ですな。催眠よりも、“暗示”に近い成分構成です」 - 307◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:15:10
【第二の証拠──送り状と帳面】
庄吉が壁の二重棚から取り出した帳面の綴り。
そこにはこう書かれていた:
⸻
『金竹、上仕込(蓬加)—元禄堂/江都・橋場町 六拾斗
出荷先:西京屋(灘)/月次便/宛名:石川清之介』
備考:「伏見竹島」銘札要六拾
⸻
玄蕃の目が細められる。
「“橋場町の元禄堂”……これは江戸の薬種問屋。“裏屋号”で、隠し流通です」 - 308◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:15:40
【異変──隠し扉の向こう】
寅松が薄闇の奥に、ほのかに明かりが漏れる“隠し扉”を見つける。
玄蕃が首を傾ける。
「誰もおらぬ……しかし、“誰かがここで眠っている”空気や」
静かに扉を開くと――
そこには、昏倒した男たちが五、六人、香の中で寝息を立てていた。
しかもその中に、大坂筋の卸問屋・“高砂屋の番頭”と見られる顔が。
庄吉がひそりと呟く。
「こいつ……前に“西京屋で客を回してた”て聞いた奴ですわ……」 - 309◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:16:01
成果──今回の潜入で得た主な証拠
1.仕込み桶からの液体標本(香薬混入の証拠)
2.香壺(蓬莱香の改変品)
3.送り状と帳面(出荷記録/西京屋への出荷証明/裏屋号“元禄堂”)
4.混乱状態の商人(高砂屋番頭)──洗脳状態にある可能性 - 310◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:16:50
帰路、裏手の納屋から、しゃがれた歌声と足音。
「♪笹は裏庭、陽は見ぬ……酒は笑うて、舌に咲く……」
玄蕃がすっと刀の柄に手を添える。
「忍びが戻る前に、退きましょう。今宵の影は、深く長い」
四人は、名手郷の田道を抜け、闇にまぎれて退路を確保。
証拠はすべて、新助のもとに届く予定。
⸻
十兵衛は帳場で報告を受け、静かにうなずいた。
「旦那はん……“火種”が見えましたで。後は、“いつ火ぃ点けるか”やな……」
夜明け前の帳場。新助の前には、舌と心を毒す“酒”の真実が並べられていた。
それは同時に――真っ当な味の旗を掲げる、反撃の狼煙でもあった。 - 311◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:17:14
新助の次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 312二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 14:09:17
大阪町奉行と紀州藩に訴え出る。大阪町奉行は奉行と直接連絡出来るので良いとして、紀州藩は先代藩主(現将軍なあの人)が始めた目安箱に届け出る
- 313二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 19:45:34
奉行前へ行く
- 314二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 01:17:56
自首をすすめる
- 315二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 09:08:52
あげあげ
- 316◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:04:23
- 317◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:07:41
朝もやの中、新助は単身で西京屋の門を叩いた。
随身の者もつけず、使いの者も出さず、一介の町人として、ただ“誠意と証”を持って訪れた。
応対に出た下男が顔色を変え、奥へと走ると、すぐに当主・鷲尾宗信が現れる。
新助は静かに証拠の綴りを卓に広げた。
香壺、送り状、酒瓶の底に刻まれた偽銘。
そして、香の成分表と、高砂屋番頭の証言書の写し。
「鷲尾はん。これは“証拠”や。にせもんやない。
あんたが関わっとるんは、“商い”やのうて、“毒売り”や」
「いっぺん聞きます――どこまで自分の意志で、やっとったんか?
それとも、何かに“飲まされとった”んか?」 - 318◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:08:31
宗信は黙ったまま、煙管に火をつける。
吐き出す煙が、日差しの中に揺らいだ。
「……始まりは、江戸筋や。“香の力”を使うて、味に深みをつける。
流行りを呼ぶための手段やった。それが、いつしか止まらんようになった。
“元禄堂”との取引が始まりや。向こうは“薬”ゆうて売ってきた。
……けど、わしらがやっとったんは、“心を操る商い”やった」
そして一呼吸置くと、宗信はこう言った。
「……自訴、受けよう。わしが自ら奉行所へ出向き、“金竹”銘の一件と、名手郷の蔵のこと、
それから……元禄堂の名を明かす。
だがひとつ条件をのんでほしい。
この件に、わしの妻や、若い番頭らを巻き込まんといてくれ」
新助は、眼差しを据えたまま言葉を返す。
「鷲尾はん、わいは鬼やない。けどな――
“誰かが責任を取らなあかん”んや。ほんまの味を守るためにもな」 - 319◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:09:13
その日のうちに、宗信は町奉行所・鈴木利雄のもとに出頭。
名手郷にある蔵の存在、“蓬莱香の変種使用”、“江戸・元禄堂との裏取引”について自供した。
これにより――
・西京屋は灘筋の取引資格を剥奪
・“金竹”銘柄は販売停止・回収命令
・元禄堂への“御用”が検討される(江戸筋への飛び火)
十兵衛が帳場で報告を聞いて静かに言った。
「……ようやりましたな、旦那はん。
これで、“毒を味と呼ぶ商い”は、大坂から消えまっしゃろ」 - 320◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:10:22
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 321二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 18:06:07
このレスは削除されています
- 322二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:59:36
名手郷での酒造のために詳細な現地調査を改めて行う
- 323二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 01:42:57
このレスは削除されています
- 324◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 08:17:59
- 325二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 13:45:15
このレスは削除されています
- 326◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:10:52
西京屋・鷲尾宗信の自訴は、市中の話題をさらった。
奉行所の掲示板には、「西京屋、偽銘酒流通の件により営業停止」と貼り出され、酒問屋や町人たちは、その余波にざわついていた。
伏見筋、道頓堀、心斎橋、難波──
美邦屋の看板を掲げる新助が町を歩くと、知らぬ者からも深々と頭を下げられるようになっていた。
とある古道具屋の老主がぽつりと口にした。
「いやぁ、美邦屋はん……あんたが止めてくれたさかい、
わしらようやく、“ほんまもんの味”がどれか、わかるようになりましてん」
升屋宗兵衛は、道頓堀で新助にこう言った。
「名手郷や西の筋、まだ気ィ抜いたらあかんが、
美邦屋が一番手で立ち回ったこと……大坂の酒筋、皆よう見とりますわ」 - 327◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:11:36
動きの兆し(しばらく様子を見たことでわかること)
・元禄堂の名は、町薬種問屋の間で「口にするな」という空気が流れている。
・逆に言えば、“火の粉が飛んでくること”を恐れている証拠。
・池田・伏見では「正直な蔵」の酒の引き合いが急増。
・美邦屋を通じた新銘柄の相談が、蔵元から寄せられ始めている。
・灘筋の一部で、「別銘を装って再流通させよう」という“抜け道”の動きも察知される。
・(例:「祥松」「月島」など、かつての名義の再登場)
・若手の酒屋仲間が、美邦屋に相談を持ちかけ始めている。
・「これからは、どう商うべきですか」という“学びの姿勢” - 328◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:12:14
新助が店に戻ると、薄雪が帳場で帳簿を閉じながら微笑んだ。
「市中が、ちょっと澄んできましたな。
けど……ああいう“悪い匂い”は、また別の入れもんで流れてきますわ。
だから……おとーはんは“香”より“気配”に耳を澄ませろ、言うてはりました」 - 329◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:12:30
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス
- 330二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:25:18
このレスは削除されています
- 331二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 02:03:16
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- 332二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 02:04:45
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- 333二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 08:40:39
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- 334◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:13:39
- 335◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:28:49
営業停止から五日目の朝。新助は灘筋へと足を運んだ。
灘の町筋は、以前と比べて静まり返っていた。
取引先を失った屋号が何軒も看板を外し、暖簾を畳んでいる。
かつての「金竹」旋風も、いまは跡形もなく――
人々の話題は、どこか気まずげに避けているようだった。 - 336◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:29:36
屋敷はまだ潰れてはいない。
だが、店の前には「営業停止中」の立て札が掲げられ、運び屋や蔵人たちの姿も見えぬ。
戸口に立ち、目を細めて見ているのは、かつての番頭・石川清之介。
ほつれた羽織に、腫れぼったい目。
新助の姿に気づくと、ひとつ深く頭を下げた。
「……旦那。ご足労、かたじけのうございます。
鷲尾の旦那は、奉行所へ詰めてはります。償いの算段に奔走中で――」
清之介は少し間を置いて、ぽつりと漏らす。
「ここはもう、“屋号”を継がれへんでしょう。
わては……これから、江戸へ出るつもりですわ。元禄堂の話、続きも調べとうて。
せやけど……“正しい酒”を知ってしまいましたさかい。
――もし機会あらば、美邦屋はんの酒を、江戸にも……届けたい思てます」
言葉を終えた清之介は、振り返らずに屋敷の奥へ戻った。
表門は、きぃ、と静かに閉ざされる。 - 337◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:30:11
西京屋の現況(観察結果)
・鷲尾宗信は奉行所出入りを続けており、奉行からの赦免条件として、背後勢力の全容を報告中
・使用人の大半は離散。蔵の多くは空荷に。設備も奉行預かり
・元番頭・清之介は、独自に江戸の元禄堂筋を追跡しようとしている
・市中では「西京屋跡を買い取ろうとする商家」の噂も出始めている(特に、長堀筋の“天野屋”) - 338◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:30:25
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス
- 339二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 14:40:54
天野屋が潰れる
会社が潰れるとかじゃなくて物理的に建物、代表、重役が - 340二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:57:44
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- 341二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 07:35:47
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- 342◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 10:29:33
- 343◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 10:32:25
夕暮れどき。
赤く染まる帳場の障子が影を伸ばすなか、
庄吉と寅松が慌ただしく駆け込んできた。
「旦那はんっ……! 長堀筋の天野屋……燃えましたっ!」
ふたりの額には煤、庄吉の袖口には焼け焦げた跡。
「今朝の巳の刻、裏の蔵から煙上がって、あっという間ですわ。
火元は“酵母蔵”ゆうとりますけど、なんや、炎の回りが早すぎて妙やったそうで……」
「旦那はん……おれ、天野屋の番頭・勘作と顔見知りなんですけど……
あいつ、“西京屋跡に乗れ”て、誰かに言われとったような口ぶりやったんですわ」
寅松が続ける。
「しかも、火ぃ出る前の晩、不審な連中が蔵の回りをうろついてたて、近所の連中が……」 - 344◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 10:32:58
天野屋の火災──状況まとめ(庄吉の報告)
・火元:酵母蔵(酒造に必要な蔵だが、燃えにくい構造)
・被害:蔵二棟、帳場一部、酒瓶在庫多数焼失。死人なし(ただし怪我人三名)
・時刻:巳の刻前後(午前十時頃)
・噂:
西京屋跡に乗ろうとしていたことを、近隣数軒が証言
火事の三日前から、“遠州弁”を話す男たちが出入りしていたという話あり - 345◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 10:33:35
十兵衛は顔をしかめながら、帳簿を置いた。
「……天野屋。あの旦那は、手を汚すことはせえへんが、
“金で誰ぞを動かす”ようなとこ、ありますやろ」
「けど、今回はどないも変でっせ……
誰かが“口封じ”を兼ねて、跡地ごと呑み込もうとしたか……?」
薄雪がそっとお茶を置きながら呟く。
「……“悪い香り”って、煙より先に、鼻につくもんやね」 - 346◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 10:34:00
次の新助の行動、または展開を該当するレス下3つからダイス
- 347二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 17:57:16
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- 348二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 00:46:52
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- 349二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:09:06
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- 350◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:04:47
- 351◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:11:12
夏の夕暮れ――町奉行・鈴木利雄からの呼び出しを受け、美邦屋・蔵一郎新助をはじめ、名だたる板看板酒屋の顔役たちが、奉行所へと集った。
既に揃っていたのは以下の顔ぶれ:
・堺筋・浮舟屋 長兵衛
・北堀江・加納屋 久左衛門
・道頓堀・升屋 宗兵衛
・新町・大和屋 小太郎
奉行・鈴木利雄は、質素な装いで座していた。
だがその目は、普段よりも鋭く、何かを見極めようとしているようだった。 - 352◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:12:49
「……天野屋の火事。
どうも、“ただの事故”とは言い難い。奉行所としても調べ中だが……“町人筋からの声”を聞きたい。
西京屋が自訴し、酒筋が整い始めた矢先。
この火事で“誰が得をするのか”……心当たりのある者は、隠さず申せ」
沈黙が落ちる。
酒屋たちは視線を交わし合い、やがて一人、浮舟屋長兵衛が口を開いた。
「……お奉行はん。あっしゃ、ひとつ気になってるこってす。
火事の二日前、うちの若い衆が“西の筋”で、よそから来た口調の連中を見てましてな」
聞きなれん言葉やと申してました。“遠州の者”やないかと……」 - 353◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:13:49
加納屋久左衛門が穏やかに補足する。
「元禄堂の名、まだ口に出すには早いかもしれまへんが……
事故の“匂い”がせんのです、あの火事からは。
……“口封じ”か、さもなくば“地固め”やろう、と」
升屋宗兵衛がさらに口を開いた。
「お奉行はん、“火ぃの回りが早すぎる”のは、油を使うた証しです。
わてのところにおる火消し頭が、そう言うてました」 - 354◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:14:52
鈴木利雄は目を細め、帳面に何かを書き込む。
「……貴重な証言、感謝する。これより、火元の裏手に出入りした者の探索を命ずる。
また、“遠州言葉を話す者”について、改めて聞き込みを強める。
町方役人に加えて、美邦屋蔵一郎にも一任したい。そなたの耳の広さは、すでに承知しておる」
そして最後に、目を静かに伏せてこう言った。
「わしは“酒が毒になる世”など、まっぴらごめんじゃ。
この町の“味と信”を守ってくれ」
奉行の言葉に、板看板酒屋の主らは静かに頭を下げた。
その中で、新助の目には、皆が“何かを決意した顔”に見えた。 - 355◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:15:20
新助はどうする?
該当するレス下3つからダイス - 356二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:36:33
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- 357二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 02:11:44
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- 358二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 02:12:37
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- 359◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 08:15:53
- 360◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:44:01
早朝、静まり返る焼け跡にて――
新助は、十兵衛と庄吉を伴い、焼け落ちた天野屋の旧店舗跡へと足を運んだ。
立て札には「奉行所調査中につき立入無用」の文字。
焦げた梁の間から、まだ白煙のような匂いが漂っている。
そんな中、焼け残った裏庭のほうで、薄汚れた羽織を着た男が崩れかけた腰掛けに座っていた。
――天野屋の店主・天野屋彌三郎である。
灰を浴びたような顔色。
目は血走り、手元の煙管には火がついていない。
新助に気づくと、わずかに頭を下げる。
「……おお、美邦屋はんか。こんなとこまでよう来てくれはった。
悪ぅおまへんけど……“今さら同業の見舞いか”ちゅう声も聞こえてきまっせ」 - 361◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:45:09
新助が本題を切り出すと、
彌三郎の顔に、短くも重い沈黙が落ちる。
「――うわさ、でっか。……買い取ろうとは、した。それは嘘やあらしまへん。
西京屋跡、わてにとっては“転機”や思うたんですわ。
せやけどな、美邦屋はん……ほんまに“欲を出した”だけで済んだんやろか。今でもわからんのや」
彌三郎は、焼け跡に目をやる。
「“灘筋の土台ごと持っていけ”ちゅうて、耳打ちしてきたんは、一見、ただの古着問屋に見える男や。けど、わての帳場に“元禄堂の酒見本”が置かれてたんや。
名前も残しとらん……ほんま、わて、ただの“先触れの駒”やったんかも知らしまへん」
そして、虚ろな笑みを浮かべて続ける。
「せやさかい、わてはもう酒からは手ぇ引きますわ。
わてみたいなんが残っても……“町の信”にはならんさかい」 - 362◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:45:49
得られた情報まとめ
・彌三郎は西京屋跡買収を本気で狙っていたが、背後に“元禄堂絡みの者”がいた
・相手の名は不明。灘筋の地そのものの“掌握”が目的だった可能性あり
・彌三郎はすでに引退を口にしており、資産や土地は奉行所管理へ
十兵衛が小声で囁く。
「旦那はん……この話、鈴木様にも通しておいたほうがええかもしれまへんな。
“駒”が焼け落ちたことで、本駒が動き出すやもしれません」 - 363◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:46:09
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 364二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 20:32:15
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- 365二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 02:23:56
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- 366二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 02:24:45
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- 367◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 06:59:48
- 368◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:22:29
灰まみれの表通り。
だが、前回と違って、天野屋彌三郎は裏手の仮小屋に身を潜めるようにしていた。
簡素な帳場台の上には、焼け残った煙管と酒瓶の底がひとつ、置かれている。
新助の姿を見るなり、彌三郎は小さく肩を竦めた。
「……美邦屋はん。まさか、また来はるとはな。
けどな、あんたの目ぇ見たら、言わんと収まらんこともあるわ……」 - 369◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:23:11
彌三郎は、瓶の破片を手にしながらぽつりと語り始めた。
「実はな……“古着問屋の男”は二人おったんや。
片方は口数少なぅて、ずっと筆だけ動かしてた。もう一人は饒舌や。遠州訛りで、こない言うとった」
「“西京屋が倒れたら、あとはおぬしが踏み台や”」
「“灘筋の主が変わるだけで、町の味はもっと深くなる”」
「“元禄堂は、今や“堂”ではない。“流”じゃ。時流じゃ”」
「その言葉、わて、いまでも耳の奥に残ってまんねん……。
せやけど、それだけやあらしまへんで。
火ぃ出る三日前、夜中に“地図と鍵”が届けられたんですわ。誰からかもわからんまま」 - 370◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:24:05
彌三郎は、ひしゃげた箱の奥から、焼け残った地図の一片を差し出す。
焦げてはいるが、「伏見筋~灘筋の間の蔵地図」であることがわかる。
印がつけられた場所が、美邦屋の池田蔵の向かい……見覚えのある場所だ。
「……美邦屋はん。“それ”が何やったか、わてにはもうわからしまへん。
けど、“仕組まれとった”んは間違いない。西京屋も、わても、ただの通過点やったんや。
ほんまは、その向こうにある“酒筋の根”を、誰かが握りたかったんちゃいまっか」
彌三郎は、新助の目を正面から見据えた。
「せやさかい……わて、これ以上は動きまへん。けど、この話を……あんたに託しますわ」 - 371◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:24:27
得られた情報まとめ
・“古着問屋”を名乗ったのは二人組。片方は筆録役、片方は饒舌
・「元禄堂は流」と言うなど、“組織”ではなく“商流”そのものを変える思想を口にしていた
・焼け跡から回収された地図には、美邦屋・池田蔵の向かいに印
・地図と共に鍵が届けられたが、鍵そのものは焼失(彌三郎談) - 372◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:24:57
十兵衛が低く呟く。
「……旦那はん。こら、“池田筋”にも、何か潜んでまっせ。
向かい言うたら、あの……ずっと“貸し蔵”になっとる旧・久左屋の蔵跡ですやろ。
三代目も、“池田蔵だけは、決して渡すな”とよう言うとりました」 - 373◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:25:17
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス
- 374二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:18:18
池田を調べる
- 375二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:22:08
池田へ向かう
- 376二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 08:20:05
二人組を探す
- 377◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:19:32
- 378◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:20:40
陽は高く、蝉時雨が一面を覆う中――
新助は、十兵衛と玄蕃を伴って、池田蔵のある“美邦屋の本拠地”へ向かった。
この町は摂津北部にあり、灘・伏見に勝るとも劣らぬ酒処。
しかし、その蔵の向かいに広がるのは、かつて繁栄したが今は廃れた「旧・久左屋」の蔵跡である。 - 379◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:21:03
池田・旧・久左屋蔵跡(通称:久左屋の抜け蔵)
・長らく使われていない石組みの蔵。
・門に鍵はかかっていたが、焼け跡にあった“地図”の印は、まさにこの蔵の中央を示していた。
・地元では「抜け蔵」と呼ばれ、昔は抜け道として使われていたとの噂あり。 - 380◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:21:42
十兵衛が低く呟く。
「……昔、親旦那さんがここの鍵を“自分で持っとる”ゆうてましたな。
人に渡さへん理由、今なら分かる気ぃしますわ」
玄蕃が蔵の外壁を指でなぞり、節目を叩く。
やがて、「ここです」と、ぴたりと音の変わる石板の前で足を止めた。
「……この裏に、床下の隠し通路がありますな。
蔵の通気と貯蔵を兼ねた“地下枡”の名残……けど、これは普通の蔵ではありえません」
十兵衛が懐から、三代目が遺していた鍵束を取り出す。
古びた金具が、重い音と共に錠前を開けた―― - 381◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:22:17
蔵の内部(調査結果)
内部は埃だらけだが、壁面にはごく最近、人が出入りした形跡。
酒樽に偽装された箱の中から、以下の物品が発見される。
1. 灘・伏見以外の銘柄酒の札束(なぜか“伏見産”と偽装)
2. 江戸・深川の米問屋と交わした帳面の写し
3. 印が押されていない“竹島”銘柄の焼き印板
4. 元禄堂の封蝋が押された、未開封の帳面
さらに、床下から続く“隠し通路”が見つかり、
別の貸し蔵(空き物件)に繋がっていることが確認される。 - 382◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:22:56
玄蕃が声を潜めて言う。
「……これは“灘筋偽装の中継地”ですな。
伏見筋を偽り、江戸への流通を“池田”から行う“裏回し”の要所……小さな密貿易網の中核やもしれまへん」
十兵衛も唸る。
「こんなもん……親旦那はんなら、踏み潰してますわ」 - 383◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:23:37
池田調査のまとめ
・旧・久左屋蔵跡は、密かに復活した“偽酒の中継拠点”だった
・元禄堂の印があり、竹島ブランドの“製造元偽装”も行われていた
・流通経路は、灘・伏見筋の酒を“池田”に偽装し、江戸へと流していた模様
・一連の仕掛けは、表に出ず“筋の裏”で町を支配しようとする勢力の存在を示唆 - 384◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:23:56
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 385二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:10:02
ぶぎょうへ報せる
- 386二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 02:50:49
旧・久左屋蔵跡へ向かう
- 387二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 02:51:50
すじの裏とやらを調べる
- 388◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:14:01
- 389◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:43:39
蝉の声が響く夏の朝、秘密裏の探索が始まった。
「――行くで、気張りや」
新助の一声にうなずくのは、玄蕃、庄吉、寅松。
三人の信頼できる者たち。
今回の目的は、池田に張り巡らされた“裏の筋”――密貿易や偽酒流通の路をあぶり出すこと。 - 390◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:44:32
探索任務:三方向の調査
1. 【玄蕃】…武家筋・蔵元関係の裏
調査先:池田町の旧・久左屋と関わりのある武家屋敷、灘・伏見蔵元の出入り筋
玄蕃は、武士然とした佇まいで旧・武家屋敷筋へ。
かつて久左屋が納めていた、武家・白井家の出入り帳を独自に調査。
結果:
・白井家の“江戸屋敷”と“深川米問屋・千田屋”の間に不審な送金履歴あり
・千田屋が、名義貸しで“灘酒”を大量購入していた疑い
「旦那さま、白井家はすでに“金を借りてる”だけでして……
実際に手を動かしてるのは、米問屋筋の顔役、千田屋源七。
元禄堂の背後にこの男の影……あるやもしれませぬ」 - 391◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:45:03
2. 【庄吉】…市井の情報網
調査先:池田・伏見筋にある道具屋、酒屋の納入帳、町人からの噂話
庄吉は地元の八百屋、桶屋、大工に「最近の奇妙な注文」を聞き回った。
結果:
・久左屋の蔵跡周辺で、「夜中に空樽を積んだ荷車が来る」という証言
・蔵の裏手、用水路沿いの物置を経由して荷が消える
「旦那はん、どうやら“夜の陸運”だけやのうて、水路も使ろうてますわ。
あの物置、ちゅうても古びた舟小屋です。地下から“抜け道”あるかもしれまへん」 - 392◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:45:38
3. 【寅松】…町裏と人足筋の探り
調査先:人足宿、日雇い頭、荷揚げ場、舟問屋
寅松は顔なじみの人足仲間を通じて、“急に仕事が増えた蔵”を探った。
結果:
・“中津・平野屋筋”の船問屋が、池田蔵との取引を隠していた
・名義は別人、だが搬入先が“旧・久左屋蔵”と一致
「見ましたわ、旦那はん……あの舟問屋、夜だけ“違う札”掲げとるんです。
“深川・千田屋の印”や。……ほんまに元禄堂の根っこが、ここまで来とるんやろか」 - 393◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:45:59
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 394二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 19:00:18
中へ入ってみる
- 395二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 01:39:36
- 396二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 10:17:19
舟問屋へ乗り込む
- 397◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:31:38
- 398◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:47:42
月は雲間に隠れ、川面は黒々と沈黙する。
川沿いの舟問屋、平野屋の屋台骨が軋む音だけが、風に乗って耳に届く。
新助の命により、玄蕃が率いたのは、「腕の立つ面々」。
潜入隊メンバー
・玄蕃(筆頭):斬撃と身のこなしに長けた元浪人。
・升屋宗兵衛の番頭・清三:槍術の心得があり、火事場でも物怖じしない男。
・大和屋小太郎の手代・彦一:気配探りが得意。
・寅松:狭い場所の潜入に適しており、裏道に詳しい。
・庄吉:情報伝達と証拠確保役。 - 399◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:48:36
舟問屋・平野屋は、昼は「白米・味噌・醤油」など日用品を扱うごく普通の問屋を装っている。
だが――
舟蔵の裏手、川べりに並んだ積み荷の“紐札”が全て外されていることに、玄蕃たちは目を留めた。
潜入中の発見(証拠・挙動)
1. 「伏見・竹島」銘柄の札が半分だけ焼かれた状態で棄てられている
2. 倉庫奥にある小舟の一艘に、“灘・宝生蔵”と偽装された木樽が積まれている
3. 彦一が発見:舟の底板が二重構造になっており、中に帳簿と書簡の束を隠していた
4. 書簡の一通にこう記されていた:
「千田屋殿へ。池田筋の次は、堺・神明蔵筋を使う段取り。
現行の竹島銘柄、在庫三百樽。印焼きは“高津の鍵屋”にて完了済。
八月十六夜、住吉筋より舟出の予定」 - 400◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:49:06
この内容に、清三が低く呟く。
「……“舟出”まであと四日でっせ、玄蕃はん。
こら、証拠握って奉行所押さえに入れたら、一網打尽ですわ」
庄吉は現場を図面に書き起こし、証拠の品と共に隠し持った。
玄蕃は一言。
「――戻ろう。今宵は動かず、一度に仕留めることが肝要だ」 - 401◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:49:26
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 402二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:35:52
- 403二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:00:46
- 404二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 03:28:22
- 405◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 09:39:59
- 406◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:06:19
天のまだ白みきらぬうちに、奉行所同心・横田蔵人を先頭とする役人たちが、舟問屋・平野屋へと踏み込んだ。
背後からは、新助に率いられた玄蕃・庄吉・寅松・清三・彦一ら証拠保持者たちが控え、抜かりなく布陣を敷いている。 - 407◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:06:43
襲撃と証拠提出
・役人たちが物音一つ立てず倉庫と舟蔵を包囲
・清三が隠し間取りを示し、帳簿と偽札の焼け残りを確保
・玄蕃が指揮し、舟底の隠し板を外して書簡と名簿を取り出す
・「灘・宝生蔵」偽装の酒樽を、役人が封印し運び出す
・焼印職人がその場で捕縛 - 408◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:07:06
騒ぎに目を覚ました平野屋の主、平野屋新八郎は青ざめた面で叫ぶ。
「わ、わしは知らなんだ!弟の政吉が勝手にやったこと……!」
だが、舟底から出てきた書付にははっきりと彼の署名があった。 - 409◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:07:36
奉行・鈴木利雄は、目の前に証拠を積み上げて平野屋を睨んだ。
「元禄堂の影、千田屋の名、鍵屋の焼印。舟問屋でこれだけの仕掛けを重ねておいて、“知らなかった”では通らぬぞ」
新八郎、項垂れながらこう言う。
「すべて……“南堀江の若旦那”の差配でござった。
わしらは“言われた通り”にやれば、金が落ちた。……それだけですわい……」 - 410◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:08:20
庄吉が囁く。
「南堀江……まさか“千田屋源七”ではなく、千田屋の甥の──白鷺屋源吾……」
寅松がうなずく。
「前に、“池田筋に顔が利く”て言うてた若造です。
こないだ町筋で“西京屋が消えて清々する”ちゅう噂も聞きましたわ」
玄蕃は短く言った。
「今さら白鷺の名か。昔は“呑んでも呑まぬ”と評判やったが、裏でこれとはな」 - 411◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:08:45
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス
- 412二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 17:57:38
- 413二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:04:39
- 414二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 02:24:47
- 415◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 09:48:59
- 416◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:14:47
舟問屋・平野屋の摘発から半日──
新助は、玄蕃・庄吉・寅松をそれぞれ別動隊として、市中に散らせた。
目標はただひとつ──「白鷺屋源吾」の実像と動向を掴むこと。 - 417◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:15:27
庄吉は南堀江の両替商と馴染みを装い、口の軽い手代から聞き出した。
「白鷺屋源吾は近頃、池田・高槻の紙問屋や酒造問屋に金を流してるそうで。
しかも、“名義貸し”で動いてるらしく、帳簿の名義は“梅本屋辰五郎”て男のもんです」
さらに庄吉は、天満筋の役人筋とすれ違いざまに小声でささやかれる。
「奉行所の目が白鷺屋にも向いてますが、まだ決定的ではありまへん。
“舟問屋の件”と繋がれば、確実に動けますが……」 - 418◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:17:20
寅松は夜明け前から、白鷺屋源吾の屋敷近くに潜み、出入りの人々を観察。
「朝一で、怪しげな客二人が来てました。
ひとりは“淡路筋の魚問屋・辰兵衛”て札を使ってたけど、あれ、尼崎辺りの口調でっせ」
さらに、もう一人の客は侍の腰つきだったと告げる。
「髪結いが言うてました。“お城筋の代官所で何やら密談をしてたそうな”と──
そいつ、白鷺屋を出たあとまっすぐ蔵屋敷の裏手に向かいました」 - 419◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:18:00
玄蕃はその間、裏の者たちに銀を配り、“南堀江の若旦那”の昔の因縁を探らせていた。
「源吾はもともと、千田屋源七の妾腹の子です。
表向きは“甥”だが、内々には“後継候補”だったと。
だが、酒造の才もなく、道楽で数度しくじり、源七に見限られたと聞きます」
その後、源吾は自ら“白鷺屋”の屋号を掲げ、独立したが──
「元は“神谷村の百姓”を借金で潰して土地を買い集め、
西京屋の裏筋と通じて、“酒札の流し先”と“替え札”を仲介しとったようです」 - 420◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:18:30
見えてきた構図
・源吾は“千田屋の影”を借り、裏で偽札と偽酒の流通網を形成
・平野屋はその中継点、鍵屋はその印章工房
・天野屋の火災も、資産取得の口封じか、あるいは何かの警告か──
・次に動くのは、池田筋の梅本屋辰五郎、または“城筋の密談者” - 421◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:18:59
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 422二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 14:22:32
- 423二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:02:21
直々に乗り込む
- 424二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:03:07
放火の証拠を集める
- 425◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:05:39
- 426◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:11:48
蒸し暑い夕暮れ。
白鷺屋源吾の屋敷前に、異様な威圧感が立ち込める。
浮舟屋長兵衛、加納屋久左衛門、升屋宗兵衛、大和屋小太郎──
そして美邦屋蔵一郎こと、新助。
板看板酒屋五人衆が揃って門前に並ぶ。
奉行所の役人も陰から見守る中、屋敷番が慌てて門を開ける。
「だ、旦那様はご在宅で……し、しかし──」
宗兵衛が一歩前に出て、目を細めて言う。
「呼ばんでも出てきよるやろ。これだけ揃て来たらな」 - 427◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:12:22
源吾は白衣に紗の羽織。
暑さに扇子をはたはたさせながら、五人の来訪に表情を凍らせる。
「これはこれは……皆々様、どないしたんで?
こんな揃いも揃って……」
すると長兵衛、手にした煙管で畳を軽く打ち、
「ほぉ言う口が利けるうちはええなぁ、源吾はん。
ワシらぁ、今朝、奉行所に呼ばれて話して来たとこや。
天野屋の件、舟問屋、酒札、焼印……ぜぇんぶ繋がっとるらしいのぅ」
加納屋・久左衛門が重々しくうなずいて言う。
「ウチの若い衆が調べたんや。
池田の辰五郎と通じて、偽の酒札回しとったやろ?
千田屋の地縁を使うて、表でええ顔しながら、裏で酒屋潰しよって……」 - 428◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:12:50
源吾、扇子を止め、苦笑しながら返す。
「ほな、なんや。わしが“悪いもん”や言うて、ここへ押しかけはったんか?」
大和屋・小太郎が肩をすくめて言う。
「せやさかい、聞きに来たんや。
奉行所に突き出される前に、何か言うとくことあるか?
あんたが“ほんまに酒の道を知っとる男”やったら、最後に見せてみぃ」
宗兵衛がぐっと身を乗り出す。
「このまま黙っとるんなら、次に話すんは奉行所の中や。
そん時に“あの時に言うときゃよかった”て泣いても、知らんで?」 - 429◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:13:36
源吾は一瞬、沈黙する。
その目には、往年の自負と、すがるような影が混じる。
そして──ふっと笑う。
「……アホらし。
どいつもこいつも、町のことなんかより、“自分らの看板”が可愛いだけやろ」
新助が、静かにしかしはっきりと口を開く。
「せや。看板は命や。
せやけどな……ワシらは“裏切られた町の信用”は、黙って見とられへん」
源吾の顔色が変わったその時──
障子の向こうで足音。奉行所の同心たちが、静かに突入の合図を送る。
新助が一歩引いて言う。
「源吾はん。ここまでや。
もう、“白鷺の羽”は飛べへんで」 - 430◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:14:18
白鷺屋源吾はその場で身柄を拘束。
後に、舟問屋平野屋、鍵屋宗右衛門、梅本屋辰五郎らとの裏帳簿が発見され、
偽酒札・偽造印焼印の広域流通網が明らかとなる。
天野屋への放火についても、供述が始まった。
夜──
酒屋たちは道頓堀の納屋橋近くで、一杯の盃を酌み交わす。
小太郎が言う。
「……ほんま、“酒屋”言うても、いろんな奴おるなぁ」
宗兵衛が笑う。
「せやけど、あんな奴が居るさかい、ワシらは看板に恥じんようせなあかんっちゅうこっちゃ」
新助が、盃を置いて言う。
「信用っちゅうのはな、酒と同じで、こぼしたら二度と戻らん。
せやから、守るんや──“ええ味”をな」
五人の笑い声が、川風に乗って消えていった。 - 431◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 21:15:23
そろそろ次の安価シリーズも始めたい気分なので……
このレスに♡3つ以上で続行し、来なければ終わりとします。
保守は48時間以上は結構です。