【ホラー・SS・🎲】夢間の館

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:39:43

    ※ホラー
    ※メイン登場人物は凛
    ※その他登場人物はP・X・G所属者に限られる
    ※新英雄対戦待っ最中想定
    ※安価、ダイスあり、選択肢や出目によってはロストもあり
    ※広域ホスト規制されがちのため保守ご協力をお願いします
    ※感想・質問があるととても嬉しいです

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:41:47

    このレスは削除されています

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:42:50
  • 4二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:46:57

     凛は夜のフランス棟を歩きまわっていた。
     新英雄大戦が始まってからというもの、この監獄の夜は妙に静かだ。適性検査の頃の騒がしさが嘘のように、今は誰もが自室にこもり、黙って眠っている。
     思えば、あの時は最悪だった。クソ騒がしいのが三人もいて、よく耐えたものだ――と、今になって少しだけ自分の忍耐力に感心する。
     だが今は違う。こうして深夜にふらりと抜け出しても、ついてくる奴はいない。それがいい。
     ヒヤリとした空気を感じながら、凛は喉の渇きを覚え、ウォーターサーバーのある廊下へ向かう――その時。視界の端を、誰かの背中が横切った。

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:49:15

    (……こんな時間に起きてる奴が、他にもいたのか)

     軽く舌打ちし、物陰に身を潜める。が、すぐに違和感を覚える。
     そいつは、食堂のナイフを手に持っていた。

    (……夜食? いや、この時間にメシなんか出るわけがない)

     震えるその手は、ゆっくりと刃先を自分の掌に押し当てる。

    「あ、あいつが悪いんだ……全部、あいつのせいなんだ……ッ」

     刃が肉を裂き、血がじわりと溢れる。その赤は、そいつが抱えた人形に滲んでいった。

    「俺の代わりに堕ちろ、No.1……!」

     ナイフが人形に突き立てられた瞬間、凛の心臓を鋭い痛みが貫いた。

    「……ッ、く……!」

     呻いた凛に気づいたのか、そいつがゆっくりと振り向く。
     P・X・Gに所属した、青い監獄の選手。だが、名前が思い出せない。入札すらされていなかった、印象の薄いモブだ。

    「お前が! お前が悪いんだからなッ!」

     乱れた橙髪を振り乱し、そいつは凛の脇を駆け抜けていった。
     追う気力も湧かない。ただ、痛い。痛い。
     まぶたが重い。身体が動かなくなる。
     そして、凛の意識は落ちた。

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 16:59:24

     落ちていく。
     深い、水の底のような場所へ。
     声も、光も、何も届かない。
     ただ一つ、胸の奥に残るのは、あの「痛み」だけだった。
     ――目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
     知らない天井だ。
     凛はゆっくり身を起こして周囲を伺う。ここはどこかの洋室ようで、瀟洒な家具で飾られている。
     誘拐されたのかと思ったが、何かがおかしい。カーテンの隙間から見える空は、曇天のまま動かない。
     時計の針も、時間を刻んでいない。
     体が重く、起き上がるのにも苦労した。夢の続きかとも思ったが、意識ははっきりしている。
     いつもと同じはずなのに、五感の奥底に、じわじわと得体の知れない違和感が染み込んでくるようだった。

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:01:09

     おあつらえ向きに用意されていたスリッパを履いて、ドアノブに手をかける。――冷たい。
     きい、と音を立てて開いた扉の向こうにあったのは、やはり見知らぬ廊下だった。
     白と深緑の壁紙、長く続くカーペットの廊下。
     古い西洋の屋敷のような内装で、どこまでも同じような扉が並んでいる。
     当たり前ながら、ここは青い監獄ではないようだった。

    (……夢、か?)

     だが、夢にしては感覚がリアルすぎる。視界の端で、壁の模様がゆっくりと呼吸しているようにも見えた。
     試しに、スマホを取り出してみる。電源はつくが、ホーム画面のアイコンはすべて黒く潰れていて、時刻表示は「00:00」のまま止まっていた。
     凛は額に手をあて、無言で息を吐く。
     思考ははっきりしている。だが、状況が全く分からない状態だ。
     とにかく、ここがどこなのか、確かめなければならない。
     不気味な洋館の中、凛はただ一人、ゆっくりと歩き始めた。

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:05:18

     廊下はやけに長く、進んでも進んでも似たような扉が続く。
     天井のシャンデリアは明るすぎるほど輝いているのに、廊下の奥は妙に暗く、光が届いていない。
     何かが、おかしい。
     ……いや、これは――

    (……そうだ。見たことがある)

     胸の奥がざわつく。
     思い出す。この数日、断片的に繰り返し見ていた夢。
     扉がずらりと並ぶ廊下。ひたすら無音の館。目が覚めたあとには何も残らない、ただ気味の悪さだけが残る、意味のない悪夢だと思っていた。
     凛は足を止め、壁を見やる。
     深緑の壁紙の模様――蔓草のような文様の一部が、まるでこちらを睨む眼のように見えた。
     間違いない。この館は、夢の中で何度も訪れた場所だ。

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:06:37

    (同じ……いや、違う)

     違うのは空気に満ちた重圧だ。
     これまでの夢は、目覚めれば霧が晴れるようにすべてが消えた。だが、今は違う。
     空気が肌にまとわりつき、音のない静寂が鼓膜を圧迫してくる。
     廊下の奥に、確かに「何か」が潜んでいる気配がする。
     そして、まるで、魂だけがここに引きずり込まれたかのような、妙な浮遊感もある。

    (これは……夢の続きなのか?)

     喉の奥が詰まるような不快感。
     視線を感じた気がして、振り返るが、誰もいない。だが、確かに気配はあった。
     凛は奥歯を噛み、再び歩き出す。
     何が起きているのかはまだ分からない。だが、ただの夢ではないことだけは確かだった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:18:40

     歩を進めながら、凛は意識を集中させる。気配。空気のわずかな流れ。
     この場所では、油断した瞬間に何かを見落とす気がしていた。
     そして――それは、不意に視界の端に入った。
     廊下の、もっと先。暗がりの奥を、誰かがふらふらと歩いている。
     肩が揺れ、足取りは不自然に重たい。まっすぐ歩いているようで、どこか歪んでいる。その背中に見覚えは――なかった。

    (誰だ……? 青い監獄の選手か?)

     廊下の明かりの下へ差し掛かったその人物は、うつむいたまま、足を引きずるように歩いていた。
     髪はぼさぼさに伸び、青い監獄のジャージのようなものを着てはいるが、血や土で汚れている。屋内だというのに、シューズもしっかり身に着けていた。
     その手にあるのは、刃物だ。

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 17:20:00

    「……ッ」


     凛の脳裏に、ナイフを手にした人物に危害を加えられた光景が蘇り、思わず物陰に身を潜めていた。しかし、その誰かは、こちらにまったく気づいていないようだった。

     ぶつぶつと何かを呟きながら、凛のほうに向かってくる。


    「……かえれない……かてない……かえっても、何も……」


     声がくぐもっていて聞き取れないが、苦しんでいる様子なのは確かだ。

     凛と同じようにここに落とされた被害者なのだろうか。話せばなにか収穫があるかもしれない。

     だが、尋常ではない様子だ。あの刃物で襲ってこられたら?

     凛はゆっくり息を吐いた。


    (……どうする?)



    >>12

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 18:00:41

    近くにあった物を少し離れた場所に投げ音を立てて様子を伺う

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 18:54:34

    新作きた!たておつ
    楽しみにしてる〜

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 18:56:24

     凛はそっと周囲を見渡し、足元に転がっていた小さな装飾品――落ちた蝋燭立てを拾った。
     重みのある金属の感触。目立ちすぎない程度の距離を測り、廊下の曲がり角へ向けて、それを投げる。
     カラン、と乾いた音が館内に響き、ふらついていた男の動きが、ぴたりと止まる。
     次の瞬間、顔を上げる。――目が見えた。
     虚ろだった。
     焦点の合わない目が、音の立った方へゆっくりと向くが、その目は何かを見ているようで、何も見えていない。
     そのまま、ずる……ずる……と、そちらへ向かって歩き出す。まるで音だけを頼りに、何かを探している獣のように。

    (聴覚で反応してるのか?)

     凛は物陰に身を縮め、息を殺すことに専念した。廊下を引きずるような足音が、少しずつ遠ざかっていく。
     刃物を持った手はだらりと下がっていたが、刃物を手にしているという点では何も安心できない。
     ……どれくらい経っただろうか、完全に気配が消えた頃、凛はゆっくりと体を起こし、音を立てないように呼吸を整える。
     今のは、凛の障害にすらならなかったぬるザコだろう。もとは人間だったとしても、もう人間としての意識はほとんど残っていないに等しいのではないだろうか。

    (……放っておいて、正解だったか)

     しかし、もしあれを「仲間」として認識し、声をかけて、手を伸ばしていたら。
     何が起きていたのかは、もう分からない。

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 18:57:40

    >>13

    ありがとうございます

    今回は安価大目にしたくてかなり非線形に書いてるからよかったら参加してね

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 19:37:36

     男の気配が完全に遠ざかったのを確認し、凛は再び歩き始めた。
     壁際の蝋燭の光がわずかに揺れる。風はないのに、影だけがゆらりと動いているように見える。
     周囲に気配は感じない。今なら探索して回れるかもしれないと目線を巡らせれば、廊下の先にある小さな木製の扉が目についた。
     躊躇いなく開けてみると、中は物置のようだった。書類棚、折り畳まれた椅子、使われていないランプ。どれも埃をかぶっている。
     机の上には白紙の紙が何枚か置いてあり、凛は正方形のそれを見て目を瞬いた。そして、最近見たばかりのホラー映画を思い出し、自然と手を動かす。

    「……不格好だな」

     複雑な手順を経て折上げたそれは両手を伸ばした人のような形になっていた。
     ハサミがあれば切るだけで済んだが、生憎この場にハサミはない。カッターでもあればと思ったものの、カッターマットなしに切れば悲惨なことになるのは間違いがなかった。
     次はもう少しまともに折れる筈だと何度か繰り返すうちに、気が付けばそれは紙がなくなるまで量産されていた。

    「作りすぎたか」

     独り言が零れるものの、ここに捨てていくのもしのびない。凛はその折り紙――形代をポケットにしまった。
     そのままそっと物置の戸を開け、周囲に気配がないことを確認してから次の場所へ向かう。

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 19:53:26

     館の中を歩き続けるが、どこを歩いても同じような廊下。扉。影。凛はいい加減イラついていた。

     とはいえ、警戒は怠らないまま角を曲がった、その時だった。

     ――声が聞こえる。


    「……こっちやない、……でも、鍵が違うねん……あいつが見とったのは……違う……」


     小さな客間のような部屋の扉がわずかに開いている。その隙間から、誰かの声が漏れていた。早口で意味の通らない呟きだ。だが、その特徴的な口調と声には聞き覚えがあった。


    (……アイツか)


     思わず足を止め、慎重に中を覗き込む。

     部屋の中では、男が椅子に腰かけ、虚空を見つめたままぶつぶつと呟き続けていた。

     青い監獄支給のジャージ。乱れた髪。その背格好に、凛はすぐ気づいた。烏旅人で間違いないだろう。


    「……出口は……でも、アイツが……目、目、目、目、目目目――」


     そういえば最近、烏は不調だったな――と、凛は思い出す。

     士道へのボール供給に徹していたこの男が、ドイツ戦前になって調子を崩していたこと。

     ロキが、あの調子では困ると嘆いていたのを聞いた覚えがある。


     ……いや、違う。烏だけじゃない。P・X・Gに所属した青い監獄メンバー―七星、時光、烏――その三人ともが、顔を曇らせて話し合っていた場面があったのだ。

     凛は興味がなかったのでその会話は無視していたが、その時の様子をなぜか今になって鮮明に思い出す。

     士道が茶化し、斬鉄がバカな発言で場をかき回し、空気をごまかしていた。……あの時、耳を傾けておけばよかった。

     凛は舌打ちして、客間の中の烏に目を向ける。


    >>18

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 21:35:49

    話し掛ける。まだ耳を傾けるチャンスはあるかも

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 22:10:58

    ※ショッキング描写注意

     「……おいクソ烏」

     凛は声をかけたが、返事はない。
     まるでそこにいない誰かと会話しているかのように、烏は虚空に呟き続けている。

    「……アイツが、目を……目が……動いて、鍵が……かえれない、かえられない、かえれ――」

     いつもの烏なら、すぐに返してくるはずの軽口も皮肉もない。その姿にほんの一瞬、凛の中に焦りとも苛立ちともつかない感情が浮かぶ。もう一歩、踏み込んで――
     その時だった。
     ――ごっ、と。
     突然、背中に重い衝撃がはしる。
     何かが皮膚を裂き、肉の奥へと滑り込むような感触。

    「……ッぐ……!」

     視界が大きくぶれ、床に膝をついた。
     痛み。熱。何が起きたのか分からない。けれど、確かに「やられた」のだと理解する。
     言う事を聞かない身体に無理を言わせて振り返ると、そこには見知らぬ顔があった。
     青い監獄のジャージを着てはいるが、誰だったのか、名前が出てこない。おそらく、自分が一度もまともに認識しなかった奴――その男の顔は、もはや人間のものではなかった。

    「……ズルい……なんで、お前ばっかり……ズルい、ズルい、ズルいズルいズルい……!」

     男はぶつぶつ呟きながら錆びた剣を引き抜いて、凛の腹を後ろから突き刺す。今度こそその凶器の先端が腹側から覗いて、凛は笑いの代わりに血を吐いた。

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/03(木) 23:36:35

    「……燃やさ、ないと……」

     剣を引き抜いたかと思えば、凛のジャージの襟首をつかんで廊下を引き摺りだす。どうやらこのままどこかに連れて行くつもりらしい。
     凛はせめてもの抵抗として男の手に爪を立ててやろうと腕を振り上げた、その瞬間――凛の身体がすっぽ抜けた。

    「……は?」

     先ほどまで燃えるように痛かった身体には微塵の痛みもなく、見下ろしてみると血も穴もない。ふと男の方を見ると、剣の先に白いものが突き刺さっていた。

    「形代……」

     凛がこの前まで見ていたホラー映画は、陰陽師の家系の兄弟が妖怪と戦うアクションものだった。そこでも確かに、兄が弟に渡していた形代が発動し、敵の攻撃を代わりに受けてくれていたが……凛がそう思い描いていたからか、形代はその通りに発動したらしい。
     凛は男が気付いてないうちにと、慌てて烏のいる客間に転がり込んで扉を閉めた。

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 09:12:22

    これは本当に夢なのか

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 10:18:18

     肩で息をしながら、背中を扉に預けて中を見ると、烏はまだそこにいた。
     椅子に座ったまま、凛のほうをじっと見つめている。
     さっきまで虚空に呟いていた男が、今は沈黙している。それが逆に、不気味だった。

    「……聞こえてるなら、返事くらいしろ」

     言っても反応はない。目は合っているはずなのに、その視線はまるでどこかをすり抜けているような感触がある。

    (……ヤバいかもな)

     凛はいつでも逃げ出せるよう、背中をドアに預けたまま、片手でドアノブを握る。

    「おいクソ烏。こんなトコでくたばるタマか? よく周囲には凡だの言ってたクセにざまないな」

     煽っても無反応だ。だが、烏の指先がわずかに動いた。

    (届いてる)

     凛は一歩、踏み込む。

    「一体何があった? あの田舎モンやうじうじ野郎にも何かあったんだろ」

     烏の口が、微かに開いた。

    「……鍵……目……目が……全部、見てる……」

     それは依然として支離滅裂な呟きだった。だが――目が、凛の瞳を正確に捉えた。

    (まだ間に合う)

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 10:22:06

    「見てるって誰がだ、ヘボ烏。誰に見られて、何を怖がってる」

     凛は烏の正面へ出る。無防備になるのを承知で、真正面から向き合った。

    「俺の顔を見ろ。目を見て言え。お前は誰だ?」

     烏の肩が、小さく震えた。呼吸が浅く、喉の奥で何かが詰まったような音を立てている。
     そして絞り出すように、言葉が漏れた。

    「……糸師、凛……?」

     その名を口にした途端、烏の表情がほんの僅かに崩れた。固まっていた顔がわずかに揺れ、目の奥に光が戻る。

    「……見え……る……見え……る……! ッ、あかん、……これ、俺……ッ、夢……の、なか……!」

     椅子から転げ落ちるように立ち上がった烏は、頭を抱えて蹲った。息が荒く、目は見開かれ、全身から冷や汗が噴き出している。何かを取り戻した反動が、一気に押し寄せてきたようだった。

    「落ち着け」

     凛の冷静な人声に、烏の震えがほんの少し収まり、顔を歪めながら凛に視線を向け直した。涙と汗で顔はぐしゃぐしゃだが、先ほどの廃人のような様子に比べれば100倍はマシである。

    「マジ……本物?」
    「俺以外に俺がいてたまるか」

     凛がそう返すと、烏は噴き出すようにして笑った。だが、その笑いはすぐに咳き込みに変わる。身震いしてから吐き出すように呼吸して、ようやく落ち着いたようだった。

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 10:27:17

    「……ここ、夢やろ? ここ最近ずっと見とったんや」

    「俺もだ。それで?」

    「普通に寝とった筈なんやけど……気が付いたらここにおった」

    「寝たのはこの日付か?」


     凛はスマートフォンを見せた。相変わらず時刻表示は「00:00」のまま止まっているが、日付は凛が深夜徘徊をした日付で固定されている。烏は軽く頷いた。


    「せや、合うとるで」

    「……ただ寝てただけか?」

    「せやなあ。ただ、いつもおった洋館とは様子がちゃうって思って……不用意に出歩いてもうたんよ」


     烏が視線を落とす。凛は話を促すように無言を貫いた。


    「そこで、アレに出会った。俺は殺されかけたんと、目の前で死んだ奴を目にした時からわけわからんくなってもうてん。目ぇが異様な雰囲気でな。鍵のかかった部屋に閉じ込められとる? 閉じこもっとる? ヤツもおった。この館は調べれば調べるうちに俺達を呑んでまうと思う」

    「……なるほどな。目の前で死んだ奴はどうなった?」

    「知らん。鏡が砕けるみたいにパキパキっていなくなってそれきりやわ」


     つまり、凛はさっきの刺殺で形代が発動しなければアウトだったというわけだ。


    「お前にしては有益な情報じゃねーか。じゃあ、俺は行く」

    「……一人で?」



    烏を連れて行く行かない、形代を分ける分けない含めて委ねます

    どうする?


    >>25

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