- 1モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 13:57:31
宛もなく彷徨い続ける
ただ目的もなく、フラつく身体を支えながら歩み続ける
……どうしてこんな事になってしまったのだろう
まるで世界にたった一人残された気持ちがすぐ沸いて消えていった
ふと両足の力が抜けて地面に倒れ込む
もう起き上がる気力も無く、ここで野垂れ死ぬ定めと悟った少女は最後の力を振り絞って仰向けに寝転ぶ
どうせ死ぬのなら、最期は空を見たいと…
少女の意識が落ちる寸前にに見た景色は……美しく輝く月と、煌めく星空
少女のあの日の楽しかった想い出がふと蘇り、そっと意識を閉ざした
※こちら、私が過去に投稿してました【モモイの記憶が消えた世界】のリメイク&追記+修正版でございます。
ふとまた書きたくなったのと、自分の作品を読んでて『これここ追記とか描写とか色々修正できるな…』と思ったのでしばらくリハビリにお付き合いくださいませ - 2二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 13:58:16
おお懐かしい
頑張ってくれ - 3モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 13:58:42
- 4二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 13:58:59
ずっと待ってたぞ
- 5モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:00:25
遡る事8時間前……
ミレニアムサイエンススクールの1年生、ゲーム開発部所属のモモイはいつも通り部室へ向かって……否、全力ダッシュで向かっていた
「やばい寝坊しちゃった!早く行かないとミドリに怒られるぅ〜!!」
お詫びのお菓子やジュースはたくさん用意はしたけど、それとこれとは別だから急がないとっ!
「…………?」
あれ……なんだかいつものミレニアムと雰囲気が違う?
いつもなら『モモイちゃんおはよ〜!』『モモイ〜、まーたユウカに怒られてたよな〜』『モモちゃん!次の新作ゲーム楽しみにしてるね〜!』とか話しかけてくる友達ではないけど顔馴染みの生徒が必ずいるはず……
「おはよう!今日も良い天気だね!」
「(ビクッ…)あっ、おはよう…ございます……」
「……???」
あれ?なんか避けられてる???
私、何か悪い事した?
確かに私はミレニアムではいつもユウカに迷惑をかけてる問題児として意識はしてるけど、今日はまだ何もやってないはず…… - 6モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:03:06
気のせいかなと思いつつ部室に到着する、今日はアリスがシャーレの当番で部室にはいないが、中からミドリ達の話し合う声がする
どうやら今日はそのユウカも来てるようだ、またお説教はイヤだなぁ……
(今日は私がシャーレの担当だったら良かったのに〜!)と思いつつ扉を開けて開口一番に謝る
「ごめんミドリ!遅くなっちゃった!」
……ものすごく驚かれた
確かに勢いよくドアを開けたし大きな声を出したけど、そこまで驚く必要なくない…???
「…あ、あれ?ごめん、そんなに驚かせちゃった?」
今もなお困惑してるミドリ達に慌てて声をかける
『もう〜お姉ちゃんたら…驚かせないでよっ!』
と言ったミドリの声でまたいつもの日常になる……そう…思ってたのに、ミドリは余りにも予想外過ぎる言葉が放たれた
「…………どちら様ですか?」
……言葉を失った
その言葉はミドリらしくない、まるで他人と初めて会ったかのような台詞だった
…もしかして、何か嫌われるような事をしたのかな?
そんな記憶は……まぁ沢山あるけどさぁ……
私の無茶振りでミドリだけでなくユウカも怒らせたし…… - 7モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:05:13
もちろん自覚はしている、私はよくユウカをからかったりミドリに無茶を押し付けたりする
けど、相手が本気で困らせるような事だけは絶対にしないと決めている
ユウカも、それが分かってるからこそこんな私達に付き合ってくれてる
「…えっと、ごめん!怒らせちゃったか……な……」
私は気付いた……否、気付いてしまった
そう言ったミドリ達の目は嘘でもからかいでもなく、ただただ困惑していた
ユウカには頭が上がらない、私達が困った時にはいつも助けてくれてる
ミドリも、時には喧嘩しちゃったりするけど仲の良い姉妹であったはずなのに、この眼は私を姉としてではなく、全くの【赤の他人】として見ていた
「…誰この娘、ミドリの友達?」
ミドリ「ううん、知らない人」
「そう…ユズは知ってる……って聞くまでもないか」
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃に襲われた
実の妹に『知らない人』と、はっきり言われた
私はお姉ちゃんだから分かる、ミドリの双子の姉だからこそ、ミドリの言葉が本気だと伝わってしまう - 8モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:08:19
「…待って……待ってよ……」
頭が真っ白になって何も考えられない、心臓は早鐘のように鳴り響く
これは悪い夢だよね…?
いくら私が今まで悪い事してたとはいえ、やって良い事と悪い事があるよね…?
「…ふ、2人とも!冗談もいい加減にしてよっ!」
「ひっ…!?」
私の叫びがユズを怯えさせ、ロッカーに引き籠もってしまった
その光景に火が付いたのか、ユウカが私に詰め寄ってくる
ユウカ「ちょっと!いきなり出て来て訳のわからない事言ってユズを怯えさせないでちょうだい!」
訳がわからないのはこっちの台詞だよ…
なんでそんな事言うの?
どうして私を他人扱いするの!?
「それはこっちの台詞だよっ!どうしちゃったのユウカ!ユズ!ミドリからもなんとか言ってよ!?」
思わずユウカの胸倉を掴み、心の底から叫ぶ、しかし…私の耳に届いたのはより困惑するユウカの声だった
ユウカ「…あ、貴方……どうして私の名前を知ってるの?私だけじゃなくミドリまで……」
その台詞に思わずユウカを叩きそうになった、けどできなかった
思わず見てしまったユウカの顔は……得体のしれない何者かを見かのように怯えていた
ミドリ「…っ!待っててユウカ!今ヴァルキューレに連絡をっ…!」
その言葉を聞いて私は一目散に逃げる、まさか実の妹から通報されるなんて思ってもみなかった…… - 9モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:09:28
それからの私は無我夢中で走り続けた
周りの生徒が何事かとこっちを見るが構うもんか
……そうだ、これはタチの悪いドッキリか何かだ
そう言ってくれる私の数少ない友達の元へ走った
ヴェリタス、エンジニア部、トレーニング部、C&C
けれど、皆ユウカやミドリと同じように『君の様な生徒は知らない』と言われた
特に仲が良かったマキに言われた時は涙を流しながら走って逃げた
ものすごくショックだった
ウタハ先輩達もネル先輩達も…
何よりマキにも私の事を忘れられたかのように……
私は最後の希望にすがるようにセミナーの部屋へと向かった
ノア先輩なら…ノア先輩なら私の事を覚えていてくれてると信じて
「……はぁっ……はぁっ……!ノア先輩!」
扉の向こう、セミナー…生徒会室にノア先輩は居た
ノア先輩は私が慌てて入って来た事に驚きつつも笑顔で迎えてくれる
そうだ……やっぱりタチの悪いドッキリだったんだよって
ノア先輩なら私の事、ちゃんと覚えててくれてるって
頭を撫でてくれて、『ごめんなさい…ヤンチャなモモイちゃんへのドッキリだったけど、ちょっとやり過ぎでしたよね』って… - 10モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:10:36
- 11モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:11:55
「…のあ……せんぱい…?」
嘘だと思った、とても信じきれなかった
あの絶対記憶保有者のノア先輩ですら…私の事を忘れていた
ノア「あらあら、新入生にもう名前を覚えて貰ったんですね!こほんっ…改めまして初めまして、可愛い新入生さん。私はここの生徒会、セミナーの書紀をしている生塩ノアです」
私は思わず膝から崩れ落ちた
最後の頼みの綱であったノア先輩ですら私の事を覚えていなかった
ダムが決壊したかのように涙がこぼれる
何事かと思ったノア先輩は慌てて私に駆け寄ってきた
ノア「まぁっ…!大丈夫!?どこか怪我したの?痛い所ある?」
ノア先輩が心配してくれる
けれどその相手は【才羽モモイ】、私にではなく
【知らない新入生の子】として心配していた - 12モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:13:12
ノア「そういえば……さっき慌てながら部屋に来ましたね…何かあったんですか?私に出来る事なら何でも言ってくださいね」
そう言ってくれるノア先輩は優しかった
才羽モモイとしてではなく、自分の知らない誰かが相手でも変わらず接してくれた
その事に少しだけ安堵した私は、ゆっくりとだけど落ち着いてきた
(……ノア先輩になら…話しても大丈夫かな…?)
そう思い言葉を紡ごうとしたが…
未だ動転してるのか、言葉にならない声がでる
ノア「落ち着いて、ね?慌てないで、ゆっくりでいいの」
それはまるで、泣き止まない赤子を諭すような…優しい母親のように
そっと私の頭と背中をよしよし…って撫でてくれている
その温かさにまた私は泣いた
…数十分、もしかしたら数時間たったかもしれない
あれからもノア先輩は優しく撫でてくれて、私はようやく落ち着きを取り戻していた
(……うん、話そう…ノア先輩なら、きっとわかってくれる)
そう決意し、言葉を紡ぐ
「…あっ、あの…ノア先ぱ……」
その時…… - 13モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:15:41
《Warning!》《Warning!》《Warning!》
けたたましいサイレンが辺り一面に鳴り響き出した
ノア「…っ!?これは…!?」
ノア先輩が険しそうな顔になる
当の先輩は何が起きたか混乱してるが、ノア先輩のおかげで冷静さを取り戻した私はこの異変の正体に即気付いた
(…ミドリ達だ、ミドリがヴァルキューレに連絡して、ユウカが学園中に警報を鳴らしたんだ)
そう冷静に分析するが、今の状態は非情に不味い、むしろ詰んでると言っていい
ここはミレニアムタワーの最上階であり逃げ場の無い行き止まり、今となっては私は敵のアジトど真ん中にいる
おまけにノア先輩にそっと抱き締められてるため、ここから逃げ出す事は不可能
(GAMEOVER……か)
思わず悟ってしまう
いくらノア先輩が非戦闘員とはいえ、今の状態では銃を構えて反撃する事は不可能
そもそも、構えてる間に超至近距離ヘッドショットを受けてチェックメイトだ
某赤い人の言っていた『己の不幸を呪うんだな』がふと頭によぎる - 14モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:17:29
けど、そんな最悪の運命を破ったのは……以外にもノア先輩だったの
ノア「……何が起きているかわかりませんが、この騒ぎの元凶は貴方ですね」
そうノア先輩に告げられて、私はそっと目を瞑る
この後に来る運命を受け入れようとする
けども…私に待っていたのは予想外過ぎる先輩の言葉
ノア「理由はわかりませんが、貴方が追われているのは確実…となれば、ここから逃がしてあげないとですね」
信じられない……
こんな状況下でノア先輩は元凶である私を捕まえようとせずに逃がそうとしてくれる
あまりの驚きように思わずノア先輩を見つめる
「──なんで……?』
思わずそう呟くほどに - 15モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:18:44
ノア「なんでって言われましても、そうですね……貴方がそんな悪い事する娘に見えないから…でしょうか?」
そんな温かい言葉に涙が溢れる、こんな状況でも、明らかな犯人が目の前にいても、ノア先輩は最後まで自分の味方で居てくれると言ってくれたのだ
「…とにかく、緊急事態なのは変わりません。早くこっちに付いてきてください!」
そう言って先輩は生徒会室の奥へ向かう、私も涙を服の袖で拭い、慌ててその後を追った
《─ザザ─ノア!緊急事態よ!ミレニアムに侵入者がっ…──!》
セミナーの部屋に響いたユウカの声は、誰にも届く事は無かった
「……ここは?」
セミナーの部屋には何度も入った事はあったけど、こんな部屋の奥にまた別の部屋があるなんて知らなかった
いや…部屋というより、まるで物置か倉庫のような感じ……書類部屋? - 16モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:19:59
ノア「こっちです!急いでっ!」
ノア先輩の慌てる様な声でハッと現実に戻り、先輩が手招きしてる方へ向かう
まるで誰にも気付かれない薄暗い所へ向かわされて『これ実はノア先輩の罠なんじゃ…?』って少し疑いつつも先輩の側へ行く
ノア先輩の目線の先には壁の隅に大きな戸のような物が見える
まるで通気孔か…はたまた、物を運搬するエレベーターの様にも見えなくもない
…いや、まさかこれって……
「……ノア先輩、これは?」
思わずそう聞いてしまう
お願いだから当たってるけど外れてくれと願いながら
ノア「…これはダストシュートです、ここからなら貴方を誰にも見つからずにに逃がす事ができます」
やっぱりそうだったよ!
確かに誰にも見つけられないけど、垂直落下型なら五体満足で済む所の話ではないし、仮に無事に落下地点に行けても炎で燃やされるんじゃないかなぁ!?
ノア「不安?大丈夫…安心して、万が一生徒が入ってしまっても大丈夫な様に中はスライダー式になってるから。ちょっと不快になるけど…中のゴミがクッションになってくれるはずだから、きっと大丈夫」
そう聞いて少しホッとする、けどそれってゴミ塗れになるのは確定だよね!?
それでも捕まるよりかはマシだし、多少の怪我はするんだろうな〜…とは思いつつ戸を開く
ゴオオ…と言う音を聞いて少しだけ決心が鈍る
うう……ホントにここに飛び込むの…? - 17モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:23:44
ノア「いい?聞いて?まだ名前を知らない私の後輩ちゃん……」
「…先輩?」
残り時間の少ない状態で、私はノア先輩は最後の言葉を待つ
ノア「貴方はとにかく逃げるの、逃げて…逃げて…逃げて…とにかく生き延びるの。そして……真実を見つけるの、貴方がこんな事になってしまった原因を突き止めるの、決して貴方は何も悪い事なんかしてませんって…証拠を見つけるの、だからっ…これは私から貴方へのお願い。次に出会った時…私達は敵同士になってしまう……それでも、生きる事を諦めないで」
「ノア…せんぱい…っ!」
ノア「もし……無事にここに戻って来れたのなら、その時は…貴方の笑顔を見せてちょうだい、女の子は…笑顔が一番だから」
「……ズズッ…ぜんぱい…ありがとう御座いましたぁ!」
先輩にお礼を告げ、ダストシュートに向き合う
……部屋の外が騒がしくなってきた、どうやら追っ手(おそらくユウカ)がここまで来たようだ
ノア「…行ってっ!早くッ!」
「ううっ…わああああああああああああああ!!!」
そう叫びながらダストシュートに飛び込む
最初で最後の恩人の言葉を胸に、暗闇の中へと消えて行く……
…………これホントに無事に降りれるんだよね!? - 18モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:25:28
──ノア視点──
あの娘がダストシュートから逃亡して数刻後…声を聴きつけたユウカが肩で息をしながらノアのいる倉庫に入ってきた
「…はあっ…はぁっ…ノア!無事!?」
ノア「ユウカちゃん……」
慌てて入ってきたユウカの姿にノアは察する、あの名前を知らない少女を追い掛けて来たのだろう
特に乱暴されてないノアの姿にユウカは安堵しつつも、侵入者の事を聞く
ユウカ「…はぁ~……無事みたいね、良かった……ところで侵入者は何処へ行ったの?」
『侵入者は何処へ行ったの?』の所に黒い感情があったのをノアは聞き逃さなかった
あの女の子は、おそらく先にユウカと出会ったのだろう
そしてお互いに異変に気付き、今こうなっている
そしてさっきまでここに侵入者が居た事にも気付いてる - 19モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:26:53
ノア「私は大丈夫ですよユウカちゃん。侵入者さんですが……そこのダストシュートから逃げられちゃいました」
ノアはユウカに正直に話した
仮にここで嘘を言ってもユウカは信じてくれないだろう
お互いがお互いの事をよく知ってるからこそ、こういう時に偽の情報を与えられないのだ
(完全記憶能力もこういう時に困りますね…)とノアは苦笑する
当のユウカはノアの表情が犯人をあと一歩の所で逃がしてしまったのだと誤解してくれたようだ
ユウカ「そう……それは残念だけど、ノアが無事で良かったわ。ノアとの連絡がつかなかったから心配したのよ」
心の底からノアを心配するユウカ
しかし、ノアは思ってしまう
ユウカが本当に心配して欲しかった人物はあの少女なのではないかと
現に、あの娘は泣いていた
まるで急に世界にひとりぼっちになってしまったかのようにノアには見えたのだ
そんな中で、頼りにしてた先輩からの裏切り…あの娘にはとても耐えられるものでは無かったはずだ - 20モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:28:02
ノア「ご心配おかけしましたユウカちゃん」
この情報は隠し通した方が良い
もしもノアが侵入者を逃がした事がバレてしまったらミレニアムへの裏切りと同時にあの娘にも危害も加わる
ノア「ところで…ユウカちゃんはあの侵入者さんを探し続けるんですか?」
ユウカ「……当然よ。いったいどうやってミレニアムに侵入し、私やミドリの名前を知ってたのか、とっ捕まえて吐かせてやるわ!」
そう言ってユウカは侵入者の持っていたバッグを手に取る
バッグの中身は彼女が部員のみんなの為に買ってきたお菓子やジュースがたくさん入っていた……
ユウカ「……?お菓子にジュース?この量……まるで誰かと分け合うために用意したような…」
そのユウカの呟きと突然の閃きにノアはある事に気付く - 21モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:29:56
ノア(……!そういえばあの娘、ミドリちゃんにそっくりでしたね…)
当のユウカはこの事に気付いてる様子は無い
おそらくだが、逃げたあの娘が出会ったのはミドリだろう
バッグの中のお菓子やジュースもその為の物
ノア(という事は……あの娘は【ゲーム開発部の部員の一人?】でも私の記憶にはそのような情報は……)
完全記憶能力者のノアですらあの娘のデータは無い
けれどもあの娘が逃げた経緯、一人では多すぎるお菓子類、そして……ノアだけが気付いたミドリと瓜二つな情報
ノア(……調べてみる価値はありますね。時間ができたら『先生』にも相談してみましょう)
しばらくの間はヴァルキューレの事情聴取に時間を取られるだろう
ノアは名前の知らないあの娘の無事をそっと祈る…… - 22モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:33:00
──モモイ視点──
「────………ぁぁぁあああああ!」
ドシーン!と大きな音がして落下が止まる
どうやら無事に落ちてきたようだけど…
「あいっ…たたた……確かに無事に降りれたけど…身体のあちこちがボロボロだよー!」
そう悪態つくも即冷静となって周辺の音に集中する
…………どうやら、誰にも気付かれてないようだ
あれだけの音なら誰かが様子を身に来てもおかしくないが、幸運にもだれも近くにいないみたい
「……良し、だれも…いないみたいだね、今のうちに逃げよう」
そう口にするも身体が思う様に動かせない
気絶しなかっただけマシとはいえ、滑り落ちる最中に身体のあちこちをぶつけているのだ
おまけにゴミが纏わりついて気持ち悪いうえ重い
「…ジャケットはここに捨てていこう。あとヘッドフォンとアクセサリの尻尾も……待って」
そう言葉にするが直ぐに冷静になる
ここで証拠品となる物を捨てていったらダストシュートから逃亡したとバレてしまう
たぶん既にユウカにバレてると思うけど、少なくとも証拠品で足がつくなんて状況は避けられるはず
重い身体を無理やり動かしてゴミ捨て場からなるべく離れるように移動を開始する
「うう……お風呂に入りたい…」
これでも一応女の子だから臭いとかすっごく気になるよぉ! - 23モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:35:24
「…………ここなら捨てても大丈夫かな…?」
そう言ったモモイがたどり着いた場所はミレニアムの近くにある公園内の森の中だった
ここなら人の目もドローンでもそう簡単に見つけられないだろう
モモイはゴミ塗れになったお気に入りのジャケットを脱ぎ捨て、特徴的であったピンクのネコ耳ヘッドフォンとミドリとお揃いだった尻尾のアクセサリーを捨てる
ジャケットが無くなったおかげで鼻に付く悪臭と重さ、それと気持ち悪さがかなりマシになってきた…が
(……寒っ!?)
ジャケット無しだとさすがに寒い、汗もかいてるからなおさら冷える
幸いな事にちょっと冷えるくらいの季節なので風邪を引く事は……たぶん大丈夫…だと思う
(携帯は……ここで捨てたらこっちに逃げたとバレるかもしれない)
そう考え、まだ携帯電話はスカートのポケットにしまい込む
ここではモモイの存在を知る者はいないとはいえ、年のために電源は切っておく
あとモモイがミレニアムの生徒である証拠の校章と学生証も反対のポケットにしまう
普段はバッグの中にあったお気に入りだったお財布に入れてあったが、セミナーの部屋へ向かう途中で念ののため取り出していたのだ
そのバッグは今はもうセミナーの倉庫のような部屋に置いてきたし、おそらくユウカが拾ってるだろう
(…………行こう、逃げなきゃ)
そう覚悟した逃亡者の少女は街の光から隠れるように、薄暗い場所を通って行く - 24モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:38:05
(なんとかミレニアムからは離れられたけど…どこに逃げよう……?)
まだ自治区の外に出れてないとはいえ、なんとか学園からかなり離れた所に来たモモイ、辺りを見回すと…
(…げっ、ヴァルキューレの人達だ……)
おそらく…いや確実にモモイを探しに来た者達だろう
ここで見つかってしまったらモモイに明日は無い
(なんとかシャーレに……先生ならなんとかしてくれるって思ってたけど…)
こんなにも巡回の生徒が多いととてもじゃないが進めない
仮に強行した所でとっ捕まるか、逃げ切れたとしても先生に大迷惑になるだろう
(……そもそも、先生が私の事を覚えてる保証も無い)
先生ならこの状況をなんとかしてくれる絶対的な信頼感がある
ある日先生から聞いた話によると…『絶対に反省する事は今後一切無い』某生徒相手に対しても、先生は生徒の味方だって言ってた
この事に感動を覚えた事があるくらい、先生は私達の事を大切に想ってくれてる
「あ〜……かなり前にアニメで見た私の世界の事を全く覚えてないの?って状況とそっくりだなぁ〜……」
そう冗談めかして呟くが同時にとても心細くなる
あのアニメのヒロインは信頼できるパートナーが側に居るけど、対する私は独り……すごく先生に会いたい気持ちになった
会って頭を撫でて貰って…『モモイは良く頑張ったね』って優しい声で言って欲しかった…… - 25モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:39:29
(……そんな先生に迷惑はかけたくない)
私が相談したら…きっと先生は親身になって解決しようとしてくれる
けどそれで……先生とミレニアムの関係に亀裂が入るのはもっと嫌だ…
私はそっと踵を返し、来た道を戻ろうとする…しかし
「……っ!待ってください!そこの生徒さん!」
……見つかってしまった、最悪なタイミングで
しかも相手はヴァルキューレ警察学校の『中務キリノ』だ
(どうする…全速力で逃げる…?)
私は素早く冷静に頭を回転させる
ここで見つかったと慌てて逃げたらそれこそ怪しい人物と思われ、その内包囲されてしまうだろう
(…いっその事…銃で撃って気絶させる?けどそれだと音でバレちゃうっ!)
なんとか脳をフル回転させるが、やはり逃亡者というレッテルが考えを妨害させてくる
もうヴァルキューレの生徒は目と鼻の先にまで近付かれた
今から逃げる事はもう不可能だ
あと実際にこの目で目的したのだけど、普段のキリノの射撃命中率は0%なのに、逃亡している相手だと命中率100%という両極端な神秘…なのか?があるからむしろ逃げた方が不利になる - 26モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:43:04
キリノ「……貴方…随分薄着ですね?そんな格好だと風邪引きますよ?」
モモイはまたもや自分の幸運に助けられた
どうやらヴァルキューレ警察学校はまだ犯人の顔を知らないようだ
もっとも、キリノだけまだ知られてないのか…まだ手配書が配られてないのかは知る由もない
「あの…えっと……」
モモイが言い淀んでる間にもキリノは話続ける
キリノ「…何があったか聞きませんけど用心してくださいね。なんでも…ミレニアムサイエンススクールに侵入者が現れてこっちに逃走してるかもしれませんから」
どうやらキリノはモモイが何かしらの被害者だと勘違いしてくれたようだ
今のモモイは傍からみたら銃撃戦に巻き込まれたか、何者かに危害を加えられたかのように見えるのだ
その事に安堵したモモイは足早にここを去ろうとする
万が一にもヴァルキューレに保護されたら後に詰みになってしまう
「あっ…ありがとう、ございます……じっ…じゃあ私はこれで!」
キリノ「…待って!」
止められた
ひょっとして何か怪しい事に気付かれたのか? - 27モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:46:21
キリノ「そんな格好だと寒いですよ。という訳で…コレを差し上げます!」
そう言って手渡しされたのは…中に黒い砂のような物が入った袋だった
「……これは?」
キリノ「カイロです!まだまだ季節外れとは言え、こういう冷えそうな時に重宝するんですよ!」
どうやら彼女は親切心でモモイにカイロを渡したようだ
……さすがにこの中に発信機のような物は入れないだろう
さっきまで疑っていたモモイだったが、キリノに裏が無いとわかり、お礼を言う
これがカンナ局長相手なら全力で発信機の類を疑うのだが
「…っ……あのっ…ありがと…!」
キリノ「お礼なんていいですよ!貴方みたいな住民を護るのが、私達ヴァルキューレ警察学校のお仕事ですから!」
「おーいキリノ!何してんだ?次の場所に見回りに行くぞ!」
キリノ「は〜いすみません!それでは私はこれで!」
そう言い残して彼女は現場へと戻って行った
それと同時にモモイは素早く路地裏に身を隠す - 28モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:50:57
(……はぁっ!はぁっ!危なかったっ…!)
相手がこちらを被害者だと思ってくれたからこその幸運
けれど、運ばかりに頼るわけにはいかない
(…たぶんだけど、主要な場所…おそらく駅やバス停近くには行けない……)
(そうなると……ゲヘナやトリニティ方面には行けそうもないや)
荒い呼吸をしつつも脳を回転させる
とにかく、ノア先輩との約束を守る為にも私は逃げて生き延びないといけない
(ワイルドハントやオデュッセイアは…………そもそも場所が分からない。最近よくハイランダーのちっちゃい娘3人がよくシャーレに来てたけど、モロに電車が関係してるから却下)
一瞬アリウス自治区に逃げ込む事も考えた
過去に何回か先生達と一緒に任務へ向かった地
あそこなら…こんな訳アリの自分でも受け入れてくれるだろう
(…………けどダメ、アリウスに行くにはトリニティに向かわないといけない)
そう、アリウス自治区に逃げるにしても、トリニティ自治区に侵入しカタコンベを抜けないといけない
任務の思い出で『もぉ~!歩き疲れたよぉ〜!まだ着かないの〜!?』とダダをこねた記憶が蘇る
ただでさえ逃亡者のレッテルを貼られてる状態で他校の自治区に侵入し、禁域と言われているカタコンベに突入、スリーアウトゲームセットだ
(…………となると……もうあそこへ向かうしか…)
そう思いながらモモイは路地裏を進みつつとある方向へと向かう
そう……命の危険性はあるが、アビドス方面へと歩を進めた… - 29モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:53:48
「…………ううう…寒い寒い寒い!?」
無事にミレニアム自治区から抜け出せたモモイは即校章と生徒証、それとミドリと色違いの携帯電話を捨て、さらに身元が分からないように粉々に撃ち抜いた
砂漠の入り口付近とはいえ、こんな場所で携帯の破片やパーツを探し出すのは不可能だろう
問題は予想外の寒さだ
キリノからカイロを受け取ったとはいえ、たった一つのカイロじゃこの寒さは耐えられない
「ううっ…なんでこんなに寒いの〜!?前に来た時はすっごい熱かったのに〜!?」
不幸な事に、モモイは砂漠を知らなさ過ぎたのだ
「そういえば……ミドリとアリスと先生と一緒に遊んだモンスターをバスターするゲームで夜の砂漠はホットドリンクが必要だったね…」
思わぬ所でゲームの知識が役に立った - 30モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:56:27
「あのシステム面倒だけどアイテムリソース考えて持ち込む楽しさあったのに新作でシステム諸共アイテムも消したの許さないからねー!あと先生クーラードリンク忘れ過ぎ〜!!」
なぜか変な所でキレるモモイ
よく片手剣を愛用していてチーム全員を回復するアイテムをよく使ってた思い出が蘇る
そしてふと思い出したのか、懐から愛用のアレを取り出した
「ゲームガールズアドバンスSP……すっかり忘れて持って来ちゃったな」
最新機器であり、16Bitに対応したモモイ愛用の携帯ゲーム機
何時でもどこでも遊べるようにと懐にしまってあったのだが……
「…………今は『こんな物』よりも生存重点…ってね」
モモイは愛用の携帯ゲーム機を高く放り投げ、愛用武器のユニーク・アイディアで粉々に撃ち抜いた - 31モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:58:52
「……なんでこんな器用な事してるかな私…」
普段の戦闘で雑に弾幕をばら撒くスタイルなのに私物を撃ち抜く時だけ妙に精密射撃でバラバラに破壊しているのだ
「…………ついやっちゃったけど、大丈夫だよね?」
銃声に関して心配しているのではなく、かつてモモイのゲームガールズアドバンスSPにとある超重要なデータが入ってたのだが
今はそのデータは綺麗さっぱり無くなってる…はず……
「……それはそれとして寒い!こんな事ならジャケットだけでも持ってくればよかった!!」
しかし時すでに遅く、モモイは寒さ対策をせずに砂漠に踏み入れてしまったのである
けど不幸中の幸いか、ヴァルキューレ生徒からのカイロがある
これが無ければ既に寒さで倒れてただろう
「……とにかく進もう…場所なら覚えてる」
モモイは砂漠の中を歩き続ける
ポケットの中にあるカイロが生を実感させてくれる
このカイロの温かさが尽きた時が……
私の最期だ…… - 32モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:00:38
…………果たして何時間、はたまた、何十時間ただひたすら歩き続けたのだろうか?
幸いな事に、カイロの温もりが残ってた内にアビドス市街地にはこれた
しかし、もう既にモモイはボロボロの姿だった
(……み……みず…………みずがのみたい……)
そう…ただひたすら歩き続けたモモイ
なんの装備も、食料も水も無しに歩き続けたのだ
凍えそうだった砂漠も、先生との任務や……ミドリと一緒にアビドスの美味しいラーメン屋さんへ向かった思い出に助けられた
そんなモモイにも限界はくる……否、もう既に限界は超えている
ノア先輩との約束と、先生にもう一度会いたい一心で進み続けたのだ - 33モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:02:46
────ゆっくりと目を開ける
────ここはどこ?
────私は……いったい何を?
倒れていたモモイの意識が少しだけ覚醒する
今の自分に何が起こったのかを思い出そうとする
どうして自分はこんな所で倒れているのか…
(……あっ、そっか……わたし…………アビドスににげて……そしてたおれたんだ……)
もう手も足も動かない…全く力が入らない
(…………どうして……こんなところでたおれてるん……だっけ……?)
脳も全く動かない、さっきまでの事が全然思い出せずにいる
(…………あっ……そっか……しぬまえに……ほしをみたかったんだ……)
モモイは自分の最期を悟った
ああ……自分はここで死ぬ定めなのだと…
(……のあ…せんぱ…………せんせ…………)
こんなお姉ちゃんで……ゴメンね、ミドリ…… - 34モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:03:56
……
………
…………っ!?
───ちゃ…──大へ…─……誰か倒れ──!
うへぇ!……────!早く……──! - 35モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:09:15
※一旦ここでストップ
リメイク&追記+一部改編とはいえさすがに少々時間が掛かるのでしばらくお待ちください
とりあえず第1部までは書き切る予定です
あとはリメイク前も一緒に読むと変更点があってより面白いかもしれません - 36二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 15:20:28
この世界は一ヶ月後のミレニアムメンバーのメンタルが比較的軽傷になるかもしれません
最新アドバンス内の超重要データか
1発打ちぬいただけなら大丈夫そう - 37二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 16:45:13
ヴァルキューレのところモブからキリノになってる?
- 38二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 17:14:14
最初の文章見た時に一気に記憶が戻って来た、懐かしい...
- 39モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:28:58
…………ここは…どこ?
……私は…あれからどうなったの?
……風が気持ちいい
……誰かが読んでる気がする
……誰だろう? - 40モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:34:11
- 41モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:35:30
- 42モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:36:48
訳が分からない、理解できぬ
2人はモモイの存在に気付いてないのか、連邦生徒会長が先生に対して話を続ける
『……今更図々しいですが、お願いします』
『──先生』
「…………」
2人のモモイに対しての反応は無いが、真剣な様子なのは目に見えて解るのでモモイも黙って連邦生徒会長の話を聞く
『きっと私の話は覚えてないでしょうが、それでも構いません』
『何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択を取るでしょうから……』
「同じ選択……」
3秒と保たなかった
思わず呟いてハッとするが、連邦生徒会長は気にせずに……というより、そもそもモモイがその場に居ない感じで話をしてるっぽい? - 43モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:39:52
『ですから……大事なのは経験ではなく、選択』
『あなたにしかできない選択の数々』
「何かあったのかな、先生に?」
『責任を負う者について、話した事がありましたね』
『あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます』
『大人としての、責任と義務。そして…その延長線上にあった、あなたの選択』
『それが意味する心構えも…』
「連邦生徒会長……」
失踪の原因は分からないけど、こんな姿になるほど何かと戦ったのだろう
おそらくは……キヴォトスの外から来た先生を守る為に… - 44モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:43:50
『ですから、先生』
『私が信じられる大人である、あなたになら』
『この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……』
「……っ!?」
(もしかして……あの時の戦いのやつ?)
あの時の戦いというのは、わかりやすく説明すると侵略者であり、異変の張本人を倒しに宇宙へ向かったという話である
到底信じられるような話ではないので当事者だけの物語だけになっている
(いや、でも何か違う気がする……)
モモイの考察を横に連邦生徒会長は話を続けていく
『そこへ向かう選択肢は……きっと見つかるはずです』
『だから先生、どうか……』
「…えっ?」
ふと、連邦生徒会長がこっちを見た……気がする - 45モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:45:29
そしてモモイは気付く、自分がいつの間にか電車の外に出ている事を…
(…!?先生…?先生…ッ……声がっ!なんで!?)
気付いたら何故か声を出せなくなっていたモモイ
それでも即座に愛しの先生の姿を探す
自分が何よりも会いたかった先生は……まだ電車の中に居た
(!? 待って! まってよぉ先生!?)
無情にも電車は走り出す、最愛の先生を連れ去って
大切なはずの生徒を独り残して…
(まって! 行かないで! 私を一人にしないでぇ!?)
そんなモモイが心の中で叫ぶも、電車は遠くへ走り去って行ってしまった
(……まって…………おいていかないで……!)
最後尾の車両の窓際に、血まみれの連邦生徒会長の姿が映った………… - 46モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:35:03
- 47モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:36:29
謎の生徒と邂逅したモモイは痛みを忘れ、目の前の人物をじっと見つめていた
「え〜っと〜…どこか具合が悪い所はありませんか?お身体の方は大丈夫ですか〜?」
目の前の少女はそうモモイに問いかける
この人が私を助けてくれた人…?
とにかくモモイは起き上がる為に身体を動かそうと……全く力が入らない
さっきまで虚空を掴んでた右手も、今は動かせそうにない気がした
「…えっと……身体は動かないけど…大丈夫そう?」
疑問形になってしまったがそう答えた、いつの間にか痛みも無くなっている
そう聞いた目の前の少女はより笑顔になり…
「それは良かったです〜!…あっ、貴方が目が覚めた事をみんなに伝えてきますね〜♤」
そう言い残し部屋から出ていってしまった
誰だったんだろうと思いつつ、モモイは首だけで辺りを見る
どうやら何処かの建物の保健室のような部屋らしい
薬品っぽい匂いがしてたのは気のせいではなかったようだ - 48モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:37:54
しばらくすると部屋の外から人の気配がしてきた
…………なんか慌ただしいけど走って来てる???
そう思った瞬間には部屋のドアが勢いよく開かれる
バァン!!
「君!無事!?」
「良かったぁ~ちゃんと目が覚めたよぉ〜!」
「ちょっと!怪我人の部屋で大声出さない!」
「ーーーちゃんも声が大きいような…」
「ーーーはいつもうるさい」
「なんですってぇ~!?」
突然騒がしくなった部屋の状況にモモイは苦笑する
私たちみたいに賑やかだなぁ〜と
…………? 『私たち???』 - 49モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:39:54
部屋に入って来たのは全部で5人
さっきの人はまだ来てないみたい
「うへぇ〜……ちゃんと目覚めて良かったよぉ〜…もぅ〜おじさんを心配させないでよね〜」
(……おじさん???)
モモイは即座に疑問を覚える、目の前の少女……?
どう見たって私と同じくらいの身長の幼女が心配してくれてるのだ
ただそれ以上にこの幼女が発した『おじさん』ってワードが脳を埋め尽くす
「具合は大丈夫?何か覚えてる事ある?」
今度は耳の生えた生徒が話しかけてきた
おそらく…犬?…狐?……うん、たぶん犬だと思う
「何か些細な事でも良いので話してくれませんか?」
次は眼鏡を掛けた生徒が話しかけてくる
耳は尖ってるけどゲヘナの特徴にあるような角や翼などが無いことからエルフかそれに近い種族の生徒なんだろう
「ちょっと3人とも!そんないっぺんに聞かれたら話せる事も話せないでしょ!?もっと離れなさい!」
そう言葉を発したのは黒髪ツインテでネコ耳の生えた生徒だ
(この人……たぶんツンデレなんだろうな〜)
そう考えられるほどモモイの精神は回復していた
知らない人達とはいえ、モモイの目の前でのやり取りに謎の安心感を覚えたのだ
そして黒髪ツインテの女の子に怒られた3人はハッと気付き、少し離れる - 50モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:41:09
- 51モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:42:22
「?(…ハッ!)…ひぃん!///」
最初は何か分からなかった彼女だが、視線と台詞から察して両腕で胸を隠そうとする
…まぁ、あまりの巨大具合に隠しきれないのだが
「…ぶっ、あっはははは!!」
「ちょっ!?ホシノ先輩!笑い事じゃないでしょ!?」
「…w、いやいやゴメン。あまりにも唐突な発言で思わず笑っちゃったよ〜」
「ん、ユメのはノノミよりも大きい。羨ましい」
「ひぃん……おおきいと色々と不便なのにぃ~」
「むっか〜!当て付けか?控えめな私に対する当て付けかぁ!?」
「みなさんそろそろ胸の話題から外れませんか!?」
あっという間にさらに賑やかになった
「うへぇ、そのような台詞が出るって事は、それだけ元気にもなったって証拠だね〜」
「もうやめて、ホシノちゃん…」 - 52モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:44:22
閑話休題
さっきの騒ぎですっかり落ち着いた私は事情を説明しようとするけど…
「え……えっと……わたしは……」
上手く言葉に出せない
頭の中は冷静なのに、それを紡ぐ言葉が思い浮かばない…
「あ〜大丈夫、ここは安全だしおじさんたちは君の味方だから落ち着いてね〜」
(…………おじさんってなんだろう???)
あまりにも気になり過ぎるワードがあるが、一旦頭の隅に追いやる
…改めて、モモイはどうしてここにいるのか、なぜ夜のアビドス市街地のど真ん中で倒れていたのかを話す
「…実は私……敵に追われていて…」
その不穏なワードを聞かされた瞬間、周りの生徒の表情が厳しくなる
それと同時に、モモイはある違和感に気付く
(……あれ?敵って…誰?どうして私…追われていたの!?)
モモイは自分が言った発言に驚いていた
自分は敵を作る事も、ましてや命の危機になるほど追われる事なんかしていない、そもそも記憶にない - 53モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:46:14
「……ホシノちゃん」
ホシノ「…うん、やっぱりユメ先輩の判断は間違ってなかった」
そのホシノと呼ばれた生徒の言葉でモモイは恐怖で怯える
けれど、モモイが見たホシノの表情は何か…困ってるような……苦笑してるような顔で……
それでも、モモイはホシノが自分に危害を加えないと本能でわかった
もう一人、ユメ先輩と呼ばれたおっきい人はそっとモモイに近づき、そっとモモイの手を両手で優しく包んだ
ユメ「辛かったよね?痛かったよね?けどもう大丈夫だよ。ここにいるのはみんな貴方の味方だからね」
名前も存在も知らなかった人だが、今のモモイが一番欲しかった言葉に涙腺が崩壊する
いや……モモイも無意識で涙を流してるのだ…しかし、目の前の人の様子が変わった……
ユメ「わっ…わああ!?ほ…ホシノちゃんどうしよう! この娘泣かせちゃった!?わ…私何か良くない事言っちゃったのかな!?」
突然慌てだしおろおろする
なんなのこの人……???
ホシノ「……うへぇ〜、ユメ先輩落ち着いてください、別にこの娘を泣かせたつもりじゃないですから」
(…ええ〜……さっきまでのシリアスな空気はどこ行ったの?)
そう思えるほどモモイの精神力がさらに回復してる事に気付き、心の中でそっと笑った - 54モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:22:43
ホシノ「…こほんっ……それで?他に何か覚えてる事はあるかな?」
そう聞いてモモイはもう一度思い出そうとする…しかし
(……駄目だ、何も思いだせない)
まるで自分の記憶に鍵が掛けられている気分になる
某厄災もこんな気持ちだったのだろうか?
(いや…アレはただスキップしてるだけなんだけどさ……)
モモイは自分がまだ覚えている事をゆっくりと分かる範囲で伝える
自分が知り合いや見知った友達に忘れさられている事
何者かから追われていた事
どこにも逃げ場が無いからアビドス砂漠を超えた事
その事を聞いたホシノとユメは顔を顰めた - 55モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:24:10
ユメ「……ホシノちゃん」
ホシノ「あんな軽装ですらない状態で砂漠を越えるなんて……よほどの事情があるんだね」
なにやら2人で相談しているようだ
モモイは自分の身体に力が入る事に気付き起き上がる
「もう起き上がっても大丈夫なんですか?」
「ん…無理はいけない」
「平気?お水飲める?」
モモイは黒髪ツインテネコ耳ツンデレ(予想)少女からコップに入った水を受け取る
体感数日ぶりの冷たいきれいな水が身体中に染み渡るようだった - 56モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:25:14
「……んっ…んっ……んっ………ぷはぁ」
無事に飲み終わったコップは黒髪少女に返した
そして久々の水分で頭がスッキリしたのか、モモイは一部の記憶を思い出す
(そういえば…この人達、アビドス高校の生徒たちだ……)
冷静になって考えてみると、モモイはアビドス組をよく知っている
否…よく覚えている
(確か…砂狼シロコさん、黒見セリカさん、奥空アヤネさんだったよね)
モモイがシャーレの当番の時に一緒にお仕事したり、先生を休ませるという名目でゲームさせたり
任務で一緒だった記憶もある……というより、小鳥遊ホシノさんとはよく一緒のチームを組んでいた記憶が真新しい
(懐かしいなぁ…ホシノさんと一緒にお昼寝したり、PMC基地のオートマタを破壊したり)
(あとデカグラマトン…だっけ? の…確か兵器を大量生産する奴を一緒に止めに行ったよね)
(あとは……最近よくせんじゅつたいこーせん?で一緒にチームを組んでたなぁ)
先生の考えはよくわからなかったが、ある日からホシノと一緒に任務に向かった記憶がある
確かホシノさんから『うへぇ〜モモイちゃん強いねぇ〜おじさんびっくりだよ〜!』と褒められた思い出もある
そのホシノさんが私を助けてくれたのだと
もう一生ホシノさんには頭が上がらない気がした
(じゃあさっきホシノさん達を呼びに行ったのって…十六夜ノノミさんだったのか)
どことは言わないけどおっきかったなぁと全く関係ない事を考えてるモモイなのであった… - 57モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:26:36
「…その……助けてくれて…ありがとうございます、小鳥遊ホシノさん」
ホシノ「ん?おじさんの事知ってるの?」
モモイは自分がした失言に気付いてしまった
そう、ホシノ達もモモイの事を覚えていなかったのだ
「いやホシノ先輩…さっきから名前読んでるうえに先輩は有名人だからすぐに解るでしょ」
ホシノ「あー……それもそっか〜」
モモイは安堵する
目の前の生徒達は味方だと言ってくれたが、不信感を覚えさせるのはそれとこれとはまた別なのだ
何故プチ漫才してるかわからないが…
ユメ「ホシノちゃん、この娘はまだ目覚めたばかりなんだから、少し休ませてあげよ?」
そう言い聞かせるユメ
しかし、モモイはこの人の事を知らない……否、全く記憶に存在しない - 58モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:28:15
(……この人誰???アビドスにこんな生徒いたっけ?)
モモイの疑問を他所に、ホシノはみんなをまとめて撤収準備に入る
ホシノ「確かにそうだね、ほらみんな〜今日はここまで。もう夜も遅い時間だから帰るよ〜」
そう手を叩きながら発言するホシノ
それを聞いた他の生徒達も次々とユメとホシノを残して部屋を出ていった
ユメ「それじゃあホシノちゃん、後はよろしくね♪」
ホシノ「うへぇ〜…言われなくてもわかってますよユメ先輩」
そう言い残しユメも帰って行った、後に残ったのはホシノとモモイ、2人きりの空間になった
「……あっ…あの、小鳥遊さんは帰らないんですか?」
ホシノ「ん?ホシノでいいよっ、こんな所でひとりぼっちは寂しいでしょ?眠れるまでおじさんが側にいてあげるよ」
ホシノは純粋にモモイを心配してここに残ると言ってくれた
彼女も自身の生活があるというのに…
安心したモモイは急激に睡魔に襲われる
ホシノ「おっ…眠くなっちゃった?いいよ。そのままおやすみ。明日はきっと良いことがあるさ」
モモイの頭をそっと撫でる
モモイはホシノの小さな手の暖かさを感じながら眠りに落ちた - 59モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:45:42
──ホシノ視点──
目の前のまだ名前を知らない女の子がすやすやと寝息を立てた
私はそっと彼女から離れ、なるべく音を立てないように電話をかける
《───ピッ…ホシノ先輩?どうかしたんですか?》
ホシノ「ゴメンねアヤネちゃん、ちょっと今すぐ調べてほしい事があるんだけど…」
電話の相手は私の大切な後輩の1人のアヤネちゃん
ある一つの考察がよぎり、わざわざ電話をかけた
ホシノ「……ここ最近で何か大きな事件があったかを調べてくれないかな?」
幸いにも生命を取り留めたとはいえ、あの娘の姿は異常だった
あまりにも薄着過ぎる格好にボロボロの姿、それに背をって運んでる最中に気付いた、まるでゴミの中に捨てられていたかのような鼻に付く悪臭
今はもう全快に向かってるとはいえ、いつ死んでてもおかしくなかった
そんな娘がアビドス砂漠に逃げ込むなんて…あまりにも異常事態だ - 60モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:49:19
アヤネ《少々お待ちください……》
そう言ってしばらく通話が止まる
手持ち無沙汰な私はこの娘について考察する
私の考えが正しければおそらく……
アヤネ《ホシノ先輩。調べた結果、一つのある事件がありました》
ホシノ「なんだったのアヤネちゃん?」
《……3日前にミレニアムサイエンススクールで侵入者が発生し、今もなお……ヴァルキューレ警察学校と共に犯人を捜索しているみたいです》
ホシノ(……やっぱりか)
私の疑惑は確信に変わった
この娘はなんらかの方法でミレニアムに潜入し、指名手配を受けたのだ
いくらミレニアムの開発技術が優れているとはいえ、防犯システムも他の三大高の倍以上のセキュリティシステムが採用され、今もなお更新し続けてる学校に潜入なんて自殺行為だ
けれど…どうもこの娘が技術目的で侵入したとは考えられない
それに…もう既に砂埃でボロボロで色褪せてるとはいえ、この娘が付けてたネクタイは……
ホシノ「【ミレニアムサイエンススクールのイメージカラー】のネクタイ……」 - 61モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:50:19
アヤネ《ネクタイがどうかしましたか?先輩》
ホシノ「ん〜?ごめん、なんでもないよー」
私は一旦考える事を止め、電話の相手にお礼を言う
ホシノ「ありがとアヤネちゃん、こんな時間なのにゴメンね?それじゃ、おやすみ〜」
アヤネ《よくわかりませんが…お役に立てたようでなによりです!それでは…おやすみなさい、ホシノ先輩》
ピッ…
通話を切る
おそらく私の考えが正しければ……この娘はたぶん、ただ普通に学園生活を送っていたのだろう
そんなある日、お友達から『お前の事なんて知らない』なんて言われたら絶望もする
そしてなんやかんやでミレニアムから脱走してここまで歩いて来たのだろう…
ホシノ(それでも、ミレニアムの警戒網から逃れる事なんて不可能に近い…)
おそらく、敵だらけのミレニアムにも1人か2人はあの娘の味方が居たのだろう
その人が警戒網に穴を開けたのか、この娘が無事に逃げれるようにサポートしたのかは分からないけど
そしてこれは確信に近い事だが…この娘の追っ手は確実に来る
それが近い将来の事か、遠い未来の事か分からないけど…
ホシノ「……君の事は、私…ううん、私達が守ってあげるからね…」
ホシノは可愛い寝息を立てるモモイをそっと撫で、そう決意した…… - 62二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 20:51:30
ホシモモだと?!
- 63モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:52:43
ホシノ「…………」
なんて決意を出したものの、眠気には敵わないね〜
本来なら軽く(数時間)パトロールしてから改めて家で寝るんだけど
ホシノ「ちょーっとお隣失礼するね〜」
そう誰にも聞かれない独り言を言いながら眠る女の子の隣に寝転ぶ
その娘は今うなされてるらしく、顔色も悪い
ホシノ「……大丈夫、絶対になんとかなるよ〜。だから安心しておやすみ、ね?」
そう呟きつつ女の子をそっと抱き寄せ、頭を撫でる
安心した女の子はこっちに抱き着きつつもすやすやと安らかな寝息が聞こえてきた
ホシノ「……うへぇ〜、これじゃあ起きた時におトイレ行けないかもねー」
まぁ……この時冗談で言った発言が、まさかあんな形でフラグ回収されるとはね…… - 64モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:12:48
──モモイ視点──
……目が覚める
全く知らない天井…ではなく、眠る前に見た保健室の天井…
少々記憶が混乱しながらもモモイの意識が覚醒する
(…あれ? なんでここに…そっか、私逃げて、倒れた所をここに運ばれたんだ…)
今の自分の身に何が起こったのかすぐに判断し、すっかり回復した身体を…………起こせない
というより、何故か全く動かせない
それに身体が暖かくてなんだか良い匂いがしてるような……
(……ハッ!? 私…ホシノさんに抱き着かれてる!?)
モモイは気付いた、あの小鳥遊ホシノに抱き締められれる事に
ホシノ「…………zzz」
ホシノはどうやらまだ寝てるようだ
というより、今もここにいるという事は…ずっと付きっきりでモモイの看病をしてくれたのだろう
(ホシノさん……)
モモイはホシノに感謝する、しかし…それとこれとは話が別
モモイは今、最大のピンチを迎えていた - 65モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:16:38
(ううう…マズイ、おしっこ行きたい……でもホシノさんが離してくれない……)
いくら普段のモモイに色気が無くともモモイだって女の子なのだ
ここで漏らして社会的に死ぬ事は是が非でも避けたい
あと推定命の恩人を濡らすのも絶対に避けたい
というかただ普通にホシノを起こせば良いだけの話なのだが、限界が近いモモイにその考えが出るはずもなく…
とにかくモモイはなんとか脱出しようともがく
(ん~~!んん~〜!ホシノさん寝てるのに力強っ!?全然動かせない〜!)
その細腕と小さな身体のどこにそんな力があるのだろうか?
それでも諦めずにもがく
(んん~!ふん〜〜!う〜〜ご〜〜け〜〜!)
モモイは装備の効果で動けない!(E:小鳥遊ホシノ
(うわーん!動いてないのに暑いよ〜!)
モモイの心の叫びは誰にも届く事はなかった……
「…………あっ」 - 66モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:18:52
「……ハァ…ハァ…ホントにギリギリだった……っ!」
幸いな事にモモイの乙女の尊厳は守られた……はずだ
抱き締める力が弱まった瞬間モモイはホシノの拘束からの脱出に成功し、乙女の馬鹿力で女子トイレを探し当てたのだ
…………ただ、その時に少し漏れ……いや、気のせいだ
それを証明する材料が無ければそれは真実となりえない
先生も言っていた『例えそれが水着だとしても本人が下着と言えば、下着となると』
(…………とある生徒の受け売りだとしてもサイテーだよ先生……)
ついでに某トリニティの脱衣水着徘徊女の事を思い出す
その生徒のせいで先生に見せるためにちょっとドキドキしながら買った大胆な水着を着るのがとても恥ずかしくなった記憶が蘇る
…………なお先程…『それを証明する材料が無ければそれは真実となりえない』と書いたが、それは文字通りの事である
(うう……下がスースーする……パンツくらい履かせてくれてもいいじゃん……)
そう、今のモモイはパンツすら無いのだ
今のモモイの姿は大人の男性が着るようなYシャツ、たった1枚だけなのだ - 67モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:22:17
「というか……なんでYシャツだけ???これじゃあ私ヘンタイみたいじゃん…」
この事に関してはホシノ達も苦肉の策だった
モモイはまだここが何処だか知らないが、アビドス高校の中にモモイサイズの着替えれそうな服は1枚も無い
唯一サイズが合いそうなホシノの服だが、具体的なサイズがわからないし、勝手に気絶してる女の子のスリーサイズを測るのは失礼極まりない
そこに白羽の矢が立ったのが、先生が着替える為にいくつか用意してあったYシャツだった
「…………先生の香りがする…///」
モモイは今着ているシャツの匂いを嗅ぐ
過去に冗談で先生に抱き着いた時と同じ匂いがしたのだ
「…………………………ハッ!?違うからね!?私っ…ヘンタイじゃないからね!?」
思わずそう突っ込む、当然誰も聞く相手はいない
モモイは慌てて現実に戻る
……これ以上は人の道を踏み外すと思い直したのだ - 68モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:23:28
「……ところで、ここどこ?」
当然迷った、トイレに駆け込む時は必死過ぎて道なんか覚えていない
とりあえずモモイは来た道を引き返す……はずだったのだが
「…………完全に迷っちゃった……」
迷子になった時、来た道を引き返すか救援が来るまで動かず待機する2パターンある
もちろんモモイもその事はわかっており、下手に進むよりも引き返した方が知っている場所へ戻れる
だがしかし、景色が全く変わらないのだ
行けども行けども砂と使われてない空き部屋
なんの目印も無いせいで迷ってしまったのだ
「マズイなぁ…ホシノさん、めっちゃ心配するだろうなぁ……」
こうなっては仕方がない、ホシノと再開したら即謝ろう
とりあえずモモイは休めそうな場所、あと着替えを探しに歩く
「……うん? あれは…?」
視線の先のあるものに目が引き寄せられる
部屋のプレートの面に上書きするかの如く貼られている紙に注目する
「アビドス……廃校…対策委員会」 - 69モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:27:55
偶然か、はたまた必然か運命か…
モモイは運良く廃校対策委員会の部室に辿り着けたのだ
「そっか……ここ、アビドス高等学校だったんだ」
そう理解してすぐ考える
もしかしたら……この部屋なら何か着れる物があるのではないかと
泥棒みたいでヤダなぁと思いつつ扉を開く
「お…お邪魔しま〜す……」
扉を開けて最初に見た光景にモモイは驚いた
予想よりも小さく狭い部屋だったのだ
もっとも、モモイが所属してたゲーム開発部も物が散乱し過ぎて同じくらい狭かったが…
「生徒会室って、本来はもっと広い部屋のはずだよね?」
どう見たってここは数あるただの部室の一つの部屋だろう
それがなぜ生徒会室になってるのかモモイには不明だが
とりあえずモモイはギリギリプライバシーに引っ掛からない程度に部屋を調べる
モモイの目的は家探しする事ではなく、着替えなのだから - 70モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:38:58
「う〜ん…見つからないな〜」
替えの制服くらいあるかと思っていたが
予想に反してどこにも見つからない
……ロッカーを開ければそこに制服が掛けてあるのだろうけど、モモイの良心がそれを咎める
「あれ?私の銃…ここにあったんだ。まぁ今は必要ないけど」
モモイの愛用銃、ユニーク・アイディアがガンスタンド的なやつに立て掛けられている
その横にはショットガンとアサルトライフルもある
「…あれ?私の銃もしっかり整備されてる……誰かやってくれたのかな?」
砂漠横断時の砂塵で多少砂が入ってたのだが、綺麗さっぱりに整備されている
まるで新品の銃を下ろしたみたいな完成度だ
「はぁ…しかたないっか、衣服は諦めてなんとか元の部屋に戻ろう」
そう呟き踵を返す、ドアを開けようとドアノブに手を伸ばした時…
キィ…
扉が向こうから開かれ……
「……あっ」
砂狼シロコと目が合った… - 71モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:44:22
(あわわわわわ…マズイマズイマズイ!? こんなのどう見ても泥棒だよー!?)
子供のイタズラじゃ済まないレベルで混乱しているモモイ
しかし当のシロコは全く別の事を考えていた
(ん…この娘、こんなに動けるまで元気になったんだ……)
そんなシロコの心情も知らず、モモイはどうやって切り抜けるか考える
(どうする?どうする!?推定恩人に向けて銃で撃つ訳にもいかないし、入り口は塞がれてるし…!)
多少怒られるつもりで謝れば良いのだが、モモイにその考えは出るはずもなく…
(うう〜!こうなったら…!)
「モモイ、突貫します!」
「……えっ!?」
ヤケになったモモイは勢いよく駆ける
対するシロコはモモイの予想外の行動に反応が遅れた
「なんとぉーーー!!!」
上手くシロコの脇をすり抜け、モモイは走って逃げ出す
「まっ……待って!」
そう声をかけるが既に遅く、慌てて追いかけようとするが、廊下に出た時にはモモイの姿を見失ってしまった - 72モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:50:08
「……ハァ…ハァ…なんとか逃げ切れた……っ!」
モモイは何度目かも分からない荒い呼吸をする
……というか、なんか私…こんな展開ばっかりだなぁ…とも思った
「……ハァ……はぁ~…………あれ、冷静になって考えたら、何も悪い事してないから逃げなくても良かったんじゃ…?」
冷静な思考に切り替わるがもう遅い
シロコさんは私を不審に思ったのだろう
当の本人はモモイを心配しているのだが、今のモモイには知る由もない
「とりあえず、なんとか道を思い出して元の部屋に……」
ホシノ「……あっ、いた」
ホシノに見つかってしまった
その後のモモイだが大人しく捕まった
キヴォトスでも最強格と聞いていたモモイが逃げ切れるわけがない
そもそも、命の恩人相手に逃げるなんてしたくなかった
その後のモモイがどうなったかと言うと…… - 73モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:53:07
───1時間後───
「わぁ〜!貰っちゃっていいの!?」
アビドス廃校対策委員会の部屋で、モモイはアビドスの制服に身を包んでいた
ホシノ「いーのいーの、むしろおじさんのお古でごめんね〜?」
そう言ってニッコリするホシノ
そのホシノだが、モモイがいなくなった事に即気付き、後をつけていた
そして着替えが無いという呟きを聞いた事に罪悪感を覚え、慌てて家に帰って着替え一式を持ってきたのだ
ホシノ(……緊急事態とはいえごめんね…おじさんそこまで考えが出なかったよ…)
ホシノは心の中で合掌した
改めてモモイは対策委員会の部屋を見回す
ここにはモモイとホシノを含め、全部で7人いる
昨日様子を見に来てくれたノノミさんもいる
「それじゃ、改めて自己紹介しましょうか〜♧」
…っと言って、昨日のゆるふわ人から立ち上がる
ノノミ「私は、アビドス廃校対策委員会2年の十六夜ノノミですっ♡」
シロコ「……砂狼シロコ、2年……さっきはごめんなさい…驚かせたよね?」
セリカ「何やったのシロコ先輩…?黒見セリカ、会計…1年生よ」
アヤネ「私は奥空アヤネと申します。セリカちゃんと同じ1年生です」
それぞれ順番に挨拶していく
私は初めて会ったわけでもないのになんだか不思議な気持ちだ - 74モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:55:12
ホシノ「んじゃ、君は知ってるみたいだけど改めて……小鳥遊ホシノ、アビドス廃校対策委員会の3年生、いちおうアビドス生徒会の副会長もやってるよ~」
モモイは驚愕した
あの目の前の恩人は自分より年上のロリ先輩だったと……
(……ウソぉ?ホシノさ……ホシノ先輩年上だったの!?)
初めて知った…そもそも、どこの学園所属かとかは先生に事前に聞いていたが、年齢までは聞かされていない
モモイはシャーレ当番で一緒になった子や、共に任務へ向かう仲間とは持ち前のコミュニケーション力で仲良くなっていたのだが
親しき仲にも礼儀ありという諺もあって年齢だけは聞いていないのだ
(…って事は、あのヒナさんと同級生なんだ……)
ゲヘナ学園所属、風紀委員長のヒナだけ特例で知っていた
ユメ「最後は私だねっ!」
ユメ先輩と呼ばれた人が立ち上がる
……………………んんん?
待って待って待って?
えっ…………先輩??? - 75モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:57:59
ユメ「梔子ユメ、アビドス高校3年生で、これでもアビドス生徒会長さんなんですっ!」フンス
何故だが分からないが、嫌な冷や汗が止まらない
そもそも、ホシノさ……先輩にさらに先輩がいるなんて記憶にない…だって……
【梔子ユメは3年前に死んでいる】
と、先生から聴いてしまっている
じゃあ目の前のユメと名乗る生徒は?
とてもじゃないが、モモイは目の前の人物が偽物だとは思えない
もしかしたら実は生きていて今まで知らなかっただけ?
そんな事よりもずっと気になっていた質問をユメにぶつける
「あの……大変失礼を承知でお聞きしますが…年齢はお幾つなんでしょうか…?」
モモイらしからぬ丁寧な言葉
その質問にユメは答える
ユメ「うん、ちょっと恥ずかしいけど……20歳だよ」
モモイの青春物語の中で、この事実が人生で1番の驚愕ポイントだった… - 76モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:01:00
「……ありえない、何かの間違いじゃないの???」
モモイはこんらんしている!
ユメ「えっ……ホシノちゃん、私…また何かやっちゃった?」
ホシノ「落ち着いてくださいユメ先輩、そりゃ2年も留年してたら困惑もしますよ」
ユメ「ひぃん、そんな…ひどい……」
シロコ「ん、あり得ない……なんて事はあり得ない」
セリカ「シロコ先輩も何言ってるの???」
ノノミ「面妖です…」
セリカ「ノノミ先輩もボケないでください!」
突如部屋内の空気がカオスになった
その原因の1人であるモモイはのちに『こんなつもりじゃなかった』と答えた
その後どうなったかと言うと…怒りが爆発したアヤネがテーブルをひっくり返した - 77モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:02:58
閑話休題
アヤネ「…………すみません、お見苦しい所を見せて」
「あっ…うん……気にしないでください…」
カオスだった部屋内の空気は静まり、静寂が訪れた
…心なしか、アヤネに対して少し怯えてる気がする
ホシノ「それで……えっと…君の名前は?」
モモイは悩む
一定の記憶が無いとはいえ、自分の名前は覚えてる
けれども…『才羽』なんて苗字を言ってはいけない予感がする
その為、モモイが取った選択は…
「…………モモイ」
名前だけを告げる事にした
助けてくれた人達に隠し事をするのは心が痛いが、苗字まで答えて捜索願だか指名手配だかで特定されたくない
ユメ「モモイちゃん…か〜、可愛い名前だね!苗字はどんなの?」
やっぱり聞かれた
当たり前だ、名前だけ告げる人なんてほとんどいない
モモイが何も答えずにしばらくたつと…
ユメ「……っ!ホシノちゃん…やっぱりこの娘…!」
ホシノも同じ答えにたどり着いたのか、ユメと2人で相談を始める - 78モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:05:12
ホシノ「うん、たぶんだけどモモイちゃんは……」
そんな空気に耐えられなくなったのか、他の生徒達も喋り出す
セリカ「ちょっと!2人だけで話してないでなんとか言ってよ!」
ノノミ「モモイちゃんに何か問題でもあったのですか?」
シロコ「ん…私と同じ記憶喪失?」
アヤネ「ええっ!?もし本当なら大変じゃないですか!」
一気に慌ただしくなった部室
モモイは勘違い……でもないが、そう思ってくれた事にそっと安堵した
ほかにも何か思い出せることはある?…っと聞かれ、モモイは首を横に振る
自分の苗字の事は嘘だが、それ以外は本当に何も覚えてないと答えた
(けど……どうして私、何も覚えてないの?)
自分の事なのに何もわからない事実に少しだけ自分が怖くなった - 79モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:06:58
……………………
部屋に重い空気が流れる
(……お、おもーい!重過ぎるよこの空気!)
位の一番に耐えれなくなったのはモモイだ
モモイは本人きってのムードメーカーなのだ、そんなモモイがこんな空気のままにする理由がない
「あの…ホシノさん!昨日はその…私が眠れるまで側にいてくれてありがとぅ…」
ホシノ「ん〜?お礼なんていいよ〜むしろおじさんの方がゴメンね?暑かったでしょ?」
「ううん!その事は大丈夫なの、ただ……その……///」
モモイの表情が赤くなり、なにやらもじもじとしている
他のメンバーは頭に疑問符を浮かべていたが、唯一ホシノだけが察した
ホシノ(……あっ、そういえば…)
ホシノは思い出した、モモイが寝ていたベッドに少しとはいえシミが出来てた事に…
ホシノ(モモイちゃんホントにゴメン!)
ホシノは心の底から土下座して謝った - 80モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:11:20
モモイとホシノの間に気まずい空気が流れていた…
そんな空気を撃ち破るかのようにホシノが声を上げる
ホシノ「……うへぇ〜!?も…モモイちゃん!?」
「…っ!はっ…ハイィ!?」
思わず声が裏返る
ホシノ「……こほんっ…モモイちゃんって……たぶんどこにも行くアテが無いよね?」
その質問にモモイは頷く
ホシノはそんなモモイに相槌を打つと…とんでもない提案をしてきた
ホシノ「だったらさ、ウチの学校に入っちゃわな〜い?」
「…………えっ?」
シロコ「ん…!」
ノノミ「わぁ〜♡」
セリカ「はぁ!?」
アヤネ「先輩!?」
…………ええええーーーー!?!? - 81モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:12:29
- 82二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:18:23
中身みたら全部思い出したわ
この感覚…久しく忘れていたな……… - 83モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:22:13
※本日はここまで、深夜帯はコメント出来ない(規制タイム)のて落ちない程度の保守をお願いします
あと連投CTが地味に面倒ですね
たぶん荒らし対策なんでしょうけど - 84二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:38:55
お疲れ様でした 次の更新も楽しみにしてます
- 85二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 04:04:53
久しぶり過ぎて内容忘れてしまったな……。以前のって結局忘却の原因は分かったんだっけ?
- 86二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 11:33:11
保守
- 87モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:11:22
- 88モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:15:20
私は約2ヶ月前、追っ手に追われていた…と、思う
理由はひとつ、私がミレニアムサイエンススクールに侵入したと思われたから
けど、私はそんな事のために侵入した理由ではない、そもそも…侵入じゃなくて、堂々と正面から入ったの
私は元々…ミレニアムサイエンススクールの生徒だった
同じ部活仲間のアリスとユズ
そして……あれ?
何か……いや、大切だった誰かに会いに行こうとしてたんだっけ?
……まぁいいや!
話を続けるね。私はそこで信じられない光景を見たの
私の知り合いだったみんなは、私の存在を忘れてしまった
その事実が信じられなくてノア先輩、セミナーの部屋へ向かったの
けれど、完全記憶保持者のノア先輩ですら、私の事を覚えていなかった…
それでも…ノア先輩は私を助けてくれた、自分の状況が悪くなる事も構わずに私を逃がしてくれた
その時にノア先輩と約束したの、生き延びて…無事にミレニアムに戻ってまた再開するって…… - 89モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:23:19
ノア先輩の協力の後、私はお気に入りだったジャケットやネコモチーフのアクセサリーを全部捨て、私の存在証明になりそうな物を全て破壊してからアビドス砂漠に逃げたの
あとついでにある意味私の存在意義だったゲームガールズアドバンスSPも
……アレホントに破壊しても大丈夫だったんだよね?
過去にとあるデータはあったけど……まぁいいや
夜の砂漠は凍えそうな……いや実際に凍えながら横断したんだよ
いやぁ~…あの時はホントに凍えて死ぬかと思ったよ〜!
……うん。今思ってもジャケットだけは是が非でも持ってくるべきだったね
アレすっごい悪臭があるからすっごくヤダけど… - 90モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:37:33
そのあとはアビドス市街地で倒れてた私を『ホシノ先輩』と『ユメ先輩』が助けてくれたんだって!
2人の先輩にはもう頭が上がらないよねっ?
だって命の恩人だもん!
「モモイちゃ〜ん!そっちのお仕事は終わりましたか〜?」
モモイ「あっ!『ノノミ先輩』!ついさっき終わったよ〜!」
向こうから先輩の1人がこっちに手を振りながら駆け寄ってくる
あの人はアビドス高等学校2年、アビドス廃校対策委員会所属の十六夜ノノミ先輩だよ!
ノノミ「それはお疲れ様でした~! 帰っておやつにしましょっか〜♧」
モモイ「わーい!おやつだー!」
ノノミ先輩と一緒に部室へ向かう
ノノミ先輩はいつも優しくて親切にしてくれるから大好き!
けど私を甘やかすのは少し勘弁してもらえないかな…
なんでって?
いや、ほら……アレの格差がちょっと…ね? - 91モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:48:21
モモイ「そういえばノノミ先輩、また倉庫のダンベルの数が増えてたけど?」
ノノミ「はい!40個ほど買っちゃいました♡」
モモイ「いや買い過ぎだから!?40個も使わないでしょ!?」
ノノミ「モモイちゃんはダンベル何キロ持てますか?」
モモイ「いやアレは重さだから!数じゃないから!」
この散財癖?さえ無ければ良い先輩なんだけどな〜……
いや、別に大量無駄買いしてるわけじゃ……まぁダンベル40個は無駄だけどさぁ…
ノノミ「あっ、そういえば〜…さっきまでシャーレの先生が来てたんですよ?」
モモイ「先生が?ふーん…」
シャーレの先生……ねぇ - 92モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 13:56:31
最近よくアビドスに来てるけど、暇人なの?
ノノミ「…会いに行かないんですか?」
モモイ「ん〜……別に行った所で何を話せば良いのかわかんないし、それに忙しいって言ってる先生のお時間を取らせる訳にもいかないじゃん?」
ノノミ「…………そう……ですか」
……まただ
また『あのノノミ先輩の顔』だ
どうもノノミ先輩は私が先生に会わないって言うといつもあの悲しそうな顔をする
……別に私は先生に会う必要は無いんだけど、罪悪感がすごいんだよね…
ノノミ「…あれ、モモイちゃん。どちらに行くんですか?」
モモイ「ん〜?ちょっと気が向いたから先生に会いに行こうかと」
ノノミ「……!!はい♡ほら早く先生の所へ向かっちゃってください!ほら、ダッシュですよダッシュ!」
モモイ「先輩…いつも廊下は走っちゃいけませんって言ってるよね?」
渋々と私は走って玄関まで向かう
ノノミ先輩の視界から外れたら走るのをやめて歩いて向かう
悪いけど、ホントに私…先生に会いに行くメリットが皆無なのよね - 93モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 14:10:05
正面玄関に到着する
ノノミ先輩と別れて約5分くらいかな?
目線の先には見送りをしてたのか『黒見セリカ先輩』がいた
モモイ「セリカ先輩。先生は?」
セリカ先輩は突然声をかけられて驚いたけど、相手が私だと気付くとすぐに答えてくれた
セリカ「モモイじゃない…遅いわよ!先生ならついさっき帰った所よ!」
モモイ「うわーん(棒)また間に合わなかったー」
セリカ「棒読みにもほどがあるでしょ……」 - 94モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 14:19:25
セリカ「まったく…アンタはいつもタイミングが悪いのよ、先生だってモモイに会いたかってるのに」
モモイ「へー、暇人な先生が私にねぇ…」
セリカ「アンタ…いやごめん、なんでもない……」
……なんで?
なんでセリカ先輩もそんな表情をするの?
別に一人くらい先生の事が嫌いな生徒がいてもいいと思うんだけど?
いやまぁ……会った事も無い先生が嫌いかって言われたら嘘なんだけどさ…
先生に会うよりもアビドスの借金問題をなんとかs…… - 95モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 14:35:58
ダダダダダンッ…!
《オラァーー! アビドス高校の連中共ォ! 今日こそはアタシ達、カタカタヘルメット団が頂くぜェー!》
銃声が鳴った、それと同時に外から犯行声明が聞こえる
セリカ「ああもう!またアイツら!?ホントしつこいわね!」
アビドスには借金問題の他に、不良グループがここを占領しようとやってくる、これもアビドスの日常のひとつ
モモイ「めんどくさいなぁ〜…セリカ先輩、面倒だから私1人で行ってきて良い?」
セリカ「別にいいわよ。というか、モモイを相手にするアイツらの方が心配になるわよ」
そんなセリカ先輩の言葉にニヤリと笑う
モモイ「別にそんな事ないよ〜!……ただちょっとお帰りになってもらうだけだからさ」
そう言いながら外へ出る
モチロン私の愛銃、ピンクのカラーが特徴的なアサルトライフル…
『ポジティブ・メモリーズ』を準備しながら
モモイ「…まっ、1分で充分かな」 - 96モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 14:44:11
モブA「…なんだァ〜?チビガキが出てきたぞ?」
モブB「ハッハッハッ!アイツ1人で戦うって?笑えるね〜!」
モブC「おチビちゃんは早く帰んな!怪我だけじゃ済まn……ギャッ!」
モブD「D!?お前…いったい何をした!」
モモイ「何って…ただ撃っただけだよ。コレでね」
そう言って私は右手に隠し持っていたハンドガンをホルスターに仕舞う
無駄にクルクル回してカッコつけるのはもう癖になってしまってる
モブB「二丁拳銃スタイル…まさかヤツか!?」
モブD「知っているのかB?」
モブA「いや……ヤツなら三丁拳銃スタイルだから本人じゃねぇ」
モブE「んだよ焦らせやがっt…なんだアレは?」
ヘルメット団たちが一斉に空を、具体的には私の真上辺りに視線が向かう
その真上から何かが落ちて……否、何かが投げ込まれたソレを、私は見向きもせずに片手でキャッチする
キャッチしたそれは……『ホシノ先輩のショットガン』だった
モブA「ARにHG、それにSG……ッ!?不味い!奴だ!」
モブD「なっ!?ただの噂じゃなかったのか?」
モブE「怯むな!所詮はただのガキ一人だ!」
モブB「いやぁ…逃げた方が良いと思うけどな」
モモイ「それじゃあ……お帰り願おっか」
「「「うっ…うわぁぁぁぁぁ!!!」」」 - 97モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 14:57:54
──ホシノ視点──
ホシノ「おーおーやってるね〜モモイちゃん」
ノノミ「モモイちゃん張り切ってますね〜♤」
校庭で縦横無尽にに暴れまわるモモイちゃん
つい最近までこんな風に戦えるようになるなんて思ってもみなかったな〜
ガラガラッ
セリカ「おはよーホシノ先輩、ノノミ先輩」
ノノミ「おはようございますっ!セリカちゃん」
ホシノ「おあよー…セリカちゃん……」
おじさんは欠伸をしながらモモイちゃんの戦闘を見守る
…うん、前よりもキレが良くなったんじゃないかな?
セリカ「にしても…モモイの成長ぶりには驚いたわね、もう私達なんかより強くなってるんだもの」
ノノミ「ホシノ先輩が付きっきりで鍛えたおかげですね~」
そう…私はモモイちゃんに戦闘の経験、知識、判断力、身体の動かし方を全て叩き込んだ
もちろん最初はおじさんもそんなつもりじゃなかったよ?
でもね…戦闘訓練を重ねてる間に……モモイちゃんはメキメキと育っていった
モモイちゃんには才能がある、そう考えたおじさんはつい魔が刺してモモイちゃんに厳しい訓練を行った
最初は不平不満しか言ってなかったモモイちゃんだけど、次々とスポンジのように吸収していって…今ではおじさんに4割のくらいの確率で勝てるくらいには成長した
ただ一つ申し訳ないと思ってるのは……戦闘スタイルがおじさんとそっくりになっちゃった事かなぁ? - 98二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 15:02:02
ゲーム内性能が素晴らしいモモイだからさもありなん
- 99モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 15:17:21
ダァン…!
モモイちゃんが最後の1人を制圧した
こんなにも成長しちゃって……おじさんは感動だよ〜
セリカ「……にしても、普通は約2ヶ月でここまで成長しないわよね?」
ノノミ「モモイちゃんが少し特別な娘だからでしょうか?」
セリカ「ん〜?なんかそれとはちょっと違う気がするのよね。ホシノせんぱ…もう寝てる……」
ホシノ「…………zzz」
モモイちゃんがここまで成長した理由だけど、私には心当たりがある
昔のモモイちゃんはたぶんだけど、あんな娘ではなかったと思う
約2ヶ月前にアビドス市街地にボロボロの状態で逃げ込んで、その時の大怪我の後遺症で記憶をほぼ失った結果だと思う
その証拠…ってほどでもないけど、モモイちゃんが完全回復した後に記憶の事を私とユメ先輩の3人で共有したんだけど、友達2人と助けてくれた先輩1人、それと名前以外の事は全て忘れてしまっている
もちろん、シャーレの先生の事も……
そして……その失った記憶の穴を埋める形で私の戦闘技術がダム湖の水のように溜まったんじゃないかな
ちょっと、いやかなり申し訳ないかな……
ある意味、モモイちゃんのもう一つの人格を作ってしまったのは私のせいだ…
ホシノ(だから……何時かわからないけど、私が責任を取らないといけない) - 100二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 15:19:54
このレスは削除されています
- 101二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 15:21:23
このレスは削除されています
- 102モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 15:22:45
- 103モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 15:43:05
──モモイ視点──
モブB「あーすみませんね、今帰るんで。オラッ!帰るぞ!」ゲシッ
モブD「痛った!蹴るなお前!」
モブE「なんだよリロードしながらHGを速射するって…」
モブC「でもちょっとかっこいいかも…」
モブD「えっ…お前見てたの?つかファンになったの?」
ヘルメット団が撤退していく
私はスカートについた砂埃を払いつつ携帯の時計をみる
モモイ「……あっちゃ〜…5秒オーバーしてる」
ギリギリTIME OVERしてた事を残念に思い、私は対策委員会の部室へ戻ろうとする、すると向こうの自転車置き場から…
タッタッタッタッ…!
「ん…遅かった?」
そう言いながら駆けつけて来てくれたのは…
『砂狼シロコ先輩』だった - 104モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 15:53:25
シロコ「あんなに大勢いたのに1人で片付けたの?」
モモイ「そうだよ、まったく手応えが無かったけどね〜」
そう言いながら私はもう一つの愛銃
『タクティクス・サポーター』をホルスターに仕舞う
このハンドガンはまだたったの1ヶ月とはいえ、数多くの戦場を共にしたもう1丁の相棒だ
ちなみにホシノ先輩から貰ったの
なんでも『予備として置いてあった物だからモモイちゃんが使ってくれると嬉しいな〜』って……武器庫なのホシノ先輩???
シロコ「ん…モモイはえらいね」ナデナデ
モモイ「……シロコ先輩、なんで急に頭を撫でるの…?」
シロコ「ん……1人で頑張ったご褒美?」ナデナデ
そのまま頭を撫でられ続ける
私は恥ずかしくなって早く部室に行こうと提案したら、『モモイは疲れてるだろうから私が運んであげる』…って言われて無理やりだっこさせられた
別に疲れてないのに……余計に恥ずかしいから下ろして…… - 105モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 16:12:40
──シロコ視点──
朝のライディングノルマ終えて自転車置き場に愛用の自転車を置きに行ってる途中、グラウンドの方から銃声と、いつものヘルメット団の犯行声明
またいつもの日常って思いつつも急いで現場に向かう
向かってる途中で別の銃声と…ヘルメット団たちの叫び声
ん、間違いなくモモイが戦ってる
シロコ「モモイが相手してるなら心配はいらないかな?」
そう口にするけど念の為に急ぐ
グラウンドに到着した頃には既にヘルメット団たちは撤退を始めていた
シロコ「ん…遅かった?」
そう声をかけるとモモイはこっちに振り向いた
うん、平気そう - 106モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 16:15:47
シロコ「あんなに大勢いたのに1人で片付けたの?」
モモイ「そうだよ、まったく手応えが無かったけどね〜」
そう言うモモイの表情はいつもの少しとぼけたような……困り顔?
とにかく、皮肉でもなんでもなく、今のモモイはあのホシノ先輩と対等に戦えるだけの強さを持っている
……正直、ちょっと悔しい
でも、モモイは私の妹みたいな存在だから嬉しくもある
シロコ「ん…モモイはえらいね」ナデナデ
モモイ「……シロコ先輩、なんで急に頭を撫でるの…?」
シロコ「ん……1人で頑張ったご褒美?」ナデナデ - 107モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 16:17:51
実際、モモイはよく頑張ってる
ホシノ先輩との訓練もそうだけど、私たちアビドス高等学校の借金問題をなんとかしようと奮闘してくれてる
それとは別に、空き教室の砂の掃除、壊れた椅子や机の修理等、モモイはよく働いてくれてる……ちょっと、ううん…かなり働き過ぎなくらい
モモイ「ほ…ほら先輩!そろそろ部室に戻ろう!」
シロコ「ん、ならモモイをだっこする」
そう言ってモモイを膝下から抱えるようにだっこする
ようはお姫様だっこのスタイル
モモイ「待って待って!なんでお姫様だっこ!?私歩けるよ!?」
シロコ「ん?モモイはいつも頑張っててお疲れだから私が運んであげようかと?」
モモイ「だからってなんでお姫様だっこ!?それ以外の方法もあるよね!?」
シロコ「……?モモイが何を言ってるのかよくわからない」
モモイ「いや絶対にわかってるよね!?おーろーしーてー!!!」 - 108モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 16:28:04
しばらく折れずにそのままモモイをだっこしながら運んでいると、モモイの方が折れたのかおとなしくなった
戦闘技術はホシノ先輩並みだけど、力ならまだ私が勝ってる
ん、別にマウントを取ってるわけじゃない
シロコ「モモイはホシノ先輩への勝率はどのくらい?」
モモイ「ホシノ先輩相手?4割くらいかな?盾を構えられたら勝率0%だけど」
シロコ「ん……マウント取られた。ちょっとむかつく」
モモイ「シロコ先輩から振った話題だよねそれ!?」
シロコ「ん、冗談」
モモイ「シロコ先輩だと冗談に聞こえないから…」
???……よくわからない
でも言った言葉は半分本当、私はまだ1割未満なのに
シロコ「……モモイはすごいね」
モモイ「…?どしたよ急に?」
シロコ「ん…なんでもない」
その後、2人して無言で進む
けれども気まずい雰囲気は無く、むしろお互いを信頼しあってるからこその無言…なのかな?
……? なんだかモモイがこっちを見ているような…?
その後、モモイを構えたまま部室に来たせいでノノミたちにからかわれた。ごめんなさいモモイ… - 109モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 17:11:02
──モモイ視点──
結局…私の願いは届かず、対策委員会の部室まで運ばれた
ノノミ「あらあら、仲良しさんですね~」
モモイ「恥ずかしいから早く下ろして……///」
まぁ、これもアビドスの日常の一つ
……私はすっごいイヤだけどシロコ先輩は親切心でやってる事だから断り辛い
セリカ「シロコ先輩って、本当にモモイのこと気に入ってるわね」
シロコ「ん…モモイは私の妹みたいな存在だから……別にマウントは取ってない」
シロコ先輩は私と同じ記憶喪失仲間
なんでも、ホシノ先輩に拾われる前の記憶が一つも無いんだって
それを聞いて、私はまだ恵まれてた方なんだな…って思った事が……いや五十歩百歩かなぁ
モモイ「そういえば、アヤネ先輩とユメ先輩は?」
ホシノ「んにゅ?アヤネちゃんとユメ先輩…?ユメ先輩ならそろそろ……」
「急いでください! 遅刻ですよユメ先輩!」
「ひぃん! 足早いよぉ〜アヤネちゃん…!」
先輩2人の声が聞こえてきた
私達の部屋にメンバー全員が集まる
アヤネ「すみません、遅れました!」
ユメ「……ヒィン……ヒィン……疲れたよ〜」
これが私達…アビドス廃校対策委員会だよ! - 110モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 20:58:06
──先生視点──
"……何か気付いた事はある?アロナ、プラナ"
とあるオフィスビルの一角
キヴォトスで唯一外の世界から来た人間の大人が仕事をしている場所
『連邦捜査部シャーレ』
生徒のみんなからは『先生』と呼ばれる人が、タブレット端末相手にまるで会話をしているかのように話す
アロナ《はい、先生。アビドス高校に新たな生徒さんが1人増えていた事を確認しました》
プラナ《その生徒は、未だに連邦生徒会のネットワークに登録されてない方です》
"そっか…ありがとう。アロナ、プラナ"
シャーレの先生がアビドスへ向かった理由とは、2ヶ月前に行方不明になったある生徒の内、1人を探しに来たのだ
アヤネにその娘のスケジュールを聞き、今日もその生徒と会えるチャンスだったのだが…
D.U.地区で大きな暴動が起こり、急遽そっちの対応をしなくてはいけない状態になってしまったのだ - 111モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 20:59:38
"それで…モモイらしき生徒は居た?"
先生の口から信じられない名前が出た
今先生はハッキリと『モモイ』と呼んだのだ
アロナ《……いえ、アビドス高校にモモイさんは居ませんでした…しかし》
プラナ《はい、私と先輩は……『才羽モモイ』と酷似している生徒をこの眼で発見しました》
"…それじゃあやっぱり、そのモモイって生徒は…アビドスに逃げてたかもしれないんだね"
プラナ《肯定……おそらくあの生徒が、才羽モモイの可能性97%かと》
アロナ《やりましたね先生!これは大きな一歩ですよ!》
"うん、ありがとうアロナ。プラナもお疲れ様"
アロナ《いえいえ、どういたしまして!》
プラナ《お役に立ててなによりです。先生》
なぜ先生がモモイの存在を知っているかについては、今から2ヶ月前に遡る… - 112モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 21:04:42
───2ヶ月前 シャーレ───
"それじゃあ…真っ直ぐ帰るんだよ?アリス"
アリス「ハイわかりました!それでは失礼しますね先生!」
アリスが元気よくお辞儀し、自分の学校へ戻っていった
さっきまで賑やかだったシャーレの部屋に静寂が訪れる
ピピッ…
《お疲れ様でした先生、今日もアリスさんは元気でしたね》
タブレット端末から聞こえる女の子の声
私の頼れる相棒、『シッテムの箱』の中にいるスーパーAI、『アロナ』の声だ
《本日の業務は全て終了…お疲れ様です先生、アロナ先輩》
アロナ《お疲れ様ですプラナちゃん!》
そう声をかけたのはもう1人のシッテムの箱の管理者、プラナだ
話すととても長くなるけど、今の私には2人の頼もしい相棒が住んでいる - 113モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 21:11:32
アロナ《それにしても今日は大変でしたね〜、連邦生徒会からの書類仕事にゲヘナ学園とトリニティ総合学校から直接お仕事の依頼があるなんて》
"ハハハ、それだけ私の手伝いが必要って事なら、みんなの先生として本望だよ"
そう答える先生の顔は少し疲れていたが、とても嬉しそうな表情をするのだった
プラナ《……それにしても、今日はモモイさんは来なかったですね?》
アロナ《そう言えばそうですね…モモイさんの事だから、先生に会えるのを楽しみにしてたでしょうし……》
そんな会話をするアロナとプラナ
そう…本来のスケジュールならあの後モモイも一緒にシャーレの仕事の手伝いをする予定が入ってたのだ
そのモモイ本人がなぜか来なかったために、最後までアリスがお手伝いする結果になった - 114モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:20:06
アロナ《風邪でも引いてしまわれたのでしょうか?心配ですねプラナちゃん》
プラナ《そうですね先輩。モモイさんの事ですから、何か厄介事に巻き込まれてなければいいのですが…》
"……ねえ。アロナ、プラナ、一つ質問良い?"
アロナ《ハイ!なんですか先生?》
プラナ《答えれる事なら、なんでも言ってください》
"その『モモイ』って子は、誰の事を言ってるの?" - 115モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:21:31
アロナ《…………えっ!?》
プラナ《……っ!?」》
あの先生から…あまりにも信じ難い発言が飛んできた
アロナ《……なっ…何言ってるんですか先生!?モモイさんですよ!ミレニアムサイエンススクール所属、ゲーム開発部の『才羽モモイ』さんの事ですよ!?》
プラナ《先生……例え先生でも言って良い事と悪い事がありますよ》
シッテムの箱の少女達がそれぞれ違う反応をする
片や困惑して悲しみ
片や失望して怒る
しかし…当の先生は2人の相棒が何故そんな反応を見せるのか全く心当りが無かった
"ごめんね二人とも……でもね、私には二人のその…言っている才羽…モモイ?って生徒の事は全く知らないんだ"
そうはっきりと答えた先生
AIの少女は大好きな先生が全く嘘を言っていない事に気付いた - 116モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:24:53
プラナ(これは……どういう事でしょうか?先生が大切な生徒の一人を忘れてしまうなんて…絶対にあり得ないのですが…?)
そうプラナは素早く思考する
そして…ある一つの可能性が思い浮かぶ
プラナ(もしや……またあの『地下生活者』が何かしらの現象を起こしたのでしょうか?)
数ヶ月前に起きた嫌な事件の事を思い出す
ゲマトリアの1人、地下生活者がアビドスの小鳥遊ホシノと接触し、ホシノの精神とメンタルを揺さぶってテラー化させ、キヴォトスを滅ぼそうと暗躍してたのだ
幸いにもまだ完全に反転してなかったホシノを対策委員会メンバーとゲヘナ風紀委員長のヒナ、もう一つのキヴォトスからこちらへ来たもう1人のシロコ
そして……ずっと眠っていたアビドス生徒会長『梔子ユメ』がホシノの異変に気付いて目覚め、病院から脱走して暴走するホシノ*テラーの元へ向かい、暴走を止めたのだ - 117モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:26:19
しかし、プラナは即座にその考察を否定する
あれから地下生活者からの干渉はピタリと止まった
それに観測した限りだと、反転したもう1人のシロコ
『シロコ*テラー』が地下生活者に釘を刺していた事を知っている
しかしそんな事よりも重大なファクターに気付いた
プラナ(……!待ってください、『何故梔子ユメは生きている』のですか?それに…この記憶に無いのに知っている記憶はなんですか!?)
プラナは思い出す、梔子ユメは3年前にアビドス砂漠で死んでいる事を
プラナの世界でも3年前に死んでいる事実は覚えている
しかし、ついさっき気付いた『存在しない記憶』の梔子ユメの生存
地下生活者の世界の干渉が遅れて来たのか…否
いくら世界の干渉が出来るとはいえ、死んだ人間は生き返らない
既に起こった過去は変えれない - 118モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:27:26
プラナ(この偽りの記憶はいったい……?いえ、それよりもアロナ先輩……先輩?)
アロナ《…………》プルプル…
アロナは泣いていた
大好きな先生の豹変、先生が絶対に言うはずの無い発言にアロナは……
アロナ《バカ!バカバカバカ!先生のバカ!!もう先生のことなんかだっきらいですっ!!!》
プラナ《アロナ先輩!?》
そう言い捨てると頼もしい相棒の1人のアロナはどこかへ消えてしまった
"アロナ……" - 119モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:30:23
先生も今までずっと一緒にいたパートナーがいなくなって落胆している
"…………プラナ、君も私に失望したかい?"
プラナ《…………はい。正直に言うと先生には失望しています》
そう……と呟く先生
プラナ《ですが……》
"……プラナ?"
プラナ《この件は明らかに異常です。つい昨日も接触してたモモイさんの事を今日忘れてしまうなんて都合が良すぎます。おそらくは何者かの干渉を受けたのでしょう》
そう冷静に分析するプラナ
やはり、『あの先生』の相棒だったプラナはこういう時に非常に活躍してくれる - 120モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:31:34
プラナ《先生……梔子ユメさんの事を覚えてますか?》
"…ユメ?覚えてるよ、つい先日にリハビリが全て終わって退院したんだよね?"
プラナ(……!やはり…)
疑惑が確信に変わった瞬間だった
先生はモモイの記憶を失った代わりにユメが生きているという存在しない記憶を覚えていた
プラナ《…………先生、今からお話する事は嘘一つも無い真実のお話です……聞いてください》
そう真剣なトーンで話すプラナに先生も真面目な表情になり、プラナの話に耳を傾ける
"うん。聞かせてくれないかなプラナ。他にも何か気付いた事があったら遠慮なく言ってね"
プラナ《わかりました先生、私の気付いた事もお話します》
これが……先生がモモイの存在を知る事になった切っ掛けのお話… - 121モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:32:38
"それとプラナ、アロナの事だけど……"
プラナ《大丈夫です先生。アロナ先輩も本気で言ったわけではないですし、ちゃんと理解ってくれてますよ。ただ少し時間が必要ですが…》
"ごめんね……アロナの事お願いするね"
プラナ《了解しました。先生》
プラナ「…………」
プラナ「いい加減に出てきたらどうですか?アロナ先輩」
アロナ「…………」
プラナ「先輩」
アロナ「わかってますよプラナちゃん……」
アロナ「確かに先生は本気で言ってましたが、先生は大切な生徒さんを蔑ろにする訳が無い事も……」
プラナ「……」 - 122モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 22:33:40
アロナ「ですから……絶対にこの異変の元凶を見つけましょう!プラナちゃん」
プラナ「…………それでこそ、私の信頼するアロナお姉ちゃんですね」
アロナ「え?プラナちゃん!今の…!」
プラナ「嫌です」
アロナ「ええー!?もう一回!もう一回お願いしますプラナちゃん!」
プラナ「嫌です」 - 123モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 23:07:42
その後、ミレニアムサイエンススクールに侵入者が現れたとの報告を受け、現場へ向かった先生
たまたま近くにいたエンジニア部に事情聴取をする
"はぁ…はぁ……ウタハ、ミレニアムに侵入者が出たって本当?"
ウタハ「ああ…本当の事だよ先生。つい先程、ミレニアムに侵入者が現れた、そして…私達はその人物と会っている」
ヒビキ「確か…小さい女の子だったよね…突然来て『私の事覚えてない!?』って……言ってた気が」
コトリ「そういえば……ゲーム開発部のミドリちゃんと瓜二つでしたね? 最初はドッペルゲンガーかと思いました。あっ…説明しましょう!ドッペルゲンガーとは…(省略)」
《…!先生、もしやモモイさんじゃ!?》
新たに謎が深まる、ミレニアムへと移動中にアロナとプラナから聞いていた人物像と相反する事が起こってるのだ - 124モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 23:08:59
しかし、先程のコトリが言っていた『ゲーム開発部のミドリと瓜二つ』
おそらく……いや間違いなくモモイって生徒だ
そのモモイ本人が何かとんでもない厄介事に巻き込まれてる張本人だと
"それで、その娘がどっちに行ったか分かるかな?"
ウタハ「…すまない、私たちはあの娘がどっちに向かったのかは分からない、けど…」
そう言いながらウタハはミレニアムのある方角へ指を指す
ウタハ「ユウカが言うには、向こうにあるダストシュートの出口から逃走したのではと判断している」
"……それで、そのユウカは?"
ヒビキ「今ならちょうどその出口付近に居ると思うよ」
"……そっか" - 125モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 23:10:10
ヒビキ「…? ユウカの所に行かないの?」
"もう少し事情を聞きたくてね。みんなはその生徒の事をどう思った?"
ウタハ「ふむ……これはマイスターとしての勘だが、あの娘がそのような大層な事をする生徒ではないと思う」
"その理由は?"
ウタハ「理由ね……最初に私たちに会いに来た時の彼女は、なんだか焦っていたようにも見えた」
ヒビキ「そうね…それに、なんだか泣きそうな表情だったかも……」
《…先生。もしかしたらモモイさんは……》
"…………"
ウタハ「先生、実はユウカにはまだ言ってない事があるんだが……」
"何かあったの?"
ウタハ「…………いや、なんでもないよ。そろそろユウカの所へ向かうといいよ」
"わかった。話したくなったらいつでも話してね"
そう言って先生はユウカの所へ走って行った… - 126モモイの記憶ロストの人25/07/05(土) 23:11:15
ヒビキ「……ホントに良かったの?あの事を話さなくて」
ウタハ「ああ……良いんだ。今の先生に余計な情報を与えてしまうのは得策ではないし、これは我々エンジニア部の問題だからね」
コトリ「また怒られるんでしょうかね?」
ヒビキ「どうかな…?今回の事件は私たちが原因…と言うより」
ウタハ「おっとヒビキ、これ以上はいけない。誰が聴き耳立ててるかわからないからね」
コトリ「うーん……装甲面の強化を考える必要性が出ましたね」
ウタハ「それは今後の課題だね。まず先に考えるのは……」
ヒビキ「……………『あの娘』の事、だよね」
ウタハ「まったくだよ……つくづく、我々はとんでもない物を作り上げてしまったと考えさせられるね」 - 127モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 00:34:24
"ユウカ"
「……あっ、先生。来てくれたんですね」
向こうで現場検証をしていた生徒の1人が駆け寄ってくる
ミレニアムサイエンススクールの生徒会、セミナー所属の『早瀬ユウカ』だ
"ユウカ、ここでいったい何があったのか教えてくれる?"
ユウカ「わかりました先生、実は…」
その後のユウカの顛末を聞いた
ミレニアムに侵入した生徒はゲーム開発部部室に入り、口論を交わした後セミナーを襲撃
不利だと判断した容疑者はダストシュートからの逃亡を果たしたとノアから聞かされた
それと…この事を聞いたアリスの様子がおかしくなった事も伝えた - 128モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 00:35:42
"……アリスが?そのアリスは今はどこに?"
ユウカ「…わかりません、けど突然アリスちゃんが『モモイがそんな事するはずがありません!そんな事言うユウカなんか大嫌いですっ!』って言って出て行ってしまいました……」
ショックを隠せないユウカ
しかし先生はユウカの台詞からある事に気付いた
"(私を含め…みんなモモイの事を忘れているのに……アリスだけはモモイを覚えている?)"
疑問に思ったがそれを一旦置いといて、先生は質問を重ねる
"他に何か気付いた事はないかな?些細な事でもいいんだ"
そう聞いたユウカは少し考え込む
すると頭に引っ掛かってたのか、ある情報を教える
ユウカ「そういえば…何故かよくわからないけど、私やミドリの名前を知っていたわね……それに、ミドリに似て……いえ、そっくりでした」 - 129二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 09:59:15
保守
- 130モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 10:51:32
"なるほど、他にも何か気付いた事はある?"
ユウカ「……いえ、特には…」
"そっか…ありがとうユウカ"
何故かわからないが、そのモモイと言う人物はユウカやミドリの名前を知っている
おそらくは、ついさっき会ったウタハたちの事についてもよく知っていると思う
"(アロナ、プラナ……そのモモイって生徒の携帯電話から位置を割り出せる?)"
アロナ《やってみます!》
プラナ《了解です。少しだけ待ってください》
2人の頼もしい相棒にそのモモイって娘の位置を特定してくれれば、なんとかシャーレで保護できると考えたのだが…
「ユウカ。ここから離れた公園に……って先生じゃん」
"……ネル?" - 131モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 10:55:52
C&Cのリーダーの美甘ネルが何か調査してきたのか、ユウカの元へ合流しに来たのだ
ネル「先生も調査に来たのか?っと、んなことより……ユウカ。公園の森林地帯にこんなモンを見つけたぜ」
そう言ってネルが放り出した物は……ゴミ塗れのジャケットと、猫モチーフのネコ耳ヘッドフォンと尻尾のアクセサリーだった
……心なしか、すごく渋い顔をしてる気がする
ユウカはネルが持って来た証拠品を見て…
ユウカ「…間違いないわ。これは侵入者が身に付けてた物と一緒よ!」
ネル「ホントかぁ?確かにコレを付けてたやつとはアタシたちも会ったけどさぁ?とてもそんなやつには見えなかったぞ?」
そんな2人のやり取りの中…先生は……
アロナ《間違いないです!これは才羽モモイさんが身に付けてた物と一緒です!》
プラナ《そのモモイさんがお気に入りのジャケットとアクセサリーを捨てるとは……何か事情があるのでしょうか?先生……先生?》
"……………………" - 132モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 10:59:15
ユウカ「アスナ先輩の直感みたいなのでなんとか特定できませんか?ネル先輩」
ネル「それがさぁ……アスナのやつ、何故だか妙にやる気無いっつか、この件に関してなんかイライラしてるんだよな。『いくらリーダーの命令でもこれだけは絶対に嫌ッ!』って…」
ユウカ「アスナ先輩が?そこまで嫌がるなんて何かあったのかしら?先生はどう……先生?」
ユウカが先生に声をかけようとするが、何か先生の様子がおかしい
先生の視線の先に気付いたネルは
ネル「先生、それがどうかし……」
……突然、先生は全力で走り出した
ネル「先生!?」
ユウカ「ああっ…ちょっと!どこ行くんですか先生!?」
そう声を掛けるも……先生の後ろ姿は遠くへと消えていった
ネル「先生!?」
ユウカ「ああっ…ちょっと!どこ行くんですか先生!?」
そう声を掛けるも……先生の後ろ姿は遠くへと消えていった - 133モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 11:03:24
"……はぁ!…はぁ!……アロナ!プラナ!モモイって娘の携帯の特定はまだ!?"
アロナ《今やってますっ!先生!》
プラナ《……!信号は途絶えてますが、最終地点を捕捉…これは?》
アロナ《先生!急いでください!》
居場所を特定したアロナとプラナの協力の元、急いで先生は指示された場所へ向かう
たどり着いた場所は…D.U.自治区外
…………アビドス砂漠への入り口だった - 134モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 11:06:48
"ここは……まさかそんな……"
最終地点へ全力で走った先生が見た光景は、あまりにも広すぎるアビドス砂漠の景色
プラナ《……………………先生、おそらくですが……もう…モモイさんは……》
プラナの声に落胆の色が混ざる
プラナもまた…その事実を信じたくないのだろう
"そんな……嘘だよね…モモイ……せっかく…君の事を思い出せたのにッ!!"
モモイに何が起こったか分からないが……ここで信号が途絶えたという事は、彼女の身に余りにも悲惨過ぎる最期を迎えたのだろう
アロナ《…………ぐすっ……せんせぇ…》
プラナ《…………………………》
"ううっ…うわあああああああああああああああ!!!!!"
夜のアビドス砂漠に先生の泣き叫ぶ声が響く…
今日……先生は最愛の生徒を一人亡くしたのだ………… - 135モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 11:09:44
……その日から数週間がたった
あまりの虚脱感に仕事をする気力も無く、その事を心配された連邦生徒会からは長期間のお休みを頂いた
各地の生徒達が先生を心配しにお見舞いに来たが、魂の抜けた先生には、傷を癒すには長い時間が必要と思い…みなそっと元の学校へ戻っていった
そしてもう一つ…
ミレニアムサイエンススクール所属の
『天童アリス』が行方不明になった - 136モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 11:11:49
モモイとアリスがいなくなってから約1ヶ月…先生の心の傷が少しづつ癒えてきた頃、シャーレにもアビドスのとある噂が流れていた
なんでも1ヶ月前、アビドス高等学校に期待の大型新人が転校してきたとの噂だ
それと同時に……かなり髪の長いゴツイ武装をしている女の子の目撃情報
武装している女の子は、おそらくアリスだろう
それよりも、噂とはいえ…一筋の希望の光が見えた
【才羽モモイは生きているかもしれない!】
"アロナ、プラナ、アビドスへ向かおう!"
アロナ《…っ……ハイッ!先生》
プラナ《どこまでもお側にいます、先生》
ずっと暗かったシャーレに笑顔が戻ってきた - 137二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 20:03:27
保守
- 138モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 23:53:58
モモイ「……はぁ~…今日もツッコミ疲れた」
ユメ「お疲れ様、モモイちゃん」
そうボヤキながらユメ先輩と帰宅する
いつもの事ながら、今日もアビドス定例会議はカオスの極みだった
まず毎回のお約束の如く、セリカ先輩がまた騙されてネックレスを購入させられてた
その次もお約束通り、シロコ先輩が銀行強盗の提案をしてきた
毎回毎回しっかりと計画を練って来ているが、ホシノ先輩が当然却下
次にノノミ先輩が地域密着形のイベントを提案してきた
銀行強盗よりはマシとはいえ、私達はアイドルでもなんでもないので却下
ちなみにユメ先輩の提案は即却下された
あとついでにアヤネ先輩がテーブルをひっくり返した - 139モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 23:55:07
最後に私の提案なんだけど…小さなチャリティーイベントか何かで物を作ったり作品を用意して外の人達に少しでも興味を持ってもらえないかなと言う案を伝えた
…満場一致で採用された
アビドスのみんなは物を作って販売するという発想が無かったみたい
過去にアリス達とゲーム開発部でゲームを作ってた知識が役に立った
ユメ「モモイちゃんはこの後バイト?」
モモイ「うん、柴関ラーメン屋さんのシフトが入ってるよ」
お金が無かった私に、セリカ先輩と柴関ラーメンの大将さんが『それならこの店で働かない?』って言ってくれた
今では私目当ての常連さんも増えて楽しく働いてるよ! - 140モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 23:56:07
モモイ「あっ、ユメ先輩……私がいないからって勝手にキッチンに立たないでくださいよ」
ユメ「ひぃん…あれはモモイちゃん1人じゃ大変かなぁ〜…って」
モモイ「そう言って目玉焼きすら焦がしたり包丁で足を切ったのはどこの先輩ですか…?」
ユメ「ひぃん……ご、ごめんなさいモモイちゃん…」
そう、私は今…ユメ先輩のお家に住んでいるの
住む場所も無かった私にユメ先輩が…『それならウチに来ない?けっこう広いから1人増えても大丈夫だよっ!』って言って急遽決定された
それからはユメ先輩と一緒に寝泊まりする事になったんだけど……この人今までよく生活出来てたね?ってレベルで酷かった
余談だけど、ホシノ先輩が羨ましそうに私を見ていた… - 141モモイの記憶ロストの人25/07/06(日) 23:59:36
モモイ「…というか、なんで包丁で食材を切ってるだけなのに足を切るんですか???しかもふともも…」
この人の料理スキルはある意味酷い
レシピ通りに作ってるのに料理を焦がしたり
調味料の量を間違えたり
それなのにスイーツ系だけは完璧に作れると…
あとモモイちゃんが家に住んで1ヶ月記念と称して冷凍の丸鶏を丸々揚げようとした時は全力で止めた
その後作った鶏の蜂蜜漬け焼きはめちゃくちゃ美味しかった
そして確信した、この先輩は私抜きじゃ生きていけないと……
いちおう、入院する前までは普通に生活できてたらしい
それでもタンスの角に薬指をぶつけたり、階段から滑り落ちたりは変わってないそうで…
ホント大丈夫かなぁこの先輩!? - 142モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 00:00:45
モモイ「それと、私ちゃんと起こしたのになんで遅刻したんですか?」
ユメ「ひぃん……ごめんなさい、お布団が気持ち良くって……」
モモイ「……まぁ、気持ちはわかるけど…」
毎朝ユメ先輩を起こすのも日課のひとつ
あまりにも幸せそうに寝てる姿を見ると心が揺さぶられるけど、もう既に慣れた自分がいるもので…心を鬼にして叩き起こしてるの
あとお察しの通り、私が料理担当なの
前にアリス達と一緒に柴関ラーメンの味を再現しようと美食研究会の生徒さんみんなと研究した覚えもあるよ
結果は失敗だったけど、美食研究会のリーダーさんが『それでもここまで美味しいラーメンを作れる才能に感服いたしましたわ』って褒めてくれた
……そういや名前誰だっけ?ズンコだっけ? - 143モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 00:02:17
──その日の夜──
ユメ先輩が寝静まった頃、私はこっそりと家を抜け出す
モモイ「うへぇ〜…今日は少し冷えるね」
夜間にアビドス市街地をパトロールするのが私の日課になっていた
同じく夜間パトロールしているホシノ先輩とバッタリ会う事も偶にある
何故こんな事をしているかと言うと、いつも私の記憶について考えていたから
モモイ(…アリス……ユズ……今頃なにしてるのかな?)
思い浮かぶのは…かつてのゲーム開発部
3人での楽しかった記憶を思い出そうとする、けれど……
モモイ(…………駄目だ…やっぱり何かが足りない気がする……)
パズルの最後のピースが見つからないもどかしさに悩まされる
そんな考えを一旦振り解き、私はパトロールを続けた
ホシノ先輩も巡回してるとはいえアビドスの治安は悪い
少しでもホシノ先輩の負担を減らそうと徘徊を続ける
モモイ「それにしても…今日は月が綺麗だね、まるで2ヶ月前のあの時みた………」
"やっと見つけたよ…モモイ" - 144二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 08:56:24
保守
- 145二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 16:20:00
ほしゅ
- 146モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:41:00
※保守かんしゃ〜!
「……………………えっ?」
目の前の少女が驚きに振り返る
アビドス高校の制服に身を包み、姿が大きく変わっているけど間違いない……
この娘が……私がずっと探していた『才羽モモイ』なのだと…
特徴的なネコ耳ヘッドフォンや尻尾は無く、髪も肩より下まで大きく伸びた少し大人びた女の子
それでも、彼女が背負ってるピンク色のイメージカラーの銃と、夜の背景に煌めく綺麗な金色の髪でわかった
"君が……才羽モモイだよね?ずっと探してたんだ"
そう声を掛ける、目の前の少女はとても驚いていた
"少し時間を貰えないかな?モモイとお話がしたいんだ"
そう言って私は右手を差し出した - 147モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:43:26
突然の提案と差し出された右手に戸惑いを隠せない少女
相手からしたら、もしかしたら知らない大人から声を掛けられたと警戒してるのかもしれない
けれどもユメから事前に聞いている、『モモイちゃんも先生に会ってみたい』と
先生は静かにモモイの返事を待つ
しかし…モモイからは予想外の回答が返ってきた
「…………アンタ誰?もしかしてストーカー?」 - 148モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:44:53
"モモイ!?"
「うん。なんで私の名前を知ってるかわからないけど、名字はハズレだよ」
そう言いながら少女は改めて先生の正面に向き直る
「私の本当の名前は『梔子モモイ』、アンタが言っている才羽モモイとは全くの別人だよ」 - 149モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:46:02
"モ……モイ…?"
目の前の生徒はいったい何を言っているのだろうか
私が聞いたモモイ本人ではなかったのか?
私の勘違いだったのか…?
……いや、スーツの内ポケットに仕舞ってあるシッテムの箱が小刻みに震えている
《先生!その生徒さんの様子はおかしいですが、間違い無く本人です!》
《この眼で観測して確信が持てました、目の前の生徒さんは100%…『才羽モモイ』さん本人です》
先生にしか聞こえない2人の頼もしい相棒がそう答えた
どういう理由なのか分からないけど、モモイは私に敵対している - 150モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:47:12
「それで、このおじさんに何か用?ナンパならお断りだけど?」
そんな冷たい口調で話しかけてきたモモイ
まるで別人になったかのような振る舞いに先生は戸惑う
"えっと…君と話がしたいんだ!君の事を教えてくれないかな?"
そう聞いたモモイは……
「やっぱりナンパじゃん。さっきお断りって言ったよね?おじさんは忙しいの、帰ってくれる?」
モモイの取り付く島もない口調に言い淀む先生
それでもモモイとなんとかコミュニケーションを取ろうとするが
"少しだけでいいんだ!話を……"
カチャ…
モモイが拳銃をこちらに向けてきた - 151モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:48:18
"…っ!?"
《モモイさん!?》
「これは警告、それ以上近付くなら撃つよ?」
"モモイ……!"
モモイの目は笑ってなく、本気の目だった…
《警告、これ以上の接触は危険と判断します》
《先生!ここは一度引いてまた別の機会に接触しましょう!》
"…………いや"
《先生!?》
それでも、先生が先生である為に…モモイとの会話を続けようとする
"驚かせてしまったのなら申し訳ない。私は『邦捜査部、シャーレの……"
パァン! - 152モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:49:30
「…………」
"モ……モイ?"
撃った……モモイが先生に向けて銃を撃った
しかし撃った弾は先生の顔スレスレで通過していった
「これは最終警告……次は当てるよ、外から来たシャーレの先生……」
《先生!これ以上は本当に危険です!撤退を!》
《お願いします先生!今日の所は引いてください!!》
2人の相棒が忠告してくれてる
あの普段は冷静なプラナでさえもこの状況に焦っていた
「……まぁ、突然撃ったのはごめん。でも先生が悪いんだからね。じゃ、おじさんはこれで…」
"あっ……"
そう言ってモモイは夜の闇へと消えていった…… - 153モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:51:40
──モモイ視点──
モモイ「はぁぁぁ〜……何してんの私ぃ!?」
噂のシャーレの先生が私に会いに来た
その事はまぁいいんだけど……下手したら私、人殺しになってたよね!?
シャーレの先生にはヘイローが無かった、つまりはロボ市民や獣人みたく拳銃の弾1発で致命傷…下手したら即死だ……
モモイ「はぁ……ちょっと追ってを警戒しすぎたかな?」
正直、シャーレの先生に興味は無い事は本当
でも先生にこの事を話したらなんとかしてくれるんじゃないかなって謎の信頼感がある
モモイ「…………あれ?」
『私は初めて出会ったのに信頼感?』どういう事?
私は先生の事を知っている…? - 154モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 18:53:09
モモイ「うっ……ぐっ…頭がっ!」
頭が……割れるように痛い…!
私は…何者なの?
わたしは……過去にいったい何をしていたの!?
「……うへぇ!?も…モモイちゃんどうしちゃったの!?」
そこに偶然ホシノ先輩が通りかかった
モモイ「ホシノ……せんぱ…………」
そこで私の意識は途切れた…… - 155モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 22:39:40
……パァン!
遠くの方から銃声
そして……その後聞こえた、聞き覚えのある声…
……けれども私は……───はこの声を知っています
───に、居場所をくれた……
───に、娯楽を教えてくれた……
───に、大切な仲間をくれた……
「……やっぱり、ここにいたんですね……モモイ」
───は街を見下ろします
この街に……私の大切な人が存在しています
「……待っててくださいねモモイ、今…アリスがモモイを迎えに行きます!」 - 156モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 22:40:45
「……はい……はい……ええ、なるほど…分かりました、私達にお任せください」
ガチャン…
「…社長、また新しい依頼?」
「ええ、そうよ。なんでも…アビドス地区に逃げたかもしれないあるターゲットを探してとの事よ」
「くふふ〜、またアビドスか〜私達、何かと縁があるみたいだね〜!」
「いったい…どんな方なのでしょうか……?」
「さぁ? それを調査するのも私達…『便利屋68』の仕事よ」
「はぁ…また社長は安請け合いして……それで? 依頼主は誰なの?」
「依頼の相手は……ミレニアムの早瀬ユウカよ」 - 157モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 22:42:20
「ミレニアムがわざわざ私達に…?」
「詳しくは知らないのだけれど…知り合いのツテで個人的に依頼したいそうよ」
「ん〜…でもユウカちゃんが私達便利屋に依頼するなんて不思議だな〜?」
「また…シロコさん達と戦うのでしょうか?」
「今回は調査が目的よ、可能なら始末してくれても良いとも言っていたけどね」
「…………」
「さあ行くわよムツキ、カヨコ、ハルカ、私達便利屋68の実力を見せてあげるわ!」 - 158モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 22:46:04
──次の日…
モモイ「……その、昨日はすみませんでした…ホシノ先輩」
ホシノ「あ〜…気にしないでよモモイちゃん。誰だって体調が悪くなる時くらいあるさ」
あの後…気を失って眠ってしまった私をホシノ先輩の家まで運んで寝かせてくれたらしい
また私…ホシノ先輩に迷惑をかけちゃったな……
ホシノ「ところでさ、昨日はいったいどうしたの?」
モモイ「あ〜…実は……」
私はホシノ先輩に昨日あった出来事を全て包み隠さず話した
ホシノ「………………」
ホシノ先輩は驚愕していた
そりゃそうだよね、ガチの一般人である先生に発砲だなんて
モモイ「ごめんなさいホシノ先輩…当てなかったとはいえ、先生を撃っちゃって」
ホシノ「……いやそっちも確かにそうなんだけどさ、一ついいかなモモイちゃん」
私は先輩の言葉を待つ、すると…
ホシノ「…なんでおじさんの真似なんかしてたのさモモイちゃん???」
モモイ「いやそっち!?」 - 159モモイの記憶ロストの人25/07/07(月) 22:47:59
- 160モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:40:46
『次からはちゃんとお話するんだよ?』っと言われ、ホシノ先輩の家を出た
何をするでもなく、ただ街を歩く
思い出すのは昨日の出来事…
モモイ(……今思っても昨日の対応は無いなぁ〜…なにやってんの昨日の私ぃ〜!?)
そう自己嫌悪に落ちつつも気晴らしに散歩を続ける
とりあえずただ歩くだけでもいいから気を紛らわそうと考える
モモイ「…よし!昨日は大ボカちゃったけど、次先生に会ったら私の気持ちを伝えるんだ!」
そう一人で決意する
でも、この発言を第三者が聞いていたらまるで次こそは告白するみたいな言い回しにも聞こえるよね… - 161モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:42:24
モモイ「って、これじゃあ先生に告白するみたいじゃん……ナイナイ!だって教師と生徒だよ!?ありえな……」
…………あれ
なんで…? 先生の事なんかどうでもいいはずなのに……心が痛い…
まさか過去の私って……いや! 絶対に無いからっ!
〜〜〜
「……あの娘が今回のターゲットなの?アルちゃん」
アル「今は社長と呼びなさいムツキ室長。……そのはずなんだけど、依頼主から聞いていた印象とは全然違うわね…」
ハルカ「ど…どうしますかアル様?今なら襲撃できますが…?」
アル「待ちなさいハルカ、もう少しだけ様子を見ましょ。あんな見た目してるけど実はとても恐ろしいアウトローかもしれないわ」
ムツキ「んー?でもとてもそんな風に見えないけどな〜?今はカヨコちゃんもいないし」 - 162モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:43:55
ハルカ「カヨコさん、いったい何処に行ったのでしょうか?」
アル「私にも分からないわ、なんでも『ちょっと気になる事があるから別行動するわね』…とは聞いてるけど」
ムツキ「もしかしたら、アルちゃんが受けた依頼に偽物の情報があったりしてねー!」
アル「そ…そんなわけないじゃない!今回の依頼元はあのミレニアムなのよ?間違った情報なんて送るはずがないわ!」
ムツキ「でもさーアルちゃん。そもそもの話、ミレニアムがわざわざ私達便利屋に普通依頼するかな?いくら依頼主がアルちゃんの知り合いとはいえ、何かおかしくない?」
ハルカ「わ…私はアル様の事を信じてますから!」
アル「う…うるさいわね!きっと私たちには知り得ない深い事情が…」
「…………貴方達、何してるの?」 - 163モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:45:08
…!?
アル「あ、貴方…いつの間に!?」
モモイ「そりゃあれだけ大声で話してたら普通は気付くよ…」
ムツキ「あ~あ、アルちゃんがうるさくするからバレちゃったねー!」
アル「わ、私のせいかしらコレ!?」
ハルカ「すみません!すみません!すみません!五月蝿くてすみません!こうなったら切腹してお詫びを…!」
モモイ「わー!ストップストップ!?わざわざしなくていいからっ!というかどこの武将の人なの!?」
モモイ「ところで、貴方たちゲヘナの生徒だよね?アビドスに何か用事?ひょっとして何か依頼でも受けてたりして!」
アル「……!?ななな…なんでその事を!?」
モモイ「え…ただの冗談だったのに本当なんだ……」
ムツキ「あ〜あ、アルちゃんのせいでバレちゃったね〜!」
アル「うぐっ……確かにこれは私がボロを出したせいだけど…」
ハルカ「すみません!すみません!やはり私が死んでお詫びするしか!」
モモイ「だからやめて!?寝覚めが悪くなるよ!?」 - 164モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:53:08
- 165モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:57:32
モモイ「すっごいな〜!プロでアウトローだなんて、かなり名前が広そうだね!まぁ私は知らなかったけど」
アル「ええそうよ。けど貴方のような娘に知られてないようでは私たちもまだまだプロには程遠いわね」
モモイ「謙虚だな〜!憧れちゃうな〜!」
アル「フッ…それほどでもないわ」
褒められる事に慣れてないのか…はたまた、アウトローと呼ばれた事に響いたのか…
気分が良くなったアルは彼女が依頼のターゲットだという事をすっかり忘れてしまった
アル「貴方…人を見る目があるわね」
モモイ「私は元々人を見る目は多少はある方だけど、一目見た瞬間に何か有名なチームだと分かったよ!」
アル「フフフ…そうでしょうそうでしょう!なんてったって私達はあの悪名高い、情け無用…金さえ払えばなんでもやる、便利屋68だもの!」 - 166モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 05:59:49
ムツキ「あれ?よく見たらあの娘…アビドスの生徒だ」
ハルカ「そういえばそうですね…ど、どうしますかムツキさん?」
ムツキ「…面白いから放置で♪」
ハルカ「……ですよね」 - 167二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 14:42:24
保守
- 168二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:29:06
保守
- 169モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:37:08
──柴関ラーメン屋台──
アル「フフフ…今日の私は気分が良いわ。だから社長として好きな物奢ってあげるわ、遠慮なく頼みなさい!」
ムツキ「わー!アルちゃんってば太っ腹〜!」
ハルカ「今日はお腹いっぱい食べていいんですか!?でしたら…このチャーシュー麺をお願いします」
ムツキ「じゃあ私も同じの。大将〜チャーシュー麺4人前で!」
大将「あいよ!しっかしなんだいアルちゃん、今日は景気が良いねぇ!」
ちょうどお昼になった頃
すっかりハイテンションになったアルは依頼の事を忘れ、ターゲットのモモイと共に柴関ラーメンへと足を運んだのだ
モモイ「えっと……私まで奢って貰って良かったの?」
アル「なに言ってるのよモモイちゃん、貴方はまだまだ成長期なんだからたくさん食べないと!」
ムツキ「そうだよモモちゃん。アルちゃんがこう言ってるんだから遠慮しちゃダメだよ?」
ハルカ「あ…アル様はとっても心が広いお方ですから…心配しなくても大丈夫です」
モモイ「う、う〜ん?わ…わかりました…………モモちゃん???」
ちなみに、ここに来るまでに互いに挨拶を交わしている
これで本当に良いのかなぁ?と思いつつ、ご相伴に預かるモモイなのであった - 170モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:38:43
──20分後──
アル「そう……貴方とても大変だったのね…」
モモイ「そうなんだよ〜!ホントに私が何をしたって言うのさ〜!?」
ラーメンを食べながら、モモイは思わず自分の過去に起きた出来事を話していた
すっかり意気投合した2人は互いに共感しながら尚も話し続ける
アル「にしても酷い連中ねミレニアムの連中は!みんな貴方の事を忘れてるうえに襲撃者の汚名を着せるなんて!」
モモイ「ホント酷いよ!そのせいでアビドスに逃げて死にかけたんだもん!でもそのおかげもあって今の先輩達に助けられたんだ!」
モモイもテンションが上がってる為か、聞いてもいない情報をペラペラと喋る
なんの疑問も無く真摯に聞いているのはアルただ一人だけ - 171モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:39:51
ムツキ(……どういう事?モモちゃんがミレニアムの襲撃者?)
ハルカ(どうしますか?とりあえずここで撃ちますか!?)
ムツキ(いや待ってハルカちゃん。……アルちゃんから聞いた情報とモモちゃんの話の辻褄が合わない…)
アルが依頼主から聞いた情報はミレニアムを襲撃し、ある物を盗んだ犯人がアビドスへ逃げたかもしれないから便利屋に調査を頼まれた
しかし、モモイの言っている事が本当なら情報が食い違っている
ムツキ(モモちゃんの様子からして…ミレニアムから逃げたのは本当の話。だとするとわざわざ戻って襲撃だなんて自ら捕まりに行く行為をモモちゃんがするはずが無い…どういう事?)
そう一人静かに考察していく中…モモイとアルの話はヒートアップしていく - 172モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:41:09
アル「なな…なんですって!?貴方みたいないい娘が死にかけるだなんて!?…でもその先輩達に助けられて今のモモイちゃんがいるのね」
モモイ「そうなんだよ!すっごく強くて頼もしい先輩達のおかげなんだ!今も住む場所の無い私に帰る家を貰ったんだよ!」
アル「うう…なんて健気な優しい娘なの……!もし私が同じ立場なら絶対に貴方を守ってみせるわ、便利屋68の誇りに賭けて!」
大将「くぅ~感動するねぇお二人さん!そぉら、この餃子はサービスだ!たーんとお食べ!」
モモイ「わ~い!ありがとう大将さん!」
アル「あら…わざわざ悪いわね大将。それじゃあムツキ、ハルカ、ありがたく頂きましょ」
ムツキ「ラッキー!実は餃子も頼むか悩んでたんだ〜!」
ハルカ「あ…ありがとう御座います!」
二人の楽しい昼食はもう少し続いた - 173モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:42:10
- 174モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:43:10
アル(どどど…どうする?どうするの私!?奢ると言った手前、もう後には引けないし…かと言って無銭飲食なんて私の目指すアウトローじゃないわ!)
そう高速思考をする、しかし現実は変わらない
様子のおかしいアルに気付いたムツキはある疑問を投げつける
ムツキ「……もしかして、お金無いの…?」
アル「ギクゥ!?」
モモイ(…ギクゥなんて実際に口にする人初めて見た……)
アル「そそ…そんなワケないわよ!?ただ…ちょっと……思ってたよりは…………足りないな〜って……」
モモイ(ええ……こんなので奢るって言ってたの…?) - 175モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:44:40
ムツキ「あ~あ、やっちゃったねアルちゃん。このままだと無銭飲食だよ?過去にもお店を爆破して怪我させたのに、今度は一文も払わずに食い逃げだなんてさっすがアルちゃん!どんどん罪が増えるね〜!」
アル「うぐっ…」
モモイ(お店を爆破?いったい何があったのさ……)
大将「なんだいアルちゃん、そんな厳しいのかい?…しょうがねーなー、今日の分はツケでいいから今度まとめて払ってくれや」
アル「そ…そんなわけにはいかないわ!ただでさえ私たちは大将に頭が上がらないのに、それをツケで良いなんて…そんなのアウトローじゃないわ!」
大将「けどよぉ…実際問題、今は持ち合わせが無いんだろ?わかるわかる、オレもガキの頃は苦労したモンだぜ…」
そんな二人のやり取りに心が痛んだのか、モモイが思い切って口にする - 176モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:45:54
モモイ「…あの!ここは私が払うよ!」
アル「…へ?」
大将「おっ?」
突然の第三者の発言で困惑するアル、驚く大将
そんなモモイをムツキが止めた
ムツキ「いやいや…そこまでしなくてもいいよモモちゃん。これは私たち便利屋の問題なんだからさ」
ハルカ「そ…そうです。モモイさんが気にする必要は無いんですよ?なんだったら私が死んで詫びますからっ!」
「いや…それはオレが困るんだが……」と呟く大将
しかしモモイは既に決めていた事なのかはっきりと自分の意識を告げる
モモイ「ううん、もう決めた事だから…大将さん!次のバイト代差し引いて良いから私に支払わさせて!」
そう答えたモモイ、まるで生徒の為に自分を犠牲にする先生の事を思い浮かべる便利屋の3人なのであった… - 177モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:47:23
大将「…しっかしモモイちゃんも顔が広いねぇ!アビドスに住んでまだ2ヶ月なのにもう外のお友達が増えるのんて」
アル「……へ?」
モモイが4人分のお会計を済ませた後、柴大将がふとそんな事を言った
ムツキ「いや~、別に私達とモモちゃんは友達……でいっか!ついさっき出会ったばかりだけどもうアルちゃんと意気投合してるし」
ハルカ「そ…そうですね、アル様がこんなにも楽しそうなの、久しぶりに見ました」
大将「出会ったばっかだって?やっぱりモモイちゃんにゃ人を惹きつける何かがあるのかもしれねーな!」
「大将さんったら褒めすぎだよ〜!」と軽い冗談を言いつつも微笑ましい空気
そんな空気を破壊するかの如く、アルが喋り出す
アル「と……友達なんかじゃないわよぉーーー!」 - 178モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:48:44
アルが放った一言により、一気に場の空気が凍る…
アル「何かおかしいって頭の片隅にあったけどそうよ!この屋台よ!」
ムツキ「アルちゃん!?」
アル「私たちは仕事をしにアビドスに来たのよ!ハードボイルドに!アウトローっぽく!!」
ハルカ「アル様!?」
アル「なのになんなのよこの娘は!元々この娘は私たちの依頼のターゲットなのよ!?それなのに接触してこんな和気あいあいとした雰囲気になったあげくラーメンを奢られるなんて、そんなの私が目指すアウトローなんかじゃないわ!!」
モモイ「…っ!ターゲット…!?」
そう聞いた瞬間モモイはすぐに背後に飛び退き臨戦態勢を取る
その眼はさっきまで仲良くしてた穏やかな顔ではなく、モモイの敵を睨見つける戦闘者の顔付きになっていた
ムツキ「…あ~あ、ついにバレちゃったね。私としては、このまま何も知らずにモモちゃんと友達の関係でいたかったんだけどな〜?」
そう言うムツキは心の底から残念そうに言ってる…気がする
モモイは背中に背負った元ゲーム開発部デザインのポジティブ・メモリーズを構えつつ、自身の敵に向かい質問を投げる - 179モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 20:53:39
モモイ「…アンタたち、何が目的?誰に依頼されたっ!?」
ムツキ「依頼主は私たちの顧客関係に関わるから言えないけど、目的については答えてあげる」
そう淡々と話すムツキ、さっきまでの無邪気そうな雰囲気はどこへ行ったのか
今のムツキはとても冷たく感じる…
ムツキ「私たち便利屋の目的はモモちゃんの調査、可能なら貴方の排除もお願いされてるね」
モモイ「…!まさか、貴方たちがミレニアムから差し向けられた追って!?くっ…油断しすぎた!」
ムツキ「そこまで気付くなんて、やっぱモモちゃんって勘が良いね〜!」 - 180モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 23:46:19
モモイはすっかり油断していた
と言っても、何時ミレニアムやヴァルキューレからの追っ手が来てもいい様にある程度の気は張っていたのだ
しかし、アル達が依頼でアビドスに来た事は察していたけど、まさかそのターゲットが自分だとは予想もしてなかったのだ
ムツキ「さてどうするアルちゃん?ターゲットに知られてしまったけど、一旦逃げる?」
アル「そんなの駄目に決まってるでしょ!滅茶苦茶でグダグダよ!そもそもこんな屋台があるせいでこうなってるのよ!?私が一人前の悪党になるには貴方も、こんな屋台も要らないのよっ!!」
ハルカ「…………そうですか」
ムツキ「…?ハルカちゃん?」 - 181モモイの記憶ロストの人25/07/08(火) 23:47:54
今まで黙っていたハルカが急に喋り出す、その姿は異様な雰囲気に包まれていた
アル「……ハルカ?」
アルも頭が冷えたのか、平社員のハルカの名を呼ぶ
……心なしか、なんだかデジャヴを感じる
ハルカ「…それなら、またこんなお店……破壊してもいいですよねッ!」
アル「…!?」
ムツキ「まっ…!ハルカちゃんストッp…!」
モモイ「……ッ!」
カチッ… - 182二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 08:56:24
保守
- 183二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 13:32:17
おお、懐かしい
前スレから見てたよ、おかえり - 184二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 17:50:29
保守
- 185二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 18:22:53
保守。続きが楽しみ
- 186モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:08:45
──同時刻、アビドス高校──
アヤネ「大変です!アビドス自治区内で大規模な爆発が!」
シロコ「!」
ホシノ「場所は?特定急いで!」
アヤネ「今やってます……これはっ!?」
ノノミ「どうかしたんですかアヤネちゃん?」
アヤネ「…場所は、柴関ラーメン屋台近辺です!」
セリカ「また柴関!?なんでよ!」
ノノミ「お店の大将さんは大丈夫でしょうか…?」
シロコ「ん……そういえば、モモイと連絡がつかない」
ユメ「…!モモイちゃんが危ない!早く助けに行こっ!」
ホシノ「ユメ先輩!?」 - 187モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:27:39
──柴関ラーメン屋台近辺──
モモイ「……ゴホッ…ガハッ!」
大将「モモイちゃん!無事かい!?」
モモイ「…ゲホッ!…これが無事に見える!?……ゴフッ…!」
爆風と土煙がようやく晴れて見えたモモイの姿は酷いものだった
頭から血は流れ、身体の至る所がボロボロ
おまけに口から少しとはいえ吐血もしている
あの後モモイは咄嗟の判断でハルカが設置した爆弾を回収、だがしかし、爆発までに処理が間に合わないと判断したモモイは自分の身体を盾に大将とお店を守ったのだ
しかし、モモイの小さな身体では完璧に守り切れず、屋台だけでなく周りにも甚大な被害が出てしまった - 188モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:29:38
モモイ「ぐっ………いきなり爆破なんて……正気なの…!?」
爆発の直撃だけでなく、爆風でも吹き飛んだモモイにかなりのダメージが入ったようで言葉に覇気が無い
直に爆発を受けたお腹の所はまるで抉れたように破れた制服には焦げ後がついてある
それでも立ち上がり、銃を構える
アル「…ウソでしょ?アレを喰らってもまだ立てるの!?」
ムツキ「モモちゃんすごーい!予想以上に強くてビックリしちゃった!」
モモイ「はぁ…ハァ……先輩に鍛えられてるからね…」
荒い呼吸をしながらもまだ戦う意思は消えていない
ハルカ「フフフフフフ……アル様の敵は…私が排除します!」
モモイ「はぁ……はぁっ……かかってきなよ!返り討ちにしてあげる…ッ!」
モモイとハルカの戦いが始まった… - 189モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:41:54
ダダダダダダッ!
モモイ「くっ…相性が悪いッ!」
戦況はモモイが不利な状態だ
まず単純に相手が硬い、その事をハルカも理解してるのか、突撃とショットガンの高速乱射を上手く使って攻めてくる
いくらモモイがホシノに鍛えられたとはいえ、元々の自分のポジションは中距離からの援護射撃がメイン
前に不良共にやってみせた近距離での立ち回りはホシノから借りたショットガンがあったからこその戦闘スタイル
ハルカ「死んでください死んでください死んでください!」
それと、単純に突撃してくる相手と硬い敵が苦手なのだ - 190モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:57:01
モモイ「せめてショットガンが手元にあれば…っ!」
幸いモモイの機動力で超至近距離のSGによる乱射は避けられてるが、やはり爆発によるダメージを隠し切れず、少しづつ追い詰められてく
大将「モモイちゃん!コイツを使いなっ!」
モモイ「!」
そんなモモイを援護するように柴大将が何かを投げ入れた
モモイは素早く予測落下地点へ跳躍し、投げられた物をキャッチする
モモイ「…ショットガン?これなら行ける!」
銃を上手く受け取ったモモイはすぐに戦闘態勢に戻る
モモイ「……今度はこっちが攻める番だよ」 - 191モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 21:59:01
その後の状況は一変した
さっきまで逃げの一手だったモモイが攻めに入ったのだ
ハルカ「うそ…さっきまで逃げ腰でしたのに…!」
モモイ「私を甘く見ないでよね!」
互いに譲らないワンインチ距離からのSGの応酬
少しづつだがハルカにダメージが蓄積され、逆にモモイには当たらない
徐々にモモイが有利になっていく
ハルカ「なんで…なんで当たらないんですか!?…う、うわぁぁぁあ!!」
モモイ「当たらなければどうという事はない!」
功を焦ったハルカ、その隙を見逃すはずもなくモモイがハルカの持つ銃を蹴り上げる - 192モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:08:32
モモイ「…遅い!」
モモイが放ったサマーソルトめいた蹴りはハルカの銃を高く跳ね上げる
ハルカ「ああっ!」
モモイ「倍返しだぁぁぁ!!!」
ハルカが啞然と空を見上げる
その隙にSGとARの一斉射撃でハルカを落とした
モモイ「…私の勝ちだね、で?まだやる気なの貴方たち?」
残心はせず残り二人の敵、アルとムツキを睨む
そんな二人は予測を遥かに超えていたモモイの戦闘力に驚いていた
アル「嘘でしょ…?ウチのハルカがあの一瞬でやられるなんて…!」
ムツキ「ここまでモモちゃんが強かったなんて…予想外。どうするアルちゃん?向こうは逃がしてくれそうもないよ?」
緊縛した状況の中…二人になってしまった便利屋にさらに不利な状態が訪れる - 193モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:12:50
「……モモイちゃん!無事!?」
そう言って駆け付けて来たのはユメ先輩含むアビドス廃校対策委員会のメンバー達
ホシノは辺りの惨状を察しつつも便利屋の二人に問う
ホシノ「さて……ゲヘナのアルちゃんとムツキちゃんだよね。…どういう事か説明してもらえるかな」
あからさまに目が笑ってないホシノ
ユメほどではないが溺愛してる後輩の一人でもあり、唯一の愛弟子のモモイが明らかに重症を負ってるのだ
セリカ「アンタ達…柴大将になんの恨みが会ってこんな事するの!?」
シロコ「それに…ウチの可愛い後輩をよくもイジメてくれたね」
便利屋に怒りを向けるシロコとセリカ
その渦中にいるモモイも構えを解かずに静観している - 194モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:14:04
ムツキ「…どうするのアルちゃん?向こうもヤル気満々だし、ハルカちゃんも気絶してるから逃げる事も不可能だよ……アルちゃん?」
アル「…………」
ムツキは気付く、アルが不自然に黙っている事に…そして何を思ったのか、ゆっくりとホシノ達の方へ近づく
ムツキ「アルちゃん!?いったい何を…「少し静かにしてくれるかしら、ムツキ」
こちらへ振り向く事もなくそう静かに答えたアル
ホシノ「…何?やる気?」
一触即発の空気が辺りを包む…
ガシャン…! - 195モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:15:22
ガシャン…!
ホシノ「……えっ!?」
本当に何を思っているのか、アルは自分の持っている銃をホシノ達の前に捨てた、そして……
アル「……この度はウチの社員が貴方方に多大なるご迷惑をおかけしまい、大変申し訳ありませんでした」
そう淡々と告げ、頭を下げたのだ
突然の行動に戦意を削がれたアビドス組に困惑が走る
シロコ「っ!?」
セリカ「えっ?…はぁ?」
ノノミ「あのアルさんが…謝った……?」
確かに落ち度は便利屋にある。
だがしかし…銃社会のキヴォトスにおいて銃を携帯しないどころか銃を捨てるなんて行為は、外で全裸になるよりもやってはいけない行動なのだ
当然モモイもアルの行動に驚き、警戒を解いている - 196モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:16:38
アル「…今回の件は全て私の責任、特に暴走するハルカを止められなかった私の落ち度よ」
ムツキ「待ってよアルちゃん!それなら面白がってハルカちゃんを止めなかった私にも責任があるよ!」
アル「いいえ…社員の不手際は全て社長の私に責任があるわ。さぁ、煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」
そう一人覚悟を決めてるアル
しかし、そんな事を言われてもより困惑が深まるモモイ達
そんな中、沈黙を破ったのは意外にもユメだった
ユメ「…それならね、どうしてこんな事になっちゃったのか教えてくれるかな?」
ホシノ「…ユメ先輩?」
ユメは投棄されたアルの銃を拾って本人に渡しつつそう答える
アル「…………分かったわ」
アルも自分の銃を受け取りながら襲撃の原因となった出来事を話し始めた - 197モモイの記憶ロストの人25/07/09(水) 22:18:14
※続きは次スレ以降にて…
- 198モモイの記憶ロストの人25/07/10(木) 06:20:40
- 199二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 07:31:09
立て乙!
- 200二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 07:32:42
歴史は繰り返す