【SS】Re:ここだけモモイの記憶が消えた世界

  • 1モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 13:57:31

    宛もなく彷徨い続ける
    ただ目的もなく、フラつく身体を支えながら歩み続ける
    ……どうしてこんな事になってしまったのだろう
    まるで世界にたった一人残された気持ちがすぐ沸いて消えていった

    ふと両足の力が抜けて地面に倒れ込む
    もう起き上がる気力も無く、ここで野垂れ死ぬ定めと悟った少女は最後の力を振り絞って仰向けに寝転ぶ
    どうせ死ぬのなら、最期は空を見たいと…
    少女の意識が落ちる寸前にに見た景色は……美しく輝く月と、煌めく星空
    少女のあの日の楽しかった想い出がふと蘇り、そっと意識を閉ざした

    ※こちら、私が過去に投稿してました【モモイの記憶が消えた世界】のリメイク&追記+修正版でございます。
    ふとまた書きたくなったのと、自分の作品を読んでて『これここ追記とか描写とか色々修正できるな…』と思ったのでしばらくリハビリにお付き合いくださいませ

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 13:58:16

    おお懐かしい
    頑張ってくれ

  • 3モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 13:58:42
  • 4二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 13:58:59

    ずっと待ってたぞ

  • 5モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:00:25

    遡る事8時間前……


    ミレニアムサイエンススクールの1年生、ゲーム開発部所属のモモイはいつも通り部室へ向かって……否、全力ダッシュで向かっていた

    「やばい寝坊しちゃった!早く行かないとミドリに怒られるぅ〜!!」

    お詫びのお菓子やジュースはたくさん用意はしたけど、それとこれとは別だから急がないとっ!

    「…………?」

    あれ……なんだかいつものミレニアムと雰囲気が違う?
    いつもなら『モモイちゃんおはよ〜!』『モモイ〜、まーたユウカに怒られてたよな〜』『モモちゃん!次の新作ゲーム楽しみにしてるね〜!』とか話しかけてくる友達ではないけど顔馴染みの生徒が必ずいるはず……

    「おはよう!今日も良い天気だね!」

    「(ビクッ…)あっ、おはよう…ございます……」

    「……???」

    あれ?なんか避けられてる???
    私、何か悪い事した?
    確かに私はミレニアムではいつもユウカに迷惑をかけてる問題児として意識はしてるけど、今日はまだ何もやってないはず……

  • 6モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:03:06

    気のせいかなと思いつつ部室に到着する、今日はアリスがシャーレの当番で部室にはいないが、中からミドリ達の話し合う声がする
    どうやら今日はそのユウカも来てるようだ、またお説教はイヤだなぁ……
    (今日は私がシャーレの担当だったら良かったのに〜!)と思いつつ扉を開けて開口一番に謝る

    「ごめんミドリ!遅くなっちゃった!」

    ……ものすごく驚かれた
    確かに勢いよくドアを開けたし大きな声を出したけど、そこまで驚く必要なくない…???

    「…あ、あれ?ごめん、そんなに驚かせちゃった?」

    今もなお困惑してるミドリ達に慌てて声をかける
    『もう〜お姉ちゃんたら…驚かせないでよっ!』
    と言ったミドリの声でまたいつもの日常になる……そう…思ってたのに、ミドリは余りにも予想外過ぎる言葉が放たれた

    「…………どちら様ですか?」

    ……言葉を失った
    その言葉はミドリらしくない、まるで他人と初めて会ったかのような台詞だった
    …もしかして、何か嫌われるような事をしたのかな?
    そんな記憶は……まぁ沢山あるけどさぁ……
    私の無茶振りでミドリだけでなくユウカも怒らせたし……

  • 7モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:05:13

    もちろん自覚はしている、私はよくユウカをからかったりミドリに無茶を押し付けたりする
    けど、相手が本気で困らせるような事だけは絶対にしないと決めている
    ユウカも、それが分かってるからこそこんな私達に付き合ってくれてる

    「…えっと、ごめん!怒らせちゃったか……な……」

    私は気付いた……否、気付いてしまった
    そう言ったミドリ達の目は嘘でもからかいでもなく、ただただ困惑していた
    ユウカには頭が上がらない、私達が困った時にはいつも助けてくれてる
    ミドリも、時には喧嘩しちゃったりするけど仲の良い姉妹であったはずなのに、この眼は私を姉としてではなく、全くの【赤の他人】として見ていた

    「…誰この娘、ミドリの友達?」

    ミドリ「ううん、知らない人」

    「そう…ユズは知ってる……って聞くまでもないか」

    頭をハンマーで殴られたかのような衝撃に襲われた
    実の妹に『知らない人』と、はっきり言われた
    私はお姉ちゃんだから分かる、ミドリの双子の姉だからこそ、ミドリの言葉が本気だと伝わってしまう

  • 8モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:08:19

    「…待って……待ってよ……」

    頭が真っ白になって何も考えられない、心臓は早鐘のように鳴り響く
    これは悪い夢だよね…?
    いくら私が今まで悪い事してたとはいえ、やって良い事と悪い事があるよね…?

    「…ふ、2人とも!冗談もいい加減にしてよっ!」
    「ひっ…!?」

    私の叫びがユズを怯えさせ、ロッカーに引き籠もってしまった
    その光景に火が付いたのか、ユウカが私に詰め寄ってくる

    ユウカ「ちょっと!いきなり出て来て訳のわからない事言ってユズを怯えさせないでちょうだい!」

    訳がわからないのはこっちの台詞だよ…
    なんでそんな事言うの?
    どうして私を他人扱いするの!?

    「それはこっちの台詞だよっ!どうしちゃったのユウカ!ユズ!ミドリからもなんとか言ってよ!?」

    思わずユウカの胸倉を掴み、心の底から叫ぶ、しかし…私の耳に届いたのはより困惑するユウカの声だった

    ユウカ「…あ、貴方……どうして私の名前を知ってるの?私だけじゃなくミドリまで……」

    その台詞に思わずユウカを叩きそうになった、けどできなかった
    思わず見てしまったユウカの顔は……得体のしれない何者かを見かのように怯えていた

    ミドリ「…っ!待っててユウカ!今ヴァルキューレに連絡をっ…!」

    その言葉を聞いて私は一目散に逃げる、まさか実の妹から通報されるなんて思ってもみなかった……

  • 9モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:09:28

    それからの私は無我夢中で走り続けた
    周りの生徒が何事かとこっちを見るが構うもんか
    ……そうだ、これはタチの悪いドッキリか何かだ
    そう言ってくれる私の数少ない友達の元へ走った

    ヴェリタス、エンジニア部、トレーニング部、C&C
    けれど、皆ユウカやミドリと同じように『君の様な生徒は知らない』と言われた
    特に仲が良かったマキに言われた時は涙を流しながら走って逃げた

    ものすごくショックだった
    ウタハ先輩達もネル先輩達も…
    何よりマキにも私の事を忘れられたかのように……
    私は最後の希望にすがるようにセミナーの部屋へと向かった
    ノア先輩なら…ノア先輩なら私の事を覚えていてくれてると信じて

    「……はぁっ……はぁっ……!ノア先輩!」

    扉の向こう、セミナー…生徒会室にノア先輩は居た
    ノア先輩は私が慌てて入って来た事に驚きつつも笑顔で迎えてくれる
    そうだ……やっぱりタチの悪いドッキリだったんだよって
    ノア先輩なら私の事、ちゃんと覚えててくれてるって
    頭を撫でてくれて、『ごめんなさい…ヤンチャなモモイちゃんへのドッキリだったけど、ちょっとやり過ぎでしたよね』って…

  • 10モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:10:36

    「……あら?可愛いお客さんですね♡新しく入って来た1年生の子ですか?」



    そんな小さな希望は……呆気なく崩れさってしまった

  • 11モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:11:55

    「…のあ……せんぱい…?」

    嘘だと思った、とても信じきれなかった
    あの絶対記憶保有者のノア先輩ですら…私の事を忘れていた

    ノア「あらあら、新入生にもう名前を覚えて貰ったんですね!こほんっ…改めまして初めまして、可愛い新入生さん。私はここの生徒会、セミナーの書紀をしている生塩ノアです」

    私は思わず膝から崩れ落ちた
    最後の頼みの綱であったノア先輩ですら私の事を覚えていなかった
    ダムが決壊したかのように涙がこぼれる
    何事かと思ったノア先輩は慌てて私に駆け寄ってきた

    ノア「まぁっ…!大丈夫!?どこか怪我したの?痛い所ある?」

    ノア先輩が心配してくれる
    けれどその相手は【才羽モモイ】、私にではなく
    【知らない新入生の子】として心配していた

  • 12モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:13:12

    ノア「そういえば……さっき慌てながら部屋に来ましたね…何かあったんですか?私に出来る事なら何でも言ってくださいね」

    そう言ってくれるノア先輩は優しかった
    才羽モモイとしてではなく、自分の知らない誰かが相手でも変わらず接してくれた
    その事に少しだけ安堵した私は、ゆっくりとだけど落ち着いてきた

    (……ノア先輩になら…話しても大丈夫かな…?)

    そう思い言葉を紡ごうとしたが…
    未だ動転してるのか、言葉にならない声がでる

    ノア「落ち着いて、ね?慌てないで、ゆっくりでいいの」

    それはまるで、泣き止まない赤子を諭すような…優しい母親のように
    そっと私の頭と背中をよしよし…って撫でてくれている
    その温かさにまた私は泣いた

    …数十分、もしかしたら数時間たったかもしれない
    あれからもノア先輩は優しく撫でてくれて、私はようやく落ち着きを取り戻していた

    (……うん、話そう…ノア先輩なら、きっとわかってくれる)

    そう決意し、言葉を紡ぐ

    「…あっ、あの…ノア先ぱ……」

    その時……

  • 13モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:15:41

    《Warning!》《Warning!》《Warning!》


    けたたましいサイレンが辺り一面に鳴り響き出した

    ノア「…っ!?これは…!?」

    ノア先輩が険しそうな顔になる
    当の先輩は何が起きたか混乱してるが、ノア先輩のおかげで冷静さを取り戻した私はこの異変の正体に即気付いた

    (…ミドリ達だ、ミドリがヴァルキューレに連絡して、ユウカが学園中に警報を鳴らしたんだ)

    そう冷静に分析するが、今の状態は非情に不味い、むしろ詰んでると言っていい
    ここはミレニアムタワーの最上階であり逃げ場の無い行き止まり、今となっては私は敵のアジトど真ん中にいる
    おまけにノア先輩にそっと抱き締められてるため、ここから逃げ出す事は不可能

    (GAMEOVER……か)

    思わず悟ってしまう
    いくらノア先輩が非戦闘員とはいえ、今の状態では銃を構えて反撃する事は不可能
    そもそも、構えてる間に超至近距離ヘッドショットを受けてチェックメイトだ
    某赤い人の言っていた『己の不幸を呪うんだな』がふと頭によぎる

  • 14モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:17:29

    けど、そんな最悪の運命を破ったのは……以外にもノア先輩だったの

    ノア「……何が起きているかわかりませんが、この騒ぎの元凶は貴方ですね」

    そうノア先輩に告げられて、私はそっと目を瞑る
    この後に来る運命を受け入れようとする
    けども…私に待っていたのは予想外過ぎる先輩の言葉

    ノア「理由はわかりませんが、貴方が追われているのは確実…となれば、ここから逃がしてあげないとですね」

    信じられない……
    こんな状況下でノア先輩は元凶である私を捕まえようとせずに逃がそうとしてくれる
    あまりの驚きように思わずノア先輩を見つめる

    「──なんで……?』

    思わずそう呟くほどに

  • 15モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:18:44

    ノア「なんでって言われましても、そうですね……貴方がそんな悪い事する娘に見えないから…でしょうか?」

    そんな温かい言葉に涙が溢れる、こんな状況でも、明らかな犯人が目の前にいても、ノア先輩は最後まで自分の味方で居てくれると言ってくれたのだ

    「…とにかく、緊急事態なのは変わりません。早くこっちに付いてきてください!」

    そう言って先輩は生徒会室の奥へ向かう、私も涙を服の袖で拭い、慌ててその後を追った

    《─ザザ─ノア!緊急事態よ!ミレニアムに侵入者がっ…──!》

    セミナーの部屋に響いたユウカの声は、誰にも届く事は無かった


    「……ここは?」

    セミナーの部屋には何度も入った事はあったけど、こんな部屋の奥にまた別の部屋があるなんて知らなかった
    いや…部屋というより、まるで物置か倉庫のような感じ……書類部屋?

  • 16モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:19:59

    ノア「こっちです!急いでっ!」

    ノア先輩の慌てる様な声でハッと現実に戻り、先輩が手招きしてる方へ向かう
    まるで誰にも気付かれない薄暗い所へ向かわされて『これ実はノア先輩の罠なんじゃ…?』って少し疑いつつも先輩の側へ行く
    ノア先輩の目線の先には壁の隅に大きな戸のような物が見える
    まるで通気孔か…はたまた、物を運搬するエレベーターの様にも見えなくもない
    …いや、まさかこれって……

    「……ノア先輩、これは?」

    思わずそう聞いてしまう
    お願いだから当たってるけど外れてくれと願いながら

    ノア「…これはダストシュートです、ここからなら貴方を誰にも見つからずにに逃がす事ができます」

    やっぱりそうだったよ!
    確かに誰にも見つけられないけど、垂直落下型なら五体満足で済む所の話ではないし、仮に無事に落下地点に行けても炎で燃やされるんじゃないかなぁ!?

    ノア「不安?大丈夫…安心して、万が一生徒が入ってしまっても大丈夫な様に中はスライダー式になってるから。ちょっと不快になるけど…中のゴミがクッションになってくれるはずだから、きっと大丈夫」

    そう聞いて少しホッとする、けどそれってゴミ塗れになるのは確定だよね!?
    それでも捕まるよりかはマシだし、多少の怪我はするんだろうな〜…とは思いつつ戸を開く
    ゴオオ…と言う音を聞いて少しだけ決心が鈍る
    うう……ホントにここに飛び込むの…?

  • 17モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:23:44

    ノア「いい?聞いて?まだ名前を知らない私の後輩ちゃん……」

    「…先輩?」

    残り時間の少ない状態で、私はノア先輩は最後の言葉を待つ

    ノア「貴方はとにかく逃げるの、逃げて…逃げて…逃げて…とにかく生き延びるの。そして……真実を見つけるの、貴方がこんな事になってしまった原因を突き止めるの、決して貴方は何も悪い事なんかしてませんって…証拠を見つけるの、だからっ…これは私から貴方へのお願い。次に出会った時…私達は敵同士になってしまう……それでも、生きる事を諦めないで」

    「ノア…せんぱい…っ!」

    ノア「もし……無事にここに戻って来れたのなら、その時は…貴方の笑顔を見せてちょうだい、女の子は…笑顔が一番だから」

    「……ズズッ…ぜんぱい…ありがとう御座いましたぁ!」

    先輩にお礼を告げ、ダストシュートに向き合う
    ……部屋の外が騒がしくなってきた、どうやら追っ手(おそらくユウカ)がここまで来たようだ

    ノア「…行ってっ!早くッ!」

    「ううっ…わああああああああああああああ!!!」

    そう叫びながらダストシュートに飛び込む
    最初で最後の恩人の言葉を胸に、暗闇の中へと消えて行く……

    …………これホントに無事に降りれるんだよね!?

  • 18モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:25:28

    ──ノア視点──



    あの娘がダストシュートから逃亡して数刻後…声を聴きつけたユウカが肩で息をしながらノアのいる倉庫に入ってきた

    「…はあっ…はぁっ…ノア!無事!?」
    ノア「ユウカちゃん……」

    慌てて入ってきたユウカの姿にノアは察する、あの名前を知らない少女を追い掛けて来たのだろう
    特に乱暴されてないノアの姿にユウカは安堵しつつも、侵入者の事を聞く

    ユウカ「…はぁ~……無事みたいね、良かった……ところで侵入者は何処へ行ったの?」

    『侵入者は何処へ行ったの?』の所に黒い感情があったのをノアは聞き逃さなかった
    あの女の子は、おそらく先にユウカと出会ったのだろう
    そしてお互いに異変に気付き、今こうなっている
    そしてさっきまでここに侵入者が居た事にも気付いてる

  • 19モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:26:53

    ノア「私は大丈夫ですよユウカちゃん。侵入者さんですが……そこのダストシュートから逃げられちゃいました」

    ノアはユウカに正直に話した
    仮にここで嘘を言ってもユウカは信じてくれないだろう
    お互いがお互いの事をよく知ってるからこそ、こういう時に偽の情報を与えられないのだ
    (完全記憶能力もこういう時に困りますね…)とノアは苦笑する
    当のユウカはノアの表情が犯人をあと一歩の所で逃がしてしまったのだと誤解してくれたようだ

    ユウカ「そう……それは残念だけど、ノアが無事で良かったわ。ノアとの連絡がつかなかったから心配したのよ」

    心の底からノアを心配するユウカ
    しかし、ノアは思ってしまう
    ユウカが本当に心配して欲しかった人物はあの少女なのではないかと
    現に、あの娘は泣いていた
    まるで急に世界にひとりぼっちになってしまったかのようにノアには見えたのだ
    そんな中で、頼りにしてた先輩からの裏切り…あの娘にはとても耐えられるものでは無かったはずだ

  • 20モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:28:02

    ノア「ご心配おかけしましたユウカちゃん」

    この情報は隠し通した方が良い
    もしもノアが侵入者を逃がした事がバレてしまったらミレニアムへの裏切りと同時にあの娘にも危害も加わる

    ノア「ところで…ユウカちゃんはあの侵入者さんを探し続けるんですか?」

    ユウカ「……当然よ。いったいどうやってミレニアムに侵入し、私やミドリの名前を知ってたのか、とっ捕まえて吐かせてやるわ!」

    そう言ってユウカは侵入者の持っていたバッグを手に取る
    バッグの中身は彼女が部員のみんなの為に買ってきたお菓子やジュースがたくさん入っていた……

    ユウカ「……?お菓子にジュース?この量……まるで誰かと分け合うために用意したような…」

    そのユウカの呟きと突然の閃きにノアはある事に気付く

  • 21モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:29:56

    ノア(……!そういえばあの娘、ミドリちゃんにそっくりでしたね…)

    当のユウカはこの事に気付いてる様子は無い
    おそらくだが、逃げたあの娘が出会ったのはミドリだろう
    バッグの中のお菓子やジュースもその為の物

    ノア(という事は……あの娘は【ゲーム開発部の部員の一人?】でも私の記憶にはそのような情報は……)

    完全記憶能力者のノアですらあの娘のデータは無い
    けれどもあの娘が逃げた経緯、一人では多すぎるお菓子類、そして……ノアだけが気付いたミドリと瓜二つな情報

    ノア(……調べてみる価値はありますね。時間ができたら『先生』にも相談してみましょう)

    しばらくの間はヴァルキューレの事情聴取に時間を取られるだろう
    ノアは名前の知らないあの娘の無事をそっと祈る……

  • 22モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:33:00

    ──モモイ視点──


    「────………ぁぁぁあああああ!」

    ドシーン!と大きな音がして落下が止まる
    どうやら無事に落ちてきたようだけど…

    「あいっ…たたた……確かに無事に降りれたけど…身体のあちこちがボロボロだよー!」

    そう悪態つくも即冷静となって周辺の音に集中する
    …………どうやら、誰にも気付かれてないようだ
    あれだけの音なら誰かが様子を身に来てもおかしくないが、幸運にもだれも近くにいないみたい

    「……良し、だれも…いないみたいだね、今のうちに逃げよう」

    そう口にするも身体が思う様に動かせない
    気絶しなかっただけマシとはいえ、滑り落ちる最中に身体のあちこちをぶつけているのだ
    おまけにゴミが纏わりついて気持ち悪いうえ重い

    「…ジャケットはここに捨てていこう。あとヘッドフォンとアクセサリの尻尾も……待って」

    そう言葉にするが直ぐに冷静になる
    ここで証拠品となる物を捨てていったらダストシュートから逃亡したとバレてしまう
    たぶん既にユウカにバレてると思うけど、少なくとも証拠品で足がつくなんて状況は避けられるはず
    重い身体を無理やり動かしてゴミ捨て場からなるべく離れるように移動を開始する

    「うう……お風呂に入りたい…」

    これでも一応女の子だから臭いとかすっごく気になるよぉ!

  • 23モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:35:24

    「…………ここなら捨てても大丈夫かな…?」

    そう言ったモモイがたどり着いた場所はミレニアムの近くにある公園内の森の中だった
    ここなら人の目もドローンでもそう簡単に見つけられないだろう
    モモイはゴミ塗れになったお気に入りのジャケットを脱ぎ捨て、特徴的であったピンクのネコ耳ヘッドフォンとミドリとお揃いだった尻尾のアクセサリーを捨てる
    ジャケットが無くなったおかげで鼻に付く悪臭と重さ、それと気持ち悪さがかなりマシになってきた…が

    (……寒っ!?)

    ジャケット無しだとさすがに寒い、汗もかいてるからなおさら冷える
    幸いな事にちょっと冷えるくらいの季節なので風邪を引く事は……たぶん大丈夫…だと思う

    (携帯は……ここで捨てたらこっちに逃げたとバレるかもしれない)

    そう考え、まだ携帯電話はスカートのポケットにしまい込む
    ここではモモイの存在を知る者はいないとはいえ、年のために電源は切っておく
    あとモモイがミレニアムの生徒である証拠の校章と学生証も反対のポケットにしまう
    普段はバッグの中にあったお気に入りだったお財布に入れてあったが、セミナーの部屋へ向かう途中で念ののため取り出していたのだ
    そのバッグは今はもうセミナーの倉庫のような部屋に置いてきたし、おそらくユウカが拾ってるだろう

    (…………行こう、逃げなきゃ)

    そう覚悟した逃亡者の少女は街の光から隠れるように、薄暗い場所を通って行く

  • 24モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:38:05

    (なんとかミレニアムからは離れられたけど…どこに逃げよう……?)

    まだ自治区の外に出れてないとはいえ、なんとか学園からかなり離れた所に来たモモイ、辺りを見回すと…

    (…げっ、ヴァルキューレの人達だ……)

    おそらく…いや確実にモモイを探しに来た者達だろう
    ここで見つかってしまったらモモイに明日は無い

    (なんとかシャーレに……先生ならなんとかしてくれるって思ってたけど…)

    こんなにも巡回の生徒が多いととてもじゃないが進めない
    仮に強行した所でとっ捕まるか、逃げ切れたとしても先生に大迷惑になるだろう

    (……そもそも、先生が私の事を覚えてる保証も無い)

    先生ならこの状況をなんとかしてくれる絶対的な信頼感がある
    ある日先生から聞いた話によると…『絶対に反省する事は今後一切無い』某生徒相手に対しても、先生は生徒の味方だって言ってた
    この事に感動を覚えた事があるくらい、先生は私達の事を大切に想ってくれてる

    「あ〜……かなり前にアニメで見た私の世界の事を全く覚えてないの?って状況とそっくりだなぁ〜……」

    そう冗談めかして呟くが同時にとても心細くなる
    あのアニメのヒロインは信頼できるパートナーが側に居るけど、対する私は独り……すごく先生に会いたい気持ちになった
    会って頭を撫でて貰って…『モモイは良く頑張ったね』って優しい声で言って欲しかった……

  • 25モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:39:29

    (……そんな先生に迷惑はかけたくない)

    私が相談したら…きっと先生は親身になって解決しようとしてくれる
    けどそれで……先生とミレニアムの関係に亀裂が入るのはもっと嫌だ…
    私はそっと踵を返し、来た道を戻ろうとする…しかし


    「……っ!待ってください!そこの生徒さん!」


    ……見つかってしまった、最悪なタイミングで
    しかも相手はヴァルキューレ警察学校の『中務キリノ』だ


    (どうする…全速力で逃げる…?)

    私は素早く冷静に頭を回転させる
    ここで見つかったと慌てて逃げたらそれこそ怪しい人物と思われ、その内包囲されてしまうだろう

    (…いっその事…銃で撃って気絶させる?けどそれだと音でバレちゃうっ!)

    なんとか脳をフル回転させるが、やはり逃亡者というレッテルが考えを妨害させてくる

    もうヴァルキューレの生徒は目と鼻の先にまで近付かれた
    今から逃げる事はもう不可能だ
    あと実際にこの目で目的したのだけど、普段のキリノの射撃命中率は0%なのに、逃亡している相手だと命中率100%という両極端な神秘…なのか?があるからむしろ逃げた方が不利になる

  • 26モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:43:04

    キリノ「……貴方…随分薄着ですね?そんな格好だと風邪引きますよ?」

    モモイはまたもや自分の幸運に助けられた
    どうやらヴァルキューレ警察学校はまだ犯人の顔を知らないようだ
    もっとも、キリノだけまだ知られてないのか…まだ手配書が配られてないのかは知る由もない

    「あの…えっと……」

    モモイが言い淀んでる間にもキリノは話続ける

    キリノ「…何があったか聞きませんけど用心してくださいね。なんでも…ミレニアムサイエンススクールに侵入者が現れてこっちに逃走してるかもしれませんから」

    どうやらキリノはモモイが何かしらの被害者だと勘違いしてくれたようだ
    今のモモイは傍からみたら銃撃戦に巻き込まれたか、何者かに危害を加えられたかのように見えるのだ
    その事に安堵したモモイは足早にここを去ろうとする
    万が一にもヴァルキューレに保護されたら後に詰みになってしまう

    「あっ…ありがとう、ございます……じっ…じゃあ私はこれで!」
    キリノ「…待って!」

    止められた
    ひょっとして何か怪しい事に気付かれたのか?

  • 27モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:46:21

    キリノ「そんな格好だと寒いですよ。という訳で…コレを差し上げます!」

    そう言って手渡しされたのは…中に黒い砂のような物が入った袋だった

    「……これは?」
    キリノ「カイロです!まだまだ季節外れとは言え、こういう冷えそうな時に重宝するんですよ!」

    どうやら彼女は親切心でモモイにカイロを渡したようだ
    ……さすがにこの中に発信機のような物は入れないだろう
    さっきまで疑っていたモモイだったが、キリノに裏が無いとわかり、お礼を言う
    これがカンナ局長相手なら全力で発信機の類を疑うのだが

    「…っ……あのっ…ありがと…!」
    キリノ「お礼なんていいですよ!貴方みたいな住民を護るのが、私達ヴァルキューレ警察学校のお仕事ですから!」

    「おーいキリノ!何してんだ?次の場所に見回りに行くぞ!」

    キリノ「は〜いすみません!それでは私はこれで!」

    そう言い残して彼女は現場へと戻って行った
    それと同時にモモイは素早く路地裏に身を隠す

  • 28モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:50:57

    (……はぁっ!はぁっ!危なかったっ…!)

    相手がこちらを被害者だと思ってくれたからこその幸運
    けれど、運ばかりに頼るわけにはいかない

    (…たぶんだけど、主要な場所…おそらく駅やバス停近くには行けない……)
    (そうなると……ゲヘナやトリニティ方面には行けそうもないや)

    荒い呼吸をしつつも脳を回転させる
    とにかく、ノア先輩との約束を守る為にも私は逃げて生き延びないといけない

    (ワイルドハントやオデュッセイアは…………そもそも場所が分からない。最近よくハイランダーのちっちゃい娘3人がよくシャーレに来てたけど、モロに電車が関係してるから却下)

    一瞬アリウス自治区に逃げ込む事も考えた
    過去に何回か先生達と一緒に任務へ向かった地
    あそこなら…こんな訳アリの自分でも受け入れてくれるだろう

    (…………けどダメ、アリウスに行くにはトリニティに向かわないといけない)

    そう、アリウス自治区に逃げるにしても、トリニティ自治区に侵入しカタコンベを抜けないといけない
    任務の思い出で『もぉ~!歩き疲れたよぉ〜!まだ着かないの〜!?』とダダをこねた記憶が蘇る
    ただでさえ逃亡者のレッテルを貼られてる状態で他校の自治区に侵入し、禁域と言われているカタコンベに突入、スリーアウトゲームセットだ

    (…………となると……もうあそこへ向かうしか…)

    そう思いながらモモイは路地裏を進みつつとある方向へと向かう


    そう……命の危険性はあるが、アビドス方面へと歩を進めた…

  • 29モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:53:48

    「…………ううう…寒い寒い寒い!?」

    無事にミレニアム自治区から抜け出せたモモイは即校章と生徒証、それとミドリと色違いの携帯電話を捨て、さらに身元が分からないように粉々に撃ち抜いた
    砂漠の入り口付近とはいえ、こんな場所で携帯の破片やパーツを探し出すのは不可能だろう

    問題は予想外の寒さだ
    キリノからカイロを受け取ったとはいえ、たった一つのカイロじゃこの寒さは耐えられない

    「ううっ…なんでこんなに寒いの〜!?前に来た時はすっごい熱かったのに〜!?」

    不幸な事に、モモイは砂漠を知らなさ過ぎたのだ

    「そういえば……ミドリとアリスと先生と一緒に遊んだモンスターをバスターするゲームで夜の砂漠はホットドリンクが必要だったね…」

    思わぬ所でゲームの知識が役に立った

  • 30モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:56:27

    「あのシステム面倒だけどアイテムリソース考えて持ち込む楽しさあったのに新作でシステム諸共アイテムも消したの許さないからねー!あと先生クーラードリンク忘れ過ぎ〜!!」

    なぜか変な所でキレるモモイ
    よく片手剣を愛用していてチーム全員を回復するアイテムをよく使ってた思い出が蘇る
    そしてふと思い出したのか、懐から愛用のアレを取り出した

    「ゲームガールズアドバンスSP……すっかり忘れて持って来ちゃったな」

    最新機器であり、16Bitに対応したモモイ愛用の携帯ゲーム機
    何時でもどこでも遊べるようにと懐にしまってあったのだが……

    「…………今は『こんな物』よりも生存重点…ってね」

    モモイは愛用の携帯ゲーム機を高く放り投げ、愛用武器のユニーク・アイディアで粉々に撃ち抜いた

  • 31モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 14:58:52

    「……なんでこんな器用な事してるかな私…」

    普段の戦闘で雑に弾幕をばら撒くスタイルなのに私物を撃ち抜く時だけ妙に精密射撃でバラバラに破壊しているのだ

    「…………ついやっちゃったけど、大丈夫だよね?」

    銃声に関して心配しているのではなく、かつてモモイのゲームガールズアドバンスSPにとある超重要なデータが入ってたのだが
    今はそのデータは綺麗さっぱり無くなってる…はず……

    「……それはそれとして寒い!こんな事ならジャケットだけでも持ってくればよかった!!」

    しかし時すでに遅く、モモイは寒さ対策をせずに砂漠に踏み入れてしまったのである
    けど不幸中の幸いか、ヴァルキューレ生徒からのカイロがある
    これが無ければ既に寒さで倒れてただろう

    「……とにかく進もう…場所なら覚えてる」

    モモイは砂漠の中を歩き続ける
    ポケットの中にあるカイロが生を実感させてくれる
    このカイロの温かさが尽きた時が……





    私の最期だ……

  • 32モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:00:38

    …………果たして何時間、はたまた、何十時間ただひたすら歩き続けたのだろうか?
    幸いな事に、カイロの温もりが残ってた内にアビドス市街地にはこれた
    しかし、もう既にモモイはボロボロの姿だった

    (……み……みず…………みずがのみたい……)

    そう…ただひたすら歩き続けたモモイ
    なんの装備も、食料も水も無しに歩き続けたのだ
    凍えそうだった砂漠も、先生との任務や……ミドリと一緒にアビドスの美味しいラーメン屋さんへ向かった思い出に助けられた
    そんなモモイにも限界はくる……否、もう既に限界は超えている
    ノア先輩との約束と、先生にもう一度会いたい一心で進み続けたのだ

  • 33モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:02:46

    ────ゆっくりと目を開ける

    ────ここはどこ?

    ────私は……いったい何を?


    倒れていたモモイの意識が少しだけ覚醒する
    今の自分に何が起こったのかを思い出そうとする
    どうして自分はこんな所で倒れているのか…

    (……あっ、そっか……わたし…………アビドスににげて……そしてたおれたんだ……)

    もう手も足も動かない…全く力が入らない

    (…………どうして……こんなところでたおれてるん……だっけ……?)

    脳も全く動かない、さっきまでの事が全然思い出せずにいる

    (…………あっ……そっか……しぬまえに……ほしをみたかったんだ……)

    モモイは自分の最期を悟った
    ああ……自分はここで死ぬ定めなのだと…

    (……のあ…せんぱ…………せんせ…………)



    こんなお姉ちゃんで……ゴメンね、ミドリ……

  • 34モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:03:56

    ……

    ………

    …………っ!?

    ───ちゃ…──大へ…─……誰か倒れ──!

    うへぇ!……────!早く……──!

  • 35モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 15:09:15

    ※一旦ここでストップ
    リメイク&追記+一部改編とはいえさすがに少々時間が掛かるのでしばらくお待ちください
    とりあえず第1部までは書き切る予定です

    あとはリメイク前も一緒に読むと変更点があってより面白いかもしれません

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 15:20:28

    この世界は一ヶ月後のミレニアムメンバーのメンタルが比較的軽傷になるかもしれません

    最新アドバンス内の超重要データか
    1発打ちぬいただけなら大丈夫そう

  • 37二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 16:45:13

    ヴァルキューレのところモブからキリノになってる?

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 17:14:14

    最初の文章見た時に一気に記憶が戻って来た、懐かしい...

  • 39モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:28:58

    …………ここは…どこ?



    ……私は…あれからどうなったの?



    ……風が気持ちいい



    ……誰かが読んでる気がする



    ……誰だろう?

  • 40モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:34:11

    「…………ってここ何処!?」

    モモイが座っていた場所は、どうやらどこかの電車の中だった
    いつの間にか電車の外の景色は夜明けのような…夕暮れのような美しくも優しい色をしていた

    「……あれぇ?私って死んだはずだよね?なんで電車の中に???」

    そう。モモイはアビドス市街地まで逃げ込めたが、力尽きて倒れ、そのまま死んだはずだった
    それが何故か今も動いてる電車の中にいるのだ
    モモイが感じた風の感触は間違いなく空調のやつだろう

    「というか……なんで私はプチダンのプロローグ部分のパロをセルフでやってるのかなぁ?別にプチモンになってるわけでもないしたぶん台詞間違ってるし」

  • 41モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:35:30

    ふと左を見ると、そこには大好きな先生と……【連邦生徒会長】がいた

    (先生!それに連邦生徒会長!?なんで2人が同じ電車の車両に!?)

    2人はお互いに向き合った状態で座っている
    なぜモモイは2人に声をかけないのかと言うと、何故か連邦生徒会長の姿が血塗れのボロボロの状態に驚いたからだ


    『……私のミスでした』


    「…………えっ?」


    『私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況』

    『結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……』


    「…………どういうこと???」

  • 42モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:36:48

    訳が分からない、理解できぬ
    2人はモモイの存在に気付いてないのか、連邦生徒会長が先生に対して話を続ける

    『……今更図々しいですが、お願いします』

    『──先生』


    「…………」

    2人のモモイに対しての反応は無いが、真剣な様子なのは目に見えて解るのでモモイも黙って連邦生徒会長の話を聞く

    『きっと私の話は覚えてないでしょうが、それでも構いません』

    『何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択を取るでしょうから……』


    「同じ選択……」

    3秒と保たなかった
    思わず呟いてハッとするが、連邦生徒会長は気にせずに……というより、そもそもモモイがその場に居ない感じで話をしてるっぽい?

  • 43モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:39:52

    『ですから……大事なのは経験ではなく、選択』

    『あなたにしかできない選択の数々』


    「何かあったのかな、先生に?」


    『責任を負う者について、話した事がありましたね』

    『あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます』

    『大人としての、責任と義務。そして…その延長線上にあった、あなたの選択』

    『それが意味する心構えも…』


    「連邦生徒会長……」

    失踪の原因は分からないけど、こんな姿になるほど何かと戦ったのだろう
    おそらくは……キヴォトスの外から来た先生を守る為に…

  • 44モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:43:50

    『ですから、先生』

    『私が信じられる大人である、あなたになら』

    『この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……』


    「……っ!?」

    (もしかして……あの時の戦いのやつ?)

    あの時の戦いというのは、わかりやすく説明すると侵略者であり、異変の張本人を倒しに宇宙へ向かったという話である
    到底信じられるような話ではないので当事者だけの物語だけになっている

    (いや、でも何か違う気がする……)

    モモイの考察を横に連邦生徒会長は話を続けていく


    『そこへ向かう選択肢は……きっと見つかるはずです』

    『だから先生、どうか……』


    「…えっ?」


    ふと、連邦生徒会長がこっちを見た……気がする

  • 45モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 17:45:29

    そしてモモイは気付く、自分がいつの間にか電車の外に出ている事を…

    (…!?先生…?先生…ッ……声がっ!なんで!?)

    気付いたら何故か声を出せなくなっていたモモイ
    それでも即座に愛しの先生の姿を探す
    自分が何よりも会いたかった先生は……まだ電車の中に居た

    (!? 待って! まってよぉ先生!?)

    無情にも電車は走り出す、最愛の先生を連れ去って
    大切なはずの生徒を独り残して…

    (まって! 行かないで! 私を一人にしないでぇ!?)

    そんなモモイが心の中で叫ぶも、電車は遠くへ走り去って行ってしまった

    (……まって…………おいていかないで……!)



    最後尾の車両の窓際に、血まみれの連邦生徒会長の姿が映った…………

  • 46モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:35:03

    「────待ってっ!」

    そう叫びながらモモイは目覚めた
    目線の先は知らない天井
    どうやら、あの後誰かが助けてくれたようだ

    「……嫌な夢…」

    ふと瞳から涙が溢れる
    涙を拭おうとしたが、右手が虚空を掴んでる事に気付く、どうやら無意識に出を伸ばしていたみたい

    (無意識に手を伸ばすなんてね、私ってそんなロマンチストだっt……痛たたたたたたたたたたたたたたた!?」

    痛い! 滅茶苦茶痛い!?
    なにコレ筋肉痛!? いや絶対違うよね!?
    って痛い!痛い!痛い!
    死ぬっ!痛みで死んじゃう!!
    誰か助け……!


    「わぁ〜!やっと目が覚めたんですね~♧」

    (…………えっ?誰!?)

  • 47モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:36:29

    謎の生徒と邂逅したモモイは痛みを忘れ、目の前の人物をじっと見つめていた

    「え〜っと〜…どこか具合が悪い所はありませんか?お身体の方は大丈夫ですか〜?」

    目の前の少女はそうモモイに問いかける
    この人が私を助けてくれた人…?
    とにかくモモイは起き上がる為に身体を動かそうと……全く力が入らない
    さっきまで虚空を掴んでた右手も、今は動かせそうにない気がした

    「…えっと……身体は動かないけど…大丈夫そう?」

    疑問形になってしまったがそう答えた、いつの間にか痛みも無くなっている
    そう聞いた目の前の少女はより笑顔になり…

    「それは良かったです〜!…あっ、貴方が目が覚めた事をみんなに伝えてきますね〜♤」

    そう言い残し部屋から出ていってしまった
    誰だったんだろうと思いつつ、モモイは首だけで辺りを見る
    どうやら何処かの建物の保健室のような部屋らしい
    薬品っぽい匂いがしてたのは気のせいではなかったようだ

  • 48モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:37:54

    しばらくすると部屋の外から人の気配がしてきた
    …………なんか慌ただしいけど走って来てる???
    そう思った瞬間には部屋のドアが勢いよく開かれる

    バァン!!

    「君!無事!?」
    「良かったぁ~ちゃんと目が覚めたよぉ〜!」
    「ちょっと!怪我人の部屋で大声出さない!」
    「ーーーちゃんも声が大きいような…」
    「ーーーはいつもうるさい」
    「なんですってぇ~!?」

    突然騒がしくなった部屋の状況にモモイは苦笑する
    私たちみたいに賑やかだなぁ〜と





    …………? 『私たち???』

  • 49モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:39:54

    部屋に入って来たのは全部で5人
    さっきの人はまだ来てないみたい

    「うへぇ〜……ちゃんと目覚めて良かったよぉ〜…もぅ〜おじさんを心配させないでよね〜」

    (……おじさん???)

    モモイは即座に疑問を覚える、目の前の少女……?
    どう見たって私と同じくらいの身長の幼女が心配してくれてるのだ
    ただそれ以上にこの幼女が発した『おじさん』ってワードが脳を埋め尽くす

    「具合は大丈夫?何か覚えてる事ある?」

    今度は耳の生えた生徒が話しかけてきた
    おそらく…犬?…狐?……うん、たぶん犬だと思う

    「何か些細な事でも良いので話してくれませんか?」

    次は眼鏡を掛けた生徒が話しかけてくる
    耳は尖ってるけどゲヘナの特徴にあるような角や翼などが無いことからエルフかそれに近い種族の生徒なんだろう

    「ちょっと3人とも!そんないっぺんに聞かれたら話せる事も話せないでしょ!?もっと離れなさい!」

    そう言葉を発したのは黒髪ツインテでネコ耳の生えた生徒だ

    (この人……たぶんツンデレなんだろうな〜)

    そう考えられるほどモモイの精神は回復していた
    知らない人達とはいえ、モモイの目の前でのやり取りに謎の安心感を覚えたのだ
    そして黒髪ツインテの女の子に怒られた3人はハッと気付き、少し離れる

  • 50モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:41:09

    最後に……

    「……覚えてる?貴方…街のど真ん中で倒れてたんだよ?」

    最後の1人が優しい声色で何があったかを話してくれる
    しかし……モモイはある事に気付き、他の事にしか集中していなかった


    「……でっ…デッカ!?さっきのゆるふわな人よりデッカ!?いったい何を食べたらこんなにおっきくなるの!?」

    そう! モモイの目線は…完全に巨大な胸にしか行ってないのであるッ!

  • 51モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:42:22

    「?(…ハッ!)…ひぃん!///」

    最初は何か分からなかった彼女だが、視線と台詞から察して両腕で胸を隠そうとする
    …まぁ、あまりの巨大具合に隠しきれないのだが

    「…ぶっ、あっはははは!!」

    「ちょっ!?ホシノ先輩!笑い事じゃないでしょ!?」

    「…w、いやいやゴメン。あまりにも唐突な発言で思わず笑っちゃったよ〜」

    「ん、ユメのはノノミよりも大きい。羨ましい」

    「ひぃん……おおきいと色々と不便なのにぃ~」

    「むっか〜!当て付けか?控えめな私に対する当て付けかぁ!?」

    「みなさんそろそろ胸の話題から外れませんか!?」

    あっという間にさらに賑やかになった

    「うへぇ、そのような台詞が出るって事は、それだけ元気にもなったって証拠だね〜」

    「もうやめて、ホシノちゃん…」

  • 52モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:44:22

    閑話休題

    さっきの騒ぎですっかり落ち着いた私は事情を説明しようとするけど…

    「え……えっと……わたしは……」

    上手く言葉に出せない
    頭の中は冷静なのに、それを紡ぐ言葉が思い浮かばない…

    「あ〜大丈夫、ここは安全だしおじさんたちは君の味方だから落ち着いてね〜」

    (…………おじさんってなんだろう???)

    あまりにも気になり過ぎるワードがあるが、一旦頭の隅に追いやる
    …改めて、モモイはどうしてここにいるのか、なぜ夜のアビドス市街地のど真ん中で倒れていたのかを話す

    「…実は私……敵に追われていて…」

    その不穏なワードを聞かされた瞬間、周りの生徒の表情が厳しくなる
    それと同時に、モモイはある違和感に気付く

    (……あれ?敵って…誰?どうして私…追われていたの!?)

    モモイは自分が言った発言に驚いていた
    自分は敵を作る事も、ましてや命の危機になるほど追われる事なんかしていない、そもそも記憶にない

  • 53モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 18:46:14

    「……ホシノちゃん」

    ホシノ「…うん、やっぱりユメ先輩の判断は間違ってなかった」

    そのホシノと呼ばれた生徒の言葉でモモイは恐怖で怯える
    けれど、モモイが見たホシノの表情は何か…困ってるような……苦笑してるような顔で……
    それでも、モモイはホシノが自分に危害を加えないと本能でわかった

    もう一人、ユメ先輩と呼ばれたおっきい人はそっとモモイに近づき、そっとモモイの手を両手で優しく包んだ

    ユメ「辛かったよね?痛かったよね?けどもう大丈夫だよ。ここにいるのはみんな貴方の味方だからね」

    名前も存在も知らなかった人だが、今のモモイが一番欲しかった言葉に涙腺が崩壊する
    いや……モモイも無意識で涙を流してるのだ…しかし、目の前の人の様子が変わった……

    ユメ「わっ…わああ!?ほ…ホシノちゃんどうしよう! この娘泣かせちゃった!?わ…私何か良くない事言っちゃったのかな!?」

    突然慌てだしおろおろする
    なんなのこの人……???

    ホシノ「……うへぇ〜、ユメ先輩落ち着いてください、別にこの娘を泣かせたつもりじゃないですから」

    (…ええ〜……さっきまでのシリアスな空気はどこ行ったの?)

    そう思えるほどモモイの精神力がさらに回復してる事に気付き、心の中でそっと笑った

  • 54モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:22:43

    ホシノ「…こほんっ……それで?他に何か覚えてる事はあるかな?」

    そう聞いてモモイはもう一度思い出そうとする…しかし

    (……駄目だ、何も思いだせない)

    まるで自分の記憶に鍵が掛けられている気分になる
    某厄災もこんな気持ちだったのだろうか?

    (いや…アレはただスキップしてるだけなんだけどさ……)

    モモイは自分がまだ覚えている事をゆっくりと分かる範囲で伝える
    自分が知り合いや見知った友達に忘れさられている事
    何者かから追われていた事
    どこにも逃げ場が無いからアビドス砂漠を超えた事
    その事を聞いたホシノとユメは顔を顰めた

  • 55モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:24:10

    ユメ「……ホシノちゃん」

    ホシノ「あんな軽装ですらない状態で砂漠を越えるなんて……よほどの事情があるんだね」

    なにやら2人で相談しているようだ
    モモイは自分の身体に力が入る事に気付き起き上がる

    「もう起き上がっても大丈夫なんですか?」

    「ん…無理はいけない」

    「平気?お水飲める?」

    モモイは黒髪ツインテネコ耳ツンデレ(予想)少女からコップに入った水を受け取る
    体感数日ぶりの冷たいきれいな水が身体中に染み渡るようだった

  • 56モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:25:14

    「……んっ…んっ……んっ………ぷはぁ」

    無事に飲み終わったコップは黒髪少女に返した
    そして久々の水分で頭がスッキリしたのか、モモイは一部の記憶を思い出す

    (そういえば…この人達、アビドス高校の生徒たちだ……)

    冷静になって考えてみると、モモイはアビドス組をよく知っている
    否…よく覚えている

    (確か…砂狼シロコさん、黒見セリカさん、奥空アヤネさんだったよね)

    モモイがシャーレの当番の時に一緒にお仕事したり、先生を休ませるという名目でゲームさせたり
    任務で一緒だった記憶もある……というより、小鳥遊ホシノさんとはよく一緒のチームを組んでいた記憶が真新しい

    (懐かしいなぁ…ホシノさんと一緒にお昼寝したり、PMC基地のオートマタを破壊したり)

    (あとデカグラマトン…だっけ? の…確か兵器を大量生産する奴を一緒に止めに行ったよね)

    (あとは……最近よくせんじゅつたいこーせん?で一緒にチームを組んでたなぁ)

    先生の考えはよくわからなかったが、ある日からホシノと一緒に任務に向かった記憶がある
    確かホシノさんから『うへぇ〜モモイちゃん強いねぇ〜おじさんびっくりだよ〜!』と褒められた思い出もある
    そのホシノさんが私を助けてくれたのだと
    もう一生ホシノさんには頭が上がらない気がした

    (じゃあさっきホシノさん達を呼びに行ったのって…十六夜ノノミさんだったのか)

    どことは言わないけどおっきかったなぁと全く関係ない事を考えてるモモイなのであった…

  • 57モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:26:36

    「…その……助けてくれて…ありがとうございます、小鳥遊ホシノさん」

    ホシノ「ん?おじさんの事知ってるの?」

    モモイは自分がした失言に気付いてしまった
    そう、ホシノ達もモモイの事を覚えていなかったのだ

    「いやホシノ先輩…さっきから名前読んでるうえに先輩は有名人だからすぐに解るでしょ」

    ホシノ「あー……それもそっか〜」

    モモイは安堵する
    目の前の生徒達は味方だと言ってくれたが、不信感を覚えさせるのはそれとこれとはまた別なのだ
    何故プチ漫才してるかわからないが…

    ユメ「ホシノちゃん、この娘はまだ目覚めたばかりなんだから、少し休ませてあげよ?」

    そう言い聞かせるユメ
    しかし、モモイはこの人の事を知らない……否、全く記憶に存在しない

  • 58モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:28:15

    (……この人誰???アビドスにこんな生徒いたっけ?)

    モモイの疑問を他所に、ホシノはみんなをまとめて撤収準備に入る

    ホシノ「確かにそうだね、ほらみんな〜今日はここまで。もう夜も遅い時間だから帰るよ〜」

    そう手を叩きながら発言するホシノ
    それを聞いた他の生徒達も次々とユメとホシノを残して部屋を出ていった

    ユメ「それじゃあホシノちゃん、後はよろしくね♪」

    ホシノ「うへぇ〜…言われなくてもわかってますよユメ先輩」

    そう言い残しユメも帰って行った、後に残ったのはホシノとモモイ、2人きりの空間になった

    「……あっ…あの、小鳥遊さんは帰らないんですか?」

    ホシノ「ん?ホシノでいいよっ、こんな所でひとりぼっちは寂しいでしょ?眠れるまでおじさんが側にいてあげるよ」

    ホシノは純粋にモモイを心配してここに残ると言ってくれた
    彼女も自身の生活があるというのに…
    安心したモモイは急激に睡魔に襲われる

    ホシノ「おっ…眠くなっちゃった?いいよ。そのままおやすみ。明日はきっと良いことがあるさ」

    モモイの頭をそっと撫でる
    モモイはホシノの小さな手の暖かさを感じながら眠りに落ちた

  • 59モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:45:42

    ──ホシノ視点──


    目の前のまだ名前を知らない女の子がすやすやと寝息を立てた
    私はそっと彼女から離れ、なるべく音を立てないように電話をかける

    《───ピッ…ホシノ先輩?どうかしたんですか?》

    ホシノ「ゴメンねアヤネちゃん、ちょっと今すぐ調べてほしい事があるんだけど…」

    電話の相手は私の大切な後輩の1人のアヤネちゃん
    ある一つの考察がよぎり、わざわざ電話をかけた

    ホシノ「……ここ最近で何か大きな事件があったかを調べてくれないかな?」

    幸いにも生命を取り留めたとはいえ、あの娘の姿は異常だった
    あまりにも薄着過ぎる格好にボロボロの姿、それに背をって運んでる最中に気付いた、まるでゴミの中に捨てられていたかのような鼻に付く悪臭
    今はもう全快に向かってるとはいえ、いつ死んでてもおかしくなかった
    そんな娘がアビドス砂漠に逃げ込むなんて…あまりにも異常事態だ

  • 60モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:49:19

    アヤネ《少々お待ちください……》

    そう言ってしばらく通話が止まる
    手持ち無沙汰な私はこの娘について考察する
    私の考えが正しければおそらく……

    アヤネ《ホシノ先輩。調べた結果、一つのある事件がありました》

    ホシノ「なんだったのアヤネちゃん?」

    《……3日前にミレニアムサイエンススクールで侵入者が発生し、今もなお……ヴァルキューレ警察学校と共に犯人を捜索しているみたいです》

    ホシノ(……やっぱりか)

    私の疑惑は確信に変わった
    この娘はなんらかの方法でミレニアムに潜入し、指名手配を受けたのだ
    いくらミレニアムの開発技術が優れているとはいえ、防犯システムも他の三大高の倍以上のセキュリティシステムが採用され、今もなお更新し続けてる学校に潜入なんて自殺行為だ

    けれど…どうもこの娘が技術目的で侵入したとは考えられない
    それに…もう既に砂埃でボロボロで色褪せてるとはいえ、この娘が付けてたネクタイは……



    ホシノ「【ミレニアムサイエンススクールのイメージカラー】のネクタイ……」

  • 61モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:50:19

    アヤネ《ネクタイがどうかしましたか?先輩》

    ホシノ「ん〜?ごめん、なんでもないよー」

    私は一旦考える事を止め、電話の相手にお礼を言う

    ホシノ「ありがとアヤネちゃん、こんな時間なのにゴメンね?それじゃ、おやすみ〜」

    アヤネ《よくわかりませんが…お役に立てたようでなによりです!それでは…おやすみなさい、ホシノ先輩》

    ピッ…

    通話を切る

    おそらく私の考えが正しければ……この娘はたぶん、ただ普通に学園生活を送っていたのだろう
    そんなある日、お友達から『お前の事なんて知らない』なんて言われたら絶望もする
    そしてなんやかんやでミレニアムから脱走してここまで歩いて来たのだろう…

    ホシノ(それでも、ミレニアムの警戒網から逃れる事なんて不可能に近い…)

    おそらく、敵だらけのミレニアムにも1人か2人はあの娘の味方が居たのだろう
    その人が警戒網に穴を開けたのか、この娘が無事に逃げれるようにサポートしたのかは分からないけど

    そしてこれは確信に近い事だが…この娘の追っ手は確実に来る
    それが近い将来の事か、遠い未来の事か分からないけど…

    ホシノ「……君の事は、私…ううん、私達が守ってあげるからね…」

    ホシノは可愛い寝息を立てるモモイをそっと撫で、そう決意した……

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 20:51:30

    ホシモモだと?!

  • 63モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 20:52:43

    ホシノ「…………」

    なんて決意を出したものの、眠気には敵わないね〜
    本来なら軽く(数時間)パトロールしてから改めて家で寝るんだけど

    ホシノ「ちょーっとお隣失礼するね〜」

    そう誰にも聞かれない独り言を言いながら眠る女の子の隣に寝転ぶ
    その娘は今うなされてるらしく、顔色も悪い

    ホシノ「……大丈夫、絶対になんとかなるよ〜。だから安心しておやすみ、ね?」

    そう呟きつつ女の子をそっと抱き寄せ、頭を撫でる
    安心した女の子はこっちに抱き着きつつもすやすやと安らかな寝息が聞こえてきた

    ホシノ「……うへぇ〜、これじゃあ起きた時におトイレ行けないかもねー」

    まぁ……この時冗談で言った発言が、まさかあんな形でフラグ回収されるとはね……

  • 64モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:12:48

    ──モモイ視点──


    ……目が覚める
    全く知らない天井…ではなく、眠る前に見た保健室の天井…
    少々記憶が混乱しながらもモモイの意識が覚醒する

    (…あれ? なんでここに…そっか、私逃げて、倒れた所をここに運ばれたんだ…)

    今の自分の身に何が起こったのかすぐに判断し、すっかり回復した身体を…………起こせない
    というより、何故か全く動かせない
    それに身体が暖かくてなんだか良い匂いがしてるような……

    (……ハッ!? 私…ホシノさんに抱き着かれてる!?)

    モモイは気付いた、あの小鳥遊ホシノに抱き締められれる事に

    ホシノ「…………zzz」

    ホシノはどうやらまだ寝てるようだ
    というより、今もここにいるという事は…ずっと付きっきりでモモイの看病をしてくれたのだろう

    (ホシノさん……)

    モモイはホシノに感謝する、しかし…それとこれとは話が別
    モモイは今、最大のピンチを迎えていた

  • 65モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:16:38

    (ううう…マズイ、おしっこ行きたい……でもホシノさんが離してくれない……)

    いくら普段のモモイに色気が無くともモモイだって女の子なのだ
    ここで漏らして社会的に死ぬ事は是が非でも避けたい
    あと推定命の恩人を濡らすのも絶対に避けたい

    というかただ普通にホシノを起こせば良いだけの話なのだが、限界が近いモモイにその考えが出るはずもなく…
    とにかくモモイはなんとか脱出しようともがく

    (ん~~!んん~〜!ホシノさん寝てるのに力強っ!?全然動かせない〜!)

    その細腕と小さな身体のどこにそんな力があるのだろうか?
    それでも諦めずにもがく

    (んん~!ふん〜〜!う〜〜ご〜〜け〜〜!)

    モモイは装備の効果で動けない!(E:小鳥遊ホシノ

    (うわーん!動いてないのに暑いよ〜!)

    モモイの心の叫びは誰にも届く事はなかった……


    「…………あっ」

  • 66モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:18:52

    「……ハァ…ハァ…ホントにギリギリだった……っ!」

    幸いな事にモモイの乙女の尊厳は守られた……はずだ
    抱き締める力が弱まった瞬間モモイはホシノの拘束からの脱出に成功し、乙女の馬鹿力で女子トイレを探し当てたのだ
    …………ただ、その時に少し漏れ……いや、気のせいだ
    それを証明する材料が無ければそれは真実となりえない
    先生も言っていた『例えそれが水着だとしても本人が下着と言えば、下着となると』

    (…………とある生徒の受け売りだとしてもサイテーだよ先生……)

    ついでに某トリニティの脱衣水着徘徊女の事を思い出す
    その生徒のせいで先生に見せるためにちょっとドキドキしながら買った大胆な水着を着るのがとても恥ずかしくなった記憶が蘇る

    …………なお先程…『それを証明する材料が無ければそれは真実となりえない』と書いたが、それは文字通りの事である

    (うう……下がスースーする……パンツくらい履かせてくれてもいいじゃん……)

    そう、今のモモイはパンツすら無いのだ
    今のモモイの姿は大人の男性が着るようなYシャツ、たった1枚だけなのだ

  • 67モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:22:17

    「というか……なんでYシャツだけ???これじゃあ私ヘンタイみたいじゃん…」

    この事に関してはホシノ達も苦肉の策だった
    モモイはまだここが何処だか知らないが、アビドス高校の中にモモイサイズの着替えれそうな服は1枚も無い
    唯一サイズが合いそうなホシノの服だが、具体的なサイズがわからないし、勝手に気絶してる女の子のスリーサイズを測るのは失礼極まりない
    そこに白羽の矢が立ったのが、先生が着替える為にいくつか用意してあったYシャツだった

    「…………先生の香りがする…///」

    モモイは今着ているシャツの匂いを嗅ぐ
    過去に冗談で先生に抱き着いた時と同じ匂いがしたのだ

    「…………………………ハッ!?違うからね!?私っ…ヘンタイじゃないからね!?」

    思わずそう突っ込む、当然誰も聞く相手はいない
    モモイは慌てて現実に戻る
    ……これ以上は人の道を踏み外すと思い直したのだ

  • 68モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:23:28

    「……ところで、ここどこ?」

    当然迷った、トイレに駆け込む時は必死過ぎて道なんか覚えていない
    とりあえずモモイは来た道を引き返す……はずだったのだが

    「…………完全に迷っちゃった……」

    迷子になった時、来た道を引き返すか救援が来るまで動かず待機する2パターンある
    もちろんモモイもその事はわかっており、下手に進むよりも引き返した方が知っている場所へ戻れる
    だがしかし、景色が全く変わらないのだ
    行けども行けども砂と使われてない空き部屋
    なんの目印も無いせいで迷ってしまったのだ

    「マズイなぁ…ホシノさん、めっちゃ心配するだろうなぁ……」

    こうなっては仕方がない、ホシノと再開したら即謝ろう
    とりあえずモモイは休めそうな場所、あと着替えを探しに歩く

    「……うん? あれは…?」

    視線の先のあるものに目が引き寄せられる
    部屋のプレートの面に上書きするかの如く貼られている紙に注目する

    「アビドス……廃校…対策委員会」

  • 69モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:27:55

    偶然か、はたまた必然か運命か…
    モモイは運良く廃校対策委員会の部室に辿り着けたのだ

    「そっか……ここ、アビドス高等学校だったんだ」

    そう理解してすぐ考える
    もしかしたら……この部屋なら何か着れる物があるのではないかと
    泥棒みたいでヤダなぁと思いつつ扉を開く

    「お…お邪魔しま〜す……」

    扉を開けて最初に見た光景にモモイは驚いた
    予想よりも小さく狭い部屋だったのだ
    もっとも、モモイが所属してたゲーム開発部も物が散乱し過ぎて同じくらい狭かったが…

    「生徒会室って、本来はもっと広い部屋のはずだよね?」

    どう見たってここは数あるただの部室の一つの部屋だろう
    それがなぜ生徒会室になってるのかモモイには不明だが
    とりあえずモモイはギリギリプライバシーに引っ掛からない程度に部屋を調べる
    モモイの目的は家探しする事ではなく、着替えなのだから

  • 70モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:38:58

    「う〜ん…見つからないな〜」

    替えの制服くらいあるかと思っていたが
    予想に反してどこにも見つからない
    ……ロッカーを開ければそこに制服が掛けてあるのだろうけど、モモイの良心がそれを咎める

    「あれ?私の銃…ここにあったんだ。まぁ今は必要ないけど」

    モモイの愛用銃、ユニーク・アイディアがガンスタンド的なやつに立て掛けられている
    その横にはショットガンとアサルトライフルもある

    「…あれ?私の銃もしっかり整備されてる……誰かやってくれたのかな?」

    砂漠横断時の砂塵で多少砂が入ってたのだが、綺麗さっぱりに整備されている
    まるで新品の銃を下ろしたみたいな完成度だ

    「はぁ…しかたないっか、衣服は諦めてなんとか元の部屋に戻ろう」

    そう呟き踵を返す、ドアを開けようとドアノブに手を伸ばした時…

    キィ…

    扉が向こうから開かれ……

    「……あっ」

    砂狼シロコと目が合った…

  • 71モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:44:22

    (あわわわわわ…マズイマズイマズイ!? こんなのどう見ても泥棒だよー!?)

    子供のイタズラじゃ済まないレベルで混乱しているモモイ
    しかし当のシロコは全く別の事を考えていた

    (ん…この娘、こんなに動けるまで元気になったんだ……)

    そんなシロコの心情も知らず、モモイはどうやって切り抜けるか考える

    (どうする?どうする!?推定恩人に向けて銃で撃つ訳にもいかないし、入り口は塞がれてるし…!)

    多少怒られるつもりで謝れば良いのだが、モモイにその考えは出るはずもなく…

    (うう〜!こうなったら…!)

    「モモイ、突貫します!」

    「……えっ!?」

    ヤケになったモモイは勢いよく駆ける
    対するシロコはモモイの予想外の行動に反応が遅れた

    「なんとぉーーー!!!」

    上手くシロコの脇をすり抜け、モモイは走って逃げ出す

    「まっ……待って!」

    そう声をかけるが既に遅く、慌てて追いかけようとするが、廊下に出た時にはモモイの姿を見失ってしまった

  • 72モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:50:08

    「……ハァ…ハァ…なんとか逃げ切れた……っ!」

    モモイは何度目かも分からない荒い呼吸をする
    ……というか、なんか私…こんな展開ばっかりだなぁ…とも思った

    「……ハァ……はぁ~…………あれ、冷静になって考えたら、何も悪い事してないから逃げなくても良かったんじゃ…?」

    冷静な思考に切り替わるがもう遅い
    シロコさんは私を不審に思ったのだろう
    当の本人はモモイを心配しているのだが、今のモモイには知る由もない

    「とりあえず、なんとか道を思い出して元の部屋に……」

    ホシノ「……あっ、いた」

    ホシノに見つかってしまった

    その後のモモイだが大人しく捕まった
    キヴォトスでも最強格と聞いていたモモイが逃げ切れるわけがない
    そもそも、命の恩人相手に逃げるなんてしたくなかった
    その後のモモイがどうなったかと言うと……

  • 73モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:53:07

    ───1時間後───


    「わぁ〜!貰っちゃっていいの!?」

    アビドス廃校対策委員会の部屋で、モモイはアビドスの制服に身を包んでいた

    ホシノ「いーのいーの、むしろおじさんのお古でごめんね〜?」

    そう言ってニッコリするホシノ
    そのホシノだが、モモイがいなくなった事に即気付き、後をつけていた
    そして着替えが無いという呟きを聞いた事に罪悪感を覚え、慌てて家に帰って着替え一式を持ってきたのだ

    ホシノ(……緊急事態とはいえごめんね…おじさんそこまで考えが出なかったよ…)
    ホシノは心の中で合掌した

    改めてモモイは対策委員会の部屋を見回す
    ここにはモモイとホシノを含め、全部で7人いる
    昨日様子を見に来てくれたノノミさんもいる

    「それじゃ、改めて自己紹介しましょうか〜♧」
    …っと言って、昨日のゆるふわ人から立ち上がる

    ノノミ「私は、アビドス廃校対策委員会2年の十六夜ノノミですっ♡」
    シロコ「……砂狼シロコ、2年……さっきはごめんなさい…驚かせたよね?」
    セリカ「何やったのシロコ先輩…?黒見セリカ、会計…1年生よ」
    アヤネ「私は奥空アヤネと申します。セリカちゃんと同じ1年生です」

    それぞれ順番に挨拶していく
    私は初めて会ったわけでもないのになんだか不思議な気持ちだ

  • 74モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:55:12

    ホシノ「んじゃ、君は知ってるみたいだけど改めて……小鳥遊ホシノ、アビドス廃校対策委員会の3年生、いちおうアビドス生徒会の副会長もやってるよ~」

    モモイは驚愕した
    あの目の前の恩人は自分より年上のロリ先輩だったと……

    (……ウソぉ?ホシノさ……ホシノ先輩年上だったの!?)

    初めて知った…そもそも、どこの学園所属かとかは先生に事前に聞いていたが、年齢までは聞かされていない
    モモイはシャーレ当番で一緒になった子や、共に任務へ向かう仲間とは持ち前のコミュニケーション力で仲良くなっていたのだが
    親しき仲にも礼儀ありという諺もあって年齢だけは聞いていないのだ

    (…って事は、あのヒナさんと同級生なんだ……)

    ゲヘナ学園所属、風紀委員長のヒナだけ特例で知っていた

    ユメ「最後は私だねっ!」

    ユメ先輩と呼ばれた人が立ち上がる


    ……………………んんん?
    待って待って待って?
    えっ…………先輩???

  • 75モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 21:57:59

    ユメ「梔子ユメ、アビドス高校3年生で、これでもアビドス生徒会長さんなんですっ!」フンス

    何故だが分からないが、嫌な冷や汗が止まらない
    そもそも、ホシノさ……先輩にさらに先輩がいるなんて記憶にない…だって……

    【梔子ユメは3年前に死んでいる】

    と、先生から聴いてしまっている

    じゃあ目の前のユメと名乗る生徒は?
    とてもじゃないが、モモイは目の前の人物が偽物だとは思えない
    もしかしたら実は生きていて今まで知らなかっただけ?
    そんな事よりもずっと気になっていた質問をユメにぶつける

    「あの……大変失礼を承知でお聞きしますが…年齢はお幾つなんでしょうか…?」

    モモイらしからぬ丁寧な言葉
    その質問にユメは答える

    ユメ「うん、ちょっと恥ずかしいけど……20歳だよ」

    モモイの青春物語の中で、この事実が人生で1番の驚愕ポイントだった…

  • 76モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:01:00

    「……ありえない、何かの間違いじゃないの???」

    モモイはこんらんしている!

    ユメ「えっ……ホシノちゃん、私…また何かやっちゃった?」

    ホシノ「落ち着いてくださいユメ先輩、そりゃ2年も留年してたら困惑もしますよ」

    ユメ「ひぃん、そんな…ひどい……」

    シロコ「ん、あり得ない……なんて事はあり得ない」

    セリカ「シロコ先輩も何言ってるの???」

    ノノミ「面妖です…」

    セリカ「ノノミ先輩もボケないでください!」

    突如部屋内の空気がカオスになった
    その原因の1人であるモモイはのちに『こんなつもりじゃなかった』と答えた
    その後どうなったかと言うと…怒りが爆発したアヤネがテーブルをひっくり返した

  • 77モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:02:58

    閑話休題

    アヤネ「…………すみません、お見苦しい所を見せて」

    「あっ…うん……気にしないでください…」

    カオスだった部屋内の空気は静まり、静寂が訪れた
    …心なしか、アヤネに対して少し怯えてる気がする

    ホシノ「それで……えっと…君の名前は?」

    モモイは悩む
    一定の記憶が無いとはいえ、自分の名前は覚えてる
    けれども…『才羽』なんて苗字を言ってはいけない予感がする
    その為、モモイが取った選択は…

    「…………モモイ」

    名前だけを告げる事にした
    助けてくれた人達に隠し事をするのは心が痛いが、苗字まで答えて捜索願だか指名手配だかで特定されたくない

    ユメ「モモイちゃん…か〜、可愛い名前だね!苗字はどんなの?」

    やっぱり聞かれた
    当たり前だ、名前だけ告げる人なんてほとんどいない
    モモイが何も答えずにしばらくたつと…

    ユメ「……っ!ホシノちゃん…やっぱりこの娘…!」

    ホシノも同じ答えにたどり着いたのか、ユメと2人で相談を始める

  • 78モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:05:12

    ホシノ「うん、たぶんだけどモモイちゃんは……」

    そんな空気に耐えられなくなったのか、他の生徒達も喋り出す

    セリカ「ちょっと!2人だけで話してないでなんとか言ってよ!」

    ノノミ「モモイちゃんに何か問題でもあったのですか?」

    シロコ「ん…私と同じ記憶喪失?」

    アヤネ「ええっ!?もし本当なら大変じゃないですか!」

    一気に慌ただしくなった部室
    モモイは勘違い……でもないが、そう思ってくれた事にそっと安堵した

    ほかにも何か思い出せることはある?…っと聞かれ、モモイは首を横に振る
    自分の苗字の事は嘘だが、それ以外は本当に何も覚えてないと答えた

    (けど……どうして私、何も覚えてないの?)

    自分の事なのに何もわからない事実に少しだけ自分が怖くなった

  • 79モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:06:58

    ……………………

    部屋に重い空気が流れる

    (……お、おもーい!重過ぎるよこの空気!)

    位の一番に耐えれなくなったのはモモイだ
    モモイは本人きってのムードメーカーなのだ、そんなモモイがこんな空気のままにする理由がない

    「あの…ホシノさん!昨日はその…私が眠れるまで側にいてくれてありがとぅ…」

    ホシノ「ん〜?お礼なんていいよ〜むしろおじさんの方がゴメンね?暑かったでしょ?」

    「ううん!その事は大丈夫なの、ただ……その……///」

    モモイの表情が赤くなり、なにやらもじもじとしている
    他のメンバーは頭に疑問符を浮かべていたが、唯一ホシノだけが察した

    ホシノ(……あっ、そういえば…)

    ホシノは思い出した、モモイが寝ていたベッドに少しとはいえシミが出来てた事に…

    ホシノ(モモイちゃんホントにゴメン!)

    ホシノは心の底から土下座して謝った

  • 80モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:11:20

    モモイとホシノの間に気まずい空気が流れていた…
    そんな空気を撃ち破るかのようにホシノが声を上げる

    ホシノ「……うへぇ〜!?も…モモイちゃん!?」

    「…っ!はっ…ハイィ!?」

    思わず声が裏返る

    ホシノ「……こほんっ…モモイちゃんって……たぶんどこにも行くアテが無いよね?」

    その質問にモモイは頷く
    ホシノはそんなモモイに相槌を打つと…とんでもない提案をしてきた



    ホシノ「だったらさ、ウチの学校に入っちゃわな〜い?」

    「…………えっ?」

    シロコ「ん…!」
    ノノミ「わぁ〜♡」
    セリカ「はぁ!?」
    アヤネ「先輩!?」





    …………ええええーーーー!?!?

  • 81モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:12:29

    これは…ワケあってミレニアムから逃げたモモイが……



    アビドス高校学校に転校してきたお話…

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:18:23

    中身みたら全部思い出したわ
    この感覚…久しく忘れていたな………

  • 83モモイの記憶ロストの人25/07/04(金) 22:22:13

    ※本日はここまで、深夜帯はコメント出来ない(規制タイム)のて落ちない程度の保守をお願いします

    あと連投CTが地味に面倒ですね
    たぶん荒らし対策なんでしょうけど

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 22:38:55

    お疲れ様でした 次の更新も楽しみにしてます

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 04:04:53

    久しぶり過ぎて内容忘れてしまったな……。以前のって結局忘却の原因は分かったんだっけ?

スレッドは7/5 14:04頃に落ちます

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