- 1◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:08:08
学P「というわけで葛城さん、13人の初星学園のアイドルと幸せになってください」
リーリヤ「ええ……」
学P「誰か一人でも不幸にすると……」
リーリヤ「死んじゃうんですか!?」
学P「葛城さんが好きな作品の続編が打ち切られるか、継続しても残念な出来になってしまいます」
リーリヤ「ええ……」
学P「頑張ってくださいね」
【ルール説明】
1.基本的に運命の彼女と目が合うことで恋に落ちます
(だから例えば星南の隣にことねがいても、目が合ったのが星南なら彼女だけと恋に落ちます)
2.皆さんリーリヤが何股かけることに関しては寛容です(刺すとかの展開はない)
3.リーリヤははみ出しを回避する方向に動きます。
4.途中で学Pからお助けアイテムなどが付与されます - 2◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:09:15
- 3二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 21:10:12
ワクワクが止まらないスレタイで良い
- 4二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 21:11:35
頑張れ りーぴゃん
- 5二次元好きの匿名さん25/07/04(金) 21:11:42
ぽかぽかリー清求めてたときに見た概念だ
楽しみ - 6◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:14:34
リーリヤ「ふええ……学園内なのに迷子になっちゃったや。清夏ちゃん、どこに行っちゃったんだろう」
リーリヤ(Pさんが言ってたこと、どういうことだろう)
※まだPはリーリヤを担当していません
千奈「ま、迷子ですわ~!」
リーリヤ(私以外にも迷子の人がいるみたい)
千奈「誰ですの……軽い気持ちで『学校を探検しよう』だなんて言い出したおばかさんは……わたくしですわぁ~~~~~~~~!お友達ともはぐれてしまって……わたくし、ここで野垂れ死ぬのですわね……」
リーリヤ(流石アイドル科……濃い人が多いな)
リーリヤ「あ、あの、もしかして貴女も迷子ですか?」
千奈「は、はい!わたくしも迷子で――」
ビビーーン!!!!
リーリヤ「!?」
千奈「なっ!?」 - 7◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:27:19
リーリヤ(今、確かに何かが起こったッ! ニュータ〇プっぽいけど、それとも違う……これってまさか……?)
千奈(な、なんですの!? 今、びりびりってわたくしの体にはしった電撃みたいなのは……)
リーリヤ「あ、えと、大丈夫ですか?」
千奈「も、問題ありませんわ! わたくし、1年2組の倉本千奈と言います。お名前を伺っても?」
リーリヤ「葛城リーリヤです。1年1組なので、きっと目的地は一緒ですね」
千奈「そうですわね! 是非ご一緒させてくださいまし」
----
千奈「葛城様はとっても一所懸命にトップアイドルに向かって努力なさっていられますのね!」
リーリヤ「そんなことないよ。私は才能がないから、人一倍頑張らないと」
千奈「そのお心がけが立派ですわ! 何を隠そう、わたくしこそが、入学試験最下位なのですから!」ペカー
リーリヤ「ええっ!? こんなに可愛いのに、ですか……?」
千奈「ふええ!? か、可愛いだなんて、て、照れてしまいますわ……!」
二人の間に何とも言えない空気が流れる。
千奈(な、なんですの……体が暑くなってますわ。こんなこと、さっきまでなかったのに……体調を崩してしまいました? 元気くらいしか取り柄がないですのに……)
リーリヤ「倉本さん、どうかしましたか?」顔をのぞきこむ
千奈「あうっ……は、はれんちですわーーーー!!!」
リーリヤ「あっ! どっかに走っていっちゃった……」 - 8◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:41:25
昼休み
リーリヤ(私はなんとか教室に戻れたけれど、倉本さんは無事に戻れたんだろうか)
倉本「葛城様! 葛城リーリヤ様はいらっしゃいますか!」
リーリヤ「倉本さん?」
倉本「先程のお礼をしたくて顔を出させていただきましたの。せっかくですから、メイドの香名江にお弁当をつくっていただいたのでご一緒しましょ?」
リーリヤ「ご相伴にあずかりますね」
――――
千奈が用意したのは五段もにも詰まれた重箱の弁当だった!
リーリヤ「アニメで見たことありましたが、日本のお弁当って本当にこの大きさなんですね……」
千奈「どうされました?」
リーリヤ「う、ううん。何でもないよ。それにしても倉本さん、メイドさんがいるってとってもお金持ちなんですね」
千奈「それほどでもございませんわ。葛城様は、スウェーデンからいらっしゃいましたのよね?」
リーリヤ「知ってたんですね」
千奈「はいっ! 話題になっていましたもの! とってもお美しい方が入学されたって!」
リーリヤ「はぇっ、か、美しい、ですか!?」
千奈「とーっても美しくて、人形さんみたいですもの!」フンス
リーリヤ(こんなに褒められたの初めてだな……Pさんが言う運命の人って、本当なのかな……?)
千奈(やっぱり……この気持ちは体調不良ではありませんわね。香名江に聞いてみましょう……!) - 9◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:45:24
放課後
千奈「葛城様~~~~!」
千奈はリーリヤの後ろから抱き着いた!
リーリヤ「えっ!」
清夏「おお~、ちなっち大胆~」※清夏とは今は目が合っていません
千奈「わたくし、香名江にちゃーーんと聞いてきましたの! 葛城様と一緒にいると込み上げるこの感情は、まさに恋なのですわ!」
リーリヤ「ええ!?」
千奈「はっきりと言えますわ! わたくしは葛城様をお慕い申し上げますの」
清夏「わっ、リーリヤ、入学して早々彼女できちゃったじゃん! やるね~、あたしは先に帰るから二人でじっくり話しなよ~!」
※しゅみたんのターンも後程来ます。安心してくださいね - 10◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:49:49
千奈「わたくし、友達も多くありませんし、知らないこともいっぱいですし、アイドルとしてもだめだめですわ。ですが! 葛城様に抱いた心に、嘘はつけませんわ!」
リーリヤ「倉本さん……」
千奈「千奈、とお呼びくださいな!」
リーリヤ「うんっ! 私も、その、リーリヤって呼んでほしいかな」
千奈「わかりましたわっ、リーリヤ様。それで、その……」
リーリヤ(千奈さん、とっても緊張しているし、どうしたらいいかわかっていないみたいだ。ここは……アニメで見たように私から……)
リーリヤ「千奈さん、わ、私とその……付き合ってください!」
千奈「!」パアア
リーリヤ(は、恥ずかしい……)
千奈「喜んで……! 不束者ですが、よろしくお願いいたしますわ!」
リーリヤと千奈は恋人になりました! - 11◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:51:37
といった感じで、だいたい1ダイス5~10レスくらいの短編で展開されます。
最初の方は全員のアイドルを廻すためにダイスが重複した場合は+1していきますが、ある程度進んだら2周目に突入します。
たとえば元ネタの100カノにならうと、2周目はキスイベントですね。
あとこういうシチュでほしいってあった場合はダイスでひいたときに採用するんでどんどんください。
というか思いついた人はどんどんSSを投下していってもらって大丈夫です! - 12◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 21:52:46
- 13◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 22:19:18
【ことね編】
リーリヤ(今でもドキドキしてるや……)
千奈「リーリヤさん! わ、わたくし、ふぁすとふぅどなるものを食べてみたいですわ!」
リーリヤ「あのハンバーガー屋のことかな、行こう!」
がやがや……
ことね「いらっしゃいませー、あれ、リーリヤちゃんじゃ……」
リーリヤ「ことねちゃん、ここで働いて――」
ビビーン!!!!!!
ことね「!?」
リーリヤ「ええっ!?」
ことね(ちょ、な、なんだよこれ~~~! 今仕事中だってのに!)
リーリヤ(そ、そんな、今は千奈さんがいるってのに……!)
リーリヤ「……ことねちゃん?」
ことね「あ、えと、ご、ごめんナ! 注文をお伺いします!」
千奈「でしたらわたくしは……」 - 14◆je8PYTqP5Ydc25/07/04(金) 22:51:39
その日の夜
リーリヤ(……千奈さんとハンバーガー、あんなに美味しいとは思わなかったな。清夏ちゃんと来たこともあるのに……好きな人と食べるご飯は違うって聞いたことがあるけど、そういうことなのかな……?)
リーリヤ(清夏ちゃんに聞いてみようかな……それと……ことねちゃん)
リーリヤ(あの静電気みたいなのが起こった、間違いなくことねちゃんも……)
プルルルル……
ことな「ごめんナー、こんな深夜に。ちょっち話さない?」
リーリヤ「あ、はい! 寮の外で待ち合わせましょう」 - 15◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 00:20:11
ことね「ごめんねー、呼びだして」
リーリヤ「ううん、大丈夫だよ。バイトお疲れ様です」
ことね「ありがと~! で、さ。千奈ちゃんとのあの距離感……少し変だなーって思ってサ、清夏に聞いたんだよね」
リーリヤ「…………」
ことね「付き合い始めたんだってね。聞いちゃってごめんね、そっか、そっかぁ……」
リーリヤ(……たぶんだけど)
リーリヤ(ことねちゃんはあのビリビリが恋のときめきってのに、気付いている)
リーリヤ(でも、人の恋人に横恋慕しちゃだめって言い聞かせて、恋を終わらせようとしているんだ。ことねちゃん、清夏ちゃんほどではないけど、本当に本当の本心は言えないんじゃないかな……?)
リーリヤ(だとすると、私のすることは……)
リーリヤ「ことねちゃん!」
ことね「ふぇっ!?」
リーリヤ「わ、私と付き合ってください!」 - 16◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 00:22:16
告るの早すぎって思うじゃん?元ネタも割と早いんだな、これが
- 17◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 01:04:25
ことね「ふぇっ!? それは嬉しいけどぉ……って、なにいってんだ!? リーリヤちゃんには千奈ちゃんがいるだろ!?」
リーリヤ「確かにそうです。でも、それでも……私は私が好きになった人を、不幸にしたくありません!」
ことね「いやいやいや……倫理的におかしいってー! あたし、愛重いぞ? それに……」
リーリヤ「ことねちゃんは、私が嫌いですか?」
ことね「それはぁ……違うっていうかぁ……いやむしろ好きだけどさァ……」
リーリヤ「みんなでトップアイドルになって……みんな幸せにします!」
ことね「!!!!」
二人の間に少しだけ沈黙が流れた。
ことね「もぅ~♥ リーリヤちゃん、あたしのことしゅきすぎ~♥」ギュー
リーリヤ「あ、あわわ」
ことね「あたしのことお持ち帰りしてくだぁ~い♥」
リーリヤ「あ、ええと、は、はみだしは、未成年だからだめです!」
ことね「なにも言ってないだろ~? リーリヤちゃんってむっつりで可愛いぃ~♥」
一転してデレデレになったことねの姿に驚きながらも、リーリヤは己の運命を確信するのであった。
リーリヤとことねは恋人になりました! - 18二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 02:49:13
明日以降にどんどん続き書いていきます
気付いたら保守していきますが、もし落ちそうなら保守してもらえると助かります
良い夢を! - 19二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 10:29:09
ほしゅ!楽しみにしてます
- 20二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 15:04:12
100カノも学マスも好きだから楽しみ
- 21◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 17:17:13
翌日。初星学園の屋上。
リーリヤ「という次第でございまして……」
ことね「こ、こんにちは~! 藤田ことねで~す!」
千奈「う、浮気ですわ~~~~!?」
リーリヤ(そうなるよね……)
リーリヤ「これには海よりも深く山よりも高い理由があって……」
千奈「浮気ですわ……大奥ですわ……一夫多妻ですわ……」
ことね「だよなァ……」
千奈「ですが、わたくし、藤田さんのことも好きですわ……」
ことね「あれっ」リーリヤ「あれっ」
千奈「藤田さんもリーリヤさんを愛しているのでしょう?」
ことね「それは、そうだケド」
千奈「でしたら同じですわ! そこに優劣を付けることはできませんわ!みーんな、大好きですもの!」ギュー
千奈がことねとリーリヤを同時に抱きしめる!
リーリヤ「千奈さん、ことねちゃん……」
千奈「わたくしもちゃんで構いませんわ!」
リーリヤ「千奈ちゃん、ことねちゃん、私、二人とも絶対に幸せにするね!」
ラブラブラブラブ……。
ことね「ところでサー、リーリヤちゃんと千奈ちゃんはその、キスとか……したの?」
リーリヤ、千奈「「!?」」 - 22◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 18:57:13
千奈「そ、そのような破廉恥なことは……デートを三度したあとだと聞きましたわ!」
リーリヤ「わ、私も聞いたことがあります。女性は男性の三歩後ろを歩くと……」
ことね「思想が昭和!」
ことね「まァ……キスに慣れている方が嫌だけど、そっかぁ、まだなのかぁ」ニヤニヤ
千奈「そういう藤田さんは経験がありまして?」
ことね「あ、あるワケないだろ~?」
リーリヤ「な、ないんだ……」
ことね「り、リーリヤちゃんに初めては捧げるしぃ~? で、でも千奈ちゃんがまだまら流石に待たないとなー」
思いの外、義理堅いことねであった。
ことね「てなわけでささっと済ましちゃおう!な!」
千奈「ファーストキスのはずなのに軽いですわ~!?」
ことね「い、いいだろ?」
リーリヤ「えと、千奈ちゃんは……嫌じゃないかな?」
千奈「嫌なワケありませんわ! か、かなり恥ずかしいですわ!」
リーリヤ「そ、それは私も……千奈ちゃん!」ガシッ
千奈「ふぇっ!?」
言葉はなかった。
ただ、数秒間リーリヤと千奈は見つめ合う。
たった数秒なのに、悠久の時に感じられた。だけど、意を決したのはリーリヤだった。
そっと、本当に優しい……リーリヤの性格を表す様に彼女の唇が、千奈の唇に触れた。
初めてのキス。
それはまるで千奈の性格の様な……陽だまりの様な暖かさなのであった。 - 23◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 20:45:20
ことね「……や、やれっていったけどぉ……こうまで見せつけられると、こっちも妬けるっていうか……あたしもするからリーリヤちゃんこっちきて!」
リーリヤ「ふぇ!?」
ことねは少し乱暴にリーリヤを引き剥がし、すぐにでもキスができる距離にまでもってくる。
だが、そこでことねは硬直!
リーリヤ「こ、ことねちゃん!?」
千奈「か、かたまってしまいましたわ!?」
ことね「な、何も言うなよ~! こうは言ったけど、あたしも経験ないんだからさ!? というかリーリヤちゃんもう一回したんだからリードしろ……というのも違うし、あ~~~!」
千奈「藤田さんが猫ミームみたいになっていますわ……」
リーリヤ(確かに、私がリードするのがいいのかもしれないけど……それでことねちゃんは満足ができるかな。だからここは……)
リーリヤ「私、ことねちゃんが準備出来るまで、いつまでも待つよ。だから……急がないで」
ことね「うぅ、リーリヤちゃん~♥ すぅ、はぁ、すぅ……」
数度ばかりの深呼吸の果て、ことねは覚悟が決まったと、言葉はなく瞳を閉じる。
それを受けたリーリヤも、静かに微笑んだ後、唇を重ねた。
千奈の時とは違う、甘く、だけど優しい柑橘系の香りがした。
それはことねの、いずれ夜空に唯一輝く一番の星となるような確かな力強さが感じられる彼女らしいものであった。 - 24◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 20:47:16
- 25◆je8PYTqP5Ydc25/07/05(土) 21:13:47
【麻央編】
ことね「リーリヤちゃ~ん!ちゅーしよ、ちゅー」
リーリヤ「こ、ことねちゃん、今はレッスン中だから……」
千奈「こ、転んでしまいましたわ~~~!」
リーリヤ「千奈ちゃん、ちゃんと水分とって……」
麻央「………………」
-----
リーリヤ「自主レッスンしてたら門限ギリギリになっちゃったや」
麻央「リーリヤ」
リーリヤ「ひゃっ!」
後ろから声をかけられ、リーリヤは驚いてしまった。
麻央「……最近、リーリヤの風紀が乱れている気がするんだよね」
リーリヤ「あ、あはは、これにはワケがありまして……」フリカエリーリヤ
ビビーーーーーーン!!!!!!!
リーリヤ「!?」
麻央「!?」 - 26二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:40:45
このレスは削除されています
- 27◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 00:41:49
麻央「な、なんだろうこの感覚……怪奇現象!?ひぃぃ……」
リーリヤ「麻央センパイ?」
麻央「な、なんでもない! 校則は守る事、いいね!」
リーリヤ「は、はい」
-----
リーリヤ(麻央センパイ……クールな王子様ですよね、まるで物語の中から出てきたような白馬の王子様……)
リーリヤ(真面目な人だし、事前に聞いている通りの人だったな……)
リーリヤ(だけど、なんでだろう。どこか……無理をしている気もする)
リーリヤ(少しだけ、気持ち悪いかもだけど観察してみよう……)
翌朝。
麻央「怪我かい?今すぐ保健室に……」
リーリヤ(やっぱり王子様だな、本当にすごいや。誰にでも親切であろうとする……)
麻央「ことね、またバイトをしてたんだね、ほどほどに……」
ことね「はーい、わかりましたぁ」
リーリヤ(でもちょっと……考えが硬いというか、なんというか……)
莉波「はい、麻央。ミルクだよ」
麻央「ありがと、助かるよ」
リーリヤ(あれ……麻央センパイって珈琲もミルクなしだったはずじゃ……) - 28◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 00:55:37
リーリヤ(数日観察してみたけど……麻央センパイは確実に気高い人だ。それは私が憧れているとおりの姿だ。私から見ればやっぱり麻央センパイは格好いいや。だけど……)
翌朝。
リーリヤ「Pさん」
学P「おや、あのときの。順調そうですね」
リーリヤ「おかげさまで……今回は少し、アドバイスというか、プロデュースする際の考え方を教えていただきたく思いまして」
学P「ほぉ、どうかされましたか?」
リーリヤ「麻央センパイ……有村麻央さんについて少し」
-----
リーリヤ「麻央センパイ!!!今少しお時間大丈夫ですか!!!」
麻央「わ、わぁ!? リーリヤか、どうしたんだい?」
リーリヤ「少し……二人で話がしたくて」 - 29◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 01:38:02
リーリヤ「麻央センパイについて……お話したくて」
麻央「ボクについてかい?」
リーリヤ「少し、麻央センパイのことが知りたくて、その調べたんです」
麻央「……なら、ボクがどう言われているか、知っているだろう」
リーリヤ「……小さな王子様(リトルプリンス)」
麻央「そうだよ。皆、同じことを言う。少年みたいな恰好をやめて、可愛くあれ――と。リーリヤもきっとそうだろうね」
リーリヤ「違います!」
そのとき、一陣の風が吹く!
すると、普段の髪型が崩れ、かきあげていた前髪が降りてしまった。
麻央「やっ、み、見ないで――」
リーリヤ「いいえ、見ます!私はありのままの麻央センパイが、見たいです!」
麻央「ええ!?」
リーリヤ「麻央センパイの活動はすべてチェックさせてもらいました。子役時代のも、全部全部」
麻央「ぜ、全部!? それも子役時代も!?」
リーリヤ「……そのうえで、麻央センパイの目指したいアイドルの姿も、把握しているつもりです。誰よりも真面目で、でもお化けが苦手で、結構無理してブラックコーヒーを飲んでるところも……」
麻央「あ、あんまり言わないでほしいと……嬉しいかな。でも、うん、ボクの中で氷解したことがある。それを……リーリヤに伝えてもいいかな」
リーリヤ「……はい」
麻央「リーリヤ、一目見た時に思ったよ。アイドルとして駄目かもしれないけど、それでもボクはリーリヤが好きだよ。付き合ってほしい」 - 30◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 02:24:32
麻央「君が千奈やことねと付き合っていることは知っている。最初は驚いたし、ボクは懐疑的だった。だけど、自分らしく生きる――ボクが本当に目指すべきはリーリヤのその姿なのかもしれない」
リーリヤ「そうかな……そうかも……」
麻央「だから、ボクは君と付き合いたい。ボクを王子様だと慕いながら、可愛くあってもいいと教えてくれたのは、リーリヤだから」
リーリヤ「……はい! 麻央センパイを幸せにします! とっても格好よくて、とっても可愛い麻央センパイを!」
麻央「~~~~!!!……~っ、か、可愛いって……」
リーリヤ「何度だって言います! 麻央センパイは格好いいし、可愛いです!!!」
麻央「に、2回も言わなくていいですっ!」
----
麻央「――理想と現実の乖離がね、大きくなればなるほどアイドルという道も遠くなるように感じていたんだ。幼い頃にはなかった現実という壁がどうしても高くてね」
麻央「だけど、リーリヤと出会って……変われると思えた」
麻央「自分でも、もう一度アイドルを目指してもいいともね」
リーリヤ「麻央センパイ、一緒に立ちましょう。アイドルとして、同じ舞台に」
麻央「ああ、勿論だよ。だけど」
リーリヤ「だけど?」
麻央「君の一番も譲らないよ?」
リーリヤ(ひゃ、ひゃあ、これがスパダリってやつだぁ)
麻央「お、あそこにお団子が売ってるよ、食べていこう」
リーリヤ(もしかして麻央センパイって……)
リーリヤ「食べること、好きですか?」
麻央「ふぇっ、そ、それは……気のせいだよ!」
リーリヤ「……今度私、お菓子作ろうと思うんですけどいりますか?」
麻央「是非食べるよ!」 - 31◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 02:25:59
- 32二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 06:36:29
一旦正妻来たか、楽しみ
- 33二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 12:08:43
ほしゅ
- 34二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 19:26:06
スレ主です、10時頃に更新できると思います
よろしくお願いします - 35◆je8PYTqP5Ydc25/07/06(日) 22:22:43
【清夏編】
――何年前のことだろう。
日本から離れた、遠く遠い大地。
家族もいたけれど、幼い頃の自分はきっと見ず知らずの異国の大地で寂しかったんだと思う。
辺り一面の冬景色。
日本では最北の場所にいたという自負はあったけど、今眼前に広がる風景の比ではなかった。
足跡すら着いていない純白の地面を毎日ゆっくりと進み、レッスンへ向かう。
そんな日々だった。
だけどその日は、違った。
あたしよりも少し先に同じくらいの大きさの足跡がついていた。
その日、出逢ったんだ。白銀の世界に咲き誇る、無垢な白い花に。 - 36◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 00:33:07
リーリヤ「という次第でございまして……」
麻央「やぁ、千奈にことね。改めて……よろしくね」
ことね「麻央ちゃん先輩も落としたんだ……というか本当に増えていくんだな……」
千奈「初星大奥が着々と進んでいますわね」
リーリヤ「あ、あはは……」
舌の根の乾かぬ内……と言われることも甘んじて受け入れようとしたリーリヤだが、二人はとても優しかった。
ことね「それでも、リーリヤちゃんは絶対あたしたちを幸せにしてくれるーっていう確信があるからいいけどナー」
千奈「ですわね! みーーんなで仲良しです!」
麻央「ありがとう……!二人とも……!」
ことね「と・こ・ろ・で~、麻央ちゃん先輩は~、リーリヤとぉ、もうキス、したんですかぁ?」
麻央「ふぇっ!? き、きす!?」
ことね「リーリヤちゃんとーっても上手なんですよ?もうとろけちゃってぇ~……」
千奈「…………」(顔が真っ赤になっている)
清夏「……………………」(物陰から眺めている)
-------
清夏「……はぁー、退屈だなぁ。最近はリーリヤがモテモテだから帰りも一人だし」
清夏「みんなは別にあたしがいても嫌がらないだろうけど」
清夏「入れないよ、フツーに考えて」
清夏「…………退屈だな」 - 37◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 01:55:35
リーリヤ「清夏ちゃん、最近様子が変だな……私と距離を置いているみたいだ」
ことね「清夏はリーリヤと幼馴染なんだっけ」
リーリヤ「うん。スウェーデンにいた頃に友達になったの。あ、ごめんね。デート中に」
ことね「いいよいいよ、あたし、もっとリーリヤちゃんを知りたいしサ。それに、知るってのは……リーリヤちゃんだけじゃなくて、リーリヤちゃんが見てきたもの知ってきたもの全部だと思うんだよね」
リーリヤ「……ことねちゃん」
ことね「それがどういう結末になるかなんかはあたしにはわかんないケド、案外話してみればわかることもあるかもよ?」
ことねは自分の家族を例に出す。
ことね「チビたちもさ、みんないい子だから本当の気持ちをたまーに話さなくなるんだよね」
リーリヤ「ことねちゃんはそういうときはどうするの?」
ことね「取り留めのない話から始めて、とことん話す、かなー。いくら家族でも『言わなくても通じる』はあり得ないからね」
-----
リーリヤ「清夏ちゃん、ちょっといいか――」
清夏「ごめんねリーリヤ、今ちょっと忙しくて」ソソクサ
リーリヤ「明日の授業のことなんだけど」
清夏「zzz」
リーリヤ「寝ちゃってる……」
清夏(…………)
リーリヤ(同室なのにわかりやすく避けられちゃってるや)
リーリヤ(これは困った)
リーリヤ(少し強引に行くしかないかな……) - 38◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 01:57:17
リーリヤ「清夏ちゃん、大事な話が……」
清夏「ごめんねぇ、先生に呼び出されてて……」
リーリヤ「清夏ちゃん!」
清夏「ふえ!?」
リーリヤ「ちゃんと、私の、目を、見て!」
清夏「ちょ、リーリヤ!?」
ビビーーーーン!!!!
リーリヤ「!?」
清夏「!?」 - 39◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 02:00:32
――何年前のことかな。
私がまだ、アイドルなんて存在は今よりもずっと遠くにあると思っていたころだ。
見慣れ過ぎたスウェーデンの風景は、今年も変わることはない。
白銀の世界だ。もっと小さい頃は毎年心ときめいていたけれど、もう今は何も感じられない。
雪原に足跡をつけることにさえも意識が向かなくなって、久しい。
はぁっと、吐く白い息を追い越しながら今年も私は何もなく一年を終えるんだ……そう思っていた。
だけどその日は、違った。
私の知らない足跡があった。
その日、出逢ったんだ。私が持たなかったもの――大きな夢――を持つ綺羅星に。 - 40二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 07:23:28
保守
- 41◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 15:31:07
清夏「やめてっ、リーリヤ、見ないでっ……」
顔を紅潮させた清夏は必死にリーリヤから逃げようとするが、それをリーリヤは逃さなかった。
リーリヤ「いやだ!離さない!」
清夏「リーリヤ、強引だよぉ……」
リーリヤ「清夏ちゃん、隠してるよね。私に対して……これが清夏だってわかっているけれど、それでも寂しいよ」
清夏「……うぅ」
リーリヤ「清夏ちゃん、話して」
清夏「言葉にするのは……難しいかな。最近ずっとモヤモヤしてた」
清夏は語る。
この数週間の虚無感を。
別に、アイドルに対する欲求とかそういうのではなく――本当に言葉にするのが難しい、複雑な感情。
ここ数日はなんとか言語化できるようになってきた。
リーリヤが隣にいない日々が辛い。
だけど、それでも理解ができないことだらけだった。
清夏「なんでかなー、今、リーリヤと目を合わせて止まらなくなっちゃった」
リーリヤ「清夏ちゃん……」 - 42◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 21:00:11
清夏「あたし、性格悪いね。親友なのに、リーリヤの幸せを祝わなきゃいけないのに……嫉妬しちゃってる。麻央っち先輩やことねっち、ちなっちとの幸せを祝わないといけないの」
清夏「リーリヤ、辛いよ。あたし、辛いよ」
清夏「こんな感情をぶつけるの、迷惑だよね。だからせめて、リーリヤと話さないように……」
リーリヤ「清夏ちゃんのバカ!」
清夏「!?」
リーリヤ「清夏ちゃんはいつもそうだよ! 大事なことを抱え込んで……全部自分で終わらせようとする」
清夏「だって! あたしはリーリヤを悩ませたくない!」
リーリヤ「それでいなくなった方が悩むよ! どうしてわかんないの!」
清夏「わからずやはどっち?! あんなに女の子囲ってさ! あたしの気持ちなんて考えずに!」
リーリヤ「!」
清夏「リーリヤが好きなの! リーリヤがいない人生なんて考えられないし、あたしがいなくなっても十数年は引き摺っててほしい!」
リーリヤ「清夏ちゃん……」
その言葉はとても真っ直ぐな言葉だった。
あの日、白銀の世界で出会った日に一緒にした約束と同じ様に。
リーリヤ「清夏ちゃん」
清夏「き、気休めはいらないよ」
リーリヤ「清夏ちゃん、私は……清夏ちゃんが好きだよ。私と、付き合ってください」
清夏「!」
その言葉を聞いた清夏はみるみると顔を赤くする。
清夏「ひゃあ!」
だが、答えを言う前に清夏は逃げ出してしまった! - 43◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 23:28:50
リーリヤ「清夏ちゃん、何処行ったんだろう…・…」
一瞬間、迷いに迷った……が、すぐにある場所を思い出す。
それは初星学園を受験する前に、一緒にライブを見た、あの会場。
学生となった今、公演がないときは入ってもいいことになっている。
私は一直線に、誰もが目指す舞台に向かう。
その舞台袖に、清夏ちゃんはいた。
リーリヤ「清夏ちゃん」
清夏「どうしてリーリヤはわかっちゃうかな」
リーリヤ「わかるよ。私たちの始まりの場所だもん」
清夏「……」
リーリヤ「今日は何もないよ。舞台に上がらないの?」
清夏「……あがれるわけないじゃん。あたし一人じゃ」
リーリヤ「なら一緒に上がろうよ。約束、一緒に果たそう?」
清夏「でもリーリヤの隣にはもういろんな人がいる。きっとまだ増えるんでしょ? そこに……あたしはいらないかなって」
リーリヤ「清夏ちゃん!」
リーリヤは清夏を抱きしめる。
清夏「!?」
リーリヤ「清夏ちゃんがいらないだなんて、私は思ったことないよ。だから絶対にそんなこと、言わないで。今後どうなるか……それはまだ私にも、誰にもわからない」
リーリヤ「だけど、清夏ちゃんのいない人生は考えられない」
リーリヤ「だから……一緒にいてほしいよ」
清夏「リーリヤ……」
リーリヤ「何度だっていうね、清夏ちゃんのことが大好きだよ。これからもずっと一緒にいたい。絶対に幸せにする。それにあの日の約束を果たす」
清夏「……もうっ、わかったよぉ、降参、降参」
リーリヤ「え?」
清夏「……あたし、愛重いからね。裏切ったら、許さないから」 - 44◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 23:35:49
どんがらがっしゃん!
リーリヤ、清夏「!?」
扉からなだれ込んできたのは、千奈にことね、麻央だった。
リーリヤ「みんな!?」
清夏「ええっ、見られてたの!?」
リーリヤ「う、うう」
ことね「もどかしいんだよ~!お前らぁ!」
千奈「ドキドキしましたわ……!自分のとき以上に……」
麻央「莉波の持ってる少女漫画みたいだ……」
清夏「ええ!?」
リーリヤ「う、全部見られてたみたい……」
清夏「リーリヤのばかばかばか……」ポカポカ
リーリヤ「えっ、私のせい!?」」
清夏「いっぱいデートしないと、許さないかんね!」
リーリヤと清夏は恋人になりました! - 45◆je8PYTqP5Ydc25/07/07(月) 23:36:54
はい、清夏編でした。
一応正妻枠なんで他よりも長くしたし、すこししっとりとしました。どんどん書くけどね、これからも。
ここからは少しデート回です。 - 46◆je8PYTqP5Ydc25/07/08(火) 00:14:30
麻央「…………」
ことね「リーリヤちゃ~ん、帰りデートしよっ♥」
リーリヤ「ええ、是非」
千奈「リーリヤさん! 屋敷でお茶会、しませんか?」
リーリヤ「わぁ! お茶会初めてです!」
清夏「リーリヤぁ? あたしを無視しないでほしいな?」
リーリヤ「わわ、無視してないよ、デートしにいこ」
清夏「うん!」
麻央「…………」
------
麻央「やっぱり未成年の不純異性交遊はよくないと思うんだ」
ことね「急に上級生要素出てきましたね」
千奈「ふ、ふじゅんい……?」
清夏「デートしただけじゃぁん」
麻央「そ、そういうところだよ! ボクたちはアイドルの卵、恋愛関係がバレることは……」
ことね「麻央ちゃん先輩、もしかしてリーリヤをデートに行きたいんじゃないですか~?」
麻央「…………そ、そんなことは……」
ことね(図星だナー)
清夏(図星だねー)
千奈(図星ですわ)
リーリヤ「あれ、遅れちゃいましたが皆さんどうしたんですか?」 - 47◆je8PYTqP5Ydc25/07/08(火) 00:43:31
麻央「り、り、り、りー。りーり!」
リーリヤ「ええっ?」
麻央「で、でーと……」
リーリヤ「デートしませんか?」
麻央「う、うん!」
ことね(麻央ちゃん先輩って奥手なんだナー)
----
麻央「ええと、今日はリーリヤと一緒に見たくてこれを用意したんだ」
リーリヤ「これは……歌劇のチケット?」
麻央「そうなんだ」
リーリヤ「わ、私、歌劇って初めてなんですが、そ、その、ドレスコードとかって……」
麻央「あはは、ないよ。それに仮にあってもボクたちは制服がちゃんとしたドレスになっているから」
麻央「それにね……耳を貸してごらん、今日の歌劇はね……」
リーリヤ「ええ!?私が好きなアニメを演じているんですか!?」
麻央「ああ、最近、そういう2次元とのコラボも流行っているんだよ。どうだい、見たくなっただろう?」
リーリヤ「はい!」 - 48◆je8PYTqP5Ydc25/07/08(火) 00:51:47
リーリヤ「と、とってもすごかったです……!あのシーンが……!あのキャラが……!」
麻央「あはは、でもその興奮具合、わかるなぁ」
麻央「小さい頃にね、憧れの歌劇スターの舞台を始めてみた時は今のリーリヤみたいに心躍ったものだよ」
リーリヤ「麻央センパイの始まりは、そこだったんですね」
麻央「そうだね。懐かしいよ」
リーリヤ「麻央センパイ、みんなで一緒に夢をかなえましょうね」
麻央「……ああ」
----
リーリヤ「このあとは……」
麻央「折角だからイタリアンのお店を予約しているよ」
リーリヤと麻央は、個室にてゆっくりとイタリアンを楽しむことになりました! - 49二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 07:11:13
保守
- 50二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 13:05:04
ほしゅ
- 51◆je8PYTqP5Ydc25/07/08(火) 16:00:59
これほど門限という校則が嫌になった日は、なかった。
麻央センパイのエスコートは完璧で、逆に経験のない私が気圧されてしまうくらいだった。
初星学園近くの公園のおしゃれな椅子に座り、残り時間は談笑することになった。
麻央「……恥ずかしいからあの時は言えなかったけど」
リーリヤ「麻央センパイ?」
麻央「ボクはもっとリーリヤとデートしたい。ほかのみんなみたいに触れ合いたい」
麻央「だけど、どうしてだろう。上級生だからって自分で柵を作っている気がするんだ」
麻央「まるでちょっと前まで王子様としての自分に固執していたときみたいだ」
麻央は視線を地面に落とし、そっと儚げに表情を暗くする。
麻央「でも、もうやめるよ。自分にいいわけしたくない。だから嫌がられたって、何度でも誘うから……覚悟してほしいな」
リーリヤ「……はい!」
そして二人の間に、静かな時間が流れた。
一度、流れ星がそっと天上を迸ったとき、改めて私は麻央センパイと向かい合った。
麻央「センパイ、はいらない。麻央って呼んでほしい」
リーリヤ「はい……麻央」
そう告げると、また静かに笑った。
それ以上はなかった。彼女はゆっくりと顔を近づけ、やさしいキスをした。
他の子とは違う、年長者として私をリードしようとする、物語の王子様のような口づけだった。
麻央との初めてのキスは、春には必ず帰ってくるあたたかな桜の味がした。 - 52◆je8PYTqP5Ydc25/07/08(火) 23:34:30
今日は書けそうにないんで明日になります。
よろしくお願いいたします - 53二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:32:38
かわいい寮長とカッコいい寮長
- 54二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 04:34:53
ほしゅ
- 55二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 08:10:46
広が居るからキスゾンビも赤ちゃん回もいけるな…
- 56二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 13:51:03
そしてウメチャンの超巨大タックルをリーリヤは気合いで受け止めなくちゃならないんだ…!
- 57二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 16:50:01
ほす
- 58◆je8PYTqP5Ydc25/07/09(水) 20:20:24
- 59◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 01:22:35
【手毬編】
アリガトウゴザイマシター
リーリヤ「おすすめしてもらったラーメン屋で超大盛無料券もらっちゃったけど流石にそんなに食べられないや」
リーリヤ「みんなに聞いてみたけど、だめそう」
リーリヤ「普通でも、他所の大盛レベルだったからなぁ」
リーリヤ「どうしよう」
店主「すみません、今日の分終わっちゃったんですよー」
手毬「うぅ、そんな……」
そこには一歩遅れてラーメンにありつけなかった手毬ちゃんはっがっくりと項垂れています。
リーリヤ「あ、あの、手毬ちゃん?」
手毬「……なんだ、リーリヤか」
手毬「今機嫌悪いんだけど」
リーリヤ「ご、ごめんね?ついさっきこのお店の超大盛無料券をもらったんですけど、私じゃ食べられないんでいりますか?」
手毬「いいの!?」
ビビーーーーーン!!!!
リーリヤ「!?」
手毬「…………?」
リーリヤ「あの、手毬ちゃん……」
手毬「リーリヤ、どうしたの?変な顔して。でもチケット……その、ありがと……」
タタタッ、と恥ずかしそうに手毬ちゃんは去っていってしまいました。
リーリヤ「……もしかして気付いてないのかな?」 - 60二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 01:25:48
きたか
- 61二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 01:29:22
無自覚まりちゃん
- 62◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 01:30:15
とあるカフェ
ことね「うおぉ……すごい量のパフェ。リーリヤちゃんと一緒に来てよかった」
リーリヤ「こ、これは……すごいボリュームだね」
ことね「一回食べてみたくはあったんだけど流石に一人で食べる度胸はないからナー」
リーリヤ「だね」
ことね「でもリーリヤちゃんってお菓子作りしてるのに全然太らないよね……この前もチビたちにお菓子をもらっといてこういうのは駄目かもだけど……」
リーリヤ「……自分でも不思議なんだよね」
そのとき、同じ大きなパフェを一人で席に運ぶ手毬ちゃんが見えました。
ことね「あれ、手毬じゃん。まさかあれを一人で食べる気か……?」
リーリヤ「この前もラーメン屋の大盛無料券あげたら嬉しそうだったよ」
ことね「あんま甘やかすなよ~?あいつ、際限なく食べて太るから」
リーリヤ「悪いことしちゃったかな……」
ことね「……もしかして、あいつも?」
リーリヤ「……うん」
ことね「うわぁ、これはリーリヤちゃん苦労するぞ~」 - 63◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 01:36:42
明くる日
リーリヤ「1、2……ここでターン……あっ」ドスン
リーリヤ「いたた……」
手毬「大丈夫?」
リーリヤ「手毬ちゃん、ありがとう」
手毬「無理しすぎなんだよ。見てらんないから手を出しただけ」
リーリヤ「でも嬉しいよ、私、手毬ちゃんをよく知らなかったけど優しいんだね」
手毬「!?」
手毬「……そ、そんなことないからっ。ただ……目の前で転ばれると、その、邪魔なだけだから!」
リーリヤ(ツンデレだろうか……)
リーリヤ「でもうれしいよ、ありがとう!」
手毬「う、うう……」ヒュン
手毬ちゃんは物凄い速さでその場からいなくなっちゃった。
リーリヤ「これは……てまぬい?」
ひとつのぬいぐるみだけが身代わりの様に残されていた。 - 64◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 01:43:39
明くる日
リーリヤ「あれ……手毬ちゃん?」
レッスン室の前の椅子で三角座りをしながら悲しそうな顔をしている手毬ちゃんがいた。
リーリヤ「どうしたの?」
手毬「……リーリヤ、か」
手毬「怒られた」
リーリヤ「怒られたって、どうして?」
手毬「ラーメン……食べ過ぎて、怒られた。……トレーナーさん、そんなに太っていないのに……」
リーリヤ(そういえば、あのPさんから以前聞いた気がする。手毬ちゃん、中学生の時のユニットを解散してから不安定になっちゃったって……)
リーリヤ「手毬ちゃん」
手毬「5キロも増えてないから!」ナミダメ
リーリヤ「わかってるよ、ちょっと上手くいかなかっただけだから……一緒にレッスンしてダイエットしよ?」
手毬「……うん」
たまたま通りかかったことね「赤ちゃんかよ」 - 65◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 01:45:03
というワケで手毬編前編みたいな感じですが、つづきはまた明日……
よい夢を! - 66二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 01:47:11
おつ
- 67二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 05:54:07
朝保守、りーぴゃん改めて見るとハーレム適正高いよなぁホント……
- 68二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 07:14:51
自分の気持ちに気づいてないの、凄くまりちゃんって感じする。無自覚に人を好きになるし、人を愛するんだろうなぁ
- 69◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 08:47:23
明くる夜。
リーリヤ「変な時間に目が覚めちゃった。さりとて明日は完全休養日。困ったな」
ムシャムシャ……
リーリヤ「あれ? 食堂から音が……」
ムシャムシャ……ゴクン
まるでスナック菓子か何かを咀嚼しているような音だ。こんな深夜に誰だろう?
リーリヤ「あっ!」
手毬「り、りーぴゃん!?」ポテチ&コーラ
リーリヤ「こんな時間に何を……って間食!?」
手毬「み、見ないでよ! こ、このお腹が悪いの、見ないで……!」
手毬「…………」
リーリヤ「…………」
リーリヤ「手毬ちゃん」
手毬「な、なに!?」
リーリヤ「……お説教」
手毬「えっ」
リーリヤ「お説教だよ……!」
手毬「ひぃっ」 - 70◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 16:28:14
翌日
手毬(最近、気が付けばりーぴゃんと一緒にいることが多いな)
千奈「リーリヤさん! 今日は放課後にご一緒に……」
リーリヤ「はい!」
手毬(りーぴゃんの周りには、人がいっぱい)
手毬(私とは違う)
手毬(でも、”あいつら”と別れてから、私は一人でやっていく。やっていける、そう思っていた)
手毬(その判断に、今も間違いはない。そう思っている)
手毬(だけど、どこかに引っかかることがある)
手毬(りーぴゃんを見ていると)
手毬「あ、れ……」バタン!
------
リーリヤ「手毬ちゃん!」
手毬「こ、ここは……?」
リーリヤ「保健室だよ。レッスン中に倒れたんだ、びっくりしたんだよ?」
手毬「……そっか」
普段よりも、手毬ちゃんの口数は少なかった。
確実に、何かを悩んでいる。
でも、それが何かは、まだ私にはわからない。
リーリヤ「教えてもらえないかな。手毬ちゃんが……思っていること、悩んでいること」
手毬「……」 - 71◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 16:32:20
嫌われるかもしれない。
踏み込みすぎているかもしれない。
それでも、ここで見ないふりをしたら、きっと手毬ちゃんは一人になってしまう。
それは、いけないことなんだ。
――私は。
手毬ちゃんはそう独り言ちる。
手毬「私は、昔の自分が嫌い」
手毬「太ってて、怠け者で……いつも誰かに甘えて」
手毬「いやな子供。だいっきらい」
それは諦観と自己嫌悪が織り交ざった、黒い黒い感情。
手毬「本当は自分でもわかっている。私はただ、わがままなだけだって……」
――拗ねて、逃げて、迷惑をかけて……台無しにして。
手毬「最低な私はそれでも夢を諦められなくて……」
手毬「だから決めたんだ、これからは一人でやろうって」
――それなのにっ、どうして。
手毬「今のリーリヤを見ていると、それが揺らいでしまう。なんで、なんでなの? なんで、胸が熱いの?」 - 72◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 16:43:07
リーリヤ「私の言葉は、きっと正解なんかじゃないと思う」
リーリヤ「でも私の中で、これがいいって思った言葉を手毬ちゃんに伝えるよ」
リーリヤ「それを聞いたうえで、手毬ちゃんの答えを私は聞きたいよ」
リーリヤ「私は、手毬ちゃんが好き」
手毬「っ……」
私の言葉に、手毬ちゃんは静かに一度、うつむく。
手毬「たぶん、リーリヤと出会う前の私なら一笑に付して……くだらないと吐き捨ててたと思う」
手毬「恋なんて、愛なんて……今の私にとって足枷でしかないって」
リーリヤ「……」
手毬「でも、もう違うようになってしまっているよ」
リーリヤ「手毬、ちゃん」
手毬「初めて話したとき感じた熱が何か、すぐにはわからなかった」
手毬「でも二人で話して、一緒にレッスンして、おいしいものを食べて、そして怒られて……そしてやきもちをやいて。ようやく気付いた。私も、リーリヤのことが好き」
そのまっすぐな視線は、いつか真剣に、誰よりもレッスンしている姿の時に見た瞳と、同じものだった。
手毬「私と、付き合ってください」
リーリヤ「うん、よろしくお願いします!」
こうして、手毬ちゃんが彼女になったのだった。 - 73◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 16:44:26
???「まぁ……絶対に許しませんよ、葛城リーリヤ」
- 74◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 16:45:58
- 75二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 16:48:38
このレスは削除されています
- 76◆WsV5Czf1Hs25/07/10(木) 17:02:59
よくみたらダイススレ二つ回しててくさ。
両方見てます!! - 77◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 19:17:43
ありがとうございます!こっちはゆっくりと書く感じなんでなんとかなってます!
- 78◆je8PYTqP5Ydc25/07/10(木) 23:18:34
リーリヤ「という次第でございまして……」
手毬「……よろしく」
千奈「月村さんですわ!」
麻央「さしづめ三分の二の雨上がりのアイリスってところかな」
清夏「咲季っちでRe;Irisがそろうね」
ことね「三分の二ってなんだよ。まさか手毬まで加わるとは……」
手毬「それって私が意外性のあるアイドルってこと?」
ことね「というかは赤ちゃん枠かナー……」
手毬「そ、そんなことないもん!」
ガヤガヤガヤガヤ……
リーリヤ「だ、大丈夫かな」
清夏「だいじょぶだいじょぶ、手毬っちとことねっちはいつもからこうだから」
千奈「喧嘩する程仲がいいってやつですわね」
ことね・手毬「「仲良くないから!!!!」」
ことね・手毬「「!?」」
ことね「ぐぬぬ……」手毬「うぅ……」
麻央「それにしても大所帯になったね」
リーリヤ「空き教室に普段集まっていましたがそろそろ手狭ですね」
千奈「それならっ! お任せくださいまし!」
千奈ちゃんがそう言い、案内したのは屋上だった。
麻央「屋上って学生利用には申請が必要だったような」
千奈「お爺様にお願いしましたわ!」
リーリヤ「わぁっ……」
ことね「御殿じゃねーか……」 - 79二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:33:53
誤解じゃないタイプの許しません😨
- 80◆je8PYTqP5Ydc25/07/11(金) 01:00:39
初夏……という言葉が日本にはあると聞いていましたが、どこが夏のはじまりなんだろう。
暑くてたまらない。
リーリヤ「ふええ、火照っちゃった」
清夏「日本の夏に慣れてても年々きつくなってきてるねぇ」
ことね「…………うへー」夏バテ
千奈「……………」
リーリヤ「屋上は集まるのに丁度良かったけど真夏になると流石に命が危ないや」
千奈「…………」
リーリヤ「千奈ちゃん?」
------
翌日。
千奈「というわけで屋上にわたくしたちの別荘をつくりましたわ!」
みんな「「「「「えええええ!?」」」」」
千奈「冷房完備、Wi-Fiも完備ですわ!」
ことね「学内に別荘作ってんじゃねー!」
屋上に別荘ができました。快適になりますね。 - 81◆je8PYTqP5Ydc25/07/11(金) 01:06:50
清夏「リーリヤ、何見てんの?」
廊下の掲示板。色々なチラシが貼ってあって、たまに見に来ます。
見ると、気になる記事がありました。
清夏「ん?アイドルバスケ大会?」
リーリヤ「そうなんだ。いろんなアイドル養成校の子たちが集まって大会をやるんだって」
清夏「へー……でもあたしもリーリヤもバスケできないじゃん」
リーリヤ「たぶんそれは……他の学校でも同じじゃないかな」
清夏「ふむふむ……えっ、優勝はハワイのプライベートビーチツアー!?」
リーリヤ「行ってみたいんだけど……」
清夏「だけど?」
チームの人数は五人だけど、控え二人を加えた七人で登録する必要があるらしい。
リーリヤ「一人足りないんだよね」
清夏「そっかぁ、残念だ」 - 82◆je8PYTqP5Ydc25/07/11(金) 01:14:53
リーリヤ「この時期の持久走は大変だ」
リーリヤ「あれ?」
いま、まるでつむじ風の様に素早い何かが私の後ろを通過していった。
え、なんだろう?
佑芽「うおおおおおおお!!!」
リーリヤ「あれは……花海佑芽さん。っというか早い!」
私が一周するくらいの速さで約三周しちゃってる。
あれ、持久走のはずなんだけどな……。
3km走りきれば終わる筈の持久走、あの速さでバテないのは本当にすごいけど、何よりも3kmなんてとっくに走り終わってるはずなのに……。
十分後。
リーリヤ「ふぅ、疲れた……」
佑芽「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
リーリヤ「えっ!?」
リーリヤ「何周目なんだろう……でも、すごいな」
リーリヤ「終わるまで見ていよう」 - 83◆je8PYTqP5Ydc25/07/11(金) 01:30:46
持久走をしていたのは午後二時ぐらい……だったはず。
時間は流れて流れて……午後七時。えっ、午後七時!?
佑芽「まだまだぁあああ!」
リーリヤ「だ、だめだよ!?」
佑芽「ふ、ふえ!?」
ドン!
止めに入ろうと思ったら二人でごっつんしてしました。
あいたた……。
佑芽「り、リーリヤちゃん大丈夫!?」
リーリヤ「わ、私こそ割り込んでごめ――」
ビビーーーーーン!!!!!!
リーリヤ「!?」
佑芽「う、うえええ!?」
佑芽「え……」
リーリヤ「え……?」
佑芽「えっちなのは!!だめですよ!!!!」
そう言って、佑芽ちゃんはさっきよりも早い速度で逃げて行ってしまいました。