【AI注意】【SS注意】メカクレデカパイモブウマ娘を置いていくのであとはみんなの好きにしてくれ4

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:04:12

    「好きなだけ好きにしてくれ」と言うスレ主の言葉と供に送り出された一人のウマ娘。
    彼女の名前は、チャンドラポメロ。
    このスレは、彼女や彼女の友人達を好きに形作っていくスレです。

    なおスレ主≠大元のスレ主です。
    画像はこちらの環境で作ったポメちゃん。

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:06:23
  • 3二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:08:03

    ここまでのチャンドラポメロと愉快なDKPI仲間たち

    名前:チャンドラポメロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:烏の濡れ羽色の艶のある黒髪ロングで前髪目隠れ、瞳は明るいマリンブルー、他が地味な為かリップは色付き艶ありのを塗ってオシャレするタイプ
    性格:恥ずかしがり屋の引っ込み思案で、恥ずかしがったり照れたりしたら頬がすぐに紅潮する
    身長:179cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B123 W62 H91
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の2200Mまでで脚質は「差し」
    備考②:憧れのウマ娘は同期のダイワスカーレット。彼女の緋色の影を追い続ける頑張り屋
    一人称:私 二人称:「名前+さん」、同室及び親しい人は「略称(愛称)+ちゃん」

    名前:ダブルマシュマロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:栗毛のツーサイドアップでやや前髪目隠れ(ポメちゃん程ではない)、瞳は明るいルビー色、ギザ歯
    性格:明るく社交的でお喋り。またノリが良く、芝居がかった口調で話す事もしばしば
    身長:136cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B102 W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝ダートの両刀、距離は短距離のみで脚質は「先行」
    備考②:ポメちゃんの友人枠、実家が地元じゃ一番の果物専門店
    一人称:ボク 二人称:「愛称+ちゃん」または「略称+さん」

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:09:50

    名前:カベルネソラリス
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:芦毛のポニーテール、青色ハーフリム眼鏡、瞳の色はエメラルドグリーン
    性格:竹を割ったようにさっぱりして表裏のない正直者
    身長:160cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B110 W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の脚質は「逃げ」
    備考②:ポメちゃんのライバル枠
    一人称:オレ 二人称:アンタまたは「略称」

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:17:20

    名前:ミスディレクション
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:鹿毛のショート、赤色アンダーリム眼鏡、瞳の色はダークグリーン
    性格:見た目優等生の中身今時ギャル
    身長:174cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B96 W設定なし H設定なし
    備考①:ダブルマシュマロのライバル枠
    備考②:レッドヘリングとは双子

    名前:レッドへリング
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:鹿毛のライオンヘアー、黒色アンダーリム眼鏡、瞳の色はダークグリーン
    身長:174cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B101 W設定なし H設定なし
    備考①:誤解を生む表情(特に笑顔)持ちの大人しめの娘
    備考②:筋肉

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:18:58

    ナニッ!? レッドへリングちゃんはミスディレクションの+10cmではないのか!?

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:19:24

    各キャラざっくり概要
    チャンドラポメロ ↓
    高身長、DKPI、完全両メカクレ、黒髪長髪、恥ずかしがり屋、赤面癖、お洒落リップ

    ダブルマシュマロ ↓
    低身長、DKPI、やや両メカクレ、栗毛ツーサイドアップ、お喋り、Hな話苦手、ボクっ娘

    カベルネソラリス ↓
    眼鏡、DKPI、やや両メカクレ、芦毛ポニーテール、表裏の無い生真面目、超甘党、オレっ娘、青色アンダーリム眼鏡、または青色サングラス風眼鏡

    ミスディレクション ↓
    高身長、DKPI、筋肉、片目ややメカクレ、鹿毛ショート、見た目優等生の中身今時ギャル、赤色アンダーリム眼鏡

    レッドへリング ↓
    高身長、DKPI、筋肉、そこそこ両メカクレ、鹿毛ライオンヘアー、誤解を生む表情(特に笑顔)持ちの大人しめの娘、黒色アンダーリム眼鏡

    ネーロディセッピア ↓
    高身長、DKPI、片目完全メカクレ、姫カット黒長髪、ハート目、恋愛オールラウンダー

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:21:30

    >>6

    スレ主の頭がお出かけによる疲労困憊でボケてるので拾い損ねたかも―

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:22:14

    スレ立ておつですわよ
    スレが続いたという事は、反応やいいねのある限り書き続けますわよ
    そして案の定、今日のSSは日付超えそうですハイ

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:42:36

    10まで進めておきます
    と言う訳で、今スレでもやりすぎない範囲でDKPIを好きにしましょう

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/05(土) 23:46:50

    なんてこった…ネーロディセッピアに他の子たちを巻き込んだ恋愛ぴょいっとはれるや談義させられない…!

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:31:51

    前スレ189から


    「ふっ、へへ……」

     それに加えて、自身と目線を合わせて褒めちぎり、ともすれば愛の告白とも聞こえる言葉を熱弁してくるのだから、勝利の余韻も含めてにやけてしまうのは仕方がない。
     そう思いながら、ダブルマシュマロは緩んだ口元を支えようよ両頬に手を当てる。それでも歓喜の声は口から洩れてしまう為、彼女は地面を何度か踏みつける事でその喜びを受け入れようと画策する。

    「お疲れー。いやー、マーシュちゃん、強いねー」
    「ひゃん!? でぃ、ディレさん」

     すると、そんなダブルマシュマロの後ろから不意に声が掛かる。驚きつつも、その声には聞き覚えがあった為に恐る恐る振り返ると、そこには同じくクーリングダウンを終えた笑顔のミスディレクションがいた。
     額には汗の跡が光っており、後方一気をした為か、ダートの砂埃を被った体操服は汗もあってか薄茶色に汚れている。ただ、そのおかげで汗で張り付き浮き上がった肌色やブラジャーが隠れていた為、ダブルマシュマロが目のやり場に困る事はなかった。
     しかしながら、ミスディレクションの身長は学園のプロフィールを見る限りでは、174cmとダブルマシュマロがよく知る者たちの中では3番目に大きい。対して、ダブルマシュマロ自身は初等部の高学年から一切変わらない136cmの身長。その為、ダブルマシュマロが顔を上げない限り、どうしてもその視線は砂と汗に濡れた大きな胸にいってしまう。
     単純な胸のサイズなら、ダブルマシュマロの胸はミスディレクションより大きい。だが、それはそれとしてこうして目の前いっぱいに広がる胸を見てしまうと、先程とは違う意味で頬が熱くなってしまう。
     また、そうなってしまったのはダブルマシュマロがそうであるように、ミスディレクションも仲良くなると距離が近くなるタイプである為なのだ。それを思い出したダブルマシュマロは、顔を上げながら少し後ろへと下がって何時も鏡の前で確認している笑顔を作ろうと意識する。

    「ディレさんも怖かったスよ。今回は勝たせてもらいましたけど、次回ぶつかった時はどうなる事やらス」
    「あっはっはー。まあ、そこはねー。次回までのアタシの課題であり、お楽しみってやつでー」
    「怖いスねぇ……ボクももっと鍛えなきゃ」

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:33:25

    >>12

    「ふっふー。マーシュちゃんの台詞を借りるなら『流石はボクの級友にして好敵手スねー』ってところかな?」

    「先に人の台詞を言わないで下さいスよー」

    「まー、何にしても、おめでとーマーシュちゃん。次は負けないよー」

    「ありがとうっスー。ボクも負けないスよー」

    「じゃあ、アタシは先に行くよー。それじゃあ、またライブ控室でー」

    「了解スー」


     普段は同じクラスの級友な事もあって仲良くやっているが、レースの、勝負の世界となれば話は別。

     剣呑な雰囲気も覚悟しての会話に挑んだダブルマシュマロであったが、ミスディレクションは悔しさを一切見せる事なく爽やかに去っていく。

     内心拍子抜けしつつも、これで今後険悪なムードにならなさそうだったので、ダブルマシュマロは安堵する。


    「っとと」


     そして、レースに勝利した事、担当トレーナーとのやり取りやライバルとの会話を終えて、僅かに気が緩んだのが脚の疲労となって表面に出てしまう。

     少しよろめきつつも、それが逆にレースを無事に勝利で終えた何よりの証拠だと思い、それまでどこか張り詰めていた気持ちに余裕が生まれるのを自覚する。

     同時に、余裕が生まれた心の隙間へと、レースの勝利や担当トレーナーの言葉、級友で好敵手に改めて認められた事実が入り込むのを感じた。

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:34:27

    >>13


    (まだスよ、ダブルマシュマロ。まだスタートラインから走り始めたばかりっス)


     それらが今後の自信に繋がるのと同時に、慢心を生むとも分かっているからこそ、ダブルマシュマロは地下バ道に向かいながらも抑えようとする。


    「おめでとーダブルマシュマロ!」

    「小さいのにすげぇ脚だったぜ!」

    「これからも頑張ってー!」

    「君のファンになっちまったよ! 今後も楽しみだ!」

    「応援しているよー!」


     しかし、地下バ道の前の両脇にある観客席から、このレースである勝者のダブルマシュマロを応援する声が降り注ぐのを耳にし、抑えるのを止めた。


    「ありがとうっスー! これからも頑張るっスから、この不肖ダブルマシュマロをよろしくっスー!」


     今は、レースに勝利した今日ぐらいは、多少の慢心してもいいだろう。明日からまた、頑張ればいい。

     そう自分に言い聞かせ、彼女は観客たちに手を振り、笑いながらも地下バ道へと入っていく。


    (……ひょっとして)


     そして、地下バ道の中間程まで歩き、周囲に誰もいない事を確認した後、先程の観客たちの声援を噛み締め、思う。


    「ひょっとしてボクって、結構やれちゃう感じスか?」


     1勝クラスとはいえ、多くの学園のウマ娘たちがまず躓くであろうメイクデビューレースを突破した者たちを、今日のレースで降したという事実。

     熱烈に契約をお願いされ、今日の勝利で愛の告白に近い事を言いながらも自身の才能を高く評価してくれたトレーナーからの信頼。

     親睦併走からその強さを知っているミスディレクションからの賛辞。

     中には今日の走りを見て、自分のファンになってくれたであろう観客たちからの熱い声援。

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:35:27

    >>14


    「GⅠまで駆け上る、スか」


     ダブルマシュマロは、一歩引いて物事を見る。

     それは深く入り込むと、自分も相手も傷ついて終わるという経験を過去にしているからである。

     だから生来の明るさとお喋りで誰とでも親しくなれる一方で、過度に相手に踏み込むような真似をしない。

     そしてそれは、自分自身への能力や才能に対しても同じ。

     中央で通用する脚があると、地元の倶楽部のコーチに言われて、一度見学目的で中央のレースを観戦しに行った事がある。

     その時に見たのがよりにもよってGⅠレースであった為、こうして今、中央で走っていても、精々行けてGⅢまでだろうと割り切っていた。


    「……もしかすると、夢じゃないかも、知れない、スね」


     だが、今日のレースの勝利。その成功体験が、ダブルマシュマロの夢を現実へと近付けたように思えた。

     GⅠレースに出るのは夢物語。ましてや、そのGⅠレースに勝つなんて夢のまた夢。

     それは気さくでありながら現実主義なダブルマシュマロにとって、今も変わらない。

     けれども、そんな自分はまだジュニア級。担当トレーナーが熱弁する通り、今後もこのまま駆けあがって行けば或いは、という気持ちが芽生えてきたのも確かであった。


    「よぉし! 芝ダートの両刀使い、ダブルマシュマロ! やってやるスよー!」


     今一度周囲に人がいない事を確認した後で、ダブルマシュマロはレース直後から今に至るまでのやり取りを思い出しつつ、両手を天に上げて宣言する。


    「ん? 腕の汗でも入ったスか? んー、何だか幸先が不安スねぇ。なんちゃって、ガハハっスー!」


     そんなダブルマシュマロの耳にふと、水の音が響く。

     小さく、静かに。それこそ、彼女自身がそこまで気にしない程の、水中へと溺れ沈むような音。

     それが一体何であるかを深く考えないままに、ダブルマシュマロは腕を振りながら、ライブ控室へと向かうのであった。

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 00:38:04

    溺れゆく者たち
    彼女は自身の実力や才能を理解していた
    理解していたつもりだった
    けれども、彼が、好敵手が、観客が、彼女の自信を積み重ねてくれる
    故に彼女は溺れゆく──

    ──己の才能に。そして、自分自身に


    ほなまた…

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 07:54:12

    自信を持つのは大事だが、それが過信に変わると…

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 08:07:17

    うむり…しかし、メイクデビューから1勝クラスと敗北知らずの2連勝に加えて、元々自身の才能を割り切っていた者に劇物のようなトレーナーが付いてしまったから…うん




    それはそれとしてやっと走るポーズを取ってくれたかと思ったら
    「走り終えた後にトレーナーが近付いてくる姿が見えたので、思わず両手からラブビーム出しながら駆け付けるネーロディセッピア君」
    が出来てしまったんじゃが…

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 10:10:00

    カテ違いになっちゃうけど、そのラブビームサーベル?でトレーナーの元へ駆けつけるまでに何人かのウマ娘引きラブしてそう(オブラート表現)

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 15:22:23

    チャンドラポメロ プロンプト
    solo,long hair,black hair,(black-horse tail),no ears,(blush:1.5),lips,(bangs over eyes:1.3),long bangs,black bangs,
    BREAK,masterpiece, high quality, huge breasts,(horse ears),(kemono ears),

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 15:25:09

    ダブルマシュマロ プロンプト
    ((masterpiece)), ((best quality)), (ultra-detailed), (high resolution), amazing quality, absurdres, beautiful face, high detailed face, (perfect anatomy), very aesthetic, 8K, vibrant colors, depth of field, sharp focus, detailed fingers, detailed body, perfect hands, cinematic light, ray tracing, detailed illustration,
    (umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
    1girl, solo, break,
    16 years old, (light brown hair, dark orange hair, multicolored hair, medium hair, twintails:1.5), (hair over eyes:1.6), red eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, slit pupils, sharp teeth,
    (oppai loli, short height:1.2), (huge breast:1.3), breasts apart, wide hips, curvy,

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 15:26:44

    ミスディレクション(左)
    (umamusume, horse girl, horse ears, horse tail:1.2),
    1girl, solo, break,
    (dark brown hair, light brown hair, multicolored hair, short hair:1.5), straight hair, (hair over eyes:1.3), dark-green eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, (tall female, big woman, enormous, towering), muscular female, large breasts, (leg muscles, wide hips:1.1),
    (multicolored big hair bow, red semi-rimless eyewear:1.5),

    レッドヘリング
    (umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
    1girl, solo, break,
    (dark brown hair, black hair, multicolored hair:1.5), short hair, straight hair, (long big hair, hair over eyes:1.5), dark-green eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, (tall female, big woman, enormous, towering), muscular female, huge breasts, (wide hips:1.1), long legs,
    (hair bow, black-framed eyewear:1.5),
    evil grin, parted lips, crooked teeth,

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 15:37:27

    ネーロディセッピア(トレセン制服姿)
    solo,girl,(long hair),(black hair),hime_cut,(black-horse tail),no ears,violet eyes,(hair over one eye:1.3),(heart shaped pupils),long bangs,black bangs,BREAK,masterpiece,high quality,(huge breasts:1.5),(horse ears),(kemono ears),glamorous,kind smile,,tracen school uniform,

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 17:19:24

    ラヴかね?

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 18:22:46

    学園内のトレウマ、ウマウマ、トレトレ、トレ友、ウマ友のやり取りを嗅ぎつけて、現場に急行してから事を見届け…

    「ラヴかね?」

    と言って去っていくネーロディセッピア概念かぁ

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 22:51:34

    >>15




    〇〇


    〇〇〇



     月日は更に進み、12月の初週。

     雪こそ降らないものの、本格的な冬の訪れを感じさせる阪神レース場にて、ジュニア級ウマ娘によるGⅠレースが行われようとしていた。

     阪神レース場第11レース。芝1600Mのジュニア級GⅠ、阪神ジュベナイルフィリーズ。天候は晴れでバ場は「良」の発表。

     天候、芝共に良いものの、15時を過ぎて日が傾き始めたせいか、冬の寒さが肌を撫でる中、カベルネソラリスは係員に呼ばれて自身のゲートに入る。


    (7枠の13番……逃げを打つには枠が外過ぎるな)


     GⅠレースという事で、両袖を首元まで大胆にカットし、たチャック部分と首回りに金のラインが入った無地の青色チャイナドレスの様な上着。それに対して下は上着と同じ色の膝上ハーフパンツを腰回りから鎧ドレススカートのように覆っている。鎧ドレススカートの方は前が完全に開いており、且つ上着と同じ色の金装飾付きの固い素材で作られている為に走らなければ靡かない。

     故に、彼女の勝負服は一見すると上の鎧を脱いだ姫騎士のようないで立ちであり、下半身に対して上半身が無防備にも見えるものだった。両腕に金装飾の付いた青色のロンググローブを付けているのも、それに拍車を掛ける。


    (まあ、折角の晴れ舞台で"これ"を着られたんだ。それに相応しい走りをするだけだ)


     とはいえ、そのデザインを選んだのは他でもないカベルネソラリス本人であり、そして彼女は自身の選んだ勝負服を大変気に入っている。

     何度か着用した事はあったが、やはり本番で着ると全然違う、と彼女は背筋を伸ばす。身が引き締まる思いで、他出走ウマ娘たちのゲート入りを待つ。

     その間にも実況が他のウマ娘たちのゲート入りを伝えるのがカベルネソラリスの耳に入る。


    『さあ、ゲートインが順調に進んでおります。デイズメンスが収まりました、そしてティアラプリズム。ルストキャッツも入っていきます。16番のエクレアキューブ。後、二、三人というところですが』

    『そうですね。ちょっとティアラプリズムが嫌がっていますね。そしてあのジュエルアースなのですが、それまでチームトレーナーだったのが専属契約を結んだとかで余裕が、雰囲気が変わっていますね。状態が良いと思います。さあ残すところ、チェリーレイノとなりました』

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 22:52:36

    >>26


    『さあ、最後にチェリーレイノが入りますと、態勢完了となります』

    (……ふーっ)


     実況と解説の声を聞き、カベルネソラリスは僅かに前傾姿勢を取って構える。

     メイクデビューレースはチャンドラポメロの2着に終わったものの、その後すぐの未勝利戦で白星を挙げた。

     そこからは自分の実力を計る意味と、クラシック期の選択をティアラ路線へと定めた為に、彼女は今日のこのレースを最初の目標として来た。

     阪神ジュベナイルフィリーズの出走権は当然厳正なる抽選によって選ばれる。しかし、直近のレースで勝利または掲示板入りをすれば優先権を得られる。

     その為、未勝利戦からややレース間隔は短くなるが、カベルネソラリスは次走にOPレースを選択。そのジュニア級OPレースはタイミング良く出走者が集まらず、11人立てで行われた。

     運良く逃げウマ娘が他にいなかった為に、位置取り争いや先行争いを気にせずに走る事が出来、結果として先行の一人に差されての2着に終わった。

     しかし、そこで更に運が良いのか悪いのか、その1着になったウマ娘が危険な斜行をしたと判明。繰り上がる形で彼女は1着となり、本人は不本意ながらも今日のレースの優先出走権を獲得。

     そして、トレーニングと休息を十分に挟んで今に至る。


    『新たな舞台の幕開け、阪神ジュベナイルフィリーズ──』

    「ふっ!」

    『──今、スタートしました!』


     レース場全体が一瞬静まり返った後、目の前のゲートが解放され、カベルネソラリスはいの一番に飛び出した。


    『ちょっとバラついたスタートになりました。ルストキャッツ、タイミングが合いませんでした』

    「ぐっ!?」

    『絶好のスタートを切ったのはアストンマーチャンであります!』


     僅かにスタートが遅れたのか、それとも他が優れたスタートを切ったのか、開幕早々にカベルネソラリスはハナを切る事が出来なかった。

     自身の右前、先行するは前走と前々走でジュニア級とはいえ重賞のGⅢを快勝している一番人気のアストンマーチャン。更にその右斜め前には同じく「逃げ」のハルバートルナ。

     そして、内内にはあのウオッカがいた。

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 22:53:38

    >>27


    (ウオッカが、先行策だと!?)


     何とか前が塞がれないように、レース展開に遅れないように、前へ前へと行くカベルネソラリスは思わぬウマ娘が最内枠スタートとはいえ、自身の前を行くウオッカに目が見開く感覚を知る。

     確かに前走のウオッカは優先権を得る為に出たレースでいつも通りの「差し」を使って、先を行く「逃げ」のウマ娘を捉えられずの2着で終わっている。

     そして、掲示板入りした事や他の優先権所持者が阪神ジュベナイルフィリーズを回避した事もあって、今日のレースに出走している。

     GⅠレースなだけあって、フルゲートの今日のレース。距離も1600Mと短いが故に、ウオッカが先行策を取るのも理解は出来る。しかし、それまでカベルネソラリスが見た彼女はいずれも「差し」であった為、理解は出来ても混乱は抜けなかった。


    『……クールビーズ。それから11番のエナガアラタは5番手ぐらいです。その後ろになりますがコスモススズがいまして、ティアラプリズム。内からは5番のブルーブローチ。外を通りましてカベルネソラリスであります』

    「ぐっ、くっ!」


     前こそ塞がれなかったものの、先行争いは完全に敗北。作戦「逃げ」のカベルネソラリスとしては気持ちをリスタートさせて、先行気味の逃げに切り替えざるを得なかった。

     今ここで無理にハナを取りに行ったら間違いなくスタミナが持たない。かと言って、二の足で差す走りに切り替えたのならば、前を塞がれてはいけない。

     結果として、先頭を逃げるハルバートルナにレースの主導権を握られる形となった。


    (レースが、展開が、全体的に速いっ!?)


     それまでのカベルネソラリスの走りは、スタートダッシュからのハナを切ってのスローペースに持ち込むのを得意とするもの。

     しかし、GⅠレースな為か、それとも先頭のハルバートルナがスピードレースを得意とする為か、かなり速いレース展開を前に彼女は自身の眉根が寄るのを感じた。

     レース終盤の二の足分のスタミナは残したい。けれども、今スタミナを消費してでも先頭集団に食らいつかなければその二の足が使えない。

     その二律背反に揺さぶられる中、カベルネソラリスはどちらも譲れない5番手程の位置をキープし、レースは緩やかなカーブの第3コーナーから第4コーナーへと入っていくのであった。

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 22:56:25

    溺れゆく者たち──二人目
    ポメちゃんやダブルマシュマロに先んじて、カベルネソラリス、GⅠレースに立つ
    勝負服は最初にカベルネソラリスのイメージイラストから参考にしました
    青色基調の姫騎士ドレス!
    上半身が何かもう通気性抜群なのは多分DKPIのせいです

    まあ、ウオッカとアストンマーチャンが出ている阪神ジュベナイルフィリーズって時点で結果は見えておりますが…頑張れソラリス

    ほなまた…

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 00:09:44

    色んな「溺れる」があっていいなぁ

スレッドは7/7 10:09頃に落ちます

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