- 1二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:19:34
陽気に満ちる昼休み。ここ数日のポカポカ暖かい気候は、授業中の私たち学生を睡眠へと誘い続けた。
「ふわぁ〜あ。結局半分くらい授業寝てたな〜。ま、気持ちよかったけどね」
睡眠が大好きな私にとって、周りの席のみんなが寝ているのは非常に好都合でありまして。いつもなら私、スペちゃん、エルの3人で仲良く叱られるのがオチなんだけど、木を隠すなら森の中。
みんなが寝てくれてるから、それに便乗し放題。先生の声も気にならずよく眠れましたとさ。
そして今日は特に、昼休みにお昼寝などと勿体ないことをするわけにはいかなかった。
今日はフラワーが私にお弁当をこしらえてきてくれたので、中庭で一緒に食べることになっている。少しでも一緒にいたいもんね。寝るなんて勿体ない!
メールによると、フラワーは既にテーブル席を取っておいてくれてるらしい。フラワーの事だから、陽当たりのいい席を選んでいるだろう…と辺りを見回すと、予想は見事に的中。座っているフラワーの背中が見えた。
「おーい、フラワー。席取ってくれてありがとね。」
…背中から声をかけたが、返事がない。よく見るとテーブルに突っ伏している。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:20:13
──こりゃあ、お休みモードだ。
いつも真面目なフラワーのことだ。クラスのみんなが眠くなってる間も、1人眠気と戦いながら黙々と授業に参加していたのだろう。偉い。
そして今、とうとうお日様にやられてスヤスヤ…といったところか。
「…うん、お疲れ様。フラワー。」
向かい席ではなく、隣の席に腰掛けてフラワーに語りかける。
その寝顔はとても愛らしく、守ってあげたくなるような神秘さすら覚えた。
「ふふっ、まるで赤ちゃんみたい。」
口元にかかった髪を指でそっと戻してあげながら、頬っぺたをぷにっとつつく。
少し開いた口からは、小さないびきが漏れて出している。
あまりに目を覚まさないものなので楽しくて、つい見とれてしまう。自分が同じくらいの歳だった時は、もっと口も開いて下品ないびきをかいてた気がする。
今のフラワーは、さしずめ白雪姫だ。
消えぬ呪いにかけられたような寝顔にキスをしてみたい、けど。 - 3二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:20:41
「──そんな勇気はありませんよ、なんて。」
…とフラワーの下唇に人差し指を置く。
するとフラワーは私の指に上唇を重ねた。まるで、口元に運ばれた哺乳瓶を咥える赤ちゃんのように。
「なんだっけ、これ…吸てつ反射、だったかな。」
自分で考えることが出来ない赤ちゃんが、母乳を飲むために口に入ったものを無意識に吸う反射だ。今日、そんな感じのことを授業でやった…気がする。
くすぐったさは感じない。ただただ愛らしく、可愛らしかった。
──この時間が永遠に続けばいいのにな、と思う。もっと言えば、ずっとフラワーといたい。先にトレセン学園を卒業するとか、そういうのも、嫌だ。ずっと一緒がいい。ずっと、ずっと、こういう時間を過ごしていたい。
でも。
「お昼ご飯は食べないとね。いつまでも、一緒にいたいからさ。」
フラワーがビックリしないように、優しく肩を叩きながら声をかける。
「──いい夢は見れましたか、フラワーお姫様…なんてね。」 - 4二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:21:20
終わりですはい
- 5二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:23:19
良い…………
- 6二次元好きの匿名さん21/09/18(土) 09:29:11
いいね………