- 1ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:13:06
- 2ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:14:41
【歴代スレ:Part.1~3】
【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線|あにまん掲示板おやおやおやおや・・・連邦生徒会長が失踪ですか。それは早急な対処が必要ですね。・・・えぇ、リン行政官。1.護手(ケルビム)2.防衛室スタッフ3.監視者(オーバーシア)dice1d3=@2 (2)@──…bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.2|あにまん掲示板【あらすじ】カイザーと防衛室 勢力の暗闘まで秒読み。bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.3【建て直し】|あにまん掲示板【あらすじ】ミレニアム編がゴズとの暗闘に。bbs.animanch.com - 3ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:15:46
- 4ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:16:59
- 5ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:19:29
- 6ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:20:53
【歴代スレ:Part.13~15】
【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.13|あにまん掲示板【あらすじ】素晴らしい・・・これ以上の結果は望めないでしょう。カンナ、貴方は本当に可愛いですね。bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.14|あにまん掲示板【あらすじ】まさか先客が知り合いなんてことは無いでしょう。※Part.13が過去ログに格納されてしまったので、その続きになります。bbs.animanch.com【閲覧注意・🎲】ここだけ不知火カヤの中身が、大体ボンドルド卿だった世界線 Part.15(建て直し)|あにまん掲示板【あらすじ】お茶会と参りましょう、皆さん。 ─── 歓迎しますよ。bbs.animanch.com - 7ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:22:58
- 8ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:25:29
- 9ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:29:07
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レシーマ:
「─── カヤ・・・じゃなかった室長 ───」
過去最大級の過酷さを見せた狩りを終え、事後処理も終了しつつある中、レシーマはカヤの下を訪れた。
─── しかし、そこには辛うじて人の形を保っている汚泥の怪物がいた。
影のような、しかしそれよりずっと悍ましいそれは、レシーマを見ると その歪んだ腕を伸ばす。
レシーマ:
「・・・。」
夜の輪郭:
【・・・。】
そしてレシーマの怯えた表情を見て、動きを止めた。
怯えさせるのは本意では無かったのか、壊れ物を前にした人間のように ゆっくりと後ろに下がった。
そして個室にポツンと置いてあったパイプ椅子に腰を下ろす。
しばらく見つめ合っていたレシーマと怪物だったが、やがて諦めたのか怪物はグジュグジュと湿った音を立てて本来の姿を取り戻していった。 - 10ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:30:47
カヤ:
「・・・あぁ、これが目覚めですか。」
そうしてレシーマの良く知る方のカヤが現われる。
レシーマ:
「カ ─── 室長、今の・・・。」
カヤ:
「おや、公の場でもないのですから、別に昔のようにカヤと呼び捨てにして貰っても構いませんよ?」
レシーマ:
「・・・まぁ、いいか。 で、カヤ・・・今のは・・・。」
カヤ:
「・・・貴方には見苦しいところを見せてしまいました。
あれは私の宿痾そのものですよ。 もっとも、幾らかは『かつての私』でもあったようですが。」
記憶を探りながらカヤは言う。
レシーマはハッとした表情をして、カヤに寄り添った。
レシーマ:
「・・・痛くない?」
カヤ:
「・・・レシーマ、やはり貴方は優しい子ですね。」 - 11ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:33:37
カヤは席を立つ。
普段は極めて”不動”に近い体幹をしているカヤも、このときばかりは不安定だった。
レシーマが そっと脇に身体を入れて支える。
カヤ:
「私のことは良いのです。
それよりもレシーマ。 貴方は私に用事があったのではないですか?」
レシーマ:
「あぁ・・・うん。」
レシーマは気まずそうな表情でポケットから小さな結晶を取り出す。
それは微かに蒼い光を放つ水晶のような何かだった。
レシーマ:
「これ、ラギアクルス希少種の落とし物。 ・・・本体は逃がしちゃったけど。」
狩りの成果を報告して褒めて貰おうとしていた己を、レシーマは責めた。
カヤが こんなに苦しそうなのに、自分は何て気楽だったんだろう。 - 12ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:34:55
カヤ:
「─── 素晴らしいではありませんか。 貴方も もう、一人前の冒険家ですね。」
カヤは震える手で、レシーマの頭を撫でた。
レシーマは何故か泣きそうになった。
レシーマ:
「でも、仕留められなかった・・・。」
カヤ:
「生きて帰ることが出来たということが重要なのですよ、レシーマ。
貴方が狩人を目指すのであれば反省する必要がありますが、貴方は冒険家を志しました。
生きていれば次があります。 そしてその機会を得られるというのは、冒険家にとって得がたい資質なのです。」
カヤはレシーマの頭から手を離した。
レシーマの気持ちは幾らか落ち着いていた。
カヤ:
「─── 貴方が大成する姿を見届けられないのが、本当に残念ですよ。」 - 13ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:36:42
レシーマ:
「─── あっ・・・。」
気付けば涙が頬を伝っていた。
心は凪いでいるのに、涙だけが止まらない。
カヤ:
「・・・貴方は可愛いですね、レシーマ。」
カヤがレシーマの涙を拭う。
その手があまりにも優しくて、レシーマの心は再び乱れる。
残酷な真実に、心が ようやく追いついてきた。
レシーマ:
「・・・消えないでよ、カヤ。 貴方は私達の家族なんだから・・・!」
カヤ:
「・・・。」
カヤはレシーマの涙を、泣き止むまで拭い続けた。 - 14ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:38:42
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カヤ:
「─── ここに貴方達を連れてくるのは初めてですね。」
カヤがレシーマ達を その部屋に連れてきたのは、つい最近のことだった。
レシーマ:
「・・・ここは?」
カヤ:
「・・・呪われた部屋です。
私も、出来ることなら余り近づきたくありません。 ─── 黒歴史ですから。」
その部屋には、分かり易い金銀財宝から、価値の分からない芸術品や骨董品が無数に並んでいた。
素人目からでも、この部屋に恐ろしいほどの価値が集まっていることが分かる。
いくらか そういったことを学んだ家族は、少し目眩すらするようだった。 - 15ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:47:14
しかし、それらすら この部屋の主役ではないようだった。
部屋の中央に、石棺が置かれている。
その周囲だけ、違和感を覚えるほど片付けられていた。
もし誰かが踏み入れば、何かしらの痕跡は残してしまいそうなほど綺麗に清掃が為されている。
カヤの言う、”元の持ち主”の石棺の中身に対する執着が、寒気のするほど伝わってきた。
カヤが遂に石棺を開ける。
─── 中には無数の紙が入っていた。
印刷されている文字を見れば、それはどうやら土地の権利書のようだった。
───── (嘔吐する音)
経済を囓っている家族が、床に這いつくばって嘔吐した。
どうやら その子には、石棺の中身の価値が分かったようだった。
分からなくて良かったと、レシーマは思った。
吐き気を催すほどの価値など、分からない方がいい。
カヤ:
「これは、この部屋の中にあるものでも最たるものです。
血によって購われた、呪われた財宝。
征服者であった『私』が、キヴォトス各地から奪った土地の権利を示すものです。」
それを聞いて、吐いた家族の気持ちが分かるような気がした。
いわば、これは征服者の財宝だった。
これだけの土地を征服するのに、一体どれだけの血が流れたのか想像もつかない。 - 16ホットドリンク大好き25/07/06(日) 16:49:01
カヤ:
「だからこそ、この価値は百の善の為に支払われなければなりません。
最初は連邦生徒会の為に捧げるはずでしたが、それは受け取って頂けませんでした。
ですから次に、旧い同僚が自立する為の資金として供出しました。
その次に、ヴァルキューレ、SRTが自らの手で予算を獲得する為の組織<金の子羊>の初期資金としました。
・・・しかし、それでも、この部屋全体の価値からすれば微々たるものです。
例えるなら、湖の水を桶で汲み取ったようなもの。」
カヤはレシーマ達の方を向いた。
その目には いつになく真剣な色が宿っている。
カヤ:
「貴方達は冒険家になりたいのですよね?
それならば、きっと この部屋の価値が役に立つはずです。
どうか この部屋を受け継いで下さい。
そして善いことに捧げて下さい。
貴方達であれば、それが出来るはずです。
─── 私はきっと、もう長くありませんから。」
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- 17ホットドリンク大好き25/07/06(日) 23:57:49
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全てが つつがなく終幕を迎えた。
あの狩りは、誰にも知られることなく後処理を終えた。
あの群島にいた人々は、自分達が命の危機にあったことなど夢にも思わないだろう。
ロストパラダイスリゾートも、先生と お祭り運営委員会、そして応援に来たRABBIT小隊によって残りの島の勢力と”話”をつけることに成功したようだ。
何やらワカモも役に立つことが出来たらしい。
だからだろうか、彼女は一部始終ご機嫌だった。
彼女なりの青春を満喫できているようで何よりである。
最後に、お祭り運営委員会の主催で宴が開かれた。
カヤもまた、手勢を率いて屋台を展開した。
諸事情により”肉”が余っていたので、お祭り運営委員会の出したモノより脂っこい感じになったが、夏の魔力によって総じて喜んで貰うことが出来た。
カヤ:
「美味しいですか?」
ホシノ:
「・・・まぁ。」
カヤ:
「そうですか、それは良かった。」
ホシノ:
「・・・。」
図らずもホシノと姉妹っぽい時間も過ごすことが出来た。 少なからずカヤは、宴の時間を楽しんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ - 18ホットドリンク大好き25/07/06(日) 23:59:50
カヤ:
「あぁ、楽しい宴でしたね。 リン。」
リン:
「まぁ・・・それは否定しません。」
カヤとリンは、その足で帰路についていた。
他の仲間達とは既に解散し、皆も皆で自分の帰路についているだろう。
カヤ:
「さて、今回の休日は如何でした?」
リン:
「そうですね・・・控えめに言って、最悪でした。」
カヤ:
「おやおや・・・。」
リン:
「ですが───」
カヤとリンの目が合う。
リンの目は、いつもより柔らかかった。 - 19ホットドリンク大好き25/07/07(月) 00:04:09
リン:
「─── ・・・有意義ではあったと思います。 百鬼夜行の味も、知ることが出来ましたし。」
カヤ:
「おや、浮気ですか?」
リン:
「最初から貴方に気はありませんが。」
普段なら正論パンチが飛んでくるところだが、冗談が返せるだけ余裕があるらしい。
つまり、今回の休暇は成功だということだ。 - 20ホットドリンク大好き25/07/07(月) 00:05:46
カヤ:
「さて、リン。 最後に寄るべきところがあるのですが・・・一緒に来て頂けませんか?」
リン:
「分かっています。 柴関ラーメンですよね。 構いませんよ。」
カヤ:
「おや、もう少し嫌な顔をするかと思いましたが。」
リン:
「一人では行き辛いのでしょう。 そのくらいは付き合いますよ。
・・・今回、貴方には何度も助けられたことですし。」
カヤ:
「リン・・・やはり貴方は可愛いですね。」
リン:
「・・・(ちょっと嫌そうな顔)。」
夕焼けの中、二人は連れ添って柴関ラーメンのある方角へと歩いた。
悪くない休日だった。 - 21ホットドリンク大好き25/07/07(月) 00:07:55
カヤ:
「・・・。」
リン:
「・・・カヤ?」
カヤ:
「あぁ、何でもありません。 行きましょう、リン。」
???:
『・・・。』
夕焼けの影から、蛇のような瞳孔をした紅い瞳が覗いていた。
???:
『やはり、彼女を子供と見るべきではありませんね。』
影の中からジッと夕焼けの中を歩く二人を見つめていた紅い瞳は、やがて影に溶けるように消えていった。
──────────────────── - 22二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:56:51
保守