【⚓SS・CP・閲注】若モリとダンテの同棲ゲーム

  • 1◆/htrGePANU25/07/06(日) 22:46:25

    以前の若モリとダンテのCPスレにあった現パロのゲーム概念を参考にしたSSです
    あんまり書くのは早くないのでゆっくり進行だと思ってください

  • 2◆/htrGePANU25/07/06(日) 22:47:27

    注意事項
    ・安価で2択の選択肢をとりその結果でエンディングが分岐します(全7種類)
    ・左右は曖昧にしています
    ・エンディングによっては監禁や死ネタ、モブとの結婚等々が含まれる可能性があります
    ・奏章4のネタバレはほぼありませんが、登場するキャラがちょっっとだけ出るかもしれません
    ・元の概念が概念だけど自分がエロいの書けないからそういう描写はない……事後はちょっとだけあるかもしれない

    この他何か問題があれば随時追記していきます

  • 3◆/htrGePANU25/07/06(日) 22:49:23
  • 4◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:08:47

    まだ涼やかな風が吹く平日の昼間、ジェームズ・モリアーティは事務所兼自宅へ続く階段を駆け上がっていた。それなりの年月の経ったそれは、彼の体重がかかる度に古い金属特有の錆びた音をたてていた。
    決して良い音ではないが速度を落とすつもりはない。3日ぶりに帰れたから1秒でも早くたどり着きたかった。それだけの理由が彼にはあった。
    そんな彼の願望通り普通に上がるよりも10秒程度早く2階へたどり着く。モリアーティとしてはその勢いのまま扉の前まで向かいたかったが、上がった先ですぐ立ち止まった。自分の住む部屋の前に男が1人立っていたからだ。

  • 5◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:16:05

    言い忘れた

    ・何人か名前もないモブが出てきます

    >>2

  • 6◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:23:18

    その男は何とか人としての最低ラインは保てているが見るからにみすぼらしい姿をしていた。「CLOSE」と掲げられた看板の前で微動だにせず、立ち尽くす男を見てため息まじりに声をかける。
    「うちの事務所に何の御用かな?」
    モリアーティの存在に気づいた男はパッとこちらを向きそして足元を跪く。
    「ああ、どうか助けてください」
    そのまま男は必死にまくしたてる。纏めると借金で首が回らなくなったため、取り立てを待ってもらえるようにして欲しいといった内容だった。
    「どうかお願いいたします。金は……今はありませんが後で必ず……!」
    そう言いながら男は頭を下げてくる。かなり緊迫した状況なのだろう。

  • 7◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:24:34

    モリアーティは彼の頼みを

    1.聞く

    2.聞かない

    >>8

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 23:25:29

    聞く

  • 9◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:39:04

    「……内容を聞いてその対応策の提示。無料でできるのはここまでだ」
    逡巡の後、彼は受け入れることにした。ここで恨みを下手に買って、後々厄介なことになると困ると考えたのだ。
    「ああ……本当にありがとうございます」
    直接助けるわけではないのだが、それでも男は感謝した。最初の推測通りなのだろう。
    「事務所を開く用意をするから、5分待っていてくれないか?ああ、もちろん立った状態で」
    立ち上がるよう促し、モリアーティは1人で事務所に入る。周りの目を考えるならすぐにその男を入れるべきなのだが、どうしても他の人に見せたくないことがあったのだ。

  • 10◆/htrGePANU25/07/06(日) 23:47:57

    なるべく扉を細く開け、素早く体を滑り込ませた。お世辞にも広いと言えない事務所にいるならこうする他ない。扉を隔てている生活スペースにいるなら問題ないが、今の時間はおそらく事務所にいる。
    そして、そんなモリアーティの予想は的中した。誰にも知られたくないその人は事務所でPCに向かっていた。
    「フフ……おかえり」
    物音に気づいた彼はPCから顔を上げる。モリアーティの姿をとらえるとすぐに穏やかな笑顔を浮かべた。
    彼の名はダンテ。モリアーティの助手兼恋人だ。

  • 11◆/htrGePANU25/07/07(月) 00:03:19

    「外に誰かいたけど、中へ入れるのかい?」
    「そうだね。話を聞くだけだから30分程度で終わるはずだ」
    「私のことは気にせずごゆっくり」
    ダンテの疑問に対しモリアーティが脳内で計算した時間を提示する。その答えを聞くと荷物をまとめて生活スペースへと向かう。
    彼の前職や色々なことを考えた結果、依頼人へ姿を見せないことになっていた。助手として彼が仕事を手伝うことになったときに決めた。ダンテは弁護人資格を持っておらず普通の事務仕事しか出来ないため、今のところ不便はない。何も起きない限り、モリアーティはこの取り決めを続けるつもりだ。

    同じ行動を何度もやっているせいかダンテの動きは手慣れており、想定より素早かった。これなら5分より短い時間で良かったかもしれない。どんな形であれ依頼人を待たせるのは良くないことだから、縮められるのなら縮めるべきだ。
    そんなことを考えつつ再計算をしながら扉が閉じるのを待つ。そしてたっぷり1分経った後、モリアーティは玄関へ向かい男を迎え入れた。

  • 12◆/htrGePANU25/07/07(月) 00:04:26

    ――結局、30分も経たずに話は終わった。かなりどうしようもないラインへ来ており、提示できる手段も少なかったからだ。
    用事を済ませて早々に弁護士の仕事をすることになったモリアーティが大きく伸びをして生活スペースへ向かう。扉を開けるとコーヒーの良い香りが漂ってきた。

  • 13◆/htrGePANU25/07/07(月) 00:07:24

    今日は一旦ここまで
    続きは夜なのでそれまで保守お願いします

    選択肢はこれ以降だと2~4つ
    1個だけ3択のものがあるのであしからず

    何か質問とか要望とかあったら可能な限り答えます

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 07:47:00

    ほしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 14:47:07

    ほしゅ

  • 16◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:24:34

    保守ありがとうございます
    続きやっていきます

  • 17◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:29:16

    「コーヒー飲むかい?」
    「もう2人分淹れてるんだろ」
    「フフ……当然」
    「もったいないから飲むよ」
    モリアーティの回答に待っていましたとでもいうような表情でカップを置く。厚手で口の狭いそれはコーヒーようの物だ。
    モリアーティ自身は紅茶派でコーヒーはよっぽどのことがないと飲まないのだが、ダンテが来た後はこの家ではコーヒーがちょくちょく出るようになった。この家にコーヒーが無いことを知ったダンテが『コーヒー派に変える……』と奮起した結果、モリアーティは豆や道具を買うことになったのは少し前のことだ。
    今のところ、モリアーティはダンテが淹れたものなら飲むようになったが自分の意思でコーヒーカップを買うまでには至ってはいない。ダンテの目標が達成されるのはまだまだ先になりそうだ。

  • 18◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:31:39

    「君の父親に会いに行くと聞いていたけど、用事は無事に済んだのかい?」
    淹れたてのコーヒーを数口含んだ後、ダンテが口を開いた。
    「用事といっても実質仕事だけどね」
    「どんな仕事だったのか、聞いても?」
    「……資料用意したり、計算をしたり、検算したり、まあそんなところだヨ」
    少し思案し、事実の一部を伝える。何の計算かはあえて言わなかった。
    モリアーティが行った”計算”とは父親の考える犯罪計画の手伝いのことだ。ダンテに出会うよりもずっと前からそういうことをしている。始めるときに大きなきっかけはなく、なのに今もそれに対して抵抗がない。まるで何かの流れに導かれるようだと考えてしまうこともあるが、おそらくそれすらも父親の計算の内なのだろう。今の彼にはその答えを得る能力はないが見当をつけることぐらいはできる。

  • 19◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:36:43

    それはさておき、抵抗がないのなら――悪を悪として拒絶しないのならダンテへ正直に話してもいいはずだ。それが当たり前なのだから。
    しかし、通報されるリスクということを抜きにしてもモリアーティはダンテへ話すことができなかった。今までの日々で知った彼の性格を考えると口が重くなる。
    モリアーティは彼を年上だが子供っぽく、そして自分が正しいこと、やりたいと思ったことを曲げない男だと認識している。そしてその性格から悪に染まるような男ではないし、染まっている人を許容できないだろうと予測していた。
    そういう人間だからこそ今の形で出会えたし、そういう部分を好ましいと思っている。だが、今回に限っては彼のそういう性格こそが問題になる。自身のもつ悪性によって拒絶される可能性があるということことだ。そして、モリアーティはそれを恐れていた。
    端的に言ってしまえば……そう。モリアーティはダンテから嫌われたくないのだ。
    自分が誤魔化したことがバレていないか様子を伺う。幸い、以前数学教授をしていると聞いたダンテは疑わず『授業の準備かな……』とつぶやいていたのでホッと息をついた。

  • 20◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:41:30

    「ダンテも僕が不在の間、事務作業をしてくれてありがとう。お陰でこの後助かるヨ」
    「これくらいお安いご用さ」
    「そうは言っても疲れているだろう?」
    これ以上ダンテが聞いてくる前に、本題に入ることにする。ただの雑談にこれ以上興味がないのか話題に乗ってくる。
    「だから明日は1日オフの日にしようと思っているんだ」
    まあこれは僕も休みたいからというのもあるんだけど、と言いながらモリアーティもコーヒーを飲む。思っていたよりも乾いていた口を潤し次の言葉を紡ごうとするが、その前にダンテが疑問を述べる。
    「それで、モリアーティは私と何がしたいんだい?」
    モリアーティが置こうとしていたカップが皿にぶつかり音を立てた。そんな様子を見て、ダンテは何かを堪えるように口元を歪ませた。
    「緊張しているの、バレバレ」
    「緊張して悪かったネ!」
    その言葉の勢いのまま立ち上がる。羞恥やら何やらでカアッと顔が熱くなっていた。ダンテは涼やかな顔のまま、握りしめた拳へ手を重ねる。
    「君がわがままだと思うことを言ったとしても、私は君を嫌いになったりしないよ。だから気にせず言ってごらん」
    そう言いながら平然と笑いかけてくるダンテを見ているとグッと言葉に詰まる。いつもは子供っぽい癖にこういうときは年下扱いをする。ずるい人だと内心ひとりごちた。表面的には優しく見えるがその実、逃げ路を潰しているのだから。
    観念してモリアーティは願望を告げることにする。

  • 21◆/htrGePANU25/07/07(月) 19:43:29

    モリアーティは

    1.隣近所と大家に挨拶をしようと告げた。 

    2.2人で過ごしたいと告げた。

    >>22

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 19:48:48

    2番

  • 23◆/htrGePANU25/07/07(月) 20:33:46

    「明日は、家でゆっくり過ごしたいんだけど、どうかな」
    「……フフフ」
    だんだんと声が小さくなるモリアーティに対し、ダンテは我慢できず笑い声をもらした。その態度を見たモリアーティが何か言う前に慌てて言葉を続ける。
    「あぁ、いやごめん。可笑しいのではなく可愛らしいと思ったんだ」
    大の男に対して可愛らしいというのもどうかと思う。思うが、悪感情から来ている言葉ではないということはわかるから黙り続ける。
    沈黙をつらぬいていると、ダンテは重ねていた手に指を絡ませてきた。
    「当たり前だけど、君と一緒にいられるのは私にとっても嬉しいことだ」
    時折、指に力を込めながらダンテは話し続ける。何と返せばいいかわからず、ただ話を聞く。
    「そんな簡単なことでも私に嫌われないか心配するなんて……それくらい私のことが好きなんだね」
    「……当たり前だろう」
    わざわざ口に出して言われると、小恥ずかしくなってくる。視線をそらすとまた笑い声が聞こえた。

  • 24◆/htrGePANU25/07/07(月) 21:15:10

    「それで、明日はどう過ごしたいのかな?」
    しばらくしてから視線を戻すとダンテはまだ笑顔を浮かべていた。普通に過ごしたいだけなら自分だって緊張しない。それがわかっていないような態度を見ていると、崩したくなってくる。
    ダンテがこちらの希望を待ってくれているのをいいことに、少しの間思案する。やがて、1ついいことを思いついた。
    やっぱり、こういうときは正攻法が1番効果があるのだ。
    「色々とあるけどとりあえずこうしたいかな」
    最後の言葉を言うか言わないかの間際で握った手を強くひく。そしてその勢いのまま弧を描いている唇へ顔を寄せた。

  • 25◆/htrGePANU25/07/07(月) 21:32:36

    軽いリップ音の後、ダンテの顔を正面から見る。その顔からあの笑みは消えていた。
    「あぁ……うん。そうだね。余裕がない理由はわかった」
    そう言うとダンテは握っていないもう片方の手を顔にあてた。その隙間から見える顔の色を見てモリアーティは溜飲が下がった。
    「なら、ぜひ答え合わせといこうじゃないか」
    モリアーティの言葉にダンテはすぐに応えない。動かずにしばらく黙りこんでいたが、手を顔から外す。何か思いついたのか、あの直後よりも余裕が見えていた。
    「答えの代わりにこれでもいいかい?」
    その言葉の後、ダンテも同様に顔を寄せてくる。もちろん抵抗する理由もないため、モリアーティはそのまま受け入れた。

  • 26◆/htrGePANU25/07/07(月) 21:35:33

    ここから先の内容は書けないので今日はここまで
    明日も夜に更新すると思うので保守お願いします

    家の中限定だけど見たいシチュ書いてくれたら書くかもしれない

  • 27◆/htrGePANU25/07/07(月) 21:36:47

    あ……あと事後描写確定したよ
    でもあんまり期待しないでね

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 21:46:47

    めちゃくちゃ好き!!!!!!!!!!!続きが楽しみすぎる。いちゃいちゃしろ

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 04:41:37

    このレスは削除されています

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 07:34:53

    家の中いちゃいちゃ大好きです保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:04:28

    保守

  • 32◆/htrGePANU25/07/08(火) 20:31:39

    遅くなってすみません続きやっていきます

    >>28

    >>30

    感想ありがとうございます……本当に嬉しい……!

  • 33◆/htrGePANU25/07/08(火) 20:34:20

    外の明るさでモリアーティは目を開ける。多少慣れた気だるさを感じながら狭いベッドで身をよじる。そのすぐ横にはダンテがいた。スペースと値段のことを考えると新しいベッドには手を出しづらく、2人はモリアーティが前から使っていたもので寝ていた。正直に言ってかなり狭いし暑苦しいが、お互いにそれは言っていない。
    寝返りをうってこちらを向いて眠る彼と顔を合わせる。至近距離で眺めているが、ダンテは目を覚ます様子もない。いつものことだ。
    何とはなしに、髪に触れる。少々汗ばんでいるがいつもと変わらないくせ毛の柔らかな感触が返ってくる。まだ起きそうにないから今度は頬へ手を伸ばす。最初にあったときよりも肉付きのよくなったそこをつついていると『ふぇ……』と間抜けな声がもれた。
    今のようなダンテの姿を見ていると何とも言えない心地よさを感じ、どうしても口角が歪む。モリアーティは手の内でダンテが微睡むこの時間が好きだった。

  • 34◆/htrGePANU25/07/08(火) 21:36:45

    ……とはいえどんなものにも限りがある。10時を回ったあたりでモリアーティは起き上がり、ダンテの体を揺さぶり始めた。
    「……おい、そろそろ起きないと昼になるぞ」
    1度揺さぶってもダンテは中々起きない。いつもながら深く眠っているようだった。それでも諦めず何度か揺さぶると、ゆっくり目を開けた。
    「フフ……腰が痛い」
    「そうは言っても、もう起きないといけない時間だ。今から洗濯しないと間に合わないぞ」
    「あと5分だけ……」
    ダンテが寝そべったままじっと視線を向けてくる。しばらく目を合わせていたが、やがてモリアーティは手を離してベッドから降りる。
    「朝ごはん作り終えたら本当に起こすからネ」
    決して観念したわけではない。その方が効率がいいだけだ。そうやって言い訳を考えている時点で答えは出ているのだが、気づいていない。
    恋は盲目とはよく言ったものだ。

  • 35◆/htrGePANU25/07/09(水) 03:34:27

    ベッドから離れたモリアーティは簡単に着れる服を着て、台所へ向かう。料理の腕はダンテの方が上だがモリアーティだってできないわけではない。なんなら朝食は自分の方が上手なんじゃないかとモリアーティ自身は思っている。仮にダンテが聞いていたら張り合いそうな考えだ。
    普段の料理より慣れた手つきでパンや卵を焼いたり紅茶を淹れたりしているとベッドがきしむ音が聞こえてきた。そのまま足音は近づいてきて、モリアーティの後ろで止まる。
    「おはよう」
    「おはようと言うよりおそようだネ。もう出来上がるから皿持っていってくれ」
    「わかった」
    まだ眠たげだが指差した物を持っていく。数分後、モリアーティもそれに続く。ダンテは薄手のカップを見て残念そうにしていたが、早く起きなかった方が悪い……ということにした。

  • 36◆/htrGePANU25/07/09(水) 03:37:45

    途中寝てしまって全然書けなかった……申し訳ない
    続きはまた夜に

    イチャイチャはよくわからなかったから接触面積は増やしました

  • 37二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 11:55:34

    このレスは削除されています

  • 38◆/htrGePANU25/07/09(水) 21:13:39

    また遅くてすみません始めます
    イチャイチャ難しい……コツあったら教えて欲しい

  • 39◆/htrGePANU25/07/09(水) 21:14:57

    「どうしても飲みたいなら自分で淹れればいい」
    「コーヒーも飲んだら寝られなくなる……」
    ダンテの返答にそれもそうかと思いながら朝食に手をつける。ダンテも同じように口にすると寝ぼけていた眼が段々とハッキリとしていった。
    「美味しい」
    「それは何より」
    「なんでこの腕が他の料理には発揮されないのか……」
    「記述が曖昧だから取り返しがつくように味を薄くしたり火がきちんと通っているようにしているだけだヨ」
    ダンテがそういうところとでも言いたげな顔でこちらを見てくる。味が足りないのなら付け足せばいいし何より安全性が第一だと思うのだが、なぜか理解されない。
    ダンテが色々と言うようになってからこの話はずっと平行線のままだ。

  • 40◆/htrGePANU25/07/09(水) 22:49:44

    「朝ごはんは作ってもらったし片付けは私がやるろうかな」
    「ならお願いするヨ」
    2か月くらい前から料理を作っていない方が片付けをするのが暗黙の了解となっていた。他にもこの時期に色々な取り決めが水面下で決まっていった。この時期はダンテと恋人になったときで裁判が不起訴に終わったときだ。
    依頼が達成されもう出会うことはないのかもしれないと頭によぎったあのとき、どちらが告白をしたのだろうか。時期を考えるとおそらくモリアーティからなのだろう。推測はできるが確固とした証拠はなく、必死だったのは覚えているがとっさに何を言ったのか思い出せていなかった。
    なんだか恥ずかしくなってダンテの姿へ目線を向ける。ちょうど食器を持っていくところだった。色々と考えていたせいか、出会ったばかりの姿と重ねてしまう。今の彼は半年前からは想像できなかった。
    半年前に路上で拾ったときの彼は深い傷心状態で、今とは違う意味で取り繕うことができていなかった。共同生活はおろか自分自身の世話すらできていなかったのだ。
    それに比べたら今の姿は見違えるほどだ。それは……いいことなのだろう。
    いいことであるに違いないのだ。

  • 41◆/htrGePANU25/07/10(木) 03:44:30

    「片付け終わったよ」
    「ああ……ありがとう」
    ダンテが隣に座って机へ手を伸ばす。その伸ばした先にあるものが何か気づくと、ダンテの手を掴んだ。
    「モリアーティ……?」
    「僕が隣にいるんだからテレビなんて見る必要ないだろう?どうせ見たって君の傷つく内容ばかりだし」
    ダンテの瞳孔が開く。何かを思い出したのか表情が暗くなる。
    モリアーティはダンテの震える両手を握りしめ笑いかけた。
    「大丈夫。僕だけはどんなときでも君のことが好きだから、君のことを思って動くよ」
    「あぁ……うん。そうだね……」
    ダンテが弱々しく頷くのを見てモリアーティはギュッと両手に力を込めた。

  • 42◆/htrGePANU25/07/10(木) 03:45:54

    また寝ててすみません……
    とりあえずキリがいいので今日はここまで
    明日は多分3択で安価とります

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 12:27:28

    保守

  • 44◆/htrGePANU25/07/10(木) 21:16:28

    毎度お待たせしてすみません
    続きやっていきます

  • 45◆/htrGePANU25/07/10(木) 21:24:07

    ――1週間後
    2人は相変わらずの日常を送っていた。ここでいう相変わらずとは相変わらず依頼人が来ない日常ということである。
    「半月が経ったけど依頼が来ない……今月の家賃大丈夫かな……」
    「まぁ、そのときは何とかするヨ」
    遠い目をするダンテに対して、そういって安心させてやる。別に嘘を言っているわけではない。お金のあてはある……父親の悪事の手伝いをしたことで得たものだ。
    実のところ、モリアーティは自分の父親の手伝いでそれなりの収入を得ている。大体、今住んでいるここよりもずっといい部屋に住んでもダンテを養えるくらいだ。それが今月はすでにあったし、昨日また手伝うように言ってきた電話もあった。あのときダンテと一緒にいたから会話を聞かれないかヒヤヒヤする羽目になった。

  • 46◆/htrGePANU25/07/11(金) 03:32:27

    『やぁ、元気してたかネ』
    『何でわざわざ電話なんかしてくるんだ』
    こちらはダンテに何を話しているか聞こえないかひやひやしてるのに、向こうはやけにのんきな声を出していた。そんな態度が若干いらだたせるが、向こうはそんな態度を歯牙にもかけない。
    『いや、電話の前に他の手段もいくつかとったよ。だけど君、家の回線を弱くしたでしょ。無視どころか見てすらないよね』
    『最近、仕事用のPCがネットに繋がれば十分だと気づいたんだ。経費削減だ』
    『……経費、ね』
    小さく笑う声が聞こえてくる。何がそんなに面白いのかわからないが、下手に突っ込むと余計に時間がのびるかもしれない。それよりはさっさと本題を離して終わらせたかった。
    『それで、いつ会えばいいんだ?』
    『おや今回は話が早い。3日後にいつもの場所へ来られそうなら来たまえ』
    『ちょっと待て、来られそうならとはどういう意味だ?』
    『言葉通りだヨ。これから忙しくなるだろうしね』
    そう言い残すと電話は切られた。非通知だから折り返すことはできない。

  • 47◆/htrGePANU25/07/11(金) 03:44:47

    寝落ちてばかりで申し訳ないです
    続きはまた夜に
    明日こそ安価とる……!

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 13:23:00

    保守

  • 49◆/htrGePANU25/07/11(金) 21:30:14

    保守ありがとうございます
    続きやっていきます

  • 50◆/htrGePANU25/07/11(金) 21:38:34

    改めて思い出しても奇妙な部分がある会話だった。
    あの意味深な言い回しはいい。あれは向こうはすでに答えを把握している問題で自分が四苦八苦しているときにやる態度だ。
    先回りした返答もいい。日常で何か巻き込まれるというだけだ。
    だが、こちらにやるかどうか選ばせるなんて今までなかった。忙しかろうと何だろうと無理やりやることを押しつけてきていたのに。
    他にも、頻度がおかしい。わざわざ向こうが呼ぶということは3~7日くらいかかる内容ということだ。そんなレベルのものはせいぜい月に1回くらいだった。なのにこれで今月2回目だ。
    一応モリアーティの父親である電話相手ならこの程度でも適切な答えが導き出せるのだろう。だが、残念ながら今のモリアーティでは情報が足りなさすぎる。
    せめて、忙しくなる理由だけでもわかればと思う。モリアーティはそこがわかれば選ばせてきた理由の途中式だけでもわかりそうな気がしていた。

    そんなことを考えていた矢先、ピンポンという音が部屋に響く。

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 03:00:49

    このレスは削除されています

  • 52◆/htrGePANU25/07/12(土) 10:33:16

    寝てました
    どうしても眠気に勝てない……申し訳ない

  • 53◆/htrGePANU25/07/12(土) 10:36:01

    2人は同時に扉へ顔を向ける。宅配で送られてくるようなものは頼んでいない。となると候補は絞られてくる。
    「フフ……いい返事待ってる」
    ダンテがそう言い残して部屋を出る。モリアーティは扉がしっかりと閉まったのを確認してから玄関へ向かった。
    玄関先に立っていたのは1人の女性だった。
    「ここがモリアーティ法律事務所であっていますか?少し、相談があって来ました」
    予想は大当たり。あとはいい返事を渡せるよう努力するだけだ。

  • 54◆/htrGePANU25/07/12(土) 10:46:09

    女性を迎え入れ紅茶を淹れたカップを置く。モリアーティの正面に座った彼女はしばらく最初の言葉を思案していたが、やがて口を開いた。途中何かを堪えたりつっかえたりする部分もあったが、内容は整っていた。事前に何を相談するのか考えていたのだろう。
    彼女が行いたいことは端的に言うと告発だ。とある政党から受けた被害を訴えようとしていた。
    モリアーティはこの政党の名前をよく知っていた。
    「私は、これを示談ではなくて実刑にして欲しいんです。どうすればいいですか?」
    「そうだね。正直に言うと、君の証言だけだと証拠として物足りないな」
    そういう仕事は検察側のものだが、ちゃんと見つかるとは思えない。あそこは繋がりが深かったと記憶している。
    「いくら支払えば証拠を集めてもらえますか?」
    そう返すのは自明の理だ。無理と断るのもありだとよぎるくらい難しい案件だが、今回は見つけるあてがある。
    「今回の相談料に加え、着手金と成功報酬を支払ってくれるなら。ただ失敗する可溶性も頭に入れておいてくれ」
    「かまいません」
    相談料と着手金では相場にして10倍以上の差がある。なのに、女性はあっさりと了承した。
    「1つ聞きたい。どうしてここへ依頼したんだ?」
    答えたくないならそれでもいいが、とつけ足しておく。正直に言ってここより大きな事務所はいくらでもあるのにわざわざここを選んだ理由がわからなかった。
    「風の噂で聞きました。元同じ政党の冤罪を見つけ不起訴に持ち込んだのはここの事務所だと」
    「ああ……あれか」
    確かにそのことを知っていたら選ぶ理由にもなるだろう。何故、知っているのかという点はあるが。
    あのとき『これから忙しくなるだろう』と言われた理由はよくわかった。その情報を流した張本人なら、どんな仕事が来るか計算するのは簡単だ。鼻歌交じりに出来るだろう。
    モリアーティの反応を見た女性は微笑んだ。期待と希望に満ちた笑顔だ。
    「はい。政党ではなくダンテ・アリギエーリさんを守ったここなら私の訴えも聞いてくれると思ったんです」

  • 55◆/htrGePANU25/07/12(土) 11:22:25

    所用があるので夕方か夜に更新します……

  • 56◆/htrGePANU25/07/12(土) 20:46:47

    みなさんはフェスどうでしたか?私は落ちました
    続きやっていきます

  • 57◆/htrGePANU25/07/12(土) 20:48:00

    半年前、ダンテ・アリギエーリに出会ったのは本当に偶然だった。たまたま外に出ていたとき雨の中で項垂れて座り込む彼を見つけたのだ。そのときは誰だかわからずに声をかけた。
    「こんなところに座って……どうしたんだい?」
    交番にでも連れていこうかと腕を掴むとおとなしく引っ張られ、その勢いで顔が上がる。そこでやっとモリアーティは彼がダンテ・アリギエーリだと気づいた。
    このときの彼はよく話題に上げられる人だった。収賄を行った犯人として。今のところ彼の名前を見ない日はなかった。
    「とりあえず家に来たまえ」
    モリアーティは脳内で計算をし直す。その答えは彼に恩を売っておくのも悪くないというものだった。

  • 58◆/htrGePANU25/07/12(土) 22:34:55

    家に連れていった後、とりあえず浴室へ押し込んだ。どれくらいあそこにいたのかわからないが、今の彼はずぶ濡れだ。ダンテは言われるがまま中に入り、しばらくすると水音が聞こえた。初対面の人間に対してもう少し抵抗なり警戒なりがあるかと思ったが、驚くほど従順だった。政治家以前に人として無防備すぎやしないだろうか。
    そんなことを考えながら生活スペースで待っていたのだが、ふと着替えを渡し忘れたことに気づいた。モリアーティ自身もそれなりに動揺していたのだろう。
    「着替え、僕のだけど置いておくか――うわっ」
    とりあえず着替えを渡すために洗面所に向かうと突然、浴室の扉が開いた。たまたまなのか声が聞こえたことへの反射なのかはわからない。彼はただ何をするでもなく立っていた。その無防備というより無抵抗というべき姿や暗くよどんだ瞳を見て、モリアーティは自分の計算違いに気づく。
    ダンテは無防備なのではない。抵抗する気力がなくなっているのだ。
    理由は明確だ。政治家として若くまた見た目のよい人が犯罪をおかしたとなれば、よってたかる有象無象は多くいる。人が暴力性を最も持つ感情は正義感だ。そんなものを一身にあびれば心身ともに摩耗する。彼は歴史に名を連ねる偉人でもなく、伝承に語られる英雄でもなく、神話に讃えられる神でもないただの人間なのだから。
    「早く身体を拭いて着替えてくれ。風邪でもひかれたら意味がない」
    立ち尽くしているダンテへ着替えを押し付けて立ち去る。さすがにそれくらいは出来るだろう。

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 05:47:27

    保守

  • 60◆/htrGePANU25/07/13(日) 07:35:04

    すみませんどれだけ起きようとしても12時くらいが限界なのかもしれません
    安価今から出します

  • 61◆/htrGePANU25/07/13(日) 07:49:37

    シャワーに入れたから問題ないだろうと思ったが一抹の不安はあった。幸いそれは杞憂だったらしく、5分後には彼はこちらへやって来た。座るよう手で促すとおとなしく座る。
    「見た限り着の身着のまま逃げてきたというところだけど、行く当てがないならしばらくここに住むのはどうかな」
    「……どうして、そこまでしてくれるんだ」
    ずっと黙っていたダンテがやっと口を開く。さすがにそこまでされたら疑うかとモリアーティはある種の安心を覚えた。ここで可能な返答はごまかすか正直に言うかの二択だ。……悩んだすえ、後者をとることにした。ダンテの名前を知らないというのは無理がある。信頼を得たいなら正直に話した方がいい。
    「恩を売りたいからだヨ。犯罪者とはいえ政治家だろう?」
    「……違う。私は……私は何もしていない」
    “犯罪者”という単語にダンテがピクリと反応する。続いて出た弱々しい否定にモリアーティは眉を上げる。
    「詳しく聞いてもいいかな?」
    「話すような内容はない……突然警察が来て私が犯人だと言い始めた。否定しても無駄だった」
    つまり、ダンテは冤罪をかけられているということになる。さすがにこの状況で嘘はつかないだろう。
    モリアーティはニコリと笑いかける。これならこれで恩を売るには都合がいい。
    「なら私に依頼をしてみないかネ?」
    「依頼?」
    「言っていなかったが私は弁護士なんだ。君が無実を訴えるなら、私は冤罪を晴らしてみせよう」

  • 62◆/htrGePANU25/07/13(日) 08:01:32

    閑話休題:コーヒー
    本編から1ヶ月程度前の話

    「そういえばコーヒーはどこにあるんだい?」
    「ないよ」
    「え?」
    その返答にダンテは目を丸くする。そこまでのことかとモリアーティは首をかしげた。
    「どうしてもカフェインを摂取したいときは飲むけどね。僕は苦いだけのコーヒーより紅茶の方が好きだ」
    「フフ……それは本当に美味しいコーヒーを知らないだけ」
    いかにも不服といった表情だ。そのままダンテは何かを考え込んでいたが、やがてパッと表情が明るくなる。
    「決めた……!本当に美味しいコーヒーを飲ませる。そして君をコーヒー派に変える」
    「え、この家に道具とかないけど!」
    突然そんなことを言い出すから、今度はモリアーティが目を丸くするはめになった。
    「それはわかってるから買いに行く」
    「……あーもうわかった!で、何を買えばいい?買ってきてあげるから」
    「え?いや……いいのかい?」
    「……何がだ?」


    ちょっと話として物足りないから追加
    あと模様替えとアルバイトの話は書きたい

  • 63◆/htrGePANU25/07/13(日) 08:02:52

    あの女性が彼の名前を出すから、モリアーティはついあのときのことを思い出していた。まばたきをし、目の前にいるダンテへ意識を向ける。
    「依頼はどうだった?」
    「相談に加えて依頼も貰えたヨ」
    「フフ……やったあ」
    嬉しそうに笑う彼からあのときの面影は見えない。これならいいだろう。
    「それで、頼みがあるんだ。事務作業だけでなく、この依頼を手伝ってくれないか?」
    「え?」
    モリアーティの考えていた証拠集めのあてとはダンテのことである。
    それに、父親の手伝いと両立させると仮定するなら仕事を任せる必要があるだろう。

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 08:04:24

    このレスは削除されています

  • 65◆/htrGePANU25/07/13(日) 08:06:11

    モリアーティはダンテへ

    1.仕事に協力してもらう(父親の手伝いを断る)

    2.仕事を1部任せる(手伝いと仕事を半々くらい)

    3.ほぼ全て任せる(手伝いに集中する)

    >>67

  • 66◆/htrGePANU25/07/13(日) 08:07:12

    用があるので一旦ここまで
    夜に更新できるかはわかりません

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 13:57:33

    2番

  • 68二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 22:49:16

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 03:29:51

    保守

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 12:24:08

    このレスは削除されています

  • 71二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:57:27

    ほしゅ

  • 72二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 02:44:02

    このレスは削除されています

  • 73◆/htrGePANU25/07/15(火) 03:44:27

    「手伝いと言われても……具体的には何をすればいいのかな?」
    「ああ……今回の依頼、結論から言うと君の所属していた政党を告発しようとしている」
    ダンテの瞳孔が開く。その反応を見てモリアーティは一度黙るが、手で続きを促される。進められるまま話をするとやがて納得したように頷いた。
    「なるほど、手伝って欲しい内容はわかった。そういうことなら任せてくれたまえ」
    そうは言っているが顔色はあまり良くない。彼からすれば思い出したくない話なのである。
    その顔をちらと眺めた後、モリアーティはまた口を開く。
    「助かったヨ……実はまた手伝いの話が来ていてネ。断ってもいいとは言われていたけど、君がいるなら何とかなりそうだ」
    「手伝い?ということはまた家を空けるのかい?」
    問いかけに苦々しい顔で頷いた。手伝い以上に彼の側を離れる方が嫌だった。
    「3日以内には戻ってくる。そうでなくても君が呼んだらすぐに行くから」
    「もちろん。助けが必要だと思ったらすぐに連絡するよ」
    ダンテの信頼している顔を見て、モリアーティは顔をほころばせた。

  • 74◆/htrGePANU25/07/15(火) 03:45:40

    昨夜寝てて更新できなくて本当に申し訳ない……今日は寝なかったらやる……

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 11:58:16

    このレスは削除されています

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 21:06:36

    お疲れ様保守

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