[閲覧注意][ss]小生はコトを進めていきましょうか その6

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/06(日) 23:47:57

    最初に書き始めてから4ヶ月…いよいよ終わりが見えてきました。七月中に完結させる予定ですがもしかしたら八月になるかもしれません。なるべく休まずに更新しようと思います。

    火・水・金は夕方に月・木・土は昼間に、更新しようと思います。日曜日は休むことが多いです。こちらの都合上、更新できない日や全く違う時間に更新するかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。

    こんな私のド下手小説ですが見ていただけると嬉しいです。これからもいろいろと迷惑をかけますがよろしくお願いします。

    注意事項、このssは大幅なキャラ変やグロい描写がありますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。基本はIF展開のSSです。何卒宜しくお願い致します。

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 00:10:35

    乙 

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 00:29:32

    次スレありがとうございます^_^
    最後まで楽しみにしてます♪

  • 425/07/07(月) 00:38:19
  • 5二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 00:54:17

    10まで保守。

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:50:47

    地「まだ騒ぐのか……。よし、ベリアル。これで撃てるだろう」

    そう言って、ミカを“射線”に立たせ、アルの目の前へと突き出した。

    アル「……」

    銃口を向けながらも、アルの手は微かに震えていた。

    地「ベリアル」

    ――グゥワァン。

    突如、空間が歪む。アルとミカは、地下生活者の“内なる世界”へ転送された。そこに広がっていたのは、あの禍々しい巨大な眼球を浮かべる、真の恐怖空間だった。

    アル「……!!」

    ――ゾクッ。

    その瞬間、アルは膝から崩れ落ちた。
    身体中が震え、両腕を抱え込むようにしてその場にうずくまる。
    理解を越えた恐怖が、彼女を完全に飲み込んでいた。

    ――ぐちゃ、バキ、ドガァ。

    嫌な音が横から響いてくる。アルが恐る恐るそちらを見ると――

    ミカの身体が、“誰にも触れられていない”にも関わらず、ねじれ、裂け、膨れ上がり、潰されていく。

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:52:09

    骨が皮膚を突き破り、臓器が異常な速度で膨張し、
    生えたはずのない腕がミカ自身を掴み、貫き、押し潰していた。

    アル「ああっ……」

    叫びたかった。
    でも――叫んではいけない気がした。
    もし叫べば、その“口”が裂かれる。
    そんな妄想が、まるで現実のように脳裏をかすめる。

    地「ベリアル」

    地下生活者の声が、まるで神託のように響いた。

    地「お前に甘さと優しさがあることは知っている。だが、お前が目指すのは“本物のアウトロー”だ。ならば飴と鞭が必要だ」

    地「このまま甘さを捨てきれないというのなら、
    “聖園ミカと同じこと”を――お前にも味わってもらうか?」

    アル「……!!」

    地「いいか? 小生は基本的に“失敗”には寛容だ。だが、“自ら望んでやる”と志願したことをやらぬ者――その者には、一切の容赦をしない」

    地「それがたとえ、相棒であろうとも、だ」

    続けて、地下生活者の言葉は低く深く、しかし確実にアルを追い詰めていく。

    地「覚えておけ、ベリアル。小生は“その気になれば”お前をいつでも、簡単に殺せる。今ここで、ミカ以上の地獄を見せることも可能だ。
    ――お前の命は、小生の掌の上にある。それを忘れるな」

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:53:17

    カッ。

    地下生活者の目が一瞬だけ、妖しく光った。

    ――ゾクッ。

    アルの脳裏に、自身の無惨な死体の光景が走る。
    肉が裂け、骨が飛び出し、目が潰れ、歯が砕けた――そんな姿の自分が、そこにいた。

    アル「……!!」

    震えが止まらない。思考も止まる。
    ただ、地下生活者の言葉だけが、絶えず響く。

    地「ベリアル。こうなりたくなければ、“やるべきこと”をやれ」

    地「失敗したアウトローは、こうして“処分”される。
    それはマフィアも、ギャングも、カルテルも同じだ。
    飴と鞭、そして恐怖――
    それらを使いこなし、支配する者だけが“本物”になれる。
    ――お前が目指すのは、そういう存在ではなかったのか?」

    アル「……!!」

    地「甘さや優しさは、あっていい。
    それは、生きとし生ける者すべてが持つものだからな。
    だが、それを許されるのは、“そのミスを自ら回収できる者”だけだ」

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:54:32

    地「誰でも失敗はする。
    神ですら、そうだ。
    だからこそ、お前には――その“甘さ”を、使い分けてほしい」

    アル「……わかったわ」

    アルは、膝を震わせながらも、ゆっくりと立ち上がる。
    その瞳に映るのは、恐怖を越えた確固たる“意志”。

    地「では、期待しているぞ……相棒よ」

    ――グォン。

    空間が閉じる。
    アルは、元の場所に戻った。
    そして目の前には、再びミカの頭を掴んだままの地下生活者が立っていた。

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:56:01

    地「さぁ…撃て。」

    その言葉は冷たく、鋼のように硬い響きを持っていた。

    アル「……」

    一瞬、空気が凍りついたかのような静寂が訪れる。
    だが――

    バァンッ!

    乾いた銃声が響き渡った。
    アルは、迷いの欠片も見せずに引き金を引いた。
    銃口から放たれた鉛の塊は一直線にミカの左目を貫く。

    バチュッ!

    目の奥で何かが弾け飛ぶ、生々しい音。

    地下生活者「フッ……」

    ミカの頭を掴んでいた地下生活者が、楽しげに笑いながらその手を離す。

    ミカ「ifue8fhe9f……ッ!!」

    口が裂かれ、声にならない呻きがこぼれる。悲鳴すら発せられない。
    激痛に震えるミカの左目からは、血が止めどなく溢れていた。
    キヴォトス人であろうと、「目」は特別だ。
    至近距離から撃ち込まれた弾丸が、無傷で済むはずがない。

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:57:09

    視界は暗転し、世界が遠のいていく。
    それでも、ミカは本能で逃げようと這い出そうとする。

    だが――

    地「おっと」

    ドガッ!

    鈍い音とともに、地下生活者の足がミカの背中に叩きつけられた。
    骨が軋み、肺の空気が一気に吐き出される。

    地「右目は小生がいただくとしようか」

    にじむ視界の中、再び頭を掴まれる感触。
    皮膚の下に食い込むような圧力。
    地下生活者の左手がミカの髪を鷲掴みにし、無理やり顔を上げさせた。
    右手には、禍々しく光る“気”の刃。
    揺らめくその刃を、あえてミカに見せつけるようにして、ゆっくりと――異様なほど、ねっとりとした動作で――
    ミカの無傷の右目へと近づけていく。
    ミカの呼吸が荒くなり、体は震え、血で濡れた頬がこわばる。
    声も出せない、逃げることもできない。

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:58:17

    そして――

    ズバッ!

    ミカ「dfhufheiuheiv――!!」

    刃が眼球を切り裂き、何かがはじけ飛ぶ音が地下に響いた。
    激痛と恐怖に全身が痙攣し、意識が飛びそうになる。
    地下生活者は、血に濡れた手をゆっくりと離し、数歩後退する。
    目の前には、両目を失い、地面に崩れ落ちるミカの姿。
    血の海の中、少女はただ虫のように蠢くだけ。

    地「……さてと、ベリアル」

    彼は、ゆっくりと振り返る。

    その視線の先――そこには、銃を手にしたままのアルが立っていた。

    地「どうする?」

    低く、重く、問う。
    処刑者から処刑者への確認。
    選択ではない、儀式の続きにすぎない。
    アルの表情は変わらない。
    その瞳には、哀れみも迷いもなく、ただ“終わらせる”という意志のみが宿っていた。

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 01:59:18

    アル「――勿論。ここで、終わらせるわ。」

    静かな言葉の中に込められた、確固たる決意。

    地「……パーフェクトだ。」

    その声には、満足と期待がにじむ。
    死の帳が、今まさに降ろされようとしていた。

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 07:49:56

    真のアウトロー?になったあるがこれからどんな活躍をするか楽しみです^_^
    念のため保守^_^

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 07:52:11

    アルちゃんを形作っていたピースが壊れた…

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 08:33:30

    アウトローとクズは紙一重
    原作はギリギリ踏みとどまってるけど一線を越えると…

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 12:39:09

    昼保守。

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:05:24

    焼け焦げた皮膚の下で、血の代わりに“悔い”だけが流れている気がした。
    砕かれた骨も、えぐられた目も、もう痛みを訴えてこない。
    それはただ、自分が“キヴォトス人”であったという名残を確かめているだけだった。

    ミカ(私が……魔女だから?
    先生が死んだから?
    それとも、最初から……全部、“仕組まれてた”の?)

    誰かの手のひらで、
    誰かの気まぐれで、
    私たちは操り人形みたいに動かされて、壊された。

    ミカ(こんなの……意味なんてなかったんだ)

    ナギちゃんの願いも、
    セイアちゃんの涙も、
    先生の最後の声も……
    何ひとつ、この世界には届いていなかった。

    ミカ(ああ……でも、もういいや)

    もう、いい。
    痛みも感じないし、叫ぶ声すらない。
    私はきっと、このまま――

    ミカ(このまま、終わるんだ……)

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:06:34

    こんな私に、ふさわしい終わり方。
    “魔女”と呼ばれた存在に相応しい、滑稽で、惨めで、くだらない死に様。
    でも。

    ミカ(……あのとき、先生が言ってくれたあの言葉だけは――)

    「ミカは、魔女なんかじゃないよ」

    ミカ(……あの言葉だけは、全部を焼き払った私に、ちゃんと届いてたんだ)

    「私のお姫様に、何をするの!!」

    ミカ(嘘でもいい……もう一度だけでいいから……あの声、聞かせて……)

    ナギちゃん。
    セイアちゃん。
    コハルちゃん。
    先生……。

    ミカ(……いま、そっちに、逝くね)

    ――そう思った瞬間。

    ドカッ!

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:07:38

    ミカ「ッ!!」

    ――衝撃。意識の淵から無理やり引き戻される。

    地「待て。死ぬのはまだ早い。ここまで楽しませてくれた礼に、“友人の声”を聞かせてやろう」

    ミカ(……とも、だち……?)

    いや。
    そんなわけない。
    みんな、死んだはず。
    私と一緒に、砕かれたはずなのに……

    地「耳は潰してないから、聞こえるだろう?」

    「ミカサマ、ゴブジデスカ?」

    ミカ「……コ……ハル……ちゃん……?」

    その声を聞いた瞬間、焼けただれた胸の奥が熱くなった。 涙なんて、もう出ないはずなのに――出そうになった。

    「ハイ、コハルデス。スゴイケガデスケド、ダイジョウブデスカ?」

    ミカ(……よかった……本当によかった……)

    「ソレハソレハ、タイヘンオカワイソウデス。ヒリキナワタシデスガ、キュウサイシテサシアゲマショウ」

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:08:57

    ――違和感。

    ミカ「……え?」

    「ナントナント アワレナミカサマ。コノヨウナコトニナッテシマッタノハキキカンリガデキテイナカッタ アワレナアワレナモノタチ ミカサマノオミチビキガアッタラコノヨウナコトニハナリマセンデシタノニ ザンネン アワレ ミジュク タイダ」

    ミカ(コハル……ちゃん?)

    「ワタシハコハルデスヨ ミカサマ? アア アワレデカワイソウナミカサマ ゴアンシンクダサイ イマ オスクイイタシマス アワレナアワレナタマシイハキュサイセネバ アマリニモ カアイソウ カアイソウ」

    その言葉は優しさではなかった。

    それはまるで――

    「慈悲の皮を被った悪意」。

    ミカ(……これ……“コハルちゃん”じゃない)

    「アナタノタマシイヲ、キュウサイシテアゲマス……キュウゴ、オンケイ、カイホウ、オワリノヒカリ……」

    ギリッ

    不気味な咀嚼音が、足音と共に近づいてくる。

    ミカ(違う、違う、違う……違うッ!!)

    助けて。誰でもいい。
    もう誰でもいいから――この地獄から逃げ出したい。

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 18:10:06

    「ミカサマ……アナタハ、テンシデス。テンシハウエカラミナヲオスクイシマス。イマ ツレテイキマス」

    ミカ「や……やめ……」

    ガシュ

    巨大な口が、彼女の頭部を包み込む。

    ミカ(せめて……お願い、先生……)

    グチャリ

    骨が砕ける。
    意識が、ひと欠け、またひと欠けと削られていく。

    ミカ(やっぱり……全部、嘘だった)

    何も救われなかった。
    誰も救えなかった。
    ただ喰われるだけ。
    名前も、想いも、祈りも――すべて。
    消化されて、終わるんだ。

    地「……最後に“友人”の救済を味わえて、よかったな。ミカエル」

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/07(月) 19:55:22

    なかなか悲しい最期ですが、逆にいえば取り込まれたとも言えるので、バケモノコハルからミカが生まれてくる可能性もあると考えるとなんだかエッチな気がします。

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 00:21:25

    ………この結末も…全部、君の計算通りなのかな?
    チカセイカツシャクン
    性悪時計君…

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 07:49:51

    朝保守。

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:22:40

    昼保守。

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:53:38

    ゴシュリ。

    異形がミカを完全に捕食した瞬間、地獄のような静寂が辺りに満ちた。

    地下生活者「……どうした?」
    アル「中で暴れてるのかしら。まるで、まだ――“生きている”みたい」

    異形はピクリとも動かず、ただ重々しく咀嚼を続ける。
    だが――その“沈黙”は、嵐の前の静けさだった。

    バキィン

    鋭い音が響いた。
    異形の背中に、一本の亀裂が走った。
    それは皮膚というよりも、“殻”に近いものだった。
    まるで、蝶が蛹を破るかのように――白く滑らかな何かが、ゆっくりと這い出してきた。
    その“それ”は、血に濡れた内臓を纏いながらも、一切の汚れを拒絶するかのような純白を放っていた。

    アル「……すごい……これは、進化?」

    その存在はゆっくりと立ち上がる。
    そして、六枚の翼が空気を裂くように広がった。
    血と神聖が交わるような、矛盾に満ちた存在――

    セラフィム。

    地下生活者「小生も……これは、想定外だ……」

    その翼は天に祈りを捧げるように大きく広がり、
    その顔は、かつてのミカの面影をわずかに残していた。だが――

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:54:42

    ――瞳は空洞だった。
    ――口元は笑っていた。
    ――声は発されていなかったのに、“声”が脳内に響いた。

    「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その栄光は全地に満つ」

    天使と神の融合。
    希望と破滅の極地。
    感情と理性を超越した“超存在”。
    その姿はもはや、天使というよりも、
    神に最も近く、それゆえに“狂気”に堕ちた光の災厄だった。

    アル「これが……ミカなの?」

    地下生活者「いや、違う。
    ――これはもう、『それ』だ」

    それは、世界の理をねじ曲げるように、そこに「顕現」した。

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:56:02

    無限にも見えるほどの大きさ。
    推定高さ100メートル、横幅200メートル以上。
    羽ばたくたびに、空間が砕け、重力が不安定に揺れた。
    光を放っているはずなのに、そこにあるのは“輝かしい絶望”――
    セラフィム。
    コハルの骸より芽吹き、
    幾千のキヴォトス人の肉を喰らい、
    そして最後に、聖園ミカを取り込み、
    今ここに、“神秘”の化身として、現出した存在。
    地下生活者は言葉を失いながらも、その崇高さに似た異形の誕生に対し、感嘆すら覚えていた。

    地「……まさかセラフィムが顕現するとはな……」

    だが、笑う。興奮しているのが伝わってくる。

    地「こいつは反転でも覚醒でもない…進化だ。喰うことで変質する生物……なのに、漂ってくるのは恐怖じゃない。神秘……崇高な、けれど狂気の……何なんだ、これは……! こいつはベリアルやホルス、バアルとも異なる。」

    アルも、その力に圧倒されていた。

    アル「こんな力……知らない……ミカの力でも、私たちの“反転”でもない……融合……いや、“混成”。混じり合った力……異形の原初的な力と、ミカの内にあった何かが……」

    空間に重たい沈黙が落ちたその時――

    フランシス「……ご満足いただけましたかな? お二方。」

    声とともに、その場に滑るように現れたのは、フランシス。
    彼からは、冷静と計算、そして狂気すら滲んでいた。

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:57:12

    地「大したものだな……お前の種子がここまで成長するとは。反転させずともここまでとは……これは、“圧巻”だ」

    フランシスは微笑んだまま、ゆっくりとアルを見つめる。

    フ「……そちらが、君の相棒か? “反転”済みのようだな」

    地「ああ、紹介しよう。こいつはベリアル。…まあ、口うるさいのが玉に瑕だがな。」

    フ「そうか。だがそれも良い…」

    小さな笑いの中、アルは少しだけ身を正す。

    アル「……はじめまして、ベリアルです。よろしくお願いします」

    フ「こちらこそ、ベリアル。ようこそ深淵の扉へ」

    そう言って差し出されたフランシスの手に、アルも手を添えた。

    ――その瞬間だった。

    ドクン
    ゾワァ……

    凍てつくような悪寒が、脳幹を直撃した。
    世界が揺れる。
    視界が黒く滲み、
    次の瞬間、異様な空間がアルの脳内に現れた。

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 17:58:49

    無数の「目」――
    無数の「歪んだ意志」――
    その中心で、ただ静かに、そして確実に、
    “何か”が、アルを見ていた。
    そこには光も闇もなかった。時間も空間もなく、ただ無限の知覚が存在するだけ。
     
    フランシス「どうした? 唖然としているようだな?」

    その声で、意識が戻る。

    アル「!!」

    目の前には、変わらぬ微笑で手を握っているフランシスがいた。
    何もなかったかのように。まるで今の出来事は夢幻だったかのように。

    アル「……いえ、なんでもないわ」

    手を放したとき――

    『見ているぞ、ベリアル。』

    その声が、脳内に響いた。
    “耳”ではなく、“魂”に直接、語りかけるように。
    アルは無意識に後ずさる。
    理解できぬものに、ただ怯えるしかなかった。
     
    フランシスは背を向ける。
    その歩みは静かで優雅。しかし、そこに宿るものは“神”でも“悪魔”でもなかった。。
     
    そしてその背後では、セラフィムが、ゆっくりと空へと舞い上がっていった。

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 18:56:31

    どういえばいいかわからないですがすごくエッチだなと思いました。
    知る由がないとはいえ神に近しい存在になれたのは良かったようなそうでないような。ただかっこいいミカ?が見れてよかったです^_^

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:15:09

    しかし終わりが見えてきたと主さんは言っているが、ホントに今月中、もしくは来月中に終わるのか?まだあと4カ月は続きそうな雰囲気があるんだが。あと主さんに提案ですが、スレまとめの名前である「あまねく悲劇の序章」を「あまねく悲劇の始発点」って名前にしたらもっと絶望感や嗚呼、バッドエンド確定演出キチャァなんだな…感が増すと思いましてん

  • 34二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:16:35

    >>23

    >>32

    分かるよ。可愛い乙女が異形の怪物に喰われるのはこう…唆られるものがありますよね。

  • 35二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 23:40:18

    ブルアカキャラがテラーみたいに闇落ちしたり、怪物になったりするのが好きなのでそう言ったのが少ないのでこういうssは嬉しいし、作れる作者さんはすごいと思います😍自分もこういう感じのをいつか作れる様になりたいです^_^

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 23:46:45

    このレスは削除されています

  • 3736です。25/07/08(火) 23:58:07

    少し変な感じの感想になってしまったので書き直しましたので気にしないでください^_^
    自分はブルアカのテラー化がすごい好きなのですが、作者様のSSを見て怪物化も同じくらい素晴らしいものだなと思いました。言語化が難しいのですが、この雰囲気がすごく珍しくて作者様の雰囲気にあっていると思います。
    続きがすごく気になりますが、なにより作者様の体調や調子にお気をつけてご自愛くださいませ。
    その上で最後まで続きを楽しみにしております♪

  • 3825/07/09(水) 01:35:08

    >>33


    ご提案ありがとうございます。

    作品名についてですが、「あまねく悲劇の序章」から「あまねく悲劇の始発点」に変更させていただきました。

    素晴らしいご提案に感謝いたします。

    また、今後の展開についてですが、この章以降も構想は進んでおり、ある程度の流れは固まっています。

    投稿先については現在検討中で、あにまんに続けて投稿するか、ハーメルンやpixivといった他のプラットフォームを利用するかは、執筆の進行と相談しながら最終的に判断しようと思っています。


    引き続き、ご意見や感想をいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

  • 3925/07/09(水) 01:38:18

    この章はあにまんで完結させる予定です。
    ただし、その後の展開についてはまだ未定で、ハーメルンやpixivなども視野に入れつつ、執筆の状況に応じて判断していきたいと考えています。

  • 40二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 07:56:47

    あさほ

  • 41二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 16:39:49

    保守

  • 4225/07/10(木) 00:30:59

    すみません。今日は昼辺りに投稿します。

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 01:19:32

    お忙しい中で連絡ありがとうございます^_^
    楽しみにしてます^_^

  • 44二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 08:26:04

    朝保守

  • 4525/07/10(木) 17:30:52

    フランシスは足音ひとつ立てず、静かに地下生活者のもとへ歩み寄った。
    周囲は沈黙していたが、その空気は確かにざわついていた。

    フランシス「……彼女らは、どこに行かせた?」

    地下生活者は薄く笑った。

    地下生活者「ホルスたちにはアビドス地区へ行かせた。“砂狼シロコ”以外の連中を処分しろと、後は残りカスの始末…今のアビドスの連中など潰すのは容易……だが一人、興味深い個体がいた。もしそいつが“反転”すれば、アヌビスやホルスに匹敵する“器”となるだろう。」

    フランシスは黙って聞いている。

    地下生活者「だから命じた。生半可なことはせず、徹底的に“心を砕け”と。精神が壊れれば、あとは意のままだ。そしてもう一つ、ある“モノ”を彼女たちに渡しておいた。小生が試してみたい実験があってな。」

    フランシスはうなずくと、内ポケットから数枚の書類を取り出した。

    フ「――これを見てくれ」

    地下生活者は受け取り、淡々と視線を滑らせていく。数十秒の静寂ののち、目を細めた。

    地下生活者「……これは、今すぐにでも実行可能か?」

    フ「テストは済んでいる。全て成功だ。そして実験用サンプルをカイザーに渡した。実施するなら、“今”が最適と奴らは判断している。都市間の連携が乱れ、情報が混乱している今ならな。」

  • 46二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 17:33:42

    地下生活者「場所は?」

    フ「どこでも可能だ。実験で使った“生物”すべてに対して、例外なく効果があった。」

    数秒、沈黙。
    その表情からは、何を思案しているのかまでは読めない。
    やがて――

    地下生活者「……よかろう。アビドス地区を除く各地で、この“兵器”の実験を行う。ただし、失敗時の“収拾シナリオ”は事前に立てさせろ。必ずだ。」

    フ「了解。伝えておく。」

    地下生活者は一歩後ろに下がり、低い声で続ける。

    地下生活者「ヴァルキューレのトップ、それと生徒会の数名には、すでに多額の“資金提供”を行ってある。この件に関する一切を“認知しない”よう、念を押しておけ。」

    フ「なら、そのように」

    フランシスは静かに踵を返しかけて――ふと、思い出したように口を開いた

    フ「……ちなみに、この“兵器”を開発するにあたり、当初の予算を大幅に超える経費がかかった。技術班からの報告だがな。薄々感じていたんだがな…」

    地下生活者は無言でフランシスを見やる。

    フ「さらに……それによって生き残った個体――“彼ら”の一部を捕獲対象とすべきか、処分対象とすべきか、判断を仰ぎたいとのことだ。」

  • 47二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:39:51

    いよいよミカ編?が終わって、次はアビドス編?でしょうか?どの様になるか楽しみです^_^

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 08:21:22

    朝保守。

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:08:46

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 22:59:12

    ゆっくりお待ちしております^_^
    念のため保守^_^

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 02:46:55

    夜分保守

  • 5225/07/12(土) 08:22:20

    すいません やっと仕事が終わりました。今日のお昼ぐらいに投稿します

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:43:31

    お仕事お疲れ様です^_^
    健康第一に、無理せずにご投稿くださいませ。
    ゆっくりお待ちしております^_^

  • 5425/07/12(土) 13:14:21

    すいません 個人的な使用ができたので夜に投稿させていただきます すみません

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 14:02:04

    ご自身のことをご自愛と優先させてくださいませ^_^
    ゆっくりお待ちしております^_^

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 21:54:54

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 04:21:47

    一拍の間。

    地下生活者「……経費に関しては心配するな。必要分はすでに“確保済み”だ。」

    フランシスの目が一瞬だけ細まる。

    地下生活者「それと……“数名”は生かしておけ。使い道はある。だが、それ以外は――処分して構わん。残滓などいらん。」

    フ「了解。ではそのように伝える。」

    言葉は静かだった。そうしてフランシスは一瞬で消えた。

    地「…手間が省けそうで良かった。」

    そうして、アルの方を見ると

    地「ベリアル、我々はまた別に動くが何かあった時には小生が動く。いつでも対応してるようにしとけ。」

    アル「分かったわ」

    そうして地下生活者はアルと共に再び移動し始める。

    地(…ホルスらがアビドス残党を始末するのに失敗した場合のシナリオとフランシスの新型実験…これら両方を同時にすることによっておそらくキヴォトスは滅部寸前にはいくだろう。現にトリニティは滅亡、ミレニアムはセミナーの損失で混乱状態だとは思うがC&Cがいたな…それにゲヘナが未だに健在だ。バアルとベリアルをこちらに作ったとはいえ気になる…それにまだ全く手を出していない学園もある。それらは実験場になるとはいえ、何かしらの策を考えた方がいいのかもしれない。それにまだ覆されていない可能性もある。ここまで来たとはいえ不安は尽きぬものだな…)

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 12:33:39

    >>57自陣営にはホルス、バアル、ベリアルといった戦力があることに加え自身のフィジカルも逸品…なのに一体何が不安なんだ?デカグラマトンか?無名の司祭及び名も無き神か?それとも雷帝の遺産か?気になるな

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 21:41:14

    どうなるかねぇ

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 03:37:40

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 09:30:13

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:27:12

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:00:13

    ーアビドス高等学校。

    時間が止まったような教室。
    埃っぽい空気。つけられない電灯。
    その空間に、ぽつりと四つの影が存在していた。
    「砂狼シロコ」「黒見セリカ」「十六夜ノノミ」「奥空アヤネ」。
    あの悪夢のような“終わり”を経験して生き残ってしまった四人。
    いや、“生きている”と呼べるのかは分からなかった。
    心の半分以上は、もうずっと前に――あの日、死んでいた。
    あの時彼女らが目を覚ましたとき、そこは白く冷たい病院だった。
    だが、それよりも遥かに“冷たい現実”が彼女たちを待ち構えていた。
    ホシノは行方不明。
    もう一人のシロコは焼け焦げたような変わり果てた姿で見つかり、

    先生は…――名札だけが、炭になって残っていた。

    名前が焦げても、誰のものかすぐに分かった。
    だからこそ、余計に何も言えなかった。
    ノドが詰まったように声が出なかった。
    水も食事も、しばらくは喉を通らなかった。
    涙だけが、止まらなかった。
    それすらも、枯れてしまった頃に――キヴォトスは変わり始めていた。

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:01:18

    治安は急速に悪化し、暴力が正義に取って代わった。
    秩序の崩壊、そして“全て”が笑われる世界。
    葬儀のあの日、思っていた。
    ――どうして私たちはタヒねなかったんだろう、と。
    それから一年。
    彼女たちの教室には、もう「光」がない。
    心のどこかで、誰もがそれを口に出さずに理解していた。
    もう、前の私たちには戻れないと。
    カイザーからの催促状。
    積み重なる借金。
    それすらも、いまや現実感がなかった。
    まるで夢の中にいるように。
    ただ、目が覚めない悪夢。
    四人の少女は教室にいた。
    ただ座っていた。
    何も言葉を交わさず、誰も目を合わせず。
    崩れかけた瓦礫の上に座るように。
    ただ“居るだけ”。
    だが――心の中では、それぞれの地獄が静かに燃えていた。

  • 65二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:03:10

    シロコ
    (……全部、私のせいだ。
    あのとき、声をかけなければ――
    あのとき、もっと止めていれば……
    ホシノ先輩も、先生も、もう一人の私も――
    死ななくて済んだかもしれない。
    だけど私は……私はただ黙って見てた。
    “分かっていた”くせに、怖くて踏み出せなかった。
    優しいフリして、結局、自分を守ってただけだった――)

    ノノミ
    (……ホシノ先輩、先生、どうして……私だけが生きてるんですか……
    私は何もできなかった。
    誰の力にもなれなかった。
    何も救えなかった。
    私、もう壊れそうなんです。
    今だって、死にたくて死にたくてしかたない。
    でも、それすらできない自分が一番嫌いです。
    私は……私は……どうしたらいいのでしょうか…)

    セリカ
    (……“あんな凄惨な遺体”――あのとき、私が口にした言葉。
    あれが、引き金だったのかもしれない。
    あんな言い方しなければ……
    でも私は、怖かった。恐ろしかった。理解したくなかった。
    それを、あの言葉で切り捨てた。
    最低の逃げ方だった。
    ホシノ先輩も先生も、それでも私に手を伸ばしてくれたのに……
    ああ……ごめんなさい……ごめんなさい……)

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:04:10

    アヤネ
    (……私が、もっと早く気づいていれば……
    梔子ユメの件、真実、裏側、全て調べようとしたけど……
    何一つ分からなかった。
    何一つ掴めなかった。
    知識も、力も、勇気も、何一つなかった。
    夜が怖い。
    目を閉じればあの“日”が蘇る。
    風呂の鏡に映る自分が、自分じゃないように思える。
    もう、私は“誰”なんだろう……)

    そうして、今日もまた――
    彼女たちは何も言わず、何も始めず、何も終えないまま。
    光の届かない教室で、静かに、ゆっくりと――壊れていった。
    どこかで、何かが動き出していることなど、
    もう彼女たちには、どうでもいいことだった。
    なぜなら、あの日からずっと――彼女たちの「世界」は、止まったままだったのだ。

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:37:25

    こんな…こんな……こんなのって…!1年経ってるからいつの間にかナレ死してくれてたほうがまだ救いは有ったのに…!…そうか、そうだよな…この物語は「あまねく悲劇の始発点」だからそんななまっちょろいのは無いよな…!

  • 68二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:49:50

    ホシノが生きているとわかった時にホシノとアビドス生双方がどんな対応、反応になるか楽しみです^_^

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 01:16:22

    ゆっくりでもいいのでお待ちしております^_^
    念のための保守^_^

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 06:21:06

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 09:18:53

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:40:18

    キーンコーンカーンコーン――

    夕暮れを知らせる無機質なチャイムが鳴り響いた。
    どこか遠く、まるで廃墟に響く鐘の音のように虚ろだった。
    静寂の中で、ノノミがようやく口を開く。

    ノノミ「……それじゃあ、今日はこれで…」

    その一言を合図に、四人はゆっくりと席を立った。
    誰も言葉を続けようとはしない。
    話すことも、意味を持たないから。
    全員が、同じように。
    “何か”が壊れてしまったまま、動けなくなっていた。
    校門前で、自然と四人は散った。
    シロコは自転車で、ノノミは一人で。
    そして、セリカとアヤネは、ふたりで。
    街の明かりがゆっくりと灯る頃、二人はただ歩いていた。
    肩を並べながらも、心は遠く離れていた。

  • 73二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:41:19

    ――が、セリカが不意に声を漏らす。

    セリカ「……アヤネちゃん、私……これからどうすればいいのかな……」

    その声はあまりにも小さく、そして脆かった。
    崩れかけた足場の上で、無理に笑おうとするような声音だった。
    アヤネはすぐには答えられなかった。
    ただ黙って、耳を傾ける。

    セリカ「借金は、ずっと減らない……先生も、ホシノ先輩も、もういない……
    アビドスは、こんなにも荒れて、キヴォトスはもうめちゃくちゃ……
    連邦生徒会も何の役にも立たない……
    誰も、誰も私たちのことなんか救ってくれない……」

    セリカの声は、震えていた。
    まるで、壊れかけたガラスのように。

    セリカ「……もう、何もかもが嫌になってきたの……」

    アヤネは何も言えなかった。

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:42:46

    そうして二人が歩いていたその時、
    前方から猛スピードで走ってくるトラックが突っ込んでくるのが見えた。
    セリカの目が、それを捉えた。

    ――ああ、これで終われる。

    この体は、弾丸でも、爆弾でも、なかなかタヒねない。
    でも――この速度なら。
    誰にも迷惑かけずに、静かに終われるかもしれない。
    そんな“甘い終わり”の誘惑に、セリカは無意識に足を踏み出していた。

    セリカ「……」

    その顔はまるで、眠る直前のように穏やかで。
    ゆっくりと、トラックの進行方向へ――。

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:43:51

    ……その時だった。

    「――だめっ!!」

    バッ!!

    突如、横から飛び込んだアヤネがセリカを強く抱きしめ、歩道に引き倒した。
    トラックは間一髪で二人を避け、ブレーキも踏まずにそのまま走り去っていった。
    地面に倒れこんだまま、アヤネは激しく息を吐いていた。

    アヤネ「はぁ……はぁ……」

    セリカは、アヤネの胸の中に顔を埋めたまま、震えていた。
    目には涙があふれていた。

    セリカ「アヤネちゃん……なんで……」

    かすれた声で、絞り出す。

    セリカ「なんで……死なせてくれなかったの……!」

    アヤネの腕に縋るようにして、セリカは泣きじゃくった。

    セリカ「見捨ててくれてよかったのに……もう、全部、終わりにしたかったのに……!私は……もう、生きていたくなかったのに……!」

    その叫びは、魂の奥底から響くような痛みだった。

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:44:56

    「なのに……どうして、死なせてくれなかったのよ……アヤネちゃん……」

    セリカの涙が、アヤネの服を濡らしていく。
    アヤネの体が震えていた。
    でもそれは、恐怖でも怯えでもなかった。
    それは、怒りだった。
    静かに――しかし確かに、アヤネは声を漏らした。

    アヤネ「……ください……」

    セリカ「……え?」

    アヤネ「死のうだなんて――考えないでください!!」

    怒気を含んだ、叫び。
    普段は声を荒らげないアヤネの、
    心の底から絞り出された悲鳴のような声だった。

  • 77二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:46:16

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:47:27

    アヤネ「……先生を失って、ホシノ先輩も、もう戻ってこなくて……
    あなたが、いなくなったら……
    私は、本当に壊れてしまうから!!」

    目には涙が溜まっていた。
    それでもアヤネは、しっかりとセリカを見つめていた。

    アヤネ「一緒に苦しんでるの……私だけじゃない。セリカちゃんも、ノノミ先輩も、シロコ先輩も、みんな……みんな傷だらけで、それでも……」
    「……勝手に、置いていかないでよ……!」

    セリカ「ッーーー!ああっ…」

    そうして、二人はただ抱き合って泣いた。
    何も解決していない。
    希望なんてどこにもない。

    でも――

    この絶望の底にいるのは、私だけじゃなかった。
    その事実だけが、今の彼女たちをつなぎ止めていた。

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 22:47:07

    素晴らしい友情と絆ですね~これがこれから粉々になって消えると思うとゾクゾクします

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 01:03:11

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 09:38:23

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 18:25:32

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:44:28

    しばらくホスト規制でコメントできずすいません。
    全て失ったと思っていても残っていた友情は尊いです^_^
    この後に2人、もっと言えばアビドスはヒフミの様に救いが与えられるのでしょうか?
    (死後に全員融合させられるとか、ホシノテラーに取り込まれるとか。)

  • 8425/07/17(木) 02:12:52

    すみません。今日はお昼に投稿します

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 07:35:12

    続き、お待ちしてます^_^

  • 86二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 13:08:02

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:16:10

    そして二人はゆっくりと立ち上がり、再び歩き始めた。

    セリカ「…ごめんね。アヤネちゃん、あんなことしちゃって…」

    アヤネ「いえ……アヤネちゃんが無事でよかったです。」

    私は謝った。
    生きることから逃げてしまったこと。
    みんなをまたつらい気持ちにさせようとしたこと。
    泣かせてしまったこと。
    そして――一番してはいけない、「自ら命を絶とうとした」こと。
    心の底から、アヤネちゃんに謝った。
    アヤネちゃんは涙を流しながらも、黙って私の謝罪を聞いてくれた。

    アヤネ「だから…一つだけ、約束してくれませんか?」
    アヤネ「もう二度と……死のうとしないで。」

    その言葉は、思いのこもった、力強いものだった。
    私はその真剣な眼差しを受け止めて、頷いた。

    セリカ「……分かったわ。約束する。」

    そうして二人は、指切りをした。

    「指切り~げんまん……」

  • 88二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:17:49

    そして、ようやく二人とも、久しぶりに笑顔になった。

    セリカ「じゃあ、私、これからバイトだから」
    アヤネ「うん、気をつけて」
    セリカ「ありがと」

    突き当たりの交差点で、二人は別れた。
    アヤネは、セリカの姿が見えなくなるまで見送ってから、ゆっくりと自宅へ向かって歩き出した。

    セリカ「……急がないと。みんなのためにも」

    セリカは走ってバイト先へと向かっていた。
    その表情は、さっきまでとは違い、少しだけ前向きになっていた。

    しかし――その途中。
    ぶぉおおん

    セリカ(あれは……)

    前から、あのトラックが走ってきた。
    セリカは、そのトラックに迷惑をかけてしまったことを謝ろうと手を振った――

    ぶおおおおん!

    ……しかし、トラックはセリカの横を通り過ぎて行った。

    セリカ「……行っちゃった……謝りたかったけど……今は行かなきゃ」

    そう言って、セリカは足早に走り出した。

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:19:00

    だが――

    この時にトラックを止めなかったことと、自らの選択が、
    地獄のような結末を呼ぶことになるとは……
    この時の彼女には、まだ知る由もなかった。

    アヤネ「セリカちゃんが……あんなに思いつめていたなんて……。一番近くにいたのに……私、何も気づけなかった……もしまた、あんなことをしたらどうしよう……。私が、もっとしっかりしていれば……!」

    夕闇が迫る住宅街の道を、アヤネはうつむきながら、ゆっくりと歩いていた。蝉の鳴き声は止み、空気はひどく冷たく感じる。どこかおかしい。世界から音が消えていくような、そんな感覚。

    そのとき。

    ぶぉおおお――

    アヤネ(……トラック?)

    背後から響いた重いエンジン音に、アヤネはゆっくりと振り返った。そこには、さっきのトラックがいた。

    アヤネ(…迷惑、かけちゃったから……謝らなきゃ)

    罪悪感に突き動かされるように、アヤネは小さく手を振った。すると、トラックはギィィィと不自然な音を立てながら減速し、アヤネのすぐ横にぴたりと停まった。

  • 90二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:20:25

    アヤネ「……運転手さん……怒ってるかも。ちゃんと謝らないと……」

    アヤネは不安げに近づき、運転席の窓に目を向けた。すると――

    ギギギ……

    窓がゆっくりと、自動で開いた。

    アヤネ「あの……さっきは……」

    言葉の続きを飲み込む暇もなかった。

    ――グチャ。

    目に飛び込んできたのは、運転席に座る「何か」だった。だらりとハンドルにもたれるその存在には、頭部が、なかった。肩口からは骨と肉片が覗き、内側のシートには血と脳漿が飛び散っていた。目を逸らす暇もないほど、鮮明で、生々しい死の現場だった。

    アヤネ「えっ……な……なに……?」

    意識が急激に現実から引き離される。

    アヤネ「きゃああああああああああっっっ!!!!」

    全身の神経が悲鳴を上げる。アヤネは振り返り、無我夢中で走り出した。どこに逃げればいいかも分からない。ただ、そこから「離れたい」一心だった。

  • 91二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:21:28

    アヤネ「はぁっ……はぁっ……だ、誰かっ……誰かいませんか……!?」

    住宅街は静まり返っていた。家々の窓は閉ざされ、灯りすらついていない。まるで、人の気配が最初からなかったかのように。
    その時だった。

    ――パチ、パチ、パチッ。

    街灯が、一つ、また一つと点滅を始める。古い蛍光灯のように、不規則に、そして不気味に。空気が変わる。冷たい風が吹きつけ、頬が切れそうに痛い。

    アヤネ「な、なにこれ……おかしい……絶対におかしい……!」

    恐怖は形を持って迫ってきている。理性が壊れそうになる中、ふと前方の角に「誰か」が立っているのが見えた。

    アヤネ(よかった……誰かいる……!)

    アヤネはふらつきながらも、その人影へ駆け寄った。角を曲がり、息を切らして膝に手をつきながら叫ぶ。

    アヤネ「あ、あのっ……すみません!!助けてください……!」

  • 92二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:23:07

    しかし。

    その「人影」を見た瞬間、アヤネの全身から血の気が音を立てて引いていくのを感じた。
    それは、人間ではなかった。
    腕があり、足があり、顔のようなものがある。だが、それは人を模した何かだった。関節は不自然な方向に折れ曲がり、皮膚のようなものはずるりと垂れ、口元は裂け、黒い液体が滴っていた。

    アヤネ「……っ……!」

    声も出ない。ただ、そこに「存在してはいけないもの」が立っている。それだけは、直感で分かった。
    その怪物は、アヤネを見て――笑った。

  • 93二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:38:23

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 06:50:48

    うおキッモい

  • 95二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 12:18:25

    念のため、昼保守^_^

  • 96二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:05:08

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 00:40:26

    このまま化け物に酷い目に合うのか?
    それともある意味それよりも心情的に辛くなるかもしてないが、ホルステラーの手で酷い目に遭うのか?
    どの様になるにせよ結末が気になるので保守^_^

  • 98二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 08:33:28

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 08:36:05

    ふと思ったんだが、主ってどこから>>92の様な「うおキッモ」って思う画像手に入れてるんだ?

  • 100二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 12:57:50

    保守

  • 10125/07/19(土) 19:12:11

    本日は夜に投稿します。昨日は投稿できなくて大変申し訳ございません。

  • 102二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 22:08:45

    >>101

    大丈夫です。自身のご予定と体調を優先して下さいませ^_^

    続きをゆっくり待ってます^_^

  • 103二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 00:26:29

    どこかの章で地下側の誰かが戦死する展開もあっていいと思う
    そこも含めてどうリカバリーするのかも気になる

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 02:41:20

    アヤネは、角を曲がったその場で――動けなくなった。

    眼前に立つ“それ”を見た瞬間、頭の中が真っ白になる。思考は停止し、全身から血が凍りつくように引いていった。心臓の鼓動だけが、無意味に早く、強く、痛いほどに響いている。

    化け物は、まるで人間を模してはいるが――明らかに人ではなかった。

    異様に長く、異様に細いその体は、黒く艶のない布のような皮膚で覆われていた。両肩からは、あり得ない数の腕が垂れ下がっていた。計八本か、それ以上かも分からない。どれもが蛇のようにくねり、節くれだった指先は針金のように細く鋭く尖っている。

    頭部には帽子のようなものをかぶっていたが、その下から覗く顔は人間の仮面のように歪で、表情がなかった。いや、無理やり貼りつけた顔の皮のようにも見えた。目があったわけではない。けれど、アヤネには分かった。この化け物は、自分を見ている。狙っている。

    アヤネ「……う、そ……なに…これ……」

    恐怖で喉が張りつき、声がうまく出ない。足に力が入らない。逃げなきゃ、逃げなきゃ、そう頭では分かっているのに――身体が動かない。

    化け物が、ゆっくりと足音もなくこちらに近づいてくる。

    ギィ……ギィ……と、軋むような音を立てながら、異様に長い手が一本、ゆっくりと持ち上げられ、アヤネへと向けられる。

    アヤネ「…だっ……誰か……っ!!」

    かすれた叫びが喉から漏れた。その声は、誰にも届かない。家の窓はすべて閉ざされ、あたりは不自然なほど静まり返っていた。人の気配も、音も、風すらも――すでに世界から消え失せていた。

    そして、ついにその手が――アヤネの頬に触れた。

    冷たい。冷たすぎる。生きているものの体温ではなかった。アヤネの皮膚は、触れた瞬間に凍りつくような痛みと痺れに包まれた。

    アヤネ「……いや……いやぁあああああっっっ!!!」

    けたたましい悲鳴が、夕暮れの街に響き渡る。しかし誰も来ない。誰にも届かない。

  • 10525/07/20(日) 02:42:22

    その夜――
    アビドスの一人の生徒が、跡形もなく姿を消した。

    すみません、少ないですが本日はここまでとさせていただきます。

  • 106二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 02:43:50

    夜分遅くの更新ありがとうございます^_^
    続き楽しみにしてます^_^

  • 107二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:27:33

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:54:44

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 00:30:43

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 03:45:53

    続き、ゆっくりと待ってます^_^
    念のため保守^_^

  • 111二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 09:28:13

    保守

  • 11225/07/21(月) 14:33:31

    >>63 


    追記


    学校が破壊されていたことをうっかり忘れてしまい、とんでもないミスをしてしまいました。アヤネとセリカの場面はそのまま活かしつつ、学校は仮設校舎という設定で整合をとって書き直しました。

  • 113二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:34:32

    ―アビドス郊外 仮設校舎

    時間が止まったかのような教室。
    埃っぽい空気。つけられない電灯。
    その静まり返った空間に、ぽつりと四つの影が存在していた。
    「砂狼シロコ」「黒見セリカ」「十六夜ノノミ」「奥空アヤネ」――
    あの悪夢のような“終わり”を経験し、なお生き残ってしまった四人。
    いや、“生きている”と呼べるのかどうかさえ、彼女たち自身には分からなかった。
    心の半分以上は、もうずっと前に――あの日、確かに死んでいたのだから。
    目を覚ましたとき、そこは白く、冷たい病室だった。
    けれど、その白さよりも遥かに冷たい“現実”が、彼女たちを待ち受けていた。
    ホシノは行方不明。アビドス高校もホシノ家も、無残に破壊されていた。
    もう一人のシロコは、焼け焦げたような姿で発見された。
    そして「先生」は――名前が焦げ落ちても、誰のものかすぐに分かる名札だけが、炭のように残されていた。
    誰も、何も言えなかった。
    喉が塞がったように、声が出なかった。
    水も食事も、しばらくは喉を通らなかった。
    涙だけが、止まらなかった。
    だがその涙すら、やがて枯れ果てた。
    ――その頃、キヴォトスはゆっくりと変わり始めていた。
    かつての校舎の瓦礫の傍に、仮設校舎が建てられた。
    そして、ただ“残されてしまった”四人は、静かにそこへと足を運ぶことになった。

  • 114二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:36:58

    続きです。

    ―アビドス シェマタ格納庫

    ズン、ズン――

    空気を揺らすような重低音が、地下の格納庫に反響していた。
    かつては超弩級列車砲「シェマタ」が格納されていた場所。
    今、シェマタは外に移され野ざらしにされているが、その背後、巨大な扉の先にあるのがこの格納庫だ。
    老朽化しきったコンクリートの壁に、太いパイプと配線が無造作に這い回る空間。
    使われなくなったレールの上に、埃をかぶった無人の整備車がぽつんと取り残されていた。
    そこへ、“異形”が静かに足音もなく入っていく。
    その手には、意識を失ったアヤネの姿があった。
    しばらく奥へと進むと、薄闇の中から声がした。

    ヒナ「……来たわね。ホルス、戻ってきたわよ。起きなさい。」

    ヒナが壁際に佇んでいた。その隣で、鉄製ベンチに寝そべっていたホルスが、面倒くさそうに体を起こす。

    ホルス「うへぇ〜……ん〜……持ってきてくれた?お疲れ〜。」

    異形は二人の前まで歩を進めると、アヤネを無造作に床へ落とした。
    鈍い音とともに、アヤネの体が冷たい床に投げ出される。

  • 115二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:38:37

    ホルスは興味深げにアヤネを見下ろし、にやりと笑った。

    ホルス「間違いないね。アヤネちゃんだ。ありがとう。下がっていいよ。」

    その言葉を受けて、異形は一礼するでもなく、ただ無言で振り返り、格納庫の奥へと姿を消していった。

    ヒナ「それで……この子をどうするの?」

    ホルス「うーん……精神を壊すならいろんな手段があるけど……さて、何が楽しいかなぁ。」

    ヒナは一歩前に出て、にこりともせず口を開いた。

    ヒナ「いっそ、そこにあるシェマタで撃ってみる? 弾丸代わりに。」

    その言葉に、ホルスは一瞬唖然とし、それから吹き出しそうになりながら肩をすくめた。

    ホルス「無茶言うねぇ。まずシェマタがちゃんと動くかどうか分からないし……
    そもそも砲ってのは火薬の爆発で出る高温・高圧のガスで弾を押し出すでしょ?
    生身のキヴォトス人なんかそのまま装填したら、爆風と熱で焼け焦げるか、破裂して終わりだよ。」

    ヒナ「そうね……でもあのフランシスなら、そういう実験してそうじゃない?聞いてみるわ。」

    ヒナは額に指を当て、テレパシーで通信を開始した。

  • 116二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:40:29

    フランシス「ん……なんだ?」

    フランシスは別の施設で実験中だったようで、不意な連絡にやや驚いていた。

    フランシス「どうした?バアル、何か問題か?」

    ヒナ「ちょっと突飛な質問になるけど……キヴォトス人を砲弾代わりに撃ち出す実験、したことある?」

    フランシス「……本当にどうした?……いや、ある。」

    ヒナ「やっぱり。どうだったの?」

    フランシス「シェマタほどじゃないが、戦艦や戦車の砲を改造して喰種を飛ばした実験はやった。
    目的は迅速な展開手段の研究と、人体の耐性検証だった。キヴォトス人は爆薬の温度なら理論上耐えれるからな。」

    ヒナ「それで、結果は?」

    フランシス「発射時のガスの温度は最大で2,500〜2,700℃。そこはギリ耐えられた。
    だが、問題は加速度だ。発射時のGはおよそ1500G。瞬間で肉体がバラバラになった。
    着弾時には肉片も残らなかったな。シェマタで撃てば、瞬殺どころか消滅だろうな。」

    ヒナ「……そう。」

    フランシス「やるにしても、現実的じゃない。まあ、無理だと思っておいた方がいい。では。」

    通信が途切れる。

    ヒナはため息をひとつついて、ホルスの方を向いた。

  • 117二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:41:34

    ヒナ「ダメだったわ。熱はなんとか耐えられても、加速度のGで肉体が崩壊するって……」

    しばし沈黙が流れた。
    ホルスは床に倒れたままのアヤネを一瞥し、静かに呟いた。

    ホルス「……まぁ……でもやってみてもいいか。すぐに終わるだろうし。」

    ヒナ「本気?」

    ホルスはいたずらっぽく笑いながら、ヒナの方に向き直った。

    ホルス「ヒナちゃん、やってみようよ。それ。」

  • 118二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 20:30:46

    元の仲間に歪んだ情をむけていて、なんだかアヤネが可哀想と思う一方で、そしてこのダーティーさが少しかっこよく感じます^_^(ついでに今のホシノとアヤネの関係はなんだかエッチに思えます。)

  • 119二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:04:11

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 09:33:02

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:35:51

    ヒナとホルスは、気を失ったアヤネを抱えて、列車砲「シェマタ」まで運び込んだ。横に備え付けられていた梯子を登り、そこでふたりは手分けすることにした。
    ヒナは操縦席へ、ホルスはアヤネを担いで砲室へと向かう。
    ホルスが重い尾栓を開けると、シェマタの砲身内部があらわになる。砲弾のサイズは途方もないほど巨大で、一人の少女が入るくらい造作もない空間だった。
    アヤネが途中で目を覚まし暴れないようにと、ホルスは格納庫にあった鎖で彼女の両手両足をしっかりと拘束した。そして近くの装薬庫から装薬を装填し、準備を整えていく。
    そして、尾栓を閉める直前。
    ホルスは目の前のアヤネを一瞥し、不気味に微笑んだ。

    ホルス
    「――列車砲の砲弾代わりに発射される子なんて、アヤネちゃんが最初で最後だろうね。
    まぁそれを見る観客なんて誰もいないけど……私たちだけの、ちょっとしたお楽しみってことで。
    せいぜい遠くまで、吹っ飛んでちょうだい。
    恨んでもいいけど――己の力のなさも、ちゃんと恨んで。
    そして苦しみながら、惨たらしく、死んでね。」

  • 122二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:36:53

    ガシャン。
    無機質な音とともに、尾栓が閉じられた。

    ホルス
    「さーて。せっかくだし外から見たいところだけど……その前に、ヒナちゃんの様子を見に行こっかな。操縦席はちゃんと動いてるかしら?」

    ホルスが操縦席へ向かうと、ヒナはコンソールのあちこちを調べたり、配線をいじったりしていた。

    ホルス
    「ヒナちゃん、どう?動かせそう?」

    ヒナ
    「エンジンをかけないと無理そうなんだけど……起動スイッチやレバーの場所が分からなくて。マニュアルも探してみたけど、どこにも見当たらないの。」

    ホルス
    「なら――動力室に行ってみよう? そこなら何か手がかりがあるかもしれないわ。」

    ヒナ
    「そうね。動力室なら、起動に必要な情報があるかも……行ってみましょう。」

  • 123二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:37:53

    ―シェマタ・動力室
    金属の軋む音が微かに響く中、ヒナとホルスは重たい扉を開け、シェマタの動力室へと足を踏み入れた。
    内部はかつての栄光を失った機械たちの墓場のようだった。
    天井にはむき出しの配線、壁面には錆びたパネルや液漏れした管が散乱している。
    床には破損したパーツや廃材が散らばり、どこか焦げ臭いような、酸化した金属の匂いが充満していた。

    ホルス「うわぁ……まるで戦争博物館の裏口みたいな有様だね。」

    ヒナは顔をしかめながら、機械の制御盤らしき装置を手で払って覗き込んだ。

    ヒナ「外装はボロボロだけど……中のコアが生きていれば、動く可能性はあるわ。」

    ホルス「さてと……どうしたら動くのかな〜っと。」

    二人があたりを見渡していると、ふとヒナが何かに目を留めた。

    ヒナ「……これ。見て。」

    壁際に設けられた小さなパネル。
    その表面にはうっすらと黄色い光が灯っており、「ENERGY」の文字がかすれて読めた。

  • 124二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:38:54

    ホルス「見た目はエネルギー供給口っぽいけど……タンクは空。残量ゼロだね。」

    ヒナはじっとその装置を見つめ、何かを感じ取ったように手を伸ばした。

    スッ――

    彼女の指先が、パネルの中央に触れる。
    次の瞬間、装置が低く唸るような音を立て始め、室内の空気がピリリと緊張感を帯びた。

    ぶぉおおおおおん――!

    黄白色の光が一気に広がり、装置全体が点灯する。
    その中央に浮かび上がった文字は―― 「FULL POWER」。

    ホルス「うわっ!? ヒナちゃん、今の……なに、魔法?それとも偶然?」

    ヒナ「……さぁ。なんとなく“使えそう”な気がして、やってみただけよ。上手くいってよかったけど。」

    ホルスはその言葉に肩をすくめ、笑った。

    ホルス「やれやれ。こういう勘が働くあたり、やっぱりただの元風紀委員長じゃないねぇ。」

    ヒナはパネルの表示を確認しながら、静かに言った。

    ヒナ「これでシェマタは動かせる。あとは、あの子を“撃つ”だけ……ね。」

    ホルス「ふふっ、じゃあ操縦室に戻ろっか。歴史的な一発の準備をしないとね。」

    二人は背後の唸る動力音を背に、金属の階段を登り、再び操縦席へと向かって

  • 125二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 01:22:12

    続きありがとうございます^_^
    ある意味で歪んでいるとはいえ、少し興味がる状態で使い潰されそうなのはアヤネにとってよかったのかどうかわからないですね。
    ただ、せっかく仲直りしたのに死にそうなのは少しかわいそうです😢
    後は残されたアビドス生がどうなるか、続きを待ってます^_^

  • 126二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 10:32:26

    使いこなしてんなぁ

  • 127二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:48:16

    操縦席へ戻ると、ヒナとホルスの前に大きなモニターが点灯していた。
    そこには、かつてのキヴォトス全土の地図が映し出されていたが――
    ヒナ
    「……これ、古い地図ね。だいぶ前の……しかも所々、読めない文字が混じってるわ。データ更新は……できないのかしら?」

    彼女は手元のボタンをいくつか操作したが、反応はなかった。
    ただひとつ――座標表示だけは生きていた。

    ホルス
    「だったら、そこを基準にして狙えばいいわけね。標的の座標は……ここ。」

    ヒナは頷き、右手で隣の巨大なレバーをゆっくりと倒す。

    ――ぐぉおおおおん……

    機械の重低音が地響きのように響き渡る。
    砲塔が、音を立てて回り始めた。

  • 128二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:50:09

    そのころ――砲身の中。

    アヤネ「……う……っ……?」

    少女は、重く沈んだ感覚の中で目を覚ました。
    視界は暗闇。空気はこもり、肌を撫でる冷たさに息が詰まる。

    アヤネ「どこ……?なにこれ……狭い……手足が……動かない……」

    鎖が擦れる音がかすかに響く。手も、足も、完全に拘束されていた。

    アヤネ「なに……この匂い……火薬……?」

    アヤネの瞳が見開かれる。
    火薬の臭い。金属の冷たさ。閉塞感。
    狭い、円筒状の空間。そして、拘束されたままの自分。

    アヤネ 「うそ……こんな……まさか……私……砲弾に……?」

    その瞬間、理性の底が崩れた。

    アヤネ「――いっ……いや……!!助けて!!誰か、誰かああああああああああああ!!!!!」

    砲身の内部に、絶叫が木霊する。

    操縦席。モニターの一つに、砲室内部が映し出されていた。

  • 129二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:51:10

    ヒナ「……あれ?」

    画面の端、尾栓が微かに震えていた。

    ホルス「ん~どうしたの?」

    ヒナ「砲塔の揺れかと思ったけど……違う。内部から蹴られてる……あの子、目覚めたのかも。」

    ホルスはニヤリと笑い、傍らのマイクを手に取った。

    ホルス「よーし、それじゃあ……起床のアナウンスでもしてあげよっか。」

    砲塔の中。

    アヤネ「誰か……お願い……お願いだから……助けて……っ……!」

    涙は止まらず、喉は枯れそうだった。

    (セリカちゃん……シロコ先輩……ノノミ先輩……ホシノ先輩……先生……誰か……)

    そのとき――

    ホシノの声「あーあー、誰か聞こえますか~?」

  • 130二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:52:23

    アヤネ「!? ……ホシノ先輩……?!」
    希望が、心臓を叩いた。

    アヤネ「ホシノ先輩!!私です!アヤネです!!助けてください!!」

    ホシノ(ふざけた声)「ん~アヤネちゃんの声が聞こえたような気がするけど……どこかなぁ~?」

    アヤネ「ここです!砲塔の中です!!お願いします、出してください!」

    ホシノ「へぇ~、この操縦席すごいねぇ。こんなに大きな兵器、動かしてみたくなるよねぇ?」

    アヤネ「ホシノ先輩!!撃っちゃダメです!お願い!!聞こえてるなら、お願い……!」

    ホシノ「わぁ~、レバーもあるしスイッチもいっぱい。こんなの、撃たずにはいられないな~♪」

    アヤネ「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!お願いです!!!!」

    ホシノ「発射準備……完了、と♪」

    アヤネ「ホシノ先輩!!ホシノ先輩――!!」

    そのとき。声が変わった。

  • 131二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:53:25

    ホルスの声「――ずっと、聞こえていたよ。アヤネちゃん。」

    アヤネ
    「……っ!」

    ホルス
    「バイバイ。」

    ――ガシャン。

    尾栓が完全に閉じられた。

    アヤネ
    「――――!!」

    絶望が脳を塗りつぶすより早く、世界が焼けた。

    ――どごぉおおおおおおおおん!!!

    灼熱。轟音。振動。
    アヤネの身体は衝撃とともに、炎と爆風の中を突き抜けていった。
    何を叫ぶ間もなく。
    誰に届くわけでもなく。
    アヤネは、ただの“砲弾”として空を裂いて飛んでいった。

  • 132二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 21:55:57

    とりあえずは絶望し切る前にあの世にいけそうなのはよかったのかどうか。
    ただ、まだ、土壇場でテラー化して助かるかギリギリ生きていて改造されるかどうかで助かる可能性はあるな?
    どっちにしろ生きているにしろ死んだにせよ、少しでも肉体かヘイローが残っていればまだセリカと感動の再会?が出来るのかな。
    とりあえず最後まで気になるので念のため保守^_^

  • 133二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:31:37

    保守

  • 134二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:29:55

    保守

  • 135二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:52:53

    アヤネの死因 シェマタの砲弾にされて死亡…になるのか…!?

  • 136二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:46:03

    ―シロコの家

    シロコはベッドの中にいた。
    身体を小さく丸め、毛布にくるまって、まるで外界から逃げるように目を閉じていた。
    部屋は酷く荒れていた。
    洗濯物は手つかずで山積み、机の上には空になったペットボトルや食器。
    カーテンは閉じたまま、外の光も拒絶していた。
    息は浅く、顔色は悪い。
    それでもシロコは目を閉じて、静かに眠りへ堕ちようとしていた。

    だが――。

    シロコ「……すぅ……うっ……ううっ……!」

    突如、体が震え始めた。
    手が毛布を握りしめ、シロコはベッドの上でじたばたと暴れ出す。

    (ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……)
    (シロコ、見ちゃダメ!見ちゃダメだ!!)
    (ホシノ先輩、なんで……?)
    (先生は……先生は……もう……)

  • 137二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:47:04

    シロコ「うわああああああああ!!!!!」

    シロコは絶叫とともに飛び起きた。
    息が荒い。心臓はまるで走った後のように暴れていた。
    冷や汗でパジャマが張り付き、髪もぐっしょりと濡れていた。

    また――まただ。
    あの悪夢。
    焼け爛れたあの光景。崩れ落ちていく仲間たち。叫ぶ声。誰も助けられなかった自分。
    毎晩、夢の中で繰り返される“終わり”。

    シロコ「はぁ……はぁ……先生……ホシノ先輩……先生……」

    擦れた声でそう呟く。
    誰もいない部屋で、誰に届くわけでもない祈りのように。
    ゆっくりとベッドから降り、着替えようと立ち上がった――そのとき。

    ――どがああああああああああん!!!

    轟音。衝撃。激震。
    床が揺れ、家が軋み、外の空気が震えた。
    一瞬、爆風のような圧に包まれたかと思うと、家具が次々に倒れ、棚が崩れ、皿が飛び散った。

  • 138二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:49:04

    シロコ
    「っ……!?」

    シロコの身体が横に弾かれ、床に叩きつけられる。
    瞬間的に身を丸めたおかげで大きな怪我はなかったが、部屋は一瞬で瓦礫の山と化した。

    シロコ「……なに……いったい……今のは……?」

    腰を押さえながら立ち上がると、心臓が再び強く鼓動し始めた。
    ただの地震ではない。あの音……あの衝撃は、爆発だ。
    服のまま、スリッパすら履かず、シロコは玄関へと駆け出した。
    外の空はまだ青かった。けれど、空気には違和感があった。
    耳鳴りと、遠くから響く異音。その地点は赤赤と燃えていた…

    追記

    今日は、短いです。すみません。

  • 139二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:52:08

    続きありがとうございます^_^
    これからシロコがどうなるか楽しみです^_^

  • 140二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:56:23

    アヤネだったモノを発見するのはシロコか

    セリカの心が壊れそうで心配だ

  • 141二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 23:51:18

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 03:34:56

    保守

  • 143二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:39:59

    保守

  • 14425/07/25(金) 19:32:09

    本日は夜の11時くらいに投稿します

  • 145二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 20:05:39

    続き、楽しみに待ってます^_^

  • 146二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 01:35:10

    念のため保守^_^

  • 14725/07/26(土) 02:28:59

    大変申し訳ございません。投稿する予定だったのですが 諸事情で投稿できませんでした。本日は 投稿 、いたしますので大変申し訳ございませんでした。

  • 148二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 09:44:26

    ご自愛くださいませ。
    ゆっくりお待ちしてます^_^

  • 149二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 15:29:27

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 00:05:26

    念のために保守しておきます^_^
    自分の予定と健康を優先してくださいませ^_^
    ゆっくりお待ちしてます^_^

  • 151二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 00:51:36

    ―セリカ視点

    バイト先の厨房。
    いつもと変わらぬ時間、いつもと変わらぬ音。
    セリカはお皿を片付けながら、店主の柴大将と軽口を交わしていた――その時だった。

    ――どがぁあああああん!!!

    耳を劈く轟音。
    それと同時に店全体が激しく揺れた。

    ガチャン!バラララッ!

    食器が床に叩きつけられ、棚の瓶が転がり、客の悲鳴が上がる。
    セリカも思わず腰を落とし、カウンターにしがみついた。

    セリカ 「なに…っ!?今の、爆発…!?」

    恐る恐る顔を上げたセリカの耳に、大将の怒鳴り声が響いた。

    柴大将「セリカちゃん、この衝撃はただごとじゃねぇ!
    もしかしたら、お友達が巻き込まれてるかもしれん!
    店のことは俺がやっとく!お前はすぐに確認しに行け!」

    セリカ
    「で、でも!連絡なら今すぐスマホで――!」

  • 152二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 00:53:47

    柴大将「スマホじゃわからねぇ時もある!目で見て確かめろ!
    それに、今の衝撃が何か、直接見なきゃわかんねぇだろ!?
    バイト代はちゃんと出す!ほら、行ってこい!」

    迷っている暇はなかった。
    柴大将の声に背中を押され、セリカは叫んだ。

    セリカ「……分かりました、大将!行ってきます!!」

    柴大将「ああ!気をつけろよッ!!」

    店の裏口に駆け込み、ロッカーからバイト服を脱ぎ捨て、制服に着替える。
    着替え終えた瞬間、セリカはドアを蹴るようにして飛び出した。
    熱風が顔を叩いた。

    ――空が、赤かった。
    街の先。見慣れた風景の奥に、黒煙と炎が立ち上っている。
    それはまるで、巨大な獣が空に向かって吠えているかのようだった。
    セリカは立ち止まり、目を見開く。

    セリカ「……あそこって……学校……?」

    言葉が漏れた。震えながら。
    心臓がドクンと鳴り、背筋に寒気が走る。
    ――燃えているのは、アビドスの“仮設校舎”の方面。
    目を疑いたくなる光景が、目の前に広がっていた。

  • 153二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 09:22:06

    保守

  • 15425/07/27(日) 18:50:51

    本日は、夜に投稿します。最近投稿頻度が少なくて申し訳ございません。

  • 155二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:10:37

    >>154

    無理しすぎて完結まで見れないのが一番悲しいので

    自身のご予定と体調を優先してくださいませ^_^

    ゆっくりお待ちしております^_^

  • 156二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 01:21:15

    保守。

  • 157二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 02:10:24

    セリカは、息を切らしながらアビドス高校に向かって走っていた。
    着くまでの数分が、まるで永遠のように感じられる。だが頭の中は研ぎ澄まされたように冴え渡っていた。

    「落ち着いて、落ち着いて考えろ……」

    自分にそう言い聞かせながら、セリカは暗闇の中をひた走る。
    すでに日は完全に落ち、辺りは闇に包まれていた。
    だが、遠くに見える煙と炎――その場所だけは異様なほど明るく照らされていた。

    だがその「明るさ」は、決して希望を照らす光ではない。
    まるで地獄の口が開いたかのように、すべてを焼き尽くす悪夢のような光景だった。

    セリカ「はっ……はっ……はっ……」

    額から汗が滴り落ち、胸が苦しいほどに上下する。
    その時、背後から声がした。

    シロコ「んっ、セリカ!!」

    振り返ると、自転車に乗ったシロコがこちらに向かってきていた。
    セリカの横にピタリと止まり、叫ぶ。

    シロコ「乗って!!」

    その言葉に、セリカは一瞬の迷いもなく頷いた。

    セリカ「シロコ先輩……お願いします!!」

    叫び返すと、勢いよく後ろに飛び乗った。そしてシロコは、ペダルを踏み込む。タイヤが地面を滑るように走り出す。
    炎が近づいてくる。闇を裂くその光が、二人を照らしていた。

  • 15825/07/28(月) 02:11:33

    すみません。短いですがここまでです。

  • 159二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 02:13:22

    夜分遅くの更新ありがとうございます^_^

  • 160二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 12:03:21

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 20:30:48

    保守

スレッドは7/29 06:30頃に落ちます

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