[SS]佑芽「Pさん!起きてください!」

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:21:22

    「Pさーん!起きてくださーい!」
    黒く淀んだ景色の中、一筋の光と共にしてきた声で目を覚ます。
    「おはようございます佑芽さん。今日も元気ですね」
    「元気なのが取り柄ですから!それに、今日はとびきり元気ですよ!」
    今日は、彼女…佑芽さんと付き合い始めて一年目の記念日だ。

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:37:17

    「ええーと今日はどこに行くんでしたっけ?」
    「昨日の夜も聞いてきましたよね?午前中は遊園地で遊ぶ、そして昼から夕方まで水族館に行って夜はレストランでディナーです」
    「予定が詰まってますねー」
    「なるべく今日という日を楽しみたいですから」
    一年前、俺と佑芽さんは付き合い始めた。とは言っても、彼女はアイドルだから大っぴらに公表してはおらず、仲の良い友人は知っている程度だが。
    「それにしても、倉本さんには感謝しなければ。彼女のおかげで色々と楽に動けるのですから」
    「たしか倉本家の人達が周囲にいてくれるんですよね?」
    「はい。ですから記者の目を気にせず自由に出来るんです」

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:43:04

    「それでも、やっぱり怖いですけどね。写真を撮られて記事に載せられたら炎上しちゃいますよ」
    「ですから念の為変装して行くのでしょう?さっ、早く着替えますよ」
    「はーい!」
    ………
    「へぇー大きーい」
    「日本最大級の遊園地。まさかここに来ることが出来るとは…流石倉本ですね」
    「こっちで入場券買えるみたいですよー!」
    「あんまり一人で行動しないでくださいよ」
    「えへへへへ…なんだかテンションあがっちゃって」
    「まあ、気持ちはわかりますがね」

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 12:47:14

    (そういや閲覧注意付け忘れました…あんまり直接の描写は無くしますが苦手な方はブラバお願いします)

    「Pさんこれ乗りましょうよ!」
    「これは…ジェットコースターですか?随分と派手な見た目ですね」
    「最近のはこれぐらいやらないと注目されませんからねー」
    「俺的にはもっと普通のが良いんですが…佑芽さんが乗りたいのならいきますか」
    「やったー!」

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 13:59:59

    「ひ、酷い目に遭ったー」
    「まさか安全バーが外れかけるとは…幸い怪我は無かったのでいいとしましょう」
    「次は…あ!お化け屋敷行きましょう!」
    「お化け屋敷ですか…ハロウィンの仮装衣装の参考に行ったっきりですね」
    「そんな前でもないのに昔の事思い出すような顔してー、早くしないと置いていきますよ」
    「はいはい、今行きますよ」
    「…子供扱いしないでください」

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 14:43:15

    「…Pさん?お化け屋敷出てきてから顔が青いですけどどうかしました?」
    「…いえ、なんでもありません。次はメリーゴーランドに行きましょう」
    「メリーゴーランドですか?Pさんが?」
    「俺は乗りませんよ?佑芽さんが乗ってるのを撮るんです」
    「この年でメリーゴーランド乗るのは恥ずかしいんですけど…」
    「まだ16じゃないですか…いつ来れるかわからないんですから、撮らせてください」
    「たしかに…いつ来れるかわかりませんからね…わかりました!行きましょう!」

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 16:16:56

    「良い写真が撮れたぞ。今度咲季さんにも送っておこう」
    「Pさん恥ずかしかったですよ!高校二年生にもなって子供みたいに…」
    「咲季さんへの良い土産が出来たと思えば」
    「そうなのかなぁ…」
    「もうお昼ですか…行きましょう」
    「はい!次は水族館ですね!」

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 16:40:38

    「ふえぇー大きーい」
    「ジンベエザメです。上から数えても大きい生物ですね」
    「これだけ大きいんですからきっと沢山食べるんですよね?」
    「だと思いますよ?俺も昔テレビで見た程度ですけどね」
    ………
    「こっちにはペンギンがいるみたいですよ!」
    「最近はあまりペンギンの話しも聞きませんね…年々気温が上がっているからでしょう」
    「最近はずっと暑いですもんねー」
    「佑芽さん。こっち向いてください」
    「はい?…って!また写真撮りましたねー?」

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 16:44:16

    ああ、楽しいな…ずっと、こんな時間が続けばいいな…でも、いつか終わりがくる。
    でも、来年も再来年もそのまた来年も…必ず彼女とこの日を迎えれる。
    …そう、思っていたのに

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 16:53:50

    「たっくさん生き物いましたね!」
    「楽しめましたか?」
    「はい!でも、Pさんとならどこに行っても面白いですよ?」
    「ははは、そう言ってもらえて嬉しいですよ。…さて、そろそろレストランに行きましょうかね」
    「沢山はしゃいだので沢山食べます!」
    「…ちょっと金下ろしてきます」
    「そこまでは食べませんよ!」

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 19:55:24

    少しずつ、少しずつ、視界がぼやけていく。まるで、この"幻想"の終わりを告げるかのように。
    もう、現実から目を背けるのは終わりだ…向こうで心配してる人がいるんだから…

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 20:21:53

    「…佑芽さんは、これからも俺とこんな関係が良いですか?」
    「えっ?」
    「俺は、これからもあなたと一緒でありたいです」
    「あ…あたしも、これからもPさんと仲良くしたいですし…もっと進んだ関係にもなりたいって思ってます」
    「…なんだか、少し気恥ずかしい質問をしましたね。さて、もう着きますよ」
    「よ、よーし!いっぱい食べるぞー!」

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 21:02:54

    「あー沢山食べたー」
    「まさかあんなに食べるとは…今回のも踏まえて次回は多めに持ってきておくか」
    「よ、予算が多めだから多めに食べただけです!普段はもう少し少ないです!」
    「普段から沢山食べてますしね。まあ、佑芽さんが楽しいなら良いです」
    「むー…来年になったらその子供扱い辞めてくれますか?」
    「佑芽さんの精神年齢が上がったらですね」
    「ひ、酷いです!」
    ああ…本当に、この時間が続けば良かったなぁ…

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 23:42:19

    「…さて、佑芽さん。この後空いてますか?」
    「この後ですか?特にない…っていうか、後はPさんと家に帰るだけじゃないですか」
    「聞いてみたかっただけですよ。これから少し寄りたい場所があるんですが、良いですか?」
    「?良いですけど」
    今になれば、ここで彼女を誘わなければあんな事にはならなかったのかな…

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 23:50:46

    「ここって…?」
    「街から離れた山ですよ。丁度この時期は綺麗に星が見えるんです。上を向いてみてください」
    「上?…わぁ」
    「実は、ここは最近有名になってきた告白スポットなんです」
    「そうなんですか?あれ?でもなんでわざわざここに?」
    「…佑芽さん」
    「はい?」
    「俺は、あなたの事が好きです。どうしようもないほどに…きっと、この想いは咲季さんにも負けません。ですから佑芽さん。俺と、結婚してください」
    「えっ…!」
    「これは、俺の身勝手な想いです。嫌なら断ってくれて構いません。そうすれば俺たちは恋人のままです。でも、俺はあなたと家族に…夫婦になりたい」
    「こんなあたしでも、良いんですか」
    「あなただから良いんです。俺のプロポーズを、受けてくれますか?」
    「…はい!もちろんです!」

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/08(火) 23:54:42

    「はぁー」
    「そんなに深い溜め息してどうしたんですか?」
    「一世一代のプロポーズですよ?緊張しないはずがありません」
    「そう…ですね」
    「さて、帰りましょうか。俺たちの家に」
    ここで、少しでも景色を眺めようとか言っていればこんな事にはなっていなかったのだろうか。いや、もうこんなたらればの話しは辞めよう。

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:06:27

    「うう…」
    体に刺さったガラスの痛みで無理矢理目を覚ます。
    「ああ、もう"幻想"にいる事は出来ないか」
    体から血が流れ、体温が下がっていくのを感じる。
    隣を見れば、俺と似たような状態の佑芽さんの姿があった。違う点は、死んでいるかという一点だろう。まあ、まもなく俺も死んでしまうだろうが。
    「はぁ…あの世で佑芽さんにどんな顔見せれば良いんだろうな」
    彼女が一体どのような痛みを受けたのかはわからないが俺よりは楽だったと思いたい。
    「どうせ死んでしまうんなら、最後に咲季さんに謝罪でもしてから死のう」
    俺…はともかく、最愛の妹を失った彼女の痛みは計り知れない。
    だんだんと瞼が下がってきた。人生で最高の日だったはずの今日は、俺の人生で最高で最悪な日になった。でも、俺はきっと来世でも佑芽さんと出会って、惹かれて、告白するだろう。
    「おやすみなさい…佑芽さん」

    終わり

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:09:33

    終わりです。書いてて悲しくなったのでifハピエン書きます。

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:15:51

    >>18

    可及的速やかにお願いします

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:30:33

    「Pさーん!朝でーすよー!」
    「ん…佑芽さん?」
    なんだか怖い夢を見ていた気がするが…夢の事なんて明確に覚えていない。そんな事よりも、何故だか無性に佑芽さんを抱きしめたい。
    「Pさん。いくら休みの日だからって…わ!寝ぼけてるんですか?いきなり抱きついてくるなんて…」
    「すいません。ただ、どうしてもこうしたくて」
    「冷や汗も凄いですし…悪夢でも見たんですか?」
    「よく覚えてないですが、きっとそうなのでしょう」
    大学生が高校生に抱きついている絵面はかなり危ない気がするが、そんな事はどうでもいい。
    「とりあえず朝ごはん食べましょう?」
    「そう…ですね」

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:38:52

    「そういえばPさん。明後日って付き合い始めて一年の日じゃないでしたっけ?」
    「そういえば…佑芽さんはどこか行きたい場所はありますか?」
    「うーん…遊園地とか…水族館とか…行きたい場所は沢山ありますよ」
    夢で行った場所と同じ…予知夢、なんて信じていないが俺の本能が止めろと言っている。
    「…やっぱり明後日は部屋でまったり映画でも見ましょう」
    「え…聞いてきたのはPさんじゃないですか」
    「俺の本能が辞めたほうがいいと言っているんです」
    「Pさんの本能…わかりました。久しぶりに完全休養日にします」
    「最近ずっと仕事だらけでしたもんね」
    「なるべく仕事を終わらせてPさんと一緒にいたいんですよ」
    「なら、俺も頑張らないといけませんね」

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:45:41

    「じゃあ先に行ってきますね」
    「はい。また学園で会いましょう」
    佑芽さんを送り出してから俺は、少し夢の事について考えていた。
    どうしてあんな夢を見たのか…内容を思い出すだけでも気分が悪くなる。
    そういえば、この前占いをしてもらった時に『人生最悪の出来事が起こるだろう』と言われたな…となるとあれは本当に予知夢なのか?
    「ん?連絡?こんな朝早くから…」
    そうしてスマホの画面を見た俺は急いで家を出たのだった。

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 00:53:12

    「佑芽さん!」
    「Pさん!?なんでここに!?」
    「佑芽さんが怪我をしたって連絡が来て…なんともありませんか?」
    「怪我って…大袈裟ですよ。ちょっと転んだだけですから」
    「なら…いいですけど。とりあえず、今日はレッスン禁止です」
    「そ、そんなぁー!」
    「…プロデューサー、この程度でレッスン禁止はやりすぎよ」
    「咲季さん…いたんですか?」
    全く気付かなかった…というか、咲季さんは今ライブツアー中じゃ…
    「?何を言ってるの?それは明日からよ」
    「ああ、そうでしたね」
    夢のせいで日付感覚が狂うな。
    「お姉ちゃん。きっとPさんはあたしが大怪我しないようにって言ってくれてるんだよ?」
    「それでもレッスン禁止は言いすぎよ。軽めのレッスンまでなら良いと思うわ」

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:13:43

    「いえ、これは咲季さんのほうが正しいです。たかが夢程度に惑わされた俺が未熟です」
    「普段のあなたならこんな指示しないでしょうに…どんな夢なの?」
    「佑芽さんのはあまり聞かせたくないので少し離席しましょうか」
    ………
    「それで、どんな夢なの?」
    カクカクシカジカ
    「それはまた…なんとも辛い夢ね」
    「あの夢を見てから色々おかしい自覚はあるんですが…どうしても佑芽さんが死んだ時の恐怖が抜けなくて…」
    「まあ、あなたが佑芽を想って動いているのはわかったから良いとするわ」

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:26:09

    それから二日後…
    「はあ…最近ずっとあの夢を見るな…無理しない程度には休んでいるが…」
    「Pさん」
    「佑芽さん。おはようございます」
    「最近のPさん。なんだか変です」
    「変?どこがですか?」
    「過保護と言うか…あたしに何かあったらすぐに『レッスン禁止』とか『家に帰りましょう』だとかばっかりです。何がPさんをそこまで変えたんですか?」
    この事を話して良いのだろうか?いくら夢の中とはいえ、自分が死んだ…なんて、気分が良いものではないだろう。

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:41:36

    「実は………という事なんです」
    「夢であたしが…だから、少しの怪我でも過敏に反応してたんですね」
    「もう、佑芽さんを失いたくないんです。それに、連日同じ夢ばかり見ていたせいで行動もおかしかったと思います」
    「朝起きたらまず抱きついてきますまんね…あたしが、目の前で、何度も…」
    「すいません。すぐに元の俺に戻しますよ」
    ギュッ
    「…なにしてるんですか佑芽さん」
    「最近Pさんがやってる事ですよ?」
    「わざわざ佑芽さんがやる必要は無いんですが…」
    「Pさんは、あたしがいなくなって悲しかったんですよね?悲しくて、寂しくて、それが何度も何度も。でも、大丈夫ですよ?Pさんの前にあたしはいますから」

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:58:31

    「佑芽さん」
    「はい。あなたの佑芽ですよ」
    「こんな状態で言うのも何ですが…伝えたい事があります。ですから…その、離してください」
    「はい。もう大丈夫ですか?」
    「もう、大丈夫です。俺の目の前には佑芽がいます。…佑芽さん。あなたは俺の事をどう思っていますか?」
    「あたしはPさんの事好きですよ?大大大好きです!」
    「そうですか…なら、俺とどんな関係になりたいんですか?」
    「ええ!?えっと…その…ふ、夫婦になりたいです」
    「そうですか…なら、これを受け取ってください」
    「これは…指輪!?もしかして伝えたい事って…」
    「俺と、結婚してください」
    「っ!…はい!よろしくお願いします!」

    終わり

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 01:59:57

    というわけで終わりです。途中癖で曇らせそうになりましたが最後の最後にやりたかったことやったので満足です。おやすみなさい

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/09(水) 02:00:51

    晴らしifなのに暗雲見えてビビったけどなんとかなってよかった

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