- 1◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 20:49:55
- 2◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 20:51:35
普段は現実の歴史に基づいた世界で安価スレをやっているスレ主です。
今回の舞台は、現実の中世西ヨーロッパに近い“架空の”大陸。
森林や山脈、川、荒野がある痩せた大地です。
名称を、安価に該当するレス下4つからダイス。 - 3二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 20:54:49
ミドガルジア
- 4二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 20:55:02
オムパロス
- 5二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 20:58:03
ティナル
- 6二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 20:59:34
カルティナ
- 7◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:00:49
- 8◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:02:42
大陸オムパロス
ここは領主制で、 dice1d5=5 (5) +2 人の領主が治めている。
と言っても、今は彼らの腐敗と抗争によって、町や村は荒れ果てているが……
- 9◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:04:02
7人の領主が治める7つの領邦の名前を、安価に該当するレス下7つから全採用。
- 10二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:04:40
ノルランディラ
- 11二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:04:52
ガルデナ
- 12二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:07:26
ガラガナバ
- 13二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:07:37
メリケン
- 14二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:07:46
ルクステン
- 15二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:07:51
ノンサーモン
- 16二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:08:19
ロイス
- 17二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:08:21
このレスは削除されています
- 18◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:08:49
>>16 で締切です!
- 19◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:11:04
次は魔法や超自然の有無について。
これらは dice1d3=3 (3)
1.「異端」として接触が禁じられているが、一部の学者や聖職者が研究している
2. 存在しないが、人々は魔法や予言を信じていて、“魔術師”という役職もある
3. その他安価(下4レスからダイス)
- 20二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:12:43
存在するが使い手は少なく、領地によっては弾圧されてたりもする
- 21二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:13:00
ニンゲン族は使えないが異形の者たちが使うことが出来る技術
ニンゲン族は彼らと契約したり捕らえて無理やりいう事を聞かせたり道具にしたりして活用している - 22二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:13:06
公には存在しないとされているが、一部の人間や生物は超常的な力を行使する事が出来、奇跡と呼び崇める地域もあれば禁忌として処刑する地域もある
- 23二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:13:20
呪術や超能力などあまたの異能とともに存在
- 24◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:13:50
- 25◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:15:37
オムパロスにおいて、魔法や超自然的存在は存在するものの使い手は少なく、領地によっては弾圧の対象となる。
最後に、通貨の単位を該当するレス下4つからダイス
なお、dice1d3=3 (3)
1.金本位制
2.銀本位制
3.その他安価(通貨の単位とともにお答えください)
- 26二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:17:42
通貨単位:ジック
魔力の結晶であり適性の無い物でも魔法を少しだけ使えるようになる
国があるのは天然のジック鉱脈がある産地である - 27二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:18:50
公的には共通通貨「コル」による金本位制だが、腐敗によって信用が無いため、多くの者(主に商人)は金銀銅による銀本位制を採用している
- 28二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:20:39
単位:エギン
金本位制がベースだが領主間の取引など極めて重要度が高い取引においてはリュークスと呼ばれる蒼白の魔力が含まれる金属を加工して作られた硬貨を使用している - 29二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:21:25
通貨単位:フィル
大陸内で唯一、信用できる大銀行が発行している通貨
特殊な宝石が使われており高い額になる程に宝石としての価値も上がる - 30◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:22:00
- 31◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:23:39
単位:エギン
金本位制がベースだが、領主間の取引など極めて重要度が高い取引においては、『リュークス』と呼ばれる蒼白の魔力が含まれる金属を加工して作られた硬貨を使用している。
オムパロスの設定はこの辺りにして、いよいよ主人公である旅人について決めていきましょう。
性別は dice1d2=1 (1)
1.男性
2.女性
- 32◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:25:04
男性で、年齢は 12+ dice1d40=37 (37) 歳
- 33◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:26:01
49歳!
40代で旅人だと、スレ主的にはフーテンの寅さんをイメージしますが……
容姿を、該当するレス下4つからダイス - 34二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:27:53
範馬勇次郎的なゴリマッチョ、覇気がある
- 35二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:28:34
寅次郎を欧州人系の外見にした感じ
- 36二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:30:22
全身に古傷が残る筋骨隆々の古兵と言った外見の赤髪碧眼の男
- 37二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:32:34
ボロボロのグレーのフードを目深に被ったヒゲモジャ
眼光は鋭く顔に無数の傷跡があるイケオジ - 38◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:35:26
- 39二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:38:29
このレスは削除されています
- 40◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:39:04
全身から覇気を感じる、色黒で筋骨隆々、長身でライオンの鬣のような赤毛の男性
こんな感じかな?
名前を、該当するレス下4つからダイス - 41二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:40:13
レオン
- 42二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:42:28
ジークハルト
- 43二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:43:19
ガルド
- 44二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:44:32
グラッド
- 45◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:45:41
- 46◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:46:30
名前はレオンさん
続いて一人称と二人称を、該当するレス下4つからダイス - 47二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:47:44
一人称:オノレ
二人称:ウヌ - 48二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:48:29
一人称:俺
二人称:殿 - 49二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:51:05
一人称:俺
二人称:お前、貴様 - 50二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 21:56:52
一人称:我
二人称:其方 - 51◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 21:58:47
- 52◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:00:48
一人称:オノレ
二人称:ウヌ
次は性格を、該当するレス下4つからダイス - 53二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:03:30
尊大で傲慢、だが威厳に溢れている
- 54二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:03:54
質実剛健 百折不撓 質素倹約
- 55二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:07:12
豪放磊落
- 56二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:08:30
生真面目な仕事人
- 57◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:15:45
- 58◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:17:32
性格:
中身が充実して飾り気がなく、心身ともに強くたくましい
何度失敗しても信念を曲げない
質素倹約を旨とした生活
そんなレオンの出自は……該当するレス下4つからダイス - 59二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:18:52
鍛冶屋の息子だったが口減らしのため売りに出された
その後買主から逃げ出して自由に - 60二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:19:39
ある領主に長年仕えていた実力者だったが汚職の冤罪を被せられ追放
以降、あてもなく旅をしている - 61二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:20:07
トラ転、
- 62二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:27:49
武闘家一族の生まれ
妻には先立たれている
息子に家の後を継がせた後、旅にでることにした - 63◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:28:19
- 64◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:29:21
レオンはある領主に長年仕えていた実力者だったが、汚職の冤罪を被せられて追放。
以降、あてもなく旅をしている。
とのことです。
仕えていた領邦は dice1d7=7 (7)
1.ノルランディラ
2.ガルデナ
3.ガラガナバ
4.メリケン
5.ルクステン
6.ノンサーモン
7.ロイス
- 65◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:32:14
一応ロイスはどんな領邦だったか、領主・文化・台頭勢力・魔法の有無などを、該当するレス下4つからダイス
- 66二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:36:27
大陸の中で最北に位置する領土であり、鉱山資源が豊富だが土地はお世辞にも肥沃とは言えず常に飢饉の脅威に晒されている
- 67二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:43:35
大陸南東部にあり、人間の他に異種族が多く住む地域
腐敗に対する不満の目を逸らすために領邦政府が異種族に対する差別を煽っており、それに激怒した異種族や一般市民による反対運動によって治安が悪い - 68二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:48:42
魔法に関しては古来よりこの地に住まう少数民族が操る呪術として伝わっており目下利用できないかと研究中
- 69二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:56:11
大陸東部の島嶼部にある領土で水産や海路による交易で栄える。
文化としては現実でいうところの和風と中華が入り混じる独特の文化を築いている。
最近まではとある有力者によって治安が維持されていたが、その実力者が追放され現在海賊や海の魔物などがはびこる悪所に変わりつつある。
魔法は表向きには使われていないものの秘密裏に研究されているようだ。 - 70◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 22:56:56
- 71二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 22:57:57
うーむ中々ハードな土地だ…
- 72◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:02:43
レオンの故郷ロイスは、オムパロスの最北に位置する領邦で、鉱物資源が豊富。
しかし土地はオムパロスの中でも一層痩せていて、常に飢饉の脅威に晒されている。
続いて、レオンの能力ダイスを振りましょう。
戦闘: dice1d100=45 (45) (筋骨隆々補正で最低25)
交渉: dice1d100=45 (45)
知識: dice1d100=9 (9) (元領主の側近補正で最低20)
魔法適性: dice1d100=43 (43)
- 73二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:03:22
50越えが一つもない……
- 74二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:04:41
平凡!
- 75◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:05:29
戦闘:45/100
交渉:45/100
知識:20/100
魔法適性:43/100
その筋肉は飾りか!領主の元で何をやってた!
まあ、理由は物語を進めていったら分かるかもしれませんね。
最後に旅の持ち物を、該当するレス下4つから全採用 - 76二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:07:02
実用性重視の武骨な長剣
- 77二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:07:15
頑丈なロープ、切れ味のいい短剣、油紙、外套、3日分の携帯食、水、多少のエギン
- 78二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:08:20
妻の形見のブローチ
- 79二次元好きの匿名さん25/07/10(木) 23:16:24
地図、寝具、灯り、望遠鏡、簡易調理器具、予備のロープや食料などなどの旅に便利なセットが入ったリュック
- 80◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:18:08
締切です。
まあ、旅に必要な道具は揃ってるということですね。
では、ここまでの情報をもとに導入部分を生成してもらいます。
今夜は導入文を置いたところで終わりです。明日もどうぞよろしくお願いします。 - 81◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:28:18
曇天の下、灰色の陽光が痩せた大地を照らしていた。風は冷たく、乾いた落ち葉を地を這う蛇のように巻き上げる。
深い森を抜ける獣道に、一人の男が現れた。
長身の体躯にくすんだ外套、手には無骨な長剣。赤銅色の髪は鬣のように逆立ち、焦げ茶色の肌は風雪と焔に晒された歴史を語るようだった。
名はレオン。
かつてロイスの黒狼卿と恐れられた男。領主に忠義を尽くし、剣と策をもって数々の争いを治めたが──忠臣は、腐った宮廷の中では最も危うい。
今、彼は放浪の旅の途中。
地図に書かれた名も無き村を目指して、飢えた狼の唸り声が木霊する森を進んでいた。 - 82◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:28:55
その村には、「ルクステンの旧騎士が金を払って衛兵を集めているらしい」という噂があった。信用ならぬ噂ではあるが、リュークス銀貨が動くという話に、傭兵、盗賊、流民までもが群れているらしい。
レオンは、木の根をまたぎながら、ふと立ち止まった。
──風が止んだ。
森が不自然なほどに静まり返っている。
気配を感じた。
斜め後方、樫の太い幹の陰。そこに、何かがいる。
ゆっくりと視線だけを動かせば、獣か、人か、赤黒い影がじっとレオンを見ているのが見えた。
──そして、こちらの視線に気づいたかのように、そいつが動いた。素早く、滑るように。
「……ウヌ、狩りの流儀を知らぬな」
レオンは、小さく呟きながら剣に手をかけた。 - 83◆qcSQN4N5gc25/07/10(木) 23:29:32
レオンの行動を、該当するレス下4つからダイス
- 84二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 01:54:35
気合いの声を発して相手の動きを止める
- 85二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 09:13:47
石を投擲する
- 86二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 09:14:18
会話を試みる
- 87◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:26:12
- 88◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:32:47
レオンは剣から手を離し、肩の力を抜いた。
「ウヌが何者かは知らぬが──」
低く、太く、遠雷のような声が森に響く。
「を隠して睨むとは礼を欠いておる。よもや言葉も解さぬ獣ではあるまい?」
その声に、わずかにざわめく木立。
葉の擦れる音。落ち葉を踏みしめる微かな音。
そして、姿を現したのは──少年だった。
年のころ、十四、五か。痩せぎすの体に、森で拾い集めたような革の継ぎ接ぎ服。
顔には泥と煤。髪は葉にまみれ、右手にはナイフが握られていた。
しかし目だけは、どこか人を見くびらぬ、覚悟の光をたたえている。 - 89◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:33:09
「……おまえ、傭兵か」
少年が吐き出すように言う。ナイフはまだ下ろされぬ。
「村へ行くのか。ならやめとけ。あそこはもう……ただの墓場だ」
レオンは動かず、少年の眼を見据えた。
風が再び、木々の間を吹き抜ける。
少年のナイフが、ようやく少し下がった。
「おまえ、食い物あるか?」
問いはまるで、仲間に投げるようだった。
警戒心は消えていないが、敵意は少し和らいでいる。 - 90◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 09:35:10
北斗の拳のバットポジションでしょうか。
この少年の
名前
性格
出自
を、該当するレス下3つからダイス - 91二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 09:40:43
名前ガルム(アーサー・ティベリウス5世)
性格生真面目
出自かつてこの大陸に連邦制が敷かれる前に存在していた二大帝国の王家の末裔 - 92二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 11:39:07
名前:カイル・タシュケント
性格:ひねくれているが、根は善良。
出自:スラム街に住む孤児で実は弾圧されてきた魔法使いの家系。 - 93二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 12:13:21
名前 ウルク
性格 育ちが悪く学が無いなりに真面目でよく考える
出自 村の孤児 村長の家で下働きをしていた 村に疫病が流行ったので逃げて来た - 94◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 12:32:54
- 95◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 12:51:18
森の中で出会った少年の名はカイル。
“村”のスラム出身のようですね。
彼に対してレオンはどうするか、該当するレス下3つからダイス - 96二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 13:06:28
食糧を求める理由を聞く
- 97二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 13:09:41
食糧を分けて村の詳しい状態を聞いてみる。
- 98二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 15:25:04
ぶちのめす
- 99◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 15:29:08
- 100◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 15:30:37
ついでにカイルの能力ダイス
戦闘: dice1d100=81 (81)
交渉: dice1d100=78 (78)
知識: dice1d100=39 (39)
魔法適性: dice1d100=99 (99) (魔法使いの家系補正で最低20)
- 101◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 15:35:49
レオンは鞄から油紙に包んだ干し肉と堅焼きのパンを取り出した。少年に向けて、無言で差し出す。
少年は一瞬、目を見開いた。
その眼差しは警戒から驚きへ、そして何か深い飢えの色を帯びる。
「……こんなとこで、ホントにただで食い物くれる奴なんざ、初めて見た」
それでもなお、彼はナイフを手放さないまま、レオンの隣の倒木に腰を下ろした。パンを齧る。干し肉をゆっくりと噛む。
「……おまえ、変わってんな。傭兵でも盗賊でもねえな。ああ、でも……」
視線が、レオンの腰の剣と、その目の奥を見据える。
「ただの旅人でも、ない」
レオンは答えない。やがて、少年は口を開いた。 - 102◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 15:37:24
「ルクステンの村──いや、今は“村”なんて呼べたもんじゃねえ。
昔はそこそこ栄えてた。けど三年前、疫病で領主の家族が死んだ。それで正気じゃなくなったらしい。
村の薬師も、魔法使いも、疫病を止められなかった。……で、“魔を引き寄せる”って理由で全部処刑された」
レオンは僅かに眉をひそめた。
「今じゃ残ってるのは、追い詰められた民か、戦で逃げてきた傭兵あがり。『旧騎士』って呼ばれる変わり者が、どこかの城跡に立て籠もってる。
金をばらまいて、兵を募ってる。でもな、集まってんのは戦いを求める奴らか──あとは、リュークス銀貨目当ての化け物だ。
……オレの家族も、魔法使いだった。村の薬師に薬草の使い方を教えてたんだ。でも、あいつら“魔を使う家”ってだけで……」
言葉が途切れる。
拳を握りしめ、少年は一瞬、ナイフの刃先を地面に突き刺した。
「おまえ、行くのか?あそこに」 - 103◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 15:37:49
レオンの答えを、該当するレス下3つからダイス
- 104二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 15:39:33
別の村を目指してみるか。ウヌはどこか行く当てはあるのか?
カイル君つえーな - 105二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 15:43:00
YES!YES!
- 106二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:02:52
そうですね。行くことになるでしょう
てかぶちのめすにならなくてよかった - 107◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:03:27
- 108◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:05:10
レオンは腕を組み、ゆっくりと立ち上がった。
「そうだな。……行くことになるだろう」
その言葉には迷いはなかった。
腐った領主たち、踏みにじられる民、恐怖と疑念に蝕まれた村。
それが何十度、何百度と見てきた現実であろうとも、背を向けることはない。
レオンは視線を少年に向けた。
「名は?」
少年はしばらく沈黙していたが、火の中を見つめながらぽつりと口を開いた。
「カイル……カイル・タシュケント」
声は低かったが、確かだった。
まるで自分の名を忘れかけていた者が、再びそれを手にするように。
「昔は……名前を言えば、追われるだけだったからな」
そして、ちらりとレオンを見上げる。
「オレに名を訊いたってことは……おまえも名乗るんだよな?」 - 109◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:05:59
レオンは頷いた。
「レオンだ。ロイスの“黒狼卿”と呼ばれた男……だった」
カイルの目が見開かれた。
「おまえが……!ロイスの北壁を守ったっていう、あの!?」
レオンは肩をすくめる。
「過去の話だ。今はただの放逐者に過ぎん」
だが、カイルの視線は変わっていた。尊敬と驚き、そしてかすかな安堵。
「……なら、やっぱりオレも行く」
カイルがナイフを腰に戻し、立ち上がる。
「放っとけねぇんだよ。あの村も、あの騎士も──オレの家族も、全部……このまま終わらせたくねぇ」
少年の背に、燃え残った火が照らす影が揺れた。 - 110◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:06:34
カイルが仲間に加わった……と見ていいですかね?
次の行動を、該当するレス下3つからダイス - 111二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:09:21
賊っぽい何かがでてきて
そいつが爆弾を投げるも自爆
装備をありったけゲット(賊は死んでいる) - 112二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:14:34
移動しながらカイルの知ってる現在の状況を聞く
- 113二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:22:43
この辺りの固有種である2本の捻れた角を持つ野生馬の群れを発見する。上手く行けば捕まえられるかもしれない
- 114◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:23:55
- 115◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:27:06
ルクステンの村へ向かう道は、もはや「道」とも呼べぬ荒れた獣道だった。
倒木に覆われ、草は人の膝まで伸び、地には無数の足跡と、ところどころ黒ずんだ血の痕。
レオンとカイルは寡黙に歩いていた。風が吹き、赤く錆びた雲が流れていく。
そのとき、何かが地を這うように飛来する音が聞こえた。
「伏せろッ!」
カイルが叫ぶより早く、レオンはカイルの肩を掴んで土に伏せた。
爆音。
土と火花が弾け飛び、草が燃え、耳が一瞬遠のく。
木陰から、粗末な革鎧に顔を布で覆った男が三人、姿を現した。
一人が笑いながら、もう一つの火薬玉──密造の火霊爆(グレネイド)を振りかざす。
「遺品になるぞ、赤毛の熊どもォッ!」 - 116◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:28:10
次の瞬間。
ひゅん、と音がして、火霊爆が宙を舞った。
カイルが投げ返していた。
爆弾は男の胸元に叩きつけられ、火花と血を撒き散らして炸裂した。
二人目が悲鳴を上げて逃げようとしたが、レオンが剣を抜いて走る。
刃が唸り、身体ごと盾を断ち割った。
残る一人はよろめきながら逃げ出す。
「追うか?」カイルが問いかける。
レオンは首を振った。
「獣が吠えても、獅子は群れを食わぬ」
息絶えた男たちの遺体に近づくと、カイルはさっさとしゃがみ込んだ。 - 117◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:28:53
「こっち、まだ使えるな……ナイフ、火薬袋……お、革鎧も傷は浅い」
まるで慣れた手つきで、装備を剥ぎ取っていく。
レオンはその姿をしばし見ていたが、ふと、深く吐息をついた。
「不幸な時代だ……」
誰もが、生き延びるために殺し、生きるために奪う。
少年の手つきは「慣れていた」。それがこの地の現実だった。
「……ああ?」カイルが振り返る。
「なんか言ったか?」
レオンは首を横に振り、ひとつだけ問いを返した。
「ウヌは……いつから、そうしてきた?」
カイルはナイフを腰に差し、淡々と答えた。
「物心ついたときには、誰かの死体からナイフを奪ってた。……それが“生きる”ってもんだと思ってた」
風がまた吹く。
木の葉が舞い、焼けた草の匂いが立ち上る。 - 118◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:30:14
厳しい現実に耐えて、ルクステンに行きましょう。
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス - 119二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:31:23
カイルみたいな死ぬ程スペックの高い存在でも肝心の知識が無いから埋もれて奪う生き方知らないのめちゃくちゃこの世界…というかこの辺りの地方の終わり具合がわかるな…
- 120二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:31:41
綺麗な湧き水を発見
- 121二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:33:49
- 122二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:36:17
レオンがカイルから魔法について高くないながらも適性があると言われて手ほどきを受ける。
- 123◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:38:49
- 124◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:41:08
- 125二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:45:48
【名前】シャルル
【年齢】12
【一人称・二人称】ボク・君、貴方
【容姿】肩にかかる程度の青い髪、青い瞳、白い肌。小柄で華奢な体格。一見女の子に見える男の娘。動きやすさを重視した軽装。
【性格】おどおどとして気が弱いが、努力家で家族のためなら命を懸ける芯の強さの持ち主。 - 126二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:47:43
【名前】アルバ・コーネリウス
【年齢】10
【一人称・二人称】俺、アンタ
【容姿】金髪碧眼で襤褸を身にまとった細身の少年
【性格】野心的 - 127二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 16:51:15
【名前】シリウス・サンドライト
【年齢】11
【一人称・二人称】ボク、キミ
【容姿】メカクレ、赤目、低身長、銀髪、家柄良さそうな服、
【性格】気弱、おどおどしがち、だが勇気と心の強さには光るものがある - 128◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 16:56:33
あと1つ募集です
- 129二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:04:00
【名前】イルマ・シャーカーン
【年齢】14
【一人称・二人称】私・あなた
【容姿】短い黒髪と黒目で華奢な体格をした気品がある振る舞いをしている少年。明らかに身なりのいい服装など。
【性格】心優しく礼儀正しい好青年 - 130◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:05:40
- 131◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:06:30
シャルルくんの能力ダイス
戦闘: dice1d100=27 (27)
交渉: dice1d100=90 (90)
知識: dice1d100=31 (31)
魔法適性: dice1d100=2 (2) (補正で最低20)
- 132◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:07:06
戦闘: 27
交渉: 90
知識: 31
魔法適性:20 - 133二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:08:37
シャルルくん魔法ひっどいな 最低値か…
持ってる魔法が何かによるか? - 134二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:15:11
このレスは削除されています
- 135◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:15:39
草むらを抜け、小高い丘を越えたときだった。
遠くに、朽ちた柵と崩れかけの石造りの建物が見えた。
ルクステンの村──
かつての姿を想像させるのは、いまだ残る塔のシルエットのみ。
周囲の畑は枯れ、家々は歪み、煙も立たぬ。まるで死が訪れてから時間だけが過ぎたような、沈黙の村だった。
「……ついに来ちまったか」
カイルが呟く。拳をぎゅっと握りしめる。
そのとき、かすかな気配を感じた。
視線を向けると、一本の枯れ木の陰に、小柄な影がいた。
背を丸め、ぼろぼろの革袋を抱えながら、じっとこちらを見ていた。
「子供か?」
レオンが呟くと同時に、カイルが一歩前に出た。
「……おい、そこにいるのは誰だ」 - 136◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:16:17
影がびくりと肩を震わせた。だが逃げない。
やがて恐る恐る歩み寄ってきたのは、青い髪、青い瞳、真っ白な肌の少年だった。
年は十二ほど。
華奢な体に、ほつれた旅装。泥に汚れた顔を上げて、ふたりを見つめていた。
「ぼ、ボク……シャルルっていいます……」
声は震えていたが、瞳にははっきりとした光があった。
「君……魔法の家の子だよね」
唐突に、カイルを見つめて言った。
カイルが息を止める。レオンが、すぐに手をカイルの肩に置いた。 - 137◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:17:06
「ウヌ、なぜそう思う?」レオンが低く問う。
シャルルは一歩後ろに下がったが、それでも答えた。
「わからないけど……わかるんです。あの、昔、ボクの母さんが言ってたんです。“魔法使いには、あたたかい匂いがする”って……。なんとなく、君からそれが……」
カイルは目を細めて少年を見つめた。
「……オレを売りに来たわけじゃねえよな?」
「ち、ちがいますっ!」
シャルルは思わず叫び、慌てて口を押えた。
「ボ、ボクは、魔法が使えたらって……ずっと思ってて……でも、適性がなくて、家も貧しくて……。それでも、何かできることがあれば、村を……家族を、守りたくて……」
言葉の端々には怯えと同時に、必死な願いがこもっていた。 - 138◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:17:22
レオンたちはどうする?
該当するレス下3つからダイス - 139二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:19:07
何か魔法の気配っぽなにか(弱そうだが何か光りそうなもの)を感じる
- 140二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:33:16
袖振り合うも多生の縁という事でしばらく旅を共にする
- 141二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:35:20
このレスは削除されています
- 142二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:37:54
このレスは削除されています
- 143二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:47:07
守りたいという思いには賛同するが見るからにひ弱なので近くの安全な場所で待機させようとする
- 144◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:52:09
- 145◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:55:05
レオンが口を開こうとしたその瞬間──
空気が、微かに揺れた。
風でもなく、鳥でもない。
その場に立つ三人の皮膚を撫でる、ほのかな震え。
何かが遠くで波紋を描いたような、かすかな魔力のさざめき。
カイルが眉をひそめる。
「……感じるか?」
シャルルは一瞬、驚いたようにレオンを見たが、すぐに小さく頷いた。
「はい……なんだか、やさしい……あたたかい……でも、すごく遠い……」 - 146◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:55:42
カイルが足元の地面にしゃがみ、手を触れる。
「闇じゃねえな。……それどころか、こんな静かな気配、久しく感じてねぇ。これは“祈り”の系統だ」
「祈り……?」
レオンが重く問い返す。
「癒しの魔法とか、浄化の術とか。もともとは神殿術と呼ばれてたらしいけど……今じゃそれを使える奴なんてほとんど残ってねぇ」
「つまり、村に……誰かが“それ”を使っている?」
シャルルは小さく肩をすくめる。
「そうかもしれません。でも、すごく……古い感じがします。……たとえば、誰かが最後の力で祈ってるとか……そういう……」
風が一度、止む。
その沈黙の中、遠く──村の中心に近い塔のあたりから、鈴の音のような音がかすかに聞こえた。 - 147◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:57:05
レオンはじっと耳を澄ませ、そして再び荷を背負い直す。
「ウヌらは……何を望む?」
その問いに、カイルはいつもの皮肉っぽい口調を捨てて答えた。
「正直、オレにもわからねぇ。村を放っておけねぇって気持ちはあるが……でも、誰かがまだ、諦めてねぇってことだけは間違いねぇ」
シャルルも、震える膝で一歩前へ進み、唇を噛みながら言った。
「ボク、行きます。きっと、ボクにもできることがあります……家族のために……みんなのために……!」 - 148◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 17:58:00
レオン、カイル、シャルルは、いよいよルクステンの村に入ります。
そこでの行動や出来事を、該当するレス下3つからダイス - 149二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 17:59:16
数々の致死性トラップが待ち受けているが彼らは辛くもそれを突破
- 150二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:04:04
ボロボロの格好の男達が襲いかかってくるがレオンの放つ空間が歪むかのような気合いで無力化
- 151二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:08:33
野生の熊に襲われる
- 152二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:08:46
気づいたら覆面をした黒ずくめの集団に囲まれていた
- 153◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:09:14
- 154◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:11:36
塔の鈴音がかすかに消え、村を包むような静寂が戻った。
レオン、カイル、シャルルの三人は丘を下り、崩れた柵の向こう、村の入口へと足を踏み入れようとしていた。
そのときだった──
茂みが大きく揺れた。
レオンはすぐさま歩みを止め、手を腰の剣へ。
カイルは小声で呪文を口ずさみ始め、シャルルは反射的にレオンの背後へ隠れた。
「……来るぞ」 - 155二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:12:46
このレスは削除されています
- 156◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:13:04
吠え声。
黒い巨躯が茂みから飛び出した。
全身を濃密な毛に包んだ野生の熊──だが、常ならぬ大きさ。
顔には傷、片目は白く濁り、よだれと血の臭いが漂う。
飢え、狂い、恐怖を知らぬ猛獣──腐爪熊だった。
「シャルル、離れろ!」
レオンが叫ぶと同時に、剣を引き抜き、斜めに構える。
熊は咆哮を上げ、四肢を踏み鳴らして突進してきた。
レオンの身体が動く。ぐっ、と踏み込み、右からの斬撃。
鋼の軌道が、獣の肩に深々と食い込む。だが、まだ止まらない。
ドンッ!
突進の勢いでレオンの身体が弾き飛ばされ、地に転がる。
「レオンッ!」
カイルが叫び、手をかざして詠唱を結ぶ。 - 157◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:13:48
「〈痺縛の印〉ッ──!」
地面が裂け、熊の足元に紫色の紋様が浮かぶ。
光の鎖が伸び、前脚を一瞬絡めとった。熊がバランスを崩し、前に倒れる。
「今だ!!」
レオンは、地を蹴る。
背筋がしなり、剣を振りかぶった。
一閃。
刃が、熊の首元に深々と突き刺さり、骨まで達した。
獣は呻き声を上げると、その場に崩れ落ちた。
血が静かに地を染めていく。
レオンは肩で息をしながら、剣を拭った。
カイルはしゃがみ込んで魔法紋を消し、シャルルは草むらの中で震えながらも、目を逸らさず熊の屍を見ていた。 - 158◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:14:16
「く……熊って、あんなに大きいものなんですね……」
「普通は、あそこまでじゃねぇ。あれはもう“魔に近い”存在だ」
カイルが吐き捨てるように言った。
「村の中、もっとヤバいもんが潜んでるかもな……」
レオンは剣を納め、静かに言った。
「この地が、どれほど蝕まれているか……ようやく本格的に、見えてきたようだ」 - 159◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:14:49
村の入り口にたどり着いた3人。
次の行動を、該当するレス下3つからダイス - 160二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:15:23
シャルルに魔法を教える
- 161二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:16:12
大きな音を立てたのですでに気づかれていると判断
大声で名乗りを立てる - 162二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:17:37
祈の主を探す
- 163◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:18:24
- 164◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:20:57
ルクステンの村は死んでいた。
かつて人の営みがあった気配は、今や空の家屋と、風が鳴らす戸板の音だけになっていた。
焼け跡、引きずられたような足跡、石壁に刻まれた「呪」の文字。
それでも、村の中央広場の一角に、まだしっかりと残っていた石造りの納屋が一つあった。扉は重く、天井も抜けていない。
レオンは内部を検分し、三人が夜を越すには十分と判断した。 - 165◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:21:39
日が傾き、風が冷たくなる。
レオンが納屋の奥で小さな焚き火を焚き、カイルはその火を灯にして魔法書の断片を広げていた。
その隣に、シャルルが緊張した面持ちで正座している。
「魔法ってのはな、心で“起こす”んじゃねぇ。空気を“歪める”んだ。言葉も動きも、全部“触媒”にすぎねぇんだよ」
カイルが手のひらを掲げ、詠唱する。
「〈火の吐息(ファス・エリナ)〉」
手のひらから、小さな火の玉がポンと跳ねるように灯る。
それはゆっくりと揺らめき、何か生き物のように空中を回ると、パチ、と消えた。
「す、すごい……!」
シャルルが目を輝かせた。
「よし、今度はウヌの番だ」
カイルが言うと、シャルルはおずおずと手を掲げた。 - 166◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:22:17
「ふ、ファス……エリナ……」
しばしの静寂──何も起きない。
しかし、レオンの目には見えていた。
空気が、ほんのわずかに揺らいだ。風でも熱でもない、魔法の前触れのような何かが。
カイルもそれに気づいたようで、目を細めて頷いた。
「……コイツ、素質あるな。本人が思ってるより、ずっと」
レオンは静かに頷き、焚き火のそばで外套を羽織りなおす。
言葉にはせずとも、胸の内にわずかな光が灯った。
──この地にはまだ、育つべき者たちがいる。
──刃ではなく、魔でもなく、心を持って“何かを残す”者が。 - 167◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:22:36
カイルが笑う。
「なぁ、レオンのオッサン。オレ、教えるの向いてるかもな」
「……ああ。なかなかの師匠ぶりだ」
焚き火が小さくはぜ、三人の影が壁に揺れる。
外では風が吹いていたが、その夜、納屋の中は穏やかな時間が流れていた。 - 168◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:23:23
夜が明ける前に彼らがやっておくこと or 展開
該当するレス下3つからダイス - 169二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:25:04
敵意を持ったものを感知できる結界を張る
ほかは物の整理 - 170二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:25:42
魔力とは異なる《氣》と呼ばれる生命エネルギーの使い方を初歩だけでも教える
- 171二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:27:36
自分の過去を話す
- 172◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:28:10
- 173◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:29:53
焚き火がゆっくりと落ち着き、納屋の中に柔らかな橙の光を投げかけていた。
シャルルはまだ目を輝かせていたが、魔法の練習で疲れが出てきたのか、時折あくびを噛み殺している。
そんな彼に、カイルはふと真剣な表情を向けた。
「……なあ、シャルル」
「はい?」
「魔法のことも大事だけど、ひとつ覚えとけ。“氣”ってもんがある」
「“き”? 魔力とは違うんですか?」
カイルは頷き、火をつつきながら説明を続けた。 - 174◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:30:57
「魔力は……外に“引き出す”もんだ。火とか風とか、外界の力を借りて現す術だ。
でも“氣”は、お前自身の中に流れてる。生きてる限り、誰でも持ってる生命の流れだ」
レオンが興味深そうに目を細めて見守っていた。
カイルは自らの胸元に手を当てた。
「意識を内に向ける。呼吸を整えて、自分の中心に目を向けるんだ。感じられるか? 奥で、じんわりと熱を持つような……微かな流れ」
シャルルはぎこちなく真似てみる。
呼吸を深く、目を閉じて──沈黙。
しばらくして、そっと目を開いた。
「……なんとなく、ぬるい風が流れてるような……感じがしました」
カイルが微笑んだ。
「それでいい。それが“氣”の入口だ。魔法に適性がない奴でも、氣は使える。氣を通して体を強くしたり、感覚を研ぎ澄ませたりできるんだ」 - 175◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:31:51
「ボク……魔法に向いてなくても、生きる術はあるってことですね」
「そういうこった」
カイルが笑う。
「氣を鍛えれば、少なくとも野生の熊くらいなら自力で逃げ切れるさ」
シャルルはぱちんと笑顔をこぼす。どこか誇らしげで、ほんの少し大人びて見えた。
「ありがとう、カイル兄さん」
「兄さんはやめろ、気持ちわりぃ」
「ふふっ」
レオンは外套を被りながら、眠りにつこうとしていたが、ふとカイルに声をかけた。
「良い師となるだろう、ウヌは。だが──子に希望を教える以上、己が折れてはならぬぞ」
カイルは焚き火の火を枝で突きながら、少し照れくさそうに応えた。
「わかってるよ、オッサン」
夜は静かに更けていく。
火は徐々に細り、納屋には穏やかな寝息と、夢の気配が満ちていた。 - 176◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:32:20
翌朝の行動または展開
該当するレス下3つからダイス - 177二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:35:52
動物の死体を使役する呪術師が現れ「貴様らの実力を試す」と言って襲いかかってくる
- 178二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:37:18
突然村から火の手が上がる
- 179二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:44:04
レオン達が倒したのより大きな熊とそれよりもさらに大きな全身鎧の男が戦っているのを目撃
- 180◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 18:48:06
- 181二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 18:48:54
どうして!?
- 182◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:07:45
朝の空はどこか重たく、雲の色は灰に近かった。
けれど、納屋の中は静かだった。火は完全に消え、レオンは硬い寝具の上で、久々に深い眠りに沈んでいた。
──が、その静けさを破ったのは、怒号と走り回る足音だった。
「水を! バケツだ、そっちの井戸はまだ使える!」
「火が回ってる! 屋根だ、早くっ!」
レオンの目がばっと開いた。
熟練の剣士としての本能が、即座に異常を察知する。
寝袋を蹴飛ばして起き上がると、カイルもすでに目を覚ましていて、火の匂いに眉をひそめていた。
「くせぇ……こりゃ、火事だな」
「シャルル、ウヌはここで待て。外に出るな」
レオンはそう言い残し、外套を羽織って納屋の扉を押し開けた。 - 183◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:08:35
外は、確かに燃えていた。
村の一角──壊れかけた家屋の一つが、屋根から火を噴いている。
複数の村人がバケツを手に走り回り、誰かが梯子をかけ、誰かが井戸から水を汲んでいる。
思ったよりも、まだ「人の気配」がある──レオンはそう確かめる暇もなく、まっすぐ現場に駆けた。
「バケツをよこせ!」
その声の太さと鋭さに、一瞬村人たちが動きを止める。
大男、赤毛、厳つい顔。
見慣れぬその姿に、誰もが「危険な放浪者か?」と身構えた──が、レオンはもう火の近くに身を置き、持ち上げた水桶を一気に投げかけていた。
続けざまに水を運び、火の回りを確認し、燃えやすいものを遠ざける。
その動きには無駄がなかった。
まるで、かつて城塞の中で火の処理を任された兵士のような動きだった。
やがて火は小さくなり、村人たちの動きが落ち着いてくる。 - 184◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:09:37
「……ふぅ……助かった……」
燃え落ちかけた家の前で、年配の男が深く息を吐いた。
髪と髭に白を混じらせ、背筋は曲がりながらも、目は鋭い。
「お主、どこの者だ……? この村にお主のような猛者がいた覚えはないが……」
レオンは濡れた手を払って、静かに答えた。
「名はレオン。通りすがりだ。旅の途中、夜を借りたが……火を見過ごすわけにはいかん」
男はしばらく沈黙していたが、やがて頷いた。
「……ワシはバルト・エーゼ。いちおう、今のルクステン村の長を名乗っている。
礼を言おう。あのままでは、何人か巻き込まれていたかもしれん」
周囲の村人たちも、怪しむ視線を残しつつも、どこか安堵の気配を漂わせていた。
だがその中に、一人の若者が声を荒げた。 - 185◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:10:49
「……だが、そいつ……その大男が火を起こした張本人って可能性も──」
「やめてください!」
声が飛ぶ。
駆け寄ってきたのは、まだ寝巻のままのシャルルだった。
「この人はいい人です!ボクたち、昨夜納屋で休ませてもらっただけで、朝起きたら火事だったんです!」
その必死な言葉に、若者は口を噤む。
バルト村長は唸るように言った。
「……客人、お主にはいろいろと話を聞かねばならぬな。だが今は、礼を。火事から救ってくれて、感謝する」 - 186◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 19:11:51
村長と対話ができそうです。
この後どうするか、該当するレス下3つからダイス - 187二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 19:20:54
- 188二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 19:22:52
火事の原因について調査することで汚名を晴らそう
ついでに村のためにもなる - 189二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 20:05:23
- 190◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 20:05:59
- 191◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 20:22:11
村の騒ぎは、次第に静まっていった。
火は完全に鎮火し、焼け落ちた家からは黒い煙が細く立ち昇るだけ。村人たちは疲れた様子で、それぞれの仕事に戻り始めていた。
レオン、カイル、シャルルの三人は、再び納屋の奥に戻っていた。
焼けた家の残骸を背に、レオンは静かに口を開いた。
「……このまま村に留まるなら、何らかの疑いをかけられるのは避けられぬ。火元に近かったのは事実だ」
カイルが背を壁に預けて腕を組む。
「納得いかねぇよな。あのタイミングで出火とか……まるで、オレたちが入ってくるのを見てた奴がいたみたいだ」
「放火……ってことですか?」
シャルルが不安そうに尋ねる。
「可能性はあるな。だが、それが誰なのか、何の目的でやったのかまでは……今のところ見えん」
レオンは腰を下ろし、荷の中から油紙に包まれた食料を取り出すと、三人で分け合った。
黙々と咀嚼する間も、空気は張りつめていた。 - 192◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 20:23:12
やがて、レオンが再び口を開く。
「……火事の原因を調べよう。我らが身の潔白を証すためだけではない。村にはまだ、子供たちも、年寄りも生きている。再び同じ火が起きれば……」
「村ごと燃えるな」
カイルが低く言う。
「ったく、しょうがねぇな」
レオンが真っ直ぐシャルルを見る。
「ウヌもよいか?」
シャルルは、一瞬だけ怯えたような顔をしたが、すぐに小さく頷いた。
「はい。ボク、やります。あの火のせいで、誰かが命を落としてたかもしれないし……放っておけません」
「ふん。お前、やっぱ根性あるな」
カイルが口の端を上げて言った。
レオンは立ち上がり、腰の剣を整える。
「ならば決まりだ。まずは──火の出た家の跡を調べる。村人たちが離れた今が好機だ」 - 193◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 20:23:45
火事現場を調べたところ……
該当するレス下3つからダイス - 194二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 20:26:10
魔力の痕跡 (?) のようなものを感じる
- 195二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 20:27:07
怪しい人物を発見した
- 196二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:30:17
火元から怪しい何かを発見
- 197◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 21:32:44
- 198◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 21:36:02
焼け跡には、まだ炭の匂いが残っていた。
日差しは村の上空に昇り、あたりは再び静けさに包まれていたが、崩れかけた壁の隙間から、いまなお細い煙がくすぶっていた。
レオンたちは慎重に足を踏み入れ、焦げた柱や瓦礫をひとつずつ丁寧に退けながら、火元を探っていた。
「……このへんが一番ひどく燃えてるな」
カイルが足元の灰を指さした。
そこには床板が崩れ落ち、煤が黒く濃くなっている。
「火の広がり方が不自然です」
シャルルが言った。
「風は西から吹いていたのに、こっち──東側の壁まで、一気に火が回ってる……」
「つまり、風に逆らって広がった……誰かが“意図的に”炎を撒いた可能性がある」
レオンが唸るように言った。
そのとき── - 199◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 21:36:47
カイルが、半ば崩れかけた石棚の奥をのぞき込み、眉をひそめた。
「……ん? おい、これ……なんだ……?」
彼が取り出したのは、焼けた布に包まれていた、小さな黒い筒だった。
金属製で、細工が施され、先端には薄い穴。中には、粉末のようなものがこびりついている。
レオンはそれを手に取り、慎重に観察した。
「……これは、火種筒か。戦場では見たことがある。中に火薬を詰め、火を点けると……一気に燃え広がる仕掛けだ」
「……つまり、放火の証拠ってわけか」
カイルが言い切った。
「……しかも、村人の誰かがこれを使ったとは思えねぇ。こういうもんを作れるのは、“技術持ち”か、もしくは……
魔法技術と、火薬の知識を併せ持つ者──領主付きの技術官か、外部から流れてきた“傭兵まがい”の一団か……」
レオンが唇を引き結んだ。 - 200◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 21:37:14
そのとき、シャルルが別の場所から声をあげた。
「これ……誰かが落としていったんでしょうか……?」
彼の手には、煤けた青い布の端切れが握られていた。
レオンはその色に、ふと記憶の引っかかりを感じた。
(……見覚えがある。だが、どこで──?) - 201◆qcSQN4N5gc25/07/11(金) 21:37:33
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 202二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:40:07
記憶の引っ掛かりが気になるのでしっかりはっきり思い出す
こういうのは放置すると後で痛い目見るんだ - 203二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:42:13
ノンサーモンで裏の仕事をする連中がこんな服を着ていたような
- 204二次元好きの匿名さん25/07/11(金) 21:49:44
自爆した賊がこんな色のやつつけてたよな…?
傭兵まがいも一部のやつがつけてたような…? - 205世界一の科学25/07/11(金) 22:55:25
保守
- 206◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 00:02:48
- 207二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 08:14:12
ほしゅ
- 208◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:56:59
レオンは、シャルルの差し出した煤けた青布をじっと見つめた。
深い青──いや、かつてはそれ以上に鮮やかだったろう。
今では煤と灰にまみれ、色はくすんでいるが……その布地の織り目、光を受けた時の独特の艶やかさ──どこかで、確かに見た。
──昨日。
森の中、突如襲いかかってきた賊。
奴が腰に結びつけていた、古ぼけた布きれ……確か、同じような色合いだった。
(いや、他にも……)
レオンの脳裏に、各地を放浪していた折、断片的に交わした会話や戦闘の記憶が蘇る。
名ばかりの自由を掲げ、混乱に乗じて武力を売る傭兵まがいの一団。
統一した軍装も家紋も持たず、ただ“身を見分けるため”に、青い布をどこかに巻くという話を聞いたことがある。 - 209◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:57:45
「……これを巻いていた連中、いたな……森でオノレたちを襲ったあの男も、たしか……」
「つまり、昨日の奴らが放火にも関係してるってことか?」
カイルが低く唸る。レオンは深く頷いた。
「奴らは“追ってきた”わけではない。“ここ”に何か目的があったのかもしれん」
シャルルが不安げに辺りを見回す。
「じゃあ、また襲ってくるかもしれない……?」
「その可能性は高い」
レオンが断言する。
「そして──ただの火遊びではない。何かを探しているか、隠したい何かがある」
青布の端切れは、もはやただの布ではなかった。
それは、この“灰の村”を取り巻く、より大きな渦の端緒。 - 210◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 09:58:04
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 211二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:13:39
更なる情報を入手すべく村を探索
- 212二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 10:27:51
犯人が逃げた行き先に関する手掛かりが無いか探してみる
- 213二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 12:20:22
レオンが氣による探知術で村の周囲を探る
- 214◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 12:28:28
- 215◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 12:58:54
焼け跡に立ち尽くす三人の背を、風が撫でた。
レオンはふと目を細め、視線を村の外縁、木々の稜線へと移す。
「……氣で探ってみる。少し静かにしていろ」
そう言うと、彼は長く息を吐き、ゆっくりと目を閉じた。
外套の裾が風に揺れ、赤毛がかすかに揺れる。
氣──
魔法とは違う、“内なる流れ”。
それは剣を握る手に宿り、呼吸に通い、魂の奥底と地の気配を繋ぐ、生きとし生ける者の力。 - 216◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 12:59:52
レオンは呼吸を整えた。
一度。また一度。意識を深く沈める。
周囲のざわめきが遠のき、風の音が研ぎ澄まされる。
そこに在るのは“流れ”。
地面に残る氣の残滓。空気の渦に乗る感情の痕。木々が押し黙る“気配”。
──いた。
レオンの意識が、村の西側、石垣を越えた小道の先に、かすかな“異物”を感じ取った。
それは自然の氣の流れに逆らうような、粗く、鋭く、獰猛な気配。
まるで、剣の切っ先が常に突き出されたような、殺気ともいえる残響。
(この氣……複数……三人。否、四……?)
彼らは村を“見ていた”。
あるいは、今も“見ている”かもしれない。
──レオンはゆっくりと目を開けた。 - 217◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 13:00:27
「いた。西の道筋。石垣の外、わずかに隠れた森の縁……そこに、いた」
カイルがすぐに立ち上がる。
「じゃあ、まだ近くに……」
「わからん。ただ、残された氣の濁りは数時間以内のものだ」
「つまり、放火した連中……あるいは“それを命じた奴ら”が、この村を見張ってた可能性がある」
カイルの声が低くなる。
「ボクたちが来たことも……気づいてる、かもしれませんね」
シャルルが小さく言った。
レオンは視線を西に向ける。木々が静かに揺れていた。 - 218◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 13:00:52
次の行動または出来事を、該当するレス下3つからダイス
- 219二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 13:16:47
失敗したと気づいたならば再び襲撃に来るはずだ
今度は逆にそれを待ち伏せてヤツらを討つ - 220二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 13:25:34
襲撃に備えて作戦会議をしつつ相手を迎撃する準備
- 221二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 17:51:50
魔法を利用して火に閉じ込めて火攻めにして倒してやろう
- 222◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 17:59:02
- 223◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 18:01:30
陽は南中を越え、長い影が村の道を横切る頃。
レオンたちは、納屋の奥に再び集まり、扉を固く閉ざした。
空気には緊張があった。
それは明らかに、戦いを予感した者たちだけが共有できる種類のものだった。
レオンは地図を広げ、村の外縁、森と接する西の小道を指でなぞる。
「氣の痕跡はこの辺り。ここから村を見張れる位置だ。奴らは“今夜”動く可能性が高い。火を放った目的が“陽動”だったならば、次は本命が来る」
「村の中に“狙ってる何か”がある、ってことか……?」
カイルが眉をひそめる。
「あるいは、“誰か”かもしれん」
レオンが答えた。
「だが、目的はともかく──迎撃は必要だ。こちらから仕掛ける手もあるが、まずは村の守りを整えよう」 - 224◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 18:02:28
カイルは頷き、ナイフを取り出して机の上に広げる。
「オレは罠を仕掛けられる。あの西の小道に3つ……いや、4つは設置できる。踏み板式、崩落式、警報用の鳴子もつけとく」
「すごい……」シャルルが感嘆の声を漏らす。
「ウヌはな」カイルが微笑む。
「村の見張りと伝令だ。氣はまだ使えないが、耳がいい。高台に登って、火矢か音で合図を送る役を頼む」
「は、はい……やります」
レオンは頷いた。
「オノレは村の中央──防衛線の要だ。納屋の前と、焼けた家の周辺。そこに主戦場を設け、民を奥へ避難させる」
彼は剣の柄を握り、低く唸るように言った。
「我らが勝てば、“理由”を聞き出せる。逃がせば、また村が火に包まれる」
沈黙が落ちる。
だがその沈黙には、恐れよりも意志があった。
少年と元実力者の兵、そして血脈に魔を持つ青年。
名も無き村の納屋に集った彼らは、いま確かに一つの“隊”となっていた。 - 225◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 18:02:58
次の行動または展開
該当するレス下3つからダイス - 226二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 18:14:09
シャルルの勘(誰もわからなかった無意識に使われた魔法と氣の混合探知)により上からの襲撃が来ることを予知。それに向けて対策
- 227二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 18:21:55
地面を掘って下から攻撃される(ダイスで50以上で回避)
- 228二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 18:25:13
探知に敵が引っかかった!
予想以上に敵が多い・・・対策を! - 229◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:27:01
- 230◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:27:34
dice1d100=49 (49)
(50以上で回避)
- 231◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:31:23
日が沈みかけ、村に再び冷気が満ち始める頃──
レオン、カイル、シャルルの三人は、決めた持ち場で敵の襲来を待ち構えていた。
レオンは納屋の前、剣を腰に、半身で腰掛けて待っていた。
気配を探るように目を閉じ、耳を澄ませる。
風は止まり、焚き火の煙は真っ直ぐ空へ。
どこまでも静かだった──それが、逆に不気味だった。
そのとき。
「ッ──!」
左脚に、鋭い痛み。
反射的に飛び退いたレオンの脚を、何かが掠めた。
が、何も見えない。
床を見れば──そこには、乾いた地面にぽっかりと開いた亀裂。
その隙間から、何か金属の先が引っ込んでいくのが、かろうじて見えた。 - 232◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:32:41
「レオンッ!」カイルの声が飛ぶ。
「大丈夫だ、掠っただけだ……だが、奴ら……下にいる」
「地面の……下?」
シャルルが震える声で言った。
レオンはすぐに足元の構造を見直し、地面を蹴る。
すると、かすかに──空洞音が返ってきた。
「……これは……地下通路か」
カイルも納屋の奥を調べていて、薄く石造りの床が一部浮いているのを発見した。
「こっちにも妙な板がある。外してみる」
板をこじ開けると、そこには、古びた石の階段が下へと続いていた。
黒く、冷たい空気が這い上がってくる。 - 233◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:33:37
「なるほどな……奴ら、表からじゃなく“地下から”入り込んできたってわけか」
カイルが呟くと、レオンは立ち上がり、剣の柄を強く握った。
「計画はすべて覆る。地下通路がある以上、村の守りはすでに破られていたことになる」
「……だったら、こっちから攻めてやろう」
カイルが笑みを浮かべる。
「地下に潜って、出鼻を叩く」
「ボクも……行きます。怖いけど……行かないほうが、怖い」
レオンは二人を順に見渡し、頷いた。
「よし。全員、松明を持て。──今度は、我らが影となる番だ」 - 234◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 19:34:00
次の行動または展開
該当するレス下3つからダイス - 235二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 20:09:26
このレスは削除されています
- 236二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 20:10:26
火を放って逃げ場を失くし、魔法で平衡感覚を失わせ、パニックになってるところで酸欠or一酸化炭素中毒で敵が死亡
- 237二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 21:14:07
このレスは削除されています
- 238二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 21:24:32
魔物が現れて賊が食べられた
- 239二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 21:25:45
地下通路に爆弾in
崩落させて落とす。敵は生き埋め - 240◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 22:54:38
- 241◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 22:59:00
レオンたちは松明を手に、冷えた石の階段を静かに降りていった。
地下通路は予想以上に古く、そして広かった。
「……これは昔の逃げ道か? それとも……」
カイルが壁の苔を指先でなぞり、囁いた。
「“領主が地下に築いた移動路”と考えるのが自然だな。民を逃がすためではない。自分のためだ」
レオンの声は低かった。
石壁には、風で吹かれたような煤の跡があり、地面には踏み固められた靴跡。
──確実に、使われている。
前方に、かすかに光。松明か、それとも……
その瞬間、カイルが指を鳴らした。
「レオン、もういい。戻ろう」
「……決断は固いか」
「ああ。地下でやるなら、“こっちが地の理を使う”ほうが正しい」
レオンは頷くと、奥の通路に残していた油壺を手に取った。
納屋から運んできた燃料と布、破砕した火種筒の粉末。
それらを一ヶ所に集中させて、火を──放った。 - 242◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 22:59:36
爆ぜるような音と共に、地下通路の一角が炎に包まれる。
風が逆流し、黒煙が唸りを上げて洞を満たしていく。
そして、カイルが静かに印を結んだ。
「……〈断覚(ディスエクリブリオ)〉──」
薄く光る魔紋が空中に描かれ、崩れるような震えが洞に走る。
魔法ではなく、“氣”に近い原理──感覚の中枢に直接干渉し、空間の平衡を狂わせる小技だ。
「地下の奴ら……今ごろ、何が上で何が下かわからねぇはずだ」
カイルは息を吐いた。
レオンは、しばし黙って火の中を見ていた。
人の断末魔が、確かに聞こえた気がした。
怒号、混乱、金属音──やがて、それらは何もかも沈黙の中に消えた。
燃え盛る火は、次第に空気を喰らい、地下の酸素を奪っていく。
吸い込んだ者は、火ではなく一酸化炭素に殺される。
レオンもカイルも、それを承知の上だった。 - 243◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 23:00:02
「……やりきったか?」
「全滅だ。氣の波もない。静まり返ってる」
レオンはゆっくりと頷いた。
「……非道かもしれんが──選んでいられん。これも、生き延びるためだ」
「民草は殺してねぇ。命を取るのは、こっちを殺そうとした奴らだけだ」
カイルがつぶやく。
空には星が昇り、村の灯が穏やかに揺れている。
敵の影は、もうどこにもなかった。 - 244◆qcSQN4N5gc25/07/12(土) 23:00:41
これで村に平穏が訪れるか……?
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス - 245二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 23:05:25
何か新たなる情報があるかもしれない
煙が収まった後に死体を調べる - 246二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 23:12:31
平穏が訪れる。
炎のせいで敵の手がかりはあまりない。しかし青い布がたくさん見つかった - 247二次元好きの匿名さん25/07/12(土) 23:15:22
たまたま地下にいなかった敵によってシャルルが連れ去られてしまった。
- 248二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 07:23:57
ほしゅ
- 249◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 07:49:20
- 250二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 08:06:56
あ…
- 251二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 08:32:06
終わったやん
- 252◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:46:14
夜の風が、少し湿っていた。
納屋に残されたわずかな火は静かに揺れ、虫の声すらも戻ってきていた。
だが、それはほんの束の間の静寂だった。
「──シャルルが、消えた……?」
レオンは立ち上がるより早く、すでに剣に手をかけていた。
カイルは地面にしゃがみ込み、足跡を探していた。
「ひとつ、小さい足跡。これはシャルルの靴……だが、その横に──重く踏みしめるような、無骨な足取り」
「二人分か?」
「いや──三人か、四人……それ以上かもしれん。奴ら、地下にはいなかった連中だ。全滅はしてなかった」
カイルは歯噛みした。
「ったく……こっちが“罠を張ったつもり”だったのに、逆に“数を絞って囮にさせられてた”のか……」 - 253◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:46:43
レオンはすぐに納屋の外に出て、氣をめぐらせる。
──確かに、残っている。細く、かすかに、だが明確に。
シャルルの氣の流れ。それは遠く、北西へと向かっていた。
「……追えるか?」
カイルが問うと、レオンは低く頷いた。
「氣の痕はまだ“温かい”。数時間以内……馬か馬車の足取りだ」
「シャルル、どこへ連れて行かれたんだ……」 - 254◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 10:47:04
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 255二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 10:54:45
- 256二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 10:56:42
- 257二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 11:01:26
敵にも氣を使うものがいて
突然氣が途絶える
ダイス50以上でそれを理解
49以下で突然消えて困惑 - 258◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 11:02:18
- 259◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 11:06:57
レオンとカイルはすぐに最小限の荷をまとめ、北西へと駆け出した。
星明かりだけを頼りに、森を抜け、小道を踏みならし、野を駆ける。
──シャルルの氣の痕跡は、確かに続いていた。
恐怖と痛みと、けれど……どこか強くあろうとする氣の震え。
「シャルル……殺されるなよ」
カイルが低く呟いた。
そのとき、レオンが右手を突き出す。
「止まれ」
二人は音もなく木陰に身を伏せた。
前方に、林道のわずかな開け──そこに三頭の馬と、数人の影があった。
シャルルは馬車の後部に括られており、意識はあるが動けない。 - 260◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 11:08:35
「……畜生。あいつら、よくも俺たちの仲間を」
一人の男が、背の剣を地に突きながら呟く。
「余計な詮索はするな。あの子供を“あの場所”に届ければ、報酬は倍だ」
「白い塔か……気味が悪ぃぜ、あそこは」
レオンは静かに剣を引き抜き、カイルに目で合図を送った。
カイルもまた、手のひらに青白い光を灯し──
レオンが地を蹴る。
「行くぞッ!」
草を割るように飛び出した巨体が、瞬く間に敵陣へと突っ込む。
長剣が一閃、火花を散らし、馬車の傍らにいた男の刃を弾き飛ばした。 - 261◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 11:09:30
「ッ──敵襲!」
カイルが右手を掲げ、呪文を詠じる。
「〈縛界・足取り縛り(リガレ・パサス)〉!」
敵の足元に魔紋が広がり、数人が転倒。
そこをレオンが踏み込んでいく。
「ウヌらが連れ去ったのは──我らの仲間だ」
剣が唸り、敵の一人が叫びを上げて倒れる。
馬が嘶き、シャルルが目を開けた。
「……レオン……カイル……!」
「シャルル、すぐ解くッ!」
残る敵は二人。
一人はカイルに火薬筒を投げ、もう一人はレオンに斧で斬りかかってくる──! - 262◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 11:09:59
どういう風に戦う?
該当するレス下3つからダイス - 263二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 11:11:07
氣を使った身体能力向上、
素早い剣技で敵を圧倒 - 264二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 11:36:44
魔法の力と氣の混合でぶちのめす
- 265二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 16:07:28
氣を使って身体能力を向上し両方の攻撃に対処
- 266◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 16:57:00
- 267◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 16:59:13
火薬筒が宙を舞ったその瞬間──
レオンの足元に、疾風のような氣が巻き起こった。
「〈氣走・迅風(しんぷう)〉……」
低く吐息をついた瞬間、彼の姿が消えた。
否。速すぎて、目で追えなかった。
「なッ──!」
火薬筒を投げた男が気づいたときには、もう遅い。
レオンの剣が、霧のように振るわれる。
斬。風を裂く音。
そして、剣の腹で火薬筒を弾き返し、さらに振り抜かれた一撃が、敵の肩口を斬り裂いた。
「ぐあっ──!」
刃の重み、筋力だけでなく、氣の流れを乗せたその一撃は、防御を意味すらなさない。
敵は地面に倒れ込み、声にならないうめき声を上げる。 - 268◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 16:59:59
「貴様──!」
斧兵が咆哮を上げて襲いかかるが、すでにレオンは風となっていた。
斧の振りが落ちる刹那、すでにその“内側”へ──
剣の柄が、斧兵の顎を打ち抜き、脳天まで響かせる。
続けざまに蹴りを浴びせ、男の巨体は後方に吹き飛んだ。
倒れる男に、剣を振り上げ──
「やめて、レオン!」
シャルルの声が届く。
息が整わぬまま、レオンはわずかに剣を止めた。
相手は意識を失っており、もはや戦えない。
レオンは静かに剣を収め、振り返った。 - 269◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 17:00:43
カイルがシャルルの縄を解いていた。
「無事だったか?」
「う、うん……ありがとう……」
シャルルの頬には涙の跡。
けれどその瞳には、もう怯えはなかった。
レオンは彼の頭に手を置いた。
「……遅くなったな」
「ううん……来てくれて、本当に、よかった……」
カイルは倒れた男たちの荷物を調べている。
そして、重たい封筒をひとつ、手に取った。
「……“行き先”が書かれてる」
そこには、封蝋で閉じられた羊皮紙。
封には、見覚えのある紋章──“七領主の一柱”ロイス家のものだった。 - 270◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 17:01:38
ロイスといえばレオンが仕えていた領邦ですね。
次の行動または出来事を、該当するレス下3つからダイス - 271二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 17:09:31
ロイスの家紋を見てこいつらが何を探してたのか感づく
- 272二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 17:19:11
シャルルがそれをみて突然怯え出す(なぜかは不明。もしかしたらなんかトラウマがあったかもしれない)
- 273二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 18:38:02
突如荷物を狼の魔物の群れに盗まれる。熊とは違う。明らかに人に飼育され、訓練を積んだ猟犬の様な動き方。攻撃はしてこないが、追っても逃げられないだろう
ダイスで30以上でどこに行くかわかる60以上で先回りできる - 274◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 18:46:39
- 275◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 18:48:51
レオンはカイルから受け取った封筒を、しばらく手の中でじっと見つめていた。
黄ばんだ羊皮紙に刻まれた、かつての主の紋章──
それは、北の痩せた大地を統べていた領邦ロイスの紋。
鋭い斧と月桂樹の枝が交差するその意匠は、忘れようにも忘れられぬものだった。
レオンは静かに封を破った。
中には、三枚の文書があった。
一枚目は命令書。
内容は簡潔で、次のように記されていた。
⸻
命令
“火を放ち、証を失わせよ。
生き残りがいれば、連行せよ。
あの村の“記録”と“血脈”が、地上に残ってはならぬ。”
――R. - 276◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 18:50:23
二枚目は地図。
ルクステンの村とその地下に通じる通路、さらに隠し部屋と記された一角。
そして「光持つ者の血は塔にて裁かれる」と、赤いインクで走り書きされていた。
三枚目は──見慣れた、筆跡だった。
それは、かつてロイス領主に仕えていた時にレオンがよく目にしていた、側近の筆跡。
「……あの村は、ただの村ではなかった。何かを“護っていた”のだ」
カイルがうつむき、拳を握りしめる。
シャルルが震える声で言った。
「じゃあ、ボクが……さらわれそうになったのは……?」
「おそらく、ウヌが目覚めつつある“何か”を、奴らは恐れている」
レオンの声は硬かった。 - 277◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 18:51:23
彼は目を閉じ、過去を思い出していた。
ロイス家の地下にあった、誰も近づけぬ文書保管庫。
“氣”と“魔”の交わる古文書──
そして、誰にも解読できなかった“塔と血脈”に関する断章。
(……まさか、あれが今につながるとはな)
レオンの瞳に、確信の色が宿る。
「奴らが探していたのは、村に残された“記録”か、“血脈”……あるいはその両方だ」
「記録は、焼かれた家に?」
カイルが言う。
「だが、“焼き損ねた”なら、まだどこかに……」
シャルルがぽつりとつぶやいた。
「……ボクのおじいさんがね、村の倉に、誰にも見せたことのない“箱”を隠してたって……亡くなる前、一度だけ、お母さんに話してたんだ」
レオンとカイルが、同時に顔を上げた。 - 278◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 18:52:03
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 279二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 18:54:02
- 280二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 20:15:11
- 281二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 20:16:43
- 282◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:32:28
- 283◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:35:07
重たい沈黙の中、シャルルの言葉をきっかけに、誰もが次の行動を考えようとした──その時だった。
ひたり。
音もなく、レオンの背後に──“何か”が立った。
レオンの全身に、瞬時に氣の針のような緊張が走る。
背筋に冷たいものが這い昇り、指先が自然と柄にかかる。
だが、カイルも、シャルルも──まったく気づいていない。
彼らの表情には、不思議そうな色があるだけだった。
「レオン?」
レオンは静かに体をひねる。
だが、そこには“誰もいない”。
──いや、見えていないだけだ。 - 284◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:36:04
剣を素早く抜き放ち、氣を全開にして一閃。
斬。
風が唸り、草が裂ける。しかし、手応えはない。
まるで、空気を切ったかのように、そこにあった存在はびくともしなかった。
そして──
「……剣なんてものに頼ってばかりいるから、そうやって鈍るんだ」
耳元に、人とも獣ともつかぬ声が囁いた。
その声は、からかうようで、どこか懐かしい響きすら含んでいた。 - 285◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:37:07
カイルが眉をひそめる。
「……なあ、何かいるのか?」
「……いや、オノレの“中”にだけいる」
レオンは剣を構えたまま、氣を深く巡らせる。
だが、その“存在”にはまったく通じない。
まるで、“この世界に属していない”かのように──
「それで、今さら“真実”に気づいたつもりか?
面白いな、お前は。昔からそうだ……何かに手を出す時も、引き返す時も、誰よりも“遅い”。」
レオンは、無言で周囲を探る。
その声の主は、まったく敵意を示していなかった。
だが、どこまでもレオンの内面を知っているような口ぶりだった。
(……“こいつ”は──何だ) - 286◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:38:16
氣を集中してなお、掴めない“存在”。
だが、恐怖はなかった。
代わりに、心の奥に、懐かしいものに出会ったような感覚が微かに灯っていた。
「……お前は敵か?」
「敵だと思うか?」
問いに問いを返す声は、今や背後にではなく、頭の中に染み込むように響いた。
「塔に行け、レオン。
お前が過去に背を向けた分だけ、未来で誰かが斬られる。
その血が、どこに流れても構わぬというなら──このまま進めばいい。
だが、それが“誰かの血”であってほしくないなら、止まり、見よ。」
そう言い残すと、気配はすっと霧散した。
最初から何もいなかったように、そこにはただの夜風が吹いていた。 - 287◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:38:27
カイルとシャルルが近づく。
「……大丈夫か?」
レオンは剣を収め、短く答えた。
「何者かが、何かを……“思い出せ”と言ってきた。
そして、“塔に行け”ともな」
「……じゃあ、そこに何かあるんだな。
ロイスが隠したもの。お前が捨てたもの」
レオンは夜空を見上げた。星が、ただ静かに瞬いていた。 - 288◆qcSQN4N5gc25/07/13(日) 20:38:59
AIに次の行動候補決められてしまいました。
次の展開を、該当するレス下3つからダイス - 289二次元好きの匿名さん25/07/13(日) 20:42:05
- 290二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 01:06:29
- 291二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 01:43:58
- 292◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 06:38:25
- 293二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 10:30:39
ほす
- 294二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 10:33:30
このレスは削除されています
- 295◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:35:33
レオンの言葉に、沈黙が落ちた。
だが、その静けさを破ったのは、小さな声だった。
「……レオン、それって……」
シャルルが、おそるおそる、けれど確かな声で口を開いた。
「ボクも……同じような“何か”に言われたことがあるんだ」
カイルが息をのむ。
「何……?」
シャルルは地面に座り込み、膝を抱えて語り始めた。
「家の近くの小さな井戸で、月を見上げてたら、突然、頭の中に声が響いたの」
『まだ知らぬ名を持つ者よ。お前の行く道には、二人の旅人が現れる』
『一人は、氣を纏い獣の如く歩む者。
一人は、炎をその身に秘めて笑う者』
『その二人を見つけよ。お前の“灯”は、彼らとともに燃え上がる』
「怖かった。でも……不思議と、“それが本当だ”って、そう思えた。
そして村を離れようと決めたその日、ボクは森で──レオンたちに出会った」
レオンとカイルは顔を見合わせた。
それは偶然にしては、あまりに出来すぎていた。 - 296◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:37:20
「ごめんなさい……信じてもらえないと思って、黙ってたんだ。
それに、ボク……自分で決めてついていったつもりだったし」
「……その“声”は、敵意はなかったな?」
レオンが問う。シャルルは頷いた。
「うん。怖い声じゃなかった。ただ……“運命を選べ”って、そんな感じだった」
「……じゃあ、あの“何か”は、オノレだけではなく……」
「誰かが……、“何かが”、オレたちを結びつけようとしてる」
カイルがつぶやいた。
風がそよぎ、焚き火の残り火がふっと明滅する。
レオンはゆっくりと立ち上がった。
「シャルル。ウヌは、信じられない力を持っている。
その力を欲する者も、恐れる者も、どちらも現れるだろう。
だが──“選ぶ”のは、ウヌ自身だ」
「……うん」
シャルルは震えながらも、しっかりと頷いた。
「ならば──オノレたちは行く。
奴らが話していた“塔”へ。
かつて何が失われ、今、何が始まろうとしているのか……それを、この目で確かめる」 - 297◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 10:37:44
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 298二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 12:21:04
塔に行く途中賊に囲まれている20歳ほどの身長の高い屈強な青年を発見 襲われそうになっていたので助けようとすると、一人でその盗賊すべてを一瞬のうちに素手で蹴散らした。賊は生きているが戦意を喪失している。彼は殺す気はないようだ
- 299二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 16:25:51
塔に向かう道中で賊と戦っている少女を発見
既に何人か倒されているが数が多くて苦戦しているようだ - 300二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 17:57:51
- 301二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:12:17
今気づいたけどどうなっても新キャラルートなのな
これはAIがキャラ作るのか?安価? - 302◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:16:47
- 303◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:19:41
ルクステンの村を後にしてから三日目の朝。
オムパロスの痩せた丘陵を越え、石の橋を渡り、古びた道標を頼りに、三人は“白い塔”と呼ばれる地を目指して進んでいた。
そんな折──
「聞こえたか?」
カイルが足を止め、耳を澄ます。
風に乗って、鋭く、空を裂く音が届く。
金属が弾かれる音。叫び声。火薬の爆ぜる匂い。
「──戦ってるな」
レオンは声の主の氣を探る。
木々の向こう、谷へと続く獣道の先。
氣の波は乱れており、一人の者が多勢に包囲されているようだった。
しかも、その一人は……ただ者ではない。
「火が……舞ってる?」
シャルルが呆然とつぶやく。 - 304◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:20:43
見れば、林の奥に、炎の弾が走り、爆ぜている。
その間に、無数の剣戟の音。
だが──数が合わない。
燃え落ちる賊たちの屍の数と、残った者たちの数。
「……押されてるな。こっちが動かなければ、あの娘、持たん」
レオンが剣を抜く。カイルも構えを取る。
「援護する」
「行こう。今度は……助ける番だ」
そして──彼らは駆けた。
茂みを裂いて飛び出すと、目に入ったのは、荒れ果てた村の廃墟の中、一人の少女が剣を振るっている姿だった。
銀灰色の髪が翻り、紅い瞳が敵を睨む。
その手に握られた大剣は、少女の体格にしては大きすぎるほどの代物だったが、それでも彼女は振るえていた。
「はっ……らぁッ!」
剣が横薙ぎに敵を裂き、火炎の魔法が後衛に炸裂する。
だが敵は七、八人は残っている。
クローク姿の傭兵風。明らかに手練れも混ざっている。
「この女、尋常じゃねぇ……囲んで潰せ!」
その瞬間── - 305◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:21:18
「遅れてすまんな!」
レオンが突っ込む。
剣の一閃で、背後から襲おうとしていた賊の一人を地面に叩き伏せる。
カイルは詠唱を完了。
「〈焔縛・焦壁陣(エグレ・ムーロ)〉!」
地面から炎の壁が立ち上がり、敵の動線を遮断する。
シャルルは、少女の背へ駆け寄り叫んだ。
「もう一人じゃないよ! 僕らが来た!」
少女はわずかに肩を揺らし、鋭く目を向けた。
その瞳は、驚きと警戒、そして……どこか懐かしさにも似た色を宿していた。 - 306◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:21:45
「……あんたたち、何者?」
レオンは静かに答える。
「同じ“声”に導かれた者かもしれん──だが、今はそんなことより、敵を減らす方が先だ」
「……いいわ。貸し一つ、ってことで」
少女は再び剣を構えた。
風が止み、燃え残る灰が舞う。
四対八。だが、勝機はある。 - 307◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 18:22:47
先に、少女の
【名前】
【年齢】
【性格】
を、該当するレス下3つからダイス - 308二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:27:23
【名前】エアリス
【年齢】15
【性格】とても気が強く勇猛果敢で正義感も強い - 309二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 18:36:04
ルージュ
年齢16
炎を使う。素早い動きで敵を翻弄
正義感が強いが若干バーサーカー気味
実はヴァンパイア - 310二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 19:48:16
パシオン
14歳
冷静に見えるがかなりキレ症。圧倒的な情熱と人を引きつける力があり、熱血。キレていても冷静な判断力を失わない。 - 311◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 20:02:47
- 312◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 20:03:35
ヴァンパイアの少女ルージュが仲間に加わるかも?
続いて、4人の戦略を該当するレス下3つからダイス - 313二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 20:34:30
- 314二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 20:45:30
- 315二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 21:02:48
ここは俺たちに任せて休んでろする
後ろでシャルルの血をこっそり吸ってる
そこで吸血鬼だとわかる - 316◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:03:40
- 317◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:08:04
燃え盛る戦場の只中、レオンは少女の肩をつかんだ。
「ここはオノレたちに任せろ」
少女は一瞬だけ驚いた目をしたが、すぐに頷く。
「……わかった。けど、すぐ戻るわよ」
「シャルル、ついていけ。援護は任せた」
「う、うん……!」
二人が退くのを確認すると、レオンは長剣を構えなおし、カイルと並び立った。
敵の視線が、一斉に二人に集まる。
だが、恐怖を抱く者はいない。代わりに──覚悟と共に、氣が、燃えた。
「ここからが本番だ」
レオンが呟いた。
カイルが詠唱を始める。
「〈深紅ノ輪・咆炎陣(クラマ・インフェルノ)〉……!」
地面が割れ、溶岩のごとき熱が吹き上がる。
敵の動きが乱れた瞬間、レオンは一陣の風と化し、前衛へ突撃。 - 318◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:08:51
斬。突。払。
剣が雷のごとく疾り、敵の槍兵が倒れる。
カイルの魔法が、別方向から炎の鎖となって襲い、敵の足を絡め取る。
わずか数分──戦況は完全に逆転した。
残った者たちは恐怖に駆られ、森の奥へと逃げ散った。
レオンとカイルは、肩で息をしながら立ち尽くした。
「……終わったな」
「……シャルルたち、無事かな」
二人は谷の上、茂みの陰に戻っていった。
だが、そこで見た光景は──予想もしないものだった。
少女が、シャルルの背後に立ち、その首元へ、小さな牙を立てようとしていた。 - 319◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:09:53
シャルルは目を閉じて震えていたが、叫びも抵抗もせず、ただ……小さな声で言っていた。
「……平気だよ。ボクの血で……君が生きられるなら……」
「やめろ!」
レオンの声が、谷に響いた。
少女がビクリと体を硬直させ、牙を引いた。
その紅い目が、レオンをまっすぐに捉える。
「……見てたのね」
「ウヌ、まさか……吸血鬼か」
少女は数歩、後ずさると、苦笑いを浮かべながら、剣を地面に突き立てた。
「隠すつもりはなかった。
でも……言えば、きっと逃げられると思って」 - 320◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:10:44
カイルが一歩前へ出た。
「どうしてシャルルを? 食うためか?」
「違う」少女ははっきりと言った。
「私は“誓約”してる。人の命を奪ってまで血を飲んだりはしない。
けど、渇きは抑えられない。……限界だったのよ」
レオンがゆっくりと近づき、シャルルを庇うように立つ。
少女は剣を抜かず、ただ両手を上げた。
「ボクは……自分の意志で血をあげようとしたんだ」
シャルルが、レオンの背中から顔を出して言った。
「それに、彼女はちゃんと止まったよ」
レオンは目を細めたまま、しばらくルージュを見据えていた。
そして、やがて、静かに言った。 - 321◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:11:35
「……ウヌが、本当にその誓いを守ってきたのなら──
これからも、守る覚悟があるならば……共に来るがいい」
少女は驚き、目を見開く。
「いいの? 私が“人ならざる者”でも」
「オノレたちは、“声”に導かれている。
その中に、ウヌがいたのも、また運命だ」
カイルもふっと笑った。
「まあ……吸血鬼の仲間がいても、悪くないだろ」
「それに、戦力にもなるしな」
少女は一瞬、何かを迷うような顔をしたが──やがて、少しだけ肩の力を抜き、微笑んだ。
「……なら、貸しは二つってことで」 - 322◆qcSQN4N5gc25/07/14(月) 21:11:58
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 323二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 21:15:24
再び塔を目指しながらルージュが戦っていた理由を聞く
- 324二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:23:35
ルージュが何故魔法を使えるのか聞く
シャルルに魔法を教えてあげる。 - 325二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 01:31:03
ルージュにそれとなく色々聞き出す
- 326二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 06:50:54
そういえば太陽当たっちゃいけないって言われてること多いけどそこら変どうなんかな?日傘?でもアクロバットに動くらしいしローブとかフードかな?
- 327◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 07:24:58
- 328◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:18:39
焚き火の静かな音が、夜の森にさざ波のように響く。
谷を越えた場所に設けた臨時の野営地で、四人はしばしの休息を取っていた。
シャルルは眠っていた。
カイルも横になっていたが、まだ眠ってはいない。
ルージュは、焚き火の反対側に座り、膝を抱えて空を見上げていた。
その横顔には、どこか孤独と諦念が混じったような影が差していた。
レオンは、少し遠巻きにその姿を見ていたが、やがて静かに言葉を投げかけた。 - 329◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:19:14
「……ウヌ、“誓約”と言ってたな」
ルージュは視線を動かさず、わずかに口元を緩めた。
「聞きたいんでしょ、オジサマ」
「そうだ。オノレたちと歩む以上、互いに隠し事は少ないほうがいい」
ルージュは立ち上がり、焚き火の側に歩いてきた。
彼女の赤い瞳が炎に照らされ、一瞬、妖しい光を湛える。
「……私は、“純血”じゃない。
母は人間、父は……古き夜の血を引いてる」
「混血、か」
「そう。だから、他の吸血鬼みたいに、陽に焼かれることはない。
だけど“飢え”はある。“血”は、どうしても……必要」
レオンは無言で頷いた。 - 330◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:19:55
「でも、ある修道会の“異端審問士”に拾われてね。
殺されるかと思ったら──逆に、“誓約”を結ばされたの」
「吸血鬼が、異端審問士に?」
「皮肉でしょ。でもね、その人はこう言ったの。
“お前が人であろうと、夜の者であろうと、命を尊ぶ限り、その刃を振るう資格がある”……って」
「……その審問士、名前は?」
「ガエル・サントレ……今はもういない」
レオンは記憶を探ったが、その名に聞き覚えはなかった。
だが、心のどこかが微かに温まるような、不思議な感覚を覚えていた。
ルージュは続ける。
「その後、旅をして、戦って、血を避けながら生きてきた。
“人”の中に混ざって、正義ごっこをして……でも結局、どこへ行っても“化け物”と呼ばれる」
「……それでも、守ろうとするのか」
「そう。誰かが、そうしてくれたから」 - 331◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 11:20:38
焚き火の火がパチ、と小さく弾ける。
レオンは火を見つめながら、静かに言った。
「ウヌも“導かれた”か? あの……“声”にな」
ルージュは少し黙ったあと、肩をすくめた。
「“夢の中で道を示された”ことなら、あるわね。
灰の塔と、燃える海と、光を背負う少年。
“そこへ行け”って……それだけ」
「……光を背負う少年?」
ルージュがレオンの顔をじっと見つめた。
「その少年の顔は、よく見えなかった。でも……なんとなく、シャルルに似てた気がする」
風が一陣、木々を揺らす。
炎が、シャルルの顔を照らす。彼は静かに眠っていた。
レオンは内心に、深く響くものを感じていた。
(やはり……この出会いは偶然ではない) - 332◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 12:03:42
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 333二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 12:19:48
- 334二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 13:39:06
このレスは削除されています
- 335二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 16:18:10
- 336二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 16:32:06
- 337◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:50:38
- 338◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:54:02
夜明けとともに、四人は塔への道を再開した。
空気は冷たく澄み、太陽の光が木々の葉の間からまだらに差し込む。
しかし、静けさはすぐに破られた。
それは、谷を越えた広場のような岩地。そこに、“それ”は立っていた。
人の姿に近いが、人ではない。
重厚な鎧を身にまとい、背にはまるで鉄の車輪を背負ったかのような異形の魔物。
だが、その目は鋭く理性を宿し、そして──言葉を発した。
「……来たか、導かれし者たち」
ルージュが即座に剣を構え、カイルが構えずとも魔力を纏う。
レオンは一歩、前に出て尋ねた。
「ウヌ……人の言葉を話す魔物か」
「話すだけではない」
魔物は剣を抜いた。それは“戦斧”にも見える巨大な剣。
「私は“戦車”を司る者。試すためにここに立つ」
「試す……だと?」カイルが眉をひそめる。
「貴様らの歩む先に“塔”がある。だが、それに相応しき者であるかどうか……“通過の権利”を持つ者かどうかは、この身で試さねばならぬ」
言葉が終わると同時に、魔物は動いた。 - 339◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:55:01
その速度は、風の如し。そして攻撃は──痛烈に的を突く。
レオンの剣筋を見切り、寸前でかわし、逆に肩を打ち抜く。
カイルの魔法詠唱に合わせて、音の立たぬ一撃で肋を狙う。
ルージュの動きを炎の流れごと読み切り、剣の打ち合いにすらならぬまま腕を裂く。
シャルルは斬られる寸前にルージュが庇ったが、それでも吹き飛ばされた。
そして数分後──四人は、地に膝をついていた。
「これが、オノレたちの……限界か」
レオンの血にまみれた手が、剣を握ろうとして震える。
しかし、その時──魔物は、ふと剣を地面に突き立てた。
「……否」
その声には、戦場に似合わぬ穏やかさがあった。 - 340◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:55:48
「確かに貴様らは劣っていた。だが、諦めなかった。
己の限界と戦う者の姿を、私は否定しない」
魔物は仰ぎ見るように空を見た。
「私は“戦車”──前進と征服、意思と制御の象徴。
そして、“塔”はその対極にある。崩壊と真実、目覚めと破壊の化身だ」
「……“塔”……」
ルージュが、血を拭きながら繰り返す。
「その塔に進むがいい。“戦車”を越えた者として。
あの塔には、我が同胞、“塔”を司る者が眠っている。
真実を欲するなら、行け」
魔物はゆっくりと姿を消していった。
風と同化するかのように、その身は霧となり、消えた。 - 341◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:56:10
地に伏した四人のもとに、静寂が戻った。
カイルが顔をしかめながら起き上がる。
「今の……本当に、魔物だったのか……?」
「いや……“何か”だ。名を知ってなお、正体は掴めん」
レオンは腕を押さえながら立ち上がり、静かに塔の方角を見据えた。
「“塔”──崩壊と真実、目覚めと破壊……か」 - 342◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 16:56:25
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 343二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 17:27:54
- 344二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 17:56:36
- 345二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 17:58:59
- 346二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:03:11
灰の塔、タロット
…タワーオブグレー? - 347◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:06:59
- 348◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:07:25
タロットの暗示はどこで何から得たことにしましょうか。
該当するレス下3つからダイス - 349二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:11:37
自分を
「世界」と名乗る者から - 350二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:12:08
傷の手当てのためルージュの家に向かう途中でフードを深く被った人物から
- 351二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:21:21
- 352◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:22:51
- 353二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:26:33
なんか、3部ジョジョに似てきた気がせんでもないな
- 354◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:27:02
塔を前にして立ち止まり、野営の準備を進めていたその夜。
冷たい霧が山間を覆いはじめ、焚き火の灯りさえ滲んで揺れていた。
シャルルは既に眠り、カイルは静かに呪文の書を眺めていた。
レオンは木々の間を見張っていたが、その視線が鋭く変わる。
「……来る」
氣の流れが静かに、だが確かに動いていた。
そして──森の陰から、二つの影が現れた。
一人は、漆黒のコートをまとい、血のような瞳を持つ長身の男。
冷たい気配と絶対的な威圧感を纏っている。
もう一人は、静かな微笑みを浮かべた人間の女性。
年齢は三十代半ばと見え、青い瞳と灰色の巻き髪が特徴的だった。
レオンがすぐに剣に手をかけると、後ろから小さく声がかかった。
「……待って」
振り返れば、ルージュが、まるで吐き捨てるような声で言った。
「その人たち……私の“親”よ」 - 355◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:28:15
静まりかえる空気の中、二人の訪問者はまっすぐに焚き火のもとへ歩いてきた。
「……ルージュ」
人間の女性が、微笑みをたたえながらその名を呼ぶ。
だが、その声には温かさがあっても、“魂”が感じられなかった。
吸血鬼の男──ルージュの父は、淡々とした口調で言った。
「探したぞ。こんな場所をうろつくものではない」
「……私は、自分の足でここまで来たのよ」
「それが問題だ。今すぐ帰るべきだ」
会話に割って入るように、ルージュは焚き火の前に立った。
「……おかしいのよ、あんたたち。ずっと優しかったのに。
厳しかったけど、自由も尊重してくれてた。
だけど“あの日”から、急に変わった……
“神の使い”なんて名乗る奴に会ってから──」
その言葉に、両親は一瞬だけ目を伏せた。
だが、返ってきた言葉は、あまりに機械的だった。 - 356◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:29:09
「私たちは正しい導きを受けただけ」
「そう、神の意思は迷いを消し、恐れを癒してくれるわ」
ルージュは歯噛みするように唇を噛みしめた。
「二人は……二人のままでよかったのに。
誰かに言われた通りじゃなくて、自分の意志で生きてほしかったのに」
レオンはルージュの横に立ち、低く尋ねる。
「“神の使い”とやらの名を、ウヌらは知っているか」
「名は……必要ない。彼は“啓示”そのもの」
「“塔”の上で我らを待っておられる。
“選ばれし者たち”に試練を授けるのだ、と」
それを聞いたカイルが眉をひそめ、静かに呟いた。
「啓示、塔……こいつらも、“声”に導かれたのか?」
ルージュはじっと両親を見つめ、やがて、悲しげに言った。 - 357◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:29:40
「……会えてよかった。だけど、今の私には、ついてきてほしくない。
私は、私のやり方で進むから」
「ならば──道を違えるまでだ」
父は娘を見つめ、そう言うと、母とともに背を向けた。
森の奥へ、霧と共に消えていった。
ルージュは何も言わなかった。ただ、焚き火をじっと見つめていた。
その目には、怒りも悲しみも混ざっていたが……それ以上に、何かを決意した強さがあった。 - 358◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:33:42
朝霧の中、塔へと続く山道を進む四人。
空は重く、風はどこか湿っていたが、誰一人、足を止めようとはしなかった。
その時──
「旅の御方よ、ちょっと運試ししていかれますか?」
唐突に、山道の曲がり角に現れたのは、ボロをまとった老婆だった。
背中を丸め、奇妙な笑みを浮かべたその占い師は、地面に小さな机を広げていた。
机の上には、見慣れない図柄のタロットカードが、まるで自然に並べられていた。
レオンが一歩前に出る。
「……何者だ、ウヌは」
「名乗るほどの者ではありませぬ。ただの通りすがりの“導き手”……」
老婆はヒヒヒと笑い、カードをシャッフルしながら言った。
「ただし、これだけは言っておきますよ。
貴方がたが向かう“塔”──そこには運命の鍵が眠っておる。
ゆえに、今ここで一枚、カードを引くことには意味があるのです」
「ふん。運任せは性に合わんが……やってみるか」 - 359◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:34:17
レオンが無造作に一枚引き上げる。
示されたカードは──『魔術師』。
老婆が目を見開く。
「ほほう……それは『創造と始まりの力』。
力を内に秘め、現実を変える才の象徴。
だが、その力は信念がなければ迷いを招く……」
続いてカイルが引く。
出たのは──『恋人』。
「選択と葛藤、そして“繋がり”の象徴。
その魔術には、いつも誰かの想いが絡んでおる……」
「……余計な詮索はやめてくれ」
カイルが顔をそむけながら呟いた。 - 360◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:34:55
次はシャルル。震える手でカードを一枚。
──『愚者』。
「ほほう、これは……始まりにして無垢なる運命の旅人。
信じるままに進む者。危うさと可能性を背負う存在……ふふ」
「ボク……らしいかも」
最後に、ルージュが勢いよく引き上げる。
──『力』。
「……それは、内なる獣を制し、他者と向き合う力。
激情ではなく、慈愛によって戦う者……」
ルージュは目を細めたまま、黙ってカードを見つめていた。
その時──老婆はもう一度カードの山から、何も言わずに二枚を抜き出す。 - 361◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:35:43
「これは……余計なことかもしれませんが」
差し出されたのは、反対向きに描かれた『帝王』と『女帝』のカード。
「これは……あなたの“両親”を表しているようですね、娘さん」
「……!」
ルージュが小さく息を呑む。
「逆位置の『帝王』と『女帝』は、支配の歪みと、愛情の過剰干渉を象徴しています。
慈しみが狂えば、自由を殺し、秩序が歪めば……正義は暴政に変わる」
「ウヌ……何者だ?」
レオンが再び問う。
だが、老婆はただ静かに、カードを片付けながら言った。 - 362◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:36:13
「“塔”へ進みなさい、選ばれし者たち。
その先には、“タロットに冠せられた者たち”との戦いが待っていますよ。
“戦車”は通過点。次は、“塔”自身との邂逅があるでしょう」
そう言い残し、老婆は煙のように霧の中へと消えていった。
四人はカードを手に、それぞれの想いで沈黙に包まれたまま、再び歩き出す。
塔は、すぐそこだ。 - 363◆qcSQN4N5gc25/07/15(火) 18:36:34
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 364二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:41:01
- 365二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 20:09:05
- 366二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 01:25:32
とうにはいる
- 367二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 09:11:48
age
- 368◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:10:57
- 369◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:13:04
塔は、霧の彼方にそびえていた。
歪んだ石積みのように見えるが、どこか自然の理を超えた気配が漂っている。
それはまるで、天を突く意志そのもの。
レオンたちがその前へと踏み出したとき、何やら激しい音が聞こえた。
「……戦ってる?」
ルージュが目を細める。
カイルとシャルルはそれぞれ魔力と氣を集中し、警戒を強める。
やがて、塔の麓の広場に近づくと、そこには奇妙な光景が広がっていた。
──一人の青年が、賊の集団に囲まれていた。
だが、劣勢ではなかった。
むしろその青年は、裸手で、目にも止まらぬ速度で賊たちを打ち倒していく。
「くっ……な、なんだこいつ……!」
「触れただけで、力が……抜けて……!」
たった一人で十数人を相手にしながら、傷一つ負わず、むしろ軽やかに、優雅にさえ見える。 - 370◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:13:34
青年の動きには、殺意も憎悪もない。
ただ、“流れ”のような、自然律に従う力を宿していた。
そして──最後の一人を地に伏せさせたとき、青年はそっと手を胸に当て、静かに一礼した。
「……誰一人、命を奪ってはおりません。どうか、ご安心を」
そのとき、レオンたちに気づき、ゆったりと振り返った。
彼は、整った顔立ちに穏やかな笑みを浮かべ、深緑の外套をまとっていた。
その姿には紳士然とした気品と、どこか聖職者めいた厳かさがあった。
「おや。貴方がたが“塔を目指す者たち”でしょうか」 - 371◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:14:10
レオンが前に出る。
「ウヌ……何者だ?」
「名乗りましょう。私はシオン・エリファス。
“生命の座”を授かった者──あるいは、“世界樹の枝”とも呼ばれました」
「“生命の座”……?」シャルルが聞き返す。
「魔法でも氣でもありません。これは“存在を束ねる力”。
“在る”ことを維持する──命そのものへの干渉です」
ルージュが唇をかすかに噛む。
「さっきの賊たち……あんた、一切“殺してない”の?」
「はい。痛みは与えましたが、“死”には至っておりません」
カイルが小さく舌打ちした。
「厄介な奴が出てきたな……」 - 372◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:14:45
しかしシオンは、どこか哀しみすら滲ませたまなざしで語った。
「私は“塔”に招かれました。しかし、それに従う気はありません。
真に力を持つ者は、“破壊”ではなく“調和”を選ぶべきだと信じている」
「では、ウヌは……オノレたちの敵ではない、というのか」
シオンは頷いた。
「敵ではありません。
ただ──私の“義務”として、“命の平衡”を守るため、
貴方がたのうち一人、もし“滅びの兆し”を帯びる者がいるなら……私は、それを止めねばなりません」
四人の背筋に、わずかな緊張が走った。
だがその時、塔の上部から──
鐘のような音が、深く、大きく響き渡った。
塔が、呼んでいる。 - 373◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 10:15:12
新キャラの名前はAIが決めてしまいました。
次の行動を、該当するレス下3つからダイス - 374二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:30:13
- 375二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:41:23
- 376二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 12:24:53
「戦車」がつよい力に引き寄せられてやってきた
- 377◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:38:27
- 378◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:41:08
塔を目前にし、四人とシオンが緊張の糸を解く間もなく、地鳴りのような音が、山道の向こうから響いてきた。
「……何か来るぞ」
レオンの声に、カイルとルージュが即座に構えを取り、シャルルも怯えつつも、前に立とうとする。
霧の中を貫いて現れたのは──
あの“戦車”の魔物。
──黒鉄の鎧に覆われ、巨大な戦斧のような剣を背に、その姿は、あの日と寸分違わぬ威容を誇っていた。
だが、今回は様子が違った。
魔物はすぐには武器を構えなかった。
むしろ、塔の前に立つシオンを見て、深く膝を折ったのだ。
「……“命の座”の守人……」
「……久しいな、“戦車”。」
シオンの声は、まるで旧友に向けるような柔らかさを帯びていた。 - 379◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:43:06
「何の用だ? 君は試練を越えた者たちに、再び刃を向けに来たのか?」
「否」
魔物は、ヘルム越しに深い声を響かせる。
「強き力が、塔に集まりつつある。
我が身は、“力の奔流”に引き寄せられたに過ぎぬ。
それが貴様らのうち誰のものか──確認するために」
カイルが低く呟く。
「まるで……人間みたいだな、こいつ」
ルージュもまた、微かに気圧されつつも尋ねる。
「アンタ……自分の意思で来たの?」
「我が存在は、塔の試練の一部。
だが……意思はある。かつての“塔”の番人が与えた、“選択の自由”だ」
その時、魔物の瞳孔がレオンを見据えるように光を放った。 - 380◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:44:46
「……貴様は、“魔術師”のカードを引いたな」
「そうだ」
レオンは前に出た。
「何を見極めに来た」
「“魔術師”は、始まりの者。世界を織り直す力を得る者。
だが……その道に迷えば、秩序を壊す危険も孕む。
貴様が、その力に“飲まれる”者か、あるいは、“制御する”者か……」
その声には、怒りも敵意もなかった。
ただ、確認と観察、そして、かすかな敬意。 - 381◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:45:35
レオンは目を伏せ、そして言った。
「……塔に向かう。
だがオノレは、誰に見られようと、自分の信じるやり方でやる」
魔物はしばし沈黙し──
やがて、大きく一礼した。
「ならば、我はここで退こう。
“戦車”は、道を切り開く象徴……
“魔術師”の歩む先に、土砂があってはならぬ」
「それでいい」
魔物は一歩ずつ後退し、霧の中へと消えていった。
敵ではなかった。
ただ、何かを見守っている存在。
それが、あの“戦車”の魔物だったのだ。
シオンが静かに言った。
「この塔には、貴方がたが思っている以上に、“意思ある存在”が集っているようです。
これは、もう単なる試練ではない。“選別”が始まっている……」
レオンは、塔の入り口をじっと見据えた。
塔は、無言で、彼らを待っている。 - 382◆qcSQN4N5gc25/07/16(水) 12:46:15
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 383二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 17:43:48
- 384二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 19:59:42
- 385二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 01:28:38
このレスは削除されています
- 386◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 08:16:59
- 387◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 11:15:12
塔の前で“戦車”の魔物が姿を消したあとも、レオンはすぐに中へ入ろうとはしなかった。
「ちょっと、外回りを見ておきたい。嫌な感じがする」
そう言うと、カイルとシャルル、そしてルージュもそれに従い、塔の外周と根元を調べ始めることにした。 - 388◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 11:15:46
塔は、白く輝く石でできていた。
近づいてみると、外壁には古代語のような文字が彫られており、その一部は、剥がれたり風化したりしていて判読が困難だ。
シャルルが近くの石碑に気づいて指差す。
「これ……誰かの名前?」
石碑には、ほとんど消えかけた彫刻があった。
だが、レオンが気を込めて指でなぞると、かろうじて浮かび上がった文字があった。
“クレア・ルーセント”
「……人名だな。塔に関わった者か」
カイルが塔の根元を掘り返すように足元の苔を剥がすと、その下には、埋められた金属片のようなものがあった。
それは――折れた魔導具の一部。
ルージュが少し警戒したような目で言う。
「これは……霊力を増幅するための術具。しかも相当古い……」 - 389◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 11:16:46
そのとき、突如として空気がざわめき、誰かの“声”が耳元に直接語りかけてきた。
「ようやく来たのね、レオン」
女性の声。静かで、どこか哀しみを帯びた響き。
レオンが反応するが、カイルもシャルルも、ルージュも聞こえていないようだった。
「……誰だ」
「わたしはこの塔の“記憶”。
かつてここにいた、誰かの想いの残滓……」
「塔は試練ではない。
塔は――“封印”なの」
レオンの胸に、ある記憶のような映像が流れ込んできた。
──
赤い月の夜、塔の前で倒れる騎士たち。
白い髪の女性が、その中心で光を放ち、“何か”を中に閉じ込めている。
塔の扉が閉ざされる。
── - 390◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 11:17:12
声はそこで途切れ、再び静寂が戻る。
「どうした、レオン?」
カイルが不思議そうに声をかけてきた。
「……いや。少し、気配を感じただけだ」 - 391◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 11:17:29
次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 392二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 11:22:17
念のため感じた気配を探る
- 393二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 11:22:59
- 394二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 13:38:08
シオンとともに四人はが警戒しながら入る。
- 395◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:13:35
- 396◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:16:06
塔の扉が静かに開かれると、内部には意外なほど穏やかな空気が漂っていた。
レオン、カイル、シャルル、ルージュ、そして新たに加わった青年・シオンの五人が、足を踏み入れる。
その瞬間――
「……ああ……これは……」
「なんだ、この静けさ……まるで……」
「楽園のようね……」
レオン、カイル、シャルル。
三人の口から思わず漏れたのは、驚きと陶酔の言葉。
塔の内部には陽光が差し込み、壁には美しい蔦が絡み、花が咲き乱れる。
床には水晶のようなタイルが敷かれ、鳥のさえずりまで聞こえてくる。
しかしその中で、シオンだけが目を細めて言った。 - 397◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:16:28
「……冗談だろう。ここが、楽園? 君たち、何が見えてる?」
彼の目には、崩れた石材、すすけた壁、破れた天井、そして血痕すらも残る荒れ果てた空間が映っていた。
ルージュは戸惑った表情で周囲を見回す。
「え……? でも、私にも“綺麗”に見える……でも……なんか変……」
シャルルは、手を伸ばして目の前の“花”に触れようとするが――
その手は空を掴むだけだった。
「……綺麗だけど……汚れてるのも、見える。両方……重なってるみたい」
五人の中で、明確に幻を“見破っている”のはシオンただ一人だった。
シャルルは部分的に幻覚と現実の“両方”を捉えているようだ。
それに気づいたレオンは、すぐに内心を冷やし、氣を研ぎ澄ます。 - 398◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:16:53
「これは……幻術か? いや、もっと根が深い。精神に干渉してくる……」
カイルも、額に手を当てて目をつむるが、やはり景色は変わらない。
「でも、危険な感じはしないんだ……むしろ、落ち着く。これは“甘い罠”か」
すると、ルージュの耳元に、ささやき声が聞こえてくる。
「気持ちいいでしょう? ここにいれば、戦わなくていいのよ……」
ルージュの瞳が一瞬だけ、どこか遠くを見つめるように虚ろになる。
その時――
シオンが素早く、ルージュの肩に手を置く。 - 399◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:17:33
「目を覚ませ」
「っ……あ……ッ」
ルージュは目を見開き、一歩後ずさる。
「今……誰かの声が……っ。でも、もう聞こえない……!」
レオンは短く息を吐く。
「幻覚に“感情”を乗せて、精神を鎮めて、思考を鈍らせる……。
やはり塔そのものが、“意思”を持っているとしか思えない」
シャルルが静かに問う。
「じゃあ、私たちが見てるのは……全部、ウソ……?」
シオンが頷く。
「幻だ。甘くて、心地よい。だが、それだけに恐ろしい。
――この塔は、人の“弱さ”を突いてくる」 - 400◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 14:17:47
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 401二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 17:37:36
音楽が聞こえてきた。レオン、シオン、シャルルは幻覚から目が覚め、塔の中にいた。しかし他の二人は塔の中にいる。急いで入るとまた幻覚を見る、音楽が聞こえる、塔の外にいるをくりかえす
- 402二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 18:38:35
- 403二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:42:29
- 404二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:38:09
hoahu
- 405◆qcSQN4N5gc25/07/17(木) 21:56:23
- 406二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 23:48:38
ほしゅ
- 407二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 06:21:08
ほ
- 408二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 09:12:28
このレスは削除されています
- 409◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:36:18
──それは、最初は微かな音だった。
風のような、草を撫でるような旋律。
けれども、それが耳に届いた瞬間――
レオンの瞳がすっと冴えた。
「……これは……音楽?」
カイルが身を震わせた。
「っ……目が、覚める……」
ルージュも苦しげに息を吐く。
「わたし……ずっと、花畑の中に立ってると思ってた……こんな……廃墟だったのに……」
──そして、三人が気づいたとき、自分たちは、塔の中ではなく“外”に立っていた。
塔の扉はそこにあり、しかし誰も開けた記憶はない。 - 410◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:36:47
「……なんだ、これは……? さっきまで中に……確かに中にいた……!」
カイルが振り返り、塔を睨みつける。
「シャルルとシオンがいない。中に残ったんだ……!」
レオンは短く頷くと、すぐさま剣を腰に戻して再び塔の扉に向かう。
ルージュとカイルもそれに続いた。
扉は、まるで待っていたかのように、ひとりでに開く。
そして、再び彼らが中に踏み込んだ瞬間――
またもや、“楽園”が目の前に広がる。
鳥の囀り、咲き乱れる草花、透き通る水音……。
「またか……っ」
レオンが歯噛みし、意識を集中しようとするが……
そのとき、再び音楽が響いた。 - 411◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:37:20
──それは、最初のものとは違う、重層的な和声と、不可思議な旋律。
まるで、意識の奥をかき混ぜるような……しかし、拒絶する力を込めた旋律だった。
三人の視界がぐらりと揺れ、次の瞬間――
塔の外。
風が頬を撫で、鳥が空を横切る。
まただ。
「っ……クソッ! 振り出しかよ……!」
カイルが地面を殴りつける。
ルージュが口を抑え、息を整える。
「これ……塔に入るたびに、幻覚を見せられて、音楽で外に放り出されてる……?」
レオンが目を閉じ、低く言った。
「塔が、オノレたちを中に“留めようとしていない”。
何か、オノレたち“3人”を“拒んでいる”。」
「……“選ばれなかった”ってことか……?」
カイルの呟きが風に溶ける。 - 412◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:37:55
そのとき、塔の上部のどこかから、音楽が再び流れ出す。
だが今度は、シャルルの声が混じっていた。
「……レオンさん、カイルさん、ルージュさん……聞こえてますか……?
ボク、ここにいます……塔の中に……何か……何かが“見せようとしてる”んです……
でも、これだけは分かります。
シオンさんは……この塔の何かと“話して”います……」
声はそこで途切れ、再び旋律だけが残された。
ルージュが振り向く。
「……シャルルが……音楽の向こうから……?」
レオンは、じっと塔の石壁を見つめながら呟いた。
「シャルルは、“両方”を見ていた。
シオンは、“幻”を一切見ていなかった。
オノレたちは、“幻しか見ていなかった”。
……その違いが、“扉の鍵”かもしれん」 - 413◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 10:38:12
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 414二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 11:23:41
- 415二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 11:25:36
- 416二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 15:20:09
外に出て埒が明かないので周りを見ると神父がいる。話しかけると「チェリー食べる?」と聞いてきて、「つながってるチェリー2つ食べて茎切らずに食べれたら対処法教えてあげる」と言われる。
- 417◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:19:31
- 418◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:22:29
その時だった。
風の音でもなければ、音楽の旋律でもない。
もっと直接的に、もっと……心の奥底に響くような声が、突如としてレオンの思考に割り込んできた。
「……やっと話ができるか、“魔術師”」
レオンは剣の柄に手を添えたまま、
反射的に辺りを見渡したが、誰もいない。
ルージュもカイルも、音には気づいていないようだ。
「聞こえているのはお前だけだよ。
まあ当然だな。何しろお前には、“魔術師の逆位置”という立派な烙印が押されてるからな」
──ひょうきんなようでいて、耳障りなまでに傲慢な口調。
言葉の端々に、嘲りと侮蔑が滲んでいる。
「“塔”の逆位置は知ってるか? “崩壊”、“傲慢の代償”、“偽りの力の終わり”……
お前たちが今いる場所こそ、その象徴。
美しき幻は、すぐに崩れ去る。そして、誰も真実を知らぬまま死ぬのだ」 - 419◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:23:14
レオンは眉をひそめながら、低く応じた。
「……何者だ。塔そのものか?」
「ああ、その通り。この塔そのものが“私”だ。
言ってしまえば、わたしはこの試練の主であり、審判であり、物語の編纂者でもある。
お前たちは所詮、舞台に立たされただけの“駒”に過ぎん。
お前、“魔術師”は、知識において未熟。
己が何と戦っているのかさえ知らずに、剣を振るい、氣を操り、仲間を守った気になっている。滑稽だなあ」
レオンの拳が、わずかに震えた。
「滑稽か……。では問う。
“知識”がなければ、何も守れぬというのか」
「知識は力だ。そして、力は必ず代償を伴う。
お前は、その“代償”の意味すら理解していない」 - 420◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:24:06
声は、嗜虐的な笑みに満ちた響きで続ける。
「……だがな、チャンスはやろう。
賭けだ。勝てば、あの二人を返してやる。
負ければ、“即死”だ。魂ごと、ここに喰われる。
どうだ、やってみるか?お前に勝てるとは、到底思っていないがな?」
カイルが眉をひそめてレオンを見る。
「……どうした?」
レオンは目を伏せて答えた。 - 421◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:24:51
「塔が話しかけてきた。……賭けをしようと言っている」
ルージュの目が鋭くなった。
「どんな条件?」
「オノレが勝てば、シャルルとシオンを解放。
負ければ、奴らの命は奪われる」
「……ふざけた塔ね……!」
カイルが剣に手を添えた。
「乗るしかないんだろ? 他に道はない……」
レオンは、ただ静かに首を振った。
「違う。奴が提示したのは“賭け”だ。戦いとは限らん。
そして、オノレには知識が足りないとも言ってきた……。
これは、“知の試練”だ」
ルージュが目を見張る。
「じゃあ、答えを間違えたら……?」
「その時は、命をもって支払うことになる」 - 422◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 16:25:12
賭けの内容と、レオンの行動を該当するレス下3つからダイス
- 423二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 16:33:26
ハイ&ローで勝負
簡単なゲームで決着がつく
3回戦での勝負を希望 - 424二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 16:50:41
過去のトラウマを呼び起こす
正気を保てたら解放 - 425二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:18:24
- 426◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:13:09
- 427◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:15:12
「賭けを受ける――」
レオンがそう口にした瞬間、世界がねじれた。
辺りにいたカイルも、ルージュも、その姿がふっと霞み、
気づいた時には──そこはもう、塔の外ではなかった。
それは、光のない空間。
冷たく、重く、空気は粘つき、壁も床も何もない。
ただ、レオン一人だけがそこにいた。
そして、頭の奥に、あの声がまた響く。
「“賭け”は始まった。
条件は単純だ――“正気を保ち続けられるか”、それだけだ。
お前の“本質”を試す。
すべては、あの時から始まっていた。
忘れたとは言わせんぞ、“ロイスの獣”……」 - 428◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:15:57
──そして、空間が“揺れた”。
レオンの眼前に、かつて仕えていたロイスの領主の玉座が現れる。
その前にひざまずき、目を伏せている若き日の自分。
「……どうか、最後の機会をください。
領主様、オノレは……誓って、潔白だ……!」
玉座の男は、レオンがよく知る人物――
ロイスの領主ヴァルデマール卿。
その冷たい眼差しと、指先の動き一つで、レオンの人生は狂わされた。
「潔白? フッ……お前のその剣で、何人の村人を黙らせた?
“忠義”とやらの名の下で、どれだけの血を流した?」
「それは……命令で……!」
「命令に従うことは、正義か?
責任を果たすことは、贖いか?
……お前はただの“獣”だ、レオン。
お前は“信じる”ことに逃げた。
だから、あの女も……守れなかった」 - 429◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:16:24
映像が切り替わる。
妻の名を叫びながら、瓦礫の下から血まみれの手を引き上げようとするレオン。
周囲には焼けた屋敷、倒れた仲間たち、絶叫。
「……なぜだ、なぜこんなことに……!」
「すべてはお前の“知識不足”だ。
それを“信念”で補おうとし、“力”で押し通そうとした。
魔術師の逆位置……お前は“愚か”だった」 - 430◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:16:47
また映像が変わる。
荒野に倒れる老婆。
涙を流す少女。
首を垂れる少年兵。
すべて、レオンが“見殺しにしてしまった”記憶の断片。
「見よ、これが“塔”の逆位置だ。
あらゆる偽りの正義は、こうして崩れ落ちる。
さあ、レオン。お前は、なおも立ち上がれるか?
その足で――“塔”を登れるか?」 - 431◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:18:41
冷たい空間に、光が差し込んでいく。
誰かの声がした。
「レオンさん……」
それは、シャルルの声だった。
次に、カイルの声。
「レオン……アンタは、まだ立ってるか……?」
そして、ほんの少しだけ、温もりを感じた。
妻がかつてくれた形見のブローチの感触が、胸元に確かにある。
それは、幻ではない。
レオンが“今も”背負っているもの。
──この“幻の塔”は、過去の自分が作り上げた牢獄だ。
しかし、過去は変えられずとも、
“過去を抱えたまま立つ”ことはできる。 - 432◆qcSQN4N5gc25/07/18(金) 21:19:00
レオンはどうする?
該当するレス下3つからダイス - 433二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 01:28:42
- 434二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 10:18:13
このレスは削除されています
- 435二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 11:39:20
- 436◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 12:07:39
- 437◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 12:09:21
光と影が混じり合う虚ろな空間に、
レオンの立つ足元にだけ、確かな“重さ”が戻っていた。
塔の声がなおも語りかける。
「……まだ迷いがあるようだな。“赦し”だと? “信念”だと?
戯言にすぎん。お前はどうせ、過去にすがるしかできない……」
しかし、レオンは一歩前へと踏み出した。
拳を握り、低く、だが確かに言葉を吐く。
「オノレは、もう迷わん。
過去のオノレも、あの血も、涙も、恨みも。
それもすべて……この手で引き受ける。
だからこそ、今この手で……シャルルとシオンを救いに行く。
そして、全員でここから去る。
オノレたちは、まだ旅の途中だ」
その瞬間、塔の空間に音楽が満ちる。
しかしそれはもう、精神を侵す旋律ではなかった。
それは――彼らを送り出すための、終曲だった。
塔の声が、やがて静かに言葉を漏らす。 - 438◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 12:10:10
「……そうか。愚かではあるが……それもまた、“魔術師”の力か。
お前は、“塔”の逆位置に対し、真っ向から“拒絶”した。崩壊を恐れず、己の意志で立ち上がるというのならば……今だけは、扉を開いてやろう」
空間が崩れ、光が溢れる。
そして、レオンの視界に――
塔の上層、玉座の間。
そこで、シャルルとシオンが膝をついていた。
シャルルの瞳には涙が溢れ、
シオンは額に汗を浮かべながらも、まだ目を閉じて何かと交信していた。
レオンが踏み込むと、シャルルが顔を上げる。
「レオンさん……!」
その声に、シオンも目を開く。
「……来たか。塔が……“納得”したらしい」
レオンはシャルルの肩に手を置き、頷いた。
「終わった。ウヌたちはもう、この呪いから離れる」
そしてシオンにも言葉を送る。
「シオン、行くぞ。オノレたちは、まだ“先”がある」 - 439◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 12:10:32
塔を出ると、すでに日が傾いていた。
外には、カイルとルージュが心配そうに待っていた。
「おせえぞ、レオン……! 無事か!?」
「シャルル……シオン……!」
涙と笑顔が交錯し、レオンは黙って皆を見渡した。
その表情に、すでに迷いはなかった。
塔の中に置いてきた過去は、もう重荷ではない。
そして、旅はまだ続く。
この腐れ果てたオムパロスの大地を、
“信念”と“絆”をもって踏みしめてゆくために―― - 440◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 12:10:54
5人の次の行動、あるいは次の展開を、該当するレス下3つからダイス
- 441二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 12:43:27
- 442二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 14:42:47
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- 443二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 15:53:31
日が傾いているので野宿の準備
その中で各々の覚悟を語る - 444二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 16:04:44
変な爺さんが現れて強くはなりたくないかと聞く。シオンはその爺さんを知っている。名前は知らないし爺さんも教える気はないらしい。強くなりたいと言うと、ここから先まっすぐいったところに吊られた男の暗示を持つ男がいるという。そいつの試練を耐え抜けばきっともっと強くなれるだろうという。シオンはそこで特訓してもらった。
- 445◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 17:56:06
- 446◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 17:59:41
静かな森の奥。
柔らかな日差しが落ち、鳥たちのさえずりすら穏やかだった午後――
その空気を破ったのは、「ルージュが連れてかれた!!」という、カイルの叫びだった。
彼の顔は蒼白で、目には焦燥と怒りと混乱が渦巻いていた。
息を荒げながら、レオンたちの元へと飛び込んでくる。
「……何があった」
レオンの声は低く、鋭い。
カイルは一度口を開きかけ、そして、苦しげに目を伏せた。
「……採集に行ってて、分かれて行動してたんだ。
オレは薬草を、ルージュは燃えやすい木の皮を。……すぐ近くにいた。ほんの十数歩の距離だった。
でも……一瞬、ほんの一瞬だ。ルージュの方から、“声”が聞こえた……」
レオンが目を細める。
「……どんな声だ」 - 447◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 18:00:12
「……女の声だった。若い、けど……何かが壊れてるような。
断片的にしか聞こえなかったけど……こんな感じだったと思う」
カイルはしばらく記憶を手繰り寄せるように目を閉じ、言葉をゆっくりと紡いだ。
「あなた……とてもきれいな“……”をしていますね……
白くて……とってもかわいらしい“……”を……」
「何がきれいでかわいらしいのか……聞き取れなかった。
だが……それを言われた直後、ルージュの氣配が、すっと消えたんだ」 - 448◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 18:01:25
シオンが静かに呟いた。
「その言葉の調子……呪的なものかもしれない。
声そのものに作用があり、名前を呼ぶように、相手の存在を拘束した可能性がある」
シャルルは震えながら、ルージュが消えた方角を見つめていた。
「……じゃあ……その“声”が、ルージュを……?」
レオンは、森の奥を睨みつけながら、短く答えた。
「行くぞ。まだ、遠くには行っていない」
そして、目を閉じ、掌を地に触れ、氣を巡らせる。
――微かに、血の香り。かすかな氣の揺らぎ。 - 449◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 18:01:43
「連れて行かれたのは北北西。
だが、普通の人間じゃない。足跡が、空に向かっていた。
これは……“風の道”を歩いた者の痕跡だ」
カイルの顔に険しさが戻る。
「風の道……魔族か、それとも上位種の使い魔か……」
シオンが小さく言った。
「……あるいは、“星”のカードに対応する存在かもしれない」
レオンは立ち上がり、剣の柄を握った。
「行くぞ。必ず取り戻す」
──そして、森の中へとレオンたちは走り出した。 - 450◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 18:02:07
そのころ──
ルージュの意識は、薄明のような空間で揺れていた。
そこはどこか懐かしく、けれどどこにも属さない場所。
揺れる花弁、淡い光、そして……白いローブの少女の姿。
その少女は、どこか狂気を孕んだような微笑を浮かべていた。
「あなた、とってもきれいな“血”をしていますね……
白くて、赤くて……透けて見えるような“心”……
あなたみたいな子、ずっと探していたんです。
今度こそ……今度こそ、“星の花嫁”に、なってもらいますから」
ルージュの意識は、そこで途切れた。 - 451◆qcSQN4N5gc25/07/19(土) 18:02:27
レオンたちの次の行動・展開を、該当するレス下3つからダイス
- 452二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 18:03:50
シオンに思い当たりがある場所を聞く
- 453二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 00:53:36
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- 454二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:08:31
奴なら何か知ってるかもと
シオンの師匠、[吊られた男]の元へ行く - 455◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 12:51:32
- 456二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:56:08
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- 457◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:00:37
森の木々が風にざわめく中、
レオンたちは一度足を止め、火を囲んだ。
ルージュをさらった“何か”の正体が曖昧なままでは、
ただ追いかけるだけでは危険が大きすぎる。
火の明かりに照らされた4人の顔には、焦りと決意が入り混じっていた。
最初に口を開いたのは、シャルルだった。
「……ボクたちが相手にしているのは、たぶん“星”のカードに関係してる……そうだよね?シオンさん。
“星”って……希望とか、夢とか、理想の投影の象徴。
でも逆位置になると、執着や妄想、現実逃避の象徴になる……。
それって、ルージュさんをさらった相手にちょっと当てはまる気がする」 - 458◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:01:06
シオンがそれに頷く。
「同感だ。あの声が言った“白くてかわいい”もの……
それは、心そのものか、血か、あるいは魂かもしれない」
カイルが腕を組んで考え込む。
「オレが感じた感じでは、風の力と幻術、それから強力な魔力による隔絶結界が使われてた。
正面突破はまずい……向こうから認識されないまま接近できる手段が必要になる」
火を囲む4人の間に、一瞬静けさが訪れた。
やがて、作戦がいくつか浮かび上がる。 - 459◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:02:08
1. シャルルの案:
「夢を重ねる」
幻術で覆われた空間に入り込むには、似た幻をこちらも作って重ね合わせる。
カイルの魔法と、レオンの“氣”による探知力を組み合わせれば、敵の結界と“波長を合わせる”ことができるかもしれない。
2. シオンの案:
「血の共鳴」
ルージュの落とした布や血を使い、
“星の力”に共鳴している魔力の座標そのものを突き止める。
敵の空間を部分的に強制開放し、侵入経路を作る。 - 460◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:03:02
3. レオンの案:
「氣の斬撃による突破」
氣による探知と精神集中を極限まで高め、
敵の結界を“斬る”。それにより、幻術もろとも空間を破壊し、
強行突破でルージュを取り戻す。
火がぱち、と音を立てた。
そして、4人の視線が自然とレオンに集まる。
彼らは、それぞれに危険を承知で策を提案している。
だが、決断の鍵は――やはり、レオンにあった。 - 461◆qcSQN4N5gc25/07/20(日) 13:04:00
レオンの選択を、該当するレス下3つからダイス
- 462二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:29:15
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- 463二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:30:35
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- 464二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:33:41
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- 465二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 02:10:06
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- 466◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 08:14:58
- 467◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:39:47
風が止まり、森が静まった。
レオンはゆっくりと腰を上げ、外套の下に隠していた形見のブローチにそっと触れる。
「……命を賭す価値がある」
その呟きに、誰も反論しなかった。
カイルが少し俯き、笑うように呟いた。
「ま、レオンが倒れたらオレたちでぶっ壊すけどな。頼りにはしてるぜ」
シャルルは心配そうに見つめながら、それでも強く頷く。
「ボクも……信じてる。レオンさんなら、きっと切り裂けるって……」
シオンも静かに言葉を添える。
「氣は、命そのもの。集中を乱さず、自らを揺らがせないこと――それが肝要だ」
レオンは深く頷くと、静かに森の奥、異質な氣の揺らぎが集中する一点に向かって歩き出した。 - 468◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:40:04
そこは、ただの空間に見える。
だが、氣を通わせた瞬間――
見えた。
気配の裂け目。
空間のひずみ。
無理やり織り上げられた“幻”の繭が、そこに存在していた。
「……いくぞ」
長剣を抜く。
ただの鉄の塊ではない――
そこには、レオン自身の氣が流れ込んでいる。 - 469◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:40:23
集中。
思考を静め、心を止める。
氣の流れを、足元から剣先へと一点に集める。
まるで、それは自身の命を刃に変えるような感覚だった。
周囲の音が消える。
風も止む。
仲間の存在すら遠ざかる――
そして、
──斬る。
一閃。
無音の中で、空間が真っ二つに裂けた。 - 470◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:40:58
その瞬間、まるでガラスが割れるように、結界が砕け、幻術が剥がれ、異界の空間が露わになる。
紅い花弁が舞い散る虚ろの空間。
白いローブの少女が、何かの詠唱をしている。
その足元に、結晶の中に囚われたルージュがいた。
だが、少女はレオンに目を向け、わずかに首を傾ける。
「……斬ったのね。
綺麗なものを……壊したわね。
あなたのその“氣”……ほんとに、汚くて素敵」
レオンは構えを取り直す。
「戻ってもらおうか。オノレたちの仲間だ」
「だめ。“星の花嫁”は、永遠に眠ってもらうんだもの。
ねえ、あなたも……とっても綺麗な血の香りがする……」
少女の背後に、星の紋章が瞬く。
ルージュの結晶に、ひびが走る。
レオンは踏み込む。
そこに、カイルたちも結界の外から突入してくる。
「無理矢理でもいい。今ここで終わらせる!」 - 471◆qcSQN4N5gc25/07/21(月) 11:41:14
レオンたちはどうする?
該当するレス下3つからダイス - 472二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 20:27:58
このレスは削除されています
- 473二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:50:13
斬りかかる。その時その少女は自分は大アルカナではなく、小アルカナの剣の王を司るものであることを告げる。そして、剣の王は正義、命令、権威を意味すること、更に剣は四大元素の風を司るものである子を教え、風で作った剣で応戦してくる。
- 474二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:04:29
倒そうとする。少女は全員皆殺.ししようとしたが、シャルルを見て、非常に美しい心!力!透き通るような氣!と興奮気味にいって捕らえようとしてくる
- 475二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 02:45:16
このレスは削除されています
- 476◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 07:01:41
- 477◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:30:28
幻惑の結界が砕かれ、
ルージュの結晶にひびが走ったその刹那――
敵は微笑んだ。
だが、その笑みには喜びでも慈愛でもない。
狂気のきらめきが混じっていた。
「もういい……壊してしまえば、全員の命なんて――」
少女が片手を掲げる。
そこに浮かぶのは、六芒星の紋章と、幾千もの星の煌めきを模した魔法陣。
星々がまるで流星のように、四人を焼き尽くそうと降り注ぐ。
レオンが前に出て剣で受け止め、
カイルが即座に魔法障壁を展開し、
シオンが周囲の氣を収束して味方に流す。
そしてその時、少女の視線が、ふいにひとりの少年に吸い寄せられた。 - 478◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:30:54
シャルル。
その青い瞳が、わずかに怯えながらも友を見つめ、
今まさに声を発そうとしていたその瞬間に。
少女は、狂ったように叫んだ。
「……なんて、なんてなんてなんて美しいの……!
透き通っていて、穢れてなくて、壊れやすそうで……それでも誰かを守ろうとする心……!!
君は……星の花嫁を超えた、星の主よ……!!」
少女の手が再び振り上げられる。
その掌から、白銀の糸のような魔力が放たれ、シャルルへと伸びていく。
「来なさい! 君の心ごと、魂ごと、私の星にしてあげる……!!」 - 479◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:31:16
シャルルは、糸に絡め取られ、足元を縛られる。
そして浮かび上がり始める。
「っ……レオンさん……た、助けて……!!」
レオンは瞬時に剣を構える。
カイルが怒声を上げる。
「ふざけんなよ、クソが……!手ぇ出したら、焼き尽くしてやる……!」
少女は陶酔したように微笑み、星の力を増幅させていく。
彼女は、シャルルを“さらなる器”にしようとしている――。 - 480◆qcSQN4N5gc25/07/22(火) 10:31:37
レオンたちはどうする?
該当するレス下3つからダイス - 481二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:10:26
抵抗を止めるように呼び掛ける
- 482二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 23:37:09
シオンが気配を消して少女の背後に接近して圧倒的フィジカルでアッパー。少女が吹っ飛んでシャルルは落ちたよ。でもまだルージュはピンチだよ
- 483二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:01:43
- 484二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:03:27
恐ろしいことしますね
- 485◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 02:03:02
- 486◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 02:03:45
グロいのはAIが出力してくれなさそう……
- 487二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 06:54:15
- 488◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:17:05
星が砕ける音がしたようだった。
魔力の糸がシャルルを絡め取り、空へと引き上げようとしていたその瞬間――
シオンが動いた。
無言のまま、右手をかざす。
彼の掌には、淡く揺れる銀の氣が渦巻き、
次の瞬間、それは敵の放った魔力の糸に触れ、逆流を始めた。
星の力で紡がれたはずの細い糸は、一本に集束され、
――まるで意志を持つように、少女の首へと巻きついていく。
その動きは静かだった。
暴力的でも、派手でもない。
だが、その力は――理の力そのもの。
少女は、その場でぴたりと動きを止めた。
白銀の糸が首元に食い込み、冷たい氣が肌に触れる。
そして、低く、淡々と、シオンの声が響いた。
「動けば……首が飛ぶ」
少女の瞳に、はじめて――恐怖の色が差した。 - 489◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:18:06
「……なっ……何をしたの……? 私の魔力に……逆らえるはずが……っ」
レオンが一歩踏み出す。
剣を下ろしたまま、鋭く問う。
「オノレの“星の花嫁”だの“星の主”だの……何を求めていた?」
少女は震えながらも、なおも哂うように言った。
「“塔”が言ったの……“星の器”を見つければ、“真なる主”が目覚めるって……
でも、こんなに……美しい魂は……もう、見つからない……」
その時、シャルルの足元を縛っていた糸がぱちん、と音を立てて切れ、
レオンが飛び込むようにして、受け止めた。
「よく耐えたな、ウヌは」
「っ……レオンさん……」
シャルルは震えていた。だが、その瞳は確かに、真っすぐに前を向いていた。
そして、カイルが呆れたように笑った。
「……ったく、お前ら……こっちは心臓止まるかと思ったぜ」 - 490◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:18:41
その言葉を合図にしたように、結晶が砕け、紅い炎が吹き上がる。
「……誰が、勝手に終わらせてんのよ」
ルージュが、目を覚ました。
緋色の瞳が、戦場の中心を鋭く見据えている。
「さあ、次は誰なの?アタシ、まだ戦ってないんだけど」
その場の空気が一変する。
全員がそろった。
“星”の使徒の少女は、もはや逃げ道を失っていた。
その表情に浮かんだのは、ついに……怯えだった。 - 491◆qcSQN4N5gc25/07/23(水) 09:19:04
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- 492二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:08:09
投降をうながす
- 493二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 02:57:03
このレスは削除されています
- 494二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 02:57:54
このレスは削除されています
- 495◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:12:59
- 496◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:39:37
風が、止んだ。
夜空には本物の星々が煌めき、静寂が世界を包む。
少女の喉元には、今なお銀の氣の糸がぴたりと巻かれ、
首筋に当たる冷たい氣が、彼女の焦りを無言で責めていた。
だがその中で、レオンは静かに一歩、踏み出す。
その手に剣はない。
彼が今、向けるのは――言葉という刃だった。
「……名を、教えてくれぬか」
少女は目を伏せる。
口を固く結び、拒絶するような態度――
だが、レオンはそれを責めなかった。 - 497◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:40:31
「ウヌは、“誰か”に求められてきたのだろう。
“こうあれ”と、“そうせよ”と……自分自身を、誰かに貸し出して生きてきた」
その言葉に、少女の肩がわずかに揺れた。
「……ワタシは、“星”の器。名などない。
ただ、“塔”に言われた通りに……“星の花嫁”を探して……」
「塔に言われた?」カイルが低く呟く。
「……アイツ、何人を操ってやがるんだ」
ルージュが一歩前に出て睨みつける。
「私を、モノ扱いしたあんたが許せない。
けど……それでも、何かが間違ってたってことくらい、気づいてんじゃないの?」
少女は顔を上げる。
その瞳にあったのは、初めての迷いだった。 - 498◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:41:09
シャルルが小さく口を開く。
「……あのとき、ボクに向かって“美しい”って言ったよね。
もしそれが本当なら――そんなボクが、君を傷つけたいと思うはずがないよ。
ボクたちは……君を止めたいだけなんだ。君が“誰か”として生きられるように。」
少女の瞳が、かすかに潤む。
レオンが最後に言った。
「名がないなら、これからつければいい。
“誰かの命令”ではなく、“己の意志”で――
ウヌが選んだ名を、誇りとして生きていけばいい」
風が、また吹いた。
銀の糸が静かにほどけ、地に落ちた。
少女はその場に膝をつき、震える声で呟いた。
「……“セレナ”……。
むかし、夢の中で呼ばれた……たった一度だけの名……。
……私、セレナになりたい……」
その言葉に、誰もが黙って頷いた。 - 499◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 09:41:31
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- 500二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:08:56
協力
- 501二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:17:02
協力
- 502二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:38:56
協力
- 503◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 17:24:19
火の粉が舞うような、静かな夜明けだった。
けれど、何かが変わった――確かに、そう感じさせる空気がそこにはあった。
少女・セレナは、かつて“星の器”として星の名を冠しながらも、名も意志も持たずに生きていた。
だが今――
その背にある長い銀髪は風に揺れ、
膝をついたその姿勢のまま、かすかに微笑んだ。
「……私を、連れていってくれるのね」
レオンはその姿を見つめながら、静かに頷く。
「ウヌが共に歩みたいのなら、拒む理由はない」 - 504◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 17:24:43
カイルは肩をすくめる。
「ま、うちのメンツはちょっと濃いけどな? すぐ慣れるさ」
ルージュはちらりと睨んだ後、鼻を鳴らした。
「……勝手にさらった件はまだ許してないからね。でも、アタシもアンタも、血の運命から抜け出したい者同士。利用できるならするだけよ」
シャルルは一歩近づき、優しく微笑んだ。
「ボクは嬉しいよ。君が“セレナ”になれたこと……。一緒に行こう。これからは、自分の意志でね」
シオンも穏やかに頷く。
「星は天にあるだけでなく、地にも降りる。
名を得た星よ、これよりは“生きる者”として、共に歩もう」
そして、新たなる仲間が加わった。 - 505◆qcSQN4N5gc25/07/24(木) 17:25:02
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- 506二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 21:41:27
束ねた魔力の糸を処理する
- 507二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 03:50:16
一休み
- 508二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 09:35:20
敵が強くなっていることを感じた。
だからシオンの師匠である「吊られた男」の下へ行き、特訓することにした。 - 509◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:30:39
- 510◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:43:28
朝霧が晴れ、陽が差し込む頃。
丘の上の野営地では、焚き火の香りと、パンの焼ける匂いが漂っていた。
シャルルが水を汲みに行き、カイルが獣肉を焼き、セレナは草地に座って星の魔力の断片に指を這わせていた。
ルージュは剣の素振りを繰り返しながらも、どこか落ち着かない表情をしている。
レオンは少し離れた場所で地図を広げ、皆の視線を集めるように言った。
「これからの道を決めねばならん」
静かに皆の視線が彼へと向かう。
ルージュが、少し声を強めて言った。
「アタシは……やっぱり、親のことを知りたい。
あの人たちは昔、誰よりも誇り高くて、誰にも媚びなかった。
なのに、今じゃ……まるで人形みたい」 - 511◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:44:07
レオンは頷く。
「“神の使い”と名乗る存在が、その背後にいる可能性は高い」
「“塔”とつながっているかもしれないね」
と、シオンが補足する。
セレナもまた、口を開く。
「“塔”の記憶の奥に、“帝王”と“女帝”のカードが逆さに置かれる様子が刻まれてた……
それが“計画の始まり”だったようにも感じるの」
カイルが地図の一角を指で叩いた。
「このあたりに、“赤月の谷”って呼ばれる場所がある。
ルージュの親父さんたちは、今はそこで暮らしてるんじゃなかったか?」
ルージュはわずかに驚き、頷く。
「……そう。赤月の谷……あそこは、吸血鬼の古い一族が隠れ住んでいた場所。
でも、数年前に一度、村全体が“清められた”って話を聞いた」
「清められた?」と、シャルルが不安そうに言った。
「それって、まさか……」 - 512◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:44:27
「そう、“神の使い”を名乗る者の一団が来て、村の長老たちは姿を消し、
代わりに父と母が“一族の王”になった……」
しんとした空気の中で、ルージュはまっすぐ前を見た。
「……真実を知る。
アタシはそれが怖い。でも、知らずに生きるのはもっとイヤ」
レオンは静かに立ち上がり、外套を肩に掛ける。
「ならば、まずは“赤月の谷”だ」
焚き火がパチリと音を立てた。
その音がまるで、新たな旅の狼煙のようだった。 - 513◆qcSQN4N5gc25/07/25(金) 10:44:42
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- 514二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:38:47
- 515二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:02:30
- 516二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 03:27:41
このレスは削除されています
- 517◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 09:38:47
- 518◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 09:59:49
森を抜け、荒野を越え、赤月の谷を目指す一行の道中――
レオンたちは、明らかな異変に気づきはじめていた。
風が重い。
夜に響く声は人のものではない。
倒したはずの魔物が、再び立ち上がることさえあった。
シャルルは額に汗をにじませて言った。
「……前より、ずっと、強い……」
レオンもまた、剣の切っ先で息を吐きながら頷く。
「“氣”の流れが歪んでいる。塔の影が……広がってきているのか」
そのとき、シオンが立ち止まり、皆の前に出た。
「……このまま進めば、きっと誰かが命を落とす」
全員が、静かに彼の言葉に耳を傾ける。
「ならば、私に時間をくれ。
私の……“師”の元で、一度、鍛え直したい」
「師……?」と、カイルが首をかしげる。
シオンは、懐から一枚のカードを取り出す。
それは、逆さまに吊られた男の絵が描かれた“吊られた男”のタロット。 - 519◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:00:24
「私の師は、“吊られた男”の暗示を宿す者。
彼は『動かずして悟る』という逆説的な教えを持つ人物だ。
氣の制御、精神の統一……すべての根源を教えてくれた」
レオンが言う。
「その男に、今も会えるのか?」
シオンは頷く。
「この近くの山岳地帯に、小さな庵を構えている。
……ただし、彼は“試す”存在でもある。私一人では、今回の門を開けないかもしれない。
皆にも力を貸してほしい」
するとルージュが口角を上げた。
「いいよ。アタシも“何か”が足りてないって感じてたとこ」
セレナもまた頷く。
「“塔”の魔は、私たちの知識や覚悟の“浅さ”をついてくる。
一度立ち止まる価値はあるわ」
こうして一行は、目的地を一時的に変更。
“吊られた男”の師匠が待つ山岳地帯へと向かうことを決めた。 - 520◆qcSQN4N5gc25/07/26(土) 10:00:42
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- 521二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 17:55:42
- 522二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:03:48
- 523二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 05:16:16
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- 524◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 09:49:46
- 525◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:33:00
険しい山道を抜けた先に――
一本の巨大な木が、空を衝くように伸びていた。
その枝は広がり、まるで天を支える傘のよう。
葉は風一つないのに揺れており、不思議な音――鐘のような響きを発していた。
「……あそこだ」
シオンが呟く。
全員がその言葉に目を向けると、視線の先――
枝のひとつに、逆さまに座る男の姿があった。 - 526◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:33:26
男は逆さまに、ロープではなく氣の糸のようなもので宙づりになっていた。
その姿はまさに「吊られた男」のタロットそのもの。
白い衣、長く伸びた髪、瞼を閉じ、頬には微かな微笑。
どこか 性別も年齢も曖昧に思える――奇妙な存在感。
そして、開口一番に言った言葉は、こうだった。
「──“動くことなく、すべてに手を届かせようとしている者たちよ。”」
その声は、男の口元から発せられていない。
木全体、空気そのものが語りかけてくるようだった。
「“知の乏しき者が、塔に触れるなかれ。
動くことに慣れた者が、止まることを知らねば、塔の底で朽ち果てる。”」
そして男は、ふと瞼を開いた。
目はまっすぐに、シオンを射抜く。 - 527◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:34:04
「──お前はまだ、恐れているな。“終わること”を。」
シオンが、小さくうなずいた。
「……はい、師匠」
吊られた男は、ゆっくりと木の上で姿勢を変え、
今度は片足で枝に立ち、両腕を水平に広げる――十字のような姿勢をとる。
「この地に立ち入った者は、“静寂”と“逆さまの真実”を知らねばならぬ。
ただ来たからとて、教えは授けぬ」
そう言うと、枝の一部が動き出す。
根が捻れ、枝がうねり、まるで塔のような“倒錯した空間”が現れた。
「お前たちには、“沈黙の森”を進んでもらう。
音を立てれば、声を発せば、思考が乱れれば──喰われる。」
「“吊られた者”が守るものは、ただの力ではない。
“自己”という名の塔を、逆から登る技である」 - 528◆qcSQN4N5gc25/07/27(日) 10:34:23
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- 529二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:46:50
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- 530二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:27:21
- 531二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 02:29:30
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- 532◆qcSQN4N5gc25/07/28(月) 09:55:30
森に足を踏み入れた瞬間、すべての音が消えた。
鳥の囀りも、風のざわめきも、
自分たちの足音すら、まるで存在しないかのように。
喉が震えても、声が出ない。
唇を動かしても、音が空気に届かない。
「沈黙の森」――そこは、“音”という概念が封じられた空間だった。
レオンたちは互いに視線を交わし、手で合図しながら進む。
しかし、足を進めるたびに、“何か”が少しずつ――侵食してくる。 - 533◆qcSQN4N5gc25/07/28(月) 09:56:06
森の奥で、レオンの目の前にかつての仲間の幻影が現れる。
無言のまま、その口は動く。
『──なぜお前が、生きている?』
顔は曇り、怒りに満ちている。
だがその瞳は、どこか悲しみを湛えていた。
レオンは拳を握りしめる。
怒りを感じた瞬間、“周囲の樹々が赤黒く染まり”、自身の氣が荒れ始める。
シャルルの前には、小さな光の蝶が舞う。
美しく、透き通っていて、どこか母の声に似た囁きが聞こえるような気がする。
蝶を追って進むうちに、シャルルの氣がゆっくりと薄れていく。
それは、「美に取り込まれる」ことを意味していた。
あと数歩で蝶に触れる──その時、彼の心に微かに“ルージュの笑顔”が浮かぶ。
──“今、自分は何に惹かれている?本物か?偽物か?” - 534◆qcSQN4N5gc25/07/28(月) 09:57:09
静寂の中で、木の幹に師匠の姿が現れる。
だがその師は、若かりし日のシオンに語りかける。
『お前が欲していたのは“知”か、それとも“赦し”か?』
魔力の糸が、勝手に編まれ、首へ、腕へと絡みついていく。
それは「自責」という名の罠だった。
シオンは、今の自分が何を恐れているのかを突きつけられる。
ルージュ、カイル、セレナの三人は、一つの円環に閉じ込められ、互いの幻影を見せられる。
互いに助けを求め合い、けれど一言も交わせない。
ただ、沈黙のまま、信じ合えるかどうか。
それだけが試される。
森の奥には“倒立した塔”の幻が立っていた。
正面の入り口は、逆さまに浮かぶように開かれている。
“吊られた男”の声が、空気に振動として響く。
『自己を解せ。
逆さまの塔を登れる者こそ、塔の主に“問う”資格を持つ。』 - 535◆qcSQN4N5gc25/07/28(月) 09:57:28
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 536二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 17:27:44
- 537二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 21:18:49
- 538二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 02:26:01
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- 539◆qcSQN4N5gc25/07/29(火) 04:19:57
- 540◆qcSQN4N5gc25/07/29(火) 09:41:34
沈黙の森。
幻影が渦巻き、感情が試される空間において、
レオンはあえて──立ち止まった。
目の前に浮かぶのは、木の枝に“逆さまに座る”不思議な老人。
布を巻いた瞳は閉じられているが、レオンが視線を送ると、その口元だけが僅かに動いた。
「……怒りに負けたか。ならば、森に喰われるだけだ」
だが、レオンは一歩前へ進む。
強く息を吐き、幻影の仲間へ背を向け、逆に吊られた男に声をかけた。
「……なぜ“お前”は、逆さまになってる?」
吊られた男は、しばらく無言だった。
その後、まるで“音のない音”のような微かな響きで、応える。
「問いは剣に似ている。刃を向けたなら、覚悟が必要だぞ」
「だが──いいだろう。お前の“氣”は、黙して語る力を持っている」 - 541◆qcSQN4N5gc25/07/29(火) 09:42:53
「なぜ怒りを抑えた?怒りとは、お前の“正義”の一部ではなかったか?」
「怒りは……剣になるが、刃こぼれもする。
今のオノレは、斬るためにここへ来たのではない。
“生きて進む”ために来たんだ」
「ならば問う。“進む”とは何のためだ? 仲間のためか? 過去の贖罪か?」
「どちらでもない。“自分の道を選ぶため”だ。
今は……オノレが選んだ仲間と、俺自身の氣を信じるだけだ」
「ほう……“選ぶ”ときたか。
では、今の“お前”は何を斬れる?」
レオンは両手を広げ、氣を纏った。
幻影がなおも近づいてくるが、レオンの氣が──それを押し返す。
「オノレが斬るのは、嘘だ。幻だ。そして……オノレ自身の弱さだ」
──その瞬間、吊られた男が木から降りた。
「よし。ならば、塔の扉は開かれる。お前はまだ師ではないが、弟子でもない。
“答えを探す者”として、通してやろう」 - 542◆qcSQN4N5gc25/07/29(火) 09:43:11
レオンの氣が、静かに沈んでいく。
怒りに呑まれず、問いに応じ、答えを編み出したことで、
沈黙の森は“音のない拍手”をもって、彼を迎え入れた。
塔の幻影が僅かに揺れ、全員の前に“下から開く”ように道が示される。
試練は続くが、今、レオンの氣は澄んでいた。 - 543◆qcSQN4N5gc25/07/29(火) 09:43:30
次の行動または展開を、該当するレス下3つからダイス
- 544二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 09:47:35
次の試練として、純粋な力を見極める試練として、戦車と再び戦う
- 545二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 16:51:11
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- 546二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:55:16
ほし
- 547二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:22:52
声に素性を尋ねる
- 548二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 09:56:21
戦車と再戦
- 549◆qcSQN4N5gc25/07/30(水) 09:57:57
- 550◆qcSQN4N5gc25/07/30(水) 10:08:57
沈黙の森を越えた先にあったのは、石の闘技場のような広場だった。
半ば崩れた柱が並ぶその中心に、重い地響きとともに“戦車”は現れた。
巨大な黒鉄の鎧。
背には、刃渡り二メートルを超える戦斧のような大剣。
その姿は、まさに「暴力の具現」、けれど目には知性と静寂が宿っていた。
「……久しいな。旅人たち」
低く重い声が、地を伝って鳴る。
「覚えているか? 貴様たちが最初に我と出会った日……
力なき者の正義は、音を立てて砕け散った」
レオンは剣を抜き、ゆっくりと前へ出た。
カイル、シャルル、ルージュも並ぶ。
そしてその横に、シオンが一歩出て、静かに語りかけた。
「……“戦車”。君は何のためにここにいる?」
戦車は、その兜の奥でかすかに笑った。
「我は“塔の門番”ではない。だが、“試練の火”に耐える者を見極める責を持つ者だ。
三度目の対峙……それは“儀式”だ。
一度目は試し、二度目は量り、そして三度目──選ばせるための戦い。
“力を奪い取る”か、“真の力を手にする”か。それを──貴様たち自身が示せ」 - 551◆qcSQN4N5gc25/07/30(水) 10:09:38
「今回は、本気で斬る。我は“死をくれる者”となる。
それでも、立つか?それでも──進むか?」
レオンは、答えた。
「……ああ。“進む”と決めたからな。
この道が死に通じてても、オノレは仲間の手を離すつもりはない」
「ならば、全力で来い。
一つでも“誤魔化し”があれば、その命、俺が斬り捨てる」 - 552◆qcSQN4N5gc25/07/30(水) 10:09:58
レオンたちはどう戦う?
該当するレス下3つからダイス - 553二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 16:16:52
- 554二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 19:46:36
- 555二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 21:19:55
このレスは削除されています
- 556二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:44:44
不意打ち
- 557◆qcSQN4N5gc25/07/31(木) 08:08:46
- 558◆qcSQN4N5gc25/07/31(木) 10:47:37
風が止まり、時間が張り詰める。
沈黙の中、“戦車”の目の奥で、鈍く赤い光が灯ったその瞬間──
カイルが地を蹴った。
「──今だッ!」
音もなく走り出す影。
気配を殺したカイルは、懐から鋭く光るナイフを抜き、“戦車”の死角”へ滑り込む。
だがその瞬間──
「……愚か者」
“戦車”は振り向かないまま、巨大な手甲の肘を振り上げた。
その一撃が空を裂き、カイルの動きと軌道を読むように、肘鉄が直撃しようと迫る。 - 559◆qcSQN4N5gc25/07/31(木) 10:48:19
「くっ……!」
ギリギリの反応で体を捻るカイル。
ナイフが逸れ、戦車の鎧を浅くかすめたが──
ズンッ!!!
衝撃波のような打撃で吹き飛ばされた。
カイルは闘技場の石床を転がり、唇を切りながら立ち上がる。
戦車は淡々と告げた。
「“気配を断つ”だけで通じるなら、誰も死にはしない。
影を極めるなら、“魂”ごと消せ」 - 560◆qcSQN4N5gc25/07/31(木) 10:48:34
次の行動を、該当するレス下3つからダイス
- 561二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 15:18:31
- 562二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 22:04:28
- 563二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 04:20:42
- 564◆qcSQN4N5gc25/08/01(金) 07:32:02
- 565◆qcSQN4N5gc25/08/01(金) 08:43:39
カイルの胸で何かが煮え立っていた。
悔しさでも、怒りでもない。
それらを通り越した、もっと単純で、もっと濁った感情──
「……なめるなよッ!!」
レオンの「待て!」という声も、ルージュの「落ち着いて!」という叫びも届かない。
カイルは地を蹴った。
一度地を這い、崩れた歩調で接近し、膝を滑らせながらナイフを構える。
「お前なんかに、誰一人やらせてたまるかよッ!!!」
──黒鉄の巨躯が、再びこちらを向く。
だが、今度は一瞬、戦車の眼が細まった。
「……“狂気”に似た正義か。……悪くない」
巨大な剣がゆっくりと持ち上がる。
風が唸る。地面が割れ、土が舞う。 - 566◆qcSQN4N5gc25/08/01(金) 08:44:13
AIの出力結果がだんだん適当になってきました……
とりあえず次の展開を、該当するレス下3つからダイス - 567二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 12:52:53
- 568二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:19:05
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- 569二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 21:52:43
突き刺す
- 570二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 02:16:48
剣をぶん投げる
- 571二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 07:51:13
ほし
- 572◆qcSQN4N5gc25/08/02(土) 07:58:12
- 573◆qcSQN4N5gc25/08/02(土) 08:42:42
レオンは、構えた。
足を開き、体を沈め、呼吸を殺す。
右手には無骨な長剣。
その刃に──氣を込めていく。
カイルの怒声、シャルルの警告、シオンの魔糸、ルージュの魔法──
すべてが、ひとつの“隙”を作るために機能していた。
だが、仕留めるのは、レオンの刃。
腹から喉へ、喉から頭頂へ。
氣を“突き上げ”、刃へ集束させる。
その瞬間──
レオンの剣が、轟いた。
「はァアアアアッ!!!」
刃が振るわれると同時に、
氣の流れが爆ぜ、雷のような音と共に鎧を砕く。 - 574◆qcSQN4N5gc25/08/02(土) 08:43:23
ガキィィン!!
破砕音。
戦車の背中に、深々と刃が突き立った。
だが──それでも倒れない。
「……なるほど。“氣”か。あのときより遥かに……深くなったな」
その声に、苦しさも怒りもない。
むしろ、どこか満足げだった。
戦車は一歩、前に進もうとしたが……その足が止まる。
「……仕掛け、完成」
セレナの魔力の糸が、背後から脚に絡みついていた。
気づけば、シオンの氣の読みも、ルージュの補助魔法も、すべて噛み合っている。
戦車の体が、音もなく膝をつく。
「……これは、“敗北”だな。完璧な、連携だ」 - 575◆qcSQN4N5gc25/08/02(土) 08:44:01
そして、重々しく膝をついた戦車は、やがてその身体の黒鉄を崩し始め、
まるで砂のように、風に還っていった。
しかし、その最後の瞬間、戦車は確かにレオンに向かって頷いた。
「進め、“魔術師”の暗示を持つ者。
己の“塔”は──崩すためにある」
──それを最後に、戦車の姿は消えた。
沈黙が戻り、闘技場に残されたのは、
勝利と共に、確かな“試練の果て”の実感だった。 - 576◆qcSQN4N5gc25/08/02(土) 08:44:14
次の展開を、該当するレス下3つからダイス
- 577二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 12:04:29
- 578二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:40:55
- 579二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:12:31
- 580二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 01:28:38
さらば戦車
- 581二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 09:24:25
ほす
- 582◆qcSQN4N5gc25/08/03(日) 11:21:06
風が吹いていた。
倒れた戦車の残骸は、鉄ではなく砂へと還り、
闘技場の荒れた大地の上に、静かに散らばっていた。
レオンは、ゆっくりとその跡に歩み寄る。
長剣を鞘に収める音が、空気を切るように響く。
しばし、沈黙。
レオンは、口を開いた。
「……礼を言う。オノレたちが、この力に溺れていたなら──
お前は容赦なく、斬っていたろう」
足元の砂は、どこか誇らしげに風に舞っていた。
「オノレは忘れん。“強さ”が、ただの暴力ではないと教えられた」 - 583◆qcSQN4N5gc25/08/03(日) 11:21:58
レオンは深く頭を下げた。
その姿に続くように、後方から歩み出てきたのは──シオンだった。
青年は、砂の上に膝をつき、
その手で、そっと跡をなぞった。
「君と会ったのは……僕が“力”を間違えそうになった時だった。
でも、君は殺さなかった。間違いそうな僕に、“問い”だけをくれた。
僕は今、答えを探しているる。だから……
ありがとう。僕たちは進む。君が見ていた“その先”へ」
静かに、風が塔へと吹いた。
その流れに乗って、砂粒は空へと舞い、
まるで“姿なき騎士”が馬に乗って去っていくかのように──
闘技場から、“戦車”は完全に姿を消した。 - 584◆qcSQN4N5gc25/08/03(日) 11:22:36
2つの試練を乗り越え、シオンの師匠“吊られた男”は……
該当するレス下3つからダイス