- 1125/07/14(月) 22:11:04
- 2125/07/14(月) 22:13:01
とりあえず「ルフィ×キッチン」で書いてみた(1/2)
目覚ましとしてはけたたましいベルよりも光や香りが健康にはいい、と昔ナミが言っていたような気がする。海賊生活ではあまり使わない豆知識かもしれない。根拠についてはそもそも聞いてすらいない、またなぜそれを今思い出したのかもよく分からないまま、ルフィは微睡から浮上した。鼻腔を鶏肉の焼けた匂いが突く。
「メシ!!」
文字通り体をバネにしたルフィは跳び上がったままキッチンへの一歩を踏み出していた。どこからともなく帽子を被った鹿の子も後に着いて行った。
「……いいかおめェら、この肉はな、レディたちが良質なたんぱくしつを取るためにこれからおれがぽわれする。こっちの部位はぱて・あんくるーとに。繊細なレディたちがこのクソ暑い季節に栄養を取れるよう彼女たち同様美しく複雑なメシを作るんだおれは、胃袋から守る愛の騎士として」
サンジの話は横文字と例えばかりでいまいち頭に入ってこなかったが、つまりルフィの目の前にある焼き鳥は料理としては全く完成形ではなくて、手を出していい代物ではないということだった。彼は今、共犯者のチョッパーとキッチンの床に正座させられている。頭にはたんこぶがこさえられていた。(ゴムの体のルフィにダメージが通るはずもないのだが、愛は全てを凌駕するとのこと。) - 3125/07/14(月) 22:14:11
(2/2)
キッチンの主は少年ふたりが物欲しそうにしているのを見てパイ生地のあまりに砂糖をまぶして炙ったのを与えた。口内に甘味があるとそれだけで心に暖かな余白が生じる気がする。ルフィはキッチンのタイルが黒と白の格子模様なことに、今さらながら気づいた。
「なあチョッパー、黒は地底に繋がってンだ、白は踏んでもいいんだ」
そう言うと、鹿の少年はすぐに言わんとすることを理解して立ち上がった。賄いのシュガーラスクを飲み込んで、タイルの上で手押し相撲をしたり、白だけを踏んで逃げ回ったりする。
「あっ!ずりィんだルフィ!!」
「ニシシ、チョッパーおめェ、地底人だぜ。チテイジン!」
料理に埃が入るだろ、と尻を蹴とばされた二人はもつれるようにしてキッチンの扉から走り出す。ふわりと背中と上着の間に風が滑り込んで行く。
どっしりと、甲板に着いたルフィはチョッパーを抱えたまま仰向けに倒れ込む。今度は上着と背中が密着して芝生の感触さえ分かってしまう。汗か草露かうすらと湿度も感じる。ルフィはまるで、自分が芝生に縫い付けられたように思った。そしてそれは地底に続いているようにも。目の前には、真っ青な空が広がっていた。夏島が近い。 - 4125/07/14(月) 22:18:11
ロビンちゃんが説明したようにスレ主の思う純文学風SSとはこの程度のものです
キャラ名×なにかしら要素一つ
みたいな感じでリクエストくれたらその中からピックアップして書くこともします
例 フランキー×ジントニック
黄猿×ヤシの木
などなど。季節は多分夏固定になる
キャラはダイスで決めてもいいかもね
そしてみんなもぜひSSに挑戦してみてくれそこらへんの大衆文学寄りSSよりよっぽど脳ミソからっぽにして書けておれは楽しいぞォ!! - 5125/07/14(月) 22:20:00
あと今気づいたけどチョッパーのことトナカイじゃなくて鹿の少年って呼んでるね本当にごめん
書いてるとき「鹿の子」って語呂良すぎて気づかんかったごめんチョッパー - 6二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:32:58
定期的に野生の文豪が出てくるよなこのカテ
- 7二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:43:44
ロビン×本で見てみたいです
- 8二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 23:29:06
- 9125/07/14(月) 23:35:10
- 10125/07/14(月) 23:36:15
とりあえず今夜はチョッパーのことを鹿扱いしたスレ主の全身の骨を折って保守とするわね
おやすみなさい - 11二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 08:17:58
保守
- 12125/07/15(火) 10:15:50
ロビン×本 (1/2)
ページをすべる指の影が妙に長い。陽が落ちはじめるもののまだ夕暮れとは呼べない、誰にも名付けられないただただむし暑い時間を、ロビンは本と過ごしていた。
(いつのまにこんな時間⋯)
ログポースが溜まるまでの2泊3日の、3日目にもなると買い出しをあらかた終えて各々が余暇に耽っていた。ロビンは朝ナミとブティックに行き、そこから小洒落たカフェでクロックマダム(ナミはレモンのフレンチトースト)を食べた。そして彼女は今夜の出航に備えて風を読みに出て、自分はそのままテラス席に残ったのだ。
(やっぱり若者向けすぎたんじゃないかしら)
ロビンは今朝買った⋯厳密にはナミに買わされたリブトップにため息をついた。ほとんど下着と変わらない面積のそれは、黒地に上品な多色ラメが散りばめられている。オールサンデーでもどこぞのスパイでも誰でもない、ニコ・ロビンが着る服としてはいささか派手すぎるだろう。
「いいじゃないロビン!普段あいつらととんでもない修羅場をくぐり抜けてるのよ!?服くらい冒険しなきゃー!!」
上に何か羽織ってもいいし、と最後のダメ押しを経てロビンの手元に来たトップスはちりりと陽光を、ラメで反射させた。何だか誇らしげじゃないか。
ナミはいつも、船長とはまた別の冒険に連れ出してくれる。これまで闇に生きた自分がナミに引っ張られ色を知っていくようだ。
「あらあら、まあ、いやだ」
ロビンは他者を感傷的に修飾した自分が、急に恥ずかしくなり、あたりを少し見て再び本に目を落とした。 - 13125/07/15(火) 10:19:03
(2/2)
……今日では観光産業国家として名高い当島だが、かつては綿の生産地として近隣国家とハブを持っていた。ファストファッションが台頭して以来、繊維輸出だけでは経済を支えられなくなった折、当時の元首エルリダ・フェリペスが目をつけたのが海岸沿いの防風林である。防風林は美しい並木道に開発され単なる亜熱帯国家だった我が国はリゾート地に転身した。観光地として栄えてからも、綿の生産国という強みを活かし、上質な素材で丁寧に作られた衣服はインバウンド客向けに………
波間を縫う魚のように、一文が揺らいでいく。群れで泳いでいた文字たちがばらばらに逃げてゆく錯覚を見た時、ロビンはついに本を閉じた。
(海賊が、”経済学”ね…)
島出身の経済学者が書いた本は、専門外だとしてもロビンなら難なく読破できる内容だった。彼女にとって、本を読むのすら億劫なアフタヌーンは初めてである。
「意味が、あるのかしら」
声に出してすぐ、(何に?)と思った。自身も今自分が何に対して意味を見出そうとしているのか分からないまま呟いていたのだ。何となく、自分がブティックで吊られて陳列されている妄想を、ロビンは抱いた。
テラスの前の階段では子供たちが遊んでいる。
「ねーえぇ、パーで買ったらパイナップル!六歩進むってあるでしょぉお?あれって不公平じゃなーい?一回勝ったら一歩、二回目は二歩!どーお新ルール!?」
髪を二つにくくった少女が仕切ると周りの子供たちも賛同し始めた。
(破綻している)
とロビンは思った。パーで勝てば六歩進めるがグーで勝つと三歩。駆け引きも一発逆転もある元のルールに反して、勝てば勝つほど進めるだけのオリジナルルールはいつか退屈になってしまうだろう。だが子供たちは笑っていた。それでいい。それでいいのだ、とロビンも微笑んだ。 - 14125/07/15(火) 10:20:06
以上、絆されて私服がオシャレになっていく最中のロビンちゃんでした
なんかロビン×本っていうよりロビン×服みたいになっちゃった
純文学はグランドラインだからねしょうがないね - 15二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 19:07:46
だが子供たちは笑っていた。それでいい。それでいいのだ、とロビンも微笑んだ。
これ好き
子供のころのロビンちゃんも一緒に笑ってそうで - 16125/07/15(火) 21:22:58
- 17125/07/15(火) 21:26:32
おージャブラか
意外と純愛ものとか良さそう仕事中むにゃむにゃ考えときます - 18二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 22:48:28
ギャサリンへの想いは純粋だからな
- 19二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 07:41:10
連載もワンダーランドだからな
- 20二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 12:15:57
このレスは削除されています
- 21二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 15:05:10
「みんなも書いていいわ」というお言葉に甘えてブルック×音楽で超短いSSを書いてみた
♪ヨホホホー ヨーホホーホー ヨホホホー ヨーホホーホー♪
水平線から段々と白んでいく空を眺めながら私は今日も愛用のヴァイオリンに指を滑らせ、骨身に染みるほど馴染んだ歌を歌う。
奏でるは穏やかでゆったりとした曲調にアレンジしたビンクスの酒。荒々しくも陽気で自由な海賊たちの歌。
甲板には私しかいないけれど、キッチンから聞こえる包丁のヴィヴァーチェと男部屋から漏れる低いイビキのアダージョが私の共演者。
もう少しすれば弾けるようなテノールが高らかに響き渡り、それに呼応するようにこの船は鮮やかな音の洪水で溢れるでしょう。
それを楽しみに待ちながら、夜の静寂の余韻が残る東雲の時をこうして音楽を奏でながら過ごすのが私の毎日の楽しみなのです。 - 22二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 16:47:14
読んで気持ちいいSS好物侍でござる
自分も超短いのやってみたでござる 置かせていただき候
ルフィは特等席で空を見ていた。
夏島が近い海だ。黄昏時で、赤と夜空色が混じり合った紫色の豪奢な空だ。
夏の夕方というのは、なぜか寂しい。人恋しい。
みんな家に帰っていく時間だ。マキノも普段は店を閉めてしまう。
だから、最初は忌避した海賊であるシャンクスたちがだんだん好きになったのだろうか。夜も陽気にあの店で騒ぐ彼らが。あの声を聞くと寂しさが消えた。
「ああ、色のせいか」
この空と同じ色の目をした幼馴染。あの海賊団の音楽家。
『この麦わら帽子が、もっと似合う男になるんだぞ』
「ああ、ずっと見てろよ」
ルフィは寂しいのが嫌いだ。
自分の音楽家を探して、ルフィは特等席から跳び上がった。
「なあ、一曲頼む!お前もよく知ってるやつだ」 - 23二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 18:14:08
- 24二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:17:29
このレスは削除されています
- 25125/07/16(水) 20:22:22
- 26二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 22:42:09
そうかチビルフィもチビロビンも寂しい時海の男に救われたんだ
- 27二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 07:37:29
保守
- 28二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 08:47:09
サンジにコーヒー入れてもらってね
- 29二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 12:20:40
ここいいなあ
ロビンちゃんの本好きなのが伝わってくる - 30125/07/17(木) 14:07:40
ジャブラ×恋
狼みてェな女だと思った。
いや、狼と言えばこのおれだがな。あの給仕の女は間違いなく狼だぜ、狡猾な捕食者の目をしているんだ。ありゃあ油断させて幾人もの男をかみ殺してきたぞ。お前ら市井の人間は、すぐ女をカモシカだとか子兎だとか、草食動物に例えるよな。てめェを草食動物のオスだって主張してんのか?それとも哀れで弱い女を一方的に食いたいのか?おれにはそんな趣味ねェよ。だせェこと言うなよ、司法の島に狼が二匹いるっていうのも面白ェだろ?
狼のおれが番うなら、狼以外ありえないしな
……つまりそういうことだ。
今日もおれは女のいる喫茶に足を運ぶ。注文するのは毎回濃いめのコーヒー、ブラック。南の海産の豆をじっくりローストして、薫り高い。熱々のホットで。これしか注文しねェのに、女は毎回「ホットですかアイスですか?砂糖とミルクは?」と聞いて来る。給仕としてどうなんだよまったく。まぁおれだって「覚えられたい」なんて思う諜報員だよ、おれたちやっぱり似た物同士なんじゃねェか?
おれが頼むコーヒーみてェに、女は毎回決まりきった出で立ちで来る。意志が強そうな眉毛に、彫りが深い顔立ちと青い目(グランドラインではよくある混血か?)黒檀の髪は隙のない三つ編みに。これだけだと少女っぽいが、女は真っ赤なルージュを引いていた。固い制服の下では豊満な身体が窮屈そうだ。女どもはみな矛盾という牙を持っている。だがあの女はとりわけその牙を磨いていた。
おれがぼーっと女のケツを眺めていると、いつの間にか横に立たれていた。熟れたチェリーのような唇がぬらぬら光っている。ただ一言「お客様、ラストオーダーです」。
食えない女だ。おれは本気を出せばこいつの素性を調べることもできたが、やめた。かつての同僚が「司法の島に、サーベルタイガーみてェな女がいる」と寝ぼけたことを言っていたが、同一人物じゃないだろうな。まさかな。 - 31125/07/17(木) 14:15:54
純文学×恋愛ものはどうしてもキモ重くなるからジャブラすまん
でも重い男は好きだぞ
ギャサリンって色白ハーフ顔で唇ぽってりしてるから叙述トリックで美人に見せられるんじゃないかと
実際恋してる男にはこれくらい可愛く映ってるだろ - 32二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 14:39:45
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- 33二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 15:12:36
ベラミー×旗で書いてみた
抜けるような青空にハタハタと色とりどりの布が泳いでいる。国旗、社旗、ペナント、こいのぼり。ここは染物の町。おれの新たな人生の舞台。
ドレスローザを離れて流浪の旅に出たおれは、流れ着いたこの小さな町で1人の染物職人のジジイに弟子入りした。修行の日々はお世辞にも気楽とは言えなかったが、ついに今日おれは初めて1枚の旗を染める全工程を任された。
「緊張してる?」
ジジイの孫娘が無邪気にそう聞いてきた。以前のおれなら「うるさい」と言って追い払っていたかもしれないが今のおれはそれどころではない。何たっておれが今日染めるのはただの旗じゃない。海賊旗だ。海賊の夢と誇りを背負い、海賊が命を誓う旗。失敗なんて許されない。
おれは精神を集中させて白地の布に向き合った。息を詰めながら慎重に下絵を描き、白く残す部分には防染糊を色を、入れる部分には布海苔を塗る。そして刷毛を手に取り黒の染料でドクロを浮かび上がらせていく。ひとつひとつの工程に細心の注意を払い、呼吸にすら神経をとがらせる。
「糊はもっと均一に塗るんじゃ!」ゴン!
「色はもっと丁寧に塗らんか!」ゴン!
何度もジジイに頭をぶっ叩かれてようやく一枚の海賊旗を染め上げる事ができた。作業台から数歩離れて息を吐くと知らない内にかいていた汗が額から顎までツッと流れて行った。だが染め終わったからと言って気を抜いてはいけない。まだ色止め剤を塗ったり旗を真水で洗ったり道具を片付けたりとやる事はたくさんあるのだから。
全ての工程を終わらせ、風にたなびくドクロを見上げると初めて自分の海賊旗を掲げた時とは別の感動と、全く同じ誇らしさがこみ上げて来た。これがおれの旗。初めて染めたおれの旗だ。おれのドクロではないけれど誰かの夢と誇りと命を背負う大切な旗。
このドクロを掲げる海賊はどんな奴らだろう?このドクロにどんな夢を乗せるのだろう?このドクロはどんな世界を見るのだろう?そう考えるだけでおれの胸は船出の時のように高鳴った。もうおれが海に出る事はないだろうが、代わりにおれの染めた旗が世界を巡ってくれる。おれの知らない景色をたくさん見てくれる。
それが新しいおれの誇りだ。 - 34125/07/17(木) 21:42:56
- 35125/07/17(木) 22:52:42
逆にテーマの方でガチャ作ったからよければ使ってください
ちなみに夏固定はスレ主が勝手にやってるだけでみんなは何でもいいです
1光 2音楽 3なき声 4木(木工品含む) 5風 6海 7赤 8青 9夢 10酒 11チョコレート 12菓子(チョコレート以外) 13香水 14美女 15老人 16鳥 17魚 18雨 19果実 20窓 21街 22悪魔 - 36125/07/17(木) 22:59:26
- 37二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 07:52:42
- 38二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 13:24:04
このレスは削除されています
- 39125/07/18(金) 21:20:27
木は誰が似合うかな~と悩んで迷ってあえてのエネルで
(1/2)
巨木が並ぶアッパーヤードの奥深く、とりわけ太く逞しい木が、エネルの前で臆せず聳え立っていた。
「ふむ……」
神は手のひらを幹に当て思案する。八尺を超える巨躯の持ち主がその手で触れても、巨木の表面は平らに感じられた。円柱だとは思えないほどおおきいのだ。この規模だと間違いなく大地が青海にあったころから生えていたのだろう。急な環境変化に耐え抜いた歴史が年輪に刻まれていた。もし空島が恐怖で支配されていないなら、散歩がてらに訪れた者が思わず手を合わせているような迫力がある。
エネルはこの木に、今日こそ神の鉄槌をくださなければと思っていた。
- 40125/07/18(金) 21:22:07
(2/2)
アニミズム、万物に霊魂を見出しそれらを尊び、畏れる信仰。古来より四海グランドライン問わず点在する風俗である。雷そのもの、気象現象そのもののエネルが神を自称するのは、たかが侵略者の大言壮語だとは片づけられないかもしれない。木もまた自然であり、宿る魂であった。東の海の端の国では、幹にしめ縄が飾られ神聖なものとして扱われることもある。おそらくエネルは青海の民俗学は門外漢だろう、しかし男は天性の洞察で巨木の神聖を感じ取っていた。そしてそれはあってはならないことである。恐怖こそ信仰、神に対等な存在があってはならないのだ。またあと一つ、エネルが気に食わない点がある。
「……不敬である」
木のくせに、エネルが好きな林檎もバナナも実らせないことだ。
手のひらが白く発行したかと思うと、ぱちぱちと電流が弾ける。だが渇いた幹は何も通さなかった。エネルは目を閉じ集中すると木の中枢に水分が詰まって葉まで行き渡っているのを感じた。
「神の裁き(エル・トール)」
不遜な人間どもを罰するのとは違い、裁きは拍子抜けするほど静かに下された。巨木は縦に割け、もうもうと白煙が上がる。数多の生命の住処が終わる時だった。
「熱には倒れるか、もうお前は永劫何も宿せまいよ」
燃え堕ちる木を背にエネルは飛び散った枝(…と言っても男の腕ほどもあるが)を手に取って少しずつ削って形を整えていく。なめらかなカーブを描く木製の槍はエネルに”いい雰囲気で”収まっていた。
足裏に神経を尖らすと、地中では根が、新芽が虎視眈々と蠢いているようだった。エネルはいらだちを振り払うように彼方へ槍を投げた。ぎゃあぎゃあと鳥が飛ぶ。ヤハハ、とエネルは笑った。 - 41125/07/18(金) 21:24:39
聖書オマージュだったりします
エネルは見た目は仏教だけどアニミズム的な思想もありその割には一神教だけどじゃあ一神教の神みたいに慈悲も裁きもマルチタスクでこなせるの?となると恐怖一択だしよく分からなくておもしれー男 - 42二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:53:54
りんごやバナナがないのに怒るとか可愛いな
- 43二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 00:16:28
せっかくならお題もランダムにしたくてGeminiくんに話を振ったら痛い目を見た
初センゴクさんなので解釈違いは堪忍して
センゴクと盆栽
連日の寒さが緩んだ三月のとある日の午後、センゴクが所用で元帥室を訪れたところ、部屋の主は不在だった。
赤犬が戻ってくるまで待つかと、手近な椅子に腰を掛ける。
大きく息をつきながら部屋を見渡すと、この部屋で業務に忙殺されていた日々が遠い昔の事のように思えてくる。
まだあれから数年しか経っていないというのに。
感慨にふけりながら部屋の中を見渡すと、部屋の入口の近くに見慣れないものがあった。
それは松の盆栽だった。いや、盆栽というにはあまりにもシンプルすぎる。
大きく天に向かう幹は太く、途中で曲がろうとしても曲がり切らずにひたすら上のみを目指す。
部屋の主の気質を強く表しすぎていて幹以外存在を許されず、盆栽の妙である遊びの部分がまるで感じられないが、赤犬がこの姿に美を見出しているのであれば、これは紛う事なき盆栽なのだろう。
入口の近くに配置したその盆栽はデスクから見た時に一番いい角度で見える。
おそらく本人も気に入っているのだろう。
じっと赤犬の美の概念に見入っていたらヤギが飽きたように一声鳴いた。
そういえば自分が現役の頃、あそこにはヤギ用のベッドが置かれていた。
着席時、顔を上げれば必ず目に入るこの場所に一番心休まるものを置く。
この心理的導線が自分とまるで一緒でセンゴクは内心笑ってしまった。
正義に向かう彼の徹底さには時折危うさを感じる事もあるが、こういう所は親近感を覚える。
そして親しみを覚えたついでにもう少し寄り添ってみたくなった。
「私も挑戦してみようか。」
後日、早速購入してきたアセビの鉢植えはヤギに葉を食われそうになり、盆栽としての手入れは断念した。
- 44125/07/19(土) 08:53:12
- 45二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 16:22:27
ロビンちゃんコメント優しい
- 46二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 19:38:48
やってみる
dice1d22=16 (16)
- 47二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 19:40:58
dice1d205=5 (5)
- 48二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 19:42:23
鳥でローだ
おもしろいかも!ゆっくり考えるね - 49二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:04:20
wing cat という絵本があった。
リアル寄りの絵柄で、体の模様に合わせたごつい翼を持つ猫のきょうだいの話だ。
翼を広げて空を飛ぶ5匹くらいの猫の絵はインパクトがあった。妹も気に入っていたと思う。
(お兄様、わたしたちも一緒に飛びたいね!)
立ち寄った島の古本屋でその絵本に再会し、ローは反射的にそれを手に取っていた。
あの子はどこに行きたかったのだろう。
猫のきょうだいたちは危険な町から、安全な住処を求めて飛び立った。
あの子を連れ出してやれなかった。
痛む身体をベッドに横たえた日々、あの子は何を思っていただろう。
「あら、素敵な本ね」
ニコ屋が絵本に目を留めた。
「・・・知ってるのか」
「話に聞いたことがあるわ。ちょっと見てもかまわないかしら?」
「ああ」
熱心にページをめくる気配がする。ローは黙って目を閉じていた。
「・・・言葉のイメージで作り上げた創作物ね。原語とは特に関連がないようだわ」
考古学者は学術的な興味があったようだ。
「原語があるのか」
少し興味が湧いた。
「ええ。ウェストブルーの古い言葉よ。フクロウを指す言い方なんですって、wing cat」
「フクロウ?なんでフクロウが猫になるんだ?」
「さあ、ネズミを捕るからかしら?それにミミズクなら、猫耳っぽい部分があるわよね」
ふふふ、とニコ屋は笑った。
30億の大海賊が絵本を抱えているのに興味を惹かれた。
他生物の身体をつなげる能力故かと思ったが、彼の方は何か繊細な想いに捕らわれているようだった。
このルフィの友達は、かつてどんな子どもだったのだろう。
少し切ない思いがして、ロビンは空を見上げた。
今のおれなら、お前にどんな翼だってやれるのに。 - 50二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 23:41:24
翼猫って本当にある単語なのか知らなかった
- 51二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 08:48:19
このレスは削除されています
- 52二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:13:28
お題をGPT君に出してもらいました
ロー×月(1/2)
ポーラータング号は海に沈んでいった。ローはハートの海賊団の船長であった。であるからして、彼を残してその船が沈むのは先に例のないことである。
暗くなりかけた海にゆっくりと沈む鮮やかなイエローの艦体は、さながら月のようだった。
パンクハザードの気候は厳しかった。氷点下を下回る気温であることは、温度計を見ずとも誰の目にも明白だったが、しかし海は全く凍っていないようだ。その理由を、凝固点降下によるものだと冷静に推察する。
彼らを引き留めるものはもう何も無い。
──本当に、ゾウで合流できるんでしょうね。
ローのおろしたてのコートの分厚い生地に爪を立ててペンギンは訴えた。その言葉に、何も返すことはできなかった。
──……おら、ペンギン。行くぞ。
駄々を捏ねないことを覚えたばかりの子供のように、俯いて黙りこくってしまったペンギンの首根っこをシャチが掴んで引き剥がした。
しかしシャチはもとより、ペンギンだって理解していたはずだ。生きてまた会えるなんて、ローはこれっぽっちも思っていないということは。
閉じられたままの唇を暫く見つめていたペンギンは、シャチは、ベポは。ジャンバールは、イッカクは、ウニは、クリオネは。ローの潜水艦の乗組員たちは。最後には体を半歩引き、へたくそに笑った。
彼らはローを慕って集まった。ローは、嘗て彼の仇がそうしたように、彼らに生きる術を教えた。体術、剣術、砲術、医術、そして──。
よく学んだ彼らは下手に賢く、故に諦めのいい海賊達だった。
彼らの別れに涙などなかった。
ドフラミンゴを堕とす。あの人の本懐を遂げる。とはいっても実際に相対する必要は無い。四皇・カイドウとの足掛かりであるスマイル工場を潰しさえすれば、そう、あとは勝手に殺しあってくれる。
綿密に立てた計画だ。抜かりは無い。それでも。
あいつを目の前にしたら、為す術なく泣き喚くだけの、あの日の弱く病んだ子供に戻ってしまうのではないか。そんなあられもない恐怖が不意に襲う日があったのは、なにも子供の頃だけの話ではなかった。
絶対的強者、悪のカリスマ。世界で唯一にして最悪の、彼の理解者。ローはドフラミンゴに勝てる世界を描けずにいた。 - 53二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:14:54
続き(2/2)
鮮やかな黄色の潜水艦を飲み込んで巻き起こった激しい渦潮はやがて穏やかになっていく。
だんだん静かになってゆく海面を見つめ、固く握ったままの拳にさらに力を込めた。しかし、職業柄短く整えられている彼の爪が掌を傷つけることはなかった。
*
ポーラータング号は海に沈んでいった。ローはハートの海賊団の船長だ。であるからして、彼を残してその船が沈むのは先にほぼ例のないことであった。
暗くなりかけた海にゆっくりと沈む鮮やかなイエローの艦体は、さながら月のようだった。
勝者島の特徴的な岩肌が崩れ、瓦礫が海のそこかしこに浮いている。ローは塩辛い水に濡れ、覚束無い頭で必死に思考しようとしていた。この状況を打開する──沈みゆくポーラータングと戦い続ける自身の船員たちを守る方法を。それなのに脳内の景色はチカチカと移ろい、走馬灯のようにローの過去を映し出していく。
文字通り死ぬほど辛い人生だった。どう逆立ちしたって取り戻せないものが沢山ある。失ったものの数は両の手のひらで数え切れた試しがない。そして失ったものの数だけ、癒しを与えてくれる人がいた。
ペンギンは、シャチは。ジャンバールは、イッカクは、ウニは、クリオネは。穏やかで激しい旅の中でローの傷を優しく癒そうとしてくれたクルーたちは。あの日の冷たい吹雪が吹き晒す島で、体を半歩引きへたくそに笑った海賊たちは。ローが愛してやまない潜水艦の乗組員たちは。
たった今、月の艦体と共に戦いに敗れ、きっと行方も知れない。
彼らはローを慕って集まった。ローは、彼らに生きる術を教えた。体術、剣術、砲術、医術、そして──そして彼らはローに、愛すのも愛されるのも下手くそなローに、溢れんばかりの愛を注ぎ続けた。生きている限り何かを失い続けるこの世界を、それでも彼が生きていけるように。空いてしまった心の穴からいくら零れても良いように。
彼らは賢く、諦めの悪い海賊達だった。
最後まで戦い抜いたのだろう、彼らは。
チカチカと明滅する頭は「最悪」の想像を止めることが出来ない。あいつらを失ったら、自暴自棄に全てを壊したいという欲求だけを持ち合わせたあの日の弱く病んだ子供に戻ってしまうのではないか。そんなあられもない恐怖に襲われた日が限りなく現実に近いものとして背後に迫ってくるのを感じる。 - 54二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:16:18
かつてローがドフラミンゴに勝てる世界を描けずに居たように、良くも悪くも妄想は現実になりうるものなのだと知る。
かつて潜水艦だったものの残骸を飲み込んで巻き起こった激しい渦潮はやがて穏やかになっていく。海水に濡れた拳には力が入らず、固く握りしめたつもりでも、彼の爪が掌を傷つけることはなかった。
(2/2)って書いたのにちょっとオーバーしちゃった - 55二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 19:08:19
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- 56125/07/20(日) 21:32:33
- 57125/07/20(日) 22:04:47
- 58二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 00:22:11
ここのロビンちゃんコメント丁寧で優しくて大好き
- 59二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 10:21:29
保守
- 60二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 13:42:29
サンジとロー
ドレスローザ前夜の話(1/2)
愛用のライターで煙草に火をつける。喫煙は昔からの習慣で、彼にとっては染み付いた癖に近い。一日の最後の一服を、柵にもたれかかりながら。肺を煙に浸し、吐き出す。夜の冷たい空気が紫煙を風下へと押し流した。
「……何か用か?」
息を吐ききってから、下の芝生へ声をかけた。
サンジに視線を向けていたのは、同盟相手であり現在サニー号の食客であるトラファルガー・ローだった。傍らには愛刀の大太刀が立てかけられている。
「別に……なんでもないが」
ふいと目を逸らす、似合わず幼げな仕草。サンジはひょいと眉を上げた。
「訳知り顔だな。別にいいけどよ、おれが煙草を吸った途端こっち見ただろ」
「……いや、本当になんでも……」
芝生に覆われた甲板に降り、ローの向かいに腰を降ろす。彼と特段仲が良い訳でもなかったが、いい夜なのでちょっと話してみようという気分だったのだ。
いつも不機嫌そうなこの客人が今は満更でもなさそうなのは、ルフィが疲れ切るまで馬鹿騒ぎして早めの夕食の後すぐに就寝し、漸くその暴挙から開放されたからだと推察する。
「……ルフィの子守り、お疲れさん。あいつにあそこまで付き合える奴はこの海にゃそうそういねぇよ」
人を振り回すことにおいて右に出る者はいない我らが船長が突然飛びついたり騒いだり無茶を言ったりするのに逐一制裁を入れようとするローは、既に船員の一部から一目置かれていた。
「そう思うならてめえで麦わら屋を躾けとけよ」
「はは、無理だね」
わざとらしく嘆息され、苦笑いを返すほか無かった。
「まあ船長ってのはそういう生き物なんじゃねえの?」
サンジの言葉に、ローは小さく目を瞬く。
「だって、どうせおまえもクルー達を振り回してんだろ?」
高圧的、毒舌、偏食家……と列挙して見せると、あからさまに表情が険しくなっていく。
「ま、それでもお前について行くってことは、お前は随分とクルー達に好かれてるっことなんだろうよ……せいぜい大事にしろよ?」
「……当然」
大事にしてたさ、と空を仰ぐ。
過去形。詮索はせず、サンジは煙草を吸い切って火を消した。
ローを見上げると、また目が合った。
そしてすぐまた目を逸らされる。
「…やっぱり煙草が気になるのか?……吸ってみたいのか?」
「煙草は百害あって一利なし。興味もないし吸わんと決めている」 - 61二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 13:51:15
(2/2)
ならば何故。首を傾げ視線をちらつかせるサンジにローも気がついたようで、少しの沈黙の後苦笑混じりにため息をついた。
「昔──おれがまだガキだった頃の恩人がヘビースモーカーだったんだよ。その人を思い出してた」
箱を叩く仕草。ライター音。染み付いた吸殻の匂い。それからあの人と同じ少し癖のある金髪。
「へェ。お前の恩人ならやっぱ医者なのか?」
「いや、酷いドジっ子で、お世辞にも医者が務まるような人じゃなかった。けどおれを救ってくれた──自分の命を賭けて」
その口振りに彼の恩人の行き着いた先を察し、
「悪ぃ、詮索するつもりは」
慌てて謝ったが、ローは目を細めて笑った。
「気を遣わなくていい。寧ろ……ああ、もしかしたら誰かに話したかったのかもしれないな」
その表情に、サンジは瞠目した。
──こいつ、こんな笑い方も出来たのか。
「じゃあ」
サンジは立ち上がり、芝生のついたスーツを軽くはたいた。
「その恩人って人のドジっ子エピソードでも聞かせてくれよ。生憎目は冴えちまってるんだ」
「酒の肴にもならねェような話だぞ?」
「……おれの作ったツマミがあれば何でも美味い肴になるさ」
つまりツマミでも作るから飲みながら話そう、と。
「……はは、言うじゃねえか」
誘い文句にローも立ち上がり、鬼哭を担いだ。
「で、ドジってのはどんなだ? 言っとくが砂糖と塩を取り違えるだけじゃドジっ子とは言えねぇぞ?」
「ドジのクオリティは保証しよう。あの人なら砂糖とカレー粉だって間違える」
「ドジのクオリティって、なんだそりゃ」
キッチンへ向かう足取りは軽く、ローの好みそうな軽食はなんだろうかと考えるが、おにぎり以外の好物を知らないことに今更ながら気づく。
「なあお前、好きな食べ物とかって……」
「……おにぎ」
「おにぎり以外で」
振り向くと不満気な死の外科医がそこにいたので、サンジは吹き出した。
「わかった、おにぎりな。美味いのを握ってやる」
それなら得意の海鮮系アレンジ?偏食家に凝った味付けは敬遠されるかも。脳内にアレンジレシピを並べながら、サンジは厨房へ向かった。 - 62二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:21:38
- 63二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 07:47:38
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- 64二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 12:23:13
このレスは削除されています
- 65二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 12:39:17
だれが出るかな
dice1d205=86 (86)
- 66二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 12:41:31
ビッグマムだ!
テーマもダイスる
dice1d22=5 (5)
- 67二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 12:42:31
ビッグマムと風だ
わたしのダイスは5がよく出るな・・・ゆっくりやってみるね - 68二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 13:41:56
キッド×夏で超短文
夏はいい。特に夏島の夏は格別だ。
空は抜けるような青さがどこまでも高く広がり、見上げているとその深さに吸い込まれそうになる。
そこに浮かぶ猛々しい入道雲が太陽の容赦ない日差しを浴びて青みがかった影を浮かび上がらせるのを見るのも心地いい。
ジリジリと肌を焼く熱やジワリと浮かんでは流れていく汗、貼り付くような湿気は不快だがそんなものは風が一陣吹くだけで胸がすくような爽快感に変わってしまう。
大海原を滑るように進むヴィクトリアパンク号の船首の上でおれはこの暑さを楽しんでいた。
ここで眠ってしまうと熱中症だの日射病だのと心配するキラーに叩き起こされてしまうが、寝転ぶくらいは許されるだろう。
「お頭ー!島が見えてきましたー!でっっっかいスイカみたいな島ですー!!」
見張り台から聞こえた声に横たえていた身体をガバリと起こし、船の進行方向へと目を向けると深緑と若葉色のストライプが水平線から顔をのぞかせていた。
この暑さにお誂え向きの島だ。人は住んでるのか?どんな生き物がいる?うまい食い物はあるんだろうな?
むくむくと入道雲のように膨らむ冒険心と好奇心に駆られて、おれは腕を突き上げて声の限りにこう叫んだ。
「野郎共ー!上陸だぁーー!!」 - 69二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 15:07:13
なんとなく書いてみた
これはとある老いぼれの話である。
老いぼれは今日も古木戸を開ける。すっかり軋むようになった膝と同じく蝶番も甲高く鳴るのでどうも耳につく。空気の格好をして霧はいつものように戸からじりじり入ってきた。
老いぼれの朝はこうして始まる。いつも薄闇がのんと霧を抱えていて湿った夜か濡れそぼった昼か、わからないでいた。カツカツと何気なしに杖を鳴らして表へ出る。膝は軋めど足取りは実に軽い。
老いぼれはいつも通り海の縁へやってきた。長年の友のである磁器を傾ければ視界がわずかに開けたような気になる。
老いぼれは暫くそうしていた。毎日こうして過ごしていた。
最近はとみに一つちゃけてみても磁器は愛想笑いを浮かべるばかり。
ただどうもせず、こちらに手を伸ばしてくるような塩水と鬱々とした空気の境をにらんでいた。
途方も暮れて幾久しくこうしていた頃、ある時やんやと騒ぐ声が縁の先から聞こえてきた。
どうしたのかと老いぼれはひどく慄いた。しかし怖くはなかった。
漸く傾けたことを忘れていた磁器を口元へ運ぶ。自然と鼻唄のような声が零れていた。
久しく明るくなった海に目をやると若人が驚嘆してこちらを覗きこんでいた。
老いぼれは笑った。
(ブルックの初登場) - 70二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 21:41:40
- 71125/07/22(火) 22:01:45
- 72二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 07:34:21
保守
- 73二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 12:58:58
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- 74125/07/23(水) 19:25:43
- 75二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:44:40
なるほどじっとりしてるような軽やかがブルックを表す
なんかすとんとくるな - 76二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 08:04:06
夏休みの読書を思い出すスレ
図書館いけない日はばーちゃんの家で麦茶片手に読んでたな - 77二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 08:56:44
ワンピ世界って学校あるんだっけ?
あっても通えないようなキャラがほとんどだけど、ローは通えてそう 読書感想文の宿題だされたりしたんかな - 78二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:55:41
- 79二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:24:54
バイクの後ろで高々と足を組み、リンリンは機械の振動に身を任せていた。
自分の能力で移動するのは簡単だ。命を吹き込んだ絨毯もある。だけど今日は弟分の乗り物に便乗だ。
曲がりくねった坂道をぐねぐねと奔る。その不安定さもいっそ楽しい。
「はあ、まどろっこしいな。飛ぶぞ」
細かい坂に飽きた運転手が声をかける。
「おお、行けよ」
今の坂のてっぺんで、二人はバイクごと空に飛び出した。
「はは!」
風になる。
飛びかけた帽子をつかまえ、リンリンは指先でくるくる回した。
取るぜ、頂点。この海を。
同じ視点で飯が食えるこいつも一緒に。
「何食ってんだお前。一口寄越せよ、カイドウ」
「いやだね。お前はいつも一口と言って全部食っちまうだろうが」
「いいじゃねえか。いつも世話してやってんだ」
「勝手なやつだな」
ぶつくさつぶやく弟分からハンバーガーを奪う。
「文句を言うな。おれのこと、お姉ちゃんって呼ばせてやるからよ」
「は?そのうちババアって呼んでやるよ」
「んなこと言う奴はガキなんだよ」
にやりと笑う女海賊。
そんなシャーロット・リンリンは、この海で一番強くて美しい女として長くカイドウの記憶に残った。 - 80二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 19:09:17
ワンピ世界格差がデカすぎるから一人称視点で書く時に文化教養レベルが寄せられなかったりする
逆にそこまでエミュれてる文章はうめェ…!!ってなる - 81二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:11:37
- 82二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 07:43:36
保守
- 83二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 12:11:34
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- 84二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:52:52
ミホーク×おにぎり
コトコトと羽釜の蓋が踊る。沸騰したなら火を弱めてそのまま10分。焦りは禁物だ。上手い米を炊くには忍耐がいる。
米が炊けるまでの間に具の準備でもするか。いい色に焼けた鮭は身が崩れ過ぎないよう気を付けながら一口大に斬る。ゴロッと大きな切り身の方が食べ応えがあるだろう。
後は…味噌汁を作った時の出汁殻でおかかでも作るか。そう言えばおかかにチーズを混ぜるとうまいとゴースト娘が言っていたな。確かワインのツマミ用のチーズがあったはず。
あと他には…
羽釜の蓋を取れば純白の米が目に飛び込んでくる。色よしツヤよし香りよし。我ながら上出来な炊きあがりではないだろうか?
ふっくらと炊きあがった米を満足気に見詰めながらおれはしゃもじを構える。炊きたての米はすぐに解さないと固くなってしまうからな。
米が吹き飛ばない程度にゆっくり、かつ米粒同士がくっつく前に水分を飛ばせるくらいには素早く、しかし米粒を潰してしまわぬよう丁寧に。
この工程にはなかなか技術力がいる。解れたら水と塩を手につけ米を握る。ロロノアは修行で汗をかいているから塩はよく利かせておいてやろう。
一口大の焼き鮭、蜂蜜を使っていない梅干し、生姜を利かせた肉そぼろ。定番の具に加えて今回初挑戦の醤油で炒めチーズを混ぜたおかか。これだけあれば食べ盛り2人の腹も満たせるだろう。
ふと、何故家主であるおれがここまでしてやらねばならんのかと疑問に思う事もなくはない。
しかしリスのように頬を膨らませてうまいうまいと次々握り飯に手を伸ばす2人を想像すると、そんな考えも湯気と共に消えてしまった。
たった数ヶ月で絆されたものだと苦笑が漏れるが、今の生活は存外悪くない。さてそろそろ迷子になったロロノアを連れてゴースト娘が帰ってくる頃だ。
「帰ったぞ鷹の目~!もう私お腹ペコペコだ」
「おれも腹が減ったな、酒はねぇか?」
自分はいつも炊き立てのお米を解そうとして潰してしまいます。潰さず混ぜるコツを教えて下さいミホーク様! - 85125/07/25(金) 19:52:11
- 86二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 23:19:47
言われて気づいた
たしかに風があるのに擬音とかないな…
ロビンちゃん着眼点すごい… - 87二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 08:30:58
夏休みの読書感想文が捗るスレ
- 88二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 16:04:21
片手で食べられるサンドイッチなのがサンジがロビンちゃんを思いやってつくっただろうことが伺えて素敵だ
- 89二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:32:49
ビクトリア・シンドリーは舞台女優だ。
常に客を楽しませ、感動を与えることを使命としている。
しかしそれは女優だけの仕事ではない。
平たく言えばこの世に存在する全ての職業は誰かの笑顔の為にあるといっても過言ではないのだ。
そう、まるで目の前の一皿のように。
愛する婚約者、予約したレストラン、キッチンから聞こえる声とウェイターの注ぐワイン。
どれか一つ欠けても自分の笑顔は生まれない。
ああなんて最上の夜だろうか。グラスに映る全てが私達を祝福してくれるかのよう。
どうかこんな幸福をみんなにも味わってほしい。そのためなら私はどんな役でもこなしてみよう。
純文学かいたことないからごめん - 90二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 23:45:28
なんか懐かしい気持ちになるよね
- 91二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 09:45:42
保守
- 92二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 09:52:11
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- 93125/07/27(日) 17:15:23
風なのでペルで書きました
(1/2)
アルバーナの夕闇、風は気高い。隼の羽を尖らせると、空を上下に分かつナイフ。
「ペル、早いわ、心地がいいわ、ペル」
頭上から柔らかい声が聞こえる。
いち王国の姫を連れ出すのもどうかと思うが、幼いながらに責務を背負う子どもを無下にはできまい。
「見て、パン屋が鳩を集めているわ」
「噴水で旅芸人が踊っているわ」
「ねえ、ペルあの家のランプはどこのものかしら」
ビビ様は王家の器を手にとってお生まれになった。彼女はいつもその高い地位を民をよく見通すために使われた。
ペル、私が指を差しているでしょ、とかわいらしく怒る彼女に、
「愛らしく聡明な私の姫、隼めは背中に乗るあなたの指を見ることができないのです」と返す。
砂漠の向こうで陽が溶けるさまを忘れたことは一度も無かった。
「風は、粒子なのよ」
久しぶりに会った彼女は、あっという前に国を救ってみせると横顔でそう説いた。
- 94125/07/27(日) 17:18:31
(2/2)
ペル、私は冒険の中で科学を学んだわ。そして今まで見えなかったものを見つけたの。風もそうよ。風は目に見えないけど存在していないわけではないの。実際は小さな小さな空気の粒が、私たちに当たっているの。だから風を感じられるの。
風の中では己が唯一と思っていたがそうでもないらしい。砂粒が当たる不快感は、無くなったのではなく、分からないほど小さな別の粒に変わったのだろう、いや粒は最初からあった。砂が大きすぎただけだ。
「これから、これからが忙しくなる」
ビビ様は、本当に、ほんとうに立派になられた。アラバスタの脅威を私たちがはねつけないといけない。16という年は王家の中では若くもない、責任がさらにのしかかるだろう。
ビビ様、私の胸の内側で吹く風は何の粒なのでしょう。隼めでは分かりませぬ。 - 95二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:34:31
こうやってたくさんのものを見てきてビビは国を好きになったんだろうな
- 96二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 07:26:14
くまちーx墓参りで
そおっと、真っ白の布を滑らせる。
自分は強い。自惚れだとも思うが、愛する娘や友人の科学者に海兵達から太鼓判を押されるのだから事実なのだろう。己がそうなりたいと求めて生まれたわけでもないが、この身体が人の役に立つ度、両親への感謝が欠かさず沸き起こっている。
だが今この時においては最も弱い男であらねばならない。油断すれば容易く割ってしまいかねない。糸を解くかの如く細心に。じゃないと溶け込みそうな青い空から怒声が降りてきそうな気がし、軽く笑いが溢れた。
まばらに生えた雑草をむしり終わると、籠った微熱を吐き出す。老人達が定期的に様子を見にきてくれていたらしいので、目立った汚れは見当たらなかった。現に薄い土しか拭き取れていないのだ。やはり顔を出してよかったとしみじみ感じる。長い間留守にし置き去りにしてしまったが、彼女が大切にされているのをこの目で確かめられたのだから。
もう二度と味わえない筈だった、胸を満たす温もり。故郷の風。取り戻した生が腹を一杯にし、心地良く溜まり続けている。生きる事ができて幸せだと、何度でも噛み締められた。
数分程経った頃。
燦然とした陽の光みたいな声が聞こえた。振り返ると、眩しくて灼かれる様な笑顔を向ける子供が遠くにいる。無邪気に手を振る彼女はお腹が減ったと伝えてくるので、こちらもすぐに向かうと告げた。
まだまだ話したい事は沢山あったが、それはまた後にしよう。「戻ってくるよ」と言い残し、地面から腰を上げる。
そうして急ぎ駆けて行くと、溌剌と飛びついてきた。しっかり抱きしめると目と鼻の先に見える顔は、色褪せない桃色の心そのものだった。 - 97二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 07:54:52
うわあああくまちー、、、、、
- 98二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 12:19:23
お盆だから墓参りか
- 99二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 21:55:27
良いなあ
SS書きたいけどみんなみたいに上手くないしなあ - 100二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 07:54:46
ほしゅ
- 101二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 10:59:48
スレ主じゃなくてごめんけど上手くなくてもどうか書いてくれ読みたい
SSに上手いもクソもないんだ
純文学って言うとハードル上がるのはわかるが
いちワンピファンとしてSSを書こうとしてる人間がひとりでも増えることが嬉しいんだ