- 1125/07/14(月) 22:11:04
- 2125/07/14(月) 22:13:01
とりあえず「ルフィ×キッチン」で書いてみた(1/2)
目覚ましとしてはけたたましいベルよりも光や香りが健康にはいい、と昔ナミが言っていたような気がする。海賊生活ではあまり使わない豆知識かもしれない。根拠についてはそもそも聞いてすらいない、またなぜそれを今思い出したのかもよく分からないまま、ルフィは微睡から浮上した。鼻腔を鶏肉の焼けた匂いが突く。
「メシ!!」
文字通り体をバネにしたルフィは跳び上がったままキッチンへの一歩を踏み出していた。どこからともなく帽子を被った鹿の子も後に着いて行った。
「……いいかおめェら、この肉はな、レディたちが良質なたんぱくしつを取るためにこれからおれがぽわれする。こっちの部位はぱて・あんくるーとに。繊細なレディたちがこのクソ暑い季節に栄養を取れるよう彼女たち同様美しく複雑なメシを作るんだおれは、胃袋から守る愛の騎士として」
サンジの話は横文字と例えばかりでいまいち頭に入ってこなかったが、つまりルフィの目の前にある焼き鳥は料理としては全く完成形ではなくて、手を出していい代物ではないということだった。彼は今、共犯者のチョッパーとキッチンの床に正座させられている。頭にはたんこぶがこさえられていた。(ゴムの体のルフィにダメージが通るはずもないのだが、愛は全てを凌駕するとのこと。) - 3125/07/14(月) 22:14:11
(2/2)
キッチンの主は少年ふたりが物欲しそうにしているのを見てパイ生地のあまりに砂糖をまぶして炙ったのを与えた。口内に甘味があるとそれだけで心に暖かな余白が生じる気がする。ルフィはキッチンのタイルが黒と白の格子模様なことに、今さらながら気づいた。
「なあチョッパー、黒は地底に繋がってンだ、白は踏んでもいいんだ」
そう言うと、鹿の少年はすぐに言わんとすることを理解して立ち上がった。賄いのシュガーラスクを飲み込んで、タイルの上で手押し相撲をしたり、白だけを踏んで逃げ回ったりする。
「あっ!ずりィんだルフィ!!」
「ニシシ、チョッパーおめェ、地底人だぜ。チテイジン!」
料理に埃が入るだろ、と尻を蹴とばされた二人はもつれるようにしてキッチンの扉から走り出す。ふわりと背中と上着の間に風が滑り込んで行く。
どっしりと、甲板に着いたルフィはチョッパーを抱えたまま仰向けに倒れ込む。今度は上着と背中が密着して芝生の感触さえ分かってしまう。汗か草露かうすらと湿度も感じる。ルフィはまるで、自分が芝生に縫い付けられたように思った。そしてそれは地底に続いているようにも。目の前には、真っ青な空が広がっていた。夏島が近い。 - 4125/07/14(月) 22:18:11
ロビンちゃんが説明したようにスレ主の思う純文学風SSとはこの程度のものです
キャラ名×なにかしら要素一つ
みたいな感じでリクエストくれたらその中からピックアップして書くこともします
例 フランキー×ジントニック
黄猿×ヤシの木
などなど。季節は多分夏固定になる
キャラはダイスで決めてもいいかもね
そしてみんなもぜひSSに挑戦してみてくれそこらへんの大衆文学寄りSSよりよっぽど脳ミソからっぽにして書けておれは楽しいぞォ!! - 5125/07/14(月) 22:20:00
あと今気づいたけどチョッパーのことトナカイじゃなくて鹿の少年って呼んでるね本当にごめん
書いてるとき「鹿の子」って語呂良すぎて気づかんかったごめんチョッパー - 6二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:32:58
定期的に野生の文豪が出てくるよなこのカテ
- 7二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:43:44
ロビン×本で見てみたいです
- 8二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 23:29:06
- 9125/07/14(月) 23:35:10
- 10125/07/14(月) 23:36:15
とりあえず今夜はチョッパーのことを鹿扱いしたスレ主の全身の骨を折って保守とするわね
おやすみなさい - 11二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 08:17:58
保守
- 12125/07/15(火) 10:15:50
ロビン×本 (1/2)
ページをすべる指の影が妙に長い。陽が落ちはじめるもののまだ夕暮れとは呼べない、誰にも名付けられないただただむし暑い時間を、ロビンは本と過ごしていた。
(いつのまにこんな時間⋯)
ログポースが溜まるまでの2泊3日の、3日目にもなると買い出しをあらかた終えて各々が余暇に耽っていた。ロビンは朝ナミとブティックに行き、そこから小洒落たカフェでクロックマダム(ナミはレモンのフレンチトースト)を食べた。そして彼女は今夜の出航に備えて風を読みに出て、自分はそのままテラス席に残ったのだ。
(やっぱり若者向けすぎたんじゃないかしら)
ロビンは今朝買った⋯厳密にはナミに買わされたリブトップにため息をついた。ほとんど下着と変わらない面積のそれは、黒地に上品な多色ラメが散りばめられている。オールサンデーでもどこぞのスパイでも誰でもない、ニコ・ロビンが着る服としてはいささか派手すぎるだろう。
「いいじゃないロビン!普段あいつらととんでもない修羅場をくぐり抜けてるのよ!?服くらい冒険しなきゃー!!」
上に何か羽織ってもいいし、と最後のダメ押しを経てロビンの手元に来たトップスはちりりと陽光を、ラメで反射させた。何だか誇らしげじゃないか。
ナミはいつも、船長とはまた別の冒険に連れ出してくれる。これまで闇に生きた自分がナミに引っ張られ色を知っていくようだ。
「あらあら、まあ、いやだ」
ロビンは他者を感傷的に修飾した自分が、急に恥ずかしくなり、あたりを少し見て再び本に目を落とした。 - 13125/07/15(火) 10:19:03
(2/2)
……今日では観光産業国家として名高い当島だが、かつては綿の生産地として近隣国家とハブを持っていた。ファストファッションが台頭して以来、繊維輸出だけでは経済を支えられなくなった折、当時の元首エルリダ・フェリペスが目をつけたのが海岸沿いの防風林である。防風林は美しい並木道に開発され単なる亜熱帯国家だった我が国はリゾート地に転身した。観光地として栄えてからも、綿の生産国という強みを活かし、上質な素材で丁寧に作られた衣服はインバウンド客向けに………
波間を縫う魚のように、一文が揺らいでいく。群れで泳いでいた文字たちがばらばらに逃げてゆく錯覚を見た時、ロビンはついに本を閉じた。
(海賊が、”経済学”ね…)
島出身の経済学者が書いた本は、専門外だとしてもロビンなら難なく読破できる内容だった。彼女にとって、本を読むのすら億劫なアフタヌーンは初めてである。
「意味が、あるのかしら」
声に出してすぐ、(何に?)と思った。自身も今自分が何に対して意味を見出そうとしているのか分からないまま呟いていたのだ。何となく、自分がブティックで吊られて陳列されている妄想を、ロビンは抱いた。
テラスの前の階段では子供たちが遊んでいる。
「ねーえぇ、パーで買ったらパイナップル!六歩進むってあるでしょぉお?あれって不公平じゃなーい?一回勝ったら一歩、二回目は二歩!どーお新ルール!?」
髪を二つにくくった少女が仕切ると周りの子供たちも賛同し始めた。
(破綻している)
とロビンは思った。パーで勝てば六歩進めるがグーで勝つと三歩。駆け引きも一発逆転もある元のルールに反して、勝てば勝つほど進めるだけのオリジナルルールはいつか退屈になってしまうだろう。だが子供たちは笑っていた。それでいい。それでいいのだ、とロビンも微笑んだ。 - 14125/07/15(火) 10:20:06
以上、絆されて私服がオシャレになっていく最中のロビンちゃんでした
なんかロビン×本っていうよりロビン×服みたいになっちゃった
純文学はグランドラインだからねしょうがないね - 15二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 19:07:46
だが子供たちは笑っていた。それでいい。それでいいのだ、とロビンも微笑んだ。
これ好き
子供のころのロビンちゃんも一緒に笑ってそうで - 16125/07/15(火) 21:22:58
- 17125/07/15(火) 21:26:32
おージャブラか
意外と純愛ものとか良さそう仕事中むにゃむにゃ考えときます - 18二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 22:48:28
ギャサリンへの想いは純粋だからな
- 19二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 07:41:10
連載もワンダーランドだからな
- 20二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 12:15:57
このレスは削除されています
- 21二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 15:05:10
「みんなも書いていいわ」というお言葉に甘えてブルック×音楽で超短いSSを書いてみた
♪ヨホホホー ヨーホホーホー ヨホホホー ヨーホホーホー♪
水平線から段々と白んでいく空を眺めながら私は今日も愛用のヴァイオリンに指を滑らせ、骨身に染みるほど馴染んだ歌を歌う。
奏でるは穏やかでゆったりとした曲調にアレンジしたビンクスの酒。荒々しくも陽気で自由な海賊たちの歌。
甲板には私しかいないけれど、キッチンから聞こえる包丁のヴィヴァーチェと男部屋から漏れる低いイビキのアダージョが私の共演者。
もう少しすれば弾けるようなテノールが高らかに響き渡り、それに呼応するようにこの船は鮮やかな音の洪水で溢れるでしょう。
それを楽しみに待ちながら、夜の静寂の余韻が残る東雲の時をこうして音楽を奏でながら過ごすのが私の毎日の楽しみなのです。 - 22二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 16:47:14
読んで気持ちいいSS好物侍でござる
自分も超短いのやってみたでござる 置かせていただき候
ルフィは特等席で空を見ていた。
夏島が近い海だ。黄昏時で、赤と夜空色が混じり合った紫色の豪奢な空だ。
夏の夕方というのは、なぜか寂しい。人恋しい。
みんな家に帰っていく時間だ。マキノも普段は店を閉めてしまう。
だから、最初は忌避した海賊であるシャンクスたちがだんだん好きになったのだろうか。夜も陽気にあの店で騒ぐ彼らが。あの声を聞くと寂しさが消えた。
「ああ、色のせいか」
この空と同じ色の目をした幼馴染。あの海賊団の音楽家。
『この麦わら帽子が、もっと似合う男になるんだぞ』
「ああ、ずっと見てろよ」
ルフィは寂しいのが嫌いだ。
自分の音楽家を探して、ルフィは特等席から跳び上がった。
「なあ、一曲頼む!お前もよく知ってるやつだ」 - 23二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 18:14:08
ロビンちゃんがいいよって言ってくれたので挑戦してみたい
16の表をお借りして dice1d200=167 (167)
- 24二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:17:29
このレスは削除されています
- 25125/07/16(水) 20:22:22
- 26二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 22:42:09
そうかチビルフィもチビロビンも寂しい時海の男に救われたんだ
- 27二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 07:37:29
保守
- 28二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 08:47:09
サンジにコーヒー入れてもらってね
- 29二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 12:20:40
ここいいなあ
ロビンちゃんの本好きなのが伝わってくる - 30125/07/17(木) 14:07:40
ジャブラ×恋
狼みてェな女だと思った。
いや、狼と言えばこのおれだがな。あの給仕の女は間違いなく狼だぜ、狡猾な捕食者の目をしているんだ。ありゃあ油断させて幾人もの男をかみ殺してきたぞ。お前ら市井の人間は、すぐ女をカモシカだとか子兎だとか、草食動物に例えるよな。てめェを草食動物のオスだって主張してんのか?それとも哀れで弱い女を一方的に食いたいのか?おれにはそんな趣味ねェよ。だせェこと言うなよ、司法の島に狼が二匹いるっていうのも面白ェだろ?
狼のおれが番うなら、狼以外ありえないしな
……つまりそういうことだ。
今日もおれは女のいる喫茶に足を運ぶ。注文するのは毎回濃いめのコーヒー、ブラック。南の海産の豆をじっくりローストして、薫り高い。熱々のホットで。これしか注文しねェのに、女は毎回「ホットですかアイスですか?砂糖とミルクは?」と聞いて来る。給仕としてどうなんだよまったく。まぁおれだって「覚えられたい」なんて思う諜報員だよ、おれたちやっぱり似た物同士なんじゃねェか?
おれが頼むコーヒーみてェに、女は毎回決まりきった出で立ちで来る。意志が強そうな眉毛に、彫りが深い顔立ちと青い目(グランドラインではよくある混血か?)黒檀の髪は隙のない三つ編みに。これだけだと少女っぽいが、女は真っ赤なルージュを引いていた。固い制服の下では豊満な身体が窮屈そうだ。女どもはみな矛盾という牙を持っている。だがあの女はとりわけその牙を磨いていた。
おれがぼーっと女のケツを眺めていると、いつの間にか横に立たれていた。熟れたチェリーのような唇がぬらぬら光っている。ただ一言「お客様、ラストオーダーです」。
食えない女だ。おれは本気を出せばこいつの素性を調べることもできたが、やめた。かつての同僚が「司法の島に、サーベルタイガーみてェな女がいる」と寝ぼけたことを言っていたが、同一人物じゃないだろうな。まさかな。 - 31125/07/17(木) 14:15:54
純文学×恋愛ものはどうしてもキモ重くなるからジャブラすまん
でも重い男は好きだぞ
ギャサリンって色白ハーフ顔で唇ぽってりしてるから叙述トリックで美人に見せられるんじゃないかと
実際恋してる男にはこれくらい可愛く映ってるだろ - 32二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 14:39:45
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 15:12:36
ベラミー×旗で書いてみた
抜けるような青空にハタハタと色とりどりの布が泳いでいる。国旗、社旗、ペナント、こいのぼり。ここは染物の町。おれの新たな人生の舞台。
ドレスローザを離れて流浪の旅に出たおれは、流れ着いたこの小さな町で1人の染物職人のジジイに弟子入りした。修行の日々はお世辞にも気楽とは言えなかったが、ついに今日おれは初めて1枚の旗を染める全工程を任された。
「緊張してる?」
ジジイの孫娘が無邪気にそう聞いてきた。以前のおれなら「うるさい」と言って追い払っていたかもしれないが今のおれはそれどころではない。何たっておれが今日染めるのはただの旗じゃない。海賊旗だ。海賊の夢と誇りを背負い、海賊が命を誓う旗。失敗なんて許されない。
おれは精神を集中させて白地の布に向き合った。息を詰めながら慎重に下絵を描き、白く残す部分には防染糊を色を、入れる部分には布海苔を塗る。そして刷毛を手に取り黒の染料でドクロを浮かび上がらせていく。ひとつひとつの工程に細心の注意を払い、呼吸にすら神経をとがらせる。
「糊はもっと均一に塗るんじゃ!」ゴン!
「色はもっと丁寧に塗らんか!」ゴン!
何度もジジイに頭をぶっ叩かれてようやく一枚の海賊旗を染め上げる事ができた。作業台から数歩離れて息を吐くと知らない内にかいていた汗が額から顎までツッと流れて行った。だが染め終わったからと言って気を抜いてはいけない。まだ色止め剤を塗ったり旗を真水で洗ったり道具を片付けたりとやる事はたくさんあるのだから。
全ての工程を終わらせ、風にたなびくドクロを見上げると初めて自分の海賊旗を掲げた時とは別の感動と、全く同じ誇らしさがこみ上げて来た。これがおれの旗。初めて染めたおれの旗だ。おれのドクロではないけれど誰かの夢と誇りと命を背負う大切な旗。
このドクロを掲げる海賊はどんな奴らだろう?このドクロにどんな夢を乗せるのだろう?このドクロはどんな世界を見るのだろう?そう考えるだけでおれの胸は船出の時のように高鳴った。もうおれが海に出る事はないだろうが、代わりにおれの染めた旗が世界を巡ってくれる。おれの知らない景色をたくさん見てくれる。
それが新しいおれの誇りだ。