【クロス注意】幼馴染inNRC Part21

  • 1125/07/14(月) 22:15:35

    ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界


    【以下前提条件】

    >トリップ地点は入学式の棺桶の中

    >トリップしたのは最終決戦後の二人

    >個性はかっちゃんだけ使える(反動で心臓ダメージあり)

    >監督生はデク


    ※前スレ含めてこのスレの内容とSSは無断転載禁止です!

    スレ内でSSとかWriteningに書いてくれるのは歓迎です

  • 2125/07/14(月) 22:18:09

    前スレ

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part20|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼プロローグ

    【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com

    ▼第一章

    【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第二章

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第三章

    幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第四章

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part8|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第五章

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part11|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第六章

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part14|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com

    ▼第七章

    【クロス注意】幼馴染inNRC Part18|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com
  • 3125/07/14(月) 22:19:57
  • 4125/07/14(月) 22:21:21

    素敵な支援SS様

    ……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.net
    なんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.net
    マスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.net
    もぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.net
    ドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.net
  • 5125/07/14(月) 22:24:22
  • 6125/07/14(月) 22:26:28

    ツイステSD風幼馴染

    ▼【R】制服


    ▼【R】運動着

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:28:23

    スレ立てお疲れ様です
    睡眠は取ってくださいね

  • 8125/07/14(月) 22:30:32

    現在好感度まとめ
    【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
    *😺グリム 100/100、 93/91 
    *❤エース 100/100、 42/88
    *♠デュース 100/100、 100/93
    *🌹リドル 91/93、 79/100
    *🔶ケイト 99/100、 85/87
    *☘トレイ 30/27、 60/40
    *🦁レオナ 26/74、 53/44
    *🍩ラギー 14/59、 72/21
    *🐺ジャック 84/100、 52/91
    *🐙アズール 75/100、 94/31
    *🐬ジェイド 26/65、 21/43
    *🦈フロイド 8/33、 28/69
    *🦦カリム 77/100、 49/86
    *🐍ジャミル 95/84、 69/63
    *👑ヴィル 100/100、 80/100
    *🏹ルーク 100/100、 95/100
    *🍎エペル 100/100、 100/100
    *💀イデア 100/82、 71/64
    *🔥オルト 84/46、 25/36
    *🐲マレウス 95/70、 27/22
    *🦇リリア 73/53、 100/31
    *⚔シルバー 77/99、 98/48 
    *🐊セベク 24/54、43/19
    *🐶クルーウェル 56/-、 13/-
    *📚トレイン 78/-、 36/-
    *🦾バルガス 16/-、 6/

  • 9125/07/14(月) 22:36:49

    前回までのざっくりあらすじ

    マレウスの夢から脱出するため、リリアに話を聞くべく軍人時代の彼に同行した出久たち。
    長く辛い記憶を追体験した先でリリアがマレウスの卵を孵した記憶まで見届けたところで、ついにマレウスに見つかってしまう。
    目を醒ましたリリアに逃がされる形で、出久たちはシルバーの夢渡りの魔法を使ってリリアの夢から脱出した。
    マレウスの魔法を打破する方法を探すべく、別の人の夢に映る最中、夢を渡る技術を獲得したオルトに拾われて出久たちはイデアの夢に不時着した。
    イデアとオルトは『S.T.Y.X.』の技術サポートを受けながらマレウスの魔法領域を解除する作戦を立てており、出久たちは彼らの作戦に参加して「打倒マレウスのための仲間集め」という任務を任されたのであった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/14(月) 22:43:39

    たておつ

  • 11125/07/14(月) 22:55:59

    >>7

    ありがとうございます~睡眠は適宜とっております

    職業柄お休みがカレンダー通りじゃないので、変な時間にまとまって更新したりすることもありますが、日常に支障ない範囲でやっておりまする

  • 12125/07/14(月) 23:28:17

    😺「う~!いいな、いいな!オレ様もその『ドリームフォーム・チェンジ!』」ってのやりたいんだゾ~!『ドリームフォーム・チェンジ』!にゃはは!イズク~、見てみろ!」

    グリムも早速件の呪文を唱えて衣装選択画面を出すと、ボタンを押して着替えまくっていた。


    *出久 胸キュンレベル

    dice1d100=28 (28)


    🧨「こんなときに遊んでンじゃねーぞクソ狸」

    🥦「折角だから写真に撮っておこう。グリム、こっち見て~!」

    🧨「テメェも自重しろクソナード。つかゴーストカメラ持ち歩いとったンかよ」

    🥦「いつミッキーに会っても良いように、最近はずっとブレザーのポケットに入れてたんだよね」


    🔥『グリムさん。サポートツールはあくまで補助。魔法の発動に利用する魔力は、自分のものを消費するから使いすぎに気をつけてね。ミドリヤさんたちも、念のためスマホでのサポートツールは使い過ぎないように』

    🧨「衣装選択画面に魔道アーマーもあっけど、これは使えンのか?」

    💀「えっとね……一応使えるけど、魔導エネルギーの供給源がミドリヤ氏がもってるスマホのバッテリーしかないんで、基本的には使えないと思ってくだされ。『S.T.Y.X.』経由でスマホの充電が枯渇しないようにエネルギーは供給しとくけど、完全キャパオーバーなんで。ここぞというときの奥の手ってことでたのんます」

    🧨「チッ」

    🔥『魔導アーマーを装備していると誰の夢でも目立つから、『闇』に異変に気づかれやすくなると推定されるよ。そういう意味でも、非常時以外は着用は非推奨だよ』

    💀「ち、ちなみに、衣装選択は発声のみでも可能なんで……これから先はその衣装チェンジ機能を使って、必要に応じて装備を切り替えてくだされ」

    🔥『まずはナイトレイブンカレッジの制服をデフォルト装備にしておくのをおすすめするよ』

  • 13125/07/14(月) 23:47:48

    夢を渡っての仲間集めの旅では、極力『闇』に気づかれないように周囲に溶け込むことが重要となる。ナイトレイブンカレッジの制服姿ならば基本的にどこの国でも通用するということで、出久たちは黒いブレザーに着替えた。


    🔥『よーし!!チュートリアルが終わって王様に装備を授けてもらったところで、さっそく仲間探しの旅に出かけよう!それじゃあシルバーさん、移動を開始しよう』

    ⚔「ああ。みんな、俺にしっかりつかまってくれ。……いくぞ!『同じ夢を見よう(ミート・イン・ア・ドリーム)』!」

    シルバーが呪文を唱えれば、出久たちはオーロラ色の眩い光に包まれて、夢の回廊に投げ出された。今までは行く先も分からずに自由落下するだけだったが、夢の座標を知るオルトが魔導スラスターを噴射して落下地点を導いてくれた。どうあがいても落ちながら移動するのは変えられないらしい。


    🔥「霊素シグナル・トラッキング成功。指定された座標へ到着しました」

    落下した先は、ナイトレイブンカレッジのメインストリートだった。周囲の光景はいたって普通で、学生たちが雑談を交わしながらのんびりと登校していく姿が見える。

    オルトも制服ギアの姿で実体を持った状態で夢に降り立った。曰く、イデアの夢にオルトが存在できないだけで、他の人の夢で実体をもつ分には問題ないとのことだ。


    🥦「オルトくん、ここは誰の夢なの?今のところ異変は見当たらないけど」

    🔥「ふふ、それはね――」

    ?「はった!朝練の日さ限って寝坊してまった!」


    ――THUD!THUD!THUD!


    そのとき、メインストリートから重たい足音が聞こえてきた。マッスルフォームのオールマイトや、『シュガードープ』発動中の砂藤のような足音である。


    🍎「いそげ、いそげ~っ!」

    「「!!!!!」」


    果たして、向こうからやってきたのは、発育がとんでもないことになっているマッスルフォームのエペルだった。


    *二人の反応

    出久 dice1d2=1 (1)

    爆豪 dice1d2=2 (2)

    1.そんなこともあるだろう

    2.流石にビックリ

  • 14125/07/14(月) 23:52:34

    ここから夢巡り編に入るのですが、ここをまともにやると1章から5章までもう丸一周するくらいのボリュームとなり、そこまで手を回せないので夢の内容はダイジェスト気味で進めたいと思います
    7章入ってからずっと駆け足で申し訳ないですが、7章は本当に長くてスレ主の時間体力が足りないのでご容赦ください

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 00:42:46

    流石オールマイトの弟子にしてクソナード

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 06:35:54

    前スレのドリチェン幼馴染がニチアサのノリで可愛すぎる
    光の幼馴染をありがとう……

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 06:41:07

    スレ主の負担が少しでも軽いやり方が1番ですよ、マジで長いですもん……
    そしてデク……いやまあ君もここまでじゃないけどドリームプランでめっちゃ鍛えるの頑張ったし鍛えたい思いがあったらこういうのも出るよなあ、ってなってもおかしくないか、か?

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 09:21:27

    そうゆうこともあるよね…じゃないんだよデクくん

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 15:06:43

    保守+a
    今度はイデア先輩の個人MVが出たぜ

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 18:44:28

    ドリームフォームチェンジってヒーロースーツも行けるのかな?このあたりの設定覚えてないからなあ

  • 21125/07/15(火) 20:49:48

    >>20

    ドリチェンでの変身は『S.T.Y.X.』がモデリングしておいた姿に見た目の情報を書き換えているだけなので、ヒーロースーツには変身できないですね

    なんとかして『S.T.Y.X.』にヒーロースーツのデータを作ってもらうか、各人の夢で自然に生成された衣装はセベクの鎧のように持ち越せるのでどこかの夢で調達してくるかですね


    魔導アーマーは設計図が『S.T.Y.X』にあるので、内容をそのままデータに起こしてくれたという流れでイメージしてます

  • 22125/07/15(火) 22:04:20

    🐊「なんだあれは!?僕たちは一体なにを見せられている!?」
    🥦「マッスルフォームのエペルくんだ」
    筋骨隆々で身長が2メートル近くあるエペルの周囲には、小鳥のような光が飛んでいる。この夢の主はエペルであるらしい。

    🥦「エペルくん、よくジャックくんみたいにムキムキになりたいって言ってたし、そんな夢を見ることもあるよね」
    ⚔「なるほど。日頃から同級生の姿を見ているからたくましい身体は鮮明に想像できた。しかし、身体に見合う精悍さを持った自分の顔までは想像できなかった……ということか」
    🐊「何も『なるほど』ではないが!?アイツは自分の姿に何の違和感ももっていないのか!?」
    🧨「顔はともかく、筋肉のバランスが適当過ぎてキメェな。あそこまで上腕太く鍛えりゃその過程で胸筋がもっと膨らむもんだし、脚も筋肉の発達が滅茶苦茶だ。トレーニングに対する解像度が低すぎンだろ」
    🥦「う~ん、そう言われるとそうかもしれない。普通なら筋肉のつき方にトレーニングの目的が表れるものだけど……単純に筋肉を大きくしただけにも見える」
    🐊「ツッコミどころがズレているぞ貴様ら!!!」

    💀『ふぅむ。エペル氏はイマジネーション強度がだいぶ貧弱ですな。これなら、意外と簡単に夢から醒ますことができるかもしれませんぞ』
    イデアは対マレウス用『チートツール』開発のために自身の夢から離れられないが、目と口の代わりのタブレットを分身として仲間集めの旅に同行している。
    夢から醒ますには物理的な衝撃を与えるか、現実との齟齬を本人が認識すれば良い。イデアの見立てでは、エペルの夢は作りこみが甘いため、少し突けば夢の設定にボロが出るだろう、ということだ。

    🥦「よし、とりあえずエペルくんに話しかけてみよう」

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 22:15:15

    >>21

    説明ありがとうございます

    そうかぁ…まあなんとかなるか

  • 24125/07/15(火) 22:16:15

    🥦「エペルくん、おはよう!」

    🍎「おっ、ミドリヤ~おはよう!グリムとバクゴーも、おはよう!」

    話しかければ、エペルは普段の調子で返事をしてくれた。


    現実との矛盾を突き付けるため、エペルの姿に関していくつか質問をすれば、エペルはすぐに言葉に詰まった。存在しない記憶を思い出すことはできない。

    言葉に詰まったエペルは記憶を思い出しかけて頭を抑えたが、その途端にどこからともなく『闇』が集まってきてヴィルとルークの姿を取り、エペルが答えられなかった質問に代わりに答え始めた。


    🧨「なるほど。アレが夢から醒められねぇカラクリの正体か」

    🔥「どうやら『闇』は、対象が存分に夢に浸れる状況に引き戻しやすい姿をとるようだね」

    ヴィルとルークの姿になった『闇』は、エペルを両脇から褒めちぎって自分の姿への違和感から意識を逸らさせ、そのまま出久たちの前から連れ出そうとした。


    *呼び止めるのは dice1d3=3 (3)

    1.出久

    2.爆豪

    3.グリム

  • 25125/07/15(火) 22:34:03

    😺「オイッ!待つんだゾ、エペル!」

    偽物のヴィル達に連れて行かれそうにエペルの前に、グリムが割って入った。


    😺「オメー、『VDC』の時に言ってたじゃねーか。『今の自分の武器を最大限に活かして、愛らしさでネージュに勝ってやるんだ』って!」

    🍎「『VDC』……うっ!」

    😺「オマエはデュースと一緒に、自分の個性を武器にしてやるんだって張り切ってた!オレ様、あん時オメーのこと……ほんのちょっとだけだけど、カッケーヤツだと思ったのに!」

    🥦「そうだよ!僕たち、『VDC』の練習を抜け出してデュースくんと一緒に海に行ったよね。君はあのとき、自分の“愛らしさ”がすごいパワーになるって気づいたはずじゃないか!思い出して、エペルくん!!」

    🍎「うぐッ!……今しかねった、強さ、あ、愛らしさっと……」

    今のエペルの姿では成立しえない記憶が刺激され、エペルが頭を抑えて苦しみはじめた。


    🍎「うゎああああーーーーーーッ!!!!」

    🥦「エペルくん、しっかりして!」

    🍎「うっ……はぁ、はぁ……。俺……どうして忘れちゃってたんだろう……。“今の自分”を認めて、強くなるって……。毒林檎みたいな、自分だけの強さを手に入れるって……あの日誓ったのに!」

    🥦「!!姿が元に……目が醒めたんだね!」


    夢から醒めるとともに、エペルは元の小柄な姿に戻った。

    偽物のヴィルとルークがエペルを再び夢に引き摺り込もうと、なおも甘い言葉をかけ続ける。エペルは強い眼光で二人を睨みながら、夢の誘惑を拒絶した。


    🍎「……俺の知ってるあんたたちは、そんなこと絶対に言わない!

    🍎「デカくて逞しい身体に憧れてないって言えば、嘘になる。でも、だけど!俺が手に入れたい強さは、逞しさは……美しさは!俺が自分で決めて、自分の力で手に入れる!」

    エペルは『闇』に向けてマジカルペンを向けた。


    🥦「加勢するよ、エペルくん!」


    *霊素ダメージロール

    出久(29) dice1d5=3 (3)

    爆豪(24) dice1d5=4 (4)

    グリム(20) dice1d5=1 (1)

    シルバー(14) dice1d5=1 (1)

    セベク(26) dice1d5=4 (4)

  • 26125/07/15(火) 22:47:01

    襲い来る『闇』を退け、エペルがヴィルとルークに化けた『闇』をユニーク魔法で眠らせたところで、新たな『闇』が湧いてこなくなった。
    どうやら、リリアの夢ほどマレウスが管理のためにリソースを割いていないらしい。

    😺「おう、エペル!オメー、やっと目が醒めたんだゾ?」
    🍎「うん、やっと頭がはっきりしてきた。みんなには格好悪いところ見せちゃったね。……ところで、僕たちはリリアサンの送別会にいたはずだけど……」
    🔥「今の状況についての説明は僕たちがするよ。ちょっとこの動画を見てもらっていい?」

    オルトはイデアのタブレットを使って例の『マレウス攻略動画』をエペルに見せ、手紙のような形の『招待コード』のデータを渡した。
    エペルは打倒マレウス戦の招待と、これから他のポムフィオーレの生徒を起こしにいく旅への同行に快く応じてくれた。
    イデアの考察によれば、“現実での記憶”や体験を共有している者の方が、対象を覚醒へ導きやすいのだという。

    この夢の主であるエペルが夢を不在にする間、『闇』に異変を気取られないように、擬装用のダミーデータとして『S.T.Y.X.』が筋骨隆々のエペルの3Dモデルをオルト経由で送信してくれた。

    🍎「うっ……!!あ、改めて見ると、なんていうか……なしてわ、これがかっけと思ってたんだべ~!?」

  • 27125/07/15(火) 22:55:47

    ~閑話~


    🧨「そういや、オールマイトのマッスルフォームって個性関係ねェんだよな」

    🥦「そうだね。あれは『OFA』の力とは何も関係ないよ」

    🧨「テメーは似たようなことできねぇの?」

    🥦「ムキムキの体は再現が難しいけど、顔だけならできるよ。……フン!」ニッ!



    *かっちゃんの反応 dice1d3=3 (3)

    1.「……まあまあ似とンな」ジロジロ

    2.(ツボに入った)

    3.「オールマイトを馬鹿にしとンのか?」ブチブチ


    🐊「うおっ!?ミドリヤのやつ、急に画風が……」

    😺「ふなっ!?ムキムキエペルと逆で、ちっせー身体にゴツイの顔が乗ってて気持ち悪いんだゾ!」

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 23:06:47

    >>27

    解釈一致

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 23:07:52

    かっちゃん、ナイトアイを思い出すキレ方しとるな

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 23:18:29

    かっちゃんならトゥルーフォーム顔芸出来そうだな

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 06:23:50

    改めて霊素ダメージみると
    魔力によるダメージがそのまま入ってそうな爆豪・緑谷
    体が小さい分狙われにくそうなグリム
    唯一の2年で実践的な魔法の使い方を分かってるシルバー
    知識や実技的な経験はあれどまだ1年なセベク
    って感じのダメージな気がする

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 12:30:45

    >>31

    あーそう考えると凄い納得する

    シルバーの出目すげえな……ってしか見てなかった

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:13:17

    ほしゅ

  • 34125/07/16(水) 22:23:49

    >>27

    エペルの反応も振っておこう


    *エペルの反応 dice1d2=2 (2)

    1.ちょっと濃すぎる……かな

    2.オールマイトって男らしくでたげかっけぇ!

  • 35二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 22:25:39

    異世界でもかっこよさが通用するオールマイトさんマジかっけえっす

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 22:54:08

    このレスは削除されています

  • 37125/07/16(水) 22:56:12

    🔥「これでよし。それじゃあ、次の夢へ移動しよう!」

    エペルの目を醒まし、マレウスの目を逃れるためのダミーデータも用意できたところで、出久たちはシルバーに捕まって次の夢へと向かった。



    次に降り立った先は、サバナクロー寮だった。

    サバナクロー寮生の誰かの夢ではないかと行きかう生徒たちを観察していると、出久たちは真後ろから誰かに声をかけられた。


    ?「おや?キミたち……そこで何をしているんだい?」

    🥦「うわーーーーーっ?!ビックリした……」

    🧨「俺の許可なく俺の真後ろに立つなクソが!!」

    🥦「この感じ、なんかデジャヴが……」

    この学園で死線を潜ってきた二人の感覚をもすり抜けることができた人物は、歴戦の戦士であるリリアを除けば一人しかいない。


    🏹「獅子の縄張りたる我がサバナクロー寮に何のご用かな?」

    出久たちが振り向くと、そこにいたのはサバナクローの寮服姿のルークだった。彼の周りには小鳥のような光が飛んでいる。ここはルークの夢であるらしい。

    サバナクロー寮服姿のルークは、髪はボサボサで生傷だらけ、肌は乾燥してそばかすのある鼻の頭や頬の高いところが赤らんでいる。


    ルークに今の服装について指摘すると、会話の流れでこの夢ではヴィルがナイトレイブンカレッジに在籍していないことが判明した。


    🥦「そういえば、『タルタロス』でルーク先輩はヴィル先輩と意気投合してサバナクローからポムフィオーレに転寮したって言ってたよね」ヒソヒソ

    🧨「ああ。生デニムがナイトレイブンカレッジに在籍してねェから、おかっぱが転寮するきっかけが無くなったってことか」ヒソヒソ


    🏹「俳優のヴィル・シェーンハイトなら、ロイヤルソードアカデミーに通っている。俳優仲間であり、大親友でもあるネージュ・リュバンシェと共にね!」


    *アイデアロール(51以上で成功)

    出久 dice1d100=54 (54) +20(クソナード補正)

    爆豪 dice1d100=25 (25)

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 22:57:46

    オタクの共振力すごい………

  • 39125/07/16(水) 23:21:11

    ルークがその美しさを愛して止まないネージュとヴィルが、同じ学園に仲良く通っている。その情報を聞いた瞬間、出久の脳裏にクソナード特有のひらめきが走った。

    🥦「ハッ!!これは……推し同士の夢のチームアップ、ってやつなのでは……!?」
    🧨「ハァ?」
    🥦「現実では到底実現できない組み合わせでも、『チームアップしたらこんな感じかな~』とか考えちゃうことってない?僕も昔、オールマイトとエンデヴァーはあんまり仲良くないってニュースとかで察してたけど、『No.1とNo.2の最強チームアップ!!』みたいな妄想をしたことがないと言えば嘘になる……。この状況って、ルーク先輩にとってそういう夢みたいな状況が叶った状態なのかなって」

    🐊「ならば、なぜヴィル先輩とネージュとやらは、ナイトレイブンカレッジではなくロイヤルソードアカデミーに通っているんだ?推し……というのは分からんが、要するに憧憬や慕情を抱く相手のことだろう?そのような相手ならば、違う学校よりも同じ学校に通っていた方が良いように思えるが」
    🥦「う~ん、それは僕も分からないけど……」
    💀「えっっっ!!!?推しを遠くから見つめていたいだけの、推しに認知されたくない繊細なオタクの心理が分からないってマ!?ミドリヤ氏、拙者と同類だと思ってたのに……ッ!」
    🧨「認知されたくないどころか、コイツは憧れのヒーローの後継者に選ばれて、こそこそと二人きりで特訓受けとったぞ」
    💀「エッッッ!?!?憧れの存在に?認知されて?後継者に選ばれて二人きり秘密の特訓!!?どこのラノベ!!?っていうか、その距離感の人のグッズ集めてるってどういうコト!?」
    🥦「色々あって、テレビを見て純粋に憧れていた頃と気持ちは変化しましたけど、今でもオールマイトは僕の一番の憧れのヒーローですから!グッズが発売されたら全部欲しいし、マイ活(※オールマイト活動の略)はもはやライフワークなんで!!」
    🧨「俺は……お前のそういうところが、たまらなく気持ち悪いと心から思う」

    ⚔「ダメだ、先ほどからミドリヤとイデア先輩が何を言っているのか何もわからない」
    🍎「僕も……かな」
    🔥「う~ん、兄さんとミドリヤさんの強火のオタクの主張は、一般人には馴染みがない内容かもしれないね」

  • 40二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 23:40:48

    イデア先輩の主張に一番近いタイプは…ホークスかな?

  • 41二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 23:43:40

    8年後に教師になったときでもオールマイトのタペストリーを欲しがってるところが、デクがクソナードたる所以だよな
    しかも本人から手渡ししてもらえるとナチュラルに考えているクソボケぶり

  • 42二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 23:50:49

    まあオールマイトもオールマイトでデクのこと可愛がってるしね
    あとかっちゃんだってオールマイトの応援歌を振り付けで歌えるオールマイトファンじゃないか

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 01:17:43

    冷静に気持ち悪がってるかっちゃん草
    ミドリヤ氏は行動派オタクなので
    あと憧れの存在が身近に居ても平気なのはかっちゃん(憧れの対象)が居た影響もあると思う

  • 44二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 08:13:38

    確かにラノベと言われたらそう

  • 45二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 13:28:39

    ほしゅ

  • 46二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 13:50:44

    >>39

    オールマイトファンは分母数が多いから、多種多様なファンが多いもんな


    デク…行動派オタク

    ナイトアイ…押しかけサイドキック

    ステイン…過激派同担許容(条件厳)

    スターアンドストライプ…髪色を合わせて、触角増やす

    航一…オールマイトパーカーコンプ

    ダークマイト…ダークマイト

  • 47二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:30:41

    >>46

    ほぼ厄介オタクで草

    最終的にオールマイトの為になったから許されたけどデクとナイトアイもヤバい寄りなんだよな

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:43:30

    >>39

    推しから認められたというか、デクをデズニープリンセス文脈で喩えるならまさにシンデレラなんだよな


    贈り物を授けた人が善の狂人で、贈り物が「巨悪を打ち倒す宿命」がセットになってるハイパーリスキーゴリゴリ増強系個性で、受け取った人も善の狂人だったのが問題なだけで

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 22:51:08

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 00:48:24

    シンデレラ…言われてみれば確かにその通りだけど脳が拒否するバグり具合
    自ら四肢欠損して戦うシンデレラストーリーとか

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 00:53:58

    原典だったり古いシンデレラじゃ継母の連れ子である姉2人が足欠損したり目玉喪ったり最悪死んだりするぞ

  • 52二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 00:55:48

    >>48

    どっちも狂人なのか…ハイパーリスキーゴリゴリ増強系個性を使って自壊したり四肢欠損も気にせず戦ったり…シンデレラストーリーにしては血生臭いな

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 01:23:09

    >>48

    指を残弾扱いするシンデレラと自分の命をベッド出来ちゃう魔法使いかぁ…

  • 54二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 06:05:52

    ガラスの靴を持って迎えに来てくれる王子様はかっちゃん筆頭のA組のみんなになるのかな
    魔法が切れて無個性に戻っちゃったデクにアーマースーツを持ってきてもう一回舞台に引っ張り上げてくれるんだよね

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 12:40:09

    >>54

    本人にまた刺さるが魔法使いが来るまで虐げていた継母や姉文面に乗っかっちゃうのも鬱屈というか主に折寺時代のかっちゃんなのがまたバグるな

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 13:06:43

    カリムの夢の爽やかバイパー見て「気色ワリィ夢見てんじゃねえよ浮かれ野郎が!」とか言ってキレるかっちゃんはなんか想像できる

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:58:42

    個人的にフロイドとトレイの夢に対する反応が楽しみ

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:05:50

    レオナさんは深層心理で断片的に知ってる出久でもここまで酷いと思わなくて絶句しそうだな…(今日公開のキャラソンを振り返って追加ダメージ受けつつ)

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 22:48:42

    オタクにも色んな方向のオタクがいるよね

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 07:07:26

    ほしゅ

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 07:07:31

    >>46

    冷静に行動してただけかもだけど、ダークマイトへの対応見てるとおかしなのに突撃された事多そうで慣れてそうだなあ思うからデクとサーのはかわいいもんなんだろうな

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 10:53:28

    >>55

    本編のかっちゃんはデクを虐げていた中心人物であり、デクが最初に助けた人物であり、デクがヒーローになりたい以外の激情(君に勝ちたい)を向けた唯一の相手であり、デクの暴走トリガーを何回も引いた人物であり、それでいてデクの隣に並び立つ為に最も体を張って命削ってる人物なので、とにかく立場と情動が忙しい男なんよな

  • 63125/07/19(土) 11:08:13

    ルークはヴィルとネージュの友情がいかに素晴らしく尊いものであるか、雑誌のインタビュー記事を引用しながら怒涛の勢いで語り続けた。


    🏹「ペラペラペラペラ……尊いっ!!!!それ以外にこの2人の関係を表せる言葉があるかい!?」

    🧨「ベラベラうぅるっせぇえんだよ!!!!気色悪ィ妄想垂れ流すな!!!」

    🏹「ノン!妄想ではないよ、だって4年前の9月に発売された雑誌での対談の記事によればペラペラペラペラ」

    🧨「あ”あ”あ”あ”あ”」

    🔥『バクゴーさんが濃密なオタクトークに拒否反応を示しているね』


    *かっちゃんの症状 dice1d3=1 (1)

    1.鳥肌

    2.鳥皮

    3.蕁麻疹


    🔥『――興味深い話をありがとう、ルーク・ハントさん。もう少し詳しい話を聞かせてくれないかな?』

    エペルのときのように、質問攻めにしていけば現実と夢の齟齬を突けるかもしれないと考え、オルトはルークから更に話を聞き出そうとした。

    存分に推し語りできる状況になったオタクは止まらない。ルークは目を輝かせ、「今雑誌を持ってくる!」と言い残してものすごい勢いで去っていった。対照的に、すでにオタクトークにうんざりしている勝己とグリムは表情筋が崩壊している。


    *出久の反応 dice1d2=2 (2)

    1.クソナード故の共感

    2.我が身を省みた

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 11:08:43

    >>62

    並べられるとかっちゃんの立ち位置凄いな…

  • 65125/07/19(土) 11:27:41

    🥦「……夢中になって好きなことを語っている人って、客観的に見るとあんな感じなんだね。僕も聞き手の反応が見えなくなることが多いから気をつけないとなぁ」

    🐊「冷静に我が身を省みている場合か!夢の主とあまり離れすぎると良くない、追いかけるぞ!」


    ルークを追いかけてサバナクロー寮内の彼の部屋の前へやってくると、扉の向こうからドタバタとものすごい音がした。

    🔥「ルーク・ハントさん?いる?」

    🐊「雑誌1冊持ってくるのに、何をもたもたしている?」

    🏹「待たせてすまない!雑誌以外にも見せたいものがあって……おっと!」

    来客が来たことに気づいたのルークは慌てた様子で、部屋の中の騒音がますます大きくなった。


    ⚔「尋常じゃない様子だ。……まさか、『闇』が襲ってきたのでは!?」

    🥦「!!万が一そうなら大変だ、救けに入らないと!!ルーク先輩、部屋に入ります!」

    🏹「ノンッ!待ってくれ、どうか中には入らないで……ああッ!!」

    ルークの部屋に突入した瞬間、出久たちの目に飛び込んできたものは『闇』ではなく、ヴィルとネージュの姿がプリントされたタペストゥリーやポスターを始めとする、無数のグッズで飾り立てられた部屋だった。


    ⚔「こ、この部屋は一体……!?」

    🐊「高度な術式を発動するために用意された儀式の部屋か!?」

    🥦「違う、これは……オタク部屋だ!!」


    *出久の反応 dice1d2=1 (1)

    1.オタク部屋の主としての親近感

    2.我が身を省みた

  • 66125/07/19(土) 11:43:43

    🏹「あ、あああ……ッ!入らないでと言ったのにッ!」

    🥦「えっ、恥ずかしがることなんてないじゃないですか!この部屋すごいです!間取りに対するタペストゥリーやポスターの配置が計算されてて、祭壇のレイアウトも全てのグッズが綺麗に見えるようになっているし、どれも保存状態がすごく良くてブツブツブツブツ」

    🐊「声が大きいバクゴーの影に隠れていたが、貴様も大概やかましい男だな」

    🍎「ひぃッ!!!無数のヴィルサンが壁からこっち見てる!夢に出そう!」

    🥦「憧れの人がいつでも見守ってくれるなんて最高だよね!」

    🍎「……僕、ミドリヤクンのことは強くて格好いいと思ってるけど、今だけは気持ち悪いと思う……かな」


    🏹「ふ……ふふふ……ふふふふふふふふふ!!」

    今まで誰にもバレたことのなかった秘密のオタク部屋を見られてしまったルークは、不気味な笑い声をあげた。

    🏹「……秘密を知られてしまったからには、ただでキミたちを帰すわけにはいかない」

    🧨「ア?俺らと戦ろうってか」

    🏹「付き合っていただこうか……私の推し俳優たちのDVD鑑賞に!さあ、みんなこちらに座って!見せたいものがたくさんあるんだ!」

    ルークは手早く再生機器を準備すると、出久たちをモニターの前に座らせた。人体の関節を熟知したルークの技により、強く押さえつけられているわけでもないのに逃げられなかった。


    🔥「みんな、これも『覚醒』のための情報収集……覚悟を決めよう!」

    こうして、半強制的にルークの推し俳優たちのDVD鑑賞が始まった。

    出久たちが解放されたのは、これから5時間後のことだった。


    *デクの反応 dice1d3=2 (2)

    1.楽しかった!

    2.僕も鑑賞会を開いてみたいなぁ……

    3.我が身を省みた


    *かっちゃんの反応 dice1d3=3 (3)

    1.爆ギレ血眼

    2.ふて寝

    3.意識混っちゃん

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 11:45:20

    >>65

    やっぱりダイス神原作履修してるw

  • 68125/07/19(土) 12:02:37

    ルークの熱い解説と歓声つきのDVD鑑賞が終わる頃には、ルークは感動の涙で顔をべちょべちょにしているのに対し、大半のメンバーはぐったりと疲れ切っていた。

    😺「ふなぁ~。ぶっ続けで映画やら演劇のDVDを見せられて、もうクタクタなんだゾ。バクゴーなんか、途中から白目むいてよだれ垂らして、魂が抜けちまったみたいなんだゾ」
    🧨「…………」ボケー
    🐊「むう。やかましい男ではあるが、こうも大人しいと逆に心配になるな」
    🔥「オタク成分の許容量を超えて、精神が異常をきたしたみたいだね」
    ⚔「…………」zzz
    🍎「シルバーサンは爆睡してるし……」
    🥦「ルーク先輩の推しへの熱い想いが聞けて楽しかった~!僕もこういうのやってみたいなぁ」
    🧨「……ハッ!おいテメー、トチ狂ったこと言ってんじゃねーぞ出久!!そのふざけた催しに俺を巻き込みやがったら爆殺すっかんな!!!」
    🥦「いでででで!!君は誘わないよ!!轟くんとか飯田くんを誘うに決まってるだろ!!」
    🧨「あいつらの迷惑も考えろや!!!」
    😺「あっ、バクゴーが復活したんだゾ」
    勝己の意識が戻り、その騒がしさでシルバーも目覚めたところで、もう時間も遅いために出久たちは一度ルークの部屋を去ることにした。

    🍎「ルークサン……あの、最後にひとついいですか?……本当に忘れちゃったんですか?『VDC』のこと……」
    🏹「『VDC』……?ああ、とても素晴らしかったね!ネージュくんとヴィルくんによる『みんなでヤッホー』は!」
    🍎「……!!」
    🏹「あのステージは何度見ても、その光景の美しさに涙が溢れてしまうよ。鑑賞会はいつでもできる。あのステージを見て一緒に盛り上がるのは、次の楽しみとしよう。ボンニュイ、みんな!」
    ルークがにこやかに送り出すのを、扉が閉まるまでエペルは晴れない表情で見つめていた。

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 15:35:46

    >>65

    A組は生暖かい目で見てくれているし、飯田、轟は素直に聞いてくれるし、お茶子ちゃんは行き過ぎたらバッサリいくし、若干の恋心補正が入っているから、周りに恵まれているな

  • 70125/07/19(土) 19:36:32

    鑑賞会から解放された後、出久たちはサバナクロー寮の庭先で会議を始めた。
    この夢の設定をまとめると、「ヴィルはロイヤルソードアカデミーに通っており、ルークは彼と友人となった事実がない」。

    😺「ルークのヤツ、本当はヴィルと仲良くなんてなりたくなかったってことか?」
    🐊「あるいは、ヴィル先輩と仲良くなるよりも、彼が芸能界で活躍し続ける姿を見たかったのかもしれん」
    💀「それはどうかな……マレウス氏の作り出した夢の中で定義されてる『幸せ』ってかなり解釈が浅くて、解像度低めな感じがするんすわ」
    🍎「……もしかしたら、ルークサンがこんな夢を見ているのは……『VDC』当日のことが、すごく辛かったからかもしれない」
    後輩としてルークの背をずっと見ていたエペルは、『VDC』当日にヴィルが禁忌に手を染めようとしたことが、彼にとって計り知れないほど大きなショックだったのかもしれない、と語った。それこそ、二度と目覚めなくなる呪いがかかっている林檎ジュースを、そうと知りながら飲み干してしまいたいと願うほどに。

    ⚔「そんな。辛い経験の先に、大きな幸せが訪れることもあるのに……!」
    🧨「糸車の匙加減で辛い記憶は勝手に排除されて、ガキの妄想みてェな温い夢を幸福として押し付けられるっつーワケか。つくづく胸糞悪ィ魔法だ」
    🥦「うん……たとえ辛い出来事があったとしても、ルーク先輩にとって『VDC』は大切な思い出だったはずだ。それだけじゃなくて、ナイトレイブンカレッジに入学してからヴィル先輩と築いてきた友情まで全部なくして、それがルーク先輩の幸福だなんて思えない」
    🍎「そうだよね。早くルークサンの目を醒ましてやんなくちゃ!」
    『タルタロス』を下りながら、ルークとヴィルは出会ったときのことを振り返って雑談をしていた。あれは、世界の危機にあっても日常の落ち着きを取り戻してくれるような、柔らかく大切な思い出だったはずなのだ。ルークにとって、一方的に奪われて良いものであるはずがない。

    🥦「さて……雑誌やDVDの内容まで相当細かく作りこまれていたし、現実との齟齬を認識してもらうのは一筋縄ではいかなさそうだ」
    🧨「チッ。クソオタクの妄想癖がこうも厄介になるとはな」
    🍎「あのね……今、1つだけルークサンの目を醒まさせるアイデアを思いついたんだけど、みんな聞いてくれる、かな」
    エペルが静かに、けれど力強く口を開いた。

  • 71125/07/19(土) 19:55:09

    夢の中で夜が明けた頃、出久はメンバーを代表してルークのもとを訪ねた。出久がルークを連れ出した先は、コロシアムだ。コロシアムにはイデアの介入によって、文化祭当日のパープルステージに似せたステージが組まれている。

    🏹「!!これは……」
    🥦「ルーク先輩に見せたいものがあるんです。観客席で見ていてください」
    ルークを特等席に座らせて出久が合図を送ると、エペルを先頭にして夢渡りのメンバーがステージの上に上がった。出久も遅れてその中に混ざる。

    🍎「ルークサン!消してやるぜ、あんたの中の偽物の輝きを!そして思い出させてやる。――あの日の全てを!」
    エペルが啖呵を切ると同時に、電子的なイントロが流れ始めた。曲目は『Absolutely Beautiful』。ヴィルが『VDC』のために作らせた、思い出深い曲だ。

    エペルはヴィルの代わってセンターに立ち、出久が本来のエペルのポジションに代打で入った。両腕が使える状態の勝己は、後列で目立ちにくかった本来のポジションから最もダンスが難しいジャミルのポジションへ。グリムとオルトとセベクとシルバーは後列のコーラスのポジションへ。
    たった一晩練習しただけの、急造ユニットだ。歌はただの音源。ダンスの精度は、本来の『NRCトライブ』に比べれば遠く及ばない。それでも良いとエペルは言い切って、一晩中ダンスの指導を買って出た。

    ――だって、あの日の僕たちは……全然、完璧なんかじゃなかったから。

    🏹「こ、この曲……このダンスは……!うっ、なぜだ!?初めての曲とダンスのはずなのに……涙が溢れてくる。うっ!!??」
    ステージを見守っていたルークが、頭を抑えて苦しみだした。記憶が戻ろうとしている。

    💀『みんな、気をつけて!『闇(ゲームマスター)』のおでましですぞ!!』
    ステージの端で、ドロドロとした不定形の闇が表れ、ネージュと、ロイヤルソードアカデミーの白い制服を纏ったヴィルの姿に変化した。

  • 72125/07/19(土) 20:09:52

    エペルたちが踊り終わると同時に、『闇』はあたかも次の出演者であるかのように我が物顔でステージに上がってきた。どこからともなく『みんなでヤッホー』の音楽が流れて来る。


    🏹「あ……あ……この曲は……ヤッホー、ヤッホー♪」

    🍎「なっ!?嘘だろ、せっかく夢から醒めかけてたのに!」

    圧倒的な中毒性で、ルークの意識が逸れてしまう。ヴィルとネージュが手を取り合って歌い踊る姿にルークは釘付けになっていた。


    🏹「ううっ……ふたりの歌声に、全ての悲しみや悔恨が浄化されているようだ……ああ!今この瞬間……キミたちは世界で一番美しい!」

    偽物に対するルークの賛辞に、エペルの可愛らしい顔が鬼のように歪んだ。


    🍎「オイ!ちょっと待てよ!!あの日ヴィルサンが一番欲しかった言葉を、そんな偽物たちに安売りしてんじゃねーっ!ロイヤルソードアカデミーに1票入れた時より、今のあんたのほうがよっぽど酷い裏切り者だ!」

    🏹「ロイヤルソードアカデミーに1票……裏切者……ううッ!!ぐうっ……そうだ、世界で……世界で一番美しいのは……あ、あああ!うわあああああああああぁぁぁ!」

    喉を割るような絶叫とともに、ルークが頭を抱えてうずくまった。それと同時に、誰もいない空間からと歓声と拍手が鳴り響き、煌びやかな紙吹雪が舞い落ちた。


    🏹「ふ、ふふ……そうだ。“あの日”もはこんな風に万雷の喝采がコロシアムに鳴り響いてた。どうして忘れていたれたんだろう。Miraを睨みつける、悔し気なキミの横顔……真っ赤な林檎に仕込まれた毒を、飲み干すことができなかったあの日を!!」

    ルークは涙を流しながら、偽物のヴィルとネージュに向かって弓をつがえた。


    🍎「やった!ルークサンが目を醒ました!」

    🧨「『闇』が湧いてきやがった、加勢すンぞ!!」


    *霊素ダメージロール

    出久(32) dice1d5=5 (5)

    爆豪(28) dice1d5=2 (2)

    グリム(21) dice1d5=2 (2)

    シルバー(15) dice1d5=2 (2)

    セベク(30) dice1d5=4 (4)

  • 73125/07/19(土) 20:24:38

    🍎「ルークサン!」
    🏹「ああッ、愛しの姫林檎!誰をも眠らせる毒を持つキミが、私の眠りを醒ましてくれたなんて!」
    🍎「ぐえぇっ!」
    『闇』を全て退けてエペルがルークに駆け寄ると、謝罪と感謝を述べられながらルークにハグされて苦しそうな呻き声を上げた。ルークにハグされたことのある出久は、熊を締め上げるようなその抱擁の力強さを知っている。

    🏹「メルシー!メルシー・ボクー!みんなには感謝してもしきれないよ。さて、そのタブレットは自室の君(ロア・ディ・テションブ)だね?イデアくん。リリアくんの送別会の後に何があったのか、詳しく私に教えてくれないだろうか?」

    状況説明のため、イデアはルークに例の『マレウス攻略動画』を見せ、マレウスと戦うための『招待コード』を渡した。ルークは美しい仕草で『招待コード』を胸の内側にしまい、夢を巡る旅に同行することを申し出てくれた。
    ルークが魔法で素早くポムフィオーレの寮服に着替えると同時に、オルトが『S.T.Y.X.』から贈られてきたサバナクロー寮服姿のルークのダミーデータを出力する。

    🏹「オーララ!自分の姿を客観的に眺めるというのは、なんとも不思議な気持ちになるのだね。だが……わずかに靴の踵の減り方が本物の私とは違っているようだ」
    😺「そんな細けえトコに気づくの、ぜってーオメーしかいねーんだゾ!」
    🥦「ユニーク魔法の性質といい、ルーク先輩がヒーローとか警察官になったら敵の調査がすごく捗りそうだ!」
    🧨「相変わらずどんな視力しとンだよコイツ」

    🏹「よぅし、いざ冒険の旅に出発しようじゃないか!」
    出久たちはぎゅうぎゅう詰めになってシルバーに捕まり、次の夢へと向かった。

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 23:51:56

    ほしゅ

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 05:15:21

    ほしゅ

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 07:46:27

    >>72

    毒林檎ジュース飲めなかったのも後悔してたのか………

  • 77二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 08:44:33

    ルクハンとヒロアカ世界の異常者ファン達との違いがこれなんよな
    あいつらは自分で定めたレールの上を被害出しながら爆走するけど、あの野生児は推し活そのものが未知だからレールがないまま野原を自由に駆け回ってる

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:50:28

    >>77

    猛獣扱いされてる…狩人にレールなんて必要ないんだ

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:01:00

    >>77

    待って!袖ちぎり野生児は2年前に卒業したから!!今ではちょっとだけ落ち着いてちょっとだけマシになったから!!

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 17:20:39

    >>66

    🍎「ひぃッ!!!無数のヴィルサンが壁からこっち見てる!夢に出そう!」

    🥦「憧れの人がいつでも見守ってくれるなんて最高だよね!」


    ガチオタと非オタの精神構造の差が浮き彫りになっとる(笑)

    普通の人はポスターとブロマイドだらけの部屋で落ち着いて生活できないのよ

  • 81二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 17:24:23

    ルクハンの部屋のシーンで思ったけどNRC生に部屋王やらせたら優勝は誰になるんだろう
    トレイはお菓子で票を稼ぐしジェイドはすげえの(キノコかテラリウム)見せてくれそう

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 18:06:44

    >>80

    そこに毎朝起きて1番最初にすることは若様の肖像画との語らい、セベク・ジグボルトさんを超★エキサイティンーーーー★★★

  • 83125/07/20(日) 19:54:07

    次に出久たちが降り立った先は、見覚えのない場所だった。「クイーンズ・フィルム・スタジオ」と書かれた美しい門の向こうに、広大な敷地に同じような造りの四角い建物が並んでいる。
    ルークの解説によれば、ここは有名な映画製作会社の撮影スタジオであるらしい。火が着いたようにルークは他にもマシンガンオタクトークを繰り広げたが、割愛する。
    スタジオの前には人だかりができている。

    👨‍👩‍👦‍👦「きゃああ~~~~~!!」
    👨‍👩‍👧‍👧「ワーーーッ!ヴィル様~~!!」
    スタジオから一人の青年が出てきたところで黄色い悲鳴が上がった。派手な上着に洒落たハットとサングラスを合わせたその人は、内側から輝くような圧倒的なオーラを放っている。見間違えもしないそのオーラ。そこにいたのは、俳優としてのヴィル・シェーンハイトだった。ヴィルはファンの声援に笑顔で応え、老若男女に隔てないファンサービスを振りまいた。

    🥦「わぁ、小さな子にも配慮が行き届いたファンサービス!ファンの人は嬉しいだろうなぁ!これだけ人気になるのも納得だね!」
    🧨「アイツ、クソほど猫被っとんな」

    👑「もっとみんなと過ごしたいけれど……次の予定があるの。ごめんなさいね。明日の『ダイヤモンドムービー賞』のライブ中継、楽しみにしててちょうだい。それじゃ、みなさん。ごきげんよう!」
    ヴィルは絵にかいたような笑みを浮かべると、手を振りながら颯爽と去っていった。
    👨‍👩‍👦‍👦「ヴィル様ッ、今日もなんて手厚いファンサ……!」
    👨‍👩‍👦‍👦「はぁ……彼が微笑めば、周りの景色まで輝いて見えるよ…」
    👨‍👩‍👦‍👦「本当に彼は……」
    👨‍👩‍👦‍👦🏹「「世界一美しい!」」

    🧨「オイ、浮かれおかっぱ野郎。なにちゃっかりモブ共に混じって盛り上がってやがんだ」
    🍎「うーん。ヴィルサン……現実とあまり変わらない気がする」
    ヴィルといえば、学園祭やハロウィーンなど、ナイトレイブンカレッジに一般客も訪れるイベントの際には毎回たくさんの人に囲まれている世界的に有名な人気俳優だ。
    現実との大きな齟齬はまだ見当たらない。

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 20:04:06

    大人気俳優として出待ちのファンに黄色い悲鳴をあげられてファンサをするという状況が
    既に理想の夢みたいなのに現実と齟齬がないのヤバ
    ヴィル先輩すごいぜ

  • 85125/07/20(日) 20:10:13

    😺「ヴィルのヤツ、現実とそんなに変わらねぇんなら、もしかしてもう目が醒めてるんじゃねーのか!アイツを追いかけて、声かけてみよーぜ!」
    🥦「あっ!待って、グリム!!」
    🧨「テメッ、勝手に突っ走んじゃねークソ狸!!」
    グリムは四つ足で素早く駆け、出久と勝己の手をすり抜けてスタジオの敷地に入っていってしまった。慌てて出久たちもグリムを追いかける。

    💀『ファッ!?あー!困りますお客様ーッ!いくら外部からのフォローがあるとはいえ、目立ちすぎる行動はなるだけ控えていただきませんと!全員まずは制服にフォームチェンジ。それから、えーっと、校外学習の体で来館者用IDデータを……オルト!あとはそっちで何とかして~!』
    その場に取り残されたイデアは、トラブルの予感にタブレットの向こうから悲鳴を上げた。



    クイーンズ・フィルム・スタジオの敷地はとにかく広くて、体が小さなグリムを見つけるのはそれなりに大変な作業になった。イデアが機転を利かせて全員の装備を制服に変更してくれたため、今のところ周囲のスタッフには怪しまれていない。
    端の方のスタジオに来たところで、ようやくグリムが見つかった。

    🥦「グリム!やっと見つけた」
    🧨「おいテメー!!!勝手な行動してんじゃ、もごごっ!」
    😺「シーーーーッ!!デケェ声出すんじゃねーんだゾ!」
    グリムは怒り顔で近づいてきた勝己の体によじ登ると、肉球のある手で勝己の口を塞いだ。

    👑「ちょっとアンタ!なんでさっきは日傘を持ってこなかったのよ」
    スタジオの中からヴィルの声が聞こえる。その声は冷たく、ファンの前にいたときとは別人のようで、エペルの肩が反射的にビクリと跳ねた。
    👑「――信じられない。アンタそれでもアタシのアシスタントなの?」
    ヴィルは他にもアシスタントの不手際を冷たい声でネチネチと叱責すると、最後に「この役立たず!!」と罵った。

    アシスタントはもの凄い勢いで謝罪すると、ヴィルの言いつけ通りに控室を掃除するために道具を取りに行こうと勢いよくスタジオから出てきて、勢い余ってルークにぶつかった。ルークがアシスタントの顔を見ると、切れ長の目が丸く見開かれた。

    🏹「キミは、白雪の君(ロア・ドゥ・ネージュ)!?」
    果たして、夢の中のヴィルのアシスタントは、彼と同じく人気俳優であるはずのネージュ・リュバンシェの姿をしていた。

  • 86125/07/20(日) 20:25:26

    このスレではイベントは飛ばしてますが、暦通りに実施されてる想定なのでハロウィンもちゃんとやってます

    原作通りディアソムニアにオンボロ寮は取られてしまった模様


    デクはオバケの恰好(例のグッズの衣装)のコスプレをしながら本番を回ってます

    かっちゃんのハロウィン衣装は dice1d2=2 (2)

    1.オンボロ寮に予算はない。シーツをリメイクしたオバケ衣装。(デクとお揃い)

    2.ポケットマネー禁止とか知るか!!シーツなんか絶対被ンねェぞ!(例のグッズの狼男の衣装)

  • 87125/07/20(日) 21:27:37

    👑「ちょっと。何をごちゃごちゃ騒いで……えっ!?誰、アンタたち!?」

    騒ぎを聞きつけて苛立った様子でスタジオから出てきたヴィルだったが、この場では侵入者である出久たちを見てますます眉間の皺を深くした。


    🏹「私たちはナイトレイブンカレッジの学生さ」

    👑「なんで学生がスタジオの中にまで入ってきてるの?見学の予定なんか聞いてないわよ」

    😺「ヴィル!よく見てみろよ。オレ様たちになんか見覚えあるだろ?」

    👑「ヤダッ!なにこの汚い野良猫?服に毛がつくでしょう。シッシッ!」

    ヴィルは汚物を見るような目でグリムを睨み、長い脚を振ってグリムを遠ざけた。あまりにもぞんざいな扱いに、グリムは涙目である。


    👑「ていうか、アンタたち……いつから立ち聞きしてたわけ?すぐにマネージャーに連絡して出版関係に根回ししておいてもらわないと。アシスタント!全部アンタが不甲斐ないせいよ。今まで築き上げたアタシのイメージに傷がついたらどうしてくれるの!?」

    ヴィルはヒステリックにネージュに怒鳴りつけた後、ネージュによそ者をつまみ出すように言いつけた。

    まだこの夢の詳細がつかめていない段階で『闇』に目をつけられることは避けたかったため、出久たちは申し訳なさそうに誘導するネージュに大人しく付いて行った。


    *偽物のネージュに声をかけるのは dice1d2=2 (2)

    1.爆豪

    2.グリム

  • 88125/07/20(日) 21:40:50

    😺「おい、オマエ!あんなにけちょんけちょんに言われて腹が立たねーのか!?」

    ネージュに門の外まで出されたタイミングで、夢の中のヴィルに汚物扱いされたグリムが目を吊り上げてネージュに声をかけた。ネージュはグリムの怒りには一切共感せず、きょとんと瞬きをした。


    ❄「えっ。腹が立つって……僕が?ヴィル様に?」

    🐊「それ以外に誰がいるのだ」

    ⚔「俺たちは口を挟める立場にないが……ミスを注意するにしても、少々言い方に問題があるように感じた」

    🧨「あちゃ完全に理不尽なパワハラだろ。ちったァ言い返せよ」

    🥦(……かっちゃんってパワハラの概念をちゃんと理解してるんだ)

    ヴィルの怒り様は完全にコンプライアンス違反であり、いわゆるパワハラそのものだった。命に関わる現場であれば、正論であれば怒号が許されることもあるだろうが、ここはあくまで芸能界。ヴィルの態度は許されるものではない。しかし、ネージュは一切の曇りのない表情で笑った。


    ❄「まさか。理不尽だなんて、ありえないよ。だって、彼の言うことはいつだって全部正しいもの。彼は世界で一番美しく、誰からも愛されるスーパースター!」

    ❄「“ここ”では彼に逆らう人なんて誰もいない。全ては彼の思うがまま」

    ネージュの笑顔は、いっそ不気味だった。出久でさえ、勝己に嫌なことをされれば顔を顰めて内心で毒を吐くことがあった。人間は誰しも負の感情を抱くものだ。『闇』である偽物のネージュの笑顔は、綺麗すぎて人間味がなかった。


    🧨「!!来るぞ、構えろ!!」

    ❄「僕たちは、とっても素敵な夢を見ているの。だから……邪魔したら、絶対に許さないから」

    ネージュの姿がドロドロと溶けて、『闇』の正体を現した。


    *霊素ダメージロール

    出久(37) dice1d5=5 (5)

    爆豪(30) dice1d5=3 (3)

    グリム(23) dice1d5=3 (3)

    シルバー(17) dice1d5=3 (3)

    セベク(34) dice1d5=3 (3)

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 22:26:08

    このレスは削除されています

  • 90125/07/20(日) 22:28:54

    『闇』だった偽物のネージュは素早く倒すことができたものの、騒ぎを聞きつけた警備員のホイッスルの音が響いた。このままだとさらなる『闇』が襲ってくる可能性があるため、出久たちは素早く現場から逃走した。
    逃げ場所に心当たりがあるというルークの案内で、一行は『クリスタル・ギャラリア』という高級そうなアーケード街に辿り着いた。

    ヴィルのイマジネーションで作られた街を探索し、本屋の雑誌から情報を集めるうちに、ここは「ヴィルが子役時代からたくさんの舞台や映画の“主役”に抜擢された世界」であることが判明した。
    中でも、『ダイヤモンド・ムービー主演賞』という世界最高峰の映画賞に最年少でノミネートされているという華々しい経歴が目を惹いた。ルーク曰く、現実でのこの賞の最年少記録は、ネージュが弱冠14歳にして打ち立てたものらしい。

    🥦「……でも、この夢のネージュくんは、俳優じゃなくてアシスタントだった」
    🧨「生デニムが世界一になるために邪魔な存在として、俳優っつう前提が書き換えられとンだろうが……それにしちゃ妙だな」
    😺「妙って、何が?」
    🧨「現実の生デニムは、あの花畑野郎を目の敵にしとった。顔を見ただけでムカつくような相手をアシスタントにして、四六時中自分の近くに置きたいと思うか?排除すンなら、自分と一切関わりの無ぇモブにしとくのが自然だろ」
    🍎「確かに。これが幸せな夢だっているなら、ストレス源を付き人にしてるなんて、ちょっと変だよね?余計に心の闇が深くなりそうな気がする、かな」
    😺「ヴィルのヤツ、本心ではネージュに意地悪して、こき使ってやりたいって願ってたのかもしんねーんだゾ。アイツならあり得る!」
    🍎「え~~~っ!?さすがのヴィルサンも、そこまでは……」
    🧨「どっちかっつーと、アイツは万全の相手を自分の力で完膚なきまでに叩き潰したいタイプだろ。だからこそ『VDC』で汚ねェ手を使った自分に失望してオーバーブロットした訳だしな」

  • 91125/07/20(日) 22:55:02

    🔥「これはあくまで憶測だけど……“最高の美しさを目指し、ストイックに高みを目指すヴィル・シェーンハイト”という彼の在り方には、かなり深くライバルであるネージュさんの存在が関わっている。“無かった”ことにするには、ヴィルさんにとってネージュ・リュバンシェの存在は大きすぎるんだ」
    ⚔「なるほど。現実世界における重要な要素の変化や欠落は、夢の世界での齟齬や破綻を生みやすいということか」
    🔥「そういうこと。でも潜在的な防衛本能ゆえに、この夢では“ライバルになり得ない存在”として設定されているんじゃないかな」
    ライバルが不在であるがゆえに、この世界のヴィルはあっさりとあらゆる賞を総嘗めにしている。この夢の構造に気づいたルークは、悔しそうに表情を歪めた。

    🏹「本人に自覚がないままに踏みにじられているヴィルのプライドを想うと、胸が張り裂けそうになる。今のヴィルは挫折や嫉妬を味わうことのない、幸せな状態だろう。だが、その代償に一番大切なものをなくしてしまった。彼を彼たらしめる、美しき女王の“奮励”の魂を!」

    ここはマレウスが生み出した幸福な夢の世界。その実態は、悲しみや怒りの感情の存在を許さない、歪んだ世界。苦労を重ねて何かを乗り越えた先で得る本当の達成感を得られることのない、悪い夢だ。

  • 92125/07/20(日) 23:06:12

    ⚔「……マレウス様はきっと、苦労の先に何かを得るような“手応え”のようなものを楽しまれた経験が非常に少ないのだと思う。あの御方は生まれた瞬間……いや生まれる前から、強大な力を持っていらした」
    マレウスが作り出す夢のあり方について、シルバーが一つの仮説を導き出した。

    💀『あー……、比喩じゃなく「最初からレベルMAXで敵が全員自分を避けていく」人生を歩んできたから、その辺の解像度が低いってことか。この学園は怖い者知らずばあっかりだから、ちょくちょくマレウス氏に食って掛かるヤツもいたけど』
    🐊「うむ。つまり学園に通う人間どもは……誰よりも思慮深く、誰よりも寛大なマレウス様の日頃のふるまいに心から感謝すべき、ということだ!!」
    🧨「テメェ話ちゃんと聞いてたかよクソボケ!!!」
    😺「こんな時にまでオメーは……まったく、ブレねぇヤツなんだゾ」

    💀『セベク氏の言う通り、マレウス氏が何があっても揺らがない超人メンタルなら、こんなことにはなってないんだよなぁ……』
    🥦「僕も、そう思います。……オンボロ寮で悲しい雪を降らせていたマレウス先輩は……迷子の子どもみたいに見えました」
    💀『魔王級のチーターに生まれたのに、感情の起伏は僕たちとさほど変わらないってんだから……完全に設計ミスでしょ』

    🧨「チッ。糸車のことは今は置いとけ。この魔法領域から出た後で、いくらでも話し合いすりゃ良い。今は生デニムの夢だ」
    どこまでも現実的に心を切り替えられる勝己の性分は、敵でさえ救いたいと願う出久の精神にヒーローとして及ばない部分でもあるが、課せられた任務を確実にこなすための芯をブレさせない美点でもある。勝己はマレウスに対する感傷的な空気を一掃し、ヴィルと付き合いの長いポムフィオーレの二人に策の提案を求めた。

    🏹「……私にひとつ考えがある。みんな、力を貸してくれるかい?」

  • 93二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 23:20:37

    >>92

    マレウスはさみしがりやの竜なんだよ

    AFOとの違いは産まれた時に与え与え与えまくってくれた存在が居たこと

    魔王級のチーターがヒロアカ世界にもたらした被害を考えるとセベクが言ってることもあながち間違いじゃない

  • 94125/07/20(日) 23:28:08

    夢の中で一夜を明かし、『クイーンズ・パレス』と呼ばれる場所にて『ダイヤモンド・ムービー賞』の授賞式が開催された。
    作品賞、音楽賞、脚本賞、最優秀助演賞。栄えある賞に選ばれた者たちが名前を呼ばれ、一人また一人と真っ赤なカーペットの上を歩いていく。そしてついに、『最優秀主演賞』が発表される時がきた。

    『本年度のダイヤモンド・ムービー賞、栄えある『最優秀主演賞』は……ヴィル・シェーンハイト!』
    👑「アタシが……本当に?」
    都合の良い夢のシナリオのまま、ヴィルが壇上に向かって歩いていく。賛辞の言葉とともに、司会は彼の華々しい経歴を読み上げた。

    『ヴィル・シェーンハイト。『宇宙の彼方、暗闇から』で若干7歳にして映画デビュー。社会現象ともなった児童書の映画化『僕の願い』では、主人公……ではなく、ライバル役を演じ、圧倒的な存在感を示しました』
    『さらに学園ミュージカルドラマ『いつか、お姫様が』でも、主人公……ではなく、主人公を追い詰める悪役を見事に演じきり、嫉妬に取りつかれたヒステリックな演技や、恐ろしい魔女のような笑い声は、見るものの背筋を恐怖で凍らせました』
    司会は、ヴィルが歩んだ華々しい経歴を賛辞を添えながら読み上げた。『主役』になれなかった、『悪役』としてキャスティングされ続けた、彼の経歴を。

    👑「このアナウンスは何?こんなの、全然アタシの経歴じゃないわ!」
    『彼は現在、魔法士養成学校ナイトレイブンカレッジに在籍』
    👑「アタシはそんな学校知らない!アタシは撮影で忙しいのよ。辺鄙な島にある全寮制の学校になんか……うっ!?」
    この夢のヴィルが知る筈のない情報を思い出し、ヴィルが頭を抑えて呻いた。

    『全国魔法士養成学校総合文化祭のプログラムである『VDC』では、学園の代表チームを率いてヴィルは見事にフロントマンを務め上げ、第2位の好成績を残しています』
    『そして何より彼は――美しき女王の奮励の精神に基づく、ポムフィオーレ寮の寮長!我らの美しき女王、毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)だ!!』
    ルークの声で、司会は高らかに宣言した。

    一方、舞台裏。
    (本物の司会)「ンーーッ!ンーーーッ!!」
    🥦「……今の僕らって、ヒーローじゃなくてテロリストだよね」
    🧨「夢ン中だからノーカン」
    💀『いやぁ、魔導アーマーのワイヤー機能を使ったミドリヤ氏の拘束の手際、鮮やかでしたなぁ。フヒヒッ』

  • 95125/07/20(日) 23:46:50

    ヴィルの心が揺らいで目を醒ましそうになったタイミングで、ルークを筆頭にヴィルのもとにかけよった。


    👑「ア、アンタたちは昨日の!?どうやってココに――、あ、頭が割れそう……!」

    ❄「大丈夫ですか、ヴィル様!誰か今すぐ救急車を!セキュリティは何をしてるんです!?あの侵入者たちを今すぐ外につまみ出して!」

    偽物のネージュが『闇』の指揮を執れば、会場にいた全ての人間が一斉に黒くドロドロと崩れて『闇』の正体を現した。


    🏹「なんて数だ……ああっ!ヴィルが『闇』に押し流されていく!」


    *霊素ダメージロール

    出久(42) dice1d5=5 (5)

    爆豪(33) dice1d5=3 (3)

    グリム(26) dice1d5=2 (2)

    シルバー(20) dice1d5=5 (5)

    セベク(37) dice1d5=2 (2)


    ❄「ほら、ヴィル様。僕のほうをよぉく見て。あなたが欲しかった『最優秀主演賞』のトロフィーだよ」

    👑「ええ……ええ。ずっとそれが欲しかったの。アタシが世界一である証……」

    🏹「ダメだ、ヴィル!『闇』の言葉に耳を傾けてはいかない!」

    🧨「メッキ以下のパチモンで満足するタマじゃねェだろ、テメェは!!目ェ覚ましやがれ!!」

    ヴィルの心は再び夢に囚われ、沼のように満ちた『闇』の中へと沈み込んでいく。ルークは素早くユニーク魔法で目印をつけたが、ヴィルの座標はどんどん下へと下がっているという。


    ⚔「すぐに追おう!今ならまだ引き戻せる!」

    🔥「彼がこれ以上深い眠りに落ちると、より覚醒させるのが困難になる」

    🥦「急ごう!」

    光の反射一つ返さない不気味な底なし沼のような『闇』の中に、出久たちは一斉に飛び込んでヴィルの後を追った。

  • 96125/07/20(日) 23:49:15

    霊素ダメージ、夢巡り後半まで累積させる予定なんだけど、予想よりハイペースで数値溜まってるので大丈夫なのかな……
    まあこのスレは基本的にご都合主義なのでなんとかなるでしょう多分

  • 97125/07/21(月) 00:08:33

    『闇』に潜った先、出久たちはナイトレイブンカレッジのコロシアムの内部に落下した。ルークの『果てまで届く弓矢』が示す方向からは、子どもがすすり泣くような声が聞こえる。
    ルークの後を追った先には、固く目を閉じて倒れたネージュと、彼の体に縋りついて泣く7人のドワーフの姿があった。彼らのうち、出久が名前を憶えていたドミニクに話を聞けば、文化祭の『VDC』本番の前に控室に戻ったときにはネージュが倒れていたと泣きながら話してくれた。
    廊下には、見覚えのある林檎ジュースの瓶が落ちている。

    🥦「――あれは、まさか!」
    あのときヴィルが林檎ジュースに付与していたのは、「息が止まり、血が凍りつく」呪い。死に至らしめるものではないが、実質的な永遠の眠りを与えるものだ。
    少しでも呪いの進行を止めるため、エペルが『深紅の果実』でネージュをガラスの棺に入れて護った。

    🍎「……ここは、“NRCトライブが世界一になる”っていう夢なのかもしれない」
    🏹「そんな!……ああ、ヴィル!なぜなんだ!」
    ⚔「おそらく精神が『闇』に引きずられているんだ。俺も『闇』に取り込まれてしまった時は、自分を見失っていた。ヴィル先輩も、きっと……!」
    🥦「たとえ夢の中だとしても、“取り返しがつかない”ことにさせたらダメだ!……一生消えない心の傷になる」
    👑「ああ。行こう、我らが女王の御前へ!」

    今まさに本番が行われているであろう『VDC』のステージへ急ぐと、祝福の紙吹雪とともに司会が『NRCトライブ』の優勝を告げたところだった。
    ヴィルは観客たちに向けて手を振っている。その傍には、ルークにエペル、勝己、他のNRCトライブのメンバーの姿をした闇がぴったりと貼り付いていた。

    🏹🍎「「ヴィルーー!!/ヴィルサーーン!!」」
    ステージの上に乱入すれば、その場には二人のエペルとルークと勝己がいることになった。ヴィルは戸惑いを隠せず、夢の世界が歪んだ。

    🍎「僕たち、あの日は世界一になれなかった。世界一になったのはロイヤルソードアカデミー……ネージュたちだ!」

  • 98125/07/21(月) 00:32:01

    👑「ネージュが世界一?そ、そんなはずは……」
    🏹?「ああ、ヴィル!ネージュくんたちは、急な腹痛により不運にも『VDC』を欠席した。そうだろう?」
    🍎?「僕たちの努力が報われて、世界一になれた!こんなに嬉しいことはないですよ。ねっ?」
    🧨?「ようやく世界一になったんだから、堂々と胸張ってろや」
    闇は甘くヴィルに語りかけ、真実を隠そうとする。

    🧨「俺の顔で甘ったれたクソ寝言垂れてンじゃねーぞパチモン野郎!!!俺はなァ、倒すべき相手が全力を出してねぇ状態で勝っても、ひとっっつも嬉しくねェンだよ!!俺らは、あンとき負けたんだ!!」
    🏹「ヴィル!真実から目を背けてはいけない!今も耳にこびりついているよ。『自分のことが許せない』と叫んだキミの声が」
    👑「アタシが、許せない……ぐぅっ!?痛っ……、頭がっ!」
    真実を思い出しかけたヴィルは、頭を抑えて苦しみ出した。

    🏹「あの日……深い悔恨の杭が、耐え難い痛みを伴ってキミの胸を穿っただろう。だがその痛みを知ったからこそ、キミは“本当の美しさ”とは何かを知ったはずだ。そして、キミは嘆きの島で誰にも負けない最高の美しさを、遺憾なく見せつけた!」
    🥦「ヴィル先輩。あの時、あなたがイデア先輩を抱えて『冥府』に落ちるのを魔法で遅らせてくれなかったら、僕はきっと間に合わなかった。危険を承知で、でも迷いなくイデア先輩を救けるために『冥府』に飛び込んだヴィル先輩は、超格好良い本物のヒーローだったんだ!」
    🏹「そうとも。どうか思い出しておくれ。光の差さない地の底で……『今この時、アタシは世界一美しい』と胸を張った、あの日のことを!」
    👑「そうよ、そうだわ‥…アタシ……アタシは……あの日!あああああああああああああ!!!」
    ヴィルの絶叫とともに、夢の世界に亀裂が走った。

    👑「アタシ……どうして忘れていたのかしら。アタシが最期に息を止めるその瞬間まで、決して忘れることはないって誓ったのに……」
    ヴィルは自身を迎えに来てくれたエペルとルークを抱きしめた。

    その時、夢の世界の亀裂が広がり、大きな揺れが走った。
    ⚔「これは……夢の崩壊が始まったのか!?どうして今!?」
    🔥「エペルさんが『深紅の果実』でネージュさんを助けたことで、この夢でのヴィルさんは『幸せな結末』を迎えられなくなった。兄さんの夢と同じだ。このままじゃ、ここはすぐに深淵に吞み込まれる!」

  • 99125/07/21(月) 00:50:11

    💀『オルト!シルバー氏!今すぐそこから離脱して!』

    自身の夢からタブレット越しにヴィルの夢を分析していたイデアから緊急アラートが出た。


    ⚔「了解した!みんな、今すぐ俺のそばに!ここから脱出する!」

    夢から離脱できる術をもつものはシルバーしかいない。彼のもとへ駆け寄ろうとしたヴィルは、しかし、深い『闇』に足を取られて下へと沈み込んだ。エペルとルークが両側から引き上げようとしてもビクともせず、出久と勝己が加勢しても状況は好転しなかった。


    💀『夢の主なら、もう一度眠りに叩きこまれても自力で覚醒できる可能性はある。でも、『異物』である他のメンバーが崩壊に巻き込まれたらドコに飛ばされるか分からない!』

    🍎「でも……!ッ、ミドリヤクン、離して!!」

    🏹「ノン!バクゴーくん、このままではヴィルが!」

    🧨「モヤシ野郎の話聞いとっただろ!!今一番の救助対象はテメェらなんだよ!!」

    🥦「ヴィル先輩を信じて!彼が戻って来た時に、君たちも無事じゃないとダメだ!!」

    今の最善策は、エペルとルークを無事に逃がし、ヴィルが自力で復帰すること。出久と勝己は生存確率から救助の順番を適切に判断し、エペルとルークをヴィルから引き剥がしてシルバーのもとに走った。


    シルバーが夢の崩壊に巻き込まれる間一髪で『夢の回廊』へと移動する。その直前、ヴィルが『闇』の中へと沈んでいくのが見えた。


    *出久 精神感応 dice1d100=34 (34)

  • 100125/07/21(月) 01:06:36

    夢を渡るシルバーにしがみつきながら、出久は一瞬黒い白昼夢を見た。

    暗い闇の底で、ヴィルが己のファントムと対峙している。
    嫉妬に憑りつかれ、誰にでも愛されるネージュへの怨嗟をまき散らす己の姿から、ヴィルは片時も目を離さなかった。

    ――もう目をそらさない。受け入れるわ、この吐き気を催すほど醜い自分を。

    負の感情を受け入れ、己のブロットを纏ったヴィルがオーバーブロットする。しかし、負の力を御したその姿は、禍々しくも気高く美しくあった。

    ――たとえこの身が大岩の下敷きになり、骨の髄まで粉々になったとしても……アタシは二度と立ち止まらないわ!
    ――いいこと?覚えておきなさい。アタシはいつだって、この世で最高に美しい!

    己のファントムに打ち勝ったヴィルが高らかに笑う。
    次の瞬間、夢の世界が再構築されて、再び『ダイヤモンド・ムービー賞』の表彰式へと場面が映り替わった。

    ヴィルは偽りの賞を受け取り、その場にいたもの全員に祝いと称して林檎ジュースが注がれたグラスを渡した。甘い毒のような呪いがかかった、世にも恐ろしいジュースを。

    ――偽りの王冠なんか、誰が被るもんですか。
    ――今この時、誰がこの世で一番美しいかは――アタシが決めるわ!

    毒で倒れていく『闇』を冷ややかに見下ろしながら、ヴィルは力強く甘い夢との決別を告げた。

  • 101125/07/21(月) 01:28:10

    出久が我に返ると、オルトの導きでシルバーが再構築されたヴィルの夢に降り立ったところだった。


    夢の誘惑に自力で打ち勝ったヴィルのもとに、ルークとエペルが駆け寄って、三人は固く抱きしめあった。

    👑「ふっ。アタシはまたアンタたちに、みっともないところを見せちゃったみたいね。ごめんなさい……それから、ありがとう」


    😺「今すぐヴィルの夢に戻る~ってジタバタするルークたちを押さえつけるのが大変だったんだゾ」

    ⚔「そうだな。あと少しで振り切られてはぐれてしまうところだった」

    🐊「なんなのだ、コイツらは!ポムフィオーレは、美を磨くことに重きを置いた寮のはずだろう。揃いも揃って体力自慢の肉体派だとは知らなかったぞ!」

    😺「それなのにイズクは急にボーっとして動かなくなっちまったし」

    🥦「ご、ごめん!なんだか白昼夢を見てたみたいで……」

    🧨「お前、この世界来てから変な夢見すぎだろ。マジで頭ァ大丈夫なんだろうな」

    🥦「大丈夫!多分!きっと!」


    *かっちゃんの反応 dice1d100=42 (42)

    1:信用できねェ~~~~!!

    100:本当にヤバくなったら今のコイツはちゃんと言うか。


    感動の再開が済むと、ヴィルはイデアのタブレットの存在に気づいて状況説明を求めた。顔を合わせれば2秒で喧嘩する3年生寮長同士だが、お互いの実力は確かに認め合っているらしい。

    イデアは例の『マレウス攻略動画』を見せ、マレウスと戦うための『招待コード』を渡した。ヴィルは自身の幸せを勝手に定義した粗悪なシナリオの夢を見せられた怒りを露わにし、マレウスとの戦いに加わることを約束した。


    👑「謹んでイグニハイドの招待をお受けしましょう。迎えの馬車がくるのを心待ちにしているわ」

  • 102125/07/21(月) 01:45:40

    次の夢に渡る前に、夢巡りの同行者の数を絞ってほしいとイデアから要請が入った。オルトがシルバーが向かう夢の座標を指定する際に用いている「霊素シグナル・トラッキング」という方法は不安定な技術であり、人数が多くなりすぎると「夢に着いたら一人足りない」という事態が起きかねないためだという。

    🥦「予定していたポイントから配置がずれるって……すごく怖いよね」
    🧨「天空の棺のことなら、あれはテメーが迂闊だったのが悪ィ」
    🥦「うう……」
    🧨「振り返ったら仮にも最高戦力の『OFA』持ちのテメーが拉致られてンだもんなァ?流石に心臓が冷えたわ。精神的にも……物理的にもな!」
    🥦「笑えない冗談止めてくれるかな……」

    話し合いの末、ルークとエペルが自身の夢に帰り、ヴィルが夢巡りの旅に同行することになった。
    🍎「じゃあ、僕たちはここで一度お別れだけど……ミドリヤクン、バクゴークン、みんな!けっぱれ!」
    🏹「キミたちの旅路に幸運あれ!ボン・ボヤージュ!」

    オルトがヴィルのダミーデータを出力するのと同時に、シルバーがユニーク魔法の詠唱に入った。

    手を振って送り出してくれたエペルとルークに出久もまた手を振り返し、一行は次の夢へと向かうべく『夢の回廊』へと投げ出された。

  • 103二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 08:43:39

    霊素ダメージ、みんな溜まってるけどデクがヤバいくらい高数値出し続けてんだよなあ

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 09:46:35

    >>流石に心臓が冷えたわ。精神的にも……物理的にもな!<<

    確かに物理的にも冷えてたけどさぁ...

  • 105二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 10:17:00

    霊素ダメージ心配だな…
    レイド戦を除外しても後13人分あるわけだし

  • 106二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 10:23:33

    >>94

    アウトローな状況でデクとダイナマイトに縛り上げられるとかいう超レア体験した偽物の司会が羨ましすぎるぞ

  • 107二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 14:12:28

    どこかの夢で休憩できないものかな…

  • 108二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 20:50:43

    >>104

    冷えすぎてこっちはマジで色々ぐちゃぐちゃ(精神)だったんだぞって話だよ

    え、自分もぐちゃぐちゃ(物理)だった?

  • 109二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 06:00:23

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 06:00:37

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 08:15:06

    >>108

    笑えねぇ…

  • 112二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 15:37:12

    >>104

    笑えねぇよかっちゃん…

  • 113二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 21:25:09

    ほしゅ

  • 114125/07/22(火) 22:42:09

    ちょっと落書き >>94

    (本物の司会)「ンーーッ!ンーーーッ!!」

    🥦「……今の僕らって、ヒーローじゃなくてテロリストだよね」

    🧨「夢ン中だからノーカン」

  • 115二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 06:24:44

    >>114

    おわー神絵!!

    ちょっと司会くんが羨ましいゾ

  • 116二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 09:01:46

    >>114

    凄い!かっちゃんの顔面の治安は悪めで、デクくんがこしょこしょ喋ってるみたいな表情最高…

  • 117二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 17:20:38

    >>114

    グリムもいい顔してんなあwww

  • 118二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 21:46:57

    司会くん、そこ代わって

  • 119125/07/23(水) 22:00:32

    次に出久たちが降り立った先は、孔雀色のタマネギ型の屋根が美しい建築物の前だった。スカラビア寮と雰囲気の似たこの建造物は、オルトの解説によれば『熱砂の国』の伝統的な建築様式であり、まだ新築なのか白亜の外壁はどこもかしこもピカピカだった。


    😺「建物の説明なんかどうでもいいんだゾ!それよりも……」


    ジリジリ、と太陽から音が聞こえるような錯覚。遠くの景色はぼやけた水彩画のように陽炎で揺らめいている。日差しは肌を突き刺すようで、痛みを感じるほどだ。


    「「「すっっっっっっごく暑い!!!」」」


    *熱中症 (50以下で体調不良、ヴィルが20くらい)

    出久 dice1d100=75 (75)

    爆豪 dice1d100=78 (78) +30 (個性補正)

  • 120二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:02:57

    絶好調なかっちゃん草

  • 121二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:06:07

    日本の暑さと比べたらカラッとしてるのはちょっと羨ましい

  • 122二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 06:16:49

    この2人は特殊な訓練を受けていますって感じの幼馴染だ!

  • 123二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 10:28:59

    かっちゃんがすこぶる元気の絶好調でデクくんがちょっと熱いなぁ〜くらいの体調で…熱中症になる気配ゼロな幼馴染だ!

  • 124二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:56:50

    2人とも好調だ

  • 125125/07/24(木) 21:36:17

    🐊「うう、立っているだけで汗が吹き出してくるぞ!」
    🥦「本当に暑いね~」
    🐊「貴様、なんだか余裕そうだな」
    🥦「そんなことはないけど、僕たちのいた国に比べると湿度が低いから不快感は大分マシかも」

    🧨「クソ余裕。湿度あった方が汗かけるしクラスターも早く撃てっから、もっと暑くてもいいくらいだわ」
    🐊「バクゴーは更に余裕そうだな。確か、貴様の特殊な爆破技術は、掌の汗腺に由来するんだったな」
    🥦「ハッ!ねえ、かっちゃん。もし現実の体調が全快したらさ、気温と湿度の不快指数とクラスター発動までにかかる時間の相関データとか取ってみない?かっちゃんの冬服って熱い時期に着ると体力を消耗しちゃうしそういうデータがあればその日の天気予報から最適なスーツを選んで出動できるようにブツブツ」
    🐊「ええい、急に早口でまくしたてるな!余計暑苦しくなったではないか!」

    ナイトレイブンカレッジの黒い制服は日の光を吸収して焼けるような熱をもち、同じく黒系の外装であるオルトのギアとイデアのタブレットは排熱が追い付かずに嫌な音を立てている。その場にいる全員が汗だくだったが、汗腺すらもたないグリムが一番最初に音を上げた。

    😺「ふな~~~っ!オレ様、地面が熱くて肉球がヒリヒリしてきた!もう我慢できねーんだゾ~!あそこの噴水で水浴びだ!せいやっ!」
    🐊「グリム、貴様公共の場で何をっ!?」
    🥦「本当ならまずいんだけど、熱中症は命にもかかわるから今回は許してあげてセベクくん」
    🧨「つーか、そもそもここァ夢だからな。夢ン中で熱中症になったら現実の体がどうなンのか知らねぇけど」
    💀『思い込みって案外馬鹿にできませんからな。なにかしらの不調は出ると思いますぞ』

    グリムは目の前の噴水にザブンと飛び込むと、ひんやりと気持ちよさそうに伸びをした。
    改めて噴水に目をやると、噴水の中央にはふくよかな体系の男性の像が立っている。

    ⚔「この金色の像……このご老人はどこかで見たことがある気がする」
    🥦「グレートセブンの像じゃないね」
    ?「そのじーさんは、伝説のオアシスの名君だ。かっけーよな!」
    像を見上げていると、何者かに声をかけられた。

    🦦「この『カスルサルタナートアカデミー』は、オアシスの名君の寛大な精神を大事にしてる学校なんだ」
    聞き覚えのある声に振り向けば、そこにいたのは、見慣れない制服を身にまとったカリムだった。

  • 126125/07/24(木) 21:51:03

    「「カリム!!?」」
    🦦「ん?オレ。お前らとどっかで会ったことあったっけ?わりー、オレ人の顔覚えるの苦手でさ~」
    陽気に笑うカリムの傍には、小鳥のような光が飛んでいる。ここはカリムの夢であるらしい。

    カリムは自分が『カスルサルタナートアカデミー』の二年生だと認識しており、自分がナイトレイブンカレッジに通っていた記憶は全て失っているようだった。オルトによれば、そんな学園は現実には存在していないらしい。
    実在しない学園の謎は、夢の中のカリムの両親が魔法の力を発現したカリムのために魔法士養成学校を建築を急がせた、という話からすぐに解けた。

    💀『ないなら作ろう精神は理解できるけど……スケールがデカすぎますな』
    自分が“弟”を作ったことを完全に棚に上げ、イデアが呆れたように呟いた。

    🦦「なあなあ」!ここで会ったのも何かの縁だ。お前たちの学校の話をもっと詳しく聞かせてくれよ!」
    👑「良いわよ。でも、ここじゃ日差しが強すぎる。日焼けが気になるし、屋内に移動しない?」
    🦦「移動なんかしなくても、屋根をここに持ってこさせりゃいい。今日は風も気持ちいいしな」
    👑「は?」
    🦦「おーい!みんな、宴の準備だ!!」
    トンデモ発言とともにカリムが手を打ち鳴らすと、どこからともなく大勢の従者がやってきて、パラソルと敷物と食料が運ばれてきた。

    🦦「よーし、準備もできたことだし始めようぜ。みんな座ってくれ!今日の出会いに、乾杯!」
    「「乾杯!!」」

  • 127125/07/24(木) 21:58:20

    夢と現実の齟齬の核となる点を探るべく会話をしていると、セベクとシルバーの出身が茨の谷であるという話題から、織物産業の話になった。

    熱砂の国の商業の中心である『絹の街』では絹織物の産業が盛んで、カリムの実家である大富豪のアジーム家も絹織物の商売で財を成した家だ。ヴィル曰く、熱砂の国産のシルク製品はヴィルをして高価だと感じるような逸品ぞろいらしい。

    また、茨の谷も製糸業が盛んで、伝統的な美しい刺繍が入った反物はアジーム家でも滅多にお目にかかれない希少品なのだそうだ。


    *アイデアロール (1.成功、2.失敗)

    出久 dice1d2=1 (1)

    爆豪 dice1d2=2 (2)

  • 128125/07/24(木) 22:02:01

    ※パソストネタ


    🥦(『熱砂の国』のシルク製品と、『茨の谷』の刺繍工芸……)

    🥦(まさか、カリムくんとシルバーくんがくれたハンカチって、ものすごく高価なものだったんじゃ……!?)

    🥦(どうしよう!普通にトイレ行った後に洗った手とか拭いちゃったよ!!)

    🧨(なんか一人で百面相してやがんな)


    *ハンカチのお値段

    カリムの絹のハンカチ dice1d100=100 (100) 万マドル

    シルバーの刺繍のハンカチ dice1d100=46 (46) 万マドル

  • 129二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:19:22

    わぁさすが大富豪

  • 130125/07/24(木) 22:23:09

    カリムの夢の現実との最も大きな乖離は「カリムがナイトレイブンカレッジに通っていないこと」だ。彼が普段から学園生活を満喫している様子だったことから、ルークのようにこの夢は「カリムがナイトレイブンカレッジに入学することで起きる悲劇」を回避するために改変が加えられているのではいか、という仮説が立てられた。


    😺「カリムがナイトレイブンカレッジに入学するルートで起きる悲劇……あっ!そういえばアイツ、ウィンターホリデーでジャミルのヤツと……」

    ?「お前たち、何を騒いでいる?」

    噂をすれば何とやら。グリムがウィンターホリデーでジャミルが起こした事件について言及しようとしたまさにその時、聞き覚えのある声がパラソルの向こうから聞こえてきた。


    🐍「どういうことだ、カリム。客を呼ぶなんて、俺は聞いていないが?」

    🦦「ジャ、ジャミル……」

    🐍「客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと言ったはずだ。そうすれば……」

    🐍?「もっと凄い食事と、音楽隊を用意できたのに~!」

    果たして、やってきたのは、やたらと明るくて爽やかなジャミルだった。


    🐍?「水臭いじゃないか、カリム!こんな楽しそうな席を設けてるなら、俺も誘ってくれよ!

    🐍?「俺たち親友……だろ?」

    爽やかなジャミルはカリムと肩を組み、綺麗なウインクを決めた。どの表情を切り取っても絶対に本人がしなさそうな爽やかさで、偽物感満載だった。


    *笑ってはいけない魔法領域

    出久 dice1d100=87 (87)

    爆豪 dice1d100=34 (34)

    (50以下でアウト、51以上でセーフ)

  • 131125/07/24(木) 22:36:26

    😺「こ、このジャミル……爽やかすぎて背中の毛がぞわぞわするんだゾ……!」

    🧨「ぶふっ!!!」

    🥦「かっちゃんが耐え切れず噴き出した!?」

    🧨「グプププ……『オレタチシンユウダロ』?ブププ」



    🥦「まってかっちゃん、君のそんな表情初めて見たんだけど!?」

    😺「ふなっ!?爽やかジャミルの真似してる爽やかバクゴー、怖すぎて背中の毛が逆立っちまったんだゾ!?」


    *デク かっちゃんの物マネ dice1d2=1 (1)

    1.ツボに入った

    2.不気味なものを見る目

  • 132125/07/24(木) 22:49:26

    どうみてもカリムの夢産の偽物のジャミルは溌溂と自己紹介を終えると、「よろしくな!」と白い歯を見せて笑った。
    偽ジャミルはここまでの夢で順応性が上がってスンとした反応のシルバーとセベクと、ツボに入ってゲラになっている出久と勝己と、ハリネズミのように背中の毛を逆立てているナイトレイブンカレッジの面々を見て、「なんだかよくわからないが愉快な人たちだな」と大雑把極まりない感想を述べた。

    🐍「……ん?おいおい、カリム。お前のお気に入りのアイスが並んでいないじゃないか。あれを客人にふるまわなくていいのか?」
    🦦「食事のほうがいいかと思ってさ。だいぶ腹も膨れてきたし、そろそろ出すか!」
    🐍「俺はあれにチョコスプレーとココナッツのスライスを山盛りかけて食べるのが好きなんだ」
    🦦「わかるぜ。あれめちゃくちゃ美味いよな~!シルキーメロンに載せて食うのも最高だ」
    🐍「間違いない。それじゃあ……ひとっ走り厨房まで行って持ってこいよ、カリム」
    🐊⚔「「流石にそれは言わないだろう!!??」」
    雑の極みである偽ジャミルの発言に、それまで静観を貫いていたセベクとシルバーが思わずツッコミをいれた。マレウスの従者である二人からすれば、カリムの従者であるジャミルが主人に「厨房まで行って持ってこい」と宣うなどありえないことだ。

  • 133125/07/24(木) 23:14:18

    ⚔「カリム……よく思い出してほしい。お前の幼い頃からの友人であるジャミルは、本当にこんな男だったか?」
    シルバーはクラスメイトであるカリムに真摯に語りかけた。

    😺「ウィンターホリデーにカリムが『友だちになろう』って誘った時に、『絶対にお断りだ』ってキッパリ言ってたんだゾ!」
    🦦「絶対に……お断り?ジャミルが?うぐっ!?」
    グリムがウィンターホリデーの一件での着地点に言及すれば、カリムの精神が揺さぶられて夢が揺らぎ始めた。頭を抑えて苦しみだしたカリムを、『闇』である偽物のジャミルが支える。

    🦦「なあ、ジャミルは……オレの親友だよな?オレを裏切ったり、しねぇよな?」
    🐍「当たり前じゃないか。何を馬鹿な!そんな恐ろしいこと、考えたこともないよ!」
    😺「嘘言ってんじゃねーッ!」
    🧨「そいつァ俺らを飯と宿で釣って、テメェを追い出す計画の片棒担がせようとしてたクソ卑怯な腹黒野郎だろォが!!」
    🦦「俺を……追い出す?あ、頭が、いてぇッ」
    🐍「こっちを見ろ、カリム。俺がいれば何も心配いらない……そうだろう?俺を信じろ、カリム」
    『闇』のジャミルはカリムの目を覗き込み、彼の「ユニーク魔法」をかけようとした。

    🥦「!!カリムくん、ジャミルくんの目を見たらダメだ!!」
    🐍「カリム、俺とお前は赤ん坊の頃から兄弟のように育ったよな。俺たちは互いの立場に遠慮することなく何でも本音で語り合ってきた」
    🦦「お前の言う通りだ……オレたちは本音で語り合える親友……ぐぅっ!」
    🧨「フン。夢ン中のそいつがユニーク魔法使えとる時点で、テメェはソイツが無条件にゃ信用ならねェ野郎だってわかってるはずだろうが」
    👑「ええ。アタシだったら、アイツを腹心には選ばないわ。でもアンタは、自分をこっぴどく裏切ったその男と“本当”の友人になりたいと願った……。その非合理さが、諦めの悪さが、無神経なポジティブさが……カリムをカリムたらしめる“芯”であり、アンタの恐ろしさのはずよ。偽物を掴まされて満足しているなんて、大商人の跡取りが聞いて呆れるわ。腑抜けていないで、さっさと目を醒ましなさい!カリム・アルアジーム!」

  • 134125/07/24(木) 23:17:10

    >>132

    謎の誤字あったので訂正


    誤:ハリネズミのように背中の毛を逆立てているナイトレイブンカレッジの面々


    正:ハリネズミのように背中の毛を逆立てているグリムと、三者三様の反応を返すナイトレイブンカレッジの面々


    まあこのスレはこれに限らず誤字脱字だらけなんですけどね!

    まともに推敲してたらいくら時間あっても足りないもので

  • 135二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 23:32:00

    7章って途中までマジで重苦しいストーリーなのに、夢巡りからギャグとシリアスを高速で繰り返すテイストに変わるから温度差で風引くんよな

  • 136二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:09:33

    この後のギャグ夢もどんな反応してくれるか楽しみ

  • 137二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 10:49:37

    >>135

    例の二人の夢見て宇宙猫になる展開ありそうw

  • 138二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:11:53

    ほしゅ

  • 139二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:59:46

    >>131

    絶対声色ヒンメル系じゃないな

  • 140二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 06:05:38

    >>135

    温度差激しすぎて同じシナリオ続けてやっるよな?ってなる

  • 141125/07/26(土) 11:21:13

    🐍「カリム、こっちを見ろ。お前が信じているのは、俺だけのはずだろう!」

    🦦「ううっ……違う、オレが、オレが信じているのは……うわああああああああああ!!」

    カリムが頭を抑えて絶叫するとともに、夢の世界の光景が乱れてスカラビア寮の談話室の光景に変わった。

    項垂れてその場に崩れ落ちたカリムに、誰よりも先に『闇』であるジャミルが心配の手を差し伸べる。ぱし、と肌を叩く渇いた音を立て、カリムはその手を払ねのけた。


    🦦「そうだったな……ジャミルは、昔からいつだってオレを一番に心配してくれた。でも……それはオレがジャミルの主だからで、親友だからじゃない。オレが信じてるのも、友だちになりたいのも……お前じゃない!」

    目から大粒の涙を流しながらも、カリムは『闇』のジャミルを睨み上げた。睨まれたジャミルの姿は揺らいでドロドロと黒く溶けだし、『闇』の正体を現した。


    🥦「カリムくん!目が醒めたんだね」

    👑「よく言ったわ、カリム」

    ⚔「俺たちも加勢しよう!」


    *霊素ダメージロール

    出久(47) dice1d5=1 (1)

    爆豪(36) dice1d5=1 (1)

    グリム(28) dice1d5=4 (4)

    シルバー(25) dice1d5=4 (4)

    セベク(39) dice1d5=4 (4)

  • 142125/07/26(土) 11:44:09

    🦦「う、うぐ……っ、うううぅっ……、うわぁ~~~~~~~~~~っ!」
    戦闘の末にジャミルの姿をした『闇』を打ち払うと、カリムは小さな子どものように声を上げて泣き出した。

    🥦「カリムくん、大丈夫!?」
    🦦「オレ……どうしてジャミルが偽物だって気付けなかったんだろう。腹割って話せる、本当の友だちになりたいって……本気で思ってるのに!オレは……オレは結局、オレに都合がいいジャミルを選んでた。ジャミルに合わせる顔がない……ひぐっ……ううっ」
    👑「合わせる顔がないっていうなら、アタシだって同じ。歪んだ夢の中では、ネージュを小間使いにしてこき使ってたし……」
    🦦「え……それは本当に合わせる顔がねーな……」
    🧨「急に落ち着くんじゃねーわ」

    落ち込んでも立ち直りが早いことは、カリムの大きな美点の一つだ。我に返ったカリムが状況説明を求めたので、イデアとオルトはテキパキと『マレウス攻略動画』をみせて『招待コード』を渡した。
    カリムはマレウスを止めるための戦いに参加することと、夢巡りの旅に同行することに快く応じてくれた。

    🦦「みんなを起こすためにも、マレウスのためにも、絶対に勝とうな!」
    「「おう!」」
    🧨「たりめーだわ」
    💀『き、急にテンションが少年漫画みたいになってきた……!』
    🥦「……?こういうのって普通じゃないんですか?」
    💀『う~ん、文化の違い!まぁ、ミドリヤ氏って少年漫画の主人公張れそうな造形してますからな。バクゴー氏はジャンル分けすら無理なニュータイプだけど』
    🔥「言動が苛烈すぎて主人公はまず無理。敵キャラにするにはまともすぎて、かといってライバルキャラにしておくにも粗暴すぎる……確かに分類が難しいね」
    🧨「ア”?人のことをキメェオタク文脈で語ろうとしてんじゃねーぞクソギーク兄弟!!」
    💀🔥「「こういうところなんだよな~」」

    そうこうしている間に『S.T.Y.X.』から送られてきたカリムのダミーデータをオルトが出力して、次の夢に出発する準備が整った。一行はシルバーに捕まって、『夢の回廊』から別の夢へと渡った。

  • 143二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 11:48:22

    > ミドリヤ氏って少年漫画の主人公張れそうな造形してますからな。

    ※本当に少年漫画の主人公です

  • 144二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 12:10:32

    イデア視点のデクって
    ・友人を追いかけて禁域である嘆きの島まで乗り込んできた
    ・(かっちゃんの記憶から)何かしらすごい力を持っていたがすでに失っている
    ・魔力も個性もないのに最前線で戦えてる
    ・常人なら四肢が爆散する魔導アーマーを使いこなせてる
    ・憧れの人に認められて後継者になった
    ・自分を助けるために『冥府』まで飛び降りてきたヒーロー
    だから属性盛りすぎボーイなんだよな
    本編の泥臭くもがく主人公じゃなくて、最初から強いタイプの主人公に見えてそう

  • 145二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:16:52

    >>142

    型破りなキャラ造形なのにかっちゃん大人気なことに作者さんも驚いたてたよな

  • 146125/07/26(土) 21:08:27

    次に出久たちが降り立ったのは、カリムの夢と同じく日差しの強い乾燥した気候の街だった。周囲にはカラフルな布でできた屋根が並び、その下では野菜や果物が山積みになって売られている。カリム曰く、ここはカリムとジャミルの故郷である絹の街の『ラクダバザール』という場所らしい。

    『夢の回廊』を落ちながら進む移動方法でヴィルが具合を悪くしてしまったため、出久とシルバーは木陰で休むヴィルについて、残りの者で夢の探索を行うことにした。


    😺「ふな~~。あちこちからスパイスと肉の焼ける良い匂いがするんだゾ!それに、果物の甘~い香り!」

    🐊「隣の店で売っている果物も、どれも色鮮やかで見事だな。見たことがない珍しいものも多い」

    🦦「そうだ!あのココナッツジュースをヴィルに持っていってやろう。良く冷えててさっぱりしてるから、あれを飲めばきっとヴィルの気分も良くなるはずだ」

    🧨「テメーこの状況で現金なんか持ってンのかよ」

    💀『げ、現金はアイテムとしてサポートツールにセットしてないし、今はやめといたほうが……』

    🦦「大丈夫、大丈夫!オレに任せとけって。おーい、兄ちゃん。ココナッツジュースを10個くれ!」

    🧨「テメェ人数考えて買い物しろや!!」

    お金に無頓着な大富豪であるカリムは豪快に注文を飛ばすと、生ココナッツをくりぬいたジュースが出てきた。


    😺「ぷはっ!ヒエヒエでさっぱりしてて、ウメ~!」

    🐊「……うむ!あまり馴染みのない味だが、上品な甘さで悪くない」


    *かっちゃんの反応 dice1d100=2 (2)

    1:ヌルヌルして青臭くて無理

    100:さっぱりした甘さで悪くない

  • 147二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:11:05

    ココナッツってダイレクトだと人を分ける味よね…

  • 148125/07/26(土) 21:29:15

    🧨「……俺ァもういいわ。後はテメーにやる」
    😺「やった~~!」
    生粋の日本人である勝己は生ココナッツ独特の青臭さが受け付けなかったため、一口だけ飲んであとはグリムにやってしまった

    🦦「よーし、ぬるくなる前にヴィルたちにも飲ませてやろう」
    残りのココナッツを抱えてカリムが来た道を引き返そうとすると、店員が慌ててテントから身を乗り出してきた。

    「ちょっとちょっと、お客さん!お代は?」
    🦦「お代?悪い、今手持ちがないんだ」
    🧨「ハァ?テメェ金持ってねぇのに『任せろ』とか言ったのかよ。どうすンだよ、もう口つけちまったぞ」
    🦦「大丈夫だって。なぁ兄ちゃん、いつもみたいにウチにツケといてくれよ」
    「いつも?ウチ?何を言ってるんだ、アンタ!」
    顔パスのツケ払いという、いかにも金持ちの御曹司的な方法で支払いを済ませようとしたカリムだったが、店員は怪訝そうな態度を解かなかった。

    🦦「えっ?まさか、オレのことを忘れちまったのか?ほら、顔をよく見てくれ。オレだよ、カリム・アルアジームだ!」
    「アルアジームだぁ?もしそれが本当なら、なおさらツケなんてさせるかよ。俺の店で食い逃げしようなんざ……良い度胸だな、ガキ!」
    カリムが名乗ると、店員は警戒を露わにしてカリムの腕を捻り上げた。

    🐊「くっ……。『闇』に見つかりやすくなるから、騒ぎは起こしたくないというのに……!オイ、バクゴー。貴様換金できそうなものは何ももっていないのか?」
    🧨「持ってねェよ。この暑さだし、『個性』使って簡易手榴弾ならすぐに作れっけど」
    🐊「物騒すぎるだろう!!却下だ!!!」
    カリム以外の面々は巻き込まれ事故も良いところだが、店員からすれば商売に関わる死活問題である。
    あわや警察に突き出されそうになって、『闇』に見つかる覚悟で武力行使に出ようとしたタイミングで、出久とシルバーが割り込んできた。

    ⚔「彼らを警察に突き出すのは待ってくれ!」
    🥦「僕たちがお支払いします!」
    出久たちはイデアから連絡を受けたオルトによって現金のデータを付与してもらったので、間一髪のところで支配をすませ、騒ぎが大きくなる前に収めることができた。

    🧨「テメェマジでふざけンなよ」
    🦦「おっかしーな。オレ、絹の街じゃ生まれてから一度も『金を払え』なんて言われたことないぜ。あのジュース屋の兄ちゃんも昔なじみだし。一体どうしちまったんだ?」

  • 149125/07/26(土) 21:40:24

    ヴィルの体調もかなり回復してきたので、合流してココナッツジュースを飲ませたあと、出久たちは夢の設定の手がかりをつかむためにアジーム御殿へと向かうことにした。


    *出久 ジュースへの反応 dice1d100=22 (22)

    1:ヌルヌルして青臭くて無理

    100:さっぱりした甘さで悪くない


    🦦「オレんちが無くなってる~~~~~~~!!??」

    カリムの案内でアジーム御殿へと来た一行だったが、そこは草木一本無い不毛の砂漠が広がっているばかりだった。

    🦦「母屋も、離れも、ジャミルんちも全部ない!みんなどこにいっちまったんだ!?」

    🥦「母屋とか離れって単語だけで大豪邸だって伝わってくるぞ」

    🧨「つーか三つ編みの実家ってターバンの実家の敷地内にあったのかよ」

    聞くだけでさぞ広大な御殿であったことが想像できるアジーム御殿だが、影も形もなくなっている。

    ちょうど近くを通った地元民に話を聞いたところ、「数年前に持ち主が変わって、街の外れの高台に移設された」という情報が手に入った。前の持ち主については、「商売に失敗して御殿を手放すことになったと聞いたが詳しいことは知らない」とのことだった。


    *アイデアロール (1.成功、2.失敗)

    出久 dice1d2=2 (2)

    爆豪 dice1d2=2 (2)

  • 150125/07/26(土) 21:55:46

    🧨「……とりあえず、ここで立ち往生してても埒が明かねぇ。御殿が移設された場所に行ってそっちでも情報を集めンぞ」
    🥦「だね。夢と現実で設定に齟齬があるってところは見逃せないし」
    👑「……なんとなく、嫌な予感がするわね」
    🔥「僕もだよ、ヴィルさん」



    🦦「マジでオレんちが高台に移設されてる!」
    🥦「これが……家!!?」
    🧨「八百万の家の塀の長さにもヤベェと思ったが……その倍以上は余裕であるな」
    🥦「というか、塀の終わりが全然見えない」
    高台にあった旧アジーム御殿は、『熱砂の国』の伝統的な建築様式が美しい壮大な建物だった。
    カリムが言うにはもともとは白亜の外壁に孔雀色の屋根の建物だったそうだが、今は塗り替えられて外壁は黒で屋根は赤色に変わっている。

    🧨「この日照条件で黒塗りの家はヤベェだろ」
    🥦「すごく……暑そうだね」
    🔥「夢の中だから、そこは都合よく何とかなってるんじゃないかなぁ」

    一行が旧アジーム御殿を見ていると、警備員と思しき人に声をかけられた。観光に来ただけで怪しい者ではない、と言い訳しようとしたが、それよりも前に警備員はカリムの顔を見つけて目を吊り上げた。

    「カリムじゃねぇか。もうすぐジャミル坊ちゃんの登校時間だってのに、まだ着替えてもいねぇのかよ!」
    🦦「ジャミル?ジャミルがここにいるのか!?」
    「何を寝ぼけたこと言ってやがる。いるも何も、ここはジャミル坊ちゃんがお住まいになっている……バイパー御殿だぞ!」
    「「バイパー御殿!!??」」

  • 151125/07/26(土) 22:15:56

    警備員の話によれば、アジーム御殿を買い取った者はジャミルの父親であるらしい。彼はもともとアジーム家の従者だったが、色々あって金に困ったアジーム家から家を買い取った、との話だった。
    🧨「……金の流れどうなっとンだよ。一従者が主の資産を買い取れるだけの資金を持てる訳ねぇだろ」
    🥦「う~ん、まさに夢らしい夢だね」
    💀『ま、小さい事から近くに非現実的な富豪キャラが近くにいたら、自分もそんな風になりたいって願うことは至極自然な流れですわな』
     
    話している途中で、どこからともなく華やかな音楽が聞こえてきた。バイパー御殿の門が開き、中から像が隊列を成して出てくる。
    👑「ちょっと待って。あの象に乗っているのって……」
    「「ジャミル~~~!?」」
    カリムが夢の中で着ていた制服と似たような仕立ての黒い制服に身を包んだジャミルの傍には、彼が夢の主であることを示す小鳥のような光が飛んでいる。

    「カリム!お前はさっさとこの傘をもって隊列に加われ!ボーッとしてんじゃねぇ、このとんまめ!」
    🦦「うおっ!?わ、わかったぜ!」
    カリムは言われるがまま、傘を持ってジャミルのパレードについていってしまった。

    🔥「僕たちもあのパレードを追いかけよう!」
    🥦「なんか、すごく既視感がある光景だ」
    傘を差して灼熱の砂漠をひたすら行進するのは、スカラビア寮の合宿で散々やっている。
    ジャミルとカリムは立場が逆になっているが、カリムは暑さをものともせずに傘を差して自分の足で歩くことを楽しんでいるようだった。

  • 152125/07/26(土) 22:30:05

    パレードの目的地は、カリムの夢の『カスルサルタナートアカデミー』とよく似た建築物だった。こちらも、外壁が黒で屋根が赤色のデザインになっている。カリムの夢では「オアシスの名君」の銅像が建てられていた噴水の中央には、はっちゃけたポーズの「砂漠の魔術師」の銅像が立っていた。


    🐍「カリム!カリムはいないのか!」

    🦦「おう、いるぜ!ここだ!」

    🐍「『ここだ!』じゃない!主人の世話もせず、なに油を売って……おい。なんだその制服の色は」

    ジャミルは『カスルサルタナートアカデミー』の白い制服姿のカリムを見咎めると、魔法で彼と同じ黒い色に変えさせた。曰く、ここは砂漠の魔術師の精神に基づく『ジャハーサヒールカレッジ』で、その制服は彼が纏っていたとされる伝統的な赤と黒と決まっているようで、勝手に脱色したカリムに腹を立てているらしい。


    ジャミルはカリムが現実世界のカリムだと気づいておらず、この夢の中の「ジャミルの従者になったカリム」だと思っているようで、オルトが「話を合わせて情報を聞き出そう」と耳打ちした。

    ジャミルは見慣れない顔の出久たちを見て不審そうな顔をしたが、俳優であるヴィルが機転を利かせ、「ナイトレイブンカレッジの映画研究会が撮影のために絹の街を訪れて、噂を聞いていたこの学園も見学してみたくて訪れたが、来客用受付の場所が分からずに迷い込んでしまった」と嘘八百をさも真実であるかのように並べ立てた。

    🔥「困っている僕たちを見かねて、カリムさんが声をかけてくれたんだ。ねっ!」

    🐍「ふぅ~~~~む?」


    *ジャミル 出久と爆豪への警戒度

    dice1d100=45 (45)

    (70以上で警戒心を持つ)

  • 153二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:33:07

    この夢、何だかんだ言ってアジーム家基準の成功パターンイメージしてたジャミルに気づいて笑ってしまった記憶がある

  • 154125/07/26(土) 22:49:27

    🐍「まあ、怪しそうなところはない……か」
    🐍「身なりもみずぼらしいし、どいつもこいつも冴えない顔だ。ただの学生だろう。ひどい傷痕がある奴らも、おおかた魔法で事故を起こしたといったところか。まともに防衛魔法も使えない大したこと奴らに違いない」ボソッ
    🧨「全部聞こえてンだよ腹黒」
    🐍「ああ、これは失礼。つい本音が……。ゴホン」
    ジャミルはガンを飛ばす勝己の眼光にもひるまず、飄々とわざとらしい咳払いをした。余裕綽々の態度である。

    🐍「客人の案内ならば、カリムよりも生徒会長を務めるこの俺が適任だ」
    👑「まあ、本当?生徒会長自らおもてなししてくださうるなんて、アタシたちラッキーね」
    🦦「へぇ!ジャミルは生徒会長やってんのか。すげーな~」
    🐍「何故『初めて聞いた』という反応をしてるんだ!?お前は学園の生徒なんだから知ってただろ。ほら!ボーッとしてないで、お客様がくつろげるよう準備をするんだ!」
    🦦「やべっ。オレ、今はジャミルの従者役なんだっけ」
    🥦(カリムくん……大丈夫かな……)
    🦦「おーい、誰か!宴の準備を頼む!」
    🐍「『誰か』じゃないだろう。お前が準備するんだよ!」
    🥦(これは……ダメかもしれない……。次善策も立てて置かないと……)

    大雑把なカリムの従者としての働きぶりはひどいもので、飲み物を出そうとすればユニーク魔法の『枯れない恵み』で頭から水を被せ、食べ物を出そうとすれば敷物もテーブルも用意せずに食べ物のいっぱいの食器を大量にもってきて、あげく置く場所がないからとジャミルに食器をもたせて、彼が持てない分は出久とグリムに預けて敷物を取りに行ってしまった。

    🐍「おい!待て!主人と客人を働かせる従者がどこにいる!?……ゴホン。すまない。荷物は俺が魔法で浮かせておくから、君たちは手を離して構わない」
    😺「おっ、荷物が全部浮いて楽ちんになったんだゾ」
    🐍「……ああもう、イライラする。あのうすらバカめ!」
    ジャミルは手際の悪いカリムを見て、苛々とつま先で地面を叩いた。

  • 155125/07/26(土) 23:12:02

    ジャミルの夢におけるカリムの存在は、ヴィルの夢でのネージュのように、彼の人格や能力の形成に大きな影響を及ぼしているが故に、夢の世界で“無かった”ことにできなかったのだろう、とオルトが分析した。ジャミルの慎重な性格や巧みな魔法は、カリムを護衛する前提で磨かれたものだと容易く想像できる。
    はやくジャミルを夢から醒ましたいところだが、ジャミルの夢はイマジネーション強度が高く難易度が高そうだ、と一行が頭を捻ったタイミングで、カリムが敷物を持って戻って来た。

    👑「ちょっと待って……あの子が担いでる絨毯って、見るからに高価なものじゃない?」
    🔥「素材と柄から推察するに、1枚数百万マドルはくだらない最高級品ばかりだね」
    🦦「ザハブ市場で買ってきたんだ。あそこの織物屋、品物の質は確かだろ?見てくれよ、これ!この絨毯、懐かしくないか?」
    カリムが広げた絨毯は、出久たちがスカラビア寮で見た空飛ぶ絨毯と似た模様だった。

    🦦「空飛ぶ絨毯のレプリカだよ。これは魔力が込められてない、ただの絨毯だけど。オレが『魔法の絨毯だ!』ってこれを床に広げて乗っかって怒られたんだ。覚えてるか?」
    🐍「忘れるものか。絹製のヴィンテージの絨毯に、お前が泥のついた靴で乗った時の店主の顔……うっ!?」
    この夢では存在しないはずの記憶が刺激され、ジャミルが頭を抑えた。

    🥦「!?意外とこの作戦でもいける、のかな?」
    🧨「アイツのネチネチした過保護体質が口を出さずにはいられねーみてェだな」
    😺「カリム!もっと言ってやるんだゾ!」
    カリムはジャミルにいくつか思い出話を語れば、ジャミルはお気楽なカリム視点の話を苦労したジャミルの従者視点から訂正を入れて、その度に夢が揺らいだ。
    💀『抑えきれないジャミル氏のツッコミ魂が刺激されている……!』
    ⚔「いいぞ!もう一押しだ、カリム!」

  • 156125/07/26(土) 23:29:15

    🦦「ナイトレイブンカレッジに入る少し前……2人で厄介な事件に巻き込まれたことがあったよな。危ないところでジャミルが機転をきかせて、ユニーク魔法で悪い奴らを仲間割れさせてくれたんだ。それでオレたちは、無事に家に帰ってこられた。お前がいなかったらどうなってたことか!」
    🐍「ううっ……!知らない、そんなのは……!」
    🦦「お前はいつだって、最高に頼りになる“親友”だった。ジャミルに任せておけば全部うまくいくって信じて疑わなかった。でも……そう思ってたのはオレだけで、お前はずっとイヤだったんだよな。ウィンターホリデーのときは参ったよ。お前に裏切られて、大嫌いだったって言われて、すげーショックだった」
    🐍「ウィンターホリデー……裏切り?ぐっ!あ、頭がッ!」
    二人のターニングポイントである記憶を刺激され、ジャミルが激しく苦しみはじめた。感情を押し殺したように淡々と語り続けていたカリムの声に、段々と力がこもる。

    🦦「ジャミル。オレ……お前が考えてることは正直まだよくわかんねー。でも、これだけはわかるぜ。今のお前の姿は、本当にお前が望んだ姿じゃない。お前が望む“最高の自分”って、こんなんじゃないだろ!思い出せ!本当の自分を!」
    カリムは語り掛けながら、魔法でスカラビアの寮服に着替えた。その姿をみてフラッシュバックを起こし、ジャミルの記憶が戻りかけた。しかし、横から入った声で、彼の意識が逸れてしまう。

    🦦?「ジャミル様~~~~!」
    🦦「お前は……オレ?」
    🧨「チッ、あと少しのとこで『闇』が出やがった!」
    『闇』のカリムは、頭を抑えて苦しむジャミルに駆け寄り、出久たちを刺客だとみなして衛兵を呼び出した。一瞬のうちにジャミルは『闇』に取り囲まれ、分断されてしまう。

    🐍「カ、カリム……?」
    🦦?「ええ、そうです。オレが本物のカリム。あなたの忠実な従者です。さあ、オレの目を見て……ここにいれば、あなたはずっと支配者でいられる。金も、地位も、自由も、何もかも思うがままだ!」
    🐍「ああ……そうだな……すべてお前の言う通りだ、カリム……」
    🥦「ジャミルくん、目を醒まして!!君の知ってるカリムくんは、絶対にそんなこと言わないだろ!!」
    🦦「待ってくれ!ソイツじゃなく、オレを信じてくれ!ジャミルーーー!!!」
    『闇』の甘言に耳を貸したジャミルは、沼のように満ちた『闇』の中へと沈みこんでいった。

  • 157125/07/26(土) 23:35:38

    🦦?「ドブネズミどもが……ジャミル様の眠りを邪魔するな!」

    🧨「そう言われてハイソウデスカって引き下がる馬鹿がいっかよ、このペテン師が!!」

    🥦「みんな、行こう!『ドリームフォーム・チェンジ』!」


    *霊素ダメージロール

    出久(48) dice1d5=1 (1)

    爆豪(37) dice1d5=3 (3)

    グリム(32) dice1d5=3 (3)

    シルバー(29) dice1d5=4 (4)

    セベク(43) dice1d5=2 (2)


    『闇』のカリムを退けると、本物のカリムはジャミルをお追いかけて躊躇いなく『闇』の沼の中に飛び込んだ。ヴィルのときと同じく、出久たちも後を追う。

    『闇』を抜けた先の空間は、スカラビア寮の廊下だった。談話室の方から、狂ったように笑うジャミルの声が聞こえる。


    🐍「やったぞ……ついにカリムを学園から追い出し、寮長の座を手に入れた!」

    急いで談話室へと駆けつければ、大勢のスカラビア寮生に傅かれて高笑いするジャミルの姿があった。

    その傍には、目を不気味に赤く光らせているアズールの姿もある。


    *オンボロ寮のメンメンは…… dice1d2=1 (1)

    1.いない。時空の果てにぶっ飛ばした。

    2.いる。洗脳して手駒にされたことになっている。

  • 158125/07/27(日) 00:00:30

    🥦「くっ。ここは『ジャミルくんがカリムくんを追い出すのに成功した世界』ってことか……」
    🧨「チッ。洗脳された詐欺眼鏡もいるとなると厄介だな」
    🐊「なぜアズール先輩がスカラビアに?」
    🥦「詳しいことは後だ。とにかく、この場にいる人は全員洗脳されてるはず。人数的には圧倒的に不利だけど……ここでアーマーを使うか……」
    💀『待ってくだされ。ワイヤー数発くらいなら問題ないけど、身体強化機能を解放した時点で君のスマホはバッテリーが破裂すると思って』
    🔥「まだ仲間集めは予定の半分も終わってない。今はまだその時じゃないはずだよ」
    🥦「でも……!」
    🧨「夢ン中なら俺は反動無しで『爆破』が使えるし、『闇』相手なら思い切りぶっ放せる。建物の被害だけ考慮して、“徹甲弾(A・P・ショット)”で奇襲かけりゃいい。三つ編みと詐欺眼鏡の魔法で防がれっと厄介だが」
    ⚔「ならば有利陣形をとって、俺たちも一斉に仕掛けよう。イデア先輩、合図は頼む」
    確実に『闇』を一掃すべく、出久たちは勝己を作戦の中心として配置についた。その間、誰に聞かせるでもないジャミルの独り言が聞こえてくる。

    🐍「ああ、とても清々しい気分だ……これが“自由”か!最高だ。一番目障りだったカリムはすでにいない。そして、アズールも俺の手中に落ちた。ククク……アズールが握っている学園関係者の秘密を上手く使えば、俺の手を汚すことなく他の寮長も失脚させることができるかもしれない」

    ⚔「まずいな。思考が完全『闇』に染まってしまっている」
    🦦「~~~~~~~っ!!」

    🐍「寮長たちを全員追い出したら、次は学園長だ。アイツは教師の風上にもおけないクズ野郎。どんな手を使っても、絶対に引きずり下ろしてやる。そして学園長も追い出したら……この学園は俺の意のまま。俺がこの学園の支配者だ!ははは……あーっははははははは!!」
    🦦「ジャミルーーーーーーーーーーッ!!!スマーーーーッシュ!!」
    🐍「ぐはっ!?」
    ジャミルの独り言を聞きかねたカリムが、作戦を無視して飛び出し、ジャミルに右の正拳をぶちかました。

    🧨「あの馬鹿、作戦を無視しやがって!!しかもあのかけ声――」
    🥦「そういえば、あのとき僕、カリムくんに喧嘩のときの拳の握り方を教えた気がする。心の中で“SMAAAASH!!”って叫ぶと良い感じだとも言ったかも」
    😺「心の中じゃなくて、口から出てるんだゾ」

  • 159二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 01:04:50

    このレスは削除されています

  • 160125/07/27(日) 01:06:39

    🐍「な……カリム!?どうしてここに!?お前はこの学園を退学し、病院で療養しているはず!」

    🦦「馬鹿野郎ッ!!!」

    🐍「ば、馬鹿……?」

    🦦「大馬鹿だよ!」

    現実でもカリムに強い言葉を使われたことのなかったジャミルは、カリムに怒鳴られて一瞬ぽかんとした表情を浮かべた。


    🦦「お前、言ってたじゃないか。誰にも遠慮することなく、正々堂々と実力を出したかったって……。なのに、汚い手を使って他人を陥れようとするなんて……全然正々堂々としてないじゃないか!今すぐ目を醒ませ、ジャミル!」

    カリムの言葉にジャミルの夢が揺らぐ。同時に、ジャミルがカリムに抱く苛立ちを思い出して、殴り返した。

    🐍「能天気なお前に、俺の何がわかる!」

    🦦「ぐはっ!……わ、わかんねぇよ。“空気を読む”よか“察する”とか、オレがすげー苦手なの、ジャミルが一番わかってるだろ!?」

    🐍「開き直るな、図々しい!お前のそういうところが、大っっ嫌いなんだ!」

    🦦「言ったな!オレだって……お前の裏表あるところが大っ嫌いだ!」

    🐍「その裏表に気づいたのは最近だろうが!この鈍感野郎!」

    🦦「細かいことばっか気にすんじゃねぇよ!この皮肉野郎!」

    「間抜け!」「嫌味!」「うすらバカ!」「わからずや!」二人は子どものように互いへの不満をぶちまけながら、取っ組み合ってひたすら殴り合った。 ジャミルに洗脳された寮生やアズールたちの姿をした『闇』は、呆然としてその場に立ち尽くしている。


    🐊「これは好機!カリム先輩に加勢するなら今だ、いくぞ!」


    *口を挟むのは…… dice1d3=3 (3)

    1.出久

    2.爆豪

    3.シルバー

  • 161125/07/27(日) 01:26:30

    ⚔「いい、セベク。大丈夫だ。……気が済むまでやらせてやろう」

    🐊「なんだと?」

    ⚔「気持ちのこもった拳は、ときに言葉よりも強く相手に響く。……俺もそうだった」

    シルバーはリリアの夢の中で『闇』に囚われたときのことを思い出して、目を細めた。


    😺「そういや、オメーらも昔殴り合いして仲直りしたとか言ってたっけ?人間の幼馴染ってみんなそうなのか?」

    🥦「殴り合いはしたけど、あれは仲直りとは違うような……。一応、あれが初めてかっちゃんと本音で語りあったタイミングではあったけど」

    🧨「仲直りっつーか、それまでクソだったのが若干マシになった程度だな」

    💀『フホホッ!異世界のヒーロー幼馴染の喧嘩エピktkr!拙者、二人がお互いに何を言ったのか興味がありますぞ!』

    🔥「はいはーい!僕も、人間の複雑な感情のサンプルとして興味ある!」

    🥦「え~……。『嫌な奴だけど、すごい奴だから追いかけてた』って」

    🧨「『何べんぶっ叩いても背中に張り付いてくンのが気持ち悪くて、俯瞰したような目が目ざわりだ』っつった」

    💀『いやバクゴー氏最低で草。悪口の比率違いすぎでは?』

    🔥「想像する限り、昔のバクゴーさんは今よりも粗暴で尖った性格だったようだけど……それに憧れの感情を抱いていたミドリヤさんって、変わった人間だね」

    😺「人間の幼馴染って、面倒くさくて変な奴らばっかりなんだゾ」

    🐊「ちなみに、先に手を出したのはどちらだったんだ?」

    🧨「俺」

    💀『重ね重ね最低で本当に草』

    🥦「僕もガンガン手を出したので一応おあいこです。謹慎期間はかっちゃんの方が1日長かったですけど」

    💀『謹www慎wwwwブフォwwwww』

    🧨「そのタブレット叩き割ってやろうか?」


    *幼馴染へのドン引き度

    グリム dice1d100=88 (88)

    イデア dice1d100=21 (21)

    オルト dice1d100=64 (64)

    セベク dice1d100=26 (26)

    シルバー dice1d100=97 (97)

  • 162二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 07:37:33

    グリムとシルバーがガチで引いてて草

  • 163二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 08:30:40

    グリムの数値が高いのは意外だったけど
    シルバーは光属性だし、幼馴染枠のセベクは理不尽な事言わないしめちゃくちゃドン引きしてるのは納得した

  • 164二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 08:54:27

    当時のかっちゃんを「嫌な奴」の一言で済ますデクだから気持ち悪がったしうまく行った面もあるなんとも複雑な幼馴染

  • 165二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 15:59:47

    いやあ、うん
    オルトくん、この2人はサンプルにするには尖りすぎかなあ

  • 166二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:21:55

    その2人の学習にかかる時間で多分数倍の人数の感情サンプル取った方が色々はかどると思う

  • 167二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:48:16

    イデアのコメントにずっと爆笑してるwww

  • 168二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 06:14:07

    最初期は授業(戦闘訓練)でも私情丸出しなくらいでそこから色々あったなあ……と懐かしい気持ち

  • 169二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 09:08:16

    シルバードン引きしてる…でも愛情たっぷりライバル?弟子とも仲良く高め合ってきたから其処まで激情的なぶつけ合いも少なかった+暴言に重めのことでエッ…って驚いたのかも

  • 170二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 17:20:22

    実際『喧嘩』見たら全員「けん……か……?」って引くと思うの、その為だったとはいえなかなかに全力でやってるから

  • 171二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:25:20

    保守

  • 172二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:57:53

    >>169

    かっちゃんがなんでそんなひどい暴言を言うのか理解できないのは前提として、かっちゃんは自責とコンプレックスでぐちゃぐちゃになった結果の八つ当たりで手を出して、デクはかっちゃんを放っておけないのもあるけど「ちょうどいいからかっちゃんにシュートスタイル通用するか試そう」って下心も込みで喧嘩受けてるのが理解できないのもありそう

  • 173125/07/28(月) 23:25:59

    互いに容赦のない攻撃を入れながら、カリムは楽しそうに笑い声を上げた。
    🦦「なあ、ジャミル!17年一緒にいて、初めてだな。こんなふうにお前と喧嘩するのは!」
    🐍「はぁ!?当たり前だろうが!現実でお前をボコボコにしたら大問題…………あっ?」
    軽口のはずみで記憶の蓋が外れかけ、ジャミルが頭痛を訴えて激しく苦しみはじめる。カリムはジャミルの肩をつかみ、まっすぐその瞳を見つめた。

    🦦「そうだ、これは全部夢なんだよ!頼む、思い出してくれジャミル!」
    🐍「そうだ、俺は……俺は、あの日……お前を!あ、あああ……ッ!うわあああああああああ!!!!」
    記憶が戻る衝撃で、ジャミルは悲鳴を上げた。苦痛の声はやがて、自嘲の笑い声に変わる。
    🐍「ふ、はは……あはははっ……そうだった。あんなに悔しかった失敗を……なんで忘れていられたんだろう」
    記憶が戻ったジャミルのもとに、カリムが嬉しさを体現して飛び跳ねるような動きで近寄っていった。

    その時、夢の世界に亀裂が走り、大きく揺れた。

    🥦「これは……夢の崩壊が始まったのか!」
    🔥「ジャミルさんの夢にカリムさんが存在していることで、この夢のジャミルさんは『幸せな結末』が迎えられなくなったんだ」
    👑「あのまま突き進んでも、ジャミルがハッピーエンドを迎えられたとは思えないけどね」
    夢の崩壊に巻き込まれれば深淵に呑み込まれてしまう。出久たちはシルバーとともに素早く夢から離脱しようとしたが、途中で『闇』に足を取られたカリムを庇って、ジャミルが『闇』に沈み込んでしまった。カリムはジャミルを引っぱり上げようとしたが、ジャミルに殴られて手を離してしまう。

    🦦「ジャミル~~~~~~~~~!!!」
    🥦「カリムくん、今はこの夢から離脱することが優先だ!ジャミルくんを信じて!」

    ジャミルが『闇』に飲み込まれていく。けれど、この夢の主である彼は、『闇』の誘惑に打ち勝てば覚醒できる。呆然とするカリムをシルバーのもとまで無理やり連れて行き、出久たちはジャミルの夢から一時離脱した。

  • 174125/07/28(月) 23:48:52

    夢を渡るシルバーにしがみつきながら、出久は一瞬黒い白昼夢を見た。

    暗い闇の底で、ジャミルが己のファントムと対峙している。
    カリムを始めとする周囲への不平不満と他責思考を垂れ流し、他者を見下して自身の力を過信する己の姿を、ジャミルは冷静に見つめ返した。

    ――現状を嘆いて、自分を憐れむのはもうやめた。自分の野心や欲望から、目をそらすのもな!

    負の感情を受け入れ、己のブロットを纏ったジャミルがオーバーブロットする。負の力を御したその姿は、正しく評価した己の力に裏打ちされた自信で堂々としていた。

    ――さあランプの魔人よ!俺の願いの糧となるがいい!
    ――俺は狭いランプの中で一生を終えるつもりはない。恨み言ばかりの、みじめな自分にはおさらばだ!
    ――今に見ていろ……俺は必ず願いを叶える。3つだけなんてケチくさいことは言わずに、10個でも、100個でもな!

    己のファントムに打ち勝ったジャミルが高らかに笑う。
    次の瞬間、夢の世界が再構築されて、再び『ジャハーサヒールカレッジ』への登校時に場面が映り替わった。

    ジャミルは自身に恭しく接する従者のカリムを労わり、上から彼の目を覗き込んだ。曇りない眼で自身を敬愛するような視線をむける従者のカリムに、ジャミルがかけたのは拒絶の言葉だった。

    ――こんな馬鹿げた夢は、もうおしまいだ。
    ――命じるか、命じられるか……立場の変化に意味はない。すべてを決めるのは俺自身だ。

    ジャミルの目を見たことで洗脳にかかった『闇』のカリムに、ジャミルは自分の前から失せて二度と戻るなと命じた。

    ――誰かに“与えてもらう”自由と力なんて興味ないね。
    ――どれだけ時間がかかろうが――欲しいものは自分の力で奪い取ってみせる!

    命令を忠実に守り、その場で消え去っていく『闇』を冷ややかに見下ろしながら、ジャミルはハッキリと甘い夢との決別を告げた。

  • 175二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 07:13:49

    スカラビア突破、となると……うん……

  • 176125/07/29(火) 13:53:48

    出久が我に返ると、オルトの導きでシルバーが再構築されたジャミルの夢に降り立ったところだった。

    彼が心配でたまらなかったカリムが飛びつくような勢いで抱きしめにいったが、ジャミルはひらりとカリムをかわした。

    🥦「ふふ、二人が無事に再会できてよかった」
    😺「あーあ。カリムのヤツ、よけられて転びそうになっちまってるんだゾ~。もしオメーらが同じような状況になったら、バクゴーもああいう意地悪しそうだよな」
    🥦「そもそもかっちゃんに飛びつきにいったりしないかな……。したところで、避けられるんじゃなくてカウンターで爆破されるのが目に見えるというか……」
    👑「言えてるわね。逆はもっとあり得なさそうだし」
    🥦「仲が悪かったときは、飛び掛かられてマウントとられそうになったことは何回かありますけどね」
    👑「あらやだ。アンタの幼馴染、つくづく野生の獣じみてるわね」
    🧨「誰が獣だ」
    👑「アンタよ、アンタ」
    勝己は以前出久を庇って体を貫かれた後、意識が戻ってすぐに起き上がり、まだ目が覚めていない出久のもとへ行こうと手負いの獣のように大いに暴れて周囲をドン引きさせた身なので、ヴィルの評価は全く適切なのだが、当の本人は当時を棚上げして不本意極まりないと顔を顰めた。

    🐍「どうやら俺は、君たちに大きな借りができたようだ」
    情報が少ないながらに現状をしたジャミルは、出久たちに軽く礼をすると、状況説明を求めた。
    イデアは例の『マレウス攻略動画』を見せ、マレウスと戦うための『招待コード』を渡した。ジャミルは「誰かがどうにかしてくれるのをただ待つのは性に合わない」と、行動派従者らしい理屈でこの作戦に協力することを約束してくれた。

    🐍「招待、確かに受け取った。失礼なきように身なりを整えて、プリンスに謁見する日を楽しみにしておくよ」

  • 177125/07/29(火) 14:19:30

    🦦「それじゃあ、次は誰を起こしに行く?」
    👑「ちょっと待って頂戴。アタシはここで離脱させてもらうわ」
    ヴィルは大人数で移動することによるバグ発生と、「夢渡り酔い」による心身の負担を理由として、離脱を申し出た。落下を伴うシルバーの魔法での移動は、体質が合わないものは体調不良を引き起こしてしまうらしい。

    ⚔「体調不良や、疲労などのダメージ蓄積も考慮にいれて旅を進めるほうがいいだろう」
    💀『いざラスボス戦!ってときに、パーティメンバーの大半がHPもMPも枯渇してたんじゃ洒落になりませんからな』
    検討の結果、シルバーを中心にセベクとオンボロ寮の三人を固定メンバーとして、サポート人員をリレー方式で交代していく方針に決まった。これならば人数超過によるバグも抑えられ、離脱したメンバーは自分の夢の中で回復を図ることができる。

    次の夢渡りの前に、ヴィルに加え、ジャミルとの殴り合いで構成霊素に乱れが生じたカリムもパーティメンバーから外すことに決定した。

    🦦「オレ、どこも調子悪くないんだけどなぁ」
    🥦「でも、さっきの喧嘩の怪我があちこち残ってるし、一旦休んだほうがいいと思うよ」
    🦦「ほんとか?どれどれ……うおっ!?ちょっと触っただけなのに、めっちゃ痛ぇ!」
    🐍「ほら、氷嚢だ。よく冷やして安静にしておけ」
    なんだかんだカリムを放っておけないのか、ジャミルはテキパキとカリムの応急処置をした。

    🦦「サンキュー、ジャミル。……くそー。お前はピンピンしてるのが、なんか腹立つぜ」
    🐍「悔しかったら、次までに攻撃に体重を乗せる方法を習得しておくんだな」
    🦦「次。次か……へへ。その言葉忘れんなよ、ジャミル!ミドリヤにすげー強いパンチの打ち方、教わっておくぜ!」
    🥦「うん!デトロイトスマッシュが打てるように特訓だね!」
    🐍「カリムが怪我をするから、あまり過激な特訓はよしてくれ」
    🧨(結局甘やかすんかい)

    オルトがジャミルのダミーデータを出力して出発の準備が整ったので、出久たちは次の夢へと向かうべくシルバーにしがみついた。

    👑「美しさもパワーも最高の状態に仕上げて、パーティー会場へ向かうわ。楽しみにしていてちょうだい」
    🦦「一緒に行けないのは残念だけど……ジャミルがいるならなんにも心配いらないな。あとは任せたぜ、みんな!」

    見送ってくれる二人に手を振って、一行は再び『夢の回廊』へ飛び込んだ。

  • 178125/07/29(火) 14:22:55

    この次はオクタ夢になるのですが、水中だと幼馴染の戦闘力がめっちゃナーフされるのと、人魚三人組は三人とも目の覚まし方が独特なのとで、リアクション芸くらいしかやれることがないのを先にお伝えしておきます
    原作の監督生もオクタ夢は特に傍観に徹してたイメージ

  • 179125/07/29(火) 14:46:32

    次に出久たちが降り立ったのは、大海原の上だった。

    ジャミルが機転を利かせて魔法で氷のボートをつくり、その上に着地した。ボートに人数分の座席までついているのがジャミルらしい気配りだ。


    😺「うひ~ッ!氷の上で肉球が凍っちまいそうなんだゾ!イズク、オレ様を膝に乗せろ!」

    🥦「肉球が氷とくっついたら、大変だ!ほら、こっちに来てグリム!」


    *出久 グリムの抱っこのレア度 dice1d100=18 (18)

    1:普段からよく膝に乗っかられている。もふもふで可愛い!

    100:超レア。もふもふで可愛い!


    🧨「んで、島も船も見当たらねーけど、ここは誰の夢だ」

    🐍「海といえば、思い当たる人物が数名いる。そして、その全員に共通するのは……」

    ジャミルの言葉は、途中で不自然に途切れた。ボートが激しく揺れ出したからだ。


    🔥「ボートの下に巨大な霊素反応あり!猛スピードで再び接近中!」

    🧨「チッ!!」

    この場で箒なしで自力で飛行できるものはオルトと勝己しかいない。転覆しそうなボートから一時飛び出そうとした二人だったが、ボートが転覆して他のメンバーが海に投げ出されるのと同時に、海面から伸びてきた長い物体に胴体を絡めとられて海中に引き摺り込まれた。


    呼吸のできない海の中ということで体を固くした出久たちだが、ふと普通に息もできれば声も出せることに気づいて互いに顔を見合わせた。見れば、体がシャボン玉のようなもので包まれている。


    💀『それは魔導ナノマシンで作られたエアドームだよ。今回の夢は潜水が必要になる可能性が高かったから、水中装備の情報をすでに用意してあったわけ』

    🔥「はっ!前方10メートル先に霊素反応あり。体長、およそ4メートル!」

    4メートルといえば、かなり巨大な生物だ。不利な水中での戦闘に全員が身構えたが、待てども待てども、件の相手は海底に横たわる沈没船の陰から出てこなかった。

    相手が来ないならこちらから、ということで、少しずつ間合いを詰めていく。


    🦈「はぁ~~~~~~~~~……。だり~~~~~~…………面白そうなことが起きたと思ったのに……ただの陸の人間かぁ……」

    果たして、沈没船の陰にいたのは、無気力になって海藻のように尾びれを揺らせるフロイドだった。 

  • 180二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 15:07:59

    どのみちかわいいグリム
    わかるよモフモフは癒し

  • 181125/07/29(火) 15:10:31

    「「フロイド!?」」
    🦈「ん~……オレのこと知ってんのぉ?なんかぁ……陸の人間ってみーんな同じように見えて……」
    フロイドは呼吸のためにエラを開閉させることすら億劫な有様で、同じバスケ部に所属しているジャミルが自己紹介したことに対する反応も薄かった。一応、ナイトレイブンカレッジに通っていたという記憶はあるようだが、受け答えにやる気がなさすぎて記憶がどれほど正確なのかは分からなかった。

    ⚔「フロイド、アズールやジェイドはどうした?いつも一緒だろう」
    🦈「えぇ~……別にいつも一緒じゃねーけど」
    そうは言っても他の者たちより興味関心がしっかりあるようで、アズールは仕事が上手くいっておそらく陸に残っていて、ジェイドも多分一緒にいる、とフロイドは返答した。

    🐍「お前は1人で海に戻ってきたのか?」
    🦈「んー……だって、つまんねーから。だって、何やっても上手くいくんだぜ……はぁ……」
    フロイドは倦んで濁った眼をして、陸の退屈な思い出を語りはじめた。陸の生活は全く順風満帆で、アズールの『モストロ・ラウンジ』はトントン拍子に2号店、3号店を増えていき、イソギンチャクもいらないくらい手に入ったところで、すべてがどうでもよくなってきてしまったのだという。そこで一人で世界一周の旅に飛び出したが、無計画極まりない旅路にも関わらず何もかもが上手くいき、結局飽きて海に戻ってきて、今に至る。

  • 182125/07/29(火) 15:12:29

    🦈「さっきは海面のほうが騒がしいから、久々になんか面白いことがあるかもって見に行ったんだけど……ボートをひっくり返してみたら、結局知ってるヤツらだし……」
    🧨「興味本位でボート転覆させンな!!!人死にがでるとこだったんだぞ!!!」
    🦈「はぁ~~?知らねーし。あ~~~~~……なんか面白いことね~かな……」
    🧨「真面目に聞けやクソが!!」
    🦈「はぁ…………うっざ。もうお前らと話すの飽きたし、どっか行ってくんね!?」
    🧨「ほぉ~~~~、良い度胸じゃねェか。木っ端微塵に爆殺したるわ」
    💀『あーーーーッ!!ダメですお客様!!爆発なんて起こそうものなら、エアドームが秒で破裂してしまいます~~~!!!ここは耐えて、バクゴー氏!!!!』
    🧨「ハァ!!?じゃあ今すぐエアドームとやらを改良しろや!!!!」
    💀『無茶言わないでくだされ!!!!夢の中で溺死しようもんなら、現実の体に重篤な酸欠症状が出てもおかしくない……。ここは魔法を使えるメンバーに任せて!!ネッ!!』
    不遜極まりないフロイドの態度に怒り心頭の勝己だったが、エアドームの制約による個性使用禁止を言い渡され、行き場を無くした怒りで勝己の目がエアドームからはみ出そうなくらいに吊り上がった。

    🐍「バクゴーの目玉がエアドームから飛び出していきそうだが、あれはいいのか?」
    💀『え、えっと、一応先端が尖ってないからセーフってことで……』
    🔥「人間の表情筋ってあそこまでダイナミックに動かせるんだね。次のギアのフェイシャルパーツの参考にしよう」
    🐍「止めておいたほうが良い。あれは例外中の例外だ。……それとも、アイツの世界では一般的な表情なのか?」
    🥦「僕の世界の人の名誉のために捕捉するんだけど、かっちゃんの表情筋は僕たちの世界でも全然普通じゃないから」

  • 183二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 15:14:44

    目玉がエアドーム突き破りそうってことは、ロイコクロリディウムみたいになってんのかなかっちゃん

  • 184125/07/29(火) 15:32:18

    フロイドは会話を切り上げると、出久たちへの興味をなくして海藻とともに左右にそよぎはじめた。自発的な動きを完全に失っているため、魚に餌と勘違いされて啄まれている始末だ。

    🐊「なんと無礼なヤツだ!僕たちを完全に馬鹿にしている!」
    🥦「……一応、この夢はフロイドくんにとって『幸福な夢』のはずだけど、とてもそうは見えない。どういうことなんだろう?」
    💀『あー……フロイド氏は、この世界に対して壮絶な“飽き”が発生してるんだと思う』
    ⚔「遊びや勉強に飽きるというのなら理解できるが、世界に飽きる……とはどういうことなんだ?」
    💀『マ、マレウス氏の夢の中では、ネガティブな展開が排除される傾向にある。フロイド氏の夢でも同じように、“負ける”とか“失敗する”っていう展開が排除されてた可能性が高い』
    🧨「なるほど。その結果、夢の世界では舐めプみてェな温い展開しか起こらなくなったってことか」
    💀『そゆこと。俺TUEEE展開って最初の方はスカッとするけど、ずーっと続くと飽きてくるもんですからな』
    🐍「飽き……か。確かに、“あの”フロイドならより一層あり得る。まあ、目の前に大きな壁が立ちはだかっているからといって、必ずしもやる気が湧いてくるとは限らないのがフロイドの扱いの難しいところなんだが。逆も然り。全ては“気分次第”なんだよ、フロイドは」
    視線の先で、フロイドは海底の海流に逆らわずに砂の上を転がされている。扱いにくい気分屋とはいえ、ここまで気乗りしない状況になってしまっているというのは哀れでもあった。

    🔥「マレウスさんの作り出した夢の世界は、対象が望む快楽を与えるものだと思っていたけど……本質的には対象が望まない不快……悲しみや怒りを排除するためのシステムなのかもしれないね」
    💀『運営の提供するシステムが、ユーザーのプレイスタイルに合致していなかったパターンっすな。これが現実のゲームならNot for meアンストすればいいだけだけど、この夢からは逃げられない。だから、フロイド氏はプレイすることそのものを放棄しているんだ』
    🥦「……早くフロイドくんの目を醒まさせないとね」

  • 185125/07/29(火) 15:47:20

    ⚔「とりあえず、強いショックを与えてみるのはどうだ?」
    🐍「君、顔に似合わず案外荒っぽいんだな……」
    🧨「あのクソウツボ兄弟、暴力沙汰には慣れとるだろうから、殴ったとこで大したショックになるとは思えねェがな」
    🐊「正直に『お前は今夢の世界にいる』と打ち明けてみるのはどうだろうか。この夢に飽き飽きしているのなら、現実のこそ魅力を感じる可能性はある。
    🔥「エペルさんのときのように、現実を突きつけるってことだね。なら……頼りになるのは上級生の先輩たちだ。よろしくお願いしまーす!」
    共有している記憶が多い、ということで、シルバーとジャミルがフロイドに話しかけにいくことになった。

    怪訝そうな顔をするフロイドに、二人は学園での思い出話を聞かせた。お前は入学式の日に敗北を経験しているはずだ、という語り出しで始まったのは、彼らの代の入学式のエピソードだった。

    学園長の長い話に飽き飽きしてきたころ、鏡の間に爆発音が轟いたかと思うと、炎に包まれながら吹き飛んでいくフロイドが見えた。フロイドが近くにいたリドルの赤い髪をつかんで「赤いのに熱くない」と発言したことで、リドルがブチギレて暴れるのを教師たちが必死に抑え、フロイドは火だるまになって宙を舞い、鏡の間にはジェイドが大声で笑う声が響き渡り、アズールは完全に他人のフリをしてシカトしていた。

    シルバーとジャミルが語ったカオス極まりない入学式の話題はフロイドの興味を引き、ついでに後輩たちをドン引きさせた。
    魔法の力をもたない出久と勝己が紛れ込んで闇の鏡を大困惑させ、グリムが入学しようと炎を吐いて暴れ、それを止めようとして出久の手が燃えたり、早く帰せと勝己が学園長に怒鳴りまくるという事件があったカオスな今年の入学式だったが、一年前は更に上を行くカオスだったようだ。

  • 186125/07/29(火) 16:20:35

    閑話
    ~おしゃべり 緑谷 【担任の先生】~

    🐊「僕たちの入学式はオンボロ寮の貴様らが乱入したせいで厳かな儀式が台無しになったと当時は憤ったものだが……去年も惨憺たる有様だったようだな」
    😺「あんときはどうなることかと思ったんだゾ~」
    🐊「騒ぎを大きくした張本人が何を言うか!」

    🐊「……そういえば、ミドリヤとバクゴーがもといたという学園での入学式はどのようなものだったんだ?異世界には異世界の礼儀や伝統に則った式典があるのだろうが……」
    🥦「ああ。僕たち、入学式出てないんだよね」
    🐊「なにッ!?入学式に出ていないとはどういうことだ!?」
    🥦「担任の先生の意向で、式とかガイダンスとか諸々ぶっ飛ばして体力測定やったんだ。最下位の人は除籍処分って脅かされて……懐かしいなぁ」
    🐊「伝統あるはずの式典を己の一存で飛ばすとは、けしからん!しかも、入学初日に除籍処分だと!?さぞろくでもない教員だったのだろう」
    🥦「ううん。相澤先生ってとても優しくて格好いい先生なんだ。除籍の話も、僕たちのやる気を出させるための合理的虚偽だったし」
    🐊「本当だろうな。先程の話だと、とてもそのアイザワという教師が良い人物だとは思えなかったぞ」
    🥦「本当だよ。初日に相澤先生にちゃんと考えて『力』を使うように諭してもらえなかったら、僕の腕はとっくの昔に使い物にならなくなってただろうし……。生徒想いで、どんなに危険な状況でも僕たちのことを守ろうとしてくれた、最高に格好良くて尊敬してるヒーローで先生なんだ!」

    🐊「ふむ。……事情をよく知りもせず、貴様の恩師を悪く言ってすまなかったな」
    🧨「第一印象はヤバかったけどな。最初、教室の前に寝袋に入った無精ひげのおっさんが出てきたときは『何だコイツ』って思ったぜ」
    🥦「ああ~、そんなこともあったね」
    🐊「廊下に寝袋姿で現れただと!?しかも身なりもだらしないときた……本当に尊敬に足る人物なんだろうな?」
    🥦「本当なんだって!普段はちょっと草臥れた格好してるけど、かっちゃんが拉致されたときの記者会見ではピシッとした格好してたし……」
    🐊「待て!急に情報量が大きな話題を差し込んでくるな!!」
    🧨「そっちの話題は詮索不要だわ」
    😺「ふな~。いつもシマシマの服着て鞭をビシバシやってるクルーウェルは変な先生だと思ってたけど、オメーらのとこの先生もヘンなヤツなんだゾ~」

  • 187二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 16:22:34

    相澤先生見たらポムフィオーレ生のほとんどが発狂しそう
    逆にイグニハイド生のほとんどとは気が合いそう

  • 188125/07/29(火) 16:40:52

    🦈「へー、なにそれウケんね。作り話なんだろーけど、退屈な入学式よりそっちの方が面白そ……うっ!?」

    フロイドが夢よりも現実に面白味を感じたことによって、夢に揺らぎが生じた。追い打ちをかけるように、上級生たちが学園でのフロイドのしくじりエピソードを語ってきかせた。他人の笑い話がスルスルと出てくるあたりがNRCクオリティである。


    🦈「なんだよそれ……その話に出てくるオレ、バカすぎねぇ!?でも……何でも簡単にできちゃうより、面白そーかも……」

    😺「期末テストの時も、オレ様たちに出し抜かれてたんだゾ!オンボロ寮を奪って『モストロ・ラウンジ』の2号店にしようとしやがったけど、でも、オレ様たちの活躍でオメーらの計画は大失敗。いい気味だ!へへーん」

    🥦🧨「「…………」」

    期末テストの話題はオンボロ寮のメンメンがこの場で出せる一番強いカードだが、あの作戦は出久と勝己からすると失敗に終わったので微妙な気分になった。フロイドは頭痛に顔をしかめながら、グリムの話を聞いていた。


    🦈「嘘だろ。こんな弱そうなモズクちゃんたちにオレたちが負けるわけが……うっ!き、期末テスト……?そ、そうだ……あの時、オレらはすげーポカやって……アズールが……!ぐぁっ!あ、ああッ!!」

    記憶が戻りかけたフロイドだったが、異変を嗅ぎつけた『闇』が集まってきて人魚の状態のジェイドとアズールの姿をとり、フロイドを再び夢に沈めるべく、ずっと一緒に海の底にいようと囁きかけた。


    🦈「……言わねぇだろ……。そんなつまんねぇこと、お前らは絶対言わねぇだろ!!あ、ああァッ!ああああああアアアアァアアァッ!!」

    『闇』の発言はかえってフロイドの違和感を誘発し、フロイドは記憶が戻る衝撃で絶叫した。


    🦈「乗り気じゃないなら、ついて来られないなら……構わず置いていく。それがオレらのルールなんだよ。それなのにさぁ……お前らマジでキメェし、ムカつく。難破船の隣に沈めてやるよ!」


    🥦「うわぁっ、渦に流される!!」

    ⚔「みんな、岩にしっかり捕まるんだ!」


    *霊素ダメージロール

    出久(49) dice1d5=3 (3)

    爆豪(40) dice1d5=5 (5)

    グリム(35) dice1d5=4 (4)

    シルバー(33) dice1d5=1 (1)

    セベク(45) dice1d5=3 (3)

  • 189125/07/29(火) 16:50:37

    ジェイドとアズールの姿をした『闇』をグチャグチャにした後も、フロイドは苛立ちが収まらず難破船に八つ当たりして破壊していたが、事情を説明して『マレウス攻略動画』を見せるとコロッと上機嫌になって大声で笑い始め、『招待コード』もすんなりと受け取ってくれた。


    この夢でのタスクを達成し、次の夢に渡るためにオルトがフロイドのダミーデータを出力する。

    🔥「どう?『S.T.Y.X.』の最新の技術で再現された自分の姿は」

    🦈「どうって……って。前は自分と見分けがつかないくらいそっくりなヤツもいたから、あんま目新しくはねーかも」


    *アイデアロール

    出久 dice1d2=1 (1)

    爆豪 dice1d2=2 (2)

    1.ジェイドのことか

    2.“前”は……?


    🔥「そっか。いつもそっくりなジェイドさんと一緒なんだから、新鮮さはないよね」

    🦈「いや、ジェイドとオレはあんま似てなくね?」

    🔥「えっ?それってどういう……」

    💀『……オ、オルト。今のは意味がわかると怖い系のヤツっぽいから、深堀するのはやめとこ!』ヒソヒソ


    フロイドを加えて夢を発つ準備が整い、一行はシルバーにしがみついて次の夢へと向かった。

  • 190125/07/29(火) 17:17:51
  • 191二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 17:26:47

    次スレ立て乙
    次回は屈指の問題作編だな プルスウルトラ

  • 192二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 17:40:23

    みんなのダメージが心配だな…がんばれ

  • 193二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:11:12

    ここからトンチキ度が加速していくんだよなぁ…

  • 194二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:44:59

    ついにきてしまうのか…アレが…

  • 195二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 22:56:53

    新スレおつ

  • 196二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 00:20:51

    >>188

    の時点で出久:52、セベク:48か

    過程は大きく変わらないかも知れないけど不穏で心配だな…

  • 197二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 06:43:58

    >>196

    逆にシルバーが低値なの何かに守られてる感あるわね

  • 198二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 11:04:20

    うめ

  • 199二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 13:16:59

    とんちき♪└(^ω^ )┐ ┌( ^ω^)┘とんちき♪

  • 200二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 13:30:34

    キャラビジュアル見た時はこんなトンチキするとは思ってなかったよ

オススメ

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