- 1◆VLlUGaOg9c25/07/15(火) 20:49:12
- 2◆VLlUGaOg9c25/07/15(火) 20:53:51
- 3二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 20:54:15
たておつ
嬉しい - 4二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 20:57:43
たておつです
- 5二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 21:07:27
ありがてぇ…
- 6◆VLlUGaOg9c25/07/15(火) 21:09:06
ナレーション
唯一、吹き飛ばされなかったのは踏ん張るだけの力で、地に足をつけていたミカだけ。
1連のやりとりの間にカナが再び気配を隠し、増援の3人が吹き飛ばされたことでミカはまた1人残される。
ミカ*テラー「じゃあ、一旦バイバーイ★」
ミカ「え、ま、待って!」
ナレーション
しかし、ミカの前で立ち塞がっていた敵は・・・ミカ*テラーは色彩の黒い靄を背後に召喚し、身を投じる。
逃がさないとばかりにミカも手を伸ばすが、靄が消える方が早くその手は空を切った。
身を以て敵の強さを知るミカは、必死になって首を回して探すが・・・
ミカ*テラー「お待たせ、勇者様★」
アリス「え、エンカウントしま・・・っ!」
ミカ*テラー「私のターン・・・っ!?」
ナレーション
見つける頃には既に、ミカ*テラーはアリスの眼前に現われていた。
突如、眼前に現われた相手への驚きが勝ち、対応の遅れたアリスをミカ*テラーは容赦なく蹴り上げる。
ドオォォォンッ!(打撃音)
ナレーション
・・・筈だった。 - 7◆VLlUGaOg9c25/07/15(火) 21:10:08
ナレーション
轟音が遅れて聞こえ、周囲がそれを認識する頃には、ミカ*テラーは片足が上がっていた。
カナの体当たりが脚に直撃して体勢を崩し、張り付いて動きを封じようとしているが、
ミカ*テラーは片脚で自身とカナを持ち上げて、振り払うべく強引に振り堕ろした。
ミカ*テラー「邪魔ァッ!!」
カナ「っ!」
ズドォォンッ!(打撃音)
ナレーション
ミカ*テラーの蹴りをもろに受けて、地面に叩きつけられたカナだったが脚からは離れない。
アヴァンギャルド・サニーも流石の耐久力で形は保っていたが、バチバチと火花を散らしている。
それでも、カナはしがみつき続けた。
ダンッ!(踏み込みの音)
ミカ「カナちゃん、ありがとう!」
ミカ*テラー「やばっ!」
ナレーション
そうしてカナに気を取られた数秒で、ミカは再びミカ*テラーへと距離を詰める。
片脚の使えないまま「自分」の攻撃は躱せない。そう判断して、ミカ*テラーは咄嗟に翼を盾にした。
アリス「光よ!!」
ナレーション
自分が潰しに掛かった相手が、既にチャージを終えたことも知らずに。
- 8二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 21:10:16
かんしゃあ!
- 9二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 21:15:57
なんかいつの間にかスレの後半が焼け野原でビックリした
そしてミカ*テラーにぶん殴られたくらいじゃ光の剣は壊れないと
頑丈だな - 10二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 21:16:22
- 11二次元好きの匿名さん25/07/15(火) 23:15:50
立て乙
勇者パーティーの反撃開始だな - 12二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 06:23:55
たておつ
まだ見れてよかった - 13二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 11:04:47
ナイス連携
- 14二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:12:40
保守
- 15◆VLlUGaOg9c25/07/16(水) 23:08:18
ジュガァァァァンッ!!(光の剣の音)
ナレーション
閃光が閃いた。
ミカ*テラーが背後の光に気がついた時には既に遅く、カナによって片脚を封じられ、正面には「自分」が居る。
そんな状況では流石のミカ*テラーも対処が遅れ、光の剣をもろに食らってしまう。
アリス「やりましたか!?」
ナレーション
アリスがフラグのようなことを言ったが、それも単なる冗談ではない。
そもそもアリスの武器は宇宙戦艦の主砲として作られた、個人で扱うことを想定していない兵器の如き武器だ。
それに加えて、正面からはミカの拳。こちらは今更説明する必要すらない、人体で放つ大砲の如き脅威。
この2つに挟まれたとなれば、いかに頑丈なキヴォトス人だろうとただではすむまい。
ミカ*テラー「痛ったいなぁ・・・」
ナレーション
・・・相手がただのキヴォトス人ならば、本当にさっきの二撃で終っていただろう。
死亡まではいかずとも、確実に気絶までは持っていったはずだ。それだけの火力はあった。
しかし、光の剣を耐えたミカ*テラーは、確かに本人の言う通り痛そうに少しだけ煤けて焦げ臭い。
ミカの拳を防いだ腕の方も、いかにも痛々しく真っ赤に腫れていていて痕になっている。
ミカ*テラー「誇って良いよ、勇者様。私に「痛い」と思わせてくれた相手は両手で数えるほども居ないから」
ナレーション
だけど、それだけ。2人の決死の攻撃を受けても、ミカ*テラーはケラケラと笑って見せた。
- 16二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 23:32:16
もうダメだ、お終いだあ…
いや冗談抜きでどうやって止めれば良いんだ? - 17二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 03:21:33
どうすんだこれ
- 18二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 10:51:55
マジで強い
- 19二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:28:53
このレスは削除されています
- 20◆VLlUGaOg9c25/07/17(木) 22:35:16
・・・ん?痛いと思わせて【くれた】?
ナレーション
カナから漏れた小さな疑問が静かに消えた。
捉え方によっては挑発とも称賛ともとれるが、文脈に可笑しいところはない。ないのだが・・・・
カナは何かが引っかかったようで、ミカ*テラーの言葉を自分の中で反芻した。
ミカ*テラー「・・・で?君は何時まで私の脚にしがみついてるのかなぁっ!」
ヴォォォォン(蹴りが風を切る音)
あ、ああ~~~!?
ナレーション
そうして考えごとをしてしまった所為もあって、カナはミカ*テラーの蹴りで容易に吹き飛ばされてしまう。
少し間抜けた声で宙を舞うカナ。真面目な場面に現われたギャグのような声に、少しだけ絶望が緩んだ。
パチパチ(火花を散らすアヴァンギャルド・サニー)
・・・あ、これ本当に駄目だ!なんかホバーが動かない!?こ、壊れた!
ネル「ええい、世話が焼けるな!」
ありがとう、ネル!助かった!
ナレーション
アヴァンギャルド・サニーのホバー機能が何故か動かず、これは不味いと焦り始めるカナ。
だったが、結果的にだが吹き飛ばされた先が良かった。ミカ*テラーから離れつつ、味方へと近づける方角。
そのお陰もあって、ミレニアム俊足No.1の走力を持つネルが駆けつけることが出来た。
- 21二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 06:57:36
保守
- 22二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 12:40:03
あ、アヴァンギャルド・サニー!!
- 23二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:21:24
好機が潰されたか
- 24◆VLlUGaOg9c25/07/18(金) 22:58:27
ネル「で、それ脱げるのか?」
多分・・・あ、普通に取れた。
ナレーション
カナは無理なら斬ってでも引き剥がすつもりで装備に手を掛けていたが、意外なほどにあっさりと脱げて、
あっというまにレオタードのようなインナー1枚のセクシースタイルへと変わった。
ネル「なら、お前・・・お前等は下がれ。下がって先生を護ってやれ」
ナレーション
アヴァンギャルド・サニーは頼もしい装備に違い無いが、使えない武器を大事に抱えて倒れたのでは意味が無い。
その判断が間違いだったとはカナもネルも思っては居ないが、アヴァンギャルド・サニーの有無は大きかった。
カナが弱いとはネルは口が裂けても言わないが、目の前の相手は文字通り格が違う。
自分や、あのやたら強いトリニティのお嬢様。ぐらいでなければ、戦いの土俵に立つことすら難しい。
・・・やだ。
ネル「・・・は?」
ナレーション
そう思って、後退の指示を出したネルだったが、余りにシンプルな拒否に思わず口が開いてしまう。
ネルはカナの実力と判断を認めている。時に、自分よりも冷静な状況判断を下せる人物だと知っている。
だからこそ、ネルは意味が分からなかった。一体、そのカナの判断にどんな意図あるのか分からなかった。
ガッシャンッ!(銃が投げ捨てられ音)
ネル「おい!お前、一体何を・・・!」
ナレーション
カナは、ミカ*テラーの・・・敵の目の前で銃を手放した。
- 25二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 06:25:09
やっぱトキのあれと同んなんだ
- 26二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 09:48:43
何をする気なんだ、カナ
- 27二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 15:10:59
捨て身すぎる
ちょっと待って - 28◆VLlUGaOg9c25/07/19(土) 22:10:55
ミカ*テラー「・・・何?巫山戯てるの?」
巫山戯てない。ただ、ミカと戦うのはやめた。
ナレーション
あっけらかんととんでもないことを言うカナに、誰もが意識を傾けた。
武器を捨てて、降参だとでも言うように両手を挙げたカナの姿はどうみても戦闘を放棄していて、
ただのおふざけにしては手が込み過ぎている。無防備で隙丸出しだ。
ミカ*テラー「・・・ああ、やっと諦めたの?うんうん、いいよ。それがいい。
どうせ最後は決まってるんだから、無理に抗って苦しむ必要なんて無いよ。
私が責任を持って、楽~に終らせてあげるからね★」
それもやだ。私は生きて帰って、またみんなで飯食って、遊んで、勉強して、風呂入って、寝るんだ。
ナレーション
戦うのは止めた、でも死ぬのも嫌だ。そんな我儘で矛盾した言葉をカナは本気で口にしていた。
もう決めたと言わんばかりに堂々と胸を張って、覇気のある声をあげるのだから疑うのも難しい。
そもそも、伊達や酔狂でやるにしては度が過ぎていた。
ミカ*テラー「・・・じゃあ、何?素手で私と殴り合おうっていうの?君が?」
違う。私は自殺には付き合わないと言ったんだ。
ナレーション
僅かにではあるが、初めて、戦い以外でミカ*テラーの表情が動いた。
ミカ*テラーは本気で戦っていた。キヴォトスを滅ぼそうとしていた。そのことに嘘は無い。筈だが・・・・・・
- 29二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 23:20:48
テラーなんてのは心がしんどい子ばっかりだろうからなぁ…
- 30二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 07:47:04
保守
- 31二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 16:55:31
ちょっとやる気になったらもうヤバイ距離だぞ
大丈夫か - 32二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 23:00:13
信じるしかねぇ
- 33◆VLlUGaOg9c25/07/20(日) 23:38:31
ミカ*テラー「自殺。ねぇ・・・?分かってる?さっきまでの戦い、1歩間違えたら死んでたのは君たちの方だよ?」
ナレーション
巫山戯たことを言い出したカナに対して、嘲るように、言い含めるように、ミカ*テラーは事実を告げる。
ミカ*テラーも無傷といかず、普段のキヴォトスでは中々見ないような怪我を負っているが、
真正面からミカ*テラーを抑えていたミカはもっと重傷で、まだ立って息をしていること自体が不思議なほどだ。
ああ、だろうな。けど、ミカ・・・黒い方のミカはやろうと思えばもっと早く私たちを始末できた筈だ。
ナレーション
けれど、それでも尚、カナからすれ不思議なほどに軽い被害に違い無い。
勿論、カナたちは死なないため、死なせない為に全力を尽くして戦っている。無理無謀だと分かっていて、だ。
カナたちだって、互いの戦力差を図れないほど愚かじゃない。
ミカ*テラーを相手に死傷者を出さずに勝ちきることが、奇跡に近い難題であることも、重々承知していた。
ここに来た時、舟を爆破した後に声を掛けて姿を見せた。あの時、まだ船内は直前の爆破で混乱してたのに。
ミカ*テラー「・・・まぁ、私も慣れない工作で疲れてたからね。ちょっとミスっちゃったかな?」
ヒフミのクルセイダーを邪魔したときもそうだ。通信で何があったか聞いてたけど、正面に出る必要は無かった。
奇襲なんだから、ヒフミたちの視界外の上か横か・・・それこそ、正面には手下の連中で塞いで、
避けたところを殴りつければ確実に潰せた。
ミカ*テラー「・・・正面からでも充分勝てると思ったの」
ナレーション
カナの疑問に対するミカ*テラーの答え。それは一応筋が取っているが、苦しい言い訳のようでもあった。
実際、堂々と問い詰めるカナに対してミカ*テラーが静かに淡々と答えているのが、論戦の戦況を示している。
それが意図的なものか?それはミカ*テラー自身にしか分からないが・・・手を抜いていたのは図星らしい。
- 34二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 04:45:13
歯切れが悪い
- 35二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 10:21:29
保守
- 36二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 18:54:23
大丈夫か…?
- 37◆VLlUGaOg9c25/07/21(月) 22:55:54
それで、結果としてヒフミたちを取り逃がして、私たちがここに来た時も奇襲しなかった。
あの黒いもやもや移動と隕石があったのに。
ミカ*テラー「・・・さっきから何が言いたいの?私が貴女たちを殺せないって言うつもり?面白くないんだけど」
・・・いや、黒いミカは私たちを本気で殺す気だ。それは疑わない。
でも、黒いミカは・・・お前は私たちに負けてもいいと・・・殺されてもいいと思ってるだろ?
ナレーション
カナの私的に対して、ミカ*テラーが返したのは沈黙だった。
図星・・・だったのかは分からない。ただ苦々しげに何か反論しようと1度だけ口を開いて・・・・・・そして閉ざした。
ただそれだけの、数秒の仕草こそがミカ*テラーに出来る返答だったのだ。
戦ってて、ずっと不思議だった。
先生は・・・・先生だ。私たちの世界の先生とは、ちょっと違うんだろうけど、でも先生だ。
私の知ってる先生なら、生徒を殺したりしない。意味もなく傷つけるようなことは、しないはずだ。
ナレーション
仮面の先生・・・・プレナパテスは何も答えない。ただ静かに、ジッと見つめるようにミカ*テラーの方を向いている。
それに一緒に来たのに、そっちの先生は1回しか戦いに関わらなかった。
黒いミカを・・・生徒を護るための1回だけだ。その1回しか、大人のカードを使わなかった。
ナレーション
それでも、これまでの戦いの中でカナは確信していた。
彼・・・または彼女は、間違いなく先生だ。あの黒いミカにとってたった1人の先生なのだと。
- 38二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 23:47:48
カナちゃんの観察眼が光っておる…
- 39二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 06:58:08
ズバッと言うな
- 40二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 14:46:03
保守
- 41二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:54:39
ほしゅ
- 42◆VLlUGaOg9c25/07/22(火) 22:54:42
そっちの先生が何がしたいのか、詳しくは分からん。分からんが、カードの使い方で確信した。
・・・先生。貴方は今もミカとアロナの・・・生徒のために戦っているんだ。
ナレーション
プレナパテスは答えない。ただ、静かにそこに立ち続けるだけだ。
けれども、彼・・・あるいは彼女はカナの言葉を肯定もしなかった代わり、否定もしなかった。
ミカたちを救うことが、生徒を助けることが、私たちの世界を滅ぼすことだとしても先生が・・・・・・
世界を滅ぼし得る存在だと知っても尚、アリスを生かすために戦った人が、その運命を受け入れると思えない。
ナレーション
カナは知っている。ただ生徒だというだけで会ったこともない自分を救うために地下墓地に乗り込んだことを。
カナは覚えている。100人以上ものアリウスの生徒1人1人に寄り添って、勉強を教えてくれたことを。
たった1人のアリス(生徒)の為、ミレニアムのトップに喧嘩を売った尊敬すべき恩師(バカ)のことを知っている。
だからこそ、もう1人の先生が「生徒が生徒を手に掛けて、世界を滅ぼす」ことを許すとは思えなかった。
ミカ*テラー「だから、やめろっていうの?」
ナレーション
しかし、それでミカ*テラーが納得するかどうかは別の話だ。
ミカ*テラー「ふざけないでよ・・・っ!」
ナレーション
ふつふつと煮え滾る怒りに震え、怒髪は気炎をまとい揺らめく。
泣きたくなるような憤怒の瞳が、カナたちの姿を映していた。
- 43二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 06:08:57
もう終わっちゃった後だもんなぁ
- 44二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 12:59:19
大丈夫かこれ
- 45二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 21:43:13
やばそう
いや良いのか? - 46◆VLlUGaOg9c25/07/23(水) 22:46:01
良いのか?
ナレーション
もはや我慢ならないと、ミカ*テラーは怒りのままに拳を握るが、カナは恐れるどころか問いかけた。
ミカ*テラー「いいに決まってるでしょ!私はこの世界を裁く(滅ぼす)存在なの!
それが運命で、避けられない未来なのっ!そうじゃなきゃあ・・・一体、何の為に・・・・・・っ!」
ネル「やべぇっ!」
ナレーション
眩しいほどに真っ直ぐで迷いの無い、力強いカナの姿に何を思ったのか?或いは重ねたのか?
ミカ*テラーは更なる怒りに身を焦がす。
自分が何を口走っているのかすら気づきもしないまま、彼女はただ衝動に任せて地面を蹴った。
ズドォォンッ!!(ミカ*テラーの跳躍音)
ミカ*テラー「ああ、もう邪魔だなぁっ!!?」
ネル「――っ!これ、呷りすぎだろっ!!」
ナレーション
寸でのところでネルが間に入り、愛銃を繋ぐ鎖でミカ*テラーの拳をいなす。
この一瞬での判断と技巧は流石のコールサイン00だが、ミカ*テラーの規格外の速さと腕力にはネルをも唸らせた。
す、すまない。そんなじゃなくて・・・・ケイが自爆を止めてる今、時間は私たちの味方だけど、いいのかって・・・
ナレーション
新しいブーツの音が、静かに近づいていた。
- 47二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 06:53:06
今度は誰だ?
- 48二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 10:23:57
自分を囮にとかクレバーな事する
- 49二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:56:17
あぶなっ
ネルよく間に合ったな - 50◆VLlUGaOg9c25/07/24(木) 22:29:55
代理モブ「カナは理想家ではありますが、同時に冷静に現実を見てる子でもありますので・・・」
ホシノ「うへぇ、勘弁してよ~。おじさん、もう年で涙脆いんだからさぁ・・・・・・
・・・こんなこと聞かされちゃったら、のんびりしてられないじゃん」
ナレーション
目の前のアリウスに気を取られている間に、直ぐ近くまで来ていた足音にミカ*テラーは表情を歪ませる。
非常に不味い。このタイミングでの援軍・・・しかも、「彼女」が来るなんて、ミカ*テラーにとっては最悪だ。
イチカ「大丈夫!!・・・じゃないっすよね。カナ様、ミカ様、お待たせしましたっす」
ホシノ・イチカ「「ここからは私たちが何とかする(します)から!!」」
ナレーション
現われた2人の力強い宣言が、ミカ*テラーにだけは絶望の宣告に聞こえた。
反転して色彩の力を得た彼女なら1対1で負ける相手でもないだろうが・・・・・・今の消耗した身体で、
美甘ネルやもう1人の自分と一緒に相手にするなんて幾ら何でも無理がある。彼女自身、良く分かっていた。
ネル「へぇ、言ったな?なら前衛は頼んだぜ。速いし重いしで、護りながらは結構キツかったからな」
ナレーション
ミカ*テラーは喜色に溢れた相手の声が、今だけは少し忌々しかった。
援軍で士気を持ち直されたのが嫌でも良く分かった。あれだけ力を見せたのに、あれだけ目一杯追い込んだのに・・・
ミカ「いや、私たちも戦うよ。正直、出し惜しみ出来る相手じゃないから」
ミカ*テラー(「自分」すら諦めてないなんて・・・っ!)
- 51二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 23:55:02
カナちゃんのクソ度胸のお陰で最高の増援が来たな
これがアリウスでばにたすしなかったどころかベアトリーチェとすら向き合った女の子のすごい所か… - 52二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 07:07:51
それでも止まらぬか
- 53二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 12:35:28
止まれないんやろなぁ
- 54◆VLlUGaOg9c25/07/25(金) 15:10:52
- 55二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:05:04
まぁ、テラー化までいってる以上、エデン条約編よりもメンタル悪化したのは確定してるから…
- 56二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 23:44:45
つまり…本気をぶつけるベクトルが完全に定まった感じになる、のかな?
- 57◆VLlUGaOg9c25/07/26(土) 00:41:01
ミカ*テラー「本当、どいつもコイツも・・・嫌になっちゃうなぁ!!」
ドォォンッ!!(ミカ*テラーの跳躍音)
ナレーション
苛立ちの声とともにミカ*テラーが跳ぶ。
その力に任せた驚異的な加速を前にしてと同時に、自身の前方へと靄を召喚して姿を消した。
逃げた・・・訳では無い。明らかにミカ*テラーの感情は臨界に達していたし、そもそも、逃げても意味が無い
ここ最下層の端末を破壊、ウトナピシュティムの制御権を奪還してアトラ・シハースを爆破される。
その敗北条件を阻止する為には、ミカ*テラーがこの戦場から立ち去る訳にはいかない。
ネル「全員、背中を合せろ!隙を作るな!」
ナレーション
それが分かっていたから、対する生徒たちも気を許さない。
全員で寄り集まることで、互いの隙を作らないようにする。が・・・・・・
ネル!先生とフウカが・・・!
ミカ*テラー「へぇ、余所見?」
ナレーション
身を守るために主戦場から距離を離していた先生とフウカを気にかけた、カナの優しさが裏目に出た。
真後ろから感じる気配と声に、カナも反射的に身体を捻るが間に合わない。
ミカ*テラー「良い度胸だね!!」
ドゴォォォンッ!(打撃音)
ナレーション
カナは吹き飛ばされた。
- 58二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 08:28:12
防御できない
ヤバイ - 59二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 12:23:59
カナちゃん!!
- 60二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:14:20
ワープきっつ
ゲームじゃただ移動するだけだったけどこうして戦法に組み込まれると無駄に警戒しないと対応できないし初動が読めないのが厄介すぎる - 61◆VLlUGaOg9c25/07/26(土) 23:38:50
ミカ*テラー「まず1人目」
アリス「カナ!!」
ネル「っ!目ぇ逸らすな!次が来るぞ!」
ナレーション
カナが吹き飛ばされたことによる混乱をネルが一喝し、動揺を抱えながらも戦闘に戻る。
そんな仲間たちへと睨みをぶつけ、次なる獲物を見定めるミカ*テラーをカナは見ていた。
ごほっ!げほっ!げほっ!ひゅー・・・ひゆー・・・
ナレーション
カナは即死はしなかった。だが、それだけだ。
叩きつけられた壁に埋め込まれるようにめり込んだまま、拳が当たった腹は削り取られたかのように陥没し、
人から鳴ってはならない音ともに何本もの骨がへし折れ、内臓に食い込んだのか?多くの血を吐き出している。
生徒にとっての命の証であるヘイローも点滅して、虚ろな目でぼやけた視界を覗いていた。
ミ・・・カ・・・・
ナレーション
「死んでないのが可笑しい」ほどの、正しく瀕死の重傷。
そんな状態に陥っても尚、カナは本気でミカ*テラーのことを案じて心を痛めていた。
- 62二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 08:02:06
大丈夫かカナちゃん
いや大丈夫じゃないのはそうなんだけど - 63二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 14:37:45
またボロボロに…
- 64◆VLlUGaOg9c25/07/27(日) 22:04:51
ナレーション
大空シズの時と同じ・・・いや、ある意味ではシズより質が悪い。
ミカ*テラーは文字通り、自分が「死ぬまで」止まらない。命を賭けて護る「何か」が、もう無いからだ。
だから結果が出るまで止まらない。止まれない。ミカ*テラーにとっての終焉は、殺すか、殺されるかしかない。
それはどちらにしても、カナが最も忌み嫌う結末に違い無かった。
"カナッ!カナッ!しっかりして!くそ、私は肝心な時に何も・・・っ!"
ナレーション
直ぐ近くに駆け寄って、声をあげている誰かのがいたけれど、今のカナには何を言っているのか分からない。
何時の間にか、耳もやられていた。今のカナには、ぼやけた無音の世界を見つめるしか出来なかった。
ま・・・だ・・・
ナレーション
だけど、それでもカナはミカ*テラーを諦められないし、恨む気にもなれなかった。
結果的に説得は失敗したが、さっきの問答でミカ*テラーの本音を少し引き出してくれた。
もう自分ではどうしようもなくて、やりたくなくてもやるしかなくて、泣きながら暴れるしかない。
誰よりも言いたい筈の「助けて」を呑み込んで、運命や未来という言葉で自分を縛りつけている。
・・・ま・・・だ・・・!
ナレーション
そんなの、ナギサが望んでいる訳がない。セイアも、カナもそうだ。誰もミカの不幸なんて望まない。
薄々、ミカ*テラーが自分を知らないのはカナも感づいているが、それでも出会っていたら、仲良くなっていたら、
別世界のカナも「どうか、私の大好きな友だちが幸せでありますように」と、その未来を願ったはずだ。
だって、カナとミカが仲良く笑う合える世界が・・・確かにここにあるのだから。
- 65二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 23:47:26
生き延びてくれカナちゃん…みんなのためにもミカ・テラーのためにも…
- 66二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 06:39:43
カナちゃん…
- 67二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 14:16:32
踏ん張れカナちゃん
- 68二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 20:59:38
死ぬなよ、カナちゃん…
- 69◆VLlUGaOg9c25/07/28(月) 22:51:38
ナレーション
本来であれば、カナはマトモに動けるような状態ではない。
まだヘイローが辛うじて光を保っている。その奇跡が残る内に、直ぐにでも緊急病棟に運ばねばならない身体だ。
ミシ・・・ミシ・・・(何かが軋む音)
"まさか、壁から抜けようとしてる・・・っ!?"
ナレーション
だが、カナの驚異的な意思の力は更なる奇跡を引き起こした。
死に体の身体に入るはずのない力を入れて、殆ど無意識の内に壁から埋め込まれた自分を引き剥がそうとしていた。
これには流石の先生も目を見開き、教え子の・・・命の底地からに驚愕と感嘆する他無かった。
いか・・・・・な・・・・き・・・
"っ!頑張れ!カナ!大丈夫、私が居るよっ!"
ナレーション
カナが起こした奇跡から、カナ自身の願いを汲み取った先生は必死に声援を送る。
壁の高いところに埋め込まれてしまった為に、大人の先生ですらカナの壁抜けを手伝うには背が足りない。
戦いでは目が追いつかず指揮も出来なかった上、目の前で苦しみながら頑張る生徒に声しかかけられない。
そんな自分の無力を恨めしく思いながらも、先生は自分に出来ることを全うしようとしていた。
とめ・・・な・・・いと・・・・・・っ!
ガラッ・・・(小さな瓦礫が落ちる音)
ナレーション
そんな先生の尽力が届いたのか?数分の後にカナの身体は宙を舞った。
- 70二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 08:17:45
あぶない
- 71二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 12:29:57
落ちちゃう、受け止めて!
- 72二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:07:20
やっと反撃なタイミングで既に離脱しそう
- 73◆VLlUGaOg9c25/07/29(火) 23:04:29
"カナッ!"
ナレーション
年頃の女の子とはいえ、カナの年齢を考えると、45~50㎏ぐらいは体重が無いと逆に不味い。30㎏代?論外だ。
そして、それだけの重量が高いところから落下したのを受け止めようとすると、相当な衝撃に耐えねばならない。
"・・・・あ゛っ!"
ナレーション
だから、カナを受け止めた先生の腰が「ゴキッ!」と嫌な音を立てるのは必然だったのかもしれない。
・・・完全な余談だが、ギックリ腰は別名を魔女の一撃と呼ぶらしい。
"あ゛あ゛~っ!うぐっ・・・か、カナぁ・・・っ!"
ナレーション
しかし、魔女の一撃に身を震わせて悶絶しながらも、先生の意識はカナを・・・生徒を助けることに向いている。
余りの激痛に立ち上がることも出来ず、芋虫のような不格好な姿を晒していても、先生は確かに先生であった。
"だ、だいじょう・・・ぶ?"
フウカ「先生が・・・ね」
"フウカ、おぎで・・・?"
フウカ「良いから、横になってて。車に救急箱があった筈・・・」
ナレーション
結局、気絶から目を覚ましたばかりで病み上がりのフウカが2人の看病をすることになった。
- 74二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 06:53:17
先生はよくやったよ…
- 75二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 13:07:15
よく受け止めれたな
- 76二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 21:42:54
先生腰やっちゃったけど最後までいられるか?
途中で脱出させられそう - 77二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 21:52:46
軽めの腰痛持ちだけど軽くても腰は辛いからな
それがギックリとなったら…うん、先生は頑張った - 78◆VLlUGaOg9c25/07/30(水) 22:09:46
ナレーション
血を流しすぎたのか?或いは落下の衝撃のせいか?
気が付くと、カナは見覚えのない場所で1人立っていた。
ここは・・・地獄か?
ナレーション
空は夜闇に暗く閉ざされ、地面は大小様々な瓦礫の山に生徒らしい少女たちが倒れている。
倒れている子たちの多くはゲヘナやトリニティの制服を着ていて、中には血を流している子も少なく無い。
血と硝煙、嫌な争いの匂いだけが漂うそこがカナには地獄のように思えた。
・・・静かだな。
ナレーション
地獄のようなその場所は、かつてのアリウスに似ていた。
内戦・・・戦争をしていた頃だ。怒りと憎しみに囚われて、誰もが血が流れることを疑問に思えなかった時代。
・・・けれど、その地獄は妙に静かで、銃声どころか人の声すら聞こえない。まるで、何もかも終ったみたいに。
地獄なら、死んだ人とか・・・・・・居ないな。
ナレーション
カナは改めて周囲を見回してみるものの、やはり生きた人は誰もいない。
仕方なく、宛ても無いが突っ立ったままという訳にもいかないので、カナは歩き出そうとした・・・・・・その時だった。
???『・・・れか・・・誰か・・・』
ナレーション
何処からか?弱り切って掠れた、しかし、妙に聞き慣れた声が聞こえた。
- 79二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 06:19:08
これは…またお辛いものを…
- 80二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:58:09
未知の出会い
- 81◆VLlUGaOg9c25/07/31(木) 18:01:16
ナレーション
声を目指して、カナは歩き出す。
不思議なことに痛みはなく、異様なほどに足取りも軽い。地に足がついてないような、ふわふわした気分だった。
なんだ…これ……っ!
ナレーション
辿り着いた場所には覚えがあった。
瓦礫の山となって見る影もないが、カナも何度も足を運んだ場所だ。
新たな友人たちと笑い合った学舎、トリニティ本校舎の残骸がそこにあった。
ミカ?『ナギちゃん…セイアちゃん…先生…パテルのみんな……誰か…』
ナレーション
今は亡き青春の跡の上を、少女は1人彷徨い歩いていた。
虚な瞳にふらついた足取りで、迷子の子どもみたいに名を呼び続けている。
ティーパーティの白いドレスも焦げや埃に汚れ、灰被りのようだった。
ミカッ!?一体どうしたんだ!何があった!?
???『無駄だよ。作者でさえ世に出た作品を修正出来ないように、
もはや誰にも、あのミカへ手を伸ばすことは叶わない』
ナレーション
カナの必死の呼びかけに、応えたのは背後からの声。
まるで居るのに居ないかのような希薄な気配に驚いて振り向けば、そこには彷徨える少女に名を呼ばれていた2人。
セイア?『初めましてだね、御子柴カナ。私の名は百合園セイア…まぁ、君は知っているだろうけどね』
ナギサ?『…桐藤ナギサと申します』
- 82二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 00:03:38
ミカ・テラーの世界の二人か…
- 83◆VLlUGaOg9c25/08/01(金) 07:02:00
ナレーション
カナは混乱していた。無理もない、全てがあまりに突然だった。
キヴォトスを滅ぼそうとするもう1人の…黒いミカと戦い、説得しようとして殴られて死にかけ、
気がつけば瓦礫に居て、極めつけは彷徨えるミカにセイアとナギサだ。
あまりに怒涛の展開、押し寄せる情報量、カナの思考は一瞬止まった。
……つまり、どういうことだ???
セイア?『ふむ、説明するのは構わないがどこからどこまで話すべきか?
残念ながら、時間は有限だ。現実の方も非常事態に違いない。
となれば、優先順位をつけるべきだが、君が何を重視するかで情報の価値も変わるだろう』
ナギサ?『セイアさん…長いです』
セイア?『・・・すまないね。悪癖とは中々抜けきらないモノだ。こういうところがミカの反感を買ったというのに』
どういうことだ???
ナレーション
セイアはいつもの調子で話すモノだから、カナは余計に置いていかれる。
情報を飲み込めないまま、カナは猫のように宇宙を見ていた。
すぅー…ふぅー……よし!それで、本当にどういうことだ?
ナレーション
とはいえ、切り替えの早さはカナの長所の一つだ。
何も分からずとも、深呼吸で気持ちを落ち着かせ、意識を素早く切り替えた。
即断即決は戦場の習い、迷えば死の精神である。
セイア?『ふむ…そうだね。では、質問形式といこう。
カナ、君が聞きたいことを一つづつ聞くといい。時間の許す限り、私たちの知る限りを答えると誓おう』
- 84二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:57:26
かしこい
- 85二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:08:45
カナは何を質問するかな?
- 86◆VLlUGaOg9c25/08/01(金) 21:55:33
…無駄ってどういうことだ?ミカは何で、あんなところで1人で……
ナレーション
少し考えたが1番最初に出てきたのは、やはりミカのことだ。
カナにとってミカは恩人で友だち。恐らく、知るミカとは別人なのだろうとはカナも想像が付いたが……
…仮に友だちと同じ顔をしていなくても、あんなに辛そうな人を放っておくのは心苦しかった。
セイア?『…すまない、言葉足らずだったようだね。
あのミカは……この世界は既に幕を下ろした物語。今の私たちは夢を通じて、過去を見ているに過ぎない』
…つまり?
セイア?『…精巧なVRで過去の世界を再現しているようなモノだ。
全ては夢の幻影であり、この世界に本物は私たち観客しかない』
ナレーション
夢の世界。なるほど、言われてみるとカナもしっくりきた。
本来のカナならば、声を聞く前に持ち前の感覚でミカやセイアたちを発見出来た筈だし、
なんとも言えない地に足のつかない感覚も、現実の大地を踏んでいない所為だろう。
瀕死の重症なのに痛みがないのも夢ならば納得だ。
セイア?『夢とはいえ、これは既に過ぎ去った過去。終わった話だ。
既に幕を下ろした物語の脚本は変えられない。誰であってもね』
…何があったんだ?
ナレーション
カナの新しい問いに、セイアを名乗る少女はミカの方をむいた。
痛々しいほど弱々しい、亡霊が如き姿に表情を僅かに歪めて……またカナへと向き直った。
- 87二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 06:49:43
難しい事を…
- 88二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 13:53:28
向こうで何が起こったか
- 89二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 21:19:43
保守
- 90◆VLlUGaOg9c25/08/02(土) 22:38:16
セイア『大昔から、私たち1人1人が犯してきた過ち。積み上げてきた憎悪、正されなかった悪しき伝統。
それらから目を逸らし、忘れ去り、蓋をしてきた代償。その因果が偶然…私たちの代で巡ってきた。
あれから暫く時を置いた今だから言えることだが………誰もが悪であり、誰もが正義の…良くある話さ』
ナレーション
よくある話。という言葉とは裏腹に、明らかに空気の違う重い口どりだった。
この期に及んで本音で話していない。ということは無いだろうが、
少なくともセイアにとっては「良くある」で済む話では無かったということは明白だった。
セイア?『…始まりはミカがアリウスと和解したいと言い出したことだ。
ミカはエデン条約が…ゲヘナが気に入らないが為に、
アリウスとの和平を名目に先送り…あわ良くば白紙を企んでいた』
セイア?『まぁ、ミカのことだ。和平への想いも嘘ではなかっただろうが………
感情ばかりが先行して中身が無く、理解も薄かった。ミカのそれは、持てる者の傲慢でしかなったのだよ』
ナレーション
セイアはミカに対して悪く言うが、その声色に嘲笑の色はない。
むしろ悪いことをしたとでも言うように、後ろめたそうに悲痛で表情を歪めていた。
セイア?『だから、利用された。君もアリウスだというなら、分るだろう?』
…ベアトリーチェ
セイア?『…そうか、君には心当たりがあるのか。ベアトリーチェ…白洲アズサからは聞けなかった名前だ。
感謝するよ、カナ。まさか今になって、私たちの怨敵の名を知れるとはね』
ナレーション
今度は、セイアは怒りに震えて歯を嚙み合わせた。
カナにとっては良く見た顔だ。トリニティという敵を憎み、復讐を果たせと叫んでいた同胞《アリウス》の顔だ。
- 91二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 06:48:11
そうか、ベアトリーチェに辿り着く前に崩壊しちまったか
- 92二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 15:20:01
虚しい…
- 93◆VLlUGaOg9c25/08/03(日) 17:35:12
代理モブ「申し訳ありません。今回短いです。
1の野郎が書いてる途中で体調崩しまして、今は熱が39度以上あります」
代理モブB「途中まで書いてる分は更新しますが、
体調次第では消息が途絶えるかも知れません」
代理モブC「ご迷惑をお掛けしますが、
ご理解のほど宜しくお願いします」
セイア?『…すまない、話が逸れてしまったね』
いや、セイア?が怒るのは当然だ。多分、ベアトリーチェの言いなりになって、アリウスは酷いことをしたんだと思う。
…気休めにもならないかもしれないが、アリウス分校最後の生徒会長として謝らせてくれ。…すまない。
ナレーション
深く、神妙に頭を下げるカナに対して、セイア?は見下ろしながら無意識に睨みつけていた。
目の前の少女は関係ない。並行世界の罪まで背負う等、どう考えても可笑しな話だ。全くもってキリがない。
そんなことはセイア?も分かっている。分かっているのに、彼女の中の悪魔はお構いなしに唆すのだ。
「こいつもアリウスだ」「ミカの、母校の、仲間たちの仇だ」「私たちには権利がある。復讐の権利が」と、
従ってはならない、悪しき本心が湧き出してくる。自分たちの楽園《居場所》を壊した、蛇の声が。
- 94二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:20:55
お大事に。
保守は任せろ - 95二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:04:04
セイアちゃん偉いねぇ
- 96◆VLlUGaOg9c25/08/04(月) 11:01:27
- 97二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 19:17:05
まさかコロナとは、お大事になさってください
- 98二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 22:37:28
お大事に
- 99二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 06:18:36
お大事にねー
- 100二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 13:44:44
保守
- 101二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 21:19:12
ゆっくりしていってね
- 102二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:48:15
コロナは仕方ない、自分も一度かかったけどどこで貰ったか分からなかったもの
何はともあれお大事になさってください - 103二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:57:48
保守
- 104二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 17:30:11
ストーリーと平行してスレ主が大変に
- 105◆VLlUGaOg9c25/08/06(水) 21:16:46
代理モブ「コロナで引きこもり生活を送る1ですが、初日以降なんか割と元気なので生存報告を兼ねて更新します」
代理モブB「1は昔から病弱ではありますが、今回は本当にけっこう元気なのであまり心配は要りませんよ
マジでヤバかったら報告すら出来ずに倒れて、救急搬送ルートだった筈なので……」
代理モブC「ずっと寝るだけなのも、それはそれで目が冴えて夜寝れなくなりますしね」
セイア?「…いや、君が頭を下げることでは無いよ。
元を辿れば、私たちの先輩………トリニティの傲慢と短慮が元凶と言える」
ナレーション
しかし、セイア?は驚異的な理性を持って己の怒りを抑えつけた。
本当は誰が悪かったのか?何を間違えてしまったのか?セイア?はずっと考え続けてきた。
セイア?「手に入れた力を玩具のように振り回したティーパーティーも、
面倒見続ける覚悟も力も無いのに中途半端な慈悲で遺恨だけを残したユスティナも、
そんな彼女たちを止めようともせずに粛々と従った名もなき生徒も、皆が皆過ちを犯していた。
…もちろん、その過ちを清算せず、ずっと忘れ去ってい我々後輩も同罪さ」
ナレーション
だから、分かってしまった。理解してしまった。絶対的な悪など、そんな都合のいい舞台装置は無いのだと。
もし本当にそんな人物が居れば、その人物を殴れば全てが終わるなら、それは単純明快で痛快だっただろう。
けれど、そうはではなかった。だから、その物語は致命的なまでに拗れてしまった。
犯した罪は消えない。トリニティも、アリウスも、ゲヘナも、それだけは変わらないのだ。
セイア?「最初に言っただろう?誰もが悪であり、誰もが正義の良くある話だと。
誰もが罪人なのだから、誰も罪を裁けない。だから、この話はこれでお終いなのだよ」
- 106◆VLlUGaOg9c25/08/06(水) 21:21:35
- 107二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:09:19
思うところはあってもそれをカナにぶつけないセイア?はすごいな
ナギサ様(仮)は相当参っているのね… - 108二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 06:48:34
本編世界の更に悪化したバージョンだもんな
- 109二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 14:40:10
セイア語は自分が今どの部分を書いてるのかが分からなくなる
- 110二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 21:54:14
変わらないんだなぁセイアちゃん
- 111◆VLlUGaOg9c25/08/07(木) 22:24:48
お終いって…どういうことだ?
セイア?「話を戻させて貰うということだよ。確か…ミカがアリウスに利用されたというところだったかな?」
あ、ああ。そんな感じだった。
ナレーション
セイア?の喋りは、カナが知るセイアと同じように迂遠で難解だ。
言いたいことは何となく分からないでもないが、それでも情報を咀嚼するには少しの時間と頭脳労働が必要だった。
早い話が、カナは話が難しくて飲み込むだけでも頭がいっぱいなのだ。
セイア?「…実のところ、ミカが騙された話はそこまで重要ではないんだ。
確かに私が白洲アズサに襲撃されたり、ミカがアリウスと組んでクーデター起こしたりと大変だった。
大変だったが、ミカが絡んだ一連の事件は先生と…私たちの世界の補習授業部によって解決された」
解決したのか?なら、なんでこんなことに……
セイア?「…そう、ミカが主体となった一連の事件は解決を見た。
だからこそ、シャーレもトリニティも少し安心してしまったのかもしれない。
これだけ大きな事件に失敗したのだから、相手方も…アリウスも暫くは大人しくなるだろう。
なんて、根拠のない油断があったのかもしれない。………なんて、これはただの言い訳だね」
ナレーション
自嘲するような皮肉気で何処か儚い笑みを浮かべて、セイア?は過ぎた過去へ思いをはせる。
セイア?「ただ一人、調印式に巡航ミサイルが落ちることを知っていた私は諦めていただけなのだから」
ナレーション
その笑みには、深い後悔と罪悪感が纏わりついていた。
- 112二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 06:55:58
保守
- 113二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 15:18:18
セイアちゃんが諦めムードなまま進んじゃったのか
- 114二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 21:32:03
保守
- 115◆VLlUGaOg9c25/08/08(金) 22:30:50
セイア?「地獄だったよ。歩兵の襲撃ぐらいは想定していたかもしれないが、巡航ミサイルだからね。
本来、手綱を取るはずの生徒会も両校揃って瓦礫の下、それはもうトリニティもゲヘナも大混乱さ」
…すま…いや、違うんだったな。
ナレーション
有り得たかも知れないアリウスの罪を聞かされるカナも穏やかなままではいらんれない。
別の世界のことだと分かっていても、自分の…いや、家族全員の罪の話だ。冷静で居ろなんて、無理な話だろう。
それでもカナはセイア?の話を良く聞いて、受け止めていたから、謝罪を噛み殺して拳を握りしめた。
セイア?「…そうだね。気持ちが分かる…とは言えないが、理屈としては理解出来る積もりだよ。
君にとって他人事のままでいることは難しいだろう。…けれど、どうか、そのまま謝らないで欲しい。
背負わなくても良い罪を背負うというのは、善行にもなれば、罪業以上の傲慢にもなるのだからね」
……分かった。
セイア?「…話を戻そう。巡航ミサイル着弾後の大混乱の中でも、冷静に事態の収束に尽力した生徒も居た。
サクラコの名代としてトリニティの本拠を指揮した浦和ハナコ、
患者の所属を問わず、ただ医師として現場を駆け巡り奔走した氷室セナ、
ゲヘナとトリニティ、両校の力を合わせて先生を護ろうとした正義実現委員会と空埼ヒナ。
みんな、本当に良くやってくれたよ。本当によく頑張ってくれていた」
セイア?「私だけさ。ふてくされて何もせず、ただ賢しい言い訳を口にして諦めていた。
…今でも、思うんだ。私がもう少しだけ早く、ほんの数日だけでも早く、抗う勇気を持てていれば…・・」
ナレーション
セイア?は悲しみの色を増して、後悔に唇を噛んだ。
感情的になっている場合では無い。分かっている。分かっていても、言葉にすれば思い出さずにはいらない。
目に焼き付いた地獄が、自らの諦念が生み出した、終わりにしか進まない悲劇が離れないのだ。
- 116二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 05:40:33
まさしく後悔だ
- 117二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:46:25
悲しいなぁ
- 118二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 16:59:44
後出しだから色々言えるけど当時だと難しいよな
- 119◆VLlUGaOg9c25/08/09(土) 22:24:41
セイア「…先生が撃たれた」
…は?
セイア?「空崎ヒナが護衛に付いてくれていたが、多勢に無勢というモノでね。
流石の風紀委員長様もズタボロの身体で、サオリを含めた数多くの敵を相手に護りきるのは無理があった」
いや、いやいや、有り得ないっ!!
ナレーション
カナは初めて、セイア?の言葉を強く否定した。
別世界のこととはいえ、先生が撃たれただなんて………それも家族同然のサオリが撃った何て信じたくない。
なんて気持ちも勿論ある。あるが、それだけならカナは否定までしない。苦しい現実を直視するのは慣れている。
じゃあ、あの仮面の人は誰だ!シ…何とかの箱も使ってたぞ!?
ナレーション
だが、それでもセイア?の語りを否定したのは矛盾があったからだ。もう1人の先生を知っているからだ。
カナが見破ったのだ、シッテムの箱のOSの存在を。カナは体験したのだ、大人のカードの力を。
仮面をつけて、何かゴテゴテしたゴツい服を着ていたから顔や体格は分からないが……先生なのは間違いない。
セイア?「色彩の力で動いてい…いや、動かされているが、本質的には私たちと同じだよ。
亡霊……つまりは、死人さ。あの調印式の日、先生は志半ばで命を落とした」
死…人…?
ナレーション
死者が動く。それはカナの常識を根底から打ち崩す、今までで最も信じられない言葉であった。
- 120◆VLlUGaOg9c25/08/09(土) 23:03:21
ナレーション
神子柴カナが生まれ育った時代、アリウスの自治区は長年に渡る冷戦により酷く疲弊していた。
本格的に内戦が始まる以前から諍いは絶えず、打ち棄てられた負傷者や欠食陥った子どもがそのまま土に還る。
なんて、痛ましく忌々しい光景を日常的に見て育ったのが、カナたちの世代のアリウス生である。
だからこそ、カナは良く知っていた。深く理解していた。死者が蘇ること等……決して、有り得はしないのだと。
う、嘘だ。死んだ人は帰ってこない。どんなに大切な人でも、どんなに凄い人でも、死んだら終わりだ。
セイア?「…そうだね。それが自然の摂理だ。君の言葉は正しい。
だが、色彩は摂理を捻じ曲げるほどに強大なようでね。こうしてナギサともども死に恥を晒している」
ナレーション
けれども、淡々と語る少女の言葉は、言われてみれば確かに、カナの知るセイアのそれに違い無い。
丁寧だけれど迂遠で、小難しくて理屈っぽい。百合園セイアの喋りの癖が良く出ていた。
セイア?「それに蘇ったわけでは無いよ。今の先生は無銘の司祭に利用された操り人形のようなものだ。
私たちの方も、こうして君に接触出来たのは望外の僥倖でね。
生きているミカに触れることも、声を掛けることも、思いを伝えることも叶わない。文字通りの亡霊だよ」
いや、でも……
セイア?「恐らく、私たちがこうして君に接触出来た理由は大きく2つ。
1つは私たちの残留思念…魂とでも呼ぶべきそれが、ミカと接触した色彩の余波を受けて覚醒したこと。
1つは何とかしてミカや君たちと接触を試みた私の…生前からの異能が妙な形で働いたらしいこと」
セイア?「どちらも状況証拠からの推察で、私自身確証のあることは何も言えないが……
…少なくとも、生前の「百合園セイア」の記憶と意思を継ぐ者には違い無いよ」
ナレーション
セイアの言葉には誠実な声色があるが、それでも死者と話しているなんて信じられない。否、信じたくない。
だって、考えてしまう。「本当に有り得るのなら、どうして、みんなは……」と。カナの中で常識が軋む音がした。 - 121二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 06:48:32
混乱してる
- 122二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 14:28:58
やっぱ色彩ってとんでもないな
- 123◆VLlUGaOg9c25/08/10(日) 18:07:35
セイア?「まぁ、信じられないというのなら、それはそれで構わないよ。無茶苦茶なことを言っている自覚はある。
ただ、理解は出来なくとも、そういうものとして納得して欲しい。そうでなければ、話が進まないからね」
そう、言われても…
セイア?「…私たちの為に悩ませてしまったね。ゴーストセイアですまない」
た、確かに、このノリはセイアの……っ!
ナレーション
それでも悩んでいる暇は無い。信じられなくても、訳が分からなくても、そういうものとして受け入れるしかない。
死んだ人が蘇るなんて有り得ない。有り得ないけど、目の前の少女は確かにセイアだ。ゴーストセイアだ。
有り得ないと否定する理性に対して、現実が殴りかかってくるのだからどうしようもない。
…分かった。信じられないけど、細かいことはあんまり考えない……ようにする!
ゴーストセイア「うん、それでいい。本来、君の考えの方が正しいのだからね。
私たちのような例外中の例外のことなんて、深く考察する必要も無いさ」
ナレーション
なので心に棚を作り、死者というよりは「ゴーストセイア」という個人として受け入れることにした。
セイア?「さて、再び話を戻そう。サオリの手で撃たれた銃弾が切欠で、私たちの先生は斃れた。
…けれども、サオリだけを責めることは出来ない。トドメは、トリニティが刺したようなモノだったよ」
- 124二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:08:56
ゴースト…
さすがにセクシーではいられなかったか - 125二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 07:38:15
まだ終わりじゃないのか
いやそれはそうなんだが - 126二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:29:36
つら
- 127◆VLlUGaOg9c25/08/11(月) 20:21:53
ナレーション
怨みの怖さというのはアリウス生のカナも身に沁みて体験している。
だから、「トドメは、トリニティが刺したようなもの」という言葉の意味も何となく分かってしまった。
トリニティにとってシャーレの先生は敵では無い。どころか、ミカのクーデターの1件を考えれば恩人ですらある。
では、何故?トリニティは先生にトドメを刺したのか?トリニティ生が攻撃する理由がある相手は……
ゴーストセイア「先生は救急医療部の車で搬送されていた。…ゲヘナ学園のシンボルが刻まれた、ゲヘナの車だ」
だから、入れなかったのか?怪我人が乗ってる車を…っ!?
ナレーション
予想はしていたが、それでも腹立たしい話だ。理不尽で巫山戯た話だ。
怪我人が乗っている車を、今にも死ぬかも知れない人を、ただ嫌いな学校だからと見捨てるなんておかしい。
その「おかしさ」が罷り通ってしまうのが、戦場の狂気なのはカナも理解しているが……それでも腹は立つ。
ゴーストセイア「…巡航ミサイルによる混乱の中で、多くの生徒は分かり易い解決策を求めた。
状況から情報を収集・精査し、正しい真実を追い求めるよりもずっと楽で都合の良い解決策を…ね」
それは、解決策じゃない。八つ当たりだ。
ゴーストセイア「全くその通り、耳が痛い話さ。でも、全ての人が君のように強く在れる訳ではないのだよ。
あの時、現実から目を背けて都合の良い夢を信じなければ、心を保てない生徒たちが沢山居た。
私も似た様なモノさ。予知による最悪を妄信して、その先の未来すら無い者だと決めつけた。
先生との問答で目を覚ました時には既に手遅れ、結局、私は最後までただ見ていただけだった」
ナレーション
それがゴーストセイアに刻まれた後悔、諦念が生んだ怠惰の罪。
全てを知りながら何も行動を起こさず、ただ苦しむ友人たちを見捨てた苦しみの記憶。
だから、負傷者を拒んだ少女たちを責める権利も恨む権利も、同じ罪人であるゴーストセイアは持っていないのだ。
- 128二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:53:30
おぉう…トドメの一撃がそれかぁ…
- 129二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 07:21:00
そこかぁ
- 130二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:07:17
これはきつい
- 131二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 22:28:04
保守
- 132◆VLlUGaOg9c25/08/12(火) 22:33:08
代理モブ「一応、時系列を整理しますと、
巡航ミサイル着弾→先生サオリに撃たれる&生前セイアのお茶会へ→
トリニティ、ゲヘナの救護車を受け入れ拒否→先生、適切な手術が出来ずに弱ってそのまま……。です」
代理モブB「ゴーストセイアが自罰的なのは自分が何もしなかった負い目が大きいですが、
実質的に「トリニティが」先生にトドメを刺したような形になったのも大きいです」
代理モブC「ナギサ様のイメージが強いですが、ゴーストセイアも生徒会長だったので……」
ゴーストセイア「…先生の訃報が引鉄となって、転がり落ちるように全てが悪化していった。
ゲヘナとトリニティの対立も悪化、混迷を極めた戦場でアリウスは更に立ち止まれなくなり、
遂には獄中のミカの耳にまで話が行ってしまって………ご覧の有様だよ」
ナレーション
自嘲するように吐き捨てたセイアの言葉に、一同の意識は再び夢の中のミカへと映る。
壊れた機械のように『誰か…誰か…』と呼びかけながら、虚ろな目で生存者を探し歩く、生きた屍。
彼女がああなってしまうまでに、一体どれだけの地獄を見たのか………想像するだけで痛ましかった。
ゴーストセイア「…見ると良い、もうじきだ。もうじき、あのミカの元へと色彩がやってくる場面だ。
そして、見届けて欲しい。ミカが何を見て、何に触れて、何を成したのかを……」
ナレーション
カナが見届けた、その全てをここでは語らないでおこう。
- 133二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 06:24:34
悲しい…
- 134二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 13:32:16
最悪のエデン条約か…
- 135◆VLlUGaOg9c25/08/13(水) 20:47:55
- 136◆VLlUGaOg9c25/08/13(水) 21:12:35
んんっ……
フウカ「カナ!?先生、カナがっ!!」
ナレーション
看病してくれていたのだろう。直ぐ近くに居たフウカが近くで声を張るものだから、カナの頭に酷く響いた。
そのお陰で、夢から帰ってきたばかりの寝惚けた頭も直ぐに現実に引き戻されたとはいえ、
まだ全身がズキズキ痛む。包帯で縛られた身体も、血も栄養も足りない頭も上手くは働かない。
"カナ!?目が覚めたの!?身体は大丈夫っ!?苦しくないっ!?"
フウカ「ちょっと、先生っ!気持ちは分かるけど揺らさないで下さいっ!怪我人なんですよっ!?」
"あっ!ごめん、カナっ!!痛かったよね…"
う…うるさい……
ナレーション
瀕死の人間が目を覚ましたのだから仕方が無いが、フウカも先生も捲し立てるように騒ぎ出す。
これにはカナも「うるさい」と苦情を入れた。怪我関係無く、寝起きで聞いて良い声量では無かったからだ。
フウカ・先生「"あ、ごめん……"」
分かって…くれたら…いい。…それより…ここは……わたしは……
ナレーション
2人が静かになってから、ようやくカナは現状の再確認に意識を向けられた。
ふらついた頭で1つづつ、覚えている範囲での出来事を記憶から掬い上げていき………
ミカ…っ!
ナレーション
成すべきこと思い出すのに、数秒ほど時間を要した。
- 137二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 00:57:46
カナが気絶している間に戦いはどうなったかな