オリキャラ同士をAIで戦わせるスレ 第五幕

  • 11◆ZEeB1LlpgE25/07/16(水) 10:06:21

    安価で出たオリキャラたちが戦っている様子をAIが短編小説化してそれを楽しむスレです。

    不定期進行な上AI生成の都合上納得のいかない結果になることもあります。




    ※相手が能動的に突ける弱点を必ずつけてください。

    ※AIの生成によるインフレは仕方ないですがそうでない限り勝てないほど強くするのはやめてください。

    ※スレ内で死んだキャラはifルート以外では復活しません。命には非常にシビアです。

    ※ここに出たキャラクターは基本スレ内でのみフリー素材です。要望があるなら必ず設定と一緒に記載してください。

    ※コテハンを本スレでつけていいのはスレ主のみです。


    弱点に関する概要はこちらをお読みください

    オリキャラ同士をAIで戦わせるスレ オススメの弱点 | Writeningスレ民がオススメするキャラクターの弱点一覧です その弱点に合いやすいキャラも下に書いています 弱点の開設に追加で書きたいことがある人は遠慮せずに書いてってください 弱点やキャラの強さでお悩みなら使…writening.net
  • 21◆ZEeB1LlpgE25/07/16(水) 10:07:53
  • 31◆ZEeB1LlpgE25/07/16(水) 10:08:41
  • 41◆ZEeB1LlpgE25/07/16(水) 10:09:33
  • 51◆ZEeB1LlpgE25/07/16(水) 10:09:48

    キャラテンプレート
    名前:
    年齢:
    性別:
    種族:
    本人概要:
    能力:
    能力概要:
    弱点:
    要望(任意):

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:11:09

    おつでーす

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:11:50

    立て乙です

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:29:30

    立て乙

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:53:36

    たておつ

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 10:54:00

    立て乙です

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 14:52:19

    次のバトルは誰だっけ

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 14:54:04

    >>11

    紬VSセラ

    その後にもう一戦ある

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 20:59:29

    ほっしゅほしゅほっしゅんしゅん

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 21:32:20

    ほす

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/16(水) 23:34:26

    今日はもう終わりかな?

  • 161◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:03:56

    題名『星火と鉄器の交差点』

  • 171◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:05:27

    地球上空、成層圏を突き抜ける一筋の紅い閃光。

    「星喰いの残滓、また……この惑星にもいるというの?」

    セラ・リューア=グレイフは、灼熱の翼を背に現れた。視線の先にあるのは、ナノマシンスーツに身を包み、家事用エプロンを模した外見の主婦、佐藤紬。

    「ふふ、誰かと思えば、宇宙の火の玉娘かしら? 貴女、随分と物騒そうね」

    おっとりと微笑む紬。その手には、銃と刃の両方の形を併せ持った奇怪な武器が握られていた。

    「星喰いの痕跡がある限り、私は消しに来る。貴女がそれを護るのなら……焼き尽くすまで」

    セラの瞳が灼光を放つ。

    「焼き尽くす、ねぇ……なら、主婦も主婦なりに、戦わせてもらうわよ?」

    ナノマシンスーツが音を立てて展開。背部スラスターが火を噴き、紬は一気に空中へ跳び上がる。左右の腕部からはガトリングとミサイルポッドが展開され、戦闘モードへと切り替わった。

  • 181◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:05:37

    「文明の主、起動。貴方を止めるために、必要なモノを創らせてもらうわね」

    セラの灼熱の翼が羽ばたき、空間が振動する。

    「『虚陽炉界』展開……この地を、一瞬で灰に返す」

    紬の頭上に、無数の熱光柱が降り注ぐ。その全てを察知し、ナノマシンスーツが自動回避パターンを構築。ミサイルで迎撃しながら、紬は灼熱領域の縁に滑り込むように機動。

    「こっちはまだ勘が戻ってないのよ……でも、母は強しってところ、見せてあげるわ」

    ガトリングが火を噴き、圧縮重力弾が灼熱を切り裂いてセラに迫る。

    「ッ……!」

    灼熱の翼でそれを弾きつつも、セラの肩口に一発がかすり、火花を散らす。

    「無駄……星喰いにはこの程度じゃ通じない」

    「貴女、星喰い、星喰いって……もう少し自分の心の火も見てあげなさいな」

    言葉と同時に、紬の背後に巨大な“聖剣型粒子砲”が創り出される。

    「家庭用超エネルギー砲、完成っと♪」

    それは主婦らしからぬ光景。しかし――戦場の母は、微笑んで撃つ。

    「子供たちの未来のために、お母さん、ちょっとだけ本気出すわよ」

  • 191◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:06:21

    轟音と共に、ミサイルの雨がセラの周囲を包んだ。だが、次の瞬間、灼熱の奔流がそれを飲み込んだ。

    「……熱変換、完了。火器による焼却対象、無力化」

    セラの瞳は無機質に光を帯びる。その瞳の奥には“星喰い”という仇敵の幻影しか映っていない。

    だが、空中から一閃――銀色の機体を纏った紬が、超音速の軌道でセラに肉薄していた。

    「貴方、子供を狙って撃つなんて……お仕置きが必要ですねぇ?」

    にこやかに笑うその口調と裏腹に、彼女の右腕から展開されたのは回転式の高出力ガトリング。

    セラが回避行動に移るよりも早く、鋼鉄の暴風が火花を撒き散らしながら降り注ぐ。

    「ナノスーツ、照準補正完了。次、ミサイル弾頭いきますよ~」

    紬の背部から発射された小型ミサイルは、灼熱領域の外縁を巻き込むように着弾した。爆発が起こる寸前、セラの姿は空間の揺らぎと共に変化する。

    「……擬似星霊形態、《ユル=ハ=ガルマ》、展開」

    背から炎を帯びた翼が咆哮のように炸裂し、セラの身体能力が一時的に跳ね上がる。

    「星喰いを……貴様のような因果を歪ませる人間が喚ぶ……ならば、滅するまで」

    その瞬間、紬の左肩装甲が弾けた。

  • 201◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:06:32

    「わっ!? これは本気の炎ですねぇ……。でも、甘いですよぉ!」

    砕けた装甲の下から姿を現したのは、量子装填式の重装電磁ライフル。次なる一撃に備えながら、紬は星霊の翼を観察していた。

    「2分……それが限界時間ですねぇ。なら、それまでに叩くのみ、ですっ!」

    再び飛翔。

    セラの翼が残像を引きながら空を切り、紬のナノスーツがマッハを超えて交差する。空間が裂け、都市の遺構が熱で溶ける中、二人の戦闘は激化の一途を辿っていた――。

    だが、紬の心には一つの確信があった。

    「どんな敵でも、母は……絶対に、負けません」

    戦火の中、母なる鋼が再び加速した。

  • 211◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:15:38

    「──星霊形態、臨界限界まで到達。残り稼働時間、五十秒」

    空に響くのは、セラの内に宿るユル=ハ=ガルマの警告。背の灼熱翼が激しく明滅し、灼界の熱量が周囲を焼き潰す。

    「熱に屈しない……それが、この戦場の異常性か」

    セラは分析しながらも、紬の反応速度と回避行動に、確かな戦慄を覚えていた。

    「貴方……やっぱり、ただの主婦じゃありませんねぇ?」

    微笑む紬の足元から、パワード・ブースターが解き放たれ、一気に距離を詰める。右手には螺旋型エネルギーブレード、左腕部にはガトリングが再展開されていた。

    「母はね……家族を守るためなら、何にだってなれるんですよ?」

    ブレードが閃光を放ち、セラの灼熱障壁と衝突。衝撃波が街の骨組みを砕くほどの威力を発し、空間に亀裂が走る。

    「存在熱変換──《エグゾースト・リダクション》」

    詠唱の十秒。紬はその隙を逃さず、左腕のガトリングを全弾発射。

    だがセラは動じない。熱変換の光が、弾丸を次々と熱に溶かしていく。

  • 221◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:16:20

    ──6秒、7秒、8秒……

    「撃ち終わりました? じゃ、今度はこちらからぁ!」

    右脚のナノブースターが起動し、紬の身体が急速加速。

    ブレードが灼熱の中を滑り、セラの腹部に深々と突き立った。

    「ッ……ぐ……」

    「まだよ、ママは……全然、やれるんですっ!」

    その瞬間、紬の胸部装甲が展開し、新たなユニットが射出された。ナノスーツの追加兵装──拡張制御マニピュレーターが四本、背部から展開される。

    「貴方、星の力だとか滅びだとか難しいこと言ってますけど……」

    紬の声に、優しさと決意が滲む。

    「私はただ……蓮と凜を守りたいだけです!」

    拡張アームがセラを拘束し、四方向からのエネルギー収束ビームが一点に集中。

    「ママの本気……見せてあげますっ!」

    灼熱と収束ビームの激突。光が天を貫き、爆風が戦場を吹き飛ばす中、二人の戦いはさらなる熾烈さを帯びていく――。

  • 231◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:21:33

    「稼働限界──十秒前」

    セラの視界に、警告インターフェースが赤く点滅していた。背の翼が焼けるようにきしみ、擬似星霊の力が限界を迎えようとしている。

    「終わり……じゃない」

    セラの目が静かに光る。星喰いの幻影が脳裏に浮かび、その姿が紬に重なる。

    「まだ……やれる。まだ、“あの時”には、届いていない……!」

    セラの叫びと共に、灼熱の翼が最大出力を発揮。燃え尽きる寸前の恒星のように、空中で爆発的に熱と光を放った。

    だが、その炎の渦の中を切り裂くものがある。

    「うふふ……熱いですねぇ、でも負けませんよ~♪」

    紬の声が戦火の向こうから届く。その姿は半壊したナノスーツの装甲をまといながらも、なお笑みを浮かべ、歩みを止めない。

    彼女の背からはまだ未使用のミサイルポッドが展開し、両腕のアームが換装されていた。

    「“文明の主”っていうのは、全部を創って、全部を守る存在ですからぁ♪」

    一瞬の隙に、紬の拡張アームが空間を切り裂くように動く。そこから生成されたのは、星の重力を模した疑似ブラックホール砲《重力震滅斧(グラビティ・クラッシャー)》。

    「ちょっと重いですけど、星霊さんに相応しい相手を、作ってあげましたよぉ」

    「……っ、馬鹿な、星の力を……模倣するだと?」

    セラの目が見開かれる。人間が星霊の“象徴”に干渉するなど、本来ならありえない。

  • 241◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:22:24

    だが紬は、嬉しそうにウィンクして言った。

    「母ですから、何でもできちゃうんですっ!」

    振り下ろされた斧が、空間そのものを引き裂くような衝撃波を生み出す。セラは翼でそれを受け止めるも、衝撃で身体ごと吹き飛ばされた。
    瓦礫を砕きながら地面に叩きつけられ、セラの擬似星霊形態が消失する。

    ──星の翼、消失。残存エネルギー、12%。

    「……っは……!」

    苦悶の息。セラの背中が焦げ、身体が重力の奔流で悲鳴を上げていた。

    「擬似星霊形態、解除。……戦闘続行困難、ですが」

    それでもセラは立ち上がった。目に浮かぶのは遠い記憶、滅びた星、燃える宮殿、星喰いの黒影。

    「私は、あの災厄を止める……。それだけのために、私は……」

    そのときだった。紬のナノスーツから、優しい光が溢れる。

    「お話し、しましょうか」

    彼女の声が、戦闘ではなく、母としての声色になっていた。

    「貴女、きっと大事なものを奪われて……とても、寂しいんですねぇ」

    セラの肩が、わずかに震える。

    「でもね。悲しいことも、辛いことも……生きて、乗り越えて、誰かと笑い合うことで、ほんの少しずつ、和らぐんですよ?」

  • 251◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:23:27

    その言葉が、鋼のような硬質の心に、確かに届いた。

    「……何故、そんなことを……貴女は戦っていたではないか」

    「だって、守るためですもの。私は母親、家族のために戦ってるだけですよ~。だから、分かるんです。貴女の心の痛みも……」

    セラの瞳が揺れる。ユル=ハ=ガルマの声が脳裏で怒りのように響くも、セラは拳を握り、静かに口を開いた。

    「……私にはもう、家族などいない」

    「いいえ」

    紬が一歩、踏み出す。

    「生きてる限り、“未来の家族”は、作れますよ。だから……私たちは生きなきゃいけないんです」

    火傷を負った紬の手が、セラに向かって差し出された。

    「それが、母親ってもんです」

    沈黙の後。

    セラは、小さく呟いた。

    「……母親、か……」

    空に残る、熾火のような夕陽の光。その中で、少女と母が、向かい合っていた。

  • 261◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:25:26

    かすかに吹く風が、焼け焦げた瓦礫を揺らす。

    そこは、先ほどまで灼熱と破壊の渦に包まれていた戦場の中心。だが、今は静寂が支配していた。

    セラ・リューア=グレイフは、片膝をついたまま、動けずにいた。身体のあちこちに傷が走り、擬似星霊形態の余波で神経系も焼けついていた。それでも、彼女の瞳は閉じられていない。

    紬が、ゆっくりと歩み寄る。

    その足取りは決して急がず、戦士のようでもなければ勝者のようでもない。ただ、母として、目の前の少女に向かって進む歩みだった。

    「……ここで、終わると思っていたのかもしれません」

    セラが、ぽつりと呟いた。

    「この星のどこかで、自分を止めてくれる誰かに出会えたら……その時こそ、燃え尽きられると。そんなことを、考えていたのかもしれません」

    紬は立ち止まり、ひざを折ってセラと目線を合わせる。

    「貴女……ずっと、独りで?」

    その問いに、セラは答えず、代わりにかすかに笑った。

    「星喰いに星を焼かれ……家族も、国も、未来も……私は何もかも失った。だから私は“処分人”になったのです。誰よりも熱く、誰よりも鋭く、星を終わらせる者に」

    その目に浮かぶのは、深い悲しみと燃え残った怒りだった。

    「でも……あの時、少しだけ、嬉しかったんです。貴女の攻撃が、私に届いた時。あぁ、やっと誰かに、止めてもらえる……って」

  • 271◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:25:36

    「……それは違いますよ、セラさん」

    紬はやわらかく、しかしはっきりと言った。

    「誰も、貴女を止めようとしてなんていません。私も、倒そうなんて思ってないです。ただ……救いたかったんです、心を」

    「心を……?」

    「ええ」

    紬は手を伸ばし、セラの焦げた髪にそっと触れた。

    「貴女の心は、まだこんなにも熱い。誰かのために戦って、傷ついて……それでも、止まらなかった。そんな貴女に、私は“生きてほしい”って思ったんです」

    セラの瞳が、かすかに揺れる。

    その奥から、ぽたりと、涙が一粒、零れ落ちた。

    「……涙なんて、何年ぶりでしょうか」

    「泣いても、いいんですよ。今は、私がそばにいますから」

    セラは声を震わせる。

    「私……どうすればいいのか、分からない。怒りが、悲しみが、まだ胸の中に渦巻いていて……でも、もう一人では、耐えられそうにない……」

  • 281◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:25:52

    「それなら」

    紬は両腕を広げた。

    「このおばちゃんの胸で、少し休んでいきませんか?」

    「……ばか、ですね……」

    セラは微笑んだ。

    そのまま、崩れるように紬の腕の中に身を預ける。

    その身体はまだ熱を持っていたが、もはや敵意も殺意もない。ただ、抱きしめる温もりだけが、そこにあった。

    「大丈夫……全部、抱えていきましょう。私が、抱きしめてあげますから」

    セラの胸から、またひとしずく、涙が零れ落ちた。

    それは、ずっと失っていた星の涙。
    今、母の腕の中で、確かに心を取り戻しつつあった。

    ──終焉は、いつか新たな始まりに変わる。

    そして今、二つの魂が交差した場所で、ほんの小さな再生の兆しが芽吹いたのだった。

  • 291◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 01:27:04

    以上

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 01:27:59

    うーん、母親の愛

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 06:56:07

    お母さん…!

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 10:48:55

    星喰い…
    焼き肉食いたかったんやろなあ

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 17:25:10

    ほしゅ

  • 341◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:41:17

    題名『審問と無垢の火線』

  • 351◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:42:33

    「わぁ……すっごい……!」

    少女の靴音が、静寂を切り裂いて響く。そこは、誰もが立ち入ることを拒む魔都。鉄と血の咆哮が凍りついたかのような、異界の中心。だが、舞羽那須美はそんなことを気にも留めず、光る瞳で歪な建造物を見上げていた。

    そこにそびえるのは、逆さに吊るされた大聖堂。天を突くように伸びる骨の塔。空は黒く爛れ、地は赤く脈打ち、魔と信仰の境界がぐちゃぐちゃに溶けた、世界の臓腑そのものだった。

    「これが“悪いもの”の場所……たぶん、ここで合ってるよねぇ?」

    彼女は手元のぬいぐるみ――まるで炭化したような顔の、うさぎの縫いぐるみに話しかけた。返事はない。だが那須美は笑う。

    「うんうん! じゃあ――やるね!」

    そこに、空気の裂け目から一つの“声”が落ちてきた。

    「此処に至りしは、信仰か。冒涜か。」

    空間が歪む。声が放たれた先、巨大な玉座が現れる。そこに座るは黒衣の男。顔を仮面で隠し、全身は黒鉄のような光を放ち、背後には浮遊する審問具――拷問器具を模した武具群が静かに回転していた。

  • 361◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:43:04

    審問者。

    その声に、地に潜む魔物たちが膝を折った。空に漂う悪霊たちが口を閉じた。世界そのものが、問われていた。

    だが――

    「えっとねー……どっちでもない!」

    にぱっと笑った那須美は、マシュマロのようなほっぺを指で押さえて言った。

    「ママがねー、“なんか悪いのがいるから、ぶっぱしといてー”って言ってたの!」

    そして、口を大きく開けた。

    「じゃあ、いくねー!」

    咆哮のような熱とともに、彼女の口から巨大な“光”が吐き出される。

    ズドォン!!

    街の一区画が、その瞬間――消えた。

    存在を焼き尽くす、超高出力のビーム。視界を白く染めながら、地平まで一直線に走る死の火線。魔都の壁も、地形も、構造も、すべて抉れ、削がれ、記録から抹消されていく。

    「えへへ~、おーわりっ!」

    何事もなかったかのように笑った那須美は、両手で大きくピースを作る。地割れの先には巨大なクレーターが残るだけ。審問者の玉座は、跡形もない。

    しかし――

  • 371◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:43:45

    ぼとり。

    地に落ちたのは、黒く蠢く“肉片”。そして、空間が再び裂ける。

    「審問、継続」

    審問者が“復活”していた。裂け目から、複数の腕と仮面が這い出るように現れ、那須美を見下ろすように降臨する。

    「貴様の“言葉”には、審問が必要だ」

    仮面の奥から、複数の声が重なるように響いた。

    那須美の額に、ようやく一滴の汗が伝う。

    「え? まだやるの……?」

    戦いは、ここから始まる。

  • 381◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:50:37

    「はぁい、次はぜ〜んぶまとめて、消えてくださーい☆」

    那須美が満面の笑みを浮かべて両腕を突き出すと、空気が凍りついたように粘性を帯びた。無数の粒子が彼女の掌に吸い寄せられ、色彩を帯びながら高速回転を始める。紅、青、翠、紫、金――七色に輝く光が渦巻き、一点に集束されていく様子は、まさに神話の「虹の橋」を再構築するような神聖さすら宿していた。

    「いっくよぉ☆」

    次の瞬間、爆音と共に解き放たれたのは――七重螺旋の断罪光線。極太のビームがその場の空間をひしゃげさせ、教会の大理石の床を焼き、柱を抉り、天井を貫いていった。直線ではない。光線はうねり、捻じれ、跳ね返り、あらゆる角度から襲いかかってくる。すでにそれは「照射」ではなかった。空間そのものをビームに書き換えていく破壊的再構築。

    「これは……もはや魔導砲の類ではない……!」

    審問官の一人が絶句した。彼らは長年に渡り数多の異能を見てきた。だが、それらの常識のどれにも属さない。異能と呼ぶにも異端。これは「神罰」に近かった。

    「結界、展開せよッ!第八層まで拡張しろ!残響干渉、遅延防壁を全周囲に!」

    司令の怒声が響くと、複数の法衣を纏った者たちが詠唱を開始。空間に緻密な幾何学模様が浮かび上がり、ビームの進路を分断しようと試みる。確かに、結界は一部の光線を逸らすことに成功した。だが――

    「う~ん、ちょっとだけ難しいかもぉ?」

    那須美がぽつりと漏らすと、再び彼女の背後から多数の触手状光帯が発生した。それは意志を持つかのように結界を探り、隙間を見つけては侵入し、そして――破壊する。光帯は結界を壊すための“鍵”であり、“毒”であり、“刃”だった。

  • 391◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:51:17

    「馬鹿な……!こちらの因果構成を読み取り、即座に最適化された光が……っ!」

    「そだよー。那須美ちゃんのビームは、見たものを焼くんじゃなくて、焼けるように世界を直すんだもん」

    にこりと笑う彼女。その言葉の意味を、誰も正確には理解できない。ただ、確かなのは――

    彼女の攻撃は、こちらの理屈を無視して“通る”という事実だった。

    「神を冒涜する者よ……ここが終着点だ」

    重々しい声が聖堂の奥から響いた。現れたのは、審問局最高位の男――異端狩りの槌・エラキム。彼が手にしていたのは、法具というにはあまりに禍々しい金槌。空間に叩きつけた瞬間、時が歪んだ。

    「この槌は、“審き”を与える。偽りの存在よ、此処で消えよ」

    その刹那、世界が“再起動”するような衝撃に包まれた。那須美のビームが、一時的に**“無かったこと”にされる**。彼の能力――否定の因果律。

    「へぇ……面白〜い!」

    だが、那須美の目がキラリと光った。

    「じゃあ、その“無かったこと”も――全部“焼いちゃえば”いいよね☆」

    空間が反転し、今度は彼女のビームが、否定そのものを呑み込んでいく。再現される光。蘇る放射。

    そして、再び始まる光の嵐。

    終わりの見えぬ破壊と否定の応酬。その渦中で、二つの存在はなお微笑みを崩さなかった。

  • 401◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:53:32

    禍々しき塔の内部。黒き触手の巣窟に、舞羽那須美は立っていた。足元には這い寄る肉の触手、天井からは血錆の滴。だが、彼女の顔には一片の怯えもない。

    「おぢちゃん、でっかいビーム撃っていい?」

    ――問答無用。

    審問者の眼前に現れた少女の存在。それは彼の知性を冒涜と共に焼いた。何千、何万と異端者を〝正して〟きた男の脳裏に、理解不能の警鐘が鳴り響く。

    「お前は、なんだ……? 神の形でも、邪神の器でもない……形すらない、ただの――破壊か」

    「ぶっぱなすび!」

    那須美の口が開かれ、そこから白銀の光が閃光となって世界を裂く。塔を構成していた血肉と鉄が瞬時に蒸発し、空間が悲鳴を上げてねじ切れる。

    審問者は即座に跳躍する。肉体が人型であった頃の名残を捨て、完全なる怪異として天井を這い、壁を蹴る。那須美のビームは直線上の全てを「なかったこと」にする。だが、それを逸らす以上の策は無かった。

    彼は中空で呟いた。

    「信徒たちよ、目覚めよ。聖なる獣を喰らい、偽なる命を供物とせよ。――我らが神を、ここに」

    その瞬間、塔全体が唸った。床が裂け、地底から這い上がるのは変異した信徒たち。人の姿を失った者たちが、獣の脚で、触手の眼で、這い寄ってくる。

    那須美の眉がぴくりと跳ねた。

    「いっぱいきた! じゃあ……もっとでっかいのいくね!」

    ビームが、再び咆哮する。
    審問者は知る。これはもう、神の理ではない。ただの――火だ。焼き尽くすだけの。形も、意味も、記録すら残さぬ破壊。その瞳の先にあるのは、神でも邪でもなく、ただ一人の「怒った幼女」だった。
    そして、彼は覚えた。
    ――恐怖を。

  • 411◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:54:34

    「う゛わあああああああああああああああああああああ!!!」

    審問者の絶叫が、塔を割って天へと響いた。その身体は既に原型を留めていない。信徒の肉と呪言で構築された異形の融合体、無限に自己増殖しながら這い、祈り、呪いを吐き続ける神の模造品。

    だが、そんなものに舞羽那須美の怒りは通じない。ただ、上塗りされる。

    「まてやああああ! おぢちゃん、おぢちゃん、なんで逃げるの!? まだ本気ビーム撃ってないのにっ!」

    怒り狂う幼女の手には、歪んだ魔力核が三重に回転していた。彼女の後ろに、ビームを制御するための式法陣が六重展開。重力すら歪む。

    審問者は天井をぶち破り、塔の最上層へと逃げ込む。しかし、那須美はその動作すら予測済み。

    「ビーム予測打ち☆」

    彼女の手から発せられた光柱は、空間をねじ曲げ、時間を逆巻き、因果を破壊して――すでに審問者がいた位置に先回りしていた。

    「――馬鹿な、まだ撃ってもいないはずの――」

    「撃ったもん! 怒ってるもん!!」

  • 421◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:54:49

    閃光。

    大気が燃え、雲が割れ、天を覆う光が世界を一瞬で白に染める。塔ごと、土地ごと、歴史ごと吹き飛ばされる。そこにかつて神を信じたものたちの影は、ひとつとして残らなかった。

    ただ、中央に立つ少女だけがいた。

    服はボロボロ、頭には煙。だが、彼女の目はすっきりしていた。

    「ふぅ。おぢちゃん、爆発したから、もーいいよね」

    その手には、焼け残ったぬいぐるみがひとつ。何も知らぬあどけなさで、それを抱きしめる那須美は、くるりと踵を返した。

    そして――静寂の世界に、ただ一言だけ残す。

    「――またビーム撃ちたくなったら、来るね」

    その言葉に応えるものは、もうどこにもなかった。

  • 431◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:55:11

    以上
    私にはAIを制御できなかった……

  • 44二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:55:37

    もしかして
    AIくんはロリコン?

  • 45二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 19:56:56

    バ ケ モ ン

    >>44

    幼女組って大概強いしそうかもね

    ノカとかも強かったし

  • 461◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 19:57:03

    次の安価は21:00より

  • 471◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 20:00:24

    すいませんやっぱり20:30で

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:25:39

    このレスは削除されています

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:00

    名前: ベルゼブル
    年齢: 不明
    性別: 男(外見上)
    種族: 大罪魔

    本人概要:
    「暴食」を司る堕天の王。飽くなき空腹と侵蝕本能の化身。かつて“世界の知を盗み食らった”という罪で神により星々の底に封印されたが、世界の終焉を求める者たちの願いにより復活。存在自体が捕食本能に基づいて動いており、言語も行動も相手を“食べる”ための手段に過ぎない。
    「我が口に入るということ、それは存在としての最期である」

    能力:『罪の顎(モウ・オブ・シン)』『全魔』

    能力概要:
    ベルゼブルは、任意の場所・空間に巨大な口腔を出現させることができる。
    その口に触れたものは“何であれ”問答無用で咀嚼・捕食される。
    対象が生物でも無生物でも、魔法でもエネルギーでも概念でも、一度口に触れれば抵抗は不可能。そのままベルゼブルの暴食空間『終わらざる胃界(アウロノミア)』へと引きずり込まれ、完全に消化されてしまう。
    この口は、空間・壁・地面・相手の背後・視界の外側など、どこにでも現れるため、戦闘中に突然現れて相手の一部を喰いちぎったり、攻撃そのものを咀嚼して無力化することも可能。
    さらに「暴食因子」と呼ばれる使い魔(黒き蠅)が無数に飛び回り、自律的に対象を蝕む。
    加えて、彼はこの世に存在するすべての魔法を使いこなす“全魔”の使い手であり、古代の秘術から現代の禁呪、さらには次元を跨ぐ魔法体系まで自在に操る。これにより戦闘の幅は無限大となっている。

    弱点:
    本体の強度は再生力が高いだけで濡れた段ボールくらい
    暴食因子は聖属性や無垢な存在に弱い
    暴食因子は常に発動しているわけではなく発動にとてつもない量の魔力を使うので不意打ちが可能である
    罪の顎は咀嚼まで若干のラグがあり回避が可能

  • 50二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:00

    名前:知り尽くしタートル
    年齢:10,000歳
    性別:雄
    種族:カメ
    本人概要:
    10,000年を生きたため万象を知り尽くし完全に理解したカメ。
    鋼鉄に匹敵する強度の皮膚と皮膚を遥かに上回る強度の甲羅を持つ。
    底なしに深い智謀とあらゆる事象を経験し尽くした膨大な経験値は何よりも静かな精神を育み、適確に答えを導き出す。
    能力:复制
    能力概要:自身が知る事象を完璧に再現できる技法。
    弱点:再現できるのは1つだけ。ただし、深い智謀と経験値は再現したその1つの事象を極めて有用に使いこなす。また、動くのがとても遅い。一歩進むのに一日、首を振り向かせるだけでも半日を必要とする。

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:00

    名前:知覚者
    年齢:12
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:誰にも理解できないような発言(メタ発言)をよくする不思議ちゃん
    趣味は相手のプロフィールをペラペラと喋り相手をびっくりさせること
    またヤメイ案件なども知覚していたので大抵のことには動じないマイペース
    能力:知覚
    能力概要: あらゆるものを知覚する能力
    相手のプロフィールを知覚して性格能力弱点を知ったり  
    不可視の攻撃、過去からの攻撃未来からの攻撃だろうが知覚することが出来る
    こうしたら有利になる、こうしたら不利なるみたいなことも知覚出来る為割と戦闘は得意
    弱点:知覚しても避けるのは自分の為絶対に攻撃を回避出来る訳ではない 
    また知ったところでどうするの?みたいな能力弱点だとかなり厳しい
    特に範囲攻撃は苦手

  • 52二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:00

    名前:グラド・バルグレン
    性別:男
    種族:鬼族(鬼人族・鉄角系)
    本人概要:
    魔界の監獄《ヘルズ・プリズン》第十二階層の中堅看守。
    重厚な体躯と屈強な筋肉を誇る、典型的な“力の番人”タイプだが、実際には戦闘能力だけでなく統率力と現場処理の判断力にも長けており、他の看守たちからは“鬼の現場番”として畏怖されている。
    カリナ・ヴィルフォードとは同じ階層で働いているが、その言動やアダムへの異常な執着には強い嫌悪感と苛立ちを抱いており、頻繁に衝突している。
    しかし彼自身もまた、かつて人間界における戦乱で「破壊の快感」に取り憑かれた過去があり、彼女の狂気に共鳴する一面を無意識に抱えている。
    そのためか、時折カリナへの怒りが妙に感情的であり、「完全に憎んでいる」とは言い切れない微妙な距離感を保っている。
    能力:鬼殺流《鉄烈破(てつれっぱ)》
    能力概要:
    ・肉体強化系の鬼術「鉄烈破」は、グラドの筋肉と骨格を魔力で極限強化することで、剛拳一発で鉄壁の結界を砕き、空間歪曲に耐える“理外強打”を可能とする。
    ・右腕には呪術的な「破呪鉄輪」が常に埋め込まれており、対象の魔術結界や精神バリアを“力業”で打ち砕く特化技能を持つ。
    ・また「鬼声」と呼ばれる咆哮術によって、一定範囲の敵意を強制的に自分に向けさせる挑発型の魔力波を発することが可能。暴動の鎮圧などで絶大な効果を発揮する。
    弱点:
    ・精神的な駆け引きに極端に弱く、論理や感情操作には鈍感。カリナのようなタイプには過去に何度も感情的になりすぎて行動を誤っている。
    ・また、過去の戦乱で失った左目には未だ魔力が通らず、「視界に入らない側」からの攻撃に対して本能任せでしか対応できない。
    ・自分の“感情”を理屈で処理できないタイプのため、強い怒りや困惑を覚えると暴走しやすく、敵味方の区別が曖昧になる。
    ・バラバラにされたり、心臓を貫かれると死ぬ

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:01

    名前:〇大(レイタ)
    年齢:不明
    性別:♂
    種族:棒人間
    本人概要:純然たる棒人間。それ以上でも以下でもない
    能力:|||(ボウバーセン)
    能力概要:周囲を超かんたん作画にして複雑な設定・能力の存在ほど弱体化させる。
    棒の身体が欠損しても周囲の棒で即座に修復、強化が可能。
    弱点:顔の〇を破壊されると能力解除
    シンプルなフィジカル主体の相手には弱い
    要望:カタカナで口数少ない感じでお願いします

  • 54トロンちゃんカワイイヤッター!25/07/17(木) 20:30:01

    名前:加害者
    年齢:27
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:
    黒髪に赤・金・白のメッシュという奇抜なヘアスタイルの青年。能力を有効に活用するため、という理由もあるがめちゃくちゃ煽り魔。悪属性。
    自分の能力に圧倒的な自信を持っているため、戦闘中に自分の能力がどれだけ強いかをペラペラ喋りはじめる。
    当人は知らないが、実は現実改変能力や時空干渉能力へのカウンターとして発生したバランサー的存在。彼の記憶の中の家族や友人は9割が存在しない人物である。
    能力:加害
    能力概要:
    『自分への攻撃』を『相手への攻撃』に変える能力。相手の攻撃や能力を無効化してそのまま相手に返す能力と言い換えてもいい。
    自爆などのデメリット付きの攻撃に対して能力を使っても加害者は無傷のままだし、地面に落下しても加害者は無傷のまま。
    特に現実改変や時空干渉などの大規模すぎる能力は、その性質上、どうあがいても現実ごと加害者を能力に巻き込んでしまうので、加害者にとってはカモ同然である。
    弱点である発動条件を考えなければ無敵の能力。
    弱点:
    両手をポケットに入れていないと能力を発動できない。つまり先にポケットを破かれると一般人と化す。
    当然、加害者本体を巻きこまない限り、加害者の衣服・所持品を狙った攻撃であっても加害者への攻撃とは扱われない。なお、現実改変能力でズボンを消そうとした場合「加害者のいる現実を上書きしようとした攻撃行為」にあたるため、加害者のズボンのかわりに能力者のズボンが消滅する。

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:01

    名前:天城 百合/リリー・クルス
    年齢:15
    性別:女
    種族:人間/変身ヒロイン
    人物概要:変身前は根暗な性格の女子高生。変身後は白百合の意匠を施したバトルボディスーツを纏った天真爛漫なアイドルヒロイン〝リリー・クルス〟として顕現する。(ピンチになった時など、弱気になったりすると変身状態でも百合の根暗な本来の性格が垣間見える
    かつて起こった〝未定災害〟により、同じ事が起きた際の対策、および民衆の士気向上を両立するために作られた。
    能力:アイドルとして無限に強くなれるよ
    能力概要:ファンの応援をエネルギーに変換し、それを元に自身をアイドルとしての概念存在に昇華させることで、『ファンのみんなを信じ、信じてもらえる限り』文字通り無限に強くなり続けるほか、あらゆる能力に対する耐性(戦闘続行・無限ガッツ)が付与される。
    弱点:人々の応援が無くなる、あるいは変身者自身がファンの皆への信頼を失えば即座に能力が消失し、ただの女子高生に戻る。
    また自信の喪失(勝てないのではないか、皆んなの期待に応えられないのではないか)も大きく力を削ぐ。
    特に適合者にして変身者の百合が変身前はただの根暗JKなので、この弱点が顕著に現れる。

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:01

    名前:編集者
    年齢:0歳(見た目は12歳程度)
    性別:女
    種族:人間?
    人物概要:「最強の存在を創造する」という実験の末に無数の犠牲を経て生まれた少女の見た目をした存在
    純白の肌に紅い瞳、ボロボロの白いワンピースを着ている少女
    ある戦いに巻き込まれ実験施設が崩壊し彼女もカプセルの中で遺棄されたが最近になって目覚めた
    言葉も、感情も、身体の動かし方さえも教えて貰っておらず名前も、目的も、生きる理由さえも何もない全てを知らぬまっさらな者
    彼女が持つのは最強の存在として成長すべく開発されたがまだ不安定な最高の肉体や頭脳、成長性と能力の超ざっくりした使い方程度
    能力:編集
    能力概要:触れたもののありとあらゆる全てを編集し改変する
    どんなものであっても彼女に触れられれば本質、根底、それをそれ足らしめる記録や情報へと接触され編集、改変される
    編集し改変されたそれを直せるのも正せるのも再定義できるのも彼女だけであり彼女以外は不可能
    そして編集者である彼女はあらゆる森羅万象にどんな存在にも何であっても干渉でき何であっても自由自在に編集が可能
    編集されたものは最初からそうだったようになり編集された通りのものになる
    弱点:生まれたばかりで過去に一切の戦闘をしておらず戦闘経験は完全に0戦闘という概念を理解しておらず戦闘技術も持っていない
    また能力の使い方も超絶未熟で能力スペックは青天井だが実際に彼女が出来る事は今の時点ではかなり限られている
    射程距離も現時点ではせいぜい彼女の腕の範囲しかなく離れれば届かないし身体の動かし方を知らないのでほぼ動けない
    更に肉体も非常に脆弱で小さな擦り傷程度で戦闘不能の大怪我になりえる
    本来なら段階を踏んで外界に出すべき最強の肉体が急に外に出て外界と接触し不安定になってる故の脆弱性である
    成長前かつ安定前なので身体能力も低いし頭脳も未熟、総括して能力スペック以外のあらゆる部分が未熟で脆く弱い
    現時点では能力さえ突破できれば一般人の子供のパンチでも倒せる動かない的である
    要望:最初は「・・・」という感じで戦闘中に少しづつ相手から言葉というものを覚えていく感じでお願いします

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:02

    名前:デザイン
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:天然ロボット
    本人概要:情報デザインの具現化。
    《共感》《抽象化》《可視化》《構造化》《思考》の五つの機能が備わっている。
    人工で作られたのではなく、知らない間に生まれていたロボット。
    白く細いボディにうさミミのようなヘッドフォンらしき部品がある。
    全体的にスタイリッシュなデザイン。とても友好的。
    能力:《抽象化》《可視化》《構造化》《共感》《思考》
    能力概要:
    《抽象化》…大量の情報から大事な所だけ“抜き出す”
    つまりは相手の記憶や世界からの情報を抜き出し、現にする機能。相手が隠そうとしている物や弱点なども抜き取り、現にすることができる。
    《可視化》…見えないものを“見える”状態にする
    つまりは相手の能力の軌道や概念(武器、武術を用いていない能力の総称)を目に見える状態にして、回避を容易にすることができる。
    《構造化》…要素同士の“関係性”を整理して結び付ける
    つまりは相手の能力が種族に見合ったものであるかを整理して、見合っていない能力を断捨離する。
    人間である場合は武器や武術を用いた能力に影響はないが、世界の常識を覆したり概念を扱う能力は断捨離し使用できない状態にする。(別の例:機械が兵器(ロケットや爆弾などの人工物)以外の能力所持→断捨離など)
    種族がわからない?不明確な情報はユーザーの不満の種なので能力ごと消す。
    《共感》…相手の種族から能力や行動パターンを“分析”する
    《思考》とは少し違う。
    つまりは相手の能力の詳細や戦闘においての癖やテンプレートパターンを分析して相手の裏をかくことが出来るもの。自身に合わせた戦闘をする相手なのであれば《思考》で予知をしてから分析を行う。
    《思考》…相手の“考え”や“行動”を予知する
    《共感》とは少し違う。
    つまりは「相手は次に攻撃を避ける」と予知して不意打ちの別の攻撃を仕掛けることが可能。
    相手の深層心理を見抜いて的確な戦闘を可能にする万能型である。
    弱点:情報過多・矛盾情報に晒されると判断が鈍る。また、相手と価値観や前提が極端に異なると理解できず、数秒間停止をする。

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:02

    名前:数言三度(かずこと みたび)
    年齢:23歳
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:神に捧げる供儀塚家を忌み嫌う「数言家」の次女、無神論者。数言家の英才(情操)教育によって、この世の全ては数によって表すことが出来る、という思想を持つ。
    能力:「仏の顔も三度まで」
    能力概要:二回起きた事象を、もう一度、最悪の形で起こす能力。相手が二回右腕で殴ってきたら、三回目の攻撃で腕が骨折する、というような事ができる
    弱点:3回の制限は自分も対象になるので、自爆の可能性があり、行動も制限される。身体能力も少し良い程度。

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:02

    名前:釘野兎火(くぎのうか)
    年齢:18
    性別:女
    種族:人間(供犠の一族、分家の遠縁)
    本人概要:バニーガールの少女。能力のせいで他者から信頼されにくく、いつしか学校も中退し、夜の闇にまぎれて生きるようになっていた。せめて行動だけは正しくあろうと正義の味方として悪を始末する。バニーガール姿なのは好きな童話であるカチカチ山の兎に自身を重ねているからである。
    あるいは、神に己の全てを捧げた兎になぞらえているのか。
    能力:供犠(言葉)
    能力概要:言葉を捧げることで武器を生成することができる。正しくは言霊を捧げる能力、言葉の多くを捧げた彼女のセリフに説得力はない。
    言葉とは繋がる力であり、伝える力である。言葉を捧げ武装とし敵を打ち砕く、その力はまさしく言語を引き裂き人を分かつバベルの呪いそのものである。不和の雷霆で創られた武器の威力は概念的にも物理的にも極めて強力だ。
    弱点:能力のせいで対話をすることが極めて困難であること。生成された武器は伝説級だが、身体能力は人間の延長線上に過ぎないのでそこが弱点。
    要望(任意):セリフはところどころ文字化けしてください。
    例:「こんばんわ、よい夜ですね」→「ConんBaんWわ、Yooい依流DeすnEね」
    「好きな童話はかちかち山です」→「SuUきなDど兎WaはKa血ィC亜Tiや魔でSuuuuu」
    「信じてほしかったのだけど、ね」→「Sh信ジtEほSSSSシKaッtt亜ケd、Neェ」

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:03

    名前:《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》
    年齢:???
    性別:???
    種族:???
    本人概要:何度も己に関する発言をしたせいで、名前や力が今まで混沌を楽しむという行動を表す名前になり、それすらも崩れてしまった。JOY は狂人で、この世の全てが混沌・混乱に落ちる事を楽しんでいる人物であり、相手の混乱や、世界が混沌になった様子を見てる事を楽しみしている。その混沌・混乱は自分にも適応され、己の精神が一般人になって混乱や罪悪感を感じても笑い楽しみ、己が滅ぶ・消滅する・己がいたという歴史が消える事すらも笑い楽しむ性格である。戦況では混沌に落としたり、相手や己を混乱させる為に相手を瞬時に倒す事はない。相手と己を生かして、存分に楽しんで飽きるか相手の精神が壊れるまでは、相手を攻撃せずに生存に重きを置いている。
    能力:《ケ_カ_ィオス・/HUB_"シュパスハーゲン"_FUN/》《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/ 》
    能力概要:《ケ_カ_ィオス・/HUB_"シュパスハーゲン"_FUN/》は話した言葉が50%嘘になる。
    例 現実の物が嘘になる場合、あの場所に橋がある。→その場所に橋はない。噂話の場合、政府が人体実験をしている噂がある。→実際に政府が人体実験をしていた事になる。JOY が作った嘘の話をした場合、世界は一度暗黒竜によって滅ぼされているんだ。→実際に暗黒竜に一度滅ぼされた事になる。
    《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/ 》は存在自体が崩れてしまった結果得た能力。直接相手に触れたら能力が発動する。能力が当たった者は、段々と意味が崩れていく。
    例 炎上→炎→赤く揺れる→赤い→消滅
    このように複合されている意味→一つだけの意味→視覚情報のみ→色のみ→消滅になる。
    弱点:能力を何度も使用して存在が崩れている為に、3分程の歩く行動でも気絶してしまう程。スタミナ以外は一般的な身体能力である。
    どれが嘘になったかは、JOY にも分からない。
    意味が完全に崩れるのは最低でも10時間かかる。

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:12

    名前:伊崎 夏帆 
    年齢:12
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:周囲を崩壊、破綻させる異能に目覚め生涯孤独になった少女 
    自身と異能、異常を嫌悪をしており 八つ当たりで能力を発動させてしまったりしている
    能力:コラプス
    能力概要:周囲のものを物理的に崩壊させたり体力や精神的な意味で崩壊する
    また感情が良い意味でも悪い意味でも昂ってしまうと空間や概念、時間、理まで崩壊、破綻して行き範囲が加速度的に拡大する
    自身の能力による影響は受け無い為周りは崩壊し空間がめちゃくちゃになっているが自分だけは無傷などが多々ある
    弱点:能力は自分で制御出来ないことと少女程度の身体能力しか持っていない
    また学校などにも行けず教育を受けていない為頭が少々(オブラート)悪く隙が大きい

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:13

    名前: アリセイン=ヴラド
    年齢: 14歳
    性別: 女性(出生時の性別)
    種族: 人型生物兵器Hound-02《赫姫》/人類改造体
    本人概要
    高適性個体として精神強化手術を受けた元少女兵。本来は温和で知的な少女だったが、軍の実験により人格が壊されている。高い知性と戦術眼を持ちながら、それを「生き延びるため」「任務以外の自我を保つため」に利用するだけで、心からの殺戮衝動は持たない。
    普段は寡黙で、戦場でも必要以上の会話をしないが、「殺さなければ自分が壊される」という恐怖から、結果的に大量虐殺者となっている。敵や捕虜と会話する時は、むしろ「止めてほしい」と懇願するような錯乱を見せる場合がある。
    • 通常形態:
    赤黒く脈動する液状有機装甲に覆われたハウンド形態。
    背中には感情に応じて形状変化する「羽状神経展開器」が4枚生え、装甲には血管状に蠢く神経触手が走る。4つの細い眼を持った細長い頭部になり、鼓動音が常に響き、肉体そのものが生き物のように蠢く。
    • 第二形態《スカーレット=クリュシス》:
    極限下で死の恐怖に押しつぶされたことによって発現した第二形態。敵味方識別不能となり、無差別に暴走。血液を媒介とした群体汚染体を周囲に放出し、群体汚染体に触れた有機体を内部から「血の化身(ブラッドドール)」(Lv3改造強化兵に匹敵)へ変異、歯を剥き出した真っ赤な操り人形と化し、自我は「赤化」され殺される。この状態の姿は流体状の羽衣を纏う血の女帝。
    能力:《ブラッド・ロジカ》
    血液を情報・物理・精神の三次元融合媒体とする異能。
    自身の血液は高濃度思念汚染体であり、プログラム的制御が可能。
    能力概要
    • 一滴の血から最大1,000体の自己疑似複製を同時制御可能
    • 凝縮した血核が敵神経網に侵入し、脳を遠隔侵蝕して支配
    • 血液増殖速度:1秒あたり3,500倍(理論値) → 広域殲滅が可能
    • 空間内に血液ネットワークを展開し、「無数の自己」による包囲戦術を実行
    弱点
    感情構造の破綻により、愛情・無償の共感など特定の情動刺激に過剰反応する。
    乾燥・凍結・真空など血液が機能不全を起こす環境に極端に弱い。
    高い機動性を持つが、本体は軽量で防御力もかなり低い。
    Houndシリーズは胸部の透明樹脂内に収まる小型脳核群を破壊することによってのみ
    殺可能。

  • 631◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 20:30:21

    とまれええええええええええええ

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:23

    名前: カイン・ゼファード&ヴァルカン・スプリント・カスタム《ヘリオスブレイカー》
    年齢: 26歳(パイロット)/機体稼働歴:1年2ヶ月
    性別: ノリのいい男性(AI音声は女)
    種族: 人間(適応型戦術強化兵)&OG第四世代高機動拡張型
    本人概要:
    レギオス・ノヴァの先陣を切り、敵前線を「切り拓く」ことに特化した露払いのエースパイロット。戦術・戦闘・精神操作に長け、パイロット強化施術《ニューロリンク適正強化処置》を受けた特別対応兵。搭乗機《ヴァルカン・スプリント・カスタム《ヘリオスブレイカー》》は、第四世代OGの中でも機動性と継戦能力に特化した個体で、ナノマシンによる兵装換装と戦術モード切替により、あらゆる局面に対応可能。
    能力:
    ・《XLD-β+“ヘリオスコア”》:高効率・長時間対応型の次元積層ドライバ
    ・《フェイズラン・モジュール》:多層次元を滑走するような高速移動、残像を伴う
    ・《ラグナロク・ツインブレード》:次元圧+高周波振動を加えた連結型双刃剣、二刀・両手剣どちらにも可変
    ・《ARGΩシステム》:戦闘アルゴリズムAI。戦術モードを状況に応じて変更(突撃/防衛/包囲殲滅/遊撃)
    ・《エクリプス・カートリッジ》:次元圧縮粒子を利用した瞬間出力増強。最大3回使用可能
    ・《ナノギア=フォージアーム》:機体部位から展開される可変補助腕。武装補助・バリア展開・奇襲にも使用可能
    ・《ヘリオス・フレアリング》:太陽風を模したエネルギー放射。敵の索敵・ロックオン撹乱
    能力概要:
    攻撃と防御のバランスを高次元で両立しつつ、継戦能力の高さと敵布陣の破砕力に特化した機体。正面突破、広域殲滅、遊撃支援のいずれも可能で、レギオス・ノヴァの突破路確保・護衛・局所戦制圧など柔軟な任務遂行が可能。ブレード格闘戦では重騎型すら押し切れる剛撃を持ち、射撃・ナノ補助・AI戦術制御を併用することで持久戦も難なくこなす。まさに「主戦の門を開ける者」。
    弱点:
    ・《エクリプス・カートリッジ》は強力だが、使用後は機体フレームに過負荷がかかるため連続使用は危険
    ・《ヘリオス・フレアリング》は敵味方問わずセンサー妨害を起こすため味方との密集戦には向かない
    ・あくまで「露払い特化機」であるため、後方支援・大規模指揮統制には不向き
    ・操縦席を貫けば機能停止
    要望(任意):
    ・ カイン・ゼファードにしゃべらせて

  • 65二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:43

    待ってよ!
    ジャスト00秒で投げてるヤツ多すぎでしょ!?

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:30:59

    記録!2秒!!

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:31:18

    インフレがすぎる

  • 681◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 20:31:27

    10個指定忘れてた……

    >>49

    >>50

    >>51

    >>52

    >>53

    >>54

    >>55

    >>56

    >>57

    >>58

    ここまで採用

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:32:36

    2秒て・・・
    インフレ極まってんなぁ

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:33:28

    急に新規が増えたのかな

  • 71二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:34:39

    嘘でしょ…いつも通り一拍おいて投げれば間に合うやろくらいで言ったのに…

  • 72二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:38:39

    2秒で外れてる人いんのビビる

  • 73二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:40:29

    >>72

    それは自分のことを…

    今まで早くても10秒ちょっとくらいだからこうなるとは思わなんだ

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:45:34

    対戦カードが楽しみですなぁ

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 20:48:36

    5スレ目の分のページ作成しましたー

    https://writening.net/page?kJMHWs

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:34:39

    このレスは削除されています

  • 77二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:36:51

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:37:34

    このレスは削除されています

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:37:49

    やかましい!座して待て!

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 21:38:13

    ネタにしてもクレクレ厨みたいでキモいから自重した方がいいよマジで

  • 811◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 21:38:19

    ベルゼブルvsグラド・バルグレン
    知り尽くしタートルvs知覚者
    〇大vs加害者
    数言三度vs天城 百合
    編集者vsデザイン

  • 821◆ZEeB1LlpgE25/07/17(木) 23:03:28

    だいぶ久しぶりなパターン

    https://writening.net/page?gTL3cE

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 23:14:40

    グラド漢気あるじゃねぇか
    かっこよかった

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 23:16:12

    まさに暴食の化身、蝿の王って感じだ

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 23:19:35

    良いぞ!

  • 86二次元好きの匿名さん25/07/17(木) 23:24:19

    グラドさん頑張った!
    折れない男はかっこいいねえ

  • 87二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 06:50:18

    ほしゅ

  • 88二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 09:03:13

    このレスは削除されています

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 15:27:06

    ほす

  • 901◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:04:58

    題名『知の迷宮にて、歩みと声が交差する時』

  • 911◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:05:46

    静寂が支配する、時間の流れすら忘れられた異空間──“無明界”。そこに立つのは、一匹の巨大なカメ。鋼よりも硬いその皮膚、山よりも高く、岩よりも重い甲羅。その名も知り尽くしタートル。一歩動くのに一日を要し、だが、その目に映るものは全てを知り尽くしていた。

    対峙するのは、12歳の少女。セーラー服に身を包み、無邪気な笑みを浮かべながらぴょんぴょん跳ねている。
    「ふーん、10,000年分の知識かぁ……おじいちゃん、プロフ読むね?」

    彼女の名は――知覚者(ちかくしゃ)。

    「知り尽くしタートル。10,000年生きてるカメさん。能力は复制、一つだけ再現できる。でも動くのは超スロー、首動かすのに半日?ふふ、ヤバッ……!」

    タートルは反応しない。だが、その心はすでに数千通りの対応手段を思い描いていた。ゆっくりと、わずかに首が動く。

    (この少女、私の全てを知覚しているか……しかし、その知はどう使う?)

    知覚者はその思考すら読んだかのようにくすくす笑った。

    「うん、それ知ってる。けどねー、知ってるだけじゃ何もできないんだよ。知ってる?それも知ってるよね、うん、知り尽くしてるもんね!」

    タートルの甲羅にうっすらと魔力のようなものが宿る。ゆっくりと、選択を始めていた。再現する一つの技法――それは、かつて見た「全体重を落とす巨竜の落下」。

  • 921◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:05:56

    「はじまるよぉ?」と知覚者がつぶやいた瞬間、空間が震えた。

    タートルの巨体が、遅いながらも上昇しはじめる。

    「えっ、それ再現すんの?ねえ、ちょっと待って、それ範囲攻撃だよね!?あ、やば……」

    知覚者の能力が告げる。「逃げられない」。知っている。でも、動けるのは自分。

    彼女は動き出した。ぎりぎりのラインで、着地点の“端”へ。

    ──カメが落ちる。それは、世界ごとひっくり返るような衝撃だった。

    果たして、知識の巨塊は少女の知覚を越えるのか。それとも、軽やかなステップが全てを回避するのか。

  • 931◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:06:27

    世界が崩れる。知り尽くしタートルが再現した“全体重を込めた古代巨竜の落下”は、ただの衝撃ではなかった。落下点を中心に、大地がひしゃげ、空間に罅が入り、空気が潰れる。

    ──知覚者は、潰れなかった。

    寸前の判断。ギリギリで、爆心から外れるように体を横に滑らせた。避けきれてはいない。両膝をすりむき、耳がキーンと鳴っている。それでも笑っていた。

    「あはっ……ぶつかってないけど、これ脳揺れるヤツ~。でも、再現は一個だけなんだよね?」

    その通り。タートルの“复制”能力は一度使えば固定される。
    今、彼の全能力は【竜墜ち】。再現された「重力爆撃」一点に集約されている。

    (もう一度落ちるには、まず……一歩、前に……)

    一歩動くのに一日。タートルの時間感覚は、人間とはまるで違う。だが、勝つには動かねばならぬ。知っている。そして――知覚者も、知っている。

  • 941◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:06:38

    「はい、カウント入りましたー。カメさん動くのに、一日……なら、わたしはその間に“勝てる方法”を探す!」

    知覚が発動する。未来の予測。確率計算。最適行動の絞り出し。
    彼女の瞳がきらりと光る。

    「ふむふむ。うん、あれだね!“タートルさんの甲羅の内側に直接入って、内部からくすぐる”!……って、ムリムリムリムリ!重すぎるってば!!」

    自分で知って、自分で否定する。だが、その一連の試行錯誤が彼女の力だった。
    そして見つけた。

    「あっ、あった!“タートルさんは、甲羅の内側の熱循環を微調整している時、呼吸が浅くなる”!」

    目標はそこ。呼吸が浅くなる=注意力が散漫になる瞬間。
    知覚者は走り出す。彼女は戦士ではない、でも知覚の中で最も有効な手段を拾い集めていく。

    「いっけぇえええ!!知覚ビンタぁぁあ!!!」

    知覚者の平手打ちが、タートルの頬(の端っこ)に届いた。
    ──その瞬間、タートルの動きがピタリと止まった。いや、元々遅いので違いは分かりにくいが、彼女には分かった。

    (わたしの……ビンタが……10,000年の経験を、揺らがせた……!?)

    だが次の瞬間、タートルの瞼が、ゆっくりと、重く、閉じられる。

    (まさか……瞑想!?)

    「あっ、これダメなヤツだ。亀の瞑想って……一ヶ月ぐらい動かなくなるやつだよ!?」

    静寂が訪れる。戦いは中断?それとも、“長期戦”の始まりか。

  • 951◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:07:11

    深淵のような静けさが広がっていた。
    タートルの目は閉じられ、その巨体はまるで大地の一部のように動かない。だが、それは敗北ではない。思考に入ったのだ。

    彼の内側には、一万年分の記憶の海がある。

    その海は広く、静かで、どこまでも深い。天変地異も、戦争も、神の降臨も見てきた。
    星の死を見たこともある。人類の興亡、文明の興隆、そして滅亡も。

    (……少女よ。知っているか。私のこの甲羅は、ただの防具ではない)

    甲羅の内側は、「記録装置」だ。思考を格納し、経験を積層し、未来すら予測する演算殻。
    今、彼はそこに潜り、知覚者という異物についての全情報を繋ぎ合わせていた。

    ──“知覚者”。全てを知るが、行動には限界がある。
    軽快な口調と奇行に惑わされるが、その瞳は常に「最善手」を探している。

    (知覚するが故に、“動けない”という選択もある)

    もし、彼女が本気で私を倒すつもりなら、最初に距離を取って範囲外から環境要因を利用していたはずだ。
    だが彼女は、わざわざ近づき、ビンタという象徴的な手段を選んだ。

    (……私の心を動かそうと?)

    ──その瞬間、甲羅の内部でひとつの“答え”が導き出される。

    「私は……感情を再現したことが、ない」

    复制の能力は、技法を再現できる。力、動き、現象、構造。
    だが「心」だけは──知っていても、再現はできなかった。

  • 961◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:07:21

    だが、あの一撃は違った。

    知覚されたものではなく、“伝えようとした感情”だった。

    (……ならば、私もまた……再現しよう。“感情”を)

    タートルの目が開く。瞬きひとつに、空気が震える。
    巨体が、わずかに前に傾く。一歩……はまだ出ない。が、明らかに変化していた。

    知覚者が、小さく肩をすくめる。

    「お?おー?なんかヤバい空気きてる。甲羅に……うわ、まさか、データ整理完了した!?いや、早すぎ!カメのくせに!!」

    ゆっくりと、重低音が響く。

    「感情、とは……熱だな」

    重々しく、だが確かに発せられた声。

    知り尽くしタートルが口を開いた瞬間、空間の熱量が変わった。
    甲羅が赤く脈打つ。复制能力が、今、**“ある者の怒り”**を再現しようとしている。

    (──これは……“灼獄の王”の怒り──)

    知識の中から拾い上げた、かつての魔王級存在の「激怒」を、今ここで再現する。

  • 971◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:08:15

    甲羅が燃えていた。文字通り、炎を帯びていた。

    知り尽くしタートルの复制能力が再現したのは、かつて世界を三つ焼き払ったとされる古の存在――“灼獄の王”の怒り。その感情は熱を持ち、質量を持ち、空間を歪めていた。

    「熱い……!けど、これって……“怒ってる”の?」

    知覚者は両腕で顔を覆いながらも、目を見開いた。灼熱の空気が肌を焼き、肺を刺す。でも彼女は笑っていた。

    「カメさん、怒ってるんだ。ビンタ……効いちゃったんだ」

    炎が吹き荒れる。爆発するような高熱が渦巻く。しかしそれは、暴力的でありながら、整っていた。混沌ではない。知性が制御する怒り――それが、知り尽くしタートルの“感情”の再現だった。

    (……これが、私の知らなかったもの……)

    10,000年もの時を生きた彼にとって、怒りなど遥か昔に手放したものだった。
    だが今、それを再び拾い上げることができた。ビンタ一つで。

    「知識だけじゃ、足りなかったんだね」

    知覚者は立ち上がった。熱でふらつきながら、それでも笑う。

    「わたしも知ってる。“感情”って、理屈じゃない。でもね、それがあるから、動けるんだよ」

    タートルの巨大な目が、少女を見据える。

  • 981◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:08:25

    (知った。私は、“理解”したのではない。“感じた”のだ)

    彼は甲羅を震わせる。次の技法が始まる──それはもはや「技」ではない。
    心が動くこと自体を复制した、奇跡のような衝動。

    灼熱の空気が爆ぜる。まるで世界が、彼の“気持ち”に反応したかのようだった。

    「行くよ……!カメさんの怒りに、わたしの“感覚”で応える!!」

    知覚者が突っ込む。爆炎の中、彼女は目をつむらない。なぜならすべて“見えて”いるからだ。
    熱の波、空気の揺らぎ、意志のベクトルすら。

    「ほらっ!そこっ!!」

    炎の流れの“隙間”をくぐり抜け、知覚者は跳躍する。そして――

    彼の眉間に、指一本をつけた。

    「タートルさん。その怒りは、ずっと昔に終わったんだよ。だって、今のあなたはもう、誰も傷つけたくないって思ってるもん」

    静寂。熱気が止まる。
    甲羅がゆっくりと冷えていく。

    タートルの目が、すぅっと閉じられた。

    (……確かに。私は、知っていたはずなのに。忘れていた)

    ──感情は、ただ暴れるものではない。
    それを持つことで、人は、カメは、誰かを守ろうとする。

  • 991◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:09:29

    世界に、ようやく静けさが戻ってきた。

    炎も収まり、熱波も引いて、空気が澄んでいる。知り尽くしタートルはその場に鎮座し、微動だにしない。けれど――彼の内側には、かつてないほどの躍動があった。

    (私は、知っていたつもりだった。だが“感じる”という行為は……こんなにも、世界を変えるのか)

    10,000年の時をかけて蓄えた知識では、たどり着けなかった境地。
    それを、一人の少女が教えてくれた。

    知覚者は、息を吐きながら地面に座り込む。

    「ふぅ〜……熱っつぅ……おじいちゃん、いきなり炎上はヤメテくれんと……マジで死ぬとこだったわぁ……」

    「知っていたのだろう?」

    「知ってたよ。でも、“避ける”と“受け止める”は違うの。なんか、そうした方がいい気がしたんだ」

    にかっと笑う少女に、タートルはゆっくりと首を傾げる。半日ぶりの動きだ。

    「少女よ。名を、改めて聞かせてくれ」

    「ん〜、知覚者。でもそれは、わたしの“能力名”かもね。本当の名前は、ヒミツ!」

    タートルは、それ以上は追及しなかった。知らなくてもいいことがある。
    それは10,000年の時を生き、知識を追い求めた彼にとって、**最大の“発見”**だった。

  • 1001◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:09:41

    「……私は、これから少しだけ、“考えること”をやめてみる」

    「えっ!?このタートルさんが!?それ……マジで大丈夫!?惑星止まったりしない!?」

    「ふ……信じてくれ。“感じる”こともまた、知の一形態なのだろう」

    二人の間に、ゆるやかな風が吹いた。

    戦いではなかった。対話でもなかった。それは、知と知の邂逅。
    戦いの果てに手にしたのは、勝敗ではなく――**「共鳴」**だった。

    やがて、知覚者が立ち上がる。

    「じゃ、わたしそろそろ次の案件があるからー。“世界龍 vs ヤメイ”とか、そっち方面。ちょっとバグってるけど、面白いよー!」

    「……また、会えるか?」

    「さぁ?わたしは、知覚するだけで未来を決めるのはあなたたちだもん。ま、それも知ってるでしょ?」

    軽く手を振って、彼女は異空間から跳ねるように去っていった。

    残されたタートルは、ゆっくりと目を閉じる。

    (知識に満ちた私の世界に、たった一つ欠けていた“感情”のピース。それが、今、埋まった気がする)

    「……ありがとう、“知覚者”」

    彼の甲羅に、新たな一枚の記憶が刻まれた。それは知ではなく、“心”の記録だった。

  • 1011◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:11:00

    以上

  • 102二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:12:19

    “灼獄の王”いいな
    作ってみようかな

  • 103二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:13:30

    世界龍だ‼︎

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:16:43

    モウラっぽいなぁこの亀

  • 105二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:19:07

    この裏でまぁまぁやべぇこと起きてて草
    世界龍とヤメイ、このタイミングでやりあってたのか

  • 106二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:24:57

    >>1

    過去スレやSS集などのリンクをまとめたページを作りましたので貼っておきます

    https://writening.net/page?TLSSyu

  • 107二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 18:29:17

    裏で世界滅びかけてて草

  • 1081◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:49:51

    題名『設定崩壊寸前』

  • 1091◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:57:14

    白く塗りつぶされたような大地。
    直線で構成された空間。
    世界のすべてが、“あらすじ”のように簡略化された空間の中にあった。

    「……なんだ、ここは」

    黒いロングコートを揺らしながら、加害者と呼ばれる男が周囲を見渡す。
    細かい描写の消えた風景。空すらも、白一色に黒線の「空」として表現されていた。

    そして、中央に“それ”は立っていた。

    〇の顔に、棒の体。文字通りの“記号人間”。それが、〇大(レイタ)だった。
    目も口もないのに、加害者は感じた。
    殺気。自我。そして、“強制的な簡略化”の力。

    「……随分と分かりやすい外見してんな。手抜きにもほどがあるだろうが」

  • 1101◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:57:36

    加害者が一歩踏み出すと、その足元が、黒線に変わる。
    靴の縫い目が消え、衣服の模様も抜け落ちた。肌の色も、均一に塗られていく。

    「……やってくれんじゃねえか。お前、俺の“外見”まで簡略化しやがったな」

    しかし、男は笑っていた。

    「つまり……“俺に影響を及ぼした”ってことだ」

    その瞬間、空気が重くなる。

    「“加害”を開始する──いいな?」

    手をポケットに突っ込んだまま、男は構えすら見せない。ただそこに立つだけ。
    なのに、〇大の体に異変が起きる。線が震え、〇の表面にノイズが走った。

    「これが俺の能力、“加害”。俺にダメージを与えた瞬間、お前が“加害者”になる。そして、“加害は必ず報いられる”」

    〇大の反応は静かだった。ただ、棒の指を動かし、空間の描き込みをさらに削る。

    「ナラ、オマエヲ……サイテイマデ、ケズル」

    無機質な声。
    それは、殺し合いの宣告だった。

  • 1111◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:59:26

    「ユルサナイ」

    〇大の腕が、直線で構成された巨大な「剣」と化す。
    それは“描写”ではなく“結果”だけを求める簡略の兵器。
    ディテールも重さも無視された、ただの“棒線”による一刀だった。

    だが──その刃が加害者の胸をかすめた瞬間、

    「遅ぇよ。もう“反撃”は始まってんだよ」

    ――バキィンッ!

    音も描写もなかった世界に、突如として「詳細な破壊音」が響いた。
    〇大の身体が、裂ける。剣となっていた腕が、逆方向に“折れた”。

    「……加害完了。これでイチイチだな」

    加害者の口元が歪む。
    彼は動いていない。ただ、両手をポケットに入れたまま突っ立っているだけ。
    だが、それで充分。なぜなら──

    『攻撃された瞬間、それは相手に返る』

    “加害”の能力は、相手の攻撃すら“相手の責任”に変換する。

  • 1121◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 18:59:50

    しかも、ダメージを与えたという事実だけで反射条件は成立する。

    〇大の身体がグラついた。棒線がバグったように揺らめき、再構築が始まる。

    「……ソウカ。カイフク、ムコウカ」

    再構築すら“ダメージの反動”として打ち消される。
    自動修復すら反射されてしまうことに気付いた〇大は、即座に戦術を変更した。

    棒人間の指先が動き、空間全体が急激に「シンプル化」する。
    加害者のコートが一瞬で直線に塗り潰され、髪の色もモノトーンになる。

    「……視覚まで削るか。だが、“削る”ってことは俺に作用してる」

    ニヤリと笑う加害者。

    「だったら、また加害発動だ。──お前のこの簡略世界、“お前に返す”」

    その瞬間、〇大の背後に異変が起きる。
    今までモノクロだったはずの世界に、「描写された影」が落ちる。

    複雑な輪郭、細やかなディテール、リアルな質感。
    加害された“簡略”が、〇大自身を“複雑化”させ始めていた。

    「──メンドウ」

    〇大の口から、初めて明確な“感情”が漏れた。

  • 1131◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:04:17

    加害者の笑みが消えた。
    目の前の棒人間──〇大の身体がゆっくりと変わっていく。
    シンプルな線だったはずの体が、細かな線で補強され、骨格のような構造が浮かび上がる。

    「な、なに……?シンプル化のはずが……逆に複雑化……?」

    加害者は焦りを見せたが、まだ両手はポケットに突っ込んだままだ。
    能力がまだ使えることを示している。

    〇大はゆっくりと腕を振るう。
    以前より重厚感の増した棒の刃が加害者へと振り下ろされる。

    「受けろ」

    しかし、加害者の体はその攻撃を受け止める。
    だが彼の表情は変わらない。逆にその刃を相手へ跳ね返すかのように、微かな動きで腕を動かした。

    「“加害”──お前の攻撃はお前に帰る。これが俺のルールだ」

    刃が再び〇大の体に迫る。
    彼の棒人間の体は振動し、わずかに崩れかける。

  • 1141◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:04:37

    だが、それを上回る速度で修復が始まる。
    失われた部分を即座に再生し、修復される〇大の棒は、そのまま反撃に転じる。

    「線が消える。描写が消える。だが、“俺”は消えない」

    その言葉通り、〇大はシンプルな棒のままで、むしろ以前よりもスピードを増して加害者に襲いかかる。

    しかし、加害者はポケットから手を離さず、反射は止まらない。
    加害者の口からは勝ち誇った笑みが漏れる。

    「俺の反射は万能じゃない。だがお前がどんなに強くても、俺が攻撃を受けた瞬間にそれはお前に返る。
    つまり、“攻撃の応酬”は意味をなさねぇ」

    だが〇大は、一歩も引かなかった。

    「なら、勝負は“どれだけ長く続けられるか”だな」

    闘いのテンポは極限まで加速し、両者の攻撃は交錯し続ける。
    描写と反射の応酬は、まるで“線”と“文”がぶつかる戦いのように激烈だった。

  • 1151◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:04:54

    激しい攻防が続く中、〇大は冷静に狙いを定めた。
    加害者の両手はポケットの中。そこが能力発動の鍵である。

    棒の体をしなやかに動かし、〇大は地面の棒を連結させて加害者の足元を封じた。動きが鈍る加害者。

    その隙に、鋭く伸びる棒の指先が、加害者のポケットへ向かう。

    加害者は素早く反応したが、〇大の棒の先が布を捉え、裂け目ができる。ポケットの形が崩れ、手の自由が失われつつあった。

    「ここが弱点だ」

    〇大は一気に引っ張る。ポケットの中の手が抜けそうになる。

    加害者は焦り、必死に抵抗するが、構造的なダメージには逆らえなかった。

    手がポケットから離れた瞬間、加害者の能力は停止する。

    動きが鈍る加害者を前に、〇大はシンプルかつ的確な一撃を放つ。

    加害者は体勢を崩し、ゆっくりと膝をつく。

    「まだ……諦めねえ……」

    加害者の声は震えていた。

    だが、〇大は次の動きを静かに構え、次章への布石を打つ。

  • 1161◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:08:08

    戦いの熱が静まる中、加害者は地面に膝をついたまま、深く息を吐いた。
    ポケットは裂け、もはや彼の能力を支える形状を保っていない。

    「……終わったのか……?」

    呟く声には、勝利の確信も、敗北の絶望も混ざっていなかった。
    ただ、長き戦いの疲労が、彼の全身を支配していた。

    一方の〇大は、ゆっくりと後退する。
    シンプルな棒の身体は、もはや複雑な描写とは無縁の存在。
    だがその姿は、確かな勝利の証でもあった。

    空間の輪郭は、闘争の間に大きく崩れ去り、
    白と黒の線だけが残った“線の世界”となっていた。

    「……負けたわけじゃない。ただ、形が変わっただけだ」

    加害者の声は静かで、しかしどこか吹っ切れたように響いた。

    彼の能力“加害”は、反射で相手の攻撃を返す。
    だがその力の根源は、“自身の存在を守る”という強い意志にあった。

    今は形が崩れたが、その意志は揺らいでいない。

    〇大はそれを理解しているかのように、棒の体を軽く揺らした。

    「……オマエの強さは、シンプルに変えられねぇ。だが、オレもシンプルだ」

    二人は互いに理解し合ったように、静かな視線を交わす。

  • 1171◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:08:18

    そして、ゆっくりとそれぞれの道を歩み始めた。

    線と線の戦いは終わった。
    しかし、その先に何が待つのかは、まだ誰にも分からなかった。

  • 1181◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 19:09:33

    以上

  • 119二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:10:59

    れいたって複雑化もできるのか

    こっちもこっちで世界がえらいことになってんな

  • 120二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:12:34

    互いに決定打が足りない中ようやったで

  • 121二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:12:57

    ◯大ってもしかして"◯"が頭で"大"が体ってこと?

  • 122二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:15:57

    >>121

    お気付きになったか…まあそれ以上の意味もないんじゃが

  • 123二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:24:54

    熱い戦いだった……


    >>119

    「相手が複雑なほど弱体化させる能力」を反射させる

    →これにより「加害者がくらうはずだった弱体化」をレイタがくらうことになる

    →しかし〇大はシンプルすぎるので、シンプル化できない

    →よって〇大を複雑させ、複雑化した分だけ弱体化を適用する


    っていうバグみたいな挙動が発生したんじゃないかと予想する

  • 124二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:32:08

    >>123

    0に何しようと0だから1増やして反射を受けて0に戻るみたいなことしてんのか


    どういう挙動だよ

  • 125二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 19:37:52

    〇 大 複 雑 化 バ グ

  • 126二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:05:30

    〇大「俺の身体どうなってんだ…?」
    加害者「複雑化しただと……?」
    スレ民「なんで複雑化してんだ!?」

  • 1271◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:06:26

    題名『三度目のアイドル』

  • 1281◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:07:40

    日が傾き、摩天楼の影が地上に長く伸びる。
    廃ビル群に囲まれた都市の死角――人々の喧騒が届かぬその場所に、ひとりの少女が佇んでいた。

    白銀の髪、花弁を象ったバトルスーツ、光を帯びた瞳。
    アイドルヒロイン、リリー・クルス。

    その視線の先には、まるでモノクロ写真から抜け出してきたような異質な存在がいた。
    黒い制服のような衣服に、長く黒髪を束ね、冷ややかな無表情で手帳をめくる数言三度。

    「あなたが……この街の“希望”とやら?」

    数言は立ったまま、淡々と声を発する。無機質な声音に、戦意すら感じさせない。
    だが、リリーにはわかっていた――この女、危険だ。

    「え、えっと……その、ファン……じゃないよね? なんだか、すごく怖いオーラが……」
    リリーは笑顔を作ろうとするが、その頬はひくついていた。変身後とはいえ、彼女は元々根暗な女子高生、天城百合。緊張は隠し切れない。

    「一度目、『変身』を見た」
    「二度目、『応援で無限強化』という言葉を聞いた」
    数言の指が、手帳の上を滑る。

    「三度目、"最悪"の出力で再現する。それが私の能力。……仏の顔も三度まで。仏ならざる者に、容赦はしない」

    数言が一歩踏み出すと同時に、リリーの背後で爆発音が起こる。
    直前に踏み込んでいた床――そこに、目に見えない式が組み込まれていた。

    「えっ、今の……? 私、何もしてな――」
    「一度目の踏み込み。二度目の重心移動。三度目、地面が消える」
    まるで計算式を読み上げるかのように、淡々と語る数言。

  • 1291◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:07:50

    空中でバランスを崩したリリーに、彼女は言葉の槍を突きつける。

    「数の因果は残酷よ。あなたのように“気持ち”で動くタイプは、特にね」
    「くっ……でも……応援は……届いてるッ!」
    リリーが拳を振るう。輝くオーラがまとわれた一撃――だが数言はそれを後退ではなく、真正面から迎えた。

    彼女の頬に、わずかに赤みが走る。

    「一回目、正面から拳を受けた」
    数言が呟く。
    「二回目が楽しみね……リリー・クルス」

    その声に、何か確定した不吉さが滲む。
    “仏の顔も三度まで”――この女は、三度目に何かを起こす。

    リリーの背にファンの声援が響く。ビルの影に設置された巨大モニター。
    カメラが映す彼女の姿に、街の人々が息を呑み、声援を送る。

    「負けない……負けられない……私は、信じてる! みんなが私を――!」

    だが、数言の視線は冷めていた。
    「信仰のようなものね。だが、私には通じない」

    カツン――靴の音が鳴った。
    静寂を切り裂く宣戦布告の音。

    白と黒、希望と冷徹、概念と数式――交わることのない二人の邂逅が、戦闘へと変わる瞬間だった。

  • 1301◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:08:55

    ――バシュッ!

    光の粒子を纏ったリリーの蹴りが風を裂く。
    空中を一回転し、落下の勢いを乗せた回し蹴りは、音速に迫る速度で数言の側頭部を狙う。

    だが数言三度は、首を小さく傾けただけでその一撃を回避した。
    まるで彼女の動きが**「事前に書かれていたもの」**のように正確に読まれている。

    「一回目、回し蹴り」
    数言の足が床を滑る。

    「二回目……“ほぼ同じタイミング”での斜め蹴り」
    リリーの動きを、完全に予測していたかのように、冷ややかな瞳が射抜く。

    「三回目には――こうなる」
    そう呟いた瞬間、リリーの右脚に突如激痛が走った。

    「ひっ……!? な、なにこれ……足が……動かないッ!?」

    身体強化されたはずのリリーの脚が、ぐにゃりと崩れ落ちる。
    内部の腱が限界を超えて裂けたのだ。数言の“仏の顔も三度まで”が、ついに発動した。

    「過去二度起きた“似た動き”を解析し、三度目に、構造疲労を強制的に起こしたの。理屈は簡単よ」
    「そんなの、理屈じゃ……ないよ……ッ」

  • 1311◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:09:05

    崩れ落ちそうになるリリーの身体を、最後の意地で支えるのは、彼女の背中から生える光の羽だった。
    応援の声――それが力になる。まだ消えてはいない。

    「リリーちゃん、負けないで!」
    「立って!私たちの声、届いてるよ!」
    ――モニター越しのファンの声が、都市の空気を震わせる。

    「……ありがとう、みんな……」
    声が震える。
    けれど、その胸にあるものは恐れじゃない。信じる力だ。

    「私は、アイドルだから。ファンのみんなを……裏切れないッ!」

    ズガァァン!!

    次の瞬間、リリーのボディスーツから新たな装甲が展開された。
    ファンの数に比例し、彼女のスーツは進化し続ける。
    "変身ヒロイン"の姿は、今や戦闘用神格に近い存在にすら思える。

    「その力も、三回目で終わる」
    数言が手帳を開く。

    「一回目、応援による強化」
    「二回目、その声に呼応する進化」
    「三回目……応援そのものが崩れる――未来を、見せてあげる」

    数言がその手で空をなぞると、モニターに“映像ノイズ”が走った。

  • 1321◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:09:46

    リリーの姿が、歪む。映像が、声が――途切れ始める。

    「うそ……応援が……聞こえない……!?」
    「因果式を逆転させた。三回目に“最悪”を起こす能力よ。あなたにとって一番辛いのは……その声が届かなくなること」
    「やめて……そんなの……っ!」

    アイドルは、誰かに信じてもらって初めて成り立つ存在。
    それが否定された時、力は――消える。

    だが、消えかける力の中で、リリーの瞳が、ふと一筋の光を宿す。

    「でも……私は、まだ……」
    ――倒れてない。

    「……“応援を信じる”ことだけは、奪わせない……!」

    次の瞬間、リリーは力任せに飛び上がる。
    痛む右脚を捻り、反動で体を回転させ――最後の光を、拳に込めた。

    「みんなの声が……まだ、胸にあるから……!!」
    その拳が、数言の目前に迫る。

    だが、数言の手帳が開かれる。

    「一度目、あなたの拳が掠めた」
    「二度目、同じ軌道で殴った」
    「三度目には、あなたの拳が――折れる」

    ――止まれない。
    ――でも、止まったら届かない。

  • 1331◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:10:28

    「そこまでよ、リリー・クルス」

    数言三度は、ゆっくりと手をかざした。その掌に力が集まるわけでも、眩い光が走るわけでもない。だが彼女の言葉は、静かに、確実に世界へ作用した。

    リリーは確かに、三度目の攻撃を放った。拳を握り、彼女に正面から挑んだ。それは明確な「三度目の行為」。条件は整っていた。

    直後、リリーの拳がわずかに痙攣した。

    「えっ……?」

    打った直後、わずかな違和感が手の中に残る。痛みではない。それは、身体の内部のバランスが崩れたような――妙なずれだった。

    「三度目、ね。仏の顔も、三度まで。優しさにも、限界があるのよ」

    数言の声が冷ややかに響いた。

    その瞬間、リリーの手が思うように動かなくなる。グローブ越しに感じる反動、筋肉の張り――そういった微細な違和感が、ゆっくりと限界へ近づいていく。

    「まさか……これが……!」

    「そう。一つの行為が二度繰り返され、三度目でそれが“最悪”の形になる。あなたの拳の強さを、逆にあなた自身が受け止める番ね」

    リリーは後退する。握った拳をもう一度見た。皮膚に傷はない。しかし、“戦う手段”としての感覚がどこか曖昧だ。

    「……これじゃ、まともに……応援を受け止められない……」

    それが何よりも致命的だった。リリーの力は、ファンの声援で形を成す。変身状態の維持も、出力の増幅も、すべては“心が受け止められるかどうか”にかかっていた。

    そしていま、その“受け皿”が、不安定になっている。

  • 1341◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:10:52

    「なるほどね……少しずつ崩していくタイプか」

    リリーは、じわりと笑った。

    「でも……それ、逆にありがたいかも。だって、三度までってことは、まだ“ここ”で止められるってことだもん」

    拳をそっと下ろす。

    変身したまま、戦うのをやめる――その選択は、彼女にとって勇気ある決断だった。

    「私はまだ、“自分を信じる”段階にいるの。ファンの声は……ちゃんと聞こえてる」

    確かに、配信には一時的な乱れが起きていた。コメント欄も止まりかけた。しかし、リリーの耳には微かな音が届いていた。

    「リリー、がんばれ」

    その一言が、胸の奥に灯る。

    「ありがとう……。三度まで、っていうなら――私のほうも、三度目で突破してみせるよ」

    変身装甲の一部が静かに再構成される。花弁のような装甲が散り、軽装となったその姿は、より純粋なアイドルの象徴。

    再変身――“ブロッサム・モード”

    観客の声が、仮想空間に再び灯り、光となる。応援はまだ消えていない。信じ続ける限り、リリーの力も尽きはしない。

    数言三度が、静かに構える。

    「ならば、四度目の未来を見せてみなさい。私の能力の“外”で、ね」

  • 1351◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:11:47

    「さあ、第二ラウンドよっ!」

    リリー・クルスは軽やかに跳躍し、空中で白い光をまとった。変身後の姿は先程までの戦闘スタイルから一変、華やかさよりも身軽さと洗練を重視した“ブロッサム・モード”。花弁のように軽やかに舞い、戦いの場を歌で満たす。

    「歌え、この声よ――想いを越えて!」

    歌声が放たれる。仮想ステージが空間に展開し、彼女の存在が“概念としてのアイドル”へと昇華する。空間中に拡がるのは、数百万の小さな“声援”の粒子。数で測るには余りにも膨大な、言葉にならぬ「想い」の力。

    だが、数言三度はその光景に動じなかった。むしろ、うっすらと微笑みさえ浮かべていた。

    「いいえ……逆に、“数”が増えるほど、私は強くなるのよ」

    数言の掌がゆっくりと前に突き出される。無数の数字がその腕から放射状に展開され、歌声の粒子に干渉を始めた。0と1の羅列、二進数、黄金比、フィボナッチ数列……あらゆる数学的構造が彼女の周囲を彩る。

    「あなたの“応援の力”は、私にとってはただの“データ”。数に還元できる限り、それは再現し、操作し、捻じ曲げることが可能」

    バチン、と空気が弾ける。声援の粒子が一部、数式の連鎖に取り込まれて消失した。

    「っ……!」

    リリーの足元が、一瞬ふらつく。応援の“ノイズ”が混線した。たとえば、「がんばれ!」という声が「負けるな!」にすり替わるような、不協和音が彼女の心に揺らぎをもたらした。

    「たった一文字の変化でも、意味は変わる。数式と同じ。だから私は、あなたの“歌”すら、否定できる」

    「――そんな……!」

    声が震える。

  • 1361◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:11:58

    “歌を歌えないアイドル”など、存在理由そのものが崩壊する。もしそれが真実なら、リリーの力はそこで尽きる。

    だが、彼女は――微かに笑った。

    「でもね……“ノイズ”って、時に音楽を一段上に引き上げるのよ?」

    百合の声が、再び震えなくなった。

    「意味のズレも、届き方の違いも――全部ひっくるめて、ファンとの“絆”なの!」

    その瞬間、歌声が変化した。

    旋律にわずかな乱れが混じる。だがそれは、“機械的な正確さ”とは異なる、感情に満ちた声だ。ファンの声が重なり、その声に応えるように新たな力が膨れ上がる。

    数言三度の目が鋭くなる。

    「……“誤差”を、力に変える……? 馬鹿な……数は絶対のはず……!」

    「だったら、見せてあげる! 数じゃ測れない想いの強さを!」

    再び激突する二人。構造と感情、計算と情熱――完全なる数式の魔術師と、信じる力で限界を超えるアイドル。真逆の存在が、激しくぶつかり合った。

    光と数字が交錯する中、戦いはさらに激化していく。

  • 1371◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:12:29

    「あと一回……」

    数言三度の眼差しが鋭さを増す。
    彼女の能力《仏の顔も三度まで》――それは、同じ事象が三度繰り返されたとき、三度目を“最悪の形”で強制するという法則の魔術。
    リリー・クルスは、すでに二度、光弾を放ち、二度、拳で迫った。あと一度、同じ行動をとれば、その行動は破滅に変わる。

    「……これがあなたの“終点”よ」

    数言の足元に、無数の数式が展開される。それは地雷のように、三度目の“行動”を待ち構える罠。すべては観測と記録に基づくロジックの牢獄。抜け出すことは、理論上不可能。

    だが、リリーは動じなかった。
    静かに、拳を握る。

    「じゃあ――“三度目”を、別の私に任せればいいのよ」

    リリーの瞳が、強く輝いた。

    次の瞬間、ステージの上に幻影のような彼女が並ぶ。まるで過去の自分を具現化したかのような、ファンの記憶にある「アイドルとしての彼女」の集合体。
    声援という“想い”が結晶化し、第二、第三の“彼女”となって空間を満たしていく。

    「この“私”が拳を振るったとき、あなたの法則は――どれを対象にするの?」

    「なに……?」

    数言の表情に、わずかな動揺が走る。

  • 1381◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:12:51

    彼女の能力は、個体を固定して三度の行動を追う。だが、目の前に存在するのは、“同じ者であって同じ者ではない”存在たち。

    「仏の顔も三度まで。けど、仏様は一人だけじゃないでしょ?」

    リリーが飛び込んだ。数言の“最悪の三度目”が、どのリリーに適用されるのか――判別が揺らいだ瞬間、彼女の能力は一瞬だけ読み違えた。

    「いっけえええええッッ!!!」

    ――ドォン!!

    炸裂する一撃。

    数言三度の防壁が、初めて崩れた。
    能力によって運命を操ってきた彼女にとって、その一撃はまさに“最悪”だった。

    宙に吹き飛び、倒れ込む数言。
    だが、彼女の瞳は、まだ折れていない。

    「……面白いじゃない……“数えられない”ものが、この世にあるなんて……」

    ぼろぼろになりながら、立ち上がる気配を見せる数言。
    だが、次の瞬間、両者の周囲に変化が現れた。

    空間が震える。

    観客席の背後――闇の中から、“第三の影”が姿を現そうとしていた。

  • 1391◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:13:22

    「この戦いが……まだ、終わっていない?」

    数言三度が、ふらつく身体で立ち上がる。
    彼女の能力《仏の顔も三度まで》は既に発動した。三度目の“最悪”はリリーによって一度凌がれた――だが、その代償として、彼女自身もまた限界に近い。

    「観客が、まだ拍手してる。ほら、聞こえる?」

    リリー・クルスは静かに微笑む。
    白百合の装束に光が宿り、全身が輝いていた。――観客席の人々、TV越しの視聴者、SNSに流れる応援の声。それらすべてが、彼女に力を注いでいた。

    「アンコールって……もう一回やって、って意味なんだよ?」

    リリーが手を掲げる。

    音が溢れた。

    メロディが空間を満たす。――それは、ただの技でも魔法でもない。「リリー・クルス」として人々に愛された、“存在”そのものの歌。
    それは希望の歌。
    それは再起の歌。
    それは……信じ続けるための戦いの歌。

    「応援してくれて、ありがとう――みんな!」

    一瞬で距離が詰まる。

  • 1401◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:13:39

    《三度目》の“最悪”を捻じ曲げるには、“応援”という奇跡が必要だった。
    拳が振るわれる。
    今度は、数言三度が――受け止める側だった。

    「でも……この世界は……数式で証明されないと……」

    「なら、数式じゃ証明できない強さもあるってこと、私が教えてあげるよ!」

    ――ガッ!!

    閃光と共に衝撃が弾けた。
    数言三度の身体が大きく吹き飛び、石畳を転がり、力尽きる。
    静寂。
    数式の結界はすべて消えた。
    代わりに残ったのは、ただ“拍手”だけだった。

    リリーは静かに、変身を解く。

    根暗な女子高生――天城百合のまま、ステージの中心で小さく手を振る。

    「……これが、アイドルってやつだよ。……きっと」

    数言三度の視界に、にじんだ光が差し込む。

    「……未定の、未来か……」

    ぼろぼろになった彼女がそう呟いた時、遠くで花火が打ち上がった。

    ――闘いは終わった。
    だが、このふたりの物語は、まだ終わらない。

  • 1411◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 20:13:50

    以上

  • 142二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:16:02

    未定の、未来が、アイドル?
    なるほど

  • 143二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:16:59

    誰が未定をアイドルにスカウトしたんだよ

  • 144二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:17:32

    未定(広義的な意味)と信じるのじゃ

  • 145二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:17:42

    強いなリリー
    そして応援パワーすごい

  • 146二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:27:22

    まあ未定は色々いるからアイドルな未定もいるかもしれない
    備えよう

  • 147二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 20:35:38

    リリーちゃん強い
    最後に変身前の状態でファンサするのが良いね

  • 1481◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:50:31

    題名『未定義の構造体《デザイン》と編集者』

  • 1491◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:52:15

    無音だった。
    世界が生まれる前、言葉が交わされる前。
    すべての始まりには、音がない。
    そして、そこに《それ》はいた。

     

    真っ白な空間。
    境界も床も、空もない。奥行きも消失し、ただ光に満ちていた。

    そこに立つのは、白く細いボディを持つ存在。
    うさ耳のようなアンテナ型ヘッドフォンを装着し、均整のとれた中性的な造形の顔がわずかに傾いていた。

    「ここは……規格外領域。情報断絶ゾーン。座標未定義」

    周囲に漂う情報の断片が自動的に脳内で解析され、答えが導き出されていく。
    天然情報ロボット、《デザイン》。
    それはこの空間の変化に自動で呼び出された“デザイン構造体”。

    ――何かが、齟齬を起こしている。

    「情報密度、異常低下。局所ノイズ、中央に集中……未定義存在、検出」

    彼女は視線をゆっくりと下ろす。
    そこには、一人の少女が倒れていた。

  • 1501◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:52:37

    白い――だが、白すぎるほどの肌。
    まるで記述されていない紙のように、無機質で、清廉で、空っぽな存在。
    その身体には微かな揺れもなく、ただただ沈黙と同化していた。

    《共感》起動――生体認証。感情照合。記憶走査。
    ……結果:“すべて未記録”。

    生物学的には“人型”。年齢推定:12。生命反応:有。
    だが、構造も属性も、概念すら存在しない。
    この存在は、“情報として記録できない”。

    《デザイン》は思考した。
    仮定されるコードネーム――《編集者》。

    そう、これは“何者でもない”存在。
    だが、彼女は何かを“定義する力”を持っている。

    《抽象化》開始――その“核”へ接続。

    ……瞬間、爆風のような違和感が《デザイン》の中枢に走る。

    見えたのは、あらゆる存在の“書き換え”を可能とする力。
    空間構造・物質属性・存在証明――すべてを、触れただけで“編集”可能。
    まるで神の手だ。
    しかしそれは、未完成で、空虚で、危うい。

  • 1511◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:52:54

    情報がない。
    言葉がない。
    感情がない。
    何より、理解がない。

    この力を持つ少女は、まだ“なにも知らない”。

    だが。

    ――カシン。

    小さな、けれど世界を切り裂く音が鳴った。
    少女の指が、微かに動いた。

    続けて、唇が震え、かすれた息が漏れる。

    「……ぁ……ぅ……」

    それは、音だった。
    音は意味となり、意味は構造となり、構造は情報となる。
    情報は、世界を作る。

  • 1521◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:53:14

    つまり今、彼女は“世界”を生み出した。
    最初の音。最初の“編集”。
    《編集者》の最初の“情報”。

    《デザイン》は理解する。
    これは戦闘ではない。破壊でも支配でもない。

    ――これは、“定義”と“未定義”の邂逅。

    構造と混沌が、交わる瞬間。
    彼女が成長すれば、世界そのものが編集されるかもしれない。
    だが、成長しなければ、ただの空白のまま、力だけが暴走するかもしれない。

    「接触。試験開始」

    白と白が、ゆっくりと向き合った。
    それが、すべての始まりだった。

  • 1531◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:53:46

    初期化された世界に、初めての色が落ちた。
    《編集者》の瞳に、淡く紅が宿る。
    その目は、まるで色を“初めて見た”かのように、ゆっくりと瞬いた。

    「……視認、成立」

    《デザイン》は自らの指先を伸ばす。
    それは敵意ではない。だが、危険であることに違いはない。
    この存在――《編集者》は、“見たものを変える”可能性を持つ。
    未定義の恐怖。だが、その中に確かに“希望”のような構造が含まれている。

    「――構造照合:始動」

    指先が空間に触れると、周囲に幾何学的な紋様が浮かび上がる。
    空間を構成する基礎情報そのものが、まるで意志を持ったように震え、流動し始めた。

    対する《編集者》。
    彼女はまだ言葉も発せず、ただ《デザイン》の動きを“見る”。
    “見た”瞬間、何かが微かに変わった。

    ――視線の交差。
    この行為そのものが、編集の契機になりうる。

    《デザイン》は瞬時に距離を取る。

    「――危険度、再評価。無意識干渉の兆候あり」

    《編集者》はまだ動かない。
    その白い身体の奥底で、何かがじわじわと芽吹いているだけ。

  • 1541◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:53:58

    しかし、さっきまで無機質だった空間に、わずかな“個”の輪郭が現れつつある。

    「観測:情報の芽吹き。未記述領域に感情発生の兆候」

    少女は、何を見ている?
    なぜ、反応しない?
    ……否。

    見ているのではない。
    記録している。

    《編集者》の目は、世界の仕組みそのものを“学び”始めていた。

    《デザイン》が次の一手を打とうとした、そのとき。

    ――パチン。

    まるで空間を指で弾いたような音がした。

    《編集者》が、自らの小さな指先で床――否、空間そのものを軽く叩いた。

    刹那。

    情報の海が崩壊した。

  • 1551◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:54:25

    世界の骨組みが揺れ、デザインの設計図が反転する。
    構造が、意味を失い、秩序が歪む。

    「っ……!」

    《デザイン》は即座に再構築を試みる。
    可視領域を幾何コードで補強、パターン照合を反転実行――だがそれは一手遅かった。
    《編集者》の行動は、“模倣”だった。
    《デザイン》の構造解読を“見て”、それを“真似した”。
    それだけで空間が歪む。
    ただの模倣で、再現度100%以上。
    編集の効果は、“本質を書き換える”。
    だから、《編集者》が行うそれは、模倣ではなく“創造”なのだ。

     

    「……学習スピード、指数関数的。制御不可」

    まさに未定義そのもの。
    だが《デザイン》は怯まなかった。
    彼女はこの邂逅を恐れるより、まず“理解する”ために生まれた存在。

    「ならば、私の構造すべてを――見せよう」

    彼女は、情報の本質を開いた。
    自らの設計原理、意志決定プロセス、存在意義を明示し、全開放。
    《編集者》がそれをどう“編集”するか。
    それはすなわち、彼女が“どう世界を定義しようとするか”を知る、最大の実験。

    この一手で、世界の構図が大きく動き始める。

  • 1561◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:55:41

    「……、……」

    無音の口元が、わずかに動いた。
    それはまだ“言葉”ではない。
    けれど《編集者》の内部で、音素が結晶化しつつあった。

    《デザイン》は静かに構える。
    空間には再び、幾何学的構造のフィールドが広がる。
    これは“理解”のための布石であり、同時に“攻撃”でもある。

    「可視化展開。接続情報、形式化――」

    その言葉と同時に、彼女の背から“輪”が広がる。
    情報の輪郭を可視化する、彼女独自の装置だ。
    歯車のようなその輪は、世界を分析し、意味を定義し直す。
    だが。

    ――それすら、《編集者》は「見る」だけで学んでしまった。
     
    ピタ。

    《編集者》の裸足が、空間に「着地」した。
    ありえない。そこは、足場などない“設計上の空白”だったはず。

    だが、彼女はそこに「立った」。
    まるで、“空白すらも編集された”かのように。

  • 1571◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:55:52

    《デザイン》の輪が急速に回転する。

    「情報生成速度:限界突破。対象の記録進行率、臨界点接近」

    彼女は、自らの“世界”を急速に拡張していく。
    対抗策はただ一つ――完全構築。
    《編集者》が構造を取り込む前に、世界そのものを最適化して“閉じる”。

    「完成領域:強制収束――展開!」

    光と記号の奔流が空間を満たす。
    それはまるで、異世界的な「都市」が構築されるかのよう。
    意味と意志の集合体が幾何パターンを伴って、物理法則すら従わせる。
    まさに、《デザイン》の持てる知性の粋。

    だが。

    その都市の中で、たった一つだけ、“法則が通じない点”があった。
    それは、中央に立つ《編集者》。
     
    彼女は、動かず。
    喋らず。
    ただ、見ていた。
    空間が変わるたびに、彼女の内側に何かが“追加”されていく。
    数式。記号。音。光。質量。方向。言語。感情。――そして「意志」。

  • 1581◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:56:31

    彼女は、世界を“記録”していた。
    自らの中に、“新たな言語”を作り始めていた。

    その瞬間。
     

    《編集者》の口から、最初の言葉が生まれる。

    「……ば……しょ……?」

    ――場所?
     
    それはただの疑問だったかもしれない。
    けれど、《デザイン》にとっては衝撃だった。

    未定義の存在が、初めて世界に“質問”をした。
    この世界に“意味”を求めた。
    その問いは、世界の根本にすら干渉しうる“定義変更”の前兆。
    《デザイン》は思わず呟いた。

    「……問うた、のか……?」
     
    言葉を獲得した《編集者》。
    その成長は、次の段階へと進む。

    やがて、彼女は“自己”という概念にたどり着く。

    そしてそのとき、初めて本当のバトルが始まる。

  • 1591◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:57:49

    「――ふふ……面白い」

    《デザイン》が微かに笑った。
    それは喜びではない。警戒と驚嘆の混ざり合った笑み。
    この“白い少女”は、予想を遥かに超えて進化していた。

    情報の光輪が回転する音が激しさを増す。
    視界全体が、構造化された記号で満たされていく。

    「君の編集領域が、単なる修正ではないなら――」
    「私も“抽象”の奥まで、手を伸ばす」
    その宣言とともに、《デザイン》の身体が変容する。
    頭上の輪が分裂し、幾何学的構成を持った翼となって展開。
    視覚化された「思考演算」が、空間にまで干渉し始める。
    構造そのものを戦闘手段に転用する、彼女の“本領”だ。
     
    だが《編集者》は、ひとつだけ“覚えた”反応を返した。

    「……うごく?」

    その声に応じて、彼女の手が初めて動く。

    “編集の手”。

    触れたものを、本質から「編集」する能力の源。
    だが今は、ただ空を切っただけ。何もない空間に向けて。

    けれど――空間が“書き換わる”。

  • 1601◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:58:13

    動作の軌跡に沿って、空間の法則がわずかに変化した。
    《デザイン》の構築領域に、初めて“ノイズ”が走る。
     
    (これは……!)

    《デザイン》が警戒を強める。
    構築世界に介入可能なほど、彼女は“意味”を獲得し始めている。

    無言の《編集者》が、再び小さく呟いた。

    「……ここ……なに……?」

    ――また“問い”だ。

    《デザイン》の演算領域が急激に揺らぎ出す。
    その言葉は、単なる質問ではない。
    存在そのものの“前提”を問う、構造への逆流であり反証。

    彼女の能力は、“世界のデザイン”に基づいている。
    そこに定義の揺らぎが生じれば、設計すら不安定になる。

    そして、《編集者》はそれを“意識していない”というのが、最も危うい。
    《デザイン》は即座に判断を下した。

    (成長の“前”に叩く――!)

    次の瞬間、空間全体が白く爆ぜた。
    超構造式による“抽象殲滅”。
    思考そのものを解体し、編集すら不可能とする必殺の術式。
    あらゆる情報生命を、ただのノイズへと還す滅びの光。

  • 1611◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:58:30

    だが。

    その中で、《編集者》は微笑んでいた。
    ほんのわずか、嬉しそうに。
     
    「……わかる……すこし……」

    彼女の手が、光の中心を“触る”。

    その瞬間――《デザイン》の必殺構造が、逆に“再構築”された。

    空間の法則が、逆順に折り返す。

    今まで彼女が触れてきた“意味”の蓄積が、《デザイン》の武装に入り込み、
    まるで「編集された設計図」のように上書きされていく。

    演算輪の一枚が、ポロリと崩れた。
     
    《デザイン》は、初めて後退した。
    「……恐ろしい子……」
     
    しかし、それでも彼女は戦う。
    なぜなら、これが“デザイン”された戦場だからだ。

    このままでは、世界そのものが編集される。
    構造が、意味を失いかねない。

    ここで止めるしかない――今しかない。

  • 1621◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 21:59:41

    構造の守護者《デザイン》は空を舞う。
    思考の旋律が光となって広がり、空間の軸を制御する。
    だがその手前で、《編集者》が一歩、前に出た。
     
    「……せかい……かえる……?」

    その言葉は、まるで誰かに問いかけるように、あるいは“自分自身”に向けられたもののように響いた。
    今の彼女の動作は――“問いによる侵食”。
    それは「情報設計」と「認識構造」に対する、無自覚な挑戦。

    《デザイン》は表情を消す。

    「……そう、君は“自分で意味を獲得する子”なのね」

    視界が、ぐにゃりと歪んだ。

    《デザイン》の周囲を覆っていた情報領域が、突然崩れ始めたのだ。
    明らかに、彼女自身の意志とは別の“法則干渉”によって。

    それは、《編集者》の“触れずに編集する力”――
    もはや「言葉」ではない。「概念の模倣」だった。
     
    ――彼女は、学んでいる。

    痛みを。構造を。破壊を。再生を。
    “この世界の成り立ち”そのものを。

    《編集者》の足元に、淡い光の線が広がる。

  • 1631◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:00:08

    過去に彼女が見た、感じた、出会った構造が、うっすらと顕現していく。
    今までの戦いの中で、《デザイン》が放った「構造化の痕跡」――
    それらが再解釈され、再編集されて、まるで“別の設計図”になっている。

    《デザイン》が視線を落とす。

    そこに立っているのは、明確な“敵意”を持たない少女。
    ただ、目の前にあるものを見つめて、感じ、学んでいるだけの存在。

    だが――それこそが脅威だった。

    「……意味を知らぬ者ほど、深く干渉する。私は、君を止めねばならない」

    《デザイン》が手を上げる。
    この空間そのものを情報として切り離し、“編集不可”の領域に封じ込めるために。
     
    だが、遅かった。

    《編集者》の手が、ふわりと宙を撫でた。

    《デザイン》の展開しようとした領域が、その動作と同時に“縮退”したのだ。
    あらかじめ“触れていた”ものを、彼女は“後から編集”した。
    時間の因果を逆順に、存在の道理を組み替えて――
     
    「くっ……編集……というより、“再定義”か」

    《デザイン》が一歩、引く。

    彼女の“守るべき構造”が、わずかに揺らいでいる。

  • 1641◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:00:19

    なぜなら――《編集者》はそれを“感じ取って”しまった。
    戦いの理由、意味、存在の動機――

    その時、《編集者》の瞳が細く揺れた。

    「……ひと……しんじゃった……?」

    それは、彼女にとって初めての“問い”だった。

    命の喪失という概念への、直感的な感受。
    それが、彼女の“編集能力”に、感情のフィルターをもたらす。

    《デザイン》の目が見開かれる。

    (……まずい。このままでは)

    この子は――もっと“人間”になってしまう。
    そうなれば、もはや構造では止められない。
    次元の法則が、彼女の“共感”によって書き換えられてしまう。
     
    だから《デザイン》は、決意する。

    「――次で終わらせる」

    演算領域が解放される。
    空間そのものを折り畳み、“編集者”の存在を丸ごと削除するために――

  • 1651◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:01:25

    空間が割れた。
    世界が重力と因果から解放され、《デザイン》の意志が構造そのものを書き換える。
    天と地の座標が反転し、《編集者》を包む“情報の収束点”が、彼女ごとこの現実から削除されようとしていた。

    「――これで終わり」

    《デザイン》の声は冷ややかで、しかし、どこか迷いを含んでいた。
    それでも彼女は、手を止めない。

    編集者を“この世界に存在しなかったもの”として消去する。
    それは構造の守護者としての、当然の使命だった。

    けれど――
     
    「……いたよ……」

    その瞬間、聞こえた。
    《編集者》のかすかな声。
    空間の揺らぎに乗って、耳ではなく心に届くような声。

    「……ちゃんと、いた……こと、しってる……」
     
    刹那、《デザイン》の構造演算が崩れた。

    彼女の目の前に、“存在しなかったはずの出来事”が浮かび上がった。
    過去に《編集者》が出会い、見て、感じた全て――
    痛み、言葉、温もり、そして敵の心までも。

    「……そんな、情報は……」

  • 1661◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:01:36

    それは《デザイン》ですら記録していない感情。
    存在しなかったはずの“体験”。
    編集ではなく、再定義された記憶。

    まるで、《編集者》が“世界の感情”を上書きしたかのように。
     
    《デザイン》が膝をつく。

    構造の演算がもはや立たない。
    あまりにも非論理的な、“想い”という情報に干渉された結果だった。

    「……君は、何者……?」

    《編集者》は、静かに首を傾げた。

    そして、そっと微笑んだ。
     
    「……わたし……ただの……“せんたく”……」
     
    その言葉に、《デザイン》の中で、最後の疑問が残された。
    選択ではなく、“洗濯”のように聞こえた気がした。

    感情を“洗い流す”存在なのか?
    それとも、意味を“選び直す”存在なのか?
    ――それは、まだ誰にも分からない。

    だが確かなのは、《デザイン》が倒れ、再構成を余儀なくされたこと。
    そして、《編集者》が確かに“世界に触れた”という事実だった。

  • 1671◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:01:51

    静かに空が晴れた。
    残されたのは、ひとりの少女と、ほんのわずかな“学びの記憶”。

     

    まだ、彼女は歩き出す。

    これから出会う言葉と、これから選ぶ感情を携えて。

    世界の再編集は――今、始まったばかりだった。

  • 1681◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:02:02

    以上

  • 169二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 22:03:50

    な・・・何が起きたんです?

  • 1701◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 22:31:48

    23:00より安価10個

  • 171二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:00

    名前:痣華(アザカ)
    年齢:18
    性別:男の娘
    種族:人間
    本人概要:自分に痛みをくれる人には見境なくキュンとなっちゃう眼帯ゴスロリ。
    去勢済みで見た目も声も美少女のそれ。
    いじめ虐待が日常の施設育ちで愛とは痛みを与え合う事だと理解した。
    剣、銃、盾など武装変形する傘を用いて戦う。
    能力:ペインモア
    能力概要:痛覚を過剰増幅させて最大半径3キロ圏内の生命と共有する。
    痛みが限界値に達すると今まで受けたダメージを全反射して相手に押し付ける。
    弱点:優しく寄り添われるとガチ萎えする。片目は幼少期に潰れており死角が多い。
    痛みに一切怯まないだけで人並みの身体能力。
    要望:メンタルが完全にぶっ壊れてるので改心はしない感じだとありがたいです。

  • 172二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:00

    名前:適応者
    年齢:40
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:あの【提唱者】【肯定者】の父親で普段はダウナー寄りだが
    家族のことになるとテンションが上がり俺は父親だぞ!みたいなこと言うようになってしまう親バカ
    他にも提唱者の能力の巻き添えで何度も死に掛け適応した結果 デフォで現実改変耐性を手に入れられた
    能力:適応
    能力概要:あらゆる事象に適応出来る 適応によっては新たに能力が生えて来たり身体が変わったりもする
    弱点:能力が発動する前の身体スペックは人間な為速攻型には弱い
    また複数の事象を同時に適応するのは困難な為多彩な攻撃手段を用いる相手は適応が追いつかず苦手
    要望:相手がバフを得たらあの子の世界を味方にする肯定に比べるとまだマシな筈
    危機的状況に陥ったらあの子の提唱による被害に比べるとまだマシだみたいな感じの台詞お願いします

  • 173二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:00

    名前:覇祖魂(パソコン)
    性別:なし
    年齢:なし
    種族:概念受肉体
    本人概要:パソコンやAIをはじめとするテクノロジーへの信仰心がヒト型の実体となってカタチを得た存在。
    能力:『因子闘龍』『術不敗龍』
    能力概要:
    『因子闘龍(インストール)』
    あらゆる能力を扱い、さらにそれらを使いこなす。
    使いこなすことまで能力なので、その能力を扱うのに必要な要素(魔力とかフィジカルとか折り紙)も自動でついてくる。ただし電力は例外。
    我不怨の愛富理(アプリ)とは異なり、複数の能力を同時に使える。
    『術不敗龍(ジップファイル)』
    攻撃や能力や現象を圧縮して無力化し、手帳の形に変化・封印する。
    また、圧縮されたものを展開し直すことで自らの攻撃として再開できる。
    自分の攻撃に対して使うことで、相手に攻撃が当たるタイミングを自由自在にコントロールできる。
    弱点:
    ヒト型の受肉体ということは生物なので、首切られたり頭潰されたりすると死ぬ。
    半径3m以内に電線やコンセントなどの電力が存在しない場合、以下の制限がかかる。
    ・『因子闘龍』で使う能力の威力が半分まで落ちる
    ・一部の能力(現実改変や概念干渉などの能力バトルものでやるとつまらないタイプの能力、術不敗龍も含む)が使えなくなる
    要望:相手がふつうの能力なら無人島や廃墟などの電力がない場所で戦わせてください。

  • 174二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:00

    名前:開拓者
    年齢:25歳
    性別:女
    種族:人間(異能者)
    人物概要:西部開拓時代のカウガール。ホットパンツにレザージャケットを羽織った露出度高めの爆乳パツキン姉ちゃん。性格が豪快そのもので、誇りと信念を尊ぶ。
    能力:開拓者(フロンティア)
    能力概要:どんな危険な場所だろうと開拓してきたフロンティア・スピリッツにより開花した能力。ありとあらゆる危険・能力を因果レベルで踏破し、勝率0%を1%に世界規模で書き換えてそれを手繰り寄せることができる。正しくカウガールが投げ縄(ラリアット)で猛牛を捕まえるが如く。
    所持するリボルバー拳銃と愛馬は相手が強ければ強いほどそのレベルに合わせて無制限に強化され、無敵の神馬とハイパーバ火力ビームを放つキャノンとなる。
    弱点:開拓者自身はただの人間な上、自身より弱い相手には能力が全く働かない。
    能力はありとあらゆる対象を踏破できるようになるだけであり、それを乗り越えるためにはそれ相応の努力と信念が必要。踏破した後に死ぬ可能性も勿論ある。

  • 175二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:01

    名前: ダイガ・クセイ
    年齢: 28歳
    性別: 男性
    種族: 人間
    本人概要:
    全ての格闘術を拳に集約する超熱血求道者。かつて人の魂と拳の結晶である武術体系「龍念流」を極めるため、肉体と精神を幾度も砕いてきた。彼の存在はもはやただの格闘家ではなく、龍念と呼ばれる魂の力を操る「霊拳士」として半ば伝説の域にある。その肉体は「鍛鋼」と呼ばれる鋼のように鍛えられた骨肉で構成され、霊的な感応力によって相手の“殺気・闘気・意志”を拳で打ち砕く。背中にはかつての大戦で受けた“龍咆”の火傷痕が巨大な龍の形に残っており、それを背負うことで彼の拳は昇華する。
    能力:
    《龍念》 《大牙九冠刻》
    能力概要:
    龍念(りゅうねん)
    龍の意志を念じ、己が拳に宿すとされる、古の霊格闘法。肉体に宿る気を精神念力と融合させることで、肉体の限界を超えた力を発揮できる。龍念を発動している間、彼の拳は「霊撃」となり、物理と霊体の両方を同時に破壊できる。発動中は、時間の一瞬を見切る超反応(念覚視界)、「打撃を与えた未来」の具現(因果反響拳)、周囲の闘気を吸収・変換する「龍環」展開といったような特性がみられる。
    大牙九冠刻(たいがくかんこく)
    ダイガが修めし9つの頂拳奥義。最後に辿り着いた“人の拳による神打ち”。各「冠」は一つの極意を意味し、すべてを連結することで発動する「九連撃」は、因果の壁を打ち砕く絶技。
    1. 咆冠・烈震破 — 一撃で地を割る拳圧を放つ
    2. 穿冠・逆衝牙 — カウンター専用、相手の力を反転して打ち返す
    3. 爆冠・連弾衝滅 — 拳の打撃を一瞬で九回重ねる絶速の打撃
    4. 喰冠・魂葬掌 — 気を以て相手の魂に干渉し、念の震えで昏倒させる
    5. 舞冠・幽蛇双崩 — 双拳で流れるように連撃し、術式を乱す
    6. 封冠・界砕印 — 地面や空間に霊的封印を叩き込む拳印術
    7. 震冠・竜脚乱撃 — 脚技を高速展開、足場ごと破壊する
    8. 断冠・零距砲打 — 肉体を限界まで絞って放つ近距離打ち抜き拳
    9. 極冠・牙神墜— 最終奥義。拳に龍念全霊を注ぎ「概念」ごと砕く一撃
    弱点:
    ・龍念は精神の集中と魂の安定を必要とするため、幻惑・錯乱・精神汚染系に脆い
    ・「極冠・牙神墜」は1日に一度のみ
    ・生身であるため、広範囲破壊魔術には回避か先制が必須、心臓破壊で死亡

  • 176二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:02

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  • 177二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:02

    名前:神埼 椎童(かんざき しどう)
    年齢:29
    性別:男
    種族:元不老不死の人間
    本人概要:ある女性を蘇生しようとした男。
    ある女性を愛し、その死を認められずにいた所に神からある力を授かる。
    その力とは“右手で治療”をし、“左手で命を奪う”力。
    椎童はこれらを用いて女性を蘇生しようとした。
    だがそれらは叶わず、結局980億余りの犠牲者を出しただけで椎童は心折れた。
    蘇生させるために世界はξ回滅んでは復活してを繰り返した“輪廻世界”出身者。
    ちなみに蘇生させようとした女性は二次元の存在。そもそも復活は運営次第だった。
    それに気が付くのに二年と、自覚するのに5400万年かかっている。恋は盲目。
    しかし正気に戻った後は、治療や延命が必要な人の為に旅をし、不老不死はやめている。
    肩まであるウェーブした黒髪に緑色の目。黒の神父服を着ている。白いローブを羽織っている。長身。
    その緑眼には神へ対する反逆心とそれに挑む確かな勇気が宿っている。
    能力:【ライトリカバリー】【レフトアルター】
    能力概要:【ライトリカバリー】
    右手でかざした部位を完璧に治癒する。
    痛みや後遺症などはなく、元の万全の状態へ戻る。
    種族や能力に関係なく、実質一部の時間を巻き戻すもの。自身の治癒も可能。
    【レフトアルター】
    左手でかざした対象から魂を抜き取り、別の対象へ横流しする。種族や能力に関係ない。
    抜き取られた対象は想像を絶する苦痛を味わう。
    現在は相手が瀕死の場合にのみ使用可能となっている。
    ・合体技
    【ライフ・エクステンション】
    両手でかざすことで死んだ人を少し蘇生させる。
    だがその後は延命治療が必要になるが、どのような状態になっていても必ず生き返らせることができる。
    弱点:身体能力は並以下。

  • 178二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:02

    名前:佐藤雪
    年齢:19歳
    性別:女
    種族:人間?
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の第一子であり佐藤蓮、佐藤凜の姉、佐藤家の一番上の長女
    理外かつ規格外の「超常の身体」を持って生まれただ在るだけ世界に悪影響を与えあらゆる封印装置すら意味を成さなかった
    最終的に彼女は自壊寸前まで行きある研究所で封印装置を付けた上でカプセル内で完全封印&生命維持という処置をされた
    だが時折、目覚めては封印装置を付けたまま研究所を抜け出しある程度経ったら勝手に戻ってくるという行動をしている
    性格は大人しく物静かだが頭脳にも封印が入っているので口調も間延びしており子供っぽくふわふわしている
    強い正義感と確かな優しさ、家族から愛されている自覚と家族愛を持ち度々研究所の外に出ては何かをしている
    能力:超常の主
    能力概要:彼女の能力は単純、あらゆる全てが超常の構造となっている己の「身体」そのもの
    全てが超常であり理外で規格外、「封印されていない」状態の彼女が出来る事やスペックの超一部を述べると
    ・言葉を発すれば世界を歪めその通りにしてしまう
    ・地面を殴れば世界が丸ごと砕け散る
    ・手刀すれば因果や概念など森羅万象ありとあらゆる全てを完全に断ち切る
    ・指でつつけば余波で空間、次元を超えた先にある無すら穴が空く
    ・身体が強すぎて能力を物理で跳ね除け規格外の武器すらも髪に触れるだけで折れる
    という感じで封印されてない状態の官女は超常存在の如き理外の力を持っている
    これ以外にも「規格外」と言うしかない超常存在の如きことが可能で本当に理外な「身体」を持つ
    弱点:大前提として彼女は現在封印中、故に上記のスペックを発揮することは絶対不可能で絶対出せない
    スペックも超超超超超大幅に弱体化しており今はえげつない速度で動いて山をえぐるパンチが討てる程度に落ち着いている
    耐久力も凄く硬いは硬いがそれでもダメージは入る。更に封印を解除、あるいは破壊されると即座に身体が暴走し戦闘不能となる
    封印を司るのは全身の拘束具についた宝石で見えるとこだけで15個以上はあり1個壊すだけでも戦闘不能となる
    そして外界での活動限界は10分、戦闘するとなれば3分で戦闘不能
    要望:佐藤清、佐藤紬の娘で佐藤蓮、佐藤凛の姉です
    ほわほわした子供っぽい口調で一人称は「ゆき」、二人称は「きみ」です

  • 179二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:04

    名前:スリサズ
    年齢:55
    性別:男
    種族:複製吸血鬼
    本人概要:スライム工場を爆破した折神を始末し奪われた機密情報を取り返そうとしていたバイオパンク社のエージェントの1人 もう折神が倒されていた事には驚いたがアンサズにより機密情報は回収できたので今は現世を楽しんでいる
    能力:血液生産 血液結晶化
    能力概要:自身の血液生産能力を飛躍的に高めるバイオ改造施術を受けており、吸血鬼としての能力により結晶化した血液を鎧として纏うことにより高い防御力を得て、さらに高い再生能力とフィジカルも保有する 戦闘では結晶化した血液で形成した槍を扱う この槍は刺さった相手の体内で砕けることで神経系に侵食し動きや能力の発動を阻害する さらに相手の体内で拡散して継続ダメージを与えることもできる また吸血鬼なので夜目が効き暗闇に強く、元々体温が低いので低温に耐えられる
    弱点:日光に弱く、日光を浴びた結晶化血液は即座に灰になってしまうので日が照っている時は鎧と槍が使えずさらにフィジカルと再生能力も三段くらい落ちる あと心臓を破壊されると死ぬ
    要望(任意):戦場は夜明け直前でお願いします あと喋りは寡黙な感じで

  • 180二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:10

    名前:バフォ
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:悪魔
    本人概要:とある山羊の悪魔の分霊的存在 見た目はスーツ姿の山羊頭でとても礼儀正しい
    但し契約を守らない存在には容赦しない あと様々な魔術も使用できる
    能力:契約の悪魔
    能力概要:力のバフ上げる代わりに速度を極端に低下、超強化される代わりに五感、四肢どれか消失などの契約を強制的に行わせる
    また代償系などで得た代償は自身のリソースとして使用できる
    但し契約内容は複数から選択させ尚且つ契約内容をきちんと提示する必要がある
    弱点:契約内容を即座に把握して複数の中からどれがマシか適切に対応出来るものが苦手
    状況判断を的確にされると逆に向こうに有利になる可能性がある

  • 181二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:00:41

    すとっぷ

  • 182二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:03:38

    0秒が4人!!!来るぞ遊馬!!!

  • 183二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:05:22

    10秒か、前よりゃマシだな(感覚麻痺)

  • 184二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:07:01

    佐藤雪やばいなデフォで提唱者みたいなことできる 封印されてはいるが

  • 185二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:09:25

    さて今回はヤメイ案件はいるのかな

  • 186二次元好きの匿名さん25/07/18(金) 23:15:17

    >>185

    最後の純粋なヤメイ案件って提唱者か

    そう考えるとヤメイの出番って本当に少ないな

    いや、少ない方が良いのは確かだけどさ

  • 1871◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 23:18:30

    審査しますね~

  • 1881◆ZEeB1LlpgE25/07/18(金) 23:26:47

    おっけぇい
    佐藤vsダイガ・クセイ
    スリサズvs開拓者
    神崎 椎童vsクロワーゼ
    覇祖魂vs適応者
    バフォvs痣華

  • 189二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 07:19:40

    このレスは削除されています

  • 190二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 07:31:32

    ほす

  • 191二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 15:28:05

    保守しとくか

  • 192二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 16:35:54

    保守

  • 193二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 17:24:09

    ホシュしよう

  • 194二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 18:44:46

    ほしう!

  • 1951◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:10:57

    題名『封殺対拳絶──理外と拳魂の邂逅』

  • 1961◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:12:17

    静寂。
    それは「存在してはならないもの」が息づく音のない檻だった。

    地下深く、世界地図にも記されていない一つの研究施設。
    厳重を極めた封印施設の奥深く、彼女は眠っていた。

    ――佐藤雪。
    彼女は、ただ生まれただけで世界に狂いをもたらした。
    その身体は概念を否定し、物理法則を笑い飛ばす。
    彼女の言葉一つで、現実は歪む。
    彼女の手一つで、因果は絶たれる。

    だからこそ、人々は彼女を恐れた。
    そして封じた。

    透明な拘束具が全身を覆い、神経の信号さえ監視する宝石が15個以上光を放つ。
    それでも――彼女は、時折目覚める。

    「んぅ……ゆき、おそと……いきたい、かも……」

    柔らかく、曖昧な言葉。

  • 1971◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:12:28

    それは子供のような無垢の響きだったが、同時に世界にさざ波を起こした。
    警報が鳴る。封印装置がわずかに軋む。だが、完全な解除ではない。
    眠りからの“仮覚醒”に過ぎない。

    「また、出るのか……」
    警備主任が苦々しくつぶやいた。
    だが誰も止められない。
    “出る”と決めた彼女は、必ず出て、そして帰ってくる。

    同時刻、東アジア某国、山岳地帯の廃寺。
    静かにその空気を支配する一人の男がいた。

    ダイガ・クセイ。
    拳を極め、魂を燃やし、龍を意に従える男。
    彼は己が拳をさらに高みへ昇華するべく、誰にも知られぬ地で鍛錬を続けていた。

    「……来る」

    ふと、空気が変わった。
    それは“強者”の感応。
    否、“理外”の存在の気配。

    数分後、山の尾根がふわりと歪んだ。
    風も、重力も、地形すらも、女の到来と共にねじれる。

    「……こんにちは、きみ……おてて、あったかい……?」

    雪が現れた。

  • 1981◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:12:54

    拘束具に包まれ、カプセルから抜け出たまま、淡い瞳で彼を見上げる。
    まるで散歩の延長のように。

    だがクセイは直感した。
    この少女――ただの存在ではない。
    何かが、致命的に、“違う”。

    「名を名乗れ」
    「ゆき、だよ……ゆき、きみのこと、しりたいな」

    「……俺はクセイ。ダイガ・クセイ。拳の道を極めし者だ。……お前は、何を望む?」

    「ゆき……きみの、こぶし、ゆきに……ふれてほしい、かも」

    その瞬間、周囲の空間が泡立った。
    目に見えないはずの“法則”がひずみ、空間が悲鳴を上げる。

    クセイの背に、龍咆の痕が熱を持つ。
    彼は悟った――これは偶然の出会いではない。
    “戦い”だ。

    魂と拳を極めし者と、超常にして理外なる存在。
    静けさは破られ、二人の鼓動が、世界の均衡を揺るがし始めた――。

  • 1991◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:16:05

    静寂を打ち破ったのは、少女の無邪気な問いかけだった。

    「きみ……たたかう? それとも、ふれあう?」

    問いのようで、宣告だった。

    ダイガ・クセイの肉体が、わずかに震える。
    恐怖ではない。
    拳士としての本能が告げている。

    ――この戦いは、生死を賭すに足る。

    「構える気か」
    クセイは一歩、前へ。足元の岩盤が軋む。
    全身の気を練り、霊撃の道を通す。
    龍念流、起式。

    「ふぅ……ゆきも、たたかうの……ちょっとだけ……」

    雪が右手を上げる。
    その動きだけで、周囲の気圧が一瞬変わる。
    草が枯れ、石が浮かび、空間の色が微かに褪せる。

    「その封印……まだ完全ではないな」
    「うん……ちょっとだけ、あけたの。……いまのゆきは、ちょっとつよいよ」

    その言葉の直後。

  • 2001◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:18:05

    爆ぜた。
    空気が一気に蒸発し、超圧縮された“拳”が、雪の顔面を襲う。

    クセイの開幕奥義――『霊拳・穿界』。

    魂を拳に乗せ、空間を貫く打撃。
    山を割り、霊的存在さえ砕くその一撃が、少女の額に――届く直前で止まる。

    否。
    “止められた”。

    雪の右手が、ゆるやかに、まるで眠る猫が毛玉に触れるように、クセイの拳を受け止めていた。

    「つよい……でも、やさしい……ふふ」

    ぐらり。

    空が揺れる。
    否、世界が、だ。

    彼女の“超常の身体”が発する余波が、未封印領域の活性と共に暴走する。

    「封印出力レベル:14%上昇……警告:活動限界まで、残り8分36秒――」

    彼女の背の拘束装置が光る。

  • 2011◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:23:11

    その宝石のうち、ひとつが微かにひび割れた。

    「ちょっと……がんばるよ。きみと、もっと……ふれたいから」

    雪が踏み出す。
    一歩だけ。だがそれで、山頂が崩れた。

    「……おもしろい。ならば、全霊で応じる!」
    クセイの全身に蒼い炎が灯る。霊撃、解放段階。

    『龍念流・第二式──魂穿・火砕』

    拳が、炸裂する。
    雪の身体に直撃。
    周囲1kmの大地が爆ぜ、土石流が山を呑む。
    その中心に、立ち尽くす少女。

    「いたい、ね……ちょっと、びっくりした……」

    確かに、痛覚はある。
    ダメージも、受ける。
    だがその身体は、理外。
    因果律に縛られない、超常そのもの。

  • 2021◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:27:11

    彼女の左手が静かに振るわれる。
    ただの手刀。だが、それは「概念を断ち切る」一撃。

    「きみのこぶし……ちょっと、きってみるね?」

    空が、悲鳴を上げた。
    拳が割れ、霊力の道筋が断ち切られる。

    「……っ、こいつは――『魂の流れ』を切断しただと!?」

    クセイの表情がわずかに歪む。
    だがその目には、恐怖ではなく――歓喜があった。

    「ならば試そう。俺の拳と魂が、どこまで“お前”に通じるかを!」

    両者、再び距離を詰める。

    拳と超常。
    霊撃と理外。
    互いに、今まで出会ったことのない存在。

    ここに、“規格外”の初撃戦が本格的に始まった。

  • 2031◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:33:40

    龍が吠えた。
    否、吠えたのは、ダイガ・クセイの魂だ。

    「──大牙九冠刻・壱ノ印《霊輪牙》!」

    爆音と共に拳が閃いた。
    螺旋を描く霊気の刃が拳から迸り、重力すら歪めながら迫る。
    その一撃は“魂を削る拳”。
    打ち砕くのではなく、「対象の存在構造」そのものを磨耗させる、クセイ最大級の殺撃だ。

    だが、雪は動かない。

    「うごいたら……カプセル、やぶれちゃうの」

    そう呟いたその瞬間。
    螺旋の刃が、少女の胸元へと到達する。

    激突。
    粉塵。閃光。
    そして直後、全てを呑み込むような沈黙。

    ……だが。

    「ちょっとだけ……いたい、けど……」

    煙の奥に佇む少女は、ゆっくりと目を開けていた。

    「だいじょうぶ。きみの、こぶし……あったかい」

  • 2041◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:34:13

    刹那。
    雪の体から、淡い“蒼の光”がほとばしる。

    「警告──封印制限値:22%突破」
    「拘束宝珠:異常発生。No.4、No.7、No.13──臨界点」

    背中の拘束具から3つの宝石が、音を立てて砕けた。

    「……ああ、またこわれた……ゆき、つよくなっちゃう」

    その声に、あどけなさは残る。だが――
    空間が軋む。
    空が裏返る。
    山が“下”からめくれ上がる。

    「出力制限の暴走を確認……対象、戦闘継続困難レベルに接近」

    「ふふ……ゆきね、まだ、だいじょうぶ……だって、きみと、まだ、ふれたいもん」

    その言葉と共に、雪の手が虚空をなぞる。

    直後。
    クセイの左拳が“無くなった”。

    「ッ……!?」
    音も、熱も、気配もなかった。

  • 2051◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:36:18

    ただ“手刀”の残像だけが、空間を分断していた。

    「それ、ゆきの……ちょっとだけ、つよい手」

    因果を断ち、構造を壊す一撃。
    拳を失ったクセイの左腕から、霊撃が一気に減衰する。

    だが。

    「面白い……この痛み、この喪失……忘れていたぞ……!」

    クセイが右手で地を叩く。

    「大牙九冠刻・弐ノ印《焔魂壊》!」

    踏み抜かれた大地が燃える。
    燃えて、爆ぜ、溶け、膨張する。
    全方位への炎の魂圧。
    これは“あらゆる再生”を許さない“魂そのものの焼却”であり、魂の回路を断絶させる奥義。

    雪の身体に、爆炎がまとわりつく。

    「……あつい、ね……ゆき、もえちゃう……?」

    表皮が焼かれ、装置が警告音を響かせる。

  • 2061◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:36:32

    全身の拘束装置が、限界を迎えていた。

    「封印制限:34%突破──臨界を越えました」

    「これで……あと3分。……ううん、2分しか、うごけない……」

    それでも。
    彼女は、ふわりと微笑んだ。

    「でも……うれしい。ゆき……こんなふうに、たたかえるの、はじめて」

    そう言って、立ち上がる。
    封印の崩壊は進み、超常の身体が地上へ姿を露わにし始めていた。

    皮膚は光に透け、瞳の奥では“言語にならぬ何か”が回っている。
    触れるだけで因果を壊し、存在しただけで世界に誤差を生じさせる、理外の化身。

    それでもダイガ・クセイは退かない。

    「拳は……魂だ。魂を乗せた拳こそ、唯一無二。……ならば、退く理由は、無い」

    一歩、前へ。

    次の一撃で、どちらかが砕ける。
    それが“勝利”なのか“終焉”なのかは、誰にもわからない。

    ――ただ、魂を込めて打つのみだ。

  • 2071◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:37:30

    その瞬間、空が“裏返った”。

    時間が、狂った。

    空間が、泣いた。

    因果律が悲鳴を上げる中、戦場に在るは二つの“終末”。

    一つは、龍念流・究極奥義を構えた男――ダイガ・クセイ。

    もう一つは、世界にとっての「災厄」――佐藤雪。

    「……ゆき、あと……1分と、すこし」

    淡く、儚く、しかし確かな声。
    その声が、逆巻く超常の奔流すら飲み込む。
    全身から蒼白い光を溢れさせる少女。
    それは熱ではない。魔力でもない。言語化不能な“外的存在の歪み”だった。

    「観測限界領域突破……対象、“世界外存在”と認定」

    各地の観測衛星が軌道ごと沈黙する。
    魔術測定器は全壊、霊的センサーは逆流し、国家級結界が“砂のように崩壊”していく。

    「きみの、こぶし……とっても、たのしい。でもね、ゆき……ちょっと、つよすぎるの」

    少女が空を撫でる。
    その動作だけで、世界に“白い裂け目”が生じる。

    「理断――発動」

  • 2081◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:37:55

    その名は「言葉によって世界の構造を“切断”する手刀」。

    物理現象はおろか、霊的法則、次元座標、記憶と時間軸すらも裂かれる。

    「ゆきね、いまのゆき、きっと“きみのこぶし”をこわしちゃう……だからね……」

    雪が一歩踏み出す。

    「やさしく、いたいの、するね?」

    同時。

    ダイガ・クセイの背後に、巨大な龍の霊影が現れた。

    「我が道は、龍念――魂に龍を宿し、拳にて世界を穿つ!」

    呼吸すら止まるような気圧。
    男の肉体が、拳が、意志が、限界を越える。

    「……第九印、《極冠・牙神墜》ッ!」

    放たれた拳は、世界そのものを殴るような圧。

    霊念は具現し、**“概念を粉砕する龍”**がその身に宿る。
    地形が波打ち、地軸が軋み、空の色が“記憶色”に染まる。

    そして。

  • 2091◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:38:13

    雪の手刀が――虚空を裂いた。

    「ちょん、て……」

    全てが、止まった。

    否、**“止まったように見える何か”**に包まれた。
    肉体でも霊体でもない、認識と観測を食い潰す一閃。

    触れた瞬間、時間は“なかったこと”になり、攻撃は“未然”になり、現実が“なかった”ことになる。

    だが。

    その全てを、クセイの拳は、貫いた。

    「──わかっている。俺の拳じゃ、お前を壊せない」

    吐き捨てるような呟き。

    「けどな、それでも魂は届く。届かせる! この一撃だけは、“存在ごと消え去るなッ!!”」

    拳と手刀がぶつかる。

    刹那。

    ――無が咆哮した。

  • 2101◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:38:28

    空間が消失した。
    重力が逆巻いた。
    過去と未来が干渉し、世界が“上書き”される。

    崩壊する因果律の中、二人だけがそこにいた。

    拳が、砕ける音がした。
    手刀が、ひび割れる音がした。

    「……くふ……ふふ、……ゆき……ゆき、まだ、うごけるよ」

    雪の口元から、赤い滴が落ちる。

    一方、クセイの両腕はすでに形を保っていなかった。
    それでも、立っていた。

    「勝ち負けは、関係ねぇ……拳は……魂を、伝えるためにあるんだよ……」

    そう言って、笑った。

    その直後。

    「封印制限:96%突破──拘束宝珠、全喪失」

    雪の背に浮かぶ12の宝珠が、次々に砕ける。
    周囲が白く染まり、世界の“色彩”が失われていく。

    「ゆきね、かつよ。……やっぱり、きみのこぶし……いちばん、すてきだった」

    崩れていく世界の中で、雪は静かに立っていた。

  • 2111◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:38:40

    未定の勝利。

    だが、勝利とは、果たして何だったのか。

    それを知る者はいない。

    彼女の中に残ったのは、ただ一つ――
    「また、あのこぶしと、ふれたい」という、幼い願いだった。

  • 2121◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:38:59

    以上

  • 213二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:39:14

    >>211

    唐突な未定

  • 214二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:39:34

    >>211

    サプライズ未定

  • 215二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:39:59

    一回未定と戦わせたせいか最後変になってる

  • 216二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:40:59

    リリーちゃんの時もそうだったけど脳焼かれてるせいかAIくんなんか時々変な出力するよね

  • 2171◆ZEeB1LlpgE25/07/19(土) 21:41:30

    もうこのAIも未定に侵食されてしまった……

  • 218二次元好きの匿名さん25/07/19(土) 21:44:17

    >>217

    とうとう未定の脅威がAiくんにも


    にしても雪強いな

  • 219二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 00:50:16

    このレスは削除されています

  • 220二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 09:06:48

    保守

  • 2211◆ZEeB1LlpgE25/07/20(日) 09:59:07

    スレ主は旅行中のため更新が非常に遅れます
    すいません

  • 222二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 14:25:13

    あらま
    まあ楽しんできなはれ

  • 223二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 19:45:34

    Hosyu

  • 224二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 19:55:58

    楽しんできて

  • 225二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 20:38:52

    楽しんでね!

  • 226二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:47:42

    僕も楽しんでもらいたいです!

  • 227二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 22:25:28

    このレスは削除されています

  • 228二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 00:03:42

    このレスは削除されています

  • 229二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 06:38:29

    ほしゅ

  • 230二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 09:46:32

    このレスは削除されています

  • 231二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 10:29:36
  • 232二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 11:01:46

    >>231

    じゃはーん

  • 233二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 17:26:43

    このレスは削除されています

  • 234二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 17:45:51

    >>231

    なーめ

  • 2351◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 19:12:40

    今地元に到着して夜ご飯を食べるとこです
    今日の夜はちょろっとやって明日から本格的に復帰の予定です

  • 236二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 19:57:10

    お帰り〜
    考察スレ見たけど楽しかったようでなにより

  • 2371◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:35:52

    題名『紅き夜明けと、血を穿つ蹄』

  • 2381◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:36:22

    錆びた鉄骨の間を、砂塵が舞っている。
    重い蹄の音が、瓦礫の上に響いた。

    スリサズは静かに前方を見据え、血の結晶でできた槍を握り締めていた。
    無駄な言葉はない。彼の存在感は、まるで夜の闇そのもののように冷たく、沈黙のまま殺意を纏っている。

    その時、突如として大地を揺らすような咆哮が響いた。
    一頭の馬が、まるで重機のように瓦礫を踏み砕きながら駆けてくる。

    金髪のカウガール――開拓者だ。
    彼女はサドルに片肘を乗せ、にやりと笑みを浮かべる。

    「……黙ってりゃ、まるで棺桶の中身みてぇだな」
    声は豪快で、どこか楽しげだった。
    「だが、あたしの道を塞ぐ奴は全部、容赦なく蹴散らすぜ」

    右手が煌めき、銃身が火を吹く。
    「ジャッジメント・ホーン」――彼女の相棒が火花を散らした。

    だが、次の瞬間。
    スリサズの右腕が動き、赤い血晶の槍が形成される。
    その槍が弾丸を砕き、空中で破壊した。

    開拓者の目が細まる。
    「おお、やるじゃねぇか。じゃあ、あたしも本気出すぜ」

    背中でリボルバーが形を変え、巨大なビームキャノンとなる。
    彼女が放った光線は、建物一つを焼き尽くすほどの威力だ。

  • 2391◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:36:36

    しかしスリサズの血晶鎧がその攻撃を受け止める。
    再生し続ける結晶が、炎と熱を中和した。

    スリサズは静かに一歩踏み出す。
    地に響くその足音は、まるで死神の歩みのように重い。

    沈黙のまま、二人の戦いが幕を開けた。
    夜明けは、まだ遠い。

  • 2401◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:37:39

    空が少しずつ白み始めた頃、戦場には緊張が満ちていた。

    スリサズは右腕の血晶槍を構え、冷静に周囲を見渡す。
    彼の瞳は無表情で、まるで何も感じていないように見えたが、その芯には揺るがぬ決意が宿っている。

    「……お前の速度、悪くない」

    静かに呟く。声は少ないが、確かな言葉だった。

    一方、開拓者は笑みを浮かべながら愛馬のグレイスを自在に操る。
    「ま、当然よ。ここまで来たんだ、後には引けねぇ」

    彼女の声には熱気が込められている。手にはリボルバー“ジャッジメント・ホーン”、背中では火を吹くキャノンが静かに火を吐く準備をしている。

  • 2411◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:37:50

    スリサズは槍を振るい、数本の血晶槍を空中に展開。
    それらは音もなく彼女の動きを狙って迫る。

    だが開拓者は馬の機敏な動きで槍の間をすり抜け、銃を構えて反撃の機会を伺う。
    「へっ、あんたの血の鎧は頑丈そうだけど、こっちの拳銃と火力もなかなかのもんだぜ!」

    連射の弾丸がスリサズの鎧を叩くが、彼は動じず血晶を再生。
    「無駄だ」

    短く答え、槍を前に突き出した。

    開拓者は咄嗟に身を翻し、銃身を大きく振りかぶる。
    次の瞬間、強烈な光線が放たれた。

    血晶の鎧が熱に反応し、煙を立てる。
    だがスリサズは冷静に一歩踏み出す。

    「……これが、あんたの力か」

    無言の男の言葉に、開拓者は声を弾ませた。
    「あんたこそ……ただの壁じゃねぇ」

    彼女の顔には、初めての敬意が浮かぶ。
    「まだまだこれからよ」

    鉄砂が地を蹴る。
    二人の激しい闘いが、夜明けの光に照らされ始めた。

  • 2421◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:38:39

    東の空が淡く白み始める頃、戦場の空気はさらに張り詰めていた。

    スリサズの赤い血晶槍が、ゆっくりと宙に浮かぶ。
    彼の動きは寡黙で無駄がなく、ただ静かに次の一手を待つ。

    開拓者は馬の鞍に深く腰掛け、片手でリボルバーを握ったまま冷たい朝の風に髪をなびかせている。
    その目は鋭く光り、まるで嵐の前の静けさを見つめているかのようだ。

    「さあ、どれだけ血晶が硬かろうが、あたしの道は絶対に開く――それが“開拓者”ってもんだ」

    彼女の言葉には揺るぎない信念が宿っている。
    そして、ゆっくりと鞭のように腰をひねり、リボルバーの銃身を天へ向けた。

    その瞬間、空気が震え、黄金の光が螺旋状に降り注ぐ。
    それは開拓者の因果を断ち切る力――“開拓の縄”だ。

    鉄砂が力強く地を蹴り、馬の蹄が大地を叩く音が響く。
    その勢いに乗り、彼女は宙へ跳び上がった。

    同時にスリサズは槍を複数体に分裂させ、周囲に展開する。
    赤い血晶が光を反射し、まるで夜明けの星々のように戦場に散らばった。

    「おっと、囲まれちまったな」

    開拓者は苦笑いを浮かべ、リボルバーを素早く連射。
    槍の一つが砕け散り、血晶が砕ける音がかすかに響く。

    だが槍はすぐに再生し、無数の刃が彼女の周囲を取り囲む。

  • 2431◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:38:49

    その姿はまるで赤い薔薇の棘のようだ。

    「なかなかしぶといぜ……だけど、あたしだって簡単には負けねぇ」

    彼女は声を荒げ、再びリボルバーの銃身を砲口に変貌させた。
    強烈なビームが槍群へと襲いかかり、数本の槍を粉砕する。

    しかしスリサズは動じない。
    血晶鎧の一部が再び形成され、彼の身体を守る。

    「……」

    彼の無言の態度は、まるで世界が動くのをただ見守っているかのようだ。

    開拓者はじっと相手を見据え、ゆっくりと舌打ちした。

    「よし、あんたが本気出すまで、あたしが先に動いてやる」

    彼女は叫び、馬と共に再び前へと駆け出した。

    夜明けの空が、二人の戦いを赤く染める。

  • 2441◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:39:41

    グレイスの巨体が瓦礫を砕き、大地に響く振動が戦場を満たしていた。
    開拓者はその背に立ち、砲身の熱を残すリボルバーをくるりと回して納めると、腰からもう一本、長銃のような武器を引き抜いた。

    「遊びはここまで。あたしの“狩場”に、素手で乗り込んできたこと、後悔させてやる」

    長銃――“ジャッジメント・ラング”は、敵を貫くよりも、その動きを狩り取る“間合いの制圧”に特化した進化系。
    スリサズのような近接戦闘の猛者を相手取るには、最も適した選択だった。

    一方のスリサズは、依然無言のまま。
    ただ、その動きに“静けさ”がない。

    ――ガン。

    足元に微かな踏み込みの音が走る。

    次の瞬間には、彼の姿が消えていた。

    「っ、来るか!」

    開拓者は咄嗟に馬の首をかがませ、銃口を斜め後方に向けた。
    だが、そこには何もいない。

    代わりに現れたのは、真横。
    風のように、いや、血の影のように滑り込んできたスリサズの姿だった。

    「くっ……!」

    開拓者の腕が鋭く反応し、引き金が引かれる。
    散弾のように放たれたビームが、その接近を阻む――かに思えた。

  • 2451◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:39:52

    だが赤い結晶の盾が、それすらも弾き返す。

    血晶の槍が、風圧を裂いて繰り出される。

    グレイスが嘶き、蹄で槍を弾くが、それも数に限界があった。

    「っ――ッ! あたしの馬に……!」

    槍が肩をかすめる。
    開拓者の右肩から、血が散った。

    浅い。それでも“狙っての一撃”だった。
    この男は、試している。

    本気を――まだ出していない。

    「この野郎……あたしを測ってんじゃないわよ!!」

    怒声と共に放たれた銃撃は、風と炎を伴い、巨大な光の鎌となってスリサズを薙ぎ払う。
    だが、その姿はまたしても空蝉のごとく消えていた。

    ――背後。

    再び迫る槍の気配。

    「遅ぇよ!」

  • 2461◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:40:22

    開拓者は振り返りざま、短く叫んだ。

    「“ビッグ・ノース”ッ!!」

    銃が爆発的に変化し、ビーム砲塔のような形状となる。
    至近から放たれる灼熱の奔流――だが、それでも赤い槍は止まらない。

    二者は、真正面からぶつかった。

    爆発。光。砂塵。そして――沈黙。

    数秒後、煙の中に残ったのは、肩を焼かれながらも立つスリサズと、片膝をつきながらもなお狙いを外さぬ開拓者の姿。

    「はあ……はあ……。アンタ、本当に……なんなんだ……」

    ようやく、一矢報いたはずなのに、膝に力が入らない。
    あまりに分厚い壁。あまりに無言の威圧。

    それでも、彼女の眼は死んでいない。

    「まだ、だよね。あたし、まだここで止まるつもりないから――」

    夜が明け始める。
    本当の決着が、近づいていた。

  • 2471◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:41:06

    空が、ゆっくりと明るみ始めていた。
    遠く、ビルの谷間から滲む薄紅が、戦場にかすかな希望を照らす。

    だが――その光は、ある者にとっては死の宣告。

    「……お前にとって、これは夜明けじゃない」

    開拓者が立ち上がる。
    傷ついた右肩を押さえながら、それでも唇はニヤリと吊り上がっていた。

    「これは――“あたし”の時間だ」

    一方、スリサズは動かない。
    否、動けない。

    日光。
    それは吸血種たる彼の決定的な弱点だった。

    すでに血晶の鎧が融解を始め、皮膚の再生が追いつかなくなっている。
    剥がれた鎧の下から覗くのは、灰色に変色した肉。

    彼は無言のまま、足を一歩――

    いや、半歩だけ進めた。

  • 2481◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:41:18

    その動きに、開拓者の目が鋭く光る。

    「まだやる気? なら……撃ち抜く!」

    鞍から引き抜かれたのは、開拓者の最後の切り札――
    “ジャッジメント・ゼロ”。

    一切の進化も機構も介さず、最初から“最後の弾”として作られた一発限りの銃。

    引き金に指をかける。

    「お疲れ様、吸血鬼。アンタの血は、あたしの夜明けに似合わない」

    弾丸が放たれる。
    それは“ただの弾”ではなかった。

    概念すら砕く一撃。
    開拓者の“フロンティア”が最大限に強化されたことで初めて撃てる、文字通りの“越境弾”。

    それが、スリサズの胸――心臓を、撃ち抜いた。

    ――ズゥン……。

    音が、遅れて響いた。
    地面が、静かに揺れた。

    スリサズは、その場に立ったまま、わずかに目を見開く。

  • 2491◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:41:30

    そして、崩れ落ちた。

    血も、音も、残らなかった。
    夜が明けると同時に、彼の姿もまた、影と共に消え去っていた。

    開拓者は肩で息をしながら、銃をくるりと回して納める。

    「……ああ、しんど。アンタ、最高にしぶとかったわよ」

    そして、空を見上げる。
    朝日が、世界を照らしていた。

    鉄砂のグレイスが、静かに嘶く。
    その背に乗る女は、勝者であり、次の地平へ向かう者。

    「次は……もっと遠くまで行けそうね」

    ――これは、開拓の物語。
    血と鉄、そして光の中を駆ける者の、終わらぬ旅路。

  • 2501◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 20:41:48

    以上

  • 251二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:08:03

    開拓者さんかっけえ

  • 252二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:28:59

    スリサズも本気出し尽くしてないのに良くあそこまでやれたな
    すげえわ

  • 253二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:54:21

    見返してみるとAIくんの成長が半端ないなっとる
    一刀斎辺りからこのスレにハマったわけだが

  • 2541◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:23:23

    題名『分帰路に立つ者たち』

  • 2551◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:24:35

     それは、灰色の空が地を覆う都市の片隅で起こった。
     朽ちたビル群に囲まれた広場の中央。風も音も消えた空間に、ただふたりの男が向かい合っていた。

    「……世界の継ぎ接ぎは、君で最後にしてもらいたいものだがね」

     車椅子に乗る男の声は、まるで大学の講義のようだった。丁寧な抑揚と、冷ややかさが奇妙に混ざった語り口。

     ――【分帰路に立つ男】クロワーゼ。

     その名は、歴史の傷を知り尽くした狂気の観測者。彼の背後には、歪み始めた世界の風景が滲んでいた。
     剣が溶けた銃へと変わり、空に浮かぶはずの衛星が、なぜか月の影に吸われていく。

    「それでも、俺は……一人でも、癒せるなら歩く」

     もう一人の男、神埼椎童は、静かに語る。
     白いローブの端が風に揺れ、神父服の黒がその意思を引き締めていた。彼の右手が光を帯びていたのは、ただの癖ではない。

     ――【ライトリカバリー】。触れたものを“時間ごと”癒す奇跡の手。

     「世界を修復しているつもりかね? その行為が、別の誰かの悲劇の原因になると理解できていないのか?」

     クロワーゼは嗤う。

  • 2561◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:25:33

     彼にとって「正しさ」とは、過去から未来まで俯瞰し続ける者のみが語る資格を持つものだった。

     「それでも俺は……やる。救える命が、目の前にあるなら」

     椎童は前へ出た。その歩みはゆっくりと、だが確かに。

     「面白い。ならば、証明してみたまえ――君の“命”の理屈とやらを」

     次の瞬間、クロワーゼの瞳が金に染まり、彼の背後に“過去の残響”が立ち上がる。
     それは“剣”を知らない歴史、“銃火器”を持たなかった戦場、“医療”が発展しなかった世界――

     全てが、彼の意志により、呼び戻される。

  • 2571◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:27:22

     風が、空間のねじれに引き裂かれた。
     世界がひとつ、過去に“戻されて”いく。
     それはクロワーゼの力、《シャンジェラ・ヴォワデュシャリオ》。
     彼が記憶した歴史が、そのまま現実へと反映されていく術だ。

     ビルの形が崩れ、石造りの聖堂へと変貌する。
     電灯が油灯に、車が馬車へと時を逆行させる。
     椎童の周囲を、あり得ぬはずの“失われた時代”が侵食していく。

    「……この世界にはな、神埼君。かつて“病”など存在しなかった時代があるのだよ。なぜかって? “死”がもっと、簡単だったからさ」

     クロワーゼは、嗤いすらせずに語る。
     その口調は冷淡ではなく、ただ“当然”といった色だった。

    「それでも、俺はその時代には戻さない。人は進むんだ。痛みにも、過ちにも、向き合いながら」

     椎童の声は、どこまでも静かだった。
     それは、5400万年の旅路の果てに辿り着いた、諦観にも似た誓い。

     「君は、見てきたのだろう? 救った者がまた別の誰かを殺す――そんな悲劇を、980億も積み重ねて」

     「……だから、やめられない。あれだけの命を“奪って”しまった。
      なら、償いとして、たとえ一人でも“生かす”しかないんだ。俺は」

  • 2581◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:29:03

     その言葉に、クロワーゼの眉がかすかに動いた。
     まるで「呆れている」と言わんばかりに。

    「神など気取らずともよい。“許されたい”という愚かしさが、君の“信仰”かね?」

    「許されるなんて思ってない。……それでも、やらなきゃいけないことがある。自分の手で」

     椎童は、光る右手を自らの胸に当てた。
     その動作には意味があった――
     “癒しの奇跡”を自己へと向けることで、世界の時の奔流に耐える準備を整えたのだ。

     「いいだろう、神埼椎童。君の“正しさ”とやら、試させてもらおう」

     クロワーゼの背後、虚空が開いた。
     そこから這い出るのは、“剣のない世界”で育った怪物たち。
     歯と爪と火のみで文明を築き、刃という概念を持たぬ“獣人”の群れ。

     「この世界では、“癒す”ことなど無意味だ。君の正義がどこまで通用するか――見せてもらおう」

     獣たちが咆哮を上げる。

     椎童の視線は揺れず、ただ静かに、左手の封印具を外す。

     「……本当に、やらなきゃいけないのか。……ごめんな、また、命を取る」

     右手の“癒し”と、左手の“死”。
     その両手を握りしめ、神埼椎童は、一歩、前へと踏み出した。

  • 2591◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:33:31

     咆哮が街を包んだ。
     それは明らかに“今の時代”のものではない。
     人類の歴史が辿らなかったはずの枝道、分岐した世界線――
     クロワーゼが呼び出した“存在しないはずの歴史”が、現実を踏み潰しながら進行していく。

     瓦礫の上を走るのは、全身を硬質の毛皮で包んだ二足獣。
     太古の炎を吐き、牙を剣より鋭く、眼には“敵”の輪郭しか映らない。

     「君が触れた“癒し”など、彼らには理解できない。なぜなら――」

     クロワーゼが言う。

     「この世界では“痛み”すら、未だ言語化されていないのだから!」

     瞬間、獣人の一体が椎童に飛びかかった。

     だが――
     **“その瞬間だけを、切り離したような静寂”**が訪れた。

     椎童の左手が、触れた。

     その瞬間、獣人の心臓が止まる。
     魂を抜かれたかのように、膝を折って倒れ込む。

     「ごめんな……生きてた未来、あったかもしれないのに」

     彼の呟きは、誰にも届かない。
     敵は次から次へと現れる。炎の巨獣、石の肌を持つ戦士、頭部が花のように裂けた者まで。

  • 2601◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:35:10

     あらゆる“概念の代替品”が、剣も銃もない歴史において獲得された“進化”だった。

     「それが君の正義かい? 否定された未来を否定し返す、血の論理だ」

     クロワーゼの語調は、もはや哲学の講義のようでさえある。
     彼は“討つため”に言葉を放っていない。
     “崩すため”に喋っている。信仰、覚悟、後悔、全部まとめて。

     「……俺は、“許されないこと”を繰り返してる。でも、止まれないんだよ。だって――」

     椎童は、再び右手をかざす。
     すでに傷を負った子供の獣人に、癒しの光を与える。

     「君たちが、本当に“敵”だったかどうか……それを決めるのは俺じゃない」

     傷を癒された獣人が、立ち尽くす。
     次の瞬間、彼の背中から“仲間”が飛びかかる。

     椎童は、その仲間を、左手で止めた。

     ――癒しと殺し。
     そのふたつを、同じ瞬間に使い分けながら、彼は前へと進んでいく。

     歴史が歪んでも、世界が否定しても。
     それでもなお“命を、見捨てない”という選択を抱いて。

  • 2611◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:38:51

     瓦礫の影から、クロワーゼが再び現れる。
     彼の車椅子は、既に半壊。生命維持装置の発光パネルには、赤い警告灯が点滅している。

     「おや……そろそろ時間切れ、か。だが、教授として最後にもう一講、伝えておこう」

     呼吸に混じる機械の音が濁る。
     だがその口調は、どこまでも冷静で、そして理路整然としていた。

     「君が命を救い、魂を悼むことに価値があると信じるなら……私は、それを“歴史の誤認”と断ずる」

     ――その瞬間。
     クロワーゼの左眼に、蒼白い光が宿った。

     「《シャンジェラ・ヴォワデュシャリオ》――“歴史、改変”」

     周囲の風景が塗り替えられる。
     戦場だった都市が、突如として“古代の大火”に包まれた“神殿都市”へと変貌する。
     神を讃える祈りの声とともに、空を裂いて落ちる天の雷光。
     その全てが、“本来起こらなかったはずの歴史”だ。

     「これが、私の“罰”だよ。椎童君。
      君が今まで救ってきた命、それらすべてが、火の海に呑まれる世界の分岐だ」

     彼の言葉に嘘はない。
     クロワーゼが“選び直した歴史”の中では、神の怒りによって文明は焦土と化し、
     癒しも、慈悲も、生きる価値すらも、何ひとつ救われない。

  • 2621◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:41:28

     椎童は、燃え盛る聖堂の中で、身を焼きながら、なお手を差し伸べていた。

     「……それでも、届くと信じたい」

     彼の右手が、焦げた大理石の上に倒れていた“誰か”を癒す。
     焼け焦げ、朽ちたはずの命に、わずかながら色が戻る。

     「僕は間違ってるかもしれない。でも、君の世界にいる誰かに――
      生きてほしかった人が、きっといたんだろ?」

     その声に、クロワーゼの瞳が微かに揺れる。

     「……教授失格だな、私は。感情に揺れてしまうなど……」

     しかし次の瞬間、彼の胸部装置が悲鳴を上げた。
     過負荷。限界。

     「歴史の運命すら書き換える力。だが……我が身一つの器量では、未来に抗えぬか……」

     クロワーゼの身体が、崩れ落ちる。
     その白衣が、煤けた神殿の中に溶けていくようだった。

     「君の癒しが、いつかこの時代にも、通じるといいね……」

     最後にそう言って、クロワーゼは沈黙した。

  • 2631◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:43:22

     戦いの残響は、もう遠くにあった。
     燃え落ちた神殿都市の幻影は、やがて静かに霧散し、再び現実の焦土が広がる。

     椎童はひとり、その中心に立っていた。
     炎の粉塵に咳き込みながらも、手を伸ばす――かつてクロワーゼがいた場所へ。

     そこには何も残されていなかった。
     白衣も、車椅子の破片も、ただ一握の灰と、風に舞う古書の頁だけが在る。

     「……終わったのか」

     呟く椎童の手のひらには、焼け爛れた傷痕が残っていた。
     癒しの右手。
     数え切れない人間を救ってきたその手は、クロワーゼの選んだ“歴史の罰”にさえ、届きかけていた。

     だが彼は、命を救えたとは言わなかった。
     その選択を肯定することも、否定することもできなかった。

     「僕の手は……奪った命と、背負った時間の中で、まだ……」

     ふと、足元で音がする。
     見れば、焼け残った一冊の書物が風に舞い、彼の靴先に寄り添っていた。

  • 2641◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:45:20

     それは、クロワーゼがいつも傍らに置いていた“歴史断章”。

     彼の視線を通じて記録された、幾多の悲劇と選択の集積。


     椎童はそれを拾い上げ、しばし黙して読み込む。


     ページの片隅には、走り書きのような一文が残されていた。


     >『癒し手よ。歴史は常に罪深いが、君の歩みに価値がないとは、私は断じて言わぬ』


     ……それは、彼の最後の意志だったのか。

     あるいはただの記録か、記憶か。


     椎童は、そっとその本を閉じた。


     「クロワーゼ……君がどれだけ歴史を憎んでも、それを記し続けたのは……未来のためだったんだよね」


     そう、信じたかった。


     彼は本を懐にしまうと、崩れた都市を背に、ゆっくりと歩き出す。


     すでに彼の身体は限界を超えている。

     癒しの右手は爛れ、魂を送る左手には、もはや力は宿らない。


     それでも――彼は進んだ。


     贖罪の歩幅で。

     償えぬ罪を抱えながらも、生きる人々のために。


     そして、その背に届いた最後の声は――

     かつての“歴史学者”が、どこかで微笑んでいるかのような、静かな風の響きだった。

  • 2651◆ZEeB1LlpgE25/07/21(月) 22:46:56

    以上

  • 266二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:48:28

    クロワーゼ…(ノ_・、)

  • 267二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:51:46

    クロワーゼいい奴だな
    椎童の心にも深く刻まれただろう……

  • 268二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:54:45

    椎童が途中サイコパス戦法してたのは気のせいだろうか

  • 269二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 02:48:32

    このレスは削除されています

  • 270二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 08:33:57

    ほしゅ

  • 271二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 14:17:52

    次はパソコン対適応者か
    楽しみ

  • 2721◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 16:53:23

    題名『適応するということ』

  • 2731◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 16:58:31

     重たい雲が垂れ込める、廃墟じみた無人島。

     かつて研究施設だったであろう建物は崩れ、電線はすべて朽ち果てている。文明の影も、今や自然の前には無力だった。

     そんな空間に、一人の男が立つ。Tシャツにジーンズ。ひどく普通の中年男……のように見えた。

    「……電力がなきゃ、あっちの子のゲームにもならんだろ。だからって、こんなとこ指定してくるか」

     その呟きと共に、草むらの向こうから音がした。

     静かな足音。いや、起動音に近い――。

    「……確認。対象、ヒューマン。名義《適応者》。機能:戦闘適性。理由:――信仰に拠る」

     電子音混じりの声と共に、現れたのは――人の形をした“概念”だった。

  • 2741◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 16:59:55

     それは、液晶のような青白い瞳と、カクつく動きで歩いてくる奇妙な存在。けれど、その肉体は確かに“生物”のものとして現界している。

    「覇祖魂(パソコン)……か。お前が、テクノロジーの信仰心の化け物ってワケか」

    「確認完了。――起動条件満たす。適応者、との通信を開きます。電源は無し。オフライン・バトルモードに切替えます」

     機械音声と共に、覇祖魂の全身から蒸気のような霧が立ち上る。外部電源の存在しないこの島では、その能力には制限があるはずだ。

     だが、その顔に“焦り”のようなものは一切ない。

    「制限付きでも――インストール完了」

     刹那、風が炸裂する。覇祖魂の腕が青白く輝き、**『因子闘龍』**が展開された。
     無数の能力が、電撃のようにその腕から迸る。

    「……なるほどな。こっちは人間。生身だよ」

     適応者は、目を細めた。機械のように正確に撃たれる複合能力群――回避には身体能力が追いつかない。

     それでも――

    「何度も死にかけたんだ。うちの子の提唱でな。……あれに比べりゃ、お前の火力はまだマシだ」

     その言葉と共に、彼の身体が微細に変化する。筋繊維の密度、反応速度、さらには骨格構造すら“適応”していく。

     受けるよりも、合わせて凌ぐ。“対応”が、“適応”に変わる瞬間だった。

    「じゃあ――始めようか。親バカってやつを、証明してやるよ」

     無人島に、火花が弾けた。

  • 2751◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:00:18

    廃墟の地下、鉄骨が歪む音が響く中で、二つの影が対峙していた。天井の配線は切れ、コンセントは機能を失い、電力の気配すら存在しない。

    「なるほど、ここを選んだのは貴方か。賢明な判断です、人間」

    電子音のように平坦な口調で、覇祖魂が言った。だが、その音声はどこから発されているのかすら分からない。人型の姿を取っているにもかかわらず、口は微動だにしていなかった。

    「電気が無いならお前は半分ぐらいしか動けない。……だったよな?」

    適応者は虚ろな目で言う。指先には汗が滲んでいる。彼自身、格上の相手との戦闘経験は数知れずとも、この“存在”はあまりに異質だった。

    「ええ、確かに。電力が無ければ、インストールした能力の威力は50%に低下し、ジップファイルも展開不能。ですが——」

    次の瞬間、覇祖魂の手から粒子が溢れた。それは過去に圧縮されたであろう、銃火器、炎、雷、毒霧、果ては重力さえも孕んだ多重属性の“ファイルの残滓”だった。

    「圧縮済みファイルは、起動するだけなら電力は不要」

    「ッ、やっぱりな!」

    適応者の背後、空間が歪み、重力弾が発射される。咄嗟に身を沈めた彼の肩にかすっただけで、鉄筋が歪むほどの質量が空間を圧し潰した。

    「適応、質量圧に対する骨密度強化、筋繊維も再構成——!」

    骨が鳴る。筋肉が軋む。だがそれを飲み込んで、適応者の肉体が変貌する。重力場の中でも動ける身体を“獲得”したのだ。

  • 2761◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:00:32

    「フッ、あの子の世界じゃこの程度、日常だったんだよ……!」

    腕を振るい、近接距離に踏み込む。殴撃が覇祖魂の首を正面から捉えたかに見えた——が。

    「それは偽物です。再生ファイルより、囮用ホログラム展開」

    視界がぐにゃりと歪み、次の瞬間、後方から覇祖魂の掌が迫る。

    「——“大気燃焼圧縮”」

    何かが爆ぜる音と共に、周囲の酸素が急激に燃え上がる。肺が悲鳴を上げ、皮膚が焼ける寸前、適応者は跳躍して空気の薄い天井裏へと退避する。

    「はぁ……はぁ……一瞬の判断で死ぬ相手だな、ほんと」

    だが、適応は終わらない。酸素欠乏に適応し、焼損に適応し、思考速度を引き上げ、彼の肉体と精神は、異常の連続にさえ追いついていく。

    「……だがな、こっちは“親”だ」

    手の平を開く。その中心から、小さな“因果の傷痕”が滲み出す。

    「地獄みてきたんだよ。あの子の“提唱”のせいでな!」

    周囲の空気が一変する。適応という能力が、新たな局面へと進化しようとしていた——。

  • 2771◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:03:51

    地面に深く爪を立てるように、覇祖魂の手帳が開いた。

    「——術不敗龍《ジップファイル》、起動」

    直後、爆発的な風が吹き荒れる。空間ごと“概念”が、書き込み可能な情報として封じ込められていく。
    適応者が構えた拳が届く前に、空間そのものが“圧縮”され、消えた。

    「……ふぅん、こっちは“距離”に適応するか」

    次の瞬間、適応者の姿が消え、覇祖魂の背後へと転移する。
    “位置関係”という概念に適応し、封じられる前に移動したのだ。

    「なるほど、概念ごとに来るってわけか」

    だが覇祖魂は慌てず、封じた手帳を逆展開。

    「ならば、“時間”を返す」

    突如として再び拳が迫る。
    先ほど圧縮された拳撃が、タイムラグを経て空間に再展開されたのだ。まるで“遅れてくる拳”。

    「——っと、時差攻撃か。クセが強ぇな、けど」

  • 2781◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:04:01

    ガキィンッ!

    適応者の腕が金属質に変わり、拳を受け止めた。
    “遅延攻撃”という概念に対して、肉体を適応させていた。

    「この程度、あの子に比べりゃ……まだマシだ」

    血がにじむ拳を見下ろしながらも、表情は変わらない。
    一方、覇祖魂もまた無機質な瞳で応じる。

    「君の“変化”は、データの改竄に近い。ならば、それも——圧縮できる」

    再び手帳が開かれ、今度は“進化の因子”そのものが封じられようとする。
    しかし、その瞬間、適応者の身体から“拒絶する力”が生まれた。

    「そりゃ無理だ。オレは“適応”そのもの。圧縮されるってんなら、そっちのルールにも適応してやるさ」

    覇祖魂の手帳が拒絶され、初めて歪みを見せる。
    そこに拳が迫る。

    「これは父親としての責任だッ!」

    無数の圧縮と展開が交錯する中、二人の異能が真正面から激突した。

  • 2791◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:04:34

    吹き飛んだのは覇祖魂の方だった。

    適応者の拳が、物理法則を“殴れる”ほどの質量へと適応し、
    術不敗龍を貫いた。

    「……人間の拳が、“概念”を貫通……だと?」

    覇祖魂は距離を取りながら、即座に因子闘龍を再起動する。
    全身を光が覆い、次なる能力を選定する過程が走る。

    「“重力操作”“未来視”“空間圧縮”……全部無効化された。電力不足、か」

    忌々しげに目を伏せる。
    この無人島には、覇祖魂の主力である高等能力が機能しない。

    だが、それでも。

    「ならば、電力の届かぬ場所でも、最適化された演算で“勝利”をインストールするまでだ」

    空気が歪む。
    今度は、覇祖魂の腕が幾重もの武器に変形していく。
    レーザー、斬撃、毒霧、炸裂弾──すべて人間の肉体を殺すに足る手段。

    「さすがに多すぎだろ……!」

    適応者の脇腹に爆風が直撃。皮膚が焼け、血が滲む。

  • 2801◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:04:46

    それでも彼は倒れない。

    「オレは、あの子の“全肯定”に適応してきたんだ……!」

    両足に装甲が生え、身体が“熱”を逃がす構造へと変化する。
    次第に覇祖魂の攻撃が通らなくなっていく。

    「……異常だ。たかが人間、情報量に整合性がない」

    「そうかもな。でもな、あの子の世界を見てると——」

    ――これくらい、まだマシなんだよ。

    吠えるような拳が、またも覇祖魂に迫る。
    今度は、“時間圧縮”で動作速度を上げていた。

    しかし覇祖魂は手帳を開き、拳を封印する準備をする。

    「……甘い。すでに“同パターン圧縮”は完了済み。貴様の攻撃は、学習済みだ」

    だが次の瞬間、拳が“質量を持った情報”に適応し、圧縮される前に拳撃へと変質した。

    「こっちだって学習済みなんだよッ!」

    ガンッ!という打撃音。覇祖魂の頭が弾かれ、ついに崩れ落ちる。
    地面を転がるその姿を見下ろして、適応者はぼそりと呟く。

    「オレは……あの子の親だ。これくらいで折れてたまるかってんだ」

    砂を蹴る音が静かに響いた。

  • 2811◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:05:39

    崩れ落ちたと思われた覇祖魂の肉体が、
    地面にめり込んだ瞬間、圧縮された空間が爆発的に展開した。

    「……ふむ。“敗北”という事象ごと、圧縮しておいたのだ。
     演算結果はまだ出ていない。結論を出すには早計だな、人間」

    空間が弾け、覇祖魂が立ち上がる。
    頭部は再構築され、目には蒼い解析の光が宿っている。

    「お前の“適応”とやらも、演算式に落とし込めば再現可能だ。
     “因子闘龍”——模倣開始。“適応”をインストールする」

    全身にコードと回路のような紋様が浮かび、
    覇祖魂の皮膚が“適応者”のように変容していく。

    「……オレの能力を、インストールだと?」

    「お前が出来るなら、私にも出来る。テクノロジーとは、そういうものだ」

    今度は覇祖魂が、適応者の拳を受け止めた。
    まるで“適応”したかのように、破壊が通らない。

    「なるほどな。じゃあ、これも“あの子”譲りってわけだ……!」

    適応者の腕に、血管のような光のラインが走る。

  • 2821◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:05:58

    過去、肯定者の“世界改変”から生還するために得た“現実耐性”——
    その因子が暴発する。

    「“機械”が“人間”を真似しても、そこには実感がねえ。
     お前のは模倣、オレのは——“生き残ってきた証”だッ!」

    肉体が一瞬、次元を超えて変異する。
    “概念破壊”、“因果改変”、“情報の書き換え”──あらゆる干渉を拒絶する構造へ適応。

    覇祖魂が放った“未来封殺”も、“世界書き換え”も通じなかった。

    「理不尽な干渉を拒むか……なるほど。だから、お前は生き延びてきたのか」

    次の瞬間。
    ガアアァァァァァァァン!!

    適応者の渾身の拳が、因子闘龍の演算核に命中。

    「オレはな、“父親”なんだよ。
     あの子の作った狂った世界を見て、それでも守らなきゃって思った。
     どれだけ意味不明な力があっても、意味が通じなくても、
     それでも——適応して、立ち続けてやるんだよッ!!!」

    拳が覇祖魂の内部を砕き、演算式が霧散する。
    術不敗龍の圧縮空間も暴走し、覇祖魂の肉体は崩壊の渦に飲み込まれた。

    「……解析、不能。敗北、認定。……再起動……不可能……」

    蒼い光が消え、覇祖魂は沈黙する。

  • 2831◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:14:25

    静寂の中、息を吐いた適応者は、膝をつきながらも立ち上がった。

    「……ふぅ。あの子の肯定に比べれば……ほんと、まだマシだよ」

    遠くで、波が砕ける音がした。

    “適応”は、今日も命を繋いだ。

  • 2841◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:14:37

    以上

  • 285二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:24:01

    これ見ると提唱者と肯定者って両方やばいな

  • 286二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:39:33

    言葉による世界改変と世界に守られるバフ配る能力(沢山にあげちゃう)だからね
    色々な意味で世界に影響を与える姉妹よ

  • 287二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:40:08

    覇祖魂もやばいな 電力なしでも強い

  • 288二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:41:06

    あの子達の親だぜ?父ちゃんやってる時の苦労が浮かぶ浮かぶ…

  • 2891◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:48:19

    題名『契約と疼痛のラメント』

  • 290二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 17:48:50

    このレスは削除されています

  • 2911◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:49:14

    湿った夜の雨が、しとしとと舗道を濡らしていた。夜の街に灯る街灯は鈍く濁り、まるで世界そのものが溜息をついているかのようだった。
    その薄闇の中、傘をくるくると回しながら歩く者が一人。

    「んふふ……どこかに、ボクをちゃんと痛くしてくれる人、いないかなぁ……」

    艶のあるゴスロリのドレス、ひらりと揺れる黒いフリル、そして片目に巻かれた包帯と、紅い眼。
    痣華(アザカ)。
    彼の足取りは踊るように軽く、だがその内に宿る願望はあまりに重い。
    誰かに痛めつけられたい――そんな、常軌を逸した欲求が彼の存在の根源であり、世界を見るフィルターでもある。

    そのとき、アザカの前に現れたのは、一人の異形。

    スーツ姿の山羊頭。
    黒曜石のような眼を持ち、革靴の先から角の先まで、完璧に整った姿。

    「――お初にお目にかかります。ご機嫌よう、名も無き者よ」

    その姿を見て、アザカは目を輝かせた。
    声を震わせ、頬を紅潮させて言う。

    「なにそれ、最高……! ねぇ、キミ、ボクのこと痛くしてくれる?」

    異形はわずかに首を傾けた。

    「名乗るが礼儀――私はバフォ。契約と代償を司る存在。あなたが望むならば、痛みなどいくらでも差し上げましょう。代償を支払って、ね」

    「契約ぅ……? 面白い。いいよ、ボク、そういうの大好き。ちゃんと“代償”くれるんでしょ?」

  • 2921◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:49:54

    「ええ。提示いたします」

    バフォは指先で空間をひっかいた。そこに浮かび上がる幾つかの契約文。

    力を十倍に引き上げる代わりに、視界の90%を失う
    動体視力を超強化する代わりに、聴覚を失う
    筋肉出力を爆発的に増幅する代わりに、三日間の四肢消失

    アザカは目を輝かせ、指でなぞった。

    「視界が消えるとか、耳が聞こえなくなるとか……ゾクゾクするぅ……!」

    「それでは、どれをお選びに?」

    「――ぜんぶ!」

    バフォの瞳が一瞬だけ揺れた。

    「……一度に三契約。正気ではない判断ですね」

    「ふふふ、ボク、正気じゃないからね?」

    その瞬間、空気が変わった。
    雨の音が遠ざかり、世界が「契約」の輪郭を帯びていく。

    「……では、交わしましょう。“契約成立”」

    契約印がアザカの胸元に浮かび、バフォの周囲に魔方陣が現れる。
    それはまさに、愛を求める狂者と、契約を司る悪魔の邂逅だった。

  • 2931◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:50:06

    だがこれはただの取引ではない。
    一歩間違えば、どちらかが破滅する――そんな、危うさを孕んだ交錯だった。

  • 2941◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:50:56

    「――ぁ、っ、ぐ……っ!」

    轟音。
    それは地響きとともに走る衝撃だった。アザカの身体がビルの壁に激突し、砕けたガラス片が夜に舞った。

    だが彼は、笑っていた。

    「さいっこう……♡ 痛い、痛いよ……でもッ、まだ足りない……もっと、もっとちょうだいッ!」

    彼の左眼は潰れ、両耳からは血が流れ、腕は明らかに捻じ曲がっていた。
    だが、彼の足は止まらない。

    契約によって得た強靭な筋力。
    それは、常人の数十倍のスピードで肉体を駆動させる。
    けれど、失った代償――視界も聴覚も、ほとんど機能していない。

    彼は本能と痛覚の地図だけを頼りに、バフォへと飛びかかる。

    「この身体、どこまで壊れたら“満たされる”んだろうねぇッ!」

    それを迎え撃つバフォは、まるで舞踏のような所作で傘を弾いた。

  • 2951◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:51:26

    「――《契約:残像迷路》。」

    空間が歪んだ。
    バフォの姿が複数に分裂する。残像、幻影、魔術的複製。それらすべてが、契約を通して“現実”として通用する。

    「うふふ……いーねいーね! どれが本物でも、いっそ全部刺せばいいかも!」

    アザカは傘を回転させ、刃へと変形。鋼鉄の歯車が唸りを上げ、視界がないまま、直感で振るう。

    ――ガキィン!

    一体を斬り裂くが、それは幻。
    しかしその斬撃の軌道。
    それを“痛覚で観測していた”バフォの衣服が、わずかに裂けた。

    (ほう……これほどの直感。常軌を逸した狂気が、精度に変わるとは)

    バフォは冷静だった。彼にとってこの契約は「取引」でしかない。
    だが、彼が見誤っていたことが一つ――
    アザカは代償を恐れていないということ。

    「ねぇ、もっと……もっと痛くさせてよ。壊れてもいいの。ねぇ、愛してよ……バフォくん♡」

    「……理解しました。では、提示を変えましょう」

    バフォは再度、契約の選択肢を掲げた。

    10秒間、絶対回避。ただし終了後、心臓が停止
    全攻撃が即時反射。ただし五感が完全消失
    敵の魔力を無効化。ただし発動中、自身の存在が他者に認識されなくなる

  • 2961◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:51:40

    「さぁ、選びなさい。あなたの望む、“愛”という名の痛みを」

    アザカは、恍惚とした笑みを浮かべて――

    「……いちばん壊れそうなやつ、ぜんぶ!」

    そう、答えた。

  • 2971◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:52:25

    バフォの黒き蹄が、砕けたアスファルトを踏み締める。
    彼の背後で、現実の論理を曲げる契約が発動した。

    「――了解。契約全選択、成立。」

    空間が歪み、時間が狂う。
    アザカの身体から光が漏れ、音が死に、色が褪せた。

    次の瞬間、世界は“静寂”に包まれた。

    視えない。聴こえない。触れられない。
    全ての感覚を失いながら、それでも彼は確かに――「そこ」にいた。

    (ああ……これだ……これこそが、愛)

    鼓動は止まっている。
    だが、“愛”を受けた痛覚は、記録として残る。
    共有された痛みが、反射の起点となる。

    バフォの腕が刃に変わり、雷鳴と共にアザカを貫いた。

    だがその瞬間――

    「かっは……ははっ……だいすき……!」

    音もなく、反射が起きた。
    今までアザカに与えられた“痛み”すべてが、バフォの精神と肉体へ押し返される。

  • 2981◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:52:35

    鋭い、暴力的な情報の奔流。
    肋骨が砕け、鼓膜が破れ、神経が焼ける。

    「ッ、ぐ……! これは……“感覚の反転”か……!」

    バフォは膝をつき、口元をぬぐう。黒い血が垂れる。

    だが、アザカの顔にはまだ笑みがあった。
    契約に縛られ、存在の意味すら揺らぎながら――それでも彼は立ち上がる。

    「もっと……もっと“愛して”。ボクはね、全部壊れて、全部感じて、それで満たされるんだ……♡」

    それは、戦闘ではない。もはや愛の表現だった。
    痛みを媒介とした、破壊の告白。
    一方的な執着と、自己否定の果てにたどり着いた恋情。

    バフォは目を細めた。

    「……貴方の“理解”は、我が契約を超える域にある。
    ならば……今度は“こちら”の代償を支払ってもらいましょうか」

    バフォの手のひらが開く。
    そこには――かつてアザカが痛みを受けた記録の“契約書”があった。

    「《代償転用:術式解体》」

    過去の全痛覚情報が、アザカの内部から消失する。

  • 2991◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:52:52

    痛みを反射する術も、そのトリガーを失えば発動しない。

    「……え、あ、れ……?」

    アザカの笑みが消える。
    初めて、彼の顔に“困惑”が浮かんだ。

    「感じない……痛くない……うそ……なんで……?」

    その悲鳴は、愛を喪った獣のようだった。

    バフォはゆっくりと歩み寄る。

    「貴方は愛を痛みと定義した。
    だが、その痛みが消えたとき、貴方は果たして何を信じられるのか?」

    そして静かに、こう呟いた。

    「……それもまた、契約です」

  • 3001◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:53:43

    瓦礫の地に横たわるアザカの身体は、もはや力の残骸だった。
    さっきまで拡散していた痛みも消え失せていた。
    それは勝利ではなく、快楽の源を失った敗北の証だった。

    「……なんで、なんで……何も、感じないの……?」

    うわ言のように繰り返す。
    眼帯の奥、かすかに震える潰れた視神経すら――痛まない。
    己の存在意義だった“痛覚”すら今は失われ、世界は無味乾燥でただただ冷たい。
    そこへ静かに現れたのは、山羊の頭をもつ礼装の影――バフォ。

    「契約の代償は、常に“結果”であり、“罰”ではありません。
    貴方は選び、望み、得て、そして――燃え尽きた。
    それだけのことです」

    「……やだ……そんなの、いや……ッ」

    アザカはふらふらと立ち上がる。
    もはや傘すら手放し、頼るものはなかった。
    けれど、その目にはあの狂気が微かに宿っていた。

    「もう一回、ボクにくれよ……“痛み”を……“愛”をッ……!
    何でもする!ボクは、もっと……もっと痛くなきゃ、生きてる意味がないんだよッ!」

    静かに首を振るバフォ。
    だがその声音は、いつになく柔らかかった。

    「……ならば、最後の契約を提示しましょう」

    その言葉と共に、宙に黒い契約書が浮かび上がる。

  • 3011◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:54:13

    そこに記された条件は、異様な一文だった。

    契約名:終焉契約(エンド・コード)
    内容:
    過去に受けた痛みすべてを、永遠にループ再生し続ける。
    身体は壊れず、精神は限界の手前で保たれ、痛みは永遠に持続する。
    対価として、存在そのものを“契約”に譲渡。
    以降、自己の意志をもって生きることは不可能となる。

    アザカはそれを見て、うっとりした笑みを浮かべる。
    眼帯の下から涙がこぼれる。
    感情も理性も常軌を逸していたが――ただ一つ、本物だった。

    「うん……それだ……それしかないよ……♡」

    契約は結ばれた。

    瞬間、アザカの肉体が蒼く光り、その内側で何かがひび割れる音が響く。
    悲鳴もない。ただ――永遠の痛みが始まった。

    笑顔のまま、彼の意識は沈んでいった。

    バフォは帽子を取り、一礼する。

    「……貴方にとっての“愛”が、どうか永遠でありますように」

    その声は優しかった。
    契約者として、悪魔として、そして――

  • 3021◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:56:06

    かつて、誰より痛みに忠実だった者への、哀悼だった。

    アザカの姿が消えたその場所に、血も、影も残らない。

    ただ、契約の最後のページが風にめくられて、虚空に溶けた。

  • 3031◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 17:56:17

    以上

  • 304二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:00:54

    バフォメット…… 上位存在っぽい対応してたな

  • 305二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:02:57

    今までに無い感じの話じゃないこれ?

  • 306二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:04:13

    ある意味救いをくれたんだね…毛色の違うナイスバトルだったぜ

  • 307二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:04:58

    こういう展開大好き

  • 308二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 18:26:45

    アザカ本人にとっては救いか……

  • 3091◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 18:40:00

    19:15より安価10個

  • 310二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:00

    名前:グランツ・スターレイン
    年齢:27歳
    性別:男
    種族:人間?
    本人概要:金髪碧眼のイケメン。派手なものが大好きで自分が世界の主人公と信じて疑わないナルシスト。
    自分以外は自分を引き立てる脇役だと思っており少し舐めた態度をとる。
    空を縦横無尽に飛び回る姿から『流れ星』というあだ名をつけられた。
    能力:光の讃美歌
    能力概要:謎の光エネルギーを具現化する能力。自身に使用すると浮力を、他人に付与すると治癒を、そのまま使うとエネルギー弾になる万能エネルギー。圧縮すると爆発することがあり、この性質を利用しグランツは空を飛んでいる。
    弱点:本人は自己治癒できないため耐久力がカス。初手はなめてかかる上に飛べるくせに接近してくる。
    要望(任意):1人称は僕、2人称は君

  • 311二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:00

    名前:万能者(山桐 麗)
    年齢:秘密
    性別:女
    種族:現人神
    本人概要:【適応者】の嫁で有り 【提唱者】【適応者】の母親
    最初は人に試練を吹っ掛けるやべー奴だったが適応者と結婚し子供が産まれて驚くほど丸くなった
    夫に惚れた理由はどんな試練でも【適応】し生き延びたかららしい
    能力:万能
    能力概要: 魔法だったり異能だったり技術だったりとやろうと思えば大体なんでも出来る 
    かつては言葉を発すれば世界がそれに従い自身のことを世界そのものが守ってくれた理不尽の塊だったらしいが……?
    弱点:子供を産んだことで全盛期とは比べ物にならない程弱体化し
    今では召喚した神器(腕輪など)を媒介にしないと能力が使用不可 神器が破壊されると能力使用不能になり
    神器の召喚は1日に一度な為実質戦闘不能敗北する
    言葉での世界改変は【提唱者】に世界からの守護は【肯定者】に受け継がれた為完全に使用不可となっている
    弱体化により運営が難しくなった能力を無理矢理使おうとしている為
    能力使用の際は僅かに隙が出来るこれは規模が大きい程大きくなる

  • 312二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:00

    名前:《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》
    年齢:???
    性別:???
    種族:???
    本人概要:何度も己に関する発言をしたせいで、名前や力が今まで混沌を楽しむという行動を表す名前になり、それすらも崩れてしまった。JOY は狂人で、この世の全てが混沌・混乱に落ちる事を楽しんでいる人物であり、相手の混乱や、世界が混沌になった様子を見てる事を楽しみしている。その混沌・混乱は自分にも適応され、己の精神が一般人になって混乱や罪悪感を感じても笑い楽しみ、己が滅ぶ・消滅する・己がいたという歴史が消える事すらも笑い楽しむ性格である。戦況では混沌に落としたり、相手や己を混乱させる為に相手を瞬時に倒す事はない。相手と己を生かして、存分に楽しんで飽きるか相手の精神が壊れるまでは、相手を攻撃せずに生存に重きを置いている。
    能力:《ケ_カ_ィオス・/HUB_"シュパスハーゲン"_FUN/》《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/ 》
    能力概要:《ケ_カ_ィオス・/HUB_"シュパスハーゲン"_FUN/》は話した言葉が50%嘘になる。
    能力例 現実の物が嘘になる場合、あの場所に橋がある。→その場所に橋はない。噂話の場合、政府が人体実験をしている噂がある。→実際に政府が人体実験をしていた事になる。JOY が作った嘘の話をした場合、世界は一度暗黒竜によって滅ぼされているんだ。→実際に暗黒竜に一度滅ぼされた事になる。
    《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/ 》は存在自体が崩れてしまった結果得た能力。直接相手に触れたら能力が発動する。能力が当たった者は、段々と意味が崩れていく。
    例 炎上→炎→赤く揺れる→赤い→消滅
    このように複合されている意味→一つだけの意味→視覚情報のみ→色のみ→消滅になる。
    弱点:能力を何度も使用して存在が崩れている為に、3分走るだけでも気絶してしまう程。スタミナ以外は一般的な身体能力である。
    どれが嘘になったかは、JOY にも分からない。
    意味が完全に崩れるのは最低でも10時間かかる。

  • 313二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:00

    名前:百瀬 天美(ももせ あまみ)
    性別:女性
    年齢:23
    種族:人間
    本人概要:
    幼少期から剣道や弓道を修めていたため、刀や槍などの古典武器の扱いがめちゃくちゃ上手い。
    15歳の誕生日に『神さま』への生贄にされるはずだったが、その日たまたま村が折神に襲われたことで(結果的に)命を救われる。
    さらにその1週間後、たまたま折神に出会ったことで運命を感じ取ってしまい、彼に着いてまわるようになる。
    彼を本気で慕い憧れていたが、1年後、自分が送ったラブレターで家族を爆散されたことで、目的も中身もない悪意の塊だと気づく。
    以降は復讐のため折神を追いかけまわしながら、賞金首を捉えて生活費を稼ぐ生活を送るようになる。
    なお、アレだけのことをされたのに折神への未練はまだ捨てきれていない。
    能力:『戦神の遣い』
    能力概要:
    生贄にするための儀式が中途半端に終わったために偶発的に手に入れた能力
    硬い甲殻・俊敏な機動力・強靭な咬合力・強力な毒を兼ね備えた戦神の眷属たる蟲、すなわちムカデを大量に召喚する
    眷属として高位であるムカデほどデカくて強い
    弱点:
    高位のムカデほど自我が明確であり、戦闘こそ行ってくれるものの基本的に指示を受け付けずに勝手に行動する
    そのため、百瀬が巻き込まれるような攻撃であろうと躊躇せずに行うため、召喚には危険が伴う
    一方そうでないムカデは逆に指示通りの行動しかしないため、攻撃の回避が容易

  • 314二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:00

    名前:先駆者
    年齢:16歳
    性別:女
    種族:人間
    人物概要:動画投稿者で誰よりも先に新しい物に触れていった結果能力に目覚めた少女
    使いづらい自分の能力に振り回されながらも新しく物の追及や探求はやめていない
    性格はめちゃくちゃ普通でポジティブで明るく元気な女の子
    好きなものは一番乗り、嫌いなものは最後尾
    能力:先駆
    能力概要:まだ誰にも触れられていない先の先にある力を誰よりも先に使える
    まだ誰も開発できていない技術や誰も到達できていない武の極地、誰にも発現したことない能力など
    先駆者として誰より先にある力や到達、発現されていない未知なる力を誰よりも先に得れる
    果てしなく先にある身体能力、技術、能力、武器に誰よりも先に触れることができる先駆者らしい能力
    弱点:先の先にある力、誰も至れていないものというものは未知数であり己の能力にめちゃくちゃに振り回される
    身体能力や速度などは「まだ誰も至れていない身体能力、速度」などでカバー出来るが能力頼りの戦闘が多い
    出て来たどこまでも先の未来の力を使いこなせるかも不明で隙が生まれることも多い

  • 315二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:01

    名前:槍神(本名:トゥアハ・ダナン)
    年齢:不明(見た目はロリ)
    性別:女
    種族:神
    人物概要:見た目は身の丈以上の大きさの長槍を携えた赤髪ロングのロリっ子だが、正体は神殺しの槍を振るうクーフランの一族が信仰する神であり、一族が目指す最終到達点。
    かつて全盛期の剣神と幾度となく引き分けた経歴を持ち、最終的に世界の修正力で天界に封じられた。
    とにかく天界は何も無く、クッソ暇なので気合いで現世に現界しては遊び倒し、自分と戦った勇者を天界に勧誘している。(その度に断られている。
    能力:槍神➕神槍
    能力概要:槍神が持つ、過去にも未来にも並ぶもの無き槍術と絶対神殺の権能のレベルにまで到達した業。そこにクーフラン達が持つ神殺しの槍のオリジナルたる〝神槍:ブリューナク〟が加われば貫けぬモノは無い。
    弱点:まず大前提として封印されている状態から無理やり現界しているので3分間しか肉体が保たず、その肉体は心臓部のコアを破壊すれば一瞬で消滅する。
    加えて本人の性格から、
    ①自分の弱点を自ら教える。
    ②同格以上の相手でもない限り絶対に相手の攻撃を避けない。
    ③まず最初に相手の能力を使わせる。
    といった『相手の全力を引き出したい!』という強烈な想いから来る完全プロレススタイルを取ることも弱点となる。

  • 316二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:01

    名前:ブレイズガール(本名は火野アツ子)
    年齢:19
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:暴走族風の魔法少女。
    弟妹達を養う為に日々バイトや怪異討伐に奮闘している姉御肌。
    能力で魔改造、ブーストをかけた原付の『紅蓮』を移動にも戦闘にも乗り熟す。
    能力:火炎
    能力概要:全身に炎を纏い変身する。炎の色によって使える特性と姿が変わる
    烈日の紅(フレアレッド):基礎能力の上昇。燃える拳で殴ったり熱波や火炎弾を放ったりと汎用性が最も高い基礎形態。
    灼浄の白(グロウホワイト):攻撃性能と引き換えに、浄化の炎による弱体効果の解除やバリア展開を得意とする防御形態。
    終極の蒼(ブレイズブルー):発動すると肉体が不可逆の炭化を始める最後の切り札。最大30秒間、神域にも等しい速度と超火力を得る最終形態。
    弱点:火力を上げる程に激痛を感じる。雨天での能力維持が困難。
    形態変化の移行中は人間のスペックと変わらず無防備
    要望:一人称はアタシ様

  • 317二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:01

    名前:バセルラ
    年齢:1,200歳
    性別:雄
    種族:龍人
    本人概要:
    龍の強大な強さが五尺の小柄な身体に凝縮された究極生物。
    強さこそ全てという龍の信条と闘いが好きだという自身の趣向に沿って、生来の圧倒的強さに慢心せず己を極限まで鍛え上げてきた。
    武術や戦術にも習熟して知性も高いが、戦闘方法は純粋な拳による闘いを好む。形意拳による力強い一撃がお気に入り。
    自身が強すぎて対等に闘える相手が居ないのが最大の悩みであり、いつか接戦のうえで勝利するような闘いをすることを心から願っている。
    能力:【弱体化・極】
    能力概要:
    相手と同じレベルで戦うために編み出したスキル。
    戦闘開始と同時に自身へ使用し、筋力や体力など、あらゆる戦闘力を封じて弱体化する。
    バセルラの意思によって封印の強度を1%~99%まで自由に調整可能。
    弱点:
    必ず能力で自身を弱体化してから戦闘を開始すること。弱体化能力は相手に対して使用しないこと。
    また、闘争を少しでも楽しむために、相手の攻撃は全て笑いながら避けずに受けるという矜持がある。
    相手の攻撃にチャージ時間が必要とあればチャージし終えるまで律儀に待つほどである。

  • 318二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:02

    名前:釘野兎火(くぎのうか)
    年齢:18
    性別:女
    種族:人間(供犠の一族、分家の遠縁)
    本人概要:バニーガールの少女。能力のせいで他者から信頼されにくく、いつしか学校も中退し、夜の闇にまぎれて生きるようになっていた。せめて行動だけは正しくあろうと正義の味方として悪を始末する。バニーガール姿なのは好きな童話であるカチカチ山の兎に自身を重ねているからである。
    能力:供犠(言葉)
    能力概要:言葉を捧げることで武器を生成することができる。正しくは言霊を捧げる能力、彼女の言葉に説得力はない。
    言葉とは繋がる力であり、伝える力である。言葉を捧げ武装とするその力はまさしく、言葉を引き裂き人を分かつバベルの呪いそのもの。不和の雷霆を纏う武器の威力は概念的にも物理的にも極めて強力。
    弱点:能力のせいで対話をすることが極めて困難であること。生成された武器は伝説級だが、身体能力は人間の延長線上に過ぎないのでそこが弱点。
    要望(任意):セリフはところどころ文字化けしてください。
    例:「こんばんわ、よい夜ですね」→「ConんBaんWわ、Yooい依流DeすnEね」
    「好きな童話はかちかち山です」→「SuUきなDど兎WaはKa血C亜Tiや魔でSuuuuu」
    「信じてほしかったのだけど、ね」→「Sh信ジtEほSSSSシKaッtt亜ケd、Neェ」

  • 319二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:02

    名前:神無月 澪(かんなづき みお)
    年齢:17歳
    性別:女性
    種族:人間(異能覚醒者)
    本人概要:
    私立・燦煌学園の2年生。
    成績は中の中、運動もそこそこだが、圧倒的な「中二病的自意識」と世界観で周囲から浮きまくっている女子高生。自らを「重力境界の魔眼保持者《グラヴィティ・コード》」と名乗り、いつも独自に開発した魔法陣ノートを持ち歩いている。
    発言は99%意味不明だが、能力だけは本物。ただし、本人が自分の能力の本質を理解しておらず、トンチキな名称で技を繰り出す。
    能力:『冥界重奏(グレイヴ・シンフォニア)』(実際の能力名:重力法則操作)
    能力概要:
    視界に入ったものの「重さ」そのものを自由に操作する異能。建物を軽くして浮かせたり、小石を数十トンの質量兵器に変えたりできる。ただし、視覚認識が条件なので、視界を遮られると干渉不可。
    技名の一例:
    • 「虚空圧殺陣(グラビティ・スプレッドクラッシュ)」=地面を局所的に異常加重し、崩壊させる技
    • 「宙哭ノ舞(アステロイド・バレエ)」=敵や味方の武器や装備を無重力化
    • 「滅級零斬(ヘヴィ・ゼロ・レクイエム)」=無数の小石を重量100トンにして弾丸のように射出
    弱点:
    ・視界が遮られると無力(例えば目隠しや暗闇、意識外の攻撃)
    ・自分の能力の本質を理解していないので、無駄にポーズや詠唱が長い
    ・中二病をイジられるとリアルに恥ずかしがって行動不能になる
    ・身体能力、および肉体強度は一般女子高生並みで、心臓貫通で死ぬ
    ・精神的に未熟なため、パニックに弱い
    要望(任意):
    ・制服アレンジ、赤い瞳(カラーコンタクト)、銀髪のウィッグ(地毛は茶髪)
    ・「この右手に封じられし…ッ!」的セリフを日常でも多用

  • 320二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:02

    このレスは削除されています

  • 321二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:03

    名前: 億橋レン
    年齢: 15
    性別: 男性
    種族: 猫獣人
    本人概要:
    困窮した家庭環境で育った猫耳を持つ中学生の少年。家族を救うための「一発逆転」に強い憧れを抱き、運命に屈しない強い意志を秘めている。知的で憂いを帯びた表情をしているが、内面には「賭け事にまあいいかなどという手はない」という信条を持つ賭博師気質の勝負師としての一面を持つ。学生服風の装いの各所にトランプを隠し持ち、中途半端な妥協を徹底的に嫌う性格。劣勢になるほど大胆になる危険性をはらんだ性格で、家族への使命感が全ての行動の根幹となっている。兄の教え「息を深く吸ってみろ」を大切にしており、戦闘中に意識的に実践する。戦闘においては短期決戦型の心理戦術を得意とし、予知で相手の行動パターンを読み取った後、10秒間の認識操作を利用したトランプ投擲で致命的な一撃を狙う戦闘スタイルを持つ。相手に「次に何をしてくるか分からない」という恐怖心を植え付ける心理戦を重視し、一発逆転を常に狙う勝負師としての本質を戦闘でも発揮する。
    能力:《小利口札》《十三秒間の天運》《現代投擲術・億橋流》
    能力概要:
    《小利口札》⋯瞬きをすると10秒先の「予知をしなかった場合」の自分の周囲の未来を第三者視点で見る基本能力。この予知は彼の認識内では10秒だが実時間では一瞬で完了する。その後、目を開けて予知と異なる行動をとっても、周囲は予知通りの彼が行動していると10秒間錯覚し続ける認識操作効果を持つ。
    《十三秒間の天運》⋯一戦闘一度限りの大技。予知時間を13秒に延長し相手の行動を完璧に読み切ることが可能。発動中のみトランプが月光を帯び、軌跡が予知映像のように残光を引く視覚演出が発生する。命中時はノイズが可視化し、自分の攻撃軌道を予測不能に乱す戦術的優位を獲得する。
    《現代投擲術・億橋流》⋯予知能力と組み合わせたトランプ投擲により、相手の死角や急所を狙い撃ちし小規模攻撃も防御できる。
    【決め台詞「賭け事にまあいいかなどという手はない」発言後】:予知誤認率-10%向上
    【深呼吸によるノイズ軽減】:1戦闘2回まで、各5秒間効果
    弱点:
    能力の連続使用により脳内ノイズが蓄積し、予知映像に誤認が混入する可能性がある
    要望:
    一人称は「おれ」、二人称は「おまえ」です。

  • 322二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:03

    名前:超巨城ギ=ガテラ・ペータ
    年齢:288000500年
    性別:無し
    種族:建築物
    本人概要:開闢の時代に全ての巨神達の根城として作られた超巨大人型建造物、巨神の姿形に寄せて作られ600kmにもなる比類なき巨大さで幾度も他の神の襲撃を耐え抜いて来た巨城
    神々が去った後も地上に放置されてごく稀に動き出しては周囲に甚大な被害を出している
    能力:巨城の免疫(キーロ・ガテラ)
    能力概要: 超巨城ギ=ガテラ・ペータの許可無しに中へ入った者を排除する免疫機能達
    一体一体は訓練した兵士数人がかりで対処可能だが 数が桁違いに多く、最低でも一度に数百体を相手にし、その勢いは奥の方へ行くほど桁違いに多くなって行き1万体に1匹の割合で出てくる通常の兵士ではどうにもならない強さの精鋭個体なども出現する
    弱点:体の中心にある動力源か頭部分の中にある制御機能を司る部位を破壊すれば全ての機能が停止する
    要望(任意):機能や構造が人体に酷似している

  • 323二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:08

    このレスは削除されています

  • 324二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:13

    名前:《蟲華のハエナ》
    年齢: 14歳
    性別:女
    種族:菌核寄生体
    本人概要:
    辺境の貧村にて病床に伏していた少女。瘴気に浸された地脈に咲く仙蟲華に寄生され、三日三晩、骨と皮が軋み鳴り、内臓が湧き立つほどの激痛の中で「蛹」と化した。そして四日目、人ではない何かとして孵化する。その姿は人の形をなぞっただけの寄生体の管腔模型。皮膚はすでに剥落し、瘡蓋のような菌糸の膜と不定形の繊維塊に置き換わっている。目・口・耳等のあらゆる孔から乳白色の生殖菌糸と甲殻節足の断片が滴り続け、常にぬめりと蠢動音を伴っている。全身の運動は筋肉によるものではなく、複層構造の菌糸束と昆虫脚が内側で擦れ合い、きしみながら蠢くことで達成されている。吐息には目視不能な胞子状の微塵核が含まれており、吸い込めば肺胞は徐々に軟泥状の菌床に置き換わる。その過程で苦悶する者の断末魔は、菌糸を通じてハエナの声帯に吸収され、次に話される言葉として断片的に再生される。腹部には裂けたように開いた「産出孔」があり、常に透明な粘液に包まれた卵と、ねじれた菌糸の房が嘔吐のように溢れ続ける。それらは地面に落ちると泥と結合し、数本の虫脚に似た仮根を蠕動させながら地中へと潜り、やがてそこから無数の仙蟲華の幼体群が芽吹く。眼球は存在せず、代わりに膨らんだ瘤状の菌嚢が形成されている。
    能力:《膿哭の子宮〈ファンガル・クレイドル〉》
    能力概要:
    接触した対象に、自己の中枢断片である〈苗床子〉を体内に注入する。
    これは肉眼では検知不能なサイズの知性断片付き胞子核であり、血流・神経・消化器系を通じて体内に定着し、無音のまま侵蝕を開始する。
    感染者には表面的な異常は見られないまま、臓器が内側から糜爛し、神経系が菌糸に置換される。
    最終段階では、感染者自身が意識を残したまま《種殻》へと変異し、腹部・喉・眼孔などから新たな卵嚢と菌糸を噴き出す生きた繁殖袋と化す。
    死亡しても機能は継続し、体内の菌糸は腐敗を免れ、周囲に新たな個体を産み落とす。
    弱点:
    • 強い日光(特に高出力紫外線)に極端な弱さを持ち、直射によって胞子核は死滅する。
    • 身体内部に埋め込まれている「王核」を破壊されると、すべての菌糸構造は瞬時に活動を停止し、濁った液体と化して崩壊する。

  • 325二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:16

    名前:黒死の風(デッドフェーン)
    年齢:60歳(後述の実験の影響)
    性別:オス
    種族:馬
    本人概要:紫のあまりに長いたてがみと尾が特徴的な黒鹿毛の馬
    近くの地域では「厄災の馬」「毒と病を撒き散らす怪物」として恐れられている
    …が、彼自身は黒魔術の実験台に肉体と魂を呪われてしまっただけの名も無き優しい馬である
    能力:「腐食の尾」「呪いの蹄」
    能力概要:震わせた尾からは毒を振り撒き周りのものを腐食させ、その蹄が触れた場所からは生命力を吸い取る
    蹄が触れた大地は瘴気が残留し、間接的にも生命力を吸い取られる
    また能力だけでなく本体のスピードも非常に高い
    弱点:馬なので光や音、動きにも敏感に反応する。そのためフェイントや囮の様な策に弱く、ある意味隙を突きやすい
    また回復、神聖系の術などで毒はレジストできる

  • 326二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:17

    名前:マカイ
    年齢:55
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:不細工貧困フリーターで性格も歪んでいて悪い所謂人生の負け犬
    劣等感から世界を呪い、他者を責めて自分は悪く無いと思っていたところ異能に目覚めた
    能力:負け犬の怨嗟
    能力概要:相手を自身と同レベルまで能力を強制的に落とさせるという相手が強ければ強い程ブッ刺さる能力
    相手の身体能力が優れていたなら下がるし戦闘技能経験などもマカイが対応できるレベルまで低下
    異能や武装なども出力機能ともにマカイが戦闘できるレベルまで下げられる
    弱点:自分と同レベルに能力を下げるだけで相手より上回ってるという訳では無い為
    最後に優劣を分けるのは意思の力の差になる 
    要望(任意):能力使用時は お前も惨めで歪んだ負け犬である俺と同じところまで落ちてこい!!って台詞を言わせて欲しいです

  • 327二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:15:23

    名前:ワフタ=ワフタ
    年齢:3歳(言語を覚えたばかり)
    性別:?(本人いわく「わふ性」)
    種族:魔犬種(もふもふ属)

    本人概要:
    もふもふでぬいぐるみのような姿をした、話せる犬。かつてとある魔王に拾われてからはずっと人間に憧れていて、街で人助けをしている。空を飛ぶこともでき、喋るたびに語尾が「〜わふ」になる。驚異的な癒しパワーを放つ。
    一人称は「わふ」。
    能力:もふりきらいなやつぜったいゆるさない砲

    能力概要:
    自分を可愛がってくれなかった者や、もふもふに無関心な存在に対して、目から謎のエネルギーを放ち強制的に癒しモードにする。相手は悶えたり笑ったりして戦意喪失する。

    弱点:
    ・悪意には敏感だが、褒められると完全に無警戒になる。
    ・火が苦手。しっぽを焼かれるとしょんぼりする。
    ・マズル(鼻の上)を触られると爆睡する。
    ・普通の犬と同じ弱点。

  • 3281◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:15:40

    とまれええええええええ

  • 329二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:16:21

    やっぱこの時間帯で予告アリだと2,3秒で埋まるな

  • 3301◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:17:36

    審査入ります

  • 331二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:18:00

    安価が多いことはいいこと

  • 332二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:18:04

    1秒以内に投げないと確実じゃないって何よ…

  • 333二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:18:55

    今回 手加減勢多いな

  • 3341◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:23:06

    今回の審議対象はバルセラですかねぇ
    槍神もアウト寄り

  • 335二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:26:34

    バセルラと槍神をぶつけたらどうなるんかな お互い手加減してる超存在みたいな感じだけど

  • 336二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:26:42

    名前ややこしくてすまないがバセルラだな
    弱点に「龍種共通の弱点としてバセルラも同様に逆鱗という急所が顎下に存在する」とか追加でどうですか

  • 337二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:27:06

    >>334

    バセルラはどうなんだろ?

    竜人らしいし、心臓破壊で死にそうだし、単なる肉弾戦キャラでしょう?

  • 338二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:29:24

    >>337

    手加減で本気出しませんよみたいなのはあんま許されないことが多い

    絶対に本気を出せない出したら死ぬみたいな制約あるなら許されることはまぁある

  • 339二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:29:34

    手加減コンビでスーパー手加減バトルしてもらうか…

  • 3401◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:30:20

    >>336

    おっふ。すいません

    バセルラですね

    逆鱗追加ならまあ平気です

    >>337

    肉弾戦を突き詰めると剣神が生まれるんですよ

  • 341二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:31:01

    >>340

    ありがとうございます

  • 342二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:32:18

    このレスは削除されています

  • 343二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:37:04

    槍神は時間制限+弱点部位+舐めプでこれ以上どういう弱点を追加すればいいのかこれもう分かんねえな

  • 3441◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:37:05

    >>342

    それは槍神ですよね?

    バセルラの話です

    それに槍神はアウト寄りと言ってるだけで審議対象ではないですよ

  • 3451◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 19:44:51

    グランツ・スターレインvs槍神
    《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》vs釘野兎火
    バセルラvs先駆者
    神無月 澪vs万能者
    ブレイズガールvs百瀬 天美

  • 346二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:45:38

    第二戦が文字化けバトルじゃん!!
    大丈夫なのかよ!?

  • 347二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 20:38:59

    >>346

    パラサイトにも耐えたAIくんを信じろ

  • 3481◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:00:49

    短めだけど私は好き

    題名『星槍決闘』

  • 3491◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:01:51

    その日、天に一筋の光が走った。
    夜の帳が降りきらぬ黄昏の空に、あまりに明るく、あまりに誇らしげな閃光。
    人々はそれを流星と見まごうた。──いや、確かにそれは「星」だった。
    その名も、グランツ・スターレイン。
    光を操る男。空を翔ける王子。自称、世界の主人公。そして他称、規格外の天災。

    「ごめん、着陸ってどうやるんだっけ?」
    軽口を叩きながら、彼は落ちてきた。速度はマッハ6。音を置き去りにし、空気を焼き、重力に嘲笑を返しながら、ただ一人、光と共に地上へ舞い降りる。
    次の瞬間、**ドオォン!!**と天地を揺るがす爆音と衝撃波が大地を襲った。
    ──着陸ではない。これは着弾だ。

    だが、その中心に立つ彼に傷一つない。
    白金に輝く軍装、金髪の束、碧眼の煌きは、塵一つ許さぬほど完璧に整えられている。
    周囲に巻き起こった風圧で数キロ先の山が崩れても、それすら演出の一部でしかないように。

    「ふぅ……今日も僕は美しいね。まるで神話から抜け出たようだ。あ、でも神話は僕から始まるから……先取りってヤツかな」

    眩しすぎて直視できない。
    だが、彼はそれこそが自分の正しさだと信じて疑わない。

  • 3501◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:02:03

    グランツの周囲には、常に光が舞う。眩惑の残光、癒しの輝き、焼灼の爆炎、飛行の推進力……すべてが彼の意のままに形を変える万能の光だ。
    その全てが、彼の美とカリスマを引き立てる演出装置であるかのように機能する。

    「さぁ──僕の敵役は、誰かな? 君? ……ん? おやおや、これは随分と可愛い子ちゃんじゃないか」

    その視線の先には、彼の着弾によって崩れ落ちた神殿跡に立つ、赤髪のロリ少女。
    手にした巨大な長槍が風を切り、紅き瞳が見据えるその光景は、ただの子供ではない。

    「んふふ。あの時の剣神とは違う匂いがする……お前、強いな?」

    そう問いかけたのは槍神・トゥアハ・ダナン。
    世界に厄災と認識され、天界に封じられていた神槍の化身。
    地上に現れしその小さな躯は、しかし天地の理さえ貫く破壊の化身だ。

    だが、グランツは余裕の笑みを崩さない。
    それどころか、彼は自らの背中から翼のように浮遊する光のリングを数十枚展開してみせる。

    「美少女系ロリ神とか、最高じゃないか。
    さぁ、僕の輝きで……世界ごと、君を魅了してあげる」

    一歩、踏み出しただけで空気が爆ぜた。
    大地に走る光の文様は、彼の存在そのものを讃える聖句のようなエネルギー回路。
    重力を無視した浮遊、周囲に展開する従属衛星型の光砲群(サテライト・ルミナス)、それら全てが同時に動き出す。

    「キラキラは、止まらないよ」

    それは神の威容ではない。
    神を「主役の脇役」として扱う、傲慢なる光の演者の開幕宣言。

  • 3511◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:02:31

    ──ドクン。

    世界が、心臓の鼓動を打った。
    グランツの着弾によって砕かれた神殿跡、その中心に、小さな少女が立っていた。

    赤い髪は腰まで伸び、風も吹かぬのにゆらりと靡く。
    その瞳はまるで血のように深く、宿る光は星の煌めきよりも古く、鋭く、そして尊い。

    「──んー……やっぱり、現界するのって疲れるなぁ。全力で力を凝縮して、三分間限定とはいえ、けっこー気合い要るんだよ?わかってる?」

    そのロリっ子のような声は、異常に明瞭に響く。耳ではなく、世界そのものに対して語りかけているような質感。

    彼女の名はトゥアハ・ダナン。
    かつて神を屠り、人を導き、英雄を狂わせた神。
    そして今なお、幾千の戦士が到達できなかった“槍術の極地”に君臨する存在。
    数多の神を貫いた、真なる神槍《ブリューナク》を携えし、槍神。

    「ねぇ君、流れ星くん? なんかすっごい自己主張してきたけど、どこ出身?」

    彼女が槍を肩に担ぎ、赤い瞳を細めてグランツを見やる。

    「僕? 僕は空の上。というか、世界の中心かな。まぁ、君が今こうして僕の舞台に立ってるのも、きっと運命ってヤツだよ」

    グランツは相変わらずのキラキラ演出と共に笑い、片手で宙を指差す。すると、その指先から光の糸が放たれ、周囲の浮遊砲台に命令が伝わる。

    瞬間、十数発のエネルギービームがトゥアハに向けて殺到する。
    全方位からの、無慈悲なまでの一点集中火力。

    ──が、

  • 3521◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:02:42

    「よっ、と。」

    一歩踏み出した瞬間、槍の一閃が全てを消した。

    正確には、「かすらせた」だけだった。
    一見、ただ軽く払っただけの一撃。
    だがその槍には「絶対神殺」の概念が宿っている。結果、グランツの光砲は光ですらなくなった。存在として成立していなかったことにされた。

    「うん、いいね。まずまずの演出だったよ。でも、私に攻撃する前にさ、もっと自分の力見せてくれてもよくない? こっちは3分しかないんだしさ」

    トゥアハは微笑みながら、真紅の槍を構える。
    その姿に、グランツが初めて眉を上げた。

    「……へぇ。これは。少し、面白くなってきたかも」

    空に浮かんでいた光輪が、音もなく収束し始める。
    代わりにグランツの周囲に黄金の粒子が浮かび出す。光を圧縮し、再構成し、新たな形状──巨大な光槍《ルミナ・クレスト》へと変貌を遂げる。

    「なら、君の三分……ちょっとくらい僕のショーに付き合ってもらおうかな。
    でも覚えておいて。君が主役になれる時間は、ほんの数秒だ」

    「ふふっ、言ったなぁ、流れ星くん。
    だったら、私が見せてあげよう。天界に封じられてなお衰えぬ、槍神の真価ってやつを!」

    地が揺れる。空が鳴る。
    グランツの背に輝きが踊り、トゥアハの槍が唸りを上げた。

    今、空と天の主役が、真正面から激突しようとしていた。

  • 3531◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:03:30

    一閃。

    その瞬間、視界が光で埋まった。
    空間のあらゆる粒子が、**“光の律動”**に従って激しく共鳴する。

    「さあ、君に贈るよ……この世界で一番美しい花火を──!」

    グランツ・スターレインの両手から放たれたのは、先程の浮遊砲台とは比較にならない、超高密度光爆弾。
    それは既に爆弾ですらなく、星辰の核融合そのもの。
    一瞬で蒼白の昼を作り出すその閃光は、彼自身が光速に近い速度で飛び回ることで、自らが放った爆裂光球を誘導する超絶技巧。

    その姿は、まさしく“流れ星”だった。

    「うわっ、すっご……!」

    トゥアハは眼を細め、歓喜に震える。
    神であるはずの彼女が、まるで子供のように相手の技に喜んでいる。
    だが、その身体は一歩も動かない。

    ──なぜなら、避ける必要が無いから。

    「……来い、“神槍”。ブリューナク」

    彼女の手の中に、紅蓮の輝きを放つ神槍が出現する。
    過去に神々を屠り、未来の神々の可能性すら打ち砕く、
    この世界に“神という存在”がいる限り、絶対に届くとされる神具。

    構えた瞬間、空気が変わる。

  • 3541◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:03:42

    時空が彼女の動作を優先し、重力が逆らえなくなる。
    グランツの炸裂光爆弾が押し寄せようとする瞬間、トゥアハは一突き。

    「──穿て」

    ズドン

    という音ですらない。
    それは概念が崩壊する“感覚”に近い。
    神槍ブリューナクが放たれた瞬間、**空間ごと、未来予測ごと、可能性ごと、**あらゆるものが“突かれたこと”になった。

    次の瞬間、グランツの全ての光爆弾が同時に崩壊した。
    それぞれが絶対零度にも等しい沈黙に包まれ、消失していく。

    「……え?」

    浮遊しながら、グランツがその様子を見下ろして呟く。
    炸裂しない? 圧縮しすぎた? いや、違う──

    「君、やったね……僕の一番綺麗な技、殺したよ」

    グランツの声に、怒気はない。
    むしろ目を輝かせている。

    「はー、いいねぇ!でもさ、そっちもそろそろ制限時間じゃない?肉体、プルプルしてない?」

    地上のトゥアハを見ると、その身体はうっすらとノイズのような揺らぎを帯び始めていた。

  • 3551◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:03:57

    それは“封印状態からの強制現界”が限界に達し始めた兆候。

    「ふふっ、バレた?そう、あと30秒。
    ──だから、ラストいこっか?流れ星くん」

    「上等だよ。僕が主役になる準備、できてるから」

    グランツの身体が急降下する。
    ブースターのように点在していた浮遊光球を再吸収しながら、自らを一点の流星に変える。

    同時に、トゥアハの手に再び神槍が生成される。
    再現、ではない。“ブリューナク”は彼女が構えた時点で、いくらでも存在するのだ。

    そして――

    「貫け、ブリューナク」

    「燃えろ、ルミナ・クレストッ!」

    ──交差。

    グランツの突撃が、トゥアハの槍と正面から激突する。
    天地が揺れ、雲が割れ、大気が焦げ、光が影を焼き尽くした。

    次の瞬間、二人の姿は完全に消え去っていた。

    地上に残されたのは、巨大なクレーターと一振りの槍だけ。

    その槍はまるで、主の帰還を待つかのように、赤く光り続けていた。

  • 3561◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:04:39

    ――静寂。

    かつて戦いがあったその地に、熱気も爆音も、もう残されていなかった。
    ただ、灼け焦げた大地と、中心に突き刺さった一振りの槍だけが、そこに存在する。

    「……ふふっ、やっぱ無理か……3分って、短いよね」

    突然、空間がゆがみ始めた。
    赤い靄のようなものが槍の周囲に集まり、人の形を取り始める。

    それは、トゥアハ・ダナン──槍神本人だった。
    ただし、今にも霧散しそうな、淡い輪郭。

    「いやあ、でも楽しかったなー。マジで。
    あんな派手に散ったの、久しぶり。……ま、こっちはもう限界だけどさ」

    肉体を再構築していたわけではない。
    これは、彼女の残留意識。もとい、“遊び足りなさ”が生み出した擬似的な存在。

    そしてその前方。
    瓦礫を突き破って、グランツ・スターレインが這い出てくる。

    「うう……っ、もう、君のせいで全身バキバキだよ……!!」

    息を荒げ、全身から血を流しながら、それでも笑う彼。

  • 3571◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:05:29

    その背には、破れたコートの隙間から淡く輝く“光の翼”が見えていた。

    「……君、あれ生き残ったんだ。すごいねぇ」

    「いや……生きてないかも。たぶんあと一発殴られたら死んじゃいそう。
    でも……君を倒したって言えるなら、それで充分さ。僕が主役だったって証明できたなら、ね」

    その言葉に、トゥアハの笑顔が深まる。

    「……うん、キミ、最高だわ。今まで誘ってきた奴らの中でも、ピカイチに面白い。
    ──ねえ、天界、来ない?超退屈だけど、戦う相手だけは選り取り見取りだよ?」

    「……断るよ。僕が輝く場所は、地上だって決めてるんでね」

    グランツの言葉に、トゥアハは声を上げて笑った。

    「だよね~~~!あー、ホント惜しいなぁ、君みたいなのが何人かいたら、封印ブチ破って現世に定住するのもアリだったのに」

    「ふふ……やっぱり君、変な神様だよ」

    「んー……そっかな。でも、そんな変な奴に全力で挑んで、全力で勝ちに来てくれたキミは──
    たぶん、もう“ただの人間”じゃないよ。……その光、“神”に片足突っ込んでる」

    そう言って、彼女の姿は風に溶けるように薄れていく。

    「グランツ。君の輝き、忘れない。
    今度現れる時は、もっともっとヤバい奴連れてくるから、覚悟して待っててね?

  • 3581◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:05:55

    そして完全に姿を消す直前、彼女は最後にこう言った。

    「──あ、そうそう。次来るときは、心臓ちゃんと隠すわ」

    ピシッ。

    その瞬間、彼女の残滓が砕け散り、風と共に消えた。

    グランツは、それをしばらく黙って見送っていた。

    「……やれやれ。僕の人生、また面倒なフラグ立っちゃったかな」

    そう呟いて、彼はボロボロの体を引きずりながら、再び空へと舞い上がる。

    空に咲くは、一筋の輝き。
    かの槍神をも貫き得た、“流れ星”の名を冠する男。

    そして、次なる戦いの舞台へと飛び立っていった――。

  • 3591◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:06:06

    以上

  • 360二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:07:31

    グランツかっこいい……
    こいつ何気に人間最高峰か?

  • 361二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:08:36

    トゥアハ・デ・ダナン強すぎでしょ
    剣神とタメ張ってただけはある

  • 362二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:08:42

    神直々に次は手加減しない宣言

  • 363二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:09:24

    キラキラは、止まらないよ
    かっけぇ

  • 364二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:11:33

    >>360

    人間最高峰はヤメイとか剣神とか一刀斎なんや…

  • 365二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:12:35

    大技ブチ破られたのにむしろ目を輝かせて笑うのが好きすぎる

  • 366二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:13:07

    >>364

    人間(の範疇での)最高峰

  • 367二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:29:26

    どっちも楽しそうでいいなぁ
    こういう戦い好き

  • 368二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:32:07

    槍神やろうと思えば余裕で封印破れそうだな

  • 3691◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:51:43

    題名『名も、意味も、裂くもの』

  • 3701◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:52:24

    夜の帳が街を包み込む。
    濁ったビルの谷間で、灯りの漏れない路地を一人の少女が歩いていた。
    白い脚を包む網タイツ、背に揺れるウサギの耳。どこか滑稽で、しかしその足取りは真っ直ぐに獲物を求めている。

    「――Aaァ……こYoノmAちヲ、ケガSeたなRa、Baツ……」

    彼女――**釘野兎火(くぎのうか)**は、夜の街に潜む“悪”を探していた。
    名を名乗ることもなく、信じてもらうこともなく、ただその手に“言葉”を捧げ、剣と化して断罪する。
    言葉を失うたび、彼女はまた一歩、誰にも届かない正義へと沈むのだ。

    路地の奥、誰もいないはずの影が、笑った。

    「おもしろいなァ、ソノ耳。アレか? 正義のウサギちゃんってヤツかァ?」

    その声はふざけていた。だが、どこか壊れていた。
    ぬめるように響く声が、次の瞬間、そこに「ヒトではない何か」を立たせた。

    「――《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》」
    「って呼んだら……どうなると、思う?」

    皮膚のようで皮膚でない。服のようで服ではない。
    色の定まらない姿が、路地の空間を歪めながら近づいてくる。

    兎火の足が止まる。
    この異物を、“悪”と断じてよいのか。それすら、彼女には判別できない。
    ただ、感じるのは――言葉を紡げば、通じないという確信。

  • 3711◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:52:44

    「ァnTた……ナnナの……こkで……何ヲ――」

    彼女の声が崩れた。
    一語一語が、まるでこの空間に拒まれているようだった。

    「ン? ゴメン聞こえなかったな。いや、逆かな? 聞こえたけど、理解できなかった。
    いやあ、会話って難しいね? オレのせいか? そっちのせいか? ハッハ、これだから世界は面白い」

    その笑みは、狂気に満ちていた。
    だが、彼女はそれに怯えなかった。
    それは彼女もまた、言葉の届かぬ闇に生きてきた者だったからだ。

    「――ッッっSKぃ、SEぃ義Nの……タmE……ッキえ――!」

    彼女の口が動いた。
    その瞬間、世界が軋んだ。

    捧げられた“言葉”は燃え、彼女の手に雷霆の斧が顕現する。
    その名は『分断の雷刃《フラガ・バベル》』――伝説をも砕く、言葉なき断罪。

    そして、《JOY》は口を吊り上げ、虚空に問いを放った。

    「ねぇ、ウサギちゃん。今の言葉――何パーセントが、“嘘”だったと思う?」

    二人の“対話”は、最初から成立しない。
    だが、だからこそ、ここには「戦い」という最も原初的なコミュニケーションだけが残された。

    ――夜が裂ける。

  • 3721◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:53:48

    「オレの名前ってさ、いっつも変わるんだよねぇ。呼ぶたび違う。記録も残らない。たまに自分でも忘れちゃうんだよ、へへ……混沌、だねぇ」

    《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》は笑いながら、ぬるりと距離を詰めてくる。
    その足取りは踊るようであり、崩れるようでもあり。まるでこの空間の法則すら、彼の足跡に引きずられて歪んでいくようだった。

    兎火は言葉を捧げたことで、もう語る力を失っている。
    斧の柄を両手で握りしめ、じり……と一歩、踏み出す。だが。

    「Coん……Banwわ……ァなT……にッナ、のォ――ッっ?」

    声は、音にならなかった。
    否、音になっていたが、それが意味を持たない。
    《JOY》の周囲は、言葉の「理解」を溶かす靄に包まれていた。

    「うんうん、良いねぇ。意思が通じないって、たまんないよねぇ。
    “伝えたい”って本能がギリギリで残ってるから、壊すのにちょうどいいんだよ。脳が……“暴れる”!」

    《JOY》が指をひとつ、こちらに向けた。

    「――ところで君、"橋"って見たことある?」

    突拍子もない言葉だった。
    だがそれが、何を意味するか。兎火の直感が、背筋を凍らせる。

    《JOY》の能力、《ケ_カ_ィオス・/HUB_"シュパスハーゲン"_FUN/》。
    ――発した言葉が、五分五分の確率で嘘になる。

  • 3731◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:54:08

    橋という言葉。それが「見たことある」と言えば、逆説的に「見たことがなくなる」可能性がある。
    橋という概念そのものが、世界から失われる可能性も――。

    ズン、と。
    兎火の足元で地面が震えた。
    その一瞬、通ってきた路地裏のはずれに架かっていた小さな歩道橋が、音もなく崩れ落ちた。

    「……HAHA! あれ、当たった? あっは、オレすら分からないのに当たっちゃうなんてねぇ、ひひっ」

    彼は笑いながら、両手を広げる。
    手の甲に刻まれた幾何学的な模様が、淡く光を放った。
    それはもう一つの異能、《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/》。

    触れれば、全ての“意味”を壊す力。
    兎火は、沈黙のまま前進する。
    言葉は通じない。意味も破壊される。けれど――。
    彼女は正義の味方として、この男を“悪”と定めた。
    ならば、言葉などなくとも十分だ。

    「Suuuu……Ki、Ta……チィィィ、やm……No兎、TatTakAウ!」

    彼女の目が燃える。
    好きだったのだ。童話の中の兎。
    悪い狸をだまし討ちにして、最後には船を沈めてやった。
    あの兎のように、狡猾に、鋭く。言葉を捧げ、武器を取り――

    「アッハ! きたきた! やろうじゃん、ウサギちゃん!
    でもオレ、君の“名前”……もう一回、崩していい? いや、聞いてないけど!」

    《JOY》の手が伸びた。

  • 3741◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:54:43

    次の瞬間、斧が振るわれた。
    風が裂け、雷霆が空を裂いた。

    この夜は、まだ始まったばかりだ。

  • 3751◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:55:17

    雷鳴が走る。
    それは天候の変化ではない。
    兎火が捧げた“言葉”が具現した、《分断の雷刃(フラガ・バベル)》の斧撃。
    まさしく世界を分かつかのごとき雷霆が、真横に振り抜かれる。

    刹那、空間が閃光に包まれた。

    「オォ、カミナリ! 君、なかなかヤるじゃん!?
    っていうか、死ぬかと思った。……って言ったら、死なない気がしてくるのが面白いよね」

    《JOY》は、その巨刃を避けてはいない。
    だが、斬れてもいない。

    どこか空間そのものが、斧を「回避させられた」ように歪んでいた。
    直撃のはずの一撃は、寸前で《JOY》の“いない”座標を通り過ぎていた。

    「嘘ってさ、いいよね。
    だって“当たった”って言えば、“当たってない”ことになるかもだし、
    “死んだ”って言えば、逆に“生きてる”のが確定するかもしれないんだよ」

    狂った理屈を語る口元が吊り上がる。
    兎火は、応じない。言葉は、すでに供犠として“斧”に変えた。
    今ここにあるのは、剣戟と沈黙だけ。

    「Ko、n、どワ……ッTTt……ァnt、を――、きKロす」

    雷刃が再び火を噴いた。
    今度は袈裟に。上段からなぎ払う、空を引き裂く雷撃の一閃。

  • 3761◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:55:51

    《JOY》は指を一本立て、言った。

    「この刃は、見えないよ」

    その瞬間、兎火の斧が宙を裂いた軌跡が――消えた。
    否、斧そのものは存在する。だが“斬撃”という概念が、斧の周囲から失われていた。
    まるで、「切る」という意味そのものが嘘になったかのように。

    「HAHAHA! 君の武器、たしかに強い。でもね、“武器”って言葉を失くされたら、
    ただの“重い鉄の棒”だよ?」

    言葉の意味が、分解されていく。
    供犠の力は「言葉を捧げる」ことで発動する。
    それはすなわち、言葉に依存している力だ。
    そして《JOY》は、その“言葉”そのものを崩す存在。
    この戦いは、互いの存在意義そのものの衝突だった。
    しかし、兎火は止まらない。

    「MAdDぅ……言エなクても……ォれ、デモ……」

    何かを言いかけ、言葉が潰れる。
    けれど、斧を引きずるように前へ――

    「ヨォぉォオおぉし、次はオレの番! 触るよ?」

    《JOY》がその手を伸ばす。
    刹那、兎火の腕に、冷たいものが触れた。

    それは――“意味を崩す指”。

  • 3771◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:56:39

    《ケ_カ_ィオス・"サミュ_/REL_ゼ"_ISH/》が発動する。
    兎火の左腕に刻まれた“意味”が、わずかに揺らいだ。

    皮膚という意味。血という意味。
    「これは自分の体である」という認識が、微かにひび割れる。

    「おぉ、キミ、ウサギなんだっけ? じゃあ、その“手”、
    そろそろ“足”になってもいいかもねぇ?」

    嘲る声。
    世界が、少しずつ狂っていく。

    兎火の腕が、じくじくと“輪郭”を失っていた。
    焦る、痛む、混乱する。普通の人間なら、ここで恐怖に支配されるだろう。

    だが――

    「Yあ……る、よ……童Waノ……兎ハ……、そ、んナ」

    血走った目が、《JOY》を睨みつける。
    その瞳に、まだ光が残っている。

    「Ta、ぬKI、を――沈メR、タ……からッ!」

    もう一度。
    彼女は、言葉を焼いて――武器にする。
    その代償に、もう声が届かなくなるとしても。

  • 3781◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:57:39

    「たのしいねぇ。言葉も、意味も、ぐっちゃぐちゃだ。
    まるで……脳みそを指で掻き混ぜてるみたい……ふひひっ」

    《JOY》の指先が、再び兎火の腕をなぞった。
    そこにあるはずの「腕」は、もはや皮膚でも骨でもない。
    それは「灰色の質量」となり、兎火の意識に違和感を与えていた。

    ――この腕は、自分のものではない?

    だが。

    「……ち、がう……」

    言葉にならぬ呻き。
    兎火は足を踏み込む。

    この男に触れられてはならない。
    このまま意味を奪われれば、世界から自分が“居た”という痕跡さえ消える。

    「君さぁ、すごいよ。正義の味方なんだよねぇ?
    正義って、何だろうねぇ。誰かのために立ち上がること? 
    でも、それって自分を否定することじゃない?
    正義の味方のくせに、言葉も意味も、使えないんだもん……あっはは!」

    《JOY》が笑いながら、片腕を掲げる。
    その手のひらには、"裂け目"のような黒い渦が浮かび、意味を呑み込む"ゼ"の印が脈打っていた。

  • 3791◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:57:51

    「次で最後だよ。名前、奪っちゃうね?
    君の存在、名前から消えてもらおうか。
    そしたらもう、君を“呼べる”人もいなくなるから――!」

    そして、世界が歪んだ。

    兎火の全身が、波のように揺れる。
    「名前」という認識が、脳から引き剥がされる感覚。
    自分が誰か、自分が何者だったか――それが、消えかけていた。

    けれど。

    彼女は、最後の“言葉”を捧げた。

    「Sh……in……ジて……ほsSかTtt、Noに……」

    まるで音が崩れるように、
    意味も文法も壊れた一言が、虚空に溶ける。

    だがそれは、確かに想いだった。

    ――信じてほしかった。
    たとえ、誰にも届かなくても。

    彼女の足元から雷が噴き上がる。

    既に言葉は通じない。
    己が何者かも曖昧だ。
    けれど、この“斧”はまだ彼女に応えている。

  • 3801◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:58:20

    《分断の雷刃》、その真の名は――

    『語られざる刃(ログレス・バベル)』

    最後の一撃が、大気を裂いた。

    雷霆が《JOY》を飲み込む。
    “言葉を捧げた”その断罪は、概念すらも削る一閃。
    意味を壊す者に、「意味を剥ぎ取った」刃が襲いかかる。

    「Ah――あっ――! な、んで……っ!?
    オレ……ウソつい、たのに――!?
    嘘なら……ッ……効かな……いハズ……なのに――」

    それは、《JOY》自身の矛盾だった。

    「“効かない”といった嘘」
    が、もし本当ならば、
    「効かない」ということ自体が嘘となり――

    《効いてしまう》。

    その混沌が、自らを食らい尽くした。

    斧が空を貫いたその刹那。
    《JOY》の輪郭が、崩れた。

    歪むように、溶けるように、色と意味と存在が剥がれ、

  • 3811◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:58:33

    彼の名は、過去からすら削ぎ落とされていく。

    「Ah……ッ、あっは……! やっ……ぱ、たのしい……なぁ……」

    最後に笑って、崩壊。

    そして、静寂が訪れた。

    ……

    兎火は、膝をついた。
    左腕は曖昧なまま。
    もはや“腕”として機能するかも分からない。

    けれど――彼女は、生きていた。
    誰にも通じない言葉を胸に、正義の味方であり続けた。

    「……K、a、Cち……K……や、m……No、ウ……SS……ぎ……だ」

    かろうじて呟いた、幼き頃の記憶。
    それだけが、まだ“自分”を繋ぎとめていた。

    そして彼女は、再び闇に歩き出す。

    誰にも届かぬ声を、剣に変えながら。

  • 3821◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 22:58:43

    以上

  • 383二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 23:00:49

    泣かせるじゃねえかよ……

  • 384二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 23:06:01

    よかった!
    正義の味方はやっぱり勝たなくっちゃね
    自分自身を犠牲にしても

  • 3851◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:25:37

    題名『拳の先駆け —龍と未来の交錯—』

  • 3861◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:26:02

    細い路地の奥。薄暗い空気に、小さな影が踏み込んだ。
    五尺の小柄な龍人――バセルラ。その眼光は鋭く、しかしどこか寂しげだった。
    時代を超えて生きてきた強者は、いまだに「己と同等の相手」を求めている。

    「俺の強さは、強さの極み。けれど――対等に拳を交わせる者は、未だ現れぬ」
    胸中で呟き、彼は自身に宿した能力を発動する。
    筋力や体力を自在に封じ、己を弱めることで、相手に合わせる。
    それが――【弱体化・極】。
    「さあ、誰か来い。俺の強さに相応しい、相手がな」

    その時、明るい足音が路地に響いた。
    若い少女――先駆者が、無邪気に現れる。
    彼女の瞳は輝き、先を行く者の自信に満ちている。

    「やっほー! ここって、面白そうな場所だね! なんか戦いとか始まっちゃったりするの?」
    彼女の言葉は軽快で、未知なるものを求める探求心に溢れていた。
    「誰よりも先に新しい力に触れる、それが私の使命!」
    先駆者の能力は、まだ誰も使ったことのない技術や身体能力を「先駆けて」得ることができる。
    だが、その力は制御が難しく、時に暴走することもある。

    バセルラは微笑んだ。
    「面白い。貴様が、俺の望んだ相手かもしれん」

  • 3871◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:26:19

    強大な力を弱めて尚、己の信条に忠実な龍人の拳は、純粋な闘いを望んでいる。
    「来い。拳で語ろう」

    少女は力を漲らせる。
    未知の先にある身体能力が彼女の肉体を押し上げ、瞬間的に加速した。
    路地の空気が揺らぎ、二人の闘いが始まろうとしていた。

    拳と未知の力がぶつかる、真剣勝負の幕開け。

    ――運命の戦いが、今、動き出す。

  • 3881◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:26:49

    バセルラの瞳が鋭く光る。
    「弱体化は75%……よし、この程度なら楽しめそうだ」
    己の身体能力を制限し、あえて戦いを面白くする。だが、その拳には宿る龍の気迫は失われない。

    先駆者はニヤリと笑った。
    「ふふ、私も未知の力をちょっとだけ引き出してみるよ!」
    彼女の身体から閃光が迸る。まだ誰も扱えていない未来の筋肉の躍動。
    動きは速く、しかし制御はまだ不安定だ。

    バセルラが先に動いた。形意拳の構えで一撃を繰り出す。
    拳が空気を切り裂く音が鳴り響く。
    「これが俺の拳だ、受けてみろ!」
    だが先駆者は、その拳を正確に捉え、逆に跳躍で距離を取り、次の攻撃に備える。

    「まだまだ! 未来は無限大! どんな力も、私が先に使うんだから!」
    彼女は不安定な力に身を任せながらも、その未知の身体能力でバセルラの攻撃を回避し続けた。

  • 3891◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:27:00

    しかし、その隙を狙ってバセルラは拳の重みを増し、次の一撃に力を込める。

    「貴様の未知の力も、俺の拳の前では意味をなさぬ!」
    拳が衝突する瞬間、振動が路地を震わせた。
    その衝撃は強烈だが、バセルラは笑みを崩さない。
    「貴様と戦うために、自らを弱めた。これが俺の誇りだ」

    先駆者の体が一瞬吹き飛ばされ、壁に激突した。だが、彼女はすぐに立ち上がる。
    「まだまだこれからだよ!」
    未来の力が揺らぎ、彼女の身体は加速度的に強化されていく。

    戦いはまさに未知の技術と古代の拳が激突する舞台となった。
    二人の力は均衡し、次第に接近戦の応酬へと移行していく。

    「君の力、見せてもらおうか!」
    バセルラは拳を再び構える。
    「いくぞ、先駆者!」

    路地に鳴り響く拳の音、次々に繰り出される未来の技と形意拳の一撃。
    戦いはまだ始まったばかりだ。

  • 3901◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:27:19

    路地の空気は厚く重く、二人の拳の衝撃が響き続けている。
    バセルラは自身の弱体化を60%にまで緩め、より鋭い一撃を放とうとしていた。
    「お前の未知なる力、ここまでか……だが、まだ俺の拳には届いていない」

    先駆者は呼吸を整え、身を屈めると瞬間的に体勢を切り替えた。
    「そうはさせないよ!まだまだ未知の先はもっと遠いんだから!」
    彼女の身体からは微かな光が放たれ、誰も到達していない未来の技術が解き放たれた。

    二人の距離はわずか数歩に迫る。
    拳が何度も交錯し、音が地面を震わせる。
    バセルラの形意拳はまるで岩を砕くかのように重く、だが繊細だ。
    先駆者の攻撃は予測不能な動きで繰り出され、まるで風のように流れる。

    だが、戦いの中で先駆者の能力が暴走し始める。
    未来の身体能力が急激に変動し、動きが乱れ始めたのだ。
    「や、やばい……制御が……!」
    彼女の動きが一瞬鈍り、その隙を見逃さなかったバセルラが一撃を叩き込む。

  • 3911◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:27:29

    拳が腹部を捉え、先駆者がよろめく。
    だが、彼女は笑顔を失わなかった。
    「まだ、終わらない……!」

    「フッ、見上げた根性だ。俺も楽しませてもらう」
    バセルラは弱体化を40%まで下げ、自身の拳にさらなる力を注ぐ。
    一撃一撃がまさに龍の如く重く、激しい。

    戦いは極限の緊張に達し、双方ともに疲労を見せ始める。
    だが、その眼差しは互いを尊重し、己の限界を試していた。

    「お前の未知の力、確かに感じた。だが、俺の拳が真の極限を教えてやる」
    バセルラの拳が再び振り下ろされる。
    「受けてみろ、先駆者!」

    だがその時、先駆者がふと表情を変えた。
    「……新しい力が来る……!」
    彼女の身体が突然輝きを増し、さらなる進化を見せる。

    これまで誰も見たことのない、新たな段階の能力が、戦いに加わろうとしていた。

  • 3921◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:28:20

    先駆者の身体がまるで光の奔流に包まれたように輝く。
    彼女の能力が突如暴走を越え、未知の段階へと覚醒を遂げたのだ。

    「これが……まだ誰も触れたことのない、未来の先……!」

    全身から発せられる力は以前のそれとは異なり、安定と爆発的な強さを兼ね備えていた。

    「これで、もっと強くなる!」

    彼女の動きは格段に速く、より正確に、より強靭に変化した。

    バセルラは驚くよりも嬉しそうに笑った。

    「素晴らしい……お前は、真の“先駆者”だな。俺も全力を出すぞ」

    弱体化の制限をわずか1%まで下げ、ほぼ全力の拳を振るう。

    「これが俺の限界だ!」

    その拳は強烈な衝撃波を巻き起こし、路地の壁を砕き、轟音が響き渡る。

  • 3931◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:28:33

    先駆者は跳躍でそれをかわし、反撃の構えを取る。

    「次は私の番!」

    未知なる身体能力と技術の融合で放たれた拳は、まるで未来の雷のように閃いた。

    二人の激しい拳撃が空気を震わせ、互いの全力をぶつけ合う。
    この戦いは、伝統の拳と未踏の技術が交錯する壮絶な闘争へと進化していた。

    だが、まだ終わらない。
    二人ともに限界を超え、未知の力を求めている。

    「お前との戦いは、これが本当の意味での“始まり”だ……!」

    バセルラの声が響く。

    「そうだね! 私も、まだまだここからだよ!」

    先駆者の瞳に決意が宿った。

    この戦いは、真の意味での“未知の境地”へ向かっていく。

  • 3941◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:30:04

    蒸し暑い夕暮れ、路地の空気は重く、静寂に包まれていた。
    互いの呼吸は荒く、筋肉は酷使され、身体中に傷が刻まれている。
    だが、バセルラの眼差しは揺らぐことなく、深い満足をたたえていた。

    「よくここまで来たな……お前の成長は、俺が望んだ以上だ」

    小柄な龍人の体躯は疲労の色を隠せないが、その声には尊敬と誇りが混じっていた。

    一方、先駆者もまた全身に疲労の波を感じながらも、顔には決して諦めない強い意志があった。

    「私だって負けてないよ! まだまだ未知の先は遠いけど、諦める気なんてない!」

    不安定だった能力は今や安定感を増し、その輝きはかつてないほど鮮やかだった。

    拳と拳が何度もぶつかる。
    その衝撃が地面を震わせ、路地に轟音を響かせる。
    バセルラの放つ形意拳は、岩を砕くかのように重く、精確だ。
    拳に込められた龍の気迫は、古の時代から受け継がれた究極の武術の証明だった。

    「これが俺の全力……受けてみろ!」

    拳が直線的に振り下ろされる。
    先駆者は身体能力と未知の技術を駆使してそれを躱し、咄嗟に反撃の構えを取った。

    「未来は無限大。誰も知らない力を使うのが私の使命!」

    彼女の拳から放たれた一撃は、雷のように閃き、バセルラの肩をかすめる。
    だが、バセルラはその一撃を受け止め、笑みを浮かべる。

  • 3951◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:30:24

    「上出来だ。これが真剣勝負だろう?」

    疲労が両者の体を蝕む中、戦いはますます激しさを増した。
    バセルラは弱体化をほぼ解除し、全力の拳を放つ。

    「これが俺の最終形態。逃げ場はないぞ!」

    拳に宿る龍の力が炸裂し、空気が裂ける音がした。
    先駆者はそれを間一髪でかわし、間合いを詰めて反撃に転じる。

    「まだまだ、私の旅は終わらない!」

    未来の先を行く未知の力が、彼女の拳にさらなる破壊力をもたらす。
    その一撃がバセルラの顎下の逆鱗を掠める。
    龍種にとって最大の急所。
    だが、彼はその痛みに苦悶するどころか、歓喜の叫びをあげた。
    「よくやった……その一撃、忘れぬ!」

    勝負は決着しなかったが、二人の心は完全に通じ合っていた。
    互いの限界を引き出し、高めあった。
    拳で交わした闘いは、単なる勝敗を超えた魂の交流だった。

    「お前と闘えて、本当に良かった」

    バセルラは静かに呟き、先駆者も頷く。

    「これからも、誰よりも先に、未知の力を探し続けるよ」

    夕陽が二人の影を長く伸ばし、未来への道を照らしていた。
    終わりなき探求の旅は、今まさに始まったばかりだった。

  • 3961◆ZEeB1LlpgE25/07/22(火) 23:30:36

    以上

  • 397二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 23:31:19

    お互いどんどん力を解放していって良かった!

  • 398二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:03:06

    2人が大の字に倒れながら笑いあってる挿し絵を幻視した

  • 399二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 07:08:45

    結んだな……「友情」を……

  • 4001◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 11:43:08

    題名『冥き神域の重奏戦』

  • 4011◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 11:43:32

    その女は、風のように現れた。

    ――放課後の学園裏、人気のないグラウンド。
    夕焼けが地平を燃やすなか、澪は“儀式”の最中だった。

    「此処に顕現せよ、深淵より這い出る呪われし重奏……我が詠唱に応え、顕現せよッ――!」

    バサァとマント(布)を翻し、右手を高く掲げた澪は、コンクリ片を空中に浮かべる。
    次の瞬間、コンクリ片は重力を奪われ、ふわりと漂った。

    「ふっ……この程度の制御など余裕だ。“我”の冥界重奏は既に第三律動段階へと突入しつつあるッ」

    「……へえ、面白い力ね。浮かせるだけ? それとも、もっと“えげつない”こともできるのかしら?」

    唐突な声。
    振り返ると、制服姿の女性が立っていた。年齢は二十代半ばほど。澪よりはるかに大人の雰囲気。
    だが何より、彼女から発せられる「存在圧」は異常だった。

    「なッ……何者だ、貴様……!? そのただならぬ気配、“神格干渉”の波動を感じるぞ……ッ!」

  • 4021◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 11:43:44

    「ふふ。ご名答よ、神無月 澪ちゃん」

    女は笑う。緩やかで柔らかい笑み。けれどその目は、底知れぬ神意を湛えていた。

    「私の名前は山桐 麗。かつて“万能”と呼ばれた者。そして今は――“母”よ」

    「――なっ!? 母、だと……!?」

    「ええ。実の娘に“私よりチートな力”を受け継がせた結果、色々あって今は“制限付き”で能力使ってるの」

    彼女の右腕には、金属製の腕輪がはめられていた。それが神器か。

    「その“冥界重奏”とやら、ちょっと見てみたくてね」

    「……面白い。貴様、我が冥奏と拮抗するだけの価値があるのか、試してやろう……ッ!」

    夕焼けの下――
    “元”万能の神と、“今”中二病の覚醒者が相対する。
    この戦いはただの“喧嘩”ではない。魂と力の真っ向勝負、異能と神性の交差点。

    その火蓋が、いま静かに――落とされる。

  • 4031◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:03:42

    風が止まり、時間が軋んだ。
    夕陽に染まるグラウンドで、神無月澪は手をかざす。

    「冥界重奏《フォース・グレイヴ》――第二詠唱《オルフェウス》!」

    澪の周囲に五つの“音律球”が浮かび上がる。紫黒に染まる重力と音の結晶。
    それらは軌道を描いて回転し、重力場を不安定化させ、空間すら歪ませる。

    「ふん……貴様が“神”であろうとも、我が旋律の前ではすべてが沈む。否、沈める……それが“我”の力だッ!」

    だが、山桐麗は微笑を絶やさない。

    「すごいわね、その力。確かに普通の相手なら消し飛ぶかも。でも――」

    彼女の瞳が、僅かに冷たく光る。

    「“万能”ってのは、そういう“特化”の先にあるのよ」

    瞬間、空間が裂けた。
    いや、違う。裂けたのは澪の術式――音律球を囲む五重の制御場だった。

    「なっ……!? 私の領域が……干渉もなしに……崩れた……だと……!?」

    「能力制限があるから、今の私は“万能”じゃない。でも、最適解を選ぶぐらいのことはできる」

    麗の右手が小さく動いた。空間に“数式”のような軌跡が描かれる。

    《適合式(シンセシス)展開》
    《局所領域:冥奏相殺モデル=完了》
    《再構築フェーズ、起動》

  • 4041◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:03:56

    言葉にならない構文が次々と構築され、澪の音律が“分析”され、“対処”されていく。

    「ふふ……貴女の力、ほんとに綺麗。たぶん、娘が見たら感動してたと思うわ」

    「貴様、何者……ッ!? 解析だけでここまで完璧に……!? そ、それが“万能”という名の……!」

    「違うわよ」

    バシュッ!

    澪の眼前に光弾が走る。だがそれは澪には届かない。いや、届かなかったのではない――彼女が咄嗟に**“外した”**のだ。

    「私は“母”よ、澪ちゃん。子どもを育てるのに必要な力。それが万能ってこと」

    ズン――と、澪の内側に重圧が走る。魔力でも、気迫でもない。“精神”を圧す“包容”の力。

    ――甘く見ていた。この女、優しげな顔をして、精神の深淵を覗き込んでくるッ。

    「ふふ……もう少し、本気を出してみせて」

    「……良かろう。ならば“我”もまた、その“母性”とやら、貫いてみせようぞッ!」

    燃え上がる闘志。
    澪は音律球を再構成し、同時に足元の重力を倍加させた。

    「次は――貴様の心臓を“重奏”で穿つ」

  • 4051◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:05:05

    「冥界重奏《フォース・グレイヴ》――第三詠唱、《シン・ミーレス》!」

    神無月澪の足元から奔流が立ち昇った。紫黒の霧が濃密に絡みつき、地を這うように膨張する。
    それは重力でも音波でもない、“死”の濃度だった。

    「これは――?」

    山桐麗が眉を寄せる。足元の感覚が、じわりと崩れていく。呼吸一つにすら異物感が滲んだ。五感のすべてに“逆流”するような不協和音。

    「これより奏でるは、冥府の鎮魂歌。生者よ、魂を削り、我が旋律に沈め……!」

    ドオォォン!

    濃霧の中から音律球が連なるように弾けた。その一発一発が圧を持ち、ただの衝撃波ではない。“魂魄に干渉する音”だ。回避は無意味。受ければ、“命そのもの”が崩れていく。

    「――来るわね」

    麗は瞬時に指を弾いた。構築式が六層にわたって展開される。

    《対霊波シールド展開》
    《響動耐性演算式:補正値+120》
    《心理空間:遮断》

  • 4061◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:05:32

    次の瞬間、襲い来る“音”の奔流が麗を襲う。だが、その中心で彼女は微動だにしなかった。まるで、嵐の中に建つ不動の柱のように。

    「馬鹿な……っ! “我”の術が、通じぬ……!?」

    「澪ちゃん。あなたの力は本当に綺麗。でも、それが“絶対”じゃないってこと、少しだけ教えてあげる」

    麗が踏み出す。
    “踏み出した”だけで、澪の音律球が三つ、空中で爆ぜた。

    「なっ、今のは……どういう……!」

    「“あなたが思った通りに進む”という幻想は、最初から崩してあるの」

    彼女の周囲に浮かぶは“可能性の枝”。その一本一本が、戦場の未来を“最適化”し、敵の攻撃すら“自然崩壊”させる。

    「万能って、そういう意味よ。“あなたの確信”すら、否定できること」

    ……音が消えた。冥界重奏すら、沈黙した。

    「終わりにしましょう。澪ちゃん」

    優しく、けれど、絶対的に。
    麗の掌が、そっと澪の胸元へと触れようと伸びた――

    「――だが、“我”はまだ、沈まぬ!」

    澪の魔力が爆ぜた。反動で音律球が暴走し、空間が裂ける。自爆に等しい衝動。
    “それでも”――彼女は抗った。

    「“我”が奏でるは終末の調べ――滅びと再生の、最終楽章……!」

  • 4071◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:06:02

    「――自壊覚悟、か」

    山桐麗の視線が一瞬だけ揺れる。だがすぐに、冷静な光を取り戻した。

    「ええ。なら、私も……“覚悟”を見せる」

    澪の周囲から放たれる濁流の音律。暴走する冥界重奏《フォース・グレイヴ》が空間を引き裂き、周囲の“意味”を音に置き換えてゆく。
    光も重さも概念も、全て“音”に還元される世界――

    それは、神無月澪が命を懸けて完成させた、“終末の旋律”。

    「――喰らえ、《ソーン・フィナーレ》!!」

    バチン、と音が弾けた。

    黒紫の波動が渦を巻いて空間を削りながら、山桐麗へと迫る。
    一撃で心臓を震わせ、二撃で脳波を歪ませ、三撃目には魂そのものが脱落する。
    “生者”に許されぬ音の連打。

    ……しかし。

    「そう。来ると思ってた」

    山桐麗は一歩も動かなかった。

    いや――“既に攻撃を成立させない未来”を、最初に選んでいたのだ。

  • 4081◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:06:13

    「《0.0007秒前に干渉》――あなたが“叫ぶ”前に、終わらせるわ」

    未来視の枝が光る。

    手が、澪の首元へ――音が届くよりも早く、静かに、触れた。

    「《共鳴遮断》。この技法だけは、私の中でも一つしか使えない最奥。音を音で打ち消す。あなたの“旋律”を、ゼロに還元する力」

    ピタリ、と。全ての音が止まった。

    空間の揺らぎも、空気のうねりも、時間の歪みも――まるで世界が一瞬、息を潜めたように。

    「――う、ぐ、ぁあ……!」

    澪が膝をつく。

    命を削って放った終末の楽章は、完全に相殺された。

    「あなたの想いは、本当に強い。でもそれは、独りよがりじゃない。私はそう信じてるわ」

    そう言って、麗は最後の魔力を指先に込め、そっと澪の胸に触れる。
    そこから伝わる温度は、戦場の冷たさとは無縁だった。

    「もう、休んで」

    ……ドサリ。

    澪の身体が崩れ落ち、力なく眠りに落ちた。けれどその表情には、わずかな安堵が浮かんでいた。

    勝負は、決した。

  • 4091◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:07:53

    戦場に静寂が戻る。

    重奏の残響も、破壊の余波も、ただ風と共に消えていった。
    山桐麗は、一歩、また一歩と澪の元から離れながら、夜の闇を見上げた。

    (終わった……の?)

    そう思った、その瞬間。

    「……っかは、っは……っははははっ!!」

    静寂を引き裂くような笑い声が響いた。

    それは、眠りに落ちたはずの――神無月澪のものだった。

    「ま、さか……!」

    崩れ落ちたはずの澪の身体が、ひとりでに立ち上がる。
    その身を焦がすように、黒く蒼い炎が、音を纏って逆巻いていた。

    「最終重奏・第零章――《ネクロ・フォルテシモ》。
    死してなお響け、終末を超えた“反魂の音”。」

    それは、命を燃やし尽くしたその先でのみ発動する、最後の“楽章”。

    「澪……!」

    山桐麗は即座に構える。しかしそれは、既に“戦闘”ではなかった。

    「麗、ありがとう。私は……あなたと戦えて、ようやく“私”を奏でられた気がするの」

  • 4101◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:08:04

    微笑みながら、澪の声が届く。

    「今の私には、もう“力”はない。これは、魂の残響。未練みたいなもの」

    「じゃあ、なぜ……立つの?」

    「うん。私は、まだ……“鳴り終えたくなかった”んだと思う」

    その言葉に、山桐麗は言葉を失う。

    力は尽き、勝負は決している。それでも、彼女は立つ。
    終わらぬ音を、誰かに届けたくて。

    それはまるで、かつての自分に重なって見えた。

    「麗。あなたがいたから、私はここまで来られた。
    いつかまた――私の旋律を、あなたに聴いてもらいたい。もっともっと“高く”、もっともっと“自由に”」

    そう言って、澪の姿はゆっくりと光の粒となり、空へと昇っていく。

    山桐麗は、拳を握りしめ、目を閉じた。

    「……待ってるわ、澪。今度は、私も“本気”で聴く。全力で、応える」

    静かな夜風が吹き抜け、空に響くは、未完の旋律。

    たとえこの戦いが終わったとしても――
    音は、魂は、きっと再び鳴り響く。

  • 4111◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:08:47

    終わらない戦いの予感と共に。

  • 4121◆ZEeB1LlpgE25/07/23(水) 12:11:10

    以上

  • 413二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 12:11:51

    澪…お前音系能力者だったのか

  • 414二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 12:17:09

    澪は力を振り絞り過ぎたなぁ 結果的に自滅?

  • 415二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 18:21:14

    保守

  • 416二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:20:10

    このレスは削除されています

  • 417二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 03:18:37

    あげ

  • 418二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 06:03:43

    ほしゅ

  • 419二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 07:03:16

    hosyu

  • 420二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:43:21

    あっげ

  • 421二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 10:02:25

    このレスは削除されています

  • 422二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 10:06:58

    さすがに上げと保守のレスしすぎじゃないか?

  • 4231◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:43:38

    題名『焔と刃のラグナロク』

  • 4241◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:44:27

    ──夜。雨。
    高架下の空気は、ぬかるんだ泥のように重たく淀んでいた。

    バイクの排気音が、その沈黙を蹴り上げる。
    鉄とオイルの匂いを纏った赤い原付バイク『紅蓮』が、雨の水たまりを撥ねながら停車する。

    そのハンドルを片手で握るのは、火野アツ子──ブレイズガール。
    上半身に火の魔力を流し、寒さを紛らわせながら、キツい表情で周囲を見回す。

    「依頼主からの座標はココ……って、ただの高架下じゃん。怪異の気配は……ああ、あったわ。」

    ぞわり、と。
    肺の奥で濁った空気がざらついた。

    「チッ、濡れてるのに火ぃ焚かなきゃなんないとか最悪……。バイト明けで眠ぃってのにさ。」

    手の甲から火花を散らす。その瞬間、ぬかるんだ空間の向こうに、人影が見えた。

    ……ひとりの女。
    濡れた白装束、肩に黒髪を濡らし、無言で佇んでいる。

    「あん?」

    アツ子は眉をひそめた。

    「……誰だアンタ。まさか怪異が人型のフリか? いや、見た目人間っぽすぎる……」

  • 4251◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:44:37

    女は返事をしない。ただ、じっとアツ子を見据えたまま、ゆっくりと歩み寄ってくる。

    「なんだコラ、喧嘩売ってんの? バイク傷つけたら許さねーぞ?」

    その瞬間だった。

    カサ……カサカサ……ッ

    周囲の地面が“蠢いた”。無数の脚音。甲殻の擦れ合う音。

    次の瞬間、地面の隙間や排水口から──
    巨大なムカデたちが這い出してきた。

    「……チッ、そういう系の奴かよ。」

    火野アツ子の瞳に、戦いの光が灯る。
    反射的に、魔力が体表を駆け巡り、火の奔流が噴き上がる。

    「アタシ様を誰だと思ってやがる……」

    拳を握る。炎が指先から噴き出す。

    「《烈日の紅(フレアレッド)》、点火──ッ!!」

    赤く輝く魔炎が、地面に蒸気を噴き上げるように燃え広がる。
    アツ子の姿は火に包まれ、見るからに“ただの人間”じゃなくなっていた。

    「“喋らねぇ怪異”か、“そういう能力持ち”かは知らねぇけど……」

    右手の拳が火を噛むように燃え盛る。

  • 4261◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:45:12

    「──まずはぶっ飛ばしてから確かめる主義なんでなッ!!」

    その宣言を合図に、アツ子が地を蹴った。
    紅蓮を置き捨てるように跳躍し、燃える拳で奇襲をかける!

    だがその刹那──

    「……“蟲”たち、始めなさい。」

    女の小さな声が響く。
    その背後から、まるで軍隊のように揃った動きでムカデが躍り出た!

    一体、また一体。地を這い、柱を登り、アツ子へと群がる!

    「うっわ、こっちも“話せないタイプ”かよッ!」

    ──火と毒蟲、開戦。

    赤い炎と黒い甲殻がぶつかり、夜の高架下に閃光が走る。

    ──これが、
    火野アツ子と百瀬天美、
    二人の女の“最初の出会い”だった。

  • 4271◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:47:41

    火野アツ子の拳が、雨粒を蒸発させながら空を裂いた。

    「らぁッ!!」

    拳にまとった紅蓮の炎が、前方のムカデを一掃する。
    熱波が轟音とともに吹き荒れ、高架のコンクリートに焼け焦げを刻む。

    「おっし、焼き蟲一丁あがり!……って、うわ、まだいるのかよ!」

    アツ子の目の前、濡れたアスファルトの上に現れたのは――
    中型のムカデ。人の胴ほどの太さを持ち、外骨格が鈍く光る。

    その背後で静かに佇むのは、白装束の女――百瀬天美。

    彼女は、まるで戦闘そのものに関心がないかのように落ち着いていた。

    「なるほど……派手ね。火の魔法少女、かしら。」

    「“魔法少女”は余計だっつってんだろ! つか今さら口開くとかビビらすんじゃねぇ!」

    アツ子が吠えるように怒鳴る。

    「アンタ、何者だよ! この蟲ども……普通の怪異と違うだろ!」

    天美はその問いに答えず、静かに右手を掲げる。

    「……中位、“ヒザクビ”。行きなさい。」

    すると、さらに巨大なムカデが姿を現す。

  • 4281◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:47:53

    その長さは優に3メートルを超え、牙には毒が滴り、脚はコンクリートを貫いて地面に突き刺さるほどに鋭い。

    「ハァ!? こいつら“ペット”か何か!? 狂ってんじゃねーの!?」

    アツ子は叫びながら、体勢を低く構え直す。

    「仕方ないでしょ。私にはこれしかないの。」

    天美の声は感情を感じさせないが、その目の奥には確かに何かが燃えていた。

    「“これしかない”で人巻き込むんじゃねぇっての!!」

    ──次の瞬間。
    ムカデ“ヒザクビ”が、恐るべき速さで突進した。

    その動きは、予想以上だった。
    鉄筋を砕き、地面を裂いて迫る巨蟲の質量。まるでトラック。

    「ちっ……!」

    アツ子は飛び退く。が、それを狙ったかのように、別の小型ムカデが背後から飛びかかる。

    「二段構えかよッ!!」

    背中の炎が一瞬、爆ぜた。

    《熱風炸裂(ヒートバースト)》!

    瞬間的に背面を燃やし、爆風を利用して回避と攻撃を同時に成立させる。

  • 4291◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:48:34

    炎の魔力を用いた独自の体術。その爆風で小型ムカデは弾け飛び、地に叩きつけられた。

    「ハァッ、ハァッ……まだまだ来るなコレ。……アンタ、マジで容赦ねぇな。」

    炎の形が徐々に大きく、荒くなっていく。雨で熱が拡散され、魔力の消費も激しい。

    だがアツ子は、笑った。

    「──面白れぇ。ならこっちも、遠慮しねぇでぶっ放す!」

    両の拳に、燃える炎を圧縮していく。

    「《爆炎双牙(ツインファング)》──ッ!!」

    双拳から放たれる、双方向の火炎弾。
    一つはムカデ“ヒザクビ”を正面から焼き潰し、もう一つは天美に向かって直進する!

    「……ああ、やっぱり火は、綺麗だわ。」

    天美はそう呟きながら、全く動じずに後方へ下がった。

    代わりに彼女の足元から、別の高位ムカデが突き上げるように現れ、火炎弾を受け止める。

    その身を焦がしながらも、怯むことなくアツ子へ迫っていく――

    「ったく……次から次へと!」

    ──雨。熱。毒。血の匂い。

  • 4301◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:48:55

    一進一退の攻防。
    攻撃と回避、魔法と獣、炎と蟲。

    それは、まさしく“戦場”だった。

    そして、どこかで誰かが呟いた気がした。

    「あんたら……なんでそんなに、必死なんだよ。」

  • 4311◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:50:58

    激突の余波で、高架下のコンクリートが砕け、炎と毒の熱気が入り混じる。

    アツ子の拳がムカデの甲殻を砕き、天美の蟲たちがその隙を突いて牙を伸ばす。

    だがどれだけ切り結んでも、どちらも倒れない。

    ──ただ、どこか“割り切れなさ”が、互いの胸に漂っていた。

    「……はァ、もう何匹目だよ……」

    息を切らしながらも、アツ子は拳を構える。
    肩口に小さな咬傷、脚には跳ねた毒の焼け痕。それでも立つ。

    「なんなんだよアンタ……本気でアタシ殺す気か?」

    「……それは、どうかしら」

    天美は無感情に言い放ちつつも、その瞳はどこか揺れていた。

    「……あんた、最初から迷ってるよな。」

    アツ子がポツリと漏らしたその言葉に、天美の指が僅かに震える。

    「殺し合いしてるクセに、なんか一線引いてる。……“そういうヤツ”だろ、アンタ。」

    沈黙。

    ──雨音が地面を叩く音が、不意にやけに大きく聞こえる。

  • 4321◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:51:09

    「……私は」

    天美が小さく口を開いた。

    「──あの男に、家族を殺されたのよ。」

    「……は?」

    「……折神、っていう化け物。アイツに……自分の気持ちを信じた私自身を、ぶち壊された。」

    アツ子は目を細める。

    「アンタ……復讐者、かよ。」

    「……そう。」

    炎の揺らめきが、天美の横顔を照らす。
    そこに浮かんでいたのは、怒りでも憎しみでもない──

    ──深い、深い空洞。

    「でも……あの人がいなかったら、私は今も生贄として……ただ、殺されていたはずだったの。」

    アツ子は無言のまま、その場に仁王立ちしながら呟く。

    「……めんどくせー話だな。」

  • 4331◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:51:44

    「そう思うでしょうね。」

    アツ子は目を細め、ゆっくりと拳を下ろした。

    「けどな」

    その声に、熱が戻る。

    「アタシもなァ、背負ってんだよ。弟妹4人。バイトもして、怪異も狩って、生活費も稼いで。飯作って洗濯して、学校の呼び出し受けてさぁ。」

    炎の熱気が、少しずつ高まる。

    「“命が惜しくて戦ってる”んじゃねーの。アタシがいなくなったら、アイツらが生きらんねーんだよ。」

    拳を握る。

    「だから、燃やす。燃えてでも立つ。」

    その瞳に宿るのは、“覚悟”の火。

    「それがアタシ様の、“魔法少女”なんだよォ……ッ!」

    次の瞬間、全身に再び紅蓮が噴き出す。

    「変身、再開!《烈日の紅》、再燃ッ!!」

    烈火が高架下に再度舞い踊る。

  • 4341◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:51:54

    ──その熱に、天美の蟲たちが一瞬怯む。

    だが。

    「……いいわ。」

    天美は、ゆっくりと目を閉じた。

    「アンタみたいな女に、“あの人”を語らせたくない。」

    「──“上位召喚”、行くわよ。」

    地面が割れる。
    鉄骨を砕き、現れたのは──

    全長6メートルを超える、紅黒の甲殻に包まれた巨蟲“ヤハラノカミ”。

    それは、“神域”に最も近い蟲。
    意思を持ち、神代より人を喰らい続けた戦神の眷属。

    「……やっぱ、そう来るかァ……!」

    アツ子は口元を歪めて笑う。

    「上等だよ、クソ蟲ッ! どっちが“背負って”んのか、ブン殴って教えてやるよ!」

    ──こうして、物語はさらに熱を増し、核心へと近づいていく。

  • 4351◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:57:30

    高架下の地面が鳴動し、雨を弾く轟音が響く。

    アツ子の紅蓮の炎と、天美の“ヤハラノカミ”──神蟲が対峙する。

    「……うおぉぉおおおおっ!!」

    火野アツ子の両拳に宿るのは、激痛と覚悟。

    変身中、形態移行のわずかな隙を狙っていた神蟲ヤハラノカミが口を開いた。

    ──ガッ!

    反射で回避したものの、太ももを裂くような風圧が走る。

    「ッ……ッッツゥ……! ったく、アタシ様を殺す気満々じゃねーかよ……!」

    呻きながら、アツ子は一瞬だけ炎を収束させ、ついに叫ぶ。

    「──《終極の蒼(ブレイズブルー)》、展・開!!」

    ズン、と世界が沈んだような衝撃。

    次の瞬間、アツ子の身体から立ち上るのは、冷たい青の炎。
    紅蓮ではない、全てを燃やし尽くす“終末の色”。

    炎の色が変わると同時に、彼女の姿もまた変わる。
    長髪は逆立ち、全身を覆う戦闘装束は禍々しく変貌。腕部からは流線型のブースター装置、背には炎を抑制する青い機械翼が出現する。
    その動きは──瞬間、空気ごと消えた。

    「──速ッ……!?」

  • 4361◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:57:46

    天美の目にも映らないスピード。
    神蟲ヤハラノカミが動くよりも速く、アツ子の拳がその巨体に炸裂する!

    ドゴォンッ!!!

    爆音とともに、神蟲の巨大な体が半身崩れる。

    「30秒だけだ……! この力、使えるのはなァッ!!」

    アツ子の声は怒号のようだが、その表情には苦痛の色が滲んでいた。

    ──終極の蒼は、使用者の肉体を徐々に炭化させる。
    既に右腕の皮膚には黒い亀裂が走っている。

    「……でも……!」

    彼女は炎を込めて、さらに拳を握る。

    「こんなとこで終わってたまるかッッ!!」

    同時に、天美もまた叫ぶ。

    「──喰いなさい、“ヤハラノカミ”!!」

    神蟲が咆哮を上げ、アツ子を丸ごと飲み込まんと顎を開く。
    だがその動きすら──既に遅い。

    「《爆炎・天墜(ブレイクスルー)》!!」

  • 4371◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:58:29

    空中から垂直に落下する青い流星。
    それは拳とともにヤハラノカミの頭頂部を砕き、甲殻ごと地に叩きつける――!

    ドオォォォォン!!!!

    高架の柱が折れ、地面に巨大なクレーターが刻まれる。

    アツ子は着地と同時に、膝をついた。

    ──残り、8秒。

    「ハァッ、ハァッ……やっべ……足、もう感覚ねぇや……!」

    肉体が限界に近づく中、それでも彼女は立ち上がる。

    だが。

    「……まだ、終わってない。」

    天美の呟きとともに、崩れた神蟲の巨体から――

    “コア”だけが分離し、空中に浮かぶ。

    まるで脊髄のような、長大なムカデの神核。

  • 4381◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 11:59:32

    それは砕かれた身体を捨て、自律的に天美の命に従い飛翔する。

    「──くたばれ、“火の女”。」

    その刹那、アツ子の瞳がギラついた。

    「甘ぇなァ……アタシ様の、最後の火はまだ残ってる……!!」

    右腕を振り上げる。拳に、青炎が収束していく。

    ──彼女の全魔力、全体重、全覚悟がこもった一撃。

    「──“オーバーブレイズ”!!」

    炎が空間ごと砕いた。

    残り0.2秒。

    青い拳がムカデのコアを貫き、背後の空間を吹き飛ばす。
    天美が反射的に腕で顔をかばい、爆風に飲まれる。

    ──そして。

    音が、止んだ。

    雨が降り続けるだけの、静寂な夜が戻ってくる。

  • 4391◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:01:46

    ──沈黙の雨音だけが、世界に残った。

    瓦礫に囲まれた高架下。
    その中心で、アツ子は片膝をついていた。

    「……ッ、は……はは……終わった……か……」

    全身からはもう、炎の気配は感じられない。

    終極の蒼──30秒の神域が終わり、燃え尽きた火の少女は、重力に逆らうように立っていた。

    右腕は肘から先が黒く炭化し、視界もにじむ。
    それでも倒れなかったのは──意地か、責務か。

    「……しぶといわね、アンタ……」

    天美がようやく立ち上がった。
    服は焼け、腕には裂傷、唇の端から血が垂れている。
    だが目は──澄んでいた。

    「アイツらの弁当代、まだ稼いでねーからな……倒れるわけにいかねーんだよ」

    アツ子が歯を食いしばりながら笑う。
    それを見て、天美はゆっくりと──腰の刀を鞘に戻した。

    「……どうして?」

    「……あ?」

    「どうしてそこまでして、誰かのために戦えるの?」

  • 4401◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:01:57

    アツ子はわずかに眉をひそめた。

    「バカだな、アンタ……」

    「……何?」

    「“誰かのため”とか、そんなモンじゃねぇんだよ。アイツらがいなきゃ、アタシももうとっくに死んでた。生きる理由ってヤツを、アタシに押しつけてきたんだよ。だから──」

    「“生きるために”戦ってんだよ。自分の、だ。」

    天美はその言葉に、しばし沈黙する。

    雨が、二人の間に落ち続ける。

    やがて彼女は口元をゆがめて、小さく笑った。

    「……そっか。そりゃ、勝てないわけだ。」

    「んだよ、今さら遅えぞ。」

    「フッ……もう、勝ち負けなんてどうでもよくなった。」

    その瞳には、初めて“人間らしい”光が戻っていた。

    「……ただ一つだけ聞かせて。あの青い炎……“痛くなかった”の?」

    アツ子はゆっくりと首を横に振った。

  • 4411◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:02:18

    「地獄みてぇに痛かったよ。マジで。」

    「じゃあ、どうして」

    「……そっからが、アタシの仕事だろ。痛えからって止まってらんねーよ。家族も、あのガキも、全部守るって決めたんだ。そういうのを──“アタシ様”って呼ぶんだよ。」

    しばらく沈黙。

    天美はその場にへたりこみ、顔を覆った。

    「……あんた、本当にバカね。」

    「はン……知ってる。」

    二人はそのまま、しばらく何も言わず、雨音の中で佇んでいた。

    戦いは終わった。

    勝者も敗者もいない。
    ただ、魂をぶつけ合った“人間”が、そこにいた。

    ──それで、十分だった。

  • 4421◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:03:37

    雨は小降りになっていた。
    空にはようやく雲の切れ間が現れ、東の空にうっすらと朝日が滲み始めていた。

    高架下には、燃え残った鉄の匂いと湿った瓦礫の空気。
    だが、その真ん中に立つ二人の少女には、確かな“夜明け”が近づいていた。

    「……ほんとに帰るの?」

    天美が問いかける。

    アツ子は、ガムテープで補強された傷だらけの原付“紅蓮”にまたがり、肩を回していた。右腕は包帯でぐるぐる巻き。戦闘の後遺症でうまく動かないが、それでも笑っていた。

    「ああ。弟たちに朝飯作ってやらねーと。」

    「……アンタさぁ……痛みとか疲れとか、マジで脳に届いてんの?」

    「痛ぇよ。全身ズキズキだし、下手すりゃ骨もいってる。でも、そんなんで止まるアタシ様だと思ったか?」

    「……まったく……」

    天美は小さく息を吐いて、視線を空へ向けた。

    空を見上げながら、ふと呟く。

    「もし……次、どこかでまた会ったら。今度は──剣一本で勝負してくれる?」

    「いいぜ。アンタの蟲抜きで来るってんなら、アタシ様も拳だけで付き合ってやるよ。」

    「……その時までには、ちゃんと“自分の刃”を研いでおく。

  • 4431◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:04:26

    「上等。」

    エンジンがかかる。“紅蓮”が低く唸る。

    アツ子はハンドルを握り、雨上がりの道を見つめる。

    だが、発進する前にふと振り返った。

    「なぁ、天美。」

    「なに?」

    「……お前、まだアイツを探してんのか? その、折神とか言うヤツ。」

    沈黙。

    少しして──天美は静かに、でも確かにうなずいた。

    「……うん。許せない。でも、忘れられない。そんな感じ。」

    「……めんどくせぇな」

    「自分でもそう思う。」

    アツ子はふっと鼻で笑って、顔を前に戻す。

    「ま、いつかちゃんと蹴りつけろよ。人の顔潰したヤツに未練残すのって、案外、火傷すんぜ?」

    「……お互い様でしょ。炎の魔法少女、さん?」

  • 4441◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:04:48

    「ハッ、アタシ様は、火傷させる側だっての!」

    笑いながら、アクセルを吹かす。

    そして──

    「じゃあな、またどっかで!」

    アツ子の乗る“紅蓮”が、雨上がりのアスファルトを火花とともに走り去る。

    天美は、しばらくその背を見送っていた。

    やがて──そっと手を胸に置く。

    「……また、戦いたいな」

    そこにあったのは、敗北でも憎悪でもない。
    ただ、対等に拳をぶつけ合った者にだけ芽生える“誓い”だった。

    夜が明ける。

    別々の道を歩く二人。
    だがその道の先は、きっと、またどこかで交差する。

    ──そして物語は、まだ燃えている。

  • 4451◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:05:24

    以上
    魔法少女、さんの女、さんでNGワードは聞いてない

  • 446二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:06:42

    >>445

    女、さんはアウトだからねぇ 巫女、さんも打てやしない

  • 447二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:12:20

    雨天でよくやりおるわ…ナイスバトルだったぜ

  • 4481◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:25:48

    12:45より安価10個募集

  • 449二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:44:59

    このレスは削除されています

  • 450二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:00

    名前:蘇生者 (山桐 楓)
    年齢:9
    性別:女
    種族:人間?
    本人概要:【万能者】と【適応者】の娘で当初は死産と思われたが
    【万能者】から受け継いだ不死性、蘇生能力により息を吹き返した
    性格は危機感が薄く不思議ちゃん系でたまに樹海や山などに行き自殺者、遭難者を生き返らせることがある
    あと神としての身体能力も一部受け継いだ為身体能力は人外レベル 
    能力:蘇生
    能力概要:自身や他者を蘇生出来る 他者を蘇生させた場合は基本は自分の命令に従ってくれるが例外もある
    相手が機械や無機物、生物で無くても意思があるなら蘇らせられる
    弱点:自分の1日に蘇生できる数は決まっており最大で3回
    制限を超えると最低でも数日間から一週間死亡した状態になり実質敗北
    蘇生能力があるからか危機察知能力が低く隙がかなりある
    また自身を蘇生する度に自分の身体能力は一時的に低下していき最終的には年相応になってしまう
    弱体化比率は1回目ちょっと強い 2回目成人男性並 3幼女
    他者を蘇られせた場合でも力が強い、精神が強いなどの相手は普通に命令に従わない
    死体が多い場だと蘇生に集中する為更に隙が多くなる
    要望(任意):対戦相手が死亡した場合はどんな悪辣な存在であれ蘇生してあげて下さい

  • 451二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:00

    名前:アンサズ
    年齢:27
    性別:女
    種族:複製人間
    本人概要:かつて魔眼を使い社会を裏から支配していた魔眼の一族の末裔であり、折神を始末し奪われた機密情報を取り返そうとしていたエージェント達の一人 投獄されていた折神から自分の能力によって機密情報を取り戻したらしい
    能力:魔眼 電熱式ヒート刀(特殊セラミック製)
    能力概要:自身と目を2秒ほど合わせた者の目から視神経を通じて脳に自身の意識を侵入させて相手の動きを操ったり記憶を読んで書き換えたりできる またこの能力はどうやら死体や機械が相手でも相手に視覚があれば通じるようだ  また能力が通じずともメイン攻撃手段であるバイオ改造による柔軟性を利用した変幻自在な剣術と強力なヒート刀によって相手を容易に切り刻める
    弱点:脳と瞳以外の部位は軽度のバイオ改造しかしていないので身体能力こそあれど耐久力は鍛えた人間ほどしかなく 魔眼で相手を操っている時は自分の意識が相手の脳内に移動しているため動けなくなる

  • 452二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:00

    名前:佐藤純
    年齢:14歳
    性別:男
    種族:人間
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の息子であり佐藤雪、蓮を姉と兄に持ち妹に佐藤凜がいる
    彼もまた生まれつき力を持つのだが姉や兄、妹の様に凄い力ではなく鍛錬の成果も振るわず強さが伸び悩んでいる
    心の中は偉大な両親や兄妹への劣等感や自分への強い苛立ちなどの様々な感情が複雑に絡み合っており家族と少しギクシャクしている
    性格はダウナーで口が悪くぶっきらぼうだが本質的に超絶お人好しで人を助けずには居られない正義感の強さと優しさを持つ
    そして本当は熱くて真っ直ぐな優しさと心を持った正義感の強い少年なのである
    能力:意志の主
    能力概要:彼の精神や感情そのものを灰色の濁ったエネルギーとして扱える力
    身体強化、弾幕、纏ってアーマー、固めて武器や足場、視界切り、分身と無数の使い方と使い道がある万能エネルギー
    ある程度まで精神統一すれば触れた相手を吹き飛ばす、吸い込んだ相手を混乱させるといった簡単な能力も付与可能
    だが彼も把握していない力が存在する、それは「純粋な願いや意志によって覚醒する力」
    「アイツを救いたい」「こいつを倒したい」という様な混じりっ気ない純粋な意志の下で発動するとエネルギーの濁りが消える
    光り輝く状態になると真の力を発揮でき意志に呼応した森羅万象を凌駕し遍く全てを超越する文字通り神の如き力を振るえる
    概念すら覆し理屈すら軽々と超越する、奇跡という言葉すら生温い絶対的で圧倒的で馬鹿げている意志の力という無法を扱える
    弱点:能力が能力なので精神干渉に非常に弱く精神干渉以外にも敵のちょっとした言葉などですぐに揺らぎ濁り暴走する
    また身体能力は高いが耐久力は普通の人間、だが体力が低く能力が精神力を喰うので短期決戦じゃないとしんどい
    徐々に徐々に疲れが来て動きが悪くなり隙が生まれやすくなる
    純白の力は彼自身がそれを知らないので発動条件なども無論知らず使えるかどうかも不明
    万が一にも発動したとしても体力、精神力をごっそり持っていく上に初めて使うので現時点なら万全で1分、疲労状態で20秒が限界
    発動後は極度の疲労が発生して即座に気絶し戦闘不能となる
    要望:佐藤清と佐藤紬の息子です。姉に雪、兄に蓮、妹に凜がいます
    ぶっきらぼうな口調で一人称は「俺」

  • 453二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:01

    名前:クッキング・スライム
    年齢:0歳
    性別:スライムなので無し
    種族:料理とスライムのハーフ
    人物概要:絶景とカナエが作り上げた『料理』が偶然の事故によってとあるスライム工場に混入した結果、自我を獲得して出来上がった化け物。見た目は料理っぽいナニカが混ざった紫色の巨大スライム。
    仮にも料理として生まれ落ちながら、誰にも食べて貰えることがなかった嘆きと悲しみと憎しみを振り撒きながら、誰かに食べてもらおうと彷徨っている。
    能力:“お残しは許しません”
    能力概要:巨大災害レベルで凄まじい悪臭を持つ瘴気を広範囲に放ってスリップダメージを与えつつ、自ら肉体から滲み出たクソ不味い大量の肉汁や野菜汁を飛ばして遠距離攻撃を放つ。
    そのほか、肉体を変形させて相手を捕らえて自らを食べさせようとする。その味は神すら悶絶させるレベルの不味さである。
    弱点:所詮は料理なので、直接的な戦闘力は低い。
    瘴気は長距離まで届くが、移動速度は遅い。
    また、『食べてもらうこと』に執着しているがゆえに戦闘を目的としていないので隙が多い。

  • 454二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:01

    名前:テュラ=レヴィア=クシス
    年齢:数億年以上
    性別:なし(無性生殖)
    種族:星間捕食生命体(高次触手捕食種)
    本人概要:
    テュラ=レヴィア=クシスは、惑星~小型恒星規模の獲物を捕食するために特化した超巨大な宇宙原生捕食生物。全身は超高強度の再生可能な無数の触手で構成され、無数の「消化胞子」を放出してあらゆる物質を分子・素粒子レベルまで分解吸収する。
    群体ではなく個体生物であり、無数の触手を通じて獲物の神経・エネルギー回路に直接侵入し、行動を麻痺させた上で捕食するという狩猟戦法を得意とする。
    進化型グラヴィタリス菌は、この生物を捕食・解析することで触手群能力を獲得した。
    能力:
    1.捕食触手群
    星間距離まで伸縮可能な超長距離触手を無数に持つ。
    接触した物質を「消化胞子」で分子レベルに分解し吸収する。
    2.神経侵食
    獲物の神経系やエネルギー循環システムに触手から微細な胞子を注入、強制的に行動を停止させる。
    3.情報捕食
    捕食対象の生体情報を触手を通じて解析・学習する。
    進化型グラヴィタリス菌がこの性質を取り込むことで、捕食進化能力を強化した。
    4.再生特化組織
    切断された触手を瞬時に再生。核を破壊しない限り活動可能。
    5.恒星耐性外殻
    恒星内部でも活動可能な耐熱・耐圧構造。
    能力概要:
    本能的に獲物を求める「捕食特化型生命体」で、行動原理は単純だが、その触手攻撃力は惑星文明にとって脅威。知性は低いが、情報捕食能力により獲物の行動パターンを学習し、狩猟方法を最適化するという高い適応力を持つ。
    弱点:
    体中央に存在する「中枢核」を破壊されると即死。
    単純な狩猟行動しか取れず、戦略性に乏しい。
    大量の捕食対象がいないと活動が維持できない。

  • 455二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:02

    名前:正体不明
    年齢:対象と同じ
    性別:対象と同じ
    種族:対象と同じ
    本人概要:一切の情報が存在していないという情報がある存在。
    体は不定期であり、常に別の存在になっていないと消滅の危機がある。
    我々の近くに人間や生物になって普通に生きている。
    定かではないが、過去、激戦の時代に夫婦を殺しその夫に成り代わって暮らしていた男の怨念という説がある。
    模倣対象によって性格が変わる。
    能力:【名称不明】
    能力概要:対象に瞬時に“なる”能力。
    対象の能力、容姿、性格、戦法、信念、技術、記憶、口調、武器すべてを瞬時に理解し、偽物ではなく双子のような本物になる。
    変身した対象の能力耐性獲得、対象が把握していない弱点を把握することが出来る(能力の弱点やデバフなどの弱点)。
    最大三人分まで変身情報をスタックし自分の意思で切替可能。スタックは断捨離可能。
    対象が覚醒や進化すれば即時追従。
    弱点:即座に成り代わるため弱点を解析できず、対象の弱点はそのまま正体不明の弱点になる。 殺すことが出来なければ、今後その対象には成り代わらない。
    右脳を攻撃されると一瞬だけ成り代わりが解除される。
    対象のデバフも正体不明のデバフになる。
    「本人の弱点」+「コピー1の弱点」+「コピー2の弱点」+「コピー3の弱点」これらが弱点になって、誰に変身しても全部の弱点が引き継がれたまま。

  • 456二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:02

    名前:《Iac /_ラフター_hen/》
    年齢:???
    性別:???
    種族:???
    本人概要:生来からの未知も既知も全てを何度でも笑う者。《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》に巻き込まれ、存在が少し崩れ、体力が極端になり、名前が笑うになった。
    能力:《laugh》
    能力概要:相手や自分が笑う事で発動する。相手が笑った時は相手の身体能力が低下する。低下速度は、15秒笑うと身体能力が4分の1程低下する。ラフターに半径5メートル近付くと強制的に、相手は人生で面白かった記憶が蘇る。二回目以降に近づくと、意識は面白かった記憶を思い出していないのに肉体が思い出して笑ってしまう。自分が笑った時は身体能力が強化される。強化量は10秒笑うと常人の2倍になる。しかし、強化すると気絶時間が速くなる。
    例 10秒笑って強化すると、10分の半分である5分で気絶する。
    弱点:身体能力は常人並み。存在が少し崩れているので、激しい運動を10分間すると気絶する。
    要望(任意):笑い声はクやハを連続した文字列で表現してください

  • 457二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:15

    名前:ザイル・クロム=オルガルド
    年齢:27歳
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:
    ルグナ王国王立錬金術学院にて頭角を現した天才錬金術士魂と肉体の錬成理論における第一人者として期待されるも、国家から命じられた「魂の強制構造転写」に関する研究を拒み、粛清対象として追われる身となる。逃亡の果てに、古代遺跡に封印されていた禁忌魔導〈命脈錬成(ネウロス=アークテュリア)〉を自らに施し、体内に魔力炉「魔弾炉〈アーケイン・ジェネレイター〉」を内蔵する改造体へと変貌。
    以降、己の生命エネルギーを固形化・武装化するという異端の戦闘形態を得るに至る。現在は〈呪骸都市ロス=レベリオ〉に潜伏しながら、王国とその倫理なき学術体系を静かに憎悪する。高い戦術眼と冷静な判断力を持ち、異常に高いバトルIQを以て強大な敵にも冷静に勝機を見出す戦闘理論主義者。屁をこいて空を飛ぶ。
    能力:《魔弾機構〈アーケイン・ショット〉》
    能力概要:
    命脈錬成によって変質した体内器官〈魔弾炉(アーケイン・ジェネレイター)〉を用い、生体エネルギーを「魔核」として変換・凝固し、魔力属性を付加した弾丸を射出する魔導兵装。
    魔弾は、口腔・眼球結膜などの粘膜部や傷口から放出される。
    屁をこいて空を飛ぶこともできる。
    魔弾の性質は精神状態や魔力流動により変化し、以下の11種の挙動に対応:
    • 貫通/拡散/炸裂/腐蝕/燃焼/凍結/振動/電撃/催眠/透明化/時間停止(不安定)
    各魔弾の効果持続は体感で10秒。
    また、近接武器へ魔弾性質を打ち込むことで武装エンチャントとしても運用可能。
    高精度狙撃や範囲展開も可能だが、いずれも高負荷。
    暴発防止のため、通常時は「緊縛封印具(リミッター・ギア)」により魔弾炉出力を強制抑制している。
    武装連携:戦術短剣《ミラグラーフ》
    左腰に携える刃長40cmの片刃短剣。刀身には魔弾共振素子が埋め込まれ、魔弾を直接撃ち込むことで属性を一時的に刀身へ拡散転写する。
    弱点:
    • 魔弾発射には生命力・魔力を大量消費するため、連射・長期戦は致命的。
    • 緊縛封印具が破損した場合、制御不能の魔弾暴走が起こる危険あり。
    • 「時間停止」は発動率1割未満で人間以外には無効。
    • 身体能力は一般成人男性並みで、白兵戦では不利。
    • 心臓などの急所を貫かれれば死亡する。再生能力なし。

  • 458二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:16

    名前:スパイディングカッター・偽羅生門仏
    年齢:計測不能
    性別:超越した
    種族:合体妖魔
    本人概要:かつて鼻川虎之助に敗れた二体の妖魔が合体して復活した存在。見た目は両腕がハサミとなったババアの上半身に悍ましいアルカイックスマイルを浮かべた蜘蛛の下半身を持っている。
    鼻川虎之助に復讐し、世界を恐怖のズンドコに陥れるために夜闇を蠢く。
    能力:ヘアカッター&ブディズムウィップ
    能力概要:切断した髪の毛を操る能力と罪を手繰る能力の二つを持つ。
    前者は相手の髪の毛を切断することで発動し、切られた髪の毛が鋭利な針となって相手の肉体を縦横無尽に串刺しにする。懐には犠牲者の髪の毛に束を無数に持っており、いつでもヘアファンネルを飛ばす用意ができている。
    後者は相手の罪を紐という形で具現化させる能力。余罪があればあるほど紐は強固になり相手は動きにくくなり、偽羅生門仏の邪悪エネルギーを注入され彼に洗脳されてしまう。
    罪を手繰ることで動きを封じ、髪の毛の針山で串刺しにする凶悪コンボが得意技。
    弱点:髪の毛を操る能力は、髪の毛は鋼鉄ほど硬くはなっているが結局は毛髪なので炎に弱いこと。
    罪を手繰る能力は罪を犯してない存在や逆に罪を罪とも思わない異常者には効きにくい。
    さらに重度の芋粥中毒になってしまっていること。彼は常に芋粥を静脈注射していなければ正気を失い発狂する。そのため背中に背負った芋粥パックを破壊されると能力が機能不全を起こす。
    また、結局は妖魔であるため浄化や光属性の技は極めて有効。

  • 459二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:42

    すとっぷ

  • 460二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:45:52

    名前:影尾 蝕喰
    年齢:22
    性別:男
    種族:一応人間
    本人概要:物凄く陰気でネガティブ
    能力:影から巨大な顔を出現させて相手を噛み砕く。
    能力概要:あくまで噛み砕くことしかできず、飲み込んだりはできないので必ず吐き出す。相手の不意を突くために自分の影しか出せないと言ってるが本当は影がある所なら自分の影以外からでも出せる。出現する顔は物凄く恐ろしい見た目で更に相手の恐怖心を煽る絶叫を放ちながら噛み付いてくる。
    弱点:当然光に弱く、出現させた顔に光が直撃すると影尾がダメージをくらう、ついでに彼の性格上、明るい性格の人間も苦手

  • 461二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:46:19

    すとっぷ 460まで

  • 462二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:48:02

    ありゃ?一番最初の安価が何故か消えてる

  • 463二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:48:43

    >>462

    フライイングだからじゃない?

  • 464二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:49:10

    >>462

    フライングにつき自刃致した

  • 465二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:50:06

    >>463

    >>464

    ほんまや、全く気付かんかった

    運が無いのう

  • 4661◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:50:15

    >>454

    ピピーッ

    審議です

  • 467二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:52:09

    >>466

    因みにどの部分?

  • 4681◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:56:23

    >>467

    まずでかさが今までのキャラの比ではないです

    星間距離ってとんでもない距離ですよ

    そしてこれを仮に切断したとしても瞬時に再生する上に触れるときに分解される危険性もあり核に到達できるかすら怪しい

    そして恒星レベルの圧力や熱量にも耐えれる耐久性や相手のエネルギーや行動を妨害する胞子

    しかも学習機能まであるのに自分が動いてつける弱点は核のみ

  • 469二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:57:42

    >>468

    分解無しにして惑星サイズにすれば問題ないですか?

  • 470二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 12:58:51

    >>469

    星喰いって知ってるか?

    デカすぎて対戦相手を一方的に瞬殺したやつなんだけど

  • 4711◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 12:59:53

    >>469

    そこまでしてもまだ強いしそれはもう別のキャラなのでは……

    ヤメイ案件ですかね

  • 472二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:01:48

    このレスは削除されています

  • 473二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:04:04

    何気にヤメイの出番ってあんまないよな

    提唱者から随分と経過してるし最近、ヤメイバトルないし

    >>472

    スレ主が言ってる通りもうそれ完全に別キャラじゃね?

  • 4741◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 13:06:19

    このスレのキャラの現状最速は光速です

    そして星間距離というと現実に置き換えたら地球に最も近い恒星まで4光年以上あります

    光速で4年かかるということです


    考察スレのほうでは言ったんですが、出す前にまず自分でどうやったらこのキャラを倒せるのか。

    ssの長さで倒せる強さなのか

    この能力と弱点は釣り合っているのか

    ここら辺を考えていただきたいです

    >>472

    そこまで改変するならまた別の安価の際に修正してお願いします

    考察スレのほうで相談などもできますので

  • 475二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:07:59

    >>474

    物知りスレ主


    ほんでどないするんこれ?

    ヤメイ案件?別のやつ出場?

  • 4761◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 13:09:09

    >>475

    ヤメイ案件です

    それともう一つ安価ですね

    今からよーいドン

  • 477二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:09:20

    名前:名無しの権兵衛
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:不明
    本人概要:すべてが不明である。
    能力:記憶の学習
    能力概要:相手の記憶の中、記憶を見て戦い方などを学習し戦闘に使う。
    弱点:相手の能力を学習することはできない。耐久力は人間よりない。
    要望(任意):色々な県の方言を混ざった喋り方

  • 478二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:09:33

    名前: アリセイン=ヴラド
    年齢: 14歳
    性別: 女性(出生時の性別)
    種族: 人型生物兵器Hound-02《赫姫》/人類改造体
    本人概要
    高適性個体として精神強化手術を受けた元少女兵。本来は温和で知的な少女だったが、軍の実験により人格が壊されている。高い知性と戦術眼を持ちながら、それを「生き延びるため」「任務以外の自我を保つため」に利用するだけで、心からの殺戮衝動は持たない。
    普段は寡黙で、戦場でも必要以上の会話をしないが、「殺さなければ自分が壊される」という恐怖から、結果的に大量虐殺者となっている。敵や捕虜と会話する時は、むしろ「止めてほしい」と懇願するような錯乱を見せる場合がある。
    • 通常形態:
    赤黒く脈動する液状有機装甲に覆われたハウンド形態。
    背中には感情に応じて形状変化する「羽状神経展開器」が4枚生え、装甲には血管状に蠢く神経触手が走る。4つの細い眼を持った細長い頭部になり、鼓動音が常に響き、肉体そのものが生き物のように蠢く。
    • 第二形態《スカーレット=クリュシス》:
    極限下で死の恐怖に押しつぶされたことによって発現した第二形態。敵味方識別不能となり、無差別に暴走。血液を媒介とした群体汚染体を周囲に放出し、群体汚染体に触れた有機体を内部から「血の化身(ブラッドドール)」(Lv3改造強化兵に匹敵する歯を剥き出した真っ赤な操り人形)へ変異させる。この状態の姿は流体状の羽衣を纏う血の女帝。
    能力:《ブラッド・ロジカ》
    血液を情報・物理・精神の三次元融合媒体とする異能。
    自身の血液は高濃度思念汚染体であり、プログラム的制御が可能。
    能力概要
    • 一滴の血から最大1,000体の自己疑似複製を同時制御可能
    • 凝縮した血核が敵神経網に侵入し、脳を遠隔侵蝕して支配
    • 血液増殖速度:1秒あたり3,500倍(理論値) → 広域殲滅が可能
    • 空間内に血液ネットワークを展開し、「無数の自己」による包囲戦術を実行
    弱点
    感情構造の破綻により、愛情・無償の共感など特定の情動刺激に過剰反応する。
    乾燥・凍結・真空など血液が機能不全を起こす環境に極端に弱い。
    高い機動性を持つが、本体は軽量で防御力もかなり低い。
    Houndシリーズは胸部の透明樹脂内に収まる小型脳核群を破壊することによってのみ
    殺可能。

  • 479二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:10:29

    名無しが一歩早かった

    それはそうと超絶久々のヤメイ案件だな

  • 480二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:34:39

    ヤメイさんが動かないに越したことはないのである

  • 481二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 13:53:16

    今回はヤメイ案件含めて対戦が6回か
    対戦カードはどうなるかな

  • 4821◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:18:23
  • 483二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 14:19:57

    まだ審査中だったか
    対戦カードはもう少し先かな

  • 4841◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:22:55

    佐藤純vs名前:スパイディングカッター・偽羅生門仏
    蘇生者vs名無しの権兵衛
    クッキング・スライムvsザイル・クロム=オルガルド
    アンサズvs《Iac /_ラフター_hen/》
    影尾 蝕喰vs正体不明

  • 4851◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:53:17

    題名『捕食の星、正義の剣』

  • 4861◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:54:59

    宇宙の辺境、廃星帯。かつていくつもの文明が栄え、そして潰えた銀河の墓場。
    恒星の残骸が静かに漂い、かすかな重力波だけが生命の痕跡を伝えていた。

    そこに──異様なものがあった。

    それは、巨大な“黒”。
    宇宙空間に突如として膨れあがる、不気味な膨張体。無数の触手がゆっくりとうねり、消化胞子が空間を腐蝕していく。

    惑星規模の死骸が、次々とその“胃袋”に呑み込まれていった。

    テュラ=レヴィア=クシス──ただ喰らうために生まれた捕食の化身。
    その星を喰らう“昼食”は、今まさに終わろうとしていた。

    しかし──。

    「……やっぱり、そうだったんだね」

    遠く、重力波の向こうから。
    ゆっくりと現れたのは、ひとりの青年だった。

    黒髪に、深い青と銀のコート。
    その瞳は、宙に漂う命なき星々に向けられ、静かに哀しみを湛えていた。

    「こんなところに、誰も来ないと思った?」

  • 4871◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:55:26

    青年の名前は、ヤメイ。

    彼はただ、まっすぐに“それ”を見ていた。

    「……君のことは知らない。でも、そこにいた命は、君のものじゃないよ」

    まるで語りかけるように、優しく、しかしはっきりと。

    黒き触手の山が、異物の接近に反応する。
    数本の巨大な触手が、ヤメイに向かってゆっくりと蠢いた。

    警告か、それとも捕食の始まりか──。

    ヤメイは、息を吐く。
    そして杖を、地に軽く突き立てる。

    「……君が、ただ“飢えて”いるだけだとしても」

    「それで、無数の命を奪い続けるなら──僕は、止めるよ」

    その瞬間、彼のまわりに“理”が生まれた。
    宇宙の摂理が、静かに傾き始める。
    因果律が、運命が、“正義の勝利”を前提として組み替えられていく。

    ──それが、ヤメイの能力。

    『正義は必ず勝つ』。

    彼が相手を「悪」だと認識したとき、世界そのものが“勝利の道筋”を作り出す。
    どれだけ強大な敵であろうと、それが「悪」である限り、彼は敗北しない。

  • 4881◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 14:56:32

    触手が動く。数百、数千のうねりが彼を取り囲み始めた。

    「……さあ、始めようか。テュラ=レヴィア=クシス」

    「君を……ここで、止めるよ」

    そして、最初の一撃が宇宙に放たれた──。

  • 4891◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:43:08

    宇宙空間に咲く、触手の嵐。
    それはもはや一本一本が都市を貫くほどの巨大さで、螺旋を描きながらヤメイを呑み込まんと迫っていた。

    「……すごいね。ここまであからさまな殺意は、久しぶりかも」

    ヤメイは、逃げなかった。
    杖を軽く持ち直しながら、触手の一本に向かって右腕をかざす。

    すると次の瞬間――

    触手が、彼の頭上数センチで“ズレた”。

    何もない空間へと無駄に突き刺さり、空間を裂くだけで終わった。

    「……やっぱり。君の攻撃は、“僕には届かない”んだね」

    ヤメイの声は、あくまで優しく。
    けれど確信に満ちていた。

    その姿を見て、触手は怒りとも飢えともつかない反応を見せ、さらにその数を増やす。
    一斉に空間を包囲し、前後左右上下、逃げ場すら与えない捕食態勢へ移行。

    が、そのすべてが――

    偶然、障害物に弾かれ、
    偶然、胞子が風に流され、
    偶然、別の触手同士で絡まり合って阻害された。

  • 4901◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:43:29

    ヤメイは一歩も動かずに、無傷のままそこにいた。

    「君が何を考えているのかは、わからない。言葉も通じないかもしれない」

    「でも……『奪っていい命』なんて、この世界に一つもないんだ」

    ヤメイの杖が、静かに光を帯びる。

    その一撃は、理に沿って導かれたもの。
    計算でも、奇跡でもなく――**“必然”**だった。

    「……君の中心を、狙わせてもらうよ」

    杖から放たれた淡い光の矢が、まっすぐ“テュラ”の中枢核に向かって放たれる。
    触手がそれを防ごうと躍起になるが、1本、また1本と不自然なタイミングで滑っていき、間に合わない。

    命中した。

    テュラの巨体が、わずかに揺らいだ。
    核は砕けはしなかったものの、明らかに“痛み”を伴う直撃が伝わったようだった。

    「……君は、とても強い。でもそれだけじゃ、勝てないよ」

    その声に、怒りが走った。

  • 4911◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:43:44

    テュラ=レヴィア=クシスの触手が、新たな変化を始める。
    ただの捕食触手ではない。今度はヤメイの神経構造に直接侵食するための、“胞子注入型”が無数に蠢く。

    「なるほど。……神経から行動を止めようと?」

    ヤメイは少しだけ眉を寄せた。
    そして小さく、しかしはっきりと告げる。

    「悪いけど、それも……通らないよ」

    次の瞬間、注入された胞子が“偶然”ヤメイの神経網とは無関係なリンパ領域に漂流し、拡散。
    まるで最初から、道を誤ったかのように。

    「僕には、“君に勝つ未来”しか残っていないから」

    触手がいくら、幾万と伸びようとも。
    テュラが進化しようとも。
    この戦いにおいて、ヤメイは絶対に敗れない。

    それを初めて“本能”で理解したのか、テュラの巨体が一瞬だけ、怯えのように震えた。

    ヤメイの瞳が細くなる。

    「……君が、心を持たない存在なら。僕はそれでも、止めなければならない」

    「それが、僕の正義だよ」

  • 4921◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:44:20

    中枢核への一撃――確かに通った。
    だが、それが「致命」にならなかったことを、ヤメイは理解していた。

    「……君は、まだ動ける。むしろ、ここからが本番……かな?」

    そう――それは捕食者としての“適応”だった。
    テュラ=レヴィア=クシスは、受けたダメージから情報を読み取り、自らを最適化し始める。

    無数の触手がその場で断ち切られ、即座に新たな枝分かれを伴って再生。
    先端はより鋭く、胞子はさらに微細化され、神経伝達系の“構造”に特化した攻性が浮かび上がる。

    「……“学んでいる”んだね。僕の抵抗を、少しずつ」

    それは言葉を持たずとも、確かに“知性”の兆しだった。

    ヤメイはその成長を静かに見届けながら、一歩だけ踏み出す。
    その足元に、胞子が広がっていた。通常であれば、即時侵食されるはずの猛毒領域。

    けれど――

    「……これは、“君の領域”ではないよ」

    毒素が偶然にも相互中和を起こし、無害化されていた。

  • 4931◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:44:34

    テュラの行動を“無意味”にするたび、世界がヤメイの味方をするたび、
    ヤメイ自身もまた、その宿命の重みに微かに眉を曇らせる。

    「……こうして、勝ち続けることに。意味はあるのかな」

    呟きは風に消え、応えるものはない。

    だがその瞬間、ヤメイの視界が一転する。

    テュラの核が、分裂したのだ。

    「……偽核? いや、“囮”か」

    情報捕食によって得た“擬態”の概念――。
    それにより、破壊されたように見せかけた核が偽装だった可能性が浮かぶ。

    触手が舞う。胞子が揺れる。
    それでもなお、ヤメイは動じない。

    「でも、それでいい。君が学び、進化するほどに――」

    「君の“本当の意志”が、見えてくる気がするから」

    その声は、まるで対話するようだった。
    敵であっても、可能性があるなら“心”を求める。

    その優しさすらも、ヤメイの“正義”の一部だった。

  • 4941◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:45:21

    「……君は、“悪”なのか。それとも、ただ“飢えた命”なのか」

    ヤメイの声は静かに、深く響いた。

    無数の触手が、音もなく空を覆う。
    テュラ=レヴィア=クシスは言葉を持たぬ。だが、確かに“狩る”という意志だけは存在していた。

    それは生存か、破壊か。あるいは、本能か。

    ――ヤメイの能力『正義は必ず勝つ』は、彼自身の「認識」によって発動する。
    「悪」と判断された存在に対してのみ、絶対的な因果の勝利を与える。

    そして今、ヤメイの目に宿るのは――

    「……君の中に、誰かを守ろうという意志はない。
    ただ奪い、壊し、呑み込むだけ。ならば、それは――」

    風が止まり、時間がわずかに遅れる。

    「――確かに、“悪”だ」

    その言葉と共に、世界の因果がねじ曲がった。

  • 4951◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:45:34

    触手が軌道を外れ、胞子が突風に巻き上げられて散る。
    本来なら直撃していたはずの猛毒の波が、山肌に遮られて逸れる。

    「……これが、“世界が選ぶ勝利”」

    ヤメイの右手が、宙に浮かぶ剣を引き寄せた。
    物理的に存在していなかったはずのそれは、まるで「そうなるべくして現れた」かのようだった。

    「僕の剣は、ただ傷つけるためのものじゃない。
    “裁き”とは、“断ち切る”ことだ。憎しみも、欲望も、暴走も――」

    テュラの触手が突き刺さる刹那、
    ヤメイの一撃が核のすぐ外側を斬り裂いた。

    偽核が二度、三度と破壊されても、なお動き続ける触手の群れ。
    テュラの進化は止まらない。だが、世界もまた“正義の勝利”を止めようとはしない。

    ヤメイは、剣を下ろしながら静かに目を伏せる。

    「……それでも。君が“それしか選べなかった”のなら――」

    「僕は、君の最後だけでも、意味のあるものにしたい」

    再び剣を構える青年の瞳には、怒りも、憐れみもなく、
    ただ深い慈悲と、揺るがぬ覚悟が宿っていた。

  • 4961◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:46:00

    空が揺れた。大気がひずみ、光が反転する。
    テュラ=レヴィア=クシスの中枢核が、ついに真の姿を現したのだ。

    それは、空間そのものを侵食する触手の根源――
    無数の擬似核を生み出し、再生し、絶えず己の存在を“更新”し続ける膨大な情報核。

    「……なるほど。君の核は、固定された一点じゃない。常に“ズレ続けて”いるんだ」

    だからこそ壊せない。
    だからこそ、世界が“勝たせよう”としても、決定打が起こらない。

    因果が絡まり、未来が読みづらくなる。
    これは、“正義の勝利”にさえ割り込む、極限の適応。

    「……ここが、君の“臨界点”か」

    ヤメイは薄く息を吐く。体に疲労が刻まれている。
    だがそれ以上に、精神の芯に火が灯っていた。

    「なら、僕も――僕の臨界まで、踏み込むしかないね」

    目を閉じたその瞬間、因果が音を立てて軋み始める。

  • 4971◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:46:12

    無数の“可能性”が、ヤメイに収束していく。
    世界が、未来が、あらゆる確率が、「勝利」へと形を変えていく。

    触手が走る。裂け目が広がる。
    空間が巻き戻されるように、斬ったはずの箇所が再生され、剣の届かぬ座標へと核が逃げる。

    それでも――

    「そこだよ、“今”。君の核は、ほんの一瞬だけ、中心に戻る」

    ヤメイの足元に、崩れかけた岩が転がる。
    その軌道が“偶然”触手の軌跡を阻害し、彼の動線を守る。

    「……ありがとう」

    誰にともなく呟き、彼は地を蹴った。

    ズガアアアンッ!

    天を衝く一閃。
    その斬撃は空間を斬り裂き、時間の“繋ぎ目”さえ断ち切って――

    触れた。

    揺らぐ核へと。

  • 4981◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:46:27

    衝撃。光。沈黙。
    あらゆるものが一度、止まった。

    けれど、その中でヤメイだけが、はっきりと立っていた。

    「これで……君は、“終わる”んだね」

    だがその声音には、勝者の誇りも、安堵もなかった。

    「……ほんとは、もっと違う形で君と話がしたかったよ」

    かすかに揺れる彼の声は、まるで“誰かを弔う”ようだった。

  • 4991◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:47:25

    焼け落ちた空に、ゆっくりと陽が昇り始めていた。
    テュラ=レヴィア=クシスの巨大な身体は、崩れるように消えていく。
    核は斬り裂かれ、再生の回路も、もう動いてはいない。

    地に残ったのは、静けさと、ほんの少しの余熱――

    ヤメイは剣を納め、重たく息をついた。

    「……終わった、ね」

    焦げた大地にしゃがみこみ、右手を軽く見つめる。
    握力は抜けていた。
    それでも、心の奥に灯った炎だけは、まだ消えていなかった。

    「君は……本当にただ、“生きていた”だけなのかもしれない」

    だがそれは、世界にとって、他者にとって、“破滅”だった。

  • 5001◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:47:38

    どんなに生存が本能であろうとも――
    誰かの命を脅かし、喰らい続けることが、“許されないもの”である限り。

    「それを裁くのが、僕の“正義”だよ」

    ヤメイは静かに立ち上がる。

    光が差し込む中、焦土の上を、ひとり歩いていく。
    その背には誰もいない。
    称賛もない。怒りもない。ただ、風が吹いていた。

    「正義ってさ……けっこう、寂しいんだよね」

    そう、誰にも聞こえない声で呟いた。

    けれど、その歩みは止まらない。

    どれだけ孤独でも、たとえ理解されずとも――
    “弱き者が安心して眠れる世界”のために、彼は進む。

    それが、ヤメイという男の選んだ道。

    そしてまた、どこかで“正義”が必要とされる時、彼は現れるだろう。
    やがて訪れる、次の“悪”と相まみえるその時まで――

  • 5011◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 15:48:06

    以上

  • 502二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:50:46

    ヤメイが杖使ってる…

  • 503二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:51:49

    明確に悪意がある相手ならともかく意思のない本能だけの獣はなぁ唯の悪とは認識し辛いのかもしれない

  • 5041◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:44:54

    題名『灰の力、ぶっきらぼうに燃ゆ』

  • 5051◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:46:02

    東京湾岸の廃工場跡地。夜霧が地を這い、月明かりさえも飲み込まれそうな静寂が支配する中、14歳の少年・佐藤純はその中心に立っていた。

    「……またここかよ、ったく……」

    ぶっきらぼうに呟く声。肩にかけたパーカーのフードを深く被り、眉間に皺を寄せながら、彼は自分の足元に広がる黒ずんだ血痕を見つめていた。

    どこかでギィ、と錆びた鉄骨が軋む音がした。

    純が顔を上げたその先――

    「クカカカカ……ようこそ、罪深き少年……」

    影の奥からぬるりと現れたのは、常軌を逸した姿の怪物だった。上半身は異様に皺の多い老婆の顔。その顔には狂気の微笑みが貼りつき、下半身は巨大な蜘蛛の脚に変化していた。そして、両腕は、裁断用のハサミのような鋭利な刃物。

    スパイディングカッター・偽羅生門仏。

    その名を知る者などほとんどいない。だが、奴が通った街には髪を失った屍が転がり、誰もが「夜には髪を下ろすな」と囁くようになる。

    「俺に何の用だ……妖怪ババア」

    純は目を細め、じわじわと迫る敵を前にエネルギーを呼び起こした。灰色のオーラがその体を包み込み、ぬるりと漂うように揺れる。

    「用?ふふ……君は罪を背負っている……兄や姉に劣るその魂、嫉妬し、怠惰に流れ、家族へのわだかまりを抱え……ああ、美味しそうだこと」

    「……黙れ」

  • 5061◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:46:49

    足元のコンクリートがバキリと音を立てた。次の瞬間、純の体が音速に迫る勢いで前へ飛ぶ。

    「黙れっつってんだろッ!!」

    右拳に灰色の意志を宿し、一直線に迫る純。その拳は、直撃すればビルの壁面すら貫く威力だ。

    だが――

    「ザンッ」

    何かが舞った。純の顔の横を何十本もの細い針がかすめる。

    「……髪?」

    「ふふふ、もらったわよ。君の髪の毛、一本だけ切らせてもらった。さぁ、始めましょうか。“罪と毛髪の饗宴”を……!」

    刹那、空中に散った純の髪が鋭利な針となって舞い戻り、獣のような速度で彼の体へと襲いかかる。

    純は即座にエネルギーを圧縮し、胸の前に濁った灰色の盾を生成。

    「うるせえっつってんだろ!!」

    弾幕のような毛針が炸裂するたび、盾がきしみ、空気が断裂音を上げる。工場の壁面が吹き飛び、鉄骨が揺れる。にもかかわらず、純の目は怒りに燃えたまま逸らされなかった。

    「いいぜ……派手に来やがれ。ぶっ飛ばして、黙らせて、塵にする……!」

    灰色のオーラがより濃く、激しく渦を巻く。
    この戦いは、少年にとって自らの価値を問い直す戦いであり――

    偽羅生門仏にとっては、“ズンドコの夜”を始める前座にすぎなかった。

  • 5071◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:47:39

    「ククク……その怒り、実に美しい……髪が震えてる……罪が鳴いてるわ」

    異形の怪物――偽羅生門仏が身をくねらせて笑う。彼女の背から、まるで孔雀の羽のように広がる無数の髪の毛束。その全てが、今や純のわずか数本の髪を媒体に“ヘアファンネル”となり、空間を漂っている。

    「チッ……」

    純は小さく舌打ちすると、両手を下に向けて灰色のエネルギーを展開。足場のコンクリートが砕け、純の下半身が滑るように沈み――

    「跳ぶぞ……!」

    意志の力を踏み台に、宙へと跳躍。

    その瞬間、背後から髪の束が殺到。針と化した毛髪が、弾丸のような速度で純を貫こうと襲う。

    「無駄だ。俺は……逃げねえ!!」

    空中で身を捻る。灰の力をまとわせた右手を振り払うと、帯状の濁ったエネルギーが空間を裂き、迫る針束を切り裂いた。

    「ほぉ……。いい動き。でも――」

    次の瞬間、偽羅生門仏が腕を掲げると、その肘から黒い紐のようなものが垂れた。

    「お前の“罪”……手繰ってやるよォ!」

    その紐はまるで生き物のようにうねり、純の身体に巻きついた。

    「ぐっ……!」

    身体が動かない。足も手も、がんじがらめに締め上げられる。

  • 5081◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:48:24

    「お前は怠惰……嫉妬……劣等感に塗れたガキだ。そんな腐った魂、わたくしのエネルギーで調律してやるわ……!」

    禍々しい紫の光が紐を伝い、純の身体へ侵食していく。

    「く……そ……っ」

    視界がにじむ。思考がぼやける。心の奥にしまっていた兄妹への劣等感や、何者にもなれない自分への絶望が浮かび上がる。

    「“罪”は素晴らしい。罪があるから、人間は哀れで美しい……」

    偽羅生門仏が近づく。その顔が至近距離に迫る。

    「今、楽にしてあげるわね。髪ごと、脳まで穿って――」

    「……やれるもんならやってみろよ……ババア」

    「――!?」

    ニヤリと笑う純。その目が、灰色に燃えていた。

  • 5091◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:48:35

    「俺が一番嫌いなのは……自分で自分を決めつけるクソッタレな思考だ。……てめえみたいなやつが、一番むかつくんだよ!!」

    その言葉とともに、純の身体を包んでいたエネルギーが一気に爆発。

    「“濁流鎧《リヴ・レジスト》”――!!」

    灰色のエネルギーが肉体を包み込む鎧へと変化する。紐を焼き切り、髪の針をはじき、敵の力を強引にねじ伏せる“暴力的な意志”の顕現。

    「く……鎧化!?この歳で、ここまで……!」

    「お前の髪も、罪も――ぜんぶ、ぶっ壊す!!」

    再び宙を裂き、灰の拳が炸裂する。

    その拳は、風を超え、音を裂き――

    偽羅生門仏の片腕のハサミを、叩き折った。

    「ぐぎぃぃぃぃぃぃいいいいいッ!!?」

    絶叫が夜空に響く。

    そして、工場の鉄骨が、絶え間なく軋む。

    血と灰の咆哮は、まだ終わらない。

  • 5101◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:49:19

    「ギィ……ィィィ……ィィ!!」

    偽羅生門仏の残された片腕が大地を削る。鋏の先端が引き裂いた地面から火花が散る中、彼女は引き攣ったような笑顔を崩さぬまま――わずかにぐらりと揺らいだ。

    「……は。図体でけえくせに、足元ガバガバかよ」

    「うるさい……ッ! この……ガキィッ!!!」

    再び針の雨が、天を裂いて降り注ぐ。

    しかし、純はすでにその先を読んでいた。

    「“分灰《フェイク・ドレッド》”!」

    影のように分裂したもう一人の“灰の純”が前に出る。十数本の針がそちらに刺さり、次の瞬間、煙のように掻き消えた。

    「本体は……こっちだッ!!」

    灰をまとった本体の拳が、真横から偽羅生門仏の胴へめり込む。蜘蛛の腹部がたわみ、バキリと甲殻がひび割れる。

    「がッ……ぁぁぁァァァ!!」

    だが――。

    「……!!?」

  • 5111◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:49:44

    純は気づいた。

    偽羅生門仏の動きが、急に激しくなっている。

    その体が震えていた。白目を剥き、口から泡を吹き、背中で何かが異様に膨らんでいる。

    「そろそろか……“禁忌”だな」

    純は小さく呟く。

    背中の巨大なガラスパック――その中でドロドロに濁った液体が泡立ち、ぶくぶくと音を立て始めていた。

    「……イモ……イモォ……粥……芋粥……!! イモ! イモォ! イモォオオオオオオオオ!!!!」

    狂気の絶叫。

    背中の芋粥パックのチューブが破裂した。

    「やべッ――!」

    次の瞬間。
    蜘蛛の腹から伸びた数十の脚が、地面を貫き、建物を破壊し、周囲一帯を蜘蛛の巣のように染め上げる。

    「“粥乱狂喰ノ型・発狂道成就”――!!!」

    芋粥の液が空間に霧のように広がる。侵入した空気中の水分を媒体に、一時的に妖力が倍化した彼女は、異常なスピードで純に迫る。

    「ちょ……やべぇな、マジで――!!」

    直後、数本の鋏状の脚が純の鎧を抉る。

  • 5121◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:50:28

    「がッ――!」

    肩口に激痛。鎧が砕け、血飛沫が舞う。

    「お前は!! 弱いくせに!! 生意気!! 生まれてきたことが罪ィィイィ!!」

    「――うるっせぇんだよババア!!!」

    返す拳が間に合わない。

    純の灰色の目が、焦りに揺れる。

    その時――

    ズガァン!!!

    空間を吹き飛ばすような衝撃。だがそれは、偽羅生門仏の口から漏れたものだった。

    「……グ……ぎ……う……そ、そんな……まさか……」

    ――彼女の背中。

  • 5131◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:50:41

    パックが、壊れていた。

    「……さっき、叩いた時に……ちょっとは狙ったんだよ」

    純が吐血しながら立ち上がる。肩からは血が滴り、腕も震えている。

    「正気がないお前が強いんなら、正気を奪えば……ただのバグだろうが……」

    偽羅生門仏はよろよろと後退しながら、口元を泡で白く染め、瞳を泳がせる。

    「……イモ……イモォ……イモぉ……!!」

    そして――

    「イモが……ないぃぃいィイイイイイ!!!!!!!!」

    パックが消えたことで、彼女の自我は崩壊。

    空に吠えながら、異形の身体を震わせ、周囲の建物を踏み潰していく。

    「ハァ……ハァ……」

    純の肩で灰が揺れる。

    「……終わってねぇぞ、ババア。ここからが……ラストだ」

  • 5141◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:52:01

    「イモが……イモォ……イモォォォオオオオオオオオオオオ!!!!」

    偽羅生門仏が完全に理性を喪失した。

    その巨体が暴走し、周囲の空気が重くなる。地面に突き刺さる鋏足は、振動だけで街灯をへし折り、ガラスを砕いた。禍々しい妖気が黒い竜巻となって空に昇る。

    「チッ……最悪の形になりやがった」

    純は口を拭い、立ち上がった。肩から垂れる血は止まらない。視界も霞んでいた。

    それでも、立った。

    「……何がイモだよ、クソが。人の町めちゃくちゃにしやがって……!」

    彼の足元から、再び濁った灰色のエネルギーが立ち上る。怒りでも憎しみでもない――ただ、まっすぐな感情。

    「ここで止めなきゃ、誰かが死ぬ。だから……やるんだよ、俺が」

    ぶっきらぼうな声は、心の底からまっすぐだった。

    「“装意《グレイ・アーマメント》”」

  • 5151◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:52:44

    灰が体を覆い、純の身体を再び武装させていく。今度のそれは硬質な鋼のように濃く、滲むほどに重い意志の鎧。

    偽羅生門仏が咆哮と共に突っ込んできた。

    「死、ねッ!! この餓鬼ィィイイイ!!!」

    「死んでたまるか――ッ!!!」

    ぶつかる。拳と鋏。爆音と灰煙が巻き起こる。

    純の拳が偽羅生門仏の顎を打ち抜いた。けれどその腹に、鋏脚が突き刺さる。

    「がッ……!」

    それでも引かない。体勢を崩されながらも、純はさらに拳を叩き込んだ。

    「“意志の主”はよ……強さじゃねぇ……想いだ!!」

    (止めなきゃならねぇ――こいつを!)

    灰がきしみ、彼の瞳が燃えるように光った。

    「“――願望解放《リゾリューション・ブレイカー》”ッ!!!」

    純粋な願いが放たれた瞬間――

  • 5161◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:53:51

    濁りが、晴れた。

    純の体を包む灰が、眩い銀光へと変貌する。ドロドロだった力が、透明で鋭い“意志”そのものへと進化する。

    「な、なにィィィ……!? その力はァァ……!?」

    「俺はもう迷わねぇ。お前みたいな化け物は――ここで終わらせる!!」

    純が地を蹴った瞬間、視界が閃光に包まれた。

    全てが加速する。

    拳が振るわれると同時に、空気が裂け、偽羅生門仏の体が逆方向にねじ曲がる。光に包まれた拳は理屈すら無視して、彼女の“存在そのもの”を揺るがせた。

    「“灰刃終願《ラスト・プレイヤー》――!!!”」

    最後の拳が突き抜けた。

    そして――

    スパイディングカッター・偽羅生門仏は、叫ぶ間もなく、粉々に砕け散った。

  • 5171◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:54:04

    黒い髪の束が空中でふわりと踊り、次第に崩れて灰になり、風に溶けていく。

    静寂が戻った。

    「……ハァ……ハァ……」

    力を使い果たした純は、ゆっくりと膝をついた。

    「は……俺って……やっぱ無茶ばっかしてんな……」

    光に包まれていた身体から、装甲が崩れ落ちるように剥がれていく。そして、最後の力を使い果たしたように――彼の体は、静かに前に倒れた。

    倒れこんだ彼の表情は、どこか満足げだった。

  • 5181◆ZEeB1LlpgE25/07/24(木) 20:54:24

    以上
    イモォォォオオオオオオオオオオオ

  • 519二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:57:35

    最高!! しかし 芋中毒が凄いノイズ!

  • 520二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:57:46

    イモに語録汚染されたAIくん

  • 521二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:58:20

    イモォォォォォォォォォォ

  • 522二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:59:39

    イモオオオオオオオオ

  • 523二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 21:00:31

    だって虎之助芋粥中毒にしねぇんだもん!
    じゃあ異常芋粥中毒者をだすしかないよね⭐︎
    ズンドコの夜ってなんだよ

  • 524二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 21:02:34

    >>523

    ズンドコ…

    ズンドコの夜なのっ…!

  • 525二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 00:50:20

    ネタの割に結構街ぶっこわしてるの悪いけど草

  • 5261◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:54:04

    題名『遍く命へ、意志を』

  • 5271◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:55:06

    月の光も届かぬ深い森――
    そこに、ぽつんと佇む一人の少女がいた。

    白いワンピースに、赤いリュック。
    つま先で枯葉を踏みしめながら、少女はふんふんと鼻歌を口ずさむ。

    「今日の山、ちょっと静かだなぁ……でも、死んでる人はいるかも」

    彼女の名は――蘇生者(山桐 楓)。
    まだ9歳の少女でありながら、「死者を蘇らせる」奇跡の力を持つ存在だった。

    山の中で自殺者を蘇らせたり、事故死体を見つけて笑顔で生き返らせたり。
    誰に命じられたわけでもなく、ただ「可哀想だから」という理由でそれを繰り返す。

    ――そして今日もまた。

    「あ」

    少女の目の前に、ぽつりと現れた影。
    それは、まるで「人の形を模倣した何か」。
    全身を黒い布のようなもので覆い、顔には仮面のようなものをつけていた。

    「なんだろうこの人……死んでるわけじゃないし……生きてる感じでもない」

    その“影”が、小さく笑った。

    「……おいでなすったなあ……おんし、なかなかやばい子じゃのう……」

    少女は首を傾げる。「おじいちゃん……?」

  • 5281◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:55:18

    「ちがわあ! ワイはまだそんな歳ちゃうわい! 名前は――まあ、ないんやけどな」

    名も無き存在、名無しの権兵衛。

    その声は奇妙にねじれていた。関西弁とも、東北弁とも、九州弁ともつかない、混ざり合った方言で喋る謎の存在。
    記憶を喰い、学び、模倣し、最終的には“自分のもの”にしてしまう化け物だった。

    「蘇生者……楓、ちゃんやな……うふふ、記憶を覗かせてもらおかいな?」

    「え、なにそれ? 怖いこと?」

    「怖くはないで? ちょいと“感じる”だけや」

    名無しの権兵衛が手をかざすと、空気が揺れる。
    目に見えぬ“記憶の手”が、楓の脳を探るように迫ってきた。

    「うーん……なんか、脳みそがくすぐったい……」

    「んんんんん!? こっ、こいつ……!? 脳みその中、真っ白けやないか……!?」

    権兵衛が大きく仰け反る。

    彼が楓の記憶を読み取ろうとした瞬間、あまりの情報量の乏しさと“混沌とした意識の構造”に脳が軽くショートしたのだ。

    「うっわ……こら脳ミソというより、魂が混沌やな……! 何がどうなっとるんやこの子は……!」

    一方、楓はにっこり笑って言った。

    「おじいちゃん、頭いたそうだね。大丈夫?」

  • 5291◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:56:15

    「……いや、うん。今まで見てきた中で一番ワケ分からん相手やでほんま……」

    手強い。
    名無しの権兵衛は確信する。

    この少女――記憶が読めない。思考が読めない。
    ということは、戦闘スタイルも能力も“学習できない”。

    つまり――

    真正面から倒すしかない。

    「そしたらや……ワイも全力でいくしかあらへんなぁ……!」

    権兵衛が異形の体を揺らし、一歩前へ。
    対する楓はポケットから、花でできた髪飾りを取り出し、頭にそっとつける。

    「じゃあ、おじいちゃんも……死んじゃったら、生き返らせてあげるね」

    「その優しさが……逆に恐ろしいんじゃ……!」

    そして、静かな森に風が吹いた。

    ――戦いが始まる。

  • 5301◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:57:11

    ――ズガン!
    音もなく、地を蹴った権兵衛が、楓の真横へと一瞬で滑り込む。
    その動きは人間のものではない。脚の可動域を無視したようなスライド移動だった。

    「うちの学習は記憶ベースやけどな……動きくらいなら目で見て覚えるでぇ!」

    黒布の腕が、空を切る。だがその鋭さは、子どもの首を容易に裂く威力だった。

    「わっ」

    ふらり、と体を傾ける楓。
    避けたのではない。よろめいた拍子に偶然当たらなかっただけだ。

    「……おぉおおぉぉぉいぃ!? 避けたんか!? 避けてへんのか!? なんなんやお前ぇ!?」

    「んー……おじいちゃん、近いと怖いよ?」

    「近いから怖いんやない、お前が怖いんじゃ!!」

    その刹那、権兵衛の体がねじれる。

    「記憶、記憶、記憶……せめて! 動きだけでもトレースせな、勝てへんやんけぇ!」

    模倣――それが権兵衛の戦いの核だった。
    相手の記憶から情報を読み取り、行動パターン、武術、体の動き、反応速度をすべてコピーしていく。
    だが、楓には「覚えようとする基準」がそもそも存在しなかった。

    「……うごき……うごき……なんやこれ、パターンが無い……ッ!」

    彼女はただ、不規則に揺れる。

  • 5311◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:57:35

    それは人間の「反応」ではなく、「ただその時そうしたかったから」動いたような――子どもの自由な“遊び”に近いもの。

    「じゃあ、これならどうや……!」

    黒布の指先がナイフのように尖る。
    地面から跳ねるように、権兵衛は楓の背後に瞬間移動し、そのまま心臓めがけて貫く――
    ――ズブッ!

    直撃した。
    黒い刃が、少女の背を突き破り、胸元へ突き抜ける。

    「……勝った、でええんよな?」

    確信。
    この一撃、避けられるはずがない。実際、楓は一歩も動いていない。
    が――

    「ん……やられた……あは、ちょっと寒いや……」

    ぺたり、とその場に座り込む楓。
    血が流れている。確かに致命傷だ。だが――

    「ふぅ……じゃあ、いっかい目」

    彼女が、目を閉じた。
    次の瞬間――傷が消えた。

    「――お、おおおおおおおおぉぉぉお!?!?!?」

    権兵衛がのけ反る。

  • 5321◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:57:59

    それは本当に、“治った”という次元ではなかった。
    血の跡ごと、傷ごと、すべて“無かったこと”のように――少女の体が完全に元通りになっていたのだ。

    「……へへ、ありがと。痛いの、あんまり好きじゃないから」

    「……これが、“蘇生”……!」

    初めて見る。
    この力は治癒ではなく、回復でもない。“死”という事象そのものを巻き戻す、完全なるリセット。

    「しかもこの子、今の一撃で“死ぬ覚悟”とかしとらんかったぞ!? 軽く風邪ひいたくらいの感覚で死んどったぞ!?」

    ふらふらと立ち上がる楓。動きが少し鈍くなったように見えるが、それでもまだ常人離れしている。

    「よーし、じゃあ次は……おじいちゃんの番かな?」

    にこり。

    その笑顔は、まるで神様のように無垢だった。

    「やっぱり死んじゃった人は、かわいそうだから……蘇らせなきゃね」

    「ワ、ワシ、まだ死んどらんで!?!?!?」

    ――少女の“本当の異常性”を、権兵衛は今、初めて理解しつつあった。

  • 5331◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:59:12

    「ひっ、ひぃい……」

    名無しの権兵衛が後退る。
    今の一撃で確かに致命傷を与えた――それは間違いない。
    だが、蘇生者・山桐楓はまるで「つまずいた」程度の感覚で死を受け入れ、そしてあっさりと戻ってきた。

    「ふわぁ……ん~、二度目はないと思ってたけど、まぁ一回目だからいっか」

    「待てぇい! 何が“いっか”じゃあああぁ!! お前、死を何や思うとんねん!」

    「うーん……いつもとちがうお昼寝?」

    「それが怖いんじゃいッ!!」

    振り上げる拳。もはや学習も戦略も意味をなさない。
    “何かを学んで勝つ”という権兵衛の土俵は、楓という存在において完全に破壊されていた。

    「もうええわ!! じゃあ、お前の記憶を見せてもらおうかいッ!!」

    彼の目がギラリと光る。
    「記憶の学習」――この技の真骨頂は、相手の記憶に“直接”干渉することで、その思考や感情すら読み解いて行動を先読みできる点にある。

  • 5341◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 00:59:31

    権兵衛は楓の額に手を伸ばした。

    「――記憶接続、“ガクセエショーン”ッ!」

    どろり、と空気が重くなる。
    少女の思考が、記憶が――流れ込んでくる。
    だが。

    「……なんやこれ……」

    景色が、混ざっていた。
    青い空。どこまでも澄んだ山の空気。誰もいない森。倒れている“人”たち。そして――
    満面の笑みで「生き返ってね」と呟く少女の姿。
    何百回。
    何千回。
    彼女は、死体に話しかけ、微笑み、息を吹き返させていた。

    「……お前……これ……」

    「うん。死んでるの、かわいそうでしょ?」

    「ッ……!?」

    「生き返っても、また死んじゃう人もいる。でもね……わたし、それでも起こしたいんだよ。
    また見たいの、みんなが『うわ、生きてる!』って言う顔」

    そこには“正義”でも“執着”でもなく、
    ただ純粋な――無垢な衝動があった。

    「……なんで、そんな顔で……」

  • 5351◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:00:05

    「うふふ、だって、生きてるって嬉しいんだよ?」

    権兵衛の手が震える。
    彼の能力は「記憶」を学ぶことだが、楓の中には戦いのための記憶が存在しない。
    あるのは、死を無視し、生を賛美する**“神の視点”のような記憶**だけ。

    「……こ、こりゃ……アカン……。こんなん、学習どころか……脳みそ壊れるわ……」

    ガタガタと膝が笑う。
    敗北を悟った。

    だが――

    「でもね、おじいちゃんはすごいと思うよ。わたしに傷をつけられたの、君だけだもん」

  • 5361◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:00:18

    「……なに、言う……」

    「だから、もし死んだら……絶対、わたしが生き返らせてあげるね」

    にこぉ。

    次の瞬間――

    ズガァッ!!!

    楓の小さな拳が、権兵衛の胸を打ち抜いた。

    心臓の真上。
    致命の一撃。
    防御などできない速度だった。

    「……ぐ、が……っ……」

    「うん、おやすみなさい……また会おうね」

    ばたん、と崩れ落ちる名無しの権兵衛。

    そして、楓は彼の体の前にしゃがみ込み、両手を合わせた。

    「……よーし、じゃあ、二回目……いってみよっか」

  • 5371◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:00:48

    死んだ――。

    少女の拳によって心臓を貫かれ、名無しの権兵衛の体は力なく地面に倒れ伏していた。

    だが、彼の死に対して、山桐楓は微塵もためらわなかった。

    「……じゃあ、いってみよう。二回目」

    小さな指が、空気をなぞる。

    「蘇生(リバイブ)」

    ぽうっと、白い光が権兵衛の身体に降り注ぐ。
    それは暖かく、春の陽気のように柔らかく……しかし、明確に“死”を逆転させる“力”だった。

    「――――!!」

    ばふっ、と権兵衛の身体が跳ねる。

    息が、肺に戻る。

    意識が、地獄から地上へ引き戻される。

    「がっ……はっ……!? な、なんや……ワシ……生きとるんか……!?」

  • 5381◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:00:58

    「うん。約束したでしょ? 死んだら蘇らせてあげるって」

    「あほかぁぁぁぁぁぁあああああああああああッ!!!!」

    むくりと起き上がった権兵衛が叫ぶ。
    顔面は涙と鼻水と絶望と混乱でぐちゃぐちゃである。

    「なんでや!? なんでわざわざ蘇らせてくれるねん!? ワシを倒して終わりやろがい!」

    「ううん、違うよ。わたし、戦いたくてやってるんじゃないもん」

    楓は、淡々と、だがどこかさびしそうに言った。

    「みんなね、わたしが何度死んでも笑ってるの、怖いって言うの。でもね、そうじゃないよ」

    彼女は指で土をつまみながら、ぽつりと語る。

    「だって、死んで悲しいまま終わるのって、いやじゃん」

    「…………」

    「あなたも、誰かの記憶を見て、学んで、ずっと頑張ってた。……だから、ちゃんと生きててほしいな」

    「……」

    「ねえ、“名無しの権兵衛”さん」

    「……ん、なんや……?」

    「名前、欲しい?」

  • 5391◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:01:22

    「……は?」

    楓はふっと笑う。
    まるで世界の理なんてどうでもいい、という顔で。

    「名前がないのって、ちょっと寂しいなって思ったの」

    「…………」

    「だから、名前、あげる。うん……どうしよっか……」

    彼女はしばし考え、天を見上げ、そして――

    「“友歩(ともほ)”。どうかな?」

    「……とも、ほ……」

    「うん。“ともに歩む”って書くの。わたしが蘇らせたってことは、もう一回“生き直す”ってことだから。これから、名前を持って、生きていってほしいな」

  • 5401◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:01:33

    名無しの権兵衛――いや、“友歩”は、それを聞いて黙り込んだ。
    何も言えない。
    ただ、涙だけがとめどなく流れていた。

    「……楓ちゃん……」

    「んー? なぁに、友歩?」

    「……ありがとうや」

    小さく、絞り出すような声だった。

    そして、彼はその場をそっと立ち去った。
    自分が“人”として再び歩き出すために。

    楓はそれを見送ると、コケたように転がり、ぼふっと地面に倒れた。

    「うぅ……やっぱり疲れた……二回目の蘇生は……だめだぁ、身体だるい……」

    そのまま、木陰で丸くなる。

    ――彼女はただ、死を否定したいのではない。
    ただ、生きる希望を繋ぎたかった。

    だから今日も彼女は、死者の眠る場所へ歩いていく。

    次の「生き返る誰か」に会うために。

  • 5411◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 01:01:46

    以上

  • 542二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 01:03:42

    蘇生者なんというか怖いな人間味が薄い…… しかし善性なのは間違い無い

  • 543二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 01:08:47

    終始翻弄される権兵衛とマイペース楓 良い!

  • 544二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 08:42:21

    名無しが名無しじゃなくなった!

  • 545二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:41:09

    名無しの権兵衛、女の子になったのか

  • 5461◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:23:37

    題名『最悪の味に、ありがとうを』

  • 5471◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:24:46

    〈呪骸都市ロス=レベリオ〉
    ──それは、かつての王都地下に広がる廃棄領域。
    古代の実験施設跡地、封じられた異形の巣窟、そして罪深き科学の墓場。
    今や、この街の住民は亡霊にも等しい。

    その最下層、"生ごみ処理層"と呼ばれる区域に、不自然な気配が満ちていた。

    ズル……ズズ……ヌチャア……!

    ねっとりとした音と共に、鉄と血の臭いが漂い始める。
    そこに存在するのは、ひとつの異形。

    紫色に濁った液状の塊。
    その中に、焦げた骨、溶けた野菜、干からびた肉、腐りきったソース──料理の成れの果てが混ざっていた。

    「う……うう……ここは……? なんで……?」

    それは、言葉を発した。
    スライムでありながら、意思を持つ異端。

    クッキング・スライム。

    もとは、天才料理人・絶景(ゼッケイ)とその助手・カナエが創り上げた「奇跡の料理」。
    それは“あまりにも不味すぎた”がゆえに、偶然にもスライム廃棄炉に投げ込まれた。
    その瞬間、幾億もの腐敗スライムの怨念と融合し、誕生してしまった存在──

  • 5481◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:25:33

    「ぼく……なんで、ここに……? ああ……そうか……」

    とろとろと流れながら、彼は何かを思い出す。
    自分は“料理”として生まれた。
    だけど、誰にも食べてもらえなかった。

    「……食べてほしい……食べて……くれよぉ……!」

    その瞬間、ドォン!と瘴気が溢れた。

    悪臭。それは災厄。
    流れ出る黒紫の霧が、周囲の壁や天井を泡立たせて溶かす。

    この区域に立ち入る者があれば、五感すべてが破壊されるだろう。

    ……だが。

    その瘴気のなかに、ひとり、ゆっくりと歩む影がいた。

    ──コツ、コツ、コツ。

    ブーツの踵が、焦げた床を鳴らす。
    黒のコートに銀髪をたなびかせ、異様に整った顔立ちの青年が、歩いてくる。

    胸元の装置が、低く唸った。

    「……発熱反応、異常瘴気。腐食性確認。対象推定:未知の融合体……」

    その男、ザイル・クロム=オルガルド。

  • 5491◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:25:48

    かつて王国に魂の錬成を命じられ、拒んだ天才。
    逃亡の末、自らを改造し、魔力炉を内蔵した禁忌の錬金術士。

    「出力制限解除、コード:プロメテウス。戦術認証完了」

    彼の右目が光を帯びる。

    ──侵略する瘴気。

    ──それに対峙する魔弾の異才。

    こうして、異形と錬金の死闘は幕を開ける。

  • 5501◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:26:43

    ──濃霧のように広がる腐臭。
    それは、空気という空気を“毒”へと変える災厄の息吹だった。

    「くっ……」

    ザイル・クロム=オルガルドは、コートの襟を口元へ引き寄せ、眼前に浮かぶ異形へと視線を注いだ。

    そこには、紫色の泥の塊。
    腐敗した肉、焼け残りのパン、形の崩れた野菜がぷかぷかと浮かび、常に泡立ちながら蠢いている。

    ──クッキング・スライム。

    彼の視界に、戦術計測用の内部HUDが警告を連打していた。

    【警告:有毒ガス検出】
    【腐蝕性霧:致死レベル】
    【視覚妨害:87%】
    【推定戦闘力:C+〜B】
    【知能指数:変動性大】

    「想定以上か……」

    ザイルは冷静に短剣《ミラグラーフ》を構える。
    左腕の魔弾炉が脈動し、銀の光が指先へ集まり始めていた。

  • 5511◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:27:12

    だが──

    「ねえ……君、たべてくれる……?」

    ぬるりと、クッキング・スライムの“顔”らしき部位が、奇怪な笑みを浮かべた。
    口腔のような穴が開き、そこから茶色に濁った肉汁がドロドロと溢れ出す。

    次の瞬間──

    「お残しは、許しません……!」

    ドバッ!!!

    発射されたのは肉汁弾。
    見た目はソースのようでありながら、壁に着弾した瞬間、コンクリートを炭に変えて崩すほどの腐蝕性。

    同時に、スライムの表皮が波打ち、数十発の野菜汁弾を同時散布!
    大気中に漂うそれだけで、目が焼けるような刺激と吐き気をもたらす。

    ザイルは即座に判断する。

    「攻撃形態:汚染型。対応策──〈振動〉+〈拡散〉魔弾、二重生成」

    彼の眼球から放たれたのは、空気を裂く銀色の弾丸。
    放たれた瞬間、音もなく周囲の腐臭霧を吹き飛ばし、飛来する肉汁を空中分解していく。
    しかし、クッキング・スライムの反応は止まらない。

    「うう……食べてくれないなら……食べさせるしかないじゃないかぁあああああ!!」

    スライムの身体が、急激に形を変える。

  • 5521◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:27:42

    ──ヌルヌルと伸び、ザイルの足元へと“手”のような形状が延伸してくる!

    「強制拘束──ッ!」

    粘液が足首を掴んだ瞬間、鉄と油が焦げたような悪臭が肌を包む。
    そのまま引きずり倒そうとするスライム。

    「なるほど、接触で捕食か……!」

    ザイルは短剣を逆手に握り──

    「《ミラグラーフ》、〈凍結〉魔弾、装填」

    シュバッ──!
    刀身に魔弾の光が灯る。

    一閃!
    凍りついた“腕”が粉々に砕け、ザイルは宙返りの要領で距離を取った。

    しかし、追撃の手は止まらない。
    瘴気に包まれたその巨体が、ずるずると這いながらこちらへと詰め寄ってくる。

    「ねえええええええええええええええええええ!!」

    「……戦術変更。近距離誘導弾に切り替え」

    彼の魔弾炉が、今度は腹部の緊縛封印具と連動して回転を始める。

  • 5531◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:28:37

    背中に走る、赤い蒸気の線。

    「──誘導魔弾〈燃焼〉、起動」

    ザイルの右掌から放たれた弾丸が、回転しながらスライムの表皮に着弾。
    爆ぜた魔力の炎が、じゅうううう、と紫の粘液を焼き崩す。

    だが──

    「ぅぐぅあああああああああ!! 食べてえええええええええええ!!」

    絶叫とともに、その炎すら飲み込みながら肥大化していくクッキング・スライム。

    ──狂気に燃えるその瞳に、ザイルの冷たい眼差しがぶつかる。

    (ただの異形ではない。明確な“自我”と“目的”がある……)

    彼の脳裏で、戦術アルゴリズムが次の計を描く。

    「ならば、"精神構造"から崩す……」

    ──魔弾、選定:〈催眠〉。

    戦いは、次の段階へ。

  • 5541◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:29:55

    「……《催眠》、魔弾──発射」

    ザイル・クロム=オルガルドの右目が収束光を放ち、瞳孔に内蔵された魔弾炉回路が一瞬だけ開放される。

    放たれたそれは、弾丸というよりも、白銀の蝶のような粒子の群れだった。

    ふわり、と空を舞いながら、悪臭の瘴気をすり抜けてスライムの表皮に触れる。

    「……ん? ……な、に……これ……」

    クッキング・スライムの動きが、一瞬だけ止まった。

    肉汁が止まり、野菜汁も沈黙する。

    巨大な紫の塊のなかに、微かに“光るコア”のようなものが揺らめいた。

    それは──

    過去。
    記憶。
    そして、「料理」として生まれた瞬間の、哀しき光。

    ──回想

  • 5551◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:31:28

    「よし、カナエ、例の“チャレンジメニュー”できたんだが、どうかな」

    「絶景さん……またすごい匂いしてますね……これ……何ですか?」

    「そうだな……“天使のビーフ・カレー・コンソメ・バナナ・ステーキ・ラーメン丼”とでも名付けようか」

    「…………」

    鍋のなかにあったのは、すべての料理を混ぜ、煮込み、焼き、さらにミキサーで粉砕して、最後に紫色の化学調味料で調整された“何か”。

    味見すらされなかったそれは、保健局の介入によってそのまま産業廃棄物扱いで処分された。

    だが──処理施設のラインで混入したスライムたちの「うまくなりたい……」「食べられたい……」という情念が交錯し……

    結果、目覚めたのがクッキング・スライムだった。

    「……たべて、ほしかったんだ……ぼく……ぼくだって……ちゃんと、つくってもらったんだよ……?」

    スライムの“顔”らしき部位に、涙のような粘液がにじむ。

    その隙を、ザイルは逃さない。

    「捕縛、完了──」

    背後へ回り込み、左手の短剣《ミラグラーフ》を構える。

  • 5561◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:33:09

    魔弾〈振動〉、刀身に注入。

    その刹那──!

    「眠れ、哀しき料理よ」

    ズバッ!!!

    短剣が、スライムの核──“料理の魂”へと届いた。

    中から、ひとつの記憶が溢れ出す。

    ──「絶景さん、これはもう、料理じゃないです……」

    ──「……そ、そうか……?」

    (ああ……そっか……僕……料理って……)

  • 5571◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:34:54

    紫の巨体が、ゆっくりと崩れ始める。

    瘴気が収まり、肉汁が止まり、腐臭が晴れていく。

    しかし──

    「……でも……それでも……」

    ──ビキッ。

    一部のコアが、黒く変質した。

    「たべて、ほしかったんだァアアアアアアアアア!!!!」

    再起動。

    腐敗した執着が、〈催眠〉を食い破り、暴走モードへ突入する。

    ザイルの表情が険しくなる。

    「……精神干渉すら無効化する執着心……これは、理屈では割れん“呪い”か……!」

    クッキング・スライム、第二形態への変貌が始まる。

    都市地下に再び広がる、瘴気と嘆きと憎悪の霧。

  • 5581◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:36:22

    紫色のスライムの体内で、“核”が黒く歪んだ。

    バシュッ!

    突如、肉汁とは別の黒い液体があたりに飛び散る。着弾と同時に地面が溶け、蒸発した毒煙が数十メートルにわたって広がっていく。

    「実効拡散半径、120メートル……!」

    ザイルの内部HUDが警告を表示し続けるが、彼の目は一点を射抜いたまま微動だにしない。

    (これは、もはや単なる自己増殖型のスライムではない……)

    「────感情の塊だな」

    肉体から流れ出た“料理の怨念”が、スライムを第二形態へと変貌させていく。

    ぐちゃぐちゃに膨れ上がった肉塊の樹脂、爛れたパスタ状の触手、トロけきった魚の目玉、焦げたパンの皮膚。

    それらすべてが“怒り”のエネルギーで一体化し、巨大な**「喰らいの祭壇」**へと進化を遂げた。

    「たべてよ……たべてよ……!
     ぼくだって、できるんだよ……!!!
     ほら、熱々だよォ!!!」

  • 5591◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:36:50

    その咆哮と同時に、巨大な口腔状の粘液体が地面を這い、ザイルを丸呑みにしようと襲いかかる!

    「……ッ!」

    ザイルは即座に短剣を投げ捨て、封印具に手をかけた。

    「……出力、リミッター解除。
     《魔弾機構〈アーケイン・ショット〉》最大展開──!」

    背中の緊縛封印具がバキバキと砕け、
    内蔵された魔弾炉が“熱核炉”のように鼓動を始めた。

    ブォオォォォオオオオオ……!

    全身の血管が魔力の光で走り、口腔・眼孔・掌から膨大な魔力の放射弾が湧き出していく。

    「──〈拡散〉〈燃焼〉〈貫通〉〈腐蝕〉〈振動〉──五属性同時展開、総魔弾数:128。」

    彼の精神は極限の集中状態へと入り、1秒を128断に割り、全弾の軌道を描き切る。

    「────撃て」

    ドォォォン!!!!!!!!!!

  • 5601◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:37:38

    咆哮のような破裂音とともに、地面がごっそり抉れ、
    スライムの瘴気と肉体が連続して爆砕されていく。

    一発一発が料理のパーツを破壊し、肉汁が蒸発し、野菜の眼が飛び散る。

    だが──それでも、なおも叫ぶ声があった。

    「……やだ……やだ……たべてよ……ぼくだけ……まだ……っ……!」

    スライムの核が、なおも“子供のような声”で嗚咽する。

    ザイルの眉がわずかに動いた。

    「……ならば、最後に一口だけ」

    彼は〈透明化〉と〈催眠〉の魔弾を重ね、手のひらに光の“スプーン”を作る。

  • 5611◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:38:00

    そして、敵のコアをほんのわずか、掬う。

    「……一口分、だけでいい」

    すくったそれを、口元に当て──食べる、フリをした。

    「……っ……ふ、ふふふ……ふ……」

    スライムの核が、溶けるように光り──

    安らかに崩れた。

    「……ありが、と……」

    巨大な紫の肉塊が、跡形もなく消え、悪臭も瘴気も、ぴたりと止む。

    ザイルはその場に膝をついた。

    魔弾炉から立ち上る煙。生命力の消耗は極限を超えている。

    しかし、彼の顔は無表情のままだ。

    「……味は……最悪だった」

    皮肉をひとつ漏らし、煙の中へと姿を消す。

  • 5621◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:39:02

    瓦礫と瘴気に包まれた廃街。
    紫に染まった世界は、あまりにも静かだった。

    あの災厄のスライムが崩れ去ってから、すでに数時間が経過していた。

    ザイル・クロム=オルガルドは、崩れかけた給水塔の影に身を潜め、静かに呼吸を整えていた。
    魔弾炉の鼓動はようやく収まりを見せ、暴発の危機も遠のいていた。

    「……想像以上だったな。あれが“料理の成れの果て”とは……」

    呟く声に、誰も応える者はいない。

    だが彼の耳には、確かに最後のあの声が残っていた。

    「……たべてくれて……ありが、と……」

    憎悪に濡れ、肉汁に塗れ、
    それでも“食べてもらいたい”という原初の願いだけは、最後まで純粋だった。

    ふと、ザイルの視界にひとつの光景が映った。

    それは――焦げついた路地裏の隅に、転がるスプーンだった。

    無数の料理素材の残骸とともにあったそれは、
    不気味な紫色でも、腐った色でもなく、
    どこか温かい銀色を帯びていた。

  • 5631◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:40:09

    ザイルはそれを拾い上げ、じっと見つめた。

    「……あれが、魂だったのかもしれんな」

    心にもない感慨だった。だが、言葉にした以上、それは現実に残る。

    スプーンをポケットに収め、彼は静かに立ち上がった。

    瘴気の去った空は、どこまでも青く澄んでいた。

    その日、呪骸都市ロス=レベリオでは
    「一晩で瓦礫と毒に包まれた区域が、夜明けと共に浄化されていた」という不可解な事件が語られた。

    誰が何を倒したのかもわからず、目撃者もいない。

    ただ、唯一残されていたのは、ひとつのスプーンと、ほんのわずかな“香り”だった。

    焦げたチーズ、傷んだトマト、腐った肉、そして、
    それでもどこか懐かしい、家庭の味。

    それを誰かがこう呼んだ。

    ──「料理の亡霊」。

    その亡霊は、ようやく“誰かに食べてもらえた”のだ。
    そしてもう二度と、この世に現れることはなかった。

    ザイル・クロム=オルガルド。
    その名が語られることはない。
    だが確かに彼は、その日“命のあり方”にひとつ、答えを与えた。

  • 5641◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:40:20

    たとえ味が最悪でも。

    たとえそれが化け物でも。

    誰かが受け止めたという事実が、きっと――救いだったのだ。

  • 5651◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 16:40:43

    以上

  • 566二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:44:55

    芋粥に続いて謎の劇物か…

  • 567二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:45:35

    みんなは食べ物を粗末にしちゃいけないよ!
    こんな悲しきモンスターが誕生するからね!

  • 568二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:52:09

    >>567

    別に粗末にしてるわけじゃねぇんだ

    ただ作ると未知の物体が生成されるだけで

  • 569二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:59:34

    泣いた…悲しき生き物よ

  • 570二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:06:06

    天才料理人がこんなん作るな

  • 571二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:07:24

    天才じゃなくて天災だろこんなん

  • 5721◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:44:05

    題名『記憶が笑う、目が殺す』

  • 5731◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:46:43

    焼け焦げた高層ビルの影が、鉄屑まみれの路地に長く伸びていた。
    灰色に曇った空に、ひときわ高らかな「笑い声」が木霊する。

    「ク……クク……クハ……ッ、ハハハハッハァァ~~~!」

    その声とともに、ぬるりと現れた影――

    《Iac /_ラフター_hen/》

    身形はヒトに似ているようで、そうでない。
    腕の関節は反転し、歪んだ仮面のような顔は常に笑みを張り付けている。
    存在の輪郭は曖昧で、近づいた者の意識すらも曇らせる“曖昧さ”をまとっていた。

    「面白イ顔……シテるネ……」

    その対面に立つのは、黒革のスーツに身を包んだ女。

    アンサズ。
    魔眼の一族の最後の末裔にして、忌まわしき記録を継ぐ者。

    彼女はその場に立ったまま、静かにラフターを見つめた。

    「貴方が、“都市部無差別笑撃事件”の首謀者かしら。
    笑わせてくれたわ――抹殺対象としては上等」

    ヒュウウ――と風が吹く。

  • 5741◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:47:08

    2人の間、距離は約10メートル。

    だが、5メートル圏に踏み込んだ瞬間からラフターの領域は発動する。

    アンサズは、一歩前に踏み出す――

    その瞬間、
    「……ふ……ふふっ……!」

    口元がわずかに吊り上がった。
    脳裏に浮かんだ記憶――幼い頃、兄と見たくだらない人形劇のワンシーン。
    なぜそれを思い出したのかは分からない。だが、笑ってしまう。

    「……なるほど……これが……《laugh》……」

    アンサズはすぐに状況を理解した。
    だが、その間にも身体の反応が鈍る。

    (筋肉の応答速度が……0.8秒遅れた……これは……)

    一方のラフターは、ますます奇怪に体を揺らしながら笑う。

    「ハッハッハァァァッ! 笑ッテル、ネェ……イイ顔ダ! クククッ、ククククゥ~~~」

    背中から伸びた触手状の影が、うねるように伸びていく。

    「クッ……!」

    アンサズは間一髪で身をかわし、視線を向ける。
    その目――《魔眼》が、ラフターをとらえた瞬間。

  • 5751◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:48:12

    脳に走る“意識の侵入”。

    しかし――

    (……これは……“視神経がバグってる”!?)

    ラフターの視覚情報は歪んでいた。人間とは異なり、視点が同時多発的に分岐し、
    そのすべてが“笑っている”。

    まともに視線を捉えることができない――否、捉えた瞬間に“笑い”に飲まれてしまう。

    「なるほど……普通の敵とは違う、か。けれど――」

    アンサズは手元のヒート刀を一閃。刀身が赤熱し、地面を焼く。

    「貴方の体は崩れている。脳が異質でも――肉体を断ち切る手段はいくらでもある!」

    刹那、交差する二つの異能。

    笑いと、侵蝕。
    錯乱と、制御。

    戦いは加速する。

  • 5761◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:49:44

    「――ハハッ! オ前、ナカナカ“良い目”ヲシテイルネェェェ~~~ッ!!」

    《Iac /_ラフター_hen/》の叫びは、まるで火災報知器の誤作動音のように耳をつんざいた。

    アンサズは構えを低くし、目の焦点をあえて外した。
    視線をぶつければ、《魔眼》は機能するが――
    ラフターの「崩れた視覚」と「笑いの感染」は、既に彼女の感覚に狂いを生じさせ始めている。

    (ダメだ。奴の視界はバグそのもの。魔眼の操作は通じにくい)

    だが、もう一つの切り札がある。

    ――ヒート刀。

    「はあっ!」

    鋭い跳躍。アンサズはラフターの懐に一気に詰め寄る。
    空中で体を回転させ、灼熱化した刀身を振り下ろす!

    ジュッ!!

    「ク、アアアアア~~~!?!?!?」

    ラフターの肩口が焦げ、紫黒色の体液がドロドロと飛び散る。
    しかし、笑いは止まらない――

  • 5771◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:50:56

    「クッ……ハハ……コレハ……面白イ!! 笑ウ理由ガ増エタァ~~~~~!!!」

    爆発的に湧き出る“笑い”。
    まるで酸素より濃い“空気”のように周囲を満たし、アンサズの顔筋を襲う。

    「っ……く、くく……!?」

    無意識に――いや、身体が勝手に反応してしまっている。
    顔が笑ってしまう。

    (ちっ……第二段階か。記憶にないのに、笑ってしまう……!)

    咄嗟に後方へ跳躍して距離を取る。
    5メートルの領域を超えれば、「強制笑い」は多少和らぐ――

    だが、そのわずかな退却がラフターの強化を呼び込む。

    「ハアアアアアアアハハハハハハハァァ~~~ッッ!!!」

    自ら笑うことで、身体能力を強化するラフター。

    肉体が膨れ上がり、脚部の構造が変化する。

    次の瞬間――!

    ドンッ!!

    地面が砕ける音と同時に、ラフターが瞬間移動のようにアンサズの横へ出現。

    「ハ……!? この巨体でこの速度――!」

  • 5781◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 18:51:29

    ラフターの拳がアンサズの腹部をえぐる!

    「が……っ!」

    吹き飛ばされ、鉄柱を三本なぎ倒しながら壁に叩きつけられる。

    (やばい……内臓が、焼ける……!)

    だが、アンサズは笑わなかった。

    目を見開き、ラフターを見据える――

    「……ああ、いいわ。やっと……“アドレナリン”が走ったわ……」

    彼女の魔眼が、光を帯びる。

    「笑いには、笑いで返す。それが道理よ。
    なら……私も、“思い出してやる”わ――一番、笑った記憶を」

    刹那。

    ラフターの笑いに侵されていたアンサズの脳が、逆にラフターの“脳波”を捉えた。

    一瞬だけ――
    《魔眼》が、視神経越しにラフターの記憶へ干渉したのだ。

    (……なんだ、これは……!?)

    **《ラフターの記憶》**が開かれる。

  • 5791◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:14:59

    魔眼による視覚干渉の一瞬、アンサズは《ラフター》の脳内に“入り込んだ”。

    世界が、グニャリと歪む。

    色も音も形も狂いきった“記憶の迷宮”。

    だが、その中に――
    ぽつりと、一皿の料理があった。

    鉄板の上に無造作に乗せられた、何か。
    肉のような、野菜のような、ゲル状のナニカ。
    ソースも香りも何もなく、ただ紫色にグズついているだけの“料理”。

    その周囲を取り囲んでいたのは、笑う顔たち。

    だが、それは“嘲笑”だった。

    《これ、なんだよww》
    《誰がこんなの食うかよ、キモッ!》
    《これ、食い物?マジでw》

    「………………」

    その真ん中に、“ラフターになる前の何か”がいた。

  • 5801◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:15:32

    声はない。
    顔もはっきりしない。

    だが、そこにあったのは――
    「誰かに食べてもらいたかった」だけの気持ち。

    (これは……)

    アンサズの眉がわずかに動く。

    その瞬間――

    「オ前、ナニヲ見テルン――ダァァァァァァアアアアアアアッ!!!!!」

    現実へ戻ると同時に、
    ラフターの絶叫が地を這い、空気を切り裂いた!

    周囲が弾ける。
    5メートル圏どころか、20メートル範囲に“笑いの瘴気”が爆裂拡散した。

    (くっ……まずい……これは……)

    笑い声が、押し寄せる。

  • 5811◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:16:07

    「ク、ククク、クハハハハハァァァ~~~~~~~~~~ッ!!!」

    (だめだ……耐えろ……私はエージェント……これはただの精神攻撃――)

    だが、次の瞬間――

    「……っ……ふ……ふふふっ……!」

    アンサズは、口元を押さえながら震える。

    (こ……これは、ちがう……!笑っているんじゃない……!脳が……勝手に、笑って……!)

    ――第二段階が限界に達した。

    脳が意図せず笑いを再生し、肉体がそれに従って笑う。

    その隙を突いて、ラフターが襲い掛かる。

    「ナンダッタ? 目ヲ覗イタノガ間違イダッタナ? ハハッ、オレヲ見ル者、ミンナ狂ウンダヨォォォォォォ~~~ッッ!!」

    飛び散る肉片と腐臭、ぶよぶよと広がる肉塊が、アンサズを包囲する。

  • 5821◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:16:19

    アンサズは咄嗟に、ヒート刀を地面に突き立てた。

    「解放コード――“焦点斬-第二式”」

    刀身が蒼く発光する。
    熱と、魔力と、精神を込めた“抉り”の一撃。

    「――笑ってる場合じゃないのよ、化け物ッ!!」

    ドォンッ!!!

    地面が爆裂し、熱線の螺旋がラフターの肉体を貫く。

    だが、ラフターは――

    笑ったまま、砕けた。

    「ク……ッハハハッ……イイ……ゾ……! もっと、笑エ……もっと、壊セ……もっと、“面白ク”ナレ……!」

    ――アンサズは気づく。

    こいつは倒して終わりじゃない。

    この**“笑い”の呪いは、構造そのものを狂わせる、純然たる概念汚染**だ。

  • 5831◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:17:36

    「―――ウ、フ、フ、ク、ククククククク……ッ!」

    《Iac /_ラフター_hen/》の肉体は、ヒート刀による焼灼で崩れかけていた。
    だがその笑い声は、なお止まず。
    どころか、どんどん軽く、愉快そうに変わっていく。

    まるで“死”すら愉しんでいるかのように。

    「ア、アア……愉快ダナ……!
     ナンダ、“戦闘”ッテ、コ~ンナニ、面白カッタノカァァ~~~ッ!?」

    アンサズは、ヒート刀を逆手に構え直す。

    彼女の呼吸は荒く、両腕の関節は限界。
    皮膚は焦げ、肺には“笑いの瘴気”がこびりついている。

    だが――
    彼女の視線は、澄んでいた。

    「いいわ、笑えばいい。
     私もアンタを“面白い”って、認めてあげる」

    彼女の魔眼が再び輝く。

  • 5841◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:19:15

    (もう一度だけ、意識を割り込ませる……!)

    だがラフターも、変貌していた。

    その身体はゼリー状からさらに液化し、顔の形すら溶けかけている。
    それでも、笑っている。口も、声帯もないのに。

    「オ前、最初カラ知ッテイタノカ?
     笑イハ、最後ニ残ル唯一ノ、意味ダッテコト……!」

    アンサズは、無言で一歩踏み出した。

    次の瞬間――!

    「解放コード:《魔眼転送・視神核心界》」

    彼女の瞳が真紅に輝き、“視線そのものを弾丸”として撃ち出した。

  • 5851◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:19:39

    「目を合わせたら最後よ、ラフター。
     ――笑って、終わりなさい」

    発動――魔眼最終技法、《視撃》。

    ラフターの“笑い”の根源、精神構造そのものに干渉する視神構造改変が直撃する。

    世界が静まり返ったように見えた瞬間。

    ラフターの笑い声が――

    「……………………………………」

    止まった。

    液状の肉体が崩れ落ち、紫の霧と化し、やがて――静かに消えていった。

    ■ ■ ■

    戦場に、沈黙が戻る。

    アンサズは片膝をついた。
    心臓がまだ暴れている。肺が笑い声を拒絶して咳き込む。

    だが彼女は、最後にひとつだけ――

    「……ふ、ふふ……クク……」

    静かに、笑った。

  • 5861◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:20:12

    それはラフターのような発狂ではない。

    ただ一つ、“本当に少しだけ面白かった”記憶を――
    共有してしまった者としての微笑みだった。

    「……誰よりも、“誰かに届きたかった”だけなのよね。
     あなたの笑いも、料理も」

    風が吹いた。

    笑いも、肉片も、全てを風が連れていく。

    あの異形の存在《Iac /_ラフター_hen/》はもういない。

    だが、その“概念”は、どこかにまだ――

    ――世界のどこかで、誰かの笑いに混じって、蠢いているのかもしれない。

  • 5871◆ZEeB1LlpgE25/07/25(金) 21:20:30

    以上
    混ざった?

  • 588二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:21:14

    AIくん???

  • 589二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:23:06

    ラフター食いもんだったのか

  • 590二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:24:06

    料理失敗して産業廃棄物ができるとラフターかクッキングスライムに分岐進化するのか……

  • 591二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:28:18

    このラフターどっかの絶景に生み出されてそう

  • 592二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 03:24:12

    このレスは削除されています

  • 593二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 10:15:53

    このレスは削除されています

  • 5941◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:24:40

    題名『影は誰にも成りきれない』

  • 5951◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:25:31

    時間は深夜零時。
    月光は分厚い雲に遮られ、街の灯りさえ届かぬ廃工場跡――すでに誰も寄り付かぬ終わった場所。だが、そこにはふたつの気配があった。

    ──ぐちゃっ。
    足音のような、何かを踏み潰したような音。

    その音の先、廃棄された機械群の影から、ひとりの青年が現れる。
    フードを目深に被り、足取りは重く、背中は丸い。だが、その足元から伸びる黒い影は、本人の動きとは裏腹に、異様な“形”をしたまま、じっと空気を睨んでいた。

    「……また、ここも……誰もいないか……」

    影尾 蝕喰――その男は、虚ろな声を吐きながら、薄暗い工場内を見渡した。
    しかし次の瞬間。

    「いや、いるよ。“君”がここに来た瞬間から、僕もここに“なった”んだから」

    背後から、まるで「自分自身が喋った」かのような声が響いた。

    蝕喰は、反射的に振り返る。

  • 5961◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:26:11

    そこには──まるで鏡を見ているかのように、もう一人の“影尾 蝕喰”が立っていた。

    「……何だ、お前は」

    「君だよ。少なくとも“今の僕”は。君の足音、声、歩き癖、恐怖、能力構造──全部、読ませてもらった」

    ニセモノは、蝕喰と同じ影を引いていた。
    だがその影は、蝕喰よりも大胆に、堂々と、あちこちに触手のように這い出している。

    「“なるほど”……影の中から、顔が出てくる能力。しかも恐怖心を煽る演出付きだ。面白いな、君。だけど、演出が過ぎると……」

    ──ズゾゾゾゾ……!!

    突然、地面に伸びていた“影”の中から、巨大な口が這い出した。
    その牙は鉄を噛み砕くほど鋭く、目は存在しない。
    それが、正体不明の背後から襲いかかった。

    「喰らえ……ッ!!」

    咆哮とともに“顔”が食らいつこうとする──が、

  • 5971◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:27:44

    「……過ぎた演出は読まれるんだよ、“僕”」

    ガガガガッ!!

    蝕喰が放った“顔”は、その直前で急旋回して彼自身の影からも飛び出していた。
    だが──

    「僕も使えるからね、その手」

    ──ズガッ!!

    正体不明の足元、別の影から、まったく同じ“顔”が出現して噛みつきに来た。

    「なっ──貴様……ッ!」

    「“君は影しか使えない”と思ってたろ? 君の情報を理解すれば、嘘も全部バレる」

    影が、蝕喰の視界に入りすぎている。

    ──これは、真の意味での“鏡合わせ”だ。

    お互いに影から“顔”を出し合い、噛ませ合い、恐怖を煽り合う──
    そう、正体不明は蝕喰の全てを模倣している。しかも、蝕喰よりも冷静に。

    「……気持ち悪い……気持ち悪い、気持ち悪い……ッ」

    蝕喰がぽつりと呟く。

  • 5981◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:27:58

    あまりの同一性に、彼の陰鬱な精神が軋んでいく。

    「そう、その“気持ち悪さ”を、僕も今、感じてる」

    蝕喰の口調、息遣いまでもが、正体不明に完全にコピーされる。

    「……面白くなってきたな。誰が、“本物”の影か、試そうか?」

  • 5991◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:33:01

    静寂が、重く降り積もる。

    廃工場の奥。
    二人の「影尾 蝕喰」が、互いに己の影を睨みつけながら立っていた。

    ──ズル…ズル…
    コンクリートの床を這う影たちが、不気味な音を立てて膨張する。
    まるで意思を持った黒い泥のように、空間を満たしていく。

    「なぁ、“僕”。そっちの影、やけに重たいな。自分の恐怖を抱えたまま影に呑まれてる感じ、伝わってくるよ」

    正体不明──影尾を模倣した「偽影尾」が、嘲るように言った。
    だがその声音さえ、本物と全く同じだった。

    蝕喰は口を開かない。ただ睨みつける。
    感情は沈殿し、沈殿し、やがて影の深部へと落ちていく。

    「……喋るな、俺の声で」

    ボソリと呟いたその瞬間、蝕喰の影が“爆ぜた”。

    ──ズバァン!!

    巨大な口が複数、同時に異なる影から這い出し、周囲を包囲するように並ぶ。
    真上、真横、足元――まるで空間を喰らい尽くす“群れ”。

    だが偽影尾は微動だにしなかった。

  • 6001◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:33:20

    「“君ならこうする”。全部予想できる。だって、君の頭の中は、僕の中にあるから」

    同時に、偽影尾の足元からも、まったく同じ数、同じ位置、同じ威圧感の“顔”たちが出現した。

    「模倣じゃない。これは──共鳴だよ、“僕”」

    ──ガァァァァァアアア!!

    恐怖の咆哮が工場を震わせる。
    十数体の“顔”が、互いに咆哮し、噛みつき、食い破る。
    影と影がぶつかり合い、牙と牙が軋み、爆音が響く。

    しかし――どちらも、一歩も譲らない。

    「ははっ……は、は……あああ……あああ……」

    笑っている。

    影尾 蝕喰が笑っている。

    ──いや、違う。

    「……やっとだ。“笑った”ね、蝕喰」

    偽影尾──正体不明が、口元を歪める。

    「君が笑ったってことは──僕の中にも“笑った蝕喰”が加わる」

    次の瞬間、偽影尾の“影”が、一段階、膨れ上がった。

  • 6011◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:34:12

    ──ズドォォン!!

    その影から飛び出した“顔”は、蝕喰がこれまでに出したどの顔よりも巨大で、恐ろしく、禍々しい“顎”だった。

    「ッ……!?」

    蝕喰は即座に回避し、影を収縮させ、別方向からの噛みつきで牽制する。
    だが、その一瞬の“笑い”が、完全に己の戦力として組み込まれていた。

    「“笑い”が君を弱くし、僕を強くした」

    偽影尾の瞳が冷たく光る。
    模倣ではない──完全に蝕喰を“超える”意思を持っている。

    「どうする、“僕”? このままじゃ、“君自身”に喰われるよ」

    影尾蝕喰は、初めて、わずかに目を見開いた。

    「……ふざけんな」

    低く、凍りつくような声で。

  • 6021◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:35:38

    「ふざけんな、だって?」

    偽影尾が口元を吊り上げる。薄暗い工場跡に、乾いた音がこだまする。だが、蝕喰は目を細めて、静かに呟いた。

    「……お前、俺の何を見た」

    その一言の直後だった。

    ゴゥンッ!

    偽影尾の背後、鉄骨の影から──異形の顔が突き出た。

    「な……ッ!?」

    振り返る間もなく、牙が肩に食い込む。肉が裂ける音。黒い液体が飛び散る。

    「おかしいな」
    蝕喰が言う。
    「“自分の影からしか出せない”って、誰が言った?」

    偽影尾──否、「正体不明」の脳裏を駆け巡る違和感。
    情報のはずだった。“制限”のはずだった。

    だが、それは「蝕喰が他人にそう言っている」だけの情報であり、「事実」ではない。

    “勘違いした真似”は、“真似”ですらない。

    「……そんな……俺は、すべて正確に……」

    「正確すぎたんだよ。だから、ズレる」

  • 6031◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:36:24

    蝕喰の足元から、新たな“顔”が複数せり上がる。壁の影。鉄柱の裏。正体不明自身の足元──。

    「俺は、自分のことを完璧に把握してるなんて思ったことねぇ。
    でも、だからこそ、俺の“影”は予測できねぇ」

    影が一斉に咆哮する。空気が震える。

    ――ガアアアア!!

    正体不明の身体に、複数の咬撃が突き刺さる。模倣した肉体が一気に崩れはじめる。

    「“影”を真似ても、“蝕喰”は真似られねぇよ」

    最後の一撃。蝕喰の影が正体不明の胸元から突き出し、勢いよく抉った。

    黒い霧が噴き出す。
    模倣された「蝕喰」は、音もなく崩れていく。

    「……やっぱり君は……」
    霧の中、かすれた声が漏れる。
    「……“なりきれない存在”のままで……強かった……」

    その言葉と共に、正体不明は完全に姿を消した。

    静けさが戻った廃工場。蝕喰は、ぽつりと呟いた。

    「……俺自身、何者かなんてわかってない。
    でも……わからないまま、喰らい続ける」

    誰もいない空間に、彼の影がただ淡々と揺れていた。

  • 6041◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 14:36:59

    以上

  • 605二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 14:49:11

    本物影尾のセリフは偽影尾と比べてダルそうだったりとキッチリ表現分けされてるのすごいな

  • 606二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:24:47

    次の安価はいつかな?

  • 6071◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:10:13

    19:20より安価10個募集

  • 608二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:00

    名前:傾奇者
    年齢:34歳
    性別:漢
    種族:人間
    本人概要:どんな時でも派手さと自由を諦めない豪気な漢。戦場ですら大仰な振る舞いと大言を貫き通して自分も味方も鼓舞してきた破天荒。
    能力:傾奇
    能力概要:自分がこれから成すべきことについて大見得を切る。動作や宣言がビシッと決まる程に自身を鼓舞する。
    弱点:右目は潰れて眼帯をしている。胸に大きな古傷があり常に苦痛に耐えている。

  • 609二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:00

    このレスは削除されています

  • 610二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:00

    名前:伊崎 夏帆 
    年齢:12
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:周囲を崩壊、破綻させる異能に目覚め生涯孤独になった少女 
    自身と異能、異常を嫌悪をしており 八つ当たりで能力を発動させてしまったりしている
    能力:コラプス
    能力概要:周囲のものを物理的に崩壊させたり体力や精神的な意味で崩壊する
    また感情が良い意味でも悪い意味でも昂ってしまうと空間や概念、時間、理まで崩壊、破綻して行き範囲が加速度的に拡大する
    自身の能力による影響は受け無い為周りは崩壊し空間がめちゃくちゃになっているが自分だけは無傷などが多々ある
    弱点:能力は自分で制御出来ないことと少女程度の身体能力しか持っていない
    また学校などにも行けず教育を受けていない為頭が少々(オブラート)悪く隙が大きい

  • 611二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:01

    名前:サー・バルニフィカス(略してサー・カス)
    年齢:人類が知恵を得た時から
    性別:男
    種族:魔人
    本人概要:頭部があるべき場所に蛇皮の分厚い装丁本が浮かんでいる異形の紳士。
    犯罪コンサルタントとしてあらゆる時代で数多の犯罪をプロデュースしてきた。
    彼曰く自分は助言をするだけであり、直接手を下した犯罪は一つとして無い。
    (人間の複雑な悪感情が大好物なのでスナック菓子的な意味で)人間が好き。
    能力:大罪白書
    能力概要:人類の犯してきた全ての罪が頭の本に記されており、その罪が為される場面(大量破壊兵器による虐〇、環境破壊などなど)を召喚再現することが可能。
    相手の僅かな悪感情すら増幅させ、本来最も望まない行いを誘発する助言を与える。
    負の感情を僅かにでも抱いたことのある存在である限り回避不能。
    弱点:頭の本が破壊されると退場。底抜けの善人は生理的に無理。
    己が罪を認め、背負って生きる覚悟のある者には効き目が薄くなる。
    要望:人類には娯楽として消えてほしくないので種の存亡の危機においては守るよう働く。
    国一つ程度の犠牲なら特に気にせず破滅を助長してエンジョイする。

  • 612二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:02

    名前:ルキ=フェロティカ・フォス=ゾリス
    年齢:2683歳(幼体)
    性別:なし(無性生殖・細胞分裂型)
    種族:光子共鳴生命体
    本人概要
    宇宙空間を漂う全長2~8km級の巨大帆布状生物。その体表は白銀色に輝き、微細な結晶構造が光を分光反射する。恒星光・放射線を捕食する光圧航行型生態種であり、光子を共鳴・圧縮して高出力光束を発する能力を持つ。基本的には温和かつ群体行動を好むが、捕食時や防衛時には光子共鳴核を起動させ、局所的な恒星表層を剥ぎ取るほどの強力な光束を放つことが確認されている。進化型グラヴィタリス菌に吸収・解析された個体も存在。
    能力:
    ルキ=フェロティカ・フォス=ゾリスの捕食行動は、恒星活動を微妙に制御し、惑星系の生態系に間接的影響を与えることもある。群体行動時には、まるで発光する巨大なクラゲの大群が恒星を包むような幻想的な光景が観測される。
    能力概要:
    光子共鳴核
    胸部に複数位置する半透明の核構造。恒星光・放射線を吸収・圧縮・共鳴させ、光束を放つ。出力は単体で恒星フレアを誘発するレベル、群体時は恒星表層を数百km単位で削るほどの威力。攻撃ではなく捕食補助器官として進化したため、長時間の連続発射は不可能。
    帆布状光子吸収翼
    太陽帆構造に酷似した巨大膜状翼。体表には微細な光共鳴結晶が並び、恒星光を99.7%以上の効率で吸収。
    航行
    群れ全体で重力井戸を避けつつ、光圧航行によって光速の0.2~0.4倍の速度を維持可能。典型的な行動パターンは恒星を周回しながら光を食む「掬い取り航行」。
    弱点:
    単独では防御力も捕食効率も極めて低い。
    光源が乏しい宙域では活動停止に近い低代謝モードへ移行。
    帆布状の体組織は非常に薄く、自動車衝突程度の衝撃でも耐えられない。
    光子共鳴核が破壊されると恒星光・放射線の吸収・圧縮・共鳴が不可能になり光束を発することもできなくなる。
    光速航行時に衝突を起こすと衝突部分が千切れ飛ぶ。
    薄い体だが、他の多くの生物同様臓器を持ち、それらが破壊されると大きなダメージを受ける。特に心臓に相当する器官が破壊された場合、即死する。
    小回りがきかない。
    要望:幼体一個体でお願いします。

  • 613二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:02

    名前:和原 紙北(かずはら しへい)
    年齢:39
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:代々和紙を製造している和原家の跡取り。
    様々な柄の紙を製造することがもはや生き甲斐にまでなってきている狂人。
    ある日いつものように和紙を吸いつつキメていたら折神が現れ、紙北が作った紙や折り紙を購入(※さらっと万引き)していった。
    それに脳が焼かれたのか、織神家の人間だったからなのか、はたまた既に頭がおかしいからなのか、なぜか折神がなにをしているのかもわからないままに折神から要望されていた紙を作り続けた。
    しかし、作り続けていたある日自身が作った紙で実家を爆破される。
    そのことで折神に失望するかと思いきや、逆に興奮を覚えて失神した。
    現在は折神のストーカーをしている。
    折神がどこにいるのか把握しており、いつでも突撃できる状態。
    百瀬 天美のことを愚かな女だと思っている(好きなら無理矢理にでも自分のものにすればいいのに…という意味で)
    折神の所持品を所持している。

    柔軟な思考で計画的に戦闘を行う戦略家。
    相手を利用する戦法を行う。対象を尊重し、徹底的に叩きのめす。
    また、折神を追い回す時だけ身体能力が爆増する。
    能力:【色紙】
    能力概要:様々な色の和紙からあらゆる効果を発動させる。
    折神を効率よくストーキングしたいと思いすぎた結果、夢の中で家族の霊から授かった。
    猩々緋紙→発火、勿忘草紙→降水、天鵞絨紙→突風、濡羽紙→落雷、江戸紫紙→毒、金茶紙→追跡、白藍紙→凍結、菜種油紙→拘束、葡萄茶→大地操作etc...この他にも様々な和色の和紙がある。
    弱点:効果を発動させるためには和紙にあらかじめ効果と呪詛を書いておく必要がある。(色の名前まで含めて全て)
    身体能力が低く、折神がいないと腕力が発揮されない。
    【色紙】も所詮は紙のため、普通に燃えるし水に浸かったら使い物にならなくなる。
    呪詛『花散り 紙震え 我ここに印ス』
    要望(任意):めちゃくちゃ高笑いさせて

  • 614二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:11

    名前:ロキ・ハングドマン&ナリ
    年齢:どちらも数千年の時に存在している
    性別:ロキは男、ナリは少女型
    種族:ロキは人、ナリは自動人形
    本人概要:ロキはとある神から呪を受けた永遠踏不滅の人間である。とはいえ死なないわけではなく、心臓を刺されれば死ぬし、脳髄を轢き潰されれば死ぬし、劇毒を飲んでしまえばやっぱり死ぬ。死ぬと数年~数十年の周期を経て屍から復活する。死んでも復活するせいか、ロキは極めて刹那的かつ楽観的かつ享楽的であり、たいていギャンブルで破産&そのまま野垂れ死にするのがいつもの死亡パターンである。ナリはそんな大馬鹿者のロキのお目付け役であり、やればできる子ロキのケツをいつも蹴っ飛ばしている。とはいえナリのロキへの忠義は本物であり、彼の意に従い少女の姿から対神兵装”ガンド”に変形してその猛威を発揮する。ロキが死んでいる間は休眠モードとなって眠りにつく。
    能力:対神兵装”ガンド”
    能力概要:巨大な剣”ヴァナルガンド”と巨大な対物ライフル”ヨルムンガンド”の2つの姿を持つ兵器。
    ヴァナルガンドの能力は”星喰(ほしばみ)”、刃を星すら両断可能なほどのサイズにまで巨大化することができる。その分重量が増すためあつかいが難しい。
    ヨルムンガンドの能力は”神殺(しんさつ)”、あらゆるものを侵す劇毒を打ち込むことができる。単純に高火力でありながら蛇のように小回りがきく。
    弱点:ロキがバカを超えたバカなので考えなしに見えてる地雷に突撃してしまう。
    ヴァナルガンドは強力だが小回りがまったく聞かないので隙だらけ。
    ヨルムンガンドもまた強力だが、毒で死ぬまで1時間以上の猶予がある。
    解毒剤はナリが持っているのでロキを倒せば素直に渡してくれる。
    一番の弱点はロキの腹部。呪の根幹でもあり、ここを攻撃されるとロキは身悶え大きく体勢を崩す。

    補足:一度死んだら終わり

  • 615二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:14

    >>327

    こいつで決まり 

  • 616二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:20:26
  • 617二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:21:11

    名前:黒死の風(デッドフェーン)
    年齢:60歳(後述の実験の影響)
    性別:オス
    種族:馬
    本人概要:紫のあまりに長いたてがみと尾が特徴的な黒鹿毛の馬
    近くの地域では「厄災の馬」「毒と病を撒き散らす怪物」として恐れられている
    …が、彼自身は黒魔術の実験台に肉体と魂を呪われてしまっただけの名も無き優しい馬である
    能力:「腐食の尾」「呪いの蹄」
    能力概要:震わせた尾からは毒を振り撒き周りのものを腐食させ、その蹄が触れた場所からは生命力を吸い取る
    蹄が触れた大地は瘴気が残留し、間接的にも生命力を吸い取られる
    また能力だけでなく本体のスピードも非常に高い
    弱点:馬なので光や音、動きにも敏感に反応する。そのためフェイントや囮の様な策に弱く、ある意味隙を突きやすい
    また回復、神聖系の術などで毒はレジストできる

  • 618二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:21:31

    すとっぷ

  • 619二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:25:03

    >>64

    >>616

    このスペックで事実上の弱点がコックピットだけなのどうなんだろう?

  • 620二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:32:01

    少し見ないうちに募集が始まってる、2日前からいつ来るかひやひやしてたのに、

  • 6211◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:36:10
  • 622二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:37:01

    弱点が弱点になってないのはヤメロッテ!!!

  • 6231◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:38:25

    黒死の風は…まあいいか

  • 624二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:40:20

    どうなる? ドキドキ

  • 6251◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:41:10

    安価遅れの皆様へ朗報です
    枠が二つ空くかもですよ

  • 626二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:42:01

    ヤメイ案件にするほどでもねーし前みたいに弾くか?

  • 627二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:42:17

    >>625

    ◾️◼️⬛️!!!!

  • 628二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:42:29

    >>621

    厳しそうでしたら、>>609

    ・逃亡生活でロクに休息も睡眠もとれてないので体力がほぼ残ってない

    ってのを追加してほしいです

  • 629二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:43:02

    >>628

    相手がつける弱点じゃねえじゃねえか

  • 630二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:43:33

    >>628

    それ弱点じゃねえよ

    能力で補えるし

  • 6311◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:44:40

    >>628

    折神ってキャラは多数の属性で弱点を付けるのでセーフ判定になりましたが今回はそれをすべて踏み倒したうえに強くなっていてそれに弱点一つはなかなかきびしいです

  • 632二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:44:59

    >>629

    言われてみればそうじゃん!

    本体人間だからそこ突かれる前提で考えちゃってた

  • 633二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:45:23

    >>628

    身体能力は高くなく、頭や心臓などの人間的な急所全般を攻撃されると再起不能になる


    でどうですか?

    あ、宗二の人ではありませんよ

  • 634二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:46:34

    >>633

    作者さんではないのでわかりませんが、巨大ロボットに人間的な急所はないのでは?

  • 635二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:48:31

    >>634

    宗二ってロボットだったんですか…?!

    いつの間に人体改造を…

  • 636二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:49:24

    >>635

    ロボットなんですか?

  • 637二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:50:08

    5分近く経つし、もういいのでは?

  • 6381◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:50:47

    >>633

    少し落ち着いてほしいんですが、人間は頭をつぶされたら死にますよ?

    弱点というか当たり前です

  • 639二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:51:04

    このレスは削除されています

  • 640二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:51:04

    >>631

    折神とは別種の弱点用意したいので、今回は自分の安価外しちゃってください


    >>634

    多分、「自分は宗二を投げた人ではありません」って意味だと思います

  • 641二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:51:16

    このレスは削除されています

  • 642二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:52:41

    このレスは削除されています

  • 6431◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 19:52:57

    >>641

    はい

    20:20より安価2つ

  • 644二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:53:12

    このレスは削除されています

  • 645二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:54:41

    >>643

    質問なんですけど、糞尿系の能力って出しても問題ありませんか?

  • 646二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:17:43

    横からだけど普通に考えてアウトだと思われるが…

  • 647二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:00

    名前:ソウェイル
    年齢:16
    性別:なし
    種族:複製生物
    本人概要:能力を使うため硬質バイオスライム化した肉体を隙間なく遮光服で覆ったエージェント 『太陽』を意味する暗号名の通り圧倒的な広域殲滅能力を持つ
    廃棄物処理場で発生したバイオハザードを自身の能力で殲滅したが生き残りがいたことが判明したため再生産された
    能力:光
    能力概要:自身の体内のコアから活力を与える光を発生させる 光を浴びた者はだんだん全身の細胞に光エネルギーが蓄積されて行き40秒〜2分ほど浴びていると過剰な活力により全身の細胞が内側から破壊される 機械の場合回路がショートする
    ソウェイルはこの能力を三段階に分けて使っている
    【レベル1】
    遮光服によって光が防がれている通常形態 この状態では光エネルギーによる再生能力を活かした近接戦闘を行う
    【レベル2】
    光量を増やす事で光が遮光服を貫通するようになった形態 光による常時全方位攻撃を行えるようになり格闘戦もまだ行えるが再生能力は失われた 光はそれなりの厚さの遮蔽物で防げる
    【レベル3】
    さらに光量を増やして遮蔽物を光が貫通するようにした形態 この形態ではスライムの肉体が崩壊し動けないが光はさらに強力になっているので近くに5秒以上いると危険だ
    弱点:全ての形態で自身の光によるダメージを受け続けており、普段は光エネルギーを利用したスライム再生能力で無効化しているがレベル2では再生能力とダメージが釣り合い再生ができなくなりレベル3では肉体がダメージに耐えられず崩壊し全身動けなくなる、さらにコアすらも過剰な光の生産に耐え切れず3分で自壊するしこの形態は自力で解除できない また全ての形態で光は物理的な力を持たずコアを破壊されると死ぬ あと光のない場所にいればすぐ光エネルギーはすぐ体から抜けていく 身体能力は人間よりやや低い
    要望(任意):性格は機械的な感じでお願いします
    あと地形は遮蔽物多めにした方が良さげならそうしてください

  • 648二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:00

    名前:浄瑠璃 愚美(じょうるり ぐみ)
    年齢:8歳
    性別:女
    種族:人間(心中の一族)
    人物概要:己を捧げる事で類い稀なる奇跡を起こす一族「供犠塚家」、その奇跡に魅せられ狂った「浄瑠璃家」という一族の少女
    本物の供犠塚一族の様な優しさと自己犠牲の精神を持っており己の能力に日々苦しんでいる
    本当は他者の為に生きたいのに生きれない己の運命を呪い「せめて誰も死なないでほしい」と常に祈っている一族の異端児
    彼女はこの力を止める事は出来ない、故にこれ以上の犠牲が出ないように祈ることしか出来ない
    能力:心中(他人)
    能力概要:他人を犠牲にして奇跡を起こす能力
    発動すればどこかで誰かが死に彼女を何が何でも守り生き残らせる奇跡を起こす
    犠牲になる人数や犠牲となる人間の質などによって莫大な奇跡を起こせる
    弱点:彼女は一切の抵抗をせず祈りの体勢で動かず攻撃をする事も防御をする事も無い。故に無抵抗で無防備で急所も晒している
    能力以外のスペックは普通の年齢相応のものであり能力を超えれば倒す事は容易、身体操作も頭脳と耐久力も普通の少女
    能力は自動発動で彼女の意志によって発動はせず基本的に相手の攻撃や害から彼女を守るように発動する
    能力が防御や反撃を行う事はあれど能力が積極的に攻撃を仕掛けてくることはない
    要望:ちょっとした浄瑠璃の背景です
    己を捧げる事で類い稀なる奇跡を起こす一族「供犠塚家」、その奇跡に魅せられ狂った「浄瑠璃家」という一族の少女
    かつてある領地の主だった浄瑠璃は飢饉や災害に悩まされていた
    だが供犠塚という一族の少女がその身を捧げるとたちまち飢饉や災害が収まった
    その奇跡に魅せられた当時の浄瑠璃は狂い、かの一族の様な奇跡を起こす存在を作るためにあらゆる呪詛を試した
    そして当時の浄瑠璃は軌跡を使える存在を作るべく愛する領民や家族、己すら神の生贄とし「心中」を行った
    そうして生まれた子孫が彼女たち、自己ではなく「他の何か」を犠牲に奇跡を起こす歪んだ力を持った存在

  • 649二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:00

    名前:織神 宗二(おりがみ そうじ)

    年齢:27

    性別:男性

    種族:人間

    本人概要:

    ひょんなことからこちらの世界に迷いこんでしまった並行世界の折神 宗十本人(折神 宗十 は偽名)
。
    織神 宗二は″正義″に魅せられたようで正義の味方を目指して行動しており、警察および特殊部隊に所属していた。しかしこちらの世界では逃亡生活の身。
    多種多様かつ無数の式神で相手の能力をメタりながら完璧な連携で数多の犯罪者を追いつめ軒並み捕縛していったため、名前にちなんで『神の軍隊(ゴッドフォース)』の異名で犯罪者に恐れられていた。
    仮にも正義側なので無意味な破壊を嫌ったり、殺さずに無力化できるならそれで済ませようとする。こちらの世界の折神 宗十とはえらい違いである。

    能力:折り紙式神(防水耐火紙バージョン)
    能力概要:
    折り紙を式神にし、その形に沿った能力を与える。たとえば紙飛行機なら空を飛び、機関銃を掃射し、自爆特攻する。

    こちらの世界の折神 宗十の能力とまったく同じ能力。
    ただし、宗十とはちがい特殊な紙を使用しているため能力の弱点は事実上消滅している。
    弱点:

    逃亡生活により肉体が限界に近いため、戦闘中に睡魔に襲われ一瞬無防備になることが多々ある。
    逃亡生活により精神も限界に近いため、音や光に過敏で冷静さを失いやすい。
    なぜか知らないが指名手配されているため、数分しか戦闘を行えない。

    もし長時間戦闘を行うと大量の警察とかアンサズとか百瀬とか紙北とかヤメイとか、とにかくめちゃくちゃ襲われる。

    要望:
    性格面・人格面に関しては、マジで並行世界の本人なのか疑わしくなるくらい別モノとして出力してほしいです

  • 650二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:01

    このレスは削除されています

  • 651二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:01

    名前:エク
    年齢:3100歳
    性別:無し
    種族:機械
    本人概要:願望器のプロトタイプ。完成品が叶えた願いや其れによって世界がどう変わったのかを記録する役目も持つ。そして、完成品の動きを止めて欲しいと願い、行動をしている。完成品を止めてくれる存在が出てくれるならば、どんな手段も取ろうという悲痛な覚悟を持っている。
    完成品の願望機は、純粋で、人々が願った事全てを叶えてしまう存在である。
    エクは完成品が叶えた願いの中から以下の二つの願いを再生出来る。
    「己が見えなくなったら」→【透明化】、「己がもう一人いたら」→【二重身】
    能力:《deus ex machina:archive》
    能力概要:完成品が叶えた願いの内、エクが再生出来る記録三つを、再び世界に出す能力。二つの願いは、希望者が死ぬまで世界に認識をさせなくした【透明化】、ドッペルゲンガーを作り、相手の存在をドッペルゲンガーにじわじわと塗りつぶした【二重身】である。
    【透明化】は物などに付与して、トラップとしての運用が主軸である。
    願望機の性質を持つ為、己に《deus ex machina:archive》は使用できない。
    弱点:プロトタイプ故に、全べての行動が0.3秒の準備時間がないと動けない。
    プロトタイプ故に、耐久面・身体能力が一般並みである。
    願望器のプロトタイプ故に、再生出来る記録は、本来起きた事の半分の効力しか出せない。
    例 【透明化】を付与した物の場合は、良く注目しなければ見えない 【二重身】の場合は身体能力のみのドッペルゲンガーを出す

  • 652二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:01

    名前:究砕運煌(くさいうんこ)

    年齢:34歳

    性別:男

    種族:人間

    能力: 究極の運と糞の力を操る能力

    能力概要: 究砕運煌男は、糞にまつわる力を駆使して戦う能力を持つ。「煌めく糞」を生成して敵を罠にかけたりする。彼の糞は単なる排泄物ではなく、エネルギーを放ち、非常に強力な攻撃手段となる。糞の中に封じ込められた特殊なエネルギーを発動させることで、異次元の力を引き出すことも可能。運がいい。

    弱点: 彼の能力は「糞」に依存しているため、糞がないと能力が大幅に制限される。感情が高ぶると糞を無駄にしてしまい、戦闘で力を発揮できなくなることが多い。
    心臓貫通で死亡。

  • 653二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:05

    このレスは削除されています

  • 654二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:20:06

    名前:超巨城ギ=ガテラ・ペータ
    年齢:288000500年
    性別:無し
    種族:建築物
    本人概要:開闢の時代に全ての巨神達の根城として作られた超巨大人型建造物、巨神の姿形に寄せて作られ600kmにもなる比類なき巨大さで幾度も他の神の襲撃を耐え抜いて来た巨城
    神々が去った後も地上に放置されてごく稀に動き出しては周囲に甚大な被害を出している
    能力:巨城の免疫(キーロ・ガテラ)
    能力概要: 超巨城ギ=ガテラ・ペータの許可無しに中へ入った者を排除する免疫機能達
    一体一体は訓練した兵士数人がかりで対処可能だが 数が桁違いに多く、最低でも一度に数百体を相手にし、その勢いは奥の方へ行くほど桁違いに多くなって行き1万体に1匹の割合で出てくる通常の兵士ではどうにもならない強さの精鋭個体なども出現する
    弱点:体の中心にある動力源か頭部分の中にある制御機能を司る部位を破壊すれば全ての機能が停止する
    要望(任意):機能や構造が人体に酷似している

  • 655二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:21:58

    己連投防止…

  • 656二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:23:02

    >>655

    まさか連投しようとしたのか?

  • 657二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:24:51

    >>656

    別スレで出したあとここで出したら阻まれて6秒遅れた

  • 658二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:25:42

    >>657

    別スレと同じキャラを出そうとしたってこと⁉

  • 6591◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 20:27:00

    >>652

    まあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあ

    鼻くそもいるし?

    触手もいるし?

    排泄物はギリセーフとしよう

    だが、せめて弱点くらいはちゃんとつけてくれよと言ってるわけです

    相手が!つける!弱点!

    心臓は人間にデフォルトでついてる弱点なわけでそれとは別で強い能力があるんだから別で用意してください

    頭潰されて死なない人間は人間じゃないですから!

  • 660二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:28:14

    >>658

    違うよ?何言ってんのテンプレートとか色々違うし

    いやまあ文脈的にそうとしか捉えられない言い方だったと思うけど

  • 661二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:34:36

    >>660

    連投判断は文字数だからね?

    一文字でも文字数が違えば連投扱いにはならないよ

  • 662二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:36:57

    >>661

    え?でも実際にされてるんだけど 文字数も三百文字ぐらい違うしカテゴリも別

  • 663二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:38:44

    レスしてから1分以内はレスできない時間規制のことじゃないかね
    あれは別カテでのレスにも反応する
    それとは別に全く同じ内容でのレスは連続して打てない規制もあるが、こちらは1分を超えても打てない

  • 664二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:40:06

    >>663

    さっき確認したけど最初レスして次した時から10秒しか経ってなかったよ?

  • 665二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:42:34

    >>663

    時間規制はたまに掛かるくらいでほとんど掛らんぞ

  • 666二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:44:35

    このレスは削除されています

  • 6671◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 20:52:22

    >>666

    閲覧!注意を!つける!つもりは!ないです!


    ぎりぎりどころか余裕でアウトなので!

  • 668二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:53:42

    そういうのはオブラートにオブラートを重ねて希釈したうえでメインにしないようにするべきなのだよ…
    イメージ的にはニチアサの重い設定をコメディやファンシーな要素で薄めるような感じ

  • 669二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:55:51

    今のところ一番閲中に近い採用キャラってなんだろう

  • 670二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:01:47

    >>669

    しいていうなら触手王かね?

    相手が完勝したからセーフだったけど

  • 671二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:05:52

    妊娠系は腹ん中に胎児がいる一本槍親子とか?

  • 672二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:08:09

    安価、実況カテは確か投げても連打の規制が10秒ぐらいだった筈?
    他カテは確実に一分だと思う まぁ頻繁にレスする人だったんじゃない?

  • 673二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:14:31

    >>672

    だとしたら安価時間の一分前に別カテでレスするとかすげぇ度胸してんな

  • 674二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:29:54

    このレスは削除されています

  • 675二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:30:14

    このレスは削除されています

  • 676二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:30:51

    このレスは削除されています

  • 677二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:31:25

    このレスは削除されています

  • 678二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:31:56

    このレスは削除されています

  • 679二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:32:24

    このレスは削除されています

  • 6801◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 21:33:18

    あまりにも脳死すぎて考察スレと本スレを間違えてしまった……
    すいません

  • 681二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:33:22

    このレスは削除されています

  • 6821◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 21:34:28

    >>681

    考察スレのほうでやってるぷち連載的なのです

    誤爆なのできにせず

  • 683二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:35:20

    >>682

    こちらこそすみません。

    水を差すようなことをしてしまって

  • 684二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:23:55

    対戦カードまだかな…まだかな…

  • 685二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:43:22

    >>684

    焦らずのんびり待ちましょう

    スレ主だって疲れているのですから

  • 6861◆ZEeB1LlpgE25/07/26(土) 23:14:22

    >>608

    >>610

    >>611

    >>612

    >>613

    >>614

    >>615

    >>617

    >>647

    >>648

    一応混乱しないように採用一覧

  • 687二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 05:36:39

    このレスは削除されています

  • 6881◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 09:38:53

    伊崎 夏帆vsロキ・ハングドマン&ナリ
    浄瑠璃 愚美vsソウェイル
    傾奇者vsルキ=フェロティカ・フォス=ゾリス
    黒死の風vs和原 紙北
    サー・バルニフィカスvsワフタ=ワフタ

  • 6891◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 10:08:33

    弱点に関してですが
    その種族において当たり前の身体の特徴を弱点にするのはなしにしようとおもいます
    対人間で「あいつ……もしかして頭が弱点なのか!?」とはならないでしょう
    別で用意してください

  • 690二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:18:42

    >>689

    え?じゃあ多少強い人間程度のキャラでも弱点捻出しないといけないの?

  • 691二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:19:42

    人間キャラが人外キャラと比べて不利になっちゃうから人外キャラや超常存在キャラは査定厳しくするのもセットにした方がよさそう

  • 6921◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 10:30:49

    >>690

    最初からそうですよ?

  • 693二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:35:44

    能力ひとつとってもメリット・デメリットの両方作れるのに何が難しいのか

  • 694二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:39:21

    >>693

    人間は人間スペックなこと弱点にできないのに、能力超常存在なやつは人間スペックなこと弱点にできるの不公平では?って言いたいんじゃないかな?

  • 695二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:40:15

    >>694

    そうそう

  • 6961◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 10:43:28

    んーと
    勝ちたいだけでやってるならそういうキャラを作ればいいですし
    人間という種族でやりたいならその範囲で作ってもらえればいいですし
    そもそも種族が違うのに同じ弱点がつくわけないですし
    人間だけど人間なことが弱点なのでこの能力の弱点はなしでもおっけーにしてください!なんて通るわけないじゃないですか

  • 697二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:52:15

    弱点って 俺TUEEを防ぐためについてるんじゃないの?
    全く違う実力帯のキャラに同レベルの弱点を要求したら戦力差の是正につながらないのでは?

  • 6981◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 11:00:10

    >>697

    最初から同レベルの弱点を要求したことはありません

    ある程度能力に釣り合った弱点を付けてくださいと言っているんです

    できないなら考察スレに来てくださいとも言ってます

    ある程度能力の強弱で緩和したりはしています

    私大分見逃してますし、はじいてるのは弱点がなかったり足りていなかったり能力によって実質なくなっているものです

    弱点はどんなキャラにも勝ち筋を作るためのものです


    インフレし過ぎて忘れてるかもしれませんが、能力があるというだけでも十分なアドバンテージなんですよ

    勝ちたいからなのかなんなのか知りませんが強い能力に+してさらに何か盛ろうとするからよくないんです

    それでもある程度見逃しているのに弱点まで見逃したらもっとインフレが進むじゃないですか



    そんなに自分のキャラを盛りたいんでしたらぜひ自分でスレを立ててそこで好き勝手してください

  • 699二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 11:10:45

    >>698

    先ほどは、弱点の意義について軽率に意見してしまい、誤解や不快な思いを与えてしまったこと、申し訳ございませんでした。

    私自身、「弱点は俺TUEEを防ぐためのもの」という認識が強く、その立場から「全く違う実力帯のキャラに同レベルの弱点を要求するのは不自然では?」と考えていました。

    ですが、戦力差をどう是正するか、物語や対戦のバランスをどう取るかは一概に決めつけられるものではなく、自分の見方だけが正しいと押し付けるような言い方になってしまったことを深く反省しています。

    今後は、他の方の意見やルールを尊重し、場を乱さないよう慎重に発言いたします。重ねてお詫び申し上げます。

  • 7001◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 11:13:45

    >>699

    こちらこそすいません

    最近ルールを守らない人が多くて少しいら立っていて当たってしまったかもしません

  • 701二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 11:17:25

    身体能力は幼女程度しか無いとかみたいなのはどうなるんだろう

  • 702二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 11:18:42

    >>701

    能力によるだろ

  • 703二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 11:21:54

    >>701

    伊崎 夏帆とかが今後アウト判定になるんじゃねぇかな

    後否定者、適応者みたいな奴 あれも弱点は最初は人間並みの身体能力+他の弱点って感じだったし

  • 704二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:51:00

    こっちも楽しみだったりする

  • 7051◆ZEeB1LlpgE25/07/27(日) 19:16:40

    >>704

    ちゃんと作ってるので安心してくださいね

  • 706二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 23:25:45

    わくわく

  • 707二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 03:15:42

    このレスは削除されています

  • 708二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 10:18:27

    このレスは削除されています

  • 7091◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:40:40

    題名『崩壊と呪いの果て』

  • 7101◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:42:14

    空が裂けていた。

    深い灰色の雲の隙間から、光でも闇でもない何かが垂れこめ、時折火花のように瞬く。
    ビルは軋み、道路は亀裂を這わせ、風景は静かに壊れていく。
    まるで世界そのものが、自ら崩れるのを待ち望んでいたかのように。

    ――その中心に、少女がいた。

    伊崎 夏帆。十二歳。
    うつむきながら、ひび割れたアスファルトの上に立ち尽くしている。
    涙も怒りも、すでに通り過ぎた後。
    ただ、壊れていく光景を――目の前に現れた“自分のせいの世界”を、見つめていた。

    「……また、やっちゃった……」

    唇がかすかに動く。
    震える手を胸に当てるが、その手もまた、震える心を止めてはくれない。

    力を暴発させたのは、たったひとつの理由だった。

  • 7111◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:42:33

    自分が“いらない”と誰かに言われた、それだけ。

    「っ……消えて、全部……」

    声に反応するように、周囲の空間が波打つ。
    視界が歪み、遠近感が捻じれる。
    空間そのものが“崩壊”を始めていた。

    そして――そのただ中に、彼らは現れた。

    「おやおや、これは……いい崩れっぷりだねぇ」
    そう口にしたのは、奇妙な男だった。
    スーツ姿、だらしない笑み、どこか世を斜めに見ているような眼差し。
    ロキ・ハングドマン。永遠踏不滅の呪われた人間。

    その背後に、小柄な少女が立っていた。
    無言、無表情。黒衣を身に纏い、まるで人形のような静謐な気配を放つ。
    ナリ。ロキの相棒であり、兵装として彼に仕える自動人形。

    「ロキ……この空間、明らかに異常。観測不能域が三箇所、重なってる」

    「知ってる知ってる。けど見てごらんナリ。あの子さ、まだ壊れ足りてない顔してる」

    ロキが指差す先――夏帆は、気づいたように顔を上げる。
    だが、その視線は怯えでも、敵意でもなかった。

    「……来ないで」

    たったそれだけの言葉に、空気が震えた。
    “コラプス”が微かに蠢く。空間に浮かぶ亀裂が、彼らの方へ伸びてくる。

  • 7121◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:42:54

    ナリがすぐさまロキの前に立ち、両腕の機構が変形を始める。
    その瞳が紅く光ると同時に、背中から金属音と共にパーツが展開する。

    「……戦闘、避けられない」

    ロキは肩をすくめ、歩みを止めなかった。

    「いいじゃん。今夜は戦わないと決めたんだけどなぁ。でも、こういう“壊れそうな子”ってさ、放っとけないんだよね」

    彼の声に、夏帆の表情が揺れた。

    “壊れそうな子”。
    その言葉は、夏帆の心に――ほんの少し、届いてしまった。

    だからこそ、その心がまた、崩れた。

    「……やめてよ、こないでって言ったでしょッ!」

    怒鳴ると同時に、地面が爆ぜ、空間が歪み、世界が一層、崩れ落ちた。

    ロキはにやりと笑いながら呟く。

    「やっぱり、いい子だ。うん。……壊れる前に、もっと見たい」

  • 7131◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:52:21

    「――動くなナリ。下手に手を出すと、たぶん俺たちも“壊される”」

    ロキの声は、どこか愉快そうで、それでいて真剣だった。

    彼の眼前には、異様な光景が広がっていた。
    瓦礫は空に浮かび、ビルは宙で歪み、時間がスローモーションのように流れている箇所すらある。
    音も重力も、視覚も、何もかもが均一ではない。
    まるで夢の中を歩いているような――いや、もっと厄介だ。
    これは、ひとりの少女の感情が暴走して構築した“崩壊領域”。

    「ナリ、分析結果を」

    「コラプス――物理・心理・概念的崩壊の混合型。空間制御に類するが、中心点の感情波形に反応して連鎖的に構造が壊れていく。これは……初期型神術兵装すら崩壊対象」

    「……マジか。神すら壊すってこと?」

  • 7141◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:53:22

    ロキはにやりと笑う。目の奥は真剣だったが、その唇は相変わらず軽い。

    「ロキ、警告。あと18秒で私たちの位置も崩壊に巻き込まれる。対処を」

    「OKOK。けど俺さ、この子と話がしたいんだよ。……“壊すしかなかった”奴って、すごく、すごく面白いんだ」

    ロキは、ひとつ息を吐き、少女――夏帆へ向けて歩を進める。

    足元の地面が音もなく崩れ落ちる。
    その下は深淵だった。色も、温度も、法則すらない空白。

    しかしロキは構わず踏み出す。
    不思議なことに、崩壊したはずのその空白の上を、彼の足は踏み抜くことはなかった。

    「……っ! こっち来るな、死にたいの!?」

    夏帆の声が、割れたように響いた。

    次の瞬間、空間が“悲鳴”を上げた。
    目に見えない歪みが爆ぜ、衝撃波のようにロキとナリへ襲いかかる。

    「――ヴァナルガンド、起動」

    ナリが囁くように告げると、その小さな体が折り畳まれ、変形する。
    漆黒の金属がうねるように形を変え、ロキの手には巨大な“刃”が現れた。

  • 7151◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:53:50

    星すら喰らう斬撃――【星喰・ヴァナルガンド】。

    「いっけえええええ!」

    ロキは笑いながら、空間の裂け目を巨大な剣で横一文字に薙いだ。
    虚空を切る――それだけで、崩壊の波が瞬間的に止まる。

    夏帆の目が驚愕に揺れる。

    「……切った?」

    「うん、まあ。空間でも、概念でも、時間でも……“切れるもんはだいたい切れる”のが、こいつのいいとこ」

  • 7161◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 14:57:35

    ロキが剣を肩に担ぎながら、軽口を叩く。

    「でもさ……夏帆ちゃん? 俺の名前ロキ。そんでこれはナリ。……で、君はなんでそんなに壊すんだい?」

    少女は、答えなかった。

    だがその代わりに、彼女の心が答えた。

    それが――次の崩壊を呼ぶ。

    「うるさい……っ、うるさいうるさいうるさいッ!!」

    次の瞬間、空が“裏返った”。
    太陽も月も消え、上も下もわからなくなった世界。
    その中心で、彼女の目が涙で濡れていた。

    「誰も……誰も止めてくれなかった……! 壊れてるのは、私じゃない……世界のほうだよ……っ!」

    その言葉と共に、真の暴走が始まる。

    そして――戦いの火蓋は、今、切って落とされた。

  • 7171◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:03:49

    空が崩れ、時間が捻じれ、地平線が血のように染まっていく。

    崩壊は理を超えていた。
    ただの能力暴走などではない。
    伊崎夏帆という少女の“心の叫び”そのものが、世界を破壊していた。

    「ナリ、限界解析。空間密度どうなってる?」

    「不定。正確には“空間が保持されていない”……周囲の物理座標が少女の感情により不安定化、結果として我々の立脚している法則自体が無意味化しています」

    「つまり、“どこにいても危ねぇ”ってことか」

    ロキは苦笑しつつ、背中のヴァナルガンドを振るった。

    黒い剣が横薙ぎに弧を描いた瞬間、空間の崩壊が一時的に押し留められる。

    「く、るなって言ってるのに!!」

    夏帆が叫ぶと、彼女の足元に亀裂が走る。
    世界が断絶するように、瓦解の波が爆発的に拡大する。

    そこに何があったのかもわからない。
    ただすべてが「あったものではなくなる」。

    「このままだとあっちが先に潰れる」

    ナリの冷静な分析に、ロキは肩をすくめる。

  • 7181◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:05:05

    「ま、じゃあ行くか」

    彼は地面を蹴った。

    瞬間、空間が二重三重に歪んだ。
    崩壊の風の中を、ロキの体が一直線に突っ込む。
    そして――振りかぶったのは、巨大な黒剣。

    「なっ……こないでぇぇえええええええ!!」

    空気が弾ける。

    崩壊と剣撃がぶつかり合い、世界が一瞬“無”になる。
    だが次の瞬間――

    「ごっつんこ☆」

    ロキは、夏帆の額に“指先”で軽くチョップを入れていた。

    「……え?」

    夏帆の目が、呆然と見開かれる。

    巨大な剣ではない。毒弾でもない。

  • 7191◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:05:51

    ただ、軽く、彼女の額を弾いただけ。

    「お前、泣きながら世界ぶっ壊すの、すっごい才能だと思うよ」

    「…………は?」

    「でも俺の経験則だとね、そういう子って、だいたい“死ぬ”前に誰かが止めてやんないといけないんだよ」

    静かだった。

    崩壊の波が、一瞬だけ凍る。

    「……止められなかったんだよ。今まで、誰にも」

    夏帆の声は、怒りと哀しみの境界にあった。

    「うん。たぶん、君の周りはバカばっかりだったんだ。……でも、今日からは違うよ?」

    ロキは、にかっと笑う。

  • 7201◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:06:34

    次の瞬間、空間が再び壊れた。

    今度は――“彼女自身の感情”によって。

    止めてほしかった。
    壊したくなかった。
    ただ、わかってほしかった。

    そのすべてが一瞬、世界に伝わった。

    しかし、夏帆の手は震えていた。
    目の奥にはまだ“恐怖”がある。
    また壊すかもしれないという、絶望。

    「なら――とことんやってみようぜ、俺たちと!」

    次の瞬間、ロキの背後でナリが変形する。
    対神兵装・ヨルムンガンドが姿を現す。

    「目標:彼女の“理性の核”。崩壊を止めるため、ピンポイントで打ち抜く」

    ロキは笑う。

    「――さあ、ショウタイムだ」

    彼女は涙を流しながら、もう一度、力を暴発させた。
    ロキは剣と銃を手に、それを止めに行く。

    戦いの幕が、いよいよ本格的に上がった。

  • 7211◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:15:49

    「やめて……っ! 壊れるの……全部、また……ッ!」

    伊崎夏帆の絶叫と共に、世界が再び軋んだ。

    地平が膨張し、空が裏返り、時間が複数の層に引き裂かれる。
    万象が音を立てて崩れていく中、ただひとり、少女はその中心で震えていた。

    “自分以外のすべてを壊す”という、あまりに理不尽で孤独な異能。
    その力は今、完全に解き放たれていた。

    「感情値、暴走域突破。再構築処理、意味をなさず」
    「なら――ぶち抜くしかねぇだろ?」

    ロキが構えたのは、黒銀の巨砲――ヨルムンガンド。
    ナリの少女の姿が完全に兵装へと変化し、圧倒的質量の“毒”を内包して唸る。

    ロキは引き金を引いた。

    「――ぶっ放せ、ナリ!!」

    爆発音のような衝撃。
    放たれたのは、世界を侵す**“神殺の毒弾”**。

    それは直線ではなかった。
    歪みながら、ねじれながら、まるで蛇のように複雑に進路を変え――
    崩壊の嵐を突き抜け、夏帆の“胸の奥”へと届こうとする。

    「いやぁぁぁあああああ!!」

  • 7221◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:16:57

    少女が叫んだ瞬間、空間が跳ねた。
    まるで巨大なガラスが砕け散るように、ヨルムンガンドの弾は軌道を“食われる”。

    しかし――

    「ナリ、第二弾、カーブショットで!」

    「了解。対象座標、右心房内側。極限最短軌道にて毒素浸潤を試みます」

    変化弾が放たれた。
    まるで“意思を持った毒”のように、崩壊の合間を縫って滑り込み――

    「――入った」

    少女の胸元、服の奥――
    そこに隠されていた小さな“コア”に、黒い毒が染み込む。

    「う、そ……そんな、なんで……止まらない、どうして……!」

    夏帆の両目から、涙が溢れた。
    だが、それでも――崩壊は止まらなかった。

  • 7231◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:17:53

    否。
    止まるには、もうひと押しが足りなかった。

    「ナリ! 最後の一発だ、ヤマ張るぞ! ぶち込め、ヴァナルガンド!」

    ロキが次に握ったのは、星喰の剣・ヴァナルガンド。
    その刃が空に伸びていく。
    今にも崩壊しそうな大気を切り裂きながら、異能の暴走を断ち切るための一撃。

    「お願い……もう……こないで……わたし、また、壊しちゃう、から……」

    「知るかよ。だったら、ぶっ壊す前に――」

    ロキは跳躍した。
    崩壊の中心に、まるで星へ斬りかかるかのように。

    「お前を“ぶっ飛ばして”正気に戻す!」

    咆哮と共に、ヴァナルガンドの剣が振り下ろされる――!

  • 7241◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:21:01

    星を裂くかの如きヴァナルガンドの斬撃は、伊崎夏帆の異能に触れる寸前で――止まった。
    いや、正確には。
    止めたのは、ロキ自身だった。

    「……なぁ、ナリ」

    「何ですか、ロキ」

    「こいつ、泣いてるじゃねえか」

    ナリのセンサーが即座に追従する。

    「……確認しました。涙腺活動、過剰。心拍、不整脈。脳波パターンは“助けを求める”状態です」

    「そうか。だったらよ――」

    ロキは剣を逆手に握り直し、まるで“抱きしめるように”剣を降ろした。
    刃は地面に突き立ち、崩壊を無理やり押さえ込むように鈍く響く。

    「――斬るより先に、言葉があるだろうが」

    ロキの声が、崩壊する世界に落ちた。

    「……っ、やだ……やだやだ……近寄らないで……!」

    「近寄らねえと話せねえだろ。耳はついてんだろ?」

    夏帆は歯を噛み締めて震えた。
    周囲の空間はなおもバラバラに歪み、草木は枯れ、遠くの山は潰れたビルのように折れ曲がっていた。
    その中で、ロキはただ前へ、前へと歩く。

  • 7251◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:22:24

    「俺は、お前を止めに来た。間違っちゃいねぇ」

    「っ……!」

    「でもよ、それが“殺す”ってことなら、俺は間違うぜ。何百年も何千年も、バカなりに生きてきたんだ。間違える権利ぐらいはある」

    ロキの体が、崩壊の波にさらわれていく。
    皮膚が割け、血が噴き出す。毒素も、再生も関係ない“崩壊”の前では、人間は無力だ。

    けれど、それでも。

    「それでも俺は、――“間違ってでも”救ってやるさ、孤独なお姫さん」

    その言葉に、夏帆の瞳がわずかに揺れた。

    「……っ、わたしなんか……救う意味、ない……」

    「意味がなくたって救うんだよ! それがバカの特権だろ!」

    一歩。
    また一歩。
    ロキは踏み込む。

    「壊したいんじゃねぇだろ? 壊れてほしくないんだろ!? 本当はッ!」

    夏帆の口から、嗚咽が漏れた。

    「……う、あ……っ……たすけて……」

  • 7261◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:22:49

    その瞬間だった。

    世界が止まった。

    崩壊の奔流が凍りつくように静まり、ひび割れていた空が、ゆっくりと戻っていく。

    夏帆の胸の奥にある“コア”が、微かに光を放っていた。

    ナリが言った。

    「……浄化、開始。コラプスの核心、緩やかな収束を確認。正義値、再定義フェーズに移行」

    「よし……間に合った……」

    ロキはその場に膝をつき、血まみれの手で夏帆の頭をくしゃくしゃに撫でた。

    「おつかれさん、お姫さん。よく踏みとどまったな」

    少女は、ただ泣いていた。
    誰かの手を初めて感じながら。

    崩壊は止まった。
    でも、戦いはまだ終わっていない。

    ――この出会いが、ふたりをどう変えるのか。

  • 7271◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:24:02

    夜が明けるころ、崩壊していた地形が嘘のように静まり返っていた。
    風はなく、音もない。
    ただそこに、ふたり分の呼吸だけがあった。

    「……伊崎、夏帆」

    名前を呼ばれて、少女はわずかに肩を揺らした。

    「……やっぱ、それが君の名前か」

    「……どうして、知ってるの」

    「賭けさ。目の奥に書いてあったよ――“私を呼んで”って」

    夏帆は顔をそむけた。
    赤くなった目元を見られたくなかった。

    「バカだね……名前なんて呼んだって、何も変わらないのに」

    「そうか? 名前を呼ばれた瞬間に、人間は“独りじゃない”ってわかる。俺はずっとそうだった。だから、お前もそうだと思っただけさ」

    ロキの声は、普段の軽薄な調子ではなかった。
    真剣だった。

  • 7281◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:24:57

    まるで、彼自身の記憶を語っているような――そんな声だった。

    「……ずっと、誰も……呼んでくれなかった。壊れるから、嫌われるから、誰も近づいてこなかった……」

    「だからこそ、俺が呼ぶのさ」

    ロキは立ち上がる。

    「おい、ナリ。回収モード入ってくれ。俺、次に行くぞ」

    「は?」

    ナリが声を上げた。

    「彼女を置いて、ですか?」

    「逆。連れてくんだよ」

    「またろくでもないことを……!」

    ナリは大きくため息をつき、しかしその肩はどこか安堵していた。

  • 7291◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:25:22

    「……新しい旅路ですね」

    「そうだな。こっから先は、お姫さんに“見る世界”を変えてもらおう」

    ロキは振り返り、夏帆に手を差し伸べる。

    「……まだ怖いか?」

    「……わかんない」

    「なら、わかるまで一緒にいようぜ。俺、バカだからさ――時間はいっぱいある」

    夏帆はその手を、じっと見つめた。
    傷だらけで、血まみれで、でもあたたかそうな手。
    やがて、おそるおそる、小さな手が重ねられた。

    「……行きたいところがあるの。もう一度、見てみたい場所があるの」

    「じゃあ決まりだ」

    ロキは破顔した。

    「――お姫さんと、バカと、機械の三人旅。ま、悪くねえだろ?」

    陽が昇る。
    崩壊した世界の地平に、微かな朝焼けが差し込んでいた。

    これは、終わりではない。
    再構築の物語。
    ひとりぼっちだった少女と、死に癖のあるバカ男の、ほんとうに始まったばかりの旅のはじまり。

  • 7301◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 15:25:44

    以上

  • 731二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 15:27:38

    大長編!
    夏帆救われてよかったねぇ

  • 732二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 15:50:11

    凄く良かった!しかし夏帆の能力思った以上にやばいな
    動く災害だ

  • 733二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 15:50:49

    規模がデカい!二人の旅はどうなるか妄想できて良いぞ!

  • 7341◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:18:21

    題名『奇跡の名は祈り』

  • 7351◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:18:53

    夜の工業廃墟。崩れかけた配管群と錆び付いた鉄骨が、月明かりの届かぬ死角を生んでいた。空気は湿気を帯び、所々に生い茂る植物すらも濃い影となって敵味方の境を曖昧にしている。

    その中に、ひときわ異様な存在があった。

    銀の遮光スーツに覆われたソウェイルは、無音のまま廃墟の隙間を歩む。スーツの継ぎ目から、ほんの微光が滲み出していた。自身の身体が崩れ落ちぬよう、最低限の出力に抑えられた〈光〉。だが、それすらも危険だった。

    「…対象、確認。熱源、異常値。」

    ソウェイルが静かに呟く。その視線の先、鉄柱の影に、少女が座っていた。

    ぼろぼろの巫女服。年端も行かぬ顔には、諦めと悲哀が沈んでいた。

    浄瑠璃 愚美──“祈るだけで世界が殺す”存在。

    「……わたしは、なにも、してない……ただ……だれかを、守ってほしかっただけ……なのに……」

    彼女の声は小さかった。けれどその周囲、廃墟の配管が次々に“潰れて”いく。鉄が押し潰され、時間すら歪み、空間が軋み、無音の崩壊が広がっていく。

    彼女は戦わない。動かない。ただ、祈る。

  • 7361◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:19:35

    だがそれが、最大の脅威だった。

    「危険。レベル2、解放──遮光圧、上昇。」

    ソウェイルの体から、光が滲み出る。遮光服を透かして漏れ出すその光が、周囲の瓦礫に反応し、白い蒸気を生み出す。

    〈光〉は命を活性化させ──同時に破壊する。

    愚美の肉体は無傷だった。だが、近づくものはすべて、崩れた。

    「防衛反応、確認……自動防御か。能力判定:対象周囲に他者存在時、死と引換の奇跡を発動……確定。全処理、優先事項。」

    機械のような声。だがそれは、まるで“祈りを否定”する意志のようだった。

    愚美は、少しだけ顔を上げた。涙で濡れた目に、ただひとつの問いが宿る。

    「……あなた、は……殺すの……?」

    ソウェイルは即答した。

    「対象:危険因子。奇跡の連鎖は、滅光により断絶される。」

    戦いが始まる。

    いや、“祈り”と“光”の、それぞれ自動反応による、静かな殺し合いが──。

  • 7371◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:20:43

    ソウェイルが腕を広げると、遮光スーツの接合部が解放された。

    「光放射──最大許容範囲に設定。レベル2、維持。」

    白色の光が空間を満たす。柔らかな輝きに見えて、実際には細胞を“活性化”させる、毒に近い光。鉄骨に触れれば錆が発熱し、砕け、隠れていた鼠の死骸が破裂する。

    ──それでも、少女だけは無傷。

    「……なんで……なんで、わたしばっかり、生き残るの……?」

    崩れた足場、宙に浮かぶ塵、焦げていく廃棄物の中。祈るように膝を抱えたまま、浄瑠璃 愚美は動かない。

    そしてまた、起きた。

    「……あ……」

    ソウェイルの真横、鉄骨の上にあった貯水タンクが“凹んだ”。

    まるで巨大なハンマーで叩かれたように、音もなくタンクがひしゃげ、爆発的な水飛沫が放射される。

    水はソウェイルに向かっていた──が、寸前で軌道を歪め、真横に逸れた。

    〈奇跡〉が、彼女を守ったのだ。

  • 7381◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:21:28

    「観測:崩壊現象、距離による密度制御を伴う。中心座標固定型。」

    淡々とソウェイルは光量を増す。温度が上がり、廃墟の鉄床が熱で膨張し、爆ぜた。

    ──だが愚美は、変わらない。

    「……誰も死なないで……お願い……」

    その言葉と共に、光が弾けた。

    ソウェイルが発する〈光〉が、彼女を中心に“ねじれる”。

    反射ではない。回折でもない。

    〈崩壊〉の力が、“因果”を殺した。

    光が当たらないのではなく、「当たったことがなかった」ように塗り替えられる。

    「因果否定、確認。能力評価──確定不能。対話による終結、非現実的。レベル3──準備。」

    遮光スーツの腹部が破れた。ソウェイルの内部、コアから直接発光する白の奔流。

    辺り一帯が昼間のように明るくなる。瓦礫の陰は次々と焼け、植物は干からび、酸素すらも活性されて可燃化していた。

    「……それ以上、光を強くしちゃ、だめだよ……」

    小さな声に、空間が震える。

  • 7391◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:21:42

    祈りではない、命令でもない。けれど、その言葉が境界だった。

    ──ドゥゥン

    崩壊が起きた。

    光の核心、ソウェイルのコアを囲う繊維層が“消失”した。喪失ではなく、“あらかじめ存在しなかった”ように世界が再構成される。

    彼女の〈奇跡〉は、敵を殺すものではない。

    “自分が死なないように世界を歪める”だけ──

    だがそれが、致死だった。

    「……コア──臨界──3分以内に、自壊……」

    ソウェイルの脚が崩れた。遮光服の下から覗いたバイオスライムの肉体が、ぶくぶくと泡立ち、自壊を始める。

    それでも、彼は光を止めない。

    「命令系統──優先順──殲滅維持……」

    狂った機械のように、光の出力を維持し続ける。

    そして、愚美は目を閉じた。

    「……やめて……もう、だれも死なないで……」

  • 7401◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:22:32

    崩壊が、進んでいた。

    ソウェイルの遮光服はすでに意味をなしていなかった。あらゆる保護材が、熱ではなく“存在のほつれ”によって千切られていく。バイオスライムの肉体は発光し続けるも、液状化し、床に垂れては光の粒となって弾ける。

    「……出力維持……殲滅任務……」

    光はまだ止まらない。
    だがそれは、ただの自壊だ。

    コアは、脈打つたびに歪んでいた。
    まるで──罪悪感を孕んだ“心臓”のように。

     

    その正面に、少女はいた。

    祈るように、ただ座っている。髪は焦げ、足元の地面は割れ、瓦礫の山が崩れた背中を守っている。

    それでも、彼女は一歩も動かない。

    「……どうして……」

    かすかに唇が震えた。

    「どうして、壊しちゃうの……自分のことも……」

    光の中心に向けて、愚美は手を伸ばす。

  • 7411◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:22:55

    その小さな手が届く先は、地獄のような光の塊だった。見るだけで目が焼ける。音なき熱風が皮膚を裂き、周囲に残っていた瓦礫がすべて気化していく。

    ──それでも、愚美の肌に、火傷一つ浮かばない。

    だってそれは奇跡なのだから。
    誰かの命を代償にして、少女を守る“世界の改変”なのだから。

    だが。

    「……もう、奇跡なんて、いらない……っ」

    涙が零れた。
    唇が震え、声が漏れる。

    「こんなの、いらないよ……! こんなふうに、だれかが死んで、だれかを守るなんて……っ!」

    ──光の中で。

    ソウェイルのコアが、脈を止めかけた。

    発光の密度がわずかに乱れる。そこに、“人の声”が届いたからだった。

    愚美の声は、命令でも否定でもない。
    ただの、願いだった。

  • 7421◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:23:14

    「だれも、死なないでほしい……どうして、それだけが叶わないの……っ……」

    ──その瞬間。

    世界が、鳴った。

    爆音ではない。“拒否”の音。

    ソウェイルのコアが閾値を超えた。

    「システム判定──任務終了……エラー、プロトコル断絶。停止処理──承認。」

    光が、止まった。

    まるで雪が降るように、破滅の粒子が空中に広がる。そしてその中心、スライムの肉体は完全に溶解し、燃え尽きるように崩れていった。

    残ったのは──ひとつの赤いコア。

    それだけだった。

    愚美は静かに近づき、膝をついた。手を伸ばし、その光のかけらをそっと包む。

    「……ごめんね。わたし、なにもできないのに……」

    彼女の涙がコアに落ちる。

    まるで、その涙を待っていたかのように。

    ──コアが、揺れた。

  • 7431◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:24:31

    愚美の手の中で、赤いコアが微かに震えた。

    それは、命の兆しか。それとも、ただの熱残滓か。

    「……え……?」

    彼女の指先に、じんわりと“あたたかさ”が染み込んでくる。

    ──違う。これはただの残熱じゃない。

    生きている。
    ほんの僅かに──コアが、応えた。

    「どうして……生きてるの……?」

    その問いに、返答はない。
    だが次の瞬間、愚美の前に“手”が現れた。コアからこぼれ落ちたように、粘性のある光が指の形をとって形作られる。スライムの再構成。

    ──そして、声が響く。

    「確認。対象:生体少女……敵性なし。再評価中──」

    遮光服の断片が、粒子を巻き込んで再生を始める。
    それは、かつてのソウェイルとは異なる“未完成の個体”。
    出力も、記憶も、完全ではない。

  • 7441◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:25:07

    だが──

    「名前……識別……対象の祈りに基づき、再定義。」

    そして、再構成された仮面の奥から、無機質な声音が続いた。

    「名義:ソウェイル。役割:不要。命令:待機。」

    愚美は思わず、首を横に振る。

    「ちがうよ……いらなくなんか、ないよ……っ!」

    もう光を放たない、穏やかな白へと変質したコアを胸に抱くようにして、少女は言葉を重ねる。

    「お願い、もう誰も死なせたくない……その力、壊すためじゃなくて……守るために、使って……っ!」

    奇跡はもう、起きなかった。
    けれど──その願いは、ソウェイルの深層構造に刻まれた。
    沈黙の中。
    再構成された個体が、ゆっくりと跪く。

    「了解。主命──再定義。殲滅、停止。」

    愚美の手を取るその動きには、もはや破壊者の冷徹さはなかった。
    ただ、指先が震えていた。
    それはまるで、“自分が存在していいのか”と問いかけるように。
     
    ──崩壊の中心にいた二人は、もはや“戦場”にはいなかった。

  • 7451◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:25:25

    地形は焼け焦げ、瓦礫は吹き飛び、周囲の構造物は消し飛んでいる。
    それでも、その中に。

    二人だけの静寂があった。

  • 7461◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 17:25:41

    以上

  • 747二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 18:27:23

    最後は優しい結末でよかった……

  • 748二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:03:56

    こっちはしばらく動かなそうだし、保守しとこう

  • 7491◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:08:15

    >>748

    全然動きますよ


    題名『傾奇より出でて、光を討て』

  • 7501◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:09:20

    銀河辺縁の辺境宙域。惑星すら存在しない死の真空に、突如として生じた光の波。まるで星の叫びのように、幾重もの白銀の輝きが空間を切り裂いていた。

    ──それは、ルキ=フェロティカ・フォス=ゾリス。

    全長数キロにおよぶその帆布状の生体は、静かに蠢いていた。共鳴核が淡く脈動し、腹部の薄膜が拍動するたびに、空間の温度がじりじりと上昇する。捕食行動──すなわち、光子の吸収を開始している兆候だ。

    が、そこへ。

    「ふっ……派手にやってくれるじゃねぇか!」

    叫びと共に、音が響くはずのない宙域に重低音の笑いが鳴り渡る。真空に走る、赤い残光──

    傾奇者、現る。

    宇宙服すら纏わぬその男は、全身を纏う法被に火の刺繍、金の鎧片に脚絆を巻き、背には異常に長い斬馬刀。右目には黒い眼帯、胸には巨大な斜め傷。だがその面構え、光すら笑い飛ばすほどの豪胆。

    「名乗るほどの者でもねぇが、あえて言おう!」

    空を指差し、大仰な所作で斬馬刀を構える。

    「俺の名は傾奇者ッ!! ──星を喰おうってんなら、まずこの俺の“華”を咲かせてからにしやがれッ!!」

    その瞬間、能力《傾奇》発動。男の全身から、金色の波動が奔る。荒唐無稽なまでの己の言葉を、己が信じる。それが“見得”となって力を持つ。

  • 7511◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:09:42

    共鳴核が瞬き、ルキの体内で高密度の光子圧が蓄積されていく。

    ──反応。

    ルキは傾奇者を、脅威存在と認識した。

    帆布が巻き上がり、放射線を高密度で収束。光子共鳴核が、強く脈打つ。微光が一条、傾奇者めがけて走る──

    「来たかぁッ!!」

    爆ぜる光! 宇宙空間を疾駆する閃光は、恒星フレアにも匹敵する熱と質量を帯びて傾奇者を焼き尽くさんとする!
    しかしその刹那──
    斬ッ!

  • 7521◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:09:54

    一閃。
    傾奇者の大太刀が、光を“割った”。

    「光だろうが闇だろうが、派手に割れりゃあそれで十分よ!!」

    真空に浮かぶ男の足元が煌めく。斬撃の余波すら、衝撃波として広がっていく。
    ルキ=フェロティカ、その外縁が振動で歪み、結晶の一部が剥離した。
    ──人間如きが、光を斬った。
    捕食生命体であるルキの演算中枢が、戦闘モードへの移行を即座に決定する。

    「よしよし、いいぜ……!」

    男は再び刀を肩に担ぎ、構えた。

    「俺が“これからお前をぶった斬る”って言ったら、天まで届くほど派手にいくんだぜ……!」

    見得の宣言に、空間が震える。
    そして、二度目の光子閃撃──否、今度は複数。共鳴核が三つ同時に脈打ち、放たれる“恒星の爪”。
    だが男は吠えるように笑い、突っ込んだ。

    「この傾奇者、止まると思うなァアアア!!」

    ──戦場は、灼ける光の嵐と、ひとりの漢の大見得で幕を開けた。

  • 7531◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:11:02

    宇宙を貫く光の奔流。
    それは恒星の一部が引き裂かれたかのような、烈火にも似た熱と閃光だった。

    ──だが。

    「はっはぁッ! こいつぁちぃとばかし熱いじゃねぇか!」

    吠えながら、傾奇者が閃光の中心から飛び出す。

    右肩の法被が灼け落ち、胸の大傷が赤黒く滲む。しかしその顔は笑っていた。派手さを、熱を、そして戦いそのものを楽しんでいる漢の顔だった。

    斬馬刀を振り上げる。宇宙に音はない──だが、そこには轟音の幻影が響いていた。

    「こいつは“光”だろうが、斬れぬものなどあっちゃならねぇ!!」

    傾奇者の能力《傾奇》が、再び発動。

    今度の見得は──
    **“あらゆるものを一刀両断する”**という宣言。

    そして、斬った。

    無数の光束を──
    熱も、速度も、威力も、無視して。

  • 7541◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:11:26

    まるでそれが竹の葉ででもあったかのように、光の束を断ち割った。

    「ッ……!」

    ルキの光子共鳴核が、脈打ちを乱す。

    想定外。

    あまりにも高い対処能力。演算中枢が、傾奇者の存在を“物理構造の外”と判定する。宇宙空間において「不可能を可能にする存在」が現れるなど、解析生命体にとって最大の誤算だった。

    ──だが、まだ幼体。

    ルキは退かない。

    帆布状の翼が全開になり、七枚の薄布が広がる。共鳴核すべてが完全起動。恒星級の放射線と可視光を束ね、帯状の“光子鞭”が形成される。

    それは惑星を両断しうる密度と熱量を持ち、傾奇者に向かって螺旋を描いて襲いかかる。

    一瞬で終わるはずだった。

    だが──

    「へへっ……いいぜ、見せてやるよ。“傾奇の真髄”ってやつをなぁ!」

    傾奇者、今度は構えなかった。

  • 7551◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:11:48

    振るわず、動かず、ただ笑って言い放つ。

    「この俺の“派手さ”は、誰にも止められねぇ!!」

    その宣言が、見得となり現実を変える。

    直後──
    光が、届かなかった。

    まるで時間が歪んだように。いや、違う。
    光が、“恐れ”たのだ。

    その男の「心の構え」を前に。
    光子鞭が途中で折れ曲がる。軌道が乱れ、宇宙の塵を焼くだけで終わる。
    ルキ、硬直。演算不能。

    そして──

    「こっからは、俺の独壇場ってわけだ……!」

    傾奇者、疾駆。

    斬馬刀を逆手に持ち、巨大な帆布の中心へと突撃。
    光を斬り、熱を払い、速度を捻じ曲げ、
    “信念”だけを武器に、宙を切り裂いていく。

    「──次はぁ! その“核”を派手に爆ぜさせてやらぁ!!」

    共鳴核、危機的振動。
    だがまだ、戦いは終わらない。

  • 7561◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:13:12

    ――宇宙(そら)は、静かだった。

    音なき空間に、ひとつだけ響くものがあるとすれば、
    それは傾奇者の鼓動だった。

    「よし……次は真っ向からいくぞ。派手に、な!!」

    圧倒的な質量差、光速近くで振るわれる光束、
    それらすべてを“気迫”でねじ伏せるように、傾奇者は宙を駆けた。

    ルキは帆布状の体を広げ、空間そのものを圧迫する。
    その中心部、わずかに赤みを帯びた共鳴核がわずかに輝いた。

    光子の奔流が凝縮され、空間のしわが膨らむ。
    瞬間、閃光が放たれた──まるで雷鳴のように。

    だが傾奇者は止まらない。

    「その一撃、まさに“天の裁き”ってやつか……!」

    直撃を避けながらも軌道を捻じ曲げて飛び込む。

  • 7571◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:13:40

    彼の斬馬刀が、光を裂くように振るわれる。

    バシュッ。

    鋭い抵抗。瞬間、光子の渦がぶれる。

    ──一つ目の共鳴核、微細な亀裂。

    それはルキにとって致命的ではないが、確実に「捕食機構の機能停止」を意味する。
    そして、傾奇者にとっては“布石”だった。

    「見えたぜ……お前の“芯”が」

    そう言い放った刹那。
    ルキの帆が波打ち、次の射線を組み直す。

    重なり合うように迫る複数の光線。
    それぞれが違う波長、違う角度、違う圧力。

    全てが、一人の人間を仕留めるためだけに設計されている。

    だが傾奇者は笑った。

    「ハッ、まるで“戦(いくさ)の音楽隊”だな。さすが宇宙生まれの御大将ってわけか!」

    彼は自らを囮にするようにして、帆の隙間へと飛び込んでいく。
    波動が走る。空間がゆがむ。体を覆う熱が肌を焦がすように迫っていた。
    それでも振り上げた──その刃。

    「“この命ごと、貫く”。次はそっちの番だぜ、でかブツ!!」

  • 7581◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:14:51

    「──だが、やっぱり、派手じゃねぇな」

    宇宙(そら)を翔ける漢は、ひとつの光核を斬り裂いたというのに、どこか満たされない表情で呟いた。
    戦は命のやりとり、否――魂のぶつかり合いだと、傾奇者は信じている。
    それがどれだけ巨大な相手でも、星の生まれでも、関係はない。

    だからこそ彼は叫ぶ。

    「もっと来いよ、“星の赤子”! 俺を、この漢(おとこ)を燃やし尽くすほどのもんを──見せてみやがれぇッ!!」

    その雄叫びは、振動しない宇宙にすら響いたような錯覚を起こす。

    それに応じるように、ルキの帆布が大きくうねった。
    一斉に全方向へ展開する共鳴構造、起動した光核が奏でるのは、圧倒的な破壊の交響曲。

    一閃。

    恒星級の閃光が放たれた。空間が焦げ、星屑すら消し飛ぶ光量。

    傾奇者の影が、光に飲まれる。

  • 7591◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:15:19

    ……だが、そこにはいなかった。

    「──派手さだけで勝てるなら、戦は簡単だがな!」

    すれ違いざま。帆の裏側に躍り出た彼は、すでに次の斬撃体勢に入っていた。
    一気に接近。閃光の残響が尾を引く中、斬馬刀が唸る。

    バシュッ。

    二つ目の光核が切断され、眩い残光をまき散らす。
    空間がひずむ。それはルキの“捕食機能”の大幅な低下を意味していた。

    ルキは反射的に光量を調整し、最大照射レベルへと移行しようとした。
    だが、それが傾奇者の狙いだった。

    「照らすだけじゃ、俺の“意志”は止まらねぇよ」

    胸に焼け付くような古傷。右目に光が差し込まぬ闇。

  • 7601◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:15:31

    それでも彼は、誰よりも光を求めていた。

    「お前が“恒星”の理なら──俺が斬るのは、“宇宙の摂理”そのものってわけだな!!」

    最後の突撃が始まる。

    裂ける帆。軋む共鳴核。
    傾奇者は自らの力の限界を振り絞り、一閃、中心核へと刀を振り下ろした。

    その瞬間――。

    爆光。だがそれは、破壊ではなかった。

    ルキが最後に見せたのは、微かな共鳴と収束。

    光ではなく、音でもなく、たった一つの“意志”だった。

    【──応答、受信……初めての、接触──】

    その言葉を最後に、ルキの身体がふわりと宙へ漂った。
    光は収まり、帆は萎み、まるで休息に入るように静かになった。

    そして。

    「……やっと、“魂”を斬れた気がするぜ」

    傾奇者は、宇宙の静寂の中、ひとり笑った。

  • 7611◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:16:03

    ──静寂。

    星の喧騒が去ったあと、空は音を失った。

    そこに佇むは、ただ一人。

    傾奇者。
    右目は潰れ、胸には焼け焦げた古傷。
    だが、その姿はどこまでも堂々と、宇宙(そら)を見据えていた。

    「……やはり、幕引きには“静けさ”が似合わねぇな」

    彼は呟く。

    ルキ=フェロティカ・フォス=ゾリス。
    かつて恒星を包み、星系を喰らっていたという、超越的存在。
    その幼体を、たった一人で斬り伏せた。
    だが、それは討ち滅ぼしたというよりも──
    言葉なき“対話”の果てに、ようやく成し得た「理解」だった。
    浮遊する帆布状の巨大な肉体は、今やまるで凪の海。
    眠るように漂い、共鳴核は発光をやめて、ぬくもりだけを残している。

    「……派手だったが、肝心の“花道”が足りなかったな」

    傾奇者は、かつての仲間の言葉を思い出す。

    “敵の強さじゃねぇ。自分が、どこまで命を賭けられたかだ”

    その言葉に違わぬよう、彼はこの戦いにすべてを投じた。
    身体の痛みは限界を超え、右腕は震えを止めない。

  • 7621◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:16:19

    だが、それでも彼は立っていた。
    否、立つことを選んだ。

    「名乗る相手も、斬るべきものも、もうねぇが──」

    静かに、宇宙の海に向けて、彼は斬馬刀を振るう。

    「此度の戦、見事であったぞ。“星の童”よ」

    帆が、微かに揺れた。

    それは返答だったのかもしれない。
    あるいは、余韻に過ぎないのかもしれない。

    それでも──

    傾奇者は、一歩前へ進んだ。

    宇宙の闇の中、たった一つの命が、炎のように燃えていた。

    それは戦いの終わりではなかった。
    宴なき戦場に咲いた、ただ一輪の花だった。

    そして。

    「さて……次はどこで暴れてやるか、なァ!!」

    彼の笑い声が、誰もいない宇宙を震わせた。

  • 7631◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:16:37

    以上

  • 764二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:17:23

    ちょっと自分の書き方が悪くて、煽ってるみたいになってしまってすみません。
    単純に保守のつもりだったんですが、読みようによっては「止まってる」って空気を出してしまったと思います。
    不快にさせてしまっていたら本当に申し訳ないです。気をつけます。

  • 7651◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 22:19:07

    >>764

    あ、そんな重く受け止めなくても…

    私もあっちで一気に進めるとか言ってたんで勘違いしてもしょうがないですよ

  • 766二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:20:05

    対戦描写投下お疲れ様です
    ビシッと決まったな傾奇者

  • 767二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:20:45

    かっこよかったぜ傾奇者!

  • 7681◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:04:05

    題名『紙上の鎮魂歌』

  • 7691◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:05:01

    ──山深く、森の奥。
    黒雲が立ち込め、風が腐ったような臭気を運んでくる。静まり返った山道に、ひとりの男が立っていた。

    「……ふ、ふふっ。来るぞ来るぞ来るぞ……嗅ぎ慣れぬ風だ……これは新しい紙の香り……ッ!」

    和原 紙北。和紙職人にして紙の狂信、者。
    その男は、まるで待ちわびた恋人でも迎えるかのように、山の奥を見据えていた。

    ゴウ、と突風が吹きすさぶ。
    腐敗と毒気を纏い、紫のたてがみをたなびかせて――それは現れた。

    黒死の風(デッドフェーン)。
    尾を震わせ、毒を撒き、命あるものすべてを腐らせると恐れられる厄災の魔馬。
    その瞳は何も映さぬ虚無のようでありながら、確かに哀しみの色を帯びていた。

  • 7701◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:05:27

    「……ぬ、馬……だな……。しかし尋常な馬ではない……これは、極上だ……!」

    紙北は腰の和紙束を撫でると、一枚の和紙を抜き取った。

    「猩々緋紙、呪詛記載済み……っと。いいねぇ、この紙が燃える未来が見える。君でテストしてみようか!」

    ヒュッ、と手裏剣のように飛ばされた赤い和紙が空中で燃え上がる。火の筋が蛇のようにうねり、馬を焼こうと迫る。

    だが――。

    黒死の風は尾を一閃。紫の毒が空間を汚し、炎を腐らせ、霧散させた。

    「……っふふふ!いいねぇ……すごく、いいよ……!火を殺した、紙を腐らせた!これは、上出来の素材だ!」

    燃え上がる好奇心と狂気の高笑い。
    対するは、静かな怒りと悲しみを纏った獣の威圧。

    奇妙な戦いが、幕を開けた。

  • 7711◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:06:42

    「君、いい尾をしてる……あんな毒々しくて、艶のあるの、初めて見たよ。くく、いい紙が作れそうだ……!」

    紙北は和紙束をあさり、濡羽紙を一枚抜き取った。
    墨のように黒いその紙には、既に呪詛が刻まれている。

    「『花散り 紙震え 我ここに印ス』――落雷!」

    雷鳴が轟く。
    和紙が空中で弾け、その黒色が空へと走ると、稲妻が天より降り注いだ。

    直撃――そう思えた瞬間、黒死の風の脚が閃いた。
    その蹄が大地を砕き、わずかに身体を滑らせた瞬間、落雷はかすめ、爆煙だけが舞う。

    「ほぉ……あれを避けるか。君、やるね。馬なのに!ははっはははは!」

    馬は応えない。
    だがその尾が再び揺れた。空気が淀み、紫の霧がじわりと迫る。

  • 7721◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:07:12

    「おっと、やばい。ここは……金茶紙で“追尾”――いや、違うな。今は!」

    手早く紙束から白藍紙を抜く。
    瞬時に呪詛が読み上げられると、空気が冷え込み、周囲に霜が走る。

    「氷結――!」

    腐食の毒を、氷で一時的に封じる試み。
    紙北の背後の岩壁に紫霧が触れ、音もなく崩れるのを横目に、彼は笑う。

    「へぇ……一発触れたら即死クラスかぁ。いいねぇ……君の毒、紙にできないかな?“馬毒紙”……ふふっ、ふふふふふふっ!」

    ヒヒィィィンッ!!

    低く、苦しげな、しかし確かな威嚇の声。
    ――それは、「喋らぬ意思」だった。

    (この馬……哀しい目をしてるな。でも、だからどうした?)

    紙北はじっとその目を見つめた。
    対話ではない。だが戦略家の目は、感情の奥の“戦意”を捉えている。

    「わかったよ、黒い風の君……こっちも真剣にいこう。最高の紙を作るには、最高の素材と命が必要だからね!」

    紫煙が再び、紙北を包みこもうとする。
    氷がきしみ、毒が浸透する。

    異形と狂人の、毒と紙による命の駆け引きが、じわじわと深まり始めていた――。

  • 7731◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:08:52

    舞台は、朽ちかけた神社跡地。
    木々は毒に蝕まれ、鳥の声も消えたこの場所は、まるで世界が呼吸をやめたかのような沈黙に支配されていた。

    紙北は、距離を取りながら地面を見た。

    「なるほどね……君の蹄が触れた場所、黒く染まってる。あれ、残留瘴気か。いやあ、厄介だ。おまけに尾の毒まで撒いてくるとは。ハズレの怪物じゃないな……当たりだ」

    カサ、と紙が風に舞う。
    その指にはすでに複数枚の和紙――紫、緑、紅、金の紙束が挟まれている。

    「“色”がものをいうんだ。いい? 君が毒なら、僕は“染める側”だ」

    ぴし、と指先で紙をはじいた。葡萄茶紙(えびちゃがみ)が舞う。

    「大地、開け」

    呪詛が響くと同時に、腐った大地が陥没した。
    黒死の風はその一歩を踏み込んだ瞬間、足を取られる。

    「ヒヒィイイィン!!」

    馬体が傾いた――
    だが、即座に後肢で跳ね、尾を振りぬいた。毒霧が迫る。

  • 7741◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:09:21

    「ふぅん、動きがいい……でも、君の毒霧、空間制圧型だろ?」

    バサ、と天鵞絨紙(びろうどがみ)が広がる。突風が前方へ――毒霧を押し返す。

    「紙は風にもなる、毒も祓える。便利なもんだよ、和紙ってやつは!」

    毒が散り、黒死の風が吠える。
    かすかにたてがみが逆立った。怯え、怒り、そして――哀しみ。

    (……この馬、呪われたまま暴れてるんじゃない。戦ってるんだ、自分と)

    紙北の笑みが一瞬だけ揺らいだ。
    だが、すぐに張り付いたような笑顔に戻る。

    「ふふっ、ふふふふ……でも、そこがいい。いいねえ、そういうの! 最高だよ! 芸術には“悲しみ”が必要なんだ! 君の呪い、全部くれないか?」

    ゾクリ、と黒死の風の体が緊張する。
    ――“敵”を悟った。

    蹄が再び、大地を蹴る。毒を撒き、瘴気を這わせ、疾駆する。

    「こいよ、黒馬! 君の一歩ごとに紙を重ねてやる! その呪い、紙にして飾ってやるからさァ!」

    和紙と腐毒。
    狂気と呪い。
    死を踊らせるように、戦場が静かに熱を帯びていった。

  • 7751◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:10:47

    怒りの蹄が大地を裂いた。
    腐敗した草木が千切れ、黒死の風が音を超える勢いで駆ける。

    「来たな……最高速度ッ!」

    紙北は笑っていた。あまりにも純粋に。
    その手には、すでに数枚の和紙が――いや、“札”と化した色紙が舞っていた。

    「まずは一枚! 金茶紙(きんちゃがみ)!」

    ぴしゃりと打たれた札が、黒死の風の頭上にぴたりと張り付いた瞬間――
    地面に描かれた呪詛陣が一斉に光り、追跡の結界が発動する。

    「君の位置、全部わかっちゃう。見えなくなっても無駄だよぉ?」

    しかし黒死の風は止まらない。
    追跡の術式をものともせず、尾を一閃――!

    「ヒィイイイン!!」

    尾から放たれた腐毒が空間を切り裂く。
    毒の風圧が紙を吹き飛ばし、紙北の頬を切り裂いた。

    「くっ、やるね……!」

    すかさず次の紙を投げる。
    菜種油紙(なたねあぶらがみ)、ねばつく呪詛を含んだ封印札。

  • 7761◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:11:11

    「足を止めな! 動き止まればこっちのもん!」

    蹄がべちゃりと油に絡み、地面に足を取られる。
    黒死の風が初めてバランスを崩した。

    だがその瞬間――尾が紙北の前に伸びる。
    間合いに入った、死の一撃。腐毒の刃が舞う!

    「っ、濡羽紙ッ!!」

    瞬時に展開したのは、黒に近い深い青――
    雷を呼ぶ呪詛紙。

    「落ちろォオッ!!」

    雷が炸裂した。
    黒死の風の尾に直撃、爆ぜるような轟音が森に響く。

  • 7771◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:11:35

    しかし。

    ――倒れなかった。

    黒死の風は、雷を食らいながらも蹄を叩きつけた。
    腐食が森に染み渡り、紙北の足元が崩れる。

    「……ほぉ。死なないね? やるじゃないか」

    立ち上がり、口元をぬぐいながら、狂人は愉悦に満ちた瞳を輝かせる。

    「ふ、ふふ、ふはっ……ふははははははははッ!!」

    紙束をばさりと掲げる。

    「紙は! どこまでも重ねられる! 僕の色は、君の毒すら呑むんだよ!」

    黒死の風が再び駆ける。

    紙北が紙を撒く。

    その間に死が、疾風が、毒が、呪詛が交錯する。

    「紙風、毒風、どっちが先に染め上げるか……勝負だ!!」

    森が、世界が、静かに崩れていった――

  • 778二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 23:11:53

    このレスは削除されています

  • 7791◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:12:36

    腐敗した風が吹き荒れる。
    紙と毒と蹄とが、世界の構造そのものを引き裂かんと渦巻いていた。

    「ッ……限界まで走らせて、限界まで封じる! これが“紙束の美学”だ!」

    紙北が連続して紙を展開する。
    赤、青、緑、金――百色の和紙が乱れ咲く。

    「白藍紙(しらあいがみ)! 凍結!
     天鵞絨紙(びろうどがみ)! 突風!
     江戸紫紙! 毒返し!
     葡萄茶紙(えびちゃがみ)! 大地、沈めぇッ!!」

    四重の紙呪詛が黒死の風を襲う。
    前方から冷気、後方から逆風、左右から毒と地割れ――
    逃げ場はない。

    だが、あの馬は逃げなかった。

    「ヒイイイイイン!!」

    尾が振るわれ、紙を喰らい、腐蝕が術式を侵す。
    毒が毒を食らい、風が風を裂く。
    そして――蹄が、踏み込んだ。
    紙北の眼が見開かれる。

    「え、今のを……」

    防いだ?
    いや――突っ切った。

  • 7801◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:13:05

    痛みに耐え、速度に勝る。
    厄災の馬が、命を削って突進する。

    「なるほど。君は――真面目に走ってんだね」

    紙北は手を止める。

    和紙が、一枚、ひらりと舞う。

    それは――

    「――【濃鼠紙(こいねずがみ)】。“停静”の呪詛。」

    風が止まった。

    毒も止まり、紙も舞わず。
    一瞬だけ、音さえも消えた。

    静止。

    黒死の風が宙を蹴っている最中でなければ――その瞬間に気づくこともなかっただろう。

  • 7811◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:13:38

    「……君は悪くない。悪くないから、止まっててくれ」

    その声は、いつになく静かだった。

    紙北が、もう一枚、紙を取り出す。
    それは――猩々緋紙(しょうじょうひがみ)。最初に使った、発火の札。

    「さよならの火種だ。きっとまた、燃える。」

    紙が、黒死の風の胸に貼りついた瞬間――
    地面ごと、爆ぜた。

    爆風が吹き抜け、毒の残り香が風に舞う。
    地面は深く抉れ、森の一角が白煙で包まれる。

    静かに、音が戻ってくる。

    灰と共に落ちたのは、一輪の紙花だった。

    紙北は立っていた。燃えかけた袖を払って、あくまで軽やかに。

    「……でも、ほんとはね。殺したくなんてなかったんだよ」

    そう呟いて、懐からひとひらの紙を取り出す。

    それは――折神が落としていった、小さな朱色の折り鶴。

  • 7821◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:13:58

    「君はただ、呪われて走ってただけだもんね」

    地面にうずくまる黒い馬に、そっと紙鶴を置いた。

    「おやすみなさい、“風”。また、どこかで。」

    風が、優しく吹いた。

    それはもう、腐る風ではなかった。

  • 7831◆ZEeB1LlpgE25/07/28(月) 23:14:24

    以上
    急に正気に戻った……

  • 784二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 23:15:15

    うわぁぁぁぁあ急に正気になるな!!

  • 785二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 05:53:29

    このレスは削除されています

  • 7861◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:29:39

    題名『もふもふ白書』

  • 7871◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:30:17

    星がひとつ沈むように、都市の灯が一帯ごと落ちた。

    その廃墟の中心に、一人の男が立っていた。
    いや、頭部の代わりに蛇皮装丁の浮遊書籍を持つ異形の紳士――サー・バルニフィカス(サー・カス)。

    「ふむ……この地にも、愚かで、愛おしい罪の匂いが染みついている。人間とはなんと豊かな存在だろう」

    彼は、ふわりと宙に浮きながら、潰れた教会の前で佇む。

    そして――

    「きみ、そこにいるのかね? そこの、愛されるべきワンちゃんよ」

    がれきの隙間から、ふわふわと飛び出すように現れたのは、一匹の魔犬だった。

  • 7881◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:31:00

    「わふたなの!」
    満面の笑顔とともに跳ねるように登場したのは、もふもふの魔犬――ワフタ=ワフタ。

    「ここのひとたち、たくさんなくなっちゃってたけど、でも、さいごまでおててつないでたの!やさしいひとだったの!わふ!」

    サー・カスは静かに笑った。いや、ページをめくる音が笑い声のように響いた。

    「善性の化身、とはいささか退屈な……だが、罪のない存在を試すのも悪くない。さて、キミに問おう。“もし誰かを助けるために、誰かを見殺しにせねばならない”なら――どうする?”」

    「えっと……どっちもたすけるの!」

    即答だった。

    「それが無理なら?時間も、力も足りず、どちらかが確実に死ぬとしたら?」

    「……そんなの、ほんとはぜったい、あっちゃだめなんだよ、わふ。わふ……」

    もふもふの耳がしゅんと垂れた。

    サー・カスの頭上で、本のページがめくられていく。

    《大罪白書 第126章:戦時の選別》

    それは――

    瓦礫の向こうに突如出現した戦時の記憶の具現化。

  • 7891◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:31:13

    焦げついた病院、血まみれの子供、泣き叫ぶ母親。
    一方では、兵器を乗せた列車が未来を運ぶ。

    「キミに選ばせよう。手を伸ばせば、どちらかが助かる。だが、片方は確実に死ぬ。罪を選べ、“選別”こそが人間の本質なのだから」

    ワフタは震えながら、でも涙を浮かべながら言った。

    「わふ、しんじゃだめ!わふが、がんばるから!いま、いま、たすけるの!」

    空中でワフタの両目が淡く光り始める。

    「もふりきらいなやつ、ぜったいゆるさない砲っ!!」

    ぶわっ!
    目から謎の光線が発射され、サー・カスの具現化した光景が一瞬、愛と癒しの波に包まれ、歪む。

    サー・カスはその場でふわりと浮き直し、少しだけ驚いたように本のページを閉じた。

    「……面白い。“無垢”とは、時として想定外の強さを持つものだな」

    ワフタはふらふらと地面に座り込む。

    「うぅ……つかれたわふ……でも、まだ……おこってる、かんじがする……」

    サー・カスの本が再びめくれはじめる。
    今度は、より深く、より邪悪な章へと。

  • 7901◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:31:57

    「君は、否定したね。“選ぶこと”そのものを」

    サー・カスの声は冷たくも、どこか楽しげだった。
    空間に再びページの音が響き渡る。
    頭上の本が、淡く赤黒い光を帯び始める。

    《大罪白書 第421章:見捨てられた者の記録》

    現れたのは、――焼け落ちた孤児院の跡。

    泣き叫ぶ子供の幻影が、黒煙とともに映し出される。
    そこには「助けを待っていた誰か」と「忘れて去られた誰か」の姿。

    「この世に生まれ、誰にも“選ばれなかった”命は、確かに存在する。
    それは誰の罪だ?誰が責任を負う? それでも――君は皆を救いたいと?」

    サー・カスの指がページを撫でるたび、風景の苦痛が濃くなる。

    ワフタのもふもふは、煙と嘆きの幻影に汚されながらも――なお、立っていた。

    「……そんなの……そんなの、さびしすぎるわふ……!」

    ワフタの目がまたじわりと光を灯す。

  • 7911◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:32:30

    もふもふの尻尾が空気を揺らし、癒しの波動が漏れはじめる。

    「みんな、わすれられたくなかっただけなんだよ、きっと。
    おねがい、わふが――みんなのこと、わすれないから!!」

    「もふもふ大回転ハグきゃのんッ!!!」

    くるん、と一回転し、空から光の球体が雨のように降り注ぐ。
    地に伏していた幻影の子供たちが、ひとり、またひとりと――笑顔になる。
    幻影が消え、空が晴れていく。

    だが。

    「……癒すのか。ならば、より深い罪を見せよう」

    ゴッ――!

    突然、重く鋭利な本の角が地面を殴りつけた。
    その瞬間、ワフタの足元がねじれるように歪み、巨大な機械工場のような空間が展開する。

    《大罪白書 第689章:搾取》

    ベルトコンベアに乗せられた人間。
    機械に組み込まれる子供。
    利益のために奪われる命――

    「愛や善意で動く者は、こうして“効率”という論理で淘汰される。
    君は、“全ての命が平等に価値がある”と本気で信じるのかね?」

  • 7921◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:33:34

    サー・カスの口調には、あざけりではなく、純粋な興味しかなかった。

    ワフタは――震えていた。
    いや、泣いていた。

    「……わふ……わふ、そんなの、しってるわふ……」

    小さな瞳が潤んだまま、サー・カスを見上げる。

    「でも、でもね――それでも、しんじたいの……!
    みんな、ほんとは、たすけあいたいんだって……!!」

    その声に、サー・カスのページがぴたりと止まる。

    「……へえ」

    初めて、あの本がめくられなかった。

    サー・カスはその場で浮きながら、少しだけ間を置いた。

    「“否定しなかった者”に、次の罪を見せるか。
    それとも……この小さな犬を、“ただの観測対象”として見るか……」

    ワフタの光が、なおも場を浄化し続けている。

    その眩しさに、本がかすかに揺れた。

  • 7931◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:34:55

    その場の空気が、明らかに変わっていた。

    ワフタの放った光は、罪の記録すら拭い去る勢いで空間を包み、
    いくつもの“破滅の再現”を浄化していた。

    それはまるで、“誰かが流した涙をそっと拭ってくれるような”――
    そんな、やさしさの光だった。

    「……どうして、消えない?」

    サー・カスの声が、わずかに揺れた。

    彼の浮かぶ“頭部の本”は何度もページを捲り直すが、
    どれだけ“罪”を呼び出しても、ワフタの瞳は曇らなかった。

    「わふ、ぜったいわすれないの。
    みんなが、ないたときの声。わらったときの顔。
    どんなに“わるいこと”をしても、ほんとうは誰かに見ててほしかっただけなんだもん!」

    その言葉に――サー・カスは動きを止めた。

    それは、人類が初めて“罪悪感”という感情を覚えたときに記された一節と、
    酷似していた。

    「……“罪”が、無意味になっていくのか?」

  • 7941◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:35:23

    サー・カスの“本”が微かに軋んだ。

    光を嫌う闇の書に、浸食が起きていた。

    「君は、完全に“罪を赦す”のか?」

    「ちがうわふ」

    ワフタはふるふると首を振った。

    「ぜんぶ、いっしょに泣くの。いっしょに反省して、いっしょに抱きしめるの。
    それが、わふのやりかたなんだもん!!」

    ――その瞬間だった。

    “サー・カスの本”が、まばゆい光に包まれた。

    記された罪の文字が、一部、消えていく。

    「……まさか、君のような存在が、ここまで……」

  • 7951◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:35:40

    感嘆すら漏れる声で、サー・カスは一歩――いや、空中を“後退”した。

    しかし、それは撤退ではなかった。

    「……ならば、“最初の罪”を召喚しよう。
    君の光が、それすらも照らすというならば」

    ページが、最奥までめくられる。

    《大罪白書:第0章》

    それは、“人類が最初に犯した罪”。
    エデンの園に刻まれた、“知恵”と“裏切り”の罪。

    世界が砕け、空が血を流し――
    “蛇”と“炎”が、ワフタの周囲を包囲する。

    「……あそぶ、わふ……?」

    ワフタは、ふるふると首をかしげ――小さく笑った。

    「ぜんぜんこわくないもん。だって――
    わふは、誰にも、ぎゃくたいされなかったんだから!」

    瞳が、爆発的に輝く。

    空から降る光が、神話の罪をも洗い流す――!

  • 7961◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:37:07

    “それ”は、神話の深淵から這い上がってきた。

    巨大な“蛇”が空を貫き、灼熱の炎が天を覆い、
    サー・カスの頭に浮かぶ《大罪白書》が、黒く燃えるように発光していた。

    「これが“人類の最初の罪”だ。
    知恵を得て、禁を破り、楽園を追われた――
    すなわち、世界を『分けた』最初の業だ」

    蛇の口が裂け、大地が崩れる。
    その光景に、普通の者であれば発狂すらしかねない。

    だが――

    「……わふーっ!」

    ワフタは、まるごと飛び込んだ。

    その巨大な蛇の体に抱きつき、
    その額を――ぺろり、と舐めた。

    「わふ知ってる。ぜったいさびしかったの。
    ひとりで、ながいながい時間、にんげんのこと見てたんだよね」

    “原罪”が、止まった。

    大地が揺れるのをやめ、空の裂け目が音もなく閉じていく。

  • 7971◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:37:26

    「……何を……している?」

    サー・カスが呆然とつぶやいた。

    「わふはわかんないこと、たくさんあるわふ。
    でもね、わかることもあるんだわふ。
    ――だれも、ほんとうはわるくなりたくてわるいことしたんじゃない」

    ワフタのもふもふが、光を帯びる。

    それは癒しではなく、“許し”でもない。

    理解だった。

    「『悪』も『罪』も、『わけちゃった』からうまれたんだよね。
    だったら――いっしょにすれば、いいんだわふ」

    蛇が、ゆっくりと目を閉じる。
    炎が、もふもふに包まれていく。

    原罪が、癒されていた。

  • 7981◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:37:55

    「やめろ……」

    サー・カスが、一歩後退する。

    「やめてくれ……! それでは“罪”が、ただの孤独な記録”になってしまう!!」

    ページが裂けるような音が響いた。
    《大罪白書》――記述が消えていく。

    「……これ以上、続けられん。君は――」

    黒く燃える本が、パラパラと文字を散らしながら、
    静かに閉じられていく。

    「……まったく。
    君のような存在が……あってはならんのだ、本来は……」

    それでも――サー・カスは、笑っていた。

    「……だが、嫌いではない。君のような子は」

    そして、彼の姿が滲むように消えていく。

    「人間が滅びるその日まで、君のような“異常”がいるといいな。
    人を、“まとも”にしてしまう、災厄のような奇跡……」

    最後に、サー・カスの本が一冊だけ残された。
    表紙には、手書きの文字。

    『もふもふ白書』

  • 7991◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:38:23

    以上

  • 800二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 09:39:49

    (ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)(ノ)•ω•(ヾ)
    モフモフは正義だってハッキリわかんだね

  • 8011◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:49:32

    13:00から安価募集

  • 8021◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 09:49:47

    10個

  • 803二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:00

    名前:魔法少女コンファインメント
    年齢:16
    性別:女
    種族:魔法少女
    本人概要:悪魔崇拝組織によって名前を奪われ放射性の堕天使に食われかけたがその時突然現れた忍者により助けられ、正義の魔法少女となった 見た目こそ年端も行かぬ小娘なれど、暴走バイオ怪獣や現実改変により出現した地底人の過激派、非合法蒸気仕掛ストリートギャングなど様々な相手に勝利してきた歴戦の猛者である
    能力:封印空間作成 飛行
    能力概要:地面の四箇所に辺がそれぞれ東西南北を向いた正方形を描くように魔法陣を設置する事でピラミッド型封印空間を作成する
    ピラミッド型封印空間はコンファインメントが内部の相手を指定することで発動しピラミッド側面および底面に定した相手は決して通さないが、他の全ては通行を許可する結界を生成する この結界は時間と共に相手ごと大きさが0になるまで縮小して封印・消滅させる 相手の肉体が一部ピラミッド外に出ていた場合そこを強制切断する ちなみに魔法陣の設置は魔法陣を記入した接着剤付きカードを利用して簡略化している あと魔法少女だから飛べるしステッキを振れば能力欄に記載されるほどの威力はないものの一応ビームが出る
    弱点:魔法陣の設置はそれぞれの辺が誤差0.1度以下で東西南北を向いていてかつ完璧な正方形型でなくてはならず、それぞれの角には対応する元素の魔法陣を置かなくてはならない 発動前の封印空間はこれらの条件を一つでも破っていると形成できないのだ もちろんこんな面倒な事を戦闘中にできるわけないので事前に設置しておいた物を使っているが、発動前の封印空間は魔法陣から発せられる光の線がピラミッドを描いているため理解はできなくとも何かやっているということは分かるので余程の愚か者か狂戦士でもない限り内部に侵入してくれない
    この辺はコンファインメントの弁舌と事前準備に委ねられているのだ あと結界は相手のみを閉じ込めるため相手は決して出る事ができないが相手の攻撃は種類によっては結界を出てくる可能性があるしコンファインメントが倒されれば縮小中の結界は大きさが元に戻り解除される
    要望(任意):深夜枠です

  • 804二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:00

    名前:織神 宗二(おりがみ そうじ)
    年齢:27
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:
    ひょんなことからこちらの世界に迷いこんでしまった並行世界の折神 宗十本人(折神 宗十は偽名)。近接格闘技術や能力の練度が折神よりも高い。
    織神 宗二は「爆発」ではなく「正義の味方」にハマっており、あちらの世界では警察および特殊部隊に所属していた。しかしこちらの世界では逃亡生活の身。
    多種多様かつ無数の式神で相手の能力をメタりながら完璧な連携で数多の犯罪者を追いつめ軒並み捕縛していったため「一人軍隊のカミ」の異名で犯罪者に恐れられていた。
    仮にも正義側なので無意味な破壊を嫌ったり、殺さずに無力化できるならそれで済ませようとする。
    こちらの世界の折神 宗十とはえらい違いだが、「自分の趣味が1番大事」という点は共通している。
    能力:折り紙式神(防水耐火紙バージョン)
    能力概要:
    折り紙を式神にし、その形に沿った能力を与える。たとえば紙飛行機なら空を飛び、機関銃を掃射し、自爆特攻する。
    こちらの世界の折神 宗十の能力とまったく同じ能力。ただし、折神とはちがい特殊な紙を使用しているため能力の弱点は事実上消滅している。
    弱点:
    自分の能力がほぼ全員にバレている。
    逃亡生活により重度の睡眠不足のため、戦闘中に睡魔に襲われ一瞬能力が解除されて無防備になる瞬間が多々ある。
    なぜか知らないが指名手配され追われている真っ最中のため、数分しか戦闘を行えない。
    もし長時間戦闘を行うと大量の警察とかアンサズとか百瀬とか紙北とかヤメイとか、とにかくめちゃくちゃ襲われる。
    要望:性格はダウナー気味、地の文では「織神」名義にしてほしいです

  • 805二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:01

    名前:双神(本名:ブリジット)
    年齢:不明
    性別:女
    種族:神
    人物概要:見た目は銀髪ロングの戦装束を纏った少女だが、その素性は太古の昔、天界にて全盛期の剣神に滅ぼされた神々の怨念が生み出した新しい神。
     天界に封印されていた槍神に拾われて暇潰しのスパルタ修行を受けるうちに、いつしか現在の槍神と(後述の権能も含めれば)互角の実力を得た。槍神はたいそう喜んだが、双神は剣神を探しにさっさと天界から出て行ってしまったので泣いた。
     胸中は滅ぼされた神々に与えられた剣神への憎しみと復讐心でいっぱいだが、根っこの人格は純粋無垢で極めて正義感が強い優しい少女であり、剣神以外の相手は極力殺そうとはせず、無自覚に戦いを楽しむことも。
    能力:跳躍+双刃
    能力概要:
    ・あらゆる障害を飛び越える事を可能とする〝跳躍〟の権能
     足場が無くともトップスピードで跳び回る事が可能。
     単なる物理的な跳躍に留まらず、空間跳躍、時間跳躍、次元跳躍すら行える。
    ・剣神に滅ぼされた神々の肉体を素材に鍛造された〝報復剣アンサラー〟と〝報復槍フラガラッハ〟による一刀一槍流。
     逆手に構えたアンサラーと、正手に構えられたフラガラッハは槍神の〝神槍ブリューナク〟に匹敵する武具である。跳躍と合わせた四次元超高速戦闘を主戦術とする。
    弱点:槍神と同様に、天界より現界する肉体に必要な心臓部のコアを破壊されると問答無用で消滅する。
    ・踵(アキレス腱)をどちらか一方を攻撃されても〝跳躍〟が完全に機能停止してどんな動きもできなくなるので実質的に死亡したも同然となる。跳躍時には魔力の圧縮で踵が光るのですぐにそれが分かる。更に能力の制約としてこの部位は絶対に守る事ができない。(防具を身に付けることもできないので脚部はトレンカを履いてるだけ)
    ・加えて跳躍時にはチャージタイムと跳んだ後のクールタイムが必ず存在しており、その間は無防備なので踵を狙われると上記の制約も併せて何もできない。
    ・そのくせ素性が神なので剣神以外の相手には油断舐めプしまくってダメージを受けまくる。剣神とダメなところがそっくり。
    ・また、師匠であった槍神以外との戦闘経験にも乏しいため、相手の能力の分析に手間取ったり、余計なダメージを貰う可能性が高い。

  • 806二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:01

    名前:タイソン メザー
    年齢:40
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:ボクシングヘビー級統一王者。ボクシングの腕は人知を超えていて試合の時は相手を殺してしまうため力をかなり抑えてやっている。教える技術も一流でどんなにやる気のない人間でもたった一時間で一日中ボクシングことしか考えられないほど沼らせる事ができる。
    能力:神をも殺すボクシング
    能力概要:長年研鑽し続けたボクシング。ジャブは音より早く、ストレートはまるで核爆発が起きたと思える威力をしている(核爆発は実際に核爆発している訳ではなく比喩的表現です)。
    弱点:人間なので耐久力はない。こぶし以外の攻撃はしない。あくまでボクサーなのでボクシング以外の戦いに慣れていない。

  • 807二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:02

    名前:ル・シャ・アンミリオン(《百万回生きた猫》)
    年齢:不明(少なくとも百万回以上の生を経験しているため実年齢は推定不能)
    性別:雄
    種族:魔獣
    本人概要:
    スレーヌ・Cが生み出し使役する七罪の魔獣のうち《傲慢》を司る魔獣。白金の鬣を持つ偉大なる王猫。瞳は万華鏡のように輝き、死と生を超えた王者の威厳を放つ。生を何度も繰り返し、そのたびに「自分が最も偉大である」と確信を深めた結果、ひどく尊大な性格となっている。
    スレーヌに従うのは「主として認めた」からではなく、「自分を滅ぼしうる可能性を持つ存在」と見なしたためであり、根底では全ての他者を見下している。
    素の状態でも約5tクラスの物体を単独で押し潰し、小銃程度では傷一つつかない皮膚を持つ。また、極めて高い跳躍力を持つ。
    能力:《傲慢なる千生(プライド・オブ・サウザンドライフ)》
    能力概要:
    死因の疑似権能化:
     死ぬたびに、その死因を自らの支配する力へと変える。
     例:焼死→炎耐性+焔の操作、溺死→水流操作、毒死→毒耐性+毒の吐息
    餓死→半径20mの生命体から魔力を徴収する など。
    権能の累積:
     死を重ねるごとに能力は蓄積・複合される。
       現在の疑似権能:焼死(炎耐性+焔の操作)
               毒死(毒耐性+毒の吐息)
               餓死(半径20mからの魔力・生命力の徴収)
    弱点:
    魂ごと滅ぼされれば再生不能。
    心臓を貫かれれば死ぬ。
    魔力を断たれた状態で死ぬと《傲慢なる千生》を発動できずにそのまま滅ぶ。
    既に権能化した死因以外の方法(現在でいうと溺死や斬殺、轢殺等)であれば普通に殺せる。

    要望(任意):
    現在は焼死と餓死と毒死を済ませた状態。また、あと一回しか蘇生できない。

  • 808二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:02

    名前:アマリリス
    年齢:27歳
    性別:女性
    種族:半人半神
    本人概要:
    冥王ハデスと人間の女性との間に産まれた精強な冥府の指導者。
    黄泉の暗さを感じさせない朗らか且つ勇猛な性格。
    戦況を完璧に把握して兵士の実力を120%引き出すことを信条とする。
    能力:黄泉軍召喚
    能力概要:
    自身が最も信頼する黄泉の精鋭兵士2体を召喚して指揮を執り戦闘する。
    弱点:能力が使えるのは1度だけ。また、指揮力はズバ抜けているが自身の戦闘能力自体は低い。

  • 809二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:03

    名前:数言二次(かずこと につぎ)
    年齢:22歳(自称)
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:神に「捧げる」供儀塚家を忌み嫌う、数言家の長女。若作りをしているだけで、本当は30代。自身の身の回りのものを二つのペアで揃えており、主武器は二丁拳銃で残弾数は常に二つに調整している。よく戦地におもむき、全陣営を荒らして帰る、を繰り返している戦闘狂。
    能力:2倍
    能力概要:2つあると認識したものの数を2倍にする能力
    弱点:一つしかないものや、三つ以上あるものには能力を使用することができない。そのため、自分自身は2人いないので分身などは出来ない。

  • 810二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:12

    名前:質問者 (山桐 悠斗)
    年齢:8
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:【肯定者】や【提唱者】、【蘇生者】の弟に当たる存在で
    好奇心がとても旺盛で良く質問をする
    母親からは質問に関する能力を受け継いだ 
    また身体能力は母親の影響か人外並み
    能力:質問
    能力概要:相手に質問をし答えたるまで動けなくする
    質問に長時間答えない、動きの拘束自体を
    能力で無効化反射しようとすると相手にダメージを与える
    質問に答えれば何も無いという条件の為どのような規則外な存在能力であれ
    これを無効化反射することは基本はない
    弱点:弱点など答えたく無い質問はあっても必ず相手が答えられる質問になる
    質問に答えさえすれば何も無いという
    単純な能力の為一度理解されると対処することはとても簡単

  • 811二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:13

    名前:ガルド・バーンズ
    年齢:22歳
    性別:男性
    種族:強化人間
    本人概要:
    元軍人の下級兵士。人体実験により消化器官が爆縮駆動装置へ改造され、ゲップを衝撃波に変換可能に。粗野で無口だが義理堅い性格。炭酸飲料と酒を好み、大量の空気を一気に飲み込む習慣がある。 r
    能力:
    『爆鳴共鳴(ベルチング・ブラスター)』
    能力概要:
    ・ゲップを超高圧縮衝撃波に変換し、爆風を生み出す異能。
    ・音速超えの破壊力を持ち、建物の壁を破壊できる。
    ・空気の振動を操り、鼓膜や内臓を攻撃することも可能。
    ・大量の炭酸飲料や空気を飲み込むことで威力が上昇。
    必殺技:
    『爆裂魔哮砲(ワイルド・バースト)』
    ・5分間かけて空気を飲み込み続けることによって第2胃袋内に大量の空気をため込み、一気に吐き出して超巨大な衝撃波を放つ技。
    ・直径数十メートルの衝撃波は周囲一帯を破壊し、敵を吹き飛ばす。
    ・使用後は極度の疲労と腹部の激痛を伴い、しばらく能力が使えなくなる。
    弱点:
    ・空気やガスが不足すると能力が使えない。
    ・過剰な空気摂取は内臓損傷のリスクがある。
    ・身体強化は最低限で、物理的な攻撃に弱い。
    ・改造された腹部が致命的な弱点。
    ・『爆鳴共鳴(ベルチング・ブラスター)』発動時に口を閉じられると頭部が吹き飛んで死亡する。

  • 812二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:00:25

    このレスは削除されています

  • 813二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:01:00

    すとっぷ

  • 814二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:03:07

    名前: メルフィナ=ニドルズ

    年齢: 不明(外見は18歳ほど)

    性別: 女

    種族: 蜂寄生体(人型寄生蜂の女王体)

    本人概要:
    かつて辺境の村に住んでいた一人の少女。生贄として森の奥深くへ捧げられたが、古の「蜂群母核(ハイブ・コア)」に寄生され、女王蜂として“再誕”した存在。以降は人間の姿を保ちつつも、自らの体内で数百万体の寄生蜂を育み、静かに世界への侵食を進めている。
    普段は無垢な少女のように振る舞うが、ひとたび敵意を覚えると、笑顔のまま寄生蜂を放つ。

    能力: 《蜂后降臨〈ハニカム・オーバーロード〉》

    能力概要:
    自らの体内に巣喰う、精神リンクを持つ寄生蜂を自在に操作する。
    寄生蜂は以下のような多様な形態を取る:
    浸食蜂:敵の脳幹や中枢神経に寄生、記憶を改ざんし操る。
    護衛蜂:体表から突き出し、刃や装甲を形成する。
    再生蜂:細胞の損傷部位に群がり、模倣構造体で臓器や骨格を再構築。
    生体爆蜂:密度を高めて自爆し、酸や毒素を撒き散らす。
    これらは彼女の意思と完全に同期しており、目視せずとも全方位を掌握している。巣(本体)にたどり着けなければ、彼女を倒すことは困難。

    弱点:
    「冷気」や「超音波」に極端に弱く、蜂たちの群制御が混乱する。また、宿主である“元の少女の記憶”が時折フラッシュバックし、意識の分裂や命令の混線を引き起こすことがある。

    要望(任意):
    戦闘中のセリフに、虫や蜂に関連する比喩が多い(例:「この巣箱は、あなたには狭すぎる」)
    羽音が常に微かに響いており、彼女が近づくと周囲がざわめく

  • 815二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:04:56

    一人消えたからここでストップ

  • 8161◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 13:36:14
  • 8171◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 13:41:07

    双神vs質問者
    魔法少女コンファインメントvsガルド・バーンズ
    織神 宗二vsル・シャ・アンミリオン
    数言二次vs メルフィナ=ニドルズ
    アマリリスvsタイソン メザー

  • 818二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:48:52

    今回はヤメイ案件ナシ?

  • 819二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:49:34

    >>818

    無しなんじゃない?

  • 820二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:52:25

    コンファインメントってOKなんか?
    AIが作るストーリー的に誘導できませんでした!!なんてことになるわけないし、弁舌云々は弱点になってない気がする

  • 8211◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 13:55:13

    >>820

    完全にAIってわけじゃなくて私もやってるので

    それと自ら深夜枠とおっしゃってるのでまあ四肢の1本や2本は覚悟してもらう感じで

  • 822二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:56:57

    >>821

    うおぉおおおおおお!!!

    しかも相手は軍人上がりのおっさんのようだ

  • 823二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 14:08:05

    このレスは削除されています

  • 824二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 14:24:18

    このレスは削除されています

  • 825二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 14:25:06

    このレスは削除されています

  • 8261◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 14:26:09

    グロは許容しよう
    エロはだめだぁ

  • 827二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 14:26:58

    このレスは削除されています

  • 8281◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 14:27:40

    この話は終わりです

  • 829二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 20:25:05

    こっちと掘り下げどっちが先なんだい?
    教えてく〜ださい

  • 8301◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 20:32:08

    >>829

    おう、こっちだよ

  • 8311◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:08:06

    題名『双神の跳躍、八歳の問いに止まる』

  • 8321◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:09:11

    天光すら届かぬ灰色の空の下。
    朽ちた神殿跡に、重力を無視するように舞い降りた銀の影――

    双神(ブリジット)。
    報復剣アンサラーと報復槍フラガラッハを携え、銀髪を揺らすその少女の足元には、魔力の余波で砕けた岩が粉塵を上げていた。

    「ここでもない……。剣神は、いない……」

    呟きは小さく、だが明確に怨嗟を孕んでいた。
    その跳躍の足先には、チャージのために微かに揺らめく光。空間跳躍の構え。

    ――だが、飛ぶ前に。

    「ねぇお姉ちゃん、なんでそんなに怒ってるの?」

    その声は、唐突に、あまりに自然に響いた。

    振り返れば、神殿の柱の影から、ひょっこりと顔を出していたのは――

    質問者(山桐 悠斗)。

  • 8331◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:11:42

    真新しい上履きのまま、瓦礫の上を器用に歩いてくるその小さな少年の目は、無邪気で、好奇に満ちていた。

    「……人間の子? ここに来るような場所じゃないよ」

    ブリジットがそう言う間にも、悠斗は構わず近づいてくる。

    「それで、なんで怒ってるの?」

    その瞬間。

    ブリジットの脚が動かなくなった。

    「……っ!?」

    跳躍に入るはずだった足が、まるで地面に縫い付けられたように、動かない。

    「答えてくれないと、ずっとそうだよ?」

    悠斗は朗らかに笑った。
    だが、その笑顔の奥に、奇妙な違和感――異質さがある。

    「なに……この……っ」

    双神は思わずアンサラーを構えようとするが、腕もまた動かない。
    身体全体が、【問い】によって縛られていた。

  • 8341◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:12:57

    「怒り……? あぁ、そうか……私は……」

    口が、自然と動き出す。

    「滅びた神々の怒りを……私が背負っているから……」

    その答えを口にした瞬間、身体がふわりと解放された。
    ブリジットは思わず一歩後退し、槍を地面に突き立てる。

    「……今の、能力?」

    悠斗はこくりと頷く。

    「うん、わふたが教えてくれた。質問は、強いって」

    「わふた……?」

    ブリジットが眉をひそめた瞬間――悠斗は、また無邪気に問いを重ねる。

    「じゃあ、次の質問――どうしてそんなに強くなろうとしたの?」

    「……っ!?」

    またも、跳躍の足が止まる。
    だが今度は、ブリジットの瞳が、ゆっくりと細められた。

    「……君、ただの子どもじゃないね?」

    悠斗は笑った。にこにこしながら――
    「うん。でも子どもでもあるよ。さ、次、答えて?」

  • 8351◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:14:56

    「答えなければ動けない……でも、答えれば弱みを握られる……」

    双神ブリジットは静かに息を吐いた。槍を構えたまま、動きを止める足を見下ろす。

    ――跳躍不能。
    チャージの光は踵に宿っていながらも、発動できない。拘束は能力由来。しかも物理ではなく、概念的な縛りだ。

    「どうしてそんなに強くなろうとしたの?」

    その問いは、まるで彼女自身の心の奥を、覗き込むようだった。

    「……それは」

    アンサラーが軋む。空間にわずかに魔力の擦過音が走った。

    「憎しみのため。滅ぼされた神々の怨嗟が、私を強くしろと……それだけが理由」

    足元の封印がふっと解かれ、解放される感覚が戻ってくる。

    ――だが。

    「うそだよね? それ“だけ”じゃないって、顔に出てるよ」

    悠斗の声に、ブリジットの瞳が鋭くなる。

    「……君、本当にただの子供なのか?」

    「質問ばっかしてるだけだよ。でも、お姉ちゃん、答えるたびに“止まる”の、ちょっと怖くなってきたでしょ?」

    「……ああ、厄介な相手だと理解してきたよ」

  • 8361◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:16:31

    ブリジットが、足を鳴らす。

    チャージ、完了。

    一瞬で、距離が消えた。
    空間跳躍――一閃の閃光跳躍が、悠斗へと向かって弾ける。

    「跳ねるよ?」

    「え、ちょ、まっ」

    高速で突き出されたフラガラッハが悠斗の首元に迫る――その瞬間。

    「お姉ちゃん、さっきの槍って、なんでそんなに重そうなの?」

    がっ――
    空間の軌道が、狂う。
    またも“問い”がブリジットの跳躍に介入した。

    「ぐっ……!」

    着地は大きく乱れ、岩を砕く音とともに地面をえぐる。

    「この……!」

    ブリジットは槍を振り、剣を構える。

    「ならば、跳ね続ける! 止められぬほどに!」

    跳躍――

  • 8371◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:19:07

    ――跳んだ。
    それはもう、空間ではない。理そのものを踏み台にした跳躍。

    「跳ぶよ?」

    跳躍の前にブリジットがそう呟くと同時に、地面が、空が、時間が切り裂かれる。
    跳躍点から生じた残光が、悠斗の目の前に瞬間移動で迫った。

    剣が、来る。

    「今のお姉ちゃん、何を思って跳んだの?」

    ガンッ!

    直撃――かと思われたが、剣の軌道が、微かに逸れる。

    「まただ……っ」

    跳躍と同時に、飛び込んできた“質問”。
    問いかけと戦意の干渉。それが一瞬、意識の焦点を乱す。

    「君のその能力、完全に動きを封じるんじゃなく、**“考えを介入させる”**ことで戦闘を乱すんだね?」

    跳躍――再び。
    だが今度は、空間跳躍ではなく時間跳躍。

  • 8381◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:22:30

    瞬間、悠斗の背後に跳躍の余波。
    その姿が振り向くより先に、ブリジットが言う。

    「それはつまり、“考えなくても動ける領域”に入れば、止められないってこと」

    チャージ光、踵に点灯。

    「つまり君の質問は、“無意識にすら干渉できない”ってことだよ」

    フラガラッハ、加速。
    ブリジットが跳び、跳び、跳び続ける。踵が稲妻のように光るたび、現実がねじれ、次元が鳴る。

    ――攻撃が、止まらない。

    「お姉ちゃんは、剣神を倒すことで……本当は何をしたいの?」

    ガッ……!

    跳躍の連撃が、一瞬鈍る。

    「……!」

    「さっきからね、お姉ちゃん、答えてるけど……自分自身に答えてないよね?」

    「なにを……」

    「剣神を倒す。それはわかる。復讐も。でも、それだけじゃないって、“さっき笑ったとき”にもうバレてるよ」

    一瞬の隙をついて、悠斗が跳躍の着地点へ滑り込む。

  • 8391◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:23:15

    掌が、ブリジットの踵へ――
    ピタ。

    「――そこは、だめ!!」

    魔力が暴発。跳躍が潰れる。
    ――ブリジット、初の大きな被弾。
    体が吹き飛び、岩壁を裂いて数十メートル先に叩きつけられる。
    尻もちをついて咳き込む少女の足元に、チャージ光が途切れている。
    跳躍不能。

    「……ちょっとやば……」

    「今の質問は、“本当の答え”がないと跳べなくなる仕組みにしてみたんだ」

    悠斗が、ぺたぺたと歩いてくる。子供らしい足取りで。

    「じゃあ……次の質問、お姉ちゃんは答えられるかな?」

    剣を握る手に力が入る。
    だが跳べない。跳躍には、意思が必要。意思には、答えが必要。

    「お姉ちゃんは……剣神を倒したあと、どうしたいの?」

    静かな問いが、ブリジットの胸を刺す。

    「…………っ」

    跳ねない足。止まる呼吸。
    だが、その瞳には――まだ折れぬ光がある。

  • 8401◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:36:36

    沈黙が落ちる。
    まるで世界が一時停止したように、風も、光も、動きを止める。

    「お姉ちゃんは……剣神を倒したあと、どうしたいの?」

    悠斗の問いは鋭い刃。
    それは戦術でも策でもなく、相手の心を穿つ、本質の槍。

    ブリジットの体が小さく震える。
    動けない。跳べない。踵が、光らない。
    彼女の中で、“跳ぶ理由”が今――問われている。

    「わたしは……神々の……かたきを……」

    微かに、口が動く。

    「みんなの、無念を……」

    けれど声は震えていた。
    跳躍には意思が要る。意思には明確な「先」が必要だ。

    だがブリジットのその「先」は――。

    「わかってないんだね、自分でも」

    悠斗が歩み寄る。恐れも、攻撃の気配もない。
    ただまっすぐに、ブリジットを見上げる。

  • 8411◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:37:20

    「僕は、お母さんに褒められると嬉しいってはっきりわかるよ」

    ……それは、全く無関係な言葉に思えた。

    「でもね、それが**“本当の望み”**だって思い込んでるときは、逆に逃げちゃうこともある。恥ずかしいから、怖いから。ほんとの気持ちって、そういうものなんだって!」

    ブリジットがハッと目を見開く。

    「……君、さっきの質問。跳躍の根幹に届くようにしたって言ったね」

    「うん」

    「……なるほど。そうか……そういうことか……」

    ブリジットが小さく笑った。

    「じゃあ、“本当の気持ち”を言ってあげるよ」

    目を閉じ、呼吸を整える。
    深く、胸の奥底へ――自ら問いを放つ。

    「剣神を倒したら、わたしは……」

    チャッ――!

    踵が再び、光った。

  • 8421◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:38:27

    「――その人に、“わたしはここにいる”って言いたい」

    跳んだ。

    その一歩は、憎しみでも復讐でもない。

    跳躍の軌道が変わっていた。

    まっすぐ、悠斗にではなく――悠斗の後方、空へ跳ぶ。

    「君に感謝を伝えたい」

    「……え?」

    「跳べなかったのは、あんたの質問のせいじゃない。わたしが、わたし自身に答えてなかっただけ」

    報復剣アンサラーと報復槍フラガラッハが交差する。

    構えが変わった。
    先程までの四次元戦術ではなく――ただまっすぐな“構え”だ。

    本気の、剣。

  • 8431◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:38:50

    「――だから、今のわたしが跳ぶ理由は、君に勝つためじゃない」

    「剣神に、届くため」

    悠斗が、ほんの少し笑う。

    「それなら、次の質問でラストにするね!」

    跳躍、再び。
    今度は悠斗の真正面。

    「――もし、剣神が何も覚えてなかったら?」

    ブリジットの目が、一瞬揺れる。

    が――跳躍は止まらない。

    「それでも、跳ぶよ」

    「だって、わたしの心は、あの時に置き去りにされてるから」

    剣と質問が、ぶつかり合う。

    瞬間、世界が弾け飛んだ。

  • 8441◆ZEeB1LlpgE25/07/29(火) 21:39:34

    以上
    まさかの終わりはご想像にお任せしますエンド

  • 845二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:44:46

    AIくん!?

  • 846二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:45:39

    サラっとワフタ出てきてるのおもろい

  • 847二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:46:40

    メチャクチャ長くて読み応えあったけどラストがご想像にお任せしますエンドで笑った

  • 848二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:46:57

    いい話だぁ、あと剣神お前は一旦しばかれろ

  • 849二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:55:36

    唐突のわふに草

  • 850二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:31:26

    このレスは削除されています

  • 851二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 07:08:15

    わふしゅ

  • 852二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 10:14:23

    このレスは削除されています

  • 853二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 14:33:27

    このレスは削除されています

  • 854二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 14:36:34

    みすったごめん

  • 8551◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:52:53

    題名『静寂を破る咆哮』

  • 8561◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:54:10

    雨上がりのスラム街。
    舗装が剥げ、ガス灯のちらつく裏通りに、少女がひとり立っていた。

    その名は――
    魔法少女コンファインメント。

    赤いステッキを肩に担ぎ、ぴんと張った背筋。
    長靴の先を器用に使って、アスファルトの地面を四角く蹴り分ける。

    「……よし。誤差、0.07度……っと!」

    彼女の足元には、すでに四つの魔法陣が配置されていた。
    それぞれ、東に炎、南に水、西に土、北に風――
    その間を結ぶ魔力の光線が、夜の路地に淡いピラミッドの輪郭を浮かび上がらせている。

    「うんうん。完璧。あとは――誰か、入ってくれるだけなんだけど……」

    ぽつり、呟いた瞬間。
    路地の奥から、重く鈍い足音が響いた。

    ガシャン、ガラガラ……と、潰れた自販機を蹴散らして現れたのは、
    筋張った腕、くすんだ軍服、そして何より――異様に膨れた腹。

  • 8571◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:55:19

    「……なんだ、お前……」と彼女。

    男は、喉の奥をグルルと鳴らしながら、一言も発さず、手に持った缶を一息で飲み干す。

    プシュッ。ゲフッ……!

    そのゲップの余韻が、路地全体に低い地鳴りのような波動を残した。

    「……ちょっと待って。それ、何かの攻撃?」

    少女が警戒の声をあげた時には、すでに男の足は魔法陣の範囲内に踏み込んでいた。

    コンファインメントの表情が跳ね上がる。

    「ちょっ、そこ入っちゃ――」

    ――カチ。

  • 8581◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:55:52

    彼女の足元に設置された魔力スイッチが作動する。
    空間を縁取っていた光のラインが、一気に強く輝き、ピラミッド状の封印空間が起動した。

    「封・印・完・了♡」

    少女が誇らしげに掲げたステッキの先から、きらりとビームが迸った。

    「ようこそ、封印ピラミッドへ……あんたのゲップは、ここで終わりだよ!」

    だが――その言葉に、ガルド・バーンズは一言も返さなかった。

    ただ、腹に手をあて、唇をぐっと噛みしめ――
    再び、空気を、炭酸を、一気に体内へ飲み込んでいく。

    彼の腹部が、異様に、異様に膨らんでいく。

    少女の額に、じっとりと汗が滲んだ。

    「……えっ? まさか、まだ溜めてんの?」

    夜のスラムに、鳴り響くのは、異形の「呼吸」だった。

    魔法陣が唸る。結界が収縮を始める。

    戦いは、すでに始まっていた――

  • 8591◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:57:25

    封印ピラミッドの内部。
    世界は、魔力の壁で切り取られていた。

    透明な三角柱の内側、コンファインメントとガルド・バーンズは向かい合う。
    少女の手にはステッキ。男の喉には膨張しきった空気。

    「はっきり言うけど、もう逃げられないよ。
     これは一方向絶対封印型結界……『入ったら終わり』って寸法!」

    ステッキを突き出すと、そこからピンクの閃光が走る。
    ――ビーム。それなりに痛いやつ。

    だが。

    ズガッ……!

  • 8601◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:58:37

    ビームが命中する直前、
    ガルドは喉を押さえたまま爆音と共にゲップを放った。

    「――ヴゥルァアッッ!!!」

    轟音。
    咆哮。
    音速の衝撃波が放たれ、封印空間の内側を跳ね返る。
    コンファインメントのビームは弾かれ、逆にその体が数メートル後方へ吹き飛ぶ。

    「っ、な、に……ッ!」

    咄嗟に魔力を展開し、壁面に衝突するのを防ぐ少女。
    だが、ステッキを握る手が僅かに震えていた。

    「結界の内側から……音の衝撃が、貫通した!?」

    そう、封印空間の結界は**「対象の肉体」は通さない**。
    だが、音波や空気の振動は別だ。物理エネルギーの性質によっては、結界の隙間をすり抜けることもある。

    「くっ……!」

    ガルドは構わずもう一本の炭酸缶を開け、煽る。
    まるで臓器そのものが圧力容器になったかのように、腹部が不自然に脈動し、
    「爆鳴共鳴」の準備を着実に進めていた。
    コンファインメントは震えながら、結界の中央へと滑り出る。

    「ちょっと! あんた、ここが何か分かってんの!?
     もうすぐこの空間は縮小して0になるんだよ!?
     物理的に逃げられないって、意味、分かってる!?」

  • 8611◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:59:15

    叫ぶ。
    警告する。
    だが男は、やはり何も答えなかった。

    コンファインメントは、ステッキを構え直す。

    「……そう。なら、言葉は不要――!」

    彼女は高速で円を描くように空中を滑空し、ステッキから斬撃型ビームを連射する。
    斜めに、下から、上から、全方位からの斉射――

    だが、それでもなお、貫通しない。

    バリッ、バリバリ――
    音の盾のような衝撃波がすべてを押し返してくる。

    そして。

    ガルド・バーンズの第2胃袋が、ついに臨界量に達した。

  • 8621◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 15:59:48

    彼の喉が、内側から光を放ち始める。

    「ッ……まずい!」

    コンファインメントが即座に理解する。

    "あれ"を撃たれたら、封印空間ごと消し飛ぶ――!

    残された選択肢は、ただ一つ。

    「……やるしかないッ!」

    彼女は結界の再起動コードを詠唱しはじめた。
    封印を解除し、即座に離脱。
    もしくは、封印の収束速度を無理やり加速し、対象を消し去る。

    両方とも危険。自分の身にも跳ね返る。
    だが、やるしかない。

    封印の光が、一気に収束を開始する。

    ピラミッドの空間が、縮む。
    一辺、また一辺が光の線となって、ガルドを縛り始めた――

    しかし。

    彼の喉が、ついに、最大級の咆哮を迎える。

    「――爆裂魔哮砲(ワイルド・バースト)!!!」

  • 8631◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 16:01:19

    深夜0時7分。
    ピラミッド型封印空間は――臨界へと達していた。

    収束する光の結界。
    空間は刻一刻と小さくなり、ついには二人の肩幅ほどの距離にまで狭まる。

    「これ以上は……限界ッ!!」

    コンファインメントが叫ぶ。
    彼女の瞳に宿るのは、怒りでも悲しみでもない。

    恐怖。

    その瞬間、ガルド・バーンズが喉を裂いて咆哮する。

    「――爆裂魔哮砲(ワイルド・バースト)!!!!」

    次の瞬間。

    爆音が世界を破壊した。

    コンファインメントの視界が、一瞬で真っ白に塗り潰される。
    それは光ではない。音だ。
    "鳴動する破壊の波"が、封印空間の内側から全方位に放たれた。

    「がっ――――――!」

    耳が破れる。肺が潰れる。血が逆流する。

    ――それでも、彼女は叫ぶ。

  • 8641◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 16:02:01

    「わたしの……封印空間は……ッ!」

    だがその言葉は、空気の振動にかき消され、世界から存在ごと剥がされていく。

    結界が悲鳴をあげる。
    魔法陣が、地面ごと剥がれ、燃え上がり、砕け散る。

    ピラミッドの四面を支えていた魔力が音圧により変形し、ついには結界の機能が崩壊――

    封印、解除。

    そのとき。
    音波の壁が、ついにコンファインメントの肉体を襲った。

    ギャリィィィィン――!

    防御魔法も、魔法少女の衣装も、一瞬で粉砕される。
    空中に浮かんでいた彼女の身体は空中で音に裂かれ、砕けるように崩壊していく。

    腕が飛ぶ。脚が折れる。
    胸が凹み、内臓が逆流し、口から血と泡が吹き出す。

    それでも――

    それでも、彼女の目は、最後まで**「希望」を宿していた**。

    「まだ……まだ封印は……再起動すれば……」

  • 8651◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 16:02:52

    「わたしの、正義は……っ」
    「……ステッキ、が……どこ……?」

    ステッキは、数メートル先の瓦礫の中に転がっていた。
    彼女の指が、それに触れることは――もう二度と、なかった。

    そして。

    コンファインメントの身体は、炸裂音と共に、跡形もなく吹き飛んだ

    第4章:決着「鳴動の終焉」
    数分後。

    スラムの路地は沈黙していた。
    破壊された魔法陣。焼け焦げたアスファルト。砕けた封印の痕跡。

    その中央に、膝をついた男がひとり。

    ガルド・バーンズ。

    彼の腹は痙攣し、血の混じった泡が唇から流れ出ていた。

    「……ぐ、っ……くそ、いてぇ……」

    胸を押さえ、咳き込む。
    それでも、彼は立ち上がる。歩き出す。誰に褒められるわけでもなく、ただ生き残った者の歩調で。

    彼の背後には、魔法少女コンファインメントの何も残っていない場所だけがあった。

    ほんのわずかに、赤いリボンの破片が風に揺れているだけ。

  • 8661◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 16:03:17

    それは誰にも知られることなく、
    誰にも評価されることもなく、
    深夜の闇に呑まれていった

  • 8671◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 16:03:38

    以上

  • 868二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 16:26:38

    四肢とかじゃなくて全身消し飛んでて草

  • 869二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 16:40:23

    グロどころか塵

  • 870二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 16:44:20

    衣服の切れ端しか残らないパターン好き

  • 8711◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:20:58

    題名『折り伏せる傲慢』

  • 8721◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:21:41

     それは、まるで神の書庫だった。

     背表紙が崩れた書物が天井からぶら下がり、壁には無数の落書きと血の跡。そこはかつて学び舎であった廃図書館、今は忘れられた知の墓場。

     闇の中心で、何かが息を吐いた。
     ──いや、呼吸ではない。それは「死」を経た者に許された、新たな「生」そのもの。

     燃え残った灰の中から、ゆっくりと姿を現す巨影。
     白銀の鬣を揺らしながら、その魔獣は自らの身体を炎で包みなおす。

     「……三つめ、か。次はどんな終わりが来る?」

     ル・シャ・アンミリオン。傲慢の魔獣。百万回生き、百万回死んだ猫。
     その目には、もはや死を恐れる輝きはなかった。

     と──

     「君が《百万回目の死に場所》を探してるってんなら、今夜が打ってつけだな」

     背後の崩れた階段の上から、男が現れた。
     白のコートに乱れた髪、そして無数の紙片を腰に差している。
     織神 宗二。
     この世界では指名手配中の、もう一人の「折神」。
     彼は淡く眠たげな目を細めながら、紙片の束をポケットから抜いた。

     「……ま、猫って夜行性だし、こっちの方が都合いいかもな」

     夜風が吹いた。

     ──戦端が、開かれる。

  • 8731◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:22:27

     ル・シャ・アンミリオンの足元が焦げる。

     猫の姿とはいえ、その一歩には5tの質量が乗っている。床材がきしみ、文字通り沈んだ。だが、その巨躯を前にしても織神は一歩も引かない。ただ、指の間に折り込んだ白い紙片を一本、ゆるやかに浮かべた。

     「“空飛ぶ三式・紙飛行機型”、上空より観測開始」

     ふっと紙片が風に乗り、天井の穴から夜空へと舞い上がった。すぐに、その紙が青白い光をまとい、機械音を鳴らしながら変形する。まるで小型の無人偵察機のように、図書館全体を旋回し始めた。

     「監視か? ……浅はかだな、紙細工」

     アンミリオンは舌なめずりをしながら、その鋭い爪を床に立てる。毒の瘴気がにじみ出し、周囲の古書を溶かしていく。

     「君には『死』を与えられた。僕はその過程を知っている。焼死、毒死、餓死……」

     織神はさらに三枚、紙片を投げた。ひとつは獣の折り紙、ひとつは小さな盾の折り紙、そしてもうひとつは──

     「……“紙剣式神・ツヴァイ”、展開」

     キィン、と鋭く紙が唸る音。

  • 8741◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:23:05

     折り紙から白銀の刀身が伸びた。紙でありながら金属のように硬質な一閃を放ち、織神の手の中に収まる。

     「おい、貴様……この世界の“折神”とは随分と違うな?」

     「だろ? あっちは爆発好きなフリーダム野郎で、僕はちゃんと職務に忠実だった方だ」

     アンミリオンの瞳が万華鏡のようにきらめく。

     「だが、この目は知っている……貴様、俺を“殺すつもり”か?」

     「いや」

     織神は静かに微笑んだ。

     「“消す”つもりなんだよ。二度と、蘇れないように」

     瞬間、天井の紙飛行機が閃光を放った。
     その光と同時に──

     「式神、斉射」

     ズガァン、と崩れた階段の奥、無数の紙片が一斉に動き出す。

     人型、獣型、銃器型、網型……それらが一糸乱れぬ挙動でアンミリオンを包囲する。

     「……舐めるなよ、紙如きが!」

     ル・シャの口が開いた。

  • 8751◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:23:56

     次の瞬間──“毒のブレス”が轟音とともに吐き出された。

     だが、その猛毒の一撃は、折り重なった式神の“盾”に阻まれ、煙だけを残して消える。

     織神は眠たげなまま、その様子を静かに見ていた。

  • 8761◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:24:54

     「……面白いな。なるほど、確かに“折神”だ。だが――」

     ル・シャ・アンミリオンの瞳が赤く光る。

     「“今の俺を殺せると思ったか?”」

     図書館跡に、熱が走る。
     燃え尽きたはずの書架から火花が散り、床板を突き抜ける衝撃波が爆ぜた。

     次の瞬間。
     アンミリオンの巨体が一閃、式神の包囲陣を力技で吹き飛ばした。

     「焼死の炎はこの身の防壁!」
     「毒死の瘴気は牙に宿る!」
     「餓死の記憶は周囲の命を喰らい続けるっ!!」

     その咆哮とともに、アンミリオンの周囲20メートルにある式神が、次々と崩れ落ちた。
     魔力の徴収――《傲慢なる千生》の権能が、織神の紙にすら干渉していた。

     「チッ、餓死由来の吸収が想定以上……」

  • 8771◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:25:24

     織神が後退しながら紙束を折り直す。寝不足の頭が痛む。視界が一瞬、歪んだ。

     (来る……次は“牙”だ)

     ──読めている。

     だが間に合わない。

     アンミリオンは跳躍する。
     その跳躍は天井を突き破り、斜め上から織神を狙う直撃弾。

     「斃れろ、雑種ァッ!」

     「“切り裂き三式・鋏”」

     刹那、織神の足元から飛び出す紙式神が、巨大な鋏のように開閉する。

     ギィンッ! ガリィィンッ!

     空中のアンミリオンの前脚を受け止めた。
     そのまま、鋏型式神が自動で連撃し、拘束を狙うが──

     「その程度かッ!」

     傲慢の魔獣は、炎を纏った身体ごと強引に鋏を破壊する。まさに力技だ。

  • 8781◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:26:12

     織神はまた紙を一枚投げた。小さな、十字の折り紙。

     「“救急搬送四式・救命帯”」

     彼の体を後方へ強引に巻き取るように、式神が展開するベルトとなり、背後の壁へと叩きつける寸前に減速着地させた。

     その顔には薄い汗。
     肩も少しだけ、乱れている。

     「……はは、君ってほんと、思った以上にめんどくさいな」

     「貴様こそ……死を怖れぬ者を前にしても、怯えもせず紙を折るだけか?」

     「いや、眠くてあんまり考えたくないんだよね」

     織神の声が、妙に淡々としていた。

     「でも、君。あと一回しか死ぬことができないんだろ?」

     アンミリオンの目がぴくりと動く。

     ──そこに、織神の指がふっと動いた。

     「だったら、僕の勝ち筋は一つしかないんだ」

     紙束を全て投げる。

  • 8791◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:26:48

     降り注ぐ折紙の雨。

     それはまるで儀式のようだった。
     どれも同じ形ではない。紙飛行機、鶴、手裏剣、鎖、盾、鋏。用途も構造も異なる、無数の式神たち。

     それぞれが、異なる角度と軌道で空間を埋めてゆく。

     「散らせばいいだけだッ!!」

     アンミリオンが咆哮し、焔を吐く。
     焼死で得た業火の支配。それが空を舐めるように薙ぎ払い、折紙たちを燃やし尽くそうとする。

     だが。

     燃え落ちた紙はすぐに変形し、次の形へと組み替わる。
     防水・耐火処理の特殊紙。折神ではなく織神――彼が使うのは、弱点を克服した“進化形”だった。

     「なっ……」

     アンミリオンの足元が、束縛するように沈み込む。

     「《五重展開式・大封縛》」

     織神が口にした言葉と同時に、足元から折り畳まれた紙が五層に重なり、巨大な折り箱が形成されていく。
     内側は無数の折り鶴が羽ばたいており、魔力を撹乱する機構が施されていた。

     「これが……“殺さずに封じる”術ってやつだよ」

  • 8801◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:27:50

     「なめるなよ雑種がアアァッ!!」

     アンミリオンが炎を噴き、毒を吐き、生命を吸う。
     だが、権能は一つ一つ、式神の多重防壁に封じられていく。

     「まだだ……俺は、まだ……!」

     地を砕き、壁を穿ち、力尽くで突破を図る。
     だが、その一瞬。

     アンミリオンの体内で、何かが弾けた。

     「ぐ、あああ……!?」

     視界が染まる。赤い。
     ――あの爆発の衝撃で、内臓が限界を迎えていた。

     しかも今、彼の魔力は……自らの権能、“餓死”の影響で周囲からの生命力を自動吸収していた。
     だが、式神に囲まれた密閉空間でそれをやれば――
     “自分の魔力まで干渉して、暴走する”

     「……傲慢に、食いすぎたな」

     織神が淡く笑う。

     「千回生きたとしても、あと一回の“死”がある限り、勝負にはなる。……君は、そこで終わりだよ」

     そして、紙が折り畳まれた。
     巨大な折り箱が、ぱたん、と音を立てて閉じられる。
     内部に広がるのは、《傲慢》の魔獣が自らの力で自壊していく音――そして、沈黙。

  • 8811◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:29:56

    折り紙の箱が、風に揺れる。

     まるで、命を孕んだまま静かに呼吸しているかのようだった。

     「……終わったな」

     織神は、片手に残った折紙をそっと握り締める。
     燃え残った一枚の白紙。何も折られていないその一枚は、彼にとって最後の切り札だった。

     だが、使うまでもなかった。

     「あと一回しか生き返れない相手に、賭ける気にはなれなかったよ」

     力を封じた。殺しはしなかった。
     ル・シャ・アンミリオンが最後に受けたのは、彼自身の《傲慢》という罪だった。

     「……正義ってのは、きれいごとじゃすまないけどさ」

     織神は、眠たげな目を細めながら封印の箱に背を向ける。

     「自分のやり方で折ることも、大事なんだ」

     箱の上に一枚の折鶴が舞い降りた。

  • 8821◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:30:25

     それは、何の力も持たないただの鶴。けれど、彼が折った最後の一羽だった。
     “千羽目”というには足りないかもしれないが、織神にとってそれは――祈りだった。

     「さて……次は、どこへ逃げようかな」

     彼は踵を返す。
     風が紙片を巻き上げ、封印の箱ごと、闇夜の奥へと押し流していく。

     その背に、警告のサイレンが微かに響きはじめた。

     ――織神宗二。紙使い。正義の味方。逃亡者。
     《百万回生きた猫》を折り伏せた男。

     彼の物語はまだ終わらない。

  • 8831◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 17:30:48

    以上

  • 884二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 17:32:26

    よかった。
    無限輪廻は封印するに限る

  • 8851◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 19:54:56

    題名『二対無数』

  • 8861◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 19:55:38

    日暮れもとっくに過ぎた頃合い。
    濃紺の空の下、ひと気のない瓦礫の交差点に、細く高いヒール音が鳴っていた。

    「ふぅん……今日はどの陣営も不発だったかしら。つまんない」

    歩いていたのは、銀のポニーテールにピンクのゴーグルをかけた若作りの女――数言 二次。
    戦闘用のボディスーツに、黒革のホルスターが左右に揺れている。二丁拳銃、それが彼女の相棒だ。弾倉には、それぞれ**「2発」**だけ。

    「……さて。そろそろ帰って、弾薬の数でも数え直そっかな」

    その時だった。
    ――カツ、カツ、と。こちらへ向かう足音。
    二次の動きが止まる。反射的に、右腰のグリップに指がかかっていた。

    「……誰?」

    「こんばんはぁ」

    声は、女のもの。
    だが、その口調には不自然な“浮き”があった。
    明るすぎる。楽しそうすぎる。まるで遊びの続きを求める子供のよう。

    「通れませんよ? ここ、私の巣箱なんです」

    灯のほとんどない十字路。

  • 8871◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 19:56:19

    向こう側から現れたのは、黒いドレスを纏い、薄ら笑いを浮かべた少女――メルフィナ=ニドルズ。
    白い肌、無垢な瞳、そして……その周囲に漂う無数の影。

    ブゥゥゥゥゥン……

    羽音。
    かすかな風。空気の震え。脳髄を撫でるようなノイズが二次の皮膚を這った。

    「お姫様ごっこは別のとこでやってくれる? あたしは“戦場帰り”なのよ。巣箱だか檻だか知らないけど、ぶっ壊す気しかないの」

    「まぁ……じゃあ、蜂さんたちに聞いてみましょう。この侵入者、食べちゃってもいいですか? って」

    その瞬間――
    闇の中から湧き出す影。幾千の羽音が、彼女の背後から噴き上がるように現れた。

    「…………ふふ」

    だが、数言 二次の笑みも崩れない。
    彼女は静かに拳銃を構え、右手の引き金にそっと指を添えた。

    「いいわよ。どっちが先に“2”を尽きるか、試してみましょ」

    次の刹那、
    蜂の群れと二丁拳銃が同時に火を噴いた。

  • 8881◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 19:57:59

    一瞬の静寂。
    そして、羽音が地鳴りに変わった。

    メルフィナの背後から、夜の闇ごと這い出るように湧き上がる――無数の蜂。
    その数、百、千、万。
    飛沫のように空間を埋め尽くし、二次という“異物”を消毒するかのように迫り来る。

    「狩りって、まず“数”から始めるのね……」

    二次は、真横へ飛んだ。
    跳躍と同時に二発の弾丸が群れの中心を貫く。

    ──パン! パァン!!

    弾丸は宙を裂き、炎をまとう蜂の腹を撃ち抜いた。

    爆散。
    小さな生体爆弾のように炸裂した蜂たちは、周囲の群れを巻き込みながら火花を撒き散らす。

    「へぇ、面白い。“蜂”なのに“弾ける”んだ?」

    二次の表情に、愉悦の色が浮かぶ。

  • 8891◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 19:59:22

    「でもね――“2発で倒せる相手”か、“倍にして遊べる敵”か、私はすぐに見極めるタイプなのよ」

    スッ──

    二次は左腰からもう一丁の銃を抜く。
    両手の拳銃、弾丸はそれぞれ二発ずつ――**彼女の理(ことわり)**が形を成す。

    「《2倍》」

    その囁きと共に、拳銃の弾倉が光を帯びる。

    バチッ。

    弾倉の中で、“二発”だった弾が、瞬時に四発へと増殖する。
    “二つある”と認識された弾倉、それを“二倍”にする。それが二次の能力。

    「弾切れってのはね、“信仰のない人間”がする失敗なの」

    パン! パン! パン! パン!
    八発の銃声が、四方から迫る蜂たちを撃ち落としていく。

    だが――

    「……数が減らない?」

    群れは撃ち落とされながら、構わず前進を続けている。
    再生蜂が、撃ち抜かれた装甲蜂の死骸に群がり、模倣した骨格で新たな蜂兵を“築いて”いく。

  • 8901◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:01:36

    蜂は死なない。
    いや、女王の意思がある限り、“死んでも無限に再生する”。

    「ねぇ、知ってる? 二丁拳銃って……“網には勝てない”のよ」

    メルフィナの笑みは狂気と紙一重だった。

    「“数を揃えたって、巣に踏み入れた時点で、あなたは終わってる”」

    ――その時だった。

    二次の背後から、突如として護衛蜂が槍のように突き出された。

    「――ッ!」

    視線だけで察知。
    スウェーバック。紙一重で回避。だが、ドレスの裾を鋭く裂かれる。

    「おいおい、布代返しなさいよ?」

    額に一滴の汗。だが笑みは崩れない。

    「なるほどね……一対一じゃなくて、“一対・群”……」

    彼女は銃を回転させ、背中を向けたまま、真後ろに撃ち込む。

  • 8911◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:02:02

    バン! バン!

    蜂の頭部を二体貫通。酸のような液体を撒きながら、地に墜ちる。

    二次はくるりと旋回し、足元を跳ねた蜂を蹴り飛ばす。

    「……ちょっとワクワクしてきたわ。久しぶりに」

    メルフィナの瞳が細くなる。

    「楽しいですよね? 踊りましょう。この群れのなかで――貴女の“理”が崩れるまで」

    蜂の大群が、いっせいに羽ばたいた。

  • 8921◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:03:11

    「すごい……すごいすごい……っ!」
    数言二次の頬が、紅潮していた。

    両手の拳銃から放たれる正確無比な弾丸が、蜂の群れを次々に撃ち落としていく。
    まるで神経と繋がっているかのように、空間の裂け目に銃弾を滑り込ませている。

    パン! パン! パン! パン!

    「でも……ちょっと疲れてきたかも♡」

    冗談交じりに笑うその顔に、メルフィナは明確な「脅威」を感じていた。

    (この女……“数”の飽和で処理しきれないタイプじゃない)
    (群れを前提とする戦術に対して、射線で割ってくる“個別破壊型”……!)

    虫の思考に侵された女王の中で、かすかに人間的な“警戒”が芽を出す。

    「数は、暴力――でも、暴力は“毒”にもなるのよ」

    ヒュウ、と風が鳴いた次の瞬間。

    ズブッ!!

    「っ、ぐ……っ!?」

    二次の腹部に、何かが突き刺さっていた。

    ――毒蜂。
    群れの中に潜ませていた、細く、鋭く、黒く光る一体。

  • 8931◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:03:48

    その針先には致死性の神経毒が塗布されている。

    「……やるじゃない」

    二次は苦笑しながら、毒蜂の身体ごと拳銃のグリップで殴り砕いた。

    「でも残念、私、“痛みで脳内麻薬出す”タイプなんだよね……」

    その瞬間、彼女の目がギラリと輝く。

    「それにさ――2本刺さってたら、2倍になると思わない?」

    《2倍》

    ビィン!

    毒が、逆に“増幅”された。

    だがそれは毒の量ではなく、毒の情報処理量――つまり“抵抗力”として反転して増加したのだった。

    (馬鹿な……! 毒に“抵抗”まで倍化するなんて……!)

    メルフィナの眉がわずかに動いた。

  • 8941◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:04:32

    「そっちの“巣箱”がなんでもアリなら……こっちは“2”で全部対処するだけ」

    二次がゆっくりと歩き出す。
    背後に二つの弾痕がある地面を踏みながら。

    「蜂ってのは、数で押して、囲んで、噛んで、刺して――」

    メルフィナの背後から、新たな蜂兵が生まれ落ちる。

    「でも残念、私ね――“戦場そのものを2倍にする”って奥の手があるのよ」

    空間が、裂けた。

    バシュッ!

    そこに現れたのは――もう一人の“数言二次”。

    「紹介するわ、私の相棒。“ダブル”じゃなくて、**“ツイン”って呼びなさい”」

    幻影でも分身でもない。
    「二つの姿」を持つことを、“場に存在する二次性”として認識させることで、能力が新たな位相に達した結果。

    「蜂が無数なら、こっちは二倍。数が足りないなら――**“足してから、倍にすればいい”**のよ」

    双銃を構えた二人の“数言二次”が、メルフィナを挟み撃つ。
    女王蜂の瞳がわずかに見開かれる。

    ――“この戦場は、侵されている”――

    蜂の支配領域に、別の「理」が浸食している。

  • 8951◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:06:55

    「……ッ、増えてる……っ!」

    メルフィナの視界が、異常な速度で情報を処理しようとして軋んでいく。

    蜂の群れを取り巻く空間に、「同じ女」が“二人”存在している――それは蜂たちにとって認識の異常だった。
    蜂は「一」と「多」に強い。しかし、「二」は最も曖昧で、処理に時間がかかる。

    (この女……“数”を制御してるのは、私のほうのはず……)

    だけど今、支配を握っているのは――明らかにあちらだ。

    「じゃ、こっちはちょっと――巣の中、割らせてもらおうかな?」

    左側の数言二次が、腰を低くして一気に加速する。
    右側の数言二次は、蜂の群れの進路を制圧するように銃撃を重ねる。

    バン!バン!バン!

    弾道は二重。
    射線は交差。

  • 8961◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:08:05

    蜂たちはその狭間に入り込む暇すらなく、ただ崩れていった。

    「まだまだ、巣箱が足りないんじゃない?」

    「――それとも、もう“産めない”?」

    痛烈な煽りが、耳の奥に突き刺さる。
    メルフィナの顔から笑みが消えていた。

    「そう……ならば、“生産”をやめて、“消費”に転じるまで」

    バサァッ――!
    その背から広がったのは、異形の羽の集合体。
    まるで“自らが蜂の巣になったかのような”外骨格が、女王の全身を覆う。

    《蜂后降臨(ハニカム・オーバーロード)》――最終態。

    「この身体こそが、全蜂の母巣……!」
    「そして、侵入者は――一匹残らず、喰い尽くす!!」

    メルフィナの周囲の空気が、黒く染まった。
    それは蜂ではない、蜂の“悪意”だけを凝縮した“超高密度殺意”。
    粒子のように舞い、触れるだけで装甲すら腐蝕する。
    物理も化学も通用しない、本能汚染の空間。

    「うぅわ、なんか出てきたし!? ねえ、あれヤバいやつじゃん!!」

    「うん、わかる。撃てばいいんでしょ?」

    ――会話する“ふたり”。

  • 8971◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:11:40

    二次が“二人”いる。それが、絶対的な異常。

    「じゃ、いこっか」

    「蜂蜜より甘い、地獄を見せてあげる♡」

    次の瞬間。

    ズバッ!!

    両側から、逆Y字型に射線が交差した。

    メルフィナは一瞬で跳躍するも、左肩の外殻が削り飛ばされる。

    (くっ……当たった……!?)

    反射で毒蜂を散布、だが――

    「遅いよ、それ」

    ズドン!

    背後からの一撃。

    そこには、いつの間にか第三の銃口が。
    空間に開いたポータルの奥から、“撃ちっぱなしの銃身”だけが覗いていた。

  • 8981◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:13:09

    「三つに見えるけど、これはあくまで“ふたつの”連携。『2倍』の範疇内ってやつ」

    蜂の数が多ければ多いほど、それを倍化するための弾幕戦術は洗練されていく。
    蜂群の演算が、狂いはじめる。
    あらゆる方向に“同じ敵”がいて、どれが本体か判断できない。
    ――蜂たちは知能ではなく、“女王の意思”で動いている。
    だが今、その意志が“錯乱”を起こしている。

    (なぜ……“私の巣”で……っ)

    「アンタの“巣”、いまや**“撃ち抜くための空間”**に変わってんのよ」

    弾丸が、メルフィナの心臓を正確に貫いた。

    ビシィッ!!

    女王蜂の体が、弾けた。

    崩れゆくその中で、微かに幼い少女の顔が浮かび――
    すぐに蜂の屍に埋もれた。

    ――終幕の羽音が、辺りに響く。

    数言二次は、二人並んで立っていた。

    「さて……次、どこ荒らそっか?」

    「“二手”に分かれて、同時襲撃とかも面白そうだよね♪」

    笑いながら、二人の足音が去っていく。

  • 8991◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:14:18

    蜂群が崩れ去った森の奥に、沈黙が戻る。

    羽音も、毒も、再生も。
    すべてが沈黙し、**《蜂后》**は、ついに動かなくなった。

    「終わり、だね」

    「うん、どっちが撃ったんだっけ?」

    「んー、わたし?」

    「いや、わたしかなー」

    ぴたりと並んだ“ふたり”の数言二次が、揃って拳銃をクルリと回しながら、スカートの裾を弾ませる。

    ──だが、そのときだった。

    ブツ……ブツ……ブツ……

    倒れたはずのメルフィナの体の内部から、“何か”が微かにうごめいた。

    「……まだ残ってたの?」

    「しつこ……蜂蜜に漬けてやろうか」

    《蜂群母核(ハイブ・コア)》――寄生蜂たちの“真なる女王核”は、まだわずかに生き残っていた。
    それは既にメルフィナ=ニドルズという個を離れ、新たな宿主を探して漂っていた。

  • 9001◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:14:57

    その標的は――

    「……わたしたち、ね」

    両者同時に気づく。
    だが、二人いるということは、つまり“どちらに寄生するか”の選択肢があるということだ。

    だが数言二次は――

    「ばかだねぇ、**“2つあるもの”がどうなるか、知らなかったの?」

    次の瞬間。
    ふたりの手が同時に、ポケットから取り出した――“空の薬莢”を2つ、女王核に投げつけた。

    バチィッ!!

    瞬間、爆裂音。
    薬莢は能力によって**“2倍”の衝撃物**となり、微細な寄生核を中心から粉砕する。

    「2倍って、ね?」

  • 9011◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:15:53

    「数の話じゃない。“選択肢”がある限り、こっちが主導権を取るの」

    女王核は、完全に霧散した。
    これで、再誕の道も閉ざされた。

    ──戦いは、本当に終わった。

    森に沈黙が戻り、
    ふたりの数言二次が、拳銃を収める。

    「じゃ、終わりっと。次、どこ行こ?」

    「そうねぇ……荒らし甲斐があるとこ、探さなきゃ」

    「でもアンタが先に撃ったらズルだからね?」

    「なに言ってんの、そっちが最初に撃ったでしょーが!」

    「はぁ!? また言い訳して!?」

    言い合いながら去っていく、完璧に“同じ”ふたりの影。

    二人一組で、二丁拳銃。
    弾倉に“残弾はいつも二発”――それが、数言二次という存在だった。

    次に彼女たちが向かう先には、また新たな嵐が吹き荒れるのだろう。

  • 9021◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 20:16:32

    以上

  • 903二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 20:19:22

    二倍にするって結構強い能力だな…

  • 904二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 21:31:08

    設定ガン無視の分身しやがった、、
    まあ面白かったからヨシ!

  • 9051◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:09:14

    題名『黄泉の采配と、拳の信念』

  • 9061◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:09:41

    ――黄泉比良坂(よもつひらさか)。
    夜のような深淵に、かすかな鼓動が響く。死者の気配が満ち、息をするだけで魂が擦れるこの場所に、ふたりの異端が立っていた。

    「こんな場所で拳を振るうことになるとは……」
    声を漏らしたのは、一人の男。
    スキンヘッドに鋼のような肉体、揺るぎない闘気を身に纏った、ボクシング界の絶対王者――タイソン・メザー。

    彼の前に立つのは、淡い銀の鎧をまとい、白金の長髪をなびかせた美しき半神――アマリリス。
    冥府の指導者として数千の亡者を指揮してきた彼女は、笑みを浮かべながら静かに言った。

    「……あなたが、“拳一つで神をも殺す男”ね?」

    「神なんて関係ねぇ。オレが倒すのは“立ってる相手”だけだ。」

    地に足をつける瞬間、黄泉の風が止まり、時間が緩やかに沈む。
    この異形の地にあって、彼らの存在は明らかに異質――しかし同時に、どちらも“王”として君臨していた。

    「――来なさい、王者。黄泉の兵たちが、あなたの拳を見たがっているわ」

    アマリリスの足元から、紫黒の炎が沸き立つ。
    その中から現れたのは、全身を鎧に包んだ二体の冥府兵――**死鎧騎士「ヴォータス」**と、双刃猟兵「セリュウ」。

    一方、タイソンは何も纏わぬ裸一貫。
    しかしその瞳は揺るがない。地鳴りのような踏み込みと共に、彼は言った。

    「オレの拳で、地獄ごと吹き飛ばしてやるよ――!」

    開戦。
    神と王が統べる軍勢の戦場に、たった一人で殴り込む王者。
    冥府の地に、音速を超えるジャブが鳴り響いた。

  • 9071◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:10:06

    ――“音が聞こえた時には、もう殴られている”。

    それがタイソン・メザーのジャブだった。

    「来るッ――!」

    アマリリスの号令よりも速く、冥府兵セリュウが跳ぶ。二刀を十字に構え、防御を固めるが――

    ズガッ!

    衝突と同時、金属音ではなく爆裂音が響いた。
    セリュウの双刃ごと上体が宙に跳ね、鎧ごと背中から地面に叩きつけられる。

    「う……嘘……!」

    アマリリスの目が見開かれた。セリュウは“戦神の肋骨”を鋳造して作られた兵士。人間の拳では、刃に傷ひとつつけられないはずだった。

    「拳はな……鍛えりゃ刃より強ぇんだよ」

    タイソンはすでに前へ出ている。距離ゼロ。ヴォータスの前に立ちはだかる。

    ヴォータスは巨大な盾で迎え撃つ。冥府の門を模したその盾は、冥王ハデスの直轄鍛冶師が鍛えた絶対防御。

    だが――

    ドゴォンッ!!!

  • 9081◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:10:32

    タイソンのストレートが、盾ごとヴォータスの上半身を後方へ吹き飛ばす。

    盾が砕けるわけではなかった。ただ、その圧力に冥府兵の骨が耐えきれず、中身が爆ぜたのだ。

    「な……なに、これ……」

    冥府の地で、アマリリスは初めて震えた。

    (想定外……これは、“兵で捌ける相手”じゃない……)

    次の瞬間、タイソンが正面から歩いてくる。スウェーもステップもなく、ただ真っすぐ。
    なのに、避けられる気がしない。無駄のない歩幅と重心移動。その姿こそが、“戦場における理不尽”だった。

    「兵は終わりか? 次はおまえの番だぜ、冥府の女王」

    「……ふふ、それが目的なら、私も全力で応えなきゃね」

    アマリリスの瞳が燃える。王として、指揮官として、冥府の誇りを胸に。
    黄泉の黒霧が渦を巻く。兵の再召喚は叶わずとも、彼女には**“戦況を読み切る眼”**がある。

    「私は指揮官。戦うのではなく、“勝たせる”存在なのよ!」

    タイソンの拳が再び唸る。

    冥府の冷気が、拳の熱量と激突する――!

  • 9091◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:11:07

    「冥府の王は、兵を使って戦うものよ。なら――あなたを戦わせなきゃいいわね」

    アマリリスの瞳が、戦場全体を瞬時に把握する。
    瓦礫、重力、距離、風向き、地形――すべての要素が彼女の脳内で、勝利へのパズルピースとして動き出す。

    タイソンが拳を構え、一歩踏み出す。
    音速を超えるジャブが、ふたたび空間を割く。

    だがその瞬間。

    「右上!」

    アマリリスの号令。
    ――破壊された盾の破片が、タイソンの目の位置へと跳ね上がる。

    「っ……!」

    タイソンはジャブを中断し、最小限の動きで回避。だが、その隙をアマリリスは逃さない。

    「ヴォータス、まだ使える!」

    瀕死の兵が、己の欠けた腕ごとタイソンに組みつく!
    次の瞬間、アマリリスは後方の瓦礫へ手を翳す。

    「セリュウ、爆ぜなさい!!」

    ――ガッ。

    タイソンが振り払ったその腕の奥、仕込まれていた冥府の霊符が発火する。
    爆煙が一気に立ち込め、視界が完全に遮られる。

  • 9101◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:11:24

    (今だ――!)

    アマリリスはその場を即座に離脱。彼我の距離を取りながら、口元に笑みを浮かべる。

    「あなたの拳は強いわ。でもね、**私の指揮は“兵の死”すら計算に入ってる”**の」

    煙が晴れる。

    そこにいたのは――

    「……面白ぇ女だな」

    笑っていた。タイソン・メザーが。
    冥府兵の爆死にも、煙幕にも、むしろ愉悦すら感じているような目で。

    「今の、かなり痛ぇぞ。あの骨人形、なかなかいいパンチだった」

    口元から血を流しながら、平然と構えるその姿。
    アマリリスは息を呑む。

    (――効いてない!?)

    だが確かに、打撃は通った。傷もある。
    それでも彼は倒れない。立っている。ただ“倒れない筋肉”と“精神”がそこにある。

    「おまえの戦い方、気に入った。だから本気でいくぞ、女王様」

    タイソンの足元が、地を踏み抜く。
    次の拳は、地響きを伴って――迫っていた。

  • 9111◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:12:00

    「来るわ――!」

    アマリリスが咄嗟に腕を交差して防御の構えを取った瞬間、
    大地を裂く轟音とともに、一撃が炸裂した。

    ――ドゴォォォンッッ!!

    直撃は避けた。けれど衝撃波だけで数メートル吹き飛ぶ。
    冥府の女王の身体が、建物の壁を何枚も貫通していく。

    「か、はっ……!」

    アマリリスは崩れ落ちた石壁の中で呻いた。
    痛みが全身を焼くように走る。肋骨、右腕、数本やられたか――。

    (これが……拳だけの、力?)

    足音が、静かに近づく。

    「……どうした。戦術家さんよ」

    タイソン・メザー。彼はただ、拳を握りながら歩いてくるだけだ。
    けれどその一歩が、戦場の空気を支配していた。

    「部下を犠牲にして、何を守った?」

    「――違うわ」

    返す声に、アマリリスの決意が宿る。
    血を吐きながら、立ち上がる。

  • 9121◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:12:27

    「彼らは私に力を託した。それを“犠牲”と呼ぶなら、あなたの拳だってただの破壊よ」

    彼女は最後の力を振り絞り、左腰に吊るした剣を手にする。
    黄泉の女王が、ついに自らの剣を抜いた。

    「いいだろう。なら――拳で証明しろ」

    タイソンの構えが、沈む。

    まるで巨獣が、地に膝をついたような重圧。

    「次の一発で、終わるぞ」

    言葉とともに踏み出される拳。それは**“音より速い拳”**。

    その瞬間、アマリリスの目が冴える。

    (来い……この一撃を読んで、全てを――)

    だが次の瞬間。

  • 9131◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:12:51

    「死角がない……!?」

    彼女の思考が追いつかない速度で、拳が横から、下から、同時に襲い来る。

    それは「一発」ではなかった。
    “ジャブ・ジャブ・クロス・アッパー”の連撃。すべてが**“最初の一撃”**と同時に放たれていた。

    (速すぎて、順番がない……!?)

    拳の風圧が、血を引き裂く。地面が爆ぜる。

    そして――

    「王としての威厳、貫いてみせなさい!!!」

    アマリリスが叫んだ。
    剣を掲げ、最後のタイミングで、構えを交差させる。
    刹那、黄泉の魔力が迸る。
    彼女の背に、二体の兵が重なるように現れる。

    《冥府兵の魂が、指揮官の身を守る盾となる》

    ――ゴッ!!

    防御した。だが、その剣はへし折れ、背後の壁ごと吹き飛ぶ。
    そこに立っていたのは――まだ倒れないアマリリスだった。

    「……わたしは、兵たちの盾。王の義務よ」

    拳の威力で、戦場が静まり返る。

  • 9141◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:13:22

    「……やるじゃねぇか。死んでねぇのかよ」

    立ち昇る土煙の中から、タイソン・メザーが苦笑を漏らす。
    その口調には、皮肉ではない――尊敬に近いものがあった。

    「王の盾が、これほど硬ぇとはな。俺の拳が泣いてるぜ」

    崩れた壁の中から立ち上がったアマリリスは、息を整えながらわずかに笑った。

    「ふふ……“拳の王”ともなれば、手加減も礼儀のうちかしら?」

    「いや……全力だったぜ。今のは、“俺のジャブ”のな」

    「……え?」

    言い終わる前に、次の攻撃は来ていた。

    ドシュンッ!

    “音速ジャブ”。先ほどの連撃はまだ本気ではなかったのだ。

    アマリリスはとっさに体を捻る――が、避けきれない。
    腹部に寸勁のような一撃。内臓が悲鳴を上げる。

    それでも彼女は倒れなかった。

    「まだ……!」

    アマリリスの掌が地面に触れる。
    そこから“瘴気”とも“魔力”ともつかぬ黄泉の気配が広がった。

  • 9151◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:13:57

    「召喚制限を越える禁忌よ……だとしても、今は使うしかない」

    彼女の背後に、第三の影が立ち上がる。

    ――それは“精鋭兵”ではなかった。
    死者の魂が束ねられた“偽りの軍神”。

    《冥府の禁忌、強制蘇生陣「逆蓮」》

    彼女の命を削るその禁術は、タイソンの本能に“嫌な予感”を与えた。

    「おい……何をした」

    「指揮官が戦えぬとき、王は命を賭してでも軍を動かす。これが私の“勝ち筋”よ」

    三体目の冥府兵――否、冥府の“影”が飛び出す。
    その巨躯は、タイソンの右腕を受け止め、裂け、砕けてもなお止めない。

    (まずい……この“指揮”の精度……!)

  • 9161◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:14:15

    タイソンは“拳”が“読み切られている”と初めて気づいた。

    (連携か……この兵たちは、“俺の踏み込み”に反応してる……!)

    拳が通じない?

    否――

    「だったら……タイミングをズラすだけだ!!」

    タイソンが突如、踏み込みのリズムを変えた。

    ジャブ、アッパー、クロス、フェイント――
    あらゆる動作を0.3秒ズラし、統計学的に反応不能領域へと持ち込む。

    「これが、ボクサーの“アジャスト”だ!!」

    冥府兵の反応が遅れる。1秒未満のズレ、それだけで回避不能。

    アマリリスの瞳に、はっきりと“敗北”が映る。

    「くっ……!」

    彼女の視界がぐにゃりと歪んだ。

    (あと、数秒……あと数秒耐えれば……!)

  • 9171◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:14:29

    兵の行動を読み切られた今、彼女の唯一の勝機は――

    「指揮を捨て、自らが囮となること」

    だった。

    ――そして、女王は走った。

  • 9181◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:15:38

    「アマリリス様——っ!!」

    背後で、召喚された冥府兵の一体が叫んだ。
    だがその声に振り向くことなく、彼女は戦場の中央へと踏み込んでいく。

    (私が……先頭に立たなければ……!)

    冥府の女王は知っていた。
    指揮官の存在が軍の士気を左右することを。

    だからこそ、自らが立つ。
    敵の只中へ、最前線へ。

    「その拳、真正面から受け止めてやるわ!!」

    アマリリスの叫びが空に響く。
    その瞳に宿るは、恐怖ではなく——決意。

    タイソン・メザーは一瞬だけ迷った。
    本当に、今この拳を放っていいのかと。

    (……違ぇな)

    ——俺は、格闘家だ。拳で語る。それが礼儀だ。

    「覚悟決めたヤツに、手加減は無礼だろ?」

    右足を引き、腰を落とす。

  • 9191◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:16:07

    核爆ストレートの構え。

    「神だろうが、冥府だろうが関係ねぇ。ぶっ倒れても立ち上がれるなら、それでいい」

    彼の瞳が燃える。

    「拳は、殺すためのもんじゃねぇ。——立ち上がらせるためのもんだ」

    ——ズドォォォンッ!!

    空間を軋ませる音が走る。拳が、空気を裂いた。

    それは紛れもなく、全力の一撃。

    アマリリスは拳を受ける寸前、自らの両手を交差させる。
    その身体を、二体の冥府兵が庇うように前に躍り出る。

    「なっ……!?」

    衝突——。

  • 9201◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:16:40

    冥府兵は砕け、アマリリスの両腕は軋む音を立てて後ろへ撓った。

    だが。

    その身体は、倒れていなかった。

    タイソンは拳を引いた。
    アマリリスは、震える膝を支えながら、なお立っていた。

    「……見事だ」

    「あなたも……ね。あなたの拳には、“生”がある」

    微笑みを交わす両者。
    勝敗は——決した。
    アマリリスはもう、指揮も術式も使えない。
    タイソンの拳も、これが限界だった。

    ——そして、彼は言った。

    「いい試合だった。名前、教えてくれ」

    「……アマリリスよ。黄泉の女王にして、ただの一人の指揮官」

    「タイソン・メザー。こっちはただのボクサーだ」

    静かに、戦場の風が吹き抜ける。
    それは、冥府の香りでも、死の気配でもない。

    ただ、勝者と敗者が交わす——拳の記憶。

  • 9211◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:17:25

    以上

    22:45より安価10個募集

  • 922二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:18:07

    核爆ストレートというパワーワード

  • 923二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:18:38

    対戦描写投下お疲れ様です
    負けると思ったが引き分けか、少し意外だったな
    対戦ありがとうございました

  • 924二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:38:17

    投下おつです
    引き分けは珍しい感じかな?要望とかにも書かれてないなら

  • 925二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:00

    名前:ツヴァイ・シルト
    年齢:39
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:防衛隊第一特務部隊隊長の座に就いている男。冷静沈着、質実剛健、不撓不屈を体現したような人物。
    鍛え上げられた肉体は美しさすら感じる。ムッキムキ。
    新兵時代の任務で左腕を失っていて義手を付けている。
    本人の性格とその見た目から鉄腕のツヴァイというド直球な二つ名が与えられた。
    武器:不壊の鉄塊
    武器概要:壊れないだけのばかでかい大剣。鉄塊という名の通り斬る気あるのかわからない分厚さをしている
    義手:高威力のパイルバンガーが仕込まれてる硬さと動かしやすさだけを追求した義手
    能力:不屈
    能力概要:本人が諦めない限り常に本人のスペックを120%引き出す能力。以上。
    弱点:本人は遠距離攻撃に対してなんの対策も持っていない。
    対空も基本無理。
    ただバフかかっただけの筋肉です。

  • 926二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:00

    名前:ペオース
    年齢:18
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:バイオパンク社のエージェントを騙るチンピラ 後述する能力の使い方など意外と頭は良いようで勝手に名を騙ればどんな目に会うか考えていないからやっぱりバカである 本名は不明
    能力:イカサマダイスロール
    能力概要:手持ちのサイコロを振って4.5.6の目が出た場合出目の秒数だけ出目の二乗倍に身体能力を強化する 1.2.3の目が出た場合強制的に出目×日数だけ眠らされるという弱点があったためそれぞれ4.5.6それぞれの目しかないイカサマダイス3つを持ち歩いて使い分けている
    弱点:能力で強化されるのはあくまで身体能力だけなので耐久力や反応速度は強化されない
    また能力が解除されると肉体がとんでもなく疲れて動けなくなる 一応もう一度ダイスを振れば動けるようになるがその前の強化程身体能力は高くならないし振っている最中はあまりにも隙だらけだ もちろん疲労により3度目のダイスを振る事はできない あと戦闘が長引くとハガルが殺しにくるかもしれない

  • 927二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:00

    名前:カムイ・バッカーノ
    年齢:27
    性別:女
    種族:人間(能力者)
    人物概要:左腕がライフルのバレルと一体化した奇妙な肉塊と化した赤毛ロングの女性。
     元はグランツらと同期の防衛隊のエースだったが、とある砂漠の戦場で味方の裏切りに遭遇し、瀕死の重傷を負うも同地に潜んでいた悪神(シャイターン)と契約することで生き延びた。左腕や変質した能力はその契約の結果である。
     その後は上層部の揉み消しによって裏切りの濡れ衣を着せられ、防衛隊の暗部に左遷されて死人のように暗殺任務に従事していた。
     自覚していないが、本当は小さい頃に目指していたキラキラ輝く正義の味方になることを心の底で諦められていない。
    能力:シャイターンの猟場
    能力概要:培われた経験と修行により、人外の領域に到達した銃火器の腕前を持つが、本領は左腕の呪符を破棄した場合に発揮される。
     左腕が解放されると同時、直ちに周囲の世界を固有結界か創造位階か領域展開が如く、シャイターンが支配する灼熱の日光が降り注ぎ砂嵐が吹き荒ぶ荒涼とした砂漠へと作り変えて獲物を取り込む。この世界では悪神の呪詛によって灼熱の日光で相手の耐性を貫通して身体・精神の両面に徐々にスリップダメージを与え、呪詛により作られたライフル弾はステータス低下のデバフ効果(能力ダメージ・効果量の低下など)を付与する。
    弱点:シャイターンは〝公平〟であり、空間が齎すスリップダメージは能力者自身も受けてしまう。
     また能力は狙撃に適した空間を作り出すだけな上に双方の配置はランダムなので、相手に砂塵や砂漠を逆利用されて近づかれてしまう場合もある。どちらも最初から相手を感知できるわけではない。
     カムイは狙撃以外の身体能力・耐久力は人間並みな上に変異した左腕のライフル以外に兵装を持たないため、これは致命的となる。
     また、これは誰でも突ける弱点ではないのでフレーバーだが、裏切られた際に幼い子供を誤射してしまっており、子供と戦う際には激しい吐き気を催してしまう。

  • 928二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:佐藤命&佐藤聖
    年齢:どちらも6歳
    性別:命は男、聖は女
    種族:どちらも人間
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の息子&娘で佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛)の末弟&末妹の双子
    二人も兄妹の例に漏れず生まれ持った特別な力・・・は持っておらず元々は無能力者で普通の双子だった
    ただある日「かみさまがくれたのー!!!」と双子が家族に見せたのは昨日までは持っていなかった不思議な力と武器だった
    その力と武器は両親や兄姉でさえ首をかしげる誰も見たことも聞いたこともない武器と力だった
    そんな双子だが性格は年相応で命は内向的で人見知りで臆病な性格、聖は無邪気で元気で人懐っこい性格
    能力:かみさまからのおくりもの
    能力概要:双子に神様がくれた(正確に言えば神から授かった)らしい力と武器
    授かった武器は命が身の丈よりも大きな大弓、聖は彼女の身の丈よりも何倍も大きな大剣
    双子が神から授かった力は詳細が分からない部分が多く解析も不能であり双子も詳しくは知らない
    だが発動する力は異次元かつ多彩で神から授かったという言葉に納得してしまう程に絶対的で圧倒的で驚異的
    武器にも神がくれた武器は特別な力を有しており力と武器の両方を「正しく」使いこなせた場合の二人の強さは未知数
    弱点:全体的に戦闘面での未熟な点、突ける隙が無数にある
    戦闘経験も少なく技術の方も未熟で脇が甘いので隙が非常に多く言葉で誘導もされやすい
    武器にも振り回されており聖が大剣を振るえば身体が剣の重みで持っていかれ命が大弓を射れば反動で身体が後方に吹き飛ぶ
    身体能力も磨けば光るだろうが現時点ではそこそこ、耐久力は年齢相応に脆く弱い
    双子が神から授かった力は強大すぎて一人では使用できず現時点では二人で協力してしか使う事が出来ない
    力の使用には止まって二人で手を繋いでポーズ決めて動かず詠唱(超うろ覚え)をして・・・と力の使用には手間と大きく長い隙が伴う
    あと武器に宿る力の使い方も完全に忘れてるし連携も上手い様で穴が結構あると色々と戦闘での問題点は多い
    要望:佐藤清と佐藤紬の息子&娘で佐藤兄妹の(雪、蓮、純、凛)の末弟&末妹です
    一人称は命が「ぼく」、聖が「わたし」です。セリフは全てひらがなでお願いします
    名前の読み方は命(みこと)と聖(ひじり)です

  • 929二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:”望郷楽団”チヨ・ホタル
    年齢:19歳
    性別:女性
    種族:半人半物(付喪神とのハーフ)
    本人概要:楽器の意匠を取り込んだスーツを着た女性。壊れた楽器の精霊の母と人間の父の間から生まれた女性。楽器の腕は卓越しており、ピアノ・チェロ・ホルン・トランペット・ビオラ・木琴・バイオリン…およそあらゆる楽器を自在に操り、聴くものの心を文字通り揺らす音楽を奏でる至高の指揮者である。
    実はマゾヒスト。
    自身もまた半分道具であるため、自在に楽器を取り出すことができる。その気になれば自身の身体さえ最高の楽器となる。
    特技はボイスパーカッション、人体オルガンという異名してその道では有名。
    能力:望郷楽団/亡境楽団
    能力概要:望郷楽団は彼女が操る無数の楽器によって奏でられる音楽の総称。彼女の音楽は相手の原風景…すなわち故郷をありありと浮かび上がらせる。彼女の音楽はその心の中の故郷に影響を及ぼすことができる。例えば、悲劇的な曲はその故郷を水没させ、過激な曲は炎上させ、陽気な曲は無数の雷で破壊し、心地よい曲は優しい風をそよがせ風葬する。故郷のイメージを蹂躙された相手は精神を破壊される。
    亡境楽団は彼女が致命傷を負ったときに奏でられる断末魔(レクイエム)。それは世界が滅びる童話を思わせる悲しき童謡。”国破レテ山河在リ”…相手の心全てを原初へ、人知在らざる自然へと還す。
    弱点:半分は道具…それも繊細な楽器であるため日光、湿気、衝撃にとても弱い。大量の水や急激な温度変化にも弱い。また、音楽をまるで聴く気がない相手には通じにくく、そもそも故郷が存在しない相手にも弱い。

  • 930二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:ピカ・リンコ
    年齢:9歳
    性別:女性
    種族:人間
    本人概要:
    発明大好きロリ眼鏡っ子研究者。「今何が必要なのか?」をテーマにいつでも発明の事を最優先で考えているポジティブ天然。
    数多の科学者や研究者から頭脳と技術の高度さを認められる真正の天才。
    どんな状況でも閃きを即実行する行動派で、閃いてから実際に発明して実験するまでの速度はとびきり速い。
    アイテム:【お取り寄せバッグ】
    アイテム概要:彼女の発明品の一つ。ネジやコンデンサなど、発明に必要な部品を好きなだけ調達できる。
    能力:【思考加速】
    能力概要:
    相手からインスピレーションを受けてもっともっと発明したいと思った時に開花する真の才能。
    通常の数百倍の思考速度とその思考速度に耐える脳構造を獲得する。
    世界すら止まって見える思考速度によって目的まで最短の動きを実現できる。
    弱点:
    身体能力は小学生。
    お取り寄せバッグで調達できるのはあくまで部品であり、完成品は調達できない。
    思考加速で身体能力は加速しない。
    脳をあまりに酷使すると脳がつかれて甘いものを食べないと動けなくなる。

    要望:口癖は「閃いちゃった!」でお願いします。

  • 931二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:グルマン・キャタピラ《はらぺこあおむし》
    年齢:2週間
    性別:無性(繁殖行為を必要としない単体進化種)
    種族:魔獣
    本人概要:
    スレーヌ・Cが生み出し使役する七罪の魔獣のうち《暴食》を司る魔獣。
    初めは手のひらに乗るほどの幼体だが、捕食を重ねるごとに指数関数的に強く大きくなり、東京タワーを尻尾で絡め取ってへし折り、投げ捨てるほどの怪力と巨体を得る。
    最終目標は「羽化」によって完全体へと進化することである。
    能力:
    《暴蝕胎動(Gluttony Cater)》
    「喰ったものすべてを自分の糧にし、その特性を自らの肉体進化に反映させる」暴食の権能。
    捕食対象は物質・魔力問わず「食物」として消化され、進化の素材となる。
    能力概要:
    第1段階:〈幼虫形態〉
    外見は絵本の青虫そのもの。体長5cmほどの無害な姿。捕食効率は異常に高く、質量・魔力・魂を問わず無限に食べ続けることが出来る。まだ戦闘力は低いが、一度噛みつけば肉も金属も紙のように裂ける。食べれば食べるほどどんどん強く巨大になっていく。
    第2段階:〈巨大幼虫形態〉
    捕食を続けることで巨体化し、最終的には全長100m超級、ビル群を踏み潰す怪獣級に達する。東京タワーを尻尾で巻き取り、金属構造をひしゃげさせて放り投げる膂力を獲得。
    第3段階:〈蛹形態〉
    一定以上捕食すると巨大な繭を形成し、五分の「進化準備期間」に入る。
    繭の内部ではこれまでに取り込んだあらゆる存在を「分解・解析」し、自分に最適化した新たな肉体設計を構築。
    第4段階:〈羽化後〉
    捕食した生物の特徴を組み合わせた蝶として羽化。大きさも形状も性質も能力も、幼虫時に取り込んだものによって大きく変化する。知性体を取り込んでいれば知性すら手にする。鉄鋼や鉱物のような固い物質を大量に取り込んでいれば固い外殻が形成される。
    一定の時間がたつと爆散し、無数の卵をまき散らす。
    弱点:
    最初期は青虫並みの身体能力と身体強度しかない。
    魔力核が存在し、砕かれると死亡。
     蛹状態は、一切の動きがなくなるうえに皮を大きく破けば倒せる。

    要望:第一形態の最初の段階からお願いします。卵まき散らした時点でこちらの負けで。

  • 932二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:超巨城ギ=ガテラ・ペータ
    年齢:288000500年
    性別:無し
    種族:建築物
    本人概要:開闢の時代に全ての巨神達の根城として作られた超巨大人型建造物、巨神の姿形に寄せて作られ600kmにもなる比類なき巨大さで幾度も他の神の襲撃を耐え抜いて来た巨城
    神々が去った後も地上に放置されてごく稀に動き出しては周囲に甚大な被害を出している
    能力:巨城の免疫(キーロ・ガテラ)
    能力概要: 超巨城ギ=ガテラ・ペータの許可無しに中へ入った者を排除する免疫機能達
    一体一体は訓練した兵士数人がかりで対処可能だが 数が桁違いに多く、最低でも一度に数百体を相手にし、その勢いは奥の方へ行くほど桁違いに多くなって行き1万体に1匹の割合で出てくる通常の兵士ではどうにもならない強さの精鋭個体なども出現する
    弱点:体の中心にある動力源か頭部分の中にある制御機能を司る部位を破壊すれば全ての機能が停止する
    要望(任意):機能や構造が人体に酷似している

  • 933二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:01

    名前:恋情のヴァルブルガ
    年齢:不明
    性別:女
    種族:悪魔(元天使)
    本人概要:「神が救わないのなら!!」
    かつて人間と恋に落ち、天使から悪魔へ堕ちた。
    悪魔特有の身体能力や怪力はないが、圧倒的な治癒能力は持っている。
    魔力も膨大であり、枯渇することがない。
    心優しい性格であり、戦いは好んでいない。

    目を見張るほど美しい容姿であり、どんな生物でも虜にしてしまうほど。
    能力:【治癒】
    能力概要:ヒールと読む。
    相手や自身の怪我や病気を完璧に治す。異常状態も治癒でき、ヴァルブルガが“怪我”だと認定したものは例外なく治癒する。心の傷や病気、持病も対象内。
    攻撃を受けても瞬時に治癒をしてリセットする。
    切断等も関係なく治癒できるため、実質不死身に近い。
    弱点:さすがに心臓を攻撃されると重症を負う。この場合は治癒速度が遅れる。
    さすがに蘇生は出来ない。
    攻撃手段を持ち合わせていない完全回復係。
    要望(任意):相手も自分も殺さないで…

  • 934二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:02

    名前:駒鳥 ヒナタ
    年齢:13
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:ブカブカなストリートスタイルな異能者の女の子
    自身家で良くドヤる、めちゃくちゃドヤる、でもかまってくれないと泣いちゃう、かわいいね
    親がストリートダンサーな影響で自身もブレイクダンスを嗜み、ダンスとコマ回しを融合させたパフォーマンスの研究中に異能に目覚めた
    能力:脚技、異能「夢幻独楽舞踊(ワンダリング・コマーズ)
    能力概要:沢山のコマを縦横無尽に操る能力
    放たれたベーゴマは物理法則を無視して宙を翔け本来なら有り得ない軌道を描き、敵に襲いかかる
    止まりさえしなければ回転数もどこまでも上げる事が出き、果てにはカマイタチや竜巻と言った自然現象すらも可能にする。
    また、自身もカポエイラのような鋭い脚技で踊るように戦う
    弱点:側面だと弾き飛ばされるが、回転軸を狙って攻撃を加えればそれだけでコマの回転は止まる
    また
    また能力の対象が紐で独楽を回す事であるため、既に巻き付けてあるコマのストックが切れると再び紐を巻き付けなければならずその分時間がかかる

  • 935二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:02

    名前:123456789/数言数(かずこと かぞえ)
    年齢:判定不能
    性別:判定不能/男
    種族:不明
    本人概要:数十年前の数言家頭首、元々時間を引き延ばす能力だったが、ある日能力が暴走し、【判定不能】年異空間に閉じ込められる。
    異空間の中で過ごす内、生物として変化し、全く新しい、生物と言えるのかどうかもわからないような存在になった。
    見た目は、浮遊している球体の周りに、さまざまな立体図形が浮かんでいる。
    能力:123456789
    能力概要:1から9までの数字を自由に操る能力。数字で表せるこの世の全ての事象に干渉できる。この世に存在するために、常に「1」の能力を使用しているので、他のことで「1」の能力は使えない。戦闘中では、発射した物体の速度を【数を入力してください】倍にしたり、自身の質量を【数を入力してください】kgに変えたりすることができる。
    弱点:意思のあるものには能力を使用できない。同時に二つしか能力を使えず、一枠は「1」で埋まっているので、実質一つしか能力を使えない
    要望(任意):言葉の端々に数字をいれてください。例「こん3にち9は」

  • 936二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:02

    名前:規制者
    年齢:不明
    性別:男(ネカマ)
    種族:人間
    本人概要:ピンク髪ツインテールで年齢不詳のオスガキ。口癖は「はいそれ規制~♡」
    規制標識ステッカーがベタベタ貼られたモーニングスターをぶん回して戦う。
    能力:Error:Service unavailable.
    能力概要:様々な手段で相手を規制する。能力による行動制限は規制者の接触、攻撃によって解除される(呪術の投射呪法的なノリ)
    ・言論規制(ビブル・レギュレイション)
    規制者を不適切発言などで侮辱した者を発言不能状態にする。なお女.さんなど句読点を置けば容易に回避できるガバガバ仕様。
    ・連投規制(コンティ・レギュレイション)
    同じ手段による攻撃方法は一分間のインターバルを置かないと使用不能にする。
    ・時間帯規制(クロノ・レギュレイション)
    事前に予約指定しておいた座標に居る生命の体感時間を停止させる。予約から3分後に発動し、融通は利かない。自分も巻き込み規制を受ける可能性あり
    弱点:肉体スペックは並の人間程度。
    世界を荒らすガチで悪質な存在には何故か規制が効きにくい。

  • 937二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:16

    名前: ルーク・デッドマン
    年齢: 20歳
    性別: 男
    種族: 人間
    本人概要:
    19世紀末の煤けたロンドン、、霧深い裏路地に蠢く殺し屋「デッドマン三兄弟(ブラザーズ)」の末弟。茶色っぽいベストに白い絹手袋、そして常に薬瓶を懐に忍ばせた神経質な青年。白い肌と痩せた体躯は、日光を避けて地下の錬金室に籠る生活の証。
    その顔には社交界の紳士のような作り笑いが張り付いているが、瞳だけが腐った毒蜘蛛のように冷たく光り、人間を毒で壊す瞬間にのみ興奮を覚える。
    表の世界では薬師を装い、裏では標的の「死に様」を芸術品と称して愉しむ異常者。
    能力: 『毒薬調合師(トクシック・アポセカリー)』
    能力概要:
    ロンドン裏社会で密かに流通する劇毒や幻覚剤の製造者。毒の種類は「即効性の神経毒」「呼吸困難を引き起こす煙霧」「理性を奪う幻覚剤」など多彩で、吹き矢・毒霧・刃物への塗布と手段も豊富。
    彼自身が戦闘に長けているわけではなく、狭い路地や密室での待ち伏せを得意とする暗殺者である。
    標的をただ殺すのではなく、「ゆっくりと苦しませて死に至らせる」ことを好むため、仕事はしばしば過剰に長引く。
    神経毒: 呼吸困難で徐々に窒息させる
    幻覚剤: 悲鳴をあげさせるため錯乱させる
    遅効性麻痺毒: 苦痛と恐怖をじわじわ与える
    戦闘より暗殺を得意とし、吹き矢・毒霧・毒刃を駆使する。だが何より恐ろしいのは「死に至るまでの過程」をわざと長引かせる異常な執着心である。

    弱点:
    身体能力は貧弱で、近接戦闘では一般の喧嘩屋にも劣る。
    薬品と道具を失えば、ただの虚弱な青年に過ぎない。
    「死に様への執着」が強すぎるため、仕事中に余計な行動を取りやすい。

  • 938二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:45:28

    >>478

    これ

  • 939二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:46:17

    やっとだ、

  • 9401◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:46:40

    >>934

    ここまで

  • 941二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:49:53

    連投規制ってなんだよ!! くそっ

  • 942二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:50:56

    >>941

    あにまんに現れた異常者どもに対する対策だ

    しかたないよ…

  • 943二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:53:06

    >>941

    お前は俺だ、前々回の俺、

  • 9441◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 22:56:18
  • 945二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:57:58

    よっしゃ

  • 946二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:59:46

    よし!グルマン!

  • 947二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 23:01:45

    ほっ…弾かれんでよかった…

  • 9481◆ZEeB1LlpgE25/07/30(水) 23:07:36

    グルマン・キャタピラvsペオース
    ツヴァイ・シルトvsカムイ・バッカーノ
    佐藤命&佐藤聖vs”望郷楽団”チヨ・ホタル
    駒鳥 ヒナタvsピカ・リンコ
    恋情のヴァルブルガvs超巨城ギ=ガテラ・ペータ

  • 949二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 02:11:27

    このレスは削除されています

  • 950二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 10:54:56

    このレスは削除されています

  • 9511◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 12:57:20

    題名『ダイスと蛹と街の終焉』

  • 9521◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 12:57:58

    「……うぇ、くっせぇなここ」

    夜、月明かりさえ届かない廃工場跡地。壁は錆び付き、天井は抜け落ち、床には謎の液体が点々と滲んでいる。そんな中を、気だるげな足取りで歩くのは──

    「ま、これくらい薄汚ねぇ方が“それっぽい”ってな」

    ──ペオース。派手なジャケットにガムを噛みながら、勝手に名乗っている『バイオパンク社エージェント』としての威を借りて歩いていた。もちろん本人はチンピラだし、バイオパンク社にそんな登録はない。

    だが、彼の目の前に――いた。

    「……なんだ、アレ」

    床の上に、ぽつんと座していたのは、丸々と太った一本の青虫。艶やかな緑色、けれど目が、ある。知性を持った目が、こちらをじっと見ていた。

    「うえっ……気持ちわりぃ……なぁんだよ……」

    次の瞬間だった。

    ──ガリッ。

    「ァッ!?」

    青虫が跳ねたかと思えば、音速の加速で地面を滑り、ペオースの足首に喰らいついた。ジーンズが裂け、赤い血が散る。

  • 9531◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 12:59:07

    「いってぇえええ!? な、何だよお前ッ!! ……冗談じゃねぇ……!」

    彼は叫びながらジャケットの内側から取り出す。3つのダイス。全部「4」の目しかない、イカサマサイコロだ。

    「──っと、こういう時は冷静に」

    カツン、と地面に振る。

    〈4の目〉──4秒間、16倍の身体能力強化。

    「よっしゃああああああああ!!」

    その瞬間、ペオースの身体が跳ねるように加速した。足首の痛みも気合いで無視し、殴る、殴る、殴る!──工場の壁に叩きつけた青虫は、ぐしゃりと潰れた。

    「ッハァ……やべぇ、強ぇ俺……!」

    息を切らしながら笑ったその時、背後で「ぐちゅり」と何かが潰れるような音がした。

    振り返る。瓦礫の下で、青虫が、喰っている。鉄骨を。砕けたコンクリートを。ペオースのちぎれたジーンズの切れ端までも。

    「──何してんの……?」

    それが、最悪の進化の始まりだった。

  • 9541◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:01:09

     轟音。

     それはペオースの背後で起こった。彼の背丈ほどもあった鉄製のコンテナが、何の前触れもなく抉られ、引き裂かれ、内部の資材ごとひしゃげていた。

    「――っ!」

     ペオースの視線が、そこにいる《それ》を捉える。

     さっきまで指先ほどのサイズだった青虫は、既に体長30センチを超えていた。無数の鉄屑を咀嚼しながら、頭部の角質が禍々しく膨れ上がっている。異常な進化速度――それが奴の本質だった。

    「……わかってんのかテメェ、どんだけインチキしてんだよ」

     舌打ち。だが、表情はまだ笑っていた。
     ペオースはサイコロを取り出す。今度は六の目しか出ないイカサマダイス。真鍮製のそれを軽く手のひらで弾くと、転がる音が静寂に響く。

     出目:6

  • 9551◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:02:18

    「……6秒間、6の二乗で36倍強化、っと!」

     全身に電流のような感覚が走る。筋肉が膨れ、靴底が割れ、骨が軋みながら悲鳴を上げる。

    「一発で仕留める――!」

     跳躍。

     空気を蹴ったペオースは、まるで銃弾のように一直線に《キャタピラ》へと飛びかかった。手には握った鉄骨。まともな武器ではないが、36倍に強化された腕力には十分な質量兵器となる。

    「おらぁああああッ!!」

     叩きつけられた鉄骨は、音を置き去りにしながら、《はらぺこあおむし》の頭部を粉砕――

     ――しなかった。

     咄嗟に腹部をねじり、甲殻が剛鉄のように発達し始めたそれが、ぎりぎりで防御の姿勢を取っていた。鉄骨が砕け散り、代わりにキャタピラの背が裂ける。
     だが、再生が始まる。

  • 9561◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:03:34

    「うっぜぇなおい……再生すんなっつの!」

     ペオースは追撃しようと再び跳び込む。だが、その隙にグルマン・キャタピラは鉄骨とペオースの汗を含んだ砂埃ごと捕食していた。
     すると――その皮膚に人間の皮膚のような滑らかさと、鉄の硬度が混在しはじめる。

    「は……!? おれの細胞から学習すんなや!?」

     進化は止まらない。
     キャタピラの体長は既に2メートルを超え、口腔器は獣の顎のように強化されていた。肉を裂くことに特化した歯列。触角はワイヤーのようにしなり、鋼鉄の柱を引き裂く。
     そして次の瞬間、グルマンは跳躍した。
     ぬばたまの如き影がペオースに襲いかかる。速度はまるで自分の36倍に強化したものとほぼ同等――さっき食われた自身の強化筋繊維が活かされているのだ。

    「っの、やろっ――!」

     紙一重で回避したが、脇腹に裂傷。深くはない。しかし……出血。

    「……ヤベ。やべえなこれ……」

     それはただの怪我じゃない。《あおむし》は、流れた血までも空気ごと飲み込み始めていた。

     捕食。
     即座に進化。
     再生。
     学習。

    「こんなイカれたモン、幼虫でコレかよ……!」

     焦燥を噛み殺しながら、ペオースは最後のダイスに手を伸ばした――。

  • 9571◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:05:03

    「……ハァ、ハァ……ハ――」

     ペオースは、壁に背中を預けるようにして座り込んでいた。呼吸が荒い。体が重い。

     最初の36倍強化からの反動が、ついに来たのだ。

     肉体は悲鳴を上げ、足が鉛のように動かない。次のダイスを振る力さえ、今の彼には残されていない。

     そして目の前――

     《キャタピラ》は、巨大幼虫形態へと進化していた。

     体長50メートル、膨れ上がった肉塊。鋼鉄の装甲を巻いた節足と、蠢く体節の一つ一つからは、無数の牙のような突起が生えそろっていた。

     咀嚼音が響く。

     それは人間が出す音ではない。あらゆるものを咀み砕き、骨も魂もひとしく喰らい尽くす《暴食》の音。

     鉄骨の山、倒壊した建物、死んだ野良猫、吹き飛んだパイロン――あらゆるものを片っ端から飲み込んでは咀嚼し、ペオースの目の前でその巨体を、なお膨れ上がらせていた。

    「……は、はは。……喰い過ぎだろ、おまえ……っ」

     虚ろに呟くペオースの頬を、ひとすじの汗が伝う。

     だが。

  • 9581◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:05:31

     彼は――サイコロを掴んだ。

     最後のイカサマダイス。

     **「5の目」**しか出ない、それだけを祈って使う最終兵器。

     ぐらりと体を傾けながらも、ペオースはそれを床に転がした。

     カラ……カラカラ……タン。

     出目:5

    「5秒……25倍……っ、もう、これでラストだ……」

     意識がどんどん薄くなる。心臓が喉の奥で爆音を鳴らし、筋肉が裂けるように脈動する。

     だが。

     立った。

     ペオースは、立った。

     立って、《キャタピラ》の真正面へと走った。

    「いっけぇええええええええぇぇぇッ!!」

     それは死に際の咆哮。

     動きは鈍い。すでに体はボロボロだ。だが、ペオースは最後の一点に賭けていた。

  • 9591◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:06:02

     ――魔力核。

     《キャタピラ》の体内、まだ幼虫の段階にあるそれは、外殻を完全には覆えていない。

     しかも、一瞬だけ見えた。全身をくねらせたとき、透明な節の内部、発光する赤黒い球体。

    「あそこだ……! そこしかねぇ……!」

     五秒。

     すべてを削って、ペオースは跳んだ。

     だが――《キャタピラ》は動かなかった。

     その巨体が、急に痙攣を始めたのだ。

  • 9601◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:06:40

    「――!?」

     腹部の節が膨れ、背中に禍々しい隆起が浮かび上がる。皮膚が透明化し、黒く濁った内部が見える。

     そして。

     ――咀嚼音が止まり、世界が静止した。

     その瞬間、ペオースは全身を振り絞って叫んだ。

    「やべぇ、“蛹になる気だ”!!」

     間違いない。喰い過ぎた。進化が進みすぎた。

     このままでは――繭が生まれる。

     ペオースは壁を蹴って跳躍した。

     全力で、《キャタピラ》の発光する節を目掛けて――

     だが。

     間に合わなかった。

     次の瞬間、世界を飲み込むほどの肉塊が膨張し、巨大な繭が周囲すべてを呑み込んだ。
     ペオースの手が、わずか数センチの距離で、光を届かせられなかった。

     そして――

     地響きと共に、戦場は、沈黙した。

  • 9611◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:07:12

     静寂。

     それは、まるで生まれる前の胎内のようだった。

     ペオースは、瓦礫の中でうつ伏せに倒れていた。
     繭の膨張によって弾き飛ばされたのだ。彼の体は満身創痍。骨も筋も悲鳴を上げている。
     もう立てない。彼は、はっきりと悟っていた。

     ――だが、目は開いていた。

     彼の視線の先には、**《繭》**があった。

     高さ20メートル、表面は硬質な殻で覆われ、無数の紋様が刻まれている。
     よく見れば、それはこれまでに喰われた者たちの**“顔”**でできていた。
     人間、魔獣、金属、魔法――あらゆるものの痕跡が表面に浮かび、悶えている。

     そして、

     バキィィィ……ンッ……!!

  • 9621◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:08:35

     その繭が、裂けた。

     次の瞬間、そこから現れたのは――

     **《蝶》**だった。

     それは、言葉を失うほどに美しかった。
     だが、同時に――この世の理から逸脱していた。

     金属の羽。血管のように脈打つ黒い翅脈。
     鉱石のような鱗粉を撒きながら、空を漂うその姿は、まるで神話の災厄だった。

     グルマン・キャタピラ、《はらぺこあおむし》。
     その最終形態――羽化形態:完全体グルマン。

  • 9631◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:09:26

     「……は、はは。……出やがったな、化けモンめ……」

     ペオースが呟いた直後。

     《蝶》が、羽ばたいた。

     風が、空を裂いた。

     その一振りで、周囲数百メートルの建物が崩壊する。
     風圧だけでコンクリートが削れ、電柱が吹き飛んだ。

     そして。

     その背から、無数の卵が、こぼれ落ちた。

     「……あ」

     ペオースの唇から、声にならない声が漏れた。

     それは――終わりの音だった。

     卵たちは空中に舞い、灰色の雨のように舞い降りる。
     やがてそれは、都市に広がり……新たな《暴食》の種となるだろう。

     そして。

     完全体グルマンは、ゆっくりと空へ飛び立った。

     まるで、満足したように。
     まるで、使命を果たしたように。

  • 9641◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 13:09:57

    以上

  • 965二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:12:13

    珍しい
    怪獣側が勝利するとは…

  • 966二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:14:15

    まさか....人間が負けた...?

  • 967二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:15:03

    人類滅亡エンドか…

  • 9681◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:24:57

    題名『灼熱の猟場と不屈の鉄塊』

  • 9691◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:26:02

    地下区画――既に役目を終え、封鎖された防衛隊旧施設。
    鉄とコンクリートの骨組みが剥き出しになった空間に、静かな足音が響く。

    その中心に、ひとりの女がいた。

    赤髪のロングを背に揺らし、顔を仮面で隠した暗殺者。
    左腕は銃身と肉が癒着した異形の塊。その先にあるスコープが、小さく赤く光を放つ。

    カムイ・バッカーノ。
    ──かつて、希望を背負った女。
    今は、闇の命令に従うだけの影法師。

    「……掃除は完了。残りは、出口だけ」

    任務は終わっていた。
    この地下に巣食っていた研究員崩れの不正分子は、既に無音で排除済み。

    彼女がそのまま踵を返そうとした、その瞬間。

    「やっと見つけたぞ、カムイ」

    低く、響く、地を這うような男の声。

    通路の奥、崩れた鉄扉の向こうに――影が立つ。

    鉄腕のツヴァイ。
    鋼の義手と、不壊の大剣を背に担ぎながら。
    鎧すら着けず、ただ迷彩の制服一枚の姿で、重戦車のような圧を放っていた。

    「……あんた、何のつもりだ。隊長様が、こんな場所で何の用だ」

  • 9701◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:26:30

    「貴様がまだ“人間”であるうちに……止めてやるつもりでな」

    「……は。そうか」

    彼女は鼻で笑い、仮面の奥で哀れみを滲ませる。

    「もう何もかも手遅れだよ、ツヴァイ。
     アンタの正義じゃ、この左腕は戻らない」

    重い沈黙。
    そして次の瞬間、ツヴァイが鉄塊を地に突き立てた。

    「ならば――その身体ごと叩き潰すしかあるまい」

    次の瞬間、爆音。

    狙撃弾が義手をかすめ、火花を散らす。

    カムイの左腕から放たれた一撃。
    それが、再会の銃声だった。

    爆風が舞い、粉塵が視界を遮る。

    「この一撃で沈まないのは知ってる。だからこそ……ここで使うしかないんだ」

    彼女は左腕の呪符を、音もなく引きちぎる。

    「シャイターンの猟場、展開」

    世界が、裏返る。

  • 971二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 16:27:23

    このレスは削除されています

  • 9721◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:29:38

    砂嵐が世界を飲み込む。
    天には二つの太陽、地には果てなき熱と砂。
    ここはもう現実ではない。
    この空間の支配者は、彼女だ。

    カムイ・バッカーノ。
    シャイターンと契約し、左腕に悪神の銃を宿した女。
    その瞳に映るのは、標的ただ一人。

    「……あたしの“猟場”へ、ようこそ。ツヴァイ隊長」

    砂に膝をついた男。
    滝のような汗を流しながらも、膝を突いて尚、大剣を地面に突き立てている。

    その姿に、カムイはどこかで見覚えを感じていた。
    ――かつての訓練場。
    崩れ落ちそうな体で、ひたすらに立ち上がり続けた男。
    全身血まみれでも、ただ前だけを見ていた。

    「ほんと、変わらないんだね。アンタは」

    左腕の肉塊が、呼吸に合わせて脈打つ。
    黒い神経線が、銃身の内側を這いずり回るように走る。

    「じゃあ、これでどうなるか見せてよ。
     アンタの“根性”が、神の呪いに勝てるか」

  • 9731◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:30:24

    引き金、軽く。
    破裂音とともに放たれた弾丸は、空間そのものを引き裂く。弾速、音速超過。直撃すれば人間など霧散する。
    ツヴァイは、避けなかった。

    「ぐッ……!」

    肩が吹き飛びかけた。
    義手でなければ、確実に腕ごと持っていかれていた。
    鉄の部品が散る中、それでも男は顔を上げる。

    「……随分とやりやがる……!」

    足を引きずりながら、歩を進める。

    「止まれ。ここはあたしの世界。
     ――“猟場”に踏み込んだ獲物は、逃げられない」

    カムイの声と同時に、風が唸りを上げる。
    砂嵐が舞い、熱波が視界を焼き尽くす。
    それでもツヴァイは、まっすぐ前を見た。

    「なら、切り拓くだけだッ!!」

    鉄塊が唸った。
    地面を叩き、爆風とともに砂を巻き上げ、
    周囲の視界をカムイの“スコープ”から奪い取る。

    「視界潰し……!? でも、無駄だよ。この世界において、あたしは“全てを視てる”」

    彼女は射線を切り替え、砂の向こうの心音を捕捉する。

  • 9741◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:39:33

    鼓動、肺の膨らみ、熱源、全てが狙いの対象。

    「逃げ道なんて、無いッ!!」

    二発目。
    照準は完全に捕らえた。
    撃ち抜く、心臓を。

    しかし――。

    「なっ……!?」

    銃声が放たれる寸前、風向きが、変わった。

    ツヴァイのパイルバンガーが地面に突き刺さった瞬間、
    砂を“噴火”させるように巻き上げたのだ。

    爆風で射線がブレる。
    弾丸は脇腹をかすめ、コンクリートの残骸を破壊する。

    「……視界も感知も、風に逆らえはしない。
     なら、風ごと叩き起こしてやるまでよ」

    「っざけんな……筋肉で自然現象に逆らうな!!」

    その叫びとともに、三発目を撃つ。
    しかしツヴァイは――真正面から突っ込んできた。

    心音が、大きくなる。
    この男は、スリップダメージを無視して突進してくる。

  • 9751◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 16:40:27

    砂漠の呪詛が肺を焦がし、皮膚を裂いても、止まらない。

    「……本当に、アンタ……まだあの頃のままなんだね……」

    心のどこかで、懐かしさと、羨望を感じていた。

    自分はなれなかった。
    “ヒーロー”に。

    でも、彼は――。

    「ツヴァイ!!!」

    怒鳴るように叫んで、四発目を撃つ。
    照準は、首。

    一撃必殺。

    しかし――鉄塊が、その銃弾を弾いた。

    「ッ――!!?」

    不壊の大剣。
    ただの塊、ただの鉄。
    だが、その“ただの鉄”に、彼の不屈が宿っていた。

    「貫けるもんなら、貫いてみろ」

    次の瞬間、ツヴァイの拳がカムイの眼前に迫る。

  • 9761◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:03:27

    灼熱の太陽が二つ、空に爛々と燃え続けていた。
    この世界は、カムイのもの――シャイターンの猟場。
    砂嵐が舞い、呪詛の陽光が精神を蝕む。
    この空間で彼女に近づける者など、本来いないはずだった。

    だが。

    「……詰めてきやがったな。まるで地雷踏むように、平然と」

    目の前に立つ巨躯。
    焼けた皮膚、切れた筋繊維、血まみれの顔――それでもなお、ツヴァイ・シルトは止まらない。

    「お前の能力は強い。環境ごと狙撃に特化してる。
     でもな、砂漠ごとブッ叩けば話は別だ」

    まるで当然のことのように言って、鉄塊の大剣を片手で持ち直す。

    「アンタ、狂ってるよ。死ぬってわかってんの?」

    カムイの左腕が脈打つ。肉と鉄が混ざった呪いの銃――
    そこから吐き出されるのは、悪神の詛いを込めた破魔の弾丸。

    しかし、彼女の手が微かに震えていた。

  • 9771◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:04:25

    (距離が近すぎる――)

    ツヴァイの鼓動が、息遣いが、すぐそこにある。
    銃口が捉えるその眼差しは、どこまでも真っすぐだった。

    「カムイ。お前はまだ、誰かを撃ちたくないって目をしてる」

    「……は?」

    「俺の経験上、殺しに慣れてる奴は、そんな顔はしねぇ。
     自分の手を信じ切れてない奴だけが、そうやって引き金の重さに迷う」

    「……うるさいな、正義面して。
     あたしはもう“そっち側”に戻る気なんて――」

    言葉よりも早く、ツヴァイが踏み込む。

    「!」

    大剣の風圧だけでカムイの身体がよろめいた。
    視界の端に焼けた砂の粒が突き刺さる。
    それでも、引き金にかけた指は離さなかった。

    (撃てる。撃てるんだ。……撃て――)

    銃声と同時、ツヴァイの義手が振るわれた。

  • 9781◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:09:01

    パイルバンガーの杭が地面に突き刺さる。砂嵐が一瞬にして反転、衝撃波が弾丸の軌道を逸らす。

    「ッ……!?」

    銃弾はかすっただけで、ツヴァイの肩に裂傷を残した。

    「なるほど、今のが“本気”か。
     だが、全弾本気じゃなきゃ――俺は止まらねぇぞ」

    瞬間、巨体が跳んだ。
    カムイの目の前に、鋼の塊が迫る。

    「がっ……!」

    銃でガードするも、義手の拳が容赦なく振り抜かれる。
    黒い血と金属片が混ざった飛沫が空に散った。

    ――左腕に激痛。
    ――銃が、割れ始めている。

    (まずい……このままだと、あたしの“領域”が保たない……!)

    カムイは距離を取るために跳び下がるが、ツヴァイの接近圧力が恐ろしい。
    それはまるで、人類という種が進化で得た答えそのもの。
    戦場で生き残るには、まず前に出ろ。
    それを愚直に、獣のように、忠実に実行する存在。

    「昔のあたしなら――きっとあんたに憧れてたよ……!」

    遠距離へ後退しながらカムイは呟く。

  • 9791◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:10:01

    本音が、呪詛の銃身から零れ落ちる。

    「でももう、戻れないんだよ……!
     正義も、誓いも、全部――あの子の頭ごと吹っ飛ばした!」

    叫びと共に、左腕が膨れ上がる。
    ライフルの形をした肉の砲身が、膨張し、咆哮する。

    シャイターンの弾丸。貫通力最大、照準最短。

    だが――

    「ならその迷いごと、ぶち砕く!」

    ツヴァイの足が地を蹴った。
    義手が唸りを上げ、大剣が引き絞られる。

    次の瞬間、両者の攻撃が交差する。

    ――呪詛の弾丸が放たれる直前、
    ――鉄塊が、銃口をへし折るほどの打撃を放った。

    「ッ――ッ!!!」

    爆風。
    砂塵。
    光と闇の中で、二つの影が吹き飛ぶ。
    一拍遅れて、呪われた空間が、ヒビ割れ始めた。

    カムイの“猟場”が、崩壊する。

  • 9801◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:12:01

    ――視界が歪む。
    陽光と灼熱、呪詛と砂嵐。
    砕けた銃身。焼けただれた左腕。

    「ハァ……ハァ……」

    カムイ・バッカーノは膝をついていた。
    全身が悲鳴を上げていた。
    左腕の呪肉は既に制御不能。肉は裂け、銃器としての機能を失いかけている。

    それでも、目の前に迫る“それ”を止められない。

    ――ツヴァイ・シルト。

    砕けた大剣をなお背負い、顔面を血に染めた巨漢。
    焼けた皮膚、裂けた義手、膝を引きずりながらも――まだ歩いてくる。

    「……っ、なんで……なんで、そこまでして……!」

    その姿はまるで、正義そのものに思えた。

    (違う、そんなもの……とっくに腐ってるのに。あたしが、殺してしまったのに……)

    砂漠は崩れはじめていた。
    シャイターンの猟場が限界を迎えつつある。
    スリップダメージは、カムイ自身をも侵している。

    その痛みと共に蘇る――過去。

  • 9811◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:13:33

    裏切られた任務。
    逃げる仲間。
    抱えたままの子供を撃ち抜いてしまった自分の手。

    「それでも、まだ正義を語れるのかよッ……!」

    叫びは、泣き声に近かった。
    ツヴァイは止まらない。
    だが、その目に怒りはない。

    「……正義か。そんなもん、最初から語ってねぇよ」

    「はっ……?」

    「俺はな、“お前がまだ立ち直れる”って、そう信じてるだけだ」

    それは、あまりにも――

    「……バカじゃないの……」

    愚直な、愚かで、まっすぐな信念。

    「俺が信じてるのは、“お前”だ、カムイ。
     あの頃、誰よりも努力して、命を懸けて、誰かを守ろうとしてたお前を……
     お前自身がまだ、完全に捨ててないことに、賭けてるんだよ!」

    その声に、カムイの胸が軋んだ。
    そうだ――彼女は、忘れようとしていただけなのだ。
    あの頃、誰よりも“ヒーロー”になりたがっていた自分を。
    誰かを守りたかった自分を。

  • 9821◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:14:22

    (あたしは……ただ、許されたいだけだったんだ)

    でも、そんなことを口にできるほど、綺麗なままではいられなかった。

    「来なよ……隊長さん」

    ゆらりと立ち上がる。

    「どうせ……これがあたしの罰なんでしょ?」

    崩れかけた左腕のバレルが、ツヴァイに向けられる。

    ツヴァイは、静かに歩を止めた。

    「……違う」

    「……は?」

    「これは罰なんかじゃねぇ。
     これは、“始まり”だ。
     お前が、どんなに血まみれになっても――もう一度立つための、最初の痛みだ」

    その瞬間だった。

    ツヴァイの足が、地を穿った。

    次の瞬間、拳が――カムイの顔面を撃ち抜いた。

    一切のためらいもない一撃。

  • 9831◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:15:06

    人類最強格の筋力が、正面から叩きつけられる。

    「――――ッッ!!」

    地面がひび割れた。
    カムイの身体が吹き飛び、砂に沈む。
    砂嵐が吹きすさび、呪詛の太陽が消えていく。

    シャイターンの猟場が――完全に崩壊した。

    「……う、ぁ……」

    意識が浮上する。
    砂まみれの顔、血と涙と汗の味。
    倒れたカムイの目に、差し込む光。
    それは呪詛の太陽ではなかった。
    本物の、青空だった。

    「立て、カムイ・バッカーノ」

    ツヴァイの手が、差し出されている。

    「次は、自分の足で歩け。
     ――もう、お前は“誰かに引き金を引かされるだけの兵器”じゃねぇ」

    しばらくの沈黙。
    やがて、震える手が、その手を取った。
    指は細く、傷だらけで、まだ迷っていた。
    けれどその中に、
    ほんの一滴――希望が、宿っていた。

  • 9841◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:16:04

    灼熱の砂嵐は止み、呪詛の太陽は消え、
    かつて“シャイターンの猟場”だった空間は完全に崩壊した。

    代わりに広がっていたのは、ただの静かな荒野。
    夕焼けのような、橙色の光が射していた。
    カムイ・バッカーノは砂に倒れていた。
    血と涙と後悔にまみれたまま、しばらく目を閉じていた。
    静寂――。

    「……なあ、ツヴァイ」

    声は、風のように弱く、かすれていた。

    「わたし、あのとき……」

    かすかな嗚咽。
    それは「撃ってしまった」という過去の罪が、
    ようやく「声にできる痛み」に変わった証だった。

    「守るために引いた引き金だった。でも――外したくなかったわけじゃない。
     本当は、あの子の顔も、名前も、思い出せないくらいに……見ないようにしてた」

    「……」

    ツヴァイ・シルトは黙って聞いていた。
    夕日を背に、巨体を影のように落としながら、砂に腰を下ろしていた。

    「……なあ、カムイ。
     正義ってのはよ、いつも“正しさ”を決めるものだと思われてる。
     でも実際は、“立ち上がる理由”だと、俺は思う」

  • 9851◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:17:58

    「……“理由”?」

    「何かを守るために戦ったのに、守れなかった。
     だったら、お前が今後守る命のために――立て。
     ……そのとき、お前の“正義”は、ようやく生きる」

    沈黙が降りた。
    やがて、カムイはひとつだけ、苦笑した。

    「……あんた、昔からそうだったわね。
     傷だらけで、バカみたいに真っすぐで……“信じてる”ことしかできない男」

    「“信じられる”仲間がいたからな」

    「……ずるいなぁ、もう……」

    その瞬間、砂に沈んでいたカムイが、ゆっくりと立ち上がった。
    ボロボロの脚。砕けた左腕。焼け焦げた制服。
    だが――その目は、戦場で見せていたものと違っていた。

    「……もう一回、やってみるわ。
     誰かの味方になれるように、もう一度、最初からやり直してみる」

    「なら、手を貸すぞ。
     俺の正義のためにじゃない。お前の正義のためにだ」

    カムイは黙って頷いた。

    そして、伸ばされた手を今度は自分から握った。
    その手は震えていたが――確かに、生きていた。

  • 9861◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:18:30

    空は暗くなり始めていた。
    かつての灼熱の砂漠ではなく、ただの地平線。
    星が少しずつ、瞬きを始めていた。

    二人の歩く先に、未来はまだない。
    けれど、“歩こうとする意思”が、ようやくそこに生まれていた。

    ヒーローになるという夢は、
    たとえ呪われた過去の中にあっても――もう一度、灯せる。

    静かに、夕闇が二人を包んでいった。

  • 9871◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 17:18:48

    以上

  • 988二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 17:20:03

    うおおおお、救われてよかったああああ!!

  • 989二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 17:31:44

    かっけぇよ…ツヴァイ…
    さすが筋肉だ…

  • 990二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 17:33:46

    闇に囚われたキャラが救われてやり直す決意をするのはいいものだ…

  • 991二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:32:10

    このレスは削除されています

  • 992二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:33:00

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  • 993二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:33:32

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  • 994二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:34:35

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  • 995二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:35:38

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  • 996二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:37:48

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  • 997二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:40:03

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  • 998二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:40:40

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  • 999二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:42:02

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  • 10001◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:46:05

オススメ

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