魔王学院原作初見感想待機スレ9

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 08:29:35

    魔王学院原作初見感想待機スレです
    スレ主が見ている範囲までのネタバレあり

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 08:30:40
  • 3二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 08:34:50

    乙です

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 09:32:03

    待機

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 09:59:34

    待機

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:22:50

    待機

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:46:42

    乙です

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 10:52:06

    待機

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:14:57

    建て乙です

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:31:53

    待機

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 14:16:17

    待機

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 21:23:05

    待機

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 22:35:19

    待機

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 07:47:16

    待機

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 15:30:43

    待機

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:06:00

    待機

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:00:24

    待機

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 02:08:02

    待機

  • 19スレ主25/07/22(火) 07:17:34

    「くすくすっ。とっておきの秘策があるんだぞっ」


     そう言って、エレオノールは制服を脱ぎ捨てる。

     すると、その下には<至高水着ビ・キニ>があった。


     同じように、ゼシアが制服を脱ぎ、<至高水着ビ・キニ>姿になる。


    「な……なんですか、その――ええぇぇぇぇっ……!!」


     ゼシアとエレオノールの急加速に、エミリアが驚いたように目を剥いた。


     ふむ。しかし、教師が引っぱられているだけでは締まらないな。

     そう思い、俺は<思念通信リークス>を飛ばす。


    『エレオノール。お前の体を経由して魔法を送る。少々遅くはあるものの、いい機会だ。エミリアに就任祝いをくれてやろう』


    「わかったぞ。エミリア先生、ちょっといーい?」


     エミリアがエレオノールを振り向く。


    『<至高水着ビ・キニ>』


     俺がエレオノールを経由して魔法を使うと、エミリアの体が光り輝く。

     それがぱっと弾けると、彼女の服は消え去り、<至高水着ビ・キニ>姿になっていた。


    「……な、なにしてるんですかぁっ!?」


     エレオノールが人差し指を立てる。


    1発ネタかと思ったらまさかの復活

  • 20スレ主25/07/22(火) 07:20:28

    平原一帯を巨大な<竜縛結界封デ・ジェリアス>とし、向かってきた竜の群れを一網打尽にする。それが、エミリアの考えた殲滅作戦だった。


     とはいえ、<竜縛結界封デ・ジェリアス>の魔法術式は複雑だ。広大な範囲にそれを描くとなれば、かなりの集中と時間を要するだろう。


     魔法陣完成まで、エミリアたち勇者学院は、竜の群れをあの森林で食いとめなければならない。


     うまくいけば竜を殲滅できる。

     だが、失敗すれば、無事では済むまい。


     その覚悟を持って、勇者学院の生徒たちはここまでやってきた。


     迷いがなかったかといえば嘘になるだろう。

     怖じ気づかなかったかといえば、そんなはずもない。


     それでも、小さな勇気を振り絞り、恐れと迷いを振り切って、彼らは今、戦場に立っている。


    勇者してる……

  • 21スレ主25/07/22(火) 07:23:57

    「わたしは皇族として生まれました。ディルヘイドの崇高なる英雄、恐ろしくも尊き暴虐の魔王、その完璧なる存在の血を受け継ぐ、尊き魔族だと信じて疑いはしませんでした」

     言葉にすれば、彼女の心には、今もなお痛みが走る。

    「それは嘘でした。わたしはただの何者でもない魔族で、その事実をあろうことか、暴虐の魔王本人に突きつけられたんです。わたしは呪いをかけられ、皇族である誇りを失い、死んで逃げることさえ許されませんでした」

     その苦しみを、生涯、エミリアは抱えていかなければならないのかもしれない。

    「それでも、わたしは逃げ続けました。目をそらし続けました。逃げて逃げて、どこかにわたしの居場所がないかと彷徨い続けて、今、こうして、皆さんとここに、一緒に立っています」

     一際巨大な竜の頭が目に映った。
     キィィィンッと竜鳴が彼女たちの耳に響く。

    「ですが、安心してください。都合の良い話かもしれませんが、どうか信じてください」

     心を込めて、彼女は言う。

    「逃げて逃げて逃げて、どうしようもないぐらい逃げ続けたわたしですが、ここからは一歩だってもう、逃げません。いいえ、逃げられません」

     まっすぐ前を見て。
     進撃する竜たちの群れを見据えながら、エミリアは声を上げた。

    「ここが、わたしの、ようやく見つけた、守りたい場所だから」

    これが起きたのが2章だったっけ?そう思うと長いもんだ

  • 22スレ主25/07/22(火) 07:27:39

    「こんなところで死ぬのはご免です。あいつらに人間を舐めたことを後悔させてやりますっ。ぶっ殺してやりましょうっ!!」

     響き渡る声に、彼らの想いが一つになっていく。

    「……はははっ、いいね、エミリア。最高だよっ」

    「ああっ、やろうぜ。ぶっ殺してやる!」

    「害獣など、わたしたちの敵ではありませんね」

     ハイネ、ラオス、レドリアーノが聖剣を構える。

    「砲撃魔法準備っ!! 来ますよ……!」

    この辺全員生き生きしてて良いよね

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 08:31:12

    マジで面白い章だよなぁ

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 09:12:33

    >>19

    まさかの再登場だけどすぐに服着るのはちょっと笑う

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 14:57:36

    待機

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:42:13

    待機

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 05:52:57

    この辺りくらいの章からアノス以外の本格的な戦闘が増えてくるイメージある
    アノスはなんやかんやで勝つのわかるけどそれ以外は結構緊張感ある

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 08:09:55

    待機

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 12:21:33

    待機

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 15:46:25

    待機

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:07:58

    待機

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:01:46

    待機

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 05:48:42

    待機

  • 34二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:04:23

    名ばかりの勇者が本当の勇者になるのいいよね

  • 35二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:49:31

    勇気ある者で勇者、その名の通りの存在に成長したな

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 19:35:43

    待機

  • 37二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:50:45

    このレスは削除されています

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 05:05:31

    待機

  • 39二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 12:55:53

    保守

  • 40スレ主25/07/25(金) 13:51:37

    <根源応援魔法球>は、みんなの根源の力を全力以上に引き出すんだぞっ。緑は一八〇秒、青は一二〇秒、赤は六〇秒だけ応援してくれて、緑、青、赤の順に沢山力を引き出すぞっ。でも、効果が切れると一〇秒は魔力が半減するから、そうしたら大ピンチなんだっ……!」


    「……なんで、んな面倒臭い魔法を覚えてきてんだよっ……! 魔王学院はなに教えてんだ……」


    ゲームのスキルの解説みたいなってて草

  • 41スレ主25/07/25(金) 13:53:04

    「こっのおおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!! 意地汚い害獣の分際で、わたしの生徒に手を出してるんじゃありませんよっ……!!」

     叫びながら、エミリアは吐き出された灼熱のブレスを押し返すように、自ら竜の顎あぎとへ突っ込んでいった――

    いいっすねー完全に教師の鑑ですよエミリア先生

  • 42スレ主25/07/25(金) 13:54:49

    「<全能なる煌輝>エクエスの御心のままに」


     キィィィンッとその竜人の口から竜鳴が響く。

     俺は手を放し、そいつの顔面を思いきり踏みつけた。


    「がはっ……!!」


    「なるほど、憑依召喚か。そういえば、竜の中には、周囲の環境に溶け込むように隠れるのが得意な個体もいたな。その身に竜の力を宿していたというわけだ」


     竜人は素早く剣を抜き放ち、竜の力で俺の体に斬りかかる。

     更に足に力を入れ踏み込んでやれば、頭を地盤にめり込ませた。


    「ごっ……」


    「答えろ。誰の命で、なにをしようとしている?」


    「……我らは、崇高なる神の戦士っ! たとえこの命奪われようとも、貴様に教えることはなにもないっ!」


     竜人がそう口にした瞬間、俺が描いた魔法陣から現れた黒い糸がその首に絡みつき、禍々しい首輪がかけられた。


    「ならば、祈れ。その信仰がどこまでもつか、存分に試してみよ」


     <羈束首輪夢現>。

     その夢が見せるのは、神なき世界で幾度となく俺に殺される光景だ。


     祈っても願っても、神は現れず、ただひたすらに殺され、滅び続ける。

     ありとあらゆる苦痛がそいつを責め立て、数千数万という死が一秒の間に通り過ぎる。


    さっさと話す方が楽なれたんですけどねえ……

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 13:57:58

    >>40

    多分エレオノールが自分で開発した魔法とは思うんだけど濡れ衣を着せられる魔王学院はちょっと笑う

  • 44スレ主25/07/25(金) 13:58:59

    「侵略者め」

     ぐしゃり、と足を踏み抜き、俺は竜人の頭蓋を潰した。
     未だ隠れてこちらの様子を窺っている者どもに、ゆるりと視線を飛ばしてやる。

    「この地上に争いの種を持ちこむことは許さぬ。三秒時間をくれてやろう。今すぐ兵を退くがいい。でなければ、貴様らの神諸共、ジオルダルは滅ぶことになろう」

     一瞬の静寂。
     次の瞬間、保護色のように地盤と同化し隠れていた竜人たちの姿が、すうっと浮かび上がる。
     
     誰もが法衣を纏い、その上に純白の鎧を身につけている。 

    容赦ない時はとことん容赦ないの素敵

  • 45スレ主25/07/25(金) 14:00:42

    「神を信じる前に、その目で現実を見つめてみよ」


     一歩俺は前へ出る。

     ミーシャが<創造の魔眼>で竜人たちを睨む。


     奴らは次々と雪の結晶へと姿を変えていく。


    「……ひ、怯むなっ! 神を信じよっ! 突撃ぃぃっ……!!」


    「貴様らには見えぬか。今この上で、ようやく居場所を見つけ、必死に戦っている者たちの想いが。彼女らは救いを求めなかった。彼女らは助けを請わなかった。その目で現実をしかと見つめ、その手で理不尽に抗っている」


     黒き雷が俺の周囲に集う。

     起源魔法<魔黒雷帝ジラスド>。


    「ぐあっ……ぎゃああああああああああああああぁぁぁっ……!!」


    「……馬鹿なっ……!! 竜の護りを貫くほどの魔法だとぉぉっ……!?」


    「神も喚ばずに、なぜこんな力がぁぁっ……ぐあああああああぁぁぁっ!!」


     漆黒の稲妻が唸りを上げて膨れあがり、周囲の竜人たちを撃ち抜いては消し炭に変えた。


    「今まさに救われようとしている者の意志をくじき、なにが神か。なにが救済だ、愚か者め。何者にも彼女らは決して救えぬ。自ら勝ち取らねばならぬということを、彼女らはその身を持って知っているのだからな」


    アノス様多分この章で1番キレてると思う

  • 46スレ主25/07/25(金) 14:02:22

    「一切の救いも許さぬ。ただ無意味に死 ね」


     数秒が経過し、ボッと一人の竜人に炎がついた。


    「どうした? 早くも一人、信仰を捨てたぞ。なんとも信心深いものだな」


     二人、三人と次々に竜人たちは神への信仰を捨て、悪夢の中で俺に許しを請う。

     そうして、彼らは燃え尽きていった。


    「お・の・れぇぇぇ、この悪魔めがぁぁぁっ……!!!」


     <羈束首輪夢現>をかけられていない別の竜人が竜の爪にも似た剣を振りかぶり、憤怒の形相を俺に向ける。


     その喉元を手刀で貫いた。


    「……ごっ、ほ…………」


    「否定はせぬ」


     <羈束首輪夢現>を首にかけた。


    「だが、貴様らの所業は、悪魔にも劣る」


     目の前の竜人はがくりと膝をつき、燃える。

     そうして、神への信仰を捨てて灰になった。


    本当に怒ってるんだなってよくわかる

  • 47スレ主25/07/25(金) 14:03:43

    「……銀の髪と……あの禍々しき瞳……悪しき伝承の通りの…………」


     ミーシャとサーシャの融合した姿に、竜人どもは力の差以上の畏怖を覚えている。


    「……おのれ……おのれぇぇぇっ、不適合者っ! なんということをっ!! まつろわぬ神を、蘇らせたか……!?」


    「背理神ゲヌドゥヌブを復活させるなどっ、我らが国を、地底を滅ぼすつもりかっ!? 地上もただではすまぬぞっ……!!」


     ふむ。わからぬことを言う。

     融合した二人の魔眼と、同じ魔眼を持っていた神がいたようだが?


    「人違い」

    「おあいにくさま。わたしたちは神様なんかじゃないわ」


     奴らの言う、<背理の魔眼>で睨みつけ、サーシャとミーシャはあっという間に竜人たちを氷の結晶へと変える。


    凄く話がややこしくなる瞬間を感じた

  • 48スレ主25/07/25(金) 14:07:06

    変な神に間違われる、融合ミーシャ・サーシャ。
    しかし、地上と地中で戦闘難易度の落差が……。

    地上「ドラゴンつえぇ!」
    地下「魔王強すぎぃ!」

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 14:13:57

    魔王様のチート具合が天井知らず過ぎて草生えますよ

  • 50スレ主25/07/25(金) 14:46:44

    >>49

    本人もだけど部下達もアホみたいに強い……

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:08:05

    >>47

    融合体が背理神に間違われるのは完全に事故というかとばっちりなのが笑う

    多分記憶失う前のアルカナも全く想定してないだろうし

  • 52二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 19:00:56

    >>40

    ちなみにアニメだと制限時間が短い球ほど強化倍率が上がるように補足されてるんだよね

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:47:51

    待機

  • 54二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 07:13:55

    待機

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 14:07:45

    待機

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 15:19:47

    待機

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:43:25

    待機

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 04:44:29

    待機

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 08:04:00

    待機

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 13:07:41

    待機

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 14:33:32

    待機

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:23:55

    待機

  • 63二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:36:59

    待機

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 05:39:45

    待機

  • 65二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 07:43:48

    待機

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 14:45:48

    待機

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 18:39:40

    待機

  • 68二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 22:36:18

    待機

  • 69スレ主25/07/28(月) 23:42:18

    「……複製……します……」


     光の聖剣エンハーレが無数に増えていき、ゼシアの周囲に百本の聖剣が浮かぶ。


     すると、それを映していた<複製魔法鏡レガロイミティン>の中から、同じく百本のエンハーレが現れる。


    「やっちゃえ、ゼシアッ!」


    「……いきます……! 本物は……どれですか……?」


     ゼシアがエンハーレを勢いよく突き出す。


     十個の鏡に映った百本の聖剣。合計一一〇〇本ものエンハーレが、青い異竜に襲いかかり、その足を、翼を、尻尾を、首を、頭を、ズタズタに引き裂いていく。


    「……グエエエエェェェェッッ!!!」


    「正解は……ぜんぶ……です……」



    はい来ました好きなシーン

  • 70スレ主25/07/28(月) 23:43:40

    「……合わせ鏡……です……」


     二枚の<反射魔法鏡レガロネイティン>は、常に異竜を挟む合わせ鏡となり、光の砲弾が異竜に当たるまで反射を続ける。


    「もう一発行くぞっ、<聖域熾光砲テオ・トライアス>っ!」


     エレオノールが光の砲弾を放てば、<複製魔法鏡レガロイミティン>の合わせ鏡によって際限なく増加し、それは彗星と化す。


     異竜が<聖域熾光砲テオ・トライアス>を避ければ、再びゼシアは<反射魔法鏡レガロネイティン>の合わせ鏡を使い、反射した。


     二発の彗星がまるで誘導するように、幾度となく異竜に襲いかかる。


    「とどめだぞっ、<聖域熾光砲テオ・トライアス>ッ!!」


     異竜が二発の<聖域熾光砲テオ・トライアス>を寸前のところで避けた直後、三発目の<聖域熾光砲テオ・トライアス>が真正面から放たれる。


     その巨体ゆえ急旋回も急停止もかなわず、とうとう青き異竜は光の砲弾に飲み込まれた。


    「グエエエエエエエエエエエエエエェェェェッッッ!!!」


     悲鳴のような声が上がると、反射された残り二発の<聖域熾光砲テオ・トライアス>が異竜を撃ち抜き、その巨体を目映い光で消し去っていく。


    「……ゼシアたちの勝利……です……」


    「残りの竜もこのまま片付けるぞっ」


    うーむ、無法

  • 71スレ主25/07/28(月) 23:46:51

    「くそぉっ……動けよっ……!! 動けっ……!! この役立たずっ……!! お前はいつまで役立たずでいるんだよぉっ……!! 動けぇぇぇぇっっっ……!!!」

     ミシミシと鈍い音を立てながら、彼の腕が僅かに動く。
     その聖剣に魔力が伝った。

    「……頼むよっ、ぼくの聖剣……!! ぼくは本物じゃないっ、本物の勇者とは似ても似つかないけどさっ……!!」

     全力で腕に力を入れ、ハイネが叫ぶ。

    「それでも、あいつらを助けたいんだっ!! 頼むっ。力を貸してくれっ……!! お願いだからっ!!」

     バキンッと不気味な音を立て、ハイネの肘から先が折れ、地面に落ちる。
     くるりと回転し、聖剣が地面に突き刺さった。

    「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォっ!!」
     
     目の前にいた竜が唸り声を上げ、ハイネに牙を立て、食らいつく。
     だが、彼は不敵に笑った。その視線は地面に向いている。

     彼の腕にも、その聖剣にも僅かに魔力が込められていたのだ。

    「いっけええええええええええええええええぇぇぇっっっ!!!」

    個人的に1番好きじゃなかった奴がなんだかんだで好きな方になったシーンです

  • 72スレ主25/07/28(月) 23:49:25

     聖水の力が彼女の体内に入り込み、毒と化して、体を蝕む。

     魔力を得る度に、激痛がエミリアを襲った。


     それでも、歯を食いしばり、脂汗を垂らしながら、彼女は想いを震わせ、その痛みと戦った。


     どれだけ体が蝕まれ、夥しい数の聖痕が全身に浮かび、それが根源さえも侵そうとしても、一瞬たりとも、エミリアが怯むことはない。

     

     その痛みも、苦しみも、かつての日々に比べれば、取るに足らぬ。


     まるでそう訴えるかのように、<竜縛結界封デ・ジェリアス>はこれまで以上に完璧に発動し、その場に無数の糸を生みだした。


    本当強くなった

  • 73スレ主25/07/28(月) 23:52:26

     ドゴォンッとハイネを咥えていた竜が、地面に倒れた。

     次々と森林から抜けてきた竜たちが奏でる音を浴び、活動を停止し、ひれ伏していく。


     最後に空から、竜が落ちてきて、大地に突っ込む。砂埃が高く舞い上がった。


     巨大な<竜縛結界封デ・ジェリアス>による音の結界は、エノラ草原にまで響き渡る。その調べを聴いた竜は力を封じられ、あるいは、地底へ帰っていった。


     疲労困憊、負傷者は多数、殆どの者は死にかけている。

     なにかが一つでも狂えば、勝敗はどちらに傾いたかはわからない。


     それでも、彼女たち全員の想いがたぐり寄せた、それはぎりぎりの勝利だった。


    作者の後書きの彼らの勇気がぎりぎりの勝利を呼んだってやつ好き

  • 74スレ主25/07/28(月) 23:54:17

    「滅びではなく、救済です」

    「アルカナの言う通り、救いようのない男だな、お前は。自らの選定神にすら、愛想を尽かされているだけのことはある」

     微笑みで応じたアヒデの、その深淵を覗けば、瞳に鋭さが見てとれる。
     ミーシャならば、それを明確に苛立ちだと断じていたかもしれぬな。

    「お前にも地上で起きた戦闘の結末ぐらいは把握できているのだろう。お前が放った竜は結界に封じられ、身動きがとれぬ。アゼシオンの人間どもは、命がけでその救済をはね除けたのだ。そんなものはいらぬとな」

    「いいえ。竜が封じられたのは、彼らの意志でも力でもありません。それは神のお導きによるもの。すべては救済に向かっているのです」

     アヒデは静かに目を閉じて、なにかに耳を傾ける仕草をした。
     無論、声など響いてはいない。

    「神託が下りました。ガイラディーテの王宮にいるあなたの仲間。ミサの心は、想いの番神の手によって神のもとへ旅立つ。勇者カノンが霊神人剣を抜くとき、その刃は神のもとへと返されるでしょう。神の力を、自らのものと自惚れたカノンに裁きが下り、彼は天へと旅立つのです」

    マジで話すの疲れそうだよねアヒデって

  • 75スレ主25/07/29(火) 00:00:20

    「人間たちが勇者カノンを信じたのは、あの男が、真実彼らのために戦ったからだ。己が身を省みず、その体が一片残らず灰と化そうとも、再び立ち上がり、目に映るすべてを守ろうとした」

     振り返れば、その阿修羅の化身が如き気迫が今も鮮明に思い出せる。

    「それが神の仕業だと? カノンを通して、人間は神を信じていただと? いい加減、笑わせるのはよせ。当時の人間は神など信じていなかった。そんなものが信じられなくなるほど、俺が残虐に殺してやったからだ。彼らの盾となり希望となったのは、唯一あの男、勇者カノンだけだった」

     静かに目を閉じて、アヒデはさらりと言ってのける。

    「ですから、それが、神の御業なのです」

    「ほう。あの男が守ったガイラディーテも、ベロニエーズも、ナデロイニカも、すべては神の御業だと? 勇者カノンはそんなことを口にしたことはなかったぞ」

    「ええ。その通りです。神は勇者にそれらを守るように神託を下しました。自覚がなくとも、知らずとも、そうなのです。神を信じぬあなたには、到底わからないことでしょうが」

    なんか…勘違い男ってこういうのだよなぁって

  • 76スレ主25/07/29(火) 00:12:25

    「いやいや、アヒデ。お前も笑え。こんなにおかしなことはそうそうないぞ。なにせベロニエーズも、ナデロイニカも、いの一番にこの俺に滅ぼされたのだからな。人っ子一人残らず、地図からさえ姿を消した」


     閉口し、真顔でアヒデは俺を見据える。


    「神が守るように神託を下したのにもかかわらず、滅びたか。なかなかどうして、<全能なる煌輝>の手が、俺に及ばなかったと言いたかったのか。それとも――」


     押し黙るアヒデに、俺は言った。


    「知らぬことに話を合わせて、ボロでも出たか?」


    「……崇高なる神の御心は、あなたに推し量れるものではありません」


     苦しい言い訳を続けるアヒデを、俺は鋭く睨めつける。


    「では、なぜすべて救ってやらなかった?」


     アヒデは答えない。

     先程の失言で、慎重になっているのだろう。


    適当な事言うからこうなる、皆さん気をつけましょう

  • 77スレ主25/07/29(火) 00:17:20

    「俺が許せぬのはな、枢機卿。お前の口にする救いが、必死に生きた者を、生きようとして生きられなかった者を嘲笑っているからだ。俺の配下の死を、勇敢にも俺に挑んだ者の死を、神の御心一つで片付けてくれるなよ」

     すべてが神の御業だというこの男の台詞は、あの時代を必死に生き抜こうとした者、全員への冒涜だ。

    「エミリアも勇者学院の生徒たちも、彼らは皆、命と誇りを賭け、祖国に襲いかかる竜の群れに立ち向かった。それが彼らの意志でも力でもなく、神に操られているというのならば、その戦いはなんだったというのだ」

     言葉を強く、投げかける。
     男の欺瞞を暴くかのように。

    「この生もかつての死も、つかみとった救いも犯した過ちも、決して神などに支配されてはおらぬ。すべては、俺たちがこの手でなしたことだ」

     神のせいになどできぬから、彼女たちは必死に戦ったのだ。
     そして、確かに勝ち取った。

     その勝利は、一片残らず、彼女たちのものだ。
     神などにはくれてやらぬ。

    この熱さこそ魔王アノス様よ

  • 78スレ主25/07/29(火) 00:18:37

    「なんでも神託が下ったそうだ。ミサの心は神のもとへ旅立ち、勇者カノンが霊神人剣を抜くとき、その刃は神のもとへ返される。神の力を自らのものと自惚れたカノンに裁きが下り、彼は天へと旅立つ」


     先程のアヒデの言葉を、俺は繰り返した。


    「現実を見せてやれ」


     レイとミサにそう告げ、俺はゆるりとアヒデを指さす。


    「愚かなペテン師、アヒデ・アロボ・アガーツェ。お前を殺すのは容易いが、その前に神託者などという化けの皮を剥がしてやろう」


     すまし顔で佇むアヒデに、はっきりと宣言する。


    「<全能なる煌輝>エクエスの救いなど、この世には存在しない。お前が聞く神の声はすべて真っ赤な偽物なのだからな」


    現実を見せてやれ、かっけえ…

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 04:04:59

    もはや道化どころではない定期

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 05:52:34

    >>76

    どこかで笑ってる時が一番怖いみたいな話あったけどここ本当に怒ってるの伝わってきて好き

  • 81二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 08:14:12

    待機

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 13:11:58

    待機

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 20:55:49

    待機

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 21:01:01

    >>77のセリフから大戦を生きたアノス様の信念、王としての威厳が伝わってくるのが面白い。

    どの創作にも言えることだが「一貫した信念を持つ主人公」の作品はとても読み応えがあるよね

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:34:11

    待機

  • 86二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:36:42

    このレスは削除されています

  • 87二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:29:11

    待機

  • 88二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 06:31:09

    待機

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 11:03:22

    待機

  • 90二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 15:35:08

    待機

  • 91二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 18:46:17

    待機

  • 92二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 22:36:37

    待機

  • 93二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 02:10:19

    待機

  • 94二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 07:48:01

    待機

  • 95スレ主25/07/31(木) 10:36:05

    「ねえ、レイ。あなたは変わり果てたわたくしを愛することができまして?」

    「……ミ、サ…………?」

     レイの表情が驚きに染まる。

    「くくく、ようやく理解しおったか、カノン。二千年前の英雄とはいえ、霊神人剣の導きがなければ、ただの能なしであったか」

     ミサが顔を近づけ、兜のバイザー部分を上げる。

    「ほら、答えなさいな。わたくしはもうミサではありませんわ。こんなわたくしを、愛することなんて、できないでしょう?」

     ミサの言葉に満足そうに、リシウスがうなずく。

    「勇者カノンよ。これが現実である。愛の力で神の御心に逆らおうなど、蟻が象に挑むようなもの。すべてを受け入れ、そして霊神人剣を神へ返すがよい」

    この辺の敵のダサさ本当ピエロも良いとこだよなぁ

  • 96スレ主25/07/31(木) 10:37:52

    「その番神でしたら、わたくしが掌握してますわ。いくら想いを司る番神だからといって、わたくしの体の中ではわたくしに敵うわけがないでしょう?」

     信じられないといった表情で、リシウスはミサを見つめる。

    「………エヌス・ネ・メスは……想いの秩序を司る、神であるのだぞ……」

    「不思議ですわね。確かに怒りも悲しみ、喜びも楽しみも、この神は司っています。けれども、優しさと愛だけはとても脆弱のようですわ」

    「なにを馬鹿な……。エヌス・ネ・メスは全ての想いを司る神であるのだ……脆弱などということが……」

    「仮にそうだとしても、それがなんだとおっしゃるのでしょうか?」

     ふわりと微笑んだ彼女に、リシウスはわけもわからず体を震わせる。

    「リシウス王。あなたは、魔王再臨の式典をご覧にならなかったのですか? それとも、わたくしの存在が、ディルヘイドをよくするための方便だとでもお思いになりまして?」

     ミサは兜を手にし、それを外す。
     長く伸びた、深海の如き髪がふわっと揺れた。

    「わたくしはアヴォス・ディルヘヴィア。神を滅ぼす、偽物の魔王ですわ」

    神なんだけどなー一応神なんだけどなー

  • 97スレ主25/07/31(木) 10:39:30

    「わたくしはアヴォス・ディルヘヴィア。神を滅ぼす、偽物の魔王ですわ」

     彼女が兜を地面に転がし、それを足で思いきり踏みつける。
     ぐしゃり、といとも容易くそれは潰れ、辺りに霧散する。

    「もっとも転生した今は、ただの恋する少女ですけれど」

    ちゃんと偽物自称してるの好きですここ

  • 98スレ主25/07/31(木) 10:41:35

    「罠だと思いますわ」

     ミサが言った。

    「そうかもしれない」

    「助けたところで、後悔なさるかもしれませんわ」

    「それもわかっている」

     ふわり、とミサは微笑する。

    「でしたら、存分に。後始末はわたくしにお任せくださいな」

    こっちはこっちで良いパートナーしてるよね

  • 99スレ主25/07/31(木) 10:46:50

     バチィッと激しい光の粒子が飛び散った。

     勢いよく飛行した王竜の勢いが、レイに受けとめられるかのように停止した。


    「……な……ん……だと…………!?」


     折れた一意剣シグシェスタは、しかし、<聖愛域テオ・アスク>の光に覆われ、剣身が作られていた。


     その切っ先で、王竜の剣角の先端を寸分違わず狙い、受けとめたのである。


    「真の聖剣とはよくいったものですわ」


     声と同時に、<幻影擬態ライネル>と<秘匿魔力ナジラ>で姿を消していたミサが王竜の目の前に現れた。


     彼女は、レイの右手にそっと手を携え、<聖愛域テオ・アスク>の剣を一緒に握っている。


    「わたくしたちの愛には敵いもしませんのに」


    愛は偉大

  • 100スレ主25/07/31(木) 10:48:56

    「……ばっ……馬鹿なぁっ……こんな馬鹿なっ……真の勇者となる余が……この王竜がぁぁ……なぜ、聖剣ももたぬただの魔族なんぞにぃ…………!!?」


    「簡単なことですわ」


     膨大な爆発に飲み込まれていく王竜に、ミサとレイは視線を向ける。


    「勇者の真の聖剣は、そんな棒きれなんかではなく、彼の心にある愛ですの」


     とどめとばかりに、二人は<双掌聖愛剣爆裂リガロ・ティル・トレアロス>を王竜に突きだした。


    「グガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッッッ!!」


     膨大な光の剣が、リシウス王の根源に突き刺さる。


    「人の恋路を邪魔する神は」


    「愛に切られて爆発なさい」


     ドッガアアアァァァンッと一際大きい爆発が起き、崩落した鍾乳洞の瓦礫に王竜がみるみる埋められていった――



    お前らも爆発しろ

  • 101二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 12:03:22

    爆発しろとは言うけどカップルが爆発させる側なの珍しいよね

  • 102二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 15:11:39

    待機

  • 103二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:46:29

    待機

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 22:15:32

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 00:08:16

    待機

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 07:02:30

    リア充大勝利じゃないですか、やだー

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 10:00:18

    待機

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 14:03:48

    待機

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:17:50

    待機

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:38:48

    待機

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:40:19

    そういやWeb版って結局どうなるんだ?消えちまうのかな……嫌だぞ絶対

  • 112スレ主25/08/01(金) 23:46:28

    >>111

    消えたらスレ継続不可能なっちゃうし辛い

  • 113スレ主25/08/01(金) 23:48:22

    「霊神人剣を奪いさえすれば、本物の勇者を倒せるとでも思ったか」

     俺の言葉に、アヒデは深くため息をつく。

    「不適合者アノス・ヴォルディゴード。あなたはわかっていらっしゃらない。神託とは預言や予知ではありません。それは、神が我々に与えてくださる正しき道しるべなのです。人はそれに従い、努力をしなければならない」

    「くはは。なるほどな。なんとかうまい言い訳をひねり出そうしているようだが、少々滑稽ではないか? 我が身を振り返って考えてみよ」

    「たとえ地べたを這いずろうとも、神がお与えになった言葉を信じ、なすべきをなすのが、神託者たるわたしの務め。平坦な道といばらの道があれば、わたしは喜んでいばらの道に挑むでしょう」

     アヒデが祈るように手を組み、静かに言った。

    「ときには困難に破れ、膝を折ることもありましょう。しかし、神はそのお言葉によって新たな道をお示しになってくださる。幾度、試練に破れようとも、神はわたしを見ていてくださる。この信仰を失わぬ限り、この困難の道は、辿り着くべき場所へ辿り着くのです」

    自分を大物って思い込んでる小物

  • 114スレ主25/08/01(金) 23:50:23

    「さようなら。愚かな異端者の国よ」

     ドガアァァァァンッと激しい音が鳴り響き、見るも無惨な光景がそこに映る。

     防壁に突進した、竜たちが四肢を千切られたかのように弾け飛んでいたのだ。

    「……ばっ…………!?」
     
     馬鹿なと言いかけて、取り繕ったかのように彼は口を噤む。
     だが、その表情は信じられないと言わんばかりであった。


    どっちが愚かなんでしょうなぁ、神託さっきから外れまくってますけど

  • 115スレ主25/08/01(金) 23:51:59

    「なにをそんなに驚いている? まさか俺の配下がたかだか大きなトカゲの群れに、苦戦するとでも思っていたわけではあるまいな?」

    「…………皇族派は、魔王に恨みを抱いていたはず……」

     アヒデの口から、言葉がこぼれ落ちる。

    「それも神託なら、見当違いも甚だしいな。皇族派は今や、魔王に恨みを抱く者を改心させる更正施設だ」

     ゼルセアスには話に乗ったフリをさせて、魔王軍へ情報を横流しした。大量の竜を始末できる機会でもあるので、未然に防がずに泳がせておいたというわけだ。

    「しかし、なかなかどうして、あえていばらの道を選ぶというのは事実のようだが、神というのはずいぶんと困難を強いるものだな」

     アヒデが気を落ちつけるように瞳を閉じて、首を左右に振る。

    「……ああ、なんと」

     嘆くように、彼は言った。

    「ああ、なんと愚かなことでしょうか。自ら神の使いを滅ぼし、苦しみを増やそうというのは……」

    「負け惜しみにしては、つまらぬ台詞だ」

    「神託とは、あなたが思うように浅いものではないと申し上げたでしょう。あなたはここでわたしと対峙することで、我が選定の神アルカナの力が、他に及ばぬようにしていると考えている。それが、そもそもの間違いなのです」

    神託って言えばなんでも誤魔化せると思ってない?いやそもそもずっとピエロだけど

  • 116スレ主25/08/01(金) 23:53:49

     勝ち誇ったようにアヒデが言う。


    「あなたの祈りは届きません。ミッドヘイズは滅ぶのです。神の奇跡によ――ごぶはぁぁっ……!!!」


     アヒデの腹部に<創造建築アイビス>で作った魔剣を突き刺した。


    「神を伴わずに俺の前に立っておきながら、なにを粋がっている?」


    「……う……が…………ぁ…………」


    「俺は今、アルカナと話しているのだ。おまけならば、おまけらしく大人しくしているがよい」


     そのまま魔剣ごと奴の体を投げ飛ばす。

     壁に魔剣が突き刺さり、アヒデを磔はりつけにした。


    「ふむ。見た目は幾分か、聖人らしくはなったか」


    喋らない方が不快感減るから助かる

  • 117スレ主25/08/01(金) 23:55:41

     その丘に一人の男が姿を現す。
     夜さえも斬り捨て奪い去る、魔族最強の剣士、魔王の右腕シン・レグリア。

    「選定神アルカナ」

     その男は悠然と歩いていき、神の前に立ちはだかった。

    「いかなる事情があれど、暴虐の魔王に弓引く者をこの身は決して許しはしません」

     殺気を込めた視線で、シンはアルカナを見据える。

    「しかし、あなたを止めろ、という我が君の寛大なお心に敬意を表し、滅ぼすことはいたしません」

     魔法陣を描き、シンはその中央に左手を入れる。
     禍々しくも膨大な魔力とともに、ゆっくりと引き抜かれたのは錆びた剣。

     神を屠る刃、斬神剣グネオドロスである。

    「優しく殺して差し上げましょう」

    止めろ言われたから優しく殺します

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 04:05:51

    待機

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 04:07:33

    流石に魔王の配下なだけはある。優しく殺してくれるとは……

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 04:12:20

    正直、イッチのX垢さえ知れたら送金しても良いと思えるくらいには、ここのスレ好きなんだよなぁ。ここへの投稿形式は変わるだろうけど、それは構わない。その金で魔王学院の電子書籍版なりを買ってほしい気持ち

  • 121スレ主25/08/02(土) 05:12:55

    あんまこの手の小説って触らないからわからないんですけど実際web版停止みたいな前例ってあったりするもんなんですか?書籍版が完結したんでしたっけ?

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 05:16:53

    >>121 8月8日に完結しますね。なろうでは書籍がWeb版の内容を越したら削除される決まりなんですが……なぜか消されていないというのが現状なんですよ。なかなかどうして、薄氷の上に立っているようなものなんです

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 06:46:02

    電子書籍買うなら今ならセールやってるみたいだしお得(ダイマ)

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 13:27:47

    待機

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 19:12:58

    待機

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 19:14:32

    >>120 ちな割とガチで言ってるで。このスレを終わらせるくらいなら、ワイの懐を終わらせてやるわ

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:38:05

    待機

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 02:28:06

    待機

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 07:47:04

    待機

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 12:28:49

    待機

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:16:51

    待機

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 19:30:32

    待機

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:47:51

    待機

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 04:27:37

    待機

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:37:22

    待機

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 12:13:40

    待機

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:10:10

    魔王待機中

  • 138スレ主25/08/04(月) 20:57:59

    >>126

    残念ですけど…Xやってないんです…


    「あなたは敵。わたしは、あなたを排除しなければならない」


     彼女の手の平から冷気が溢れ、それは雪の剣を形作った。


    「お気になさらず」


     半身になったシンは、略奪剣を前方に、斬神剣を上方に構える。


    「不可能ですので」


     一歩前へ踏み出したアルカナの体が、光と化して直進した。

     それは彼女が食らった輝光神ジオッセリアの秩序。


     瞬きをする間にシンの背後を取ったアルカナが、キラキラと雪月花を撒き散らしながら、雪の剣を振り下ろす。


     だが、シンはその剣を視界に収めるまでもなく、まるですり抜けるように、身を躱した。


    「速さに任せて背後に回り込むなど、動きに無駄が多すぎます」


     シンが振り向けば、すでにアルカナの左腕に鮮血が散っていた。

     彼女が光速で背後に回り込んだ際に、それ以上の速度で斬りつけたのだ。


    なんか一気に戦いのレベル上がった……

  • 139スレ主25/08/04(月) 21:00:31

    「これだけの時間、私と打ち合った者はそうはいません」


     腕のない肘の先から、ひらひらと雪月花が舞い降りる。

     それは、消えた右腕を創造した。


    「しかし――」


     シンがまっすぐアルカナへ踏み込む。

     速度は光速よりも遅かったが、しかし、その歩法により、彼女は距離感を誤った。


     アルカナが飛び退こうとした瞬間には、その両足を略奪剣で斬り裂かれ、彼女は移動する力を失う。

     すると、アルカナの両足が氷づけになった。創造の秩序で、一から足を創り直し、略奪剣の呪いから逃れようというのだろう。


     だが、それよりも先に、斬神剣が赤黒く染まっていた。


    「斬神剣、秘奥が参―」


     その剣身に、螺旋を描くような禍々しい魔力の粒子が勢いよく立ち上った。

     アルカナの足が創造され、奪われた移動の力が取り戻される。


    「――<無間>」


     右胸をグネオドロスで貫かれ、アルカナの根源が真っ二つに斬り裂かれる。

     シンが斬神剣から手を放せば、彼女は無表情でがくんと膝をついた。



    神なんだけどなー…一応神なんだけどなー(多分前も言った(

  • 140スレ主25/08/04(月) 21:02:04

    「彼女を助けたいのならば、かかってくるといいでしょう。しかし、一つだけ忠告しておきます」

     略奪剣を光らせ、シンは兵士たちを一睨みする。

    「あなた方には手加減するよう命じられてはおりません」

     気圧されたかのように竜人たちが体を震わす。
     ごくり、と彼らは唾を飲み込んだ。

    「……馬鹿な……この男……。この男は、選定の神アルカナを相手に、手加減していたというのか…………神を相手にっ……!?」

    「……どういうことなのだ……? なぜ選定者でもないただの魔族が、神と渡り合えるほどの力を持っている……神託はなかったのかっ……!?」

    「…………考えられるのは、一つ。奴らが神にすら見通せぬ力を持っているということ……」

    「まさか! 神を凌駕しているだと!? ありえぬっ!」

    「だが、現に今、選定の神があそこで膝を折っているではないかっ……!」

    「……いったい、何者なのだ……奴らは……? 魔王とはいったい……!? しかも、奴はたかだかその配下ではないのかっ!?」

    「だとすれば、暴虐の魔王とは、いったいどれほどの…………?」

    「……我々は、もしかしたら、とんでもない者を敵に回していたのかもしれん……」

    こういう現実見えてるモブ達の方がアヒデよりずっと現状理解してるんだよなぁ……

  • 141スレ主25/08/04(月) 21:03:32

    『神託が下りました。不適合者、アノス・ヴォルディゴードは、まつろわぬ神を蘇らせたのです。すべては、背理神ゲヌドゥヌブの仕業によるもの。我らは神のしもべとして、この試練に打ち勝たねばならないのです』


     アヒデの言葉に、竜人の兵たちは祈りを捧げ、恐れを振り払っていくかのようだった。


    『神託によれば、この戦いにより、千の命が滅びます。そうすれば、<創造の月>アーティエルトノアは輝きを増し、我が選定の神アルカナは魔剣の呪縛から解かれる』


     竜人たちは覚悟を決めたようにうなずく。

     すると、隠蔽の魔法が解除され、その場に先程よりも遙かに多くの兵士が姿を現した。丘一帯を埋め尽くすほどの人数である。


    『敬虔なる信徒よ。神託を違えてはなりません。千の命を滅ぼし、選定の神アルカナに捧げるのです。そうすれば、あなた方は神の御許へ誘われ、救済を得ることができるでしょう』


     竜人たちが一斉に剣を抜く。


    「<全能なる煌輝>の御心のままに」


     彼らはその心臓に自ら剣を突き立て、貫く。


    「「「<全能なる煌輝>の御心のままに」」」


     血が吹き出すとともに、口から吐いた炎で自らを火葬していく。

     一人も残らず、彼らは神託通り、千の命を滅ぼした。


     それで本当に創造の秩序の力が増したか、アルカナは<転移ガトム>の魔法を使って、その場から消えた。


    懲りねえなぁ……こいつ

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:06:58

    本当につくづく小物なんやなって。小物界の小物すぎるわ、ホンマ

  • 143スレ主25/08/04(月) 21:07:25

    「不適合者、アノス・ヴォルディゴード。あなたはわたしに与えられた神託のすべてを覆したと信じて疑わなかった。しかし、すべては神の手の平の上。どこまで行こうと、なにをなそうと、あなたはそこから、逃れることはできないのです」

     両手を広げ、アヒデは言う。

    「今、ようやくあなたを裁けと神託を賜りました。これでわたしも無抵抗を貫く必要はなくなりました」

    「ほう」

     まるで先程までは、あえてやられていたと言わんばかりだな。

    「俺を倒す準備が調ったというわけか」

    「聖座の間での争いは、盟約により禁止されています。場所を変えましょうか」

  • 144スレ主25/08/04(月) 21:10:00

     城に降りつもる雪月花が神々しい冷気を放ち、俺の魔力と体力を奪っていく。

    「この雪月花が降り注ぐ中、神体を持たぬ者は、指一本たりとも動かせません。さあ。そのまま凍えて眠りにつきなさい」

    「ふむ。あいにく雪は嫌いではなくてな」

     滅紫に染まった魔眼で、目の前の景色を睨み、一歩足を踏み出した。
     すると、降りつもった雪月花が溶けては消える。二歩目を踏み出せば、足跡をつけた周辺の雪が溶けてなくなった。

    「……凍えて眠りなさい……」

     アヒデが唱えるも、俺は構わず歩を進める。
     彼の表情から穏やかさが消え、代わりに焦燥が募っていく。

    「……凍えて眠りなさい、神に背く、愚かな異端者……」

     雪月花の勢いが増し、すべての命が停止するような世界で、俺はゆるりと歩を進める。

     そうして、奴の目前にまで俺は辿り着いた。

    「……神の力の前にすべては無力なのです……! 凍えて眠りなさいっ……!!」

    「お前のあるべき未来はこんなものか」

     奴の頭をつかむ。

    「なぜ……!? 神よっ! なぜ、あなたの雪が異端者に溶かされるのですかっ!? どうか神託を賜りますようっ……!!」

    まだ無抵抗貫いてるなんてアヒデは優しいですねー

  • 145スレ主25/08/04(月) 21:15:15

    「なぜ……!? 神よっ! なぜ、あなたの雪が異端者に溶かされるのですかっ!? どうか神託を賜りますようっ……!!」


    「誰に祈っているのだ? 今はお前が神なのだろう?」


     魔法陣を描き、<獄炎殲滅砲>でその体ごと飲み込む。


    「ぐあああああああああああああああああああああああぁぁぁっっっ!!!」


     壁に向かって、漆黒の太陽をそのまま撃ち出せば、黒く炎上しながらも、アヒデは吹き飛んだ。


    「神体を得て、勘違いまで強化されたか、ペテン師?」


     壁を突き破り、屋内へ転がったアヒデに、言葉を向ける。


    「<創造の月>の真の力は、こんなものではなかったぞ」


    楽しい時間の始まり

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 22:42:29

    ある意味アヒデは凄い奴ではある

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 06:00:20

    小物すぎて草ですよ

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 14:54:36

    待機

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:07:44

    待機

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:29:23

    待機

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:37:28

    保守

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 09:36:47

    待機

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 14:58:33

    待機

  • 154スレ主25/08/06(水) 18:37:07

    『全能者の剣リヴァインギルマ』

    「ほう」

     俺は魔眼を前方に向ける。
     アヒデが何事もなかったかのように立ち上がり、屋内から再びバルコニーへ戻って来ていた。

     神体のため、即死とはいくまいが、そこそこの傷は負わせたはずだ。
     しかし、まるでそれが初めからなかったかのように、アヒデはまったくの無傷、回復魔法を使った気配もない。

     全能者の剣とやらの力というわけか。

    『不適合者アノス・ヴォルディゴード』

     アルカナが軽く膝を折り、両手を掲げれば、宙に浮かんだ全能者の剣が、俺の目の前に飛んできた。

    『あなたはこれより、リヴァインギルマの審判を受ける。その神剣がある限り、我が信徒アヒデ・アロボ・アガーツェは永久不変。いかなる滅びをも受けつけない』

    うわーつよーい

  • 155スレ主25/08/06(水) 18:39:04

     全能者の剣リヴァインギルマを抜かなければ、アヒデに傷をつけることはできない。

     

     だが、全能者の剣リヴァインギルマを抜いてしまえば、アヒデを滅ぼす前に俺は死ぬというわけか。


    「フフ、フフフフ」


     不気味な笑い声を発したのはアヒデだ。


    「神託が下りました。全能者が作ったそのリヴァインギルマは、決して誰にも抜くことのできぬ剣。そうすれば、過去、未来、現在に渡り、剣を握る者の根源が消え失せる。つまり、剣は抜かれなかったことになる」


     余裕たっぷりにこちらへ歩きながら、奴は言う。


    「おわかりですか? 全能者である私に、全能ではないあなたは勝てないということなのです」


    「ふむ。仮にお前が全能だとしよう。だがな、アヒデ。それならば、お前は全能ではなく、全知にしてもらうのだったな。かすり傷一つつかぬ<獄炎殲滅砲ジオ・グレイズ>で悲鳴をあげていたのは、みっともないとしか言いようがないぞ」


     アヒデは穏やかに微笑む。


    「恐れを知らぬことが、果たして罪なのでしょうか?」


     自問するように言い、アヒデは首を振った。


    「いいえ、わたしはそうは思いません」


     足を止めて、まっすぐ彼は俺を見据える。


    「神ならぬこの人の心は当然のことながら恐れを抱くことはあります。その恐れこそが、その痛みを知ることこそが、この世の救済に必要なのです。みっともないとそしられようと、痛みとともに、わたしはこの聖戦に挑みます」



    言葉だけは一人前

  • 156スレ主25/08/06(水) 18:41:06

    「どうやら、あなたも知らなかったようですね。この剣は雪月花より生まれし、神の雪。神雪剣ロコロノト。触れたものは、魔法でさえも凍結されるのです」


     祈るようにアヒデが言う。


    「さようなら、不適合――」


     バキンッと<根源死殺>の指先で、雪の剣をへし折った。


    「……なっ…………!?」


    「覚えておけ、アヒデ。無知の知とは愚者が見栄を張るときに使う言葉ではない」


     左手の<根源死殺>をアヒデの心臓向けて思いきり突き刺す。

     だが、指が皮膚を通らなかった。


    「<魔黒雷帝>」


     黒雷がアヒデにまとわりつき、バチバチとけたたましい音を鳴らしながら、爆発するかの如く膨れあがった。


     ガガガガガガガガッとエーベラストアンゼッタを揺るがす稲妻の力が、奴の体に集中する。


     しかし、服は多少焦げついたものの、アヒデは無傷だった。

     <魔黒雷帝>の勢いに押されはしたが、その神体にはかすり傷一つ負っていない。


    「ふむ。全能者の剣の方は本物のようだな」


     折れた雪の剣を手にしながら、アヒデが俺に鋭い視線を向けてくる。


    不思議なくらい負ける気しないんだよなぁ

  • 157スレ主25/08/06(水) 18:43:14

    「この神体に傷がつかないということは、すなわちこの体こそ最大の武器。あなたの敗因は、自らがすべてを知っていると過信した、無知の無知です」

     アヒデはぐっと心臓を握り、根源諸共握り潰しては、右手を引き抜いた。

    「神託に耳を傾けるわたしの敵ではなかったようですね」
     
     アヒデが振り向けば、アルカナが険しい視線を向けた。

    「我が選定の神アルカナ。どうか、お許しを。ガエラヘスタの民を滅ぼそうとしたのは、そうしなければ不適合者を倒す手段がないと思わせるため。本意ではありませんでした」

     彼は懺悔するように、手を組み合わせる。

    「ほう。では、さっさと雪月花を撒き散らすのをやめるのだな」

     声の方向に奴が振り向く。
     その視線の先に、俺が無傷で立っていた。

    そろそろアヒデに飽きてきたな……

  • 158スレ主25/08/06(水) 18:45:27

    「全能者の剣を鞘に納めていなければ、その神剣の力により、引き抜いた者の根源は、現在、過去、未来に渡って消滅する」

    「……馬鹿、な…………」

     アヒデが驚愕の表情を浮かべ、呆然と呟いた。

    「……こんな…………これは……そんな……」

     発する言葉もままならず、彼は唇を震わせ、ただ声を発する。

    「全能者は誰にも絶対に抜けない剣を作れるか? リヴァインギルマを作ったお前が全能者だとしよう。全能者が、全能者の剣を抜いたとき、全能者の存在は過去に遡って消えてなくなる」

     心ここに非ずといった顔で、アヒデは呆然と俺の言葉に耳を傾ける。
     その表情は、ひたすら恐怖に染まっていた。

    「全能者の剣は誰にも抜けない。つまり、全能者などいない。すべてを救える者などいない。それを悟ることこそ、選定の神アルカナの審判だ」

     アルカナに向かい、俺は問う。

    「そうだろう?」

     彼女はこくりとうなずいた。

    『神は全能たり得ない。それを知る者こそが、代行者に相応しい』

     アヒデが顔面を蒼白に変える。
     近づいてくる死の足音に、耐えきれなくなったのだろう。

    いやー魔王学院最長に引っ張って 最高に不愉快な男だったわ

  • 159スレ主25/08/06(水) 18:48:20

    「不滅の神体を持っていながら、ずいぶんと心は繊細なようだな」

     アヒデは怒りをあらわにしながらも、不可解そうに俺に睨む。

    「……なにを企んでいるのか存じませんが、わたしが生きていたのはすべて神のお導きによるもの。この幸運、この僥倖こそが神託者たる所以……」

    「くくく、くはははははっ、さっきから、なにを勘違いしている。これが救いだと思っているのならば、おめでたいことだ」

     その言葉に、奴は不滅の体をびくっと震わせる。

    「お前の地獄は、まだ始まってすらおらぬ」

     リヴァインギルマの鞘を持ち、その柄をそっと左手で包み込む。

    「全能者は誰にも抜けない剣を作れるか? 全能者はいないのか?」

     神剣を構えながら、俺は彼女に言った。

    「先程一つ答えを示したが、アルカナ、あれはお前の考えを当てたにすぎぬ」

     僅かに視線を向ければ、アルカナは真剣に俺の言葉に耳を傾けている。

     全能者などいない。
     そう確かに認識しながらも、彼女はそれでも渇望していた。

     この問いの、違う答えを。

    「今から、俺の答えをくれてやろう。信じるも信じないも、お前次第だがな」

    小説だとこんな長いんだなアヒデ……いやもう文章で読むと長いし小物だしダサいし弱いしつまんないし小物だしその割に台詞長いしで……

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:28:13

    正直章ボスの中で一番の小物だし…というかこれ以降の章ボスはインフレがヤバい
    それはそうとついにヴェネジアラだ。あの魔法は大分好き勝手してて好き

  • 161スレ主25/08/06(水) 20:46:54

    アヒデに関しては今まさにこんな感じ

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:18:34

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:20:50

    待機

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 07:08:30

    待機

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:40:27

    アヒデは何気に登場から退場まで最長な気がする

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:55:41

    嫌な粘り方しやがって……

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 13:04:53

    明日が最終巻発売日だし、もしかしたらスレが終わるかもしれねぇ……嫌だ嫌だぃ!!もっとスレ主の魔王学院感想が見たいんだい!!このライブ感が堪らないのにぃぃぃ!

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 17:53:19

    待機

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:56:28

    待機

  • 170スレ主25/08/07(木) 20:57:23

    >>167

    web版終わるならかなり中途半端なるならせめてアヒデ倒すまでやっちゃうぜ

    このスレのラスボスが下手すりゃアヒデなの笑う

  • 171スレ主25/08/07(木) 20:59:14

    「あなたは先程わたしを自らの選定神に愛想を尽かされている、と言われましたが、それは無知ゆえにそう思うだけのこと。救いようのないわたしが、救われてこそ、すべての者が救われるという規範を示すことができるのです」


     祈るようにアヒデは選定の盟珠を左手で包み込む。


    「本当に愛想を尽かされるというのは、八神選定者に選ばれておきながら、選んだ神とすら盟約を交わしてもらえなかった、あなたのことを言うのです」


    「ふむ。あれほどの醜態を曝しておきながら、よく言ったものだ。お前の厚顔無恥なところにだけは、さすがの俺も敵わぬ」


    「あれはあなたを試したのです。わたしを滅ぼすために、あなたはリヴァインギルマをわたしに抜かせなければならなかった。しかし、あなたはわたしを苦しめることだけに躍起になって、これが尊き選定審判の場だということを忘れていた」


     いけしゃあしゃあとその男は言う。


    「わたしはあなたを映す鏡にすぎません。わたしが弱く、醜く見えたのならば、それはあなたの心が弱く、醜いということ。先程、ここで吐いていたわたしは、すなわちあなたの本当の姿なのです。それを見せるために、わたしは苦しみと罪を受け入れた。人々のすべての罪を、わたしは背負っているのです」


     静かにアヒデは瞳を閉じる。


    「ああ、<全能なる煌輝>エクエスよ。この身が罪を肩代わりします。どうかこの愚かな者をお許しくださいますよう……」


    さっきまでの醜態なかった事にできる精神は素晴らしいよね、悪い意味で

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:59:56

    ラスボスアヒデはさすがに笑う

  • 173スレ主25/08/07(木) 21:00:54

     「<波身蓋然顕現ヴェネジアラ>」


     波の如く、ゆらゆらと俺の体と魔力がブレる。

     しかし、俺はこの場を一歩も動いてはいない。


     にもかかわらず、一歩を踏み込んだように、魔力を発したかのように、その残滓が見えている。


    「どんな魔法を使おうと、不滅の神体を防ぐ術はありません」


     アヒデが地面を蹴り、光と化して駆け出した。


     奴は真正面からこちらへ向かい、杭になった右腕を光速で突き出す――

     迎え打つように俺はリヴァインギルマを握り、地面を蹴った。


     刹那の間に、俺とアヒデは交錯し、その位置を入れ替えた。

     背中を向けながら、奴は言う。


    「――うまく避けたようですが、次はそうはいきません。あなたはこの神の手によって、滅びる運命なのです」


    「ほう。そのダルマのような手でか?」


    「なにを申すのや、ら――?」


     アヒデが両腕を上げると、ようやく、肘から先が切断されていることに気がついた。


    「……な、に…………?」


    不滅終わるの早いなー

  • 174スレ主25/08/07(木) 21:02:25

    「では、試してみよ。次は貴様と降ろした神の力を切り離す」

    「そんなことが……なんと、なんと傲慢な……このわたしから神の力を? そんなことが許されるとお思いですかっ!! からくりを見せなさい、不適合者っ……!!」

     雪月花を撒き散らし、アヒデが両足を杭に変えた瞬間、その膝から下がいとも容易く斬り落とされた。

    「……なっ……うっ、あああああああああああああああああああっ……!!」

     彼に降りていた神の力が切り離され、アヒデの髪が黄金から紺色に戻る。
     抜けた力が戻るように、アルカナのもとへ光が集い、彼女は魔法体から、元の神体を取り戻していた。

    「……神の力が抜けていく……? わたしの、わたしの神の力がぁぁぁっ……不滅のこの体がなぜっ!? なぜなのですか……!? どうか、どうか神託をっ……!?」

    BU ZA MA

  • 175スレ主25/08/07(木) 21:04:31

    「<波身蓋然顕現ヴェネジアラ>は、可能性を実在化する魔法だ」


    「……可能性を……実在……? なにを言って……?」


    「わからぬか。リヴァインギルマを鞘に納めたこの状態では、俺がこの剣を抜く可能性と抜かぬ可能性が存在している。<波身蓋然顕現ヴェネジアラ>によって、俺はその二つの可能性を両方とも現実のものとした」


     全能者の剣リヴァインギルマを、アヒデの視界に映してやる。

     それは未だ鞘に納まったままだ。


    「リヴァインギルマを鞘に納めている以上、俺はこの剣を抜いてはいない。これが鞘にあるなら、俺が滅ぶことはない。逆に言えば、俺が滅びていないということは、この剣を抜いていないという証明だ」


    「……抜かなければ、この不滅の神体を傷つけることはできないはず……」


     呆然とアヒデは言う。


    「ならば、話は早いだろう。その不滅の神体が傷ついたということは、リヴァインギルマは抜かれたのだ。無論、鞘に納めたままな」


    シュレディンガーの猫とかそういうのに近いよねこれ、無法

  • 176スレ主25/08/07(木) 21:06:36

    「それが、<波身蓋然顕現ヴェネジアラ>だ。抜くことと抜かぬこと、矛盾していようと、可能性だけなら両者は同時に存在できる」


     俺はこの剣を抜くかもしれぬし、抜かないかもしれぬ。

     二つが同時に存在するのは当たり前だ。


    「そして、その可能性を同時に実在化した。矛盾する<波身蓋然顕現ヴェネジアラ>は同時に存在することができる。なぜなら、実在していようと、それは可能性にすぎぬのだからな」


     アヒデは頭の中が真っ白になったかのような顔をした。


    「……実在した瞬間に矛盾するはず……。抜いていないのなら、わたしの体は傷つかない……。抜いたのなら、あなたは消滅しなければ論理がおかしい……!」


    「そう、論理がおかしいのだ。なぜなら、この全能者の剣の審判は、全能ではない者が考えているからだ。全能者には、全能ではないものの論理そのものが当てはまらない。彼は全能なのだから、論理に支配されると考えるのが誤りだ」


     返す言葉をなくし、ただわからないといった風にアヒデは表情を歪ませる。


    「……あなたは間違っています……」


    「くはは。理解できぬか、アヒデ。それでよい。お前にわかりやすく説明するならば、全能者の出す答えを、全能ではない者は理解できぬということだ」


    要するに剣を抜いた可能性でアヒデは斬られて 剣を抜いてない可能性でアノス様はペナルティ無しって事でいいよね?

  • 177スレ主25/08/07(木) 21:07:46

    「不滅の神体は最早ない。そろそろ悪夢が始まる時間だ」


    「……ぁ…………う……ぐ…………!」


     <羈束首輪夢現ネドネリアズ>。

     その首輪の魔法が発動し、奴は悪夢に堕ちていく。


    「お前がこれから見るのは、神に裏切られ続ける世界の夢だ。<全能なる煌輝>エクエスなどいないとお前の国中で吹聴して回るがよい。ただし、決して誰も殺さず、自らも死ぬな。破れば、二度と夢から覚めぬ。うまくいったならば、また時は戻り、再びお前は神に裏切られる。それを千度繰り返し、信仰を捨てたならば戻ってくるがいい」


     嗜虐的に笑い、呪いの言葉を奴に告げる。


    「最後にお前に、決して覚めぬ悪夢を見せてやろう」


     アヒデの目が光を失う。

     <羈束首輪夢現ネドネリアズ>の世界に旅立ったのだろう。


    いやーここまで長かった!

  • 178スレ主25/08/07(木) 21:09:26

    「勇者学院の大講堂で、お前はわざわざ俺に訊いてきたな。全能者は誰にも抜けない剣を作れるか。あれはアヒデの指示ではなかったのだろう」

    「それは正しい」

    「なぜ、答えを探していた?」

     アルカナは、この選定審判で、リヴァインギルマを創造してまで、俺がその問いに答えられるかどうかの審判を行った。

     俺が答えられなければ、また別の者にその審判を課しただろう。
     
    「戦うための問いではあるまい」

     しばらく考え、彼女は言う。

    「神でありながら罪を犯したのがわたし」

     まるで懺悔をするように、アルカナは言う。

    「わたしは、神の名を忘れた」

    さあ、次ができるかはweb版次第!

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 21:35:45

    あざまーす!
    さてさてWeb版、生き残ってクレメンス……!

  • 180二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:13:56

    そういやスレ主、魔王学院の縦書きPDFダウンロードした?したなら削除されても、ファイルマネージャとかから見れるはずだけど……

  • 181スレ主25/08/07(木) 22:15:53

    >>180

    それスマホでもできます?

  • 182二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 02:56:04

    >>181 できますね。魔王学院(なろう)のページ下部にある【縦書きPDF】というところからダウンロードが可能です!

  • 183二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 04:29:02

    待機

  • 184二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 07:53:32

    待機

  • 185二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 09:30:49

    待機

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:39:21

    やっと最終章を迎え、完結しましたね。スレ主さんにも最終章まで頑張って見て頂きたいです……!

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 14:38:17

    はたしてスレ主は魔王学院を完走できるのか

  • 188二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:22:32

    保守

  • 189二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 06:23:38

    待機

  • 190二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:15:58

    待機

  • 191二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 14:19:15

    次スレはあるの?

  • 192二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 14:32:57

    >>191 スレ主が良いというなら、次スレも建てさせていただきますよ

  • 193二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 22:38:19

    待機

  • 194二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 07:23:17

    待機

  • 195二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 14:37:58

    待機

  • 196二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:49:55

    待機

  • 197二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:27:22

    次スレないのかな

  • 198スレ主25/08/10(日) 22:28:40

    しばらく様子見してたけどweb版大丈夫そうかな?

  • 199二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:34:24

    次スレ

    魔王学院原作初見感想待機スレ10|あにまん掲示板魔王学院原作初見感想待機スレですスレ主が見ている範囲までのネタバレありbbs.animanch.com

    Web版が消されてないみたいなので、スレを続行させていただきます。スレ主様、今後ともヨロシクお願いします

  • 200スレ主25/08/10(日) 22:36:02

    >>199

    了解した とりあえずweb版生きてるかぎりは頑張ろう

    まあ明日か明後日にはなんとか続きやろうかと

オススメ

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