【クロス】キヴォトス全域、幻想注意報発令 2

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:49:17
    【クロス】キヴォトス全域、幻想注意報発令|あにまん掲示板bbs.animanch.com

    前スレで考えてたけど

    出力できなくて時間がかかり、そのままスレが落ちて投稿できなくなったSSがようやく完成したので供養します。

    完成したSSは

    vs縛られし王

    vs紳士妖精

    vs蓋の空いたウェルチアース です

    あとスレ主は戦闘描写が大の苦手なのでカットしてます

    前スレの濁流君みたいに誰かが観測記録書いてくれてもいいのよ


    まずは前スレの32にあった縛られし王SSから

    書いた人とは別人だけど、スレが落ちるまで続きが来なかったので勝手に改造して続きも書きました

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:52:11

     私はゲヘナ風紀委員の4人と共に、ゲヘナの外れのある洋館に来ていた。
     館の内部はボロボロだ。かつては式典用の舞踏館だったらしいこの建物は、もう何十年も使われてない。以降、薄気味悪いのも相まって、誰も寄り付かなくなってしまったのだとか。
     温泉開発部曰く、先日この近辺で温泉開発をしようとした際に、見たこともない怪物の大群に襲われたらしい。
     風紀委員は、最初こそ何かのデタラメだと思ったそうだが、キヴォトス各地で”正体不明の怪物”が出現し始めている現状と関係があると判断し、調査を決定した。

    「ねえ、あれ……」

     館に入ってそう時間も経たないうちに、先頭を歩くヒナが前を指さした。その先には、見たこともない異形が群れている。

    「あれがカスミが見たという怪物かしら?」

     中心に夥しい数の歯を揃えた花、肉片のようなものがこびり付いた棘付きの車輪、カスミから聞いた特徴と一致する。いくらか該当しないものも居るが、群れているあたり性質はそう変わらないだろう。

    “そうだね、証言とも一致してる。あれが何処からか生み出されてるなら……”
    「大本を潰すべきですね、あれらの密度がより多い場所を目指しましょう」

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:54:47

     アコの提案を受け入れて、私たちはあの怪物達を倒しながら、より多い場所へ歩みを進める。
     幸いにしてあれらはあまり強くは無かった。数は多いが対処は容易だ。
     そうして進んでいく内に、私達は一際大きな扉にたどり着く。明らかに異様な空気を放つそれは、予め調べた情報によると、大ホールへ繋がる扉だ。

    「開けるわよ」

     ヒナが扉を開ける。その先から、大量の視線が私たちに向けられた。

    “何で……”

     もう何十年も使われてない、誰も寄り付かなくなってしまった大ホールの観客席は満席状態だった。
     座っているのはキヴォトスの生徒達。しかし、その体は黒く染まっており、紫の靄をまとっている。
     まともではない。外にいた怪物の一種かと判断し、皆が武器を構えるが──

    パチパチパチ!

     ──私達の姿を見たその生徒たちは拍手を送ってきた。
     まるで舞台の役者が登場した時のようだ。
     私たちは歓迎されている。そんな雰囲気に、引き金に掛かった指は離れていた。
     戸惑いながら、変わらず拍手を続ける生徒たちを見渡して、そうして最後に目をやった場所を見て、ようやく気付いた。
     舞台の上に赤い包帯で全身を覆われた人型が6体。
     そしてその更に奥。玉座に座る、人型と同じ赤い包帯で全身を覆われた巨人。冠を被って玉座に座るその姿は王のようだが、体を覆う包帯は玉座にすら巻き付き、巨人を縛り付けている。
     巨人はこちらに顔を向けると、縛られた手を無理やり動かし、まるで招待するような丁寧な物腰で、私たちに向けて手招きする。

    「……言うとおりにしましょうか」

     何があっても対処できるという自身の表れだろうか、ヒナの言葉を聞いて、巨人が手招きする方へ、舞台上へ上がる。
     それを見た巨人は、今度は別の場所を指差した。そこには、それぞれ違う表情の仮面が置かれている。
     とある仮面はこの上なく喜び、とある仮面はこの上なく哀しそうにしており、ある仮面はこの上なく怒っている。
     どれかを選んで付けろという事だろうか?

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:56:18

     全員がそれぞれ仮面をつけて舞台に戻る。

    パチパチパチ!

     またも観客たちが拍手を始めた。
     同時に、舞台上にあった6体の人型のうち4体の包帯が解ける。

    「私達?」

     包帯の中身は、ヒナ、アコ、イオリ、チナツ。この場にいる生徒達だ。いずれも観客と同じように体が黒く染まり、紫の靄をまとっている。加えて、体に電気が奔っているように見える。
     包帯が解かれなかった2体が舞台袖へ運ばれ、黒い生徒たちが武器を構える。
     戦闘が始まった。

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:57:33

     激戦の末、分身たちを倒した。観客たちも大いに盛り上がっている。
     舞台の雰囲気が最高潮に達しようとしたそのとき、巨人が、ずっと縛られ、自身が生み出したであろう分身たちが倒される様を、舞台奥で見ていた王が動き出した。
     体を玉座に縛り付ける包帯を引きちぎり、どこか気だるげに立ち上がると、私たちが戦っていた舞台手前に歩き出す。
     数歩歩くと、玉座から包帯が伸びてくる。包帯は王に巻き付き、逃がさないとばかりに玉座へ戻そうとしている。しかし、王は構わず歩き続け、私達と同じ位置まで前に出た。玉座は逆に王に引きずられて行き、ついに王が立ち止まった場所まで引き寄せられた。そうして、移動した玉座に王が座り、再度縛り付けられる。

    “どうして自力で解けるのにわざわざ……”
    「考えてる暇はないわよ。最後は直々に相手をするみたい」

     玉座に座った王、その周囲の空中に波紋が出現し、剣のようなものが顔をのぞかせた。
    戦闘は続く。観客の拍手も一層大きくなる。舞台はクライマックスだ。

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 11:57:54

    SSかんしゃ〜!!
    ウェルチアースくんまで!?

    あのゲームでは凶悪、
    設定ストーリーは割と善良()、
    元ネタが恐怖な自販機とエビまで!?

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:00:09

    “今だ!”
    「これで終わり!!!」

     王が大きく怯んだ隙を突き、最大火力をぶつける。
     戦闘の末ボロボロになった王の体から、ついに力が抜けていく。やがて小さな玉座に縛られた卵のような姿に変わった。

    パチパチパチ!

     観客から拍手と大歓声が上がる。

    「結局、最後まで楽しんでたわね」

     ヒナは、自分たちを率いていただろう存在が倒されたはずなのに、楽しめたと言わんばかりに歓声を送る者たちに呆れつつ、残された卵に目を向ける。

    「それで、この卵みたいなのはどうすれば──」

     その言葉を遮るように、卵から4本の赤い包帯が飛び出す。

    「っ!」
    「きゃあ」
    「うわっ」
    「くっ!」
    “皆!”

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:01:25

     戦闘が終わり、油断していたのもあるだろう、包帯は彼女たちの腕や足に巻き付いた。
     ヒナに至っては頭に巻き付かれている。

    “すぐ外して──……?”
    「何ともないな?」

     慌てて千切ろうとしたが、卵に繋がる包帯はそれを待たずに切れてしまった。ダメージに繋がることもなかったようだ。
     同時に卵も消滅し、観客も少しずつ消えていく。
     残ったのは、アコ、イオリ、チナツの体に巻き付いた赤い包帯と──

    “ヒナだけ違う……?”

     ヒナの頭に被せられた王冠だけだった。

    ──E.G.Oギフト 強要された重荷 を獲得!
      E.G.Oギフト 王の残滓 を獲得!

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:02:48

    書けなかった設定とか展開とか

    大ホールまでの道中で在りし日の肖像に出会う。出会う事しか思いつかなかったから没
    仮面のバフ。説明書く暇なかった
    歓喜している仮面 それらしいのが無い
    哀しんでいる仮面 コスト回復速度上昇とか?
    激怒している仮面 与ダメ上昇
    嫉妬大罪が12体編成で、道中の消耗もあって一時撤退。再戦で仮面のバフを全把握
    縛られし王との戦闘前の仮面変更

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:05:52

     夕暮れ時、手伝いに来た生徒が帰ってしばらく、仕事が一段落し、気分転換も兼ねて外に出た。
     ふと目に入った公園に入り、ベンチに座って伸びをする。

    「おや、お疲れだね」
    “お気遣いどうも、一日中書類仕事ですから体が固まって──”

     不意に横から声を掛けられた。労いの言葉に答えながら、声の方へ視線をやると、声の主の姿に言葉が止まる。
     そこにいたのは、ゼリーのような緑色の体を持った何か。その体形は極度の肥満のように太く、その分広くなった腹には大きな口がついている。半開きのそれは、涎のように緑色の液体を滴らせている。
     突如現れた異形に驚き、慌てて立ち上がり距離をとった。しかし、あちらは「驚かせちゃったかな?」と言って謝って来る。

    「そんなに警戒しないでよ。誰かとお喋りしたかっただけだからさ」

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:07:06

    >>10

     それから、”妖精”と名乗った彼と語り合った。適度に入る合いの手に、どこからか漂う甘い酒気に気分が高揚したのもあるだろう。話は尽きず、楽しいと思える時間が過ぎていく。

     だが、彼との話を続けていると徐々に視界が揺らぎ始めた。


    “あれ……”

    「どうかしたかい?」

    “なんか……クラクラして……”

    「あ~、私のお酒が回っちゃったかな?」


     かなり強いお酒だからね。そう言って彼は手に持った杯を掲げる。


    「うーん、酔い覚ましになりそうなものは無いなあ。少し横になるかい?」


     彼はベンチから立ち上がってスぺ―スを作る。お言葉に甘えて、横になって目を閉じる。体の怠さは何とかなったが、やはり酩酊状態はどうしようもない。

     一人で戻れるだろうか。そんな心配が生まれ始めた頃。


    「じゃあ、いただきます」

    “え?”

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:11:00

    >>11

     彼の言葉に困惑しながら目を開ける。すると、目の前には腹にある口を大きく開き、そのまま私に食い付こうとしている姿があった。

     逃げなければ。そう思っても、酒気に中てられた体はいう事を聞かない。

     抵抗は出来ない。突如迫る死に目を閉じる。

     しかし、いつまでたっても彼が私に食いつくことは無かった。

     恐る恐る目を開けると──


    「ご無事ですか?先生」

    “ワカモ!”


     先ほどまで寝ていたベンチから少し離れた位置で、ワカモに抱えられていた。


    “ありがとう、食べられちゃうかと思ったよ”

    「少しお待ちくださいね。あなた様を食べようとした不届き物は、私が排除いたします」

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:14:18

    >>12

     戦闘が始まってしばらく経った。

     ワカモは終始相手を圧倒している。攻撃に当たってもいない。

     しかし、妖精にもダメージの蓄積が見えない。

     私と言えば、変わらず酩酊状態が続いていて動けない状態だ。揺らぐ意識でかろうじて戦闘を見守っていると、突然ワカモが膝をついた。


    “どうしたの!?ワカモ!!”

    「何だか、頭がクラクラと……」

    “私と同じ……!”


     ワカモも私と同じ酩酊状態になってしまったようだ。

     思えば、私は彼の近くにいるだけで今の状態になった。ずっと戦闘を続けていれば、同じ状況になるのは想像に難くない。

     動けなくなったワカモに向かって妖精が近づいていく。


    「ようやく酔いが回ったね。いやぁ、やられるんじゃないかとヒヤヒヤしたよ」

    「くっ……!」

    「よーし、これ食べちゃうもんね!」

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:15:30

    >>13

     妖精が飛び上がった。ワカモの真上まで移動した妖精は、腹部の口を開いて落下する。

     酩酊状態で動けないワカモはそのまま口に収まった。

     しかしその瞬間、彼の腹部から爆発が起きる。


    「ゴハッ!!」

    “なんで爆発が!?”

    「すまない、奴が空中にいる間に爆発させるつもりだったんだが……」

    “君は……”


    爆発に困惑していると、横から返答が帰って来る。

    そこにいたのは、黒の長髪に黒いキャップを被り、白いコートを羽織った生徒、錠前サオリ。


    “どうしてここに?”

    「バイトで近くに来ていたんだ。戦闘音が聞こえたので様子を見に来たら、あの怪物が飛び上がったところだった。手榴弾を投げたが遅かったな」

    「ゲホッ!よくも巻き込んでくれましたね……!」

    “ワカモ!良かった!”

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:17:47

    >>14

     フレンドリーファイアで少し揉めつつ、しかしサオリは味方だと何とかワカモを説得した。


    「気を付けてください。長時間奴の近くにいると体の自由が利かなくなります」

    “お酒に酔ったみたいになるんだよね……”

    「そうなのか……先生これを飲んでみてくれ」

    “これは?”

    「ブドウ味のソーダだ」


     サオリからジュース缶を受け取る。紫色の缶にはブドウや海を漂うヨットの絵、そして商品名であろう“Wèllcheers“という字が書かれている。

     飲むことを勧めてくる意図は分からないが、炭酸で多少はさっぱり出来るかもしれない。うまく動かない手で何とか蓋を開けて、ソーダを飲む。すると、ずっと続いていた気持ち悪さが明らかに軽減した。

     これなら体も動かせるし、生徒に指示を出すこともできるだろう。


    “明らかに普通のソーダじゃないよね……?”

    「最近見つけた変な自販機から貰ったんだ」

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:19:29

    >>15

     酔いを軽減するソーダをワカモにも飲ませて、私、ワカモ、サオリの3人で妖精を追い詰めていく。

     流石の彼も二人の攻撃は耐えきれていないようで、徐々に消耗と焦りが見え始める。それでも長い時間耐え続けた彼は、ついに膝をついた。


    「ずいぶんと、苛烈だね。一人で付き合うのも楽じゃない」


     そう言って、彼は手に持っていた杯を口元に持っていく。


    “もしかして、あれで回復してる?”


     彼は戦闘中、頻りに杯の中の液体を飲む。そしてそれは、攻撃に曝された直後であることが多い。

     攻撃を受けても涼しい顔をしていて分かりづらかったが、膝をついたのを見るに、ダメージは与えられている。

     持ち前の耐久とあの杯での回復で、長時間耐え続けたのかもしれない。

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:20:40

    >>16

     サオリとワカモに、杯を取り上げるように指示を出す。


    「おっと!ここまで追い詰められたんだ。分けてあげることは出来ないかな?」


     彼は、指示を聞いて即座に走り出したワカモをかろうじて避けた。


    「隙有りだ!」

    「君たちは……」


     しかし、避けた後の隙をついたサオリが、杯を取り上げる事に成功すた。

     その様子を見た彼は動きを止め、放心したような表情サオリの手にある杯を見つめる。

     やがて「ふふ、はは」と小さく笑い始めた。


    「残念だなぁ、もうちょっとだったのに……」


     同時に、彼の体が淡い光に包まれ始める。


    「分かったよ。私の負けだ。持って行きなされ」


     諦めたような言葉を残し、光となって消えていった。


    ──E.G.Oギフト 緑色の結実 獲得!

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:21:44

    >>17

    書けなかった設定とか展開とか

    紳士妖精と戦っていると気分が高揚していく。高揚が基準を超えると酔いになって動けなくなる

    デカい妖精酒召喚は描写が面倒だったので、高揚と酔いのギミックと紳士妖精の回復は全て持ってる杯から行っている。ブルアカで実装するなら妖精酒召喚はそのまま持ってこれると思う

    「これ食べちゃうもんね!」のギミックは、生徒をあえて食わせる発想は出ないだろうから使ってない

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:24:05

    「どうしたものか……」

     彼女、錠前サオリは悩んでいた。今持っているソーダの缶……ではなく、傍らに置いたもう一つの缶について。
     紫色のその缶にはブドウ味のソーダが入っている。しかし、サオリにはこのソーダを安易に飲めない理由があった。
     少し前、ブラックマーケットの片隅、特別人気のないその場所に、サオリはとある自販機を見つけた。
     販促をするような落書きだらけのそれは、Wèllcheersなる様々な味のソーダを無料で提供している。
     その両脇には、オーバーオールにブーツを履いたエビ頭の二人が立っている。足から胴体、そして首と思われる部位まで起伏の無い姿は、そのサイズも相まって着ぐるみのようにも見える。
     当初は両脇のエビ頭を警戒していた。しかし、声を掛けても、武器を構えても、彼らは時折体を揺らすだけで、何もせず佇んでいる。
     一先ず安全だと判断し、ソーダが無料でいくらでももらえるその自販機は、お金に困りがちな彼女の救世主となった。
     特に、このソーダを飲むと体力や傷が回復するという便利な効果がある。
     今では、そんな奇妙な自販機のリピーターだ。

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:25:34

    >>19

     現在彼女が目線を送っている缶も、その自販機から貰ってきたものである。しかし、この缶だけは、他とは違う。

     先日、先生を襲う緑色の怪物と戦闘を行った。その戦闘において、回復手段として大量消費してしまいブドウ味のソーダの在庫が無くなってしまった。

     戦闘に役立ったことの感謝をエビ頭たちに伝えつつ、ソーダの補充を行い、離れようとしたところ、肩に何かがのせられた。


    「!!!」


     咄嗟に振り向けば、今まで頑なに干渉してこなかったエビ頭が自身の肩にその細腕をのせ、もう片方の手で缶を差し出していた。

     ようやく、意思疎通が出来るのかと静かに喜ぶのもつかの間、違和感に気付く。缶の蓋が開いている。

     初めは、差し入れの体で渡してきたのだろうから、予め蓋を開けておいてくれたのだろうと思っていた。

     しかし、かつてアリウス分校で人を殺す教育を受けた経験と直感から、この缶に何かがあるのでないかと思えて仕方がない。

     エビ頭は、サオリに缶を渡してからは元の位置に戻ってしまった。これ以上何かをする意思も無さそうなので、一先ずその場を離れて考えに耽っている。


    「お姉さん休憩中?」

    「これ全部ジュース?ずいぶん買い込んだじゃん」

    「私達にも分けてくれよ」

    「ん?ああ……」


     思考を巡らせていると、いつの間にか複数の学生に囲まれていた。このあたりで活動している不良たちだろう。

     幸いにしてあちらの要求は、自分が持っている大量のソーダだ。持っていかれても直ぐ補充できる。

     素直に彼女たちが缶を取っていくのを見つめていると。そのうち一人が例の蓋の空いた缶を手に取った。

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:27:38

    >>20

    「ん?なんでこれは蓋開けてるのに飲んでないんだ?勿体ないから私が飲んでいいよな?」

    「待て!それは……」

    「なんか文句あんのか?」

    「……!」


     止めようとしたが、銃を向けられてしまった。直ぐに不良はソーダを飲んでしまう。


    「おー、美味え!なあ、これどこで……買っ……た……」

    「!!!」


     ソーダを飲んだ不良が倒れた。他の不良が「何飲ませやがった!?」と叫びながら、彼女の様子を見る。


    「……zzz」

    「寝てる?」

    「おい、どういう事だこれ!」

    「私にもよく……」


    ボォォォォ!


    「何なんださっきから!?」


     何処か遠くから、汽笛の音が響く。怪奇現象の連続で、彼女たちの間に沈黙が流れる。

    それを破ったのは、不良の一人。


    「おい、あれ何だ?」


     不良が指さした方向を見ると、あの自販機の両脇に立っていたエビ頭が一人居た。

     彼は、普段では考えられないほどリズミカルに腕をグネグネさせながら、踊るようにこちらへ向かってきている。

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:28:44

    >>21

    「ちょうど良かった!お前たちのソーダを飲んだ生徒が倒れてしまって……」


     サオリはエビ頭の近くに行って事情説明を求めた。

     しかし、彼はそんなサオリを無視して直進する。やがて、不良たちの下へたどり着くと、眠っていた不良を持ち上げ、来た道を戻り始める。


    「待て!」

    「何勝手に連れてこうとしてんだ!」


     それを放置する彼女達ではない。すぐさまエビ頭を殴りつけ、仲間を取り戻す。

     殴られたエビ頭は、倒れたまま動かなくなってしまった。


    「あ?何だこいつ。一発殴られて伸びやがったぞ」

    「おい、あれ……」


    また不良が指さす、そこにはまたエビ頭が居た。それは、先ほどのエビ頭と同じ動きで近づいて来る。

    そして──


    「てか、何かいっぱいいるぞ!?」

    「何だよこいつら!?」


    それにとどまらず、周囲の物陰から大量のエビ頭が現れ、不良に向かって進軍していた。

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:32:02

    >>22

     突然始まった不良防衛戦。

     サオリは最前線で戦いながら不良たちの指揮を執っている。緊急時につき、不良たちも素直に言う事を聞いている。

     幸い、エビ頭たちはそこまで強くない。あるのは数ばかりで、被弾を避けようともしなければ、戦略を練ってくることもない。

     しかし、数が多く戦闘時間が長い。徐々にサオリにも疲弊が見え始めた頃──


    ボォォォォ!


     また汽笛が鳴った。それが終了の合図だったのだろうか。エビ頭たちは踊るような動きを止め、汽笛が聞こえる方向に歩いていく。

     あれだけ狙っていた、眠った不良すらも無視して……。


    「何だったんだよ……」


     倒れたエビ頭もいつの間にか消えており、後に残ったのは怪奇現象に遭遇した困惑だけだった。



     不良たちを見送り、サオリはあの自販機があった場所に戻ってきた。

     しかし、そこに例の自販機は見えない。自販機があった場所に近づくと、そこには彼らと同じオーバーオールにブーツを履いたデザインのエビ頭の着ぐるみが置かれていた。

     エビの首元に当たる部分穴が開いており、そこから顔を出せるようになっている。


    ── ☆? 錠前サオリ(ソーダ) を獲得!

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:33:04

    >>23

    書けなかった設定

    赤いソーダはチェリー味 HP回復

    紫のソーダはブドウ味 状態異常回復

    青いソーダはソーダ味 それらしいものが見つからなかった

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:38:49

    終わり
    後は思いついたけど書けなかったネタ並べてスレ主はターンエンド

    皮膚の予言者vsセイア
    夢の中で皮膚の予言者と出会ったセイア。気づかれると攻撃されるので戦うことにした。
    トライ&エラーを繰り返し、先生とかからも戦術のアドバイスをもらって何とかソロ撃破

    薔薇の表示板inアリウス
    アツコが縛られてた十字架にくっついてそうってネタ

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 12:52:41

    >>25

    もう一個あった

    vs道を失った乗客

    次元に隠れて直感で出てくる場所を予想して攻撃する判定をセイアにやってほしい

    皮膚の予言者戦でなんかゲットしてたらそれ使って欲しい

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 20:44:55

    上げ
    スレ主はもうネタ持ってないので
    何もないならこれ以降は書かないよ

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 20:52:17

    個人的にエンジニア部で衝撃ムカデだったり、紳士妖精と会った後日足長妖精に会う先生とかは良さそう

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/20(日) 22:49:39

    足長妖精に関しては
    足長妖精の目撃情報が入って調査へ
    現地で妖精提灯に誘われて食われそうになったところを足長妖精が妨害
    別に助けたかったとかじゃなくて獲物横取りしようってスタンスだったから
    先生一行vs妖精提灯vs足長妖精
    とか考えてたな

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 08:40:32

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 09:10:34

    機械系なら、オールアラウンドヘルパーが何処からかシャーレに送られて来て当番の生徒が掃除を命じたら…みたいなのはありそう

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 09:22:13

    誰も居ないはずの時間帯に懺悔室で懺悔をするとなんだか晴れやかな気分になると噂が立ち
    詳しく調べてみると
    いつのまにかシスターフッドの教会に現れた浮遊する謎の頭だけの骸骨

    たまたまサクラコ様がなんとなく悩みを骸骨に話すように相談するとスッキリした気になり特に悪いこともしてないのでそのままにしておいた。

    なんて感じの罪善さんとの邂逅を妄想しました

スレッドは7/21 19:22頃に落ちます

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