【閲覧CP注意】エグザベ「急にニャアンがこちらに来るとは驚いたよ」2【エグニャア】

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:51:27

    グラナダのエグザベの元を訪れたニャアン。
    彼女は何故かエグザベの家に泊まることを強く希望する。
    だが、二人の会話は、期せずして互いの『罪』の認識について深く触れるものとなり。

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 21:52:31
  • 3二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:07:50

    ありがとう

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:29:20

    「お願いだから、それは、やめて」


     彼女は、再度の懇願をする。


    「私は、求めていない。そんなことは、求めていない」

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:29:29

    とりあえず座席確保

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:36:38

     何度も彼女に願われて、流石にエグザベも理解せざるを得ない。

     本当に意外なことだが。

     きっと。

     それは、それこそは、彼女には否定が許されないもので。

     エグザベにしてみれば、あの日の出会いに、彼女がそれだけ重きを置いているのは、多少の驚きを持って受け取られる事実でもあったのだが。

     だが、そう判断せざるを得ず。

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:37:54

    「どうして……そういう、酷いことを言うの」

     ニャアンの声は悲しみに沈み。


    「そんなことをしたら……何も、残らない」

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:42:07

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:43:10

     何も残らない。

     それは、その通りで。


     ただ、何も残らなければ。

     これだけ、長い間彼女を苦しめた、そのものも。

     彼女が引き金を引いた事実も。

     存在しなくなるのだから。


     だから、それを彼女に経験させてしまったこと。

     それは、『罪』以外の何物でもなく。

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:53:44

    「……済まない」


     エグザベは、もう一度謝罪した。


     何に謝っているのか。

     彼女を導いたことにか。

     あるいは、彼女に願われ尚、彼女との出会いを『罪』と考えてしまうことだろうか。


    「本当に、あなたは、それしか言わない」

     ニャアンは、とても悲しそうに、そう言う。

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:55:56

    >>10

    なんか今回エグザベ君が謝ってるのは、何をやっても、何を言っても、結局ニャアンを苦しめてるって感じてるからじゃないかなあ

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/21(月) 22:57:55

     エグザベは、ただ、謝罪する。

     もはや、そうやって彼女を悲しませることも、きっと罪で。

     だから、ただ、謝罪を繰り返すことしかできず。


    「済まな……」


     その時。

     ニャアンは、椅子に座ったままのエグザベの頭の後ろに、そっと両手を回した。

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:05:01

     ニャアンは、覆いかぶさるように身をわずかに折り、エグザベの後頭部をぐっと引き寄せた。


    「ニャアン……!?」


     小さく驚きの声を上げる間もなく、エグザベの視界は柔らかな胸元でふさがれる。

     鼓動とともに伝わるぬくもりが、エグザベの言葉を、遮り。

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:15:45

     エグザベは、動けない。

     ニャアンの体温と。

     微かな香水の香りだけを感じて。


     ニャアンもそのまま動こうとせず。

     ただ、エグザベの頭を、強く抱きすくめる。

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:24:19

    「……私は、あなたに罰して貰うつもりだった」

     ニャアンが、囁くように言う。


     エグザベは、ただ、ニャアンに包まれたまま、その声を聴く。

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:30:30

    「罰してくれなければ、終わらない。終われない」

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:33:16

    「そうしなければ、私はあなたに向き合うことが出来ず」

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:34:24

    「あなたの声を、素直に聞くことが出来ない」

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 00:54:22

    「なのにあなたは……ただ、私に謝るばかりで、決して私を責めてくれない」

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 01:02:18

    「それどころか……あなたは、私とあなたの繋がりを。そのものを、否定しようとする」

     ただ、ニャアンの言葉だけが、エグザベの耳に響く。

     その声は、ただ、悲しみに満ちていて。

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 01:06:33

    このレスは削除されています

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 01:08:49

    「それが否定していいものだったら……私がこんなに辛い訳、ないじゃない……!」

     その叫びを、エグザベは、ただ、聞いていた。

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 01:16:45

     彼女はどんな顔をしているのだろうか。

     怒っているのだろうか。

     泣いているのだろうか。

     エグザベからは、分からない。


     だから、ただ、エグザベは、謝ることしかできず。

     でも、きっと、それも彼女を悲しませることで。


     エグザベは、何も言うことができない。


     結局そこにあるのは。

     彼女への申し訳なさと。

     彼女をそのようなところに追い込んだ自身の不甲斐なさと。

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 01:34:15

    「済まない」

     エグザベは、思わず口にしてしまう。

     口にすべきではない言葉。

     エグザベは、彼女の希望通りに、彼女を罰することなど出来ない。

     拒絶することも出来ない。

     かといって、謝るな、と言われたばかりなのに。

    「……もう、いいかな」

     だが、エグザベの言葉を受けたニャアンの言葉は、少しだけ楽し気だった。

     視界が遮られたまま。

     ただ、ニャアンに包まれているような気分になる。

    「もう、いい。どうしても、そうやって、私を罰してくれないというのなら」

     ニャアンの声が、響く。

    「せめて……、あなたの、悲しみを見せて」

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 09:38:14

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 19:18:23

    このレスは削除されています

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 23:56:00

    保守

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 01:15:19

     悲しみを見せる。

     何を言っているのだろう。

     泣いて見せろとでも言っているのだろうか。

     自分は、そのような器用な人間ではない。


     ただ、その悲しみは。

     悲しみの理由は、確かに伝えることが出来るもので。


    「済まなかった」


     エグザベは、ただ、本当の気持ちを口にする。


    「君に、未来を与えられず、済まなかった」


  • 29二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 01:22:05

     それは、シンプルな言葉だったが。

     なぜか、感情が溢れた。


     ああ、言えた。


     そんな気持ちがある。


     結局、それを為そうとして。

     為せなかった。


     己を抱きすくめるニャアンの腕に、力が籠るのを感じた。

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 01:55:04

    「私は、馬鹿だけど」


     彼女の声が響く。


    「あなたは……もっと、馬鹿」


     その声は震えていて。


    「本当に、馬鹿」


     彼女の腕も、体も、震えていて。

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 02:13:56

    「私に未来を与えていないというのなら」


     ニャアンは言う。


    「今ここにいる私は、なんなの……」


     そこまで聞いて、気づく。

     彼女は、嗚咽していた。


     エグザベは、ただ、彼女に強く抱きすくめられ。

     彼女の胸に顔を埋めたまま、動くことも出来ず。

     ただ、彼女の嗚咽を、ずっと聞いていた。

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 11:28:54

    重かわいいな…

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 11:37:02

    たぶんエグザベにとってニャアンは戦いを怖がる普通の子で、だから最終的にこうなってしまった以上戦い方を教えたことも戦場に出したこともジオンに勧誘したことも全部後悔と懺悔の対象なんだよね
    でもニャアンにとってエグザベはたぶん生きる力を与えてくれた人だと思うんだよね
    エグザベが勧誘してくれたから、訓練してくれたから最後にジフレドに乗って友達のために戦えたわけで……

  • 34二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 17:42:42

    悲しい…

  • 35二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 23:25:12

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 00:55:17

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 00:56:20

     どれほどの時間が過ぎただろうか。

     ただ、エグザベの頭は、抱きすくめられたままで。

     ニャアンの嗚咽が、胸元の震えとなって伝わってくる。

     その震えに包まれながら――感じる、奇妙な安らぎ。

     布地越しにかすかな湿りを感じ取る。

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:00:40

     自分も、彼女も。

     多分感情の持って行き場を失っているというのに。

     それでも、どこか、彼女の体温に。

     安らぎも感じてしまっているのも、事実で。

     申し訳なさの中で、そういう感覚があるのも、事実で。

     不甲斐なさのなかで、少しだけ、そういう感覚があって。


     だから、それでも、せめて。

     せめて、彼女には、泣き止んで貰いたい。


     せめて、それ位は。

  • 39二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:26:17

    「なぁ、ニャアン」

    「……」

    「僕は……」


     どうすればいい。


     本当は、そう言いたかった。

     ただ、そういうことすら、どこか、烏滸がましい気分があって。

     結局のところ、自分が、彼女に為しうるような大それたことなど、何も無い筈だから。


     だから、その代わりに、本当に恐る恐る、右手を回し、ニャアンの背中をさする。

     どうか、泣くのは、やめてほしい。

  • 40二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:43:19

    「あ……」

     ニャアンが、小さく声を漏らす。

     今更、自分が泣いていたと気づいたかのように。

     エグザベは、自分の頭を押さえつけていた、締め付けが、少しだけ緩んだのを感じる。

  • 41二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 01:56:04

     エグザベは。
     ごく自然に顔を上げた。
     ニャアンを視界に入れようとして。
     そして、目が合った。
     泣きはらした顔。

  • 42二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 10:07:49

    ニャアン泣かないで…

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:39:06

    泣かせた責任取れ少尉。深い意味で。

  • 44二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:31:20

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 03:55:14

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:16:29

     彼女を泣かせたのは自分で。

     それは、自分の言葉が始まりで。


     ただ、彼女は答えを求めていた。


     だったら、言葉で伝えるべきだった。

     常に、言葉で、明確に伝えることこそ。

     そこに、疑問の余地を残さないことこそ。

     多分それが、エグザベ自身のスタンスの筈であり。

  • 47二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:17:31

    『今ここにいる私は、なんなの』


     その問いに。

     ただ、言える言葉があるとすれば。


    「君は……、幸せでいてほしいと願わずにいられない存在だ」

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:20:33

     それは、嘘ではなく。

     また、許される範囲の言葉でもある。

     大切に思っているからこそ。

     だからこそ、今なお、未来を与えたかったと、強く願うのであり。

     幸せでいて欲しい。

     笑っていて欲しい。

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:21:39

     始まりは仲間意識だったのかもしれない。

     もしくは、もっと下品な保護欲、庇護欲。

     ただ、いつしか、より彼女のことをより深く考えるようになったのは確かで。

  • 50二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:22:53

     輝かしい未来では無かったかもしれない。

     ただ、確かに、共に過ごした時間は。

     何かを共有した時間は、そこに確かにあったのであり。


     だから、願う。

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 12:06:02

    保湿

  • 52二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 15:06:05

    保守ではなく保湿か…

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 16:26:43

    いいな保湿

  • 54二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:47:22

    保湿

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 21:30:24

    しっとり…

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 23:59:07

     彼女は、エグザベの言葉に少しだけ目を見開き。

     そのまま、じっとこちらを見つめていた。


    「願って、どうするんです」


     少しだけ、馬鹿にしたような声が刺さる。

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:07:37

    このレスは削除されています

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:08:56

    「わからない」


     正直に答える。


    「でも、願わずにはいられない。君には笑っていて欲しい。幸せになっていて欲しい」

     思い起こされるのは、あの日、背を向けた彼女の姿。

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:11:47

     瞳が揺れた。


    「……どうして、あなたは、いつも、そうやって」

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:50:06

     そのいらだちのような言葉は。

     こちらを責めるような言葉は。

     何を意味していたのか。


     ニャアンは震える両手をそっとエグザベの肩に置いてくる。


    「ニャアン……?」


     エグザベは、その動きに、ただ、彼女を見上げた。

     悲しみとも、怒りともつかない、美しい瞳。

     ──泣き止んでくれた、良かった、などと場違いな安堵をほんの一瞬だけ抱く。


    「おい、ニャアン……?」

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 01:52:48

     ニャアンは、その問いかけに答えることはせず。

     こちらを掴んでくる指先に力が籠るのを感じる。

     一瞬、視線が絡む。

     ニャアンは、わずかにこちらに身をかがめ、そっと瞳を閉じる。

     次の瞬間、柔らかな感触。

     柔らかなぬくもりと微かな湿りが、エグザベの声を塞いだ。

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 08:39:46

    保湿

  • 63二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 10:07:27

    キャ〜〜〜〜〜〜〜😍🥰😍🥰

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 10:52:31

    どシリアスな中で描かれるしっとり……

  • 65二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:10:50

     鼓動だけが耳奥で跳ね、世界が遠ざかる。

     初めに感じたのは困惑。

     多分彼女は、こんな不甲斐ない自分を嫌っている筈で。

     だから、このような行動には『理由が無い』。

     黙れ、ということなのだろうか。

     だからこう、唇を塞いで。

     これは、つまり、そういう、分かりやすい何かを意味する行動ではなく。

     そうだ、きっと彼女も混乱していて。

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:24:00

     わかっていた。

     確かに彼女は混乱しているかもしれない。

     だからこのような行動に走っているのかもしれない。

     それでも、そこには何かのメッセージがあって。

     つまり、そこが問題ではなく。

     自分が、今、どう感じているかで。

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:33:15

     自分は逃げようとしている。

     彼女を、そんなふうに見ることは許されないから。

     それでも、この柔らかな湿りとぬくもりに───気づいてしまった感情は、確かにあって。


     肩に痛み。

     彼女の両手が肩に食い込む。布地が軋むほどに強く。

  • 68二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 18:47:46

     ……その直後、指の力がふっと抜けた。

     ニャアンは何かに今さら気づいたように、震えながら、ゆっくりと離れる。

     視線が絡む。


    「……あなたが悪いんですよ」

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:01:48

    「ニャアン……」


    「あなたが、私を罰してくれないから」

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:05:17

     罰なんて言葉を口にさせているのは誰だ、と胸に刺さる。

     なら、『これ』は。この行いは。彼女自身への罰だとでも言うのか。

     確かに、そうかもしれない。

     きっと自分は彼女を汚していて。


     それでも、答える。


    「罰することなんてできないよ」


     そこに罪など存在しないのだから。

  • 71二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:09:50

    「だったら、少尉」


     ニャアンは、そこで少しだけ意地悪く笑う。


    「聞きますけど、あなたは私に幸せになって欲しいんですよね?」


    「……ああ」


    「なら、罰してくれなければ、私は幸せになれないと言ったら?」

  • 72二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:13:51

    哲学みたいな禅問答みたいな話をしている
    そもそも幸せになって欲しいって言うけど自分の知らないとこで君が勝手に幸せになれって無責任じゃないですか
    お前が幸せにするんだよ

  • 73二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 19:33:56

     見てしまった。

     その今にも崩れそうな顔を。

     涙をこらえる瞳を。

     彼女は、また泣いてしまいそうで。


     エグザベは、思わず立ち上がる。椅子の脚が床を擦り、乾いた音が鳴る。


    「少尉……?」


     少しだけ戸惑ったようなニャアンの声。

     立ち上がった勢いのまま、震える肩を、抱き寄せていた。

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 00:45:36

    「……なんです、これは」


     ニャアンの声。


    「これが罰だとでも?」


     その声は、どこかこちらを嘲るようでもあり。

     彼女自身を嘲笑しているようでもあり。

     少しだけ、悲し気でもあり。


     それでも、彼女は抵抗しない。

     むしろ力が抜け、肩がこちらへ沈む。


    「……だからなんなんです、これは」


     彼女は、僅かに掠れた、少しだけ泣き出しそうな声で、もう一度そう言った。

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 09:35:15

    保湿…

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 12:25:42

    保湿スレ…

  • 77二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:07:23

    「幸せになって欲しいんだ」


    「話が繋がりません」


     少しだけ冷めたような、それでいてどこか嘲るような声色。

     抱きしめたニャアンの表情は、見えない。


    「大体、誰が、どう、幸せにすると言うんです」

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:31:29

    「誰が、じゃないと思うんだ」


     その言い方の卑怯さを自認しながらエグザベは答える。

     それでも、自分が幸せにする、などと大それたことは言えない。

     それが出来なかったら今日があるのだから。


    「ただ、僕は君に幸せになって欲しい。その為に、僕に出来ることは惜しまない」


    「……本当に、あなたは」


     ニャアンはつぶやくように言う。

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:52:27

     それから、思いついたかのように言う。


    「本当に、出来ることは惜しまないんですね?」


    「ああ」


    「……なら、私を抱いて欲しいと言ったら?」

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:19:18

    「なっ……」


     エグザベは、息をのんだ。

     ニャアンの鼓動を感じる。


    「それが、必要だと言ったら?」


     ニャアンの求める、罰として。


     その時、ポケットの奥でけたたましい着信音が弾けた。

  • 81二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:20:56

    >>80

    投稿時間が・・・///

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:20:57

    ひとまずここまでで
    続きはまた後程

  • 83二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:22:00

    >>81

    おっと18…

  • 84二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 19:22:20

    投下乙でした


    >>81

    言われるまで気づかなかった…あと1秒遅かったらトリプル19だったのに

  • 85二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:57:49

    >>84

    あ、本当だ。おしい。


    こういうビタースイート?な関係いいですなぁ。

  • 86二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 00:45:36

    着信、無造作に切っちゃえ。いやマジで。うん。

  • 87二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 09:52:51

    何といういいところで…
    無視したいけどニャアンが来る原因になった問題に関係することかもしれんと思えばエグザベな出るしかないんよな

  • 88二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 18:05:32

    電話のタイミングが悪すぎる…
    でも覚悟を決める時間ができたとも思えるか
    無かったことにしてはいけないんだエグザベ君

  • 89二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 00:54:16

    保湿

  • 90二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 01:11:56

     エグザベは動けない。

     ニャアンに言われた言葉が頭の中で渦を巻いている。

     流石にその返答をせずに携帯に逃げるというのも信頼を裏切る気がした。

     だが考えがまとまらない。

     携帯はけたたましく鳴り続ける。

     ニャアンはどういうつもりであんなことを言ったのか。


    「出ないの」


     エグザベの腕の中で、ニャアンがぼそりと言った。

  • 91二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 01:23:28

    このレスは削除されています

  • 92二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 01:24:39

     ニャアンの口調は、むしろすぐ対応しようとしないエグザベを不思議がっている風情すらあった。


    「鳴ってるよ、スマホ」


    「ああ……」


     エグザベはそれでもどうにも動けず、生返事をする。


    「出ないと」


  • 93二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 09:31:44

    このレスは削除されています

  • 94二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 17:57:48

    保湿

  • 95二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 00:07:59

    あかんエグザベ君が完全にキャパオーバーしとる
    知恵熱を出すかもしれんね

  • 96二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:18:08

    「少尉」


     ニャアンが、小さくエグザベを呼んだ。


    「電話です」


     それは言うまでもなく明らかの事で。

  • 97二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:22:05

    このレスは削除されています

  • 98二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:24:26

    このレスは削除されています

  • 99二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:26:00

    『〇×▽☆●♯%&!!!!』

     ペットロボットが電子音を鳴らす。


     いいから出ておきなよ、と言っているようにも聞こえた。

     なんだか自分もこのロボットが何を言っているのか分かるようになってきた気もするな、などと場違いな感想を少しだけ持つ。

  • 100二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 01:36:07

     ニャアンがさらに促すように言った。


    「出ないと地味に私も、あなたも、面倒なことになるかもしれませんよ、少尉」


     それは、その通りではあるのだが。

  • 101二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 10:18:12

    このレスは削除されています

  • 102二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 18:08:38

    保湿

  • 103二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:01:59

    保湿保湿
    このスレを覗くとお肌がすごく潤うわ〜

  • 104二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:11:23

    いつも反応感想有難う御座います…
    保湿も有難う御座います

  • 105二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:12:35

     エグザベは、ニャアンに回していた腕を外し、もぞもぞと携帯を探そうとする。

     どうにもしまらない。


    「急いだほうがよいです」


     ニャアンは、エグザベの腕からするりと抜け出しながらそう言う。

     ニャアンの体がエグザベから離れる。

     彼女の体と、そのぬくもりの感触がなくなったことに、残念、というのとは違うのだが、少しだけ妙な感覚も覚える。

     物足りなさ、と言えば良いのだろうか。

  • 106二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:23:18

    「ああ、わかって……」

     だが、エグザベがそう答えながら、やっと携帯を取り出した時、たった今離れた筈のニャアンの顔が目の前にあった。

  • 107二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:26:04

    このレスは削除されています

  • 108二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:28:29

    「なっ……」

     戸惑いの声を上げる前に、また唇が塞がれる。
     彼女は両腕をエグザベの首に回して、しっかりと絡みつく。

  • 109二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:38:47

     手の中で携帯が震え続ける。
     エグザベは鼓動の中で、ただニャアンの唇の温度を感じていた。
     一瞬後、今度こそ彼女はするっと身を引いた。

    「あ、え……」

    「電話、出てください」

     ニャアンは、何事もなかったかのように、浅い吐息をひとつ漏らした。

  • 110二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:40:03

    続きはまた後日

  • 111二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 03:22:59

    キャ〜〜〜〜〜😍

  • 112二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 10:39:20

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 19:39:14

    名残惜しいのはお互い様か

  • 114二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:40:55

    2週間ぶりに開いたあにまんがこれで本当に良かった
    湿度が心身ともに染み渡る

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:44:50

    保湿

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 07:28:25

    保湿

  • 117二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 16:31:54

    このレスは削除されています

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 21:15:04

    保湿

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 23:53:59

    保湿

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 00:04:55

     エグザベは携帯に出る。

     相手は予想がついていた。

     グラナダの軍本部。

     正確に言えば突撃機動軍本部と言うべきなのだろうが、一連の騒動からその辺りの区分けも若干怪しくはなってはいる。

     エグザベはつい今しがたまであった色々をとりあえず考えないようにして、応対を続ける。


     見ると、ニャアンがいつの間にか向かいの席に戻っていた。

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 00:30:22

     内容も大体わかっている。

     明日以降のニャアンについての予定の再確認。

     多くはフラナガン機関の指定によるもの。

     ただし、あえてエグザベがねじ込んだ案件も混じってはいる。

     その方が将来的にニャアンがジオンでも生きていきやすいのではという、エグザベなりの配慮によるものだった。

     事務的な会話。

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 00:35:33

     エグザベは応対を続ける。

     ニャアンは済ました顔でこちらを見ている。

     まるで初めから自分はそこにいて、特に今特別なことはなかった、とでも言うように。

     本当に何もなかったのでは、という気がしてくる。

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 01:08:37

     ただ、妙な部分があった。

     向こうが言ってきた指示を要約すれば。


     彼女から聞いていると思うが、彼女の滞在場所については「そういうこと」になった。


    1、色々と問題もあるとは思うが今晩はひとまず預かる形にして欲しい

    2、命令として民間協力者である彼女の保護を行うように

    3、別途住居は用意したので今晩はそちらに送り届けるように(※前スレ選択肢で10を引いた結果としてキャンセルされました)


    dice1d2=2 (2)

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:49:24

    保湿

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:48:56

    このレスは削除されています

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:50:28

    命令として民間協力者である彼女の保護を行うように、先方の言い方はそういうものだった。

    命令としてしまった方がそちらもやりやすいだろうから。

    さりげなくそういう本音も向こうは語った。

    済まないが、状況が状況だ。

    その、その際に語られた事情が、エグザベの認識からすれば少々妙なものだったが。


    (確かニャアンは自分で住居をキャンセルしたと言っていたような……)


    微妙に話が繋がらない。


    ニャアンは済ました顔でただエグザベを見ている。

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:55:35

    向こうの話は続く。

    彼女からも大体の事情は聴いたと思うが……と。


    エグザベは思う。


    大体、この場にニャアンがいることもどうして向こうは把握しているのか。

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:58:16

    一通りのやりとりを負えて、エグザベは電話を切った。


    「どうしましたか」

     ニャアンは何事も無かったかのように聞いてくる。

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 18:01:55

    「……確か君、手配されてた住居はキャンセルしたと言ったよな」

    「言いましたね」

    「君が自分の判断でキャンセルしたと」

    「そのようなこと、言いましたっけ」

    「……」

     ニャアンはさも不思議そうに言う。

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 20:26:54

     電話の向こうで本部は言っていた。

    『知っての通り』住居はこちらの判断で変更になった、と。

     不穏分子がターゲッティングしているという情報もあったから念の為、と。

     確かに、ニャアンの状況を考えれば不思議な事ではないのだが。

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 20:50:06

    「キャンセルは本部の指示です。色々と微妙な噂もあるそうで、緊急避難として、今の時点ではひとまず少尉の所で預かって貰いなさいと。少尉の家なら余裕もあるだろうからとのお話で」

    「……初めて聞いたぞ」

    「そうでしたか」

     ニャアンはさらりと言う。

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:05:07

    「まぁ、下っ端扱いを強めた方が、というのは私の意見ではありましたが」

    「……」

    「少尉の家に間借りしているとした方がより下っ端感が強まると思ったのは本当ですよ?」

    「あ、ああ……」

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:31:18

     ニャアンは嘘は言ってはいなかった。

     だが、あきらかに表現がどこか誤認を誘うもので。

     それでエグザベが慌ててしまった事情はあり。

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:22:29

    このレスは削除されています

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:23:36

     そこでニャアンはいくらか柔らかくなった表情で言う。

    「ごめん。少しだけ、あなたを困らせてみたかった」

     不思議と怒りはわかなかった。

     むしろ、その程度の遊びを彼女も持ってくれていることが嬉しかった。

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:02:23

    ただ、結局、彼女の本音はどこにあったのか。

    色々とありすぎて、わからなくなる。

    目の前の彼女は平然としている。

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:05:29

    「……どうしましたか、少尉」

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:08:18

    「どうもしないよ」

     エグザベはそう言いつつ、唐突に先ほどの柔らかな感触を思い出す。

     微妙に夢を見ていたような気もするが、それは確かにニャアンとの間にあったことで。

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:12:56

    「……そうですか?」

    「ああ、そうだよ」

    「そうですか」

     疑問点は常に明らかにするスタンスであり。

     配慮や気配りの至らなさについて言われることもあるエグザベではあったが。

     かといって、それでも。


    『あの口づけの意味は何だ』


     とはストレートに聞かない程度の弁えはあった。

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:15:31

    「じゃあ、少尉。面倒をお掛けしますが、とにかく今晩はどうぞ宜しくお願いしますね?」

    「まぁ、命令もあったからね」

    「命令じゃなかったら?」

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:17:53

    「出来ることはやるさ」

    「それは嬉しいです」

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:20:38

     だが、そのやりとりは唐突にエグザベに先ほどの会話を思い起こさせた。

     出来ることはやる。

     ニャアンの為に出来ることは惜しまない。

     だからこそ、ニャアンは問うてきた。


    『……なら、私を抱いて欲しいと言ったら?』

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:27:57

     ただ、エグザベがそこへの答えを考える前に。

     目の前のニャアンは話を進めてくる。


    「じゃあ、結局今晩は私はここに居て良いんですね。私の寝る場所はありますか? 別に床とかでも良いですよ。慣れてるので」

    「心配しなくて良いよ、ちゃんと場所はあるさ」

    「有難う御座います」


     エグザベは先ほどの問いを考えるのをひとまずやめることにした。

     まずは彼女に色々と説明をしないといけないのだから。

     明日の予定も含めて。

     そう、自分に言い聞かせた。

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:29:13

    ひとまずここで一区切り

    ここまでお読みいただき反応も有難う御座いました


    >>114

    しっとり行きたいですね…

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:42:24

    お疲れ様!
    しっとりハラハラして続きが楽しみだ

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 02:19:30

    保守

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 10:10:29

    お疲れ様です。
    このなんとも言えない緊張感?が良いですね。

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 18:44:40

    続きが気になる…

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:28:37

    皆様有難う御座います
    少しづつけて行きますのでどうぞよろしく

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:55:04

    このレスは削除されています

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:58:02

    「シャワー借りました。有難うございました」

     ニャアンが濡れた髪をタオルで拭きながら言った。いくらか肌が上気しているようにも見える。

    「あ、ああ」

    「どうしましたか」

    「……いや、どうもしないよ」

     エグザベは少し目をそらした。

     流石に寝間着姿をじろじろ見るのは気が引ける。


     ……というかニャアンが堂々とこちらに来るとは思っていなかった。

     てっきりそのまま部屋に引っ込むものと思っていたのだが。

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:21:28

    「そうですか。……少尉」

    「ああ」

     先ほどの『話』の続きが来るのかと、一瞬緊張する。

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:23:58

    「……では、明日ですね」

    「……ああ、そうだね」


     だが、続く言葉、ごく普通のもので。

     彼女の言葉に少しだけホッとするような、拍子抜けをするような、そんな気分になる。

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:25:30

    「じゃあ後はさっきも言った通り、寝室で休むといい。明日は早いぞ」

    「……はい」

    「……じゃあ、お休み」

    「……はい、お休みなさい、少尉」

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:37:41

       ※   ※   ※


    「……やれやれ」


     エグザベはソファに寄りかかりながらため息をついた。

     とにかく色々あった一日だった。


     結局あの後、ニャアンにはエグザベの寝室に寝て貰うことになった。彼女は家主のベッドは奪えないと強硬に主張したが、命令だと言ってほぼ無理矢理押し付けた。シーツとかは新しいものに変えるよう渡したが、ちゃんとやったのだろうか。


     その代わりにエグザベはリビングのソファベッドに引っ込むことにした。一応倒せば、狭いが簡易ベッドにはなる。多分本来はこちらが滞在者用ともなるのだろうけど、彼女に押し付ける気にはならなかった。


     今更ながら、自分のベッドを押し付けた方がセクハラなんだろうかとか思ってしまったりもする。

     どちらにしてももう遅いのだが。


     とにかく、そもそも異性を自宅に迎え入れたことなどなかった。どうにも落ち着かない話である。

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:40:09

     一方で、彼女はエグザベに言われるままにシャワーを借り、着替えた。ある意味慣れたものでもあった。まぁ、そんなことを気にしていられない時期も多分お互いあった訳だが、それにしても落ち着いたものであった。

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:42:16

    『……じゃあ、お休み』

    『はい、お休みなさい、少尉』


     そんなごく普通のやり取りをして、そのまま寝間着姿の彼女は寝室に引っ込んだのであった。


     多分その姿は、きっと以前から彼女の日常の一部であったものなのだろうけど。

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:45:03

     一瞬、そのやり取りの際に『先ほどの話』の続きをされるのかと思ったが、そんなことは無かった。

     彼女としてもそういうタイミングではない、ということなのだろうか。

     むしろ自分が一方的に意識して緊張してしまっているのではないだろうか、などと思ってしまう。


     かといって、まさかこちらから切り出す訳にもいかない。


    『……なら、私を抱いて欲しいと言ったら?』


     結局その問いの答えはまだ宙に浮かんだまま。

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:52:58

     とにかく、一日が終わったのだ、などと気を取り直す。

     実際、明日は早いのだ。

     自分も休まねばならない。

     正直落ち着かないが、そういう話をしている場合でもない。


     きっと……彼女も、もう休んでいることだろう。

     せめて、少しでも気分を休めていてくれていると良いのだが。

     何となく、かつての、どこか心細そうなニャアンの姿を思い浮かべながら、そんなことを思う。



     その時、悲鳴が聞こえた。

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 00:53:53

    おっと、事件が

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 02:25:57

    お読みいただき有難う御座います
    また続きは後日
    どうぞよろしく

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 12:12:21

    悲鳴、気になる

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 20:34:35

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 22:43:15

    「!?」


     聞き間違える筈も無い。ニャアンの悲鳴だった。

     エグザベは即座に立ち上がると拳銃を手に取った。


     頭の中で考えを巡らせながら移動する。軍人としてのほぼ自動的な動き。

     侵入者!? いや馬鹿な。そういう気配は無かった。ルートも無い。

     では、何だ。


     嫌な考えが思い浮かぶ。

     実際に不穏な空気があることは本部からも聞かされていたせいで、そういう可能性ばかり考えてしまう。

     冷静にならないといけないのに。

     やめて欲しい。

     あの時ちゃんと話さなかったせいで取り返しのつかないことに…とか、本当にやめて欲しい。

     失うのは勘弁なのだ。

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 22:46:44

     寝室の前まで行き、一瞬気配をうかがう。

     今は何も聞こえない。


     覚悟を決め、半ばドアを蹴破るようにして、室内に入った。


    「ニャアン……!」

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 22:55:45

     暗がりの中で、ベッドの端で膝を抱えるようにしてうずくまっているニャアンの姿が目に入った。

     他には誰もいない。

     まずは安堵する。


     結果的に、女性が休む寝室にいきなり侵入したことになる。

     ニャアンに叱られてしまうかな、などと思う。

     まぁ、何か事が起こっているよりは、ずっといい。


     だが、ニャアンの様子が、少しおかしかった。

     良く見ると、がたがたと、震えている。


    「ニャアン……!?」

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 05:33:57

    保守

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 14:41:02

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:45:57

    保湿

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 03:12:11

     ニャアンはただ震えている。


    「ニャアン……」


     エグザベの呼びかけに答えることもせず。


    「……おい、ニャアン」


    「ごめんなさい」


     ニャアンは、ぼそりと言った。


    「ニャアン!?」


    「ごめんなさい、ごめんなさい……」


     その口からは、ただ、か細く謝罪の言葉が漏れている。

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