- 1二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:39:37
- 21着をねらえ!25/07/22(火) 22:42:05
このスレの主人公
イリフネ | Writeningイリフネ 二つ名: - ウマソウル:牝馬 学年:高等部1年 出身:東京 身長:170cm スリーサイズ:B81・W57・H90 好きなもの:アニメ、プラモ、特撮、レース 苦手なもの: - 脚質:逃げ 毛色:尾花栗毛 主な勝ち鞍: - …writening.netその母親
キンペイバイ 諸設定 | Writening【ウマ娘】 キャッチコピー>ミニマムボディの白金少女 誕生日>12月21日 身長>131cm(デビュー時)→136cm(ラストラン) 体重>片方でスイカ1玉分 スリーサイズ>B104・W52・H86(デビュー時)→B117・W5…writening.net - 31着をねらえ!25/07/22(火) 22:43:14
- 41着をねらえ!25/07/22(火) 22:47:06
【あらすじ】
未知なる強敵、やって来る大レースラッシュ。これから挑む難関に向けイリフネはウマ娘の戦う力「スキル」を身につけるため日々奮闘していた。
宇宙で行われた懇親会にてコーチとの信頼関係を築いたイリフネはついにスキル習得へと乗り出す。最初のスキル習得まであと一歩まで近づいたある日、イリフネの敬愛するお姉さま『ヒビノミライ』が「毎日王冠」への出走を決める。
しかし、そのレースには「疫病神」の異名を持つウマ娘も出走する予定なのであった…… - 5二次元好きの匿名さん25/07/22(火) 22:55:47
新スレ乙
- 61着をねらえ!25/07/22(火) 22:58:48
翌日、午前の授業が終わり生徒で賑わう廊下をほかのウマ娘をするすると避けながらイリフネは目の前を歩くヒビノミライの背を追いかけていた。授業終わりに一緒にご飯を食べましょうと声をかけたのに脇目も降らずに食堂は逆方向に歩く彼女の姿を見て、いつもとは違う様子を直感的に感じたイリフネは隣にいたダイナソアシーに一言謝って人混みの向こうに消えていくお姉さまへと駆けだしていったのだ。
しかし、お姉さまはどこに行くつもりなのか。トレーナー室はこの方向から行くと遠回りになってしまうし、職員室なら先ほど上った階段を逆に降りなければならない。この先に行っても数個の教室があるだけで、しかもムーバの教室は階層が違っている。この場所にお姉さまが来る理由というのがほとんどないのだ。
疑問に首を傾げつつ、だんだんと少なくなっていく人混みを抜け出し遂にお姉さまに追いついたとき、彼女の足はとある教室の前で止まった。家庭科室や理科室のような特別な用途の教室ではなく、中央トレセン学園にいくつもある普通の教室の1つにである。しかも、中等部のクラス教室ともなれば尚更来訪の理由が分からなくなる。
躊躇いなく開かれた木製の扉。自作したお弁当のふたを開けていた者、デバイスで動画を見ていた者、今まさに昼の微睡の中に落ちようとしていた者、突然の来訪に教室に残っていたウマ娘の視線が全てヒビノミライへと集まる。
そんな視線を全く気にする様子もなくずけずけと教室に踏み入ったヒビノミライは席に座ったままの1人の少女の前に立つ。
「貴方が“クローズドメイデン”」
ボリューム感たっぷりの白銀に近い葦毛の髪、短めのウマミミ、左ミミには黒いバラの飾り、白磁のような真っ白な肌にどこか悲し気な愁いを帯びた表情。薔薇の園に微笑みを浮かべる絵本のお姫様のように美しく、可憐な少女である。
「貴方様は…」
「私はヒビノミライ。貴方と同じように次の毎日王冠に出走する」
黒薔薇の少女が銀河の瞳の少女を見上げる。
「どうしてそれを私に教えてくださったのですか?私は…」
「挨拶は大事だと教えられた。そして、貴方がどのように評価をされていようとそれは私が貴方と走らない理由にはならない」
少女が言いかけた言葉をヒビノミライが遮るように答える。その言葉に黒薔薇の少女の瞳が僅かに揺れていた。 - 71着をねらえ!25/07/22(火) 23:00:27
「レース、楽しみにしている。貴方の“輝き”を私に見せてほしい」
そう言うとお姉さまは教室を後にする。残されたのは突然の出来事に呆然とする生徒と目を丸くしたクローズドメイデンであった。
いや、正確に言えばもう一人。お姉さまの大胆かつレースに対して礼儀を重んじる姿勢に感動しているイリフネもまたお姉さまを追いかけることを忘れ、トキメキにトランス仕掛けていた。しかし、うずく腹の虫が空腹と共にイリフネの意識を呼び戻すと、先を歩くお姉さまに追いつくために走りだす。
そんな彼女の耳に教室のごくごく小さな呟き声が針のように突き刺さる。
「なんであんな疫病神に…」「あいつとレースしたやつはほとんど不幸になるのにね」「いい子ちゃんぶっててもレースがあんなじゃなぁ」
それは悪意ある言葉のそれのように聞こえる。だが、どこか諦めと憐憫が言葉の節々から感じられて仕方がなかった。悪意のない、人を傷つける真実の言葉。教室から聞こえた呟き声はそういった類の言葉であった。そしてそれはおそらくあの少女に向けられた言葉なのだろう。しかし、あの虫も殺せなさそうな儚げな雰囲気の少女には全く似合わない言葉だ。だが、疫病神、その言葉をつい最近目にした覚えがある。
そこでようやくイリフネは思い出す。昨日、お姉さまが読んでいたあの新聞、弱小出版社の悪意が込められているようなあの見出しの記事。『疫病神ウマ娘』お姉さまは確かにあの記事を見て出走を決めたはずだ。ならお姉さまはどうして、そんな危なっかしい2つ名を付けられたウマ娘に会いに行ったのだろうか。行きよりも増えた疑問がイリフネの歩みを加速させる。
「お姉さま、もしかしてあの子って…」
「彼女は“とてもやさしい”だ」
追いついたお姉さまの背中。しかし、イリフネの言葉見透かしたようにヒビノミライは答える。その口元は微かに笑っていた。 - 81着をねらえ!25/07/23(水) 00:47:53
イリフネ'sメモ⑧
「競バ新聞」
ウマ娘レースについて詳しくまとめてある紙面媒体。主に週刊で、その週のレース予想と注目ウマ娘のレビュー、該当週の前週のレース結果などが様々なデータと共に掲載されている。
URAが出版元となり発行されている「トレセン日報」の他にも様々な出版社から発行されており、「競バ エイト」「東スポ」等は有名だろう。
しかしながら、予想紙という性質上直接的にURAと関わりのない出版社も出版しており、時折特定ウマ娘を貶めるような見出しの記事を発行してはその都度問題になっている。
また、競バ新聞の電子化に伴い紙媒体での発行部数が低下している他、最近ではウマ娘グラビア誌(現役・引退・ドリームトロフィーシリーズのウマ娘たち)でも専門誌レベルでウマ娘レースの解説・予想をしているものも多く、時代の過渡期を垣間見ることができる。 - 9二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:51:21
何が原因で疫病神と呼ばれるようになったのか…?
- 10二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 00:52:12
盾乙です
- 11二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 06:50:12
新スレ乙です。思ったより儚げなライバルが出てきたなぁ
いずれはイリフネとも同じレースを走るのだろうか?
それにしてもこの世界にもエイトや東スポあるんや……スポニチとか、グラビア欄めちゃくちゃ充実してそう
- 121着をねらえ!25/07/23(水) 12:43:35
イリフネは気になっていた。
チームに所属してからしばらくが経ち、お姉さまがどういうウマ娘なのか少しづつ分かってきた。カレーが大好きで、本を読むのがすごく早くて、いつも無表情なのにふとした瞬間に見せる微笑んだ顔がとても可愛らしい、超のつく天然さんでコーヒー豆を買いに行くお使いに大豆を買ってきてしまうこともあった。
それなのにひとたび走り出すと普段のぽやぽやとした不思議ちゃんな感じからキリッとした顔つきに変わり、圧倒的な強さで走り去ってしまう。まさにイリフネにとっての憧れのウマ娘。
だからこそ知りたい。憧れのお姉さまが疫病神と呼ばれるウマ娘が出走するレースに自ら望んで出ることを決めたのか。どうしてあの時、黒薔薇の少女を見て微笑んだのか。
「レースを見ればきっとわかる」「あの子はとてもやさしい輝き」
何度聞いてもお姉さまが答えてくれることはなく、いつものように不思議な言動をするだけだ。
だから決めた。お姉さまが教えてくれないのなら、自分自身の目で確かめるしかないと!
「で、なんであたしまで巻き込まれてるのさ」
明らかにやる気のないげんなりとした顔のダイナソアシーは校舎にもたれかかり、ジトッと親友を睨みつける。
「ふふ…よく聞いてくれたのですワトソン君」
「だれがワトソンじゃい」
対してイリフネは茶色のチェック柄のコートにハンチング帽、パイプ(ハッカ入り)に虫眼鏡とどこかの私立探偵のような恰好でばっちりとキメている。
「最近巷では“疫病神ウマ娘”なる噂が流行っているのです。私はその噂全然知らないのですが、お姉さまと同じレースに出るというのなら話が違うのです!危なくないか私が調査するのです!つまるところ、ホシの張り込みなのです!」
どこかから取り出した紙パック入りの牛乳とあんぱんをダイナソアシーへと手渡す。本気で張り込むつもりらしい。わざとらしく襟を立て、校舎の影からちらりと顔を出す。イリフネの視線の先にはあの黒薔薇の少女がいた。