- 11◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:17:26
- 21◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:18:33
- 3二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 20:19:26
たて乙です!
続き楽しみにしてます! - 41◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:37:01
>>3 ありがと!残りあと少しだけど最後まで見届けてくれたら嬉しいな。
『愛情:帝襟アンリ』
目が覚めた。
ゆっくりと瞬きをして、天井を見上げる。
また、夢を見た気がする。
なんにも覚えてないけど、
不思議と、心が穏やかだった。
胸の奥を、手で押さえる。
うん、痛くない。
大丈夫。
こころは、ちゃんとそこにある。
なんとなく、そんな気がした。
ふーっと、大きく深呼吸。
それから、ゆっくりと体を起こす。
「よいしょ……」
のそのそと立ち上がって、靴下を履く。
扉を開けて、廊下に出た。
- 51◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:46:18
今日は、誰と会うんだろう――
そんなふうに思いながら、歩き出す。
まだ、朝は早い。
すれ違う人は、ほとんどいない。
静かなブルーロックの廊下に、
俺の足音だけが響く。
ふと、角を曲がった先で、
誰かとぶつかりかけた。
「あっ……おはようございます、凪くん」
「あれ、アンリちゃん……さん、だ」
目の前にいたのは、ブルーロックのスタッフ。
名前は確か、帝襟アンリだった。
スーツ姿で、いつもと同じ。
でも少しだけ、眠たそうな顔。
「こんな朝早くから、どうしたんですか?」
「んー、なんとなく……。アンリちゃんこそ、仕事?」
「そうですね、これから今日のスケジュール確認に……」
アンリちゃんは、
俺に手元のタブレットを、ちらりとだけ見せた。 - 61◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:53:25
……いっぱい予定が書いてあって、
見ただけで疲れそうだった。
「たいへんだね」
「まあ……慣れましたから」
微笑むアンリちゃん。
俺はその顔を見ながら、ふと思った。
「アンリちゃんって、“愛情”とか、探すの得意そう」
「……え?」
思ったことをそのまま言ったら、
アンリちゃんは目を瞬かせて、立ち止まった。
俺も歩くのをやめて、なんとなく顔を見る。
「んー……なんか、そんな感じするんだよね。愛が強そうっていうか。サッカー、凄い好きでしょ?」
「……ああ、はい。好きですね、サッカーは」
アンリちゃんの声が、
少しだけ照れくさそうになった。 - 71◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 20:55:10
「じゃあ、今日のこころ探し、アンリちゃんといっしょでもいい?」
「え、私と?……うーん、立場を考えると複雑ですが……」
「でも絵心は、俺の“退屈”探し、手伝ってくれたよ」
「えっ!まったくあの人は……!面倒見がいいのかなんなのか本当に謎……」
少しだけ悩んだあと、アンリちゃんは頷いた。
「―――わかりました。じゃあ、今日は私が、凪くんのパートナーですね」
「うん。よろしくね」
アンリちゃんは優しく笑った。
不思議な感じ。
普段はプレイヤーと、スタッフ。
立場が違う。
でも、今はただの“こころ”を探す旅の仲間だ。
二人で並んで歩き出す。
サッカーを愛する人と、こころを探しながら。
今日の旅が、どうなるのかは分からないけど――
まあ、きっと、大丈夫でしょ。 - 81◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:11:45
アンリちゃんと並んで歩く廊下は、
思ったよりもずっと、静かだった。
朝の空気が少し冷たくて、
でもその中に、淡く光る空気が混ざってる。
静かだけど、温かい。
たぶん、そんな感じ。
「ねえ、アンリちゃんって、いつからサッカーが好きなの?」
ふと、気になって聞いた。
アンリちゃんは驚いたように目をまんまるにして、
それから少しだけ考えてから、口を開いた。
「サッカーを始めたのは、小学生の頃でした」
「ふーん」
「当時、日本の女子サッカーがすごく盛り上がってて。テレビで代表戦を観て、すごく憧れたんです。“私も、こんなふうにボールを蹴りたい”って思って」
アンリちゃんの目は、少し遠くを見ていた。
「最初は楽しかったですよ。ボールを追いかけるのが、仲間と一緒に走るのが、すごく楽しくて」 - 91◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:14:25
「でも、辞めたんだ」
「はい。……小学校を卒業するころには、自分でも分かってたんです。自分には才能がないって」
声のトーンが、少しだけ下がった。
「周りの子と比べて、足が遅いとか、パスが下手とか。自分なりに努力はしたけど……どうしても追いつけなくて」
ふぅっと、アンリちゃんは小さくため息をついた。
「それで、辞めました。サッカーもやめて、プレーヤーとしての夢も諦めました」
俺は黙って、アンリちゃんの横顔を見る。
目は伏せられていて、
それでもどこか、穏やかだった。
「でも、それでもサッカーが好きだったから」
「うん」
「プレーできなくてもいい。私は“支える側”でいたいって、そう思ったんです。誰かがゴールを決めた時、一緒に喜びたい。誰かが負けて泣いた時、そばにいたい。そういうふうに、サッカーと関わり続けたいって」
その言葉は、すごく優しくて、
でも、どこか切なかった。
たぶん、きっと、
それが“挫折”ってやつなんだろう。 - 101◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:17:10
「そっか。アンリちゃんは、サッカーで“挫折”しても、まだサッカーが好きなんだね」
「ええ、好きですよ。きっと、これからもずっと」
歩みを止めて、アンリちゃんは天井を見上げる。
白い蛍光灯の光が、
瞳に淡く映っていた。
「それって、愛情なのかな」
俺が呟くと、アンリちゃんは小さく微笑んだ。
「難しいですね、“愛情”って。私も、それが何かをきちんと説明できるわけじゃないけど……」
「うん」
「でも、たとえば凪くんもサッカーは好きですよね?」
「うーん、まあ……そこそこ」
「でも、ブルーロックに来て、色んな人と出会って、それでも続けてる。時には負けたり、悔しい思いをしても、サッカーをやめなかった。……それも、愛情の一つだと思いますよ」 - 111◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:18:16
俺は少し、考えた。
負けたこと。
少し、悔しかったこと。
色んなことが、頭をよぎった。
たしかに、面倒だと思ったことはあるけど――
本気でやめたいって思ったことは、
あんまりなかったかもしれない。
「愛情って、すぐに分かるものじゃなさそうだね」
「ええ。気づいたら、そこにあった――そんなものかもしれません」
ゆっくりと、また歩き出す。
静かなブルーロックの中、
誰もいない廊下を、二人で並んで進む。
足音が、優しく重なっていた。
サッカーを“好き”であり続ける人と、
今もサッカーを“なんとなく”続けている自分。
そこに共通する何かを、確かに感じていた。
それがきっと――愛情なんだろうな、って。 - 121◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:43:20
気がつけば俺たちは、
サッカーコートまで来ていた。
人工芝の緑が、朝の光に濡れて柔らかく見える。
ここで、何人の選手が、
泣いて、叫んで、笑ってきたんだろう。
多分、俺もその一人なんだろうな、って思う。
「あら」
アンリちゃんが少し、声を上げた。
視線の先には、ポツンと転がるボールがひとつ。
まるで誰かが置いてったみたいに、そこにあった。
「一本だけ、蹴ってみてもいいですか?」
「うん。いいよ」
アンリちゃんは軽くスカートの裾を整えて、
ボールに近づいた。
そして、丁寧に、慎重に、足を合わせる。
トン。
軽い音と共に、ボールが宙を舞った。 - 131◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:45:02
軌道はなめらかで、
まるで引き寄せられるように――
ボールは、ゴールへと吸い込まれていった。
「……入った」
「ふふっ、久しぶりにボールを蹴りました。身体が覚えてるものですね」
アンリちゃんは、少し恥ずかしそうに笑った。
でもその笑顔は、とても自然で、
何より“生きてる”って感じがした。
「なんか、今のアンリちゃん、すごい生き生きしてた」
「そうですか?ふふ……やっぱりサッカーは、楽しいですね」
心の奥が、ふわりと揺れた。
誰かがボールを蹴る姿を見て、
こんなふうに感じるのは初めてだったかもしれない。
―――視線を釘付けにし、心を奪うサッカー。
それが、“愛情”の形なのかもしれない。
楽しくなければ、続けられない。
好きじゃなきゃ、追いかけられない。
そして、愛がなければ――届かない。
きっと、そういうものなんだと思う。 - 141◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:46:21
俺はゴールネットまで歩き、
アンリちゃんが蹴ったボールを拾い上げた。
指先で、表面をなぞる。
少しだけ汚れてる。
でも、それがいい。
このボールには、たぶん、
アンリちゃんの“愛情”が詰まってる。
じっと見ていると、
ボールの内側から、ふわりと光が滲んだ。
それは、宝石だった。
とても柔らかで、ほんの少しだけ曇っていて、
それでも確かな輝きを宿してる。
「……大きいな」
思わず、呟いた。
他のどの“こころ”よりも、たぶん一番大きい。
でも、それも納得できた。
愛情って、きっとそういうものなんだと思う。 - 151◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:48:01
「ねえ、アンリちゃん」
「はい?」
「愛情って、人のこころを豊かにしてくれるものなんだね」
「……ええ、そうですね」
アンリちゃんは少し驚いたような顔をして、
それからゆっくりと頷いた。
「でもさ、愛情の注ぎすぎには注意しないと。たぶん、壊れちゃうこともあるから」
それは、これまで集めてきた、
“こころ”たちが教えてくれたことだった。
楽しさも、悲しみも、怒りも、愛も―――
どれも過剰になれば、人のこころを壊す。
「大切なのは、ちょうどよく、だね」
「ええ、そうですね」
静かなサッカーコートに、
アンリちゃんのささやかな声が響いた。
そして俺は、その手に“愛情”をそっと抱いた。
曇っていて、それでいて、温かい宝石を。
『愛情:帝襟アンリ』 - 161◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 21:55:19
いつものように、レオの部屋の前で足を止めた。
今日はノックして、扉を開ける。
「ただいま」
「おかえり、凪。今日も行ってきたんだな」
「うん。今日は、アンリちゃんと“愛情”を見つけたよ」
「……愛情?」
レオは驚いたように目を瞬かせて、
すぐに微笑んだ。
「重くて、ちょっと汚れてて、でも優しかった」
俺の言葉に、レオは、
「うん、わかる気がする」って静かに頷いた。
その声が、すごく優しくて、あったかかった。
「レオにも、少し分けてあげるね」
「ありがと。……でも凪のこころが一番大事だから、程々にな」
愛情の注ぎ削ぎには注意って、
前に誰かが言ってたっけ。
でも、ほんのちょっとだけなら、大丈夫だよね。 - 17二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:02:00
夢のSSから読んで、やっと追いついた!
スレ主が綴ってくれる文章もストーリーも、あたたかくて優しくて好きだ - 181◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 22:13:25
>>17 前SSから読んでくれてありがとう!どこか胸に響くような物語を届けられたなら嬉しいよ。ほんとにありがとね!
今日はいつもより早いけど寝るね。
こころはあと2つ。次のSSは夏だしホラーにしようかな。ちょっと気分転換して、雰囲気は本気で怖かったり、時にはふざけてはしゃいだりするのも楽しそう。悲しい話も綺麗なホラーも色々書きたいから悩む。
前スレ埋めてくれてありがとう。楽しんでもらえて良かった。
それじゃあ、また明日。おやすみなさい。
安価は下に置いておくね。
- 191◆DGCF6cUlCqNA25/07/23(水) 22:14:30
『喜び』───そして、『世界のいろ』
次は、どの『こころ』を『誰と』探しに行く?
見つけた『こころ』
■希望:剣城斬鉄 ■勇気:潔世一
■楽しさ:千切豹馬 ■怒り:馬狼照英
■退屈:絵心甚八 ■期待:氷織羊
■苦しみ:二子一揮 ■恐怖:蜂楽廻
■悲しみ:糸師凛 ■興味:士道龍聖
■憂い:ミヒャエル・カイザー
■後悔:雪宮剣優 ■愛情:帝襟アンリ
- 20二次元好きの匿名さん25/07/23(水) 22:44:39
喜びを乙夜と
- 21二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 03:48:24
今更ながらたておつです
2スレ目も楽しみです - 221◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 09:28:39
- 23二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 09:40:03
どの文章も優しくって好きだな、素敵なSSありがとうスレ主
夏バテ回復するよう祈ってるよー - 241◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 11:53:30
>>23 嬉しい!こちらこそ読んでくれてありがとう!最近暑いからお互い気をつけようね…
『喜び:乙夜影汰』
目が覚めた。
ちょっとだけ、胃がもたれるような感覚。
たぶん、昨日の『愛情』のせい。
こころって、意外とずっしり来る。
消化に時間がかかるタイプ。
それでも、あと少しだと思えば、
不思議と立ち上がれる。
何かを集めることに、
少しずつ意味が出てきたのかもしれない。
俺は静かに、部屋を出た。
廊下の先には、見慣れない白い影。
――じゃなくて、白い髪の人影。
「……忍者マンだ」
「ちゅーす。いつも寝てんのに、今日は早くね?」
「最近は早起き頑張ってる。こころ探さなきゃだから」
- 251◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 11:55:59
「なるほどー。んで、今日はどんなこころを探す感じ?」
「うーん……、たぶん“喜び”」
「喜びね、それめっちゃアガるやつ。じゃあさ、俺も行っていい?一緒に探すの絶対楽しいっしょ?」
「うん、いいよ」
なんとなくで、会話が成立して、
なんとなくで、一緒に歩き出す。
乙夜影汰、不思議な人間って感じ。
なんとなく、
歩調を合わせてくれる気がする。
「喜びって、“嬉しい”って思うことだと思うんだけど、それってマジで一瞬で消えるじゃん。だから俺はさ、楽しいことガンガンやって、嫌なことは全部上書きして、“嬉しい”が長続きするようにしてんの」
「へえ」
「悩む時間あったら、コンビニで映えるスイーツ選んだり、可愛い女の子と遊んでた方がよくない?それって人生の効率じゃん?」
「……なるほど」
俺は、乙夜の言葉を、
反芻するように受け止める。
いつもなら流してしまうようなその言葉が、
今日は少しだけ、心に残った。 - 261◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 11:59:39
今日もブルーロックの外に出て、二人で歩く。
乙夜は、木々の隙間から差し込む光に、
目を細めながら、嬉しそうにしていた。
「やっぱ朝日ってアガるわ。光って、喜びって感じしない?」
「そうかも」
「うん、絶対そう。てか、たまには野郎と二人で歩くのも悪くねーな」
「それ、褒めてる?」
「うん、褒めてる。俺にしてはちょー褒めてる」
乙夜の言葉は軽し、話がコロコロ変わるけど、
その中に嘘は一つもない。
これが、きっと、乙夜の“喜び”のかたち。
きっと、何かを探すというより、
自分のこころに従って動いているんだと思う。
頭で考えて掴むものじゃなくて、
感じた瞬間に、そこにあるもの。
喜びって、そういうものなのかもしれない。
俺は、少しだけ口元が緩んだ。
乙夜はそれを見て、
俺と同じように、口元を緩めた。 - 271◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 15:41:40
木々の葉を指でなぞったり、
小さく揺れる草に、そっと息を吹きかけたり。
乙夜は、そんなことをしていた。
「……それも、“喜び”?」
俺がそう尋ねると、
乙夜は、優しい顔で振り返る。
「多分、そんな感じ?まあ、俺がそうしたいから、そうしてるだけっていうか?」
その言葉は、なんだか風みたいだった。
気まぐれに吹いて、
でも、吹く理由はちゃんとそこにある。
興味とか、楽しいって感情に近い気もする。
けど、それよりも、
もっと柔らかくて、近くにあるもの。
「……俺にも、あるのかな。そういうの」
「うん、あるっしょ。てか、毎日こころ見つけたって報告しに行ってんじゃん」
思わぬ方向から言葉が飛んできて、
俺は、瞬きをした。 - 281◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 16:24:34
「うん、行ってるけど……」
「それって“喜び”っぽくね?別に行かなきゃいけないわけじゃないのに、行ってるって多分そういうことだと俺は思うんだけどなー」
「……そっか」
思わず、つぶやいた。
毎日、こころを見つけるたびに、
レオのところへ報告に行く。
別に誰に頼まれたわけでもないし、
義務でもない。
でも、気づけば足がそっちに向いていた。
話を聞いてもらいたかったのかもしれない。
自分の見つけた“こころ”を、
誰かに伝えたかったのかもしれない。
そうして共有することで、
何かがちゃんと実感として、
どこかに残るような、そんな気がしていた。
「うん。それ、絶対喜びだわ。自分の“嬉しい”とか“頑張った”を、大切な人に見せたいってことなら間違いない」
「……うん」
乙夜の言葉は、空を舞う羽のように軽いのに、
ちゃんと、芯があった。 - 291◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 16:36:57
「喜びって、たぶん、笑えることじゃなくてもいい。嬉しかったこと、共有したいこと、そーゆー全部が“喜び”」
「……なるほど」
俺は、今日という日のことを思い返す。
目が覚めて、少しだけ、胃がもたれて、
でも、立ち上がって。
乙夜と会って、外に出て、
こうして並んで、歩いてる。
ただそれだけのことなのに、なんだか今日は、
ずっとこころが静かに動いている。
「喜びってさ、自分のこと、ちょっとだけ好きになれる時だって考えるとアガんない?」
「自分を?」
「そ。誰かの前で、ちょっとかっこつけたくなるとか、良いとこ見せたいって思うとか。“俺って今、ちょっといい感じかも?”って思ってる証拠じゃん?」
「うん……なんか、分かるかも」
乙夜の声が、風に乗って耳に届く。
その声を聞きながら、俺はゆっくりと考える。
喜びって、派手に笑うことだけじゃなくて、
“分かり合えたかも”って思える瞬間も、
きっと、そうなんだろう。
俺は、また一つ、こころの形を知った気がした。 - 301◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 16:59:16
「ほら、あるじゃん」
乙夜がふいに、俺の胸を指さした。
「……え?」
「“喜び”、ちゃんとあんじゃん。そこにさ」
思わず、自分の胸に手を当てる。
そしたら、ぽろり、ぽろりと、
にじみ出るように、小さな宝石がこぼれ落ちた。
多分、色とりどりで、ちっちゃな輝き。
まるで飴玉みたいな、軽やかなきらめきだった。
「これが、喜び……?」
俺は思わず、声を漏らす。
「喜びってさ、大体誰にでもあるもんでさ、なくしたとか落としたとか思っても、それって単に“忘れてる”だけなんだよね」
乙夜は、宝石を拾うでもなく、
ただしゃがんで、それを見ていた。
「でも、俺と話してる間に思い出せたっぽいからさ、ちゃんと胸から出てきたわけじゃん?俺、ちょーお手柄だよね」
「確かに。……助かったかも」
乙夜は、ほんの少しだけ、笑った。 - 311◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 17:02:30
「喜びって、いつでもそばにあったんだね。落としたと思ってたのに、忘れてただけだった」
「ま、俺ら人間だし、忘れることも、忘れたいこともあってトーゼンだわ」
乙夜は、風で揺れる前髪を、
指先で押さえながら言った。
「でもそーいう時こそ、“喜び”を感じなきゃ。自分がどれだけ“嬉しい”を持ってるか、知るチャンスだからさ」
乙夜の言葉は、ふわっとしてるけど、
不思議としっくりきた。
「……ありがとね」
「うん、どういたしまして。俺の役目はこれにて終了~って感じだけど、ドロンって消える前にひとつだけ聞いていい?」
「なに?」
「最後のこころ、何探すの?」
「“世界のいろ”」
俺がそう答えると、
乙夜は一拍置いて、にやりと笑った。 - 321◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 17:03:46
「なら決まってんじゃん。探しに行くやつ、一人しかいねーよ」
その顔は、どこか全部分かってるようで、
それでいて、全部委ねるような顔だった。
風が、吹いた。
宝石が一粒、
ころんと転がって、陽にきらめいた。
その小さな輝きは、確かに“喜び”の色だった。
最後のこころ―――
“世界のいろ”
それを一緒に探しに行くのは、
俺にとって、一番大切な人。
きっと、最初から、そう決まっていた。
『喜び:乙夜影汰』 - 331◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 17:07:10
夜。ブルーロックの廊下を歩く。
乙夜と話して、見つけた“喜び”。
鮮やかで、軽くて、
触れているだけで、心がほぐれる。
そんな、ちいさなこころ。
……でも、今日はまだ、誰にも話さない。
レオのところには、行かない。
なんとなく、いまはまだひとりで、
この気持ちを持っていたい。
……明日の朝になったら、話そう。
“喜び”は、きっと、
人と分け合うことで、また、強くなるから。
今日の“楽しい”を、明日“嬉しい”に変える。
その準備を、いまは静かにしておこう。
ベッドに潜り込んで、目を閉じる。
心はふんわり軽くて、
どこか遠くまで飛んでいきそうだった。
―――きっと、明日は、いい朝になる。 - 341◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 17:09:47
『世界のいろ』を『誰と』探しに行く?
見つけた『こころ』
■希望:剣城斬鉄 ■勇気:潔世一
■楽しさ:千切豹馬 ■怒り:馬狼照英
■退屈:絵心甚八 ■期待:氷織羊
■苦しみ:二子一揮 ■恐怖:蜂楽廻
■悲しみ:糸師凛 ■興味:士道龍聖
■憂い:ミヒャエル・カイザー
■後悔:雪宮剣優 ■愛情:帝襟アンリ
■喜び:乙夜影汰
- 35二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:11:52
もちろん玲王と!
- 361◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:09:19
『世界のいろ:御影玲王』
目が覚めた。
今日は、とても静かだった。
空気も、胸の内も、まるで湖の底みたいに。
視界の隅で、時計の針が音もなく動いている。
午前4時。
まだ、世界が眠っている時間。
それでも、今日はこのまま、
布団の中でうだうだしていられないと、
眠さが残る頭で、珍しく理解していた。
まぶたをこすって。
小さくあくびをして。
それから静かに、身体を起こす。
ベッドの上に座ったまま、
しばらく呼吸を整える。
深く、息を吸って、吐いて。
また、吸って、吐いて。
こころの奥にある何かが、
かすかに震えている。
期待のような、不安のような。
でも、確かに自分の感情だった。 - 371◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:10:39
立ち上がって、寝癖を手ぐしで直す。
制服に着替える。
ボタンをひとつずつ留めていく。
それだけの動作が、
今朝は少しだけ、特別に思えた。
胸の奥が、くすぐったいような、
ぎゅっとなるような。
言葉にできない感情が、
ゆっくりと身体を巡っていく。
明け方の静けさ。
すべてが止まっているような気がするのに、
ちゃんと、少しずつ、何かが動き出している。
俺は、そっと扉に触れた。
ゆっくり、開ける。
廊下は薄暗く、蛍光灯がぽつぽつと、
天井に灯っているだけだった。
誰もいない。
この時間に誰かが動いていることは、あまりない。
でも、その、誰もいないという事実が、
今日はやけに心地よかった。 - 381◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:12:07
音のない空間。
誰にも邪魔されない時間。
そこに自分が一人で立っていることが、
不思議と落ち着いた。
足音を最小限に抑えて、歩く。
音が世界を傷つけてしまいそうで、慎重になる。
まだ、何も始まっていない。
けれど、これから何かが始まる予感があった。
それは、昨日まで集めてきたこころたちが、
ひとつに繋がっていくような、そんな感覚。
廊下を曲がり、まっすぐに進む。
眠っている部屋たちの扉を、
横目に見ながら、静かに歩く。
足元に落ちる自分の影が、
どこか別人のように思えた。
やがて、目的の部屋の前に立ち止まる。
レオの部屋。
扉の前で、ひと呼吸置く。
大丈夫、起きてるはず。
そう思って、小さく、三回ノックをする。 - 391◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:13:49
―――コン、コン、コン
間を置かず、扉の向こうから声がした。
「おはよう」
その声に、自然と肩の力が抜けた。
扉が開いた。
制服に身を包んだレオが、そこに立っていた。
整えられた髪と、眠気を感じさせない眼差し。
「早起きできて、偉いな、凪」
「うん。今日は、特別な日だから」
言葉にすると、それはますます現実になった。
今日は、特別な日。
きっと、忘れられない一日になる。
レオの隣に立ち、二人で歩き出す。
誰もいない廊下。
二人の足音が、ゆっくりと響く。
「昨日、“喜び”を乙夜と見つけてきたよ」 - 401◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:14:58
何の前触れもなくそう言うと、
レオは、ふっと微笑んだ。
「そっか。どうだった?」
「レオと分け合えたらいいなって、思ってた。あと……色が分かったら、綺麗だろうなって」
レオは何も言わず、
ただ俺を見て、優しく頷いた。
その沈黙が、言葉よりも嬉しかった。
やがて、正面にブルーロックの扉が見えてくる。
そこを越えれば、外の世界がある。
何度も通った扉だけど、
今日は足を止めて、深呼吸をする。
扉に触れる。
冷たくて、現実の感触がそこにあった。
まだきっと、外は暗い。
でも、きっと少しずつ、夜が明けていく。
それを確かめるために。
―――今、扉を開けた。 - 411◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:31:26
扉を開けた瞬間、
ひやりとした風が、肌を撫でた。
外は、思っていた以上に暗かった。
世界のすべてが、黒と灰色で塗り潰されていた。
月はまだ高く、星の光も弱い。
何も、聞こえない。
何も、動いていない。
音もなく、風も止まり、時間だけが凍っていた。
少しだけ、怖くなった。
自然と足が止まり、無意識のうちに、
隣にいるレオの制服の裾を、そっと掴んでいた。
「凪、どうしたんだ?」
レオが振り返って、優しく笑う。
その声だけで、何故か安心した。
何でもないように、俺は手を離した。
レオは、何も言わなかった。
ただ、歩調を緩めてくれた。 - 421◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:34:01
俺たちは並んで、静かに歩く。
砂利の道を、一歩ずつ。
踏みしめる音が、今はなぜか心地いい。
いつもは、何も思わず通り過ぎる道が、
今日は少しだけ、特別な道に思えた。
ブルーロックの正面に近づくと、
そこに一台、車が停まっていた。
黒くて、大きくて、やたら高そうな車。
見覚えがある。
レオのやつだ。
そしてその傍には、ばあやさんが立っていた。
今日も相変わらず、漆黒のスーツに身を包んで、
まるで、魔女みたいな佇まい。
「お足元に気をつけてください、坊ちゃま。それと……誠士郎様も」
「ありがと、ばあや」
「ばあやさん、お迎えありがと」
俺がそう言うと、ばあやさんは一礼して、
後部座席のドアを開けてくれた。 - 431◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:35:35
レオが先に乗り込んで、俺もそのあとに続く。
ドアが静かに閉まると、
世界の音がまた一つ、消えたような気がした。
エンジンが、静かに唸る。
タイヤが砂利を巻き上げ、
車がゆっくりと動き出す。
ブルーロックを背にして、
俺たちは坂を下っていく。
車内は、やけに静かだった。
エアコンの音と、タイヤのささやき。
たった、それだけ。
レオは隣に座ったまま、窓の外を見ていた。
俺も最初は、夜の景色を追ってたけど、
すぐにその視線はぼやけて、まぶたが重たくなる。
車の揺れが、心地いい。
まるで、ベッドに寝てるみたいだった。
眠っちゃいけない気がしてるのに、
どんどん身体の力が抜けていく。 - 441◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:36:58
「……レオ」
「ん?」
「分かってたんだね。“世界のいろ”を見つけるなら、きっとあそこだって」
レオは、すぐに答えた。
「なんとなくな。あそこに行かなきゃ、絶対に見つからないって気がしてた」
その“あそこ”がどこなのか、
言葉にしなくても、分かってた。
俺たちの、始まりの場所。
初めて出会った場所。
サッカーを一緒にした、あの場所。
全部は覚えていないはずなのに、
思い出すだけで、胸の奥があたたかくなった。 - 451◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:39:13
車は、夜の道を走る。
外はまだ暗いけれど、
少しずつ、東の空が白んでいくのが分かる。
夜が、終わろうとしている。
朝が、来ようとしている。
レオは変わらず、前を向いている。
俺は、その横顔を見ていた。
何も言わなくても、わかることがある。
今日、レオと一緒に行くことに、
ちゃんと意味があるって。
“世界のいろ”
それは、見たことない景色かもしれないし、
すでに知っている中にあるのかもしれない。
車は坂道を下りきって、
やがて、街へ向かう広い道路に出る。
空の色が、ほんの少しだけ、薄くなった気がした。
そして俺は、ただ静かに目を閉じた。
目の裏に、どんな景色が浮かぶのか。
それを、少しだけ、楽しみにしながら。 - 461◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:55:10
ふと、瞼がひらいた。
そこには、見慣れた景色が広がっていた。
―――白宝高校。
どこか懐かしくて、少しだけ、よそよそしくて。
朝靄に包まれたその校舎は、
眠っていた記憶の中よりも、
少しだけ、淡く静かに見えた。
「坊っちゃま、誠士郎様」
運転席から、ばあやさんが降りてきて、
後部座席のドアを開けた。
変わらない、丁寧な口調で微笑む。
「どうぞ、ごゆるりと。おこころを探しにいってらっしゃいませ」
「ありがとう、ばあや」
「行ってきます」
俺とレオは、車を降りる。
空気はひんやりとしていて、
制服の袖口から、冷たさが入り込んできた。
けれど、それが心地よくて、背筋が自然と伸びる。 - 471◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 20:57:31
足元の砂利を踏みしめながら、正門をくぐる。
校門の鉄がきいきいと鳴って、
俺たちの帰還を少しだけ、
歓迎してくれたような気がした。
「久しぶりだな、ここ」
レオがそう言って、小さく息を吐く。
俺も、頷いた。
確かに、久しぶりだった。
ブルーロックでの生活に慣れてしまって、
本業である“高校生”のことを忘れかけていた。
高校の敷地は、
朝靄に溶けそうなくらい静かで、やわらかかった。
二人で、校庭を横切る。
砂の感触。
芝の匂い。
朝の風。
全部が、懐かしかった。
「ここで、一緒にサッカーしたよね」
俺がそう言うと、レオはふっと笑った。 - 481◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:00:44
「したな。俺が誘って、凪のこと引き摺るように、ここまで連れてきた」
「……うん。最初は、ただ面倒だっただけなんだけどね」
「でも、俺は、凪にサッカーの才能があって、すっごい嬉しかった」
「……そっか」
「あと、ちょっと走っただけで『疲れた』って言って、俺におんぶせがんできたよな」
「……そんなことも、あったね」
懐かしい記憶が、自然と浮かぶ。
思い出すたびに、
胸の奥が、じんわりとあたたかくなる。
サッカーって、ここから始まったんだ。
あのとき、蹴ったボールの感触。
目の前にいた、レオの声。
風。
光。
汗。
空の色。
全部がぼやけているのに、ちゃんと残ってる。 - 491◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:02:59
「ここで、俺の中の何かが変わったんだと思う」
「俺も、確固たる夢ができた」
二人で、校庭を抜けて、
ゆっくりと校舎へと向かう。
朝焼けが少しずつ昇りはじめて、
空が少しずつ白くなってきたような気がする。
誰もいない校舎に、一歩、足を踏み入れる。
きぃ……と、音を立てて扉が開いた。
中はまだ薄暗くて、照明もついていなかった。
だけど、その静けさが、どこか心地よかった。
「ここも、変わらないね」
「そうだな」
レオの隣に並びながら、ゆっくりと歩き出す。
廊下に差し込む朝の光が、
少しずつ、床を染めていく。
もうすぐ、朝になる。
そして、もうすぐ、
“世界のいろ”にたどりつける気がした。 - 501◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:32:07
靴を脱いで、
校舎の廊下に一歩、足を置く。
ひんやりとした感触が、
足裏からゆっくりと這い上がってきた。
それは、まるで水のような冷たさで。
でも、冷たいというより、静けさそのものだった。
その静けさが、こころにすっと届いてきた。
朝の光はまだ弱くて、
廊下には、ぼんやりとした影が伸びていた。
俺と、レオの影。
肩が触れそうで、でも触れない。
なんとなく、ちょうどいい距離。
何も話さなくても、大丈夫だった。 - 511◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:33:15
廊下の角を、ゆっくりと曲がる。
階段があった。
ひとつ、またひとつと、段差を昇るたびに、
自分の中の何かが、
ふわりと浮かび上がる気がした。
「ここで、俺が凪にぶつかってさ」
レオが、階段を軽やかに駆け上がる。
その姿は、どこか昔と変わらない。
けれど、ちょっと大人になった気もした。
「ここで、俺がレオに、サッカーに誘われた」
俺はそう呟きながら、
階段の踊り場で立ち止まり、顔を上げた。
昇り切った踊り場で、
レオがこちらを見下ろしていた。 - 521◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:35:34
―――瞬間、世界が変わった。
生まれて初めて、空気に触れるみたいに。
温かい声に、優しく包まれるように。
俺の瞳に、レオが映った。
その紫の髪は、朝の風に揺れていた。
その紫の瞳は、優しい色をしていた。
……ああ、そっか。
世界って、こんなにも美しいのか。
いままで見つけてきた、いろんな宝石たち。
怒り、後悔、興味、愛情、喜び──
全部、どこか欠けていて、
でも大切で、きっと、色とりどりだった。
けど、それを全部集めても、
レオには敵わないって、そう思った。
きっと、レオの存在そのものが、
“世界のいろ”だったんだ。
やっと、分かった。
見つけたんだ。
この旅の、最後に。 - 531◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:44:49
「……レオ」
呼ぶと、レオは首を傾けて、笑った。
まるで、何もかも、分かっていたかのように。
俺の胸の奥が、じわじわと熱くなった。
痛いくらいに、強く。
言葉が、出なかった。
代わりに、一粒だけ、涙が零れた。
ぽとん、と、床に落ちたその雫は、
光を受けて、かすかに揺れた。
「世界のいろ、見つけたんだな」
レオの声が、やさしく響いた。
「……うん」
俺は、頷いた。
「世界のいろって、こんなにも優しくて、美しいものなんだね」
廊下の窓から、光が差し込んできた。
ほんのりと赤く、朝焼けの兆し。
それが廊下の床に反射して、色を落としていく。 - 541◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:50:01
それよりも、レオのほうが綺麗だと思った。
レオの姿が、光を吸い込んで、
淡く、ぼんやりと霞んで見える。
まるで、ひとつの宝石みたいに。
俺の世界は、きっと、
この人を中心に、回っていたんだ。
レオがいて、俺がいて。
ただそれだけで、
世界は“色”を持てるんだって、いまなら分かる。
「ありがとう、レオ」
その言葉だけは、自然にこぼれた。
レオは何も言わずに、また笑った。
それだけで、良かった。
俺はただ、それだけで、良かったんだ。
今日も、朝が始まろうとしていた。
きっと、もう二度と、こころを手放さないように。
そう、俺は、『こころ』に誓った。
『世界のいろ:御影玲王』fin. - 551◆DGCF6cUlCqNA25/07/24(木) 21:53:18
こころを探す旅はこれでおしまい。最後までかけて良かった、ありがとう。
次のSSは土曜日か日曜日、“ブルーロックの怖い噂が本当か確かめる”話だよ。怖い時と怖くない時がある感じになると思う。また安価で色々決めるから良かったら見に来てね。ちなみにスレ画は凛にするよ。
最後に……こころを書くの凄い楽しかった!!! - 56二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:01:16
スレ主お疲れ様!!
最後まで書いてくれてありがとう!楽しかった!
ゆっくり休んで!次回も楽しみにしてます! - 57二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:09:53
お疲れ様!素敵な作品をありがとう!
今までのこころは宝石として現れていたけれど、世界のいろは玲王そのものなのが凪らしくて良いな
それを見付けるのが出逢いの階段で、あの日の夕焼けと対照的な朝焼けなのも好き
次回作も楽しみにしてる! - 58二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 22:56:04
静かで優しくて、穏やかに寄り添ってくれるような文章だった、素敵なお話を書いてくれてありがとうスレ主!!
- 59二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 03:42:24
スレ主お疲れ様です
すてきなお話と文章をありがとう
次回作も今から楽しみだよ - 60二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:05:20
いいSSでした
スレ主の書く文章が本当に良かった - 61二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 20:30:45
スレ主ありがとう
何もなければこのスレは落としても大丈夫? - 621◆DGCF6cUlCqNA25/07/25(金) 20:51:04
>>61 落として大丈夫だよ!気にかけてくれてありがとう!