まったくもー

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:25:20

    「暑くて食欲ないー」とか言ってご飯抜いたら余計体調おかしくなっちゃうんですぞー
    ほーら、冷やし中華作ったから食べてくださいな
    八百屋のおばちゃんが「夏バテに効くから」ってキュウリやトマトおまけに付けてくれたからさ
    ちゃーんと錦糸卵もハムもありますぞー
    お、ちゃんとクーラーの真下から起きてきた 偉い偉い
    んじゃ、アタシも寮に帰る前にここで食べて行かせてもらいますかねー
    はい、いただきますっと




    みたいな夏バテ気味トレーナーに冷やし中華作ってくれる実質通い妻ナイスネイチャさんのSSってありませんか

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:25:58

    セルフサービス定期

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:29:39

    もう目の前にありますよね

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:32:33

    そこになければないですね
    ....ではなく、そこにあるではないですか

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:00:16

    全部加工済みならともかく、冷やし中華って自分で作ると結構手間なんだよね

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:21:16

    ぶっちゃけpixivあたり探せばありそうだよね

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:27:08

    でもこの暑さの中わざわざネット上を探すのめんどくさいしこのスレでいいかあ…ってなる

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:38:25

    マジで結婚したい

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:40:24

    >>5

    暑い中卵を焼いて…麺を茹でて…具材を切って…

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:48:06

    >>5

    仮に錦糸卵(切断済み)と冷やし中華の麺(茹でなくていい)を買ってきたとしても、1を読む限りトマトとキュウリとハムを切るのはしてくれてるんだよね…

    この暑い中それをしてくれるだけで愛を感じる

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:49:40

    帰宅してまだこのスレが残ってて他に書いてる人いなかったうえで気力残ってたら書こうかな…

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:11:35

    「さあくえほらくえはよくえー」

     暑さに負けて芋虫のように床にくたばる暮らしをしているトレーナーさんに小さく嘆息しながら、ナイスネイチャは目の前のローテーブルにお皿を置く。
     涼しげなガラスの器に盛られた冷やし中華。彩り豊かに飾られた錦糸卵、紅玉の如きトマト、鮮やかな緑のキュウリ。花のように重ねられている輪切りのハム。

    「暑くて食べない、食べないから動けなくなる、動けなくなるから暑いんですぞー」

     言い聞かせる声には呆れの声音と、いたわりの色。 
    麦茶の入ったグラスがコトンと音を立ててテーブルに置かれる。

    「八百屋のおばちゃんが、『夏バテに効くから』って、キュウリやトマト、おまけに付けてくれたんだから。感謝してくださいなー」

     いただきますと手を合わせながら、料理の説明をするネイチャ。
     トレーナーさんがひとくち食べ進める都度に、なんだか回復してってるようにネイチャには見えた。全体的な動きがましになってってるって言うか。
     八百屋さんの新鮮な食材すげぇ、とネイチャは思う。

    「ネイチャが作ってくれたから力が湧くんだよ」
     ネイチャの心を読んだように、トレーナーさんは続ける。

    「褒めても何も出ませんがー」
     黙って食べろ、とネイチャは思う。心の声に会話が続けられたことには、何の疑問もわくことはない。
     キュウリを噛む。シャキッとした歯ごたえと、口いっぱいにひろがるみずみずしい香り。
     うむ、食材のパワーですよやっぱり。

    「いやだって……」
     トレーナーさんはお箸でつまんだ錦糸卵をみる。こんな細くて柔らかい錦糸卵なんかどうやってやるの、人の手でできるのこんなこと。とふしぎに思う。
    「別に普通に切ってるだけですがー」
     そんな心の声にネイチャは会話を続ける。心の声に説明を重ねられても、料理ができる人にとってはそんなものなのかもしれないけれど、とトレーナーさんは思うだけで。

     お互いにだらだらと言い合いながら、二人で冷やし中華を食べる時間。無言の時間が流れるけれど、それは決して気まずいものではなくて、ただの当たり前、が流れる安らぎのひととき。

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:13:00

    「あー、生き返る……」

     トレーナーさんが、最後の麺を啜り終えると、満足そうにため息をついた。その表情は、先ほどまでの疲弊した顔とはまるで別人だ。

     生き返るの早くない? とネイチャは呆れた視線を送る。
    「ネイチャの手料理食べて生き返らないわけなくない?」
     トレーナーさんは当たり前のように言う。
     元気を出してほしかったのは事実だから、まあそれでいいかとネイチャは何も言わなかった。
     じゃあ片付けるね、と席を立つ。トレーナーさんも、食器を下げるために立ち上がる。

     正直その程度、全部自分で片付けてしまう方が楽なのだけれど、それがトレーナーさんなりの感謝とお手伝いだということはわかるから、ふたりで一緒にシンクに立つ。
     ネイチャが食器を洗って、隣でトレーナーさんが拭いて。
     じゃああたしは寮に帰りますぞー、となんらの名残惜しさも見せずにネイチャは玄関で靴をはきはじめて。

    「いつもありがとう、おいしかったよ」
    「いえいえ喜んでくれたなら甲斐があったってもんですよー」

     じゃあね、と笑って手を振って、ネイチャは帰路を歩く。
     足取りは、軽かった。んー? 機嫌がいいなあアタシ、とアスリートとして自分自身に向ける自己分析。
     なんでかな、と思う。トレーナーさんの部屋で何があったっけ。
     ごはんつくったこと。よろこんでくれたこと。げんきになってくれたこと。感謝の言葉を言ってくれたこと。

     んー、たいしたことのないあたりまえのことしか思い浮かばないですねえ。
     この機嫌に、トレーナーさんは関係ないかなあ……。

     まあ、いっか。暑いのに調子いいってことはいいことなのですよ。

     END.

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:13:36

    すまないネイチャ…
    私は冷たい麺が全く食べられないんだ…
    というか冷えた塩っぱいもの全般ダメなんだ…

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:26:02

    いたいけな中等部女子に何言っているんだこのトレーナーは
    ネイトレはこういう奴だった手遅れだし付ける薬もありませんね乙

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 18:51:07

    贅沢は言わないから暑い日をネイチャとこういうふうに過ごさせてくれ
    それだけでいいんだ

  • 171125/07/24(木) 19:44:33

    帰宅したらもう書いてくれてる人がいた……ありがてえ……満足したので失礼する

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:02:35

    >>17

    おい待てェ失礼すんじゃねェ

    楽しみに待ってるから役割を果たすんだ

  • 1911 (1/2)25/07/24(木) 20:28:38

    「ほれー、おーきーなーさーいー」
    そういうアタシの足もとには、だらけ切った大の字にの姿をさらけ出すトレーナーさん。
    自室のクーラーの下に陣取って寝転び、「意地でもここを動きたくない」と暗に主張している。
    「そうやって冷房浴びてゴロゴロばっかりしてたら身体冷えて体調壊しちゃいますぞー。ほら一旦おきてご飯食べないと」
    「暑くて食欲わかない…………明日の朝まとめて食べる……」
    普段のしっかりした姿からは考えられない、疲れ切ってだらしない言葉を述べるトレーナーさん。
    だが、そんなことを受け入れてあげるほどアタシは優しくはない。そもそも体調管理だの食事の重要性だのを普段口にしてるのはアンタでしょうが。
    「暑くて食欲わかないのはわかるけども、食べないと余計身体おかしくなっちゃうんですぞー。トレーナーさんがだらんとしてる間に台所借りて冷やし中華作っちゃったから食べてくださいな」
    「冷やし中華を作った」というアタシの言葉にピクリと身体を反応させるトレーナーさん。これは釣れたかな?
    「八百屋のおばちゃんが『夏バテに効くから』ってキュウリやトマトをおまけしてくれたんですぞー。新鮮なヤツ。ちゃーんと錦糸卵もハムもありますぞー」
    身体を何度かピクリとふるわせた後、トレーナーさんは意を決したようにのそのそと動きだす。よしよし、計画通り。
    「お、ちゃんとクーラーの真下から起きてきた 偉い偉い」
    アタシが若干からかいがちに褒めると笑顔で頬をかく。全く、いい年した大人だってのにこういうところは妙に子供っぽい。
    でも、そんなところも愛おしいと感じてしまうのは惚れた弱みってヤツなんですかね。

  • 2011 (2/2)25/07/24(木) 20:29:39

    「んじゃ、アタシも寮に帰る前にここで食べて行かせてもらいますかねー」
    そういいながらお互い向かい合うように食器や箸、冷えた麦茶の入ったグラスを置く。
    「いただきます!」
    「はい、いただきますっと」
    さっきまでのだらけた姿はどこへやら、すっかり元気を取り戻して目を輝かせながら手を合わせるトレーナーさんとともに、アタシも手を合わせる。
    部屋はクーラーでしっかり冷えているけれど、アタシの頬も心も外の暑さに負けないくらい火照っている気がする。
    ……いや、これは夏だから仕方ないことなんデス。
    心の中で自分で自分に言い訳しながら、麺をすする。
    これを食べ終わって片付けまで済めば、アタシは寮に帰らなくてはならない。
    ならば、せめてそれまでこの時間を満喫させてもらおう。
    目の前でおいしいと連呼しながら麺をすする愛しの人を見つめながら、真っ赤に熟れたトマトを齧った。
    その顔がトマトに負けず真っ赤だけれど、この上ない笑みを浮かべているのは2人とも気づいていなかった。

  • 211125/07/24(木) 20:30:40

    私には即興ではこの程度しか書けませんでしたがお許しください

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:36:24

    >>21

    ありがとう、ありがとう

  • 23二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 21:43:07

    ありがとうございますごちそうさまでしたおかわりはないのですか

  • 24二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:25:37

    >>12書いたものですが、

    >>5>>9>>10を取り入れて別の雰囲気でまた書いてみました。



     水音が揺れる。

     淡く湯気を残した鍋の底に、透明な流れが落ち、舞い上がる。

     滴り落ちた冷水が、ざぶりと麺を洗うたび、少しずつ、指先から熱が抜けていくようで。


    「うむ、これは暑い」


     室内にクーラーが無いわけでは無いけれど、ガスの火の前に立てばさすがに堪える。

     ボウルの中。冷凍庫から取り出した氷が目に見えて小さくなっていく。溶けていくのはっや。

     お鍋の隣で、そっと冷やしていたお皿に麺を載せて、平たく整える。


     きゅうりは薄く。

     トマトは半月に。

     錦糸卵は、ふわりとほどけた陽だまりの糸みたいに。

     ハムの色は、朝焼けみたいな淡い桃色。


     商店街での、お買い物の一幕。

    「ネイチャちゃん、いいブツがあるわよ」

    「何ですかその言い方」


     元気にしてあげたい人が、居るんでしょう?


     夏バテに効きそうなお野菜。おばちゃんが、おせっかいしたのだったか。

     ――ネイチャが、体調をおかしくしてしまった誰かのために、求めたのだったか。

  • 25二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:26:59

     もぞもぞと、クーラーの真下から出られないイモムシさん。
     ぐだぐだの部屋着に、ぐしゃぐしゃの髪。台所で作業をする私を見て、料理の音を聴いて、出来上がりの匂いを嗅いで、ちょっと活動し始める。
     そんな姿が、なんかずるくて。

    「ほーら、ご飯抜いたりするから。余計、体調おかしくなっちゃうんですぞー?」

     わざと間を伸ばして、茶化すように口調を整える。彼の返事は、のろのろと喉の奥で唸るような声。
     わかってる、わかってはいるんだが。と彼は言う。

     ネイチャもわかってる。そんなこと言ったって暑いものは暑いんだからしかたがない。
     だから、ほら。
     華やかな彩りを差し出して。

    「冷やし中華、作ったから。食べてくださいな」

     こんなものが、できあがりましたよ、と。


     テーブルについて、改めて目の前の冷やし中華に視線をおとして、ぽつりと。
    「……錦糸卵すげぇ」

     いちばん最初に見るのがそこ? とネイチャは苦笑いする。
     暑さが、トレーナーさんのあちこちを、じわじわと削いでいってるんだなあ。

    「八百屋のおばちゃんが夏バテに効くからっておまけしてくれたんですよ」
     だから冷やし中華にしてみました、と。ネイチャも手を合わせて、頂きますをする。

    「おまけ、してくれた?」
    「――そ、おまけ、してくれたのですぞ」

  • 26二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:28:32

     トレーナーさんも箸を取る。
     なんで会話のそこ広げるんだろ、と、ほんのちょっぴり戸惑ったネイチャをよそに。

     冷えた麺を少しだけ口に運んで、それから、ぽつり。

    「……うまい」

     あっけない一言だったけど。
     それだけで、報われた気がする。ガスの火の前に立ったことも。
     ――元気が出そうなたべものを、探したことも。

     ふたりとも、ご飯を食べながらおしゃべりをするタイプでもなくて。
     ましてや、一口食べる度に食レポみたいな声をあげるなんてこともないから。

     静かに、食が進む。ゆるやかに、流れる時間。
     いま、座っているこの席を、あたりまえの『家』みたいに感じている自分自身に、ネイチャは思う。

     ――冷静に考えたらアタシのこの距離感。めっちゃやばくないですかい。

     こんなんただの。

     か、か、か――。通い妻ってやつでは、ないですか。

  • 27二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:29:32

     汗が、増した気がする。いや冷たいごはん食べてるのになんでだよ。
     ネイチャさんのほうが、夏の暑さにおかしくなってきましたぞ。

     ――そんなばかなことを、こころのなかでひとりごちる。


     リセットするように、トマトを口に運ぶ。強い、酸味。でも、それがいい。
     舌の奥に、爽やかな水分。

    「……ここまでしてくれて、申し訳ないな」

     ――そこまでしちゃったんですねえアタシ。
     一人暮らしの、異性の部屋で。お料理する女子中学生。
     すっげぇ踏み込んでるって、さすがのネイチャさんだって自覚してるんですよ。

     でもそれは、しょうがなくない?
     暑い食べない動かないの負の夏バテスパイラルを、どうにかしてあげたいってのがネイチャさんの人情ってものでしょう。

    「―――料理しない人は、知らないんですよね。新鮮なお野菜のパワーを」
    「だからネイチャは、夏バテしない?」

     そうかも、しれない。例えば、それこそ八百屋のおばちゃんなんか、夏バテなんかまったくしなさそうで。
     ―――そしてぶっちゃけ、商店街の気質に染まってるネイチャも、おばちゃんと同じ属性なところはあるのだろう。 

     ……あれ、つまりアタシってもう若くないのか? おばちゃん気質なんか?

     ――夏が、おばかな思考を加速するなかで、いつのまにかふたりして、もう、食べ終わっていた。
     冷たい麦茶を飲んで、一息つく。
     食事の動作が終わって、ただ、テーブルで向かい合うだけのふたりになる。

  • 28二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:30:44

    「……ネイチャって、さ」

     ぽつりと、声。
     ちょっとどきっとして、その言葉の先を待つ。

    「……ありがとう、おいしかったよ。それに、助かった」

     そんなお礼の言葉に、過不足はない。
     ……これが妥当だって、ネイチャさんだってわかってるんですよ。不満はないんですよ。

     ……でも。うら若い乙女にここまでさせてるくせに、ねえ?
     きっとあなただって、気づいてないふりをしているくせに。

     ――わかっていないふりを、しているくせに。


     まあ、それはそれとして。
    「お礼はいいからさ」

     わたしは笑った。
     少しだけ、指先を冷たいコップに触れたまま。

    「―――ちゃんと、ご飯食べて。寝て、起きて。そんで、また頑張ってくれたら、それでいいんですよ」

     だって、わたしは、トレーナーの担当ウマ娘だから。
     ――だから、それで、いいんです。

     麦茶のグラスを戻す。かちりと、音が響く。

  • 29二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:35:32

    「じゃあネイチャさんはそろそろ帰りますよ。門限、閉まっちゃうし。洗い物は自分でやるんですぞー」

     立ち上がって、荷物を手に取る。
     後ろ髪を引かれるような気持ちを振り切って、玄関の方へ。

    「明日はちゃんと起きてよ。お昼、また持ってきてあげるから」

     靴を履きながら言うと、背後から、曖昧な笑い声が返ってきた。

    「……生徒に甘やかされすぎてるなあ、おれ」
    「……夏バテじゃあ、しかたないじゃないですか」

     じゃあ、また明日。学校で。答え去る自分の声が、少しだけ震えてた。
     きっと、トレーナーさんが言いたいことは、そんなことではなくて。

     ――それなら、こんなふたりの関係性を。

     トレーナーさんはなんて、呼ぶんですか?

     
     ――外に出ると、陽はすっかり傾いていて。
     暑い空気が、夜にはちょっとはましになればいいなあと、とぼとぼと帰路を辿る。
     胸の奥に灯る、ちいさな気持ちを、そっと抱えながら、歩いて行く。

     ズルいあなたと、ズルいアタシの関係性に、まだ名前を付けられないまま――

     END.

  • 30二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:31:10

    寝る前にあげとこうか

  • 31二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 06:41:08

    朝から暑いよネイチャ

  • 32二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 09:13:40

    縁側でぼけっとしてるところ、はだしでペタペタやってきて「ん」ってよく冷やしたキュウリを差し出してくれるんだ

  • 33二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 10:04:42

    冷えた瓶ビールが飲みたくなった

  • 34二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:20:34

    スイカ好きじゃないけどネイチャとなら食べれる

  • 35二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:19:19

    ネイチャの汗を補給したい

  • 36二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 19:03:21

    だがちょっとまってほしい
    冷やし中華に縛られなければ通い妻ネイチャSSがもっと生まれるのではないだろうか

  • 37二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:59:35

    >>36

    天才かよ

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 23:34:33

    なんかネイチャって夏の食べ物似合うよね
    冷やし中華、キュウリ、トマト、スイカ、ソーダアイス…

  • 39二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:47:20

    夏の食べ物って言うか野菜が似合う
    腕にぶら下げた買い物袋から野菜がはみ出してるのがすごい似合う
    これは他のどのキャラにもないネイチャだけの属性だと思う

  • 40二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 08:48:47

    ラムネ似合いそうだな

  • 41二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 10:39:45

    はーい、今日はオクラの天ぷらですよ
    今日もあっついけどこれ食べてねばーギブアップ……なんちて

    さ、食べよ食べよ!

  • 42二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:06:23

    ネイトレがお礼に買っておいたかき氷を一緒に食べててほしい

  • 43二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:09:23

    今度はラムネとかき氷で書いてみました。

     クラゲが漂っている。骨も意志も溶かして、ただ夏を漂うクラゲ。
     クーラーという太陽の下で、思考することを放棄して、もうこの世界から――

     カチャリ、と。
     聞き慣れた合鍵の音が、彼を世界へと呼び寄せる。

    「うわまた床で伸びてるー。トレーナーさん、そろそろ本体は床の方なんじゃないの?」
    「……ネイチャか。俺は今、光合成の途中なだけだ。ジャマしないでもらおうか」
    「植物に謝れ。ほら、そんな干からびたトレーナーのために、とっておきの最終兵器を持ってきたんだから」

     感謝してよね、と彼女が広げた風呂敷。
     中から現れたのは、やけにレトロで可愛らしい、手動のかき氷機だった。

    「はーい氷投入ー。トレーナーさんハンドル回してー」

     有無を言わさず、俺の手にハンドルが握らされる。
     ネイチャが氷をセットして、ぎゅっと押さえた。
     仕方なく、力を込めてハンドルを回す。

     ガリ、ガリガリ、ゴリ、ゴリゴリ。
     夏を削り出す音。懐かしい記憶の欠片が、純白の雪となって器に舞い落ちる。

    「……おお」
    「でしょでしょ? 結構楽しいんだよね、これ」

     感嘆の声と同意の相槌。
     合鍵を持つふたりの意思の疎通は、いつも一段飛ばしで。

  • 44二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:10:40

     正直手回しなんてめんどくさいと思っていたのに、あっという間に器はこんもりとした雪山になっていて。 
     ネイチャは得意げに、トレーナーさんへ視線を送る。持ってきて、良かったでしょ。
     トレーナーさんはふいと目を逸らす。ひとりで回してたら、つまらなかったと思うよ。
     ふたりはふたりで居ることの意味を、わざわざ考えたりなんかしなくて。

    「シロップどうする? イチゴとブルーハワイあるよ」
    「ブルーハワイがいい」
    「はー? 争いってこういうことから起こるんですよねー。定番はイチゴを選ばないってどれだけひねくれてるの」
    「ひねくれ者を自認してるネイチャが言っていい台詞なのそれ」
    「そんなアタシのトレーナーはアンタでしょうが!」

     一分間の激論の末、結局ふたつを混ぜ合わせた、世にも毒々しい紫色のかき氷が完成した。
     まあ、これはこれで。

    「へへへ、旦那ぁ。あとこんなものもありやすぜ」

     すっ、とネイチャがヤバいブツを差し出す。ビー玉の栓が涼しげなラムネの瓶。
     ドレーナーさんが栓を押そうとすると、これが中々どうして、固くって。

    「あれ、……ぐ、ぬぬぬ……」
    「は-? いまどきの若いもんはラムネの開け方すら知らないのですなあ」

     ひょいと取り上げられ、彼女が手のひらでぐっと押し込む。
     ポンッ! と。
     世界で一番、夏が似合う音がした。しゅわしゅわと、空色の泡が立ち上る。

  • 45二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:11:59

    「はい、どーぞ。いやーアタシがいないとラムネ一本飲めないんじゃこの先困りますぞー」
    「マウント乙」
     
     捨て台詞を吐き捨てて、かき氷を口に含む。
     イチゴとブルーハワイが混ざった味。つまり、よくわからない味。
     でも、それがなんだか、ひどくおかしかった。

    「かき氷のシロップって色が違うだけで味はみんな同じだって言うよな」
    「現実にアタシたちが錯覚してる時点でかき氷の勝ちだと思うなー」

     それはそうだ、と思う。そういうのは錯覚に惑わされない超人に任せておけばいいのだ。
     夏バテとの戦いでせいいっぱいな凡人達は素直に騙されて楽しんでいればいい。

    「まだ光合成したい?」
     ネイチャは言う。
    「……いや、あんまり」
     きみといっしょにいるほうがいい。なんてトレーナーさんは言えない。

     まだ昼は長いし夏は続く。
     でも、わざわざ紫色のかき氷で笑い合えるふたりなら。
     そんな夏だって、悪くないのかもしれない。

     END.

  • 46二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:21:36

    外部サイト使った方がええよ

  • 47二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 03:15:14

    書きたいネタを書きたいときに書きたい場所で書くんだよ

  • 48二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:55:40

    夏が終わるまでだらだらしていたいスレ

  • 49二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 15:40:20

    この後もいろいろなシロップで楽しんでほしいね

    www.instagram.com

    商店街の店にこんなのが売ってたりして

  • 50二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:15:58

    >>49

    なるほどこれ直接かければ良いのか

  • 51二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 20:33:41

    炭酸水以外の使い道を始めて知った
    問題はそのためだけにかき氷を用意したいかというと…

  • 52二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 00:56:10

    暑くて眠りが浅いときにネイチャにそばにいてほしい

  • 53二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 09:31:43

    贅沢は言わないからネイチャと一緒に畳の上でだらだらしたい

  • 54二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 13:24:17

    鬼滅良かった…
    ネイチャと一緒に見たい

  • 55二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 15:29:27

    ネイチャってどんな映画が好きだもん?

  • 56二次元好きの匿名さん25/07/28(月) 23:55:41

    おそうめんで。

     太陽はやけに偉そうで、空気が茹だるように熱くてうんざりする。
     呼吸はねっとりと重さを持ってすら居るようで、アタシのような日陰者には、つらい季節ですなあ。

     なんて。そんなことを心の中で吐き捨てながら、ネイチャはトレーナーさんのお部屋の扉を勝手に開ける。
     合鍵。もう、ここの扉を開ける動作もいつの間にかネイチャの日々に馴染んでいて。

     案の定。
     ドアを開けた先には、この世の終わりみたいな顔でソファに沈む男が一人。

    「おーい、トレーナーさん。生きてるー?」
    「……ん……。ネイチャ……?」
    「はい、あなたの担当ウマ娘のネイチャさんですよー」

     ああ、うん。なんて、生返事。でもネイチャを遠ざける意志はみてとれない。
     勝手に部屋に入ってきたネイチャに、どうしたの、何か用? なんて。もうトレーナーさんは聞かない。

    「ほら。ダルいダルいいいながらロクなもん食べてないんでしょ。ちゃちゃっと作ったから感謝してよね」

     テーブルの上にガラスの器を用意して。まあるく整えた1口分のそうめんをいくつも並べていく。
     保冷バッグの中で、ずっと冷たさを保って輝いていた。

     それから、薬味の数々。
     ショウガにネギ。ミョウガに大葉。ついでに錦糸卵まで焼いてきちゃった。
     ひとつひとつのそうめんのかたまりにのせていって。さながら味変の薬味パーティ。

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 00:00:30

    「ほら起きなー。食べないと、余計バテるんだから」
    「……ん……」

     のろのろと体を起こす彼に、これまたスープジャーの中でキンキンに冷えているつゆを示す。
     一口。涼やかな音を立てて、おそうめんが彼の喉に吸い込まれていく。
     やがて、ぽつりと呟きが漏れた。

    「……冷たい、うまい」
    「ふふん。まあこんなの誰でも作れるしたいしたもんじゃないけど」
    「いや、毎日これがいい」
    「ぜったい飽きるでしょうよ……」
    「ネイチャが作ってくれた感謝の気持ちは毎日尽きないよ」
    「はい論点のすり替えー。恥ずかしいこと言うのやめなー?」

     過去から何度繰り返した台詞だろう。そんなに褒めても、何も出ないんだから。
     そんなに繰り返すほど、トレーナーさんは何度ネイチャを褒めただろう。

    「ネイチャが天使に見える」
    「はあん!?」
    「キラキラ輝いてる」
    「――そうめん啜りながら言うのやめて」

     ふい、と顔を背ける。
     だって、あんまり嬉しそうな顔でこっちを見るんだもの。そんなの、反則じゃないですか。

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 00:01:31

     お腹いっぱい食べ終わったトレーナーさんは、満足げな顔で、またソファにごろんと転がった。
     今度はさっきみたいな顔じゃない。すやすやと、安心しきった寝息を立てている。

    「血糖値バースト乙」

     ネイチャはやれやれと、ため息をつく。まったく、世話の焼ける人。
     テイオーのような、キラキラした主人公を差し置いて、アタシなんかをスカウトした、ヘンな人。

     その寝顔を眺めながら、ネイチャは窓の外に目をやる。
     入道雲が、青い空にそびえ立っていた。

     いまもこの青空の下で、誰かが主人公として物語の中心に居るのだろうか。
     トレーナーさんは、アタシが主人公になれると、本気で信じているけれど。

    「ガラじゃないんだよなあ……」

     でも、こうしてあなたの隣で日傘でもさしてやるような、そんな感じもちょうどよくない?
     頬杖をついて、トレーナーさんを見やる。

     誰かさんのおかげで、好きになれたのかもしれないね。
     キラキラした所を目指したいアタシも。

     ――誰かの日陰が、似合うアタシも。

     END.

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 01:25:41

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 07:07:58

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 08:45:00

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 10:30:06

    そうめんは細い分うどんとかよりベストなゆで加減や美味しいタイミングがシビアな気がするよ

  • 63二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 11:13:52

    >>62

    そこにキッチンタイマーがあるじゃろ?

  • 64二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:04:36

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:12:39

     空が、まるで気まぐれな子供のようだ。
     にわかに暗くなった天気。遠くで轟く雷鳴。大粒の雨が窓を叩く。夕立。

    「……太陽が隠れたら、少しはマシになったんじゃない?」

     ソファでぐでーっとしていることにも飽きたのか、本を読み始めたトレーナーさんへ向かって、ネイチャは呟いた。取り込んだばかりの洗濯物を畳みながら。
     夜の暗さとは違う鉛色の暗さの中。でも乾いたコットンの生地からは太陽の匂いがする。自分の服とはまったく違う、男の人のサイズがなんだかふしぎ。

    「そうだなあ……、すこしは何かする気が出て来たかも」

     困ったように笑うトレーナーさん。その表情がいつも、ネイチャの心を少しだけかき乱すことを、きっとこの人は知らないのだろう。
     気づかれないように、少しだけ、ため息。
     部屋の中は、雨音と、時折聞こえる彼のページをめくる音だけ。静かだ。湿度の多い空気はちょっと生温いけれど、その静かで重たいところが、いまは心地よいとすら思う。

     トレーナーさんの服を一枚、また一枚と畳んでいく。
     この人は、いつも同じような色の服ばかり着ている。そりゃあ、トレーナーさんの仕事着として、ワイシャツとチノパンにそんなバリエーションがあるものではないけれど。

     ふと視線を上げれば、壁際の小さな本棚が目に入る。並んでいるのは専門書ばかりだけれど、その隅にある一冊だけ、背表紙が少しだけ擦り切れている。もう何度も読み返しているのだとしたら。そうして学んだスポーツ理論は、きっと誰かさんのために活かされるのだろう。

     キッチンカウンターの上には、アタシがここに置いていったマグカップが、まるで当たり前のようにちょこんと置かれていた。

     彼の好きな服の色も、繰り返し読む本の題名も、普段使いのカップのことも。
     そんな、どうでもいいはずのことをたくさん知っている自分に、ネイチャは時々、どうしようもなく戸惑ってしまう。

  • 66二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:13:44

     最後の一枚は、彼が雑に普段着にしているTシャツだった。
     ネイチャの手には少しだけ大きいそれを広げたら、ふわりと、この部屋の匂いと、この人だけの匂いがする。
     襟が歪み始めて、洗濯機だけでは落ちない汚れもちょっと見え始めている安いTシャツ。仕事着ではなく、彼が良く着ている私服だと思うと、なんか、扱いが違ってくる気がする。異性の服を畳むという行為が、どうしてだか、ひどく気恥ずかしいもののように思えてくる。

     顔が、少しだけ熱い。
     そんなこと、彼に気付かれてはいないだろうか。
     ネイチャは内心の動揺を隠すように、きちんと畳み終えたそれを両手で持ち、そっと顔を上げた。

     ――目が、合った。

     ソファに座ったまま、読んでいたはずの本から顔を上げて、ネイチャに視線を移している。
     そうしてどっちもふいに視線を逸らして、お互いの手元に目線が戻る。

     そうして心臓が気まずさにドキドキしていくかといったら、そんなこともなくて。
     そんな沈黙をどうしようとするでもなく、ただ静かに窓の外を眺めていた。雨の筋が描かれていた窓ガラスの向こう、雲の切れ間から、夕暮れの光が斜めに差し込んでいる。部屋の埃がきらきらと金色に舞うのが見えた。

     雨垂れの音が弱くなっていく。その過程がぽつりぽつりと静寂を刻む。
     こんなに穏やかな時間が、ずっと続いていけばいいのに。
     そんな考えが頭をよぎり、ネイチャは慌ててそれを振り払うように立ち上がった。
     なんだ、その、ずっとふたりでいたい、みたいな願望は。

  • 67二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 18:15:29

    「……雨、上がったみたいね」

     ネイチャの声が少しだけ震えてしまったのは、きっと気のせいだ。
     トレーナーさんも、「ああ、うん」と生返事。

     もっと、こう、あってもいいんですけどね?
     もっといっしょにいてほしい、とか。

     そんなことを口に出せるはずもなく、雨が上がる頃、ネイチャは帰り支度を整える。
     綺麗に畳まれた洗濯物の山を見て、トレーナーさんは「いつも、ありがとうな」と、言った。

     少し、照れたように。

     はー。そういうところをちらっとみせてくるところがほんとにね。
     ネイチャはちょっと、眉間に皺が寄る思いで。

    「別に、アンタが心配だからとかじゃないし。アタシが、そうしたいだけだから」

     じゃあ、またね。

     部屋を出て、階段を下りる。
     雨上がりの空には、淡い虹が架かっていた。

     ネイチャがここに通う理由なんて、本当はとても単純なことで。
     あなたの顔が見れればきっとそれで良くて。
     けれど、その答えをお互いに口にするのは――

     ――もうちょっと先の楽しみにしておいてもいいよねと、むずむずしてしまうのです。

     END.

  • 68二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 19:03:38

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:24:43

    ネタがまだ湧いてしまう通い妻ネイチャ


     夕暮れ。昼間の熱が和らぎ、世界が長い息を吐き出す時間。
     網戸の向こうから聞こえる蜩の声。遠くを走る車の音。
     もうすぐ、一日が終わっていく。

    「あれ?」

     なんて。トレーナーさんの、子供みたいな呆けた声が静寂を破る。。

    「あー……ボタンが取れかかってる……」

     ソファに座る彼の手には、くたびれた白いシャツ。確かに、胸元のボタンがひとつの糸だけで、かろうじて繋がっている。
     もう寿命かー、なんてガッカリした顔。
     ふーん、と。ネイチャは何も言わずに立ち上がる。自分のバッグの中から小さな裁縫セットを取り出して。

    「……え、ネイチャ?」
    「貸しなさいな。あんたがやったって、どうせ指に針を刺すのがオチでしょ」
    「……なんで、そんなものまで持ってるんだ」

     彼の呆れたような声に、ネイチャは答えなかった。
     シャツを受け取り、彼の隣に腰を下ろす。窓から差し込む西日を頼りに、針に糸を通した。

     白いシャツ。黒い糸。彼の服。大人のおとこのひとの服。
     それを繕っている自分が、なんだか、ひどく不思議な気分だった。

  • 70二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:25:51

    「自分で裁縫するっていうのが、そもそも自分の文化にない」

     なんて。こんな大したことのない裁縫自体に、大げさに感動した視線を向けるのだから。
     ネイチャの指先が、ちょっとだけぎこちなくなってしまうのは、きっとしかたのないことで。

     ちくり、ちくりと、針が布を通り抜ける音だけが響く。
     永遠のようにも、一瞬のようにも思える時間が過ぎて。
     最後の玉結びを終え、ネイチャは糸をぷつりと噛み切った。

  • 71二次元好きの匿名さん25/07/29(火) 23:27:17

    「……ほら、できた」
    「…………」

     彼は黙ってシャツを受け取ると、ネイチャが縫ったボタンを、自分の指でそっと撫でる。
     そして、顔を上げて、ネイチャを見て、本当に、優しく笑うのだ。

    「……ありがとう。ネイチャ」

     その顔を、まともに見ることができなかった。
     アタシが繕った部分を、アタシの目の前で撫でないでほしい。

    「別に。……アタシにできることをやっただけだし」

     繕ったのは、ただのシャツのボタン。
     けれど、ほんの少しだけ。
     彼の日常の綻びを、アタシが埋めてあげられたのかもしれない、なんて。

    「褒めたって、何も出ないからね」

     そんなふうに照れをごまかす相手が居るということは。
     ほんのすこし、しあわせなことだと認めてもいいのかもしれない。

     そう、思った。

     END.

  • 72二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 07:38:16

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 08:46:07

    アイスで。

     あらゆるものの輪郭を白く溶かしてしまうかのような、夏の午後の陽射し。
     ネイチャはトレーナーさんの部屋のドアを開ける。

     案の定、彼はソファの上で、ぐてーっと見事に伸びていた。
     暑くて食欲ない、なんて。まともな食事も摂らずにいるのだろう、と。
     そう思うと、しぶしぶ足が向いてしまうのだった。

    「ん」

     声をかける。彼の視線がこちらに向く。ネイチャは買ってきたばかりのアイスの箱をそっとテーブルの上に置く。
     わ……、と小さな息。彼の目に光が戻るよう。
     
    「別に。たまたまアタシが食べたかっただけですから」

     そうぶっきらぼうに返してしまう、ネイチャのクセ。
     二人で並んで、床に座る。網戸の向こうから聞こえる蝉の声が、やけに遠くに感じられた。

     氷菓子をひとくち口に含むトレーナーさん。
     冷たさが、夏の熱に浮かされた彼の意識を少しだけ引き戻してくれただろうか。
     しあわせそうに頬を緩ませ、強張っていた肩の力が、ふっと抜けていくのが見て取れた。
     そんな彼を見ていると、ネイチャの胸の奥も、ほんの少しだけ軽くなっていくように思う。

     それぞれが二本ずつ食べ終えて、箱の中の最後の一本はネイチャが。
     ヘンに譲り合いしてたら溶けちゃうし、まあ買って来たのアタシですし? とここは頂いておくことにする。

  • 74二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 08:47:56

     ソーダ味の、綺麗な水色をした氷菓子。
     ふと視線を上げると、トレーナーさんがただ静かにネイチャを見ている。
     欲しい、という子供のような見つめ方なんかではなくて。もっと穏やかで、優しい色。
     そういうのに、ネイチャさんは弱いんですぞー。と心の中の軽口で自分をごまかしながら。
     心臓が、きゅう、と小さく鳴ったことを自覚する。

    「……最後の一口、……食べる?」

     いたずらっぽく言おうとしたはずなのに、出て来たのは自分でも驚くほど、か細い声。
     これじゃ何がしたかったのかわからない。と、ネイチャは動揺してしまう。
     いたずらをしたかったのか、ほんとうに、食べてもらいたかったのか。
     トレーナーさんは少しだけ目を見開いて、ん、んんん……と迷った様子を見せて。

     そうしてネイチャに応えて、彼が身を乗り出した拍子。トレーナーさんの髪がネイチャの頬をそっと掠める。
     ネイチャの胸の奥に、氷菓子よりもずっと甘く、夏より熱い味が灯る。

     あなたの部屋で、氷菓子を分け合った。たったそれだけのこと。
     けれどネイチャの夏の記憶は、こういうささやかな瞬間の積み重ねで出来ていく。

     少しだけ、優しく感じるひとときのおもいで。
     夏が苦手なあなたにとっても、この瞬間がそうであったらいいなあ、なんて。

     ――そんなことを、ネイチャさんは思ってしまうのです。

     END.

  • 75二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 11:26:27

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 17:05:27

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 20:01:46

    飲み物で。

     今日も今日とて彼の部屋の合鍵を回す。
     夏の茹だるような空気のなか、ここまで歩いてくるアタシもなかなかですな、とネイチャは思う。
     この人は、アタシが来ないとイモムシみたいに丸まってるか、クラゲみたいに伸びてるかのどちらかなんだから。
     
     トレーナーさんは今日は床じゃなくてソファで完全に活動を停止していた。
     夏を越す前には彼は化石にでもなれてしまうのではなかろうか。

    「あー、ネイチャ……。ちょっと肉体からログアウトしそう」
    「はいはいいいから水分とれ」

     まったくもう、と嘆息する。うわ言を無視して、キッチンで手早くグラスを用意する。
     中身は、ただの水に、レモンの輪切りと、ひとつまみの塩。そして蜂蜜を溶かした、気休めみたいな飲み物。
     べつにふつうのスポーツドリンクでもいいけど、日常的にがぶ飲みするには糖分が濃すぎるから。

    「ほら」

     差し出されたコップをされるがままに手を取って、トレーナーさんはこくりと喉に流しこむ。
     ぷはー、と大きく息をついて。その顔に抜けかけてた魂が戻ってくる。

  • 78二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 20:03:01

    「おいしい、……ありがとう」

     掠れた声のたった一言が、ネイチャが取り繕おうとしていた建前をいとも容易く崩していく。
     あーもー、本当に厄介だ。ネイチャはトレーナーさんから目を逸らす。
     なんか、ヤじゃん。こんな、男性を心配するヒロインみたいなアタシが。
     ただ、担当ウマ娘としてトレーナーさんの心配してるだけの、ごく当たり前の行為でしかないのに。

     ほんとうにどうして。アタシはトレーナーさんの前だと、こんなにも、めんどくさい気持ちになってしまうんだろう。

    「……別に。勘違いしないでよね」

     ネイチャは、トレーナーさんの顔を、もう見ていられない。

    「トレーナーさんがへばったら、後味悪いし。ただ、それだけなんだから」

     ――アタシって、ほんとうにめんどくさいなあ。
     レモン水といっしょに、夏のため息を飲み込んだ。そんなひととき。

     END.

  • 79二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 20:51:23

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:23:48

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 06:33:33

    ほしゆ

  • 82二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 10:03:51
  • 83二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:50:36

    流れるようにお夕飯の話まで…
    ネイトレの反応からして、こうなってからかなり長いな?

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:12:18

    >>82

    すばらしいほのぼの

  • 85二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:14:03

    マッサージで

     強い陽射しが、部屋の奥まで長く影を落とす、そんな昼下がり。
     ネイチャが合鍵でそっと扉を開けると、ひやりとした冷気と共に、静まり返った空気が頬を撫でる。
    「おっすー……? あらら、トレーナーさんいるー?」
     トレーナーさんはもう帰っているはずだけれど、部屋の中からは何の物音も聞こえてはこなかった。

     そーっとリビングを覗き込むと、机に向かったまま、深く項垂れるようにして動かない彼がいた。
     広げられたままの資料を前に、うたたねしているトレーナーさん。

     と、思ったところでちょうど彼は不意に眼を覚まして。ふう、と、重いため息がひとつネイチャの前に落ちる。
     意図せず目にしてしまった、何も取り繕わないトレーナーさんの、その疲労の色。
     ネイチャの胸は理由もなく、きゅう、と締め付けられる。

     担当のウマ娘の前では、いつも暑い暑いと愚痴を吐いて茶化していても。
     きっと、ネイチャがいないところでは、こんな顔で仕事に打ち込んでいたのだろうと思う。
     ひょっとしたら、ネイチャが見てはいけない、彼だけの表情だったのかもしれない。

    「あやや、相当お疲れのご様子ですなー」

     あえて、明るくネイチャは声をかける。
     うわびっくりした、とトレーナーさんは顔をあげて。

    「まあ、そうだなあ、身体のいろんなところが凝ってて痛い」

     ネイチャに見せたくない所を見せてしまった、そんなそぶりを見せることもなく、トレーナーさんはただ、ネイチャを困らせないことを優先する。

  • 86二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:15:18

     だから、そんな彼にしてあげられることはないだろうかと思ってしまうのだけれど。
     けれど、気の利いた言葉なんてすぐにはでてこなくて。ただ、もどかしい時間だけが過ぎていく。
     トレーナーさんが自分の首や肩を動かし、ほぐしている動作をしながら、戸惑うネイチャにいぶかしげな視線を送る。
     ネイチャの口からこぼれたのは、自分でも驚くほど、拙い提案だった。

    「あー…、も、揉もうか?」

     予想外の言に、は? と間の抜けた声。

    「ま、マッサージ、しますよ」

     口走ってしまったならもう走りきるしかない。内心を押し殺して、指をわきわきさせて。
     なんでもないことのように、笑いながら、言ってみる。

     え、ええ……? と戸惑うトレーナーさんの気持ちがネイチャには読める。
     担当ウマ娘にそんなことさせていいのか、という大人の分別と、
     せっかくの善意の提案を断るのもどうなんだ、というネイチャのパートナーとしての気遣いがせめぎ合っている。

     イヤ申し訳ない。こんなこと言いだしたアタシが悪い。と心の中で手を合わせながら、トレーナーさんの答えを待つ。

    「じゃ、じゃあおねがい」

     おっけえ。やってやりましょう。なんて意気込んではみた。
     でも、トレーナーさんの背後に回って、そっと、その肩に触れた瞬間、ネイチャは即座に失敗を悟った。
     マッサージの失敗ではなく、乙女としてのやらかしを。

     最初は疲れを癒してあげたい、ちょっとした善意でしかなかった。
     けれど薄いシャツ越しに伝わってくる、しっかりとした筋肉の硬さと、じんわりとした体温。
     ネイチャの指先に伝わってくるのは、ひとりの男性の身体の感触。

  • 87二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:16:24

     そんなあまりにも当たり前の事実に、今更ながら気づいてしまったのだ。
     いつも見ているはずの、それどころかすぐそばで、すぐとなりでいつも接しているはずの彼のからだが、急によそよそしく、未知のもののように感じられる。

     それこそ同年代の、同性の友達たちのものとはまったく違う、骨格のたくましさ。規則正しく上下する、その息遣い。
     そのひとつひとつが、ネイチャの意識をどうしようもなく「異性」という一点に集中させていく。

     そんな内心を押し隠しながら肩を揉み続ける。彼は気持ちよさそうに、表情を緩ませてくれているけれど。
     アタシのしているこの行為は、果たして、許されることなのだろうか。
     ただの担当ウマ娘という立場を、かんっぜんに踏み越えてはいないだろうか。

     そう思うと、自分の指先が、まるで自分のものではないかのように、ひどく、大胆なことをしているように思えて頭が茹だっていく。

     あ゛ぁ-……、なんて。深く安堵したような、子供っぽいような、ほんとうに無防備に漏れた、トレーナーさんの息。
     その息がネイチャの心に触れた瞬間、最後の堰を切ってしまった。
     もう、これ以上、彼の体に触れていてはいけない。そんな焦りにも似た感情が全身を駆け巡り。

     まるで熱いものにでも触れたかのように、ネイチャは、パッとトレーナーさんから指を離してしまった。

    「……も、もういいよね!? 終わり! 終わり!」
    「ええ……? 終わり……?」

     自分でもおかしいくらいにうわずるネイチャの声と、突然の終了にびっくりするトレーナーさんの声。
     トレーナーさんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、ネイチャを振り返る。
     その瞳には、隠しようもなく、もっと続けてほしかったという色が浮かんでいて。

     ああもう、そんな目でアタシを見ないでくださいな……!

     心臓が、痛いほどの速さで。顔に昇る熱はあつく。

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:18:46

    「ど、どういう……?」

     突然の中断に面食らっているままのトレーナーさんに、ネイチャはどう返せばいいのか、言葉に詰まってしまう。
     だって、ネイチャにだって、止めた理由が説明できないのだから。

    「ほ、ほら! やりすぎはアレですし! 揉み返しとかあるじゃん!?」
    「……お、おう」

     ネイチャの態度にぽかんとした顔を続けながらも、トレーナーさんは。

    「ともかく、ありがとう、楽になったよ」
     なんて。素直に笑うものだから。

     ネイチャはそっと顔を背けた。
     あたふたと動揺する自分の心に、追い打ちを食らったようで

     そりゃあ、本当はもっと、続けてあげたかった。
     トレーナーさんが心の底から安堵するまで、ネイチャが納得するまで、ずっと。

     けれど、出来なかった。
     あの、あんな無防備な安堵の息を、彼の背中から感じてしまったら。
     あれ以上、あなたの温もりに、あなたの安らぎに触れ続けていたら、きっと、アタシの心の堰が、決壊してしまっていたに違いないのだ。

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:25:49

     トレーナーとしてではない、ただのあなたを想う気持ち。
     心配で、愛おしくて、ただ、力になってあげたいと願う、この気持ち。
     「嬉しい」って。そう素直に思っているだけの自分を、あなたに知られてしまうのが、なんだか恐ろしくなって。

    「あとはほら、ちゃんと睡眠もとるんですぞー」

     取り繕って、笑ってそう言うのがせいいっぱいで。
     そっとさりげなく、自然な流れになるように、帰り支度を始める。
     トレーナーさんは、そんなアタシの動揺なんて、きっと気づいているだろうけれど。
     でも、気づかないふりをしてくれる。そんなやさしさに甘えて。

     ――それはそれとして、今日のネイチャは何だったんだ、なんて。思っているのだろうけれど。

     この、声に出せない想いの名前を、アタシはまだ知らない。

     それでも、もう少しだけ。
     この甘い戸惑いの中に、浸っていたいとも思ってしまうのです。

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 09:21:20

    完走してほしい保守

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:42:12

    >>89

    心と心のつながりがとてもよく伝わってきました

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:47:44

    あぶねぇ、落ちるとこだった

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:04:42

    無理に延命する意味ある?

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 04:29:38

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:21:30

    風鈴で。

     暑さの中に立っていると、音も光も飽和するような気がする。
     蜃気楼のように揺らぐ視界、遠のいていく音。世界とアタシがずれていくような。

     ふいー、なんて息をつきながら、ナイスネイチャは彼の部屋の扉に合鍵を差し込む。
     かちゃり、という小さな金属音さえ、その静寂の中では大きく聞こえた。

     部屋の中は、予想通り静まり返っていた。部屋そのものが、まるで夏という季節に根こそぎ気力を奪われてしまっているような。
     その部屋の主はクーラーの真下で。そこから動けないナマコのようにへたばっていた。
     どこか子供のようで、ネイチャの胸を理由もなく締め付けるその姿。
     ネイチャは嘆息する。はぁ、よけい体調おかしくなっちゃうような暮らしをしてそうですねー。

     トレーナーさんの無防備な寝顔を横目に冷蔵庫へ。
     取り出すのは、ネイチャが勝手に用意している麦茶の瓶。
     外に取り出してほんの間もないのに、ネイチャの手の中で、瓶はまるで冬の氷のように冷たく汗をかいている。

     音を立てないように、トレーナーさんのそばに膝をついて。
     その冷たい瓶を、彼の頬に、ぴとっと触れさせた。

    「ひゃっ!?」

     子供のような声を上げて飛び起きる彼の、その、心底驚いた顔。
     ネイチャの表情に、あはは、と笑みがこぼれる。

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:22:37

    「おはよ、目、覚めた?」
    「……心臓にわっる……。びっくりした」

     恨めしげに呟くトレーナーさん。ネイチャはまた笑い声をこぼしながら、バッグから取り出したものを窓辺へと持っていく。

    「商店街の人たちから良い物もらってさ、ついトレーナーさんに見せたくなっちゃって」

     カーテンレールにつるしたのは、光を透かすと淡い虹色を宿す、硝子の風鈴だった。
     開け放った窓から風が吹き込んで。

     ちりん、と。
     硝子の涼やかな音が、部屋の熱をそっと攫っていく。

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:23:37

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:23:53

    「……風鈴だ」

     起き上がって床にあぐらをかいて。
     麦茶のグラスを片手に、音に耳を澄ますトレーナーさんがぽつりと。

    「ま、風鈴です」

     ネイチャは淡く微笑みながら、トレーナーさんがさっきまでしていたように、彼の隣にへたばってみる。
     世界を歪ませる陽射しの下を歩いてきたことと、この部屋の気怠さと。
     そして、この風鈴の音がもたらした、どうしようもない安堵感が、ネイチャをこんなに無防備にするのかもしれない。
     トレーナーさんの隣で、こんな姿を晒すことに、明確な意思があったわけではなくて。
     ただ、この、鈴の涼む音が満ちる穏やかな時間に、アタシもいっしょにいていいよねって、当然に思ってしまっただけなんです。

     言葉になんか、してやらない。
     こうして同じ部屋で、同じ風を感じて、同じ音を聞いている。ただそれだけのこと。
     そんなことだけで、アタシの気持ちが満たされるのなら、これをしあわせというのだろう。

     風鈴がもう一度、ちりん、と澄んだ音を立てる。

     アタシの心の音が鳴る。

     ――隣で、アタシの心を、あなたが聴いている。

     END.

  • 99二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:26:46

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:37:24

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:38:31

    管理せんの?

  • 102二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 11:06:10

    あげ

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 12:16:12

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 12:52:34

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 13:57:26

    ほしゅ

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:23:29

    保守

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 18:30:46

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 19:49:18

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:48:18

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:28:54

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:50:06

    とうとう夏バテしてしまったトレーナーさんで。
     
     トレーナーさんの寝顔を見つめている。
     ソファの上に身を横たえ、浅く、少しだけ熱を帯びたような呼吸。

    「夏バテですねえ……トレーナーさん」
    「やっちまったなあ……」

     いつものように合鍵で扉を開けて、トレーナーさんと顔を合わせてみたら。
     夏バテ気味で日々を過ごしていたトレーナーさんが、とうとうダウンしていた姿があった。

    「どうせ寝れてないんでしょ? まったく、何回も注意してるのってのに」

     夏の気候のせいで寝付けないのか、遅くまで担当ウマ娘のために仕事をしていたのか、それはあえてネイチャは尋ねないけれど。

    「面目ない……」

     ときには快活に、ときには困った顔で、ネイチャと向き合ってくれるトレーナーさん。
     ふだんは見せることのない力のない声を聞いて、ネイチャの胸は少しだけ、痛みを覚えてしまう。

     こんな弱い姿をアタシに見せてしまって、申し訳ないと思ってるんだろうな、なんて。

     ネイチャは膝をつき、そっと、トレーナーさんの額に自分の手のひらを重ねた。
     じんわりと伝わってくる、確かな熱。夏の疲れが溜まりすぎているんだろう。

     ネイチャは静かに立ち上がる。洗面器に冷たい水を張り、清潔な手拭いを浸して。それらを手に、トレーナーさんのそばへ戻る。
     横になっている彼の髪が額にかかっている。指でそっと払ってあげる。彼の額に、冷たくしぼった手拭いを乗せる。
     ふぁ、と思わぬ感触だったのか、トレーナーさんは小さく身じろぎをして、でも安心したようにまぶたを閉じた。

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:52:04

    このレスは削除されています

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:53:06

    「あー……冷たい」
     掠れた、でも、気持ちよさそうに、彼は微笑んだ。
     ネイチャもほっと息をつく。医者でも何でもないただの小娘にできることなんて、たかがしれている。
     それでも、そのささやかなひとつが、トレーナーさんの役に立っているのなら。
     そばに寄り添うことが、彼の助けになるのなら。

    「アタシのことは気にしないで、ゆっくり休んでくださいな」
    「ほんとうにすまないな……」
    「はい謝らない。病人ほっとくなんて後味悪いし、アタシがやりたいからやってるだけなんですから」

     ネイチャの返事が届いたのかどうなのか。トレーナーさんは穏やかな寝息を立て始めて。
     その寝顔を眺めながら、ネイチャは静かにひとりごちる。

    「ほんとうにトレーナーさんには、困ったもんですなあ……」

     彼の額の手ぬぐいをしぼりなおす。彼の熱を、ちゃんと奪い取ってくれますようにと、一時間のうちにも、何度か繰り返す。
     自分のできるせいいっぱいの思いを、繰り返す。

     早く、元気になってくださいな。
     そんな、声に出せない祈りの全てを、この冷たさに託して。
     ただ、トレーナーさんの穏やかな呼吸に耳を澄ませながら。
     またそっと、ネイチャは彼の額の手ぬぐいを取り替える。

     ――夜が更けるまでその指で、トレーナーさんの熱を、拾い上げ続ける。


     やがて、白々と夜が明けて。熱が引いたトレーナーさんが眼を覚ます。
     傍らで、うたた寝しているネイチャの姿を目にした彼が、どんなに慌てた顔をしたのかは、また別のお話。

     END.

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 06:23:02

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 07:44:10

    保守

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:26:30

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:31:40

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:15:36

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:36:34

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:38:20

    なにこのスレ

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 18:13:58

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 19:13:15

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:16:37

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:48:55

    >>113

    寝顔を見られてしまったことを知った時のネイチャもまたかわいいんだろうなぁ

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:42:50

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 01:08:50

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 05:03:33

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:01:27

    保守

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:28:03

    保守

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 23:45:15

    家庭的な子いいよね

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 07:05:04

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 13:39:00

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 13:41:36

    ひどいスレだなコレ…

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 21:02:41

    そうなのですか?

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 06:59:02

    スレが残ってる度なにか書いていきたいなとネイチャと夏のネタを想像するんですけど
    なんでこんなに保守されてるのか不安にもなる

    蚊取り線香で

     夏の夕暮れは、なんだか、すこしだけさみしい。
     いつからか、アタシはあなたの部屋の合鍵を持っている。べつに強請ったとかねだったとか、そういうことじゃなくて。たぶん、あなたがここにいていいよって言ってくれた、しるしみたいなものなんだと思っている。

     部屋に入ると、あなたはクーラーの下でぼーっとしていた。大きなクッションを枕代わりに。
     クーラーの、低い駆動音だけが、静かな部屋に響いている。
     今年の夏もたしかにつらいですけれど、一日中この部屋にこもって、窓も開けないでいると、よけいにからだ、おかしくなっちゃうんですぞ。

     アタシの声に、それはわかってるつもりんだけど、と生返事がかえってくる。
     アタシはバッグの中から、豚のかたちをした陶器の入れ物と、緑色の渦巻きを取り出してみせる。蚊取り線香。

     なんだそれ、なんでそんなものを、ってあなたはちょっとびっくりする。
     とくに深い意味はないんですよねー。
     商店街のおばちゃんが「ネイちゃん、こんなもの出て来たけど寮で使う?」なんておまけにくれただけ。

     だから、この夏の匂いを、あなたの部屋に持って行ってみたいな、って思っただけなのだ。
     線香のさきに火をつける。
     独特の、すこしだけ懐かしい香りが、ほそい煙といっしょに部屋にひろがっていく。

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:01:42

     それから、もうひとつ。アタシは、渋い柄のうちわを取り出した。

     アタシはあなたのそばの床に、ぺたんと座る。
     そして、ただふたりの間の空気を、ゆっくりとかき混ぜるように、うちわを扇ぐ。
     アタシが今こうしていることに、たぶん、意味なんてない。あなたが懐かしいと感じるかどうかなんて、わからない。
     でも、どうせあなたといっしょにこの夏をぐでーっと過ごすのなら、こんな匂いの中で過ごせたらいいなって。
     ここが畳のお部屋だったなら、もっとよかっただろなー。

     しばらくして、あなたの呼吸が、ふかい、おだやかなものに変わっていることに、アタシは気づく。
     あなたは、いつの間にか眠っていた。
     普段は見ることのない、あなたの、むぼうびな寝顔。
     お仕事のことも、レースのことも、アタシのことさえ忘れて、ただ眠っているあなたの顔。
     ああ、そうか。トレーナーさんは、こんな顔で、眠るんだ。
     そう思うと、アタシの心臓が、きゅう、とちいさく、音を立てる。

     アタシはうちわの仰ぐ向きを変える。自分ではなく、あなたに。
     あなたを起こさないように、しばらく静かに扇ぎつづける。
     緑色の渦巻きが、すこしずつ、もろい灰にかわっていく。やがて、あの懐かしい匂いも、ほそいけむりも、とまってしまう。今日という日の午後が、おわりを告げたことに、気づく。

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:06:50

     ふう、と息をついて、あおぐ手を止める。アタシはそろそろ、帰りますかねー。
     うちわを、あなたが目を覚ましたときにすぐ手がとどくように、近くにそっと置いて、立ち上がる。
     トレーナーさんの晩ごはん、何か作り置きしていきますか。窓を閉めて、台所に向かう。冷蔵庫の扉に、手をかける。


     ――アタシは部屋の扉を、そっと閉める。
     クーラーの冷たさとはちがう、なまぬるい夕暮れの空気が、肌に、まとわりついてくる。
     さっきまでの、あなたの部屋の、ちいさな天井じゃない。どこまでもひろがる、宵のそら。
     帰路を歩く。アタシの右手は、まだあの部屋の空気を握りしめているみたいだった。
     うちわとか、包丁とかを、あなたの部屋で握ったてのひらの記憶。
     歩きながら目線を移す。かすかで、ふしぎな熱が残るこの指先。
     こわしてしまわないように、アタシは、もう片方の手で、そっと包んだ。
     
     END.

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:36:13

    割らないと取り出せない豚の貯金箱共々豚の蚊取り線香台は未だに見たことが無いな


    10スレ以上なら保守って10時間以内に1回やれば十分だとは思います
    いっぺん畳んで後日仕切り直すのもありかもしれませんね

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 16:42:34

    液体のやつとか選択肢が増えても、こういうトラディショナルな蚊取り線香って趣があっていいですよね
    なんというか昭和の若夫婦感が醸し出される

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:05:17

    蚊取り線香の豚って江戸時代からあったんだね

    www.regasu-shinjuku.or.jp
  • 141二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 03:17:28

    amazonや楽天で普通に豚の蚊取り線香売ってる
    ってことは今でも生産されてるってことか

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 08:47:06

    インテリア的方面で需要あるんだろうか

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 16:57:30

    >>135

    そういやこれって夏合宿参加してないし、トゥインクルシリーズ引退後ってことになるのかな?

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:15:28

    夏の始まりから終わりまですべて合宿してるわけでもなかろうて

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 02:42:00

    >>144

    確かにある程度余裕を持たせておいた方が安心だな

    8月末の数日間だけはこういう感じになってるのかも

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:06:09

    通い妻レベルがどんどん上がっていってるの好き

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 17:39:02

    他の通い妻予備軍に色々教える側に回れそう

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 01:25:12

    >>146

    もっと上げてみました


     金曜日の夜は、帰省申請を出してここに戻る。

     そうして迎える週末。土曜日の朝はいつもしずかだ。

     

     窓のすきまから、薄いひかりがさしこんでくる。部屋の中のちいさなほこりが、そのひかりの中をきらきらと、ゆっくりおどっている。

     あのひとはまだ、自分の私室で眠っている。きっと、すうすう、とおだやかな息を立てている。


     アタシは音を立てないように、リビングに敷かせてもらっているおふとんから這い出る。

     すこしだけねぐせついてるかも、と感じながらおふとんをたたむ。

     

     洗面台に向かうと、鏡の前にはふたつ歯ブラシが並んでいる。

     青いのが、あのひとの。ピンクのほうが、アタシの。


     蛇口をひねって顔を洗う。

     棚にはアタシがいつも使っている洗顔フォームが置いてある。泡が、手のひらの上で、ふわふわとふくらんでいく。

     顔を拭いて、それから、ヘアアイロンを手に取る。これもここに置いているもの。にぶい機械音とともにアタシの髪をあたためてくれる。


     キッチンに立つ。

     あのひとよりすこしだけ早く起きるこの時間が、アタシはたぶんすきなんだと思う。

     冷蔵庫の扉には、アタシのシュシュがマグネットといっしょにくっついている。それで髪を、うしろでひとつに束ねた。

     お米は昨日、寝る前にちゃんとといでセットしておいた。炊飯器のスイッチを入れる。ちいさなメロディが鳴って、あたらしい一日がはじまる合図みたいだなって、思う。


     お味噌汁のおなべを火にかける。

     こんぶとかつおぶしでおだしをとる。いい匂いがふわりとたちのぼる。

     ネギとおとうふのお味噌汁。超、おーそどっくす。

     まな板の上で、とんとんとんと長ネギをきざむ。

     お豆腐はてのひらの上ですっすっすっ、と切って白いサイコロお鍋にぽーい。

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 01:26:38

     それから、たまご。
     冷蔵庫から、ふたつ、取り出す。
     アタシは甘いたまご焼きがすきで、あのひとはすこしだけしょっぱいのがすき。
     だからいつも、まんなかくらいの味にする。
     お砂糖とお塩と、ほんのすこしだけお醤油をたらして。
     たまごをかき混ぜる。しゃかしゃか、て、ボウルの中で、黄色いきれいな渦ができる。

     フライパンの上で、じゅうっていい音がする。
     くるくる、て、お箸で巻いていく。今日は不覚をとった。すこしだけかたちがいびつになっちゃった。
     もはや完全無意識でやってるようなところがあるから、たまには手元がくるうこともある。

     まあ、いいか。
     あなたがおいしいって笑ってくれるなら、それでいい。

     お魚をグリルで焼く。ぱちぱち、て、油のはぜる音がして、香ばしい匂いがお味噌汁の匂いとまざっていく。
     ごはんの炊ける匂いも、してきた。
     アタシはお茶碗を、ふたつ用意する。デフォルメされた猫の顔がプリントされた、商店街の福引で当ててきたやつをおそろいで。
     あのひとはこういうの、あんまり気にしないひとだけど、でもちゃんと使ってくれる。そういうところが、いい。

     ぜんぶ、おぼんに乗せてテーブルに運ぶ。
     炊き立てのごはん。あたたかいお味噌汁。こんがり焼けたお魚と、ちょっとだけ、リカバリーのあとがみえるたまご焼き。
     うん。ちゃんと、できた。
     アタシとあのひとの、あさごはん。

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 01:29:13

     べつに、アタシはあのひとのために、ここにいるわけじゃない。
     ただ、アタシがそうしたいから、いるだけで。
     あのひとが、アタシがここにいることに、なんにもいわないからいるだけで。

     そろそろ、あのひとも起きてくる。
     この、おいしそうな匂いに気づいて目を覚ます。
     おはようって、寝ぼけまなこで言ってくる。

     遅くまで資料と向きあっていたあのひとは、起きてからもずっと眠そうなまま夕方までごろごろするのだろう。
     そんな、なんでもない週末の時間が、いつもどおりにつづく。

     この物語が、おんなじページを、ずっと、ずっと、めくっていたらいいのにって、そう思う。

     END.

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 02:04:56

    なんというか、ネイチャが本当に心の中で思って区切っているような句読点に感じた
    読みやすくて良いお話をありがとう

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 05:40:27

    >>151

    ありがとう。句読点の好みだって人それぞれ千差万別ななか、

    これがたまたま刺さる誰かがいるのならうれしいです

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:38:20

    おめでとう!
    ネイチャは 通い妻 から 半同棲 に進化した!

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 18:33:05

    何がひどいかって
    寮生活の土日に帰省するのは合法だってことがひどい

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 22:36:17

    トレセンでは合法なのか…どっからが違法なんだ

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 06:38:12

    トレセンはわからんけど普通の全寮制の中高は土日に帰省はOKっぽい

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 14:39:15

    贅沢は言わないから週末にネイチャが泊まりに来るだけでいい
    たったそれだけでいいんだ

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 19:24:31

    贅に贅を重ねた最上級の贅沢なんだよなあ

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:25:47

    ちょっと涼しくなってきたかもしれないよネイチャ

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:32:47

    >>38

    そういえばネイチャの勝負服ってスイカカラーとも言えるのか

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:52:17

    夏が終わる前に通い妻レベルをさらに上げていかないとな!
    …寝泊まり以上の通い妻ってなんだ?

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 00:01:18

    >>161

    ネイチャの私物がトレーナーの家に増えていくとか?

    すでに歯ブラシはおいてあるようだが

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 04:13:11

    通い妻っていうラインを超えてはいけない
    妻になってはいけないんだよネイチャ

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 07:57:24

    ゴールポストなんてずらせばいい。そう思った。

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:49:20

    つまりこういうことだな!

     四月は、ちょっとだけ、あたたかい風がふく。
     アタシの、たんじょうびの季節。

     でも、この季節にうまれたのは、アタシだけじゃなくて。
     ターボも、アタシも、イクノも。みんなおんなじ季節で、なんだか、すこしだけ、てれくさかった。
     お祝いが、連日つづいたから、ちょっと、つかれた、かな。
     もちろん、うれしいんだよ。ほんとうに。ちゃんとはしゃいだりも、した。
     でも、ぜんぶ終わってみると、やっぱり、つかれてる。
     照れくさいとか、面映ゆいとか、そういう、ふわふわしたきもちが、ずっと、心をただよっていたから。
     はしゃぐなんて、やっぱり、アタシの柄じゃないんだよね。

     そんなことを思っていた、ある日のこと。
     トレーニングのあと、イクノが、話しかけてきた。

    「ネイチャさん。先日は、ありがとうございました」
    「ううん、こちらこそ。プレゼント、うれしかったよ」
    「それと、おつかれさまでした」

     その、やさしい声に、アタシのぜんぶ、見透かされちゃったみたいで。

    「あー……わかる?」

     アタシは、苦笑い、するしかなかった。

    「誕生日を祝われるのが、嫌だったわけではないのでしょう。ただ、反動が来ているように、見えました」
    「ああ、まさに、それだわ」

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:51:08

     彼女の言葉が、すとん、て、胸におちてくる。
     だから、アタシは今、しずかな時間が、ほしいんだな。
     アタシがうなずくと、彼女は、すこしだけ、めがねの位置をなおした。

    「……じゃあさ、イクノ。たまには、ふたりでごはん、たべない? おんなじ日にうまれた、よしみで」
    「ええ、いいですね。ささやかに祝って、心身のバランスをとりましょう」

     けっきょく、祝うんかい、て、思いながら。
     どこにする、て、ふたりで顔を見合わせる。
     アタシは、すこしだけ考えて、それから、いつもの場所を、あたりまえみたいに、言った。

    「じゃあ、アタシの部屋にする? キッチンあるし。なにか、つくるよ」

     アタシのへや。
     そこには、アタシのエプロンも、調理器具も、お醤油も、ちゃんと、あるから。
     うん、それが、いちばん、いい。

    「それは、ぜひ、楽しみです」

     イクノは、そう言って、わらった。
     そして、あとから気づいたみたいに、ん? て顔をする。キッチン? て。
     うん、キッチン。アタシは、うなずく。

    「……?」

     イクノが、アタシのことばを、うまく、飲み込めてないみたい。
     どうしたんだろう。アンタも、なんかの、反動なのかな。

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:54:23

     商店街で、すこしだけ、いい豚肉を、みつくろってもらった。
     ふるまうのは、生姜焼き。にんじんを、たくさん、いれたやつ。
     千切りスライサーで、にんじんを、しゃっしゃ、て、する。
     オレンジ色のほそい糸が、たくさん、たくさん、できていく。
     これなら、イクノの栄養のデータだって、満足するでしょ。て、思いながら、にんじんしりしりを、もりもり、擦っていく。

     フライパンの上で、お肉と、たまねぎと、にんじんが、じゅう、て、いい音を立てる。
     お醤油と、しょうがの、あまじょっぱい匂いが、部屋に、ひろがっていく。

     やっぱり、こういう、音と匂いがすきだ。
     こんなふうに、だれかのために、ごはんをつくる時間が、アタシの柄、なんだろうね。

     ぴんぽん、て、チャイムが鳴る。
     アタシは、エプロンで手をふいて、玄関のドアを、開けた。

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:57:49

    「タイミング、ばっちりだね。あがってよ。もうすぐごはんできるから」
    「……あなたが、教えてくれた住所は、やはり、ここで合っていたのですね」
    「うん、迷わなかった?」
    「迷う、とか、そういう、問題、では」

     そう言って、イクノの言葉が、とまる。
     彼女の視線が、アタシのうしろ、部屋の中を、ゆっくりと、観察しているのが、わかった。
     玄関には、トレーナーさんの靴と、アタシの、いつものスニーカーが、ふたつ、並んでいる。
     リビングには、ソファで過ごしている、トレーナーさんが、いる。
     本棚には、トレーナーさんの専門誌と、アタシの、読みかけの少女漫画が、いっしょに、並んでいる。

     どうぞ、て、アタシはイクノを誘う。
     彼女は、戸惑うように、部屋の中にはいってくる。
     トレーナーさんは、いらっしゃい、て、イクノに手を上げる。

     「じゃましないから、ゆっくり過ごしてってくれ」、て。

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 16:00:40

     そしてイクノは、キッチン越しの食器棚を、見る。
     そこには、アタシたちのおそろいのお茶碗とか、マグカップとか。

     彼女は、すう、て、息をすいこんで、それから、めがねの、まん中を、くい、て指で押し上げた。
     アタシに、向き直る。
     その顔は、いつもみたいに、冷静で、きれいな顔だった。
     でも、その声は、ほんのすこしだけ、ふるえている、気がした。

    「ネイチャさん」
    「ん?」
    「単刀直入に、お伺いします。データが、不足しています。この、あまりに不可解な状況について、合理的な、説明を、求めます」
    「……?」

     どした、イクノ。ほんとうに、どした。

    「あなたと、トレーナーさんは、いつから、ここで、生活を、共に?」

     アタシは、きょとん、て、する。
     ソファの上の、トレーナーさんも、おなじように、きょとん、て、している。

     アタシたちは、顔を見合わせて、それから、ふたり、そろって、言った。



    「生活って、べつに、アタシたち、付き合ってすら、いないけど」



     アタシの、なんでもないことばに、イクノの口が、ぼけっ、となって。
     なにいってんだイクノ、というトレーナーさんの視線に、イクノの目が、おおきく見開かれて。

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 16:02:49

    「えっ」

     イクノが、アタシたちの反応にびっくりする。

    「えっ」

     アタシが、そんなイクノにびっくりする。

    「えっ」

     意味を飲み込めない三人分のびっくりが、かさなった。

     いや、けっこん? んなわけないじゃん。

     しょうが焼きの匂いがただよう、部屋の、まんなかで。
     アタシと、トレーナーさんと、イクノの、それぞれの「えっ」ていうきもちだけが、いきばをなくして、ただよっていた。



     END.

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:38:45

    このクソボケどもが!

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 21:26:14

    イクノのメガネ割れたろこれ

  • 173二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 00:39:51

    これは通い妻じゃないわ!ただのクソボケ妻よ!

  • 174二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 06:42:26

    冷やし中華つくってたころから遠くに来ちまったな

  • 175二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 13:18:14

    ここまできたなら完走してほしい保守

  • 176二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 17:16:40

     十二月の空気が、ぴんと張りつめている。
     リビングのテーブルの上に、たくさんの書類を並べて。
     年末になると、あなたはいつも、めんどくさそうになにかを書いている。
     アタシは、あなたのその横顔を、ソファの上からぼんやりと、眺めていた。

     カリカリ、て、ペンが、紙の上をすべる音だけが、ひびいている。
     あなたは、おなじような書類に、なんども、自分の名前と、住所を書いている。あと、印鑑。

     たいへんだなあ、て、思う。
     住所をフルで何回も書くこと、そして捺印に気を遣うこと。それがめんどくさい、てあなたは言う。

     だから、アタシはしずかにしている。
     あなたが淹れてくれたあたたかい紅茶を、ゆっくり飲みながら眺めている。

     しばらくして、あなたのカリカリ、ていう音が、ふいに、とまった。
     どうしたのかな、て、思って。ソファからおりて、あなたの手元を、のぞきこむ。
     あなたは一枚の書類を、じっと、見つめていた。
     扶養控除、なんとか、て。社会人っぽい、むずかしい漢字が書いてある。

     あなたのペンが、妻、ていう、文字のとなりで。
     そこに、アタシの名前を書きかけた、そのかたちのまま。ぴた、て、とまっていた。

  • 177二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 17:19:57

    「やっちまった……」

     あなたの、ちいさな声。
     しまった、ていう顔で、自分の書いた、書きかけの文字を、くやむ。
     それから、こまったみたいに、頭を、かいている。

    「……二重線、はいいけど、訂正印なんて俺持ってったっけ?」

     あなたは、ほんとうに、こまっているみたいだった。
     アタシは、ふう、て、ちいさく、息をはく。

    「あるよ、訂正印。超ちっちゃいやつでしょ」

     どんなまちがいなのやら、と。アタシは呆れながら、言う。
     この、なんでもないまちがいは、今日がはじめてのことではなくて。

    「ハンコ、どこに置いたかアタシ知ってるから。持ってくるね」

     アタシがそう言うと、あなたは、ごめん、て、てれくさそうに、わらった。
     あいあい、と手をひらひらさせて、アタシはハンコを置いてある棚へ向かう。

     ……しかしまあ。ただの担当ウマ娘を、なんども妻とまちがえそうになるなんて。
     そんなトレーナーさん、おりゅ?

     あした、おもしろいはなしの種として、イクノあたりにしゃべってみようかな。
     そんなことを、アタシは思うのだった。


     END.

  • 178二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 18:06:28

    こんなの聞かされたらイクノが血糖値スパイク起こして昏倒してしまう…

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 22:03:59

    騙されるな
    甘いように見えてもクソボケ度が変わってないぞ

  • 180二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 22:50:14

    これが「籍を入れてないだけの夫婦」か…

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 07:07:05

    甘いんだか甘くないんだか例えようもない理不尽さを感じるイクノ

  • 182二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 13:54:31

    ゴールインが近いんだか遠いんだかわからんな

  • 183二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 21:18:25

    ゴールの向こう側の誰も手出しできない領域でクソボケしてるっていうか…

  • 184二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 02:59:23

    贅沢言わないからこんなネイチャと過ごしたいよ

  • 185二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 08:25:58

    多分収納場所とかネイトレより詳しくなってる

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 17:24:10

    正気に戻ったふたりの最終回

    「……おれたち、なんで付き合っていないんだ?」

     あなたが、ぽつりとそう言った。
     夏の昼下がりの、お部屋のまんなか。
     テーブルの上には、アタシが作った冷やし中華。
     きらきら光る錦糸卵と、きゅうりの緑が、いろどりよくできたなって、思う。
     クーラーの低い音だけが、しずかに響いていた。

     なんで、て、いまさらふしぎそうに言われても。
     そのまっすぐな目が、すこしだけくるしい。

     こいびととか、けっこんとか、そういうきらきらしたやくそくは、アタシには、にあわないからだよ。
     アタシの柄じゃ、ないんだよ。

     主人公はいつだって、アタシじゃないだれかで。
     アタシは、物語のまん中にいるヒロインみたいに、きれいにわらうことなんて、できないって思ってる。
     劇的に恋をかなえるなんて、あるはずがないって思ってる。 

     でもね。
     こうして、あなたのためのごはんを作ったり。
     夏バテのあなたのそばにいたり。
     そういうことなら、アタシにも、できていたでしょう?

     それが、アタシがあなたのとなりにいていい、たったひとつの理由だったんだ。
     ほんとうだよ。
     あなたのものがたりのとなりで、うなずいているだけでよかったんだよ。

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 17:25:46

     冷やし中華を、ひとくち、口に運ぶ。
     しょっぱくてすっぱくてあまい、たれの味が、口の中にひろがる。

     ――はじまりは、夏バテのあなたに冷やし中華をふるまってから。
     たった、それだけのことだったのに。
     あなたが元気になっても、アタシはかわらずあなたを訪れて。
     はては、ここに寝泊まりするようになっていて。

     ……ふりかえってみると、そうだね。
     アタシたち、なんでつきあってないんだろうね。

    「……そう、だね」

     アタシはちいさくうなずく。
     うん、そうだね。それなら、しかたないね。

     アタシとあなたの関係を、いっぽすすめるのではなく。
     アタシとあなたの関係に、あらためて、ちゃんとしたかたちをあたえてあげるとするならば。

     ただこうして、ふたりでごはんを食べて、どうでもいいことをおしゃべりする、このあたりまえのまいにち。

     ――そんな、とくべつ、に、なまえをつけるとするならば。

  • 188二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 17:26:48

     それなら、こたえはたぶん、ひとつだけ。

    「じゃあ、けっこん、しよっか」

     アタシがそう言うと、あなたは、きょとん、てした。
     それからすこしだけ、わらって。

    「うん、するか」

     網戸のむこう、風が、秋の香りをはこんでくる。
     季節が去っていく、さびしいにおい。

     あなたのながい夏バテも、この風といっしょに、どこかへいってしまうね。
     アタシがここにいるだいじな言い訳が、ひとつ、つかえなくなっちゃう。
     でも、もういらなかったね。

     あなたの、「うん」ていう、そのこえが。
     あなたのとなりにいる、ぜんぶの理由になったんだから。


     END.

  • 189二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 18:03:55

    正気じゃなかったのか…これにはイクノもニッコリ(?)

  • 190二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:48:21

    長い遠回りだったな…
    (ゴールを越えてなお進んでからまたゴールラインに引き返してきてる)

  • 191二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 04:33:02

    なんだかんだで和むスレだったよ乙

  • 192二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 09:37:43

    盛大な式もやって幸せになれ

  • 193二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 18:49:34

    もう結婚できる年齢になってたんだな…
    ネイチャ引退後ぐらいか?

  • 194二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 19:54:56

    >>193

    いや在学中なのに結婚の話してるほうがクソボケっぽくてアリかもしれない

  • 195二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 20:05:21

    イチャイチャネイチャさんじゃないか

オススメ

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