- 1二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:25:20
- 2二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:25:58
セルフサービス定期
- 3二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:29:39
もう目の前にありますよね
- 4二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 15:32:33
そこになければないですね
....ではなく、そこにあるではないですか - 5二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:00:16
- 6二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:21:16
ぶっちゃけpixivあたり探せばありそうだよね
- 7二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:27:08
でもこの暑さの中わざわざネット上を探すのめんどくさいしこのスレでいいかあ…ってなる
- 8二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:38:25
マジで結婚したい
- 9二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:40:24
- 10二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:48:06
- 11二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 16:49:40
帰宅してまだこのスレが残ってて他に書いてる人いなかったうえで気力残ってたら書こうかな…
- 12二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:11:35
「さあくえほらくえはよくえー」
暑さに負けて芋虫のように床にくたばる暮らしをしているトレーナーさんに小さく嘆息しながら、ナイスネイチャは目の前のローテーブルにお皿を置く。
涼しげなガラスの器に盛られた冷やし中華。彩り豊かに飾られた錦糸卵、紅玉の如きトマト、鮮やかな緑のキュウリ。花のように重ねられている輪切りのハム。
「暑くて食べない、食べないから動けなくなる、動けなくなるから暑いんですぞー」
言い聞かせる声には呆れの声音と、いたわりの色。
麦茶の入ったグラスがコトンと音を立ててテーブルに置かれる。
「八百屋のおばちゃんが、『夏バテに効くから』って、キュウリやトマト、おまけに付けてくれたんだから。感謝してくださいなー」
いただきますと手を合わせながら、料理の説明をするネイチャ。
トレーナーさんがひとくち食べ進める都度に、なんだか回復してってるようにネイチャには見えた。全体的な動きがましになってってるって言うか。
八百屋さんの新鮮な食材すげぇ、とネイチャは思う。
「ネイチャが作ってくれたから力が湧くんだよ」
ネイチャの心を読んだように、トレーナーさんは続ける。
「褒めても何も出ませんがー」
黙って食べろ、とネイチャは思う。心の声に会話が続けられたことには、何の疑問もわくことはない。
キュウリを噛む。シャキッとした歯ごたえと、口いっぱいにひろがるみずみずしい香り。
うむ、食材のパワーですよやっぱり。
「いやだって……」
トレーナーさんはお箸でつまんだ錦糸卵をみる。こんな細くて柔らかい錦糸卵なんかどうやってやるの、人の手でできるのこんなこと。とふしぎに思う。
「別に普通に切ってるだけですがー」
そんな心の声にネイチャは会話を続ける。心の声に説明を重ねられても、料理ができる人にとってはそんなものなのかもしれないけれど、とトレーナーさんは思うだけで。
お互いにだらだらと言い合いながら、二人で冷やし中華を食べる時間。無言の時間が流れるけれど、それは決して気まずいものではなくて、ただの当たり前、が流れる安らぎのひととき。 - 13二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:13:00
「あー、生き返る……」
トレーナーさんが、最後の麺を啜り終えると、満足そうにため息をついた。その表情は、先ほどまでの疲弊した顔とはまるで別人だ。
生き返るの早くない? とネイチャは呆れた視線を送る。
「ネイチャの手料理食べて生き返らないわけなくない?」
トレーナーさんは当たり前のように言う。
元気を出してほしかったのは事実だから、まあそれでいいかとネイチャは何も言わなかった。
じゃあ片付けるね、と席を立つ。トレーナーさんも、食器を下げるために立ち上がる。
正直その程度、全部自分で片付けてしまう方が楽なのだけれど、それがトレーナーさんなりの感謝とお手伝いだということはわかるから、ふたりで一緒にシンクに立つ。
ネイチャが食器を洗って、隣でトレーナーさんが拭いて。
じゃああたしは寮に帰りますぞー、となんらの名残惜しさも見せずにネイチャは玄関で靴をはきはじめて。
「いつもありがとう、おいしかったよ」
「いえいえ喜んでくれたなら甲斐があったってもんですよー」
じゃあね、と笑って手を振って、ネイチャは帰路を歩く。
足取りは、軽かった。んー? 機嫌がいいなあアタシ、とアスリートとして自分自身に向ける自己分析。
なんでかな、と思う。トレーナーさんの部屋で何があったっけ。
ごはんつくったこと。よろこんでくれたこと。げんきになってくれたこと。感謝の言葉を言ってくれたこと。
んー、たいしたことのないあたりまえのことしか思い浮かばないですねえ。
この機嫌に、トレーナーさんは関係ないかなあ……。
まあ、いっか。暑いのに調子いいってことはいいことなのですよ。
END. - 14二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:13:36
すまないネイチャ…
私は冷たい麺が全く食べられないんだ…
というか冷えた塩っぱいもの全般ダメなんだ… - 15二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 17:26:02
いたいけな中等部女子に何言っているんだこのトレーナーは
ネイトレはこういう奴だった手遅れだし付ける薬もありませんね乙 - 16二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 18:51:07
贅沢は言わないから暑い日をネイチャとこういうふうに過ごさせてくれ
それだけでいいんだ - 171125/07/24(木) 19:44:33
帰宅したらもう書いてくれてる人がいた……ありがてえ……満足したので失礼する
- 18二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:02:35
- 1911 (1/2)25/07/24(木) 20:28:38
「ほれー、おーきーなーさーいー」
そういうアタシの足もとには、だらけ切った大の字にの姿をさらけ出すトレーナーさん。
自室のクーラーの下に陣取って寝転び、「意地でもここを動きたくない」と暗に主張している。
「そうやって冷房浴びてゴロゴロばっかりしてたら身体冷えて体調壊しちゃいますぞー。ほら一旦おきてご飯食べないと」
「暑くて食欲わかない…………明日の朝まとめて食べる……」
普段のしっかりした姿からは考えられない、疲れ切ってだらしない言葉を述べるトレーナーさん。
だが、そんなことを受け入れてあげるほどアタシは優しくはない。そもそも体調管理だの食事の重要性だのを普段口にしてるのはアンタでしょうが。
「暑くて食欲わかないのはわかるけども、食べないと余計身体おかしくなっちゃうんですぞー。トレーナーさんがだらんとしてる間に台所借りて冷やし中華作っちゃったから食べてくださいな」
「冷やし中華を作った」というアタシの言葉にピクリと身体を反応させるトレーナーさん。これは釣れたかな?
「八百屋のおばちゃんが『夏バテに効くから』ってキュウリやトマトをおまけしてくれたんですぞー。新鮮なヤツ。ちゃーんと錦糸卵もハムもありますぞー」
身体を何度かピクリとふるわせた後、トレーナーさんは意を決したようにのそのそと動きだす。よしよし、計画通り。
「お、ちゃんとクーラーの真下から起きてきた 偉い偉い」
アタシが若干からかいがちに褒めると笑顔で頬をかく。全く、いい年した大人だってのにこういうところは妙に子供っぽい。
でも、そんなところも愛おしいと感じてしまうのは惚れた弱みってヤツなんですかね。 - 2011 (2/2)25/07/24(木) 20:29:39
「んじゃ、アタシも寮に帰る前にここで食べて行かせてもらいますかねー」
そういいながらお互い向かい合うように食器や箸、冷えた麦茶の入ったグラスを置く。
「いただきます!」
「はい、いただきますっと」
さっきまでのだらけた姿はどこへやら、すっかり元気を取り戻して目を輝かせながら手を合わせるトレーナーさんとともに、アタシも手を合わせる。
部屋はクーラーでしっかり冷えているけれど、アタシの頬も心も外の暑さに負けないくらい火照っている気がする。
……いや、これは夏だから仕方ないことなんデス。
心の中で自分で自分に言い訳しながら、麺をすする。
これを食べ終わって片付けまで済めば、アタシは寮に帰らなくてはならない。
ならば、せめてそれまでこの時間を満喫させてもらおう。
目の前でおいしいと連呼しながら麺をすする愛しの人を見つめながら、真っ赤に熟れたトマトを齧った。
その顔がトマトに負けず真っ赤だけれど、この上ない笑みを浮かべているのは2人とも気づいていなかった。 - 211125/07/24(木) 20:30:40
私には即興ではこの程度しか書けませんでしたがお許しください
- 22二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 20:36:24
- 23二次元好きの匿名さん25/07/24(木) 21:43:07
ありがとうございますごちそうさまでしたおかわりはないのですか
- 24二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:25:37
>>12書いたものですが、
>>5>>9>>10を取り入れて別の雰囲気でまた書いてみました。
水音が揺れる。
淡く湯気を残した鍋の底に、透明な流れが落ち、舞い上がる。
滴り落ちた冷水が、ざぶりと麺を洗うたび、少しずつ、指先から熱が抜けていくようで。
「うむ、これは暑い」
室内にクーラーが無いわけでは無いけれど、ガスの火の前に立てばさすがに堪える。
ボウルの中。冷凍庫から取り出した氷が目に見えて小さくなっていく。溶けていくのはっや。
お鍋の隣で、そっと冷やしていたお皿に麺を載せて、平たく整える。
きゅうりは薄く。
トマトは半月に。
錦糸卵は、ふわりとほどけた陽だまりの糸みたいに。
ハムの色は、朝焼けみたいな淡い桃色。
商店街での、お買い物の一幕。
「ネイチャちゃん、いいブツがあるわよ」
「何ですかその言い方」
元気にしてあげたい人が、居るんでしょう?
夏バテに効きそうなお野菜。おばちゃんが、おせっかいしたのだったか。
――ネイチャが、体調をおかしくしてしまった誰かのために、求めたのだったか。
- 25二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:26:59
もぞもぞと、クーラーの真下から出られないイモムシさん。
ぐだぐだの部屋着に、ぐしゃぐしゃの髪。台所で作業をする私を見て、料理の音を聴いて、出来上がりの匂いを嗅いで、ちょっと活動し始める。
そんな姿が、なんかずるくて。
「ほーら、ご飯抜いたりするから。余計、体調おかしくなっちゃうんですぞー?」
わざと間を伸ばして、茶化すように口調を整える。彼の返事は、のろのろと喉の奥で唸るような声。
わかってる、わかってはいるんだが。と彼は言う。
ネイチャもわかってる。そんなこと言ったって暑いものは暑いんだからしかたがない。
だから、ほら。
華やかな彩りを差し出して。
「冷やし中華、作ったから。食べてくださいな」
こんなものが、できあがりましたよ、と。
テーブルについて、改めて目の前の冷やし中華に視線をおとして、ぽつりと。
「……錦糸卵すげぇ」
いちばん最初に見るのがそこ? とネイチャは苦笑いする。
暑さが、トレーナーさんのあちこちを、じわじわと削いでいってるんだなあ。
「八百屋のおばちゃんが夏バテに効くからっておまけしてくれたんですよ」
だから冷やし中華にしてみました、と。ネイチャも手を合わせて、頂きますをする。
「おまけ、してくれた?」
「――そ、おまけ、してくれたのですぞ」 - 26二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:28:32
トレーナーさんも箸を取る。
なんで会話のそこ広げるんだろ、と、ほんのちょっぴり戸惑ったネイチャをよそに。
冷えた麺を少しだけ口に運んで、それから、ぽつり。
「……うまい」
あっけない一言だったけど。
それだけで、報われた気がする。ガスの火の前に立ったことも。
――元気が出そうなたべものを、探したことも。
ふたりとも、ご飯を食べながらおしゃべりをするタイプでもなくて。
ましてや、一口食べる度に食レポみたいな声をあげるなんてこともないから。
静かに、食が進む。ゆるやかに、流れる時間。
いま、座っているこの席を、あたりまえの『家』みたいに感じている自分自身に、ネイチャは思う。
――冷静に考えたらアタシのこの距離感。めっちゃやばくないですかい。
こんなんただの。
か、か、か――。通い妻ってやつでは、ないですか。 - 27二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:29:32
汗が、増した気がする。いや冷たいごはん食べてるのになんでだよ。
ネイチャさんのほうが、夏の暑さにおかしくなってきましたぞ。
――そんなばかなことを、こころのなかでひとりごちる。
リセットするように、トマトを口に運ぶ。強い、酸味。でも、それがいい。
舌の奥に、爽やかな水分。
「……ここまでしてくれて、申し訳ないな」
――そこまでしちゃったんですねえアタシ。
一人暮らしの、異性の部屋で。お料理する女子中学生。
すっげぇ踏み込んでるって、さすがのネイチャさんだって自覚してるんですよ。
でもそれは、しょうがなくない?
暑い食べない動かないの負の夏バテスパイラルを、どうにかしてあげたいってのがネイチャさんの人情ってものでしょう。
「―――料理しない人は、知らないんですよね。新鮮なお野菜のパワーを」
「だからネイチャは、夏バテしない?」
そうかも、しれない。例えば、それこそ八百屋のおばちゃんなんか、夏バテなんかまったくしなさそうで。
―――そしてぶっちゃけ、商店街の気質に染まってるネイチャも、おばちゃんと同じ属性なところはあるのだろう。
……あれ、つまりアタシってもう若くないのか? おばちゃん気質なんか?
――夏が、おばかな思考を加速するなかで、いつのまにかふたりして、もう、食べ終わっていた。
冷たい麦茶を飲んで、一息つく。
食事の動作が終わって、ただ、テーブルで向かい合うだけのふたりになる。 - 28二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:30:44
「……ネイチャって、さ」
ぽつりと、声。
ちょっとどきっとして、その言葉の先を待つ。
「……ありがとう、おいしかったよ。それに、助かった」
そんなお礼の言葉に、過不足はない。
……これが妥当だって、ネイチャさんだってわかってるんですよ。不満はないんですよ。
……でも。うら若い乙女にここまでさせてるくせに、ねえ?
きっとあなただって、気づいてないふりをしているくせに。
――わかっていないふりを、しているくせに。
まあ、それはそれとして。
「お礼はいいからさ」
わたしは笑った。
少しだけ、指先を冷たいコップに触れたまま。
「―――ちゃんと、ご飯食べて。寝て、起きて。そんで、また頑張ってくれたら、それでいいんですよ」
だって、わたしは、トレーナーの担当ウマ娘だから。
――だから、それで、いいんです。
麦茶のグラスを戻す。かちりと、音が響く。 - 29二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 02:35:32
「じゃあネイチャさんはそろそろ帰りますよ。門限、閉まっちゃうし。洗い物は自分でやるんですぞー」
立ち上がって、荷物を手に取る。
後ろ髪を引かれるような気持ちを振り切って、玄関の方へ。
「明日はちゃんと起きてよ。お昼、また持ってきてあげるから」
靴を履きながら言うと、背後から、曖昧な笑い声が返ってきた。
「……生徒に甘やかされすぎてるなあ、おれ」
「……夏バテじゃあ、しかたないじゃないですか」
じゃあ、また明日。学校で。答え去る自分の声が、少しだけ震えてた。
きっと、トレーナーさんが言いたいことは、そんなことではなくて。
――それなら、こんなふたりの関係性を。
トレーナーさんはなんて、呼ぶんですか?
――外に出ると、陽はすっかり傾いていて。
暑い空気が、夜にはちょっとはましになればいいなあと、とぼとぼと帰路を辿る。
胸の奥に灯る、ちいさな気持ちを、そっと抱えながら、歩いて行く。
ズルいあなたと、ズルいアタシの関係性に、まだ名前を付けられないまま――
END. - 30二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 04:31:10
寝る前にあげとこうか
- 31二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 06:41:08
朝から暑いよネイチャ
- 32二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 09:13:40
縁側でぼけっとしてるところ、はだしでペタペタやってきて「ん」ってよく冷やしたキュウリを差し出してくれるんだ
- 33二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 10:04:42
冷えた瓶ビールが飲みたくなった
- 34二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 11:20:34
スイカ好きじゃないけどネイチャとなら食べれる
- 35二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 17:19:19
ネイチャの汗を補給したい
- 36二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 19:03:21
だがちょっとまってほしい
冷やし中華に縛られなければ通い妻ネイチャSSがもっと生まれるのではないだろうか - 37二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 22:59:35
天才かよ
- 38二次元好きの匿名さん25/07/25(金) 23:34:33
なんかネイチャって夏の食べ物似合うよね
冷やし中華、キュウリ、トマト、スイカ、ソーダアイス… - 39二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:47:20
夏の食べ物って言うか野菜が似合う
腕にぶら下げた買い物袋から野菜がはみ出してるのがすごい似合う
これは他のどのキャラにもないネイチャだけの属性だと思う - 40二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 08:48:47
ラムネ似合いそうだな
- 41二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 10:39:45
はーい、今日はオクラの天ぷらですよ
今日もあっついけどこれ食べてねばーギブアップ……なんちて
さ、食べよ食べよ! - 42二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:06:23
ネイトレがお礼に買っておいたかき氷を一緒に食べててほしい
- 43二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:09:23
今度はラムネとかき氷で書いてみました。
クラゲが漂っている。骨も意志も溶かして、ただ夏を漂うクラゲ。
クーラーという太陽の下で、思考することを放棄して、もうこの世界から――
カチャリ、と。
聞き慣れた合鍵の音が、彼を世界へと呼び寄せる。
「うわまた床で伸びてるー。トレーナーさん、そろそろ本体は床の方なんじゃないの?」
「……ネイチャか。俺は今、光合成の途中なだけだ。ジャマしないでもらおうか」
「植物に謝れ。ほら、そんな干からびたトレーナーのために、とっておきの最終兵器を持ってきたんだから」
感謝してよね、と彼女が広げた風呂敷。
中から現れたのは、やけにレトロで可愛らしい、手動のかき氷機だった。
「はーい氷投入ー。トレーナーさんハンドル回してー」
有無を言わさず、俺の手にハンドルが握らされる。
ネイチャが氷をセットして、ぎゅっと押さえた。
仕方なく、力を込めてハンドルを回す。
ガリ、ガリガリ、ゴリ、ゴリゴリ。
夏を削り出す音。懐かしい記憶の欠片が、純白の雪となって器に舞い落ちる。
「……おお」
「でしょでしょ? 結構楽しいんだよね、これ」
感嘆の声と同意の相槌。
合鍵を持つふたりの意思の疎通は、いつも一段飛ばしで。 - 44二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:10:40
正直手回しなんてめんどくさいと思っていたのに、あっという間に器はこんもりとした雪山になっていて。
ネイチャは得意げに、トレーナーさんへ視線を送る。持ってきて、良かったでしょ。
トレーナーさんはふいと目を逸らす。ひとりで回してたら、つまらなかったと思うよ。
ふたりはふたりで居ることの意味を、わざわざ考えたりなんかしなくて。
「シロップどうする? イチゴとブルーハワイあるよ」
「ブルーハワイがいい」
「はー? 争いってこういうことから起こるんですよねー。定番はイチゴを選ばないってどれだけひねくれてるの」
「ひねくれ者を自認してるネイチャが言っていい台詞なのそれ」
「そんなアタシのトレーナーはアンタでしょうが!」
一分間の激論の末、結局ふたつを混ぜ合わせた、世にも毒々しい紫色のかき氷が完成した。
まあ、これはこれで。
「へへへ、旦那ぁ。あとこんなものもありやすぜ」
すっ、とネイチャがヤバいブツを差し出す。ビー玉の栓が涼しげなラムネの瓶。
ドレーナーさんが栓を押そうとすると、これが中々どうして、固くって。
「あれ、……ぐ、ぬぬぬ……」
「は-? いまどきの若いもんはラムネの開け方すら知らないのですなあ」
ひょいと取り上げられ、彼女が手のひらでぐっと押し込む。
ポンッ! と。
世界で一番、夏が似合う音がした。しゅわしゅわと、空色の泡が立ち上る。 - 45二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:11:59
「はい、どーぞ。いやーアタシがいないとラムネ一本飲めないんじゃこの先困りますぞー」
「マウント乙」
捨て台詞を吐き捨てて、かき氷を口に含む。
イチゴとブルーハワイが混ざった味。つまり、よくわからない味。
でも、それがなんだか、ひどくおかしかった。
「かき氷のシロップって色が違うだけで味はみんな同じだって言うよな」
「現実にアタシたちが錯覚してる時点でかき氷の勝ちだと思うなー」
それはそうだ、と思う。そういうのは錯覚に惑わされない超人に任せておけばいいのだ。
夏バテとの戦いでせいいっぱいな凡人達は素直に騙されて楽しんでいればいい。
「まだ光合成したい?」
ネイチャは言う。
「……いや、あんまり」
きみといっしょにいるほうがいい。なんてトレーナーさんは言えない。
まだ昼は長いし夏は続く。
でも、わざわざ紫色のかき氷で笑い合えるふたりなら。
そんな夏だって、悪くないのかもしれない。
END. - 46二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 20:21:36
外部サイト使った方がええよ
- 47二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 03:15:14
書きたいネタを書きたいときに書きたい場所で書くんだよ
- 48二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 10:55:40
夏が終わるまでだらだらしていたいスレ
- 49二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 15:40:20
- 50二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 18:15:58
なるほどこれ直接かければ良いのか
- 51二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 20:33:41
炭酸水以外の使い道を始めて知った
問題はそのためだけにかき氷を用意したいかというと…