- 1二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:26:51
- 2125/07/26(土) 00:28:14
よりにもよって、何で私が。
アイツの家の前に立って、ふとそう思ってしまう。別に仲が良いわけじゃない。完璧に好感度が無い訳じゃないが、どちらにせよ、1と0の違いだ。どんぐりの背比べをするぐらいなら、0の方が吹っ切れていて丁度いい。と、私は思っている。
「······クソっ······」
なーにがいい関係になってキスでもしてきたらどうですか、だイロハの奴。そんな関係になれるならアイツとは今でも仲良しだ。そう出来なかった時点で仲が険悪になることぐらい分かっているだろう。イロハだってそんなバカじゃないんだから。いや、というかそもそもあれか?アイツなりの嫉妬か? - 3125/07/26(土) 00:29:21
······取り乱した。ふぅと息をついて、ポケットの中を探る。今日のためにもってきた、少し古い財布。多分初めて学校というものに行ってから、この学園の最高年をもう一度経験する前まで、ずっと使っていた。使わなくなった理由は、正直バカバカしすぎて言えない。特に使う予定も無かったから捨てても良かったのに───心の何処かで捨てきれることの出来ない、情か何か、邪魔なせいでずっと除け者にしていた財布。
それを開ければ、ほんの少しの汚れと、鍵。······そういえば、アイツ自身はまだ合鍵を持っているのだろうか?私の家に来ることも減ったから、捨てたと思っていたのだが······いや、そうであることを願おう。私なんかの未練たらたら女のことなんか忘れて、とっとと別の奴に好意を寄せていて欲しい。 - 4125/07/26(土) 00:30:57
「······」
無言のまま、それを目の前に高く、固くそびえ立つように見える扉に突き刺した。形状は変わっていないから、すんなりと、止まることなく中へ入っていく。コツ、と引っかかる感触と同時に回せば、カチリと無機質な機械音が響いた。
さぁ、ここからだ。正直鍵を回すことでさえ比較的緊張して、怖かったのに、今度はさらに扉を開ける工程だっているのだ。ギュッと唇を噛んで、スーハーと心を大人しくさせようとする。けれど、心の焦りは少ししか消えない。一気に手汗が溢れ出るようにして、染みていく。額の汗はただただ暑い、なんて言えば誤魔化せる。でも、手汗が誤魔化しが出来ない。
───いいからっ!!放っておいてよ!! - 5125/07/26(土) 00:32:28
あの時ハッキリと告げられた明確な意思。拒絶的な言葉。あれから、完全に破局と呼べる関係になった。元カレ元カノ。響きも正直良くない言葉······いや、女同士で恋愛して、別れたら表してみると元カノ元カノ?
───いやちょっと待て。私は何の話をしているんだ。そんな事言ってる場合じゃないくらいに、今は緊張している。そのはずなのに。
もし、今度も拒絶されたらどうする?別に今は知っている。あの駄犬から不服そうに告げられた時は、頭が真っ白になったようだった。私の優しさが───それを思い返しただけで、引き返したくなる。どうすればいい?私に、再びアイツに優しくできる権利なんてあるのか?だって───気づけなかった分際で─── - 6125/07/26(土) 00:34:00
「······あ〜〜〜······!!!」
癇癪中の子供みたいに手袋を掴んで、床に投げ捨てる。
いや、別に怖いとか、そういうのじゃなくて、シンプルに暑い。暑すぎる。こんなの扉を開けるか開けないかのしょうもない論争を巻き起こす前に、まず自分が倒れて死ぬ。そんなバカな死に方流石に許容出来ない。てか出来てたまるか。
「······」
聞こえないほど、薄く濁った舌打ち。それをしながら、覚悟を決める。あぁ、いいさ。この際、もう嫌われるなら嫌われるでいい。憎まれるなら憎まれる、それでも構わないさ。こっちも言いたいことを言わせてもらおう。 - 7125/07/26(土) 00:35:35
───嫌いになってくれと。忘れてくれと。殺したいと思うほど、憎んで欲しいと。
- 8125/07/26(土) 00:36:51
ギィと少し軋んだ木材の音。それと一緒にやけに見慣れた景色が入った。懐かしく、本当に変わっていない。安心感を覚えると共に、どうしても心が引き締まる。
「······」
予想はしていたが、まぁ寝込んでいるのだろうから当たり前か。勝手に扉を開けたとて、返事は返ってこない。多分ここで、「マコト様が仕方なく来てやったぞ!!」とでも言えば、多分アイツは面倒くさがりながらも何か言ってくるだろう。 - 9125/07/26(土) 00:39:33
───それをやったら戦争だろう。というか戦争になる間もなく私は殺される。その行為自体ただの阿呆だから。
「······ん」
靴を脱ぎ捨てて、何もかかっていない帽子掛けに帽子をかけた。ほんの少し、軋む音が聞こえる。
あれから片付けも手入れもしていなかったのだろう。多分湿気で木が腐っている。そもそもこの木がしぶといせいなのか、腐っている癖にそう簡単には折れなさそうではある。とりあえず、今日の間はしぶとく持っていて欲しい。
「······」
足を踏み進めてリビングに行けば、目的の人物が居た。 - 10125/07/26(土) 00:41:00
───何をしているコイツは。まずまずどういう体勢でソファーに寝ている?何で過労で疲れたみたいな体制で寝ているんだ?そして、何で床に皿の破片が散乱している?何で床に凄い雑に切られたリンゴが落ちてる?そして、コイツ自身も何でそれを片付けていない?
······まさかとは思うが、気絶したのか?
「そんなに軟弱じゃないだろうコイツ·······?」
あの怪物並みに強い、化け物卑劣極悪風紀委員長様。
全ての悪評を合わせてみたらこうなる彼女は、そう言われる程の強さはある。しかし、メンタルがクソ雑魚なのも私は知っている。それ故か、この惨状は。 - 11125/07/26(土) 00:42:00
「······おい」
本当に呆れたまま、つい足で軽くつつく。
もし意識が無かったら、大人しく病院か医学部に突き出す。そこまで行ったら私がどうにか出来るの範疇を超えているからな。無理してやってヒナが後遺症を負ったら二度と立ち直れない。
だが、本来の予定であった私が看病せざるを得なくなった事が今判明した。微かに反応を見せ、呻き声が漏れていた。
「ぅ······」
正直、やりたくないやりたい云々よりも、シンプルに気まづいだろうから起きていて欲しくなかった。というかずっと気絶して欲しかった。
「······起きたか?風紀委員長様」 - 12125/07/26(土) 00:43:55
つっけんどんに言いながら、皿の破片を拾う。これはもう食べれないだろう。多分咳をしながら頑張って切ったのだろうが、この掃除しているのかも分からない床に落ちた物を食うのは自傷行為と同等だ。
破片とリンゴを捨てながら、再び振り向く。
「······っ、え······あ······」
何で貴女が───。
そう言っているような目つき。けれど、何処か温かい目。ここでいつもの様な鋭い目つきをしてくれれば、幾分かやりやすかったのに。こういう時だけそんな優しい目をするのは何なんだ。
「······行政官殿に頼まれて来たぞ。悪いか?」
乱雑にすくい上げて、ゴミ箱に捨てる。随分と多く割れたものだな。面倒だ。
後ろから、布切れの音が聞こえる。少し苦しそうな呻き声と、明らかに弱々し過ぎる震え声。多分立ち上がろうとして······いやおいちょっと待て。 - 13二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 00:45:50
どんな時間に建ててんだ
- 14125/07/26(土) 00:49:58
「立ち上がるな。寝てろ」
「っ、え······な、んで······」
「当たり前だろう。びょ······っ、う、人は寝ていろ」
少し濡れているリンゴを手に掴む度に不快感を覚えたせいで、緩みが出来た。結果、血が垂れてきた。スパッと尖った、無駄に鋭利な皿の破片で指を切った。最悪だ。というか何故手袋を脱いだ?私。
気づかれぬように声は耐えたが、明らか不自然な間が生まれてしまった。少し違和感は覚えられてしまったようだが、頭は回っていないらしい。
「······あ······」
パタリと、ソファーに倒れるように沈み込むのが視界の隅で見えた。コイツ、何でこういう時は素直なんだ。いや抵抗も反抗もする体力
チュウと血を吸い、苦い味に顔をしかめる。何回だって慣れない。いつまで経っても慣れることは無い。多分今後も、これは嫌いのままだろう。 - 15125/07/26(土) 00:54:23
「······ほら」
ガサッとソファーに買ってきたものを投げれば、え、と嗄れた声が聞こえる。いつもの彼女とは違いすぎる姿と声。申し訳ないがここで言うのならば、所謂ギャップ萌え。本人はそれどころじゃないのだから、やはり申し訳ない気持ちが先行する。
口で吸ってもなお、何故か薄ら垂れる血に舌打ちする。後で絆創膏でも貸してもらおう。まぁ、そんな事をするよりもとっとと止血しろ血小板。ヒナに迷惑かけたくないんだ。
「ゼリーと水、それと冷えピタ。どうせまともに歩けないだろう?それでしばらくは耐えれるか?」
不自然と、優しくなってしまう言葉。ただ冷たく、乱暴な言葉使いであしらえばいいだけなのに。何で。
いや、今はいい。とにかく、コイツの看病を手早く終わらせる。───今日中は付きっきりになるだろうな。あぁ、面倒だ。 - 16125/07/26(土) 00:57:17
「······たべ、れ······な」
······我儘かコイツ。つまり私にあーんしろと?何言ってるんだホントに。さっき立ち上がるなとは言ったが、全て私に任せろなって言っていないだろう。
というか───何だその格好。パジャマなのは合理的というか、ただただ体温調節?なのだろうが、だとしたらもう少しちゃんと着ろ。普通に肩出てるのは何なんだ?それすら分かってないのかお前。
「······あ、い、いや······これは······!」
指摘したら指摘したらで、顔を真っ赤にして恥ずかしがる。昔からそうだが、何故本当に少し感性がズレてるんだ?
───仕方ない。癪でしかない。本当に仕方ないだけ。仕方ないだけ······膝を地面につける。
「······食べさせればいいのか?」 - 17125/07/26(土) 00:59:25
なるべく指を見せず、袋の中からゼリーを取り出す。スプーン要らない飲むゼリーで良かった。
グッと力を入れて、蓋を開ける。プチプチと音を立てて、ゆっくりと外れていく。机に置いて、ヒナに向き合う。
「······」
汗がじんわりと額に滲んで、覗き出た胸元にも大量に液体が溢れている。少し辛そうな瞳をしたまま、健気に頑張って顔を上に向けている。その姿は、まるで雛鳥。
「······口、開けるか?」
少し、パチパチと瞬きした後、んべっと舌を引っ込めて開いた。
相変わらず小さい口。ほんの少しだけ欠けた前歯を気にしないまま、何の変哲も無い、エネルギー補給要因のゼリーを口に咥えさせた。本来なら口を開けた時の関係上、大きさ的には挟み込むようにしなければ落ちてしまう。飲み口の小ささ故の当然の事象ではある。が、幾らなんでもコイツの口小さすぎないか?普通に閉じさせなくても咥えさせられるんだが? - 18二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 01:07:20
「······ん、く······」
ちゅぱちゅぱと、もはや雛鳥どころか人間の赤子のようにしゃぶる姿。正直本人の意識がまともな状態でやればとても尊厳破壊に近い。
こういうのをするとなれば、看病役私で良かったな。
「······っふ、は······ッ······」
ゆっくりと離してやれば、微かに息切れしてヒューヒューと声が漏れた。今のコイツは本当に赤ちゃんみたいで、本来の体力が雀の涙、というかそれすらも無い。それで思う。風邪引いたってそこまでガタガタになりゃしないだろう。 - 19二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 01:08:20
「······飲めるか?」
若干涙目になりながらも、コク、と喉仏が微かに震えた。いつもの最強が霞むほどになっても、ゼリーぐらいは飲み込めるらしい。
良かった。人間の平均的な行動は一応出来るらしい。いや、歩けないから飲むくらいしか、今のコイツは出来ない。多分、私だったらそんな状態耐えられないだろうな。大体、尊厳破壊云々以前、そんなのでどうやって生活しろと?
「······足りないだろう、何か作るか?まともなのがあるのかは知らないが、とりあえず······」
ゆっくりと立ち上がって、少し痛んだ膝を優しく押さえる。固いフローリングの床だと、数分だとしても脚が死ぬ。膝から下、少し上は実質土下座と変わらない姿勢だから、痛くなるのは当然だ。 - 20125/07/26(土) 01:10:20
ぐい、袖が、引っ張られた。引っ張られた箇所だけが彼女の方に持っていかれ、身体はその場で硬直したまま。ほのかに顔がいつもよりも、いや風邪を引いたとしても熟しすぎている頬の色。しっかり見れば、ほんのり薄ら出た頬骨。
「······ま、こと······ぉ······」 - 21125/07/26(土) 01:11:36
───なぁ。どうしてお前は、そんなに泣きそうな顔をしてるんだ。
何で、そんなに苦しそうで、寂しそうで、行って欲しくないような、悲しみに満ちた顔を───。
今更、そんな表情は受け入れないって決めたのに。そう、だからこそ、手はもう取らないって。お前を傷つけるのが嫌だから、傷つけてしまうのが嫌だから。それが故に突き放しておいて───。 - 22125/07/26(土) 01:13:17
「······なんだ」
せめて、心のどこかで遠ざけようとして必死に冷たく突き放そうとする。どうせ、無理なのに。結局震えて、さらには優しくしてしまう。無理だ。
「······いか、ない······」
辞めろ。言うな。言わないでくれ。そんな、事。
顔を逸らして浮かんだ感情を見ずとも、どんな顔をしてるかなんて分かりきってる。自分の顔も、きっと切なさを浮かべてる。
(頼むから······っ!)
あぁ、この手を突き放してしまえばどんなに楽だろう。突き放してしまえば、それで、終わりなのに。彼女の方から拒絶して、その半年と少し後に私も突き放す。完璧で、最高だ。それで、今度こそ完全に仲は終わる。見るも無惨なまま───。 - 23125/07/26(土) 01:14:19
「······傍に、居ればいいのか?」
袖ごと引っ張られてやれば、ヒナの肩に寄りかかる形になった。ポテンと擬音が付くかのように、ヒナの身体が倒れそうになる。
明らかにバランスの比率は滅茶苦茶。角度的には29度。何をどう考えたって阿呆だ。普通寄りかかるべきはコイツだ。間違いなくコイツが私の肩に寄りかかって、寝ていれば明日には良くなっているだろう。なのに、何故立場が逆転した。もし横に倒れきったら多分死ぬぞ。怖がらせないためにも言いはしない。が、目で訴えかけてみる。
「······ん······」 - 24125/07/26(土) 01:15:32
───私の心配は無意味であった。風邪を引いていても、どうやら肉体の筋肉が減るなんて事はなく、強いらしい。何だかんだ絶妙なバランスで私ごと倒れ込むのは阻止している。いや、いっその事倒れ込んでくれたら離れられるのに、今はそれが出来ない。
変に露出した肩から温もりが伝わってくる。弱々しく掴んでくるから、離れられない。勘弁してくれ。私の事を考えてくれたって考えなくたっていいが、今は辞めてくれ。ただでさえ今色々情緒がグッチャグチャで取り繕ってるだけなのに。
「······まこと」
これはしばらく離してはくれないだろう。本当に許してくださいと謝罪したい。やけに切なげなその顔に罪悪感が沸いてきてしまう。馬鹿な発想であ、気の迷いな事ぐらい分かっているけれど、そう考えんきゃやってられるか。此方も袖を優しく掴み返す。
「······ごめ、ん、な······さい······」 - 25125/07/26(土) 01:16:51
「え」
は、え、は、え、は、あ、え、
変に掠れた呼吸だけ、ポタポタと喉からこぼれて、部屋に満ちる。異常に、急速に冷える心。言葉が変にカタコトになりかねなくて、口から出そうとした言葉を飲み込む。煮詰まった、氷水の唾も一緒に飲み込んだ。
「あな、た、には······め······い惑を、かけて、しまっ、て」
何を言ってる。一体、何を言っているんだ。
今まで何も言ってこなかった癖して、何もを、咎めるようにしか見てこなかったのに。お前の瞳は、ただ鋭くもなくただ怖いしか感じず、同一線上に感じたものも凍り付いた物は溶ける事は無かった。
変わりなきおどろおどろしい、どろどろ憎しんだ瞳は、良い意味で今は見える。 - 26125/07/26(土) 01:17:51
「······こうかい、し······」
顔がふとゆっくりズレて、ほのかに揺れたものが見えた。ただの虹彩の瞳では見えぬ、反射したひずみの景色。一般生徒に羽織らせれば、モップか雑巾になりかねないマントみたいなコートに、眼が当てられる。犬か猫か、親に縋る動物か。自分だけでは生きられず、ただ懇願する子供か。捻くれて、グシャグシャな頭じゃそんな風に見えて、訳が分からず、気づけば行動で自分の理念に反した。
自分でも分からないほどに、壊れそうに、優しく、抱きしめた。 - 27125/07/26(土) 01:18:55
「······いっぱぃ······くる、しんだ······!」
言葉が変な空気で覆われる。苦しみ、悲しみ、どちらかの感情が乗る。ポタポタと、音も鳴っていないのに、くだらない擬音が浮かんでしまう。細々、白く、隆起したみたいなモップを優しく撫でる。徐々に崩れていく自分の仮面、そのままに、吐き出しそうになる。既に決めた結果なんて、否が応でも噛み砕いて理解した。嫌で、そうなりながら納得させた。
「······」
自分でも分かっているから。既にこの決めた結果が意味しない事だって。
普通の人とは違く、身体は壊れた。だから、昔のようにヒナを愛でている。慰めている。全て、行動が示している。でも、頭は頑なにまだ決壊していないと反抗を起こしている。普通に頭が陥落してた方がマシだと思う程、百倍面倒で最悪な状態。顔と言葉だけでも繕えているだけマシだろうか。 - 28125/07/26(土) 01:21:40
「······っ······」
グイッと引き寄せて、体温を身体で感じられるようになる。頭に顔を埋める。顔を見られたくないからだったのか、それとも、ただ自分が彼女に慰められたいだけだったのか。
醜い根底を、こんな状況のヒナにすら何だか読まれているようで、顔を頑なに見せたくないと意地を張ってしまう。
「っ······っは······!う、ヴぅっうぅっ〜······!!!」
えずくようにぐずり、私と同じように顔を胸元に押し付けてくる。結局思考なんて読めないから、私と同じ理由なのか、別の理由なのか問いたださなければ行動の理由は分からない。だけど───だけど。 - 29125/07/26(土) 01:23:16
「······」
あぁ、みっともない。情けない。
本来なら、コイツを守ってあげなきゃ行けないのに。守られるばかりで。本来なら、コイツが1番悲しいはずなのに。私の方が悲しくて、泣きそうになって。本来なら、コイツとの関係は既に忘れているべきなのに───まだ。ズルズル、ズルズル引きずり続けて。
頑張ってコイツは先に進もうとして、過去を振り払おうとして。傍らからずっと見てて、それでも何処かで振り切れてるのは偉いなと、他人事のように偉そうにふんぞり返っていたら。結局一番逃げられていなかったのは自分だった。
「······なぁ」
彼女が風邪を引いている事すら忘れて、限界まで肌がくっつくほど密着する。二度と離さぬように、強く強く抱きしめる。既に、頭も溶けた。そもそもの反発的な思考なんてものも知るか。今だけは、離れたくない。どうせ、明日になったら、そして未来に行こうと、私の隣に、私の近くにお前は居ないんだろう?なぁ······? - 30125/07/26(土) 01:24:38
「······ひ、な······」
なら、いいだろう今くらいは。欲を吐き出したって。グズグズを鼻水を黒い制服に垂らして。止まらぬ涙をただ抑えることもせずに。お互いに、あの日のように抱きしめ合う。 - 31125/07/26(土) 01:26:11
戻れない過去に、今更縋っても。
変わることがないのに。 - 32125/07/26(土) 01:27:41
はい
拗れて別れたけど、結局引きずり続けてるマコヒナです
風邪要素は正直要らなかった - 33二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 07:28:42
とんでもない時間に建ててんなぁ
いいもん見せてもらいました - 34二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 07:31:33
素晴らしい…
- 35二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 07:34:09
めっちゃよかった!!!!!
マコトのずーっと引きずってる感じたまらん - 36二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 12:17:31
救いがあるかどうか分からないドロッドロのマコヒナ見れて嬉しかったです