【SS注意】「新菜君、新菜君!」

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:18:42

    3年生の3学期……の、ちょっと前。進級して、コミケとかはそんなにいかなかったけど、推しの漫画とかゲームのコスプレをして、って感じで色々あった高校生生活だったと思う。
    そんなある日、あたしは良いコトを思いついた。学校からの帰り道で話すような事じゃないかもしれないけど、絶対イイ!と思ったから、新菜君に提案だ。
    「はい。なんでしょうか、海夢さん」
    大きな背丈の新菜君が、あたしの方を向く。いつもみたいな優しそうな顔で、あたしをニコニコと眺めてくれる。やっぱり好きだなぁ……なんてしみじみと感じながら、あたしはさっきの良き!な思い付きを彼に伝えた。
    「新菜君さ。なにか、あたしにやってみて欲しいコスプレって、ある?」
    突然の発言に虚を突かれたのか、新菜君はどこかきょとんとした表情であたしを見返す。いつもとは少し違う顔を見たあたしは、なんだかおかしくなって、思わず笑いが零れた。
    「俺が……海夢さんにして欲しいコスプレ、ですか?」
    一体どういう……と続ける彼に、理由を伝える。
    「うん!新菜君が、あたしにして欲しいコスプレ!ほら、1年生の事に冬コミケでさ!天使(ハニエル)さまのコス衣装、作って貰ったじゃん?あの後、少しギクシャクしちゃったけど、その後、『自分の技術向上の為にも必要だから』って言ってたでしょ」
    そうですね。と新菜君は、要領を得ないのか少し曖昧にうなずいた。まだあたしの真意?は上手く伝わっていないようだ。まぁ急な提案だから、しょうがないか。
    「この3年間さ、ずっとコス衣装作って貰ってたじゃん?でもそれって基本的にあたしがしたいコスがメインだったでしょ?そろそろ卒業しちゃうし、そうなったら暫く時間の調整が大変になると思うんだよね」
    「あぁ、確かに。俺は卒業したら工房に入りますし、海夢さんはモデルの仕事を本格的にスタートさせますもんね」
    「そうそう!んで、今まではあたしがしたいコスで、新菜君がお雛さまを作る技術を上達させる、みたいな感じだったじゃん。だから、そろそろ高校生でコスプレ出来る時間少ないしさ、新菜君が『こんなもの作ってみたい!』的な?そういうののコスプレにチャレンジしてみてもいいかな~って。そしたら新菜君もコスプレやってくれるかなーって。最初で最後!みたいな?」

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:20:05

    >>1


    我ながら、いい思い付きだと思う。これまではずっとあたしの要望を聞いて貰ったし、それでお互い不満があった訳じゃないだろうけど、偶には新菜君がチャレンジしたみたい衣服を着てみるのもいいかなぁ、って思ったのだ。

    「なるほど……」

    そんな気持ちを伝えると、新菜君は腕を組んで目を瞑り、ウンウンと唸ってしまった。どうやら、とっさには決まらないらしい。やっぱり急な話だし、いきなり、という感じにはならないか、残念。なんて思ってると、新菜くんが「あ。」と目を開けて呟いた。どうやら、何か案が浮かんだらしい。

    「あ!なんか思いついた!?教えて教えて!」

    「いや、その~……」

    彼の考えを知りたくて、ズズイ、と踏み出し彼に顔を近づけた。でもなんだか歯切れが悪い気がする……。思いついたは良いが、思い直すとあたしに似合うか解らない、という感じなんだろうか?

    「多分最後だし、教えてよ~!似合う、似合わないとかは考えなくていいから!」

    「いえ、似合わない、という事は無いと思うんですが……」

    やはり、どこか遠慮してる雰囲気がある。少し不満だし、疑問も出てくる。躊躇する理由はなんだろうか、と焦れるような気持ちが強くなる。そんな訳で食い下がると、やっと新菜君は答えてくれた。最初は消え入りそうな声だったけど……

    「……ぉ──ま、です」

    「え、なんて?」

    「お雛様の衣装、です。思いついた衣装」

    なるほど、と思った。実際に工房に入る前に、お雛様の顔だけじゃなくて、衣装に関しても触れておきたい、という事だろうか。なんて考えていると、新菜君は言葉を続ける。

    「その場合、俺もお内裏様の恰好をするのもいいかなぁ、と……」

    恥ずかしそうに言う、新菜君。でもお雛様の衣装って、新菜君の身近にある衣装だよね……、と思った所で、『もしかして?』という想像が働いた。あたしがお雛様のコスして、新菜君はお内裏様のコスをする、って事は……

    「もしかして~、それってプロポーズ?みたいな?」

    少なくない期待に、胸が弾む。なんだかお洒落だなって思ったし、案外新菜君らしいのかも。なんて感じたからだ。その質問を聞いた彼の表情が、みるみるうちに赤くなった。茹でダコみたいに、というのはこういう時に言うのだろうか

    「──────……はい、そのつもりです」





    しゅき!!!





    .

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 21:21:44

    みたいなエピローグ読みたかったよね、という話

  • 4二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:10:43

    完全にその場面が思い浮かんだ
    良い妄想をありがとう

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:21:29

    >>4

    良かった……。第三者目線でも変じゃなかった

    単行本とにらめっこしながら書いた甲斐がありましたよ

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:37:54

    他にもこんなエピソード見たかったなとかあれば……

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 22:39:56

    若頭のときしてもおかしくない流れでしなかったし、ごじょー君がコスプレしないというラインは漫画で守ってそうだったな
    でも別にしない理由もないから将来してもいいよね

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 23:00:09

    >>7

    まぁハロパの時のごじょーくんって結構引っ込み思案というか主観的な客観評価が低い時期だったし……

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 23:03:08

    本人自覚ないだろうけど、現代高校生が作務衣や羽織コートで歩いてるの半分コスプレだよね…

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/26(土) 23:30:30

    >>9

    初期のごじょーくんは割と周囲の反応を気にしぃな印象あったけど、そこら辺は案外ニブい?というと多分ズレてるんだろうけどビックリする。制服以外でTシャツとかもほぼ無いのは珍しいよね

    多分おじいちゃんのおさがりとかなのかもしれないが

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