- 11◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 20:59:33
- 21◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:01:05
- 31◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:04:22
- 4二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:08:01
- 5二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:08:23
- 6二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:18:37
スレ主たて乙!
待ってました! - 7二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 21:21:10
たておつです!待ってました!
スレ主のSS大好きです!!楽しみにしてます - 81◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:24:00
- 91◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:36:40
>>4 【第一夜:潔世一・黒名蘭世】
「……潔、本当に行くのか」
「行くしかないだろ。……噂、聞いちゃったんだから」
誰が言ったのか、俺たちは覚えてない。
でも、気が付いたら、
頭の中にこびりついて、離れない。
“大浴場の一番奥のシャワーから、黒髪の束が出てくる”
“たまにだけど、本当に見たやつもいるって”
そんな話を聞いた夜に、
寝つけるはずもなかった。
真夜中の廊下は、やけに静かで、やけに暗かった。
天井の明かりは間引かれて、
足音だけが、妙に響く。
「潔……俺、こういうの本当に無理。無理」
「俺だってそうだよ。でも、二人ならなんとかなるって……!」
黒名とは、同じチームで、気も合うやつだけど、
でも今は、お互いに、まったく余裕がなかった。
- 101◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:39:01
「髪が詰まってるだけ、とかさ……そういう話じゃないの?」
「詰まるほどの量が“束”で出てきたら、それはそれでヤバい……」
少しでも、緊張を和らげたくて話してるのに。
出てくるのは、
余計に怖くなるようなことばかりだった。
夜の廊下は、
空調も止まってるのに、どこか寒くて。
裸足の足に、
冷たい床の感触が、じわじわ伝わってくる。
「……黒名、着いてきてるよな…?」
「潔、あんまり急ぐな……心臓に悪い……」
いつもより、少しだけ大きな黒名の声に、
俺の肩が、ビクッと震える。
廊下を曲がって、大浴場の扉が見えた。
「うわっ……!自動照明……タイミング最悪……」
パッと照明がついて、無人の浴場があらわになる。
タイルと壁が白く光って、
床に落ちる影が、やけにくっきりしていた。
人の気配がないのが、逆に怖い。 - 111◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:40:59
「……潔、何も出ないよな……?」
「それを確かめに来たんじゃんか……ビビらせんなよ……」
吐息に少しだけ、震えが混じる。
冷えきった空気のせいだけじゃない。
浴場に響く音は、俺たちの足音だけだった。
脱衣所を抜けて、洗い場へ。
濡れた床。
濡れた椅子。
誰もいないはずなのに、
ついさっき誰かが使ってたみたいな、そんな感じ。
「椅子、ズレてる……」
「……それ、言わなくていいって……」
並ぶシャワーの列を指で数えながら、
奥へと進んでいく。
1、2、3、4、5…………
番号が進むごとに、
なんだか空気が重くなる気がして、息を呑む。 - 121◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:43:37
「ここ……だよな。一番奥……」
目の前には、何の変哲もないシャワーの蛇口。
でも、どうしてだろう。
すぐそこに、誰かが座っているような気配がする。
「黒名……しゃがんでみるか……?」
「………や、やだ。やだ。潔、見てくれ……俺はちょっと後ろから見守ってるから……!」
「後ろから“見守る”って言うな……!」
そんな会話を交わしてるくせに、
どっちも、逃げる準備は万端だった。
俺は、そっと手を伸ばして、蛇口をひねる。
キィィィ……
乾いた音とともに、水が流れ出す。
まだ、何も起きない。
けど、流れる水のなかに――
何か、黒いものが混じっているような、
そんな気がした。
dice1d2=2 (2)
- 131◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 21:59:22
【真】
蛇口から落ちる水音だけが、浴場に響いていた。
天井の照明はまだ、点いている。
でも、どこか薄暗く感じるのは、
たぶん、気のせいじゃない。
俺は、じっと水を見つめていた。
最初は、何もなかった。
冷たい水が、ただタイルに流れていくだけだった。
でも――
それは、本当に“ただの水”だっただろうか。
流れのなかに、何か、黒いものがある。
髪の毛。
……一本じゃない。
絡まり合って、ねじれて、束になって――
排水口から、ゆっくりと、出てくる。
―――べちゃ。
そんな音が、した気がした。 - 141◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:05:19
俺は、動けなかった。
目の前で、それが確かに、這い出てきたから。
「や、やばいやばい、やばい、潔……っ!」
「……っ、見えてる、よな、黒名……!」
黒名の声が、震えている。
俺も、口の中がカラカラに乾いて、
声にならない声が、喉の奥で詰まっていた。
髪は、止まらなかった。
束のまま、次々と、
濡れた蛇口の下に現れてくる。
真っ黒で、長くて、濡れて、重そうで。
そして――
その“髪の先”に、何かが、ついていた。
見ちゃいけない、と思った。
でも、目を逸らせなかった。 - 151◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:08:31
床に広がった髪の先に、ゆっくりと――
白い、爪が、顔を出した。
人の指だ。
人の、それも、小さな指。
ぶわっ、と、背筋が冷たくなった。
「――ッッ!!!」
「うわああああああああああああ!!!!!!」
悲鳴がこだました。
俺が叫んだのか、黒名が叫んだのか、
それとも、両方だったか。
よく分からない。
ただ、もう、限界だった。
逃げなきゃ、と思った。
でも、足が動かない。
髪の束が、今にもこっちに向かって、
伸びてくるような気がして――
蛇口の下の空間が、口みたいに見えた。 - 161◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:10:34
「動け、動け動け動けっっっ!!!」
自分に言い聞かせるように叫んで、
ようやく身体が動いた。
後ろにいた黒名とぶつかりながら、
転がるように洗い場を離れる。
足元は濡れていて、滑る。
けれど、そんなのどうでもよかった。
髪の束が、追ってくるような気配がして――
「もう無理!!無理無理無理無理無理!!!」
叫びながら、脱衣所を飛び出した。
そのまま、濡れた足のまま廊下を走る。
黒名も、すぐ後ろで同じように叫んでいた。
笑われたって、いい。
ビビりだって、構わない。
だって、あれは――本当に、出たんだ。
【第一夜:潔世一・黒名蘭世】 - 17二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:12:20
いや怖……ガチのやつやんけ
- 181◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:29:12
>>17 【真】だったからトイレに行けなくなるくらい怖い話にしようと頑張ったよ!怖い話はやっぱりめちゃくちゃ怖くないとね!
- 191◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:31:36
>>5 【第二夜:糸師冴・潔世一・國神錬介・糸師凛】
誰が言い出したかは、知らない。
けど、そんな話が流れてくるってことは、
それなりに、噂として根付いてるってことだ。
“ブルーロックには、本来存在しないはずの階層がある”
“それを見つけたやつは、消えるらしい”
“階段は、普段は扉に隠されていて、あるときだけ開く”
―――そんな具合に。
俺はホラーに興味はねぇが、
嘘か真か、試すくらいは悪くないと思ってる。
「本当に行くのかよ、兄貴」
「行くっつったのは、お前じゃなかったか?」
「俺は確認しに行くって言っただけだ。一緒に行くとは言ってねえ」
凛は小さく舌打ちしながらも、
しっかりと、俺の後をついてくる。
潔世一と國神錬介も、俺たちの後ろにいた。
- 201◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:33:47
「階層……か。夢みたいな話だけど……いや、本当かもしれないし……」
「夢かどうかは、見てから決めろって話だな」
俺は、建物の構造をなんとなく覚えてる。
スタッフ用の通路の奥に、今は使われていない、
物置スペースがあったはずだ。
ふと、足元を見て、気づく。
通路の床材が、微妙に違っていた。
「なあ、ここ……壁、若干へこんでない……?」
潔世一がそう言って、壁の隅を指でなぞった。
國神錬介が黙って近づき、力を入れる。
ぎ……ぎい……と、重い音を立てて、
鉄の壁がわずかに、内側へ動いた。
「……開いたな」
「嘘だろ、マジで隠し部屋……?」
「階層があるってんなら、その先だな」
「普通の間取りじゃ、こうは作らねえよ」
凛の声が、少しだけ乾いた笑いを含む。 - 211◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:38:26
中は、真っ暗だった。
照明はなかったが、
スマホのライトをつければ、視界は確保できる。
湿った埃の匂いがする。
人が長い間入ってない場所特有の、
じっとりした空気。
「おい」
「どうした、冴?」
「今回は、“真”じゃなきゃいいな」
「………本当に、な」
潔世一の声が、小さく震えている。
そりゃまあ、前回が“本物”だったんだ。
仕方ねぇ。
「……お前は?」
「怖くは、ない。けど……油断はしねぇ」
「そうか」
ライトの光が、奥の床を照らした。 - 221◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:39:38
そして、その先。
―――壁際。
そこに、“扉”があった。
古びた鉄扉。
ペンキが剥げ、取っ手は錆びていた。
何の表示もない、ただの金属板。
だけど、足が止まる。
この扉の先に、“何かがある”気がして。
「ここだな」
「この奥が、例の“階層”ってやつか」
誰がともなく、言った。
重い沈黙が、落ちる。
そして俺は、扉の前に立ち――
静かに、手を伸ばした。
dice1d2=2 (2)
- 231◆DGCF6cUlCqNA25/07/27(日) 22:53:22
そろそこホスト規制がかかる時間だから、短いし半分までだけど今日はここまで。潔は次はお休みさせてあげるとメンタルが回復するかも?でもホラーに潔って似合うよね。
というわけで明日から仕事だから、さらにゆっくり更新になるよ。ごめんだけど引き続きよろしくね。
おやすみなさい。 - 24二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 22:54:49
真じゃねぇか!
- 25二次元好きの匿名さん25/07/27(日) 23:00:21
お疲れ様スレ主
一作目はリアルにありそうなホラーで背筋凍ったよ
二作目も隠し扉でロマンあるし消えるって噂だからこれからどうなるか不安
続き待ってます