- 1◆EPynOvGJx225/07/30(水) 15:53:06
- 2◆EPynOvGJx225/07/30(水) 15:53:40
- 3◆EPynOvGJx225/07/30(水) 15:57:26
続き
腕を引きアタックの姿勢を整えるアメジオの脳内には、昨夜ホテルで見た恋愛ドラマの映像が流れていた。同じ男を愛してしまった女同士が醜く争い相手の腹を殴る光景……アメジオはそれを痛快なシーンだと捉え、強い憧れを抱いていた。
今のアメジオはミニスカートを穿いて女装をしており、目の前には憎たらしいサンゴがいる。
(試すのには絶好のチャンスだ!)
アメジオはサンゴの腹に向かって勢いよく拳を突き出した。 - 4◆EPynOvGJx225/07/30(水) 15:58:50
- 5◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:03:30
- 6◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:09:47
- 7◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:15:40
- 8◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:24:25
- 9◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:29:46
- 10◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:36:43
- 11◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:42:00
- 12◆EPynOvGJx225/07/30(水) 16:46:36
- 13二次元好きの匿名さん25/07/30(水) 18:26:15
大丈夫か…!?
- 14◆EPynOvGJx225/07/30(水) 21:57:29
「……ッ」
アメジオが目を覚ますとそこは控え室ではなかった。照明の眩しさに目を細めつつ、上体を起こすと頬や腹が痛み出し顔を歪める。
ジャラ……という音に両手を見れば片手ずつ手錠をされ、それは床から伸びる鎖に繋がれていた。両足も同じように拘束されている。
家具がないため広く見えるが、本来の部屋の広さは差程でもないだろう。アメジオは青白い照明に照らされるだけの部屋で、白く硬い床に寝かされていた。
(まるで独房だな……)
アメジオは自身が囚われの身になったことを察した。サンゴに気絶させられた後、エクスプローラーズによって別の場所に運ばれ拘束されたのだろう。
ドアが目に入り立ち上がろうとするが、手錠の鎖の長さが足りず満足に立つことすら叶わなかった。
(しくじったな。どうしたものか……)
アメジオの行動dice1d4=1 (1)
(1.拘束を解けないか試す2.ソウブレイズのことを考える3.眠る4.食べ物のことを考える)
- 15◆EPynOvGJx225/07/30(水) 23:29:54
- 16二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:26:46
駄目か…
- 17二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 07:40:51
保守
- 18◆EPynOvGJx225/07/31(木) 12:30:51
- 19◆EPynOvGJx225/07/31(木) 16:08:42
「調子はどう?“アメジオ君”」
入ってきたのは赤が印象的なショートカットの女性だった。彼女はドアを閉めると、アメジオの目の前に腰に手を当て立った。
「私はルーベラ。スピネル様直属の部下よ。よろしく」
「スピネルだと……!」
自分を見下ろすルーベラをアメジオは睨みつけた。
「俺を拘束した目的を言え!」
「フフ、そんなの決まってるじゃない。貴方を自由にしていては我々の計画に不都合だからよ」
「計画だと?やはりスピネルは何か企んでいるのか!」
「さあね。精々その硬い頭でよーく考えることかしら」
ルーベラは立つことのできないアメジオにしゃがんで視線を合わせると、うっすら笑みを浮かべた。スピネルの部下らしい皮肉めいた表情だった。
「今度は私から質問させていただこうかしら。貴方はRVCと組んで我々の邪魔をする気なの?」
アメジオは仲間の話題に目を細める。サンゴ、あるいはオニキスが彼らがミスコン会場にいたことを報告したのだろう。
アメジオの態度dice1d4=4 (4)
(1.冷静に2.挑発的に3.無言4.手を出す)
- 20◆EPynOvGJx225/07/31(木) 17:21:24
アメジオは鎖に繋がれた足でルーベラの膝を蹴飛ばした。
「きゃッ……!」
鎖のせいで強くは振りかざせなかったが、不意打ちが決まりルーベラはバランスを崩して床に手をついた。ルーベラはすぐに顔を上げ、サンゴ程とは言わないが、眉間に皺を寄せた恐ろしい形相でアメジオを睨みつける。
「何をするッ!」
「お前に情報は一切渡さない!スピネルを出せ!」
アメジオは怯まずルーベラを睨み返す。
「…………フッ、まあいいわ。許してあげる」
ルーベラはふっと表情を緩め、意味深な笑みを浮かべ立ち上がると再びアメジオを見下す。
「今から貴方にはきつーい拷問を受けてもらうわ。言いたくないことでも思わず口にしちゃうくらい辛いわよ。覚悟しなさい!」
「……ッ!」
拷問。アメジオはこれから始まる地獄を想像し、奥歯を強く噛み締めた。
- 21◆EPynOvGJx225/07/31(木) 17:26:46
- 22◆EPynOvGJx225/07/31(木) 22:06:46
- 23◆EPynOvGJx225/07/31(木) 22:08:45
ノノクラゲの足がうねうねとアメジオを取り囲む。
「あっ……クっ……」
脇腹、脇の下、内腿、首筋など弱い部分をこちょこちょと細長い足でくすぐられる。
「クッ……く……ッ……くすぐったいッ!!」
アメジオは悶絶した。だがノノクラゲは勢いを緩める気配はない。素早い動きでアメジオをくすぐり続ける。アメジオが体をくねらせる度にガチャガチャと鎖が鳴り、逃げようとすればすかさず細長い足が絡みついて離さない。
アメジオが悶え苦しむ様子をルーベラとインディは愉快そうに眺めていた。
「女装までしてミスコンに潜入するなんて……目的のためなら何でもするのね意地汚い」
侮蔑されたことを咎めるような余裕は今のアメジオにはなかった。
「やっやめろッ……く、苦しい……ッ!」
「あら?でも顔は笑ってるわよ?」
「ふっ……クッ……ふふっ、ハハハハッ!」
「いいぞノノクラゲ。この調子で全身くまなくくすぐってやれ!」
「「ノノ〜!」」
アメジオの弱点を完全に把握したノノクラゲが一切の無駄なく責め続ける。
「ははははッ!もう、やめッ、やめてッ、アハハハハッ!」
笑うアメジオの目には涙が滲んでいた。
- 24◆EPynOvGJx225/07/31(木) 22:25:46
- 25◆EPynOvGJx225/07/31(木) 22:28:38
- 26◆EPynOvGJx225/07/31(木) 22:47:05
- 27二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 00:38:40
その他…
- 28◆EPynOvGJx225/08/01(金) 08:39:35
(そ、そこは……ッ!?)
ノノクラゲの足がアメジオの体で最も敏感な部分に集合した。
「ッう――!?!?」
声にならない声を上げ、アメジオの視界は白く霞みパチパチと光った。同時にスカートがみるみる重たくなっていく。
「あ……あ……」
アメジオの目は焦点が合わず呂律も回らない。対してルーベラとインディは饒舌にアメジオを貶し始めた。
「失禁だなんてはしたない。こんな坊やがエクスプローラーズの次期トップ候補だったなんて信じられないわ」
「やはりトップはスピネル様しかありえない。お前のような雑魚は汚れた床に寝てるのがお似合いだ」
アメジオに二人の揶揄は届かなかった。既に意識は踏みにじられた尊厳とともに崩れ落ち、手放されていたのだ。
※アメジオが次に目を覚ます場所dice1d4=1 (1)
(1.同じ部屋2.広い部屋3.見慣れたベッドの上4.船の中)
- 29二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 14:35:12
ここのアメジオと公式のアメジオのどっちがより酷い目に遭ってるか気になってる
- 30二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:15:50
- 31二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:16:57
「インディとルーベラの仕業だな。いや、指示したのはスピネルだろう。災難だったな」
オニキスの口調は淡々としながら所々悲哀も感じられた。よく見れば服は濡れたままだが床は綺麗になっており、傍には雑巾のかけられたバケツが置いてあった。
「あとこれは着替えだ。下着もある」
オニキスは畳んで重ねてあった服をアメジオの隣に置いた。
「着替えの間は枷を外してやる。ただし逃げようとはするな。オレも見張っているからな」
オニキスによって四肢を拘束していた枷が外され、アメジオは自由に手足を動かせるようになった。
dice1d4=2 (2)
(1.大人しく着替える2.隙を作って逃げようとする3.綺麗な床について尋ねる4.お腹が鳴る)
- 32二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:33:26
- 33二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 01:27:45
着替え見られちゃうねえ
- 34◆EPynOvGJx225/08/02(土) 08:02:35
- 35◆EPynOvGJx225/08/02(土) 13:47:01
アメジオはスカートを脱ぎやすくするために立ち上がろうとした。
「あ……っ」
しかしバランスを崩しふらついて尻もちをついてしまった。
「力が入らない……?」
アメジオが戸惑いそう呟くとオニキスが眉をひそめた。
「まさか毒でも使われたのか?」
毒。そう言われ、アメジオには思い当たる節があった。
「ノノクラゲのしびれごなだ」
気絶している間にノノクラゲの足と接触した部分……つまり全身に毒が回ってしまったのだろう。手足を動かすことはできるが思うようには使えない。
「ノノクラゲか。それなら放っておいてもすぐに毒は抜けるだろう……自力で服を着替えるのは無理そうだな。手伝ってやる」
オニキスはアメジオの濡れたスカートに手をかけた。
「あ…待て……ッ」
アメジオはオニキスの手から逃れようとするが体が痺れて抵抗できない。
(まずい!オニキスにも見られてしまう……!)
dice1d2=1 (1) (1.見られる2.見られない)
- 36二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 20:26:36
やった!
- 37◆EPynOvGJx225/08/02(土) 22:15:44
- 38◆EPynOvGJx225/08/02(土) 22:52:27
- 39◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:00:58
- 40◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:05:25
- 41◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:26:17
(……ッ、ここは女子トイレか)
アメジオは昨日ファミレスで漏らしそうになってフリードの目の前で女子トイレに駆け込み用を足したことを思い出した。
(もう二度とこんな真似はしないと誓ったが……クッ、今はやむを得ない……!)
アメジオは人の気配がないことを確認し、這いながら何とかドアノブに手を伸ばし中に入った。ドアを静かに閉めると、中には個室が3つほどあった。アメジオは一番手前の個室に入り鍵を閉める。
(いくら清潔にしてあるとはいえ、トイレの床を這うのはいい気分ではないな……)
アメジオは便座の上によじ登りほっと息を吐く。だが、ここは安置とは言えない。
(さて、これからどうするか……ん?まずい!誰か入ってきた!)
- 42◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:27:21
- 43◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:57:08
- 44◆EPynOvGJx225/08/02(土) 23:58:39
- 45◆EPynOvGJx225/08/03(日) 01:20:11
(こうなったら……!)
アメジオは怪しまれないようわざとトイレの水を流した後、ドアを押して個室を出た。しびれごなの効果が薄れてきたのか少々マシに動けるようになり、這い方もほふく前進から四つん這いに進化した。
心臓をバクバクと鳴らしながらアゲートの個室の前を通り過ぎ、奥のロッカーの扉をそっと開く。
(よし、あった!)
アメジオはロッカーから柄の長いモップを取り出すと、それを中央のアゲートのいる個室のドア前に置き、洗面台の扉とちょうど突っ張り棒のようにする。
(このトイレのドアは外開き……これでアゲートは外に出られないはず!)
ジャアア……
「……!」
目の前で水が流される音がした。アメジオは慌てて四つん這いで女子トイレの外に出た。
(うう……こんな姿絶対に誰にも見られたくはない……着替えを掴み取ってから逃げてこればよかった……)
ぐっしょりと濡れたままのTバックが肌に張り付き、さらに空気に晒されていることで下半身が冷えてきた。
(とにかく隠れなくては……!)
- 46◆EPynOvGJx225/08/03(日) 01:23:42
- 47二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 02:10:04
ギリギリだなあ
- 48◆EPynOvGJx225/08/03(日) 08:32:44
アメジオは女子トイレを出てから懸命に廊下を這った。近くに部屋はあったがもう少しアゲートから遠くに隠れたい。アメジオは途中で道を曲がり少し進んだ後、その先にドアを見つけた。
(この道は見覚えがある……この部屋は確か物置だ)
(……ッ、誰かがこちらに歩いてくる!)
遠くから足音が聞こえ、アメジオは迷わず物置の中に入った。中に入ると真っ暗で、アメジオはじっと足音が通り過ぎるのを待った。
段々と足音が近づいてくる。波打つ自分の鼓動を感じながら額に冷や汗が一筋流れる。
やがて足音は物置の前を通り過ぎて行った。
(よかった……足音の感じからしてアゲートやオニキスではなかったな)
ほっとして力の抜けたアメジオは数秒間ドアにもたれかかったまま放心していたが、すぐに気合を入れてその場に立ち上がった。足どりはおぼつかないが順調に痺れは取れてきている。
(体はあと少しで完全に回復するだろう。物置か……もしかしたら!)
アメジオはドアに聞き耳を立て足音や話し声がしないことを確認すると、ドア横の電気のスイッチを押した。
パッと視界が明るくなると、物置の中は物の詰め込まれたダンボールで雑多としていた。
(この中に服はないだろうか。探してみよう)
- 49◆EPynOvGJx225/08/03(日) 08:34:48
- 50二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 08:36:05
駄目だったか…
- 51◆EPynOvGJx225/08/03(日) 08:38:15
- 52◆EPynOvGJx225/08/03(日) 17:36:02
- 53二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:04:09
なんでそんなもんあるんだ
宴会するのか? - 54◆EPynOvGJx225/08/03(日) 22:21:54
- 55二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 00:33:59
仲間になるか…!?それとも…
- 56二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 09:07:19
保守
- 57二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 12:28:28
「チュッ」
ダンボールの中には服……はなく代わりに黄色い小さなポケモンがいた。
「バチュルか……」
どこからかやってきて物置に迷い込んでしまったのだろうか。アメジオは可哀想に思い、物置の外に逃がそうとバチュルを両手で掬った。
「バチュッ!」
「うあッ!?」
バチュルが威嚇して蓄電していた電気を放電した。バチッと大きな音と痛みにアメジオは驚いて手を離す。
(しまった……ッ!)
アメジオは叫んでしまったことに気づいたが、もう遅かった。
「誰かそこにいるのか!」
(……ッ!この声はアゲート!トイレから出られたのか……!まずい、ドアを封鎖しなければ!)
だがアメジオが振り返った瞬間、勢いよくドアは開かれてしまった。
「……ッ、アメジオ!」
現れたアゲートの眉が大きく跳ね上がり、信じられないものを見たというように動揺している。
- 58◆EPynOvGJx225/08/04(月) 12:30:31
- 59二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 17:50:18
アゲートはそんなにアメジオが破廉恥なのNGなんか…
- 60二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 00:38:24
保守
- 61二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 08:32:33
保守
- 62◆EPynOvGJx225/08/05(火) 12:54:23
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
(ここは……)
うっすら目を開くと足元には無機質な円形の台があり、アメジオはその上に浮かんでいた。ハッとして周囲の様子を伺えば、四肢の先は重々しい金属の枷にすっぽりと包まれており微動だにできない。全身は規則的な電子音を放つ蓋の空いたケースのような機械に囲まれ、顔を動かせば天井から垂れる無数の太く黒いチューブがヒヤリと頬に触れた。
「……ッ」
アメジオは不快さに顔を歪めた。そしてあることに気づく。
(服を着ている……!これは俺の制服か……?アゲートがスペアを着せたのだろうか……)
アメジオは無人島で失った服と同じ服を着せられていた。丁寧に靴まで履かせられている。辺りを見渡せば、目の前に広がる空間はかなり広く薄暗い。壁にずらりと埋め込まれた細長い照明の光が青白くアメジオの顔を照らしていた。
- 63二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:38:17
服着ちゃったか…下着はどうしたんだろう
- 64◆EPynOvGJx225/08/05(火) 23:58:18
静かな機械音と共に遠くから光が一筋差し込んだ。顔を上げると、開いたドアから漏れた光をくり抜くような二つの人影が確認できた。
「お目覚めのようですね」
低く滑らかな、嫌という程聞き馴染みのある声音。アメジオの目が見開かれた。
「スピネル……ッ!」
歩み出てきたのは、前髪を一切の乱れなく整え冷淡な微笑を浮かべるスピネルだった。その後ろにアゲートが続く。アメジオの頬が今日散々打たれたことを思い出しヒリつきだした。
スピネルは白衣の裾を揺らしながら、優雅な足取りでゆっくりとアメジオに近づいた。
「お久しぶりです……私はずっと貴方に会いたかったんですよ。体調はいかがですか?」
スピネルはアメジオの目の前に立ち、拘束された体を下から上へじっくりと観察するように見上げた。
「お変わりないようですね。いや、頬が腫れていますか。あの二人の拷問はさぞ辛かったんでしょうねえ」
スピネルは心配する台詞を吐きながら心底楽しそうな顔で言った。アメジオはアゲートにちらりと視線をやったが逆に鋭い視線を返された。
(スピネルはルーベラとインディに殴られたと思っているようだな。実際はサンゴとアゲートにやられたのだが……)
- 65◆EPynOvGJx225/08/06(水) 07:39:52
- 66二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 12:39:58
珍しくまともだ…
- 67◆EPynOvGJx225/08/06(水) 15:55:20
「こんな機械に俺を拘束して何をするつもりだ!」
アメジオが怒鳴るように問いただすと、スピネルは小さく喉を鳴らして笑った。
「フフ……勝手に逃げ出したから捕まえただけですよ。あなたは私の大切な――被検体なのですから」
アメジオは一瞬言葉を失った。
「……被検体、だと……?」
「ほう……やはりそうですか。今までのことを何も覚えていないんですね」
アメジオの眉が吊り上がる。スピネルはその反応を見て満足気に微笑んだ後、緩やかに視線をアゲートへと流した。
「そういえばアゲート、貴方が昨日連れてきた女性ですが……少々ヤワでしたね。性別の差なのか、それとも単に個体差か……病気は持っていなかったようですが。どちらにせよ、すぐに壊れて使い物にならなくなってしまいました」
「……っ」
アゲートの瞳がわずかに揺れた。アメジオの脳内で目の前の会話と昨日ドットから聞いた情報とが結び付き、目を見開く。
- 68◆EPynOvGJx225/08/06(水) 22:10:33
「まさか……!アゲート!その女性というのはあの路地裏にいた女性のことか!」
アメジオは驚きと怒りが混ざった視線をアゲートに向けた。
「おや、見られていたようですねアゲート。貴方にしては少し仕事が雑だったように見受けられますが」
「……黙れ。私に嘘をついていたお前にアメジオが街に現れたと報告してやったのを忘れたか?それに身寄りがない人間を選べと言ったのはお前だ。ヤワなどと容易にケチを付けるな」
アゲートはスピネルに苛立った視線を突きつけた。その様子にスピネルは肩をすくめ、アメジオへと話題を戻した。
「そういえばアメジオ、貴方も金に困って売春婦の真似事をしていたとか。アゲートから聞きましたよ」
「な……っ!俺はそんな真似、一度たりともした覚えはない!」
アメジオは必死に否定するが、アゲートが冷たく口を挟む。
「はぐらかすな。私が“売りをしているのか”と尋ねたとき、そうだと答えただろう。女の格好をしてあのような下着まで穿いて……恥知らずが」
(う、売りとはそういう意味だったのか……!)
アメジオはアゲートが自分に対しやけに辛辣だった理由を理解して羞恥に顔が熱くなる。そんなアメジオを見上げながらスピネルは唇の端を持ち上げた。
「オニキスから貴方を逃がしたと聞きましたが、まさか彼を誘惑したのですか?」
dice1d2=1 (1)
1.肯定する
2.否定する
- 69二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 01:03:39
肯定するんだ…
- 70◆EPynOvGJx225/08/07(木) 08:51:01
「そんなことをする訳……ッ」
アメジオは否定しようとしたが、躊躇って言葉を止めた。
(いや、ここで否定すれば“売り”の意味を知ったかぶりしていたことがバレてしまう……!クソッ、スピネルにバカにされるくらいならいっその事……!)
「……そうだ。俺はオニキスを誘惑し、隙をついて部屋から脱出した」
その台詞を吐き出すと同時に、全身を焼くような恥ずかしさがどっと押し寄せた。
(や、やはり正直に言っておけばよかった!これでは売春をしていたという疑いを認めることになってしまうではないか!)
「……なるほど。あのオニキスが……中々信じ難いですが。あの男にも意外な一面があるということですかねえアゲート」
スピネルはからかうつもりで言った台詞を肯定され、表情には出さないものの内心少し面食らっている、というような様子だった。
「あいつもか……ッ!高潔ぶった顔をしておいて悪趣味な奴ッ!」
アゲートは仲間の汚点にショックを受け軽蔑している。この様子では次はオニキスに平手打ちしかねない。
(すまないオニキス……)
オニキスは敵ながらもアメジオを気遣い、汚れた床を拭き清潔な服を与えようとしてくれた。アメジオはそんな彼に対し無実の罪をでっち上げてしまったことを心の中で深く謝罪した。
- 71◆EPynOvGJx225/08/07(木) 14:49:14
「すっかり無駄話をしてしまいました。アゲート、貴方にまで真実を告げずにいたことを申し訳なく思っています」
スピネルはそう言いながらも悪びれた顔ひとつせず相変わらず微笑みを浮かべている。
「思ってもいないことを言うな」
「おやおや、怖いですねえ。では――誠意を見せる為に、今から貴方にも私の実験の成果をご覧いただきましょう。フフ、一瞬でしょうからよく目を凝らしてください」
スピネルは胸元に手を差し入れ、白衣の内側から細く光を反射する物体――手術で使うようなメスを取り出した。そのまま腕を伸ばし、刃先をアメジオの頬にぴたりとあてがう。次の瞬間、一切の躊躇いもなく薄い皮膚をしゅるりと切り裂いた。
「……ッ!」
鋭い痛みが走り、熱い感覚が頬を伝う。スピネルは淡々と懐から真っ白なハンカチを取り出し、自分が作った切り口から溢れる真っ赤な血を拭い取った。そして少し待った後、指先で傷口をゆっくりとなぞる。ひやりとした感触に背筋がゾクリとした。
- 72二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 23:53:03
保守
- 73◆EPynOvGJx225/08/08(金) 00:06:23
スピネルはなぞった指の腹をアメジオに掲げて見せた。アメジオの視線は白いままの指先に吸い寄せられ、息を呑む。
「な……ッ!血が付いていない……?」
最初の血を拭ったとしてもすぐに鮮血が溢れてくるはずなのに、スピネルの指先には一滴の赤色もない。アゲートもアメジオの頬を見て唖然としている。
「傷がない……?スピネル!これはどういうことだ!」
スピネルの薄い唇が愉悦に歪んでいく。
「素晴らしい……ラクリウムの摂取を停止してもなお、これほどまでに再生能力が残っているとは……実に興味深い」
アメジオはそのワードに強く反応した。
「ッ……ラクリウムだと?スピネル!俺の体に何をした!お前は一体何を企んでいる!」
- 74二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 08:42:14
やっぱ大体スピネルのせいなんか…?
- 75◆EPynOvGJx225/08/08(金) 12:49:29
アメジオが問いただした時、再び一筋の光が部屋に差し込み三人を照らした。
「スピネル様、ただいままいりました」
「こちらの被検体の準備は完了しております」
影で姿は見えないものの、声でルーベラとインディが現れたのだと分かる。二人の背後には何やら黒く大きな物体が存在感を放っていた。
「ご苦労様です。それをこちらに」
スピネルの指示によって台車に乗せられた物体は部屋の中央へと運ばれ、拘束されているアメジオの真っ直ぐ延長線上に鎮座した。ルーベラとインディが後ろに下がり整列すると、その物体は黒い布で覆われ円柱型をしていることが判明した。
「質問に答えてあげましょう。まあ答えたところで大して意味はないのですが……」
スピネルの手によって物体にかけられていた黒い布がゆっくりと剥がされた。薄暗い部屋ではまだはっきりとは見えない。スピネルの指が物体の横にあるボタンをカチリと押せば、静かなモーター音が響き内部がピンク色に照らされ、強化ガラス製のケースが浮かび上がる。
「……!」
アメジオの視線は筐体の中身に吸い寄せられた。
- 76◆EPynOvGJx225/08/08(金) 12:51:17
※急なホスト規制でもしかしたらスレ落ちするかもしれません。落ちたらまた頃合いみて立て直します。いつも保守してくれる方ありがとうございます。
- 77二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 21:00:02
保守
- 78◆EPynOvGJx225/08/09(土) 00:26:20
「ポケモン……?」
ピンク色の靄がゆらゆらとその輪郭を妖しく包み込んでいた。二股に分かれ長く伸びた尾。黄色をした頭部。瞼は固く閉ざされ、そして――その額には、艷めく赤い宝石がはめ込まれていた。
「赤い宝石……!」
その瞬間、アメジオの脳裏を稲妻のような衝撃が走る。
「ッ……あの時ラクアで……!」
アーマーガアの背に乗り、必死に脱出を図ったあの時。突如視界に現れた存在――ラクリウムの靄に包まれた、赤い宝石を額に持ち宙に浮かぶ未知なるポケモン。記憶の底に沈んでいた映像が、一瞬鮮烈な色を伴って浮かび上がる。
「伝説のポケモン――ユクシーです」
静まり返った室内に、スピネルの声が誇らしげに響き渡った。
「シンオウ地方では知識を司る神と呼ばれ、人々に畏れ崇められてきました。そして――」
スピネルはケースの表面にゆっくりと指先を添え、ガラス越しにその姿を見つめる。
「この閉じられた瞳が開いた時……目を合わせた者は自らの記憶を失う」
「……記憶を」
アメジオの声は息を押し殺したように震えていた。頭の奥で、掴みかけた何かがすぐに指の間から零れ落ちるような感覚。
思い出せない――けれど確かにそこに存在したはずの自分の過去の断片。視界の端でそれはゆらりと揺れ、アメジオを嘲笑うかのように遠ざかっていった。
- 79二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 07:12:47
保守
- 80二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:19:47
アメジオどうなるのか心配だな…
- 81二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 15:57:41
保守
- 82二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 18:19:35
「ラクアで力尽きた六英雄の処理が終わった後、他の幹部を先に行かせました」
スピネルはそう言いながらアゲートの方をちらりと見る。アゲートは黙ってスピネルに視線を送り続きを促した。
「……私は最後に下山しましたが、その際――瀕死の貴方を見つけました」
スピネルと視線が合いアメジオは息を呑む。緊張感に額から汗が一筋伝った。
「飛行中に落ちて地面に叩きつけられたのでしょうか。頭部からの多量出血、四肢はあらぬ方向へ曲がっていました。意識反応はなし。周囲に手持ちのポケモンの姿はありませんでした」
口調は淡々としているのに、紡がれる内容がアメジオの脳裏に生々しいイメージを作り上げていく。
「呼吸は確認できたため、回収を決定しました。放置すれば半日以内に死亡していたでしょう。わざわざ貴方をオーベムに指示して運ばせたんですよ。私に感謝してほしいですね」
スピネルの報告にアメジオは視線を彷徨わせた。
dice1d2=2 (2)
1.助けた理由を尋ねる
2.運んだ場所について尋ねる
- 83二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:03:30
瀕死のアメジオ想像して大分ゾクゾクしたわ
- 84二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 00:05:59
保守
- 85二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 08:11:38
保守
- 86◆EPynOvGJx225/08/10(日) 13:53:41
- 87◆EPynOvGJx225/08/10(日) 14:03:01
- 88◆EPynOvGJx225/08/10(日) 18:04:18
- 89二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 18:42:03
これフリードはどうなんだろ、、
- 90二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 00:13:22
スピネルの自宅は草
- 91◆EPynOvGJx225/08/11(月) 00:24:53
「ヘリは人を何人乗せていた?」
アメジオの問いにスピネルは眉を持ち上げた。
「面白い質問をしますね。四人です。操縦士が一人、そこに私と貴方が乗り込み三人、残りの一人は……その様子だともうお察しのようですね?」
スピネルの物言いにアメジオは確信した。
「飛行船から落下し、俺と同じく瀕死だったフリードを乗せたのか」
「御明答です。アメジオ君にしては上出来ですね。クムリ山の麓で今にも息絶えそうなフリードを見つけ、彼も貴方と同じく回収しました」
スピネルの唇の両端が弧を描く。
「とても幸運な方たちですね」
柔らかな声色でわざとらしい皮肉を吐かれる。説明されればされるほどアメジオの脳内には疑問が湧いた。
※次に問う内容dice1d4=1 (1)
1.なぜユクシーを捕獲したのか
2.どのようにアメジオとフリードを治療したのか
3.なぜ研究所は廃墟と化したのか
4.なぜアメジオとフリードを島に取り残したのか
- 92◆EPynOvGJx225/08/11(月) 08:31:55
「なぜこのユクシーを捕獲した?ラクアにいたのなら野生のポケモンだろう」
アメジオはケースの中で眠ったように漂うユクシーを見る。
「野生なら捕まえても構わないでしょう?」
スピネルはわざとらしく肩をすくめた。
「貴方が倒れていた付近にいたんですよ。ラクリウムを取り込み力を制御できず暴れ回った後なのか、随分弱っていました。ついでに助けてあげたんです」
アメジオは険しい表情で胡散臭い笑みを睨みつけた。
「助けただと?お前はユクシーを研究に利用したのだろう!研究所に残されたタブレットから“赤い結晶”という言葉が確認できた。あれはユクシーの額の宝石のことか?」
「中を調べたのですね。フリードと一緒に?敵同士のはずがすっかり寝返ったのですね。エクスプローラーズのメンバーが今では悪名高きRVCの仲間とは……哀れなものです」
スピネルは大袈裟に首を振り、大きなため息を漏らした。アメジオはさらに問いかける。
dice1d4=4 (4)
1.どのようにユクシーを利用したのか
2.どのようにアメジオとフリードを治療したのか
3.なぜ研究所は廃墟と化したのか
4.なぜアメジオとフリードを島に取り残したのか
- 93◆EPynOvGJx225/08/11(月) 17:24:59
「あの島には人の気配はなく、いつでも脱出可能だった。お前にしては寛大な措置だな。なぜ俺とフリードを島に取り残した?」
アメジオの問いにスピネルはうんざりとした様子で再び大きく息をつく。
「貴方がしでかしたことですよ。都合の悪いことは全て忘れて……気楽なものですね」
「俺が……?」
アメジオは不穏な物言いに眉をひそめ、必死で記憶の糸を手繰るが答えに辿り着くことはできなかった。諦めてスピネルの言葉を待つ。
「あの無人島には、本来多くの研究員が常在していました」
スピネルは一拍置いた後、薄赤い瞳で冷たく突き刺すようにアメジオを見据えた。先程まで浮かべていた微笑は失われ、形のいい唇がゆっくりと動き、アメジオは思わず唾を飲み込んだ。
「彼らは全員……貴方のせいで命を落としたのです」
衝撃の答えに胸を突かれ、喉の奥で息が詰まった。得体の知れない恐怖がゾクゾクと湧き上がってくる。
(俺のせいで……?人が……?)
dice1d2=1 (1)
1.問いただす
2.黙り込む
- 94◆EPynOvGJx225/08/12(火) 00:24:21
保守
- 95◆EPynOvGJx225/08/12(火) 08:32:09
保守
- 96二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 12:40:18
何があったんだ…
- 97◆EPynOvGJx225/08/12(火) 16:45:46
「そんな訳が……俺が、人を……?」
アメジオはスピネルに問いかけながら、同時に自分自身に問いかけるように呟いた。アメジオは突きつけられた事実を到底信じられなかった。だが、自分は何もしていないと確信することもできなかった。自分は一年間の記憶を丸ごと失っている。その間に起きた出来事について自信を持って発言することは不可能だった。
黙り込んだアメジオの代わりにアゲートが口を挟む。
「どういうことだスピネル!人がそんなに死んで、それを報告もしなかったのか?お前は我々に黙って何をしていた!」
アゲートの詰問に対しスピネルは冷静な表情を崩さずアゲートに視線を返す。
「今から順を追って説明してさしあげますよ。分かっているとは思いますが、このことはくれぐれも内密に。さもなければアゲート、貴方であろうと容赦はいたしません」
アゲートは眉をひそめスピネルに鋭い眼光を投げかけるが、スピネルは気にとめない様子で語り始めた。
- 98◆EPynOvGJx225/08/12(火) 16:46:39
- 99二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 19:56:43
アメジオ曇らせイイぞ、、、
- 100二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 00:48:31
アニポケのifルートって感じで良いな
- 101◆EPynOvGJx225/08/13(水) 02:09:56
「研究の内容は一体……?」
アメジオは生前の祖父が自分の知らない所で何をしていたのか知りたかった。祖父は亡くなる直前まで、孫である自分以上にスピネルのことを深く信頼していた。自分には伝えられていない事実をスピネルは把握しているという現実に胸が締め付けられる。
「研究のテーマは“ラクリウムが人体に与える影響について”。このテーマは私が関わる以前から何十年にも渡りあの島で研究されて来ました」
「人体に与える影響……?おじい様はなぜそのような研究を……」
アメジオの眉間に皺が寄る。スピネルは落ち着いた声で続けた。
「それは、ギベオン様自身のためです」
「おじい様のため……?」
dice1d2=1 (1)
1.考えを呟く
2.スピネルの言葉を待つ
- 102◆EPynOvGJx225/08/13(水) 07:37:47
- 103二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 15:26:15
保守
- 104◆EPynOvGJx225/08/13(水) 21:39:12
「おじい様はラクリウムによって命を繋いでいた……おじい様は永遠を生きるつもりで、ラクリウムを使い延命する方法を探し続けていた……?」
スピネルの口角が僅かに上がった。
「私も同じ意見です。貴方と気が合うこともあるのですね。実際のところ、研究所では人体に与える影響を幅広く研究していましたから、延命治療に特化した研究施設という訳ではありませんでしたが……ギベオン様が研究所を建てた一番の目的はそれで間違いないでしょう。なぜなら……」
スピネルは一呼吸置いた後、再びゆっくりと口を開く。
「ギベオン様が長年に渡り求めていたであろう研究成果……それをあの研究所で形あるものとしたのはこの私ですから」
スピネルは自分に酔いしれるように目を細め微笑んだ。
- 105◆EPynOvGJx225/08/13(水) 21:44:30
「……ギベオン様はかつて、ラクアで発生した地割れの狭間に落ち、瀕死状態に陥りました。しかしその際、多量のラクリウムを体内に取り込むことで見事復活を遂げたのです」
アメジオは一年前にハンベルから聞いた話を思い出す。
(おじい様は、スピネルには自分の過去を話していたのだな……)
アメジオは奥歯を噛み締める。拘束された四肢が痛み始めた。スピネルはアメジオが苦痛に顔を歪める様子をさも楽しげに眺めている。
「……ギベオン様はクムリ山から戻るとエクシード社を設立し、それから長い月日が経過しました。体内に残ったラクリウムの影響により全身の老化は極端に遅れ、百歳を超えようとその体は健康そのもの……まるで衰えることを知りません。ギベオン様はエクシード社の会長として、そしてエクスプローラーズの指導者として、影から世界に対し影響力を持ちました」
そこまで言い終えると、スピネルは思わせぶりに目を伏せた。
- 106二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 01:30:55
どうなるのか大分気になる
- 107二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 10:02:08
保守
- 108◆EPynOvGJx225/08/14(木) 10:57:19
「……全てが順調に進んでいるように見えました。ですが、本来の寿命を遥かに越えたギベオン様のお身体は、実際はかなり傷んでいた……やがて体内から徐々にラクリウムが抜けていき、数年前には頻繁に体調を崩すようになられました。その様子はそう……老化による影響そのもの。いつ何が起こってもおかしくはない状況でした」
アメジオも祖父の体調が芳しくなかったことはよく知っていた。アメジオが子供の頃の祖父は高齢であるとは思えない程若々しかったのに、アメジオを呼び出し継者時にすると宣言した時には既に車椅子での生活を余儀なくされ、ラクリウムの充満したあの部屋から一歩も外に出なくなっていた。
「……そんな時です。エクシード社の一社員に過ぎなかった私が、ギベオン様に見出されたのは」
アメジオはスピネルの薄赤い瞳から目が離せなかった。
アメジオはdice1d4=1 (1)
1.スピネルが憎らしかった
2.スピネルに嫉妬していた
3.スピネルに憧れていた
4.スピネルに疑念を抱いていた
- 109◆EPynOvGJx225/08/14(木) 10:59:05
- 110二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 11:03:43
憎らしいか、、、
- 111二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 19:20:40
保守
- 112二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:54:10
保守
- 113◆EPynOvGJx225/08/14(木) 23:56:13
初めて顔を合わせた日から、スピネルはアメジオに見下すような眼差しを向け、それを周囲に隠そうとさえしなかった。
御曹司として特別な待遇を受けていたアメジオも、エクスプローラーズ内部での風当たりの強さを感じてはいたが、スピネルはあまりにも露骨だった。
「エクスプローラーズの幹部として就任した私は、あの島で実験を重ね、ついに貴重なラクリウムを気化し効率的に体内に取り込むシステムを開発しました。それによって細胞の活性化をより促進させ、寿命を延ばす方法を実現させたのです」
スピネルは声高に続ける。
「私の働きによりギベオン様の体調は安定し、無事に指揮を執り続けることができました。私は――ギベオン様の命の恩人なのです」
スピネルが言い終えると、アメジオは目を伏せ呟いた。
「だからおじい様は、お前のことを深く信頼していた……」
「ええ。孫である貴方よりも」
スピネルがアメジオを憎むと同時に、アメジオも彼を憎んでいた。単に憎しみの応酬という訳ではなく、アメジオが蟠りを感じていたのは、後継者として任命された自分、そして長年仕えてきたハンベルをも差し置き、祖父がスピネルに入れ込んでいるように見えたからだ。
- 114◆EPynOvGJx225/08/15(金) 08:35:28
「おじい様は俺を後継者として育てるべくハンベルに教育を命じた……いつかはエクスプローラーズの指導者を降りようとしていたはず……永遠に生きるつもりだったのならなぜ……」
アメジオが呟くとスピネルは嘲るような薄笑いを浮かべた。
「急激な老化にご自身の身を案じ、万が一に備えて血を引く貴方を後継者に選んだ……それだけのことでしょう。私の力添えとラクリウムさえあれば永遠を生きることができる……貴方の存在はただの保険です」
「ッ……!」
アメジオが顔を上げると首元のループタイが揺れた。海を泳ぎ服を無くそうとも、祖父から受け取ったこの宝石だけは首に結び肌身離さず持ち続けていた。
(おじい様は俺を必要としていなかった……?)
dice1d2=2 (2)
1.そんなはずはない
2.そうかもしれない
- 115二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 15:37:58
辛い…
- 116二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 21:30:55
一応保守
- 117◆EPynOvGJx225/08/15(金) 23:08:36
- 118二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 01:08:49
あれ?もしかして裸ループタイだった時期あったってこと…!?
- 119◆EPynOvGJx225/08/16(土) 07:41:44
(ラクアで最初に対面した時、おじい様はスピネルを疑う俺の言葉を聞き入れずスピネルを庇った。任務に失敗すれば俺は任を解かれたのに、スピネルは大して咎められもしなかった……おじい様は本当に俺の存在などどうでも……)
脳内で悪い考えが巡り心臓が痛いくらいに鼓動する。口を開けば感情が溢れてしまいそうで、アメジオは口を固く結び黙り込むしかなかった。
沈黙を切り裂くように、アゲートの通る声が響く。
「随分個人的な感情が混じった説明だな。スピネル、さっさと本題に入れ」
アゲートの鋭利な視線にスピネルは鼻を鳴らす。
「フッ……せっかちな人ですね。では本題に入りましょう。私は研究所を任されギベオン様のお身体のために働く傍ら、独自にとある研究を進めていました」
- 120◆EPynOvGJx225/08/16(土) 13:48:54
保守
- 121二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 21:46:37
アメジオどうなっちゃうんだ…
- 122◆EPynOvGJx225/08/16(土) 22:40:31
- 123◆EPynOvGJx225/08/17(日) 08:00:56
保守
- 124二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 11:42:58
人間のポケモン化!?!?
- 125二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:16:27
ポケダン…?
- 126◆EPynOvGJx225/08/17(日) 21:47:44
「人間のポケモン化だと……?」
アメジオは耳を疑う衝撃に呆然とすることしかできなかった。アゲート、ルーベラとインディもスピネルの発言に動揺している。一人楽しげなスピネルは饒舌に語り始めた。
「私は延命治療の研究を重ねるうち、得られたデータからとある事実を発見しました。ポケモンの方が、人間より遥かにラクリウムの吸収効率が高いのです。その事に気づいた私にふと考えが過りました。人間をポケモンにしてしまえば、ラクリウムの効果を存分に享受することができる」
「突拍子もない理論だな。お前らしくもない」
アゲートが口を挟むとスピネルはすっと人差し指を立てて語りを続ける。
「人間をポケモン化すればパートナーと完全な意思疎通が可能になります。身体の一部だけをポケモン化することで様々な能力を身に付けることもできるでしょう。そしてラクリウムをただのポケモン以上に上手く扱えるようになる……私は決して夢物語を語っているつもりはありません。ラクリウムは我々人類の常識を超えた物質……それを証明するため、私はラクリウムを用いた実験を開始しました。人間の遺伝子をポケモンの遺伝子に組み替えるのです」
- 127◆EPynOvGJx225/08/17(日) 21:49:49
アメジオは思わず口を開いた。
「人間の遺伝子を組み替える……?そんなことができるのか……?」
「ええ、遺伝子を組み替えるだけならラクリウムを使用せずとも可能です。実際に医療の現場では人間の遺伝子を病気に強くなるよう組み替えるという治療が行われていますから。ただし、従来のやり方では改変できる遺伝子の数は極わずか。あくまで部分的な改善に留まっていました」
「しかし私のやり方は違う。ラクリウムを使えば改変できる遺伝子の数は何万にも膨れ上がる。ラクリウムの効果は細胞を活性化させるだけではありません。細胞内の遺伝子を再配線可能に……貴方にも分かりやすく言えば、細胞を柔らかくして再設計可能な状態にすることができます」
「さらに、ラクリウムには遺伝子情報を保持する性質がある。貴方もラクアでラクリウムと共に消え去っていくギベオン様とルシアスを見たでしょう?彼らはラクリウムの過剰摂取により体内のラクリウムに遺伝子情報が完全に移っていた。だからラクリウムが消滅すると同時に体まで持っていかれてしまったのです。私はその性質を利用しました。ポケモンの遺伝子テンプレートをラクリウムに入れて人間の体内に流し込む。すると柔らかくなった細胞は徐々にポケモンの遺伝子に組み替えられていく」
- 128二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 01:11:58
アメジオもポケモン化してるんか…?
- 129二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 07:10:52
保守
- 130二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 14:52:44
保守
- 131◆EPynOvGJx225/08/18(月) 21:38:38
アメジオはスピネルの口から次々と告げられる言葉に不気味な寒気を覚えた。スピネルの声音には揺るぎがなく、嘘と断じてしまうこともできない。
「私の言うことが信じられませんか?では証拠を出しましょう」
スピネルはアメジオを射抜くように目を細めた。形のいい唇がゆっくりと言葉を紡ぐ。
「貴方は既にポケモン化しているのですよ」
アメジオは息を呑んだ。動悸がどんどん激しくなる。
「な……俺が……ポケモンに……?」
掠れた声が口から漏れた。スピネルは淡々とアメジオに事実を突きつける。
「頬の傷が一瞬で何事もなかったかのように塞がったでしょう?治癒能力の高さはどのポケモンも持っている普遍的な特徴です。それでいてここ数日は体調が安定しないのでは?遺伝子を弄ると副作用も生じますからねえ。外見こそまだ人間のままですが、貴方の体内は一年の間にポケモンへと作り変わっていたのです」
アメジオは酷い緊張に唾を飲んだ。
(……そうだ。足をガラスで深く切った時も翌朝には何事もなかったかのように元通りになっていた……俺には本当にポケモンの能力が備わっているのか……?)
アメジオの背筋を冷や汗が伝っていく。そして嫌な考えが脳裏を過ぎる。
- 132◆EPynOvGJx225/08/18(月) 23:08:03
- 133二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 08:18:44
保守
- 134二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 15:02:05
保守
- 135二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 22:50:28
保守
- 136◆EPynOvGJx225/08/19(火) 23:00:39
(いつだ……!一体どのタイミングで……!)
リコが体調を崩したのはイベントが終わりホテルに泊まった後のことだ。その前は元気だったことを踏まえると、イベント会場からホテルまでの間に何か仕込まれた可能性がある。エクスプローラーズが関与しているイベントなら、隙をついてリコを狙う計画が立てられていたのかもしれない。
(なぜリコだけが狙われたのだろうか?ポケモンの能力を植え付けた理由も、どうやって植え付けたのかも分からない……それに仲間が周りにいる時はいくらプロでも犯行に及ぶのは難しいはず……それならリコが一人でいる時を狙った方がいい……他のメンバーはしていなくてリコだけがしていた行動はないだろうか?)
(そうだ!リコはたしか……)
dice1d2=1 (1)
1.イベント関連のアルバイトをしていた
2.アメジオが履いたTバックを洗った
- 137二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 08:34:10
Tバックじゃなかったか…!
- 138◆EPynOvGJx225/08/20(水) 12:08:41
(仕込まれたのはイベントが始まる前だ!リコは一人でアルバイトに行き、イベントで配布するストラップの梱包作業に携わった。仕込むならその時だ……!)
(しかしリコはアルバイト中に何かされたとは言っていなかった……ラクリウムを本人にバレずに吸収させる方法などあるのか?)
(ラクリウムを人間やポケモンが吸収するには固体から気化した状態にする必要がある。おじい様もラクリウムの気化機能が備わった生命維持装置を肌身離さず身につけていた。だがリコはそんなもの……)
(いや、一つだけある!アルバイトを終えたリコが身につけていたものが!)
dice1d2=2 (2)
1.真相に辿り着く
2.ホテルで食べていたポケモンパンだ!
- 139◆EPynOvGJx225/08/20(水) 18:00:40
- 140◆EPynOvGJx225/08/20(水) 22:17:02
「答えは出ましたか?」
スピネルは腕を組み、唇の端を僅かに吊り上げて薄ら笑いを浮かべている。
(まさかとは思うが……この男ならやりかねない)
「……あのストラップに細工をしたのか?」
問いかけに対しスピネルの目が愉快そうに細められる。
「答えに辿り着くまで随分時間がかかりましたね」
わざとらしいため息と身振りを混じえて彼は続けた。
「そうです。弊社のイベントで配布されたストラップの中には精密な機械が組み込まれています。微量のラクリウムを気化させ常に放出しますが、少量なので見た目にはまず分かりません。ストラップを身につけているだけでラクリウムに内包されたポケモンの遺伝子情報が体内の細胞に伝わり、徐々に遺伝子が組み替えられていくという仕組みです」
アメジオの全身にぞわりとした悪寒が駆け抜け、拘束された四肢が無意識に震える。
- 141二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:16:03
やばすぎるな…
- 142◆EPynOvGJx225/08/21(木) 07:17:57
「あの娘はストラップの梱包作業をしていましたから、より多くのラクリウムを取り込み、効果が早く現れたのでしょう。そしてこれはまだ推測の段階ですが、子どもの方が適応力が高く遺伝子を組み替えやすいのです」
次々と述べられる残酷な台詞にアメジオの中で怒りが弾けた。
「スピネル……ッ!お前はなぜそんな真似を……!」
スピネルは眉ひとつ動かさず説明を続けた。
「データ収集のためです。最も、あの娘に意図して渡した訳ではありませんが。あのストラップは一定の時間以上身につけると、持ち主の体の変化を分析し、データを随時PCへ送信するように設計しました」
「リコは、イベントでストラップを受け取った人達はどうなる!」
「ご安心を。あのストラップに含まれるラクリウムは微量ですから、体に定着することはありません。放っておけば自然と元の体に戻ります。ですが……」
スピネルは思わせぶりに言葉を区切った。不気味な間にアメジオの心臓が嫌な音を立てるように脈打った。
- 143二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 15:07:58
保守
- 144◆EPynOvGJx225/08/21(木) 23:03:22
「貴方はどうでしょうね?一年間あの研究所でフリードと共に多量のラクリウムを体内に取り込み続けたのですから。それに子供の貴方の方がフリードよりも本格的にポケモン化が進んでいる。もう元の体には戻らないかもしれませんねえ」
「やはり俺とフリードを実験に利用したのか!」
「はい。それに――」
スピネルはアメジオに構わず冷ややかに言葉を連ねる。
「副作用も顕著に現れて、貴方の体は成長も止まってしまいましたし」
信じられない台詞にアメジオは一瞬言葉を失った。
「……ッ、成長が……止まっているだと……?」
「ええ。関係する遺伝子が組み替えられたことにより、成長が停止したんです。おかしいとは思いませんでしたか?一年前と身長も見た目もまるで変わっていないことを」
思い返せば心当たりはあった。リコ、ロイ、ドットはこの一年間で背が伸び顔立ちも少し大人びたのに、自分はどうだろうか。背丈の一センチすら変わっていないように思える。心の底に抱えていた違和感が今、揺るぎない事実としてアメジオに突き刺さる。
- 145◆EPynOvGJx225/08/22(金) 08:31:21
保守
- 146二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 16:17:25
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:34:54
成長しないの大分辛いな
アメジオは元に戻れるんか…? - 148◆EPynOvGJx225/08/23(土) 00:48:28
(体内がポケモンに作り変えられて、成長も止まって……俺は、一体どうなる……?)
考えれば考えるほど絶望が押し寄せてくる感覚。混乱するアメジオの耳にスピネルの声が容赦なく響く。
「貴方が今拘束されているこの装置で、ポケモンの遺伝子情報を保持したラクリウムを気化し、中に入った人間に効率的に吸収させることができます。あの島の研究所にも同様の設備がありましたが……貴方のせいで崩壊してしまったでしょうねえ」
アメジオは息が詰まる。自分はあの場所で何をしてしまったのだろうか。人が亡くなったのも研究所が廃墟と化したのも全て自分がやったことなのだろうか。アメジオの脳内で悪い思考がぐるぐると駆け巡る。
「一年前のあの日、死にかけだった貴方とフリードを装置に入れ、試しにラクアで回収したラクリウムを気化させて多量に摂取させると……傷はみるみるうちに治癒されていきました。どうやら貴方達はラクリウムに対する適性が高いようでしたので、私の実験に協力していただくことにしたのです」
- 149二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 08:07:01
保守
- 150二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 14:51:41
適正が低いと死ぬ可能性もあったのかな、、、
- 151◆EPynOvGJx225/08/23(土) 20:43:47
「ちなみに身につけていた服は血だらけでしたのでこちらで綺麗にして差し上げました。実験が終了したら気を失っている貴方達に服を着せ、再開すれば実験のためにまた服を脱がせる……私はそう部下に指示しました」
「服を……?なんのために……」
「脳が慣れるのを防ぐためですよ。回数を重ねても被検体から新鮮な反応を得るためです」
アメジオは説明の意図が掴めず眉をひそめた。スピネルはちらりと視線をユクシーへと移す。
「貴方とフリードに多量のラクリウムを吸わせ実験データを記録した後、このユクシーを操り実験に関する全ての記憶を消去させました。つまり貴方たちは目覚める度、ラクアを脱出する時の記憶に巻き戻され、自分たちが何をされているのかも分からないまま実験に参加していたのです」
アメジオは奥歯を噛み締め怒りをスピネルにぶつけた。
「悪趣味な奴だ……!新鮮な反応だと?俺達が苦痛に慣れないようにして、より苦しめるためだったに決まっている!」
睨みつけるアメジオに対しスピネルは顔色ひとつ変えない。
「言いがかりですか?忠告しておきますが、私に逆らわない方が貴方の身のためですよ」
- 152◆EPynOvGJx225/08/24(日) 00:14:44
「八日前……エクシード社にいた私は、島に常駐する研究員から緊急の連絡を受け取りました」
スピネルは今までより僅かに声を低くして、薄ら笑いを止めた。その様子はアメジオの緊張をさらに強めた。
「テレビ電話を繋ぐと、そこには凄まじい光景が広がっていました。研究所内で爆発が起きたらしく、機材が四方に飛び交い、研究員たちが必死に逃げ惑っていたのです。報告によれば、被検体の貴方が服を脱がせようとした瞬間、突然狂ったように暴れだし誰も手をつけられなくなった。拘束しようとする研究員達を薙ぎ払い、挙句の果てにユクシーの入ったケースを破壊すると、逃げ出したユクシーがラクリウムにより暴走し、念力で研究所を滅茶苦茶にしたのです」
アメジオは生唾を飲み、乾いた喉がしみる。自分が暴れて他人を攻撃した事実などとても信じたくはなかった。
- 153◆EPynOvGJx225/08/24(日) 08:02:57
- 154二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:36:41
こんなこと言ってる場合じゃないけど実験のとき服脱がされてたってことに興奮するな
アメジオは裸見られるの嫌がってたけど既に見られまくってたんじゃん… - 155二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 15:18:53
なんか生殖機能とかも失われてそう
- 156二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 21:20:20
なんであばれたんだ、、?
てかラクリウムがあったから毒も生き延びられたのか、、、 - 157◆EPynOvGJx225/08/24(日) 23:05:11
- 158◆EPynOvGJx225/08/25(月) 07:24:13
保守
- 159◆EPynOvGJx225/08/25(月) 16:48:36
「ラクリウムを取り込んで暴走するのはポケモンが持つ特徴……つまり、貴方はポケモン化が深く進行した結果ラクリウムの作用により暴走した……それが私の仮説です」
その説明は、アメジオが人間よりもポケモンに近い存在になったと告げているように思えた。
「私は被検体とユクシーの身柄をいち早く確保しなければならないと考えました」
スピネルは腕を組み小さくため息をついた。
「しかし、毒ガスに覆われた島を人間が捜索するのは困難を極めます。ポケモンだけで構成した部隊を向かわせる事も考えましたが、万が一島にラクリウムが充満していた場合に暴走してしまう危険性がありました。私は捜査を止め、別の方法をとることにしたのです」
スピネルは唇の端を僅かに持ち上げた。
アメジオは
dice1d4=4 (4)
(1.黙ったままでいる2.推測を述べる3.ユクシーを見る4.アゲートを見る)
- 160二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 20:31:43
方法、、、?
- 161◆EPynOvGJx225/08/25(月) 20:38:56
- 162◆EPynOvGJx225/08/25(月) 23:29:00
アゲートの瞳は揺れ動くことなくアメジオを見据えている。彼女が味方になることは僅かにもなさそうだ。さらなる孤独を感じ俯くと、真下のスピネルが楽しげに語りだした。
「研究員がボートに乗って海に出た際、ユクシーが上空を飛んでいく姿を目撃したとの報告がありました。つまり島に残っているのは貴方とフリードのみ。私は少し待てば貴方の暴走は自然に収まり、やがて二人で協力して島から脱出する……そう読んだのです。そして辿り着く先は、島から最も近い港町。そこで貴方達を拘束する計画を立てました」
「研究所で起きた事件の翌日、あの港町に複数の警備を配置し、貴方達を見かけ次第報告するよう指示しました。そして昨日、ようやく貴方とフリード……さらに他のRVCのメンバーも現れたとの知らせが届いたのです」
「知っていたのか。ならなぜすぐに拘束しなかった?」
アゲートが問うと、スピネルは顔だけを彼女の方に向けて答えた。
- 163◆EPynOvGJx225/08/26(火) 07:37:50
「仲間をまとめて一度に捕らえるやり方があったからです。偶然にも翌日の今日は街でイベントが催される日でした。エクスプローラーズの幹部が出場するとあれば、単純な貴方達は食いついて自ら我々に接触してくる……それもお仲間全員で。ならば周到に警備を配置し、隙を突いて身柄を抑えればいい。結果は――私の予想通りになりましたね」
アメジオの奥歯が軋んだ。一矢報いるつもりが、ずっとこの男の手のひらの上で踊らされていたに過ぎなかったのだ。
「RVCまで拘束したのか……!」
スピネルはゆるりと顔をアメジオの方に戻した。
「ええ。観客席にいた彼らは、貴方を人質にしたと伝えただけであっさりと着いてきてくれました」
「仲間はどこにいる!」
「貴方には教えません」
アメジオの顔に焦燥が浮かぶ。
スピネルは肩を竦めて両手を小馬鹿にするように広げてみせた。