【CP前提・閲覧注意】シングルマザー・マチュ概念

  • 1二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:15:43

    「母さん…やっぱりここにいたか。」
    昔から夕方になると、母さんは海を眺めている。
    あるときは砂浜で、またあるときはウチのテラスから。
    ウイスキーの入ったグラスを片手に、時には煙草を喫みながら。
    いつもハツラツとしていて快活なタイプの母さんが、違う人みたいにアンニュイな表情を浮かべてる。
    「…ああ、マシューどしたん?」
    「ヒゲマンが呼んでる。仕事だよ!」
    「仕方ないな…んっ…」
    重い腰をあげ、ミネラルウォーターを口に含む母さん。
    「それじゃ、いこっか。」

  • 2二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:16:35

    期待

  • 3二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:18:52
  • 4二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:23:16

    僕の名はマシュー・ユズリハ。
    ソロモン諸島の小さな村で産まれた。
    家族は母さんアマテ・ユズリハとニャアンの2人に、ロボットのハロとコンチ。
    父さんはいない。

    そもそも、父さんとはなにか知らない。

  • 5二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:35:45

    家族の話は先にしておいたほうがいいか。
    アマテ・ユズリハ。
    僕を産んでくれた母さん。
    太陽のように暖かく抱きしめてくれる人。
    海が好きで、よく連れて行ってくれたのを覚えている。
    背は小さいけれど、すごくいいスタイルをしててスポーツも上手い。
    友達が多くて、ニャアンのみならずたまに来てくれるヒゲマンにコモリンにザビーとも仕事仲間や上司の関係を超えた仲を感じる。

  • 6二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:41:52

    ニャアン。
    母さんの大親友。
    人にどういう関係の家族か説明するのが大変だから、ニャアンはニャアンだよって言う。
    すごく美味しいご飯やおやつを作ってくれる。
    特にカオマンガイが美味しいんだ。
    どうやら、母さんとは今の僕と同じくらいの年齢の時から付き合いがあるらしい。
    僕はウチの事情であまり同年代の友達がいたことないからわからないが、とても素敵なことだと思う。
    よく怒ったような泣いてるようなわからない顔をしたりするが、それがない時のニャアンは本当に優しい。

  • 7二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:50:56

    ハロとコンチ。

    昔からうちにいるジャンクロボット。

    かなり古い機械だし、コンチにいたってはゲーム機が元なのにいまだに動く優れもの。

    僕の父さんが遺したものの一つらしい。


    どちらもすごくおしゃべりで大好き。

    コンチは餃子やおにぎりなど、料理の手伝いもしてくれる。

  • 8二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:01:21

    続きがきになる

  • 9二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:02:38

    「お父さんは?」
    家族の話を誰かにするといつも飛んでくる言葉。
    うんざりする。
    なぜならウチには本当にお父さんはいない。
    離婚したわけでも、死んだわけでもない。
    いないのだ。
    だからお父さんというものが昔からわからない。

  • 10二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:04:29

    息子がそんな大きくなってると流石にたまに来てくれる人たちの顔ぶれは実際はその部下の部下ぐらいの人たちになってそう

  • 11二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:06:49

    一応母さんから聞いた話だけ。
    『お父さんは、シュウジ・イトウ』
    『お父さんは別の世界にいるよ。』
    『キラキラの中を通して愛し合って、お前を授かったの。』
    『お父さんは、いつか帰ってくるよ。』
    愛おしそうにいいながら母さんは、古いスマホからサルベージした写真を見せてくれた。

    青い髪の、一見女の人と見間違えるような華奢な男。
    なんだかこの世の人じゃないみたいな、不思議な感覚だった。
    シュウジ・イトウ…僕の父さん。
    母さんが愛した人。
    なぜ彼は、いないんだろう。

  • 12二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 06:58:57

    『はぁ…はぁ…ヒゲマン、大丈夫!?』
    『マチュ君にニャアン君…なぜここに…』
    『あなたも大切な仲間でしょうっ…逃げれますか?』
    『…大丈夫です、少しやつらに血を抜かれましたが歩けます…』

    『やつら、中佐を拉致して何をしようとしていたんでしょう。』
    『おそらく…私のDNAが目的かと』
    『うっ…』
    『マチュ君?気をしっかり。』
    『マチュ、最近貧血気味だよね…鉄分もっととらないと。』

    『…マチュ君、お腹を見せなさい。』
    『セクハラ?キモいよ。』
    『とぼけてもわかります…あなたの体からもう一つの命を感じる。』
    『うっ…』
    『3ヶ月目…そんな体で私を救助に?』

    『はいマチュ、ココナッツミルク。』
    『ニャアンありがと…最近食べて検査して寝ての繰り返しで腕、鈍っちゃうな?』
    『大丈夫、妊婦さんのお仕事はお腹の赤ちゃんを無事に産むことなんだから。』

    『ねーむれー…ねーむれー…はーはーのーむーねーにー…』
    『シュウジ、この子に名前つけたよ。』
    『マシュー…わたしとシュウジから名前をとったの。』
    『早く…戻ってきてよ…』

    『マチュ聞いて…わたしも、その子のお母さんになる。』
    『お腹を痛めて産むことはできないけど…ミルクやオムツならできるから。』
    『ニャアン…ほんとありがと…』

  • 13二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 07:18:41

    いつのものかよく分からない記憶。
    内容も途切れ途切れで、最初は分からなかった。
    最近になって、お腹の中にいるときのことだと理解した。

    キラキラする光が見えて、その次に知らない光景が見える。
    あるいは、なにか予感がして危険を避けられたことがある。
    ヒゲマンやザビーはこれが出来る人を「ニュータイプ」と呼んでいた。
    そして、母さんも父さんもすごいニュータイプなのだという。

  • 14二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:20:43

    母さんの身長は、母さんの出身コロニーの平均身長よりも少し低いらしい。
    あまつさえ当時数えで18歳を迎えたばかり。
    そのため胎児である僕が大きくなればなるほど、母体への負担が増して分娩がさらに危険になっていたという。

    僕が産まれた時、それはそれは大騒ぎだったらしい。 
    早産…適した頃合いよりも早く産気づいた母さんは、当時世話になっていたジオン傘下の病院で出産した。
    宇宙世紀の医療技術の高さもそうだが、早産という誤算のおかげで奇しくも母体も胎児も無事に分娩できたという。

  • 15二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:51:37

    このレスは削除されています

  • 16二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 13:56:21

    体重2497g、一般的に見て未熟と言える赤ちゃん。

    医者からは、後遺症であまり大きくなれないかもしれないと診断されたという。

    実際、16歳の僕の背は今のところ母さんと同じくらいで成長が止まっている。

    母さんはちゃんと育てられるか心配だったと語った。

    だが、正直心配は杞憂に終わったそうだ。

    たくさんはしゃいだかと思えば母さんのおっぱいをよく飲み、そのまま穏やかに眠る。

    ベビーフードもよく食べるから大変で、バナナやイモのペーストの減りがすごかったとニャアンが言っていた。

    「でも、いたずらしたり大泣きしたり手のかかる子ではなかった。」

    「大きくなってくマシューちゃんを見守るのが、私たちの幸せだった。」

    赤ちゃんのころはそんな感じだったらしい。

    そうやって月日が立つごとにハイハイできるようになり、立って、歩くことが出来るようになっていった。

  • 17二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 17:04:41

    この子はどっち似なんだろう…

  • 18二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 19:53:40

    いわゆる世間一般でいう「物心」とやらがつくあたり。
    母さんと海から帰ったら、3人の見慣れない人が玄関にいた。
    服がおんなじで、顔にお面かサングラス付けてて、違うのは性別と年齢くらい。
    少し前に母さんやニャアンと見た、スーツの男みたいな人達。
    僕は正直怖かった。
    泣くのを我慢してまだ柔い奥歯を食いしばった。
    でも、母さんは怖がらずに女のスミスに抱きついた。
    「コモリンじゃん久しぶり!ヒゲマンとロッカーマンも!」
    コモリンと呼ばれたスミスがやっと人らしい笑顔を見せた。
    ヒゲマンは微笑みながらウィンクしてるし、ロッカーマン?は「なんだそれ!」って大笑いしてる。
    その時やっと、3人組が怖くないんだと理解した。

  • 19二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:02:32

    ヒゲマンが来たのは、お母さんとニャアンに“仕事”に戻ってほしいとお願いしにきたからだそうだ。
    もともと今の暮らしは“仕事”の報酬の一つとして与えられたものだったらしい。
    母さんとニャアンが2人で協力して勤めてたんだけど、母さんが妊娠したことで続けることが困難になった。
    そこでその間はニャアンが1人でやるか、ロッカーマン?と2人(マヴって言ってた)でやってたらしい。

    母さん「もっとマシューが大きくなってからにして。」
    ニャアン「私も、マチュがいないぶんもっと頑張りますから。」
    ヒゲマン「分かりました。ただし、監視を付けさせて頂きます。」

  • 20二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:19:07

    僕 「僕たち、ころされるの?」
    ロッカー「大丈夫大丈夫。あのオジサンああみえてすごく優しくて面白いから。」
    コモリン「そう?ギャグが洒落にならないときもあるけど…まあ、マシュー君達を守ってあげるって言ってるのよ。」
    僕 「こもりん、ロッカーさんありがと。」
    コモリン「ふふっ、どういたしまして。」
    ロッカー「あの…ロッカーっていうのやめてほしいんだけど。」
    僕 「分かった。なんて呼べばいい?」
    ロッカー「ほら…これ読めるかな?」
    “Xavier”
    僕「えぐさびえー…?ざびえーる…?」(小声)
    コモリン「がんばれ。」
    僕「…ざびー?」
    コモリン「あーおしい!」
    ザビー「ザビーか…ザビーコモリンヒゲマン…うん。それなんかいいな。」
    コモリン「えっ。」
    ザビー「ありがと、マシュー。」

    なんかしっくりきたらしい。

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:13:13

    やるじゃんマシュー。

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 02:13:19

    エグザべくんは初見絶対読めない ザビエルすぎる

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 07:58:44

    シュウマチュの子供スレはなんぼあってもよい。

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 13:21:35

    あれ以来、遠目に見るとどこかに黒いおじさん達ががいるようになった。

    僕達を“監視”するためによこした、ヒゲマンの手下なんだそうだ。

    怖くはなかった。

    別に危害を加えてくるわけでもないし、なによりヒゲマンが怖くなかったから。


    あと、たまにコモリンが来るようになった。

    「経過観察に来たわ。どう?調子は。」

    「問題ないよー。どうする?飯食ってく?」

    「んー…うん、ランチまだだし。」

    黒いおじさん達のリーダーらしいのでお仕事の一環なのだろうとは思っていたが、後に一番の理由は母さんに会いたかったからと知った。

    ウチにきた瞬間、あの軍人特有の怖い顔が女の子の顔になるから。

    …でも、僕の顔を見るとまたちょっと怖くなるのが少し苦手だった。


    「この子が…あのことあいつの。」

    「こんなに似ちゃったら…かわいそうに、忘れられなくなっちゃう。」

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 13:31:08

    母さんの作る料理も美味しい。
    ニャアンがいないときとか、お祝いの時とかそういう時に母さんも作ってくれる。
    スパゲッティにビーフシチュー…レパートリーは洋食が多いが、中でもグラタンが格別に美味しい。
    この料理を作ると、母さんはどこか懐かしい顔をする。

    「どう?コモリン。」
    「おいしい!やっぱマチュの作るグラタンサイコー!!」
    「でしょー?…うちのコが気に入ってるからさ、間違いない。」
    「そ、そうなの…?」
    「そうだよ?なー?うちのハラヘリムシィ?」
    「うん。母さんのゴハン美味しいよ。」

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 13:50:27


    ……
    ………
    「ごちそうさまー!」
    「んー、お粗末様。」
    「いやー、でもホント美味しかった。ニャアンがいつも食事作ってるのは聞いてたけど、マチュもホント上手いよね。」
    「えへへー、こうみえていっぱい練習したんだから。」
    コンチと一緒に遊んでると、後ろから聞こえてくる談笑。
    母さんは皿をしまいながら、コモリンと会話を楽しんでいる。
    「ほんとアイツも馬鹿だよね。こんなかわいい奥さんのゴハン毎日食べられたのに…」
    「…」
    「えっ…あっ!ホントにゴメン!」
    ふと静まり返り気になったので、様子を見る。
    母さんは寂しそうな顔で煙草を咥える。
    ポッケからマッチを出そうとする手をおさえて、コモリンがライターで火を付けてあげていた。
    「…ぜったい、シュウジは帰ってくるから。」

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 18:00:09

    ヤリ逃げゼクノヴァ…

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:47:54

    例の仕事を終えて、ニャアンとザビーが帰ってきた。
    ザビーはヒゲマンへ報告して、そのまま2人でいきつけで呑むらしい。
    ニャアンは少しの傷もなく、出迎えた僕を抱きしめてくれた。
    「ニャアン、おかえり。」
    「ただいま…マシューちゃんもマチュも無事でよかった…!!」
    …不思議だった。
    僕や母さんのほうが“仕事”をしてるニャアンの無事を祈るほうなのに。

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:06:28

    「ニャアンの帰還を祝いましてー、乾杯!」

    「かんぱーい!」

    僕はジュースをもらい、母さんはビール。

    「んっんっ…ぷはーっ!」

    大きなジョッキが直ぐに空になる。

    母さんはお酒に強い。

    外で飲み比べをしたときも、厳ついおじさん達を負かして賞金の札束を抱えていたのを覚えてる。

    ニャアンは大人なのに飲めないらしくウーロン茶。

    飲めないというか、酔い方が最悪で僕には会わせられないらしい。

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:13:37

    「ふぁ…」
    「マシューちゃん、今日は私が一緒に寝てもいい?」
    「うん、ニャアンと寝る…」
    「そっかぁ。じゃあマシュー、ニャアン、おやすみ。」
    「「おやすみー!」」


    「…はぁ。」
    「シュウジがいたら…どんな酔い方してくれるのかな…」
    「私でも、酔えるようになるかな…」

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:44:43

    強いんじゃなくて酔えないのか…

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 07:07:52

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 07:29:28

    ここのマシュー君、タマキおばあちゃんとは会ってるのかな?

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 14:54:40

    母さんは遊び好きなわりにしっかりしてる所がある。
    街を歩いてた時に偽造の美術品を見抜いたり、遠い国の古い言葉を話すおじいさんと昔からの親戚みたいに会話してみたり。 

    「コセキ」がない為に学校へ行けない僕に読み書きや数学、他にも色々な学問をたくさん教えてくれた。
    「1つの言語はあなたの人生の道になり、2つの言語はその道に沿ってあらゆる扉を開く。」
    通っていた学校で習い感銘を受けた言葉の1つらしい。
    実際母さんはたくさんの言語を話せるし、僕も同じくらい話せるよう教えてもらった。

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:12:29

    読み書きの手っ取り早い覚え方として、自分の名前を書くというものがあるんだそうだ。
    確かに名前というのは様々な書類に書かれるものだし、何より自己紹介する時に書いた名前を見せることもある。
    …マシュー・ユズリハ。
    母さんの喋れる言語と、ニャアンが話していたヘビみたいな文字で書けるようになった。

    後にもうすこし大きくなってから聞いたことかまある。
    「なぜ僕にマシューと名付けたの?」
    「母さんのあだ名に、お父さんの名前をもらってつけたの。」
    母さんのあだ名…マチュ。
    ニャアンとコモリン、ヒゲマンくらいしかやらない呼び方だ。
    「この名前をつけたらさ、あいつに“私とあなたの子だよ”って気づいてもらえるかなって。」
    …唐突に出てきた父さんの話題。
    嬉しそうな悲しそうな、女の顔になってる母さん。
    自分の名前に込められた思いを知って、少し寂しげな気分になった。

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:37:30

    ある時、勉強中に母さんに尋ねたことがあった。
    「僕にはおばあちゃんはいるの?」
    聞いた理由は端的に、その時読んでいた本に影響されたからだ。
    旧世紀時代の、とある大国を二分した戦いの時代の小説。
    メインの人物である四姉妹にはおばあちゃんがいて、とても優しく逞しい大きな存在として描写されていた。

    「…そんなに気になる?」
    「うん。おばあちゃんってことは母さんの母さんでしょ?家族のことはたくさん知っておきたくて。」

    「マシューはさ…母さんとニャアンじゃ不満なん?」

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:44:46

    画像の表情も相まってちょっとピキってそう

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:50:41

    「えっ…ちがうよ。」
    怖かった。
    ただ“おばあちゃん”のことを聞いただけで、怒る母さんが。

    「っ!…ごめんマシュー、母さん怒鳴ったりして。」
    ハッとなった母さんは、怖い顔をほぐして抱きしめてくれた。
    「僕は…母さんとニャアンが大好き。」
    「ありがと、マシュー。私もお前が大好き。」

    母さんはなぜおばあちゃんのことを聞いたら怒ったのか。
    次はゲンコツでも飛んできそうで、怖くて聞けなかった。
    でもそれより、僕を抱きしめる時の悲しそうな顔がなんだか気の毒でならなかった。

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:04:40

    あかん……

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:07:24

    ―数年前。

    “いいアマテ、よく聞きなさい。”
    “可哀想だけれど、堕ろしなさい。”
    “あなたの今の状況を考えて。”
    “どこにいるかもわからない。”
    “親にも言えないような生活をしてる。”
    “とてもまともに子育てできる状況じゃないでしょ?”
    “それに父親は?”
    “あなたを孕ませて逃げた男は?”
    “父親もいないで、1人で育てられる?”
    “赤ちゃんが大きくなったら、お父さんのことどう説明するの?”
    “とにかく、最善の決断をしなさい。”
    “以上。”

    「…」
    [タマキ・ユズリハをブロックしました。]

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:09:37

    もう完全に親子の仲は決裂してるのか・・・

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:15:10

    お母さん、私の赤ちゃんだよ! 
    マチュ、頑張ったわね!とても可愛い…

    みたいな光景を最初想像してたんよ…(涙)

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:29:29

    ・・・まあ、そうなるか。
    タマキさん、いい親ではあるけど常識的な考え方しか出来ない人だからなぁ・・・
    せめてヒゲマンやコモりんが近況報告はしていて欲しいんだが・・・

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:58:00

    彼女達に幸多からんことを

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:13:15

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 21:08:09

    …不意に変なことを思い出した。

    赤ちゃんの頃の話。
    まだよちよち歩きを始めたばかりの頃、母さんは僕を抱いて海岸を散歩していた。
    いつもは天気がいい海が、この日は少し荒れていたらしい。
    そして、不意に僕と母さんの体は青い波の中に沈んだ。

    …僕と母さんの身体を掴む感覚。
    その人はものすごい力で僕と母さんを担ぐと、砂浜まで引き出してくれた。
    そして、砂浜で僕らの無事を確認するとそのまま光になって消えた。
    薄れゆく意識の中見えたその人は、髪の毛が青くてスラリとしてて…後に教えてもらったお父さんの姿だった。

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 21:10:46

    お前・・・来てたのか?

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 21:11:13

    その後、意識が戻ると病院にいた。

    帰りが遅くて心配したニャアンがヒゲマンに伝えて、ジオン傘下の病院へ担ぎ込んだらしい。

    母がいつも夕方に海をみているのは、ただ海が好きなだけではない。

    「シュウジが帰って来る」…そう信じているからだ。

    母さんがそのようなことを信じる理由、僕にもしっくりくる。

    大好きな人に助けてもらった幻覚…。

    本当は潮の流れの都合で運良く助かったにせよ、嬉しかったに違いない。


    …母さんはなぜあんな天気の日に、海へ僕を抱いて行ったのだろう。

    なぜ気を失う前に「いやだ」「おいてかないで」と言っていたのだろう。

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 23:41:42

    つれぇよ…

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:05:44

    >>43

    きっと報せている。

    多分赦している。

    でも「あの子が恨むべき相手が必要なら、私がその役を負います」って赦した事すら伝えないでいるんだ。

    もしマチュ側が助けを求めてきたらきっと自分の人生潰してでも助けるくらいするんだ。

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 08:39:07

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 13:31:35

    それでも…!!!

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 15:29:34

    …海が好きだ。
    以前死にかけた記憶があるにもかかわらず、母さんも僕も海に対してトラウマは持ち合わせていなかった。
    むしろ海が大好きだ。
    黙って見ていても楽しい。
    泳いでも楽しい。
    泳ぐ魚を見ても釣っても楽しい。
    そんな場所がいつでも家の裏手にある。
    暑さでへばったり、悲しい気持ちになったり…
    とにかく何かいやなことがあったら真っ先にここへ来た。

  • 54二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:00:15

    読み書きを覚える歳になると、水着を買い与えられて泳ぎも教わった。
    母さんは運動神経が抜群なのは知っての通りだが、泳ぎも格別に上手かった。
    岸から反対側…25メートル程に目印としてジークアクスを置いて、そこの間を何度も素早く往復して見せた。
    僕も見様見真似で何回も練習して、ようやく泳げるようになった。

    「小さい頃からね、地球の海に憧れてたんだ。」
    「プールでいっぱい水泳の練習もしたんだよ。」
    「クラゲになりたい…なんて思ったときもあったかな。」
    クラゲ。僕もあのぷかぷかうかぶ可愛い生き物が好きだ。
    でも、母さんはもっと違う存在に思えた。
    泳ぎの練習が終わった後、ビーチチェアでソーダやビールを飲んで休んでる時の母さん…。
    子供心にすごく色っぽく感じて、本で読んだ人魚姫を彷彿とさせた。

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:08:43

    いいお母さん達を持ったね…

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:47:14

    ニャアンも海が好きなようで、母さんとよく浜辺に来てたらしい。
    でも、“仕事”の都合であまり海で遊ぶことはなかった。
    …少し飛んで13歳くらいの頃。
    母さんが“仕事”に出て、ニャアンが僕の子守をしていた日。
    「ニャアンも海で泳いでみない?」
    「えっ。」
    「ニャアンの水着も、泳いでるとこも見てみたい。」
    「…いいよ、マシューちゃん。」
    母さんのかわりに泳ぎを教えてもらう…そのつもりだった。

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:50:21

    …後悔した。
    まさかニャアンがカナヅチだったなんて。
    少し海に入ってパチャパチャと平泳ぎをしていたまではよかったのに、足のつかない深い所で突然動かなくなった。
    僕は慌ててクロールでニャアンがいた所まで泳ぎ、沈みかけてる身体を引っ張って岸までたどり着いた。
    「ニャアン…目を覚まして。」
    …必死に母さんやザビーから教わった救命処置を行う。

    「…!!マシューちゃん!?」
    「よかった…生きてる…」
    すぐ岸まで引き返したからか、ニャアンはすぐに目を覚ました。

    「ごめんなさいマシューちゃん…こんなとこ見せて…」
    「大丈夫だよニャアン、僕も迂闊だった。ニャアンが泳げないと知ってたら…」
    「…でも、助けてくれてありがとう。」
    申し訳ないのか恥ずかしいのか、唇を抑えながら目を逸らすニャアン。
    …僕のほうが悪かったのに、奇妙な気分だった。

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:51:52

    (唇奪われちゃった……///)

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:59:12

    母子なんです!
    二人は母子だから問題ないんですっ!

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:17:54

    >>59

    某スレではマチュ子の結婚相手がニャアンだったりしたけどな…

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 00:53:21

    コモリンは日焼けや潮の匂いがキライらしく、あまり海には近づかなかった。
    「あんたたちよく平気よねー…」とか言われたけど、僕は生まれつきこの匂いの元で生活してたからなぁ。

    ヒゲマンとザビーは泳がないかわりに、釣りを教えてくれた、
    普段は家にある簡単な竿を汽水域へ行って垂らすだけ。
    ギンガメアジやスルタンフィッシュ、アロワナを釣っては火を起こして焼いて食べたものだった。
    だが一番楽しかったのは、大きな船に乗せてもらって沖へ出た時。
    本格的な竿を使って、普段は見られない魚を釣ることができる。
    ザビーとヒゲマンが大きなマグロを釣りあげたときなんか、とてもカッコよかった。
    「いえいえ、私たちはもっと大きなのを釣り上げたことがありますよ。」
    …ヒゲマンが言っていたが、いったいどんな魚だったんだろう。

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 06:55:01

    マジで何釣ったんだよ…

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:01:17

    >>62

    きっと、サメでも釣ったんだよ()

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:13:05

    >>61

    ……その魚、緑色でチューリップみたいな形してませんでした?

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 13:31:35

    マシュー君も一緒に仕事に参加するのかな?

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 17:59:40

    今更だがザビーと聞くとついこっちが思い浮かんで…

  • 67二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:47:07

    >>64

    魚…うーん、海に沈んでいたから魚になるのか?

  • 68二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:49:14

    >>66

    つまり改修後に黒ベースのカラーに金ラインの入った超高速航行可能なギャン・カスタム(刺突が得意)を操縦するエグザべさん・・・?

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 19:13:12

    >>64

    釣り竿(強襲揚陸艦)

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 19:44:30

    てかマシューちゃん出身地が出身地なだけに魚もエキゾチックなやつだな。

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 23:40:22

    “無事産まれました。”
    “名前はマシューです。この子の父の名前を借りました。”
    “何があってもこの子だけは守ると誓います。”

    …10ヶ月以上前にブロックされた筈の娘から、メールが届いた。
    ブロックを一度解いて送ってきたらしい。
    たった三行の短い文章に1枚写真が添付されている。
    写真に写っているのは、赤ちゃんを抱いた娘。
    赤ちゃんは生後3ヶ月くらいか、うっすらと蒼い髪の毛が生えている。
    どことなく、赤ちゃんのころの娘を彷彿とさせた。
    …産んでしまったの?
    あなたはどこの馬の骨ともわからない軽い男に誑かされ、孕まされ、捨てられたのよ。
    そんな子供育てるのも辛いんだから、中絶したほうがよかった筈。
    なのに…なのに…。
    「…おめでとう、アマテ。」
    孫の誕生…嬉しくないわけがなかった。
    …涙が止まらなかった。
    生まれる前の孫を害そうとした、娘の一握りの幸せを壊そうとした自分が情けなくて仕方なかった。
    できることならメールでも電話でも謝りたかった。
    場所を調べて、なにか差し入れてあげたかった。
    …でも、もうそれはできない。
    [このユーザーはあなたをブロックしています。]

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 04:10:38

    このレスは削除されています

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 07:12:50

    >>71

    うわああああ…

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 12:53:43

    『覆水盆に返らず』

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 13:07:18

    >>71

    こんな…こんな事ってないよ…💧

    どっちも辛いな……💧

  • 76二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:01:31

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:26:24

    マシュー……Matthewと書く。
    聖書の「マタイ」に由来する名前。
    日本での有名人物を挙げるなら、黒船の『マシュー・ペリー』だろう

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:08

    10歳くらいになると、少しずつ世間というものについて学び・考えるようになる。
    それが真面目であれ不真面目であれ。

    宇宙世紀になると全世界でタバコが禁止される…と昔は言われたらしい。
    健康志向が促進されているのみならず、タバコの煙や灰や熱がコロニーや都市の精密機械に悪影響を及ぼすと考えられた為だ。
    …まあ、普通にタバコ屋や自販機を見るので全面禁止とまではいかなかったようだ。
    街の方では確かに禁煙区域が多いが、僕達の住んでいる田舎に来るとフツーに路喫オンリーだ。
    嘘か本当か知らないが、モビルスーツや戦艦の中で作戦中に支給品のタバコを喫していた軍人もいるらしい。

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:33:28

    母さんも煙草を吸う人だ。
    夕方の海を見る時とか、お酒を呑む時に紫煙をくゆらす。
    思い出せる限りでは、丁度僕が5〜6歳くらいの時に吸い始めた。
    「タバコを吸うのは、一種のジバツイシキやジショウコウイです。私も以前はハマキが手放せなかった。」
    ヒゲマンが説明してくれたが、その時は小さかったので意味がわからなかった。
    正直理由なんてどうでもよかった。
    ある夜起きると、テラスに出て煙草をふかす母さんがいた。
    1杯のウイスキーを少しずつ啜りながら、その度に煙も喫む。
    「マシュー…寝てたんじゃなかったの、母さんいま臭いから来ちゃダーメ。」
    「おい、それ以上近づくとチューすんぞお前。」
    ちょっと笑いながら、困った顔で言う母さん。
    煙のいぶ臭い感じなら、炭火や焚き火にお香で慣れているのもあると思う。
    でも、煙草を吸ってる母さんのことは平気とかじゃなくて…。
    「あー…完全にどこかで育て方間違ったなコリャ。」
    そういった母さんは吸いガラをもみ消し、リメイク用カンカンに入れる。
    そして氷が完全に溶けたウイスキーを一気に煽ったあと、おもいっきりギューっとされた。

  • 80二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:35:44

    ニャアンは以前タバコを吸わなかった。
    灰皿の掃除をしたり、喫煙してる母さんのとなりに座れたりするからそのものが苦手とかいうわけではないようだ。
    ある時母さんが“仕事”でいなくて、2人きりのときに話してくれた。 
    ベランダに座って星を眺めていた夜のことだった。
    「昔住んでた所の人に、すごく悪い人たちがいてね。」
    「その中の一人がよく煙草を吸っていて…機嫌を損ねると吸い終えた煙草を押しつけられたの。」
    …ニャアンの住んでいた環境があまり良くなかったことは知っていた。
    「でも…マチュが吸ってるとこ見るとちょっとカッコいいよね…。」
    そう言いながら、ポッケから出した金色のパッケージの封をやぶくと一本咥えて…蓮の花が書かれた使い捨てライターを手渡された。
    「まだ、ちょっと怖いな…」
    「マシューちゃん、火…着けて。」
    目を閉じて、煙草を咥えた顔を突き出してくるニャアン。
    片手を風が当たらないように添えて…シュッ。
    ニャアンがゆっくり吸うと、先端が赤く灯った。
    「すぅ…はぁ…」
    口の中に煙をためこみ、吐き出す。
    「コレ、こんな感じなんだ…マシューちゃん、ありがと。」
    微笑みを浮かべるニャアン。
    …なんだか悪いことをしてる気分だった。
    でも、細い指にタバコを挟み流し目で吸っているニャアンの姿は…まるで映画みたいだった。

  • 81二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 21:23:47

    >>80

    なんだろう、ショタマシュ―とニャアンの絡みにインモラル味(※大好物)を感じ始めている自分がいる

  • 82二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 21:41:11

    インモラル気味な初恋、いいですね

  • 83二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 04:03:49

    …マシュー君、ニュータイプのハイブリッドだからもし存在知られたら狙われそうだな。

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 10:44:37

    大人マチュも大人ニャアンもタバコ吸ってる姿様になってそうでいいなあ⋯吸ってる動機はよくないけどめちゃくちゃ似合ってそう

  • 85二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:13:41

    >>82

    18歳差の初恋



    良いぞ(語彙力消失)

  • 86二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:20:05

    身長が母さんの胸辺りになった頃。
    そこそこ大きな街の方へ連れてってもらえることも多くなった。

    街へ出かけるときには決まりがあった。
    数十メートルおきに黒いおじさん達が見張るのはこれまで通り。
    あとは…必ずニャアンがいること。
    母さんと僕のボディガード代わりらしい。
    みだりに黒いおじさん達に出動させると騒ぎになるってことらしい。
    母さんも強いのに、そんな必要あるのかな?
    あと、母さんはどこに行って食事をしても、だいたいお酒を飲んでしまう。
    いくらお酒に強い母さんでも、飲酒運転だけはゴメンだ。
    車のハンドルを握ってるのは、行きも帰りもいつだってニャアンだった。

  • 87二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:47:55

    母さんはガサツなようで、案外女の子らしい趣味の人だ。
    ニャアン曰く昔から流行に敏感で、いいセンスをもっていたらしい。
    街に連れて行ってはオシャレな服や雑貨…見慣れないものをたくさん買ってくれた。
    初めてパソコンや携帯電話を買ってもらったのもこのあたりだった。

    街に出るようになって、ボディガードのいる理由がわかった。
    …母さんはすごくモテるんだ。
    僕も母さんのことを綺麗でかわいいと思うように、まわりもそう思うようだ。
    子連れのシングルマザー…というのも要因の1つらしい。ヒゲマンが言ってた。
    ニャアンが少し席を外してる時に、チャラい奴にナンパされては軽くあしらってるとこを見た。
    酒を奢って酔わせようとしてた奴の前で、ビールを何杯も飲んでみせて酒代をそのまま払わせてたときもある。

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 20:12:13

    1ヶ月に1回か2回、ニャアンと2人きりで出る時もなかなか楽しかった。

    母さんがあまり回らないような所を見せてくれる。

    アジア系の人たちが住む街があって、赤い提灯にカンジやタイ語で書かれた看板…僕らの住む海岸の村や中央の街とはまた違う情緒があった。

    基本的にココに来る時はまず映画を見る。

    カンフーにホラー、戦争もの…教科書にのるレベルの旧世紀のやつばかりで、サブスクでは配信されてないものを生のフィルムで見られる。

    ニャアンとポップコーンを分けながら、スクリーンで繰り広げられるファンタジーに釘付けになった。

    …いや、正直言うと見てたのは画面だけじゃない。

    隣で映画を見てるニャアンの顔…笑ったり泣いたり、時々ビクッてしたりしてるのを見るのも好きだ。

    その後は屋台の並ぶストリートで食事。

    ニャアンはよく春雨やフォーを食べさせてくれた。

    「これ…昔よく食べたの。」

    「ニャアンは麺が大好きなの?」

    「うん…でも、昔食べたのはこんな甘辛くておいしいものじゃなかった。塩ゆでされて、伸びてもそもそしたのに醤油をかけただけだった。」

    「…このチキン、お腹いっぱいだからあげる。」

    「…ありがとう、マシューちゃん。」

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 20:30:13

    >>88

    これ春雨なんだよな

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:52:43

    >>80

    あまり大きな声では言えないが、正直ニャアンって魔性の才能あると思ってる

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 05:21:23

    オカンはともかく、ニャアンのはもうデートだよコレ。
    いいぞいいぞ。

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 13:12:22

    >>83

    (そういえばニュータイプ同士の子供って本家でもそうそう居ないケース……?)

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 13:19:32

    >>92

    あれ?そういえば他にいたっけ? ってくらい珍しい気がする

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 14:05:30

    >>92

    とあるパン屋さんとか例かもしれない

  • 95二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:46:26

    『お父さん大好き!』
    『パパ!カレー作ったよ!』
    『親父、こんどいっしょに呑まない?』

    漫画や小説を読んでいて心がキリキリする瞬間。
    家族愛の話は大好きだ。
    なぜなら僕自身、家族が一番大事だと思ってるから。
    でも…父親という存在がそこに出てきた瞬間、違和感が生まれる。
    小さい頃から、うちには父さんがいない。
    でも他の家にはそれがいて、なおかつその状態が当たり前なんだそうだ。
    自分にないものが世界では当たり前…。
    自分がこの世界にとって異物のように感じる。

    あと、もう1つ。
    最近読んだ漫画で不満に思ったやつ。
    『ハグしないで!くすぐったいよ!』
    『もういっしょに寝る歳じゃないでしょ!あっち行ってよ!』
    …なぜ母を拒否するんだ?
    寂しがってるかもしれないのに。

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:48:14

    いろいろな所に連れてってもらうようになっても、あまり行きたくない所があった。
    「こんど母さんもニャアンも休みなんだけど、どこに行きたい?」
    「ん…堤防で釣りしてから、バーベキューしたい。」
    「マシュー…もっと楽しいとこいかないの?」
    「もっと楽しいとこって?母さんとニャアンがいれば僕はどこでも楽しいよ。」
    「あ、ありがと…でも、たとえばさ…映画館とか。」
    「映画館はニャアンと行くからいい。」
    「そういうのじゃなくて、新しい映画やってるもっと大きなとこ。」
    「あと、遊園地とかどう?ジェットコースターとか乗ってみ?」

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:50:30

    「…いやだ。」
    「なんでぇ?」
    「…あそこにいくと、皆家族で楽しそうにしてるから。」
    「父さんも一緒にいたら…って考えて、楽しめないんだ。」
    「…そっか。」

    …嘘をついた。
    確かに、自分の家庭に父さんがいないことに少し不満を覚えてはいた。
    周りと違う自分の境遇への違和感。
    空いた空虚感を埋めたいという願望はあった。
    …でも、本当の理由は他にあった。
    これは街を歩いてるとき…もっと言えば近所のマーケットにいるときですら感じる。
    親子連れ…特に、父親が子どもを抱き寄せてそれを見た母親が微笑んでいたりすると…母さんは苦虫を噛み潰したような顔をする。
    嫉妬、虚無感、哀しみ…母さんが普段表に出さないような感情が混ざった顔だ。
    …本当にお父さんがいなくて悲しいのは、母さんなんだ。
    だから、家族全員じゃないと楽しめないところには行きたくない。

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 00:30:57

    おいシュウジ早く帰ってこい。
    奥さんヤバそうだぞ。

  • 99二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 05:49:07

    帰ってきたらそれまで我慢してた分が爆発してすごいことになりそう

  • 100二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 07:50:14

    マチュ…

  • 101二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 07:57:40

    お労しや、マチュ上

  • 102二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 13:48:22

    てかマシューちゃん…ニャアンに向ける感情はともかく、オカンにも相当お熱だな。

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 13:59:11

    欠けたものを補おうとお互いに努力しても、決して満足はできないんだ……

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:14:01

    続き期待保守

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:35:03

    13歳になった頃。
    声変わりして、ようやく母さんと目線が同じになった頃。
    そして…僕が絵を描くようになった頃。
    母さんから聞いたことがある。
    『お前のお父さん…シュウジも絵を描くのが好きな人だったよ。』
    『スプレーで壁にでーっかいキラキラの絵を描くの。』
    …あいにく僕はスプレーアートではなく、筆と絵の具を使った水彩画だけど。
    とにかく色々描いた。
    海の景色。
    珍しい動物。
    ハロとコンチ。
    そして…
    「ねえ、まだー?」
    『ウゴクナ!マチュ、ウゴクナ!』
    「…」
    「うわ、ニャアンすげー、ハシビロコウみたい…」
    「…はい、出来たよ。」
    「見せて…わー!すごい!」
    「…うまく描けてるね、マシューちゃん。」

    母さんとニャアン。
    身近にいる、世界で一番美しいモデル。
    長い間、この絵を描きたかった。

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:43:01

    >>105

    おお!PLAZMAの!


    そしてマシューちゃん…どんどん拗らせてくるなぁ…

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 06:16:40

    めっちゃ元気で平和に暮らしてるようで、どこかが確実に壊れてしまっている3人が好きだ。

  • 108125/08/09(土) 13:36:36

    元スレの方の流れでハッとしたことがあった為、展開を書き直しています。
    少々遅れることになりますが、お待ち下さい。

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 22:00:48

    楽しみ保守

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:16:18

    …それは突然のことだった。
    あの日、日常の全てが変わったと言っても過言ではない。

    その日は母さんとニャアンが仕事で留守にしていて、ザビーが代わりにいてくれた。
    そして久しぶりに釣りでもしようかという話になり、ザビーが釣り竿を探しに裏手の納屋へ行った。
    僕は昼食用にサンドイッチを作ろうと用意していて…ふと気持ち悪くなった。
    いや、気持ち悪いといっても吐き気とかお腹いたいとかじゃない。
    頭に強烈なショックというか…コレをしなきゃみたいな強迫観念が出たんだ。
    そしてそのまま体が動いて、冷蔵庫…の真反対にある食器棚の下。
    その中にはカンカンがあって…迷わずガバッとあける。
    …思わずビビって落としてしまった。
    なんだよ、コレ。

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:19:49

    母さんとニャアンがやってる“仕事”の内容…知ってる。

    ヒゲマンのエージェントだ。

    時に銃を持って、時には武装した車に乗って。

    時にはモビルスーツに乗って…。

    でも…いざ目の前にすると怖かった。

    それは料理に使える刃物とは違って。

    それはキャンプに使えるロープと違って。

    それは…人を殺すためだけの道具だ。

    いつもの自分なら、そのまま閉まって見なかったことにするだろう。


    …!また気持ち悪い感覚だ!

    だが、さっきと違う。

    今度のソレは動いている。

    “気持ち悪い”が、近づいてくる。

    ああ、この感覚がいやだ。

    それが近づくごとに、体中がゾワゾワとする。

    体中をシラミやナンキンムシが這ってるようなあの感覚。

    この感覚を止めなければならない。

    僕は足元の“気持ち悪い道具”を拾いあげる。

    そして、“動く気持ち悪い”が近づくのを待って…。

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:25:16

    「あ゛…い゛っ…」
    “動く気持ち悪い”は、持っていた“気持ち悪い道具”を落とし、腹を押さえてうずくまっている。
    僕は落ちた“気持ち悪い道具”を足で自分の後ろへと蹴り飛ばす。
    「気持ち悪いんだよお前…」
    「僕たちの家だぞ…血で汚れたじゃないか!」
    銃口をなお“動く気持ち悪い”に向けた。

    「お願いだ…殺さないでくれ…!」
    ゾワゾワが収まった。
    …確かに気持ち悪いはなくなった、筈だ。
    でも、なんでこんなに僕は嫌な気持ちなんだ。
    「嘘だろ…話が違う…」
    「この子…まだ子どもじゃないか…!?」
    僕は怖かった。
    気持ち悪い奴が、気持ち悪くなくなってしまったことが。
    …いや違う、この人は最初から気持ち悪い奴じゃなかったんだ。
    お金とか身の安全のために、無理やりこんなものを握らされて…。
    「…マシュー!無事か!?」
    …遅れて、ザビーが来てくれた。
    他の黒いおじさん達が、かろうじて生きているあいつに応急手当をしてから引きずり出した。

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:29:12

    敵は3人組で侵入したらしい。
    他の2人は黒いおじさん達が捕まえてくれたが、最後の1人の追跡に手こずり、そのまま侵入してしまった。
    最初に気持ち悪い!と思った時がソレだったのか。

    ザビーに助けられた後…僕はずっと風呂場に閉じこもっていた。
    シャワーで返り血を流して…一応冷水で綺麗に流せた。
    それなのに、気持ち悪い感触が抜けない。。
    自分自身が…ただただ気持ち悪い。
    「でも相手は敵だったろ?」
    「やらなきゃ、君がやられてたんだ。」
    …それはそうだ。
    でも、これだけは違う。
    戦意を失った相手を見下し、嘲りながらトドメを刺そうとした。
    僕はあのとき、間違いなく“気持ち悪い”側になってしまっていた。

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:43:49

    …次の日、母さんとニャアンが帰ってきた。

    家の荒れ様に驚いていたが、それよりも僕のことを心配してくれた。

    でも…僕は自室に籠もっていた。

    誰にも汚れてしまった自分を見せたくなくて。


    夜中、みんなが寝静まったであろう時間。

    僕は廊下をおそるおそると音を立てないように歩き、台所へ行った。

    正直食欲は無かった…ただ、水筒が空になったから水と氷が欲しいだけだった。

    冷凍庫からピンポン玉大の氷を取り出し、蓋を取った水筒の中へ入れる。

    音を立てないようゆっくりと転がすように。

    蛇口を捻ろうとした時だった。

    ガラガラッ

    「…マシューちゃん、なにか作ろっか?」

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:46:25

    …昔からニャアンとは不思議な距離感だった。

    お母さんのような、お姉さんのような。

    何度も食事やおやつを作ってくれて、僕が美味しい美味しいと食べてる所を微笑みながら見守ってくれた。


    「はい、お待ちどおさま。」

    …クラブラングーンだ。

    ゴマ油とカニの香ばしい香りがする。

    …でも、僕は手を伸ばせなかった。

    「…食べないの?」

    隣に座ってるニャアンは、僕の顔を怪訝に見つめている。

    「ニャアン…僕は…人を傷つけて」

    「言わないで、マシューちゃん。」

    指を唇にあてて止められるれる。

    「私ね…昔、間違ったことをしてたくさんの人を哀しませてしまったの。」

    「自分だって小さい頃、誰かの過ちのせいで哀しむ人達の一人だったのに。」

    「でも、マシューちゃんとマチュは違う。まだ誰も殺したことがない…綺麗なんだよ。」

    「母さんも…?」

    目標としていた母さんと同じと言われる。

    僕は嬉しかったけど、同時に情けなくて…。

    「うっ…僕は…どうして…」

    …不意に1つ、クラブラングーンが押し込まれる。

    少し冷めてるけど、昔から慣れ親しんだ味…。

    ニャアンの指が唇から離れるのを確認してから、咀嚼を始める。

    蟹の出汁とチーズの濃厚な旨味が口の中に広がる…。

    「今は…これ、食べて。」

    「たくさん食べて、嫌なこと全部忘れて。」

    「…うん。」

    ニャアンに励まされた僕は…だんだん食欲が湧いてきた。

    クラブラングーンを1つ2つと口に放り込み、噛みしめるたびに…涙が溢れた。

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:56:25

    「二人とも、これを観て下さい。」

    「この映像は…あっ、あの家の監視カメラ?」

    「はい、台所です…マシュー君の動き…ほら、厳重に隠された拳銃をもう一瞬で探し当てました。」

    「あーテーブルの影に隠れて、アンブッシュ!」

    「そう、そしてまだ人数も方角も把握できるわけがない状況から索敵して…はい、ズドン。」

    「腹部に一発、内臓はズレてたけど出血ヤバかったです…あ、敵の拳銃蹴り飛ばした。」

    「敵が負傷してなお警戒してますね、まるでケンドーのザンシンです。」

    「しかし、マシューくん素人にしてはいいスジしてますね…マチュがよく訓練してたんだろうな…」

    「してません。」

    「え?」

    「マチュ君は、マシュー君に対して一切戦闘訓練を受けさせていません。」

    「えっ…じゃあこの状況は…」

    「親から受け継がれたニュータイプの血、でしょうか…まさにサラブレッドですね。」

    「…ってことは、彼らの目的はマチュとニャアンじゃなくて…最初からマシュー君!?」

  • 117二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 23:59:35
  • 118二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 01:12:55

    これは…ついにマシューも仕事入りか。

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 04:58:37

    元スレの年代まで後3~4年ってとこか・・・。
    サイド6ではそろそろクーデターが起きてる頃かな?
    タマキさんの動向が気になる・・・

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 08:02:26

    マシューちゃん…その感覚を忘れないでくれ。

    これから多くの戦いに身を投じることになっても、優しさや思いやりを大切にしてくれ。


    >>117

    この世界線でずっとニャアンとイチャイチャしてるのも見たい。

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 16:49:17

    >>115

    ニャアンだからできる慰め方…

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:54:31

    ガチャッ

    「ただいまー…」

    「おかえり、ニャアン。」

    …あの事件から2日後。

    敵の侵入によって家が著しく荒らされために、僕達はヒゲマンが用意してくれた別の住居に引っ越していた。

    住居と言っても、アパートを改装&偽装されたGHOST(ヒゲマンのエージェント、ザビーやコモリンに黒いおじさん達のこと)の施設だ。

    狭かったけど、警備は厳重だった。

    僕やニャアンは順応できた。

    問題は母さんが帰っている時だった。

    生活の不便さや部屋の狭さより…海が見えないことが不安を呼んでいたんだと思う。

    「何も…見えない…」

    母さんは窓の外を見ても、海が見えないことに苛立ちを覚えていた。

    海が見えないということは、“シュウジ”にあえなくなるかもしれないということだから。


    「ごめんなさい、僕が狙われたせいで。」

    「お前はなんも…悪くないだろぉ…」

    母さんは僕を抱きしめて、泣いた。

    酒とタバコに…母さんの匂い。

    「ごめんねぇ…こんな母さんで…」

    ひとしきり泣きじゃくって、キスをして…ようやく眠りにつく。

    毎晩その繰り返し。

    でも…僕はそれでよかった。

    母さんが正気を保てるなら。

    あの日みたいに、“むこうがわ”にいこうとしないでくれるなら。

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 21:17:24

    母さんが寝付いた後。

    あるいは母さんがいない夜。

    ニャアンがタバコを咥えて、僕が火を付けてあげる。

    紫の煙を吐き出しながら、窓際に座って夜景をみていた。

    「私ね、むかしこんな感じのアパートに住んでたの。」

    「お風呂から上がったら…毎晩、こうやって外を見てた。」

    …海際の光景には遠く及ばないが、確かに綺麗だった。

    街頭や建物の灯り、車のヘッドライト…さまざまな光が入り乱れてイルミネーションのようだ。

    ある晩、またニャアンと夜の街をみていた時のこと。

    「あの辺りは亜細亜街だっけ。夜はあんなふうに光るんだね。」

    「あそこが気になるの?」

    「うん…いつもニャアンと行ったら楽しいから。」

    「いまだけ…二人きりで行っちゃう?」

    …ふいに手をひかれ、耳元で囁かれる。

    寝てる母さんに配慮してなんだろうけど…僕は悪魔に誘惑されてるような気分だった。

    「駄目…一瞬でも母さんを1人にしたら…哀しませてしまう。」

    「そうだよね…マシューちゃん、優しい子だもんね。」

    ニャアンは、悲しそうな顔をしながらまた夜景に煙を吹きかけた。

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 01:18:11

    ニャアンがいい。
    すごくいい。

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 03:43:29

    一読者として、僭越なのですが…>>117の後に>>123をみるとその…フフ…より一層いい感じになります…

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:11:24

    ほしゅ

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:45:41

    これは悪い大人のニャアン

    いけませんね、実にいけません

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 19:53:51

    ある日、僕はヒゲマンに呼び出された。
    …管理人室に司令官とは、なにかの冗談みたい。
    「お呼びですか、シャリア司令官。」
    「いえ、いつも通りでかまいませんよ。」
    「ごめんなさい…なんだかここにいると窮屈で堅苦しい感じがして。」
    「言ってしまえば兵舎のようなものですからね…本当に申し訳ありません。」
    「いいんだよ…ところで、話って?」
    「そうですね…単刀直入に言います。」
    ウイスキーを一口啜ると、ヒゲマンは切り出した。
    「いますぐにとは言いません…マシュー君も、“仕事”をしてみませんか?」
    質問は、至ってシンプルだった。
    それはすなわち、ヒゲマンのエージェントになれと言うこと。
    母さんと一緒に戦ってくれということ。
    そして…当然僕の答えは決まっていた。
    「…やります。」

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:21:04

    それからまた数日後…ヒゲマンから連絡があった。

    『みなさんの新しい“家”をお披露目致します。』

    『広くて快適で、海の見える物件を。』

    ウンザリしていた母さんは、最後の文面に食いついた。

    家のある土地に戻る。

    …おかしい。

    いや、確かに前の家と同じだ。

    中の部屋の間取りも、雑貨も…。

    あれ程壊されたのが、まるで時間を戻して元通りになったような…?

    何か決定的な違和感を覚える…。

    「今のはあなたたちの居住スペースよ。」

    「そうです…メインはここからです」

    ヒゲマンがそう言うと、廊下に有ったボタンを押す。

    すると壁が開きエレベーターになっていた。

    全員で搭乗し30秒程下る…。

    ドアが開くと、そこは広いスペースが広がっていた。

    様々なモニターにスイッチ…レバーに、真ん中には操舵輪が。

    「あーこれかー、なんか最近操縦訓練受けたと思ったら…」

    「私もVRで操舵訓練受けた。」

    「ヒゲマン、これはいったい?」

    「あなた達、ユズリハ家のための安心・安全なおウチよ。」

    「お宅って…戦艦じゃないか。」

    「居住スペースに指令室、武器庫、格納庫…まあ狭義においてはそうでしょう。」

    ヴィマナー…ヒゲマンはそう呼称した。

    インドに伝わる、空飛ぶ城からつけたらしい。

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:33:16

    ヴィマナーに移り住んでから、僕も母さんたちの“仕事”を手伝うことになった。
    といっても、いきなり戦地へ行くわけではない。
    母さんたちのために食事を作ったり整備したり、その他掃除や洗濯など雑用からだ。
    でも、僕は残念には思わなかった。
    自分はまだ戦力に足らなかったから。
    それに、ヒゲマンの言葉があった。
    「炊事兵や衛生兵に整備兵も、隊を支える立派な兵士です。」
    …やはり上に立つ人の目線は違うな。
    僕としても、母さんとニャアンが万全の状態で出撃して無事に帰ってきてくれるのが嬉しい。
    いつでも万全な状態で行けるように臨んだ。

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:46:46

    「このっ…このっ…おーいマシュー!」

    「いや、ちょっとね?このファスナー上げてくんない?」

    「…あれ?やっぱ上がらない?」

    「はぁ…また大きくなっちゃったか…」


    「ねえ、マシューちゃん?」

    「私のも…ファスナー上げてくれる?」

    「ほんと?じゃあ、ちゃんと手でおさえてね…」

    「ありがと、うまくできたね…って大丈夫?熱でもある?」

    「大丈夫ならいいけど…それじゃ、私頑張るね。」

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 21:02:20

    母さん達が作戦に行ってる間、黙って待ってるわけじゃなかった。

    料理をして掃除をして…空いた時間でいつでも自己訓練を怠らなかった。

    もちろん白兵戦にモビルスーツ戦…実機ではできなかったが、ヒゲマンの指導と最新技術があってこそのものだった。

    「これは最新式のVR訓練装置です。特にニュータイプであれば、使いこなせる確率は上がります。」

    言ってしまえば、すごくリアルなシミュレーターだ。

    だが、そのリアルさが大事。

    実際の訓練では間違えば死者や損壊を引き起こす事故に発展する。

    モビルスーツも人命も大事なので…こういう技術の開発がかなり進んだのだそうだ。

    僕はこのシステムで、たくさんの機体の操縦を学んだ。

    ザク、ゲルググ、ギャン…そして、ガンダム。

    母さんのジークアクスと、ニャアンのジフレド、シャア・アズナブルのガンダムは僕にとってなによりの目標だった。

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 21:44:54

    訓練を終えてシミュレータールームから出てきた頃、だいたい母さん達が帰ってくる。

    「おかえりなさい、皆。」

    「ただいま、マシューちゃん!」

    「ただいまー!あーおなか減ったー…」

    「先にお風呂入ってて、今用意するから。」


    「はふっはふっ…うまーい!」

    「よかった。前に食べたデリバリーのやつ参考にしたんだ。」

    「マシューちゃんって勉強熱心でえらいね。」

    「…ありがと、ニャアン。」


    それにしても…母さんが元気になってきてよかった。

    ここに戻ってきてから、また海が見れると喜んでいる。

    しかも家全体が空飛ぶ戦艦だから、毎日違う場所の海を堪能できる。


    僕は、あのアパートでも十分だとか言ってたけど…なんだかんだ言って、水着に着替えて海を見る母さんをみたかったんだ。

    テラス…もといホログラムを解いたデッキに座ってビールを流し込む母さんが、やはり綺麗だ。

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 22:29:33

    マシュー君どんどん成長するね。

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 00:50:29

    >>131

    ファスナーのことはともかく、ニャアンが一番ヤバそう

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 05:04:53

    うーん…>>3に続くお話だから仕方ないとはいえ、戦いとかよりマチュ&ニャアンとマシュー君の爛れた日常的な話がみたい…

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 05:41:25

    私はどっちでもいいかなぁ
    シュウちゃん関連の話がたまに出てくるのありがたい
    早くマチュのところへ戻っておいで……

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 06:50:05

    >>136

    あくまでシャアララの子との話に続くからその2人との爛れた日常的なものはやり過ぎるのはあかんのじゃないか、マチュに至ってはシュウマチュ前提だし

  • 139125/08/12(火) 07:02:59

    >>136

    ニーズは承知しています。

    本スレの内容が終わり次第、好きなように妄想できる別なスレで建ててみようかと思います。

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 11:02:59

    「次の作戦はマシュー君も参加して下さい。」

    …VR訓練を始めてから数カ月後。

    いよいよ僕も実戦への同行が認められた。


    搭乗機体はいつもゲルググのオリジナルカスタム。

    ガンダムのデータをベースに作られた機体だ。

    量産型ながら、数十年もの間配備されている優れものだ。

    いくらVR訓練で操縦をマスターしても、ガンダムはまだ乗れなかった。

    流石にガンダムはそうそう量産できない。

    ジークアクスは母さん、ジフレドはニャアンのもの。

    でも、たとえゲルググでも母さんやニャアンと肩を揃えて戦えるのが僕は嬉しかった。


    「準備完了。マシュー、出撃する!」

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 11:05:15

    僕たちの任務。

    ニュータイプの平和利用の模索。

    そして、ニュータイプを悪用する者たちの撃退。

    …簡単に言えば、悪い研究所や重要施設を見つけては破壊して捕まってる人たちを助けようっていうことだ。

    僕たちの任務は、絶対に戦いそのものではない。

    むしろ命を奪うことはしない傾向にある。

    これは母さんとニャアンの希望、ひいてはヒゲマン自身の願望から来ているという。


    「マシュー!こっちは任せて向こうへ!」

    「りょ、了解…!!」

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 11:07:15

    正直、作戦は怖かった。

    訓練と違う!とかはあんまり無いし、テクニックも十分培った。

    でも、ふとした時にあの日を思い出す。

    初めて、人を殺しかけたこと。

    台所で血を流して倒れた侵入者のこと。

    相手を傷つけることへの抵抗。

    それに、もし作戦に失敗して母さんやニャアンに何かあったら…。

    何度もコックピット内で涙を流したことがある。


    でも、絶対に任務そのものに挫けることはなかった。

    なぜなら助けを待っている人たちは、もっと怖い思いをしていたから。

    誘拐されたニュータイプの子。

    無理やり兵器開発をさせられる科学者。

    慰み者にされようとしていた女性達。

    さらには、クローンとして産まれ、モルモットとして利用されている子供までいた。


    「さあ着いてきて、もう自由だ。」

    そんな人たちを、僕たちは何度も助けてきた。

    彼らは開け放たれた扉や斬り開かれた天井を見ると、溢れる光に目を再び輝かせていた。

    彼らが生きる希望を取り戻すのを見て、僕もまた勇気を貰っていた。

    https://bbs.animanch.com/arc/img/5299500/22

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 18:22:57

    「みなさんよく頑張りましたね…報酬は振り込んでおきました。」

    任務が終わると、ヴィマナーへ戻ってデブリーフィング(結果報告)だ。

    作戦で得られたデータは全てヒゲマンの所へ送られる。

    もし鹵獲した物品があった場合、ヴィマナー内で解析することもある。

    助けた人質の皆も一旦ヴィマナーで運んでからヒゲマン達の基地に預かり、それから親元や故郷あるいは更生施設へと送られる。


    任務を遂行する中で失敗とまではいかないが、あのときこうすればよかったな…とかもっといい動きがデキたらな…とか思ったりすることがあった。

    でも、ヒゲマンもザビーも僕たちのことをたくさん褒めてくれた。

    「実際やらかしたことでクヨクヨするより、よくできたことをさらに磨くのがいいよねー。」

    母さんが言っていた。

    でも、ヒゲマンがたまに言う言葉にはモヤモヤすることがあった。

    「さすがは、マチュ君とシュウジ君の子ですね。2人のいいとこ取りだ。」

    …親と比べるなとかいいたいわけじゃない。

    むしろ母さんも褒めてもらって誇りに思う。

    でも…データだけとはいえ僕が知らない父さんのことを知ってるのが、なんだか悔しかった。

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 18:40:24

    そして、諸々の作業が終わった後。

    敵の基地で鹵獲した食べ物やお酒で乾杯して締めるのがルーティンとなった。

    前は泥棒みたいで抵抗があったけど、襲撃した場所にあったものはどうせ破棄されてしまうのでそれくらいなら食べてしまえば勿体なく無いと感じるようになった。

    母さんが産まれたという日系コロニーの血かな。


    コモリンから聞いたが、ニュータイプを悪用する輩の中で僕たちが「海賊」と呼ばれてるらしい。

    突然施設を襲撃して、物を奪ったり人を攫ったりするからだそうだ。

    はっきり言って盗人猛々しいね。

    元はといえばお前らが作ってはいけない兵器を作ったり、罪のない人たちを攫って実験したりしてるんだから。

    ただ…海賊というのは僕も好きだ。

    旧世紀時代の小説や映画で何度も見た。

    特に女海賊二人組の小説が好きだった。

    母さんとニャアンみたいな一蓮托生の絆があって。

    それじゃあ僕はお供の動物がいいな。

    インコやオウム…いや、猿がいいな。

    身軽で器用で、船長の言う事を何でも聞く。


    こうして僕たちは…宇宙を股にかける海賊になった。

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 19:18:26

    海賊、マシューがふざけてると思ったら敵がつけた呼び方だったのか。

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 00:28:25

    >>143

    あ…このあたりからお父さん絡みちょっと苦手なのか。

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 07:33:24

    …娘の最後のメールから、14年が過ぎた。

    私は今でも悔やみ続けている。

    娘に、孫に…優しい言葉をかけてやれないことを。

    おばあちゃんとして接してあげられなかったことを。



    「ミセス・ユズリハ、おはようございます。」

    「おはよう…ああっ」

    「だ、大丈夫ですか!?顔色が…」

    「ええ…ちょっと悪い夢を見たの。」

    「アマテさんと、マシュー君のことですか?」

    「ええ…馬鹿よね、私にあの子たちを心配する権利なんてないのに…」

    「そんな事ありません!絶対に私たちが見つけてみせます!」


    軍警がクーデターを起こし、事実上の軍事政権になってから早数ヶ月。

    かつてアマテの同級生だった子達…他にも難民キャンプの若い子たちが今、軍警に反対するレジスタンスになっている。

    そして、私がそのリーダー。

    この子達がいたおかげで、私の精神はギリギリで保てた。

    「ありがとう…でも、まずはイズマコロニーをなんとかしなければね…」

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 13:34:40

    タマキさん…でもイズマコロニー更にやばくなってんな

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 16:08:41

    ふたりの現状を知ったらさらに気が気でなくなるだろうな。

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 23:09:08

    ……ここどこ?

    私…何してたんだっけ…

    マシュー…ニャアン…どこ…?


    「ん?どちら様かしら…」

    この声…

    「シイコ…さん…?」

    「あら、あの時のバイトさん!お久しぶりね。」

    シイコさんは、あの日のクラバでシュウジに…。

    じゃあ、ここって…。

    「そうよ、あなたはまだココに来ちゃダメ…かわいい坊やが待ってるんだから。」

    …どうしてそれを。

    「魔女の勘ってとこかしら?」

    「マシュー…大丈夫かな…」

    「あなたも、いいお母さんになれたのね。」

    「いいお母さん…そんなことないよ。」

    毎晩お酒のんで煙草吸って、帰らないオトコ待ち続けてて…。

    成長するたびあいつに似てくる息子の姿見る度に、心がキュッとくる。

    たくさん抱きしめてキスしてやりたい、でもそれは息子を傷つけるだけだから…。

    「…あなたの旦那さん…あの時の子ね。」

    そう言うと、シイコさんは私を抱きしめてくれた。

    「まったく、こんな可愛い奥さん泣かせて…でも、生きてるわ。」

    私の相棒と違って…付け加えられた言葉を聞いた時、だんだん意識が遠のいて行った…。

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 23:12:03

    「んっ…あっ、私の部屋…」

    「あっ、母さん!!気づいたんだね!!」

    「マシュー…してくれたの?手当。」

    「うん…母さん死ぬかもしれないって、心配だったんだよ…!!」

    「マシュー…ホントにごめんね…」


    ある作戦の途中。

    いや…正確には作戦が成功して帰投中だった。

    そこへ討ち漏らした敵機の放った弾が母さんへ…。

    なんとか撃墜は免れたが母さんは重傷、その後3日もの間眠っていた。


    「母さんね…懐かしい人に会ったの。」

    「それって…まさか父さん!?」

    「ううん…私の目標にしてた人…かな。」

    「…そうか。」

    前に小説で見た臨死体験の話を思い出す。

    死んだ人が、あの世への橋を渡りかけてる自分を追い返してくれる話。

    ここで父さんが出てこないということは…彼は生きてるのか。

    嬉しかった…嬉しかったはずなのに。

    僕の頭の中で浮かんできてはいけない疑問が浮かび始めていた。

    「じゃあ…父さんはなんで帰ってきてくれないんだよ。」

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 01:06:17

    あーいかんいかん…

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 07:22:04

    そっか、ここからマシューアレになってくから…

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 11:03:26

    タマキさんの悪夢コレかよ…まあ嫌な予感って当たるからな…

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 17:20:43

    >>142

    >>「さあ着いてきて、もう自由だ。」

    かっこよすぎる。

    シュウジの子供が言うのもまた。

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:20:59

    母さんはニュータイプだからか、それとも持ち前の運動神経からか…傷の治りは早かった。
    それでも…治るまでが大変だった。
    心の傷はもっと大きかったから。
    毎日、僕とニャアンで交代で包帯を取り替えた。

    「マチュ、内地の病院で診てもらったほうが…」
    「これでいい。海が見えないと私気が狂いそう。」
    「…そっか。」
    …海。
    僕と母さんの大好きな、透き通ったブルーの空間。
    だが母さんが海を見るのは、もはや強迫観念なのだ。
    ニャアンはいつも操舵室から絶妙な操作をして、母さんの部屋から海と夕日が見えるようにしてくれた。

    夕方、母さんの様子を見に行った時。
    「なんだ、マシューか。」
    母さんは夕陽をみながら、ウイスキーを傾けていた。
    「いいよ、こっち来て。」
    …隣に立って、一緒に海を見る。
    「大丈夫?傷に障らない?」
    「うん…むしろ痛み和らいで最高。」

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:25:55

    …いつもと変わらない母さんだ。
    酒に強くて、いくら飲んでも酔いつぶれたことがない。
    父さんはどうなんだろ。
    僕も早く飲める年になりたいな。

    「ん…」
    母さんがタバコをくわえだしたので、オイルライターで火を着ける。
    「ありがと…これ、私にやったのは初めてだろ。」
    「…」
    「マシューはさ、母さんとニャアンどっちにコレするの好き?」
    「…どっちも。」
    「じゃあ聞き方変えるね。明日どっちか死んじゃって、残ったほうがお葬式で泣いてるとしたらさ…どっちにタバコ差し出す?」
    質問の意味は分かっていた。
    だけど…答えられなかった。
    「…わからない…僕、母さんもニャアンも好きだから…選べないよ…」
    「…ごめん、母さんが悪かったよ。」
    お前は優しい子だな…母さんの優しい声が、なんだか気まずかった。
    「僕…夕飯の支度するね。」
    「うん…」
    適当な理由を着けて出ていった。
    部屋からは、「シュウジ…会いたいよ…」って母さんのすすり泣く声が聞こえた。
    …失敗した。
    もし僕にあの男を重ねてたとしてもいい。
    僕は母さんを選べばよかったのか。

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:32:34

    しばらくが過ぎて、包帯を外せるようになったとき。
    「だいぶよくなってきた。もう痛みもないよ。」
    「…」
    「どうしたの、マシュー。」
    「全然良くない。」
    「何いってんのさ…」
    確かに傷は塞がった。
    だが…大きな跡が残ってる。
    「母さんのカラダ…キレイだったのに、こんなにたくさんの傷を…」
    「僕が弱いせいだ…僕がもっと早く気づいて…母さんを守っていれば!!」
    べちっ…鈍い音。
    初めて…母さんにぶたれた。
    「母さん…?」
    「…あのさ、バカにされちゃ困るよ?私のこと。」
    母さんをみやる。
    ベッドに腰掛けて、手を頭に組んで身体をみせつける。
    ちょっと恥ずかしそうだけど、自信満々に。
    「海賊の船長がさ…これっくらいの傷でへこたれるわけ無いっしょ?」
    から元気のハッタリなのは明らかだった。
    でも…力強くふるまう母さんの姿に…内心思わず、見惚れてしまった。
    「…そう、だったね…母さんは…強いんだ。」
    「おう!あったりめーだ!」
    ギュッ…と強く抱きしめられる。
    「ありがとう…キレイだって言ってくれて。」
    …弱々しい小さな声で言うのを、聞き逃さなかった。

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:56:30

    マチュもどんどん擦れてくな…

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 03:38:01

    マシューがマザコンっぽいのは>>157のこともあるんかな。

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 11:09:30

    >>123 >>157 

    >>優しい子

    これがマシューの強みであり弱みなんだろうな。

    お母さんとニャアンだけでない、仲間や人質になってた人や場合によっては襲ってきた敵にすら肯定的な感情を向ける。

    問題はその優しさを向ける相手に自分がいないことと、母とニャアンを好きすぎるが故に今後ああなってしまうこと…。

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 20:07:21

    母さんが元気になってからしばらくして、街中に出かけた。

    ヴィマナーで空を飛んで直行できるので、車の心配をせず母さんと二人きりで歩けるようになった。

    「ふふっ、ほら早く行こ!マシュー!」

    目一杯オシャレして、僕の手を引く母さん。

    体が全快したからなのか、ワクワクしてる様子。

    なんだか年頃の女の子みたいで…可愛かった。

    母さんとのデートは大忙しだ。

    ファンシーな雑貨屋さんを回って大荷物をこさえ、ニャアンがいない為僕だけが荷物役。

    荷物を一旦ヴィマナーに置いて、次にお酒飲みたーい!と言って昼からでもアルコール有りの食堂へ。

    僕がスペアリブとサラダをちまちま食べてるうちに、母さんはビールジョッキ3杯を飲み干す。

    ソレを見たガラの悪い大男が飲み比べを仕掛けてもう5杯。

    大男がまけじと6杯目を飲んで…ゴロン。

    母さんがテーブルに置いた掛け金のお札を全部ポッケや胸の谷間に突っ込む。

    「ふぅ…行くよ。マシュー。」

    最初の美少女顔はどこへやら…。

    でも、足取りは軽やかで堂々としてて、ふらつきやら酔った素振りは一つもない。

    こっちの母さんも好きだ。

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 20:35:35

    ある時、いつも通り休暇に街へ行った時のこと。
    この日は珍しく、母さんはお酒を飲まなかった。
    雑貨屋…正確にはその一角のアクセサリーショップへ行く。
    「アマテ・ユズリハ様ですね。お待ちしてました。」
    なにかを頼んでいたようだが…オーダーメイドか?
    …暫くして、店員は小さな箱を持ってきた。
    「コチラで間違いございませんね?」
    「はい…OKです。」
    その時はなんだかわからなかった。

    …そして、ヴィマナーに帰った後のこと。
    僕は母さんに呼び出されて、デッキに来ていた。
    「これ…着けてくんない?」
    それはあの時アクセサリーショップで購入していたもの…。
    カーネリアンと、アメジストをあしらった指輪だ。
    母さんが今日、お酒を飲まなかった理由が分かった。
    「…うん。」
    僕は迷わず、カーネリアンのを母さんの左手の指に嵌めた。
    次に母さんは、アメジストの指輪を…。
    「…やっぱ嫌だよねマシュー。」
    「…大丈夫。」
    「…本当?」
    「父さんが帰ってきたときのために…預かるだけ…だから…」
    「ごめんね…マシュー…」
    母さんは謝ることないよ。
    だって…母さんは信じていたいんだ。
    シュウジは帰ってくるって。

    …哀しいキスだった。

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 20:54:12

    「なぜ僕には父はいないのか」
    「なぜ父は遠くへ言ったのか」
    「なぜ父は帰ってこないのか」
    僕は小さい頃は機にしていなかった。
    いや…目をそらし続けていた。
    僕は大きくなる度に、その疑問を…いや、不満を増長せざるを得なかった。
    でも、それを表にすることはほとんど無かった。
    母さんが信じているから。
    母さんが愛してる人だから。
    本当は僕よりも大切な筈の人。
    だけどそれを表に出すことは無い。
    だから、我慢できた。

    「マシューちゃん…―――ちゃんに似てきたね。」
    「っ!!…なんか言った?」
    「え?ああ…マシューちゃんの髪…蒼くて…綺麗だねって。」
    「ありがとうニャアン。僕もニャアンの髪、綺麗だと思う。」
    「…ありがとうね、マシューちゃん。」

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 21:21:30

    うわぁ…………どんどんアカンくなってく………

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 04:22:21

    母さんとコモリンが喧嘩した。

    またコモリンの酒癖によるものかと思った。

    でも…酒は入ってなかった。


    「バッッッカじゃないのアンタ!!」

    「っ…」

    「そんなことしてっ!マシュー君可哀想じゃんっ!」

    「…」

    「いくらあのヤリ逃げゼクノヴァ野郎のこと信じてるからってさぁ…こんなグロいこと、あの子にすんなよ!」

    「…ごめん。」

    「その言葉はあの子に言えよ。」

    「…」

    「…厳しくて辛いのはわかるけど、言い過ぎとか思わないから。」

    「…。」

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 04:25:56

    「コモリン、待って。」

    「…マシュー君、聞いてたの。」

    「コモリン…ヤリ逃げって何…ゼクノヴァって…何…!?」

    「一言でいうなら、私の偏見だよ。」

    「私もいろいろ研究したけど…君のお父さんの行方はわからない。」

    「わからないから…とりあえずの結論をつけた。」

    「…ごめんなさい。私にはあなたの家族を否定する権利なんてないのに。」

    「でも、そのリングは絶対に間違ってる。」

    「これがないと…母さんが壊れちゃう…」

    「…その優しさがさ、逆にお母さんの心を締め付けてんだよ。」


    コモリンの言葉…あれがまず最初のステップだった。

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 07:30:48

    僕はあの日から…いや正確にどっちなのかはもうわからない。
    母さんとの契りを交わした日か、それともコモリンからの叱責を受けた日か…。
    とにかく、全ての行動に迷いが産まれるようになった。
    作戦のほとんどが、母さんかニャアンがカバーしてくれてやっとできる程度に腕が鈍ってしまった。

    「マシュー…しばらくキミは作戦から外される。謹慎とまではいかないが、戦闘や訓練への参加は禁止だ。」
    「どうしてですか…危ないから母さんを外して、僕を加えて下さい。」
    「そのような偏った思考のままでは、作戦を安全かつ計画的に遂行できないからです。」
    「…」
    「お母さんはニャアン君ともMAVを組めます…キミは今、心を乱していて単独行動や危険な行動をしかねない。」
    「…」
    「その指輪を外せるようになるまで、頭を冷やしなさい。」
    「キミはシュウジではない。マシューだ。そうだろ?」
    「…はい。」

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 07:36:36

    oh・・・そう来たかぁ

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 09:51:56

    戦いに参加できなくなった僕は、いろいろ考えた末しばらく艦を降りることにした。
    一応作戦から外されても、ヴィマナーで生活することはいいと言われていた。
    けど…いまの状態で母さんといることが不健全に感じたから。
    ねぐらは、ヴィマナーに住む前のアパート。
    基本的に部屋で本を読むか、周りを散歩するかだった。

    ある日、いつも通り散歩していた時のこと。
    「待って、そこの君。」
    「ん…あなたは…」
    「以前、あなた方に助けられた者の1人よ。」
    …街のこの辺りには、前に助けた人たちが何人か住んでいた。
    『キミは…あの時はありがとうございます!』
    『坊っちゃんとのよしみだ。オマケしとくよ。』
    このあたりで職を見つけ、安定した生活を手に入れた人々…。
    「皆のために…本当にありがとう。」
    「いや…いいんだ。」

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 10:08:13

    この子は以前ニュータイプ研究所で収容されていて、過酷な実験への参加を強いられていた。

    「無事でいてくれてよかった…家族も心配していただろうに。」


    「…家族なんていやしないよ。」

    「えっ?」

    「私、捨てられたのよ。」

    「そんな、親が子を捨てるなんておかしいじゃないか。」

    「おかしいよね。でも、お母さんは私を産んでどこかへ消えたの。大きくなってから…お父さんに研究所へ売られたの。」

    …親が子供を捨てるなんて、初めて聞いた。

    「私が家だったとこに帰った時…誰もいなかった。」

    「父はとっくの昔にどこかへ消えたわ。今は市場のおじさんが面倒見てくれるからいいけど。」

    「…」


    家に帰った後…暫く頭を抱えた。

    何が何だかわからなかった。

    今まで信じていた前提がひっくり返る。

    親とは子供を愛するものじゃないのか?

    『いくらあのヤリ逃げゼクノヴァ野郎のこと信じてるからってさぁ…こんなグロいこと、あの子にすんなよ!』

    …なぜかコモリンの言葉が、頭にフラッシュバックしていた。

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 14:52:51

    優しさと洞察に満ちたシャアとララァの娘ー!早く来てくれー!!
    マシュー君がどんどん追い詰められているぞー!?

  • 173二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 15:51:10

    ヴィマナーを降りてから約一ヶ月。

    ニャアンがアパートに来てくれた。

    「マシューちゃん…ちゃんとごはん食べてる?」

    「うん。」

    「まだ…それ外せてないんだ。」

    「…うん。」

    心配してきてくれたのか、あるいは監視役なのか。

    本当に不謹慎だが、来たのが母さんじゃなくてよかったと思ってしまった…。


    僕は左手の薬指の運命を決めあぐねていた。

    この指輪が愛おしいようで…気持ち悪くも思って来た。

    あの子の話やコモリンの話を聞いてから…シュウジ・イトウも母さんも信用できなくなってきていた。

    テーブルの上にはカオマンガイに生春巻き…ご馳走がたくさん並んでいる。

    そして…ジュースと一緒に缶ビールが2本。

    ソロモン諸島はイギリス領…保護者の監視下であれば、16歳から飲酒が許される。

    「マシューちゃん…今年で16歳だね。」

    …僕もとうとう参ってきたみたいだ。

    自分の誕生日を忘れていたとは。

    ぷしゅっ…

    「誕生日おめでと。乾杯っ」

    「…乾杯。」

  • 174二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 15:54:29

    …初めてのビール、美味しかった。
    苦みが強いけど、スカッとした喉越しが最高で…。
    正直、自分は酒に弱い方と思い込んでいたが…母さんが強いので遺伝だろうか。
    ニャアンが作ったご馳走も相まって、楽しく呑むことが出来た。

    「ご馳走さま…ふう、食器片付けたし後は…」
    「ねぇ…ぎゅーってしていい?」
    「え?」
    返答を待たずに抱きつかれる。
    …すっかり忘れていた。
    ニャアンは酔い方が最悪だから飲ませちゃダメなんだって。
    「いいにおい…」
    「…」
    直ぐには引き剥がせなかった。
    ニャアンが、切なそうな顔をしていたから。
    …でも、それが聞こえてしまったから。
    「シュウちゃん…」
    「…え」

  • 175二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 15:58:06

    「ニャアン…駄目だ。僕は…シュウジじゃない…」
    「え…ああ…そんなっ…私……」
    酔いが覚めて、顔が青ざめてゆくニャアンの顔。
    「ごめんなさい…マシュウちゃん私こんなつもりじゃ…!!」
    「ニャアン…落ち着いて。」

    シュウちゃん…シュウジ?
    なんでニャアンの口からその名前が?
    なんでその名前を呼びながら…僕に抱き付くの?
    『…家族なんていやしないよ。私、捨てられたのよ。』
    『ヤリ逃げゼクノヴァ野郎…』
    『この子が…あのことあいつの。』
    『こんなに似ちゃったら…かわいそうに、忘れられなくなっちゃう。』

    そうか、母さんとニャアン…
    そして僕は捨てられたんだ。
    シュウジ・イトウに。

    …今にして思えば、勘違いも甚だしい。
    失恋して友達のままで…そういうルートもよく考えれば導き出せだだろうに。
    だが、この勘違いをしなければ…僕は耐えられなかった。
    16年もの間、母とその親友を悲しませる男の正体がわからないなんて。
    そして、この勘違いこそこの指輪を外すための最後の決め手となった。

  • 176二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 16:00:31

    こうなると…自分の全てが憎かった。
    あの消えた男に似てしまった自分そのものが。
    愛する母さんとニャアンの心に深い傷を残した男が。
    この気だるそうな言葉遣い。
    …改めなければ気がすまなかった。
    「おれはマシュー・ユズリハ…」
    「おれはマシュー・ユズリハ…」
    「おれの父さんは…母さんとニャアンを捨てて消えた…」
    「許さない…」

    髪の毛も、ヘアスプレーで染めた。
    赤…母さんが染めるのに使ってるのと同じ色。
    アマテ・ユズリハの息子たる、自分らしい色。
    「どう…後ろまでしっかり染まってる?」
    「うん、上手く出来てる…カッコいいよ」
    「…ありがとう、ニャアン。」

  • 177二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 16:09:29

    「ふざけんなよ!おかしいだろ!」
    「許せないからって…お父さんを…家族を…殺すなんてさ…」
    わかってる…ホントはおかしいって。
    でもこの時の僕は…そう思い込むことでしか自分を保てなかった。
    「…この指輪…返す。」
    「あっ…それ…」
    アメジストの指輪…僕にとっての呪いの指輪。
    壊しても、捨ててもよかったのに…なぜかできなかった。
    「オレはシュウジじゃない。マシュー…母さんの息子だから。」
    「…ごめんね…こんな…母さんで…ちゃんと愛してあげられなくて…」
    「…」
    …あの日から初めて、やっと親子としての抱擁ができた。

  • 178二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 16:29:36

    「ふむ…」
    「これはダメですよ…僕はおかしいと思います。」
    「そーお?あれくらいならむしろ健全じゃない?」
    「少なくとも彼の心は安定しています。現状維持、といった所でしょうか。」
    「シュウジ君が帰ってくることがあれば…話は別ですけどね。」
    「でも親子で殺し合いなんて…」
    「逆にさ、あのヤリ逃げ野郎ってマチュ以外に倒せるの?」
    「う…」

    「フフ…さて、私は“誕プレ”の最終チェックでもしてきますか。」

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 16:53:54

    『被検体No.103は、18:00に経口栄養剤を摂取後速やかにカプセルに入り休眠状態にあること。』
    『命令エラーは廃棄処分の対象となる。必ず実行せよ。』
    「…了解。」

    …僕の日常はこの狭いガラス張りの部屋で始まり、終わる。
    僕は被検体No.103、通称ブル。
    僕はモビルスーツ「ナーガ・ラージャ」のパイロット…いや、“パーツ”だ。
    兄弟は何人かいたが、僕で最後になった。
    僕の目標はミッションに成功し研究所のためになることである。
     
    嘘だ。
    僕はここから逃げたい。
    青い空を羽ばたき、海を自由に泳ぎたい。
    でも、逃げることは許されていない。
    いや…体が逃げ方を知らない。
    僕は“蛇使い”でありながら、ずっと壺の中のコブラでしかない。
    笛を鳴らしてもらわないと食事すらままならない、飼いならされた存在。

    …だれか、僕を盗んでくれ。

  • 180二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:18:36

    「お待ちしてましたよマシュー君…いえ遅刻ではありません、むしろピッタリです。」

    「…いい目になりましたね、強い意志を感じる。作戦参加を許可します。」

    「さて…2日遅れですが、誕生日プレゼントを差し上げます。」

    「…あなた専用のガンダム…『ガンダムクァックス系派生機・コードネーム・カルナ』」

    「マチュ君とニャアン君のにあわせて、今後はジカルナと呼びましょう。」

    「そして、只今からこちらに乗って任務を遂行していただきます。」

    「…よろしい。」

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:20:43

    「…キミは、何者なんだ?」

    「オレは宇宙の海賊さ。欲しいものは金でも酒でも女でも、手に入れる。」

    「じゃあ…ボクのことも盗んでくれるのか?」

    「ああ…いいぜ、来いよ。」

    『No.103、休眠カプセルに入りなさい。命令エラーは処分の対象となりま』

    「うるせぇんだよカス!!」

    ボコォッ

    『エラー発生…エラー発生…』

    「はっ!何時までも従順だと思ったら間違いだぞクソが!」

    「ああっ!そのロボットも欲しかったのに!」

    「えっ?じゃあ、直すの手伝うからさ…うん、とにかく早く出よう!」

  • 182二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:29:07

    …同時刻。
    インド・ニューデリー市
    「…はぁ。」
    『いいかシャラァ、絶対に危ないところに近づくなよ。』
    『ジオン工科大!?だめだ!もっと科学とか芸術とか…とにかくそこはやめろ!』
    『モビルスーツなんて論外だ!触ることもゆるさん!』
    「お父様は何なの?私を子供扱いして…」
    「大丈夫だって!ご主人様はいつだって姉さまとシャラァのこと考えてるよ!」
    「…大事にしすぎて傷つけるくらいなら、傷つき方を学んだほうが身になる。」
    「そうよね!カンチャナお姉さまはいつも為になるわ…」

  • 183二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:38:06

    …最近、夢を見る。
    私の娘が、槍を持った海賊さんに攫われる夢。
    でも…その海賊さんは心優しくて、友達の蛇使いさんや女船長さん、ネコ耳のコックさんと一緒に心気ままな旅をしている。
    海賊は心に深い傷を負っていて…その傷を癒すのが私の娘の役目。
    そして私の娘も…やがて大きなカトラスを持った強い女海賊になる。
    夫と私は娘を取り戻すために海賊と戦うけれど、私たちも海賊の気持ちを知って仲間になるの。

    私はこの夢をいい夢だと認識しているわ。
    でも、それを夫や娘たちに話すには…まだ早すぎる。


    1年後へ、続く。

  • 184二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:56:50

    あとがき
    ここまで読んで頂きありがとうございます。
    本スレを建てたのは
    ・マシュー・ユズリハがジカルナに乗るまでを考えたい
    ・辛い話を元スレで長々と書きたくない、見せたくない
    この2つからです。
    もしも内容が受け入れられなかった時の為に、タイトルには前日譚である旨を入れませんでした。
    (事実、元スレでは本スレの内容と切り離して見るという方がいらっしゃいます。)
    本スレの内容は、途中でニャアンとの性行為描写を封印した以外は最初の案から全く変わっていません。
    これは、元スレでのご意見を反映した形になります。
    元スレのであり、本スレのこともしっかり目を通していただいた方による真摯なご意見であった為、これは反故にしてはいけないと判断しました。

  • 185二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 17:59:13

    >>184

    元スレのであり〜は、元スレのファンでありの間違いです。

    申し訳ありません。

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:43:42

    >>184

    乙です

    誠意ある対応ありがとうございます

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:50:37

    < 「はっ!何時までも従順だと思ったら間違いだぞクソが!」

    ブル公節が効いてて好こ
    口調の丁寧なロックンローラーと思っている

  • 188二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 00:56:24

    >>184

    で本スレ作者としての書き込みは最後にしようとしたのですが、補足と謝罪を致します。

    理由としては元スレ現行スレ(3スレ目)にて本スレ、ひいてはここにいたるまでの元スレの流れについてこれはヘイト創作ではないか?と言わてしまったことです。

    【CP注意】ここだけシャアララの娘とシュウマチュの息子がボーイミーツガールするスレ|あにまん掲示板という名の完全に見切り発車のスレbbs.animanch.com

    本スレで描いたのは元スレの前日譚。

    もっと具体的に言えば1スレ目75レス目までの話です。

    ここまでの話に至るまでの、擦れてしまったマシューの物語を描きたかったのです。

    【CP注意】ここだけシャアララの娘とシュウマチュの息子がボーイミーツガールするスレ|あにまん掲示板という名の完全に見切り発車のスレbbs.animanch.com

    しかし本スレ内でマシュー・ユズリハの物語を書きたかったからと言って、元スレ内で既に再会できて親子で仲良くしているからと言って何も事態はよくありません。

    帰ってこれなかったシュウジのことをたくさんひどい言い方をしたり、そこで終わっている為に後腐れの悪い失礼な思いをさせてしまうことは事実です。

    私としても、見にきていらっしゃる皆様への配慮、そして原作へのリスペクトが足りませんでした。

    本当に、申し訳ございません。


    このボーイミーツガールスレの物語において、悲しい話や苦しい話は本スレでやめにして下さい。

    あのスレではマシューとシャラァとブル3人の若者、親世代の冒険や楽しいことだけの話をしてください。

    これは悲しい物語を初めてしまった私からのせめてものお願いです。

  • 189二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 10:28:16

    >>179

    >>181

    髭無しマンの有効活用…

  • 190二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 15:58:00

    >>188

    ありがとうございます。

    シャラァと出会う前のマシューの物語を知れて良かったです。

    やっぱ素のキャラは“僕”だったり、モビルスーツにも直ぐ慣れたりするんだな…。

    ブル君救出時に強奪したロボが後にチャオになるのかな?


    このスレをみた後に、あちらでシュウジとマチュの結婚式を挙げさせて頂きました。

    この親子には救われて欲しかったから…。

  • 191二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:35:40

    >>188

    お疲れ様でした。色々な意見が有るようですが、少なくとも自分はこのスレの雰囲気が好きだったし、楽しく読ませていただきました。


    ただ一つだけ、タマキさんの扱いはあまりにも不憫過ぎたと思います。出来れば元スレでマチュとの和解をキッチリ描写して欲しいですね(本スレ作者さんの創作がもっと見たい、という意味でもありますが)

  • 192二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 22:41:34

    無知な質問をしてしまいますが、次スレは作らないんですか?

  • 193125/08/18(月) 07:17:15

    >>191

    ありがとうございます…。

    書きました。

    久しぶりの夕食 | Writening「さあ…食べて。」 「いただきます。」 「…いただきます。」 「いただきまーす!」 皿へ取り分けられた料理を一口すくい…食べる。 グラタン…母の得意な料理の1つだ。 ユズリハ家に代々伝わるレシピ。 18年以上…writening.net

    >>192

    申し訳ありませんが、このスレの物語はこのスレで終わりにします。

    本スレはマシュー・ユズリハがあの姿になるまでの話を掘り下げる話です。

    悲しい物語を広げるつもりはもうありません。

    これは最初からの予定通りです。

    本当に申し訳ございません。

  • 194二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 07:23:39

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています