- 1二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:50:58
- 2二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:52:23
その日、俺はいつもの様に線路沿いの道を歩いていた。
自転車や、猫や、時たま現れては轟音を置いていく電車が、俺は好きだった。
でもこの”好き”は、俺が求めている”好き”とは違う。
友達は言っていた。
恋はいいぞ。四六時中その人の顔が頭から離れなくなって、その人の笑顔を見るだけで、その人と一言言葉を交わすだけで、世界が色づくんだ。
俺の世界は高校三年生になった今もモノクロのままだ。 - 3二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:53:48
びゅう。湿り気を帯びたぬるい風が頬を撫でた。視界の隅で、ポイ捨てされたごみが揺れて、無意識に視線が引っ張られる。
誰かが立っていた。風になびく髪をそっと手で押さえながら、物憂げに空を見つめるその表情に、俺はひどく心を打たれた。
その日から、俺の景色に色が吹き込まれた。 - 4二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:55:22
あの人にもう一度会いたい。気付けばそんなことばかりを考えていた。
夜布団に入っても、瞼の裏には鮮烈にあの姿が映し出される。
ああ、恋とはこういう事なのだろう。
眠りにつく前に、あなたの名前をそっと囁いて――おやすみと、そう言いたかった。
けれど俺は、あなたの名前を知らない。 - 5二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 00:58:01
春。俺は初星学園のプロデューサー科に入学した。
それは、俺の昔からの一つの願いでもあった。
自らの手でアイドルを育て、トップアイドルに導きたい。その夢を叶えるためにくぐった桜の門のその奥で、俺はその人を見つけた。
その人は、周りの人に笑顔であいさつを交わしながら歩いていく。
自信に満ちた、そんな風体だった。
なくしていた鍵が、不意にカバンの奥から出てきたときのような、小さな胸の高鳴り。俺を突き動かすのは、そんなパステルカラーの感情だった。
俺は、その人のもとへ駆け寄って、声を掛けた。周りの視線が俺に集まる。奇異の視線だ。
でも、そんなものは関係ない。もう俺は、このチャンスを逃せなかった。 - 6二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:00:19
その日の夜、俺はいつもと同じように布団に入り、天井を見上げる。
薄闇の天井に、俺は想い人の顔を描く。
さっきまでトレモロを奏でていた胸がじんわりと落ち着いて行って、柔らかなメゾピアノが俺を夢へといざなった。
ああ、とうとう俺の夢に色が付く。
水彩画のような期待をまどろみに揺蕩わせながら、俺はそっとその名を口にした。
「おやすみなさい――邦夫さん」
終わり。 - 7二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:04:24
あのさあ
- 8二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:04:48
リーリヤもう寝な
- 9二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:07:02
ホモは文豪
- 10二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:15:12
この最悪な気分のまま寝たくない!
- 11二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:17:00
は?は?は?
- 12二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 01:20:06
- 13主です25/07/31(木) 01:21:29
槇原敬之の『まばたきの間の永遠』という曲があるんですが、それをイメージして書きました。
私が産まれる前の曲なのですが、すごいいい曲なので皆さんも聴いてみてください。