- 1二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:09:10
「ライブイベントの立ち上げの手伝いをして欲しい、ですか?」
「はい。今回のイベントでは咲季さんをメインとして起用させて頂けないかと思いまして。」
そんな大仕事の話が舞い込んできたのが1ヶ月のこと。咲季さんがN.I.Aで見事優勝を飾った後、色々落ち着いてきたところでの話だった。
「なるほど、ちまみに、そのイベントの開催はいつ頃を予定していますか?」
「1ヶ月後を予定しているのですが、他にご予定などありますでしょうか?」
スケジュール表を開き1ヶ月後の予定を確認する。幸い、予定は空いているし、その前後も忙しい訳ではなだそうだ。
「問題ありません。こちらとしても大きな仕事です。断る理由もありませんよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!では明日詳しく話し合いの方を•••」
それから2週間、イベントのプログラムや大まかな流れが決まった頃、
「ライブの演出や照明などの会場に関連するお話し合いをしたいのですが•••」
なるほど、それは大事なことだが、オンラインでは詳しく話し合うことは難しいだろう。これは出張することになりそうだ。 - 2二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:10:20
「咲季さん、前に話した地方でのライブイベントの件ですが...」
「ええ、それがどうしたの?何か問題でもあったのかしら?」
「むしろ問題は無いのですが、会場に関する話し合いをすることになりまして、」
「それなら良かったわ。それで?」
「少しの間、出張することになりました。」
「あら、そうなの。私も一緒に行った方がいいのかしら?」
「その必要は無いですよ、演出の希望はもう聞いてますから。」
「それもそうね、なら私は残ってレッスンをしているわ。」
「レッスンメニューはお渡ししておきますので、よろしくお願いしますね。」
そのように伝え、3日分のレッスンメニューを渡した。 - 3二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:11:32
「まさか1週間もかかるとは...」
終始ばたばたしていた出張から戻り、そんなことをぼやきながらプロデューサー室へと向かう。
「3日分のメニューしか渡していなかったが、咲季さんは大丈夫だっただろうか...」
メッセージのやり取りを十分に行う時間すらもない状態だったため、少々不安になりつつもプロデューサー室で荷物の整理を行う。
するとプロデューサー室のドアが開かれた。
「あら、お帰り。出張、長かったわね。」
早速、咲季さんが声をかけてきた。
「すみません。想像以上に長引いてしまって。レッスンの方は大丈夫でした?3日分のメニューしか渡せていなかったですが ...」
不安に思いながら聞くと、彼女は笑顔で答えた。
「ええ、何の問題も無かったわ!1週間くらいならあなたが見ていなくても大丈夫よ!」
自慢気に言う彼女に少し安心しつつ、ほっとため息をつく。
「それなら良かったです。今日は休養日なのでしっかり休んでくださいね。」
「それはあなたもよ。1週間大変だったでしょう?」
確かに大変だった。彼女のいう通り、少し休んだ方が良いだろう。幸い、今日は話し合いもないのだ。 - 4二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:12:58
「何の問題も無かった、か」
そんな彼女の言葉を思い返しつつ、ベッドに潜る。今日は早めに寝てしまおう。
ーーーーーーーーーー
ふと気付くと、俺はプロデューサー室にいた。俺の前には険しい表情の咲季さんが立っている。
「プロデューサー、大事な話があるのだけど。」
そう言いつつ、彼女は1枚の紙を俺に差し出す。これはーーープロデュース契約の解除の用紙?いったい何故ーーー
「私、あなたが見ていなくても大丈夫なの。あなたは必要ないわ。」
そう言う彼女の目は本気だった。用紙を渡し、プロデューサー室から出ようとする彼女を引き留めようとしたが、声がでない。言葉がでない。なんて声をかければいいかわからない。
彼女が教室のドアを閉めた瞬間、俺は飛び起きた。
「夢、だったのか...」
とんでもない悪夢だった。寝間着の首回りと背中は汗でぐっしょりである。
俺は着替え、学園へと向かう。プロデューサーとして、やるべきことをやらなければ。 - 5二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:14:08
「浮かない顔をしているけど、何かあった?」
プロデューサー室に来た咲季さんがそう声をかけてくる。
「いえ、何ともありませんよ。」
「そう、分かったわ。でも、無理はしないようにね?」
「分かってますよ。今日もレッスン頑張ってくだだい。」
そう伝えると、彼女は首をかしげながらもレッスンへ向かった。
「ここから大詰めだ、気合いを入れよう。」
来週に控えたイベントのため、急いで仕事にとりかかろう。 - 6二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:15:18
イベント前日、プロデューサー室で仕事をしていた俺に声がかけられる。
「プロデューサー、大事な話があるのだけど。」
咲季さんだ、彼女の方へ向き直ると、彼女は険しい表情をしていた。
あの夢と同じだ。全身から冷や汗が吹き出し、表現のしようがない不安感が押し寄せてくる。
「プロデューサー、ひどい表情しているわよ。ちゃんと休んでるの?」
確かに、ここ最近は休めてはいない。でも、彼女のプロデューサーとして、きちんと仕事をこなさなければ。
「ええ、大丈夫です。それよりも、明日のイベントについてですが...」
「大丈夫っていう顔じゃないわよ。いいからさっさと休みなさい。」
「ですが...プロデューサーとして、やるべきことをやらなければ。」
「最近のあなた、少しおかしいわよ。一体何があったの?話してみなさい。」
話せる訳がない。あなたに見捨てられる夢をみて、見捨てられたくなくて、プロデューサーの仕事を必死にやっていたなんて。
「私はあなたの担当アイドルよ?隠し事はしないで、きちんと話してちょうだい。」
あなたの、担当アイドル。その言葉が、嬉しい。俺はまだ、彼女のプロデューサーでいられる。そう考えるだけで、自然と涙が出てきた。
「ちょっと!?なんでいきなり泣いてるのよ!?ーーー本当に何かあったのね?話してみなさい。聞いてあげるから。」
優しい表情の咲季さんを見て、少しづつ、話し始めた。
「咲季さんに、契約を解除される夢をみまして...俺が見ていなくても大丈夫だ、と」
「出張の時に、あなたに迷惑をかけて...プロデューサーとして、やるべきことすらできなくて...」
「不安だったんです。咲季さんに見捨てられるのが。」
「咲季さんが、俺の前からいなくなってしまうのが、怖くて、怖くてしかたなかったんです。」
そこまで話すと、咲季さんは俺の頭を抱き締めた。
「あなたが必要ないなんて、思ったことは1度もないわよ。」
「あなたのおかげで、私は成長できた。アイドルを諦めずに続けることができた。佑芽に勝って、N.I.Aで優勝できた。」
「本当に感謝してるのよ、あなたには。」
「そもそも、逃がさないって言ったでしょ?」
「ずっと一緒だから大丈夫よプロデューサー。」
「咲季さん...ありがとう...ございます...」 - 7二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:16:33
ーイベント当日、ライブ前ー
「ライブ直前ですが、調子はどうですか?」
「もちろん最高の状態よ!」
「なら良かったです。最高のパフォーマンスをしてきてくだだい。」
「ええ。あなたが育ててくれた私の実力を存分に見せてくるわ!」
宣言通り、彼女は最高のパフォーマンスを魅せてくれた。 - 8二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 05:17:52
文章読みにくすぎ問題があったため、再投稿です。
以上、妄想の掃き溜めでした。初めてSSを書いたので読みにくい所も多々あると思いますし、キャラへの解像度も低いかもですが、大目に見てくれると助かります。
長文、及び駄文失礼致しました。