- 11主25/07/31(木) 08:42:17
雄英の寮から出て、少し外に出ようとすれば市民の嫌な視線が俺を突き刺す…当たり前だ
父親はエンデヴァー、兄弟は荼毘
殺されていないことが逆に不思議なぐらい恨まれている
『焦凍』
”燈矢って立派な名前があるんだから”
「っ!」
「…またこれか」
俺が一息つこうとすると毎回コレが起きる
幻聴だ
それに加えて悪夢も見る
…当たり前だ、あんなものを見て、精神状態を保てるわけが無い
水分補給のために支給されたペットボトルを握りしめながら、俺は空を見上げた
『なぁ、焦凍、なんでてめぇは普通に生きてられる?』
背中側は壁のはずなのに、後ろから声が聞こえた
「…燈矢兄」
幻聴に声をかけても何もならないのは、重々承知してる
けど、最近おかしい
『嬉しいよ焦凍、俺のことを荼毘って呼ばなくなって』
「…」
本来幻聴なんてもんとは、会話できない
一方的な声だけの存在だ
なのに…なのになんで…
『同級生とのお話は楽しいか?』
「…燈矢兄…が知る必要は…」
『ひでぇな焦凍、俺にも教えてくれよ』
…きっと俺は疲れてるんだ - 21主25/07/31(木) 08:43:31
「轟くん/さん!」
「お…飯田と八百万か」
「大丈夫かい?轟くん…顔色が悪いが…」
「…気が滅入ってしまいますわよね…私たちにできることがあればなんでも仰ってくださいまし」
「いや…そんなんじゃねぇ…最近寒いから…すこし…」
自分で自分の口を覆った
流石に嘘が下手すぎた…でも、2人に心配かけたくねぇ…
「本当に大丈夫だ、A組のみんなが居てくれるだけで俺は…」
A組のみんなの顔を思い浮かべるだけで、心が暖かくなる
全部終わったあとに…ちゃんとみんなに言いたいな
感謝の言葉…絶対に伝えなきゃな
『俺にかける言葉も見つかったか?』
「轟くん?大丈夫か?」
飯田が俺に手を差し伸べてくるが、その手がだんだんだんと焼けていき…テレビで何度も再放送されたあの体…あの…手
「…あ、あぁ…心配すんな…それと…寮に戻って少し寝たいんだが…ここ任せられるか?自分勝手でわりぃ…」
俺はその手を無視し自分で立ち上がった
「ええ!大丈夫ですわ!あ、各班の皆さんに連絡しますわね」
「無理だけはしないでくれ轟くん」
「わかった」
『本当は誰もお前のことなんて心配してない、早く死んでくれって思ってるよ焦凍』
『俺にはわかるんだ…だって燈矢は死んだんだから』
『死人に口なしって言いたいのか?けど、燈矢の代わりに俺が生まれた』
『大丈夫だ焦凍、お前はただ…』
「うるせぇ…!」
俺は飯田と八百万が去ったことを確認したあと、思い切り後ろを振り返って怒鳴った
当然誰も居ない…はずだったのに
『死んじまえばいい』
燈矢の顔は満面の笑みだった - 31主25/07/31(木) 08:44:32
寮に着くと、みんな外出中だったようで、誰もいなかった
俺はシンとした部屋がいつぶりか怖く、自室に戻って耳郎が歌っていた曲をスマホで再生し、できるだけ音を大きくしたあと、布団の上に横になった
まだスーツも脱いでいないからか、少し汗臭かったが…そんなことよりも疲労の方が強かった
”僕、轟燈矢はエンデヴァー家の長男として生まれました”
ノイズまみれの再放送
電波ジャックされてるらしい
…うるさいな
幻聴じゃない、フラッシュバックに似たようなものだ
ただ、永遠とあの瞳…お母さんを追い詰めた瞳がずっとこっちを見てるような気がして
ノイズまみれになった後のテレビ画面を見つめながら
ただ心臓がやけにうるさくて、痛くて、切なくて
今すぐ取り出してしまいたいと何回も思った
死んだら楽になるのだろうか?
死んだ燈矢兄は幸せなのだろうか?
…そんなの燈矢兄の感じ方の話だ
本当に死んだわけじゃない…死んだら何も残らない
幸せとは真逆だ
『案外地獄も楽しいかもな、焦凍』
黙ってて欲しい…もうこれ以上俺を追いつめても、燈矢兄が行くのはきっと地獄だ
俺を追い詰めても天国なんて行けやしないのに…なんでそんな笑ってられるんだ?
教えてくれ、燈矢兄…その瞳に何が写ってる? - 41主25/07/31(木) 08:45:46
「焦凍!おい?」
「…っ…燈矢兄…」
「何怯えてんだよ?焦凍、あ、痛かったか?冬美ちゃん〜!夏くん〜!焦凍怪我しちゃったかも!」
「何やってるの〜!燈矢兄!」
「焦凍泣いてない?」
「泣いてないよな?焦凍は男の子で、お父さんの子供なんだから!」
ふわっとした白い髪、クリっとした目、火傷跡なんてひとつも無い綺麗な肌
そんな燈矢兄が、俺に手を差し伸べてきた
俺は…どうやら転けたみたいだ、燈矢兄がボールを持ってる
そうだった、俺と燈矢兄、冬美姉さん、夏兄はボール遊びしてたんだった
「うん!泣いてない!大丈夫だから、もっと…遊ぼう?」
燈矢兄は、その言葉を聞いて年相応の純粋な笑みを浮かべた
「だってさ!2人とも!お母さん!お父さん!いいよね〜!」
縁側に座っていたお母さんと親父
お母さんはニコニコ笑いながら燈矢兄に返事を返していた
親父は、そんな俺たちを見てただ微笑んでいた
なんて平和なんだろうか、いやこれが当たり前なんだ
「じゃ、焦凍からな!」
ボールが俺の方に飛んできた
キャッチをするかボールを蹴るか、俺にはどっちかよく分からなかった
とりあえず受け止めてみようかと、俺は手を伸ばしボールをキャッチしようとしたが、受け止められず落としてしまった
すぐに拾おうとしたが、やけに辺りが静かで、俺は辺りを見渡そうとした
「焦凍…」
「どうしたの…?燈矢に──」
涙をポロポロ流しながら燈矢兄は俺にハグをしてきた
凄く…ものすごく困ったが俺も燈矢兄を抱きしめ返した - 51主25/07/31(木) 08:46:47
「あれ…燈矢兄、冬美姉さんと…夏兄は?」
「焦凍」
”そうだよ焦凍、兄ちゃん何も感じなくなっちまったぁ”
怖い、見たくない
違う、これも幻聴だ…そうだ、疲れてるんだ俺は
だって、そうじゃなきゃ…燈矢兄の腕はこんなに大きくないし、力だって強くないし、こんな声じゃない
ならなんでこんな熱いんだ?さっきまでのみんなはどこに行った?なんで俺達の周りは蒼い炎に包まれてる?
違う、違う、違う…違う違う違う違う違う!!
『過去は消えない』
──────────
寝ていたみたいだ
寝汗でベットのシーツが濡れていた
そんなことはどうでもよかった、少し焦げ臭いと思っていたら、無意識に個性を使ってしまったようで少し壁が焼けていた
火事にならなくてよかったなんて思ったのは1秒もあっただろうか
爆音で流していた音楽もいつの間にか止まっていて、寮の中に人の気配を感じた
けど、今の俺の身体はまるで凍っているかのように動かなくて
それに今は誰とも話したくなくて
ただ、横になりながらさっきの光景を思い出しては、記憶から消そうと、歯を食いしばった - 61主25/07/31(木) 08:51:54
”君の!力じゃないか!”
鏡を見る度、俺の左手を見る度にあの言葉が俺を救ってくれた
まだ緑谷は帰ってこないだろうか…
でも…帰ってきても…何を話せばいいか分からない
落ち着いたあと、仰向けで天井を見つめていると、なにかにのしかかられるような感覚が走った
『焦凍』
何回聞いたか分からない声で俺の名を呼んだ
俺は動けなかった、まだ夢を見ているだけだと思った
燈矢兄の指が俺の心臓辺りを指さした
『俺はな焦凍、お前のここを燃やし尽くしたい』
『心臓、脳、肺、胃、肝臓、膵臓』
『そして、心…精神…全部燃やし尽くしてやりたい、エンデヴァーの炎で』
『…ははっ!そうしたらお前も被害者だな…あぁ、お揃いなのはここだけじゃなかったのか』
燈矢兄が俺の左目を無理やり開かせた
『こんな失敗作と同じだなんて、焦凍はとことん不幸だな』
『大丈夫だ、焦凍…死んじまえば楽になる』
「っ…お前は…」
『ん?』
「お前は親父のことしか…見てねぇだろ」
のしかかっていた燈矢兄は、俺のことを押し倒すような体勢になり、じっと俺の目を見てきた
『何を見てそう思った?俺のことを何も知らないくせに、最高傑作のお人形が何言っても許されると思うなよ』
その言葉を言い終えたあと、燈矢兄はふっと吹いた風と共に消えていった
その目をやめて燈矢兄 - 71主25/07/31(木) 09:22:30
ドアのノックの音で俺はようやく動く気になった
ドアを開けると、目の前には緑谷が立っていた
死柄木が復活するまで時間も限られている
なのに、今緑谷に全部ぶちまけて泣きつきたい
でも、緑谷の負担にはなりたくない…
「轟くん…色々考えてる時に悪いんだけどさ…」
緑谷が白い紙製の袋を差し出してきた
「リカバリーガールから…轟くんが悩んで寝れない時とかに飲んでだってさ」
「なんでも言ってねって言うのが1番の重荷になるのは知ってるよ」
「だから、僕は言わないけど…本当にどうしようもなくなったら言って、僕たち友達でしょ?」
緑谷が薬を渡したあと、拳をこちらに向けた
俺はそれに応え拳をぶつけた
こんな薬意味が無い
だなんて、到底言えるわけもなかった
俺の視界の端には、空になった睡眠薬の箱が積み重なってゴミ箱に入っていた - 81主25/07/31(木) 09:30:12
俺がみんなを困らせちゃダメだ、ただでさえ迷惑かけてるのに
緑谷が居なくなった部屋で俺はまた横になっていたが、流石にそろそろ動かなきゃいけない
でも…そんなこと言ったってなにすりゃいいか…わかんねぇ
親父は今何してんだろうか…まだギリギリ日は照ってるから、ヴィランやダツゴク探しか?
親父がああなった分…俺がしっかりしなくちゃ行けねぇ
これぐらいで負けるな
俺は自分の胸を叩いた
「…」
「っし…」
俺は、軽く深呼吸をした後部屋の外に出た
「あら…轟ちゃん、もう体は大丈夫なの?」
「まだちょっとだるいけど、みんなに心配かけさせるレベルじゃねぇ…それに、俺も多少は無理しねぇと」
蛙吹は不安そうな顔をしていた
「轟ちゃん、ちゃんと仲間がいるってことを忘れないでね」
「何時でも、何があってもお話を聞くから」
「…お友達が苦しんでいるのは辛いもの」
「蛙吹…」
「ありがとう」
『どれだけみんなに迷惑をかければ気が済む?』
「…その…他のみんなにはもう…俺の事心配しないでくれって言っててくれ…本当に大丈夫だ」
「そう…ね、しつこいのも迷惑かけちゃうもの、ごめんなさい轟ちゃん」
「いや、本当に…嬉しいんだ、けど、みんな自分のことだけ考えてて欲しい、最後の戦い以外に不安なことがあったらダメだ」
蛙吹は何か言いたげだったが、俺の手を優しく両手で包んだ後笑顔で言った
「轟ちゃん、頑張ってね、ヴィランなんかに負けちゃだめよ」
「あぁ」 - 91主25/07/31(木) 09:32:08
俺はできるだけ心配かけないように、自室に置き手紙を置いた後に、外へと出た
単独行動は危険だが…どうしても今は1人になりたかった
幻聴、幻覚があるなんて事は…流石に誰にも言えなかった
これ以上みんなの負担になったらダメだ…
『そうだな、お前は楽になったらダメだ』
『あそこの建物少しお前が本気を出して押せば崩れてくるんじゃねぇか?瓦礫に押しつぶされて死ぬなんて言うのも…惨めでいいんじゃねぇか?』
何がおかしいのかクスクス笑っている燈矢兄
角と羽と尻尾がないだけの悪魔だ
触ろうにも幻覚だ、触れるわけが無い
燈矢兄は死んでもないのに幽霊みたいに…
これもヴィラン連合の策略なのか?
なら、なんで俺なんだ?普通…ヒーロー側に打撃を与えるとしたら親父を選ぶだろ
『何不思議がってんだよ焦凍』
「…なんで俺なんだよ」
『ははっ!お父さんが苦しめばいいと思ってんのか?』
「そういう意味じゃ…」
『安心しろよ焦凍、これは全部幻…』
『お前が見てるのは不幸で残酷で哀れな夢だ』
「ふざ…けんな」
『お前が頑張れば誰にも迷惑かけずに済むぞ?いや、もうかけてんのか、そうだな…これ”以上”迷惑かけなくて済むが正解か』
「…耐えてやるよ」
燈矢兄は、笑いながら消えた
全身に鳥肌が立ってまだ治まらない
さっさとパトロールをしよう…何かしてないと本当に頭イカれちまう… - 101主25/07/31(木) 09:33:09
なにか事件でも起きていればいいのになんて思う俺はきっと、ヴィランだ
言い訳が許されるなら、こんなぐちゃぐちゃな心で平静を保っていろというのはあまりにも酷だ
なにか俺の思考を置いてけぼりにするぐらいのことが起きないと…俺の心と頭のぐちゃぐちゃは綺麗にならない
最低だな
『よく分かってるじゃねぇか』
燈矢兄の手が俺の脇腹から前に回された
『あぁ…ここにお父さんがいればなぁ…目の前で大切な大切なお人形を燃やしてあげるのに』
妙にゆっくりとした話し方で、ゾワッとなる俺を、燈矢兄はやはりずっと笑っていた
笑っていた…笑っていた…
何がそんなにおかしいのか分からない
俺が苦しんでいる姿の何が面白いんだ?
『分からないか?お前の大切な人たちが苦しんでる姿は面白くて滑稽だろ?』
「…そんなことあるわけないだろ…みんなを侮辱するな…」
『想像しちまったんだな?ははっ!焦凍は素直でいい子だな』
気持ち悪い、気味が悪い
こんな感覚は生まれて初めてだった
胃のそこから、嫌悪感が溢れ出してきそうだった
けど、そんなところにちょうどヴィランが来た
…俺は口角を上げた - 11二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 10:17:56
どろっどろで鬱だ....
いいね、続けてくれ - 121主25/07/31(木) 14:28:25
やっと…考えずに済む
〔てめぇ…エンデヴァーの息子じゃねぇか!ちょうどいい…鬱憤溜まってたんだ!今ここでズタズタに引き裂いてやるよ!〕
ヴィランが何か言ってる
…目の前にいるやつが、ただの火種にしか見えない
『燃やしちまえよ…火種があるならそこから燃やさなきゃな』
左側から炎が燃え盛る
〔全部お前ら家族のせいだ!〕
透明な空気の刃が俺に向かって飛んでくる
すぐに氷の壁を作りそれを阻止する
熱さでイライラする、燃やしたい…これがヒーローとしての罪だとしても俺は…
地面を思い切り踏み込み、ヴィランを足元から凍らせる
そして一気に…焼き殺──
「轟くん!」
俺は黒鞭で拘束された後軽く吹っ飛ばされた
地面が上にある
違う…これ…落ちて…
「っと…」
地面に着くか着かないかギリギリで緑谷がまた黒鞭で拘束した
「何してるのさ…轟くん」
「え…」
理解が追いつかなかった
俺が何を…?
俺はヴィランを殺そう…と
全身の血が凍っていくみたいに冷たくなっていく
『残念だな焦凍…お前のお友達が邪魔したなぁ…そいつも殺したらどうだ?』
緑谷の目は、俺のことを心配しているような目だったが
俺にはその目のもっと奥で…俺のことを軽蔑しているように感じた - 131主25/07/31(木) 15:47:05
「…轟くん、事情は…聞かない方がいいのは分かってるけど」 「これは間違ってるよ」
緑谷が、通信機で他のみんなに連絡をする
俺は自分の左手を思い切り握りしめた
氷の冷たさでだいぶ頭が冷えてきた
…馬鹿なことをしようとした…ヴィランだって人間だ
殺していいわけが無い
〔…え…エンデヴァーと…同じ目だ〕
〔呪われてるんだ…よ…お前らの家は…クソ家族が〕
『雑魚ヴィランが何ほざいてんだよって感じだよなぁ…焦凍』
「轟くん、顔色が悪いよ、すぐに戻ろう…それとも僕がおんぶして行こうか?」
「いや…大丈夫だ、今ので頭が冷えた、もう少しひとりで…」
緑谷の顔が見れない、なんて言えばいいのかも分からない
失望されただろうか?友達を辞めたいと思っただろうか?
胃が痛い、頭がちりちりする…
「轟くん、休もう」
「…1人にさせてくれ…頼む緑谷」
「…分かった、けど、近くにいるから、それでもいい?」
「1人にさせてくれるなら…それでいい」
ごめん、緑谷…今は本当に…
『1人になって何する気だよ?焦凍』
燈矢兄が後ろから俺の左手を優しく撫でるように触ってきた
それが言葉にできない感情が溢れ出してきて
気づけば俺は、走り出していた
この場にいたくなかった - 14二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 15:53:32
鬱すぎる
続けてくれ - 15二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:06:27
興奮してきたな、文が上手い読みたくなる!!
- 161主25/07/31(木) 18:30:07
- 171主25/07/31(木) 18:43:46
なんで邪魔したんだ緑谷、もう少しでこの気持ちが晴れそうだったのに…緑谷さえ邪魔しなきゃ…
「…違ぇだろうが!」
俺の足元がじわじわと冷たくなっていく
冷たくて薄暗くて落ち着く
頭を冷やせ…冷静になれ…
緑谷は俺が間違いを犯しそうな時に助けてくれた…紛れもないヒーローだ
深呼吸をして呼吸をおちつける
けど…すぐにそんな心は乱された
氷を踏み鳴らす音が聞こえる
『焦凍』
「名前を…もう呼ばないでくれ燈矢兄…」
『なんで?焦凍』
「呼ぶなって…言ってんだろうが!」
俺は辺り一面をものすごい速度で凍らせた
一瞬にして、辺りは氷に包まれた
流石の俺も寒さを感じると思ったが…そんなもの微塵も感じなかった
『冷たいのって、俺は意外と平気だからなぁ…焦凍は寒いのって好きか?最高傑作の意見も聞きたいな俺は』
ただ、腹の底から湧いてくるような怒りと、不安が、俺になんの感覚も与えてくれなかった
『俺は焦凍とお話したいんだいいだろ?』
「今のお前と話すことなんて…何もねぇ…」
「消えろ幻…俺をそそのかすな、燈矢兄を使うな」
『なァ、焦凍、なんでこれが幻だと思ってるんだ?』
先程の氷に包まれた街は一瞬にして蒼い炎に包まれた
じゅっ…しゅー…と溶けては蒸発する音がした
幻じゃない…?実態がある?なら…緑谷、緑谷を呼ばなくちゃ…
飯田も近くにいるか?爆豪が来たらもっと安心する…八百万も蛙吹も居たら…あと他のみんなも
「轟くん!ごめん!やっぱり君を1人にしておけなかった!」
「み、緑谷!荼毘が!すぐにみんなを!」
「…何言ってるの?轟くん」
「ここには轟くんしかいないよ…?」 - 181主25/07/31(木) 19:10:50
「え…だっ、だって…氷とあ、蒼い炎が!」
「えーと…轟くんがなにか叫んでたから…大丈夫かなって思って…あれだった?ストレス発散には大声出すのが効果的って聞くけど」
そんな…はずねぇだろ…だって確かに…
俺は…燈矢兄は…
「みどっ…緑谷ぁ…」
情緒不安定
情けないことに俺は泣き出してしまった
緑谷も困っていたが、無言で俺のことを抱きしめてくれた
その体はちゃんと暖かくて…安心した
「ぅ…うう…緑谷…ごめん…迷惑かけて…ごめっ…」
「大丈夫だよ、ちょっと待ってね」
「こちらデク、ショートと行動中だったが、離脱する」
了解と、5人ほどが答えていた
「心が疲れちゃったね、轟くん…大丈夫…」
背中を撫でられ俺は子供のように泣きじゃくってしまった
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「大丈夫…轟くんが謝ることなんてひとつも無いんだから」
「歩けそう?僕と一緒に戻ろっか」
通信機に少しのノイズが走ったあと、爆豪の声が聞こえてきた
「大・爆・殺・神・ダイナマイトだ、デク、ショート、今人が少ねぇから帰ってくるならさっさと帰ってこい」
「あ、かっちゃん、ありがとう」
「大・爆・殺・神・ダイナマイトだ!」
爆豪の元気の良さに思わず俺も緑谷も笑った
やっぱり…この幼馴染2人は俺よりもずっと先にいるような気がする
でも、そんな俺の手もとってくれるぐらい優しいんだ
『それが全部嘘だったとしたら?』
『情緒不安定、家庭事情最悪、疫病神、天然で馬鹿なところもきっとウザがられてるだろうな』
『お前のお友達は賢いよ、焦凍と違って、ヒーローになるために平気で嘘をつくんだからよ』 - 19二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 19:53:45
推しの嘔吐とか過呼吸の鬱展開、自虐展開が好きなんでめちゃくちゃ続きが楽しみ
ハピエンでもバドエンでも受け止めれるわ、ありがとうスレ主 - 20二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:18:15
めーっちゃ好きです!!
続き待ってます - 211主25/07/31(木) 20:28:43
「轟くん、事情…どうしても話せない?」
「…あはは…ごめん、迷惑だよね、言いたくないからずっと黙ってるんだもんね…」
「緑谷が気に病む必要なんてねぇ」
「俺たち家族の問題だ」
「A組のみんなは轟くんにとって家族みたいな存在でしょ?…なんちゃって…!」
緑谷は少し恥ずかしそうに笑った
でも、緑谷の言う通りだ…A組のみんなは俺にとって大切な家族みたいなものだ
『家族は裏切る、お前は普通じゃない、お前はお父さんの子供なんだから』
『普通の家族なんか作れない、お前に幸せは似合わない』
『幸せになるなんて、神や仏が許しても俺が許さない』
『瞳孔も唇も震わせるだけかよ…反論しろよ焦凍』
「…緑谷」
「あ、ご、ごめん!本当に冗談だったからさ!い、嫌だったよね…ごめん!」
轟は
1 緑谷に相談する
2 黙って全てを自分で抱える
dice1d2=1 (1)
ありがとうございます!
- 221主25/07/31(木) 20:38:37
「最近…俺、燈矢兄の幻覚を見るんだ」
緑谷も俺も足音は止まらない
「燈矢…全面戦争の時の…荼毘」
「ずっと声が…姿が…俺を…」
「罪悪感が、家族の責任が…不安が…恐怖が」
「ずっと頭にこびりついて離れない…」
緑谷の横顔は至って真剣で、たまに俺の方を瞳で追った
きっと迷惑かけてる…俺が弱いから
全部抱えて生きていかなきゃいけないのに…俺は…弱音を吐いた
過ちを犯しかけた、迷惑をかけた
こんな世界になったのに笑ってしまった
『焦凍、俺は優しいから教えてやるよ』
『緑谷出久はお前のことを───』
心臓が痛い
呼吸出来ない
「あああああぁぁぁぁ!!うるさい!うるさい!うるさい!」
「轟くん!落ち着いて!何!?何があったの!?」
緑谷が俺に近づく
なんで笑ってる?緑谷…なんでこんな俺を見て笑ってる?
「ちかっ…近寄んじゃねぇ…」
呼吸がどんどん浅くなっていく
「轟くん落ち着いて!幻覚だ!幻覚なんかに負けないで轟くん!」
「っ…幻覚なんかじゃない…お前は…俺のことを…」
「ごめん、轟くん!」
緑谷に首後ろを思い切り手刀で叩かれた後俺は気絶した
轟の正気度
100-dice1d80=17 (17)
- 231主25/07/31(木) 20:49:28
「…あ」
目を覚ますと、地図を見ながら正座で俺の布団のそばに座っている飯田が居た
「起きたか、良かった…」
「体調の方は大丈夫かい?」
俺はゆっくり体を起こした
「…少し…疲れてただけだ」
きっと俺は疲れてたからあんなものを見た、聞いた
「緑谷くんからは、事情は聞かない方がいいと思って聞いていない…僕は…君の役に立てないかもしれない」
「そんなことは…」
「…正直起きた時に飯田が居てくれて安心した」
「!」
「ありがとう…飯田」
「それは、本当に良かった」
飯田には…話せないな
コイツも兄の事で悩んで…きっとすごく苦労したに違いない
これ以上…俺のせいで迷惑はかけたくない
ヒーローになるなら、全部自分で何とかできるようにならなくちゃいけねぇ
「それと、轟くん、疲れた時にはゆっくり風呂に浸かるのも効果的だと聞いている」
「それに…」
飯田が言いずらそうにしていた
「あ…悪ぃ…汗臭いよな…」
「いや!本当すまない!友達でも失礼かと思って言えなかった!」
「ははっ…飯田は本当にそういうところあるな…じゃあ、風呂入ってくる」
「僕も一緒に入ろうかなと思っていたが…」
「飯田が好きなようにしてくれ」
「分かった、なら僕はもう少し明日のパトロールの場所を分担できるように作業をしてくる」
「いつもお疲れ様、飯田、無理しすぎんなよ」
貰いすぎた言葉を返した - 24二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 00:28:45
ほんとにほんとに好きすぎる!!
暑いのでお体に気をつけて!続き待ってます - 25二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 06:44:51
どんなエンドになるか楽しみすぎる
- 261主25/08/01(金) 09:43:19
何度もフラッシュバックするあの映像
身体の作りは…似てないと思いたいけど
流れてる血はほとんど同じだ
「…」
俺は軽く頭から冷水を浴びた後、すぐにお湯に切り替えた
髪を洗っていると、いつも思う
俺の右側は燈矢兄と同じなんだって
…そりゃ…親父以外みんな白い髪は入ってるけど
夏兄より俺の頭に浮かぶのはやっぱり燈矢兄なんだ
「…ストレス…か」
両手に白い髪と赤い髪が絡まっていた
俺は体も洗い、汗臭い匂いをシャワーで完全に落とした後に湯船に浸かった
天気が悪かったせいか、自分でも驚くほど体が冷えていたのか、風呂に入るとジーン…と足先から温まっていくのがわかった
久々に落ち着けたような気がして、俺はゆっくり目を閉じた
緑谷にもありがとうって言わなきゃいけねぇな…
爆豪にも…他のみんなにも
あと…は…
全身の力が抜け俺は倒れるように湯に沈んで行った
すぐに起き上がればいいのに、すぐに息ができるほど浅いのに
何故か足をバタつかせられるほど深くて、重い
お湯じゃなくなったと気づいたのは、何秒経ってからだろうか
川の水のように冷たくなった
ただ、そんな冷たい水の中に俺は沈んでいって
呼吸ができない
冷たいはずなのに、どこか熱くて
背中からチリチリ焼けそうで
必死に手を伸ばした
俺の後ろ髪を誰かが掴もうとしたが、毛先に触れるだけだった
「轟!」 - 271主25/08/01(金) 09:48:47
ガッ!と誰かに手を掴まれお湯の中から引っ張りあげられた
「ごほっ…えほっ…!ごほっ…」
「何してんだよ轟!?こんな浅い風呂で溺れるってどういうことだよ!?」
「んっ…ごほっ!…上鳴…か」
「なぁ、轟…梅雨ちゃんとかから聞いたけどよ…疲れてるんだろ?見た感じそうじゃん」
「こんな浅い風呂で溺れるなんて普通有り得ねぇぜ?」
上鳴は、少し呆れた顔をしてた
「…眠く…なっちまったから」
「顔色悪いな、飯食ったか?」
「食欲湧かねぇんだ、でも、大丈夫だから」
「相澤先生が居たら説教3時間コースだぞ轟」
先生…か
あの時助けられなかったのも…あの時俺は無理してでも動かなきゃならなかったのに
「顔色悪ぃな…轟…飯一緒に食おうぜ?な?」
「本当に…腹空かねぇんだ」
「胃が動いてないだけだって!白湯とか飲むと多少良くなるらしいぜ!」
「梅雨ちゃんが冷蔵庫のゼリー食べていいってさ!常闇が持ってきたリンゴ、砂藤が剥いてくれてたから、それもあるし」
「少しでも元気だして欲しいんだよ」
上鳴はニカッと笑った
「なら…少しだけ貰う…」
「んな事言って全部食っちまったりしてな!あ、もちろんいいんだぜ?」
「ありがとう」
きっと、上鳴に助けてもらわなかったら
燈矢の幻覚か幻聴が俺を襲ってきて、パニックを起こして死んでた
…そんなギリギリなのか?俺は - 28二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 14:16:29
保守、いい感じの鬱具合でとてもすきです
- 291主25/08/01(金) 14:55:29
「疲れてんなら無理して髪乾かす必要ねぇんじゃねぇの?」
「そうかもな…」
「そうそう!イケメンもたまにはずぼらなとこあっていいって!」
上鳴と一緒に話しながら、俺は脱衣所を出た
「にしてもよ…轟が通るだけであんな顔しなくていいのにな」
「轟が何したって言うんだよ…ほんとに」
「…俺のために怒ってくれてありがとう」
「まー、1番感謝するなら麗日か、緑谷だろうな〜ちゃんとお礼言った?」
「…タイミングが合わな…いや、まだ言えてない」
「そっかそっか」
──────────
本当にただ、疲れてただけだったんだろうか?
なんにも見えない聞こえない…いつもの…日常
「轟ちゃん、美味しい?」
「あぁ、譲ってくれてありがとう…蛙吹」
「ケロッ、これぐらいいのよ」
そういえば、蛙吹も兄妹がいたか…
なんか妙に落ち着くのは…きっと蛙吹がお姉さんだからなんだろうな…
「なー、梅雨ちゃんさ〜、爆豪見なかった?」
「…ごめんなさい分からないわ、でも確か、切島ちゃんと一緒に…居たはずだから聞いてみてちょうだい」
「そっか、サンキュー!」
A組は俺が求めていた家族そのもの…なんて言っても過言じゃない
というか…家族ってこういうものなんだろ?という理想系がA組だ
なら、轟家は家族じゃなかったら一体なんなんだろう
「…?」
視界の端になにか光るものを見つけた
俺は、2人に不思議そうな目で見られながらも立ち上がりそれを拾い上げた
「…ピアス?」 - 301主25/08/01(金) 15:05:03
「お?なになに?どした?轟」
「あ、いや、これ誰のピアスかなって…」
「ピアス…?そんなのつけてる子なんていたかしら…?」
「つーか…轟…ピアスってどこだよ?」
「え?いや、今持ってるだろ、ほら」
「「…」」
あれ…これ…俺がおかしいのか…?
でもちゃんとここにある…のに、2人には見えてない?
「と、轟さ!やっぱ疲れてるんだって!」
「え…いや…俺…」
「あの…見え…え?わかんない…2人には…見えない…?」
「あれ…俺おかしいよな…あ…?」
冷や汗がダラダラ伝う
全身、虫に這われているかのような不快感
「落ち着いて轟ちゃん」
「…ちゃんと…見えてるから」
蛙吹が、俺の背中を優しく撫でた
「そ、そうそう…ちょっと俺ゲームのやりすぎて視力落ちちゃったみてぇだから!」
「それは、幻覚じゃないから…安心しろ!轟…」
「そう…だ…よな」
「緑谷ちゃんを呼んでくるわ、一番仲がいいものね」
「…今緑谷は」
「緑谷ちゃん、ずっと心配してたわよ、話してあげるのも…辛いでしょうけど、緑谷ちゃんの為になるわ」
『あーあ、なんて優しいんだろうなお前の友達は』
『流石最高傑作…愛されて愛されて…持ってないものなんて無いもんなァ…』
「…」
「2人っきりで話したい…けど…」
「わかったわ、じゃあ、15分後に緑谷ちゃんに轟ちゃんの部屋に行くように伝えておくわね」
「…本当にありがとう、蛙吹」 - 31二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 15:54:06
原作が「みんなが居るから大丈夫!A組大好き」な轟→「轟(くん)は悪くないのに...俺/僕/私達がついてる!」なA組だから亡霊が加わることでこんなにも轟くんの心がごちゃごちゃになるんだと思うと家族ってすげえなって.....
それでも耐えれてるのさすとどですな - 321主25/08/01(金) 16:20:36
”俺は生きてる、許されない真実だ、お父さん!”
「…ふー…」
揺れる視界を何とか深呼吸で戻しながら緑谷が来るのを待った
”今日まで元気でいてくれて、ありがとうエンデヴァー!!”
なんで俺なんだよ…
クソッ…頭…グツグツいって…なんなんだ本当に…!
俺はまた目を閉じて深呼吸を始めた
──────────
ドアノブをひねる音で俺はハッとした
「轟くん?鍵かけてる?」
今やっと気づいた
俺は部屋を凍らせていた
でも、1番凍っていたのは扉だった
「あ、あぁ…悪ぃ…ちょっとコントロールをミスって部屋凍らせちまった」
「何がどうしてそうなったの!?」
「とりあえず、ドアから離れてくれ」
緑谷の気配が少し遠ざかったのを確認したあと俺は、震える左手で氷を溶かし始めた
できるだけ高温で、でも燃やさないように
…緑谷と話すのが怖かったのかな
「多分…開けられると思う、ドアノブ熱かったら…」
ガチャッと音が鳴ったあと、緑谷はなに食わぬ顔で部屋に入ってきた
「あ…確かにちょっと寒いね…個性も身体機能の一つだから…まぁ…OFAと比較するのもあれだけど…調子悪い時もあるよね」
「さっきは…ごめん…それと、ありがとう」
「ううん…こっちこそごめん」
『緑谷出久はお前のことを───』 - 331主25/08/01(金) 16:31:43
「それで、あの時の話の続き…できそう?」
緑谷と向かいあわせで座る
「少しづつでいいなら…できそうだ」
「今、幻覚、幻聴はある?」
「…特に」
「原因から探っていこっか、あんまりお兄さんのこと思い出したくないのも分かるけど…さ…」
「…うん」
「お兄さんは、…エンデヴァーをコロす…轟くんをコロすことが目的だから当然生きてる」
「なら、幽霊とかの説は無くなるね…もともとそこら辺はあんまり考えてなかったと思うけど」
「そして…幻覚幻聴の原因って言うのはね…心因性だったりすると、強いストレスとかトラウマ」
「肉体的とかになってくると、睡眠不足、過労…轟くんはないと思うけど、統合失調症、薬の乱用、薬の副作用とからしいんだよね」
「それでさ…僕が思うに、轟くんは複雑性PTSDと慢性的なストレス…一般市民のみんなの視線とかだね、それとよく夢を見たりするんじゃない?だからちゃんと寝れてない」
「すげぇな、緑谷…医者みてぇだ」
「轟くんが少しでも楽になれるかなって…少し調べてみたんだ」
「ありがとう…緑谷」
緑谷の目の奥に俺はどう写っているのだろうか
惨めに写っているのだろうか?哀れに写っているのだろうか?
…目が怖い、視線に晒されるのが嫌だ
俺をもう見ないでくれ…
生きてるなら…直接会いに来いよ…燈矢兄
「大丈夫だよ、轟くん」
「僕がいる」
少しぐらい…依存したって…今は…許されるよな
薬に依存するよりもよっぽど…マシ…だろ - 341主25/08/01(金) 17:39:24
「もうこんな時間だし、寝たらどうかな」
「…寝れるかな」
「僕が一緒に寝ようか?かっちゃんも呼んでちょっとお泊まり気分…とかさ」
「騒がしくて寝れねぇな」
緑谷がクスッと笑った
「いつ起こしに来ても大丈夫だから…それか、電話してよ」
「ありがとう…本当に」
「(…弱気だけど仕方ないよね…轟くん今はちょっと疲れちゃってるから)」
「じゃ、またね」
緑谷が部屋から出ていったあと、俺は全身の力が抜け、その場に崩れ落ちた
震えてるのはバレなかっただろうか、泣きそうになっていたのはバレなかっただろうか
個性を使ってないのに、寒かったり暑かったり…なんなんだ一体
俺が寝転がり天井を向くと目が合った
「…あ…」
ただ、無言で見下ろしてくる燈矢兄
『お前のことが心配なのになんで帰るんだろうな?』
『兄ちゃんはずっとそばにいてやってるのに』
『アイツらの何が家族だ?』
「と、燈矢兄…頼むから…もう出てこないでくれ…」
『…ふーん…焦凍はもう俺の事どうでもいいんだな』
『家族を見捨てて、お父さんと同じになるんだな』
『なぁ…焦凍、家族を見捨てた奴の末路はどうだった?知らないとは言わせないぜ?』
「ご…ごめんなさい…燈矢兄…ごめん…謝る…謝るから…」
『焦凍は質問には答えてくれないんだな…悲しいな』
親父とおんなじになりたくない…
『そうだな、焦凍…お前はお父さんとは違うから…だから俺がいるんだ焦凍』
『大丈夫、お父さんと同じ末路は辿らせねぇから…俺を信じろ』 - 35二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 17:45:42
順調に追い詰められてるのを見てにっこり
- 36二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 17:47:01
じわじわと苦しんでほしい
- 371主25/08/01(金) 19:23:13
瞬きひとつする間に、燈矢兄は俺の上にのしかかっていた
俺のことを見下ろしている
ずっと、あの時…ギガントマキアの上から見下ろしている燈矢兄の姿と重なる
燈矢兄は俺の首元を撫でたあと、そのまま両手で俺の首を締め始めた
『…焦凍はさ、生きて…生きた後にさ、その先に何を求めてんだ?』
『あぁ、ごめん、焦凍の答えなんてもう決まってたか』
「とっ…ぉ…やにいっ…!」
俺は燈矢兄の腕を掴むが、炎が舞い上がり熱くて全力で引き離せない
『腐っても兄ちゃんだからな…弟に負ける訳にはいかねぇんだよ』
『哀れだな焦凍…悲しいな焦凍…きっとお前の”家族”は幸せな夢を見ながら希望が詰まった明日を迎える準備をしてるよ』
「がっ…ぁっ…!」
『可哀想な焦凍…大丈夫…すぐに殺してあげるから』
『でも、地獄に行っても少しは待っててな…お父さんも…ほかのみんなもつれて来なきゃいけねぇから』
『さぁ、焦凍…ヒーローなんて戯言はもう…』
俺は燈矢兄を突き飛ばした
燈矢兄は壁に当たったが、音は何もしなかった
それが俺を心の底から安心させた
「っ…ごほっ…はーっ…消えろ…幻覚が…」
『恨みがある限り俺は消えない』
『ヒーローも、お父さんもお前も…皆殺しにしてやる』
『全部燃やし尽くしてやる』
燈矢兄は、俺の目を見つめた、その顔はやはり笑っていて
そのまま、また風と共に消えた
「…っ…うっ…うぅ…おかあさ…」
俺は自分の服を掴みながら、子供のようにボロボロ泣いた
ファイルなう - アップロードされた複数のファイル1754043584709.jpg, 20250801-1859_51d5d78c0699cc4c1f94fba067bb... (928 KB)d.kuku.lu(首絞められショート)
- 38二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:26:41
- 391主25/08/01(金) 20:21:33
- 40二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:25:10
- 411主25/08/01(金) 20:29:48
- 421主25/08/01(金) 20:36:10
夢枕に立つなんて言葉はあるが…それは、神や故人の話だ
なら…そんなことありえない…ありえねぇんだ
「…」
静かになった部屋が怖く、音楽をまたかけようと思ったが、今大音量で音楽を流したら近くの部屋のみんながゆっくり休めない
俺は仕方なく目を瞑りながら明日のことを考えた
明日はどうしよう…動けるか?
いや、無理してでも動け…市民を助けろ…少しでもAFOに…荼毘に繋がるヒントを掴め
そして、みんなが幸せに楽しく暮らせる世界に…
幸せになったら…最初に何をしようか
家族みんなで蕎麦が食べたいな
…それはいつもの話か…
燈矢兄は何が好きなんだろう
分からないな…
…気づいたら燈矢兄のことを考えてる
そんな歌詞をどこかで聞いたことがあるけど、愛なんて素敵なものじゃない
憎しみと恐怖と罪悪感で頭から離れないだけだ
考えたくないのに、俺が燈矢になったみたいに、一体化してしまったみたいに、離れない
最高傑作だなんて言葉はもう聞きたくない
俺が…俺が1番の失敗作なのだから
みんなに迷惑かけてごめんなさい
家族に迷惑かけてごめんなさい
産まれてきてごめんなさい - 43二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:34:12
保守
- 44二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 23:22:02
鬱々しい〜
- 451主25/08/02(土) 00:10:41
リン…と風鈴の音が鳴った
俺は縁側に座っていた
隣には中学生の燈矢兄が居た
「疲れたな焦凍」
汗をかきながら少し頬を赤くして俺に微笑む燈矢兄
アイス片手に、汗をかく姿は…俺が思う”普通”の子供
「燈矢兄…あの…ね…あの」
俺はなんて言えばいいか分からなかったが、とりあえず燈矢兄と話がしたかった
「あのね、燈矢にぃ…んむ…!?」
「あはは!なんだその間抜け面!焦凍も暑いだろ俺が食ってたヤツでいいならそれ食べとけ」
燈矢兄が食べていたアイスを口に無理やり突っ込まれた
ひんやりとしたアイスが俺の口の中を冷ました
「あのな、焦凍…俺ヒーローになりたいんだ」
「ひー…ぉ…ー?」
「うん、お父さんみたいなかっこいいヒーローになりたい」
「なれるかな?」
俺はアイスを食べながら、少しズキリと痛む頭で考えた
「…親父…みひゃいな…ひーぉには…ん…なって欲しくねぇ」
「なんで?」
「かっこ悪いから」
「…あはは!あんなに髭生やしたりはしないよ!焦凍は可愛いな、俺が言ってるのはそういう意味じゃなくてさ」
知ってる…けど…燈矢兄が楽しそうに話してるならそれで良かった
「でもさ…お父さんみたいに…平気で家族を捨てられる奴にはなりたくねぇよなぁ…焦凍』
『でも、俺はかっこいいと思うぞ?平気で家族を捨ててさも何も無かったように振る舞う姿は…クズで滑稽で…それでいてどこかかっこよくてさ』
『大っ嫌いだ』
燈矢兄は、ただ俺の頭に手を置いた
『そしてお前も…』 - 46二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 06:51:27
途中から荼毘になってる…
- 471主25/08/02(土) 08:42:39
目が覚めた、途中からわかっていた、あれは夢だって
ベットシーツが濡れてる、汗?それとも…
「っ…うるせぇ…夢のくせに…!」
「幸せな夢も見ちゃダメなのかよ…!?」
俺は床に自分の拳を振り下ろした
誰もいない部屋に、怒りの行き先は無かった
息も乱れ、目の奥が熱くなる
部屋の空気は、冷えたり暑くなったり
個性が全くコントロールできない
「う”ぅ…なんで…なんでぇ…」
「とぉや…にぃは…っう…俺にいじわる…するんだよっ…」
精神的苦痛から逃れるための幼児退行
恥ずかしくて情けないはずなのに
スッキリするのは何故だろうか - 481主25/08/02(土) 09:00:54
けど…起きた時点で俺は終わってた
寝てる方がマシだなんて…あんな夢を見る方がマシだなんて…冗談もいいところだ
親父の怒鳴り声
お母さんのあの目
冬美姉さんの怯える顔
夏兄の苦痛から逃れようとする顔
燈矢兄の笑う顔
頭の中で何もかもが混線して、身体の奥からなにかがせり上ってきた
それは、コポッ…と嫌な音を立てていた
「うっ…!?」
「やだっ…ぁ…やだっ…」
体も頭も心もぐっちゃぐちゃ
自分でも何がしたいのか分からなかった
空っぽの胃がきゅうっと縮まるような感覚に襲われた
「っ…げほっ…おぇ…っ…!」
畳に嫌な匂いが広がっていくのが分かった
「げぇっ…ッ…ぐっ…ぅっ…」
濁った色の吐瀉物の上に透明の涙がぽたぽた垂れた
俺の口から変に粘り気のある物が垂れたあと
俺は吐くものがなくなったのか、嗚咽は漏れたものの
もう何も出なくなった
頭がクラクラする…水分不足だ…あんなにシーツを濡らしたから
音が遅れて聞こえた
何言ってるか分からない…けど…蛙吹と砂藤が来た
あぁ…こんなみっともない姿…見ないでくれ
頼むから…そんな目で見ないで…くれ - 49二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 09:15:34
しゃぁぁぁ!!吐いた!!
今んとこ出たのが緑谷、爆豪、上鳴、蛙吹、飯田か?この調子で先生含め漏れなく全員巻き込んで欲しいね...
楽しみだ - 50二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 09:32:36
- 511主25/08/02(土) 11:17:08
「…あ」
「轟さん、起きましたか?身体は動かせますか?」
「八百万…」
「轟、食欲ねぇかもしれねぇけど…一応飯は食っとけ!蕎麦はさすがに無理だったから、お粥で勘弁してくれよ」
「砂藤…」
共同スペースのソファーに寝かされていた俺
「あ、蛙吹は?」
「今、轟さんの部屋の掃除をしていますわ」
「は…?ちょ、ちょっと待ってくれ…流石に同級生にそんなことさせるのは…!」
「大丈夫よ、轟ちゃん、汚いとも思わないわ…ただ、悲しいだけよ」
蛙吹がバケツと雑巾片手に現れた
なんにも大丈夫じゃねぇ…俺は同級生になんてことをさせてんだ
「体調悪かったなら、言ってくれよ轟」
「言えるわけ…ねぇだろ…砂藤…みんなに迷惑かけたくねぇんだ…俺は」
「…言わせてもらいますが、それが一番の迷惑ですわ」
八百万は冷静に俺に淡々と伝えてくる
「ここに運んでくださったのは、瀬呂さんです」
「瀬呂さんも言っていました、「もっと早く相談して欲しかったな」と」
言えるわけねぇだろ…なんでわかってくれないんだ
「今日は…休みましょう、轟さん、体調不良で動くのは…」
「八百万達に俺の何がわかるんだよ…!?」
「俺は行く、砂藤悪ぃな…本当に食欲ねぇんだ…」
「それと、蛙吹、変に取り繕わなくていい、汚いと思ったら汚いって言ってくれていい」
「ま、待ってくどさいまし!」
「八百万も、もう俺に構わないでくれ」
「轟ちゃん…私達はただ…!」
「轟!」
俺は、立ち上がり自室に戻ってコスチュームに着替えた - 521主25/08/02(土) 11:24:05
「お…轟…って…待てよ!お前体調悪いんだろ!?」
廊下で瀬呂と出会ったが無視して進んだ
だが、当然止めてくる
「無視っていうのは酷くないか轟」
腕をテープで拘束されるが、俺はすぐにそれを燃やした
「…気分悪ぃんだ…頼むからもうやめてくれ…」
俺はそのまま走って寮を出た
────────
見るな見るな見るな
俺が何をしたって言うんだ?親父の息子で荼毘の兄弟
それってそんなにいけないことか?
呪われて殺されるぐらいいけないことなのか?
────────
俺は何とか雄英の敷地外に出た後一息ついた
…計画性皆無何をしよう
A組エミュがホント苦手です
あと完全余談ですが、前のホークス曇らせスレで次は轟くんでやろうって言ってたんですね私…記憶になかったです
- 53二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 11:27:12
とにかく遠くまで行く
- 54二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 11:38:20
瀬古杜岳に行く
- 55二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 11:38:29
気晴らしに散歩
- 561主25/08/02(土) 12:24:16
とりあえず、ふらふら…目的なく散歩するか
気晴らしになればいいんだけどな…
────────────
瓦礫まみれで酷い世界になったなと、改めて思わされた
散歩と言っても…遊びに来たわけじゃない
パトロールももちろん兼ねてる
けど、瓦礫の下敷きになった人もいないし、嗅いだことは無いが死体の匂いもしない
そんな中足に何かが当たった
「…?」
俺はそれを拾い上げた
どうやら小さい子供の絵日記のようだった
〔だいすきなひーろー!えんでばぁー!〕
拙い字で書いてある日記
子供らしい可愛らし絵で、親父が描いてあった
「親父が好きだなんて…珍しいな」
俺はその日記帳をそっと元あった場所に置こうとしたタイミングで、その日記帳が燃え上がった
先程のページが開き、穴が空くようにじわじわと燃えて黒くなっていく
俺はただただ無感情でその光景を見ていた
どうせ幻覚なのだから…
それに…朝ごはん食ってねぇせいか…驚く元気もねぇ
でも、なんだろう…気分がいい
俺は普段しないようなことをした
スキップをしたり、ダンスを踊るように歩いたり
何となく”普通”の小さな子供のように俺ははしゃいだ
見られたらひとたまりもない、もしかしたら病院送りかもしれない
俺は正常だ、狂っているのは燈矢兄だけだ
俺は至って普通に生きたいだけなんだ
邪魔を…しないでくれ - 57二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 14:18:08
読んでて興奮してきた、最高…スレ主さんの分には届かないけどssも書きたいです…
- 581主25/08/02(土) 14:47:05
- 591主25/08/02(土) 15:05:39
結構遠くまで来た
ヴィランも事件も特になくて良かったと思う反面、やっぱり心が落ち着かない
『なら、人でも殺してみたらどうだ?』
思わず後ろを振り返った
『お前にはそれが出来るだろ?最高傑作』
「…ぁあ」
情けない声が、無意識に漏れた
『兄ちゃんも手伝ってやるから、な?ほら…』
燈矢兄が俺の手を取って、そのままゆっくりと歩き始めた
手を離してなんてことは到底言えるわけなくて
俺はただ、兄に手を引かれ歩いていた
────────────
そこそこ歩いただろうか、燈矢兄が俺から手を離したあと、指を真っ直ぐ前に向けた
〔…起きて…起きてよぉ…!〕
「…子供?」
何故燈矢兄が連れてきたかが、次の一言でわかった
俺よりも何歳か年下の…多分10歳ぐらいだろうか
〔あ…エンデヴァーの…ん…〕
〔お、お願いします…兄ちゃんを…お兄ちゃんを助けてください…!〕
その少年の横にはぐったりと横たわっている、少年の兄が居た
助けなきゃいけない…助けなきゃ…
『焦凍〜、ちなみにこいつの兄貴は死んでるぞ?』
『それなのに健気だなぁ…お前と違って』
『なァ、焦凍こういう時どうするのが正解だと思う?』
『助けて…やらないとなぁ”お前の方法”で』
50以上で無視、80以上で───
dice1d100=79 (79)
- 60二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:07:01
あっぶねぇ……
80以上明らかにやばいやつっぽい… - 611主25/08/02(土) 15:14:18
「っ…そいつはもう死んでる…避難所はあっちだ…」
〔…え?〕
俺は何も見てない
知らない、見てない、燈矢兄が勝手に連れてきただけだ
はは…きっとこれも幻覚だ…大丈夫
悪い夢だ…悪い夢だから
無視して置いていっても大丈夫だ
『…ふ、ははは!そうそう!正解だよ!焦凍!』
『まぁ、満点はあげられねぇけどな』
燈矢兄は、打って変わって優しい声色になり、俺の頭を撫でてきた
『さ、帰ろっか焦凍、それとももう少し散歩するか?付き合うぜ?』
〔待って…置いてかないで…お願い…お兄ちゃんを助けて…〕
『あー、大丈夫大丈夫…兄ちゃんが着いてるからな、幻聴なんて聞かなくて平気だ』
何となく、今は燈矢兄が優しく見えた
普通の兄貴みたいに…なんか…自分でも変だと思うけど、落ち着く
『で?どうする?今俺は機嫌がいいから、遊んであげられるぞ?何したい?』
もう、”幻覚”のことは見ずに”燈矢兄”だけを見ていた
「じゃあ…燈矢兄と一緒にまだ歩きたい…昔の話をしたい…」
燈矢兄は、笑ったあと、また俺の手を引っ張って歩き始めた
きっと俺は疲れてるだけだ…だって
燈矢兄は火傷なんてなくて、お母さん譲りの綺麗な顔で俺に微笑んでいるのだから - 62二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:28:04
このレスは削除されています
- 631主25/08/02(土) 15:29:23
轟の正気度
49-dice1d49=3 (3)
これで数字めっちゃ高かったらSAN値回復イベントします
多分まだ皆さんイジメ足りないと思いますし
それに私は、完全に狂っちゃったあと取り返しがつかないことをして、正気に戻って絶望する展開が大好きです
あと、80以上だった場合、兄弟を殺していました
長々とした余談すいませんでした
- 64二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:33:10
(*^ω^*)
- 651主25/08/02(土) 15:34:39
なんかこれが普通の兄弟なのかなって、馬鹿なことを思いながら笑う燈矢兄を見ていた
けど…ふと水溜まりを見れば、燈矢兄の姿は反射してなくて
ほんの少しだけ怖くなったりもしたけど
燈矢兄の笑った顔を見てたら…そんなこと吹き飛んで
落ち着い…
プルルルル…と着信音が鳴った
『無視しろ無視、今俺と遊んでんだから』
「…けど…」
俺はスマホを見つめていた
画面には電話番号
誰だ…?この番号って…確か…
思い出せそうで思い出せない
俺は電話に出てみることにした
「もしもし…?」
相手は誰だった?
1 エンデヴァー
2 デク
3 ホークス
dice1d3=1 (1)
- 66二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:38:04
パパきた
- 67二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:45:40
すっごくデジャヴを感じるなワクワク、、、って見てたらホークスん時のスレ主でワイ歓喜
- 681主25/08/02(土) 22:21:19
「焦凍!」
「…親父?どうした?」
「A組の…名前は忘れてしまったが、焦凍のクラスメイトから聞いた、今どこにいる?」
「…親父が知る必要はねぇだろ」
俺はすぐに電話を切ろうとするが、親父があまりにも必死に止めて来るものだから、少しだけ話を聞いてから切る事にした
「焦凍」
『おっ!お父さんじゃねぇか、そういや焦凍の口からお父さんの話出てこなかったからなぁ…』
燈矢兄は俺の肩に肘を乗せながら会話を聞いていた
「すまないが…デクから事情は聞いた」
「…!」
「燈矢の…幻を見るのだと」
親父の言葉でハッとした
違う、これは燈矢兄じゃない…幻覚で幻聴…俺が作り出した幻だ
俺は燈矢兄を振り払った
『…なんでどいつもこいつも邪魔するんだろうな、お父さんはまた俺のことを否定した』
『過去を見ないことにした、俺を無かったものにした』
焦げ臭い匂いが辺りを蹂躙した
『なァ…焦凍…焦凍は違うよな?』
まともに呼吸ができなくなってきた
何されるか分からない、殴られるだけで済むだろうか?
「っ…ぅ…あっ…はぁ…ぁ…はっ…!」
「焦凍!落ち着け焦凍!」
「それは幻だ!」
「ほ…ほんとに…?だって…燈矢兄はここにいて…俺と話して…遊んで…燈矢兄は…っ…分かんねぇ…分かんねぇよ!親父ッ…!」
「頼む…俺を信じろ…焦凍!」
親父の涙まじりの声が聞こえ、俺は、少しづつ落ち着いてきた
自分より取り乱している奴がいると案外落ち着くものだ
燈矢兄は舌打ちをしたあとまたどこかに消えた
俺はゆっくりと肺に酸素を送った - 691主25/08/02(土) 22:28:37
- 701主25/08/02(土) 22:42:55
「轟!」
「…芦戸」
芦戸は何も言わずに俺を抱きしめた
「帰ろ…轟、みんな心配してるよ」
「みんなに…謝らなくちゃ…いけねぇ…」
「轟は責任を感じすぎだよ、でもねみんな心配してたから1回ちゃんと怒られた方がいいよ」
「…そうだな」
「目の下のクマ酷いね…寝れてないの?」
「一応…寝れてはいる」
芦戸は俺の腕を自分の肩に乗せ、そのままゆっくり歩き始めた
女子にこんなことをしてもらうのは…本当に情けないと自覚させられた
けど…本当に悪いことだって分かってるけど
みんなが俺のことを心配してくれて…嬉しい
…本当に俺はどうしちまったんだ?
疲れて…疲れすぎて頭がぶっ壊れちまったか…?
「轟は無理しなくていいからね、ゆっくり歩こっか」
「ありがとう…芦戸」
何となく芦戸の姿がミッドナイト先生と重なった
芦戸も…前に進もうと頑張ってるのに…俺は… - 71二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 22:43:56
救われるな
もっと苦しんでくれ - 721主25/08/02(土) 23:27:03
まだ少し湿っている畳を見ながら、俺は部屋に入った
「…」
謝らなきゃ…いけねぇ…
けど…
心配して欲しい、俺に構って欲しい
優しいみんなに触れたい…それなら俺はいくらでも苦しめる
『俺を利用すればいい…お前はお父さんの子供なんだから』
「…利用ってなんだよ…」
「…幻覚の癖に」
『焦凍はまだ気づかないか?』
『俺はこんなに大火傷を負った…酷い火傷だ…』
『心配してくれる人間は誰もいなかった…!でも焦凍はどうだ?家族に等しい存在が19人程いるんだぜ?』
『幻覚でも兄ちゃんだからなぁ…助けてやらねぇとなぁ』
燈矢兄の手が俺の頬に触れた
『大丈夫だ焦凍…苦しいのは一瞬、すぐに楽になるさ』
頬に熱いものが走った
熱い…熱い…痛い痛い痛い
燈矢兄は手を離したあと、にっこり笑って消えた
頬を触らなくても分かる
火傷でぐじゅぐじゅになった頬
どうしようと、混乱しながら、俺は部屋を出た
とりあえず冷やさないと…
いくら炎に耐性があるとはいえ…これは
「うぉっ!?とどろ…おい!?それどうした!?」
瀬呂とぶつかって隠していた頬が晒された
「ちょ、待ってろ…今冷やすもの持ってくるから!」
その目は心の底から心配してくれていて
俺は…何故か笑ってしまった - 731主25/08/02(土) 23:39:12
瀬呂に保冷剤で冷やしてもらっていると
麗日、切島、障子、尾白が帰ってきた
「…え?瀬呂くん…轟くん…な、何があったん?」
「いや、分かんねぇ…轟も心当たりがないって」
「轟が焼けるほどの熱ってなんだよ…!?」
驚くばかりの麗日と切島
「い、痛いよね、轟くん…今…怪我治せる人おらんから…」
「漢なら我慢!って言いたいところだけどよ…轟はずっと我慢ばっかりだよな」
「…ありがとう、麗日、切島…痛いだけで別になんて事ない」
「少し我慢しすぎなんじゃないか、轟は…個性が暴走してしまったのでは…と考えたが」
「ちげぇと…思う、あんまり覚えてない」
「無理はしないでね、轟、俺に出来ることなんて限られてるけど、相談に乗ることぐらいはできるから」
テンプレートのような返し
けど、俺はそれが心の底から安心できて…
嬉しくて
みんなが俺を見てる
心配してくれてる
嬉しい…嬉しいな…
頬の火傷だけでこれなら…ならもっと…
『兄ちゃんは応援してるよ、焦凍』
っ…だめだ…だめだ…
違う、間違ってるこんなのは…違う
迷惑かけっぱなしは違うだろ!
「どうしたん?轟くん…泣きそうな顔してるけど」
「大丈夫…だ、俺は、明日のこと考えておく…心配せずに、今日はゆっくり休んでくれ…みんなも大変だろ?」
この言葉一つ一つ発するのが、とても苦しかった
俺だけを見てほしい、俺だけにかまって欲しい
そんなの…ダメに決まってるんだ…いい加減理解しろ - 74二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 06:48:17
曇り焦凍にしかない栄養がある
めっちゃ楽しんでる - 751主25/08/03(日) 13:08:50
何度考えても、言葉が捻れる、感情がぐちゃぐちゃに腐っていく
「俺は…俺は……なんで……っ」
部屋に戻って俺は、布団に顔を埋めて、声を殺した
泣きたくないのに涙が出る、泣いてるのは、嬉しかったから?
誰かがそばにいてくれたから?
それとも、最低な自分がやっとバレそうで怖いから?
「……どれも嫌だ……っ」
でも、どうすればいい?
また誰かに優しくされたい、そのために、自分を…
それでしか満たされないのか
それが、“俺”なのか?
首をガリガリと掻きむしる
指の先に血が付着するがそんなことは、どうでもよかった
俺の中の血が…記憶が、細胞が…こんな思考に陥れるんだ
気持ち悪い…こんな気持ちになるぐらいなら…死んじまった方がマシだ
でも…死んだらまた…
俺は?俺はどうすりゃいい?
燈矢兄に会えばわかるか?
A組のみんなに吐き出せば楽になるか?
分からない…分からない…
轟の幻覚、幻聴の件は
1 轟が自分から話した
2 デクが勝手に悪いと感じながらもみんなに話した
3 デク以外みんな知らない
dice1d3=2 (2)
- 76二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 15:42:19
言っちゃったか……デク……
- 77二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:55:59
ほしゆ
- 78二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:22:07
精神が参ってく描写が上手すぎて最高
- 791主25/08/03(日) 23:32:51
「…え?轟さんが?」
「うん…轟くんが」
小さな声で廊下で誰かが話しているのが分かる
「マジか…ていうかそれ…轟には言ったの?」
「ううん…僕が勝手に…最低だと思うけど、轟くんのためになればって…」
緑谷の声だ
勝手に?轟くんのためになれば?
何…言って…
「轟くんのお兄さんの幻覚見なくなる方法を…みんなで考えよう」
「勝手に…勝手にって……っ」
拳が布団を殴りつける、息が荒い、
何で言った? 俺がどんな顔で“あれ”を見てたと思ってる?
俺がどんな気持ちで…兄を…燈矢をまだ想ってるか、知らねぇくせに
わかったような顔して、俺を助けようとするな
俺のためだって?俺の“弱さ”をばらまいて、それで何が救いになるって?
なんにも知らない奴が…勝手に…勝手に…
平気で人の心を…あぁ、そうだな緑谷はそういうやつだ
それに救われた、けど…今は憎くて仕方ない
優しいみんなから俺はきっと軽蔑される
優しくなんてもうされない…こんな…俺なんかのことをもうみんなは…
さっきまでのみんなの優しさ全てが嘘のように思えてきた - 80二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:44:10
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- 811主25/08/03(日) 23:45:35
ドアのノックの音が聞こえてきた
俺は、出るか迷った
けど…俺はドアをゆっくり開けた…すぐに後悔した
「轟くん」
「飯田…」
「事情は緑谷くんから聞いた」
「っ…だったらなんだよ」
「もう、みんな知っている…A組だけの…僕たちだけが知っている」
「だから!なんだって言うんだよ!」
俺は飯田の胸ぐらを掴んだ
「…情緒不安定だな、轟くん…君らしくない」
飯田は哀れみの目で俺見てきた
…やめてくれ…本当に…俺の弱さをこれ以上知らないでくれ
「帰れ…帰れよ…!なんの用で来たんだよ!?」
「僕はただ君を助けようと…!」
「…余計なお世話なんだよ」
俺は飯田を両手で押した後、そのまま扉を直ぐに閉めた
やらかした、言い過ぎた
きっと許してくれない…もう飯田は俺のことを友達と思ってはくれない
俺のせいで…俺の…俺が弱いせいで
『頑張ったな、焦凍…偉い偉い…そうだ、お前はひとりでずっうっと…苦しめ…誰にも頼るな、ひとりで苦しんでシね』
『兄ちゃんも一緒に地獄に行ってやるから…な?大丈夫、俺がいるから…お前は1人で苦しむだけでいい』
轟はどっちを信頼してる?
1 A組
2 燈矢
dice1d2=1 (1)
- 82二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 23:48:42
それでもA組かぁ
- 831主25/08/03(日) 23:57:51
「うるさい…幻覚の癖に…俺を…陥れるな」
「A組のみんなは…優しいんだ…燈矢兄と違って」
燈矢兄は俺の胸ぐらを掴んだ
『何がだよ』
『優しい?優しいって思うなら!なんで追い返した?なんで罵倒した?』
「…わかんない…もうわかんない…」
俺は、涙がボロボロ溢れて止まらなかった
燈矢兄がまだ生きてる頃…あの時の幼い俺みたいに
泣いて…嗚咽を漏らして…誰かにすがりたくて
『そんなにあいつらが大事ならもっと心配してもらえよ』
『あぁ…轟がそんなになっちまうぐらい…辛いことがあったんだ…可哀想に…って馬鹿なあいつらならきっと思ってくれるさ』
『さァ…最高傑作…これだけ助言してあげたんだから…さっさとしろ』
聞いちゃいけない…燈矢兄は信頼したらいけない
燈矢兄はガソリンと同じだ…俺が足を踏み入れた瞬間に俺ごと巻き込んで爆発する
「お前の言うことなんて聞かない…」
『…あっそ…いいよ別に』
ふっ…とまた消えた
胸がずっと痛い…苦しい…飯田のあの目が頭の奥にまで焼き付いて離れない
情緒不安定…否定できなかった
そうだよ飯田…お前の言う通りだ…
信じなきゃ…仲間の言うことは信じなきゃいけないのに…
ずっと心の何かが俺を邪魔してきて
出さなきゃ…この何かを引きずり出さなきゃ - 84二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 00:01:27
- 85二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 06:56:31
念のため保守
- 861主25/08/04(月) 08:07:16
「ぁっ…え”ぇ…っ…おえっ」
自分の腕をお母さんから貰った個性で傷を付けた
血が鋭い氷に付着して…なんかもう…それだけで気持ち悪くて
早く全部取り出さなきゃって
そしたら…嘔吐が止まらなくなって
「っぐっ…ぅ…あ…げぇッ…!」
胃がゴロゴロ鳴って、俺の腕にできた傷からはまだ鮮血がポタポタ垂れて
畳の上が殺人現場みたいになって…
でもまだ気持ち悪いの…取れてなくて
…気持ち悪いのの正体はここにあるんじゃないかって
俺はゆっくりと胸に手を当てた
なんか妙に納得してしまって、俺はまた不安になってきた
俺はシャツをめくり、手首をもう一度出した
真っ直ぐに切られた傷、リストカットとは、本来横にするらしいが…俺はそんなこと知ったことじゃない
また俺は調理でもするかのように鋭い氷を自分の皮膚に押し当てそのまま引いた
──────────
手に付着した薄ピンクの液体を見ながら、俺は壁に背を預け座り込んだ
「はぁっ…はぁっ…やだ…なんで…こんなっ…」
息が苦しい、深く吸おうとしても肺が広がらない
酸素が入ってこない、胸が締め付けられて指先が痺れる
目の前が揺れて吐き気がぶり返す
「…ごめんなさい」 - 871主25/08/04(月) 10:02:58
少しだけ落ち着いた
…嫌な匂いがずっと溜まってる
換気…しなきゃな
──────────
吐瀉物と血液を雑巾でふき取ったあと、俺はコスチュームに入れていた包帯で出血部位を巻き、長い袖で隠して、雑巾を洗いに行った
夜だからか、みんな寝ていた…都合がいい
…なんの都合がいいんだ?
頭の中が、ぐちゃぐちゃでろくな思考ができない
俺は雑巾を洗ったあと、無意識に緑谷の部屋の前に来ていた
きっと今頃夢でも見てるんだろうか
俺のことを使って、自分が1番のヒーローみたいに…
「ちげぇ…緑谷はそんな思いで…してねぇ」
頭が痛い
少しだけ残った理性と良心が逆に苦しい
目眩がする、月明かりすら眩しい
先生がいたらきっとこの時間起きてる時点で怒られてるな
俺は…
dice1d100=32 (32)
50以上でノック、80以上で──
- 88二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:10:33
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- 891主25/08/04(月) 10:11:38
やめとこう…緑谷ももしかしたら…俺のことで考えすぎて疲れてみんなに相談したのかもしれねぇ
俺は、重い足を引きずりながら、少し外の空気を吸ってみることにした
雄英から出ると、やはり市民もみんな寝てるみたいで、雄英周りは暗かった
けど…
〔ねぇ…あの人?エンデヴァーの息子って〕
〔雄英体育祭で見てたけど…怖い子だったわよねぇ〕
〔早く出ていかねぇかなぁ…あのボロボロのやつも一緒に〕
小声で話してるつもりなんだろうが、バッチリ聞こえてる
タチが悪い
言い方は悪いが、守ってやってるのになんでこんなことを言われなきゃいけない?
〔うわっ…睨んできた…〕
〔怖いわねぇ…あんな目ヴィランとおんなじよ…〕
気分が悪い、少しだけなら…外に出てもいい…よな?
先生達も疲れてんのか知らねぇけど、俺のこと止める人間もいないし
…自由だな、今日の夜は
『一人ぼっちは寂しいだろ?兄ちゃんも一緒に行ってやるよ』
なんて都合のいいタイミングで出てくるんだろうか
俺は、燈矢兄の胸ぐらを掴もうとしたが、だいたい予想してた通り体をすり抜けた
「…何」
『散歩するんだろ?1人だとお前勝手に死じまいそうだからよ』
「…勝手にしてくれ」
轟は
1 特に誰にも出会わなかった
2 トップスリーに出会った
3 ヴィランに遭遇した
dice1d3=3 (3)
- 90二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:21:02
このレスは削除されています
- 911主25/08/04(月) 10:22:04
〔…てめぇ、エンデヴァーの息子か〕
巨体が上から降ってきた
俺はそのヴィランをボーッと見ていた
〔なんとか言ったらどうだ!〕
ヴィランの拳が俺に当たる寸前に個性を使う
「…穿天氷壁」
そのままヴィランの拳ごと凍らせた
そのまま俺はヴィランの顔以外全て凍らせた
「ダツゴクじゃねぇのか」
〔やっと話したかと思ったら…それかよ〕
俺は何も考えずに、槍のように先端が尖った氷をヴィランの喉元に当てた
「多分、今ここでお前を殺しても、罪悪感も湧かねぇし…この気持ちもスッキリしないと思う」
『でも、やって見なきゃ分からない』
「…」
〔ま、待て…おい!お前それでもヒーローかよ!?〕
「ヒーローってなんだ?お前は知ってるのか?」
俺は震える手を気合いで握りしめながら、ヴィランに懇願するような眼差しを向けた
「なぁ…知ってるなら…教えてくれよ」
「おい!聞いてんのか!?」
ヴィランは何も言わずに黙っていた
俺はもう一度氷の槍をヴィランの喉に突きつけた
もう手は震えていなかった、今ならやれる…できる
1 そのまま殺した
2 トップスリーが来た
3 オールマイトが来た
4 ヴィランが何とか逃亡
dice1d4=1 (1)
- 92二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:23:42
アッ……
- 931主25/08/04(月) 10:33:38
俺はそのまま腕を振り上げ、ヴィランの喉元を突き刺した
そして苦しむヴィランの声を無視しながら、抜き、もう一度…何度も何度も突き刺した
身体が大きい分血液の量も多いのか、人を殺めるのが初めてだから、これが普通なのかはよく分からなかった
ただ、感触が不快で、早く死んでくれないかなと思っていた
──────────
とんでもないことをしてしまったのに、何故だか心は晴れやかだった
夜の犯行だ…バレることは無いと信じたいが…
俺は死体を見ながら、考えた
『焚き火しようぜ、焦凍』
『いい薪があるじゃねぇか?ほら、お前の左手を添えて少し力を込めるだけだ』
燈矢兄に手を軽く掴まれ、そのままヴィランにその手を添えさせられた
俺は少し躊躇ったが、バレた方が大問題だ
そのまま氷を溶かして、ヴィランは”俺の炎”で燃えた
「…あれ」
『あー、焦凍は知らないか、人間って燃える時、蒼い炎を上げるんだぜ?なんか、体内元素とかが…まぁ、ンなこと考えずにさっさと燃やしちまおう』
火力を上げて燃やしていく
『お揃いだな?』
「…」
何となく蒼い炎を見ていると、燈矢兄が燃やしてるんじゃないかって、罪悪感が麻痺していく
燈矢兄が、そんな俺の頭を撫でてくれた
意味がわからなかった、なんでたまに優しくするんだろう?
燈矢兄はヴィランなのに…信じちゃダメなのに
『今日のことは俺と焦凍だけの秘密かな?』