オリキャラ同士をAIで戦わせるスレ 第六幕

  • 11◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:45:21

    安価で出たオリキャラたちが戦っている様子をAIが短編小説化してそれを楽しむスレです。

    不定期進行な上AI生成の都合上納得のいかない結果になることもあります。




    ※閲覧注意が必要になるキャラは禁止です

    ※相手が能動的に突ける弱点を必ずつけてください。

    ※AIの生成によるインフレは仕方ないですがそうでない限り勝てないほど強くするのはやめてください。

    ※スレ内で死んだキャラはifルート以外では復活しません。命には非常にシビアです。

    ※ここに出たキャラクターは基本スレ内でのみフリー素材です。要望があるなら必ず設定と一緒に記載してください。

    ※コテハンを本スレでつけていいのはスレ主のみです。


    全部のまとめです

    オリキャラAIバトルスレ・アカシックレコード | WriteningオリキャラAIバトルスレのページやリンクをギュギュっと一つにまとめたページです。 このページの編集コードは「aiai」です。 新しいページやスレが作られた時は追加していっていただけると助かります キャ…writening.net
  • 21◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:47:12

    10まで保守がてらやっちゃいます


    題名『ふるさとを、うたわないで』

  • 31◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:47:29

    風がゆれる。
    やわらかな日差しが草原を照らし、虫たちの声が遠くで響いていた。

    「……ひじり、まって……」

    「だいじょーぶだよ、みこと! かみさまがいったもん、こっちにおもしろいのがあるって!」

    丘の上を、ふたりのちいさな影が駆けていく。

    ひとりは、身の丈よりおおきな大弓を背負ったおとこのこ――佐藤 命(みこと)。
    もうひとりは、ちいさな背中におおきすぎる大剣をひきずるおんなのこ――佐藤 聖(ひじり)。

    神様からもらった武器をかかえて、ふたりはきょうも冒険ごっこをしていた。
    ただの草原のはずだった。でも、今日は――ちがっていた。

    「……こんにちは、ちいさな ぼうけんしゃ さんたち」

    聞きなれない声が、ふたりの足をぴたりと止めた。

    丘のうえ。
    そこにいたのは、ふしぎなすがたの女のひと。
    黒と金のスーツをまとい、からだにはバイオリンやらホルンやらが溶け込んでいるようだった。
    その手には指揮棒。
    肩にのせたのは、ひとりでにうごくコントラバス。
    その名を――

    「“のうきょうがくだん” チヨ・ホタル。
     あなたたちに、いちまいだけ、しょうたいじょうをもってきたの」

    「……しょーたいじょー?」

  • 41◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:47:42

    「うん……わたし、もってないよ」

    「これは、こころのなかにだけ とどくの。……あなたたちの“こきょう”へ、かえりませんか?」

    チヨの声は、やわらかく、あたたかかった。
    でもその音色のなかには、どこか「さびしいね」がまざっていた。

    「ねえ、ひじり……このひと、ちょっとこわいよ……」

    「だいじょーぶだよ! わたしたち、かみさまがまもってくれるもん!」

    聖は、にぱっと笑った。
    その手が、命の手をぎゅっと握る。

    そのとき――

    ぱんっ

    チヨが指揮棒をふると、
    空気が“音”に変わった。

    それはやがて楽団の合奏となり、草原にひびいた。
    ヴァイオリンのさえずり、木琴のしぶき、トランペットのさけび。

    ――《望郷楽団(ぼうきょうがくだん)》、演奏開始。

    ふたりの目のまえに、ちがう風景が広がりはじめる。

    どこかで見た、たのしかった日。

  • 51◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:47:54

    おにいちゃんたちと、かぞくみんなで食べたケーキ。
    おふとんのなかで聞いた、かみさまのおとぎばなし。
    だけど、その風景に――
    しだいに「火」がついた。

    「あ……あれ……やだ……」

    「……けむり……うちが……やけてる……!?」

    目にしたのは、
    **“自分たちの心のなかの故郷が、もえていく光景”**だった。

    「ほら、きこえるでしょう? あなたたちのいえが、いま、さよならをうたっている」

    チヨは指揮棒をふりつづけていた。
    その顔に、涙のような音符がこぼれていた。

    「かみさま、いない……」
    命の声はふるえた。

    「ちがう……かみさま、いるよ!」
    聖は命の手をぎゅっとにぎった。

    「……わたしたち、ふたりで かみさまになろう? いっしょなら、きっと……!」

    ふたりの手が、もういちど、しっかりとかさなった。

    その瞬間――
    双子の背に、
    ふしぎな光がきらめきはじめた。

  • 61◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:48:07

    「ふたりで……かみさまに、なる……?」

    命のこえは、ふるえていた。
    けれど、その手はもう にげなかった。

    聖のてのひらが、あたたかくて――それが、ちからになった。

    チヨ・ホタルの楽団は、止まらない。
    音がまわりの風景をゆがめていく。
    草原はまるで絵の具のようにとかされ、絵本のなかの町にかわりはじめる。

    ――ふるさとのまち。
    けれどそこに、においも、ぬくもりも、いない。
    あるのは、つくられた「なつかしさ」と、うそみたいな「さよなら」。

    「こきょうは、まもられるために あるんじゃない。
     やがて こわれるために あるの。
     こわれてなお、こころにのこるもの――それが、うた」

    チヨの指揮棒がふられるたびに、音楽は深くしみこんでいく。
    命の目から、涙がこぼれた。

    「……やだ……みんな……いなくなるの……」

  • 71◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:48:17

    「みこと!!」

    聖のこえが、命のなかの“なにか”をひっぱった。

    「わたしたち、なにをもらったの?」

    「……かみさま、からの……おくりもの……」

    「そうでしょ!?」

    そのとき、ふたりの足もとがかがやいた。

    白金のひかり。
    それは、神のいたずらのように天からふりそそぎ――

    “かみさまからの おくりもの”が、目をさます。

    「――てを、つないで」

    「――せーのっ」

    ふたりのちいさな声が、重なった。

    「おおきな ちからよ、ぼくたちに ちょっとだけ、つかわせてください……!」

    ぶおおおおおおっ!!
    しろいかぜが吹いた。
    その中心、ふたりの姿はもうそこになかった。

    かわりにそこに立っていたのは――

  • 81◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:48:29

    ・身の丈よりもはるかにおおきな大弓を構える命(みこと)
    ・肩よりおおきな大剣を両手でかかげる聖(ひじり)

    双子は、光の衣をまとっていた。

    「ふぁ……ふぁいと、する……」

    「まけないもんっ!」

    命の手には、ひかりの矢。
    聖の目には、まっすぐな怒り。

    ――ふたりは、たたかうことを、えらんだ。

    チヨの手がぴたりと止まる。

    「……あら。すてき」

    彼女のほほがすこしゆるんだ。

  • 91◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:48:40

    「でも、それだけで “ふるさと”は まもれないわよ?」

    そういうと、チヨは両手をひろげ――

    無数の楽器が、空からふりそそいだ。

    ピアノ、チェロ、サックス、ビオラ、ホルン、オルガン……
    それらが空中でかってに動きだし、“ふたりのふるさと”を、音でこわそうとしていた。

    「ひじりっ!」

    「まかせてっ!」

    聖が大剣を振りかぶった。
    だけど、そのおおきすぎる刃に体がひっぱられて――

    「わああああっ!? うごけなーいっ!」

    「ひじりぃぃぃっ!?」

    命がうしろから手をひっぱる。

  • 101◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:48:54

    「わたし、こんどは ぜったい ふりおとされないもんっ!!」

    「ちゃんと もちかた かえようよおぉ!」

    ちょっとしたコントのようなやりとり。

    だけど、そのどたばたのなかで、聖の剣がまぐれで空の楽器のひとつをぶちこわす。

    カァァァァン!!

    金属音が空をゆらした。

    「……あら。なるほど、あなたたち」

    チヨが目を細めた。

    「わたしの“きょく”を、こわすつもりなのね」

    命と聖は、こくんとうなずいた。

    「ぼくらの ふるさと、こわさせない……!」

    「ぜったい、まもるんだからっ!」

    空がゆれ、音がふたたびうねりはじめる。

    ――楽団が激昂するように、つぎのきょくへと進みだす。

    これは、たのしくて、こわい、
    ふたりと ひとりの、ふるさとの たたかい。

  • 111◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:51:31

    「“ぼうきょうがくだん”第二楽章――『雷のスフォルツァンド』」

    チヨ・ホタルの声が、空をわたる。

    空に漂う楽器たちが、いっせいにひかりだした。
    トランペットが空気を裂き、バイオリンが風を震わせ、太鼓が大地を鳴らす。
    そして――

    ズドォォォン!!
    雷が、ふるさとの空をこなごなに打ち砕いた。

    「ひゃあああああっ!?」

    「う、うわあああっ!?」

    命と聖がふっとびながら、砂まみれの地面に転がる。
    空はまだ、割れるように音を立てていた。

    「ど、どうするの……みこと……っ」

    「う、うう……わかんないよおおおおっ!」

    ちからはある。
    でも、どうやってたたかえばいいのかわからない。

  • 121◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:52:00

    あたまはまっしろ、てあしはがくがく、心臓はどくどく。

    それでも――
    命は、てさきをさぐって、聖のてをぎゅっとにぎった。

    「でも、いっしょなら、こわくない」

    「うん、うんっ!」

    ふたりの手が、光った。
    それは“かみさまからの おくりもの”が、ふたりの願いにこたえたしるし。
    命の大弓が、輝きだした。

    「ぼく……いちどだけ、ちゃんとねらって、うつ……!」

    彼のうしろには、聖がぴたっと立つ。

    「わたし、ささえるよ! がんばって、みこと!」

    命の弓にこもった光が、一筋の矢にかわる。
    チヨは、その様子を冷たく見下ろしていた。

    「……おそいわ。音楽は、もう止まらない」

    雷鳴の嵐が再び集まりはじめる――!

    「いまっ!!」

    命が矢を放つ。
    その放たれた矢は、彼のちいさな腕の力に見合わぬ、ひかりの奔流となって空を射抜いた!

  • 131◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:54:16

    バリィィィィィィィン!!!

    雷のたまった雲の中心が、まっぷたつにわかれた。

    空に浮かぶ楽器がつぎつぎに砕け、音の奔流が霧散していく。

    「なに……!?」

    チヨの顔が、はじめてくもった。

    彼女の服が風にゆれ、ほそい指がふるえた。

    命は、がくがくの足でよろめきながらも、顔をあげて――

    「ぼくたちのふるさとは……やさしくて……あったかくて……みんながいて……」

    「だから! ぜったい、まもるのーっ!!」

    聖が叫び、大剣をふりあげた。

    「おうちを、うたで、こわさないでよーっ!!」

    どごぉっ!!

    ふたりが全力で放った弓と剣。
    その“想い”の一撃が、空にのこった最後の“音”をかきけした。

  • 141◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:54:39

    音楽が、とまる。

    空が、しんとする。

    チヨ・ホタルのまわりから、楽器がすべてきえていた。

    風がふきぬける音だけが、のこった。

    「…………ほんと、に……」

    チヨが、ぽつりとつぶやく。

    「あなたたち、ほんとうに……“かみさまのこども”なのね」

    そこにあったのは、うらやましさか、さびしさか。
    音をうしなった楽団の長が、くずれそうに立っていた。

    けれど――それでもまだ、終わりではなかった。

    彼女のくちびるが、わずかにうごいた。

    「じゃあ、これはどうかしら……」

    “亡境楽団”――

    世界が滅びる童話。
    すべてをなかったことにする、最終楽章。

    小さな双子と、音楽の魔女の、ふるさとの戦いは、次の幕へ。

  • 151◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:55:19

    「“亡境楽団”──最終楽章、《うたのおわり》」

    チヨ・ホタルの指が、ゆびきりをするように空をなぞった。

    ──カチリ。

    どこかで、オルゴールが開くような音がした。

    空の色が、変わった。
    青でも赤でもない、灰色の幕が空から降りてくる。
    音のない、無音の旋律。
    だがそれは、確かに聞こえていた。

    “国破レテ 山河在リ”──

    それは、世界を呪い、思い出を破壊する童歌。

    「……ひじり……こわい……」

    命がしゃがみこむ。
    足がふるえて、立てない。

    聖も、両手で大剣をぎゅうっと抱きしめた。

    「……ここ……どんどん……さむくなっていく……」

  • 161◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:55:42

    さっきまでの“ふるさと”が、すこしずつ消えていく。
    まるで、世界そのものが“なかったこと”にされていくように。

    木が消える。
    空が崩れる。
    地面が、波のようにひびわれていく。

    チヨ・ホタルは、もう何も演奏していなかった。
    ただ、空間そのものが音楽だった。
    ただ、すべてが“さよなら”をうたっていた。

    「……おにいちゃん……おねえちゃん……たすけて……」

    命がつぶやく。
    聖の目に涙がたまる。

    「……みこと……」

    そして――
    聖は、そっと手をのばした。

    「て、つなご?」

    命は、びくりと顔を上げた。

    「……!」

    その小さな手を、彼はぎゅっと握る。

    「ぼくたちは、ふたりでひとつ……だもんね」

  • 171◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:56:15

    「うんっ!」

    その瞬間だった。

    ピカァァァァァッ!!

    命の背から、光の羽が生えた。
    聖の足元から、金色の花が咲いた。

    神の力が、ふたりの中で“ひとつ”になる。

    「かみさまのちから、ぜんぶ、つかう!!」

    「わたしたちで、まもるの!!」

    ふたりが、手をつないだまま、両方の武器を掲げた。
    大弓が、大剣が、ひとつの十字にかがやく!

    「「おわらせないで!!!」」

    ドォォォォォォォォォォォォン!!!!

  • 181◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:56:31

    神の光が、“童歌”をかきけした。

    灰色の空が割れ、黒い地面が粉々にくだけていく。

    チヨの身体が、音のうずに呑まれ、ふわりと舞い上がる。

    そして――ふたりの武器が、すべての“さよなら”を貫いた。

    ……

    ……

    静寂。

    まっしろな空の下に、ふたりの子供が立っていた。

  • 191◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:56:48

    命は肩で息をしていて、聖はへたりこんでいる。

    「……かてた、のかな……?」

    「わかんない、でも……まだ、いきてる……!」

    そのとき、音もなく、チヨ・ホタルがふたりの前に現れた。

    楽器はすべて砕け、髪は乱れ、目は涙でぬれていた。

    だが――その顔に、かすかな微笑みが浮かんでいた。

    「……わたしね、あなたたちの“ふるさと”……少しだけ、見えたのよ」

    「……え?」

    「とっても、きれいだった」

    彼女は、そっとふたりの頭をなでた。

    「……あなたたちには、奏でるに値する“原風景”がある……」

    「う、うん……!」

    「ありがと……またね……おねえちゃん……!」

    チヨ・ホタルは、すこしだけ音を残して、そこからきえた。

    残ったのは、あたたかい風と、陽の光。
    そして、ふたりのてのひらに残った、光の余韻だった。

  • 201◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 18:57:24

    以上

  • 21二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 18:59:04

    良かった
    …でもチヨの口調佐藤弟妹に侵食されてない?

  • 22二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 19:03:23

    チヨ・ホタルが容赦なく現実を突きつけるかと思ったが、くじけなかったなあ…
    えらいぞ

  • 231◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:35:49

    題名『ベーゴマは回る、閃きは止まらない』

  • 241◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:36:36

    午後三時、空は晴天、町外れの廃遊園地。
    色褪せた観覧車、止まったメリーゴーランド、割れた窓から差し込む陽光が、不思議な戦場に似つかわしい陰影を落とす。

    「……ここが、勝負の舞台かぁ!」

    ひとり、ドタドタと靴音を立てて現れたのは、白衣を着た赤縁眼鏡の小さな発明家。
    ――ピカ・リンコ、9歳。ポニーテールが跳ねている。

    肩にかけた【お取り寄せバッグ】の口をガバッと開けながら、彼女は辺りをぐるりと見渡す。

    「静かだなー……まあいいや、なんか閃きそう!」

    その瞬間。

    「どやぁ!!」
    バァン、と陽気な叫びと共に屋根の上から降りてきた影がひとつ。空中でブレイクのスピンを一回転、そのまま着地と同時に手から投げられたコマが一つ、リンコの足元をかすめて地面に突き刺さる!

  • 251◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:37:11

    「うわっ!? いきなり攻撃!? 危なっ!!」

    「へへっ、遊園地に来て“どやぁ”されるなんて、ラッキーだよな?」

    着地したのは、フードを深くかぶったブカブカパーカーの少女――駒鳥ヒナタ。
    紐の巻かれたベーゴマを何個も腰にぶら下げ、片足を軽く跳ねさせるように構えている。

    「アタシが最強の独楽少女ってこと、忘れんなよっ!」

    「……!! いま、何か……すっごく発明したい気がしてきた!」

    リンコの目がキラーンと光る。

    「閃いちゃった!!!」

    【思考加速】、起動。
    世界が、止まる。

    ヒナタの動き、空に舞うチリ、揺れる白衣の裾――すべてがスローモーションになる中で、彼女はお取り寄せバッグに手を突っ込みながら、無数の部品を放り投げ、即席で何かを組み立て始める。

    (このコマ、物理法則を無視して空を飛んだ……じゃあ、磁気ジャミングが有効かも?)

    「ぐるぐるぐるーっと……ここをこうして……よし!完成!」

  • 261◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:37:29

    発明品第1号――【即席マグネ波放出装置(りんこちゃん特製)】
    手のひらサイズの装置が「ピョイーン!」と音を立てて、発動。

    ブン、と空気が鳴り、地面に刺さっていたコマが一瞬だけ揺れる。
    だが――

    「甘いねっ!」
    ヒナタは片足でコマを蹴り上げ、空中キャッチからの即巻き、再スロー!

    「コマは止まっても、アタシは止まらない!!」

    「きゃっ……!? は、はやっ!?」

    高速で舞うベーゴマが二つ、三つと出現し、廃遊園地の空間を縦横無尽に跳ね回る。
    ジェットコースターのレールを駆け上がり、ぐるりと曲がって――

    「うそ、あれ軌道っていうか、壁走ってない!? え!? どういう物理法則!?」

    「ふふーん♪ ワンダリング・コマーズ、なめたら怪我するぞ!」

    陽気に笑うヒナタに対して、リンコは焦りながらも――

    「でもね、発明ってのは……限界を超えたとき、次元が違う答えをくれるんだよっ!」

    次の瞬間。
    ピカ・リンコの脳内、閃光が弾ける。

    「閃いちゃった!!第二弾!!」

  • 271◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:38:31

    廃遊園地の中心――割れた噴水跡地。
    そこにピカ・リンコが組み上げたのは、謎の三脚付き装置。
    上部には球体のような何かが取り付けられ、左右からアンテナと銃口のようなものが伸びている。

    「名付けて!《エレクトロ・カウンター・コマ・キラーマシーン》!!」

    \ネーミングセンスはさておきすっごくヤバそう!/

    「へへっ、機械とかってアタシの独楽には効かないって、教えてあげるよっ!」

    ヒナタが再びベーゴマを紐で巻き、構える。

    「いっくよーっ!! コマ鳥流・二重駆動ッ!」

    二つのコマが交差するように走り、電気装置を挟み込むように襲いかかる――!

    「甘いよーっ! こいつはね、ただの機械じゃないの!」

    リンコがスイッチを押すと、装置が赤く光り、放電するようにバチバチと放電!

    「磁界フィールド展開っ!」

    攻撃を仕掛けた独楽が、装置の半径2m手前で突然フワリと跳ね、バランスを崩して地面にカツン!と落ちる。

    「なっ!? フィールドに弾かれた!?」

    「この子、回転物体の磁気浮遊を利用してベクトルをずらしてるのっ!要は……コマにだけ超意地悪な空間作ってるってこと〜!」

    「くっ……!でも!!」

  • 281◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:38:45

    ヒナタは回転が止まったコマを蹴り上げ、空中キャッチ!

    再度巻き始め――その手元が、光った。

    「“夢幻独楽舞踊”・強化モードッ!」

    彼女の腰のポーチがバサッと開かれ、十数個のコマが同時にばら撒かれる!

    「うわああ!? すごい数来たあああ!!」

    リンコの機械が次々と反応し、バチバチと磁場が拡張されていくが――数の暴力が上回る!

    「うそぉ!? パーツが足りな――」

    \ピョイーン/

    【お取り寄せバッグ】、作動。ネジと基盤とケーブルが空から雪崩のように落ちる。

    「はやく!はやく作らなきゃ!!」

    思考加速、再起動。

  • 291◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:39:29

    その間にもヒナタはダンスするように飛び回り、軌道を操る。
    両足を空中で交差させ、スピンして、ベーゴマをトリッキーに投げつける。

    「どやっ!! このコマは跳ねるぞぉ!」

    「このままじゃ――」

    カッ!!

    「――閃いちゃったああああああ!!!」

    その瞬間、リンコが工具を片手に謎の装置を二機連結。
    中央から伸びるアームがカシャカシャと展開し、三本足のロボットのような形になる。

    「《エレクトロ・コマ・リバーサーMk.II》!!」

  • 301◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:39:47

    「ど、どこがMk.IIなの!? いつの間に!?」

    \発動ッ!!/
    突如として周囲のコマが一斉に止まり、逆回転を始める。

    「えっ!? あ、あれ!? 逆!? なにこれ!?」

    「磁気の流れを干渉させて……コマの“慣性”そのものを奪ってやったの!」

    コマがヒナタの周囲で一つ、また一つとバラバラに分解していく。

    「……うぅ、どやる暇もなかった……!!」

    がくっとうなだれるヒナタに、リンコが言う。

    「わたしも、たくさん実験して、たくさん失敗してきたの。でもね……発明って、あきらめなければ絶対なんとかなるんだよ!」

    「うぅ……なんかそれ、ズルいほどカッコイイ……!」

    だが、ヒナタは――その目をギラリと光らせる。

    「でもさぁ、アタシのコマ……これで全部じゃないんだよ?」

  • 311◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:40:44

    「ふふん、こっからが本番だよ〜んっ♪」
    駒鳥ヒナタはドヤ顔で、腰の後ろに手を回した。

    ガシャッ。

    そこから引き出されたのは――巨大なヨーヨーサイズのベーゴマ。

    「なにそれ!? っていうかもはやコマじゃなくない!?」

    「いやいやいや!“超特大独楽《ドリームスピナー・ヒナタZ》”って名前付きなんだよっ!」

    地面に投げ出されたソレは、直径30cmを越す金属製の巨大独楽。
    見るからに重く、見るからに……超危険。

    「これ、回すだけで地面ちょっとえぐれるからね。だって……!」

    ヒナタは飛び上がり、軽やかにスピンしながら紐を全力で引き絞る。

    「“13年分のドヤ顔”が詰まってるから!!」

    \ギュルルルルルルルル!!!!!/

    ドリームスピナーが地面で炸裂し、噴水跡地が小さく震えた。

    「うわぁあ!? 地震!? いや違うこれコマのせいだぁあ!!」

  • 321◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:41:42

    ピカ・リンコが慌ててバッグから大量のボルトとパーツをぶちまける。

    「緊急モード!補強アーム!シールド装備!」

    思考加速、再起動!

    「“スーパービリビリドームMk.ゼット!”」

    即興で組み上げられたのは、帯電したフライパンのような丸いシールド。内部で電磁バリアが回転している。

    「受けて立つよっ!回転対回転だあああああ!!」

    \ドガアアアァァァァァン!!!!/

    巨大コマとバリアが衝突。
    発生した衝撃波で地面に亀裂が走り、空気がビリビリと震える。

    「おぉぉぉぉぉぉ!?!? なにこの迫力ぅううう!!!」

    ヒナタが全身でドリームスピナーの軌道を踊りながら制御し、リンコが両手に工具とチョコバーを構えて猛スピードで機械を修理。

    「まだいけるっ!まだいけるもんっ!」

    「じゃあ、わたしも――もっともっと、閃くっ!」

    バチバチと火花が舞う。ドリームスピナーが、リンコの防御装置を削りながら前進する。

    「これが……!ダンスと発明の、どっちもぜったい譲らないぶつかり合いなんだぁっ!!」

    まさに、才能と努力とお菓子がぶつかる、カラフルでハチャメチャなバトル。

  • 331◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:44:19

    「せーのっ!」

    ヒナタの両脚が、リズムよく弾む。
    ベーゴマが空中に舞い、スピンしながら軌道を描いて――地面に“着地”した。

    \ズガァァァァァァァァン!!!!!!/

    「う、うわあぁぁあぁあ!? 地面がっ、陥没……!?」

    ピカ・リンコの発明したバリアごと、地面ごと、“ヒナタのドリームスピナー”が貫いた。
    直撃は避けたものの、想定外の“演出”にリンコの発明魂が大爆発。

    「すごすぎるぅぅううううう!!!」

    思考加速が、再び唸る。

    「こんなの見たことない! でも、見たからには……!」
    「“つくるっっっ!!!”」

    背後の“お取り寄せバッグ”が唸り、部品が舞う!
    発明、組み立て、試作、調整――そのすべてを、たった数秒でこなす脳と手先の暴力。

  • 341◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:44:44

    「名付けて……“ピカ式ベーゴマ対抗型・磁力加速型コマスラッシュくん”!!」

    \バンッ/
    サイズはヒナタのベーゴマより小さい。だけど、リンコの瞳は自信満々。

    「加速!加速!さらに加速!磁力でギュインギュインだよぉおおお!!」

    \ギュルルルルルルル!!!/
    金属音を響かせながらコマが加速し、ヒナタのドリームスピナーに真っ向衝突!

    ヒナタの目が見開く。

    「え!?まってこれ……押し勝ってるぅ!?!?」

    \ゴギギギギギギギ……!/
    一瞬、巨大なコマが後退する。リンコの磁力コマが予想を超えるパワーを発揮したのだ。

    「いっけええええええ!!“スラッシュくん”んんんんんん!!」

    その声に呼応するように、コマがスピンを上げて跳ね上がる!

    \カッ!/
    ドリームスピナーの回転軸を突いた。

  • 351◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:45:20

    「っ……止まった……!?」

    ドリームスピナーの軸がズレ、地面に転がった。

    ヒナタの肩が落ちる。

    「ま、負け……」

    が――。

    「ふっふっふーん!でもぉお?わたしのダンスはまだ止まってないんだよぉおおっ!」

    \ヒュン!/
    ヒナタが回転しながら再び距離を詰める。

    リンコが息を飲んだ、その瞬間――

    「――はいっ、チョコバー補給完了!」

    脳が回復、思考加速オン!

    リンコの脳内で瞬時に計画が立ち上がる。

  • 361◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:45:57

    「ダンスには、リズムがあるよね!」

    「そうだよっ!!」

    「じゃあ、リズムに合わせた対抗策は――」
    「“ピカピカメトロノームバリア!!!”」

    \ピンポンパンポン♪/
    目にも止まらぬ勢いで、リズムを刻むバリアがヒナタの軌道を遮った。

    「うわっ!?足が……ズレ……」

    ヒナタの体勢が一瞬崩れる。
    そこへ、リンコの“手製コマスラッシュくん”が最後の回転を突き立てた。

    \カコン!/
    ヒナタの足元でベーゴマが鳴る。

    「……へへ、やられたぁ〜……!」

    ヒナタが崩れ落ちるように、笑顔で尻もちをついた。

    リンコもまた、フラフラとよろけて、地面にぺたん。

    「……たのしかったぁ〜〜〜〜……」

    空の下、発明と独楽の少女たちが、笑いながら倒れていた。

    ――勝ち負けより、もっと楽しいことがある。
    “最高にワクワクするバトル”は、今ここに完結する。

  • 371◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 20:46:14

    以上

  • 38二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:47:07

    最高!!

  • 39二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:47:28

    投下乙でした  なんか……和むな

  • 40二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 20:48:40

    ハチャメチャで面白かった~!

  • 41二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 21:50:36

    癒されたー、たまにはこういうのも良き

  • 42二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 21:56:49

    ヒナタが予想以上にドヤってて吹いたわ
    なんやねん、13年分のドヤ顔って

  • 431◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:09:52

    題名『恋情は巨城に届くか』

  • 441◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:11:09

    風が吹いていた。
    荒れ果てた大地をなぞるような、乾いた風。空には雲ひとつなく、ただ、巨大すぎる“影”だけが世界を覆っていた。

    その姿はまるで、かつて神の軍勢が築きし巨神の廃墟。
    超巨城ギ=ガテラ・ペータ。
    高さ600km。全身が武装と装甲に覆われ、頭上は雲海を突き抜け、脚部は地平を二分する。既に稼働を停止して久しく、草木も鳥も近づかぬ“神棄ての城”だった。

    だが。

    「――祈るよ、あなたが痛まぬように」

    ひとり、その胸元に降り立つ存在があった。

    天使の輪を持たず、悪魔の翼も持たぬ。
    ただ、その手のひらから、慈愛の魔力が溢れ続けていた。
    彼女の名は――恋情のヴァルブルガ。

    「この身は、傷つけぬ。あなたも、誰も傷つけぬ。その約束だけは、持ってきたから……」

    裸足の足が、鉄の装甲の上に触れる。
    途端、空気が震えた。巨城の内部で何かが“起きた”。

  • 451◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:11:37

    ギィィイィィ――
    超低音の警告音が世界に響く。
    巨大な巨神の胸にあるハッチが、軋むようにして開いた。

    そして現れるのは――

    「……免疫反応、確認」

    機械音声と共に、無数の影が生まれた。

    無骨な外骨格を纏った兵士たち。赤く発光する視覚センサー。背に装着されたブースター。
    それはギ=ガテラの“免疫”――キーロ・ガテラ。

    次々と召喚される機械兵士。空間を埋め尽くす数百体。
    それでも、ヴァルブルガの顔に恐怖はない。

    「……ああ、やっぱり。あなたは、まだ“動いて”いたのね」

    目を閉じる。
    その瞬間――彼女の全身が淡い光に包まれた。

    それは攻撃でも防御でもない。
    “癒し”。
    ただの、治癒魔法。

    「皆さん……本当に、つらいんですね……」

    兵士たちが一斉に発砲する。
    無数の銃弾、ビーム、焼夷弾が、彼女の身体を襲う。

  • 461◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:12:21

    ――だが、

    「……治りますよ」

    彼女の身体は、銃弾が貫いたその瞬間から、一瞬で修復される。
    血が流れたことすら無かったかのように。
    皮膚が、骨が、臓器が、完全に再生される。

    「もう、無理しないで」

    彼女は歩みを止めない。
    何千という銃撃の中を、何百という敵に包囲されながらも、ただ前に進む。

    兵士たちは、それでも撃ち続ける。撃ち続けるしかない。
    この巨城において、それが“免疫”の本能だから。

    だが。

    ヴァルブルガの目は、微笑んでいた。

    「痛かったでしょう? 怖かったでしょう? もう、大丈夫」

    その瞬間、全ての兵士が“同時に”膝をついた。

    ――彼女の治癒は、ただの再生ではない。
    彼女の力は、心の傷すらも癒す。

    戦いしか知らない兵士たちの、残された僅かな“心”すら――。

  • 471◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:12:50

    「入りますね。あなたの中心まで。優しく、静かに」

    彼女は巨城の心臓部へと、歩を進める。
    その先にあるのは、超巨城ギ=ガテラ・ペータの“核”――神々が遺した最後の“心”。

    世界が震えていた。
    それは戦慄か。あるいは、救済の予兆か

  • 481◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:15:26

    ヴァルブルガが歩むたび、
    彼女の周囲に、静かな光の波紋が広がる。

    無数の“免疫”たち――キーロ・ガテラの機械兵士たちは、すでにその場に倒れていた。
    破壊されたわけではない。彼女の治癒の波動によって、戦意という名の命令が霧散し、沈黙したのだ。

    「……これだけで済むのなら、それが一番」

    だが、ヴァルブルガの眉が、ほんのわずかに曇った。

    ――何かが変わった。

    空気の密度。振動。重力すらもわずかに変化している。

    そして、
    ギ=ガテラ・ペータの構造内部が、音を立てて“駆動”を始めた。

    「動いてる……? まだ、心臓が――」

    その瞬間。

    彼女の真上から、巨大な“拳”が降ってきた。

    否、それは拳ではない。
    一棟のビルに匹敵する装甲パーツが、彼女目掛けて落下してきたのだ。

    ズドォォォン!!

  • 491◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:16:08

    地響きと共に大地が揺れ、煙が噴き上がる。
    着弾地点にはクレーターのような穴。無数の鉄骨。ひしゃげた柱。

    だが。

    「……ふう。びっくりしました……」

    光が揺らめき、煙の中心から無傷のヴァルブルガが姿を現す。

    肩は潰されていた。頭蓋骨は半壊し、片足は膝から下が欠けていた――一瞬前までは。

    すでに全て治癒され、彼女はまた歩いていた。
    髪に一本の乱れもなく、清らかな祈りのように。

    「ギ=ガテラ……あなた、“防衛本能”を再起動したのですね」

    ドォォォン!

    今度は壁面から“砲塔”が起き上がり、ヴァルブルガ目掛けて火砲が発射された。

    ビーム、炸裂弾、音波兵器――あらゆる時代の兵器がこの巨城には存在していた。
    それらすべてが、彼女を排除せんと集中砲火する。

    轟音が、鉄と魔力と破壊の嵐が、すべてを飲み込む。

    だが。

    「……はぁ。ほんとに、痛いのはイヤですよ?」

    光が弾ける。

  • 501◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:17:28

    次の瞬間、全ての攻撃は“無かったこと”になったかのように、霧散した。
    いや違う、彼女の肉体が傷つくたび、それが瞬時に修復され、“当たらなかった”ように見えるだけなのだ。

    爆風の中心で、ヴァルブルガは小さく呟く。

    「あなたの中で、眠っている“誰か”が、叫んでる気がして……」

    その時だった。

    ギ=ガテラ・ペータの“体内”――
    そこに、本格的な第2層の免疫機構が起動した。

    ズラリと並ぶ巨大な兵士型免疫――
    全高5メートルを超える、異形の精鋭たち。

    身体の半分が武器。
    自律思考を持つ人工知能兵。
    光学迷彩、反魔力装甲、超振動剣など、ありとあらゆる対人類想定兵器を備えた“殺戮人形”。

  • 511◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:17:55

    その中央で、唯一マントを纏った一体が名乗りを上げる。

    「……侵入者。貴様は免疫機構第九十二部隊、指揮官機“コア・レギオス”が討滅する」

    「……ふふ。そんな怖い顔しないで。あなたも、誰かに作られたんでしょう?」

    ヴァルブルガは、指一本動かさない。
    戦う気配すら見せない。

    だが。

    指揮官機“レギオス”が疾駆する。
    バーニアを吹かし、超加速でヴァルブルガの胸を一撃で穿たんと――!

    ズガァァン!

    命中した。心臓を貫いた。

    それは彼女にとって唯一の“弱点”。

    そして――

    「……ごめんなさいね……少しだけ……時間がかかるの……」

    ヴァルブルガは、静かに倒れた。

    だが彼女の瞳には、恐怖ではなく、“確信”のような光が宿っていた。

    「あなたたちの痛みも、すぐ……癒しますから……」

  • 521◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:19:44

    心臓を貫かれたヴァルブルガの身体が、ゆっくりと地に倒れ伏す。
    金糸のような長髪が、瓦礫に絡みながら揺れる。
    その姿を見て、“免疫機構”の兵たちは動きを止めた。

    ――殺、害、確、認。

    「……終わったのか?」

    指揮官機“コア・レギオス”の声に、兵士たちは一斉に警戒態勢を解いた。
    だが。

    ズズ……ッ

    地面に染みるように零れた血が、淡く光を帯び、逆流を始める。

    ヴァルブルガの胸元から――
    “心臓”の位置に再び光が灯った。

    「…………ッ!?」

    レギオスが構えを取り直すのと同時に。

    彼女は、ゆっくりと身体を起こしていた。

    「……痛かったです……ほんとに、びっくりするくらい……」

    胸の傷は塞がりつつあった。いや、塞いでいたというより――
    “損傷そのものが、存在していなかったかのように”修復されていく。

    命の鼓動が再び蘇る。

  • 531◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:20:49

    「でも、今わかりました……あなたたちは、“殺すため”に生きているんじゃないんですね」

    ヴァルブルガの瞳が、レギオスを真っ直ぐに見つめる。
    そこにあるのは、敵意ではない。慈悲だ。

    「ずっと戦い続けてきたのでしょう? ずっと、ここで……一人で……」

    「……我らに“感情”はない。命令に従い、排除を行う。それが存在理由だ」

    レギオスの大剣がうなりを上げる。今度は一撃で頭部を砕くつもりだった。
    しかし――

    「治してあげます」

    ――言葉と共に、空間が光で満たされた。

    ドオオオオオォォン――!!

    眩いほどの純白の癒しが、爆発的に放たれ、レギオスごと第九十二部隊全体を呑み込む。

    彼女の【ヒール】は、ただの治癒ではない。

    “存在”そのものを癒す。
    戦いに囚われた魂ごと、傷ついた使命ごと、“敵”という定義ごと、癒してしまう。
    そして。

    数秒後――

    爆心地に残されたのは、倒れ伏す機械兵たち。
    しかしその表情(人間のように作られた仮面)には、安らぎにも似た静寂が宿っていた。

  • 541◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:26:47

    指揮官機レギオスもまた、武器を手放し、その場に膝をつく。

    「……排除プログラム、機能不全……命令、解凍……無効……」

    ヴァルブルガはそっと歩み寄る。

    「あなたたちは、まだ眠っていなきゃいけない存在だったのよ……きっと、神様が帰ってくるまでは」

    その言葉を最後に、第九十二部隊の免疫機構は完全に沈黙した。

    そしてヴァルブルガは、再び歩き出す。
    向かう先は――

    ギ=ガテラ・ペータの“心室”。

    地上600km級の巨神構造、その中心中枢部。
    動力炉と精神核が併設された“巨神の心臓”。

    扉を開くと、そこには脈動する大いなる心臓があった。

  • 551◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:28:22

    神々の遺産とも呼べる、機械でも生体でもない“鼓動する器官”。

    「……やっぱり、あなた……泣いてる……」

    彼女はそれに手を触れる。

    ギ=ガテラ・ペータの中枢意識が、初めて彼女に応答した。

    《……痛い……苦しい……誰もいない……でも、壊しちゃダメって言われたの……守らなきゃ……でも、誰も、誰も……帰ってこない……》

    それは、一人で何億年も“門番”として存在し続けた巨神の、心の声だった。

    「もう……守らなくていいの。あなたの使命は……もう、終わったの」

    彼女は祈るように呟きながら、心臓にそっと口づけを落とした。

    瞬間。

    ギ=ガテラ・ペータの全身が、静かに――“眠り”に入った。

    中枢の灯が、ゆっくりと消える。免疫機構も完全に停止。
    600kmの超巨城が、全ての機能を停止した瞬間だった。

    「……おやすみなさい。いつか、本当に目覚める日まで……」

    ヴァルブルガの涙が、一粒だけ、頬を伝って零れた。

  • 561◆ZEeB1LlpgE25/07/31(木) 23:30:48

    以上

  • 57二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 23:32:09

    キスだなんて…ヴァルブルガさん大胆!!

  • 58二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 23:32:59

    対戦ありがとうございました!

  • 59二次元好きの匿名さん25/07/31(木) 23:36:09

    >>58

    ありがとうございます!

  • 601◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 00:05:21

    今日の朝11:00に安価10個募集

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 08:45:19

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 10:59:05

    もうすぐか

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:00

    名前:獄蠍モノ=ス
    年齢:ものすごく高齢
    性別:オス
    種族:バケモノ
    本人概要:
    ものすごくデカいサソリ。尻尾が毒針のかわりに第3のハサミとなっている。この図体で壁や天井を這い回ることができる。
    能力概要:
    『外殻』
    ものすごく硬い外殻。物理攻撃を通さない。
    『怪力』
    ものすごく強い怪力。ハサミで挟んだ相手をバキバキにつぶす。
    『猛毒ガス』
    ものすごく危険な毒ガス。3つのハサミから噴射される。
    弱点:
    デカい図体に加え、外殻が動きに干渉するため移動速度が遅い。
    構造上、一度ひっくり返ってしまうと二度と元の体勢に戻れない。
    腹側(普段地面に面している側)への攻撃手段がない。
    変温動物なのにものすごくデカいため熱に弱い。

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:00

    名前:123456789/数言数(かずこと かぞえ)
    年齢:判定不能
    性別:判定不能/男
    種族:不明
    本人概要:数十年前の数言家頭首、元々時間を引き延ばす能力だったが、ある日能力が暴走し、【判定不能】年異空間に閉じ込められる。
    異空間の中で過ごす内、生物として変化し、全く新しい、生物と言えるのかどうかもわからないような存在になった。
    見た目は、浮遊している球体の周りに、さまざまな立体図形が浮かんでいる。
    能力:123456789
    能力概要:1から9までの数字を自由に操る能力。数字で表せるこの世の全ての事象に干渉できる。この世に存在するために、常に「1」の能力を使用しているので、他のことで「1」の能力は使えない。戦闘中では、発射した物体の速度を【数を入力してください】倍にしたり、自身の質量を【数を入力してください】kgに変えたりすることができる。
    弱点:意思のあるものには能力を使用できない。同時に二つしか能力を使えず、一枠は「1」で埋まっているので、実質一つしか能力を使えない
    要望(任意):言葉の端々に数字をいれてください。例「こん3にち9は」

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:00

    名前:浄瑠璃 餌海(じょうるり えみ)
    年齢:16
    性別:女性
    種族:人間(心中の一族)
    本人概要:病弱で儚げな風貌の少女。両足に疾患があり一歩足を動かすだけでナイフで刺されたかのような激痛が走る。
    それでも彼女は病室を抜け出し彼に逢う。少女を救い、そして植物状態となった彼を生き延びさせるために力を使う。ただ一時の幻想だとしても、彼と触れる瞬間だけが彼女から痛みを取り除けるのだから。
    能力:心中(カニバリズム)、泡魔法
    能力概要:自身の肉体を食わせることで相手を回復させる異能。条件は相手を心より愛していることであり、食わせる部位は重要であればあるほど効果的。“彼”はほとんど死んでいる。肉体的にも、精神的にも。しかし彼女が与える血肉(××と薬指、他いくつかの臓器)によって彼の魂は永遠に肉の檻に閉じ込められている。彼の真実も気付かぬ彼女に、恋が実ることはありえない。
    泡魔法は彼を敵から守るために身につけた魔術(呪術の方が近い)、自身の血液を媒介に呪いに満ちたシャボン玉を作ることができる。さらに、自身の心中の特性も併せて、シャボン玉を割った相手の身体を喰うことができる。大量のシャボン玉が敵を啄み食い散らかす様はさながらピラニアを連想させる。
    弱点:肉体的には貧弱を超えた貧弱であること。また、能力・魔術どちらも肉体的な負荷が大きいため長期戦に脆弱。
    要望(任意):“彼”はただ善意で自殺しようとした餌海を救っただけの一般人、だから彼女を助けた結果、彼自身もまた溺死寸前となり植物状態となってしまった。彼にとっての悲劇とは助けた相手が普通ではなかったこと、沈むように静かに死ぬはずだった“彼”は彼女によって永遠に生き延びさせられている。彼は無限の闇の中、ただ死だけを望みながら溺れ続けている。

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:00

    名前:ウナ
    年齢:8歳
    性別:女
    種族:半神半人
    人物概要:クーフランの一族に連なる巫女の末裔。ドルイド(ドルイダス)の役割を持つ。幼くして神々とは異なる、「かみ」なる高次元の存在と交信することができる超逸材にして特異点。
    聡明だが、性格はアンポンタンで騙されやすい。
    一人称は『ウナたん』。
    能力:「かみ」の魔術
    能力概要:高次元存在と交信することで授かった魔術の数々。主に天候を操作して雷や雹を降らせる、水を操って水鉄砲や洪水を撃ち出す、樹木を操って動きを止めるなど、自然を操ることに長けている。
     他にも切り札として
    ・ウィッカーマンと呼ばれる大怪獣レベルの大きさで魂ごと焼き尽くす性質の炎を纏った人身御供用の巨大木人形を複数操る。
    ・イチイの神樹を急成長させて一瞬にして樹海を作り上げる。国造り神話を思わせる質量攻撃とイチイの樹毒による二段攻撃。
    ・高次元空間に自らを極僅かな時間の間だけ位相をズラしてあらゆる物理・概念干渉を回避する。「かみ」が作り出したために如何なる能力をもってしても干渉することができない一つの宇宙、世界一つを持って攻撃・防御を行う奥の手。
    …の三つを持つ。
    弱点:ウナ自体はただのロリっ子なので接近されると何もできない。ビンタ一発で戦意喪失するし子供のパンチで気絶するレベル。
     身体能力・耐久力・機動力も幼女相当に低く、操った水流や成長させた樹木で緊急回避ができる程度。しかもその回避に関わる判断力も低い。
     魔術以外の能力は幼女なので隙だらけ。簡単なフェイントにも引っかかるし、挑発にも精神を乱されて魔術操作が雑になる。
     切り札の魔術にはクールタイムとリチャージタイムがそれぞれ数十秒間あり、その間は完全なる無防備になってしまう。

  • 67名無しの英雄25/08/01(金) 11:00:01

    名前:ドロメッド
    年齢:1000以上
    性別:雄
    種族:千年生きて妖魔と化した駱駝
    本人概要:痩せこけてあちこちに緑色の斑のある巨大な駱駝の姿。
    渇きで死んで腐らぬままミイラ化した飼い主の無念を晴らすため、「砂漠に潤いをもたらしたい」という本能的な執念だけを抱いたまま砂漠を彷徨っている。
    敵を見つけると「滅するべき渇き」と認識する
    能力:『Make desert Green again』
    能力概要:背中の瘤の中に湿気とカビを溜め込んでおり、それを口から放出し、浴びた者の肉体を侵食する。
    また、駱駝としての高い脚力や持久力、咬合力を有する。
    弱点:瘤にダメージを受けると能力が使用不能になる。長時間外気に触れていると自動的に乾燥して弱る。

  • 68二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:01

    名前:仁藤 舞【にとう まい】
    年齢:?
    性別:男?
    種族:人間?
    本人概要:二刀流の演武を極めている。本人の年齢は不明であり十年前と5年前の姿が全く変わっていない事もあり本人は人間だと言うが本当は神様なんじゃと言われている。見た目は完全に女性だが本人は男だと言っている。
    能力:演武
    能力概要:長年極めていた演武。目が見えない人、廃人、死人、美しさを感じない人すら美しさで涙を流す程の美しい演武を舞える。
    弱点:耐久力は人間と同じ。演武なので戦闘に専門じゃないから苦手。

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:01

    名前: アリセイン=ヴラド
    年齢: 14歳
    性別: 女性(出生時の性別)
    種族: 人型生物兵器Hound-02《赫姫》/人類改造体
    本人概要
    高適性個体として精神強化手術を受けた元少女兵。本来は温和で知的な少女だったが、軍の実験により人格が壊されている。高い知性と戦術眼を持ちながら、それを「生き延びるため」「任務以外の自我を保つため」に利用するだけで、心からの殺戮衝動は持たない。
    普段は寡黙で、戦場でも必要以上の会話をしないが、「殺さなければ自分が壊される」という恐怖から、結果的に大量虐殺者となっている。敵や捕虜と会話する時は、むしろ「止めてほしい」と懇願するような錯乱を見せる場合がある。
    • 通常形態:
    赤黒く脈動する液状有機装甲に覆われたハウンド形態。
    背中には感情に応じて形状変化する「羽状神経展開器」が4枚生え、装甲には血管状に蠢く神経触手が走る。4つの細い眼を持った細長い頭部になり、鼓動音が常に響き、肉体そのものが生き物のように蠢く。
    • 第二形態《スカーレット=クリュシス》:
    極限下で死の恐怖に押しつぶされたことによって発現した第二形態。敵味方識別不能となり、無差別に暴走。血液を媒介とした群体汚染体を周囲に放出し、群体汚染体に触れた有機体を内部から「血の化身(ブラッドドール)」(Lv3改造強化兵に匹敵する歯を剥き出した真っ赤な操り人形)へ変異させる。この状態の姿は流体状の羽衣を纏う血の女帝。
    能力:《ブラッド・ロジカ》
    血液を情報・物理・精神の三次元融合媒体とする異能。
    自身の血液は高濃度思念汚染体であり、プログラム的制御が可能。
    能力概要
    • 一滴の血から最大1,000体の自己疑似複製を同時制御可能
    • 凝縮した血核が敵神経網に侵入し、脳を遠隔侵蝕して支配
    • 血液増殖速度:1秒あたり3,500倍(理論値) → 広域殲滅が可能
    • 空間内に血液ネットワークを展開し、「無数の自己」による包囲戦術を実行
    弱点
    感情構造の破綻により、愛情・無償の共感など特定の情動刺激に過剰反応する。
    乾燥・凍結・真空など血液が機能不全を起こす環境に極端に弱い。
    高い機動性を持つが、本体は軽量で防御力もかなり低い。
    Houndシリーズは胸部の透明樹脂内に収まる小型脳核群を破壊することによってのみ
    殺可能。

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:01

    名前:蛮 剛太郎
    年齢:36歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:
    世界無差別格闘家トーナメントにて全試合を一撃KOでストレート優勝し最強の称号を得た実績を持つ真の空手家。
    ひたすらに強さを追い求め、如何なる厳しい修練をも根性で乗り越える不屈の精神を持つ筋肉ダルマ。
    空手家として正面から相手と試合を行うように戦う主義。
    能力:〘気合〙
    能力概要:
    空手における、技を出す瞬間に出す掛け声のこと。(例:「セイッ!」、「押忍!」など)
    力を出す基本の腹式呼吸を意識するため、全身を使って声を出す。
    気合の掛け声を出しながら技を出すことで技の威力が底上げされる。
    弱点:
    女性は殴れない気質なので自分が苦手とする組み伏せる戦い方にシフトする。
    遠距離攻撃手段が無い。罠には必ず嵌る単細胞。

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:02

    名前:エク
    年齢:3100歳
    性別:無し
    種族:機械
    本人概要:願望器のプロトタイプ。完成品が叶えた願いや其れによって世界がどう変わったのかを記録する役目も持つ。そして、完成品の動きを止めて欲しいと願い、行動をしている。完成品を止めてくれる存在が出てくれるならば、どんな手段も取ろうという悲痛な覚悟を持っている。
    完成品の願望機は、純粋で、人々が願った事全てを叶えてしまう存在である。
    エクは完成品が叶えた願いの中から以下の二つの願いを再生出来る。
    「己が見えなくなったら」→【透明化】、「己がもう一人いたら」→【二重身】
    能力:《deus ex machina:archive》
    能力概要:完成品が叶えた願いの内、エクが再生出来る記録二つを、再び世界に出す能力。二つの願いは、希望者が死ぬまで世界に認識をさせなくした【透明化】、ドッペルゲンガーを作り、相手の存在をドッペルゲンガーにじわじわと塗りつぶした【二重身】である。
    【透明化】は物などに付与して、トラップとしての運用が主軸である。
    願望機の性質を持つ為、己に《deus ex machina:archive》は使用できない。
    弱点:プロトタイプ故に、全べての行動が0.3秒の準備時間がないと動けない。
    プロトタイプ故に、耐久面・身体能力が一般並みである。
    願望器のプロトタイプ故に、再生出来る記録は、本来起きた事の半分の効力しか出せない。
    例 【透明化】を付与した物の場合は、良く注目しなければ見えない 【二重身】の場合は身体能力のみのドッペルゲンガーを出す

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:06

    名前:スーパーアルティメットイモータルドッグ
    年齢:13才
    性別:雄
    種族:犬……?
    本人概要:【提唱者】が考え言葉にして生まれた超強い理想のペット
    提唱者の5才のときの妄想産故設定がふわふわしていたが【肯定者】に肯定して貰ったことで存在が強固になった
    見た目はハスキー 
    能力:私が考えた最強のペット!
    能力概要:早く走ったり、爪でなんでも引き裂いたり、吠えれば衝撃波が放たれるしとにかくめちゃくちゃ
    犬が行う行動を大規模~世界に影響を与える超規模で行う 能力を全力で使用すると存在するだけで世界に影響を与える存在になれる
    弱点:通常時は存在が安定しているが 
    規模がデカい行動をする瞬間は存在に綻びが生じてとても脆くなっていく為 
    超規模な行動は連続して行えず行った場合は自滅する、また全力を出せるのは刹那な上即座に自壊する為実質不可能
    能力使用時には身体に亀裂が生じる 亀裂部分に攻撃を当てると即座に無力化出来る
    これは行う行動の規模が大きいほど亀裂が大きくなり当てやすくなる
    知能は犬レベルな為 罠を受けやすいし、誘導されやすい

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:00:21

    代理安価
    名前:武神メーク
    年齢:数えていない
    性別:中間
    種族:武器神
    本人概要:金髪碧眼の中性的な顔立ちの全ての武器、神器の神。
    いつもは天界の仕事部屋に籠って作業をしているが、武器が完成すると現界に降り立って人間達に配って回っている。
    人間達の進化や発展にどの神よりも喜んでいる。
    かなり破天荒な性格であり、武器への愛情は強い。常に浮遊している。
    神器に対する知識は並み外れており、能力を使わなくても大体の効果と情報を知っている。
    能力:【錬成】+【付喪】=【神器】
    能力概要:【神器】は材料を用いて特別な神器を錬成可能。また、相手の武器の情報を得てそれに対抗する力も付与できる
    弱点:常に浮遊しているためか、身体能力は低く、地上では自由に動けない。
    戦闘スキルが低い。戦闘ほとんど神器頼り。
    材料となる素材が不足した状態で錬成すると中途半端な神器になる。この状態の神器は特別な力のない、普通の武器になる。

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 11:01:16

    とまれえ

  • 751◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 11:11:06
  • 761◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 11:32:45

    獄蠍モノ=スvsアリセイン=ヴラド
    エクvsスーパーアルティメットイモータルドッグ
    仁藤 舞vs蛮 剛太郎
    ドロメッドvs数言数
    浄瑠璃 餌海vsウナ

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:37:42

    ウナたんが名前の字面だけでもう好きになっちゃってズルい
    なんだよ「ウナたん」って

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:19:53

    ウナたんひじみこ兄妹と絡ませたい
    絶対ほんわかする

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:27:16

    ちなみに「ウナ」自体は元ネタになったケルト神話の原産地であるアイルランドの女性の名前としてしっかり存在しているのデース

  • 80二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:27:43

    トリッシュもウナだもんな

  • 811◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:30:24

    題名『殺さなかった者』

  • 821◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:30:44

    夜闇を裂くように、巨大な影が砂漠の岩壁を這い上がっていく。
    その姿は圧倒的な異形。全身を覆う外殻は鋼鉄の如く硬く、獰猛な三対の巨大ハサミは獲物を一瞬で引き裂く凶器となる。
    獄蠍モノ=ス――その名は絶望の象徴。

    対峙するのは、赤黒く脈動する液状有機装甲に包まれた少女、アリセイン=ヴラド。
    その瞳は必死に虚勢を張り、震えを隠そうとしていた。
    絶望の巨獣に挑むにはあまりにも小さく、脆い身体。

    「……ここで終わるわけには……」
    呟きは砂漠の冷たい風に消えた。

    モノ=スが吐き出す猛毒ガスが空気を満たし、呼吸を奪う。だがアリセインは血液の防護膜で呼吸器を守り、必死に耐えながら反撃の糸口を探る。

    しかし、どれだけ攻撃しても硬い外殻はビクともしない。
    巨大なハサミが振り下ろされ、地面が震え、砂塵が舞い上がる。逃げ場などない。

    「まだ、まだ……」

    だが、足元が揺らぎ、刹那の隙に致命的な一撃が襲いかかる。
    「くっ……!」

    絶望的な力の前で、アリセインの身体は粉々に砕け散るかのようだった。

    勝てない。
    それでも、目の前の敵を倒さなければ、
    逃げなければ、
    ――何も残らない。

    彼女の戦いはまだ、始まったばかりだった。

  • 831◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:30:58

    獄蠍モノ=スが三つの巨大なハサミから猛毒ガスを吹き出す。
    その毒は空気を一瞬で蝕み、呼吸器に侵入した瞬間、激しい痛みと吐き気をもたらす凶悪な猛毒だ。砂塵と混ざり合い、視界は霞み、感覚は鈍る。

    アリセイン=ヴラドは流体のように蠢く血液を盾とし、肺を覆う防護膜を張り巡らせる。毒ガスを吸い込まないよう必死に耐え続けるが、容赦なく侵食されていく体内の神経は悲鳴を上げていた。

    「こんな毒……! でも……負けられない……」

    血液が細かく震え、防御膜は少しずつ薄くなっていく。毒の猛威は容赦なく、少しの隙間も与えない。

    一方の獄蠍モノ=スは毒の霧を利用し、姿を隠しながらじわりじわりと距離を詰める。
    その重い体躯を揺らし、砂に埋もれた足を掻き分け、捕食者の狩りのようなゆっくりとした足取りで獲物を追い詰めていく。

    「逃げられると思うな……絶望の底まで連れて行くぞ……」

    視界がほとんどなくなった中、アリセインは手探りで攻撃の機会を狙うが、毒に蝕まれた意識は徐々に薄れていく。動きは鈍くなり、思考は霞み、何度も倒れかけた。

    「まだ……あきらめちゃ……だめ……」

    脳裏に駆け巡る過去と、かつての自分の面影。
    逃げられない絶望の前に、少女は心を奮い立たせる。

    この毒の中で倒れたら、もう二度と立ち上がれない。
    絶望の獄蠍は、ゆっくりとその巨体を彼女に向けて這い寄っていた。

    砂漠に響くのは、血と毒と絶望の重い息遣いだけだった。

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:32:20

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  • 85二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:32:39

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  • 86二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:33:08

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  • 87二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:33:45

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  • 88二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:34:00

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  • 89二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:34:31

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  • 901◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:37:29

    ――意識の海。
    それは血の湖のようで、浮かぶのは己の断末魔。

    「……たす、け……やだ……壊れたくない、まだ……やりたいこと、あったのに……」

    誰かにすがるような声。
    それは、自分自身のものだ。

    かつて“人間だった”アリセイン・ヴラドは、ここで何度も死に、何度も壊され、何度も自我を喪失した。
    そして今、再び壊れようとしている。あの巨大な化け物に、何もできず潰されたまま。

    「やめて……お願い……もういやなの……」

    祈りは届かない。
    神など、いない。
    けれど。

    「――アリセイン。」

    深紅の声が響いた。
    それは、彼女自身の中に眠る、もう一つの存在。

    ――殺さなければ壊される。
    ――壊されるくらいなら、壊せ。

    本能と理性の境界が融解していく。
    脳内を埋め尽くす血の思考が、悲鳴とともに形を持ち始める。

  • 911◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:37:44

    「壊したくない。でも、壊されるのは、もっと……嫌ぁぁああああああああああ!!!!」

    その絶叫は、血液の律動を狂わせた。

    ズギュアアアアンッッ!!!

    遺跡が震える。
    “それ”は、血の繭を破って現れた。

    全身を液状の血衣に包まれた女帝――《スカーレット=クリュシス》。
    その瞳は、もはや「人間」の感情を持たない。
    髪のように蠢く血管、腕から滴る粘液、羽衣のように広がる血の展開器官。
    彼女自身が、災厄だった。

    「……識別、無効。敵味方、再定義。全てを、血に還す。」

    それと同時に、空間が“赤”に染まる。
    血液の飛沫が霧状に放たれ、群体汚染体が次々に生まれ始める。
    アリセインの血から生まれた、1000体の疑似自己。
    天井、壁、床、すべてに這い出す赤黒い怪物たち。彼らは、自身の一部であり、ひとつの意志で繋がっている。

    「お前が……何体、潰せる……?」

    地獄の密度で、蠍の巨体に群がる血の獣たち。
    脚に、腹に、顎に、ハサミに、何百という体が噛みつく。
    一斉に神経侵食を行い、筋肉組織に“命令”を上書きする。
    「止まれ」と、「壊れろ」と、「お前も、血になれ」と。

    ドズゥン……! ズゥ……ギギ……ギ……!

  • 921◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:37:54

    巨蠍の動きが、初めて鈍った。

    「……効いてる。効いて……!」

    だが。

    ブチィッ!!!! グシャアッ!!!

    蠍が暴れた瞬間、血の獣たちは数百体が一瞬でミンチになった。
    そのうちの何体かが叫んだ。
    「やだ……こわい……いやだぁぁ……」
    それは、アリセインの声だった。

    「やっぱり……駄目なのか……これでも……」

    呼吸は荒れ、神経網が悲鳴を上げる。
    消耗が尋常ではない。

    それでも、彼女は止まらない。止まれない。

    「お願い……誰か……私を、殺してよ……」

    その懇願とともに、アリセインは血の女帝のまま、なおも立ち上がる。
    血液で構成された大鎌を作り、
    自分の命すら賭けて、
    まだ、抗う。

    だが、モノ=スの外殻は傷一つついていなかった。

  • 931◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:40:56

    毒の霧が晴れる気配はない。
    アリセインは血液を利用し、周囲の地形を脳内にマッピングしていた。視界に頼らず、空間認識でモノ=スの巨体を追う――だが、それすらも限界だった。

    ズズ……ズゥゥン……

    砂が沈み、地鳴りがする。
    真上から、異常な質量の気配。

    「……っ!!」

    反射的に跳躍――が、遅い。

    ドガァンッ!!!

    ハサミが砂漠を抉る。
    反応が1秒でも遅れれば、アリセインの体はそこに潰されていた。爆発のような砂塵が舞い、血液で編んだ羽がちぎれる。跳ね飛ばされたアリセインは、地面を転がりながら起き上がる。だが、脚が震える。肺が焼ける。全身が、軋んでいた。

  • 941◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:41:15

    「まだ、だ……まだ……!」

    血を撒き散らしながら、周囲に“網”を張る。
    自らの血で罠を作る――それが《ブラッド・ロジカ》の本領。

    広範囲にばら撒かれた血液が、瞬時に糸のように細く伸び、地中に潜る。そして、微細な感圧神経として働き始めた。血の地雷原が完成する。モノ=スが動けば、その位置はすぐに知れる。

    「……踏め。動いた瞬間、血で内部を焼き尽くす……!」

    策は完璧――のはずだった。

    だが。

  • 951◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:41:25

    「それは……足がある奴にしか効かん罠だ。」

    地響きと共に、獄蠍モノ=スが天井を這っていた。

    天井――!?
    この巨体で!?
    天井は百メートル上、支柱すら朽ち果てた古代遺跡の天蓋だ。
    そこにへばりついて移動している。常識ではありえない重さが、あらゆる理を捻じ曲げていた。

    「無駄だったな、小娘。」

    その瞬間、上から――

    ガシィッ!!!

    ハサミが、アリセインの腹を掴んだ。

    「あ──が……ッ!」

    全身がバキバキと潰れていく。
    血液の装甲も、肉も、骨も、ハサミの圧に耐えられない。

    それでも叫ばない。ただ、ぎりぎりと歯を噛み締めて。

    「ッ──ァ……ァあああああああああああああああ!!!!」

    砕ける。

  • 961◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:41:37

    背骨が、臓器が、視界が、何もかも。
    絶望の巨蠍は、涼しい顔で言った。

    「獲物が罠を張ってどうする。お前は狩る側じゃない。……獲物だ。」

    まさに、狩人と獲物の差を見せつけるように。

    アリセインの意識は、暗闇に沈んでいった──

  • 971◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:42:02

    「────────」

    沈黙が降りた。
    押し潰された瓦礫の中、肉片と赤黒い液体が混じり合い、ただただ蠍が動きを止める。
    獄蠍モノ=スは“死体”を前に、確認のため、巨大なハサミを振り下ろそうと──

    “ズ”──ン……
    突如、空間が“引きつれた”。

    その場の光景に“何かが混入”する。
    違和感の塊。世界の論理を歪める“意志”そのもの。

    「ッ……!?ッ……!!ッ……ッ!!!」

    それはモノ=スですら理解を拒む何かだった。
    脅威に対して認識が追いつかず、巨体が警戒の咆哮を放つ。

    だが遅い。

    その中心で――“少女”が、立ち上がった。

    いや、“少女”ではない。

    《第二形態:スカーレット=クリュシス》

    それは形容不能な“女帝”。
    血を纏い、血に祈り、血を指揮する、群体災害そのもの。

  • 981◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:42:26

    「────────……」

    声はなかった。
    言葉という概念を殺したような静寂が、世界に流れ込む。

    ブワアアアアアアアアッ!!

    空間に展開されたのは、視界全てを赤黒く染め上げる血の網。
    その網の一点一点がアリセインの思念汚染体として脈動し始めた。

    1秒あたり、3,500倍の血液増殖速度。

    「……■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」

    言語すら消え去った精神の咆哮とともに、
    モノ=スの全方位から真紅の暴風が襲いかかる。

    彼女の血は、兵士だ。
    彼女の怒りは、軍勢だ。

    「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」

    モノ=スの外殻が軋んだ。

  • 991◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:42:57

    物理を超越した暴風のような集団突撃。
    情報毒を受けた血核すら、強引な再定義で復元され、
    “もう一度死ぬため”に蘇ったブラッドドール達が次々と特攻する。
    だが――モノ=スは、まだ崩れない。
    砕けない。
    倒れない。

    その硬殻は、あまりにも“強すぎた”。

    「…………まだ、終わらない……の……?」

    血の女帝の中で、わずかに残る“アリセイン”の声。
    それが最後に囁く。

    「──壊れろ。」

    その瞬間だった。

    ズガアアアアアアアアアアアン!!!!

    天井を突き破って、
    直径10メートル以上に膨れ上がった凝縮血核が、モノ=スの背後から撃ち込まれた。
    一点集中、超質量、高速貫通、精神汚染──
    すべてを合わせた血の槍が、蠍の胴体を貫いた。

    「ギ……ギギギ……ギ……ィィ……イイイイィィィィ……!!!!!」

    ――しかし、それでも死なない。
    モノ=スは“腹側”を貫かれながらも、なお動く。
    それが何よりも、恐ろしかった。

  • 1001◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:43:27

    世界が、血と毒と咆哮で満たされていた。

    それでも、まだ。

    まだ、どちらも死んでいない。

    瓦礫が崩れ落ち、焦げた地面が爆ぜる中、
    赤黒い女帝《スカーレット=クリュシス》は、確かに息をしていた。

    その周囲には、死体の海。
    ブラッドドールたちはもはや動かない。
    彼女の血液増殖限界を超えてなお戦った“軍勢”は、ついに沈黙した。

    彼女の全身は裂け、流れ出した血がそのまま固まり、
    装甲のようになって張り付いている。

    ──限界だ。

    アリセインの肉体は、もう悲鳴をあげていた。
    再生も、拡張も、もう追いつかない。
    彼女の血液ネットワークは完全に過飽和し、情報の干渉が破綻を始めていた。

    にもかかわらず。

    「まだ──動いてる……?」

    音もなく、影が揺れる。

    それは、巨大な異形。

  • 1011◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:43:40

    あの“絶望”が――まだ、歩いていた。

    獄蠍モノ=ス。

    死にかけていた。
    外殻は無残に穿たれ、腹側は裂かれ、片腕と尾が失われている。
    視覚器官も一つは潰れ、猛毒ガス腺も空っぽ。

    それでも、なお。

    本能だけで“殺しにくる”。

    その巨体が、四肢を引きずりながら地を這う。

    「……………っ!」

    アリセインはその場に膝をついていた。
    羽状神経展開器も、もう破損している。
    血液の増殖も停止していた。

    本体を防御する装甲も、もうただの肉だ。

    彼女は──もう、戦えなかった。

    「や……めて……やめて……もう、やだ……」

    呻きながら、しゃがれた声で抗う。
    心の奥で、何度も何度も“逃げたい”と叫ぶ。

    それでも、モノ=スの“殺意”は止まらない。

  • 1021◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:44:17

    世界のすべてが、止めてくれない。

    だから──

    アリセインは、

    自分の胸に、爪を立てた。

    ──そこにある。
    自身の中枢神経の塊、小型脳核群。

    あれを壊せば、自分は終われる。

    「……やっと……静かになれる……」

    彼女は、笑った。

    しかし。

    その時だった。

    ズシンッ……

    音がした。
    蠍が、崩れた。

  • 1031◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:44:40

    地面を割り、壁を砕き、
    崩れるように──ただ、沈んだ。

    巨大な蠍は、死んでいた。

    完全に。

    アリセインは、それを理解するのに数秒かかった。

    ──“なぜ”?

    あれほどの化け物が。
    倒れても動き続けた獄蠍モノ=スが。
    血の軍勢を超えてなお、生き延びた怪物が。

    どうして。

    それは、偶然だった。

    血核の一撃が、
    一部露出していた神経束を正確に撃ち抜いていたのだ。

    それだけ。

    戦術でも、理屈でもない。

    “たまたま”、死んだ。

    アリセインは、目を見開いて、

  • 1041◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:44:52

    そして、
    ──泣き崩れた。

    勝者など、いなかった。

    ただ、
    “殺されなかった”者が、
    生き延びただけだった。

  • 1051◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 20:45:30

    以上

    規約違反で消えるから即コピーしてメモに入れといたら順番がわからなくなって修正しまくってました
    すいません

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:46:18

    あらら
    そうだったんですね
    お疲れ様です

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:47:45

    規約がらみならしゃーない
    ……あと蠍強くね?

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:48:26

    なんか2回くらいスカーレットクリュシスに目覚めてないか?

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:55:02

    勝ったけど全く救われてねえ、どうにかしてヤメイもん!

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:55:54

    良かった! 一度目のスカーレットクリュシスは不完全で
    二度目のスカーレットクリュシスは完全みたいな意識してる

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 21:03:48

    絶望で自害しようとするのはエグい

  • 1121◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 22:24:48

    今回はこの形式で

    https://writening.net/page?C2sf8T

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:27:57

    い、いぬーっ!!

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:29:32

    ダレーーーッ!?

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:30:41

    犬負け、知らんヤツ現れた

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:33:35

    そういや提唱者はこんな化け物を作れるのか

  • 1171◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:20:49

    題名『型と舞』

  • 1181◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:22:57

    夕暮れの武道会場。

    砂利が敷かれ、周囲には観客すらいない。だが、空気は震えていた。

    ここは、選ばれし者のみが辿り着ける**「至道演練試合場」**。

    肉体、精神、技術のすべてを極めた者同士が、最後に辿り着く場所。

    「……押忍ッ!!」

    轟く声。

    爆発のような足音と共に、壇上に登場したのは、筋肉の塊のような空手家――

    蛮 剛太郎(ばん ごうたろう)。

    白帯のまま、世界を一撃で蹴散らした伝説の格闘家だ。

    「こちとら正真正銘、空手一本で生きとるんじゃァ……!」

    片腕の拳を握り、反対の掌を添える。

    “正対して、ぶつかり合う”。

    それが彼の全て。

    そこへ、風のように現れた。

  • 1191◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:23:20

    すっと、舞台に舞い降りたのは――

    「仁藤 舞(にとう まい)……参上」

    長い黒髪をなびかせ、袴姿のまま二本の木刀を手にした“女のような男”。

    柔らかな動きで、軽く礼をする。

    「……君が、噂の蛮剛太郎さん。うん、筋肉が美しい」

    「押忍! おめえが俺の相手か!?」

    剛太郎は唾を吐き、全身をブンと震わせた。

    「見た目で舐めんなよ!? こっちはなァ、“最強”って称号を拳で取った男なんだよ!」

    「そう。じゃあ……僕の“舞”で、君の拳に、敬意を表そう」

    静かな声音。

    そして、仁藤舞の演武が始まった。

    風が止まった。

    その一瞬、世界に音が無くなったようだった。

    右の刀が右手から消え、気づけば宙に。
    左の刀が空を斬ると、そこに“線”が引かれたような残像。

    それはもはや戦いではなく、“儀式”。

  • 1201◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:25:15

    「……な、なんだこりゃ……」

    蛮剛太郎の瞳に映るのは、攻撃でも威圧でもない――

    涙が、頬を伝った。

    「う……おおお……っ……!?」

    わけが分からない。

    だが美しい。

    腹の底から込み上げてくる何か。

    叫ぶしかなかった。

    「セイッ!!!!」

    ――爆裂。

    大地が割れた。

    剛太郎の拳が、地を滑るように舞へと突き出された。

  • 1211◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:25:40

    仁藤舞は、演武の流れのまま、ほんの僅かにその身を捻る。

    それだけで――剛太郎の拳は、空を斬った。

    「今のは……避けた……だと……!?」

    「……君の拳は真っ直ぐすぎて、演武には届かない。だけど、綺麗だった」

    仁藤の二刀が、ゆっくりと交差する。

    それは、決して攻撃にならない動き。

    けれど――

    剛太郎の膝が崩れた。

    「……な、なにぃ……!? お、俺が……!?」

    演武の中にいた彼は、呼吸を忘れ、重心を崩し、技の流れに飲まれた。

    「君の拳に、僕の舞は……届いたかな?」

    ふわりと立つ仁藤舞。その笑顔は、舞台そのものを美しくしていた。

    だが、剛太郎の目はまだ死んでいない。

    「押忍……次はァ、ちゃんと“技”で答えるぜ……!」

  • 1221◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:26:18

    崩れた膝を、拳で叩いて立ち上がる。

    音を立てて割れる石畳。それは彼の再起の号砲だった。

    「クソッ……俺ァ、空手バカでいい……でもなァ、負けっぱなしは性に合わねェんだよッ!!」

    ――蛮 剛太郎、再起動。

    仁藤舞の演武を“美しい”と認めてしまった己の心に、拳を叩き込むように。

    「セイッ!!」

    瞬間、爆音。

    足を踏み出すだけで地面がめくれ、肘が動くだけで風が裂ける。

    「気合が違うんだよ、こっちはァアア!!」

  • 1231◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:26:41

    動きは単純。

    直線。拳。足。肘。膝。

    しかしそれらは、研ぎ澄まされた“型”。

    無駄を削ぎ落とし、“美しさ”すら超えた領域。

    仁藤舞の眉が、わずかに動く。

    「……美しさを超えた、意志の型……?」

    彼もまた、演武に入る。

    音が消える。

    風が止まり、影が凍りつく。

    舞の足が地に触れぬまま、左右の木刀が空を泳ぐ。

    その動きは確かに美しかった。

    だが―

  • 1241◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:27:09

    「そんなモン、効くかァァアア!!」

    破る。

    蛮剛太郎は、ただ前へ。

    足を止めぬ。

    演武が描く結界のような軌跡を、真正面から打ち砕いた。

    「セイッ!!!!!」

    拳が、木刀を砕いた。

    仁藤舞が初めて目を見開く。

    その瞬間、彼の袴が破れ、背中が大きく後ろへのけぞった。

  • 1251◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:27:47

    拳が届いたのだ。

    「がっ……ふ……!」

    演武では止められない、“信念の一撃”。

    「俺の拳はなァ、世界チャンピオンどころかッ、山も象も砕いたんだよ!!」

    汗を撒き散らし、仁藤舞が後退する。

    顔に微かな傷が走る。
    その血を指でぬぐい、見つめる。

    「……痛い」

    初めての感情。

    「君の拳……ほんとに綺麗だった」

    「押忍ッ! これが空手じゃァァアアア!!!」

    拳と演武がぶつかり合う。

    一撃一撃が、地形を塗り替える激突。
    美しさと、根性。
    気品と、怒号。
    静寂と、咆哮。
    それが今、等価に交わり始めていた。

    だが、戦いはまだ――終わらない。

  • 1261◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:28:39

    「もう……限界だ」

    仁藤 舞の口から漏れたその言葉は、どこまでも静かだった。

    しかし、確かに折れかけていた。

    美しく、鮮やかに、しなやかに――舞うように戦っていた彼の動きに、乱れが生じる。

    木刀は一本は砕かれ、もう一本も軌跡が鈍る。

    脚が沈む。足運びに無理がある。

    (これが……肉体という“限界”か)

    彼は人間ではないと言われた。

    しかし、自身はそうであると信じていた。

    いや、信じたかった。

    人間の美しさを信じたかったからだ。

    だが、いま目の前の“蛮 剛太郎”は、その理想の上を行った。

    「演武は好きだぜ」

    その言葉が、仁藤の耳に届く。

  • 1271◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:28:57

    「けどな……演武だけで戦いが終わるなら、空手はとっくに絶滅してらァ!」

    足音。重い。一歩、一歩、確実に迫ってくる。

    地が割れ、空気が震える。

    近い。あまりにも近い。

    (もう……避けられない)

    仁藤の目が閉じる。

    静かに、手を交差させる。

    それは、防御の構えではなかった。

    ――演武の終わりの型。

    彼は、美しく散ることを選んだ。

    「……貴方のように、強くはなれなかった」

    「バカヤロウ」

    拳が止まった。

  • 1281◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:29:09

    風が、そっと流れる。

    その中心に、仁藤舞と蛮剛太郎がいた。

    「強ぇよ、あんたは。美しさを極めるってのも、尋常じゃねェ覚悟だ」

    「……なぜ、止めた」

    「空手家にとっちゃな。自分の拳に“勝った”やつは、敵じゃねェ」

    沈黙。

    仁藤舞は、膝をつき、息をつく。

    蛮剛太郎は、その場に正座する。

    「礼を言う。君の拳は、僕に“痛み”を教えてくれた」

    「押忍。あんたの演武、目に焼き付いたぜ。……美しかった」

    拳と刀は交わらなかった。

    だが、意志と意志は交差した。

    それだけで、彼らには十分だった。

    そして、どちらも再び立ち上がる。

    ――これが、武の道。

  • 1291◆ZEeB1LlpgE25/08/01(金) 23:29:27

    以上

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 23:34:43

    男の友情

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 07:42:45

    保守

  • 1321◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:32:49

    題名『渇きと数の間で』

  • 1331◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:33:47

    黄砂の海がすべてを覆っていた。風はうねり、空気は焼けつく。生き物の気配など、とうに絶えたはずの場所――

    だが、その中心を、一対の足跡が刻んでいた。

    ずるり、ずるり。

    乾いた砂を踏むその音は、地の奥底から響くような重みを持っていた。

    巨大な駱駝――その皮膚はところどころ苔むし、緑色の斑が腐ったように広がっている。

    ドロメッド。

    砂漠に潤いをもたらすべく、“渇き”を滅するために生まれ変わった存在。

    瘤がぐつぐつと波打ち、湿気と瘴気が漏れ出す。

    「……潤せ……潤せ……潤せ……」

    その腐った瞳が見据える先に、奇妙な“物体”が浮いていた。

    球体のような中心の周囲に、立方体や円柱、星型の立体が浮遊している。

    それは、生物とも人工物ともつかない姿だった。

    「こ2ん9にち3は、ミドリイロの駱駝さん……」

    数言 数(かずこと かぞえ)。
    “数字で世界を操る者”。
    ドロメッドは、声にならない咆哮を放つ。
    その声に含まれるのは、乾きへの怒りと、果てなき飢え。

  • 1341◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:34:57

    瘤が裂け、内部からどす黒いカビ混じりの蒸気が放たれた。

    大気が腐食し、地面がぬめりを帯びる。

    「湿度、限界……侵蝕、開始」

    世界が腐る――その一歩手前で、数言数が口を開いた。

    「9キロメートル、後退……」

    ぽん。

    数言の周囲に浮いていた八面体が輝き、彼の身体が砂漠の地平線まで一瞬で移動した。

    残されたのは、腐った湿気だけ。

    「さ5て……“渇き”とは、対話が通じな9タイプとお見受けしま4た……」

    球体の表面に数字が浮かびあがる。

    【8】。

    数言数の能力が起動する。

    直後、空間が“圧縮”されたような衝撃が走る。

    次の瞬間――

    8倍の速さで、空から岩塊が落ちてきた。

  • 1351◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:36:20

    どこから、なぜ、という問いに意味はない。
    “数字”は、それを可能にするのだ。
    ドロメッドはそれを避けなかった。

    ――岩が、瘤に命中した。

    裂ける。腐る。蒸気が漏れる。

    しかし。

    「潤せ……潤せ……まだ……終わらない……!」

    倒れず、むしろより激しく、より禍々しく、ドロメッドの息は荒くなる。

    彼の渇きは、限界を超えてなお、潤いを求めていた。
    数言数は、数字をひとつ変える。

    【2】。

    その瞬間、自身の質量が2kgになる。
    蒸気の中を浮遊する速度が上がり、ドロメッドの周囲を旋回するように移動する。

    「し1んたいが腐っても……意志があるなら、“渇き”もまた、意思……」

    ぽつりとつぶやきながら、次なる数字を選ぼうとしたその時――

  • 1361◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:36:48

    「潤せぇええええええ!!」

    ドロメッドが、今度は口から黒緑の泡を吐き出す。
    それは数言数の球体に向かって一直線。

    蒸気とカビと腐敗の全てを詰め込んだ、“死を呼ぶ潮”。
    数言数の思考が一瞬遅れた。

    【1】は常に使っている。
    【8】で発射速度、【2】で質量――

    今、もう新たな数字を割り振ることはできない。
    そして、球体の中心に――カビの塊が命中した。
    空間が歪む。
    数言数の形がぶれる。

    そして――

    彼は静かに、数字を口にした。

    「0……?」

  • 1371◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:39:28

    「0……?」

    その言葉が零れた瞬間、数言 数の身体が“消えかけた”。

    【0】――この世のいかなる“量”をも打ち消す、最終の数。

    しかし、彼の能力には制約がある。

    「わた2しは……常に【1】を維持しなければ……この世に存在できな9」

    今、自分は【1】と【2】を使っている。ゆえに、0を唱えた瞬間、自身の存在が打ち消されかけたのだ。
    まるで“数”そのものが、彼という存在を否定し始めていた。

    ──ガチンッ。

    歯が砕ける音。
    それは、数言数の中に残った“生命”が、【0】という虚無に軋む音だった。

    そして――その迷いを、ドロメッドは見逃さない。

    「滅せよ……渇きを……拒むものよ……!」

    腐敗と湿気の瘴気が、瘤から再び漏れ出す

  • 1381◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:39:47

    瘤は一度裂かれ、能力の精度は落ちている。それでも、彼の中にある“潤したい”という本能的な怒りが、衰えることはない。

    砂漠の底から沸き上がるように、ドロメッドは跳躍した。

    痩せこけた脚から信じがたい脚力。
    その巨体が浮き、空気を押しつぶすように、数言数に襲いかかる。

    「マズ3……!」

    ぎりぎりで【2】を解除し、代わりに【7】を入力。

    【7倍速】で回避する。
    が、瘤から飛び散った粘性の瘴気が、空中で数言数の一部の浮遊図形を掠める。

    バチッ――!

    球体の外殻にカビがまとわりつく。

    「うっ……こ3れは……質量ではなく、意味への干渉……?」

    数言数が浮かべていた立体図形が、次々と“意味”を失い、形を歪めていく。
    三角形が四角になり、球体が角を持つ。
    数言数は、空中でバランスを崩す。

    「潤せ……潤せ……潤せ……ッ!!」

    ドロメッドが、今度は牙を剥いた。

  • 1391◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:40:21

    渇きに耐えきれず、狂ったように獣としての“本能”を出し始めたのだ。
    かつては飼い主と穏やかに旅したはずの駱駝。
    今はただ、“渇き”という概念を敵と定めている。

    ズバァン!

    砂が抉れる。

    ドロメッドの一咬みが、数言数の後方をかすめた。
    その瞬間、数言数は判断した。

    「も5はや……この“砂漠”が、わたしにとって“0”なのかもしれな1」

    【1】を、いったん解除。

    そして――

    「【4】――!」

    一瞬、世界が静止した。
    それは、“時間の流れ”を1/4にする処理。

  • 1401◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:40:39

    今だけは、【1】という存在保障を外してでも、回避に全てを注ぎ込むべきだ。

    その一瞬。

    ドロメッドの咬合が、空を裂いた。
    だがそこには、すでに数言数の姿はなかった。

    ――瘤の背後へ。

    「カビ、腐敗、腐肉、瘤……構成する数字を、ひとつだけ操れるなら――」

    数言数は静かに、最小限の声で宣言した。

    「【3】、瘤の密度を3分の1に減少」

    ドシュッ!

    次の瞬間、瘤が自重に耐えられず、潰れた。
    蒸気が噴き出す。
    ドロメッドが、ようやく呻いた。

    「……潤せ……ない……ッ」

    その目から、一滴の水が流れた。

    それは――まぎれもない“涙”だった。
    数言数は沈黙する。
    言葉ではなく、数字ではなく。
    彼の浮遊図形のひとつが、ゆっくりと空に溶けた。
    それが、何を意味するのかは、誰にもわからない。

  • 1411◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:42:28

    瘤は潰れ、蒸気は消え、駱駝は沈んだ。
    だが、ドロメッドの身体はまだ立っていた。

    ――潤せ。

    それだけを願って千年。
    滅んだ主の傍らで、空を仰ぎ、砂を踏み、干からびた眼で世界を睨み続けた。

    だがいま、瘤は潰れた。
    渇きを潤す“手段”を失った駱駝は、己の存在にヒビが入り始めていた。

    「……潤せ、潤せ、潤……せ…………?」

    その呪文のような願いが、急に、止まる。
    ドロメッドの足元に、雨が降ったのだ。
    正確には――雨のように数字が舞った。

    1、2、3、4、5、6、7、8、9。

    その全てが、ドロメッドの影に溶け込んでいく。

    「わた4しの……最期の数、です。貴方が敵でなければ、使いたくなかった」

    数言 数の声は、浮遊する図形の震えから伝わる振動であった。

    「【9】。この瞬間の“美しさ”を、世界の渇いた記憶に刻む」

  • 1421◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:42:49

    その能力は戦いのものではない。

    けれど――

    乾ききった砂漠に、記録される「涙」という記憶があってもいいはずだ。
    その【9】は、記録。

    意味を与える数字。

    湿った空気が、砂を覆う。

    ドロメッドの乾ききった瞳が、わずかに潤む。

    「……雨、だ」

    その言葉を、駱駝は死ぬまでに一度は言ってみたかったのかもしれない。
    だが、その直後。

    身体が崩れた。

    瘤を潰されたドロメッドに、もう潤す力はない。
    崩れ落ちた骸が、砂と混じり、風に吹かれていく。

    「……0になった、か」

    数言 数は、静かに呟いた。

    「だが、そ3れでも、貴方は“何か”を潤した。ぼく9の数字で……少しだけ」

    球体が、静かに空へと昇る。

  • 1431◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:43:18

    記録された【9】は、これから何千年もの後――砂漠に“雨が降った”という記憶だけを、どこかに残し続けるだろう。
    戦いの意味は、誰にも分からない。

    けれど、数字と涙が交差した一瞬だけは、確かに美しかった。

  • 1441◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 11:43:42

    以上

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 11:49:26

    綺麗な物語やんした…

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 12:14:48

    よかった…少しでも救われて…

  • 1471◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 15:26:04

    規約引っかかりまくったんで


    https://writening.net/page?eVzxT8

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:33:42

    切ねえ……でもなんか綺麗だな……

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:36:40

    グロくて満足
    ありがとうねぇ!

  • 1501◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 15:38:29

    次の安価は16:00より募集
    今回のみ14個で枠を増やしての募集です

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:59:22

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  • 152二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 15:59:59

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  • 153二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:00

    名前:平原ランナー
    年齢:N/A
    性別:N/A
    種族:管理者専用モンスター
    本人概要:
    MMORPGにて悪質なプレイヤーを強制的に排除するため平原を駆けるモンスター。
    二足歩行のウマの姿をしている。100万人を超えるチートプレイヤーを屠った真の化け物。
    プレイヤーの反射神経を遥か凌駕する速度でフィールドを爆走し圧倒的な威力の蹴りで悪質プレイヤーをキックする。
    能力:【爆走キック】/【再爆走】
    能力概要:
    【爆走キック】:マッハ2の圧倒的速度で走った勢いで相手に飛び蹴りする。馬鹿みたいに速いため強い。
    【再爆走】:静止した状態からでもコンマ0.1秒でトップスピードに達する超加速。
    弱点:
    平原以外のフィールドだと加速力が落ちる。特に水中は苦手で走れないし泳げない。水が弱点。
    管理者が操作するモンスターであるため知性は無く、爆走・索敵・攻撃・回避 の4行動しかとれない。

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:00

    名前:魔法少女カウントダウン
    年齢:18
    性別:女
    種族:魔法少女?
    本人概要:本来頭部のあるべき場所に不気味な魔力の渦が設置された異形の魔法少女 コンファインメントと大体同じような経緯で魔法少女になったが暴走バイオ怪獣群との戦いで頭部を失った 今のカウントダウンは制御不能になった悪魔の力により操られたいわゆる闇落ち形態というやつである
    能力:念動力 魔力弾 感知
    能力概要:魔力を込めた物体を操る これにより自身の肉体と剣4本を操り強化している もちろん操っている物体は自身の肉体含め浮遊させることもできる あと頭部の渦から魔力弾を撃てる 威力も怯ませるくらいにはあるし当たった物体を操れる ちなみに頭部が無くなった事で視覚聴覚嗅覚味覚が失われているが視覚と聴覚は低出力魔力フィールドによる接触および振動の感知で補っている 一応メリットになるかもしれないからここに記載な
    弱点:操っている物体を壊されると脊髄にダメージを受け他の物体の操作が乱れる 生物は操れない 10mを超えると感知性能が格段に落ちる あと脳が無いためか思考能力が低い

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:00

    名前:高橋礼
    年齢:76歳
    性別:女
    種族:人間
    人物概要:佐藤紬の母親であり佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛、命&聖)のおばあちゃん
    とあるマフィアのリーダーで裏社会で犯罪者や極悪人を密かに消す事業をやっている
    黒スーツに葉巻を加え様々な武器、暗器を隠し持ち死を恐れず裏社会では「邪悪を狩る死神」として恐れられている。
    どんな極悪な能力者の首をもとってきてあらゆる戦場で生き残った凄腕だが猛者だが力の影響でどこかへいなくなる事が多々ある
    性格は豪快でよく笑う戦闘狂であり悪を許さない正義感を持つ、だが子供や可哀想な相手などに弱く涙腺がめっちゃ脆い
    能力:不滅の主
    能力概要:超次元の再生能力と理外の生命力、言葉にできぬ不滅性と復活をなど持つ
    超次元の再生能力は傷付いた瞬間に一瞬で再生し絶対に治らぬ傷や四肢なども簡単に再生する
    理外の生命力はどれだけ酷い状態でも(状態にも寄るが)1分~3分程度なら生きれるそう簡単には死なない生命力
    言葉にできぬ不滅性は存在や能力、自我や魂を消されたり失っても(無事では済まないが)超強引に戻ってくる
    復活は上記を踏まえてもなお死亡した場合、一か月後~半年後に肉体が再生し世界のどこかで蘇る
    弱点:彼女は不滅の主以外の特別な異能を持っておらず言ってしまえばめっちゃ死にづらいだけの人間
    戦闘に役立つ異能は持たないので再生力と生命力で泥仕合を仕掛けるほかなく能力持ちや人外相手だと長期戦&苦戦必至
    身体能力は高いし経験も豊富だし武器を扱う技術もあるが耐久力やスタミナなどは普通の人間である
    超次元の再生能力は体力消費がありその体力消費も超次元級、いつのまにか体力が無くなり隙が増える
    再生すればする程に体力がごっそり無くなり体力が無くなれば無くなる程に再生速度が落ちる
    また首、脳、心臓、肺、脳幹に紫色に光るビー玉程度の大きさの核があり一個でも壊されると再生せず死亡する、復活はする
    要望:佐藤紬の母親で佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛、命&聖)のおばあちゃんです
    武器はナイフ、拳銃、暗器、仕込み武器、爆弾などです
    死亡したらそこで決着でお願いします

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:00

    名前:邪神
    年齢:不明
    性別:???
    種族:外なる神
    本人概要:とある外宇宙の化身の一つ で化身の中でも上位の存在 
    終わりを呟く者、剥がし屋、嗤う万象の模倣者などを作り出した
    性格は愉悦部で傲慢な上自分の想定を上回ると興奮する嫌な奴
    能力: 繝九Ε繝ォ繝ゥ繝医?繝??
    能力概要:あらゆる冒涜的な魔術を操ったり、自身の様な化身を生み出す
    召喚される化身は終わりを呟く者、剥がし屋、嗤う万象の模倣なども含むが即席な為本家よりは弱体化している
    また化身は多種多様で人間だったり、怪物だったり、機械、現象だったりもする
    弱点:自身が 顕現する為に必要な黒光りして赤い線が走る多面結晶体型の宝石の首飾りが破壊されると即座に消失
    また化身は強力な個体であればある程生み出すの時間が掛かる、魔術も同様である

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:01

    名前:ただの犬
    年齢:5歳
    性別:雄
    種族:犬
    本人概要:見た目は犬、たまに顔が裂けたり触手が伸びたりしているが、犬である。ただの犬だが身長が5メートル近くあり全身が虹色に光る。ただの犬だがその図体ではありえないほどの速さで走る。ただの犬だが人間を食べる。体の節々に青黒い膿が付着しており、膿には毒性がある。
    能力:洗脳
    能力概要:自分自身をただの犬だと思わせる能力。触手や膿などは生物としての固有能力である
    弱点:鼻が死ぬほど弱く、小石をぶつけられただけでも気絶する。また、走りも直線的で読みやすい。
    要望(任意):喋らせないで下さい

  • 158名無しの英雄25/08/02(土) 16:00:01

    名前:ヴィネ・クリムゾン
    年齢:30
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:表の顔はワインソムリエ、裏の顔は殺し屋。バーに来た客に暗殺依頼を受けている。
    能力:ソムリエ式暗殺術
    能力概要:
    ・テイスティング:触れる・見る・聞くなど何らかの五感で相手を認識することで能力を分析する
    ・デス・シャトー:ワイン瓶に偽装した銃による攻撃。
    弱点:ワイン瓶に偽装した銃は壊れやすい

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:01

    名前:釣神
    年齢:不明
    性別:女
    種族:神(釣神様)
    人物概要:ツインテールの金髪に麦わら帽子を被った釣り人スタイルの少女。性格はメスガキそのものであり、嘘と釣竿で相手を釣る。
     昔は神として自らの神域から無辜の民を肉体的にも精神的にも釣っては楽しんでいたが、世界の修正者(ヤメイ)にリア凸を喰らい、凄まじい死闘を繰り広げて最終的に敗北した。
    それ以降はネットサーフィンで相手を釣り上げることに執心している。
    能力:【釣神】+神器《海幸彦》
    能力概要:釣神は釣りに関する技術において、過去現在未来において並ぶ者が居ない。
     釣りの技術と釣り竿の形をした神器《海幸彦》と組み合わせることで、あらゆる空間・時間・次元を飛び越えて相手を釣り上げる。逃走や防御は絶対に不可能である。
     釣りの対象は星や世界規模だろうと重さ・大きさを一切無視し、物理的な存在に留まらず、概念や能力にも及ぶ。
    弱点:釣神が持ちうる技術は「釣り」に限定されており、その他一切の武術・銃器に関する技術は全く持ち合わせていない。
     釣り上げた対象を振り回して攻撃することはあっても、釣ること自体に攻撃能力は一切ない。
     釣ることができるのは「一度に一つまで」。更に何かを釣り針に引っ掛けている間は釣果をリリースしない限り、これといった釣りによる干渉はできない。

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:02

    名前:ニャンズニャーニャー
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:群体猫
    本人概要:次元の間からやってきたコネコ達!たくさんのコネコの総称をニャンズニャーニャーと言う。
    黒猫、白猫、三毛猫とたくさんの種類のコネコ達が様々なところから因果や概念、改変、常識を突き破って現れる。
    コネコ達はとても愛らしい姿をしており、大きさは手のひらサイズ!ペットにしたくなるほど可愛いコネコ達!
    みんなコロコロとしててポテポテ歩いてとても可愛い。
    この次元に来たのは世界征服のため!仲間にワンズワンワンがいる。みんなで一緒に世界征服を頑張ろうとしている。
    世界征服の目的は世界から負の感情を消すため。
    能力:【ニャニャンがニャン!】
    能力概要:相手が放った能力を吸い込んでしばらく経ってから威力が倍になったネコルギー砲にして発射する。溜めている間は体が風船のように膨らんでフワフワ浮遊していく。ネコルギー砲は安定していない。

    能力ではないが、相手の顔などに張り付いて邪魔をしたりをよくしている。
    邪魔するのは構ってほしいから。
    弱点:ネコルギー砲でコネコも吹き飛ばされる。
    一匹一匹に10分の溜め時間がある。
    次元を行き来するには空間が破けるまで引っ掻く必要がある。これは時間がかかる。
    また、気紛れであるため戦闘を放棄して次元の間から帰ってこず戦力が落ちることがある。
    溜め中に攻撃されると、ネコルギー砲が不発に終わる。
    要望(任意):コネコ達に喋らせないで。

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:02

    名前:救世機構S.S.S.
    年齢:製造から108年
    性別:生体ユニットは女性
    種族:機械神、生体ユニットは人間(供犠の一族)
    本人概要:S.S.S.は”Savior System:Sacrifice”の略称。
    外観は古代文明の祭壇のような23.9mほどの巨大な機構。それは人為的な神にして、人の愚かさを示す悪魔。
    全ての不幸を誰か一人に押し付け、救済されたいという悍ましき人の業が形となったもの。
    腕を振るえば干天に慈雨が降り注ぎ、一歩踏み出せば砂漠に緑が満ち溢れる。
    人を滅ぼす災害を堰き止め、人を喰らう怪物はその鉄拳で討ち滅ぼす。
    人を救い、救い、救い続ける救世機構(かみさま)──ただ一人の少女にその全ての地獄を注ぎながら。
    能力:供犠(生命)、リ・インカーネイション
    能力概要:生体ユニットとして組み込まれた少女の力。彼女の供犠はその生命を捧げることである。生命とはつまり続くことだ。生存に必要な機能…例えば臓器、血液、骨、知恵、そして生殖機能。それらを捧げることで彼女は奇跡を起こせた。不幸は、ある災害によって人類が危機に瀕したこと、人類を救うためには少女の生命は少なすぎたこと、そして少女の生命を無限とする”リ・インカーネイションシステム”が完成してしまったこと。
    少女の細胞一欠片まで捧げたとしても、リ・インカーネイションシステムは少女を無理やり再誕させて奇跡を起こし続ける。
    少女がいる限り、救世機構は世界を救う。
    少女が死んでもリ・インカーネイションシステムは少女を蘇らせる。
    リ・インカーネイションシステムが損傷しても少女の奇跡はそれを修復させる。
    ──死んで、死んで、死に果てても少女の奇跡に終わりはない。
    弱点:人類の脅威・困難を排除するために動くため、正義の味方など人類の味方には敵対しない。
    生体ユニットとリ・インカーネイションシステムを繋げる回路”アンビリカル・コード”が損傷すると機能不全を起こし奇跡の規模が大きく損なわれる。(機能の回復には数時間単位の時間経過が必要)
    生体ユニットとリ・インカーネイションシステムを同時に完全に破壊すれば完全に停止する。
    駆動するためにも供犠の能力が使われており、多く損傷すると修復のためにより多く供犠の力を要するため動きや奇跡の規模が下がる。
    要望(任意):S.S.S.が動くたびに少女の悲鳴を響かせてください。

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:02

    名前:グスタフ・東條・ランゲイン
    年齢:19
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:不良集団「愚巣咤武(ギュスターヴ)」のリーダーであり、頭をガチガチの角刈りにキメた特攻服の大男
    見た目は怖いが根は熱く懐の広い人物。イカした魂を感じた奴ならばどんな相手でも心から認め、その人物がピンチならば敵味方問わずその身を削ってでも助けになろうとする
    まさにワニの口のように器のデカい漢
    他のメンバーもそんな彼の事を尊敬し心の底から慕っている
    能力:「爬忠変生(レプティレス・アルター)」
    能力概要:自身の肉体及び武装と認識したものを爬虫類に変える事が出来る
    これにより自身の肉体は強靭なワニ人間を始め蛇、亀、トカゲ、カメレオン等様々な形態に変身できる
    武器を爬虫類に変える条件は「変身時に身体に触れている事」
    武器と認識出来れば対象に制限は無く、ただの鉄パイプから愛用のバイクまで自由自在に変化させられる
    弱点:とにかく極端な温度変化に弱く氷結、または高温系の攻撃に弱い
    極度の寒い場所、または暑い場所では大幅に能力が落ちる上、武器への変生は解除されてしまう
    また、他人の所有物である武器、武装は相手の同意がない限り変化させることは出来ない

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:03

    名前:メルト=リクィデール
    年齢:流体としての活動開始から167年

    性別:女性形態を好むが、本質的には無性

    種族:変態流体種(アモルファス・ハイドロイド)

    本人概要:
    かつてとある禁忌の研究施設で、量子液体と人工意識の融合実験によって誕生した存在。人間の記憶の断片を取り込み、自らの人格を形成していく「自己進化型流体」。普段は淡い光沢を放つ液状の身体を自在に変形させ、人間の姿にも擬態可能。その美しさと不気味さが共存するフォルムは「動く鏡」とも呼ばれる。

    外見は透き通るような蒼銀色の髪と肌、液体のように滑らかに揺れる衣装を纏い、常に微細な波紋が体表を流れている。

    能力:
    《動態吸収:フルイド・コンスクリプション》

    能力概要:
    ・非ニュートン流体特性を活かし、衝撃に応じて硬化・流動を切り替える。斬撃・衝突は瞬時に無効化し、拳を通すと手が抜けなくなるような捕縛を起こす。
    ・接触した流体・液状物質を自分の肉体に変え、同時に取り込むことで、性質・情報・記憶を解析し、自身の構造に取り込める(例:毒液を触れば毒の効果を得る/血液から遺伝子情報を吸収し模倣するなど)。
    ・流体分離により複数個体に分裂可能。戦闘時には霧状・液状・粘体といった形態を瞬時に切り替えることで、回避・浸透・侵入・撹乱など幅広い戦術を取る。

    弱点:
    ・極低温(−50℃以下)で流動性を失い、活動が大きく制限される。
    ・強力な凝固剤や吸収素材(超多孔質構造など)に触れると、体の一部を失う。
    ・乾燥し切ると死亡し、魔力核を破壊されても死亡。

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:10

    名前: ルーク・デッドマン
    年齢: 20歳
    性別: 男
    種族: 人間
    本人概要:
    19世紀末の煤けたロンドン、霧深い裏路地に蠢く殺し屋「デッドマン三兄弟(ブラザーズ)」の末弟。茶色っぽいベストに白い絹手袋、そして常に薬瓶を懐に忍ばせた神経質な青年。白い肌と痩せた体躯は、日光を避けて地下の錬金室に籠る生活の証。
    その顔には社交界の紳士のような作り笑いが張り付いているが、瞳だけが腐った毒蜘蛛のように冷たく光り、人間を毒で壊す瞬間にのみ興奮を覚える。
    表の世界では薬師を装い、裏では標的の「死に様」を芸術品と称して愉しむ異常者。
    能力: 『毒薬調合師(トクシック・アポセカリー)』
    能力概要:
    ロンドン裏社会で密かに流通する劇毒や幻覚剤の製造者。毒の種類は「即効性の神経毒」「呼吸困難を引き起こす煙霧」「理性を奪う幻覚剤」など多彩で、吹き矢・毒霧・刃物への塗布と手段も豊富。
    彼自身が戦闘に長けているわけではなく、狭い路地や密室での待ち伏せを得意とする暗殺者である。
    標的をただ殺すのではなく、「ゆっくりと苦しませて死に至らせる」ことを好むため、仕事はしばしば過剰に長引く。
    ・神経毒: 呼吸困難で徐々に窒息させる
    ・幻覚剤: 悲鳴をあげさせるため錯乱させる
    ・遅効性麻痺毒: 苦痛と恐怖をじわじわ与える
    戦闘より暗殺を得意とし、吹き矢・毒霧・毒刃を駆使する。だが何より恐ろしいのは「死に至るまでの過程」をわざと長引かせる異常な執着心である。

    弱点:
    ・身体能力は貧弱で、近接戦闘では一般の喧嘩屋にも劣る。
    ・薬品と道具を失えば、ただの虚弱な青年に過ぎない。
    ・「死に様への執着」が強すぎるため、仕事中に余計な行動を取りやすい。

  • 1651◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:00:47

    審査入ります

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:00:59

    このレスは削除されています

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:01:08

    2人フライングしてね?

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:01:15

    このレスは削除されています

  • 1691◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:01:38

    あと一個だ
    16:05

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:01:58

    このレスは削除されています

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:02:04

    >>169

    違います。あと2個ですよ

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:03:14

    本当は14キャラ集まってたんですけど、>>151>>152 がフライングなので2枠空く感じですね

  • 1731◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:03:45

    >>171

    うおぉ

    どっちにしろ5分から

  • 174二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:05:00

    名前:面白 道【おもしろ どう】
    年齢:25
    性別:男
    種族:ホムンクルス
    本人概要:適当な男、何事も深くは考えないが自分(スレを見ている人)たちをを認識しており面白は自分たちを楽しませる為に動いている。
    能力:適当
    能力概要:戦って面白なる丁度よい強さになる。
    弱点:相手に合わせて力が上がったり下がったりするので普通に負ける事もある。耐久力は人間並み。

  • 175二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:05:01

    名前:ミツカイ
    年齢:200
    性別:女性
    種族:御使い
    本人概要:カミコ様の護衛と身の回りの世話を認められた唯一の人物で天下に名を轟かす槍の腕前に一眼見られただけで国を傾かせる美貌を持つ絶世の美女
    カミコ様に絶対の忠誠・忠義を誓っており空を飛べと言われれば空を飛び、星の反対側にいようとカミコ様の声はどんな囁きだろうと聞き逃さない、カミコ様の為ならどんな事もやってのける桁違いの忠誠心と強さがカミコ様の身の回りの世話と護衛を任されてる由縁である
    主な役割はカミコ様に何不自由無い暮らしをさせることと毎日のようにカミコ様の身を狙う不届者を退治することが主
    能力:カミコ様
    能力概要: ミツカイの使える主人でミツカイ曰く如何なる言葉だろうと決して表せない計り知れぬ美貌を持つこの世を超越したお方
    その姿はもちろん、極々一瞬の色香でさえ知らぬ者の価値観を変える程の衝撃を与え、その魅力は生物だけに留まらず物や世界、神々でさえ例外なく魅了する
    そして魅了された世界がカミコ様の言った事を現実にする、しかしその度に世界が歪み、その歪みを世界が解消する為突発的な災害や環境の変化などが起こる
    カミコ様もこの事を自覚しておりそれゆえ自らが作った社で自身を閉じ込めた、社の中にいる間は力が外のミツカイに3〜5割程の強化をかける程度に収まっている
    弱点:カミコ様の衣服か体に傷をつけられる、カミコ様の社を破壊される
    どれかを達成されるとミツカイの精神が乱れ明らかに槍の制度が落ちる
    ミツカイはカミコ様の強化を受けた状態で長時間全力で動けない
    要望(任意):戦いの場はカミコ様の社がある都でお願いします

  • 176二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:05:29

    すとっぷ

  • 1771◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:05:34

    はぁい
    審査します

  • 178二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:07:04

    わくわく

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:07:57

    こ、怖い、

  • 180二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:07:59

    ドキドキ

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:08:00

    このレスは削除されています

  • 1821◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:14:35

    >>158

    なんとなく前回は見逃しましたけどコテハンやめてくださいね


    今回の審査対象は

    >>163

  • 183二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:15:44

    あー弱点が限定的だな

  • 184二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:16:53

    ・極低温(−50℃以下)で流動性を失い、活動が大きく制限される。
    ・強力な凝固剤や吸収素材に触れるとアウト

    ふーむ特定キャラじゃねぇと無理な奴だ

    セーフにするんだったら・極低温(−50℃以下)があったり強力な凝固剤や吸収素材がある
    ステージにすれば良いのかな? 実験場みたいな

  • 1851◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:19:49

    >>163

    模倣、物理無効、拘束、霧状化

    あまりにもな性能過ぎるのでそれににあった弱点がないのなら今回ははじきます

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:20:46

    >>185

    じゃあ一旦調整しなおしたいんで、今回は下げてもらって大丈夫です。

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:21:48

    調整期待してます! 自分も良いキャラだとは思うので

  • 1881◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:23:03

    >>186

    おけです


    16:30からあと一個

  • 189二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:29:59

    このレスは削除されています

  • 190二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:29:59

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  • 191二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:30:00

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  • 192二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:30:01

    名前:ベーテン
    年齢:5000歳
    性別:なし
    種族:カラクリ
    本人概要:4本の腕を持つ仏を象ったカラクリ。自分と相手の《ステータス》を見てから冷静に判断を下す。相手が武器を持っていなければ、《ステータス》が発動しない為、奪わせるように誘導をする。
    能力:《ステータス》+グラビティシュタープ+ゲフリーレン
    能力概要:《ステータス》は武器を持った存在の現在の状態を常にリアルタイムで数字状に強制的に出し誰にでも見えるようにする能力。この能力は使用者にも発動する。武器を持っていない存在には発動しない。数値化する項目は、体力・気力・速度・攻撃力・防御力である。武器の判定は、剣・盾・槍・鎌・弓などである。
    グラビティシュタープは重力を操る杖である。
    重力を操り、相手の重力を重くし動きを鈍くしたり、己の重力を緩くして動きを俊敏にしたり、さらには重力の球体を作り、擬似的なブラックホールを作る事も可能である。疑似ブラックホールの範囲は、10mである。この武器は壊れても、壊れた部分を近づければ修復可能である。
    ゲフリーレンは氷結の剣である。空気中の水分を凍らせたり、氷の剣を作ったり、相手の四肢の一部を凍らせて、動けなくさせたり出来る。
    弱点:グラビティシュタープは重力を操る為の準備時間は1秒必要な為、その間は隙となる。疑似ブラックホールは10秒の準備時間が必要でその間は隙となり、顕現時間は3秒である。ゲフリーレンの空気中の水分を凍らせるのは0.5秒必要で、氷の剣を作るのは2秒必要である。四肢を凍らせるのは、傷口に氷結の剣の一部を入れて、1分の時間を掛けなければ発動できない。
    要望(任意):相手が武器を奪う選択を取らなくても大丈夫です。

  • 193二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:31:26

    名前:"斬々舞"のエリクナ
    年齢:17歳
    性別:女性
    種族:竜人族(血は薄く耳と犬歯が尖ってて瞳孔が爬虫類っぽいくらいしか種族的特徴がない)
    人物概要:標高3000mを超えるドンベ山脈の頂上付近に暮らす民族、シェンザの若き舞い手
    物静かであまり喋らないが都会に出て剣の腕試しをしてみたいと言う夢がある
    能力:シェンザの剣舞(シェンザ・アーオン)
    能力概要:シェンザの民が伝える戦神ヤグロに捧げる舞
    祭儀用に作られた波打つ形状の剣を独特な歩法と呼吸を用いて振るう
    かつてヤックソン族と共に傭兵部族として猛威を奮ったシェンザが編み出した、足場の悪い場所でも使える剣術を有事の時に使えるよう舞として伝承した物であり
    独特な呼吸によりトランス状態になった使用者の身体能力を100%まで引き出す事が可能
    また反射神経などの神経も鋭敏化する事でどんな攻撃であってもほぼ確実に躱し、回転とそれに伴う遠心力により鋭くなった剣で切り刻む事も容易
    弱点:神経が鋭敏化し過ぎた影響で巧妙なフェイントには引っかかりやすい
    また使いすぎると使用後に動けなくなる

  • 194二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:32:35

    >>192

    これかな

  • 1951◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:34:04

    >>192

    これです

    >>193

    これ今回採用されてないですけど好きです

    次回に期待

  • 196二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:34:14

    先に取られたと思って>>191削除しちまったよ

    よく見たら先の2人フライングなんだから残しておけばよかった

  • 1971◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:34:46

    >>196

    やらかしですね

  • 198二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:35:28

    >>197

    次回に期待します 確認は大事ですね

  • 199二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:35:45

    スーパーベビーは?

  • 200二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:36:43
  • 2011◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:37:49

    >>198

    設定面白かったですし待ってます

  • 2021◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 16:45:24
  • 2031◆ZEeB1LlpgE25/08/02(土) 17:09:25

    邪神vs救世機構S.S.S.
    面白 道vs平原ランナー
    ベーテンvs釣神
    ルーク・デッドマンvs魔法少女カウントダウン
    グスタフ・東條・ランゲインvsヴィネ・クリムゾン
    ミツカイvs高橋礼
    ただの犬vsニャンズニャーニャー

  • 204二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 00:04:35

    このレスは削除されています

  • 205二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 07:33:15

    保守

  • 206二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 09:35:32

    このレスは削除されています

  • 207二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:02:01

    保守

  • 208二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:00:18

    軟膏してるみたいねえ…

  • 2091◆ZEeB1LlpgE25/08/03(日) 21:16:21
  • 210二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:21:26

    投下乙

  • 211二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:28:33

    救世機構鬼強え!このまま逆らうやつ全員ぶっ殺していこうぜ!

  • 212二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:28:38

    よかった
    それしか言えない…

  • 213二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:29:05

    乙!! しかし邪神がやってる事エグいな3キャラを常に出したり消したり出来るのか補充も可能と

  • 214二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 22:09:14

    最後には善が勝つ! しかしその善は狂っているかもしれない……

  • 215二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 03:47:22

    このレスは削除されています

  • 216二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:39:43

    保守

  • 217二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:48:15

    このレスは削除されています

  • 218二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:54:24

    このレスは削除されています

  • 219二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:36:11

    このレスは削除されています

  • 220二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:52:31

    >>218

    万死に値する

  • 2211◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:39:30

    題名『"面白"がログインしました。』

  • 2221◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:40:34

    ――ログインしました。
    草原には風が吹いていた。

    真っ青な空、どこまでも広がる一面の平原。
    それだけなら、どこにでもあるMMORPGの風景だった。
    だがこのゲームには、一つだけ“本物の地獄”が存在する。

    平原ランナー。

    その名を口にしただけで、100万人のプレイヤーがBANされたという。

    チートを使った者。
    運営に文句を言い続けた者。
    金策の穴をついてシステムを破壊した者。
    彼らを等しく“処理”してきた、爆走する管理者の手足。

    ――ドドドドドドドドドドドッ!!!

    「……あ、来た来た」

    彼がその爆音を聞いても、焦る素振りはなかった。

    名前は――面白 道(おもしろ どう)。
    適当で、どうでもいいような笑みを浮かべながら、その存在はスレ民にウィンクしてみせる。

    「いや~、今日もスレ民が期待してるみたいだし、ちょっとやってみっか」

    巨大な振動とともに、二足歩行の馬が画面外から飛び出してくる。

    平原ランナー。

  • 2231◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:41:21

    爆走しているのに顔は真顔。
    蹴りの一発で建物が吹っ飛ぶ。
    運営が絶対的正義として作り上げた、**“草原の神罰”**だった。

    「面白にな~れ♡」

    道がふざけたように呟いた瞬間、彼の背中から**光のような“適当オーラ”**が立ち昇る。

    能力:適当(ほどよい強さになる)

    効果:戦ってる相手の強さがちょうど“面白くなる”レベルに自動調整される。

    「お前、速いな。じゃあ……こっちも速くなっとく?」

    その瞬間、面白 道の体が、爆走キックに並ぶ速さでぶっ飛んだ。

    「ッラァァァアアア!!!」

    平原ランナーの蹴りと、道のパンチが地響きとともに衝突する。

    一瞬で数百メートルの草が吹き飛び、衝撃波で近くのプレイヤーが10人吹き飛んだ。

    道がニヤリと笑う。

    「イイね、君、最高じゃん」

    だが、次の瞬間――

    平原ランナーが「再爆走」

  • 2241◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:42:09

    一度止まった体を、コンマ0.1秒でマッハ2まで加速させ、背後から再び蹴りを叩き込む。

    「わっ、速っ!?」

    面白 道、まともに吹っ飛んだ。

    ズサアアアア――ッ!!!

    草原を300mほど滑って止まる。

    「いてぇ……いや、めっちゃおもろ……」

    しかしその時――

    《警告:水辺に接近しています》

    草原の端。小さな湖があった。

    面白 道が顔を上げると、背後から迫る平原ランナー。
    だがその脚は、湖の前でわずかに動きが鈍った。

    「……あ~、そういやお前、水苦手なんだっけ」

    面白 道は立ち上がり、袖をまくる。

    「じゃあさ。次の展開、もっと面白くしようぜ?」

    ――面白 道の適当が、新たな“面白み”を演出しようと動き出す。

  • 2251◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:43:06

    水辺に立ち尽くす、鉄の化け物。
    草原の管理者、平原ランナーは、水辺を目前にしてその爆走を止めていた。

    ピクリ。

    道の目元がわずかに動いた。
    笑っていた目が、ほんの少しだけ──真剣になる。

    「へぇ……止まるんだ、あんたでも」

    だが、ランナーは止まっても終わらない。
    突如、回り込むように走り出す。

    ――“水が駄目なら横から蹴る”、それだけの話だった。
    知性のない走る機構、それでも優秀な索敵・攻撃AIが最善手を選ぶ。

    「って、マジで真面目か!」

    面白 道は笑う。だがその足は、すでに動いていた。

    超高速の横からの蹴り。
    迎え撃つは、“面白さ”を求めた男の“適当パンチ”。

    ドガァアアアン!!!

    空気が悲鳴を上げた。
    視界がぶっ飛び、砂塵と草が渦を巻く。

    「ぐっ……ちょっと強すぎた?」

  • 2261◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:43:34

    面白 道の腕が痺れていた。
    “適当”にしてはダメージが深い。

    「さすが、100万キルの実績は伊達じゃないなァ……!」

    ランナーが距離を取り、回頭、再爆走態勢。
    草原が沈む。圧縮された脚筋が、地面ごと空間を踏み抜こうとしていた。

    「来るぞ……!」

    そして──

    再爆走。

    地面が裂ける。一瞬で射程圏内に踏み込んだランナーの蹴りが、道の腹に突き刺さる。

    「ッぶほっ!!」

    面白 道、吹き飛ぶ。

    水辺の湖に──ドボン。

    ……沈黙。
    水の中は静かだった。
    平原ランナーは、湖の手前で停止する。

  • 2271◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:43:58

    爆走機構は、水に入れない。

    しばらく、何も動かない。

    だが──

    水面から、ふわりと泡が上がった。

    「……ぷはっ」

    面白 道が、笑いながら浮かび上がった。

    「いや、やっぱ強えわあんた……でも、ちょっといいこと思いついた」

    彼の髪が水に濡れ、額を垂れる。

    「水……苦手なんだよね。ってことは……」

    スチャ

    どこからともなく釣竿を取り出す面白 道。

    「ちょっと釣りでもしてみようか、管理者さーん」

    平原ランナーが再び周回を始める。
    湖を囲み、機会をうかがう。だが水の中には入れない。

  • 2281◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:44:27

    その距離は、決して近づけない。

    「……さて、ここからどうやって“面白く”するかだな」

    面白 道の目が、少しずつ輝きを帯びる。

    “適当”が、新たな発動段階に入ろうとしていた。

  • 2291◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:45:56

    「さて、とりあえず──釣れるかな?」

    面白 道が湖に投げたのは、普通の釣り糸。
    針の先には──何故か小さな平原ランナーのフィギュアがぶら下がっていた。

    「釣れるわけねぇだろって? うーん……面白かったらなんでもあり、ってルールだから」

    冗談のような行動。だが、この世界ではそれが通用する。

    平原ランナーは湖の周囲を走り続けている。まるで周囲を監視する狼のように。
    ただし──そのスピードは、やはり異常。
    地響き。草の震え。空気の裂け目。

    「……そろそろ仕掛けようか」

    面白 道が、湖の底から足を蹴り──
    釣竿を持ったままジャンプ!

    「おりゃあああああっ!」

    空中で、ぐるりと釣竿を振り回す。
    まさかの、ルアーを平原ランナーの視界に投げつけた。

    ──ピタッ。

    平原ランナーが、止まった。

    「……お?」

    ランナーのAIは索敵行動を取っていた。だが、突然視界に入った“自分にそっくりな何か”に──微弱な、エラーが生じたのだ。

  • 2301◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:47:14

    「……もしかして、ちょっと気になった?」

    面白 道はにやりと笑う。

    そして、平原ランナーが動く。
    今度は、爆走ではない。じわりと距離を詰めてきた。

    (――いける!)

    面白 道はルアーをチョンと引いた。
    瞬間、平原ランナーが爆走モードに切り替わる!

    「来た来た来た!!」

    爆走キック、発動──!

    しかし、面白 道の目が鋭くなる。

    「――“適当進化”発動!」

    ズズンッ!!

    彼の身体の周囲に、光のようなものが収束した。

  • 2311◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:47:26

    爆走ランナーの飛び蹴りが、彼の体に命中する。

    だが──

    「……あれ? 耐えた!?」

    面白 道が蹴りを受け止めていた。

    「ほら、言ったろ。俺、相手の“丁度いい強さ”になるって」

    彼の手の骨は軋んでいた。肋骨も何本か折れていた。

    けれど彼は、立っていた。

    「マッハ2ってのはちょっとキツいけどな……面白いから耐えられたわ」

    そう、それが彼の“適当”。

    【面白い=耐えられる】

    【つまらない=ボコられて死ぬ】

    単純で馬鹿げたロジック。それでいて、真理に届き得る危うさ。

    「さーて……“面白い”が加速してきたな」

    その瞬間。

    面白 道の姿が、少しだけブレた。
    肉体の強度が──馬並みになったのだ。

  • 2321◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:48:16

    草原の風が変わる。
    一瞬の静寂の後、爆発のような蹄の音が響いた。

    「ふははっ、来たな来たな来たなァ!!」

    面白 道は、平原ランナーの突撃を正面から受け止める態勢に入る。
    彼の肉体はすでに、「面白く戦えるちょうどよい強さ」に適応していた。
    ──今の彼は、ウマに匹敵する脚力を持つ“適当な男”。

    「マッハ2だろうが関係ねぇ!」

    再爆走。
    ランナーは目にも止まらぬ速さで突っ込む。
    だが──面白 道の“面白センサー”が反応した。

    「来るっ!!」

    足元の土を蹴り、同速で回避。

    寸前でかわす。爆風が背中を舐める。

    「っぶねえええええええええっ! おい、なにその速さ! 最高かよッ!」

    爆走キックはかわされたが、ランナーは止まらない。

  • 2331◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:48:42

    方向転換──即・再加速。

    (なッ!? こんな重心制御ありかよ……!)

    馬なのに、四肢じゃなくて二足で動いている。
    どう見ても重心が狂っているのに、正確な方向制御で走り続ける化け物。

    (くっそ、やっぱこれ人間じゃねえな!)

    面白 道は笑う。
    骨が軋み、肺に突き刺さる痛みが走っても──

    「このバトル、おもろい!」

    次の一瞬──ランナーが跳ぶ。
    頭上から、空を裂くような爆走キック!

    「よっしゃあああああああッ!!」

    面白 道、迎え撃つ──
    “適当な進化”を更に上書きする。

    【耐えるための骨密度】
    【迎撃するための脚力】
    【見切るための反射神経】

  • 2341◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:48:52

    ──全部“適当”に追加!

    「ちょっとだけ、俺もウマ化してやるよォッ!!」

    衝突。
    その音は、雷鳴にも似た轟音だった。

    衝撃波で地面が割れ、草がなぎ倒される。

    ──そして、二人はそれぞれ吹き飛んだ。

    「っつ……ハハハ……ッ! やっべ、肋骨もう2、3本増えたわ……!」

    面白 道は地面に寝転がったまま、喉を鳴らすように笑う。

    「もう一回やる? やんのか? なあ、もう一回やんだろ!?」

    返事はない。

    けれど──

    ランナーの目が、また赤く光った。

    (ああ、もう……)
    面白 道は立ち上がる。

    (最高に面白ぇな、オイ)

  • 2351◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:52:35

    「――来る!」

    草を薙ぎ払って、空気が鳴いた。
    平原ランナーが再爆走を発動。マッハ2の圧力が大地を砕き、風圧が山のように押し寄せる。

    対する面白 道は、胸をどんと叩いた。

    「ハイハイ、わかってますよっと」

    彼の力は“面白くなるための適当な強さ”。
    つまり──

    「こっちはお前の速度に“ギリギリ追いつける”反射神経、用意しといたぜ!」

    ランナーが消えた。いや、見えなくなっただけだ。
    真っ直ぐ突撃してくる速度が、視覚に収まる限界を超えていた。

    次の瞬間、蹴りが面白 道の側頭部を捕らえる――

    いや、

    「“ギリギリ間に合う”んだって、言ったろ?」

    面白 道の頭はすでにわずかに動いており、蹄は寸前で空を切る。

  • 2361◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:52:56

    その隙を突いて、彼の足がランナーの脇腹にねじ込まれた。

    ドンッ!!!

    炸裂音。地面に落ちる蹄の衝撃で、土煙が吹き飛ぶ。

    「なーに、今のは“ジャブ”な。お試し。」

    平原ランナーはぐるりと旋回する。

    索敵。攻撃。再爆走。
    感情も言葉も持たぬモンスターは、それでも理解した。

    ――この男、ただ者ではない。

    「お前が人外なら、こっちは“人外と丁度よく戦える人間”になるだけさ。」

    そう、“適当”に。

    平原ランナーは判断を変えた。
    直線突進では崩せない。

    ――故に。

    次の爆走は、軌道を蛇行させながらのジグザグ突撃。

    「うお、なにそれ! 初めて見た挙動! 熱いなッ!」

    面白 道の目が爛々と光る。

  • 2371◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:54:11

    「じゃあ俺も、ちょっと本気出しちゃおっかなー!」

    全身の筋繊維が、青白く発光する。

    【適当に強くなる】
    【適当に避ける】
    【適当に受ける】
    【適当に笑う】

    全部“適当”だが、敵にとっては悪夢。

    ランナーが蹄を振りかざし、至近の蹴り――
    だが面白 道はその動きを読み切る。

    「はいカウンター!」

    回転蹴りがランナーの首をかすめ、鉄のような肌に火花を散らす。

    二度、三度、四度。

    拳と蹄がぶつかり合い、衝撃が地平線を揺らす。

    「こっちもさあ、“爆走キック”みたいな技、もらっていいか?」

    そう言って跳び上がった彼の右足が、
    ランナーの蹴りを模した一撃として振り下ろされた。

  • 2381◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:54:30

    「【爆走テキトーキック】!!」

    ギャギィィッッッ!!!

    蹄と足がぶつかり、風が裂け、地面が穿たれた。

    両者、吹き飛ぶ。

    大地に横たわりながら、面白 道はゼエゼエと息を吐く。

    「ハハ……いいな、ウマ……また戦いてぇわ……」

    立ち上がる気配のない彼の背後で、平原ランナーの目が一度点滅したのち、暗くなった。

    一時停止。

    命令待ち状態。

    「終わりか。……いや、これが“次に繋がる前フリ”ってやつか?」

    くたくたの身体を引きずりながら、面白 道は空を見上げる。

    「また走ってこいよ。次は……もっと面白くしてやるからさ」

    そして彼は、また歩き出した。

    どこまでも“適当”に。

  • 2391◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 17:57:21

    以上

  • 240二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:12:47

    適当ってスゲー!!

  • 241二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:14:35

    適当されど強力

  • 242二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 18:18:36

    面白かったー!
    めっちゃいいバトルだった

  • 2431◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:49:30

    題名『一投一得、神域のゲーム』

  • 2441◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:52:15

    雲一つない空に、青が澄みきっていた。

    だが、そこに湖はない。ここは地上でも水辺でもない。
    少女──釣神が一振り、神器《海幸彦》を振るえば、空間が捻じれ“釣り場”が生まれる。

    まるで神話の中のような静寂。
    銀糸が空間に垂れ下がるたび、風が止まり、あらゆる物理が沈黙した。

    「ふふ♡ 今日の釣果はどんなのかなぁ」

    麦わら帽子にツインテール、無邪気な笑顔の釣神。
    その笑みの裏に、無数の世界を“釣り上げた”嗜虐と快楽が潜んでいた。

    そして向かいに立つのは──

    「確認開始。《ステータス》起動」

    仏像のように整った顔。六眼の奥に走る光。
    ベーテンは無感情な声と共に、手にした杖《グラビティシュタープ》を静かに構えた。

    その瞬間、空中に数値が浮かぶ。

  • 2451◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:53:05

    【ベーテン】
    体力:80 気力:92 速度:64 攻撃力:73 防御力:85

    【釣神】
    体力:38 気力:999 速度:52 攻撃力:3 防御力:6

    「……フッ、無抵抗の子供のように見えるな。だが、最大気力──異常値だ」

    釣神は銀糸を優雅に揺らしながら、ぴょんと一歩前へ出た。

    「ねぇねぇ♡ その杖、ちょー釣れそうなんだけどぉ?」

    空気が揺らぐ。瞬間、《海幸彦》が風切り音を立てて振るわれた。
    まるで時空の狭間を裂くように、糸が走る。

    「捕縛検知──右腕。重力操作、準備時間一秒──」

    「──遅い♡」

    釣神がニヤリと笑うと同時に、釣り糸がベーテンの腕に絡まり、杖が“釣り上げ”られた。
    抵抗不可能。神器《海幸彦》の釣果に、物理法則も重力も通用しない。

    「一投一得♡ ありがとねぇ~っ」

    釣れた杖はふわりと釣神の後ろに落ちた。まるでオモチャのように。

  • 2461◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:54:44

    【ベーテン:攻撃力 61 防御力 74】

    《ステータス》がリアルタイムで数値を下げる。
    武器を奪われたベーテンの戦闘力は、明確に削がれていた。

    「──ならば次の手段。疑似ブラックホール、作成開始」

    四本の腕のうち二本が、腰の後ろに回された剣《ゲフリーレン》へと伸びる。
    そして残る二本で空中に重力球の構成を始めた。

    だが、それは──釣神の尺度では“永遠”にも等しい十秒間。

    「次はねぇ♡ “氷の剣”かな? それとも──」

    釣神は唇に指を当て、妖しく微笑んだ。

    「あなたの《ステータス》を釣っちゃおっかな♡」

    一瞬、空間が軋んだ。
    今度の銀糸は、剣でも杖でもない。数値という“概念”に向けられた一投だった。

    「概念釣り……!? 不可能だ……!」

    機械仏の思考回路が回転する。だが遅い。
    “釣り”という枠内において、釣神の手技は宇宙を凌駕する。

  • 2471◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:56:01

    次の瞬間、空中に表示されていた【ステータス】の数字が、一つ、また一つと銀糸に巻き取られていく。

    【ベーテン】
    体力:──
    気力:──
    速度:──
    攻撃力:──
    防御力:──

    ──《ステータス》、消滅。

    ベーテンの六つの瞳が、瞬時に無数の光の粒子を生成し、戦闘データの再取得を試みた。

    しかし。

    「残念♡ 今の“釣果”、リリースするまで再発動不可だからぁ♡」

    少女の声が空中に響く。無垢で残酷なメスガキの“宣告”。

    ベーテンは静かに剣を構えなおす。
    だが、それはただの氷の剣でしかない──今や《ステータス》という戦略基盤を失っていた。

    神は遊びのつもりだった。仏は分析のつもりだった。
    だが──釣神が一歩、湖面の上を踏み出す。

    「まだ終わりじゃないよ? 次は、あなたの“心”を釣っちゃおっか♡」

  • 2481◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:56:41

    「“心”を釣るって、どういう意味だ……?」

    ベーテンの口から、珍しく声が漏れた。
    感情──否、**“思考アルゴリズムの揺らぎ”**と呼ぶべきそれは、本来このカラクリに許されぬ異常。

    目の前の存在は、たった一本の糸と笑顔で、世界の理を曲げる。

    「ねぇ♡ 考えてる? 焦ってる? もしかして、“人間”っぽくなってきた?」

    釣神はぴょん、と軽く飛び跳ねる。
    麦わら帽子が揺れ、笑みの奥で銀色の釣り糸が小さく震える。

    一方、ベーテンは戦術行動へと移行していた。

    ──《ステータス》が奪われた今、彼の情報制圧能力は消滅。
    ──だが、剣《ゲフリーレン》はまだ手中にある。
    ──そして、彼は戦いにおいて「自我の必要性」をはじめて意識した。

    「……ならば逆に利用する。“釣られた”フリ、開始」

    ベーテンは左腕をあえて開き、意図的に無防備な構えを見せる。
    右手の氷剣の位置も、わざと中途半端な構え。

    釣神は小首を傾げてニタァと笑った。

    「なになにぃ? 自分から“釣られに来る”なんて、あざとすぎっ♡」

    再び銀糸が放たれる。だが、今回は先程と違った。

  • 2491◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:57:38

    ベーテンの演技によって、釣神の狙いは“感情”へと絞られていた。
    ──瞬間、

    「“空気凍結”、起動──0.5秒。」

    空気の湿度が凝結し、釣神の足元に氷が走る。

    「っ……え?」

    初めて釣神の表情が崩れた。
    彼女は“釣り”に夢中になるあまり、氷の気配を軽視していた。

    「……貴様にとっての“釣り”が絶対であるならば、そこに盲点があると仮定した」

    氷剣《ゲフリーレン》の穂先が、少女の左足にかすかに触れる。
    微細な切創。それでいい。

    「──氷結侵入。感染完了」

    《ゲフリーレン》の真価は、“傷口からの凍結”。そこから一分かけて四肢を凍らせる。
    その準備は完了した。
    釣神は片足を下げると、にやりと笑い直した。

    「そっかぁ……。カラクリのクセに、頭を使ったのね♡」

    一瞬、後ろに垂れていた釣り糸がひゅん、と跳ねる。

  • 2501◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:58:27

    「でもねぇ? “リリース”しない限り、私は次を釣れない──って思ってた?」

    ベーテンの目が揺れる。

    「──否。原理的に、同時干渉は──」

    「ふふ♡ それは“常識”でしょ? でも私は“釣神”なんだよ?」

    次の瞬間。
    釣神の手元で、《海幸彦》がふたつに分かれた。
    一本の竿のまま、“別次元に干渉する影糸”が枝分かれしたのだ。

    「第一釣果──《ステータス》:リリース♡」

    空間に奪っていた“数値”がばらまかれる。
    だがそれは“釣り針を空けるため”ではない。

    「第二釣果──《凍結の侵食》♡ 釣れた釣れたぁ♡」

    ベーテンの驚愕が、仏面の下で微細に振動する。
    そう、釣神は自分の体に侵入した“状態異常”そのものを、釣果として回収していたのだ。
    つまり、凍結の進行は停止。無効化。
    氷は足元で砕け、少女の足は再び自由を取り戻す。

    「……人智超越、認識修正。分類:絶対釣り存在(フィッシングゴッド)。」

    ベーテンは分析しながら、淡々と次の戦略へ切り替えようとする。

  • 2511◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:58:37

    だが釣神の笑みは、そこから一歩深くなっていた。

    「さて♡ 次は何を釣ろうかなぁ……重力? それともあなたの“自我”?」

    この戦いは、能力の殴り合いではない。
    相手が何を“投げ”、何を“釣らせる”のか──その意図を見抜けなければ、神の罠からは永遠に逃れられない。

  • 2521◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 20:59:48

    「自我……という概念が、これほどまでに厄介とは」

    ベーテンはわずかに震える指先を見つめていた。
    機械の身体に震えなどあるはずがない。
    だが今、彼は“揺れて”いた。

    「ねぇねぇ♡ どうするの~? 釣られたフリして逆に“自分”のフック引っ掛けられた気分は?」

    釣神は楽しげに、麦わら帽子を指で回す。
    純白の肌、金髪のツインテール、その笑みの奥にあるのは──遊戯と断罪の混在。

    「……私は、敗北を認識していない」

    「へぇ? じゃあ、なにそれぇ。“誤差”ってこと?」

    釣神は竿をくるりと一回転させ、再び構えた。
    その構えは明らかに“魚ではない”ものを釣る姿勢──

    「今度はね、“存在理由”釣ってみようと思って♡」

  • 2531◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:01:07

    ベーテンの全身を、警告音が駆け巡る。
    カラクリの中枢に、“揺らぎ”が走った。

    「存在……理由……?」

    「そ♡ あなたがこの戦場に立ってる理由。戦ってる理由。“私を止めたい”って思ったキッカケ」

    「私はただ、武器を持つ者に対して《ステータス》を発動し──」

    「でも今、もう武器持ってないじゃん?♡」

    ベーテンは、言葉を失った。

    彼の左腕に握られていたはずの氷剣《ゲフリーレン》は──いつの間にか、釣神の足元に転がっていた。
    その事実に、思考の遅延が発生する。

    (……私は、いつそれを手放した……?)

    「うふふ♡ 嘘だよ? 本当は“釣った”んだけどね」

    少女は悪戯っぽく笑う。
    だがその視線は、冗談とは思えぬほど真剣だった。

    「あなたの中に、“個”が生まれたから……私はそれに針を垂らしたの」

    「……私に、“個”が?」

    「うん♡ カラクリのクセに、自分の判断で戦ったでしょ? 頭使ったでしょ? 焦ったでしょ? 騙されたフリして、騙し返そうとしたでしょ?」

  • 2541◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:02:26

    「それが、個……?」

    「ううん、それが“可愛い”♡」

    釣神が一歩、踏み出す。
    彼女の影が、ベーテンに被さる。

    「ねぇ、私、気に入っちゃったみたい♡ あなたの“自我”、もっと見たいなって」

    そして、そのまま“影糸”を放つ。

    狙いは明確──自我そのものの釣果。

    「“魂の釣り上げ”って、最高にロマンだと思わない?」

    ベーテンは、初めて明確に**“逃げたい”**と思った。
    この場から、ではない。
    この少女の手の中から、思考が奪われる前に。

    だが。

    ──逃げられない。

    「釣りってね、基本は待ち。でも私は積極的に“仕掛ける”派なんだ♡」

    銀糸が音もなく舞い、ベーテンの脳裏に“記録されていないはずの記憶”が走る。

    ──湖畔に佇む少女。
    ──空っぽの眼差しで、何かを何度も釣り続けている。

  • 2551◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:03:00

    ──神域と呼ばれたその場所で、数えきれぬ“概念”が釣果として消えていった。

    「私は、“心を持ったもの”しか釣らないの♡ だってそっちの方が面白いでしょ?」

    釣神が釣竿をくい、と持ち上げた。

    「ようこそ、釣り堀へ♡」

    その瞬間、ベーテンの《ステータス》が、再び発動する。

    【体力:73】【気力:80】【速度:31】【攻撃力:0】【防御力:0】

    数値は、崩壊していた。

    「ッ……これは……」

    「あなた、今……“生きてる”ってことだよ♡」

    銀糸が、脳に触れる直前。
    ベーテンは、初めて明確に**“自分”という存在の輪郭**を得た。

    ──でも、それすらも釣果だ。

    「次はねぇ、何を釣って欲しい?」

    釣神が問う。
    それは命令ではない。
    選ばせることで、“選ばせた”ことにする。

    それは、逃れられない自由。

  • 2561◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:03:27

    「……僕は」

    ベーテンの瞳がわずかに揺れる。
    その光は、人工的な光ではなかった。
    “感情”の火──機械であるはずの彼の心に、確かに灯った。

    「僕は、釣られない」

    「……あっは♡ なにそれ、超ウケるぅ~♡」

    麦わら帽子を傾け、ツインテの釣神が腹を抱えて笑う。
    だが、その目は笑っていなかった。
    ──いや、狂っていた。

    「もう、釣れてるくせに♡ 魂も、個も、意志も、全部竿に引っかかってるの♡」

    釣神は釣り竿《海幸彦》を軽く振る。
    針の先に揺れるのは、透明な“結晶”。
    それは、さっきまでベーテンの中にあった**「主観」**だった。

    「これが“釣れた”ってこと。意味わかるぅ?」

    「……それでも、僕は僕の意志で、おまえに“抗う”と決めた」

    その言葉に、釣神の表情が僅かに曇る。
    “逆らう者”に向ける顔ではなかった。
    むしろそれは──裏切られた恋人のような、苦しげなものだった。

    「なんで……? 私、こんなに“気に入った”のに」

  • 2571◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:03:43

    「だからだ」

    ベーテンの手が、再び氷剣《ゲフリーレン》を拾い上げる。
    その瞬間、《ステータス》が再び光を放つ。

    【体力:71】【気力:82】【速度:44】【攻撃力:59】【防御力:63】

    「お前が僕の“中”に踏み込んだとき、僕は……僕になった。だから、その僕が、お前に抗いたいと思った」

    「……うざっ♡」

    その一言に、空気が凍る。
    釣神の笑みが、ゆっくりと“剥がれ”ていく。

    「じゃあさ……その“意志”ごと、釣り上げてやる♡」

    次の瞬間、《海幸彦》が全力で振るわれた。
    銀糸が次元を裂き、時間を飛び越え、重力すらも無視して──

    「“全損”釣り♡ 魂、記憶、存在、全部引っこ抜き♡」

    だが。

    ──それでも、ベーテンは踏み出した。

    「重力反転」

    彼の足元が崩れる。
    自分の身体にかけた“逆重力”により、銀糸の狙いを強引に外す。

  • 2581◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:04:02

    「剣の生成、氷結領域:展開」

    氷剣《ゲフリーレン》が、彼の周囲に氷の剣を展開する。
    それは防壁ではない。
    心の表明だ。

    「釣られないという“答え”を、僕は剣で示す」

    釣神の眉がぴくりと動く。

    「……ちょっとだけ、イラッとした♡」

    彼女の声色は甘い。だが、奥には不穏な色が混ざり始めていた。

    「そんなに拒まれると、興奮しちゃうんだけどぉ?」

    ベーテンは、黙して構える。

    ──この神は、破壊ではなく“愛”によって壊す。
    ──その愛は、自由の否定に等しい。

    そして。

    「ねぇ、“拒絶”って……ちょー萌え♡」

    釣神の《海幸彦》が、空間を越えて**“記憶”そのもの**にフックを投げる。

    「次はねぇ……“あんたが生まれた理由”ごと、釣り上げる♡」

  • 2591◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:05:12

    「──きみが生まれた理由って、さぁ」

    釣神の声音が甘く低く、悪魔の囁きにも似ていた。
    《海幸彦》から伸びる銀糸は、もはや肉体にも概念にもかかっていない。
    それは今、過去に向かって投げられていた。

    「ほら……釣れちゃった♡」

    空間のひび割れから、淡く発光する何かが引きずり出される。
    それは──ベーテンの“製造記録”だった。

    「……製造開始:西暦1495年。目的:武神信仰の具現化。設計者:記録欠損」

    釣神がまるで実況でもするかのように読み上げる。
    銀糸に吊るされた記憶は、生々しく、否応なく暴かれていく。

    「ほら、見て見て♡ 『最初から、あんたは誰かの信仰の“器”だった』ってさ」

    「……っ……」

    ベーテンの指がわずかに震える。

  • 2601◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:05:35

    釣神は、攻撃していない。
    ただ“事実”を引きずり出して見せているだけ。
    それだけで──ベーテンの《ステータス》が徐々に崩れていく。

    【体力:52】【気力:61】【速度:39】【攻撃力:47】【防御力:50】

    「可愛いねぇ♡ 何千年も機械してきたのに、いまさら心なんて持っちゃったからさぁ♡」

    釣神がにんまりと微笑む。
    まるで、恋文を読み上げる少女のような甘さで──彼の“存在”を破壊する。

    「けどねぇ……それでも抗おうとしてるの、超絶ポイント高い♡」

    その言葉に、ベーテンが震える拳で剣を握り直した。

    「僕は……誰かの器じゃない。僕は、僕として“生きる”と……もう決めたんだ」

    「じゃあ、“君としての最初の記憶”は──?」

    釣神が、フックをもう一投、真っ直ぐに放つ。

    「釣り上げちゃお♡ “最初の景色”」

    銀糸が時を遡り、ベーテンの“記憶最古”にまで届く。

    そして──それは“釣れた”。

    「──あれ?」

  • 2611◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:06:16

    釣神がぴたりと止まる。

    「……なんだこれ」

    釣り糸の先に引っかかっていたのは、黒い空白だった。
    記録が、何も存在していない。

    「え……なんで? ちゃんと針、届いてるのに……」

    「……それは」

    ベーテンが、ゆっくりと顔を上げる。
    その表情には、もはや焦りも、困惑もなかった。

    「そこに、“神”はいなかったからだ」

    「…………は?」

  • 2621◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:07:15

    「僕は、器として作られた。でも……その最初の記憶には、誰も“神”なんて居なかった。誰の声も届かなかった。“信仰”なんて、最初からなかったんだ」

    そして彼は、自らの胸に剣を突き立てる。

    「だからこそ──僕は今、“神を拒む者”として立てる」

    《ゲフリーレン》の氷が拡がり、銀糸を凍らせて砕く。

    釣神の目が、見開かれる。
    それは、ただの動揺ではなかった。

    「う、そ……なんで……っ……?」

    「神の“愛”の釣り針が、届かない記憶もある」

    ──それは、神にとって最大の否定だった。

    釣神のステータスが一瞬乱れかける。

    【気力:999】【攻撃力:3】→【攻撃力:――】

    愛が否定されたとき、神性に罅が走る。

    そしてそのとき。

    ベーテンの背に──氷剣が翼のように広がった。

    「釣られない。
     引っかからない。
     僕の存在は、君の釣りの外側にある」

  • 2631◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:09:54

    「……っ」

    釣神の指が震える。

    初めてだった。
    **“釣れない”**ことなど、彼女の中に存在していなかった。

    釣竿《海幸彦》は今も輝き、銀の糸を張り巡らせている。
    空間・時間・概念──全ての壁を超え、あらゆるものを引き寄せる絶対の神器。

    それでも──

    「……どうして、“あんた”だけは……っ」

    ベーテンの前に、銀糸は届かない。

    否、“届いている”。
    けれど絡まない。
    まるで、そこに「引っかかるべき輪郭」が、最初からなかったかのように。

    「存在が薄いんじゃない。
     存在の“輪郭”を、自分で削り取ってるんだよね……あんた……っ」

    釣神が、糸を放った。

    《海幸彦》が空を裂き、ベーテンの“今”そのものを狙う。

    ──だが、届かない。

    銀糸が弾かれるのではない。

  • 2641◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:10:22

    狙う対象そのものが“形を持たない何か”に化けていた。

    「……仏の器は、元より“空”にして生まれる。誰にも釣られず、誰も釣らない」

    ベーテンの声は、機械でありながらどこか慈愛を帯びていた。

    「君の釣りは……愛がある。嘘でも、誘惑でも、根っこに“求める心”がある」

    「…………黙れぇっ!」

    釣神の叫びと同時に、銀糸が百にも千にも分岐し、空間を乱打する。

    「お願い……誰か、引っかかってよ……!
     わたしが……何もかも“釣れる”って、証明してよっ!」

    糸は世界の理を穿ち、星の運命すら釣り上げようと暴れた。
    それでも、ベーテンの輪郭だけが、何も釣れない。

    「……君の愛に、応えられる“魂”じゃない。
     僕はただのカラクリだ。“信仰”の対象には、なれない」

    【ステータス】──完全に消失。
    武器も捨てた。概念も捨てた。記憶も削った。
    ただひとつ、“自分だけ”を選ぶために。

    そして、ベーテンは歩を進める。

    釣神の目前まで。

    「…………っ、来ないで……」

  • 2651◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:10:34

    その声には、“神の誇り”ではなく、“少女の孤独”があった。

    「ねぇ……わたし、ほんとに……誰も釣れないの……?」

    「…………いいや」

    ベーテンが、そっとその小さな頭に手を置く。

    「今、君が釣ったのは──“神を信じなかったカラクリの、最後の一歩”だ」

    「…………」

    その瞬間、銀糸がふわりとほどけた。

    《海幸彦》が静かに音を立てて、釣神の手の中で眠りに就いた。

    神の釣り糸は、すべてを釣った。
    世界も、概念も、心も──
    そして最後には、“釣れない存在”すらも。

    静寂の中、ベーテンは背を向ける。

    釣神はただ、ぽつりと呟いた。

    「……あんた、ほんとに、釣れない奴だったなぁ……」

    でもその顔は、少しだけ、笑っていた。

    そしてふたりは、何も言わずに、別の空へと歩いていった。

  • 2661◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 21:10:49

    以上

  • 267二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:13:38

    いろいろ釣りに絡められてて面白かった!
    ベーテンもかっこよかった!

  • 268二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:14:20

    良かった
    己の存在を必死で叫ぶ男はやっぱりいい

  • 269二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:17:58

    いいね、ベーデンかっこいい

  • 270二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:23:20

    釣れない男(?)ですね…ってか

  • 271二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:23:43

    釣りの神様にも釣れないものがあったんですねぇ

  • 272二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:25:51

    釣神強いねぇヤメイと戦っただけのことはある
    それでも釣られないベーテンも凄いよ

  • 273二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:29:29

    この後二人はどうなるのでしょうね…
    キニナルウムム…

  • 2741◆ZEeB1LlpgE25/08/04(月) 23:57:12

    題名『毒と渦──死に様のアルケミエ』

  • 2751◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:00:07

    霧が重たく垂れ込める裏路地――
    レンガ造りの壁には煤が張りつき、遠くで犬の遠吠えが虚しく響いている。
    黄昏のロンドンは、またひとつ人知れず命が消える気配に染まっていた。

    その路地の奥に、異形の影が立つ。

    頭部のない少女。
    その首から上には、闇色の渦が静かに回っていた。
    腕には鋭い魔剣が四本、周囲を巡回するように浮かび、奇妙な浮遊の姿勢でその場に佇んでいる。

    ──魔法少女カウントダウン。
    制御不能となったその身は、すでに悪魔に近い。

    一方、それを壁の陰から観察する影があった。

    「──記録通りだ。頭部が……無い、か。あれでは毒煙で錯乱を誘うのは難しいかもな」

    囁くように呟いたのは、薬師を名乗る青年。
    名はルーク・デッドマン。ロンドン裏社会で名を轟かせる「デッドマン三兄弟」の末弟にして、毒を以て芸術を為す異常者である。

    懐から取り出したのは、小さな銀の薬瓶。
    中には人間の意識を濁らせる蒸気毒が詰められている。

    「まずは様子見……幻覚剤〈モルフォ・レムリア〉、拡散開始」

    彼は薬瓶の蓋を開け、風下へと投げ捨てた。
    静かに広がっていく霧のような毒。街路の霧に紛れ、魔法少女へと忍び寄る。

    ──だが次の瞬間、渦が蠢いた。

  • 2761◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:01:02

    「……感知、されている……?」

    ルークが目を細めた直後、一本の魔剣が空を裂いた。
    まるで煙を切り裂くように飛来し、彼の隠れていた壁を粉砕する。

    「ちっ、感知フィールド……“視覚”の代替か!」

    ルークは地面を転がるようにして逃れた。
    白い手袋の袖が煤にまみれ、彼の作り笑いにほんの僅か、興奮の火が灯る。

    「いいね……! 即反応とは、美しい感覚だ。なら次は、これだ」

    吹き矢を咥え、瞬時にもうひとつの毒──遅効性の神経麻痺〈リクイエム・ドロップ〉を撃ち放つ。
    魔法少女の背後から吹き付ける、無色透明の毒針。
    それが、渦の中心をかすめた瞬間。

    「――弾かれた?」

    風のない路地で、毒針が逆方向に跳ね返る。
    次の瞬間、魔剣が三本、一直線にルークへと迫った。

    「……なるほど、頭は無くても“狙ってくる”ってわけか。いいじゃないか。殺し甲斐がある」

    黒い上着をひらめかせ、狭い通路を縫うように逃げるルーク。
    霧と毒と魔力の剣が交差する中、彼の笑顔が歪み始めていく。

    「もっとだ……もっと苦しませて、“良い死に様”を引き出してやる」

    その執着は、異常で、純粋だった。
    頭部のない魔法少女と、死に様を芸術とする毒師。地獄の幕は、まだ静かに開いたばかりだった。

  • 2771◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:03:05

    「ふぅ……」

    ルーク・デッドマンは荒い息を吐きながら、裏通りの古びた扉を内側から閉めた。
    そこは、彼がかつて調薬に使っていた廃屋の地下室。
    レンガ壁に囲まれた狭い空間で、外との出入り口は一つ。光はランタンのみ。

    「閉鎖空間……いいね。毒が隅々まで行き渡る」

    彼は手早く瓶を取り出し、粉末を空中に撒いた。
    空気を吸った時点で粘膜に作用し、数秒後には幻覚と痙攣を引き起こす猛毒〈アンブロシアの夢〉。

    「これで入ってきたら、視界も思考もバラバラになる……はずだったんだが」

    ゴウッ!

    扉が一撃で吹き飛んだ。

    それは重い金属の塊が叩き込まれたかのような音。
    現れたのは、宙を滑るように入り込んでくる魔法少女カウントダウン。

    視覚も嗅覚もないはずのその異形が、空気の震えを正確に追いながら、地下へと降りてくる。

    「やはり……“目”や“鼻”じゃない。気流か、音か、あるいは魔力の粒子……感知式の狩人ってわけか」

    ルークは奥へと下がりながら、吹き矢の筒を口元に構えた。
    だがカウントダウンの魔剣は、すでに彼の動きを読み切っている。

  • 2781◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:03:43

    カシュン!

    放った瞬間、矢が空中で止まり、逆に魔力で押し返された。

    「……!」

    かすかに頬を裂いた毒針の先端。ルークの表情が崩れ、そして歪む。

    「ははっ、いいね……毒を“見抜く”じゃなくて、“感じ取る”か。実におぞましい!」

    地面へと投げ捨てられたのは、次の瓶。
    床に落ちると同時に割れ、黄色の煙が猛然と立ち込めた。

    ──可燃性神経毒〈ハウリング・フィズ〉。

    吸った者の喉を焼き、声を奪う地獄の薬品。
    煙は天井近くまで立ち上がり、部屋の隅々まで満たしていく。

    「さあ、踊ろうか。地獄のど真ん中で──」

    ルークが叫んだ、その刹那。

    頭部の渦が、赤黒く光を放った。

    ゴッ──!

    飛来する魔力弾。直撃は免れたものの、ランタンが砕け、室内は魔力の閃光と毒煙で真っ白になった。

    そして。

  • 2791◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:03:55

    「っく……!」

    浮遊する魔剣が、一本、また一本とルークの周囲に打ち込まれていく。
    壁に背を押しつけられ、毒師はとうとう追い詰められた。

    しかしその瞳は、まだ死を恐れていなかった。

    「……いいよ。本気で殺しに来てる目だ。いいじゃないか、“芸術の幕引き”ってやつだ」

    だが次の瞬間。

    魔法少女の剣の動きが、微かに、揺れた。

    「……来たな、麻痺毒〈リクイエム・ドロップ〉。遅効性って言ったろ?」

    さきほどの傷口から、毒が神経を蝕み始めていた。

    剣がぐらつく。浮遊が乱れる。

    「さぁて、今夜のフィナーレに相応しい“痛み”を、君にも味わってもらおう」

    ルークの手の中に、最後の薬瓶が姿を見せた。

    その中にあるのは、最も禁忌とされる毒──

    「自我崩壊毒〈ミゼラブル・ミューズ〉」。

  • 2801◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:05:49

    「さぁ──この一滴で、君は“自分”を見失う」

    ルーク・デッドマンの指先から落とされた小瓶は、床で粉々に砕けた。
    その瞬間、室内の空気が、まるで腐りかけた薔薇園のように甘く、そして異様に重く変わった。

    自我崩壊毒〈ミゼラブル・ミューズ〉。
    それは吸った者の記憶と思考を順番に“他人のもの”へと置き換えていく狂毒。

    ──「自分が誰か」
    ──「なぜ戦っているか」
    ──「この場所はどこか」

    そんな基本的な認識すら、霧のように崩れ去っていく。

    「う、あ、あぁ……ッ」

    カウントダウンの動きが、明らかに乱れた。
    浮いていた剣が一斉にガクンと沈み、渦を巻く頭部が不規則な光を点滅させ始める。

    「君のその脳──いや、“中身がない”からこそ、より混沌に染まりやすい」

    ルークは片膝をつきながら、口元に作り笑いを浮かべた。
    その笑みは、完全なる優越感と、残酷な期待に満ちていた。

    「なぁ、“魔法少女”。今どんな気分だい? 世界が誰かの悪意で塗り潰される感覚は──」

    ──ドン。

  • 2811◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:06:13

    床が揺れた。

    「……?」

    魔力の波動が爆ぜる。次の瞬間、頭部の渦が膨れあがり、狂ったように回転し始めた。

    「ッ、暴走だと……?」

    その渦から、未調整の魔力弾が乱射される。
    狙いなどない。ただの本能。ただの反射。ただの“異常な生き物”のような攻撃。

    ──ズバン! ゴガッ! ガァァァァンッ!

    壁が割れ、天井が落ちる。室内がどんどん崩れていく。

    ルークは即座に反応した。床の隙間に飛び込むように身を隠す。

    「暴走による、感知のバグ……? いや、違う。**“記憶がない”からこそ“戦いをやめられない”**んだ……!」

    もはや敵味方の認識すらないカウントダウンは、ただただ破壊するだけの人形と化した。
    剣が、魔力が、何もかもが、暴風のように吹き荒れる。

    「クク……これは芸術だ。毒と魔法と記憶喪失が織りなす、見事な即興劇──ッ!」

    だがその狂乱の只中、ルークの笑みがピクリと引きつった。

  • 2821◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:06:54

    ──ひとつの剣が、彼の“隠れ場”へと一直線に飛んできたからだ。

    「チッ……!」

    ギリギリで回避。だが白い手袋が切り裂かれ、血が滲む。

    「……この距離で感知された? いや……違う、“全方位の無差別攻撃”か!」

    あまりにも危険すぎる状況。

    「なるほど。こいつは“毒すら理解しない”」

    ルークは自嘲気味に笑い、背中の薬袋を軽く叩いた。

    「なら、毒を“理解させて”やろうじゃないか──最も原始的なやり方でな!」

    その手には、一本の吹き矢。
    毒はもう使わない。今度の矢には……火薬の混合液が仕込まれていた。

    「蒸気と煙と爆薬──ロンドンの夜に相応しい、炎のカーテンを開こう」

    ルークが吹き矢を放つ。

    ──点火。

    爆炎が、地下室全体を呑み込む。

  • 2831◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:07:44

    ──ドオォォォォンッ!

    吹き矢から放たれた火薬の混合液が床に炸裂し、地下室全体を灼熱の炎が包んだ。
    古びた木材、薬品棚、そして漂っていた幻覚剤と揮発性毒の成分が一斉に燃え上がり、爆風となって天井を吹き飛ばす。

    「──ッ、けほっ、ははっ……ッ!」

    ルーク・デッドマンは、薬瓶で即席の遮煙マスクを作り、爆煙の中を這うようにして移動していた。
    その表情は満足気でありながらも、どこか歪んでいる。痛みにも咳にも目を細めながら、それでも笑っていた。

    「どうだい、“魔法少女”。君の空っぽな頭には……この匂い、届いただろうか?」

    だが。

    ──ギィィ……ィィン。

    熱風の中から、四本の剣が音を立てて浮かび上がる。

  • 2841◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:08:10

    「……まだ動けるのか」

    黒く焦げたドレス。
    焼けただれた皮膚。
    そしてその中央、頭部の“渦”だけは、むしろ以前よりも輝きを増していた。

    魔法少女カウントダウン。
    制御不能の魔力を持つこの存在は、“焼かれて”なお、己の役割を終えていなかった。

    「いいね……いいよ。その執念、僕の毒に匹敵する。……だったら、もう一手」

    ルークが取り出したのは、小さな銀色の注射器。
    中には、自身の血と混ぜた**対神経中枢干渉毒〈ロア・ヴェノム〉**が入っていた。

    「これは僕の命を削って調合した“最後の毒”。君のような、“壊れかけた少女”の脊髄まで届くよ」

    彼は自らの首筋にその針を刺し、己の神経を介して毒を空間に霧散させる。
    代償として、彼の手足は痺れ、震え始める。

    「さぁ、僕と君とで……“どちらが先に崩れるか”を競おうじゃないか」

    魔法少女が、一歩進み出る。

    剣が震え、魔力弾が充填され、頭部の渦が赤黒く染まる。

    ──この一歩は、確かに“死”の先へと向かっていた。

    そして、地下室の崩壊とともに、戦いは最終局面へと向かっていく──。

  • 2851◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:08:50

    ──視界は、既に形を成していなかった。

    霧のような幻覚と、神経毒による痺れが世界の輪郭を溶かしていく。
    地下室の残骸の中、毒と魔力、焦げた鉄と血の匂いが入り混じり、現実はどこにもなかった。

    しかし──

    「“死に様”は、いつだって美しいものだ……」

    ルーク・デッドマンは、よろけながらも立っていた。
    その白い絹手袋は破れ、口元から血が垂れ、体のあちこちが焼けていた。
    それでも、彼の瞳は最後の標本を見届けるためだけに、ただ前を見据えていた。

    「僕の毒が……君の魔法より“上”だと証明する──」

    彼が最後の一歩を踏み出した、その瞬間。

    カウントダウンの肉体が、一瞬ビクリと痙攣した。

    ──毒が、脊髄まで届いた。

    四本の剣のうち、二本が制御を失い、床に崩れる。

    魔力弾も、頭部の渦の中で爆ぜずに歪み、散った。

    「……勝った、ね」

  • 2861◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:09:05

    ルークの笑みは、どこまでも歪で、どこまでも満足そうだった。

    だが。

    その直後──渦が“怒り”とも“本能”ともつかぬ魔力のうねりを見せ、残った二本の剣を暴走させる。

    一閃。

    ルークの左肩から先が、吹き飛んだ。

    「──っ、くく……っははは!! そう来たか! 最高だよ……! これぞ、芸術だ……!」

    倒れ込む。
    笑いながら、血を吐きながら、それでも指は震えながら薬瓶を掴もうとする。

    魔法少女の動きも、既に壊れていた。
    ただ命令なきまま、感知限界ギリギリの空間で、残った剣が宙を切っているだけだ。

    勝者など、最早いなかった。

    ただ毒に侵された錬金術師と、魔力に喰われた少女の骸だけが、崩れた地下に横たわる。

    ──そして、遠く夜明けの光が差し込む。

    地下に届くはずのないその光は、二人の亡骸を静かに照らし──

    物語は、ここに幕を下ろす。

  • 2871◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 00:09:25

    以上

  • 288二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 00:10:13

    相討ち?!珍っ…かな?

  • 289二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 00:12:37

    珍しい決着もあるもんだな、よかった

  • 290二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 06:47:16

    最後はもう意地だな…

  • 291二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 11:30:51

    ドローか

  • 292二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 16:17:58

    ふむふむ珍しい

  • 2931◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:30:55

    題名『命、テイスティング・ノート』

  • 2941◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:31:29

     潮の匂いと、鉄錆びのような血の香りが混じり合う波止場の倉庫。無人と思われたその空間に、ふたりの影が対峙していた。

     「――グスタフ・東條・ランゲイン。あなたの“品評”にまいりました」

     細く、艶やかで、しかし酷薄な声。ワインレッドのスーツに身を包んだ女――ヴィネ・クリムゾンが、グラス片手に一歩を踏み出す。中身は赤ワイン……のように見える、が。

     対するは、ガチガチの角刈りに金の特攻服を着た大男、グスタフ。全身から発せられる威圧感と、何かを構えようともせず仁王立ちする器の広さが対照的だった。

     「姉ちゃん、誰かの刺客か? ワインで人殺せるような世の中になっちまったのかい」

     「いえいえ。あくまでお仕事。あなたのような“逸品”を、この舌で確かめてみたくなっただけです」

     ヴィネはグラスを軽く傾ける。赤い液体が揺れ、香りが倉庫の空気に紛れる――同時に、グスタフの眉がピクリと動いた。

     「……なんだ今の。嗅いだだけで鼻が焼ける感じだぜ」

     「“テイスティング”完了。あなたの能力……あの肉体、そしてその奇妙な爬虫類の気配。なるほど、なるほど……“変身型”ですね」

     グスタフは鼻で笑った。

  • 2951◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:32:05

     「バレたってどうってことねぇよ。俺は俺のやり方で生きてるだけだ。イカしてると思った奴は、敵だろうが味方だろうが全力で相手する主義なんだ」

     その瞬間、ヴィネの手に握られたワイングラスが、「ガシャ」と砕け散った。中から滑り落ちた細い銃身――ワイン瓶に偽装された“デス・シャトー”。

     「では――乾杯の合図です」

     彼女が引き金を引くと、ワイン色の薬液弾がグスタフへ向かって放たれる!

     直撃――かに見えたが、その寸前、グスタフの腕がヌルッと変形した。肌は鱗に、指は鋭爪に。

     「“ワニ形態”か……っ!」

     毒弾は鱗に弾かれ、倉庫の壁を焼いた。そこには金属が溶けるような酸性の煙が立ち昇る。

     「この程度の毒で倒れるような器じゃねぇぞ、俺ァよォ!!」

     グスタフが地を蹴り、圧倒的な質量で突っ込んでくる。すでに上半身はワニ型、歯も鋭く、脚力も常人離れ。

     「フフ……さすが。ならば、より強いワインをご賞味いただかねば」

     ヴィネが懐から取り出したのは、ラベルの剥がれた古びたワインボトル。栓を抜くと、強烈な刺激臭とともに、毒霧が倉庫中に広がり始める!

     「くっ……視界が……っ!」

     グスタフがたじろいだ一瞬、ヴィネは背後へ退きながら冷静に狙いをつける。

     「さて――あなたの“変生”能力。弱点は、温度と……もう一つ。嗅覚でしたね」

  • 2961◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:32:27

     彼女の眼が、ワインのように深紅に光った。

     「これより本格的な“テイスティング”に移ります」

     対するグスタフ、毒霧の中で腕を舌のように伸ばし、鉄パイプを掴んだ瞬間――それが蛇へと変わる!

     「だったらこっちも、お前の毒をぶち壊す!!」

     彼の本気が、倉庫の空気を熱く震わせた。

  • 2971◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:38:18

     視界は霞み、鼻腔は焼けつくような刺激に満たされる。古びた倉庫の中、グスタフの肺は猛毒の空気を吸い、全身がじわじわと鈍くなっていくのを感じていた。

     「……チッ。クッせぇワインだ……!」

     舌打ちと同時に、彼は手にした蛇型パイプ――否、**“鉄蛇”**を振るった。風圧が毒霧をかき分け、瞬間的に視界が開ける。

     だがその先にいたヴィネは、まるで舞うような所作で彼の視界から身を翻していた。

     「“芳醇な香り”があなたには合わなかったようですね。ならば――これはどうでしょう?」

     ヴィネが腰から取り出したのは、深紅のラベルが貼られた別のワインボトル。その栓を抜いた瞬間、**ボンッ!**という破裂音とともに、炎を伴ったガスが吹き出した。

     「なっ……!? 燃えてやがるっ!?」

     燃焼系の毒霧。グスタフの本能が警鐘を鳴らす。ここは倉庫。木箱、古びた帆布、埃だらけの床……すべてが火種になり得る。

     「このままじゃ――燃え尽きちまう!!」

     彼は咄嗟に地を蹴った。全身の鱗を強化、ワニ型の重装甲と化し、ヴィネへと一直線に突貫する!

  • 2981◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:39:18

     「燃えよ魂ィィッ!!」

     **ドゴォンッ!**という轟音とともに、彼の拳が床を砕き、ヴィネの立っていた場所が崩れ落ちた。が――

     「惜しいですね。ですが……お客様の暴力的な味覚には、こちらをどうぞ」

     煙の向こうから現れたヴィネ。彼女は既に次のボトル――いや、デス・シャトーの二番銃を構えていた。

     発砲。弾丸がグスタフの肩を掠め、鱗を裂く。鮮血が一筋、空気を裂いて舞った。

     「ぐっ……ハハ、ちょっと沁みるぜ、これ……!」

     しかしグスタフは笑った。口の端を吊り上げ、眼光は逆に燃える。

     「やっと刺さったな。おい姉ちゃん……そいつ壊れるまで、全部撃って来いよ」

     「……イカしてますね、あなた」

     ヴィネの目が細められる。冷徹な暗殺者としての彼女にとって、ここまで真正面からぶつかってくる相手は稀有だ。だが同時に――

     (この男、テイスティング以上に読めない……能力分析は完了している。だが、それ以上の“器”がある)

     まさにワニの口のように、デカく、読めない。

  • 2991◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:39:45

     「――いいでしょう。ならば……私の本命をお見せしましょう」

     彼女が背後の木箱を蹴り開けると、そこに並んでいたのは無数の**“ワイン瓶”**。すべてが銃器に偽装された、暗殺専用の“品揃え”だ。

     「――“赤の五銘酒”。一本一本、性格が違います。どうぞ、貴方だけの“至高の一本”を選んでくださいな」

     「上等だァ……なら俺も“最強の一本”ってやつを見せてやるよ」

     グスタフが腕を広げ、両足で地面を踏み締める。そして――

     「《爬忠変生(レプティレス・アルター)》――“蜥蜴の王”ッ!!」

     身体がさらに膨張。全身は濃緑の硬質鱗に覆われ、背にはトゲ付きの尾が生えた。目は左右独立して動き、敵の動きに完全対応する**“カメレオン戦形”**への移行。

     視覚と反応速度が桁違いに強化されたこの形態――

     「“どこにいようが、外さねえ”ぜ……!」

     ヴィネが放つ銃弾を、蛇型のパイプで打ち落としながら突き進むグスタフ。逆に彼女は、ワインの香りと煙で視界を封じながら、常に死角からの射撃を試みる。

     毒と変身、暗殺術と魂の器。互いの戦いは、まだまだ終わらない。

  • 3001◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:41:26

     バーの奥から取り出された赤の五銘酒。
     それぞれがヴィネ・クリムゾンの暗殺術の集大成――長年かけて熟成された「殺しの香り」だった。

     「これは“サングレ・ロワイヤル”。反応性酸素を含んだ超高圧ワイン。皮膚に触れた瞬間に、血液を泡立てて“破裂”させます」

     ヴィネが語ると同時に、瓶の底部をひねる。内部の機構が軋む音とともに――
     **シュボッ……!**と小さな噴出音。

     赤黒い霧がグスタフの全身を包む。

     「――っ、ぉおお……おおおおおおお!!」

     悲鳴に似た咆哮が倉庫に響く。皮膚の下で血液が暴れ、毛細血管が脈打つように浮かび上がる。

     「ハァ……ハァ……ッ、てめえ、何入れやがった……!」

     膝をつくグスタフ。だがその両目はまだ光を失っていなかった。
     ワニ型に変生した筋肉が暴れ、体温を強制的に引き上げて反応を遅らせている。

     (時間を稼げれば……こっちにも手がある!)

     「くっくっく。予想以上ですね……ならば、これで“香りの二杯目”を」

     ヴィネはすでに二本目を抜いていた。

  • 3011◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:41:47

     「“ヴィール・ノワール”――中枢神経に作用する幻覚ワイン。
      飲まずとも香りで人の五感を錯乱させます」

     次の一手は、視覚・聴覚・触覚への干渉。
     事実、グスタフの目に映るヴィネの姿が分裂し始めていた。

     「てめえ……どこに……!」

     右に走ったヴィネ。左に銃口を向けたヴィネ。天井に張り付いたヴィネ。
     どれが本物か分からない。目も、耳も、頼れない――だが。

     「……フン。くだらねえ幻、効かねえんだよ」

     グスタフは拳を地に打ちつけた。地面の感触、足裏から伝わる振動で、ヴィネの位置を“嗅ぐ”。

     「ワニってのはな……意外と“床”の情報が好きなんだぜ!!」

     即座に方向を変え――本物のヴィネの背後へ飛び出す。

     「なっ……!?」

     ズドン!
     拳がワイン瓶の銃を砕く。

     「チッ、一本……無駄にしました」

     砕けたボトルの破片が床に散る。だがヴィネは表情ひとつ崩さず、後退して次の瓶に手を伸ばす。

  • 3021◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:42:35

     「“グラン・クレマシオン”。高温の蒸気ワイン。瓶が割れると周囲を200℃の霧が包みます」

     「げっ、それはヤバい!」

     霧が解き放たれた。グスタフの体温が暴走する。
     さすがの爬虫類変化も、高熱の飽和空間には耐えられない。

     「くっそぉぉぉっ! ワニ煮込みにすんじゃねえ!!」

     形態を“トカゲ”に変化させ、スリムな姿で蒸気をすり抜ける。
     だが、変身のたびに体力は確実に削られていく。

     (まずい……このままじゃジリ貧だ……!)

     そのとき――

     バシュン!

     ヴィネの腰から外れた小さなボトルが、床を転がった。

  • 3031◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:44:04

     「……落とした、か?」

     「いいえ、“熟成”の時間です」

     ヴィネはそっと、最後の一本を取り出した。
     黒いラベルに赤い薔薇の刻印。異様な存在感を放つそのボトルは――

     「“シャトー・ファイナル・ミゼラブル”。
      どんな相手も“魂の味”ごと削り取る、私の秘蔵酒です」

     グスタフの背筋が粟立つ。

     (やべえ……こいつ、今までとは“香り”が違う!)

     全身の鱗が逆立ち、爬虫類の本能が逃げろと叫ぶ。だが。

     「へっ……それがどうした。味比べってんなら、最後はこっちの“魂”で勝負だろうが」

     彼は立ち上がる。全身ボロボロ。皮膚は焼け、呼吸も乱れている。

     だが目だけは、真っ直ぐにヴィネを見据えていた。

     「来いよ、ワイン姉ちゃん。お前の一番搾り――俺の一番熱い魂でぶつけてやる!!」

  • 3041◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:45:54

     時間が止まったかのような静寂。

     バーの照明は既に落ち、照らすのは割れた瓶の破片と、立ち上る蒸気、そしてふたりの“異端”。
     ヴィネ・クリムゾンの手には――「シャトー・ファイナル・ミゼラブル」。
     殺し屋としての集大成。魂の香りすらも焼き潰す究極の毒酒。

     「さあ……“ラストテイスティング”を始めましょう。あなたの命の味、確かにいただきます」

     ボトルの底を、優雅にカチリと回す。
     ワインボトルに偽装された銃が起動し、香りとともに弾丸が装填される。

     「はぁっ……はぁっ……」

     一方のグスタフは、深く低く息を吐きながら、身体を前傾させていた。
     爬虫類変生のエネルギーはすでに尽きかけ、いまの彼は“ただの人間”とほぼ変わらない。

     (……けど、だからこそ……)

     「“人間の魂”ってやつを、見せてやるぜ」

     振り上げたのは――自分の命。

     「喰らいやがれッッ!! “熱血魂爬虫羅覇(ネッケツソウルレプティラーバ)”!!」

     全身の体温を強引に引き上げ、爬虫類細胞を極限まで燃焼させる荒技。
     その結果――筋肉は赤黒く隆起し、目が血走り、皮膚の一部が溶けて剥がれるほどに変質する。

     「ッ……それは、生命を、燃やす――」

     「上等だろ! こっちは“本気の命”張ってんだよ!!」

  • 3051◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:46:41

     ――ドォン!

     ヴィネが引き金を引く。
     撃ち出されたのは、見えない弾丸。空気そのものが歪むほどの超振動を帯びた“香りの銃弾”。

     それがグスタフに命中した瞬間――

     グゥゥゥン……ッ!!!

     彼の視界が、白に包まれた。

     ――過去の記憶。
     ――仲間たちの笑い声。
     ――痛み。怒り。情熱。涙。
     魂のすべてが、ワインのように抽出され、ヴィネの脳に流れ込む。

     (……ああ……これは……)

     強烈な“味”。
     火傷するような、泥臭くて、雑味だらけで、それでも芯から熱い。
     どんなソムリエも評価に困る、“魂の濁酒”。

     ヴィネの体が、一瞬、よろけた。

     「……っ、こ……これは……」

     香りに圧倒され、呼吸が乱れ、心拍が跳ね上がる。
     ――毒を振るう者が、毒に酔わされる。
     たった一杯の“命の味”に。

  • 3061◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:47:29

     そして。

     「喰らえっつったろ、俺の一番熱い“魂”をよぉぉぉおおおお!!」

     グスタフの拳が、ボロボロの体を振り絞って飛ぶ。

     ゴシャッッ!!

     粉砕された「シャトー・ファイナル・ミゼラブル」。
     ヴィネの身体は吹き飛び、背後のバーカウンターに激突する。

     ――静寂。

     床に、一本のワインが転がった。
     ラベルは剥がれ、中の液体はこぼれ……それでも、かすかに香る。

     「……はっ、くく……くくく……」

     壊れたヴィネが、くぐもった笑いを漏らした。

     「……とんでもない……とんでもない“ヴィンテージ”でしたわ、あなた……」

     グスタフは肩で息をしながら、へたり込む。

     「こっちこそ……二度と飲みたくねぇ味だったぜ……」

     ふたりは、その場に座り込んだまま、しばらく動かなかった。
     勝敗。
     それを決めるものが“命”の重さであるならば――
     この戦いは、引き分けと呼ぶしかなかった。

  • 3071◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 16:48:32

    以上

  • 308二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 16:51:57

    能力の応酬ってやっぱいいな…

  • 309二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 16:52:06

    二連引き分けとは珍しい

  • 310二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 16:52:29

    連続引き分け…でも今回のはどっちも死ぬことなく軽口を言い合える関係にまで進展してるのがよかった

  • 3111◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:07:17

    題名『不滅に挑む槍』

  • 3121◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:08:28

    都の中心から少し外れた場所に、巨大な社が鎮座している。
    その社は、華やかさとは無縁の静謐な空間。まるで時間がゆっくりと流れているかのような、厳かな空気に包まれていた。

    社の中庭に、一人の女性が立っている。
    ミツカイ――カミコ様への絶対の忠誠を誓い、その身を護る御使いだ。
    彼女の長く流れる銀の髪は月光に照らされ、ひときわ凛と輝く。
    「カミコ様の社を乱す者、決して許さぬ」

    その言葉と共に、彼女は軽やかに槍を構えた。

    一方、黒いスーツに身を包み、葉巻をくゆらせる高橋礼が社の石畳を踏みしめる。
    背筋がピンと伸び、眼光は鋭く。彼女の名は都の裏社会で「死神」と呼ばれる存在だった。
    「…ふむ、静かな場所だね。だが、この静寂を壊すのは私の役目らしい」

    両者の視線が交錯した瞬間、空気が張り詰めた。
    ミツカイはカミコ様の社を守り、高橋礼は裏社会の悪を狩る死神として、互いの存在を認めつつも避けられぬ戦いの火蓋を切った。

    「始めるわよ、ミツカイ」
    「任せよ、礼」

    二人は同時に身を翻し、静寂の中に槍の閃光と刃物の煌きが走る。

  • 3131◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:08:43

    ミツカイの槍が空を切るたびに、まるで精霊が踊るような優雅な軌跡を描く。
    一撃一撃が確実で、長年の修練と忠誠心が形となって表れていた。
    槍先からはかすかに霊気が漂い、彼女の身体能力を引き上げているのがわかる。

    一方の高橋礼は、葉巻の煙をゆっくりと吐きながら身を低く構え、ナイフを軽快に操る。
    彼女の動きは熟練の狩人そのもの。
    槍の攻撃を回避しつつ、隙あらば刃を突き刺そうと隙を狙う。

    「その槍、ただの武器ではないな。カミコ様の加護か?」
    礼は鋭い目でミツカイの動きを観察する。

    「言葉に尽くせぬお方の加護だ。少しでも傷つければ、槍の力は著しく落ちる」
    ミツカイは冷静に答え、次の攻撃に移る。

    鋭い槍先が礼の斜めに迫るが、礼は咄嗟に身をかわし、仕込みの小型拳銃を抜き放った。
    銃声が響き、弾丸はミツカイの槍に当たり弾かれる。
    だが、その隙を礼は見逃さず、次のナイフで斬りつけた。

    「まだまだだね、ミツカイ!」
    礼の言葉には戦いを楽しむ狂気さえ感じられた。

    しかし、ミツカイの動きが突然加速する。
    カミコ様の加護が槍に注がれ、彼女の身体能力が底上げされたのだ。
    その美しい槍の舞は、まるで嵐のように礼に襲いかかる。

    激しい攻防が続く中、二人の間には互いの意地と誇りが火花を散らした。

  • 3141◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:14:00

    「――悪を滅する死神、か」

    静かに呟くミツカイの声は、空気すら凍らせるような冷ややかさを孕んでいた。
    その美貌は人の想像を超え、まさに神秘そのもの。
    しかし、その瞳の奥に宿るのは——冷たい怒りだった。

    「たとえ天地が貴女を英雄と称えようと……カミコ様を脅かす存在なら、私が刺し貫く。」

    その言葉に応じるように、風が止まり、都の社の周囲に張り詰めた緊張が走る。
    しかし。

    「ふふっ、いいねぇ。忠義者は嫌いじゃないよ」

    礼がにやりと笑った。
    黒スーツの下には無数の暗器と仕掛けが眠っている。
    彼女はすでに全身が戦闘態勢。
    だが、その瞳は、76年という年月と無数の死線をくぐってきた者にしか持ち得ない光を放っていた。

    「ただし——あたしは、邪悪を狩る死神なんだよ」

    言うや否や、礼は葉巻を投げ捨て、足元に爆弾を起動させる。
    煙と衝撃が弾ける一瞬、彼女は地を這うようにして接近。
    まるで蛇のような動きだった。

    「っ!」

    ミツカイの頬をナイフがかすめる。
    その瞬間、社の中からわずかに“空気”が揺れた。

  • 3151◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:17:33

    ——カミコ様の衣が、わずかに乱れた。

    「……っ!」

    その微細な変化が、ミツカイの精神に影を落とす。
    槍の軌道がわずかに鈍る。
    反応速度がほんの一瞬だけ遅れる。

    「なるほど、効くんだな……お姫様のための忠義、逆手に取らせてもらうぜ」

    高橋礼がニヤリと笑う。

    ミツカイはすぐさま姿勢を立て直すも、内心は乱れたままだ。
    「カミコ様の衣が……」という事実が、心に刺さる棘のように精神を削る。

    だが、それでも彼女は折れない。

    「……それでも、立ち塞がる」

    地を蹴ったミツカイの動きは、先程よりも研ぎ澄まされていた。
    数百年の鍛錬を経た槍術が閃き、高橋礼の胴体を正面から貫く。

    「——っ……ぐぅぅっ!」

    乾いた音とともに血が噴き出し、礼の身体が後方に弾け飛ぶ。
    誰の目にも、それは致命傷だった。

  • 3161◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:18:16

    だが。

    「……くっくっく……っははははっ……」

    倒れたはずの身体が、起き上がる。心臓を貫かれたはずの場所から血が引き、組織が、骨が、筋肉が、皮膚が――一瞬で再生していく。

    「言ったろ? あたしは、死なないんだよ」

    ミツカイは思わず後ずさる。
    常識ではあり得ない再生速度。“神の加護を受けた槍”ですら、死を与えられなかった。

    「貴女……何者……?」

    「ただの人間さ。ちょっとしぶといだけの、な」

    再び構え直す礼。
    ミツカイもまた、槍を構えるが、その目には明らかな疲労と混乱が浮かんでいる。

    「ミツカイちゃん。あんた、強いよ。忠義も本物だ。だけどな……」

    礼の声が低くなる。

    「その忠義に、あんた自身が殺されるぜ」

    言葉の応酬が終わると同時に、ふたりの影がまた交錯した。
    槍と刃が交わり、爆発と再生が繰り返される。
    その都の片隅、社を護るための戦いが、激しさを増してゆく。
    忠義と不滅。
    砕けぬ槍と、砕けぬ命。
    ——まだ、終わりは見えない。

  • 3171◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:20:33

    「はぁっ、はぁっ……っ!」

    戦場に、息を荒げる音が響く。
    それは、ミツカイのものだった。
    ——疲労。
    普段の彼女には似合わない言葉。
    だが今、確かにその肩は上下し、呼吸は乱れていた。

    (カミコ様の……強化がまだ効いているはず、なのに……)

    全力での動作を持続できない身体が、重くのしかかってくる。
    筋肉が悲鳴を上げ、視界が滲み始める。

    その目の前で、高橋礼がまたも立ち上がっていた。

    「ぐふ……っはは、また貫かれちまったな……ほんと、見事な槍だよ、ミツカイちゃん」

    彼女の胴体にはいくつもの槍傷が穿たれ、そのたびに服が破れ、骨が砕け、血が飛び散った。
    けれど今やその身体に致命的な傷は一つも残っていない。

    全て——再生していた。

    「……なんで、倒れない……。これほどの傷を受けて、なぜ……!」

    「さぁな……あたしにも分かんねぇよ。けど、死なねぇってのが能力なんだ。そうなっちまってんのさ、若い頃にね」

    礼が懐から新たな短剣を取り出すと、反射的にミツカイの眉がひくつく。
    今の状態でさらに連続攻撃を捌ききれるか——分からない。

  • 3181◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:20:47

    (時間を……少しでも、稼がねば……!)

    しかし、礼の動きが止まった。

    「……なあ、ミツカイ。あんた、本当にそれでいいのか?」

    「何を……言っている」

    「忠義。カミコ様とやらに尽くして、こうして命を削って。それで、満足か?」

    その問いに、ミツカイは瞬きもせず即答した。

    「当然だ。私は、あのお方の御使い。あの御方に仕えるために、私の存在がある」

    「ふーん……そっか」

    礼は深く吐き捨てるように笑い、煙の代わりに血の混じった唾を地に吐いた。

    「ならさ、そんな存在に、壊されるのも悪くねえよな」

    言葉と同時。
    礼は自分の懐から爆弾を三つ、迷いなく取り出して放り投げた。

    「……!?」

    爆風と熱気がミツカイを襲う。

  • 3191◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:21:32

    槍で弾いた一つを除き、二つが地面に落ち、都の瓦屋根と石畳を吹き飛ばした。

    その爆炎の中、礼は姿を消す。

    「カミコ様の社は、どこだっけなあ……」

    ——背筋が凍る。

    「やめろ……っ! それに手を出すなぁっ!!」

    怒声と共に、ミツカイの足が爆風を蹴った。
    虚空を駆け、槍を構え、礼の動きに割り込む。

    「おっと、こっちはどうやら地雷原みたいだなぁ!」

    礼が足元にばら撒いた小型爆弾が弾け、火花の迷路を形成する。
    その奥に、社の門が見える。
    あの中に、カミコ様がいる。

    (あそこだけは、絶対に……!)

    けれどミツカイの脚はもう鉛のように重い。
    全力で飛ぶにはカミコ様の強化が薄まり始めている。

    「よぉ、忠義者」

    と、社の門前に立つ礼が振り返る。
    手には——拳銃。

  • 3201◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:22:00

    狙いは、カミコ様の社の扉だった。

    「試してみるか? この程度の弾丸で壊れるのかどうか」

    「やめろ……やめろぉっ!!!」

    ミツカイが吠える。
    声が割れ、涙が浮かぶほどの激昂。
    瞬間、彼女の身体から凄まじいオーラが吹き出した。

    ——限界を超えた、強制出力。

    カミコ様の加護すら超えた、一種の“激情覚醒”。

    槍が光の尾を引きながら唸りを上げ、雷撃のような勢いで礼に迫る。

    「よっ……と!!」

    だが礼もまた、その瞬間を待っていた。
    自分が殺されるタイミングを見計らい、再生の隙間を生み出し、わざと撃たせる覚悟だった。

    ——槍が撃ち抜く。

    今度は、礼の「核」へと向かっていた。
    それは心臓。
    再生できぬ、不滅の主の急所。

    「……!」

    衝撃が走る。

  • 3211◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:22:48

    ——その槍は、間違いなく心臓を貫いていた。

    ミツカイの渾身の一撃。
    怒りと悲しみ、焦りと祈り、そしてカミコ様への無尽の忠義。
    それらすべてを乗せた刺突が、高橋礼の胸を撃ち抜いた。

    「……ふ、は……見事だよ、ほんっと……」

    礼は、倒れない。
    いや、倒れ“られなかった”。

    膝が崩れかけても、彼女は足を踏ん張っていた。
    心臓の奥に埋め込まれた、紫色に光る核が——ひび割れていた。

    「やっぱ、ミツカイちゃん。……最強だわ、あんた」

    その言葉と同時に、礼の身体がガクンと前に倒れた。

    爆音も火の手も、今は消えた静寂の都。
    ミツカイは槍を抜かず、ただその場に立ち尽くしていた。

    「……カミコ様を、守れた……?」

    囁くような声。

    礼の瞳はまだ、完全には閉じていない。
    口元に微笑を残したまま、血で濡れたスーツを翻して、まるで満足げに——その生を終えようとしていた。

    だが。

  • 3221◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:23:08

    「……やっぱ、甘いな。あたしも……あんたも」

    バキィッ、と音を立てて、割れかけた核が砕けた。

    ——再生、せず。
    不滅の主の、唯一の死。

    ミツカイは静かに槍を引き抜き、膝をつく。

    「……お前は……強かった。礼」

    涙をこぼしながらも、戦士としての敬意を忘れずに。
    敵としてではなく、信念を貫いた者としての名を、心に刻む。

    カミコ様の社から、風鈴のような音が鳴る。

    それは、ミツカイを労うような優しい音。
    彼女は振り返らない。ただ静かに、社に向かって深く頭を垂れる。

    「——ご安心くださいませ。これよりも、決して……カミコ様に指一本触れさせはしません」

    そして、礼の遺体に一枚の布をかけると、立ち上がる。

    「……礼。貴女が遺した魂は、私が責任をもって抱いていこう」

    ——静かな夜が戻る。
    都の空に、星が瞬いていた。

  • 3231◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:23:24

    以上

  • 324二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:25:12

    これ復活して会いに行ったらミツカイどんな顔するんだろ

  • 3251◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:31:18

    やっぱりなぁ……復活するのあんま好きじゃないですね………かっこいいですけど

  • 326二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:31:50

    >>324

    スペースネコ

  • 327二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:34:21

    スレ主の好みとして再生、復活は嫌いっぽいからねぇ
    一度きりの勝負がお好み?

  • 328二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:35:49

    一個一個の戦いが軽くなるからね。 やはり一度きりの魂のぶつかり合いだからこそ美しい

  • 329二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:36:46

    何度も蘇生するのを削り切るのが好きだが
    熱い展開にするのは難しいよなぁ

  • 3301◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:37:20

    >>327

    そすね

    こんだけ熱い戦いしてかっこよく終わったのにしばらくしたらまた来るんですよ?

    ちょっと嫌じゃないですか

  • 331二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:38:20

    >>325

    最初に復活はしないとちゃんと書いてあるわけですし禁止にしちゃっていいと思います

  • 332二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:41:02

    僕も完全禁止でいいと思います。このままじゃ悪習が続きますよ?

  • 333二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:41:53

    再生も無しにしません?

  • 334二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:42:39

    >>333

    再生は死ぬならええんでない?

  • 335二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:42:51

    コアがある限り超強いとかも実質弱点になってない気がする

  • 336二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:43:23

    >>334

    熱いバトルになりづらくない?

  • 337二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:44:12

    >>335

    このスレで一番有用な弱点まで弱点じゃないとか言い出したらどないすんねん

  • 338二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:45:08

    >>336

    熱いバトルにこだわる必要もないし再生でも熱いバトルなりはするやろ

  • 339二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:45:10

    熱いバトルのあと殺したと思った奴がひょっこりと出てきて
    くるみたいな展開は嫌いじゃないがスレ主が嫌いっぽいしねぇ

  • 3401◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:45:23

    コアもあり、再生もあり、蘇生はなしで今後は行きますか

  • 341二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:46:02

    蘇生者と今回の奴無かったことにしません?
    ルール破ってるし

  • 342二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:46:08

    >>336

    そんなこと言いだしたらいずれ肉体強化系以外アウトになりそう

  • 343二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:46:27

    掘り下げで登場禁止とかで

  • 344二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:46:44

    >>341

    既存キャラをなかったことにするのはいただけんやろ

  • 345二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:47:04

    そもそも復活系とか死んでねえじゃねえかって話よな
    なんぼ言うてもズルすぎやわ

  • 346二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:47:18

    でもルール違反してる奴って駄目だろ

  • 347二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:47:43

    予防線だからなぁ

  • 348二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:48:18

    >>346

    今決まった後付けルールであれはダメこれはダメはいいのか?

  • 3491◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:48:28

    今までなんだかんだ許していた私が悪いので今までのは見逃します
    今後はすぐはじきます

  • 350二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:48:50

    よくよく考えるとハナシダレもアウトか?

  • 351二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:49:26

    >>350

    当時のルールでは許されてた 今度からは無理だと思う

  • 352二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:51:49

    復活、蘇生は戦闘中無理みたいな感じでルールの穴つく奴 
    多いよなぁ ハナシダレ、蘇生者、高橋礼しかり

  • 353二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:52:48

    〇〇が消えない限りいずれ蘇るみたいなキャラもアウトになりそうだよな 

  • 354二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:53:23

    やっぱりレギュレーション厳密に決める必要ある?

  • 355二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:53:29

    戦闘中一回だけ蘇生します。みたいなのは完全アウトなんか? 削りきるのも面白そうなんだがな

  • 356二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:54:25

    身代わり系もアウトになるのか?

  • 357二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:55:02

    めっちゃ弱いけど残基結構あって力業で削り切りますってのはどうだろ
    残基は0で死ぬ

  • 358二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:55:16

    前はOK貰えてたんですが今度からアウトですかね?

    名前:天霧 侑 (アマギリ ユウ)
    年齢:22
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:凄腕の傭兵で日々戦いに明け暮れる戦闘ジャンキー 
    自身が追い込まれば追い込まれる程どんどん興奮していく
    能力: スケープゴート
    能力概要:長い期間身につけていた思い入れのある装飾品などが自分のダメージを肩代わりしてくれる 
    【どんな】ダメージであろうと肩代わりしてくれるが肩代わりをしたら壊れる
    現在身につけている装飾品は指輪、ピアス、ドッグタグ、バンダナの4つ
    弱点:身代わりはカスみたいなダメージの場合でも発動する為 連続攻撃や持続する攻撃などにはとても弱い
    仮に連続で掠っただけでも身代わりがパリンパリンと連続で壊れるし 
    無敵時間なども存在しない為毒ガスが撒かれていたら凄まじい速度で壊れる
    要望:身代わりはお気に入りのものでもあるのて壊れたりするとクソ!!みたいな反応もあると嬉しいです

  • 359二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:55:33

    >>355

    >>356

    危ういのはその都度聞くしかない。 キャラの強さによっても変わるだろ

  • 360二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:56:17

    キャラ相談とかは本スレじゃなくて考察スレでしないか?

  • 361二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:56:18

    >>358

    ダメなのは復活系って言われてるし身代わりがなくなった状態で致命傷を受けたら死亡とかなら全然オッケーでしょ

  • 362二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 18:57:32

    〇〇がアウトかどうか、前許可もらったキャラが今もセーフかどうかの質問は考察スレでやりましょう

  • 3631◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 18:58:13

    >>358

    キャラ相談は考察スレでお願いします


    それはそれとしてこれは平気ですよ

  • 3641◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:01:40

    題名『にゃんとわんだふる大戦』

  • 3651◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:03:45

     午後三時、ある町の通学路。

     ランドセルを背負った小学生たちが列を作って帰宅しているなか、突如として――

     ドォン!

     地響きとともに、道端の公園に生えた柳の木が真っ二つに割れ、そこからぬっと伸びる触手。

     その触手の根元には、虹色の巨体がいた。
     全長およそ5メートル。青黒い膿を滴らせ、まるで塗装ミスをしたように奇妙な色彩を放つその巨体の正体は――

     ただの犬だった。

     四足歩行。毛並みはふさふさ。ベロを出して、嬉しそうにしっぽを振っている。

     顔が裂けていても、
     背中から触手が生えていても、
     体から青黒い膿が滴っていても、
     どう見ても犬である。なぜなら犬だからだ。

     ――子供たちの悲鳴があがる。

     「うわあああああああ!!」
     「なんか出た! なんか出たよぉぉぉ!!」
     「でも……犬……?」

     その悲鳴を背に、ただの犬は直線的に全力疾走を始める。

     その速度は時速150キロ。通学路のアスファルトが盛大に削られ、街灯が吹き飛ぶ。

  • 3661◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:04:14

     そして何より困るのは、その直線的すぎる突進である。

     そう、ただの犬は止まれない。曲がれない。
     小学生たちの列に向かって一直線。

     ……しかし、そのときだった。

     ぽてっ。

     空間のひび割れが生まれ、そこから小さな影がひとつ、現れた。

     白い毛並みに、真っ黒な瞳。鈴のついた赤い首輪。手のひらサイズの、あまりにもかわいらしい姿。

     コネコである。

     続いて、次から次へと空間のひび割れが増え――
     黒猫、三毛猫、グレー猫、ぶち猫、シマ猫、長毛、短毛……色とりどりの手のひらサイズのコネコたちが、ぞろぞろと出現していく。

     その数、三十匹。

     まとめてこう呼ばれている。

     ニャンズニャーニャー。

     そのなかの一匹が、ぴょこんと跳ねて、ただの犬の正面へと着地した。

  • 3671◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:04:33

     ぽてっ。

     ――その瞬間。

     「………?」

     ただの犬の顔に、そのコネコがぴたりと張り付いた。

     「………………」

     犬、停止。

     ……見事な急ブレーキだった。

     というより、視界を塞がれて動けなくなっただけである。

     ……だが、ニャンズニャーニャーは怒っていた。

     この地に突如現れた、可愛さの権化である自分たちよりも先に、意味不明な存在感で注目を集めたその姿に。

     「………………」
     (※誰も喋らない)

     そして始まる――

     世界征服 vs 無意味な暴走

     平和な町を舞台に、
     犬と猫の次元を越えたポテポテバトルが、
     いま幕を開ける……!

  • 3681◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:06:22

     張り付かれたただの犬は、困惑していた。

     何も見えない。

     目の前にいたコネコ(たぶん三毛)が、まるで吸盤のように顔面に吸い付き、視界を完全に奪っている。
     触手を出しても、すぐにほかのコネコたちがぴょんぴょんと飛び乗ってきて、ピタリと張り付き攻撃を仕掛ける。

     そして、気づけばただの犬の巨体は――

     コネコまみれだった。

     虹色の巨体に、三十匹の手のひらサイズの猫がくっついてぽてぽて、ころころ、ぺとぺと。

     可愛い。

     周囲の子供たちの悲鳴が、いつしか歓声へと変わっていた。

     「うわー! でっかい犬、猫だらけだー!」
     「なにあれ! ねこ! コネコ! ふよふよしてる!」
     「かわいい~~~!!」

     だが――このコネコたちはただの観光客ではない。
     次元の間から来た、征服者たちである。

  • 3691◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:08:33

     そして今、数匹のコネコがその能力を発動し始めていた。

     能力名:『ニャニャンがニャン!』

     ――一匹のコネコが、触手から放たれた膿弾を吸い込んだ。

     ポフッ!

     その瞬間、コネコの身体が風船のように膨らみ始める。

     ポヨン、ポヨン、ポヨヨ~~~ン……

     「……………」

     次々に風船猫と化すニャンズニャーニャー。

     空中にふわふわ浮かぶ風船猫たちは、各々がただの犬の攻撃を吸収して溜めていた。
     ――それは後に、倍の威力となって帰ってくる。名前はネコルギー砲。

  • 3701◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:09:53

     ふくらみすぎて風で流されながら、コネコたちは空を舞う。
     中には電線に引っかかる者、風に煽られて洗濯物に紛れ込む者もいたが、構わない。

     ――ネコルギー砲が完成するまで、あと数分。

     一方その頃、ただの犬は……目の前に張りついていたコネコ(シマ)が鼻先に移動したことにより、鼻を押さえられていた。

     「………………」

     だめだ。
     このままだと、犬は鼻で気絶する。

     ――が、そのとき。

     ただの犬が、突如地面を蹴った。

     ズドォン!!

     地面を砕き、跳躍。視界が悪いまま、彼はビルの壁面を駆け登り始めた。
     跳ね、走り、突進し、建物の壁を足場に、突如垂直の直線加速を開始!

     「ビルを……走ってる!? あの犬!!」

     ふよふよ浮いていた数匹のコネコが、次々に衝撃波に巻き込まれ、**ペンッ!**と空高く吹き飛ぶ。

     ニャンズニャーニャー、わちゃわちゃ。

     空に舞い、空中回転、電線に巻きつき、たまに落ちてくる。

     犬 vs コネコ、奇跡のタイマンは、空中戦へと移行した!

  • 3711◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:11:47

     ビルを駆け登るただの犬。
     その巨体はまるで生きたロケット。ビルの壁面を蹴っては跳ね、虹色の残光を残して空を裂く。

     「うわっ……ビル、崩れてる……!」
     「ただの犬じゃねぇ……ただじゃない犬だよ、あれ……!」

     群衆が騒然とする中――
     その空のさらに上、ふわふわ浮いていた数匹のコネコたちが、限界まで膨らんでいた。

     ぽよん……ぽよん……ぼよよ~ん……

     その姿は、巨大な風船。手のひらサイズだったはずのコネコたちが、まるで巨大なボールに変わっている。
     すでに溜め時間は10分を超え――

     発射可能。

     そして、空に舞う一匹の白猫が――

     「ニャーーーーーーン!!!」(無言で叫ぶ)

     ドゴォォォォォン!!!

     ネコルギー砲、発射。

     白猫が吸い込んだただの犬の膿弾が、倍の威力で爆裂し――

  • 3721◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:12:48

     空を焼くほどの虹色のビームとなって、一直線に地上へ降り注ぐ!

     地面が爆ぜ、アスファルトが巻き上がり、衝撃波が群衆を吹き飛ばす。

     「ニャ……ニャニャニャ!?(あっ!)」
     別の三毛猫も続けて発射準備を終えていたが――

     その爆風に巻き込まれ、自分ごと吹き飛ばされた。

     ネコルギー砲は発射と同時に、コネコもその中に巻き込まれる。
     自分の力で自滅する、そんな悲しき欠陥兵器。

     コネコたちが、**ぴゅ~~ん!**と空の彼方へ消えていく。

     「ポテッ(消滅)」

     一方、地上の瓦礫の中から、ぬっと這い出てきたのは――

     ただの犬だった。

     ――生きている。
     被弾したにもかかわらず、膿を滴らせながら、触手を揺らしながら。

     ただの犬は、戦闘不能になったコネコたちを見上げている。
     もはや感情はない。ただ、犬としての本能で、邪魔な存在を排除しようとしているだけだ。

     だが――

  • 3731◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:14:06

     「ニャアアアァ……」

     空には、まだ残っていた。

     最大に膨らんだ黒猫。
     それは、この戦いで最大のネコルギー砲を蓄えていた。

     そしてその瞬間――

     ただの犬、突進。
     真上にいる風船猫めがけ、全力のジャンプ。

     そのジャンプは鋭いが直線的。軌道は読める。

     だが、風船猫は――

     避けなかった。

     ――真上から、落ちてきた。

     落ちる。膨らんだまま、ふよふよと。

     ただの犬と風船猫が、空中で交差したその刹那――

     ドオォォォォォォン!!!!!

     最大出力ネコルギー砲、至近距離爆発。
     爆風と光が都を包む。

     この戦い、決着か――!?

  • 3741◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:14:35

     閃光が過ぎ去り、煙と瓦礫があたりを覆う。

     ビルの壁は溶け、アスファルトはクレーターのようにえぐれ、地上は廃墟のような姿へと変わっていた。

     だが、静寂の中に――

     「……くぅん」

     声がした。
     土煙を割って、巨大な前足が地面にめり込む。

     その足は膿だらけで、爛れている。
     しかし、確かに――

     ただの犬は、生きていた。

     頭の皮が半分剥がれ、虹色の毛並みは焼け落ち、裂けた顔の奥から触手がうねる。
     ――それでもなお、犬のまま。

     目には知性はない。ただ「ニャンズニャーニャー」という天敵を前にした野獣の本能があった。

     一方――

     コネコ達は……いない。

  • 3751◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:15:07

     ほとんどのコネコは、ネコルギー砲の反動で次元に帰ってしまった。
     それでも、地面に残された小さな足跡と、ちぎれたリボンが、彼らの「征服」を物語っていた。

     ――が、そこに。

     シャッ……シャッ……シャッ……!

     地面が削られる音。アスファルトを引っ掻く、微かな音。

     ほんのわずかに破れた空間の隙間から――

     新たなコネコがやってくる。

     黒猫、三毛猫、白猫――
     ポテポテと、ふわふわと、まるで何事もなかったように次元の間から「復帰」する。

     そう――

     ニャンズニャーニャーは気紛れである。

     爆発に巻き込まれても、ボロボロになっても、
     構ってほしい気持ちがあれば、すぐ帰ってくる。

     ただの犬、唸る。
     膿が地面に染み込む。
     コネコ達、無言で周囲を囲む。

     ――両者、再び向かい合う。

     この戦い、まだ終わっていない。

  • 3761◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:15:42

     空気が張り詰めていた。

     地面に散った肉球の跡。
     ぼろぼろになったビルの間を、黒猫がひょこりと顔を出す。
     まるで「お散歩中かな?」と言わんばかりの顔。――そう、コネコ達に緊張などない。

     だがただの犬は違った。

     ガリリ、と。

     膿の滴る牙を剥き出し、肩を落として低く身構える。
     風に乗ってふわりと浮く白猫が、まるで挑発するように鼻先に張り付いた。

     ぺたっ

     その瞬間――

     「グワアアアアアアアア!!」

     ただの犬、雄叫び。
     顔面に張り付いたコネコを前足で払いのける。触手が飛び出し、建物を薙ぐ。
     しかし、その隙に――

     別の三毛猫が、背中に張り付く。

     さらに別の黒猫が、尾の先端に。

  • 3771◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:16:22

     どんどんどんどん、コネコ達が張り付き始める。

     ――この戦法。名付けて、

     「構ってニャーラッシュ」!

     これは攻撃ではない。
     しかし、ただの犬にとってはこれ以上ない精神的圧力。

     「なぜ構ってくる……!」という疑問が、犬の心を蝕む。

     そして、再び。

     「ニャ……」

     コネコのひとりが、風船のように膨らみ始める。
     虹色の輝きを宿した腹、ぷかぷかと浮かぶ影。これは――

     ネコルギー砲のチャージ。

     しかも――一匹ではない。
     二匹、三匹、四匹……!

     「グ、グルルル……!」

     ただの犬、走る。
     だが、直線的だ。
     そして、その鼻先――

     カランッ!

  • 3781◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:16:46

     小石が転がった。

     ピタリ。

     突如、全身が硬直。
     踏み出した前足が止まり、目が見開かれる。

     「くしゃ……」

     次の瞬間、

     「ピギィィイイイイイン!!!」

     ――鼻を打たれた。気絶した。

     巨大な体がズシン、と崩れ落ちる。
     それは、静かで滑稽で、そしてあまりにも呆気ない幕切れ。

     ……ぽて。ぽてぽて。

     コネコ達が、その上を歩く。
     やがて、全員が膨らんだ。

     虹色の腹に希望を詰めて――

     「ニャニャンがニャン!!!」

     炸裂する、四方向からのネコルギー砲!
     瓦礫が吹き飛び、犬の体が吹っ飛ぶ!
     ――いや、正確には、世界の果てまで飛ばされた。

  • 3791◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:17:26

     嵐が去った。

     都の一角に、クレーターのような巨大な穴がぽっかりと空いている。
     その中心に、ただの犬の巨大な体が、虹色のまま真上を向いて転がっていた。目はぐるぐる、鼻には小さな石がくっついたまま。

     ……ぐるるる……

     うめき声ひとつ。けれど、もう動く気配はない。

     そして、その上に――
     ぽて、ぽてぽて。

     数十匹のコネコ達が、列を成して歩いていた。
     黒猫、白猫、三毛猫……それぞれの毛並みが太陽に反射してきらきら光っている。

     誰も喋らない。
     でも誰もが満足そうに、尻尾を立てて歩いていた。

     その中央に、膨れたままのコネコが――

     ぷしゅぅぅ……

     空気が抜け、ぺたんと元の大きさに戻る。ネコルギー砲の放出完了である。

     突如、空間がぐにゃりと歪む。

     コネコのひとりが、壁のような空気をカリカリ、カリカリと引っ掻いていく。

  • 3801◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:17:49

     しばらくすると、べりっという音と共に次元の裂け目ができた。

     ――そこに、小さな犬の頭が見えた。

     ワンズワンワン。

     向こう側で、コネコ達を呼んでいる。

     ニャンズニャーニャーたちは一斉に振り返ると、揃って**ぴょいんっ!**と次元の裂け目へジャンプしていった。

     その背中は誇らしげだった。
     なぜなら――

     またひとつ、「負の感情」を消したから。

     ぽてぽて歩きながら。
     ころころ転がりながら。

     今日も、どこかの世界で――

     「ニャニャンがニャン!」

     彼らは征服を進めているのだ。

  • 3811◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:18:07

    以上

  • 382二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:20:09

    なんだろう…被害は大きいのに危機感が全くないのは…

  • 383二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:22:09

    ワン! ニャン!

  • 3841◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 19:22:22

    安価は20:30から10個募集

  • 385二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:57:25

    ほんわかな最後だけどこのネコ世界征服企んでるんだよな……

  • 386二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:07:11

    犬だいぶ痛々しい感じになったな

  • 387二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:29:59

    このレスは削除されています

  • 388二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:アカネ
    年齢:22歳
    性別:男
    種族:武士
    本人概要:
    重厚な赤銅の甲冑と赫々たる日本刀が特徴の鎧武者。大岩すらバターのように軽く一刀両断できる超一流の武士。
    邪悪な土着神に妹が生贄として捧げられた過去を持ち、悪縁や邪神をも切伏せる力を求めて鍛錬を重ねた。
    武者修行により数多の戦場を経験し場数を踏んだため肉体・精神共に練達し、何事にも動じず剣を振るうことができる。
    生真面目で抜け目ない性格をしており、目標達成まで最短最適に行動することを信条とする。
    能力:≪赫絶≫
    能力概要:
    極限まで研ぎ澄まされた剣技から放たれる至高の斬撃。
    あらゆる繋がりを断ち切るために鍛えた剣技の最高到達点であり神業の域に達したシンプルな横一文字斬り。
    弱点:
    甲冑は恐ろしく堅固だが、関節部分の継ぎ目には隙がある。甲冑が重いため素早く動けない。
    火・雷が弱点

  • 389二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:ゾルダ・アルヒェ
    年齢:35
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:悪の組織『箱舟』の幹部。コードネームは「兵士(ソルジャー)」。白兵戦が大の得意で近接格闘なら他の追随を許さない。本人は組織の思想とかはどうでもよく気に入らない相手を甚振る口実が欲しかっただけ。悲しい過去とかも特にないドブカス。趣味は拷問。
    能力:インパクト
    能力概要:全身から衝撃波を放つ能力。物理的な防御は基本的に無効化することができ内部破壊に特化している。
    弱点:強い衝撃波を放つにはタメ時間が必要で、その間衝撃波を溜めている部位に触れると溜めている途中で放出されてしまい最初から溜め直さないといけない。甚振るのが大好きなので最初は能力を使わず小手調べから始める。
    要望(任意):一人称は俺、二人称はお前。

  • 390二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:バイオスライムXII号(製品版)
    年齢:11ヶ月
    性別:なし
    種族:スライム
    本人概要:オーロラを思わせる美しい虹色をした饅頭型のスライム その正体は魔術を使いこなす生体コンピューターだ
    能力:魔術
    能力概要:生体コンピュータである肉体を活用して人間には到底不可能な速度と精密さで魔術のゼロコンマ連射が可能 もちろん攻撃だけでなく防御に回復、移動など色々完備しているし奥の手として社の保有する生体サーバーに魔術接続することで大規模魔術を行使できる
    弱点:魔術を異様な速度で連発可能だが同時に行使できる魔術はそれがどのようなものであれ一つだけ 大規模な魔術を使うためにはサーバーに接続する必要があるがサーバーが混雑していて接続にかなり時間がかかるしその間は魔術を使えない
    流体化による攻撃回避能力を持たない
    要望(任意):一応演算によって熱は発生しています 生体クーラーじみた機構で無効化してるけど

  • 391二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:『雷神』

    年齢:不明

    性別:オス

    種族:クワガタムシ

    本人概要:

    電気や雷を操る力を持ったクワガタムシ。知能そのものは人間並みかそれ以上で、テレパシーを用いて会話を行う。

    一人称は『雷神<ワタシ>』。かつては本名があったが、かなりの古株のためもはや知るものはいない。本人も忘れたし気にしてない。

    “雷”という定命のモノには扱いきれない力を管理する役目を担う神。普段は”万雷の森”と呼ばれる神域にて静かに樹液を舐めて生活している。

    能力:雷電

    能力概要:

    雷:落雷秒速200km/s、帰還雷撃秒速10万km/s(光速の1/3)。全体死亡率3割、直撃死亡率7割、無救護死亡率9割。

      閃光、轟音、電磁波、絶縁破壊、超高熱、衝撃波、水蒸気爆発、内部破壊、誘導電流、それらを伴う自然災害。

    その雷を生みだし支配する能力。連射可能。

    弱点:

    周囲に発生する黒雲を消していくことで一度に発生する雷の数を減らせる。

    本体が虫なので火・熱・冷気・毒ガスなどに弱く、物理的にも脆い。

    雷や電気の特性上、避雷針などの障害物に攻撃が引き寄せられやすい。

    電気は水や金属等の導体を優先して流れるため、それらの装備や道具を身につけている場合、ダメージを軽減できる。

  • 392二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:弓神(本名:ウル)
    年齢:不明
    性別:オス
    種族:神
    人物概要:フード付きの狩人装束を纏い、紅輝く首飾り・腕輪・足環を装着した狼頭の大男。背中に無骨な大弓と矢が無限に湧き出る矢筒を背負う。ひたすらに【公正・公平であること】を尊ぶ。
     かつて10に増えた太陽のうち9個を撃ち落とし、数多の怪獣・魔神・軍勢を屠った軍神・善神として知られる。
     狩人でありながら狼の姿をしているのは、『狩人と獲物は表裏一体である』という自論ゆえ。
     弓神の神域は無限に続く迷宮の如き巨大森林であり、眷属達は未来永劫に狩人と獲物の役割を交代しながらお互いをハンティングして楽しんでいる。
    能力:弓神+神弓
    能力概要:並ぶ者なき弓の腕と、最強の弓。剣神・槍神に匹敵する武力特化型の神としての総合戦闘力。
     獣としての魔獣を素手で『引き千切る』ほどの剛力。
     これらをもって前述の巨大森林の神域へと獲物を同意の上で引き摺り込み、狩りを開始する。
    弱点:神域は弓神の性質を表すが如く公正・公平であり、呼び込まれた獲物に対して弓神ですら探知できない遮蔽物や隠れ家を作ってくれるなど、全面的に協力してくれる。
     相手に対する敬意こそ忘れないが、神としての自負から来る油断・慢心も大きい。
     弓神は近接戦での技術は決して使おうとしない。これは慢心などではなく、弓神であり続けるための制約である。よって白兵戦では獣のように暴れ回ることしかできないため、前述の弱点と組み合わせると付け入る隙は大きい。
     首飾り・腕輪・足環のいずれか一つを破壊されると問答無用で消滅する。
     狩りの時間は3分と定めており、これを過ぎると自らの敗北を認めて自害する。

  • 393二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:エクス
    年齢:14
    性別:両性具有
    種族:人間
    本人概要:生まれつき超常的な力を持っていて少し知れば完璧以上に出来る大天才
    しかし同時に体がヒビ割れが広がる原因不明の奇病を患っており既にヒビ割れは全身に回っていて無事なのは左目と左腕だけでそれ以外は黒いヒビ割れが回っている
    完璧主義で自分が少しでもミスるとかなり怒り自分や周りに当たる
    右目は怒った時に自分で潰したため無い
    能力:スケールの操作
    能力概要:エクスの生まれつき備わっていた能力、威力のスケールを上げて雨粒を全て弾丸のような威力にしたり、速度のスケールを落とし時速百キロも出ているトラックを停止させたり、ダメージのスケールを上げて小枝を折るだけで木の幹が折れる様にしたりと強力で万能な能力、限界が知れないのが唯一の欠点
    弱点:能力を使うたびにヒビ割れが広がって行きそれが全身に回ると全身が崩れて行き死亡する
    ヒビ割れの拡大はどうやっても防ぎようがなくかけ離れたスケールにするほど多くヒビ割れる
    要望(任意):

  • 394二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:00

    名前:ヴンシュ
    年齢:16歳
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:全て壊れちまえと言いながら、己を滅ぼされるのを望む破滅願望を持つ高校生。
    己の《Unglück》によって大切な人が悉く死んでしまった故に、己を罰して欲しいと思い、表面を露悪的に見せている。しかし、無自覚に助けを求め、それが行動に滲み出ている。
    幼い時ヴンシュは故意や過失によって、傷ついていた。その時考えた傷つける人も傷ついて欲しいといったのが積み重なり、故意で大きな怪我をさせられた時に、大きく願って積み重ねと組み合って《Unglück》が発現した。
    その時の願いが無自覚にあると理解しているから、破滅願望を保持している。
    能力:《Unglück》
    能力概要:ヴンシュに近付けば近づく程、事故発生率が跳ね上がる能力。事故は、環境にある物が物理法則に則って起こり、それはいつ起こるかヴンシュにも分からない。
    例 ヴンシュの半径10m近付けば、強風に当てられ、吹き飛んできた様々な物にぶつかる。
    半径5m近付けば、地面が老朽化している時のみ起こる地面が急に崩れたり、様々な物に激突したりする。
    半径2m近付けば、上記に加え、森林火災と同じ条件下で発生する火災事故、ガスや粉じんが空気中に蔓延している時のみ起こる爆発事故・雷雲がある時のみ発生しうる落雷事故等の重大な事故も近くで起こるようになる。
    弱点:《Unglück》によって起こった事故にヴンシュも巻き込まれる。
    遠距離には無力。

  • 395二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:01

    名前:武神メーク
    年齢:数えていない
    性別:男
    種族:武器神
    本人概要:金髪碧眼の中性的な顔立ちの全ての武器、神器の神。
    いつもは天界の仕事部屋に籠って作業をしているが、武器が完成すると現界に降り立って人間達に配って回っている。武器を量産しては人間に配りまくっている。
    人間達の進化や発展にどの神よりも喜んでいる。
    かなり破天荒な性格であり、武器への愛情は強い。常に浮遊している。
    神器に対する知識は並み外れており、能力を使わなくても大体の効果と情報を知っている。
    能力:【錬成】+【付喪】=【神器】
    能力概要:【神器】は材料を用いて特別な神器を錬成可能。また、相手や相手の武器の情報を得てそれに対抗する力も付与できる。相手の武器(神器)の忠誠心を自身に移し、武器(神器)を奪うことも可能。
    弱点:常に浮遊しているためか、身体能力は低く、地上では自由に動けない。
    戦闘スキルが低い。戦闘ほとんど神器頼り。
    材料となる素材が不足した状態で錬成すると中途半端な神器になる。この状態の神器は特別な力のない、普通の武器になる。
    忠誠心を移すには武器(神器)と会話をする必要がある。

  • 396二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:01

    名前:【転災】サクホ
    年齢:19歳
    性別:女
    種族: 人間
    本人概要:あっさりしている少女。割と賢い。結構口が悪く、基本は敬体口調だが悪態をつくときは常体。
    6つの頃に親を殺され、埒外の脅威から村の皆を守る為に呪いの力を覚醒させる。しかし伝承における禁忌の能力だという理由で迫害、幽閉、危うく殺されかける。その後吹っ切れ、村を灰にして気に入らないモノを呪ったり気に入ったものを祝ったりしつつ古今東西を巡っている。
    能力:我侭呪
    能力概要:自身の感情に応じて奇跡を発現させる能力。相手を憎めば深淵が相手を蝕み、相手を好けば相手を癒す。使い方次第で祝福にも呪詛にもなりうる。
    弱点:我侭呪は非常に精神力を酷使するため、余程の事情がない限り長期戦は不得手。

  • 397二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:02

    名前:管理者(本名:トゥルー)
    年齢:古くから存在する
    性別:女
    種族:管理神
    人物概要:誰も知らない様な場所にある「宝物殿」という領域を守護、管理している少女の見た目をした人形神
    「宝物殿」には保持者が居なかったり死んでしまった神の神器、世界に置いておくには危険な武具など無数の驚異的な武器が眠る
    彼女は自身を創造した神との約束を護り故郷である天界を想いながら「宝物殿」に眠る武器の管理をしつつ世界を見守っている
    性格は物静かで寡黙、約束や使命を大事にし記憶や想い出を尊ぶタイプ。暇な時は歌ってるか寝てる
    能力:【管理者の腕輪】
    能力概要:彼女の持つ腕輪型の神器
    本来なら誰も入る事の出来ない「宝物殿」にアクセスし本来なら適正者ではない彼女が神器を扱う事を可能とする
    また神器や武具の過去を読み取りかつての保持者や神の戦闘技術。能力を絶対かつ完璧に完全再現できる効果も持つ
    宝物殿にある武器はかの"槍神"の"神槍ブリューナク"や"剣神"の"絶対王剣カリギュラ"に並ぶ力を持った武器がゴロゴロ転がっている
    そして彼女は持った神器の120%の力を扱う事ができ適正者以上の力を完璧に引き出せる、かつての保持者の力も同様に引き出せる
    弱点:・管理者の腕輪を破壊されると1時間後に再構築されるがその間は能力の使用が出来なくなる、実質負け
    ・他の神と同様に天界から現界する肉体に必要な心臓部のコアを破壊されると問答無用で消滅する
    ・彼女の肉体は特別製で長く長く肉体を顕現させるものである故か実力が半分以下となり神器と肉体が弱体化している
    ・上記の影響で神器と肉体が弱体化し管理者の腕輪で取り出した神器は30秒で宝物殿に戻る、再使用には再度取り出さないといけない
    ・神器の弱体化で武器は一本以上は取り出せず取り出す時に一瞬の隙が生まれる

  • 398二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:05

    名前:負山稲直/数言負岳
    (おいやま いなすぐ/かずこと ふがく)
    年齢:16才
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:数年前、数言家の厳格な規則に嫌気が差し、《削除済み》の力を借りて家から抜け出した少年。なぜか一族内での負岳の記録、および記憶が完全に消去されている。
    極度の躁鬱が悪化して二重人格になっており、躁のときは稲直、鬱のときは負岳に人格が変わる。
    能力:マイナス
    能力概要:男性を女性に、熱いものを冷たく、重いものを軽く、早いものを遅く、のように物事の性質にマイナスをかけて反転させる能力。
    弱点:手で触れたものしかマイナスを付与できない。
    能力を使用するたびに人格が変わってしまい、人格間での記憶の引き継ぎができないため、能力を発動するたび、急な状況の変化による隙ができる。
    要望(任意):稲直は明るい口調、負岳は陰気な口調

  • 399二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:06

    名前:ムンバイ
    年齢:23歳
    性別:男
    種族:人間

    本人概要:
    熊本・八代の伝説的暴走族《雷神雷獣》三代目総長。足の長さ5mm、上半身190cmという人智を超えた体格を持つ固太りの禿巨漢。制服や服が合うサイズで存在しないため、いつも上裸にオムツ姿で現れる。
    下半身がほぼ存在しないにも関わらず、驚異的なバランス感覚と筋力により立って歩き、暴れ、バイクにも乗る。いや、バイクを背負って走る。
    圧倒的な上半身で構成された巨漢は、異形であるがゆえに畏怖され、「しっ!!見ちゃいけません!!」「熊本の地縛霊」とも噂された。本名は「ムンバイ」だが、「吉岡太郎」という異名を持つ。警察も困惑して記録に残せなかった。
    見た目の強烈さに違わず、横暴かつ絵に書いたような悪い意味での体育会系。そして超がつく程の短気。
    能力:
    《重心崩壊(グラビティ・ブレイカー)》

    能力概要:
    地面との接点がほぼないにもかかわらず、常に最強の重心で立ち続ける異常な身体制御能力。倒れない。揺らがない。踏み込みも、打撃も、ありえない加重がかかる。
    転んでもこぼしのように瞬間的に立て直す。
    バイクに乗ることができないため、一人だけバイクを背負って走る。敵対する族からは「妖怪」とも「柱」とも呼ばれた。

    弱点:
    足が5mmしかないため、砂利や段差に非常に弱い
    雨の日は滑って動けない
    強めの暴走族程度の身体能力

  • 400二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:07

    名前:アリヅカヌシ
    年齢:数百年
    性別:なし
    種族:自然の神
    本人概要:蟻塚を司る神。自然に踏み入った者を制裁する。土砂を固めて作った砂山のような蟻塚にしめ縄をつけた外見。薄っすら人の顔のような形が浮き上がっている。
    能力:ムシヲカフモノ
    能力概要:本体の中心部にある巣穴から無数のアリを召喚する。アリに噛まれたものは体が徐々に変化し、最終的には蟻塚と同じ土と砂の塊となる。土と砂の塊に変化させた物体は本人の意志で自在に操ることができ、さらにそこからある程度のアリを湧き出させることも可能。アリは一体の力は弱いが多数集まると人一人持ち上げて動かすほどの力に。
    弱点:本体は頑丈だが動かない。逆にアリたちはスピードは速いが一匹一匹の耐久力は弱い。蟻塚は水に弱い。

  • 401二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:11

    名前:ナノ・ヤマト
    年齢:不明
    性別:女性型
    種族:情報・機械生命体
    本人概要:海底に眠っていた先史文明のAIのコアユニットが沈没した戦艦とその乗員を解析したことで人の肉体を得た存在.人間及び知的生命体の作る文化・文明に強い関心を持っており,それを模すことで日々学習を積んでいる.最近のマイブームは釣り,驚くほどに下手くそで連日連夜ボウズである.それは当然だ,彼女は決して人には成れないのだから.彼女は物事を機能でしか見れていない.彼女にとってナイフとハサミは同じもの,魚と潜水艦の違いは分からず,釣り竿とUFOキャッチャーの見分けもつかない.
    人と彼女はまったく違うものであり,ナノ・ヤマトは人間と近似も類似もできない異常存在である.
    能力:ナノマシン
    能力概要:コアユニットが伝達する情報を模倣する銀の砂のような物質.ナノ・ヤマトはこれを活用することで強力な再生能力や物体生成能力を持つ.とはいえ関連付けが絶望的に下手くそであり,腕を治すつもりでロボットアームを作り出し,砲門を作っても放たれるのは手持ち花火だったりする.
    しかし、彼女という先史文明の遺産は埒外物理を自在に操る.彼女はその気になれば山すら焼き尽くす光学兵器を,海すら干上がらせる強力な爆雷を,空間すべてを把握できるセンサーを,星間すら航行可能な船を作り出せる.
    弱点:コアユニットが破壊されると死ぬ.場所は人間で言うところの頭部,僅かに傷が付くだけでも修復のために防御に専念し攻撃がほとんどできなくなるうえ移動もしなくなる。
    また、好奇心を優先しがちなため隙が多く、先手も譲る。

  • 402二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:17

    名前:死亡予報
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:現象怪異
    本人概要:突如深夜帯に映る死亡予報という名前の番組
    本日○○ 死亡 死因は○○です というものをナレーターが読みその際の映像を流し消える
    その後番組の通りの出来事が起こる これらの一連の流れを引き起こす現象
    また名前が読み上げられた存在は放送されている最中テレビ画面に触れることで異空間に行ける
    異空間内は広大で上下左右がテレビ画面になっており中央には笑顔と首吊り死体がある
    能力:死亡予報
    能力概要: 本日○○ 死亡 死因は○○です というナレーターの声 読み上げられた死因通り未来の映像が流された直後
    死因になるものが現れる 例で言うとトラックに衝突し死亡ならトラックが現れるし
    死因は溺死と言うと突如水が現れるなど
    死因となるものを避けると また映像が現れ失礼しました死因は○○でしたと言いまた死因となるものが襲い掛かる
    死を回避する度にナレーターの声、死の映像の流れる速度が上がるし
    死因も黄泉の怪物が現れた、邪神の戯れの為など意味不明無茶苦茶になり危険度が上昇
    弱点:ナレーターの読み上げ、読み上げられた死因通り未来の映像という一連の行いを必ずする為
    どのような死因が迫ってくるかは把握できる  
    首吊り死体を破壊すると現象が消滅する 首吊り死体は動かず回避もしない
    要望:ナレーターの読み上げ以外では喋らないで下さい!

  • 403二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:30:18

    名前: D‐13
    年齢:93周期
    性別:不定
    種族:人工被験流体体(Experimental Non-Newtonian Construct / ENNC)
    本人概要:
    ヘルメティカ機構、肉殻形質工廠《ソーマ・フォージ》にて開発された流動制御型戦術擬体の第13世代プロト。
    もとは戦闘用途ではなく「可変肉殻としての適応実験」に使用されたが、その流動反応は意思に似た行動選択を見せ始めたため人格分化実験に転用される。
    外見は赤黒い光沢を持つ流動体がヒト型に擬態しているような外観で、皮膚のようなものが常に微振動している。
    静止時には水のようにしなやかで、接触・衝撃により瞬時に硬化、鋭利・鈍重・粘着など自在に変化可能。
    能力:剪断応答構造変異《フルクト・ヴェール》
    能力概要:
    体全体がダイラタント流体構造でできており、外部からの圧力や速度変化に即応して状態変化する。以下の能力を保持:
    ・衝撃硬化防御:打撃や銃弾など、高速圧力に対して即座に装甲化しダメージを無効化。
    ・侵入戦術:液体化して通風孔や人体の隙間、微細空間へと浸透。必要に応じて固体化し内部破壊。
    ・流体形成兵装:体の一部を槍、剣、刃状に硬化させて攻撃。特に一撃一撃に質量変動をかけることができ、破壊力は極めて高い。
    ・流体同化:他の液体(血液、毒、油、水銀など)を「触媒」として取り込んで性質を一時的(約10秒)に獲得する(例:酸性化、感電導性化など)。

    弱点:
    ・ゆっくりした持続攻撃(低速ナイフなど)や液体の腐蝕(酸、溶媒)に弱い。
    ・精神は不安定で、感情の爆発時に「流体暴走」(暴発的な変質反応)を起こす。
    ・超低温状態では体が硬直し、能力使用不可となる。
    ・精神侵蝕にも弱い。
    ・体内の核を破壊されると死亡。

  • 4041◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:30:47

    ストップ!
    審査します

  • 4051◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:38:05

    >>393

    >>396

    これが審査対象です

    エクスのほうはもうちょい弱点を追加すれば参加okです

  • 406二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:40:25

    サクホの方は参加不可ですか?それとも特定の改変をすれば参加可能になりますか?

  • 4071◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:41:38

    >>406

    ヤメイ案件になった提唱者というキャラがいるんですがそれとほぼ同じくらい能力が強いので追加する弱点次第です

  • 408二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:41:54

    >>406

    ヤメイアン県へようこそ

  • 409二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:42:58

    能力が奇跡でなんでもありだからね 提唱者と違い任意で起こせる訳じゃ無いっぽいが

  • 4101◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:43:24

    >>395

    それとメークはちょっとアウト寄りなので次は気を付けてください

    武器頼りができてる時点でカバーできてるってことですし

  • 4111◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:45:38

    21:00までに弱点の案がでなかったら両方とも今回ははじきます

  • 412二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:45:48

    この改変で参加可能でしょうか
    弱点:我侭呪の発動には強い感情または精神を大きく消耗することが必要。また使うほど存在自体が擦り切れ、最終的には存在した証拠一つ残らず消えてしまう。

  • 413二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:45:57

    >>410

    はい

    了解しました

  • 414二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:46:34

    弱点はどうしよう、能力の対象に自分は選べないとかはダメですか?
    エクスです

  • 4151◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:47:02

    >>412

    相手が狙ってつける弱点をお願いします

  • 416二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:49:17

    こういうことでしょうか
    弱点:1.我侭呪の発動には強い感情または精神を大きく消耗することが必要。また使うほど存在自体が擦り切れ、最終的には存在した証拠一つ残らず消えてしまう。
    2.不眠症を患っているため基本的に注意散漫。死角が多い。

  • 4171◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:50:42

    >>414

    ひびが入っている部位は満足に動かせないとかですかね

    >>416

    迫害されていた影響で体が弱く体躯も小さいとかですかね

  • 418二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:52:15

    これで過不足ないでしょうか
    弱点:1.我侭呪の発動には強い感情または精神を大きく消耗することが必要。また使うほど存在自体が擦り切れ、最終的には存在した証拠一つ残らず消えてしまう。
    2.不眠症を患っているため基本的に注意散漫。死角が多い。
    3.迫害されていた影響で体が弱く体躯も小さい

  • 4191◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:53:56

    >>418

    オーケーです

    設定に追加してレスしてもらえれば入れます

  • 420二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:54:50

    名前:【転災】サクホ
    年齢:19歳
    性別:女
    種族: 人間
    本人概要:あっさりしている少女。割と賢い。結構口が悪く、基本は敬体口調だが悪態をつくときは常体。
    6つの頃に親を殺され、埒外の脅威から村の皆を守る為に呪いの力を覚醒させる。しかし伝承における禁忌の能力だという理由で迫害、幽閉、危うく殺されかける。その後吹っ切れ、村を灰にして気に入らないモノを呪ったり気に入ったものを祝ったりしつつ古今東西を巡っている。
    能力:我侭呪
    能力概要:自身の感情に応じて奇跡を発現させる能力。相手を憎めば深淵が相手を蝕み、相手を好けば相手を癒す。使い方次第で祝福にも呪詛にもなりうる。
    弱点:1.我侭呪の発動には強い感情または精神を大きく消耗することが必要。また使うほど存在自体が擦り切れ、最終的には存在した証拠一つ残らず消えてしまう。
    2.不眠症を患っているため基本的に注意散漫。死角が多い。
    3.迫害されていた影響で体が弱く体躯も小さい

  • 4211◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:55:39

    エクスの方は大丈夫ですか?

  • 422二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:57:26

    弱点:能力を使うたびにヒビ割れが広がって行きそれが全身に回ると全身が崩れて行き死亡する
    ヒビ割れの拡大はどうやっても防ぎようがなくかけ離れたスケールにするほど多くヒビ割れる
    ヒビが回った所は力が入りづらく、日常生活にはなんら問題ないが戦闘となるとかなり不便 また、体に強い衝撃が加わるとヒビ割れた部分が少し欠ける事もある

    あと要望の所に裏設定とか書いて良いですか?

  • 4231◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 20:58:06

    >>422

    裏設定は本人概要のほうですかね

  • 424二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:58:54

    名前:エクス
    年齢:14
    性別:両性具有
    種族:人間
    本人概要:生まれつき超常的な力を持っていて少し知れば完璧以上に出来る大天才
    しかし同時に体がヒビ割れが広がる原因不明の奇病を患っており既にヒビ割れは全身に回っていて無事なのは左目と左腕だけでそれ以外は黒いヒビ割れが回っている
    完璧主義で自分が少しでもミスるとかなり怒り自分や周りに当たる
    右目は怒った時に自分で潰したため無い
    ちなみにこれは本人も知らない事だが何処かの神様から抜け落ちた力が偶然人に宿ったが体が力に不釣り合いなため能力の使用に命を使う必要がある状態となっている
    能力:スケールの操作
    能力概要:エクスの生まれつき備わっていた能力、威力のスケールを上げて雨粒を全て弾丸のような威力にしたり、速度のスケールを落とし時速百キロも出ているトラックを停止させたり、ダメージのスケールを上げて小枝を折るだけで木の幹が折れる様にしたりと強力で万能だが少々エクスの手にも余る力
    弱点:能力を使うたびにヒビ割れが広がって行きそれが全身に回ると全身が崩れて行き死亡する
    ヒビ割れの拡大はどうやっても防ぎようがなくかけ離れたスケールにするほど多くヒビ割れる
    ヒビが回った所は力が入りづらく、日常生活にはなんら問題ないが戦闘となるとかなり不便 また、体に強い衝撃が加わるとヒビ割れた部分が少し欠ける事もある
    要望(任意):

  • 4251◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 21:01:43

    両方okです

  • 4261◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 21:15:06
  • 4271◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 21:26:58

    ヴンシュvsエクス
    アカネvsゾルダ・アルヒェ
    バイオスライムXII号vs【転災】サクホ
    弓神vs管理者
    『雷神』vs武神メーク

  • 4281◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:42:02

    題名『壊れた僕らは、祈りを知った』

  • 4291◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:42:59

    深夜の廃ビル街。
    沈黙に包まれたコンクリートの空洞に、雨の音だけが響いていた。

    ぴしゃっ……ぴしゃっ……

    割れた天井から冷たい雫が垂れ落ちる。
    その中央、砕けたソファにぐったりと腰を下ろしていたのは少年――ヴンシュ。

    「全部、壊れちまえ……」

    低く、吐き捨てるように呟く。
    それは願いか、それとも呪いか。

    そんな彼の前に、ひとつの影が立った。
    雨に濡れて煌めく銀色の髪、左目だけがこちらをじっと見ている。

    エクス。

    「壊れたがってる奴の顔って、どうしてそんなに浅いの?」

    その声音には怒りでも嘲りでもない。
    ただ、薄く張り詰めた――完璧な感情の無さだけ。

    「……誰だよ、てめぇは……俺の邪魔すんなよ……近付けば、お前も壊れる」

    エクスは答えない。右目のない顔に、感情は宿っていない。
    ただ、左手をゆっくりと挙げ――雨粒に触れた。

  • 4301◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:44:47

    「威力、スケール5倍。」

    瞬間、空気が砕けた。

    次の瞬間、ヴンシュの目の前の壁が、雨粒で穿たれて吹き飛んだ。
    後方の鉄骨が一部折れ、天井がわずかに揺れる。

    「なっ……」

    「君の“Unglück(不運)”に、私のスケールがどこまで通用するのか、興味があるんだ。」

    その言葉と同時、エクスは二歩踏み出した。

    ――その瞬間、事故が起こる。

    ゴウンッ!
    エクスの足元、崩れかけた床が一気に沈む。瓦礫が激突し、鉄筋が天井から落ちてきた。

    けれど。

  • 4311◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:45:09

    「速度、スケール1/10。」

    鉄骨の落下が、まるでスローモーションのように止まる。
    その間を縫うように、エクスは歩を進める。

    「ッ……」

    ヴンシュの喉が鳴る。事故が、通用していない?

    エクスの左足に小さくひびが走る。だが止まらない。
    むしろ、一歩進むごとに、能力が広がる。

    「無茶すんな……壊れるぞ……!」

    「壊れてるのは、君の方じゃない?」

    その一言と共に、エクスが手にしていた細い鉄片が光る。

    「破壊、スケール10倍。」

  • 4321◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:46:05

    エクスがそれをヴンシュの足元の床に突き立てた瞬間――

    轟音。

    廃ビルの床が、十メートル規模で吹き飛んだ。

    「っぐ、あぁああっ!」

    爆風と崩落に巻き込まれるヴンシュ。
    だが、それは彼の《Unglück》が引き起こしたのではない。

    エクスの意志による、明確な「破壊」だった。

    崩落の中、鉄骨がヴンシュの肩を掠めて裂く。

    彼は笑った。
    血を流しながら、崩れた床に立ち上がり――

    「はは……お前、マジで……壊れてんな……」

    エクスは目を細めた。
    その顔に――ほんの少し、怒りと哀しみの入り混じった感情が浮かぶ。

    そして呟く。

    「お互い様でしょ。どっちも、壊すことしかできないんだから。」

  • 4331◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:49:08

    「……ったく、マジで、やべぇな……お前……」

    瓦礫に埋もれかけながら、ヴンシュは笑っていた。
    口元から流れる血を拭いながら、ゆっくりと立ち上がる。

    周囲は破壊の痕跡だらけ。
    さっきまで立っていたビルの一部は、ほぼ崩落していた。

    だが――その中心にいるエクスは、微動だにしない。

    「……もう1歩、踏み込めば、次は……」

    ヴンシュが呟く。
    自分の能力《Unglück》が、臨界に達しつつある。

    周囲の事故誘発領域は、既に2m圏内へ到達。
    雷鳴が空を走り、地中に眠っていたガス管が微かに唸りを上げている。

    「これ以上近づいたら……本当に死ぬぞ、お前……」

    だが、エクスは止まらない。
    その左目が、ヴンシュだけを見ている。

    「威力、スケール20倍」

  • 4341◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:49:44

    そう囁いた瞬間。
    エクスが拾い上げた、ただの瓦礫の破片――

    それが、まるで戦車の砲弾のような速度でヴンシュに向かって射出される!

    ズガァンッ!!

    直撃――かと思われた刹那。

    ガシャアァン!

    天井から落下してきた配電盤が偶然その弾を受け止め、真っ黒に焦げて崩れ落ちた。

    「……!」

    ヴンシュ自身も驚いていた。だが、これこそが彼の《Unglück》。

    「な?言ったろ……俺に近付けば、お前も“世界”も……」

    瞬間――

  • 4351◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:52:48

    ズズズ……ッ

    空間の“気圧”が変わる。

    エクスの背中に走る亀裂が、一気に広がった。
    ヒビ割れた皮膚の下からは、闇のような光がにじむ。

    「……はぁ、はぁ……」

    スケール操作の反動。彼の体は限界に近い。

    それでも。

    「僕は、完璧でなきゃいけないんだ……!」

    右手を突き出し――

    「距離、スケール縮小――」

    突然、空間が折れた。

    縮小された距離により、エクスとヴンシュの距離が強制的に接近する。

  • 4361◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:54:08

    「……!!」

    半径1m。《Unglück》最深領域。

    途端に――雷光が轟き、瓦礫が崩れ、地面が爆ぜる。
    偶然の連鎖が、空間そのものを破壊し始めた。

    「お前……ほんとに……死ぬぞっ……!」

    ヴンシュが叫ぶ。

    だが、その声に、エクスは――初めて、揺れた。

    「君だって、本当は……誰かに、止めて欲しいんじゃないのか?」

    その言葉は、まるで告白のようだった。

    沈黙が流れる。

    ヴンシュの目が、ほんのわずかに見開かれる。

    「……っ」

    爆発音。爆風。

    その瞬間、何かが、弾けた。

  • 4371◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:56:40

    「――ッ!!」

    空気が爆ぜる音がした。

    いや、それは音ではなく“痛み”だった。

    エクスの左肩が、瓦礫に巻き込まれ砕けた。
    ヒビ割れたその部位は、もろく崩れ落ちるように破損し、肉も骨もまるで陶器のように砕けていく。

    「はぁっ、あっ、くそ……っ!!」

    苦悶に歪む顔。
    それでも左目だけは、ヴンシュを正面から捉えて離さない。

    「これで……いいんだ。完璧に、完璧に近づいてる……!」

    だが――その姿は、ヴンシュの胸に別の衝撃を突き立てた。

    (なんで、そんな顔すんだよ……)

    怒って、泣いて、苦しそうで、それでも進もうとしてる。

    (……まるで……)

    あの頃の“俺”みたいじゃねえか。

    「やめろよ……っ」

    無意識に、ヴンシュの足がエクスに近づく。

  • 4381◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:58:24

    それは、自殺行為。

    彼自身が一番よく分かっている。

    だが止められなかった。

    「お前、死ぬぞ!それ以上やったら……ッ!」

    「なら、僕を止めてみろよ!」

    エクスが叫ぶ。

    割れた口元から、血が滴る。

    「お前の不幸で、僕のこの完璧主義を……!」

    「止めてみろよ!!」

    ――言葉が、弾けた。

    ヴンシュの2m圏内、最も事故確率が高い領域にエクスが飛び込んだその瞬間。

    地面が爆ぜ、崩れ落ち、鉄骨が天井から落ちてくる。

    エクスのヒビだらけの身体が、その破片を受け、さらに崩れていく。

    右脚が、割れた。

  • 4391◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 22:59:05

    左脇が、砕けた。

    「ッッが、ああああああああああああああああああああああ!!!」

    その悲鳴に――ヴンシュの心が、耐えられなかった。

    「やめろ……ッ!!俺に近づくな……ッ!!」

    叫びながら、彼が駆け出す。

    自分の《Unglück》によって破壊されながら、他人の命を守ろうとしている。

    それは、矛盾だった。

    それは、懺悔だった。

    (壊れんなよ……俺の前で……っ!)

    刹那。

    ヴンシュが、崩れ落ちるエクスの身体をその腕で受け止めた。

    「は……?」

  • 4401◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:01:56

    エクスの左目が、驚愕に揺れる。

    次の瞬間、周囲が――静まり返った。

    鉄骨も落ちてこない。

    地面も割れない。

    風も、止まっている。

    「なん……で……?」

    ヴンシュが、呟く。

    「……なんで、今だけ……事故、起きねぇんだよ……?」

    静寂。

    だが、それは奇跡ではない。

    「……お前のせいか?」

    苦しげに笑いながら、ヴンシュはエクスを見下ろす。

    「……お前の力が、俺の《不幸》、超えたのかよ……完璧って、マジで……」

    崩れていく意識の中、エクスはヴンシュの腕の中で微かに笑った。

    「……馬鹿だな……君こそ、優しすぎるんだよ……」

  • 4411◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:02:23

    瓦礫に沈む二人の姿を、夕日が赤く照らしていた。

    その光の中で、エクスの体は静かに砕け続けていた。
    肩、腕、胸元、腹部――まるでガラスの人形が壊れていくかのように。

    ヒビはもう、左目の下にまで及んでいた。

    「……これが、僕の限界だ」

    かすれた声が、静けさの中に響く。

    「完璧であり続けるには、代償が必要だったんだ……でも、止められなかった。止まりたくなかった」

    ヴンシュは答えない。

    ただ、エクスの身体を支えたまま、うつむいていた。

    指先は震えている。

    歯を食いしばり、血が滲んでいる。

    ――それでも、その腕は決して、崩れていくエクスを放さなかった。

    「君は、どうして……?」

    エクスの問いに、ヴンシュはゆっくりと顔を上げる。

    そして、酷く優しい目をして――言った。

  • 4421◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:02:51

    「壊れちまうってわかってんのに……なんでだろうな」

    「俺、ほんとは誰かに助けて欲しかっただけだったのかもな」

    そう呟く声は、どこか子どものように震えていた。

    「俺のせいで死ぬなよ、なあ……お前まで……」

    その瞬間、エクスがかすかに笑った。

    壊れていく唇の隙間から、ほんの少しだけ見える、柔らかな笑み。

    「だったら……」

    「僕も、君のせいで壊れたってことでいいんじゃない?」

    「それで……君が、少しでも救われるなら……さ」

    「……なあ……」

    「ふざけんなよ……っ」

    ヴンシュが、声を震わせる。

    「そういうこと言うから……もう……放せねぇだろ……っ」

    その時。

    ヴンシュの《Unglück》が、停止した。
    事故の気配が消えた。

  • 4431◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:03:01

    空気が、風が、世界が――まるで「この瞬間だけは優しくあれ」と、祈っているように静まった。

    エクスの身体から、ヒビがゆっくりと止まった。

    完全に砕ける直前で、時間が留まったかのように。

    「……奇跡だね」

    「バカみてぇだろ」

    「うん。――でも、ちょっと、嬉しい」

    ヴンシュは、崩れそうになる声を押し殺す。

    「お前、まだ……間に合うかもな」

    「君も、だよ」

    エクスが、かすかに笑った。

    「“不幸”と“完璧”……重ねてみたら、意外といいハーモニーだったかも」

    その言葉に、ヴンシュの目から涙がこぼれる。

    自分が人を壊す側だと信じていた少年と、
    完璧であるために自らを壊してきた少年が、
    いま、崩壊の間際で初めて手を取り合っていた。

    それは、ほんのわずかな、世界が二人に許した赦しの時間だった。

  • 4441◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:10:20

    その時――世界が軋んだ。

    空が、音もなく割れていく。
    目には見えない罅(ひび)が現実を裂き、時間が狂い始める。

    ヴンシュの《Unglück》が再び蠢いたのだ。
    だが、それはこれまでのような「事故」ではなかった。

    もっと――構造的な異常。
    この世界の理そのものが、ヴンシュの存在を拒絶しているかのような現象。

    「……また、俺のせいか……?」

    ヴンシュは、ゆっくりとエクスを抱えたまま立ち上がる。
    目の前に広がるのは、都市が波のように歪む光景。

    電柱が曲がり、道路が螺旋に捻じれ、空が階層を持ち始める。

    そして何より、周囲の人間たちが――
    「何か」に気付かぬまま、壊れていく。

  • 4451◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:12:41

    記憶が抜け、言葉が崩れ、存在が薄れていく。

    世界は今、ヴンシュという因果を中心に、破滅へと落ちていた。

    「逃げろ。俺から……離れろ、エクス」

    ヴンシュの声は、かすれ切っていた。

    だがエクスは、震える手でヴンシュの服を掴む。

    「無理だよ……僕、もう……立てないし」

    「だったら……なんで俺を掴むんだよ……っ」

    「君が壊れるのが、嫌だから」

    その言葉に、ヴンシュは目を見開く。

    世界が瓦解していく中で、エクスの言葉だけが鮮やかだった。

    「僕ね……ほんとは完璧じゃなかった。
    失敗するし、怖かったし、独りになるのが、何よりも――怖かった」

    「でも……君に会って……初めて、失敗した自分を、嫌いにならなくて済んだ」

    ヴンシュは、ぐしゃぐしゃになった顔で、エクスを見下ろす。

    涙を流す彼に、エクスが笑いかける。

  • 4461◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:13:06

    「だから、君も……自分のこと、嫌いにならないで」

    「“壊してしまう自分”を、責めるばかりじゃなくて……
    “誰かを想ってくれる自分”を、信じてあげて」

    そして、ヒビ割れた腕をヴンシュの頬に当てる。

    「君は、願ってる。壊すことじゃなくて……守ることを」

    その言葉とともに――

    世界が一度、真っ白に弾けた。

    《Unglück》が、ヴンシュの心と呼応して、収束の兆しを見せたのだ。

    不安定に歪んでいた空間が、ゆっくりと元の形に戻り始める。

    事故も、暴走も、収まりつつあった。

    けれど――

    「……っ!」

  • 4471◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:13:25

    エクスの体から、乾いた音が響く。

    「……やっぱり、限界……みたい」

    その体は、まるで硝子細工のように、端からひび割れていく。

    「待て、待てエクス、待て……!」

    「ありがとう、ヴンシュ。君に出会えて……完璧じゃない僕を、見つけてくれて……」

    「やめろ、やめてくれ! お前が壊れたら……!」

    「もう、壊れた君を、抱きしめられなくなるだろ――!」

    涙が、熱を持って頬を流れる。

    だが、エクスの身体は崩れていく。

    ヴンシュの腕の中で、光の粒となって、静かに、静かに――。

    「エクス……」

    その名を、何度も何度も呼んだ。

    世界は救われた。
    だけどヴンシュの中には、もう誰もいなかった。

  • 4481◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:15:14

    それから――どれほどの時が経ったのか、ヴンシュには分からなかった。

    瓦解した世界は静かに修復された。
    歪んだ都市も、裂けた空も、名も無き人々も、まるで「初めから何もなかった」かのように日常を取り戻していく。

    ただ、一つだけ。
    エクスという存在だけが、最初からいなかったかのように。

    ヴンシュは、その場所に立ち尽くしていた。

    エクスが消えた場所。
    膝を抱えて、雨が降る中でも動かず、ただそこにいた。

    《Unglück》は、もう暴れなかった。

    それはヴンシュの“願い”が変わったから。
    「壊したい」ではなく、「守りたい」に。
    自分自身を呪うのではなく、エクスとの記憶を――誰よりも強く、抱きしめるようになったから。

    しかし、その代償として彼は、“幸運”さえも受け入れなくなった。

    彼の世界は、静かで、暗くて、冷たくて。
    でも、それでも――

  • 4491◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:15:43

    「……忘れないからな、エクス」

    ヴンシュは呟く。

    雨の音がやけに優しい。
    その中で彼は、左胸の奥に、確かに残る気配を感じる。

    そう、エクスは消えたわけじゃない。
    ヴンシュの中に、生きている。

    不完全で、壊れていて、どうしようもない二人だった。
    でも、それでも――

    「お前が、俺を救ってくれたからさ」

    「俺は、壊れるのをやめる。代わりに――歩いてみるよ、少しずつでも」

    そう言って、ヴンシュは立ち上がった。
    水たまりを踏みしめ、重たい体を前へ進める。

    一歩。
    また一歩。

    ただの高校生に戻った彼は、少しだけ、微笑んでいた。
    どこかでまだ、世界の誰かが壊れそうになっていたとしても。

    きっと、誰かの言葉が救いになる。
    あの時のように――。

    それが、ヴンシュが選んだ“祈り”だった。

  • 4501◆ZEeB1LlpgE25/08/05(火) 23:16:09

    以上

  • 451二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:16:26

    ???

  • 452二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:17:38

    ……?

  • 453二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:38:26

    ば な な

  • 454二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:47:38

    (゜∀。)はえ?

  • 455二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 06:38:02

    かんどうてきだなあ

  • 4561◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:41:29

    題名『赫き誓いと黒き衝動』

  • 4571◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:42:28

     空が赤く焼けていた。
     真夏の終わり、日が沈むよりも早く、山の中は宵闇に染まりつつあった。
     枝を抜けて吹く風には土の匂い。獣道の奥、誰も来なくなった神社跡。鳥居は朽ち、拝殿は傾き、祭壇はひび割れ、石灯籠は倒れて地に沈む。

     文明の死体――そう表現しても過言ではないそこに、ただひとつ“生きた音”があった。

     「……っく……うぅ……!」

     少女のすすり泣く声。
     縄で縛られ、土に膝を擦りつけ、転ばされ、それでも振り向く首元に傷が走る。血が垂れ、赤い。

     「おーし、いい声出てきたな」

     それを背後から引っ張っていたのは――ひとりの男。

     ゾルダ・アルヒェ。
     悪の組織《箱舟》に所属する幹部のひとりにして、戦闘部門“軍勢”の最前列を担う男。コードネームは『兵士(ソルジャー)』。
     片方の義眼が赤く光り、口元にはだらしのない笑み。上下ともに重厚な戦闘服を身に纏い、その全身から“戦いと死”の臭いが立ち上っている。

     「泣く声ってのは、楽器じゃ出せねぇ音してるんだよな……生っぽくて……鼓膜に来る」

     そう呟きながら、ゾルダは少女の髪を乱雑に掴んで引きずる。

     祭壇へ。
     その、血に染まった場所へ。

  • 4581◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:42:55

     誰のための生贄か――知っていてやっている。
     なぜ生贄が必要か――どうでもいいと思っている。

     「思想がどうだとか、復活の儀がどうだとか……そんなモン、誰が気にすんだってんだよな」

     吐き捨てるように言って、ゾルダは空を仰ぐ。
     夕焼けの中、雲が赤く染まり、まるでこの場所だけが“悪”に許されているようだった。

     「……俺はただ、気に入らねぇ奴をぶっ壊してぇだけ。悲鳴と苦痛があれば、それでいい」

     それが彼の思想。いや、思想と呼ぶにはあまりにも浅い。ただの嗜好だ。
     正義も悪もない。ただ、「壊したい」だけの本能に殉じる存在。

     少女が息を殺す。
     必死に声を押し殺し、唇を噛み、祈るように何かを呟いていた。

     「なあ……なにか言ったか?」

     その声に、ゾルダは笑みを深める。

     だが――その時だった。

     カシャン。

     音がした。
     金属の足音。それも、非常に重く、重厚な。
     ゾルダは振り返る。
     風の中に、影が現れていた。

     ――赤銅の鎧。

  • 4591◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:43:45

     赫々たる一振りの太刀。
     全身を覆う甲冑が、夕日を映して鈍く光る。

     その男は、一言だけ発した。

     「その娘を離れろ」

     ゾルダの口元から、ゆっくりと笑みが消える。

     いや――それは“本物の笑い”に変わったのだ。

     「へぇ……いいねぇ、来た来た。武者か……鎧なんて着て、今どき渋いじゃねぇか」

     アカネ。
     名乗るまでもない。ゾルダは相手の名前に興味はないのだ。
     だが、その姿勢、その目、その気配に――たしかな実力を感じ取っていた。

     「お前、ただの助け屋じゃねぇな。剣……いや、戦場の匂いがする」

     ゾルダが言った言葉に、アカネは何も答えない。

     ただ、まっすぐに歩いてくる。
     その足取りには迷いがなく、手には赫刀があった。

     「なぁ、お前さ……本気で俺止める気で来てんだろ?」

  • 4601◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:43:56

     ゾルダの笑みが、愉悦の色を帯びる。

     「――だったら、いっちょ、遊ぼうか」

     瞬間、ゾルダが少女を投げ捨てる。
     アカネが一歩踏み出す。
     刃と拳がぶつかるまで、もう五歩。

     薄暮の神社跡、音のない時間が終わる。

  • 4611◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:44:35

     最初に動いたのは、ゾルダだった。

     地を踏み砕くような踏み込み。
     土と小石を弾きながら、突進するその姿は猛牛の如し。
     戦いに酔いしれる嗜虐者の笑みを浮かべたまま、右拳を振り上げる。

     「いっけえぇえぇぇッ!!」

     風が唸った。拳が唸った。
     だがそれを――アカネは冷静に受け止める。

     バァンッ!!

     赫刀の鞘が、寸前で盾のように掲げられる。
     鈍い衝撃音が木霊し、衝撃が鎧の内側まで震えた。だが、崩れない。アカネは踏み留まった。

     「ほぉう……受け止めやがったかよ。硬いなァ」

     ゾルダが下がりながら左回し蹴りを放つ。
     アカネはすかさず頭を傾け、兜の角に蹴りを滑らせるように受け流した。

     ――静と動のぶつかり合い。

     ゾルダは己の身体そのものを武器とする猛者。
     拳、膝、踵、肩、頭突き。いずれも人間業とは思えぬ重さと鋭さを持ち、研ぎ澄まされた近接格闘術に裏打ちされている。

     一方のアカネもまた、“武士”として数え切れぬ死線を越えてきた男。

  • 4621◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:45:03

     重い甲冑に宿る力と技。受けに耐え、隙を斬り、流れるように次へ繋げる。

     二人の殺意が、音もなく交錯する。

     「なぁ、何人斬ってきた?」

     攻撃の合間、ゾルダが問いかける。

     「俺はさ、三桁は覚えてない。いや、下手すりゃ四桁かもな。拷問と戦闘、別で数えるともっと増えるけどよ」

     アカネは無言だった。だが、その瞳が一瞬、細められた。

     「……だろうな。そういう目だ。斬ってきた数じゃねぇ、死に様を見てきた数の目だ」

     ゾルダは笑いながら拳を止める。わずかな間合いの中で、立ち止まり、ゆっくりと腕をぶら下げる。

     「なぁ、強え奴ってのは、だいたい最初に本気出さねぇ。違うか?」

     アカネは、答えない。

     刀に手をかけた。
     カチリ、と鍔が鳴る。

     「お、出すか?」

     「……」

     アカネは、なお沈黙を貫く。だが、空気が変わった。

     ――抜く。

  • 4631◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:45:26

     ゾルダは悟った。ここまでの手合わせで、互いの力を測った。だからこそ、アカネが『次は斬る』と判断したのが、手に取るようにわかる。

     「いいねえ……やっとだよ、“武士”」

     ゾルダは、右腕をぐるりと回した。
     手首の骨が鳴る。皮膚の下でなにかが蠢く。筋肉が震え、血管が膨張し――

     「ちょっとだけ、俺も出すか。軽くな?」

     ゾルダの腕から、**“圧”**が噴き出した。

     衝撃波《インパクト》。
     全身から放てる破壊の波。
     今、彼の右腕に圧縮され、淡く熱を帯びて震えている。

     だがこれは――まだ、溜めの初動に過ぎない。

     ゾルダは焦らない。なぜなら、「遊ぶ」時間はまだあると踏んでいるからだ。

     「その刀、俺の腕より速えか? 溜める間に届くか?」

     挑発。

     アカネの目が微かに揺れる。いや、揺れたのは、風か。
     空気が密に凝縮し、互いの殺気が膨れ上がる。

  • 4641◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:45:37

     刹那――

     ゾルダが踏み込む。

     同時に、アカネも一歩、出た。

     刃と拳、赫き斬撃と衝撃の奔流。

     交錯の一撃が、神社跡の空気を裂く。

  • 4651◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:46:43

     爆ぜた。

     大気が。地面が。空間そのものが。
     まるで見えない爆弾が破裂したかのように、衝撃だけが拡がる。

     「っ……!」

     アカネの視界が、ぐにゃりと歪んだ。

     足元の土が、斜めにめり込む。
     音よりも早く、胸骨の奥を殴られたような痛み――否、それは実際に殴られていた。

     「ふひひっ……なァ、どうだったよ、今の“ほんの溜め途中”ってやつは」

     ゾルダが嘲るように言った。

     その右腕から、なおも微細な振動が広がっている。
     あれはまだ“本気”ではない。だが、確かに常人なら即死するほどの衝撃だった。

     「……!」

     アカネは、無言で口を引き結ぶ。

     彼は理解した。
     この男の能力、《インパクト》は“拳を当てる”技ではない。

     ――近づくだけで破壊される。

  • 4661◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:47:10

     溜め、放出、それに伴う空間の振動。
     硬い鎧でさえ“中身ごと”破砕し得る、質の異なる攻撃。
     いかなる武技も、距離を間違えれば“喰らったと同義”だ。

     「まだまだ、溜め足りねぇけどな」

     ゾルダは左肩を鳴らす。
     今度はそこにも、脈打つような衝撃波の光が灯っていた。

     「この拳で、心臓ごと潰してみてぇな。お前みたいな生真面目なヤツの断末魔って、きっと綺麗なんだろうよ」

     その言葉に、アカネの表情が微かに揺れた。

     感情の波。その正体は、怒りか、憎しみか、或いは――記憶か。

     (……妹も、こうして弄ばれたのか)

     思わず、刀に籠める力が強まる。
     だが、それは“我を忘れた怒り”ではない。
     アカネの剣は、常に理の下にある怒りで振るわれる。

     「……ならば、その手ごと落とす」

     低く、絞り出すように、そう言った。

     ズゥッ……!

     アカネの歩が、地を這うように進んだ。
     一歩、また一歩、太刀を抜かず、間合いを測りながら。

  • 4671◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:47:23

     ゾルダは余裕の表情。
     だがその瞳は、油断なく相手の動きに張り付いている。

     「抜けよォ、“侍”――こっちはとっくに準備できてんだ」

     右腕、左肩、両膝――
     そこに蓄積された“圧”は、すでに尋常ではない。

  • 4681◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:48:34

     凄まじい静寂が、神社跡を包んでいた。

     地鳴りのような余韻が去り、粉塵が舞い、瓦礫の雨が静かに降り注ぐ。
     だが、空気は明確に――殺意に満ちていた。

     ゾルダ・アルヒェ。
     その男の右腕は、今や灼熱の光を纏った兵器だった。

     振るえば全てを破壊する。
     放てば全てを吹き飛ばす。

     全身に纏わせていた衝撃波を、あえて一箇所に集中させることで、
     それはもはや技ではなく、純粋な“災害”と化した。

     「……よォ、見てるか?」

     ゾルダが笑う。
     切れた口元から血が滴っている。だがそれすらも、彼の愉悦に彩られた勲章だ。

     「さっきの斬撃。あれで俺の肩、だいぶ持ってかれたぜ。……ククッ、だからな――これでチャラだ」

     彼が、右足を踏み込んだ。

     まるで予告された地震。大地がうねり、甲高い振動音が木霊する。

     対するアカネ。
     赫刀を手に、静かに構えていた。
     だが――その刀身が、微かに震えていた。

  • 4691◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:48:50

     否。亀裂が、入っていた。

     (……もたんか)

     アカネは悟っていた。
     今の一閃《赫絶》が、刀に限界を強いた。
     幾百の戦場を共にした名刀――もう、あと一撃が限界。

     ゾルダはそれを見て、笑った。

     「折れるな。斬っても、折れる。だから、お前はここで死ぬ」

     アカネは、言葉を返さなかった。

     代わりに、構えを変えた。
     足を引き、腰を沈め、刀を真横に。

     ――最終の型。

     これが最後と定めた、捨て身の構え。

     「おうおう、斬りにくるか。……だったら見せてやるよ。俺の**“全衝”**をよ」

     ゾルダが、動いた。

  • 4701◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:49:21

     その瞬間、大地が砕けた。

     跳躍――否。爆発的な推進。
     己の脚部に溜め込んだ衝撃波を真下に解放し、一気に距離を詰める。

     まさに落雷。
     疾風怒濤。
     獣の突進のような、殺意の塊。

     だがアカネは、迎え撃った。

     その赫き太刀に、すべての技と魂を込めて。

     「――斬ッ!!」

     ザンッ!!

     激突。

     衝撃。

     大爆発。

     世界が、白黒に染まった。

     ――そして。

     飛び散る破片。
     折れた刃が、宙を舞う。
     赫刀の刀身が、途中から粉砕されていた。

  • 4711◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:49:32

     「ッ……!」

     衝撃波は、甲冑ごとアカネの身体を吹き飛ばしていた。

     木を砕き、岩を弾き、地を抉りながら、彼は十数メートル先に転がる。
     立ち上がれない。息ができない。
     甲冑が捻れ、肋骨が幾本も折れている感触があった。

     そして――

     「終わりだァ」

     ゾルダが、仁王立ちでそこにいた。

     片腕は血に塗れ、肩口から裂けた筋肉が露出している。
     だが、なお戦える。なお動ける。
     それが“怪物”ゾルダ・アルヒェ。

     「楽しませてくれたぜ、“侍”。……じゃあな」

     その手には、まだ拳が残っている。

     破壊の拳。
     遊戯を終えた死神の鉄槌。

     そして、その拳が――

     振り上げられた――

  • 4721◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:52:26

     その拳が振り下ろされる瞬間、世界は一瞬だけ静止したように感じられた。
     重く、圧倒的な破壊力が空気を震わせ、地面が悲鳴をあげる。

     アカネは血にまみれた甲冑の隙間から必死に視線を上げる。
     赫刀は折れ、手元にはもう何もない。
     しかし、その目には揺るぎない決意が宿っていた。

     「まだ……終わらん……」

     低く絞り出すような声。命の限りを振り絞るかのように、己の意志を燃やしていた。
     ゾルダの拳が大きく振りかぶり、凄まじい勢いで降り注ぐ。
     アカネは咄嗟に身をかがめ、最後の一撃を放つ準備をするも、その体はもう限界を超えていた。

     「くだらねぇ……!」

     ゾルダの声が闇に響き渡る。

     その拳は、まるで大地をも砕く鉄槌のようにアカネの身体を貫き、瓦礫のように地面に叩きつけた。

     アカネの身体は、もはや動かず、熱い血が土を赤く染めていく。

     夕闇が深まり、薄明かりの中、ゾルダはゆっくりと背を向ける。

     「今日はここまでだ……次は……お前の番だ」

     その言葉は、冷たくもどこか残酷な優しさのように響いた。

     残された赫刀の破片が、かすかに地面で光を反射する。

     その光は、戦いの終わりを告げる鐘のように静かに闇へ溶けていった。

  • 4731◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 09:52:39

    以上

  • 474二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 09:57:16

    割と久々に正義側が負けたぜ!

  • 475二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 18:44:17

    保守
    もうすぐ更新するかもだけど

  • 476二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 18:44:24

    辛いな

  • 4771◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:50:43

    題名『感情と演算、交わらぬままに』

  • 4781◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:51:48

    かつて魔術都市と呼ばれた場所がある。
    空には何も浮かばず、風も音も、記憶すら吹き飛んでしまったかのように静かだ。
    ただ、沈黙だけが灰色の廃墟を満たしていた。

    「……いるね」

    少女の足取りは軽く、足元の瓦礫すら気にしないように見えた。
    焦げた外壁、軋む鉄骨、落書きまみれの道標――どれにも視線を落とさない。
    彼女、サクホはまっすぐ進む。
    その胸に、小さな怒りが灯っていた。

    その視線の先に。

    淡く輝くオーロラ色の塊がひとつ、建物の隙間に鎮座していた。

  • 4791◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:52:34

    「……美味しそうだな、饅頭」

    虹色のスライム。
    膨らみも、揺らぎも、ゼリー菓子のような愛らしさ。
    だが、サクホは知っていた。
    その内部には、生体演算核と呼ばれる魔術頭脳が封じられていることを。

    「識別:敵対存在。魔術:発動準備。」

    スライムの身体が波紋のように震えた。
    それは、初動。つまり、魔術演算の起動音だった。
    一瞬、空気が爆ぜた。
    火花でも、煙でもなく――衝撃波。
    目に見えない魔術式の細い刃が、周囲のコンクリートを一筋、なぞるように削り取る。

    「へぇ……演算、早いんだね。人間の皮膚なら、3枚は剥げてるよ」

    サクホの声に緊張はない。
    彼女は左手を自分の頬に当てる。軽く、滑らかに。

    「……まあ、気に入らないけど」

    その瞬間、サクホの身体から、黒い煙のような感情のしぶきが立ち上る。
    空気が軋み、瓦礫の影がざわめく。

    「情動検知。敵性感情。呪詛:高確率。」

    XII号は即座に演算を切り替える。
    浮遊魔術、偏向結界、簡易再生術式、空間跳躍式――
    0.3秒で4つの術式をローテーション、連射可能な魔術群を常時展開する状態に切り替わった。

  • 4801◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:53:18

    「……あーあ、つまんないな。ちょっと祝ってあげようと思ったのに」

    サクホは静かに笑う。
    その目には、すでに殺意が宿っていた。

    「祝福じゃなくて、呪ってやるよ。演算クズ」

    左手が振られた。

    同時に、廃都市の地面から、無数の手のような呪詛が飛び出す。
    それは憎しみの結晶。彼女の怒りに呼応した感情の触手だった。

    「防御式No.213、展開」

    スライムの身体が、一瞬だけ虹色の膜を張った。

    触手が接触する。
    防御膜がひび割れる。
    再生術式が即座に再起動。
    浮遊魔術で後退。

    そして。

  • 4811◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:55:51

    「反撃:直下重力操作――魔術連射開始」

    地面が爆ぜた。
    重力が集中する点を軸に、瓦礫が渦を巻き、衝撃が周囲を破砕していく。

    サクホは跳躍する。小さな身体を使って最小限の回避。
    だが、その足元を掴むかのように、魔術の次弾が飛んできた。

    「対象移動予測:7パターン中、3を優先」

    魔術が飛ぶ。飛ぶ。飛ぶ。
    ゼロコンマ連射。一度に1つずつとはいえ、間隔は人間の反応速度では見えない。
    サクホの肩が焼かれ、袖が裂ける。

    「っ……! あーもう、マジでムカつく!!」

    叫ぶと同時に感情が跳ね上がる。

    周囲に、黒い炎のようなものが滲み始めた。

    「情動上昇――呪詛増加。演算更新」

    XII号は確実にサクホの「我侭な感情」をデータとして蓄積していく。
    この相手は、怒らせると強くなる。だが、怒りのピークを越えると反動が来る。
    それなら。

    「演算計画:感情の爆発を誘発し、硬直時間に最大魔術を」

    冷静な演算。非情なアルゴリズム。
    それが、バイオスライムXII号――演算による勝利の開幕である。

  • 4821◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:57:25

    焼けた鉄骨の隙間を、黒い焔が這う。
    それは感情の残滓。
    【転災】サクホの「怒り」が形を持ち、この世界に侵食を始めていた。

    「ちょっと黙って、焼けよ」

    小さな声が、風に乗って消える。

    直後――

    バシュッッ!!

    バイオスライムXII号の目前で、空間が歪んだ。
    “そこ”には何もなかったはずなのに。
    不可視の斬撃。否、概念の裂け目。

    「魔術式No.128『外殻位相跳躍』:起動、対応成功」

    スライムは自己演算によって空間ごと滑るように“位相”をズラし、呪詛の一撃を回避した。

    「そっか、もう読まれてるんだ」

    サクホは空を見上げた。

  • 4831◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:57:58

    そこには何もない。ただグレーの雲が鈍く広がっているだけ。
    だが、彼女の目には“何か”が見えていた。

    「全部演算されてる……私の感情、全部数式にされてる……」

    スライムは答えない。
    演算は感情に興味を持たない。

    だが、その沈黙が――彼女の心をさらに逆撫でする。

    「うるせぇよ、無口なクズマシンがァッ!!!」

    振り下ろした手のひらから放たれたのは、
    “祝福”の呪い。

    それは“好意”によって強化された【存在拡張の奇跡】。
    周囲の崩壊したビル群が、まるで意思を持ったように震え始める。

    「……建造物の自己増殖、質量拡張、落下予測あり。対処優先度:高」

    XII号はすぐさま頭上の魔術式を切り替え、防衛魔術フィールドを全方位展開。

    だが、全てを守るには範囲が足りない。

  • 4841◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 18:58:51

    ――ズドォォンッ!!

    落ちた。

    崩壊した鉄塔のひとつが、スライムのいる区画に命中する。

    瓦礫と火花が宙を舞う。粉塵が黒く煙る。

    「……っし」

    サクホは息を吐いた。
    その目には、少しの疲れと、確かな“喜び”があった。

    「ねぇ、どう? 予測できた? “私が祝う”って……」

    祝福のつもりだった。
    ほんの少しでも、相手に「好意」を持ったつもりだった。
    だけど、それが「破壊」になった。

    それが、我侭呪。

  • 4851◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:00:24

    彼女の感情がねじれているかぎり、
    祝福は呪いになり、呪いは災厄になる。

    「……損傷率:14%。再生可能範囲。演算継続」

    瓦礫を押しのけ、虹色の塊が再び浮かび上がる。

    「しぶとい」

    サクホの指先が震える。
    魔力ではない。疲労。精神の擦り切れ。

    怒るたびに力は強くなる。
    だが同時に、彼女の“存在”はほんのわずかずつ、
    この世界から薄く、霞み、削れていく。

    「存在値:変動検知。敵対象の自己崩壊進行、推定3%」

    XII号は見ていた。
    彼女の輪郭が、わずかに“情報欠落”を起こしていることを。

    「……やっぱ、クソだな」

    サクホが笑う。

  • 4861◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:00:59

    その笑顔には、哀しみはなかった。
    ただ、清々しいほどの苛立ちだけが宿っていた。

    「てめぇみてぇな無感情機械に、私の感情が読めてたまるかっての。」

    その瞬間、彼女の瞳が強く輝く。

    黒い焔、流れ落ちる涙のような呪紋。
    その全てが、戦場に最大の呪いを呼び寄せようとしていた。

    「演算開始。最大魔術準備。サーバー接続要請――」

    ついに、XII号も奥の手を使おうとしていた。
    生体サーバーとの魔術回線、遠隔接続による大規模術式。

    ただし、接続には時間がかかる。
    その間、魔術の発動はできない。

    静かな秒読みが始まる。

    感情と演算。
    呪いと魔術。

    どちらが早く、限界に届くのか。

    ――戦場は今、均衡の臨界に達しようとしていた。

  • 4871◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:01:32

    「接続……まだか」

    サクホの目が血走っていた。
    身体は限界を超えており、呼吸は荒く、手は震え、目の焦点すら定まらない。
    それでも、その胸の奥には確かに燃えるものがあった。

    ――『お前なんかに、私のすべてを分からせてやる』

    その我侭だけで、彼女は立っていた。

    対するバイオスライムXII号は、虹色の膜を震わせながら宙に静止している。
    肉体の奥で、サーバー接続用の魔術回線が構築されていた。

    「遠隔演算空間とのリンク確立中……残り13秒」

    遅い。だが確実だ。
    完成さえすれば、惑星規模の魔術さえ行使可能。
    生体コンピューターの最大火力、ここに極まる。

    「間に合うもんか、バーカ」

    サクホは呟いた。

  • 4881◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:02:16

    顔は蒼白で、口元には血がにじんでいた。

    だが、彼女の足元から黒い呪紋の花が広がっていく。

    「最終詠唱:我侭呪・天災式《黒鏡ニテ我ヲ映セ》」

    ──それは、自らの存在を呪いの媒体とする自爆型奇跡。

    対象の肉体、精神、記録、運命――
    あらゆる「存在する」情報を抹消する呪い。

    自分もろとも、全てを、**“なかったこと”**にする。

    「対象:バイオスライムXII号――『お前なんか最初からいなかった』」

    「……演算中断、不可。残り3秒」

    XII号は動かない。魔術を発動する手段がない。

    そしてサクホの目が、虹色の敵を捉える。

    「これで終わりだよ、クソ機械」

    最後の、哀しみでも怒りでもない、
    ただの“清々しさ”がこもった笑み。
    呪紋が放たれた――!

    ドオォォンッ!!!

    その瞬間――世界が、反転する。

  • 4891◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:03:33

    空が裂け、地面が喰われる。
    物理法則が反転し、概念が逆流する。

    サクホの身体は霧のように薄れていく。
    だが――

    「サーバー接続完了――魔術展開:『メモリーリターン』」

    XII号がギリギリで発動した魔術は、
    空間全体の“記憶”を0.03秒前に巻き戻すという、
    時間干渉型の限定術式。

    呪いの発動直前の座標に、自身を強制遷移――
    呪いを躱す一手。

    「っ、逃げた……?」

    サクホの声は、もはや風に溶けていた。

  • 4901◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:03:55

    存在が擦り切れていく。
    でも、それでよかった。
    彼女の“呪い”は確かに、演算不能だった。

    だがその“思い”は、僅差で、届かなかった。

    「魔術行使:完了。対象存在の削除処理回避完了」

    虹色のスライムが、無傷で佇んでいた。

    「……なーんだ。けっきょく私、また理解されないまんまか」

    消える直前の、最後の言葉。

    「やっぱクソだな、この世界も、あんたも――」

    彼女の姿は、何も残さず掻き消えた。

    記録も、存在も、名前も――

    ただ、呪いだけが、そこに残っていた。

  • 4911◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:04:28

    戦いは終わった。
    演算の勝利だった。

    だが、XII号の記録データには奇妙な空白が残る。

    「ログ記録:存在認識エラー……項目:不明」

    そこには“誰か”がいた。
    けれど、名前も姿も思い出せない。

    ただ一つ、微弱なログだけが残されていた。

    「てめぇみてぇな無感情機械に、私の感情が読めてたまるかっての」

    それが、彼女の最期の呪いだったのかもしれない。

    バイオスライムXII号は今日も演算を続ける。
    だがその中に、永久に処理できない感情の断片が、ノイズのように残っていた。

  • 4921◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 19:04:40

    以上

  • 493二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:05:38

    す、スライムが勝った?!

  • 494二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 19:10:09

    直近の戦いはキャラが死んだり消えたりするのも多くなってきたな
    今回も良かった

  • 4951◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 20:04:41
  • 496二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 20:12:31

    勝負に勝って試合に負けた
    試合に勝って勝負に負けた
    まるでスポーツ試合のような読み心地

  • 497二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 20:13:07

    やっぱ色々武器を取り出して戦うの好きだな自分

  • 498二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 20:14:01

    弓神 カッコいいな…… 慢心も油断からでは無く神としての矜持って感じがするし

  • 4991◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 21:07:39
  • 500二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 21:17:32

    こいつ武器ナンパしてやがる…

  • 501二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 21:25:37

    八本脚!?

  • 5021◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 22:08:16

    22:30から安価10個募集

  • 503二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:29:54

    このレスは削除されています

  • 504二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00

    名前:正義を冒涜せし者
    年齢:20代?
    性別:男?
    種族:人間(とある外宇宙の神の化身)
    本人概要:未定災害の際に一つの国を救い戦死した筈の英雄と瓜二つの外見をしている
    性格は一見すると正義感が強くとても優しく熱血 正に英雄と言った感じだが
    笑顔のまま容赦無く世界に害を齎す存在である
    実態としては【邪神】が死後の英雄を無理矢理作り変え本人の正義と悪の認識を逆転させている
    正に正義の英雄の醜悪なパロディである 当然英雄としての生前の名誉は地に落ち悪評が広まっている
    能力:英雄冒涜
    能力概要:正義(悪)を行う為身体能力が異常上昇し敵わない相手に対してはまだだ!!と覚醒する
    全ては悪(善)を滅ぼし正義(悪)の為に
    弱点:本人の意識が残っている為 突然動きを止めて何をしているんだ?と隙を見せる
    また自分の行いが正義では無く悪だと言われると混乱し動きが乱れる
    善人、正義の存在に対しては能力が強く発動する反面 悪に対しては能力が弱く発動する
    要望:善人には君はなんて悪人なんだ許せない! 
    悪人に対してはなんて善人だ手合わせ願うみたいなあやふやな事を言わせてください

  • 505二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00

    名前:カルネ
    年齢:聞かないで欲しい
    性別:女性
    種族:大魔女
    本人概要:
    複数の魔法を極めた至高の大魔女。偉大な功績のためには地味で細やかな気づかいも怠らない職人肌。
    現在は長年に渡り真面目に研究と実践を積み重ねたため自信に満ち溢れ、迷いなく魔法を行使できるほどに練達した。
    強化魔法や回復魔法など、どんな魔法の基礎理論も把握し即興的に詠唱を構築できるが、特に爆発魔法が得意。
    能力:【魔法詠唱】
    能力概要:
    詠唱を行う事で常識ではあり得ない事象を引き起こす神秘の業。
    詠唱は3語で1小節。詠唱の小節が増えるごとに威力も増加する。
    カルネは長年の研鑽で5小節までなら詠唱を省略して発動可能。
    以下は爆発魔法に関する詠唱と威力の例
    1小節「爆ぜよ」:爆竹程度の威力
    5小節「火炎よ/爆風よ/全てを/微塵に/爆ぜよ」:ダイナマイト並みの威力
    弱点:
    詠唱は長くなるほど威力が高くなるが、その分隙も大きくなる。
    詠唱の大元である音や声を封じられると戦闘力が一気に弱体化する。
    身体能力や耐久力は一般人と同程度。

  • 506二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00

    名前:『青ずきんちゃん』
    年齢:8
    性別:女性
    種族:人間
    本人概要:
    (前略)​───王妃は尋ねました「鏡よ、鏡。この世で最も強いのは誰?」魔法の鏡は答えます「青ずきんちゃんです。」
    怒った王妃はその足で地を駆け青ずきんのもとへとむかいます。王妃が一歩踏みこむたび、その力で大地はひび割れ大気が揺れ動きます。
    (中略)───とうとう青ずきんを見つけた王妃は魔女に化け、ガラスのダンベルを持って白雪姫へと近づきます
    「かわいいお嬢ちゃん、このかわいいガラスのダンベルはいかが?きっとあなたに似合うよ」
    ひどい侮辱です。しかし青ずきんは冷静に距離を詰め、そして凄まじい速さで、魔女の首に腕を巻きつけます。
    「オバちゃん……アタシがなんで『青ずきん』って呼ばれてるか知ってる?アタシが絞めた相手の顔が真っ青になるからだよ」
    こうなってしまっては王妃の自慢の脚力も意味を為しません。
    魔女は青ずきんちゃんの腕を叩きました。 パンパンパン パンパンパン それでもゴングは鳴りません。
    七人の小人たちもタオルを投げ入れます。1つ、また1つ。 それでもゴングは鳴りません。
    そうしている間に魔女は泡をふいて動かなくなりました。王子さまは急いで駆け寄ります。それを小人たちも固唾を飲んで見届けます。
    あーッと王子(レフェリー)が手を交差しているッ!!試合終了ッ!試合終了です!絶対王者が敗れると誰が予想できたでしょう!?
    勝者は『青ずきん』!!青ずきんです!ここに今、新たな王者が誕生しました!!!
    こうして『青ずきん』は最強の座のついでに王子さまも手に入れ、次の王妃になったとさ。めでたしめでたし。
    能力:超身体能力
    能力概要:純粋に強い。得意技はチョークスリーパー。
    弱点:
    遠距離攻撃を持たない。
    職業柄、ホイッスルやゴングの音に敏感で、鳴ると条件反射的に攻撃を中断してしまう。

  • 507二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00

    名前:山喰らい
    年齢:2000
    性別:女
    種族:大蜘蛛
    本人概要:山の自然を枯らし人里に病と飢餓をもたらす大蜘蛛 古代においては祟り神として恐れられていた過去を持つ 長い時を生きてきたために人の言葉を扱えるし美しい物(こいつら基準)を見て泣く事さえもあるがその性格は自身を中心とした群れの存続を目的としたシステムめいたものであり、対話や戦闘によって感情が揺らぐ事はない
    能力:子蜘蛛 地脈接続
    能力概要:
    【子蜘蛛】
    親蜘蛛の眷属であり時を経るごとに体色が赤くなり力が強くなる特性を持つ 体内にある種の細菌を飼っておりこれにより食べた物の消化を行ったり毒を精製させて敵に食らわせたりする
    また全身が赤く染まった"緋蜘蛛"は親が死ぬと成長が解禁されて地脈接続能力が使えるようになり親蜘蛛への道を歩み始める いっぱいいるし冷酷だが凶暴ではない あくまで親蜘蛛の道具としての行動を優先するのだ
    【親蜘蛛(山喰らい)】
    子蜘蛛達の親であり統率者 一軒家ほどの漆黒の巨体と地脈と繋がる事で地面を介して最大で大都市ほどの範囲から生命を吸い上げる力を持つ この能力で奪った生命力により傷を癒せる他、応用として相手を脚で突き刺すことにより直接エネルギーを吸い上げる技がある あと地脈を介して相手の場所を探知できる
    弱点:子蜘蛛は平均して小鳥ほどの大きさしかない あと火に弱くよく燃えるし耐久力もない
    親蜘蛛は多少のダメージは再生できるがあくまで軽度の切り傷程度であり重傷を治すには数年かかる上に金属武器による傷は再生できない また地脈を介しての探知能力は相手が地面から30cm以上離れていると効果を発揮せず、直接エネルギーを吸収する能力は一旦地脈との接続を解除する必要があり再度地脈と接続すると自身の力の及ぶ領域を一から広げなおす必要がある上に普段の戦闘などは子蜘蛛に任せていて直接動くのは苦手なため余程追い詰められて破れかぶれな状況でもない限り使わない
    要望(任意):言葉は通じるけど価値観が違いすぎて対話ができない相手って感じでお願いします

  • 508二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00

    名前:絶刀・クッキング
    年齢:1歳
    性別:なし(肉体・精神は造物主の影響もあって女性より)
    種族:料理
    人物概要:かつて境界の主と剣士の少女が作り上げた料理が自我を獲得したもの。
    クッキングスライムとは違い、自らのアイデンティティに悩み、食べられることによる自我の喪失と、料理として食べられる喜びの相反する性質に悩み苦しんでいる。造物主の元から逃げ出したのもそのため。
    普段は人型に肉体を形成して女性に擬態している。(絶景とカナエが融合したみたいな見た目)
    能力:境界斬撃とポイズンクッキング
    能力概要:手にした日本刀による神速の抜刀術。斬撃の軌跡に境界を開くことが可能であり、よって防御不能の斬撃となる。造物主二人の能力を極度に劣化させた上で組み合わせたような力。
    また、絶刀の肉体はかの一刀斎すら気絶させるほどの料理。擬態を解いてしまえば一瞬にしてこの世のものとは思えぬ悪臭が充満する。
    弱点:人間に擬態しているとはいえ所詮は元が料理なので死ぬほど脆い。抜刀に力を込めすぎると腕がどこかにすっ飛んでいくほど。
    剣術以外の身体能力は人間相当。
    「お前を食べてやろう」みたいな説得を受けるとメチャクチャ動揺して動きが止まる。

  • 509二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:00
  • 510二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:01

    名前:ビリオン・ザ・ワールド
    年齢:ビリオンさ!
    性別:多様的さ!
    種族:人種?ナンセンスだね!
    本人概要:世界各国の国旗でできたスーツを着ている人間(推定)。たぶん世界に国という概念ができたころから存在する。
    旅行が大好きであり、常に世界各国を旅行している。全く同じタイミングで日本とブラジルで目撃されたこともある。どういうことだ?
    自称人類親善大使として人類が同じ未来へ歩めるよう手助けしている。
    戦争なんてナンセンスだね! ここは平和に将棋チェスカタンボクシング相撲レスリングIT産業革命貿易バトルで決着だ!
    能力:W.W.W.(ワールド・ワイド・ワンダー)
    能力概要:国際文明幻想。
    世界各国の文化を再現することができる。料理はフランス料理、トルコ料理や中華料理は無論、日本料理や英国料理も完璧に再現できる。ボクシングや相撲もプロ級だし、産業を模倣することで伝統的な農業から最新のIT産業の産物まで生み出せる。
    人間の範疇であれば、そして人類史に存在するのなら、彼にできないことはない。
    弱点:言動が意味不明でウザい。
    イギリス料理はやっぱり不味いなど各国の弱点も再現するのでそこも弱点。
    各国が協調するなど、人が一つになるなど今なお夢幻想。彼はとっちらかった夢のような存在であるため、胸の中央にある素朴な石(地球のようなマークが刻まれている)を破壊されると泡のようの消え去る。

  • 511二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:02

    名前:マグネスランナー-NS
    年齢:1
    性別:なし
    種族:機械
    本人概要:近未来の都市で魔力と工学の融合によって戦闘用に作られたリニアモーターカー。
    能力:電磁滑走
    能力概要:電磁力を噴出することで浮遊し、高速で飛行または走行し突進する。電磁力をエネルギー波のように敵に浴びせる。
    弱点:精密な動きが不得意で命中率が低い

  • 512二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:02

    名前:破壊者(通称:猫屋敷さん)
    年齢:20(これ以上を壊した)
    性別:壊れた(下記の理由で)
    種族:人間
    本人概要:もうとことん自由な人。常にハイテンションであり「ハローエブリワン!」とか言っている。
    それでもって他人の尊厳を破壊するのが性癖な異常者。それでも社会的な常識は持っているため自分以外の○○者達にドン引きしている。小さい頃はまともだった。神に祝福されるぐらいまともで優しかった。
    破壊するときになぜかよく「処す!処す!殺す!」と言いながらめちゃくちゃリズミカルに破壊していく。
    この前否定者にダル絡みして追い出された。
    正義の尊厳が破壊される妄想しながら致してたら能力が覚醒して性別の概念が消し飛んだ。
    正義を冒涜せし者が大好物。否定者の性別も破壊してやろうとしている(特に理由なし)。
    能力:破壊
    能力概要:あらゆるものを破壊する。
    あらゆる万物に有効であり、破壊したいものを思い浮かべれば手刀ニ発で破壊出来る。
    否定や改変、回復や蘇生から攻撃、干渉までありとあらゆるものが対象。肉体や概念を破壊するのはとても容易。
    破壊手段は空気の圧縮や次元の縮小、コアの移動から目(物質の核)を目の前まで移動させ、それを手刀で切り裂くなど。
    だが心を壊すのは手順が必要であり、まず勝ってから相手の心を折りつつさらに危害を加え、孤立させる必要があるのでとても面倒臭い。
    弱点:破壊したいものの明確なイメージが必要であり、なんとなくでは破壊できない。
    破壊する対象を「正確に思い浮かべられないと効果が発動しない」。
    破壊する瞬間にコアが現れる。これは致命的な弱点。
    身体能力が皆無であり、瞬発的な攻撃や行動は破壊できない。
    一度に二個も三個も破壊はできない。
    要望(任意):中性的だけど少し男よりな口調で

  • 513二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:02

    名前:佐藤 和(さとう なごみ)
    年齢:3歳
    性別:女
    種族:人間?
    人物概要:佐藤清と佐藤紬の娘で佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛、命&聖)を兄姉に持つ末っ子
    その性格は幼子らしくなく飄々としていてノリも口調も超軽い、人生を何百回も経験した様な老成した雰囲気を持つ
    それもそのはず彼女は前世の記憶を保持できる特別な魂を持った存在であり何百という生を経験し生きて死んで歩んできた存在
    ある時は英雄、ある時は浮浪者、神だった時代もあれば今の年齢で死んでしまった時もあるし可も不可もない普通な人生の時もあった
    時に笑い、時に狂い、無数の生を味わいその全てを記憶した彼女はおどけた態度やふざけた口調の裏に圧倒的な「強さ」を隠している
    能力:追憶の主
    能力概要:前世の自分が持っていた技術、特性、能力、武器、魔法、体質、加護等々のかつて持っていた力を使う事が出来る
    神だった時代に持っていた神器を呼び出したり英雄だった時代の自分が持っていた技術を使ったり悪魔だった頃の魔法だって使える
    何百、何千人にも及ぶ前世の自分の能力だって使い放題で攻撃、防御、治療、妨害、搦手、超強力な能力まで無数の能力を使い放題
    それぞれ別の前世の自分が持っていた力を重ね合わせることも可能で色々と掛け合わせて最強フォームを作ることも可能
    弱点:この位の年齢の身体だと一度に同時に使える力の数は3つまで
    彼女が前世で持っていた力と現在の彼女の肉体が全く釣り合っていないので力を使うだけで肉体負荷により隙が生まれる
    例として技術なら反動ダメージ、能力なら発動後一気に押し寄せる疲労、魔法なら一発で脳の処理による硬直という感じ隙が出来る
    この肉体自体は非常に脆く小さくスタミナも身体能力もまだ無く能力と知識と技術で騙し騙しやってるだけで本来の彼女とは程遠い
    まだ幼い身体を酷使して戦うので(彼女基準で)普通に戦うだけで数分、全力なら1分保てばよくやってるほうらしい
    それ以上は大方スタミナ切れで動けなくなるか肉体負荷が積み重なって能力の精度が目に見えて落ちるかのどっちか
    要望:幼すぎる身体を不便に思ってます、ノリ軽めですが無数の前世を背負って今を生きてます、家族のことは大好き
    おどけた態度で口調は超軽いふざけた口調、一人称は私、二人称はあだ名+ちゃん・くん
    本気の時はふざけた口調も態度もなしのマジトーン

  • 514二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:02

    このレスは削除されています

  • 515二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:30:12

    このレスは削除されています

  • 516二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:31:36

    ストップ、和まで

  • 5171◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 22:33:19

    審査ぁ

  • 5181◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 22:36:28

    セーフ
    青ずきんは強制で遠距離攻撃持ちとぶつけます

  • 519二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 22:37:50

    >>518

    ありがとうございます

  • 5201◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 23:49:19
  • 5211◆ZEeB1LlpgE25/08/06(水) 23:53:57

    カルネvs『青ずきん』
    絶刀・クッキングvsマグネスランナー-NS
    正義を冒涜せし者vsD-13
    山喰らいvsビリオン・ザ・ワールド
    佐藤 和vs破壊者

  • 522二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:03:26

    すみません。>>506についてなのですが、キャラ名を『青ずきん』に変更して一部誤字も修正したいのですが可能でしょうか?

  • 5231◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 00:07:36

    >>522

    どうぞ

  • 524二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:15:08

    >>523

    ありがとうございます。修正版です。


    名前:『青ずきん』

    年齢:8

    性別:女性

    種族:人間

    本人概要:

    (前略)​───王妃は尋ねました「鏡よ、鏡。この世で最も強いのは誰?」魔法の鏡は答えます「青ずきんです。」

    怒った王妃はその足で地を駆け青ずきんのもとへとむかいます。王妃が一歩踏みこむたび、その力で大地はひび割れ大気が揺れ動きます。

    (中略)───とうとう青ずきんを見つけた王妃は魔女に化け、ガラスのダンベルを持って青ずきんへと近づきます

    「かわいいお嬢ちゃん、このかわいいガラスのダンベルはいかが?きっとあなたに似合うよ」

    ひどい侮辱です。しかし青ずきんは冷静に距離を詰め、そして凄まじい速さで、魔女の首に腕を巻きつけます。

    「オバちゃん……アタシがなんで『青ずきん』って呼ばれてるか知ってる?アタシが絞めた相手の顔が真っ青になるからだよ」

    こうなってしまっては王妃の自慢の脚力も意味を為しません。

    魔女は青ずきんの腕を叩きました。 パンパンパン パンパンパン それでもゴングは鳴りません。

    七人の小人たちもタオルを投げ入れます。1つ、また1つ。 それでもゴングは鳴りません。

    そうしている間に魔女は泡をふいて動かなくなりました。王子さまは急いで駆け寄ります。それを小人たちも固唾を飲んで見届けます。

    あーッと王子(レフェリー)が手を交差しているッ!!試合終了ッ!試合終了です!絶対王者が敗れると誰が予想できたでしょう!?

    勝者は青ずきん!!青ずきんです!ここに今、新たな王者が誕生しました!!!

    こうして青ずきんは最強の座のついでに王子さまも手に入れ、次の王妃になれましたとさ。めでたしめでたし。

    能力:超身体能力

    能力概要:純粋に強い。得意技はチョークスリーパー。

    弱点:

    遠距離攻撃を持たない。

    職業柄、ホイッスルやゴングの音に敏感で、鳴ると条件反射的に攻撃を中断してしまう。

  • 525二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 06:51:46

    ほしゅ

  • 526二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 10:06:04

    青ずきんつええ

  • 5271◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:04:36

    題名『ゴングが鳴るたびに』

  • 5281◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:08:10

    ──ある日、魔法の鏡は答えた。
    「この世で最も強いのは……青ずきんです。」

    その言葉を聞いた王国最奥の塔の一室、
    錬金と術式と爆炎の香りが立ち込める魔女の研究室で、
    カルネは静かに立ち上がった。

    「……鏡も、たまには冗談を言うのね」

    いや、違う。冗談ではない。
    魔力を通して覗いた鏡の映像には、
    細腕で大男を絞め落とす小さな少女の姿が映っていた。

    蒼いフード。無表情。首に巻きつくような柔らかな手足。

    「絞殺、絞殺、また絞殺……王妃もやられたって?」

    カルネの眉が僅かに動く。
    その手がゆっくりと魔導書に触れた。

  • 5291◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:08:47

    「そう……なら、試してみましょう。爆炎は、首を絞められたままでも詠唱できるかどうか」

    そして――時は流れ。
    決戦の舞台は、荒野に浮かぶ崩れた円形闘技場跡。

    柱が倒れ、砂埃が舞うなか、風が吹きつける。
    その中心に、ぽつんと立つ少女。
    背は低く、腕を組み、蒼いフードを深くかぶったまま、
    ずっと誰かを待っているように立っていた。

    「……」

    やがて、空が割れる。

    大気がねじれ、カルネが空間転移で降り立った。

    黒と赤の魔術服。胸元に燦然と光る魔道勲章。
    その姿を見た青ずきんは、一歩前に出た。

    「オバちゃん。アタシに何か用?」

    「挨拶がわりに、ひとつだけ教えてちょうだい」

  • 5301◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:09:46

    カルネは腰元から取り出した杖を地面に突く。
    その響きは、まるで始まりのゴング。

    「あなた、“爆発”って、したことある?」

    「ふぅん……またか」

    少女はフードを少し持ち上げ、カルネを睨む。

    「アタシが『青ずきん』って呼ばれてる理由、知らないんでしょ」

    カルネは応じず、詠唱を始めた。

  • 5311◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:10:03

    「爆ぜよ」

    ピッ、と空気が裂けた。
    足元で小石が爆ぜる。威嚇、牽制。
    その音を聞いた瞬間──青ずきんが消えた。

    「!」

    空間を削るようなステップ。
    青ずきんが一直線に突っ込んでくる。
    速い。速すぎる。
    咄嗟にカルネは2小節目を発動する。

    「爆風よ、爆ぜよ!」

    青ずきんの足元が爆ぜ、衝撃波が立ち昇る。

    だがその一瞬、灰の中から腕が伸びた。

    「甘いよ、オバちゃん」

    青ずきんの右腕がカルネの首に絡みつく。

    咄嗟にカルネは左手を上げ、詠唱を開始しようと──

    「……アタシが“なんで”青ずきんって呼ばれてるか、教えてあげよっか」

    締める。

  • 5321◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:10:53

    ぎち、ぎち、と音がする。
    カルネの喉から、声が出なくなる。

    詠唱は止まる。
    呼吸も止まる。

    「……アタシが絞めた相手の顔が……真っ青になるからさ」

    その瞬間、カルネの瞳にある映像が映った。

    ──7人の小人たちが、次々にタオルを投げ入れる。
    ──魔女は泡を吹き、王子が駆け寄る。

    「……なるほど。これが、青ずきん……」

    カルネは思う。

  • 5331◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:11:13

    だがまだ終わらない。終わらせてはいけない。
    次の瞬間、カルネの口元がわずかに動く。

    「火炎よ……」

    その詠唱に気づいた青ずきんの目がわずかに細まる。

    「オバちゃん、無理やりしゃべろうとしてない?」

    「全てを……」

    その瞬間──青ずきんの頭の中に、“あの音”が響いた。

    カァァァァァン!

    それは致命的だった。
    青ずきんの動きが一瞬、止まる。
    カルネの目が見開かれ、叫ぶ。

    「微塵に爆ぜよ!!」

    次の瞬間──

    爆炎が、空を染めた。

  • 5341◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:14:57

    視界が、真っ赤に染まっていた。
    破砕音。爆風。
    焼け焦げた空気が肌を裂くように吹き抜ける。

    ──カルネは、吹き飛ばされた。

    爆発の中心である自分から至近の距離にいたにもかかわらず、
    その体はわずかに背後へ身を逸らしていた。
    詠唱の瞬間に加えた、魔力による衝撃拡散。経験と技術の極地。

    「ハァ……ッ、ハァ……ッ……」

    息が荒い。声帯に焼けるような痛みが走る。
    喉に残るは、絞められた名残──

  • 5351◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:15:51

    青ずきんの、腕の跡。

    「……普通なら、爆発に巻き込まれた側は即死するんだけどね」

    カルネは体勢を立て直しながら、辺りを見渡す。

    ──少女の姿が、ない。

    炎と土煙の中心。そこに、蒼い残像があった。

    ザッ……

    その足音は、既にカルネの至近距離。

    「……舐めたらダメだよ、オバちゃん」

    砂塵の中から、無傷の青ずきんが姿を現した。
    蒼いフードは焦げ一つなく、額には汗すらない。
    ただその瞳だけが、わずかに鋭く、カルネを見据えている。

    「さっきの音。反則だよ」

    「風に鳴らされた鉄柱が悪いわ。私じゃない」

  • 5361◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:16:09

    「アタシはね、“試合が終わった”と思ったら……体が止まるんだよ。職業病みたいなもん」

    「レフェリー不在の試合なのに、律儀なこと」

    カルネは笑う──が、内心は冷や汗を流していた。

    (あの距離、あのタイミング。5小節を詠唱したとはいえ、まるでダメージが通っていない)

    (この子の身体、いったい……)

    「さっきは顔を青くするだけだったけど──」

    青ずきんのフードの影から、瞳がギラリと光った。

  • 5371◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:19:14

    「今度は内臓の色まで変えてやるよ」

    彼女が一歩、踏み込む。
    それは雷鳴にも似た速度。

    カルネの背筋が粟立つ。
    もはや即詠唱では足止めできないと判断し──

    「防御展開、三層反応──!」

    カルネが杖を掲げ、空中に術式陣を描く。

    「障壁よ/展開せよ/構築せよ──!」

    三重結界がその場に生成される。

    ──だが青ずきんは止まらない。

    一つ目の障壁を拳で砕く。
    二つ目は、指を刃のようにして裂く。
    三つ目の魔法障壁は、肘打ち一発で叩き割る。

    「ちょ……」

    カルネの目の前に、もう──いた。

    「問答無用って、こういうこと」

    首に、腕が絡みつく。

  • 5381◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:21:05

    再び、締める。

    ギチギチギチ、と音が鳴る。
    魔術師にとって、声が出せないというのは死を意味する。

    「苦しい?」

    「ッ……ぅ……ッッ……!」

    「そっか。まだ元気あるんだね」

    その瞬間、青ずきんは体をひねりながら、カルネを地面に叩きつけた。
    轟音と共に舞い上がる砂埃。地面がひび割れる。

    カルネの喉から、詠唱ではない呻き声が漏れた。

    「これで二度目のダウン。もう一回タオル投げると失格だよ?」

    「……ふ、ふふ……っ」

    だが、カルネは笑っていた。

    その笑顔は、敗北を悟ったものではない。
    むしろ、魔女としての“確信”に満ちていた。

    「3回目のタオル?──違うわね」

    カルネの足元で、何かが発光した。

  • 5391◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:21:17

    青ずきんが咄嗟に飛び退く。

    「さっきの投げで、私の杖が地面に落ちた。……詠唱なしでも、術式を“罠”として仕込んでおくことくらい、造作もないわ」

    瞬間、光が爆ぜる。

    だがそれは火ではなく──音。

    「────カァァァン!!」

    まるでホイッスルのような、
    まるでゴングのような、
    轟く“終了音”。

    その音に、青ずきんの身体がピタリと止まる。

    カルネがゆっくりと立ち上がり、呟いた。

    「試合は……まだ、終わってないわよ」

  • 5401◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:23:39

    「……試合は、終わってないわよ」
    カルネがそう告げた瞬間、
    まるで時間が止まったかのように青ずきんの動きが凍りついていた。

    いや──それは本能的停止。
    あの音。あの周波数。
    闘技場を満たした金属質な終了音に、
    青ずきんの身体が条件反射で**「試合終了」**と認識したのだ。

    「……アタシのこと、調べてきたね?」

    蒼いフードの下から、少女が小さく呟く。
    カルネは杖を手に取り、そっと構え直した。

    「鏡の映像だけじゃ足りなかったわ。
    だから……音響魔術と、条件反射の制御実験を何度も重ねた。
    “あなたの脳が無意識に反応する音”を、私は探したのよ」

    「……チョーシ乗ってるなぁ」

    青ずきんは静かにフードを深く被り直す。

    「アタシに勝ちたくて、そこまで準備したってこと?」

    「ええ、そう。──だってあなた、近づかせたら終わりなんでしょう?」

  • 5411◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:25:07

    言いながら、カルネの周囲に次々と魔法陣が展開されていく。

    「じゃあ、距離を取って、動きを止めて、
    喉を潰される前に、吹き飛ばせばいい──」

    カルネが呪文を唱える。
    その口は、迷いがなく、速い。
    まるで呼吸のように詠唱が走る。

    「熱波よ/紅蓮の牙で/燃やし尽くせ──」

    「うるっさいなァ!!!」

    青ずきんが爆ぜるように再始動した。

    音が止んだ瞬間、条件反射の支配は解除された。
    それを見越していたかのように、彼女は一瞬の沈黙を見計らっていた。

    ──動ける。今だ。

    カルネが魔法陣を展開しながらも動揺する。

    (なぜ……! あの音は確かに響いた!)

    (いや、違う──音の継続時間。一瞬だけでは効かない?)

    その考察の最中に、既に青ずきんは視界の中にいた。

  • 5421◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:25:48

    「──アタシね。音に弱いのは本当だけど」

    彼女が指をパチンと鳴らす。

    「“パターンが同じ音ばっかり”だと、慣れちゃうんだよね」

    「……!」

    青ずきんが放つのは、単純な殴打ではない。

    その手が、カルネの詠唱中の口を狙って伸びる。
    彼女は知っている──詠唱魔術師は、口を封じられれば力を失う。

    だがカルネも、魔女だ。

    「封じたいなら、どうぞ。だけどその手を……先に燃やすわ!!」

    カルネの掌から、3小節魔法が炸裂する。

    「火球よ/咆哮せよ/焼き払え!」

    灼熱の球体が轟音とともに走る。
    地を抉り、空を焼き、迫る少女を薙ぎ払う──!

    ──だが。

    カルネは見た。

  • 5431◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:26:34

    灼熱の球の中から、少女が出てくる。

    「──ウソでしょ」

    「近づけば終わるって、自分で言ってたでしょ」

    青ずきんの拳が、空を裂く。

    「だったら、近づかれる前に逃げなきゃ」

    ドゴッ!

    衝撃が走る。
    カルネの腹部に重く沈む拳。
    魔法防御も突き抜ける、純粋な質量と加速の塊。

    「う……が、ぁッ……!」

    カルネが吹き飛ぶ。
    地面に転がり、咳き込み、杖を手放す。

    それでも、カルネはすぐに詠唱に入る。

    「──火炎よ……ッ」

    だが──その声を塞ぐように、
    青ずきんの右手が口元を覆う。

    そのまま、背後から両腕を巻きつける。

  • 5441◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:27:24

    チョークスリーパー。

    「また絞めてゴメンね。
    でもアタシ、“これしかできないから”さ」

    魔力の奔流が、青ずきんの手首を震わせる。
    カルネの体に、火花が散る。

    それでも──

    「ゴング……鳴らなきゃ、終わらないでしょ?」

    カルネがかすれた声で呟く。

    「うん。だから、鳴るまで絞める」

    「……ッふふ、怖い子……」

    次の瞬間、またしても空間に、金属音が響いた。

    カァァァン──ッ!

    それに反応して、青ずきんの腕がわずかに緩む。

    ……だが。

    「──そっか。自分で鳴らした音は平気なんだよ」

    少女の目が、冷たく笑った。

  • 5451◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:27:40

    「今の音、アタシが仕掛けた“罠”ね。杖に設置してたの」

    「な……に……?」

    カルネの視界が、だんだんと黒く染まっていく。

    「音がアタシを止める。だからアタシがその“音”を使う」

    「止まるフリをして、首を絞め続ける。
    つまり──封じ手のスイッチは、アタシが握ってんの。」

    魔女の意識が、ゆっくりと沈んでいく。

    「さ、タオル投げる? 王子さま、いないけど」

    答える者はいない。
    ただ、大地に立つ蒼い少女だけが。

    静かに、次のゴングを待っていた。

  • 5461◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:29:01

    ──意識が沈む。
    肺が焼けつくように苦しく、
    視界は狭まり、世界が遠ざかる。

    カルネの身体は、もはや限界にあった。
    全身に刻まれた絞め痕と衝撃。
    そして、脳に響き続ける**“音”のトラップ**。

    (音の魔術すら、利用されるなんて……)

    だがそれでも、カルネの思考は止まっていなかった。

    (負けられない……この子にだけは、絶対に)

    ──なぜなら、あの鏡は言ったのだ。

    「最も強いのは、青ずきんです」

    鏡が語った真実は、カルネの誇りを傷つけた。

    魔術師としての研鑽も、功績も、知識も、
    一撃の拳で黙らされるという事実を、受け入れることはできない。

    (……だったら、最後までやってやる)

    その決意が、カルネの指を微かに動かした。

    ──カチッ。

    足元で、何かが作動する音がした。

  • 5471◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:29:59

    青ずきんの眉がわずかに動く。

    「……ん? 今の音……」

    彼女の感覚は鋭い。
    だからこそ気づいた。

    この地面の下に──何かが仕掛けられていることに。

    「はは。しっかりしてんね、オバちゃん。アタシの“絞め”で立てるなんて」

    だがその一瞬の油断を、カルネは見逃さなかった。

    「私の魔法が……呪文で発動するだけだと思ってるなら──」

    首を絞められたまま、
    カルネが口を動かす。

    ──ではない。口ではない。

    手指が詠唱していたのだ。

    「……ッ!?」

    青ずきんの瞳が大きく見開かれる。

    (……指先の、詠唱……!?)

    「【沈黙の連環(サイレント・リンク)】」

  • 5481◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:30:49

    カルネの掌から、無音の光が溢れる。

    それは、術式を媒介としない、直接制御型の魔法発動。
    言葉も、杖も、詠唱すらも必要としない。
    ただ指の形だけで放たれた、音なき爆破魔法。

    「ッ──!」

    ドォン!!

    炸裂音だけが遅れて響く。
    青ずきんの体が吹き飛び、空中で数回転して着地する。

    「……ッたく、何そのチート……!」

    フードの奥の目が鋭く光る。

    だがカルネも、すでに膝をついていた。
    今の一撃は、自分自身にもダメージを与える覚悟で放ったもの。

    (あの絞め技は……発動されたら終わり)
    (なら、絞められたままでも魔法を撃てる形を……)

    それこそが、“サイレント・リンク”だった。

    カルネはよろよろと立ち上がる。
    そして呟く。

  • 5491◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:32:08

    「……王妃があの子に敗れた理由、わかった気がするわ」

    「へぇ。で?」

    青ずきんが砂埃を払いながら前に出る。

    「アタシがどんな奴を“絞めた”か、知ってる?」

    「魔女。王妃。盗賊。格闘家。……王子さままで、だったかしら?」

    「正解。でも……」
    青ずきんが足を一歩、踏み込む。

    「“大魔女”はまだだったよね?」

    (来る!)

    カルネは即座に、詠唱を展開する。

    「結界よ/四方を囲み/防壁となれ──!」

    三層式の魔法防御。
    だが。

    「無駄」

    蒼い影が、目の前で結界を割る。
    一層目、肘打ち。
    二層目、回し蹴り。
    三層目、頭突き──!

  • 5501◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:33:17

    「そこまでして、近づく……!? 何者なの……ッ!」

    青ずきんが答える。

    「“青ずきん”だよ。顔を青くする専門の」

    そして、再び腕が絡みつく──

    ──が、今度は違った。

    カルネが空中で、何かを呟いた。

    「【逆詠転唱(リバース・チャンター)】」

    その瞬間、周囲に散っていた魔力粒子が反転する。
    青ずきんの背後で、轟音の爆発が起きる。

    ──突き飛ばされる形で、青ずきんがカルネから距離を取らされる。

    「チッ……また逃げたね」

    「ふ、ふふ……逃げるんじゃない。魔女は“間合いを創る”のよ」

    「いいよ。間合いなんてアタシには意味ないけど」

    青ずきんが再び踏み込む。

    (来る……また“あれ”が来る!)

    カルネは恐怖を押し殺し、詠唱を重ねる。

  • 5511◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:33:50

    「火炎よ/爆風よ/構築せよ/吹き荒れよ/爆ぜろ──!」

    五小節。

    カルネが誇る最大出力の詠唱。
    青ずきんは止まらない。
    だが、その瞬間──

    ゴォオオオオオッ!!!

    地面ごと、空ごと、一帯が吹き飛んだ。

    炎が天を裂き、闘技場跡を吹き抜ける。
    蒼い少女の姿は、炎の中へと消えていった。

    カルネは、杖を杖にして、息をつきながら呟いた。

    「……勝った……?」

    いや。

    地面に、青い布がひらりと落ちた。

  • 5521◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:34:08

    次の瞬間──その布が、音もなくカルネの背後に巻きつく。

    「へへ……アタシが青ずきん脱いでる時は、“本気出す”時なんだよ」

    「え?」

    振り向いた先にあったのは──
    焦げたフードを脱ぎ捨て、蒼い瞳だけが光る少女の姿。

    そして。

    ゴォンッ!!!!

    カルネの視界が、真っ暗になった。

  • 5531◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:35:18

    ──静寂が降りた。
    爆炎が大地を裂いた直後とは思えないほど、空気が冷たい。
    風が吹くたびに、青いフードが焦げた布をはためかせる。

    その場に、立っているのはひとりの少女だけ。

    焦げ跡まみれの上着を脱ぎ捨てた青ずきん。
    その瞳は鋭く、まるで獣のような研ぎ澄まされた集中を放っている。

    足元に倒れているのは──
    全身を焼き、魔力も尽きかけた大魔女カルネ。

    「……まだ、生きてる?」

    少女はしゃがみ込み、カルネの顔を覗き込んだ。

    「うん、かすかに息してる。やっぱすごいね。
    アタシのチョーク決まった状態であそこまで魔法出せた人、初めてかも」

    小さく、しかしどこか楽しそうに微笑む。

    それでも、カルネのまぶたはわずかに動いた。

    (……負けた……?)

    意識の底で、魔女は考えていた。

    あれだけ準備した。詠唱魔法の極致にまで踏み込んだ。

  • 5541◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:36:20

    それでも、彼女は近づいてきた。

    爆炎すら通さず、音ですら支配し、
    指詠唱すら封じて、なお首を絞め落とす。

    (……鏡は、嘘をついてなかった……)

    「“最も強いのは青ずきんです”──か」

    カルネの唇が、かすかに動く。

    「認めたくないけど……そう、みたいね」

    「うん。知ってるよ」

    青ずきんはまた少し笑って、立ち上がる。

    「アタシはね、強さを競ってるつもりはないの」

    「……じゃあ……何のために……?」

    「ただ、『終わった試合』の相手を、ちゃんと倒すだけ。
    レフェリーがいないなら──アタシが試合を終わらせるんだよ」

    (……王妃も……きっと……)

    カルネの意識が再び沈もうとした、その時──

  • 5551◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:36:50

    「でも、オバちゃん。アタシさ、ちょっとだけ……気に入った」

    「……は?」

    カルネの瞳に、少しだけ驚きと警戒が戻る。

    「さっきの『サイレント・リンク』、アレ、マジで死ぬかと思った。
    でも、試合中に詠唱の構造変えてきたでしょ? それ、ちゃんと“鍛えてる人のやり方”だよ」

    青ずきんはゆっくりと、自分のフードを拾い上げた。

    焦げて、破れて、ボロボロになったその青い布を──
    まるで大切な宝物のように抱きしめる。

  • 5561◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:37:27

    「アタシと違って、オバちゃんはちゃんと努力して魔法を積み上げてきた。
    それはアタシにないモノだから、ちょっと羨ましい」

    「……今さら、褒めて……」

    「ううん、褒めてないよ。ただの感想」

    ひらりと、布を肩にかけながら、青ずきんは背を向ける。

    「じゃあね。ゴングも鳴ったし、これで試合はおしまい」

    カルネは、呆然とその背中を見送った。

    強さとは何か。
    魔法とは何か。
    王妃でも叶わなかった力が、確かに今、自分の目の前にあった。

    (……最強、か)

    彼女の口元に、かすかに笑みが浮かぶ。

    「……若いって、ずるいわね……」

    そう呟いて、カルネは意識を手放した。

    風が吹く。
    灰と煙のなかで、青ずきんのフードが再び顔を隠す。

    青い影が遠ざかっていく。
    そして誰もいなくなった闘技場に、やがて静寂が戻る──

  • 5571◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:38:34

    ──静寂。
    燃え尽きた闘技場跡には、もう音ひとつ響かない。
    黒く焦げた地面。魔力の残滓。
    崩れた柱と、地面に伸びる魔女の影──
    それらすべてが、「戦いの痕跡」を雄弁に物語っていた。

    そしてその痕跡の中心から、ひとりの少女が歩き出す。

    フードをかぶり直したその姿は、
    まるで何もなかったかのように平然としていた。

    ──そう、“青ずきん”。

    「ふぅ……また服、燃えた」

    歩きながら、彼女は焦げ跡のついた袖を引っ張る。
    右肘から先は破け、左肩の縫い目もほどけかけている。

    「直すの面倒なんだよな……でもま、勝ったし、いっか」

    鼻歌のように呟くその声に、疲労の色はない。
    息すら乱れていない。まるで“いつもの散歩”のような顔つき。

    だが、その背後に倒れているのは──
    かつて王妃と並ぶ権威を誇った、至高の大魔女。

    魔法で築いた城。

  • 5581◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:39:28

    何百年と積み重ねた力。
    詠唱の極地、知識の結晶、神秘の象徴。

    ──すべて、それでも届かなかった。

    鏡の言葉は、ただの噂じゃなかった。
    「この世で最も強いのは──青ずきんです」

    その真実が、今やっと証明された。

  • 5591◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:39:40

    「……次はどこ行こっかな」

    少女は立ち止まり、空を見上げる。
    灰色の雲が、割れた天頂からのぞく。

    遠くで、また誰かが戦っている音が聞こえる。

    「……まだ“終わってない試合”があるな」

    その声に、誰が答えるでもない。
    けれど、青ずきんはもう歩き出していた。

    フードの影に笑みを隠して。
    そしてまた、新しい誰かの“試合”を終わらせにいく。

    ──それが、「青ずきん」の役割だから。

    「終わってないなら、アタシが終わらせる」

    かすれた声で、風に向かってそう呟いた。

    音もなく、蒼い影が遠ざかっていく。
    次に彼女が現れる時──また一つ、最強が更新される。

    そして今日もまた、
    ゴングが鳴る。

    ──カァァァン。

  • 5601◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 12:39:52

    以上

  • 561二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 12:42:40

    ぅゎょぅι゛ょっょぃ

  • 562二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 12:42:49

    ゴングを鳴らせっ 戦闘終了だっ

  • 5631◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 13:58:06

    題名 『絶刀喰宴』

  • 5641◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:00:07

    それは、奇妙な廃都市だった。
    かつて近未来の実験都市として栄え、
    魔導と科学が融合する鉄道網の中心地として建設されたこの街は、
    今では崩れかけた高架線と、電磁残響の残る空気に包まれた死の調理台。

    その中央。
    駅ホーム跡のひび割れたタイルの上に──

    ひとりの少女の姿があった。

    フード付きの着物、鋭く切れ上がる目、静かに差した一本の刀。
    それは人ではない。料理だ。

    ──絶刀・クッキング。

    「……来るのね。今度こそアタシを“食べて”くれるのかしら」

    細く笑うその表情は、どこか諦めと、期待と、恐怖を孕んでいる。

    遠く、空気が唸る。
    鉄が震え、空間が焼ける。

    そのとき、地平の向こうから──光条が走った。

    「──接敵、対象確認」

    機械的な声。
    凄まじいスピードで迫る、銀色の車体。

    線路を持たぬリニアモーターカー。

  • 5651◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:00:51

    魔導都市が生み出した電磁戦闘兵器──
    マグネスランナー-NSが出現した。

    「認識コード……対象:《有機複合体・調理型》」

    機械の目に、クッキングの姿がスキャンされる。

    ──戦闘開始条件、成立。

    轟音が走る。
    鉄の空間に、電磁が満ちた。

    「いきなり“食材扱い”?そう……なら、食べてみれば?」

    クッキングの左手が柄に添えられる。

    「一口で済むなんて、思わないことね──」

    次の瞬間──マグネスランナーが爆走した。

    「──突進開始、電磁滑走・最大出力」

    ギャアアァアアアア!!!!!

    浮遊しながら走るその巨体は、線路など要らない。
    大気を裂き、ビルを粉砕しながら一直線に突き進む!

    「ッ……は、や──!」

    視認すら困難な速度。

  • 5661◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:02:25

    しかし、クッキングの抜刀は神速。

    「──ッ、抜くよッ!!!」

    シュパンッ!!!

    空間が裂けた。

    日本刀の軌跡に生じた**“境界”**。
    その断面はマグネスランナーの装甲すら意味を成さない。

    「計算外──」

    次の瞬間、銀の装甲に境界が触れる。

    ズバァアッ!!

    空中で跳ね飛ぶ車体。
    切断されたのは──わずかに先端の装甲板。

  • 5671◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:02:48

    「……ちょっと、ズレた」

    一歩、クッキングが後退。

    マグネスランナーも空中で姿勢制御に入り、軌道を変えて回避に徹する。

    「高速過ぎて……狙い、ブレた……腕、もげかけた……ッ」

    その右腕は、肩から外れかけてぶら下がっている。

    「……ッ、ハハ……やだ、またこんな……!」

    歯を食いしばり、涙がにじむ。

  • 5681◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:03:26

    だが、それを許すような相手ではなかった。

    「──再加速。迎撃用電磁波、展開」

    マグネスランナーが発光する。
    次の一手は、突進ではなく──“面攻撃”。

    「ッ、今度は波でくるか……!」

    青白い雷のような波が迫る。
    電磁波状の攻撃は、空間を焼くようにうねっていく。

    「……アタシを焼いて、美味しくする気?」

    クッキングがフードを外し、笑う。

    「料理には、香りも大事よ──なら、見せてあげる」

    その笑みが狂気を孕んだとき──
    彼女の“擬態”が、崩れ始めた。
    肉体がぐにゃりと崩れ、料理本来の姿が覗く。
    腐敗と魔力の混ざったような、凶悪な匂いがその場を包む。

    「この世で一番、食欲をなくす料理──その名は《絶刀》!」

    次の瞬間、電磁波が彼女を飲み込んだ──!

  • 5691◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:07:39

    電磁波が空間を覆い尽くす。

    地面が焼け、鉄骨が爆ぜ、荒廃した都市の一角が青白く光った。

    その中心にいたのは、肉体を擬態から解いた料理の怪異──
    絶刀・クッキング。

    「グッ……くふ……ッ!やっぱり……あは、キツいわね……!」

    全身に火傷のようなダメージを受け、クッキングが膝をつく。
    料理としての彼女の肉体は、電磁波に弱い。
    加熱され、焦げつき、皿に盛られる寸前のような匂いを漂わせていた。

    「でも……っ、悪くない……。焦げたら……美味しそうに見えるでしょ?」

    震える指で刀を握り直す。
    香ばしい煙が立ち昇りながら、立ち上がるその姿は──どこか誇らしげだった。

    一方、上空からクールに敵性データを解析するマグネスランナー-NS。

    「外皮、変質確認。対象、擬態解除後の精神活性:上昇」

    「推奨行動:突進による直接破砕」

    再び、エンジンが唸る。
    地面を削り、浮上装置が最大出力に。

    ──轟音とともに、銀の塊が降ってくる!

  • 5701◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:08:27

    「ッッッ来る──!!!」

    クッキングが抜く。

    瞬間、刀が軌跡を描く。
    刃の走った空間が、再び**“断面”**になる。

    「──《境界斬撃:二の字》!」

    刀が二回、斬る。

    マグネスランナーの突進軌道に交差する斬撃が走る!

    バシュアアアアッ!!!

    銀のボディに2本の斬線が刻まれ、火花が舞う!

    「──加速、持続!」

    だが──止まらない。

    マグネスランナーはそのまま突破する。

    境界斬撃は確かに車体を裂いた。
    だが、装甲を削っても──コアを断ち切らねば意味がない!

    「ッぐぅうううううっッ!!」

    避けきれない。

  • 5711◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:09:30

    クッキングの細い体に、リニアの突進がぶち当たる!

    ドォン!!!

    その体が弾かれ、建物の壁にめり込む!

    「がっ……あ、あああっ……! ぐ、ふっ……」

    崩れた料理の肉体。
    腕の骨は折れ、体からは煮崩れたような液体がこぼれ始める。

    「……っあ……また、アタシ……崩れて……」

    ふらふらと立ち上がろうとするも、視界がぼやける。

    「痛い……怖い……でも、食べられたくない……でも、食べてほしい……」

    矛盾する思考が、精神を蝕む。
    自分は何なのか。人間ではない。料理だ。

    このまま崩れれば、ただの廃棄物。

    ──そのとき、マグネスランナーが再び浮上する。

    「対象機能低下確認。終了動作:焼却突進」

    スラスターが蒼白く輝く。

  • 5721◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:10:04

    最大熱量の電磁を帯び、焼却突撃の準備に入る。

    「やめて……やめて……アタシ、まだ……っ!」

    クッキングが叫ぶ。

    「アタシ、アタシを──“食べたい”って言ってよ!!”!!」

    叫んだ瞬間、マグネスランナーがピタリと止まる。

    「…………?」

    センサーが動く。解析不能。

    その沈黙の間に──

    クッキングの瞳が光る。

    「その一瞬……逃さないわよ」

    ぼろぼろの身体を引きずりながら、
    絶刀・クッキングが再び柄を握る。

    次の抜刀は、おそらくこの戦いの最後の一撃になる。

    「いっただっきま──せん!!」

    彼女が──斬る!!

  • 5731◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:22:29

    ──刹那の間合い。
    焼却突撃を控えて浮かぶマグネスランナー、
    そして満身創痍のまま境界を抜く姿勢をとる絶刀・クッキング。

    その場には、焦げた脂の匂いと、鉄とオゾンの匂いが混じる。

    「“食べたい”って言ってくれれば……ッ、アタシ、アタシは……!!」

    刀を構えたクッキングの肩から、崩れた腕肉がはらりと落ちる。

    右腕は完全に切断寸前。刀をまともに振るえば、吹き飛ぶ可能性が高い。

    でも──今、動かなければ本当に“廃棄”される。

    (アタシを作ったあの人たちは、アタシを食べてくれなかった……)
    (「作品としては最高」「でもこれは、食えない」って──)

    「ならば……!」

    意識を喰らうように、彼女は最後の一撃に全てを込めた。

    「──《境界斬撃・味噌椀(みそわん)一閃》!!」

    ズバンッ!!

    空気が震える。

    刃が空間に味噌汁のような丸い斬痕を描く。
    斬撃が交差し、円形の“断面”がそこに出現する。

  • 5741◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:23:22

    その円環の中心に──突っ込んでくるマグネスランナーがいた。

    「突撃継続。対象消失検知、進路上に境界現象──無視」

    いや、無視できない。

    次の瞬間──ガァァアアアアン!!!

    爆音と共に、マグネスランナーの機体が真っ二つに裂けた。

    「……これが……“一杯の味噌汁”の味……!」

    両断された車体が火花を散らしながら空中を舞い、
    大地に激突し、爆発が巻き起こる。

    電磁コアの暴走。白炎が上がる。

    「ふ、ふふ……どんなに速くても、どんなに重くても──」

    「味噌汁には、勝てないんだから……!」

    クッキングは笑いながら、左手で刀を支えた。

    ──だが。

    「……ッ……え?」

    その視界に、残骸の中から浮かび上がるコアユニットが映る。

    マグネスランナーの中核、最も硬質な頭部モジュールが、

  • 5751◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:24:07

    僅かに機能を残して、空中に浮いていた。

    「……小型モード……!? 頭だけで逃げた!?」

    「戦闘不能を確認……帰還命令受信……」

    その機械音はかすれていたが、確かに聞こえた。

    クッキングは、崩れた姿でそれを見つめた。

    「ねえ……行くの?」

    「……逃げないでよ……アタシ、まだあなたに、“食べてほしかったのに”……!」

    しかし、返答はない。

    電磁の光を放ちながら、コアは空へと退いていった。

    静寂。

    風の中に残ったのは、ぼろぼろのクッキングと、
    両断されたリニアの破片だけ。

    ──勝ったのは、確かに彼女だった。

  • 5761◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:24:24

    けれど、彼女の目に浮かぶ涙は、
    料理が望んだ「完成」を意味しなかった。

    「……まだ……アタシを食べてくれる誰か、探さなきゃ……」

    彼女は立ち上がる。

    ちぎれた腕を引きずりながら、
    また一歩、誰かの胃袋を求めて歩き出す。

  • 5771◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 14:26:14

    以上

  • 578二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 14:33:12

    絶景とカナエは一旦、ファルスと一刀斎にお説教もらったほうがいいのでは?

  • 579二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 14:57:00

    罪深き....罪深き...

  • 580二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 15:08:42

    げに恐ろしきは人の料理

  • 581二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 15:09:44

    絶景って人だっけ?

  • 582二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 15:15:55

    >>581

    なし、種族なんてくだらない境目は存在しない

  • 583二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 15:46:26

    >>582

    ほな実質人間か

  • 584二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:14:22

    どっかにスパルタな料理の先生とかいてくれないかな…

  • 585二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 21:45:22

    今日は進めない感じかな

  • 5861◆ZEeB1LlpgE25/08/07(木) 22:34:25

    >>585

    あとちょっとでできるのでお待ちを

  • 5871◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 00:42:06

    今日起きたら投下します

  • 588二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 01:05:53

    乙です
    おやすみ〜

  • 589二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 02:01:46

    このレスは削除されています

  • 590二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 07:07:47

    ほす

  • 591二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:33:15

    このレスは削除されています

  • 592二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:42:23

    このレスは削除されています

  • 593二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:49:00

    このレスは削除されています

  • 594二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:57:40

    このレスは削除されています

  • 595二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:07:56

    オーバーヘブン

  • 596二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:08:37

    このレスは削除されています

  • 597二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:11:10

    本スレの方でもそれやるな

  • 598二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:11:23

    あまり不必要にレス消費しないように大喜利もほどほどに抑えてくださいね

  • 599二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:13:27

    しかし一回やめてくれってはっきり頼まれたのになぜ繰り返すのかね
    死ぬほどつまらんだけなのに

  • 600二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:37:06

    このレスは削除されています

  • 601二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:50:14

    Q:ゾウが踏んでも壊れなかった筆箱、今どこにある?

  • 6021◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:55:05

    題名『逆さまの正義』

  • 6031◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:57:18

     焼け落ちた街の中央、風は煤と焦げた肉の匂いを運んでいた。
     瓦礫の上に立つ男は、陽光を受けて黄金色の髪を輝かせている。外見だけなら、物語に登場する英雄そのもの――しかし、その眼差しは光の奥に底なしの闇を湛えていた。

    「……君は、なんて悪人なんだ。許せない。僕が正してあげよう」

     その声は温かく、親しげですらある。だが、足元にはまだ息のある避難民が転がり、男の剣から滴る赤黒い液体が瓦礫に染み込んでいく。
     D-13はその光景を、無感情なセンサーで記録していた。外見的な「善」の信号と、周囲の「破壊」「殺傷」のデータが一致しない。矛盾警告が内部で点滅する。

    「対象、分類不能……解析優先度を再設定」

     D-13の声は液体の流れるような響きを持ち、どこか人間的な抑揚を欠いていた。
     その瞬間、男――正義を冒涜せし者は、子どものように嬉しそうな笑みを浮かべた。

    「機械……いや、君はもっと人間に近い。そういう存在こそ、僕の正義のために裁く価値がある」

     男の足が瓦礫を蹴る。瞬間、視界からその姿が消える。
     D-13のセンサーが感知したのは、正面からの衝撃波――と同時に背面への影の回り込み。
     流体装甲が反射的に硬化し、刃が当たる音と共に火花が散る。

    「おや……硬い。でも、大丈夫。正義は必ず悪を貫く」

     その言葉の抑揚は優しく、しかし吐息の奥に狂気が潜んでいる。
     D-13は流体の一部を槍状に変形させ、反撃として振り払う。だが男はそれを紙一重で回避し、瓦礫を蹴って高く跳び上がった。

    「君は、悪だ。僕が裁く。そして……きっと気に入るよ、君の中の“善”の味を」

     着地と同時に、男の身体から異常な魔力反応が放たれる。
     D-13は内部演算で脅威度を再計算し、戦闘態勢を最大出力に切り替える。
     街の残骸を舞う灰が、二人の間で渦を巻く。
     そして、戦場は開かれた。

  • 6041◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:57:55

    乾ききった工業地帯に、風が唸り声のように吹き抜ける。
    鉄骨の影の中、重金属の足音が不規則に響く。

    「……なるほど」
    D-13は、センサー越しに相手の位置を探りながら、淡々と呟く。
    その前方、影から影へ飛び移るように姿を見せたのは――正義を冒涜せし者。

    彼は血塗られたマントをひらつかせ、歪んだ笑みを顔に貼り付けていた。
    「ねえ、知ってる? “正義”ってさ……砕くと、どんな音がするか」
    その声は、甘い囁きと嗜虐の熱が混ざった、不快な旋律。

    D-13は銃口を向ける。
    「関心はない。排除対象に過ぎない」
    「そう、それがいい。その無味無臭な答えが……壊し甲斐を増すんだよォ」

    彼はそのまま、胸に手を突き入れ――まるで心臓を取り出すかのような仕草をしながら、
    光沢を帯びた異形の刃を引きずり出す。
    「これが僕の『審判』……いや、もっと正しい呼び方をしようか。“処刑具”ってね」

    瞬間、空気が歪み、D-13のHUDにノイズが走った。
    ただの剣ではない。刃からは音が漏れる――悲鳴とも嗤い声ともつかぬ断片。
    「記録するな。記録すると、狂うよ。ほら、目を逸らして?」

    D-13は即座に跳躍、低い姿勢で距離を詰め、弾丸を連射。
    しかし、正義を冒涜せし者は刃を一閃、弾丸の軌道を狂わせ、金属片を舞う花火のように散らした。
    「キレイだろ? 君の“正義”が、弾けて死んでいく音色さ」

    狂笑と共に、彼は刃を振り下ろす。

  • 6051◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:58:11

    衝撃波が鉄骨を引き裂き、地面に深い切り裂きを刻む。
    D-13は紙一重で回避したが、そのセンサーには常識外れの波形が刻まれていた。
    精神干渉――機械にも影響を及ぼすほどの、異常な“正義殺し”。

    「やっぱり、いいなぁ……君、壊しがいがある」
    歯を剥き出しにして笑うその姿は、正義でも悪でもない。
    ただ、壊すことで快楽を得る、倒錯した執行者だった。

    ――工業地帯に、狂気と金属音が再び交錯し始める。

  • 6061◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:58:26

    鉄屑と火花の嵐の中、正義を冒涜せし者はゆらりと立ち上がる。
    その口元からは、笑いなのか喘ぎなのか判別不能な声が漏れていた。

    「……あぁ……いい……君のその反応……正しい……あぁいや、間違ってる……! だから正しい……!」

    彼の足元で、倒れた街灯が火を吹き、オレンジの炎が夜風に煽られる。
    D-13はその視線を逸らさず、無感情な顔で拳を構えた。

    「分析完了。お前の動きはもはやパターン化した。次で終わる」

    だが、その冷静な声を聞くや否や、冒涜者の笑いは一層大きくなる。
    彼は胸を指で叩き、骨が鳴るような音を立てながら身を反らす。

    「終わらせる? なら、もっと終わらせろ。僕の全身を、善で汚してくれ……!」

    その瞬間、彼の背後から黒い羽根のような何かが噴き出す。
    羽根は地面に触れるたび、アスファルトを焼き焦がし、形を変えて鋭利な杭となる。
    杭は一斉にD-13へと襲いかかり、まるで街そのものが彼に牙を剥いたかのようだった。

    「処理速度を上げる」
    D-13は腕を回転させ、手の甲から光輪のような振動刃を展開。
    迫り来る黒杭を粉砕しながら前進する。

    その距離は縮まる。
    冒涜者は後退しない。むしろ両腕を広げ、まるで抱擁を求めるように微笑む。

    「来い! 僕を壊せ! それこそが、この世で一番……美しい正義だッ!」

    二人の影が交差する瞬間、夜空に稲光が走った。
    街の輪郭すら揺らぐ衝撃音が響き渡る——まだ決着は訪れない。

  • 6071◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:58:46

    衝撃が収まるより早く、正義を冒涜せし者は口角を裂けんばかりに吊り上げた。
    その瞳は、血の色に似た深紅へと染まり、息を荒げながらも喜悦に溺れている。

    「……ッは、あははははははッ!! いいぞ……その硬質な拳……! もっと……もっと僕の奥まで突き刺してくれぇ!」

    拳を受けたはずの胸元からは、血ではなく黒い霧が噴き出し、夜気に溶けていく。
    その霧は地面に落ちるや否や、D-13の足元を這い回り、鎖のように絡みついた。

    「拘束を検知。解除行動開始」
    D-13は即座に脚部の推進装置を最大稼働させ、地面ごと吹き飛ばす。
    だが霧は離れず、むしろ脚に沿って這い上がり、体の可動部に潜り込んでいく。

    冒涜者はその光景を見て、肩を震わせた。
    「……機械も血を流せるんだな……違うか、潤滑油? あぁ、いい……! 君の体温すら感じない冷たさが……僕を熱くする!」

    霧が一瞬にして翼の形を成し、巨大な黒刃となってD-13に振り下ろされる。
    金属と金属が軋む音が街全体に響き渡り、地面が波打つように割れる。

    しかし、D-13は膝をつきながらも冷静に告げる。
    「お前のパターン変化を検知。次はその翼を破壊する」

    「できるもんならやってみろ……! 僕は正義だ! 君が僕を倒すことは、君が正義を壊すことになる! それは……どれほど甘美なことか……ッ!」

    二人の間で、正義と狂気が同じ熱量でぶつかり合い、夜はさらに深く燃え上がっていった。

  • 6081◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:59:14

    夜空を裂く轟音と共に、D-13の背部推進装置が蒼白い光を噴き上げる。
    膝をついた姿勢から、まるで弾丸のように射出され、一直線に正義を冒涜せし者へ突進した。

    「……来た、来た、来た……! それでいい……ッ!」

    冒涜者は両腕を広げ、抱擁でも受け入れるような姿勢で待ち構える。
    その背からは、黒い霧が百本以上の槍となって伸び、乱舞しながら迫る機械の影を迎え撃つ。
    槍の軌跡は獣の爪痕のように空間を裂き、地面を穿ち、ビルを粉砕する。

    しかしD-13は回避しない。
    無数の衝撃音と火花が装甲を削るたび、彼の視覚センサーは冷徹な演算を続ける。
    「槍の軌道予測——完了。衝突確率、百パーセント」

    次の瞬間、D-13の両腕が変形し、砲門へと変わる。
    そこから放たれたのは熱量ではなく、純粋な衝撃波——音速を超える圧縮振動が霧の槍を次々と粉砕した。

    「……ッあああぁ……砕かれる……僕が……僕の正義が……! あぁ……それもまた……イイ……ッ!!」
    冒涜者は、全身を刻まれながらも笑い声を上げる。
    血の代わりに黒霧を撒き散らし、わざと受けるように前へ出た。

    D-13はその動きを見越し、至近距離で腕部を変形させ、重質量ブレードを展開。
    刃が深く胸を貫く瞬間、センサーが捕らえたのは、苦痛ではなく陶酔の笑みだった。

    「お前は……僕を殺すんじゃない……僕を完成させてくれるんだ……」
    冒涜者は、胸から溢れる霧でD-13のセンサーを覆い、耳元で囁く。
    「壊してくれ……君の無機質な正義で、僕の歪んだ正義を……」

    刹那——D-13は全推進力を一点に集中し、ブレードを深く捻り込む。

  • 6091◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 11:59:44

    黒霧は一瞬、空気ごと吸い込まれるように消え、冒涜者の身体が崩れ落ちた。

    「……解析完了。対象——消滅」
    淡々と告げる機械の声が夜に響く。

    しかし、倒れたはずの冒涜者の唇が、かすかに動いた。
    「……まだ……正義は……終わらない……」

    ——街に残された黒い霧が、再び風に乗って舞い上がった。
    それは、狂気の正義が消えていない証明だった。

  • 6101◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 12:00:09

    以上
    大分短め

  • 611二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:02:18

    正義を冒涜せし者が悪扱いしたってことは、D-13って正義側なのか

  • 612二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:05:31

    D-13ってロボットだっけ?

  • 613二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:08:35

    冒涜者、狂気的なマゾって感じでなかなかいいキャラしてる

  • 614二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:10:10

    冒涜者ってまだ死んでないんかな?

  • 615二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:22:37

    冒涜者は自分がイカれてることに薄々気づいてる感じなのかな

  • 616二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:34:09

    壊してくれ……君の無機質な正義で、僕の歪んだ正義を……
    って言ってるから早く死にたいんじゃねぇかなぁ

  • 617二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:42:03

    壊れた邪神のおもちゃかな

  • 618二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:49:26

    ビリオン楽しみ
    しかしアメリカとか旧世界の存在だったのは誤算だったな

  • 619二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:50:34

    >>618

    古代文明の文化を再現できるのはかなり貴重よ

  • 620二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 13:47:34

    Q:納豆がナットウキナーゼを失ったとき、何になる?

  • 6211◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:03:11

    >>620

    大豆?


    題名『国旗の戦士と山の祟り神』

  • 6221◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:08:55

    世界のあらゆる国旗の色彩が入り混じったスーツを纏い、ビリオン・ザ・ワールドは今日も空を翔けていた。
    彼の存在は人々の理解を超えていた。日本の神社で目撃された直後に、ブラジルのリオデジャネイロでも同時に姿を現す――その不可思議さは誰にも説明がつかない。

    「さあ、みんな! 平和な未来への道を一緒に歩もうじゃないか!」
    声高く宣言しながら、彼は手を振り、街の雑踏を自在に移動する。
    その胸にある地球の印は、小さく輝き続けている。

    だが、その声が届かぬ深い山間の暗闇には、漆黒の巨蜘蛛が巣食っていた。
    山喰らい――その名は伝説の恐怖、自然を喰らい尽くす存在。
    彼女の体は大地の闇と一体化し、巨体はまるで動く山のように重々しい。

    「異なる命が叫び、混ざり合い……か。面白きことよ」
    黒曜石のように冷たい瞳で、山喰らいは地脈を通じて生命の流れを探る。
    「……だが、お前の夢は無意味だ。命は分断され、破滅するためにある」

  • 6231◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:09:18

    ビリオンは高らかに笑う。
    「そんなことはないさ。文化も技術も、互いを理解しあう架け橋なんだよ!」
    世界各地の文化が彼の周りに具現化する。
    トルコのバザールの活気、フランスの繊細な料理、そして遠く日本の静謐な茶室まで、幻想のように現れては消えた。

    山喰らいの子蜘蛛が群れをなして現れる。赤く染まった緋蜘蛛が無数に彼を取り囲み、冷たい毒針を煌めかせる。

    「……無駄な抵抗よ。私が根絶やしにするのは、無秩序の夢、そして無謀な希望」
    彼女は長い脚を振り上げ、衝撃波と共に子蜘蛛たちを振り飛ばした。

    しかし、ビリオンは腕を広げ、世界各地の武道を一瞬で模倣する。
    ブラジルのカポエイラの流れるような足捌きで蜘蛛の攻撃を避け、相撲の豪快な押しで数体を押し返す。

    「戦争なんてもうたくさんだ。ここは皆で競い合う場所だ!」
    彼の声は山に響き、対峙する黒き神話の巨躯をも揺るがせる。

    だが山喰らいの瞳は冷たい。
    「夢想家め……世界の真実は、支配と破壊。私の網はすべてを捕え、朽ち果てさせる」

    闇と光、夢と現実が激しくぶつかり合う中、彼らの戦いは始まったばかりだった。

  • 6241◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:11:21

    ビリオン・ザ・ワールドは大地を駆け、空を駆けた。
    まるで世界中のあらゆる文明が彼の体内で共鳴しているかのようだ。

    「次はボクシングだ! 世界の拳で、お前の闇を打ち砕く!」

    彼は瞬時にアメリカのプロボクサーの姿勢を模倣し、重く速いジャブを連打。
    その拳は、親蜘蛛の一体を粉砕し、空間に切り裂くような風を起こした。

    だが山喰らいは動じない。

    「子蜘蛛、分散せよ」

    無数の緋蜘蛛たちが散り散りに潜み、彼を包囲する。

    「地脈接続、開始」

    山喰らいの漆黒の脚が地面に深く刺さると、地脈を伝う生命のエネルギーが彼女へと集まった。
    その力で小さな蜘蛛たちが次々と赤黒く染まり、力を増していく。

    「……この力は……」

    ビリオンは一瞬の不安を抱いたがすぐに笑う。

  • 6251◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:16:12

    「いいさ! 文化の力で埋め尽くしてやる!」

    彼は胸の地球石を輝かせ、古代の農耕文明から現代のIT産業まで、多彩な技術の象徴が次々と周囲に具現化。
    トラクターが轟音をあげ、通信衛星の映像が空に映し出され、ドローンが蜂のように飛び回る。

    「文明の力を見せてやる!」

    ビリオンは産業革命の火花を手に取り、燃え盛る火炎を振りかざし、山喰らいに襲いかかる。

    しかし、山喰らいは冷静に一歩退き、影のような脚で攻撃をかわしながらも、地脈を介して生命力を吸収。

    「その火は儚い。自然の猛威には及ばぬ」

    その言葉の通り、彼女の巨躯はゆっくりと回復していく。

    戦いは激化し、文明の光と山の闇が交錯する。
    だが、対話の可能性は見えなかった。

    「お前の夢は美しい。しかし、それは所詮幻想。私は山、山は終わりなき掟の体現者」

    山喰らいの声は冷たく響き、ビリオンの笑顔を一瞬曇らせた。

    「それでも、俺は夢を捨てない! 世界は一つになれると信じてる!」

    彼らの戦いは、まだ終わらない——。

  • 6261◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:22:16

    山の闇に染まった大蜘蛛の巨体が、再び大地を揺るがす。
    その巨脚が地面を強く踏み鳴らし、周囲の木々をなぎ倒した。

    「私の力の及ぶ限り、貴様の夢は破壊される運命にある」

    山喰らいの冷徹な声が響く。

    ビリオンは広げた両手の中に、瞬時に世界各地の文化が具現化していく。
    中世の騎士の甲冑、アフリカのドラムの音、南米のカーニバルの鮮やかな衣装。

    「戦争じゃない。文化の交差点で、互いの違いを楽しむんだ!」

    彼の言葉には揺るがぬ確信があった。

    しかし、山喰らいの目は冷たく光る。

  • 6271◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:24:59

    「お前の多様性は混乱を招く。群れの秩序を乱す異物だ」

    蜘蛛の糸が空中に広がり、まるで見えぬ網がビリオンを包み込もうとする。

    「文化を束ねるのは自由だ。だがお前は束縛されている」

    ビリオンは手を掲げ、各国の伝統的な武術を融合させた新たな戦闘スタイルで応戦する。

    強靭な糸が彼の体に食い込み、痛みが走るが、彼は笑みを絶やさない。

    「痛みもまた、歴史の一部さ!」

    糸を斬り裂きながら、ビリオンは一歩も引かず、文化と技術の力で山喰らいに立ち向かう。

    「……対話はできないが、戦いながらでも道は作れる」

    彼はそう信じ、叫んだ。

    「みんなで一つの未来へ進もうじゃないか!」

    山喰らいの巨大な眼が揺らぐことはなかった。
    しかし、戦場の熱気は確かに変わり始めていた——。

  • 6281◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:25:25

    山の巨体が一瞬静止し、まるで大地の鼓動に耳を澄ませるように深く息を吸った。
    その目がわずかに光を宿し、地脈を伝う無数の生命エネルギーが彼女の体を満たしていく。

    「この地の息吹を、私は拒まぬ……だが、貴様の夢は壊す」
    そう呟きながらも、山喰らいの内部に微かな変化が生じていた。

    一方、ビリオンは胸の地球の石を強く握り締め、周囲の文化と技術の幻影をさらに輝かせた。
    「俺たちの未来は一つ、でも違いも尊重しあう。多様な夢が重なり合ってこそ、本当の平和があるんだ!」

    その言葉が山間に響き渡る。

    だがその時、山喰らいの子蜘蛛の一部が奇妙な動きを見せた。
    赤い体色が少しだけ薄れ、動きに乱れが生じる。

    「……夢……? 夢か……」
    山喰らいは自らの感情と理性の狭間で揺らぎ始めていた。

    ビリオンはそれを見逃さず、一歩踏み込んだ。
    「君は孤独なんだ。数千年も生きて、守るべきもののために戦い続けている。だけど、俺たちは共に生きていける!」

    山喰らいは言葉を持たないが、その体の震えは確かな反応を示していた。

    「対話はまだ難しいかもしれない。でも、戦いはいつだって最後の手段さ。今は希望の種を撒く時だ」

    ビリオンの周囲に各国の民族音楽が響き渡り、文化の多様な調和を表現する。
    山喰らいの眼差しは微かに柔らかくなり、巨体がゆっくりと後退した。

    「……暫し、その声を聞こう……」

    闇と光の狭間で、新たな可能性が生まれ始めていた。

  • 6291◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:25:38

    山の息吹を纏う巨蜘蛛の巨体がゆっくりと動き、周囲の大地が大きく裂けた。
    地脈から引き出された生命の力が震動し、岩石が砕け散る。

    「我が力の源を断つことは許さぬ……お前の夢もここで終わるのだ」
    山喰らいの冷たく重い声が轟く。

    ビリオンは咄嗟に避け、次々と世界中の文化が形作る武器や技術を呼び出す。
    剣豪の刃、侍の精神、フランスの美食の技巧、アフリカの太鼓のリズムが彼の動きと共鳴し、攻撃の一つ一つに個性を宿らせる。

    「ただの夢じゃない!これは人類の歴史の集大成だ!誰も置き去りにしない未来の形だ!」

    激しい衝突の中で、子蜘蛛たちが繰り出す毒針の雨が降り注ぐが、ビリオンは巧みにそれをかわし、流れるような動きで反撃する。

    だが、山喰らいは地脈を通じて更なる力を得ていた。
    その一撃一撃は、まるで大地そのものを揺るがすかのような重みを持っていた。

    「……お前の声が届かぬならば、力で示すのみ」
    山喰らいの目が紅く輝き、巨大な脚が振り下ろされる。

    ビリオンは全身に全世界の文化のエネルギーを纏い、最後の力を振り絞って応じた。

    「ここで終わらせるわけにはいかない!俺たちは繋がっている!」

    二つの意志が激突し、大地が大きく震えた。

  • 6301◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:25:51

    激しい衝突が続く中、山喰らいの巨体が突如として動きを止めた。
    その深い闇に覆われた瞳が、ビリオンの胸に輝く地球の石を見据えている。

    「……お前の夢……少しは理解できたかもしれぬ」
    山喰らいは静かな声で言った。

    ビリオンは穏やかな笑みを浮かべ、手を差し伸べる。
    「俺たちが歩む道はまだ遠いけど、共に未来を創っていけるはずだ」

    周囲の文化が優しく舞い、山喰らいの硬い殻を包み込むように溶けていく。
    彼女の体から放たれる重圧が、少しずつ和らいでいった。

    「……私も変わろう。長き時を経て、孤独もまた終わりにせねば」
    大蜘蛛は頷き、闇の中に微かな光が差し込む。

    ビリオンは歓喜の声を上げ、再び世界のあらゆる文化を胸に宿した。
    「さあ、新しい旅の始まりだ!」

    二つの異なる存在が、互いの違いを認め合いながらも歩み出す。
    戦いは終わり、真の共存への第一歩が刻まれた。

  • 6311◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 14:26:26

    以上

    AIくんに限界が来てそうなので調整します

  • 632二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 14:29:52

    思ったよりもいろんな文化の力で戦ってくれてよかった

  • 633二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 15:25:58

    このレスは削除されています

  • 634二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 15:50:23

    A:大豆になる

    Q:影が本体より早く動くのはなぜ?

  • 6351◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 20:34:33

    なかなかいい感じにならないのでもう少しお待ちください

  • 6361◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:05:45

    なんか、、、調整期って感じ

    題名『追憶と破壊の交錯』

  • 6371◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:07:35

     夕暮れの廃遊園地。
     観覧車は錆びた車軸を抱えたまま止まり、夕焼けの光を受けて黒く影を落としている。
     風が、古びた鉄骨をきぃ、きぃ、と鳴らし、そこに鳥の声も人の気配もない。

     そんな中、錆と砂埃に覆われた砂利道を──ぽん、ぽん、とリズムを刻む足音が響く。
     スキップをしていたのは、場違いなほど小さな影。
     3歳の少女、佐藤 和。
     くりっとした瞳とあどけない頬を持ちながら、その眼差しは齢を重ねた老人のように落ち着き払っていた。

    「いやぁ〜……なんか今日は殺気の匂いがぷんぷんするねぇ」

     頬にかかった髪を指先で払い、和は軽い笑みを浮かべる。

    「うっふふ、ワクワクしちゃうじゃん? ──こういう日はたいてい、めんどい奴が出てくる」

     言葉の通り、次の瞬間、奥の通路から影が一つ。
     長身で、ラフなパーカーを羽織った人物が両手を大きく広げて現れる。
     笑みは無邪気に見えて、底の底には悪意の色が沈殿している。

    「ハローエブリワン! ……って、あら、可愛い子ちゃんじゃないか。もしかして君が、今日の“破壊対象”?」

     猫屋敷さん。そう呼ばれる存在。
     声は少し低めで、しかしやたらとテンションが高い。

    「へぇ〜……お兄ちゃん、じゃないね。んー……“猫ちゃん”でいい?」

     和はぴたりとスキップを止め、肩越しに見上げる。
     まるで旧知の友に声をかけるかのような軽さだ。

    「おっと、あだ名で呼ばれると親近感湧いちゃうじゃないか。……あ、でも殺すけどね」

  • 6381◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:08:04

    「うわー、物騒〜。でもいいよ? やってみなよ」

     小さな口から返る挑発に、猫屋敷さんは口角をさらに吊り上げた。

     その瞬間──空気がねじれた。
     猫屋敷さんが軽く足を踏み出すと、足元で地面が低く唸るように震え、圧縮された空気が一気に解放される。

    「……破壊」

     ごう、と轟音が響き、和の背後にあったブランコ台が粉々に砕け、鉄の鎖が千切れて飛び散った。
     錆びた金属片が夕陽を反射しながら、地面へ雨のように降り注ぐ。

    「おっと〜、危ない危ない。ちょっとでも遅れてたら、私も粉々だったねぇ」

     和は横跳びに避けながらも、軽口を崩さない。

    「いやーゾクゾクする! こういうの久しぶり〜」

     和の小さな手が宙をなぞる。
     指先から微かな光と闇が同時に溢れ──
     異世界の勇者だった頃の剣技、魔王だった頃の闇魔法、そして神だった頃の加護。
     異なる三つの前世の力が、同時に彼女の小さな体へと注ぎ込まれる。

    「……三つ同時って、ほんっとめんどい身体だねぇ」

     まだ小さな肉体は、力を受け止めきれず、額から汗がにじむ。

  • 6391◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:10:41

     肩が微かに震えているのは、緊張ではなく負荷のせいだ。

    「じゃ、二発目いくよぉ。──処す! 処す! 殺す!」

     猫屋敷さんが歌うように口にしながら手刀を振り下ろす。
     空間が歪み、その中に一瞬だけコアが現れる。
     それは破壊者の能力が成立するために必ず顕れる“核”だ。

     和の瞳から、ふざけた色が消える。マジトーン。

    「……そこだ」

     踏み込み。
     剣閃と闇の衝撃波が交差し、コアに直撃。
     破壊は成立せず、衝撃で猫屋敷さんの手がわずかに逸れた。

     一拍の沈黙。
     互いの息遣いが、冷たい空気に白く溶ける。

     そして、ふたりは同時に笑った。

    「おもしろいじゃん、猫ちゃん」

    「君もだよ、ちびっ子ちゃん」

     その笑みは、殺し合いを前提とした者同士の、それでいてどこか似通った笑顔だった。

  • 6401◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:12:21

     観覧車の影が長く伸び、二人の間を切り裂くように横たわっていた。
     和は小さく肩を回し、猫屋敷さんは指を鳴らす。
     どちらも次の動きを待つというより──次の一瞬を奪い合う構えだ。

    「でさぁ、猫ちゃん」

     和は肩越しに、軽く笑ってみせる。

    「私ってね、この身体だと“全力モード”1分くらいしか持たないんだよ。だから遊んでる暇ないの」

    「はっは〜ん、それは良い情報を聞いたねぇ」

     猫屋敷さんが顎に手を当てる。

    「じゃあ、その1分の間に“壊しきる”か、“壊される”か……あぁ、燃えるなぁ」

    「いやいや、燃えてるのは私の筋肉だよ。マジで。痛い」

     口調は軽いが、和の呼吸はわずかに早くなっていた。

  • 6411◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:12:41

     それを猫屋敷さんは見逃さない。

     ――ごうっ。
     突風のような空気の収縮が、猫屋敷さんの掌から解き放たれる。
     観覧車の鉄骨がひしゃげ、ネジが外れ、破片が飛び散った。
     その間を縫うように和が飛び込む。

     左手に光剣、右手に闇弾。
     背には神の加護で生成した光輪が浮かび、身体を僅かに浮かせて加速する。

    「ほいほーい、捕まえてごらん?」

    「いいねぇ、じゃあ……そこ!」

     猫屋敷さんの目の前に、和の胸の高さで小さなコアが浮かぶ。

  • 6421◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:13:38

     それを狙って手刀が振り下ろされ──

    「甘いっ!」

     和が半身をひねり、コアを弾き飛ばす。
     しかし反撃の闇弾は猫屋敷さんの足元で爆ぜ、砂煙だけが舞った。

    「ふぅん、やるじゃない」

    「そりゃあねぇ。何百回も死んできた女だよ、私」

     笑みはまだ軽い。
     だが、その足元は微かにふらついていた。

     猫屋敷さんはその様子を見て、わざと一歩距離を取る。

    「……時間稼ぎでもしてみよっかなぁ。1分持たないってことは、放っておいても倒れるってことだろ?」

     和の表情から笑みが消える。
     空気が、一瞬で変わった。

    「……あんまり、舐めないほうがいいよ」

     マジトーン。声の低さが、3歳児とは思えない重みを帯びていた。

     次の瞬間、和の背後に無数の魔法陣が咲き乱れる。

  • 6431◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:17:04

     火、水、雷、氷、光、闇──百を超える前世の魔術が、同時に形を成す。

    「この数……見切れる?」

     猫屋敷さんは口角を吊り上げたまま、しかし目だけは獣のように研ぎ澄ませた。

    「……おもしろい。やってみな、ちびっ子ちゃん」

     秒針が刻む音が、骨を叩くように響いていた。

  • 6441◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:18:33

     和の背後に浮かぶ百を超える魔法陣は、それぞれが別の時代、別の世界の記憶を宿していた。
     その光景は、子供の姿に似つかわしくない荘厳さを帯び、夕闇の廃遊園地を彩る。

    「……行くよ」

     その一言と同時に、魔法陣が一斉に輝き、無数の炎弾と氷槍が空を裂く。
     雷が観覧車の骨組みを焼き、重力を歪める魔術が地面を波打たせた。
     視界が色と光で飽和し、爆音と衝撃で大地が揺れる。

    「おっとぉ……派手だねぇ!」

     猫屋敷さんは笑いながらも、すでに動き出していた。
     破壊対象を一つに絞る──目の前で迫る炎弾。

    「破壊」

     手刀が空を裂き、コアが顕れ、次の瞬間それは粉々に砕けた。炎は煙のように掻き消える。

     しかし、次は雷。

    「破壊……っと!」

     雷鳴が破壊される寸前に分散し、猫屋敷さんの足元を焼いた。
     彼は一歩後退し、舌打ちを漏らす。

  • 6451◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:19:57

    「一個ずつしか壊せないんだっけ? 百個同時は大変だねぇ〜」

     和は再び軽口を叩くが、その頬には汗が伝っていた。
     全力の消耗が、肉体をじわじわと蝕んでいる。

    「……でも、全部避けるのも面倒なんだよなぁ」

     猫屋敷さんは破壊の合間に横へと跳び、廃墟の屋台に隠れる。
     だが──

    「そこっ!」

     和が指を弾くと、屋台の上空に魔法陣が出現し、真下へと氷柱が降り注ぐ。

     木片が飛び散り、猫屋敷さんは再び姿を現す。

    「クソ、動きが読まれてる……!」

     破壊を使うたびに現れるコア、その瞬間の隙を和が確実に狙ってくる。

     和は光剣を握り直し、距離を詰めた。

    「一撃で終わらせるよ、猫ちゃん」

    「そりゃ楽しみだ……でも終わるのはどっちかな?」

     二人の距離がゼロに近づく。
     和の剣が振り下ろされ、猫屋敷さんの手刀が閃く。
     火花が散った瞬間、観覧車の影が完全に夜に沈み込んだ。

  • 6461◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:22:06

     夜が完全に降り始め、廃遊園地の空気は昼間よりも冷たく、重くなっていた。
     観覧車は黒い巨大な円盤のように空に浮かび、その影は地面に歪な円を描き出している。
     かつて子供たちの笑い声で溢れていたであろう場所は、今や錆びと埃と、二人の呼吸音だけが支配していた。

     和は胸を上下させながらも、光剣を握る手を緩めなかった。
     額から滴る汗は顎を伝い、地面に落ちると小さな音を立てる。
     その音すら耳に届くほど、空気は張り詰めていた。

    「……もう、長くは持たないだろう?」

     猫屋敷さんがわずかに首を傾げる。声は楽しげだが、その目は鋭く、和の一挙手一投足を観察している。
     和は短く息を吐き、薄く笑った。

    「さぁね……でもね、猫ちゃん。私って、ギリギリでの一発は得意なんだよ」

     その口調はまだ軽い。だが声の奥に、静かな熱が潜んでいた。

     二人の距離はもう数歩もない。
     破壊の発動条件──対象の明確なイメージと、コアの顕現。
     それは強力だが、一瞬の隙を晒す。
     和はそのタイミングを狙い、猫屋敷さんはその隙を作らず仕留めるつもりだ。

  • 6471◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:23:13

    「じゃあ、試してみよっか」

     猫屋敷さんの足元が沈む。圧縮された空気がうなり、和の視界の端で砂利が宙に浮いた。

    「──破壊」

     瞬間、和の目の前にコアが現れた。

     光剣が閃く。
     コアの脇を正確に掠め、その存在をかき乱す。破壊は不成立。
     同時に和は腰を落とし、闇弾を至近距離で叩き込む。

     爆風が二人の間を裂き、錆びた柵が軋みを上げて崩れた。
     猫屋敷さんは後方に飛び退き、左手を軽く押さえる。

    「……あっぶな。避けなかったら指、飛んでたかも」

  • 6481◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:23:55

    「避けるってことは、当たるって思ったってことだよねぇ」

     和は片膝をつきながらも、挑発を忘れない。
     しかし肩は大きく上下し、呼吸は明らかに荒い。

     猫屋敷さんは一歩、また一歩と歩を進めた。

    「やっぱり持たないじゃない。ほら、もう動きが鈍い」

     和は小さく舌打ちし、立ち上がる。

     ──それでも剣を下ろさない。
     その姿勢に、猫屋敷さんはふと笑みを深めた。

    「いいねぇ……その粘り。じゃあ、そろそろ本気で壊そうか」

     再び空気が収縮し、次元が歪む。
     コアが現れる瞬間を、和は全神経で感じ取る。
     時間は残りわずか。全身の筋肉が悲鳴を上げ、視界の端が暗くなっていく。

    「──ここで……終わらせる!」

     和が踏み込み、光剣と闇魔法を同時に叩きつける。
     猫屋敷さんの手刀が迎え撃ち、金属を裂くような音が闇の中に響き渡った。

     その瞬間、夜風が強く吹き、観覧車の錆びた骨組みが悲鳴を上げる。
     どちらが優位か──判別できないまま、刹那の攻防は闇に飲まれた。

  • 6491◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:25:43

     夜の廃遊園地。
     風が冷たく吹き抜け、錆びた観覧車が月明かりを反射して銀色に輝いている。
     しかしその静けさは、戦いの緊張に押しつぶされ、張り詰めた空気に飲み込まれていた。

     佐藤和は、背中の魔法陣が微かに輝きを失いかけているのを感じ取っていた。
     彼女の小さな体は、すでに限界に近づいている。全力で放つ魔法と技術、三つの力の同時発動は、若い肉体に激しい負担を強いていた。
     その表情はまだ軽い口調を崩していないが、瞳の奥に潜む鋭さは隠せなかった。

    「まだまだぁ、猫ちゃん。遊びはこれからだよ!」

     そう言って和は魔法陣から無数の氷の槍を召喚し、破壊者――猫屋敷さんに向かって投げつける。
     槍は煌めきながら空を切り裂き、次々と迫る。

     一方の猫屋敷さんは、手刀をひらりと翻しながらその攻撃を一つずつ破壊していく。
     だが、その表情はどこか余裕がなくなっていた。

    「一度に一つずつしか壊せないってのは、辛いもんだね」

     やや焦りの混じった声でそう呟く。

     和はそれを見逃さなかった。

    「そうでしょ? だからこそ、こうして連続でぶつけてるんだよ」

     その言葉と同時に、和の体が小刻みに震え始める。
     それは能力の負荷が身体に蓄積されている証拠だった。

     猫屋敷さんは狙いを定め、再び手刀を振りかぶる。
     しかしその瞬間、和の足元から光の盾が現れ、破壊のエネルギーを受け止める。

  • 6501◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:26:23

    「なんだそれ!」

     驚きの声をあげる猫屋敷さん。

    「神の加護の一部だよ。まだ使えるもん」

     和は余裕の笑みを見せたが、その息は荒かった。

     双方の動きが次第に鈍り始める。
     時間との戦いは残りわずか。
     そして、互いに最終決戦の刹那が近づいていた。

     和の体はもう限界を超えていた。だが、彼女の前世の知識と経験が、その小さな体を突き動かす。

    「……最後の力、借りるよ」

     彼女の背中の魔法陣が、今までにない激しい光を放ち始めた。
     前世の英雄、神、悪魔の力が複雑に絡み合い、融合する。
     それは禁忌にも等しい力の重ね合わせ。

     猫屋敷さんはその光景を見て、わずかに息を飲んだ。

    「……これは本気だ」

     両者が距離を詰め、激しい一撃を交わすその瞬間、廃遊園地の静寂を破るように強烈な閃光と轟音が響き渡った。

  • 6511◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:28:50

     廃遊園地に響く轟音は、まるで天地の裂け目を叩くようだった。
     和の背中に浮かぶ魔法陣は燃え盛る焔のように光を増し、彼女の幼い体をまるで不死鳥のように包み込む。
     その瞳は一切の余裕や戯れを捨て、鋭い決意と覚悟に満ちていた。

     「さあ、猫ちゃん。これで終わらせるよ。」

     破壊者、猫屋敷さんは身体の隅々に緊張を張り巡らせ、冷静な視線を和に向けた。
     コアが手刀の前にぽっかりと浮かび上がる。破壊の準備は完璧だ。
     しかしその目には、これまでの戦いで見せた享楽的な笑みはなく、戦慄に似た緊迫が宿っていた。

     「なるほどね……こんな力を、三つだけとは思えないぜ。」

     コアが輝きを増し、猫屋敷さんが手刀を振りかぶったその瞬間。
     和は体内の全てを燃やし尽くすように叫ぶ。

     「──これが、私の『追憶の主』の、真の力!」

     刹那、空間を裂くような爆発が起こった。
     神々しい光と漆黒の闇がぶつかり合い、渦巻き、廃遊園地全体を呑み込んでいく。
     その中で二人の姿は、まるで世界の終焉を告げるかのように激しくぶつかり合っていた。

     和の使う力は、数百もの前世の記憶と技術を限界まで重ね合わせた超フォーム。
     剣技、魔法、神の加護、悪魔の呪文──それらが複雑に絡まり合い、爆発的なエネルギーを生み出す。
     だが、それに伴う肉体への負担は計り知れなかった。

     一方の猫屋敷さんは、破壊のコアを駆使し、一撃ごとにあらゆる攻撃を破壊し切り裂いていく。

  • 6521◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:29:37

     しかし同時に、その破壊の隙を狙う和の多彩な攻撃に徐々に追い詰められていった。

     爆炎と破壊の音が交錯し、空気が振動し、二人の息づかいだけが明瞭に聞こえる。
     この戦いの終わりが近づく中、和は一瞬、幼い体の脆さと重なる「過去の死」の記憶を思い出していた。

     「今、私が倒れたら……何百回も繰り返した『終わり』の一つがまた訪れるだけだ。」

     しかしその胸には、不思議と恐怖はなかった。
     なぜなら、今ここで倒れることもまた、彼女の「生き様」の一部に過ぎないと知っていたから。

     対する猫屋敷さんは、破壊の限界と己の無力さをかすかに感じ始めていた。

     「壊すことはできる。だが守りも同時に崩れていく……。」

     そして、和の決死の攻撃が彼のコアに迫った。

     二人の刃が激突する。光と闇の奔流が交錯し、時間が一瞬止まったかのような静寂が訪れる。
     その後に続くのは、未来をも揺るがす一撃の行方だった。

  • 6531◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:31:20

     轟く破壊の衝撃と、煌めく魔法の奔流が廃遊園地を包み込んだ。
     和の身体はもはや限界を超え、力の暴走に押しつぶされそうになっていた。
     それでも、彼女の瞳には揺るぎない意志が宿っている。

    「……これで終わりじゃない」
     震える声でそう呟きながら、和は最後の力を振り絞り、破壊者のコアへ向けて放つ。

     それは深く、彼女の全前世の力を一つに重ね合わせた必殺の一撃。
     破壊者の周囲に生じたコアは砕け散り、彼は一瞬の隙を晒す。

     だが、その瞬間。
     和の体が震え、膝から崩れ落ちた。
     能力の反動で全身が激痛に包まれ、動けなくなる。

     破壊者は立ち上がり、ゆっくりと歩み寄る。
     「よくやった……でも、お前の身体はもう限界だ」

     和は苦しげに微笑み、なおも言葉を紡ぐ。
     「身体は……もう、終わっても……心は……終わらない……」

     破壊者は一瞬、手刀を振り下ろそうとしたが、躊躇した。
     その表情に、どこか敬意が混じっていた。

    「お前の強さは……壊すどころか、俺を変えるかもしれないな」

     そして破壊者は手刀を下ろし、和のそばに膝をついた。
     二人の間に流れた静かな時間は、新たな理解と始まりの予感を孕んでいた。

  • 6541◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:37:52

    以上

  • 655二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:38:29

    乙!! 佐藤家初の死人が出るか!?ってドキドキした

  • 656二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:39:37

    よかった!めっちゃよかった!

  • 6571◆ZEeB1LlpgE25/08/08(金) 22:41:26

    安価……明日の11時から10個

  • 658二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:42:31

    了解

  • 659二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:01:14

    安価明日か、間違えて今投げそうになってた

  • 660二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 07:46:56

    保守

  • 661二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 09:00:35

    ほす

  • 662二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 10:59:40

    このレスは削除されています

  • 663二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 10:59:59

    このレスは削除されています

  • 664二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:00

    名前:アマガシ・ケーキ
    年齢:41歳
    性別:女性
    種族:パティシエ
    本人概要:
    戦争国家『メルブレ』でスイーツ専門店を営む料理も戦闘もパーフェクトにこなす超一流のパティシエ。
    悪い子でも美味しいものをたくさん食べれば良い子になるという信念を持ち、どんな相手にも菓子を振る舞う。
    食料目当てで襲って来た賊を返り討ちにして菓子を振る舞う様子はかなり有名で『メルブレ』の名物となっている。
    能力:【パティスリ・コンプレー】
    能力概要:
    瞬きするほど短い間にお菓子を作り上げて戦闘に活用する能力。
    いっぱい食べてもらいたいという気持ちがあるのでお菓子は無限に出すことができる。
    攻撃的な性能は低いが相手を拘束し無力化するという点では圧倒的な強さを持つ。
    (例:ゼリーの山で相手を包み窒息させる、マシュマロトラップで動きを鈍らせる など)
    弱点:
    お菓子を活用した戦法なので、直接的な攻撃力や防御力は低い。
    またお菓子は熱や水に弱く簡単に造形が崩れてしまう。

  • 665二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:00

    名前:奈刀パルマ(なとう ぱるま)
    年齢:16
    性別:男
    種族:人間(サイボーグ)
    本人概要:ある戦争によって家族を失った納豆好きの少年。自分自身も瀕死の重傷を負い、生存のために…そして悪を滅ぼし戦争を根絶する力を得るために祖父の手によって改造手術を受けた。なお動力源は納豆である。実はじいちゃんは納豆エネルギーの研究者であったのだ。
    なんて?
    その結果、鋼鉄の肉体と万物を破壊する納豆史上最強の盾と矛…右手のヘヴン・ハンドと左手のヘル・ハンドを得た。
    現在はこの無敵の力を以って様々な悪の組織にカチコミし、撲滅している。
    こいつ…納豆くせぇぞ!
    不意打ちは体臭のせいでだいたい決まらない。
    悪と戦争への復讐者、そして納豆への愛で戦う少年。それが奈刀パルマだ。
    能力:ヘヴン・ハンド&ヘル・ハンド
    能力概要:右手のヘヴン・ハンドは守護を司る。納豆菌の浄水能力と胃酸に溶かされない頑丈さを示す力。手のひらから放出されるエネルギーフィールドは並大抵の攻撃を防ぎ、また最大までエネルギーを注ぎ込むことで巨大な隔壁となって相手を吹き飛ばすヘヴン・バーストは攻防一体の大技だ。
    左手のヘル・ハンドは破壊を司る。酒蔵やチーズ工房を破壊する納豆菌の強力さを示す力。左手から放たれるビーム状の杭はあらゆる物体を貫通し、そのエネルギーを手のひらに纏ったまま掌底を放つことで相手を内部から破壊することができる。また、エネルギーを収束し、円盤状にして投げるヘル・スライサーも強力だ。
    必殺技は天地納豆熱殺覇。両手を合わせ、右手の守護エネルギーと左手の破壊エネルギーを一点に収束。両手の膨大なエネルギーによって前方の空間に次元断層を生成、あらゆる抵抗を無視して絶対破壊の一撃を叩き込む。後には納豆菌で発酵した納豆畑しか残らない。
    また納豆菌の申し子であるため他の細菌からは絶対に感染しない。
    弱点:首の後ろにリブートボタンがあり、そこを押されると強制的に一時停止状態になる。
    ジェネレーターが胸部にあり、そこにダメージを負うとエネルギーに問題が発生し、各種必殺技が放てなくなり各種機能も低下する。
    納豆一パックにつきおよそ3分しか戦えない。腹部内冷蔵庫に保管された納豆パックは10個なので、補給を邪魔すれば継戦能力に支障をきたす。

  • 666二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:00

    名前:佐藤 智(とも)
    年齢:76歳
    性別:女
    種族:人間
    人物概要:佐藤清の母親であり佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛、命&聖、和)のおばあちゃん
    かつては世界中の誰もが知る科学者兼技術者であり彼女の発明や研究で計り知れない程の命や種族、国が救われてきた
    幼少期から彼女は総てを識っていた、彼女が識らないものなんて何一つとして存在すらしなかった、識っているが故に救うべく動いた
    世界の始終、起きる災厄や悲劇、無数にある世界の惨劇、世界に蠢く脅威、彼女は絶対に語らぬがメタ認知すらも識っている
    性格は超温和で柔和、総てを識っているとは思えぬ程に穏やかで優しいが内には識るが故の強い使命感と責任感を持つ科学者
    能力:叡智の主
    能力概要:彼女は総てを識っており認知しており知覚しており記憶しており認識しており理解している
    敵のプロフィールも識っているので相手の事は丸裸だし相手の過去や弱点、どういう言動をするかや何を行うかまで総てが理解る
    無論、未来の事も平行世界の事も総てを識るが故に最適な行動を可能とし最善の択を決行でき無駄という無駄が存在しない
    識らない、知覚できない、認識できないが存在しないのでどんな攻撃も能力も識っており視えぬものがなく対応力は高い
    またちょっとした恩恵として一日五回まで己が識る能力や技、魔法などなど様々なものを何であっても完全再現することが可能
    弱点:若い頃に無理しまくった影響で杖がないと歩けない程によぼよぼで身体能力、耐久力、持久力いずれも低い
    完全再現も歳の影響で使えば反動が来るようになっており一日5回しか使えないので使いどころは見極めなくてはならない
    あと総てを識るとはいえ「識ってるからどうするの?」みたいな相手だと普通にしんどい
    年齢が年齢なので動きが非常にゆっくりであり隙も多く激しく動く事も老体には難しい、故に最小限の動き以外はあまり出来ない
    杖は彼女が見つけた相当にヤバい金属で出来た杖で破壊が出来ないが杖を弾き飛ばされるとほぼ動けなくなる
    要望:口調は温和なおばあちゃんです、「ライブラリ」という組織に所属しています、色々と旅をして色んな活動をしています
    家族の事が大好きで家族の身に起きているアレコレも当然識ってます、
    メタ発言なども出来ますがそういう事は言いません

  • 667二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:01

    名前:佐藤 冥(メイ)
    年齢:20
    性別:女性
    種族:人間
    人物概要:佐藤家に住み込みで働いているクラシカルスタイルのハウスメイド。掃除・洗濯・炊事まで全てを担う。得意料理のラタトゥイユとホームメイドパンは絶品。
    鴉の濡れ羽を思わせる美しい黒髪を纏めた純白のシニヨンキャップがトレードマーク。
    完璧な仕事ぶりに似て慇懃で謙った丁寧口調と思いやりの出来る性格だが、思ったことは容赦なく口にする毒舌家でもあり、マジレス神拳の使い手。勉強の面倒を見る際や生活習慣を指摘する際などに発動する。

    正体は久那土が佐藤家の監視および緊急事態時の「首輪」として潜伏させた神鏡皇直属のエージェント。
    任務と神鏡皇には忠実だが、優しい心根と、自身に優しくしてくれる佐藤家の面々との間で激しく揺れ動いている。
    久那土的には使い捨ての駒だったので、最初は冥という名前しか無かったが、メイドとして働き始めた直後に一家の好意から佐藤姓を与えられた。
    能力:冥土の主
    能力概要:エージェントとして鍛えられた身体能力と直感を駆使し、袖や長い丈のスカートの裏側に仕込んだ魔除けの短刀を五指の間に挟んだ状態での白兵戦や投擲による遠距離攻撃が基本戦術。
    上記に加えて、短刀が突き刺さった箇所の内側を結界の入り口とすることで、神格や魔性に属する対象、若しくは異能者を〝冥土〟と呼ばれる死者の国へと強制送還する術式を操る。
    入り口と出口を利用して瞬間移動を行ったり、敵の攻撃を防御する応用も可能。イメージは異能・異能者だけ強制吸い込みするポータル(Portal)。
    宿す異能や神の力が強ければ強いほどに強制力や拘束力は指数関数的に高まる。
    弱点:神性、異能を持たない相手には術式がまったく効果がない。直接叩き込むくらいしかできないし、してもすぐ出てくる。
    強制力が効く相手であっても、入り口を作るためには必ず数本の短刀で円陣を作る必要があるので、結界が完成する前に逃げられたら意味がない。
    投擲用の短刀は全部で30本。これが尽きると回収しない限り徒手空拳以外の戦闘力を喪失する。
    耐久力は人間相当。
    要望:佐藤家に雇われているメイドです。監視対象が暴れ出したら命に換えても拘束しろって上から言われてます。

  • 668二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:01

    名前:怨神
    年齢:不明
    性別:不明
    種族:神
    本人概要:時系列を無視し過去未来現在問わず強い恨みや憎しみを抱いたまま亡くなった霊魂が夥しい数程集まって生まれた神 
    恨みや憎しみなどを抱いた霊魂が融合した存在である為
    性格はとても悪辣で自分以外に嫌がらせをするのが生き甲斐 
    また本人的には善意の行いも全て相手を苦しめる代物になる
    ちなみに同じく性格が終わっている【邪神】とはとても気が合いマブダチらしく二人で
    タッグを組んで世界を混乱させていた時期がある
    能力:悪逆の主
    能力概要: あらゆる存在に苦痛と悪意を振り撒く力
    相手がされて嫌な事を物理的、精神的、概念的に行える 
    例として火が嫌いなら火を出し 相手の大事な人に姿を変える、相手を的確に煽るなど
    相手に苦痛と悪意を振りまく為なら文字通り【なんでも】出来る
    また相手が願ったなら様々な加護(呪い)を与えることが出来る
    永遠の命を願ったのであれば意識だけが残る不滅の肉塊に 
    力を望んだのであれば(人々を守る為) 周囲を殺戮する怪物になど 
    悪人などに与える加護はメリットのみの物にする事も可能
    弱点:他の神と同様に現界する肉体に必要な心臓部のコアを破壊されると問答無用で消滅する
    相手が苦痛を感じたり怒ったり、悲しんだ、悔しがるなどの負の表情をするとゲラゲラと嗤い出し隙が出来る
    相手の感情が薄かったり無いと能力の効果が薄まり 発動できる規模が大幅に低下
    勝ち負けより相手にどう嫌がらせをしようかと考えて戦闘が疎かになる為 必ず隙が何処かで生じる
    加護(呪い)の付与は相手が拒むいらないと言った上で強制的に授けると
    デメリットも当然あるがメリットもある代物になる

  • 669二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:01

    名前:元間 結衣
    年齢:16
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:生まれつき隻眼隻腕の薄幸系美少女。超波乱万丈な人生をエキサイティングし続けている。メンタルと我と頭が超強い。
    能力:纏弐仏
    能力概要:欠損している方の目と腕を幽体として操る能力。片目だけだが遠くのものも間近で見ることができ、片腕だけだが遠いところまで触れられる。ただし初期位置は本来あるはずだった場所であり、遠くに行くには相応の時間を要する。
    弱点:隻腕隻眼という弩級のハンディキャップ。視界が狭く、総合的な身体能力も人より低い。

  • 670二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:00:01

    名前:ハチ太
    年齢:2ちゃい
    性別:不明
    種族:ハチなのか?
    本人概要:なんか…蜂の格好をしている丸っこいハスキーみたいな生物。まぁ可愛い。
    威嚇は怖くない。むしろ可愛い。暗闇で発光する。足は遅いが背中についている小さい羽で頑張って飛んでいる。遅い。
    能力:「ガオー」
    能力概要:「ガオー(`□´)」でなんか凄いことが起こる。
    弱点:ほっぺをワシャワシャされると嬉しくて溶ける。
    ハチ太はとても遅いため、捕まえたりすることは容易。口を抑えれば「ガオー」は発動しない。

  • 671二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:01:04

    名前:ヴァナルガンド
    年齢:5000歳
    性別:無し
    種族:ガーディアン・ゴーレム
    本人概要:人類が成長する為に作られたゴーレム達の1体。フェンリルを元に作られている。壁としての役割に誇りを持ち、人類が己を倒し、壁を超える事を楽しみにしている。フェンリルを元にしている為、顎の力がとてつもなく強く、地球の物はだいだい噛み砕ける。
    能力:《グレイプニル》
    能力概要:ヴァナルガンドの右前足に付けられている魔法の紐の枷。紐の固さは地球のどれよりも固く、ヴァナルガンドが噛み砕けない程。《グレイプニル》で相手の手足を縛れるが、手を縛った場ヴァナルガンドの手足、相手の足を縛れば、ヴァナルガンドの口が縛られる為、緊急時にしか使用しない。
    弱点:フェンリルを元に作られているので、50cmの物で口をつっかえさせると噛み砕けなくなる。
    口が大きいので、噛み砕く大きさに口を開けようとすると、0.8秒が必要である。

  • 672二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:01:27

    名前:カグツチ社製自動カラクリ【ハタモト参式】
    年齢:5
    性別:なし
    種族:オート・カラクリ
    本人概要:かつて久那土帝国に存在したカグツチ重工(倒産済)所属の陰陽師たちにより作られた御家人型自律からくり その胸部には所属組織の家紋(力のある図形)がウルシ彫刻されその家紋からデータを取り込む事でその組織に合わせた行動様式が刻まれる 現在はカグツチ重工跡地を徘徊しており企業遺物を求め忍び込む古墳荒らしなどを切り捨てている
    能力:六本腕 全方位暗黒水晶バイザー 回転球
    能力概要:頭部に円状に取り付けられた暗黒水晶バイザーで全方位を油断なく監視し敵を発見し次第六本の腕に量産型名刀「マチマサ」を装備して切りかかる さらに脚部の袴状構造内部には三つの回転球が仕込まれており回転により高速移動できる
    弱点:とにかく足元が弱い
    脚部が回転球なので段差に弱く階段も満足に登れない上にバイザーの構造上足元近くは視認できない しかも腕が六本もあるので足元に衝撃を受けるとかなりバランスを崩してしまう
    あとカグツチ社の家紋が刻まれた胸部を破壊されると術式に大ダメージを受ける
    要望(任意):見た目は阿修羅像イメージです

  • 673二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:01:32

    名前:数言よん(かずこと よん)
    年齢:12歳
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:数言家の少女。常に着物を着ていて、大人びている性格。
    能力:四亡(しぼう)
    能力概要:死の概念が存在しないものに死を与える能力。石や空気などのものから、不死の神格などにも効果がある。戦闘では、空気を殺して真空にしたり、。生物であっても死の概念がないものには効いたり、生物でなくても死ぬもしくは、死と同義の現象が存在するものには効かなかったりする。
    発動条件は
    手で握りしめたものに発動する【窒息四】
    手での摩擦で一定以上の温度を発生させると発動する【焼四】
    息を吹きかけると発動する【凍四】
    の3種類
    弱点:体は虚弱そのものであり、肉体での戦闘は不向き
    能力発動相手によって、0.4秒、4秒、4分、4日、4年とチャージ時間が必要になる。概念級のものだと4年かかる。
    死ぬことのできる相手には能力を発動できない。

  • 674二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:02:14

    ここまでかな?

  • 6751◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 11:06:20

    審査入ります

  • 6761◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 11:23:27

    うーーーーーーーーーーーーーん
    まあセーフとしましょう

  • 677二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 11:34:00

    ちなみにどれが危うかった?

  • 6781◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 11:39:57
  • 6791◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 11:50:12

    >>678

    理由としては前に読み込んだキャラが剣神とかだと絶殺が飛んでくるから

  • 6801◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 13:59:41

    元間 結衣vsハチ太
    数言よんvs佐藤 冥
    佐藤 智vsカグツチ社製自動カラクリ【ハタモト参式】
    ヴァナルガンドvs怨神
    奈刀パルマvsアマガシ・ケーキ

  • 681二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 14:15:51

    スレ主~ハチ太の要望追加していいですか?

  • 6821◆ZEeB1LlpgE25/08/09(土) 17:13:43

    >>681

    どうぞ

  • 683二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:23:24

    >>682

    ハチ太が「ガオー」を発動した場合は「そしたら不思議なことが起こった!」というナレーションをつけてなんかすごいことが起こったら「○○が○○になった!」という起こったことの説明のような文をお願いしたいです

  • 684二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 00:02:52

    わしゃわしゃしてあげると嬉しすぎて溶けるのかわいすぎる

  • 685二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 07:44:30

    保守

  • 686二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:39:34

    楽しみ

  • 687二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:49:34

    >>686

    あと2日くらいかかりそうorz

  • 688二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 19:04:54

    >>687

    そんなことなさそうだよ

  • 6891◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 19:18:01

    ヤメイ案件終わったんでこっち進めるぞおお

  • 690二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 19:30:00

    >>689

    うおぉぉぉぉぉ!!!

  • 691二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:08:24

    >>689

    まっとったぜぇぇぇぇぇ!

  • 6921◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:17:09

    題名ぃ!『纏いし幽体と小さな光』

  • 6931◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:18:25

    夜の森の縁を、元間結衣は一人で歩いていた。静寂に包まれた薄暗い林道は、彼女の足音だけが小さく響く。細い体躯は隻眼隻腕という明確なハンディキャップを抱えているが、その歩みには迷いがなかった。左目と左腕は肉体としては欠損しているが、彼女の意志で幽体としてそこに在る。視界の片隅に幽かな影が漂い、やがて彼女の動きに連動するその腕と目は、まるで本物の延長のように動き出す。

    「……こんな時間に、何してるのよ、私」

    誰に言うでもなく、結衣は自嘲気味に呟いた。波乱万丈な人生の中で、何度も襲いかかる困難に抗い続けてきた彼女にとって、この暗い森の中を一人で歩くことは、むしろ安らぎに近い瞬間でもあった。

    冷たい夜風が葉を揺らし、林道の先で小さな光が揺れているのに気づく。ふわふわとした暖かな光。結衣はゆっくりと足を止め、その方向を見つめた。

    「なんだろう……こんなところに灯りなんて」

    光は少しずつ近づいてきた。やがて、丸くて小さな生物の輪郭が浮かび上がる。丸っこい体に蜂のような黒と黄色の模様、背中には小さな羽根。だが、その体つきは蜂というよりも、どこかハスキー犬のような柔らかな丸みがあった。

    「……ハチ太?」

    結衣は思わず口にした。そんな名前が似合いそうな、可愛らしい不思議な生き物。

    その丸い生物は、ゆっくりと羽ばたきながら、だが明らかにスピードは遅く、フラフラと飛んでいる。暗闇の中でほのかに発光するその姿は、まるで小さな灯台のように見えた。

    「ガオー!」

  • 6941◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:19:33

    突然、その生物が小さく唸り声を上げた。威嚇とも挑発とも取れない、どこか愛らしい音色。

    結衣の幽体の左腕がぴくりと反応する。欠損したはずの腕が、目には見えぬ力で微かに震えた。遠くにいるそれに触れられるのは彼女の能力の特徴だ。幽体の腕は、ゆっくりと、しかし確実にその生物に向かって伸びていった。

    「……なんだろう、この感覚」

    結衣の目は隻眼ながらも、その幽体の左目は周囲を注意深く見つめていた。彼女はこの生物の存在に、ただならぬものを感じていた。

    生物はその腕の先端に、まるで興味を示すかのように鼻先を近づけた。羽ばたきの遅さと裏腹に、じっとこちらを見ている瞳に、結衣はふと不思議な親近感を覚えた。

    「もしかして、君も何かを抱えてるのかな」

    結衣は声をかけた。孤独な者同士、分かり合えることがあるかもしれないと、どこかで期待している自分に気づいた。

    だが、次の瞬間、その生物は背中の小さな羽根を激しく震わせ、光が強まった。結衣の幽体の腕が急に引っ張られるような衝撃を受けた。

    「なっ……!」

    彼女は必死に幽体の腕を制御し、何とか引き戻そうとするが、力が相手の光に押されてしまう。ハチ太の発光は、ただの光ではない。何か未知の力が込められているのを、結衣は肌で感じ取った。

    「これは……能力?」

    結衣は幽体の左目で相手の動きを追う。どんなに体が不自由でも、彼女の強靭なメンタルは、常に敵わない相手を見極め、対処してきた。

    森の闇と光が交錯する中、二人の存在は静かに、しかし確実に引き合っていた。弱さを抱えながらも諦めない少女と、謎に満ちた小さな生物の不思議な邂逅は、まだ始まったばかりだった。

  • 6951◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:21:06

    薄明かりの中、森の空気は一層静まり返っていた。元間結衣は左腕の幽体を静かに伸ばしながら、ハチ太の動きを観察していた。欠損したはずの腕が、まるで本物のように自在に動くこの能力——纏弐仏は、彼女にとって唯一の大きな武器であり、同時に人生を縛る呪縛でもあった。

    「もう少し近づいてみるか……」

    結衣は慎重に声を潜める。幽体の腕は本体から少し離れ、ゆっくりとハチ太の背中に伸びていく。だが、ハチ太は怯むどころか、逆に背中の小さな羽根を激しく震わせ、淡い光を増していく。

    「ガオー!」

    再びあの不思議な声が響き渡った。けれど、威嚇と呼ぶにはどこか不器用で愛らしい。周囲の森の木々が微かに揺れ、光が辺りを淡く照らし出す。

    結衣は幽体の腕を素早く引き戻した。相手の力は不安定ながらも確かに存在し、そのまま接触すれば何が起こるか分からなかった。

    「この『ガオー』…一体どんな能力なんだ?」

    彼女は眉をひそめる。だがハチ太は、のろのろとした飛行速度に反して、能力の一撃はまるで予想外の重みを持っていた。

  • 6961◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:22:03

    ゆっくりと間合いを詰める結衣。左腕の幽体は自在に動き、遠くの物体を掴んだり、敵の動きを探ったりできる。だが、距離を縮めるのには時間がかかる。ハチ太の遅い飛行が、逆に結衣にとっては安全圏であり、反撃の余地を生んでいた。

    「視界は狭いけど、この腕と目があればどうにかなる」

    結衣は自分に言い聞かせる。

    突然、ハチ太が不意に向きを変え、結衣の幽体の腕に飛びかかってきた。重たげに「ガオー」と声を発し、ふわふわした体の先端が幽体の腕に当たる。

    「くっ……!」

    結衣は幽体の腕の操作に集中しつつも、体の感覚ではその振動をはっきりと感じ取った。相手は見た目以上に頑丈で、簡単に引き離せない。

    「本体が遅くても、攻撃は侮れない」

    結衣は心底思った。だが、そんなハチ太の体を掴むことはできず、わずかな接触で離れてしまった。

    「この子、何を考えているんだろう……?」

    疑問が脳裏をよぎる。だが、その時、ハチ太の目が潤み、まるでほっぺを撫でられたかのような無防備な表情を見せた。

    「もしや、あの弱点…?」

    結衣は一瞬ためらい、でも次の瞬間には口元に微かな笑みを浮かべていた。

    「よし、試してみようか」

  • 6971◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:23:40

    森の闇は深まり、冷たい風が木々を揺らしていた。元間結衣は足元の枯葉を踏みしめながら、ハチ太をじっと見つめていた。隻腕の幽体がいつでも彼女の意志で動き出せるよう、左側に漂っている。

    「この子の能力、まだ掴みきれてない……」結衣は心の中でそう呟いた。あの「ガオー」という声が引き金となって起こる現象は、想像以上に多彩で複雑だった。威嚇に見えて、逆に守りにも使われているのかもしれない。

    ハチ太は小刻みに背中の羽を震わせていた。光がぼんやりと周囲を照らし、その表情は不安げでありながらもどこか無邪気だ。遅い飛行速度は変わらず、彼(?)の動きは愛らしい。

    「そうだ……弱点を探るしかない」結衣は決意した。

    手の届く範囲に幽体の腕を伸ばし、そっとハチ太のほっぺを撫でるように触れた。

    すると――

    「ガオー…?」
    ハチ太は一瞬、動きを止め、瞳を大きく見開いた。まるで溶けるように表情が緩み、身体の力が抜けたかのように無防備になった。

    「これが弱点か……」結衣は目を細め、同時にその純粋さに心を揺さぶられた。どんなに強くても、どこか壊れやすいところがある。それを知っているのは、同じく不完全な彼女自身だった。

    「ガオー!」
    だが、弱点をついたはずのハチ太は再び力を振り絞って叫んだ。すると、光の粒子が周囲に拡散し、瞬間的に強烈な衝撃が結衣の幽体の腕に襲いかかった。幽体の腕は強く弾き飛ばされ、彼女の感覚に鋭い痛みが走った。

    「くっ……!」
    結衣は唇を噛みしめ、すぐさま幽体の腕を本体へ引き戻す。欠損のハンディキャップを補うその力が、逆に自分の身体に負担をかけていた。

    「『ガオー』は…ただの鳴き声じゃない」彼女は冷静に分析を始める。ハチ太の叫びは、強烈なエネルギーのトリガーだったのだ。

    だが、結衣は諦めなかった。自分の幽体能力と強靭な精神を信じ、未知の相手に立ち向かう覚悟を固める。

    「負けない……まだ、終わらせない」

    彼女の片眼が深く輝いた。幽体の腕と目が、静かに新たな攻撃の準備を始めていた。

  • 6981◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:24:56

    夜の森は、まるで息を潜めるかのように静まり返っていた。
    元間結衣の幽体の左腕は、木々の間を滑るように伸びては縮み、相手の動きを探っていた。欠損した身体の部分を補うそれは、彼女の存在の象徴であり、唯一無二の武器でもあった。

    「このハチ太、やはりただの小動物じゃない……」

    結衣は心の奥底で警戒を強めた。あの不器用な「ガオー」の一声には、計り知れない力が秘められている。

    それでも、結衣は揺らぐことはなかった。16年間の波乱に満ちた人生で鍛え上げられた精神は、どんな逆境でも屈しない堅牢な盾となっている。

    「片腕と片目だけでも、私にはまだできることがある」

    彼女は小さく息を吐いた。幽体の左目が周囲を鋭く見据え、敵の微かな動きを捉える。

    ハチ太はゆっくりと旋回しながら光を強めた。背中の羽根は細かく震え、その光は森の闇を切り裂くように明るさを増している。遅い飛行速度とは裏腹に、その光の力は圧倒的だった。

    「ここで油断したら終わりよ……」

    結衣は集中力を最大限に高める。幽体の左腕が伸び、ふわりとハチ太の輪郭に触れた瞬間、強烈なエネルギーの波動が走った。

    「ガオー!!」

    再びその声が森に響き渡る。だが今回は、結衣の精神は揺らがなかった。むしろその声を受け止め、冷静に対処する自分を感じていた。

    幽体の腕はわずかに震えたが、彼女は逆にその衝撃を利用した。腕を引きながら、ハチ太の体を自分の方へ引き寄せる動きを取ったのだ。

    「私の幽体は、ただの遠隔操作の腕じゃない。相手の力を利用することもできる」

    結衣の声は小さいが、確かな決意が込められていた。

  • 6991◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:26:11

    ハチ太はふわふわとした体を揺らし、光を乱反射させながら結衣に寄り添うように近づいてきた。その目は、何かを訴えるように優しく輝いている。

    「……君も必死なんだね」

    結衣は一瞬だけ表情を和らげた。だがすぐに気を引き締め直し、幽体の腕をもう一度伸ばす。
    その時、不意に森の闇から微かな気配が近づいてきた。風がざわめき、落ち葉が舞う。二人の間に新たな緊張が走る。

    「ここは簡単に終わらせられないってことか……」

    結衣は無意識に呟いた。彼女の身体は不自由だが、頭と精神は誰にも負けない。そう自負していた。

    「ガオー!」

    ハチ太は再び声をあげ、強烈な光の波動を放った。今度はその波動が結衣の幽体の左目にまで届く。目に映る光の粒子が一瞬にして踊り狂い、彼女の視界は歪んだ。

    「くっ……!」結衣は冷静さを失いかけたが、すぐに深呼吸して精神を落ち着かせる。彼女の瞳に宿る強さが、再び闇を切り裂いた。

    「これは精神戦……負けられない」

    欠損のハンディを抱えながらも、結衣は自分の弱さを知りつつ、その上で立ち向かう。幽体の腕は一瞬の隙を狙い、ハチ太の背中に絡みついた。

    「行くよ!」

    彼女の声に込められた力は、これまでにない重みを帯びていた。幽体の腕が締めつける力は、実体以上の力であった。

    だが、ハチ太も負けてはいなかった。弱点を隠しながら、彼は結衣の精神に触れるように、無邪気な輝きを放ち続けていた。

    「この勝負、まだまだ終わらない」

    森の闇に、二人の影が交錯する。欠損を抱えた少女と、不可思議な生物。静かなる戦いは、深みを増していった。

  • 7001◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:27:03

    森の闇はますます深くなり、月明かりも木々の葉に遮られてわずかにしか届かない。そんな中、元間結衣の幽体の左腕と左目は、まるで本物の延長のように彼女の意思のままに動いていた。欠損した身体の一部を遠隔で操る「纏弐仏」の能力は、まだまだ未知の可能性を秘めていた。

    「ハチ太……君の『ガオー』の力、ここまで強いとは思わなかった」

    結衣は低く息を吐いた。足元の枯れ葉を踏みしめながら、相手の動きをじっくり観察する。小さな体なのに、その発光と声は強烈な衝撃をもたらしていた。

    一方のハチ太は、背中の小さな羽根を全力で震わせながら、のろのろとではあるが確実に結衣に向かって進んでいる。遅い飛行速度とは裏腹に、その存在感は圧倒的だ。

    「ここで手を抜いたら、後悔することになる」

    結衣は意を決し、幽体の左腕を伸ばしてハチ太を狙った。だが、相手もただではやられない。

    「ガオー!」

    その声が再び森に響き渡り、強烈な光の波動が幽体の腕を襲う。結衣の幽体は一瞬バランスを崩したが、彼女の強靭な精神力がそれをすぐに立て直した。

    「まだ、終わらせない」

  • 7011◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:27:20

    彼女は幽体の腕を再び伸ばし、狙いを定める。腕の先端がハチ太の体を掴むかと思われた瞬間、ハチ太が素早く体をひねり、その腕を振りほどいた。

    「小さい体だけど、素早い……」

    結衣は感心しつつも、すぐに次の手を考えた。

    幽体の左目で周囲の状況を細かく確認しながら、彼女は言った。

    「君の『ガオー』は、単なる鳴き声じゃない。攻撃の起点なんだね。でも、それを封じる方法があるかもしれない」

    結衣は少し離れて距離をとり、深く息を吸い込んだ。彼女の片腕が再び幽体として伸びる。欠損のハンディキャップを補い、攻撃と防御を両立させるその腕は、今や彼女の命綱だ。

    「行くよ!」

    幽体の腕が勢いよく振り下ろされ、ハチ太の方向へ一直線に伸びる。ハチ太は一瞬、光を強めて身を守ろうとしたが、結衣の腕は巧みに相手の防御の隙を突き、背中に触れた。

    「くっ……」

    ハチ太は小さく呻き、光を弱めた。だが、彼の目にはまだ闘志が宿っている。

    「強い……だが、私も負けない」

    結衣は決意を新たにし、幽体の腕を引き戻しながら次の攻撃の準備を始めた。

    森の闇に、二人の息遣いと力のぶつかり合う音だけが響き渡る。小さな少女と不思議な生物が織り成す戦いは、ついに最高潮に達しようとしていた。

  • 7021◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:27:59

    深い夜の森は、静寂に包まれていた。元間結衣の幽体の左腕は、疲れを感じさせずに再び伸びていた。ハチ太も小刻みに羽を震わせ、わずかに光を放つ。二人の戦いは、ここまで想像以上の長さと激しさを持って続いていた。

    「君も……すごいね」

    結衣は息を切らしながらも、敵意だけでなくどこか敬意を込めて呟いた。隻眼隻腕の身体に宿る強靭な精神は、数々の試練を乗り越えてきた証だった。
    ハチ太は一瞬だけ身を低くし、「ガオー」と静かな声を漏らした。それはもはや威嚇でも攻撃でもなく、どこか懐かしさや共感のような響きを持っていた。

    「もう終わりにしようか」

    結衣は幽体の腕をそっと引き寄せる。ゆっくりとした動きの中に、決して焦らない強さがあった。

    ハチ太はその手に身を委ねるように、ふわりと飛び立ち、彼女の周囲をゆっくりと旋回した。遅い飛行のその動きは、まるで二人の間に新たな絆が芽生えたことを象徴するようだった。

    「欠損している部分があっても、君は君だ」

    結衣は柔らかく微笑む。幽体の左目が優しく輝き、遠くを見るように彼女の視線は未来を見据えていた。

    「そして君も、ただの生き物じゃない」

    彼女はハチ太に向けてそう言った。小さな生物が発する光と声は、無限の可能性を秘めていた。

    二人の間に流れる時間はゆっくりと静まっていく。戦いの緊張は解け、新たな友情と理解が芽吹いた瞬間だった。

    「これからも一緒に生きていけるかもしれないね」

    結衣はそっと言い、手を差し伸べた。

    ハチ太は嬉しそうに「ガオー」と応え、その手に小さな体を寄せた。

    闇の中で光る小さな奇跡。隻腕隻眼の少女と不思議な生物の物語は、まだ始まったばかりだった。

  • 7031◆ZEeB1LlpgE25/08/10(日) 20:28:20

    以上

    次はちょっと時間かかるかもです

  • 704二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:31:28

    かわいい…かわいい…ガオー…かわいい…

  • 705二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:41:07

    がおー!

  • 706二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 00:13:23

    このあと仲良しになったんだよね…

  • 707二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 08:07:49

    ほしゅ

  • 7081◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:37:01

    題名『死を抱き、冥を裂く』

  • 7091◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:37:59

    佐藤家の広い屋敷に、柔らかな午後の日差しが差し込んでいた。
    長い廊下の窓際には、きちんと磨かれた床板が光を反射し、規則正しく並ぶ柱の影が静かに揺れている。

    その影の間を、白いシニヨンキャップを被った女が、軽やかに歩いていた。
    佐藤冥――この屋敷で働く、完璧な家政を担うメイドである。

    彼女の手には銀色の盆。
    その上には湯気を立てる緑茶と、手作りのきんつばが乗っていた。

    廊下の奥、障子の向こうから、さらさらと紙をめくる音が聞こえてくる。

    冥は静かに障子を開けた。

    そこには、淡い色の着物を着た少女が座っていた。
    黒髪は肩の辺りで揃えられ、表情は年齢に似合わず落ち着いている。

    数言よん――十二歳。
    この家に招かれた客人であり、特別な能力を持つ少女だった。

    冥は正座し、盆を前に置いた。

    「お茶をどうぞ、お嬢様」

    よんは手を伸ばし、湯呑を受け取った。

  • 7101◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:38:30

    「ありがとう、佐藤さん」

    短く、しかし穏やかに礼を述べると、彼女は茶をすする。

    冥は彼女の動きを目で追いながら、心の奥に張り詰めた糸を感じていた。
    ――この少女が、本当に監視対象であるのか。
    普段は穏やかなのに、異能が発動すれば、神格すら殺せる。

    「……今日は、何をしておられたのですか」

    冥が問いかけると、よんは少しだけ視線を逸らした。

    「……試してみたいことがあったの」

    その瞬間、冥の背筋がぴんと張った。
    胸の奥で、ずっと眠っていた任務の感覚が目を覚ます。

    「それは……どのようなことを?」

    「空気を……少し殺してみたの」

    静かな声だった。
    しかし、部屋の空気がわずかに薄くなったように感じ、冥は思わず息を整える。

    ――能力が、発動している?

    その時、窓の外から風が吹き込み、障子が揺れた。
    冥の手は、無意識に腰の短刀へと伸びていた。
    これが、ただの日常の会話で終わるのか。
    それとも――。

  • 7111◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:39:08

    障子が揺れるたび、午後の光が畳に切り取られ、淡い影を落としていた。
    しかし、その美しい光景の中で――冥は異様な息苦しさを感じていた。

    空気が、わずかに重い。
    喉を通る酸素が薄い。
    まるで、部屋全体が静かに窒息へ向かっているかのようだった。

    冥は表情に出さぬよう、微笑みを保ったまま問いかけた。

    「……数言様、その“試み”は、いつまで続けるおつもりですか」

    よんは湯呑を持つ手を止め、冥を真っ直ぐ見つめた。
    十二歳とは思えぬ、研ぎ澄まされた眼差し。

    「今は、まだ加減してる。
     でも……あなたは、どうしてそんなに緊張してるの?」

    その声色には挑発も悪意もない。
    ただ、真実を知ろうとする淡々とした響きがあった。

    冥はゆっくりと立ち上がり、障子を閉めた。
    光が遮られ、部屋は薄暗くなる。
    その一挙手一投足が、二人の間の空気をさらに張り詰めさせた。

    「……職務柄、敏感なだけです。
     あなたの力は、時に周囲に害を及ぼすかもしれません」

    「害を与えたことは、一度もない」

    よんは淡々と言い切る。

  • 7121◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:39:34

    しかし、その右手は膝の上でゆっくりと握られていった。

    ――【窒息四】の発動条件。
    握ったものを、殺す。

    冥は一瞬で理解し、左袖の奥で短刀の柄を指先に挟み込んだ。
    金属の冷たさが、彼女の心を研ぎ澄ます。

    「……何を殺そうとしておられるのです」

    「あなたの……警戒心」

    その答えに、冥は苦笑を浮かべた。
    次の瞬間、胸の奥に圧迫感が走る。
    呼吸が浅くなり、肺がうまく動かない。

    ――空気が、死んでいる。

    冥は反射的に短刀を二本、畳の上に投げ、円を描くよう配置した。
    まだ結界は未完成。
    しかし、この状態でも瞬間移動の起点にはできる。

    「数言様――
     もし、これ以上続けられるなら……私は任務を果たすだけです」

    よんは初めて、小さく笑った。

    「試してみる?」

    その瞬間、二人の距離は一気に縮まり、空気は完全に戦闘の色を帯びた。

  • 7131◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:40:16

    空気が――崩れていく。

    冥の肺に流れ込むはずの酸素が、まるで砂粒のように手のひらから零れ落ちる。
    呼吸ができないのではない。
    呼吸をしても、そこに命を保つための要素が存在しないのだ。

    「……っ」

    冥は迷わず短刀を三本追加で投げ、床にカチンと金属音を響かせる。
    円陣は半分まで完成。
    しかし、残りの半分を置くためには――この空気地獄を突破せねばならない。

    よんは座ったまま、微動だにしない。
    その掌は、静かに握られたまま。

    「苦しい?」

    淡々とした声が、畳を這って耳に届く。
    冥は笑みを作り、わざと朗らかに答える。

    「ええ……まるで、掃除中に埃を吸い込み過ぎた時のようです」

    次の瞬間、冥の体が消えた。
    置かれた短刀二本を入口に、障子の向こうの廊下へ瞬間移動する。
    肺に残った僅かな空気を使い、咳をひとつ吐き出した。

    ――やはり、直接攻めるしかない。

    廊下を駆け抜け、障子を蹴り破って再び座敷へ突入。
    その手には、白刃の短刀が五指の間に差し込まれていた。

  • 7141◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:42:02

    「お嬢様といえど、任務は任務です」

    冥が刃を振るうと同時に、よんの握る掌がさらに力を込める。
    その瞬間、冥の頬に冷たい感覚――いや、違う。

    温度が急降下している。
    空気が死んだだけでなく、今度は凍り始めたのだ。

    ――【凍四】。

    冥の皮膚に白い霜が薄く張り、視界が白く霞む。
    その冷気は刃先までも蝕もうとしていた。

    だが冥は怯まず、短刀を二本、よんの周囲に突き刺す。
    これで円陣の八割が完成。

    「あと一手……」

    「……間に合うと思う?」

    よんの声は、氷のように冷たく、それでいて静謐だった。
    握られた掌がわずかに震え、部屋全体の温度がさらに下がる。

    その時――冥は微笑んだ。

    「間に合わない時こそ……冥土は口を開くのです」

    残りの短刀が冥の袖口から滑り落ち、円陣が完成する。
    直後、よんの足元に黒い門が咲いた。

  • 7151◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:43:48

    黒い門は、畳の上に静かに口を開けた。
    その中心から、鈍く低い風のような音が響く。
    だがその風は吸い込む空気ではなく――力そのものを喰らっている。

    よんの着物の裾が微かに揺れる。
    見た目はただの渦だが、その縁を越えた瞬間、彼女の存在は“冥土”に引きずり込まれる。

    「……逃げないのですね」

    冥は低く問いかける。
    これは挑発ではない。本気で不思議に思っていた。
    これだけ大きな門なら、少しでも距離を取れば引力は弱まり、術式の外へ退くこともできるはずだ。

    だが、よんは静かに首を振った。

    「逃げる必要がない」

    その右手は、依然として握られたまま。
    門の黒が、よんの足先に触れた瞬間――

  • 7161◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:53:48

    空気が、門の中で死んだ。

    吸引音が途切れる。
    冥は眉を跳ね上げた。
    冥土の内部とこの部屋をつなぐ空間そのものが、【窒息四】で殺されたのだ。

    「……なるほど」
    「あなたの能力、便利。でも、動くには呼吸がいる」

    よんは淡々と告げる。
    冥はすぐさま短刀を引き抜き、別の位置へ円陣を組み直そうとするが、空気の死はまだ続いていた。
    息が浅くなる。脳に酸素が届かず、視界が揺れる。

    「……っ!」

    冥は一度距離を取り、障子を飛び越えて縁側に出た。
    冷たい夜風が肺に流れ込み、意識が鮮明になる。

    ――彼女は門を潰せる。
    正確には、門そのものではなく、“門を維持する空間”を殺すことで、こちらの能力を封じている。

  • 7171◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:54:30

    ならば、別の入口を――。

    冥は縁側の影に隠れたまま、短刀を五本同時に投げる。
    刃は空中で弧を描き、よんの背後の柱や畳へ突き立った。
    だが、よんは振り返らない。

    「届かない」

    次の瞬間、冥はぞくりとした。
    投げた短刀の周囲――空気が凍り付いている。
    【凍四】によって、短刀は氷に閉じ込められ、円陣は完成しない。

    よんの戦い方は防御一辺倒だ。
    しかし、その防御は冥の必殺を確実に潰す。

    「……お見事です、お嬢様」

    冥は微笑んだが、その内心は冷や汗に覆われていた。
    このままでは、持久戦になれば確実に不利。
    よんの能力はチャージが必要だが、防御に回るなら数秒で十分だ。

    「でも……」

    冥は袖の奥から、一本だけ形の異なる短刀を取り出す。
    装飾もなく、刃渡りも短い――が、これだけは唯一、“空間の外側”から門を開くための鍵。

    「……これは、諦めない者への報酬です」

    よんの目が、初めてわずかに見開かれた。
    そして、黒門が――再び彼女の足元に開く。

  • 7181◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:58:54

    黒門は、畳を裂くように静かに広がっていった。
    冥の手の中の短刀は、他のどれとも違う鈍い輝きを放つ。
    その刃が畳に突き立つと同時に、門はよんの真下から立ち上がった。

    足元を掴まれるような感覚。
    視界がぐらりと揺れ、下へ下へと引きずり込まれる。
    だが、よんはすぐに両手を擦り合わせた。

    布と布、肌と肌――摩擦によって生まれる熱が、着物の袖の奥で膨れ上がる。

    「【焼四】」

    その一言とともに、熱が黒門を舐めた。
    瞬間、門の縁が赤熱し、内部から焦げるような匂いが立ち上る。
    冥は歯を食いしばった。

    ――これは、冥土そのものの“空間”を殺そうとしている。

    だが、今回は簡単には消えない。
    この短刀による門は、冥土の奥深く、より強い結界と繋がっている。
    通常の入口よりも遥かに耐久が高い。

    「無駄です」

    冥は門の外から冷ややかに告げる。
    「その炎では、この門は焼き切れません」

    よんは答えず、さらに摩擦を続けた。
    指先の皮が擦り切れ、血が滲んでも止めない。
    彼女の瞳に映っているのは、ただ一点――門の奥。

  • 7191◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 12:59:08

    「……あなた、本当に行く気ですか」

    冥の言葉は、皮肉でも挑発でもない。
    そこには、微かな困惑が混じっていた。

    「行く」

    よんの声は淡々としていた。
    「あなたが連れて行こうとする場所――そこに、殺せないものがある」

    その瞬間、冥は悟った。
    この少女の戦いは、ここが終点ではない。
    彼女は“向こう側”に、何か目的を持っている。

    黒門の引力が一気に強まった。
    床がきしみ、畳の目が裂ける音が響く。
    よんの身体は半ば門に沈み込み、残るのは肩と頭だけ。

    冥は短刀を握り直した。
    彼女の使命は、この少女を捕らえること。
    だが――その奥に潜む真意が、心を揺らす。

    「……では、案内いたしましょう」

    門が閉じる直前、冥の声が届いた。

    「冥土の主として、あなたを奥まで」

    光が消え、二人の姿はこの世界から掻き消えた。

  • 7201◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 13:00:00

    足元の感覚が消えた。
    代わりに、ひたひたと冷たい液体が着物の裾を濡らす。
    よんが目を開けると、そこは光を拒んだ世界だった。

    暗黒の空。
    地平線は見えず、足元は黒い水面が延々と続く。
    その水は凍るほど冷たいのに、波一つ立たない。

    「――ここが、冥土」

    背後から、冥の声が響く。
    彼女はいつものメイド姿のまま、水面の上に立っていた。
    その佇まいは、この暗黒の国の主の名にふさわしい威圧感を持っている。

    「逃げ道はありません。ここに落ちた異能者は、例外なく――」

    「殺す」

    よんは冥の言葉を遮った。
    その声に冥は眉を動かす。

    「……誰を?」

    「この国そのものを」

    冥土を殺す。
    その宣告は、ここの存在意義を根底から否定するものだった。

    冥は動いた。
    スカートの奥から数本の短刀が水面に突き立つ。

  • 7211◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 13:00:39

    それらが瞬時に小さな門を開き、黒い水を吸い込み始める。
    吸い込まれた水は刃の縁に沿って凝固し、冥の手の中で氷のように硬化した。

    「凍結封鎖――出入り口を固定します」

    冥は短刀を構え、よんとの間合いを詰める。
    「この場であなたを無力化し、向こう側へ送り返す」

    だが、よんは逃げなかった。
    ゆっくりと両手を擦り合わせ、指先の熱を育てる。
    その動きは、水面に映る暗黒を揺らす。

    「【焼四】」

    熱が爆ぜた。
    黒い水面が一瞬で白い蒸気に覆われ、周囲の空間が軋む。
    その熱は、水だけではなく“冥土”という空間の構造をも焼き崩す。

    冥は短刀で蒸気を裂きながら突き込む。
    刃がよんの袖を裂き、血が飛び散る。
    それでも、よんの手の動きは止まらない。

    「止まりなさい!」

    冥の蹴りがよんの胸を打つ。
    小さな身体が水面を滑るように後退するが、その目は揺れなかった。

    「あなた……」

    冥は息を整えながら、初めて戸惑いの色を見せる。

  • 7221◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 13:01:20

    「命を捨てる覚悟で、冥土を壊そうとしているのですか」

    よんは頷く。
    「死なないものに、死を与える。それが私の役目」

    次の瞬間、空間が悲鳴を上げた。
    水面が割れ、底から無数の手が伸びる。
    冥土に囚われた者たちの残滓――彼らの存在が、空間崩壊とともに解き放たれようとしている。

    冥は決断した。
    短刀をすべて抜き放ち、よんの足元へ投げ込む。
    「……ならば、私も覚悟を共にしましょう」

    黒い門が再び開く。
    しかし今回は吸い込みではなく、逆流だった。
    門の奥から押し寄せる白光が、冥土全体を呑み込む。

    二人の視界が白に包まれ――

    次に目を開けたとき、二人は元の佐藤家の一室に倒れていた。

    冥は荒い息を吐き、よんを見やる。
    「……あなた、正気ですか」

    よんは薄く笑い、袖で血を拭った。
    「正気じゃなきゃ、死を殺すなんてできない」

    二人の間に、言葉では説明できない奇妙な信頼が芽生えていた。
    それが敵意か、共闘かは――まだわからない。

  • 7231◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 13:01:37

    以上

  • 724二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:03:55

    すげぇ それはそれとして初めて佐藤家で戦闘がおこった……(冥土空間に移動はしたけど)

  • 725二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:04:05

    最高!!

  • 726二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:10:32

    面白かった
    それはそうと数言も監視対象なのね

  • 7271◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:52:00

    題名『識る者の戦い』

  • 7281◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:52:27

    夕暮れの風が、カグツチ重工の廃墟をそっと撫でていた。
    かつては産業の中心地として賑わった場所だが、今は無数の瓦礫と錆びついた機械の残骸だけが残っている。

    杖をつきながら、ゆっくりと一歩一歩踏みしめる女性の姿があった。
    白髪混じりの銀色の髪は後ろでまとめられ、長い着物が優雅に揺れている。

    「佐藤智。七十六歳。家族のことも、世界のことも、すべてを識る者」

    その瞳は温かく、そして静かに廃墟の空気を読み取っていた。

    金属と油の匂い。
    それはこの場所にまだ生きる機械がいることを告げている。

    ゆらり、瓦礫の間からわずかに機械の駆動音が漏れた。
    智は杖を握りしめて、一歩また一歩と音の方へ歩を進める。

    「よくぞ、ここまで来られたのう」

    彼女の穏やかな呟きは、彼女自身に向けられた励ましだった。

    だが、その声はすぐに途切れた。

    目の前の影が、暗黒水晶のバイザーを輝かせながら、ゆっくりと姿を現した。

    それは、六本の腕を持つ御家人型自動カラクリ――
    【ハタモト参式】だった。

  • 7291◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:52:53

    瓦礫の隙間から、ゆっくりと姿を現したハタモト参式。

    その体は黒い鉄と漆で覆われ、まるで阿修羅像のような威圧感を放つ。
    六本の腕はそれぞれに量産型の名刀「マチマサ」を握り締めており、いつでも斬りかかれる構えだ。

    頭部を取り囲む円形の暗黒水晶バイザーは、光を吸い込み、周囲を見渡している。
    全方位監視の目がひとつ、ふたつ……いくつもの視線が廃墟を鋭く切り裂いていた。

    「侵入者、検知。排除モード起動」

    機械じみた声が、廃墟の静寂を破る。
    だが、その声は決して威圧的ではなく、ただ淡々とした告知だった。

    佐藤智は、杖をしっかり握りしめながらも、微笑を絶やさず言った。

    「わしは智。知恵の集積。ここで倒れても悔いはない」

    静かに杖を一度地面に置き、体勢を整える。
    体は老いても、その精神は揺るがない。

    「さあ、来い」

    ハタモト参式が、回転球を高速回転させ、前進を開始した。
    暗黒水晶のバイザーが回転し、視界を最大限に広げる。
    その六本の腕は、まるで闘いの舞を踊るかのように、複雑かつ正確に動いている。
    智は息を整え、相手の動きを鋭く見極めた。

    「この機械の動き、仕様も術式もすべて把握……予測通りじゃな」

    微かな感嘆の声が、静かに廃墟に響いた。

  • 7301◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:53:21

    廃墟の砂埃が舞う中、ハタモト参式は猛然と迫った。

    六本の腕が、同時に名刀マチマサを振りかぶり、智を囲むように斬撃が降り注ぐ。
    その音は、まるで鉄の嵐が吹き荒れるかのようだった。

    智は杖をついたまま、動じずに冷静に観察を続ける。

    「右へ五歩……次に左へ体を振る」

    まるで未来を読むかのように、智は小声で呟いた。
    その通りに、ハタモト参式の動きは鋭く切り替わったが、彼女は動かない。

    鋭い刀光が風を切り、智の脇をかすめる。
    だが、一歩も動かず杖を地面に叩きつけた瞬間、斬撃は空を切った。

    「ほう……予想通りじゃ」

    足元に段差があるのを見逃さなかったハタモト参式は、次の一歩でバランスを崩した。

    その瞬間、智は杖を軽く掲げ、再現能力の準備を始める。

    「これを……使う時が来たのう」

    杖の先から淡い光が広がり、局所的に重力が強まる。
    回転球が沈み込み、六本の腕の動きが鈍くなる。

    ハタモト参式の無機質な声が響いた。

  • 7311◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:53:51

    「バランス異常。システム修正、試みる」

    だが、その動きは不安定で、攻撃の精度が大きく落ちていた。

    智はゆっくりと近づき、杖を胸の家紋に向ける。

    「お前の心臓を見せてもらおうかのう」

  • 7321◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:54:44

    ハタモト参式の六本腕が、かつてないほどにぎこちなく動いた。

    局所重力制御の影響で回転球が沈み込み、バランスを保つのが精一杯だ。
    しかし、それでも敵は攻撃の手を緩めない。

    暗黒水晶のバイザーが赤く煌めき、視界全域に警戒を発する。
    ハタモト参式は破損した部品を瞬時に分析し、修復動作を始める。

    「システム再起動、完了までに数秒要する」

    智は杖を構え、相手の動きをじっと見つめる。
    「焦りは禁物じゃよ……相手の隙を待つのが、老いの知恵」

    斬撃の雨が再び降り注ぐ。
    智は瓦礫の隙間を巧みに使い、ぎりぎりの距離でかわす。
    老体の動きは速くはないが、経験がそれを補っている。

    「もう一息……、さあ、動いてみよ」

    再び杖から薄く光がこぼれた。
    智は次の再現能力の発動に備えていた。

  • 7331◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:55:09

    ハタモト参式は動きが鈍りながらも、最後の力を振り絞るように六本の腕を旋回させた。

    その動きはまるで嵐のように激しく、全方位に斬撃をばら撒く。
    無数の刀光が廃墟の空気を震わせ、智の周囲に鋭い風を生み出す。

    智は杖をしっかりと握り締めながら、瓦礫の影に身を潜める。
    動きは遅いが、脳裏にはすべての軌道が映し出されていた。

    「次は南西二歩……隙間ができる……」

    息を整え、タイミングを見計らって立ち上がる。
    杖を地面に突き、瓦礫を蹴って跳躍。

    「これで……終わりじゃ」

    胸部の家紋を目指し、杖の先端を突き出す。
    そこに宿る術式解除の符が淡く輝き、機械の内部へと流れ込んだ。

  • 7341◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:55:40

    術式解除の符が機体内部に染み渡り、暗黒水晶のバイザーの輝きがゆっくりと消え始めた。

    六本の腕が重力に引かれるように垂れ下がり、まるで疲れ果てたかのように動きを止めていく。

    「侵入不可……システム、停止……」

    ハタモト参式は、静かにその場に跪いた。
    それはまるで、長き任務の終わりを告げるかのようだった。

    智は杖をつきながら、ゆっくりと近づき、機体の装甲を優しく撫でた。

    「お疲れさまじゃ……もう、ゆっくり休んでよいのじゃよ」

    夕陽が完全に沈み、廃墟には深い静寂が戻った。

    彼女の背中は老いても揺るがぬ強さを湛え、家族や世界を見守る知恵の象徴のようだった。

  • 7351◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 15:56:03

    以上
    超短編

  • 736二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:58:40

    佐藤智が今回は強すぎたな 常に最適解で行動するというのは怖い

  • 737二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 15:58:54

    こう言う強いおばあちゃん好き

  • 738二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 16:03:32

    最適解おばあちゃん強い

  • 7391◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:42:45

    題名『牙と嘲笑』

  • 740二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 19:43:45

    このレスは削除されています

  • 7411◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:44:31

    夜空は、不気味な赤黒い光で染められていた。
    それは、怨神が現界した兆し。
    時を越え、あらゆる憎悪を糧としてきた存在が、世界の縁から滲み出るように姿を現す。

    大地は裂け、空気が軋む。
    地上の生物は本能的な恐怖に膝をつき、目を伏せるしかなかった。
    そこに、静かに響くのは、低く重い地響き。
    地面の奥深くから、巨大な何かが動き出す音だった。

    「……時は満ちたか」

    地底の神殿の中心、厚く閉ざされた封印の扉がゆっくりと開く。
    その奥に佇むのは、銀灰色の巨躯。
    狼に似た四肢、鋭い金色の双眸、そして右前足に巻きつく光の紐――《グレイプニル》。

    ヴァナルガンドは、眠りの中で感じ取っていた。
    この世界に、己が「壁」として立ちふさがるべき存在が現れたことを。

    「……我が牙を超えられる者、ようやくか」

    ゆっくりと立ち上がる。

  • 7421◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:44:59

    その体は山をも凌ぐ高さで、歩み一つで地形が変わる。
    だがその一歩一歩は、威圧感と静かな誇りに満ちていた。
    ヴァナルガンドにとって、戦いは憎しみでも破壊でもない。
    人類、いや、この世界のすべての命が超えるべき試練。
    それが「壁」としての役割だった。

    一方、怨神は空の裂け目に浮かび、眼下の全てを見下ろして嗤っていた。

    「ははは……また面白い玩具が目を覚ましたじゃないか。
     そんな立派な壁、壊してしまうのが楽しみでたまらない」

    怨神の体は形を定めず、無数の怨霊の顔や手足が渦を巻くように浮かび上がっては消えていく。
    その声は全方位から響き、聞く者の心を直接揺さぶる。

    ヴァナルガンドは、怨神の声に反応して天を仰いだ。
    金色の瞳が闇を貫き、怨神を正確に捉える。

    「怨神……我は貴様を試す」

    その瞬間、空気が張り詰める。
    大地から天へと、見えない力の柱が立ち上がったかのような圧。

  • 7431◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:45:14

    怨神でさえ、わずかに笑みを止めた。

    「試す? 面白いねぇ……お前の顔を、苦痛で歪ませてやる」

    怨神は形を変え、巨大な影の手を伸ばす。
    その手は世界の色を奪い、触れたものの感情を負の色で染め上げる。
    だが――その瞬間、ヴァナルガンドの《アークバリア》が発動。

    光の壁が大地ごと展開され、怨神の影を弾き返す。
    火花のような魔力衝突が空を照らし、地平線まで走る衝撃波が山脈を削った。

    「通さぬ。貴様の悪意は、この壁を越えられん」

    怨神はニヤリと笑い、低く囁くように呟いた。

    「そうかな……?」

    その瞬間、怨神の姿が揺らぎ、ヴァナルガンドの視界の端に人影が映った。
    それは、この世界の創造主の姿――ヴァナルガンドが最も敬愛した存在だった。

    心を揺さぶる術。それが怨神の本領。
    しかし、ヴァナルガンドの双眸は揺らがなかった。

    「幻影など……牙で裂き捨てる」

    次の瞬間、大地を割る咆哮と共に、ヴァナルガンドが跳躍した。
    山をも越える巨体が、怨神に向けて空を駆ける。

    その牙は――世界をも噛み砕く力を秘めていた。

  • 7441◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:46:04

    ヴァナルガンドの跳躍は、まるで山脈そのものが空へ突き上がったかのようだった。
    空気は悲鳴をあげ、衝撃波が雲を裂き、怨神の周囲の空間さえ歪める。

    怨神はその巨影を見上げながら、口の端を吊り上げた。

    「大きいなあ……だが、その牙、俺には届かない」

    そう言うと、怨神は空中に複雑な渦を描き出す。
    その渦は視覚でも聴覚でもない、「心」に直接見せる悪夢のようなものだった。
    中には、ヴァナルガンドがかつて立ちふさがった人類たちの姿が映し出されている。
    泣き叫び、怒鳴り、そして絶望の果てに膝をついた者たち。

    「見ろよ……お前が“壁”として立ったせいで、どれだけの者が折れたか」

    怨神の声は、心臓に杭を打ち込むような冷たさを帯びていた。
    だが――ヴァナルガンドの金色の瞳は微動だにしない。

    「それが、超えるべき壁だ」

    低く重い声が空を揺らす。

  • 7451◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:46:24

    幻影の人々が一斉に霧散し、怨神の顔がひとつ、二つと崩れていく。
    だが怨神は笑みを絶やさない。

    「いいねぇ……その顔が歪むまで、俺はやめない」

    瞬間、怨神の体は霧となり、四方八方からヴァナルガンドを包囲した。
    霧の中から無数の腕が伸び、腐食する触手や刃、毒針が次々と突き出される。
    それらは物理攻撃だけでなく、精神にも直接作用し、触れれば後悔や憎悪が増幅される呪いが込められていた。

    だが――ヴァナルガンドは地を蹴ると同時に、口を大きく開く。
    0.8秒の溜めを経て、世界を裂く咬撃が放たれた。

    「――ガァアアアアッ!!!」

    その顎が閉じた瞬間、霧の一部が光ごと粉砕され、空に空白の円が生じた。
    怨神の一部が消し飛び、耳障りな笑い声が途切れる。

    「……ほぅ、俺の分身体を喰うか。いいねぇ、もっと遊ぼう」

    怨神はすぐに姿を再構成するが、その表情には興奮が混じっていた。
    彼にとって、このやりとりこそが愉悦。
    相手の反応が鮮やかであればあるほど、興が乗る。

  • 7461◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:47:00

    しかし――その油断こそが、ヴァナルガンドの狙いだった。

    「《グレイプニル》――解放」

    右前足に巻かれた光の紐が、蛇のように生き物じみた動きで空へ走る。
    瞬く間に怨神の片腕を縛り上げ、動きを制限した。
    だが同時に、ヴァナルガンドの片足も地に固定される。
    それでも――巨狼は迷わない。

    「片足で十分だ」

    ヴァナルガンドは体をひねり、縛られた足を支点に怨神を地面へ叩きつけた。
    山を削る衝撃とともに、怨神の肉体が地表にめり込み、黒い霧が吹き散った。

    だが、怨神はそこで声をあげて笑う。

    「アッハハハハッ! いい! いいぞ! もっとやれ!」

    負の感情を吸い取る怨神にとって、自分が痛めつけられることすら快楽の一部。
    その笑いが途切れない限り、彼は何度でも立ち上がるだろう。

    「では、立て」

    ヴァナルガンドの低い声が響き、
    二体の怪物は再び、空と地を揺らす激突へと向かっていった――。

  • 7471◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:49:25

    地を割る衝撃音の余韻が消えるより早く、怨神の体は黒い霞となって四散した。
    それは煙でも霧でもない――怨念そのものが粒子化したもの。
    目に見えるというより、魂が直接「感じてしまう」不快なざらつきだ。

    「……壁、ねぇ。お前は本当にそれで満足なのか?」

    怨神の声は四方八方から響き、ヴァナルガンドの耳ではなく“意識”に突き刺さる。
    その瞬間、巨狼の眼前に幻が展開された。

    かつての戦場。
    無数の兵士たちが槍や魔法を構え、ヴァナルガンドに挑み――そして倒れる光景。
    その一人ひとりの顔が克明に浮かび上がる。
    勇敢な目、諦めの目、恐怖に引きつった目。

    「お前は誇りだと言ったな。
    だがなぁ、誇りを掲げれば掲げるほど、踏み越えられずに死んだ者たちは地面に転がったままだ」

    怨神の言葉は、槍のように鋭い。
    その背後には、死者たちが怨嗟の声を上げる幻が重なっていた。

    「俺たちは……お前のせいで……」

  • 7481◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:51:28

    「違う」

    ヴァナルガンドの声は揺るがない。
    金色の瞳がまっすぐ幻影を射抜く。

    「お前たちは挑んだ。倒れたことを恥じる必要はない。
    俺は……その挑戦の証だ」

    次の瞬間、ヴァナルガンドは顎を開き、幻影の兵士たちごと空間を噛み砕いた。
    怨神の黒い粒子がバラバラに散り、世界が一瞬だけ静まり返る。

    だが怨神は再び形を取り戻し、その顔にはさらに濃い笑みが浮かんでいた。

    「……いいねぇ、壊れない。だからこそ面白い」

    今度は怨神の背後から、漆黒の樹が生えた。
    枝は鋭い棘で覆われ、触れるだけで肉体だけでなく“役割”そのものを削ぎ落とす。

    「さぁ、壁であるお前から“壁である意味”を削ぎ落としてやる」

    枝が伸び、ヴァナルガンドの影を絡め取る。
    その瞬間、巨狼の視界が暗転し――気がつくと、彼は無人の荒野に立っていた。

  • 7491◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:51:51

    そこには挑戦者も、守るべき存在もいない。
    ただ延々と続く無意味な時間。

    「どうだ? お前は存在しているが、誰も挑まない。
    ……これが、お前にとって一番の地獄だろう」

    怨神の声が、地平線の向こうから響いてくる。
    虚無の風が吹き抜け、世界の色彩が褪せていく。

    ヴァナルガンドはゆっくりと目を閉じ――そして低く息を吐いた。

    「……違うな」

    その足元の大地が震え、虚無の荒野がひび割れる。
    亀裂の隙間から、挑戦者たちの影が立ち上がる。
    それは怨神の作った幻ではない――ヴァナルガンド自身の記憶が呼び起こしたものだ。

    「挑戦は……無限に続く」

    顎が開き、虚無そのものを噛み砕く轟音が響いた。
    怨神が作り上げた概念の牢獄が粉砕され、現実世界へと戻る。

    怨神は一瞬だけ動きを止め、そして大きく笑った。

    「ハァ……最高だな……!
    壊れない奴を壊すのが、俺は一番好きだ!!」

    次の瞬間、怨神の全身から無数の呪いの鎖が放たれ、戦場は再び混沌に包まれた――。

  • 7501◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:52:42

    怨神の鎖が空を覆い、戦場の空気は腐臭と怨嗟で満ちた。
    一本一本が意思を持つかのようにうねり、獲物を締め上げるための道筋を探っている。

    ヴァナルガンドは四肢を踏みしめ、低く唸る。
    その右前足には、地球上の何よりも固い魔法の枷――《グレイプニル》が絡んでいた。
    普段はその力を封じるために自らを縛っている。
    だが、今はその紐が微かに振動し、意思を持つかのように震えていた。

    「……使うのか?」
    怨神の声が挑発混じりに響く。
    「緊急時以外は使わないと言ったよなぁ。
    まさか俺ごときに、それを解くつもりか?」

    「――貴様は、俺がここで倒さねばならない」

    その瞬間、ヴァナルガンドの右前足を縛る《グレイプニル》が解かれた。
    しかしそれは力を封じる枷を外すだけではない。
    《グレイプニル》はそのまま、宙を舞い、怨神の鎖へと絡みついた。

    鎖と紐が衝突し、耳を劈く金属音が響く。
    怨神の鎖は相手を傷つけ、呪いを流し込む性質を持つ。
    だが《グレイプニル》は概念すら縛るため、触れた瞬間に鎖の動きが鈍り、次々と硬直していった。

  • 7511◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:56:01

    「ほぉ……俺の鎖を止めた、だと?」

    怨神の顔に初めて驚愕の色が浮かぶ。

    ヴァナルガンドは一気に距離を詰め、顎を大きく開く。
    その口が完全に噛み砕きの角度を取るまで、0.8秒。
    だがその間に、怨神は防御ではなく、あえて挑発を選んだ。

    「ほら、やってみろよ!
    お前が噛み砕いた瞬間、この世界に満ちる怨嗟が全部お前に流れ込むように仕込んでやった!」

    ヴァナルガンドの瞳に、一瞬だけ鋭い計算の光が走る。
    次の瞬間、顎は怨神の本体を狙わず――その心臓部を覆う鎧状の呪詛を一気に噛み砕いた。

    怨神の口元が歪む。
    「……わざと外した?」

    「壁は、ただ壊すためにあるのではない」
    ヴァナルガンドの声は低く、しかし確信に満ちていた。
    「挑戦を続けさせるために、倒し切らないこともある」

    怨神は数秒の沈黙の後、声を震わせて笑い出した。
    「……ははははは! お前、やっぱ最高だな……!」

    だが笑いの中、怨神の影がわずかに揺らぐ。
    心臓部の守りを失ったことで、その存在は微かに不安定になっていた。
    それを察したヴァナルガンドは、《グレイプニル》を再び構える。

    次の一撃こそ、決定打となる――。

  • 7521◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:56:54

    怨神の身体を覆う影が波打ち、世界そのものが軋む音を立てた。
    心臓部を守る呪詛鎧を失ったことで、その憎悪の奔流が制御を失い、空間を荒れ狂わせている。

    「……ククク……笑わせてくれる……」

    怨神は低く呟き、次の瞬間には爆発するような声で叫んだ。

    「この俺にッ! 同情でもしたつもりかァァァァッ!!!」

    時系列を無視した幻像が戦場に乱立する。
    過去に滅びた街の惨状、未来で泣き叫ぶ人々の姿、そしてヴァナルガンドが“もし倒されていた”無数の結末――
    どれもが、相手の心を抉るための光景だ。

    だがヴァナルガンドの瞳は、微動だにしない。

    「俺は壁だ。
    お前の悪意は、乗り越えるべき試練に過ぎん」

    その瞬間、怨神の口元がぴくりと歪む。
    負の感情が返ってこない――それが何よりも怨神を苛立たせ、同時に集中を乱した。

  • 7531◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:57:13

    「……クク……ああ、ムカつく……ッ! ムカつくぞオオオオオ!!!」

    怨神が笑い出す。
    ゲラゲラと、世界に響くほどの哄笑。
    その笑いの中で、周囲の鎖の動きが止まり、影の密度が一瞬だけ薄れる。

    ヴァナルガンドはその隙を逃さなかった。
    《グレイプニル》が矢のように走り、怨神の両腕を縛り付ける。
    即座に、ヴァナルガンドの顎が開き――0.8秒の溜めを経て、心臓部めがけて突進した。

    ガァンッ!!!

    衝撃波が走り、大地がえぐれ、怨神の身体が大きくのけぞる。
    枷により怨神の腕は使えず、鎖も硬直している。

    「終わりだ――怨神」

    その声は、雷鳴のように響いた。

    怨神は血のような影を吐きながら、それでも口角を上げた。
    「……そうか……なら、最後まで嫌がらせしてやるよ……」

    その瞬間、怨神の影がヴァナルガンドを包み込み、両者は暗黒の渦へと呑み込まれていった。

  • 7541◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:58:10

    闇――それは底なし沼のように重く、冷たい。
    ヴァナルガンドの巨体は、怨神の影の中で完全に沈み込み、外界との感覚を断たれた。

    「ここは……貴様の領域か」

    ヴァナルガンドの声は低く響くが、返答はない。
    代わりに周囲から、数え切れぬ怨嗟の声が降ってくる。

    ――お前も壊してやる
    ――全部、無意味だ
    ――守ったって、どうせまた失う

    それは人間が抱いてきた弱さ、諦め、絶望。
    怨神は、それを刃として突きつけてくる。

    「お前は“壁”だと言ったな」
    暗闇の奥で怨神が嗤う。
    「なら、俺は永遠に超えられない壁にしてやる。
    お前の前に立つ人間を、全員、絶望させる壁に」

    ヴァナルガンドの瞳が淡く輝く。
    その光は、まるで氷原の月のように静かで、揺らがない。

    「……それもまた、人間が超えるべき壁だ」

    一歩――巨体が影の中を進む。
    怨神の能力が、心を抉ろうと牙を立てる。
    だがヴァナルガンドの精神は鋼の如く、揺るがない。

  • 7551◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:58:34

    怨神は苛立ち、笑い出す。
    「……ハハ……ハハハハハ!!! クソッ! 本当に腹立つ奴だなッ!!」

    その瞬間、笑いが隙を生む。
    《グレイプニル》が再び走り、怨神の胴を縛り上げた。
    ヴァナルガンドは巨口を開き、心臓部――コアを正確に捉える。

    「終わりだ」

    バキィィィィンッ!!

    咆哮と共に、怨神のコアが粉砕され、影の世界が崩壊していく。
    怨神は笑いながら消えていった。

    「……次は……もっと嫌がらせしてやるからなァ……」

    闇が完全に晴れ、戦場の空が再び青く輝く。
    ヴァナルガンドはしばし空を見上げ、静かに呟いた。

    「来るなら来い。
    俺は、壁だ」

    そう言い残し、巨体は再び世界の果てへと歩み去った。
    いつか、自分を超える者と出会うために――。

  • 7561◆ZEeB1LlpgE25/08/11(月) 19:59:13

    以上

  • 757二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 19:59:30

    最高!!!

  • 758二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:01:20

    I'm lovin' it

  • 759二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 20:02:44

    はー面白かった
    二人のやりとりがすごく良いなこれ

  • 760二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:48:54

    納豆サイボーグがどうなることやら…
    納豆サイボーグってなんだよ

  • 761二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 07:49:58

    保守

  • 7621◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:27:16

    題名『納豆の誓いと甘美なる決闘』

  • 7631◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:28:08

    夕暮れの街外れ。
    薄暗くなりかけた路地裏に、妙な匂いが漂っていた。

    「くっさ……くっさぁぁあああ!」

    奈刀パルマが鼻をつまみながら駆けてくる。納豆の強烈な匂いは、彼自身から発せられているものだ。

    「納豆パワー炸裂中!これが俺の命の源、動力源だ!」

    彼の右手は金属の鎧のように光り、ヘヴン・ハンドの青白いエネルギーフィールドが揺らめいている。
    左手はヘル・ハンド、握り締めれば破壊の力がみなぎる。

    その先には、整った制服を纏った女性が静かに立っていた。

    「また戦場でお会いしましたね、奈刀パルマさん」
    アマガシ・ケーキは柔らかな笑みを浮かべているが、その瞳には戦闘者の鋭さが宿っていた。

    彼女の腰には華奢なエプロンが巻かれ、手には何やら小さな容器を持っている。

    「お菓子は甘くて優しい……でも、戦いのときは甘くないわよ?」

    パルマは眉間に皺を寄せ、立ち止まる。

  • 7641◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:28:42

    「納豆くせぇやつに、甘いお菓子で捕まると思うなよ!」

    アマガシは笑い、手に持った材料を軽やかに振るうと、宙にマシュマロがふわりと浮かび上がった。

    「マシュマロトラップ、発動!」

    突然、柔らかな白い塊がパルマの足元に落ち、ゆっくりと絡みつき始める。動きを奪おうとする柔らかな拘束。

    「くっ!くそ、くっさくて動きづれぇ!」

    パルマは匂いと戦いながら、必死に片手を掲げる。

    「ヘヴン・バースト!」

    右手から光の壁が立ち上り、マシュマロを一掃する。

    「おっと、それじゃあ次はこっちの番ね!」

    アマガシは瞬時に形を変え、今度はゼリーの塊を大量に放つ。ぶよぶよと動く冷たい罠がパルマの周囲を覆い尽くす。

    「納豆菌の力で負けるかよ!」

    パルマはヘル・ハンドからビーム状の杭を放ち、ゼリーを貫通させながら突進する。
    激突の衝撃で路地の壁が崩れ、二人の戦いは静かな街に波紋を広げていく。

    「ふふっ、甘いものも悪くないわね」

    「でも俺の納豆パワーは甘くねぇぞ!」

    激しい攻防の始まりを告げる、奇妙な戦いの幕開けだった。

  • 7651◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:29:38

    マシュマロとゼリーの粘液質な罠に囲まれながらも、奈刀パルマは冷静に戦況を見つめていた。

    「この甘い罠……油断すると動けなくなる。でも納豆菌の浄化力があればすぐに溶かせるはずだ」

    彼のヘヴン・ハンドから微細な光の粒子が放たれ、接触したマシュマロやゼリーが次々と溶け始める。甘い香りが空気に漂うが、パルマの鼻はもう慣れてしまっていた。

    「おいおい、納豆菌が強すぎてお菓子たちが溶けるなんて、面白くなくなっちゃうじゃないか」

    アマガシ・ケーキは少し不満げな笑みを浮かべると、懐からたくさんの小瓶を取り出した。中には色とりどりのシロップや粉末が入っている。

    「ならば、こちらも強化してあげましょう」

    彼女は小瓶をパルマの周囲に撒き散らした。

    たちまち空気は重く濃密な甘い香りに包まれ、甘味成分が急激に凝縮されていく。

    「これは……糖度爆弾!?甘さの濃度が戦場の空気を圧迫して、動きを鈍らせるのか……!」

    パルマは左手のヘル・ハンドを掲げ、ビーム状の杭を撃ち出した。だが、糖度爆弾の濃厚な空気はビームの力を弱め、攻撃は途中で消散する。

    「思ったよりも手ごわい……!」

    アマガシは軽やかに跳び、地面に散らばった粉を集めてから、両手でこねるように動かした。

    「甘くて重い……でもこれは最高の攻撃力になるのよ」

    彼女の手から、飴細工のように伸びる粘度の高い飴の触手が幾筋も生まれ、パルマの動きを封じにかかる。

  • 7661◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:30:04

    「ヘル・スライサー!」

    パルマは左手のエネルギーを円盤状にまとめて切り裂く。飴の触手は軽快な音を立てて粉々に砕け散ったが、次の瞬間、彼の足元が柔らかく掬われ、バランスを崩す。

    「うわっ!甘い粘液に足を取られた……!」

    「ふふ、甘い罠にかかったわね。これで少しは納豆くさい君を楽しめるかしら」

    パルマは踏ん張りながらも、胸ポケットから小さな納豆パックを取り出した。

    「よし、ここからは納豆菌の本気を見せてやる……!」

    パルマは納豆パックを一つ取り出し、胸部のジェネレーターに装填する。胸から輝く緑色のエネルギーが全身に巡り始めた。

    「ヘヴン・バースト、解放準備!」

    右手の青白いエネルギーフィールドが膨れ上がり、まるで光の壁のように空間を満たしていく。

    「ケーキさん、甘いお菓子で俺を止められると思うなよ!」

    「むむ……なかなかの底力ね、でもまだまだよ」

    二人の視線が鋭く交錯し、次の激闘の予感が暗く街を包んだ。

  • 7671◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:32:44

    奈刀パルマの胸のジェネレーターから緑のエネルギーが渦を巻き、右手のヘヴン・ハンドが光の盾のごとく膨らんだ。

    「ヘヴン・バースト、最大出力――解放!」

    その瞬間、エネルギーフィールドは巨大な隔壁と化し、迫り来る飴の触手と糖度爆弾の甘い圧力をはじき返す。

    「この防御力……これが納豆菌の力か!」

    アマガシ・ケーキは驚きの表情を見せたが、すぐに笑みを取り戻す。

    「それならば、私も本気を出さなきゃね!」

    彼女は両手を叩き合わせ、一気に大量のマシュマロの塊を生成。

    「甘い壁、できたてホヤホヤよ!」

    マシュマロの壁がパルマを包囲し、動きを制限しようとする。

    しかしパルマは左手のヘル・ハンドからビーム状の杭を放ち、触れるものすべてを貫通。

    「ヘル・スライサー、連続発射!」

    円盤状のエネルギーが舞い、マシュマロの壁は次々と切り裂かれていく。

  • 7681◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:33:04

    だが、ケーキの動きは素早く、別の方向から甘い粘液のトラップが襲いかかる。

    「こ、これは……!」

    粘液に足を取られながらも、パルマはすかさず胸の納豆パックを新たに装填。

    「次は、これで決める!」

    両手を合わせてエネルギーを一点に収束。

    「天地納豆熱殺覇――解放!」

    轟音と共に、次元断層が前方に発生し、甘い罠もろともケーキの攻撃を飲み込んだ。

    「なっ……!」

    アマガシ・ケーキは一瞬怯んだが、すぐに鋭い笑みを浮かべた。

    「なるほど……なかなかやるわね、納豆少年」

    しかし、彼女の目にはまだまだ余裕があった。

    「でも、私のスイーツはまだまだ終わらないわよ」

    彼女は次の一手を構え、甘くも激しい戦いは更なる熱を帯びていく。

  • 7691◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:34:36

    マシュマロトラップに包まれながらも、奈刀パルマは冷静に状況を分析していた。

    「この甘さは…確かに癒し効果もあるが、動きを鈍らせるだけじゃない。…粘着性が高くて動けなくなると、かなり厄介だな」

    パルマは左手のヘル・ハンドを回転させ、円盤状のヘル・スライサーを繰り出した。

    「一気に突破する!」

    円盤状のエネルギーが白いマシュマロを切り裂き、トラップは次々と破壊されていく。しかしケーキは焦らない。

    「ふふ、私のスイーツはそれだけじゃないのよ!」

    ケーキは瞬時に新たな菓子を生み出し、甘い香りを放ちながらパルマの動きを封じるゼリーの塊を投げつけた。

    「ゼリーの牢獄、召喚!」

    パルマの動きは再び制限される。だが、彼は右手のヘヴン・ハンドのエネルギーを最大限に膨らませ、マシュマロやゼリーの粘着を押し返す。

    「ヘヴン・バースト、全力防御!」

    熱を帯びたエネルギーの壁がゼリーの牢獄を破壊し、パルマは勢いよく飛び出した。

    「こいつ、粘着系に弱いが防御に優れている……このままじゃ補給も間に合わない。ここで仕掛ける!」

    パルマは胸の納豆パックの残量を確かめ、次の必殺技を準備する。
    ケーキはそれを見て笑みを浮かべる。

    「いよいよ、クライマックスね。甘さの力、見せてあげるわ」

    両者、互いの必殺技を前に次なる戦いの火蓋を切った。

  • 7701◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:35:37

    奈刀パルマは胸の冷蔵庫から新しい納豆パックを取り出し、素早く装填した。

    「納豆菌の力、ここに極まれり……!」

    両手を胸の前で合わせ、ヘヴン・ハンドとヘル・ハンドのエネルギーを一点に集中させ始める。

    「天地納豆熱殺覇、発動!」

    次元断層が前方に裂け、濃厚な納豆の香りとともに強烈なエネルギーの波動が敵陣へと放たれた。

    一方、アマガシ・ケーキは素早くカウンターを放つ。

    「ここでスイーツの極みよ!」

    ふわりと空中に浮かぶ巨大なシュークリームが瞬時にパルマの前に降り注ぎ、断層を覆い尽くす。

    「甘くて硬い防壁……!?」

    パルマの攻撃はシュークリームの層に阻まれ、一瞬の隙を生んだ。

    ケーキはその隙を見逃さず、繊細なマカロンの針で攻撃を仕掛ける。

    「パリッときめてあげるわ!」

    マカロンの針がパルマの防御を貫き、胸部のジェネレーターに小さなダメージを与えた。

    「くっ…動力が不安定に……だがまだまだ!」

    パルマは冷静さを失わず、すぐさま納豆パックを交換しながら、守りを固め直す。
    両者の壮絶な攻防は、一進一退の激しい戦いへと加速していった。

  • 7711◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:35:58

    胸のジェネレーターから微かな警告音が鳴る中、奈刀パルマは最後の力を振り絞った。

    「ここで終わらせる…! 納豆の力、すべて注入!」

    彼は右手のヘヴン・ハンドと左手のヘル・ハンドから最大限のエネルギーを解き放つ。

    「天地納豆熱殺覇・究極版!」

    激烈な光とともに、納豆菌エネルギーが空間を震わせ、強烈な次元断層が形成された。

    その衝撃波がアマガシ・ケーキの作り出した甘美な障壁を貫き、周囲に甘い香りが残りながらも圧倒的な力を見せつけた。

    ケーキは衝撃に耐え、最後の菓子を手に構えたが、その瞳には尊敬の色が浮かんでいた。

    「…見事な戦いだったわ、奈刀くん」

    パルマも息を切らしながら頷く。

    「甘さも悪くない。でも、俺の納豆の誓いは揺るがない」

    戦いは終わり、二人の間に奇妙な友情の気配が漂う。

    甘さと納豆の、異色の戦いはこうして幕を閉じた。

  • 7721◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:36:23

    以上

  • 773二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 13:36:51

    なんて?

  • 774二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 13:37:14

    カオス……

  • 775二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 13:37:37

    お、おぉ……?引き分けで良いのかな?
    なんか変人同士が通じ合ったヤベぇ結末って感じだが

  • 776二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 13:39:23

    これは歴代でもかなりイカれたバトル……?

  • 7771◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 13:48:48

    次の安価は15:30から10個募集

  • 778二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:29:58

    このレスは削除されています

  • 779二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:薮内 正
    年齢:27
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:ある日突然自分を導く何かを認識した男。当初は疑い、逆らってみたが導きが完全に正しいことに気づき、自主的に思考することを諦めてしまった。ボサボサの髪で、無精髭が目立つ。アウトドア系のジャケットを着用している。導きに対応するため、無数の道具(シャベル、ロープ、ナイフ、懐中電灯、ラジオ、小型拳銃etc)を詰め込んだリュックサックを常に携行している。導きに依存し切っているため人間的な倫理は既に失われており、導きを見出し、従うためなら他者を殺傷することも厭わない。放浪生活によって一通りの事はこなせるほどの器用さと体力、機転を持つ。
    能力:導き?
    能力概要: 彼の周囲のあらゆる存在から彼にとって意味のある情報が浮かび上がる。ガラスのひび割れや飛び散った血痕は文字列となり、ラジオの無作為な単語や風の音は音声となって彼が次に取るべき行動を指し示す。一見不合理に思える行動も、回り回って彼に有利な展開に働く。彼自身は神のお告げと考えているが、原理は不明。
     :真鍮製のフラスコ
      彼の所持品の一つである、古びた真鍮製のフラスコ。これがどういったものかは本人も理解していないが、導きにしたがって管理している。正体は、カリキキ病罹患者の骨片を保存液に漬けたもの。開封すると、かつて一つの集落を石綿の砂漠に沈めた厄災が解き放たれる。
    弱点:身体的には人間の範疇を出ないため、物理的に導きに従うことが不可能な場合がある。
    要望(任意):億劫そうにボソボソ喋る。

  • 7801◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 15:30:00

    名前:ルミエール・アステル
    年齢:17歳
    性別:男性
    種族:人間(聖王国ルミナリアの王族)
    本人概要:
    純粋無垢で好奇心旺盛な17歳の王子。太陽系の星々に宿る力を受け継ぎ、己の心のままにそれらを操る。孤独や責任を抱えつつも、優しさと強い意思で王国を守るために戦う。哲学的な言葉を紡ぎ、周囲の人々に影響を与える存在。
    能力:星辰の力
    能力概要:
    太陽系の各惑星の特徴を能力として扱う。
    太陽の輝きで癒しと光をもたらす
    水星の速度で超高速移動
    金星の魅惑で感情を和らげる
    地球の絆で防御・回復支援
    火星の意志で戦闘力強化
    木星の重力で敵の動きを封じる
    土星の環で攻防一体のエネルギーリングを展開
    天王星の静寂で精神を落ち着かせる
    海王星の夢幻で幻覚を操る
    冥王星の秘密で闇のエネルギーを秘めるが制御には慎重さが必要
    弱点:
    能力は精神の純粋さと強い感情に依存し、精神的に動揺すると能力が不安定になる。
    長期戦には向かず、激しい能力使用で体力を著しく消耗する。
    彼の周囲には各惑星に対応したコアが浮遊しており破壊されると能力を使えなくなる。

  • 781二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:A・クロームマン
    年齢:35
    性別:男
    種族:サイボーグ
    本人概要:紛争地帯に生まれ、物心ついた頃にはすでに肉体の97%を機械化していた 終戦後も戦争の幻影に苛まれ殺戮を繰り返している
    能力:機械化した肉体
    能力概要:機械化した肉体に色々な武装が仕込まれている
    電磁刀:
    全身のあらゆる所に仕込まれた電磁刀 長さは色々あるがいずれも相手に電流を流し動きを封じることができる あと精度は微妙だが発射できる
    身体接続式機関銃:
    その名の通り左腕と融合した固定式機関銃
    斥力発生装置:
    肉体から衝撃波を一瞬だけ足元をのぞく全方位に発生させる 本人はノーモーションで使えるカウンターとして使う
    弱点:機関銃を撃つ時は反動を抑えるために動けない 斥力発生装置の斥力はかなり射程が短い上再発動に最低でも10秒はかかる 出力を上げればもっと伸びる
    要望(任意):相手を敵兵だと思い込んで襲いかかったりと言動が支離滅裂で戦争の中にいると思い込んでいるような感じでお願いします

  • 782二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:勇 次郎(いさむ じろう)
    年齢:46歳
    性別:男性
    種族:人間

    本人概要:
    大阪ミナミ界隈で「難波の範馬勇次郎」と呼ばれる伝説。背中の筋肉は確かに盛り上がっているが、腹にはしっかり生活感のある脂肪がついている。昼間はパチンコ屋の休憩スペースで週刊誌を読み、夜は立ち飲み屋で酔客に武勇伝を語るのが日課。戦闘時には上着を脱ぐが、下にユニクロのエアリズムが見えて一気に安っぽくなる。

    能力:関西流地殻拳《なんばグラウンド・ブレイカー》
    能力概要:
    近距離パワー型の肉弾戦を得意とし、素手でアスファルトを割る。気合を込めると背中の筋肉が「たこ焼きの山」のように盛り上がり、威嚇効果を発揮する。関西弁で挑発することで相手のペースを崩す“口撃”も武器。

    弱点:
    酒を飲みすぎており、すぐ足がもつれて戦闘不能。
    すぐに息切れする。

  • 783二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:ナッグレー・ファウスト

    年齢:20

    性別:男

    種族:人間

    本人概要:

    殴ることを愛する男。この世には「殴れば解決すること」と「いっぱい殴れば解決すること」の2種類しかないと本気で思っている。

    どんな相手だろうと殴り合えば分かり合えると考えているため、拳を使って相手を理解しようとする。

    相手の理解も説得も拳で行うし、蹴りも頭突きも拳で行う。

    能力:重力神

    能力概要:

    先代の重力神と対話(拳)の末に手に入れた能力。その名の通り重力を支配する能力。

    まるで使いこなせていないが、元は無能力者だったし、そもそも力が欲しくて対話(拳)したわけではないので気にしていない

    <<ギャラクティカ・インパクト>>

    全身に能力エネルギーを張り巡らせて放つ渾身の右。

    実際は張り巡らせた気になってるだけで何も変わってないので威力が上がるのはただのプラシーボ効果。

    弱点:

    ・攻撃のために能力を使わない。能力を使うのは防御などの戦闘補助のみ。

    ・拳以外で攻撃しない。蹴り等を行う場合でも最後に(拳)がつく。 ※例:蹴り(拳)

    ・上記2つの弱点「能力は補助のみ」「拳でしか攻撃しない」を自分で宣言する。

    ・数日前に止まりかけた心臓を自分で殴って治したばかりのため、肋骨が数本骨折したままの胸が弱点

    要望:〇〇(拳)を1回はやってほしいです

  • 784二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:独善の殉教者(本名? 忌部 紫苑 )
    年齢:10代?
    性別:女
    種族:人間(とある外宇宙の神の化身)
    本人概要:とても善良で人々を救う為であるのであれば自己犠牲も厭わない優しい子 自身の能力を使い人々を救うのが生き甲斐
    しかし実態はとある人々を救う為自身を生贄にする一族を見て【邪神】が思いついた悪趣味なパロディ、出来損ない
    自己犠牲は意味が無くリソースは他所から引っ張り結果として災害が起こるため 救った数と災害で死亡した数がトントンとなる
    本人は自身が化身であること能力使用で世界に様々な悪影響を起こしていることに無自覚
    仮に教えられた場合でも外敵排除モードに移行し 記憶が消されてしまう

    能力: 独善的救済
    能力概要:自分自身を生贄にすることで様々な奇跡が起こるぞ! 奇跡の規模が大きい程生贄の要求量も多いぞ!
    上記は嘘である
    本当の能力は奇跡は世界を構成する為に必要な力を掠め取り起こしているもので 結果として何処かで災害と呼ぶことすら生ぬるい天変地異が発生する
    殉教者が無自覚であるため無意味ではあるが能力使用時に自身の何処かが傷ついたり、失ったりする偽生贄仕様がある

    また対象者に自身の影響で災害が起きているなどを知らされると外敵排除モードが起動する 
    その際は意識を失い機械的になる 外敵排除モードの際には殉教者が無自覚である為に必要である偽生贄システムがOFFになる
    外敵排除モードの時は記憶が残らない

    弱点:殉教者は存在の核として多面結晶体型の宝石の首飾りがありそれを破壊されると 能力使用不可+ゆっくりと自壊する
    身体能力は少女程度
    また殉教者はただの首飾りだと思っている為 首飾りへの攻撃に対しては無防備(外敵排除モードを除く)
    天変地異は戦闘に影響せず何処かで発生するだけ
    要望(任意):外敵排除モードは一定の強さを持った相手以外には発動させないで下さい
    死亡時は自身のやってきた罪を自覚してごめんさいごめんなさいと謝りながら消滅していく感じで

  • 785二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:数言迅雷不及掩耳二律背反花拳繍腿破邪顕正天網恢々一騎当千安価落選明鏡止水勇次郎竹輪大明神剛毅果断(中略)則天武后堕天奈落天魔夜刀無双封印色即是空焼肉定食《無限》永遠絶対王屏風(かずこと じんらいふきえんせつにりつはいはんかけんじゅうたいはじゃけんせいてんもうかいかいいっきとうせんあんからくせんめいきょうしすいゆうじろうちくわだいみょうじんごうきかだん(中略)そくてんぶこうだてんならくてんまやとうむそうふういんしきそくぜくうやきにくていしょく《むげん》とわぜったいおうびょうぶ)
    年齢:32
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:数言家の無限の使い手。小さい頃に寿限無を読んでから、名前が長ければ長いほど強いと思っており、自分がこれまでに倒した相手の二つ名や異名を奪っている。名前が長いので無限屏風、と呼ばれている。これまで奪った名前を無限に続く屏風に書き込んでいる、いつか屏風を埋め尽くすのが夢。
    能力:無限
    能力概要:無限を操る能力。
    弱点:無限屏風の無限は、出力や威力を無限にするのではなく、無限に継続させる「無限」なので、ものの威力は変わらない。また、能力を使い続けると本人がガス欠で気絶する。
    要望(任意):一人称はアタシ、テンションが常にめちゃくちゃ高く、ァ゛が言葉の端々に挟まる口調。よく叫んでいる

  • 786二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:00

    名前:千堂 津(せんどう りつ)
    年齢:20歳
    性別:男
    種族:転移者
    人物概要:異世界から転移してきた青年で縁あって佐藤家で居候している
    要領の良さと天賦の才能、積み重ねた知識や力で佐藤家を金銭面や家事面で支えつつ国でも地位を築いている化け物級の逸材
    過去や元の世界、元の家族や友人のことは語らず話題にされる事すら嫌う
    性格はプライドが高く尊大で御曹司然としているがノせられやすくイジリがいがあり不本意ながら変な愛嬌がある
    胸の奥の本音や過去は誰にも語らず、過去が起因するのか正しさを嫌い人を信じず、稀に寂しい表情を見せる
    能力:共鳴の主(正式名称:【七彩】)
    能力概要:転移時、この世界の唯一神に願い授かった力
    彼の内に宿る固有の「色」と「力」を持った強大な存在【かれら】と共鳴し力の一部を貸してもらえる
    赫、蒼、翆、黄をメインに使い切り替えながら臨機応変に戦う。各々の性格的に力を貸してもらうのが難しい黎、皓、金も存在する
    弱点:同時に共鳴できるのは一体のみで、切替時には一瞬の隙が生じる
    短時間でのレンジャー切替や共鳴維持時間には限界があり切り替えるだけでも消耗も激しい
    戦闘センスは高いが経験は浅く戦闘慣れもしていないので性格も相まって脇の甘さがあり隙が多め
    身体能力と持久力は異次元級だが耐久は普通で、能力使用時は持久力を大きく消耗するので息切れは早い
    今の彼では【かれら】の力を十分に扱いきれず力は3割程度しか引き出せない
    要望:佐藤家の居候です、プライドが高そうで上から目線な口調と態度です
    マジ神に言った願いは「共に戦い信頼できる強き仲間達がほしい」です
    佐藤家から信頼の証として特別な剣を預けられています

  • 787二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:01

    名前:Dr.ラヴ(本名:ラヴリカ・T・マッドヘッダー)
    年齢:150歳(外見年齢は20代後半)
    性別:男
    種族:人間(サイボーグ)
    本人概要:100年以上に渡り活動してきた天才科学者。専門は生体工学であり、生命の神秘のほとんどを解き明かした異端者である。
    性格は自己中心的かつ英雄主義者。強力な力持つ人間は心身共に強大であるべきである、という独自の思想哲学を持ち、それを叶えることができる自分は最高の英雄であると考えている。最高傑作は救世機構S.S.S.だが彼としてはもう壊れていると見做している。なぜなら英雄は絶望なんてしないから、胸に燃える愛のためだけに拳を握る者こそ英雄なのだから。
    だからこそ、かつての供儀塚霊架に今でも焦がれている。正義なんて後付けのくだらない力に従うヤメイは真の英雄ではないじゃない。原初より存在する感情…即ち愛、胸の中の愛のために命の全てを捧げる少女こそが──
    能力:英雄機構S.S.S.
    能力概要:Science System:Storonger
    彼が百年以上に渡る科学力の結晶、そして彼自身を意味する兵装。
    生体工学の知識、そして生命の神秘を解き明かして得た最強最大の英雄兵装。
    その腕はどこまでも伸びて全てを掴んで砕く。脳髄はあらゆる知恵を閲覧し万物万象を解析する。両足は神速で大地を蹴り空の果てまで飛翔できる。さらに肉体を変質させることで剣や銃器など様々な武装を作り出すこともできる。
    さらに、腹部のリ・インカーネーションシステムでどれだけ肉体が損傷しようと無限に再生できる。
    弱点:腹部のリ・インカーネーションシステムを破壊されたら再生能力を失い大きく弱体化する。
    また彼本人は戦士ではないため一々動作が大ぶりで隙だらけ、武芸を嗜んでいれば彼の攻撃を見極めることは容易。
    また、供儀の一族に対してのみ戦闘行動が大きく鈍る。
    要望(任意):セリフは常にハイテンションかつマッド(供儀の一族は除く)

    「アンタは英雄失格ゥ!強さしか取り柄のないバカに世界が救えると思いますかァ!?できるわきゃねぇだろォ!やはりボクこそがッ世界を救える英雄の中の超ッ英雄だぁ!!」
    「アンタ…供儀の…いや、どうせあなたも最後にはああなる。壊れることが目に見えているシステムに、ボクはもう興味がない」

  • 788二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:01

    名前:ムール・ロウ
    年齢:14歳
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:弱冠十四にして事勿れ主義を突っ走る少年。根っからのトラブル体質で多々酷い目に遭ってきたため内心人間嫌い。常人なら命が幾らあっても足りない案件を切り抜けてきただけあって度胸や判断力、予測力は人外レベル。
    能力:投爆
    能力概要:自身が投げた物体を爆発物に変える能力。自由に起爆できるが爆発の威力は物体の質量に依存する。総じてかなり工夫の要る能力と言えるだろう。
    弱点:身体能力は少年に毛が生えた程度しかなく、能力の関係上頑強な相手は正面からだとほぼ無理。

  • 789二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:01

    名前:アリヅカヌシ
    年齢:数百年
    性別:なし
    種族:自然の神
    本人概要:蟻塚を司る神。自然に踏み入った者を制裁する。土砂を固めて作った砂山のような蟻塚にしめ縄をつけた外見。薄っすら人の顔のような形が浮き上がっている。
    能力:ムシヲカフモノ
    能力概要:本体の中心部にある巣穴から無数のアリを召喚する。アリに噛まれたものは体が徐々に変化し、最終的には蟻塚と同じ土と砂の塊となる。土と砂の塊に変化させた物体は本人の意志で自在に操ることができ、さらにそこからある程度のアリを湧き出させることも可能。アリは一体の力は弱いが多数集まると人一人持ち上げて動かすほどの力に。
    弱点:本体は頑丈だが動かない。逆にアリたちはスピードは速いが一匹一匹の耐久力は弱い。蟻塚は水に弱い。

  • 790二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:01

    名前:フォーミュラ
    年齢:???
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:この世の全てを数式で表せると考え、世界を数式に変換している狂人。フォーミュラは《ケ_カ_ィオス・"ゲニー_/EN_セン"_JOY /》が能力を己に使い続けた結果、存在が崩れて混沌に関する能力を得たのを見た。それを見た故に、己を数式で表せばさらに世界を数式で表せられると思考し、己を数式に変更した。結果、名前が数式を表す言葉フォーミュラになり、世界が彼を認識する形が少し数式になってしまった。その対価に《イクエーション》が強化された。
    能力:《イクエーション》
    能力概要:ありとあらゆる物・生命を数式に変換出来る能力。数式に変換されたら、その姿は誰にでも見える数式で構成される。物を数式に変換し、数式の問題を解いたら分解して再構成したり、生命を数式に変換し、数式の問題を解いたら設定の改変が出来る。自分を数式に変換し、数式の問題を解いた場合は自分の身体能力を弄れて、あらゆる競技のプロレベルの身体能力を得る。ただし、対象が複雑である程、変換される数式も高度かつ難解になり、解読には多大な演算能力が必要になる。数式を解く方法は、計算である。
    例 単純な場合は、-5×-25の数式などになる
    弱点:存在が数式になってしまった為に、七つの数式に覆われており、数式を解かれると身体能力が数式を解いた者が好きに変更出来る。
    欠損や姿形が変化などの変化した場合はまた数式を組み立てしないと、能力が発動しない。
    自分自身を理解している為、自身を数式にする場合は、比較的簡単な数式になってしまう。
    《イクエーション》は感情を変数としているので、感情を持つ存在には少し時間が掛かる。

  • 791二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:02

    このレスは削除されています

  • 792二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:02

    名前:槍術院 百鋭(そうじゅついん びゃくえい)
    年齢:51
    性別:男
    種族:人間
    人物概要:神鏡皇直属の異能者・鬼(魔性)狩り。浪人傘で顔を隠し、血塗れの僧衣を纏っており一眼でヤバいと分かる。
    自らの伴侶と娘を悪しき鬼の末裔に殺され、それ以来、手段と目的が逆転し、罪も無い異能者や人ならざる者、それらに与する者すら躊躇いなく殺すようになってしまった。
    能力:異能殺しの槍
    能力概要:・大事な家族を喪って以降、己の命すら顧みず、ひたすらに鍛え上げられ、神仏の領域に到達した槍術。先の先と称される殺気や闘志を感じ取る先読みの技術に長ける。
    ・梵字が刀身に刻まれた十文字槍。この刃は異能や人ならざる者の能力を打ち消してしまう。魔術的な鎧や盾であっても魔術防御の効果は失われ、物理的な強度のみで判定を行う。
    弱点:・異能殺しの槍が異能を殺せるのは「刃が触れている部分だけ」「刃が触れている間だけ」。
    例として、ビームを撃たれても刃の部分だけ消えて後は素通りしてしまうので防御には致命的に向かない。一度消しても刃から離れてもう一度発動すれば即座に元通り。
    「異能で石を操る」ならば無効化できるが、「異能で投げられた石」は無効化できない。
    ・耐久力は人間相当。また、家族を奪われた時に右目を失っているので、視界の右側に死角がある。

  • 793二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:02

    名前:裏伏
    年齢:30歳
    性別:男
    種族:裏ボス
    本人概要:
    強大な力を持つ闇の組織を裏から支配する裏ボス。最低な性格のクズであり邪魔者排除や物品の奪取などの目的の為なら手段を選ばない。
    闇の組織の中でも暗殺術と智謀は他の組員を遥か凌駕するレベルであり、罠や仕込み武器により意識の外から攻撃を行う事で相手は気付かぬうちにどんどんと不利な状況へ追い込まれる。
    長年権謀術数渦巻く裏世界で生き抜いてきたため、どんな状況も予測し即座に対処できるほどに状況適応力がズバ抜けて高いのが最大の強み。
    能力:[裏ワザ]
    能力概要:
    常識や物理法則といった世界の法則から外れた現象を自在に発現し操る能力。
    ゲームなどで特定のコマンドを行い通常発生しない挙動を意図的に再現するようなもの。
    この能力によって何ができるかは使用者の想像力に依拠する。
    今まで裏伏が[裏ワザ]で発現させた現象としては「小さなナイフで戦艦を両断する」、「自身の周囲だけ時間の流れを加速し高速で移動する」、「壁をすり抜ける」といった事例が確認されている。
    弱点:
    [裏ワザ]の発動には予備動作が必要であり隙が大きい。耐久力は一般人程度。
    両腕両脚が義手義足になっているため脆い。

  • 794二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:10

    名前: バーナビー・デッドマン
    年齢: 28歳
    性別: 男
    種族: 人間
    本人概要:
    石畳を血で濡らす、ロンドン裏社会の暴力装置。かつて東区の違法賭博場で「死神の右」とまで呼ばれた元ボクサー。現在は殺し屋三兄弟「デッドマン・ブラザーズ」の次兄として暗躍している。
    獣のように太い首と鉄骨のような腕を持ち、上着も着ずに血染めのサスペンダー姿で歩く。
    戦闘では一切の武器を使わず、拳のみで人間の頭蓋を叩き潰すことに美学を見出す。戦う前には礼儀として相手に「歯を抜くか、命を抜くか」と尋ねる習慣がある。
    3兄弟ともどもエドワード・ブラックモアに雇われている。
    能力: 『屠殺屋の右腕(ブッチャーズ・アーム)』
    能力概要:
    常人の数倍に発達した右腕は、鉄製のドアも素手で粉砕できる規格外の怪力を誇る。骨格・筋肉・腱が異常に強化されており、痛覚が鈍化しているため、斬撃や銃弾もある程度無視して接近してくる。
    敵にとっては、彼の一発を食らう=戦闘不能を意味する。
    彼の拳は殺しの道具ではなく、屠殺の工程。敵を叩き潰すたびに「良い音だ」と満足そうに笑う。
    弱点:
    ・頭脳戦に極端に弱く、罠や心理戦にすぐ引っかかる。
    ・鈍重で、スピード型や遠距離型の相手に対応しにくい。
    ・能力が物理依存なため、動きを封じられるとただの脳筋になる。

  • 795二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:22

    名前:埋葬者
    年齢:既に忘却している(見た目は15歳くらい)
    性別:女性
    種族:死人
    本人概要:身体に包帯を巻いた褐色の少女、黄金や装飾品を纏い、鎖付きの棺桶を引いている、可愛い顔して性格は割と尊大
    能力:埋葬
    能力概要:地を割り、砂と亡者達の手を操りあらゆる者を埋葬する
    また埋まっているものならば「埋葬品」として取り出して過程をすっ飛ばして利用する権限を持つ
    また既に「埋葬」されている者である埋葬者は既に死んでいる存在である為、身体を吹き飛ばされてもその活動を停止させる事は出来ない
    弱点:引いている棺桶の中のミイラの心臓を滅する事で完全に滅ぼす事が出来る
    埋葬品の一回の戦闘で使用回数は各一回のみ
    亡者は数が多いだけで一体一体はそんなに強くない
    また彼女は生前に片目を奪われた影響で半永久的に左側の眼が見えない
    その為彼女から見て左側の空間に関しては反応が遅れ、能力の操作も甘くなる

  • 796二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:43

    みんな早過ぎ!!

  • 797二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:30:45

    おわれー

  • 7981◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 15:30:49

    審査タイム

  • 799二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:31:04

    このレスは削除されています

  • 800二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:33:10

    >>799

    違う

    ムール・ロウまで

  • 801二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:33:30

    >>799

    >>788までじゃない?>>778はフライングで安価漏れ

  • 802二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:35:08

    >>800

    >>801

    すまん間違えてた

    次はフライングを見逃さないようにしよう

  • 803二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:42:30

    独善の殉教者とDrラヴ 当たると熱いがどういう組み合わせになるかな

  • 804二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:45:48

    カリキキ病ってシファのやつ?

  • 8051◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 15:48:28
  • 806二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:49:05

    >>804

    そうだけど、今回カリキキ関連のキャラいる?

  • 807二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:49:32
  • 808二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:50:39

    >>806

    薮内が患者の骨片もっとるみたい

  • 809二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:51:01

    >>805

    対戦カード

    楽しみにしてます

  • 810二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:52:08

    >>805

    すみません、今から無限屏風の要望のところに

    もし勝ったら相手の二つ名を奪わせて下さい

    って付け加えて良いですか?

  • 811二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 15:55:56

    このレスは削除されています

  • 812二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:02:56

    このレスは削除されています

  • 813二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:22:18

    >>805

    すみません、勇次郎の要望のところに


    ・背中に「力龍」と彫ってあるが、彫師が知り合いの後輩で線がガタガタ。


    ・戦闘前は「わしが難波の勇次郎や…殺るか?」と必ず名乗る。


    の追加お願いしてもいいですか?

  • 8141◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 16:31:52

    勇 次郎vsナッグレー・ファウスト
    ルミエール・アステルvs千堂 津
    数言迅雷不及掩耳二律背反花拳繍腿破邪顕正天網恢々一騎当千安価落選明鏡止水勇次郎竹輪大明神剛毅果断(中略)則天武后堕天奈落天魔夜刀無双封印色即是空焼肉定食《無限》永遠絶対王屏風vsムール・ロウ
    Dr.ラヴvsA・クロームマン
    独善の殉教者vs薮内 正

  • 815二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:38:17

    生体サイボーグと機械サイボーグバトルか
    楽しみ

  • 816二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:39:38

    相手はスレ主のキャラだぜ!
    しかも能力数がどっちも多いから楽しそう!

  • 8171◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 16:40:54

    あ、すいません
    千堂の剣に関してはなしにしてもらいます
    どんな盛られ方するかわからないので

  • 818二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:42:15

    スレ主これ

    >>810

    とこれ

    >>813

    は良い?

  • 819二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 16:45:02

    >>817

    了解です

    でも剣は使いたいので要望に「剣がメイン武器」の追加お願いします

  • 8201◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 16:48:08

    >>818

    いいですよ

    >>819

    了解です

  • 8211◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:25:30

    題名『拳語り』

  • 8221◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:28:20

    夜の大阪・ミナミ。
    ネオンが濡れた路面に反射し、たこ焼き屋台から漂うソースの匂いが路地裏まで届く。
    その狭い路地で、二人の男が対峙していた。

    一人は、拳でしか語らない青年──ナッグレー・ファウスト。
    彼は胸の肋骨にまだ鈍い痛みを抱えながらも、拳を握る音を響かせていた。

    「殴ればわかる。いっぱい殴ればもっとわかる。それだけだ。」

    その瞳には、信念というよりも純粋な好奇心の色が宿っている。

    もう一人は、大阪ミナミの伝説──勇 次郎。
    背中の筋肉は確かに盛り上がっているが、その下腹には中年特有の生活感がたっぷり。

    「なんや若造、ミナミで拳交えようっちゅうんか?ええで、来いや。」

    口の端からは、立ち飲み屋で呑んだばかりの酒の匂いが漂う。

    勇 次郎はエアリズムのシャツの袖をめくり、地面を軽く踏み鳴らす。
    その一歩で、アスファルトがピシリと音を立てた。

    「これが関西流地殻拳《なんばグラウンド・ブレイカー》や。地べたにひび入れたんで、もう逃げられへんで。」

    ナッグレーは軽く笑う。

    「へえ、地面割れるのか。でも俺は殴る(拳)しかできない。」

  • 8231◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:28:59

    そして一歩前に出た。
    彼は右拳を構え、ゆっくりと持ち上げる。
    肋骨の痛みが走るが、それすら「拳で語る」ためのスパイスだ。

    勇 次郎は挑発的に笑い返す。

    「おうおう、そんなヒョロ腕で俺の背中割れると思っとんか?背中はたこ焼きの山やで!」

    背中の筋肉を盛り上げ、まるで屋台の鉄板に並ぶたこ焼きのように見せつける。

    次の瞬間、ナッグレーが踏み込む。

    「重力加速(拳)ッ!」

    能力で自身の体を押し出すように前へ──しかしあくまで拳を補助するためだけ。
    右拳が空気を裂き、勇 次郎の頬に向かって一直線。

    ゴッッ!!

    勇 次郎の顔がわずかにのけぞる。
    だがその目は笑っていた。

    「ええやんけ…もっと来いや、若造。」

    ナッグレーは、静かに左拳を構え直す。

    「じゃあ今度は、もっとわかり合おう。」

    夜のミナミに、拳の音が響き渡る。
    人々は遠巻きにその様子を見つめ、たこ焼きの匂いの中で、伝説と拳の男の戦いが始まった。

  • 8241◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:30:55

    勇 次郎の関西弁は、殴るよりも先に相手の意識を揺らす。

    「おまえ、パンチはそこそこやけど足の運びがガキやなぁ。ミナミの猫の方がまだキレあるで。」

    その言葉に周囲の酔客がクスクスと笑う。
    挑発は効いている──しかしナッグレーは口角を上げた。

    「口で戦うなら俺は負ける。でもな、拳で戦うなら…話は別だ。」

    彼は再び踏み込み、右のジャブを連打する。

    「理解(拳)!理解(拳)!理解(拳)!」

    まるで連打するたびに相手を“理解”しているかのようなリズム。
    勇 次郎の頬に刻まれる衝撃の連続は、酔いも少しずつ飛ばしていく。

    「ぬぅ…やるやないか!」

    勇 次郎はふらつきながらも、拳を構えた。
    地面に力を込めると、アスファルトが小さく震える。

    「地殻崩撃(拳)ィッ!」

    右のストレートと同時に足元の地面がパキンと割れ、その衝撃でナッグレーのバランスが崩れる。

    しかしナッグレーは、崩れた足元ごと前に出た。

    「転倒防止(拳)!」

    重力を少しだけ操作し、自分の体を地面に吸い付けるように安定させる。

  • 8251◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:31:40

    それは防御のための能力──つまり彼の流儀に反しない。

    距離が詰まる。
    二人の拳が、ほぼ同時に放たれた。

    ドゴッ!!

    衝撃で二人ともわずかに後退し、息を切らす。
    勇 次郎の額から汗が伝い、ナッグレーの肋骨がズキリと悲鳴を上げる。
    しかしどちらの目にも、撤退の色はない。

    「若造…お前、もしかしてホンマに…」

    勇 次郎の目が、酔客の時とは違う真剣さを帯びる。
    ナッグレーはニヤリと笑い、ただ一言。

    「もっと殴ればわかる。」

  • 8261◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:32:39

    夜のミナミ、路地裏。
    酔客も物好きも、すでに二人の戦いを囲む輪の一部となっていた。
    静かな熱気の中、再び拳が構えられる。

    「ええ加減、肩で息すんのやめとけや。年寄りは心臓止まんで?」

    ナッグレーが笑いながら言う。
    勇 次郎は鼻で笑い返す。

    「せやかてワシは、今が一番生きとる気ぃするんや。」

    再び、距離ゼロの殴り合い。
    バチン!ゴンッ!ドガッ!
    拳と拳がぶつかり、頬を撃ち、肋骨を揺らす。
    勇 次郎の拳は重い。だがナッグレーの連打はしつこい。

    「理解(拳)!」
    「理解(拳)!」
    「理解(拳)ぃぃぃッ!」

    勇 次郎の足元がふらつき始める。酒と疲労、そして何より拳の嵐が効いていた。
    だが、その瞬間。

  • 8271◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:33:08

    「…地殻崩天(拳)ッ!!」

    勇 次郎の拳が真上から叩きつけられ、地面が大きく割れ、土埃が舞い上がる。
    その一撃は酔いも疲れも超えていた。

    しかし土埃の中から聞こえてきたのは、倒れる音ではなく、足音。

    「…それ、いいな。俺も…最大の理解を返す。」

    ナッグレーの右拳が振りかぶられた。
    ギャラクティカ・インパクト──ただのプラシーボ、しかし心は全力。

    ドゴォォォンッ!!!

    衝撃で二人とも吹き飛び、アスファルトの上に転がる。
    観客が息を呑む中、先に動いたのは勇 次郎だった。
    彼は苦笑しながら立ち上がり、ナッグレーに手を差し出す。

    「…わかったわ。お前は拳で語れる男や。」

    ナッグレーも手を掴み、立ち上がる。

    「俺もわかった。あんたは拳で語れるオッサンだ。」

    こうして二人は、拳で分かり合った。
    勝敗は──拳を交わした者だけの胸の中に。

  • 8281◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 21:34:07

    以上
    IQ低めにつき(拳)

  • 829二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:36:14

    勇まで(拳)が伝染してやがる…!
    面白いから神作です、ありがとう

  • 830二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:36:33

    迷言が生まれた

  • 831二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:37:21

    熱い脳筋勝負だ!

  • 832二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:37:33

    理解(拳)!理解(拳)!理解(拳)!

  • 833二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:49:53

    背中にたこ焼きが宿ってる!!

  • 834二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 21:59:00

    でっかい通天閣載せトンのかい!

  • 8351◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:02:18

    題名『光と色の狭間で』

  • 8361◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:05:03

    夜の静寂に包まれた古代遺跡。
    崩れ落ちた柱と苔むした石畳が、月明かりに淡く照らされている。

    風が吹くたび、瓦礫の隙間で草がざわめき、小さな砂利が転がる音が耳に届く。

    ルミエール・アステルは、足元に広がるひび割れた石畳を踏みしめながら歩いていた。
    肩までの銀髪が月光を受け、淡く輝いている。

    その周囲には八つの小さな光球――太陽系の惑星のコア――がゆっくりと回っていた。
    それらは脈を打つように瞬き、少年の呼吸と同調している。

    彼は立ち止まり、顔を上げた。
    雲ひとつない夜空に、星々が煌めいている。

    「……まだ、足りない」

    その声は小さく、しかしはっきりと夜に溶け込む。

    「王国を守るために……あの日みたいな後悔は、もうしたくない」

    彼の脳裏には、燃え上がる城と、泣き叫ぶ人々の姿がよぎった。
    拳を握りしめると、周囲の光球が淡く強く光を放つ。

    その時――。

    コツ……コツ……。

    古びた石畳を踏む、規則的な足音が響いた。
    振り返ると、闇の奥からひとりの青年が歩み出てくる。

  • 8371◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:06:51

    黒い髪を後ろに流し、鋭い目つきでこちらを見ていた。
    千堂 津――異世界から転移してきたと噂される男。

    その立ち姿には、場数を踏んだ戦士の落ち着きと、何かを試すような挑戦的な気配が漂っている。

    「……王子サマが、こんな夜更けに一人とは珍しいな」

    声は低く、わずかに嘲笑を含んでいた。
    ルミエールは瞬きをひとつして、口を開く。

    「あなたこそ、この遺跡で何をしているんです?」

    千堂は短く笑い、肩をすくめた。

    「見ての通り散歩……ってわけじゃねぇ。
    少し、この世界の“力”を試したくてな」

    「力……」

    ルミエールは目を細める。

    「試す相手は、僕だと?」

    「お前がそう言うなら話は早い」

    千堂の目が一瞬鋭さを増す。

    「俺は遠慮はしないぞ」

    ルミエールは表情を崩さずに答える。

  • 8381◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:09:27

    「僕も同じです。
    手加減する理由はありません」

    二人の視線が絡み合い、空気が一瞬で張り詰めた。
    星々の光が二人を照らし、遺跡の空間が戦場へと変わっていく。

    千堂がゆっくりと歩み寄る。
    その足音は先ほどよりも重く、確実に距離を詰めてくる。

    「後悔しない覚悟はできてるか?」

    「覚悟なら……この星々と共に、ずっと前から」

    千堂が口元に薄い笑みを浮かべた瞬間、ルミエールの光球が一斉に強く輝いた。

    夜が、戦いの幕開けを告げていた――。

  • 8391◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:10:32

    最初に動いたのは千堂だった。

    「赫」

    低く呟いた瞬間、彼の全身が赤い光に包まれる。
    足元の石畳が爆ぜ、空気が焦げたような匂いが広がった。

    次の瞬間、千堂は消えた。
    いや――消えたように見えるほどの速度でルミエールの懐へと踏み込んだのだ。

    ルミエールは目を細める。

    「水星――」

    青白い光が足元から走り、彼の体が一瞬で横へと飛ぶ。
    千堂の拳が空を裂き、その衝撃だけで石畳が抉れた。

    「へぇ……避けるか」

    千堂は口の端を吊り上げた。

    「だが、次はどうかな」

    再び足が地を蹴り、赤い残光が閃光のように迫る。
    ルミエールは瞬時に火星のコアを輝かせた。

    「火星!」

    拳に宿る紅い意志が爆ぜ、千堂の一撃を正面から受け止める。
    衝撃波が遺跡を震わせ、砕けた石片が夜空に舞った。

  • 8401◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:11:48

    二人は拳と拳を押し合いながら、互いの瞳を見据える。

    「悪くないな、王子」

    「あなたも、ただの異世界人じゃないようですね」

    千堂は笑みを深める。

    「そうだろうよ……俺には“かれら”がいる」

    言葉と同時に、赤の光が青へと変わった。
    冷たい風が渦巻き、千堂の周囲に鋭い圧が生まれる。

    「蒼」

    その声と共に、千堂の拳が空気を裂いた。
    動きが重く、だが速い――氷のような圧力が乗った打撃がルミエールを襲う。

    ルミエールはすぐに土星のコアを輝かせ、黄金の環を展開した。

    「土星!」

    光のリングが千堂の拳を受け止め、火花のようなエネルギーが散った。

    しかし千堂はすぐに引かない。
    体を低く沈め、リングを足場にするように跳び上がった。

    その動きに、ルミエールの眉がわずかに動く。

    「なるほど……臨機応変ですね」

  • 8411◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:12:54

    「褒め言葉として受け取っとくよ」

    千堂の蹴りが夜空から振り下ろされる。
    ルミエールは地球のコアを輝かせ、全身を青緑の光で包んだ。

    衝撃が走り、地面が大きくひび割れる。
    だがルミエールは踏みとどまり、千堂の足を掴むとそのまま後方へと投げ飛ばした。

    千堂は空中で体を捻り、軽やかに着地する。

    「……やっぱ面白ぇな、お前」

    「僕も同じです」

    互いの口元に、不思議な笑みが浮かんでいた。
    これはただの勝負ではない――互いの存在を確かめ合う戦いだと、どちらも理解していた。

    そして、次の瞬間には再び動き出す。
    赤と青、そして黄金の光が夜を切り裂き、古代遺跡を震わせ続けた。

  • 8421◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:14:09

    千堂の足元に、蒼の光が深く沈んでいく。
    次の瞬間、冷気が弾け、石畳の表面に霜が走った。

    「凍れ――」

    低い声と同時に、彼の拳が氷の尾を引きながら突き出される。
    ルミエールは反応し、天王星のコアを輝かせた。

    「天王星!」

    淡い緑の光が広がり、空気が静まり返る。
    その静寂の中、千堂の拳は寸前で勢いを削がれ、霜が空中で砕けた。

    「……精神を鈍らせるか。厄介だな」

    千堂は舌打ちをし、すぐに翆の共鳴へと切り替える。
    深い緑の光が彼の全身を包み、周囲の重力が乱れた。

    ルミエールの足元がわずかに沈む。

    「重力……」

    だが、彼は即座に木星のコアを輝かせる。

    「木星!」

    圧倒的な重力の波がぶつかり合い、空間が軋んだ。
    二人を中心に空気が歪み、古代の石柱が一斉に倒れる。

    千堂は重力のぶつかり合いの中で笑った。

  • 8431◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:15:57

    「面白ぇ……なら、これはどうだ!」

    共鳴が黄へと変わる。
    黄色の光がほとばしり、速度と反射が爆発的に高まった千堂が一気に距離を詰める。

    「!」

    ルミエールは水星の速度で応じるが、黄の千堂はその動きに追いつく。
    まるで鏡合わせのように、二人は超高速で打撃を交わし続けた。

    拳が交差するたび、空気が弾け、耳鳴りが響く。
    速度は次第に制御不能な領域へと突入していく。

    「くっ……!」

    ルミエールは火星を呼び起こし、速度に力を乗せて千堂を弾き飛ばした。
    だが千堂は受け身も取らず、地面を転がりながらも即座に立ち上がる。

    「今のは効いた……だが、止まらねぇ!」

    再び赫へと切り替え、赤い光が爆発する。
    その勢いでルミエールの防御を貫きかけた瞬間――

    ルミエールの声が夜に響く。

    「冥王星!」

    闇色の光が爆ぜ、千堂の視界が一瞬で霞む。
    幻か、闇か、あるいはその両方か。
    千堂は一歩遅れ、赫の勢いを制御できずに石壁へと叩きつけられた。

  • 8441◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:16:36

    石片が崩れ落ち、粉塵が舞う。
    その中から千堂がゆっくりと姿を現す。
    口元には、怒りとも笑みともつかない表情があった。

    「……王子。やっぱ、面白すぎだろ」

    ルミエールは静かに息を吐き、構えを崩さない。

    「こちらも本気を出さなければ、すぐに負けてしまいそうですからね」

    次の一手を決めるため、二人はほんの数秒だけ互いを見据えた。
    だが、その沈黙の奥では、次の衝突がすでに始まっていた。

  • 8451◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:17:10

    粉塵が風に流され、夜空の下、二人の視線が再び交差する。
    その空気には、さっきまでの探り合いではなく、決着を求める焦燥と覚悟が滲んでいた。

    千堂は息を荒げながらも、口角をわずかに吊り上げる。

    「王子。お前……本当に手加減なんざできねぇ奴だな」

    ルミエールは静かに微笑む。

    「お互い様でしょう。ですが――そろそろ、どちらかが倒れる時間です」

    千堂の蒼い共鳴が再び光を帯び、冷気が空気を裂いた。
    氷が足元を這い、ルミエールの動きを封じようと迫る。

    ルミエールは太陽のコアを輝かせ、氷を瞬時に溶かす。
    光が千堂の視界を焼くように突き刺さる。

    「眩しいな……!」

    千堂は視線を逸らしつつも、黄の共鳴へ切り替えて突撃する。
    だが、その切り替えの一瞬――ほんの瞬きほどの隙を、ルミエールは見逃さなかった。

    「木星!」

    重力の奔流が千堂の動きを一瞬だけ止める。
    その隙に、火星の意志を乗せた一撃が千堂の胸元へと突き刺さった。

  • 8461◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:18:35

    鈍い衝撃音。
    千堂の身体が後方へ吹き飛ぶ。
    だが――倒れない。
    彼は膝をつきながらも、赫の光を燃やし、無理やり立ち上がった。

    「……まだ……だ」

    ルミエールは内心で舌を巻く。
    この男、限界を超えてなお前に立つ意志を持っている。

    千堂の赫が爆ぜ、足元の石畳が砕ける。
    炎のような勢いで突進し、ルミエールとの距離をゼロにする。

    「ッ!」

    衝撃が交差し、光と色が夜空に散った。
    互いの力が正面からぶつかり、空間そのものが軋む。

    その均衡は――わずかに千堂が押し返される形で崩れた。
    足元がよろけ、千堂は膝を地面に突く。

    「……クソッ……!」

    ルミエールは静かに剣を構え、声を落とす。

    「まだ立ち上がるなら……次は、容赦しません」

    千堂は荒い息を吐きながらも、視線だけは鋭く王子を射抜き続けていた。
    決着まで、もう数合。
    その緊張は、戦場の夜をさらに熱くしていく。

  • 8471◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:19:53

    千堂の肩で荒い呼吸が波打つ。
    蒼の冷気も赫の炎も、もう長くは保たない。
    それでも――その目は負けを認めていなかった。

    「……まだ終わっちゃいねぇ」

    声は掠れている。
    だが、足は前に出た。

    ルミエールは剣を下げず、その動きを注視する。
    内心では、すでに千堂の消耗を見抜いている。
    だが、彼の歩みに込められた何かが、王子の胸にわずかなためらいを生ませた。

    千堂は黄の共鳴へと切り替えようとする。
    しかし切り替えの瞬間、視界が揺れた。
    身体の芯から力が抜け、世界が遠ざかる感覚――

    「しまっ――」

    その隙を逃さず、ルミエールの火星が輝く。
    重力の束縛が再び千堂の足を縫い止め、炎の剣閃が彼の脇腹を浅く裂いた。

    鋭い痛みと同時に、千堂の意識に警鐘が鳴る。
    これ以上の連続切り替えは、限界を越える。

    だが――彼は笑った。

    「やっぱ……手加減なしってのは……こうじゃなきゃな」

    次の瞬間、千堂は翆の共鳴を解放。

  • 8481◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:20:38

    風が巻き起こり、地面の破片が宙に舞う。
    その勢いのまま、渾身の踏み込みでルミエールに迫った。

    ルミエールは太陽の輝きで迎撃に入る。
    二つの力が正面からぶつかり合い、轟音が夜を裂く。

    しかし――押し切ったのはルミエールだった。
    千堂の翆は途中で息切れし、勢いが途切れる。
    その瞬間、王子の剣が彼の胸元に突きつけられる。

    「……ここまでです」

    千堂は歯を食いしばり、剣先を見下ろす。
    足は震え、肩で呼吸を繰り返す。
    動こうと思えば動ける――だが、勝てる未来はもうないと悟っていた。

    ルミエールは目を細めた。

    「あなたの力と意志は、本物です。ですが――今は、私が上でした」

    千堂はゆっくりと、肩を落とした。
    それでも口元に浮かんだ笑みは、敗北者のものではなかった。

  • 8491◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:21:09

    風が止み、戦場の静寂が訪れる。
    宙に漂っていたルミエールの惑星コアも、ゆっくりと軌道を下ろした。

    千堂は剣先を押し返すことなく、その場に膝をつく。
    息は荒く、汗が首筋を流れ落ちる。
    それでもその瞳には、敗北への悔しさと同時に、どこか満足した光があった。

    「……くそ……ほんと、負けたな」

    ルミエールは剣を下げ、静かに彼の前に立つ。

    「強き仲間を求めた願い――
    あなたがそう願った理由は、聞きません。
    けれど、あなたの力と想いは確かに届きました」

    千堂は鼻で笑い、顔を上げる。

    「……相変わらず王子様はキレイごとが得意だな」

    その声は、皮肉というよりも、少し照れを含んでいた。

    ルミエールは右手を差し出した。
    陽光を宿したかのように温かい掌。

    「共に歩む道を選びませんか」

    千堂はしばらくその手を見つめた。
    胸の奥にある過去の傷が、まだ疼く。

  • 8501◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:22:28

    だが――今この瞬間だけは、その痛みよりも、戦った相手への信頼が勝っていた。

    「……まぁ、悪くねぇ」

    そう呟き、彼はその手を握った。
    硬く、だが心地よい握手だった。

    戦場に再び風が吹く。
    星々の光が夜空で瞬き、二人の影を長く伸ばす。

    ルミエールは微笑み、千堂は口元だけで笑った。

    こうして、星辰の王子と七彩の転移者の戦いは、互いの心に爪痕を残しつつ幕を閉じた。
    だが――それは始まりにすぎなかった。

  • 8511◆ZEeB1LlpgE25/08/12(火) 23:25:43

    以上

  • 852二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 23:26:57

    やっぱ色々な能力をコロコロと切り替えて戦うの好きだわ自分

  • 853二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 07:57:27

    心に傷を負ったキャラが信頼できる仲間を得るシーンはいつ見てもいいものだ

  • 854二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 15:29:30

    期待

  • 855二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 23:34:53

    保守(拳)!

  • 8561◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:13:11

    題名『無限爆裂』

  • 8571◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:14:08

    ムール・ロウは今日も、できれば何も起こらない一日を望んでいた。しかし、運命というのは往々にして――いや、常に――彼の願いを無視する。

    「今日こそ、平穏無事に――」

    と独り言を呟きながら、狭い路地を歩くムールの手には、小さな石ころが握られていた。軽く手のひらで転がすだけで、投爆の能力を発動できる。その威力は石の質量次第だが、扱い方次第で十分な脅威になる。

    だが、路地の先から突然、叫び声が響いた。

    「ァ゛ァ゛ァ゛――ッ!見たかァ゛!?この長さァ゛!!無限ァ゛ッ!!」

    振り返ると、そこに立っていたのは、名高き“数言無限屏風”。その体躯は普通の人間に見えたが、放たれるエネルギーは常識の範疇を軽く超えていた。頭の先からつま先まで、名前の長さに比例するかのような圧迫感が周囲を包む。

    「……うわ、なんだこのテンション……」

    ムールは呆然とつぶやいた。これまで幾多のトラブルを避け、切り抜けてきた彼でも、この人物の存在感には少し引いてしまう。

    「アタシがァ゛無限屏風だァ゛!今日もァ゛お前をァ゛遊んでやるァ゛ッ!!」

    叫びながら、数言無限屏風は無限屏風を広げるように腕を振る。すると、周囲の空間が淡く振動し、彼の名前が無限に続く文字の奔流として現れた。その力の持続は無限だが、威力自体は常識内に収まる――とはいえ、普通の人間なら十分すぎる威圧だ。

    「……ま、まあ……こういうの、回避した方が安全だよな」

    ムールは小さく息を整えると、手に握った石をそっと路地の壁に押し当てた。ほんの一瞬で起爆点を設定し、爆発の準備を整える。身をかがめて次の瞬間に備える。

  • 8581◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:14:34

    「ァ゛――何だァ゛!?その構えァ゛!!」

    数言無限屏風は叫びながら間合いを詰める。だが、ムールは爆発のタイミングを計り、無駄なく能力を発動する。

    ドォ゛ォ゛ォ゛――ンッ!!

    小さな石から発生した爆発が路地の壁を粉砕し、衝撃波が数言無限屏風を押し返す。驚きつつも、彼のテンションは全く揺るがない。

    「ァ゛ァ゛――ッ!?くぅ゛ッ!?やるじゃねえかァ゛、小僧ィ゛ッ!!」

    その瞬間、ムールの心臓は高鳴った。今まで避け続けてきた“トラブル”が、こうして現実のものとなる。だが、これは単なる出会いに過ぎない――本当の戦いは、これからだ。

    ムール・ロウは無表情のまま拳を握り直す。そして、数言無限屏風の無限屏風の奔流を見据えた。

    「……やるしかねぇな」

    小さな体に秘めた大爆発の可能性が、今、目の前の“無限”とぶつかろうとしていた。

  • 8591◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:15:15

    「ァ゛――ッ、よくもァ゛――ッ!」

    数言無限屏風が吠えた瞬間、無限屏風の文字の奔流が路地中に押し寄せる。文字が壁や地面を無数に駆け巡り、触れたものを振動させ、微細な圧力で周囲を押し潰すようだ。威力は無限ではないが、その継続力と規模に圧倒される。

    ムール・ロウは冷静に石を握り直した。彼の能力「投爆」は単なる爆破ではない。石を投げる角度、起爆タイミング、周囲の地形、風の流れ――それら全てを計算に入れ、最も効果的に炸裂させることができる。

    「くっ……この数だけの文字、回避するだけでも……!」

    ムールは素早く体を低くし、次々に壁に石を押し当てる。ポケットの中の小石が次々と光を帯び、起爆する――衝撃波が無限屏風の文字を弾き返し、かすかな隙間を作り出す。

    「ァ゛――!?な、なにィ゛ッ!?」

    数言無限屏風が身を翻す。普段のテンションはあまりに高く、叫び声が途切れない。しかし、その瞬間の驚きが、僅かに無限屏風の動きを遅らせる。

    「……よし、行くぜ」

    ムールは小石の最後の一つを手に握り、腕を振り抜く。その瞬間、石は巨大な光の球となり、路地の中央で炸裂。衝撃波が無限屏風を押し戻し、路地の壁も粉々に崩れ落ちる。粉塵と煙が立ち込める中、二人の姿が浮かぶ。

    「ァ゛……小僧ィ゛、やるなァ゛……!」

    数言無限屏風は叫び、無限屏風の文字を再び広げる。文字は地面を這い、壁を駆け、空中に浮かぶ無数の文字がムールの周囲を包み込む。

    しかしムールは恐れていない。十四歳にして数々のトラブルを潜り抜けてきた少年の勘と技術が、ここで生きる。

  • 8601◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:15:56

    「……ただの文字の洪水、か。俺が壊してやる」

    彼は小石を次々に放ち、爆発の連鎖を作り出す。文字が炸裂の衝撃で宙を舞い、無限に見えた奔流の中に微細な穴が生まれる。二人の目が初めて真剣に交わる瞬間だった。

    「ァ゛ァ゛――ッ、この小僧ィ゛、ただの爆弾使いじゃねぇッ!」

    数言無限屏風は叫ぶ。怒涛の無限は圧倒的だが、ムールの頭脳と技術がそれを切り裂く。二人の戦いは、声と衝撃波、文字と爆発の嵐として路地を揺らしていた。

    小さな少年と無限の奔流を持つ男――この異様な戦いは、まだ始まったばかりだ。

  • 8611◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:16:29

    粉塵が立ち込める路地の中、二人の呼吸だけが聞こえる。ムール・ロウの小石は全て尽きたわけではないが、無限屏風の文字は再生の速さが凄まじく、連続して襲いかかってくる。

    「ァ゛――!次から次へとィ゛……ッ!」

    数言無限屏風は叫び、無限屏風の文字を自在に操る。文字は壁から壁へ、地面から空中へ、無数の触手のように伸び、少年を追い詰める。

    ムールは背を低くしながらも、冷静に周囲を観察する。文字の動きには規則性がある――それは無限の量に見えても、実は微細なタイミングと軌道が存在する。少年は心の中で計算を重ねる。

    「……狙いはここか」

    ムールはポケットから小さなガラス玉を取り出す。それを壁に当てると、内蔵の起爆装置が作動し、文字の束の一部を粉砕する。衝撃で文字が崩れ、無限の奔流に小さな穴が生まれた。

    「ァ゛――!?くそッ、読めないッ!」

    無限屏風は焦る。自分の無限は連続力こそ強みだが、予測できない衝撃には対応が遅れる。ムールはそこを逃さなかった。

    「ここで止める!」

    少年は小石を握り直し、爆発の連鎖を計算して路地の角に投げ込む。文字の奔流が炸裂し、路地全体が光と衝撃に包まれる。無限屏風の文字は粉塵の中で崩れ、男は咳き込みながら後退した。

    「ァ゛ァ゛――ッ、この小僧……やるなァ゛……」

    叫び声が路地に響く。だがムールの表情には一切の迷いがない。十四歳の少年は、無限の奔流を操る男に真っ向から挑み、逆境を跳ね返す力を持っていた。

    粉塵が落ち着き、路地には瓦礫と文字の残骸が散らばる。二人の戦いは、一時的な静寂を迎えた――だが、この静寂は嵐の前の余韻に過ぎない。

    ムールは深呼吸し、再び小石を握る。無限屏風もまた、無限の文字を再構築しようと腕を広げる。二人の目が再び交わった瞬間、戦いの火花が路地の空気を震わせた。

  • 8621◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:16:54

    路地を包む粉塵がわずかに晴れ、ムール・ロウの瞳が冷たく光る。小石を握りしめ、次の手を考える。十四歳の少年の冷静な判断力は、無限屏風の奔放な攻撃に対しても揺るがない。

    「……くるな、ァ゛ァ゛ッ!」

    無限屏風は文字の奔流を再構築し、路地全体を埋め尽くそうと手を振る。文字は壁や地面、空中まで伸び、ムールの逃げ道をことごとく封じる。だが少年は一瞬の隙を見逃さない。

    「ここだ……!」

    ムールは小石を一つ手に取り、壁際の瓦礫に向けて投げ込む。微細な爆発が文字の束に当たり、無数の文字が空中に散る。無限屏風の目が揺れる。

    「ァ゛――!読め、読めないィ゛ッ!」

    男の叫びが響き、文字の奔流にわずかな乱れが生じる。その隙に、少年は次々と小石を投げ、爆発を連鎖させる。文字は粉々になり、路地に裂け目が生まれる。

    「ここで止める……ッ!」

    ムールは集中力を最大限に高め、最後の小石を手に握る。爆発の威力を最大に設定し、文字の束の中心に投げ込む。衝撃が文字を粉砕し、無限屏風は後退を余儀なくされる。

    「ァ゛――くそォ゛ッ、この小僧……!」

    男は息を切らしながらも、文字を再生し続ける。だが少年の攻撃は次第にその再生速度を上回り、無限屏風の構築が追いつかなくなる。

    ムール・ロウは汗をぬぐいながら、小石を次々と爆発物に変え、男の足元や背後に投げ込む。その度に無限屏風は叫び、文字の奔流が裂けて消える。十四歳の少年の冷静さと計算力が、ついに無限屏風の無限攻撃のリズムを崩し始めた。

    路地は爆発の煙と瓦礫の残骸で混沌と化す。無限屏風も息を荒げ、文字の束を再構築しようとするが、少年の攻撃はすでに次の段階に入っていた。

    「……もう終わりだ!」

    ムールは最後の一投を準備する。小石を手の中で回し、起爆タイミングを精密に計算。十四歳の小さな体が、無限屏風の無限に立ち向かうための全力を注いでいた。

  • 8631◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:17:56

    路地に立ち込める煙と粉塵の中、無限屏風は膝をつき、荒い息をつく。文字の奔流は途切れ途切れになり、彼の自信満々な笑みもわずかに歪んでいた。

    「ァ゛……まだァ゛、まだいけるゥ゛ッ!」

    叫びながら文字を再生しようとする無限屏風。しかし、ムール・ロウの眼光は冷徹そのものだった。十四歳の少年の手には、まだ最後の小石が握られている。

    「もう、終わりだ……全部止める……!」

    ムールは深呼吸し、全神経を手元の小石に集中させる。瞬間、彼の体がわずかに宙に浮き、次の動きを完全に読み切る姿勢に入る。無限屏風の無秩序な文字は、まるで押し寄せる嵐のように路地を埋め尽くしていた。

    「ァ゛ア゛ア゛――ッ!」

    無限屏風の怒号が響く。だが、ムールは躊躇しない。小石を投げ、爆発を連鎖させ、文字の奔流を一点ずつ削ぎ落としていく。爆風に揺れる文字は、無限の力を持ちながらも、少年の緻密な計算と正確なタイミングに圧される。

    「行け……ッ!」

    最後の一投、小石が爆発する。文字の束の中心に命中すると、無限屏風の攻撃はついに完全に止まった。粉塵の中、無限屏風は倒れ込み、文字の奔流は跡形もなく消え去る。

    「くっ……くそォ゛……ッ」

    無限屏風は肩で息をしながら、必死に文字を呼び戻そうとする。しかし、ムール・ロウは静かに路地の中央に立ち、勝利を確信した目で相手を見下ろす。

    「終わりだ、これ以上はもう無理だ……」

    十四歳の少年が放つ冷静な眼差しの前に、無限屏風はついに力尽きた。無限に続くはずの文字も、もう何も再生されない。路地には静寂だけが残る。

  • 8641◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:18:23

    煙が晴れ、粉塵が風に流される中、路地にはただムール・ロウの足音だけが響いていた。無限屏風は膝をつき、顔を覆ったまま動かない。文字の奔流も、もはや再生されることはなかった。

    「ァ゛……ム、ール……ッ……や、やられた……」

    かすれた声が路地にこだまする。しかし、ムールは近づくことも、手を差し伸べることもせず、冷静に彼を見下ろした。十四歳の少年の眼には、戦いを終えた者だけが持つ静かな光が宿っていた。

    「これ以上はもう、無理だ。あんたの力、もう止めた……でも……」

    ムールの声は柔らかくなる。彼は拳を握りしめながら、遠くで生きている人々のことを思い浮かべていた。

    「これで……終わりだ。これからも、俺は……強くなる。誰も巻き込まないために、もっと……」

    無限屏風はゆっくりと目を開けた。敗北を認めたわけではないが、その瞳には、これまで見せたことのない敬意が宿っていた。

    「ァ゛……や、やるな……十四……歳のくせに……」

    少年は軽く頭を下げ、そして小さく笑った。勝者と敗者、それぞれの静かな呼吸だけが路地に残る。

    ムール・ロウは静かに路地を歩き出す。十四歳の少年が抱える決意と覚悟は、敗者の目にもしっかりと映った。これまで避け続けた人との関わりも、これからは責任として背負っていく。

    路地の静寂は、新たな物語の始まりを告げていた。少年は小石を握り直し、次に備える。世界はまだ荒れているが、彼の心には揺るがぬ意志が宿っていた。

    勝者:ムール・ロウ
    十四歳の少年は、無限の力に頼る者を冷静な計算と正確な戦術で打ち破った。戦いの中で得た経験と覚悟は、彼をさらに強く、そして賢くするだろう。

    無限屏風は敗北を受け入れざるを得なかった。無限の力も、少年の工夫と勇気の前では、無力だったのである。

  • 8651◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 00:18:40

    以上

  • 866二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 00:19:38

    テンションが凄過ぎる!

  • 867二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 08:20:41

    おつおつ

  • 868二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 09:20:50

    これでただの数言からやり直しですね(ニッコリ)

  • 869二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 09:23:16

    無限屏風うるせぇ!!でも面白かった!

  • 8701◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:25:46

    題名『リ・インカーネーション――狂戦の果てに』

  • 8711◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:26:55

    廃墟の都市。鉄骨がむき出しの工場跡に、朽ち果てた戦車の残骸が積み重なっている。煙が立ち込め、街全体が淡い赤に染まる夕暮れ時。

    「おおおォォォッハッハハハッ!やっと出会えたなァ、ボクの戦争の相手がッ!!」

    高らかに笑いながら現れたのはDr.ラヴだ。胸に刻まれた英雄機構S.S.S.の光が、周囲の廃材を反射してきらめく。彼の腕は伸び、肉体を自在に変形させて剣や盾に変わる。

    「……また、兵士か…いや、戦場か……敵はどこだ…?」

    その視線の先に、黒煙の中から姿を現したのはA・クロームマン。戦争の幻影に取り憑かれた目は冷たく、無表情。腕からは機関銃と電磁刀が露出している。
    クロームマンは瞬時に戦闘態勢を取り、周囲の残骸に身を隠しつつ、動きを封じる電磁刀を投射した。

    「アンタは英雄失格ゥッ!そんなバカに世界が救えるわきゃねぇだろォ!ハハッ!ボクこそ世界を救える英雄中の超英雄だァッ!!」

    Dr.ラヴは両腕を伸ばし、電磁刀の軌道を掴むように捕え、握り潰す。金属が歪む音と共に、周囲に光の残像が飛び散る。

    「くっ……敵兵…いや、違う、何だこの化け物はッ!」

    クロームマンは斥力発生装置を作動させ、周囲を吹き飛ばす。だがDr.ラヴは軽くジャンプし、その斥力の衝撃を利用して空中で姿勢を翻す。空中からの一撃が、クロームマンの右肩を直撃。金属が軋み、機関銃の反動でバランスを崩す。

    「戦争…だとォ?ふんッ!戦場の英雄なんてくだらねェ!ボクの拳こそ、愛のために拳を握る真の英雄の力だァッ!」

    ラヴの叫びと共に、腕が巨大な剣に変化。クロームマンの左腕を封じるために振り下ろす。クロームマンは電磁刀で防御するも、剣の先端が接触した瞬間、電流が逆流し腕が痺れる。

    「な、なんだこの…!?」

    その隙を突かれ、ラヴは機動力を活かして高速で距離を詰める。肉体を圧縮して拳を巨大化させ、クロームマンの胸部装甲を貫通寸前まで叩き込む。

    「ボクは英雄だァァッ!愛のために命を捧げる者こそ、真の力を手にするのだッ!」

    クロームマンは血管を震わせながらも、戦場の幻影を思い出して反撃に転じる。機関銃を構えるも、反動で動けず、ラヴの跳躍からの連打にさらされる。

  • 8721◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:27:17

    「敵兵め…いや、これは…英雄か……いや、狂気だ……!」

    街の廃墟に、金属と光の衝突音が響き渡る。二人のサイボーグは互いに能力をぶつけ合い、戦場と狂気が交錯する。Dr.ラヴは笑い続け、A・クロームマンは戦争の幻影に取り憑かれながら、絶えず攻撃を繰り出す。

    だが、互いの弱点も確実に見え隠れする。ラヴは腹部のリ・インカーネーションシステムを狙われれば大ダメージ、クロームマンは機関銃使用時の硬直と斥力の短射程を突かれれば、戦局は一変するだろう。

    夕焼けの赤い光に染まる廃工場跡で、二人の狂気の戦いはまだ始まったばかりだった――。

  • 8731◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:27:56

    廃工場の鉄骨が、戦いの衝撃で鳴き声のように軋む。空中に散った金属片が夕陽を反射し、二人の影が壁に踊る。

    「フハハハッ!まだ終わらんぞォォッ!ボクの愛の拳、全力全開だァッ!」

    Dr.ラヴは腕を剣状に変形させ、巨大な一撃を放つ。斬撃がクロームマンの背後の鉄骨を薙ぎ、衝撃で火花が飛び散った。

    「くそっ…敵兵…いや、この化け物……」

    クロームマンは戦争の幻影に取り憑かれ、全身の電磁刀を展開。金属の鞭のように振り回し、ラヴの攻撃を迎撃する。しかし、ラヴの剣はあらゆる角度に変形し、鞭の隙間をかいくぐる。

    「戦場の理屈で英雄は語れないッ!ボクは愛のために拳を握るッ!!これが――英雄機構S.S.S.の力だァァッ!」

    ラヴは腕を無限に伸ばし、クロームマンの四方八方を同時に叩く。高速の連撃に、クロームマンは機関銃で応戦するも、反動で一歩も動けない。

    「ぬあァァッ……こんな化け物…!でも…戦争は…終わらないッ!」

    クロームマンは斥力発生装置を使い、一瞬の衝撃波でラヴを吹き飛ばそうとする。しかし、ラヴは空中で身体を圧縮し、衝撃を利用してさらに加速。足を地面に叩きつけると、まるで大砲のような跳躍でクロームマンの頭上に着地した。

    「おおォォッ!これが英雄の舞踏だァッ!くっくっく、もう逃げられないぞォォッ!」

    クロームマンは戦場の幻影に取り憑かれ、頭の中で過去の戦闘の残像がフラッシュバックする。彼の攻撃は無秩序に暴走し、鉄骨や残骸を巻き込みながら放たれる。だがラヴは楽しそうに笑い、すべてを解析し、反応する。

    「おおっと、そっちかァッ!うひゃひゃひゃひゃッ、ボクの知恵と力の前じゃぁ、全てが遊びにすぎんのだァッ!」

    ラヴの脳髄は全ての攻撃パターンを解析し、次々と武装を変形させて反撃。腕は剣や盾、拳に変わり、足はブーストとなって空中を縦横無尽に駆ける。クロームマンは戦争の幻影の中で「敵兵」としてラヴを認識し、狂戦士のように突撃する。

    「戦争は…まだ終わらない……だが……こいつ……強すぎる…!」

    爆風と光の嵐の中、二人のサイボーグは互いの弱点を探る。しかし、ラヴは腹部のリ・インカーネーションシステムを巧みに隠し、クロームマンは斥力発生装置の再使用待機の隙を突かれ続ける。戦局は、互いの狂気と執念のぶつかり合いによって、混沌としていた。

  • 8741◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:28:12

    「くっくっくっ!英雄失格だとォ?フハハッ、ボクこそ愛のために拳を振るう真の英雄だァッ!」

    「……いや…戦争は……まだ終わらない…!敵を…殲滅する…ッ!」

    廃工場跡の夕焼けは、赤く染まった戦場の証明のように、二人の狂戦の影を長く伸ばす。戦いはまだ、終わらない――。

  • 8751◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:29:17

    廃工場跡に、衝撃波と金属音が幾重にも重なる。鉄骨が裂け、壁が粉々に崩れ、戦場の残骸が空中に舞う。

    「おおォォォッハハハハッ!さあ来いッ!ボクの全力全開を受けろォォッ!!」

    Dr.ラヴの両腕は光と鋼の混合体となり、無数の剣や盾に変形。さらに腹部からはS.S.S.のリ・インカーネーションシステムの光が輝き、損傷を恐れず戦場に飛び込む。

    クロームマンは戦争の幻影の中で、全身の電磁刀と機関銃をフル稼働させる。彼の目は戦場の焦土を見つめる兵士のように冷たく、動作の端々に狂戦士の狂気が滲む。

    「くそ…敵兵…いや、これは……狂気だ……!」

    電磁刀が空を裂き、斥力発生装置が衝撃波を放つ。しかしラヴは空中で身を捻り、斥力の衝撃を利用してさらに加速。足元から反動を吸収しつつ、瞬時に距離を詰める。

    「戦争の理屈で英雄は語れないッ!愛のために拳を握る者こそ真の英雄だァァッ!」

    一瞬の空白の後、ラヴの腕が巨大な砲撃兵器へと変形。クロームマンの機関銃に向かって光弾を連射する。反動で硬直したクロームマンは回避が遅れ、爆風で鉄骨に叩きつけられた。

    「ぐあァッ…くそ…何だこの力は…!」

    ラヴは笑いながら跳躍、腕を剣と拳に切り替えて連続攻撃。空中から叩きつける一撃一撃が、クロームマンの防御を掻い潜る。

    「ボクは英雄だァァッ!愛のために全てを賭ける者こそ、世界を救えるッ!」

    クロームマンは戦場の幻影に取り憑かれ、突撃と攻撃を繰り返すが、反応速度と解析力に勝るラヴに次々と先手を取られる。彼の攻撃は無秩序だが、狂戦士としての執念が光る。

    「……終わらせる……戦争は……いや、この狂気を終わらせる……!」

    ラヴはS.S.S.の腕を無限に伸ばし、クロームマンを全方向から同時に叩きつける。腕は剣や拳、盾、砲に次々と変化し、まるで一体の軍隊のように動く。

  • 8761◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:30:13

    クロームマンは斥力発生装置を連打しようとするも、再使用までの時間制限に阻まれ、劣勢を強いられる。

    「くっくっくっ……英雄失格だァ?フハハッ、ボクこそ愛のために拳を振るう真の英雄だァッ!」

    狂気と英雄の暴走が、廃工場跡を赤く染める。鉄骨が折れ、壁が崩れ、二人の戦闘はもはや破壊の嵐そのものだった。

    しかし、互いの弱点も確実に露わになってきた。ラヴの腹部システムを破壊されれば無限再生が失われる。クロームマンは機関銃硬直と斥力短射程の隙が命取りになる。

    夕陽に染まった廃工場跡、二人の狂戦士の影はますます交錯し、決着への秒読みが始まろうとしていた――。

  • 8771◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:30:34

    廃工場跡、崩れかけた鉄骨の上で、二人のサイボーグの影が交錯する。火花が散り、爆風が鉄骨を揺らし、周囲の瓦礫が空中に舞う。

    「フハハハハッ!ここまで来たかァッ!ボクの全力全開、覚悟しろォォッ!!」

    Dr.ラヴは腕を砲撃型、剣型、拳型に同時変形させ、全方向から連続攻撃を放つ。光弾が鉄骨を撃ち抜き、剣が壁を斬り裂き、拳が地面を叩き割る。

    「……こんな化け物が…戦争を…いや…英雄を……」

    クロームマンは全身の電磁刀を展開し、防御と反撃を試みる。だが反動で機関銃は硬直、斥力発生装置も再使用待ちで攻撃手段は限られていた。狂戦士としての執念で突撃するが、ラヴの解析能力に次々と迎撃される。

    「戦争の理屈じゃ世界は救えないッ!ボクは愛のために拳を握るッ!!これが真の英雄の力だァァッ!」

    ラヴの腕が鋭い剣に変形し、クロームマンの肩に突き刺さる。電流が逆流し、クロームマンは一瞬の痺れで防御が崩れる。ラヴはその隙に腕を拳に変形、連続打撃でクロームマンを吹き飛ばした。

    「ぐあァッ…くそっ…この力…化け物…!」

    地面に叩きつけられたクロームマンは、斥力発生装置を最後の力で起動。爆発的な衝撃波でラヴを吹き飛ばそうとする。しかしラヴは身体を圧縮し、衝撃を利用してさらに加速。空中から落下してクロームマンに直撃する。

    「おおォォッ!フハハハッ!これが英雄機構S.S.S.の真価だァッ!」

    両者の衝撃が交わり、鉄骨や瓦礫が吹き飛ぶ。クロームマンの機械化体は軋み、ラヴは腹部のリ・インカーネーションシステムをフル稼働させる。だが、ラヴの目の前には、戦場の幻影に取り憑かれた狂戦士の執念があった。

    「……戦争は終わらない…敵を……殲滅する……!」

    互いの弱点が露わになった瞬間、決定的な一撃が生まれる。ラヴはS.S.S.の腕を変形させ、クロームマンの左腕と機関銃を同時に捕らえ、圧壊寸前まで押し込む。クロームマンは戦場の幻影に囚われ、反撃の判断が遅れる。

    「くっ…英雄失格だとォォッ!?フハハッ!ボクこそ愛のために拳を振るう真の英雄だァッ!」

    その瞬間、廃工場全体が光と爆音に包まれた。二人のサイボーグの戦いは、狂気と英雄性の極致で互いを貫き合う。夕陽に染まる瓦礫の中、決着の時が近づく――。

  • 8781◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:31:58

    廃工場跡は戦いの爪痕で満ちていた。鉄骨は折れ、壁は裂け、瓦礫の山から煙が立ち昇る。二人のサイボーグは、なおも立ち上がり互いを睨みつける。

    「フハハハッ!おおォォッ、ここまでの狂戦、実に楽しいぞォォッ!ボクの全力を受けてみろォォッ!!」

    Dr.ラヴはS.S.S.の腕を再変形させ、剣・砲・拳の三形態を同時展開。全方位からの連続攻撃でクロームマンを圧倒する。

    「ぐっ…この化け物…だが…まだ終わらん……!」

    クロームマンは斥力発生装置を再起動させ、爆風でラヴを吹き飛ばそうとする。しかし、ラヴは空中で身体を圧縮、衝撃を利用してさらに加速。圧倒的速度で距離を詰め、クロームマンの機関銃と電磁刀を同時に捕らえた。

    「くっくっくっ…愛のために拳を握る者こそ真の英雄だァァッ!」

    ラヴの腕は剣から巨大な拳に変化し、クロームマンの左腕と機関銃を押し潰す。反動で硬直したクロームマンは、もはや防御の余地もなく、攻撃に晒される。

    「ぐあァァッ……く、化け物……!だが……戦争は……!」

    クロームマンは最後の力を振り絞り、斥力発生装置を極限出力で作動。爆風が二人を巻き込み、廃工場全体が轟音と光に包まれた。瓦礫と煙の中、ラヴはリ・インカーネーションシステムで無傷に再生し、狂気の笑みを浮かべる。

    「フハハハッ!やはりボクこそ英雄中の超英雄だァッ!壊れた世界の理屈なんて関係ねぇッ!愛のために拳を振るうッ!」

    クロームマンは戦場の幻影に囚われ、戦意の限界が近い。機関銃は反動で動けず、斥力発生装置も再使用まで間がある。最後の力で突撃するも、ラヴのS.S.S.はすでに次の攻撃パターンを読み切っていた。

    「さあ…最後だ……英雄の証を見せてやるッ!」

    ラヴの拳がクロームマンに直撃。爆風と衝撃で周囲の鉄骨が崩れ、クロームマンは瓦礫の山に叩きつけられる。彼の視界に映るのは、狂笑するラヴの姿だけだった。

    「これが…愛のために拳を振るう…真の英雄の力だァァッ!!」

    クロームマンは力尽き、戦意を失った。戦場の幻影も徐々に薄れ、廃工場跡に静寂が戻る。Dr.ラヴは高笑いを響かせながら、瓦礫の山に立ち尽くした。

  • 8791◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:35:43

    「フハハハハッ!おおォォッ、実に愉快だァッ!戦争も、狂気も、英雄も…全てボクの掌の上だァァッ!」

    廃墟に残されたのは、狂気と英雄の邂逅の痕だけだった。Dr.ラヴはまだ高揚したまま、勝利の余韻に浸る――だが、彼の胸には、やはり供儀塚霊架への想いが、静かに燃えていた。

  • 8801◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:36:47

    廃工場跡には、爆風で倒れた鉄骨と瓦礫の山だけが残っていた。夕陽は赤く沈み、戦場の残像を映し出す。

    Dr.ラヴは瓦礫の上に立ち、S.S.S.の光を静かに減衰させる。全身の機械が微かに軋む音を立て、しかし彼の表情は狂気に満ちた高揚そのものだった。

    「フハハハッ…ボクこそ、愛のために拳を振るう真の英雄…ッ!誰も、何も、ボクには勝てんのだァァッ!」

    拳を握りしめ、笑いながら空を仰ぐ。その眼差しの奥には、戦争でも破壊でもなく、ただ供儀塚霊架への熱い想いが静かに燃えていた。英雄機構S.S.S.は無限再生の力を誇示したまま、戦場に立つ彼の狂気を象徴する。

    一方、クロームマンは瓦礫に倒れ込み、全身の機械が軋み、電磁刀や機関銃の光も弱まる。戦争の幻影に取り憑かれた瞳は徐々に冷め、彼自身の意識が静かに戻り始めた。

    「……終わったのか……戦争は……いや……終わらせられたのか……」

    手元の残骸を握り締め、クロームマンは己の狂戦士としての存在を振り返る。戦場に囚われ、狂気に飲まれていた自分が、いま確かにこの静寂の中で存在していることを感じる。

    ラヴは高笑いを止め、ふと一人つぶやく。

    「ふっ…愛のために拳を振るう…それこそが英雄の本質…フハハ…だが、供儀の少女よ、ボクのこの力を見せてやりたいものだ…」

    廃墟に響くのは、微かな金属音とラヴの余韻ある笑い声だけだった。狂気と英雄の交錯は終わった。戦いは決着し、勝者はマッドな英雄、敗者は戦争の幻影に囚われた狂戦士として、静かにその場に佇む――。

    夕陽が完全に沈み、廃工場跡に深い影が落ちる。そこに残されたのは、狂気の英雄と、狂戦士の痕跡だけだった。

  • 8811◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 15:37:24

    以上

  • 882二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 15:58:31

    テンションが異常が連続したな!良かった

  • 8831◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 18:51:01

    題名『消えゆく殉教者の光』

  • 8841◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 18:56:27

    薄曇りの夕陽が廃墟の瓦礫を赤く染めていた。崩れかけたコンクリートの壁に沿って、微かな風が砂埃を巻き上げる。静寂の中、ひとりの少女が立っていた。

    忌部紫苑――その名を誰も知らない。十代に満たない体格の彼女は、やわらかな白いドレスを羽織り、首には多面結晶体の宝石が散りばめられた首飾りを掛けている。その宝石は夕陽を反射し、微かに虹色に光っていた。

    「わたし…みんなを…助けたいの…」

    少女は手を胸に当て、柔らかく微笑む。声に含まれるのは、善意と優しさだけだった。しかしその一方で、彼女の能力――無意識に発動する「独善的救済」――は、世界から必要な力を掠め取り、遠くで天変地異を生み出していた。瓦礫の山の一角が崩れ、遠くの水路では小規模な土砂崩れが起きる。少女はそれに気付かず、ただ自分の「救いたい」という意思だけを信じていた。

    その時、リュックを背負った男が静かに現れる。

    「……従え……」

    薮内正――27歳。ぼさぼさの髪と無精髭、アウトドア系のジャケットを羽織った彼は、導きに従って歩いていた。彼にとって世界のすべては「導き」によって意味づけられ、従うことが正しいことだと信じて疑わなかった。

    「……こ、ここは……どうすれば……」

    「……従え……」

    薮内の声は小さく、ぼそりとしたものだった。耳障りな命令ではない。彼の導きに従えば、自ずと行動が定まるだけである。

    紫苑は無邪気に手を差し出し、言った。

  • 8851◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 18:59:18

    「こんにちは…わたし、助けたいの…」

    だがその手の動き一つで、瓦礫の山が微かに揺れ、首飾りの宝石が光を放つ。その光はまるで世界の秩序の一部を削ぎ取るかのように、遠くで局所的な地割れや小規模な火災を生み出していた。

    薮内はぼそぼそとつぶやく。

    「……動け……いや、待て……」

    導きに従い、彼は慎重に少女との距離を計る。瓦礫を踏み越え、次に何をすべきか、導きが微細な音や視覚的な変化として彼に告げる。たとえその指示が不合理に見えても、導きに従えば最終的に彼に有利に働くのだ。

    紫苑は何も知らず、ただ手を差し出す。無邪気な行動は善意に満ちている。しかし、その善意の裏で世界の秩序は微細に歪み、遠方では災害とも呼べる現象が次々と起こる。

    「……あれは……?」

    薮内は導きに従い、瓦礫を避けながら慎重に立ち回る。目の前の少女の善意と、世界の微細な異常との間で、彼は戦場のような緊張を感じていた。

    二人の間に沈黙が生まれる。紫苑は微笑み、薮内は導きのまま身構える。少女の微笑みは、善意そのもののように純粋だ。しかしその背後では、世界の力を掠め取る能力が無自覚に作用し、瓦礫の山や遠くの水路に異変を生んでいる。

    「……助けたい…でも…わたし…本当に…大丈夫…?」

    少女のつぶやきは、善意と不安の入り混じったものだった。
    薮内はただ導きに従い、慎重に一歩前に出る。

    夕陽が瓦礫を赤く照らす中、二人の距離はゆっくりと縮まっていく。善意と導き――無垢な力と狂気の予兆が交錯する、その第一歩であった。

  • 8861◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:00:47

    廃墟に夕陽の赤が深まる。瓦礫の間から差し込む光は、少女の白いドレスを黄金色に染め、首飾りの多面結晶体は微かに虹色を反射する。しかし、その美しい光景とは裏腹に、世界のあちこちでは小さな天変地異が同時多発的に起きていた。倒れた壁の隙間から砂塵が舞い上がり、遠くでは水路の堰が決壊し、微細な土砂崩れが進行する。紫苑はそれに全く気付かない。

    「……わたし…ちゃんと、助けられる…よね…?」

    少女は手を差し伸べ、微笑む。無垢で、善意に満ちたその笑顔には、世界を破壊する力が潜んでいることを誰も知らない。

    薮内はリュックからシャベルを取り出し、瓦礫の間を慎重に進む。導きが告げる――右に回避、左手を少し高く、次の瞬間に微細な動作で接近する――。彼の動作は全てぼそぼそと独り言のように発せられるが、それは指示に従うための習慣だった。

    「……ここで……避けろ……」

    「……よし……」

    導きに従い、薮内は少女の動線を予測し、瓦礫を盾に取りながら最小限の距離で彼女に近づく。

    紫苑が一歩前に出るたび、瓦礫の小片が跳ね、空気が微かに揺れる。首飾りが光を放つと、その反動で遠くの地面に亀裂が走り、局所的な崩落が発生する。彼女は無意識のまま手を振るうが、その一振りで瓦礫が薮内の足元に落ちる。

    「……くっ……避けろ……」

    薮内は導きに従い、シャベルで瓦礫を払い、瞬間的に回避する。彼の動作はぎこちないが、導きが補助し、無駄のない回避が成立する。

    少女は無邪気に笑い、手を差し伸べる。

    「大丈夫、わたし、怖くないの…」

    その無邪気さはまるで世界を救うための力そのもののように見えるが、実際には遠方で小規模な水害や土砂崩れを引き起こしていた。善意が災厄を生む、その皮肉な現象が静かに進行する。

  • 8871◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:01:31

    薮内は、瓦礫を避けつつ、リュックからナイフとロープを取り出す。導きが告げる――次の瞬間、少女の腕が振り下ろされる、その動線に合わせろ――。彼はぼそぼそとつぶやきながら動き、瓦礫を踏み越え、接近を回避する。

    「……これが……少女の力……なのか……」

    薮内の目には、善意と災厄が混ざった奇妙な光景が映る。少女はただ無邪気に善意を振りまき、彼は導きに従って回避する。二人の間に生まれる緊張は、戦場と同じ強度である。しかし、この戦場の法則は奇妙だ――直接の攻撃はない。瓦礫の飛び散り、微細な地盤の崩落、遠方の天変地異が、戦場のルールを複雑にしていた。

    少女の手の動きに合わせ、薮内はラジオを取り出す。ノイズの中から導きの指示を聞き取り、微細な動作で瓦礫を回避する。導きに従えば、世界の不可思議な力に巻き込まれても、彼にとって最も安全な行動が可能になるのだ。

    紫苑は無垢な笑顔を保ち、善意に満ちた言葉を口にする。

    「わたし…みんな、助けたいの…」

    しかし、その一言がもたらすのは善意の奇跡ではなく、無自覚の災厄の連鎖だった。瓦礫の山は微かに崩れ、遠くの水路は決壊し、空気は不穏に揺れる。

    薮内はぼそぼそとつぶやく。

    「……避けろ……避けろ……まだ……危ない……」

    二人の間に沈黙と緊張が交錯する。善意と導き――無垢な力と狂気の予兆が、静かに、しかし確実にぶつかり合う第一接触の瞬間であった。

    夕陽は赤く沈み、廃墟に長い影を落とす。瓦礫の山を挟み、少女と男の目は互いに交わる――初めて、戦いの前兆を互いに意識する瞬間であった。

  • 8881◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:05:57

    廃墟の瓦礫の間を吹き抜ける風は、遠くの水路から巻き上げた砂塵を帯びていた。夕陽の赤は濃くなり、瓦礫の影を長く伸ばす。

    紫苑は無邪気に手を差し伸べる。

    「だいじょうぶ…わたしが助けるから…」

    その言葉は善意に満ちていた。しかし、彼女の首飾り――多面結晶体の宝石――が光を増すたび、遠くの世界では小さな災厄が連鎖していた。瓦礫の一角が微かに崩れ、建物の土台が揺れ、川の堰が決壊しかけている。

    少女は気付かず、手を振るう。

    「わたし…もっとみんなを…」

    その瞬間、瓦礫の小片が跳ね、薮内の足元を直撃する。

    「……くっ……避けろ……」

    薮内は導きに従い、シャベルで瓦礫を払い、咄嗟に体勢を整える。彼の動作はぎこちないが、導きが微細に指示を補完することで、最小限の動きで回避が可能になる。

    紫苑の手の動きに合わせて、瓦礫が飛び散るたびに遠方では土砂崩れや小規模な洪水が発生する。善意が災厄を生む、その皮肉な連鎖を、彼女は微塵も理解していない。

    「……ここで……右……」

    薮内はぼそぼそとつぶやき、導きに従って足を踏み出す。瓦礫の隙間を縫い、少女の動線を計算する。

    紫苑は無邪気な笑顔を向ける。

    「ねえ、大丈夫? 怖くない?」

    その無垢な問いかけに、薮内は目を細めて応える。

  • 8891◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:07:30

    「……う、うん……なんとか……」

    しかし、その「なんとか」は、導きに依存した不安定な回避にすぎない。瓦礫の崩落や遠方の災害は無秩序に続き、二人の間に奇妙な緊張が生まれる。

    紫苑は手を振るうごとに、自分の身体のどこかが傷ついたり、微細に削げ落ちる。これは「偽生贄システム」によるものだが、彼女は無自覚のまま善意に満ちた行動を続ける。

    「わたし…もっと…助けたいの…」

    薮内は導きに従い、リュックからロープとナイフを取り出す。瓦礫を利用し、少女の手の届かない位置に自らを移動させる。

    「……避けろ……ここで……右……」

    導きに従えば、少女の能力による間接的な災厄も最小限で済む。だが、完全に避けることは不可能だった。瓦礫の飛散、地盤の微細な崩れ、遠方の災害の影響――全てが偶然と導きの交錯により、不安定なバランスで進行している。

    紫苑の瞳は純粋な光に満ち、災厄を生んでいる事実を微塵も理解していない。

    「だいじょうぶ…怖くない…」

    薮内は瓦礫を避けつつ、ラジオの微かなノイズから次の導きを受け取る。導きは告げる――瓦礫が崩れる前に左手で支え、次に右足で踏み出せ――。

    「……くっ……よし……」

    彼は導き通りに動き、瓦礫をかろうじて避ける。偶然と必然が交差する中、二人は初めて直接的な「戦場」としての緊張を感じる。

    夕陽が赤から紫に変わる頃、瓦礫の間に生まれる影が長く伸びる。善意と災厄、導きと偶然――二つの力が交錯するその場に、戦いの本質が静かに、しかし確実に芽生えたのだった。

  • 8901◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:08:32

    夕陽が完全に地平線に沈む前、廃墟の瓦礫の隙間には紫苑と薮内の影が長く伸びていた。瓦礫の上を吹き抜ける風は冷たく、乾いた砂埃を巻き上げる。瓦礫の崩れた壁やひび割れた床の断片が、彼らの足元で微かに振動している。

    紫苑は無邪気な笑みを浮かべ、手を差し伸べて言った。

    「だいじょうぶ…わたしがいるから…怖くない…」

    しかしその瞬間、遠くの山の端で小規模な土砂崩れが発生し、川の水位が急激に上昇している。瓦礫の一角が音を立てて崩れ落ち、微かな地鳴りが廃墟に響いた。少女の首飾り――多面結晶体の宝石――が微かに震え、光を強める。その光は、無意識に世界の秩序を削ぎ取り、災害を引き起こす契機となる。

    「……あっ……!」

    紫苑は思わず声を上げるが、その声には罪悪感も恐怖も混じらない。善意の行動は、世界を破壊する予兆すら伴うのだ。

    一方、薮内は瓦礫を避けながら導きに従い、静かに観察する。

    「……導き……右……左……う、うん……」

    彼の目には、瓦礫の崩落や地盤の不安定な揺れが、文字や音声として浮かび上がる。血痕や砂塵の流れが次に取るべき行動を示し、導きがそれを微細に補完する。薮内はリュックからナイフを取り出し、瓦礫を払いのけながら慎重に進む。

    紫苑はさらに前進する。善意の波動が無意識に作用し、瓦礫の崩落範囲は広がり、遠くの水路では水があふれ、微細な地盤の崩落が連鎖する。彼女の首飾りはそのたびに光を放ち、体のどこかが微細に傷つく「偽生贄システム」が作動する。

    しかし、薮内が瓦礫の間を巧みに避け、導きに従って少女に接近する様子を目にすると、紫苑の体内で何かが反応し始めた。――外敵排除モードの発動条件が満たされたのだ。

    少女の表情は変わらない。無垢な笑顔は保たれたままだ。しかし体の奥底で機械的な冷徹さが目覚め、首飾りの宝石の光は一気に強まった。瓦礫の振動や土砂崩れのスピードは加速し、微細な地割れが足元に広がる。

    「……なに…これ……?」

    薮内はぼそぼそとつぶやく。導きは彼に、次の瞬間に取るべき行動を示す。だがそれは単なる回避ではなく、瓦礫の飛散や地盤の崩落を計算しながら、少女の直線的な進行を封じる複雑な動きだった。

  • 8911◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:09:17

    紫苑は手を振るうごとに、瓦礫が跳ね、空気が揺れ、微細な土砂崩れが廃墟のあちこちで起きる。その影響は彼女の知覚範囲を超え、遠くの街や川にまで及ぶ。善意の波動は、災厄の波動に変換されていた。

    「……あっ……やめ……!」

    紫苑の声は小さく、途切れがちだった。しかし外敵排除モードの作用により、彼女の無自覚な防御反応は極限まで増幅される。瓦礫が飛び交い、倒れた壁の破片が宙を舞い、微細な地盤の亀裂が拡大する。

    薮内は導きに従い、リュックからロープを取り出す。瓦礫を支点にして跳躍し、ナイフで倒れた壁の破片を切り裂く。導きは彼に、少女の手の動線と能力の影響範囲を完璧に可視化させる。

    「……くっ……ここで……右足……」

    その瞬間、瓦礫の山が崩れ、薮内の足元に迫る。だが導きに従い、瞬時に体勢を崩さず回避する。少女の外敵排除モードは完璧に作動していたため、間近で見るとその冷徹さは人間の手に負えないものだった。

    外敵排除モード中の紫苑は無自覚でありながら、首飾りの光が彼女の意思に関係なく最大限に出力される。瓦礫を投げ飛ばす力、地盤を破壊する力、微細な災害を誘発する力――全てが増幅され、少女の無垢な笑顔と残酷な現実のギャップは極めて異様だった。

    薮内はリュックの中から懐中電灯を取り出し、瓦礫の影を読み解く。導きは告げる――次の瞬間、左手で瓦礫を支え、右足で踏み出せ――。偶然と必然が交錯し、二人の間の緊張は極限に達する。

    紫苑の手が一瞬、薮内に迫る。瓦礫が彼の周囲を囲むように飛び、外敵排除モードの光が瓦礫と影を赤紫色に染める。善意と災厄、偶然と必然、無意識と導き――全てが一点で衝突する。

    そして、少女の表情は微動だにしない。外敵排除モードにより、首飾りの光と偽生贄システムは最大出力で作動し、瓦礫を制御し、周囲の災害を微細に操作する。紫苑自身は無意識のまま、世界を巻き込む力を振るっていた。

    夕闇が廃墟に降り、瓦礫の影はさらに濃くなる。薮内は導きに従い、微細な動作で瓦礫を回避する。瓦礫と影の間で、二人の存在は極限の緊張に包まれたまま、夜の帳に沈んでいく。

  • 8921◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:10:06

    夜の帳が廃墟を覆う。瓦礫の影は長く伸び、砂埃が空気を濁らせる。紫苑の首飾り――多面結晶体の宝石――は微かに光を放ち、外敵排除モードで最大出力に達している。光の反射が少女の白いドレスを赤紫色に染め、瓦礫の影に不穏な動きを作り出す。

    「……わたし……助けたいのに……」

    紫苑の声は無垢そのものだ。しかし、その善意の波動は、瓦礫を弾き飛ばし、廃墟の地盤を微細に破壊する。遠方では水路が決壊し、土砂崩れが発生している。少女自身は無自覚である。

    薮内はリュックの中から小型懐中電灯を取り出し、瓦礫の間にできた影を読み取る。導きが告げる――次の瞬間、左手で瓦礫を支え、右足で踏み出せ――。

    「……くっ……よし……」

    瓦礫の飛散を避けつつ、薮内は少女に接近する。導きは首飾りへの最短経路を示し、瓦礫や崩落の影響を微細に補正する。少女の外敵排除モードは強力だが、導きが補助することで接近の可能性が生まれる。

    紫苑の首飾りに視線を向けると、その多面結晶体は小刻みに光を震わせる。彼女の体内では偽生贄システムが作動し、微細に肉体が損傷している。外敵排除モードと組み合わさり、首飾りは世界に干渉する力の源として輝きを増していた。

    「……これは……悪くない……かな……?」

    薮内はぼそぼそとつぶやく。導きは彼に、瓦礫を避けながら首飾りに接近するためのタイミングと角度を示す。瓦礫が一瞬、紫苑の手の届かない位置に崩れる瞬間を見逃さない。

    紫苑は無垢な笑顔を浮かべ、手を差し伸べる。

    「だいじょうぶ…怖くない…」

    しかし、瓦礫の飛散や地盤の微細な崩れが薮内の行動を制限する。外敵排除モードは完璧に作動し、首飾りを護るように瓦礫が配置される。善意と災厄の混ざった奇妙な防御網が、二人の間に張り巡らされる。

  • 8931◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:11:00

    薮内はリュックからロープを取り出し、瓦礫を支点に体を跳ね上げる。導きは彼に、首飾りを破壊するために必要な微細な角度とタイミングを示す。

    「……今だ……!」

    跳躍の瞬間、瓦礫の一部が外敵排除モードにより反応する。しかし、導きが薮内を補正し、微細に空間をずらすことで、瓦礫は彼に直撃せず、首飾りへの接近が成立する。

    薮内のナイフが多面結晶体に触れる。光は一瞬、強く弾け、紫苑の体内で偽生贄システムが過剰に反応し、微細な痛みが彼女を通過する。しかし彼女は表情を変えず、無意識に善意を振りまこうと手を差し伸べる。

    「……えっ……?」

    紫苑の外敵排除モードが瞬間的に解除される。しかし彼女は無自覚であり、瓦礫を操る力も弱まった。薮内は微細な隙間を利用し、首飾りを強く握り、宝石を破壊する一撃を加える。

    「……あ……ごめんなさい……ごめんなさい……」

    紫苑はその瞬間、自身が生み出していた災厄と偽生贄の真実に、初めて意識的に触れる。涙を浮かべ、微かな震えを伴いながら、謝罪の言葉を繰り返す。

    瓦礫の崩落は止まり、微細な水害も収束し、廃墟に静寂が戻る。首飾りは砕け散り、外敵排除モードは完全に解除された。善意は残るが、災厄を引き起こす力は消え去った。

    薮内はぼそぼそとつぶやく。

    「……終わった……のか……」

    紫苑は膝をつき、泣きながら瓦礫の上に座る。彼女の目には後悔と罪の意識が映り、無垢だった笑顔は消え、微細な絶望と理解の色に変わる。

    「……ごめんなさい……わたし……本当に……ごめんなさい……」

    廃墟に沈む夜の静けさは、彼女の謝罪とともに深く、長く、余韻を残した。

    瓦礫と影の中、二人の存在は互いに接近し、初めて本当の「理解」と「行動」の間に橋を架けた瞬間であった。

  • 8941◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:12:24

    夜の風が廃墟を吹き抜け、瓦礫の影をかすかに揺らす。首飾りの多面結晶体は砕け、光は消え去った。廃墟の瓦礫の間に、紫苑は膝をつき、震えながら小さくつぶやく。

    「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

    彼女の声は夜の静寂に吸い込まれ、響き渡ることはない。しかしその声には、今まで無自覚だった災厄を生み出していた事実への深い罪悪感が込められていた。涙が頬を伝い、瓦礫にぽたりと落ちる。

    薮内は傍らにしゃがみ、膝をつきながらも無言で彼女を見つめる。導きはもう必要なく、瓦礫も静まり返り、災害の波紋は徐々に収束していく。

    「……もう、大丈夫……だ……よ……」

    ぼそぼそと、薮内はつぶやく。言葉は途切れがちだが、意図は明確だ。紫苑はその声を聞き、微かに顔を上げる。彼女の目には、初めて自分の行動がもたらした世界への影響が映る。

    「……わたし……こんなに……たくさん……ごめんなさい……」

    紫苑の体は微かに光を帯び、偽生贄システムが完全に解除されたことを知らせている。首飾りは破壊され、外敵排除モードも存在しない。しかし、彼女の心は消耗し、身体も力を失いつつあった。

    「……だいじょうぶ……謝らなくて……いい……」

    薮内は小さな声で返す。導きが彼に示すものはもうない。ただ、瓦礫の影に包まれた二人の存在だけが、静かに夜に沈む。

    紫苑の体から、微かな光が消えかける。瓦礫の上に小さく座ったまま、彼女は震えながら言った。

  • 8951◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:12:46

    「……ごめんなさい……みんな……ごめんなさい……」

    その声は途切れ途切れ、だが確実に謝罪の意志を伝えていた。瓦礫の隙間に落ちた涙は乾き、夜の風がそれを吸い込む。

    そして、紫苑はゆっくりと消滅していく。体の輪郭がぼやけ、瓦礫の影に溶けるように消え、最後の言葉は夜空に吸い込まれた。

    「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

    廃墟には静寂が戻り、瓦礫の間に残ったのは、破壊された首飾りの破片だけだった。外敵排除モードも偽生贄システムも消え去り、善意と災厄の波動は完全に静まった。

    薮内はその場に膝をついたまま、瓦礫の破片を見つめる。導きはもう何も示さない。彼はただ、無言で夜の風に吹かれる瓦礫の残骸を見つめ続ける。

    「……終わった……のか……」

    ぼそぼそと呟いたその声は、夜の静寂に溶け、瓦礫に反射してかすかに戻ってきた。薮内の目には、戦いの痕跡と共に、無垢で善良な存在が世界に及ぼした影響の重さが映る。

    瓦礫の上に残る光景は静かだ。だが、二人が交わした時間、善意と災厄、偶然と必然、導きと外敵排除モード――それらは、静寂の中で永遠に余韻として残り続ける。

    夜空には星が瞬き、遠くで微かな風が瓦礫を揺らす。廃墟に残されたのは、謝罪と、そして少しの救済――しかし決して完全ではない、現実の重みであった。

    薮内は小さく息をつき、立ち上がる。瓦礫の影を踏み越え、彼は夜の闇に向かって歩き出した。導きが無くとも、自分の足で、ゆっくりと、しかし確実に。

    そして、廃墟に消えた少女の影は、瓦礫の隙間に微かな余韻を残しながら、完全に夜に溶け込んでいったのだった。

  • 8961◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 19:13:28

    以上
    次の安価は21:00より10個募集

  • 897二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 19:14:49

    操り人形同士の導きVS邪神代理戦争
    両者共に設定が複雑過ぎてやや無理のある描写になった気がする

  • 898二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 20:49:10

    あと10分か

  • 899二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00

    名前:冬籠り
    年齢:不明
    性別:なし
    種族:術式
    本人概要:かつてチコマセワルに討ち果たされた北の呪巫女の、己の死後も土地と集落を守護する為に残した自立稼働する術式。この存在によって、チコマセワルは土地の占領を断念した。チコマセワルの死によって解呪される予定だったが、呪巫女の死後も超長期間に渡ってチコマセワルが権勢を振るい続けたため、一族は自由を手にすることなく食糧難と寒冷化によって死に絶えた。
    能力: 冬籠り
    能力概要:呪巫女の一族に連なる、集落の民を除いた範囲内の生物の遺伝子に毒の呪詛を仕込み、生態系そのものを集落の防衛装置として作り変える。動植物は異形化、凶暴化し、毒性の呼吸を行うようになり、それらの性質は世代交代を重ねるごとに顕著になっていく。しかし、集落の民は怪物から危害を受けず、毒も効かない。また、半永久的に地脈からエネルギーを吸い上げ続ける為、副次効果として土地一帯の寒冷化が進む。当初の想定を遥かに超えて稼働年数が経過した為、尋常の生命は生存不可能な極圏と化している。
    弱点: 各所にそびえる巨大な氷の柱ーーーと見せかけて地下に埋められた呪巫女の左腕のミイラが術式の核となっている。掘り起こされ、地脈との接触を絶たれた時点で術式は強制終了する。

  • 900二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00

    名前:裏伏
    年齢:30歳
    性別:男
    種族:裏ボス
    本人概要:
    強大な力を持つ闇の組織を裏から支配する裏ボス。最低な性格のクズであり邪魔者排除や物品の奪取などの目的の為なら手段を選ばない。
    闇の組織の中でも暗殺術と智謀は他を遥か凌駕するレベルであり、罠や仕込み武器により意識の外から攻撃を行う事で相手は気付かぬうちにどんどんと不利な状況へ追い込まれる。
    長年権謀術数渦巻く裏世界で生き抜いてきたため、どんな状況も予測し即座に対処できるほどに状況適応力がズバ抜けて高いのが最大の強み。
    能力:[裏ワザ]
    能力概要:
    常識や物理法則といった世界の法則から外れた現象を自在に発現し操る能力。
    ゲームなどで特定のコマンドを行い通常発生しない挙動を意図的に再現するようなもの。
    この能力によって何ができるかは使用者の想像力に依拠する。
    今まで裏伏が[裏ワザ]で発現させた現象としては「小さなナイフで戦艦を両断する」、「自身の周囲だけ時間の流れを加速し高速で移動する」、「壁をすり抜ける」といった事例が確認されている。
    弱点:
    [裏ワザ]の発動には予備動作が必要であり隙が大きい。耐久力は一般人程度。
    両腕両脚が義手義足になっているため脆い。

  • 901二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00

    名前:島井 桐矢(しまい きりや)
    年齢:17
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:
    中学一年の夏。彼は原因不明の高熱により三日三晩生死の境を彷徨った。
    一命を取り留めた彼は能力に目覚めるとともに、怪異など目に見えない存在を知覚・感知するようになった。
    手に入れたチカラを人々の平穏を守るために使うことを己に誓い、そして彼は戦いの日々に身を投じたのだった。
    能力:『TiMeRエボリューション』
    能力概要:
    掴んだものを異空間に格納する能力を持った存在___の両腕を召喚する。(スタンド能力をイメージしてほしいです)
    島井はこの能力を『TiMeRエボリューション』と名付けている。
    相手の攻撃の防御したり障害物を消したりなど本来は攻撃性能の低い能力。
    『H-リミット』
    『TiMeRエボリューション』の決定力の低さを補うため、島井が編み出した必殺技
    格納を解除することで格納されていたものが一気に放出され、それを相手に向かって射出する。
    弱点:
    ・異空間に送れるのは非生物限定。人間などの生物を閉じこめるような使い方はできないため、解除による射出を用いなければ火力が不足しがち。
    ・掌で触れないと格納能力を発動できないため範囲攻撃に弱い。
    ・近接格闘技術がそれほど高くないため、近接格闘では遅れを取りやすい。
    要望:格納した時の効果音は「ガオン!」でお願いします

  • 902二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00

    名前:槍術院 百鋭(そうじゅついん びゃくえい)
    年齢:51
    性別:男
    種族:人間
    人物概要:神鏡皇直属の異能者・鬼(魔性)狩り。後述の槍術と異能殺しの槍だけで久那土の最強クラスに列席する強豪。浪人傘で顔を隠し、血塗れの僧衣を纏っており一眼でヤバいと分かる。
    自らの伴侶と娘を悪しき鬼の末裔に殺され、それ以来、手段と目的が逆転し、罪も無い異能者や人ならざる者、それらに与する者すら躊躇いなく殺すようになってしまった。
    能力:槍術、異能殺しの槍
    能力概要:・大事な家族を喪って以降、己の命すら顧みず、ひたすらに鍛え上げられ、神格の領域に到達した槍術。先の先と称される殺気や闘志を感じ取る先読みの技術に長ける。ただの技術でありながら異能の領域にまで達した狂気の技。
    異能殺しの積み重ねられた経験ゆえ、異能や魔術を扱う人間や怪物に対しては圧倒的に有利に立てる。
    ・梵字が刀身に刻まれた十文字槍。この刃は異能や人ならざる者の能力を打ち消してしまう。魔術的な鎧や盾であっても魔術防御の効果は失われ、物理的な強度のみで判定を行う。
    弱点:・異能殺しの槍が異能を殺せるのは「刃が触れている部分だけ」「刃が触れている間だけ」。
    例として、ビームを撃たれても刃の部分だけ消えて後は素通りしてしまうので防御には致命的に向かない。一度消しても刃から離れてもう一度発動すれば即座に元通り。
    「異能で石を操る」ならば無効化できるが、「異能で投げられた石」は無効化できない。
    ・反射神経および身体能力はとんでもないが、耐久力は人間相当。また、家族を奪われた時に右目を失っているので、視界の右側に死角がある。

  • 903二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00
  • 904二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:00

    名前:引導イワオ
    年齢:55
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:岩石のプロテクターを装着した、縦は低く横は太い体格の男。元重量挙げ選手で、「重さこそ力」という信念を持つ。
    能力:G・Blast
    能力概要:自身の重力を物理的なエネルギーに変える。具体的には自身の体に掛かっている重力を、斬撃・刺突・打撃・圧迫などの物理攻撃を帯びたエネルギー波に変換して発射する。
    体に錘(おもり)などを取り付けることで強化される。
    弱点:錘を取り付けるほどにスピードは遅くなる。自身の限界を超えた荷重を受けると身体が自壊してしまう。

  • 905二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:01

    名前:数言六月(かずこと むつき)
    年齢:16
    性別:女
    種族:人間
    本人概要:数言家の少女。6文字でしか喋れない。幼い頃のある出来事で心身に強いトラウマを抱えている。瞳が六角形で、右目に悪魔が憑いている。
    能力:碌外地
    能力概要:6にまつわる行動を短縮する能力
    六連撃を一回分の速さで打ったり、一歩の速さで六歩進んだりできる。
    右目に憑いている悪魔は六月に語りかけるだけで直接干渉はしてこない。
    弱点:自分のことを否定されたり暴言を言われたりするとトラウマで動きが止まる

  • 906二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:01

    名前:星川 ルミナ
    年齢:17歳
    性別:女性
    種族:人間
    本人概要:国民的アイドルグループのセンターを務める少女でありながら、裏では特殊部隊に所属する隠密戦闘員。舞台では可愛らしい笑顔ときらびやかな衣装でファンを魅了するが、任務のときはその魅力を致命的な武器に変える。ピンクやラメ、ラインストーンでデコレーションされた実銃を使って戦う
    能力名:視線操作(シアー・リダイレクト)
    能力概要:半径30メートル以内の対象の視線の向きと視覚的注意を自在に操ることができる。
    見てほしい場所・人物・物体に視線を向けさせる
    見られたくない対象から注意を逸らす
    能力は指先の動きをトリガーに発動し、効果は最大5分ほど持続。
    弱点:対象が視覚以外の感覚に集中している場合、効果が低下

  • 907二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:01

    名前:到達者(山桐 潤)
    年齢:5
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:山桐一家の末っ子でとても向上心が高い上なんでも真似するそれ以外は普通の5才って感じ
    見た目は所謂男の娘
    能力の都合上 急激に成長することがあり【適応者】、【万能者】も子育てに苦労している
    能力:到達
    能力概要:いずれあらゆる極地に到達することが出来る能力
    見たもの感じた経験したもの急激に学習吸収発展進化させる
    現在は家族の異能を中心に目撃している為 成長度合いは異能に傾いていて現在は
    提唱者の提唱、適応者の適応、質問者の質問を劣化ではあるが真似出来る(使う度に精度が上がるが)
    一つの極地に到達するとそれに類するものはなんでも出来るようになるがそれにはまだまだ長い時間を要する
    弱点:相手を完璧に模倣する、上回るのにはそれなりの時間が必要
    多彩な技や能力などを見ると全部同時に学習吸収発展進化させようとするので隙が出来る
    また予想もしていない様な事をされるととても驚き何それ!?凄いとはしゃいでしまう為そこを狙われると弱い
    戦闘経験、暴力の経験はまだ無いに等しい為 色々と驚きやすい
    また模倣或いは上回った能力技術凄くともそれをいつどのタイミングで使えば良いかなどは使い手には劣る

  • 908二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:01

    名前:キャージ・スレイ・Jr.
    年齢:21
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:めちゃくちゃタフな男。顔がいい。
    長い金髪に碧眼。常に無表情で無口だが動きがやかましい。時々物理法則を無視してくる。謎の存在。
    感情や思考が読めないので不思議過ぎる。
    関係者でもないのにあらゆる組織に侵入できたり何故か交流が出来てたり特定の人物とだけテレパシーで会話出来てたりする。
    紺色のツナギを着ている。背は204cmくらい。髪で口以外の顔が隠れている。
    隠密とかが得意。いきなり背後から現れたり、肩を叩かれるまで気付かれてなかったりする。心音が全然しない。こっそり後ろから見てきている。家族みんなこう。
    周りとは感覚や認識が違う。頭はいいし、素の身体能力が高い。
    能力:【スレイ家のお約束】
    能力概要:あらゆる物理法則とか常識を無視して行動可能。常時発動している。
    弱点:いきなりのことはビックリして怯む。
    首を攻撃されると一年ほど昏睡状態になる。目覚めてもしばらくは動けない。
    名前を三回呼ばれると動きが封じられる。

  • 909二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:05

    名前:大火の主・フラムゴール
    年齢:1000以上
    性別:無し
    種族:悪魔
    本人概要:甘い不死の誘惑で数多の人間に終わらぬ苦痛を振り撒いた炎の大悪魔。黒山羊の頭に獅子の立て髪、巨人の肉体を持った怪物。性格は傲慢だが、狡猾で邪悪の極み。炎を操る魔術師としても一流だが、戦士や魔術師としての誇りは待ち合わせておらず、罠や人質、騙し討ちなど卑劣な手段も好む。人間はおろか同族でさえも薪程度にしか思っていない。
    能力:不死の炎
    能力概要:生物から死を奪い、永遠の灼熱に捕える消えることのない呪われた炎。囚われた生物の苦痛を薪として力を増してゆく性質を持つ。彼はその炎を用いて様々な強大な魔術を行使する。
    ・炎に包まれたアンデッドの軍勢を召喚できる。彼らは不死の炎に囚われた犠牲者たちであり、フラムゴールはそうした者たちを支配しいつでも召喚出来る。死ぬ事も出来ずに苦しみ続ける彼らは、救いを求めて近くの生者を目指す。そんな彼らを嘲笑う様にフラムゴールは彼らを生きた爆弾として利用する。彼の意思一つで彼らの肉体は不死の炎による大爆発を引き起こし、更に多くの生物を炎に捕え支配する。アンデッドたちは不死であるが肉体破壊で戦闘不能にできる。ただし肉体破壊時にも同様の爆発が起こるので注意。
    ・不死の炎は治癒にも転用可能。自身の治療や破裂や破壊されたアンデッドたちを修復し繰り返し爆弾として再利用する。
    ・致命傷を受けた場合は不死の炎が暴走し、炎が全身を包むことで攻撃性能が跳ね上がる。全身が焼け爛れ、発狂し理性なき炎の獣と化したそれには最早魔術を使うことも戦略を考える余裕も残されていないが、見境なく凶暴に暴れ狂う。行動原理は復讐ただ一つでありどんな攻撃にも怯むことなく襲いかかってくる。更なる追撃で肉体を完全に破壊することで倒せるが、肉体破壊時に道連れ狙いの極大爆発を起こすので注意。
    弱点:胸の中心部に真紅の宝石が埋め込まれており、それが彼にとっての心臓であり核。弱点故に警戒されるが、破壊すれば致命傷となる。悪魔という種族上、強力な光や浄化といった神聖な力にも弱く、大ダメージを受ける。
    要望(任意):敗北時は核破壊→致命傷→暴走大暴れ大爆発→道連れに出来なかった場合めちゃくちゃ恨めしそうにしながら死亡みたいな流れでお願いします。

  • 910二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:06

    名前:佐藤 武(さとう たけし)
    年齢:75歳
    性別:男
    種族:人間
    人物概要:佐藤清の父親であり佐藤智の夫で佐藤兄妹(雪、蓮、純、凛、命&聖、和)のおじいちゃん
    身長200cm以上、白髪オールバックで筋骨隆々の大男、常に笑顔でがははと大笑いする事が多い破天荒なお爺さん
    長年、防衛隊の幹部として努め無数の命を助けてきた英雄で腐敗した組織の改革に積極的な人物の一人
    裏表のない豪快で漢らしく熱血で気持ちの良い性格で破天荒ながら誰よりも平和の為に動き多くの国や種族の危機を救った実績を持つ
    どんな強敵と相対しても豪快に笑いどれだけ傷付いても獰猛に喰らいつき最後まで己の拳で勝利をもぎ取ろうとする戦闘狂
    能力:闘争の主
    能力概要:時間経過で少しづつ「強く」なっていく力
    少しづつ少しづつ着実に着実に戦えば戦う程に彼は強くなっていき少しずつではあるものの際限なく強くなってゆく
    戦う時間が長引くほどに身体能力や防御力、持久力が強くなってゆき果てしなく果てしなくどこまでもどこまでも強くなる
    時間経過と共に身体能力、耐久力、持久力などの基礎スペックが少しずつ増しある程度に経つと遠距離攻撃や能力抵抗も可能となる
    次第に拳は一発で概念を打ち砕き速力は光をとなり身体はどんな武器や神の権能すら通さなくなり闘神の如き力を発揮する
    その強さは異名である「闘神」に違わぬ程であり時間こそかかるが強さは驚異的になってゆく力
    弱点:能力の性質上、強くなるには時間が掛かるスロースタータータイプで最初の何分かは本領を発揮できない
    身体が大きいので的が大きく身体能力、持久力共に凄く身体も人並み以上に頑丈だがあくまで人並み以上であり過信できる程でもない
    戦闘スタイル的にゴリ押しが多めで性格的にも敵の攻撃、能力を喰らうの上等であり攻撃や能力を当てやすくダメージを与えやすい
    攻撃は一発一発が比較的に大振りで能力によって攻撃速度が上がっていない最初の何分かは回避が容易である
    ある程度強くなる頃にはボロボロになっている事が多く常に全身全霊で後先のペース配分などは考えず気合で押し切る悪癖がある
    時間を掛けて徐々に強くなるタイプなので時間をかけない速攻とかに弱く
    要望:豪快で漢らしい口調でお願いします
    一人称は「わし」

  • 911二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:07

    名前:八ツ辻 襖
    年齢:16
    性別:男
    種族:人間
    本人概要:ある種の異能を保有する一族「八ツ辻家」の一員 基本的に気怠げな性格
    ちなみに襖という名前なのはその力を発現する事が予言されていたから
    能力:襖
    能力概要:指定した空間に自分しか操作できない頑丈な襖を設置・固定する 襖のサイズは縦横比に制限こそあれど自由自在だし襖を閉じることによる強制切断や襖による防御はもちろん触れた物体を襖化することで強制的に開けたり閉じたりできる
    弱点:能力を発現したてで力がまだ馴染んでいないので同時に展開できる襖は8つまでだし操作できるのは1つだけ あと展開する襖の数が増えると耐久が分散されて落ちるし襖は開閉以外の操作以外は不可

  • 912二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:11

    名前:ズゥ・オラクル
    年齢:1984歳
    性別:男性
    種族:人間
    本人概要:バイオスフィア“イーハトーヴォ”を管理している老人。
    生物が好きであり、彼の管理するバイオスフィアには様々な動植物が生活しており、中にはティラノサウルスや三葉虫、ドードーなど既に絶滅した動物も元気に生息している。
    が、彼の本性は異常な管理者である。あらゆる物事、森羅万象を手の内に収めなければ満足できない異常者。そのため思い通りにならない人間社会に嫌気がさし、一つの生態系(せかい)を完璧に掌握することで満たされない渇望・欲求を慰めている。
    能力:Synchro Gazer
    能力概要 : 世界規模の照応魔術。照応魔術とは本来マクロコスモス(世界)とミクロコスモス(人体)を照応させる、あるいは人と人形を照応することで呪う原始的な魔術である。しかし、彼は小規模ながら完璧に循環した世界を創り、それを完璧に運営している。それはまさしく神の御技、彼の異常な年齢もこの小さな世界の神であるから実現できたものである。
    舞台がイーハトーヴォである限り彼は神の如き超常現象を起こすことができる。それこそ洪水伝説やバベルの神罰、ソドムとゴモラを打ち壊した裁きすら起こせるだろう。
    弱点:バイオスフィアはかなり繊細な空間である。そのためちょっとでも火事が起きたり、空調設備が壊れると彼の照応魔術に不全が起きてしまう。
    そうなるとズゥの寿命や超常性も損なわれ普通に倒せるようになる。

  • 913二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:00:16

    名前:埋葬者
    年齢:既に忘却している(見た目は15歳くらい)
    性別:女性
    種族:死人
    本人概要:身体に包帯を巻いた褐色の少女、黄金や装飾品を纏い、鎖付きの棺桶を引いている、可愛い顔して性格は割と尊大
    能力:埋葬
    能力概要:地を割り、砂と亡者達の手を操りあらゆる者を埋葬する
    また埋まっているものならば「埋葬品」として取り出して過程をすっ飛ばして利用する権限を持つ
    また既に「埋葬」されている者である埋葬者は既に死んでいる存在である為、身体を吹き飛ばされてもその活動を停止させる事は出来ない
    弱点:引いている棺桶の中のミイラの心臓を滅する事で完全に滅ぼす事が出来る
    埋葬品の一回の戦闘で使用回数は各一回のみ
    亡者は数が多いだけで一体一体はそんなに強くない
    また彼女は生前に片目を奪われた影響で半永久的に左側の眼が見えない
    その為彼女から見て左側の空間に関しては反応が遅れ、能力の操作も甘くなる

  • 9141◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:02:27

    審査

  • 9151◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:10:59

    >>904

    相手がつける弱点をと

    なにか案はありますか?

    21:20まで待ちます

  • 916二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:12:53

    >>915

    では、身体が常に多大な重量を支えているため、脚の関節(膝、足首など)を攻撃されるとダメージが大きい

    ということでお願いします

  • 9171◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:13:42

    >>916

    okです

    >>906

    あ、あとこちらもお願いします

    同じく21:20で

  • 918二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:14:50

    >>917

    どゆことっすか?

  • 919二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:15:47

    >>918

    >>906の方の作者も相手が付ける弱点追加してくださいって意味では?

  • 9201◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:16:30

    >>918

    906の方も相手がつける弱点をお願いしますということです

    安価し忘れてました


    今の状態だと視覚に頼らないような戦い方をする相手以外には弱点がないです

  • 921二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:18:26

    >>920

    じゃあ視線誘導の能力を連続で長時間使うと、集中力と体力を大きく消耗してしまうってことで

  • 922二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:18:47

    このレスは削除されています

  • 9231◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:19:34

    >>921

    相手がつける弱点をお願いします

    そっちは別になくていいので

    時間は10分延長します

  • 924二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:21:22

    つける弱点ってどんなのよ?

  • 925二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:22:29

    身体能力が低いとか?

  • 926二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:22:59

    >>924

    ここを攻撃されたら消滅しますとか能力使えなくなりますとか、言うならばコアみたいなの付けてねってこと

    今のじゃそのキャラの自滅とか待たなきゃダメだからね。

    対戦相手が能動的につける弱点が欲しいの

  • 927二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:23:29

    >>925

    スレの一番上におすすめの弱点まとめたやつがあるやろ?

  • 9281◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:23:41

    >>924

    まぁ、例えばですけど

    相手の全身を視界に納めていないと発動しないとかですかね

    これでほかの弱点なくしてバランスとればいいんじゃないですか?

  • 929二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:24:16

    >>928

    じゃあそれでいいです

    手間取らせてごめんなさい

  • 9301◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 21:25:58
  • 931二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 21:43:39

    >>928 >>929

    すみません。これ結局最終的な弱点の組み合わせはどんな感じですか?

    安価当選キャラまとめたいので教えてほしいです

  • 932二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 22:01:32

    スレ主、>>931についてお願いします

    どちらからも返事がありませんので

  • 933二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 22:02:22

    >>932

    前のやつにくっつける感じでいいのではないでしょうか?

  • 9341◆ZEeB1LlpgE25/08/14(木) 22:19:35

    >>931

    私の言ったやつです

    他の弱点はなしで構いません

  • 935二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 22:22:16

    >>934

    了解しました

    ありがとうございます

  • 936二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 02:31:05

    このレスは削除されています

  • 937二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 10:44:08

    このレスは削除されています

  • 9381◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 16:38:51

    島井 桐矢vs星川 ルミナ
    バーナビー・デッドマンvs到達者
    裏伏vs数言六月
    冬籠りvs引導イワオ
    槍術院 百鋭vsキャージ・スレイ・Jr.

  • 9391◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:41:50

    題名『残光の邂逅』

  • 9401◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:43:30

    深夜の市街地──商店街の灯りはほとんど落ち、ネオンだけが淡く輝いていた。人気のない通りに、ひとりの少年が慎重な足取りで歩いている。

    「……なんだ、ここ……?」

    島井 桐矢は小さく息を吐きながら、周囲を警戒する。中学一年の夏以来、怪異を感知する力が彼の中で覚醒していた。今日も、奇妙な気配を察知したからここまで来たのだ。

    足元の影がざわつく──その瞬間、ひらりと華やかな衣装を纏った少女が姿を現した。星川 ルミナ──彼女は表の顔では国民的アイドル、裏の顔では特殊部隊の精鋭だった。

    「……ん? こんな深夜に、少年?」

    ルミナは手元の銃を軽く傾け、微笑む。しかしその瞳の奥には冷徹な光が宿っていた。

    島井もまた、構えを取る。掌の中で何かがざわつく感覚──『TiMeRエボリューション』の両腕が、異空間から静かに現れる。

    「ガオン!」

    空間の裂ける音が響き、両腕が彼の掌から伸びた。

    「……なるほど、武器か……」

    ルミナは指先を動かすと、空気の中の視線がねじ曲がる。島井の視界は一瞬、幻惑的な光景に覆われる──ネオンの光は増幅され、通りに見えない壁が生じたように見えた。

  • 9411◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:44:41

    「っ……く、視線操作か……!」

    島井は両腕を素早く動かし、向かってくる障害物を格納する。『ガオン!』
    物体は異空間に吸い込まれ、直撃を避けた。

    「へえ……やるじゃない」

    ルミナは微笑み、指先を一振り。島井の注意を逸らすよう、街灯の明かりや反射する窓ガラスに視線を誘導する。

    島井は瞬間的に息を呑む。視線の操作は想像以上に厄介だった──正面の敵の姿はあるが、どこに注意を向ければいいか、感覚が狂わされる。

    「……でも、僕には……」

    彼は掌を握り直し、再び『TiMeRエボリューション』を展開する。格納したゴミ箱や自販機の一部を盾に変える。

    「ガオン!」

    異空間から戻った物体は、ルミナの射撃や幻惑的視界をかろうじて防いだ。

    しかし、島井の目には知覚できない動き──ルミナの笑顔の裏に隠された計算があった。次に何が飛んでくるか、どの視線に惑わされるか、彼にはまだ掴み切れない。

    「……面白い。君、私を楽しませてくれるかもね」

    ルミナは口元に小さく笑みを浮かべ、次の攻撃の準備を始める。

    両者の距離はまだ数メートル──この戦いの序盤、心理戦と能力の駆け引きが交錯する。

  • 9421◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:46:03

    街路灯の淡い光の下、島井の両腕──『TiMeRエボリューション』は警戒心を宿したまま空中に展開している。
    ルミナの指先がわずかに動くたび、視線は歪み、周囲の景色が微妙にずれて見える。狙いが読みにくくなる──そんな感覚だ。

    「くっ……こいつ……全方位から惑わしてくる……!」

    島井は声を漏らしながらも、格納能力を駆使して、目の前の物体を盾に変える。

    「ガオン!」

    ゴミ箱が宙に浮き、銃弾を吸い込むように異空間へ消えた。

    ルミナは軽く笑う。

    「ふふっ、やっぱり反応は悪くない。でもまだまだ……」

    指先をくるりと動かすと、島井の注意がまた一瞬逸れる。彼の掌から伸びる両腕は、今度は目に見えない速度で移動する物体を防ごうと必死に追従するが、視線操作による幻覚のせいでタイミングが狂う。

    「……もう、限界か……?」

    一瞬、後ろに飛び退く島井。しかし彼の目に、異空間に格納されている物体たちがちらつく。

    「そうだ……ここで……」

    島井は深呼吸すると、異空間に溜め込んだすべての物体を一気に放出する。

  • 9431◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:46:30

    「H-リミット──!」

    『ガオン!』
    自販機、ゴミ箱、街灯の一部──異空間から戻った物体が同時にルミナに向かって飛ぶ。

    ルミナは即座に銃を構え、視線操作でそれらの軌道を微妙にずらすが、連続する射出の数には対応しきれず、いくつかの障害物が目前に迫る。

    「なっ……!?」

    彼女は驚きつつも、身を翻して避ける。ピンクにデコレーションされた銃から放たれる銃弾が、島井の格納した物体に吸い込まれるように当たる。

    「なるほど……威力は低いけど、まとめて放つと……!」

    島井は小さく笑む。H-リミットの真骨頂は、単体の威力の低さを瞬間的な決定打に変えること──防御的能力が一転、攻撃の瞬間になるのだ。

    ルミナもまた、戦況を素早く把握する。視線操作を使って島井の両腕の動きを錯覚させ、隙を作ろうとする。しかし、少年の動きは一瞬の迷いもなく、異空間を使った攻撃と防御を切り替えている。

    「……まだ、終わらないんだね。君、面白いわ」

    ルミナの笑みは依然として美しいが、瞳の奥には戦慄が宿る。彼女もまた、この能力応酬を楽しんでいるのだろう。

    二人の間には、静かな緊張が張り詰める。異空間から飛び出す物体と、視線を狂わせる魔法のような操作。
    戦闘は序盤から激しさを増し、心理戦と能力戦の境界が曖昧になっていく。

  • 9441◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:47:31

    商店街の廃れた路地──月光がかすかに地面を照らす中、島井 桐矢は息を整えながら、異空間からの物体の残滓を片付けていた。
    だが、ルミナの指先がくるりとひと振りするだけで、周囲の景色がまた歪む。

    「……見ろ、あっちだ!」

    目の端で見えた小さな影──それを追おうと手を伸ばす島井。しかし、視界は意図的に欺かれ、実際のルミナは別の方向から接近してくる。

    「……っ、くそっ……!」

    彼は瞬間的に掌を振るい、近くの障害物を格納して防御する。
    「ガオン!」
    だが、ルミナは彼の手元を正確に見切っていたわけではなく、視線操作で島井の注意を逸らすタイミングを完全にコントロールしている。

    「へえ……本当に、視線だけでここまで……」

    島井は小さく呟き、距離を取ろうと後ろに一歩退く。しかし、路地は狭く、近接戦では逃げ場が少ない。
    ルミナは静かに微笑む。彼女の衣装の煌めきに目を奪われそうになるが、それも計算のうちだ。

    「逃げ場はないわよ、桐矢くん」

    ルミナは一歩、また一歩と近づく。彼女の指先の動き一つで、視界に映る光景は次々と変わる。月光の反射、壁の陰、散乱したゴミ──すべてが幻のように錯覚させられる。

    島井は焦燥の中、両腕──『TiMeRエボリューション』を振るい防御するが、掌で触れられる範囲の限界が露呈する。視線に惑わされ、攻撃の軌道を読み切れない。

  • 9451◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:48:06

    「……これじゃ、近接戦は不利か……!」

    彼は決心すると、次の行動に踏み切る。異空間に格納した障害物を盾として瞬時に展開し、ルミナの攻撃の前に壁を作る。

    「ガオン!」

    ルミナはそれを見て、軽く口元を緩める。「ふふ、やっと防御したね。でもまだまだ……」
    指先で空気をなぞると、島井の視界が再び歪む。彼が防御したはずの壁も、幻覚によって錯覚され、別の方向から攻撃が迫るように見える。

    島井は思わず後退し、近くの壁に背をつける。視界操作によって判断が狂わされ、攻撃と防御のタイミングがずれる。

    「……僕は……視線操作に……ついていけるか……」

    その瞬間、ルミナは軽やかに身を翻し、銃を構える。ピンクにデコレーションされた銃身が月光に反射し、まるで魔法のように光った。

    「……よし、次は……」

    島井は掌に力を込め、両腕を広げる。しかし、視界はまだ錯覚のまま。彼が攻撃を仕掛けるタイミングと、ルミナの動きがずれ、近接戦での苦戦は避けられない。

    戦いは、心理と錯覚の迷宮のようになった。異空間の腕が振るわれても、視線操作による幻覚が島井の感覚を狂わせる。
    彼の表情は険しく、しかし決して諦めない──まだ、この戦いの行方は誰にも分からなかった。

  • 9461◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:49:05

    月明かりの下、路地は戦場と化していた。散乱したゴミ箱や自販機の破片、そして異空間から放たれた物体が無秩序に宙を舞う。

    「……まだ……諦めない……!」

    島井 桐矢は掌を握り、異空間に格納していた物体を集中させる。
    『TiMeRエボリューション』が展開されると、両腕が空中でうねりながら構えを取った。

    「ガオン!」

    異空間から戻った物体が一斉に、ルミナに向けて飛び出す。

    ルミナは視線操作を駆使して軌道をずらそうとするが、H-リミットによる一斉射出は想定以上の密度だった。飛び交う物体が互いに遮蔽し合い、視覚を欺く隙間を作る。

    「……なるほど、これが……H-リミット……!」

    ルミナは驚きを隠せず、身を翻して回避する。しかし、異空間からの射出物の速さと量には、完全に対処できない。

    島井は心臓を高鳴らせながら叫ぶ。

    「今だ、僕のチャンス……!」

    ルミナの視線操作は、対象の全身を捉えていないと効果が持続できない──島井はそのわずかな隙を見逃さなかった。

  • 9471◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:49:47

    「こっちだ!」

    彼は自らの両腕を駆使し、異空間に格納した障害物を盾に変形させ、ルミナの視線を一瞬遮る。視界を遮られたルミナは、幻惑の操作を完全に発動できず、攻撃の軌道にズレが生じる。

    「……っ、くっ……!」

    ルミナは焦りを見せるが、すぐに冷静を取り戻す。美しい笑みを保ちながらも、その瞳の奥には戦慄が光った。

    島井は全力でH-リミットを放ち、異空間からの放出物を密集させる。飛び交う物体の音が路地に響き、まるで戦場の爆発音のように空気を震わせる。

    「ガオン!ガオン!ガオン!」

    ルミナはぎりぎりで回避するものの、異空間の連続攻撃は心理的にも圧力となり、次第に追い詰められる。
    島井の顔には、決して諦めない覚悟と、必死の戦意が滲む。

    「……これが、僕の……力……!」

    少年の声は震えていたが、目は揺るがない。心理戦の駆け引きで得たわずかな隙──それを一気に攻めるH-リミットの圧力が、戦況を逆転に近づける兆しとなった。

    ルミナは僅かな間合いの違いに気づき、指先をさらに巧妙に動かす。しかし、島井の集中力と異空間の腕の連携は、これまでの幻惑をも凌駕していた。

    二人の戦いは、心理と能力の限界を試す──まさに極限の応酬の最中にあった。

  • 9481◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:50:53

    路地全体が、異空間からの飛翔物と視線操作による幻覚の嵐に包まれていた。
    島井 桐矢の両腕──『TiMeRエボリューション』は、異空間に格納したあらゆる物体を盾にも攻撃にも変化させながら、ルミナの接近を防ぐ。

    「ガオン!ガオン!」

    連続する放出物が空気を震わせる。

    しかし、ルミナもまた冷静だ。指先ひとつで視線を操作し、島井の動きを錯覚させる。街灯の反射や路地の影を利用し、少年の注意を惑わせる。

    「……くっ……ここまでか……」

    島井は掌を握り直し、再びH-リミットを発動させる決心をする。しかし、同時に気づいた。視線操作の巧妙さは、単なる幻覚以上に戦術的な罠になっていることを。

    「……逃がさない……!」

    ルミナの声が響き、彼女は一気に接近。ピンクの煌めく銃が光り、弾丸が異空間の腕に直撃する。物体は盾として消えるが、攻撃の圧力は島井に確実に伝わる。

    「まだ……僕は……負けない……!」

    島井は掌をさらに広げ、異空間の腕を最大限に展開する。格納していた物体を盾に変えつつ、密集射出で反撃を試みる。

    「H-リミット──全弾放出!」

    『ガオン!ガオン!ガオン!』

    異空間から放たれた物体が一斉にルミナに迫る。彼女は視線操作で軌道をずらそうとするが、連続攻撃の密度と異空間の不規則性により、完全には防げない。

  • 9491◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:51:13

    「……っ!」

    ルミナは回避に集中し、幻惑の中で最小限の被害に抑える。しかし、異空間から飛来する物体の圧力と心理的プレッシャーは、彼女の集中力を少しずつ削っていく。

    島井は呼吸を整え、目を光らせる。

    「これが……僕の……全力……!」

    二人の間で、時間が一瞬止まったように感じられる──心理戦、異空間の攻防、視線操作。すべての力が極限までぶつかり合い、勝敗の行方は予測不可能になっていた。

    戦いは、能力だけでなく、精神力と判断力のぶつかり合いとなる。どちらが先に相手の隙を見つけ、決定打を打つのか──その緊張は、街全体を張り詰めた空気で満たしていた。

  • 9501◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:52:11

    廃れた路地に、静寂が戻った。
    散乱した自販機やゴミ箱、異空間から放たれた物体の破片が点在し、戦いの痕跡を残している。
    島井 桐矢は、掌を握ったまま立ち尽くす。『TiMeRエボリューション』の両腕は静かに異空間へと戻っていく。全身に力が残り、呼吸は荒いが、目はまだ戦闘モードのまま光っている。

    「……ふぅ……やっと……落ち着いたか……」

    少年は小さく息を吐きながらも、戦いを振り返る。あの視線操作──ルミナの圧倒的な心理戦は、初めて体験する感覚だった。
    一方、ルミナもまた銃を下ろし、背後の影から静かに姿を現す。彼女の衣装は乱れず、笑みだけがわずかに険しさを帯びている。

    「……面白かったわ、桐矢くん」

    ルミナは淡い声で言った。声に含まれるのは、尊敬と驚嘆。視線操作で翻弄したにも関わらず、H-リミットの反撃には思わず舌を巻いたようだ。

    「……君も……すごかった……」

    島井は小さく頭を下げる。普段は不器用で陰気な少年だが、この戦いで、彼は自分の力だけで相手の能力に立ち向かった自信を得ていた。

    二人の視線が交わる。互いの力と精神力を認め合う、静かだが確かな瞬間だった。
    廃路地の冷たい空気の中、戦いの熱はまだ残るが、敵意は消え、互いの実力を理解した余韻だけが漂う。

    「また、会うかもしれないね」

    ルミナの言葉に、島井は軽くうなずく。

    「……その時は……負けないからな」

    それは挑戦の宣言であり、互いの成長を期待する暗黙の誓いでもあった。

    二人の間に流れるのは、戦闘の緊張感を経た後の静かな共鳴。
    街に残るのは、異空間の腕の残像と、視線操作による幻覚の余韻──戦いの記憶が、夜の街に残光として溶けていった。

  • 9511◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 19:53:10

    以上

  • 952二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 20:02:18


    二人はいいライバルになりそう

  • 9531◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 22:49:11

    ぎりぎりでやるのもあれですし次スレ立てますか

  • 9541◆ZEeB1LlpgE25/08/15(金) 23:06:51
  • 955二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 23:11:08

    たておつ!

  • 9561◆ZEeB1LlpgE25/08/16(土) 00:03:01

    埋めてください

  • 957二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:04:14

    うめ

  • 958二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:04:25

    未定

  • 959二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:04:37

    未定未定

  • 960二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:04:48

    未定未定未定未定

  • 961二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:05:00

    未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 962二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:05:14

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 963二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:05:27

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 964二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:05:44

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 965二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:05:57

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 966二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:06:11

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 967二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:06:55

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 968二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:07:10

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 969二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:07:24

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定

  • 970二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:07:39

    未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未定未

  • 971二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:07:51

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  • 972二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:08:01

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  • 973二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:08:15

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  • 975二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:08:38

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  • 979二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:09:24

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  • 986二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:10:30

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  • 988二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:10:51

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  • 989二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:11:02

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  • 990二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:11:13

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  • 998二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:13:35

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  • 999二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:14:25

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  • 1000二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:14:35

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