【超閲覧注意】『ニュースを続けます』

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:46:14

    『先日、ミレニアムサイエンススクールにて起きた誘拐事件について先生からの声明がありました』

    『その声明によると、「"ミレニアム関係者であったとしても、被害者の名前や情報を出すことは禁じています。もし出した場合、それ相応の対応を取ります"」』

    『「"また、今回の事件の責任は、事前に防げなかった私にあり、学校関係者や被害者の家族には責任はありません。クレームなどはしないでいただけると幸いです。もしするなら、私にしてください"」との事です』

    『現在も犯人は捕まっておらず、搜索が進められています』

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:49:09

    ───胸が、ぎゅうっと締め付けられる。

    何が「責任は私にある」だ。何が「私にしてください」だ。
    先生は少しも悪くないのに。あたしが、不注意してたから、襲われたのに。皆はあたしの事を気遣ってくれる。それで、責任もちゃんと取ってくれる。

    でも。

    あぁ。

    とってもみっともなくて、哀れで無様に生きることしか出来ない。

    それが、今のあたし。

    ただ膝を抱えて───唸るように、泣いた。

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:50:14

    マキ……?

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:51:47

    ⋯誰?

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:51:49

    マキがexpoイベ後に色々あったお話です
    襲われたって事はレイサされたって事です
    そういうのが苦手っていう人はここでブラウザバックをオススメします。一応ハッピーエンド……?

  • 6二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 19:53:40

    雰囲気好き

  • 7先生side25/08/01(金) 20:00:40

    「"ネル"」
    「んぁ?」

    まだ湿気を多分に含んでいた1週間前。
    既にexpoからは、何ヶ月か経った。一部の生徒はトリニティの生徒と仲良くなって、静かで、時折騒がしくも平和な日々。意味など無い、ただの日常。

    エンジニア部の予算が減らされたりもしたが、本当にと言っていいほど、何も無かった。日常が壊れる音もせず、ただ暖かい日々。

    私は忘れていた。
    決して怪しい事が無くとも、誰かを傷つけない、優しい日常でも、一部の人々は平和を望まない。そして恐怖は、何の足音もなく忍び寄ってくることを。

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:12:10

    おぉ……っっ!!
    素晴らしいっっっ!!!

  • 9マキside25/08/01(金) 20:16:53

    (先生sideは基本的に3人称的なあれで使います)

    あの日、あたしは屈強な男たちに捕まった。
    後ろからパーカーの首根っこを掴まれて、痛いのにも関わらず簡単に路地裏に引きずり込まれた。

    後は、もう何をされたのかわからない。いや、思い出したくない。

    とっても狂った笑い声。服が破られる音。無理やり立ち上がらされて、撮られる音。誰か分からないけど、女子の声。足を開かされて、叫んでも止めてくれない手。ほっぺで鳴った鋭い音。口の中に出される苦い液体。

    これはマシな方。これ以上を思い出そうとすると、もう何をされたの?って、頭が勝手に拒否をするぐらいには。

    とりあえず、気づいたらあたしはミレニアムの中に居て、暖かいベッドの上に横たわってて、周りにユウカとかモモとかチヒロ先輩が居て、抱きしめられて泣かれて、あたしは良く分からないまま、優しくされるがまま。
    話を聞く限り、あたしは処女を失ったらしい。さらには、何日間も無理やりされていたらしい。ミレニアムの包囲網と、チヒロ先輩のあれを掻い潜るって、どういう人たちなんだろう。とは思った。

  • 10マキside25/08/01(金) 20:23:34

    その時は分からなかったけど、たった1日で事の重さが分かった。分かっちゃったんだ。

    酷い悪夢。汗をびっしょりかいて起きて、あんまり記憶に無いはずなのに、吐き気を催して、気づいたら涙が止まらなくなってた。
    誰かに助けを求めようとして、でもそれすら震えが酷すぎて出来なくて。ガクガクと震える身体で布団にくるまった。

    でもそうしても、身体がトラウマを拭えなかった。少し目を瞑るだけで、あの時と同じ、そう脳が感じてしまった。身体が震えて、反射的な拒絶反応。寝れない。横たわれない。目も瞑れない。
    1回覚えてしまったら恐怖で頭が壊されて、二度と元に戻れなくなった。外に出ることも、家の外に男たちが居たらどうしよう───怖くて、足も動かなくなって、次第に頭も働かなくなって───。

  • 11マキside25/08/01(金) 20:31:46

    結局、学校にも行けなくなってしまって、それどころか自室からも、出れなくなってしまった。
    チヒロ先輩のお陰で、家の中は元のように歩けるようになった。けど、外はやっぱり、怖くて、出たくなかった。安心するお知らせもあった。男たちは全員捕まったって。だから、マキを苦しめた人はもう居ないって。

    でも、あたしは信じれなかった。そのお知らせでは無い。また狙われて、今度こそ壊されちゃう。あまりにも悲しいことは無くなったと思う。───あと一人。男たちの他にもう1人だけ、声が聞こえた。

    ほぼ意識も無くて絶望してたから、うろ覚えだったけど、明らかにおかしかった。あれは、どう考えたって、電話越しに聞こえて、あたしがぐちゃぐちゃにされていた場所には居なかった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:35:08

    マキ鬱になってる……かわいい……

  • 13マキside25/08/01(金) 20:43:45

    それに、あれは男の人の声じゃない。
    どう考えたって、女の人だった。少し低い声で、一瞬男かと思ったけど───薄ら聞こえた、トリなんたらと。つまりは、トリニティの生徒……?

    「……っ」

    既に月は真上まで昇り、今日の終わりを告げている。
    ここまで来れば、もう瞼も重い。けれど、そう簡単に眠れない。メンタルケアを優しく行ってくれた。だから、少しは良くなった。けど、まだ夢を見てしまう。あの時と全く同じ。それか、もっと悲しくなる結末が待っているあの時。

    プラスには行かない。ずっと、悲しい目に合う。

    「……なんでよぉ……」

    ふと零れ出た雫を拭って、弱音を吐いた。
    指か手を噛もうとして、それは絶対に誰も望んでないから、傷つけて気を紛らわそうとしても、出来ない。

    「なんで……あたしが……!」

    他の誰かが同じ目にあえとは言わない。同じ目にあっては欲しくない。傷つかないで。傷つくのはあたしだけでいいの。でも、あたしもこれ以上は、やだ。辛いのいっぱい味わったはずなのに。まだ、苦しまなきゃ行けない。

    「……やだよぉ……!」

    汚された身体は幾ら洗っても、気持ち悪さは消えなくて、消えてくれなくて……後、どれだけ辛い思いを、しなきゃいけないんだろう。

  • 14ネルside25/08/01(金) 20:56:46

    「……」

    辺りを見回しても、誰も居ない。
    先生がミレニアムの中でも外でも、情報統制をしてくれたお陰で、襲われた奴がマキだってのは知られてない。恐怖を与えないために一部の奴ら以外には、ただの誘拐事件って伝えてるのは、正直どうかとは思うけどな。

    「……ん、まぁ……」

    後の事を考えりゃ、伝えない方が得策だ。変に混乱を起こしたら、余計に不味くなる。
    ───今のあたしも、あんま冷静じゃないかもな。別にヴェリタスのヤツらに思い入れがある訳じゃねぇし、あれではあるが……それはそうと別だ。

    「……」

    助けた時の虚ろな目が、あんまりにも生々しくて思い返す度に吐き気がした。飲み込めない唾を無理やり押し込んで、口の中を空にする。

    マキが言ってた言葉。正直信じたくはない。もし本当だったら、外交問題なんてレベルでは済まされない。あたしは政治に関わるわけでもねぇのに、どちらにせよ恐ろしさはある。
    ───トリニティ、という単語が聞こえたなんて。

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 20:59:22

    名前のとこで誰視点って書いてくれてんのありがたい

  • 16ネルside25/08/01(金) 21:04:14

    これが悪夢なら良いんだけどな。
    ぜんっぜんただの現実だしな。意味分かんねぇ。

    「……ただなぁ……」

    助けに行った際、羽が落ちていた。誰のか、どの鳥か等は関係なく、これで嫌な事が確定している。何をどう頑張ろうとトリニティの誰かが関わっている。これは覆せない。
    あの男たちにも羽は生えていた。だからその男たちがトリニティに住んでいて、そんでマキが言ってたもう1人が、指示を出してマキを襲わせた……か。

    「有り得るっちゃ有り得んな……」

  • 17ネルside25/08/01(金) 21:13:54

    独断で決めつけるのは絶対ダメだって分かってる。
    分かってはいるが、これは間違いなく事実だろう?

    「……あ」

    そういや、アイツは何してんだ?マキのメンタルケアにずーっと学校不在にしてて、オマケに最近家に帰ってないとも聞くアイツは。先生はトリニティに行って聞き込みしてるし、あたしが行くにもな。
    関わりが無い。マジでねぇ。
    ウタハ連れてって話すのもいいが、正味な……どう励ませばいいんだ?

    「メンタルやってんのはわかんだけどな」

    一人で泣いてる姿も見た。苦しんでる姿も見た。何だったら1度怒鳴られた。
    それでも、マキのメンタルケアでは完璧らしいし、見栄を張られる可能性だってある。仕方ない。ウタハ連れてくか。

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 21:18:27

    またチーちゃん曇ってる

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 21:21:50

    >>18

    チーちゃんは曇らせてもいい条約が建てられてるからな

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:10:04

    これは期待

  • 21チヒロside25/08/01(金) 22:37:31

    (チーちゃんだけマジで時間かかる)

    風に揺られて、そのまま何処かに飛んで行けたらな───。屋上の手すりを掴み、ぼんやりと地面を見下ろす。

    一体、私は何が出来るのだろう。マキを助けようとして、全て空回りして、特定もまともに出来ずにハレとコタマに助けて貰って、その場に行っても、私には見ることしか出来ずに───。

    「……」

    珈琲を飲んで、苦い味が口いっぱいに広がる。少し気分は落ち着くけれど、やっぱりすぐ胸騒ぎで痛くなる。明日もマキのメンタルケアに行く。最近はもう学校に寝泊まりして、ほぼ寝れていない。隈が出来てると言われた。休んでと言われた。
    別に私は大丈夫なのに。本当に心配すべきはマキだから、その為なら、私はどんなに疲れてもいいんだ。健康体ではあるから。しばらくは寝てなくても───。

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:53:55

    全員寝ろ!!!

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/01(金) 22:56:36

    >>22

    マキは寝たら実質死ぬんだよ

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 03:44:09

    >>23

    う~ん、詰み

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 10:31:22

    マキssは貴重だ…

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:01:56

    このレスは削除されています

  • 27チヒロside25/08/02(土) 16:06:33

    (間違えて途中で送っちゃった)

    「おや、何してるんだい?」

    扉が開けられると同時に聞こえる、まるでマジシャンのような、演技家のようなセリフ。それを言うなら、もう少し声が低い方が良い。何て思ったが、見なくともウタハな事はどうせ分かる。

    「……似合ってないよそのセリフ」
    「酷くないかい?」

    何の問題も無いかのように、隣にスルっと居座る。そして、何故ネルも居るのだろうか。やけに不機嫌なのは気のせいか?……いや絶対不機嫌だな。殴られるのかな。

    「……何?」

    2人から視線を逸らすように下を向く。別に何をしたのかは知ってるけど、そもそも今はあまり顔を見たくない。すぐに助けられなかったから、2人の事を憎んでる。なんて幼稚な理由じゃない。

    そういえば先生も、何故か責任は私にあるとか言ってるけど、私が早く特定していれば済む話だったのだから、責任は私にある。心に負い目はあるに決まっている。
    ───違うとは分かっているのに、どうしても、理不尽に当たり散らかしてしまうのが怖いから、今はあまり人と関わりたくない。

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 16:13:30

    おお…素晴らしい曇り方だ

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 17:18:00

    エッ

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/02(土) 21:37:12

    魂の保守

  • 31チヒロside25/08/02(土) 22:10:51

    「……帰るね」

    特に何も言われなかったから、そのまま扉に向けて歩く。冷たい、それは分かってる。けどごめん。やっぱり、今は無理だと思う。
    スラッと逃げようとして───。

    「おいちと待て」

    ガシッ、無事に拘束された。ウタハなら何かと何かを組み合わせて、身体全体を拘束してくると思うから、比較的マシな訳無い。ネルに関しては、絶対に解けないからこれも嫌だ。

    「……どうせ慰めに来たんでしょ」
    「そうだよ馬鹿かお前」

    酷い言われようだね。舌打ちを聞こえない程度にして、向き直る。お互いに私にドン引きしている顔じゃない。ネルはともかく、ウタハはちゃんと私のことを案じてくれてる。

    「……私は大丈夫。知ってるし分かってるから」

  • 32チヒロside25/08/02(土) 22:48:54

    何と言おうと、絶対に離してくれない。無言でグイッグイッと外してみようとしても、ガシッガシッと引き戻される。というかちょっと負ける。引きずられそう。

    「……私が行けなくなったら、マキは……どうするの」

    扉から出ようとして、やはり逃げれはしない。ガシガシと何度も何度も引っ張って、その度に力が強くなる。お願いだから離してほしいのに。
    まだやるべき仕事はある。ちょっと疲れたからここに居ただけで、全然やるべき仕事はあるのに。

    「マキは、私が守らなきゃ行けないんだよ……!」

    二度と、彼女に苦しい思いはして欲しくない。二度と、彼女を苦しませない。その為に、私は、どんな目にあってもいい。何と言われても───。

  • 33チヒロside25/08/03(日) 07:08:44

    バチン───。
    音とは比べ物にはならない程に鋭い痛みが走って、頭が酷くクラクラした。すぐに頬を押さえて、痛覚を殺そうとする。

    「───さっきから何言ってんだお前は」

    いつも良く聞くブチ切れた声ですらない。心底呆れた声、それが鼓膜を震わせた。本当に何を言っているのか分からない、と言ったような声。
    口の中で鉄の味がじんわりと滲み、多分端から血が零れているくらいは自分でも知っている。一瞬止めようとしていたウタハは、微妙そうな顔をしてネルに任せたらしい。

    「別に身勝手に自爆すんのはいいけど、それを誰かに押し付けてどうすんだ」
    「……身勝手?」

    身勝手、それはどうしても許容出来ない。したくない。押し付けていることぐらい、私も分かるぐらい知っている、けど───。

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:36:18

    保守

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