【🎲・オリキャラ・閲覧注意】アビドスの偽ナギサ9

  • 1◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:04:48

    ・アリウスで桐藤ナギサの替え玉に仕立て上げられたが錯乱して脱走し、アビドスに墜落して正気を取り戻しアビドス生になった偽ナギサのスレです。
    (以下偽ナギサは『ナギサ』と表記します)
    ・本スレはダイスを交えてSSを投下していくスレです。
    ・時系列としては本編で言えばエデン条約編終了時です。
    ・『ナギサ』はイベントストーリー「アビドスリゾート復旧対策委員会」の最中です。

  • 2◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:07:38
  • 3◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:12:20
  • 4◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:19:27

    [以下は『ナギサ』のプロフィールになります]
    名前:藤関ナギサ
    所属:アビドス高等学校・対策委員会
    学年:1年生(拾われたため)
    年齢:不明(17歳)
    身長:159㎝
    その他:本物ナギサ様との外見上の違いは1㎝低い身長と二回りは大きな翼、ヘイローの色、そして声(早見沙織と能登麻美子くらい違う)
    武器:ハンドガン『アパレシオン』

    [下のイラストはAI製の『ナギサ』のイメージです]

  • 5◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:23:35
  • 6◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:25:04
  • 7二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 13:26:29

    たておつ

  • 8◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:26:33
  • 9◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:27:34

    [とりあえず10まで埋めますね]

  • 10◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 13:28:47

    [お昼の更新は本スレではここまでです]

  • 11◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 20:30:33

    楽しく時間を過ごしていたら、いつの間にか夜になっていた。

    『ナギサ』は……


    dice1d5=1 (1)

    1. 熟睡

    2. 夜風に当たりに行こうとしてホシノに気付く

    3. 夜風に当たりに行こうとしてノノミに気付く

    4. 惚気

    5. アヤネとの話

  • 12◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 20:59:43

    藤関ナギサは……熟睡していた。
    対策委員会の中では身体能力がアヤネ並みかひょっとしたらそれ以下なこともあり、疲労がたまっていた。
    適切な表現をするなら『遊び疲れた』ということだ。
    それはきっと幸福な事であった。

    『ナギサ』の大きな翼を布団代わりに、セリカがその隣に寝ている。
    彼女もまた日中よく動き、そして疲れて眠っていた。

    『ナギサ』とは反対側にはアヤネが静かに寝息を立てていた。
    一年生ながら対策委員会でも最も機械に強い彼女の頭脳がなければこの安息はなかっただろう。

    シロコもそんなアヤネの隣で寝相良く意識を手放していた。
    アビドス一体力がある彼女だが、アビドス一アウトドアを満喫するのも彼女であった。

    クジラの枕で休んでいた先輩は起き上がると、そんな後輩たちの姿を見て、うちの後輩たちに余計な悩みを増やしたくないなあ、と思った。
    そして姿の見えないノノミを探しに、その場をそっと離れて行った。

    そんな真夏の夜だった。

  • 13◆B3SSKg8oHw25/08/03(日) 22:14:26

    [今晩はここまでです]

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/04(㜈) 04:37:10

    建て乙

  • 15◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 07:15:42

    『ナギサ』は朝からシャワーを浴び、悠々自適に翼や髪を梳いていた。
    割り切りの激しい『ナギサ』ではあるが、自分の身体に関してはできる限り丁寧なケアを心掛けていた。

    「(折角美しいのですからね)」
    ナルシストじみた内心だが、事実その通りである。それにこの顔は桐藤ナギサから賜ったものである、そんな風にも考えていた。
    「(……いや、失礼ですか。本人の許可を戴いたわけではありませんから)」
    『ナギサ』が苦笑すれば鏡の中の顔も苦笑する。上品な苦笑であった。

    それはそれとして、首から下の桐藤ナギサに劣らない身体は自前だったりするのだが……その自覚はあまりなかった。

  • 16◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 07:18:47

    そして部屋に戻ればクタクタに寝伏せているアヤネとセリカを満足気に見下しているシロコの姿が……

    「……何をされたのです?」


    困惑 dice1d100=72 (72)

    怒りdice1d100=32 (32)

    ※どちらも低ければ真相を理解

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/04(㜈) 07:20:52

    このレスは削除されています

  • 18◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 07:22:07

    「……え?セリカとアヤネに何を……」
    「何をされたのです……?」
    珍しく本気の困惑であった。大抵のことは仕方ないというが、それにしても意味が分からなかった。

    [朝更新はここまでです]

  • 19◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 12:08:54

    シロコ「セリカとアヤネがくすぐりバトルをしてたから」

    「…はい。」

    シロコ「面白そうだなって」

    「……はい。」

    シロコ「頑張った」

    「…………はい。」

    その顔は理解を放棄していた。


    セリカ「アヤネちゃんがなかなか起きなかったからよ……!」

    アヤネ「だからってくすぐり攻撃はやりすぎだって……!」

    セリカ「引き込んで来たのはそっちじゃん……」

    生き絶え絶えに話す二人。『ナギサ』はそばにしゃがみ込み、容態を分析すると、一先ず鎮静効果のある茶を淹れることとした。


    「……少しお待ち下さいね、だんだんと全容が見えてきました……。」

    「つまり、セリカさんは寝起きの悪いアヤネさんを起こそうとしてくすぐったらやり返されて、そこに面白がったシロコさんが加わり二人ともくすぐり倒した、と……。」

    シロコ「ん。」

    セリカ「こんなところだけ察しのいい奴……あ、お茶はありがと。」

    アヤネ「ありがとうございます、すみません。」

    一先ず茶によって二人も大分落ち着いていく。


    「災難でしたね。ゆっくりシャワーでも浴びてきてください。そう焦ることもないでしょう」

    セリカ「そうするわ。行こ、アヤネちゃん」

    アヤネ「うん。お言葉に甘えますね」

    「それと……」

    dice1d2=1 (1)

    1. 「……いえ、わざわざ望むことではありませんね」

    2. 「シロコさん、アヤネさんとセリカさんの敵打ち、よろしいですか?」

  • 20◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 12:14:39

    シロコ「?」
    「くすぐりバトルのリベンジは諦めると、それだけですよ」
    セリカ「そうそう、この借りは私とアヤネちゃんが返すんだから!あっ違っ、シロコ先輩次から気を付けてね!!」
    シロコ「ん、待ってる。」
    アヤネ「その時は声をかけてねセリカちゃん」
    意外とノリが良いアヤネに目を細める『ナギサ』であった。
    それはそれとして勝ち目の薄い戦いは挑まない人でもあった。

    [昼更新以上です]

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/04(㜈) 19:21:24

    このレスは削除されています

  • 22◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 19:33:59

    朝食はわかめスープと白米に魚の塩焼きだった。
    ノノミ「ホシノ先輩には私が持っていきますね~」
    シロコ「ん、お願い。」
    セリカ「先生も朝からぐうたらし過ぎだって……」
    アヤネ「まあまあセリカちゃん。大人の人の休日って貴重なんだよ」
    セリカ「そういうもんなの?」
    「脱水症状にならなければ、それでいいかと」

    そうしてごちそうさまをして、歯を磨いて。
    日の高くならないうちからヘリコプターの修理に取り組む。
    未だお休み中の先生には、ホシノが護衛に就いてた。

    セリカ「……はあ。どうせ向こうで寝るんでしょうね」
    「(確信じみたことを口に出しながらもホシノさんを止めなかったから弄られるのだと思いますが)」
    シロコ「ん、そういうことを口に出すからセリカは可愛い」
    セリカ「どういうことよ!?」

    シロコ「……」
    「……なぜそこで私をご覧に?付き合いが長いのはアヤネさんの方でしょう」
    ノノミ「付き合いの深さには~年月なんて関係ありませんよ?ただ、どっちがいいかっていう話ではなくて、二人ともセリカちゃんのことは良く分かってると思います☆」
    アヤネ「そうですね。セリカちゃんは可愛いです。」
    セリカ「朝っぱらから止めないこの話!?」
    シロコ「ん。ナギサも揶揄おうと思ったのにセリカが持っていっちゃう。強い。」
    セリカ「ぶっ飛ばすわよ!?」
    アヤネ「あ、あはは……ほら、そろそろ手を動かしましょうか。」
    「「「「は~い」」」」

  • 23◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 21:06:50

    「!!!」
    そうして作業を進めていると、突然サイレンが響き渡り、反射的に『ナギサ』はセリカを退き倒し、翼で覆った。
    セリカ「な、何!?」
    「……ごめんなさい、癖です。ですがこの警報、敵襲に間違いありません……!」
    ノノミ「むぅ……」
    シロコ「アヤネ、システムの状態は?」
    アヤネ「今確認してます。……活性化地域内に許可されていない武装船舶の動きを感知?攻撃を受けている!?」

    シロコ「浜辺に行くよ。先生がいる。」
    ノノミ「うん、行きましょう!」
    先生の指揮を受けるという意味でも、先生を守るという意味でも、まずは浜辺に、と。
    一行は駆け出していった。

  • 24◆B3SSKg8oHw25/08/04(㜈) 22:06:14

    [今晩はここまでです保守]

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/05(灍) 05:53:51

    お疲れ様です。
    保守

  • 26◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 07:07:14

    そもそも上陸作戦をベアトリーチェは考えていなかっただろうしホバークラフトという存在を『ナギサ』は知っているのでしょうか

    dice1d4=2 (2)

    1. 無知

    2. 船舶の仲間ということくらいは知っている

    3. 陸にも上がれるということは知っている

    4. 原理まで知っている、詳しい


    [朝保守]

  • 27◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 13:08:08

    ノノミ「先生!」
    "大丈夫だよ"
    浜辺にてホシノや先生と合流する。一先ずは無事であった。

    ホシノ「それにしてもアレ、どうしようねぇ……」
    だが、ホシノの目線の先にあるのは……
    アヤネ「ホバークラフト!?」
    セリカ「なんてもの用意してるのよあいつら!」
    シロコ「ヘルメット団の足でもあるんだろうね、あれが全戦力」
    セリカ「ちいっ!!」
    アヤネ「待ってセリカちゃん!」
    勇み突撃を敢行する勢いのセリカをアヤネが制した。

    アヤネ「あれだけの重機相手に無策で突っ込んじゃダメ!」
    セリカ「じゃあどうすんのよ!」
    「防御システムを直しながら戦いますか?」
    ノノミ「だめです、このペースだと修理が間に合いません……」
    「困りましたね、催涙ガスもあそこまでは届きませんし……」

    アヤネ「重機には重機を、です」
    ノノミ「……確かに、殆ど修理は終わっていましたね☆」
    シロコ「それに、倉庫にはまだ使えそうなものもたくさんあった」
    セリカ「え?……え?」
    「そういうことであれば、急ぎ手を加えましょう」
    ホシノ「よ〜し、ここはおじさんに任せて。いってらっしゃ~い」
    セリカ「その……」

    アヤネ「雨雲号で迎え撃ちます!」
    セリカの疑問に応えるように、アヤネの宣言が響いた。
    [昼更新ここまで]

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/05(灍) 19:52:23

    このレスは削除されています

  • 29◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 19:56:18

    ホシノ「はあ……あいつら本当にすごいね……根性だけはある。」
    先生の指揮があるとはいえ、たった一人で迫りくるヘルメット団をなぎ倒し、時折ミサイルを撃ち落としていれば、ホシノと言えど息は上がるものであった。
    "ホシノ……!"
    ホシノ「うへ、心配してくれてるの、先生……まだ余裕余裕。」
    そういうホシノの頬を珍しく汗が伝う。
    ホシノ「だってさ……。」

    ワカモ「うふふ……やっとお救いできますね、先生……。」
    ワカモ「今しばらくの辛抱です。私もこの状況、とてもつらく苦しいのですが……。」
    ワカモ「直ぐにあの獰猛な狐たちから助けて差し上げますので!!」

    ホシノ「あんな状態の人に近づけさせるわけにもねぇ。おじさんも粘っちゃうよ~」
    "……"
    ホシノ「ああ、おじさんが余裕な理由?うーん、一緒に戦ってくれる人が居るからだろうね。前の私だったら、そうは思わなかったかもしれないけど……。」
    ホシノ「今は、みんなが間に合うって信じてるからさ。」
    ホシノ「……もうそろそろじゃない?」

  • 30◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 20:16:46

    「結線終わりました。」

    セリカ「ボルトナットヨシ!」

    シロコ「武装プラットフォームも問題なさそう」

    ノノミ「銃座もオッケーです☆」

    アヤネ「機体にも問題ありません。離陸します!」


    「ああ、そうでした」

    全員が乗り込み、ヘリが速度を上げていく中で『ナギサ』はラジカセを取り出す。

    セリカ「どこで拾ってきたのよ?ってか今!?」

    「……どうせなら派手に行きましょうよ、セリカ」

    セリカ「はあ、もう勝手にして……。」

    ノノミ「じゃあじゃあ、ボタン押していいですか?」

    「はい。構いませんよ。」

    ノノミ「ありがとうございます☆ミュージック・スタート!」


    dice1d4=4 (4)

    1. ワルキューレの騎行

    2. Death By Glamour

    3. インフィニティ

    4. Vigilante

  • 31◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 20:41:05

    "……来てくれたね。"

    空に移る小さな影は、ヘルメット団とは比べ物にならない速度で戦場へと飛来していた。

    「Heavy clouds hanging on us~」(重苦しい雲が僕らの元に垂れ込めている)
    「But no one is bringing you down~」(だけど、もう誰にも君を暗い気持ちにはさせたりはしない)
    ノノミ「じゃ~ん☆お待たせしました!」
    ホシノ「……ほら、ね?」
    "うん。"
    先生の返事は短く、それで十分だった。

    シロコ「揺動修正、初弾着弾、1200、調停よし、射撃……今!」
    セリカ「いっけえええ!!!」
    アヤネ「操縦してるの私なんだけど!!」
    雨雲号からミサイルの雨あられが降り注いでいく。

    ヘルメット団A「き、聞いてないよヘリコプターなんて!!」
    ラブ「うろたえないで!今まで出してこなかったってことはあっちもアレが切り札!あれさえ落とせばどうとでもなるわ!」
    その指示は的確であった。
    ノノミ「全弾発射~☆」
    ドアガンと化したノノミのリトルマシンガンⅤが的確にヘルメット団を耕さなければ盤面は覆ったかもしれない。

  • 32◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 20:50:19

    つまり……
    ヘルメット団A「う、ううっ……。」
    ヘルメット団B「もうこれ以上は……む~り~……。」
    空からの猛攻に、ヘルメット団は倒れ伏す羽目になったということである。

    ワカモ「……」
    ラブ「……」

    ヘリコプターは着陸し、悠々と大地に降り立ったセリカたちが告げる。
    セリカ「……さあ、もう終わりよ!大人しく降伏しなさい!」
    アヤネ「降伏するなら、私たちはこれ以上戦うつもりはありません。」
    「あ、ホシノさんは今のうちに治療を……あまり必要は無いでしょうけれど」
    ホシノ「ありがとね~。」
    ラブ「くっ……そんな……あり得ないわよ……。たった7人相手に、何で……!?今までリゾート狩りで連勝してきた、うちらジャブジャブヘルメット団が負けるなんて……!?」
    シロコ「連勝?」
    セリカ「……リゾート狩り?」
    ノノミ「詳しく聞かせてください♠」

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/05(灍) 20:54:37

    ナラティブA装備はオーバーキルすぎる(気分だけ)

  • 34◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 21:01:22

    他方、ワカモと先生が話し、ワカモが謝罪の言葉を残して遁走する中。セリカが結局何だったのかと大声を張り上げる中。
    ラブ「うちは……うちは諦めないわよ!必ずこの「リゾート群島」を統一して、ここの支配者になってやるんだから……!!」
    ラブはそれでも吠える。

    セリカ「いや、いやいやいやいや!?認めないって……何を?」
    アヤネ「私たちはリゾート券が当たってここに来たのですが……リゾート群島、とは?」
    セリカ「あんたたち一体何の話してんの?」
    ラブ「……何も知らないみたいだし、教えてあげる。あんたらがリゾート狩りをするつもりがなくても、うちらみたいなのには襲われ続けるわよ。」
    ラブ「この『群島』にいる奴らは全員敵ってワケ。」
    シロコ「リゾート狩り?群島?」

    セリカ「ちょっと!私らにはちゃんと個々のリゾート使用権があるのよ?」
    ラブ「リゾート使用権ならうちらも持ってるわよ!ほら、これでしょ?」
    詰め寄るセリカに書類で答えるラブ。
    アヤネ「……えっ!?」
    セリカ「私らと同じもの……?」
    ラブ「あんたら、何かの景品に当たってここに来たんじゃない?」
    セリカ「!!」
    ラブ「ここに居る連中はみんな、同じように何らかの手段でこれを手に入れたから『群島』にやって来てんだよ。」
    ラブ「このリゾートを『使用』する権利を持った奴らは……この群島全体にごまんといるのよ!」

  • 35◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 21:12:12

    セリカ「そ、それって本当なの……?アヤネちゃん、契約書には!?」
    アヤネ「……あの方の言うとおり、下の約款のところにびっしりと書かれています。」
    本契約書の当選者(以下契約者)は、「ロストパラダイスリゾート」の「使用権限」を得る。上記の「使用権限」とはリゾート内全ての土地、物品及び設備全てに対する権限と……
    それによって生み出された、全ての収益と資源を所有できるのものとして……
    そういった文章であった。

    セリカ「……まさか「使用権」ってそういう意味だったの?」
    アヤネ「……やっと理解しました。これは、明白な毒素条項ですね。いわゆる、自身が不利益な条項のことです。」
    アヤネ「一見すると、島それぞれを契約したように書いてあるから、公平な取引に見えますが……」
    アヤネ「契約書の差す「ロストパラダイスリゾート」はこの群島全体。つまり、みんな同じ権利を持っているわけです。」
    アヤネ「契約書にある地図の場所がいくつかの島に別れているから、最初はそれに気づかないだけで……」
    アヤネ「でも少しずつ……契約の「穴」を理解した人たちが、他の群島攻撃し始めている……そういうことですね?」
    ラブ「そういうこと。だから今うちらがリゾート狩りをしてるってワケ!!あんたたちもそろそろ分かって来たんじゃない?」
    アヤネ「……はい。お互いにそれぞれの島を自分のものだと主張して戦ってる状況なんですね。」

  • 36◆B3SSKg8oHw25/08/05(灍) 23:22:02

    [というところで今晩ここまでです]

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/06(ć°´) 04:41:15

    続きが楽しみ。

  • 38◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 07:06:07

    アヤネはしばし悩み、そして重く口を開いた。

    アヤネ「このリゾートからは手を引きましょう。条項、設備、リゾート狩り……あまりにも裏があり過ぎます。深入りするべきではありません。」

    アヤネ「アビドスに戻りましょう」

    その言葉に皆同意する。アヤネの、ここぞという時の忠言は対策委員会の皆の認めるところであった。

    dice1d4=1 (1)

    1. 「夏の夜の夢……ですか」

    2. 「(ヒヨリたちを海に連れてこられるのはまだ先ですね)」

    3. 「では、帰る前にいただけるものはいただいてしまいましょうか」

    4. 「帰る前に、もう一度清掃の時間をいただけますか?」

  • 39◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 07:17:33

    セリカ「そ。私は安心したわ。」
    「……?」
    セリカ「楽しかったでしょ、海」
    そんなに名残惜しそうにするなら、楽しかったに決まってる。とセリカは口にする。
    「ええ、それはもちろん。」
    ノノミ「やりましたねセリカちゃん☆」
    セリカ「……本当にね。」

    「……もう、私のことをなんだと思っているのですか?」
    シロコ「難しい言い回しをするけど案外素直」
    ホシノ「乙女心だねぇ〜」
    談笑。そんな中気まずそうにラブは煙幕手榴弾を叩きつけ、捨て台詞を吐いて仲間とともに遁走していった。

    「ケホケホ……お元気で……。」
    <手当のお礼なんかしないんだからね!!

    [朝はここまで]

  • 40◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 12:09:42

    そして、先ずは最も忙しい先生を送り届けるため、アヤネのヘリコプターが飛び立った。

    残った『ナギサ』たちは夢の跡とばかりに使ったものを戻し、片付けていく。


    「………」

    『ナギサ』はあまり話さなかった。寂寥に浸っていたのかもしれない。


    [昼更新はあとラブおよびワカモへの印象、ラブからの印象を振って以上です]

    『ナギサ』→

    ワカモ※関わりが薄いので最大値低下 dice1d85=34 (34)

    ラブ dice1d99=79 (79)

    ラブ→『ナギサ』 dice1d99=6 (6)

  • 41◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 12:13:58

    [ツンデレ?気味のラブは結構好きなのかもしれませんがそれにしては相手からの印象が悪いですね]

    [ラブはなんで『ナギサ』への印象が悪いのでしょう]

    dice1d4=2 (2)

    1. 上からの施しが気に入らない

    2. 普通に怖い

    3. 諦観的なところが合わない

    4. なんか粘着質で嫌!!

    [改めて昼更新は以上です]

  • 42◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 19:19:31

    ノノミ「……先生も、短い間でしたがリフレッシュできたでしょうか。」

    シロコ「十分だよ。元気もフル充電できたんじゃないかな」

    ノノミ「だといいですね~」

    「ああ……暫くは過労で倒れる心配もないでしょう」

    セリカ「た、倒れるって……」

    「セリカにこそ身に覚えがあると思いますけれどね……どれだけ体に負荷をかけているか、一目見れば分かりますよ。帰ったらまた早くバイト入らないと、なんて思ってるでしょう?」

    dice1d2=2 (2)

    1. セリカ「そりゃそうよ、お休みもあとちょっとだし、ここが稼ぎ時なんだから!」

    2. セリカ「あら、あんたと一緒に過ごそうと思ってたのに?」

  • 43◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 19:36:59

    「それは………」
    目を合わせ、はにかみ、頬を染めるしかなかった。

    セリカ「ふっふーん。何時も良いように弄れると思わないでよね!」
    シロコ「これはナギサの負け」
    「………そうですね、違いありません」
    ノノミ「ごゆっくり~☆あ、とと……」
    そう言ってノノミは風に吹かれた「リゾート使用券」を拾い上げる。
    セリカ「あれ?ノノミ先輩、もうそれは必要ないんじゃない?」
    ノノミ「ふふっ、記念に持って帰ろうかな~と思いまして。んしょっ」

    ノノミ「……あら?」
    ホシノ「ノノミちゃん?どうしたの?」
    ノノミ「えっと、この丁度端っこの方に……リゾート使用権の最終権利者の名前を見つけまして。」
    セリカ「写真も撮っちゃうから!ってえっ、最終権利者!?」
    ホシノ「見落としてたの?」
    シロコ「最終権利者ってことは、今回の騒動を起こした主犯?」
    セリカ「リゾート狩りが起こるように穴だらけのリゾート使用券をばらまいた張本人ってことよね?いったい誰なの!!」
    ホシノ「ちょっとそれ見せて~。」
    ノノミ「はい、ホシノ先輩。」
    ホシノ「ありがと~。ロストパラダ~イスリゾート投資及び運営総括……」
    ホシノ「ええと……」
    ホシノ「うん?」

  • 44◆B3SSKg8oHw25/08/06(ć°´) 21:00:42

    ホシノ「百鬼夜行・お祭り運営委員会……?」

    [というところで今晩はここまでです]
    [まだまだ夏は続くので出張!百夜堂~海の家FC計画編~にもゆるゆる突入します]
    [ただ明日~土は更新不定期になります、できる限り保守はしますね]

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/07(㜍) 03:24:28

    いやぁ、百合は肌が潤いますねぇ。

  • 46◆B3SSKg8oHw25/08/07(㜍) 11:55:13

    「……」

    [最終権利者を聞いた『ナギサ』の所感]

    dice1d4=3 (3)

    1. だから何です……?(ばにたす)

    2. 話を伺いたいところです(穏便)

    3. 返礼を、しなくてはね(静かな怒り)

    4. シロコさん、覆面はございますか?(押し入りにノリノリ)

  • 47◆B3SSKg8oHw25/08/07(㜍) 12:08:19

    「セリカの、みなさんの純真な心を玩び……多くの人を争いに巻き込み、不要な血を流させる」
    「それが如何に非道なことであるかを、ふふ……教えてさし上げなくてはなりません」
    サクラコじみた影を纏って『ナギサ』は笑う。
    セリカ「いやヘルメット団とかは自業自得じゃない!?」
    「いいえ。彼女たちも被害者ですよ」

    ホシノ「まぁまぁセリカちゃん。ここはきっちりやり返そうよ〜」
    ノノミ「そうですね☆シロコちゃん、アレを。」
    シロコ「ん。」
    覆面を取り出す。
    セリカ「なんであるのよ!?」
    シロコ「水着には合うと思って。」
    セリカ「確かに水着団だけど!覆面水着団だけど!!」

    ノノミ「セリカちゃん。……ナギサちゃんは、人を利用する悪い奴らのこと……許せないんだと思います。」
    セリカ「ぁ…………」
    ノノミはセリカに小さく耳打ちし、セリカは赤いおばさんのことが頭によぎる。ハッと認識を改めた。
    そして、『ナギサ』は小さく会釈する。

    「では……」
    覆面を手に取った。それを被る。何時ぶりだろうか。
    「征きましょうか」

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/07(㜍) 21:18:50

    おお

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 05:41:28

    搾取者に鉄槌を!!

  • 50◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 11:44:53

    [何時も感想・保守ありがとうございます]
    [そして自演保守]

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 20:45:04

    保守

  • 52◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 20:48:44

    場面を一度シャーレに戻して。
    シャーレに戻って来た先生を待ち受けていたのは、百鬼夜行連合学院のニヤとミモリ、チセ、そしてフィーナだった。

    曰く、百夜堂のことで相談があり、そして、シズコはいま自分達が先程までいた「ロスト・パラダイス・リゾート」にいるのだとか……。

    アヤネ「……乗って行かれますか?」
    ニヤ「いやあ、渡りにヘリとはこのことですねぇ。折角ですからご厚意に預かりましょう」
    "ごめんね。ありがとう、アヤネ"

    そして先生とアヤネはミモリとチセを乗せ、とんぼ返りでリゾートに戻るのだった。

  • 53◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 21:03:46

    アヤネ「皆さん、もう降りて大丈夫ですよ。」
    チセ「とうちゃ~く。」
    ミモリ「ここがロスト・パラダイス・リゾートですか……。」
    アヤネ「正確にはちょっと違うんですけどね……。」
    "アビドスの件で大変なのに……本当にありがとう、アヤネ。"
    アヤネ「いえいえ!私も丁度戻らなきゃと思っていたところでしたので、負担だとは思っていないのですが……」
    リゾートに着いてそれぞれの感想と、大人らしい礼を示して談笑する一行。しかしそれは銃声によってあっさりとかき消される。

    "んん!?"
    ミモリ「あちらで何かあったみたいですね」
    そうして海の家へと駆けつけてみれば、シズコとウミカ、それにイズナがチンピラを退けていた。
    チンピラA「つ、強い!これがリゾート狩りを企んでいるという、例の黒幕の力なんだな!」
    チンピラB「侮れないな……!百鬼夜行のお祭り運営委員会!」
    シズコ「だーかーらー!あなたたちが何を言ってるのか、さっぱりわかんないんですけど!!」
    ウミカ「そうですよ!いきなりやってきてお店を破壊して!一体何なんですか!」
    イズナ「今日だけで5回目ですよ!5回目!イズナも、そろそろ堪忍袋の緒が切れてしまいそうです!」
    チンピラA「この状況でもとぼけるとはな……流石黒幕だ」
    チンピラB「今日はこの辺で勘弁しておいてやる!だが、これで終わりだと思うなよ!」
    シズコ「なんでだろ……買ったはずなのに、全然すっきりしないんですけど!!」

    "シズコ?"
    ミモリ「シズコちゃん……!」
    チセ「たぬきさんこんにちは~。」
    "えっと……何があったの?"
    シズコ「それが、その……うぅ……」

    シズコ「うわあぁぁぁああああん!!せ”ん”せ”え”~!!ほんと、今日は大変って言葉じゃ片付かないレベル”な”ん”て”す”~!!!」

  • 54◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 21:31:00

    シズコの叫びを聞き、海の家へと一度集まる一行。
    "ニヤとフィーナから聞いたよ。大変なことになってるって"
    ウミカ「確かに、大変といえば大変ですね。実は──」
    シズコ「今日、営業妨害が5回もあったんです!5回!」
    "それは災難だったね……"
    ウミカ「はい……今日、お店を開けるや否や変なお客様が続々とやってきて……。「権利者を倒す!」だの「リゾート狩り」だのと訳の分からないことを……」
    ウミカ「──ひょっとして、私が知らないお祭りとかだったんでしょうか?」
    シズコ「そんなわけないでしょ!目を輝かせないで!」

    アヤネ「あの、シズコさん。」
    シズコ「?」
    アヤネ「つかぬことをお聞きしますが……リゾート使用権等が当たったりしましたか?」
    シズコ「え?いや、私たちは……」
    ウミカ「フッフッフ……。実は、私たちお祭り運営員会は「リゾート使用権」を正式に購入したのです!」
    シズコ「あくまで事業の一環として、だけどね。」
    "あの穴だらけの契約書に、サインを?"
    シズコ「ん?」
    "んん?"

    ミモリ「ええと、話がかみ合っていないのかもしれませんね。アヤネさんは何かご存じでしょうか?一度こちらにいらしたとおっしゃってましたし。」
    アヤネ「それが……私もこの状況をどう説明すればいいのか……。」
    "えっと……実は、この群島全体で「リゾート狩り」というのが起きてるんだ"
    混乱しているシズコに、先生は現在ここで起きていることの説明を始めた。

  • 55◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 21:50:33

    『……"N"より各員へ。状況報告どうぞ。』
    クリスティーナ「準備完了です☆」
    おじさん「おじさんもおっけ~」
    ???「何時でも行けるわ」
    『コードネームを』
    ???「……言わなきゃ」
    『ダメです』
    ツインテール「ああもうわかったわよ!ツインテールいつでも!」

    『フフ……では手筈を再確認しましょう。クリスとおじさんとツインテは正面で派手に暴れてください。その隙に私とブルーが裏口から突入、速やかに制圧します』
    ブルー「ん。お祭り委員会を襲う」
    おじさん「りょうか~い」
    クリスティーナ「いっきますよ~!」
    ツインテール「っし!ぶっ飛ばしてやるわ!そっちもしくじらないでよね!」
    『最善は尽くしましょう。では、5カウント後に行動開始。5、4、3、2、1……』

    『Attack.』

  • 56◆B3SSKg8oHw25/08/08(金) 21:52:00

    [今晩はここまでです]

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 00:10:16

    作戦開始、ですね?

  • 58◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 09:13:54

    海の家にガラスの割れる音が響いた。機関銃の掃射音が続く。

    イズナ「わわっ!また敵襲ですか!?」

    シズコ「今度は誰!?これで6回目よ!?」


    ホシノ「は~い、どうも~」

    ノノミ「覆面水着団!登場です☆」

    "あ、あれは………!!"

    セリカ「やっと見つけたわよ!リゾート狩りの元凶!百鬼夜行連合学院のお祭り運営委員会ってのはあんたたち?私たちを騙したツケ、ここで払ってもらうんだからぁ!!」

    そういって暴れ出す覆面姿の少女が3人。


    アヤネ「……えっ?」

    アヤネ「えええええっ!?あ、あれ先輩たちですよね!?」


    『ナギサ』たちの奇襲※仕掛ける側なのでボーナスアリ 25+dice1d100=25 (25)

    先生の危機感知 dice1d100=62 (62)

    アヤネの危機感知 dice1d100=56 (56)

  • 59◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 09:28:15

    "3人足りない!!"
    咄嗟に裏口を振り向くアヤネと先生。その危惧は正しく空き缶のようなものが投げ込まれる。
    アヤネ「息を止めてください!」
    咄嗟にアヤネは叫んだ。それを知っていたからだ。
    シズコ「えっあっうん!?」

    そして空き缶から煙幕が噴出した。
    「フフ……藤関ナギサ特製の鎮静剤入りです。試したことはありませんが、暫くは全身に力が入らないでしょうね」
    「問題はセキュリティガードがいた場合ですが、それはブルーが対処を……ブルー?どうしました?」
    ブルー「聞き覚えのある声がした。先生と、アヤネ………」

    「直ちに突入。この目で確認しましょう」
    その指示は素早く、その顔面は蒼白であった。

  • 60◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 09:48:10

    「アヤネさん!先生!ご無事で……ああ、いえ。先ほどの煙には鎮静剤が入っております。吸い込めばしばし力は入りませんが、命に別状はありません。」
    アヤネ「み、みんなを……」
    『ナギサ』は駆け寄りその言葉に耳を澄ませる。
    アヤネ「みんなを止めてください……」
    ハッと我に帰りすぐに通信を開く。

    『作戦中止!!作戦中止!!先生とアヤネが店内に!!店内にて再集合されたし!店内にて再集合されたし!』
    シズコ「もごご……(な、なんなの、この人たち……)」
    "……ちょ、ちょっと力が抜けてきたかな"
    イズナ「主殿!?今イズナがお助けふにゃあぁ……」

    セリカ「先生!アヤネちゃん!無事!?」
    ノノミ「あら、これは大変ですね~。」
    "私は大丈夫だから……"
    ホシノ「とりあえず換気するね」
    "落ち着いて……状況を整理しようか"

    そうして薬が抜けるのを待ちながら、互いに自己紹介をした。

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 19:30:37

    ナギちゃんガチじゃんね

  • 62◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 19:54:26

    シズコ「えっと……つまり、この物騒な人たちはアビドス高校の生徒ってこと?」
    アヤネ「アビドス高校の生徒ではありますね……。」
    シズコ「それで、どうしてアビドスが襲ってくるわけ?私たちが何したっていうのよ!」
    その怒りは最もなことである。シズコたち、お祭り運営員会からすればここまでされる謂れに全く心当たりがない。

    セリカ「それはこっちのセリフよ!今回のリゾート狩りを起こした主犯、お祭り運営委員会でしょ?どうして先生はそんな奴らと一緒に──」
    シズコ「だから!それは誤解だって!」
    セリカ「悪い奴らはみんなそういうわ!!」
    シズコ「こっちの話を聞きなさいよ!!」
    ミモリ「あの……ひとまず落ち着いて……。」
    イズナ「あわ、あわわわ……い、イズナは……一体どうすれば……。」
    「せ、セリカ。ほら……。」
    ヒート・アップする雰囲気にコール音が染み渡る。

    チセ「あっ……ニヤ部長から電話だよ、先生。」
    ニヤ「にゃはは~。ハロハロー、皆さん。お元気ですか~?」

  • 63◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 20:11:30

    ニヤ「私が堰を外している間に、何やらトラブルの気配がプンプンしますねぇ~。それは困るなぁ~。面白くならないか心配しとるんですけど。」
    "心配してるようには見えないんだけど……。"
    ニヤ「それはさておき、雰囲気から察するに、すでに一悶着あったように見えますが~?」
    シズコ「……よく言うわよ。それで、陰陽部のトップが何の用?」
    ニヤ「うふふっ、本題の前に棘のある言葉で盛り上げちゃうとこ、気に入りましたわぁ。」
    ニヤ「とまあ雑談もこのくらいにしましょ。──実は先生がそちらへ出向いている間に、あれこれ調べてみたんですけどね。河和シズコさん、あなたが今巻き込まれてる騒動の大まかな概要が掴めましたよ~♪」
    そんなにあっさりということではない。

    セリカ「?」
    ミモリ「?」
    シズコ「?……私が巻き込まれている……騒動?」
    ニヤ「最近、百夜堂で大きな事業に手を出してましたよね?」
    シズコ「……!なんでそれを知ってるのよ!?」
    ニヤ「先日、お祭り運営委員会が百鬼夜行の各サークルから調達した資金で、あるものを購入したことが判明しました。ただ、ここで問題なのは……シズコさんが買ったものが架空の商品だったということです。」
    ニヤ「資料には、最近お祭り運営委員会がロスト・パラダイス・リゾートの使用権を購入したと書いておりますけど……そもそも、このロスト・パラダイス・リゾートは20年ほど前に倒産した会社の名前なんです。」
    シズコ「えっ……」
    ニヤ「さらに、この正体不明の使用権……お祭り運営委員会だけでなく他の人も手にしているという状況……おそらく、アビドスの皆さんもそうだったのではないですか?」
    セリカ「そ、そうよ!私たちも賞品が当たってここに……」
    シズコ「ほ、本当にそうなの?」
    ノノミ「ここを見てください。私たちの契約書に、お祭り運営員会の名前が……」
    シズコ「あ、はい……なになに?ロスト・パラダイス・リゾートの投資及び経営統括:百鬼夜行連合学院お祭り運営委員会……?ちょ、ちょっと待って!?何でうちの委員会のハンコが押されてるの!?え、ええっ!?」

  • 64◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 20:43:00

    ニヤ「つまり、あなたは騙されたんですよ、シズコさん。お祭り運営委員会が購入した使用権が他の所にもばらまかれ、不当条項と解釈せざるを得ない文章によって──」
    "「リゾート狩り」が起きてしまった……?"
    そして、ニヤはその使用権をどこで購入したかシズコへと問いかける。シズコの口から返されたのは、オクトパスバンク、という名であった。

    ホシノ「ちょっと待って。今、オクトパスバンクって言った?」
    シズコ「えっ、う、うん……」
    その隠しきれない鋭さをたたえた眼光にシズコは地金で答え、ホシノは対策委員会の皆を見回した。
    ホシノ「あー、そっかぁ……だとすると、そう簡単に事は進まないと思う。」
    "ホシノ、どういう意味?"
    シロコ「……」
    ノノミ「実は、そのオクトパスバンクという社名は……」
    アヤネ「……カイザーローンのダミー会社の一つです。」
    "カイザーローン!?"

    シロコ「うん。おそらく、ここで起きている事件の背後にはカイザーコーポレーションがいる。」
    セリカ「あいつら全ッ然変わってないじゃん!私ら、カイザーに何度も騙されたんだよ!」
    ノノミ「まさか、こんなところで出くわすなんて……」
    「……諸悪の……根源ですか」

    ニヤ「おそらく、カイザーコーポレーションは最初からお祭り運営員会を狙っていたんでしょうねえ。百鬼夜行連合学院の学園祭開催権限は、向こうにとっては美味しい獲物でしょうし──」
    "アビドスの時みたいに、今度は百鬼夜行が……"
    「………」

    ニヤ「でも、ちょっと意外です。シズコさんらしくないと言いますかぁ……なんでそんな胡散臭いものに投資なんてしたんです?」
    シズコ「それは……」
    ウミカ「違います!」
    ウミカ「社長は──」

  • 65◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 20:54:38

    シズコは笑った。
    シズコ「いや、いいよウミカ。ニヤの言う通りだし。」
    "シズコ?"
    シズコ「……認めたくはないけど、もう起きちゃったことは仕方ないから。お金が必要だから事業に投資して……結局はこんなことになっちゃった。本当にそれだけのこと。言い訳をするつもりもないですし。」
    ウミカ「社長……」
    セリカ「……」
    シズコ「私のせいでこうなったのは事実だからね。だから……みんな、ごめんなさい。」

    セリカ「……こっちこそ、誤解してた。ごめんなさい。」
    シロコ「大人になったね、セリカ」
    セリカ「茶化さないでったら。仕方のないことは、仕方のないこと、だからさ。」
    "なら、問題はこれからどうするか、だね"
    ニヤ「ふむ……そうですねぇ。ひとまず学園に帰ってきてください、シズコさん。外部勢力がお祭り運営委員会を狙ったということは、百鬼夜行連合学園への攻撃に他なりません。ですので、ここからは私たち陰陽部が引き継ぎます。向こうが汚い手を使うのなら、こちらも相応の対処をするまで。ですから、そちらはすぐに帰還を──」

  • 66◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 21:13:45

    シズコ「それはできない。」
    ニヤ「……はい?」
    長い間があった。

    ニヤ「どういうことですか?」
    シズコ「確かに、ここを離れたら問題は回避できるかもしれない。」
    ニヤ「ええ。ですから、まずは帰還し、状況を整理してから次の手を──」
    シズコ「でも、それじゃあ何も解決しないのよ。」
    シズコ「……もちろん、ニヤの言ってることも分かってるつもり。でも、学院に帰ったところで契約書に百夜堂の名前が残っている限り、どんどん百鬼夜行の名前が……ブランド価値が下がってしまう。」
    シズコ「この件は、学院は勿論のこと、百鬼夜行の観光事業に対する信頼にも直結する問題なんです!」
    シズコ「だから、このまま黙って引き下がるわけにはいきません。私が直接解決します。」

    ニヤ「つまり……ブランド価値が下がるのが嫌だから意地を張る、ということですか?」
    シズコ「そ、その言い方はないでしょ!!」
    ニヤ「理解できませんねえ。なんでそんなに苦労して回りくどいことを……」
    シズコ「それは、私がそうしたいからよ。」
    シズコ「……他に理由もあるけど……と、とにかくそういうこと!」
    シズコ「勿論、この件は私が原因で起きたことだから、私一人で対処するわ。」
    「………」

    我慢の限界が近づくみんなの代わりに、先生が口を開く。
    "私たちも手伝うよ。"
    シズコ「えっ……?いや、先生の手を借りなくても……」
    ミモリ「何を言ってるんですか、シズコちゃん。私たちはシズコちゃんを手伝うためにここに来たんですよ。」
    チセ「そうだよ~部長はケチだから、代わりに手伝ってあげる。」
    ニヤ「ちょっ!?」
    イズナ「勿論、イズナもお手伝いしますよ!主殿も一緒なら百人力です!」
    ニヤ「……一応聞きますけど、策はあるんです?」
    一応。それはそこまで言うなら策を用意してくださいね、と。そしてもう止まる気はないのでしょうね、と。

  • 67◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 21:29:18

    シズコ「オクトパスバンクを問い詰めても無駄ってことは分かった。でも、ここで泣き寝入りしていてもリゾート狩りが続くだけ……」
    シズコ「だから、発想を逆転させて。私たちが直接リゾート狩りを乗っ取るのよ!!」
    あまりにも大胆な策。だがシズコは細やかに補足する。

    リゾート使用権の権利者がお祭り運営委員会の名前になっているということは、他の権利者たちはその権利を一部譲り受ける形で契約しているということ。
    他の権利者たちは、各々何らかの形でオクトパスバンクと契約を結んでいるとみられるが、運営責任者であるシズコからすれば、彼女たちはリゾートを不法占拠しているとみることもできること。
    その契約のスキを突き、リゾート狩りを行い、他の権利者──問題児から契約書を回収する、いわば敵対的M&Aを行うということだ。

    シズコ「それに、このまま退くなんてもってのほかですからね。このままでは私の沽券に関わります!」
    シズコ「ロスト・パラダイス・リゾートをすべて吸収して……百夜堂楽園リゾートという名前に変えてやります!!」

    ホシノ「それじゃ、私たちも。ちょっとだけ──」
    セリカ「ちょっと?」
    ホシノ「……しっかり手を貸そうか~」
    ノノミ「はい!みんなでお手伝いしましょう~!」

    シズコ「みんなありがとう!それじゃ、まずは情報交換からしましょ!」

  • 68◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 21:39:54

    情報交換までの準備時間。『ナギサ』は……

    dice1d4=1 (1)

    1. 反省

    2. 仕方のないこと

    3. 同族嫌悪?

    4. どうでもいい話

  • 69◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 22:23:36

    「……浅薄でした。」
    影に佇む『ナギサ』が零す。

    セリカ「せん……?」
    アヤネ「浅はか……くらいの意味かな。」
    セリカ「ん、ありがと。……で、またあんたは難しい言葉でくよくよしてるの?」
    「そうですね」
    セリカ「何が?」
    横にいるセリカはツンとした口調と共に横から見上げた。

    「大した裏取りもせずこの海の家に乗り込み、関係のない方々に危害を加えて……それが、手段であればまだよかったのです。」
    「私はそれを心のどこかで楽しみにしていた。」
    セリカ「……」
    「あの時の……みんなで銀行を襲撃したとき……」
    「……結構、楽しかったんです」

  • 70◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 22:25:44

    セリカ「えっごめんちょっと待って。」
    「はい」
    セリカ「ま、マジにツッコんだ方がいい……!?」
    挙動不審になって辺りを見回すのも仕方のないことだ。タイミングも内容も意味の分からないカミングアウトに答えるのは如何に突っ込みの名手たるセリカでも困難だった。
    シロコ「ん」
    だからそんな時答えるのは先輩の役目だ。

    シロコ「手段と目的は分けて考えるべき。」
    「……はい。」
    シロコ「私たちは襲撃をすることがある。ヘルメット団も。カイザーも。銀行も。でも、それはあくまで手段。本質を見失わないで。」
    シロコ「ナギサにも、それができると思う。」
    「……ありがとうございます。」
    ホシノ「ほんとに危ないことしそうなときはちゃ~んと止めるからさ~。もっとも、そんな心配はなさそうだけどね~。」
    ノノミ「もちろん、楽しいことをしたいときは全力でご一緒します☆」

    セリカ「……アヤネちゃん、なんだかいいこと言ってるふうだけどこのまま流されちゃっていいのかな私……」
    アヤネ「も、もしもの時は私も叱るから……」

    「そう、ですね。私は幸せ者です。」
    セリカ「……そ」
    「迷いは晴れました。カイザーの魔手からシズコさんたちを……あるいは同じように騙された方々を救うため……」
    「暴れている方々を大人しくさせましょう」
    その微笑は晴れやかだった。

    アヤネ「……鎮静剤の仕様には細心の注意をお願いしますね」
    「あっはい」
    その微笑は能面のように硬かった。

  • 71◆B3SSKg8oHw25/08/09(土) 22:26:54

    [今晩はここまでです]

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 03:50:54

    真面目というか、何というか……。

  • 73◆B3SSKg8oHw25/08/10(日) 08:37:47

    >>72

    [何故か『ナギサ』の倫理96なので変なところで真面目です]

    [やると決めたらやるだけで基本は常識的?というか、過去ナギサ様族よりはヒフミ族かもしれませんね]

  • 74◆B3SSKg8oHw25/08/10(日) 15:06:46

    [少しだけ更新します]

    改めて再集合し、情報交換を行うアビドスと百鬼夜行。
    ニヤの調査した情報によると、ロスト・パラダイス・リゾートで頭角を現しているグループは「幻の泉脈を探す硫黄の鉱夫たち」「敗者を破滅に導く白い耳の怪物たち」「全てに代価を要求する玄武の使者たち」「片っ端からケンカを売って回るヘルメット団」等を名乗り群雄割拠である、ということであった。

    シズコ「むむむ……これじゃあ情報を得たというより、むしろ謎が謎を呼んだような……」
    ミモリ「うーん……シズコちゃん、これからどうします?」
    シズコ「この場合……より効率的に動くには……」
    シズコ「……」

    シズコ「よし、決めた。ここからは二手に分かれましょう。」
    戦力は分散するが、その分効率的に攻略できる、という判断である。
    それに、こうしている間にも百夜堂の評判はどんどん落ちて言っているかもしれない……
    シズコ「これは、時間との勝負なんです!」
    "それならチームはアビドスと百鬼夜行で分けた方が良さそうだね。"
    シズコ「はい。私たちはこのポイントに向かいますので、アビドスの皆さんはこっちをお願いします。」
    ホシノ「うへ~了解。んじゃ、それで」
    ミモリ「はい。それでは、みんなで──」
    ウミカ「出発しましょう!」
    イズナ「承知です!ニンニン!」

  • 75◆B3SSKg8oHw25/08/10(日) 15:40:11

    ……そして、シズコたちは「幻の泉脈を探す硫黄の鉱夫たち」の元に向かい、対策委員会は「スケバンズ」や「タトゥーシール連合」の元へと向かうのだった。

    「……フフ」
    ヘリコプターの中で『ナギサ』は笑う。
    「確かに先生があちらにいる以上、私たちの方が単純な方面に向かうのは合理的です。河和シズコさん、彼女ほどの器量の持ち主、トリニティでもそうはいませんね」
    ノノミ「しっかりしてますものね~」
    シロコ「ん、私も同じ考えだった。」
    「流石です、先輩」
    シロコ「うん。」

    セリカ「でもこっちにはアヤネちゃんとヘリがあるんだから。」
    「……負けてないわよ、って?」
    セリカ「そういうこと。さっさと懲らしめるわよ!」
    セリカ「そ、それに………」
    シロコ「……」
    ノノミ「……」
    アヤネ「……」
    ホシノ「……」
    「……」
    セリカ「って急に黙らないでよ!?」

    ホシノ「うんうん、分かってるよ~。頼れる先輩たちもいるってところ、またまた見せちゃうからさぁ」
    セリカ「んにゃああ!!!」
    アヤネ「ふふっ。そろそろ目的地です。」

  • 76◆B3SSKg8oHw25/08/10(日) 20:14:03

    「今回の目的は……他の権利者から契約書を回収する、でしたね」

    ノノミ「はい、M&Aですよ☆」

    「ではやはりスマートに行きましょう……スマートに……必要以上の感情を出さず、淡々と……」

    アヤネ「そ、それは極端すぎじゃないでしょうか……?」

    シロコ「そうだね。多少の恫喝力はあった方がいい」

    セリカ「そこぉ?」

    ホシノ「ま、そんなに気にすることないよ。いつも通りパパっとやって、……全員無事で帰ろ。最優先はそういうことで。」

    ヘリコプターが「スケバンズ」の陣地へと降り立つ。


    スケバンズA「ああん?随分とぜいたくなもの乗ってるじゃねえか!」

    スケバンズB「ここがだれのシマかわかってんだろうな!?」

    スケバンズC「群島だけになあ!!」

    シロコ「契約書の回収に来た。おとなしく差し出してくれればいい。」

    スケバンズA「お前たち!やっぱりリゾート狩りか!なら話は早え!!やっちまえ!!」

    「では、正当防衛の時間です」

    セリカ「欺瞞!?」


    [などと言っているが、各員のはっちゃけ度※高いほど暴れる]

    ホシノ dice1d100=25 (25)

    ノノミ dice1d100=68 (68)

    シロコ dice1d100=27 (27)

    セリカ dice1d100=7 (7)

    アヤネ dice1d100=71 (71)

    『ナギサ』 dice1d100=15 (15)

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:05:17

    アヤネさん!?
    鬱憤溜まってましたね?

  • 78◆B3SSKg8oHw25/08/10(日) 23:12:38

    [ちょっと申し訳ありませんが今晩は保守のみでここまでです!]

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/11(㜈) 07:56:04

    保守

  • 80◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 11:17:33

    今のアビドス対策委員会は少数精鋭かつバランスの取れたメンバーである。
    戦闘スタイルでも、性格でも。誰かが飛び出せば誰かがそれをフォローし、一丸となって行動する。

    「セリカ。」
    セリカ「……分かってる、あいつね。」
    スケバンズA「つうっ!?」
    ホシノ「おお、ナイススナイプ。セリカちゃんって結構そういうの上手いよねぇ……っと」
    シロコ「近づけさせないよ」
    スケバンズB「これだけの数で!なんでこっちが押されてるんだ!?」
    今回は『ナギサ』がスポッター、セリカが狙撃手として必要最低限だけを無効化する流れができているようにも見えた。

    スケバンズD「ぐ、うっ……」
    スケバンズB「か、固まれ!バラバラになった奴から狙い打たれるぞ!」
    「悪くない対処ですが……」
    ノノミ「はい!ノノミ、いっきま~す☆」
    ホシノ「相手はもっと悪かったねえ」
    リトルマシンガンVの掃射音が狙撃を警戒し密集した相手を一網打尽にしていく。
    シロコ「ん、呆れるほど有効な戦術」
    セリカ「これで分かった?さっさと降伏……あ、アヤネちゃん?」

    見上げた先には再度飛び上がり、重武装を敵の一団へと向けているネオ雨雲号の姿があった。
    アヤネ「遠くからではなく、私も……!」
    ノノミ「やっちゃえ~!」
    ホシノ「……思うところあったんだろうねえ。」
    それは中々皆のように戦えなかったことへの反動かもしれないし、幼馴染の楽しみをめちゃくちゃにしたことへの憤りだったかもしれないし、あるいは日ごろの鬱憤が溜まっていたのかもしれない。そんなことをホシノが呟き……
    セリカ「ちょっ……」
    アヤネ「火力支援!行きます!!」
    スケバンズB「ま、待っ」
    豪雨のようなミサイルが放たれ、断末魔の叫びが響き渡った。

  • 81◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 11:25:12

    今のアビドス対策委員会は少数精鋭かつバランスの取れたメンバーである。
    戦闘スタイルでも、性格でも……誰かが落ち着けば誰かが飛び出し、それでも一丸となって行動する。

    「……」
    いつものような冷たい微笑で、『ナギサ』は負傷したスケバンにも手当を行った。
    勿論手は軽く後ろ手に縛った後でだが。

    アヤネ「そ、その……」
    「そう気にしないでください。」
    セリカ「そうそう、普段からアヤネにストレスかけてるホシノ先輩とかのせいよ!」
    ホシノ「ごめんねぇ……」
    アヤネ「うう……」
    優しさが身に染みる。塩水の様に。

    ノノミ「たまにはこういうことも大切ですよ♧」
    シロコ「うん。この調子で次は銀行を……」
    アヤネ「……」
    シロコ「……ごめん。なんでもない。」
    ノノミとシロコは平常運転だった。

  • 82◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 19:22:06

    そして、結局スケバンたちにリゾート狩りの事情に関して丁寧な聞き取り調査を行ったが、

    「スケバンなら一獲千金を夢見て当然だろ!」「契約の穴を見つけちまったんだからやるしかねえ!」「とにかく何でもいいから暴れたかった……」「復学にはお金が必要なんだ」など理由はさまざまであった。


    「……復学は……他行の事情も絡む以上、難しいお話ですが、学びの場くらいなら設けられますよ。」

    セリカは沈黙した。こんな奴らに情をかけることもない、とはかつてのアリウスの実情を多少なりとも知る者として口が裂けても言えなかった。

    「遅すぎますか?」


    [-75+dice1d175=123 (123) %がそういうなら場所を用意してくれと頼んでくる]

  • 83◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 19:45:04

    スケバンズA「良いのか……?私たちには学籍も止められてて……」

    123-75=48%。意外なことではあるが、およそ半数ほど……十数人ほどがこの話に耳を傾けたのである。

    スケバンズC「ふん、できるならやってみろよ。そう簡単に出来たら苦労はしないんだから……」

    シロコ「……ナギサ。当ては?」

    「もちろんめちゃくちゃシスターフッドに頼みます」

    アヤネ「え、ええ……?」

    「あそこはそういった活動もやっていますからね。専門家の元に斡旋するのもまた、責任の取り方なのではありませんか?」


    ホシノ「うへ……いい考えだけど、先生にも話を通そっか。」

    ノノミ「責任……ですね。」

    ホシノ「おっ、ノノミちゃん正解~」

    「あぁ……そうですね。ありがとうございます。」

    セリカ「?」

    アヤネ「たぶん、ナギサさんだけが責任を負わないように慎重に判断しようってことです」

    セリカ「そ、そっか……」


    セリカ「ってナギサ!独断専行には気を付けてよね!」

    「フフ……あなたに言われては御終いですね。気を付けるとしましょう。」

    セリカ「一言多いっての!」


    勿論この申し出を受けないスケバンもいた。スケバンをしているのが深刻な理由ではなかったのか、目の前の集団をそう簡単に信じられる訳がないのか、詳しいことは分からないが。


    dice1d4=3 (3)

    1. そのまま何事もなく進行する

    2. スケバンズF「な、ナギサ?」 「他人の空似ですよ」

    3. スケバンズF「な、ナギサ?」 「ふふ、ご想像にお任せします」

    4. スケバンズF「な、ナギサ様……?」 「……。」

  • 84◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 19:56:02

    セリカ「……そういえば、有名人だったわね」
    シロコ「すっかり忘れてた」
    存在が近すぎて意識していなかったが、桐藤ナギサの顔と名前は知る人ぞ知るそれである。
    「……とはいえ、この縁はご大切に」
    『ナギサ』はそう優しく──きっと桐藤ナギサがするように、スケバンへと柔和に微笑んでやった。

  • 85◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 22:08:35

    そうして一段落した対策委員会は百鬼夜行と先生に連絡を取ろうとするが、今は手が離せないと一時連絡保留となる。

    ゲヘナ温泉開発部との相手で手一杯であったからだ。


    よって雑談タイム。

    ノノミ「というわけで今回の議題は~」

    ノノミ「だれが怒らせたら一番怖いかです☆」

    ホシノ「うへ~い」

    セリカ「誰得!?」

    アヤネ「あ、あはは……」

    シロコ「意外と興味ある」

    「あ、意外とという自覚もおありなのですね……」


    [それぞれの意見 1ホシノ 2ノノミ 3シロコ 4アヤネ 5セリカ 6『ナギサ』※自薦あり]

    ホシノ dice1d7=6 (6)

    ノノミ dice1d7=5 (5)

    シロコ dice1d7=2 (2)

    アヤネ dice1d7=5 (5)

    セリカ dice1d7=6 (6)

    『ナギサ』 dice1d7=4 (4)

  • 86◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 22:19:07

    ノノミ「ホシノ先輩だと思う人~」
    0票。
    ホシノ「そうだよね~。おじさんは怖くないよ~。」
    セリカ「なんていうか……怒る前に諭してくれる……みたいなイメージがある」
    ホシノ「うへへ……」

    ノノミ「ではでは♧ 私だと思う人~」
    シロコから1票。
    シロコ「ん……」
    ノノミ「シロコちゃん?お仕置きが必要ですか~?なんて冗談ですよ?」
    ノノミ「あ、あら……」
    シロコ「……こういうところ」
    沈黙。

    ノノミ「じゃあそんなシロコちゃんが怖いと思う人~!」
    0票。
    ホシノ「シロコちゃんって意外と乙女だもんねえ。」
    シロコ「そ、そうかな……?なめられてない?私……」
    「尊敬していますよ。特にそのサバイバビリティと迷いのなさを」
    シロコ「……ならいいけど。」

    ノノミ「ふふっ。それじゃあアヤネちゃんが怖いと思う人~!」
    『ナギサ』から1票。
    アヤネ「わ、私ですか?」
    「ため込むタイプ程堰を切ったとき何をするかわかりませんので」
    セリカ「そういうことハッキリ言いきれるあんたの方がこわ……んんっ、そういうの良くないと思うな!!」
    ホシノ「まあまあ。せいぜいヘリを飛ばして集中砲火するくらいだって~」
    アヤネ「もう、ホシノ先輩……!」

  • 87◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 22:39:32

    ノノミ「じゃあそんなセリカちゃんが怖いと思う人~」
    ノノミとアヤネから2票。
    セリカ「えっ、どういうこと……?」
    ノノミ「……一人で飛び出して行ってしまわないかなって」
    セリカ「怖いってそういう意味!?」
    アヤネ「ちょっとあるかな……」
    セリカ「もうそんなことしないから!!」
    ノノミ「うんうん☆それならいいんですよ。ご褒美にハグしちゃいます~!」
    セリカ「ああもう抱き着かないで!ち、力つよっ!んむぅ……!!!」
    アヤネ「そのままギューッとしちゃってください」
    「……お二人とも、ありがとうございます」
    何故だか分からないが、『ナギサ』は感謝を述べていた。

    ノノミ「ふう☆」
    セリカ「スケバンの相手より疲れたかもしんない……」
    アヤネ「お疲れ様。」
    ノノミ「ではオオトリです!ナギサちゃんだと思う人~!」
    セリカ「はい!はいはい!」
    ホシノとセリカから2票。
    「……ホシノさんからもですか」
    ホシノ「ちなみにおじさんはね、普通に怖がってるよ」
    ホシノ「マジになったとき、一番手段を択ばないのってナギサちゃんな気がするからさ」
    「否定はできませんね」
    ホシノ「だから、そうなる前に私たちを頼ってよ。なりふり構わなくなる前に、些細なことでもさ」
    ホシノ「おじさんは優しいからね~」
    ノノミ「そうそう、ホシノ先輩は怖くないですよ~」
    「ふふっ……では、そのように」

  • 88◆B3SSKg8oHw25/08/11(㜈) 22:40:41

    セリカ「……」
    「……」
    セリカ「べ、別に!?これ以上心配させないでよねってだけだけど!?」
    シロコ「正統派だね」
    ホシノ「久しぶりだね」
    アヤネはセリカの背を押した。『ナギサ』がセリカを受け止めた。
    やがて二人はハグをした。

    [今晩はここまでです]
    [明日は用事のため保守のみになるかと思います]

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/12(灍) 00:06:26

    出てしまったか……。正統派ツンデレが……。

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/12(灍) 08:13:37

    ほしゅ

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/12(灍) 17:42:31

    これで夜伽はセリカの方が攻めなんだからわからんもんだ

  • 92◆B3SSKg8oHw25/08/12(灍) 22:46:48

    [生存報告と保守のみ失礼します……]

  • 93◆B3SSKg8oHw25/08/13(ć°´) 07:33:06

    [取り急ぎ自演保守]

  • 94◆B3SSKg8oHw25/08/13(ć°´) 09:32:45

    スケバンズに続いてタトゥーシール連合も鎮圧し、一段落したところで、先生たちから折り返し通信が入ってくる。
    話を聞くと……

    "──といった具合に、こっちは一か所解決したところ"
    「あのゲヘナ温泉開発部と対話を成立させ、あまつさえ協力関係を結ばれるとは……畏敬の念を示さずにはいられませんね」
    セリカ「そ、そんなにすごいとこなの?」
    「それはもう、ゲヘナ温泉開発部と言ったら数百名の部員を要し、温泉開発すると言ったらそこに何があろうと止まらない止められないでトリニティでも指名手配されるくらいには」
    シロコ「やるね」
    アヤネ「そこは張り合わなくていいと思います……」
    「統率の取れた理解不能な大規模思想犯ですからね」
    事実である。

    ノノミ「わぁ☆シズコさんすごいです!」
    ホシノ「フランチャイズ契約かあ……いい方法じゃん」
    シズコ「えへへ……ありがとうございます」
    だからこそこの偉業は称賛されるべきことなのだろう。
    それにしてもあざとい。

    "それで、そっちはどう?"
    ノノミ「順調ですよ~」
    ホシノ「うんうん、水着スケバンを無力化してきたよ」
    「ただ、スケバンにも事情がおありのようでした。希望者についてはシスターフッドにて学びの場を提供してやりたいのですが、先生にもお力添えいただけますでしょうか」
    "分かった、やってみるよ"
    「……ありがとうございます」
    誰かが良かったわね、と言い、誰かがそんなに単純ではありませんよ、と言った。

    アヤネ「こちらも、この調子で進めていきます。引き続きお互い頑張りましょう!」
    "お疲れ様。引き続き頑張ろう。"
    そこで通信が終わった。

  • 95◆B3SSKg8oHw25/08/13(ć°´) 18:52:09

    ホシノ「それで、次はヘルメット団?」

    [政治で判定]

    dice1d100=96 (96)

    1~5. 「いいえ、カイザーです」

    6~70. 「その前に、少しご相談したいことが……」

    71~ ただ同意するだけの鈍感気味フジちゃん

  • 96◆B3SSKg8oHw25/08/13(ć°´) 19:03:41

    藤関ナギサは、ホバークラフトという高級品を一介の不良グループが何のコネもなく手に入れられるのか?
    ──そういったことは全く疑問に思わなかった。ばにたす。
    『ナギサ』以外にうすうす感づいていたものは居るかもしれないが、少なくとも今ここで指摘するようなこともなかった。

    シロコ「ん。まずは情報収集しよう」
    だが、ここで慎重になるのが覆面水着団である。
    「そうですね。」
    セリカ「まっすぐ行ってぶっ飛ばせばいいんじゃないの?アヤネちゃんのヘリで」
    シロコ「セリカ。何かを襲う時こそ準備の手間は惜しむべきじゃない。」
    アヤネ「そういえば、銀行強盗を提案してきたときも裏口の配置から警備員のローテーション時間まで調べ上げてましたね……」
    シロコ「うん。」
    セリカ「誇らしげにしないで!?」

    ノノミ「でも、シロコちゃんの言うことに一理ありますね☆」
    ホシノ「そうだねぇ。おじさんたちがいくら一騎当千って言っても、数では負けてるんだしさ……あとはやっぱり雨雲号の補給面かな」
    アヤネ「あ、あはは……」
    銃器の弾薬は現地調達できるとしても、雨雲号に関してはそうもいかず、前みたいな大暴れが何度もできるわけではない。そうホシノは気づいていた。
    ホシノ「シロコちゃんの言う通り、確実にやろっか」

  • 97◆B3SSKg8oHw25/08/13(ć°´) 23:53:06

    [寝る前に保守だけ失礼します]
    [しばらくは更新頻度がこんな感じで落ちます……]

  • 98◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 09:18:58

    シロコ「私はヘルメット団に直接インタビューしてくる」
    ノノミ「それなら……」
    セリカ「なら、今回は私がついてくわ。先輩たちやアヤネちゃんばっかりにストッパーを任せるのも嫌だし」
    ノノミは一瞬考えこむが、口をはさんだのはアヤネだった。
    アヤネ「分かった。気を付けてね」
    セリカ「勿論!そっちも振り回されないようにね。」
    アヤネ「あはは……」

    ホシノ「離れてたって信じあえるもんねぇ」
    セリカ「そ、ソレハソウダケド……」
    ノノミ「……分かりました。でも、怪我しないでくださいね。シロコちゃんも、セリカちゃんも」
    シロコ「ん」

    ホシノ「アヤネちゃんとおじさんは一度最初の島に戻って、ネットで情報を集めてみるよ~。」
    そんなことを言うホシノは実際アヤネの手伝いをする気もないのだが、護衛としてこれ以上ふさわしい人選もないだろう。
    アヤネ「よろしくお願いします」
    「では、私とノノミさんは……敵のことは敵に聞け。ちょうど懐柔したスケバンの皆さんがいますから、彼女たちに聞き取り調査をしましょうか。」
    ノノミ「はい!いっぱい甘やかしちゃいますよ~☆」
    「では私は厳しく……?」
    セリカ「シャレにならないから止めなさい。」

    それぞれ分散してヘルメット団の情報を集めることにした……。

  • 99◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 14:43:36

    [ヘルメット団についての情報収集貢献度]

    セリカ&シロコによる直接聞き出し dice1d100=94 (94)

    アヤネによるインターネット情報収集 dice1d100=73 (73)

    ノノミ&『ナギサ』によるスケバンからの聞き取り dice1d100=5 (5)

  • 100◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 19:49:09

    後ろ手に縛られ、座らされたヘルメット団がいた。そのヘルメット団を尋問する目出し帽の二人組がいた。
    ツインテール「ホバークラフトの出どころは?」
    ヘルメット団C「し……知らない 知ってても言わない」
    ブルー「利口だね」
    WHITE FANG465の弾倉が交換される。それが胴体に突きつけられる。
    ブルー「質問を変えよう。あななたちを支援してるのは?」
    ヘルメット団C「ま、待って」
    銃声。
    ヘルメット団C「ぐあああっ!!」
    ツインテール「ネタは上がってんのよ!カイザーグループでしょ!!」
    ヘルメット団C「だから知らないんだって!!」
    ブルー「……そう。末端ならこの程度かもね。」
    ヘルメット団C「そ、そう。だから許して……ください……」

    ブルー「ん、分かった。」
    ブルー「あなたの服とブーツと銃をよこして」
    ツインテール「し……ブルー先輩!?」

  • 101◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 19:58:15

    セリカとシロコがそうして入手した物的証拠から背後関係を調査する傍ら……

    アヤネがブラックマーケットでの流通をハッキングで追う傍ら……

    ノノミと『ナギサ』は……


    dice1d4=4 (4)

    1. スケバンと一緒に優雅なティーの時間を過ごしていた

    2. スケバンと一緒にビーチバレーに興じていた

    3. 衛生意識を徹底的に叩き込んでいた

    4. ノノミにおぎゃり始めるスケバンを宥めていた

  • 102◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 20:18:35

    「………。」
    スケバンB「母さん………」
    ノノミ「よしよし。良い子良い子……」
    「…………。」
    『ナギサ』はノノミの膝の上で静かに震えるスケバンを眺めていた。

    「(愛は巡るものです。愛されたからこそ愛することもできる……ならば、荒んだ彼女たちに必要なのは……)」
    「(無条件の肯定、無償の愛)」
    「(──すなわち母性)」
    それは一つの真理だった。決して桐藤ナギサはそういう意味で愛について説いたわけではないだろうが。

    「確かに、空は空。一切が空であるならば……存在しているだけで、それは称賛されるべきことなのかもしれませんね」
    哲学し、そして今『ナギサ』とノノミを止めるものはそこにはいなかった。
    ノノミ「そうですよ☆生きているだけで、とっても偉いことなんですから~」

    スケバンF「う、うう……」
    『ナギサ』は辺りのスケバンたちを見回す。
    「(ああ、誰も彼女も罅割れている。……癒しが必要です。)」

    「ということで皆さん1列に並んでくださいね。順番に。回復したと思ったら引き剝がしますので。」
    スケバンB「そ、そんな薄情な!!」
    「ほら、元気じゃないですか」
    スケバンB「ま、待って」
    ノノミ「私は気にしませんよ~?」
    スケバンB「ママーッ!!」
    『ナギサ』は液体をしみこませた布をスケバンの口に押し当て、脱力したその人を日陰まで運んで行った。

  • 103◆B3SSKg8oHw25/08/14(㜍) 23:25:49

    セリカ「……で、情報は?」
    「ノノミさんの包容力はすごいということが分かりました。」
    ホシノ「来たね、『高み』に。」
    ノノミ「ナギサちゃんも、甘えていいですからね~」
    セリカ「情報は?」
    『ナギサ』は無言でノノミの陰に隠れ、シロコがセリカを静かに撫でていた。

    [今日はここまでです]

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 04:00:56

    >>103

    元々の目的見失ってんじゃねぇか!!!

  • 105◆B3SSKg8oHw25/08/15(金) 09:34:20

    セリカ「……そう怯えないでよ。安心してるのよ、これでも」
    セリカ「……あ、あんたもそうやって甘えられるところが見られてさ。ノノミ先輩もありがとうね」
    「セリカ……」
    アヤネ「セリカちゃん……」
    セリカ「で、ヘルメット団の情報は?」
    「一切が空でした。」
    ばにたす。

    『ナギサ』とノノミは全く情報収集という点に役立たなかったが、アヤネチームはかなり確信に迫っていた。
    アヤネ「あのホバークラフトですが、やはりブラックマーケットのペーパーカンパニー経由で購入されていました。そこから先は尻尾を掴めませんでしたが……だからこそ相手が巨大かつ広範な組織であると言えます」
    ホシノ「あれだけの大物の取引を隠せてしまうってことだもんねえ」

    ヘルメット団の背後に確信にも似た心当たりがあるものも居た。けれどここまでは状況証拠に過ぎない。確定ではない。
    シロコ「……」
    だから、シロコがジャケットとブーツをその場に置いたとき、誰もがそれを注視した。
    シロコ「プルポダスのジャケットとブーツ。……スポンサーからの支給品らしい」
    アヤネ「……カイザーの……!」
    それはカイザー系列企業の名であり、決定的な物的証拠であった。
    ホシノ「また、かぁ……。」

  • 106◆B3SSKg8oHw25/08/15(金) 18:41:03

    [生存報告と自演保守です]

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 01:10:09

    ほしゅう

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 09:16:16

    追いはぎの仕方w

  • 109◆B3SSKg8oHw25/08/16(土) 11:37:49

    一同がうんざりするその名前に閉口していると、また通信が入る。
    ホシノ「は~い。」
    シズコ『アビドスの皆さん、今からミーティングはできますか?リゾート狩りも終盤、改めて作戦会議をしたいなと』
    ホシノ「丁度こっちも一段落したところだし、できるよ~。今からやろっか。」

    そして始まった作戦会議。
    百鬼夜行側の話を聞くと、まず「敗者を破滅に導く白い耳の怪物たち」はシークレット・ムシクイーン大会を開催しており、そこで優勝することで権利書を勝ち取ったとのことだった。
    セリカ「……ごめん、なんて?」
    シズコ『シークレット・ムシクイーン大会です!今ここにはいないカエデたちの力も借りて、最後はチセが頑張ってくれて……』
    チセ『みんなでつかんだ勝利~』
    セリカ「う、うん……」

    そして話を続けていくと、今度は「全てに代価を要求する玄武の使者たち」は不当な費用請求を行い、サービスもロクにしない悪徳リゾートであったということ。そしてリゾートを運営するのは玄武照会……を騙る黒亀組であった、とのことだった。
    「……頭目は正月に捕まえたはずですが、こんなところに逃げてきていたとは。」
    「ですが、彼らにしかるべき対応をなされたことについては、感謝しかありませんね」
    シズコ『そんなに感謝されることでもないって、分からせてやっただけですから』

    シズコ『ただ、気になることが一つあって。黒亀組のやつらが、カイザーPMCから兵力を雇ってたって……』

  • 110◆B3SSKg8oHw25/08/16(土) 19:39:33

    ホシノ「なるほどね~……カイザーPMCか。」
    セリカ「やっぱり、私たちの見立ては正しかったみたいね。」
    "どういうこと?"
    アヤネ「私たちも調べたのですが……どうやら、ヘルメット団は、カイザーグループとつながっているみたいなんです。」

    "ラブが率いてるヘルメット団が……"
    シズコ『黒亀組もヘルメット団もカイザーの支援を受けていたってことは……』
    シズコ『つまり、私たちにリゾート使用権を売り飛ばしたオクトパスバンクは、最初から裏でリゾート狩りを唆すつもりだったってこと!?』
    シズコ『本当に何なの!?あいつら!!』
    ホシノ「うへぇ~。本当にきれいに全部カイザーにつながるねぇ。」
    シロコ「ん。これでもう迷いはない。」
    アヤネ「はい。私たちもこれからヘルメット団の本拠地に向かおうと思います!」

    "それじゃあ、次はアビドスと百鬼夜行の合同作戦になるね。"
    至極まともな考えであり、『ナギサ』やアヤネは当然のごとくそれに頷く。しかし、意外にも口をはさんだのはホシノであった。
    ホシノ「それなんだけど、おじさんに作戦があるんだよねえ。」
    セリカ「作戦?」
    ホシノ「ふっふっふ~。敵を欺くにはまず味方から、先生たちにあんまり詳しいことは言えないけど……」
    ホシノ「このおじさんが珍しく真面目に考えた案、結構いけてると思うよ~?」
    アヤネ「う、ううん……」
    シロコ「私はいいと思う。」
    アヤネ「シロコ先輩!?」
    ノノミ「私も賛成です!面白そうな香りがしますし☆」
    "まあ、ホシノがそう判断するなら異論はないよ"
    「先生まで……」
    ホシノ「ありゃ。おじさんのこと信じてくれるの?嬉しいなあ。」

  • 111◆B3SSKg8oHw25/08/16(土) 23:03:12

    アヤネ「私は少し心配ですけど……」
    セリカ「いやいやいやおかしいわよ!!少し考えなおしましょ!?」
    「アヤネさん、セリカさん。ここは諦めましょう。」
    セリカ「はぁ!?」
    「ここで言い争うのも時間が惜しいですし、ノノミさんとシロコさんを説得するより、あなた方二人を説得する方が易いですから」

    アヤネ「……そういう言い方はどうかと」
    「……ごめんなさい」
    アヤネ「ふう。でも分かりました。セリカちゃんも、ここは、ね?」
    セリカ「分かったわよ……」
    ホシノ「それじゃ~、お互い最後までがんばろ~」
    シズコ『えっ、あっ、うん!』

  • 112◆B3SSKg8oHw25/08/16(土) 23:18:23

    [今晩はここまでです]

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 08:09:12

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 17:44:45

    ブレイン

  • 115◆B3SSKg8oHw25/08/17(日) 19:17:02

    [保守ありがとうございます]
    [今日はブルアカらいぶもあるので生存報告のみとさせてください]

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/18(㜈) 00:00:26

    アリウス編くるんか(ブルアカライブ)

  • 117◆B3SSKg8oHw25/08/18(㜈) 06:42:59

    [朝保守です]
    [まさかのアリウス編の更新が予告されましたが『ナギサ』の物語はアビドスに軸を置こうと思うのでアリウス編は少し関わるくらいの想定です]
    [トリニティ内での内政協力くらいになりそう]

  • 118◆B3SSKg8oHw25/08/18(㜈) 11:59:24

    百鬼夜行との作戦会議を終え、対策委員会だけで引き続きの会議となる。

    セリカ「……それで、作戦って?何する気なの?」

    当然の疑問のすり合わせだ。


    ホシノ「うへ。何回も相手してるけど、カイザーってしぶとくてあくどいじゃん?だから相手するなら根本まで噛みつくのがいいと思うんだよねぇ」

    セリカ「それはそうよ!」

    ホシノ「だから、ヘルメット団の変装をして、潜り込もうかなって」

    アヤネ「ええ!?」

    ホシノ「シロコちゃんの持ってきたものを見て思いついちゃったんだよねえ。頭いい〜」


    ノノミ「わあ☆面白いですね!」

    シロコも満足気に頷く。

    セリカ「先輩たちはもうだめみたい……」

    アヤネ「ナギサさんは……?」


    [『ナギサ』の乗り気度] dice1d100=98 (98)

  • 119◆B3SSKg8oHw25/08/18(㜈) 12:08:02

    アヤネが見たのは覆面を被り、静かに拳銃の動作確認をする『ナギサ』の姿であった。
    「確かに、規模で劣る私たちが決定的な一撃を叩き込むためにはできるだけ核心に近づいたほうがいい。異論はない」
    セリカ「あんた……もう喋り方まで変えやがって……!!」
    シロコ「流石リーダー」
    ノノミ「ひゅ〜!かっこいいお♧」
    セリカ「あ、アヤネちゃん……!!」
    アヤネは黙って首を横に振る。詰み、だ。
    ホシノ「決まりだね。それじゃ作戦開始〜!」

  • 120◆B3SSKg8oHw25/08/18(㜈) 17:34:40

    「さて、衣服の調達はあえてしないでおきましょう。アシが付いた時面倒です。」
    セリカ「じゃあこの馬鹿みたいな覆面水着スタイルで行くの!?っていうかそもそもどこに行くのよ!?どこに向かってるのよ!!」
    ホシノ「簡単簡単。今、ヘルメット団はリゾート狩りに対抗するための優秀な戦力が欲しいはず。船も修理中だしね」
    ホシノ「だからそこに売り込みに行くんだよ~おじさんたちの実力でね~」
    シロコ「ん。覆面もちょっと変わったヘルメットみたいなもの。」
    セリカ「んな訳ないでしょ!!」
    アヤネ「少し待ってください……ありました。ありました!?」
    アヤネ「で、でも確かに新入り募集のお知らせがSNSでも流れてます……」
    顔を見合わせるアヤネとセリカ。
    「お気持ちは分かりますよ。」
    セリカ「分かってるかなあ!?」

    「ええ。……ですが、病は原因を根絶しなければ治らないものであり……」
    「そして、原因以外を痛めることは可能な限り避けるべきことです」
    「ホシノさんがこうやって提案してくださったのも、直接この件を指揮している者だけを叩き、利用されていたものはできるだけ巻き込まないようにする……そういったご配慮でしょう。」
    落ち着いた調子で語りかける。それが恋人の言葉であるからか、本心であるからか、あるいはセリカが純粋であるからか──
    セリカ「………そうだったんだ……」
    ホシノ「うへ……どうだろうねぇ」
    セリカ「確かに、私の考えが浅かったかも。……ちょっとだけよ!」
    ノノミ「ふふ、いい子いい子~」
    セリカ「撫でないでったら……とにかく、私もお腹をくくったわ!徹底的にやるんだから!」

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/18(㜈) 23:29:36

    保守

  • 122◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 07:02:59

    [最近自宅の回線がホスト規制されているので更新不定期になりそうです……]

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/19(灍) 16:13:41

    ほしゅう

  • 124◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 19:00:49

    ……という訳で徹底的に入団試験を受けることになった一同。
    水着に覆面という異様だが、堂々とすれば案外にバレないものだ。

    ジャブジャブヘルメット団A「それじゃあ1番……っとと、0番から順に自己紹介だ!丁度ヘルメット?に番号があるしな!」
    ???「は、はい……」
    黄色い覆面がトレードマークの後方支援担当がまず声を上げる。
    エルフ「私はコードネーム・エルフ。機械操縦とハッキングが得意です。ブラックマーケットでの車両追跡程度なら問題なく。」
    赤い服面からツインテールが飛び出す4号が何やら言いたげな口だったが、翼を備えた6号がそれを手で制した。

    おじさん「おじさんはおじさんだよ~。何でもそつなくこなすタイプ?あっ今そんな雰囲気でどうやってこなすんだって思ったでしょ」
    おじさん「お、今動揺したねえ。面接官ちゃんはびっくりすると3.5cmくらい目線が下がるのかな~?あはは、正直だねぇ」
    ジャブジャブヘルメット団A「……つ、次!」

    ブルー「ん。私はブルー。襲撃の……いや銀行強盗のセミプロ。最高強盗額はキリ良く1億円。」
    ブルー「しかも証拠は残してない。そっちは私のことを知らない、でしょ。」
    面接官の心休まない時間はまだまだ続く。

  • 125◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 19:25:31

    クリスティーナ「私はクリスティーナだお♧趣味は~、ショッピングとトレーニング!その成果をお見せしちゃうお~!」

    迷いなく取り出したのは10㎏のダンベル。

    クリスティーナ「どうです?重いでしょ?」

    ジャブジャブヘルメット団A「あ、ああ。本物だな」

    クリスティーナ「ではでは~。それー!」

    それを円盤投げの要領で砂浜に向かって投げれば、100mは飛んで着弾し、大きな砂埃を上げた。

    クリスティーナ「むん!だお♧」

    ジャブジャブヘルメット団A「は、はは……」


    ツインテール「私はツインテール!切り込み隊長よ!」

    ツインテール「逆らう奴らを千切っては投げ千切っては投げこの覆面を返り血に染めてきた……」

    ツインテール「あんたもこの覆面を色づけたくなきゃ見くびらないことね!!」

    まともな判断力があればあるいは冷静に突っ込めたかもしれないが、瞳孔を縦長に開き、爛々と赤い瞳を輝かせるセリカの怒り顔は普通に怖いのである。

    対策委員会からすれば可愛いものなだけで。


    N「では、最後にこの私、Nが自己紹介をいたしますね。私の特技は治療です。ああ、あなた……」

    覆面の上からでも分かるような笑みを浮かべ、面接官へと近づき手を差し伸べる。

    N「……ひどく疲れていらっしゃるようです。私が治して差し上げましょう。」

    面接官は、ジャブジャブヘルメット団の団員は笑う膝から一歩も動けなかった。

    N「怖がることはありませんよ、ほら、私に身を任せて──」

    それは心に直に染み込んでくるような柔らかさと、底無しの安らぎがある響きだった。

    ジャブジャブヘルメット団A「あ……」


    そこでNは足を止め、手を下す。

    N「と、このように。安心したでしょう?」


    [ヘルメット団の恐怖] dice1d100=18 (18)

    [ヘルメット団の安らぎ] dice1d100=5 (5)

  • 126◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 19:29:50

    ジャブジャブヘルメット団A「……?」
    𝓥𝓪𝓷𝓲𝓽𝓪𝓼 𝓿𝓪𝓷𝓲𝓽𝓪𝓽𝓾𝓶 𝓮𝓽 𝓸𝓶𝓷𝓲𝓪 𝓿𝓪𝓷𝓲𝓽。
    彼女には何が起こったか理解できず、呆然と立ちすくむばかりだった。

    「………素直に悔しいですね」
    ツインテール「どっちかにすればよかったのよ!ってかそこ悔しがるところ!?」
    「私にもそんな心がまだあったのですよ、ツインテール」
    ブルー「滑ったね」
    「泣きますよ。いやクリスティーナも私の胸で泣いてくださいとばかりに構えないでくださいったら。」
    エルフ「わ、私は結構良かったと思いますよ!」
    「ふふ、ありがとうございます」
    エルフとNは愛想笑いを交わし、そして沈黙が辺りを包んだ。

  • 127◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 21:57:32

    ???「ふうん、生きの良いのが入ったっていうから見に来てみれば、えらい張り切りガールがやって来たじゃないの!」
    明朗な声が響く。
    「あなたは……」
    ラブ「そう!うちはジャブジャブヘルメット団のリーダー、泣く子も笑う河駒風ラブよ!」
    おじさん「わあ、優しいんだねぇ」
    ラブ「当然よ。できる子には優しくするわ」
    エルフ「い、言い間違いじゃなかったんですね……」

    ラブ「まあいいわ。一目見て分かった。あんたたち、やっぱりただものじゃない。……どう、大役を任されてみる気はない?」
    クリスティーナ「は~い!やりますお♧」
    明るい返事にラブはその笑みを一層深める。
    ラブ「うんうん。流石はうちが見込んだ奴らね。」
    満足げに頷き、大役について話し始めた。
    ラブ「じつは、うちらを狙ってくる奴らがいて、そいつらを逆に待ち構えて狩る算段を立ててるの。そこであんたたちには包囲の大詰め、後ろから回り込んで逃げ道を塞ぐ役を任せるわ。」

    ブルー「もうそんな算段が出来てるんだ、流石リーダー」
    ラブ「これくらい当然よ。伊達にやってないもの。」
    おじさん「よ、リーダー!」
    ラブ「ふふん♪……それで、できるわね?」
    ツインテール「当然よ!やってやろうじゃない!!」
    ラブ「決まりね!」
    余りにもとんとん拍子に話が進み、エルフやNは罠の可能性を疑うほどだった。

  • 128◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 22:04:17

    そんなNの、『ナギサ』の内心を見越してかラブは『ナギサ』へと歩み寄る。
    「……?」
    とぼける『ナギサ』を無視して、ラブは言葉を続けた。

    ラブ「あんた、その翼……」
    「……!!」
    ラブ「大丈夫、言わなくていいわ。ただ、一日の終わりにはよく真水で洗うのよ。潮風でべたついちゃうんだから」
    「……そう、ですね。ありがとうございます。」
    ラブ「うんうん。」

    ツインテール「覆面、すごっ……」
    ラブ「うん?ああ。あなたたちのヘルメットもなかなかいかしてるわよ!」
    セリカはこの時、ラブに他人とは思えない騙され易さを感じ……そして普段こうなの私!?と、内心仰天したという。
    ラブ「それじゃ、現場に案内するわ」

  • 129◆B3SSKg8oHw25/08/19(灍) 23:55:39

    [今晩はここまでです]

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/20(ć°´) 01:28:28

    いたずら仕掛けにいくところは『ナギサ』の気質


    >>118みたいに一度方向を決めたらアクセル踏み込むのはナギサっぽいわ

    血が繋がってないだけの姉妹なのでは

  • 131◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 07:11:43

    >>130

    [見た目は整形の結果としても魂の形は元から似ているのかもしれませんね]

    [周りにブレーキ役がいるから内心甘えてる節もあります]


    [桐藤家と『ナギサ』の血縁をフレーバーとしてダイスしてみましょう]

    dice1d10=6 (6)

    1〜8. 血縁はない、似てるだけ

    9. 遠い親戚!?

    10. 阿慈谷家の親戚!?!?(アクセル踏み切るのはそっちの血由来)

  • 132◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 07:13:02

    [赤の他人!でもそれはそれでおいしいのでOKです]
    [朝更新はここまでです]

  • 133◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 11:54:56

    ラブの指示に従って群島の一つに移動し、息を潜めることしばし。

    ツインテール「フーッ、フーッ……」
    おじさん「ステイ、ステイだよ〜」
    ツインテールが息を荒げるのも仕方のないことだった。
    今回の事件の黒幕はあのカイザー理事、正確には元カイザー理事となるが……アビドスを悪辣に追い立てた大人その人であったからだ。

    ブルー「命令があるまで私たちは待機。」
    ツインテール「わかってるっての……」

  • 134◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 12:06:30

    そして、そう長く待たないうちに、ラブの見立て通り百鬼夜行と先生は黒幕のもとへと姿を現した。

    クリスティーナ「わぁ、ラブちゃんの言う通り」
    エルフ「やって来ましたね……」

    百鬼夜行と黒幕のオクトパスバンク営業職員・元カイザー理事が会話を交わす。身を潜める対策委員会からは内容をよく聞き取れないが、一触即発は避けられないことは雰囲気で理解できた。

    そしてそうなれば圧倒的に、黒幕に傭兵として雇われたヘルメット団が有利である。包囲はすでに完成し、退路には精鋭を配置していた!

    元カイザー理事「──交渉は決裂だな。やはりこうなるか
    。残念だよ。」
    元カイザー理事「では、ラブ。」
    ラブ「ええ。このためにいるんだもの。」
    信号弾が打ち上げられ、一斉に包囲が狭まっていく。
    イズナ「あ、主殿!少し相手が多すぎます!!」
    ウミカ「お祭りは好きですけれど、これはちょっと……」
    シズコ「先生!」
    "……そうだね、ここは撤退しよう"
    撤退の判断、それは正しい選択であった。

    ラブ「あははっ!そうは問屋が卸さないわよ!」
    ラブ「今!やっちゃいなさい!!」
    けれどその退路に躍り出る人影が6つ。
    "っ……!"

    "……?"

  • 135◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 12:07:55

    [昼更新はここまでです]

  • 136◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 19:30:22

    おじさん「よ~し、作戦成功。」
    ツインテール「っしゃあ!やってやろうじゃない!!」

    シロコ「ん。ヘルメット団に偽装して疑われずに潜り込む作戦、大成功。」
    "……。"
    シズコ「え、ええええええ!?」
    ラブ「ちょっと何してんの?早くあいつらの退路を塞ぎなって!」
    元カイザー理事「……まさかとは思うが、ラブ。貴様が当てにしている精鋭というのは、あの……」
    ラブ「新入りがどうかした?」

    その新入りの一人──ピンク色の覆面を被りアホ毛の目立つ少女がラブに近寄り、覆面を脱ぐ。
    ラブ「あ、あんたは!あの時の!!」
    覆面を被る。
    ラブ「あれ、気のせい?」
    ラブ「……と、とにかく!戦闘準備!!」

  • 137◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 19:32:34

    「セリカさん、分かりますか?アレが正常性バイアスです。予期しない事態に直面した際、心の平穏を守るために状況を「正常」と認識してしまう心理的メカニズム……」
    「彼女は今、過ちを認められないのですよ」
    セリカ「何でそこで私に振るわけ……」
    ホシノ「まあ、そういうことでね?」
    対策委員会は一斉に覆面を脱ぎ、その姿を露にした。

    ラブ「え、えええええええ!?あんたたちは!!」
    元カイザー理事「……」
    ミモリ「……あらあら。」
    チセ「あ、先生。蝶々……」
    元カイザー理事「あ、アビドスだと……何故貴様らがここに!ラブ!これは一体どういうことだ!!」
    ラブ「ちょ、ちょっと待って!うちはただ、ちょっと変だけど、すっごくクールで個性的なヘルメットをかぶった奴らだと思って!」
    "さすがにこれは私も予想できなかったなー"
    他人事。

    アヤネ「私たちもリゾート利用券が当たったから来たんです。今回のことは全て……カイザー理事!貴方の仕業だったんですね!!」
    元カイザー理事「そんなはずはない……私はあくまで騒動を起こす問題児のみを選んで使用権を……待て。今、当たったと言ったな。それはどういうことだ?」
    セリカ「ふん!商店街で当ててやったのよ!日頃の行いがいいからでしょうね、あんたと違って!!」
    ノノミ「うんうん☆そのおかげで皆ここに集まれたんだお♧」
    シズコ「その喋り方はともかくすっごく心強いよ!」
    シロコ「ん。」
    "それじゃ、百鬼夜行とアビドスの連合作戦だね"

  • 138◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 22:30:57

    ラブ「いたっ!いたたたたたっ!!」

    ラブ「こ、こいつらやっぱりめちゃくちゃ強い!!」

    百鬼夜行・アビドス連合とヘルメット団。数は一桁の差があったが、戦力の差はそれに反比例して圧倒的だった。


    ジャブジャブヘルメット団B「り、リーダーが変なの連れて来るから!!」

    ラブ「五月蝿いわよ!こうなったら戦略的撤退!!クライアント!あんたも──」


    ラブ「いない!?」

    忽然。そこにカイザー元理事の姿はなかった。

    「……雇い主は無事に逃げたようです。あなたももう仲間を連れてお帰りなさい。」

    「私たちはカイザーを捕まえに来たのですから、あなたたちと直接戦う理由は無いのですよ」


    dice1d4=1 (1)

    1. ラブ「……ふん!命拾いしたわね!覚えてなさいよー!!」

    2. ラブ「……舐めんじゃないわよ!!情けなんて要らない!!」

    3. ラブ「……後悔するわよ」

    4. シロコ「ん、懸賞金。」

  • 139◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 22:38:06

    なんともステレオタイプな返事をして、これ幸いとばかりに引き上げて行くジャブジャブヘルメット団。
    悲壮感やプライドとは無縁の様子に『ナギサ』はクスクスと笑い、そして表情を正した。

    「……ありがとうございます、みなさん。私のわがままを……。」
    ノノミ「可愛い後輩の頼みですから☆」
    シズコ「それになんだか憎めない相手でしたし」
    セリカ「ただのバカじゃなくて?」
    砂浜に静けさが戻ろうとしたとき、イズナが叫んだ。

    イズナ「主殿!?主殿がいません!!」

  • 140◆B3SSKg8oHw25/08/20(ć°´) 22:41:13

    ………。
    ………結論から言ってしまえば、分が悪いと判断したカイザー理事が、先生を誘拐して逃走を図っていたのだ。
    そしてワカモの逆鱗に触れ、ロケット・ランチャーをぶち込まれた。
    呆気ない最期であった。

    [今晩はここまでです]

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/21(㜍) 08:26:17

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/21(㜍) 17:50:44

    ほしゅう

  • 143◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 18:17:02

    状況は凡そ片付き、皆で先生を捜索していると……
    イズナ「あ、主殿ぉ!!急にお姿が見えなくなったので心配しておりました……!!」
    チセ「おトイレ?」
    "ううん。ちょっと用事があってね。"
    何ともなかったかのように先生が戻って来た。

    アヤネ「……」
    セリカ「先生!カイザー理事は!?いや元だけど!とにかく、あいつは!?」
    "報いを受けたよ"
    セリカ「ふうん」
    「また……」
    セリカ「また現れるかもしれないし、もう現れないかもしれない、でしょ」
    「……あら」
    ノノミ「ふふっ♪」
    "相変わらず仲良しだね。ところで、状況は?"

    シロコ「ヘルメット団は形勢不利を悟ってみんな元気よく逃げたよ」
    "……そういう感じなんだね"
    シロコ「ん。」

    "シズコ、そっちは大丈夫?"
    シズコ「はい!けが人も居ませんし、アビドスの皆さんのおかげで無事解決できました!」
    シズコ「百夜堂の、いえ、私たちの勝利です!」
    "うん。みんなで力を合わせた結果だ"
    ミモリ「やりましたね、シズコちゃん!」
    ウミカ「これで、やっと!ロスト・パラダイス・リゾート全体を運営できるようになりましたよ!」
    シズコの顔に心からの笑顔が点る。

    シズコ「そうね……いろんなことがあったけど。」
    シズコ「ここからは安心して……百夜堂の……百夜堂だけの商売が始められるわ!」

  • 144◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 20:50:42

    どこからか騒がしい音が聞こえた。
    アヤネ「ヘリコプター……?」
    その音はだんだんと近づき、アヤネの予想通りに先生たちの傍へと着陸する。
    ホシノ「……うへ」
    ヘリコプターに刻印されていたのは連邦生徒会のマークだった。

    モモカ「よーし、現場に到着。う~ん!夏の匂いがするし、気に入ったよ!」
    リン「モモカ、私たちは遊びではなく、仕事で来たのです。連邦生徒会の一員らしく行動してください。」
    モモカ「え~先輩、かたくな~い?」
    "リンに、モモカ。どうしてここに?"
    リン「先生こそ、どうしてこちらに?……いえ、これほどの騒ぎが起きたのであれば、むしろシャーレの介入があっても不思議ではありませんね」
    シズコ「ちょ、ちょっと!どうして連邦生徒会が来てるの!?それに、これほどの騒ぎって!?」

    リン「私たちの方でも、ここロスト・パラダイス・リゾートにて所有権をめぐり一連の騒動があったことを確認しております。」
    モモカ「ネットでも騒がれてたんだよね、誰が負けて、誰が勝った~って。」
    リン「ですが、ここは本来私たち「連邦生徒会」が所有している土地です。」
    リン「そこで偽の権利書を使った騒動が起きていたため、こうして足を運んだ次第です。」
    モモカ「簡単に言うと、自分たちの持ち物を取り戻しに来たって感じかな?」
    "ということは、つまり……。"
    シズコ「……えっ?」
    リン「もちろん、横槍に等しい発言であることは重々承知しておりますし、手続きの都合もあります。そのため、直ぐに立ち退きを要請することはありません。」
    リン「……そうですね、あと3日以内に出て行っていただけると助かります。」

    ミモリ「あらあら……」
    アヤネ「それじゃ、私たちがやってきたことは、全部……」
    シズコ「無駄だったってことおぉぉおお!?」
    権利書自体が偽物だったのだ。
    残酷な真実であった。

  • 145◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 20:53:57

    dice1d4=3 (3)

    1. 諦める

    2. キレる

    3. 「シズコさんも可愛いですね……」(現実逃避)

    4. 「夢を見た者たちがいました」(スケバンたちについて触れる)

  • 146◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 21:06:22

    セリカ「しっかりしなさいよ!!こんな時こそお得意のばにたすでしょ!?」

    「……そのつもり、なのですが。もちろん連邦生徒会の皆さんの言い分も分かります。せめて自分たちの管理する土地くらいは万全に管理しなければ権威に関わります。この対応もやむなしでしょう。」

    『ナギサ』とリンは視線を交わし、リンは僅かに会釈した。


    「悪いのはあのカイザー理事だけ。私たちは最善を尽くしたのです。そしてこの結果になった……」

    「……もう可愛い相手を見て心を休めるしかないでしょう?」


    dice1d4=2 (2)

    1. チョップ

    2. ビンタ

    3. ハグ(ノノミ)

    4. セリカ「……私がいるじゃん……」ボソボソ

  • 147◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 21:23:23

    「!?」
    セリカ「最善を尽くしたなら逃げんな!いつも通り底知れ無さそうに笑ってればいいのよ!!」
    本当に最善を尽くしたならそれで納得できるはずだ。そうでないなら──

    セリカ「勿論私はめちゃくちゃ怒るわよこんなの納得いってないし!島の整備もした!怪我した奴らもいっぱい治した!騒動の犯人を見つけてとっちめた!!その結果がこれ!?こんなのってないんだから!!」
    リン「無論、私たちも大変申し訳ないと思っています。ですが、やむを得ない事なので……」
    フシャー、という効果音が聞こえてくるくらいには凄み、それをリンは事務的な対応……大きな権力を持った連邦生徒会の一員としては正しい対応で受け止める。

    アヤネ「セリカちゃん……」
    シロコ「セリカ……」
    ノノミ「看板娘ちゃん……」
    ホシノ「可愛いお嬢ちゃん……」
    「私のプリンス……」

    セリカ「いやちょっと待ちなさいよ!!最後の方おかしいでしょぉ!?」

  • 148◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 21:27:56

    シズコ「……」
    "シズコも、言いたいことがあったら言っていいんだよ"
    確かに思うところはあった。けれどシズコは強かだった。あるいは言いたいことを言ってくれたからかもしれない。
    シズコ「大丈夫です、私、結構切り替えは早いですから!」
    そして連邦生徒会へと向き直る。

    シズコ「退去については承知したわ。その代わり、条件があるの!」
    リン「条件、ですか?」
    シズコ「退去する前に!」
    シズコ「百夜堂で宴会を開かせてもらいます!」
    シズコ「──折角みんなで頑張ったんだし、それくらいはしても良いでしょ?」

    モモカ「おっ、いいね~」
    リン「モモカ!?」
    "うん。私からもお願い、リン"
    リンはあたりを見回し、そして一息つく。
    リン「分かりました、そのくらいなら。」
    シズコは笑う。満面の笑みだった。

    シズコ「よし、それじゃ、早速みんなで取り掛かりましょ!」
    みんなの声が木霊した。

  • 149◆B3SSKg8oHw25/08/21(㜍) 23:54:53

    [寝る前に保守]

    [そして気になった小ネタダイスを振ります]

    [『ナギサ』のツンデレ系に対する好み度]

    ヨシミ dice1d100=19 (19)

    イオリ dice1d100=96 (96)

    アコ dice1d100=48 (48)

    レナ dice1d100=61 (61)

    ※セリカは特別枠、コハルは99

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 07:19:20

    やっぱイオリはなんか特殊なフェロモンでも出してるんだ

  • 151◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 07:20:00

    シズコの提案の元みんなが協力して、一行は最後の宴会を楽しんでいた。

    開放感から、『ナギサ』も自由に振る舞っている。普段から自由と言われたらそうなのだが。

    「……脚、か………」


    [そんな『ナギサ』と一緒に居る生徒だけ決めて朝更新以上です]

    dice1d12=11 (11)

    1.ホシノ 2.ノノミ 3.シロコ 4.アヤネ 5.セリカ

    6.シズコ 7.ミモリ 8.チセ 9.イズナ 10.ウミカ

    11.リン 12.モモカ

  • 152◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 12:51:48

    リン「……なんのつもりですか?」
    その質問は至極真っ当であった。
    リンからすれば、エデン条約の件で大立ち回りをした正体不明の人物が、打ち上げから一人離れた場所で次の仕事を考えていたときに何故か側に来て……
    そして理由の分からないことを呟いたのだから。

    「目を離した隙に倒れられても困りますから。過労の相が見えます」
    リン「……であれば、このまま大人しくしていてください。」
    察し、ならばこれ以上仕事を増やすなとリンは牽制する。
    「では、これくらいは良いでしょう?よく焼けていますよ」
    そう『ナギサ』が差し出したのは、炭火で焼かれた肉や野菜を小綺麗に盛り付けた皿。
    「おにぎりもあります。割り箸とお茶も。如何です?」

    リン「それを私が受け取るわけには行きません。個人間の物品のやり取りはお断りしています」
    「あら……」
    リン「連邦生徒会の行政官として中立を保つためです。ご理解ください。」
    お硬い返答ではあるが、それは政治中枢の一角を代行した『ナギサ』にとって理解し易い考えであった。
    「失礼しました。ここは取り下げます。親しい仲でもありませんしね」
    リン「ご協力ありがとうございます」
    「いえ……」

  • 153◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 18:37:51

    [『ナギサ』からリンへの印象※高いほど良]

    dice1d100=98 (98)

    [リンから『ナギサ』への印象※高いほど良]

    dice1d100=4 (4)

  • 154◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 18:41:39

    [……ええ?]

    [『ナギサ』からリンへの印象が良いのは役目を果してる姿が気高く見えたことだと思いますが]

    [なんでリンからの印象はこんなに悪いんですかね]

    dice1d4=4 (4)

    1. 正直馴れ馴れしくて苦手

    2. 経歴不明すぎて要警戒対象

    3. 能力があるのに生かさず甘えているように見えるのが……

    4. 上3つ全部

  • 155◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 22:53:30

    「その。」
    『ナギサ』にも勇気というものはある。ここまで来ておいて自身の本音を伝えずに下がる、ということを選ばなかった。

    「……今回の一件、なかなか直視しがたいものでしたが」
    リン「……」
    「ケーキが口に合わないからと言って、パティシェの人格を批判するのは違うでしょう?私はむしろ、責務を全うされたリン行政官に好感を………」
    そこまで言って漸くか、あるいは言い切る前に気づいたというべきか。
    「そう、ですね。大人しくしていましょう。」
    口をつぐみ、一歩下がる。感づいたのは本気の辟易であった。

    リン「……お願いします」
    それでも形式を崩さないのはリンの責任感と生真面目さゆえであろう。
    組織の長の代行を務め、誰かを思い出させるような張りつめ方をする相手に、『ナギサ』はなぜここまで気にかけるようなことをしたのか内心納得した。

    「では、失礼します。」
    リン「はい」
    そしてこれ以上できることはない、とその場を後にする。

  • 156◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 23:30:09

    『ナギサ』からリンにできることは思いつかなかったが、リンのためにできることは思いついていた。
    ノンデリ気味ではあるが、こういう時だけは的確だった。

    とは言っても先生へのモモトークに一言、リン行政官に乳酸菌飲料でも差し入れてくださいませんか?と送っただけであるが。
    「よし……。」

    貴重な打ち上げの時間を慣れないコミュニケーションに費やした。得たものは悪い情報ばかりだが、『ナギサ』はらしい顔で夜空を見あげ、呟く。
    「𝓥𝓪𝓷𝓲𝓽𝓪𝓼 𝓥𝓪𝓷𝓲𝓽𝓪𝓽𝓾𝓶 𝓮𝓽 𝓸𝓶𝓷𝓲𝓪 𝓥𝓪𝓷𝓲𝓽𝓪𝓼」
    「正しく希望し、正しく絶望せよ……なんて」
    「ふふ……」
    悪くない気分だった。

  • 157◆B3SSKg8oHw25/08/22(金) 23:30:26

    [今晩はここまでです]

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 09:13:58

    気まずい…

  • 159◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 09:49:52

    自分が好きな相手だからと言って相手が自分を好いてくれるとは限らない。
    『ナギサ』にとって、それは……正直苦手なミカとの付き合いで良く実感していた。
    「少し気まずいのは確かですが、相手を嫌う理由になならないということでしょう」
    「むしろ苦手な相手にも丁寧な対応をしてくれるところに一層の好感を持つのかもしれません」
    「………ふふ……」

    真夏の夢はようやく終わりを迎えた。

  • 160◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 10:12:07

    [ということで暫くは最終章突入前にイベントでもないだらだらとした日常を更新していきます]

    [最終章は来週土曜から腰を据えて更新予定……]


    [ということで日常イベントの順番をダイス]

    dice1d4=2 (2)

    1. マスクを着けてる方が残酷になれるんです

    2. 紅茶が先かミルクが先か

    3. ステーキも美味しいしパフェも美味しいですがステーキに生クリームとフルーツトッピングするのは違いますよね

    4. 運命がカードを混ぜ、我々が勝負する

  • 161◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 19:04:51

    「大将、コンロを少し使わせていただいても?」
    柴大将「ああいいよ。でも、火傷しないようにな。」
    「恐れ入ります。ですがこの火力がちょうどいいのですよ。」
    柴大将「紅茶は熱湯で、だろ?」
    「ふふ、流石……」
    セリカ「ねえあんた!休憩中だからっていきなりお茶しばき出す!?」
    漸くロスト・パラダイス・リゾートから戻り、そして紫関ラーメンでアルバイトをしていた2人だが、『ナギサ』は相変わらずのマイペースであった。

    「なにを仰るのですか?ティータイムは欠かせません。それがたとえアルバイトの途中だとしても。」
    柴大将「そうそう、余裕を持つのも大事だぞ、セリカちゃん。」
    セリカ「大将!?うう、まさか私が少数派なんて……」
    「紅茶には気分を落ち着かせる効果もありますからね。大丈夫ですよ。」
    セリカ「これ見よがしに煽るんじゃないっての!」
    「ふふ……」
    セリカの良いリアクションに感謝しながら、『ナギサ』はティーポットに少量の熱湯を入れる。
    そしてお湯を回しポット内を温め、そのお湯を捨て、そしてまた熱湯を注いだ。

    セリカ「しかもポット持参……?やたら荷物が多かったのってそれ!?」
    「折角頂きましたのでね」
    思いっきりトリニティ式の装飾がなされた高貴な雰囲気のそれへティーバッグ人数分を入れ、蓋をした。
    「1分カウントをお願いできますか?」
    セリカ「ったく、一つ貸しだからね……」
    そして蒸らす間。

  • 162◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 19:18:53

    「そういえば今日はアイスミルクティーをお出ししますが、セリカは……紅茶が先かミルクが先か、拘りはありますか?」

    セリカ「はぁ?」

    「あら、心底興味なさそうな顔。」

    「それが私の話を止める理由にはならないのですけどね」

    セリカ「知ってた。」


    「ふふ、こんなやり取りは何回やっても飽きないものです……さて、話の要旨は簡単です。ミルクティーを作るとき、グラスに注ぐのは紅茶が先かミルクが先か。これは特に紅茶にこだわりの強い方々の中でも意見が分かれていましてね。一つの宗教といっても過言ではありません。」

    「ああ、私は……」


    dice1d5=5 (5)

    1. 「気分でころころ変えますけれどね。ばにたす」

    2. 「桐藤さんに倣って先にミルクを入れるようにしていますよ」

    3. 「まだ不慣れなので紅茶を先に入れるようにしています」

    4. 「あの赤いおばさんの言う通りにだけはしていませんけれどね」

    5. 「……まあ、マダムと言うだけのことはあったのでしょうね」

    備考:ベアトリーチェは dice1d2=2 (2) 1.ミルクが先 2.紅茶が先 3.茶葉の質による

  • 163◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 22:28:09

    セリカ「え、急に何」
    「私に高貴な振る舞いとやらを教えた悪辣な大人曰く。『紅茶が先、ミルクは後。まずは紅茶そのものの繊細な味わいを理解し、過不足なくミルクを添えなさい』」
    「『ミルクティーはあくまでティーなのです』、と……」
    「あとから調べて分かったことですが、上流階級がアフタヌーンティーでいただくような紅茶は、繊細な香りそのものをストレートで楽しむものでした。そのため、貴族の作法として「紅茶より先にミルクを入れてはいけない」という約束事まであったそうです。」
    「彼女が繊細な味わいとやらをどこまで理解できているかは存じ上げませんが、そのプライドと知識だけは本物でした」
    赤肌の自称貴婦人を思い出し、『ナギサ』は皮肉交じりに目を細める。
    「ですから、彼女のプライドと知識には敬意を表して、私は紅茶を先に入れることにしているのですよ。」
    そう言いながら氷の入ったグラスに紅茶を注ぎ、そのあとミルクを注ぐ。何の変哲もないアイスミルクティーを、4つ。

    「……もちろん、飲み方に関しては個人の自由です。誰かにこの飲み方を強制しようなどとは思いませんし」
    「むしろ……ううん、俗な表現ですが、楽しんで飲めるというのが何よりです」
    「ほら、熱いの苦手でしょう?」
    セリカ「最初からそれだけ言ってよ……寝そうになったわ。ご配慮どうも!」
    「大将と、あなたも。」
    『ナギサ』はそう言ってもう一人のアルバイトと柴大将にもアイスミルクティーのグラスを渡し、最後に一言付け加える。

    「案外ラーメンにも合うと思うのですよね、アイスティーは。メニューにいかがです?」

  • 164◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 22:29:58

    尚、『ナギサ』が数学が壊滅的に苦手なため気づいていないが今回の茶葉は1杯 dice1d100=82 (82) *100円の茶葉であった。

  • 165◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 22:34:11

    アルバイトA「確かにこのミルクティーは美味しいけど……値段大丈夫か?」
    「ああ。」
    セリカ「ああじゃないっての……お茶っ葉の名前とか分かる?」
    「山海経産のシルバートリニティップスですが……」
    セリカ「分かった。ちょっと待ってなさいよ。」
    暫くしてセリカは思わず吹き出しそうになり、もったいない一心で何とかそれをこらえ切った。
    柴大将「セリカちゃん!?」
    セリカ「んくっ、はぁ……だ、大丈夫です……ちょっとこいつ、計算が苦手なんで……」
    こいつ呼ばわり。まあ仕方ない。

    セリカ「ねえあんたこれどこで手に入れたの……!?」
    「トリニティから差し入れで……」
    セリカ「……一緒に家計簿つけよっか。」
    怒りと困惑が一周回ったその顔は、母のように優しかった。

    柴大将「セリカちゃんはいいお嫁さんになるよ。」
    アルバイトA「幸せにおなり、か……」
    セリカ「はは……」
    「ふふ……」
    笑顔のまま『ナギサ』の脳天にチョップが振り下ろされるまで、後1秒だった。

  • 166◆B3SSKg8oHw25/08/23(土) 22:35:56

    [今晩はここまでです]

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:18:46

    マイペースここに極まれり
    ラーメン10杯以上のお値段するアイスティー…

  • 168◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 08:44:12

    [今日の話]

    dice1d3=1 (1)

    1. マスクを着けてる方が残酷になれるんです

    2. ステーキも美味しいしパフェも美味しいですがステーキに生クリームとフルーツトッピングするのは違いますよね

    3. 運命がカードを混ぜ、我々が勝負する

  • 169◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 14:23:01

    また別の日。『ナギサ』はアビドス校舎の定期補修を終えて、家に戻って家事をしていた。
    セリカはまたアルバイト中。一人の家にカチ、カチと洗濯挟みが水気を吸った衣類を吊るす音だけが響く。

    「……」
    そんな中『ナギサ』の手が止まる。握られているのは覆面水着団の象徴ともいえる覆面。
    「(普通使い捨てではありませんか?こういうものは……。いや、処分したところから足がつくことを考えれば再利用はむしろ合理的)」
    「それに、態々番号のワッペンまで入っていますからね……」
    ⑤のマークを人差し指でなぞり、一人面白そうに笑う。
    「(けれど、これを最初に提案したのはシロコさんでしたね。覆面を用意したのも。彼女の手作りということですか。器用な人です)」
    シロコが覆面にワッペンを誂えている姿を想像して、『ナギサ』はまたそのシュールさに笑みを深める。
    「(とはいえ、黙っていればシロコさんも清楚系?の美少女です。案外イメージ通りなのやも)」

    愉快な思索を終え、洗濯物を室内に干すことも終えると、冷蔵庫から薄めの冷茶を取り出してはグラスに注ぎ、一息つく。

  • 170◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 14:28:36

    「ペルソナ、ですか……」
    スマホを取り出し、内側のカメラに切り替えて自分の顔を映す。
    笑ってみた。映った顔は同じように笑う。

    「確かに、覆面があった方がいい。この顔は、そういうことには不向きすぎます。」

  • 171◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 22:27:47

    そういえば、と『ナギサ』は思う。
    アリウス分校の生徒も、殆ど全ては、戦闘の時にガスマスクの着用を命じられていたこと。

    「マスクをつけている方が残酷になれる、ということですか。アイデンティティを隠させて、単なる『一人の兵士』というロールを与える。」
    「……確かに、夢も希望もなければ、ただの道具として考えを止めてしまおうという考えにもなる。相手の声にも、自分の声にも耳を傾けず、ただ、命令に従うだけの道具に」
    そんなことは決してしないと心に誓い、またそれが人の尊厳を大いに傷つけることだと『ナギサ』は理解していた。
    自身の『顔』に攻撃的な薄ら笑いを浮かべ、そしてまた息を吐く。

    「止めましょう。そんな洗脳をした相手も居ないのに息巻いてもしょうがありません。目を向けるべきはこれからです」
    「やはり、彼女たちにはまず、色々なものを見てもらって。」
    「その中で、自分は何が好きなのか。何をしていると楽しいのか。何に興味を持っているのか……。」
    「長所や短所、嫌いなこと、考え方や行動、癖、将来どうしたいのか、夢、人生の軸やビジョンを、少しずつでも積み上げてもらう。そういった治療が必要なのでしょう。」

    「自分のことがわからないと、どうやったら人生で幸福感や充実感を得られるのかが分からず、悶々とした日々を送ることになりかねません。」

  • 172◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 23:15:10

    「……ははっ」
    皮肉に笑う。
    「(『自分のことが分からないと』、ですか。)」
    「(自分と向き合うのは、鏡を見るようなこと。……。)」
    もう一度スマホの画面を見た。亜麻色の瞳。整った目鼻立ち。人当たりの良さそうな笑みも、影ができるような冷酷さも似合うような顔。

    「(……藤関ナギサ。あなたは。この顔は自分にもったいないと思っているのではありませんか?)」
    「(だから、この顔を覆面で隠していると落ち着くのではありませんか?或いは弾けられるんのでしょう?)」
    「(あなたは、世界を憎む空っぽな誰かが、拾い物の言葉に自分の感情を載せているだけの、偽物にすらなれなかった紛い物だから……)」

    「………良いじゃないですか、それで。それが今の私なのですから。」
    仕方ないことは仕方ない。自分は他の人には成れないのだ。
    「そんな私でも、善くしてくれた人はいる。そんな私でも、為せたことはある。」
    何と幸福なことだろうか。
    「まあ、私は割と才能がある方だとは思いますから、『私でも出来た』などと烏滸がましいことは口にしませんよ」
    何と傲慢……という訳でもない。事実であった。

    扉の開く音が聞こえる。
    「おかえりなさい、my dear。お疲れ様です。まずはお風呂へどうぞ。夕食はお作りしますから。」
    「そうしてお風呂から上がったら、マッサージでも致します。」
    「……うん?何かいいことでも、と?」
    「そうかも、しれませんね。」

  • 173◆B3SSKg8oHw25/08/24(日) 23:51:54

    [今晩はここまでです]

  • 174◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 06:48:59

    本日のテーマ

    dice1d2=2 (2)

    1. ステーキも美味しいしパフェも美味しいですがステーキに生クリームとフルーツトッピングするのは違いますよね

    2. 運命がカードを混ぜ、我々が勝負する

  • 175◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 12:07:34

    対策委員会一同は教室に座していた。
    いつも通り借金返済のための議論を行うなか、ノノミがカードの束を取り出す。
    ノノミ「じゃ〜ん♧」
    シロコ「それは何?」
    アヤネ「トランプ……ではなさそうですね。もしかして、タロット?」
    ノノミ「はい☆これはタロットカードと言いまして、絵柄で占いができるんです。」
    ノノミ「これで借金返済について占うのはどうでしょう?」

    セリカ「また変なもの買って来て……」
    「いえいえセリカさん。この占いで埋蔵金を当てたなんて話も聞くくらい由緒正しいものですよ?」
    セリカ「ホント!?」
    「嘘です。」
    セリカ「ぶっ飛ばすわよ!!」
    ホシノ「まあまあ、いいじゃん。何か新しい視点が見つかるかもだし、今日は占いターイムにしよっか。」
    ちらりとアヤネを見やるホシノとノノミ。
    アヤネは息を吐き、その提案を受け入れるのだった。

    アヤネ「……ですが、やるからには真剣にやります!!」
    シロコ「ん。」
    ノノミ「頑張りますよ〜!」
    ホシノ「うへ〜い」
    セリカ「ああもう!蝋燭持ってくるわね!」
    「ではカーテンを閉めて、テーブルクロスを敷いておきましょう」

    [昼更新はここまで]

  • 176二次元好きの匿名さん25/08/25(㜈) 12:27:39

    ワイルドハントでセイント・ネフティス製と思わしきタロットカードが出てきたばかりだから色々と気になるねぇ……

  • 177◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 19:16:08

    帳の降りた教室に蠟燭の炎が揺らめき、照らし異様な雰囲気を作っていた。

    セリカ「……いや明るっ!?」

    ホシノ「遮光カーテンでもないからねぇ。」

    砂漠地帯の昼下がりにカーテンを引いただけの教室は明るく、蝋燭の必要性はまずないと言っていい。

    セリカ「テーブルクロスもピンクの花柄だし!可愛いわね!」

    シロコ「……ダメだった?」

    セリカ「だ、ダメって訳じゃないけど……」

    思ったよりスン、となるシロコに思わずたじろぐセリカをよそに、ノノミはその上へカードを広げていく。

    その枚数、22枚。


    「有名な言葉ですが、運命がカードを混ぜ、我々が勝負する、とも言います。」

    アヤネ「全てを見通せるなんてことも、全てを決められることもない私たちにできることは。その時の状況に応じて、目標に近づくように選択していくこと、ですよね」

    「ええ。お見事です。流石は若くしてアビドス対策委員会のブレーンを務めるだけある」

    アヤネ「あ、ありがとうございます……。」

    ノノミ「ふふっ。照れてるアヤネちゃんも可愛いですよ~」

    アヤネ「も、もう。先輩まで」

    きゃっきゃっとした雰囲気。あからさまに浮かれていた。特にノノミと『ナギサ』。


    ノノミ「さて、それでは一つの質問。今回は、借金返済のためにどうしたら良いかを念じて、1枚カードを引いてもらうのですけど……」

    ノノミ「誰がカードを引きますか?」


    dice1d6=3 (3)

    1. ホシノ

    2. シロコ

    3. ノノミ

    4. アヤネ

    5. セリカ

    6. 『ナギサ』

  • 178◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 21:01:20

    シロコ「なら、ノノミが引くべき」
    ノノミ「あ、あら~?私ですか?アビドスの突撃隊長と言ったらシロコちゃんだし、リーダーと言ったらホシノ先輩。こういうのが好きなナギサちゃんだって……」
    あいまいに笑って譲ろうとするが、辺りを見回したシロコに合わせてホシノは頷き、『ナギサ』はおかまいなくと手を振る。
    シロコ「ん。こういう時、ノノミはいつも譲ってくれるから。」
    ノノミ「うん。……アヤネちゃんや、セリカちゃんは?」
    アヤネ「どうぞ、ノノミ先輩」
    セリカ「ナギサより空気読めなくなったら御終いだわ。ささっ、引いちゃって!」

    皆の顔を見渡し、笑って元気よく。
    ノノミ「……はいっ。ノノミ、引きまーす!……えいっ!」
    ノノミは一枚のカードを手元へと寄せると、それを表へと返した。

  • 179◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 21:04:48

    0.愚者~21.世界

    -1+dice1d22=21 (21)


    1.正位置 2.逆位置

    dice1d2=1 (1)

  • 180◆B3SSKg8oHw25/08/25(㜈) 21:10:58

    [20.審判……の正位置]
    [復活、結果、改善、覚醒、発展、敗者復活、転生]
    [めちゃくちゃ意味深ですが今日は少々疲労のため更新はここまでです]
    [なお、借金返済の占いの結果としては最良に近いと思います]

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/26(灍) 05:04:01

    ……一体何が起こるんだ?

  • 182◆B3SSKg8oHw25/08/26(灍) 12:00:38

    [保守のみ失礼します]

  • 183◆B3SSKg8oHw25/08/26(灍) 18:34:21

    ノノミの後ろから覗き込む対策委員会一同。
    アヤネ「これは……審判?」
    「そうですね、それも最後の審判です。」
    セリカ「大分物騒ね!?」
    「最後の審判というのはその名前の通り、世界の終焉後に人間が生前の行いを審判され、天国か地獄行きかを決められる……そういったお話です。ほら、カードには喇叭を吹く何者かの姿が写っているでしょう?これが審判の始まりを告げる喇叭なのですよ」
    セリカ「解説どうも。相変わらず変なことに詳しいんだから……」

    シロコ「そうすると、今回の占いの意味は……分岐点に立ってるってことなのかな。天国と、地獄の」
    ホシノ「おっ、良い目の付け所だね。おじさんもそう思ったけど……」
    ちらり、とホシノはノノミを見て何かを悟る。
    ホシノ「思ったより良いらしいよ?」

    それは満面の笑みだった。涙が浮かぶくらいに。
    ノノミ「……タロットカードには、正位置と逆位置というものがあるんです。ほら、トランプと違って上下が分かるようになってるでしょ?」
    セリカ「確かに……」
    ノノミ「だから、正位置はタロットカードが正しく見える位置、逆位置はタロットカードが上下逆に見える位置のこと。今回は「審判」の「正位置」という読み方をします。アヤネちゃんもナギサちゃんも大正解ですよ☆」
    なぜか自分のことのようにむふんとするシロコ。あるいは喜びの感情に思わず笑みが遷っていたか。

  • 184◆B3SSKg8oHw25/08/26(灍) 18:38:42

    ノノミ「それで、「審判」の「正位置」の意味は~」
    ノノミ「これまでの行動に対して結果が出ること。それも良い結果が出ること、そういう意味なんです!」
    ノノミ「復活、チャンスが戻る、目覚め、発展……そういったサインです」
    「ふふっ。出来過ぎではありませんか」
    ノノミ「努力が報われる、という意味もありますよ。」
    ホシノ「……うへ。」
    ホシノ「それは……出来過ぎだねぇ……まあ、まだ占いだし。こういう時こそリラックスっていうか?」
    ホシノ「………でも、44分の1かぁ。ちょっとは信じたくなっちゃうな、流石のおじさんでも」
    シロコ「ん。つまりこれはGOサイン。今までの延長線上に大成功が待ってるってこと。」
    ノノミ「……うん!!」

    セリカとアヤネも顔を見合わせ、頷く。
    セリカ「なら、この機会にもうあれをやりましょ!」
    アヤネ「はい。何とか纏まった資金は確保できています。」
    ホシノ「う、うん?あれって?」
    シロコ「ん。あれだね。」
    「そういえば、シズコさんと何やらお話ししていましたね……」
    ホシノ「……」
    笑顔のままホシノが固まる。
    ノノミ「……やろう!復刻・アビドス砂祭り!!」
    ホシノ「……も、もう。みんなったらこんな占い一つで………」
    シロコがティッシュを差し出し、ホシノはそれを静かに受け取り。弱弱しい声で感謝を呟いた。

  • 185◆B3SSKg8oHw25/08/26(灍) 21:38:38

    >>181

    [ということで復刻アビドス砂祭りフラグが立ったのですが]

    [ぶっちゃけると砂祭り前にキヴォトスへの「審判」たる最終章が始まるので復刻砂祭りの描写はだいぶ先延ばしです]

    [次スレは明日の夜に建てます、195くらいのギリギリを狙います]

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/27(ć°´) 07:24:12

    ほしゅう

  • 187◆B3SSKg8oHw25/08/27(ć°´) 07:28:01

    ひょんなきっかけから砂祭り復刻へと動き出した対策委員会。
    だが、ロスト・パラダイス・リゾートの件でシズコ率いるお祭り運営委員会とのコネクションができたことや原本資金が最低限積み上げられたこと、不良の動きも大人しくなっていることから復刻に動くための好条件は多く揃っていた。
    セリカはバイトの人脈を生かして人集め、アヤネとホシノはお祭り運営委員会との協議、シロコは変わらずアビドス区内のパトロール、ノノミは必要物資の調達、そして『ナギサ』はアビドス高校の保守及び各員の体調管理……主にはそういう役割分担であった。

    「では、今回はお灸を試してみましょう」
    ホシノ「うへえ……?」
    そして今『ナギサ』はホシノのマッサージを試みようとしている。
    「いろいろ身体を酷使されているようですからね。ああ、いや……」
    「おじさんはもう歳なんですから、労らせてくださいと言い換えましょうか?」

    ホシノ「まいったなあ、そう言われたら言い返せないや」
    ダブル・スタンダードを突かれてはホシノもにへらと笑う他ない。
    結局ホシノの治療をすることになる。

    とは言え真面目に治療されるのも気恥ずかしいのか……
    ホシノ「ねえナギサちゃん」
    「どうされました?」
    ホシノ「セリカちゃん、どうなってほしい?特におっぱい。」
    「……。」
    二人きりだからと赤裸々な話題を口にするのだった。

  • 188◆B3SSKg8oHw25/08/27(ć°´) 12:11:56

    「私はセリカが好きです。胸も……どちらかといえば大きい方が好きです」
    ホシノ「おお。ナギサちゃんも良いもの持ってるもんねえ。というか着痩せ凄かったし」
    「それなりには?」
    そう言いながらドヤ顔にも近い笑みを浮かべる。
    確かに『ナギサ』の胸囲はノノミに継ぐサイズである。ちなみにこれは自前。アリウスの生活でよくそこまで育ったものだ。

    「けれど、セリカがそうなってほしいとは思いません。ステーキも美味しいし、パフェも美味しいですが……ステーキに生クリームとフルーツをトッピングするのは違うでしょう?」
    ホシノ「あははっ、いいじゃん。わかるよ〜」

    「さて、いったんお灸を置かせていただきますね」
    ホシノ「は〜い」
    もちろん治療もおろそかにはしない。仰向けになったホシノのツボにお灸をそっと据えていく。
    ホシノ「うおぉ……効くう……」
    本当におじさんみたいな声を出すホシノにクスクスと笑い、異常がないことを一瞥すると話を戻す。

    「セリカはやはり健康的な愛らしさがあります。活気に満ち、素直で、よく笑い、よく怒り……健全そのもの。いや、アルバイトの入れ過ぎには注意してほしいものですが」
    「ですから、なんというか。大きな胸は似合わないのですよ」
    ホシノ「肉感的なのとは違うって感じだよね」
    「そうです。良い表現ですね、さすがは先輩。」
    本当にそうか?ツッコミは不在だ。

    「だから、どうなってほしいかと言えば……あのまま健やかに育ってほしい。それが……」
    「それが私の希望です。」
    叶うと叶わざるとに関わらず、そう願った。
    ホシノ「……そっか」

  • 189◆B3SSKg8oHw25/08/27(ć°´) 19:25:55

    「まあ、背中も美しかったですし」
    ホシノ「うん?」
    「控えめながらも丸みを帯びた太腿も思わず目を奪われるほど。鼠径部も惜しげもなく露わで彼女のスレンダーな肢体が波打ち際に輝いていた」
    「腹部も、腹筋が割れるほどではなくとも日頃のアルバイトと健康的な食生活によってほど良く絞られ、磁器のようなくびれを描き……」
    「少女らしさのあるフリルの下は、胸も股間も大人びた三角形が彩って。大人になりたがる少女の内心を雄弁に語る」
    「……そういえば、最近セリカの黒の下着をよく見かける気がします。そうして大人になっていくのでしょう。」
    ホシノ「う、うへ……」

    「失礼しました、強張らせるつもりはありませんでしたが」
    穏やかに声をかける辺りが「本物」である感をホシノに悟らせ、ひょっとすればお灸が湿ってこのまま消えてしまうのではないか、そんな錯覚すら覚えさせた。
    ホシノ「おじさん、今の話はお墓まで持っていくからねぇ……セリカちゃんにはもう少し健全でお願い」
    「では、そのように」

    「最後にいい話風に纏めておきましょう。セリカは割と口が悪いですが、ずっと、仲間のため、友だちのため、と……利他的な理由で毎日汗を流している。本人は、別にそんなんじゃないしって認めないでしょうけれど」
    「……見返りを求めない愛。私は、そこに惹かれたのかもしれませんね」

  • 190◆B3SSKg8oHw25/08/27(ć°´) 20:28:50

    ホシノ「……そっかあ。」

    ホシノはどこか遠くを見ていた。うつぶせている筈なのに。


    ホシノ「傍にいてあげてね。そういう人は危なっかしいんだから。」

    「はい。アヤネさんも、皆さんも居ますし。」

    ホシノ「ナギサちゃんが一番近くにいることを選んだんでしょ?」

    「……はい。」

    ホシノ「よろしい。」

    一つ頷く。ここで灸がきれ、施術は終わりだ。


    ホシノ「それと、自分より回りを大切にする人ってことは……」

    しかしまだ起き上がらず、そして悩む。自分より回りを大切にする人の、一番近くにいるということの意味に……

    『ナギサ』は自分で気づいてくれるだろうか、それともここで伝えるべきだろうかと。


    dice1d2=2 (2)

    1. 口には出さない

    2. 伝える


    『ナギサ』はその意味に

    dice1d2=1 (1)

    1. 気付いていない

    2. 気付いている

  • 191◆B3SSKg8oHw25/08/27(ć°´) 21:43:10

    ホシノは身体を起こし、寝台に座り直すと『ナギサ』をそのオッドアイで見つめた。
    ホシノ「……自分より周りを大切にする人の、一番傍に居る人。それはその人の一番大切な人だよ。自分、よりも。」
    「……」
    2度、3度。瞬きして、言葉を探して、そして何も出てこなかった。

    ホシノ「……知らなかった?」
    「……目を逸らしていました」
    ホシノ「正直でいいじゃん。……大切にしてね、自分を」
    ホシノ「な〜んて、おじさんが言っても説得力ないかもだけど。先達からのお節介ってことで。」
    「いえ、ありがとうございます」

    「お身体も調子が良さそうですね。これで見回りにも精が出ますか?」
    ホシノ「うへ、何のことかな〜?今晩はぐっすり眠れそうだよ〜」
    二人とも、方向性は違えど何時ものような笑顔に戻っていた。そしてそれ以上は踏み込まなかった。


    [今晩はここまでです]
    [新スレですが、少々週末から来週にかけて忙しくなりそうなので更新遅くなります]
    [新スレ自体は明日夜立てます]

  • 192二次元好きの匿名さん25/08/28(㜍) 06:08:22

    保守

  • 193◆B3SSKg8oHw25/08/28(㜍) 11:53:55

    [昼保守]







    [『ナギサ』の積極性]

    -100+dice1d200=148 (148)

    [セリカの積極性]

    dice1d100=64 (64)

    [合計100以上だと……]

  • 1942次元好きの匿名さん25/08/28(㜍) 20:09:54

    ほし

  • 195◆B3SSKg8oHw25/08/28(㜍) 20:22:16

    [すみません、体調不良のため新スレを立てるのがきついです、このスレはこのまま落としてください……]
    [新スレ立てる際は下記リンク先で告知します]
    [本当にごめんなさい]

  • 196◆B3SSKg8oHw25/08/28(㜍) 20:24:25
  • 197二次元好きの匿名さん25/08/28(㜍) 20:48:45

    100超えは風邪の予兆だった…?
    お疲れ様でした
    次回も楽しみにしています

スレッドは8/29 06:48頃に落ちます

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