【CP閲覧注意】エグザベ君が科特隊に入る話(前スレより名称変更)【エグニャア】

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 13:49:33
  • 2二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 13:55:45

    「僕がこのたび科学特別捜査隊日本支部に、パリ本部から出向してまいりました、エグザベ・オリベ隊員25歳です。よろしくお願いいたします」
    「同じく、ニャアン・オリベ隊員19歳です。よろしくお願いいたします」
    「あー、彼らは年齢は6歳差だが、パリ本部付属の科特隊員養成所の同期でだな。卒業時の成績がニャアン隊員がトップ、エグザベ隊員が2位の、ワンツーフィニッシュを決めた俊英だ」
    「「「「おお、それは凄い!」」」」
    「……申し訳ありません、ムラマツキャップ」
    「ん? どうしたニャアン隊員」
    「具体的な訓練成績自体は、エグザベ隊員の方がはるかに上です。ですが彼は自己評価が非常に低く。謙虚と言えばそうなのですが、その自己認識の誤りが問題視される事も多く。そのために最終的な評価で、僅差でわたしがトップになっただけなのです」
    「は、ははは」
    「なに! あー、エグザベ隊員。自分を過信しないのは良いことだが、自信を持たないのは、これはいかん事だ。出来る限り修正するように」
    「了解です」

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:01:28

    「ところでニャアン隊員。あ、わたし主に通信に携わっている、フジ・アキコです。お二人の苗字なのですが」
    「わかりますよね……。わたしたち、夫婦です」
    「本当は僕だけが日本に出向だったんですが、何か長期に渡りそうだと言う事で。新婚なのにそれは……と、上が気を使ってくれた結果で」
    「なるほど! しかし奥さんの方はまだ19だろ? 流石に若すぎねえか?」
    「ちょ、アラシ隊員! さすがにデリカシーが……」
    「あ、っと。そうだなイデ。わりぃ、エグザベ隊員、ニャアン隊員もよ」
    「いえ、構いませんよ。僕たちはどちらも天涯孤独なもので。だから結婚急いだんです」
    「こんな危ない仕事ですからね。互いの財産の相続とか、死亡保険金とか、その他色々な事を考えると」
    (((((重!!)))))

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:08:36

    ((ふう、あちらの世界で時間経過して、かつての仲間たちが全員亡くなったのがちょっと心に痛くて、ザギ・イージス使ってちょっと無作為に多元宇宙を旅行に出たけど。M78スペースの過去の近似世界に出るとはね))
    (まあでも、この世界でもウルトラマン殿はベムラーを追ってハヤタ隊員と交通事故起こしたみたいですし。ハヤタ隊員から、『光』の反応が感じ取れました)
    ((ベムラー撃破報告も、パリ本部に届いてるからね。だけど、この世界もが元々のM78スペースと同じ様に行くかどうかはわからない。注意して見守って行く必要、あるだろうな))

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:34:18

    「ところでキャップ。気になってる事があるんですが。物凄く」
    「なんだイデ、お前もか。いい加減教えてくださいよキャップ」
    「ああ、科特隊ビルの隣に工事現場用の足場組んでシート被せられてる、あの『機材』の事だろう」
    「「ええ、そうです」」
    「僕も実は聞きたかったんですよ」
    「わたしもです」
    「ハヤタもフジ君もか。まあそれについては、新入りの2人に聞いてくれ」

  • 6二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 14:53:03

    「あれは僕らが日本支部に持ち込んだ、パリ本部で開発された新機材です。全高43m、頭頂高40mの対大型怪獣用超重戦闘車両、別名『超大型機動歩兵』」
    「文字通り怪獣と取っ組み合いをするために建造された、巨大人型兵器です。エグザベ隊員用の機体が、SSSP-MS-Proto-01『ギャン』、わたし用の機体がSSSP-MS-Proto-02『ジフレド』です」
    「こちらがその資料です。ただ、Protoの文字が示している様に、あくまで試作品なので……。まともに使用できるかは」
    「……ざっくりと見てみたが、現状のスペックでは先日に地球を襲ったベムラーとは、ちょっと格闘戦をするには力負けしそう、だな」
    「ええ、ハヤタ隊員。ですので、順次開発者である僕らが改良を」
    「え゛!? 君たちが開発を!?」
    「「うわ!? い、イデ隊員!?」

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 15:15:05

    「あんな巨大構造物が、どうして崩壊せずに格闘戦をできるんだい!? 骨格構造は!? 装甲強度の維持は!? あと駆動系は!? それに、それらにエネルギーを供給する動力系はどうなっているんだい!?」
    「い、イデ隊員落ち着いてください」
    「貴方と岩本博士には元より、設計仕様書を渡して改良の協力を仰ぐつもりでしたから!」
    「あ、す、すまない。取り乱してしまって」
    「いえ、僕も技術者の端くれとして、お気持ちは重々」
    「何にせよ、巨大な怪獣相手に戦いを挑む以上、こういう装備品が考案されるのは時間の問題でした」
    「そこへ個人で研究を続けていた僕たちが、基礎技術をパリ本部へ持ち込んだんです」
    「そして、怪獣災害が頻発している日本支部で、その実戦に於けるテストと改良を行う計画が立ったんです」
    「なるほどなあ……」

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 15:42:15

    「じゃあ僕たちは科学センターに赴いて、岩本博士にご挨拶をして来ます」
    「3時間ほどでこちらに戻る予定です。遅れそうなら電話を」
    「ああ、行って来なさい」

    「はぁ~、あれっていわゆる巨大ロボットですよね? すんげぇもんだなあ。俺も乗れねえもんですかね?」
    「今のところは無理だな。よく考えろ。あれに乗って、一歩歩くだけで、どれだけ操縦席内の操縦者が、上下すると思う。数メートルじゃ済まん。下手するとジャンプとかしたら、数十メートル一瞬で振り回されるぞ。まあ、高Gをやわらげる装置はあるとは思うが。だがしかし、それに耐えて細かい操縦を間違わずにやる。ジェットビートルとは間違いなく比べ物にならんぞアラシ」
    「どひぇ~ハヤタ、俺ぁ警察出身で、飛行機の、ジェットビートルと小型ビートルの免許取るだけでも必死だったってのに。つうと、ハヤタでも無理か」
    「間違いなく、無理だ。まあ数ヶ月訓練すれば、彼らが乗れている以上は乗れる『かもしれん』が。『かもしれん』程度だな」
    「アレが持てる鉄砲、かなりの大砲になるだろうから、ソレを構えさせてブッ放せば、たいがいの怪獣なんぞお陀仏かと思ったんだがな」
    「それは僕も、あの書類見た時から考えてたんですけどね。バカでかい大砲を手持ち形式で造るって言うのは、難しいかもしれませんよぉ~?それよりかは、大型ミサイルの発射器を手持ち形式で造った方がいいかと思ったんですけど、流石にページめくったら次の資料に書いてましたよ」

  • 9二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 16:07:51

    ((凄い人たちだったな))
    (本当に)
    ((一番ヤバいのは、ムラマツキャップだ。あの人の野性の勘と地球人とは思えない格闘能力))
    (イデ隊員と岩本博士も、下手すると理詰めで正体に気付かれかねない)
    ((ハヤタ隊員は、まあ向こうもウルトラマンってある意味の弱みがあるから……))
    (アラシ隊員とフジ隊員は、まあなんとか)
    (((とりあえず、今日の所は宿舎へ帰ろう/りましょう)))

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:08:47

    第2話:お前ら火星が嫌なら他行きやがれ

    「非常招集ですね!」
    「ムラマツキャップ!」
    「来てくれたか、エグザベ、ニャアン君」
    「ひぃ、ひぃ、ムラマツキャップ!」
    「ま、間に合ったか!?」
    「遅い! イデ! アラシ! 当直してたフジ君はともかく、本部内に部屋がまだ無いから宿舎で寝泊まりしているエグザベとニャアン君がもう到着しているというのに!」
    「「ひ、ひぃ! 申し訳ありません!!」

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:22:15

    「ハヤタ隊員は?」
    「ハヤタは今、防衛基地に急行して調べてもらっている最中だ。防衛基地では、東京上空に強烈な電波を発する物体が飛来したので警戒中、突如電波を感じなくなったんだ」
    「ムラマツキャップ! ハヤタさんから連絡です! 電波消失地点は北緯35度43分、東経139度30分……。東京のド真ん中です! 更に科特隊パリ本部より入電! 現在その物体に該当する人工衛星を打ち上げている国や民間組織は存在しないとの事です!」
    「人工物の可能性は、消えた、か」

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:33:20

    「ムラマツキャップ! その地点は、科学センターのある御殿山では!?」
    「何!? フジ君、すぐに確認を! い、いやフジ君は科学センターに連絡を入れてくれ! イデ、お前が電子頭脳で確認をするんだ!」
    「「は、はい!」」

    「科学センター、通信繋がりません!」
    「間違いありません! その地点は科学センターのある御殿山です!」
    「アラシ! 急ぎ科学センターへ向かって調査だ!」
    「了解!」

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 17:45:15

    『キャップ、すみません。ホシノ君が科特隊専用車に乗り込んでました』
    「しょうがないなあ。危険の無いように、科特隊本部との通信連絡役をやらせておくんだぞ」
    『はい』
    「ちょ、ちょっと待ってくださいムラマツキャップ! ホシノ君って誰です!」
    「ああ、科特隊日本支部ムラマツ班のマスコット的な小学生でな。かなり優秀なので、見習い的な立場に置いとるんだ」
    「な!? それはOJTにしても行き過ぎでは!?」
    「……OJT?」
    「((この世界のこの時代には、この言葉は一般的じゃないのか))On-the-Job Training、職場で実際の業務を通して行われる実地研修のことです! いくらなんでも小学生を」
    「エグザベさん、あなたがギャンとジフレドのシステム面調整している間にちょっとこの国の文化体系とか調べた。……子供のうちから色々やらせるのは、それもけっこう危険なことをやらせるのは、程度問題もあるけどそこそこ普通のことみたい」
    「えっ……」

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 19:14:13

    「ああ、いや。エグザベの言う事もわからんでもない。世界でも、あちらこちらで『子供を危険な目に遭わせてはならない』と主張するところも多いからな。あー、俺も正直悩んでいるところもあるんだ。俺の出身は、ちょうどそういったのの境目だったからな。どっちの言う事も、ある程度、なあ」
    「いえ、文化の違いというなら……。ただ、本当に通信だけやらせるべきです。というか、才能ある上にそういった方面に志願したいなら、さっさと科特隊員養成所に放り込むべきだと……。はぁ……orz」
    「あなた、あまり落ち込まないで」
    「うん」
    『本部基地! 聞こえますか! アラシ隊員によれば、やはり何らかの異常が起きているみたいです! あと、アラシさんからの連絡が途絶えました!』
    「!! ホシノ君! ぜったいに科特隊専用車から離れるんじゃないぞ! 防衛隊に連絡して、あとハヤタたちを応援に送るからな!」

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:20:09

    「ムラマツキャップ、会議の結果は?」
    「ハヤタ達の報告にあった、科学センターを占拠している宇宙人に対しては、とりあえず対話による解決を試みる事になった。防衛隊からは、いきなり戦術核ミサイル『はげたか』を打ちこむべきだと言う意見も出たのだがね。ハヤタの見解からすれば、おそるべき超常能力を持った宇宙人の様なんだ。科学センターの夜勤の人間を殺傷されたのは口惜しいが、宇宙人と我々とでは完全に常識が異なっている可能性も高い。欲しい物があるなら、それを渡してさっさと地球を去ってもらう事も視野に入れるべきだろう」
    「「「「「了解です」」」」」
    「交渉役は、宇宙語が使えるイデだ」
    「りょ、了解です!」
    「補助と護衛を兼ねて、ハヤタと……そうだな、エグザベに頼む」
    「エグザベ隊員は、わたしと万一に備え、『超大型機動歩兵』で待機すべきでは」
    「それも考えたが、宇宙人との接触に於いて、ハヤタとエグザベの聡明さ、そしてエグザベは我々日本人とは違う発想に期待したいのだ。無論ギャンとかいう機体は、科学センターの外で待機状態にさせる」

  • 16二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:28:26

    「アラシ隊員!」
    「君ノ宇宙語ハ、ワカリニクイ」
    「!!」
    「我々ハ、ばるたん星人。我々ハ、コノ生物ノ脳髄ヲ用イテ、君タチト会話シテイル」

    「我々ガ君達ガ地球ト呼ブM二四〇惑星ヘ来タ目的ハ、宇宙船ノ故障ヲ修理スルタメノ部品ヲ求メテ来タノダ。ココ科学せんたーニ来タノハ、壊レタ重力ばらんすヲ修理スルノニ必要ナだいおーどガ存在シタタメダ。我々ノ惑星ハ、狂ッタ科学者ノ核実験デ失ワレタ。宇宙ニ偶然出テイタ我々ハ、新タナ居住デキル惑星ヲ求メ、宇宙ヲ旅シテイタノダ」
    「わたしの友人や警備員や防衛隊の人々の生命を奪ったのは?」
    「生命? 判ラナイ。『せいめい』トハ何カ?」
    「「!?」」
    「……『生命』とは。自然界に存在するある種類の『物体』が、種々の行動を行い、進化するための活動が『生命活動』であり、それを行うためにその『物体』に宿っているエネルギーこそが『生命』だ。そしてそれが宿る『物体』こそが『生命体』だ。僕たちから見れば、お前たちバルタン星人もまた、『生命体』だよ」
    「エグザベ隊員!!」

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:57:03

    「地球ハ我々ニトッテ住ミヨイ所ニナルダロウ。我々ハ地球ニ住ム事ニスル」
    「君たちがこの地球の風俗、習慣になじみ、地球の法律を守るのならば、それも不可能な事じゃない。君たちは何名いるのか」
    「20億3千万程ダ」
    「な!!」
    「「……」火星に住んだらどうだ?」
    「火星ニハ我々ノ嫌イナ……」
    「どうした、何故黙っている!?」
    「ソレハ言エナイ」
    「くそ、もうちょっとだったのにぃ!」
    「話ハ終……」

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 20:58:44

    「待ってくれよ。僕の話も聞いてくれないか? 木星の衛星、イオならばどうだ? 太陽光が足りないとでも言うならば、僕が研究中の人工太陽を提供してもいい。もっとも、君たちバルタンの科学力ならば、人工太陽など容易かもしれないが」
    「「!!」」
    「……否。いおヲ居住可能ニスルヨリモ、地球ヲイタダク労力ノホウガ少ナイ。地球ハ、我々ガモラウ」

    ばぎぃっ! どごおおおぉぉぉっ!!

    「あ、アラシ隊員!? エグザベ隊員!!」
    「彼を殴り倒すのが目的で、話を長引かせたんです。これで連れて帰れます。そして……ハヤタ隊員!」
    「そこだっ!」
    「ば、バルタン星人が姿を隠していたのか! って壁が!? でっかい手が!!」
    「ギャンを無線操縦で、科学センターの壁に貫き手を突き込ませたんです。脱出しますよ!」

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:14:59

    『ムラマツキャップ。聞こえますか』
    「エグザベか!?」
    『バルタン星人の嫌いな物が、おそらくは判明しました。地球に無くて、火星にある物質。最有力なのは、『スペシウム』です。現在地球に、火星から運び込まれた『スペシウム』は、何処にどれだけありますか?』
    「なんだって!? イデか岩本博士じゃないとわからん! 岩本博士は今大至急こちらに向かっているが……」
    「たた、隊長!」
    「イデ! それにハヤタ! よく戻って来た! イデ、地球に『スペシウム』は何処にどれだけある!?」
    「え、関東中央博物館に未精製のが100kg弱……って、たいへんです!」
    「キャップ! 今バルタン星人と戦っているギャンとジフレドを退かせてください! 防衛軍がキャップに伝えろと! 戦術核『はげたか』を使う気です!」
    「なんだと!? エグザベ! ニャアン君! 退避しろ!」
    『『……了解!!』』

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:18:42

    「ば、ばかな。『はげたか』が」
    「バルタン星人め! 分身して、『はげたか』に破壊された身体を捨てて再生しやがった! まともな手段じゃ、やつは不死身なのか!?」
    「ギャンとジフレドが、『はげたか』の衝撃でぶっ倒れたままだぞ!」
    「どうしたんだ! イデ、お前わからんか!?」
    「あたりまえでしょうアラシ隊員!? ギャンもジフレドも、操縦席は腹の中! ぶっ倒れたら、20m強の高さから落下したのと同じだけの衝撃が、操縦者に加わるんですよ!?」
    「な、なんてこった!」
    「い、いや。フラフラとだが、立ち上がるぞ!」
    「あれ? ハヤタ、は?」

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:25:25

    ((ニャアン、そっちはどう?))
    (身体は問題ないし、ジフレドも受け身取らせたから大丈夫。だけど流石に、駆動系がちょっとだけ)
    ((まあこっちもそうだね。まあ、そんなに修理は手間じゃないだろう。それより))
    (うん。これ、ハヤタ隊員、ですね)

    『デュワッ!!』

    ((スペシウム光線が使える以上、勝利は動かないね))
    (お任せしましょう)
    ((これ以上、『人間として』は、出来る事なさそうだ))

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:30:34

    「やった!!」
    「スペシウム光線ですね、キャップ!」

    「おお、ウルトラマンがバルタン星人の円盤を!」
    「ああ、おお……」

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:38:27

    「……今回の被害は、科学センター夜勤の科学者たち若干名と警備員、そして防衛隊の兵員十数名」
    「それと、建造物の被害が多少……。科学センターにギャンの貫き手突っ込んだのは不可抗力として」
    「『はげたか』の爆風と放射線による近隣建造物の被害、除染……」
    「僕らのギャンとジフレドも、ちょっとばかり修理が」
    「今回の事を教訓として、次があっては欲しくは無いが、次はもっと上手くやらんとな」
    「可能ならば、せめて人的被害は0に抑えたいですね」

    「あまり暗くなっていても、仕方がない。今日は俺の奢りだ。飲みに行こう!」
    「……わたし、まだ未成年(って事になってます)です」
    「ま、まあソフトドリンク、で?」

    「「「「「「「ははははははははは!」」」」」」」

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/03(日) 21:39:28

    第2話、完結です。これよりちょっと休んで、第3話執筆に入ります。

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 02:49:22

    第3話:原子爆弾の恐怖

    「いやー前回の怪獣、ネロンガにゃあ参ったぜ」
    「アラシ隊員は、アレの電撃をモロに喰らってましたからね」
    「ほんと、よく命があったもんだよ。科特隊の隊員服さまさまだぜ」
    「いやだけど、エグザベ君とニャアン君の発案には驚きましたよ」
    「いえ、イデ隊員の助けがなければ、あんなに短時間ではギャンの改修工事はできませんでした」
    「ギャンの核融合エンジンから、電力を引っ張って来て、ネロンガを釣る餌にするなんてね。というか、実用型核融合エンジンには本当に驚きましたよ」
    「あなた。エグザベさん」
    「ニャアン?」
    「いえ、皆さんも」
    「「「え?」」」
    「通信機に着信が」
    「「「しまった!」」」

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:34:58

    『お前ら、何やっとんだ! 緊急事態だぞ!』
    「す、すみません! カフェの飯があんまりにも美味くて」
    「ほんっとすみません! TVの音が大きくて着信音が」
    『言い訳はいい! それより大変だ! 特別休暇を与えたフジ君がホシノ君を連れて旅行へ向かった湘南に、巨大怪物と化したラゴンが上陸を敢行している!』
    「!! 記憶によれば、ラゴンは音楽好きの2mほどの海底原人のはず。怪力ではありますが、温厚だったと」
    『エグザベか! それが、例のロケットが墜落して行方不明になった木星開発用の原爆6個のうち、4個は発見されたが1個が日本海溝5千mで爆発しただろう! その放射能で、ラゴンが巨大化、狂暴化したんだ! 今、ハヤタが出動準備を整えている! エグザベとニャアン君のギャン、ジフレドは我々のジェットビートル2機で1機ずつ、合計4機であちらまで空輸する!』
    「「「「了解です!!」」」」

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:02:16

    『ラゴンが上陸した。そして悪いニュースがある』
    『キャップ、そりゃいったい』
    『ラゴンが、行方不明の残り1発の原爆を持ち運んでいる』
    『なんですってぇ!?』
    『たしか原爆は、ピンを抜くと30分で爆発するんじゃ』
    『こちらハヤタ。1つ計画を思いつきました。イデ、少し無理をしてくれないか』
    『な、何すりゃいいんです?』
    『ギャンとジフレドでラゴンに組み付いて、原爆を取り落とさせるんだ。イデは原爆に取りついて、原爆起爆用のTNT爆薬を解体、抜き取って欲しい』
    『どえええぇぇぇ!?』
    「……イデ隊員。できれば僕も手伝いたいんですが、僕はギャンを操縦しないといけません」
    『わたしもジフレドを』
    『お前しか、やれる奴がいないんだ』
    『ムラマツキャップまで……。とほほ、了解です』

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:15:19

    「現在三浦半島一帯に非常態勢がひかれている。住民は一斉に避難を開始、だが万一ラゴンが原爆を起爆したら」
    「おそらく避難は……。やはり、イデ。君だけが頼りだ」
    「僕たちも、なんとかラゴンを押さえ込みますので」
    「なんとしても」
    「はは、はぁ~……。クソ! 了解です! やってやりますともさ!」
    「お、やる気になりやがったなイデぇ!」
    ((イデ隊員がやる気になっている間に、作戦を完遂させないと。彼は小心で繊細な面がある。それ故に科学者、技術者としては優秀なんだが。だからこそ、そうそう気力は長続きしない危険がある))

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:01:10

    「来たな。ラゴンだ。こちらギャン、準備よろし」
    『こちらジフレド、準備よろし』
    『確かに核爆弾を持っているな。いいか、こちらの合図で組み付くんだ』
    「『了解、ムラマツキャップ』」

    『なっ!? 奴め、核爆弾のピンを……』
    『抜いて投げやがった!?』
    『い、いやチャンスだ! 核爆弾からラゴンが離れた! 30分以内に、イデは核爆弾を解体し、TNT爆薬を抜き取るんだ!』
    『お、おう!』

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:37:09

    『くそ、この隙に原子爆弾のところまで、う、うわぁっ!』
    『イデ隊員!』
    『ま、まずい!!』
    ((いや。これはチャンスかもしれない。ウルトラ念力で))

    『やった! イデが転がり落ちたせいで、うまく原子爆弾のところまで!』
    『こ、こちらイデ! これより解体に入ります!』
    『ラゴンをイデから離すんだ!(今のは? これは僕らの種族がよく使う念力? いったい誰が)』
    ((ハヤタ隊員、いやウルトラマンは気付いたか?))
    (いえ、誰がやったかまでは気付いてないと思う)

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:41:21

    「ホシノ君とフジ隊員が!」
    『なんであんなところに!?』

    『デュワッ!!』
    『ウルトラマン!!』
    『来てくれたか』

    『あとちょっとで、TNT爆薬を……。わぁっ!? 岩が崩れて来る!?』
    「大丈夫ですかイデ隊員」
    『ギャンとジフレドで、屋根になってあげますから』
    『エグザベ隊員! ニャアン隊員も! あ、ありがとう
    『ラゴンの相手はウルトラマンがやってくれてますから』

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:44:23

    『ダーーーッ!!』
    『やったぞ!』
    『あとは僕が原子爆弾を解体するだけだ……。間に合え、間に合え、間に合え!!』

    『や、やった、ぞ! やったぞ!!』
    「お疲れ様、イデ隊員」
    『お疲れ様です』

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:51:44

    ((今日の殊勲者のイデ隊員は、泥の様に眠ってるってさ))
    (祝勝会は、明日以降ですね)
    ((今回の被害は、大規模な避難とか部隊展開に必要な費用と、ラゴンが通って踏みつぶした家屋とか以外には出なかった))
    (ほぼ理想的でしたね)
    ((ただ、ちょっと綱渡り的なところもあったね))
    (大丈夫、そこはわたしたちが支えて行けば)
    ((うん))

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:52:45

    第3話、完結です。しばし休んで、第4話執筆に入ります。

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:56:27

    前スレ好きだったから続編は嬉しい
    楽しみにしてます

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 11:59:54

    >>35

    ありがとうございます。頑張ります。

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 13:54:07

    第4話:バラージの、ノアの神

    「くそ、中近東に落下した隕石。その近隣を飛行していた航空機の連続失踪。調査に赴いた、科特隊パリ本部、トルコ支部、インド支部の調査隊も行方不明。お鉢が回って来た俺たち日本支部も、このままじゃあその後追いになっちまうかもしれん」
    「さすがにここまでは、ギャンとジフレドを持って来るわけには行きませんでしたし。イデ隊員を手伝って、僕とニャアンもジェットビートルを修理しますよ」
    「任せてください」
    「頼んだぞ」
    「流石だな、エグザベにニャアン。お前と同期で、俺も鼻が高いよ」
    「いやパリ本部のホープ、ジム。そっちも隕石の調査、頑張れよ」

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 13:56:04

    「くそ、隕石が原因じゃなかったんだ! あの怪獣が!」
    「ビートルの修理、もうちょっとだったのに」
    「仕方ないさ。とりあえず、あの建造物群に退避だ」

    「この都は、なんなんだ」
    「誰も言葉が分からないのか?」
    「○×!凸△&%?」
    「$#&!凹⊂±#!」
    「⤴◯▼◇■!!$&$凸凸△!」
    「わ、わかるのかエグザベ! ニャアン君も!」
    「彼らの言葉は、■□%▼語族に属する極めて特殊な言語ですね。流石に僕たちも、かろうじて日常会話が精一杯です。わかりやすく言うならば、東北弁と琉球弁で必死にコミニュケーションを取ってるようなものです」
    「代表者に会わせてくれる、と言ってるみたいですが」

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 13:58:08

    ((テレパシー能力を持つ、チャータムさん、か。でもまあ、僕たちの正体に気付くほど強い能力じゃなさそうだけどね))
    (助かりました)
    「怪獣アントラーのため、バラージは人の寄り付かぬ都となりました。しかし都の安全だけは、『ノアの神』の守りで保持されています」
    「これは!?」
    「ウルトラマンそっくりの像」
    「『ノアの神』とは、宇宙人だったのか」
    ((……ノアの奴とは、ちょっと似てないなあ))
    (一般的なウルトラ族みたいですよね)

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:01:39

    「5千年の昔、ウルトラマンの先祖は地球上へ現れ、その時もやはり人類の平和のために戦っていたのか……」
    「我々人類にとって、ウルトラマンは平和のための大切な神なのかもしれない」
    「((ムッ))それは違うと思います。と言いますか、ウルトラマンを神様扱いしては、ウルトラマンが悲しむと思いますよ」
    (うんうん)
    「「「「「えっ」」」」」
    「ウルトラマンは、地球上では約3分ぐらいしか活動できないのは理解してるでしょう。カラータイマーが切れれば、ウルトラマンがどんな酷い事になるのかも、たぶん予想が付いてるでしょう。全知全能の神様なんかじゃ無い。……神様だったら、本当に神様だったら、全体的な人類をこそ護ったとしても、個々の小さな人間の命なんか気にしませんよ。いえ、気にしても全体のためならば、見捨てる苦渋の決断も、表面上あっさりとしますよ」
    「「「「「……」」」」」

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:06:31

    「きっと、ウルトラマンは『友』です。『神』じゃなく『友』です。だから、彼はカラータイマーが赤くなっても、怪獣や宇宙人にどんなに打ち据えられても。小さな一人一人の人間を救おうと努力してくれてるんです。もちろん力及ばず、喪われてしまう生命もあります。全知全能の神じゃない証拠です」
    「……あなた。エグザベさん」
    「……その通りだな、エグザベ隊員。ウルトラマンは、決して神ではない。どんなに頑張ろうと救えない命もあれば、届かない想いもある」
    「ハヤタ隊員……。ムラマツキャップ、だからこそ人類は、人間は。科学技術でも、もし得られるならばなんらかの超能力でも。いやそんな物でなくとも、ただの心意気でもいい。精神性でいい。いつかウルトラマンたちと並び立って、彼らを支え、彼らに支えられる、そんな『友』として恥じない存在にならねば。なるべきなんです」
    (さすが『心意気』だけで、『ダーク・ザギ』の友となり『ウルトラマン・ザギ』へ導いた人は違いますね。ふふ)
    ((なんか気恥ずかしくなって来たよ。あまり言わないでくれないか。頬が熱いよ)

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:11:14

    「アントラーが!」
    「『ノアの神』が残した『青い石』の力が、落下した隕石の放射能でバランスが崩れたんだ!!」

    『デュワッ!!』
    「「「「「ウルトラマン!!」」」」」

    「だめだ、スペシウム光線が効かない!?」
    「くそ、少しでもウルトラマンの援護をするんだ!」
    「撃て、撃て!!」

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:16:10

    「わかった! この『青い石』をアントラーに投げつければいいんだな」
    「キャップ! 支援射撃します!」
    「行ってください!」
    「まかせておけ!」

    「アントラーが!」
    「やったぞ!!」

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:17:41

    「……バラージ。蜃気楼の街か。また一つ、都が滅んでいく。だが、我々はそれをどうすることもできない……」
    「全ては、砂に埋もれて行く」
    「それが、あの人たちの選択」
    「「……」」

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 14:18:43

    第4話、完結しました。しばし後に、第5話執筆に入ります。

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:40:37

    第5話:R惑星の罠

    「これまで沢山の戦いを繰り広げて来たもんだなあと思うよ」
    「なんだアラシ、柄にもなく」
    「ハヤタ、そりゃひでえよ」
    「だが、そうだな。多々良島であんなに多くの怪獣が出現したときは、えらい事になったと思ったもんだ。だが怪獣の中に、人間の味方であるピグモンが居た事は、盲を開かれる気がしたよ……」
    「ピグモンを救えなかった事は、正直残念で仕方がないです」
    「そうだな、イデ」
    「あと、心残りと言うか反省点と言うならば、ペスターの事件のときですか。あのとき、僕の失敗で石油コンビナートが火の海に。キャップが僕の責任で、関係各所にひたすら頭を下げているのを見て居られなくて……」
    「誰だって、そういう事はありますよ。反省するのはいいけれど、反省というか後悔に押しつぶされたら駄目です」
    「ありがとうエグザベ隊員」
    (……これまでの事件で、何度か念力なりなんなりの超能力で科特隊や民衆、それにウルトラマンである僕までもが救われた事例が、いくつか存在する。僕らの近場に同族か、そうでなくとも強力な宇宙人がいるのではないか。いや、友好的には見えるが)
    (あなた。エグザベさん。ハヤタ隊員の考え、なにか手に取る様にわかる気が)
    ((ああ、確かに。まあ、けれどなあ……。どうしようもないと言えば、どうしようもない))

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:51:02

    「雑談はその辺にしておけ。人類初の金星探検ロケットの発射がもうすぐなんだ。我々は万一の事故に備えて待機中だ」
    「「「「「はいキャップ」」」」」
    「ハヤタとフジ君、アラシとイデは、それぞれのジェットビートルに搭乗。毛利博士の金星ロケット『おおとり』に追従するんだ」
    「「「「はっ!」」」」

    「ふう、無事に発射できたか」
    『こちらアラシ。『おおとり』は大気圏を脱出』
    「こちらハヤタ。科特隊本部まで帰還するぞ」
    『了解』

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 21:56:24

    「無事、成功か」
    「ちぇ。ちくしょう……。うう……。えぐ……」
    「おいおいホシノ君。なんて事言うんだ」
    「だって、だって、エグザベ隊員……」
    「僕らの身内である岩本博士の『フェニックス』号が、どちらが先に金星探検に行けるかの競争に負けたのが悔しいのは、わからなくも無い。だけど他人の不幸を望む様な人には、もっとずっとずっと、なってほしくは無いな」
    「それにな、ホシノ君。成功率99%のロケットに自ら乗って宇宙に飛び出した毛利博士と、たとえ競争に負けたと言われても100%完全なロケットを作り出すまでじっと我慢している岩本博士と、科学者としてどっちが勇気のある正しい生き方だろうね」
    「……ごめんなさい、エグザベ隊員。ごめんなさい、ムラマツキャップ」
    「いい子ね、ホシノ君。そんなホシノ君には、美味しいゲンペッを作ってあげる」
    「ニャアン隊員。何、その料理」
    「僕が教えてあげるよ。タイって国の、すごく辛い真っ赤なカレーだよ。でも、凄く美味しいんだ」

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 01:40:59

    「……それで、毛利博士からの通信に割り込んで来た謎の電波だが、イデ?」
    「現状、パン・スペース・インタープリター、全宇宙語翻訳機にかけて解析しているところ……。出ました」
    『我々はウルトラマンのために宇宙船を爆破され、そのうえ光波バリヤーを張りめぐらせる暇もなくスペシウム光線をあびせかけられたためにほとんど全滅してしまった』
    「「「「「バルタン星人!」」」」」
    『我々は放浪の末にR惑星に漂着した。そしてそこを根拠地として、再度地球を侵略する』
    「宇宙開発事業団より連絡! 毛利博士の『おおとり』がSOSを発信しているそうです! 何やら宇宙空間で青い球体と遭遇、強制ドッキングしてしまった模様で」
    「これはバルタン星人の仕業なのか!?」

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 01:48:23

    「これは僕が開発した新兵器、マルス133。理論上はウルトラマンのスペシウム光線と同じ威力が出せる。なんとか2丁用意できた」
    「よくやってくれたイデ隊員。だが敵には光波バリヤーがあるはずだ。油断はできないな」
    「皆、聞いてくれ」
    「岩本博士!」
    「『おおとり』号の救助に行けるのは、『フェニックス』号しかない。けれど『フェニックス』号は丸腰だ。もしバルタン星人の仕業だとしたら、太刀打ちできない」
    「「「「「「……」」」」」」
    「だから乱暴なやり方ではあるが、『フェニックス』号のエンジンを、ジェットビートルに取りつける。水爆の理論を応用した、ハイドロジェネートロケットだ。危険は否めないが、これしか方法が無い」
    「まかせてください!」
    「やってやりますともさ!」

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 01:52:39

    「青い光球が! あれはバルタン星人の宇宙船がわりだったんだな!」
    『こちらイデ、ジェットビートル! マルス133の威力を思い知らせてやりますよ!』
    「頼みます、イデ隊員! こちらもギャンとジフレドで現場に赴きます!」
    『こちらフジ隊員、ムラマツキャップ達『おおとり』号救出班には既に連絡済みです! 可能な限り早く毛利博士を救出し、地球に帰還するそうです』
    ((……これは、バルタン星人がこちらに二正面作戦を強いて、どちらかにウルトラマンを釘付けにする作戦かもな。ちょっと透視能力で、向こうの様子を探ろう))
    (それがいい)

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:01:13

    『ダーッ!!』

    ダヒュッ!! ドゴゴガガアアアァァァン!!

    ((八つ裂き光輪、か))
    (!?)
    ((ウルトラマン、君はテレポートで地球に戻ろうと考えているかもしれない。だがテレポートは君の生命を削る。地球は……。地球は、己(オレ)たちに任せておくがいい))
    (!? 君、いや貴方は!?)

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:07:34

    「……機体制御及び自動応答音声AI、『ギャン01072A』起動」
    『……機体制御及び自動応答音声AI、『ジフレド01088D』起動』
    ((では、征くぞ))
    (了解)

    『くそ、光波バリヤーが邪魔で仕方ない! エグザベ隊員! ニャアン隊員! そちらはどうなんだ!?』
    『こちらのミサイルだと、光波バリヤーは破壊できそうにない』
    『こちらのメイスも、近くに来ないと。……あれを見てください』
    『あれは!? く、黒いウルトラマン!? それに銀と赤なのはそうだけど、金色も入ってるし、何より女性型!?』

    『『AIたちの仕事は完璧な様だな』』
    『はい。能力的にはわたしたちが操縦しているときより劣りますが』

  • 54二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:22:28

    『す、すごい……。黒いウルトラマンのパンチ、光波バリアーごと叩き潰した。そして女性型の放った光の丸ノコは、ぜんぶバルタン星人を真っ二つに』
    『こちら本部、フジ隊員です! ムラマツキャップたちは、バルタン星人を撃破! 急ぎ地球へ向かっているとのこと!』
    『こちらイデ、あっ!? 黒いウルトラマンの光線が! バルタンの青い光球を……!!』

    「そうか、俺たちが居ない間に、黒いウルトラマンとその相方と見られる、女子型ウルトラマン、いやウルトラウーマンかウルトラガールと呼ぶべきか?」
    「はい、物凄い強さでした。ただ、なんというか、その……。怖さもあったと言いますか。ウルトラマンほど、優しくなかったと言いますか……」
    「イデ、写真を見せてくれるか? ふうむ……。(これは……。はじめて見る、な。女性型はともかく、黒い方はカラータイマーも無い……。わからん、な)」

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:23:29

    ((まあ、流石にすぐに味方として受け入れてはもらえないか))
    (全部が上手くはいかないですよ)
    ((そうだね。まあ今後はそうそうあの姿で暴れる必要も無いだろう。……無い、よな?)
    (悲観は避けるべきだけど、楽観はどうかと)
    ((そうだね……。))

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 02:24:31

    第5話、完結です。明るくなったら、第6話執筆に入ります。

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 06:50:17

    すげぇ、2人ともちゃんとアリバイ作りながらウルトラマンやってる……

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 07:47:07

    >>57

    参考:高山我夢 ですなw まあ本人たちは基本M78スペースっぽいのでガイア世界のことはたぶん知らんのですが、でもAIに専用機操らせてアリバイ作ろうってのは、普通考えますわなw

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:06:37

    第6話:偽者を撃破せよ

    「こないだの怪獣、四次元怪獣ブルトンにゃあ酷い目に遭ったなあ」
    「正直あれは、本当にウルトラマンに頼らないとどうしようもなかった……。僕の知識や技術をもってしても、あれ対策の糸口さえ掴めなかったよ」
    「落ち込むな、イデ。見た感じだと、ウルトラマンさえも苦労していたみたいだ。ちょっと我々人類には、まだ荷が勝ちすぎていた相手だったんだろう」
    ((そうなんだよな。アレは一流のウルトラ戦士でもヤバい相手。地球に居たのがウルトラマンじゃなかったら、まずかった))
    (ウルトラマン殿でよかったですよ)

    「む!? 通信が……」
    『ハヤタ! 緊急招集だ! 全員科特隊本部司令室へ!』

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:08:51

    「この東京を襲った赤い霧、これには四百レントゲンという致死量の放射能がある。市民は恐怖の虜となり、都市機能は麻痺しつつある。まずい事態だ」
    「ハヤタ隊員は、ビートルで東京上空一帯の調査、アラシ隊員とイデ隊員は市内パトロールですか」
    「ですが本当にまずいですね。このままではあと数時間で」
    「ああ、エグザベ、ニャアン君。間違いなくこのままでは、東京は死の街になる」

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:14:08

    「通信に……。誰だ!?」
    『ははっ。そんなこわい顔をしないで欲しい。ご推察の通り、私は宇宙人だ』
    「宇宙人?」
    『さよう。第八銀河系の中にあるザラブ星のザラブ星人だ』
    ((ザラブ星人、か。多種多様な宇宙人の中でも、破壊工作員をあちこちの惑星に送り込む悪質な侵略宇宙人、だったね))
    (まあ、この多元宇宙でも動揺なのかは不明だから、即時判断するのはどうかと思う。でも、この事態について怪しさ大爆発なのは、そう)
    「ザラブ?」
    『うん。我々の言葉で兄弟という意味だ。仲良く平和に暮らしていく事が、我々のモットーだ。だから地球の諸君とも兄弟同士というわけだ。もっとも、わたしの方が兄で、君達の方はまだ幼い弟だがね』

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:15:08

    「……ビートルでのパトロール中に、成層圏に一ヶ月前地球を出発した土星探検ロケットの姿を発見しました。通信には何の応答も無く、宇宙開発事業団の基地からの遠隔操作にも何の反応も無かったとの」
    「私が地球まで誘導して来たのだ。やあ諸君、我々の兄弟」
    「「ザラブ星人!?」」
    「「「「「「!!」」」」」」
    「やめろアラシ、イデ! 銃を向けるんじゃない!」
    「土星ロケットは、木星の軌道を廻っていた。私が見つけなければ、宇宙の藻屑になるところだった」
    「本当か?」
    「……どうも怪しいな」
    「ふふふ、どうすれば信じてもらえるのかね」
    「今東京を襲っている赤い放射能の霧を、消す事ができるか?」
    「ムラマツキャップ!!」
    「良いだろう」

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:17:12

    「ザラブ星人に対する日本の対応を決める、首脳会議か」
    「……?」
    「ハヤタ隊員?」
    「ああ、ニャアン隊員。何かちょっと……イデ! 流星バッジの通信機が動いてるぞ」
    「ああ、すみません。今止めます」
    「?」
    「……」
    「……」
    「イデ!」
    「ああ、すみません」
    「……」
    「……」
    「イデ、やめろ!」
    (ハヤタ隊員、イデ隊員の流星バッジをもぎ取った)
    ((イデ隊員は、催眠状態に落とされてるな。首脳会議の内容を、流星バッジの通信機で盗み聞きするのが狙いか。疑いはますます濃くなった。元の宇宙でのザラブ星人がやりそうな行動は……))

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:18:18

    「ザラブ星人め。携帯用の電子頭脳を作って、宇宙局へ移って行ってしまった」
    「キャップ、やつは信用できません」
    「ああ、だが宇宙局は会議で俺の意見を退けてしまった」
    「僕が奴を調べます」
    「頼んだ、ハヤタ」

    「ビートルが墜落、ハヤタが行方不明に」
    「心配だが、しかし……」

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:19:19

    「ハヤタさんが一大事なときに、君たちは何を」
    「イデ隊員。ギャンとジフレドの整備ですよ」
    「何があっても良いように」
    「そ、そうか。済まない」
    「ギャンもジフレドもバカでかいですからね。大型のセンサー、感知器類を山の様に積んだ、移動するレーダー基地みたいなもんです」
    「定期的な整備は、絶対必要」

    ((ザラブ星人め。だがあいつは、『二代目バルタン星人事件』のときに現れた『黒いウルトラマン』と))
    (女性型のウルトラウーマンについては、知らないみたい)
    ((たぶんそのときは、ザラブ星から地球へ向けて航行中だっただろうからね))

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:20:52

    「ウルトラマンが、街に!? 街を破壊してる!?」
    「騙されちゃ駄目だ。ウルトラマンの顔が、目がつり上がって悪魔的になっているじゃないか。おそらく、あの邪悪な顔がウルトラマンの本性だったのだと地球人に知らしめる事が目的なんだろうが、策を弄し過ぎたな」
    「皆! これを見てくれ! 宇宙局での首脳会議の様子、その中継!」
    『ザラブ星人!』
    『ウルトラマンは、地球を狙う侵略宇宙人だ。これまでは、そのことを隠すためと他の侵略宇宙人や怪獣に、地球を奪われないために、戦って見せていたに過ぎない。科特隊も、ウルトラマンに協力して地球を売り渡した売国奴だ』
    『濡れ衣を着せるのは、よしてもらおうか』
    「キャップ!」
    「この辺にしておきましょう。キャップも、副隊長格のハヤタ隊員も居ませんが、あらかじめ話を通して出動許可をもぎ取ってあります」
    「いきますよ」
    「エグザベ隊員! ニャアン隊員!」

  • 67二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:24:50

    『科特隊本部の感知器は潰して置いたようだが、2機の『超大型機動歩兵』ギャンとジフレドに搭載されていた感知器装備までは停止させられなかった様だな』
    『なんだと』
    『それのデータを、うちの優秀な隊員から貰って来てるんだ。あのウルトラマンは貴様が用意した偽者だ』
    『おのれっ!』
    『そして今ここに居る貴様は影だ! 本当の貴様は、あそこにいる!』

    「こちらギャン。こんなこともあろうかと用意していた光学偽装破壊ミサイル、発射する」
    『その台詞、僕が言いたかったのに! というか、どうやってそんなの準備していたんだい!?』
    ((いや、ギャンを用意してた最初から、色々ミサイルの弾頭は取り揃えて置いたんだけどさ))

  • 68二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:31:00

    『馬鹿な! ウルトラマンを封じ、作戦は成功確実だったのに! 何故地球のメカなどに追い詰められるのだ!』
    「ギャンの長槍を!」
    『ジフレドの長剣を』
    「『くらえっ!』」
    『ジェットビートル、デルタビートルで支援射撃だ! 奴をギャンやジフレドが届かない高空へ上げるな!』
    『了解だ、こんの野郎めが!!』

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:33:48

    「やれやれ、面目ない。宇宙局で眠らされて縛られてるところを、ホシノ君に助けられたよ」
    「ハヤタを助けるとは、お手柄だぞホシノ君」
    「ありがとうキャップ! えへへへ」
    「今回はウルトラマンが出て来なかったな」
    「そ、それは……。その、そのだな!」
    「きっと、ウルトラマンは自分が出て来なくても平気な事だと思ったんですよ。ウルトラマンは人間を甘やかしたりしないんですよ」
    「厳しい『友』ですね。いつか胸を張って、ウルトラマンの隣に『友』として並び立ちたいですね」
    「「「「「「はははははは」」」」」」

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 09:35:06

    第6話、完結ですわ。第7話は、少々しばらく休んで午後から執筆します。

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 17:32:15

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:23:58

    第7話:報復は誰が為に

    「パリ本部のアンヌ隊員が、地帝人と入れ替わられてたのは驚いたよなあ」
    「まあ、ハヤタの活躍で何事も無く奪還できたのは良かった」
    「ウルトラマンのおかげもあって、地帝人の侵略も無事に退けられた」
    「おい!大変だ! 東京で開かれる国際平和会議に参加する各国代表の乗った飛行機が爆発した!」
    「「「「「「ええっ!?」」」」」」

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:29:32

    「国際平和会議参加者の各国代表が乗った飛行機や船が、次々に爆発している。これが何者かの妨害、破壊工作である可能性を鑑み、科特隊パリ本部は隊員を日本支部へ派遣し、我々の原因調査に協力させる事になったそうだ」
    「ムラマツキャップ……え、アラン先輩ですか!」
    「お久しぶりです」
    「2人トモ、久シブリダ。元気ニシテイタカイ」
    「なんだ、エグザベもニャアン君も、知り合い……いや、普通そうか。そうだよな」

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:31:30

    「なんだ、あのロケットは!」
    「透明化したぞ!?」
    「だめだ、逃がした……」
    「あのロケットが、飛行機や船を攻撃して爆破してたんだな!」

    「イデ、お前の新発明を聞かせてくれ」
    「はい! あのロケットは、振動とある種の保護色によって姿を消しています。ですので、スペクトルα、β、γの三光線を連続照射することによって、その効果を破壊します!」

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:35:14

    「やったぞ!」
    「見えないロケットを撃墜したぞ!」
    「待て、あれは……」

    「オオ、ヤッパリ、ジャミラ……」
    「何だって!?」
    「ジャミラ、オ前ハ……」
    ((アラン先輩、泣いて……))
    (それにあの怪獣、でしょうか。高い知能と、そしてまるで……)
    ((ああ。まるで『人間』の様な反応……))

  • 76二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:51:13

    「アラン隊員、何故あの怪獣を見たとき、ジャミラと言ったのかね」
    「オオ、ムッシュ・ムラマツ。パリノ本部ノ予測シテイタ最悪ノ事態ニナリマシタ」

    「諸君、アレハ怪獣デハアリマセン。アレハ……イヤ、彼ハ我々ト同ジ人間ナノデス」
    「「「「「!!」」」」」
    「「……」」
    「アメリカ、ソ連ヲ中心ニ世界各国デ宇宙開発競争ガオコナワレテイル頃。アル国デ打チ上ゲラレタ有人人工衛星ガ事故ヲ起コシタ。地球ニ帰ッテコラレナクナッタ人工衛星ノカプセルハ行方不明ニ。ソノ宇宙飛行士ノ名ガ、ジャミラ。シカシ科学ノタメ人間ヲ犠牲ニシタコトガ判ルト大事ダ。ソノ国ハ、ジャミラノ乗ッタ人工衛星ノ失敗ヲ、全世界ニヒタ隠ニシテキタノダ」
    「……道理で、ギャンとジフレドの感知器の反応が」
    「人間を表して、いた」
    「なんだって!?」

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:53:34

    「そうか、そして、そのジャミラの乗ったロケットは、宇宙を漂流しているうちに、どこかの星に流れ着いた。しかし、その星には地球の様な水も空気もない。だがジャミラは、どうにかして生きのびた。しかし、その星の異常な気候、風土の中に生きているうちに、あんな姿に変わってしまったというわけか……」
    「ソウデス。オソラク彼ハ、何十年トカカッテ、自分ノ乗ッテキタロケットヲ作リ変エタノデショウ。ソシテ、地球ニ帰ッテ来タノデス。地球ノ全人類ニ対スル、ウラミト呪イノ心ダケヲモッテ」
    「俺、やめた」
    「どうしたんだイデ」
    「俺、やめた。ジャミラと戦うの、やめた!」
    「放せよ。放セヨ! よく考えて見れば、ジャミラは俺たちの先輩じゃないか。その人と、戦えるか!?」
    「「「「「……」」」」」
    「おいアラシ。俺たちだってな。俺たちだってなあ、いつジャミラと同じ運命になるか知れないんだぞ。ええい!」
    「何をするんだ!!」
    「くそう……。俺がこんな物を考え出さなければよかったんだ。そうすればジャミラは……。ジャミラは」

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:57:39

    「イデ隊員。僕は、ニャアンは、技術者、科学者として同じく技術者、科学者である君に、ことさらに残酷な事実を伝えないとならない」
    「エグザベ隊員……」
    「これは、あの森に残されていたジャミラの皮膚片。つまり細胞サンプル」
    「顕微鏡で、見てもらいたい。……見ろ! 見るんだ!!」
    「!! ……こんなもの見たからって、どうな、え!?」
    「この顕微鏡プレパラートに、スポイトで水を垂らす」
    「これは……。そんな!?」
    「ジャミラの生体組織は、おそらく間違いなく、水の無い惑星でそこに適応し、変質した」
    「そしてその体組織は、水という物に致命的に弱く、1滴の水を垂らされただけで崩壊してしまう様に」
    「……地球上では、仮に砂漠だとしても1年に数回、1回ぐらいは雨が降る。増してやここは日本だ」
    「そんな……」
    「僕たちは、僕たちが、ジャミラにしてやれる事は、ただ1つ。次の雨が降る前に。ジャミラがこれ以上少しでも罪を重ねないために。これ以上、よりにもよって恋焦がれたはずの水で、地獄の苦しみを味わう前に。僕たちの手で、介錯してあげるしか無い。無いんだ」
    「……くっ」
    「アラン先輩。科特隊パリ本部が言いそうな事は分かってます。仰って下さい。だけど、僕らが戦うのはそんな薄汚れたお題目のためじゃ無いです。その事は理解してください」

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 19:59:27

    「……諸君。アラタメテ科学特捜隊パリ本部カラノ命令ヲ伝エル。ジャミラノ正体ヲ明カス事ナク、秘密裡ニ葬リ去レ。宇宙カラ来タ、一匹ノ怪獣トシテ葬リ去レ。ソレガ国際平和会議ヲ成功サセル唯一ノ道ダ」
    「「「「「「……」」」」」」
    「……バッキャロオオオォォォ!!」

  • 80二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:07:32

    「……こちらギャン。レーダーに感あり。ジャミラ、出現しました」
    『こちらジフレド。ジャミラは途中の村々を蹂躙しつつ、国際平和会議会場へ向け、進軍中です』
    『ムラマツだ。わたし、ハヤタ、アラシ、フジ君は地上よりジャミラを攻撃、ギャンとジフレドを支援する。イデは志願して、ビートルで航空攻撃を』
    『「……了解です」』

  • 81二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:17:57

    『……』
    『イデ! もう少し機首を上げろ! 突っ込み過ぎだ!』
    『イデ!』
    『ジャミラ……。ジャミラ! よく見ろ! その人たちを! お前が焼き出した、犠牲者たちを! その人たちは、お前を地獄に送り込んだ、そして助けなかった、そいつらか!? 違うだろう!! 関係ない人だろう!! お前、人間の心ま失っちまったのかよおおおぉぉぉ!!』
    《!!》
    『イデのビートルが!!』

  • 82二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:24:26

    『ウルトラマン!!』
    『よかった、イデのビートルを抱えて!!』

    ((ウルトラマンが、ウルトラ水流を使わない、な? あれを使えば、一発で勝負が決まるのに))
    (たぶん、できるだけ苦しめたくない、んだと思う)
    (そうだ、ね。手伝うとしようか。長槍の穂先に、ウルトラ念力を集中して……)

    『ギャンの槍が!!』
    『ジャミラの胸板を貫いて……大空へ放り上げた!?』

    『デュワッ!!』

    『ムラマツキャップ。イデ隊員は?』
    『無事だ。意識もある。……ジャミラの最期を、じっと見つめて』
    『こんなに哀しいスペシウム光線は』
    『ああ、叶うならば二度と見たくもないな』

  • 83二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:27:23

    (『人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂、ここに眠る』か。犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど……)
    「イデ隊員、先日からずっとふさぎ込んで」
    「そういえばエグザベ隊員とニャアン隊員は?」
    「5日ばかり有給休暇を取ってるわ」
    「彼らももしかしたら、少し来る物があったのかもな」

    「「ただいま戻りました」」
    「あれ、まだ3日だが」
    「思ったよりも事が上手く運んだので」
    「???」

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:28:23

    「イデ隊員、お土産です」
    「……ありがとう、そこに置いとい……てって、英字新聞じゃないか」
    「勿論お菓子とかのお土産もありますがね」
    「こ、これは!?」
    「どうしたんだ、イデ。え、これは」

  • 85二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:29:26

    「『某国書記長、過去に渡る大規模な汚職発覚』『官民問わず、および軍関係に渡り恐るべき悪事』『余罪無数』『余罪の中には、事故に遭った宇宙飛行士『ジャミラ』を救助せず宇宙に放置させ、その事実をもみ消し等など』だって!?」
    「エグザベ隊員、ニャアンちゃん、これはいったい!?」
    「あくまでこれは、この場限りの冗談として聞いてください」
    「わたしたちには、あちらの国だけでなく各国の様々な部局や機関にコネと貸しが」
    「それらをかなり使い果たす事になりましたけどね。『ジャミラ』の件をもみ消すようなのには、それ相応の後ろ暗いところあるだろうと」
    「その情報を集めて政敵やそれ相応の機関に暴露を」
    「終わったんで、帰ってきました」
    「「「「「「あわわわわわわ」」」」」」

  • 86二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:32:52

    「某国書記長はじめ当時関係してた奴らは、世界各国から袋叩きです。まあ色々なスキャンダルにまみれてますので、宇宙開発そのものに矛先は向いてませんし、大国だろうと一国でしか無いんで世界の平和も乱れようが無いです」
    「エグザベ、ニャアンさん、もしかして僕のために」
    「まさか。これは僕たちのためです。……あの件で、僕たちの大切な『友達』であるイデ隊員が苦しんでる。その事が物凄く、僕たちは腹立たしい」
    「その意趣返しをしただけ。あくまでわたしたちのため。だからイデ隊員は気にしないで」
    「まあこれで、世界の平和とか安定とかが思い切り崩れるとかだったら……」
    「断念してましたけど」
    「でも所詮、これは僕たちの薄汚い憎悪と苛立ちを消すための醜い行いで……」
    「ちょ、イデ隊員泣かないで!」
    「き、きにしないでいいですから!」

  • 87二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:33:52

    第7話、完結しましたです。第8話はもうしばらく後で。

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 06:08:11

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:47:53

    第8話:楽しい人間採集

    「ほんとに最近色々あり過ぎだろう」
    「怪彗星ツイフォンから来た怪獣ドラコでしょ」
    「海底センターを壊しかけて、勘違いでフジ隊員が特殊潜航艇S号で衝突して機材壊したんだと思い込むわ」
    「ゴモラサウルス……怪獣ゴモラを生け捕りにして万博で展示しようなんて中谷教授が言い出したせいで、逃げ出したゴモラが暴れて……。市民が大混乱と恐怖の坩堝に。大阪城はブチ壊れて。それで科特隊日本支部が文句を言われる。科学者ってのはさあ」
    「「「いや、僕(わたし)らも科学者技術者の類だから」」」
    「い、いやイデ、エグザベ、ニャアン君の事を言ったわけじゃ」
    「いいけど、岩本博士の前では言わないように。あの人はおおらかだけど、それに甘えるのは何か違うから」

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:48:54

    「そして今度はイデ隊員が謎のバス転落事故をムラマツキャップと調べてる中、バスの転落に巻き込まれて君だけ足の骨折で入院かい」
    「面目ない。科特隊の装備品の修理と整備、エグザベとニャアン君だけに頼んですまない」
    「かまわないけどさ。僕とニャアンは」
    「パリ本部から出向の身……」
    「いつかは居なくなるから、技術者としての後輩とか育てておかないと、つらくなるよ? まあまだ居なくなる気は無いんだけど」
    「重々承知いたしました……」

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 07:59:18

    「すみません、科特隊の方が入院なさってると言う事で。どうも我々警察の範疇じゃない事件の様なので。緊急で、事情聴取にご協力願えないでしょうか」
    「えっ。わ、わかりました。すいません、エグザベ隊員、ニャアン君。協力、願えるかな」
    「「了解」」

    「なるほど、ダダという宇宙生物に宇宙線研究所が占拠され、貴方の同僚が全て捕まってしまったと」
    「わたしは慌てて、全ての宇宙線を遮る貯蔵室に逃げ込んだのですが、それが幸いしてダダも壁抜けがそこだけは出来なかった様で」
    「それで逃げ出し、え、あ、君!」
    「ぐあ、あああ、あああぁぁぁ!?」
    「き、消えてしまった!」

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:02:54

    「ハヤタ! 大変だ! 宇宙線研究所が宇宙生物ダダに襲われたらしいんだ」
    『今こちらには、僕しか居ない! アラシとフジ君は科特隊専用車でムラマツキャップの後を追わせたんだが……。おそらく不審なバス転落事故も、ダダの仕業の可能性がある! おそらくキャップも宇宙線研究所に向かったと思われるから、そちらに行くように連絡する!』
    「ハヤタ隊員! 僕とニャアンもそちらに向かう! ギャンとジフレドは無いが、本部に戻っている暇は無い!」
    『わかった、頼む!』
    「く、僕も足の骨折さえ無ければ。いや、チタンプレートで止めてあるから」
    「「無茶すんな!!」」
    「ごもっとも……」

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:04:20

    ((あ、ハヤタ隊員やっぱり心配になって、ウルトラマンに変身して向かったね))
    (しっかり『光』の反応が)
    ((やっぱり、目の前に犠牲者が出そうになると、いくら『甘やかさない』様にしたくても、それでも手出ししたくなるか))
    (わたしも正直同じですし)
    ((とりあえず、急いで宇宙線研究所に行こう)

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:09:35

    ((気を付けて。気取られないように))
    (居ますね)

    《駄目だ、ウルトラマンは強い》
    《やむを得ん。271号、ウルトラマンとの交戦を避け、人間標本を集める事に集中せよ。とりあえず現状目を付けている人間標本を全て収集だ。その時点で再度報告せよ》
    《了解しました》

    ((人間標本か。それを捜索し、奪って奪還しよう))
    (はい)
    ((ハヤタ隊員はいったん変身解いたのかな。まあカラータイマーの制限時間あるし、な))

  • 95二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:11:12

    ((くそ、ダダとはちあわせしない様に動き回ると、中々見つからないな))
    (あ、ダダです)

    《駄目だ、ムラマツキャップは強い》
    《相手は人間だろう》
    《タックルで吹き飛ばされ、サッカーボールの様に蹴飛ばされ、屋上から足払いで落とされ、人間に乗り移って変身しても躊躇も容赦もせずスーパーガンで撃たれ》
    《……そいつは相手にするな。からめ手を使い、人間標本を確保せよ》
    《方法は》
    《貴様で考えよ、271号》

    ((あの271号とやらのダダに、同情してもいいかな))
    (いえ、やめておくべき。正直、一度同情したら戦えなくなるレベル)
    ((……確かに))

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:17:53

    「しまった、はちあわせしてしまった」
    《ダッダー、ダッダー》
    「やむを得ない。全力で叩く」

    ドゴォ。バギ。グシャァ。ゴス。ドガン。

    「……なんか音が鈍いね」
    「下手に衝撃のエネルギーが分散せずに叩き込まれてる証拠です」
    「あ、姿消して逃げた」

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:18:57

    ((とは言っても、結局こいつ逃げて来るのは通信機の前なんだよね))
    (ですね)

    《駄目だ、科特隊員は全員強い》
    《……相手は、人間、だろう》
    《男性隊員の超振動を伴う正拳突きで腹腔内部に地味に重いダメージを受け、次の瞬間女性隊員の回し蹴りで頭蓋内部に響く深いダメージを受け、倒れたところに男性隊員の容赦ない踏みつけ攻撃を受け、動きが取れないところに女性隊員のつま先が顔面Bの眼球に突き込まれ、その隙に男性隊員が巨大なテーブルを持ち上げ上から叩き潰す様に》
    《……やむを得まい。現状入手してある人間標本を最優先。早急に確保し、帰還せよ》
    《了解》

    ((あ。人間標本出した))
    (探す手間がはぶけました)

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:41:53

    ((あ、逃げ出したところでウルトラマンが再度))
    (運がありませんね)
    ((あ、ミクロ化器でウルトラマンを小さく))
    (すぐに、ぐんぐんカットで巨大化しましたね)
    ((格闘戦からの))
    (いつもの姿消しての逃走)
    ((そしてウルトラマンのウルトラ透視光線))
    (正体を確定してからのスペシウム光線で)

    「「終わった」」

  • 99二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:43:11

    ((人間標本にされた人たちは、イデ隊員は怪我人だし岩本博士が中心になってプロジェクトチーム作って、ミクロ化器を分析して元に戻す研究してるって))
    (はやく戻れるといいですね)
    ((まったく、人間の標本なんて作って、どうするつもりだったんだ。しかも6人だけ。まっとうに研究するなら足りないだろうに))
    (地球人の情報欲しいなら、地球人と交易して、旅行者とかの世話で必要だとか言って、医療データもらえばいいでしょうに)
    「「ほんとにあいつらの種族、わけわからない(です)」」

  • 100二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 08:44:27

    第8話、完結です。前回がシリアス気味でしたので、今回はドタバタのギャグ風でした。第9話は、しばらくしたら。

  • 101二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 12:57:19

    第9話:『地球』のチカラ、生き抜くチカラ

    「これは! 大空にタンカーが浮かんで!?」
    「あっ! 爆発したぞ!」

    「これはまるで、逆引力とでもいうべき現象が発生している。こんなのは、自然現象ではありえない」
    「岩本博士!」
    「ではいったい!」

    「イデ、アラシ、ハイドロジェネートロケットエンジンの宇宙ビートルで、宇宙空間へ調査に赴け」
    「「はいキャップ!」」

  • 102二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 12:59:58

    『こちらイデ! アラシ隊員と共に宇宙を、あ、馬鹿なアレは!』
    「どうしたんですイデ隊員!」
    『エグザベ! ハヤタとフジ君、それにフジ君の弟のサトル君が乗っていたはずの科特隊専用車が、う、宇宙に!』
    「なんですって!?」

    「ただいま帰還しました……」
    「ハヤタ隊員、フジ隊員、サトル君の3名は、残念ながら発見できず……」
    「大変です! フジ隊員が!」
    「「「「ニャアン(君)!?」」」」

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:06:05

    「馬鹿な」
    「フジ君が、怪獣やウルトラマンと同じ大きさに」
    「何が起きている」

    「キャップ、この件には完全に民間人の、フジ君の弟であるサトル君が巻き込まれています」
    「わたしたちに、彼の捜索を命じてください」
    「ギャンやジフレドに搭載試験の予定だった感知器、センサー類に」
    「使えそうな物が幾つか」
    「……よし、その件は君たちに任せる。可能ならば、ハヤタも見つけ出してくれると嬉しいが……」

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:07:11

    ((これはまずい相手だ))
    (わかります)
    ((人類を『甘やかして』はいけない、などと言っていられない事態かもしれない))
    (ならば)
    ((ああ。僕/己(オレ)の超感覚を完全に解放、限界まで使って、行方不明者を探す))

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:08:56

    『驚くことはない。私は遠い宇宙の彼方から、はるばるやって来たメフィラス星人だ。君が星を好きな様に、私も地球が好きだ……』
    ((そうか、今回の事はメフィラス星人の仕業か。僕/己(オレ)の力を以てすれば踏み潰すのは容易だが、やり過ぎて周囲に大打撃を与えかねぬ))
    (サトル君次第ですけど、この様な方法は)
    ((……中々だ、ニャアン/クリソス。それで行ってみるか))
    『……トル君は素晴らしい地球人だ。どうだね、この私に、たったひとこと地球をあなたに上げましょう、と言ってくれないかね』
    「いやだ! 絶対に嫌だ!!」

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:13:44

    『ききわけのない子だ! なぜ、地球をあなたに上げますと言えないのだ。私は君が好きだ。私の星で永遠の命を与えようと言っているのだぞ』
    「僕一人がどんなに長生きできたって、どんなに豊かにくらしができたって、ちっともうれしくなんかないや! 僕は地球の人間なんだぞ!」

    「メフィラス、とんだ見当違いだったな。地球を売り渡すような人間はいない。サトル君のような子供でも、地球を良くしていこうと思いこそすれ、地球を見捨てたりはしない!」
    『黙れ! ウルトラマン。貴様は宇宙人なのか? 人間なのか?』
    「両方さ。貴様のような宇宙の掟を破る奴と戦うために生まれてきたのだ」

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:23:17

    (変身しようとしたハヤタ隊員が、メフィラス星人の光線で硬直させられて)
    ((そして巨大化させられたフジ隊員が、手下になったザラブ星人、ケムール人、バルタン星人と共に暴れ出した。何が『連中の様に暴力を振るうのは嫌いだ。私は人間の心に挑戦するためにやって来たのだ』だ。ふん、宇宙の詐欺師めが))
    (ハヤタ隊員は、わたしが)
    ((ならば、無重力室に放り込まれたサトル少年の方は僕/己(オレ)が面倒を見るとする))

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:29:38

    『『聞こえるか。聞こえるか、サトル少年』』
    「うわ、うう……。まけるもんか。まけ、あ? く、黒いウルトラマン!?」
    『『己(オレ)はお前が知っているウルトラマンよりも、ちょっとばかり乱暴で厳しくてな。助かりたいか? 助かりたいなら、自分でどうにかしてみろ。何、手助けはしてやる』』
    「く、ど、どうすればいいんだよ」
    『何。お前はあの詐欺師メフィラスが言った通り、素晴らしい奴だと思う。これからもその心を忘れずに、素晴らしい大人になれ』
    「え。それ、どういう」
    『『地球は、生き物だ。それその物が、一つの大きな生き物だ。誰の物でも、ない。地球に住む者や物は、みんな地球の子供だ。まあ地球は、戦争とか、自然破壊とか、色々あるが。まあそんなものは、地球にとってまあ大した事は無い。しょせん、肌荒れしたり、フケが溜まって頭が痒くなったり。そんなものだ。だがそのしっぺ返しは大きいがな。地球がちょっと頭を掻けば、人間や他の生き物にとって、天変地異だ。地球がちょっと肌が痒いからと掻けば、火山や津波、大嵐だ』』

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:45:44

    「……」
    『『だが地球は、『地球』を大事にしてくれる奴らには、協力もしてくれるぞ。見てみろ』』
    「な、何これ!? う、ウルトラマン!?」
    『『ちょっと『地球』と『話』をしてみた。まあサトル少年、お前は『まだまだ』だが、とりあえずの先行投資……この言葉は難しいか。まあ、お前が未来に、良い大人になる事を願って、ちょっとばかり先払いしてくれるそうだ』』
    「え」
    『『勿論、お前が頑張って良い大人になったからと言って、先に誰かがこの力の持ち主になってしまっている事だってある。お前が道をまちがって、悪い大人になってしまう事もあるだろう』』
    「……」
    『『だけど今、今この瞬間は、お前は『地球』のお眼鏡に適った。代償は、お前がこれからも頑張り続ける、それでいいそうだ』』

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:58:27

    「わかった! 僕、頑張るよ! そして!」
    『『今はそのぐらいで、いい。さあ……。行け、少年!! 生きて未来を、切り開け!!』』

    『ジュワアアアァァァッ!!』
    『ダアアアァァァッッッ!!』

    『馬鹿な!? ウルトラマンが、二人!?』
    『ウルトラマン! いつも戦ってくれて、ありがとうウルトラマン!!』
    (き、君は!! サトル君なのか!?)
    『この力は、今回だけの借り物なんだ! だけどいつか、『地球』から、この力を預けられるのに相応しい大人に、ちゃんとした大人に! なってみせるよ!!』
    (!! ああ、そうだ。その通りだ! 行くぞメフィラス!)

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 13:59:42

    ((……捨て台詞を残す余裕も無く、あっという間に逃げてった、なあ))
    (まあ、いいんじゃないかと)
    ((そうだね))

    「ムラマツキャップ、敵メフィラス星人の根拠地と宇宙船を発見しましたが、全部ウルトラマンたちに先んじられてしまいましたよ。サトル君、ハヤタ隊員を連れて帰還します」
    『こちらでもフジ君が普通のサイズで発見された。なんとかなったな、よかったよかった』
    「やれやれだ。メフィラスみたいなのに狙われてるなんてね」
    「遠い未来、サトル君があの力を預けられるかどうか、別人が授けられるか」
    「今はそんな事、気にしても仕方ないさ。とりあえず、2人を拾って帰ろう」
    「はい」

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 14:00:44

    第9話、完結でございます。第10話は、しばらく休んだら執筆しますね。

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:38:31

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  • 114二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:39:48

    第10話:イデ隊員、心の戦い

    「死んだはずのピグモンが……。別の個体でしょうか」
    「それはわからない。前の奴と、あまりに一致点が多すぎるんだそうだ」
    「怪獣語翻訳機はイデが作っているんだが」

    「イデ! スパイダーやマルス133の修理、整備はどうなってるんだ!」
    「あ、ああ済みませんアラシ隊員。今、怪獣語翻訳機の製作に手を取られてて」
    「それは分かってる! だがな、これらの武器もちゃんと使えなければ絵に描いた餅だ! いつ何時、怪獣や宇宙人が……イデ?」
    「! え、ええ。わかってます。遅れはなんとしても取り戻しますから」

    「イデの奴、なんか変だぜ。スパイダーの修理と点検整備、エグザベかニャアン君が頼まれてくれんか?」
    「了解です。でもマルス133の方は、中身がとんでもない複雑さなんで、イデ隊員本人じゃないと」
    「ああ、それは俺も知ってる。どうしちまったんだイデ」

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:50:34

    「イデ、どうしたんだ」
    「ハヤタか。エグザベにニャアン君も」
    「随分、調子悪そうですが」
    「つらいなら、代われるところは代わります」
    「そう、だね。じゃあマルス133の修理や整備は無理でも、点検だけでもやっておいてくれるかな」
    「そのぐらいなら、なんとか」
    「頼むよ……」
    「イデ! 何か気に病んでいるんじゃないのか!?」
    「ハヤタ……」
    「一人で苦しむな! たとえ解決できなくとも、他人に話すだけで気が和らぐことだってある!」
    「……うん」

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 23:54:17

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  • 117二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:01:19

    「この間、久しぶりに自宅へ帰れたんだ」
    「いつもお前やアラシ、それに僕は科特隊本部の部屋だからな」
    「近所の空き地で、子供らがウルトラマンごっこをしていたんだよ」

    「へー、ウルトラマンごっこか。あれ? 科特隊は居ないのかい?」
    「えー、科特隊って、いてもいなくてもいいじゃん」
    「なー」
    「!! は、ははは。そうかなあ」
    「えー、そうだよ」
    「そ、そっかあ……」

    「それは……」
    「ひどいですね」
    「まあ、それで少し、わずか、ほんのちょっとだけ、気落ちしちゃってね。はは」

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:07:30

    「まて、イデ。スーパーガンやスパイダーショット、それにマルス133だって立派に敵を倒したじゃないか! それに科特隊がウルトラマンを助けたことだってある。アントラーに青い石を投げなかったら、ウルトラマンはアントラーの犠牲になったかもしれん! ザラブ星人のときなんて、ウルトラマンの助け無しに奴の陰謀を打ち砕いた! ケムラーと戦ったときだって、マッド・バズーカを射ちこまなかったら、ケムラーの亜硫酸ガスでウルトラマンはやられていたかも知れないんだ! ……持ちつ持たれつ、だよ」
    「うん。頭では、理屈では、理性では分かっているんだ。たださ、目を瞑ると、あの子供たちの声が蘇って来て、ね。……大丈夫、理性では分かっているさ。それに、『ウルトラマンは『友』であって、『神様』じゃない。こっちが、ぎりぎりまで頑張って、ぎりぎりまで踏ん張って、ピンチの、ピンチの、ピンチの連続。それでも『諦めなかった』ときに『力を貸してくれる』、いつか僕らが並び立ち、彼の、彼らの事も、支えられる様にならないといけない『友』なんだ」
    「「「……」」」
    「だから、大丈夫。うん、大丈夫さ。はは、ただ、ちょお~っとだけ怪獣語翻訳機の仕事、助けてくれると嬉しいかな?」
    「あ、ああ!」
    「任せてください」
    「がんばります」

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:10:51

    「イデ隊員、大丈夫じゃないかも知れませんね」
    「ああ。今までイデを支えて来た『何か』がポッキリ折れてしまってる」
    「完全にくじけて他力本願になっちゃってるなら、活を入れ直すのもありですけど」
    「イデ隊員も、頭では分かってる。自分で立ち上がろうと、もがいてる」
    「本当なら、奴の自信を養うために奴の仕事は全部奴に任せたりとかの方がいいかもしれんのだが」
    「そうも行かないです。イデ隊員の仕事は、科特隊の任務すべてを下支えしている、縁の下の力持ちなんですよ」
    「そうですね。これ以上どうしようも」

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:11:51

    「怪獣語翻訳機、完成か」
    「これでピグモンの言葉がわかる」
    「では……」
    『カガクトクソウタイトウルトラマンニ、タオサレタ、カイジュウタチガ『ジェロニモン』ノチカラデ、イノチヲフッカツシテ、カガクトクソウタイニ、フクシュウスルタメ、ソウコウゲキヲカケル……』
    「「「「「「なんだってーーー!?」」」」」」

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:13:16

    「装備品の点検や整備、故障個所の修理が終わってて本当によかったな」
    「はい、はは、はぁ」
    「おいおい大丈夫かよイデ」
    「だ、大丈夫大丈夫! あと5時間ですよね! こんな大事な時です、ちゃんと大丈夫ですって」
    『ならいいんですが』
    『ムラマツキャップ、わたしたちは目的地まで新開発の射出ロケットで、弾道飛行で行くんですね』
    「おお。ビートルで運ぶのも大変なんでな。帰りは歩行で戻るにしても、行きだけでも使い捨てロケットで飛ばせるなら大助かりだ」

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:18:12

    「テレスドンだ! それにドラコも!」
    「皆、スーパーガンで牽制して、ドラコを追い込んでくれ! 僕がマルス133で!」
    「こ、こちらにはテレスドンを! 新開発のスパーク8が!」
    『こちらエグザベ!』
    『こちらニャアン!』
    『『まもなく現地に到着します』』

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:20:39

    「やった!」
    「凄いじゃないかイデ!」
    「だ、大丈夫です! 次、次の敵は」
    ((イデ隊員、まずいかもな。可能な限りの戦果を挙げようと、焦ってる。しかも、スパーク8を開発するときに言っていた「これを使う時は、こんなこともあろうかと、って言ってやるぞ!」って。なのにすっかり忘れている。イデ隊員、余裕が無さすぎる))
    『あっ!』
    『イデ隊員、その位置取りはまずい!!』

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 00:21:41

    スレ主です。ええと、現状でのストックが尽きました。ちょっと眠気がつらいので、少々休んだら続きを執筆予定です。

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 09:06:48

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:01:47

    「ジェロニモンが! うわっ!?」
    『……!!』
    「あっ! ぴ、ピグモン!? ピグモーン!」

    「ピグモンがイデ隊員を庇って」
    「いかん、ジェロニモンを撃て、撃つんだ!」

    『位置取りが悪い! ここからギャンとジフレドが攻撃したら』
    『威力が高すぎてイデ隊員とピグモンを巻き込む』

    「ピグモン!」
    『……。……!』
    「生きてる! 良かっ……どこを見てるんだ? もしかして、置いて逃げろって言うのか!?」

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:03:04

    「そんな事できない! くそ、スパーク8のアタッチメントが、衝撃でどこかへ」
    『……』
    「いや、僕は負けない。あんな怪獣たちの復讐心を利用して操る様な、あんな奴に!」

    「イデ!!」
    『岩が!』
    『落ちて来る!』

    「『『イデ(隊員)!!』』」

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:22:51

    (ここは? 僕は死んだのか?)
    (生きている)
    (ピグモン!? 君も無事って、翻訳機無しで声が!?)
    『……意識ははっきりしているね』
    (誰だ……って、貴方たちは!)
    『わたしはM78星雲の宇宙人、君達がウルトラマンと呼ぶ者だ』
    『『己(オレ)はウルトラマン・ザギ。そちらのウルトラウーマン・クリソスと共に、多元宇宙より来訪した。お前たちの世界の未来との、近似世界より、な』』
    『改めまして、ウルトラウーマン・クリソスです』

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:28:03

    『慌てたよ。君がジェロニモンに殺されかけていて』
    『『然り』』
    『はい』
    (え、そ。そんな。すみません、結局僕は貴方たちの足を引っ張っている……)
    『そんな事はない』
    (え)
    『科学特捜隊は、いつも私を救ってくれる。本来、私の方が居なくても良い存在であるのに、だ』
    (そ、そんな事は)
    『イデ・ミツヒロ。他の誰が何を言おうと、私は君を、君達を認めている。信じて欲しい』
    『『然り』』
    『ええ』
    (!!)

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:33:30

    『『……では己(オレ)たちは去る』』
    『皆さん、頑張ってください』
    『ありがとう、多元宇宙のウルトラマンたち。さて、イデ隊員にピグモン。少し力を貸して欲しい』
    (は、はい!)
    (なんなりと)
    『今、『外』ではジェロニモンとやりあっているんだ。だがとうとうカラータイマーが。君たちに文字通り、力を貸して欲しいんだ』
    ((はい))

    ((うおおおお)って苦しい!? カラータイマーが鳴る状態って、こんなに苦しいのか!?)
    『今日は君たちと共にある。苦しみは1/4だ。凄く助かっている』
    (えっ)

    (1/4……って事は、もう1人誰かが。いや、今は気にするな! ウルトラマンを、ウルトラマンを支えるんだ!)

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:36:55

    「やったぞ……」
    「ウルトラマンがジェロニモンを……」
    「だ、だがイデが。それにピグモンも」
    「ハヤタ隊員も、行方不明です……。あっ! ハヤタ隊員!?」

    「おおーい! だれか来てくれ! イデとピグモンが倒れてるんだ! 手伝ってくれー!」

    「よかった!全員無事だ!」
    『(AIより、制御受け取り、と)ムラマツキャップ、ギャンの救急キットを降ろしましょうか』
    『(AIより、制御受け取り完了)エグザベ隊員、今の皆の位置なら、ビートルから降ろした方が早い』

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:44:12

    「ピグモンは、科学センターで怪獣研究に協力することに決まったのか」
    「らしいです」
    「あれ以来、イデも立ち直ったみたいだよ」
    「ほっとしましたね」
    「はい、正直な話」

    ((イデ隊員、ときどきこっそりハヤタ隊員の事を見てるよ))
    (バレたんでしょうかね)
    ((まあ、確証は無いだろうね。それに自分から、ウルトラマンと一時合体してた時のことも言わないし))
    (確証を得ても、ばらさないでしょうね)
    ((そう思うよ。科特隊は、個々の能力もさることながら、素晴らしいね))

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 11:45:21

    第10話、完結です。次は第11話ですね。しばらく後に執筆開始します。

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 12:08:27

    もうすぐ来るか……黒いアイツが

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 12:16:45

    >>134

    来ます。アレが来ます。ピポポポポ……。

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:31:16

    第11話:さらば地球、さらば科特隊

    「ムラマツキャップ、パリ本部からの緊急指令です。読みます。『円盤らしき飛行物体群の地球侵入は、グリニッジ標準時間0時24分と判明した。各国支部とも防衛体制を密にせよ。ただし円盤群の飛来目的は未だ不明である。よって無闇に攻撃してはならない』以上です」
    「グリニッジ0時24分というと、日本では9時24分! あと40分しかないぞ! フジ君! 航空自衛隊に空の守りを固めるよう、要請を出してくれ!」
    「はい!」
    「アラシ! 警察庁を通じて各県警本部に緊急警報発令!」
    「はい!」

    「目的は地球の二大国だと思う」
    「岩本博士! 侵略だとおっしゃるんですか!」
    「地球総攻撃……」
    「敵は40年間、そのチャンスを狙っていた……」

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:33:22

    「円盤は、日本の方向へ向かっている……。おいっ! 我々の方へ来るぞ!」
    「円盤が日本へ!」

    「こ、航空自衛隊機、全滅!」

    「キャップ、パリ本部からの指令です。読みます。『円盤は日本科特隊支部およびウルトラマンを撃滅した後、各国を襲う物と思われる。日本支部の健闘を祈る』以上です」
    「出動準備!」

    「僕らのギャンとジフレドは、地上戦装備だから本部に留守番か」
    「少し心配ですが、それでもジェットビートルと隊員の練度なら」
    「フジ隊員も連絡担当で居残りだが」
    「しまった」
    「「「岩本博士?」」」
    「昨日完成した新兵器を持っていってもらうんだった」
    「まだ間に合うと思います」
    「そうだね、では」

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:34:23

    ((!?))
    (どうしました、あなた?)
    ((まだ君には捉えきれなかったか。人間態での能力だから、そこまで精度は無いが。岩本博士が行った方から、一瞬怪しげな気配が))

    「あ、二人とも何処へ」
    「嫌な予感がするんだ」
    「一緒に行きます」

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:37:59

    「あら、岩本博士。新兵器は間に合いましたか?」
    「……」
    「は、博士何を!」
    「待て!」
    「フジ隊員!」

    「あ、ありがとうエグザベ隊員、ニャアン隊員」
    「奴め、たぶん偽者だ」
    「え」
    「鼻がいいので、体臭が異様なのを(本当は嘘です)」

    「僕らは逃げた偽者と、本物の岩本博士を捜索する」
    「フジ隊員は、単独で岩本博士が帰って来たら、遠慮なく発砲して」
    「は、はい!」

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:39:49

    「ビートルが全機戻って来たか。……!! 岩本博士だ!」
    「どっち?」
    「本物だ。気絶している」
    「通信を……。フジ隊員。本物の岩本博士を発見」
    『本当ですか!?』
    「いったん本物を作戦室まで連れて行く。医務室へとも思ったけど、内部に偽者が居る状況ではそこが一番安全だろう」
    『了解です』

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:41:29

    「た、助かったエグザベ隊員、ニャアン君」
    「どこか痛むところは? 岩本博士」
    「大丈夫だ。ビートルは全機戻って来たらしいね。ならこの新兵器は必要無かったかな」
    「こ、これは……。凄い」
    「あなた? エグザベさん?」
    「これは量産は?」
    「まだだ。試作品で、まだ1発しか」

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:43:13

    『こちらムラマツだ! 戻ったら岩本博士がビートルに乗り込んで来て、操縦装置をスーパーガンで』
    「!! ムラマツキャップ! その岩本博士は偽者です! おそらく今回の宇宙人! 本物の岩本博士はこちらに!」
    『何っ!』

    ((……来る))
    (ええ、来ますね)

    『こちらハヤタ! 偽岩本博士をマルス133で撃ったら、宇宙人の正体を現した! だが同時に宇宙人の巨大円盤が現れて、怪獣が出現!』
    「こちらエグザベとニャアン!』
    「ギャンとジフレドを出します!」

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:52:40

    ((ハヤタ隊員は……。既にウルトラマンに変身したか))
    (間違いなくあの怪獣……。宇宙恐竜ゼットンの危険さを感じ取ったのかと)
    ((それだけじゃなく、科特隊本部ビルへの直接攻撃を懸念したんだろうけど))

    「まずいぞ! ウルトラマンの光線による金縛りが引きちぎられた!」
    「あっ! 怪獣がテレポートして火の玉を吐いたぞ! ……はずれた火球が、科特隊ビルの壁を!」

    「何をしているんですか! 攻撃です! マルス133でもスパイダーでも、スーパーガンのトリプルショットでも!」
    『効果が無くても、もしも弱点があればそこにあたれば。そうでなくとも、感覚器官にでも命中して目くらましにでもなれば』

    「す、すまない! 皆、攻撃だ! 攻撃だ!!」

    《ピポポポポポポ……》

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 18:57:56

    「みんな! この新兵器を!」
    「岩本博士! これは!?」

    ((来たか。あの新兵器は、ゼットンがバリアーさえ張っていなければ確実に効く))
    (あとはどうチャンスを……)

    《ピポポポポポポ……》

    「まずい! 格闘戦でウルトラマンが!」
    「ギャンの槍が折れた!」
    『ジフレドの長剣も!』

    「また怪獣が火の玉を!」
    「これで!」

    「な! 投げつけられたギャンの盾が一瞬で燃え尽きた! ば、爆風が」

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:03:58

    「ウルトラマンのスペシウム光線だ!」
    ((!! まずい!!))
    (どうすれば)
    ((いや、覚悟を決めよう))
    (……はい)

    ((スペシウム光線を、吸収したか))
    (あとは)
    (((ああ、撥ね返される。だが……))

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:14:14

    「何をやっているんだ、エグザベ!」
    「操縦席を開けたままで、立ちはだかるなんて!」
    「ニャアン君も操縦席を開けて!?」

    「「「「「「えっ」」」」」」
    「エグザベ隊員、が」
    「ビームを掌で」
    「受けて」
    「握り潰し、た?」

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:22:59

    《ピポポポポポポ……》

    『『……困惑するくらいの知恵は、ある、んだな。己(オレ)が何か、だと?』』
    『ただの生体兵器のくせに、このヒトの名を尋ねようと?』
    『『別にいいさ』』

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:24:55

    『『己(オレ)は……。ウルトラマン・ザギ』』
    『同じく、ウルトラウーマン・クリソス』

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:28:43

    『『ガアアアァァァッ!!』』
    『シュワッ!!』

    「黒い……ウルトラマン」
    「そして、ウルトラウーマン」
    「やはり……」
    「「「「知っていたのか!? イデ!!」」」」
    「いえ、なんとなく。だけど論拠や証拠が無かったので」

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:49:19

    (八つ裂き光輪! 16枚乱舞!)
    ((ウルトラマン! 八つ裂き光輪だ! 制御力の限界まで枚数を飛ばせ! 己(オレ)にあたっても構わぬ!))
    『! ダーーーッ!!』

    「凄いぞ……。無数の八つ裂き光輪が」
    「怪獣はバリアを張って防いでるけど」
    「バリアを解除できないから、攻撃ができてない」
    「黒いウルトラマンが、バリヤーごと殴る蹴るを」

    ((岩本博士……))
    「!? わ、わかった! アラシ隊員! さっきの新兵器を! あの怪獣のバリアが解ける瞬間を見逃すな! 今のうちに、背中側へ回り込め!」
    「は、はい!」

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:51:53

    (……エネルギー的には余裕ですが、制御力の集中が……)
    ((かまわぬ。アラシ隊員も、背後の射撃位置に着いた))

    《ピポポポポポポ……》

    ((聞こえるかウルトラマン。クリソスが八つ裂き光輪を消すのに合わせて、そちらも消せ。その間の防御は己(オレ)がやる))
    (!)
    (タイミングを。3、2、1、今です)

    「バリヤーが消えた! 今だ! くらえ新兵器!」

    「また怪獣が、火球を!? え」
    「黒いウルトラマンが、燃える拳で火球を殴っ……わあああぁぁぁ!?」
    「火球が! 炸裂して爆風が!?」

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 19:56:19

    「怪獣が、消えた?」
    「何処だ! 何処に」
    「天だよ」
    「岩本博士!? あっ」

    ズガアアアァァァン!!

    「勝った、の、か?」
    『ええ、そうです』
    『『とどめは、お前たち人類の手で』』
    「えっ……」
    「そ、そう、か。そうか!」

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:12:35

    「あっ」
    「ウルトラマンが! もう一人!」
    「い、いや、少し違うぞ!」
    「……あれは光の国の使いだよ」
    「あっ。赤い光の球体になって……」

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:16:35

    『ウルトラマン……。君を地球での呼び名に従い、ウルトラマンと呼ぼう』
    『貴方は』
    『私はM78星雲の宇宙警備隊員ゾフィーだ。さあ、私と一緒に光の国へ帰ろうウルトラマン』
    『ゾフィー。私の身体は私だけの物ではない。私が帰ったら、一人の地球人が死んでしまうのだ』
    『ウルトラマン。お前は充分に地球のためにつくしたのだ。地球人はゆるしてくれるだろう』
    『ハヤタは立派な人間だ。犠牲にはできない。私は地球に残る』
    『地球の平和は、人間の手でつかみ取る事に価値があるのだ。ウルトラマン、いつまでも地球にいてはいかん』
    『ゾフィー、それならば、私の命をハヤタにあげて、地球を去りたい』
    『お前は死んでも良いのか!?』
    『かまわない。私はもう2万年も生きたのだ。地球人の命は非常に短い。それにハヤタはまだ若い。彼を犠牲にはできない』
    『ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか……。よし、わたしは地球に来るにあたり、命を二つ預かって来た。その一つを、ハヤタにあげよう』
    『ありがとうゾフィー』
    『よし、では』
    『『少し待ってもらいたいな』』

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:21:10

    『ウルトラマン、彼らは』
    『こことは次元の位相を異にする、多元宇宙のウルトラマンらしい。嘘は感じなかった』
    『『……ウルトラマン。そしてゾフィ。今お前たちは、ハヤタとウルトラマンの身体を分離するにあたり、ハヤタの記憶を消そうとしたな?』』
    『……光の国の、掟だからな。未発達の星の住人へ、過度な干渉は戒められている。ウルトラマンは既にかなりの干渉を行っている』
    『『それが何か?』』
    『!?』
    『……』
    『『ハヤタの記憶を消す、と言う事は、ハヤタとウルトラマン、お前たちに結ばれた友情を、『絆』を消してしまうという事に他ならない。それは己(オレ)の成り立ちからして、看過し得ない、な』』
    『それに光の国の掟も、おそらく近い内に色々改定される可能性が、この宇宙に於いても高いかと思われます。改定前の罪が帳消しになるかは微妙ですが、それもウルトラマン殿へ加えられるペナルティが、若干増える程度でしょう』

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:26:57

    『『ウルトラマン。お前からしても、寂しくは無いのか。ハヤタがお前と過ごした、戦いの日々の中でお前と築き上げた『絆』が、消えてしまっても。ハヤタの側からしてもそうだ。お前との記憶が消えてしまったとて、何らかの折にふとした事で、間違いなく『理由もわからずに』どうしようもない寂寥感があ奴を襲うだろうよ。それだけではない。お前と出会ってから今この瞬間に至るまでの間の記憶が消えてしまえば。しばらくの間は間違いなく日常生活にすら不自由を感じるであろうし。ハヤタの日常での仕事、業務では、戦闘の勘処や新型兵器の扱いの記憶は重要だ』』
    『……』
    『『ハヤタの記憶を消すのは、百害あって一利も一理も無い、悪手なのだ。ハヤタの今後を考えるなら、命を与えるだけでは、片手落ちなのだよ。そしてウルトラマン。ハヤタの命は数十年程度で尽きる。だがお前との『絆』は、ハヤタの命が消えてしまっても、永遠にお前を支え続ける。ハヤタの側も、お前との『絆』が永遠に、たとえ奴が死したとしても、その子々孫々に至るまで、永遠にそ奴らを支え続けるのだ。が、今ここでハヤタとの『絆』を断ってしまえば。……お前は、一生後悔するであろうよ。数十万年、場合によってはお前が突然変異を起こし、キング並の力を得て数百万、数千万、数億の年月を生きたとしても、ハヤタとの『絆』を断ってしまった事を、後悔し続けるはずだ』』
    『……ゾフィー』
    『……わかったウルトラマン。ハヤタの記憶は消さない。君の言葉で、ハヤタとの別れを言いたまえ』
    『感謝する、ゾフィー』

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:36:30

    『『ああ、あと1つだけ。もしやお前たちの前に、過去の己(オレ)……ダーク・ザギが現れるやもしれぬ。その際は……。死力を振り絞れ。さもないと、タヒぬぞ』』
    『……』
    『……』
    『『あるデュナミストに救われる前の己(オレ)は、悪意の存在であった。お前たちの『敵』だ。故に、その己(オレ)と出会ったならば、滅ぼすつもりで死力を振り絞れ。まあ、ノアかキングがおらねば、太刀打ちも出来ぬだろうが、助けが入るまでは全身全霊で戦え。それが命を繋ぐであろうよ』』
    『忠告、感謝する』
    『ありがとう』

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:42:45

    「赤い光球から、ウルトラマンが」
    「!? 胸元から、誰か人間みたい、な、あ、あれハヤタじゃねえか!」

    「ウルトラマン……。あの時、ベムラーを追って来た貴方と共に駆け抜けた日々。僕の、心の支えです」
    『ハヤタ……。あの時、君と合体した瞬間から今までの日々。私の、心の支えだ。さようなら、ハヤタ。だがもし、君の命がある内に、光の国の掟が改定されたなら。また、会いに来る』
    「その時を、待っています。……さようなら。……さらばウルトラマン」
    『……』

    「ウルトラマンが、赤い光の球体に……。ウルトラマンが、地球を去る……。あっ! おおーい、ハヤターっ!!」

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:49:40

    『『イデ隊員、岩本博士、僕/己(オレ)のギャンと、その周辺装備、周辺設備の事など、頼んだぞ……。いえ、お願いします』』
    『わたしのジフレド関連も……。いえ、お願いします』
    「はは、は。口調がいつものエグザベ隊員とニャアン君のものになったね」
    『『貴方相手なら、それが相応しいかと』』
    『いちおう、最上位レベルとは言え、地球人クラスの技術だけで設計、建造してますので』
    「わかった。パリ本部とも折衝して、かならずや地球の護りに役立てるよ」
    「まかせといてください!」
    『『僕/己(オレ)たちは、とりあえず戦死扱いにしておいてもらえると』』
    『じゃなかったら、戦闘中行方不明(MIA)で』
    「ムラマツキャップと計らって、そういう事にしとくよ……。行っちゃう、んだな」
    『『うん。……では、さらば、だ。運が良ければ、また邂逅することもあるやも知れぬ。確率はほとんど無きに等しいが』』
    『そのわずかな可能性を、楽しみにしている。では』

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:51:44

    「行っちまった、なあ。なあハヤタ」
    「行ってしまった、な。イデ」
    「さて、ギャン借りて、本部の消火作業手伝うか」
    「乗れるのかい? ハヤタ。僕は基本動作から毛が生えた程度だけど動かせるが」
    「僕も基本動作から毛が生えた程度にはな。記憶を消されなくて、これも良かったよ」
    「じゃあ僕はジフレドを借り……て、って座席サイズ合わねえ!? ニャアン君の座席にゃ、僕ぁ入らねえよ!」
    「ははは、仕方ないな」

    「ハヤタ! イデ!」
    「話聞かせてもらうぞ!」
    「わたしにも、ちゃーんとね!」
    「本部の消火作業終わったら、知り得ること全部話しますって! ハヤタ、あれ? もうギャンに乗ってってる!? ずるいですよハヤタさん!」

    -fin-

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 20:54:34

    スレ主です。これにて本SS、一巻の終わり、完結です。まあ気が向いて、そのときこのスレが生きてれば、この先にザベトラマンやニャントラウーマンたちがちょっとした事件に遭ったりした話でも書くかもしれませんが。それでは短い間でしたが、ご愛顧いただきありがとうございました。

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 21:18:36

    乙でした!

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:38:31

    スレ主です。できればちょろっと各話ごとの感想とかくれると嬉しいですw

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 08:19:30

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 18:16:24

    まだ全然未完成ですが、ウルトラウーマン・クリソスのラフスケッチです。

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 19:24:37

    >>165

    とりあえず着色。なんとなくこんな感じ。

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:20:08

    >>166

    斜め前からだとこんな感じ

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 09:22:50

    保守

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