- 1二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 05:56:35
- 2二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 05:58:30
- 3二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:37:44
SSを載せるといいと聞いて
オレンジの子:高縄ミツキ
白い子:波坂コノハ
出てくる他の子:ツミキ
夕暮れは、血のにおいがしない。
だからこそ、この町の空気はやけに澄んでいた。
市街地の外れ、封鎖された廃工場の跡地。通報は「不審者が銃を所持して立てこもっている」との一報。
現場に出動したのは、ヴァルキューレ警察学校・機動隊所属、鷹縄ミツキと波坂コノハの2名。
──ミツキは前衛、コノハが制圧担当。
コノハのショットガンが先に構えられた。
ミツキのARがその死角を埋めた。
「手を上げて! 膝をつけ!」
工場の梁の隙間に差し込む黄昏の光が、男の輪郭を柔らかく切り抜く。
「違う…違うんだ…! 俺は、もう、やめたくて…!」
男は叫び、ゆっくりと地面に膝をつけた。
銃は──すでに数メートル先、壁際に落ちていた。
両手を頭に添え、微かに震えていた。
ミツキはARのサイトから目を離さず、言った。
「武器は確認。拘束お願い、コノハ。」
「了解、カバーしてて。」
コノハはゆっくりと歩み寄り、背後に回る。
その時だった──男の手が、僅かに、ほんの数センチ、動いた。
それが「逃走の意思」か「痒み」か。
判断を誤ったのは、ミツキの方だった。 - 4二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:42:18
ダンッ
乾いた一発の、つんざくような炸裂音が、嫌になるほどの赤錆とツタに覆われた廃工場に響き、耳を刺した。
そして、ほんの刹那遅れて、コノハのショットガンも火を吹いた。
男は胸を押さえ、ゆっくりと前に崩れた。
──死んではいない。だが、意識はない。
沈黙。
空気の重みが倍に増すような、あの直後の時間。
「……なにしてんの……」
最初に口を開いたのは、コノハだった。
ミツキはARを下ろさず、視線だけで彼女を見た。
「動いた、から。撃つべきタイミングだった。」
「してないよ、あれ…動いてない。手ぇ下ろしただけ……!」
「でも、あたしら、命預かってるじゃん。もしそれがフェイクだったら、撃たなかったら──」
「それって、ただの……言い訳でしょ」
言葉が途切れる。
その目は、コノハの目は、泣いていた。怒りではなく、絶望に近い痛みで。
ミツキは口を噤む。拳がかすかに震えていた。
いつからだったか、「正義」って言葉の意味がわからなくなったのは。 - 5二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:49:40
──その夜、署の聴聞会議室での映像再生は何度も繰り返された。
問題となったのは、ボディカメラ映像において、被疑者が「完全に投降姿勢」にあり、かつ銃も手放していた事実が明白であったこと。
発砲の正当性を主張するには、あまりにも根拠が薄かった。
現場の緊迫感と熱気は、部屋のまどろみをかき混ぜるクーラーの冷気の前にはただの符号化された数値にすぎない。
ヴァルキューレ警察学校は、二人を「現場処理および戦闘任務からの一時離脱」とし、3ヶ月の戦術再教育と心理評価研修を義務づけた。
指導官はミツキに告げた。
「君の判断は、論理的には理解できる。だが“正しかった”とは、今は言えない。」
彼女はそれに頷くことも、否定することもできなかった。
ただ一欠けの沈黙が、重く、重く机に落ちた。 - 6二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 07:51:18
書いてから思ったけど今回のヤツにツミキちゃん出てないや(´・ω・`)
- 7二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:08:52
ヴァルキューレが有能だとカヤがクーデター起こさなそう
- 8二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:17:57
ローエンフォーサー好きとしては刺さる概念だ
- 9二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:24:54
- 10二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:28:37
とりあえず10まで埋め
- 11二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 08:41:09
普段は人員輸送と車内での戦術指揮やってるけどいざとなったら屋内でも装甲車を縦横無尽に走らせる生徒が居てくれると嬉しい
- 12二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 09:40:02
ちょっと明るい雰囲気めに
鉄鋼の明滅
アスファルトに照り返す光。揺らめく陽炎で輪郭をゆがめた歩行者信号が、じっとこちらを見ていた。
私と、その友達のコノハは、その前で立ち止まる。
向かう先は、近距離から遠距離まで対応可能な、警察組織有数の射撃演習場。
──ただし、外気温38度。汗はとっくに抵抗を諦め、首筋を伝って背中へと落ちていく。
「もう少し早く来てれば、まだ涼しかったのにね」
「そうだね。まあ、仕方ないよ。うちの訓練場、リボルバーのためのショートレンジとCQBしかないし…」
コノハは額の汗を手の甲で拭ったが、すぐにまた新しい滴がにじむ。
炎天下の中で交わす軽口は、外から見ればただの夏の雑談にしか見えないのだろう。
やがて信号が青に変わる。
話題は、持ち込み武器の制限や長物の必要性に移り、笑いながら歩いているうちに、背中はじりじりと焼けていた。
射撃場に着く頃には、二人ともすっかり汗だくになっていた。
「ふぅ、やっと着いた…」
ベンチに腰を下ろすと、頭上の業務用クーラーが北極の風のような冷気を吐き出してくる。
火照った体に染みわたる冷たさに、思わず全身で息を吐いた。
「私、アクエリ買ってくるけど、ミツキは?」
「MATCH!」
「はーい」
コノハが売店へ消えるのを横目に、私は自前のアサルトライフルを取り出す。
チャンバー、セーフティー、ボルト──指先が自然に順をなぞる。
今日のレンジはミドルからロング。300m、500m、700m。その奥に並ぶ銀色のターゲットが反射するのは日の光ではなく、真っ白い蛍光灯。
弾倉を差し込み、モードをセミに。
狙いを定め、引き金を引く。 - 13二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 09:41:14
パンッ──
カン! コンクリート壁に跳ね返った爆裂音が胸に響き、刹那後に金属同士が高く鳴く。
中央の赤いマーキングに、黒い点がひとつ刻まれていた。
「ナイスショット!」
背後から声。コノハがMATCHを手渡しながら立っていた。
「コノハもやる?」
「もちろん。これがなきゃ歩いてきた意味ないもん」
彼女は12ゲージを一発ずつ装填する。そのカロカロ、カチャリという音は、ロリポップを転がすように軽やかだ。
次の瞬間、ドン、という雷鳴とすら思える轟音とマズルフラッシュが弾け、散弾が的を叩き割るように命中した。
ターゲットが金切り声のように鳴き、数秒後に静寂が戻る。
「ま、一応機動隊の役目を仰せつかってるからね」
ショットガンをセーフティーに戻しつつ、硝煙の香りを纏って振り返るコノハに、私は笑う。
「真面目だよね、コノハって」
「そうかな?でも、こういう訓練は楽しいよ。普段は仕事でしか撃たないからね」
「私はCQB派かな。初めて実戦に出たとき、私が危なくなって、コノハが助けてくれたでしょ?」
その時の光景が、汗の奥にまだ熱を残している。
私より重装備のコノハが飛び込んできた瞬間、私は決めたのだ。──この背中を守ろう、と。
「ありがと、コノハ」
「改めて言われると、ちょっと照れる…」
照れ笑いを浮かべる彼女の横顔を見ながら、私は再び銃を構えた。
放たれた弾丸は、白い衝撃波をまとい、10g以上の思いを真っすぐに運んでいく。
約860m/sの弾丸は思い出よりも早く金属を撃ち抜き、レンズフレアのような眩い光を散らす。
口に残るMATCHの酸味と、胸に残る確かな信頼の味。
その火花は熱を持って瞬き、やがて静かに消える──私たちの絆を象徴するような、鉄鋼の明滅だった。 - 14二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 10:55:36
- 15二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 20:17:54
保守
- 16二次元好きの匿名さん25/08/04(月) 20:19:46
- 17二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 04:29:33
- 18二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 05:08:25
マッチってマッチグレード弾か新種の弾薬かと思ったらマッチやったか……
- 19二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 14:33:28
ヴァルキューレが有能=上司のカヤも働いてそうだから、他の室長にもっと働け!って文句言ってそう