【SS &🎲】共に分け合っおいこう

  • 1螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:31:48

    ※ずある楜曲を元にしおいたす。䜕か気づいおもネタバレになるので心の䞭に留めおおいおください。

    遠い、遠い昔の噺。
    人が智を超えお、神の座を望んだ時代のこず。‚知恵を持ちすぎた矊たちは己を芋倱い、‚その傲慢に、神は静かなる怒りを䞋された。
    裁きは、蚀葉なくしお蚪れた。‚呜は果実よりも脆く、光よりも速く倱われおいった。‚倩は地も裂け、沈み出したずき。‚人々はようやく、自らの眪の深さに気づいた。
    圌らは跪き、赊しを乞うた。‚けれど神は耳を貞さず、声は虚空ぞず消えた。

    その折、王囜に仕える占い垫に、倩の声が降りた。
    「霧深き東の蟺境、名もなき村のひずりの少女。‚糞を織り、針を打぀その者こそ、‚滅びゆく䞖界を救う【メシア】なり」
    王は呜じ、䜿いを走らせた。‚少女はただの針子に過ぎなかったが、‚その瞳は深く柄み、ただひず぀――‚「祈りの堎を䞎えおほしい」ず願ったずいう。

  • 2螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:33:26

    そしお、少女は神に最も近き堎所ぞず赎いた。‚空よりも高く、颚よりも遠い、【アむの塔】。
    塔の頂で、少女は静かに祈った。‚声は颚に乗り、星々の間を抜け、‚やがお神の埡蚱ぞ届いた。
    『䞖界が こんなにも眪深くおも
    それでも 誰かが 生きたいず願っおいたす。
    その願いを わたしが匕き受けたす。
    だから、どうか――
    この䞖界を、もう䞀床だけ、愛しおはくださいたせんか。』
    そのずき神は、はじめお心を動かされた。
    神は少女の祈りに応え、九぀の栄光を授けた。
    【華やぐ波】──すべおを掗い枅める氎の光。
    【炎の宎】──生呜の熱ず歓びの揺らめき。
    【恵みの陜光】──䞇物を育む朝の祝犏。
    【安息の闇】──恐れを包む、やさしき倜。
    【揺蕩う倧地】──揺れど安定する、䞖界の土台。
    【雷鳎の囃子】──呜の叫び、空の音。
    【旋颚のロンド】──倉化ず埪環の颚の舞。
    【癜銀の園】── 熱も時も閉ざす、癜き氞遠の楜園。
    【マグマの胎動】──深く、いただ目芚めぬ創造の源。
    それらは、䞖界に最初に䞎えられた祝犏の名残。‚倱われた調和を取り戻す鍵であった。
    少女は栄光を抱き、塔の祭壇にお祈り぀づけた。‚その祈りによっお、滅びかけおいた䞖界は、‚十五幎ずいう時を䞎えられ、生を぀なぐこずができた。
    少女の名は、蚘録されおいない。‚ただ「初代メシア」ずしお、いたも語り継がれおいる。
    そしおいたも、‚アむの塔の頂には祭壇があり、‚その䞭倮には光が灯っおいる。‚それは䞖界の呜を瀺す灯火。‚誰かが祈りを捧げる限り、‚この䞖界は、終わらずにいられるのだ。

  • 3螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:34:49

    滅びゆく䞖界を守るため、十五幎に䞀床、王囜に信蚗が降りる。
    それは、誉れ高き次の【メシア】を告げる信蚗である。
    そしお、今日。
    その誉れ高き神蚗が降りた。

  • 4螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:36:49

    ここは二十ちょっずの子䟛ず数人の倧人で構成される、小さな村。
    様々な理由で芪を倱った子䟛たちが倧人の知恵を借りお、手を取り合っお生きおいる。
    そしお、村にある小さな小屋で䞀人の少幎が本を読んでいた。
    「ハァヌやっぱこのお話は興味深いなぁ」
    少幎の名前は緑谷出久。十幎ほど前に幌銎染の少幎ず共に䞡芪を倱い、この村に移䜏しおきた。
    「【アむの塔】かぁ 、凄いなぁ、僕もい぀か行っおみたいなぁ 」
    少幎が倢䞭になりながら読曞をしおいるず、小屋の時蚈がボヌン、ボヌンず時間を知らせた。
    「あ、もうこんな時間か 。そういえば今日、かっちゃんず狩に行く予定が 」
    予定時刻は朝の䞃時、珟圚時刻は朝の八時ず䞀時間の遅刻である。
    「た、たたた、たずい」

  • 5螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:39:19

    「ク゜デク、テメェ」
    少幎が森に着いた頃には、幌銎染は既に狩を終わらしお垰っおきおいた。
    「かっ、かっちゃんおはようそしおごめんなさい」
    少幎は綺麗な角床で謝眪をするも、幌銎染の少幎は怒りは冷めないたただった。
    「たァたク゜本読んで遅刻したなァ」
    「ク、ク゜本じゃないよちゃんず名前ずシリヌズ名があっお」
    「ンなんどォヌでもいんだよ仕事忘れおたで本を読むな぀っおんじゃ」
    「りッおっしゃる通りです 」
    少幎は䜕もいえず、たごたごしおいるずポンッず肩を叩かれる。
    「爆豪、あんた虐めおやるな」
    「あ蜟君おはよう」
    「おはよう、緑谷」
    肩を叩いたのは少幎の芪友の䞀人である、傷の少幎であった。
    どうやら自分の代わりに幌銎染の狩を手䌝っおいたようだ。
    「僕の代わりに狩に蚀っおくれおありがずう」
    「別に倧䞈倫だ、狩は埗意だし」
    「別にテメェの手䌝いなんざ無くおも䞀人で出来たわ」
    幌銎染の少幎は烈火の劂く反論した。
    䞉人が談笑に花を咲かせおいるず少幎の名前を呌ぶ声がした。
    「おヌいデクくヌん」

  • 6螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:40:50

    少幎を呌んでいたのは少幎ず仲の良い針子の少女であった。
    少女はそばに来るも息を切らしおおり、喋れる様子ではなかった。
    ある皋床萜ち着いたのを芋蚈らっお少幎はどうしたのか尋ねた。
    「麗日さんどうしたの」
    「なんか王囜の䜿者が、来おデク君に甚事があるっお 」
    「ええ王囜の䜿者が」
    王囜ずは、この䞖界で最も倧きく、【メシア】が祈ったこずで残った唯䞀の囜である。
    そんな王囜の䜿者がこんな小さな村に来る意味が党員分からなかった。
    「お前なんかやらかしたんか」
    「そ、そんな䜕もしおないよ」
    「でもただごずじゃねえだろ、こんな小さな村に来るなんお」
    「そうだね、そろそろ次の【メシア】が決たる幎だし䜕もないずいいんだけど 」
    少幎たちは急いで村の入り口ぞず向かった。

  • 7螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:44:48

    少幎たちが村の入り口に着くず既に噂が広たっおおり、村䞭の子䟛たちが集たっおいた。
    「わあ本圓にいる 」
    入り口には高玚そうなロヌブに身を包んだ男が䞉人ほど立っおいた。
    少幎が話しかけるのを躊躇っおいるず、䜿者の䞀人が少幎の方に芖線を向け、二人の芖線が、寞分の狂いもなく亀差した。
    その瞬間、時間がわずかに止たったように感じられた。
    「あ、緑谷が来たぞ」
    その声に少幎の意識が珟実ぞず匕き戻される。
    少幎は急いで䜿者の元ぞず走った。
    「ああの僕に䜕か甚でしょうか 」
    䜿者達は誰䞀人ず答えない。
    ただ静かに少幎を芋぀めおくる。たるで、䜕かを粟査するように。
    皆が謎の重苊しい空気に耐えおいるず、先頭にいた䜿者がゆっくりず口を開いた。
    「君に、次の【メシア】の信蚗が降りた」

  • 8螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 19:54:24

    少幎は理解が出来ず呆然ずしおしたった。
    「今、なんお 」
    王囜の䜿者は振り返り、埌ろにいた者に手で合図を送る。
    するずその䜿者は懐から玙を取り出しお読み䞊げた。
    『遠くそびえるアむの塔に登り、九぀の祝犏を授かる者あらん。‚その者は、颚に揺れる翠の髪ず、曇りなき瞳を持぀だろう。‚现き身には幟倚の傷を刻みながら、なお救いを願い、祈りを捧げん。‚その祈りは新しきメシアを導き、滅びゆく王囜に十五幎の光ず呜をもたらすであろう。』

  • 9二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:23:04

    もう面癜い匕き蟌たれる

  • 10螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 20:35:32

    「ようするに緑谷が次の【メシア】に遞ばれたっおこずだな」

    䜓躯のいい少幎が倧きな声で蚀った。

    その䞀蚀を皮切りに、皆が䞀斉に少幎を祝犏しだす。

    「デク君おめでずう」

    「凄いじゃねえか緑谷」

    「さすが緑谷君」

    「緑谷おめでずう」

    「おめでずう緑谷ぁ」

    「あ、ありがずう 」

    少幎はただ理解が出来おいなかった。

    幌銎染に叩いお珟実か確認しおもらおうず探すも、幌銎染は王囜の䜿者ず話しおいお頌めそうになかった。

    賛矎の声に、少幎はじわじわず次の【メシア】に遞ばれたこずを自芚しだす。

    「本圓に僕が【メシア】に遞ばれたの 」

    少幎は震える手で頬぀ねった。

    痛みを感じる。目は芚めない。

    これは、珟実だ。

    「本圓に僕が 僕なんかが 」

    皆が笑っおそうだず答える。しかし少幎は怖かった。

    期埅に応えられるだろうか。祈りなんお、そんな倧きなこず、自分にできるのか。

    「緑谷」

    䜎いが聞き取りやすい声に名前を呌ばれる。

    「先生 」

    先生は膝を぀いお䞋を向いたたた䞡手で少幎の手を握った。

    「緑谷、おめでずう」

    先生の衚珟は芋えなかった。

    しかし声は震えおいお、喜んでくれおいるず少幎は思った。


    少幎はただ知らなかった。

    先生の震える声の奥にあるものが、ただの喜びだけではないこずを。

    dice1d1000=528 (528)

  • 11二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:39:50

    うほほほ(普通に話したら元ネタを話しそうだからなんずか抌さえおいる状態)
    スレ䞻SS䞊手い

  • 12二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:44:49

    懐かしいなず思っお元ネタ調べたら9幎前 

  • 13二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:51:45

    >>12

    え  ず思っお怜玢しお遠い目になった

  • 14二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:53:18

    曲は知っおたけど聞いたこずなかったからこれを機に聎きに行ったんだけど良すぎおやばい

  • 15二次元奜きの匿名さん25/08/05(火) 20:55:48

    なんの🎲なんだろう 

  • 16螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/05(火) 23:37:54

    王囜の䜿者はから信蚗を告げられた埌のこず。
    少幎は先生ず代衚の䜿者ず共に、村の最奥に䜍眮する教䌚に来おいた。
    小さな村には䞍盞応なほど立掟な教䌚。
    ステンドグラスからはキラキラず光が差し蟌んでおり、非毛氈をカラフルに染め䞊げおいる。
    「あの、本圓に僕が【メシア】でいいんですか」
    少幎は自信なさげに王囜の䜿者に蚊いた。
    村には少幎よりも匷い子や䜓の倧きい子、綺麗な子、幎䞊の子がいる。少幎が栌別優れおいるものはないはずだ。
    「 初代【メシア】は緑色の髪をしおいた」
    「え」
    「緑は、自然の色だ。祝犏は自然」
    䜿者はゆっくりず歩みを進め、ステンドグラスに描かれた絵を芋䞊げた。
    そこには、緑の髪の少女が灯りの灯ったトヌチを掲げおいる絵が描かれおいた。
    「そしお自然は、遞ぶこずなく、すべおを受け入れる。‚咲く花も、枯れる葉も。‚匷さも、匱さも。‚その党おが、この䞖界を支えおいる」
    䜿者は少幎に芖線を戻し、穏やかに埮笑んだ。
    「君がなぜ遞ばれたのか、今は分からないかもしれない。‚だが、君を遞んだのは人ではない。‚占い垫でもない、王でもない。
    䞖界が、君を遞んだんだ」
    少幎の足元に、ステンドグラスを通した光が柔らかく萜ちる。‚その光は、確かに、あたたかな緑色をしおいた。
    少幎はただ戞惑っおいた。
    けれど、胞の奥に䜕かが少しだけ、あたたかく灯った気がした。

  • 17螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 00:08:53

    「少幎、君はどこたで【メシア】のこずを知っおいる」
    王囜の䜿者は少幎の正面に立ち、真っ盎ぐに少幎を芋぀めおいる。
    少幎は自分が知っおいるこずを党お話した。
    物語のこず、九぀の祝犏があるこず、【アむの塔】で祈るこず。知っおいるこずは、党お。
    「 そうか。勉匷熱心な子が【メシア】に遞ばれおくれお嬉しいよ」
    䜿者は嬉しいのか息を぀いお埮笑んだ。
    「それで君は、【メシア】を受け入れおくれるのか」
    王囜の䜿者の声は穏やかだったが、その蚀葉の裏に隠された重みを、少幎は盎感的に感じ取った。
    䞀瞬、たった䞀瞬だけ、教䌚の空気が倉わったような気がした。‚たるで、ステンドグラスの光たでもが静かに色を朜めたような、そんな錯芚。
    少幎は唇を噛んだ。‚「はい」ず答えるには、あたりにも軜すぎる気がしお、䜕床も蚀葉を考えた。
    でも、遞ばれたのだ。‚遞ばれおしたったのだ。‚誰かがやらなければならないのなら、自分がやるしかないのだ。
    少幎はゆっくりず、でも確かに顔を䞊げた。‚迷いを抌し蟌めるように、䞡の拳を握りしめお蚀った。
    「 やりたす。䞖界を守れるなら、十五幎なんお䞀瞬ですよ」
    自分でも驚くほど明るい声が出た。‚くしゃっず笑った自分に、ほんの少しだけ救われる気がした。
    王囜の䜿者はそれを芋お安堵したように息を吐いた。
    「ならば【アむの塔】たでの道䞭の金膳は党お、王囜が持぀。安心しお向かうずいい」
    出発は䞀週間以内であれば倧䞈倫だ。ず蚀っお王囜の䜿者は教䌚から去っおいた。
    教䌚に扉の閉たった音だけがこだたする。
    その音がやけに耳に残るものだった。

  • 18螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 00:23:40

    先生は䜿者が去った埌でも䜕も喋らなかった。
    少幎は心配になり、顔色をうかがった。
    「あの、先生 」
    先生の目は髪の毛に隠れお芋えない。
    先生はゆっくりず口を開いた。
    「これから沢山、倧倉なこずがある。きっず、お前でも挫けおしたうようなこずが、沢山」
    先生は先代の【メシア】が決たった時に生きおいた人だ。
    少幎はふず気になり、先生に䌺った。
    「先生は【メシア】のこずで䜕か、知っおいるんですか」
    「 知らないよ、【メシア】のこずなんお。知っおいたずしおも蚀わない」
    先生が前髪を匄ったおかげで目が芋えるようになった。
    そこにはい぀もず倉わらない、少幎たちを想っおくれる、暖かい目。
    少幎は先生の目から目を、離せなかった。
    「先生、僕は倧䞈倫です。䜕か蟛いこずがあっおも、みんなが埅っおいおくれるず分かっおるから」
    だから先生、泣かないで。
    少幎はどうしおも、先生が泣いおるようにしか思えなかった。
    涙は流しおいなくずも、悲しんでるように思えおしたった。
    先生は䜕も蚀わなかった。‚ただ、少幎の頭をそっず撫でた。
    その手は少し震えおいたが、どこたでも優しかった。

    先生、僕が【メシア】の仕事をできたら先生は泣きやみたすか。

  • 19螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 00:26:37

    その日の倜、少幎は倢を芋た。

    懐かしい、幌い頃の倢だ。

    倢には村の人もいた。


    それは誰ずの思い出

    (村には青山ず心操を远加しおあるA組ずミリオ、゚リちゃん、盞柀先生、マむクがいたす。その䞭から䞀人遞んでください)

    >>22

  • 20二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 00:30:47

    かっちゃん

  • 21二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 01:09:30

    かっちゃん

  • 22二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 01:16:31

    かっちゃん

  • 23二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 01:31:47

    䞀択草

  • 24二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 01:48:35

    怒涛のかっちゃんに笑った

  • 25螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 02:57:01

    (オヌルかっちゃんで笑っおしたいたした。自分だけレスをするのは寂しいのでどんどんレスしおください、お願いしたす)
    それは䞡芪を倱った時の倢だった。
    䞡芪を倱った圓時、二人は五歳だった。
    元々䜏んでいた村は今よりは倧きい村だったが、冬堎は食料問題に悩たされおいた。
    あの日の惚劇を、いっそ笑えおしたえば、楜になれたのだろうか。
    今でも簡単に思い出せる。
    あの、凍お぀くような空気に肺が、喉が締め付けられるような感芚を。
    もうすぐ倧寒波が来るらしく、倧人たちは家に篭り、冬を超える準備に勀しんでいた。
    十五幎の入れ替わりの幎に生たれた二人は、村の長老たちから『い぀か䞖界を救う子だ』ず蚀い聞かされお育っおいた。
    なぜかは分からない。ただ、それが圓然のように語られた。
    この村には二人ず近い幎霢の子䟛はおらず、い぀も二人で遊んでいた。
    䞡芪を倱った日も倉わらず、二人は䞀緒にいた。

  • 26螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 02:58:17

    い぀ものように、小川のほずりでチャンバラをしたり川に石を投げおどれだけ跳ねるか競ったり。
    「これで俺の164勝なデクよっえ〜」
    「違うよ、かっちゃんが匷すぎるんだよ」
    いくら幌銎染の少幎ず勝負しようず、必ず自分が負けおいた。
    䞍貞腐れお空を芋䞊げる。
    空には灰色の雲がゆっくりず流れ、颚はもう冬の匂いを運んでいた。
    はぁぁ、ず息を吐けば、空気が癜く染たるのが倉に面癜くお。
    さっきの勝負のこずなんお忘れお二人で倧きく息を吞い、数秒口を䞡手で塞ぎ、思いっきり息を吐き出しお。
    ケラケラず笑っお、幌銎染の少幎がもう䞀回ず蚀っお二人で息を止めた時。
    村の方から爆発音がした。
    そのずき村から立ち䞊った煙の色を、今でも鮮明に思い出せる。
    急いで村の方に走る。
    近づくほど増しおいく芋慣れないもの。
    焊げた朚ず、血の匂いず、叫び声。
    錻を぀んざくような血ず、硝煙の匂いに思わず吐きそうになった。

  • 27螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 03:00:55

    村に぀いた時には既に手遅れな状態であった。
    螏み荒らされた草花、焊げお抉れおいる地面、壁や倩井にたで飛び散った血や臓噚の跡。地面に倒れた人たちは誰䞀人ずしお、動かなかった。
    幌銎染の少幎ず別れお家のドアを勢いよく開ける。
    「お母さん」
    返事はない。
    「お母さんどこねぇお母さん」
    玄関、リビング、掗面所。家の䞭には誰もいなかった。
    もしかしたらお母さんは無事なのかもしれない。
    そんな、淡い垌望を抱いお裏手の庭を芋に足を螏み出したずき。
    幌銎染の少幎が玄関で、呆然ず、立ち尜くしおいるのが芋えた。
    普段の、過激な地獄の鬌を想像させるような態床が嘘のようだった。
    幌銎染の少幎は小さな震えた声でお母さん、お父さんず零しおいた。
    そしお、幌銎染の少幎の隙間から、自分の母芪の死䜓を芋えたずき。
    自分も動けなくなった。

  • 28螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 03:02:38

    どれくらい時間が経ったのだろう。
    数秒かもしれないし、数分かもしれない。
    新しい犠牲者の悲鳎に珟実に戻される。
    ただこの惚状は終わりではないのだず。
    幌銎染の少幎は少幎の腕をぐっず匕くず、抌し蟌たれるようにしお朚箱に朜り蟌む。
    蓋はわずかに開いたたた。暗闇の䞭、呌吞音を殺す。
    倖からは、鉄の靎が床を螏み鳎らす音ず、男たちの無遠慮な笑い声。
    「ちっ、しけおんなこの村は」
    「そういうな、王囜からの揎助のない村は基本こんなもんさ」
    「たぁ揎助がないおかげで簡単に殺せたんだけどな」
    男達はゲラゲラず品がない笑い声をあげおいる。
    こんな、こんな奎らに自分達の芪が殺されたのか。
    恐怖が怒りず憎しみに入れ替わる。
    それは幌銎染の少幎も同じようだった。
    隣で息を朜めながらも、歯を食いしばっおやるせない憎悪をいなしおいる。
    蚱せない、蚱せない、蚱せない
    今すぐ暎れお埩讐しおやりたいが今の自分たちでは叶わないこずなんお癟も承知である。
    男たちの話し声が遠くに行ったのを確認し、二人は朚箱から這い出る。
    今すぐ䞡芪の遺䜓を埋葬したいがそんな䜙裕はない。
    幌銎染の少幎は台所の戞棚を開けお、氎の入った瓶を二぀、干し肉をいく぀か。そしお包䞁を䞀本。
    圌はそれらを躊躇なく手に取り、少幎に瓶ず食料を手枡した。
    たずこの村から離れる。
    安党な堎所を探さなくおはならないのだ。

  • 29螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 03:05:48

    その日から、党おが倉わった。
    寒さは倉わらず、飢えも喉の枇きも倉わらず、けれど心の䞭には、今たでずは違う空掞ができた。
    倜になるず、必ず誰かの泣き声が聞こえる。
    それは颚の音に玛れお、自分のものなのか、隣にいる幌銎染のものなのか分からなくなった。
    倧人たちに教わった最䜎限の知識ず、わずかな物資ず、ふたりの小さな足。
    䞖界はあたりにも広く、そしお、冷たかった。
    「かっちゃん、僕たちこれからどうしたらいいのかな」
    そう呟いた声が、凍った颚にかき消された。
    幌銎染の少幎が䜕か蚀っおいる。
    口元は動いおいるのに、音が届かない。
    声が遠ざかるように、䞖界が霞だす。
    そこで、目が芚めた。

    あの埌、盞柀先生に拟われお村に連れおっおもらえお。
    自分たちは運が良かったのだろう。
    「あのずき、かっちゃんは䜕を蚀っおくれたんだっけ 」

  • 30二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 04:42:22

    あぁ、こう繋げるのか  続きすごく楜しみ

  • 31二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 12:15:32

    どうなる事か  

  • 32二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 12:50:18

    そうか、みんな個性無いのか

  • 33二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 14:55:57

    申し蚳ねぇ䞻のSSのおかげで元ネタ気になったんだが誰か教えおくれるか

  • 34二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 16:10:00

    このレスは削陀されおいたす

  • 35螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 18:27:57

    (元ネタは最埌に投皿したすのでご安心ください)
    【アむの塔】に向かうたで残り六日。
    少幎は今たでやっおいた仕事を他の人に匕き継ぎ、教䌚で祈りの緎習に集䞭するこずになった。
    「祝犏を灯したトヌチを祭壇で掲げればいいんだよね 」
    少幎は灯りのずもらないトヌチを掲げお祈りの䜓制をずる。
    数秒、もしくは数分経った頃。
    少幎は䜓の力を抜いお倒れ蟌む。
    王囜の䜿者が去る前に教えおくれたのは二぀。
    䞀぀、【アむの塔】に入れば十五幎間ずっず出られないずいうこず。
    二぀、【アむの塔】に入れば飲食や睡眠を取らなくお枈む䜓になるずいうこず。
    「【アむの塔】は謎がいっぱいだなぁ 」
    「もし時間が䜙ったら【アむの塔】の研究でもしおみようかな」
    少幎は先の未来に思いを銳せおいた。

  • 36螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 18:29:50

    「あいたいた。お〜い緑谷くん」
    名を呌ばれお顔を䞊げるず教䌚の入り口に、この村の子䟛の䞭で最幎長の青幎が立っおいた。
    少幎は䜓を起こしお青幎の元ぞず走る。
    「遠圢先茩どうしたんですか」
    「実はね、゚リちゃんが颚邪を拗らせおしたっお今先生の家で䌑んでるんだ」
    「゚リちゃんが」
    ゚リちゃんずは数幎前に青幎ず少幎が狩に出かけたずきに拟った幌い少女のこずである。
    幌い少女はその珍しい容姿を目的ずした売買堎から逃げおきたらしく、拟い始めの頃は誰にも心を開いおいなかった。
    䞀人静かに䞞たっお震えるこずしかできなかった幌い少女。
    村䞭で党力で構い倒し、愛情を䞎えたおかげで心を守るために匵った棘をじわじわず溶かしおくれたのだ。
    そんな愛しい少女が颚邪を拗らせお寝蟌んでいるず蚀われお少幎は我慢などできなかった。
    少幎は祈りの緎習をしおいた祭壇を暪目に、焊る気持ちを隠さず青幎に詰め寄った。
    「倧䞈倫なんですか先生が看おくれおるなら安心ですけど、僕、今行っおもいいですか䜕か手䌝えるこずがあればヌヌ」
    「萜ち着いおくれ」
    青幎は笑ったが、その衚情にはどこか、心配を隠しきれない圱があった。
    「  正盎、ちょっず苊しそうだった。泣き声も出なかったし、熱も䞋がっおない」
    その䞀蚀で、少幎の胞がギュッず締め぀けられるような思いに倉わった。
    「行きたす、すぐに」
    祈りのトヌチをそっず壁に立おかけ、少幎は教䌚を飛び出した。

  • 37螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 18:31:23

    先生の家の小さな戞を開けるず、薬草の匂いが錻を刺した。‚狭い寝宀の奥、癜い垃団に包たれたそこに幌い少女はいた。
    「゚リちゃん 」
    呌びかけるず、少女はほんの少しだけ銖を動かし、目だけを開けた。‚焊点が合っおいないような、その薄い目が、少幎の姿を映す。
    「  で、くさ 」
    しがり出すような声に、少幎の胞がたた締め぀けられる。‚圌女は、圌の名前を呌んだのだ。
    少女は今でも人混みが苊手で、倧声が出せない。‚けれど、少幎がそばにいるず安心するのか、い぀も笑っおくれおいた。
    その笑顔が、今はなかった。
    少幎はそっずベッドのそばに座り、少女の手を握った。‚小さな手は、焌けるように熱かった。
    「倧䞈倫だよ、僕がいるからね。゚リちゃん、治ったらたた䞀緒に絵を描こう」
    優しく囁くず、圌女はかすかにたぶたを閉じ、埮かに頷いた。
    その䞀瞬の動きに、少幎は救われたような気持ちになる。‚䞖界は今、厩れかけおいる。‚けれど、この手を離したくない。この呜を、絶察に守りたい。
    少幎は、もう䞀床心の䞭で誓った。
    自分は行く。‚この子を、そしおこの村を守るために。‚たずえ十五幎、垰っお来られなくおも。

  • 38二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 18:45:38

    スレ䞻SS䞊手すぎる めっちゃおもろい 

  • 39二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 19:03:23

    このレスは削陀されおいたす

  • 40二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 19:08:29

    >>39

    心の䞭に留めおおいおっお曞いおあるから消しおおいた方がいいぞ

  • 41螟瞺瞺ゅ瞺繧医°瞺瞺25/08/06(æ°Ž) 19:32:47

    >>39

    ネタバレになるので消させおもらいたした

    SSが党お投皿し終わったら投皿する予定なのでそれたで気長に埅っおいただけるずありがたいです

  • 42二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 22:30:21

    ゆっくり楜したせお貰っおたす

  • 43二次元奜きの匿名さん25/08/06(æ°Ž) 22:36:13

    >>40

    >>41

    >>39です。了解したした。思わず先行しおしたい、ご迷惑をおかけしたした

    完結たで気長に楜しんで埅ちたす

スレッドは8/7 08:36頃に萜ちたす

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3.二次創䜜画像は、䜜者本人でない堎合は必ずURLで貌っおください。サムネずリンク先が衚瀺されたす。
4.巻き添え芏制を受けおいる方や荒らしを反省した方はお問い合わせから連絡をください。