- 11◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 20:28:04
- 21◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 20:29:36
過去のSS
【SS】ブルーロックスは夢を見る|あにまん掲示板夢の中ならどこにでも行ける。何にでもなれる。そこには、ブルーロックスたちの“もしも”が広がっている。*ブルーロックスが色々な夢を見るだけ*安価で誰がどんな夢を見るのか募集し、1がその世界を綴るよ*同じ…bbs.animanch.com【SS】こころを探しに行こう|あにまん掲示板……どこで、なくしたっけ。俺の、こころ。凪がどこかに落としたこころを、誰かと一緒に探しに行く話。*ブルーロックの凪誠士郎が主人公*安価でこころを探すキャラを1人1個決めるよ*更新遅いからのんびり待って…bbs.animanch.com【ホラーSS】怖い噂を確かめよう|あにまん掲示板ブルーロックには“怖い噂”があるらしいどこからか笑い声が聞こえるとか、足音が増えるとかそれが嘘か真か、俺たちは確かめることになった……でも、そんなこと、誰が言い出したんだっけ*『怖い噂』と『キャラ』は…bbs.animanch.com - 31◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 20:36:10
ブルーロックには、
思春期真っ盛りの奴らがうじゃうじゃいる。
大抵サッカー出来ればそれで解決なんだけどさ、
それでも悩むこと、困ること、色々あるだろ?
まあ、そこでだ。
毎日、夕飯食った後に『お悩み相談室』を開いて、
アイツらの生活をサポートしようって考えたわけ。
俺も過去に色々悩んだこととかあったし。
だから、力になれたらなーって思ってんだよ。
あとシンプルにお菓子が食べたい。
夜腹減るし、夜食確保したい。
つーわけで、
千切豹馬のお悩み相談室、ただいま開幕だ!
どんな悩みでも、俺なりに向き合ってやるぜ! - 41◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 20:43:14
- 5二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:44:58
- 6二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:45:23
七星
両利きの訓練に両手箸って効果あると思いますか? - 7二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 20:54:05
- 81◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:16:26
【お悩み相談一人目:國神錬介】
そこそこ更けた夜。
『お悩み相談室』の札を、
とりあえずドアにペタリと貼って、中で待機。
「……あー、誰か来ねーかなー」
「このまま誰も来なかったら、開業即閉店だぞ……」
「つーか俺、お菓子食いたいんだけど。誰か持ってきてよマジで……」
ぼやきながら、テーブルに突っ伏していた俺は、
コンコンと控えめなノックに反応して顔を上げた。
「お?」
ゆっくりと開いた扉の向こうには──
圧倒的な威圧感を持った、國神が立っていた。
「いらっしゃい!記念すべき一人目だぜ」
「…………」
「……またいつものアレ?」
返事はない。
いや、ないっていうか、俺が聞いてなかったかも。 - 91◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:19:37
國神は、いつものヒーローって感じじゃなくて、
なんかよく分かんないけど、闇落ちしてる。
本人が望んでそうなったらしいけど……
俺的には前の方が絶対いいと思う。
「ま、とりあえず座っとけ。お悩み聞いてやるからさ」
國神は静かに椅子を引き、
音を立てないように腰を下ろした。
表情はほとんど動かない。
だけど、目だけはこっちを真っすぐ見てる。
ほんのちょっとだけ、
助けを求めてるようにも見えた。
「……で?悩みって?」
「毎日、ドイツ棟に遊びに来るやつがいる」
「ふんふん」
「そいつがウゼェ。絡まれたくない」
「なるほど」
うん、まあ、そういうのあるよな。
毎日毎日押しかけてくるタイプ、いるわ。 - 101◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:22:05
「そいつって……誰のこと?」
「……匿名希望」
「ほほう。んで、実のところは?」
「匿名希望」
「二回言ったし、これはマジだな」
「そいつ、なんで國神に会いに来るんだ?」
「話したいらしい」
「ふーん……で、國神は?」
「話したくない」
「どうしようもねぇな、それ」
いやほんと、聞く限りはただの一方通行じゃん。
この感じ、どう見てもトラブルの火種だろ。
いや、でも、つーかさ──
「なあ、國神」
「なんだ」
「お菓子は?」 - 111◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:28:01
「………ない」
「えー、ちょっと待てよ、うち“相談料金:お菓子”って明記してあるんだけど?タダで俺の知見使う気?」
「……すまん」
「はい、違約金発生!今度来るときお菓子二倍だからな!覚悟しとけよ!!」
國神は何も言わず、じっとこちらを見ていた。
目が死んでる。
いや、たぶん本当に死んでる。
「……ったく、まあいいや。で、なんでそいつのことウザいって思うの?」
「近ぇし、いっつも話しかけてくる」
「今こうして俺とは話してるのは?」
「…………それは別だ」
「へー、俺はOKなんだ?ふーん?じゃあつまり、俺のこと好きなんだ?」
「…………………」
……なにその沈黙。
真顔やめろって、謝るから怖い顔やめろよ。 - 121◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:42:02
「冗談だって!ちょっとからかっただけ!」
「まあでも、あれか。その“匿名希望”のやつのこと、嫌いってわけでもないんだろ?」
「ああ」
「そしたら、こじれすぎる前になんか対処した方がいいな」
「俺がいま思いついたのは、物理的に“話す時間”減らすことだ」
「例えばさ、夜はもう誰とも喋れませんってくらい早く寝ちゃうとか。あとは自主トレでひたすら籠る!誰にも会わない!」
そう言いながら、俺は自分の胸をドンと叩いた。
「……ちなみに俺はいま、こうやって“お悩み相談室”やってるし、夜はどこにも出かけてないから、そういう時間を作るのもありかもな」
「ほら、國神もさ、一緒にやってみようぜ!“闇落ちの部屋”とか名前つけて「やらねえ」」
即答すぎて、ちょっと笑った。
「残念、めちゃくちゃ似合いそうなのに」
「じゃあさ、次の手段」
俺は指を一本立てて、國神の前に出した。
「嫌なことは、はっきり言う!……ってのは、どうだ?」 - 131◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:50:44
國神は、じっと俺の目を見ていた。
たぶん、俺の発言のどこかに反応したっぽい。
……いや、分かんねぇな。
俺の気のせいかもしれない、
いまの國神、慣れないから難しいな。
とりあえず、気にせず話を進めることにした。
「距離が近すぎるなら、“ちょっと離れてほしい”って言う」
「話しかけられるのがウザイなら、“話しかける頻度を減らしてほしい”って、ちゃんとお願いする」
「そういうの、思ってても伝えなきゃ分かんないだろ?」
「俺だったら……たぶん、言ってくれた方が助かるな。ま、ショックではあるけどさ」
へらりと笑って見せたけど、
國神は黙ったままだった。
ただ、その指先がほんの少しだけ、
膝の上で丸まったのを俺は見逃さなかった。 - 141◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 21:52:01
「なあ、國神。お前さ、意外とちゃんと俺の話聞いてくれてるよな?」
「………さあな」
「濁すなって!ま、効果あるなら俺もやりがいあるわ」
そう言ったら、國神はゆっくり立ち上がった。
そのまま扉へ向かって、手をかける。
その時―――
「…………助かった」
その言葉だけをぽつりと落として、
無表情で、部屋を出ていった。
「おー、今日は早く寝てそのクマ早く直せよー!」
「………うん。よし、俺結構いい仕事したんじゃね?」
ふっと笑って、背もたれに体を預ける。
夜はまだ長いけど、
少しだけ、心があったかくなる時間だった。
【相談終了:國神錬介 ※次回お菓子二倍※】 - 151◆DGCF6cUlCqNA25/08/05(火) 22:29:59
- 16二次元好きの匿名さん25/08/05(火) 23:00:17
國神をリクエストした者です
2人の可愛い会話をありがとう……
いつも素敵なお話ばかりで、心がすごく癒されます - 17二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 02:39:22
千切のお悩み相談室楽しみにしてました!
気軽に話せる雰囲気を出しつつ親身になって相談に乗ってくれる千切の安心感がすごい
また國神が来てくれますように! - 181◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 08:20:41
- 191◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 09:28:30
【お悩み相談二人目:七星虹郎】
夜の静けさが、部屋に満ちる。
引き続き、俺の『お悩み相談室』、
絶賛営業中だぜ!
「……さーて、そろそろ誰か来てもいい頃だと思うんだけどな」
机の上には、俺が持参した、
空になったお菓子の袋が散乱している。
しけったポテチをつまみながら、
のんびり足を揺らしていたとき───
コンコン。
「おっ、来たか」
扉が開かれ、ややおどおどとした動きで、
一人の後輩が顔を出す。
「おー、七星じゃん。よく来たな!」
「ま、とりあえず座れよ」
「お、お邪魔します!」
ちょっと訛りのある話し方と、
どこか人懐っこい雰囲気のある後輩だ。 - 201◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 10:23:32
とはいえ、いまはやけに、
緊張しているように見えるけど。
「……お前、めっちゃガチガチだな。緊張してんの?」
「いや、その……はい、そうですね」
「ふはっ!素直だな、まあ気楽に行こうぜ」
「んでさ、七星、お菓子は?」
「……ないっす、すみません……」
「は?」
「いや、その……話聞いてほしくて……急いで来たら……忘れてました……」
ぺこり、と深く頭を下げる七星。
目がうるうるしてる。
完全に子犬。
フィルターかけてんのかってくらい子犬。
「……うわー……怒る気になれないやつ来た……」
「……ま、いいや。次持ってきてな。相談料金は先払い制なんだけど、今回は特別だ」
「ありがとうございます……!」 - 211◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 10:25:02
「それじゃあ、悩みってのは?」
「えっと、その……両利きの訓練ってあるじゃないですか」
「うん、あるな」
「両手で箸使うのって、効果あると思いますか?」
「……いや待て、それ、ネットで調べた方が早くね?」
「調べたんですけど……でも、千切さんは先輩だから、聞いた方が絶対タメになると思ったんです」
そう言って、じっとこっちを見る。
きらきらしてて、全力で俺を信じてる目だ。
……だから、子犬のような目すんのやめろって!
「…………」
くそったれ!
頼られると、頑張りたくなるのが俺なんだよ!
やれやれ、と小さくため息をついて、
椅子にもたれ直す。
「両利きって、あれだろ。凛に言われたやつだよな?」
「はい、そうっす」 - 221◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 11:29:57
「その才能をちゃんと開花させたいってことか?」
「はい。ブルーロックで生き残るには、この才能を活かさないと勝てません……!」
言葉に熱がこもってる。
普段はふわふわして、ちょっと抜けてる奴だけど、
根っこはしっかり野心家だ。
「……敵に塩を送るってやつだけど、まあいいか」
「え?」
「なんでもねーよ。とにかく、俺が分かる範囲で答えてやるってこと」
「……まずな、両手で箸使うのは普通に効果的だと思う」
「ほんとですか……!」
「だってさ、普段使わない方の手って思ったより動かすの難しいだろ?」
「何も考えずに動かせないから、頭使うしかねぇんだよ」
「その“考えて動かす”ってのが、結構大事でさ」
七星はこくこくと頷く。
真剣な目で、
俺の言葉を逃すまいとしてるのが分かる。 - 231◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 11:31:58
「サッカーは、ただ体動かせばいいってもんじゃねえ」
「“どう動くか”“どこで動くか”───全部頭使って決めるスポーツだろ?」
「だったらさ、頭を鍛える方法があるなら何だってやるべきだよな」
「はい……!」
「箸でトレーニングって、いかにも地味だけど。地味なことを継続するって、強くなるためには絶対必要なことなんだよ」
「俺は、そう思うぜ」
七星はペンを取り出して、
ノートに何かを書き込んでいた。
その姿があまりにも真っすぐで、
つい笑みがこぼれる。
「でもな───」
「?」
「手を使うだけじゃ意味がない」 - 241◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 11:34:19
「………え?」
「お前、分かってると思うけどさ。サッカーで手使ったらハンドだろ?」
「だから、“手でできること”を“足でやれるようにする”って意識が必要なんだよ」
「歩き方。立ち方。足の動かし方」
「全部、自分で“意識して変える”ってのが、いちばん効く」
「…………はい」
「これ、簡単なことじゃねえよ。たぶん、めっちゃ面倒だし、しんどいと思う」
「でもな?頑張れば頑張った分だけ、絶対に自分の力になる」
「ちゃんと、お前の“武器”になるからさ」
その言葉を聞いた七星は、ぱっと顔を上げた。
真剣な眼差しのまま、こくりと頷く。
「……ありがとうございます……!」
「凄いためになる話でした、流石は千切さんだっぺ……!」 - 25二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 11:39:34
このレスは削除されています
- 261◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 11:40:45
「いやいや、そんな持ち上げんなって!照れるだろ!」
「いえ、本当に…!今日来てよかったっす……!」
「……へへ、そっか、そう言ってもらえると嬉しいな」
「でもさ、感謝してるなら───」
「次はちゃんと、お菓子頼むぜ?」
「……はいっ!!次は絶対……!ちゃんと、持ってきます!!」
そう言って、深々と頭を下げた七星は、
晴れやかな顔で部屋を後にした。
「いい後輩だな、ほんと……」
「……俺も、負けてらんねえな。まずはスタミナ付けるために、明日からもっともっと頑張るか!」
そう言って、お菓子をひとつまみ。
栄養補給って大事だし、考えるの頭使うし。
湿気ったポテチをモサモサ食べながら、
心がぽかぽかする、良い時間だったと思った。
【相談終了:七星虹郎 ※お菓子約束済み※】 - 271◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 11:42:20
- 28二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 11:44:44
- 29二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 11:45:44
- 30二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 11:47:01
- 311◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 13:02:44
- 321◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 14:07:31
- 33二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 14:30:00
二子
「周りにオタクがいません。雷市くんあたりをオタクにしたいのですが、どうしたらいいですか」 - 341◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 16:27:56
【お悩み相談三人目:二子一揮】
日付が変わる直前、
夜の静けさが相談室を包んでいた。
「……今日はあと一人で閉店かな」
「んー……札に“お菓子くれ”ってもっとでかく書いとこ」
ポテチの袋をガサガサ───
………空っぽだった。
「うわ、マジかよ!空じゃん、最悪だわー」
肩を落としたタイミングで、
控えめなノック音が部屋に響いた。
「お、いらっしゃい」
扉を開けて入ってきたのは、
前髪が顔の半分を埋めつくしている男。
冷静で、少し口数少なめなタイプ……
かと思いきや、話し出すと止まらない一面もある。
意外と熱い男だ。
「よっしゃ、二子!まずはお菓子寄越せ!!」
「はい、どうぞ」 - 351◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 16:34:03
そっとテーブルに置かれたのは───
紅茶のフィナンシェだった。
二子のヤツ、
凄い洒落たお菓子持ってくんじゃん。
いや、センスあるわ。毎日来てもいいくらい。
早速ひょいと摘んで、口に放り投げる。
「……うん、悪くない。上品で俺っぽい味がするわ」
「千切くんっぽい味……?」
「何とぼけてんだよ、ブルーロックの中で俺が一番上品だろ!」
まあ、そんな冗談はさておき。
報酬は貰ったし、本題に移るか。
「さて、悩みは?」
「はい。実は……」
すっと姿勢を正し、
静かに語り始めたその内容は───
「……最近、オタクとして語り合える相手がいないのが悩みでして」
「ブルーロックの皆は、基本サッカー脳で僕の趣味の話を振っても反応が薄いんです」
「……ああ、まあ……うん、そっか………」 - 36二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 16:36:48
- 371◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 16:40:39
───うん、確かに。
いまの國神にアニメの話しても黙殺されそうだし、
潔とかはなんか常に考察してそう。
凛にいたっては、そもそも話聞いてくれなさそう。
……いや、ホラーならワンチャンいけるか?
「そこで……雷市くんをオタクにしたいなと」
「…………ん?」
「……オタクにしたい?」
「はい」
「いや、そういうのって……なるもんじゃないの?」
「でも、雷市くんは素質があると思うんです」
「感情が素直で反応がいい。好きになったものには一直線ですし、何より───推し活に向いてると思います」
「……あー……言われてみれば……」
雷市の顔が脳裏に浮かぶ。
ちょっと騒がしくて、単純で、
でも本気でハマったら全力で突っ走るアイツの姿。
「……たしかに、素質はあるかもな」 - 381◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 17:36:55
てか二子、めっちゃ真剣だな。
この手の話題が一番熱くなれるのか。
ふーん、勉強になるわ。
───さて、どうすっかな。
焼き菓子をもう一口。
紅茶の香りが鼻に抜けて、頭がすっと冴えてくる。
「なあ、二子。まず確認なんだけどさ、布教って興味がないと意味がないのは分かってるよな?」
「ええ、もちろんです」
「よかった。なら話が早い」
「雷市にオタク文化を広めたいなら──“まずはアイツが好きなものを使う”のが基本だ」
「……なるほど」
「ところでさ。アイツの好きな漫画とか知ってる?」
「……バキですね。ゴリゴリの格闘漫画です」
「あー……そういうの好きそう」
「じゃあ、二子の好きなジャンルって……またちょっと違う感じ?」
「ええ、違いますね。僕はカードゲーム系や、美少女系が主でして……」 - 391◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 17:43:08
「なるほどな〜……うん、分かった」
「そしたらさ、戦う系が好きってわかってるなら、そこからちょっとだけジャンルずらすのはどうだ?」
「ずらす……」
「そう。異世界ファンタジーとか、バトル系ラノベとか。肉弾戦じゃなくても、“強いやつが出てくる世界”ってのは、たぶん雷市好きそうだろ?」
「……たしかに。少年漫画的な“熱さ”がある作品なら、興味持つかもしれません」
「そうそう。そうやって、雷市が“受け入れやすい扉”から入ってもらうわけだ」
「で、そこからちょっとずつ、“二子の好きなやつ”に誘導していく、と」
「……段階を踏むんですね」
「うん。まあ、あれだ。“好き”をいきなり押し付けるのは、やっぱあんまよくないからな」
「お互いに楽しめるものから、少しずつ試していく。それが一番いいと思う」 - 401◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 17:45:38
二子は静かに、何度も頷いてくれていた。
それが素直に嬉しかった。
やっぱ、ちゃんと話を聞いて貰えるって嬉しいな。
「……ありがとうございます。とても参考になりました」
「おー、なんかあったらまた来いよ」
ぺこり、と深くお辞儀をしてから、
二子は立ち上がる。
前髪の奥にある目は見えないけど、
その足取りは、ほんの少し、
軽くなったように見えた。
「……実は、雷市くんが興味を持ちそうな作品、いくつかストックがあるんです」
「お、マジかよ!準備万端じゃん!」
「ふふ。早速明日から試してみます」
「よし、結果どうなったか教えろよー!」
そのまま、二子は扉を静かに閉じていった。 - 411◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 17:47:07
「……さて」
部屋には、俺ひとり。
空になった袋をひとつにまとめて、
ごみ箱に放り込む。
「今日は店じまいだな」
テーブルに残った、ひとつだけのフィナンシェ。
俺はそれを、そっとジポケットにしまい込んだ。
「明日は誰か来るかなー……」
軽く、あくびをひとつ。
背を伸ばして、
ドアの向こう、静かな廊下へと歩き出した。
なんか、悩みを聞いてた側なのに、
凄い気持ちがすっきりする。
いいことするって、やっぱ気持ちいいもんだな!
【相談終了:二子一揮 ※次回雷市のオタク化計画を確認する※】 - 421◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 17:48:45
- 43二次元好きの匿名さん25/08/06(水) 18:01:22
- 441◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 18:52:28
上手いこと思いついたから大丈夫だよ!一応ほぼ原作軸(脱落者が出る前のネオエゴあたり)だけど、冴が当たり前にブルーロックに存在してるからまたちょっと違った世界観になるのかな?
楽しみにしてくれてありがと!
- 451◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 19:03:12
【番外編・お悩み相談四人目:御影玲王】
目を開けると、見慣れた二段ベッドが目に入った。
……あ、これは夢だなってすぐに分かった。
だって今、五角形の変なベッドで寝てるし。
となると───時期的にここは二次セレクション。
同室は國神と玲王のはず。
國神は、うん、まだヒーローまっしぐらだった頃。
玲王は、凪に執着してて、
ちょっと怖いくらい真剣だった頃。
……おっけー、状況把握は完了。
そんなふうに頭を整理していたところで───
“ビョエ……グブゥ……ペホォ……”
変な音が耳をつんざいた。
何だこれ、鼓膜が破れそうな……
いや、破れたかもしれねえ。
っていうかマジでなにこれ、この世の終わり?
びっくりして起き上がる。 - 461◆DGCF6cUlCqNA25/08/06(水) 19:08:35
音の方を見たら───
玲王がリコーダー吹いてた。
…………は?
いやいやいや。
お前、そういうキャラだったっけ?
歯ブラシむしってる方が自然に見えるわ。
それでも真顔で、ちゃんとした構えで。
しかも、全力。
迫力だけは本物っぽい。
「……おーい、玲王?」
「……ああ、千切か」
「どうした、その……悲しい音出して」
「やっぱり……千切も、下手くそだって思うか?」
「いや、なんつーか……独特な音色っていうか……うん、個性的だなーとは思うけど」
「最近、リコーダー吹くのにハマっててさ」
「でも、あいつらに“公害”とか言われて、演奏禁止にされて……」
「俺は……上手く吹けてると思うんだけどな……」