- 1二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:16:50
- 2二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:17:36
便利屋68。ゲヘナで知らぬ者はいないであろう危険集団。手配書等で顔は知っていたが、実物を見るのは初めてだ。
その面々が、マフィアらしき集団と激突している。物量で攻めるマフィアに対し、4人は怯むことなく立ち向かっている。飛び交う銃弾が壁を抉り、爆発が激しく土煙を巻き上げる。
稀に見る激戦に目を奪われる私の足元に、小さなブリーフケースが落ちてくる。両者はこれを奪い合っていたのだろうか。私は咄嗟に拾い上げてしまう。
しかし、マフィアの銃口が私を見据える。しまった。気まぐれに見物に来るんじゃなかった。こんな物拾うんじゃなかった。覆せない後悔が私の頭を掻き回す── - 3二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:18:09
──瞬間、マフィアの身体が、至近距離から発射された散弾によって吹き飛ばされる。怪我をせずに済んだと安堵した私は、その場にへたり込む。視界の端には黒光りするショットガンが見える。
その銃を持つ生徒は、私とマフィア達の間に割って入る。華奢な体躯に黒い服を纏うその生徒は、迫り来る銃弾を物ともせずに次々とマフィア達を薙ぎ倒していく。
彼女は私ではなく、ブリーフケースを守ったのだろう。しかし、私の目には紛れもなく、人を守り、悪を倒すヒーローの様に映る。その背中に、私はときめき、見蕩れていた。 - 4二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:19:28
やがて銃声が鳴り止み、辺りは静寂に包まれる。立っているのは便利屋の4人。マフィア達は全員地面に転がっている。私は名作映画でも見終えたかのように呆然とする。
私を守ってくれた黒服の生徒が私に歩み寄る。
「それ…渡してくれますか…?」
私はブリーフケースを抱えていたことを思い出し、彼女に差し出す。まるでバレンタインデーにチョコを手渡す、恋する乙女のようだ。
彼女はブリーフケースを受け取ると、3人の方へ駆けていく。4人は達成感に満ちた声でなにやら話し、路地裏の闇に消えてゆく。 - 5二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:20:30
私の心には、先程の光景がしっかりと焼き付いていた。巻き込まれそうな私を守り、マフィア達の前に立ち塞がり、銃弾の嵐にビクともせず、何人ものマフィアを薙ぎ倒す姿が。
あんな風になりたい。あんな風に、強くなりたい。あんな風に、弱きを護れる人になりたい。
そんな思いが、私の心を満たす。退屈な日常で曇っていた心が晴れていく。なんの目標もなく生きてきた私の人生に、確かな夢が生まれる。
こうしちゃいられない。あんな風になるために、進まなきゃいけない。
そんな決意を胸に、私は歩き出す。
─Fin─ - 6二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:21:32
はじめてSS書きました。書いてて楽しかったです。
- 7二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:21:33
おお
- 8二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:25:17
なんだよ…結構書けるんじゃねぇか…
- 9二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:27:43
このレスは削除されています
- 10二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 22:54:51
もっと退屈な日常の部分を書いとけばと後悔してる
- 11二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 23:27:22
すげーな、淀みなくスルスル読めるのど越しが良い文章だ
初めてで分かりにくいところがひとつもないモノを書くとは大したものだぜ - 12二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 23:32:24
- 13二次元好きの匿名さん25/08/07(木) 23:55:04
ほんとに初めてかコレ?