- 1二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 10:59:20
- 2二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:00:51
- 3二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:03:49
- 4二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:05:43
私にはこの妄想をSSするだけの文章力が無いので失礼する
- 5二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:30:28
セルフサービス定期
- 6二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:31:59
「すみません、姫崎さん。今少しいいでしょうか」
聞きなれた声が背後からして、莉波は笑顔で振り返った。
そこに立っていたのは、初星学園プロデューサー科に所属する、莉波の担当プロデューサー。
お姉さんアイドルとして世間に知られる彼女にとっては頼れる相手でもあり、アイドルとしての方針を示してくれた可愛くて仕方のない「年上の弟」でもあり、幼少期からの付き合いがある相手でもあり。
なにより、アイドルである限りは秘めておかねばならない気持ちの向かい先でもある相手だ。
どうしたのPくん、といつものように応じて、その顔を見てふと気づく。
「……あれ、なんだか困った顔してる?」
「わかってしまいますか。流石に隠せませんね。実は姫崎さんに折り入って頼みたいことがあるんです」
「頼みたいこと? ……いいよ、なんでも言って。可愛い弟くんの頼みだもん、お姉さんが力になってあげちゃう」
「ありがとうございます。では……」
プロデューサーが一息、そこで呼吸を挟む。いつも淡々と、冷静に物事を進める彼にしては珍しい間の空け方だった。
どうやらそれくらいに覚悟のいる言葉らしい、と思うと恋する思春期としては「もしかして」なんて気持ちが少しも湧かないというのは嘘になってしまうわけで。
少しどぎまぎしながら次の言葉を待つと、出てきたのは。
「女性ものの服の選び方と、メイクの仕方を……教えていただけないでしょうか」
そのような、予想とどこまでも異なる言葉であった。
「……それは、あれかな」
暫くの沈黙を置いて、莉波の口から零れ出た言葉は、口にした本人が思わずぎょっとするほどに震えていて、そのくせロボットのように平坦な声音だった。
「だれか、好きな女の子にプレゼントするとか、そういう……?」
「いえ、違います。断じてそういうものではなく」
「じゃあ、なんで」
「……説明しますので、一度深呼吸を。お姉さんにあるまじき怖さが出ています」 - 7二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:33:43
言われてようやく我に返り、莉波は一歩離れる。どうも意識していないうちに胸倉でもつかみそうなくらいに顔を近づけてしまっていたらしい。
それを待ってから、ようやくプロデューサーは「罰ゲームですよ」と語った。
「昨日、友人と少し勝負をしまして。それで負けてしまったので、罰ゲームを受けることになりました。その内容が、その、女装ということで」
「つまり、Pくんが女装を?」
「はい。その姿で一日講義を受けて、誰にも正体をばれないようにするチャレンジをさせられることになりました」
それはまた、なんというか。
自分より年上ということを差し引いても、同世代の中でかなり大人びている部類だと思っていたプロデューサーから出た言葉はむしろ年相応より少しばかり悪ノリが過ぎているようにも見えて、莉波は思わず声を上げて笑ってしまった。
「……そう笑われると、居心地が悪いのですが……」
「あはは……ごめんね、なんていうか、Pくんも男の子だなあって」
「子供じみた悪ふざけなのは否定できませんね」
「だめって言っているわけじゃないよ? 面白いことをする友達、ちゃんといるんだなってお姉さん安心しちゃった」
ひとしきり笑ったあと、よし、と拳を握って気合を入れる。
せっかく、こんな面白おかしいことでも自分を頼ってきてくれたのだ。
ここはひとつ、お姉さんとして本気で協力してあげなければなるまい。そんな気持ちがみなぎっていた。
「それに、罰ゲームってことは負けたんでしょう? Pくん顔に出さないけど結構負けず嫌いなところあるよね。悔しかったんじゃないかな」
「まあ、それは、はい」
「だったら、逆にこの罰ゲームで驚かせちゃおうよ。友達もビックリするくらい、本気で綺麗な女の子の恰好を見せちゃおう!」
まずは似合う服選びだろうか。それとも先にメイクの方向性を決めてから?
男性を女装させる経験など一度もないから、まずどこから手を付けたものかと考えていた莉波は、ひとつ。
前提にして基本的な懸念事項を失念していたことを、後になって思い出す。
彼女のプロデューサーは凝り性で、そして全体的に見た目が良いのだ。
- 8二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:52:11
***
「できた……! けど、これは……!」
必要になりそうなものを一通り買って、使い方や全体的なプランを練り、そうして翌朝そのプラン通りに取り組んで。
莉波は達成感に包まれながら、改めて目の前の姿を眺める。
そうして思ったことをそのまま口に出す。
「……まさかここまで化けるなんて」
「俺も同じことを思っています。その、こういった場面では定番だそうですが。これが本当に俺ですか?」
渡された手鏡で出来栄えを確かめるプロデューサーの声には、ありありと「そんな馬鹿な」という感情が見えている。
まあそれも当然だろう。
ウィッグで髪を伸ばし、高い背をむしろモデルのような姿勢で活かし、もともと整っていた目鼻立ちはほとんど最低限のメイクだけで違和感なく仕上がった。莉波が貸してあげた服も、まるで彼女自身が着ていた時とは別の服であるかのように、スラリと綺麗にまとまっていた。
さすがに至近距離で顔をまじまじと見られたり、声を聞かれれば誤魔化しようが……いやそれでも一日普通に過ごすだけで即座に化けの皮が剥がれるような代物ではないだろうと、そう確信を持って言える。会心の出来であった。
ちょっと立ってみて、と頼んでみると、やはり自分より頭一つ以上高い背丈が普段は男の人らしさの一端のように思えていたのに、今この時はただただスラリと伸びた綺麗な手足に見惚れてしまう。
「どうでしょうか、姫崎さん」
「う、うん。あとはちょっとした仕草くらい、かな。ただ立ってるだけでも、もう雑誌のモデルさんにしか見えないよ」
「それはよかった。仕草というと……こう、でしょうか」
- 9二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:55:10
言いながら、プロデューサーがそっとこちらの顔を覗き込むように軽く小首をかしげ、片手を利波の頬に沿えるように伸ばし、優しく微笑む。
空いたもう片方の手はそっと自分の目元を指さすように、頬に当てる。
どこかで見たことがあるそのポーズは何だっけ、と思う気持ちが、目の前の「美人過ぎるお姉さん」にドキドキする心臓のせいで全く考えとしてまとまらない。
「以前、オーディションの宣材として撮っていただいた姫崎さん自身の自撮りポーズを真似してみましたが……変でしょうか」
「変、ではないけど……! 変じゃないけど、それは、そのぅ……他の人にはしないでほしい、かな」
これは駄目だ。多分このポーズをこの美人のお姉さんがやったら本気で恋に落ちる人が出てくる。
それは困る。
何で困るのかは言えないから余計に困る。
不思議そうに、けれど「わかりました、では他の考案したポーズも見ていただけますか」と続けるプロデューサーを見ながら、莉波はそう思った。
「……まって、他にもポーズ考えてあるの?」
「ええ。どうせやるからには、そして姫崎さんに協力いただくからには、生半可なことをするわけにはいきませんから。昨日寝る前に一通り調べて、自分がする女装の方向性的に違和感の無いポーズ、立ち姿などはそれぞれ何パターンか用意してあります。ぜひ判定を」
「うーん……全部見てたらそれだけで一日が終わるんじゃ……?」
その後大学で一日を過ごしたところ、プロデューサーはその日のうちに実に5名もの男子学生から呼び出され、告白されてしまったという。
友人は大爆笑だったもののこれ以降時々「また女装しないか」と持ち掛けられるようになった、と嘆くプロデューサーの愚痴を聞かされた莉波が何とも言えない複雑な気持ちになるのだが、それはまた別の話。
- 10二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:56:35
- 11二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:58:24
- 12二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 11:59:01
有能オブ有能
- 13二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 12:18:46
- 14二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 18:09:19
おいおい、まさかこれで終わりなんて事ないよな?
書けるネタいっぱいあるだろう
実際に女装して講義を受けてる最中の風景とか実際に告白されている時の対応だとか、それを見守っていて男に告白される女装学Pを見てハラハラしているお姉ちゃんとか
夢が膨らむだろうが