- 1二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 21:57:46
仄かな月明かりが照らす廃校舎の中、4人の生徒たちが集まっていた。
ヒヨリ「つ、ついに始まるんですね…!」
ミサキ「うん」
ヒヨリ「でも、苦しいんですよね…?辛いんですよね…?」
ミサキ「大丈夫、苦しいのは生きてる証拠」
アツコ「………」
ミサキ「…どうでもいいでしょ、裏切り者のことなんて」
そんな3人のやり取りを横目に、ショットガンを装備した少女…『才羽モモイ』はぽつりと呟く。
モモイ「…この感じ…明日は雨になるね」
彼方には黒い雲。微かに感じるじめりとした空気。それが雨の予兆であることは明らかだった。
モモイ「…作戦決行に支障なし。それに、思い知らせてあげないとね。裏切り者の先輩に…この世界の真実を。」
Vanitas Vanitatum, et omnia Vanitas.(全ては虚しい。 どこまで行っても、全てはただ虚しいものだ) - 2二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 21:59:42
- 3二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 21:59:58
期待
- 4二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:22:03
元スレ見てみたけど結局設定が固まらずに終わったのか
どうなるかな - 5二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:40:43
楽しみだ
- 6二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:48:54
才羽姉妹とサオリの設定をどう調理するか楽しみ
- 7二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:54:51
今日は書かないのかな?10まで上げとくか
- 8二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:57:37
すみません、上に書き忘れた注意事項ですが流石に元スレで出てきたネタを全て拾えたわけではないのでそこもご容赦ください
- 9二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 22:58:57
まあ元スレでも設定が右往左往してたしね
- 10二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:01:31
あ、それと時系列が若干異なる部分もあります…
注意事項が多くて申し訳ありません - 11二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:04:26
サオリ「んん〜…っ…んんん〜…!」
ミレニアムサイエンススクール。その中にあるゲーム開発部の部室にて、シナリオライターの『錠前サオリ』はPCの画面を前に唸り声を上げていた。
ミドリ「…お姉ちゃん、もう少し静かにできない?」
サオリに対して不満をぶつけるのは『才羽ミドリ』。ゲーム開発部のグラフィック担当で、サオリの義理の妹だ。
サオリ「…あぁ…ごめん、ミドリ」
ミドリ「…締切まで近いんだよ?折角ユウカに土下座してまで期限を伸ばしてもらったんだから…」
サオリ「それはそうなんだが…どうにもいいネタがない…」
アリス「アリス知ってます!これはスランプですね!」
ミドリ「スランプというか、いつもの事というか」
サオリ「…辛辣だな…」
部室で行われるいつも通りの会話といつも通りの日々。少なくともこの時の二人は、特に大きな波のない日常を過ごしていた。 - 12二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:20:33
サオリ「インスピレーションが、ほしい」
ミドリ「キメ顔で言うことじゃないよそれ」
ミレニアムの休憩室にて、サオリとミドリは他愛もない会話を交えていた。
『─トリニティ総合学園では、ゲヘナ学園との平和条約、通称『エデン条約』の調印式が行われており─』
そんなテレビから流れる音を聞き、二人は昔を思い返す。
サオリとミドリ。二人は姉妹ではあるものの、血の繋がりのない義理の姉妹であることは、ミレニアムの生徒なら誰もが知っていることだ。(そもそも苗字が違う)
しかし、彼女らの生まれやミレニアム学区に来るまでどこで育ってきたのかについて知っている人間というのはほぼいない。
二人があまり語りたがらないというのもあって、彼女らの出自を知っている人間は殆どいない。 - 13二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:22:36
どのパターンかな…
- 14二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:27:15
二人は元々、アリウス自治区と呼ばれる場所の生まれだった。
トリニティ総合学園の設立に深い因縁のあるアリウス分校を中心とした自治区であるが、アリウス自体が歴史の闇に葬られたような形で表舞台から消えたこともあり、その存在を知る人は少ない。
そんな環境な上に、内戦も勃発してたのだから、子供にとっては生き地獄といっても過言ではなかった。そんな内戦に巻き込まれる形でサオリは友と、ミドリは双子の姉と離れ離れになった。
お互い独りぼっちになった二人は、アリウスには戻れないということもあって姉妹のように支え合って生きていくことを決めた。
放浪を続けミレニアム学区に辿り着き、そこで優しい大人に拾われ、ミレニアムサイエンススクールへ入学することになった。
ミドリはサオリのことを姉と呼び慕っているが、サオリはミドリのことを大切にこそ思えど、自分のことをミドリの姉とは思っていない。ミドリには双子の姉がいる。彼女が今も生きているかはわからないが、そんな彼女を押し退けてまでミドリの姉になろうとは思えなかった。
それもあってか当初の関係性は相当ギクシャクとしており、傍目から見るとあまり仲の良くない姉妹といった感じだった。 - 15二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:47:19
そんな二人が今のようになったきっかけは、ゲームだった。
ミドリ「お姉ちゃん、これ…一緒にやろ?」
サオリ「…?『テイルズ・サガ・クロニクル』…?」
ミドリが見つけてきたそのゲームを、二人で遊んだ。独特な世界観と風変わりなシステム、そして何よりそのレトロな雰囲気に、二人はハマっていった。
それからゲーム開発部に入部してから色々あった。
ミドリの書いた絵をバカにした古代史研究会を襲撃したこと。廃墟に行ってアリスを見つけ、結果的にセミナーを襲撃したこと。そして、リオ会長に破壊されそうになったアリスをみんなで助けに行ったこと─
今ではこうしてミドリとの距離感も掴めてきた。しかし、サオリの中にはしこりが残っていた。
ミドリの実の姉を差し置いて、私が彼女の姉を名乗る資格はあるのか…。答えの出ないその問いを、サオリはコーラを飲みながら考えていた。
その時─ - 16二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:48:45
『ドガァァァァァン!!!!』
響く爆発音。
それが発せられたのは、テレビの向こう側からだった。
思わず顔をテレビの方に向けると、そこには燃え上がるトリニティの大聖堂が映っていた。
そこにいた全員がその映像に釘付けになる。しかしながら、その光景は少なくとも今の段階では、ミレニアムの生徒にとっては対岸の火事だった。
…とある少女を除いて。
一瞬。本当にほんの一瞬。映像の向こう側。炎が上がる古聖堂に向けて、不敵な笑みを浮かべる─
ミドリ「………お姉………ちゃん…?」
─才羽ミドリに瓜二つの顔が、映っていた。 - 17二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:50:10
なるほど…まあエデンとパヴァーヌは全く接点無いしね
- 18二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:52:11
というわけで時系列はパヴァーヌ2章後です
矛盾は発生しないはずなので大丈夫だと思います - 19二次元好きの匿名さん25/08/08(金) 23:57:02
やばい、待ちきれないわ
- 20二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 08:25:46
期待の保守
- 21二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 10:22:11
テレビの映像を見て、ミドリはいてもたってもいられなかった。
サオリ「待てミドリ!何処に行くんだ!」
サオリの呼び掛けを無視して、ミドリはトリニティへと向かおうとした。しかし、ミレニアムからトリニティへ向かう駅の前でサオリに捕まった。
ミドリ「離してお姉ちゃん!!」
ミドリはシタバタと体を動かし、抜け出そうとするがサオリの体はビクともしない。
サオリ「いきなり駆け出したかと思えば…トリニティに行くつもりか?」
ミドリ「…」
サオリ「…今行って何をするつもりだ?あんなことがあったばかりだぞ?危険すぎる。そもそも行ったところで何を…」
ミドリ「…お姉ちゃんが…」
サオリ「?」
ミドリ「…私のお姉ちゃんが…いたの」
サオリ「!?」 - 22二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 10:23:28
『私のお姉ちゃん』。この言葉が自分を指していないということを、サオリはわかっていた。
ミドリには双子の姉がいた。アリウスの内戦で逸れてしまい、そのまま離れ離れになった姉。
私とは違う。本物の姉。
彼女が、トリニティの襲撃に関わっていたとするならば、いてもたってもいられなくなるのは確かだ。
…それに、仮に彼女がこの襲撃に関わっているとするならば、この襲撃にアリウスそのものが関わっている可能性もあるかもしれない。
ミドリ「優しかったお姉ちゃんが、こんなことをするなんて信じられないけど…でも…ッ!お姉ちゃんが、こんなことをしてるなら…なんとしてでも止めたいの…!!」
涙を浮かべながら、必死にそう話すミドリ。
サオリ「…わかった」
本来ならば、『姉』として止めるべきなのだろう。だが─
サオリ「…私も行く」 - 23二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 10:27:40
- 24二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:10:00
調印式の会場となった古聖堂。周辺の光景は悲惨そのものだ。
そんな中で先生はゲヘナの風紀委員長『空崎ヒナ』と行動を共にしていた。
“…大丈夫?ヒナ…”
ヒナ「これくらいなんてことない…」
どう見てもなんてことないわけないが、ヒナは鋭い目つきのままそう答える。
刹那、銃声が響く。
ヒナ「ッ!先生!!」
ヒナは先生を庇うようにして銃弾を避ける。
先生とヒナが目線を彼女に向けたのはほぼ同時。しかし先生はその顔を見て、思わず声を漏らしてしまう。
“ミドリ…!?”
そこに居たのは、ミドリと瓜二つの顔をした少女だった。 - 25二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:14:25
モモイ「…ゲヘナ風紀委員会、委員長の空崎ヒナ…それに、シャーレの先生だよね?」
ヒナ「…く…!」
モモイ「手負いの状態で、戦えない人を庇いながらここまで戦えるなんてね…流石だよ。でも…」
ミドリの顔をした少女は、無骨なデザインのショットガンを構える。
モモイ「いい加減、楽になっていいんだよ?」
ヒナ「…舐めないで…!」
そうして始まった戦闘。しかし万全な状態でないヒナは防戦一方のまま…。
ヒナ「…う…」
限界を迎え、倒れてしまった。
“ヒナ!”
モモイ「…虚しいね。ここまでやって、守りきれずに終わる」 - 26二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:18:28
“…どうして、こんなことを?”
モモイ「…アリウスの名の下に、エデン条約は調印された。私たちが、新たな『エデン条約機構』…。難しいことはよくわかんないけれど、私たちは邪魔な存在を排除できる力を手に入れたんだ」
先生にショットガンの銃口が向けられる。その目からは、何かに対する強い憎しみを感じさせた。
モモイ「トリニティとゲヘナ…いや、このキヴォトスに…私たちが募らせてきた憎悪を思い知らせるんだ」
“…キミは、一体…”
それは純粋な疑問だった。
ミドリの顔をしていながら、ミドリではない。そんな彼女が何者なのか、知りたかった故の言葉だった。
モモイ「…アリウススクワッド、才羽モモイ」
才羽。それは確かミドリの苗字。この子、もしかして…!
モモイ「…シャーレの先生…あなたが計画の一番の障害になりそうだって、彼女も言ってたからね」 - 27二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:24:40
当然だが原作モモイとは全然違うな…
- 28二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 17:43:51
多分本編モモイがこのお馬鹿さんがの光で士気をぶち上げたシーンも、
アリスを失いたくないっていう悲壮な決意でぶち上げたシーンに変わってたり、色々細かな変化があったんだろうなぁ - 29二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 18:18:08
回想でパヴァーヌがどんな感じだったかも書いてほしいなぁ…流石に脱線しすぎか
- 30二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 18:47:00
元スレも好きだったので期待してます