- 1二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:18:39
マッチングアプリで同僚関係の胡蝶しのぶと冨岡義勇がマッチングした世界線のスレです。
ぎゆしの要素が多分に含まれます。
今のところはないですが展開によっては他のCP要素も含まれる可能性があります。
スレ主は前スレのスレ主とは別人です。
前スレ↓
しのぶ「暇だったので」|あにまん掲示板しのぶ「マッチングアプリ使ってたら、冨岡さんが来ました。居た堪れない空気感がすごいです」bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:19:45
これまでのあらすじ
はじまり(前スレ130)
しのぶさん…暇だし登録したら「鮭大根」という変な名前の人とマッチング。変な名前とは違って丁寧で誠実な文章がしのぶさんにはヒット。好印象を抱いたので、試しに会ってみるものの相手はまさかの同僚だった。
義勇さん…友人作りとして宇髄に勧められて登録。
「紋白蝶フグ」という奇妙な名前の人とマッチング。最初は渋々だったがメッセージでのやり取りが意外にも楽しかったこともあり、宇髄に相談して会ってみることにした。
相手はまさかの同僚だった
何度かデートをして楽しむも友人関係から全く進展しない(前スレ183)
胡蝶といっぱい話せて楽しい(胡蝶といっぱい話せて楽しい)胡蝶と出かけるの楽しい(胡蝶と出かけるの楽しい)な冨岡さんとあれこれ考えたり意識しちゃってぐるぐるしてるしのぶさん
周囲(宇随さん、カナエさん等):くっつけよう - 3二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:30:34
たておつ
- 4二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 12:34:54
乙です
義勇さんの誠実な文章が好印象になるのリアルで笑う - 5二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 13:24:41
お互いがお互いにあれなので周囲が気ぶったり気を揉んだりしているの草
まあ友達を作るアプリだと聞かされてる方の冨岡さんの方は本来の目的聞かされたら「俺には必要ない」でバッサリしそうだからしゃーないが - 6二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 13:29:12
一緒に話すことが楽しいのだから早く付き合っちゃえよ!
- 7二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 14:57:44
宇髄さんは面白がってないで元凶としてお世話焼いてあげて
- 8二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 15:04:56
多分派手柱は別に持ってる競泳水着でいいだろうと友達と遊ぶつもりで行こうとしている冨岡を水着買わせに引きずって行ってる
しのぶさんの方は姉と恋柱に水着を買いにつれていかれて水着を選定されて混乱している - 9二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 15:38:06
派手柱は面白がっているのか世話焼いてくれているのか
- 10二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 16:12:08
半々じゃねえかな
途中までは完全に派手にからかってただけだけど - 11二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 16:25:39
- 12二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 16:32:46
竈門炭治郎は夕日の照らす道を二人で歩いていた。
先刻、片手にショッピングバッグを手にした兄弟子が家路につくところを見かけて声をかけた。
「義勇さん、何か買い物に行ってきたんですか?」
なんの気もなしにそう聞くと宇随と水着を買いにいってきたとの返答があった。
「水着ですか?あ!ひょっとしてこの間、俺がプールが楽しかったって話したから義勇さんも行くんですか?
宇随さんと行ったらすごく楽しそうですね!」
「いや、胡蝶と二人で行くつもりだ」
「え?しのぶさんと二人で行くほど仲よかったんですね」
「ああ、しばらく前にマッチングアプリでマッチングして今ではいい友人になれたと思っている」
一人満足そうにムフフと笑う義勇。
それを聞いて炭治郎は思ったことをそのまま声にした。
「へえ~!マッチングアプリって友達も作れるツールだったんですね!
俺使ったことないからてっきり恋人を作るだけのツールだと思ってました!」
そう言われて義勇はきょとんとした顔をする。
「???…恋人?」
「え?俺は今までそういうイメージしかなかったですけど?」
曇りなき眼で疑問を疑問で返したところ、兄弟子の顔色がさっと変わった。
「…聞いていない…」
義勇から突然、焦りと怒りの匂いがして炭治郎は困惑した。
「あ、あの…義勇さん?」
「すまないが、宇随に確認することができた」
義勇はさっと踵を返すと一瞬で走り去っていった。 - 13二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 20:17:08
これが吉と出るか凶と出るか
- 14二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 21:04:53
と、友達を探す場合もあるから…
- 15二次元好きの匿名さん25/08/09(土) 22:13:10
雛鶴は突然の客人の来訪に驚いていた。
訪ねてきたのは夫である宇随天元の同僚冨岡義勇である。
宇随はいないかと問われたが生憎まだ戻ってはいないと告げると少々彼は眉を動かした。
今日は確かこの同僚と一緒に出掛けると聞いていたはずなのだがどうしたことだろう。
「天元様は今夜はまきをさんの順番でデートデーだから結構遅くなると思いますよ~?」
そう話しながら家の奥から須磨が出てくる。
「おそらく今は連絡つかないかと思いますが、上がってお待ちになりますか?」
そう雛鶴が伝えるが冨岡は提案を固辞しそのまま帰っていった。
「えー?何の用だったんですかね??」
須磨と雛鶴に疑問を残したまま去っていった冨岡義勇の胸中は焦りと怒りが同じくらい混在していたのが
今ではほとんどが焦りへと変わっていた。
炭治郎のように匂いで感情のわかる者でないと表面上は涼やかでとても動揺しているようには見えないのだが。
宇随に「友達探しのツール」だと言われてマッチングアプリなるものを利用してきた。
しかし今日、弟弟子にそれを伝えたときの反応に義勇は嫌な予感がした。
きっちりと宇随に確認したかったのだが主人不在の家で長時間奥方たちと待つのも
一緒にでかけている奥方の邪魔をして無理に連絡を取ろうとするのも適切ではないと判断した。
宇随の性格と炭治郎の性格と状況を鑑みて推定するしかない。
おそらく宇随も炭治郎も嘘は言っていないだろう。
ただし宇随は嘘は言ってはいないが真実もあえて全部言っていないのではないか?
つまり、マッチングアプリとは一般的には炭治郎の言うように「恋人探しのためのツール」であって
宇随の言う「友達探しのツール」としての利用は例外的なものなのではないか。
そうだと知っていたら利用することはなかっただろうに。 - 16二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 03:13:10
なんかもやもやしながらお互いプールに行きそうだな
- 17二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 04:48:58
2人ともすれ違っているなあ
- 18二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 09:44:50
冨岡義勇は自室の机の前で腕を組んで微動だにせず座っていた。
これ以上はないだろうというほどに眉間にしわを寄せながらひたすら思考を巡らせる。
自分の推論が正しいのかどうか改めて自分なりに調べてみたがどうやら間違いはなさそうだと確信した。
と、なると…これまでの経緯を振り返ってこれはまずいことになったと思った。
宇随に対して怒りはあるものの自分一人だけの問題だとしたらたとえ彼がからかっていたのだとしても
世間知らずな自分にも多少なりとも非はあるだろうからそこまで追求もせず不問にしてさっとこの件はおしまいにしてもよかった。
だが実際には胡蝶を巻き込んでしまっている。
そうまさに明日、彼女と会う約束をしてしまっている。
待ち合わせの時間まですでに12時間もない。
胡蝶との約束をとても楽しみにしていたが前提が崩れてしまった今、話は違ってくる。
胡蝶も友達を探すツールで友達を探していてお互い納得して友達になったとばかり思っていたが
自分のようにマッチングアプリの利用目的を勘違いしていたわけではないのなら胡蝶は恋人を探していたということになるのだ。
ここでふとマッチングして初めて会った日の胡蝶の言葉を思い出す。
「割と楽しかったので、友達からということで」
あのときはただ友達になることを了承してくれたのだと思って喜んでいたのだが
「から」という言葉の意味に今更ながら冷や汗が出るようだった。
これまでの経緯を全て説明して誤解だったと謝りたいし普段の自分ならすぐにそうしていただろうが
彼女の楽しそうな笑顔が頭をよぎり、自分がすべてを明かした場合に彼女がその笑顔を失ってしまうと思うと
胡蝶に連絡をとるのがとてもためらわれた。 - 19二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 10:43:44
冨岡さんは認識さえ間違えてなければ洞察力や判断力はあると思うんだ
- 20二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 12:26:57
胡蝶しのぶはまだ朝だというのにじりじりと焼け付くような日差しの中、冨岡義勇と並んで歩いていた。
お互いに待ち合わせの時間より少し早く到着するのはいつも通りのことで
そして先にいたほうが異性から声をかけられているところに後から来たほうが割って入って
絡んできている人物を退散させるのもいつものことだった。
今日もしのぶがナンパされているところに義勇が到着して助け舟を出してくれた。
目的地への道すがら、しのぶは「冨岡さん、先ほどはありがとうございます」と礼を言ったが
「いや、…」と言葉を濁してそのまま押し黙ってしまった。
(どういう気持ちの表情?)
見た目や言動から気持ちなんてほとんどわからないようなほうが彼らしくはあるのだが
なんだかずっと何かを考えていて、心がここにあらずといった気配がする。
これまでデートしていたときにも何を考えているかわからないことは多かったが
少なくとも意識はその場にあった…と思うのにこれはどうしたことだろう。
(やっぱり…)
デートをしてみたうえで恋人としては考えられないと思って
今日断りを入れるつもりでそのことを考えていたりするのだろうか?
(まあ、それも仕方がないですよね…)
以前だったら知らなかった文章で綴られる彼の誠実な人柄のメッセージからして
そういったことはしっかりと熟考してきちんと線引きをするのだろう。
(じゃあもう一緒に出掛けるのも今日で最後かもしれませんね)
しばらくそのまま無言で歩いて、誰もがはしゃいで騒ぐ今日の目的地が視界に入ってきたが
今の自分の気乗りのしなさで向かうのはふさわしくないような気がした。
だからといっていくのを今からやめようとも言いづらい。
せっかくはじめて彼から提案してくれた行き先で嬉しかったのになと思うとほんの少し心がチクリと刺されたような気がした。 - 21二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 13:49:19
すげえ
ほんとの小説みたい - 22二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:09:25
- 23二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:38:39
冨岡義勇は内心戸惑っていた。
「何度もすみません、冨岡さん」
着替えのために別行動をしていただけで次に胡蝶しのぶの姿を見たときにはまた彼女は見知らぬ男性から話しかけられていて
朝の待ち合わせのときと同じように割って入ることになった。
彼女は容姿だけで抜群に人目をひき、異性から引く手あまたな存在だと今更ながらに認識しなおす。
たしかに胡蝶しのぶは美人だ。
飛びぬけて整った顔立ちをしている、それは以前から認識していた。
が、これまでそれをさして気にとめてはいなかった。
同僚として気にすることは仕事の能力であるし、友人としては一緒に遊んで楽しいかが重要だからだ。
しかし…昨晩からずっと考え続けていることには影響がある。
『異性から引く手あまたな存在であるはずの胡蝶が一般的には恋人を作るためのツールを使い
何度もこうして自分と会っているという事実からして彼女からは恋人候補として見られている可能性が高い』
なんで?としか思えない。
そもそも同僚としての付き合いの印象は胡蝶は姉のようにやたらと世話を焼いてくるしっかり者の人物だった。
手のかかる子どものように思われていないだろうかと思うこともしばしばだった。
その胡蝶が、だ。
彼女だったら他にいくらでも彼女のお眼鏡にかなう相手を探せるだろうによりによって自分などを相手に考えているようなのだ。
普通ならありえない、思い上がりも甚だしいとこんな考えを一蹴するはずが状況がそれを許さない。
「もしもーし?冨岡さん聞いてます?」
あまりに考えすぎていたためか胡蝶から訝しまれ声をかけられ
意識をあらためてしっかり胡蝶に向けなおした。
すると普段はあまり露出の多い格好をすることの少ない彼女の白い肌に気づいた。
「どうしました?もう熱中症にでもなったんですか?」
「…問題はない」
思わず視線を逸らす。
少し動揺したせいだろうか、漠然と考えてはいたことを再度認識する。
『自分が彼女を恋人候補だと思っているように彼女からは見えている』 - 24二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:39:03
- 25二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 15:51:00
読んでいてすごく面白いので応援してます!!
- 26二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 16:12:27
めっちゃ良いです!!
尊いです!! - 27二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 16:17:20
義勇さん、寡黙なだけで本当は思慮深い人なんだよなあ
- 28二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 16:37:34
- 29二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 18:31:08
やばい、おもしろい
続き待ってます - 30二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 18:50:02
甘露寺蜜璃は大きくため息を吐いてうなだれる彼女の親友を励まそうと必死だった。
親友の胡蝶しのぶが共通の同僚である冨岡義勇とプールデートをするというので
先日、蜜璃は大喜びで一緒に水着選びに付き合った。
そしてそのプールデートの日の話がしたいとしのぶに呼び出されウキウキしながらお茶することにしたのだが。
「なんなんですかね…本当に訳が分からないですよ」
最初から彼女のテンションはひどく落ちていた。
しのぶはいつもは落ち着き払って冷静にふるまってはいるがよほどのことがあったときにだけ
その感情を露わにするがいつもなら信頼されていて嬉しいと思うそれがあまりの落ち込みっぷりに
蜜璃までなんだか動揺してしまっていた。
一体全体何があったの?と聞くことも憚られたが何も聞かずには話は始まらない。
「特に何もなかったんですよ、なんにも」
しのぶ曰く、1日中、冨岡義勇はぼーっと考え事ばかりしているように見えて
いつも以上にまともな会話ができなかったというのだ。
遊びに行ったという手前、スライダーに乗りませんか?と誘ったりかき氷食べます?と提案したりして
実際、行動にうつしたのだがほぼほぼ反応が返ってこなかった。
これまでなら言葉の足りない彼なりにぽつりぽつりとでも感想の一言でも発していたのに。
「いよいよこれはお断りされるんだろうなと思っていたんですよ」
ところがそれすらも彼は何も言ってこないまま帰ろうとしたらしい。
「それで、『冨岡さん、何か言うことがあるんじゃないんですか?』って聞いたんです」
『胡蝶は…何か言うことはあるのか?』
『!?…何ってお別れの挨拶か何かですか?』
『ああ…じゃあまた』
「え?それだけ?ど、どーいうことなのしのぶちゃん?」
「知りません、こっちが聞きたいですよ」
おまけにと言ってしのぶが見せてくれたメッセージには相変わらずの丁寧な文章でデートの礼が書かれていたが
【貴殿と肝胆相照らすこと喜ばしく思います】としめられていた。 - 31二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 20:27:36
まきをは夫の大声に驚き、手にした盆の茶碗を落とさぬよう慌ててバランスをとりなおした。
最近、夫である宇随天元が面白がってかまっている同僚の冨岡義勇が訪ねてきていて
お茶を出そうと主人と客人のいる部屋の扉に手をかけた瞬間、何やら上機嫌な夫の大声がしたのだ。
「失礼します」
「ん、まきを、お前も聞いていくか?とうとうこの朴念仁の冨岡が真実に気づいたってよ」
「宇随…奥方たちにも話していたのか」
「いや~?お前が友達を作りたいって、別に話題にして差し支える話じゃないだろう?」
「それはお前があえて伏せていたせいで事実誤認したことだろう」
抗議する冨岡の言葉は無視して宇随はニヤニヤと笑いながら尋ねる。
「で?今日、わざわざうちにまで来たってのはその抗議だけがしたいだけってわけじゃないだろう?」
うっと言葉に詰まる冨岡がちらりと一瞬こちらに視線を向けたのをうけて
まきをはお茶出しのお役御免とそそくさと部屋を出ていくことにした。
多少興味がないではないがどうせ二人で話したところで後から天元様は私たち3人に面白おかしく話すことだろう。
そう思っていたのだが
「なんじゃそりゃあ!?意味がわからんだろーが!!」
という特大の声ですべてが筒抜けとなってしまった。
「じゃあ胡蝶にお前がこっから付き合う気があるかどうか確認のために
『何か言うことがあるんじゃないんですか?』って聞かれて
『何か言うことはあるのか?』って聞き返したのは絶対に胡蝶はどう思ってるかって聞いたことになってるだろ
てか『お別れの挨拶か何かですか?』って言われたってことは胡蝶は
お前から付き合いの別れを突き付けられると思ってたってことじゃねーか
そのまま今日のさよならの挨拶言うやつがあるかっ!!」
「まて宇随、胡蝶はそんな風に思っていたのか?」
「わかんねーけどそりゃそうだろうが!
そのうえでメッセージで『あなたと仲良くできて嬉しいです』とか支離滅裂すぎるわ
そりゃ胡蝶だってどうメッセージ返せばいいかわからず返事こねーわ」
「ど…どうすればいい?」
「どうもこうも…あー、まずはそのどうすればいいって冨岡は胡蝶と付き合いたいって意味だととっていいわけ?」
「え?」 - 32二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:05:21
恋愛相談…尊い…
- 33二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:09:00
普段あんだけ仏頂面でコミュ症の奴があんなまともなメッセージ書くと思わねぇよな
ましてやしのぶさん相手
音柱も予想外の出来事が多すぎる - 34二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:04:50
宇随天元は冨岡義勇のポカンと口を開けて間の抜けた顔に「おいおいマジかよ」と呆れた。
「じゃあどうすればいいってどういう意味だよ」
「胡蝶をメッセージも返さないほど怒らせてしまったようなので詫びたいという意味だが」
「謝って?関係修復したいって?」
義勇はコクリと頷く。
「これからも友達でいたいって意味か?胡蝶からは恋人候補扱いされてんだろうに?」
「それはさっき宇随が言ったように…あの日胡蝶が俺から断ってほしいと思っていたのなら
もう恋人候補とは思っていないのではないのか?」
「まてまてまて、胡蝶は断られるかとは思っていただろうが断ってほしいと思ってるってのはお前の想像だからな」
こいつ状況からの推察はできるくせにたまに人の気持ちの認識がずれてるところがあるなと天元は思った。
「じゃあ仮に胡蝶のほうから付き合ってほしいって言われたらどう思うわけ?」
「胡蝶は男の趣味が悪いと思う」
「それは俺も同意するがそうじゃねえ!!」
「胡蝶ならばいくらでもいい相手がいるだろう
気まぐれに俺などと付き合ってみても後悔するだけだ」
「なんでお前その面とスペックしておいて自己肯定感底辺なんだよ…」
「俺は宇随とは違う」
「そりゃそーだが、じゃあもうそれでいいわ。
胡蝶が男の趣味悪くてお前みたいなやつが好みだとしてお前と付き合わなかったら
また別の胡蝶好みの男と付き合う可能性考えねーの?」
「は?」
自分よりも胡蝶と釣り合う人物と胡蝶は付き合うべきだと思っていた。
だが当の本人が選ぶ相手がろくでもない人物では納得ができない。
「ろくでもないやつに胡蝶を渡せるか」
珍しく義勇が語気を強くする。
「じゃー、お前がそんなやつから胡蝶を守るために付き合えばいいんじゃね?」 - 35二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 23:48:18
頑張れ義勇さん!
- 36二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 00:36:48
狐につままれるような気持ちとはこのようなことを言うのだろうか。
宇随天元の論法になんでそうなると思ったがぱくぱくと口は動くが言葉が出てこない自分を見てさらに宇随は追撃してきた。
「何か言いたそうだが、胡蝶を渡したくないとか胡蝶はお前のものなのか?
彼氏でもないのに?」
「それは…」
宇随にのせられてしまった感は否めないが思わず口をついて出た「渡したくない」というその言葉は
嘘偽りのない自分の本心なのではないだろうか。
自覚した気持ちに自分自身が衝撃をうけ言葉を詰まらせる。
目を見開いたまま動きを止めた冨岡義勇の考えを察すると
(やっとスタートラインにたったってところだな)
と宇随天元も少しは安堵した。
ただ、こうやって冨岡を煽っておいてなんだが正直なところこいつのやらかしに
さすがの胡蝶も愛想をつかしている可能性は否定できなかった。
胡蝶本人にどれほど強い自覚があったかはわからないが冨岡がやらかす前は
ほぼ確実に好意を持っていたからこそ何度もデートを重ねたのは間違いないはずなのだが。
胡蝶に探りをいれたいが下手に直接接触すると
最初は冨岡を騙してマッチングアプリをやらせて話をややこしくした元凶が自分であるということがバレかねない。
怒らせたら面倒な相手はできるだけ敵に回したくはない。
面倒だが迂回せざるをえないなと作戦の道筋を考える。 - 37二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 02:38:33
自覚した義勇さん、お可愛い
- 38二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 08:30:09
伊黒小芭内は宇随天元をネチネチと口撃していた。
「そうか貴様が元凶か宇随、どうしてくれよう」
胡蝶しのぶ関連の情報を得ようと思った宇随はほぼ確実に甘露寺経由で話を聞いてはいるだろうが
本人は一切首をつっこむつもりはないであろう伊黒に探りをいれることにしたのだが
思いがけず彼の怒りをかってしまっていたようである。
「胡蝶がどうしようと俺には関係はない。
だが心優しい甘露寺が胡蝶を心配して心を痛め、冨岡の奴めの不可解すぎる行動の謎に頭を悩ませ
好物の桜餅ものどを通らないのか150個しか食べられない元凶が貴様だというのだな?」
どうも可愛い彼女の不調に大変ご立腹だったらしい。
それも俺のせいって言うにはなかなか無茶だと思いながら、こと甘露寺関連になると
どうにも止まらなくなる同僚に俺のせいだっていうなら責任もって解決するから情報をよこせと説得した。
『それでね、言ってることも書いてることもつながらなくってしのぶちゃんがすっごく悩んでるから
そんなに悩むくらいしのぶちゃんは冨岡さんが好きなのねって思ったんだけど
それを言ったら自分自身の気持ちにも冨岡さんの気持ちにも確信が持てませんって言っていたのだけど
伊黒さんはどう思うかしら?やっぱりしのぶちゃんは冨岡さんにきっぱり告白してほしいんじゃないかしら?』
話を聞いて(いや、胡蝶マジですげえな)と思った。
冨岡のやらかしがあったというのにまだ完全には見限っていない様子だ。
いくら冨岡が一見するとクールなイケメンだとしても内面との落差を知っている胡蝶にとっては
外面のよさなんてさほど価値を持たないはずなのだがいったい何がそこまで彼女の心に刺さっているのか。
とはいえ、このまま時間を置いてしまえばさすがの胡蝶も諦めてしまって自然消滅ルートだ。
勝算はありそうなのだからここは冨岡をけしかけるべきであろう。 - 39二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 10:03:40
保守
- 40二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 11:59:15
頑張れ…頑張れ…
- 41二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:06:03
桜餅150個しかに誰も突っ込まない件
- 42二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:15:43
胡蝶しのぶは新着したメッセージをおそるおそる開いた。
なんと返せばいいのかわからず既読無視にしてしまっていた冨岡義勇からのメッセージの上に表示されるそれを
タップする指先はわずかばかり震えている。
『胡蝶しのぶ様』
(!?…名前…)
これまで律儀にマッチングアプリ上のやりとりでは『紋白蝶フグ』宛に送られてきたメッセージ。
ただ本名に変えてきただけなのに心拍が早くなるのを感じた。
文字制限いっぱいにおそらく苦慮したであろう長文には
先日の謎言動の非礼を詫び、こちらの誤解をときたい旨と重ねてこれまでの感謝が綴られ
そして
『もし差し支えなくご承諾いただけるようでしたらご交際のほど、お願い申し上げます。
非才の身ゆえ、力及ばぬこととは存じますが一生涯にわたりましてお守り申し上げる所存です。 冨岡義勇』
もしかして自分の使っていたマッチングアプリは婚活用のものだっただろうか?
告白というよりプロポーズのような文面に思わず苦笑してからしのぶは両手で自分の顔を覆う。
覆いきれない耳が真っ赤になっているのを彼女は気づいているだろうか。
しばらく反芻して十分にかみしめてからメッセージの返答を送ろうとしたが
何度も何度も文章を書いては消し、最後には
『直接会って返事をしたいのでこれから会えませんか?』
とだけ記入して送信ボタンを押した。
終 - 43二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:22:17
お目汚し失礼いたしました
ぎゆしの初めて書いたどころかぎゆしの民ですらなかったので
キャラ解釈あってるか本当に心配ですが見てくださった方ありがとうございました - 44二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:35:13
執筆お疲れ様でした!!
本当に素晴らしい作品をありがとうございました!!
ぎゆしのの理想系のようなすれ違いと、焦ってしまう義勇さんがお可愛いかったです!!
また気が向いたら、次作に挑戦して頂けると凄く嬉しいです。 - 45二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 12:36:12
面白かったです
前スレで自分が書き込んだことも反映していただいて嬉しく思いました - 46二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 16:36:07
こそこそ噂話
「義勇さんは『勝算あるから告白しろ、ただし絶対に文章で』とだけ言われて
詳細な指示は特にされなかったらしいですよ
義勇さん、しのぶさんおめでとうございます」