魔王学院原作初見感想待機スレ10

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:32:12

    魔王学院原作初見感想待機スレです
    スレ主が見ている範囲までのネタバレあり

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:33:18
  • 3二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:36:05

    一先ずWeb版の無事を確認したため、スレ建てさせて頂きました。皆様、今後ともよろしくお願いします(^^)

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:37:05

    とりあえず待機

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:40:21

    待機

  • 6二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:43:09

    待機中

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:45:15

    待機

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:47:24

    待機

  • 9二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:50:14

    待機

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/10(日) 22:51:33

    明日か明後日が楽しみやでぇ……!

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 00:32:20

    魔王待機中

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 07:49:22

    待機

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 08:48:20

    待機

  • 14スレ主25/08/11(月) 12:02:42

    「神のもとへ行くより、お父さんと一緒にいたい、と。彼は嘆き、教えに背いて、娘を殺した選定者を恨んだ。彼はわたしに願った。すがるように訴えたのだ。その選定者に裁きが下り、永劫の死が訪れるのを。それだけが救いだと彼は言った」

     その者を救うためには、娘を殺した選定者を破滅に追いやらなければならぬ、か。

    「どうしたのだ?」

    「そのときのわたしは選定神ではなく、名もなき神でしかなかった。選定者に裁きを下すことはできない。わたしは彼を説得しようとした。復讐はなにも生まない。娘の命は戻らない。あなたが幸せに生きることを、死んだ彼女も願っている」

     アルカナは一度言葉を切り、それから改めて口を開いた。
     
    「あなたが望むのならば、死んだ娘を蘇らせるとわたしは言った」

    「根源が滅びていなかったのか?」

     アルカナは俯き、首を左右に振った。

    「それではいくら神とて、蘇らせることはできまい」

    いきなり難しい話に行くのやめない?俺の脳のキャパ結構限界よ?

  • 15スレ主25/08/11(月) 12:03:54

    「……ふむ。嘘をついたか」

     こくりとうなずき、アルカナは言った。

    「知らなければ、それで彼は幸せになる。わたしはそう考え、アーティエルトノアの力で、彼の娘を創造した」

     アルカナが俺の目をじっと見つめる。

    「彼はそれを喜んだ。わたしは救えたのだと思った」

     それが間違いだったと彼女の顔が訴えている。

    「その数ヶ月後、彼は首を吊って死んでいた。泣きじゃくる娘がわたしに言った。選定審判を経て、代行者に選ばれた者が彼に娘は偽物だと告げたと。その者は、彼の実の娘を殺した男だった」

     唇を噛むようにアルカナは口を閉ざす。
     しばらく無言のまま、彼女は暗い表情を浮かべていた。

    「誰が彼を殺したのか?」

     自問するように、アルカナは言う。

    「彼を嘲笑うように真実を告げた代行者か。それとも、復讐心を抱いてしまった彼自身の咎なのか」

     ゆっくりと否定するように、アルカナは告げる。

    「いいえ。殺したのはわたし。偽物の娘を創造することでわたしは彼を救おうとした。けれども、それは救いではなく、絶望の種を撒いたにすぎなかった」

    重い、重いです

  • 16スレ主25/08/11(月) 12:06:01

    「神を滅ぼす暴虐の魔王。もしも、本当に、あなたが神の力を超えているというのなら、わたしの問いに答えてくれるかもしれないと思った」

     それで、魔法体を飛ばし、俺にわざわざ尋ねたというわけか。

    「不適合者アノス・ヴォルディゴード。あなたはきっと、秩序から外れた存在。わたしは審判を下す。あなたこそ、神の代行者に相応しい、真に全能者へ至る者」

     アルカナは静かに手を伸ばし、俺が持つ全能者の剣リヴァインギルマに触れた。

    「すべてを救えなくて、どうして神なのだろう?」

     独り言のように彼女は言う。

    「悪人も咎人も愚者も悪魔さえ救えずに、どうしてわたしは神なのだろう? 神はただ秩序を守るだけの理で、これではなにも救えはしない」

     俺が手を離すと、彼女はその剣を水平に持った。

    「わたしはすべてを救う優しい神になりたかった。本物の神に」

     一筋の雫が、彼女の瞳からこぼれ落ちる。

    「そう思って、名を捨てた。たぶん、きっと」

     左手に鞘を、右手でアルカナは柄を握る。

    「間違いだった。だから、あなたがくれたこの敗北が、罪を犯したわたしへの罰。そして同時に、なによりの救い」

     ぐっと彼女は右手に力を入れる。

    「さようなら。あなたの勝利を願っている」
    ようやく出たよねまともな神

  • 17スレ主25/08/11(月) 12:09:08

     はっと気がついたように、アヒデは目を開いた。


    「どうだ、ペテン師? 散々神に裏切られ、いい加減、神を否定することにも慣れたか? 信仰など綺麗に消え失せたのではないか?」


     俺の言葉が耳に入り、それを吟味するように考えた後、アヒデはふっと息を漏らした。


    「……フ、フハハハハハッ……!」


     笑い声を上げながら、むくりとアヒデは身を起こす。


    「フヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ! 戻ってきました! 戻ってきましたよっ!!」


     神に裏切られる悪夢を千度繰り返したためか、現実に戻ってきた解放感に、アヒデはタガが外れたかのようだ。


    「ふむ。気でも違ったか?」


    「正気ですよ。信仰も捨ててはおりません」


    「心から信仰を捨てねば、<羈束首輪夢現ネドネリアズ>からは覚めぬ」


     その言葉に、アヒデはニヤリと笑った。


    「ですから、神を信じるがゆえに、心から信仰を捨てたのです。理解できませんか? 先程のあなたが言ったことと同じですよ。あなたが全能者の剣を使いこなすのならば、わたしは全能者の心を持つ者。信仰を捨てつつ、同時に信仰を抱いたまでのことです」


     千度の悪夢を経て、なおも腐りきったままの男を見て、口の端から笑いがこぼれる。


    「つくづく期待を裏切らぬ男だな、お前は。ならば、約束通り、最後の悪夢を見せてやろう」


    いやーこのメンタルの図太さは見習い……たくはないですな

  • 18スレ主25/08/11(月) 12:12:38

    「さて、一〇〇一回目ですか。神を信じ切っている馬鹿な信徒や、普段お高く止まっている教皇に、<全能なる煌輝>などいないということを突きつけてやりますか。さっさと目が覚めてくれればいいのですがね」


     <羈束首輪夢現ネドネリアズ>が覚める条件は、自らの国ジオルダルで、神などいないと吹聴して回ることだ。それを千回続ける。


     回を追うごとに少しずつ、吹聴しなければならない人数を増やすなど、難易度が高くなるようにしておいた。

     試行錯誤し続けたアヒデは、最早、神がいないことを突きつける術に習熟しているだろう。


     本物の教皇とジオルダルを相手に、その培った技術の妙をどう見せつけてくれるのか、さぞ見物だろうな。


    「頑張ることだ。これまでと違い、一筋縄では行かぬとは思うがな」


     そう口にすれば、苛立ったようにアヒデが俺を睨めつける。


    「夢の中のあなたにこれ以上言っても仕方がありませんが、もしも聞いているのなら、覚えていなさい、不適合者アノス・ヴォルディゴード。わたしはあなたを、絶対に許しません。必ず、どんな手を使ってでも、地獄の底に送ってやります。この目が覚めるときを、楽しみに待っていることですね。フフフ、ハハハハ――」


     魔法陣に魔力がこもり、彼の姿が消えた。


    「――ハーハッハッハッハッハッハッハッハッハッッッ!!!」


     そんな高笑いを残して。


    「残念だが、アヒデ、その悪夢は一生覚めぬ」


    しっかし最後まで元気な男だったな本当……

  • 19スレ主25/08/11(月) 12:14:08

    「過ちを犯した神を誰が信じるのか。罪を抱いた神を誰が許すのか」
     もしも許せる存在がいるのだとすれば、自ら命を捨てたその男以外にないだろう。
     だが、滅びたものは今更元には戻らぬ。不可能というものだ。
    「ならば、俺が許そう」

     その言葉に、アルカナは目を丸くした。

    「お前の罪を俺が許そう。選定の神アルカナ。お前を糾弾する者が、この地底のどこかにいるというのならば、俺がその盾となろう」

     呆然とアルカナは、俺の言葉に耳を傾けている。

    「犯した罪は決してなかったことにはできぬ。たとえ、その者が蘇ったとしても、時間が戻り、すべてがなかったことになったとしても、お前の罪は消えはしまい。ここでお前が消えたとて、その罪まで消えはせぬ」

    「……あなたはどうすればいいと考える?」

    「過ちを認めたのならば、償え。その生涯をかけて」

     押し黙り、それから、彼女はまた尋ねる。

    「償える?」

    「お前はこの戦いで見たはずだ。エミリアを。勇者学院の生徒たちを」

     アルカナはうなずく。

    「あなたが立ち直らせた」

    「それは違う。彼女たちが自ら罪を認め、そして償おうと前を向いたのだ。かつて犯した過ちに、エミリアはこれからも苛まれるだろう。それでも、一歩ずつ前に進むしかないと彼女は気がついた。罪が消えぬ以上は、そうするしかあるまい」

    この章のテーマって自分や過去と向き合うでいいのかな

  • 20スレ主25/08/11(月) 12:15:13

     彼女の手にした剣を優しく奪い、手の平に魔法陣を描く。
     アルカナからもらった俺の選定の盟珠がそこに現れた。

    「お前を信じよう。お前の優しさを、俺は決して疑いはせぬ」

     神を信じる。
     それが、盟約の手段だ。

    「俺の神となれ、アルカナ。お前が償いをするというのならば、俺がその罪を許してやる」

     盟珠の中心にぼっと紅い火が灯る。
     それは神との誓いを表す、盟約の炎。

     俺たちの誓いは、一つだけ。

    「選定審判をぶち壊す」

     それは罪を犯した神と交わした、許しと償いの言葉だった。

    アノス様がぶち壊すと言ったら絶対だな

  • 21スレ主25/08/11(月) 12:17:53

    とりあえずスレのラスボスがアヒデになるのを回避してホッとしてます

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:07:09

    完結した後に、初見のスレ主と一緒に振り返れるの良いな

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:12:08

    >>22 分かる。これからどんな反応を見せてくれるのか、毎度楽しみで仕方ないんだわ

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 13:42:00

    >>14

    やっぱりアルカナの過去重いよね…()

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 17:38:02

    >>21 小物すぎて締まりませんよね……

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 21:23:48

    待機

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:02:23

    待機

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 07:57:42

    待機

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 11:25:24

    待機

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 14:34:28

    待機

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 22:21:23

    待機

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 01:22:44

    待機

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 07:52:32

    待機

  • 34スレ主25/08/13(水) 12:05:34

    た。

    「……てめえは…………」

     ラオスが俺の顔を見た途端に、立ち上がった。
     かつてのことを思い出し、一瞬カッとなった彼を、レドリアーノが手で制する。

     ラオスは気を落ちつけ、その手を静かに握り、下に降ろす。

    「わーってるよ。大丈夫だ」

     本を読んでいたハイネが立ち上がり、俺に顔を向けた。

    「久しぶりじゃん。魔王さまが一人でこんなところまで来て、どうしたのさ?」

     相も変わらず生意気な口を叩くものだ。
     しかし、かつてと違い、その視線に敵意はない。

    「なに、エミリアとの約束を果たしにきただけだ。応接室へ行こうと思ったのだが、道を違えたようだ。邪魔をしたな」

     踵を返し、図書館を後にしようとすると、後ろから声をかけられた。

    「おいっ。待てよ」

     立ち止まり、背中越しにラオスを振り返る。

    「……なんだよ、その約束っていうのは?」

    昔のやさぐれてる時ならくってかかってただろうな……

  • 35スレ主25/08/13(水) 12:07:44

    「気になるというのならば、教えてやろう。エミリアは、あんまりな惨状のアルクランイスカを立て直すために赴任させた。一年ここで教師を続けるか、それなりの成果を上げれば、魔王学院に栄転させるという約束でな」

    「……栄転……」

    「エミリアは尽力し、そして見事お前たちに勇者の誇りを取り戻させた」

     なにも言わぬラオスたちに続けて説明した。

    「魔王学院が学院交流にやってきたのはアゼシオンに蔓延る竜の討伐が目的でな。エミリアとお前たちが竜の大群を引きつけてくれたおかげで、黒幕にも辿り着いた。このまま、ガイラディーテの膿を出し切ることもできよう。彼女の功績は大きい。約束では七魔皇老と同等の地位を用意すると伝えてあるが、相応のものを用意せねばなるまい」

     呆然といった様子の三人をよそに、俺は魔法図書館を後にする。
     その途中で言った。 

    「ああ、そうだ。晴れの場ではもう少しまともな口を利いてやれ。言葉使いを気にする魔族は少ないが、彼女はそうではない。人間ならば、それぐらいはお手の物だろう。いらぬ恥をかかせるな」

     今度こそ、俺はその場から立ち去った。
     向かったのは、来賓を迎え入れるための応接室である。

    先生達がどうするか色々察してるだろうにこの白々しさよ

  • 36スレ主25/08/13(水) 12:10:51

    「アノシュ君が……その、学院交流に来ていた魔王学院の生徒が治してくれました。まったく問題はありません」

     どうやら、その後も支障がないようだな。

    「一つ、訊いてもいいですか?」

    「なんだ?」

    「彼は、何者なんですか? ただの魔族にしては、異常な力を持っています。あなたはなにか知っているんじゃ……」

     さすがに、疑問に思わぬわけはないか。
     俺とのつながりを考えるのも無理はあるまい。

    「アノシュ・ポルティコーロか。確かに、尋常な魔力ではないな。俺の幼い頃を彷彿させるほどだ。成長し、反旗を翻せば、戦乱の種になるやもしれぬ。お前の予想通り、俺の目の届くところにおいておくといったところだ」

     エミリアが険しい視線を俺に向ける。

    「……自分の力を超える前に、彼を始末するつもりじゃないでしょうね?」

     エミリアの言葉に、くつくつと俺は喉を鳴らして笑う。

    「面白いことを言うものだ。アノシュ・ポルティコーロが俺の力を超える? エミリア、そんなことはありえぬ。天地がひっくり返ろうとな」

    先生本当に他人の心配出来るようになったな……

  • 37スレ主25/08/13(水) 12:13:31

    「アノシュ君はあなたとは違って、優しい魔族です。決してディルヘイドに反旗を翻すようなことはありません」

    「くははははははっ!」

     俺が笑うと、エミリアは怪訝そうな表情を浮かべた。

    「……なんですか、いきなり笑い出して。なにがおかしいんですか?」

     ふむ。うっかり噴き出してしまったな。
     まあ、いいだろう。

    「いやいや、会ってまもない子供をよくもまあ、そこまで信用できるものだと思ってな」

    「……わたしは、あなたと違って、あの子と直に接しましたから。アノシュ君は賢くて、純粋で、とても優しい。周りの大人がちゃんと導いてやりさえすれば、きっと誰よりも素晴らしい魔皇になります。あなただって超えるぐらいに」

     これだけ言われるとこそばゆいものがあるのだが、とはいえ、正体を明かすわけにもいかぬ。

    「ふむ。エミリア、お前は教師になったようだな」

    教師になった、良い認め方だよねこれ 是非正体教えてあげてください

  • 38スレ主25/08/13(水) 12:15:31

    「わたしは過ちを犯しました」

     第一声で、彼女はそう口にした。

    「皇族こそ、至上の存在と勘違いし、自らの血を尊きものだと思い込んでいました。そのために、わたしはあなたに悪意を持って接し、あなたの母親の殺 害を企て、自らの生徒さえ手にかけようとした」

     その言葉の一つ一つに、後悔と罪の意識が滲む。
     前を向き、真っ当にこれからを生きようとする彼女だからこそ、その罪は消すことができないだろう。

     他でもない彼女自身が、それを許しはしない。

    「そんな罪人であるわたしに、あなたは手を差し伸べてくれた。わたしを殺さずに、その罪に気がつく機会をくれました」

     かつてあれだけ恨んでいた俺に、自ら跪き、頭を下げるのは、真実彼女がそうしたいと思えたからだろう。

    「……我が君に、大きな感謝を……。それと同時に、お詫びしたいことがあります……」

    「申してみよ」

    「この罪を、わたしは、いかようにも償います。靴を舐めろというならば舐め、どのような責め苦にも耐えてみせます。しかし、どうか、今更浅ましいお願いではありますが、どうかこの命だけはお許しくださいますよう」

     懇願するように、彼女は言う。

    「理由を述べるがいい」

    「まだ、やらなければならないことがあります。それが済んだのでしたら、ご随意に」

    まあかなり荒療治だったけどやっぱここまでやる必要は間違いなくあったよねって

  • 39スレ主25/08/13(水) 12:18:25

    「あのとき、許さぬと言った言葉は取り消そう」


    「……わたしが罪を心から認めた後に、存分に苦しめるつもりじゃ……?」


     くつくつと喉を鳴らして俺は笑う。


    「ふむ。お前は俺を、鬼畜か外道とでも思っているのか?」


    「いえ…………暴虐の魔王と……」


     くはは、と思わず笑い声がこぼれ落ちる。

     どうやら、混血に転生させてやったときのことが、相当なトラウマになっていると見える。


     どうりで罪を認めた後も、俺に対する態度が堅いままなわけだな。


    「済んだ話だ。気にするな。そんなことよりも、約束を覚えているな?」


    「……それは、覚えていますが…………」


    「お前は十分に務めを果たした。元ジェルガカノンの生徒に誇りを取り戻させ、人間たちの力で竜を討伐させた。彼らにとっては小さな一歩かもしれぬが、それは二千年前から<魔族断罪ジェルガ>の魔法に支配され続けてきたこの国が蘇るきっかけとなるだろう。よくやった」


     そう口にすると、エミリアは喜びでもなく、安堵でもなく、身構えるように表情を強ばらせた。


    「優秀な配下を遊ばせておく趣味はない。約束通り、七魔皇老と同じ地位を用意した」


    「……アノス……様……その、わたしは――」


    やった事がやった事だから許されると思ってなかった先生可愛い

  • 40スレ主25/08/13(水) 12:20:01

    エミリアの心の中。
    アノシュ→優しくて純粋で賢い
    アノス→なにを企んでいるかわからない。自分を苦しめようとしている。

    外見の差か……。

    まあ……はい

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 12:42:44

    まあ分からないでもないのが、ね

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 20:16:27

    アノスは暴虐の魔王の伝承からしてアレだし普段の態度も悪いからね…

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/13(水) 22:15:13

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 05:11:46

    5章の好きな場面はプロローグ

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 07:19:50

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 11:03:48

    待機

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 15:04:50

    そもそもエミリア先生にとってアノスは9割トラウマムーブしてきた相手だからね

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 19:05:45

    待機

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 23:05:38

    待機

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 01:52:35

    待機

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 07:22:17

    待機

  • 52スレ主25/08/15(金) 09:19:48

    「……やめねえでくれ! 頼むよ……!」

     懇願するような瞳で、ラオスはエミリアを見つめる。

    「……そりゃ、俺らはクズで、どうしようもねえ生徒ばかりだけどよ……。ここから出ていきゃ、祖国で偉くなって、苦労もせずに生きていけんだろう……! 俺らみてえのに目をかけてくれた人に、こんなこたぁ、本当は言えた義理じゃねえ……だけどよっ!」

     ラオスはぐっと拳を握り締める。
     
    「……やめねえでほしいんだ……エミリア先生に、ここにいてほしいんだ……!」

     驚いたように、エミリアが彼を見つめ返す。

    「勇者じゃないってわかった俺たちに、まともに向き合ってくれたのは先生だけだった。何度も叱ってくれたのは先生だけだった。俺たちが死ぬしかねえって思ってたときに、逃げろって言ってくれたのは先生だけだった!」


    魔王学院だったら「あっ、やめたんだ」くらいだったのに……

  • 53スレ主25/08/15(金) 09:21:51

    「エミリア先生」

     レドリアーノが一歩前に出て、エミリアに言った。

    「わたしたちは、まだエミリア先生から十分に学んでいません」

     先生、と彼もまたエミリアのことを初めてそう呼んだ。

    「先生の言葉を、先生の誇りを、わたしたちはもっと大切にするべきでした。そのことに気がつき、ようやく、これからと思っていたんです。恥ずかしくて直接口にすることができませんでしたが、皆で集まって、先生を驚かせてやろうと、先生が恥をかくことのないように、これからはもっとちゃんとがんばろうと話していたんです」

     眼鏡の向こうからレドリアーノが真摯な瞳を彼女へ向けた。

    「わたしたちは、これからも、他でもないエミリア先生に導いてほしい。先生のために、今度こそ、わたしたちは本物の勇者になりたいと思っていました」

     レドリアーノが冷静に、けれども熱さを秘めた口調でそう打ち明ける。

    「……エミリア……先生…………」

     ハイネが半べそをかいていた。

    「ぼくが悪かったんだよぉ……。ぼくが、トイレでさぼってばかりで、先生のことを馬鹿にしていじめたから……。これからは、ちゃんとやるから……授業だって出るし、早弁もしないし、テストも真面目に受けるからさっ……!」

     魔王学院の生徒たちと違い、彼らは本当に年端もいかない子供ばかりだ。

    見た目で色々混乱するけどこっちは普通に子供なのよね

  • 54スレ主25/08/15(金) 09:27:48

    「いかにも。あの王と王族どもめが死んだのは、私の手引きによるものだ」


    「あなたたち王族は、アゼシオンに竜を放ち、民を襲わせた。神竜の国ジオルダルと共謀して、勇者カノンを亡き者にしようとした。霊神人剣を奪い、自らが勇者となるために」


    「まあ、それはリシウス王が企んだことではあるが、見過ごしたのも事実だ。共倒れになってくれれば、王の座が近づくのでな」


     ペラペラとザミラが饒舌に語る。

     自分の計画が見事成功したのを自慢しているかのようである。


    「ついでに言うならば、前の学院長ディエゴと共謀していたのも私だ。<魔族断罪ジェルガ>の魔法で、馬鹿な生徒たちが洗脳されているのも放置した。ディルヘイドとの戦争のどさくさに紛れて、王族が減ってくれればと思ってな。そのときはうまくいかなかったが、とうとう運が回ってきた」


    「ふむ。そこまで口にして、運が回ってきたとはよく言ったものだ」


     ニヤリ、とザミラは下卑た笑みを覗かせる。


    「馬鹿めが。証拠など残してはおらぬ。魔族やできそこないの勇者の言葉など誰も信じぬよ。勇者カノンも偽物だったことにすればよい」


    こっちは本当に上に恵まれないな…

  • 55スレ主25/08/15(金) 09:30:00

    「な、なんだ?」


     ザミラが室内を見回す。


    『まあ、それはリシウス王が企んだことではあるが、見過ごしたのも事実だ。共倒れになってくれれば、王の座が近づくのでな』


     再び、ザミラの声が響く。

     アルカナが<遠隔透視リムネト>の魔法を使っており、そこに先程のこの場の映像が鮮明に映し出されていた。


    「……な、こ、これは…………!?」


    「アゼシオン全土に流れている魔法放送だ」


     ザミラは顔面を蒼白にした。

     だが、すぐに思い直したかのように声を上げる。


    「……ね、捏造にすぎないっ! この部屋には、聖水を利用した強力な反魔法がかかっている。<遠隔透視リムネト>や映像記録の魔法は使えないはず……!」


    「脆弱な反魔法などものの数には入らぬ。先程までは、お前がアヒデと交渉している姿が流れていたぞ。あの男は、それでお前をゆすろうと考えていたようだな」


     ザミラが驚愕の表情を浮かべる。


    『ついでに言うならば、前の学院長ディエゴと共謀していたのも私だ。<魔族断罪ジェルガ>の魔法で、馬鹿な生徒たちが洗脳されているのも放置した。ディルヘイドとの戦争のどさくさに紛れて、王族が減ってくれればと思ってな。そのときはうまくいかなかったが、とうとう運が回ってきた』


     彼の声がまた魔法放送から流れていた。


    「さて、この国の腐敗はこの国の問題だ。俺は手を出さぬが、しかし、この国の人間はどう思うだろうな?」


    凄い良い感じにペラペラ喋ってくれたなぁ……

  • 56スレ主25/08/15(金) 09:32:13

    「な、なにをしている……? なにをしているのだっ!? 王である私に無礼であるぞっ!!」

    「残念ながら、あなたはもう王ではありません」

     やってきたのは、王宮の大臣たちや、アゼシオンの貴族である。 

    「国を売り、王族を殺し、民の命を奪おうとした男、ザミラ・エンゲロ。国家反逆罪でその身柄を拘束するっ!」

    「まっ……待てっ! 騙されるな。これは魔王の企みっ! こんなことをすれば、ディルヘイドの思うつぼ――がばぁっ!!」

     大臣の一人がザミラを思いきり殴りつけた。

    「腐敗した王族には我々もうんざりしていました。仰せの通り、あなたに相応しい場所を用意しましょう」

     大臣はザミラを睨みつける。

    「牢獄を」

    「……な、ぶ、無礼な。誰がこれまでこの国を守ってきたと……王族がいなくなれば、この国は終わりぞっ」

    「あなたは死刑台に上がる日の心配だけしていればよろしい。連れていけっ!」

     兵士たちがザミラを連行していく。

    「や、やめろっ! 放せっ! 私は王であるぞっ!! 放せぇぇっ……!!」

    短かったな……天下

  • 57スレ主25/08/15(金) 09:34:08

    「見ての通り、アルクランイスカの学院長の席が空いてしまった。あいにく後任がいなくてな。王族の潰えた王宮はそれどころではないだろう。またいつ竜がやってくるやもわからぬ中、唯一討伐が可能な勇者学院に責任者がいないというのは、大臣たちにとっても、なんとも都合が悪いそうでな。生徒たちからの人望も厚い、ちょうどいい人材がいると話を持ちかけておいた」

     俺の言葉にエミリアははっとした。
     そうして、姿勢を正し、表情を引き締める。
      
    「罪を犯し、それを償おうというお前の姿に、俺も教えられた。お前がその過酷な日々で培ったものを、このアゼシオンの地に返してやれ」

     彼女は俺に跪く。
     勇者学院の生徒たちが、それに倣うように跪き、頭を下げる。

    「エミリア・ルードウェル。お前に、勇者学院アルクランイスカの長を任じる。王族を失ったアゼシオンには、長く続く試練が訪れるだろう。それを乗り越える国の宝を育ててみせよ」

     彼女は深く頭を下げ、誓うように言葉を発した。

    「謹んで拝命いたします」

    丁度上の椅子空いちゃったからね、仕方ないね

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 14:23:51

    七魔皇老と同じ地位(魔族の支配者ではなく教育機関の責任者として)

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:39:39

    待機

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 07:43:48

    待機

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 11:24:24

    待機

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 13:17:05

    互いに望んでることだし勢いで流してるけど魔王学院に栄転させるって約束はさらっと破ってるんだよね

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 14:23:24

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 14:25:17

    >>62

    言われるまで忘れてた……

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:14:50

    >>62 普通に忘れるよね……

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 22:49:52

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 01:48:08

    待機

  • 68二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 05:54:26

    待機

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 11:09:17

    待機

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 11:13:25

    >>62

    こうくるだろうという予測してたけど

    エミリア先生は一応は固辞したからセーフ!アニメにもあったはず

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:51:25

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 22:27:22

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 00:23:58

    待機

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 07:41:40

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 09:45:28

    待機

  • 76二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 14:12:13

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 19:35:34

    待機

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 22:25:23

    待機

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 00:09:13

    魔王待機中……

  • 80スレ主25/08/19(火) 04:43:10

    「胸を張るがいい。同胞のため、死に立ち向かう勇気を持ったオマエらは、紛れもなく勇者だ。その想い、二千年前の人間たちにも劣るものではないぞ」

     熾死王の言葉に、勇者学院の生徒たちはどこか誇らしげにしていた。

    「短い間ではあったが、このオレの授業に死ぬ気でついてきたオマエらに、餞別をやろうではないか」

     エールドメードが杖をつくと、黒板に<遠隔透視リムネト>の魔法が発動する。

     映像から声が響いた。


    『皆さん、そのまま警戒を緩めず、聞いてください』


     エミリアが驚いたように黒板を凝視した。

     そこから、自分の声が聞こえてきていたのだ。


    『……魔族のことを勉強していた皆さんは、皇族、という言葉をよく知っていることでしょう……』


     慌てて、彼女はエールドメードに詰め寄る。


    「ちょ、ちょっとっ。エールドメード先生っ!? なにしてるんですか? なにをしてるんですっ!?」


    「カカカ、なかなかの力作だろう? 記録しておいた魔法映像を、昨日一晩かけて見やすいように編集したのだ。すでにガイラディーテの魔法放送に載せてある」


    「はっ、はぁぁぁっ……!?」


     エミリアが素っ頓狂な声を上げる。


    「王族をなくしたガイラディーテは、王族による統治をやめ、いわゆる議会制の民主主義に切り替えるそうだ。ならば」


     杖でエミリアを指さし、エールドメードは笑った。


    「誰が命がけでこの街を守ったのか。民は知っておくべきではないか?」


    本当にこの人アノス様関わらなかったらめっちゃまともな人格者なんだよなぁ……

  • 81スレ主25/08/19(火) 04:44:13

    「え、ちょっと、だから、ちょっと待ってくださいよ。わたしは勇者学院の学院長なんですよ? ただでさえ覚えることが沢山あるっていうのに、そんな……」

    「おいおい、そう浮き足立つな。議会制に移行するにはまだまだ時間がかかる。そのときの準備をしておくというだけの話ではないか」

     有無も言わせぬエールドメードの言葉に、エミリアはたじろいでいる。

    「だからって、無茶苦茶な話じゃ……」

    「確かに、二足のわらじは大変だろう。その上、魔族となれば、人間たちからの風当たりも強い。政まつりごとともなれば、権謀術数が渦巻く中、海千山千の狸どもと渡り合わなければならない。胃に穴が空き、血反吐を吐くほどの苦労が押し寄せよう」

     ニヤリとエールドメードは笑う。

    「暴虐の魔王曰く、オマエに相応しい償いの場を用意した、とのことだ」

     エミリアは険しい表情で、ディルヘイドの方向を睨んだ。

    「……許してくれるんじゃなかったんですか…………」

     恨みを込めるようにエミリアは言う。

    許した(許したとは言ってない)

  • 82スレ主25/08/19(火) 04:47:22

    「感謝はしてますし、配下として忠誠は尽くします。でも、あなたの力任せな強引なやり方だけは気に入りません。そんなんじゃ、いつか足をすくわれます。そのときに助けて恩を売ってあげるのを楽しみにしてますよ」

     その言葉を聞き、思わず笑みがこぼれる。
     ふむ。エミリアには憎まれ口を叩かれているぐらいが、ちょうどよいというものだな。

    「カカカ、カッカッカ! カカカカカカカカカカカッ!!」

     突如、これまでにない勢いで笑い出したエールドメードを見て、エミリアは身を引いた。

    「え、エールドメード先生……? あの……?」

    「ああ、素晴らしい。まったく素晴らしいではないか! 彼は、あの魔王は、忠実な配下のみならず、自らと意見が異なり、苦言を呈してくる者まで味方に引き入れたということだ。さすがは、暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴード。オマエはどこまで行くというのかっ!?」

     大げさな身振りをしながら、エールドメードは天井に向かって叫んでいた。
     そうかと思うと、一瞬で正気に戻ったかのように生徒たちの方を向いた。

    良い空気吸いすぎやろこいつ

  • 83スレ主25/08/19(火) 04:49:01

     視線を勇者学院の生徒たちの方へ向ければ、エレオノールとゼシアが別れの挨拶をしていた。


    「じゃ、今度は無茶しないんだぞ。あと、誰か<蘇生インガル>を覚えた方がいいぞ。今のままだと、死んだら蘇生できないんだし」


    「……死んでも死なないのは……基本のキです……」


     二人の台詞に、ラオスが苦い表情を浮かべている。


    「お前らこそ無茶言うなって……」


    「どなたか、教えていただける教師を派遣するようにお願いしたいところですね」


     レドリアーノが眼鏡をくいっと持ち上げる。


    「うんうん、じゃ、頼んでみるぞ。シン先生とかが容赦なくていいんじゃないかな?」


     レドリアーノが教壇の上にいるシンを見ると、すぐさま冷たい視線が返ってきた。


    「……できれば、優しい先生が…………」


    「あー、知らないんだ。シン先生はああ見えて愛妻家だし、優しいんだぞ」


    「……優しく……殺してくれます……」


     エレオノールとゼシアの説明に、はは、とレドリアーノは乾いた笑いをこぼす。


    いやージョーク言えるくらいは打ち解けたんだなー(棒

  • 84スレ主25/08/19(火) 04:51:59

    「……あんたみたいになるには……どうすればいい……?」

      レイは爽やかに笑う。

    「僕が初めて竜と戦ったときはね」


     黒板に映っている勇者学院の戦いを見ながら、彼は言う。


    「あんなに勇敢でもなければ、勝てもしなかったよ」


     驚いたようにハイネが、レイの顔を見る。


    「二千年前。大戦が終わった後、僕は守ったはずの人々に裏切られ、殺された。それでも、人間はそれほど捨てたもんじゃないって信じたかった」


     真剣な口調でレイはハイネに語りかける。


    「この勇者学院は、二千年前の人間の悪意で作られた。魔族を滅ぼすために。二千年後にまた争いを起こすために。ジェルガの意志は今もなお続いていて、二千年の間、この学院で育まれてきた悪意は、アゼシオンに巣くっている。王宮は国を滅ぼそうとするぐらいにまで腐敗していた。人間はいつも愚かな選択をするのかもしれないと思った」


     かつての勇者カノンとして、彼はそれを伝えようとしている。

     人間が犯した過ちを。


    「僕はいつだって勇者なんかじゃなかったんだよ。それは、他の人がただそう呼んでくれただけだ。僕はね、止められなかったんだ。彼らを止められなかった。だけど」


     彼はハイネを、その後ろにいるレドリアーノとラオスを見た。


    「この時代には勇者がいた。守るために剣を取った人たちが。それも、こんなに沢山。君たちは<魔族断罪ジェルガ>の悪意に負けなかったんだ」


     レイの瞳にはうっすらと涙が浮かんだ。


    「この日の君たちを守れてよかった。君たちは僕の救いだ。ありがとう」


    これ今まで胸張って言えなかったんだよな……

  • 85スレ主25/08/19(火) 04:53:41

    「ああ、そうだ。一つだけアドバイスを贈るなら」

     真剣な表情で勇者たちがうなずく。

    「恋はしておいた方がいいよ」

     勇者たちの表情が疑問に染まった。

    「好きな人ぐらいいるんじゃないかな?」

     一瞬の間の後、

    「な……なんのことだかっ……」

    「ええ、まるでわかりませんね……」

    「ったく、勇者様は冗談がきついぜ……」

     動揺したように、三人が視線を泳がせる。
     それが一瞬、ちらりと教壇にいるエミリアの方を向いた。

    エミリア先生逆ハーレム建設のお知らせ

  • 86スレ主25/08/19(火) 04:56:28

    「あ、いえ。その、あの子たちは見ませんでしたか? その、魔王聖歌隊の……。仲が良いと聞きましたが?」
    「エレンたちなら、公務があるそうで一足先にディルヘイドへ戻った」
     エミリアは少々浮かない表情をした。

    「……そうですか。仕方ありませんね……」

    「どうかしたか?」

    「謝らなければならないことがあったんですが……いいんです。一段落ついたら、ディルヘイドに行きますから。他にも謝らなければならない人がいますし……」

     エミリアがじっと俺の顔を見る。

    「……その……アノシュ君……」

     言いづらそうにしながら、彼女は口を開く。

    「そのときは、アノシュ君に会いにいってもいいですか……?」

     俺が黙っていると、彼女は弁解するように言葉を続けた。

    「あ、いえ、その、ちゃんと勉強しているか見に行こうと思いまして。一度教えた以上は、教え子ですから……」

     俯き、エミリアは言う。

    「……口うるさい先生かもしれませんけど…………」

    「楽しみにしていよう」

     そう言うと、エミリアはぱっと顔を輝かせた。
    色々とめんどくさい事になってしまってて草 ユニオンの皆にそういや酷い事してたな、マジで忘れてた

  • 87スレ主25/08/19(火) 04:59:11

    「……勘違いに慣れてないで訂正してよね……あれ、どうするのよ……?」
     呆れたようにサーシャが言う。
     とはいえ、アルカナの住居も確保した。
     魔王城の地下でも問題はないが、なるべくならば近くにいた方がいいだろう。
     他の選定者や選定神に狙われる可能性もあるからな。

    「わたしは選定審判が間違っていると思う。だから、終わらせたい」

     アルカナが母さんに切々と訴えている。
    「うんうん、わかってるわかってる。お母さんも裁判が終わるまで子供と会えない今の仕組みは間違ってると思う。早く裁判を終わらせて、迎えに行こうね」

     しかし、やはり母さんは手強い。
     神の身と言えど、誤解を解くのは難しいようだ。

    「アノスッ!!」

     工房のドアが開け放たれ、そこに父さんが立っていた。

    「話は聞かせてもらった。お前、いくら魔王になったからって、旦那のいる女性に手を出すなんて、そりゃいくらなんでも」

     父さんは血の涙を流す勢いで、俺にずいと顔を近づける。

    「羨ましすぎるぞ」

    「くく、くははははっ」

     やれやれ、まったく、まさか選定審判を離婚裁判と間違えるとはな。
     なかなかどうして、つくづく我が家というものだ。

    実家のような安心感(実際に実家) これで5章終わり!もうちょいでアニメ範囲越えるなぁ…ここまで長かった

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 05:23:39

    >>84

    ここの勇者カノンとしての言葉好き

    ようやく人間に裏切られた勇者が人間を守ったことを良かったって思えるようになったんだよね

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 07:10:53

    感動的ッスよねぇ……

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 08:06:53

    >>88

    分かる

    5章のアニメでカットされてた場面で1番残念だった場所かもしれん

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 14:01:28

    待機

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:40:26

    待機

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 23:29:00

    待機

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 01:07:28

    待機

  • 95二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 08:01:22

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 14:15:26

    待機

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:22:02

    待機

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:35:07

    待機

  • 99スレ主25/08/21(木) 04:42:19

    「助けてっ……お兄ちゃーんっ……!!!」


     けたたましい咆吼とともに竜の牙が少女に迫る。

     ガゴンッと顎が閉じられたが、しかし、彼女は食べられていなかった。


    「ふむ。竜が忌避する森だと聞いていたのだがな」


     現れたのは十歳ほどの魔族の少年である。

     その長い牙を片手でつかみ、足で下顎を踏みつけている。


     黒髪と黒い瞳。

     見る者が見れば、確かにそうとわかるほど常軌を逸した魔力を秘めている。


     名はアノス・ヴォルディゴード。

     まだ暴虐の魔王と呼ばれる以前の姿だった。


    「<灼熱炎黒グリアド>」


     灼熱の黒き炎を喉奥にぶち込まれ、竜が大きな悲鳴を上げる。

     だが、体の内側につけられた炎をどうすることもできず、そのまま、内蔵を焼かれて地面にひれ伏した。


    「こんなところか」


     アノスは半死半生の竜を<拘束魔鎖ギジェル>でがんじがらめに縛り上げると、そのまま収納魔法の中に閉じ込めた。


     彼は少女を振り返った。

     ほっとして気が緩んだのか、彼女は先程以上に目に涙を溜めて、嗚咽を漏らした。

    「泣くな。お前をいじめる竜はこの兄が退治してやった」


    微笑ましい兄妹ですなぁ

  • 100スレ主25/08/21(木) 04:47:07

    「あのねあのね。わたし、ずっと役立たずだなって思ってたの。お兄ちゃんに守ってもらってばかりで、なんにもできない愚図だなぁって」

     嬉しそうに少女は言う。

    「でも、お兄ちゃんはわたしが必要なんだね」

    「ああ。たった一人の家族だからな」

     温かい微笑みを浮かべ、アノスがうなずく。

    「じゃ、お兄ちゃんはもっともっとわたしに甘えていいんだよ?」

    「十分に甘えている」

    「えへへ……」

     少女は照れたように笑った。

    「あのね、わたし、大きくなったら、お兄ちゃんと結婚するんだ」

    「結婚がなにかわかっているのか?」

    実際嫁はできるんだろうかアノス様

  • 101スレ主25/08/21(木) 04:49:58

    「家の中にいると言って、こっそりと抜け出しはするがな。夜はあまり出歩くなと言ってあっただろう」

    「……ごめんなさい…………」

     しょんぼりしながら、彼女は俯く。
     その頭にアノスは手をやった。

    「そう落ち込むことはない。お前の嘘など、可愛いものだ」

     少女は嬉しそうにアノスに抱きついた。

    「……あのね、あのねあのねあのねっ!」

    「どうした?」

    「わたし、お兄ちゃんが大好きっ」

    「そうか」

    「うんっ……だって、お兄ちゃんといたら、竜も恐くないし、夜も眠れるしね。お兄ちゃんがいたら、他にはなんにもいらないよ……」

     ぎゅっと妹がアノスに抱きついてくる。
     
    「できた妹を持ったものだ」

    多分先にアニメ見てなかったら何が始まったんだとめちゃくちゃ混乱してたわ

  • 102スレ主25/08/21(木) 04:51:04

    「それ、褒められたのっ? わたし良い妹っ?」

    「ああ。寝つきがよければもっといいがな」

    「わたし寝つきもいいもんっ。お兄ちゃんが、いつものおまじないしてくれたら、すぐに寝られるんだもんっ」

     妹がアノスの目の前でにっこりと笑う。

    「仕方のない妹だ」

     アノスは妹の後頭部にそっと手を回し、彼女の額に優しくキスをした。
     嬉しそうに彼女は目を閉じる。

    「えへへ……おやすみ、お兄ちゃん」

     そのまま妹の頭を撫でながら、彼は囁く。

    「おやすみ、アルカナ」

    いやー実は兄妹だったとはなー

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:02:53

    アルカナー!

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 09:36:49

    ここ話が厄介すぎて最初読んだ時意味わからなくなったわ

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:25:36

    ここまでアノスの幼少期描写がほとんどなかったからね

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:29:48

    この時点では
    母親の死体から産まれた
    父親は知らない
    位か

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 20:45:25

    なかなか不穏ですねぇ

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 22:33:17

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 00:02:18

    待機

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 07:31:14

    待機

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 13:02:43

    待機

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 21:10:44

    待機

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 23:22:18

    待機

  • 114スレ主25/08/23(土) 04:40:34

     サーシャが目を見開いて、驚きをあらわにした。

    「なんで、あなたがアノスと一緒に寝てるのっ!?」

     その問いに、アルカナは物憂げな瞳を見せた。

    「この国では、神と魔族が共に寝るのは罪なのだろうか……?」

    「い、一緒に寝たのっ!?」

     自分で尋ねておきながら、動転したようにサーシャが声を上げた。

    「ふむ。サーシャたちが来たということは、もうけっこうな時間か。すまぬ。俺としたことが、珍しく朝寝坊をしたようだ」

    「わたしの責任。あなたに負担をかけすぎた」

     アルカナは裸体のままこちらを向く。

    「どうだった?」

    「どうとは?」

    「初めてだから、うまくいったかはわからない」

     サーシャが顔面を蒼白にして、ミーシャにすがりついた。
     混乱している様子だ。

    「……あ、あ、あ……アノスが優しいからってつけこんで、なにをおねだりしたのよっ!? 神様だってやっていいことと悪いことがあるでしょっ……!?」

    素晴らしいアンジャッシュ、若干脳内ピンク化してるサーシャが微笑ましい

  • 115スレ主25/08/23(土) 04:41:53

    「わたしの魔王様はそんなことにちっとも興味なんかないんだからっ!」

     アルカナは曇りなき清浄な瞳でサーシャを見返す。

    「なによ、神様は神様でも、ふしだらな神様だわっ。そんなのが救いになるなんて思ったら大間違いよっ」

    「なぜそう思うのだろう?」

     素朴な疑問といった風にアルカナが言う。

    「……だ、だって……わたしだって……そんなの、誘われたことも……」

     疑問の表情でアルカナはサーシャを見据える。

    「だ、だからっ……会ったばかりのあなたに頼むぐらいなら、わたしに言うはず……」

    「あなたにはできない。だから、わたしがした」

     サーシャはカーッと顔を赤くした。

    「で、できるわっ! アノスがしてくれって、アノスが欲しいって言うなら、わたしはなんだって……できないことなんてなにもないんだからっ!」

    「彼の隙間を埋めることは、簡単じゃない。この神の体ですらもたない」

    「もっ、もたないっ!? そんなにっ……!?」

     サーシャが羞恥に染まった視線で、ちらりと俺を見た。
     すぐに視線を外し、アルカナを睨む。

    遂にストレートにわたしの魔王様言いよったよこの子

  • 116スレ主25/08/23(土) 04:43:21

    「……ま、まぎらわしいことしないでよね……」

     顔を真っ赤にして、サーシャが恥ずかしそうに呟く。

    「大体、それなら、わざわざアノスのベッドに潜り込まなくてもいいじゃない」

    「夢からこぼれて、記憶はたゆたう。リエノ・ガ・ロアズは夢の番神。夢の中がもっとも秩序を発揮する」

    「せ、せめて服ぐらい着なさいよ」

    「分け隔てなく、境を挟まず。そうして神と人が触れ合うとき、秩序の恩恵をもっとも受ける」

     アルカナは俺の衣服に視線をやった。

    「リエノ・ガ・ロアズの秩序を発揮するなら、本来は、彼の服を脱がすのが正式」

    「だっ、だめに決まってるでしょっ。なんで神様の魔法ってそんなにふしだらなのよっ!? あなた神の名を忘れたって言ってたけど、ふしだらの秩序を司る、ふしだら神なんじゃないのっ!?」

    「魔族の子。この身は神であり、人ではない。神の裸は神聖であり、邪な心を抱く者はいない。気にすることはない」

     サーシャは助けを求めるようにミーシャを見る。

    「今は服を着た方がいいと思う」

     普通だった。

    ふしだら神来ました

  • 117スレ主25/08/23(土) 04:45:25

     やがて、見えてきた影は一人の少女の姿。

     銀の髪と、銀の瞳を持った女の子がそこにいた。


    「魔眼を見せればいいのよね?」

    「……ん……」


     サーシャの問いに、ミーシャが答える。

     彼女は疑似デルゾゲードを、この家の上空に創り出す。


     そうして、銀髪の少女は<破滅の魔眼>と<創造の魔眼>を同時に使った。


     アルカナは、その魔法陣が描かれた魔眼めをじっと見つめる。

     だが、すぐにはなにも口にしなかった。


    「どうした?」


    「……覚えがある気がする……」


     少女の魔眼を見つめたまま、アルカナが呟く。

     それを知っているということに、彼女自身が驚いているようだった。


    「恐らく、名もなき神となる前、わたしはこの魔眼めをどこかで見たのだろう」


    いつどこで見たのか……

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 06:16:20

    アニメの最後でやった通りアルカナが背理神だから背理の魔眼を見たことあるのは自分の眼を見たことがあるってだけだけど
    そうなると今度は姉妹が同じ眼を持ってるのは何で?ってなる

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 11:57:56

    待機

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 14:08:52

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:48:19

    待機

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 22:43:54

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 01:19:05

    待機

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 06:36:31

    待機

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 15:28:37

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 19:29:29

    待機

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 23:31:27

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 05:13:13

    待機

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:25:13

    待機

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 15:44:50

    保守

  • 131スレ主25/08/25(月) 20:40:47

    「つまり、融合したサーシャ・ミーシャが……ふむ、名がないと呼びづらいな。アイシャでどうだ? 他の名がよければ考えよう」


     銀髪の少女がうなずく。


    「アイシャでいいわ」

    「良い名前。嬉しい」


     サーシャとミーシャの声が響く。


    「<創造の魔眼>と<破滅の魔眼>を融合し、同時に発現したものを<創滅そうめつの魔眼>としよう。アルカナ、お前が言いたいのは、アイシャが背理神ゲヌドゥヌブだったかもしれぬ、ということか?」


    ここでさらっとアノス様のネーミングセンスの良さが光る

  • 132スレ主25/08/25(月) 20:43:42

    「そして、その背理神はアイシャかもしれぬ。彼女はサーシャという魔族に転生した。この時代に転生してくる暴虐の魔王の配下となるために。アイシャは背理神であったときの記憶を忘れ、<分離融合転生ディノ・ジクセス>によってミーシャとサーシャに分かれてしまった」


     アイシャがぱちぱちと目を瞬かせる。


     あるいは転生直後に根源を二つに分けられるという予定外の出来事が起きたために、失われるはずのない記憶が失われてしまった可能性がある。


    「だとすれば、俺はアイシャと、背理神と会ったことがあるのかもしれぬ」


    「わたしたちと?」

    「二千年前に?」


     ミーシャとサーシャが言う。


    「覚えているか、ミーシャ。ミッドヘイズの地下に俺が作った街を、お前が初めて見たとき、あれをどこかで見た気がすると口にした」


     あの地下街は、二千年前のディルヘイドの街並みを再現している。


    「お前たちの記憶の片隅に、転生前の出来事が僅かに残っている証明とも言える」


     アイシャは過去を思い出そうとするように遠い目をしている。


    「そして、俺は転生したことによって背理神ゲヌドゥヌブのことを忘れている。ゆえに、お前たち二人とこの時代で再会しても気がつくことはなかった」


    割と忘れそうになる時期に回収してくるよね伏線(俺のペースが遅いとも言う)

  • 133スレ主25/08/25(月) 20:46:27

    「……アノスの記憶を奪える敵……?」
    「それを覚えてないって、けっこうヤバいんじゃないかしら?」

     不安そうにミーシャとサーシャが言う。

    「なに、問題はあるまい。そいつにとって都合の悪い記憶を消したのならば、この忘れている記憶を辿っていけば自ずとその正体が見えてくるだろう」

     頭の中にある記憶の空白こそが、なによりの手がかりだ。

    「選定審判のついでだ。地底を探れば、なにかわかるかもしれぬ」

    「そういえば、選定審判をどうにかするって言ってたけど、それってどうやるの?」

     サーシャが尋ねる。

    「選定審判は、審判の秩序より成り立つと言われている」

     アルカナが答えた。

    「じゃ、その審判の神を滅ぼせばいいってこと?」

    「そう。ただし、選定審判の秩序を有する神は、神の前にすら姿を現したことがない。誰も見たことのない神」

    アノスの記憶を奪えるとかいうパワーワード

  • 134スレ主25/08/25(月) 20:48:30

    「今日の授業は、なんとぉっ!!」


     くるくるとその身をそこで高速回転させた後、エールドメードは、ビシィッと生徒たちを杖で指した。


    「大・魔・王・教・練・だぁっっっ!!!」


     教壇に<転移ガトム>の魔法陣が出現する。

     そこに俺は、魔王の装束を纏い、アノス・ヴォルディゴードとして姿を現した。


     すっとシンが跪き、エールドメードがそれに続いた。


     ガタガタガタガタガタガタッとものすごい勢いで椅子が引かれていき、生徒たちは床に頭を突っ込まんばかりの勢いで我先にとひたすら下を目指し、跪く。


     教壇に立った俺は泰然と口を開く。


    「本日から始まる特別授業、大魔王教練を担当する臨時講師、暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードだ。まあ、堅苦しいことは抜きとしよう」


     俺はかつての旧友たちに挨拶するように、朗らかな笑みを見せた。


    「みんな、久しぶりだな」


     生徒の半数は絶望的な表情を浮かべていた。


    むしろ半数なんだな絶望的な顔してるやつ(

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 21:16:50

    >>131

    ミーシャとサーシャの融合体だから合いシャって名づけたと予想

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 22:28:27

    >>135

    確か作者曰く相と愛が由来だったような

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 03:10:33

    待機

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 07:37:07

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 13:38:47

    >>136

    それは初耳だったわ。ありがとう

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:52:49

    待機

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:37:55

    保守

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 04:10:29

    待機

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 07:34:01

    保守

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 13:06:46

    待機

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:47:46

    待機

  • 146スレ主25/08/27(水) 20:39:29

    「……ていうか、やべえ…………マジでやべえよ…………」

     教室の後ろの方にいた黒服の生徒たちが呟く。

    「俺……何回アノス様のこと呼び捨てにしたかわかんねえぞっ……」

    「馬鹿っ。呼び捨てだけなら可愛いもんだろ。俺なんか、不適合者だって馬鹿にしまくってたぜ……」

    「俺なんか、お前の血には尊さがないって調子に乗りまくってたよ……はっきり言って小馬鹿にしてた……!」

    「なあ……もしかして、授業にかこつけて、俺たちを始末しに来たんじゃ……」

    「…………殺すだけなら、シン先生に任せればいいだろ……わざわざ来たってことは、俺たちが苦しむ姿を直にみたいってことなんじゃ……?」

    「いや、でも、暴虐の魔王だぜ。あの暴虐の魔王だ。俺たちなんか、そもそも眼中にないんじゃないか?」

    「あ、ああ。だよな。きっと忘れてるだろう。ていうか、頼む……忘れててくれ……!」

    大丈夫だって!破滅の魔眼を魔王に向けた側近とかいるから!

  • 147スレ主25/08/27(水) 20:40:36

    「一つだけ言っておく」

     生徒一人一人の顔を見て、俺は静かに口を開く。

    「不適合者だからと生意気な口を利いてきた者もいたが、なんとも思ってはおらぬ。俺とお前たちは学友だった。ならば、立場は対等、言いたいことを言えばよい。それしきのことを咎めるほど俺は狭量ではない」

     俺たちの間に遺恨などないということを皇族の生徒たちにはっきりと示す。

    「……なんとも思っていないってことは、だ……」

    「なんてこった……! ありゃ、相当根に持たれていらっしゃるよ……完全に手遅れだ……!」

    「ああ、なんとも思ってないなら、そもそも言及するわきゃねえもんな……」

    「つーか、立場は対等って、つまり手加減しねえってことかよ……」

    「俺も思ったことをやらせてもらうってパターンだ……終わった……」

    「……命だけで許してくだされば、いいんだが……」

     ふむ。なるほどな。

    「サーシャ、なんとかせよ」

    「いきなり来ておいて、なに無茶ぶりしてるのよっ! 自分でやりなさいっ!」

    無茶振り担当サーシャ・ネクロン

  • 148スレ主25/08/27(水) 20:44:05

    「聞いて欲しい」
     珍しいミーシャの自己主張に、生徒たちの視線が釘付けになる。
    「アノスはこう見えて、キノコグラタンが好き」

     なるほど。庶民的な食べ物が好きとアピールすることで、親近感を湧かせ、暴虐の魔王としての畏怖を軽減するつもりか。

    「わたしはアノスのために、よくキノコグラタンを作った。一生懸命、練習した。失敗もした。でも、アノスはいつも美味しいって褒めてくれた。アノスはそういう人。優しい」

     俺の日常的なエピソードを語れば、それだけ暴虐の魔王への恐怖も薄れるというものだ。
     これならば――

    「……き、キノコグラタン…………!?」

    「…………なんなんだ、それは……いったいどんな恐ろしい拷問のことだ……!?」

    「おい……まさか、まさか……俺たちを生きながらにキノコグラタンみたいにしてやるってことか……!?」

    「ばっ……ドロッドロじゃねえかっ……!? 原形がないほどにっ……!?」

    「待てよ待てよ。よく作ったって……まさかミーシャちゃんにそんなことをやらせて……練習までさせて……なんて……暴虐な……!?」

    「それで食うっていうのかっ!? 美味しいってっ!? 生きながらにキノコグラタンにして、俺たちを食うのかよっ……!?」

    「いや、問題はそこじゃない。いいか、一番の問題はだ」

     生徒たちがごくりと喉を鳴らす。

    「そこまでやっても、まだ優しい方だってことだよ……」

    だめだ、脚色されまくってやがる

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 20:47:32

    ことごとく酷いの草やで

  • 150スレ主25/08/27(水) 20:47:56

     ファンユニオンの少女たちが目配せをして、ひそひそと話し始める。
    「……ど、どうしよう?」

    「……あたしたちは、正直、まだ竜も倒せないし、厳しいよね……?」

    「欠席した方がいいのかな?」

    「だよね。みんなにも迷惑かけちゃうかもしれないし」

    「ちょっと待って! あたし、わかっちゃったっ!」

    「わかったって、もしかしてアノス様のお考えが?」

    「あたしたちを試してるとか?」

    「ううんっ。そうじゃなくて、未知の国ってことは、アノス様も行ったことないんだよね?」

    「う、うん。それは、そうだと思う」

    「じゃ、これって一緒に行けば、間接初体験旅行じゃないっ!?」

    「あぁ……! し、しかも、もしあたしたちが滅んだら、アノス様のお考えのもとに滅んだようなものだから――」

    「かっ、間接初体験旅行滅ぼされっ!?」

    「ほっ、滅びたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃっ……!!」

     地底世界のことなど頭から吹き飛んだんだかのように、ファンユニオンの少女たちがきゃあきゃあと騒いでいる。

    安定と信頼のファンユニオンの皆さん

  • 151スレ主25/08/27(水) 20:49:37

    「はい、はーい、次はボクが答えるぞっ」

     エレオノールが何度も手を挙げている。

    「聞こう」

    「がんばったんじゃないかな?」

    「無論、がんばったはがんばっただろうがな」

     エレオノールの真似をするように、今度はゼシアが手を挙げた。

    「では、ゼシア」

    「もっと……がんばりました……沢山です……!」

     両手をぐっと握り、ゼシアは堂々と答えた。

    「正解と言えば正解だ」

    「……正解……です……!」

    「あー、アノス君、ゼシアにだけ甘いぞっ」

     エレオノールが唇を尖らせる。
     他に手は挙がらなかったので、他人事のように微笑みながら授業を聞いている男に視線をやった。

    可愛い

  • 152スレ主25/08/27(水) 20:52:11

    「僕も、敗走した当事者じゃなかったら、そう思っただろうね」

     苦笑しながら、彼は言う。

    「それ、なんかずるいわ……」

     机に突っ伏しながら、サーシャがぼやく。

    「そのとき、城を守ったのは、急遽そこへ派遣された一人の魔族。他でもないお前たちの担任、熾死王エールドメードだ」

     カカカ、と彼は笑った。

    「古い話をするではないか。結局その後、そこの男に城は落とされてしまったがね」

     エールドメードがレイを見ると、彼は爽やかに微笑んだ。

     一日で兵を鍛え上げたエールドメードに対して、レイは戦っている最中に急成長してそれを打倒した。
     一度退却したのは、浮き足だった他の兵の体制を整え直すためだ。

    「君が城を放棄して退却を選ばなかったら、わからなかったよ」

     ニヤリ、と熾死王が笑い返す。

    この辺は流石英雄達

  • 153スレ主25/08/27(水) 20:55:07

     二人のやりとりを半ば呆然と眺めている生徒たちに、俺は言った。

    「明日にも、絶望的な戦力の敵が攻めてくるかもしれぬ。そんなときに、もう一日しかないと思うのか、まだ一日あると思うのか。心がけ一つで戦況は大きく変わる。増援がないのならば、力を増やせばいい。そうすれば、数で劣っても戦力では上回れる。これが、二千年前――いや、熾死王エールドメードの籠城戦だ」

     そんな馬鹿な、といった表情を生徒たちは浮かべている。

    「論より証拠だ。これから行う教練は、そのとき熾死王がやったものよりも幾分か危険が多い。うまく行けばお前たちの実力は段違いに向上するが、気を抜けば、あっという間に滅ぶことになろう。心して挑め」

    地獄なのはかわんないっすねこれ

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 21:14:12

    >>151

    アノスってなんだかんだでゼシアに甘いよね

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 22:36:02

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 05:37:34

    待機

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 13:02:30

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 15:12:20

    保守

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 19:51:07

    待機

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 22:29:58

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 05:12:36

    待機

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 13:13:59

    待機

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 22:30:49

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 01:10:49

    待機

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 07:30:40

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 13:14:57

    待機

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 20:18:27

    待機

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 22:33:42

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 01:23:05

    魔王待機中

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 07:40:25

    保守

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 07:41:26

    このレスは削除されています

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 15:08:58

    待機

  • 173二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:22:27

    暴虐の魔王が待機しておられるぞ!

スレッドは9/1 07:22頃に落ちます

オススメ

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