【SS】夢の続きをもう一度だけ

  • 1◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 22:41:40

    このSSはホシノとユメ先輩の幽霊がお盆に再会するお話です。
    題材自体はどこにでもありそうなのは...置いといてとりあえず書いたので読んで感想を貰えれば幸いです

    このSSは以前投稿したものを再掲になります、それでも良ければ...よろしくお願いいたします。

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 22:45:24

    目が覚めると、違和感を覚えた。
    この部屋には本来私1人...それでも人の気配を感じる。
    カーテンを開け、電気をつける。
    いるはずのない人がそこにいた。

    「ユメ...先輩...?」

    私が声を掛けてもなにも答えない。
    ただ穏やかに微笑んでるだけだった。
    よくよく見ればなんだか透けている。

    ...幽霊?

    寝ぼけた頭でそう考えるが、唐突にユメ先輩が時計を指さした。

    「やばっ遅刻じゃん...!?

    でも、そんなこと言ってる場合じゃ...今日は休んで...」

    なんて言ってるとユメ先輩の表情が変わった。
    なんだか怒ってるみたいな顔だった。

    「...えっと、学校に行けってことですか?」

    その問いに返事はないが、肯定された気分だった。

    「はあ、わかりましたよ」

    ため息をつきなながら着替え始めるが着替えの最中、若干憐れんだような目で胸を見られてた気がする。
    少しイラッとしたので軽く追い払った。

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 22:46:30

    私の手はユメ先輩に触れることはできなかった。

    なんとか遅刻しないで学校に私は着いた。
    走ってる最中、ユメ先輩も走ってついてきた。
    情けない顔が隣にあり、本気で走れば振り払ってしまいそうなので少しスピードを落としてた。
    こういうのって普通浮いてついてくるものじゃないのかな。
    学校の入り口でシロコちゃんに会った。

    「ん。おはようホシノ先輩
    遅刻ギリギリなんて珍しいね」
    「うへへ...今日はちょっとね
    ねえ、シロコちゃん、私の後ろに何かいる?」
    「...なにもいないけど、誰かにつけられてたの」
    「い、いやぁ...なにもないならいいよ」
    「でも...視線は感じる」
    「.......気にしないでいいと思うよ」

    私の隣にいたユメ先輩はいつの間にかシロコちゃんをじろじろ見ていた。
    それはもう興味津々に。
    シロコちゃんには見えてないみたいだけど、なんとなく見られている感じはあるっぽい。

    「ん。教室にいこう...先生も待ってる...」
    「うへぇ...みんなに謝らないとだね」

    教室に入って、軽く挨拶と謝罪をしていつもの対策会議に入る。
    まじめ半分、雑談半分の話し合い。
    それらを子守歌にして、いつものように私はうとうとする。
    その間ユメ先輩は後輩たちと先生をじろじろと見ていた。

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 22:47:32

    軽く頭の中で整理する。

    このユメ先輩はたぶん幽霊だ。
    見えているのは多分私だけ。
    だけどちゃんとそこにいて、みんな何かしらの反応はしていることから私の幻覚ではない。
    どうして現れたか...お盆だから?

    これ以上は情報もなさそうだし、やめよう

    「ねえ、なんか今日クーラー効きすぎじゃない?」
    「変ですね...たしかになんだから空気が冷たいのはそうなんですけど...」
    「クーラーの設定はいつも通りですよー」
    「うへっ...今はお盆だからね
    亡くなったアビドス生が見に来てるかもよ
    変な後輩は呪おうとして
    塩でも撒いておく?」
    「ちょっちょっとホシノ先輩、いきなり怖いこといわないでよ!」

    セリカちゃんが私の冗談に100点の反応をしてくれた。
    ユメ先輩は顔を青ざめていた。
    幽霊に塩はちゃんと効くんだ。

    「ん。それならしないほうがいい」
    「シロコちゃん?」
    「私たちは胸を張ってアビドスのために頑張ってるって言える
    それに、もしかしたらユメ先輩もホシノ先輩を見てるかもしれないし」

    ユメ先輩は隣で驚いていた。

  • 5◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 22:57:29

    「シロコちゃん...もしかして見えてるの...?」
    「ん。私にはなにも...でもそうだったらいいなとおもっただけ」

    シロコちゃんは時々鋭いことを言うので心臓が止まるかと思った。
    ユメ先輩はなんだか後輩たちすごいね!と言ってる気がした。
    そうでしょう...ユメ先輩...
    私なんかよりよっぽどすごい後輩ですよ。

    あれからユメ先輩はいつの間にか教室の外を出ていき、私たちはいつもの会議を続けていた。
    会議も終わり、そろそろ帰る時間なのでユメ先輩を探す。
    ユメ先輩は私の机の前にいた。
    私の机にはくじらのクッションがあるのでわかりやすかったと思う
    夕焼けに照らされたユメ先輩は奇麗で、どこか儚かった。

    「...そんなとこにいたんですか、ユメ先輩
    そろそろ帰りますよ」

    ユメ先輩は軽く頷くと私の傍に来た。
    そのまま私たちは寄り道せず、家に帰った。

    家について食事の支度をする。
    基本的に栄養バランスは問題ないが私の食事は質素なものだった。
    他人から見たら味気ないと言われそうで、実際今のユメ先輩からそんな感情が読み取れた。

    「......いいんですよ、私はこれで」

    その抗議の目で若干食べづらかった。

  • 6◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 22:58:29

    ユメ先輩はお風呂にも乱入してきた。
    ご丁寧に裸だった。
    服は脱げるのかと思っていたら胸を揉まれた。
    正確には胸のあたりを腕がすり抜けただけだったが。
    私の拳がユメ先輩の体をすり抜けた。

    もう寝る時間なので私は着替えてベッドに入った。

    ユメ先輩はいつの間にかいなくなっていた。

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:19:16

    期待

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:37:12

    幽霊でも変わんねえ…

  • 9◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:38:27

    目が覚める。
    部屋を見渡す。
    誰もいない。
    もういなくなったのかなと思いつつも寂しさを感じたが、ベッドに違和感を覚えた。

    「うわっ何やってるんですかユメ先輩!?」

    ユメ先輩は私のベッドで寝ていた。
    幽霊も寝るんだ...
    私の声でユメ先輩はゆっくりと目覚める。

    「...ユメ先輩、そろそろ起きないと遅刻しますよ」

    そういうとユメ先輩は慌てて動きだす。
    準備を終えた私たちは今日は余裕をもって家を出る。

    もの珍しそうにユメ先輩は街を見渡していた。
    二年も経てばわりと景色は変わる。
    まあここは衰退していったというわけだが...
    そんな街の変化に少し寂しそうにしながらも、好転しているのは事実であった。
    そんな姿を見てユメ先輩は嬉しそうに笑っていた。

    なんだか昨日よりも透けて見えた。

  • 10◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:40:10

    今日はみんなでプールに入ることにした。
    リゾートに行ったときのではなく、スク水だった。

    ユメ先輩もご丁寧にスク水を着ていた。
    先生はみんなのスク水を堪能しているように見えた。
    別にそれはいいんだけど、私に以前スク水を着て欲しいって言ったんだからもう少し私のを見ていいと思う。
    もやもやした感情を持て余してるとユメ先輩のにやけ面が目に入った。
    大量の水をかけておいた。

    学校帰りはみんなでラーメンを食べた。
    運ばれてきたラーメンをユメ先輩は羨ましそうに見ていた。
    食べれないんだから我慢してください。
    支払いはちゃっかり先生に払わせた。

    帰り道、私とユメ先輩と2人になった頃、シロコちゃんが来た。
    シロコちゃんはシロコちゃんだけど、もう1人のシロコちゃんだ。

    「変な気配がホシノ先輩についてると思ったけど...この人だったんだ...」

    開口一番にシロコちゃんはそう言う

    「.......シロコちゃんは見えてるの?」
    「見えてはない、なんとなくわかるってだけ...意思疎通もできない...ただ、そこにいるのがわかるだけ...」
    「そっか...」
    「わかってると思うけど、害はないよ
    ......でも、1個気を付けて」
    「うへっ...なにを...?」
    「その人が来れてるのはお盆だから
    いれるのは明日の深夜12時までだからね」
    「...えっ」

  • 11◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:41:42

    ずっと一緒にいれる...なんては思ってなかった...
    それでも、あまりに早過ぎる...
    ユメ先輩は...いつも通りなにも言わないで、ただ少し悲しそうに微笑んでいた。

    家に帰って、沈んだ気持ちのまま着替える。
    なにかユメ先輩は伝えようとしていたが声は聞こえない。
    身振り手振りで伝えようとしていたが見ないふりをした。
    食欲もわかず、お風呂に入って布団を頭に被って眠りについた。

  • 12◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:44:14

    いつも通りの時間に目を覚ます。
    目覚めたとき、ユメ先輩はリビングに座っていた。
    昨日よりもなんだか透けていた。
    シロコちゃんが言う通り、そういうことなんだろう。

    目覚めた私に気づいてこちらを向くが、なんとも言えない表情をしていた。
    そんな顔を見て、私は立ち上がった。

    「ユメ先輩、出掛けましょう
    あれからこの街は砂漠化が進んでますが...それでも発展もしてるんです
    今のアビドスを見てください」

    ユメ先輩は微笑みながら頷いて立ち上がった。
    先生に今日は休むことを伝えて街に出た。

    街を散策する。
    ユメ先輩といった商店街はなくなっている。
    それでも新しい商店街は開いていた。
    電車が開通して利便性が増した。

    相変わらず柴関ラーメンはやっていたが味は変わってしまった。
    ただし、いい意味で。

    お昼ご飯は昨日も食べたが柴関ラーメンにした。
    相変わらず羨ましそうに見ていた。

    ラーメンが運ばれてくるが、頼んでないミニラーメンもきた。

    「大将、これは...」
    「サービスだよ、お連れさんの」

  • 13◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:45:16

    大将は霊感が強いのか...見えているのだろうか...
    お礼を言って、ラーメンを食べた。

    その後街の散策を続けた。
    街並みは変わってしまったけど...思い出はずっと変わらない。
    その場所に行くたびに鮮明によみがえる。
    胸がいっぱいになって...11:30頃にはもう限界だった...

    「ユメ先輩、どうでしたか...これが今のアビドスです
    街並みは変わりましたけど...私は...今でも昔の思い出が鮮明に蘇ってきますよ
    今の風景も後輩たちが...しっかりとユメ先輩の意志を正しく継いできた結果です...
    まだまだ大変ですけど、きっと、将来はもう、大丈夫だと思います」

    ユメ先輩の体はさらに透けていて、もう体はほぼ見えなかった。
    ユメ先輩は...泣きながら微笑んでいた。

    「何度謝っても、何度悔やんでも...この苦しさはやっぱり残ったままです...
    やっぱり私は嫌な後輩で、だめな先輩でした
    それでも...私は頑張れてましたか?
    上手くできてますか?
    私は...わた...し...は...」

    「......そういうとこが、ホシノちゃんのダメなところだよ
    卑屈になりすぎてる」

    ユメ先輩が初めて声を出した。

  • 14◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:46:21

    「ホシノちゃんは頑張ってるし、上手くやっている方だよ
    私と比較してるならなおさら
    だって、私はホシノちゃんに迷惑ばかりかけていていたでしょ?
    それに、今のアビドスがあるのはみんなが頑張ったおかげで...もちろんそこはホシノちゃんも含まれてるんだから...」
    「ユメ先輩...」
    「ホシノちゃんは物言いはきつかったけど、私にはいい後輩で
    間違えちゃう時もあるけど、みんなを守れるいい先輩だよ」

    嗚咽が止まらない。
    涙が溢れる。
    触れられなのに、抱きしめられた気がする。

    「だから、胸を張って」

    あの時のように、私は泣き叫んだ。
    みっともなく、泣き叫んだ。

    「ユメ先輩...」
    「なあに?」
    「......ありがとう、ございました
    先輩の事、大好きでしたよ」

    「うん、私も...ホシノちゃんのこと、大好きだったよ
    あっ...また変なことしたら今度は悪霊として化けて出てるからね」
    「.....うへっそうはなりませんから...見守っててくださいね」

    そういうと、微笑んだままユメ先輩の姿は見えなくなった。
    時間を確認すると0:01となっていた。
    私は涙を拭いて家に向かった。

  • 15◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:47:26

    エピローグ

    家につくと入口に先生がいた

    「あれ、こんな時間にどうしたの、先生」

    "もう1人のシロコから話を聞いてね"
    私に様子を確認して欲しいと言われたから来てみたんだ
    でも、大丈夫そうだね"

    シロコちゃんがどうやら私を気遣って先生を寄こしたみたいだった

    「うん、なんとかね...」
    "...ホシノは頑張ってるよ"
    「わかってるよ、ユメ先輩にお墨付きもらったからね」
    "...そっか、じゃあ私は帰るね"
    「こんな夜中なんだから泊っていきなよ」
    "い、いや...流石に生徒の家に泊まるのは"
    「この前一緒に寝たのにいまさら何を言ってるの?」
    "それは..."
    「それにプールの時、私にスク水着せようとしたくせに後輩たちのばっか見てたのもお話したいなー」
    "えっ...あっ..."
    「ほらほら、早く入りなよ」
    "はい..."
    「......ありがとうね、先生
    なんだかんだ言って、今日は誰かと一緒にいたかったからさ」
    "うん..."

    そのまま、私たちは家に入った。
    ちなみに次の日は遅刻した

  • 16◆14q0sGvS/He525/08/11(月) 23:50:42

    以上となります。
    短めですが読んでいただきありがとうございます。
    感想等、お待ちしています。

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:57:52

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/11(月) 23:59:35

    乙です
    奇麗なSSありがとうございます

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/12(火) 00:07:13

    よかった…

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