【安価ダイス】転生したら徳川家康だった件(改) その一

  • 1◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 17:34:04

    諸事情で打ち切りにせざるを得なかったスレのリベンジです。
    ♡3以上で開始します。

    徳川家康の史実に合わせなくてもOK。IFの歴史として、家康を操作しちゃいましょう。

    ただ、スレ主が扱いづらい安価、あまりにも戦国時代に合わない安価は、勝手に除外させていただきます。

    ※スレ画はAI製

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 17:40:23

    日本史勉強してたの何年前だったっけ……?
    ってレベルで参加して大丈夫です?

  • 3◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 17:41:20

    >>2

    毎回、選択肢(自由記述あり)を用意していますので、お気軽にご参加ください〜

  • 4◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 17:43:02
  • 5◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:05:11

    ───

    時は遡り、群雄が割拠する戦国の世。

    室町幕府の権威は地に堕ち、各地では守護大名に代わって、才覚と武力を備えた戦国大名たちが頭角を現していた。

    日ノ本の大地は幾度もの戦火に覆われ、城下も山里も焼かれ、無辜の民があまた命を落とす。

    その混迷は、まさに「乱世」と呼ぶにふさわしかった。

    しかし、乱れに乱れた国を鎮め、平和をもたらそうと志す者たちもいた。

    その一人が、三河の片隅に生まれた若き武将――徳川家康。

    一介の小豪族に過ぎなかった男は、やがて幾多の試練を越え、日ノ本を新たな時代へと導くことになる。

  • 6◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:06:45

    第一章 その名は、次郎三郎


    目が覚めたとき、最初に聞こえてきたのは、どこか必死な声だった。

    「……殿! 殿、気がつかれましたか!」

    視界に入ったのは、和装に髷の男たち三人。額には汗をにじませ、心配そうにこちらを覗き込んでいる。俺は……なぜか布団に寝かされていて、身体が妙に重たい。熱があるようだ。夢か、熱のせいで見ている幻覚か?

    「……誰?」

    そう尋ねると、三人の表情がいっせいに曇った。

    「おいたわしや、殿。お苦しみのあまり、お気も違われたか……」

    二十代ほどの年長の男が、うやうやしく頭を下げる。

    「それがし、石川与七郎数正。こちら、鳥居彦右衛門元忠、そして平岩七之助親吉にございます」

    ……聞いたことのある名前だ。どこかの戦国ゲームで見たような……。

    「殿は、三河松平家の御当主、次郎三郎さまにあらせられまするぞ」

    俺は思わず目を見開いた。

    三河? 松平? 次郎三郎……?

  • 7◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:07:13

    「お分かりですか。ここは駿府、今川館にございます」

    俺は恐る恐る尋ねた。

    「なあ……今って、何年だ?」

    「今は弘治二年。 殿は先日よりのご病気にて、生死の境を彷徨っておられましたが……ようやくご回復の兆しが」

    ――弘治二年。つまり、西暦でいえば1556年。戦国時代、ど真ん中。

    間違いない。俺は戦国時代の人間に転生してしまったようだ。

    だが、この時の俺は――それが後に「徳川家康」と呼ばれる人物だなんて、夢にも思っていなかった。

  • 8◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:08:45

    男たちは、“次郎三郎”が何も覚えていないことを嘆きつつも、それを長患いによるものだと受け止めたようだった。

    そして、まるで子どもに教え諭すかのように、ゆっくりと語りはじめる。

    「殿は、先の三河・岡崎城主、松平広忠公と、尾張・水野家の姫・於大の方様の御長男にございます」

    石川数正が、穏やかに言った。

    「御生誕は天文十一年、三河の地にて。されど、わずか六つの折……尾張・織田家の人質となられました」

    「三河の者は誰一人、あのときの無念を忘れてはおりませぬ……」

    鳥居元忠が、唇を震わせる。

    「泣きながら馬に揺られてゆく殿の後ろ姿――我が父は『生涯忘れられぬ』と、幾度となく申しておりました……」

    「その後、殿は今川と織田の人質交換によって駿府へ移され……そして今に至るのです」

    平岩親吉が、静かに言葉を結んだ。

    俺は必死に頭の中で年表を組み立てる。

    松平広忠、於大の方、水野家――どれも、戦国ゲームや歴史本で見覚えのある名だ。

  • 9◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:09:29

    石川数正が、声を落として続ける。

    「殿の母君・於大の方様は、兄・水野信元殿が織田と同盟したため、御家を離縁され……今は尾張・阿古居城にて、久松長家殿に添われております」

    「……母上が、他家に……?」

    思わず漏らした言葉に、三人は驚いたように顔を見合わせ、すぐに静かにうなずいた。

    「やはり、何も覚えておられぬのですな……ご無理もございませぬ」

    数正が、わずかに声を震わせて言った。

    「そして、父君・松平広忠公も……七年前、すでに亡くなられております。突然の死――敵の刃によるものか、あるいは……」

    鳥居が何か言いかけて、唇を噛み、言葉を飲み込む。

  • 10◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:09:51

    「いずれにせよ、三河は今、今川の手の内にございます」

    数正の声は、淡々としていながらも深い悔しさを帯びていた。

    「岡崎も、家臣たちも……いかに忠義を誓おうとも、殿がこのまま駿府に幽閉され続けては、三河に先はございませぬ」

    その言葉に、鳥居と平岩は嗚咽をこらえるように息を震わせた。

    「それがしら、殿が必ず三河を取り戻し、松平の御名を再び掲げる日が来ると信じ……こうしておそばに仕えてまいったのです!」

    三人は床に額をすりつけるように深く頭を下げた。

    その必死な姿を前に、俺は――いや、“俺”として生きてきた人間は、何と答えればいいのか分からなかった。

  • 11◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:10:12

    【年:1556年(弘治2年)】
    【年齢:14歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

  • 12◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 18:11:00

    次の展開

    【選択肢】
    1.病が癒え、今川義元と対面
    2.義元の母・寿桂尼が見舞いにくる
    3.今川軍師・大原雪斎が見舞いに
    4.今川家臣の娘・瀬名と田鶴が見舞いに
    5.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 18:24:30

    今川義元暗殺未遂の一報がもたらされる(あくまで未遂)

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 19:04:45

    1の 病が癒え、今川義元と対面

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 19:36:46

    3で

  • 16◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 19:38:16

    1.>>13

    2.>>14

    3.>>15

    dice1d3=2 (2)

  • 17◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:09:19

    第二章 駿河の支配者たち


    それから一週間ほどが過ぎた頃。
    病も癒え、体力が戻りつつあった俺は、今川館の主――今川義元に挨拶へ向かうこととなった。

    「殿が病によってすべてをお忘れになったことは、すでに館中に広く伝わっております。太守様……義元様も、その旨ご承知とのこと。しかし――お覚悟を」

    石川数正が低く囁く。その声音に、緊張が増すのを感じた。俺は深くうなずき、気を引き締める。

    これから対面するのは、駿河・遠江・三河を束ねる「海道一の弓取り」――今川義元。
    その嫡男・今川氏真。
    そして、義元の母にして、事実上の今川家を陰で支配する女傑、寿桂尼。

    その三者が一堂に会する場へ、俺はこれから足を踏み入れる。

  • 18◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:09:49

    今川館の広間に通される。

    燦然と輝く金箔張りの襖が、差し込む光を柔らかく反射し、磨き抜かれた床は姿を映すほど滑らかだ。
    床の間には流麗な筆致の掛軸が掛けられ、薄く漂う香の香りが鼻をくすぐる。

    すでに三人は揃っていた。

    今川義元――高貴な直垂をまとい、立烏帽子を戴いたその姿は、まさしく「将軍家をも凌ぐ男」の風格を放っている。顔立ちは細く整い、眉目は端正。だが、瞳にはただの貴族にはない、鋭く通った芯と、周囲を支配する威厳が宿っていた。

    その隣に控える嫡男・氏真――同じく直垂姿で立烏帽子を戴くが、父に比べればまだ若く、どこか気取りが強い。仕草や視線に、自分を飾り立てようとする癖が垣間見える。

    そして、二人の脇に控える老女――寿桂尼。
    質素な尼衣ながら、ただ座しているだけで空気が張り詰める。背筋は真っ直ぐに伸び、年齢を重ねても衰えぬ気迫がその眼差しに宿っていた。彼女の存在は、義元でさえ軽々しく扱えないものだと、一目で分かった。

  • 19◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:10:15

    俺は石川数正に軽く促され、床に手をついた。

    「松平次郎三郎、参上仕りました」

    背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと深く頭を下げる。床に額が触れそうになった瞬間、義元の落ち着いた声が響いた。

    「面を上げられよ、次郎三郎どの」

    顔を上げると、義元の鋭くも澄んだ瞳が真っすぐ俺を射抜いていた。その眼差しは威圧というよりも、品定めをする冷静さと、わずかな慈愛を含んでいる。

    「回復されたようで何よりじゃ。……よう戻ってこられた」

    その言葉に、俺は一瞬ためらいながらも、はっきりと応えた。

    「もったいなきお言葉、かたじけのうございます。されど……それがし、病の熱のために、己の名も、生い立ちも、すべて忘れ申してしまいました。まこと、お恥ずかしゅうございます……」

    義元はほんのわずかに目を細め、低く息をついた。

    「存じておる。それほどまでに苦しまれておったのじゃな」

    俺はただ、無言でその視線を受け止めるしかなかった。

  • 20◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:10:35

    「次郎三郎どのは、三河よりお預かりした大事な御仁。元服の折には、余と氏真のもとにて、存分にお働き願いたい」

    義元は微笑を浮かべつつ、視線をゆるやかに寿桂尼へ向けた。
    寿桂尼は静かにうなずき、言葉を発することなく再び俺へと目を向ける。

    「次郎三郎どの、そなたはお若い。これからにございますぞ」

    その声は柔らかく、慈母のような響きさえあった。だが、その奥に潜むものは決して甘いだけのものではない――そんな感触が背筋を撫でる。

    ふと横を見ると、氏真が口の端をわずかに上げていた。笑みと呼ぶには冷たく、目の奥には見下す色がはっきりと宿っている。
    言葉には出さずとも、その視線は語っていた。
     
    ――“お前は家来として、ふさわしくしておれよ”。

    俺は、その意味を測りかねながらも、ただ静かに膝を折ったまま、彼ら三人の視線を受け続けていた。

  • 21◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:12:08

    【年:1556年(弘治2年)】
    【年齢:14歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

  • 22◆qurqnrwxxY25/08/14(木) 20:12:25

    次の展開

    【選択肢】
    1.今川軍師・大原雪斎と対面
    2.今川家臣の娘・瀬名と田鶴と対面
    3.元服(成人の儀)を提案される
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/14(木) 20:29:57

    4
    一向宗、本願寺の一揆対策に高田派を支援する事で弱体化する事を狙えるのでないか?と相談する

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 00:37:01

    1で

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 09:55:56

    1やね

  • 26◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 09:57:47

    1.>>23

    2.>>24

    3.>>25

    dice1d3=3 (3)

  • 27◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 10:49:19

    第三章 今川軍師・雪斎


    次に、俺は数正に促され、今川家を支えるもう一人の巨星と会うことになった。

    大原雪斎――臨済宗の僧にして、今川家の執政。軍事・外交・内政すべてに長け、義元や寿桂尼も全幅の信頼を置く「今川の柱石」。

    数正によれば、“俺”も病に倒れるまでは、禅師のもとで兵法から経典、漢籍に至るまで広く学んでいたという。

    「殿、雪斎禅師は太守様の師にあたる御方。どうか、粗相なきよう」

    数正の低い声には、緊張と敬意が入り混じっていた。
    俺は黙ってうなずき、書院の障子に手をかける。

  • 28◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 10:49:44

    障子を開けると、そこには質素ながらも一分の隙もない空間が広がっていた。磨き上げられた床板。壁際には経巻が整然と並んでいる。

    その中央に、黒衣の僧が静かに座していた。
    痩せた顔に深い皺、しかし眼光は鋭く、まるで心の奥を見透かすような力を帯びている。

    「……次郎三郎どの。よくぞご無事で」

    その声は低く穏やかでありながら、耳の奥に残る響きを持っていた。

    「禅師、ご心配をおかけして申し訳ございませぬ。それがし、長患いにより……」

    「存じております。記憶を失くされたと」

    雪斎は目を伏せ、ゆっくりと息を吐いた。

    「拙僧が授けた兵法、経典、漢籍……すべて水の泡となってしまったか。――次郎三郎どの、そなたは我が弟子の中でもひときわ才覚がござった。ゆえに、太守様のお役に立てる将となれるよう、心を砕いて学問を授けてまいったが……」

    その声には、弟子を案じる師としての嘆きと、国の将来を憂う執政としての無念が、等しく混じっていた。

  • 29◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 10:50:03

    「禅師……お詫びの申しようもございません。それがし、また一から禅師のもとで学ばせていただきとうございます」

    「いやいや、次郎三郎どの」

    雪斎はかすかに首を振る。その仕草は穏やかだが、拒絶の意志は揺るがない。

    「拙僧の命数は、もはや長くはない。今から授けたところで、果たして何になりましょうや」

    一瞬、室内の空気が静まり返る。

    「次郎三郎どの、これまで授けた『庭訓往来』、『平家物語』、『太平記』、そして経典と漢籍の数々――くれぐれも疎かになさいますな。我が生涯最後の弟子であるそなたは、今川の命運すら変えかねぬ器量をお持ちと、拙僧は見ておりますゆえ」

    その目が、まっすぐ俺を射抜いた。
    その視線に、俺は背筋を伸ばさずにいられなかった。

    「禅師……」

    口からこぼれたその言葉に、雪斎は何も答えず、ただ静かに目を閉じた。

  • 30◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 10:51:00

    【年:1556年(弘治2年)】
    【年齢:14歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

  • 31◆qurqnrwxxY25/08/15(金) 10:51:15

    次の展開

    【選択肢】
    1.元服(成人)
    2.今川家臣の娘・瀬名と田鶴と対面
    3.雪斎の死
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 17:53:49

    1,元服

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 18:05:11

    3で

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:23:42

    2で行ってみよう

  • 35◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 05:15:47

    1.>>32

    2.>>33

    3.>>34

    dice1d3=1 (1)

  • 36◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 08:44:02

    第四章 次郎三郎元服


    翌年、弘治三年(1557年)。

    駿府・今川館の大広間で、俺の元服の儀が執り行われた。
    威儀を正した重臣たちが静かに見守る。

    加冠役を務めるのは、この駿河・遠江・三河を統べる太守、今川義元その人。

    「――あな、めでたや。見事な若武者ぶりよ」

    義元は満足げに目を細め、傍らの侍従から一枚の紙を受け取った。すらりと筆で書かれた二文字が、こちらへ差し出される。

    『元信』。

    「そなたの名じゃ。これよりは松平次郎三郎元信と名乗られるがよい」

    義元の声音は柔らかく、しかし揺るぎない威厳を帯びていた。

    俺は頭を下げ、声を張る。

    「はっ……」

    そのとき、奥に控えていた鳥居元忠と平岩親吉の表情が、かすかに陰ったのを俺は見逃さなかった。

  • 37◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 08:44:31

    ――元の字。

    義元の偏諱を賜ること。それはすなわち、今川の庇護と恩寵を受ける証だ。

    同時に、それは松平の名が「今川の一門に準じる存在」と見なされたことを意味していた。


    儀式を終え、静かな廊下を進むとき、二人は顔を寄せ合い、抑えた声でささやいた。

    「殿……“元”の字……」

    「義元様の偏諱……これにて殿は、まさしく今川の家中に列せられたも同然……」

    元忠の声には、怒りと悔しさが滲んでいた。唇を噛み、拳を固く握りしめている。

    「それがしら、承知の上にございます。しかし……三河の主であらせられる御方が、これでは……」

    親吉もまた、苦渋に満ちた面持ちで言葉を続ける。

    「殿が、いずれ今川の御手を離れ、真に三河を治められる日が訪れるならば……この名もまた、捨てられるようになりましょう」

    その声音は、希望というよりも覚悟に近かった。

    俺は立ち止まり、二人の言葉に耳を澄ませる。

  • 38◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 08:45:29

    元信は何と答える?

    【選択肢】
    1.「名など、俺の心と行い次第でいくらでも意味を変えられる」
    2.「お前たちの気持ちは分かるが、今の俺には何の力も手柄もない」
    3.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 09:24:33

    1,だね

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 15:11:39

    1で

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 20:12:52

    このレスは削除されています

  • 42◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 20:33:45

    1で確定ですね。

  • 43◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 20:47:25

    やがて、俺は二人の動揺を鎮めるように、ゆっくりと口を開いた。

    「……お前たちが無念に思うのは、もっともだ。だが――名など、俺の心がけと行い次第で、いくらでも意味を変えられる」

    その言葉に、元忠と親吉がハッと顔を上げる。彼らの瞳に、かすかな光が宿っていた。

    「今の俺は、太守様に尽くす身に過ぎない。だがそれは、巡り巡って必ず三河のためになるはずだ。それに、俺の働き次第では……いずれこの名を改めることも許されるだろう」

    静かな廊下に、俺の声だけが響いた。
    数瞬の沈黙ののち、元忠と親吉は深く頭を垂れる。

    「……それでこそ、三河を背負って立たれる御方にございます!」

    二人の言葉は、忠義の涙に濡れていた。

    俺はそんな彼らを見つめ、微かに息を吐く。

    ――そう言ってはみたものの。

    実際のところ、俺は「本物の戦」をまだ知らない。ただ歴史の知識を断片的に抱えているだけで、血の匂いも、矢が飛び交う中での決断も、何ひとつ経験していない。

    本当に俺にできるのか。
    彼らが望むように、三河を取り戻す未来へと進むことが――。

  • 44◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 20:47:54

    【年:1557年(弘治3年)】
    【年齢:15歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

  • 45◆qurqnrwxxY25/08/16(土) 20:49:04

    次の展開

    【選択肢】
    1.今川家臣の娘との縁談
    2.今川軍師・雪斎の死
    3.初陣
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 01:47:42

    このレスは削除されています

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 01:48:01

    このレスは削除されています

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 09:56:26

    このレスは削除されています

  • 49◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:08:35

    1.>>46

    2.>>47

    3.>>48

    dice1d3=1 (1)

  • 50◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:11:00

    史実だと、この頃に太原雪斎が亡くなってますが、ここでは dice1d2=2 (2)


    1.死去

    2.存命

  • 51◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:43:59

    第五章 初陣


    永禄元年(1558年) 二月――。

    ついに、その時が来た。

    「三河・寺部の鈴木日向守重辰が、密かに尾張の織田と通じておる。松平重吉の軍と合流し、これを討伐せよ――」

    今川義元から下された命。
    それは俺にとって、初めての「戦」の舞台だった。

    「殿、いよいよにございますな……!」

    石川数正の声には、抑えきれない興奮が宿っていた。
    寺部へ向かう道すがら、鳥居元忠は声を張る。

    「殿が軍を率いて戦場に立たれる……これぞ松平再興の第一歩にございまする!」

    平岩親吉も、真剣な眼差しで俺を見つめた。

    「岡崎からは、松平譜代の家臣らが続々と馳せ参じております。殿の御旗のもと、三河の忠臣は皆、命を惜しまず働きましょう!」

    俺は黙って遠くの山並みに視線を向けた。

    胸に広がるのは、言いようのない重圧と高揚。
    これから向かうのは“本物”の戦国の戦――血が流れ、命が散る場所。
    そして俺が初めて「軍」を率い、「敵」と刃を交える場所だった。

  • 52◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:44:21

    やがて、松平重吉の陣が見えてくる。幟が風に揺れ、その前に並ぶ数名の武士たち――。

    「松平家家臣、酒井左衛門尉忠次! 主君のお帰り、心よりお待ち申しておりました!」

    一人の男が声高らかに名乗り、深々と頭を下げる。続いて、壮年の三人が次々と口を開いた。

    「鳥居忠吉――我が子・元忠より殿のお健やかさを聞き及んでおります……!」

    「大久保忠世にございます。殿のお顔を拝し、これほど嬉しきことはございませぬ」

    「本多忠真!かつて殿のお父君・広忠公に馬廻として仕えし者!殿にも馬をつけられる日が来れば、これ以上の誉れはござらぬ!」

    溢れる忠誠と熱気に、俺は思わず身じろぎした。

    その時、石川数正が一歩進み出て、一同に告げた。

    「方々、殿は病により、御名も御家のことも記憶にござらぬ。それがしより文にてお伝えしたはず……無礼の段、何卒ご寛恕くだされ」

    一瞬、場に緊張が走った。だが、誰一人口をとがらせる者はいなかった。
    むしろ彼らは、より深く頭を垂れ直す。

  • 53◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:44:42

    酒井忠次が、静かに、しかし力強く言葉を続けた。

    「さればこそ、これより先、あらためて我らの名を殿に刻ませていただきたく存じます」

    鳥居忠吉が堂々と名乗り直す。

    「鳥居忠吉――我が子・元忠とともに、殿に一命を賭してお仕えいたしまする」

    「大久保忠世――誠心誠意、御家のために働きまする」

    「本多忠真――この命、殿のお傍にて燃やし尽くす所存」

    そして最後に、酒井忠次が一歩前に進み出て、膝を折った。

    「殿……この三河は、殿が戻られる日を、ただひたすらに待ち続けておりました。我らは、殿を裏切りませぬ。たとえ太守・今川義元がいかなる御方であろうとも――この忠は決して揺るぎませぬ」

    その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなるのを感じた。
    言葉では、まだ返せない。だが――この人たちは間違いなく俺を「主君」として信じ、ここに立っている。

    俺は、その事実を噛みしめながら、静かに拳を握りしめた。

  • 54◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:50:21

    松平重吉――かつて松平家の分流として三河に割拠した一族のひとり。壮年に差しかかる将で、その顔には、初陣を迎える俺に対する慎重な観察と、期待の色が浮かんでいた。

    「これは元信殿……。ようおいで下された」

    「重吉殿、義元公のご命令――共に果たしましょう」

    俺がそう答えると、すぐ背後で酒井忠次が小声でつぶやいた。

    「……いよいよ、殿が“武将”となられる日が来たのだな」

    石川数正もまた、その言葉に頷き、低く呟く。

    「この初陣、かならず勝たせてみせまする」

    俺は言葉を返さず、ただ遠く寺部城の森の向こうに目を凝らした。闇に沈む山影の中で、確かな戦の予感が胸に散った。

  • 55◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:51:35

    松平の陣――夜。

    天幕の外では、篝火が風に揺れ、火の粉が夜空へ散っていく。甲冑の金具が擦れる音や、兵たちのかすかな話し声が、重苦しい静けさをいっそう際立たせていた。

    陣中の一角、地図を広げた松平重吉と、もうひとりの男が対座している。
    その男は、岩のようにごつごつした面相で、低く響く声で言い放った。

    「寺部の民草の心は、すでに織田に傾いておる。今さら情をかけても裏切られるのみ」

    それは、上野城から駆けつけた援軍の将――酒井忠尚。
    彼の言葉には一片の迷いもなく、容赦ない決断の色が濃かった。

    「初手は火攻めじゃ。城下に火を放ち、兵糧を焼き払い、敵の心胆を砕く。混乱すれば、攻め入るのも容易かろう。包囲など悠長な策を弄するより、焼き尽くすが早道よ」

    その言葉に、重吉も眉を寄せながらも頷いた。

    「太守様の命もあること。我らが遅滞なく事をなさねば、今川の威信にも関わる。容赦は不要かと存じます」

    そう言ってから、ふたりの視線が同時に俺へと向けられた。

    「――いかがなさる、元信殿?」

    その瞬間、天幕の空気は一層張り詰めた。
    鳥居忠吉、酒井忠次、大久保忠世、本多忠真、そして石川数正。三河の家臣たちが皆、固唾を呑んで俺を見つめている。

    ここで初陣の将がどう裁断するか――それは、この場の戦だけでなく、今後の家中における俺の立場、そして信頼を左右する大事だ。

    火攻めに賛同すべきか?
    あるいは――もっと慎重に、別の策を講じるべきか?

  • 56◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 10:52:49

    どうする元信

    【選択肢】
    1.火攻めに賛同する
    2.別の策を申し出る(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:06:17

    1 

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:14:06

    1 

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:18:02


    城内にいる将の一人に鈴木日向守重辰の首と引き換えに民の安全は保障するという調略を仕掛けて開城させる

  • 60◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 12:30:18

    1.>>57

    2.>>58

    3.>>59

    dice1d3=2 (2)

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:38:11

    無難でよろし

  • 62◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 12:57:42

    1〜24 今川家の軍目付から横槍が入る

    25〜49 寺部を支える支城群の対抗で長引く

    50〜74 勝利するが、鈴木重辰は取り逃す

    75〜100 鈴木重辰を打ち取り完勝


    dice1d100=67 (67)

  • 63◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:10:09

    俺は、皆の視線を受けながら、静かに口を開いた。

    「……それがし、初陣の若輩者なれば、まずは経験ある御方々の知恵に倣うが道理。ここは、火攻めをもって城を揺るがしましょう」

    言い切った瞬間、松平重吉と酒井忠尚が力強く頷いた。

    「それこそ、戦というもの!」

    「元信殿の御決断、あっぱれにござる」

    その言葉に続いて、石川数正や酒井忠次も、満足げに表情を引き締める。
    初陣の主君が下した裁断は、彼らにとっても誇らしいものだったのだろう。

  • 64◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:10:35

    ――夜明け前。

    空がまだ薄暗い頃、沈黙を破るように、火矢が一斉に放たれた。
    矢は風を裂き、寺部の城下町に突き刺さる。乾いた木造の屋並みはたちまち炎を噴き上げ、燃え広がった。

    民の叫び、泣き声、馬のいななき、乱れ打つ鐘の音――戦の幕開けを告げる混沌の響き。

    火に驚き、動揺した敵兵を尻目に、俺たち松平軍は一気に攻めかかる。
    広瀬、拳母、梅坪、伊保――寺部を支える支城群は、指揮の乱れと兵の動揺で、次々と陥落していった。

  • 65◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:10:58

    戦は、松平軍の勝利に終わった。

    初陣にして軍を率い、火攻めの策に従い、勝利を得た。
    俺にとっては、堂々たる「武功」と呼ばれるものだ。

    ――ただし、寺部城主・鈴木重辰だけは取り逃した。
    それでも、家臣たちは皆、口々に俺を称えた。

    石川数正は目を潤ませて言う。

    「初陣でこれほどの働き……これぞ、三河松平の再興の兆し!」

    酒井忠次も、胸を張って頷いた。

    「今川に従いし殿が、いずれ己の旗を掲げられる日も近いかと!」

    鳥居忠吉も満面の笑みを浮かべ、深々と頭を下げる。

    「いやはや、殿はご武運も御才覚もお持ちと見えまする。恐れ入りまする」

    三人は揃って、未来への期待をこめた祝辞を述べた。

  • 66◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:11:12

    だが――俺は。

    少し離れた場所で、燃え落ちた寺部城下を見つめていた。
    周囲には、幾つもの屍。
    敵も、味方も。武士も、町の民も。
    そのひとりひとりに、家族があり、日常があった。

    胸の奥に、鋭い痛みが走った。

    俺は、静かに膝をつき、両手を合わせた。

    「……これから何度もあるのか。こんな戦が」

  • 67◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:11:38

    【年:1558年(永禄元年)】
    【年齢:16歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館(寺部出陣中)】

  • 68◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 13:13:11

    次の展開

    【選択肢】
    1.論功行賞で、三河松平だけ褒美がない
    2.今川義元と寿桂尼から、縁談を持ちかけられる
    3.戦の褒美として、改名を願い出てみる
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つからダイス

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 15:21:45
  • 70二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 15:31:21

    1 

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 16:55:07

    3で

  • 72◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 16:56:41

    1.>>69

    2.>>70

    3.>>71

    dice1d3=1 (1)

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 17:01:07

    レスが中々つかないので何時まで募集って感じで運営して もしレスが無かったら>>1がダイス降ったらいいんじゃないかな

  • 74◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 17:11:06

    >>73

    そうですね……

    では、以後は募集時間を2時間に設定しましょうか。

  • 75◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 17:20:11

    第六章 今川の花嫁


    寺部城攻めから数日後――
    俺は駿府へと戻り、今川館に帰参した。

    館の広間では、今川義元が直々に俺を迎える場が設けられていた。
    傍らには、義元の母・寿桂尼が控え、その視線は相変わらず鋭く、静かな迫力を帯びていた。

    義元は朗らかに微笑み、扇を軽く打ち振って言う。

    「よくぞ務めを果たされたな、元信どの。初陣にしてこの戦果、まこと頼もしい」

    深々と頭を下げ、俺は答えた。

    「恐れ入り奉ります。ですが……鈴木重辰を取り逃がし、未だ消息を掴めませぬこと、誠に申し訳ございませぬ」

    義元は笑みを保ったまま、扇を膝に置いて静かに言った。

    「おそらく、鈴木日向守は尾張に逃げ込んだのであろう。じゃが、寺部城は松平重吉に抑えさせた。日向守は今や素浪人同然。案じられることはない」

    寿桂尼も頷き、薄く笑みを浮かべる。
    だが、両者とも、その眼差しの奥に鋭い観察の光があった。

  • 76◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 17:20:40

    義元の声が、改めて俺を射抜いた。

    「元信どの。そなたは初陣を見事果たし、もはや今川の将として胸を張るに足る。……次は、妻を娶らねばのう」

    「はっ……?」

    思わず息をのむ俺に、義元は扇を口元に当て、愉快そうに目を細める。

    「我が家臣・関口氏純に、年頃の娘がおる。名は瀬名という。また、上之郷城主・鵜殿長照にも、お田鶴(たづ)という妹がおる。そのどちらかを、そなたに添わせたいと思うておる」

    俺の胸に、言葉にならない驚きが広がった。戦の疲れも覚めないうちに、今度は「婚姻」という重い話――。

  • 77◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 17:21:02

    すると寿桂尼が、穏やかな口調でありながら、決して逆らえない響きで口を開いた。

    「太守様。長照どのの弟君にも、お葉(よう)と申す養女がおられます。まだ幼うございますが、二、三年もすれば、妻の務めを果たせましょう」

    「それもよろしゅうございますなぁ、母上」

    義元は満足げに頷き、俺をじっと見据えた。

    「……元信どの。よう考えて、お選びなされ」

    その場の空気が張り詰める。
    義元の声音は柔らかくとも、その実、選択の余地などないに等しい。

    「……ははっ……」

    俺は深く頭を下げ、胸の奥に重苦しい影を抱いた。

    武将としての第一歩を踏み出したばかりの俺に、今度は「婚姻」という鎖が絡みついていた。

  • 78◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 17:21:55

    次の展開

    【選択肢】
    1.関口氏純の娘・瀬名とお見合い
    2.鵜殿長照の妹・田鶴とお見合い
    3.鵜殿家の養女・お葉とお見合い
    4.その晩、石川数正らに相談
    5.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス (19:20 まで募集)

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 17:53:25

     4 

  • 80二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:10:27

    1で

  • 81◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:29:37

    1.>>79

    2.>>80

    dice1d2=1 (1)

  • 82二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:40:50

    報連相は大事だからね

  • 83◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:56:25

    俺は、この胸の重さをひとりでは抱えきれず、駿府在住の家臣――石川数正、鳥居元忠、平岩親吉に打ち明けることにした。
    どうせ婚姻を命じられるのならば、少しでも俺たちの、三河の利となる選び方をしたい。
    そのためには、彼らの意見が欠かせない。

    夜、館の一隅で、俺は三人に口を開いた。

    「……太守様と大方様に、妻を娶れと仰せつかった。相手は関口氏純殿の娘、鵜殿長照殿の妹、あるいはその縁者。お前たちの考えを聞きたい」

    最初に声を漏らしたのは、平岩親吉だった。
    眉を寄せ、低くつぶやく。

    「殿……これは太守様と大方様の策略ではございませぬか? 今川の姫と添わせることで、体よく殿を今川に縛りつけようという魂胆では」

    鳥居元忠も、すぐさま拳を握りしめて言い放った。

    「その通りじゃ! 婚姻の縁は、やすやすと断ち切れぬ縄。今川は、殿を逃さぬように結わえつけようとしておるのじゃ!」

    二人の熱を帯びた言葉に、俺の胸もざわめいた。

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:56:54

    このレスは削除されています

  • 85◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:57:51

    だが、そこで一歩進み出たのは石川数正だった。

    「そなたらの言い分も道理じゃ。しかし、この縁談、悪いことばかりではない」

    穏やかな声音だったが、その眼は真剣に光っている。

    「関口氏純殿は幕府奉公衆を兼ね、駿河においても重きをなすお方。鵜殿長照殿は上之郷城を預かり、三河東西を結ぶ要衝を押さえておる。殿がそうした家と縁を結ばれれば、今川の中での立場も、三河の家中に対する後ろ盾も、確かなものとなろう」

    元忠と親吉は言葉を失い、しばし互いに目を合わせた。
    親吉が唇を噛みしめ、ぽつりと呟く。

    「……確かに、数正殿の言う通りかもしれぬ」

    俺もまた、小さく頷いた。
    数正はその反応を見届け、まっすぐ俺に向き直る。

  • 86◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:58:15

    「殿。今川における関口家と鵜殿家のお立場、よくお見定めになりませ。どちらを選ばれるかが、今後の御身の行く末を左右いたしまする」

    そこで元忠が、少し照れたように頭をかきながら付け加えた。

    「それと……姫のお人柄も、大事にございますぞ。いかに良き縁であろうと、心通わぬ御方では、殿もお辛かろうゆえ……」

    その一言に、場の空気がわずかに和らいだ。
    だが、俺の胸にはまだ重みが残っている。
    婚姻は、ただの縁談ではない。己と三河の未来を左右する、避けがたい岐路だ。

  • 87◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:59:02

    【年:1558年(永禄元年)】
    【年齢:16歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

  • 88◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 19:59:47

    熟考の末、元信が選んだのは……?

    【選択肢】
    1.関口氏純の娘・瀬名(17歳)
    2.鵜殿長照の妹・田鶴(10歳)
    3.鵜殿家の養女・お葉(13歳)

    該当レス下3つ以内からダイス (22:00 まで)

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 20:05:46

    1番

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 21:37:11

    2 

  • 91◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 22:13:06

    1.>>89

    2.>>90

    dice1d2=1 (1)

  • 92◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 22:17:56

    お!史実通り……!


    瀬名は dice1d4=1 (1)

    1.誇り高く、気丈

    2.たおやかで優しい

    3.自惚れが強く、傲慢

    4. >>93

  • 93◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 22:45:07

    第七章 瀬名


    俺は熟考の末、関口氏純の娘――瀬名と見合いをすることに決めた。

    関口家は、室町幕府の奉公衆にも任じられ、今川家と幕府をつなぐ要の家柄だ。
    さらに氏純が治める持船城は、駿河湾と駿府を押さえる要衝の地。関口家との縁組は、三河の将来にとっても確かな支えとなるはずだ。

    数日後、俺は今川館から程近い関口氏純の屋敷を訪ねた。

    庭先には白砂が敷き詰められ、松が風にざわめく。門口では、氏純とその妻・佐名が直々に出迎えてくれた。

    「ようお越しくださいました、元信殿」

    「どうぞお上がりくださいませ」

    案内され、座敷に通されると――そこに瀬名が現れた。

  • 94◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 22:45:28

    まだ年は俺と変わらないだろう。だが、緋色の小袖を纏い、すらりとした姿には気品があり、眼差しには年齢以上の強さが宿っていた。

    彼女は俺に正面から向かい合うと、隠すことなく言い放った。

    「松平のご当主、と聞き及んでおりましたが……思ったよりお若いのですね。戦場では、もう手柄を立てられたとか」

    声色は澄んでいるが、挑むような響きがある。
    父の氏純は「瀬名……」と小声で制したが、瀬名は眉一つ動かさない。

    「今川に仕える御身とあらば、これから先も幾度となく戦の場に立たれるのでしょう。……弱き心では、すぐに呑まれてしまいますよ」

    あまりに率直な物言いに、俺は言葉を失った。
    だが隣で佐名が袖を口元に当て、楽しげに笑みをこらえているのを見て、思わず肩の力が抜けた。

    「瀬名……そのように直情をさらけ出すものではない……」

    氏純はひやひやと視線を泳がせたが、瀬名はすっと背筋を伸ばし、俺をまっすぐ見据えた。

    「私は飾り立てる気はございません。また、弱き殿をお支えする気もない。……もしも御縁あらば、私は共に立ち、共に戦える妻でありたいと存じます」

    その言葉に、俺の心臓が大きく鳴った。
    年若い姫とは思えぬ強さ――気丈で、自負に満ちた言葉。
    最初は面食らったものの、むしろこれほどの気骨を持つ姫ならば、未来を共にするに相応しいのでは?

    俺は静かに頭を下げた。

    「……その心意気、誠に頼もしく思います」

    瀬名は僅かに目を見開き、次いで口元に凛とした笑みを浮かべた。

  • 95◆qurqnrwxxY25/08/17(日) 22:50:09

    元信、史実通り瀬名を正室(正妻)に。


    祝言には三河岡崎の家臣団も来ますが、彼らの反応は…… dice1d100=42 (42)

    (高いほど肯定的)


    今日はここまでです。

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 23:02:34

    概ね史実どおりで良かったね
    明日は何時から開始ですか?

  • 97◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 08:59:08

    保守

  • 98◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 10:05:01

    しばらく経って、関口の屋敷で、俺と瀬名の祝言が盛大に執り行われた。

    参列した今川家の重臣たちが口々に祝詞を述べる中、三河岡崎からも家臣たちが駆けつけていた。

    酒井忠次、鳥居忠吉、大久保忠世、本田忠真――。

    「殿、心よりお慶び申し上げます」

    忠次と忠世の言葉は誠意に満ち、深い礼と共に捧げられた。
    一方で、忠吉と忠真の表情には、どこか影が差していた。祝いの言葉こそ述べていたが、唇の端には硬さが残り、目の奥には微かな憂いが宿っている。

    (三河の者にとって、この婚姻はただの吉事じゃあない。今川の縛りを強める鎖と映るのも、無理はない……)

    俺は盃を受け取りながら、彼らの心中を測り、胸の奥でひとつため息をついた。

  • 99◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 10:05:24

    ――その夜、今川館。

    灯明の淡い光に照らされる寝所に入ると、瀬名はすでに布団の上に正座して待っていた。小袖の袖を整え、凛とした姿を崩さぬその佇まいは、まさに名門の姫だ。

    「……三河の方々は、私の嫁入りを素直に喜ばれてはおらぬようですね」

    静かな声でそう言われ、俺は思わず言葉を失った。

    「己の主君が関口の娘を正室に迎える――これほどの誉れ、他にございませぬものを。それが分からぬとは……」

    瀬名の声音には、家格への誇りと、少しの憤りが混じっていた。

    俺は彼女の隣に座り、ゆっくりと声を落とした。

    「……三河の者にとって、先祖伝来の地を今川に抑えられ、年貢を課される現状は苦いものなのだ。恨みを抱く者も、少なくはない。だが――」

    俺は一息置き、瀬名を見つめて続けた。

  • 100◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 10:05:50

    「今川館に常駐している石川数正、平岩親吉、鳥居元忠は、この婚姻を三河の利に資するものと認めている。彼らの言葉に偽りはない。だから、そなたも安心してくれ」

    瀬名はじっと俺を見つめ、やがて小さく吐息を漏らした。

    「……殿は気苦労の絶えぬお方のようですな」

    「そなたが支えてくれれば、これ以上の力はない」

    俺は微笑みを添えて言った。そして声を低め、念を押す。

    「ただし、今の話――特に三河の者の胸の内は、決してお義父上や今川家中には漏らさないでほしい。余計な疑念を呼べば、あの者たちが『今川に背く心あり』と見なされかねない。それだけは避けたいのだ」

    瀬名はしばし黙し、やがてふっと唇に影を帯びた笑みを浮かべた。

    「……心得ました。殿はお優しいお方にござりまする」

    その瞳には、わずかな柔らかさが宿っていた。

  • 101◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 10:06:12

    【年:1558年(永禄元年)】
    【年齢:16歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】
    【正室:瀬名】

  • 102◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 10:07:23

    次の展開

    【選択肢】
    1.桶狭間の戦い
    2.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス
    (平日の昼間なので 18:00 まで)

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 16:15:53

    1 

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 18:37:00

    このレスは削除されています

  • 105◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:37:29

    第八章 運命の桶狭間


    それからしばらくの間、日々は静かに過ぎていった。
    瀬名と共に暮らす館の庭には、四季折々の花が咲き、戦乱の世にありながらもひとときの安らぎを与えてくれる。

    やがて瀬名は男の子を出産した。名を「竹千代」と定める。
    その小さな手を握ったとき、俺はこの時代で生き抜き、守り抜く覚悟を、ようやく胸の奥から実感できた気がした。

    しかし――安寧は長くは続かない。

  • 106◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:37:49

    永禄三年(1560年)。瀬名が二人目を身ごもった頃、戦国の波は一気に荒れ狂い始めた。

    今川義元は、かねてよりの念願である尾張征服へ向けて、本格的に軍を動かし始める。
    すでに尾張東南部、大高城と沓掛城の一帯は今川の支配下にあり、大高城には鵜殿長照が城主として入った。

    一方、織田信長は黙って見過ごすはずもなく、奪われた城を取り戻そうと砦を築き、今川方の連絡路を次々と断ち切っていた。
    城と砦が互いに睨み合い、両軍の膠着が続く中、戦の気配は日を追うごとに濃くなっていった。

  • 107◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:38:07

    五月。義元は関口氏純ら重臣を率いて駿府を発ち、尾張の前線・沓掛城に入った。
    駿府の留守居は嫡男・氏真に任され、いよいよ今川家の総力戦が始まる。

    その夜、俺に義元から命が下る。

    「元信どのら三河勢には、大高城へ兵糧を届ける役目を任ずる」

    義元の声音は穏やかだが、眼光は鋭く、決して失敗を許さない威を帯びていた。

    「大高城は織田方の砦に包囲され、長照は困窮しておる。もしこれを違えれば、大高城は飢え渇き、士気は地に落ちよう。……この戦の帰趨すら左右しかねぬ」

    場の空気が張り詰める。重臣たちの視線が一斉に俺に注がれた。

    俺は膝を正し、静かに答えた。

    「必ずや、この任、やり遂げてみせまする」

    義元の口元がわずかに緩み、満足げに頷いた。

    こうして俺は、戦の命運を握る重大な役目を背負うことになった。

  • 108◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:46:23

    翌朝。
    俺と石川数正、鳥居元忠、平岩親吉は、三河から駆け付けた酒井忠次、本田忠真、鳥居忠吉、大久保忠世と合流した。
    陣には兵のざわめきと鉄の匂いが満ち、戦の時が迫っているのを肌で感じる。

    その時、本田忠真がひとりの若者を伴って俺の前に進み出た。

    「殿!こちら、それがしの甥、平八郎忠勝にございます!このたびの戦より、殿にお仕えする所存!」

    俺の前に立つのはまだ十二、三の少年。
    甲冑は身体に余り、肩口から覗く腕はまだ細い。
    それでもその眼は、鋭い光を宿し、誰よりも戦場を求めている。

    「……俺の父と、祖父は、先の殿を守って討死いたしました。俺もまた、殿のためにこの命、惜しみませぬ」

    その言葉には、幼さの奥に燃え盛る炎のような決意があった。
    俺は思わず息を呑み、やがて静かに頷いた。

    「……忠勝。その心、しかと受け取った。共に戦おう」

    忠勝は小さく頷き、まだ未熟な手で槍を握りしめた。

  • 109◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:46:47

    やがて、三河武士たちは米俵を車に積み込み、槍・刀を整え、大高城へ向けての支度を始める。
    武具のきしむ音と兵の掛け声が、戦への気配を濃くしていく。

    だが、その中に場違いな品々が運び込まれた。
    酒樽、笛や太鼓、さらに舞の衣を纏った男たちまでも。
    指図しているのは、関口氏純だ。

    「……舅どの。これは一体……?」

    「太守様がご出陣の折、陣に運ばせるのじゃ」

    「つまり……ご本陣で宴を……?」

    俺の胸に冷たいものが走った。
    ――知っている。この先に待つ歴史を。
    桶狭間。今川義元は陣中の宴の最中に、織田信長の奇襲を受け、討死する。

    もしも、この戦で義元が斃れれば……。
    今川家は、三河は、そして瀬名と竹千代は……。

    気づけば俺の足は義元のもとへ向かっていた。

  • 110◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:47:06

    義元の本陣では、優雅な香の香りが漂っていた。
    義元は静かに香を聞き入っている。その傍らには、家臣の岡部長定が控えていた。

    「いかがした、元信どの」

    「……太守様にお尋ねしたきことがございます。ご本陣に、酒や笛太鼓、舞手などを入れるのは、何ゆえに……?」

    義元は扇を軽くあおぎ、愉快そうに笑った。

    「ハハハ、戦の最中に宴を行うは、余の余裕と力を敵味方に示すためよ。また、家臣らの心を和ませ、士気を高める効もある」

    その答えに俺は胸の奥がざわつく。
    それは勇壮にも聞こえるが、同時に隙を生む行いではないか?

    「……恐れながら、そのような宴の最中を狙って、もし織田が奇襲を仕掛けてきましたら……」

    俺は息を詰め、言葉を続けた。

    「……どうか、備えを怠られませぬよう」

    義元の扇がぴたりと止まる。
    香煙の向こうで、太守の瞳が俺を射抜くように見据えた。

  • 111◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 18:48:59

    義元は……

    【選択肢】
    1.元信の上申を受け入れる
    2.上申を一蹴する
    3.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス (20:50 締切)

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 21:44:47

    あれ?>>1は?

  • 113◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 21:48:18

    >>112

    91レスから全然安価取れてないのもどうかと思ったので、もう少し様子を見てみようかと……


    「自分で締め切り設定したんじゃねえか」と言われれば、その通りです。

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 21:55:03

    じゃあここは敢えてIF展開の1で

  • 115◆qurqnrwxxY25/08/18(月) 21:55:55

    >>114

    ありがとうございます。明日の朝、更新いたします。

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 00:48:36

    このレスは削除されています

  • 117◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 09:06:58

    義元はやがて、唇の端にわずかな笑みを浮かべた。
    その眼差しは鋭くも、どこか愉快そうであった。

    「元信どの、よくぞ申した。……思い起こせば、一ノ谷の戦にて、平家は源義経の奇襲により瞬く間に総崩れとなった。油断こそが、戦の最大の敵よの」

    そう言うと、義元は傍らの岡部長定に声をかける。

    「長定、氏純をここに呼べ。……陣中宴は取りやめるとな」

    長定が一礼して去ると、義元は再び俺の方へ向き直った。

    「元信どの。そなたの忠義、余の胸に深く染み入ったぞ。余を案じ、率直に諫言できる者など、そうはおらぬ。……これからも遠慮なく申されよ」

    「ははっ……恐れ入り奉ります」

    俺は深々と頭を下げた。義元の言葉に安堵しつつ、その度量の大きさに、背筋が引き締まるのを感じた。

  • 118◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 09:07:34

    やがて本陣を後にすると、すでに大高城への兵糧入れの支度は整っていた。
    荷車に積まれた米俵、槍や刀を手にする三河武士たち。
    皆、緊張と期待が入り混じった面持ちで、出立の時を待っていた。

    石川数正が俺のもとに歩み寄り、低い声で囁く。

    「殿……ご指図を」

    俺は彼らを見渡し、腹の底から声を張った。

    「この兵糧入れは、ただ大高城を救うためのものではない! 戦の流れを決め、さらには三河の明日をも左右するものだ! 俺たちの手で、必ずやり遂げてみせよう!」

    「おおっ!」

    三河武士たちが一斉に鬨の声をあげた。
    その響きは陣を震わせ、俺の胸にも力を与える。

    こうして俺たちは、命運をかけた兵糧入れに向けて、陣を発った――。

  • 119◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 09:08:09

    成功判定ダイス

    dice1d9=6 (6)


    奇数で成功、偶数で失敗

  • 120◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 09:35:14

    【年:1560年(永禄3年)】
    【年齢:18歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館(沓掛出陣中)】
    【正室:瀬名】

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 10:01:37

    このレスは削除されています

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 10:02:02

    このレスは削除されています

  • 123◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:02:32

    第九章 無念の兵糧入れ


    大高城までの道のりは、織田方の丸根砦と鷲津砦が立ちはだかっていた。
    狭隘な道を進む兵の列に、無数の矢が降り注ぐ。
    足軽は次々に倒れ、悲鳴が響く。
    荷車は横転し、積んだ米俵には火矢が刺さって炎を上げた。
    焦げる匂いと煙が立ちのぼり、兵たちの士気を削いでいく。

    「退けっ!退けえっ!」

    思わず俺は声を張り上げた。
    これ以上、兵を、兵糧を失ってはならない――ただその一念で、撤退を命じた。

  • 124◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:03:10

    沓掛城へと逃げ戻った俺たちは、息を殺して本陣に座した。
    今川義元からどのような沙汰が下るのか。
    重苦しい沈黙の中、現れたのは岡部長定だった。

    「太守様よりのお言葉である。元信どのら三河勢は、兵糧入れの任を解く。代わって、この岡部長定が兵糧を入れる。元信どのらは沓掛城の防備を固めよ、との仰せじゃ」

    その声音は冷たく、視線にはあからさまな蔑みが宿っていた。

    背後から、三河武士たちの息遣いが伝わる。
    悔しさ、無念、言葉にできない怒り――それが俺の背を押し潰す。

  • 125◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:03:35

    翌日、報せが届いた。
    岡部長定の軍が織田の砦を突破し、無事に大高城へ兵糧を入れたと。
    さらに今川軍は大高城周辺を制圧し、義元率いる本隊も沓掛城から進発。
    俺たち三河勢は、ただその背中を見送るしかなかった。


    昼過ぎ。空は鉛色に沈み、豪雨が城を叩いた。

    「ひどい雨じゃ……先がちっとも見えん」

    「殿は……大丈夫かのう」

    鳥居元忠と平岩親吉が小声で囁き合う。
    俺は城壁の下、ずぶ濡れになりながら座り込んでいた。
    雨粒が額を打ち、頬を伝う。それは涙と区別がつかなかった。

  • 126◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:03:58

    「……風邪を召されますぞ」

    声をかけてきたのは、まだ幼い忠勝だった。
    雨に濡れてなお、少年の瞳は真っ直ぐ俺を射抜いている。

    「……忠勝。俺は、不甲斐ない武将だろう。お前が命を懸けるに値する主君ではないのかもしれない」

    「……少なくとも、左様な弱気なことを口にされるうちは、主君として頼りありませんな」

    俺は顔を上げた。
    幼いくせに、なんて真っ直ぐな眼だ。

    忠勝は一歩進み、泥に膝をついた。

    「弱い時も迷う時もあるでしょう。ですが、殿は、必ず立ち上がるお方だと、俺は信じております。……たとえ誰に蔑まれようと、殿が歩む道の先に、三河の明日がありますれば」

    その声は雨音に負けず、胸の奥まで響いてきた。
    俺ははっと息を呑み、そして小さく笑みを漏らした。

    「……忠勝。お前の言葉、しかと胸に刻んだぞ」

    雨に打たれながら、俺はようやく立ち上がった。

  • 127◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:04:51

    【年:1560年(永禄3年)】
    【年齢:18歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館(沓掛出陣中)】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代】

  • 128◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 10:05:19

    そこへ、今川本隊から報せが…… >>129


    【選択肢】

    1.今川軍、織田軍に勝利

    2.今川軍、織田軍に敗北

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 13:11:23

    2 

  • 130◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 13:15:22

    ほぼ史実通りかな


    1〜24 僅差で敗退

    25〜49 重臣数名討死、義元軽傷

    50〜74 被害大、義元重傷

    75〜100 義元討死


    dice1d100=63 (63)

  • 131◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:10:11

    雨が止み、雲の切れ間からわずかに光が差した頃、今川本隊からの使者が駆け込んできた。
    俺と家臣たちが集まる広間に膝をつき、声を張り上げる。

    「……今川本隊――敗退と相成りました!」

    場が凍りつき、一斉にざわめきが広がった。

    「なんと……!?義元様は二万五千の兵を率いて出立されたはず……!」

    「対する織田は、わずか四千ほどと聞いておるぞ……!」

    動揺の声が次々に上がる。俺は手を挙げて押しとどめた。

    「静まれ!……詳しく話せ」

    使者は震える唇を噛みしめ、必死に言葉をつなぐ。

  • 132◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:10:36

    「雨が上がった直後、織田信長自らが軍を率い、正面から我が軍へ進撃して参りました。その折、今川軍は各方面への備えに兵を分散させており、本陣周辺には多くの兵が残っておらなんだのです……」

    皆の顔に驚愕が走る。

    「前衛は織田軍と接した途端、戦う間もなく崩れ去り……その混乱の中、織田軍はそのまま太守様の本陣へ突撃……!」

    使者の声は次第に上ずっていった。

    「太守様は三百の旗本に守られて退かれましたが、織田軍の猛攻は止まず、五度にわたる突撃で周囲の兵は少しずつ討たれ……ぬかるみに足を取られた者は次々と槍にかかり……!」

    湿地と豪雨が織田の味方となった光景が、まざまざと目に浮かぶ。
    使者はしばし言葉を詰まらせたが、やがて絞り出すように続けた。

    「乱戦の中、太守様は自ら太刀を抜き奮戦されました。しかし矢を受け、落馬なさり……! 幸いにも討ち取られることはなく、なおご存命。残兵とともに沓掛城へ撤退されております……。されど、岡部長定殿をはじめ、多くの将兵が討死……無念ながら、甚大な損害を被りました……」

    広間の空気が重く沈む。誰もが顔を伏せ、唇を噛みしめていた。

  • 133◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:10:53

    「……分かった。すぐに太守様を迎え入れる支度をせよ!負傷兵もだ、手を惜しむな!」

    俺の声に、家臣たちははっとして立ち上がる。

    今川義元――慢心による討死という最悪の結末こそ避けられた。
    だが、それでも二万を超える大軍が打ち破られ、主君が矢に倒れ、重臣が命を落とした事実は消えない。

    この敗戦を招いたのは、織田信長。
    まだ顔すら知らないその男の恐ろしさを、俺はひしひしと感じていた。

  • 134◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:17:37

    やがて、出立した時から見る影もなく数を減らした今川本隊が、疲れ切った様子で沓掛城へと戻ってきた。

    輿から下ろされた今川義元は血に濡れ、蒼白な顔で奥へ運び込まれていく。城の中も外も負傷兵で溢れ返り、呻き声が絶え間なく響いていた。
    薬師や兵たちが懸命に手当てするが、虚しく息絶えていく者も少なくない。戦場の地獄が、そのままここに流れ込んだかのようだった。

    そんな中、聞き馴染みのある声が背後から響く。

  • 135◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:18:06

    「――婿殿!」

    振り返ると、瀬名の父・関口氏純が立っていた。泥に汚れ、傷だらけだが、辛うじて生き延びたらしい。

    「舅どの……!よくご無事で……!」

    「それよりも、ちとこちらへ……」

    促されるまま、俺は生き残った今川家臣たちが集まる広間へと足を踏み入れた。

    そこには将たちが沈鬱な顔を並べていて、焦燥と疲弊の色が濃く漂っていた。

  • 136◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:18:51

    「太守様ご重体の今、織田に攻め込まれてはひとたまりもない。ここは早々に兵をまとめ、我らが本拠・駿河へ退くべきではないか」

    ある家臣が口火を切ると、すぐさま別の者が声を荒げる。

    「沓掛城を捨てると申すか!本隊がこの有様で逃げ帰ったとあれば、他の城を守る将兵はどうなる!大高城、鳴海城……ここまで広げた今川の勢力が、織田に奪い返されてしまうぞ!」

    「されど、このままここに籠もっては、我らもろとも織田に呑まれるわ!」

    「太守様のご容体はどうするのだ!駿府にお戻り願うのが上策ではないか!」

    声と声がぶつかり合い、広間の空気はますます張り詰めていく。
    皆の顔には恐れと焦りが刻まれ、誰もが正解を見いだせずにいた。

  • 137◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:19:11

    そのとき、静かな足音が響き、一人の武将が広間へ姿を現した。

    「御免……!」

    朝比奈泰朝。彼は一礼し、低く告げる。

    「――太守様より、お言伝にございます」

    広間のざわめきがぴたりと止み、誰もが息を呑んで泰朝を見つめた。

  • 138◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 14:19:48

    義元の言伝は……

    【選択肢】
    1.撤退指示
    2.再起の誓い
    3.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス (18:00までを目処)

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 17:20:22

    2 

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 17:21:06

    1 

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 17:22:00

    籠城の準備

  • 142◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 17:41:31

    1.>>139

    2.>>140

    3.>>141

    dice1d3=2 (2)

  • 143◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 17:43:38

    撤退指示ですね。この場合、元信は…… dice1d4=2 (2)


    1.本隊と共に駿府へ退却

    2.本隊撤退の殿(しんがり)を命じられる

    3.沓掛城の堅守を命じられる

    4. >>144

  • 144◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:15:57

    「太守様は、『本隊を駿府・今川館へ撤退させよ』と仰せにございます。また、『西三河から尾張にかけて制圧した城を守る者は、浮き足立つことなく、これを死守せよ』とも……」

    泰朝の声は静かであり、広間に重く響いた。誰もがそれを、主君・今川義元の言葉として胸に刻み込む。

    「そして――本隊退却の殿(しんがり)には、松平次郎三郎元信どのを任ずる、との仰せ。『敵の追撃を退け、味方を守り抜き、これを無事に逃がせ』と」

    一瞬、広間の空気が凍りついた。殿軍とは、死を覚悟する役目。皆、その重さを理解していた。

  • 145◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:16:22

    「……命に換えても、やり遂げまする」

    俺が深く頭を垂れて答えると、場にざわめきが広がる。すぐさま今川家臣たちは撤退の支度へと動き出した。
    その傍らで、関口氏純が俺に近寄り、声を潜める。

    「婿殿……殿軍は、敵の追撃を真っ向から受ける、最も危うき役目。……どうか、ご武運を」

    頷くしかなかった。俺が受けたのは、試練であり、責任だ。

  • 146◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:16:47

    やがて、俺は三河の家臣たちの前に立ち、義元からの言伝を伝える。
    皆の顔に、緊張の色が浮かんでいた。

    「……フン、太守の言いそうなことよ。大高城兵糧入れと言い、危うい役目はいつも俺たち三河者に回ってくる」

    本田平八郎忠勝が吐き捨てるように言った。

    「平八郎!」

    叔父・忠真が叱責する。

    だが忠勝は、薄く笑っていた。その眼には怒りではなく、闘志が宿っている。

    「……面白いと言うておるのじゃ、叔父上。ここで手柄を立てれば、俺たちの、そして殿の名は今川家中に轟く」

  • 147◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:17:08

    その言葉に、他の三河武士たちが次々と呼応する。

    「そうじゃ!我ら三河のため、殿のためじゃ!」

    「兵糧入れでの無念、今ここで晴らそうぞ!」

    鬨の声のような熱気が広間を満たしていく。
    彼らは死を恐れていない。むしろ、この危地を誉れと受け止め、燃えるような気迫で俺を見据えていた。

    俺の胸の奥には、恐れと誇りが入り混じる。

    (……これが、俺の家臣たち。命を賭しても、俺と共に歩む者たち……)

    俺は彼らに向き直り、声を張り上げた。

    「お前たち……!この殿軍の役目、必ず果たしてみせようぞ!太守様と味方を逃がし、そして俺たちも――必ず生きて帰る!」

    「おおッ!!」

    三河武士たちの雄叫びが、城を揺るがすほどに轟いた。

  • 148◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:17:36

    【年:1560年(永禄3年)】
    【年齢:18歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館(沓掛出陣中)】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代】

  • 149◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:22:44

    殿(しんがり)による元信勢の負傷

    dice1d100=34 (34) %


    西三河・尾張のうち、織田に奪還された城

    dice1d100=79 (79) %

  • 150◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 18:24:59

    次の展開

    【選択肢】
    1.今川義元、依然として回復せず
    2.元信、改名を願い出る
    3.元信、三河・岡崎城主に任命
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス(21:00までを目処)

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:53:22

    2 

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:54:14

    3 

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:55:32

    奪還作戦のための軍議

  • 154◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 20:59:31

    1.>>151

    2.>>152

    3.>>153

    dice1d3=1 (1)

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 21:20:47

    主君がヤバい時に空気読めよとか言われないといいが・・・

  • 156◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:42:36

    第十一章 改名願い


    明朝――。
    俺たちは疲れ切りながらも、ようやく駿府・今川館に辿り着いた。
    具足を外す気力すらなく、ふらふらと廊下を進み、障子を開ける。

    そこには、膝を正して座る瀬名の姿があった。
    衣は乱れていないが、目の下には深い隈。おそらく一睡もしていなかったのだろう。

    俺に気づいた瞬間、瀬名はハッと振り返り、瞳に涙を溢れさせて駆け寄った。
    その腕が、震えながら俺に縋りつく。

    「よくぞ……よくぞご無事で……!」

    「……心配をかけたな」

    声を絞り出すのが精一杯だった。
    瀬名の頬が俺の胸に押し当てられ、衣が濡れていく。

  • 157◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:42:59

    「殿軍をお命じになられたと聞いて……もう、生きては帰られぬと、覚悟いたしておりました……」

    「……そなたと子らを残して死んでは、悔いが残る。それに、我が手勢も思ったほどの損害はなかった。数正、元忠、親吉、酒井、大久保、本多……みな、死なずに俺についてきてくれた。……俺は、良い家臣に恵まれている」

    震える瀬名の肩に手を置き、その腹へと掌をそっと移す。
    まだ形を見せない命の鼓動を感じるかのように。

    ふと目をやれば、部屋の隅では竹千代が小さな寝息を立てていた。
    家族の温もりに触れた瞬間、心の奥に張り詰めていた緊張が、ふっと緩んだ。

  • 158◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:43:32

    ――だが、その後、駿府にもたらされた報せは、耳を疑うものだった。

    織田軍は義元本隊を退けたその勢いのまま、西三河から尾張にかけての城々を次々と奪い返し、今川の領土は瞬く間に削り取られていった。
    結果――今川はその八割を失い、尾張進出は水の泡と化した。

    さらに、その奪還された城の一つに、新たに城主として名を連ねた者があった。

    ……水野信元。
    俺の母・於大の方の兄。血を分けた叔父だ。

    「……母上の一族が……」

    呟いた声は、胸の奥に沈んでいった。
    家族を守れた安堵と、迫り来る新たな現実。
    その狭間に、俺の心は大きく揺れていた。

  • 159◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:44:14

    数日後、俺は三河から取り寄せた味噌や干物、織物などの特産を抱え、今川義元の居室を訪ねた。
    侍従に目通りを願い出ると、静まり返った奥の間へと案内される。

    室内には薬草の匂いが漂い、蝋燭の灯が揺らめいていた。
    布団の中で義元は上体を起こしており、顔色はまだ青白いが、これまでの威厳をかすかに宿している。
    傍らには医師が控え、さらにその隣に嫡男・氏真が座していた。

    「……太守様。お加減、いかがでございましょうか」

    深く頭を下げると、義元は少し唇を緩めて答える。

    「大分ようなった……。案ずるな。それより――元信どの、そなたの殿軍、まこと見事であった」

    「……恐れ入り奉ります」

    胸の奥に熱いものがこみ上げる。命懸けで務めた役目を、主君に認められた。

  • 160◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:45:07

    義元はゆっくりと姿勢を正し、俺を真っ直ぐに見据えた。

    「此度の働きに応じ、何か褒美を遣わそうと思う。……何がよいか」

    思いがけぬ言葉に、俺は息を呑んだ。
    褒美――。
    だが、何を望むべきか、即座には答えが出ない。
    義元の命が未だ危うい今、軽々しく口にできるものではない。

    逡巡する俺の様子を見て、義元は小さく笑った。

    「ハハハ……まあよい。次に見舞いに来られる時までに、考えておかれるがよい」

    その声には、怪我に伏しながらも今川家の当主としての余裕が感じられた。


    だが一方で、横に控える氏真は、軽く鼻を鳴らした。
    その眼差しは鋭く冷ややかで――
    「ゆめゆめ、分不相応のものを求めるな」
    そう突きつけているようだった。

    父の影を背にしながらも、後継として振る舞う者の視線。
    俺はその視線を静かに受け止め、深く頭を垂れた。

  • 161◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:46:16

    自らの居室に戻った俺は、石川数正、鳥居元忠、平岩親吉、そして新たに駿府に常駐することとなった若き剛勇・本多忠勝を呼び集め、義元から賜った言葉を語って聞かせた。

    「……何が欲しいか決めよ、と。褒美など思いもよらなかった。だが、下手に望めば命取りにもなる……。お前たちはどう思う。俺に手に入れて欲しいものはあるか」

    一同が黙り込んだ中、忠勝が口を開いた。
    新参でありながら、声音は真っ直ぐで迷いがない。

    「……改名を願い出ては、いかがか」

    「……改名?」

    思いがけぬ言葉に俺は眉を上げる。忠勝は静かに続けた。

    「殿の御名の『元』の字は、太守義元の偏諱。これは、殿を今川家臣として縛る枷にござる。もしこの機に、その名を変えることが叶えば……殿は今川の臣にして、同時に三河の自立した旗頭ともなりましょう」

    「……!」

    胸の奥がざわめいた。しかしすぐに数正が口を開く。

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 21:46:49

    このレスは削除されています

  • 163◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:47:12

    「いや、それは無理であろう。太守様はいまだ健在。我らの主君にてあらせられる。その偏諱を捨てたいなどと口にすれば、たちまち勘気をこうむり、せっかくの殿軍の手柄も水泡に帰すやもしれぬ」

    静まり返る室内。俺は両者の意見を胸に反芻し、しばし黙考した。

    「……では、『元』の字は残すのはどうか。太守様への礼を失せずに……だが、『信』の字を別のものに改める」

    「……ははあ」

    数正が目を細める。

    「それならば……まだ道はあるやもしれませぬな」

  • 164◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:48:00

    俺はふと、記憶にない“祖父”のことを思い浮かべた。
    ――松平清康。三河をまとめ上げ、天下を窺うほどの勢いを見せながらも、無念の死を遂げた英傑。

    「……俺の祖父・清康公は、三河をほぼ平定し、次の時代を夢見ていた。その志を、今こそ俺が継ぐべきではないか……。清康公の偏諱を頂戴する。そう……『清元』……いや、『元康』という名はどうだ」

    「元康さま……!」

    数正、元忠、親吉、そして忠勝が、しばし呟くようにその名を繰り返した。

  • 165◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:49:03

    やがて元忠が、堪えきれないように声を上げる。

    「殿!見事なご着想にございます!その御名こそ、清康公の志を継ぐにふさわしゅうございまする!」

    親吉も力強く頷いた。

    「我ら三河の武士は、殿のもとに結束しております。殿の御名が改まるなら、我らもまた新たな気持ちでお仕えいたしまする!」

    若き忠勝もまた、鋭い眼差しで言葉を添えた。

    「……『元康』様。殿のその御名に恥じぬよう、我が槍、命の限りお支えいたします」

    熱気が広間を満たす。
    俺はその空気を肌で感じながら、静かに頷いた。

    「……よし。では、次の見舞いの折、この改名を願い出よう。この名を、俺が三河を背負い、未来を切り開く証としたい」

    こうして、俺――松平元信は、松平元康と名を改める決意を固めた。

  • 166◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 21:53:58

    元信の改名願いに、今川義元は……

    1.快諾
    2.却下
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス
    明日の更新(9:00ごろ?)まで

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 21:57:54

    1 で

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 22:08:52

    しぶしぶ承諾

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 22:09:31

    1 

  • 170◆qurqnrwxxY25/08/19(火) 23:02:52

    1.>>167

    2.>>168

    3.>>169

    dice1d3=2 (2)


    更新は明日

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 08:05:09

    おつー

  • 172◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 09:20:32

    数日後。
    俺が再び義元のもとを訪れると、太守は医師の介添えを受けて縁側へ出ていた。まだ顔色には蒼白さが残るが、柔らかな陽を浴びて気を鎮めている様子だった。

    「太守様……お加減はいかがに」

    義元は微かに笑みを浮かべた。

    「今朝は一層、気分がよい。こうして庭の風に当たると、血の巡りも整うようじゃ……。――ところで、元信どの。先日申し渡した褒美の件、心は定まったか」

    その言葉に、俺の胸は強く打った。
    床に手をつき、深々と頭を下げる。

  • 173◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 09:21:07

    「はっ……恐れながら、此度の手柄にて、改名を願い奉りたく存じます」

    義元の眉がぴくりと動いた。庭にそよぐ風の音だけが響く。
    俺はさらに言葉を続けた。

    「我が祖父、清康の『康』の字を頂戴し、『元康』と名を改めたく……お許し賜りますれば」

    義元は視線を庭の松に移し、長い沈黙を保った。
    その横顔には、思案か、あるいは不満か……言葉を飲み込むような影が差している。
    やがて、重々しく口を開いた。

    「……『元康』。よい御名じゃ。清康公の名跡を継ぎ、三河を治めるにふさわしかろう。改めること、許す」

    「……かたじけのうございます!」

    額が床板に触れるほど深く頭を下げる。安堵と緊張がないまぜとなっていた。

  • 174◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 09:21:32

    その時、義元はわずかに目を細めた。

    「この機に、仮名も改めるがよい。これまでの『次郎三郎』よりも、より堂々たる名がふさわしい。――『蔵人佐(くろうどのすけ)』を名乗られるがよかろう」

    「……蔵人佐……」

    口にした瞬間、その響きが俺の中に重く落ちてくる。
    太守から下された新たな呼び名は、ただの字ではない。
    それは「今川家中における一角を担え」という命であり、「決して分を超えるな」という枷でもあった。

    義元の眼差しには、笑みと共に――どこか測りかねない色が宿っていた。
    労わりか、牽制か、それとも予感か。
    俺は深く頭を垂れつつも、その心の底を読み解くことはできなかった。

  • 175◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 09:26:42

    【年:1560年(永禄3年)】
    【年齢:18歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河(名目上)】
    【居住:駿府・今川館】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代】

  • 176◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 09:39:04

    次の展開

    【選択肢】
    1.今川義元、容態急変
    2.元康、三河・岡崎城主に任命
    3.織田と今川が和睦
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 177二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 10:00:37

    3 

  • 178二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 10:01:49

    2 

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 10:03:32

    2 

  • 180◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 12:19:33

    1.>>177

    2.>>178

    3.>>179

    dice1d3=3 (3)

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:45:51

    このレスは削除されています

  • 182◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 12:46:13

    第十二章 岡崎帰城


    桶狭間での矢傷から立ち直った今川義元は、母・寿桂尼と共に、太守に一大事があった際の今川家の脆弱さを改めて案じていた。

    「いかに義元が強しといえど、一人に頼り切れば国は揺らぐ」――そうした危惧から、世嗣・氏真の権威を高めるべく、二人は方策を練り始めた。

    太原雪斎もまた、「これこそが我が生涯最後の勤め」と語り、かつて義元を導いたその手で、氏真へ厳しく、しかし丹念に教えを授けていた。


    一方の松平家では、瀬名が第二子を産み落とした。
    産声を上げたのは女の子で、名は「亀姫」と定められた。
    竹千代の妹の誕生に、家中は祝福の空気に包まれた。

  • 183◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 12:46:51

    ――永禄四年(1561年)。
    ある日、俺と石川数正は義元に召し出され、今川館の広間に控えることとなった。
    そこには義元だけでなく、寿桂尼の姿もあった。
    義元は俺と数正の前で、静かに口を開く。

    「……三河・岡崎城代、山田景隆。城下の政務を怠り、百姓に過重な課役を課すばかりか、領内の寺社にまで狼藉を働く由、度重なる訴えがある。弁明の余地もなく、政道を誤ったこと明白である」

    広間の空気が張り詰めた。義元はゆるりと扇を畳み、告げる。

    「よって、景隆には城代の任を解き、領地も召し上げる。岡崎の政をこれ以上預けること、相ならん」

    俺と数正が息を呑む中、義元は俺を見据えた。

  • 184◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 12:47:14

    「元康どの。そなたは先の岡崎城主・松平広忠どのの御子にして、三河武士の心根を最も理解しておるお方じゃ。――よって、このたび城主として岡崎に入ってもらいたい」

    扇を置く音が畳に響いた。
    俺と数正は思わず額が床板に触れるほど深く頭を下げる。

    「ははっ……!恐悦至極に存じます!」

    胸の奥に熱が込み上げる。今川の人質として過ごしてきた俺が、ついに父祖の城・岡崎へ戻れるのだ。だが同時に、それは重い責任を背負うことでもある。

    ふと、妻と子どもたちの顔が脳裏に浮かび、思わず言葉が漏れた。

    「では、我が妻と、子らも……共に岡崎へ……?」

    俺の問いに、義元は片手をすっと上げて制した。

  • 185◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 12:48:50

    瀬名と子どもたちは

    1.今川館に据え置き(人質として)
    2.瀬名のみ岡崎同行を許される
    3.全員岡崎に入ってよし
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:05:25

    3 

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:06:07

    2 

  • 188二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:07:27

    3 

  • 189◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 17:19:10

    1.>>186

    2.>>187

    3.>>188

    dice1d3=2 (2)

  • 190◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:02:49

    「岡崎へは、そなたの妻・お瀬名のみ同行を許す。二人の子は、この今川館に残してゆくように」

    その言葉に、胸が凍りつく。竹千代と亀――血を分けた我が子らを置いていけと。
    思わず口を開きかけたが、己の立場を悟り、俺は静かに深く頭を垂れた。

    「……仰せのままに」

    その声音は自分でも驚くほど掠れていた。

  • 191◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:03:10

    廊下へ退出したところで、石川数正が声を潜めて寄り添う。

    「……竹千代さまと亀姫さまは、人質として駿府に残される、ということでございましょうな」

    「……だろうな。太守様がそう易々と、俺たちを揃って岡崎へ帰すはずがなかったのだ」

    吐き出す息は重かった。

    「しかし……亀はまだ生まれて半年も経っていない。竹千代はわずか二歳……。父親の傍にすらいられないとは」

    数正は沈痛な面持ちで言った。

    「殿……人質は乱世の習いにございます。殿のお心、いかばかりかと存じますが……」

    「……わかっている。耐えねばならないと。瀬名が共に来てくれる、それだけでも……」

    俺は自分を納得させるように言い聞かせた。

  • 192◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:03:41

    その夜、俺は瀬名を前にして、岡崎城主任命と引き換えに子らを置いていかねばならないことを打ち明けた。

    「……申し訳ない。せめて数正を子らの側に置きたいと願ったが、それすら許されないようだ」

    瀬名は一瞬、沈黙した。だがすぐに、涙を堪えた笑みを浮かべて言う。

    「……殿。どうかお気になさらぬよう。これも、殿に添うた私の定めにございます。私が殿を恨むことも、太守様を怨むことも、決してございません」

    その言葉に、胸の奥の氷が少しだけ溶けるように感じた。

  • 193◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:04:13

    ――数日後。
    俺は瀬名、数正、鳥居元忠、平岩親吉、そして本多忠勝と共に、今川館を後にした。

    別れ際、竹千代はまだ状況を理解できないのか、無邪気に廊下で走り回っていた。赤子の亀は乳母の胸に抱かれ、安らかに眠っている。
    その小さな寝息を見つめながら、俺は思わず拳を握りしめた。

    ――父・松平広忠もまた、幼い“俺”を人質として差し出した。
    そのときの記憶はない。だが親子三代に渡る因果の鎖が、いま確かに自分の絡みついているのを感じた。

  • 194◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:04:42

    やがて、岡崎城へ到着した俺を出迎えたのは、三河代々の臣下たちだった。
    城門前に並び立ち、目に涙を浮かべているのは酒井忠次、大久保忠世、本多忠真。

    「殿……!いや、蔵人佐元康さま!この日を、我ら一同、いかほど待ち望んできたことか!」

    忠次が声を張り上げると、他の者たちも喜びの声を挙げた。

    ――岡崎へ戻った。だがその代償は、あまりに重い。
    胸の奥に複雑な思いを抱えつつ、俺は父祖の城の門をくぐった。

  • 195◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:06:38

    次の展開

    【選択肢】
    1.家臣・本田正信と対面
    2.岡崎の政務・整備に着手
    3.織田方の水野家(母の一族)が接触を図ってくる
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 196二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:44:55

    2 

  • 197二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:46:04

    3 

  • 198二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:47:11

    1 

  • 199◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:50:22

    1.>>196

    2.>>197

    3.>>198

    dice1d3=3 (3)

  • 200◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 18:52:38

    【年:1561年(永禄4年)】
    【年齢:19歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 201◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:14:27

    第十三章 イカサマ師・本多正信


    瀬名ともども岡崎城での暮らしに次第に馴染んできたとはいえ、駿府に残してきた竹千代と亀姫のことは、片時も心から離れることがなかった。
    せめて気を紛らわせようとするかのように、ある日、酒井忠次が俺に鷹狩りを勧めてきた。

    「殿、岡崎の平原は鷹狩りにうってつけにございます。少しはお気も晴れましょうぞ」

  • 202◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:15:08

    ――そしてその日、澄み渡る冬空の下、俺は鷹を腕に据え、広がる原野を進んでいた。草むらから野兎が飛び出したところを、鷹が舞い上がり、鋭い影を落として獲物を追う。

    その時、鷹匠の一人が俺のすぐ近くに歩み寄り、ひそかに声を掛けてきた。

    「殿……鷹狩りは獲物を逃がすまいとするより、先に逃げ道を塞ぐのが肝要にございます。まずは退路を断ってしまえば――」

    思わぬ助言に耳を傾けかけた途端、背後から鋭い叱声が飛ぶ。

    「正信!鷹匠風情が殿に口出しするものではないわ!」

    声の主は本多忠真だ。

    「正信……?」と俺が小さく呟くと、その鷹匠はにやりと口の端を上げ、深々と頭を下げた。

  • 203◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:15:32

    「本多弥八郎正信にございます。以後、ご贔屓の程を」

    その飄々とした態度。まるで己の非など意に介していない。

    「聞いておらんわ!下がれ!」

    忠真が怒鳴りつけると、正信は肩をすくめただけで、軽い足取りのまま退いていった。

    残された忠真は大きく溜息をつく。

    「あれは我ら本多一族の面汚しにございます。槍働きはからっきし、されど口先と悪知恵ばかりは立つ。殿のお側近くに侍すべき者ではございませぬ」

    横から忠勝も口を挟んだ。

    「叔父上は、彼奴を『イカサマ師』と呼んでおるのです」

    そう言って豪快に笑った。だが俺は笑えなかった。

  • 204◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:15:53

    ――あの助言。卑怯と取る者もいるだろう。だが、言葉の端々には戦の理を見抜いた鋭さがあった。
    武勇だけでは開けない道がある。政務や軍議の場に、あのような知恵を持つ者がいてくれたなら……。

    正信という男。粗野で信用ならないように見えて、その影は俺の中に深く残った。

  • 205◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:17:44

    【年:1561年(永禄4年)】
    【年齢:19歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 206◆qurqnrwxxY25/08/20(水) 20:18:11

    次の展開

    【選択肢】
    1.三河での一向宗を問題視
    2.織田方の水野家(母の一族)が接触を図ってくる
    3.今川義元、危篤
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 207二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 02:46:59

    2 

  • 208二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 02:47:30

    1 

  • 209二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 02:48:23

    ニ 

  • 210◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 09:26:12

    1.>>207

    2.>>208

    3.>>209

    dice1d3=3 (3)

  • 211◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 10:12:36

    第十四章 三河平定戦


    年が明け、永禄五年(1562年)。
    正月の晴れやかな空気も、俺たち松平勢には遠いものだった。

    駿府の今川義元からは「三河に残る織田勢を打ち払え」と厳命が下っている。だが今川からの援軍はなく、義元はもっぱら武田信玄・北条氏康との同盟強化に心を砕いていた。――三河は俺たちの力だけで守り抜け、ということか。

    そして目下の敵は、西三河・刈谷城に籠もる水野信元。
    彼は俺の母・於大の方の兄でありながら、織田方へ寝返った裏切り者。母が松平から離縁された元凶でもある。血縁でありながら、三河にとっては憎むべき仇――それが水野信元だ。

  • 212◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 10:13:16

    岡崎城の広間に、重臣が顔を揃える。
    「いざ刈谷城攻め」と号令を発するが、石川数正と酒井忠次の表情は渋い。

    「……殿。刈谷を攻めれば、必ずや織田が援けに参りましょう。今川の後詰なき今、果たして我らだけで持ち堪えられまするか……」

    重い空気が流れる中、若武者が駆け込んできた。
    榊原小平太。つい先日、俺に仕え始めたばかりの少年だ。

    「御無礼仕ります!」

    「何事だ」

    「水野の使者より、殿に書状が届いております!」

    息を切らす小平太から文を受け取り、封を切る。
    そこには流麗な筆致で、こう綴られていた。

  • 213◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 10:13:39

    「このたびの戦、いたずらに流血を重ねるべきにあらず。
    一度、互いに腹を割って語らうべし。
    会談の場は、岡崎と刈谷の間にある寺と定め候。
    貴殿の御母堂・於大の方も同席願いたく存じ候」

    「……これは、和睦の申し入れか」

    俺が低く呟き、書状を数正と忠次へ回す。二人は目を走らせるや否や、顔を引き締めた。

    「殿、水野殿は松平を裏切った御仁。これは単なる和睦にあらず、今川を捨てて織田に与せよ、との調略やもしれませぬ」

    「お母君を誘い出すというのも、また深き算段にございましょう。殿を揺さぶるためか……」

    二人の言葉に、俺の胸は大きく揺れた。
    血を分けた母と、因縁の伯父。その狭間で、俺に新たな選択が迫られていた。

  • 214◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 10:14:38

    どうする元康

    【選択肢】
    1.信元と於大の方に会う
    2.申し入れを拒否
    3.松平家中の様子を見る
    4.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 215二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 12:29:41

    3 

  • 216二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 12:30:44

    1 

  • 217二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 12:31:27

    2 

  • 218◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 13:37:46

    1.>>215

    2.>>216

    3.>>217

    dice1d3=3 (3)

  • 219◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 13:54:53

    俺にとって水野信元も、母・於大の方も――面識のない存在にすぎない。
    ただ血がつながっているというだけで、情が湧くわけでもない。
    むしろ、この時代に転生している俺にとっては「松平家を苦境に追い込んでいる人々」という印象のほうが強い。

    「……申し入れは受けん。使者は手ぶらで送り返せ」

    「はっ!」

    榊原小平太は深々と頭を下げ、足早に去っていった。
    その背を見送りながら、酒井忠次と石川数正は満足げに頷く。

    「殿のお覚悟、肝に銘じましたぞ」

    「これで迷いも断ち切れましょう」

    俺は軽く息を吐き、決断を胸に刻んだ。

  • 220◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 13:55:21

    その後、俺は本多忠真と忠勝に先発隊を命じた。
    忠勝はまだ若いが、槍働きは勇猛果敢。忠真は歴戦の将であり、二人が先陣に立てば士気も上がる。

    やがて届いた忠真の書状によれば、水野信元の陣には――母・於大の方の再婚相手である久松長家の姿もあるという。

    「……そうか。久松も水野のもとに」

    胸の奥に小さな疼きが走った。
    俺にとっては名ばかりの母だが、血を分けた存在であることに変わりはない。

  • 221◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 13:55:46

    この戦いは、大きな賭けだ。
    もし織田が信元に援軍を送れば、俺たちの兵力では勝ち目はない。
    逆に織田が動かず、こちらが勝利を収めたとしても――勝者として、伯父と母をどう扱うのかという、重い課題が待ち受けている。

    これはただの一戦ではない。
    俺自身の「血の因縁」と向き合わねばならない戦いだ。

  • 222◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 13:57:03

    この戦いはダイスで決めてみます。


    松平・先発隊 dice1d100=16 (16)

    水野勢 dice1d100=17 (17)

  • 223二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 15:55:02

    なんやこのめっちゃ僅差で負けたこじんまりとした戦は・・・

  • 224◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 16:11:29

    戦況は芳しくなかった。
    刈谷の周囲では、幾度となく小競り合いが繰り返されたものの、決定的な突破口は開けない。
    兵糧が減るばかりで、兵たちの顔にも疲労と焦燥の色が濃くなっている――そう、忠真からの文には記されていた。

    「殿、今こそ我ら本隊が出陣すべきものと存じます」

    重苦しい沈黙を破ったのは、酒井忠次だ。
    石川数正も、大久保忠世も頷き、広間の空気は熱を帯びる。
    だが決断を下そうとしたその刹那――

    「申し上げます!」

    榊原小平太が駆け込んできた。
    額に汗を浮かべ、声を震わせながら告げる。

    「ただ今、南三河・東条城より吉良義昭どのの援軍が参られました!」

    「おお……!ついに今川の助けが!」

    場が一斉にざわめき、誰もが顔を見合わせる。

    三河東条の吉良家――今でこそ今川に従属しているが、その祖を辿れば足利尊氏の先祖、義氏の流れを汲む由緒正しき名門。
    松平のような地方豪族とは、系譜の重みがまるで違う。

  • 225◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 16:11:55

    やがて広間に姿を現した義昭は、鎧の紐をきっちりと締め、堂々と歩み寄ってきた。
    そして俺の隣に並び立ち、手を強く握る。

    「元康どの。三河を乱す水野を討ち果たすため、我が吉良の兵、馳せ参じた。この戦、我らが共に旗を並べれば勝利は揺るがぬ」

    その声音は力強く、名門の矜持に満ちていた。
    だが同時に、その眼差しの奥には「吉良こそが三河の正統」という自負もまた滲んでいた。
    それは誇りか、それとも傲慢か――。

    いずれにせよ、もはや迷っている暇はない。
    こうして松平と吉良、二つの旗が並び立ち、連合軍は刈谷城に織田の援軍が至る前にと、進軍を開始した。

  • 226◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 16:12:54

    刈谷城攻略はあまり重要な戦でもないので、ダイスで決めてしまいます。


    松平・吉良勢 dice1d100=75 (75)

    水野勢 dice1d100=33 (33)

  • 227◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 16:14:43

    刈谷城主・水野信元は……

    【選択肢】
    1.城に火を放ち、自害
    2.生捕り
    3.敗走
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 228二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:20:24

    1  

  • 229二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:26:36

    進退窮まって大将自ら打って出るも三河勢(誰かは指定しないので>>1が決めてください)に討ち取られる

  • 230二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:31:10

    3 

  • 231◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 16:35:34

    1.>>228

    2.>>229

    3.>>230

    dice1d3=2 (2)

  • 232二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 17:17:52

    死んじゃった

  • 233二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 17:39:04

    おいおいマジで?

  • 234二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 17:42:24

    この時期に信元が死んだらどうなるんだこれ

  • 235◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 17:57:36

    本多忠真・忠勝の先発隊と合流するや否や、俺たち松平・吉良連合軍は一気に刈谷城へと攻め込んだ。
    天を震わせる鬨の声、乱れ飛ぶ矢。城兵は必死に応戦したが、数に勝るこちらの勢いを止められない。

    幸い、危惧していた織田の援軍は最後まで現れなかった。
    戦局は早くも傾き、松平・吉良連合軍はついに刈谷城門前へ迫った。

    その時――

  • 236◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 17:58:05

    「竹千代!」

    鬨の声を裂いて、馬上に躍り出たのは水野信元その人だった。
    額には血が流れ、甲冑は乱れている。それでも眼光は鋭く、声は大地を震わせる。

    「臆病者のお前に、伯父の首が取れるか!」

    進退窮まってなお、己の威を示そうとする気迫。
    彼の周りに群がる足軽を、信元は大太刀で斬り払い、次々となぎ倒した。
    だが乱戦の渦中、平岩親吉の槍が鋭く突き出される。

    「ぐはっ……!」

    信元は呻き声を上げて馬から転げ落ち、そのまま泥にまみれて動かなくなった。
    伯父の最期を見届けながらも、戦場の空気はすぐに「勝鬨」へと変わってゆく。

    やがて刈谷城は落ち、兵は勝ちどきを上げた。

  • 237◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 17:58:26

    本陣に戻った俺は、平岩親吉を呼び寄せる。

    「親吉、見事な槍働きだった……。大将の首を挙げたその武功……賞賛に値する」

    「ははっ……!」

    血に濡れた甲冑のまま、親吉は地に額を擦りつける。その姿を見て、俺は戦場の重さを改めて胸に刻んだ。

    しかし、戦はそれで終わらない。
    目を閉じ、しばし思索に沈んでいたところへ、鳥居元忠が駆け寄り声を潜める。

    「殿……久松長家どのと於大の方さま、我らが軍門に下っております」

    陣中の将たちが一斉に俺を見た。
    酒井忠次も石川数正も言葉を飲み込み、ただ俺の顔色を窺っている。

    「お会いになられますか……?」

    元忠の問いに、場の空気は凍りついた。
    吉良義昭の眼差しが、試すように俺を射抜いている。
    まるで「そなたの血縁を前に、果たして大将としての顔を保てるか」と言わんばかりに。

    俺は深く息を吸い込んだ――。

  • 238◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 17:59:16

    【選択肢】
    1.二人に会う
    2.会わない
    3.その他(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 239二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:01:04

    1 

  • 240二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:01:55

    1 

  • 241二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:03:03

    2 

  • 242◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 18:10:14

    1.>>239

    2.>>240

    3.>>241

    dice1d3=1 (1)


    なお、兄をコロされた於大の方の禍根ゲージ

    dice1d100=61 (61)

  • 243◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 18:36:01

    「……会っておこう」

    重い沈黙を破り、俺は立ち上がった。


    案内された場所には、久松長家、於大の方、そしてそのあいだに三人の子らが並んでいた。

    長家は肩を縮め、不安げに眼を伏せる。三人の少年はまだ幼さを残しつつも、唇を固く結び、覚悟を決めたような顔つきだ。
    ただ、於大の方だけは――感情を殺した面持ちで、まっすぐ俺を見据えていた。

    俺の母。実質これが初めての対面。
    兄を討った俺を憎んでいるのか、それとも――。

  • 244◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 18:36:39

    「義昭どの……元康どの……我ら、如何なる仕置きに……」

    長家が震える声で問うた。視線は俺ではなく、傍らの吉良義昭へと向けられている。

    義昭はちらりと俺を見て、あえて促すように言った。

    「さて、元康どの。そなたのお心次第であろうな」

    張り詰めた空気の中、俺は口を開いた。

    「……我らを頼ってきた御仁を、みすみす斬り捨てる真似はいたさん。ひとまずは幽閉とさせていただく」

    「は、ははっ……!」

    長家は深く頭を下げ、三人の子も倣った。

    だが、於大の方だけは動かない。身じろぎすらせず、静かに俺を見返していた。
    その両眼には恨みが宿っている――だが、それだけではなかった。
    血を分けた子としての情か、それとも、兄や織田に翻弄され続けた女の矜持か。
    俺には測りかねた。

    胸の奥に言いようのない痛みを覚えつつも、俺は武将としての面を崩さぬよう、ただ黙ってその視線を受け止めた。

  • 245◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 18:37:10

    【年:1562年(永禄5年)】
    【年齢:20歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 246◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 18:37:29

    本格的なIF展開に突入したので、こちらで選択肢を考えるのも難しくなってきました。

    【選択肢】
    1.吉良義昭が手柄を独り占め
    2.三河の一向宗の動きが不穏
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 247二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:56:34

    2 

  • 248二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 19:27:56

    3
    義元からの信頼度アップ 褒賞賜る

  • 249二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 20:30:37

    2  

  • 250◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 20:35:05

    1.>>247

    2.>>248

    3.>>249

    dice1d3=3 (3)

  • 251◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 21:03:02

    第十五章 三河の聖域


    刈谷城には石川数正が入り、西三河における今川への不穏分子は一掃された。

    しかし安堵も束の間、永禄六年(1563年)、俺と酒井忠次は岡崎城の一室で帳簿を睨み合っていた。

    数字の並びが、領国の実情を容赦なく突きつけてくる。西三河平定のための軍役や普請は多大な出費を要し、金蔵はすでに底を見せつつある。城下の民の着物は擦り切れ、商家の棚には品が乏しいとの訴えもある。疲弊の色は隠しようがなかった。

    「殿、悩みの根はやはり寺にございますな」

    帳簿から目を上げた忠次が言った。

  • 252◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 21:03:31

    一向宗の寺々――。
    先の岡崎城主、松平広忠が与えた「不入の権」により、彼らは年貢や課役を免れ、領内でただ一つ潤っている存在となっていた。

    「寺はそのものが一つの国。武士の力は及ばぬものです」

    忠次の声には苛立ちが滲む。

    榊原小平太も口を添えた。

    「とりわけ、本證寺の繁栄は目を見張るものにございますよ。寺内には市が立ち、百姓や町人が住みつき、まるで町のように……。渡辺盛綱どのなども、そこに入り浸って女と戯れているとか」

    「何?」

    俺は思わず声を荒げた。

    「それでは、わしの家臣が禄を寺に流していることになるではないか」

    一向宗の寺は、ただの信仰の場ではない。経済の中心であり、民を惹きつける求心力を備えていた。

  • 253◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 21:03:54

    俺は、まずは実情を確かめるべきと考え、一向宗門徒である下級武士・土屋長吉重治を呼び出した。

    「寺の中では、侍も、百姓も、罪人も、遊び女も、皆同じとされております」

    重治は、畏れと誇らしさが入り混じったような声で語った。

    「空誓上人は、ほんの十九の若さにございますが、その言葉は人の心を打ちます。貧しき者、迷える者、皆の苦しみに耳を傾けてくださるのです。だからこそ、民は命を懸けてでも御山を護ろうとするのです」

    若き僧が、人々の心を掴み、寺が一つの国を形づくる――。

    俺は額に手を当て、深く考え込んだ。
    一向宗とは、危険な芽か。それとも、疲弊する民に与えられた聖域か。
    いずれにせよ、放置すれば松平家の支配を脅かすことは明らかだった。

  • 254◆qurqnrwxxY25/08/21(木) 21:07:05

    どうする?

    【選択肢】
    1.服部半蔵正成に潜入調査を命じる
    2.自ら身分を隠して潜入する
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 255二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 21:30:59

    2   

  • 256二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 22:07:46

    1 

  • 257二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 22:32:46

    2  

  • 258◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 02:18:22

    1.>>255

    2.>>256

    3.>>257

    dice1d3=2 (2)

  • 259二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:50:05

    早めの上げ

  • 260◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 09:52:39

    「本證寺の内情をより深く探りたい。誰か適した者はいないか」

    俺の問いに、家臣たちは顔を見合わせた。その中で、大久保忠世が一歩進み出る。

    「殿、服部党をお使いになられては如何でしょう。あの者らは、かつて清康公の代より仕えし忍びの一党にございます」

    服部党――伊賀の忍びを糾合し、隠密や奇襲を得意とする者たち。その名は敵味方を問わず畏れられている。

    俺は即座に、服部半蔵正成を呼び寄せた。
    半蔵は、無駄のない動きで進み出ると、膝をついて低く言った。

    「承知仕りました。殿が望まれるは影の働き、我らが務めにございます。数日を頂ければ、本證寺の内と外、その隅々までお伝えいたしましょう」

    その言葉には、確かな自信があった。俺は頷き、任を託した。

  • 261◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 09:53:08

    数日後、半蔵は数人の忍びを従えて戻ってきた。
    音ひとつ立てぬまま広間に入ると、淡々と報告を始める。

    「本證寺を中心に市が立ち、その賑わいは岡崎城下をも凌ぐほどにございます。人の声と熱気に溢れておりました」

    俺と家臣らは目を見交わす。

    「さらに、渡辺盛綱どの、夏目広次どの、そして……本多正信の姿も」

    「正信……」

    あの鷹狩りの折、奇抜な知恵を見せた男の名に、思わず声が漏れた。

  • 262◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 09:53:31

    半蔵は続ける。

    「空誓上人が説法を始めるや否や、人々は地にひれ伏し、涙を流しながら南無阿弥陀仏と唱えておりました。そして米や野菜、銭を次々と供えるのです。祈りというより、もはや狂信にございます」

    「……空誓は、何を説いているのだ」

    俺の問いに、半蔵は一瞬言葉を選ぶように沈黙したのち、低く答えた。

    「『皆、真面目に働いておるのに、なぜ飯が食えぬのか。それは、愚かな侍どもが戦ばかりしておるからじゃ』――そう申しておりました」

    報告を受けた広間に、重苦しい沈黙が落ちた。
    俺は思わず拳を握る。
    これは、ただの宗教ではない。武士の権威そのものを揺さぶる言葉だった。

  • 263◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 09:53:50

    この報告を受けて、元康は……

    【選択肢】
    1.「不入の権」を改める
    2.一向宗を「救いの場」として認める
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 264二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:40:19

    1 

  • 265二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:41:19

    2 

  • 266二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:43:03

    こちらの味方にできないか考える

  • 267◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 18:16:54

    1.>>264

    2.>>265

    3.>>266

    dice1d3=2 (2)

  • 268◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 18:36:26

    俺は一晩、灯火の揺れる書院で考え込んでいた。

    服部半蔵の報告が胸を重くしている。空誓の言葉は単なる宗教の説法ではない。武士の権威を否定し、民心を揺るがす「武器」そのものだ。

    だが同時に、あの熱狂の裏にある民の苦しみも、確かに俺には理解できた。

  • 269◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 18:36:45

    翌朝、広間に家臣たちを集める。
    酒井忠次、大久保忠世、本多忠真、鳥居元忠、平岩親吉、そして忠勝――皆が真剣な面持ちで俺を見ていた。

    俺は口を開いた。

    「民が仏にすがるのは、現世が辛いからだ。ならば、わしらが仏の代わりに救わねばならない。己の役目も果たさずに、民から救いの場を奪うなど、人の道にもとる」

    一瞬、静寂が流れる。忠次が口を開いた。

    「しかし殿……一向宗の寺々は富を蓄え、年貢を免れ、武士の掟にも従いませぬ。これを座視なさるおつもりですか」

  • 270◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 18:37:05

    俺はゆっくりと首を振った。

    「……認める。『不入の権』は父・広忠が今川の認可を得て授けたものだ。それを、わし一人の判断で覆せば、民も太守様も黙ってはいまい」

    己の声が広間に響いた。
    家臣たちは顔を見合わせる。忠次はなお渋い表情を浮かべ、忠世は腕を組んで唸り、忠勝は眉をひそめていた。だがやがて、彼らは一斉に頭を垂れた。

    「……我らは殿の仰せのままに」

    その声には、主君の決断を受け入れる覚悟が滲んでいた。

    俺は彼らの姿を見つめながら、胸の奥で自らに言い聞かせた。
    ――民を救うのは仏ではない。この俺、松平元康こそが、民を導く者でなければならないのだ。

  • 271◆qurqnrwxxY25/08/22(金) 18:46:15

    次の展開(一向宗問題を続けるのも可)

    【選択肢】
    1.元康、瀬名の提案で側室を検討
    2.室町幕府将軍・足利義輝の死
    3.今川義元の危機(自由記述)
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 272二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 22:04:42

    4 一向宗を何とか味方につけて手懐けられないか

  • 273二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 22:09:10

    3 

  • 274二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 01:14:26

    1 

  • 275◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 03:41:24

    1.>>272

    2.>>273

    3.>>274

    dice1d3=2 (2)

  • 276◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 08:38:18

    今川義元の危機とは

    【選択肢】
    1.危篤
    2.家臣・吉良義昭の離反
    3.武田・北条との同盟に陰り
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 277二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 11:36:27

    3 

  • 278二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 11:39:33

    2 

  • 279二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 11:42:31

    織田が戦争の準備を始めてる

  • 280◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 11:44:18

    1.>>277

    2.>>278

    3.>>279

    dice1d3=1 (1)

  • 281◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 12:42:43

    第十六章 同盟の揺らぎ


    永禄八年(1565年)、俺と瀬名は駿府・今川館を訪れていた。
    広間には太守・今川義元と、その嫡男・氏真が座している。

    義元は柔らかな笑みを浮かべ、俺に声をかけた。

    「元康どの。岡崎はそなたに任せておけば安泰じゃ。これからも吉良や鵜殿、国衆らと力を合わせ……」

    その言葉が終わる前に、静かに広間へ歩み入る人影があった。
    老齢ながらも背筋の伸びた姿。義元の母、寿桂尼だ。

    「太守様、若様……」

    寿桂尼が義元の耳元に囁くと、その瞬間、義元の顔色が曇った。
    彼は口を閉ざし、俺と瀬名へ視線を向ける。

    「……元康どの、お瀬名。ここより下がって、しばしお待ちなされ」

    俺と瀬名は顔を見合わせ、不審を抱きつつ広間を下がった。

  • 282◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 12:43:15

    館の一隅にある静かな座敷で、俺と瀬名は久しぶりにわが子と再会した。
    別れて四年。竹千代は六つになり、幼さを残しながらも真剣な眼差しを見せるようになっていた。
    亀は四歳。母に甘える姿を見せ、人見知りの気配を漂わせている。

    「竹千代……亀……」

    瀬名は子らを抱きしめ、その髪を撫で続けていた。
    俺はただ、その光景を胸に刻みつけるしかなかった。

    そこへ、瀬名の父・関口氏純が入ってきた。

    「婿殿……」

    「舅殿、ご無沙汰しております」

    互いに挨拶を交わすと、氏純は低い声で切り出した。

    「それより……ご存知か。たった今、甲斐の武田信玄が、嫡男・義信どのを謀反の罪により廃したとの報せじゃ」

    「何と……?」

    俺は思わず息を呑む。
    信玄は北条・今川と手を結び、甲相駿三国同盟を築き上げた張本人。その嫡男を廃するとは――?

  • 283◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 12:43:55

    瀬名が声をあげた。

    「父上。駿河・甲斐・相模の同盟は、信玄どの、氏康どの、そして太守様がそれぞれの娘御を互いの嫡子に嫁がせて成り立っております。義信どののご正室も氏真様の御妹君。……それを離縁させたと?」

    氏純は頷いた。

    「その通りじゃ。信玄は盟約さえも犠牲にして、嫡子を廃した。これが何を意味するか……。今は駿河を攻める口実こそ無いが、明日にはどうなるやも知れぬ」

    俺は反論を試みた。

    「しかし太守様は、たしかに四年前、北条を上杉から救うべく兵を出し、盟を守られました。信玄も義理を重んじぬわけには――」

    だが氏純は首を横に振った。

    「婿殿、此度のことで、信玄は理では動かぬ男と分かったのよ。己が利を見いだせば、盟約も血の縁も惜しまぬ。……ああ、もう少し雪斎禅師が生きておられれば。軍も政も、そして外交も、すべてを見通し、かようなときにこそ道を示されたものを……」

    俺は言葉を失った。
    太原雪斎――今川家を支えた名僧は、すでにこの世にいない。
    その不在が、いかに今川を揺るがしているのか、改めて思い知らされた。

  • 284◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 12:44:57

    【年:1565年(永禄8年)】
    【年齢:23歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河】
    【居住:三河・岡崎城(駿府訪問中)】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 285◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 12:45:47

    この頃、京では将軍・足利義輝が家臣の襲撃により命を落としています。

    【選択肢】
    1.義輝の弟・覚慶が今川を頼ってくる
    2.覚慶が織田を頼っている
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 286二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 12:51:43

    1 

  • 287二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 12:52:16

    2 

  • 288二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 14:23:54

    1 

  • 289◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 16:58:29

    1.>>286

    2.>>287

    3.>>288

    dice1d3=1 (1)

  • 290◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 17:32:06

    第十七章 将軍という神輿


    京・室町より凶報が届いた。
    将軍・足利義輝が、幕臣・三好三人衆の軍勢に襲撃され、壮絶な最期を遂げたというのだ。

    「公方様が……」

    知らせを受けた家臣たちの顔に、驚愕と動揺が広がる。

    三好家は早速、傀儡とするべく足利義栄を新将軍に据えようと動いている。だが義栄は病弱で、京に入ることすらままならず、朝廷の信認も得られないという。

    武田義信の廃嫡に続き、天下の均衡がますます崩れようとしている。胸騒ぎが収まらなかった。

  • 291◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 17:32:49

    そんな折、駿府・今川館より極秘の使者が到来した。

    「足利義輝公の御弟君、覚慶さまが……駿府へお越しになりまする」

    「何と……!」

    酒井忠次や大久保忠世をはじめ、家臣団の表情が一斉に険しくなる。

    使者の書状にはこう記されていた。

    「覚慶さま御一行は、三好に命を狙われる御身。ゆえに内密にお通しせよ。騒がず、迅速に……」

    重苦しい沈黙が広間を包む。俺は思わず問いかけた。

    「……しかし、覚慶さまはなぜ太守様をお頼りに?」

    忠次が静かに答える。

    「遡れば、今川家は足利の一門。われらが幼き頃から聞かされてきた言い伝えもございます。――『足利将軍家の後継が絶えた時は吉良家が継ぎ、吉良家が絶えれば今川が継ぐべし』と。吉良家はすでに今川の臣下。覚慶さまはその縁をご承知で、駿河へ落ち延びようとされているのでございましょう」

    大久保忠世も頷き、低く付け加える。

    「今川は駿河・遠江・三河を治める大大名。覚慶さまにとって、他の何よりも心強い後ろ盾に映るはず」

  • 292◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 17:33:33

    そのとき、列席していた若き榊原康政が口を開いた。まだ若いが、目の奥は鋭く光っている。

    「されど、このことが織田に知れれば厄介にございますな。三河・遠江・駿河の前には、信長が押さえる尾張と美濃がある。覚慶さまが尾張・美濃を越えて駿河に入ることは、信長の面子を潰すに等しい。もし途中で露見すれば……信長は、いかにしても覚慶さまを駿河へ入れまいと妨害いたしましょう」

    若者らしからぬ冷静な言葉に、一同は黙り込んだ。
    覚慶を受け入れることは、今川にとって「将軍家の後継を擁する」大義名分となる。だが同時に、周囲の大名を敵に回す火種ともなりかねない――。

    俺は胸の中で呟いた。

    (これは、今川を、天下を揺るがす選択かもしれないな……)

  • 293◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 17:36:40

    次の展開

    【選択肢】
    1.覚慶、無事に駿河入り
    2.織田信長、覚慶に気づいてこれを保護
    3.覚慶をめぐって今川家中が分裂
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 294二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 18:41:08

    1 

  • 295二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 18:42:16

    覚慶が何者かにより拉致される

  • 296二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 18:43:07

    2 

  • 297◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 19:16:55

    1.>>294

    2.>>295

    3.>>296

    dice1d3=3 (3)

  • 298◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:01:44

    覚慶一行は旅の一団を装い、三河を抜け、遠江を経て駿河に入る――はずだった。

    しかし、そのような一団を見かけたという知らせは一向に届かない。刈谷城の石川数正も、東条城の吉良義昭も、上之郷城の鵜殿長照も「お通りの形跡なし」と報せてきた。

    胸騒ぎが募る中、西から伝わったのは驚愕の噂だった。

    ――美濃・岐阜城にて、織田信長が覚慶を盛大に迎え入れ、酒宴を催した。

  • 299◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:02:08

    「……康政が恐れた通りになったか」

    思わず口を衝いて出た俺の呟きに、家臣たちの顔が険しくなる。

    大久保忠世が低く言った。

    「三好が推す足利義栄さまはご病弱にございます。加えて、亡き義輝公の御弟君である覚慶さまの血筋は揺るぎませぬ。信長は、その御身を奉じて上洛を目指すやもしれませぬな」

    「上洛……?」

    俺が問い返すと、酒井忠次が前へ出た。

    「織田が上洛すれば、それはすなわち幕臣の列に加わること。信長は覚慶さまに恩を売り、己を幕府の要職に就ける算段をしておりましょう。そうなれば……信長は幕府を背に、天下に号令を下せる立場となるのです」

    広間に重い沈黙が落ちた。俺は思わず拳を握る。

  • 300◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:02:40

    そこへ、榊原康政が静かに口を開いた。

    「されど、上洛には兵も金も莫大に要します。加えて国元を離れれば、背後を敵に衝かれる恐れも大きい。信長とて容易には動けますまい」

    忠次も頷きながら言葉を継ぐ。

    「うむ。それに畿内は三好の勢力がいまだ強く、彼らは必ずや覚慶さまの御上洛を阻もうとするであろう。信長が事を起こすなら、避けられぬ合戦となるはず」

    それぞれの言葉が重なり、広間の空気はさらに緊張を帯びていく。

    俺は黙って彼らの顔を見回した。
    覚慶を迎えるはずだった今川は何も得られず、織田がその栄誉をさらう。
    この流れは、やがて今川家と織田家の力に差をつける――そんな予感が、胸に冷たい影を落としていた。

  • 301◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:03:03

    【年:1566年(永禄9年)】
    【年齢:24歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 302◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:03:25

    次の展開

    【選択肢】
    1.信長、上洛開始
    2.今川義元の母・寿桂尼と対話
    3.将軍家問題はさておき、瀬名の提案で側室を娶る
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 303二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:08:43

    1 

  • 304二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:09:12

    2 

  • 305二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:14:56

    3 

  • 306◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 20:21:40

    1.>>303

    2.>>304

    3.>>305

    dice1d3=2 (2)

  • 307◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 21:07:25

    明けて永禄九年(1566年)正月。
    俺と石川数正は駿府・今川館を訪れ、新年の挨拶を申し述べた。

    だが、館の空気はどこかひりついている。廊下を行き交う家臣たちの目には陰りがあり、声を潜めて言葉を交わす姿ばかりが目につく。
    覚慶を織田に奪われたこと――それが、今川家中の誇りを大きく傷つけているのだと肌で感じた。

    義元・氏真親子への拝謁を終え、数正と共に廊下を歩いていた折、女中が静かに声をかけてきた。

    「大方様がお召しにございます」

    案内されるままに向かったのは、大方様――寿桂尼の部屋だった。

    「新年を寿ぎ申し上げます」

    俺と数正が深々と頭を下げると、寿桂尼はにこやかに微笑み、

    「よき年となるよう、祈っておりますぞ」

    と柔らかに返した。

    しかし俺が口を開いた瞬間、その笑みはすっと消える。

  • 308◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 21:07:47

    「……昨年は覚慶さまの駿河入り、果たせませなんだこと。まことに無念にございます」

    すると寿桂尼は瞼を細め、吐息と共に表情を引き締めた。

    「無念……確かにそうじゃ。太守様にとっても、若様にとっても……」

    少し間を置き、声を潜めて続ける。

    「――じゃが、正直に申せば、私はこれでよかったと思うておるのじゃ」

    俺と数正は思わず顔を見合わせた。

    寿桂尼は、実の息子・義元の胸中を語る。

    「太守様は、覚慶さまがご自分を頼られていると知り、それはお喜びであった。『今川は足利の血を引きながら、開幕以来ただの一度も幕府の要職に就いたことはない。今こそ余が歴代当主の無念を晴らす』――そう、強く申されておった」

    さらに、口調を和らげて孫・氏真の心情も吐露した。

    「若様にとっても、それは誉れであった。覚慶さまを奉じてお父上が上洛なされば、己には駿河・遠江・三河の太守の座が引き継がれる……そのように考えておられたのじゃ」

    だが、そこで言葉を切り、寿桂尼はきっぱりと首を振った。

  • 309◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 21:08:08

    「――じゃが、武田信玄どのが御嫡男を廃し、三国同盟が盤石でなくなった今、易々と国元を離れるべきではないと、私は考えておった。されど、太守様にも若様にも、そのお考えはなかった。もし覚慶さまが駿河にお入りになっておれば……かえって我らの災いとなっておったやもしれぬ」

    静まり返った座敷に、寿桂尼の声だけが落ちる。
    母として、政略家として、彼女は迷いなく言い切った。

    俺は深く息を吐いた。

    「……なるほど」

    胸の内に広がったのは、義元・氏真への不安と、寿桂尼という老女の揺るぎない胆力への畏怖だった。

  • 310◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 21:08:33

    次の展開

    【選択肢】
    1.武田信玄と今川義元が、信長上洛の背後をつく密約を交わす
    2.覚慶、今川に助けを求める
    3.今川家臣・吉良義昭が謀反の罪に問われる
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 311二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:21:59

    1 

  • 312二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:36:15

    1  

  • 313二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:59:29

    上洛の隙をついて信長を討とうとする武田
    しかし信長は武田家の挙兵を予測しておりこれを口実に幕府へ武田への討伐を申し出るのだった

  • 314◆qurqnrwxxY25/08/23(土) 23:26:37

    1.>>311

    2.>>312

    3.>>313

    dice1d3=1 (1)

  • 315二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 01:45:23

    信長ピンチ

  • 316二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:37:00

    密約なので破っても問題ないな(武田脳)

  • 317◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 10:26:18

    第十八章 信玄との密約


    噂によれば――覚慶は織田信長の庇護のもとで還俗し、元服を遂げ、「足利義昭」と名乗るようになったという。
    対して、三好が担ぎ上げる足利義栄は病に伏し、いまだ京・室町へ入れぬまま。将軍家の正統をめぐる形勢は、誰の目にも明らかだった。

    そして永禄十一年(1568年)。
    ついに信長は義昭を奉じ、上洛のため畿内へと兵を進め始めた。


    ――その直後、岡崎城に駿府からの密書が届く。

    「……『この度、武田との密約により、信長上洛の隙を衝き、尾張を攻める。武田勢は甲府より北遠江を経て三河に入り、尾張を目指す。吉良・松平・鵜殿ら西三河衆には先発を命ずる』……」

    読み上げると、広間にざわめきが走った。

  • 318◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 10:26:38

    俺は低く呟く。

    「この二年、太守様と信玄は……信長が国を空けるのを待っていたのだな」

    沈黙を破ったのは、刈谷城から駆けつけていた石川数正だ。

    「されど、信玄入道の狙いがどうにも掴めませぬ。尾張を今川と切り取り合うとしても、甲斐から遠く離れた飛び地となりましょう」

    「……信玄の狙いは尾張よりもその奥、美濃ではありませぬか」

    鳥居元忠が眉をひそめて言う。

    「美濃ならば信濃と地続き。信玄にとって扱いやすい土地にございます」

    なるほど、と俺は頷いた。だが胸の内では、かつての寿桂尼の言葉が蘇っていた。
    ――義元・氏真親子は、それぞれの野心を捨て切れていないらしい。もしその思惑が裏目に出れば、今川そのものを危うくする……。

  • 319◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 10:26:55

    「……いずれにせよ、命が下ったからには兵を整えるほかあるまい」

    家臣らは一斉に頭を垂れた。やがて、酒井忠次が前に進み出て言う。

    「目下の敵は、鳴海の佐久間信盛にございますな」

    すると本多忠勝が一歩踏み出し、声を張った。

    「しかしながら、またもや我ら三河は今川に顎で使われるばかり……。ただただ今川と武田の思惑で動かされるなど癪にござる。必ずや手柄を立て、三河に松平ありと天下に示してみせましょう!」

    広間の空気が熱を帯びる。忠勝の言葉は、誰もが胸の奥に秘めていた思いを代弁していた。

    こうして――今川家と武田家の密約、織田信長の野望、そして三河武士の誇りが複雑に絡み合う戦いが、いよいよ始まろうとしていた。

  • 320◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 10:27:25

    次の展開

    【選択肢】
    1.鳴海城攻め開始
    2.今川家臣・吉良義昭が離反
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 321二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 12:43:21

    2 

  • 322二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 12:43:55

    1 

  • 323二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 12:44:44

    信長に密談がバレた

  • 324◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 12:47:08

    1.>>321

    2.>>322

    3.>>323

    dice1d3=2 (2)

  • 325◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 12:48:37

    ダイス


    西三河軍(松平・吉良・鵜殿) dice1d100=86 (86)

    鳴海城(佐久間) dice1d75=17 (17)

  • 326◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 13:47:58

    甲斐の武田勢が遠江を進軍していたその頃――。
    松平・吉良・鵜殿の連合先発は尾張に入り、織田家臣・佐久間信盛の守る鳴海城を急襲した。

    佐久間勢は主君・信長の上洛に兵力を割かれていたうえ、国元の守りを軽んじていたのだろう。城兵の士気は低く、城門を固める間もなく潰走した。槍衾を組む前に乱れ、怒声と悲鳴が入り乱れる中で、鳴海城はわずか数日のうちに陥落。敗れた佐久間信盛は美濃へと無様に退いた。

  • 327◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 13:48:20

    数日後――。
    朱塗りの甲冑に身を包んだ武田の赤備えが整然と鳴海城に到着した。重い足音が城内を震わせ、その規律の高さに三河兵も思わず息を呑む。

    やがて武田の重臣、山県昌景と穴山信君が進み出た。俺と吉良義昭、鵜殿長照は座を正し、彼らを迎える。

    「……我らが着く前に決着がついておったとは。不覚を取ったわ」

    山県昌景は低い声で吐き捨てるように言った。その眼差しには悔しさと同時に、三河勢を値踏みするような光が宿っていた。

    対して穴山信君は朗らかに笑い、場を和らげる。

    「いや、お館様は元より三河の衆を頼りにされていた。吉良殿、鵜殿殿、松平殿が早めに道に転がる石を払ってくだされば、我らも動きやすい。これで次の戦も整えやすくなろう」

    昌景と信君――その態度は対照的だったが、いずれにせよ鳴海は武田の大軍が動くための足掛かりに過ぎないことは明らかだった。

    やはり武田の真の狙いは、鳴海より先にある……。
    今川、武田、そして三河――三つの思惑が互いに絡み、同じ戦場で異なる方向を見ている。

    それがどうか仇にならぬように……。
    俺はただ、心の奥で祈るしかなかった。

  • 328◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 13:48:38

    次の展開

    【選択肢】
    1.信長が戻ってくる前に清洲城攻め
    2.信長が畿内から引き返してくる
    3.足利義栄が足利義昭より先に上洛
    4.武田勢と三河勢が対立
    5.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 329二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 16:34:20

    2 

  • 330二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 16:34:40

    3 

  • 331二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 18:16:54

    1 

  • 332二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 18:19:01

    もう既に史実とは違うルートに突っ走ってるな
    まだ松平だし家康でも無いしいつになったら改名出来るのか・・・

  • 333◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 18:44:31

    1.>>329

    2.>>330

    3.>>331

    dice1d3=1 (1)


    吉良がいる限りは徳川になれず、今川配下である限りは家康になれない……

  • 334◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 18:47:32

    清洲城攻め


    武田・三河勢(武田バフ) dice1d125=118 (118)

    織田勢 dice1d100=58 (58)

  • 335◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 19:12:04

    武田・三河連合軍は清州を目指して進軍した。
    此度の総指揮は武田の猛将・山県昌景と穴山信君だ。

    「旗差し物を高く掲げよ!遅れるな!」

    昌景の怒号に呼応して赤備えが疾駆し、まるで奔流のように田野を駆け抜ける。その勢いに押されるように、三河の兵も必死に足を運んだ。

    翻る軍旗には「風林火山」の四字。
    ――速きこと風の如く、静かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如し。
    まさにその言葉を体現する進軍だ。

  • 336◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 19:12:27

    やがて清州城を包囲する最中、凶報が届く。

    「織田信長、畿内より軍を返し、清州に迫っております!」

    敵は俺たちの背を衝いた。急報を聞いた兵が色めき立つが、昌景は一歩も退かない。

    「振り向くな!背を見せれば喰われるぞ!迎え撃て!」

    織田勢は勢いをもってぶつかったが、武田の防陣は鋼鉄の如く揺るがず、やがて信長軍は打ち破られて美濃へ退却した。戦場には武田の鬨の声が轟き、清州城もついに陥落した。

  • 337◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 19:13:19

    勝鬨が空を震わせ、赤備えが高らかに笑う中、石川数正と酒井忠次が俺のもとへ歩み寄る。

    「やはり武田……噂に違いませぬな。奴らが戦を仕掛ける時は、すでに勝っておるのです。用意周到、調略に次ぐ調略、裏の裏まで読んでの策……」

    数正は低く唸るように言った。

    忠次も口を開く。

    「確かに頼もしい。しかし……この勢いがいつ我らに牙を向けるか分かりませぬ。もし、信玄が今川との同盟に利なしと踏めば、武田は必ずや駿河を狙うでしょう。三河も、その爪にかかるやも……」

    俺は二人の言葉を噛み締めた。
    武田は、味方であればこの上なく心強い。だが、敵に回せば恐ろしい。
    当の信玄が、どのような胸中でこの戦を眺めているのか――計り知れない。

    俺の心は、勝利の歓声の中で、深い影を帯びていた。

  • 338◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 19:13:33

    【年:1568年(永禄11年)】
    【年齢:26歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:西三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 339◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 19:13:54

    次の展開(選択肢がだんだん思いつかなくなってきました)

    【選択肢】
    1.織田信長の逆襲(具体的内容はお任せします)
    2.足利義栄が足利義昭より先に上洛
    3.尾張・犬山城攻め
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 340二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 21:01:10

    1 信長が清州を奪還しに来ると同時に密かに同盟していた上杉謙信が武田の信濃を攻める

  • 341二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 21:34:11

    2 

  • 342二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 21:35:56

    信長に降伏勧告

  • 343◆qurqnrwxxY25/08/24(日) 21:37:19

    1.>>340

    2.>>341

    3.>>342

    dice1d3=1 (1)


    今日はここまでです。

  • 344◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 00:02:45

    目が覚めたので、朝まで保守

  • 345二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 02:38:26

    お休み!

  • 346二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 08:47:14

    お疲れ様です

  • 347二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 09:36:21

    このレスは削除されています

  • 348◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:36:48

    第十九章 清州攻防


    続いて犬山城を攻め立てようとする折、岐阜に退いた織田信長が兵を再編し、清州奪還に向けて進発したとの急報が入った。

    俺たちは進軍を中止し、清州城へと引き返す。
    城内は緊張に満ち、陣屋には戦支度に追われる兵の声が絶えなかった。


    そこへ、赤備えを率いる山県昌景と穴山信君が姿を現し、意外な報せを告げた。

    「諸卿、急なることながら……我ら武田勢、これより信濃へ帰還せねばならぬ」

    信君の声は淡々としていたが、言葉の重さは場を凍らせた。

    「なにゆえ、この時に……?」

    俺が問い返すと、昌景が低く答える。

  • 349◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:37:53

    「越後の上杉輝虎が、信濃へ兵を差し向けたとの報せが参った。我らは信濃を空けるわけにはいかぬ。直ちに帰還せねばならん」

    「……信長めが上杉に働きかけたか」

    鵜殿長照が苦い顔で呟く。武田の撤退は、すなわち清州防衛の矛先が三河勢一手にかかることを意味する。

    沈黙が落ちた中、吉良義昭が一歩進み出た。

    「山県殿、穴山殿。ここまでのご助力、まことにかたじけのう存ずる。――されど、清州は我ら三河勢が死守いたす。この城を織田には返さぬ」

    その言葉に鵜殿、石川数正、酒井忠次らも深くうなずき、家臣団の目には決意の炎が宿った。

  • 350◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:38:13

    武田の精鋭が去ると、陣屋に残されたのは俺たち三河衆のみ。

    武田という大軍を失った不安は大きい。だが同時に、三河の武を天下に示す好機でもあった。
    俺は静かに家臣団を見渡し、口を開いた。

    「……聞いた通りだ。これより清州は我らだけで守る。信長に松平を侮らせるわけにはいかん。必ずやこの城を死守し、我らの誇りを示すのだ!」

    「おおっ!」

    酒井忠次、大久保忠世、本多忠勝らが声を揃え、陣屋に武気が満ちていく。
    こうして、三河衆だけの清州防衛戦が始まろうとしていた。

  • 351◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:39:49

    清州攻防戦ダイス


    三河勢 dice1d100=2 (2)

    織田勢 dice1d100=71 (71)

  • 352◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:40:54

    三河勢、何があった……?

  • 353◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 09:56:38

    この歴史的大敗を引き起こした織田の策は >>354

  • 354二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 10:06:15

    陣頭指揮を執っていた元康が矢を受けて昏倒
    元康が討ち死にしたと勘違いした兵達が総崩れになった

  • 355二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 10:10:59

    籠城戦の敗北って兵糧尽きたか力攻めしかない希ガス

  • 356二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:03:05

    今んとこ三河勢単独で勝てた戦は0か?

  • 357◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 12:03:18

    織田勢が清洲城に殺到したとき、俺たち三河勢は籠城を選ばず、敢えて城門を開き、打って出た。
    火蓋は切って落とされ、鬨の声が雷鳴のごとく轟く。

    「怯むな!三河の意地、ここで示せ!」

    俺は馬上から軍扇を振り、陣頭で指揮を執った。

    槍と槍がぶつかり、血しぶきが飛ぶ。兵たちは必死に食らいつき、敵を押し返す。だが織田の軍勢は勢いを増し、波のように押し寄せてきた。

    その時だった。
    鋭い風切り音の直後、矢が俺の右胸を貫いた。

    「うっ……!」

    視界が歪み、体から力が抜ける。馬から転げ落ち、土の冷たさを頬に感じた瞬間、目の前が真っ暗になった――。

  • 358◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 12:03:34

    どれほどの時が経ったのか。
    耳に届いたのは、懸命に呼びかける家臣たちの声だった。

    「殿! 殿、しっかりなされませ!」

    「お願いじゃ、目をお開け下され……!」

    瞼を開けると、鳥居元忠、平岩親吉、本多忠勝、榊原康政ら、岡崎の家臣たちが必死の面持ちで俺を覗き込んでいる。

    「う……ここは……?」

    「刈谷にございます……!」

    元忠が安堵と涙をにじませながら答える。

    「殿は敵矢を受けてお倒れに……!辛うじてお命は……」

    「刈谷……?では……清州は……どうなった……」

  • 359◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 12:03:49

    榊原康政が口を開いた。冷静を装ってはいるが、声には悔しさが混じっていた。

    「吉良勢が殿がお討ち死にあそばされたと早合点し、城へ退き始めました。そのため全軍の連携が崩れ……織田勢が力攻めに転じ、総崩れと……」

    さらに、本多忠勝が歯を食いしばって言葉を継ぐ。

    「我らは鳴海まで退きましたが、織田の追撃を受け、さらに退却……ついには三河・刈谷まで戻るのが精一杯にございました」

    声を落として告げる。

    「殿軍は鵜殿長照どのが引き受けられましたが、敵に囲まれお討ち死に……吉良義昭どのは混乱の中で行方知れずに……」

    俺は言葉を失った。
    清州を守るどころか、鳴海までも奪われる大敗北。鵜殿長照の死、吉良義昭の行方不明。胸の傷よりも、心を抉る痛みのほうが勝っていた。

    「……そうか……」

    重く吐息をつき、目を閉じる。

    この敗北を、駿府の太守・今川義元はどう受け止めるだろうか。
    咎を受けるのは俺か、それとも三河全土か。

    闇が再び視界を覆うような思いで、俺はただ身を横たえるしかなかった。

  • 360◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 12:04:08

    敗走してきた松平元康・吉良義昭に、今川義元は……

    【選択肢】
    1.両者とも叱責
    2.吉良義昭のみ減封
    3.処罰よりも再起重視
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 361二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:06:24

    3 

  • 362二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 13:56:19

    1 

  • 363二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 14:04:40

    2 

  • 364◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 17:19:56

    1.>>361

    2.>>362

    3.>>363

    dice1d3=1 (1)

  • 365二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 17:59:16

    器がデカいと見るか敗戦の将を処罰できない程今川は揺らいでると見るか

  • 366◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 18:36:49

    俺は岡崎城に戻り、療養の日々を送っていた。
    胸に受けた矢傷もようやく癒えはじめ、ようやく床から起き上がれるようになったある日、駿府・今川館からの使者が城に到着したと報せが入った。

    「殿、お会いになって大丈夫ですか?お身体は……」

    瀬名が心配そうに袖を握る。

    「心配ない。傷は癒えてきた。……俺のことよりも、これからの松平の行く末のほうが心配だ」

    胸の内では不安が渦巻いていた。
    清洲での大敗、鵜殿長照の戦死――。
    減封か、改易か、それとも最悪の沙汰を覚悟した方がいいのか。
    そんな思いを胸に押し殺し、俺は重臣たちと共に広間へ向かった。

  • 367◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 18:37:11

    広間には酒井忠次、大久保忠世、本多忠真が並び、みな顔を引き締めていた。
    やがて、今川の使者が入室する。威儀を正し、俺たちの前を過ぎて上座に進むと、義元直筆の書状を取り出した。

    使者は荘重な声で読み上げる。

    「――清洲における戦は、思うがままに運ばず、大いに遺憾である。しかし戦に勝つも負けるも常のこと。蔵人佐元康殿においては、傷を負いながらも軍を導いたと聞く。これを卑下することなかれ。むしろ敗北を胸に刻み、再び立ち上がることこそ肝要である。今川が三河を見捨てることはなし。力を合わせ、織田に再起を示すよう」

    読み上げの声が止むと、広間に沈黙が広がった。
    俺は思わず息を吐き、深く頭を垂れる。

    「……かたじけなく存じます」

    傍らの酒井忠次も声を震わせて言う。

    「太守様がそこまで我らをお頼みくださる……その御心に背くことはできませぬ。必ずや、三河の意地をお見せいたしましょう」

    大久保忠世、本多忠真も口々に「再起を」と誓う。

    俺は静かに目を閉じた。
    叱責ではなく、再起を促す言葉――。
    義元は俺たちを見捨ててはいない。
    そのことが再び歩みを進める力を与えてくれるのだった。

  • 368◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 18:37:34

    次の展開

    【選択肢】
    1.織田信長、上洛に成功。
    2.足利義栄が足利義昭よりも先に上洛
    3.今川義元の死
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 369二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 19:59:11

    3 

  • 370二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 20:18:13

    1 

  • 371二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 20:53:41

    3 

  • 372◆qurqnrwxxY25/08/25(月) 21:19:47

    1.>>369

    2.>>370

    3.>>371

    dice1d3=1 (1)


    更新は明日

  • 373二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 02:28:33

    お疲れ様です

  • 374◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:31:33

    【年:1568年(永禄11年)】
    【年齢:26歳】
    【主君:今川義元】
    【官位:なし】
    【領地:西三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 375◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:32:04

    第二十章 義元死す

    冬、年の瀬も迫った頃。
    岡崎に一騎の早馬が駆け込み、城の門を潜るや否や、息も絶え絶えに広間へ飛び込んできた。

    「――駿府、今川館にて……太守様、ご重体にてあらせられる!」

    蒼白の顔で叫ぶ使者の声に、広間の空気は一瞬で凍りついた。
    俺はすぐさま鳥居元忠と平岩親吉を伴い、駿府へと馬を走らせた。

  • 376◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:32:32

    今川館に着くと、そこにはすでに吉良義昭、関口氏純、朝比奈泰能ら国衆・重臣が勢揃いしていた。
    みな険しい顔で、館の中は沈痛な気配に包まれている。
    やがて侍従が現れ、俺たちを広間へと導いた。

    上座には、義元の嫡子・氏真が厳かに座していた。
    その表情は硬く、声には震えが混じっている。

    「……これより申し伝えるは、太守・義元公の御言葉である。心して拝聴せよ」

    氏真は懐から一通の文を取り出し、深く息を吸うと読み上げた。

  • 377二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 10:32:45

    おいおいこれヤバいよ

  • 378◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:32:58

    「――氏真を駿河・遠江・三河の次なる太守と定める。諸卿はこれを支え、時に諌め、決して驕らしむることなかれ。
    三河においては織田の勢い侮るべからず、備えを怠るな。
    駿河・遠江においても、同盟に甘んずることなく、武田・北条に対する警戒を常に怠るな。
    そして――もし天下が、織田や三好をして将軍家の後ろ盾と認めぬときは、今川こそが足利の血を引く家として、堂々と名乗りを上げよ」

    広間は静まり返り、誰もがその言葉を噛みしめるように黙った。
    やがて氏真は文を伏せ、低く告げる。

    「……これこそ、父の遺言である」

    その言葉を合図にしたかのように、座中から嗚咽が洩れた。

    間もなく、東海の王者・今川義元は、四十九年の生涯に幕を下ろしたのだった。

  • 379◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:33:21

    俺はその夜、今川館の片隅で一人思索に沈んだ。
    ――尾張での惨敗を、義元は一言も責めなかった。
    あの時の大目に見た態度は、己の余命を悟ってのことではないか。
    不要な波風を家中に立たせないよう、最後の最後まで国を思っていたのではないか。

    その大局観と覚悟に、俺は深く頭を垂れずにはいられなかった。

  • 380◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 10:33:45

    次の展開

    【選択肢】
    1.織田信長、上洛成功
    2.足利義栄が足利義昭よりも先に上洛
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 381二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:13:25

    2 

  • 382二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:13:51

    1 

  • 383二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:17:00

    2 

  • 384◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:20:31

    1.>>381

    2.>>382

    3.>>383

    dice1d3=1 (1)

  • 385◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:45:04

    年が明け、永禄十二年(1569年)の正月。
    駿府ではなお義元の喪に服している頃、岡崎の城中は静まり返っていた。

    その夕刻、酒井忠次が俺の部屋を訪れる。障子を開けて膝を進めると、慎重に声を落とした。

    「殿……近頃の幕府の様子にございますが――三好三人衆が奉じる足利義栄公、織田と義昭公に先んじて、ついに上洛を果たされたとのこと」

    「なに……義栄公が……?」

    俺は思わず姿勢を正した。
    忠次の語るところによれば、本来は病弱にして床に伏すことも多く、これまで京に入ることすら難しいとされていた足利義栄が、三好の力添えにより奇跡的に入京したという。
    これによって義栄は「名ばかりの将軍」から、「京を治める将軍」へと一歩を踏み出したわけだ。

  • 386◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:45:26

    忠次は言葉を継いだ。

    「……とは申しましても、義栄公は政務の場に座すのがやっとにございましょう。実のところは三好とその臣・松永親子がその権を握り、操っておるにすぎませぬ」

    「なるほど……三好にとっては、生きているだけで御しやすい将軍、というわけか」

    俺は低く呟いた。
    そして思いを巡らす。

    「だが、曲がりなりにも義栄公は京に座した。そうなれば、織田信長と義昭公はどう出るつもりか……」

    「三好が義栄公を担ぎ、織田と義昭公に追討令を出させることもありましょう。逆に織田が義栄公の正統を否として、義昭公こそ将軍と掲げることも……」

    忠次の冷静な言葉に、俺は腕を組み、しばし沈黙した。

  • 387◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:45:47

    やがて、別の疑念が浮かび、問いかける。

    「……しかし、ここまで詳しいことを、岡崎にいながらどうやって掴んだ?」

    忠次はかすかに笑みを浮かべて答えた。

    「はっ。京には茶谷四郎次郎と申す商人がおります。殿のお召し物を扱わせておる者にございまして、その口を通じて京の風聞が届くのでございます」

    「茶谷四郎次郎……」

    俺はその名を心に刻んだ。

    「覚えておこう。もしも氏真様が京を目指すことになれば、役に立つやもしれぬからな。いや、我らが独自に世を読むためにも……」

    燭の火がゆらめき、部屋の中に静かな緊張が漂った。

  • 388◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:46:07

    【年:1569年(永禄12年)】
    【年齢:27歳】
    【主君:今川氏真】
    【官位:なし】
    【領地:西三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 389◆qurqnrwxxY25/08/26(火) 17:46:34

    次の展開

    【選択肢】
    1.畿内で義栄・三好勢と義昭・織田勢が激突
    2.足利義栄が早々に死去
    3.今川と武田の関係悪化
    4.それはそれとして、元康が側室を娶る
    5.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 390二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:01:55

    1 

  • 391二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:26:19

    3 

  • 392二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 03:41:45

    2 

  • 393◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 09:09:25

    1.>>390

    2.>>391

    3.>>392

    dice1d3=2 (2)

  • 394◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 10:35:46

    第二十一章 駿甲睨み合い


    駿府にいる舅・関口氏純からは、折に触れて今川館の内情が文で届けられる。
    ある日、その筆は重々しい知らせを運んできた。

    ――謀反の罪で廃嫡・幽閉されていた武田信玄の長男・義信が、ついに切腹して果てた。
    それが信玄の命によるものか、自ら果てたのかは定かではない。

    これにより、義信の正室だった今川氏真の妹は駿河に帰郷。すでに髪を下ろし、尼姿となっていたという。
    氏真は「信玄が婚姻同盟を踏みにじり、妹を辱めた」と烈火の如く憤った、と文に記されていた。

    俺はそれを読み返しながら、胸の奥に不安を覚えた。
    信玄の真意は、果たして嫡男や同盟を犠牲にしてまで得るものがあったのか……。
    そして、その怒りが氏真をどう動かすのか……。

  • 395◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 10:36:08

    数日後、氏純から再び文が届いた。
    俺は家臣一同を広間に集め、厳しい面持ちで読み上げる。

    「……太守様は駿河・遠江の塩商を『不正の疑いあり』と取り締まり、甲斐・信濃への塩の流通を止められたとある。……忠次、忠世、どう思う」

    酒井忠次と大久保忠世が一礼し、静かに言葉を継いだ。

    「……商人の不正は方便にございましょう。太守様は、武田への報復として塩を一粒たりとも甲斐へ送らせまいとされたのでございましょう」

    「武田の所領には海がありませぬ。塩は命綱、隣国からの供給が途絶えれば、民も家中もたちまち困窮……。太守様はそれを狙われたのかと」

  • 396◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 10:36:29

    場が重苦しい沈黙に包まれる中、榊原康政が口を開いた。

    「恐れながら――」

    その声は落ち着いていたが、若武者らしい鋭さがこもっていた。

    「さような報復は、いずれ己が首を絞めることになりはせぬかと案じられます。塩止めが信玄の怒りを買い、逆に武田の矛先を駿河・遠江・三河に向けることとなれば……果たして、それが今川の利となりましょうか」

    忠次と忠世が顔を見合わせ、思わず息を呑む。
    俺もまた、康政の言葉が突き刺さった。

    氏真の憤怒は理解できる。だが、それが国を守る道なのか、火種を撒くことなのか――。
    沈痛な空気が広間に広がっていた。

  • 397◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 10:36:48

    次の展開

    【選択肢】
    1.畿内で義栄・三好勢と義昭・織田勢が激突
    2.武田が今川家中に調略を開始
    3.それはそれとして、元康が側室を娶る
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 398二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 11:41:46

    3 

  • 399二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 11:43:18

    1 

  • 400二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 11:46:39

    2 

  • 401◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 12:03:42

    1.>>398

    2.>>399

    3.>>400

    dice1d3=3 (3)

  • 402◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 13:25:41

    正室・瀬名は、今では岡崎城下に庵を構え、そこで過ごすことが多くなっていた。
    その場所にちなんで、家中や民からは「築山殿」と呼ばれるようになっていた。

    ある日、俺が築山の庵を訪れると、瀬名は几帳の陰に座し、手に一通の文を握りしめていた。
    その表情は沈み込んでいる。

    「……どうした。何かあったのか」

    問いかけると、瀬名は伏し目がちに言った。

    「……殿。亡き鵜殿長照殿の御妹君、お田鶴どのを覚えておいででしょうか」

    お田鶴――。
    かつて瀬名と並び、今川義元と寿桂尼が婚姻相手として名を挙げた娘だ。

    「覚えている。遠江・浜松の飯尾連龍どのに嫁がれたはずだ。連龍殿は幕府奉行衆の家柄、そなたも己のことのように喜んでいたな」

    瀬名は小さく頷いた。だが、その声は震えていた。

  • 403◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 13:26:01

    「……その連龍殿が、武田と内通した咎により成敗されたと。残されたお田鶴どのが、いかばかり心細いことか……。お子もおられぬゆえ、飯尾家はお取り潰しとなりましょう。さらに家中は、今川への忠義を貫こうとする者と、武田に靡こうとする者に分かれ、混乱の極みにあるとか……」

    庵の空気は急に重く、胸を押し潰すようだった。
    瀬名は文を膝に落とし、俺を真っ直ぐに見つめる。

    「殿……駿府には竹千代と亀が人質としております。二人の命を思われるなら、ゆめゆめ……」

    「分かっているとも」

    俺はそう答え、そっと瀬名の手を取った。
    その手は冷たく細く、震えていた。


    しかし、飯尾家に限らず、遠江の国衆は次々と武田への内通を疑われ、井伊、天野、奥山などが処罰を受けた。

  • 404◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 13:26:22

    ある曇天の日。
    俺はひとり、心を鎮めようと城の周りを歩き、鷹小屋のそばに差しかかった。
    その時――

    「何やら、お困りのご様子ですなぁ」

    にやけた声が背後から届いた。
    振り向くと、鷹匠にして奇矯な智慧者、本田正信がいた。

    「……遠江の国衆が次々と武田に通じ、罰せられているのだ。これは氏真様の人徳ゆえか、それとも……武田にあって、今の今川に欠けているものがあるのか」

    俺の問いに、正信は肩をすくめ、飄々とした笑みを浮かべながら答えた。

    「亡き義元公は、歴代ご当主の中でも今川を最も大きくされたお方。今の太守様がそれと比べられるのは、どうしても避けられませぬなぁ。また、国衆の多くは、あの威光に押さえつけられていたゆえ、黙して従っていただけ。お代替わりを“好機”と見たのでございましょう」

    「……好機、か」

  • 405◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 13:26:43

    「それからもうひとつ」

    正信の目が、にやけ顔の裏で鋭く光った。

    「甲斐には金山がございます。武田が調略に長けておるのは、策謀の才ばかりではございませぬ。有り余る金があるからです。人はしょせん、忠や義ではなく欲で動くもの――。それを武田はよく心得ておりまする」

    俺は言葉を失った。
    正信の軽口は、まるで笑い話のように響くのに、その奥底は氷のように冷え切っていた。

  • 406◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 13:27:06

    次の展開

    【選択肢】
    1.瀬名が元康に側室を娶らせる(その間にできる子を、今川の人質となっている自分の子と取り替えるため)
    2.畿内で義栄・三好勢と義昭・織田勢が激突
    3.今川家臣・吉良義昭が離反
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 407二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:08:54

    3 

  • 408二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:09:16

    2 

  • 409二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:10:20

    1 

  • 410◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 19:16:28

    1.>>407

    2.>>408

    3.>>409

    dice1d3=2 (2)

  • 411◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 19:17:18

    義栄・三好勢 dice1d100=61 (61)

    義昭・織田勢 dice1d100=54 (54)

  • 412◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 19:57:09

    【年:1570年(元亀元年)】
    【年齢:28歳】
    【主君:今川氏真】
    【官位:なし】
    【領地:西三河】
    【居住:三河・岡崎城】

    【正室:瀬名】
    【子:竹千代/亀(人質)】

  • 413◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 19:59:26

    第二十二章 上洛の行方


    京の商人・茶屋四郎次郎からの報せが岡崎に届いた。
    文を広げた瞬間、広間に並ぶ家臣たちの視線が一斉に集まる。

    「――織田信長、足利義昭公を奉じて上洛の軍を進め、南近江の六角を退けるも、大津にて三好勢と激突。戦いは三日三晩に及ぶも、なお決せず……僅差にて三好方が勝れ、織田勢はやむなく軍を引く」

    書状を読み上げると、場にどよめきが広がった。
    俺は深く息をつき、呟いた。

    「信長も、ずいぶん手こずっているようだな……」

    すると、酒井忠次がすかさず言葉を継ぐ。

    「やはり義栄公が曲がりなりにも上洛されたことが大きゅうございましょう。もはや『名ばかりの将軍』ではなく、京と畿内の民は義栄公を“現に座す将軍”と認めておるのです。加えて……信長は桶狭間では先の太守様を打ち破り、清洲でも我らを苦しめた恐ろしき男にございますが、畿内から見れば尾張・美濃の一地方大名にすぎませぬ。民も諸侯も、信長を“天下の器”とは見ておらぬのでしょうな」

    「なるほど……」

    俺は腕を組み、思案した。

  • 414◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 19:59:52

    「だが、信長が義昭公を奉じてから、もう二年は経った。義昭公の胸中、いかばかりか……。そもそも駿河を目指され、今川を頼ろうとなさったものを、強引に引き止められて織田に担ぎ上げられたのだ。肝心の上洛は遅れ、義栄公に先を越され……もしや、義昭公ご自身も疑念を抱いておられるかもしれん」

    そのとき、本多忠勝が遠慮なく口を開いた。

    「殿。もはや織田家中も一枚岩ではありますまい。もし俺が信長の家臣なら、いつ成るとも知れぬ上洛のために国を空け続け、戦に駆り出されるなど、到底納得できませぬ」

    「……確かにな」

    忠勝の率直さに苦笑する俺の横で、榊原康政が冷ややかに言った。

    「もしこのまま義昭公と織田の家臣たちが、信長の器量を疑い、心が離れていけば……我らにとっては“漁夫の利”ということになりましょう。織田がつまずけば、三河を脅かす大敵が一つ減り申す」

    康政の言葉に場は静まり返った。

  • 415◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 20:00:16

    次の展開

    【選択肢】
    1.足利義昭が武田を頼ろうとする
    2.足利義昭が今川を頼ろうとする
    3.今川氏真、織田の疲弊をついて尾張侵攻
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 416二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 20:23:53

    3 

  • 417二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 21:00:33

    3 

  • 418二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 21:01:11

    2 

  • 419◆qurqnrwxxY25/08/27(水) 21:15:23

    1.>>416

    2.>>417

    3.>>418

    dice1d3=1 (1)

  • 420二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 01:41:56

    ほす

  • 421二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 09:02:16

    徳川家保

  • 422◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 10:23:56

    数日後、駿府・今川館より使者が早馬で駆けつけた。
    広間に通されると、彼は一礼し、上座に座して書状を広げる。

    「――織田信長、度重なる上洛の戦に疲弊し、尾張の守り手薄と聞く。これを衝き、尾張を攻めんとす。ついては、松平勢に先陣を命ず。先の負け戦の雪辱、此度こそ存分に晴らすべし」

    重々しい声が広間に響く。

    「また、此度の戦、足利義昭公を織田の手よりお救い申し上げる大義あり。天下に示すは、この今川の忠義なり」

    その言葉に、家臣たちは一斉に頭を垂れた。
    俺は胸中に複雑な思いを抱えつつも、声高らかに応じる。

    「承知仕りました。三河勢、必ずや先陣を務め上げましょう」

  • 423◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 10:24:14

    ――そして日を経て、俺たちは尾張国・鳴海城下に軍を進め、城を望む丘に陣を構えた。

    「この景色も、もはや見慣れたものですな……」

    刈谷城から馳せ参じた石川数正が、しみじみと呟く。

    「鳴海は幾度となく今川と織田が奪い合った要衝。殿がお越しになるのも、これで三度目にございましょう」

    その冷静な分析に、傍らの本多忠勝が拳を握りしめて応じた。

    「されど此度こそ、三河の意地を示してくれましょうぞ。織田め、我らを侮ること能わじ!」

    さらに鳥居元忠が血気にはやって叫ぶ。

    「おう! 今川本隊が着く前に、この鳴海の城を我らだけで落としてみせましょう!」

    勇壮な声が陣中に響く。
    俺は彼らを見回し、静かに口を開いた。

    「……気持ちは分かる。だが、戦は怒りに任せて挑むものではない。三河の力、今川への忠義、そして義昭公をお救いする大義。その三つを示す戦だ。肝に銘じろ」

    家臣たちは一斉にうなずき、槍を地に突き立てた。

  • 424◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 10:24:51

    次の展開

    【選択肢】
    1.鳴海城に直接攻撃
    2.本田正信を使って、鳴海城主の調略を試みる
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 425二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:19:18

    2 

  • 426二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:21:16

    間者を送り込む

  • 427二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:21:58

    1 

  • 428◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 18:33:52

    1.>>425

    2.>>426

    3.>>427

    dice1d3=3 (3)

  • 429◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 18:34:42

    戦闘ダイス


    松平勢 dice1d100=26 (26)

    鳴海城 dice1d100=41 (41)

  • 430◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 19:35:27

    松平勢は攻め手を加えたが、鳴海城は予想以上に堅牢になっていた。
    石垣の周りには逆茂木が組まれ、鉄砲を構える兵がずらりと並ぶ。堀も深く、橋はすでに落とされ、城門前には柵が二重三重に張り巡らされている。

    「なるほど……今の鳴海城主、前の佐久間信盛とは違う。常日頃より三河からの侵攻に備え、牙を研いでいたというわけか」

    俺は思わず唸った。
    攻め口を探っても矢雨に押し返され、攻城梯子も焼かれ折られるばかり。日を重ねるうちに、兵の顔には疲労が色濃く刻まれていった。


    本陣に戻り、家臣と作戦を練る。
    大久保忠世が進み出て口を開いた。

    「恐れながら――味方の士気、著しく低うございます。尾張に入ってすでに日も経ち、兵糧も乏しく、雨も続いたため、鬱屈した空気が陣中に満ちております。これ以上の長陣は危ううございましょう」

    俺は黙ってうなずき、唇を噛んだ。
    確かに城は堅く、兵は疲弊している。だが退くに退けない立場でもある。

  • 431◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 19:35:51

    その時、陣幕をはね上げ、平岩親吉が駆け込んで来た。

    「申し上げます!今川本隊、まもなくご到着!」

    俺は立ち上がり、外へ出た。
    遠くの丘陵の上、たなびく軍旗が陽光を受けて輝いている。
    丸に二つ引両――今川の家紋が、風を受けて翻っていた。


    やがて、今川の軍勢が本陣へ到着し、整列する。輿から降りて姿を現したのは、太守・今川氏真だ。

    氏真は悠然と本陣に入り、上座に座すと、俺を見やって笑みを浮かべる。

    「ずいぶん手こずっておるようだな、蔵人佐。三河の手の内、ことごとく敵に読まれておるのではないか?」

    そう言って扇をひと振りし、ゆったりと続けた。

    「まあ、ここから先は我らに任せよ。義昭公をお救いする大義、必ずや天下に示してみせようぞ」

    その自信満々な言葉に、周囲の兵たちはわずかに顔を上げた。
    だが、俺の胸には言いようのない不安が渦巻いていた。
    ――これが杞憂であればいい。そう自らに言い聞かせながらも、唇の奥で歯を強く噛みしめた。

  • 432◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 19:36:30

    戦闘ダイス


    今川本隊 dice1d100=24 (24)

    鳴海城 dice1d80=3 (3)

  • 433◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 19:37:12

    ダイス一桁は「何があった?」と言いたくなります

  • 434二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 20:14:14

    戦闘も選択肢用意してダイスで決めたらいいんじゃないかって・・・
    今んとこ三河勢連敗中で見てて辛いし

  • 435◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 20:20:16

    それからしばらくの間、戦場は沈黙に包まれていた。
    今川本隊も鳴海城も動きを見せず、日だけが過ぎてゆく。

    その間、今川氏真は陣中にありながら、蹴鞠や和歌に興じていた。
    時折、足軽風の男を呼びつけてはひそひそと何事かを命じているようだが、表向きには遊宴に明け暮れているようにしか見えない。


    「太守は……何をしに来たのだ?」

    ついに堪えかねた本多忠勝が呟いた。

    「我らには『いつでも攻め込めるようにせよ』と命じておきながら、己は鞠に夢中とは……」

    「口を慎め」

    俺は低く制した。

    「聞こえたら松平そのものがただでは済まんぞ」

    榊原康政が腕を組み、じっと城を見据える。

    「兵糧攻めにしては囲みも甘うございますな。……何かをお待ちのように見えまする……」

  • 436◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 20:20:44

    やがてさらに日が経ち、ついに氏真が軍議の場へ姿を現した。
    その顔には自信が満ち、声は高らかだ。

    「――時は来た。鳴海城はすでに牙を抜かれたも同然よ」

    一同がざわめく中、氏真は扇を打ち振って言葉を続けた。

    「余は密かに『城内に裏切り者あり』と噂を流させたのだ。将兵らは互いに疑い合い、今や同士討ちすら絶えぬと聞く。軍心乱れた今こそ、攻め入る好機よ!」

    俺たち三河勢も、今川家臣たちも、その声に押されるように深く頭を垂れた。


    翌日――。
    氏真の言葉通り、鳴海城は内部分裂により統率を失っていた。
    攻め寄せた俺たちの軍勢は、これまでの抵抗が嘘のように城を制し、鳴海はついに陥落した。

  • 437◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 20:21:04

    戦が終わったのち、俺と石川数正は氏真に呼び出された。
    彼は鳴海城の天守に登り、眼下に広がる城郭と町並みを、まるで自分の庭を見渡すかのように見下ろしていた。

    「見たか。槍や鉄砲ばかりが武具ではないのだ」

    氏真はゆるりと振り返り、俺たちに微笑んだ。

    「感服いたしましてございます」

    数正が恭しく頭を下げる。

    「ふっ、この乱世を生き抜くには、多少は狡賢くならねばのう」

    遠くを眺めながら呟く氏真の姿は、どこか勝ち誇り、またどこか孤高でもあった。

    俺はその横顔を見つめながら、ふと胸の内で思った。
    ――武田信玄もまた調略を得意とし、そのためには金銀を惜しまない。
    そして岡崎には、あの飄々とした本多正信がいる。
    果たして、人を動かすのは武勇か、それとも謀か……。

  • 438◆qurqnrwxxY25/08/28(木) 20:22:07

    次の展開

    【選択肢】
    1.このまま清州に侵攻
    2.一旦三河に戻る
    3.足利義昭が今川を頼ろうとする
    4.三河で吉良義昭が反乱
    5.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 439二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 21:31:02

    1 

  • 440二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 21:42:58

    4 

  • 441二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 21:43:53

    2 

  • 442二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 01:27:05

    この家康イケメンすぎる…

  • 443◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 09:05:20

    1.>>439

    2.>>440

    3.>>441

    dice1d3=1 (1)

  • 444◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 09:07:52

    吉良義昭は dice1d3=1 (1)


    1.元康の岡崎城を攻めた

    2.鵜殿の上ノ郷城を攻めた

    3. >>445

  • 445◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 09:09:33

    戦闘ダイス


    岡崎城 dice1d100=44 (44)

    吉良勢 dice1d100=95 (95)

  • 446二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 11:23:39

    吉良強すぎィ!

  • 447◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 11:44:01

    第二十三章 岡崎の危機


    鳴海城を落とした後、今川氏真は諸将を集め、指示を下していた。

    「深入りは無用じゃ。鳴海には関口氏経を守将として残す。余らは兵を整え、いったん駿河へ……」

    そのとき突然、一人の伝令が土埃まみれで駆け込んできた。

    「申し上げます!」

    「何事か」

    氏真の眉がわずかに動く。

    「三河・東条の吉良義昭どの……謀反を起こされ、岡崎城に攻め込んだとの由!」

    その場にいた者たちが一斉に息を呑んだ。

  • 448◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 11:44:16

    ――吉良が、岡崎城を……?

    胸の奥が冷え切るような感覚に襲われ、血の気が引いてゆくのが自分でも分かった。
    心臓は早く打ち、頭の中に浮かぶのは留守を守る者たちの顔。
    本多忠真は……渡辺盛綱は……そして、瀬名は……。

    「太守様……!」

    思わず声を上げ、俺は氏真に振り返った。

    氏真は一瞬たじろいだが、すぐに扇を打ち振り、声を張り上げた。

    「すぐに行け! 岡崎を取り戻すのだ!」

    俺たちは軍を翻し、岡崎へ急ぎ進軍した。

  • 449◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 11:44:31

    城下へ近づくと、嫌な現実が目に飛び込んできた。
    城の周囲には吉良の旗が風にはためいている。
    岡崎はすでに吉良の手に落ちているのだ。

    「……吉良義昭どのは、何を思ってこのような……まさか武田の調略か……」

    思わず呟くと、酒井忠次が眉をひそめて言った。

    「あるいは、今川の支配から離れんとしたのでしょう。吉良家は本来、今川と肩を並べる足利一門の名族。今川の下で従属を続けることに不満を募らせていたやもしれませぬ」

    俺が言葉を失い考え込むと、石川数正がそっと近寄り、低く進言した。

    「殿。今は一度、刈谷城にお入りくだされ。そこで兵を立て直し、今後の策を練るべきかと」

    俺は黙って数正を見つめた。
    瀬名と家臣らの安否が気掛かりでならないが、無策に突っ込めば俺たちも危ない。
    苦渋を噛み締めながら、俺はうなずいた。

  • 450◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 11:47:01

    次の展開

    【選択肢】
    1.刈谷城で軍議
    2.岡崎城の家臣および瀬名と合流
    3.服部半蔵に調べさせる
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 451二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 12:06:34

    3 

  • 452二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 12:08:14

    1 

  • 453二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 12:09:55

    4
    敵対行為を止めるように説得

  • 454◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 12:34:02

    1.>>451

    2.>>452

    3.>>453

    dice1d3=1 (1)

  • 455◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 15:17:38

    夕刻、俺たちは刈谷城に入った。
    石川数正の一門が門前に並び、松明の火を掲げて出迎えてくれる。緊迫した状況ながらも、どこか安堵を覚える。

    その中に、見覚えのある顔があった。鋭い眼差しをして、まっすぐ俺の前に進み出る。

    「殿、この度は何と申し上げてよいか……」

    俺は思わず目を細めた。

    「……お前は……確か忍びの……」

    男は膝を折り、深々と頭を下げる。

    「はっ。服部半蔵正成にございます。服部党の者より、岡崎が吉良の手に渡ったこと、また殿が刈谷に入られると聞き、急ぎ駆け付けました」

  • 456◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 15:18:00

    傍らの数正が俺に目配せする。

    「殿、ここは服部党をお使いになるべきかと。武田の調略か、あるいは吉良自身の謀反か……早急に真実を掴む必要がございます」

    俺は頷き、半蔵に向き直った。

    「半蔵。お前の忍びたちに、一働き願いたい。岡崎を守っていた本多忠真、渡辺盛綱、夏目広次らの安否……そして、我が妻・瀬名の消息を確かめてくれ」

    俺は言葉を区切り、低く続ける。

    「さらに、吉良義昭の謀反が己の意志によるものか、それとも外部――武田か、あるいは他勢力の調略によるものか……その真意を探れ」

    半蔵は一礼し、短く答えた。

    「かしこまりました。夜陰にまぎれ、ただちに岡崎へ忍び入ります」

    その声音には一切の迷いがなく、俺はわずかに胸のつかえが軽くなるのを感じた。
    瀬名と家臣らの安否がわかるまでは、決して気を緩めるわけにはいかない。

  • 457◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 15:19:39

    服部党の忍びが掴んだ情報

    【選択肢】
    1.吉良義昭は今川からの独立を狙っている
    2.吉良義昭は武田と繋がっている
    3.岡崎の家臣と瀬名は無事
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 458二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 16:51:29

    1 

  • 459二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 16:52:34

    4
    織田にそそのかされてやらかした

  • 460二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 16:53:18

    2 

  • 461◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:10:34

    1.>>458

    2.>>459

    3.>>460

    dice1d3=2 (2)

  • 462◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:41:04

    それから数日、俺たちは刈谷城に籠り、服部半蔵たちからの報告を待ちながら岡崎奪還の策を練っていた。
    幸い、駿府の氏真からも援軍を差し向けるとの沙汰が届いた。

    「籠城に持ち込み、吉良勢を困窮させるか……いや、全勢力をもって攻め込むべきか……」

    数正や忠次らと膝を突き合わせ、幾度も議論を重ねる。

  • 463◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:41:24

    そんなある夕刻、廊下を駆ける足音が響き、扉が開かれた。

    「殿、お待たせいたしました」

    息を整えながら姿を現したのは服部半蔵である。数人の配下を伴い、顔には疲労の色が濃い。

    「ご苦労だった。……何が掴めた」

    俺が問うと、半蔵は低い声で報告を始めた。

    「まず、岡崎のご家来衆とお方様のことにございます。本多忠真殿、渡辺盛綱殿、夏目広次殿らは、吉良の軍勢を前に勝ち目なしと見て、城下の民と共に山中へ退避しておられます。お方様もご一緒に……」

    「……そうか」

    胸の奥から、抑えきれぬほどの安堵が溢れた。思わず拳を握りしめ、深く息を吐く。瀬名も、家臣たちも、まだ生きている。

  • 464◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:41:44

    しかし半蔵はすぐに表情を引き締め、続けた。

    「そして……岡崎城内にて、吉良義昭が認めた書状を写し取ってまいりました」

    差し出された書状を受け取り、目を走らせる。

    「……これは、間違いないのだな?」

    「はい。吉良は――織田と通じておりまする」

    広間に緊張が走った。
    書状の写しには、吉良義昭が信長に宛てた言葉が並んでいる。そこには「今川を離反し、名門吉良家を再興せん」との野望が露わに記されていた。今後は織田と結ぶため、刈谷や鳴海を制圧する意図までもが示されている。

  • 465◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:42:04

    「……信長め、吉良を焚き付けたか。我らの力を削ぐために」

    忠次が苦々しく吐き捨てる。

    数正は眉をひそめ、低く呟いた。

    「殿、これは一刻も猶予ならぬ事態にございます。吉良が鳴海と刈谷を狙うなら、いずれこの城も攻め込まれましょう」

    俺は書状を強く握り締めた。

    「瀬名と家臣らのため、岡崎を必ず取り戻す。そして……織田と通じた吉良を討つ」

    半蔵の報告が終わった広間には、重苦しい沈黙が漂っていた。

  • 466◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 18:43:30

    ここで吉良を倒せれば、松平から徳川にランクアップできます。

    次の展開

    【選択肢】
    1.刈谷城から出陣し、岡崎城を包囲
    2.刈谷城に攻め込もうとする吉良勢と衝突
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 467二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 21:50:43

    2 

  • 468二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 21:51:24

    織田信長は信用できない者だと説得する

  • 469二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 21:52:20

    1 

  • 470◆qurqnrwxxY25/08/29(金) 23:43:28

    1.>>467

    2.>>468

    3.>>469

    dice1d3=2 (2)

  • 471二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 04:03:08

    つうじるか

  • 472◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 10:13:47

    更新遅くなります!ごめんなさい!

  • 473二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 13:00:23

    お気になさらずに

  • 474◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 17:27:08

    吉良義昭と対峙するにあたり、俺の脳裏に鳴海での今川氏真の言葉が蘇った。

    ――槍や鉄砲だけが武具ではない。

    「……先に、吉良方の士気を下げ、あわよくば降伏させる策を立ててみてはどうか」

    俺がそう口にすると、広間の家臣たちがざわめいた。

    榊原康政が一歩進み出て、進言する。

    「ならば殿、吉良義昭に『織田は決して信用に足らぬ相手』と諭しては。半蔵の調べによれば、義昭は信長の甘言に弄されて動いたとのこと……その誤りを悟らせれば、あるいは」

    「うん……それがよい」

    俺は頷き、硯を用意させる。

  • 475◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 17:27:30

    「織田信長が信じるに値しない相手であること、俺たちの知る限りを文に認めよう。皆、知っている事実を言ってくれ」

    「では……」

    酒井忠次が静かに言葉を継ぐ。

    「信長は実の弟すら疑って斬り捨てた男にございます。身内にすら刃を向ける者、果たして盟友を長く信じましょうや」

    石川数正も重々しく加えた。

    「信長は策に長け、勢いはあるやもしれませぬが……気まぐれで猜疑心深く、恩を顧みぬと聞き及びます」

    すると鳥居元忠が声を荒げる。

    「そればかりか、あの男は足利義昭公を奉じて上洛を目指すと触れ回りながら、すでに二年も果たせてはおりませぬ。口先ばかりの男にございましょう!」

    平岩親吉も頷き、言葉を添えた。

    「京や畿内の民は、信長を実力者と認めてはおりませぬ。義昭公もさぞご不満でありましょうな」

  • 476◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 17:27:44

    皆の言葉一つ一つに耳を澄ませ、俺は筆を走らせた。やがて文が仕上がると、静かに封を閉じる。

    「……よし」

    緊張が走る陣中で、俺は一人の若い兵を呼び寄せた。

    「この文を吉良の陣へ届けろ。命を懸ける覚悟でな」

    兵は膝を突き、力強く応えた。

    「ははっ!」

    こうして俺は、刃ではなく言葉を武器とした一矢を放った。

  • 477◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 17:28:00

    次の展開

    【選択肢】
    1.効果あり。吉良方の動きが鈍る
    2.効果なし。刈谷城に攻め込んでくる
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 478二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 17:59:33

    2 

  • 479二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 18:00:58

    1 

  • 480二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 18:02:08

    向こうから交渉の使者が来た

  • 481◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 19:51:13

    1.>>478

    2.>>479

    3.>>480

    dice1d3=2 (2)

  • 482◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 19:52:11

    吉良方は岡崎城から動きません。

    そこで松平方は >>483

  • 483二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 20:16:08

    もう一度間者を送り込んで破壊工作

  • 484◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 21:12:55

    第二十四章 岡崎奪還戦

    使者は吉良義昭に書状を届け、無事に戻ってきた。
    その後しばらく、岡崎城に籠る吉良勢には目立った動きがない。刈谷に駿府から援軍として舅・関口氏純の手勢が到着してもなお、吉良は一歩も城を出ようとしなかった。

    「ふむ……婿殿の書状が効いたと見えるな」

    氏純は口元を撫でながら言った。

    「吉良とて織田の甘言あったがゆえに離反したのであって、本意ではなかったのやもしれぬ」

    「あるいは……家中の意見も聞かず、義昭自身の独断であったのかもしれませんな」

    俺は低く呟く。

    氏純は膝を正し、重々しく告げる。

    「婿殿。我ら関口勢は、いつでも攻め込む覚悟ができておる。もっとも、籠城させて兵糧を尽きさせるもまた策ではあるが……」

  • 485◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 21:13:11

    俺は首を横に振った。

    「いや、まだです。もう少し、敵の和を乱したい。……半蔵」

    「はっ」

    呼ばれた服部半蔵が音もなく進み出る。

    「服部党の者を城内に忍ばせろ。吉良方の軍心をかき乱すのだ。火種を大きくする」

    「承知仕りました」

    半蔵の目が鋭く光り、背後の影が揺れた。

    やがて、彼の精鋭の忍びたちが吉良方の兵に紛れ、密かに岡崎城へと入り込んだ。

  • 486◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 21:13:28

    数日後、半蔵は再び姿を現し、報告する。

    「殿、吉良方の家中に不穏の兆しがございます。義昭殿に従うことへの不信が囁かれ、足軽同士が『何のために戦うのか』と争う場も見られたとの由」

    その言葉に、広間にいた家臣たちの顔が明るくなる。
    俺は深く頷いた。

    「よし……城が自ら崩れてゆくのを待つのだ」

  • 487◆qurqnrwxxY25/08/30(土) 21:13:48

    次の展開

    【選択肢】
    1.岡崎城を包囲し、吉良勢降伏
    2.吉良勢、岡崎城から打って出る
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 488二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 00:48:23

    2 

  • 489二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 00:49:00

    1 

  • 490二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 01:46:16

    2 

  • 491◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 09:19:00

    1.>>488

    2.>>489

    3.>>490

    dice1d3=3 (3)

  • 492◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 11:02:41

    翌朝――。
    軍議の場に、鳥居元忠と平岩親吉が慌ただしく駆け込んできた。

    「申し上げます!吉良勢、岡崎城より討って出て、こちらに向かっております!」

    俺は机上の地図に目を落とし、深く息を吐いた。

    「……ついに打開を図ったか。ならば、迎え討つまで」

    言いながら石川数正と関口氏純に視線を送る。二人は揃って無言で頷き、覚悟を示した。

  • 493◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 11:03:08

    兵の待つ場へ向かうと、すでに甲冑に身を固め、槍や刀を手にした家臣たちが並び立っていた。酒井忠次、大久保忠世、本多忠勝、榊原康政――。

    その姿を見て、俺の胸に熱が込み上げる。
    皆が待っているのは、主君としての俺の言葉だ。

    「聞け!」

    俺は声を張り上げた。

    「吉良義昭は織田の甘言に惑わされ、岡崎を奪った。だが、吉良の軍はすでに疑念と不和に満ち、揺らいでいる。恐れるに足らん!」

    家臣たちの目が一斉に俺へと向けられる。

    「我らが取り戻すのはただの城ではない。松平代々の地、我らの誇り、岡崎だ! ――この元康、必ずや岡崎を取り戻し、先祖に恥じぬ戦果を挙げてみせる!」

    その言葉に、広間が震えるような鬨の声が沸き起こった。
    刈谷の空気は、いよいよ決戦に向けて燃え立っていた。

  • 494◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 11:03:50

    次の展開

    【選択肢】
    1.吉良勢を打ち破り岡崎城包囲
    2.膠着状態
    3.吉良義昭の最期(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 495二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 13:35:29

    2 

  • 496二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 13:36:14

    1 

  • 497二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 13:37:52

    3
    吉良が切腹し開城

  • 498◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 13:48:00

    1.>>495

    2.>>496

    3.>>497

    dice1d3=2 (2)

  • 499二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 17:43:05

    取り敢えず勝ったか

  • 500◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 19:11:11

    描写の引き出しが尽きてきた……

  • 501二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 19:51:07

    戦記もの漫画とか読んでヒント貰うのはどうだろう
    どうしても浮かばないならAIに書かせてもいいかも

  • 502◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 20:04:02

    鬨の声とともに、岡崎から繰り出した吉良勢と俺たちの軍勢がぶつかった。
    土煙と怒号が戦場を覆う。

    「押せ!三河武士の意地を示せ!」

    俺の声に応じ、本多忠勝が先陣を駆け抜ける。槍を振るうや、敵の列を次々と突き崩した。

    「はッ!退けぬぞ!」

    獅子のような忠勝の姿に、味方の士気は鼓舞される。

    だが、吉良方はどうだ。足軽同士が進退を争ってぶつかり合い、統率が取れていない。まるで味方同士で足を引っ張り合っているようだった。

    「殿!敵の備え、隙が多うございます!」

    榊原康政が冷静に報告し、酒井忠次は即座に采配を振るった。

    「数正、刈谷勢で押し包め!」

    「任された!」

    石川数正が刈谷兵を率いて回り込み、敵の側面を衝いた。
    吉良勢はたまらず潰走し、隊は瓦解してゆく。

    俺も馬上から声を張り上げた。

    「退く敵を追え!ただし深追いはするな!岡崎に逃げ込む者を追い立てろ!」

    松平軍はついに敵を圧し、吉良勢は城内へと雪崩れ込むように退却していった。

  • 503◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 20:04:38

    それを追って進軍した俺たちは、ついに岡崎城を包囲した。
    城を見上げると、吉良の旗がなお翻っている。

    関口氏純が笑みを浮かべ、俺の側に馬を寄せてきた。

    「これで義昭も袋の鼠。死を待つのみでござろう」

    しかし、俺は頷きながらも心の奥で思う。
    ――義昭はただ黙って滅びを待つ男か。
    それともなお、武田か織田か、他国へ縋る算段を残しているのか。

  • 504◆qurqnrwxxY25/08/31(日) 20:05:52

    次の展開

    【選択肢】
    1.吉良義昭が降伏して城から出てくる
    2.吉良義昭が腹を切り、開城
    3.吉良義昭、最後の抵抗(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 505二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 20:07:09


    元康に一騎打ちを挑むも敗北し自害

  • 506二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:40:39

    2 

  • 507二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:41:09

    1 

  • 508二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 01:19:18

    どれかな

  • 509二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 08:23:59

    織田信保

  • 510◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 08:48:49

    1.>>505

    2.>>506

    3.>>507

    dice1d3=3 (3)

  • 511二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 12:03:25

    age

  • 512◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 13:00:44

    沈黙に包まれた岡崎城の周囲に、不意の軋む音が響いた。
    重々しい扉が、ゆっくりと開いてゆく。

    「まさか義昭……なお討って出るつもりか?」

    兵たちがざわめき、槍を構え直す。俺は手を上げて制した。

    「待て、攻めかかるな。様子を見る」

    門口から現れたのは、甲冑を脱ぎ、白布をまとった吉良義昭とその家臣たちだった。武器は携えておらず、ただ疲れ果てた面持ちで城外に進み出る。

    義昭は城前に進み出ると、膝を折り、土に額をすりつけた。

    「……この義昭、天命尽きたり。逆心の科、弁解の余地なし。松平殿、太守様の御前におかれて、相応の沙汰を賜りたく……」

    その声は震えてはいたが、どこか名門の矜持を残していた。
    家臣らも次々と座に伏し、降伏の意を示す。

  • 513◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 13:01:00

    俺は馬上から一歩進み出て、厳かに言葉を放った。

    「義昭どの、その心しかと受け止めた。だが逆心の罪、決して軽くはない。太守様のお沙汰あるまで、牢にて待たれよ」

    「……心得申した」

    義昭は静かに頷き、立ち上がることなく再び頭を垂れた。

    周囲の兵たちは勝鬨を上げた。
    岡崎の地をめぐる争いは、松平・今川方の勝利でついに終結を迎えたのだ。

    だが俺の胸中には、勝利の余韻よりもむしろ――吉良という名門が滅びの道を選ばざるを得なかった、その虚しさが重くのしかかっていた。

  • 514◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 13:04:28

    次の展開(吉良家が滅んだら、忠臣蔵はどうなるのでしょうね)

    【選択肢】
    1.吉良義昭の処刑&元康、三河守へ
    2.岡崎家臣や瀬名との再会
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 515二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:22:10

    1 

  • 516二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:32:35

    2 

  • 517二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 18:33:42

    3
    出家することで命だけは助けてもらえた吉良

  • 518◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:05:28

    1.>>515

    2.>>516

    3.>>517

    dice1d3=2 (2)

  • 519◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:25:06

    第二十五章 吉良義昭の末路


    岡崎城に足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは、荒れ果てた廊下と散乱する具足、破れた障子など、戦の爪痕だった。

    「殿!」

    聞き慣れた声が胸を打つ。振り返れば、本多忠真、渡辺盛綱、夏目広次ら、留守を任せていた家臣たちが駆け寄ってきた。

    「お前たち……無事で何よりだ」

    「はっ。しかしながら、留守居の役目を果たしきれなんだこと、申し訳なく……」

    忠真がうなだれる。

    「もう済んだことだ。皆が命を落とさず戻った。それだけで十分だ」

    俺がそう告げると、家臣たちの顔にわずかな安堵の色が差した。

  • 520◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:25:29

    その時、飄々とした声が響く。

    「殿。お方様をお連れいたしました」

    現れたのは本多正信。その後ろから現れた瀬名の姿に、俺は思わず息を呑んだ。

    「殿……!」

    瀬名は駆け寄り、涙をこぼしながら俺に縋りつく。

    「……そなたも恐ろしい目に遭ったな。生きていてくれて嬉しいぞ」

    俺はその肩を強く抱きしめた。胸の奥に張り詰めていたものが、ようやく解けていく。

  • 521◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:25:44

    その場の空気を破るように、渡辺盛綱が口を開いた。

    「殿。吉良義昭をいかがなさいます?」

    俺は表情を引き締めた。

    「駿府の太守様へ引き渡す。そこで処罰が下されるだろう。……謀反の罪、間違いなく死罪だ」

    静まり返る広間に、夏目広次の声が響く。

    「恐れながら殿……吉良殿のお命、助けてやる訳にはまいりませんでしょうか」

    「なに……!」

    忠勝が憤る。

    「夏目殿!あの男は我らが岡崎を侵犯した逆賊ぞ!生かしておいてどうなるというのだ!」

    その言葉に平岩親吉と鳥居元忠も頷く。

  • 522◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:26:02

    だが広次は引かず、静かに言葉を継いだ。

    「確かに吉良殿は謀反を働きました。されど、吉良は足利の血を引く名門。斬ってしまえば、その名跡は完全に絶えましょう。それは松平にとっても後々の不利となりかねませぬ。例えば、所領をすべて召し上げ、出家を条件に生かすという策も……家名を残してやれば、それが恩を売ることになりましょう」

    「……ふむ、なるほど」

    正信が口を撫でて笑みを浮かべる。

    「それは戦に勝る力となるやもしれんのう。もっとも、これは我らが殿と、駿府の太守様のお心次第じゃが」

    広間の空気が揺れ動く中、皆の視線が俺に集まった。
    俺はしばし沈黙し、やがて口を開いた。

    「……夏目の申すこと、一理ある。太守様に、ならぬことは承知であえてお尋ねしてみよう」

    俺の言葉に、家臣たちは深く頭を下げた。
    戦は終わった。だがその先に待つ政の道は、さらに険しく、複雑であることを、俺は改めて思い知らされていた。

  • 523◆qurqnrwxxY25/09/01(月) 20:27:19

    太守・今川氏真は……

    【選択肢】
    1.助命の申し出を一蹴して処刑
    2.祖母・寿桂尼の進言もあって承認
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 524二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 20:48:56

    1 

  • 525二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 20:52:41


    吉良義明処刑の上お家取り潰し
    領地は松平に与える

  • 526二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:36:46

    2 

  • 527◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 01:29:11

    1.>>524

    2.>>525

    3.>>526

    dice1d3=1 (1)

  • 528二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 04:03:42

    さらば

  • 529二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 11:04:58

    切腹か斬首か

  • 530◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 12:10:58

    数日後、俺は鳥居元忠、平岩親吉を伴い、捕らえた吉良義昭を護送して駿府へ向かった。
    今川館の広間に座す今川氏真が、上機嫌に俺たちを迎える。

    「蔵人佐。見事な働きであった。岡崎奪還、三河の武士どももさぞ胸を張っておろう。……三河の者を粗末にはできんのう」

    その言葉に、俺は静かに頭を垂れた。背後では元忠と親吉が誇らしげにしている気配が伝わってくる。

    やがて俺は意を決し、口を開いた。

    「恐れながら、太守様……吉良義昭の命、どうかお助けいただけませぬか」

    「なに……?」

    氏真の目が大きく見開かれる。俺は続けた。

    「義昭は確かに逆心を働きましたが、吉良家は足利の血を引く名門。その家名を完全に絶やすことなく、所領を没収し出家を命ずるなどの寛容さを示されれば……それは今川家の度量として、諸国に響きましょう」

  • 531◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 12:11:38

    しばしの沈黙ののち、氏真は突然笑い出した。

    「ハハハッ!蔵人佐、そなたは人が良すぎるわ。己の城を奪った者に、左様な情けをかけるなどと」

    その笑いには、呆れと侮りが入り混じっていた。やがて彼は表情を引き締め、声を鋭くした。

    「よいか、蔵人佐。吉良の謀反は織田信長の調略によるものぞ。織田は我ら今川に幾度も煮湯を飲ませてきた宿敵。その甘言に惑わされ、主君を裏切った者を生かしておいては、余は家中に、いや天下に示しがつかぬわ。吉良義昭は死罪あるのみ。問答は無用ぞ」

    「……ははっ」

    俺は深く頭を下げるより他なかった。彼の理を思えば、抗うことなどできない。だが胸中には、夏目広次の言葉が響いていた。

  • 532◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 12:11:54

    広間を辞し、廊下を歩む俺たちに、今川館の侍女が声をかけた。

    「松平蔵人佐さま。大方様がお召しにございます」

    「……寿桂尼さまが」


    導かれて一室に入ると、そこには老女が座していた。息子・義元を弔った疲れか、その顔には以前よりも深い皺と影が刻まれていた。それでもなお、その眼光は鋭く、ただならぬ威を放っている。

    「蔵人佐どの。このたびの岡崎での戦、大儀にございました」

    「……恐れ入ります」

    寿桂尼は細く息を吐き、静かに言葉を継いだ。

    「そなたと吉良義昭が鎬を削っておられる間にも、世はまた大きく動いておりました。そのことを伝えておかねばなりますまい」

  • 533◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 12:12:16

    何があった?

    【選択肢】
    1.将軍・足利義栄が死去
    2.織田が奉じる足利義昭が、今川に乗り換えようとしている
    3.足利義昭が武田に乗り換えようとしている
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 534二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:59:41

    2 

  • 535二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 14:08:15

    3 

  • 536二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 14:09:55

    1 

  • 537◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 16:56:55

    1.>>534

    2.>>535

    3.>>536

    dice1d3=2 (2)

  • 538◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 19:27:07

    「織田が奉じる足利義昭公は、いつまでも上洛を果たせぬ信長を見限り、武田を頼ろうとしておられるようじゃ」

    寿桂尼の声に、思わず胸がざわついた。

    「義昭公が……武田を?」

    俺はつい問い返してしまう。

    寿桂尼は静かに頷いた。

    「武田は平安以来の名門にして、今や信濃・上野をも手に収める大勢力。その当主・信玄は、才覚と兵力において群を抜く御仁、軍神と称されるほどじゃ。義昭公が信長に落胆し、目移りされたのも無理はあるまい」

    寿桂尼はさらに続けた。

    「じゃが……それは信長にとって到底許し難きこと。義昭公に背かれれば、これまで上洛のために費やした戦も、すべて無に帰す。末代までの恥ぞ。ゆえに、信長は義昭公を厳しく監視させ、周囲の者との往来をことごとく妨げておる。義昭公は囚われ人も同然じゃ」

    俺は思わず身を乗り出し、尋ねた。

    「太守様は、このことをいかがお考えでしょうか。先の尾張攻めは、義昭公を織田の手より救い出す大義にて行われましたが……」

    問いを受けた寿桂尼は、深く目を閉じた。

  • 539◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 19:27:24

    氏真は

    【選択肢】
    1.足利義昭を織田にも武田にも譲らない方針
    2.義昭をめぐって武田と戦うのは不利と見て、武田を支援する方針
    3.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 540二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 19:51:30

    1 

  • 541二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 20:44:16

    2 

  • 542二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 20:45:38

    1 

  • 543◆qurqnrwxxY25/09/02(火) 23:23:10

    1.>>540

    2.>>541

    3.>>542

    dice1d3=3 (3)

  • 544二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 01:00:38

    念のため

  • 545二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 08:13:55

    吉良よさらば

  • 546二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 12:04:21

    ほしゅ

  • 547◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 12:26:27

    ただ今一生懸命執筆しております。もうしばらくお時間を……(CV:家弓家正)

  • 548◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 12:57:11

    「太守様のお考えは変わりませぬ」

    寿桂尼は厳かな声で口を開いた。

    「『義昭公は、もとより今川を頼ろうとされていた。織田にも、武田にも渡すつもりはない』――そう仰せじゃ。ゆえに、信玄よりも先んじて美濃の岐阜城を攻め、義昭公を手中に収めんと、急ぎ手を回されておる」

    俺は思わず息を呑む。岐阜城攻め――やはり氏真は本気で企んでいるのか。

    寿桂尼は、そこで言葉を切り、やや声を落として続けた。

    「……じゃが、我はそこまでして義昭公を囲い込むことはないと考えておる。現に、三好三人衆が担ぎ上げた足利義栄公はすでに上洛を果たし、傀儡の将軍とはいえ朝廷も京もそれを認めておるのじゃ。されば義昭公を囲い込むことは、今川が彼らを敵に回すことにもつながる……それは決して軽からぬこと」

  • 549◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 12:57:35

    「……大方様。そのお考えを、太守様へ進言なされましたか」

    俺は恐る恐る尋ねる。

    寿桂尼は一瞬、目を閉じた。次に開いた時、その瞳には諦念と、静かな光が宿っていた。

    「……もはや申したとて詮無きこと。この老尼にできることは、今では少のうなりました」

    彼女はそう言って、ふっと微笑む。
    そして、俺を真っ直ぐに見据えた。

    「……元康殿。我はそなたを見込んでおりますぞ。三河を束ね、いずれは今川を支える筆頭の柱石となるであろうと。どうか、太守様を、そして今川を、力の限りお支えくだされや」

    その言葉は、まるで未来を見通した託宣のように響いた。
    俺は膝を正し、深く頭を垂れる。

    「……大方様のお心、しかと承りました」

    胸の内では、言いようのない重みがのしかかっていた。

  • 550◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 13:01:18

    【選択肢】
    1.松平元康、徳川へ改姓
    2.今川・松平軍、清州攻め
    3.武田、信濃から尾張・美濃を攻める
    4.元康に子が少ないことを懸念して、側室を取らされる
    5.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 551二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 17:45:21

    2 

  • 552二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 17:45:47

    3 

  • 553二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 17:46:18

    1 

  • 554◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 19:03:12

    1.>>551

    2.>>552

    3.>>553

    dice1d3=3 (3)

  • 555二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:05:10

    ようやっと徳川になれたか

  • 556◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 20:26:34

    第二十六章 徳川改姓


    駿府に護送された吉良義昭が露と消えたのち、その旧領である東条城には酒井忠次が新たに城主として入った。
    三河の地は再び今川の手に収まり、ようやく平穏を取り戻しつつあった。

    やがて年が改まり、元亀二年(1571年)のある日、岡崎城に瀬名の父・関口氏純が姿を現した。

    「婿殿、三河はようやく元の姿に戻ったようじゃな。実に喜ばしきことよ」

    氏純は朗らかに言った。

    「これも舅殿が援軍を率いてお助けくださったおかげにございます」

    俺は深く頭を下げ、感謝を示した。

  • 557◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 20:27:06

    すると氏純は軽く咳払いし、表情を改める。

    「今日はの……太守様の正式な使者として参った。太守様のお言葉を、しかと預かっておる」

    その声に、広間の空気が張り詰める。

    俺と家臣たちはすぐに席を改め、下座へと移動した。氏純は上座に進み、威儀を正して今川氏真からの書状を取り出す。

    「――松平蔵人佐元康。此度の岡崎奪還における忠節と武功、まこともって比類なし。よって、余は朝廷に奏上し、そなたを従五位下・三河守に任ずることを望む。また、松平の姓を改め、“徳川”の名を以って名乗らしめることとする――」

    読み上げが終わると、広間は一瞬、静まり返った。
    俺は言葉を失い、膝の上で拳を固く握る。

    「婿殿」

    氏純が静かに微笑んだ。

  • 558◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 20:27:29

    「太守様は、吉良の謀反で揺らいだ三河を、そなたの力で再び引き締めてもらいたいとお考えじゃ。第一、三河守ともなれば、そなたは今川の重臣。さらには太守様に代わり、三河全土を治める立場にもなれる」

    背後で、本多忠勝、榊原康政、鳥居元忠ら家臣たちがどよめきを上げる。

    「おお……ついに我らの殿が……」

    「三河守に……」

    その声には誇らしさと共に、どこか高揚した響きがあった。元来、今川の一方的な支配に鬱屈を抱いていた彼らにとって、これは願ってもない吉報だったのだ。

  • 559◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 20:28:59

    次の展開

    【選択肢】
    1.今川・松平軍、清州攻め
    2.武田、信濃から尾張・美濃を攻める
    3.将軍・足利義栄が死去
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

  • 560二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:00:14

    1 

  • 561二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:01:11

    3 

  • 562二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 21:03:53

    2 

  • 563◆qurqnrwxxY25/09/03(水) 21:31:00

    1.>>560

    2.>>561

    3.>>562

    dice1d3=2 (2)


    更新は明日。

  • 564二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 00:40:20

    お疲れ様

  • 565二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:49:13

    おつしたー

  • 566◆qurqnrwxxY25/09/04(木) 11:13:55

    今川氏真が朝廷に奏上したことにより、俺は松平元康の名を改め、「徳川元康」と名乗ることとなった。
    さらに叙任の沙汰が下り、「従五位下・三河守」として官位を賜った。

    とはいえ、松平家にはこれまで国守となった例はなく、氏真は俺の改姓と任官のため、かつて三河国守であった人物との縁を無理やりこじつけ、血脈を取り繕ってまで筋を通したのだという。
    そのため「徳川」の姓は俺一代限りに留まる――少なくとも朝廷の認識では、そういう条件付きでの許しだった。

    「……徳川、か」

    新しい名を口にしながら、胸の奥に重さを覚える。これは誉れであると同時に、三河守としての覚悟を背負わされた証でもあった。

  • 567◆qurqnrwxxY25/09/04(木) 11:14:19

    そんな折、京の商人・茶屋四郎次郎より、再び文が届いた。

    ――足利義栄死す。

    十四代将軍・義栄はもとより病弱で、政務の場に座することさえ辛うじてという有様。実権は三好三人衆が握っていたが、その神輿が崩れ落ちたことで、彼らの旗色は一気に怪しくなった。
    すでにその麾下にある松永久秀は主家の命運を見限り、足利義昭を奉じる織田信長との接触を図っているとの風聞らしい。

    「……信長にとっては、願ってもない好機ということか」

    俺は文を読み返しながら低く呟いた。

  • 568◆qurqnrwxxY25/09/04(木) 11:14:44

    その言葉に、大久保忠世がすぐさま応じる。

    「足利義昭公は十三代将軍・義輝公の御弟君。血筋においては紛れもなく正統。三好がいかに新たな神輿を担ぎ上げようとも、義昭公の正統性が揺らぐことはございますまい」

    忠世は一息つき、声を潜めて続ける。

    「ただし……殿のお話によれば、その義昭公はすでに織田を見限り、武田を頼ろうとされている由。また、太守様も義昭公を織田の手から救い出さんと動かれております。世はますます乱れ、落ち着く気配など見えませぬな」

    俺は文を折り畳み、膝の上で強く握った。
    新たな「徳川」の名を背負ったばかりの身に、早くも天下の風は荒々しく吹き付けていた。

  • 569◆qurqnrwxxY25/09/04(木) 11:15:06

    次の展開

    【選択肢】
    1.信長上洛。その隙をついて武田が動く
    2.信長上洛。その隙をついて今川が動く
    3.今川の命で服部半蔵の忍びを美濃に送る
    4.(自由記述)

    該当レス下3つ以内からダイス

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