神輿は軽くてバカが良い編 第十四.五.五章 決戦!ミカ*テラー編(後編)

  • 1◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:01:48

     瀕死の重傷の中、カナは夢の世界でゴーストセイアを名乗る少女に出会う。
     
     ミカ*テラーの過去と後悔。失ったモノ、行き着いた果て、全てを見届けたカナは現実に戻り、最後の戦いへと挑む。

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:03:54

    たておつ

  • 3dice3d9=25/08/15(金) 22:05:06

    表集

  • 4◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:06:40

     つう…っ!?

    フウカ「まだ動いちゃダメ!気になるのは分かるけど安静にしてないと…!」

    ナレーション
     全身包帯で縛られて健康でも動ける状態ではない。そうせざるを得ないほど、カナの負傷は深刻だった。
     勢いのまま反射的に身体を起こしたことで、軋むような痛みに襲われて思わず呻きを漏らすのも当然だ。
     むしろ激痛に苦しみながら、喉が千切れるほど絶叫をあげなかった精神力を褒めるべきだろう。それほどの重傷だ。

    い、や…っ!まだ、やらないとダメなことが…っ!!

    ナレーション
     それでも、カナは未だ何も諦めていなかった。這いつくばってでも動くつもりだった。
     夢の中の邂逅でもう1人のミカの過去を知ったから、死した後も友の苦しみを憂う優しい幽霊に出会ったから、
     やるべきことが出来たから、余計に立ち止まる訳にはいかなくなった。

    フウカ「無茶よっ!?そんな身体で動くなんて、救急医療部じゃなくても無理だって分かるわっ!」

    ナレーション
     今のカナは意識が覚醒しただけの、瀕死の重傷だ。
     当然、周りは止めようとする。動いてはダメだと、身体を大事にしてくれと懇願する。…1人を除いて。

    "…教えて、カナ。私は何をしたら良い?どうしたら手伝えるの?"

    ナレーション
     先生は、生徒の強い意志には敵わなかった。

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:07:41
  • 6◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:12:43

    >>5

    代理モブ「前スレのリンクありがとうございます」


    代理モブB「前スレも気が付いたら落ちてましたし、このスレもいよいよ畳み時なんですかねぇ……」


    代理モブC「まぁ、畳むにしても最低限、最終編は終らせたいのでスレは続けさせて貰いますが……」

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:20:16

    立て乙

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:28:21

    立て乙

  • 9◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:30:33

    >>4

    フウカ「今更ですけど、本気でやるんですか?カナはまだ動けるような身体じゃ無いのに……」


    …ごめん。でも、私が、やらないと………っ!


    ナレーション

     車から乗り出すようにして、シッテムの箱を持って立つ先生…に背負われたカナに対して、

     運転手としてハンドルを握るフウカは不安混じりの不満を漏らす。

     カナには今度こそ戦況を変える秘策があるようだが、それでも作戦は無茶苦茶以外の何物でも無い。

     何より、今のカナを戦場に連れて行くのは料理の先生として、1人の友人として不安で仕方が無かった。


    "ごめん、フウカ。カナのことは私とアロナで責任を持って護る。だから……"

    フウカ「…もう。先生もカナも、すっごく頑固なんですから」


    ナレーション

     しかし、決めてしまったのだ。大好きな人たちが2人とも、前に進むと腹を括ってしまった。

     多数決でも2対1。しかも、説得なんて聞きそうに無い頑固者2人。こうなってしまったら、もう仕方が無い。 

     徹底抗戦で反対して暴れられたら、カナの傷が開いて余計に面倒だ。諦めて、力を貸すしか無い。


    フウカ「……一緒に生きて地上に帰ってくれなかったら、絶対許してあげませんからね!」


    カナ・先生「"勿論"」


    ナレーション

     だからフウカは、せめてもの抵抗としてしっかり約束を取り付けるのだった。

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:35:16

    たておつです
    本当にボロボロだ
    頼むから死なないでくれよ!

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:37:56

    この誰かのために無茶をするコンビはよぉ…

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:11:22

    カナには一体どんな秘策があるのか…

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 08:05:36

    無茶する

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 14:45:34

    フウカも覚悟が決まってるね

  • 15◆VLlUGaOg9c25/08/16(土) 17:27:15

    >>9

    ミカ*テラー「シッ――ッ!!」

    ズガァァンッ!(衝撃音)

    ホシノ「っとぉ!危ない、危ない!」


    ナレーション

     戦場は膠着していた。ミカ*テラーが殴って、ホシノの盾で防いで、その繰り返しだ。

     自分は世界を滅ぼす存在として死ぬまで戦うつもりのミカ*テラーに対し、

     カナの考察を切欠に全力ではあるが死なせないように戦っている生徒たち。

     小鳥遊ホシノ・美甘ネルを中心とした実力者たちが揃っていても加減の出来ない『死兵』に対して、

     死なせないように戦おうと思うと防戦に回らざるを得ず、互いにままならない歯痒い状況が続いている。


    ……ララ――ッ!!(走行音)


    ネル「ちっ!流石に数の差で戦えてるが、どうにも、やりずれぇな…!」

    イチカ「っすね。私なんてもうずっとキツくて…・・・ん?なんか、聞こえないっすか?」

    アリス「っ!?たしかに、車の音が聞こえました!!イベントでしょうか!?」

    ネル「っ!!全員、避けろ!!」


    ナレーション

     1人で複数人を相手にするミカ*テラーや盾持ちとして防御の要を担うホシノは、その音に気付くのに一瞬遅れた。

     凄まじい勢いでアクセルを踏み込んで、文字通りの猛スピードで突撃してくる1台の車両。その走行音に。

  • 16◆VLlUGaOg9c25/08/16(土) 17:28:29

    >>15

    ミカ*テラー「は?」

    ホシノ「え?」


    ナレーション

     だから、ネルたち他の生徒と違い、車への対応が遅れてしまった。

     隙を作ってしまった。ほんの0.1秒にも満たない、僅かな隙だが、この戦場では大きな隙を。


    ガッシャァァァンッ!!(衝突音)


    ナレーション

     史上初、上空75.000メートルでの交通事故が発生した。

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 22:20:50

    フウカ?!

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 22:51:11

    無茶するなあ

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 06:01:06

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 06:04:57

    やりやがった…しかも地味にホシノまで巻き込んでる…

  • 21◆VLlUGaOg9c25/08/17(日) 07:12:47

    >>17

    >>20

    代理モブ「フウカの擁護をさせて頂くと、ブレーキや方向転換による減速を許容してしまうと、

         攻撃に捕まる。躱せる可能性が0になる。という判断からアクセルをベタ踏みせざるを得ませんでした」


    代理モブB「いや、まぁ、それもフウカの自己判断なので突っ込んだのはフウカ自身に違い無いのですが」

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 10:55:00

    まぁ、なんとかなるやろの精神

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 16:32:12

    逆転の一手

  • 24◆VLlUGaOg9c25/08/17(日) 21:25:53

    代理モブ「アリウス編嬉しいし、1はずっと待っていたいんですが、

         これ本作も含めてアリウスを取り扱う二次創作勢が爆散するのでは???

         …いや、良く考えなくても、二次創作勢以外も薙ぎ払われるので誤差ですね」


    >>16

    ホシノ「うへぇっ!?ちょっと、一体何なのさ~っ!?」

    ミカ*テラー「轢き逃げアタック?こんなので、私がやられる訳……っ!?」


    ナレーション

     幾らアクセルを全開にして突っ込んだとはいえ、車がぶつかった程度では2人は怪我もしない。

     突然のことで対応こそ遅れたが、この程度の奇襲はミカ*テラーにとってもホシノにとっても攻撃ですら無い。

     だが、突っ込んで来た車……それに乗っていた【2人】を見てミカ*テラーは絶句した。


    ミカ*テラー「脆い先生を戦場のド真ん中に連れてくるなんて、一体何のつもりっ!?」


    ナレーション

     巫山戯た真似をしでかしたゲヘナ生に対して、ミカ*テラーは思わず声を荒らげる。

     シャーレの先生は脆い。銃弾程度じゃあ痕も残らないキヴォトスの生徒とは違うのだ。

     それを良く知っているからこそ、ミカ*テラーは激高して怒鳴りつけた。


    フウカ「…うん、まぁ、そうなるよね。でも、これしか無いらしいから…」


    ナレーション

     グッタリしたフウカの言葉に、ミカ*テラーは「は?」と困惑を漏らす。

     フウカが主犯では無いのならと、ミカ*テラーは今度は先生へと視線を向けたが静かに首を振った。


    ミカ*テラー「いや、待ってよ。他にこんな巫山戯た作戦立てるようなヤツ、ここには………」


    ナレーション

     ミカ*テラーがそこまで言いかけた時、彼女の背後で光が走った。

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 23:18:11

    いるんですよ、誰かのためにとびっきりのふざけた無茶をするスゴいバカが

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 05:52:43

    この世界のアリウスは随分変わったんやなって

  • 27◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 06:41:10

    ナレーション
     誰もが光に振り向くと、そこでは倒れ込むようにカナがプレナパテスにくっついている。
     一見すると、事案案件のようにすら見えるの中、カナは至って真剣にカードをプレナパテスの胸に叩きつけていた。

    ミカ*テラー「っ!?先生に何するのっ!?」

    "ホシノ、止めてっ!!"
    ホシノ「私っ!?もう、後でちゃんと説明してよっ!?」

    ナレーション
     一緒に地獄を歩いてくれた先生護ろうとミカ*テラーは動き出すが、ホシノに捕まって拘束されてしまう。
     力と体格で勝るミカ*テラーは強引に引き剥がそうとするが、そうする間にも光は段々と強くなっていく。

    全部…聞いたぞ…っ!

    ナレーション
     既に数回目の使用。使用限界が近いのか、カードも持主同様に限界が近い。
     カナのカードは悲鳴を上げるように音を立てて罅が入り、割れた欠片が光の粒子となってプレナパテスへ向かう。
     憤りの声とともに、カナは最後の願いをカードに託した。

    セイアたちの願いだ……2人を自由にしてくれっ!

    ナレーション
     去ってしまった者たちから託された、優しくて切ない願いを。

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 12:17:21

    成程ここかぁ

  • 29◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 18:23:24

    >>26

    代理モブ「本スレ世界線はそもそもアリウスが分裂してないので、

         恐らく、アリウス和解編は丸々消失した形になると思います」


    代理モブB「カナという光のバカが照らし続けたのに加えて、

          アリスクが行動を起こす前に周囲の説得に回ってる上、

          トリニティからの支援という文化爆弾がありましたからね。

          なんなら、カナがベアトリーチェから直接次の生徒会長として指名されてます」


    代理モブC「それでも消失したと断定出来ないのは、治区自体に何かがある可能性があるからですね。

          ミレニアムの廃墟みたいな場所がないとは言い切れない」


    代理モブ「それはそれとして、本スレの補習授業部編だと、

         PVのイケメン女子がヒーヒー言いながら小学校の算数やってたと思うと、可哀想だけど可愛いです」

  • 30◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 23:05:35

    ナレーション
     このキヴォトスの何処かに隠された、とある大人の隠れ家。崇高を探求するアトリエ。
     照明はシャンデリア、窓硝子は新校舎聖堂の物と良く似たステンドグラスになっており、
     規則正しく書棚が並んで中央の道を空けて、奥の机と椅子には部屋の主が座していた。
     アリウス分校、前生徒会長ベアトリーチェの研究所である。

    パリンッ(グラスが割れる音)

    ナレーション
     ベアトリーチェ本を開いて目を通しながら、優雅にグラスワインを手に取った…筈だった。
     しかし、彼女の望みとは裏腹にグラスは宙を舞い、甲高い音とともにワインを撒き散らす。

    ベアトリーチェ「…なるほど、どうやら相当に無茶をしているようですね」

    ナレーション
     ベアトリーチェは、袖口から先が無くなった右腕を見て吐き捨てる。
     痛みすら感じることなく、自らの手を失うという異常に対して酷く冷静であった。

    ベアトリーチェ「相手は色彩をも利用する者。1度も使わずに終るとは思っていませんでしたが、ここまでとは……
            …いや、あれのことですから、また敵を相手に情けでも掛けているのかもしれません」

    ナレーション
     ベアトリーチェの興味はもう失われた手では無く、自らの後継へと向かっていた。
     支配者と兵士、敵と味方、独裁者と一般生徒。元より仲が良いとは言えない間柄だが、無駄死には癪に障る。
     カナは理解者であり、後継であり、認めた相手だ。簡単に負けられては自身の沽券に関わる。
     そうして自らに言い訳して、ベアトリーチェは自らを喰らう切札を託したのだ。ようするにツンデレである。

    ベアトリーチェ「そもそも、譲り渡したもの。カードをどのように使おうと構いません。
            …ですが、アリウスの名にかけて敗北は赦しませんよ……神子柴カナ」

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 23:28:40

    初めてベアトリーチェの事かっこよく見えたよ

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 00:37:39

    ベアトリーチェ、お前…

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 08:07:53

    分かってたけど消えそうになるのやっぱつれぇよ…

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 15:50:31

    どこまで行けちゃうのか
    不安だ…

  • 35◆VLlUGaOg9c25/08/19(火) 22:12:38

    >>27

    ゴーストセイア(回想)『いいかい?大事なのは「道理」。筋道を立てることだ。

                私はそのカードについて詳しくないが、人の手で作られたモノなら相応の道理がある筈だ。

                だからこそ、その道理に寄り添って、どうやって何を望むのかを明確にするべきだろう』


    ナレーション

     水に入らなければ溺れないように、火に触れなければ焼かれないように、全ての物事には理由…つまり道理がある。

     大人のカードも同じことで、ただ相手を焼くよりも、火を出して焼いた方が効率が良い。道理を通しているからだ。

     「自由にする」なんて抽象的なゴールなら尚のこと、そうするための道筋が重要になる。


    ゴーストセイア(回想)『だから、もし本当に君がミカを救うことを望んでくれるのなら……こうすれば良い』


    ナレーション

     死した知恵者ゴーストセイアの助言通りに、カナは光り輝く砕けたカードを握り締める。

     そして大きく振りかぶって、プレナパテスの後ろ……狙うべき相手へ向けて引き絞った。

     カードが繋いだ光の道筋が、届くはずのない拳を届かせる。

     古い怨みで何も知らない2人を利用して、黒幕気取りで欲をかき、他所の世界まで手を出した卑怯者へと。


    ???『大人のカードだと!?まさか、何故――ッ!!』


    これ以上……手を出すなぁぁぁぁーーーっ!!


    ???『お前はこの選択を……未来永劫、後悔するだうう゛ぉあぁ――!!?』


    ナレーション

     プレナパテスを操る司祭たちを、光の拳が殴り飛ばした。

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 01:03:33

    まさかの無名の司祭をステゴロで倒しやがったw

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 06:54:28

    光になれー!

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:23:53

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:32:30

    やったわ、カナちゃん…よくやった!

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:49:28

    このレスは削除されています

  • 41◆VLlUGaOg9c25/08/20(水) 22:51:39

    やっ…た……

    "あっ!…あれ?身体が…"

    ナレーション
     振り抜いた拳が嫌な音と立てると同時、限界を超えたカナはそのまま前のめりに倒れこむ。
     反射的にその身体を支えたことで、プレナパテスは初めて自分の身体が動かせることに気が付いた。

    ナレーション
     事情を聞こうにも、カナは身体中に巻かれた包帯に血が滲んでいて話が出来るようには見えず、
     プレナパテスは恩人と思わしき生徒をゆっくりと、怪我が悪化しないよう丁寧に横に寝かせる。
     まだ仮面越しではあるが、かつて聞いた通りの優しい声を前にして、ミカ*テラーは無意識に銃を手放した。

    ミカ*テラー「先生…なの?本当に、昔の先生に戻ってくれたの…??」

    "…・うん。心配掛けてごめんね、ミカ"

    ナレーション
     生きていた頃…プレナパテスとなる前の先生とは、ミカ*テラーもそれほど長い付き合いでは無かったが、
     それでも、ミカ*テラーには、先生が困ったような柔らかい笑顔を浮かべてくれているのが分かった。

    ミカ*テラー「先生、私は……」

    "ミカ。私は今でも、ミカの味方だよ"

    ナレーション
     あの日、プールサイドで"ミカの味方でもあるよ"と言ってくれた。あの先生が戻って来た。

  • 42◆VLlUGaOg9c25/08/20(水) 22:55:01

    代理モブ「今回は特に原作履修済み前提で話を進めてるので、エデン条約編履修を推奨します」

    代理モブB「まぁ、そんなことを言ったら、本スレ自体がネタバレのオンパレードなんですが……」

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:57:39

    やりやがったw次元の壁とかそういうのを無視できるって下手したらオリジナルのカードより高性能な部分あるのではw

  • 44◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 06:57:57

    >>43

    代理モブ「公開する機会の無い設定なので話しますが、

         使ったのが次元・時間・実在が確定せずに混ざり合うナラム・シンの玉座なこと、

         プレナパテスに触れることで無銘の司祭への縁を辿ったこと等、

         色んな条件が重なって初めて出来た荒技です」


    代理モブB「だから、プレナパテスに触れるために懐に飛び込む必要があったんですね」


    代理モブC「この辺りの知恵はゴーストセイアの助言ですね。

          1番ミカ*テラーたちを救いたかったのは彼女たちですし、カナに賭けると決めたんでしょう」


     

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 08:36:59

    ゴーストセイアは後悔してたからなぁ…
    カナちゃんに託した事で少しは救われてくれると良いんだが

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 11:20:39

    よかった…
    よかったなぁ…

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 20:17:57

    これもしかしてプレナパテス生存√入ったか?

  • 48◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 21:48:34

    >>41

    ナレーション

     かつて貰ったものと同じ、悪い子である自分を生徒として心から想ってくれている言葉。

     自分の所為で失った筈のそれはミカ*テラーの心を強く揺さぶった。もう一度、やり直せるかもしれないと想えた。


    セイア(幻覚)『ミカ』 

    ナギサ(幻覚)『ミカさん』


    ミカ*テラー「っ!!」


    ナレーション

     自分の所為で命を落とした幼馴染みが、友だちが、名前も知らない…でも生きていた人たちが彼女を取り囲む。

     幻覚だ。ミカ*テラー自身の心が自らを罰する為に、戒めるために、罪を幻視させていた。

     大切な人が血に濡れながら、怨みめしく睨み付けてくる姿がミカ*テラーに焼き付いて離れてない。

     ………実際には、死に目どころか亡骸にすら会えなかったというのに。


    ミカ*テラー「…ダメだよ。私は全ての悪を裁き、世界を滅ぼす存在。利用相手は居ても…味方は居ちゃいけない」

    ミカ*テラー(嫌だ、苦しい、赦して、終らせて――――巫山戯るな。魔女め)


    ナレーション

     ミカ*テラーは赦しを求める心を噛み殺し、最期の時まで悪であると決めた。

     その名はミカ*テラー。慈悲の守り手ではなく、独善の断罪者として覚醒した――恐怖である。


    ミカ*テラー「だから、貴方たちのために…祈るね《ごめんね》」


    ナレーション

     涙を溜めて震えた声で、少女は護りたかった人へ向ける拳を握った。

  • 49◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 22:06:44

    >>48

    ゴーストセイア(声のみ)『やれやれ、君は相当な頑固者だね』


    ナレーション

     とんっ!と、ミカ*テラーはプレナパテス……先生の前へと誰かに押し出された。

     事故や攻撃ではない。傷つかないよう優しく、それでいて友だちのような気安さもって、ただ前に押すだけの手。

     その感触とともに聞こえた懐かしい彼女が声に振り返っても、後ろには誰も居なくて……


    ナギサ(声のみ)『…どうか、ミカさんだけでもお元気で。難しいかもしれませんが…幸せになって下さい』


    ナレーション

     ただ、聞き慣れた優しい誰かの励ましだけが聞こえた。

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 23:39:57

    ゴーストセイア…ゴーストナギサ…お前達…

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 05:58:05

    カードでちょっとだけ繋がったのかな

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 12:04:40

    亡き友人達が背中を押してくれたからミカ*テラーも素直になれると良いね

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:31:41

    これで少しでも魔女からお姫様に戻れれば…

  • 54◆VLlUGaOg9c25/08/22(金) 23:19:11

    >>49

    ミカ*テラー「わた、私は……」


    ナレーション

     上から目線で理屈っぽくて、子ども相手に諭すようなムカつく…

     …でも、素直で真っ直ぐで、筋が通らないことは文字通り死んでもしなかったセイア。

     それに何時も自分のことを想ってくれていた、真面目で厳しいけど、ちょっと抜けたところもある優しいナギサ。

     時間が経っても、大切なその時間を忘れはしないその。何時も聞いていた声はミカ*テラー……ミカに届いた。


    ミカ*テラー(2人とも…優しすぎるよ)


    ナレーション

     理性が、過去が、罪の意識が「お前は魔女だ」とミカ*テラーを締めつける。

     けれど、でも、もし本当に叶うのなら?例え赦されなくても、せめて…せめて魔女では無く人として償えたなら?

     分不相応な願いだと分かっていても、ミカ*テラーは願いを捨てきることは出来なかった。


    "ミカ"


    ナレーション

     迷い立ち止まった生徒の為に、プレナパテス……先生が膝をついた。

     仮面にゴテゴテした不気味な鎧が騎士のように、手を取られたミカ*テラー……お姫様に寄り添っている。


    "何度だって言う。私はミカの味方だよ"

    ミカ*テラー「っ!!?」


    ナレーション

     それはまるで物語の1幕のように、美しくて絵になる光景だった。

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 07:44:50

    美しい…
    すぐそこに瀕死で転がってるカナちゃんがいるけど…

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 12:43:02

    良かった…

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 18:57:55

    もう自分を赦して良いんだよ、ミカ

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:59:28

    ゴーストティーパーティーの二人はもう赦してるからな…

  • 59◆VLlUGaOg9c25/08/24(日) 00:11:13

    >>54

    "確かに…ミカは間違えたかもしれない。理由はどうあれ、色んな人を傷つけたかもしれない。

    けど、私は知っているよ。ミカがセイアを傷つけて苦しんでいたことも、ナギサを護ろうとしたことも知っている"


    ナレーション

     先生らしく、静かに優しく、寄り添うように語りかける。

     例え死して屍に成り果てようと、無銘の司祭の操り人形になろうと、生徒のことだけは忘れなかった。

     仮面と鎧に身を隠そうとも、その本質は決して変わらない。プレナパテスもまた、先生であった。


    "今だってそうだよ、ずっと苦しんでる。もし、ミカが本当に酷い人なら…・・そんな顔はしないと思う"


    ナレーション

     生徒よりもずっと貧弱な筈のプレナパテスの腕がミカ*テラーを引き込み、抱きしめて指で涙を拭い去る。

     散々暴れ回ったあのミカ*テラーがまるで小さな子どものように、プレナパテスの大きな鎧に包み込まれた。

     

    "だから、今でもずっと私はミカの味方だし……ミカは魔女じゃないよ"

    ミカ*テラー「…めん、なさい。ごめんなさい、先生…っ!私、私ぃ……っ!!」


    ナレーション

     そうして、ようやく、悪い魔女になろうとした可哀想なお姫様は、鎧の王子様の胸で泣くことが出来ましたとさ。


    フウカ「…あの、感動の再会中に悪いんだけど、早くしてくれない?

        なんか、カナの腕がぐにゃぐちゃになってるから、早く帰ってちゃんと治療受けさせたいんだけど……」


    ナレーション

     一方、1番の功労者は地ベタでまた死にかけていた。

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 00:28:24

    カナちゃーーーん!?

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:54:57

    あと先生の腰もな

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 13:41:29

    みんな大分ボロボロだからな

  • 63◆VLlUGaOg9c25/08/24(日) 21:27:19

    >>59

    ミカ*テラー「っ!ご、ごめんなさい!や、やっぱり、痛かったよね。私、やっぱり・・・」


    ”はい、ストップ。気持ちは分かるし、謝るのは大事だけど、先ずは今やらなきゃいけないことをしようか”


    ナレーション

     自分が傷つけてしまい、今正に死に向かっている少女を前にして、再びミカ*テラーの罪悪感が刺激される。

     しかし、プレナパテスは生徒が自分を責めて苦しみ過ぎないよう諫めると、自らのシッテムの箱を取り出した。


    ”A.R.O.N.A。全面降伏だ、全ての兵を引かせて・・・みんなを無事に地上に帰す”

    A.R.O.N.A「先生・・・それは・・・・・・」

    ”頼むよ、A.R.O.N.A。私の相棒。君にしか頼めないんだ”


    ナレーション

     カナの活躍によってプレナパテスたちは戦う理由も無くなった。

     ネルやアリスやホシノなんかも、余りの急展開に若干困惑してはいるが、ハッピーエンドの気配を感じている。

     なのに、プレナパテスの指示を受けた黒いA.R.O.N.Aはどこか苦しそうで、今にも泣き出しそうだ。


    A.R.O.N.A「・・・了承。自爆シーケンスを完全凍結。色彩による疑似サンクトゥム及び複製の生成を停止。

          アトラ・シハースの箱舟の制御権を「ウトナピシュティムの本船」に譲渡します」


    ナレーション

     それでも、長きに渡り先生を支え続けてきた生徒は、先生の決意を汲んで指示に従った。

     生徒が絡んだ時の主が相当な頑固者だと、そのOSは良く知っていたから。


    ”ありがとう、A.R.O.N.A。――――さて、それじゃあ、2人とも。お別れだ”


    ナレーション

     努めて明るい声は、仮面越しでも笑っているように聞こえた。

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 23:55:38

    プレ先…

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 08:29:15

    やっぱりなのか…

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:25:06

    この世界でもやっぱり先生なんだなぁ

  • 67二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 21:03:41

    保守

  • 68◆VLlUGaOg9c25/08/25(月) 22:22:19

    >>63

    ミカ*テラー「えっ、何で、お別れって・・・・・・」


    ”そのままの意味だよ、ミカ。私たちはここでお別れだ。・・・ごめんね”


    ナレーション

     ミカ*テラーの表情は絶望に染まる。

     無理も無い。幼馴染みも、同僚も、友人も全て失って、それでも尚、自分を見捨てずに一緒に居てくれた人が、

     やっと久し振りに声を聞けた、やっともう一度話し合えるようになった人が、お別れだなんて言うのだ。

     暗闇の荒野に進みべき道標を照らしてくれた光を失うようなもの。苦しくない訳がなかった。


    ミカ*テラー「わ、私のせい?やっぱり、私が悪い子だから、魔女だから?そ」


    ”違うよ。絶対にミカの所為なんかじゃない。ただ・・・・・私は、死人だから”


    ナレーション

     プレナパテスの言葉には悲痛な諦念があった。苦しい、辛い、認めたくない・・・・それでも、現実を見据えた諦めが。

     無銘の司祭の策謀によって色彩の力で動いているが、本来プレナパテスは死人だ。

     そもそも今ここに居ること自体が奇跡の産物、偶然が重なり合った、有り得ざる輝きだ。


    A.R.O.N.A「・・・先生の身体は色彩のエネルギーとナムラ・シンの玉座の特異性によって動いています。

          その存在と保つには、アトラ・シハースの箱舟と同程度の演算装置を用いて、

          私・・・あるいは私に準ずる電算能力の持主が、ナムラ・シンの玉座を維持し続けなければなりません」


    ミカ*テラー「なら、やってよ!先生の為なんだよっ!?アロナちゃんなら出来るんでしょっ!?」


    A.R.O.N.A「私も、その積もりでした。先生の為なら、何百年でも演算し続けても構いません。ですが・・・・・・」


    ナレーション

     俯き気味に、A.R.O.N.Aはプレナパテス・・・己が先生へと視線を向けるが、先生は首を横に振って返した。

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:40:10

    本人が望んでない以上できないか…

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 06:52:22

    お別れか…

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 12:35:34

    本編よりちょっと長めにお話しできただけでもマダムカード相当凄い事してる

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 21:00:53

    保守

  • 73◆VLlUGaOg9c25/08/26(火) 21:17:55

    ”ありがとう。ミカ、A.R.O.N.A。私を・・・死者を想ってくれるのは嬉しい。思い出してくれるのも嬉しいよ。
     ・・・でも、死人が今生きているみんなの枷になるのはダメ。そんなの、私も、みんなも望んで無いよ”

    ナレーション
     シッテムの箱のメインOSを務められるほどに優秀なプラナであっても、ナムラ・シンの玉座の形成は大仕事だ。
     アトラ・シハースほどの演算装置があれば掛かりきりにはならないが、それでも、かなりのリソースを要する。
     その上、運用のためにずっと演算装置の側に拘束され続けることになるだろう。

    ミカ*テラー「で、でもっ、本当にそれでいいのっ!?このままお別れして、死んじゃっても良いのっ!?
           ・・・・・・・・・先生まで、私を置いていくの?」
    A.R.O.N.A「・・・私は、シッテムの箱のメインOS。先生の望みを支えることが・・・・・・私の役割です」

    ナレーション
     生徒たちの悲痛な訴え。だが、プレナパテスも苦しくない訳がない、寂しくない訳がない。
     死の先に何があるか?誰も分からないが、目の前の生徒たちに会えなくなるのは確かなのだから。

    ”――ありがとう、A.R.O.N.A、ミカ。2人に・・・生徒にそんな風に言って貰えて、私は本当に幸せ者だよ”

    ナレーション
     それでもプレナパテスは生きると言わず、ただ包帯に巻かれた両腕を伸ばし、愛する生徒たちの頭を優しく撫でた。

    ”私も本当は寂しいよ。・・・うん、凄く寂しい。
     けれど、私は2人が何時か・・・周りの大切な人たちに愛し愛されて、心から笑えるようになるのが見たいから。
     ・・・だから、ごめん。例えここでお別れになっても、君たちの物語の邪魔は出来ない”

    ナレーション
     寂しくなるほどに親しくて、苦しくなるほどに愛しいから、大切な生徒たちの未来の枷にはなれない。
     プレナパテスはゆっくりと両腕を頭から離すと、今度は2人を勢いよく抱きしめた。

    ”・・・さようなら。次はなるべく未来で会おうね”

  • 74◆VLlUGaOg9c25/08/26(火) 21:24:19

    代理モブ「すいません、1つだけ良いですか。これを直ぐ近くで見聞きしてるホシノの情緒っ!?」

    代理モブB「まぁ、死に別れ・・・迄は行かなくても、卒業した先輩と疎遠になった生徒とかは思うところあると思います。
          ・・・いや、3年生組のこれから残して行く側もか?」

    代理モブC「まぁ、1番内心ぐちゃぐちゃなのは当事者の3人なのですが・・・

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:59:08

    あ、そうじゃん!
    まだ対策委員会編3章がまだだからホシノの情緒がヤベー事になるやつだよ!?

  • 76二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 06:57:27

    しゃーない

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 12:13:52

    悲しいなぁ

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 21:17:53

    このレスは削除されています

  • 79◆VLlUGaOg9c25/08/27(水) 22:37:09

    >>73

    ナレーション

     死者は戻らない。本来それが自然の摂理であり、道理である。分かっている。本当は分かっている


    ミカ*テラー「先生ぇ・・・先生ぇ・・・寂しいよぉ、先生ぇっ!」

    A.R.O.N.A「ぐすっ、ひぐっ、えっぐ・・・っ!」


    ナレーション

     だけど、人の心は弱いのだ。

     2人とも本来は聡い生徒だ。先生の願いも、その意味も、本当は分かっている。分かっていても、苦しいのだ。

     奇麗な顔を涙と嗚咽で汚して、困らせると分かっていても縋り付かずには居られない。

     プレナパテスはそんな生徒たちの弱さを叱ることなく、震える身体でしっかりと抱きしめる。

     ・・・・・・2人が、何時かの未来にこの温もりを思い出せるように。


    ”・・・・・・さっ、いい加減もう時間だ。名残惜しいけど、何時までもという訳にはいかないからね”


    ナレーション

     やがて縋り付く生徒たちを断腸の思いで引き剥がすと、

     プレナパテスは明るく・・・どこか涙混じりの声で生徒たちに言い聞かせる。


    ミカ*テラー「・・・・・・うん、沢山困らせちゃってごめんなさい。・・・ありがとう、先生」

    A.R.O.N.A「「・・・いままで、ありがとうございました」


    ナレーション

     恩師の苦しさと願いは充分伝わった。だから、ミカ*テラーもA.R.O.N.Aもそれに応えた。

     泣き腫れた赤い顔にぎこちない・・・けれど精一杯の感謝を込めた笑顔を浮かべて、2人は深く頭を下げる。

  • 80◆VLlUGaOg9c25/08/27(水) 22:38:26

    >>79

    ナレーション

     プレナパテスは教え子たちの立派な姿に満足そうに頷いて見せると、今度はもう1人の自分へと向き直った。


    ”生徒たちを・・・よろしくお願いいたします”


    ”応える”


    ナレーション

     2人の間に、それ以上の言葉は要らなかった。

  • 81二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 04:26:54

    プレ先…

  • 82二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 10:55:03

    死は回避できなかったかぁ

  • 83二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:07:11

    保守

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 21:53:53

    あれ、そういやこの後あれか?

  • 85◆VLlUGaOg9c25/08/28(木) 22:16:26

    >>80

    ナレーション

     さて、そうと決まればキヴォトスの生徒たちは大慌てで帰還の準備をし始めた。

     負傷者の治療は勿論、1荒れた治安の回復に壊れた施設・設備の補填等々・・・事後処理の仕事が山ほどある。

     なので、全員もう大慌てでの帰り支度でバタバタしていた。


    ホシノ「先生、ずっと寝っ転がってどうしたの?おじさんの真似?」

    ”いや、腰が・・・っ!”

    ミカ「ああ、ごめん!おんぶでいいかな?」

    ネル「アホ、お前も重傷人だろ。変われ」

    アリス「ダメです!チビメイド先輩では先生を引きずってしまいます!」


    ナレーション

     年頃の女の子が何人も集まっていれば、ただの帰り支度ですらも喧しいほどに姦しい。

     その懐かしくも心地よい光景を遠目に見ながら、プレナパテスの視界にはかつての生徒たちの姿が映っていた。

     

    ”・・・あの光景を、護りたかったんだけどね”


    イチカ「私はダメっすよ。背中にカナ様がいるので」

    フウカ「その姿勢、胸圧迫しない?お姫様抱っこの方が良いんじゃあ・・・」

    ”ていうか、車じゃあダメなの・・・?”


    ナレーション

     もう届かない。護れなかった何時かの平穏を前にして、プレナパテスは無意識に手を伸ばす。

     帰り支度に夢中の生徒たちが気が付くことはなく、その手は空をすり抜ける筈だったが・・・・・・


    ???『お疲れ様です、先生』


    ナレーション

     姿無き優しい誰かが、先生のを優しく握るのだった。

  • 86◆VLlUGaOg9c25/08/28(木) 22:25:50

    >>82

    代理モブ「回避出来なかったというか、この世界に来た時点で既に死んでるので・・・・・・

         ・・・地下生活者と同じことを言うようで尺ですが、幾ら先生でも「過去」は変えられませんから」


    代理モブB「だから、まだ生きている生徒を託す必要だあったんですね。

          変えられない過去ではなく、未来を変えるためにプレナパテス先生は戦ったんです」


    代理モブC「どんなに不良生徒でも、先生にとっては可愛い生徒ですからね」


    >>85

    代理モブ「ラストはプレナパテス世界線の生徒・・・生きているミカとA.R.O.N.A以外の誰かが迎えに来たので、

         具体的に誰とは決めてません。皆さんの好きな生徒(生存者のミカとA.R.O.N.A以外)で想像して下さい」


    代理モブB「順当に考えれば親愛度が一番高い子ですかね?それかメモロビ童貞を奪うユウカ」


    代理モブC「まぁ、誰であったとしても、生徒側も先生のことをずっと心配して見守っていたということで・・・」

  • 87二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 06:46:40

    なるほどなぁ

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 12:23:29

    ひょっとすると我々はまだ観測できてない生徒が来たかもしれませんね

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 21:05:11

    プレ先も最後に賑やかな生徒達を見られて良かったね…

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 22:59:50

    大事な生徒を託し、大事な生徒に迎えられる…
    プレ先にとってこれは以上ない救いか…

  • 91◆VLlUGaOg9c25/08/29(金) 23:56:28

    >>85

    ナレーション

     一方、生徒たちはウトナピシュティムの本船の乗り込んだ。

     帰るまでが遠足・・・いや、遠足ではないが、兎も角、生きて帰るまでが戦いだ。


    ヒフミ「やっぱり、速いですね。もうアトラ・シハースがあんなに遠いです」


    ミカ*テラー「先生・・・」


    ナレーション

     とはいえ、山は越えて後は帰るだけなのも事実。

     オペレーターたちはウトナピシュティムの操縦があるが、実働隊の生徒なんかは何もやることが無くて暇している。

     そんな中、行きは乗っていなかった2人・・・プレナパテスが託した、平行世界の生徒たちはずっと外を見ていた。


    モモカ「なぁに、黄昏れてるのさ」

    ミカ*テラー「貴女は・・・・・・たしか、連邦生徒会の・・・?」

    モモカ「おー、知ってたんだ?そっちの私にでも会った?まあ、いいや。

        それより・・・これから大変だよ?何しろ、あれだけの事件を引き起こした主犯格だからねぇ」


    ナレーション

     モモカの言う通り、どんな事情があろうと・・・例え死者に託された人だろうと、大事件の実行犯に違いは無い。

     正確に言えば黒幕はカナに殴り飛ばされた司祭たちだが、そんなものは確かめようもない。

     どう足掻いても、誰かが責任を取るしかない以上、その役に最も相応しいのはミカ*テラーしか居ないだろう。

     

    ”あの先生とリン先輩なら悪いようにはしないだろうけど・・・色々面倒くさいから脱獄とかは止めてね”

    ミカ*テラー「・・・しないよ、そんなこと」


    ナレーション

     やっと、法が罪を裁いてくれるのだ。やっと、自分の悪事を糾弾して罰を与えてくれるのだ。

     本当はずっと待ち望んでいた救いが近づいているのに、ミカ*テラーの心には寂しさの穴が開いていた。

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 08:17:26

    そうか、色々スキップしたから慌てなくていい余裕があるのか

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 08:26:03

    しかもウトナピシュティムの本船は動かせるくらいには無事という

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 14:43:03

    色々あってミカの心境は複雑だね…

  • 95◆VLlUGaOg9c25/08/30(土) 22:14:00

    >>91

    代理モブ「誤字報告です。

         ”あの先生とリン先輩なら悪いようにはしないだろうけど・・・色々面倒くさいから脱獄とかは止めてね”

         はこの書き方だと先生の台詞みたいになりますが、正しくはモモカの台詞ですね。訂正致します」


    >>91

    ミカ「痛っ!・・・ねぇ、痛み止めとか無いの?」

    イチカ「すいません。私も本職じゃないですから・・・」


    アリス「先生、大丈夫ですか?元気ないですね」

    ”大丈夫じゃないけど・・・もう帰るだけだからね。もうちょっと頑張るよ”


    ナレーション

     ウトナピシュティムに乗った実働隊の生徒たちは死屍累々・・・という程では無いが、負傷者ばかりだ。

     ミカ*テラーと戦った生徒たちは特に顕著で、動く度に傷が痛む子も珍しくない。カナなんか、ずっと意識不明だ。

     そんな彼女たちの苦しそうな声を聞く度、姿を目に入れる度、罪悪感がミカ*テラーを刺激していた。


    ミカ*テラー「私は悪い子だから・・・ちゃんと償わないとね」


    ナレーション

     ミカ*テラーとカナの問答、そしてプレナパテストのやりとりは通信越しにモモカも聞いている。

     しかし、いかんせん、やらかしたことがことだ。一応、投降してきたとはいえ戦力的には完全な拘束も難しい。

     なので一応、連邦生徒会の幹部として念の為に探りを入れに来たのだが・・・・・・


    モモカ「・・・ああ、もう、そんな顔されるとやり辛いなぁ・・・っ!

        安心しなよ、さっきも言ったけどリン先輩も先生も鬼じゃないから」


    ナレーション

     今にも消え入りそうな儚い顔をされたのでは、モモカもやり辛くって仕方が無かった。

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 23:59:04

    まぁ、テラーとしてやってきた事がやってきた事だからねぇ…

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 06:17:51

    どうなるかなぁ

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 12:35:14

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:01:47

    とりあえず無事に帰れそうで良かった

  • 100◆VLlUGaOg9c25/08/31(日) 22:35:11

    >>95

    ミカ*テラー「…うん、ありがとうね」

    モモカ「うん、じゃないよ。本当に分かってる?償いっていうのは向き合うことなの。

        アンタはそれが出来てるんだから、後は最低限けじめだけつければそれで良いんだよ」


    ナレーション

     普段はちゃらんぽらんのサボり魔だが、曲がりなりにもモモカは連邦生徒会の幹部である。

     防衛室や矯正局がある意味も、その理想も、本業では無いなりにちゃんと分かっている。

     分かっているからこそ、ミカ*テラーを放ってはおけなかった。


    ミカ*テラー「…分かってる。けじめ、ちゃんとつけるよ」


    ナレーション

     殊勝なのはいい。辛気臭いが、罪を犯した者として在るべき姿だ。

     だけど、必要以上に背負われるのは宜しくない。犯した分だけ、償えば良いのだ。

     そういうことを言いたいのだが、ミカ*テラーは暗くなるばかり。

     反省していること自体は良いのだが・・・・・・・・・モモカはどうすれば伝わるのかと頭を捻った。


    モモカ「だから、そうじゃないんだよ。なんて言うのかな………

        私たちが…いや、部署違うけど、やってるのは私刑じゃないの」

    ミカ「私刑じゃない…?」

    モモカ「そう、アンタは自分がやった分だけ背負えば良いの。

        あの先生は自分で最後を選んだし、その並行世界?も、別にアンタ1人で滅んだわけじゃない」


    ナレーション

     確かに、ミカ*テラーは罪を犯した。何しろ、世界滅亡未遂だ、前代未聞の大犯罪である。

     ・・・だが、結果的に、彼女はこの世界で誰も殺さなかった。元の世界ででも、望んで暴れたようには思えない。

     あのプレナパテスは、教え子に罪を押しつけるために死んだ訳では無いのだ。


    モモカ「なのに、生かした生徒《アンタ》が勝手に背負い込んで潰れそうになるなんて・・・・・・バカらしいでしょ?」

  • 101二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 03:54:31

    責任感があるのはいい事だけど
    それはそれ

  • 102◆VLlUGaOg9c25/09/01(月) 06:52:36

    >>100

    ミカ*テラー「そんなことは…」

    モモカ「あるよ。速度違反するヤツだってね、みんなそれだけカッ飛ばす理由があるんだから。

        ……何にだって、誰にだって、理由はある。だから、その理由の分まで余計に背負わなくて良いんだよ」


    ナレーション

     モモカはちゃらんぽらんなところが目立つが、それでも交通室の室長に選ばれた凄い女。

     それは実務能力があるのもそうだが、モモカ自身が良く「人」を見ているからでもあり、

     その上で、滅多なことでは揺らがない強い自我があるからでもある。

     だからこそ、あれだけのことがあった後でも、モモカは何時も通りにさらりと言い放つ。


    モモカ「人生、もっとゆる〜くいかないと。肩肘ばっかり張ってたら疲れちゃうよ?」


    ナレーション

     モモカは不敵に笑って見せた。

  • 103二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 12:18:57

    たのもしい

  • 104二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:22:39

    こういう普段ゆるいキャラが頼もしく笑ってくれる展開が好きだ

  • 105二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:03:18

    さすモモ

  • 106二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:07:27

    理解できる

  • 107◆VLlUGaOg9c25/09/01(月) 22:06:33

    《1週間後 ティーパーティーの庭園》

    ナギサ「・・・お久しぶりです、先生。その後、調子の方はどうでしょうか?」
    ”いや、ナギサの方こそ大丈夫?隈が凄いけど・・・”

    ナレーション
     無事にウトナピシュティムの本舟が地上へと帰還してから、早いもので1週間。
     事件そのものは終息したものの、影響は大きく、トリニティの現ホストであるナギサは激務を余儀なくされている。
     寝れないからと何日も徹夜で仕事続きの上、ぼやけた頭を起こすのに必要以上にカフェインを取っており、
     華の女子高生である筈が、ブラック会社に揉まれた末期の社畜のような哀愁とは儚さを纏わせていた。
     
    ナギサ「熊?・・・ああ、目の下の方ですか。心配は不要です。カナさんの帰る場所を、護らねばなりませんから」

    ナレーション
     ミカは脅威の回復力によって3日で完治して退院したが、カナは未だに意識が戻らない。
     ミネ団長は「カナ様のしぶとさは折り紙つきです」と称して慰めたが、それでナギサの心労が晴れるはずもなく、
     可愛い・・・もとい親しい同僚にして友人の危篤という多大なストレスに晒され続けたナギサはもうボロボロ。
     仕事に熱中するのも、半分は最悪の想像からの逃避だった。
     
    ”でも、ナギサが倒れたら元も子も無いよ”

    ナギサ「お気遣い、ありがとうございます。ですが、本当に心配は要りません。
        ・・・それに、先生の方こそ大丈夫なのですか?
        平行世界の2人の処遇について、連邦生徒会の方では未だに何も決まっていないとお聞きしますが・・・」

    ”ことがことだから、みんな慎重でね・・・”

    ナレーション
     ままならない、しかし、立場ある自分たちがやらねばならない後始末。
     これから先も、まだまだ、それが続くのかと思うと2人は思わず溜息を漏らした。

  • 108二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:49:25

    カナは相当重症だったし回復に時間がかかるのも当然か

  • 109二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:49:42

    事後処理が終わるまでが作戦です…おつらい

  • 110二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 06:54:32

    大丈夫かなぁ

  • 111二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:14:16

    お疲れ様だね

  • 112二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:28:10

    保守

  • 113◆VLlUGaOg9c25/09/02(火) 22:39:33

    >>107

    ナギサ「・・・他校の方はどうでしょうか?」


    ”ゲヘナはミカより1日早くヒナが復帰したよ。ミレニアムの方もネルも亜理寿も元の生活に戻ってる。

     一応、リオも会長に復帰したよ。・・・・・・時々、リアを名乗ってトリニティに行こうとして止められてるけど”


    ナギサ「・・・私は何も関知していません」


    ナレーション

     すっとお腹に手を当てながら、自分でも苦しいと分かる言い訳で追及を躱すナギサ。

     彼女の心労を察して、先生はそれ以上の細かい追及をすること無く、何事も無かったかのように紅茶に口をつけた。

     

    ”・・・ああ、そうそう。ミレニアムといえば、ウトナピシュティムの管理所在について連邦生徒会と揉めてるみたい。

     リンちゃんとしては今の連邦生徒会に管理する余力が無いから何処かに任せたいけど、

     1学校・・・・・・それもミレニアムに渡すのは怖いって子も多くて、連邦生徒会内でも意見が纏まらないみたい”


    ナギサ「あって欲しくはありませんが、次を考慮するならウトナピシュティムは残しておきたい。

        的確な管理を任せるならミレニアムでしょうが、同時にミレニアムの力であれば悪用も可能・・・ですか”


    ナレーション

     色彩の力を持つ平行世界の生徒、もう一つのシッテムの箱、ウトナピシュティムの本舟。

     事件がキヴォトスに齎した・・・言うなれば戦果とも呼べるそれらは、その特別性故に扱いが難しい。

     1週間経った現在でも、その処遇が正式に決定したものが1つも無いのだ。


    ナギサ「とはいえ、このまま延々と会議を踊らせる訳にもいきません」


    ”そうだね。だから、私は今日ここへ来たんだ。

     ・・・1連の事件の後始末について話し合う。各学園のトップを招いての合同会議、その実現の為の調整にね”

  • 114◆VLlUGaOg9c25/09/02(火) 22:41:30

    >>113

    ナレーション

     真剣な眼差しで本題を切り出した先生。本格的な政治的駆け引きが、いよいよ始まろうとしていた。


    ティーパーティーモブ「た、大変です!ナギサ様っ!救護騎士団の方からカナ様の意識が戻られたとの連絡がっ!」


    ナレーション

     そして延期になった。

  • 115二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 06:43:24

    おぉ良かった

  • 116二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 14:39:45

    保守

  • 117◆VLlUGaOg9c25/09/03(水) 21:27:01

    >>114

    ナレーション

     カナの回復は政治的にも重要な出来事であるが、この時ばかりはナギサも先生も立場を忘れて病室へ急いだ。

     座ることの多いナギサが、外聞を投げ捨てての全力疾走する姿に、あらゆるトリニティ生は二度見したという。

     結局、ナギサは直ぐに息切れして倒れ込み、駆けつけた親友に担がれることになったが、

     この1件は後に、ナギサの愛情深さを象徴する逸話としてトリニティ総合学園で代々語り継がれることだろう。


    先生・ナギサ・ミカ"「「カナ(さん)(ちゃん)っ!!」」"


    んぐっ!?


    ナレーション

     そんなこんなで、病室へと飛び込んだ一同を迎え入れたのは、ミルク粥を頬張るカナの姿だった。

     1週間も寝ていたというのに痛々しいほどに全身包帯巻きなことを除けば、カナは本当に元気そうで、

     リクライニングベッドの力があるとはいえ起き上がって自らの手で匙を握っていた。

     

    んん・・・・・・ごくんっ!みんな、久し振りだな。元気に・・・・・・久し振り?


    "無理も無いよ、1週間も寝ていたんだからね。・・・身体は大丈夫?もう起きても平気なのかい?"


    ああ。身体は動くし、ご飯も食べられるから平気だ。


    ミネ「本当なら起きてから暫くは、まだ点滴生活が続く予定だったのですが・・・・・・なんで食欲があるのでしょう?」


    ナレーション

     ニカーッ!と、何でも無いように気軽に笑うカナとは対照的に、主治医のミネは遠い目をしている。

     完治3ヶ月は下らないはずのミカが3日で完治して退院してから4日、

     連続して2度も医学の常識を越えた復活を見たことで、彼女は医者としての自分を疑い始めていた。

  • 118二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:57:18

    こういう風に大怪我した後でもケロっとしてるのが所がカナちゃんなんだろうなぁ…

  • 119二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:01:58

    ご飯食べれればなんとかなる
    よかった

  • 120二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 12:49:08

    かわいい

  • 121二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:15:29

    保守

  • 122◆VLlUGaOg9c25/09/04(木) 22:48:56

    >>117

    ミネ「・・・理由は兎も角、実際カナ様は自力で起き上がって食事が出来ている。その現実は受け入れましょう。

       ですが、くれぐれも・・・ええ、くれぐれも、無理はなさらないで下さい!

       本来であれば、丸1年休学して貰っての長期間救護が必要・・・の筈なのです。決して、油断なさらないよう!」


    ああ、分かった。ありがとう!


    ナレーション

     半ば諦めの境地に入ったミネの諫言にカナは笑顔で応える。

     包帯に巻かれた身体。しかも、最後の大人のカードパンチに使った腕の骨が未だ潰れており片手しか使えない。

     そうなると、やはりティーパーティー流の作法を身につけた今のカナでも食べにくいのか?

     口元は米とミルクスープで白く染まっており、満面の笑みも相まって幼子のようだった。


    ナギサ「ああ、カナさん。口元が汚れていますよ」


    ああ、すまない。勿体ないな。


    ミカ「多分、ナギちゃんが言いたいのは「はしたない」だと思うけど・・・・・・

       ・・・片手で食べにくいなら、あーんってしてあげようか?」


    んー・・・・・・いや、リハビリだ。自分で食べうぷっ!?


    ナレーション

     心意気は立派だが、ナギサが自身のハンカチで丁寧に口を拭くので今一格好がつかないカナ。

     そんな2人の姿にミカも楽しそうに笑い、少し離れたところから「余り動くな」とミネが睨みを効かせている。

     そんな少女たちの姿に、やっと「日常」が帰ってきたんだと、先生は安堵の笑みを浮かべたのだった。

  • 123二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 00:12:28

    平和な光景でいいね…

  • 124◆VLlUGaOg9c25/09/05(金) 06:58:34

    《一方、トリニティ自治区の一角。会議場にて》

    セイア「おかしくないかい?その感動的な場面、1人足りなくないかい?」

    サンクトゥス派のモブ「何を仰ってるんですか、セイア様。
               また夢と間違えたんですか?現実ですから、安心して働いて下さい」

    セイア「君は辛辣だね。・・・ツライーフォックスですまない」

    ナレーション
     カナが奇跡の復活を果たしたのと同じ頃、百合園セイアは復興計画のためにトリニティ各地を転々としていた。
     その働きぶりはまるで社畜フォックス。感動的なシーンに立ち会えなかったのも、仕方が無いのかも知れない。

  • 125二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 06:58:36

    きっとご飯が美味しいから治りが良いんだよ

  • 126二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 10:07:42

    ぶっちゃけ飯食えるなら体力の回復も早いだろうし潰れた腕は長い目でゆっくり治していけばいいからね、

  • 127二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 18:43:58

    セイアがいなかったのはお仕事とタイミングが重なったせいか

  • 128二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:00:04

    ゴーストの方のセイアの出番多かった分の調整的ななんかかな?

  • 129◆VLlUGaOg9c25/09/05(金) 23:50:56

    >>127

    代理モブ「メタいことを言うと、1が素で忘れてて慌てて補足しました」


    >>122

    ナレーション

     久し振りの元気なカナを前に、ミカも、ナギサも、先生も、医者として己を律していたミネでさえ笑顔になった。

     日常の中の話をたくさんして、疲れた身体を忘れるぐらいはしゃいで、何時しか1時間2時間と時間は流れる。


    フィリウス分派モブ「あの、ナギサ様?楽しそうなところ、大変申し訳ないのですが、そろそろお時間が・・・・・・」

    パテル分派モブ「バカッ!邪魔したらダメなやつでしょ、これは!」

    フィリウス分派モブ「いや、でも、ナギサ様たちじゃないとダメな仕事が沢山残っていますし、

              完全に日が沈む前に先生に帰って貰わないと危ないですし、それに面会時間も・・・・・・」

    パテル分派モブ「それは、そうだけど。・・・でも、先生なら空き教室にベッド運んで泊まって貰えば良いでしょ?

            面会時間についても、こう、権限で上手いこと・・・」


    ナギサ「聞こえていますよ、お2人とも。

        ・・・時間なら仕方ありません。不正をする訳にもいきませんし、今日はお暇しましょうか」

    ミカ「えー?もう、そんな時間?ちょっと時計間違ってない?」


    ナレーション

     そうして、楽しい時間はあっという間に流れてしまった。

     小声で忠言を呈するか否かを話し合う付き人2人に釘を刺して、ナギサはゆっくりとカナのベッドから離れる。

     彼女は少し寂しそうにしながらも、躊躇うことなく文句を垂れる親友の手を引いた。


    ナギサ「名残惜しいですが、明日もあります。明後日も、明明後日も、また時間を作ってお見舞いに来ましょう」


    ナレーション

     大切な友だちは、もう目を覚ましたのだから。

  • 130二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 05:32:51

    よかったぁ
    セクシーセイアは、ドンマイ

  • 131二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 10:37:37

    ここからまた日常を取り戻していくんですねぇ

  • 132◆VLlUGaOg9c25/09/06(土) 11:08:17

    代理モブ「1です。一晩考えましたが、良い感じに〆っぽい雰囲気を出せたので、最終編は一旦ここでお終いにして、
         この後は後日談的な感じで、カナちゃん治療中&各地の復興中の時系列の幕間をやろうかと思います」

    代理モブB「まぁ、何時ぞやの家庭科実習編のように幕間のつもりが長いストーリーが始まる可能性もありますが、
          今の予定的には短い話をやりながら今後どうするか考える感じですね。
          本スレシリーズ自体をたたみに入るか、更なる長期連載覚悟で二部に入るか考えませんと・・・」

    代理モブC「まぁ、その前に繋ぎの幕間の話を考えないとダメなのですが」

  • 133二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 18:28:10

    保守

  • 134◆VLlUGaOg9c25/09/06(土) 22:16:42

    《幕間 獄中の天使》

    ナレーション
     原因や過程がどうあれ、キヴォトスを混乱に陥れたことには違い無い。
     犯した罪への判決を受け入れることを望んだミカ*テラーは自首し、現在は勾留所に収容された。のだが・・・

    ミカ*テラー「・・・暇だなぁ」

    ナレーション
     特に何かするわけでもなく、畳張りの狭い部屋で転がっていた。
     いや、やることはあるのだ。勾留所内のスケジュールに従い、規則正しい生活を強いられてる。
     のだが、そもそも勾留所は逮捕した被疑者が逃亡や証拠隠滅をしないよう一次的に拘束する場所。
     まだ罪状や判決が出ていない人間が入るところであり、刑務作業なども無かった。

    ミカ*テラー「まぁ、我ながら平行世界から世界滅ぼしに来た。なんて、罪状に困るだろうな。とは思うけどさ・・・
           ・・・だからって、ずっと何にも無いまんまなのは・・・どうなの?」

    ナレーション
     彼女も元は政治をする側に居た場所だ。自分のようなイレギュラーな存在の扱いが難しいのは理解している。 
     とはいえ、狭い留置所に放り込まれて音沙汰無しというのは、拍子抜けしてしまうのも仕方ない。
     自分の罪を自覚して償う気持ちが強かったからこそ、何も無い日々へ思うところも大きかった。

    ミカ*テラー「気晴らししようとしても、この部屋何にもないし・・・・・・流石にちょっと退屈」

    ナレーション
     気を紛らわせようにも、留置所の部屋の中には碌に物が無い。棚すら無いのだ。
     元お嬢様の彼女から見ると狭い上に殺風景さしか感じられない、部屋というのも烏滸がましい、物置以下の空間。
     ミカ*テラーは元の世界でやらかした時、幼馴染みは本当に温情をかけてくれたのだと今更になって理解した。
     ここに比べれば、あの時の牢屋はまるで最高級ホテルのスイートルームだったから。

  • 135二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 00:07:23

    何もすることがない状況はある意味罰と言えるかな?

  • 136二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 06:22:30

    続き考えてくれるのありがてぇ

  • 137二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 13:52:33

    今はカナちゃん達にとっても1にとっても準備期間って感じかな

スレッドは9/7 23:52頃に落ちます

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