- 1◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:01:48
- 2二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:03:54
たておつ
- 3dice3d9=25/08/15(金) 22:05:06
表集
- 4◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:06:40
つう…っ!?
フウカ「まだ動いちゃダメ!気になるのは分かるけど安静にしてないと…!」
ナレーション
全身包帯で縛られて健康でも動ける状態ではない。そうせざるを得ないほど、カナの負傷は深刻だった。
勢いのまま反射的に身体を起こしたことで、軋むような痛みに襲われて思わず呻きを漏らすのも当然だ。
むしろ激痛に苦しみながら、喉が千切れるほど絶叫をあげなかった精神力を褒めるべきだろう。それほどの重傷だ。
い、や…っ!まだ、やらないとダメなことが…っ!!
ナレーション
それでも、カナは未だ何も諦めていなかった。這いつくばってでも動くつもりだった。
夢の中の邂逅でもう1人のミカの過去を知ったから、死した後も友の苦しみを憂う優しい幽霊に出会ったから、
やるべきことが出来たから、余計に立ち止まる訳にはいかなくなった。
フウカ「無茶よっ!?そんな身体で動くなんて、救急医療部じゃなくても無理だって分かるわっ!」
ナレーション
今のカナは意識が覚醒しただけの、瀕死の重傷だ。
当然、周りは止めようとする。動いてはダメだと、身体を大事にしてくれと懇願する。…1人を除いて。
"…教えて、カナ。私は何をしたら良い?どうしたら手伝えるの?"
ナレーション
先生は、生徒の強い意志には敵わなかった。 - 5二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:07:41
- 6◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:12:43
- 7二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:20:16
立て乙
- 8二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:28:21
立て乙
- 9◆VLlUGaOg9c25/08/15(金) 22:30:33
フウカ「今更ですけど、本気でやるんですか?カナはまだ動けるような身体じゃ無いのに……」
…ごめん。でも、私が、やらないと………っ!
ナレーション
車から乗り出すようにして、シッテムの箱を持って立つ先生…に背負われたカナに対して、
運転手としてハンドルを握るフウカは不安混じりの不満を漏らす。
カナには今度こそ戦況を変える秘策があるようだが、それでも作戦は無茶苦茶以外の何物でも無い。
何より、今のカナを戦場に連れて行くのは料理の先生として、1人の友人として不安で仕方が無かった。
"ごめん、フウカ。カナのことは私とアロナで責任を持って護る。だから……"
フウカ「…もう。先生もカナも、すっごく頑固なんですから」
ナレーション
しかし、決めてしまったのだ。大好きな人たちが2人とも、前に進むと腹を括ってしまった。
多数決でも2対1。しかも、説得なんて聞きそうに無い頑固者2人。こうなってしまったら、もう仕方が無い。
徹底抗戦で反対して暴れられたら、カナの傷が開いて余計に面倒だ。諦めて、力を貸すしか無い。
フウカ「……一緒に生きて地上に帰ってくれなかったら、絶対許してあげませんからね!」
カナ・先生「"勿論"」
ナレーション
だからフウカは、せめてもの抵抗としてしっかり約束を取り付けるのだった。
- 10二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:35:16
たておつです
本当にボロボロだ
頼むから死なないでくれよ! - 11二次元好きの匿名さん25/08/15(金) 22:37:56
この誰かのために無茶をするコンビはよぉ…
- 12二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 00:11:22
カナには一体どんな秘策があるのか…
- 13二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 08:05:36
無茶する
- 14二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 14:45:34
フウカも覚悟が決まってるね
- 15◆VLlUGaOg9c25/08/16(土) 17:27:15
ミカ*テラー「シッ――ッ!!」
ズガァァンッ!(衝撃音)
ホシノ「っとぉ!危ない、危ない!」
ナレーション
戦場は膠着していた。ミカ*テラーが殴って、ホシノの盾で防いで、その繰り返しだ。
自分は世界を滅ぼす存在として死ぬまで戦うつもりのミカ*テラーに対し、
カナの考察を切欠に全力ではあるが死なせないように戦っている生徒たち。
小鳥遊ホシノ・美甘ネルを中心とした実力者たちが揃っていても加減の出来ない『死兵』に対して、
死なせないように戦おうと思うと防戦に回らざるを得ず、互いにままならない歯痒い状況が続いている。
……ララ――ッ!!(走行音)
ネル「ちっ!流石に数の差で戦えてるが、どうにも、やりずれぇな…!」
イチカ「っすね。私なんてもうずっとキツくて…・・・ん?なんか、聞こえないっすか?」
アリス「っ!?たしかに、車の音が聞こえました!!イベントでしょうか!?」
ネル「っ!!全員、避けろ!!」
ナレーション
1人で複数人を相手にするミカ*テラーや盾持ちとして防御の要を担うホシノは、その音に気付くのに一瞬遅れた。
凄まじい勢いでアクセルを踏み込んで、文字通りの猛スピードで突撃してくる1台の車両。その走行音に。
- 16◆VLlUGaOg9c25/08/16(土) 17:28:29
- 17二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 22:20:50
フウカ?!
- 18二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 22:51:11
無茶するなあ
- 19二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 06:01:06
保守
- 20二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 06:04:57
やりやがった…しかも地味にホシノまで巻き込んでる…
- 21◆VLlUGaOg9c25/08/17(日) 07:12:47
- 22二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 10:55:00
まぁ、なんとかなるやろの精神
- 23二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 16:32:12
逆転の一手
- 24◆VLlUGaOg9c25/08/17(日) 21:25:53
代理モブ「アリウス編嬉しいし、1はずっと待っていたいんですが、
これ本作も含めてアリウスを取り扱う二次創作勢が爆散するのでは???
…いや、良く考えなくても、二次創作勢以外も薙ぎ払われるので誤差ですね」
ホシノ「うへぇっ!?ちょっと、一体何なのさ~っ!?」
ミカ*テラー「轢き逃げアタック?こんなので、私がやられる訳……っ!?」
ナレーション
幾らアクセルを全開にして突っ込んだとはいえ、車がぶつかった程度では2人は怪我もしない。
突然のことで対応こそ遅れたが、この程度の奇襲はミカ*テラーにとってもホシノにとっても攻撃ですら無い。
だが、突っ込んで来た車……それに乗っていた【2人】を見てミカ*テラーは絶句した。
ミカ*テラー「脆い先生を戦場のド真ん中に連れてくるなんて、一体何のつもりっ!?」
ナレーション
巫山戯た真似をしでかしたゲヘナ生に対して、ミカ*テラーは思わず声を荒らげる。
シャーレの先生は脆い。銃弾程度じゃあ痕も残らないキヴォトスの生徒とは違うのだ。
それを良く知っているからこそ、ミカ*テラーは激高して怒鳴りつけた。
フウカ「…うん、まぁ、そうなるよね。でも、これしか無いらしいから…」
ナレーション
グッタリしたフウカの言葉に、ミカ*テラーは「は?」と困惑を漏らす。
フウカが主犯では無いのならと、ミカ*テラーは今度は先生へと視線を向けたが静かに首を振った。
ミカ*テラー「いや、待ってよ。他にこんな巫山戯た作戦立てるようなヤツ、ここには………」
ナレーション
ミカ*テラーがそこまで言いかけた時、彼女の背後で光が走った。
- 25二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 23:18:11
いるんですよ、誰かのためにとびっきりのふざけた無茶をするスゴいバカが
- 26二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 05:52:43
この世界のアリウスは随分変わったんやなって
- 27◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 06:41:10
ナレーション
誰もが光に振り向くと、そこでは倒れ込むようにカナがプレナパテスにくっついている。
一見すると、事案案件のようにすら見えるの中、カナは至って真剣にカードをプレナパテスの胸に叩きつけていた。
ミカ*テラー「っ!?先生に何するのっ!?」
"ホシノ、止めてっ!!"
ホシノ「私っ!?もう、後でちゃんと説明してよっ!?」
ナレーション
一緒に地獄を歩いてくれた先生護ろうとミカ*テラーは動き出すが、ホシノに捕まって拘束されてしまう。
力と体格で勝るミカ*テラーは強引に引き剥がそうとするが、そうする間にも光は段々と強くなっていく。
全部…聞いたぞ…っ!
ナレーション
既に数回目の使用。使用限界が近いのか、カードも持主同様に限界が近い。
カナのカードは悲鳴を上げるように音を立てて罅が入り、割れた欠片が光の粒子となってプレナパテスへ向かう。
憤りの声とともに、カナは最後の願いをカードに託した。
セイアたちの願いだ……2人を自由にしてくれっ!
ナレーション
去ってしまった者たちから託された、優しくて切ない願いを。 - 28二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 12:17:21
成程ここかぁ
- 29◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 18:23:24
代理モブ「本スレ世界線はそもそもアリウスが分裂してないので、
恐らく、アリウス和解編は丸々消失した形になると思います」
代理モブB「カナという光のバカが照らし続けたのに加えて、
アリスクが行動を起こす前に周囲の説得に回ってる上、
トリニティからの支援という文化爆弾がありましたからね。
なんなら、カナがベアトリーチェから直接次の生徒会長として指名されてます」
代理モブC「それでも消失したと断定出来ないのは、治区自体に何かがある可能性があるからですね。
ミレニアムの廃墟みたいな場所がないとは言い切れない」
代理モブ「それはそれとして、本スレの補習授業部編だと、
PVのイケメン女子がヒーヒー言いながら小学校の算数やってたと思うと、可哀想だけど可愛いです」
- 30◆VLlUGaOg9c25/08/18(月) 23:05:35
ナレーション
このキヴォトスの何処かに隠された、とある大人の隠れ家。崇高を探求するアトリエ。
照明はシャンデリア、窓硝子は新校舎聖堂の物と良く似たステンドグラスになっており、
規則正しく書棚が並んで中央の道を空けて、奥の机と椅子には部屋の主が座していた。
アリウス分校、前生徒会長ベアトリーチェの研究所である。
パリンッ(グラスが割れる音)
ナレーション
ベアトリーチェ本を開いて目を通しながら、優雅にグラスワインを手に取った…筈だった。
しかし、彼女の望みとは裏腹にグラスは宙を舞い、甲高い音とともにワインを撒き散らす。
ベアトリーチェ「…なるほど、どうやら相当に無茶をしているようですね」
ナレーション
ベアトリーチェは、袖口から先が無くなった右腕を見て吐き捨てる。
痛みすら感じることなく、自らの手を失うという異常に対して酷く冷静であった。
ベアトリーチェ「相手は色彩をも利用する者。1度も使わずに終るとは思っていませんでしたが、ここまでとは……
…いや、あれのことですから、また敵を相手に情けでも掛けているのかもしれません」
ナレーション
ベアトリーチェの興味はもう失われた手では無く、自らの後継へと向かっていた。
支配者と兵士、敵と味方、独裁者と一般生徒。元より仲が良いとは言えない間柄だが、無駄死には癪に障る。
カナは理解者であり、後継であり、認めた相手だ。簡単に負けられては自身の沽券に関わる。
そうして自らに言い訳して、ベアトリーチェは自らを喰らう切札を託したのだ。ようするにツンデレである。
ベアトリーチェ「そもそも、譲り渡したもの。カードをどのように使おうと構いません。
…ですが、アリウスの名にかけて敗北は赦しませんよ……神子柴カナ」 - 31二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 23:28:40
初めてベアトリーチェの事かっこよく見えたよ
- 32二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 00:37:39
ベアトリーチェ、お前…
- 33二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 08:07:53
分かってたけど消えそうになるのやっぱつれぇよ…
- 34二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 15:50:31
どこまで行けちゃうのか
不安だ… - 35◆VLlUGaOg9c25/08/19(火) 22:12:38
ゴーストセイア(回想)『いいかい?大事なのは「道理」。筋道を立てることだ。
私はそのカードについて詳しくないが、人の手で作られたモノなら相応の道理がある筈だ。
だからこそ、その道理に寄り添って、どうやって何を望むのかを明確にするべきだろう』
ナレーション
水に入らなければ溺れないように、火に触れなければ焼かれないように、全ての物事には理由…つまり道理がある。
大人のカードも同じことで、ただ相手を焼くよりも、火を出して焼いた方が効率が良い。道理を通しているからだ。
「自由にする」なんて抽象的なゴールなら尚のこと、そうするための道筋が重要になる。
ゴーストセイア(回想)『だから、もし本当に君がミカを救うことを望んでくれるのなら……こうすれば良い』
ナレーション
死した知恵者ゴーストセイアの助言通りに、カナは光り輝く砕けたカードを握り締める。
そして大きく振りかぶって、プレナパテスの後ろ……狙うべき相手へ向けて引き絞った。
カードが繋いだ光の道筋が、届くはずのない拳を届かせる。
古い怨みで何も知らない2人を利用して、黒幕気取りで欲をかき、他所の世界まで手を出した卑怯者へと。
???『大人のカードだと!?まさか、何故――ッ!!』
これ以上……手を出すなぁぁぁぁーーーっ!!
???『お前はこの選択を……未来永劫、後悔するだうう゛ぉあぁ――!!?』
ナレーション
プレナパテスを操る司祭たちを、光の拳が殴り飛ばした。
- 36二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 01:03:33
まさかの無名の司祭をステゴロで倒しやがったw
- 37二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 06:54:28
光になれー!
- 38二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:23:53
保守
- 39二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:32:30
やったわ、カナちゃん…よくやった!
- 40二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:49:28
このレスは削除されています
- 41◆VLlUGaOg9c25/08/20(水) 22:51:39
やっ…た……
"あっ!…あれ?身体が…"
ナレーション
振り抜いた拳が嫌な音と立てると同時、限界を超えたカナはそのまま前のめりに倒れこむ。
反射的にその身体を支えたことで、プレナパテスは初めて自分の身体が動かせることに気が付いた。
ナレーション
事情を聞こうにも、カナは身体中に巻かれた包帯に血が滲んでいて話が出来るようには見えず、
プレナパテスは恩人と思わしき生徒をゆっくりと、怪我が悪化しないよう丁寧に横に寝かせる。
まだ仮面越しではあるが、かつて聞いた通りの優しい声を前にして、ミカ*テラーは無意識に銃を手放した。
ミカ*テラー「先生…なの?本当に、昔の先生に戻ってくれたの…??」
"…・うん。心配掛けてごめんね、ミカ"
ナレーション
生きていた頃…プレナパテスとなる前の先生とは、ミカ*テラーもそれほど長い付き合いでは無かったが、
それでも、ミカ*テラーには、先生が困ったような柔らかい笑顔を浮かべてくれているのが分かった。
ミカ*テラー「先生、私は……」
"ミカ。私は今でも、ミカの味方だよ"
ナレーション
あの日、プールサイドで"ミカの味方でもあるよ"と言ってくれた。あの先生が戻って来た。 - 42◆VLlUGaOg9c25/08/20(水) 22:55:01
- 43二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:57:39
やりやがったw次元の壁とかそういうのを無視できるって下手したらオリジナルのカードより高性能な部分あるのではw
- 44◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 06:57:57
- 45二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 08:36:59
ゴーストセイアは後悔してたからなぁ…
カナちゃんに託した事で少しは救われてくれると良いんだが - 46二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 11:20:39
よかった…
よかったなぁ… - 47二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 20:17:57
これもしかしてプレナパテス生存√入ったか?
- 48◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 21:48:34
ナレーション
かつて貰ったものと同じ、悪い子である自分を生徒として心から想ってくれている言葉。
自分の所為で失った筈のそれはミカ*テラーの心を強く揺さぶった。もう一度、やり直せるかもしれないと想えた。
セイア(幻覚)『ミカ』
ナギサ(幻覚)『ミカさん』
ミカ*テラー「っ!!」
ナレーション
自分の所為で命を落とした幼馴染みが、友だちが、名前も知らない…でも生きていた人たちが彼女を取り囲む。
幻覚だ。ミカ*テラー自身の心が自らを罰する為に、戒めるために、罪を幻視させていた。
大切な人が血に濡れながら、怨みめしく睨み付けてくる姿がミカ*テラーに焼き付いて離れてない。
………実際には、死に目どころか亡骸にすら会えなかったというのに。
ミカ*テラー「…ダメだよ。私は全ての悪を裁き、世界を滅ぼす存在。利用相手は居ても…味方は居ちゃいけない」
ミカ*テラー(嫌だ、苦しい、赦して、終らせて――――巫山戯るな。魔女め)
ナレーション
ミカ*テラーは赦しを求める心を噛み殺し、最期の時まで悪であると決めた。
その名はミカ*テラー。慈悲の守り手ではなく、独善の断罪者として覚醒した――恐怖である。
ミカ*テラー「だから、貴方たちのために…祈るね《ごめんね》」
ナレーション
涙を溜めて震えた声で、少女は護りたかった人へ向ける拳を握った。
- 49◆VLlUGaOg9c25/08/21(木) 22:06:44
- 50二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 23:39:57
ゴーストセイア…ゴーストナギサ…お前達…
- 51二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 05:58:05
カードでちょっとだけ繋がったのかな
- 52二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 12:04:40
亡き友人達が背中を押してくれたからミカ*テラーも素直になれると良いね
- 53二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:31:41
これで少しでも魔女からお姫様に戻れれば…
- 54◆VLlUGaOg9c25/08/22(金) 23:19:11
ミカ*テラー「わた、私は……」
ナレーション
上から目線で理屈っぽくて、子ども相手に諭すようなムカつく…
…でも、素直で真っ直ぐで、筋が通らないことは文字通り死んでもしなかったセイア。
それに何時も自分のことを想ってくれていた、真面目で厳しいけど、ちょっと抜けたところもある優しいナギサ。
時間が経っても、大切なその時間を忘れはしないその。何時も聞いていた声はミカ*テラー……ミカに届いた。
ミカ*テラー(2人とも…優しすぎるよ)
ナレーション
理性が、過去が、罪の意識が「お前は魔女だ」とミカ*テラーを締めつける。
けれど、でも、もし本当に叶うのなら?例え赦されなくても、せめて…せめて魔女では無く人として償えたなら?
分不相応な願いだと分かっていても、ミカ*テラーは願いを捨てきることは出来なかった。
"ミカ"
ナレーション
迷い立ち止まった生徒の為に、プレナパテス……先生が膝をついた。
仮面にゴテゴテした不気味な鎧が騎士のように、手を取られたミカ*テラー……お姫様に寄り添っている。
"何度だって言う。私はミカの味方だよ"
ミカ*テラー「っ!!?」
ナレーション
それはまるで物語の1幕のように、美しくて絵になる光景だった。
- 55二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 07:44:50
美しい…
すぐそこに瀕死で転がってるカナちゃんがいるけど… - 56二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 12:43:02
良かった…
- 57二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 18:57:55
もう自分を赦して良いんだよ、ミカ
- 58二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:59:28
ゴーストティーパーティーの二人はもう赦してるからな…
- 59◆VLlUGaOg9c25/08/24(日) 00:11:13
"確かに…ミカは間違えたかもしれない。理由はどうあれ、色んな人を傷つけたかもしれない。
けど、私は知っているよ。ミカがセイアを傷つけて苦しんでいたことも、ナギサを護ろうとしたことも知っている"
ナレーション
先生らしく、静かに優しく、寄り添うように語りかける。
例え死して屍に成り果てようと、無銘の司祭の操り人形になろうと、生徒のことだけは忘れなかった。
仮面と鎧に身を隠そうとも、その本質は決して変わらない。プレナパテスもまた、先生であった。
"今だってそうだよ、ずっと苦しんでる。もし、ミカが本当に酷い人なら…・・そんな顔はしないと思う"
ナレーション
生徒よりもずっと貧弱な筈のプレナパテスの腕がミカ*テラーを引き込み、抱きしめて指で涙を拭い去る。
散々暴れ回ったあのミカ*テラーがまるで小さな子どものように、プレナパテスの大きな鎧に包み込まれた。
"だから、今でもずっと私はミカの味方だし……ミカは魔女じゃないよ"
ミカ*テラー「…めん、なさい。ごめんなさい、先生…っ!私、私ぃ……っ!!」
ナレーション
そうして、ようやく、悪い魔女になろうとした可哀想なお姫様は、鎧の王子様の胸で泣くことが出来ましたとさ。
フウカ「…あの、感動の再会中に悪いんだけど、早くしてくれない?
なんか、カナの腕がぐにゃぐちゃになってるから、早く帰ってちゃんと治療受けさせたいんだけど……」
ナレーション
一方、1番の功労者は地ベタでまた死にかけていた。
- 60二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 00:28:24
カナちゃーーーん!?
- 61二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 08:54:57
あと先生の腰もな
- 62二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 13:41:29
みんな大分ボロボロだからな
- 63◆VLlUGaOg9c25/08/24(日) 21:27:19
ミカ*テラー「っ!ご、ごめんなさい!や、やっぱり、痛かったよね。私、やっぱり・・・」
”はい、ストップ。気持ちは分かるし、謝るのは大事だけど、先ずは今やらなきゃいけないことをしようか”
ナレーション
自分が傷つけてしまい、今正に死に向かっている少女を前にして、再びミカ*テラーの罪悪感が刺激される。
しかし、プレナパテスは生徒が自分を責めて苦しみ過ぎないよう諫めると、自らのシッテムの箱を取り出した。
”A.R.O.N.A。全面降伏だ、全ての兵を引かせて・・・みんなを無事に地上に帰す”
A.R.O.N.A「先生・・・それは・・・・・・」
”頼むよ、A.R.O.N.A。私の相棒。君にしか頼めないんだ”
ナレーション
カナの活躍によってプレナパテスたちは戦う理由も無くなった。
ネルやアリスやホシノなんかも、余りの急展開に若干困惑してはいるが、ハッピーエンドの気配を感じている。
なのに、プレナパテスの指示を受けた黒いA.R.O.N.Aはどこか苦しそうで、今にも泣き出しそうだ。
A.R.O.N.A「・・・了承。自爆シーケンスを完全凍結。色彩による疑似サンクトゥム及び複製の生成を停止。
アトラ・シハースの箱舟の制御権を「ウトナピシュティムの本船」に譲渡します」
ナレーション
それでも、長きに渡り先生を支え続けてきた生徒は、先生の決意を汲んで指示に従った。
生徒が絡んだ時の主が相当な頑固者だと、そのOSは良く知っていたから。
”ありがとう、A.R.O.N.A。――――さて、それじゃあ、2人とも。お別れだ”
ナレーション
努めて明るい声は、仮面越しでも笑っているように聞こえた。
- 64二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 23:55:38
プレ先…
- 65二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 08:29:15
やっぱりなのか…
- 66二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:25:06
この世界でもやっぱり先生なんだなぁ
- 67二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 21:03:41
保守
- 68◆VLlUGaOg9c25/08/25(月) 22:22:19
ミカ*テラー「えっ、何で、お別れって・・・・・・」
”そのままの意味だよ、ミカ。私たちはここでお別れだ。・・・ごめんね”
ナレーション
ミカ*テラーの表情は絶望に染まる。
無理も無い。幼馴染みも、同僚も、友人も全て失って、それでも尚、自分を見捨てずに一緒に居てくれた人が、
やっと久し振りに声を聞けた、やっともう一度話し合えるようになった人が、お別れだなんて言うのだ。
暗闇の荒野に進みべき道標を照らしてくれた光を失うようなもの。苦しくない訳がなかった。
ミカ*テラー「わ、私のせい?やっぱり、私が悪い子だから、魔女だから?そ」
”違うよ。絶対にミカの所為なんかじゃない。ただ・・・・・私は、死人だから”
ナレーション
プレナパテスの言葉には悲痛な諦念があった。苦しい、辛い、認めたくない・・・・それでも、現実を見据えた諦めが。
無銘の司祭の策謀によって色彩の力で動いているが、本来プレナパテスは死人だ。
そもそも今ここに居ること自体が奇跡の産物、偶然が重なり合った、有り得ざる輝きだ。
A.R.O.N.A「・・・先生の身体は色彩のエネルギーとナムラ・シンの玉座の特異性によって動いています。
その存在と保つには、アトラ・シハースの箱舟と同程度の演算装置を用いて、
私・・・あるいは私に準ずる電算能力の持主が、ナムラ・シンの玉座を維持し続けなければなりません」
ミカ*テラー「なら、やってよ!先生の為なんだよっ!?アロナちゃんなら出来るんでしょっ!?」
A.R.O.N.A「私も、その積もりでした。先生の為なら、何百年でも演算し続けても構いません。ですが・・・・・・」
ナレーション
俯き気味に、A.R.O.N.Aはプレナパテス・・・己が先生へと視線を向けるが、先生は首を横に振って返した。
- 69二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:40:10
本人が望んでない以上できないか…
- 70二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 06:52:22
お別れか…
- 71二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 12:35:34
本編よりちょっと長めにお話しできただけでもマダムカード相当凄い事してる
- 72二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 21:00:53
保守
- 73◆VLlUGaOg9c25/08/26(火) 21:17:55
”ありがとう。ミカ、A.R.O.N.A。私を・・・死者を想ってくれるのは嬉しい。思い出してくれるのも嬉しいよ。
・・・でも、死人が今生きているみんなの枷になるのはダメ。そんなの、私も、みんなも望んで無いよ”
ナレーション
シッテムの箱のメインOSを務められるほどに優秀なプラナであっても、ナムラ・シンの玉座の形成は大仕事だ。
アトラ・シハースほどの演算装置があれば掛かりきりにはならないが、それでも、かなりのリソースを要する。
その上、運用のためにずっと演算装置の側に拘束され続けることになるだろう。
ミカ*テラー「で、でもっ、本当にそれでいいのっ!?このままお別れして、死んじゃっても良いのっ!?
・・・・・・・・・先生まで、私を置いていくの?」
A.R.O.N.A「・・・私は、シッテムの箱のメインOS。先生の望みを支えることが・・・・・・私の役割です」
ナレーション
生徒たちの悲痛な訴え。だが、プレナパテスも苦しくない訳がない、寂しくない訳がない。
死の先に何があるか?誰も分からないが、目の前の生徒たちに会えなくなるのは確かなのだから。
”――ありがとう、A.R.O.N.A、ミカ。2人に・・・生徒にそんな風に言って貰えて、私は本当に幸せ者だよ”
ナレーション
それでもプレナパテスは生きると言わず、ただ包帯に巻かれた両腕を伸ばし、愛する生徒たちの頭を優しく撫でた。
”私も本当は寂しいよ。・・・うん、凄く寂しい。
けれど、私は2人が何時か・・・周りの大切な人たちに愛し愛されて、心から笑えるようになるのが見たいから。
・・・だから、ごめん。例えここでお別れになっても、君たちの物語の邪魔は出来ない”
ナレーション
寂しくなるほどに親しくて、苦しくなるほどに愛しいから、大切な生徒たちの未来の枷にはなれない。
プレナパテスはゆっくりと両腕を頭から離すと、今度は2人を勢いよく抱きしめた。
”・・・さようなら。次はなるべく未来で会おうね” - 74◆VLlUGaOg9c25/08/26(火) 21:24:19
- 75二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:59:08
あ、そうじゃん!
まだ対策委員会編3章がまだだからホシノの情緒がヤベー事になるやつだよ!? - 76二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 06:57:27
しゃーない
- 77二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 12:13:52
悲しいなぁ
- 78二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 21:17:53
このレスは削除されています
- 79◆VLlUGaOg9c25/08/27(水) 22:37:09
ナレーション
死者は戻らない。本来それが自然の摂理であり、道理である。分かっている。本当は分かっている
ミカ*テラー「先生ぇ・・・先生ぇ・・・寂しいよぉ、先生ぇっ!」
A.R.O.N.A「ぐすっ、ひぐっ、えっぐ・・・っ!」
ナレーション
だけど、人の心は弱いのだ。
2人とも本来は聡い生徒だ。先生の願いも、その意味も、本当は分かっている。分かっていても、苦しいのだ。
奇麗な顔を涙と嗚咽で汚して、困らせると分かっていても縋り付かずには居られない。
プレナパテスはそんな生徒たちの弱さを叱ることなく、震える身体でしっかりと抱きしめる。
・・・・・・2人が、何時かの未来にこの温もりを思い出せるように。
”・・・・・・さっ、いい加減もう時間だ。名残惜しいけど、何時までもという訳にはいかないからね”
ナレーション
やがて縋り付く生徒たちを断腸の思いで引き剥がすと、
プレナパテスは明るく・・・どこか涙混じりの声で生徒たちに言い聞かせる。
ミカ*テラー「・・・・・・うん、沢山困らせちゃってごめんなさい。・・・ありがとう、先生」
A.R.O.N.A「「・・・いままで、ありがとうございました」
ナレーション
恩師の苦しさと願いは充分伝わった。だから、ミカ*テラーもA.R.O.N.Aもそれに応えた。
泣き腫れた赤い顔にぎこちない・・・けれど精一杯の感謝を込めた笑顔を浮かべて、2人は深く頭を下げる。
- 80◆VLlUGaOg9c25/08/27(水) 22:38:26
- 81二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 04:26:54
プレ先…
- 82二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 10:55:03
死は回避できなかったかぁ
- 83二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:07:11
保守
- 84二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 21:53:53
あれ、そういやこの後あれか?
- 85◆VLlUGaOg9c25/08/28(木) 22:16:26
ナレーション
さて、そうと決まればキヴォトスの生徒たちは大慌てで帰還の準備をし始めた。
負傷者の治療は勿論、1荒れた治安の回復に壊れた施設・設備の補填等々・・・事後処理の仕事が山ほどある。
なので、全員もう大慌てでの帰り支度でバタバタしていた。
ホシノ「先生、ずっと寝っ転がってどうしたの?おじさんの真似?」
”いや、腰が・・・っ!”
ミカ「ああ、ごめん!おんぶでいいかな?」
ネル「アホ、お前も重傷人だろ。変われ」
アリス「ダメです!チビメイド先輩では先生を引きずってしまいます!」
ナレーション
年頃の女の子が何人も集まっていれば、ただの帰り支度ですらも喧しいほどに姦しい。
その懐かしくも心地よい光景を遠目に見ながら、プレナパテスの視界にはかつての生徒たちの姿が映っていた。
”・・・あの光景を、護りたかったんだけどね”
イチカ「私はダメっすよ。背中にカナ様がいるので」
フウカ「その姿勢、胸圧迫しない?お姫様抱っこの方が良いんじゃあ・・・」
”ていうか、車じゃあダメなの・・・?”
ナレーション
もう届かない。護れなかった何時かの平穏を前にして、プレナパテスは無意識に手を伸ばす。
帰り支度に夢中の生徒たちが気が付くことはなく、その手は空をすり抜ける筈だったが・・・・・・
???『お疲れ様です、先生』
ナレーション
姿無き優しい誰かが、先生のを優しく握るのだった。
- 86◆VLlUGaOg9c25/08/28(木) 22:25:50
代理モブ「回避出来なかったというか、この世界に来た時点で既に死んでるので・・・・・・
・・・地下生活者と同じことを言うようで尺ですが、幾ら先生でも「過去」は変えられませんから」
代理モブB「だから、まだ生きている生徒を託す必要だあったんですね。
変えられない過去ではなく、未来を変えるためにプレナパテス先生は戦ったんです」
代理モブC「どんなに不良生徒でも、先生にとっては可愛い生徒ですからね」
代理モブ「ラストはプレナパテス世界線の生徒・・・生きているミカとA.R.O.N.A以外の誰かが迎えに来たので、
具体的に誰とは決めてません。皆さんの好きな生徒(生存者のミカとA.R.O.N.A以外)で想像して下さい」
代理モブB「順当に考えれば親愛度が一番高い子ですかね?それかメモロビ童貞を奪うユウカ」
代理モブC「まぁ、誰であったとしても、生徒側も先生のことをずっと心配して見守っていたということで・・・」
- 87二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 06:46:40
なるほどなぁ
- 88二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 12:23:29
ひょっとすると我々はまだ観測できてない生徒が来たかもしれませんね
- 89二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 21:05:11
プレ先も最後に賑やかな生徒達を見られて良かったね…
- 90二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 22:59:50
大事な生徒を託し、大事な生徒に迎えられる…
プレ先にとってこれは以上ない救いか… - 91◆VLlUGaOg9c25/08/29(金) 23:56:28
ナレーション
一方、生徒たちはウトナピシュティムの本船の乗り込んだ。
帰るまでが遠足・・・いや、遠足ではないが、兎も角、生きて帰るまでが戦いだ。
ヒフミ「やっぱり、速いですね。もうアトラ・シハースがあんなに遠いです」
ミカ*テラー「先生・・・」
ナレーション
とはいえ、山は越えて後は帰るだけなのも事実。
オペレーターたちはウトナピシュティムの操縦があるが、実働隊の生徒なんかは何もやることが無くて暇している。
そんな中、行きは乗っていなかった2人・・・プレナパテスが託した、平行世界の生徒たちはずっと外を見ていた。
モモカ「なぁに、黄昏れてるのさ」
ミカ*テラー「貴女は・・・・・・たしか、連邦生徒会の・・・?」
モモカ「おー、知ってたんだ?そっちの私にでも会った?まあ、いいや。
それより・・・これから大変だよ?何しろ、あれだけの事件を引き起こした主犯格だからねぇ」
ナレーション
モモカの言う通り、どんな事情があろうと・・・例え死者に託された人だろうと、大事件の実行犯に違いは無い。
正確に言えば黒幕はカナに殴り飛ばされた司祭たちだが、そんなものは確かめようもない。
どう足掻いても、誰かが責任を取るしかない以上、その役に最も相応しいのはミカ*テラーしか居ないだろう。
”あの先生とリン先輩なら悪いようにはしないだろうけど・・・色々面倒くさいから脱獄とかは止めてね”
ミカ*テラー「・・・しないよ、そんなこと」
ナレーション
やっと、法が罪を裁いてくれるのだ。やっと、自分の悪事を糾弾して罰を与えてくれるのだ。
本当はずっと待ち望んでいた救いが近づいているのに、ミカ*テラーの心には寂しさの穴が開いていた。
- 92二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 08:17:26
そうか、色々スキップしたから慌てなくていい余裕があるのか
- 93二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 08:26:03
しかもウトナピシュティムの本船は動かせるくらいには無事という
- 94二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 14:43:03
色々あってミカの心境は複雑だね…
- 95◆VLlUGaOg9c25/08/30(土) 22:14:00
代理モブ「誤字報告です。
”あの先生とリン先輩なら悪いようにはしないだろうけど・・・色々面倒くさいから脱獄とかは止めてね”
はこの書き方だと先生の台詞みたいになりますが、正しくはモモカの台詞ですね。訂正致します」
ミカ「痛っ!・・・ねぇ、痛み止めとか無いの?」
イチカ「すいません。私も本職じゃないですから・・・」
アリス「先生、大丈夫ですか?元気ないですね」
”大丈夫じゃないけど・・・もう帰るだけだからね。もうちょっと頑張るよ”
ナレーション
ウトナピシュティムに乗った実働隊の生徒たちは死屍累々・・・という程では無いが、負傷者ばかりだ。
ミカ*テラーと戦った生徒たちは特に顕著で、動く度に傷が痛む子も珍しくない。カナなんか、ずっと意識不明だ。
そんな彼女たちの苦しそうな声を聞く度、姿を目に入れる度、罪悪感がミカ*テラーを刺激していた。
ミカ*テラー「私は悪い子だから・・・ちゃんと償わないとね」
ナレーション
ミカ*テラーとカナの問答、そしてプレナパテストのやりとりは通信越しにモモカも聞いている。
しかし、いかんせん、やらかしたことがことだ。一応、投降してきたとはいえ戦力的には完全な拘束も難しい。
なので一応、連邦生徒会の幹部として念の為に探りを入れに来たのだが・・・・・・
モモカ「・・・ああ、もう、そんな顔されるとやり辛いなぁ・・・っ!
安心しなよ、さっきも言ったけどリン先輩も先生も鬼じゃないから」
ナレーション
今にも消え入りそうな儚い顔をされたのでは、モモカもやり辛くって仕方が無かった。
- 96二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 23:59:04
まぁ、テラーとしてやってきた事がやってきた事だからねぇ…
- 97二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 06:17:51
どうなるかなぁ
- 98二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 12:35:14
保守
- 99二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:01:47
とりあえず無事に帰れそうで良かった
- 100◆VLlUGaOg9c25/08/31(日) 22:35:11
ミカ*テラー「…うん、ありがとうね」
モモカ「うん、じゃないよ。本当に分かってる?償いっていうのは向き合うことなの。
アンタはそれが出来てるんだから、後は最低限けじめだけつければそれで良いんだよ」
ナレーション
普段はちゃらんぽらんのサボり魔だが、曲がりなりにもモモカは連邦生徒会の幹部である。
防衛室や矯正局がある意味も、その理想も、本業では無いなりにちゃんと分かっている。
分かっているからこそ、ミカ*テラーを放ってはおけなかった。
ミカ*テラー「…分かってる。けじめ、ちゃんとつけるよ」
ナレーション
殊勝なのはいい。辛気臭いが、罪を犯した者として在るべき姿だ。
だけど、必要以上に背負われるのは宜しくない。犯した分だけ、償えば良いのだ。
そういうことを言いたいのだが、ミカ*テラーは暗くなるばかり。
反省していること自体は良いのだが・・・・・・・・・モモカはどうすれば伝わるのかと頭を捻った。
モモカ「だから、そうじゃないんだよ。なんて言うのかな………
私たちが…いや、部署違うけど、やってるのは私刑じゃないの」
ミカ「私刑じゃない…?」
モモカ「そう、アンタは自分がやった分だけ背負えば良いの。
あの先生は自分で最後を選んだし、その並行世界?も、別にアンタ1人で滅んだわけじゃない」
ナレーション
確かに、ミカ*テラーは罪を犯した。何しろ、世界滅亡未遂だ、前代未聞の大犯罪である。
・・・だが、結果的に、彼女はこの世界で誰も殺さなかった。元の世界ででも、望んで暴れたようには思えない。
あのプレナパテスは、教え子に罪を押しつけるために死んだ訳では無いのだ。
モモカ「なのに、生かした生徒《アンタ》が勝手に背負い込んで潰れそうになるなんて・・・・・・バカらしいでしょ?」
- 101二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 03:54:31
責任感があるのはいい事だけど
それはそれ - 102◆VLlUGaOg9c25/09/01(月) 06:52:36
ミカ*テラー「そんなことは…」
モモカ「あるよ。速度違反するヤツだってね、みんなそれだけカッ飛ばす理由があるんだから。
……何にだって、誰にだって、理由はある。だから、その理由の分まで余計に背負わなくて良いんだよ」
ナレーション
モモカはちゃらんぽらんなところが目立つが、それでも交通室の室長に選ばれた凄い女。
それは実務能力があるのもそうだが、モモカ自身が良く「人」を見ているからでもあり、
その上で、滅多なことでは揺らがない強い自我があるからでもある。
だからこそ、あれだけのことがあった後でも、モモカは何時も通りにさらりと言い放つ。
モモカ「人生、もっとゆる〜くいかないと。肩肘ばっかり張ってたら疲れちゃうよ?」
ナレーション
モモカは不敵に笑って見せた。
- 103二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 12:18:57
たのもしい
- 104二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 16:22:39
こういう普段ゆるいキャラが頼もしく笑ってくれる展開が好きだ
- 105二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:03:18
さすモモ
- 106二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 21:07:27
理解できる
- 107◆VLlUGaOg9c25/09/01(月) 22:06:33
《1週間後 ティーパーティーの庭園》
ナギサ「・・・お久しぶりです、先生。その後、調子の方はどうでしょうか?」
”いや、ナギサの方こそ大丈夫?隈が凄いけど・・・”
ナレーション
無事にウトナピシュティムの本舟が地上へと帰還してから、早いもので1週間。
事件そのものは終息したものの、影響は大きく、トリニティの現ホストであるナギサは激務を余儀なくされている。
寝れないからと何日も徹夜で仕事続きの上、ぼやけた頭を起こすのに必要以上にカフェインを取っており、
華の女子高生である筈が、ブラック会社に揉まれた末期の社畜のような哀愁とは儚さを纏わせていた。
ナギサ「熊?・・・ああ、目の下の方ですか。心配は不要です。カナさんの帰る場所を、護らねばなりませんから」
ナレーション
ミカは脅威の回復力によって3日で完治して退院したが、カナは未だに意識が戻らない。
ミネ団長は「カナ様のしぶとさは折り紙つきです」と称して慰めたが、それでナギサの心労が晴れるはずもなく、
可愛い・・・もとい親しい同僚にして友人の危篤という多大なストレスに晒され続けたナギサはもうボロボロ。
仕事に熱中するのも、半分は最悪の想像からの逃避だった。
”でも、ナギサが倒れたら元も子も無いよ”
ナギサ「お気遣い、ありがとうございます。ですが、本当に心配は要りません。
・・・それに、先生の方こそ大丈夫なのですか?
平行世界の2人の処遇について、連邦生徒会の方では未だに何も決まっていないとお聞きしますが・・・」
”ことがことだから、みんな慎重でね・・・”
ナレーション
ままならない、しかし、立場ある自分たちがやらねばならない後始末。
これから先も、まだまだ、それが続くのかと思うと2人は思わず溜息を漏らした。 - 108二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:49:25
カナは相当重症だったし回復に時間がかかるのも当然か
- 109二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 23:49:42
事後処理が終わるまでが作戦です…おつらい
- 110二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 06:54:32
大丈夫かなぁ
- 111二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 13:14:16
お疲れ様だね
- 112二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 21:28:10
保守
- 113◆VLlUGaOg9c25/09/02(火) 22:39:33
ナギサ「・・・他校の方はどうでしょうか?」
”ゲヘナはミカより1日早くヒナが復帰したよ。ミレニアムの方もネルも亜理寿も元の生活に戻ってる。
一応、リオも会長に復帰したよ。・・・・・・時々、リアを名乗ってトリニティに行こうとして止められてるけど”
ナギサ「・・・私は何も関知していません」
ナレーション
すっとお腹に手を当てながら、自分でも苦しいと分かる言い訳で追及を躱すナギサ。
彼女の心労を察して、先生はそれ以上の細かい追及をすること無く、何事も無かったかのように紅茶に口をつけた。
”・・・ああ、そうそう。ミレニアムといえば、ウトナピシュティムの管理所在について連邦生徒会と揉めてるみたい。
リンちゃんとしては今の連邦生徒会に管理する余力が無いから何処かに任せたいけど、
1学校・・・・・・それもミレニアムに渡すのは怖いって子も多くて、連邦生徒会内でも意見が纏まらないみたい”
ナギサ「あって欲しくはありませんが、次を考慮するならウトナピシュティムは残しておきたい。
的確な管理を任せるならミレニアムでしょうが、同時にミレニアムの力であれば悪用も可能・・・ですか”
ナレーション
色彩の力を持つ平行世界の生徒、もう一つのシッテムの箱、ウトナピシュティムの本舟。
事件がキヴォトスに齎した・・・言うなれば戦果とも呼べるそれらは、その特別性故に扱いが難しい。
1週間経った現在でも、その処遇が正式に決定したものが1つも無いのだ。
ナギサ「とはいえ、このまま延々と会議を踊らせる訳にもいきません」
”そうだね。だから、私は今日ここへ来たんだ。
・・・1連の事件の後始末について話し合う。各学園のトップを招いての合同会議、その実現の為の調整にね”
- 114◆VLlUGaOg9c25/09/02(火) 22:41:30
- 115二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 06:43:24
おぉ良かった
- 116二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 14:39:45
保守
- 117◆VLlUGaOg9c25/09/03(水) 21:27:01
ナレーション
カナの回復は政治的にも重要な出来事であるが、この時ばかりはナギサも先生も立場を忘れて病室へ急いだ。
座ることの多いナギサが、外聞を投げ捨てての全力疾走する姿に、あらゆるトリニティ生は二度見したという。
結局、ナギサは直ぐに息切れして倒れ込み、駆けつけた親友に担がれることになったが、
この1件は後に、ナギサの愛情深さを象徴する逸話としてトリニティ総合学園で代々語り継がれることだろう。
先生・ナギサ・ミカ"「「カナ(さん)(ちゃん)っ!!」」"
んぐっ!?
ナレーション
そんなこんなで、病室へと飛び込んだ一同を迎え入れたのは、ミルク粥を頬張るカナの姿だった。
1週間も寝ていたというのに痛々しいほどに全身包帯巻きなことを除けば、カナは本当に元気そうで、
リクライニングベッドの力があるとはいえ起き上がって自らの手で匙を握っていた。
んん・・・・・・ごくんっ!みんな、久し振りだな。元気に・・・・・・久し振り?
"無理も無いよ、1週間も寝ていたんだからね。・・・身体は大丈夫?もう起きても平気なのかい?"
ああ。身体は動くし、ご飯も食べられるから平気だ。
ミネ「本当なら起きてから暫くは、まだ点滴生活が続く予定だったのですが・・・・・・なんで食欲があるのでしょう?」
ナレーション
ニカーッ!と、何でも無いように気軽に笑うカナとは対照的に、主治医のミネは遠い目をしている。
完治3ヶ月は下らないはずのミカが3日で完治して退院してから4日、
連続して2度も医学の常識を越えた復活を見たことで、彼女は医者としての自分を疑い始めていた。
- 118二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:57:18
こういう風に大怪我した後でもケロっとしてるのが所がカナちゃんなんだろうなぁ…
- 119二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 07:01:58
ご飯食べれればなんとかなる
よかった - 120二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 12:49:08
かわいい
- 121二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 21:15:29
保守
- 122◆VLlUGaOg9c25/09/04(木) 22:48:56
ミネ「・・・理由は兎も角、実際カナ様は自力で起き上がって食事が出来ている。その現実は受け入れましょう。
ですが、くれぐれも・・・ええ、くれぐれも、無理はなさらないで下さい!
本来であれば、丸1年休学して貰っての長期間救護が必要・・・の筈なのです。決して、油断なさらないよう!」
ああ、分かった。ありがとう!
ナレーション
半ば諦めの境地に入ったミネの諫言にカナは笑顔で応える。
包帯に巻かれた身体。しかも、最後の大人のカードパンチに使った腕の骨が未だ潰れており片手しか使えない。
そうなると、やはりティーパーティー流の作法を身につけた今のカナでも食べにくいのか?
口元は米とミルクスープで白く染まっており、満面の笑みも相まって幼子のようだった。
ナギサ「ああ、カナさん。口元が汚れていますよ」
ああ、すまない。勿体ないな。
ミカ「多分、ナギちゃんが言いたいのは「はしたない」だと思うけど・・・・・・
・・・片手で食べにくいなら、あーんってしてあげようか?」
んー・・・・・・いや、リハビリだ。自分で食べうぷっ!?
ナレーション
心意気は立派だが、ナギサが自身のハンカチで丁寧に口を拭くので今一格好がつかないカナ。
そんな2人の姿にミカも楽しそうに笑い、少し離れたところから「余り動くな」とミネが睨みを効かせている。
そんな少女たちの姿に、やっと「日常」が帰ってきたんだと、先生は安堵の笑みを浮かべたのだった。
- 123二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 00:12:28
平和な光景でいいね…
- 124◆VLlUGaOg9c25/09/05(金) 06:58:34
- 125二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 06:58:36
きっとご飯が美味しいから治りが良いんだよ
- 126二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 10:07:42
ぶっちゃけ飯食えるなら体力の回復も早いだろうし潰れた腕は長い目でゆっくり治していけばいいからね、
- 127二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 18:43:58
セイアがいなかったのはお仕事とタイミングが重なったせいか
- 128二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 23:00:04
ゴーストの方のセイアの出番多かった分の調整的ななんかかな?
- 129◆VLlUGaOg9c25/09/05(金) 23:50:56
代理モブ「メタいことを言うと、1が素で忘れてて慌てて補足しました」
ナレーション
久し振りの元気なカナを前に、ミカも、ナギサも、先生も、医者として己を律していたミネでさえ笑顔になった。
日常の中の話をたくさんして、疲れた身体を忘れるぐらいはしゃいで、何時しか1時間2時間と時間は流れる。
フィリウス分派モブ「あの、ナギサ様?楽しそうなところ、大変申し訳ないのですが、そろそろお時間が・・・・・・」
パテル分派モブ「バカッ!邪魔したらダメなやつでしょ、これは!」
フィリウス分派モブ「いや、でも、ナギサ様たちじゃないとダメな仕事が沢山残っていますし、
完全に日が沈む前に先生に帰って貰わないと危ないですし、それに面会時間も・・・・・・」
パテル分派モブ「それは、そうだけど。・・・でも、先生なら空き教室にベッド運んで泊まって貰えば良いでしょ?
面会時間についても、こう、権限で上手いこと・・・」
ナギサ「聞こえていますよ、お2人とも。
・・・時間なら仕方ありません。不正をする訳にもいきませんし、今日はお暇しましょうか」
ミカ「えー?もう、そんな時間?ちょっと時計間違ってない?」
ナレーション
そうして、楽しい時間はあっという間に流れてしまった。
小声で忠言を呈するか否かを話し合う付き人2人に釘を刺して、ナギサはゆっくりとカナのベッドから離れる。
彼女は少し寂しそうにしながらも、躊躇うことなく文句を垂れる親友の手を引いた。
ナギサ「名残惜しいですが、明日もあります。明後日も、明明後日も、また時間を作ってお見舞いに来ましょう」
ナレーション
大切な友だちは、もう目を覚ましたのだから。
- 130二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 05:32:51
よかったぁ
セクシーセイアは、ドンマイ - 131二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 10:37:37
ここからまた日常を取り戻していくんですねぇ
- 132◆VLlUGaOg9c25/09/06(土) 11:08:17
- 133二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 18:28:10
保守
- 134◆VLlUGaOg9c25/09/06(土) 22:16:42
《幕間 獄中の天使》
ナレーション
原因や過程がどうあれ、キヴォトスを混乱に陥れたことには違い無い。
犯した罪への判決を受け入れることを望んだミカ*テラーは自首し、現在は勾留所に収容された。のだが・・・
ミカ*テラー「・・・暇だなぁ」
ナレーション
特に何かするわけでもなく、畳張りの狭い部屋で転がっていた。
いや、やることはあるのだ。勾留所内のスケジュールに従い、規則正しい生活を強いられてる。
のだが、そもそも勾留所は逮捕した被疑者が逃亡や証拠隠滅をしないよう一次的に拘束する場所。
まだ罪状や判決が出ていない人間が入るところであり、刑務作業なども無かった。
ミカ*テラー「まぁ、我ながら平行世界から世界滅ぼしに来た。なんて、罪状に困るだろうな。とは思うけどさ・・・
・・・だからって、ずっと何にも無いまんまなのは・・・どうなの?」
ナレーション
彼女も元は政治をする側に居た場所だ。自分のようなイレギュラーな存在の扱いが難しいのは理解している。
とはいえ、狭い留置所に放り込まれて音沙汰無しというのは、拍子抜けしてしまうのも仕方ない。
自分の罪を自覚して償う気持ちが強かったからこそ、何も無い日々へ思うところも大きかった。
ミカ*テラー「気晴らししようとしても、この部屋何にもないし・・・・・・流石にちょっと退屈」
ナレーション
気を紛らわせようにも、留置所の部屋の中には碌に物が無い。棚すら無いのだ。
元お嬢様の彼女から見ると狭い上に殺風景さしか感じられない、部屋というのも烏滸がましい、物置以下の空間。
ミカ*テラーは元の世界でやらかした時、幼馴染みは本当に温情をかけてくれたのだと今更になって理解した。
ここに比べれば、あの時の牢屋はまるで最高級ホテルのスイートルームだったから。 - 135二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 00:07:23
何もすることがない状況はある意味罰と言えるかな?
- 136二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 06:22:30
続き考えてくれるのありがてぇ
- 137二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 13:52:33
今はカナちゃん達にとっても1にとっても準備期間って感じかな
- 138二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 21:19:33
テラーちゃんどうなるんだろ
- 139◆VLlUGaOg9c25/09/07(日) 22:01:21
ヴァルキューレモブ「お前、寛ぎすぎだろ・・・・・・いや、まぁ、大人しくしてくれるのは有難いけどさぁ」
ナレーション
そんなミカ*テラーの退屈に現われたのは、勾留所に勤務するヴァルキューレの1生徒だった。
元より引鉄が軽く、検挙される犯罪は罪状明らかな現行犯が殆どのキヴォトスでは勾留所勤務自体が閑職に近い。
彼女の仕事は殆ど無く、その退屈さ故に情熱も余りない生徒ではあるが・・・・・・
ミカ*テラー「あ、巡回の子?悪いんだけど、本とかないかな?後、クローゼットとか姿見とか櫛とか・・・」
ヴァルキューレモブ「だから、寛ぎすぎだろ。自首してきた割に図々しいヤツだな・・・・・・」
ナレーション
それにしても目の前の被疑者の態度には「勾留所を何だと思ってるんだ、コイツは」と思うところがあった。
そもそもミカ*テラーは上が罪状を決めかねて起訴が遅れているから被疑者扱いなだけで、現行犯の犯罪者だ。
末端故に詳しい事情は知らないヴァルキューレの生徒もそのことは聞かされており、
ミカ*テラーに対しては「罪を認めて自首してきただけ、まだマシな犯罪者」程度の認識でしか無い。
ヴァルキューレモブ「ここ勾留所だぞ?ホテルじゃ無いんだ。そんなサービスある訳ないだろ。反省してろ反省」
ミカ*テラー「えぇーっ?」
ヴァルキューレモブ「「えぇーっ?」じゃない!ったく・・・・・・出ろ、面会が来てるぞ」
ナレーション
図々しくてムカつく相手だなと憤りながらも、ヴァルキューレの生徒は部屋の鍵を開ける。
懲罰中や入浴時間なら面会を追い返せるのだが、そうでないなら、面会相手に会うのも被疑者に与えられた権利だ。
警察として個人的な感情で権利を侵害しないだけの職業倫理が、ヴァルキューレの生徒にはあった。
- 140◆VLlUGaOg9c25/09/07(日) 22:14:02
- 141◆VLlUGaOg9c25/09/07(日) 22:47:31
- 142二次元好きの匿名さん25/09/07(日) 23:25:57
ミカ*テラーの面会に来たミカは何を話すかな?
- 143二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 07:56:53
保守
- 144二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 12:33:26
ドキドキするよね
二つの意味で - 145二次元好きの匿名さん25/09/08(月) 21:06:46
保守
- 146◆VLlUGaOg9c25/09/08(月) 22:55:50
ミカ「こんにちは!・・・で良いかな?なんか、自分と同じ顔に挨拶するのって不思議な感じ・・・」
ナレーション
予想通りと言うべきか?面会室へとやって来たミカ*テラーを出迎えたのは、この世界の自分・・・ミカだった。
アリウスとの和解という理想を果たし、罪を犯しても、全てを失ってもいない、かつて夢見た自分そのもの。
加えて、アトラ・シハースで散々殴って傷つけた相手でもあり、色んな意味でやりづらい相手に違い無い。
ミカ*テラーはどんな顔をしたら良いかも分からず、ただただ気まずそうに顔を顰めた。
ミカ*テラー「・・・どうして?何しに来たの?」
ミカ「えー?いやぁ、仮にも、もう1人の自分な訳だし?様子くらい見とこうかな~?なんて」
ナレーション
わざとらしい「別に対して興味ないけど、一応ね?」みたいな予防線を張る言動が無駄に姑息で、妙に腹立たしい。
ここに亡き幼馴染みが居たなら、「間違いなく、この人はミカさんですね」と太鼓判を押しただろうが、
当のミカ*テラーは目の前の相手が本当にこの世界の自分なのか疑った。人はそれを、同族嫌悪と呼ぶ。
ミカ*テラー「様子って・・・私、貴女を散々痛めつけた張本人なんだけど。笑いにでも来たの?」
ミカ「そんなに悪趣味じゃないよっ!?」
ミカ*テラー「じゃあ、何?何で私なんかの様子見に来たの?仮にも生徒会なんだから暇じゃないでしょ?」
ナレーション
そんな見たくない自分を前にして気が立ったのか?ミカ*テラーはぶっきらぼうに追い返すようなことを言う。
内心では謝りたいことが沢山あるのに、それを言えないまま邪険に振る舞う辺り、本当に素直では無い。
聖園ミカという少女には、ツンデレの素養があったらしい。
- 147二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 06:47:31
かわいい
- 148二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 12:45:18
何話すんだろ
- 149二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 21:09:19
保守
- 150二次元好きの匿名さん25/09/09(火) 21:10:27
ミカ*テラーがミカに対して素直になれないのも仕方ないね
- 151◆VLlUGaOg9c25/09/09(火) 23:31:05
ミカ「仮にもって・・・いや、まぁ、現ホストのナギちゃんに比べたら大分マシだけど、それでも結構忙しいんだよ?
貴女もティーパーティーのホストだったんだから知ってるでしょ?」
ミカ*テラー「知ってるから言ってるんだよ。政治仕事が本当に性に合わないからって、
殆ど部下の子に投げてるパテル派ホスト様・・・・・・自分で言ってて情けなくなってきたな」
ミカ「い、今はちゃんとやってるから!」
ナレーション
ミカ自身の言う通り、カナの悪い見本には成れないからと今は頑張って政治にも詳しくなってる。
だが、かつては本当に酷い物だった。地頭は良いし、立ち振る舞いも完璧に出来るのだが・・・・・・
・・・いかんせん、感情優先の気質が災いして、清濁併せ呑む政治に苦手意識が強く忌避していたのである。
ミカ「それよりもっ!・・・アイスブレイクはこのくらいにして、本題に入っても良いかな?」
ミカ*テラー「上擦ってるよ?というか、本題あったんだ」
ミカ「良いかな?」
ミカ*テラー「・・・もちろん」
ナレーション
誤魔化すように話題を変えたミカだったが、焦りで声が上擦っているのをミカ*テラーは聞き逃さなかった。
聞き逃さなかったが、指摘をしてもミカは鋼の精神力で無かったことにして押し通す。
限りある面会時間で、上擦ってる上擦ってないの言い争いをするのは不毛なので、それ以上の追及は止めた。
決して、ミカの無言の圧力に押し黙ったわけでは無い・・・・・・・・・らしい。
- 152二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 06:20:36
本題とは一体、、、
- 153◆VLlUGaOg9c25/09/10(水) 06:43:09
代理モブ「ミカの政治苦手云々は原作の描写から考察した創作です。
ゲヘナ嫌い拗らせてアリウス和解に走ったこと、
アリウスとの和解を断られて独断で自治区探して交流したこと、
ムカつくという良く考えたらあんまりな理由で外患誘致してセイアを襲わせたこと、
セイアを殺してしまったと勘違いした末にクーデターの暴挙に出たこと等が要因ですね」
代理モブB「裏で先生と接触した時も(良く考えたら有り得ないけど)、それらしい理屈で信じ込ませてますし、
地頭は悪くないんです。ただ、感情で動きすぎというか、トップらしい振る舞いは出来てないな・・・と」
代理モブC「一方、カナの方は曇りの無い目でハッピーエンドを語って、限界ギリギリまで諦めませんが、
いざとなれば一生消えない重責を負ってでも冷徹な判断が出来る覚悟ガン決まり勢。
性格的な1面だけなら、カナは今代のティーパーティーでもかなり政治家向いている方です」
- 154二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 14:35:56
なるほどなぁ
- 155二次元好きの匿名さん25/09/10(水) 21:35:38
向き不向きってあるよね
- 156◆VLlUGaOg9c25/09/10(水) 22:57:00
代理モブ「まぁ、1番向いてるのはトリニティみたいな複数の派閥で監視し合う政治じゃなくて、
トップの力が強い絶対王政みたいな環境なんですけどね。ある意味、ミカ以上に我が強い頑固者なので」
ミカ「ありがとう。それで、本題なんだけど・・・ちょっと、カナちゃんから伝言?預かっててさ」
ミカ*テラー「ああ、あのアリウスの子・・・」
ナレーション
カナの名前を聞いて、ミカ*テラーは思わず顔を顰める。
別に嫌いという訳では無く、むしろ理屈は未だに良く分っていないが最後に先生を解放してくれて感謝している。
のだが、それはそれとして、アトラ・シハースでの戦いで図星を突かれたことや散々痛めつけたことから、
苦手意識やら罪悪感やらで複雑な感情が渦巻いており、ミカ*テラー自身もどう向き合えば良いか分からないのだ。
ミカ*テラー「・・・怨みごと?」
ミカ「ううん。カナちゃんはむしろ心配してたよ、貴女のこと」
ナレーション
恨んですらくれていないことを知って、ミカ*テラーは静かに俯く。
あの戦場で自分の心配をするような子だから、薄々そうじゃ無いかとは彼女自身思っていたのだが・・・・・・
・・・傷つけてしまった側としては、むしろ怨み神髄に罵倒でもされて殴られた方がずっと楽だった。
そんな、ある意味身勝手な内心に気が付いて、ミカ*テラーは心の中で自分を嗤った。
ミカ「伝言っていうのは、そのまま伝言。
カナちゃんが聞き届けたけど、流石に退院はまだ時間掛かるから代わりに私が伝えに来たの」
ミカ*テラー「聞き届けた・・・?」
ミカ「うん。貴方のところの・・・セイアちゃんとナギちゃんから、ね」
- 157二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 07:02:05
そうきたか
- 158二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 12:33:43
聞いた張本人が一番無茶やったせいで全然話せなかったもんな
- 159二次元好きの匿名さん25/09/11(木) 20:55:04
保守
- 160◆VLlUGaOg9c25/09/11(木) 22:52:33
ミカ*テラー「・・・は?」
ナレーション
思わず、ミカ*テラーの口から変な声が出た。だって、有り得ない。2人は死んだのだ。
彼女の世界のエデン条約は、責任感の強いナギサや病み上がりのセイアが逃げられるような状況では無かった。
仮に生き残った誰かが居たとしても、世界ごとミカ*テラーが終らせたのだ。生き残りなんて有り得ない。
ミカ*テラー「・・・悪い冗談やめてよ」
ナレーション
だから、思考が追いついてから、ミカ*テラーに湧いてきた感情は怒りだった。
確かに彼女は罪人だ。赦されないことをした。それを否定する積もりは毛頭無いし、どんな罰も受ける気で居る。
けれど、これは幾ら何でも悪質に過ぎる。死人を・・・・・・それも大切な親友たちを使うなんてあんまりだ。
目の前の相手・・・「自分」なら、その2人がどれだけ特別か知っている筈なのに。
ミカ「冗談じゃないよ。私もカナちゃんも、冗談や酔狂でこんなこと言わない」
ミカ*テラー「じゃあ、なに?同情?私が落ち込んでるだろうからって、嘘も方便だって言いたいの?」
ミカ「違うよ。本当にカナちゃんは2人の幽霊に会ったの。・・・夢の中で、らしいけどね」
ミカ*テラー「夢の中・・・?本気でそんな鵜呑みにして来たの?」
ナレーション
ミカ*テラーにとっては本当に悪い冗談にしか聞こえなかった。
だって、今更過ぎる。もっと早くに出てきてくれたら、幽霊でも良いから会ってくれたら・・・・・・
・・・もしかしたら、色彩に負けることも無かったかも知れないのに。
- 161二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 04:04:43
困惑
それはそう - 162二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 11:20:48
多分こっちでも普通なら聞こえない、聞こえちゃいけないタイプの現象だろうしなぁ
- 163二次元好きの匿名さん25/09/12(金) 18:59:15
よしんば聞こえたとしても幻聴と誤解しそうだしなあ
- 164◆VLlUGaOg9c25/09/12(金) 22:33:46
ミカ「・・・信じられない気持ちは分かるよ。私だって、最初に聞いた時は「頭強く打っちゃったの?」って聞いたし」
ミカ*テラー「ならっ!」
ミカ「でも、貴女はこれが嘘じゃこと良く知ってるんじゃない?
・・・あのアトラ・シハースで貴女の先生の前に出た時、自分で歩かずに誰かに押されたみたいだった」
ミカ*テラー「それは・・・っ!」
ナレーション
確かに、ミカ*テラー自身もアトラ・シハースでセイアたちの声を聞いている。
・・・のだが、その時は親友たちの気持ちに、こうして時間をおいて平静を取り戻した今では幻聴だと思っていた。
一瞬の出来事だったこと、限界に近いメンタルだったこと、何より・・・彼女自身に都合が良すぎる言葉だったこと。
当時の状況が、ミカ*テラーに全ては救われたい自分が生み出した幻影だったのでは無いか?と疑わせたのだ。
ミカ「ナムラ・シンの玉座は特別な場所だった。それに、セイアちゃんには「夢」に関する特別な力があった。
その2つが偶然に重なって、あの時に意識を失ったカナちゃんは2人と同じ「夢」に入れた。
・・・・・・って、亡くなったセイアちゃんは言ってたらしいよ」
ミカ*テラー「・・・本当に、そんなことが有り得るの?」
ミカ「さぁ?私は直接会っても無いし、声を聞いた訳でもないから。
ただ、貴女の先生は死んだ後もずっと貴女たちを護ってた。そんな優しい奇跡があることは、私も知ってる」
ナレーション
プレナパテス・・・恩師の礼を出されたら、流石にミカ*テラーも閉口せざるを得ない。
どれだけ都合の良い奇跡だと言われよと、あの最後の時間を否定することだけは出来なかったから、
ミカ*テラーはもう少しだけ、優しい奇跡を信じることにした。
- 165二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 00:49:21
ミカの説得で信じてくれて良かった
- 166二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 07:42:09
保守
- 167二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 14:16:34
保守
- 168二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 21:48:29
これは自分に言われないとダメだったろうな
- 169二次元好きの匿名さん25/09/13(土) 22:52:40
伝言の内容はどんなものなのか気になるね
- 170◆VLlUGaOg9c25/09/13(土) 23:07:26
ミカ*テラー「2人は・・・なんて?」
ミカ「えーっと、待ってね」
ナレーション
ミカ*テラーが尋ねると、ミカは小さなバッグの中に手を突っ込んではゴソゴソと漁り始めた。
面会に当たって中の物は一通り検閲されていたのだが、その時の仕舞い方が悪かったらしい。
少しだけ捜し物は難航して、ようやくミカは「やっと、見つけた。場所、全然違うじゃん」と1枚の紙を出す。
小さな紙だったが広げるとハガキほどの大きさになって、光越しに薄らと文字のような黒色が透けて見えた。
ミカ「先ずはセイアちゃんの方からね。ん゛ん゛っ!」
ナレーション
まるで講談か演説でもするように大仰に喉を鳴らして、ミカは大きく広げた紙に向き合う。
それと同時にミカ*テラーの方も聞く体制になって、身体をピンっと伸ばしながら、少しだけ前のめりになった。
ミカ(ゴーストセイア)「『ミカへ、先ずはこんな形でしか君に言葉を伝えられないことを謝罪させて欲しい。
直接君と会って話がしたかったのだが、私の力は死んでも言うことを聞かなくてね。
全く散々に苦労をかけさせたのだから、最期くらいは融通を利かせても欲しいものだが・・・
・・・・・・いや、違うね。全ては私の怠慢だ。生前に話す時間は幾らでもあったのだからね』」
ナレーション
3・・・今は4人だが、数少ないティーパーティーのホスト同士、多少なりとも互いを知っていたお陰か?
演技の経験など無いにも拘わらず、ミカの語りは本当に生前の『百合園セイア』が乗り移ったかのようだった。
物静かで抑揚が薄く、しかし確かな感情が宿った、穏やかで優し気な・・・しかし、小難しくて理屈っぽい。
そんな、本当にセイアが目の前で話しかけているかのような感覚に・・・ミカ*テラーは無意識に涙した。
- 171二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 07:22:12
保守
- 172二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 12:04:02
後悔、だなぁ
- 173二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 20:40:14
ミカだからこそできる語り方って感じだ…
- 174◆VLlUGaOg9c25/09/14(日) 23:09:29
ミカ(ゴーストセイア「・・・『ミカ、君はきっと自分を責めているだろう。今も罪を背負い苦しんでいるだろう。
君は感情的で時に我儘なところがあるが、本質的な部分はとても慈悲深く、優しい生徒だ。
自分が傷つけたモノから目から目を逸らせるほど、小賢しくなれないだろう』」
ナレーション
当然、目の前なのだからミカ*テラーが泣いていることはミカも気がついていたが、そのことは何も言わなかった。
ミカは目の前の「自分」が何を体験したのか詳しくは知らないし、知ったところで理解してあげることは出来ない。
けれど、彼女がどれだけ多くのモノを取りこぼして、どれほど多くの苦痛に喘いだか?想いを馳せるのは容易い。
だから、ミカは何も言わなかった。
ミカ(ゴーストセイア)『君の思っている通り、君は感情に任せて多くを傷つけた。
思惑はどうあれ、君がアリウスに出した指示が私を瀕死に追い込み、
ナギサを疑心暗鬼に陥らせたのは紛れもない事実だ』」
ナレーション
ズキリッ!と、ミカ*テラーの胸奥が深く痛んだ。
ずっと分かっていたことだ。彼女の身勝手で沢山の人を苦しめて、傷つけた、彼女自身が犯した罪。
けれど、傷つけてしまった友人から突きつけられるのは想像以上に堪えた。
ミカ(ゴーストセイア)『けれど、それだけだ。君の罪はそれだけなんだよ、ミカ。
私を瀕死に追い込み、調印式を襲撃したのはアリウスの罪
補習授業部を苦難に落としたのはナギサの罪、
全てを諦めて君たちが傷つくのを傍観したのは私の罪だ。君の罪ではない。
だから・・・・・・私たちの分まで余計に背負うのはやめたまえ。私たちの罪を奪うな』
ナレーション
けれど、友人はミカ*テラーを責めなかった。良くもやってくれたと、もっと苦しめと言わなかった。
それどころか、余計に背負うなと、罪を奪うなと言った。
それはとても優しくて、思いやりがあって・・・・・・厳しい言葉だった。
- 175二次元好きの匿名さん25/09/14(日) 23:52:40
友達だからこその言葉か…
- 176二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 07:23:39
保守
- 177二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 15:30:21
優しみ
- 178二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 19:30:59
語りも上手いな
- 179◆VLlUGaOg9c25/09/15(月) 21:17:22
ミカ(ゴーストセイア)「『大体、傲慢も大概にしたまえ。君にあんな大事件を引き起こせるものか。
世界を滅ぼそうなんて大それたこと、考えつきも出来ないに決まっている』」
ナレーション
若干喧嘩を売っているような言い草だが、ミカの語りは酷く静かで穏やかだ。
それもそうだろう。直接伝言を預かったのはカナだが、うろ覚えのそれを解読・解釈したのはこの世界のセイアだ。
平行世界のとはいえ、同じ「百合園セイア」だからこそ言葉の裏も良く分る。
ミカ(ゴーストセイア)「『数多くの加害者が犯した幾つもの罪。それが偶然、私たちの代で決壊したに過ぎない。
強いて言うなら、第一回公会議の折に軽率にも暴力での弾圧を選んだ先輩方が悪い。
もしも地獄で会えたら、ミカの分までフォックスパンチをお見舞いしておくよ。
だから、さっさと自分の罪だけ罪だけ償って、君は幸せになると良い』」
ナレーション
時折、理屈詰めの言動が人を小馬鹿にしたように聞こえるのはセイアの悪癖で、実際バカにしている時もあるが、
それはそれとして「百合園セイア」の本質は外交的かつ社交的な、少々腕白なところのあるただの少女だ。
ただでさえ追い詰められている友人に追い打ちをかけて虐めるような、悪趣味な女では無い。
ミカ(ゴーストセイア)「『それで目一杯楽しんでから、なるべく遅くこっちに来て、沢山土産話を聞かせておくれ。
それに楽しみに、みんなと地獄で待っているからね。
・・・それじゃあ、元気で。最低でも、後70年はこっちに来るんじゃないぞ』」
ナレーション
だから結局、ゴーストセイアがミカ*テラーを責める筈が無かったのだ。
- 180二次元好きの匿名さん25/09/15(月) 23:46:48
本当に優しいなぁ…ゴーストセイア…
- 181二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 07:05:02
セクシーフォックスめ味な事をする
- 182二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 12:39:20
うむ…うむ…
- 183二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 20:53:17
セイアのメッセージはミカ*テラーに響きそうだね
- 184◆VLlUGaOg9c25/09/16(火) 22:51:50
ミカ*テラー「地獄で待ってるって、何それ・・・?分かんない・・・分かんないよ、セイアちゃん・・・っ!」
ナレーション
「恨んでくれないの?」。その言葉が、ミカ*テラーの口をついて出ることは無かった。
本当は彼女も分かっているからだ。セイアが皮肉屋ではあっても、極悪人では無いことを、
自分が苦しんでいたら、心配して声をかけてくれるような優しい友人だということを良く知っていたからだ。
理由が分かっていたから、恨んですらくれないことにも本当は納得してしまっていた。
ミカ「・・・次、ナギちゃんからの伝言もあるけど、大丈夫そう?」
ナレーション
自分と同じ顔でボロボロと泣き崩れた少女に対して、ミカは柔らかく笑いながら確認する。
仕方が無いとはいえ、泣きすぎて目元は真っ赤だし、涙と鼻水塗れで顔中べしょべしょのぐちゃぐちゃ。
元が自分と同じとは思えないぐらいの大泣き顔を前にして、ミカは放ってはおけなかった。
ミカ*テラー「・・・うん。聞く」
ナレーション
面会時間にも限りはあるので、今日はここまでにして、また落ち着いた頃にもう一度来た方が良いかもしれない。
そんなミカの心配とは裏腹に、ミカ*テラーは囚人服の袖で強引に顔を拭いて見せた。
ミカ*テラー「ちゃんと、受け止めたいから」
ナレーション
ミカ*テラーは強い意志と覚悟を以て、真正面から向き合った。
- 185二次元好きの匿名さん25/09/16(火) 23:34:12
次はゴーストナギちゃんか
一体どんな伝言を遺したのか… - 186二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 07:01:17
芯が強い
- 187二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 12:54:06
保守
- 188二次元好きの匿名さん25/09/17(水) 21:42:04
大丈夫?
お水飲まなくていい? - 189◆VLlUGaOg9c25/09/17(水) 22:03:23
ミカ(ゴーストナギサ)「『ミカさん、お元気・・・の筈はありませんね。せめて、身体だけでもお元気でしょうか?
新しい場所に馴染めていますか?
虐められてはいませんか?喧嘩になっていませんか?
毎日の・・・ロールケーキは食べられているでしょうか?』」
ナレーション
ミカ*テラーに向けて語られた亡き幼馴染みの伝言は口五月蠅い母親のように細かくて、
だからこそ、端々に込められた本物の愛情が滲んだ暖かい言葉ばかりだった。
・・・・・・いや、まぁ、ナチュラルに毎日ロールケーキを食べる前提なのは流石に苦笑モノだが、
そこは幼馴染みのやることなので気にしないことにした。ミカ*テラー、渾身のスルーである。
ミカ*テラー「・・・うん。馴染めてるし、喧嘩もしてないよ」
ナレーション
ロールケーキは兎も角、そんな幼馴染みの思いを擽ったくも懐かしく感じて、ミカ*テラーは答えを返す。
聞いていないかも知れないけど、答えなんて返ってこないけど、それでも応えずには居られなかった。
ミカ(ゴーストナギサ)「『私は・・・生きていた頃も、死んでからも、ずっと後悔ばかりです。
アリウスを助けたいというミカさんの想いに耳を傾けていたら?
エデン条約に向けて、反ゲヘナ派への説得がちゃんと出来ていたら?
疑念に囚われず、初めからヒフミさんや先生を素直に頼ることが出来ていたら?
・・・そんな、今となってはどうしようもないことばかり、考えてしまっています』」
ナレーション
心配の次に出てきたのは悲痛の嘆き。覆らない過去への、取り戻せない後悔の数々。
それは死したナギサの未練であり、そうありたかったという願いの形であり、ナギサにとっての理想の自分。
そういったものが湯水のように沸いて出てくるのは、ナギサの未練の大きさの表れであり、愛の深さの証明だ。
どこか自嘲に満ちた言葉が、ナギサの想いを何より物語っていた。 - 190二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 01:26:07
ミカ*テラーは勾留所にいるけど、もしトリニティで軟禁だったら毎日ロールケーキを食べることになったのかな
- 191二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 08:06:00
朝保守
- 192二次元好きの匿名さん25/09/18(木) 16:58:55
お母さんのようだ
- 193◆VLlUGaOg9c25/09/18(木) 22:38:20
ミカ(ゴーストナギサ)「『本当は私も分かっています。あの事件は私の罪ではありますが、私だけの罪ではない。
1人で何もかもを背負うのは、私の身勝手だと・・・分かっているのです。
けれど、思い出してしまうのは、私の不徳のことばかりで・・・本当に後悔ばかりです』」
ナレーション
ミカの口から語られたナギサの想いは、雨の夜のように暗く憂鬱な色に満ちていて、未練に淀んでいる。
人一倍に責任を背負い気負っていたからこそ、ナギサという少女が持つ情愛が深く大きいからこそ、
その愛の分だけ、ナギサの心は深い絶望と失意に沈んでいた。
ミカ(ゴーストナギサ)「『きっと、ミカさんも同じだと思います。
ミカさんは本当は凄く優しい方ですから、私よりもずっと苦しんでいられるでしょう』」
ナレーション
どん底の心の中でも、ナギサは何よりも1人生き残った幼馴染みを想っていた。
死しても救われない地獄の中にあって尚、生き残った親友を想い続けていた。その幸せを願い続けていた。
・・・そんなナギサの想いが伝わる度、その想いを嬉しく想う度、
優しい幼馴染みが友人を切り捨てなければならないほど追い詰めてしまった過去が、ミカ*テラーを引き裂く。
過去は消せない、欺けない、覆らない。それを改めて、ミカ*テラーは突きつけられた。
ミカ(ゴーストナギサ)「『自分を赦せ・・・とは言いません。
今のミカさんにとって、それがどれだけ残酷なことかは良く分かりますから。
貴女を赦す・・・とも言えません。
今となっては、私にその資格があるのかどうかも良く分かりませんから』」
ミカ(ゴーストナギサ)「『ですが、せめて、これだけは言わせて下さい。ミカさん、ずっと貴女を愛しています』」
ナレーション
それでも、残酷なほどにナギサの言葉は優しかった。
- 194二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 06:58:06
保守
- 195二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 11:43:30
親愛が染みる
- 196二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 19:19:23
ここで初期ナギちゃんも言ってた愛が出てくるの良い
- 197◆VLlUGaOg9c25/09/19(金) 22:28:57
ナレーション
フィリウス分派のホストとなってからは重責から本質を抑圧されてはいるが、桐藤ナギサは愛の人だ。
愛が故に何度呆れても幼馴染みも情は尽きず、分派への愛が故にホストとしての重責を重く捉え、
学園への愛が故に幾ら苦しめられようとも責任を投げ出せない。愛情が故に真面目な少女である。
例え暴走に振り回されても、その暴走が遠因で全てを失っても、大切な親友を愛さずには居られなかった。
ミカ*テラー「ずるい・・・ずるいよ、2人とも・・・・・・っ!」
ナレーション
だからこそ、ミカ*テラーは余計に涙が止まらなかった。
ずっと赦されないと、赦されてはいけないと思っていたのに、大切な友だちたちが優しい言葉をくれるものだから、
変わらず注いでくれた愛情が優しくて、苦しくて、嬉しくて堪らない。堪らないのだ。
懐かしくて暖かい嬉しさと傷つけて失ってしまった苦しさが入り交じり、彼女自身訳も分からぬままに泣いていた。
ミカ*テラー「恨んでくれたら、なじってくれたら苦しめたのに、これじゃあ・・・・・・」
ナレーション
本当はミカ*テラーも分かっている。恨んで欲しいなんてのは、ただ自分を罰して欲しいだけの我儘だと。
それでも言わずにはいられない。
自らの罪を直視して、決して赦されないと自戒する彼女にとって、愛《それ》は余りにも優しくて厳しい・・・
ミカ*テラー「これじゃあ・・・幸せになりたくなっちゃうじゃん・・・っ!!」
ナレーション
縋りたくなるほど甘い毒《薬》だったから。 - 198◆VLlUGaOg9c25/09/19(金) 22:39:31
- 199二次元好きの匿名さん25/09/19(金) 22:47:53
- 200二次元好きの匿名さん25/09/20(土) 08:19:26
心が強い