- 1スレ主25/08/16(土) 18:49:18
死亡後にダビヘビに転生した世界線
(前スレのあらすじ)
瀬古杜岳イベントを回避させたら、焦凍に蕎麦打ち指導することになって、なんやかんや轟家入りしたら、ストーカーが発覚して、エンデヴァーが羞恥にさらされる事態に……!?
前スレ↓
【IF】ここだけ荼毘(燈矢)が|あにまん掲示板死亡後にダビヘビに転生した世界線なお生まれ変わった際、轟家(ちょうど燈矢が生まれたくらいの時間軸)に拾われた模様燈矢もダビヘビも存在する世界でもいいし、燈矢は生まれずにダヒヘビしかいなくてもいい似たス…bbs.animanch.com - 2スレ主25/08/16(土) 18:50:37
- 3二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 18:58:53
たておつ!
- 4二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:01:24
立ておつー
- 5二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:03:44
たておつ
- 6二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:22:46
たておつ
- 7二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 19:52:07
ダビヘビと兄弟仲良く過ごせるといいなって思って見てる
- 8二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 20:22:12
立て埋め
- 9二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 20:27:48
おつおつ
- 10スレ主25/08/16(土) 20:32:12
ごめん、1スレ目でエンデファンの解釈違い度合い振ったらとんでもない出目出ちゃった……
- 11二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 21:43:36
1スレ目見てきて笑っちゃった
でもめちゃくちゃ分かる数値だなとは思う… - 12二次元好きの匿名さん25/08/16(土) 23:36:36
ダビヘビ形容し難い健気さがある
うまくお箸使ってお蕎麦食べてたし、筆談とかできるのかな?前はやってなかったけど - 13二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 07:56:24
解釈違いしゃーないね、エンデヴァーだもん……見ろやくんが顕著なだけで他のファンも近い人多分多いもん
- 14二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:39:31
念のため保守
- 15スレ主25/08/17(日) 18:28:34
その日エンデヴァーファンは思い出しました。解釈違いに支配されていた恐怖を…ギャップ萌えに囚われていた屈辱を……。
「えーと、今日のニュースは……!?!?」
後にお茶の間で見ろや!と叫ぶことになる男の子は、もはや習慣であるエンデヴァー関連のニュースチェックをしていました。するとなんということでしょう、"エンデヴァー、ぬいぐるみキーホルダーがお気に入り!?"、"No.2エンデヴァー、ギャップ萌え狙いか!?"などという記事で埋め尽くされているではありませんか。
「なん、ど、はぁ!?!?」
なんなんだよ、どういうことだよ、意味わかんねーよ、はぁ!?!?という気持ちが、満員電車の中でもつい漏れ出してしまうくらいの衝撃でした。やべ、と思い周囲に頭を下げましたが、周りの人も度々スマホに向かって驚愕の表情を浮かべたりしていましたから、やっぱそうだよな!?そうなるよな!?!?と男の子は安心しました。
「本当に……エンデヴァーが、こんな…」
駅から降り、男の子は再び記事を確認しました。記事に添付されていた写真には、エンデヴァーの腰ベルトに、中にヘビとゴリラのぬいぐるみが入った耐火性の透明ポシェットが付けられた姿が映されていました。
「しかもどういうチョイスなんだよコレ…!?」
記事のコメントは『ギャップ萌えで好印象!』派と『こんなの解釈違いだ!』派に、見事二極化していました。もちろんエンデヴァーファンが解釈違いを起こしている派閥でしたので、男の子はそっとコメントの送信ボタンを押しました。
『変わってしもた!!変わってしもたよあーた!!』 - 16スレ主25/08/17(日) 19:17:48
- 17二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:19:22
とても器用!
- 18二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 19:22:57
とても器用な蛇さん
- 19スレ主25/08/17(日) 21:14:54
あるところに、伊口秀一という男がおりました。男の人生はいつも誰かに蔑まれてばかりで、どうしようもなくひとりぼっちでした。"いつかヒーローが助けてくれる"と信じていた心はやがてボロボロに傷つき、果てには"闇バイト"と呼称されるものにまで手を出してしまうほどの始末でした。
「それでは次のニュースです。No.2のフレイムヒーロー・エンデヴァーの変化に賛否両論の声が!?一体何があったのか、当番組が取材しました。」
闇バイトとはいっても、あくまで日銭程度のものであり、内容は『指定された通販サイトで9個のボールチェーンを買い、こちらで配送した"ぬいぐるみ"全てに付けて送り返すこと。ただし、ボールチェーンは本名且つ自宅に配送すること。』というものでした。雇い主からの配送には匿名で取引が出来ましたし、ボールチェーンの費用は自費だったものの報酬がそのウン十倍もあるものですから、闇バイトのサイトの中ではとんでもなくクリーンだったのです。
「ブフォァ!?!?」
「ネットでは好印象派と否定派に別れており、未だエンデヴァー本人からの声明は無いとのことです。」
ですから、まさかエンデヴァーが、自分が闇バイトで手がけた"ぬいぐるみ"を付けてヒーロー活動をしているなど考えもしなかったのです。伊口はエンデヴァーが"ぬいぐるみ"と共に活動している姿を目にした瞬間、口に入れていた全てを吐き出しました。しばらく放心していましたが、急いで汚れた口と床を拭くと、ゲームで培った爆速タイピング技術を行使して『エンデヴァー ぬいぐるみ 記事』と検索をかけました。
「ヤバい…ヤバい……!」
伊口は記事を検索した結果、エンデヴァーはぬいぐるみを付け始めた理由について特に言及していないことを知りました。もしかして、闇バイトの雇い主がエンデヴァーに目をつけられてるんじゃないか?だとしたら、俺も……、とそこまで考えて気づきました。闇バイトの事を告発すれば情状酌量かなんか貰えんじゃねーの?!
「こうしちゃいられねぇ……!!」
早くこのヘンなブームの真相が世間に気づかれる前に、なんとかしなければ!と伊口はエンデヴァーヒーロー事務所へ足を運ぶのでした。 - 20二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 21:28:18
こっちだとスピナーじゃなくて井口のままなのか…スピナー……
- 21二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 05:51:35
保守
- 22二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 12:03:00
保守
- 23二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 18:17:10
保守
- 24スレ主25/08/18(月) 20:24:54
時は少し遡り、ヘビは目の前のネズミとお茶をしていました。ヘビの保護に関する折衷案として、事態が終息するまでの間、雄英のある一室で生活することになったのです。監視役として根津と共に過ごすこと、そしてその様子を公安へ報告することを条件に、轟家へビデオ通話が可能になったことで会議は幕を閉じたのでした。
「ところでキミ、どういう経緯で轟家に拾われたのか聞いてもいいかな?」
「ヂ……ヂヂッ?」
「あぁ、僕はもともと普通のネズミとして生まれたからね。キミの言葉を理解することくらい容易いのさ!」
いや、話の前に……アンタ俺の言葉理解できねーだろ?とマルバツのヤツをブンブコ振り回しながら訴えれば、まさかの理解者発覚にヘビはカシャンッとマルバツのヤツを落としてしまいました。
「まぁ、概要程度にエンデヴァーから聞いてはいるんだけどね。さっきの質問はね、君がどうやって生まれて、どう過ごしてきたかっていうところまで知りたいってことなのさ!」
もちろん知られたくない過去だってあるだろうから、全てを聞く気はないよ。
そう言いながら紅茶を啜る根津の姿は、どこか哀愁が漂っていました。根津が雄英のブレインであり、歴史的な功績を残した"人"物であることは"ゼンセ"でも知っていました。しかしこうやって面と向かって話をすると、"並の人とは違う"とハッキリ分かるくらい聡く、そして人格者でした。
「……ヂ。…ヂヂッ…ヂ。」
「大丈夫。キミのことを信じてるからね、ボクのことも信じてほしいのさ!」
……わかった、全部話すよ。…アンタにとっては信じ難い話かもしれないけど…あ、カゾクには言うなよ。そう言って、ヘビは"ゼンセ"から轟家に入るまでの全てを話しました。
もしかしたら、この"人"なら……。ヘビはなんとなくですが、根津にはなんでも話せる気がしたのです。
ところどころ、苦しい記憶を引っ張り出しては喉がつっかえたりしましたが、なんとかベビは話し終えました。根津は、お疲れさま、と言い優しく微笑みました。
「それじゃ、少し早いが晩御飯にしようか!キミの好きな食べ物は何かな?」 - 25スレ主25/08/18(月) 20:27:10
ふたりとも、どうやってお蕎麦を食べたの?
1.茹でた
2.出前
3.ガチ手作り
dice1d3=2 (2)
- 26二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 22:47:52
よかった無難
- 27二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 06:17:28
出前で良かった…
- 28二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 12:10:50
保守
- 29二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:12:10
伊口は無事エンデヴァーに会えたかな
- 30二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 23:53:42
話せる人が出来たのはよかった
- 31二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 06:55:51
保守
- 32二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:19:05
保守
- 33スレ主25/08/20(水) 14:10:25
あるところに、迫圧紘という男がおりました。男は盗賊王の先祖がいる家系故に、生まれつきのヴィランでありました。しかし今は"ヒーロー"なる職業が確立されていますから、男は小さな悪事(マジック)を披露することはあっても、とびっきりの悪業(ショー)をするには開催するには自分一人では些か戦力不足だと捉えていました。
「どーもー、蕎麦屋でーす。」
ですから、たまにちゃんとした仕事をしながらお金を稼がなければいけませんでした。今は蕎麦屋の配達バイトをしていますが、店長から「雄英から出前依頼だぞ!気合い入れてけよ〜!」と送り出されましたので、男は『これはいい機会だ!天下の雄英サマを内見させていただこうじゃないの』などと考えていました。つまりは、いつかの為の犯罪(マジックショー)の下見をする気満々でした。
「やぁやぁ、どうもありがとう。お勤めご苦労さまなのさ!」
雄英の裏口から来校者用の通話機を手にすると、少し高めで特徴的な口調の声が聞こえました。男はなんとなく違和感を感じましたが、蕎麦の配達をしっかりこなすべく案内の声に従い中へ中へと進んでいきます。
「ドアでっか…廊下ひっろ…そんで校舎ピッカピカ………」
男はユニバーサルデザインかつ設備の整った校舎に驚きながら目的の部屋まで到着すると、コンコンとノックして声を掛けました。
「蕎麦屋でーす。お届けに参りましたー。」
「すまないね、今手が離せないんだ。中まで持ってきてくれるかい?」
男は不信感を抱きました。これは明らかな誘導である、と勘づいたからです。耳を澄ましても1人分の気配しか感じませんが、ここは国内屈指のヒーロー養成所・雄英高校でありますから、警戒するに越したことはないと男は考えました。
「…はい、今行きマース!」
男は抜け目なく、自身の個性『圧縮』を使って護身用とは名ばかりの武器(カード)を身体中に仕込んでいたのです。すぐに取り出せるよう位置を確認した後、意を決して扉を開けました。 - 34スレ主25/08/20(水) 14:11:33
【シークレットダイス】
??? dice1d100=34 (34)
迫 dice1d100=1 (1)
- 35二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 14:22:01
このダイス大丈夫か!?
- 36二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:14:59
なんのダイス??
圧紘くん大丈夫ですか?? - 37二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 21:49:27
迫さん大丈夫??
いやまあ、なんのダイスか分からないけど部屋入ったらネズミとヘビだったら思考止まりそうは思う - 38スレ主25/08/20(水) 22:09:01
扉を開けた次の瞬間、迫はポカン…と放心してしまいました。だって目の前には、ちょっとデカイネズミがとってもカァイイ着ぐるみを着て、きゅるんとこちらを見ているのです。それはさながら面積が増えたハムスターのようで、不覚にも迫は警戒心を捨ててキュン♡としてしまったのです。
「エッ…かわ、ぐぁあ!?へ、ヘビ?!」
シュルシュル、ギチギチ!
迫は扉の死角で待ち構えていたヘビに気づかず、一瞬にして絡め取られてしまいました。ヘビは、"ゼンセ"であんなにも縁下の力持ちをやっていたMr.コンプレスが、こんなにも呆気なく捕らえられてしまったことに少し寂しさを覚えました。
「迫圧紘くん、キミには選択肢がある。このまま抵抗を止めて僕の話を聞くか、犯罪者として警察に身を預けるか。」
「本名も、なんもかんもバレてんのかい…!なんだ、ヒーローの卵育ててる雄英サマが脅しか?」
「脅しっていうのはね、力の強いものが力の弱いものに対して理不尽に力を行使することだよ。」
根津は、ヘビによって締め付けられ地面に這いつくばっている迫を見下ろしました。その丸っとした目は、普段の輝きをなくした漆黒そのものでした。迫は背筋からビリビリとしたものが流れ、本能が"ヤバい"と全身に伝えました。
「立場というものを今一度考えようか。僕は"プロヒーロー"、キミは"ヴィラン"だ。」
根津の言葉は決して荒々しくも刺々しくもありませんでしたが、迫はこれまで出会った誰よりも"恐怖"を感じました。ヘビは迫を拘束しながら、少しだけ炎を震わせました。
「これは"交渉"だ。キミが『雄英で無様に捕まった愚かなヴィラン』と成り果てるか、それとも、」
『世界をも欺く最高のエンターテイナー』に成り上がるか。
迫は、自分がどうしようもなく"人々の驚く顔が見たい"という欲に弱いことを悔しいと思いました。悔しくて、憎くて、嬉しくて、見返してやりたいと思いました。迫は体の力を抜き、二つ返事で要求を受け入れたのでした。 - 39二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:10:23
このレスは削除されています
- 40スレ主25/08/20(水) 22:11:37
- 41二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:12:27
あら可愛い
可愛いけどおじさんの捕まり方よ… - 42二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:26:25
カァイイに全振りした根津校長を前にしては警戒心も吹っ飛ぶ
しかしこのカァイイ姿のままおじさんに脅しをかけてるのか、シュールだなぁ - 43二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:38:01
カァイイですけど真っ黒なおめめで見つめられたらちびるわ
ミスター、エンターテイメント楽しみにしてるよ - 44スレ主25/08/21(木) 00:43:06
- 45二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:45:02
- 46二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 02:35:27
- 47スレ主25/08/21(木) 05:50:10
- 48二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 08:05:45
アグニ
- 49二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 08:41:33
クリメイト
- 50二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 09:43:57
- 51スレ主25/08/21(木) 10:24:03
スレ民のセンスが良くて尊敬
燈矢くん、君のヒーロー名は?
1.アグニ
2.クリメイト
3.トーヤ
dice1d3=1 (1)
- 52二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 17:03:42
調べたら火の神様の名前だった
かっこいいね - 53スレ主25/08/21(木) 19:28:19
「交渉の前に…今キミの身体中にある圧縮されたものは全て没収さ!」
「マジで全部バレてんじゃん…!?」
迫は、もうこの人には逆らわないようにしようと決意しました。しかしいくらハイスペックなネズミといえど、数多の目を掻い潜ってきた迫(マジシャン)の個性(ギミック)を見たこともないのに見破るなど不可能です。根津は、ひたすら迫の身体中を叩きまくってビー玉のようなものを回収しているヘビに向かって、ひっそりと微笑みました。
『ヂッ、ヂッ。』
俺はあの"3人"をよく知ってる、"前"は仲間だったからな。
そういってヘビは自身の過去を話した後、"3人"の情報を明かしてくれたのです。根津は少し戸惑いましたが、ヘビの『"前"はこんな事件無かったんだ。正直俺も何がどうなってるのかわかんねぇ。それに…俺がいることでアイツらの人生が狂うなら、俺がちゃんと終わらしてぇ。』という発言で納得しました。
根津の配慮とは裏腹に、ヘビはしっかりケジメをつけようと奮闘していたのです。プロヒーローとして、教育者として、根津はちゃんとヘビに応えようと思い、まずは迫圧紘…いえ、"Mr.コンプレス"の勤め先を突き止めたのでした。
「ヂッ」
「いでで…叩かれてる布団ってこんな感じなんかな……。」
「ま、お蕎麦でも食べながら話そう。ほら、席について。」
「あっ、3人前だったのそういうことだったんだ!?イヤでもシフトがまだ…」
「店長にはイイ感じに伝えておいたから大丈夫なのさ!」
未来予知かよ…!!と嘆く迫の声をバックに、根津は今後起こりうる全ての可能性について思案しました。ヘビから聞く限り、雄英襲撃事件や死穢八斎會、蛇腔病院、掃討作戦、最終決戦などはなんとか被害を最小限に抑えつつも、概ね筋書き通りに進むのが安牌だと考えました。ですが、早期解決が1番なのは事実です。
1人と2匹でいただきますをした後、根津はとある提案を迫に持ちかけました。
「さて……本題に入ろうか。迫圧紘くん、キミにはね、とびっきりの犯罪者(マジシャン)になってもらいたいのさ!」
唐突な根津の発言に口に含んだお蕎麦を吹きかけた迫をよそにして、根津はニッコリと笑んでこう言いました。
「具体的にはそう……潜入捜査(ショータイム)ってヤツさ!」 - 54二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 21:18:30
仏教に取り込まれた神(荼毘)と内典以外の教え(外典)で対っぽくていいな
- 55スレ主25/08/21(木) 21:36:26
デデンデンデンデデン……とBGMが付きそうなくらい壮観な建物は、日本のNo.2を担うエンデヴァーの事務所でした。それを目の前にして、伊口はとてつもなく緊張していました。基本ゲームのために生活していたような人間には、ヒーローの事務所に赴く重大イベントなぞ発生のしようがないのですから、仕方の無いことでした。
「…あの、」
「うわァ!?」
伊口は背後から声を掛けられたので、つい大きな声を出して驚いてしまいました。伊口が勢いよく振り返れば、紅白頭の男の子が立っていました。そしてその男の子は、誰もが知るあの有名な"雄英高校"の制服を着ていました。
「驚かせてすみません。クソお…エンデヴァーに何か用ですか?」
「お前、エンデヴァーとアグニの…!」
伊口はその男の子に見覚えがありました。雄英体育祭で見事な活躍をし、世間の話題の中心となった人物、轟焦凍でした。父親にフレイムヒーロー・エンデヴァー、兄にブレイズヒーロー・アグニを持つ、半冷半燃の個性の子。自分とは違う、"全てを持って生まれた子"がそこにいました。
「…いや、エンデヴァーの"ぬいぐるみ"について話があって…。」
「!!…その話、単なる取材とかじゃないんだよな。」
焦凍は気づいたのです。この男は、会議室で見た"3人"のうちの1人であること、そして"ヒーローに助けを求める顔"をしていることに。焦凍はちょうど職場体験に来ていて、これから父親やサイドキックの方々と顔を合わせるところでしたので、これは逃してはならない機会だ、と確信しました。
「な、なんで…」
「俺は、アンタが話したいことが分かる。アンタの事を信じるから、俺のことも信じてくれ。頼む。」
伊口は事情を何故か知られていることに困惑しましたが、人生で初めて強い信頼と懇願をされたものですから、つい返事をしてしまいました。
「お、おう。」
「ありがとうございます!じゃあ早速行きましょう。」
「え、あ、オイ!」
なんだコイツ、意外と強引だな!?つか、力強!!
焦凍に腕を引っ張られた伊口は、焦凍のイメージを"全てを持って生まれた子"から"真っ直ぐで強引な野郎"に変えました。 - 56スレ主25/08/21(木) 21:38:31
皆の教養の質が高くてスレ主が学ばせてもらってる外典と対比になってるアグニ、ありえんカッコよすぎる
- 57二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 22:56:56
ブレイズヒーローってかっこいいな
好きです - 58二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 06:53:46
イメージ変わったか
- 59二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 12:05:55
保守
- 60二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:09:51
保守
- 61二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:42:07
念のため保守
- 62二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 06:45:15
ほしゅ
- 63二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 13:51:04
ほしゅ
- 64二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 17:23:27
まとめ見て笑ってきた
蛇さんが笑ってるのも嬉しかった - 65スレ主25/08/23(土) 22:13:19
……。
場は沈黙に包まれていました。伊口は、バカデカい応接室のバカ柔らかいソファで縮こまっていました。周りを見渡せば、何かをいそいそと持ってくる焦凍、無表情でスマホをいじっているアグニ、険しい顔でこちらを見るエンデヴァーがおりました。
俺、今から死ぬのかな…。
伊口は死を悟りました。自分がやった事は大した犯罪ではない、なんなら闇サイトを使ったこと以外法に触れていないのではないかと思っていました。ですが、自分の顔を見た瞬間、エンデヴァーとアグニは個性とは真反対の冷え切った目で見やるものですから、気持ちは死刑を待つ囚人へと早変わりしました。
「これ、クソお…エンデヴァーが付けてるのと多分同じメーカーの"ぬいぐるみ"たちです。これに見覚えあるんですよね?」
「あぁ、実は……」
伊口は事の顛末を話しました。闇バイトの内容、一切が不明の雇用主、匿名での配送取引、募集人数は"1人"のみ、他にも気づいたことや気にかかったことは全て話しました。
「ちょっと待て。」 - 66スレ主25/08/23(土) 22:14:28
話し終えてすぐ、燈矢は制止の声をあげました。今度こそ俺、殺されるんだぁ…と怯えた伊口を視界にいれた燈矢は「…取って食いやしないっつの。」と宥め、質問しました。
「本当に募集は1人だけだったのか?そのバイト。」
「え、はい。やるって決まってからサイトの方見たら、募集〆てたんで。あとは捨てアドでのやり取りでしたけど、念の為にスマホで撮ったはず…」
あ、あった。
伊口はパソコンが映された写真を見せました。暗い背景の画面には、雇い主と思われる人物との簡素なやり取りが載っていました。やり取りから察するにブラフは他の2人であることは分かりましたが、闇バイトにしては隠語やそれらしい単語が出てこないことを不信がった燈矢は、その中でとある一文に目が留まりました。
『ぬいぐるみは、大切に扱ってください』
公安や校長の話では、"ぬいぐるみ"には盗聴器や発信機、違法なモノなどは特に検出されず、念の為相澤も個性を使用しましたが、これといった変化はなかった、と言っていたのを思い出しました。
「……大切、か。」
「あの…なにか…?」
「お前、バイトしてから何か変わったことあったか?バイト絡みじゃなくてもいい。」
「いや、特には……あ、」
そういえばそのヘビ、ガキの頃に見たことある気がする。
この一言が、のちに大きな展開をもたらすことになるとは、伊口にはまだ知る由もありませんでした。 - 67スレ主25/08/23(土) 22:20:20
- 68二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 02:27:29
定期的に見に行ってます
- 69二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:53:50
保守
- 70二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 15:54:47
小さい頃に??
- 71スレ主25/08/24(日) 18:44:22
「うん…うん、なるほどね。こちらでも詳細を調査してみるのさ。そちらも引き続きよろしくね。」
ピッとエンデヴァーからの電話を切った根津は、事件が終息に向けて動き出していることをヘビに告げようとしました。
『…じゃ、またな。』
「ヂッ」
ある一室の扉を開けようと手をかけると、機械越しの男の子の声と、ヘビの返事が聞こえてきました。根津は電話が切れたことを確認するまで、そっと扉の前に立っていました。
「やぁ、家族とビデオ通話かい?」
「ヂヂッ、ヂヂッ」
「ふふ、家に帰したいのは山々なんだけどね、もう少しだけ我慢してほしいのさ。」
どんどん俺の寝床(予定)が豪華になってってるから、夏くんが早く帰ってこいって苦い顔してたぜ。
そう喋るヘビは、1週間近く世間から身を隠している…言い方を悪くすれば、監禁されているとは思えないほど割と楽しそうに生活していました。
それは、たまに顔を出してくる焦凍だったり、テレビで活躍を報道される炎司や燈矢だったり、個別に連絡をして通話をする冷、冬美、夏雄だったり。ヘビにとっては、窮屈さよりも愛しさを感じる日々でした。
「…ヂッ?」
「キミは本当に勘が鋭いね。事態は明日明後日にも進展しそうだからね、僕たちも動こうって訳さ。」
…なにかあったな?
根津はそう告げたヘビに対し、ある生徒の資料を渡しました。しっぽを巧みに使い、ピラピラとページを捲る様はさながら人間の手のようで、ヘビの体得的な素質が高いことを表していました。 - 72スレ主25/08/24(日) 18:46:31
「青山優雅、ヒーロー科所属1年A組出席番号1番。入試は筆記がギリギリで実技でのポイントはそこそこ。個性把握テストや体育祭の様子からして、個性がまだ"体に合っていない"と見受けられる。」
「ヂッ…」
「せっかくキミが"前"の話をしてくれたんだ、僕もただ話を聞くだけで終わらせないのさ!」
コイツは…
ヘビは、大分朧気になってきた"ゼンセ"の記憶を必死に引っ張り出しました。確かAFOが駒にしていた学生ではないだろうか、と思い当たりました。林間合宿の作戦会議の際、死柄木に『こいつは殺さなくていいってさ。先生が言ってた。』とついでのように言われたくらいです。しかし焦凍から聞いた話では自主退学をしていましたから、AFOに良いように扱われたのだろうとヘビは考えていました。
「ヂ?」
「あぁ、どんな事情があろうとも、雄英(ウチ)の生徒であるならばそれは"庇護対象"さ。たとえ本人を利用することになろうとも、守るべき"ヒーローの卵"なのさ!」
まさかコイツを?
ヘビの問いに、根津は強く頷くのでした。 - 73二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 19:37:26
このレスは削除されています
- 74二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 19:47:58
豪華になっていく寝床がちょっと気になる…
- 75二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 21:43:51
ヘビをだめにするクッション(〇印)がひとつ、ヘビをだめにするクッションがふたつ(〇ギボー)的に増えてたりして
- 76スレ主25/08/24(日) 22:22:31
- 77二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 22:29:04
もちもち素材のぬいぐるみ、エンデヴァーも当然ある
- 78二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 22:31:06
蛇さん用の温度変化パネル
- 79二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 22:33:37
天蓋(冬美ちゃん手作り)付きの大きな籠
- 80二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 22:43:05
まとめ見てきたら絵が増えてて喜んでたけど、おまけ的な小話で笑っちゃった
何してんねん燈矢 - 81二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 06:56:47
保守
- 82二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 12:18:00
ほしゅ
- 83二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 14:07:46
なんでかまとめのイラストが全然見れない…泥だとダメだったりする?
- 84スレ主25/08/25(月) 16:39:51
- 85スレ主25/08/25(月) 16:41:12
ところ変わって、燈矢と伊口は車内という密室空間におりました。運転手である燈矢自身が酔いやすいというのもあって、少し気まずい雰囲気以外は安全運転の快適なドライブです。もちろん目的地は、伊口がヘビを見たことがあるという場所でした。炎司と焦凍は職場体験で向かうことができないので、フリーで活動している燈矢に白羽の矢が立ったという訳でした。
「…あの、」
「なに?」
伊口はずっとビビっていました。アグニというヒーローは雄英生のときからTheドライで有名で、どれだけ黄色い悲鳴に囲まれようとも全く靡かず、逆に「邪魔。」の一言で人々を退けるのが常でした。メディアに映るようになってからも、インタビューでマトモに受け答えしてくれるなんてことはごく稀で、真顔の「へぇ。」「はぁ。」「そっすか。」で大体乗り切っているのが彼のスタイルなのです。
「アグニって、なんでヒーローになったんすか?」
ヒーローにも色んなタイプの人間がいますが、ここまで"ヒーロー"という言葉に違和感のある人は珍しかったので、どうしても伊口は気になって仕方がなかったのです。特にアグニはエンデヴァーとは違い、表立った活躍よりも『路地裏でアグニがヴィラン締め上げてた!』とか、『人魂かと思ったら個性使って飛んでるアグニだった』のように某SNSでバズるくらい人目が少ない活動をしているものですから、より不思議だったのです。
「別に、俺は自分のことヒーローだと思ってない。ライセンスがあるから世間にそう名乗らなきゃいけないだけ。」
「え、はぁ!?」
燈矢は伊口を一瞥した後、なんてこともないように告げました。この手の話題はプロデビューしてから何度も聞かれウンザリしながら躱していましたが、伊口は一般人であり分を弁えているため、素直に返答したのでした。
「え、じゃ、なんでヒーローなんかやってんだよ!?」
「…それは───」
もうすぐ目的地です。
燈矢はカーナビの音声に遮られて口を閉じました。伊口はその続きが気になりましたが、駐車している最中の燈矢に話しかける勇気はなかったため、会話は有耶無耶に終わってしまいました。 - 86スレ主25/08/25(月) 16:42:45
「なぁ、ホントにここであってんのか?」
「あってる、はず……俺が遊びに行ってた時は、こんな寂れてなかったのに…。」
2人の目の前にぽつねんと建っているのは、人の管理から外れてしまったのであろう草木が生い茂る神社でした。神社自体はそこそこ大きく割と長めの階段を登ってきたのですが、道中人が来る様子も来た痕跡もなく、2人は途方に暮れていました。
「ていうか、こんなとこにヘビさん住んでたのか?ウチからずいぶん遠いし…。」
「住んでる?俺が見たのは"ぬいぐるみ"だけど…」
「は、」
燈矢は口をあんぐりとさせました。だってあの"ぬいぐるみ"たちは、ストーカー事件が発覚した際に発見された新品のものです。世間の反応から察するに、同じものはないおそらく一品モノですから、他の誰かが見たことがあるにしても10年以上前の出来事にしては無理がありました。
「せめて神主の爺さんが居りゃ、"あそこ"の場所聞けたんだけどなー。」
「"あそこ"?」
「俺がヘビを見つけた本当の場所っすよ。ヘビ以外にもいっぱいあって…、」
話していた伊口が急に黙ってこちらを見つめましたので、最近俺の前でボーっとするヤツ多くないか?俺はブレインクラッシャーか何かか?と末弟を思い浮かべながら、燈矢はおーい?と伊口の顔の前で手を振りました。
「思い出したぁ!!」
「うわ、いきなりデケェ声出すな!」
「…だったんだ…。」
「オイ、急に落ち着くな!」
伊口は珍しくツッコミ側に回った燈矢の肩を掴み、恐怖と興奮が混じった声でこう言いました。そしてその発言を聞いた燈矢は、背筋が凍り付いたかのような感覚に陥るのでした。
アンタだったんだよ!大量にあった"ぬいぐるみ"は!! - 87スレ主25/08/25(月) 16:57:16
異変感じ取りダイス
??? dice1d100=43 (43)
伊口 dice1d100=49 (49)
燈矢 dice1d100=90 (90)
- 88二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 17:14:06
ホラーが始まった???
あと燈矢、感知力高いな - 89二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 20:49:38
え、夏だからですか?
怖い話始まった… - 90二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 23:59:57
ほしゅ
- 91二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 06:51:47
いきなり怖くなった
- 92二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 12:05:24
根津バニア可愛い
- 93諢帙@縺ヲ繧九h縲∫㊧遏「25/08/26(火) 17:05:41
なんで俺なんだよ!?
そう紡ごうとした声は、次の瞬間、意味の無い吐息へと変わってしまいました。
コトッ
何かが落ちるような小さい音がしました。伊口は興奮が冷めやまないのか、音に気づいていない様子でしたので、燈矢は一旦落ち着かせるために声がけをしようとしました。
『とどろきとーやです。』
『と、きろき。ーやや』
『とどどろき、と。で』
『。とどろ、と』ー、
とー『や
あ - 94スレ主25/08/26(火) 17:07:38
ザラザラとしていて、なにかに覆われているような籠った声は、燈矢の幼い頃によく似ていました。壊れたように自身の名を呼ばれた燈矢は、思わず身を強ばらせました。しかし伊口は声のした方へ顔を向けたかと思えば、おもむろに歩き出すではありませんか。燈矢はプロヒーローの力をこれでもかと発揮して、伊口を引き留めました。
「バカバカバカバカ異変だぞ引き返せ!!」
「○番出口じゃないんだから大丈夫ですって!!つか力強ッ!?」
「この世にどんだけ出口ナイズの作品が溢れてると思ってんだ!!神社なんて範疇も範疇、ド範疇に決まってんだろーが!!」
「いやだからそんなんじゃなくて…ぐぇっ、締まってる締まってる…!」
アグニってホラゲーに造詣あるんだ…!?と伊口はギャップを感じましたが、当の本人に締め上げられている状況なのでトキメキもクソも感じませんでした。それに伊口だって、明らかな恐怖演出に怯えていない訳ではありません。普通、寂れた神社に録音された子供の声が突然壊れたように鳴り響いたら、誰でもビビります。しかし伊口には恐怖と同じくらい、"懐かしさ"を抱いたのです。
「ど、道中で話したじゃない、すか!キャラものっぽい人形で、あ、遊んでたって話、ちょ、マジでギブ!!」
「オイまさか…!?」
「ッゼェ…ハァ…ッハァ、まさかも何も、ゲホッ、さっきの声のやつが、」
それは、神社の長ったらしい階段を登っている最中、会話に行き詰まった伊口が雑談として話しかけてきた内容でした。その時もやたら自分の顔を見ているなと思ってはいましたが、黄色い悲鳴と数多の眼差しを向けられた弊害故に、まあ俺顔良いしな、と燈矢は特に気に留めることはありませんでした。クソッ俺の顔が良いばっかりに、伏線に気づかなかった!キャラものって俺かよ!!
「行くしかないのかよ……しゃーねーな、ヘビさんのためだ。いざとなったらお前ごと燃やす。」
「アンタホントにヒーローかよ!?」
初対面の気まずさはどこへ行ったのやら、恐怖心で繋がった2人は軽口を叩き合いながら声のした方へ歩き出すのでした。 - 95二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:13:47
文字化け復元したんだよ
なんか、すごい怖かった - 96二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 19:17:27
燈矢が変なのに好かれてそうってイメージはあるな
- 97二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:36:35
ホラー入ってきたな
まあ燃やせるだろ() - 98スレ主25/08/26(火) 23:48:43
ぬいぐるみの数
dice1d999=770 (770)
???の数の割合
dice1d10=2 (2)
恐怖度(伊口は過去に見ているため-50)
伊口 dice1d50=40 (40)
燈矢 dice1d100=9 (9)
- 99二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 23:51:39
ぬいぐるみ多くない???
そして燈矢さん?恐怖心が麻痺しました? - 100二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 23:59:44
ぬいぐるみが地平線になってるやつ…
- 101二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 06:56:43
保守
- 102二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 12:17:01
ほしゅ
- 103二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 20:21:34
保守
- 104二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 22:35:52
1周回って笑ってるかもしれない低さ
- 105二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 05:01:43
ほしゅ
- 106二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 12:02:54
よく考えたら井口はマイナスいってる…
- 107二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 20:25:15
ほしゅ
- 108二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 20:25:23
保守
- 109二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 20:25:26
ほしゅ
- 110スレ主25/08/28(木) 22:37:29
- 111スレ主25/08/28(木) 22:38:49
2人が音の鳴った方へと歩みを進めれば、そこには木々に覆われた蔵がありました。鬱蒼とした境内の中でこれを見つけるのは、音無しでは難しいのではないのかと思うくらい建物としての原型が失われておりました。
「っつーか聞きたかったんだけどさ、」
「なんだよ。」
「……お前本当に"この"中で遊んでたワケ?」
コイツ、ナチュラルに敬語外しやがったな。年功序列とか気にしないからいーけど。
燈矢はドライではありますが、その実家族以外にはフラットに接する人間でありましたので、肝心な質問だけを言葉にしました。
「おー、割と昔だけどな。まだ小さかったから神主の爺さんに毎回案内してもらってたっけ。まさかこんなに緑と同化してるとは思わなかったけど。」
伊口は慣れ親しんだように蔵の重厚そうな扉を開けると、真昼間にも関わらず、中の空間そのものが闇に包まれていました。ヒュオー…と風が通る音で、何とかスペースがあるとが分かるくらいでした。
「…やっぱイカれてるか。」
「じゃ、火ぃ付けっから。」
伊口は扉付近の壁をまさぐり、電気のスイッチを見つけてカチカチしましたが、一向に付く気配はありませんでした。燈矢は見かねて、自身の炎を灯りにしようとしました。
ごくん
2人の誰ともわからない唾を飲み込む音を合図に、ぽっ、と燈矢の指先から淡い青が熱を帯びて辺りを照らしました。 - 112スレ主25/08/28(木) 22:40:42
『とどろきとーやです。』
2人の耳に、再び"あの"声が届きました。瞬間、2人の目には不気味な光景が映りました。赤い髪だった頃、白色が混じってきた頃、紅白頭だったころ、赤色がほとんどなくなった頃、完全に白髪になった頃、何故かツギハギだらけて黒髪の姿、それの白髪の姿……そして、ヘビ。たくさんの"とーや"が無造作に積み上げられていました。
『とー、や』
中央にポツンと置かれていた"ぬいぐるみ"は、白髪が混じり始めた頃の燈矢の姿をしていました。思い出すのは、焦凍に危害を加えようとしたあの日でした。"ぬいぐるみ"は力尽きたように声がただの雑音へと変化していき、最終的に音を発さなくなりました。
「……なぁ、証拠として調べて持ち帰んなきゃいけないんだろ?もし無理だったら俺が、」
伊口はしばらく突っ立ったままの燈矢を案じ、代替案を提示しようとしました。ですが、あろうことか燈矢はデカい声で爆笑し始めました。
「ぶわははっ!!マ、マジかよ!俺の事大好きすぎだろ!!」
「アンタメンタル鋼でできてんのか!?!?」
ドン引きする伊口を尻目に燈矢は呼吸を整えた後、おもむろにスマホを取りだしどこかへ電話をかけました。
「あ、校長先生?…うん、や、ヘビさんだけじゃなかったっぽくて。しかもちょっと、量が尋常じゃないっていうか……え、マジで?…はい、はい、了解でーっす。」
最初は真剣なトーンだったのが、何を聞かされたのか途端に雰囲気が軽くなり、じゃまた後で!という明るい返事で通話は終了しました。そして燈矢は、気持ちの良い爽やかな笑顔で地獄のような発言をしてきました。
「うし、今からこれ全部数えっから。」
「アンタバカァ!?!?!?」
「制限時間は、雄英から来てくれる運搬係の人がココに到着するまでな。」
「ちょ待てよ!!人の話を聞、」
はい、よーいドン!
燈矢ものすごく投げやりな軽い開始の合図に、後でコイツに絶対人件費請求してやる…!!と強く思う伊口なのでした。 - 113二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 22:44:38
さらっと荼毘のぬいぐるみがある…
- 114二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 23:54:27
赤髪〜完全白髪から荼毘期までのぬいフルコンプとか羨ましいシチュだ
リアルでもグッズくれ - 115二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 07:11:11
保守
- 116二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 08:03:32
- 117二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 16:20:22
保守
- 118スレ主25/08/29(金) 21:01:23
「…で、こんな死屍累々って訳かい。」
「人をこんなに扱き使うなんてヒドいっすよねー。」
「アンタだろ…!!」
「キミでしょ…!?」
ヘビは燈矢の両脇に抱えられぐったりしている迫と伊口を見て、少し同情しました。迫は言うまでもなく大量の"ぬいぐるみ"たちを圧縮しまくった結果で、伊口は"ぬいぐるみ"の計測はもちろんのこと、爆速タイピング技術を買われ報告書の作成までしたらしいのです。"前"も仲間を利用していた自覚はありますが、ここまでハッキリ駒扱いする燈矢に、我ながらイイ性格してるなと思いましたし、人件費くらいは払ってやれとも思いました。
「それにしても、総計770個とは多いね。内訳ではキミの幼少期のものが殆どらしいけど、気分が悪くなったりしてないかい?」
根津はほぼ伊口が作成した報告書を見て、その異常性に燈矢の身を案じました。が、燈矢を気遣う根津に向かって、伊口は全力で首を横に振りました。
「センセー、コイツ大爆笑かましてたんで心配するだけ無駄です。」
「ウソでしょ!?心臓に毛でも生えてるの??」
「校長せんせー、ヘビさーん!2人がいじめるぅー!」
「「ぐぇっ締まってる締まってる!!」」
根津は、燈矢が意に介していないことは報告書の内容から分かっていました。"ぬいぐるみ"だけでなく、神社や神主について、役所での"ぬいぐるみ"と神社に関する調査、近隣住民の目撃証言、他にも様々な報告が記されていたのです。おそらく道中の空き時間や、迫と伊口が"ぬいぐるみ"の処理をしている間に行ったのでしょうが、そんな努力などまるで表に出さず仕事をこなしているのですから、この男も大概父親の血を引いているなと根津は微笑しました。
「はい、戯れはそこまでさ。この報告書を元に、事件の流れを整理してみようか!」 - 119スレ主25/08/29(金) 21:03:20
キュッキュキュッ
部屋に置いてあったホワイトボードを引っ張り出した燈矢は、事件の流れを簡単に書き出しました。
「事件発覚時の資料は各自で読んどいて、前提で話始めっから。ボードの赤文字は俺と校長先生による追加情報な。」
ヘビはマトモに仕事をしている燈矢を見て、凄く変な感じがしました。自分≒燈矢とはいえ、荼毘として心の赴くように生きた自分と、ヒーローとして体元居正に生きる燈矢はやはり別の人間でした。
そんなヘビの心情を知らぬまま、燈矢はボードのペンを指さし代わりに話を進行し始めました。
「まずは時系列順で判明したことな。元盗人ヴィラン(笑)現雄英の雑用係(笑)・迫サンの住所が誰かに勝手に使われてたこと。そっから推測するに闇バイト(笑)に走った伊口の雇い主が1番クロに近いってこと。」
「ねぇ今俺らを貶す必要あった?」
「ご丁寧にカッコトジまで言いやがって…!」
「ヂッ」
事実は事実だろ。ヘビは誰に向かって言うでもありませんが、会話のテンポ感に釣られてつい鳴いてしまいました。
「そりゃ、ヘビさんにすら正論パンチ食らわされる俺が悪いのは分かってるが…!」
「え?」
「おや。」
「ヂ?」
「…え、なに?」
「…………伊口がヘビさんの言葉が理解できるのは後で問い詰めるとして、」
真面目な時に面白い事すんなよ…!と心の中でツッコミみながら、燈矢は渋々進行を再開しました。
「えー…次に、おと…エンデヴァーがニュースに報道されてから判明したのは、"ぬいぐるみ"たちに製造会社はなく、個人で制作された一品モノの可能性が高いこと。俺の"ぬいぐるみ"も恐らく同一人物が作っていること。」
燈矢はペンをタンタンッとボードに打ち付け、不満そうな顔をしました。
「で、こっからは新たに生じた疑問と不審点。」 - 120スレ主25/08/29(金) 21:04:24
燈矢はボードに記されたクエスチョンマークの赤文字を順にタップし、疑問の詳細を話し始めました。
「まず1つ目。伊口の雇い主の個人情報が一切掴めないどころか、そもそも"ぬいぐるみ"のボールチェーンを買った意図が分からない。わざわざ闇バイトで人を雇ったり、住所を誤魔化してまですることじゃない。」
伊口は、闇バイトにしてはやけにクリーンだったことを思い出しました。それに今までの話を聞くに、雇い主はまるでボールチェーンで特定されることを前提にしているように感じました。
「2つ目。あの大量の"ぬいぐるみ"が"人形供養"として出されてたのが役所で判明したが、依頼人は不明だった。しかも依頼した年は俺が生まれる前だった。ちなみに引き受けた数、既に燃やした数、今ある数が一致しねぇ。」
ヘビは、報告書に記載されている"ぬいぐるみ"たちの総計の表を確認しました。引き取った数は1080個、供養した数は300個、公安が発見した数は9個、燈矢が発見した数は770個。確かに計算が合いませんでした。
「3つ目。今までの話を総括してもストーカー犯の影が全くない。サイバー系ヒーローにも協力を仰いでいるが、あの一件以来音沙汰なし。けど切り離すにしては、あまりにピンポイントに事件に関わりすぎてる。」
燈矢は一気に説明すると、机に置いてあった紅茶に手をつけ喉を潤しました。ふーっと息を吐いたあと、燈矢は根津とアイコンタクトを取り、伊口と迫に対して提案を持ちかけました。
「今からお前らにある提案をする。それは…」 - 121二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 22:32:12
未発見のぬいぐるみが一個存在する、、、?
- 122二次元好きの匿名さん25/08/29(金) 22:41:40
なんかホラーっぽくなってきたな…
そもそもとして、さ……何で、ぬいぐるみ製作者は荼毘の姿を知ってるのってもなるね… - 123二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 07:22:13
不穏になってく中で右側の絵が味あってかわいいなと思いました
- 124二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 15:53:30
1個がどこに行ったかはともかくヘビさんをぬいぐるみだと思ってる?かと思ったがSNSはちゃんと個性持ちのヘビとして見てるんだよなあ
- 125二次元好きの匿名さん25/08/30(土) 22:16:21
保守
- 126二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 03:01:21
ほしゅ
- 127二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 08:21:35
まとめ見てきたんだ
赤い文字なのが怖い… - 128二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 08:39:38
ヒェ…
- 129二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 15:43:34
赤文字化け変換しきて「そっかー」って頭抱えてる
- 130二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 18:31:40
燈矢が好きならなんで他の子のぬいもあるんだろうな
- 131諢帙@縺ヲ繧九h縲∫㊧遏「25/08/31(日) 19:39:15
- 132スレ主25/08/31(日) 19:45:33
リアルと規制のせいで低浮上です、ごめんね
展開をより盛り上げるために安価しちゃうよ!
アグニの必殺技を考えよう!の安価だよ
エンデヴァーの必殺技は(実際に使っているかはともかく)既に身につけているだろうから、新しい技を1、2個追加しようと思うよ
書き方はこれを参考にしてね↓
『(技名)』
説明:(どんな感じの技なのか)
>>136くらいまで募集するよ
- 133二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 20:17:34
- 134二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 20:46:51
『双蛇(ツインスネーク)』
あえて温度を落とした赤い炎と蒼炎を蛇のようにくねらせて相手にまとわりつかせる
蒼炎が明るい場所だとよく見えない(例えばアルコールランプの火を想像して見よ)のを利用して赤い炎をおとりにして本命の蒼炎を当てる二段仕掛け
ヘビさんの動きを見て考えついた技 - 135二次元好きの匿名さん25/08/31(日) 21:03:39
『蒼火球』
説明:シンプルに蒼い巨大な火の玉を発射する
と見せかけてたまに弟妹からもらった冷気を圧縮するサポートアイテムを投げつけてることがある - 136二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 01:16:45
『シリウス』
説明
圧縮した蒼炎の塊を空に放つ、主に飛行系や浮遊系などの空中移動可能なヴィランに使う - 137スレ主25/09/01(月) 01:30:42
めちゃくちゃセンスが良すぎる!
正直無茶振りしちゃったかなって不安だったのに、完璧に応えてくれるスレ民が好きだよ
1.『矢車菊』
2.『双蛇(ツインスネーク)』
3.『蒼火球』
4.『シリウス』
dice2d4=1 4 (5)
被ったとき用→ dice1d4=4 (4)
- 138二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 06:57:41
念のため保守
- 139二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 12:13:40
保守
- 140二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 19:28:21
一応保守
- 141二次元好きの匿名さん25/09/01(月) 22:12:29
どっちもかっこいい
- 142スレ主25/09/02(火) 00:46:01
時は少し進み、あるところに、赤黒血染という男がおりました。男は"オールマイト"というヒーローに憧れ、正しい世の中、正しい社会の為にと研鑽を積んできました。しかし現実は非情で、かつて己が憧れた"ヒーロー"は自分を犠牲にしてまでも人を助けるという"英雄"から、自分に利益を与えるために名乗る"贋物"へと変化してしまったことを知りました。
そんな経緯を経て、世の中を是正するために必要悪として活動してきましたが、3人の少年によって"ヒーロー殺し"は幕を閉じることとなりました。本来であれば簡単に命を葬れるはずでしたが、ヒーローたり得る者と判断した者たちを殺せるほど、自身の信念は薄っぺらくはありませんでした。
「焦凍ォ!!報連相はしっかりしろバカ!!既読無視はお父さんだけにしなさい。」
「と、!?…アグニ!?!?」
「悪かった。ヘビさんにも心配かけちまったな。」
「ヂッ」
どうやら他のプロヒーローもこちらに到着したようで、先頭には謎のデカいヘビを体に巻き付かせたブレイズヒーロー・アグニが焦凍を真っ先に叱りました。すぐ後ろにいたエンデヴァーは息子たちにいじられているようで、"贋物"としてのエンデヴァーの印象しか無かった赤黒には少し新鮮でした。
「…!!おぉ、本当に治るんだな、コレ。」
「わっ!炎が!!轟くん、このヘビは…?アレッ治ってる!?」
「な、何が何だか分からんが……えーっと、ヘビさんありがとうございます…?」
「ヂーッ、ヂッ!」
デカくてツギハギしたヘビがしっぽの炎を傷だらけの少年3人に翳すと、たちまち傷口が塞がれて治っていきました。ヘビは何かを訴えるように、しっぽを3人に軽く叩きつけながら鳴いていました。
「ヘビさんは俺の家族だ。…外側を治しただけで、内側はキッチリ検査しないとダメだと。無茶しやがったなって怒ってる。」
「ぐ…おっしゃる通りです…。でも、轟くんは僕のSOSを見て駆けつけてくれたので、あまり責めないでやって欲しいです。」
「それを言うなら、事の発端は俺です!ただでさえ一般市民が危険にさらされている状況で、私情を優先し判断を間違えた俺の責任です。」
ヘビはため息を吐き、エンデヴァー、マニュアル、グラントリノのいる方へしっぽをグッと伸ばして主張しました。謝るべき相手は俺じゃねぇよ、とでも言うように。 - 143スレ主25/09/02(火) 00:47:16
その間、3人の謝罪の言葉を流し聞きしていた赤黒は、シュルシュルと自身に巻き付く気配に気づきました。あのヘビによって自身を気絶させるためだろうと考えた赤黒は、大人しくヤられる気は無かったので、筋肉を上手い具合に調節して抵抗しようとしました。
ボワッ
が、予想していた刺激は来ず、代わりに暖かい炎が柔らかく体を包みました。未だ肋は痛み気だるさは消えないものの、傷口は止血されカサブタができかけていました。アグニがこの変なヘビに指示したのか?と赤黒は訝しみました。
「よぉ、絶妙な塩梅だろ?ウチのヘビさんは凄いんだ。」
お前が起きてることなど既に気づいていると言わんばかりに燈矢に話しかけられた赤黒は、ヘビと燈矢を交互に見やりか細く声を発しました。
「…なぜ。」
「ん?」
「何の…意図だ。……"目的"を言え。」
赤黒の持論として、人が人を助けるときの理由は大きく2つに分けられます。心の底から救けたいと思ったか、自分に利益をもたらすためか。ヒーロー・アグニの経歴や言動から、後者の気があると赤黒は推測していたのです。
「いや…命に貴賎とかないだろ。そこに理由もクソもあるかよ、なぁ?」
「ヂ」
何言ってんだお前?といった表情でお互いに顔を見合わせる燈矢とヘビに、赤黒はポカン…としてしまいました。燈矢的には、ヒーローもヴィランも一般市民も怪我をしていれば全員怪我人なんだから治療するだろ?というシンプルな意味でした。ですが、赤黒は思想がストレートに強いくせに変に捻くれた人間でありましたから、アグニはもしやオールマイトとはまた違う"正しい"精神を持っているのではないか?とある種の痺れを感じていました。
「うわぁ!?」
そんな風に穏やかになりつつあった現場の雰囲気は、緑谷出久の叫び声によって一変しました。 - 144スレ主25/09/02(火) 00:48:46
ガチめに低浮上なのに保守してくれてありがとうね、みんな
- 145二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 07:04:25
面白いしどうなっていくか気になるので!
そして、あの、はい……この話、しかもデクの叫び声………(アグニの募集された必殺技を確認) - 146二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 12:07:29
保守
- 147二次元好きの匿名さん25/09/02(火) 19:51:59
保守
- 148スレ主25/09/02(火) 22:08:45
「!!──『シリウ、」
翼を旗めかせながら緑谷を連れ去るヴィランを視界に入れた燈矢は、対飛行系に有効な火球を発する技を繰り出そうとしました。ですが、この場の誰よりも素早く反応したのは赤黒血染…いえ、"ヒーロー殺し"ステインでした。
「グギャァ!!」
「全ては……正しき社会のために…!!」
瞬間、ヴィランの動きが止まり地に落ちたかと思えば、ステインはヴィランに対して刃を振り下ろしてギッとヒーローたちの方を向きました。その瞳と立ち振る舞いは異様なほどに不気味で、グラントリノでさえ身動きを躊躇う程でした。
「"贋物"…正さねば…血に染まらねば…!!」
「俺を殺していいのは…本物の"英雄"…」
"オールマイト"だけだ───
ステインは最後の力を振り絞り、"贋物"であるヒーローたちに向かって己の信念を貫こうとしました。自分を止めればいずれ報いを受けるだろう、真の"英雄"には程遠い"贋物"で溢れかえり社会は混沌に包まれるであろう、というメッセージを込めて。
「『シリウス──」
『シリウス』という技は元々、赫灼熱拳のデメリットである"熱篭り"を解消するために編み出したものでした。いくら内冷に目覚めたとはいえ、エンデヴァー以上の高火力な燈矢の炎では内側に溜まった熱を冷やすのに精一杯で、結局外側が火傷してしまうことに変わりありませんでした。しかも、同時に2つの個性を発動させるのはどうしてもラグが発生してしまいます。そこで燈矢は炎を"体外に圧縮"させることで内冷を全身に満遍なく行き渡らせ、内冷を冷却器ではなくブースターとして昇格させたのでした。
「──新星(ノヴァ)』!!」
そしてそれは、対飛行系に対しての有効打だけでなく、自身が素早く動くための機動力としても機能するのです。『親父さんと同じ轍を踏まないと決めたのなら、考え方から変えてみろ』、恩師の相澤の助言は体外に熱として凝縮され、内側ギリギリまで凝結した冷気が反応を起こし、爆発的なエネルギーの球となって燈矢の体を前方へ押し出しました。
「怪我人が動いてんじゃねぇ!!!!」
燈矢はステインの顔面に思いっ切りSMASHを打ち込みました。 - 149スレ主25/09/02(火) 22:10:11
あるところに、緑谷出久という男の子がおりました。"オールマイト"という偉大なヒーローに憧れて、ひょんなことから彼の後継になった緑谷は、現在それに相応しくなるべく職場体験で奮闘中…のはずでした。端的に言えば、理不尽(?)な暴力がヴィランを襲っていました。
えぇ〜〜〜〜〜〜!?!?アグニが"ヒーロー殺し"を殴ったぁ!?
飯田、轟と共に"ヒーロー殺し"ステインを倒し事態は収束するはずでしたが、突如現れた飛行する脳無によって連れ去られかけた緑谷をステインが救ったのです。ステインの思想、矜持、信念から発せられる殺気に、緑谷を筆頭にしたほとんどの人間が慄いて言葉すら発せませんでした。…1人のヒーローと1匹のヘビを除いて。
「ヂァ゛ー!!」
「せっかくヘビさんが治してくれた傷口を開かすな馬鹿野郎!!」
「怒るとこソコォ!?」
緑谷はあまりにも予想外すぎる展開に、ついツッコんでしまいました。殺気に飲まれ、思わず足が竦んでしまうほどの空気をモノともせずぶち壊したのは、ブレイズヒーロー・アグニと謎のツギハギしたヘビでした。ヘビは燈矢と共にステインに対して怒声を浴びせながら、燈矢が殴った部分だけに炎を翳して綺麗さっぱり直しました。まったく小賢しいですね。
「貴様…な、何を…」
「大体、"自己犠牲"だの"英雄回帰"だの馬鹿の一つ覚えみてぇに言いやがって……」
燈矢は赤黒の首元を鷲掴んで無理やり立たせ、目と目を合わせてハッキリと告げました。
「そんなに"大義"が欲しいんなら、まずは親御さんの墓参りにくらい行けってんだよボケカス!!」
「は、」
燈矢がどうやって知ったのか定かではありませんが、確かに赤黒の両親は既に他界しておりました。しかし赤黒には粛清の義務があり、それを成すことが赤黒の人生の全てでした。
「親御さんの好きな食べ物は?」
「…は?」
「好きな色は?趣味は?お前をどう思ってた?」
「……。」
赤黒は答えられませんでした。ヒーローに絶望する前は、それなりに幸せな生活を送っていた気がします。しかし"英雄回帰"に傾倒してからというもの、赤黒の人生の中で両親の存在は片隅に置かれました。最後に顔を見たのは、恐らく葬式でした。
「どいつも、こいつも、みーんな世界を救いたがる。それくらい救いたいって気持ちがあるなら、なんで身近な存在を大切にしてやれないんだよ。」 - 150スレ主25/09/02(火) 22:11:31
ヘビは初めて燈矢にあった時、ヒーロー以外の道に進んでいるとばかり思っていました。ですから、わざわざ目立たないような危険かつ地味な内容のヒーロー活動をやっていると知って大変驚き、何故なのかを本人に直接聞いたことがありました。燈矢は、赤黒に放った言葉と同じことをヘビに言って聞かせたのです。
「1番近くにいる人を幸せにできないヤツの言う"大義"なんざ、聞きたくもないね。」
燈矢は赤黒の首元をパッと放し、再び縄で力強く拘束しました。
燈矢は不特定多数の"みんな"を救けるためにヒーローになった訳ではありません。1番近くにいる人──例えば、お母さん、冬美ちゃん、夏くん、そして……焦凍──が笑顔に過ごせるように、幸せを守る術を行使するためにヒーローになったのです。それは世間で言うところの"自分勝手"だったり"自己中心的"でありましたし、そうであると燈矢も思いましたから、自分から"ヒーロー"だと主張することはできるだけ避けてきたのでした。父親とは違う"ヒーロー"の在り方、これが燈矢の辿り着いた答えでした。
「…あ〜もう、疲れたから蕎麦食べに行こうぜ、蕎麦。ヘビさんも好きでしょ?」
赤黒の身柄を警察に引渡して弟たちを病院まで見送った後、燈矢はヘビにお誘いをしました。本来ならば、戦闘が許可されていない学生3人に代わりに"ヒーロー殺し"を捕まえた人物として手柄を立てても良かったのですが、無駄に目立ちたくない燈矢はその責任をエンデヴァーに全て押し付け、現在ヘビと帰宅途中でした。
「ヂッ」
好きだぜ。
その返事は果たして蕎麦に対してだけなのか、真意はヘビにしか分からないのでした。 - 151二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 06:24:22
燈矢……!!
- 152二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 12:23:30
かっこいいな…
- 153二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 20:18:38
守りたいって気持ちが理由な時点で立派にヒーローしててカッコいいよ
- 154二次元好きの匿名さん25/09/03(水) 23:00:34
- 155二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 06:35:56
保守
- 156二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 12:13:07
ほしゅ
- 157二次元好きの匿名さん25/09/04(木) 20:06:29
- 158二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 00:09:43
保守
- 159二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 06:54:13
保守
- 160スレ主25/09/05(金) 10:29:29
「ざるそば2つ。」
燈矢は慣れたように暖簾をくぐり店に入ると、店員に注文だけして中へ中へと進んで行きました。店員はヘビを見て一瞬吃驚していましたが、燈矢と目を合わせた後すぐに笑顔に戻り「いらっしゃいませ。」とまるで何事も無かったかのように対応しました。客もヘビを見て驚く様子はありましたが、騒ぐことはなくすぐに蕎麦や連れの人に視線を向けました。
「ここ、俺のお気に入りでさ。客も店員も守秘義務しっかり守ってくれるし、個室もあるから安心して過ごしていいよ。」
燈矢は他より少し飾り気がある障子扉をサッと引き、ヘビを内に入れ座椅子に座るよう促すと、既に机に用意されてあった急須を手に取ってトクトクとお茶を2人分注ぎました。
「失礼いたします。お待たせしました、ざるそばをお持ちしました。」
ヘビはヂ、とお礼を伝えお茶を味わっていると、思っていたよりもかなり早く蕎麦が運ばれてきました。給仕の人が先程の店員と違って高価そうな着物に包まれていることから、燈矢はこの店の"お得意様"であることが伺えました。
「いただきまーす。」
「ヂッ」
燈矢とヘビは給仕の人に感謝を伝え、早速ざるそばにありつきました。箸も割り箸ではなく漆塗りや八角に加工されているあたり、マジで別格な対応をされているのだとヘビは実感しました。
「あのさ、」
ヘビが焦凍のチキチキ!蕎麦打ち邂逅を思い出しながらお店の蕎麦の美味さに感動していると、燈矢が目を合わせて話しかけてきました。
「俺のこと助けてくれたの、ヘビさんでしょ。」
それは間違いなく、燈矢の…いえ、轟家の未来を大きく変えた"あの日"のことでした。 - 161スレ主25/09/05(金) 10:30:34
【シークレットダイス】
燈矢 dice1d100=53 (53)
ダビヘビ dice1d100=53 (53)
燈矢が数値を上回ると何か起こる…かも?
- 162スレ主25/09/05(金) 10:33:40
- 163二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 10:33:41
おんなじだ
- 164スレ主25/09/05(金) 17:44:05
燈矢は気づいていました。それはヘビが"あの日"助けてくれたことだけでなく、ヘビがどこか自分と"おんなじ"であることにもでした。例えば感情の起伏、考え方、よくやる仕草…。瓜二つなのに、大きく違う。燈矢はヘビを、なんとなく自分に近しい"ナニカ"…双子以上自分未満の存在だと捉えていました。
対してヘビも、燈矢が"自分"の存在に気づきかけていることを察していました。しかし自分が何者であるかを話すには"ゼンセ"を話す必要がありますから、本当に核心に迫られる状況にならなければ話す気はありませんでした。
「ヘビさんが何で俺を助けてくれたのか、どうしてウチの軒下に居たのか……気になることはたくさんあるけど詮索はしないよ。ただね、」
俺、ずっと感謝を伝えたかったんだ。ヘビさんに。
そう言う燈矢の目は、違う世界線の自分の顔だと分かっていても吃驚するくらい慈愛に溢れていました。俺、こんな顔できるんだな…とヘビは少し場違いな感想を抱きました。
「俺、自分で言うのもなんだけど…観察眼があるっていうのかな?端的に言っちゃえば、"勘の良いガキ"だったんだよね。」
だから、自分が何のために生まれたのか、どうしてお父さんとお母さんが結婚したのか、なんでお父さんが自分を見てくれなくなったのか、他にも…全部、全部分かってた。分かってたつもりだった。
蕎麦を食べ終え、机の上で手を組んで話し始めた燈矢は、何か後悔しているような、懐かしんでいるような顔をしていました。
「真実にはすぐ気づいたよ。でも、それだけで本人の気持ちまで分かったつもりだったんだよ、俺は。」
思い出すのは、燈矢の"家族"と"ヒーロー観"へのイメージを大きく変えた出来事でした。 - 165スレ主25/09/05(金) 17:45:47
『……冬美ちゃん?』
『えっ、あっ!』
"あの日"以降、燈矢は自分が父以外の家族に距離を取られていることに気づいていました。思いの丈をぶつけたことは後悔も反省もしていませんが、今までの関係を壊す行為であることは理解していました。ですから燈矢は、もう既に燈矢専用の訓練場と化している瀬古杜岳に妹の冬美が来た理由がわかりませんでした。特訓に集中していて気づきませんでしたが、冬美の頭の上に少し雪が積もっていたことから、恐らく長い時間こちらの様子を伺っていたようでした。
『何しに来たの。』
『あ……謝り、たくて』
『何を?特訓を止めたこと?別にいいよ、冬美ちゃんはただ俺が怪我すんの嫌で止めてただけじゃん。だから…』
謝んなくていいよ。と燈矢が言葉にする前に、冬美が今まで聞いたこともないくらい大きな声で遮りました。
『違う!!!…あ、や、そうだけどそうじゃなくって…。』
冬美はぽつぽつと話し始めました。燈矢に特訓を辞めさせようとしたとき、確かに冬美は心配故に燈矢と衝突しました。以降、一緒にボール遊びをしたりするものの、お互い心のどこかで"分かり合えない"と区切りをつけている部分がありました。
『私ね、分かんなかったの。燈矢兄がどうしてあんなにお父さんに執着してたのか。……でもね、燈矢兄が本音でぶつかってくれたから、私ようやく分かったの。だからね、』
『燈矢兄のやりたいこと、なりたいもの、否定しちゃってごめんなさい!』
冬美は勢いよく頭を下げ、燈矢がそれを止める暇もなく冬美は顔を勢いよくあげました。
『今、お母さんも焦凍のことで精神参っちゃっててお家大変だけど、私が何とかするから!だから燈矢兄は、やりたいこと、なりたいもの、自由にしていいからね!!』
『…冬美ちゃんは?』
『え?』
燈矢は、冬美がこんなにも自分のことを考えてくれていたこと、同時に、家の事を全部担おうとしてくれていたことに気づきませんでした。冬美はきっと、家族の為なら積極的に動いてくれます。でもそれは、燈矢的にはあまり喜べることではありませんでした。
『冬美ちゃんは、やりたいことないの?』
『私は…私、』 - 166スレ主25/09/05(金) 17:48:07
私、やりたいこと、無くなっちゃった。
燈矢は震えたその言葉を聞いて、ドッと心臓が大きく鳴りました。なんで?どうして?そもそも冬美ちゃんのやりたかったことって何?燈矢はここで初めて、家族を分かった気になっていたことを思い知りました。
『みんなが仲良く過ごせればいいなって、思ってたの。みんなが仲良く過ごせるように、お料理とか、お洗濯とか、お掃除とか、いろいろ頑張ってきたの。でも…でも……』
『みんな違うとこ向いてるんじゃ、意味無いもん。』
無理やり笑顔を作って涙を堪える冬美の姿は、冬の寒さよりも突き刺さる冷たさでした。冬美は気づいていたのです。父親の意図も、燈矢の存在意義も、母親が自分たちを産んだ理由も、全部気づいていました。でも見ないフリをしてやり過ごしていたのです。また幸せな日々に戻れるかもしれない、また皆で笑顔になれるかもしれない、と。しかし、"あの日"を境にバラバラになり始めた家族──特に、荒れている父を見て、あぁ、もうダメなんだと冬美は思ってしまったのです。
『だから、燈矢兄はさ……なってよ、なりたいもの。』
私の"幸せ"は、もう叶わないからさ。
言外にそう含んだ冬美は、燈矢の目には酷く痛々しく映りました。どう返せばいいのか、どうしたら冬美の涙を拭えるのか、燈矢には分かりませんでした。 - 167二次元好きの匿名さん25/09/05(金) 22:32:46
わぁ……冬美ちゃん、諦めちゃったか…
- 168二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 06:44:20
仕方ないよ……
- 169二次元好きの匿名さん25/09/06(土) 12:17:49
保守