【SS】咲季「ねえ、プロデューサー」re【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 09:36:30

    えー、昨日なんとあの後出かけてそのまま書き込めずに終わっちゃいました。ということで、再喝です

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 09:37:52

    「ねぇ、プロデューサー? 」
    「はい、なんでしょうか」
    「あなたって、休日はいつもなにをしているの? 」
    「仕事です」
    「仕事がない日は? 」
    「そのままだらだらとしていますね。咲季さんと同じようなものです」

    彼とのプロデュース関係を結んでから一ヶ月程が経って、わたしは気になっていた。彼は休日に何をしているのだろう、と。

    いつもプロデューサーは、わたしの為にあちらこちらを飛び回ってくれているわ。けれど、彼を見ていると思うのよ。いつ休んでいるの、って。

    「……あなたは別に、アイドルでもないんだからもう少し休んでもいいと思うのだけれど」
    「あなたにあてられてしまったんですよ。ストイックな咲季さんを見ていると、こちらもやる気が湧いてくる」
    「そう? けど、無理はしないでちょうだいね。あなたがいないとわたしは上にはいけないもの」
    「はい、わかってますよ。ご心配なさらずに」

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 10:03:50

    「ね、そこであなたに提案なのだけれど。次の完全休養日、わたしと、その……デートしない? 」
    「デート、ですか」
    「と言ってもただ散歩したりするだけよ。そうするだけでも、だいぶ気は休まるもの」
    「では、咲季さんのご厚意に甘えまして。そのお誘い受けさせてもらいます」
    「ふふっ、決まりね」

    一ヶ月……そう、一ヶ月。その短い間で、わたしは沢山彼のことをしったわ。でも、知りすぎてしまったみたいね。このわたしが、まさか恋に落ちるなんて。もちろん、彼の前でこの気持ちを伝えるつもりはないし、アイドルを引退するまでは隠し通すつもりだわ。

    でも好きなものは好きなんだもの。一緒に過ごしていたいじゃない。散歩でも、お喋りでも、なんでも。彼となら、なんだって楽く感じちゃう。なんだって、もっと続けばいいって思ってしまうもの。我ながら、なんてちょろいのかしら

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 11:15:15

    「あれ、お姉ちゃんが起きてる。今9時だよ? 」
    「明日は完全休養日なんだし、別にいいじゃない。たまにはこうやって眠れない日があったって」
    「あ、もしかして~……プロデューサーさんとのデートが待ちきれないんでしょ」
    「そ、そんなわけないじゃない! 」

    久しぶりね。楽しみすぎて眠れない、だなんて。ほんと、いつぶりかしら。明日が完全休養日で良かったわ。しばらく、眠れそうにないもの。

    「お姉ちゃん、図星だね」
    「はぁ……仕方ないじゃない。恋、しちゃったんだもの」
    「わァァ……!! 」
    「アイドルになる、って決めてから恋愛とかそういうのは馬鹿馬鹿しいと思っていたのだけれどね。まさか、わたしがしてしまうなんて。素敵ね、恋って。……ねえ佑芽。いつかあなたも、素敵な人に恋できるといいわね」
    「うん! 」

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:03:57

    捕手

  • 6二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 12:50:09

    ほしゅ

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 13:13:06

    「あ、プロデューサー」
    「すいません咲季さん。待たせてしまいましたか? 」
    「いえ、大丈夫よ。わたしも今来たところだもの」

    ……楽しみすぎて、予定より早く来てしまったわ。昨日佑芽に服とかも選んでもらったのだけれど、ワンピース、似合ってるかしら?

    「咲季さん、ワンピースですか」
    「ええそうよ。佑芽に選んでもらったの。 似合ってるかしら? 」
    「はい、とても似合ってますよ」
    「そ、そう? なら良かったわ」
    「さぁ、それでは行きましょうか」

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:15:48

    応援

  • 9二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:40:41

    10までksk

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:47:34

    ksk

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 14:56:16

    ふふ、どうやらちゃんと似合ってたみたいね、良かったわ! それにしても、やっぱりいざ言われると凄い照れちゃうわね。

    「どこを歩く予定なんですか? 」
    「未定よ。あなたとなら、どこ歩いてたって楽しいもの」
    「では、お付き合いします」
    「ええ、よろしくね。……あら? あそこでお祭りやってるみたいよ! 」
    「行きましょうか」

    へぇ、この時期にお祭りなんてやってるのね。春祭り、にしてはちょっと遅い気もするけど……ま、いいわ。お祭りデートよ!

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 17:53:37

    ほし

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 20:18:28

    「あら、射的があるわよ! 勝負しましょ、プロデューサー! 」
    「射的ですか。いいですよ、やりましょうか」

    プロデューサーがわたしのことをどう思ってるかはわからないけれど。かわいい子が突然かっこいいところを見せたら男の人はキュンとする、って佑芽から聞いたわ! 丁度、わたしは射的得意だし……にひひ、見せてやろうじゃない!

    「な……」
    「俺もあなたも全弾命中……ということなので、引き分けですね」
    「あなた、射的得意だったの? 」
    「練習しました。あなたと付き合っていくにあたって、勝負事と判断されそうなものは基本」
    「わたしが何でもかんでもすぐ勝負を仕掛ける人間って言いたいわけ? 」
    「いえ、そういう訳では無いですよ。咲季さんは自分に勝ちうる人間との勝負が好き、と仰ってましたね。担当の喜ぶことをするのもプロデューサーとしての使命ですから。いつ勝負を仕掛けられても、あなたを満足させれるように俺が……」
    「わ、わかったわよ……わかったから、その辺にしておいてちょうだい。恥ずかしいわ、もう」

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/17(日) 22:09:48

    ほしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 01:31:20

    ……かっこいいところを見せて好きにさせるつもりが、逆にかっこいいところを見せられてしまったわ。普段意識していなかったけれど、かっこいいってこういう気持ちなのね。

    「じゃあ次は金魚すくいで勝負よ! 」
    「はい、わかりました」
    「ふふっ、今度こそ勝つんだから! 」

    金魚すくいなら大の得意! 今度こそ、勝ってみせるわ!

    「咲季さんが五匹、俺が六匹。また勝ちですね」
    「ぐんぬぬぬぬぬぅ……また負けたぁぁぁぁ!! 」
    「スイッチが入ってきました。咲季さん、とことんやりましょう。今日はいくらでも付き合います」

    ええい、この後のことなんてどうでもいいわ! この春祭りで、わたしはプロデューサーに勝つっ!!

  • 16二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 06:50:50

    保守

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 11:20:42

    ほしゅ

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 14:21:27

    とうしゅ

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 18:57:00

    ないやしゅ

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 19:05:41

    「咲季さん、楽しいですね」
    「ええそうね。とっても、楽しいわ」
    「負けまくってるのに、ですか? 」
    「人の傷を抉るのが上手ね、あなた……というか、さっき言ってたじゃない。まさか、いちばん近くにいたあなたが、わたしの求めてる人だったなんて思ってなかったのよ」
    「驚かしてみたかったんです、こういうのには憧れてましたので」

    プロデューサー、本気で楽しんでるわね。ふふ。まさか、あんなかっこいい人にそんな子供っぽい一面があったなんて。色んな面を知る度に、もっともっと好きになっていく。プロデューサーは……わたしのこと、どう思ってるのかしら。

    「咲季さん。わたあめはお好きですか? 」
    「え? えぇ、好きだけど」
    「では、買ってきますね。少し待っていてください」
    「別にいいのに」
    「一緒に食べたいんです、俺が」
    「……そ、そう。じゃあ、お言葉に甘えましょうか」

    ──ほんと、かっこいい人

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 20:21:15

    「ふむ。そろそろちょうど良い時間ですね。帰りましょうか」
    「ええ、そうね。今度はちゃんと浴衣を着て来たいわね」
    「いいですね、浴衣。はい、また来ましょうか。……ありがとうございます、咲季さん。あなたのおかげで、久しぶりにこんなにも休めました」
    「アイドルとして、当然のことをした迄よ。っていうかあなたはもっと休むべきなの! 約束してちょうだい! 一週間に二日は休みの日を作る! いいわね? 」
    「そうですね、はい。わかりました、約束しましょう。担当に心配をさせる訳にも行きませんからね」
    「分かってくれたならいいのよ。それじゃあそうね、たまにでいいから休みの日はまた散歩しましょ」
    「そうですね」

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/18(月) 22:30:48

    ほしゅ
    いいP咲季だ

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 04:12:40

    「はぁ……」

    結局、こっちがどんどん好きになる一方だったわね。本当、ダメね。こんな気持ち、知ってしまったら集中なんてできないじゃない。こんな素敵な気持ちを、傷つけたくなんてないもの。

    「今日は、おかげでとても楽しめたわ! ありがと、佑芽」
    「いいのいいの! あのお姉ちゃんが恋しちゃったんだから……ね? 応援もしたくなるよー」
    「わたしのかっこいいとこを見せて惚れさせるつもりが、逆にもっと惚れさせられてしまったわ」
    「プロデューサーさん、見るからに色々とできそうだもんね」

    その日の夜。わたしは、佑芽と話していた。今日あったことを報告したりして。色んなことを聞く度に、笑って……驚いて。ほんと、この子も我が生涯のライバルながらなんて可愛いのかしら。
    ……純粋に可愛がれたなら、どれだけ良かったのかしら

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 09:33:23

    秋になった。あの日からずっと、二人で何回もデートをした。どんどんと、気持ちが大きくなっていって。佑芽がいない、威勢を張ってない時のわたしだと彼の顔をちゃんと見れなくなってしまった。この気持ちを、今すぐにでも伝えてしまいたい。そう、強く思うようになった。

    もちろん、アイドル活動もちゃんとしていて、N.I.Aで優勝した。そこでファンも沢山増えたし、今だってH.I.Fの選抜試験に向けてレッスンを欠かさずにしている。

    「……いよいよ明後日、選抜試験ですか」
    「えぇ、そうね。もしかして、不安かしら? 」
    「いえ、あなたなら一番を取れると確信していますが。絶対通りはするでしょうが。佑芽さんが、どれほど伸びているのかがわからないので」
    「ねえ、プロデューサー」
    「はい、何でしょうか」
    「好きよ」

    プロデューサーが近くにいるだけで、わたしはプロデューサーを変に意識してしまう。こっちを見て笑っているだけで、わたしはその笑顔だけを考えてしまう。それもこれも、全部この気持ちのせい。彼がわたしをどう思ってるのか、なんて分からないけど。こんな気持ち、抱えたままステージに立つ訳には行かないわ。

    「なぜ、今」
    「……やるからには、本気で行かないとでしょ。なら、こんな邪念は今ここで捨てておかないと」
    「本当に……本当に、あなたらしいですね」
    「さ、それで。振るなら早く振ってちょうだい」
    「好きな人から告白されて、振れる訳が無いでしょう」
    「えっ……えっ? 」
    「付き合いましょう、咲季さん」
    「いい、の? こんなあっさりで」
    「あなたが告白をしてきてくれた。それだけで満足ですよ、俺は。ムードなんて知りません」
    「じ、じゃあ……よろしくお願い、します」

    えっ、えっ? 付き合えちゃったわ……

    「ただ、その代わり。付き合うのはあくまで、プロデューサーではない俺と、アイドルではないあなたです。……ですから、きっとあなたを満足なんて」
    「こういう時まであなたはあなたなのね。安心したわ。ええ、そうしましょ。満足なら、アイドルじゃないわたしをさせてちょうだい。アイドルのわたしは、もう十分満足よ」

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 14:25:56

    ついにやってきた選抜試験の日。少し、気分が晴れたような気がするわ。さ……やれる限りを尽くすわよ。
    佑芽が凄いことなんて、誰よりもわかっていた。姉として、もう数え切れない時間を共にしてきたから。それは今も変わらなくて。N.I.Aで戦ってみてわかった。あの子は、もうわたしをとっくに超えている。

    「応援してます、咲季さん」
    「ひひっ、ありがと! それじゃあプロデューサー……勝ってくるわね! 」
    「はい、しっかり見ていますよ」

    怖い。ついに負けてしまうんじゃないかって。あの子を嘘つきになんてしたくない。あの子に、見捨てられたくなんてない。

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 17:29:41

    ほしゅ
    このP咲季がしゅきしゅきだいしゅき

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 19:37:25

    ほしゅ

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:15:51

    結果は……ぎりぎりで、わたしの勝ち。本当に、危なかった。どうしよう、このままじゃわたしはあの子に……

    「お姉ちゃん! 」
    「あら、佑芽……どうしたの? 」
    「また、負けちゃった」
    「ええ、また勝ってやったわ」
    「やっと……やっと、隣に立てたよ。お姉ちゃん。もうちょっとであたし、追い越せそうだよ」
    「そうね……わたし、もう追い越されちゃうわね」
    「ねえ、お姉ちゃん。正直に答えてね。お姉ちゃんは、あたしとの勝負を楽しめてる? 」
    「ええ、もちろんよ。楽しんでるに決まってるじゃない」
    「……ぶー。お姉ちゃんの嘘つき」

    ……えっ

    「あたし知ってるよ。お姉ちゃんがあたしに負けたくなくて、必死なこと。まだ、あたしが手も足も出なかった頃は、とっても楽しそうだったのに……今は、とても苦しそう。何かに怯えてて、楽しめてない感じがしたよ、お姉ちゃん」

    そう……そうなのね。もう、バレていたの。わたしの強がりが。もう、隠せないわね。ほんと、この子ってばわたしの事が好きすぎるんだから。

    「……バレちゃったわね」
    「ずっと前から、気づいてたよ」
    「幼い頃のこと、覚えているかしら? 」
    「うん、覚えてるよ。あたしが、お姉ちゃんは誰にも負けないんだーって言っちゃったから、だよね」
    「大好きなあなたを嘘つきになんてしたくないもの。……それから、ね。もし、わたしに勝てば佑芽はきっと私なんて見向きもせずに、その先だけを進んでいくわ。わたしは、それが怖いの」
    「お姉ちゃんのばか。あたしが勝っても……お姉ちゃんは、あたしの一番だよ。ずっとずっと。あたしが勝っても。お姉ちゃんが、今よりダメになっても。あたしはずっと、お姉ちゃんのそばにいて、お姉ちゃんと戦ってたいよ」

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 20:33:52

    わたしが……色々、考えすぎてただけ、なのかしら。佑芽のその優しい言葉が、次から次へとわたしの心に響いてくる。勝ちたい、そんな気持ちは変わらないけれど。もう、負けることに怯えなくたっていい、のね。

    「ありがとう、佑芽」
    「どういたしまして。H.I.F本番。"本気"のお姉ちゃんに、あたしは勝つよ」
    「全力でかかってらっしゃい。"本気"のわたしで、返り討ちにしてあげるわ! 」

    お互いに宣戦布告しあって、佑芽は去っていった。壊れかけだった仮面が、完全に崩れる。ぽろぽろと、涙がこぼれ落ちる。今、わたしの心にあるのは安堵。とてつもなく強い、安堵。ただ、それだけ。

    「抱えていたものは、取れましたか? 」
    「ええ、おかげでね。だいぶスッキリしたわ。それよりも、勝ったわよ」
    「ええ、見ていました。とても良い、ステージでした」
    「本当にそう? 佑芽は言ってたわ。わたしが楽しそうには見えなかったって」
    「楽しそうに見えるから、完璧なステージになるなんて理論はありませんよ。がむしゃらでも、焦りながらでも、あなたのパフォーマンスは完璧だった。それだけの話です」
    「……そう。プロデューサー、待たせたわね。ようやく、鎖から解き放たれたわ」
    「待ってましたよ。それでは……と言いたいところですが、疲れきっていることでしょう。なので今日はもうアイドルを辞めにしてデートに行きましょうか」

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/19(火) 23:33:15

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 03:15:47

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 10:41:58

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:31:46

    「プロデューサー見て! 紅葉が綺麗よ! 」
    「ええ、そうですね」
    「……あっ。もう、プロデューサー? 頭に紅葉がついてるわよ? 」
    「え、本当ですか? 」
    「ほら、じっとしていて。……よし、取れたわよ」

    色々なところを歩いているから、沢山紅葉の木を見かける。ひらひらと落ちてきて……なんて、綺麗なのかしら。そして、そうして落ちてきた紅葉がちょん、と彼の頭に止まった。ので、わたしはそれを取ってあげる。

    「ありがとうございます」
    「ねえ、プロデューサー……手、繋いでもいいかしら」
    「はい、構いませんよ」

    プロデューサーではない彼の前だと、不思議とわたしは甘えん坊になってしまう。手を繋いでいたいし、抱きついていたい。たくさん、甘えたい。そんな気持ちで、心がいっぱいになってしまう。

    昔の私が見たらなんて言うのかしらね

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 17:37:03

    「そういえば、佑芽さんとはどんなお話を? 」
    「秘密よ、秘密。今はアイドルじゃないんでしょ? 」
    「そうでしたね」
    「咲季さん。……今更ですけど、俺で良かったんですか? 」
    「そうでなければ元々告白なんてしてないわよ。そういうあなたこそ……わたしで、良かったの? こんな、恋のいろはもわからないわたしで」
    「仕方ないでしょう、好きになってしまったんですから。恋のいろは……は、俺もよくわかってないので気にしないでいいと思いますよ。そもそも、恋のいろはも人によって変わってくると思うんです」
    「それは……そうね」
    「なので俺達は俺達のいろはがあるのでいいんですよ」
    「なにそれ」
    「さぁ? 」
    「なんで自分で言っててわからないのよ」

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:55:38

    ほっしゅ

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 04:24:26

    ほしゅ

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 06:32:33

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 11:37:27

    「……あなた、辛いものダメだったのね」
    「そんなことは」
    「とぼけても無駄よ。まだちょっと泣きそうじゃない」

    最近、この近くにまぜそばのお店ができたらしいのでお昼はまぜそばを食べた。もちろん、出来る限り量やカロリー等は調整して。とても辛くて美味しくて、名古屋のそれにも引けを取らないくらいのものだった。

    そして初めて知った。プロデューサーは辛いものが苦手なんだということに。むせながら、泣きそうになりながら、必死に啜ってる姿が昔の佑芽みたいで、とっても愛おしく思えた。ほんとに……あなたは、どれだけわたしを好きにさせたら気が済むのかしら

    「咲季さん。改めて今日は、お疲れ様でした」
    「今は……そうね。ええ、ありがとう」
    「あなたは一体、どれだけ俺を好きにさせれば気が済むのでしょうか」
    「その言葉、一言一句違わずお返しするわ。あなたってば、どれだけわたしを好きにさせれば気が済むのかしら? 」
    「……このまま次も、頑張りましょう。もっと、あなたの事を好きにさせてください」
    「ええ、期待してて。あなたの心を一欠片も残らず奪ってあげるから」

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 16:06:34

    ほしゅ

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:08:53

    H.I.F、本番の日。緊張で眠れなかっただなんて、本当いつぶりかしらね。……プロデューサー、怒るわよね

    「おはようございます、咲季さん。やはり、眠れませんでしたか? 」
    「本当にお見通しね。ええそうよ、緊張で全く眠れなかったわ! 」
    「体調は大丈夫ですか? 」
    「ええ、特に変わりは無いわ。心の方も大丈夫。緊張はしてるけれど……楽しみで、仕方ないのよ」
    「なら良いです」

    ……あなたらしいわね。咎めもせず、ただ心配だけをしてくれる。その優しいところ、とっても大好きよ。
    ふふ、本当に恋って不思議なものね。ただ、こうして心配してくれただけでも心が燃えてくる。やろうって気持ちが溢れて止まらない。

    「咲季さん、次ですよ」
    「ええ、わかってるわ」

    時間があっという間に過ぎて経過していって。いよいよ次は、わたしと佑芽の勝負の番。

    「もう、強がる必要はありません。大丈夫です。ありのままのあなたを……俺に、佑芽さんに、そしてあなたのファンに、見せつけてきてください」
    「ねえ、プロデューサー」
    「はい、何でしょうか」
    「一つだけ、わがままいいかしら」
    「なんなりと」
    「わたしを、『咲季』って呼んでくれないかしら。そして、わたしにエールを頂戴。あなたからのエールが、一番効いてくるもの」
    「わかりました。……行ってらっしゃい、咲季。俺の夢を叶えてきてください」
    「ええ、行ってくるわ! プロデューサー、瞬き厳禁だから! 一瞬たりとも見逃すんじゃないわよ! わたしが一番になる瞬間を──」

    あなたの夢が叶う瞬間を!!

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 22:35:24

    ほしゆ

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 04:09:13

    初めて、佑芽とのステージを夢中になるほど楽しむことが出来たって思う。わたしって、こんなに動けたのね。こんなに、楽しく歌えたのね。

    『H.I.Fソロ部門の優勝者、そして我が校が誇る次代の一番星は……花海咲季ッ!!!! 』
    「うそ……わた、しが」
    「嘘じゃないよ。お姉ちゃんが、なったんだよ!! 一番星に!! 」

    最初、何を言っているのかがわからなかった。理解するのに、時間がかかった。まるで、夢でも見ているかのような気分だった。佑芽に、勝てたんだ。そして……わたしが、一番星。ふふ。彼は、見てくれていたかしら。

    「ほら、おねーちゃんっ! スピーチだよ! ここに集まってくれたみんなに、聞かせてあげてよ。あたしのお姉ちゃんの……花海咲季の、誰も越えれない凄さを! 」
    「……えぇ、行ってくるわね。いーい? よく聞いておくのよ、佑芽。これはあなたに向けてのメッセージでもあるんだから」
    「うんっ! 」




    「お姉ちゃんは拒んだりしないわ! 勝負ならいつでも大歓迎よ! 挑んできなさい! そして私を超えなさい! そしたらわたしがまた、超えてあげる! 文句はなしよ! だってわたしは……最強無敵のお姉ちゃんで、一番星を手にしたアイドルなのだから!! 」

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 12:09:00

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 14:34:11

    「咲季さん……」
    「プロデューサー、見ててくれてたかしら? 」
    「はい、はい……しっかりと、この目に焼き付けましたよ」
    「ほんの少しだけ、あなたの夢を叶えてきたわ」
    「ありがとう、ございます」
    「あなたって……そんな風に、泣くのね」
    「まだ、夢みたいで……俺も実感がなくて」

    楽屋に戻ると、プロデューサーが涙を流しながら優しく微笑んで、わたしを迎えてくれた。ふふ。初めて見たわ、あなたの泣き顔。こんなに、可愛いのね

    「確信してる、って言ったのはあなたのはずだけど」
    「それでも嬉しいものは嬉しいんですよ」
    「子供よね、あなたって」
    「この際子供でも赤子でもなんでもいいですよ。あなたと一緒に居れるのであれば」
    「ほんと、仕方ない人。わたしがこうなった以上、もうあなたから離れられるわけないじゃない。……明日、デートをしましょう。そこで、たっぷりとご褒美をいただくわ」
    「はい、わかりました。咲季さんの望むものを全て、用意しましょう」
    「ねえ、プロデューサー。十秒、十秒でいいわ。わたしはアイドルをやめる。だから、あなたもプロデューサーをやめてちょうだい」
    「はい、わかりました」
    「目、瞑ってくれるかしら」
    「こう、ですか? 」
    「ええ、そう。それじゃ……いつも、ありがとう。誰よりも、愛しているわ」

    辺りに誰もいないことを確認する。もちろん、カメラがないことも。そして、わたしは……プロデューサーに、口付けをする。ほんっと……我ながら、何してるのかしらね。気持ちがはやっちゃったとはいえ、ね

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 18:40:34

    「ねえ、プロデューサー。今日はできたら、ずっと手を繋いでいたいの。ダメかしら」
    「歩きづらくないですか? それに、人目も」
    「ちゃんと変装はするから大丈夫よ。さ、行きましょ! 」
    「仕方ないですね。失礼します」

    昨日は溜まりに溜まった疲れと、それからとてつもない恥ずかしさで祝賀会もせずそのまま眠りにつくことができた。そして翌日。もう、何度目かも分からないプロデューサーとのデート。デート、なんて言っても変わらず散歩しているだけだけど。

    「……あったかい」
    「咲季さんの手こそ」
    「そう。……良かったわ。ねえ、プロデューサー。今日はわたしの我儘、聞いてくれるのよね」
    「はい、なんでも」
    「なら、敬語は外さなくていいから今日一日わたしのことは呼び捨てで呼ぶこと。いいわね? 」
    「はい、わかりました。……これでいいですか、咲季」
    「ええ、それでいいの。それじゃあ、行きましょ」

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 21:28:03

    ほっ

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:53:02

    ほしゅ

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 06:49:38

    保守

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 13:55:07

    「見てください、咲季」
    「わぁ……わたしのポスターじゃない! 」
    「ここはアイドルの街ですからね。情報が伝わるのは早いですよ。しかも、その情報が新たな一番星の誕生ともなれば」
    「ふふ……なんか新鮮ね。あちらこちらにわたしのポスターが貼られてるなんて」

    あれからだいぶ歩いてきた。掲示板や旗、ニュースやモニターなど、この少ない時間で沢山のわたしを見た。ふふっ、このまさしく王者って感じ、堪らないわね。ま、今は王者でもなんでもない……ただの恋する女の子、なのだけれど

    「でも……その子なら、あなたの隣にいるんだから。紙や映像じゃない、わたしを見なさいよ」
    「えぇ、もちろんわかってますよ。俺だけの特権なんですから」
    「わかってるならいいわ。このデート中、わたしはあなただけを見ているから。あなたも、私だけを見ていなさい」

    我ながら、なんて恥ずかしいことを言っているのかしら!?

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:36:33

    「あら、もうこんな時間なのね」

    プロデューサーといるだけで、一時間が1秒のように短く感じてしまう。楽しい事ほど時間が早く過ぎていくのはわかっていたけれど。あなただからなのかしらね。こんなにも、早く過ぎて行ってしまうのは。

    「ねえ、プロデューサー。今日も楽しかったかしら」
    「もちろんですよ。咲季と過ごすのであればどんな事でも、楽しいです」
    「ふふ、そうよね。わたしもよ」
    「咲季。……改めて、おめでとうございます」
    「えぇ、ありがと。ねえ、プロデューサー」
    「はい、何でしょう」
    「今回勝てたのはきっとまぐれで、次はもしかしたらわたしは佑芽に負けちゃうかもしれないわ」
    「それが、何か」
    「前に、言ってくれたわね。わたしは佑芽に負けてこそ、一度折れてからこそ更に覚醒するって」
    「はい、言いましたね」
    「もっと、いい方法を思いついたの。わたしがあの子に負けるのは変わりないのだけど。もし、わたしが負けた時。嘘でもいいから、あなたにとってわたしが一番。そう、言ってちょうだい」
    「では、今言います。この先例えどれだけ、咲季と差がある相手だろうと、例え佑芽さんに大差をつけられて負けたとしても。俺にとっては、あなたが永遠の一番です」
    「嬉しいこと、言ってくれるじゃない。……ねえ、プロデューサー」
    「はい、なんでしょう」
    「証明して見せて。今、わたしにそれを」
    「はい、わかりました」

    辺りに誰もいないことを確認して、プロデューサーはわたしの唇に自分の唇を重ねた。ほんの一瞬だった、けど。とても、幸せな気分になれた。

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:38:00

    「これが、俺の気持ちの証明です。わかっていただけましたか? 」
    「……ええ、わかったわ。あなたってば、わたしのこと好きすぎない? 」
    「ええ、誰よりもずっとずっと愛していますよ」
    「もう……ありがと。私も、誰よりもあなたを愛しているわ」

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:41:38

    以上です。最近曇らせとかの方を書きすぎていて甘々なやつを書くのが苦手になってしまいました。とりあえずこれで咲季は終わりですね。


    さて次の子は

    dice1d13=12 (12)


    ※咲季は+1

    ※13は燐羽

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:45:27


    やっぱり咲季って曇らせより純愛の方が似合うよ
    明日咲季曇らせ書くけど
    星南の曇らせはやっぱりことね関連か?

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