(CP閲覧注意)慰めるよ…

  • 1二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 11:42:39

    自分を…

  • 2二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 11:43:54

    「んっ……ぁ……」

    隣室で眠るマチュに気付かれないように、ニャアンは声を殺しながら自身の秘部を指先で刺激する。

    元々自分はこんなことしなかった。
    自身の身体の一番恥ずかしい部分を刺激するとなんだか変な感じがして、でも刺激する手は止められなくて、だんだん身体中に電流が流れるような感覚がして、最高はパチっと弾けて果てる。

    これを知ったのは本当に最近のことだった。

    「わたし…悪いことしてるみたい」

  • 3二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 11:49:55

    最初はただ刺激しているだけで身体が反応して、疲れて眠り果ててしまっていた。

    でも続けていくうちにだんだん物足りなくなって、他の人はどうしているのか調べた。

    「おかず…?」

    こういうことをする人は、性的な内容の映像や絵をあらかじめ見てから始めるらしい。
    男性はそうしないと用意ができないし、女性もそうしたほうが身体と心がそういう気分になる…らしい。

  • 4二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 11:56:38

    他の人がするように自分も性的なコンテンツを見ようとしたが、恥ずかしくなりすぐブラウザを閉じてしまった。

    ああ、でも今夜もあの刺激がほしい。

    『おかず』が必要なのは、気分を盛り上げるためだったり、何かえっちなことを想像しながらするとより快感を得られやすいから。

    「(よくわからないな…)」

    ニャアンは目を閉じて考えてみる。
    ニャアンにはそういった経験はない。

    男性から誘われたり、襲われそうになったことはあったが、無意識にその悪意に気付いて逃げることができていた。

    そんなニャアンの脳裏に浮かんだのは、かつて世話になった男性だった。

    (エグザベ少尉…)

  • 5二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:02:12

    エグザベ少尉は細身に見えて引き締まった身体をしていたな、指は少し節くれだっているけど長くて、声もにおいも落ち着く。

    彼に触られたら自分はどうなってしまうんだろう…

    「(な、何を考えているの私は! こんなのまるで私が少尉のこと…)」

    自制しようとする頭とは裏腹に、下腹部がきゅぅっと締め付けられる感覚がした。

    「(うそ…)」

    おそるおそるその部分に触れてみると、いつもより感覚が鋭敏になっていた。

    「(すごく濡れてる…どうして?)」

    熱くてねっとりとした透明な液が、ニャアンの指を湿らす。

    「(きっと今したら、私、すごく…)」

  • 6二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:04:52

    ニャアンはぐったりとベッドに横たわる。

    「(手を洗いに行かなくちゃ…)」

    汚れた下着も洗わなくちゃ。
    しかしそんなこともできないほど、彼女の身体は脱力して、惚けた顔をしていた。

    「少尉でするなんて…わたし、最低だ」

    ニャアンの目からぽろりと涙が出た。
    なぜ泣いているのか、自彼女自身もわからなかった。

  • 7二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:12:10

    こんな平日のお昼にこんな素晴らしいものを投稿するなんて、これもう何らかの法に触れるんじゃないか……これからも注視するためにブクマしたからな……

  • 8二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:58:55

    少尉の綺麗な目で見つめられたら、少尉の優しい声を耳元で囁かれたら、少尉の手が私を…

    「(頭の中で考えるだけなら、別にいいよね)」

    ニャアンは自分に言い聞かせる。
    でも毎晩のルーティンとなってしまったその行為を終えるたびに、とてつもない虚しさに襲われる。

    「(私と少尉は、恋人同士じゃない…)」

    頭の中の少尉はいやらしいことばかり考えている私をなじって、でも優しい言葉もかけてくれて、そしてその手は私の恥ずかしいところを暴いていく。
    私はされるがままに快楽に身を任せ、少尉のことで頭をいっぱいにしながら果てる。

    その妄想は日に日にエスカレートしていた。

    最初は彼の姿を考えるだけでよかったのに、だんだん衣服に隠された彼の素肌が気になり、どんなふうに自分を触ってくれるのか、何をどんな風に言って、どんな表情をしているのか…

    「(まだ、まだ本番のことは考えてないから…)」

    悲しい言い訳だった。
    男女が真の意味で交わる行為をニャアンは体験したことがない。
    だからわからないのだ。

    でもそのおかげで彼女は頭の中のエグザベ少尉と一線を超えずに済んでいた。

    「(ああだめ、こんなことばっかり考えて、私本当におかしくなっちゃったんだ)」

  • 9二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:07:48

    ニャアンの悶々とした感情は膨れ上がるばかりで、彼女の夜の秘め事はそれに反比例するかのように激しくなろうとしていた。

    「(指を挿れてみたら……そういうことみたいな感じになるのかな)」

    おそるおそる自分の中指を秘部に近付けるも、すぐに怖気付いた。

    「(無理だよ……怖いよ)」

    自分の指一本だって挿れるのが怖いのに、異性のものを受け入れることは果たして可能なのだろうか。

    「(少尉のは……どれくらいの大きさなんだろう)」

    考えただけで身体中がゾクゾクする。
    毎日快楽を求めて一人で自身を慰める情けない私を、少尉が組み敷いてそれを私の中に無理矢理挿れて、まるで道具のように掻き回されたら…

    きっと少尉はそんなことしないと思っているからこそ、この妄想はニャアンの胸を高鳴らせた。

    「(私にいっぱいお仕置きをしてくれる少尉…)」

  • 10二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:24:04

    このニャアンが少尉に面と向かって会う時が楽しみですね…

  • 11二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:48:24

    最高

  • 12二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 17:20:08

    素晴らしい

  • 13二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:35:21

    『新着メッセージ 1件』

    ニャアンの携帯にメッセージアプリの通知が来る。

    メッセージの送り主はエグザベ少尉だった。

    「!」

    ニャアンはすぐにメッセージの内容を確認しようとしたが…

    「(すぐに既読つけたら、気持ち悪いと思われちゃうかな)」

    5分後くらいに確認しようと、ニャアンは携帯電話の電源を切ってそれを抱きしめる。

    「(なんてメッセージだろ…早く見たいな)」

    ああもどかしい、そもそもこんなことを考える自分が自意識過剰なのだろうか。

    「ニャアン!週末にヒゲマンたちが地球に来るって!」

    そんな空気を打ち破るように、マチュが勢い良くニャアンの部屋の扉を開ける。

  • 14二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:36:32

    「そ、そうなんだ…」

    ニャアンはぎこちなく、蚊の鳴くような声で答える。
    しかし心臓は跳ね上がっていた。

    「(シャリアさんたちが地球に…!? じゃあ少尉も……!)」

    ニャアンはすぐにメッセージアプリを開き、内容を確認する。

    『久しぶりニャアン。今週末に中佐の手伝いで地球に行くことになりました。そちらにも寄るので何か必要なものがあれば教えてください』

    簡素なメッセージとスタンプ。
    ニャアンは飛び上がるほど嬉しい気持ちと同時に恐怖が生まれる。

    「(どんな顔して少尉と会えばいいの…?)」

  • 15二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:38:28

    「どしたのニャアン?」

    マチュが俯いているニャアンの顔を覗き込む。

    「う、ううん。なんでもないよ」

    毎晩少尉が私をいっぱい気持ち良くしてくれる想像を勝手にして、悦に至っている。
    そんな変態が、どの面を下げて会えるというのか。

    ニャアンは決心する。

    「(もう少尉でそういうことはしない……!)」

    それはニャアンにとっては毎晩の愉しみを捨てることを意味した。
    もはや彼女は少尉の存在なくして自分を慰めることはできなくなっていた。

    「(これを機にあんなことはもうやめよう……! 毎日毎日、変なことばっかり考えて、このままだとダメになってしまう気がする。正常だったころの私に戻るんだ……!)」

  • 16二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:40:29

    ニャアンの禁欲の方法は物理的に自分の中の恥ずかしい想像を掻き消すことだった。
    ベッドの中で、イヤホンで興味のないラジオを大きな音量で聴きながら、ニャアンは目を閉じる。
    MCの快活な声と軽快なトーク、陽気な音楽はニャアンの思考を邪魔することに貢献してくれた。
    もちろん内容なんて一ミリも入ってこないのだが。

    下腹部が疼く感覚を内腿を擦り合わせて誤魔化しながら、意識が完全に途切れるのを待った。

    「(私、なんでこんなに情けなくて恥ずかしい人間になっちゃったんだろう…)」

  • 17二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 19:53:10

    やばい、俺のハクジがやばい

  • 18二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:13:43

    あーっいけませんそれは寝不足を心配されるルート!!
    発情期の猫ちゃんは無事乗り切れるのでしょうか

  • 19二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:15:49

    全員が一堂に会しそうだけどヒゲマンにバレるリスクが…
    いやあのおじさんは見て見ぬふりしてくれるだろうけど

  • 20二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 20:51:51

    マチュに気付かれて致命傷が入るニャアンというのも可愛そ可愛い

  • 21二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 21:14:03

    エグザベからのメッセージを今すぐにでも読みたいのにすぐに既読ついて気持ち悪がられるといやだからちょっと我慢するニャアンかわいい

  • 22二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:05:26

    最近ニャアンの様子がおかしい。

    なんだが寝不足っぽくて、1日の大半をふにゃふにゃして過ごしているように見える。
    でも夜になったらちゃんと自室に行くし、明かりも消えている。

    思い切って夜中にニャアンの部屋に忍び込んだ。
    ベッドにはイヤホンをつけたまま横たわるニャアン。
    近付くとイヤホンからラジオの音が聞こえてくる。
    ニャアンは目を瞑ってはいるが、なんだか気分の悪そうな顔だった。

    「ニャアン……イヤホンしたまま寝ると耳悪くなるしちゃんと眠れないよ」

    翌朝に軽く注意をしたが、ニャアンは「もうこうしないとダメなの…」などとのたまう。

    「後悔しても知らないからね?」

    ニャアンが本当にヤバいことになったら実力行使に出ればいいかと、マチュは彼女の様子を静観することにした。

  • 23二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:18:57

    もだもだニャアン可愛くて好きだけど本格的に生活に支障出てるとなると心配になるな…嬢ちゃんはまだ成長期なんや ぐっすり寝てほしい
    それにスケベな事を考えられるようになったって精神的余裕が出たって事だろうし素直にめでたいんだけどな。気になる人とそういう方面の妄想なんて健全も健全なんだ開き直って楽しめ……とは本人はすんなりいかないよな
    ちょっと潔癖入ってる思春期の少年少女の機微は難しい 応援してるぞニャアン!

  • 24二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:21:49

    週末。
    待ち遠しくも恐ろしかった日が訪れた。
    ニャアンは眠い目をこする。

    「(少尉が来る……)」

    時間帯は夕方過ぎになるらしい。
    シャリア中佐たちは近くに宿を取っており、それなら夕食はみんなで一緒にどうかというマチュの提案で外で落ち合うことになっていた。

    「(今日まで我慢したし、普通に振る舞えばいいんだ……待って、普通の私ってどんなだっけ)」

    エグザベ少尉と一緒にいた時の私は、どんなだっただろうか。

    グラナダにいたころの私は常に張り詰めてて、いろんなことがあったから情緒もおかしくなってて、思えばエグザベ少尉に対して失礼な態度を取ってしまっていた。

    「(私って馬鹿だ…)」

  • 25二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:23:07

    >>5

    よくよく見たらにおい知ってるんだ……

    いやNT能力的なにおいかもしれんが……

    やっぱりコックピットで同乗したり指導したりで知ってるんか……

  • 26二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:29:52

    思い出して自己嫌悪するの、めっちゃ思春期だ

  • 27二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:35:16

    「(とりあえず服……いや出かける準備、出かける準備をしよう……!)」

    髪を梳かし、着ていく服を選ぶ。
    カツン、と首に下げていたネックレスと服の金具がぶつかる音がする。

    ネックレスにはドッグタグと月のチャームが付けられている。
    元々このネックレスには月のチャームしかついてなかった。

    ドッグタグはエグザベ少尉からの貰い物だった。

    エグザベ少尉が困った時はそれを持ってジオンの施設を頼ればなんとかなるからと、餞別代わりでもこんなものしか渡せなくて申し訳ないと。

    あの人は所謂『善い人』なのだ。
    だから自分のような人間にも親切にしてくれる。

  • 28二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:36:18

    「(そんな少尉に私はなんてことを……)」

    背徳感と奇妙な高揚感があった。
    『善い人』であるエグザベ少尉が、もし私にだけ特別な姿を見せてくれたら……
    頭の中で何度も少尉の尊厳を踏み躙った私が暴かれた時、彼は許してくれるだろうか。

    いや、そもそもそんな日はきっと一生来ない。
    ニャアンはドッグタグに口付けをした。

    冷たくて、かたい。
    偽物の少尉だ。

  • 29二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:48:00

    「ヒゲマ〜ン! コッモリーン! こっちこっち〜!」

    マチュが笑顔で手を振る先には、ヒゲマンことシャリア・ブルとコモリ、そしてエグザベがいた。

    ニャアンの視線はエグザベだけに注がれ、自然と二人の目が合う。

    「久しぶり、ニャアン。元気してた?」

    エグザベに声をかけられたニャアンは一瞬肩をびくつかせた後、声を絞り出す。

    「……お久しぶりです、少尉」

    その様子を見ていたシャリアの脳内に電流が走る。

    「(これは……若さですね)」

  • 30二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:09:51

    >>28

    偽物の少尉って言い方天才か?ってなってる……

  • 31二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:15:47

    人の心を覗き過ぎるのはよくないぞヒゲマン

  • 32二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:18:40

    イチ視聴者としてドッグタグがもしエグザベのものならと想像しては永遠に噛み締めてたのに「ニセモノの少尉」!本編の『ホンモノとニセモノ』文脈が綺麗に乗る
    本気で脱帽しました
    エグザベを想う縁で二人の繋がりを証明するものとして重要なアイテムになるな〜そうだと良いな〜と思考がそこで止まってたがホンモノ(少尉本人)じゃないというのは盲点だった
    えらいこっちゃ…ビッグバンやで…!

  • 33二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:18:43

    覗き見なくても当事者以外みんな勘付く状態になってそう
    脳内に電流走ってるし覗き見てはいるんだろうけど

  • 34二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:35:13

    マチュが一度来てみたかったと案内する店は小洒落た料理店で、店内は間接照明でやや薄暗く、アルコールの提供も行っている場所だった。

    「なんかお客さんが大人ばっかりで、私とニャアンだけだと入りづらかったんだよね」

    5人は丸テーブルの席に案内される。

    「今日はヒゲマンの奢りだからいっぱい食べちゃうもんね」

    マチュはニコニコしながらメニューを開く。

    「私、明日は1日フリーだし、お酒飲んじゃおうかな」

    マチュの右隣に座るコモリがメニューを覗き込む。
    ニャアンはマチュの左隣に座っているが、あまりメニューに興味がなさそうだった。

  • 35二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:36:49

    それよりもニャアンが気にしているのは、自分の右隣にエグザベが座っていることだった。

    「(どうしようどうしようどうしよう……)」

    緊張と不安と羞恥心でごちゃ混ぜになった感情がニャアンの中を駆け巡る。

    少し身体を寄せれば肩が触れ合う距離で、あのおちつくにおいと声を間近に感じられて、あんなに求めていたはずなのに怖気付いて、今すぐ逃げ出したいとすら思ってしまう。

    「ニャアン?」

    エグザベがニャアンの顔を覗き込む。

  • 36二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:39:12

    「どこか悪いのかい? ずっと俯いて」

    「ひゃっ!?」

    ニャアンは飛び上がらんばかりに驚き、一瞬よろめく。

    「ザベチ、距離近すぎ。ニャアンは最近ラジオ聴きながら寝てるせいでぼやぼやになってるんだよ」

    よろめいたニャアンをマチュは自身の方に引き寄せる。
    マチュはそのままなぜかエグザベに冷たい目線を送る。

    「マチュ、それは言わないで……」

    ラジオを聴きながら眠っているのは自分が悪いことをしないためなのだ。
    もちろんそんなこと誰にも言えるはずがないが。

  • 37二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:41:28

    マチュ……?

  • 38二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:41:35

    「耳が悪くなっちゃうし、睡眠の質も下がってしまうね。そんな生活続けてたら心配になるよ」

    エグザベは心配した様子を見せるが、それがさらにニャアンの罪悪感を刺激する。

    「反省して今日からは普通に寝ようね。ニャアンの飲み物はオレンジジュースでいい?」

    「うん……」

    マチュが店員を呼び、手早く人数分のドリンクと料理を注文する。

    「大人数での食事ってさ、いろんなものを少しずつ食べられるからいいよね」

    「そうですね、こうして気負わずにいられるのも良いことです」

    マチュの言葉にシャリアは穏やかな声音で応える。

    シャリアは自身の読心能力でこのテーブル内に渦巻く思考を一身に受けていた。
    それは彼の意思とは関係なしに勝手に入り込むものだった。

    「(ニャアンさんは最近うわ言でエグザベ少尉の名前を呼んでいた。それをマチュさんが偶然聞いてしまった。だからマチュさんはニャアンさんの最近の行動はエグザベ少尉が原因だと思っている)」

    「(まあ、大したことじゃありません……私が何かする必要はないでしょう)」

  • 39二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:04:37

    中佐食ってる飯の味しなさそうで可哀想

  • 40二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:09:18

    まあ部下と滅多に会わない弟子の友達だし、くっついても駄目でも自分に大した影響なさそうだし気楽に見物するんじゃない?

  • 41二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:09:24

    このレスは削除されています

  • 42二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 00:10:30

    エグザベくんが右隣は正直フラグ

  • 43二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 06:57:05

    しばらくして人数分の飲み物と食事が運ばれる。

    マチュが「ヒゲマン様にかんぱい!」と音頭を取り、食事が始まる。

    「ヒゲマンはイエベ秋って感じかなぁ」

    「あーわかるかも、ダークブラウンの服とかもめっちゃかっこいいですよね中佐は」

    「私がイエベ秋ならマチュさんとコモリ少尉はブルベ夏といったところでしょうか」

    マチュとコモリは女子トークに花を咲かせ、シャリアは時々それに巻き込まれる。

    「(美味しい……)」

    ニャアンは自分の近くに置かれている料理を取り分けて食べる。

    「(あそこの料理……気になるな)」

    ニャアンは自分から少し離れた場所……シャリアの近くにある料理を見つめる。

    マチュとコモリとシャリアが会話に花を咲かせている中、間に入るのは忍びない。

    「この料理美味しそうだね、ニャアンも食べるかい?」

    「!」

    エグザベ少尉が料理の皿から自分の分を取り分け、ニャアンの取り皿にも同様のことをする。

  • 44二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 06:58:51

    「あっ、ごめん。ずっとこの料理見てたからもしかして気になってるのかなって」

    「ありがとうございます……」

    エグザベ少尉は善い人。
    こんな善い人を恥ずかしいだの罪悪感だのと避けようとする自分が馬鹿らしくなる。

    しっかりしなければと、ニャアンはグラスの中の冷たい飲み物を流し込む。

    「ん……?」

    ニャアンは飲み物の違和感に気付く。

    「(これ……お酒だ)」

    オレンジジュースだと思っていたものはわずかに苦く、カシスの味も混ざっていた。
    店員さんが間違えてしまったのだろうか。

    お酒なんて初めて飲んだ。
    普段の自分ならきっと飲む前にわかったはずだ。
    最近18歳の誕生日を迎え、今いる場所では18歳からの飲酒が合法だし、少し苦いだけだから問題ないだろうと思っていたが……

    「(顔が熱い……なんだか頭がふわふわする)」

    ニャアンの顔は真っ赤になって目は虚になっていた。

  • 45二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:01:53

    「ニャアン、どうしたの?」

    エグザベがニャアンの異変に気付く。

    「飲み物が……お酒でした」

    「えっ!? オーダーミスかな。ニャアン、とりあえずお水を飲もう」

    「大袈裟です、少尉……」

    睡眠不足が祟ったのか、お酒の周りが早い。

    「ニャアンさん、そういった飲み物は甘さでアルコールを感じにくくなっているだけです。油断はいけません」

    シャリアがニャアンに声をかける。

    「ニャアンお酒飲んじゃったの!? わっ! 顔真っ赤じゃん!」

    マチュも驚いた様子だった。

    「(クラクラする……)」

    ニャアンはふらついて、身体を傾ける。
    ぽすっと、エグザベに寄りかかる。

  • 46二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:03:10

    「ニャ、ニャアン!? 大丈夫? 気持ち悪くない?」

    エグザベは慌てて店員に水をオーダーする。
    すぐに水が運ばれ、エグザベは水の入ったグラスをニャアンの口元に近付ける。

    自分で飲めると言おうとしたが、身体に力が入らなかった。
    仕方なくニャアンはエグザベの手にあるグラスに口をつける。

    ごくごくと喉を鳴らし、口から漏れた水がエグザベの腿を濡らす。
    ズボンに水が染み込むのを見て、ニャアンはやっと今の状況がとても恥ずかしいと気付いた。
    身体中が火がついたように熱くなる。
    とくに下腹部は、ずっと我慢していた影響なのか、もはや暴れ回っているようだった。

  • 47二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:05:03

    「わ、わたし、少し、外のベンチで涼んできます……」

    慌ててニャアンは立ち上がるが、すぐに身体がふらつく。

    「危ない!」

    エグザベはすぐに自分も立ち上がり、ニャアンの身体を支える。

    「中佐、僕はニャアンと外で休んできます」

    「はい、お願いします」

    マチュも慌てて立ち上がる。

    「ニャアン、私も……」

    「エグザベ少尉一人で大丈夫でしょう。マチュさんはご自身が注文した料理をちゃんと食べてください」

    シャリアがマチュを制止し、二人は店の外に出る。

    「なんでザベチ?」

    不服そうなマチュ。

    「エグザベ少尉はニャアンさんのグラナダでの先輩で、教官役もやってましたからね。彼女のことなら彼に任せるのが適任でしょう。それに……」

    「ね〜マチュ〜! 中佐って意外と人使いが荒いんだよ〜!?」
    顔をほんのり赤くしたコモリがマチュをガッチリとホールドする。

    「こっちの酔っ払いの世話もありますからね」

  • 48二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:27:31

    似たようなスレ立てすぎ

  • 49二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 07:41:54

    エグニャアがいっぱいあるのは俺は嬉しい

  • 50二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 09:30:57

    >>47

    なまじ飲み慣れてるしこの場の最年長者だし……と色んな意味でシラフで状況に対するしかないヒゲマンよ

  • 51二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:09:11

    店の外の通りに設置されたベンチに、ニャアンとエグザベが並んで座る。
    ニャアンは背もたれに身体を預けて脱力している。

    「吐き気とかはなさそう?」

    「はい……あついだけです」

    夜風が冷たく気持ちが良いが、身体は火照るばかりだった。

    隣に少尉がいる。
    それだけでニャアンの鼓動は早まる。

    1人で落ち着くつもりだったのに、どうしてこの人は私を放っておいてくれないのか。
    これだから善い人は……

    「(落ち着け……落ち着け、ここにいる少尉は、私の想像する少尉とは全く別人だ)」

    少尉は私をいやらしい娘、欲しがり屋などとなじったり、私の恥ずかしい場所をいじめるような人ではない。

    エグザベの目線はニャアンの胸元に向けられている。

  • 52二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:10:15

    「僕のドッグタグ……まさか身につけてくれてるなんて思ってなかった」

    「……困った時になかったら意味がないですから」

    「それもそうか」

    常に持ち歩いたほうがいいのは確かだが、首に下げている必要はない。
    こうして肌身離さず身につけているのは、彼の存在を感じていたかったからで、これはある種のお守りなのだ。

    ニャアンはドッグタグを手に取り、そっと唇に添える。
    彼女にとってこれはいつもやる当たり前の行動だった。

    いつもは無機質で寂しさを感じさせる金属の冷たさが、今は心地よい。

  • 53二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:11:25

    「ニャアン? 一体何を……」

    習慣になってしまっていたから、ニャアンはこの行動がおかしいという意識すら抜け落ちていた。

    「ち、違うんです! あつくて、それで……これは冷たいから……!」

    苦しい言い訳を絞り出す。

    「そんなに熱いのか……もしかして風邪を引いているんじゃないか」

    エグザベの手がニャアンのおでこに触れる。

  • 54二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:13:04

    「(少尉の、手、触って…)」

    「だ、だめ!」

    ニャアンは反射的にエグザベの手を跳ね除けてしまった。
    エグザベは一瞬ぽかんとした顔をした後、すぐに申し訳なさそうな表情をする。

    「触られるのは嫌だよね。僕の配慮が足らなかった。ごめんね」

    自己嫌悪でどうにかなりそうだった。
    違うと否定することもできず、ニャアンの顔からあっという間に血の気が引く。
    あんなに熱かったのが嘘みたいで、今はむしろ寒気すらした。

  • 55二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:14:04

    「……もう大丈夫です、マチュたちのところに戻りましょう」

    エグザベから目を逸らす。

    「(せっかく会えたのに、私は他者を傷つけることしかできないのかな…)」

    店に戻った後もニャアンはエグザベの顔を見ることができないまま、夕食は終わった。

  • 56二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:16:02

    シャリア一向と別れたマチュとニャアンは自宅へ戻り、寝支度を整える。

    「ご飯おいしかったね! ニャアンが一時はどうなるかと心配だったけど、問題なくてよかったよ」

    「うん、心配かけてごめんね。マチュ」

    互いにおやすみと言って、ニャアンは自室に入りベッドに横たわる。

    マチュとシャリアさんの会話では、シャリアさんたちは地球に2泊3日滞在予定で、明後日の夜には宇宙に戻るらしい。
    エグザベ少尉は明日はずっとシャリアさんの手伝いで、明後日は久しぶりのお休み。

    せっかくのお休みなので観光でもしたらどうですかとエグザベ少尉は言われていたが、どうしようかなと悩んでいる様子だった。

  • 57二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:17:05

    つい先ほどの、彼の手が自分に触れた瞬間を思い出す。

    「(少尉の手……あたたかくて優しかった)」

    もしあの時、少尉の手を払い除けなかったら、もっと彼を感じることができただろうか。
    頭より先に身体が動く自分が恨めしい。

    気持ちを切り替えるために眠りにつきたいけど、ラジオは聴きたくない。

    少尉の手が自分に触れたあの一瞬を、永遠に噛み締めたかった。

  • 58二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:18:24

    「(ああ、だめ……だめ……)」

    内腿を擦り合わせる。
    下腹部がきゅぅ、となるあの感覚。

    「(なんで、なんでなんで、私は少尉の善意を払い除けたくせに、なんで少尉をそういう対象にしているの?)」

    そっと指で熱くなっている部分に触れただけで、身体が跳ねた。

    「ぁ……ぅ……」

    声を殺して、その部分を刺激する。

  • 59二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 14:20:26

    エグザベ少尉の手を思い出しながら、まるで彼に触られているかのような想像をしながらニャアンは果てた。

    久しぶりにするその行為で、ニャアンは大いに乱れ、呼吸を荒くし胸を大きく上下させた。
    ベッドシーツはぐちゃぐちゃになっている。

    「(会いたい…)」

    連日の眠気と、自らを慰めるみだらな行為によって疲れ果てたニャアンの意識は朦朧としていた。
    本能の赴くままに、飢えた獣が食べ物を求めるかのように、携帯電話に手を延ばす。

    メッセージアプリ、送り先はあの人で……

    ニャアンの意識はそこで途絶えた。

  • 60二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 18:54:03

    ニャアンかわいい
    続きが気になってドキドキする

  • 61二次元好きの匿名さん25/08/21(木) 23:19:27

    なんか切ない

  • 62二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 02:42:04

    「まさかニャアンから誘ってくれるなんて思わなかった」

    レンタカーを運転しながら、エグザベは呟く。
    助手席に座るニャアンは俯いて自分の手の甲を見つめる。

    「(どうして……どうして……)」

    どうしてこうなったのか、それは2日前の晩に遡る。
    極度の眠気と疲労で意識が朦朧としていたニャアンは、エグザベにメッセージを送っていた。
    目が覚めた彼女はそのことすら忘れており、メッセージに対する返信を見て驚愕したのだ。

    ニャアンが送ったメッセージはたった一言『会いたいです』と。

    それに対してエグザベは『明日は一日空いているから、よかったら地球を案内してくれると助かります』と、笑顔の顔文字付きで返信していた。

  • 63二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 02:50:04

    「マチュ、明日少尉と出かけることになっちゃって……マチュも一緒に行こう……?」

    マチュはジトッと目を座らせ、ニャアンを見つめる。

    「ニャアンって、ザベちのこと好きなの?」

    「!?」

    マチュの問いかけに、ニャアンは跳ね上がる。

    「そ、そういうのじゃなくて! 私はただ……」

    ごにょごにょと呟きながら縮こまるニャアンに、マチュはため息を吐く。

    「マチュさんは明日、家でゴロゴロする大事な任務があるので行けませーん」

    マチュは回転椅子に座りくるくると回り出す。
    近くにいたハロが「ゴロゴロ!ゴロゴロ!」と言いながら転がる。

    「ニャアン、腹括りなよ」

  • 64二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 03:35:37

    マチュがこれだとコンチは置いて来させられたんだろうな……逃げ道がないね……

  • 65二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:36:25

    「(一睡もできないまま当日を迎えてしまった……)」

    明日は少尉とお出かけ……そのことで頭がいっぱいで、ニャアンは一晩中ベッドの中で悩み、不幸中の幸いなのかみだらなことを考える余裕はなかった。

    車内での会話は必要最低限で、エグザベから振られるとりとめのない話に、ニャアンが簡素に応えるのを何回か繰り返すだけだった。

    「(もっとちゃんとお話ししたいのに……緊張でうまく話せない)」

  • 66二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:37:42

    しばらく車に揺られた後、近場の観光地に到着する。
    ニャアンも初めて来た場所だった。
    綺麗に整備をされた街だが、あまりコロニーとの違いは感じなかった。

    綺麗な街並みよりも、ニャアンの視線はフードトラックに向けられていた。

    「アイス……? 美味しそう」

    ニャアンがぽつりと呟く。

    「ジェラートか、久しぶりに見るな。せっかくだから食べようか」

    「!?」

    独り言のつもりだったのに、聞かれてしまっていたのか。

  • 67二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:38:36

    やっぱりメッセージ送ってたか

  • 68二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:39:52

    「いろんな味があるね、ニャアンは何味にする?」

    「いっぱいありますね……ライチとラズベリー……桃も美味しそう」

    「二種ミックスができるみたいだね、僕はオレンジにしようかな」

    「うーん悩みます……ライチとラズベリー……かなぁ」

    やや悩みながらニャアンは選ぶ。

    「(桃味も気になる……また機会があったら食べたいな)」

    エグザベは店員に2人分のジェラートを注文する。

    「ご注文ありがとうございます! 本日はカップルデーなのでお安くなっております」

    トラックに『カップル割引!』という張り紙が貼られていた。
    エグザベは運が良かったねと言いながら2人分の料金を店員に渡す。

  • 69二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:41:15

    「じ、自分で買います!」

    カップルという文字に、ニャアンは反射的に声を上げる。

    「これくらいいいよ。僕に付き合ってくれてるんだから」

    店員が2人分のジェラートを盛り付け、エグザベに渡す。

    「(私と少尉……恋人同士に見えてるんだ)」

    ニャアンは一瞬、下腹部が熱くなるあの感覚に襲われそうになるが、すんでのところで踏み止まる。

  • 70二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:48:04

    2人は近くのベンチに座る。

    エグザベは紅色と白のジェラートをニャアンに渡す。
    よく見ると彼の分もオレンジ色と白のものだった。

    「少尉も二種ミックスにしたんですね」

    「うん。オレンジ味と桃味。よかったら桃味の方を食べてみる?」

    「!?」

    「まだ口つけてないから、遠慮しなくていいよ」

    エグザベはニャアンの方に自身の手に持つジェラートを近付ける。

  • 71二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 09:54:46

    彼にとっては桃味も食べたそうだったニャアンへのちょっとした気配りなのだろう。

    「(少尉はすぐそういうことをする。少尉は本当に……本当に、善い人)」

    やなやつ、やなやつ!と言えたらどんなに良かったか。

    「(断る……? 自分のジェラートを食べさせるなんて、彼氏みたいじゃないですか? とでも言って?)」

    「(ばかばか、そんなの私が変に意識してるみたいじゃない)」

    「ニャアン? いらなかった?」

    エグザベの声に、ニャアンは現実に引き戻される。

  • 72二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 10:05:02

    「いただきます」

    ニャアンは意を決して、恐る恐るエグザベの手にあるジェラートを口に含む。
    冷たくて、甘い。

    「美味しいです……ありがとうございます」

    きっとまた顔が赤くなってる。
    これは暑さのせいだ、ニャアンは自分にそう言い聞かせる。

    「ニャアンのラズベリー味も美味しそうだね、僕も一口ほしいな。なんてね」

    「いいですよ、どうぞ」

    エグザベの冗談に、ニャアンは食い気味に自分の手のものを彼に差し出す。

  • 73二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 10:12:23

    「えっ……!? 悪いよ、冗談だから気にしなくていいよ」

    「等価交換……です」

    「でも僕が口つけたやつを食べることになっちゃうよ?」

    「少尉だってそうじゃないですか。そういうの、意識する人なんですね」

    誰よりも意識してるのは自分なのに。
    自分の感情を他人に投影して、自分のこういうところが本当に卑しくて嫌いだ。

    「じゃあ、お言葉に甘えようかな」

    エグザベは恐る恐ると言った感じでニャアンのジェラートを口に含む。
    その様子をニャアンはじっとりと見つめる。

    「うん、美味しい。ありがとうニャアン」

    「こちらこそ、ありがとうございます」

    なんとか平静を取り繕おうとするが、心臓がバクバクと跳ね上がっている。

    「(少尉と間接キ、キス……だよね)」

    こんなことを考えているのがバレたら……
    早く自分を冷やさなければと、ニャアンはジェラートを黙々と口に運んだ。

    「(こんなのまるで恋人同士……!)」

  • 74二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 10:25:14

    ニヤニヤが止まらないな

  • 75二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 16:39:43

    どうなるのかめちゃくちゃ気になる

  • 76二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:37:08

    二人はとりとめのない話をする。

    「ニャアンは普段は何して過ごしてるの?」

    「今は……勉強してます」

    今はシャリアさんのおかげで不自由のない暮らしができているが、いつ何が起こるかわからない。

    「インターネットとかの講座を観ながら、マチュに時々教えてもらって……とりあえずの目標は高卒認定を取ることです」

    「ニャアンは偉いね」

    エグザベはニャアンの頭に手を伸ばすが、ハッとしてその手を止める。

  • 77二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:39:14

    「今、何をしようとしたんですか」

    エグザベのことになるとめざとくなるニャアン。

    「頭を撫でようとしたんだ……すまない」

    エグザベは少し照れくさそうな表情をする。

    「子供の頃は、勉強を頑張ると両親がそうしてくれていたから、つい」

    「なでてほしい……です」

    おずおずとニャアンが切り出す。

  • 78二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:40:36

    「(少尉に触られたい……)」

    一昨日の自分を思い出す。
    あの時は思わず払い除けてしまった手を、もう一度感じたかった。

    「……ニャアンはすごいよ」

    エグザベはニャアンの頭を優しく撫でる。

    何がですか少尉。
    私はちっともすごくない。
    だって私は……

    頭の中で反論しながら、自分の頭を撫でる手の温かさに絆される。

    「ニャアンの髪、ずっと綺麗だなって思ってたけど本当にサラサラだよね」

    「……セクハラですよ」

    「ご、ごめん」

    エグザベの手が離れる。

  • 79二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 17:42:26

    大事にしている髪を褒められて嬉しいのに、なぜ自分はありがとうすら言えないのだろう。

    「僕にできることがあったら、何でも言って」

    善い人のあなたが好き。
    でも私はあなたを否定する行動ばかりしている。

    「そろそろ行こうか。ここらへんは海が綺麗と聞いたけど、ニャアンはもう飽きちゃってるよね」

    「別に……海は飽きるものじゃないですし、行きましょう」

    観光もそこそこに、二人は再びドライブを始める。

  • 80二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 18:29:52

    なんか過剰反応の方向がちょっとアレだけどそれはそれとしてめちゃくちゃ甘酸っぱいな……

  • 81二次元好きの匿名さん25/08/22(金) 20:09:00

    幼女メンタルとワケワカと卑しか雌猫な身体とが喧嘩して化学反応起こしてる

  • 82二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:18:06

    思春期~!!

  • 83二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:19:06

    素直になれないのいいね

  • 84二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 00:32:08

    保湿

  • 85二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 01:58:17

    「そういえばニャアン、ラジオ聴きながら眠るのはもうやめた?」

    「ここ数日はやってないです……」

    「それならよかった。ちゃんと眠らないと身体を壊してしまうからね」

    ラジオは聴いていないが、昨晩は一睡もできなかった。
    あなたのせいです、と開き直ることができたらいいのに。

    こうして車に揺られていると眠くなってくる。
    しかし隣には少尉がいて、運転してもらってる立場で寝るなんて失礼だ。
    ニャアンは自分の太腿をつねって眠気を堪えようとする。

    ニャアンはしばしの間、睡魔と戦うが敗れ、眠りに落ちた。

  • 86二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 01:59:52

    エグザベはすぅすぅと寝息を立てるニャアンに気付くと、僅かに口元を綻ばせた。

    目的地に到着し、車を停めたがニャアンが起きる気配はない。

    「(どうしようかな、こんなに気持ちよさそうに寝ているのに、起こすのはなんだかかわいそうだ)」

    「(ニャアンの寝顔、猫みたいでかわいいな)」

    ニャアンの口元がわずかに動く。

    「しょう、い……」

    「?」

  • 87二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 02:01:45

    寝言を言っている?
    何か夢を見ているのかな。
    しょういって、僕のことだろうか。

    ニャアンの小さな口から吐息混じりの声が漏れる。

    「すき……」

    「えっ!?」

    予想外の言葉にエグザベは思わず声を上げる。
    その声に驚いたニャアンが跳ね起きる。

  • 88二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 02:04:47

    「ご、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだ……」

    「わっ、わたし寝てしまっていたんですか…!? いつから……?」

    二人は慌てながら会話を続ける。

    「だ、大丈夫だよ! 目的地についたけど、大丈夫そう?」

    さっきの寝言はきっと、たまたまそう聞こえただけだ……
    エグザベはニャアンの様子を見る。

    ニャアンは目元を擦り、シートベルトを外す。
    まだ少し眠たげな目でエグザベを見上げる。

    「大丈夫です……行きましょう」

  • 89二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 02:10:21

    ニャアンとエグザベは浜辺を歩く。

    「私……いびきとか寝相とか、大丈夫でしたか」

    ニャアンからの質問にエグザベはぎくりとするが、平静を繕う。

    「いびきとか寝相はなかったよ」

    「そうですか」

    ニャアンは安堵したような表情になる。

    「何か夢でも見ていたの?」

    エグザベからの問いかけに、ニャアンは顔を伏せる。
    長い髪で顔は隠れてしまい、表情はわからない。

    「悪い夢を」

    風が吹き、ニャアンの髪がたなびく。
    髪の間から垣間見える彼女の表情は、悪夢を見たとは思えぬほど艶やかだった。

  • 90二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 02:26:12

    その日の晩、予定通りエグザベはシャリアとコモリと共に地球を発った。

    軍艦の中、どんどん離れてゆく地球を見つめるエグザベにシャリアが近付く。

    「久しぶりの休暇、ゆっくり羽を伸ばせましたか」

    「おかげさまで」

    ニャアンと地球を観光できてよかった。
    自分一人だと宿で寝ているだけだっただろう、後で簡単なお礼のメッセージでも送ろう。

    「それならよかったです。私は今日はもう休みます。少尉もちゃんと休んでくださいね」

    シャリアはわずかに口角を上げると、その場を立ち去る。

  • 91二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 02:37:09

    移動時間に寝ておかないと、サイド3に戻った時に支障が出る。
    エグザベは手早くシャワーを浴び、自分に割り当てられた個室に入る。

    ベッドに横たわり、メッセージアプリを起動する。
    ニャアン宛に『今日はありがとう、』とまで打ち込んだ後に手が止まる。

    楽しかった、体調に気を付けて、睡眠はしっかり取って……そういった言葉を付け加えようとしたが昼間の記憶が頭をよぎり、何が一番最適なのか判断しかねた。

    ニャアンは不思議な子だ。
    普段はクールな雰囲気なのに、何かの弾みで子供らしくなって、かと思ったら突然こちらを驚かせるような艶麗さを感じさせる。

    「(僕は何を考えているんだ。ニャアンはまだ10代だぞ…?)

    きっと彼女がたまたま発した寝言に困惑しているのだろう。
    よく考えなくても、『しょうい』が『少尉』とは限らないし、仮に『少尉』だったとしても少尉は自分一人じゃない。

    「(こんなことを考えても仕方がないな)」

  • 92二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 05:21:27

    エグザベからも意識しだすのいいな〜〜〜!

  • 93二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 06:11:13

    いけーっ!エグザベ・オリベ!!
    (他の少尉だったら嫌だな……)って思っていいんだからな!!

  • 94二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 08:50:32

    結局ニャアンには『今日はありがとう、またね』とだけ送り、エグザベは眠ることにした。

    いつもの彼だったらすぐに眠りにつけるのに、今日は違った。

    「(……めんどうだな)」

    脳のセロトニンの抑制機能が低下し、ドーパミンとノルアドレナリンの放出量が増えている。
    体内で一酸化炭素が放出され海綿体に血液が流れ込む。

    つまり生殖器の自己刺激がしたいのだ。

    人間の脳は神経伝達物質に支配されている。
    それとうまく付き合っていくのが理性だと彼は考えている。
    この生理現象は人間であるならば仕方のないことであり、自分も普通の男なのでそれくらいの欲求はあって然るべきだ。

    だが彼にとって生殖器を刺激したいという欲求は睡眠を阻害するものであり、効率を求める彼はいつもなら作業のようにそれを済ませて眠りにつく。

  • 95二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 09:02:28

    「(今日はニャアンに会ったからかな、彼女のことを思い浮かべてしまう)」

    横目で自分を見ている顔、黙々とジェラートを頬張る姿、車内の可愛らしい寝顔、海辺で垣間見た艶やかな表情。

    そして……

    「(『しょうい』が『すき』だとして、その少尉は一体どんな人なのだろう)」

    もしニャアンに良い人がいるとしたら、きっと自分よりも立派でしっかりした人なのだろう。
    綺麗な子だ、普通の男性なら放っておかないはずだ。

    彼女をジオンに招き入れてしまったことを今は後悔している。
    だからせめてこれからの彼女の人生は穏やかで満ち足りたものであってほしい。

    「(『しょうい』さんがいるのなら、その人はニャアンを大切にしてやってくれよ)」

    どの立場からものを言っているのだ。
    彼女のことを考えていたら、ずっと眠れないままだ。

    エグザベは渋々といった様子で下半身に手を伸ばす。

  • 96二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 09:16:52

    生殖器を刺激する間、普段は何も考えていない彼の脳内に綺麗な少女の姿が浮かんでくる。

    華奢な身体、手足は簡単に折れてしまいそうなほど細い。
    しなやかな体躯は猫か彫像のようで、長く綺麗な髪は神秘のヴェールのようだった。

    あの吸い込まれるような大きな目で真っ直ぐ見つめられていたら、きっと魅入られてしまう。

    「(ニューロン内の電気信号が悪さをしている。こんな妄想も考えも全て脳の悪戯、まやかしに過ぎない)」

    あの子でそんなことを考えるなんて、自分は最低だ。

    自分は彼女に劣情を抱いたことはなかったはずだ。
    そもそもニャアンは守るべき対象で、保護すべき子供なのだ。
    それをそのような目で見るなど、大人としてあるまじきことではないか。

  • 97二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 09:22:11

    いつもの作業に熱がこもりすぎた気がする。
    エグザベは手を洗いながら、ため息を吐く。

    「(ニャアンは誰か、異性とそういうことをするのだろうか)」

    考えても無駄なことだが、もしそうだったとしたら……
    胸の奥に何か深い霧がかかる感覚がする。

    早くいつもの自分に戻らなくては。

  • 98二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 09:55:52

    この人すごい難解な思考でエッチなこと考えてる…これは落とすの難しそうだな……………あれ、半分ぐらい落ちてない?

  • 99二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 10:03:31

    これは気持ちが通じ合ったらもう止まりませんね
    良かったなニャアン

  • 100二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 13:07:19

    いや本当エグザベ少尉にもそういう気持ちがあって良かったよ……

  • 101二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 16:04:40

    帰宅したニャアンをマチュが出迎える。

    「おかえりー! どーだった? 何か進展あった?」

    ニャアンの表情は暗い。
    ニャアンが上手くいかなかったことを察したマチュは、やれやれと言いながらソファに座る。

    「大丈夫だよニャアン。ザベちとはいつかまた会えるんだし」

    「うん……夕ご飯作るね」

    「(少尉とは、次いつ会えるんだろう)」

  • 102二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 16:06:15

    食材を刻みながらニャアンは考える。

    「(コモりんさんはエグザベ少尉と一緒に仕事ができて羨ましい……)」

    「(コモりんさん……美人でおしゃれだし、ち
    胸もあって、女性らしい体つきで……あんな人がエグザベ少尉には相応しいんだろうな)」

    「(私がもっと優秀で、ちゃんとしてて、綺麗で……あと素直になれれば、もっとエグザベ少尉と仲良くなれるのかな)」

    「(仲良く……仲良くなりたいだけ)」

    刻んだ食材に下味をつけ、低温調理用の鍋に入れる。
    あとは放っておくだけ。
    その間にシャワーを浴びよう。

  • 103二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 16:13:00

    マチュにお鍋見ててとお願いし、脱衣所で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。

    「(私、少尉で悪いことばっかり考えてる)」

    「(悪いことばっかり考えてるから、まともな会話ができない……)」

    毎夜毎夜想い続けていた頭の中の少尉より、今日一緒に過ごした少尉のほうがずっと好きだ。
    本物の少尉は、自分の頭の中の少尉よりずっと素敵な善い人なのだ。

    「(本物の少尉と仲良くなって……想像じゃなくて現実で、恋人同士しかできないようなことをしたら、きっと私は幸せだと思う)」

    「(それを実現するために必要なのは……現状を変えるための努力、かな)」

    こんな自分でもいっぱい頑張れば、未来では報われているだろうか。
    いや、報われることを期待してはいけない。

    未来のことなんてわからない、明日突然、全てがめちゃくちゃになるかもしれない。
    それでも何かやっていたほうが、何もしないでいるよりよっぽどいい。

    「(早く高卒認定を取ろう)」

  • 104二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 16:21:22

    がんばれニャアン…!

  • 105二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 19:56:43

    夏が終わり、秋も過ぎ去り、あっという間に冬になった。
    気象が管理されるコロニーとは異なり、地球の冬は強い風が吹き、とにかく寒い。

    自宅でニャアンは緊張した面持ちで大きな封筒を開封する。

    隣にいるマチュも生唾を飲み込む。

    封筒の中身を見たニャアンは、目に涙を浮かべる。
    それを見たマチュは、不安げな表情になるが……

  • 106二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 19:57:47

    「受かった……受かったよマチュ……!」

    ニャアンの手には高等学校卒業程度認定試験の合格通知書が握られている。

    「おめでとー! よかったぁ!」

    マチュは満面のお笑みで、泣き笑いするニャアンを抱きしめる。

    「ありがとうマチュ、勉強教えてくれて」

    「勉強頑張ったのはニャアンじゃん! 今日はお祝い! せっかくだしピザ注文しちゃお!」

    ぴょんぴょん跳ねるマチュとニャアンに釣られて、ハロとコンチも跳ねる。

    「ピザ! ピザ!」

    「ピガ! ピガ!」

    勉強を頑張ってよかった。
    これでまた目標に近付けた。

    二人は自宅で合格祝いのパーティをした。

  • 107二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:00:08

    「ん……」

    ニャアンの瞼がぴくりと動いて開き、上体をわずかに起こす。

    ニャアンのすぐそばにはくぅくぅと寝息を立てているマチュ。
    ハロとコンチもスリープモードになっていた。

    「(マチュとお祝いして……そのまま寝ちゃったのか)」

    間接照明がついたままの部屋で、ニャアンは自分の携帯電話を探し、時間を確認する。

    時刻は0:15と表示されている。

    「あ……そうだ」

    ニャアンはメッセージアプリを開く。

    「(少尉に高卒認定取れたこと……報告してもいいよね)」

    文字を打とうとした瞬間、エグザベからの新規メッセージが届いた。

    ごとん。

    ニャアンは驚きでメッセージを見る間も無く携帯電話を落としてしまう。

  • 108二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:01:43

    携帯電話が床に落ちる音でマチュが目を覚ます。

    「うーん……? 背中が痛い……いつの間に寝ちゃってたんだろ」

    マチュはゆっくりと起き上がる。
    ちょうどマチュの目の前にはニャアンが落とした携帯電話があった。

    「ニャアン! よかったじゃん!」

    携帯電話の画面を見た瞬間、マチュは嬌声を上げる。

    「ザベち、近いうちに地球来るって!」

  • 109二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:04:22

    慌ててニャアンは携帯電話を拾い上げる。

    『近いうちに地球に行くことになりました。ニャアンたちのところにも寄れそうなので、何か必要なものがあったら教えてください』

    嬉しいことが立て続けに起こり、フリーズするニャアン。

    「今年は猫年なのかな。次はうまくいくといいね、ニャアン」

    マチュはニヤニヤしながらニャアンに寄りかかる。

  • 110二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:27:06

    マチュがめちゃくちゃ楽しそう

  • 111二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:54:17

    高卒認定取れたの普通にめちゃくちゃめでたいんだよね
    頑張ったね良かったね

  • 112二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 20:56:13

    これってマチュは学歴で抜かれたのでは・・・本人が気にしてなさそうだからいいか

  • 113二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:26:24

    >>112

    そういえばそうか

    まあニャアンは孤児だから犯罪歴消した新しい戸籍で一から頑張ろができるけどマチュは家族いるから別人の戸籍でってやりづらいよねとも思う

  • 114二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:46:55

    「(ニャアンはいいなぁ)」

    自室のクッションに身体を埋めながら、マチュは考える。

    「(好きな人が同じ世界にいて)」

    マチュの想い人──シュウジはこの世界にはいない。
    また会える確信はあるが、今ではない。
    あの時、マチュとシュウジの心は通じ合った。
    通じ合ったからこそ、今は会えないということがよくわかる。

    だが、マチュはそんなことで感傷的になるような女ではない。
    シュウジに会えない間は、やりたいことを全部やって、楽しいことを飽きるまでやって、それでも会えないなら、今は会えないと決まっている事実すら捻じ曲げて、探しに行ってやるつもりだ。

    「(そのためにもニャアン、幸せになってよね)」

    私が心おきなくシュウジを探しに行けるように。

  • 115二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 21:57:49

    エグニャアスレのマチュさんイイ女から面白イノシシガールまでいろいろだけど
    このマチュほんと可愛い

  • 116二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 22:30:25

    >>96

    そういえばエグザベ少尉はニャアンのことを守るべき子供って思ってるけど『少尉』って少年兵が1年戦争時に大暴れしたとか余程変なルート辿ってない限りエグザベと同年代か年上だよな……?

    そこについてはどう思っておいでですか!少尉!!

  • 117二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:16:03

    「(試験……受かってよかった)」

    ニャアンは合格通知を眺め、微笑む。
    この半年間はほとんど勉強漬けの毎日だった。
    なるべく早く認定を得て、次に行きたかったからだ。

    第一関門を無事に突破できたことで、肩の荷が一つ下がる。
    ニャアンはベッドに横たわる。

    時刻はAM1:45、先ほどまでリビングでマチュと眠ってしまっていたから、眠気はほとんどない。

    「(半年間……してない)」

  • 118二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:18:11

    あのおぞましい劣情にあんなに支配されていたのに、目の前の資格試験のことで頭がいっぱいになるとそれどころではなくなっていた。

    自分は単純な生き物なのだと思う。

    「(久しぶりにしたい、かも……)」

    ニャアンは身体をよじらせる。

    「(嫌いな勉強、こんなに頑張ったのはあの人のためなのに……あの人のことを考えると私はまた悪いことをしてしまう)」

    でも今日だけは、この半年間たくさん頑張ったのだから、きっと神様も許してくれるはず。

    「(合格できたことを伝えたら、きっと少尉は優しく笑って褒めてくれる。頭を撫でて……それで……いつか、手とか繋いだり……)」

    今更そんな初心なことを考えるのかとも思ったが、現実では私と彼は流れで間接キスしただけ。
    しかも当の本人は一切それを気にしない鈍感な男の人で。

    久しぶりの刺激に身体中がぴりぴりするような感覚に襲われる。
    それは脳が溶けてゆくような、穏やかな気持ちよさも感じさせた。

    「(少尉に……早く会いたい)」

  • 119二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:32:59

    「(久しぶりの地球……前は夏だったから、だいたい半年ぶりくらいかな)」

    宇宙船の中から地球を見つめるエグザベ。
    今回はシャリアのお使いで地球に赴くため、自分一人での行動になる。

    「(ニャアンは元気にしているだろうか)」

    『少尉』さんとの関係に進展はあっただろうか。

    「(いや、まだそうと決まったわけではないが)」

  • 120二次元好きの匿名さん25/08/23(土) 23:34:51

    仮定の話として、ニャアンの言った『しょうい』さんが例えば連邦軍人だったら、おいそれと会いに行けなくなる。

    そもそも少尉ということは、余程のことがない限り自分と同年代か年上のはず。
    そんな男がいるとしたら少し、いやかなり心配だ。

    連邦軍人にせよジオン軍人にせよ、歳の離れた10代の女の子に手を出す男がまともなわけがない。

    逆にニャアンの相手が一年戦争の都市伝説に出てくる、後ろにも目がついていてMAVもサイコミュもなしにジオン軍のMSと戦艦を千切って投げてを繰り返す悪魔のような少年兵が相手だったら……

    「(祝福するしかない……のか)」

    そんな悪魔がいてたまるか。

    考えても無駄だ、そもそも自分はただの一軍人でニャアンの恋人でも家族でもないのだから。

  • 121二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 01:06:48

    >後ろにも目がついていてMAVもサイコミュもなしにジオン軍のMSと戦艦を千切って投げてを繰り返す


    🤔

  • 122二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 01:17:46

    はっはっは、そんな可笑しな少年兵がいるわけないだろー

  • 123二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 03:01:52

    エグザベが地球に降り、シャリアのお使いを終わらせ、マチュとニャアンの住む家に着く頃にはすっかり日が落ちようとしていた。

    「おそいよザベちー」

    玄関でエグザベを出迎えたマチュは、寒さ対策にモコモコとした部屋着を着用し、のしのしと廊下を歩く。
    その後ろ姿はさながら小熊のようだった。

    エグザベはかわいいで埋め尽くされた部屋には似つかわしくない、リビングの片隅にぽつんと設置されたアーミーグリーンの機材を確認する。
    わざわざ二人の住む家にまで来たのは軍の通信機材のメンテナンスのためだった。

    「マチュさん、軍の機材にステッカー貼るのはやめてね」

    「えーだってそれダサいじゃん」

  • 124二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 03:04:02

    手早くメンテナンスを終え、工具を片付ける。

    「そういえばニャアンは?」

    「夕飯の買い出しだよ。ザベちが遅いから私が留守番することになったんだよ?」

    「申し訳ない……じゃあ僕は帰るね」

    「えっ!? もう帰っちゃうの!? ニャアンに会わなくていいの!?」

    「女性の家に居座るのは気が引けるし、僕は明日の昼くらいまではこっちにいるから。明日改めてニャアンには挨拶するよ」

    「(なんなのザベち……変態ロッカー男のくせにこういうところで常識的にならないでよ)」

  • 125二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 03:05:40

    エグザベが二人の家を後にして、数分後に入れ違えで帰宅したニャアン。
    エグザベはもう帰ったことを知ると、彼女は買い物袋を床に落としてしまった。

    「夕飯……一緒に食べようと思って、遠くのスーパーまで行ってたくさん食材買ってきたのに……」

    「だから帰りが遅かったんだね……とりあえずザベチに連絡しようか」

  • 126二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 06:09:06

    すれ違い(物理)
    もどかしい……!

  • 127二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:53:32

    マチュとニャアンの家を後にしてから数時間後、エグザベの携帯にメッセージが入る。
    送り主はニャアンだった。

    今すぐ公園に来てくださいというメッセージと共に、彼女らの住む家にある公園の住所が送られてくる。

    何か大事な用事があるのだろうか。
    エグザベはすぐに公園へ向かう。

    公園にはすでにニャアンらしき人影があり、ブランコの座板に腰を下ろしていた。

    「こんな時間にどうしたの?」

    近付くと、ようやく表情が見える。
    口を固く結んで、不機嫌そうな表情だった。

  • 128二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:54:50

    ニャアンは自身の膝の上に置いていた紙袋をエグザベに差し出す。

    「夕食……作り過ぎたのであげます」

    紙袋の中にはタッパーがぎっしりと詰まっていた。

    「こんなに? 本当にいいのかい? うれしいな、ありがとう」

    ニャアンは唇を尖らせ、エグザベから目を逸らす。
    エグザベはニャアンの隣のブランコに座る。

    「そういえば昔、嫌いな人には手料理は作らないって言ってたよね」

    何の気なしに出た質問だった。

  • 129二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:56:07

    「そんなこと言ってません」

    本当にそのようなことは言っていない。
    好きな人にしか作らないとは言ったが。

    ニャアンは仏頂面のままだったが……

    「くちゅんっ!」

    小さくくしゃみをする。
    冬の公園だ、寒くても仕方がないだろう。
    よく見るとニャアンの肩は小刻みに震えていた。

    「風邪引いちゃうから、あんまり長居はしないほうがいいかもな」

    エグザベはブランコから降り、自分の上着を脱ぎ、ニャアンの肩にかける。

    ニャアンは驚く間もなかった。
    それは寒がる子供に親が毛布をかけてやるかのような、あまりに自然な動作だったからだ。

  • 130二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:57:34

    「少尉が寒くなっちゃいますよ」

    「これくらい大丈夫だよ」

    ニャアンは自分の肩にかかったエグザベの上着の襟に触れながら、少しだけ表情を和らげた。

    「少尉に……報告したいことがあって」

    ニャアンの言葉にエグザベはびくりとする。
    色々な予測が彼の頭の中を駆け巡る。
    その中には一番あってほしくないものもあった。

    「(都市伝説の連邦の悪魔少年兵だけは嫌だ……)」

  • 131二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 09:58:53

    「高卒認定……取れました」

    ニャアンの報告に、エグザベは安堵と喜びを見せた。

    「すごいじゃないか! おめでとうニャアン」

    馬鹿なことばかり心配しているな、自分は。

    「何かお祝いするよ。欲しいものでも食べたいものでも……」

    その言葉に、ニャアンは節目がちになって応える。

    「頭……また撫でてほしいです」

    ニャアンの目がじっとエグザベを捉える。

  • 132二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:01:35

    「そ、それだけでいいの……?」

    「ダメですか?」

    「いや、全然僕はいいけど」

    ニャアンが目を閉じる。
    エグザベは意を決し、ニャアンの頭を撫でる。
    髪の毛を乱さないように、優しい手付きだった。

    「僕の手……冷たくない?」

    「大丈夫です」

    しばらくそうした後、ニャアンは目を開く。

    「ありがとうございました」

    ニャアンは穏やかに微笑んでいる。

  • 133二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:03:05

    「ニャアンは……何かやりたいことがあるの?」

    ニャアンが地球で生活を始めて1年くらいになるのだろうか。
    そんな短い期間で高校3年間の勉強を終えたのだから、きっといっぱい努力したのだろう。

    彼女が故郷を失ったのは11か12の時だったはず。
    自分はちょうど今のニャアンの年齢と同じくらいのころに難民になった、それでも苦労は多かった。
    まだ小さな子供が一人で生きていくのは並大抵のことではなかっただろう。

    戦争に奪われた人生を取り戻そうとする彼女が眩しく思えた。

    「またしばらく勉強して……士官学校に入ろうと思ってます」

    「士官学校?」

    ニャアンの言葉に、エグザベがわずかに眉を顰める。

  • 134二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:04:17

    「軍に入るのかい? なんでまた……」

    「それは……」

    ニャアンが口籠る。
    正規軍人になれば、少尉と一緒にいられる時間が増えるかもしれないから。

    だがニャアンにそれを言う勇気はなかった。

    その様子を見たエグザベは、申し訳なさそうに口を開く。

    「ごめん、ニャアン。僕は応援できない」

    「え……?」

  • 135二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:05:23

    「軍の仕事も色々あるけど、君にはパイロットの才能がある。本物である君を軍が非戦闘員にするはずがない」

    彼女のことは出来る限り尊重したいと思っているが、こればかりはちゃんと言わなければならない。

    「僕は……君を一度ジオン軍に招き入れてしまったことを後悔している。君に過酷な経験をさせてしまったから」

    「戦いとは関係のないところで、君には生きてほしい」

    その言葉を聞いたニャアンは、俯き、また髪で顔を隠し、小刻みに震え、肩にかかったエグザベの服をぎゅっと掴む。

    「わ、わたしは、少尉のそばに立ちたくて……」

    ニャアンが震えた声で絞り出す。

  • 136二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:07:33

    「(『しょうい』さんのことか…?)」

    彼女が『すき』と言っていた『しょうい』
    わざわざ自分に話してくれたということは、自分はその『少尉』ではないのだろう。

    「(やはり懇意にしている人がいたのか)」

    好きな人と一緒にいるために軍に入る。
    そんな理由、認められるわけがない。

    「そんなに好きな人が軍にいるのかい? だったら軍に入らなくても、結婚でもすれば一緒に基地内の住宅で暮らすことだってできるんだ、君が軍に入る必要なんてないだろ?」

    エグザベのその言葉は、あくまで心配から出てくるものだった。

    ニャアンが勢い良く顔を上げる。
    髪は乱れて、顔は赤くなっているが困惑が見て取れた。

  • 137二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:10:28

    「その少尉さんとちゃんと話し合ったのかい?」

    ニャアンは困惑を通り越し、まるで宇宙に放り出された猫のように間の抜けた顔をしていた。

    「エグザベ少尉は……今は少尉じゃないんですか……?」

    「いや、今もまだ少尉だけど……」

    ニャアンからの問いかけに答えてすぐ、エグザベは自分の口を抑える。

  • 138二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:11:52

    「私はエグザベ少尉の側に立ちたくて……これからも頑張ろうって……」

    ニャアンは顔を真っ赤にして、目には涙が溜まっている。

    「私は、少尉以外の男性を……そういう対象として見てません……」

  • 139二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 10:13:32

    エグザべはわなわなと震える。

    自らの勘違いと、あの時のニャアンの寝言が自分に対するものだと知った羞恥心で、返す言葉が見つからなかった。

    「エグザベ少尉は、やっぱり私が、本当はすごく卑しい人間だって気付いていたんですね……でも、少尉のことは本当だったから、行動で示したくて……」

    今にも泣き出しそうなニャアンの肩を、エグザベは掴む。

    「君は卑しくなんかないよ!」

    彼女の言葉を一つ一つ噛み締めて、言葉を探す。

  • 140二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 12:01:52

    >>137

    『宇宙に放り出された猫のように』とかいう、意味わかんない筈なのに何故か実際に見たことがあるかのように分かってしまう表現

  • 141二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 12:20:55

    >>140

    なんかエグザベ少尉は実際に見たことあるかもしれないと思ってちょっと精神に来た

  • 142二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 17:22:18

    「まず、軍に入ることはやっぱり僕は応援できない。むしろ反対になった」

    「君の気持ちだけど……とても嬉しい。だけど今僕は、君の言うワケワカの状態になっていて……うまく言葉が出力できない」

    夜の公園は冷え切っているはずなのに、ニャアンの肩を掴むエグザベの手は熱くなっている。
    ニャアンは恐る恐るその手に触れる。
    ひんやりとした感覚がエグザベに伝わる。

    「エグザベ少尉……私と話し合ってくれますか」

    エグザベは黙って頷く。

  • 143二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 17:23:58

    「私……少尉でいっぱい悪いことを考えていたんです」

    「私と少尉が、恋人みたいなことをできたらなって……想像の中の少尉はそんな私をなじって罰をくれるんです」

    「もちろん、本物の少尉はそんなことしないからこそ考えていたことで……私は結局、今ここにいる少尉のことが……好きです」

  • 144二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 17:33:02

    異性からこんなにはっきりと好意を伝えられたことはなかった。
    故郷にいたことは親しい異性の友人もいたが、全員友人止まりだった。

    「簡単に結婚すればいいとか言ってしまって、申し訳なかった」

    「自分はしがない軍人だし、君と一緒にいられる機会は少ない。危険も伴う仕事だから、僕はあまり特別な人間を作らないようにしていた……」

    「君には幸せになってもらいたいけど、僕は君を幸せにできる自信がない」

  • 145二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 17:40:26

    その言葉を聞いたニャアンは、意外にも落ち着いた様子だった。

    「私の幸せを、少尉が勝手に決めないでください」

    ニャアンはエグザベを抱きしめ、キスをした。

    「ごめんなさい……」

    ニャアンの細く長い指がそっとエグザベの唇を撫でる。

    「こういうことをするのは少尉が最初で最後がいいです」

    「結婚なんて、今の私にはわからないです……あくまで私は少尉のことをもっと知りたくて、もっと仲良くなって、恋人同士じゃないとできないような特別なこともしたくて……そういう願望があるだけで、少尉が私の気持ちに応えるよう強要するつもりはありません」

  • 146二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 17:54:38

    私、今ワケワカになってるな。
    もう言葉を選ぶ余裕もない。

    ニャアンはエグザベの耳元で囁く。

    「少尉、私と性行為をしてくれませんか」

    「え……?」

    予想外の言葉に、エグザベは目を見開く。

    「少尉が嫌でなければですけど……」

    「僕をなんだと思っているんだ!」

    言葉を理解したエグザベは、ニャアンを抱きしめた。

    「君にはもっと自分のことを大切にしてほしい……心配になるから」

    抱きしめる力が強くなる。

    「そんなことをするくらいなら、恋人になりたい……」

    抱きしめる力とは裏腹にその声は弱々しく、少年のような声音だった。

    「君が思っているより僕はいい人じゃない、でも、誠実であろうと努力はするから。だから、少し時間をくれないか……」

    ニャアンは微笑み、エグザベに体重を預ける。
    空から落ちる雪が、風に舞っている。
    だが不思議なことに、ここはとてもあたたかい。

  • 147二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 20:02:03

    カップル成立おめでとう㊗️

  • 148二次元好きの匿名さん25/08/24(日) 20:11:39

    こんなに嬉しいことはない

  • 149二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 00:39:02

    いっぱい仲良くしろ

  • 150二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 02:05:48

    マチュのスマートフォンにメッセージが入る。

    『少尉とお話をすることになったので、帰りが遅くなります』

    そのメッセージを見て、マチュは「うしし」と笑い声を漏らした。
    帰ってきたらいっぱいからかってやろう。

  • 151二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 02:07:20

    ニャアンが帰ってきたのは翌朝だった。
    玄関を開く音でマチュは目を覚ました。

    「おかえりニャア〜ン♪ 朝帰りとは度胸がありますなぁ」

    やや寝ぼけ気味のマチュがニャアンにしな垂れる。

    「何想像してるのマチュ。別にやましいことはしてないから」

    「え〜? お若い男女が〜? 一晩中何してたのよ〜」

    「話してただけ」

    顔を真っ赤にして慌てるニャアンを想像していたマチュは、拍子抜けた様子になる。
    ニャアンをよく見ると、マチュはあることに気付く。

    「あれ……ニャアン、そんな上着持ってたっけ……?」

  • 152二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 02:09:37

    「え……?」

    ニャアンは自分が身につけている上着を見る。

    「(間違えて少尉の上着を着て帰ってきちゃった……)」

    やっとニャアンが焦る様子を見せる。
    昨晩は本当に少尉と会話していただけだった。
    少尉の泊まっている宿にお邪魔して、互いのことを話し合い、これからのことを考えたりしていたらいつの間にか朝になってしまっていたのだ。

    自分と少尉はそんなに身長が変わらない。互いに眠気で判断が鈍っていたのだろうか。

    少尉は上着を着て帰らなかったはず。
    おそらく私の上着は少尉の手荷物の中に……

    「わ、わざとだもん」

    「シカタナイネー」

    ニャアンの震え声に、棒読みでマチュは応える。

  • 153二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 02:55:51

    「(まさか最後まで気付かないとは……)」

    帰り道、エグザベは手荷物の中にある女性物の上着のことを考える。

    「(真面目な話ばかりで疲れているだろうから、少しでもリラックスしてくれればと思っただけなんだ)」

    スクール時代、同期に自分の寝巻きを胸部にハムスターが大きく印刷されたミゲルのスウェットとすり替えられたことがある。

    色合いもサイズも同じだから着てから気付き、同期たちは自分の姿を見て大笑い。なぜかスウェットの持ち主のミゲルまで、誰よりも大きな声で笑っていた。

    そんな感じのことを自分もやってみようと思い、ニャアンの上着と自分の上着の置き場所をそっと入れ替えてみた。

    これ少尉の上着じゃないですか、ヤダーッ!とか私の上着をどこへやったんですか! 変態!みたいな反応が来るかと思ったら、彼女は当たり前のように自分の上着を着用し、彼女を家の近くまで見送る道中も一切気付く様子がなかった。

    結局こちらから切り出すことができず、解散となってしまった。

    「(もしかして心理戦を仕掛けられていたのかな……いや、そんなことをする子じゃないな)」

    自分は普段はほぼ軍服だから問題ないが、彼女は上着がなくなって困ってしまうだろう。
    悪いことをしてしまった。

    「(次会ったらちゃんと返して謝ろう)」

  • 154二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 03:12:18

    相互の上着とかいうお互いに渡ってはいけないものが渡ってしまった……
    こんなんもうやるしかねえ!!

  • 155二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 10:20:16

    さっそくイチャイチャしててニッコリ

  • 156二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 17:07:24

    ミゲル随分可愛いの着てたんだな…

  • 157二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 17:08:34

    そう言えばニャアンって上の方は触ってないよね
    フフフ……

  • 158二次元好きの匿名さん25/08/25(月) 22:41:51

    彼シャツならぬ彼上着か・・・

  • 159二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 00:24:15

    ポンコツ攻め×ポンコツ攻めって感じでかわよ

  • 160二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:11:44

    ミゲル…ハムスター…例の孤高のよぽよぽちゃんを思い出した

  • 161二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:33:26

    「(少尉の上着……大好きなにおい……)」

    「(少尉の上着を羽織る私……これは実質バックハグなのでは……?)」

    部屋の中でエグザベの上着を肩に羽織りながら、ニャアンは惚けた顔になる。

    「(私に対してグイグイ来てくれる少尉……後ろから力強く抱きしめてくれて、少尉の吐息がくすぐったくて……)」

    ニャアンは下腹部の疼きに身悶える。

    「(上着間違えてよかった……! 次はシャツとか間違えたいな)」

  • 162二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 01:45:50

    ニャアンとマチュは久しぶりに二人でショッピングに来ていた。

    「今使ってる傘がボロボロだから、新しいのほしいんだよね。クラゲ柄の傘とかないかな〜」

    小物屋でマチュは傘を物色する。
    ニャアンも近くで猫の小物を見つめていた。

    「そういえばニャアン、せっかくだし新しいコート買ったら?」

    マチュは続ける。

    「それザベちのコートじゃん。男ものだから肩とかの布がダブついてるし……せっかくだからかわいいの買おうよ、絶対間違えないやつ」

    「……これでいい」

    ニャアンは顔をほんのり赤くして応える。

    顔を傾け、上着の襟に寄せる。
    まだ少しだけ少尉のにおいが残っている。
    過酷で物足りない冬も、なんとか越えられる気がする。

    「(なんかすっごい惚気られてる気分)」

  • 163二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 02:10:48

    一方そのころ。

    「(ニャアンの上着……次いつ会う機会があるかわからないし郵送で返そうかとも思ったけど、彼女たちの立場上そういう行動は危険か……)」

    エグザベはハンガーにかけられた女性ものの上着を見つめる。

    「(返すときはきちんとクリーニングをすべきだな……それにしても)」

    ニャアンの上着のにおいを嗅いでみる。
    清潔感のある香りの中に、花や果物のような甘い香りもわずかに感じる。
    その奥には彼女自身のにおいもあった。

    見た目は黒いシンプルな、男性が着ていてもおかしくないコートなのに、それは紛れもなく女性のものだった。

    「(いやいや何をやっているんだ自分は! 興味本位でもこんなことはいけない)」

    「(彼女の香りが完全に消える前に、会いにいけたらいいな……)」

  • 164二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 05:40:26

    かーっ!!見んねアマテ!!!卑しか女……え?相手も卑しい?ならええか……

  • 165二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 06:32:52

    再会したら本物のバックハグお見舞いしてやれエグザベくん

  • 166二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 08:27:50

    「地球内のジオン勢力圏で武装蜂起?」

    シャリアから呼び出されたエグザベ。

    「はい……テロリストは非軍事組織を騙っておりますが、実態は連邦の過激派組織。おそらくサイコガンダムによるサイド6襲撃を指揮した人物も関わっているでしょう」

    「彼らの鎮圧に私たちも参加することになりました」

    シャリアは滔々と語る。
    エグザベは了解しましたと応え、早速二人は対テロ組織鎮圧のための会議へ向かう。

    「(まさかこんな形で地球に降りることになるとは……)」

    地球連邦とジオン公国はあくまで休戦状態でしかない。
    連邦も一枚岩ではなく、このような事態が起こるのも想定済みだったのだろう。会議は迅速に進められ、具体的な作戦と決行日が決められた。

  • 167二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 09:19:24

    作戦決行日はあっという間に訪れた。
    エグザベはシャリアの指揮の下、テロリストを次々と鎮圧していく。

    つつがなく戦闘を進めていたエグザベだったが、不意打ちで敵機体に背後を取られる。

    エグザベの機体は後ろから敵機体に抱きかかえられ、身動きを制限される。

    「(なぜ気が付かなかったんだ……!?)」

    敵機体は武器を全て失い、損傷が激しく、片脚も失い、まともに動くのは両腕だけという状態だった。

    戦える様子でないことは誰の目にも明らかだった。

    「それでも、まだ戦うつもりなのか……!」

    すぐに反撃しようとしたその時、エグザベの視界が光に包まれる。

  • 168二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 09:23:24

    「(敵パイロットと感応している……!? 相手はNTだったのか……!?)」

    光の中で佇むのは痩身の、褐色肌に黒髪、そして大きな金色の目をした少年兵だった。

    どこか哀しげな、憂いを帯びた目でエグザベを見つめているが、眉を吊り上げ何かを決心しているのがわかった。
    だがそこには殺意も敵意もなかった。

    ふと、エグザベは思った。

    「(ニャアンに似ている……)」

    エグザベの心の揺らぎを感じ取ったのか、少年はわずかに微笑む。
    それがあなたの大切な人なんですね、とでも言いたげに。

    エグザベは少年がこれから行うことを察知した。

    「馬鹿なことを!」

    エグザベの叫びと同時に、少年は自身の機体の自爆スイッチを押した。

    エグザベの機体が爆発に巻き込まれる。
    衝撃の中で、彼は歯を食いしばる。

    「(僕は生きて帰らなければ……いけないんだ)」

    大切な人と、約束したのだから。

  • 169二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 10:14:43

    イチャ甘の気配を感じた瞬間にはお労しくなっている…!これがオールレンジ攻撃…!!

  • 170二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 13:24:19

    ニャアンがこれ後になって知るの大丈夫かな……

  • 171二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 16:41:55

    強い衝撃の中で、揺らぐ視界。
    薄れゆく意識の中でも、エグザベは生きるために腕を伸ばした。

    次にエグザベが見たのは無機質な白い天井だった。
    身体中が痛む。
    なんとか首を動かすと、右腕には点滴が刺され、両腕ともに包帯を巻かれ圧迫されている。

    そして左側のベッド脇には、パイプ椅子に座り、自分の眠るベッドに突っ伏した状態で眠る少女がいた。
    長くて綺麗な髪を一つに束ねて、目の下には濃いクマができていた。

    「(生き残った……はず。夢じゃなければ)」

    眠っている少女────ニャアンはひどく疲れているのか、血色が悪く、やつれているように見えた。

    「(大丈夫かな……? とりあえずそんな体制で寝てたら身体を痛めちゃうよ)」

    エグザベは動きづらい左腕を無理矢理動かし、ニャアンの肩を叩こうとしたが、ちょこちょこと当てるだけが精一杯だった。
    それでもニャアンを起こすには十分だった。
    ニャアンはゆっくりと眼を開く。

    二人の視線が交差する。
    ニャアンは状況を理解すると、思わず立ち上がり、感極まった表情で呟く。

    「よかった……よかったぁ……」

    ニャアンの目には涙が溜まっていたが、彼女はすぐに天井を見上げてそれを誤魔化した。

    エグザベは心配かけてごめん、とでも言おうとしたが、寝起きのせいなのか喉からは息が漏れる音しか出なかった。

    「すぐに先生を呼んできます、少尉」

  • 172二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 16:58:49

    自分は全身打撲でしばらく安静にしないといけないらしい。
    連邦のMSの自爆に巻き込まれたものの、脱出ポッドを作動させ、それがシャリア中佐にすぐ回収されたため運良く生き残れたらしい。
    サイドボードに置かれていた書き置きにはシャリアの筆跡で『あなたらしくない失態です、このメモを読んでいるならきちんと反省してください』と書かれていた。

    「(本当に失態だった……)」

    自省するエグザベを横目に、ニャアンは小さく切り分けられ、紙皿に乗せられたりんごを持ってくる。

    「少尉、りんご剥いてきました、食べてください」

    「あぁ、ありがとう」

    ピックの刺さったりんごを手に取ろうとすると、ニャアンが背中でりんごを守るように静止する。

    「少尉は安静にしないといけません」

    ニャアンはりんごの刺さったピックを手に取り、エグザベの口元に近付ける。

    「大丈夫だよ。これくらい自分でできるよ」

    「ダメです。お医者様の言うことは絶対です」

    ニャアンはジトっとした目つきでエグザベを見つめる。

    「シャリアさんも反省してくださいって言ってますよね。本当に反省してますか?」

    「ご、ごめん……」

    痛いところを突かれ、エグザベは大人しくニャアンに従う。
    りんごを口の中に運ばれ、黙々と食べ続けるしかないエグザベを見て、ニャアンは微笑む。

  • 173二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:15:49

    「ニャアン……もしかしてずっとそばにいてくれたのかい?」

    「……どうせ家にいても落ち着かなかったので」

    ニャアンは使い終えた紙皿を小さく折りたたんでゴミ箱に入れる。

    「少尉がひどい怪我をしたと聞いて、シャリアさんに頼んで病院に入れてもらいました」

    エグザベが今入院しているのは地球内にあるジオン軍の医療施設だった。
    ニャアンの住んでいる場所とはかなり離れているはず……まさか泊まり込みでずっといてくれていたのか。

    「少尉……どうしてこんなことになっちゃったんですか」

    ニャアンが眉を八の字にして問う。

  • 174二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:18:20

    「……戦闘中に連邦軍のパイロットと感応したんだ」

    エグザベはぽつりぽつりと語り出す。

    「それで、一瞬の間に互いを分かりあった」

    「分かりあった結果、僕と彼の両方が生きて帰れる未来はないと知った」

    「結局僕は反撃に遅れたせいで自爆に巻き込まれちゃって……パイロット失格だよね」

    冗談めかして言ったつもりだったが、声が上擦ってしまった。

    「少尉は……隠し事が下手です」

    ニャアンは目を伏せる。

    「……」

    君に似ている少年だったから、なんて言えるはずがない。

    「少尉はその人に、死なないでほしかったということですか」

    図星だった。
    君によく似た、まだ子供の兵士が、これから死のうとすることに自分は絶望し、戦場にいるということを忘れてしまっていたのだ。

    エグザベは黙り込む。

  • 175二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 17:30:16

    ぎしっ、とベッドが軋む音がした。

    ニャアンはエグザベを引き寄せ、歯がぶつかるような力強いキスをし、抱きしめた。

    ニャアンの胸に抱かれ、エグザベは目を見開いた。

    「次こんなことがあったら、エグザベ少尉のことを嫌いになろうとしますから」

    エグザベの怪我が痛まないよう、ニャアンの抱擁は意外にもとても優しいものだった。
    先ほどのキスのせいで唇を切ってしまい、その部位は痛むが。

    「嫌いになれないので、少尉がこれから先辛いことや悲しいことがあったら、慰めます……そもそも私はあなたを慰めることしかできません」

    「私なんかの存在じゃ足りないかもしれませんが、覚えておいてください」

    ニャアンはもう一度エグザベにキスをし、自身の唇に付着したエグザベの血を舌で舐め取ってみせる。

    「君のおかげで、悩むのが馬鹿らしくなったよ」

    エグザベはやっと言葉を発することができた。

  • 176二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 20:33:30

    悲しいけど、これ戦争なのよね・・・

  • 177二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 20:40:34

    一瞬ゼクノヴァでも起こって未来の自分の子と邂逅でもしたのかと思った
    単に似てる子だったのか良かった良くない
    戦争はいやね

  • 178二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 22:40:19

    「(自分……ニャアンからすごくキスされている気がする……)」

    「(嫌ではないけど……なんだか恥ずかしいな)」

    かさぶたになった唇の傷がむず痒い。
    ニャアンがリップクリームを塗ってくれた指の感覚がまだ残っている。

    ニャアンは連日の寝不足のため、施設内の仮眠室で少し休ませてもらいに行くらしい。

    「エグザベ・オリベさん。点滴の交換の時間です

    看護師が病室に入ってくる。

    「お若い奥様がいらっしゃるのですね」

    手早く点滴袋を交換しながら、看護師は言う。

    「えっ……!?」

    「この病室に出入りしていた女の子、オリベさんのドッグタグをお持ちになられていたので……違いましたか?」

    「あぁ、ニャアンのことか……」

    異性のドッグタグを持ち歩いていれば、そのような勘違いもされるか。
    わざわざ否定する必要もないと思い、エグザベはそれ以上は追求しなかった。

    看護師は一礼すると病室を出ていく。
    看護師も何かを察したのかわざわざ言わなかった。

    ここ数日間、エグザベの病室に入り浸り必死に看病をしていた少女が、時折彼の唇にキスをしていたとは。

  • 179二次元好きの匿名さん25/08/26(火) 23:38:31

    目を覚ましてよかったなあ

  • 180二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 01:52:28

    ドッグタグはニセモノの少尉だもんな……
    本物の少尉がいたらそりゃそうなりますわ

  • 181二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 03:05:54

    ニャアンは仮眠室に備え付けられたソファに座り、壁に身体を預ける。

    「(よかった……)」

    大切なものは簡単になくなってしまうことをニャアンは億度となく経験してきた。
    エグザベが戦闘中に負傷し、意識が戻らないと知った彼女は激しく狼狽した。

    軍の医療機関で適切な処置を受けていると聞き、それならば少尉をこのような目に遭わせたテロリストはどこにいるのか、ニャアンは電話口で問い詰めた。
    MSを盗んででも、そのテロリストを倒しに行くつもりだった。

    電話越しでシャリアは「エグザベ少尉は敵MSの自爆に巻き込まれました、後ろから組み付かれ、わずか数秒の出来事です。私も想定外でした」と説明した。

    ニャアンは不安と怒りをぶつける対象すら失い、最後には少尉に会わせてくださいとお願いし、軍の医療施設への立ち入り許可を貰った。

    本来なら配偶者や家族ではないと民間人の立ち入りは許されない。
    不幸中の幸いか、エグザベから渡されたドッグタグのおかげで手続きはスムーズだった。

    ベッドの上で、エグザベは複数のチューブに繋がれていた。
    打撲の処置のために圧迫用の包帯が巻かれ、痛々しい姿だった。

    手の甲で彼の頬に触れると、いつもよりつめたく感じた。

    「(本物の少尉なのに、つめたい……)」

  • 182二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 03:07:50

    ゾッとした。
    このまま彼が一生目覚めなかったら、このままいなくなってしまったら……

    それからほとんど眠れず、1日の大半をエグザベの側で過ごし、時には看病をし、ベッドの側でずっと神様に祈り続けていた。

    「(神様、もし本当にいるなら、どうか少尉を助けて……代わりに私は死んでも構いません……)」

    白雪姫のように、キスしたら目覚めればいいのにと何度もキスをした。
    それは彼がまだ生きているかの確認でもあった。

    彼の唇が、冷たくて硬いドッグタグのようになってしまったら。
    そんなのは絶対に認められなかった。

  • 183二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 03:09:55

    考え過ぎて追い込まれた結果、彼の子種を貰おうかとも考えた。
    男性は意識不明の状態でも生殖器を刺激されれば脊髄反射で子供を作るために必要なものを出すことはできるらしい。

    彼の子供をこの身に授かれば、もし彼がいなくなっても彼の残滓はこの世界に残る。
    私はその残滓のために全てを捧げることを、ずっと彼を感じることができる。

    それはただの自己陶酔から来る独りよがりな暴走だ。
    少尉の尊厳を傷つけ、新たな命をも冒涜する行為だ。
    もちろん実行はしなかった、そもそも怪我人にそんなことをしたらトドメになる危険性があることくらいニャアンだってわかっている。

    「(マチュに……メッセージを送ろう)」

    携帯電話を起動しようとしたが、緊張の糸が切れたニャアンは急激な眠気に襲われ、携帯電話を落とし、気絶するように眠りについた。

  • 184二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 07:32:09

    心配したよねニャアン
    ザベくんにいっぱい抱きしめてもらって

  • 185二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 12:01:12

    少尉ははよ元気になっていちゃいちゃしたりデートしなさい……

  • 186二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:27:32

    退院の日は思っていたより早く訪れた。
    医者は若さだね、と笑いながら言う。

    退院後も、大事を取って1週間程度は療養をするよう指示を受けた。

    「中佐、ご迷惑をおかけしました」

    医療施設内の通信可能エリアで、エグザベはシャリアと通信する。

    「むしろ少尉の活躍を考えれば、お釣りが来るレベルです。医師から療養の件は聞いておりますので、1週間ほど地球でゆっくりしてくれても構いません」

    前回の戦闘でのエグザベとシャリアの活躍により、テロ組織は主要な戦力を失い、このことはアルテイシア様の耳にも届いているらしい。
    1週間の療養は栄誉休暇として扱われるらしい。

    「(申し訳ないな……)」

  • 187二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:28:33

    エグザベの思考を読んだのか、シャリアは眉を顰める。

    「エグザベ少尉、もう二度とこのようなことのなきように、お願いします」

    「あなたが死んでしまったら私は悲しいですし、残された猛獣が恐ろしいです」

    猛獣というのは、ニャアンのことだろうか。

    「恐ろしいですよ、通信機器越しでも伝わる思念というのは」

    シャリアは笑って見せるが、目は笑っていなかった。

  • 188二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:31:33

    「(気を付けよう……)」

    通信を終え、施設のエントランスに向かうとニャアンが椅子に腰掛けて待っていた。

    「退院おめでとうございます」

    入院中、ニャアンはほぼ一緒にいてくれた。
    もう大丈夫だよ、と言っても彼女はそれを無視し、ほぼ一日中エグザベにつきっきりだった。

    「本当にありがとう、ニャアン。おかげで退屈せずに済んだよ」

    ニャアンはその言葉に小さく微笑んだ。

  • 189二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:36:15
  • 190二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:39:42

    乙埋め

  • 191二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 19:41:05

    立ておつです
    エグザベ君はお返ししないとですね

  • 192二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 20:52:56

    >>189

    正直で実によろしい>卑しか雌猫のスケベ書きたい

  • 193二次元好きの匿名さん25/08/27(水) 20:57:38

    立ておつです
    ニャンニャンするニャアン供給ありがとうございます

  • 194二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 00:12:43

    うめうめ

  • 195二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 01:54:45

    立て乙
    そしてうめ

  • 196二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 06:50:50

    フフフ……セクノヴァ!

  • 197二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 15:53:09

    うめうめ

  • 198二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:04:27
  • 199二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:07:13
  • 200二次元好きの匿名さん25/08/28(木) 17:09:57

    >>200なら二人の初夜は甘々イチャラブになる

オススメ

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