- 1二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:34:18
- 2二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:35:51
カナヲとの健診および歓談が彼を悩ませている、というのは正確ではない。このところ炭治郎はこの検診の日を心待ちにしている色すらある。彼の煩悶の遠因となっているのはカナヲではなく、その傍らにいる蛇、鏑丸であった。
カナヲの薄い襯衣の中からするりと這い出てきてはちろちろと舌を出し、また再びカナヲの胸襟の中へと潜り込んでいくその蛇体は、なまめかしく造化の妙を感じさせる。
炭治郎は優しい少年であった。だからこそ、暴性を伴うような強い色欲とは無縁そのものでもあった。言ってしまえば、彼はまだ恋を知らない、ということ。そんな彼が自身の脈拍や体温の上昇を自覚した瞬間を考えたとき、そこにはいつもカナヲと鏑丸が居る。 - 3二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:37:18
(俺、もしかして・・・)
少年の脳裏にあったのは尊敬する先達であり、勝利の礎としてその身を捧げた偉大なる柱たちの一人、蟲柱・胡蝶しのぶの言葉。
「恋というのは感情変化の一様態であり、身体的には体温の上昇と脈拍の強壮化が顕著見られます。また、人によっては普段とは違った言動を取るようになることもありますが、これは脳内の物質が関係しており・・・」
恋の呼吸の威力を間近で目撃した彼がふと問うてみた質問に対して、蟲柱として彼女はさまざまな見識を授けてくれた。その知識が今、炭治郎の中でひとつの推論へと至ろうとしている。
「俺、もしかして・・・鏑丸くんに・・・恋を・・・?」
竈門炭治郎16歳、初恋の芽生え(?)である。 - 4二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:38:31
「清姫伝説ってのがあってよ!」
いつだったか、女人に強く恋焦がれている善逸が逆に恋慕われる側になりたいと言いながら鼻息荒く語っていた昔話。伊之助は川魚をかじるのに夢中だったが、楽しそうに語る善逸を炭治郎は温かく見守っていた。彼は今、その話を思い出していた。
「っ・・・!」
人というのは不思議なもので、それまで考えもしなかったことでも一度自覚すると目を閉じるだけで脳裏に浮かぶようになる。
カナヲの白いうなじに絡みつく鏑丸
カナヲの胸襟から覗く鏑丸
カナヲの艶やかな髪と戯れる鏑丸
カナヲのしなやかな細い指を撫でるように這う鏑丸・・・
炭治郎は心の臓を強く握られるような錯覚に陥ったが、存外その甘い苦しみは不快ではなかった。その両頬にはわずかに紅が差す。いつの間にか、彼の片目には世界が煌めいて美しく見えるようになっている。
残暑も力強いとはいえ、葉月も終わりに差し掛かり、ひぐらしも鳴き始めるこの季節に、少年は「春が来た」という慣用句の意味を心で理解するに至る。庭先にある親族の墓の傍らにはアサガオが小さな花を咲かせていた。 - 5二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:40:06
これ半分くらいしのぶさんのせいだろ
- 6二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:40:53
クソボk…あれ!?
- 7二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:41:34
どうしてこうなった
- 8二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 12:56:23
描写が繊細で風景が目に浮かぶ良文……なのにどうして……
- 9二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:21:35
アサガオも困るだろコレ
- 10二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:21:53
でも蕪丸はオスで女好きだ!
- 11二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:22:42
単刀直入に言うけど炭治郎のばーーーーか!!!
- 12二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:24:59
- 13二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 13:46:31
蛇はえっちだよね
- 14二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 15:35:34
遡ること数か月。
無惨討伐の礎となった英雄のひとり、岩柱・悲鳴嶼行冥は真っ暗な空間で目を覚ました。眠ったいたというよりは意識を取り戻したという感覚。戦いの末、かつて面倒を見ていた子どもたちと共に彼岸へと渡る際、炭治郎が鬼へと身を落とさんという場面に遭遇した彼は、子どもたちを先に逝かせて炭治郎の背を支えることにした。そしてその甲斐あってか、炭治郎は人へと戻ることができたのであった。
彼の記憶はそこまでである。いや、そこまでであった。そこまでのはずであった。
そのはずが真っ暗な謎の空間にいる自分。ここが彼岸だというのなら神仏とはあまりに残酷ではなかろうかと思ったものだが、自身を呼ぶ声に振り返ればそこには先に逝った仲間たち、煉獄杏寿郎や胡蝶しのぶの姿があった。胡蝶しのぶ曰く、竈門家は先祖の記憶を遺伝する特異な体質があり、その影響で死者たちが炭治郎の脳内を寄合所にすることができたのだという。
そこからはとんとん拍子であった。
炭治郎が意識を取り戻したと同時に開ける視界。活動写真に興じる観衆のように盛り上がる元鬼殺隊の面々。
皆、炭治郎たち兄妹が心配だったのだろう。
そんな折、その炭治郎の口からこぼれ出たのは
「俺、鏑丸くんに・・・恋を・・・」のひと言。
伊黒は頭を抱えていた。 - 15二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 15:36:50
「これは・・・しのぶ・・・」悲鳴嶼の目は見えているかのように訴える。
「な、なんですか!私のせいだって言うんですか!?」
「うむ!胡蝶のせいではないが、影響は甚大だろう!」煉獄は力強く悲鳴嶼は濁した言葉の先を代弁した。
「胡蝶様・・・」「蟲柱様・・・」「しのぶちゃん・・・」「胡蝶・・・」
「なんですか!私は問われたことに答えただけでしょう!!」恩師である悲鳴嶼や同僚の煉獄、親友の甘露寺ほか守るべき隊士たちの前であるため抑えてはいるものの、すでにこめかみにはうっすらと青筋が出ていた。
もちろん、しのぶは異種間恋愛を奨励したわけではないし蛇に懸想する強者へと導こうしたわけでもない。彼女はあくまで「恋の呼吸」を目撃した炭治郎の「恋とは何か」という質問に対して答えたのみ。その知識を用いた炭治郎が鏑丸への恋心を誤認するなど想定外もいいところ。
当然、そんなことは百も承知の面々は、戯れの意味を込めてしのぶをつついているのであった。 - 16二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 15:38:59
また別の日、くく晴れた日の朝、伊之助はマムシを捕まえたといって魚籠の中にいれた数匹のマムシを持って来たが、それを見る炭治郎の心はとくに動きはしなかった。蛇なら何でも良いわけではない。特定の相手にのみ心が動くのが恋というものである。炭治郎はカナヲの細い首筋にするりと絡む鏑丸に、まるで人間の女性のような甘い匂いのする鏑丸にのみ向いているのであった。
「おそらく炭治郎くんはカナヲへの恋心を誤解していますね・・・」
炭治郎の脳内で開かれる柱合会議にて、しのぶは状況を分析していた。柱合会議といっても玄弥やその他の隊士たちも大勢集まっている。
「うむ!竈門の年齢からして恋心への理解が乏しいことは大いにあり得ることだな!」
「うむ・・・竈門が町でふと見ていた春画の類も、蛇が絡むものではなかった・・・南無」
「ほら見てごらん甘露寺、竈門が春画を見ているよ、珍しいものだ、ふふふ・・・」「うふふ、恥ずかしいのかしら、ちらちら見てる・・・綺麗ね、伊黒さん・・・」
「・・・・・」玄弥は何も語らない。ただ、時折竈門家に置かれているおはぎの差し入れに心温まる思いを大切に抱きしめるのであった。 - 17二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:00:35
炭鏑スレじゃなかった…
- 18二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 16:51:01
文章の書き方目茶苦茶好みなのに内容これなのほんま笑う
- 19二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 17:44:50
「その結論、伊黒さんが見たらどう思うと思いますか?」って書こうとしたらもう伊黒さんに見られてた…
- 20二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:05:09
「・・・・・///」
狂い咲きの藤の花。いまや鬼の存在の残り香となっているのは、この藤の花のみ。
・・・いや、それは正しくはないだろう。
戦いの爪痕として四肢を失った者、家族を失った者、そして命を失った者・・・。残された者たちの心にぽっかりと空いたその穴こそが鬼という悲しい存在がかつてあったことの証左である。炭治郎のしわがれた片腕もまた同じ。
その片腕をゆったりとさすりながら、炭治郎は先日の診察を思い出していた。
優しくたおやかに触れるカナヲの手。その上を軽妙に這う蛇体。もはや触感を伝える役目を失っていた片腕だが、そのときばかりは、まるで火がついたような、浮き立つような感覚となったことを、目をつぶらずとも思い出せる。
「・・・・はぁ・・・」
胸がつまったかのようにため息を吐く炭治郎。その頬の赤は色味も増すばかり。
しかし、その赤は決してあの雪の日の禍々しい血の赤ではなく、照りつける夏の太陽を受ける命脈の躍動を象徴する赤であった。 - 21二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:16:15
「炭治郎の性癖がねじ曲がったとしても、何も変わらないよ」
ふわりと微笑んで言う時透無一郎。意気を高めんとする獰猛な笑みとも、邪気を挫かんとする不敵な笑みとも違う、温かな笑顔がそこにはあった。
「うむ!時透の言う通りだ!」
若き同僚に同調する煉獄。特徴的な瞳は視線を読みづらくしているが、その口角は緩やかに上がっている。
「ほら見てごらん甘露寺・・・」
「素敵ね伊黒さん・・・」
「私も昔寺に居た頃、僧侶たちが奇怪な性癖を拗らせていたを覚えている。いわんや戦友である鏑丸をや・・・。」
岩柱・悲鳴嶼行冥の目に涙はなかった。涙の代わりか、その力強い胸の中には温かい心持ちがいっぱいに満ちているのであった。
「いや、待ってください!?炭治郎くんの性癖がねじ曲がったかどうかはまだ分からないですよ!?というかそもそも、炭治郎くんはカナヲに恋をしているに間違いありませんてば!!」
人が変わったようにかしましく吠える蟲柱・胡蝶しのぶ。しかし、昔の彼女を知る者たちは、どこか彼女が帰って来たような懐かしい気持ちにならないではいられなかった。隠や隊士たちの中にはその姿にほろりと目尻を濡らす者もいたが、それを口に出すような無粋を踏む者は一人もいない。 - 22二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:28:32
「しのぶ・・・ここは落ち着いて竈門の選択を見守ろう」
「悲鳴嶼さん・・・そう、ですね。外野がとやかくいう事ではありませんね・・・」
「煮詰まっているね」
「「「 御 館 様 !!!? 」」」
炭治郎の選択を見守っていた面々の前に現れたのは、病床に伏せる身でありながら無惨討伐の先陣を切った偉大なる先代、産屋敷輝哉その人であった。
「焦らなくてもいい。君たちは本当によくやっている。」
ゆったりとした声。その声の力か、はたまたは別の何かが働いたのか、ある隠がぼそりと呟いた一言は不思議にその場の空気を一変させるものとなった。
「そうか・・・御館様のおっしゃる通りだ・・・炭治郎の性癖がねじ曲がったのかどうか・・・待てばいいんだ・・・健康な男子なら必ず馬脚を現す・・・」
「・・・・ん?」
鬼狩りの長・産屋敷輝哉、一生を終えた後に己の先見の明を超えるような事態が起こるとは想像もしていなかった。 - 23二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:37:24
「そうか!確かに!」
複数の隊士たちが納得したように頷きだす。
「さすがはお館様・・・炭治郎が自慰を始める瞬間を待つとは・・・これが産屋敷の先見の明・・・!」
隠や隊士たちの気勢は強まるばかり。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
想定外の事態であったが、ニコリと微笑む産屋敷。
「自慰ですか、確かにあり得なくはないですが、炭治郎くんの印象にそぐわないところが多いですね」
蟲柱・胡蝶しのぶ、あくまで冷静に状況を考える。
「南無・・・まれだが・・・・自慰を覚えないまま大人になる子どもも・・・いる」
「うむ!見たくはない!しかし後輩を導くのは柱の責務!」
「ふふ、甘露寺・・・お館様がいらっしゃったな・・・」
「うふふ、伊黒さん・・・お館様がご自分で歩いてらっしゃるわ・・・」
一連の流れが、霞柱・時透無一郎には全く理解できなかった。 - 24二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 18:40:14
炭治郎の自慰見たがる異常者しかいない…
- 25二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 22:21:51
待て
待て - 26二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:20:15
- 27二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:25:53
蛇と恋がバカップルみたいになってる…
- 28二次元好きの匿名さん25/08/20(水) 23:30:55
炭治郎もばーーーか!!!だけど炭治郎×鏑丸を容認しようとしてる柱どもはもっと何なんだよ!!!!!!!